予算委員会 第32号
- 発言数
- 128 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/03/01
会議録
○太田委員長 これより会議を開きます。 昭和二十八年度一般会計予算外二案を一括議題といたします。これより総括質疑に入ります。西川君。 〔「大蔵大臣どうした」と呼ぶ者あり〕
○太田委員長 すぐ見えます。——西川君の御質問は大蔵大臣を主としております。それに総理大臣のお考えも加えておることと存じます。食事の関係もありますから、三十分休みまして、十二時半に開会することにいたします。 休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ————◇————— 午後一時十八分開議
○太田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 総括質疑に入ります。西川貞一君。
○西川委員 昭和二十八年度の予算は、わが国が独立をいたしまして最初に日本政府の責任において、また国会が自主的な責任において決議をし、成立いたしまする最初の予算でございまして、まさに民主日本の百年の大計の基礎となるものでございますから、私は今までの質疑を総括いたしまして、特に財政上において私どもが明らかにしておかなくてはならぬと思います二、三の点につきまして、大蔵大臣の御見解を伺い、内閣全体の責任においての大蔵大臣の答弁を得たいと思うのでございます。 まず第一にお伺いをいたしたいことは、私どもが予算を審議いたします場事合におきまして、平常の時代におきましては後年度財政計画というものを必ず参照いたしたのでございます。 〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕 いやしくも財政は、その歳出に盛られております項目の多くは、いずれも後年度に引続いて支出を要するものが大部分でございますから、その後年度の歳入その他に対する大体の計画の見通しなくして、当年度の経費のみについて可否を決することは困難なのでございます。しかるに日本におきましては昭和十年ごろからいわゆる非常時という事態に入つて参りまして、国際的な紛争のために経済の基盤がいろいろ動いて行く。その上に立つて財政が大きな変動をいたして行きまするがために、その時局の見通しがつかないがために、後年度の財政計画が成り立ちにくいという段階に入りまして、いわゆる非常時体制に入つて以来、この後年度の財政事計画というものがなかつたのでございます。しかして敗戦以来は非常なる経済界の混乱が続きましたがために、これまた後年度の財政の見通しがつかないのみならず、一年度間におけるはつきりした財政計画も立てることが不可能な状態も数年続いたのでございます。しかしながらかかる混乱状態は、大体において昭和二十五年度、二十六年度においておちついたものと私は見るのでございます。何となれば、通貨の発行状態におきましても大体安定した線が出ておりますし、また物価の点におきましても大体に昭和二十六年度の後半、二十七年度に入りまして安定の線が出て来たのでございます。国際情勢は複雑にして前途端悦を許さざるものがありとは申しながら、総理の御言明のごとく、大規模なる戦争は漸次遠ざかりつつある気分がするのでございまして、私はさように見るのが妥当であると考えるのでございます。内には思想的な対立あるいは経済的な利害の衝突事等が随所に起りまして、いろいろ不安な気分は解消されませんけれども、大体において経済の基盤はおちついたものと見てよろしいと思うのでございます。すなわちわれわれは非常事態より平常事態へ回復したものと見てよろしいと思うのでございます。もしかかる事態の上に立事つて、今にしてなお後年度の財政に対する見通しがつかないというような状態でございましたならば、いかなる場合になつても後年度の見通しのない、その場限りの、行き当りばつたりの財政に終始せざるを得ないと思うのでございます。かかる意味におきまして、私どもは本来なれば本予算の審議にあたりまして、後年度財政計画の御提出を求めたいのでありますけれども、従来の惰力からしまして、そういうことが行われなかつたのははなはだ遺憾でございますけれども、少くも明年度以降の予算の編成にあたりましては、一応後年度に対する大体の計画も樹立し、少くもわれわれが本予算の決定を与えますに際しましては、来年度に対する多少の見通上だけはつけておかなくてはならぬと思うのでございます。すなわち私が第一にお伺いいたしたいことは、現在の経済状態は大体において後年度財政に対する計画を立て得る状態にまで回復しつつあるのではないか。少くとも昭和二十九年度予算の編成にあたりましては、後年度に対する相当の見通しの上に、財政計画を立てなくてはならぬ。しかいたしまするためには、政府といたしましても、国会といたしましても、特に私ども与党といたしましては、政府と協力いたしまして、本予算案成立と同時に、後年度財政計画を研究し、その上に立つて二十九年度予算の編成の用意をいたさなくてはならぬと思うのでございますが、この事態の認識に対しまして、大蔵大臣はいかなる御所見を持つておられますか。
○向井国務大臣 ただいまのわが国の経済状態及び世界の経済状態を観察いたしますと、御説の通り大体安定に向いておると存じます。ことにこのごろの世界経済の中心になつておるとも申すべきアメリカの様子を、私は行つてみませんからわかりませんが、いろいろの報告等で見ますと、安定ないし多少下向きの状態を示しておるように存じます。但しこれが新しい大統領のもとに政策いろいろにかわりまして別の方向を示すかもしれませんが、現在の状態では安定ないし多少は物価等も下向きをするというふうに見えております。非常なる国際状態の変化が、ございません限りは、ただいまおつしやつた通り、今年度においては著しい変化のないものと仮定をしていいかと存じております。その関係におきまして国内の事情を考えて、この予算成立後に後年度の予算というものを考えて、これを編み出しておくということは、来年度の予算を編成します上に大きな参考になるものだろうと存じます。
○西川委員 本年度の予算案をしさいに検討いたしますのに、歳入の面におきましては、本年度限りの歳入と見るべきものが相当あると思うのでございます。まず第一に前年度剰余金の繰入れでございますが、これは四百億円以上という相当厖大なる金額が繰入れられているのでございます。しかし私どもがしさいに検討をいたしますのに、この予算に盛つてあります租税の歳入は、各税ごとに相当に政府にとつては甘い見積りであり、国民としては辛い見積りである。私はこれらの租税の収入がその予定通りにあるかいなかにつきましては、大いに警戒を要するものがあると思うのでございます。なぜかと申しますれば、大蔵大臣は、現在の日本の財界の景気をもつて、漸次景気は後退の段階に入りつつあり、特に中小企業に対しましては、深刻なる打撃を及ぼしているということを言明されているのでございます。景気が後退し、中小企業が深刻なる打撃を受けながら、政府の歳入たる租税の税源となる国民所得は、あらゆる部門におきまして何らの減退がないということはこれは矛盾であります。そういうことはあり得ないのであります。すなわち景気は後退しつつないのであるか、どちらがほんとうかということでございますが、これは私は何人が考えましても、景気が後退の段階に入り、中小企業が相当深刻なる段階に入つておると事実と認めざるを得ないのであります。もしこれが事実であるとするならば、かかる財界の情勢のもとにおいて、なお前年度よりも課税所得がはるかに増大するという基礎から割出されたこの歳入の計画は、政府としては甘い見積りであり、高い税金をとられる国民としては、はなはだしく辛く苦いものになつておると思うのであります。さような見地から見ますときに、私どもは後年度に繰越すべき歳計の剰余金は期待しがたいと思うのでございますが、この点に対して、大蔵大臣の御見解はいかがでございますか。
○向井国務大臣 繰越し剰余金は、後年度に参りますのに、本年度のようには行かないだろうと考えております。
○西川委員 国庫剰余金が出るか出ないかについて断定を下されませんことは、大蔵大臣として妥当な見解だと思います。少くも本年度のように多くないであろうという御認識もまた妥当であると考えるのでございます。そういたしますと、すでに前年度の剰余金の繰入れという点につきましても、明年度においては歳入上考慮すべきものがある。そのほかに政府の保有公債の売却その他、あるいは特別会計の余裕金の動員など、明年度においては使うことのできない本年度限りの歳入が、この予算には相当計上されておると思うのでございますが、この予算に計上されております歳入の金額中、明年度においては期待しがたいものは、どのくらいな金額に上るのでございますか、お伺いをしておきます。数字の点は政府委員でけつこうでございます。
○河野(一)政府委員 お答え申し上げます。資金運用部の公債の売却といたしまして百八十一億円であります。さらに旧見返り資金の余裕金及び運用部の余裕金といたしまして二百十六億円、合計いたしまして三百九十七億円という臨時の収入が入つております。
○西川委員 この臨時の歳入は少からぬ金額でございますが、これと歳計の剰余金を合計いたしますと、七、八百億になるのでございます。ところで本年度通りのものが明年度以降において継続することはできなくても、先般もそういう話が出ておつたのでございますが、主計局長の机のひきだしの中から持ち出して来ることのできる財源、つまりただいま御説明になつたようなへそくり金みたいなものが、まだどこかに隠されておるのかどうか。あれだけを本年お出しになつたのであるから、つまりお持ちになつておるにしても——歳入財源として使うことのできる今年のただいま御説明になつておつたような種類の財源が、明年度以降に、おいてほかにあるかどうか、その点をお伺いしておきたいのであります。
○河野(一)政府委員 お答え申し上げます。ただいまの歳入は、産業投資特別会計における歳入でございますが、一般会計の収入といたしまして、今後新しい財源としてはなかなか期待は困難であろうと思います。
○西川委員 新しい財源といたしまして余裕金の活用等が、明年度以降においてはとつておきのものはないということを承りましたが、そういたしますと、歳入の方は本年度よりも相当に苦しくなるということは明らかになつたのでございます。そこで一方歳出の方でございますが、歳出の方面を検討いたされまして、現在の大蔵大臣の構想のもとにおいて、二十九年度以降におきましては、歳出を削減し、節約し得るものがどのくらいあるとお考えでございますか。また現在の構想において考えられております費目がございますならば、その費目を明示してお答えを願いたいと思います。
○向井国務大臣 二十九年度は、歳出の方では見通しを立てるのが非常に困難でございますが、少くとも軍人恩給を一年分という勘定にいたしまして百五十億円増加いたします。減少の方のまとまつたものでは、連合国財産補償の三十億円くらいのもので、その他は食糧増産とか、公共事業計画の進行に伴うもので、これはむしろ歳出の増加の方と考えます。 歳入の方は、ただいまも申し上げましたように、別に余裕金というものがございません上に、剰余金が少いといたしますと、財政全般といたしましては、徹底的に節約を必要とする次第でございます。節約と申しましても、幾らできるということはただいま端的に申し上げかねるのでありますが、しかしこれはぜひやりませんと、つじつまを合せることができない次第事でありますから、整理の上の物件、人件費以外に、各事業において資金を能率的に使うことにしまして、出費の減少をはかるということが、来年度においては最も緊要になると存じております。
○西川委員 ただいまの御答弁によりますれば、歳出の面におきましては、恩給法のみにおいても百五十億増加する、そうして減少するものとしては、まとまつたものとして連合国財産補償費の三十億のほか、大したものは見込まれない。そこでたまたま公共事業費、食糧増産の経費等に触れられたのでありますが、これらは、大蔵大臣の考え方では、それを節約したいかもしれませんけれども、財政の見地のみからしてはその方面を減らしたいという御要請があるかもしれませんけれども、私どもは財政のみの見地ではなく、広く国策全般の見地、特にこの狭い島国に八千数百万の国民、やがては九千万、一億にもなろうとする国民が生きて行くためには、大蔵大臣の御希望に反しても増加しなくてはならぬのが、日本の現実事の状態であると思うのでございます。しかしその点は意見にわたることでございますから、私はここに申すのではございませんが、ただいまの御答弁では、そういう国家活動の範囲を減縮し、国が当然しなくてはならない、仕事をやらないという消極的な考え方でなしに、仕事は大いにしながら経費を節約するというような面が、ただいまの御構想にはないものと承つてよろしいと思うのでございますが、違いますればお答えを願います。 なお歳出の面におきまして、恩給法の関係だけをただいま答えられたのでございますが、義務教育の学校職員の給与を全額国庫負担にいたしますことは、本年度におきましては不完全である、不足しておる、しかし二十九年度以降においては、これは完全なる全額国庫負担をするのであるという答弁が文部大臣において屡次なされております。また警察法の改正におきましても、二十八年度中におきましては、この予算の上に何らの変化がないのでございますが、二十九年度以降におきましては、個々の歳出に相当の変化があろうと考えられます。その他現在政府が企図されております諸政策、内閣において構想を持つておられますその範囲におきまして、どうしても歳出の増加を来す面はほかにはございませんか。あればその総額はどのくらいでございますか。
○向井国務大臣 二十九年度において増加をするというものはただいまないと存じます。
○西川委員 その点は御答弁が完全でないと思うのです。特に義務教育費の関係等におきましては、国庫の新たなる歳入の道をお考えになることもできるでございましようが、国庫の歳出という形の上におきましては、この関係のみについても当然相当の増額を来すのではないかと思いますが、その点いかがでございますか。
○向井国務大臣 ただいまの義務教育並びに警察という点は、国の計算から申しますと、税制の処理によりまして地方財政との調節をいたしますので、増加にならないと私は考えるのであります。そのほかのものにつきまして、ただいまから予見し得る増加の数字はない、こういう事考えであります。
○西川委員 その点も大臣の御答弁が正確でないのではないかと思います。すなわち税制の改革その他によつて、現在地方の歳入となつておるものが国庫の歳入となる意味において、歳入の増額もあるかもしれません。しかし今まで地方の歳出に属しておつたものが政府の歳出となつて、歳出もまた増加するのではないか。出入りに変化はないという御構想であるかもしれませんけれども、少くも私が聞いておりますのは、二十九年度以降の歳出において増額を来しはしないかということでありますが、この点はいかがでございますか。数字の点は政府委員でもけつこうであります。
○河野(一)政府委員 義務教育費の全額国庫負担ということになりますと、ただいま正確に計算したわけではございませんが、今度の予算の基礎となつた数字は千百五十五億でございまして、義務教育費国庫負担金で計上いたしております九百二十億のうちに給与の分は九百一億でございますので、二百五十四億ほど増加いたすわけでございます。教材費につきましても十九億円でございますが、二十九年度におきまして教材費についてさらに見直すことになりますと、六十億円程度は必要であろうというようなお話もございますので、その関係において、かりに半額といたしましても十一億ということに相なります。それから警察費につきましては、現在の予算におきまして二百二十億でございますが、警視以上の者について国庫で負担するという人件費については三十億程度でございます。そのほかにいろいろの設装備の関係もございますが、これは総額としては二百二十億程度にとどまるのではないかというふうに考えております。義務教育費につきましては、中央、地方の税制の改正によりまして、その面の歳出増加があれば、その間における税源の移動が、平衡交付金なりその他によつて調整が行われるということを申し上げる次第であります。
○西川委員 ただいまの御答弁で、数字の出入りにつきましては大体明らかになつたのでございますが、この問題の解決のためにきわめて重大なることは、明年度におきまして税制改革をなされましてその調整をするとしますならば、国の歳出がふえるだけの歳入を確保すると同時に、地方の各都道府県市町村が失うものと与えられるものとがよくマッチいたしまして、その間の翻齢を来さないように切り盛りをいたしますということは非常にむずかしいことである。しかも国全体の総計におきましては齟齬を生じないといたしましても、ある県は非常に損をし、ある町村は非常に利益するというような、自治団体相互の間に齟齬を来しますならば、これは非常な混乱を来し、紛争を来す原因になるということを、内閣諸公におかれましては深く御認識になつて、早手まわしに十分の準備をしてかかり、翻齢、混乱の起らないように御用意を願いたいと思いますが、これに対しては、大体いかなる構想をもつてこの調整をはかろうとしておられますか、大蔵大臣のお考えを一通り承りたい。
○向井国務大臣 これは結局はいろいろの混乱がございましよう。それでまず第一には、ただいま開催中の地方制度審議会の審議に基きましてこれを勘案して行きたいと考えております。
○西川委員 以上によりまして、大体二十九年度における歳入歳出のおよその形に見当がついたのでありますが、御答弁によりますれば、二十九年度においては歳出において増加を来すものはいろいろある、しかしながら歳入においては減少を来すものが相当大きい。従つて公共事業費とか食糧増産費とか、国家活動の上に、国民生活の安定と向上のために多々ますます支出をしなくてはならないものを反対に減縮して、いわゆる退嬰萎縮の経済にならないことには、つじつまが合つて行かないという結論が一応ここに出て来るのであります。しかしわれわれはこの結論に満足しません。従つてわれわれの努力によつてこれは打開するつもりであります。 その打開をして行く上において、政府の御見解を一、二ただしておかなければならぬ点があります。まず公債についてでございます。大蔵大臣は、この予算に計上されております減税公債は好ましくない、少くも明年度以降においては出したくないという結論をきわめて早くお出しになつた。みずからの責任においてその決議を求められております大蔵大臣が、いまだ決議の成立せざるに先だち、いまだ実施の成績を見ざるに先だつて御結論をお出しになつたのは、少し早過ぎたように感ずるのであります。いやであろうともすきであろうとも、一旦あなたの責任において御計画になつたのであれば、あくまでこの決議の成立を求められると同時に、これを実施して慎重にその成績を見られた上でよしあしの判断をされることが、適当であつたと思うのでございますが、この点少し結論が早過ぎるように私は思うのであります。私は、減税国債には欠点もありますが、また多少の長所もあると思うのであります。すなわち大蔵大臣は、これがインフレのもとになるという点を一番御心配になつておるようでございますが、これは政府の通常な歳出の財源として出されるものではなくて、いわゆる財政投資の財源でございますから、資金の用途を変化するのであつて、政府の手を通じて甲から乙へと資金がかわつて行くのでありまして、従つて何らインフレの要因になるものではない。もし政府がそれをおやりにならなければ、他の金融機関が同じ作用を営むのですから、私は、これをインフレに結びつけることは当らないと思う。ただ欠点としましては、これに対する犠牲があまりにも大きに過ぎる。あの程度の金額の国債を出すために、六、七十億も税金を犠牲にするということはあまりにも大きい。しかしながら一般国民の方から見ますれば、大体一割程度の利回りになる確実なる投資証券は、相当に歓迎されておるのでございますから、案外これは歓迎されるかもしれない。しかしさらに欠点は、他の金融機関の方から考えますと、大体興業債券であるとかあるいはその他の長期的な資金を市場から吸収しております金融機関は、この公債とこれらの債券が競合いたしまして、発行の条件が非常に悪くなる、あるいは投資信託等の方にまわる金が、この方に吸収されるというようないろいろ欠点もございますが、その点はもう少し実施の結果を慎重にごらんになつた上で、結論をお出しになつてもよろしいと思うのでございますが、その点についてはいかがでございましようか。
○向井国務大臣 ただいまのお話は、私は特別減税国債を出す立場上は、ありがたいお話だと思うのでございます。また実際にその通りの結果になることを望んでおるのでございますが、しかしながら公債は、どういう形においても、これを出しますと、そのときは無事に済みましても、あるいは次の年とか、あるいはその年度内でも、いろいろの要請に従つて金を使う場合にとかく出されがちのものというふうに私は考えるのであります。まず第一歩において喜んで出す形をとるべきものでないというふうに考えております。あるいは早計でありましたかもしれませんが、好ましくないという頭で出発いたしたのでございます。
○西川委員 実は私もこの段階における財政、すなわち昭和二十八年度の予算に国債を出すということは、これは不合理であると思うのであります。この予算のすべての形から見まして、この財源に国債を出すということは合理的でないと思うのであります。しかしながら財源は何かによつて補わなければならなかつた。いま少し公共事業費や食糧増産費その他の産業の発展、民生の安定に要する経費は増額すべきである。従つて財源は何かに求められなければならなかつたのでございますが、この段階におきましては、政府が過去においてインヴニントリー・ファイナンス等によつて蓄積をされましたところの財政の余裕金、すなわち手持ち外貨を日銀に売却するという方法によつて、まずその方が活用さるべきであつたと私は思うのでございます。しかるにこのことが行われなかつたのは、政府におきましてインフレーシヨンになることを、通貨の増発を来すことを非常に警戒されたためであると思うのでございますが、本来この外貨が、通常の経済におきまして、特に金本位の場合でありますならば、国内に流入をいたしますると同時に、それは免換券発行準備となつて通貨の増発となるのが、これが自然の姿である、よしあしは別として自然の姿はその姿であります。しかるに過去の財政の実情に応じましてこれをインヴエントされましたことは、私はきわめて適切な対策であつたと思うのでございますが、もし財源に窮して国債を出さなくてはならないという段階になりますならば、国債の方法をとる前に、これを活用するのが自然の姿であつたと思う。特に現在の日本の産業経済は、急速にその基礎を合理化し、能率化し、機械化しまして、将来の態勢を確立しなくてはならぬのでございますから、一日も早く外国の発達した機械を取入れ、技術を取入れまして、急速度に日本の産業界の生産の水準を高めて行くということが緊要なるときでございますので、この外貨を活用すると同時に、国内における通貨の増発になることを極力避けるためには、これを活用いたしまして、外国の機械類あるいは技術を取入れる、あるいはいろいろの日本の産業界の発展に必要なるものを取入れて、日本の産業界の基礎を確立することが、一番適当な手段であると思うのでございます。少くも私がただいお尋ねいたしました結論からいたしますならば、二十九年度の予算はその方向に進まなくてはならぬものと解釈するのでございますが、御構想はいかがでございますか。
○向井国務大臣 二十九年度にはむろんそういうことになりましようが、もうすでに今から傾向はそういうふうに向いておりまして、外貨が国の工業施設の合理化とか、その他外国から技術を導入し、またいろいろの物を買うというふうなことに使われる現象が現われておりますが、二十九年度にはその現象は著しく増加して来ると存じております。
○西川委員 二十九年度以降の予算編成にあたりまして、私どもは向うべき方向の大体をそこに目安をつけておるのでございますが、この場合に、私どもが財政上深く研究しなくてはならぬことは、インフレーションの問題であると思うのでございます。通貨が金本位制度をとつております場合には、金の保有量が通貨発行の基礎でございまして、その保有量を越えて、いわゆる昔の制限外発行をいたしますことは変則でございますから、その制限外発行は少いほどがよかつた。従つて通貨は少いほどが健全であるという観念がいつの間にか国民の中に深く行き渡つてしまつているのでございます。そうして財政学はすなわち金融学であり、財政家は多く金融業者の関係が非常に深いために、金融的な見地からのみ財政が考えられがちな傾向が世界を通じてあるのでございます。しかしながら管理通貨の制度のもとになりましたならば、その発行する通貨の量が適当であることが何よりも必要なのでありまして、多過ぎてはならないと同時に、少な過ぎることは最も困るのであります。しかるに通貨は少くさえあれば健全である、金融界が通貨の価値の安定について安心をし得る状態ならば、それがために産業界においていかに資金に困り、中小企業者が困り、それがために商品が動かず、失業が増加しても、一向に顧みないという傾向がありますことに対しましては、われわれは非常に深くこれを警戒し、考慮しなくてはならぬのでございます。さような見地から、私は一つの科学的な根拠に立ちまして、ただいまの通貨の量と生産の数量と物価の状況等を考えますならば、むしろ現在の通貨は寡少に過ぎる、所要量の半分もしくは六割か七割しか出ておらないという結論がはつきりと出て来るのでございますが、私が特に内閣諸公に御考慮を願いたいことは、日本の財政は、昭和五、六年のあの金輸出の解禁の当時、いわゆる井上財政と呼ばれました財政の当時以後におきましては、デフレーションの苦き経験を持つておらない。インフレーションは好ましくございませんが、デフレーションというものはまことに恐るべきものであるということを、身にしみじみと体験しておらないのであります。あの当時デフレーションでいかに国民経済が困難に陥つたか、それが大なる社会不安を起した原因ともなり、また日本が大いなる方向を誤つた原因ともなつたという事実を、われわれは銘記しなくてはならぬのであります。さらに戦後におけるところのインフレーションがいわゆる悪性インフレーシヨンであつたかどうかということも、いま少し科学的に深く検討してみなくては、軽々しく結論を出すわけに行かない。悪性インフレーシヨンと申しますのは、通貨の崩壊でありまして、これは単なる経済現象ではなくして、社会現象である。しかしながら、通貨の崩壊に至らない単なる物価騰貴は、これは物の需要供給の関係から必然に起つて来るのでございまして、これは自然の成行きで、いたし方がないのでございます。敗戦直後におきますところのインフレーシヨンは、通貨崩壊の過程をたどつておつたのではなくして、生産が激減し、物の供給が非常に少くなりながら、需要は増加して、その需要供給の均衡を失した価格の現われが出て来たのであり、戦時中に行つた無理な統制の破綻があそこに現われて来たのでございまして、これが通貨崩壊の過程でなかつたという事実は——通貨崩壊をいたします悪性インフレーシヨンの特徴は、通貨の増加する趨勢よりも、物価の方が先に上る、物価がどんどん上つて行くから、幾ら通貨を出しても間に合わぬという通貨飢饉の状態を呈するのが、悪性インフレーシヨンの特徴でございます。しかし日本の戦後におきますインフレーシヨンはそうではないのであつて、通貨の方が先に増発されておる。昭和二十一年におきましては、その比率は、五倍もよけいに通貨が出ておる。二十二年におきましても、三年におきましても、通貨の方が先に増発されておるのでございまして、物価の方が遅れて上つているという特徴は、これは通貨の崩壊の過程ではなかつた。それからもう一つの特徴は、悪性インフレーシヨンにおきましては、国民が紙幣というものを全然信用しないで、紙幣を手にとると、すぐそれを捨てよう、物にかえようとするのでございますが、日本におきましては、かのインフレーシヨンの時代におきましても、国民が紙幣に深く愛着いたしまして、たんす預金なんというものをしまして、何でもかんでも紙幣を集めたい。物を売つてでも金を集めて、そうして尺祝いなどをして喜んでおつたということは、まだまだ国民が紙幣に愛着しておつた証拠でございまして、すなわちあのインフレですら、私は悪性インフレーンヨンと断定することは、いわゆる通貨崩壊の現象と断定することは、軽々しくできないと思うのでございます。そのように日本国民は管理通貨を行使する能力に非常にひいでておる国民でございますから、願わくはこの問題に対しましては、政府も国会も、特にわれわれ与党の立場におきましては、真剣に今後における日本の国策の根本方針、この狭い島国に多数の国民が生きて行くためには、どういうやり方をしなくてはならぬかということを、むしろ過去のいきさつにとらわれずに、独立した新しい見地のもとに、十分なる調査研究をいたしまして、明るい方向に持つて行つて、二十九年度予算以降の財政計画を樹立すべきであると考えますが、これに対しまして、大蔵大臣並びに総理大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○向井国務大臣 わが国の戦後のインフレーシヨンがいわゆる悪性インフレーシヨンにならずに済みましたのは、いろいろの事情もございましようが、仕合せでございました。そこで通貨の分量という意見につきましては、ごもつともでありまして、経済の規模が大きくなつた日本において、通貨の量のふえ方が少いという点も御同感でございますが、同時に通貨というものは、ある場合には紙幣とかいわゆる貨幣でございますが、ただいまでは手形だとかあるいは小切手とかいうものも、通貨とみなしていいものであります。そういうものに対する信用が戦後の数年間に著しくふえましたために、通貨の分量を補助する働きを相当に勤めておる。そういう点で、通貨が足りな過ぎるということも、ただいま断言できないのではないかというふうに考えますが、しかし御説の通り、通貨の発行高をぎゆうぎゆう締めて、仕事をする人に迷惑をかけるということは、決してよろしいことではございません。そういう点は十分慎重に考慮すべきものと考えます。予算の立て方につきましていろいろ御意見を承りました。特に政府といたしましては、窮乏せる歳入を配分します上に、最も重点的にこれを当てはめて参りまして、大切な仕事の方はさしつかえのないように、たとえば食糧増産というふうなものは、御説明の通り、金がないから減らすというような考えは持たずに、仕事の継続上さしつかえのないようにいたして、そのかわりには、重点と認められないものについては圧縮をするということが起つて来ると存じます。そういう方向に向つて、十分合理的な編成をいたしたいと考えております。
○吉田国務大臣 ただいまの大蔵大臣の答弁をもつて、政府の意見と御承知を願います。
○塚田委員長代理 福田赳夫君。
○福田(赳)委員 まず最初に、昨日の本委員会におきまして、総理大臣が失言をされた。すぐ率直にこれを取消されたわけでありまするが、これは取消すというのも実はおかしいと思う。というのは、正式の発言の内容をなしておらぬ事態に対しまして、私はこれを率直に取消しますというのも、おかしいことだと思います。しかしながら、事態は取消しの発言によつて治まらないで、なかなか混乱を呈して来ております。本予算が一日も早く成立することは、われわれの最も熱望するところでありまするが、その審議を順調に進捗せしめるために、総理大臣は適当な機会をとらえまして、ほんとうに腹の底から釈明をされた方がいいと思うが、さようなお心構えがありますかどうか、伺いたい。
○吉田国務大臣 昨日私は言葉が不適当なりと考えて、ただちに取消しました。
○福田(赳)委員 昨日の話ではないのです。昨日のあの取消しの発言で事が治まれば、それで私はいいと思つたのですが、これがなかなか発展して行く様相を呈しておる。そこで総理におかれましては、国民もみなこのことに関心を持つておるのでありますから、適当な機会をとらえて釈明をされるお考えがありますか、承りたいと思います。
○吉田国務大臣 私の釈明は、昨日の取消しをもつて尽きておると考えております。
○福田(赳)委員 総理大臣が釈明される、あるいは取消されるということは、これは本審議とは実は別個の問題だろうと思うのです。私率直に申しまして、あの発言は穏当でない、これは何らかの機会において、総理大臣として何とか釈明された方が適当であろうという意見だけを申し上げまして、予算の審議を急ぎまするから、質問に移ります。 総理大臣に承りたいのでありまするが、まず予算案における冗費の節約という問題であります。分科会等においてつぶさに検討いたしましたところによりますると、本年度のこの提出されている予算には不要不急と認むべき経費が非常にある。たとえば旅費というようなものにいたしましても、これは戦争中または戦後占領中に非常に官庁職員の人件費がきゆうくつである、それを補うという意味で、旅費というようなものが多額に認められておつたのでありますが、本年度のごとく、われわれがわれわれの手でこの予算を編成し、しかも人件費等におきましてはだんだん軌道に乗りつつある際には、それらと逆行してさような意味合いに使われる旅費のようなものは、これは減少して行かなければならぬというふうに考えるのでありますが、これが軒並に増加いたしておるまた会議費というようなものもそうなんです。これはまかない料というものが変形いたしまして会議費となり、食糧事情が大分きゆうくつでありましたものですから、会議に招集された方々に食事を出すという制度であつたのでありまするが、これまたかような安定期におきましては減らさなければいかぬ。これがまた軒並にふえておる。あるいは交際費、これまた軒並です。また報償費、報償費というようなものが、ある省におきましては非常に巨額なふえ方をしておる。あるいは自動車を買うというような経費も多大に見込んである。自動車なんというものは、東京市中を走りまわるのですから、ダツトサンでいいんです。官庁の役人が、外国の大きな、しかもニユー・カーに乗つてまわる必要はないんです。ダツトサンあるいはトヨペツトで飛んでまわればいいんです。そういうような不要、不急の経費が非常に含まれておるということを痛感いたしたのであります。さらに公共事業費におきましては、この執行が非常に濫費に流れておる。陳情しなければ割当も受けられない。百万円の事業費の割当を受けるのに、わざわざ九州のはてからやつて来て陳情しなければできないというようなこともあるのでありまするが、ともかく公共事業費の濫費ということが非常に叫ばれておるのであります。また私第二分科会におきまして審査いたしたところによりますると、保安庁についてもいろいろ考うべきところがあると思う。たとえば戸山学校の跡に科学研究所というものがある。これは旧陸軍の施設である。ところが提出せられた予算を見ますると、科学学校というものを新築しようという予算になつておる。これは昔の軍の施設である戸山学校の施設をそのまま使えばいい。何も新しいものをつくる必要はない。これは大蔵大臣と保安庁長官とがよく相談してやればできることなんです。あるいは保安庁の予算を見ますると、タンクを大いに新造するという計画になつておる。一方において、大蔵省におきましてはタンクを外に売るという計画がある。これは何も売つて、また新しく別なものを政府でつくらぬでもいいのでありまして、今あるタンクをそのまま保安庁において使えばいいというようなことになりますので、これはどうしても、総理大臣が陣頭に立つて予算の査定に当らなければならぬというぐらいにまで考えておりますが、総理大臣は予算の査定というものに関心を持つておられるか。また冗費の節約ということにつきまして重大なる関心を持つておられるか、この点について伺いたいと思います。と申しますのは、先般新聞で見ますると、総理大臣は自由党の議員総会におきまして、大いに経費の節約をされるということを強調した旨が出ておる。私はそれを見まして、総理大臣健在なりというふうに思つたのであります。ところがあとでまたそれが何かの問題になりまして、取消されたというふうにも伺つておる。その辺冗費の節約について総理大臣は非常な決意を持つておるかどうか、この点御決意をお伺いいたします。
○吉田国務大臣 お答えしますが、冗費の節約は当然の話でありまして、これは予算編成にあたりましても、また予算を実行する場合においても、常に内閣としては冗費の節約はもちろんのことでありますが、予算の使用についても十分節約するようにということを各省に向つて注意いたしております。 私がこの間取消したのは、冗費の節約をしないというわけではなかつたのであります。言葉が足りなくて、いかにも議会を無視するような感じを与えたからその点だけを取消したのでありまして、冗費の節約については、政府としてはむろん非常な関心を持つてその実現に努めるつもりであります。
○福田(赳)委員 総理大臣が冗費の節約について非常な決意を持つておられるのを伺いまして、これを欣快とするのでありまするが、しからば冗費の節約につきましては、これは役所だけで行つてもなかなかむずかしいと思うのです。総理大臣が陣頭に立つてされるということと同時に、これは何か新しいさようなものを推進する機関を設けまして、あるいは財政整備審議会とかいうようなものを設けまして、この辺でひとつ戦争中または占領下において乱れて来たところの財政の綱紀というものを大いに建て直す、こういうことをひとつ考えられるお考えがあるかどうか、御意見を承りたい。
○吉田国務大臣 お答えをしますが、ただいま申した通りに、予算の使用についても十分な注意をいたすように、各省においてもおのおのその心構えをもつて望んでおるはずであります。さらにお話のような機関を設けることが適当であるかどうかは、今のところただちに軽々しくお答えはできませんが、しかしいずれにいたしましても冗費の節減については十分考えるつもりでありますから、もし御意見等がありまたお気づきの点があつたら、御遠慮なく申出を願いたいと思います。
○福田(赳)委員 冗費の節約について非常な関心を示されておるのでありまするが、私といたしましてはぜひこれは政府全体の問題として、何か審議会のようなものでもつくつて、そうしてこれをほんとうに推進してもらいたい。そうして戦争中また占領下においてできた惰性があります。非常にゆるんだ調子というものをぜひ根本的に打砕いていただきたいのでありまするが、大蔵大臣はさような構想はもちろん持つておられるように伺つておるのでありますが、これをぜひひとつ断行いたしてもらいたいのであります。財政整備審議会を設置いたしまして、そうして大いに冗費の節約、財政の刷新をはかつてもらいたい、これをお願いいたしておきます。 次の問題といたしましては、この本年度の予算は独立後最初の総合予算であります。独立後の最初の総合予算でありまするから、そこにはわれわれが独立国として生きて行く道というものが背景をなして来なければならぬというふうに考えておるのであります。独立したことは、これはまことにけつこうなことでありまするが、経済的に見ますと、これはなかなか苦しいことであります。今まで七年間もなれて来た援助費がもらえなくなつたと同時に、講和条約によつてきめられた賠償とかあるいは在外財産の補償であるとか、あるいは略奪財産の返還でありますとか、いろいろな新しい義務を講和条約ができたばつかとにこれを履行なければならぬという苦しいはめに陥つて行くので、こういう事態に対しまして、われわれは生きる道をどこに発見するかという基本の政策がなければならぬ。総理大臣にお伺いしたいのであります、日本の国は朝鮮、台湾、満州、支那というような資源地帯を失つたのであります。もうこの日本といたしましては、昔のように外国に安い物を売つてやつて行くという貿易立国という行き方では、なかなかやつて行けない。貿易の維持発展というものはこれまた重要です。重要でありまするが、どうしてもわれわれは外国から物をよけい買わずに済ませる態勢というものをとつて行かなければならぬ。先ほど西川委員から食糧のお話がありましたが、食糧も大事であります。また同時に電源の開発も大事である。一番経済政策として何に重点を置くかという問題についてお伺いいたしたいのでありまするが、小笠原大臣に先般お伺いしたところでは、はつきりどうもつかめない。どこに重点を置くか。私は外国から物を買わないという政策が、立国の基本をなすべき政策であると思うのでありまするが、もとより貿易の進展、拡張ということを否定するものではない。これもその次に大事でありますが、一番大事なのは外国から物を買わずに済ませる経済体系というものをつくり上げて行くことにあると思いますが、総理大臣はこの予算の裏をなす経済の育成、強化、この問題について、さような考えを持つておられるかどうか。 〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕
○吉田国務大臣 物を買わずに済めばけつこうでありますが、同時に日本の現在の資渡の状態から言つてみて、原料を買わずに日本の産業を興すということは、これはほとんど不可能に近いのではないかと思うのであります。また一方に買わないということになりますと、世界の貿易がだんだん縮小する、打撃が生ずるので、現にイギリスあたりでは買わないという政策を立てておりますが、とにかく輸入はなるべく制限をするという結果、われわれもその影響を受けておる。またアメリカの関税障壁を高くしてくれるな、これはアメリカに対する各国の要望でありますが、各国とも貿易障壁を高くするということになると、世界の貿易の縮小ということになりはしないか。むしろ日本も大いに買い、大いに売るということにした方が、国策に沿うゆえんではないか、これは私論ではありますが、そう考えております。そこで日本はよその国から買つて、そうしてその国の購買力をつけて——買い方にもよりますけれども、むやみに買うというわけではありませんが、輸入によつてよその国の資源を開発する。よつてもつて日本が安い工業原料を仕入れるということになつて、培養された市場といえばおかしいが、外国のたとえば鉄鉱というような資源を開発して、その国の購買力を養つて、その養われた購買力のある市場に対して物を売るという考えの方がいいのではないか、これは私論でありまするが、そう考えております。
○福田(赳)委員 ただいま総理大臣の御意見を聞いておりますと、しごく天下泰平で、泰平の時代におきましてはそれで私はいいと思うのです。しかしながらただいまのごとく冷い戦争、中共に物を売るわけにもいかぬ、また英帝国にも物をなかなか出しにくい。そういう現在、また将来を見通しましての施策としては、いくらか考えるところがあるのではないかというふうに考えるのであります。しかしながらこの問題はそれだけにいたしまして、次に参ります。 二十八年度の予算といたしまして、一番大きな問題は何と申しましても防衛の問題ではないかと思います。防衛費というものが二十八年度の予算におきましては相当減額を見た。これに対しまして私は政府の努力に対しまして敬意を表するのでありますが、さらに努力を重ねてもらいたい。と申しますのは、防衛支出金であります。この防衛支出金というものは、これはアメリカとの協定によりまして日本側の負担する経費でありますが、これは日本側の保安隊、すなわち日本の防衛力がだんだん充実せられるに従いましてアメリカでは、まけてやるといつて期待しておるのであります。 そこで外務大臣にお伺いいたしたいのでありますが、行政協定第二十五条に、定期的検討の結果さらに次の金額がきめられるまでは、防衛支出金の日本側の分担額は一億五千五百万ドルになる、こういうことにしておる。明らかにこの防衛支出金というものは、日本側が防衛力がつけば、それに逆比例をいたしまして減らすようにできている。これがあの立法の精神だと思います。政府もそういうふうに説明をしておる。そこで定期的再検討の努力を外務大臣はしておるかどうか、この経緯はどういうふうになつておるか。ことしは予算に現われるところでは、努力をしたあとは出ていない。そこで外務大臣はどういう努力をされて来たかということについて御意見を承りたい。
○岡崎国務大臣 この防衛費というものの性質は、どこまでが防衛費ということになりますか、いろいろ意見があると思います。先方は当初千八百億ばかりですが、これを全体ひつくるめて防衛費と考えておつたようでありまして、むしろそれが減つたのに驚いていたように思われます。行政協定の話合いのときは、要するに日本側として防衛に必要な経費は経済上できるだけ多くを組むけれども、一定の限度がある。それは先方でもよく了解しまして、従つてその中で、一方がふえれば、一方で減らさざるを得ない、これはわかつたのです。しかしその全体が千八百億であるか、あるいはそれよりももつと少い、たとえば安全保障諸費というようなものを除いたものであるか、これについては先方は必ずしも除いたように思つておらなかつたようでありまして、いろいろ説明もいたしました。私は了解したものと思いますけれども、この内輪の、それだけ除いたものからいえば、今度のはふえたわけであります。二百億ばかりふえたわけでありますが、そのような関係がありまして、今納得をしておる。決して日本はアメリカにおぶさつて、自分の方で努力を怠つておるのではないということは納得したと考えます。将来の問題としましては、今おつしやつたような趣旨でこちらの費用がよけいかさめば、向うの費用を減らす理由は表面上はないのでありますが、一定の軍隊を置いておれば、それに要する経費の半分というものは、一定の計算が出て来るわけであります。しかし日本全体の経済とこういう経費の関係を見て、一方がふえれば一方が多少なりとも減るということは、私はできると考えております。
○福田(赳)委員 行政協定第二十五条は、二つの精神があると思うのです。一つは定期的に再検討する。日本側の保安隊の経費がいりますれば、あるいは減らしてやりましよう。もう一つは、折半の問題だと思います。今折半のことについてお話がありましたが、日本側といたしましては、折半というものにつきましては、全体で一体幾らかかるのかということをつかまなければならない。そのつかむ機構をお持ちになつておるかどうか、この点をお伺いいたします。
○岡崎国務大臣 これにつきましては、合同委員会でやつております。そしてかなり詳密に資料も出ております。今回の場合にも、レントのような問題でありますが、いらなくなつたものは減らすということで、ことしの予算は分担金の量も減つております。定期的にと言いますが、これはいついつかという約束はありませんけれども、合同委員会は一週間に一ぺんなり、多いときは二へんなり開いておりまして、そのときに資料がございますれば、レントの問題などはじきにわかるわけであります。こういう問題は何べんか話をいたしております。今後もずつとそういうふうにして行く予定にしております。
○福田(赳)委員 防衛支出金、その他防衛関係の経費に次いで今後重要性を持つて来るらしく思われる問題は、対日援助費の返還の問題であります。総理大臣の昨日のお話を聞いておりますと、何か向うと口約束があるような様子であります。今まで政府側の答弁を聞いておりますと、さようなものは全然ないのでありまして、ただ向うからもらつたものだから、それにお返しをするというお話であつたのです。これは大蔵大臣からしばしばさような答弁があつた。しかしきのうの総理大臣のお話はそうではなく、何か口約束があるらしい。外務大臣でもよろしゆうございますが、これはどういう口約束があるのか、これをはつきりこの議場でお答えを願いたい。
○岡崎国務大臣 特に口約束をしておるというような、約束というものはないと私は思います。しかしながら、総理大臣も、あるいは大蔵大臣も対日援助費というものは、これはただでもらうわけには行かない。返すべきものだ。こういう意思を表明しておられまするから、こちらではさような気持でいるということは先方もわかつておると思います。
○福田(赳)委員 そうすると、この対日援助費というのは、将来はこちらの自由裁量に属する問題でありまするか。もらつたものでありますから、これを返す、返さないということになれば、こちらの自由裁量と思いますが、その点外務大臣はいかように考えておられますか。
○岡崎国務大臣 私はもらつたものだという証拠もないと思います。向うもただでやつたのだということを向うから言つたということも記憶しておりませんし、そういう書面はもちろんないと思います。従いましてドイツやイタリアの例を見ましても、これは返還すべきものだと思いますけれども、しかしそれはどれだけのものが真に債務であり、その中でどれだけのものが返還すべきもので、返還することになろうかはこれは別問題でありまして、先方とよくつき合せてみなければわかりませんし、債務として日本が受けたものが、全体の額に現われましても、これを全部返すか、その何割かを返すかということは、また将来の問題になろうかと思いますが、ただ漠然としては決してこれは贈与というはつきりしたことはないと考えております。
○福田(赳)委員 そんな状況でありますと、今後どういうふうになるか、またいかなる段階にそれが頭を出して来るか、これはちよつと見当のつかない問題だろうと思うのです。そうしますと、先般来本議場におきまして、いろいろ質疑がかわされておりますが、政府の説明資料、また政府の答弁といたしまして、口からさようなことに対日援助費というものが公に出て来るのは好ましくない。これは法律論といたしましては、別に私はさしつかえないと思いますが、あれを麗々しく掲げるということは、非常に慎重を欠くやり方じやないかと思うのです。今後大蔵大臣におかれましても、外務大臣におかれましても、その問題の扱い方につきましては、十分慎重を期せられたい、かようにお願いいたしておきます。 それでは時間が参りましたから終ります。
○太田委員長 尾崎末吉君。
○尾崎(末)委員 与えられた時間が約二十分でありますので、その範囲内で、この予算委員会の最終段階にあたりまして二、三あらためて総括的の御質問を申し上げてみたいと思うのであります。 第一に、総理大臣にお伺い申し上げたいと思いますことは、義務教育学校職員法案を初めといたしましていわゆる五大法案等が、占領政策行き過ぎを是正する、また是正しなければならない、こういう国民の要望にこたえて提出されておるのでありますが、これに対して確信をもつてこの国会を通過せしめ、そうしてこの占領政策の行き過ぎを是正する、こういうことについての強い御確信があるのかどうか、この点をあらためて伺つておきたいのであります。
○吉田国務大臣 お答えをしますが、これは私の施政の方針の演説の中にも述べております。政府としてはあくまでもその通過を期待いたします。
○尾崎(末)委員 次に伺いますのは、最近になりまして、特に政局の不安説が著しく強く流布されまして、たとえますならば、野党連合等の攻勢によつて現内閣を倒すのだ、その後においては改進党の重光総裁がどうであるとかいうような、いわゆる政局不安に関する好ましからざる宣伝が相当に高くなつて参つているようでありますが、せつかく二十八年度の予算に、講和後最初の予算として、かりに一部不満の点がありといたしましても、大体において適切な予算を編成いたして、そうして日本の独立後最初の立上りにふさわしい行き方をしよう、こういう予算をお組みになり、他面におきましては、経済、外交等、または外資の導入等におきまして最善の御努力をなさろうという御計画があるのでありますが、この政局は不安である、こういう印象を与えることによりまして、今申しました目的を達成するのに困難な事態が生じて来ることを非常におそれますので、この政局の危機ということについて、断じて総理大臣はこれを克服して、今申しました内外の要請にこたえて、目的を達成して行く、こういうことについての強い御確信をお持ちになつておるかどうか、これについて伺つておきます。
○吉田国務大臣 お答えをいたしますが、私はお話のように独立第一年の今日において、日本再建の基礎をあくまでかたくするために、外資の導入はもとよりのことでありますが、その他重要法案の達成を期待いたしておるのであります。これによつて日本の経済再建、あるいは独立の真の意味合をよく後世に伝え得るような政策の実施は、あくまでもいたしたいと考えております。そのためには、私の最善を尽す覚悟であります。
○尾崎(末)委員 次に伺いますのは、総理の強く意図せられるところの道義の高揚に関しての問題でありますが、最近義務教育費国庫負担等に関しまして、日教組を初めといたしまして、地方の各方面から非常に反対の運動が起つておることは御承知の通りであります。しかるにこの反対運動というもののやり方を見ますと、小学校や中学校の教職員がその生徒を利用いたしまして、いわゆる反対運動なる文書にあるいは印刷し、あるいはプリント等いたしましたものに署名を求めることを各家庭に向つて猛烈にいたしております。私の家庭に対しましてさえも——私の家には小学校、中学校に行く子供はいないのでありますが、それにもかかわらず近所の学校の子供さんたちが先生に言われたということで、三人くらいずつ携えてこの書面に署名をいたしてくれという運動等をやつている。さらにまた私が心配をいたしますことは、警察法等の問題に関しましても、反対運動なるものの起りを見てみますと、似たようなやり方によつておるようであります。かようなやり方というものは、いわゆる総理の意図せられるところの道義の高揚というものに著しく支障が生じて来ることを私は憂えるのであります。教育はすべてのものの基本でありますから、こうした教育のやり方、これによつて生れて来るところの日本の近き将来というものは恐るべきことになりはしないか、このことを心配いたしますので、総理の意図せられる道義の高揚というものに関しまして、かような社会不安の源をつくるようなやり方に対して何らかの善処策を考えていらつしやるかどうかという善処策の点が一点と、さらに義務教育費の国庫全額負担にいたしましても、警察法にいたしましても、さらに恩給法の復活等にいたしましても、この内容はこういうものなのだ、その真意はここにあるのだという、そのよい点を国民に十分に知らしめる必要があると思います。この国民に十分に知らしめるということについての何らかの対策を持つていらつしやるかどうか、この二点について伺つてみたいのであります。
○岡野国務大臣 所管大臣といたしましてかわつて御答弁申し上げます。お説のように学校の子供を使いまして、そうしてむしろわれわれから見ますと、内容が非常に不正確であると同時に、あるいはうそのようなことが書いてあるものを各家庭に生徒をして配らしめておる、また署名運動をしているということを聞きますと同時に、それに対する材料も手に入れておりますが、はなはだ苦たしいことだと存じまして、普通ならば局長通達をもつて出すべき筋合のものを、次官通牒をもつてして各教育委員会に注意を促しております。こういうことがございますので、私は今回教員を国家公務員にして、もう少しそういうことの活動をしないで教育に専念していただきたいという趣旨から、国庫負担法、すなわち学校職員法を出した次第であります。なお今後気がつきますことがございましたならばやつて行きます。同時に文部省といたしましては、文部広報によりまして、その誤れる点を十分釈明して、一般の国民が惑わされることがないように、広報を各学校に発送いたしまして、そうして輿論を是正してもらいたいと考えております。
○尾崎(末)委員 もう少しこの点について文部大臣に伺いますが、さき申しました生徒や児童を使つてのこの種の政治運動であるところの反対運動に、非常にいかがわしいという言葉を通り抜けたこういうやり方をやつているのに対しまして、何らかの対策を持つていらつしやるか、何らかの対策をやられんといたしておるのか、これを伺いたい。
○岡野国務大臣 先ほども申し上げましたように、十分注意いたしまして、この教育の中立性、すなわち教育基本法に書いてあります中立性を破つた教員に対しては、十分相当な処置をいたしたいと考えております。
○尾崎(末)委員 もう一点明らかにいたしたいことは、さき申しました旧軍人恩給の復活に関してでありますが、これは総理大臣を初め大蔵大臣等しばしば御言明になつていらつしやいますように、過ぐる戦争の責任というものを、これらの旧軍人たちにのみ負わしむることは適当でないことはもとよりでありまして、そのために旧軍人恩給を復活いたしたい、われわれから考えますならば、敗戦後の日本の立ち上りのために必要であることはもとよりでありますが、これらの人々のために相当に恩恵になろうかとこういう気持で恩給法というものを私どもは考えておるのでありますが、それにもかかわらず国会における野党の諸君や、その他社会におけるところの各方面等のわれわれと違つた考えを持つておるところの人々によつてこれをあしざまに宣伝をされたり、なおまたこの国会に提案されております以上のよいやり方ができるかのごとき宣伝等をいたします結果、これらの人々に与えるところの思想の悪化、あるいは社会不安の源というものをつくる、いわゆる禍根になる、こういうおそれが非常に多いことを私どもは憂えるのであります。でありますから、この旧軍人恩給の復活に伴つてのその取扱い方というものについては、深甚の御考慮をお払いにならなければならないものだと思うのでありますが、それらに対して何らかの対策をお持ちになつておるかどうか、これを伺いたいと思います。
○吉田国務大臣 恩給制定につきましては、恩給法特例審議会において十分議を練りまして、再三審議の末、最も妥当と考える結論を得て、その結論に基いてあの法案をつくつたわけであります。趣旨とするところは、申すまでもなく過去において軍人であつたがために、恩給を停止された、文官と違つて恩給を停止された、そのために生活にも困る人がたくさんできて、社会の不安をかもしたのであります。これらの社会不安を除き及び社会正義と申しますか、国家としては適当な措置をとるのが、至当であるという考えからあの法案をつくつたわけであります。これを土台としていろいろ宣伝といいますか、あるいはその趣意を曲げていろいろな議論をなす人もあるでありましようが、政府が考えておりますところは、慎重にこれらの審議会を通じて長く研究いたした結果でき上つたあの法案であります。
○尾崎(末)委員 次に総理大臣と大蔵大臣との御両方に伺つておきたいのでありますが、来年度の防衛費の問題であります。昨年のこの予算委員会においてもこのことを質問いたしておきました。そうして本年のこの予算委員会の開会劈頭においてもこのことに触れたのでありますが、いわゆる自衛力の漸増ということにからみまして、自衛力の漸増というと、やはり前も申しましたように予算額というものも漸増して行くかのごとき、こういう間違つた印象を与えておるように思うのでありますが、来年度の防衛費につきましても、本年度以上に出ない、うまく行くならば本年度よりも減額でもしよう、こういうようなお考えであるのか、あるいはある程度防衛費というものをふやしてもいたし方がない情勢にあると思つていらつしやるのか、このことを伺つておきたいのであります。
○吉田国務大臣 これは客観情勢にもよるのでありまして、日本の周囲の事情が、国際関係において——防衛力を漸増するとは書いてありますけれども、漸増ということはただ単に予算ばかりの問題ではなくて、実質においても漸増をする、漸増の結果を生ずべき方法がありましよう。それでこの予算を将来どうするかということは、来年度における内外の状態、事情に対応して適当な処置をいたしたいと考えるのであります。必ずこれをふやすとも考えておらなければ、減らすとも考えておらないので、そのときの内外の事情に基く必要に応じて予算の増減をはかりたいと考えております。
○向井国務大臣 ただいま総理大臣からも御答弁ございましたが、大蔵大臣といたしましては、金額の点で今後ふやして行きたいとか、あるいは減らして行きたいとかいうことは、防衛という点についての将来の変化によつて動いて来る問題と存じますので、ただいまからいずれとも御返事ができない、こう考えております。
○尾崎(末)委員 大蔵大臣にいま二点お伺いいたしますが、本予算委員会の冒頭において御質問申し上げました際、二十八年度の九千六百五億円の予算をもつてしてインフレにならないかどうか、この予算の編成の内容等から見てインフレになるという議論をいたす者もおるが、インフレにならない確信があるか、またなさない確信があるか、こういうことを伺いました際、インフレにならないであろう、またなさないようにいたしたいということと、これに関連をして御質問申し上げました世に言いふらされました三月危機説、すなわち三月十五日の個人企業の確定申告の月の前後に、一大危機が来るというようなことが言いふらされておりましたが、そういう心配はない、こういう大蔵大臣の御答弁でありましたが、この三月危機説なるものは大蔵大臣の御言明のように、一応解消したように私ども見受けておりますが、この二十八年度の予算をもつてしてインフレに陥らない、またインフレに陥れない、こういうことについての確信は、前の御答弁のときよりも一属強くなつたものと思つておりますが、その点いかがでございますか。
○向井国務大臣 今おつしやいました通り、あの時分よりも今はインフレの危険のおそれというものは、私の考えでは減つたのでございます。その根拠は、どう考えてみましても、今度の予算の程度は前年度の予算に比べまして増加は一割になりません。それから財政の規模からいいまして、ただいまの程度の財政上の散布超過というものは、インフレを誘致するものではないと存じまするがゆえに、これは前もつて申し上げかねますけれども、この予算の実行にあたつては金融上の操作によつて、必ず資金の調整をはかることが必要であり、このことはやり得るというふうに考えますので、インフレーシヨンになるということはないと存じております。
○尾崎(末)委員 先ほど西川君が御質問申し上げましたことに関連しての質問であります。いわゆる来年度の財政収入の問題と関連いたすのでありますが、少しく私伺つておきたいと思います点は、だんだん世の中の景気というものがどうも停頓状態になつて来ておるので、収入の点において来年度は多く期待ができないかのような印象を与える御答弁があつたのでありますが、私が伺いたいと思います点は二点であります。 数年来の政府の施策というものと、この政府の施策によつて相当国民の備蓄力というものがふえて参つておると思つておる。このいろいろな施策によつてやられた事柄と、国民の備蓄力というものによつて、相当にそのききめというものが出て参つて、来年度あたりはその現われが財政収入の上に出て参るんじやなかろうか、こういうような考え方を私は持つておるのでありますが、その点につきまして御答弁を伺いたいのが一点と、もう一つは特需であります。いわゆる特需というものを当てにすることができないというのが大蔵大臣のお考えのようでありますが、それにもかかわらず、少くとも航空機製造についてのいろいろの計画が民間にあつたり、あるいはその他の問題についてのいろいろの計画が進められておることなどを見ますと、特需というものも、これは考え方によりましてはある程度長きにわたるのではないか。ある程度来年度においてはふえて行くのじやないか、こういうような考えを私は持つておるのでありますが、この二つの点につきましての御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
○向井国務大臣 財政をあずかつておるもののいわば常習犯とでも申すのですか、ものを控え目に、入る方は控え目に考えたいということになりますので、ただいまの国民の力が今までの政府の施策によつて充実もして来、またそれによつて余裕も出て来るだろうということは考えられますけれども、そろばんの上に見つもることはいかがかと存じておる次第であります。 特需の方も同様でございまして、これも相当ただいまよりも活動はふえるように存じますけれども、これも数字でもつて、後年度における財政上の助けになる程度まで見つもるということは考えませんで、大体国の収入というものはふえない見込み、というふうに考えます。
○尾崎(末)委員 この点に関しまして、小笠原通産大臣兼審議庁長官に伺つておきたいのでありますが、二十九年度の国民所得というものは、一体今大蔵大臣の御説明のような傾向から生れて来るものであるか、どの程度増減があるべきものであるか、そういうことについてのお考えがあれば伺つておきたい。
○小笠原国務大臣 二十八年度につきましては過日来申し上げましたように、二十七年度に比して六%ばかりの増加に見ておりますが、二十九年度につきましても大体同じような趨勢で行くのではないかと私どもは見ておるのであります。但し工業生産その他は、事情にもよりますが、鉱工業生産の方は電力その他のいろいろな開発に伴いまして、ふえこそすれ、減ることはあるまい、かように私どもは見ておる次第であります。
○尾崎(末)委員 もう一点であります。経済審議庁長官の御答弁は一応わかりました。大体二十八年度の趨勢と同様程度に、二十九年度もふえて来るだろう、こういう見通しは了承いたしました。 最後に伺いたい一点は、電源開発に伴う電力の利用計画であります。相当多額の資本を投入いたしまして電源開発をやることは、これはもとより必要であり、強力に推進いたして参らなければならぬことは当然でありますが、この電源の開発だけのことを進めて参つて、その電力をどういうふうに利用するか、あるいは化学工業等にどういうふうにこれを活用するか、あるいは鉄道やその他の電化等にどういうふうにこれを利用するか、こういうことの計画が伴つて参りませんと、一方的に力が入つて行つてしまつて、せつかくでき上つた時代には、一方の消費の計画がうまく行かない、こういうようなことが起つて来ますと、これはたいへんだと思うのであります。そういうことについてのお考え、御構想があるのかどうか。 それからこれに関連する事柄でありますが、九州は昔から石炭が多いために、火力発電に重きが置かれ、東北地方は石炭が少いために水力電気に重きが置かれておる。その結果ただいま電力を消費する消費者の面から申しますと、九州地方は火力によるために高い電気料金を払つておる。東北地方の方においては、やや低い料金でまかなつているわけであります。この傾向が今主力を上げておる電源開発と相まつて、非常に著しくなるおそれがある。これは国民の負担というものと、それから一方における工業というものとの進み方がたいへん違つたものが出て来る、こういうことを心配いたすのでありますが、こういう点についてのお考えがあるかどうか、この二点を伺つておきたいのであります。
○小笠原国務大臣 電源開発につきましては、二十八年度に財政資金その他で千五百数十億円を投じて、大体百二十万キロワツト分をあげることになつております。これについては御承知のごとく現在非常に入り用な部分にも相当カツトしておるような事情等もございますので、従つてこれらの配分については十分考えております。なお大体から申しますと、平均今後二十九年度以降も百万キロワツトくらいずつ増加することになつておりますが、これについてはみな電力の所要先を考えておりまして、この点については、少しも御心配はいらない計画となつております。 それから今最後に御指摘になりましたところは、これはまことに実情おつしやつた通りでありまして、火力発電による分が石炭が高い等のためにどうしても水力発電による分に比べますと高くついております。しかし電気事業の公益性その他からみまして、でき得るだけこの差を縮めたい、こういう方針で進んでおりまするけれども、ただ水力発電がだんだん増加いたしますれば、このごろは送電の方面も以前よりはロスが少く送電ができることになつて参りましたので、今より差が大きくなるという心配はないようですが、方針としてはできるだけこの地域差を縮めたい、こういう考え方で処理しておる次第でございます。
○尾崎(末)委員 ちようど与えられました時間が参りましたのでこれでおきますが、総理大臣を初め政府の御答弁の通りに全力を尽してお進みくださるよう希望申し上げまして、質問を終ります。(拍手)
○塚田委員 大体質疑も終了したように思われますので、質疑はこの程度にて打切られんことを望みます。
○太田委員長 ただいまの塚田君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○太田委員長 起立総員。よつてただいまの動議の通り予算三案に対する質疑は終局いたしました。 暫時休憩いたします。 午後三時六分休憩 ————◇————— 午後六時十一分開議
○太田委員長 休憩前に引続き、会議を開きます。 議事進行について発言を求められておりますので、順次これを許します。川崎秀二君。
○川崎委員 私は昨日衆議院予算委員会におきまして、吉田総理大臣が右派社会党の西村榮一君の質問に対し放つた暴言こそは、国会始まつて以来議員の発言として最も不穏当であり、まさに市井の無頼漢もこの種の発言はしないと私は思うのでありまして一驚くべき暴言といわなければならぬのであります。 元来吉田総理大臣が答弁に窮するや、しばしば不穏当なる言辞と態度をもつて野党の議員に向つたことは、過去五年間たびたびあつたことであつて、枚挙にいとまないことでありますが、答弁の中において議員に対し——— であるとか、—————とかいう大失言をしたことは初めてであつて、国民はこれを聞いて茫然自失していると思うのであります。まさに日本はこの総理大臣をいただく限り、文明国と申すことはできない。(「ヒヤヒヤ」)六等国、七等国、いや世界の未開発人種にも劣る国家のことも印象を受けた人も、今日の新聞紙上を見て私はあると思うのであります。けさの新聞を見て、かたかなで大見出しで「首相の—————答弁」、(笑声)あるいは「首相西村氏に—————」という五字を掲げたところの記事を見て、横づらをなぐられたような印象を受けた国民は大多数であつたろうと私は確信するものであります。良識ある人々はこの際総理大臣の頭脳を疑い、ひとつ精神鑑定をやつてから出直すべきではなかろうかと思つている人も私は多いのであろうと思う。昨夜与党の諸君はこの委員会が混乱に陥つた直後において、何を言つたかというと、院内の廊下あたりでは口々にどうも困つたことが起きた、吉田ももう終りだという発言をする者が多く、今や天下何人もこの吉田首相の歴史的な暴言に対し、憤慨せざる者はないと私は思つているのであります。 野党三派も昨日来本問題につきまして協議をした結果、声明を発表し、吉田首相の予算委員会におけるところの言辞は断じてこれを許すことはできない、国会を侮辱するのみならず、みずから議員としての体面を傷つけ国外に対して日本国家をはずかしめたものであるという見地から、われらはあくまで総理大臣を糾弾し、議員吉田茂君を懲罰に付し、国会の品位を維持せんとするものであるという態度の決定をいたし、目下懲罰動議を提出中であります。昨日来の事態は予算案の審議に対して最も重大なる支障ある段階といわなければならない。しかるに予算委員長はこの事態を見ていながら、与党のいわゆるほおかむり的な強腰に乗ぜられて、委員会を強行せんとしているのであつて、その非違をわれらはまず糾弾しなければならない。 しかしながら野党は、この段階において、予算案が国民の注視を受けて、その審議に十分なる時間と余裕を与えることにおいて、従来主張して来た線に従つて政策的審議を放棄することをおそれるの余り、今日三派国会対策委員長と与党国会対策委員長の信義を守つて、いわゆる予算審議の最終的段階において、あえて忍びがたきを忍んでここに論議を展開せんとしているのでありまり。(拍手)われわれの立場を十分にこの際声明をいたして、吉田懲罰事件は明日以後の本会議において与野党の間に正しく対決をする。今日は予算審議を通じて政策的論議をなすということを宣言をいたしまして、私の議事進行を終るものであります。(拍手)
○太田委員長 中村高一君 〔発言する者多し〕
○太田委員長 静粛に。
○中村(高)委員 昨日の夜から本日にかけましてわれわれが予算の審議を行うことのできなかつたことは、一に吉田首相の暴言を原因とするものでありまして、われわれは昨日のあの吉田首相の暴言問題につきまして、これを解決をしないで予算の審議をするということは、まことにりくつに合わぬことでありますが、特にただいまも川崎君から言われましたように、総理大臣からしてああいう野卑な、しかも低劣な言葉が国会において述べられるということについては、席を同じくいたしておりますわれわれ議員もまことにはずかしくて、(笑声)国民の前に顔を合せることができないのであります。おそらく首相も、すぐに取消したところを見れば、とんだことを言うたという気持であつたことは事実であります。どういうかげんでああいう言葉が出たのか知りませんけれども、まことにわれわれは国会の名誉のためにも悲しむものであります。 今度の予算審議にあたりまして、われわれは熱心にこの審議を終了いたすことにつきまして、毎日努力を払つて来たのでありますが、(笑声)この審議の遅れました最大の理由は、政府から提案をされます法律案はいずれも遅れて、しかもその出て来たものは審議の途中におきまして支離滅裂であり、大臣同士で食言をし、答弁に齟齬を来す。こういうようなことがいずれも審議につきまして支障を来しておりますことは、政府も重大なる責任を感じなければならぬことだとわれわれは思うのであります。それを何ゆえに与党の諸君は審議を急ぐのか。きよう中にどうしても上げなければならぬと言つて一生懸命無理をやつているのでありますが、衆議院の審議期間はわずかに二十四日だ。 〔「そんなにかかつていられるか」と呼び、その他発言する者あり〕
○太田委員長 静粛に。
○中村(高)委員 これを三日から参議院にかけるとするならば、参議院は二十八日の審議期間がある。衆議院の方が予算については先議権があり、尊重をされる憲法の建前からいたしましても、衆議院に対しては十分なる審議を尽させることが、憲法の建前であることをあなた方はよく考えなければならぬ。それを無理に急ぐという理由はどこにもないのである。十分に審議を尽すことが当然である。しかもきのうからきようにかけましても、国会にとつても重大な問題であるからわれわれは代諸士会を開いて、十分に打合せをして、その上に進行するからということで、委員長に申し立ててあるにもかかわらず、本日われわれが全部欠席をしておる中で審議を進めるということもはなはだ不都合だと思うのであります。この点においては、われわれは委員長に対して信任をすることができないのであります。しかしながら予算の重要性については考えなければならぬ。国民の負託を受けて重大なる予算を審議いたすのがわれわれの使命でありますから、この際首相に対する問題は問題として、明日あらためて本会議においてその責任を追究することにいたしまして、ここに予算につきましては、われわれの主張を明快にいたしまして、討議を進めて行こうといたしますので、昨日から本日まで審議のできなかつたことに対する理由を説明いたしまして、議事の進行を終りたいと思います。(拍手)
○太田委員長 稻村順三君。
○稻村委員 私たちはすでに予算審議を始めましてから、しばしば予算の審議が途中で停頓したことを、はなはだ遺憾と思うものの一人でございます。しかしながら私たちがその原因をここにたどつてみると、一に政府の、閣僚ばかりではなくして、政府委員として出席している人々の不勉強に、大きな原因があつたことを認めなければなりません。まず第一に私たちから申しますならば、たとえば岡崎外務大臣は、今日きわめて重要な日本の国際的地位に関するところの弁明におきましても、なお中立を唱える者が日本を誤るかのごとく述べると同時に、しかもその速記録を読んでみますと、一朝事あるときに中立は保てないから、今から中立をしないなどというようなことを言つております。しかし私たちから考えてみると、一朝事あるときに中立を保てないということを前提として今日外交政策を立てるということは、戦争の中に日本が介入しているというというの宣言と同じことなのでございます。しかも一国の外務大臣ともあろう者が、かような答弁をしたることに対して、国民を代表するところの議員が、これに対して納得しないのは当然のことでございます。とりわけ岡崎外務大臣は、世界の二つの流れを世界観の相違であり、いずれが正しいかはすでに明らかなところであるという、日本が世界観の相違から一方の陣営に協力しなければならないという宣言をしております。私はここにおいても、また外務大臣として外交の衝に当つている者が、今日の事態において世界観を主として、みずからの国の利益というものを無視するがごとき外交政策をとるというようなことに対して、われわればかりではない、国民全体が納得しないところであろうと思うのであります。 さらに私たちは大蔵大臣に対しましても、しばしば質問したのに対して、明確なる答弁が得られなかつたことが多いのでございます。たとえて申しますならば、対日援助費の問題などに関しましては、政府委員はこれを債務と言い、大蔵大臣は債務と心得ておると言いながら、さような食い違いができて、そのために、また答弁をやり直さなければならないというような事態を引起しておるのでございます。また警察法の改正を中心といたしまして、われわれは予算処理の問題について、予算の形式上の組みかえでもしなければならないのじやないかという質問をしたのに対して、大蔵大臣は前にはその通りだというような答弁をし、それから一日置いて後には、その要なしという、そのいずれがほんとうかというと、これに対して黙秘権を発動するがごとき態度をとつて、そのために、ここに審議が停頓する第一の段階ができたのでございます。 さらに重要法案というものも出ておらなかつたのでありますが、さて出そろつて参りますと、今度は義務教育費国庫負担の問題で、はたしてこれが全額国庫負担であるかないかというような問題が起り、さらに一部分を地方自治体に負担させることが、これが地方財政法の違反であるかないかという、この質問に対しましても、満足に確定的な返答をした閣僚は、ここに並んでいる人の中に一人もいなかつたということを私たちはさらに確認しなければならぬのであります。こういうためにしばしば審議が停頓しておつたのございます。 そこへ持つて来て昨日の西村君の質問に対するところの首相の失言と申しましようか、こういうものがあつたのでございまして、このために停頓したのでございます。従つて私から申しますならば、前後を通じて約一週間というものは、こういう問題のために停頓しておるのでございますから、この責任はすべて政府及び与党が負うべきものである、私はかように考えております。(拍手)しかるにもかかわらず、かような場合の起るたびごとに、審議の時間をそれだけずつ削るという与党の心臓の強さには、われわれほとほと感心せざるを得なかつたのであります。(拍手)しかもかように予算の審議を二日延ばせば二日削るようにし、三日延ばせば三日削るようにして、二日にはぜひ上げたいというような話がありましたが、ときには恫喝的に、二月一ぱいに上げなければならぬ云々というような態度さえ見せて来たのでございます。私どもはこういうことを考えてみますと、この審議は、当然にも遅れた一週間はさらに付加されて、これから一週間の審議をして、初めて私は普通軌道に乗つたのであると言うことができると思うのでございます。しかも昨日の総理大臣の失言は、これは予算委員会に起つたことでございます。従つて予算委員会において、少くとも政府及び与党としては、ここに何らかのけじめをつけるところがなければならないはずであります。この問題をそのままずるずるべつたりにしておいて、予算審議を進めようなどということは、これは実に国会を侮辱するものはなはだしいものであるといわなければなりません。私たちはこういう立場に立ちまして、少くとも総理大臣のこの暴言問題の処理が一段落つくまでは、予算委員会としては審議を進めないというのが、これが政治道徳の一つであるとさえ考えてもよろしいと思うのであります。それにもかかわらず、わずかの多数を頼んで、もつて、ほとんど暴力的な立場において、この予算委員会の審議に起つたところの一切の問題を抹殺しようというがごとき態度は、われわれの断じて承服できないところでございます。しかもわれわれがこの問題について、政府及び与党との間に折衝をしている最中において、野党を抜きにいたしまして一方的に質問を打切つて、そうして討論に入ろうというがごとき態度は、われわれは議会政治の本質を忘れたものであるという深い反省の上に立たなければならないと、与党諸君に対して警告を発するものでございます。 〔発言する者あり〕
○太田委員長 御静粛に。
○稻村委員 しかし、ここにいよいよ予算審議の最後の段階に参りまして、討論終結をする事態に参りました。私たちはかような場合において、われわれの主張を天下に明らかにする意味におきまして、ここにわれわれは修正案を用意しておりますので、それを明らかにして国民に訴えるという立場から、われわれは断じて予算審議権を放棄したものでないということを天下に表明するために、あえてここに出席した次第でございます。 私はこれだけを述べまして、私たちがこの予算委員会に再出席した理由を明らかにしておく次第でございます。(拍手)
○太田委員長 この際改進党の中曽根康弘君外九名より、また社会党右派の川島金次君外六名より、それぞれ政府に対し、予算三案の組みかえを求むべしとの動議が提出されております。さらに社会党左派の成田知巳君外五名より、一般会計予算に対しては修正案が提出され、特別会計予算及び政府関係機関予算に対しましては、組みかえ要求の動議が提出されております。 これより順次その趣旨説明を許します。宮沢胤勇君。
○宮澤委員 私は改進党を代表いたしまして……。 〔「修正案を持つて来い」と呼び、その他発言する者あり〕
○太田委員長 お静かに。
○宮澤委員 本予算案の一部に対し、組みかえを要求するの動議を提出するものであります。 この予算案は、今日までの予算審議を通じて、また公聴会その他においてわれわれが聴取した意見によりましても、各省の要求に従つて数字は並べておるけれども、まつたく計画性のないものであるということが一般に唱えられております。この点につきましては、与党の諸君もこれを認めておられまして、ただいまわれわれの手元に配付されました附帯決議の第一に「速かに長期に亘る経済及び財政計画を樹立し自立自主経済財政の方針を闡明すること。」ということをつけられるそうであります。与党諸君の目から見ても、無計画なものであるということは明らかにされておるのであります。従つて私どもは、これを根本的に建直しをしなければ、今日の独立日本の時局に相応する予算とはならないと思うのでありますけれども、しかしながら一応この予算の建前を認めまして、最小限度におけるわれわれの意見を、ここに動議として提出して、組みかえを要求するのであります。しかしながらこの予算を見まするに、数字は一応割振つてあります。たとえばインヴエントリー・フアイナンスを廃止するとか、投資特別会計を立てろとかいうことは、われわれが年来主張したところでありまして、これを予算に組み入れてあります。また義務教育費の全額国庫負担についても、その精神はわれわれの主張をくみ入れたのでありますけれども、不用意であり、ずさんであつて、まつたく実行性のないものであると考えるのであります。私はこの予算を見まして、一番予算の急所は、かくのごとき厖大な、この税金を取り立てた貴重な金が、はたしてこの内閣によつて有効に適切に使えるか、予算の実施がうまく行くかということに多くの疑いを持つておるのであります。そこで私どもが一部の組みかえの動議を提出しますゆえんのものは、この予算の実施期に入る四月一日までには、多分この内閣は倒れるであろう、従つて次の内閣において実行予算の組みいいように、そういう考えを持つてこの組みかえの動議を提出するゆえんであります。順次これから私どもの数字を申し上げます。 まず歳入の面におきまして、行政費を節約いたしたいと思うのであります。この予算は、私どもが予算委員会を通じて、われわれの同僚から申し述べましたごとく、生産に関する方面の経費が少くて消費に関する方面の費用が多過ぎる。今日は日本の生産を増さなければならぬから、生産に要する費用を多くして、消費の方面の費用を節約する。そこで歳入の面におきまして、行政費の節約で四百二十八億円減らす。総額二千三百九億円の中から約二割、四百二十八億円を減らす。その第一は、雑給与もしくは報償額、あるいは超過勤務手当、諸手当等の三百十四億円の二〇%に当る七十四億円を減らす。旅費八十三億七千万円の三〇%、三十六億円を減らす。それから物件費の八百二十三億円の二〇%、百六十五億円を減らす。次に施設費八百九十億円の一五%、百十三億円を減らす。交際費四億六千万円のうち約三〇%に当る一億円を減らす。官庁営繕費、これは三十八億円ありますけれども、公安調査庁の支所を建設する費用でありまして、これは不要と考えますので、三十八億円のうち二十五億円を減らす。次に徴税費百五十六億円、昨年は百四十八億円でありましたが、これが八億円ふえておりますのを十四億円減らす。つまり行政費の中から四百二十八億円を減らそうというのでございます。 次に、歳入といたしましては、これが新しい財源になるわけでありますが、さらに外貨資金のうち、これを産業資金に繰入れるために約一億ドルの外貨資金を減らして、これを輸入に充てまして、その輸入から生ずる三百六十億円を新たに歳入の方面として見積りたいのであります。 次には、防衛費の関係でございます。防衛費は今年千四百五十億円でありますが、それに繰越しせられるものが多分三百億円ないし三百五十億円あると思いますので、これを合せますと、今年度やはり千八百円くらい使うことになります。これは使い得ない金でありますから、このうち百五十億円を減らす。 次には、私どもは三百億円の国債発行は、建設国債として認めますが、減税国債として六十六億円に当る減税をするということは不当である。これはほとんど産業資金を巻き上げるとともに、ことに資金の余裕のある有力なものだけに公債を持たせて、会社においては一割五厘、個人において一割二分というような高率な国債を発行するということは、今日わが国の金利政策にも矛盾するわけであります。従つて、これを普通の建設国債に直す、建設国債に直せば、国債募集の点に困難があるという非難があるかもしれませんが、今年の下半期において千数百億円の散布超過がありますので、これに処して適当に国債募集をすれば、かくのごとき高額なるところの利息にひとしいものを払わないでも済むと思うのであります。これを合せまして一千四億円という新しい財源を得るわけでございます。この財源に見合いまして、この使い方でありまするが、この使い方は、予算の総額には変化を及ぼさないようにこれを処理しようと思いますので、まず私どもは平生主張しておる産業資金を増額するために、産業基盤拡大のための積極的な財政投資を行う。従つてこの財政投資のために四百三十億円をこれに振り充てる。七百億であるところの投資特別会計に、さらに四百三十億円を加えて、千百三十億円としてこれを産業方面に流そうというのであります。その流し方は、電源開発の方に百七十億円、縦坑の開発、鉄鋼もしくは船舶等の合理化に百三十億円、中小企業の育成にさらに百億円、国土総合開発に三十億円。これを合せまして四百三十億円というものを新たに加えまして、その大部分は開発銀行を通じて、そうして電力、海運、石炭、鉄もしくはその他の方面にこれを積極的に流さして、日本の産業の基盤を固くする。そうして産業拡張の資に充てるというのが私どもの考え方であります。 さらに食糧増産に対しまして四百九十億円を盛つております。これに対して百二十億円をさらにふやす。これは金をふやしただけで食糧増産ができると思いません。今のやり方ではなかなか困難でありますけれども、新しい内閣の力によつてこの増産を完成しようというのであります。 次には、今度は米の買上げ価格引上げに関する方面に百九十八億円をまわす。私どもは今年度は八千五百円をもつて米の買上げ価格といたしたいと思いますので、今日の七千七百九十二円の政府の案と、その差額に百九十八億円をまわすのでございます。 〔発言する者あり〕
○太田委員長 静粛に。
○宮澤委員 次には社会保障費の増、社会保障費の方に約百億円を増額いたしたいと思います。大体その内容は、国民健康保険の国庫負担を、一割五分を二割にする、これで十億円、同じく再建整備費、赤字になつておるものを、十二億円をもつて赤字を消す、住宅建設費に七十八億円を増す、この百億円をもつて社会保障の方面の金額を増額しようというのであります。 次に、義務教育費国庫負担のうち、御承知の通り地方の負担にさせるものが四十九億円かあります。それに教材費の一部を充てまして、五十六億円を増して、九百二十億円に五十六億円を加えて、しばらく八府県以外のものに、地方の府県に負担をかけないようにしようというのであります。 さらに百億円の金をもつて民間の資本蓄積のために預金の利子等を引下げるのに四十億円、法人税、所得税等の減額に対して六十億円、これは御承知の通り民間その他においては五百億円の減税を要望しております。今ただちに今年度において、五百億円の要望を満たすわけには行きませんけれども、一応百億円をこれに充てたいというのであります。これを合せまして一千四億円となります。このように組みかえを政府に向つて要求するものであります。 〔発言する者あり〕
○太田委員長 静粛に。
○宮澤委員 次に、これらの点につきましては、政府は行政費の節約をするということでありますが、行政費の単なる節約は、一方に産業の拡張計画を伴わなければ、いたずらに首切つたものを赤にするか、困らせるだけであります。従つて一方に産業の拡張計画を行つて、これとともに行政費の節約をするという根本的な方針から、この組みかえ予算案を提出したゆえんであります。(拍手)
○太田委員長 石井繁丸君。
○石井(繁)委員 日本社会党を代表し、ただいま上程されました昭和二十八年度予算組みかえに対する動議につき、以下その理由並びに財源関係につき説明を申し上げたいと思います。 わが党は民主社会主義の理念のもとに、民主主義の徹底と、そうして保守反動的傾向を抑圧し、長期計画経済を樹立いたしまして、真に国民生活の安定と向上を願い、国民生活の安定と向上、民主主義の徹底によつて真に世界の平和に貢献いたしたい、こう考えておるのであります。かような見地におきまして、本予算案につきまして検討を加えましたが、政府のあり方におきましては、防衛費あるいは不要不急の経費を計上いたしまして、そうして防衛の力によつて平和を、あるいは国民の秩序を維持しようと考え、あるいはまたいろいろと民主化の傾向にさからいまして、そうして警察法の改正によりまするところの中央集権化を考え、あるいはまた義務教育学校職員法案、これらを出しまして、国民に対しましては義務教育の全額国庫負担、こういうようなことをうたつておりまするが、その内容におきましては、教員組合等の政治活動を防止する、参議院選挙に備えよう、かような魂胆に出ておる。あらゆる政策が反動化の傾向をたどり、国民生活の安定と向上に何ら顧慮を払つておらない。われわれかような立場からしまして、政府案に対しまして厖大なる組みかえをせざるを得ないということを遺憾に思うものであります。 以下財源につきまして申し上げますると、歳入関係におきまして、二十七年度防衛関係費本年一月三十一日現在未使用分八百五億円。内訳、防衛支出金七十一億円、安全保障諸費三百六十一億円、保安庁費三百七十三億円。平和回復善後以理費未使用分五十五億円。連合国財産補償費未使用分八十六億円。二十八年度防衛関係費九百七十億円。内訳、防衛支出金六百二十億円、保安庁費三百五十億円。平和回復善後処理費百億円。連合国財産補償費百億円。旅費、物件費一割五分節約(特別会計節約分は一般会計に繰入れること)二百六十五億円。富裕税存置分三十億円、給与改善による自然増収三十億円、計二千四百四十一億円を財源としまして歳入を見積るものであります。 歳出としましては、減税、所得税、法人税、物品税を中心とし一千億円、米価二重価格制に伴う差額繰入金九百二十一億円、給与改善費、千円べース・アツプ百四十五億円、文教関係費百二十八億円、社会保障関係費八十七億円、中小企業関係費百億円、食糧増産費五十億円、科学技術費十億円、計二千四百四十一億円を歳出に充てようとするものであります。 以下項目につきまして御説明を申し上げたいと思います。 防衛関係費につきましては、ただいま申し上げました通り繰越分が八百五億円あるのであります。政府におきましては、この関係におきまして今まで非常に未使用分が多かつたのでありまするが、いろいろと野党の追究等によりまして、あわてて使い始めまして、そうして何とかしてこれを今年度に使い切ろうとするような傾向を持つておつたわけであります。こういうあり方はまことに遺憾でありまして、われわれとしましては、一月三十一日現在までに使用した分を除きましては、全部削除をすべきものである、こういうふうに主張いたすものであります。 また平和回復善後処理費未使用分五十五億円、連合国財産補償費未使用分八十六億円も全額削除すべきものである、かような見地に立つものであります。また二十八年度の防衛関係費中、防衛支出金六百二十億円は全額削除すべきものである。保安庁関係費の過剰部分三百五十億円、この点はこれを削除すべきである。われわれは保安隊の性格等につきまして、政府に対しまして非常に詳細なる説明を求め、そしてその答弁をお聞きいたしたのでありまするが、何としましてもこれは軍隊であり、そしてこの軍隊は、政府の企図するところの国内における動乱発生、あるいはまた多発的騒擾等には全然役に立たないところの訓練の仕方である。これにつきましては、われわれとしましては、警察予備隊の七万五千人分程度で、最も国内に起り得べきところのいろいろな騒擾等に対処する訓練があればよろしい、こういう現実的観点に立ちまして常に論じて来たのでありまするが、政府はこれに対しまして何ら根本的なる考え方を持たず、いかなる動乱が起るべきか、いかなる騒擾が起るべきか、かようなる研究はしないで、何らの計画なく、アメリカから貸してくれた武器であるからこれを使おう、ただで貸してくれたからこれを使おう、こういうわけで、かような保安隊をつくつておるのでありまするが、これは一朝問題が起つたときにおきましては、何ら国内におきましては役に立たない。共産党の計画をいたしておるところの騒擾、あるいは遊撃隊の運動等につきましては無用の長物である。こういう関係からしまして、真に国家に必要な、そして最も節約されたるところの経費においてこれが処理せらるべきである。さような点におきまして、保安隊の経費については削減をいたさなければならない。警察予備隊程度の費用で十分である、かような見解をとつておるものであります。また平和回復善後処理費の百億円、かような費用を組むことによつて、日本の国は対日援助費等を借金と認める、こういうところの既定事実を構成いたすという結果になるのであります。やはり日本の国民としましては、対日援助費はもらつたものだと考えて行くのが間違いないのであります。借金であると考えて行きますと、お前が借金であると考えているのに、あとになつてもらつたものだと考えるのは間違いである、こういうふうになる。われわれはかような見解から、二十一億ドルにも及ぶところのこの対日援助費の前途を考え、政府の決心としましては、一応これはもらつたものであるという考えで行くべきものである。それが日本の将来のためにも正しいあり方である、こういうふうに考えて、これは削除すべきであるというふうに計算をいたしておるものであります。 次に、経費の徹底的なる節減の問題でありまして、旅費、物件費等、一般、特別会計を通じまして、一割五分、二百六十五億円を節約するという問題をわれわれは組みかえ予算に出しておるものであります。政府におきましては、予算を通過させようとするときにおきましては、ずいぶん自由党を酷使いたしまして、そうして無理に無理を重ねておるのであります。自由党も与党の立場からしまして、予算獲得につきましては、内容等は一向審議しないで、そうして何とかして多数決で与えられたる期間においてこれを通過せしめようと全力をあげて努力をいたしておる、これが実情であります。予算が獲得せられたあとは、これがどういうことに使われようが、そのことにつきましてはまことに漫然たる態度であります。たとえば政府の買つたところの毒のある米、あれらについても、何人も責任を負おうとしないようなわけであります。五億、六億の金が国民の膏血から払われておる。われわれは、これらの点を政府が厳重に監督をいたしますれば、一割五分の節減というものは十分にできる、この立場におきまして、二百六十五億円の節約を組みかえに出しておるわけであります。 次に、減税の点につきまして、約千億円の実質的減税を断行することを考えておるわけであります。所得税につきましては、月収二万円までを免税とする。物品税の整備を行いまして、生活必要物資の物品税は廃止する。法人税については、中小法人の税率を三五%に引下げること、また富裕税を存置する。こういう線をとつておるのであります。政府においては、富裕税はもうむだだという。しかし最近の傾向としましては、貧富の差がいよいよ高まろうとしておるわけであります。法人税につきましては、戦後におきまして、中小企業家が法人になると税金が安いというので、あわてて法人になりましたが、一律一体でありましては、非常に中小法人の税率は苛酷になりまして、現在は法人をやめてまた個人の営業にしようか、こういうような状態になつておるわけであります。政府のやり方がいろいろと変化するので、中小法人等はむだな金を使つておる、こういうふうな状態であります。 物品税の整備を十分にしなければならないのは、日本の国がこの敗戦後の実情におきまして、アメリカの化粧品等を使つておる、こういうようなまことに忌まわしい状態がある。敗戦国民が物資豊富なアメリカの化粧品等を使う、こういうような点につきましては十分に物品税の内容を検討し、生活必需品については、あるいは文化の向上という点については物品税を廃止し、そうしてアメリカから来るところのいろいろな化粧品だとか、あるいは日本の国民の分に過ぎたもの等については物品税を高める、この点に行かなければならぬと考えておるものであります。 所得税につきましては月収二万円。これは、どうしても現在におきましては、大体月収二万円くらいまでは免税点にしないと、国民はいろいろな面におきまして生活が立ち行かない、こういうような実情でありまして、これをどうしても断行するということは、これ当然なこととしまして、減税の中心の基本方針をここに置いておるものであります。 次に、国家公務員については千円の、ベース・アツプを行う。その金額は百四十五億円であります。これは大体去年の人事院の勧告を少し上まわつておりますが、これはあるいは国鉄運賃の値上げ、あるいは主食の値上げ等につきまして勘案をいたし、かつまた国家公務員の一万六千円ベースというような点もありまするが、いろいろと財源等を考慮しまして、そうして国家公務員に対して人事院の勧告、あるいは物価上昇の点を考慮したところの給与の増額をいたしたい、こういうふうな点をうたつておるわけであります。 米価につきまして、われわれは米価一石一万円の買上げを常に提唱いたしておるのでありまするが、消費者につきましては、現在の米価は十キロ六百二十円にこれを引下げるべきである。その差額八百七十三億円は国家において補償する、この線をとつておるわけであります。かようにいたしますれば、大体において内地の米がほとんど政府に集まつて参る。その集荷の率がよければ、外米等の輸入もおのずから制限をせられ、あるいは政府の土地改良費等を待たずに、農民が率先土地改良の費用等を持ちまして、政府の手に負えないところの小土地改良等もでき、一石二鳥でありまして、これは自由党の人々も心から賛成をするところであろうと思うわけであります。 右に順じまして、輸入食糧価格についても調整を行い、この費用四十八億円は一般会計より支出するというのであります。 次に、一番問題の義務教育費全額国庫負担の建前をわが党はとつておりまして、自由党の言うところの義務教育学校職員に政治活動を禁止する、この線から羊頭狗肉の政策を掲げたのでなくして、真に義務教育費は全額国庫負担によつて国家が責任を持つべきものである。そのためには教材費、あるいは学校図書館費の実支出を国家において全額負担をいたすように予算措置を講じなければならない。最近におきましては小学校の図書館等に多くの青年等が行きまして、不健全娯楽から離れまして、学校を囲んでまじめに図書館等を利用いたしている。これは社会施設としても非常に有効であります。その金額百二十八億円を計上いたして、真に義務教育の国庫による責任を実現する、このことの予算組みかえを要求しておるものであります。 中小企業の保護育成の必要なること。この点につきましては、もはや言う必要がない。国民金融公庫、商工中央金庫への政府支出を大幅に増額をして、国民金融公庫への投資増五十億円、商工中金への出資を五十億円にいたしまして、中小企業の堅実なる発達を考えたい、この点を組みかえに入れてあるわけであります。 次に、社会保障費の大幅なる引上げを行わなければいかぬ。住宅金融公庫に対する出資金を三十億円増額し、住宅問題の解決のために全力をあげる。あるいはまた失業対策費として、今後における産業合理化等によつての失業者の増大に備えて二十七億円を増額し、また日雇い労務者の健康保険費を十億円増額する。なお国民健康保険等の医療給付補助を三十億円増額いたしまして、ほんとうに暮しに乏しい者もその恩恵に浴させる、こういうふうに考えておるわけであります。 恩給制度は、今後根本的に考え直して、一般の健康なる人々に対する恩給、こういうような問題でなくて、戦争に有るところのいろいろなる多く事の負担をした召集軍人等、何ら恩恵のない人に対しての考慮を払う。この点を組みかえに入れておるわけであります。 なお食糧増産のための土地改良費、河川改修費、漁港修築費等につきまして、一般国民の要望にこたえるために五十億円支出する。 科学教育は、資源の乏しい日本としましては最も必要でありまするから、科学技術賞として十億円を計上する。 なお減税国債は、ただいま宮澤委員が言われました通り、廃止する。しかしながらやはり財政投資の必要上からしまして、保有外貨一億ドル、三百六十億円を特別会計に投与しまして、六十億円投資会計を増額いたす、かような点がわれわれの組みかえ案をする根本的なる点であります。 この点につきましては、われわれは計画的経済、長期財政経済の計画を立てて、真に八千三百万の国民生活を安定せしめなければならない。その主張につきましては、ただいま自由党が同友会と一緒に決議案を出そうといたしたときの案文を見ますと、長期財政経済の樹立を考える、こういう線を唱えておることによつても、この線を貫かなければならないということは明らかであろうと思うのであります。自由党並びに政府におきましては、日本の将来を考え、長期経済計画のもとに、真に平和と国民における民主主義の徹底によつて防衛費等を削減し、そして国の安全と平和が守られるようなる予算の組みかえを提案したるわが党の組みかえ動議に賛成せられんことを心から期待をもちまして、組みかえの動議の説明を終りたいと思うわけであります。(拍手)
○太田委員長 八百板正君。
○八百板委員 私は日本社会党を代表して、今議題となつておりまする昭和二十八年度一般会計予算案に対し、修正案を提出し、その理由を述べたいと存じます。また昭和二十八度特別会計予算及び昭和二十八年度政府関係機関予算については、その撤回を求める動議を提出し、しかして政府は、後ほど述べるような要綱、すなわち皆様のお手元に差上げたような要旨によりまして、すみやかに組みかえをやり、再び政府が提出せられることを要求いたすものであります。 まずこの予算の背景となつておる考え方の特徴を見まするに、この考え方は、物事を先に進めないで、うしろにもどす、うしろに歩いているということを、まず第一に指摘しなければならないのであります。政府は日本にうしろ歩きをさせようとはかつていることを申さなければならないのであります。だんだんよくするということ——人類の叡知と生活の前進は、近代政治の求めて進むべきものであると思うのでありまするが、この政治は、国民の頭をだんだんよくするのではなくてもむしろ悪くし、暮しをよくすることをやめ、人類の頭を引下げて暮しを引きおろして、これを無感覚、不感症にするための政策となつていることを指摘しなければならないのであります。かくして予算そのものの特徴は、歳入の面において資本の蓄積に名をかり、資本家の税金を少くしては、労働者、農民、勤労者の程は下げたように見せかけながら、実際はふやしているのであります。そうしてふえた程金を、減税減税と言つては国民をごまかしながらやつて行こうというのが、この予算案に現われましたところの特徴であります。 さらにこうして取上げました歳入を、一方歳出の面において、やみの軍備に大口に流し込み、かた大産業と大資本に一方的に入れ上げて、平和産業の繁栄による日本の自立を不可能に導きつつあることであります。われわれはこのような根本的欠陥を持つ無計画な政府予算を、修正によつて完全によいものとすることは、きわめて困難なことと考えたのであります。しかしできるだけわれわれの考えを盛り込む努力をいたしたわけであります。 なおまたわれわれはここに予算修正書を提出いたしたのでありまするが、この予算修正についての技術的な点を担当できる十分な事務局を持たなかつたのでありまするが、忙しい中で不十分ながらこの修正書を提出するに至つたことは、一応前例のないことでありまして、これは不満足でも、将来議会においてりつぱな修正ができる道を開き、一歩前進したものとして、議会史上のささやかな一つの歴史的事実としてお見おきをいただきたいと存ずるのであります。(拍手) さて、この予算修正の編成をいたしました基本方針をまず申し上げたいと存じます。本来なればわが党の経済自立社会主義五箇年計画の基本構想に基いて、その第一年度計画に相応したわが党独自の予算編成をしなければならないのでありまするが、一挙に理想的なものに盛り上げることは困難でありましたので、とりあえず可能な範囲において、このような政府の二十八年度予算案に対する具体的な修正案として提出することとなつたわけであります。 このような立場に立つて編成されました修正予算案の基本的建前を申し上げまするならば、まず第一に、インフレーシヨンの傾向を抑止するために、予算の規模の縮小に努力したという点であります。次に国民生活の安定と向上のために、給与改善の一万六千円ベースの実現をはかり、米価一万円、二重価格制をとり、及び月二万円所得者は無税とするという免税点の大幅引上げを基礎に置いたことであります。次に防衛費を全面的に削除いたしました。次に自立経済の確立のために、重要基礎産業の拡充と、貿易の振興を数字の中に盛り込んだことであります。以上の点に重点を置くことといたしまして、放慢な非重点的膨脹主義を極力排除した点であります。 次にこれを歳出と歳入の両面にわけて、その主たるものについて要項的に申し上げたいと思うのでありますが、まず歳出の面について申し上げますならば、予算規模を九千三、四百億程度に圧縮することにいたしまして、まずインフレの最大の原因でありますところの不生産的出費であり、かつ日本の平和と独立を脅かす防衛支出金及び保安庁費は削減するという方針をとつたのであります。次に平和回復善後処理費中賠償引当分を残して残余は削除する。対日援助費の返済引当て等の分は、本来終戦処理費、駐留軍費と相殺すべきものであつて、この点については後の外交交渉にまつことといたした次第であります。 次に連合国財産補償費は、未調印国、未講和国との関係もありますので、それを次年度に繰延べて、本年度には計上しないという方針をとりました。(拍手)さらに公共事業費中特定道路整備特別会計等の繰入れも、軍事的傾向のものとしてこれを削る方針を取上げたわけであります。 また官庁営繕費中不急分、さらに公安調査庁費、内閣調査室の費用などは、それぞれ警察政治、情報局設置の含みを持つておるものと考えられまするがゆえに、これを削除し、傭兵の基礎をつくる産業開発青年隊の費用も削除して、これを一般の農業開発費に繰入れること考慮いたした次第であります。さらに旧軍人恩給費は、防衛費目よりこれを削り取りまして、その中で約九割以上を占めまするところの、老齢者、傷痍軍人の分及び遺家族、留守家族援護費分は、これを社会保障費として充実することをはかつたのであります。 公務員給与は戦前賃金の水準二万五千円、最低八千円への引上げを目途といたしまして、一応一万六千円にベースの引上げをはかつたのであります。 生産者米価につきましては一律に一万円にこれを引上げまして、不公平な超過供出奨励金はこれを廃止いたしますと同時に、二重価格制によつて消費者米価のすえ置きを企図いたしたのであります。 次に義務教育費の国庫負担については、わが党の教育費国庫負担法の実現を目的とすることといたしまして、まず教員の身分はこれを地方公務員として、政治活動は自由とする。その給与はもちろん一万六千円ベースを国家で保障するということであります。文教施設費は、本年度は老朽危険校舎の緊急更新復旧に重点を置きまして、その他雨天体操場及び校舎新設は五箇年計画に沿つて次年度からこれを行う。さらに教育の資材費につきましては、義務教育無償を目標といたしまして、その一部増額をはかつたのであります。 〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕 次に地方財政についてこれを申し上げますならば、全国知事会議の要求する地方財政の過年度赤字を五箇年計画によつて完全に一掃して、さらに充実することを建前としたことであります。次に、地方自治警察を強化いたしまして、国家警察はこれを廃止し、そのための地方自治警察費の増額、国家警察費の削減を計上いたしたわけであります。次に、地方公務員の給与改善につきましては、一万六千円ベースの費用等を、平衡交付金に増額することを考慮いたした次第であります。 社会保障費及び住宅費の充実につきましては、まず本年度は、社会保障制度審議会答申案の拡充、すなわち社会保険、結核対策費、生活保護費、児童保護費等の増額をはかつたのであります。次に軍人恩給費のうち、先ほど申し上げましたように純軍人分を除いて、あとの九割は遺家族、留守家族及び生活保護等、一般社会保障費としてこれを支出することを考えたのであります。住宅は勤労者に対する公営住宅を主といたしまして住宅公社がこれを行い、この一部を国家投資するものとし、すなわち公営住宅五箇年計画初年度分は三十七万戸の増設を目標といたしたものであります。 次に財政投資は長期経済自立計画の一環といたしまして、重点を食糧増産、石炭の近代化——コストの引下げ及び電源開発の三点に集中いたしまして、平和基幹産業の充実に力を注ぐため、それぞれの努力を払つたのであります。さらに食糧増産に関しましては、過年度災害は二箇年計画によつて、完全にこれを一掃することを期したのであります。次に食糧増産対策費は、本予算原案で放棄されたところの土地改良諸費の増額を行い、五箇年計画の完全実施を期するとともに、一般会計支出で不足いたします分は、預金部資金、基幹産業確立投資特別会計というものを別に設けまして、これによつて長期低利金融をはかることを考えた次第でございます。さらに北海道の温床苗代の補助の継続を考えまして、自給肥飼料四万頭分の増産諸費等の新設を考慮しておる次第でございます。また漁業公共事業費、底びき網漁業減船整理補助費等の緊急なる水産振興費の増額を行うこともあわせ考え、鉱工業生産に関しましては、別に特別会計でこれを取上げることといたした次第であります。 次に歳入の面について申し上げますならば、二十七年度における防衛費未使用分の四百八億円及び連合国財産補償費等未使用額六十億円は、予備費として繰延べて、これを二十八年度補正あるいは二十九年度予算において民生安定費に振り向けることといたした次第であります。財政法によつてその半額になるものでございます。貯蓄公債はこれを認めないので、その減税分といたしまして六十八億円を増収と考えまして、次に源泉及び申告所得税は月収二万円までを無税を目途といたしまして、基礎控除を十万円に引上げ、扶養控除一人七万円、三人までということに引上げるごとといたした次第であります。そのかわり高度累進課税を採用いたしまして、すなわち税率は百万円を越えるものに対しては六〇%、二百万円を越える分については七〇%、五百万円を越える分に対しましては八五%とすることとした次第であります。法人税はシヤウプ勧告以後の減税措置の一部をとりやめまして、過大な資本蓄積のための減税をやめさせ、さらに税率は三百万円を越える分を百分の五十に引上げるごととした次第であります。 次に基幹産業確立投資特別会計を設けることとした次第であります。すなわち産業投資特別会計を廃しまして、新たに基礎産業確立投資特別会計を設置することといたしました。この特別会計の重点は、先ほども触れましたように電力、石炭及び食糧の増産拡充、こういう点に主力を置いた次第であります。 さらに平和、中小商工業の融資増額、中国を初めとする貿易振興をはかるための資金をも供給することを考えたわけであります。その要綱を次に簡単に申し上げまするならば、まず石炭は縦坑近代化五箇年計画によつて、良質炭のコストの引下げをはかり、そのための効果ある機構として国営化を目的とするのでありますが、当面緊急の安い原料炭という要請に対しましては、中国貿易の全面的再開を期する方針をとつたのであります。また将来日本経済の動力源ベースを石炭より電力に切りかえるために、無理な、効率の悪い増産、労働強化等を行わせないという方針のもとに、同時に経営の社会化によつて労働条件の引上げ、勤労意欲の向上をはかることを考慮いたした次第であります。 次に電力も、目下の戦争経済に奉仕する独占私物化されたところの電源開発を、ただちに国民大衆の福祉と平和産業、農業村電化に奉仕するための電源開発公営企業たらしめるために、これが国営を目途とすることにいたした次第であります。 さらに財政出投資中の重点以外の不急費目、軍需費目等を削除することといたしまして、たとえば国際航空事業に対する出資、軍事的な道路その他でありますが、こういうふうな点を削る方針をとつた次第であります。 また開発銀行、長期信用銀行等を一本に統合いたしましたところの民主的な長期投資銀行への編成がえ及び特別会計による出投資先の民主的な監察機構の確立をはかつた次第であります。国家の投資にはすべて公的な統制を行うことを条件といたした次第であります。財政出投資のみならず、公共事業費及び食糧増産諸費の配分及びその使途につきましては、それが不正または放漫支出となることを防止するために、民主的な全国監察制度の設置をはかりまして、そのための事務費はこれを公共事業費より支出するという建前をとつた次第であります。外為、インベントリーその他の財政蓄積の資金は、基幹産業確立特別会計中の生産的支出に対してのみ支出し、補充することといたしました。但しそのわくは防衛費など非生産的支出の削除額を越えないものとすることとした次第であります。 なお部局の款項目等につきましては、お手元に差上げましたところの昭和二十八年度一般会計予算修正書の通りでございますので、ごらんをいただきたいと存ずる次第であります。 なおまた政府関係機関並びに昭和二十八年度特別会計予算の組みかえの方針につきましては、今まで申し上げました通りでございますが、重複を避けつつ、若干の具体的問題をつけ加えて申しまするならば、皆様のお手元に差上げました書面によつて明らかな通り、政府機関については、日本国有鉄道に対しては給与ベースを一万六千円ベースとして、期末手当を丁五箇月分にすることとして、これが財源措置並びに建設資金増額のためには、一般会計よりの貸付金四十億円のほかに、資金運用部よりの貸付金九十億円を増し、基幹産業確立投資特別会計を新設いたしまして、この貸付百五十億円の増額をはかつたのであります。 次に日本専売公社、日本電信電話公社以下の政府関係機関の職員給与ベースを一万六千円ベースとして、これまた期末手当を一・五箇月分とすることとしたのであります。 米価につきましては先ほども申し上げましたように基本米価を石当り一万円といたしまして、消費者価格は現行十キロ六百八十円にすえ置くこととして、予算措置をとることを要求する次第であります。 農林漁業増産、中小企業振興対策費及び住宅等社会保障施設拡充対策費といたしましては、次のような措置を講ずることといたしました。すなわち、まず第一に開発銀行貸付金のうち、中小企業近代化資金として二十億円を増額すること。農林漁業金融公庫に対しては、出資増として基幹産業確立投資特別会計より百十億円を貸し付けること。住宅金融公庫を廃して、これにかわつて住宅公社を新設して、資金運用部特別会計より百六十億円を貸し付け、一般会計より百十億円の出資をすること。次に中小企業金融公庫に対しましては、運用部資金より百億円を貸し付けることといたしました。 さらに産業投資特別会計を廃止して、基幹産業確立投資特別会計を新設いたしまして、基礎産業の拡充、貿易の振興をはかるために、それぞれの措置を講ずることといたし、石炭産業に対しては五十億円、鉄鋼産業には七十億円の貸付金を増額すること。輸出入銀行には九十億円を貸し付けること。特別減税国債の発行による収入三百億円を削除すること。次に政府保有外貨約十億ドルのうち二億ドルを日本銀行に売却し、その売却代金収入七百二十億円を、外国為替資金特別会計より繰入れること。さらに地方財政確立のためには、資金運用部特別会計における地方債引受額を七百五億円とすること。次に資金運用部特別会計の金融債引受額を百億円とすること。 以上を大骨とするものでありますが、こういう方針のもとに組みかえまして、すみやかに再提出せられることを要求いたす次第であります。 以上昭和二十八年度一般会計予算の修正提案並びに昭和二十八年度特別会計予算及び政府関係機関予算の撤回を求める動議の趣旨弁明とする次第であります。(拍手) 〔「総理はどうした」「議事進行」「暫時休憩しろ」と呼び、その他発言する者あり〕
○塚田委員長代理 これにて各組みかえ要求の動議及び修正案の趣旨説明は終りました。 ただいまより予算三案に対する各組みかえ要求の動議及び修正案並びに政府原案を一括して討論に付します。 〔「総理はどうした」「総理が来るまで休憩しろ」と呼ぶ者あり〕
○塚田委員長代理 ただいま総理の出席を要求いたしております。(「休憩休憩」「総理大臣のための委員会じやない」と呼び、その他発言する者あり)ただいま見えるそうであります。暫時御猶予願います。 〔発言する者多し〕
○塚田委員長代理 御静粛に願います。早川崇君。
○早川委員 私は改進党を代表いたしまして、昭和二十八年度総予算に対して反対し、中曽根康弘君以下九名提案の組みかえ要求の動議に賛成の意を表する次第であります。(拍手)以下総予算に対する反対の理由を御説明いたします。 第一は、本予算案は独立後最初の予算編成であります。しかるに政府は依然として占領治下の惰性を脱し切れず、官僚の事務的な総花主義と、さらに悪いことは、与党の選挙対策によるぶんどり主義に災いされまして、一貫した何らの総合計画性と、日本再建に対する力強い気魄と熱意を持たないことを、私は遺憾に思うものであります。 本予算の根本の構想は、私は日本再建に対して明確なる意図を持つたものでなければならないと思うのであります。すなわち本予算の解決すべき課題は二つあるのであります。第一は、一九五六年をピークとする西欧自由主義諸国の再軍備に即応いたしまして、わが国も自衛力を漸増し、防衛戦力を築くというのが第一の課題であります。第二の課題は、かかる自衛軍備の増強に比例いたしまして、昭和三十一年度に来る西欧諸国の軍備の完成を頂点とする世界的不景気、景気後退に備えまして、わが日本の経済基盤、産業基盤というものを今から確立しなければならないという、自衛戦力の増強と経済基盤、経済自立の確立という、この二つの困難な課題を解決する本年度予算でなければならないと私は思うのであります。しかるに本予算をながめてみますと、まことに遺憾ながら、官僚の事務的総花主義と、与党の党利党略予算に堕しておるのであります。 以下第一の自衛軍備の昭和三十一年度を目途とした自衛力漸増計画に対しまして、本予算の欠陥を指摘したいと思うのであります。 まず保安庁経費を中心とする本年度予算は、昨年度の繰越し予算を含めまして、千六百八十億円に達しておるのであります。すなわち全予算の一七・五%、約二〇%に達しておるのでありまして、この金額は西欧の中東的な諸国における国防費予算に相当するものであります。しかるに本予算委員会において、政府はいまだにこの日本自衛軍備創設に関する明確な態度も、方針も国民に示そうとしないのであります。かくては魂のこもらぬ実体は国防費予算、それほどの厖大なお金を使いながら、似て非なる、祖国防衛にこたえることのできない軍隊をつくつておるといつても、私は過言ではないと思うのであります。吉田政府は、日米安全保障条約において、米国軍隊にかわるべき、みずからの責任における自衛軍備の期待を約束しておるのであります。私はこの厖大な千六百八十億円に上る国防費が、この日米安全保障条約の期待に沿うものではなくして、実は魂のこもらない、何ら役に立たないごまかし軍備であるということを、まず私は指摘せざるを得ないのであります。さらにそれのみではありません。本予算案についてみますに、この国防費に相当する千六百八十億円に上る予算に対して、何らの年度計画を持つておらないということであります。すなわち昭和二十七年度についてこれを見まするに、千三百三億円の安全保障諸費と、保安庁費の中で、二月一日現在においてわずかにその半額程度より使つておらないのであります。詳しく申し上げますと、七百三十五億円という厖大な経費を使い残しておるのでありますが、そのうち四百七十七億円を二月、三月、わずか二箇月で使わんとするがごときは、私はこれほど無計画な暴挙はないということを申し上げなければならないのであります。十箇月間かかつて使い切れながつた金額を、年度末になつたのだから、何とかしてこの予算を使わなければならない、この十箇月分を一挙に二箇月で使おうということは、まさに国民の血税によつてまかなわれておる国費を、無計画な濫費に消費しておると私は断言せざるを得ないのであります。かような年度計画を持たない無計画な政府の態度をもつてするならば、おそらく二十八年度におきましても、千六百八十億円に上るところの防衛費予算は、何ら祖国を防衛するに役立たない濫費に使われることを私は憂え、あえてこの問題だけを取上げましても、本予算に対して反対せざるを得ないということを申し上げるのであります。(拍手) 次に日本の解決すべき経済基盤の確立と、日本経済自立の要請に対して、はたしてこの予算は回答を与えておるかどうか。私は以下数項目にわたつて、その非なるゆえんを申し述べたいと思うのであります。 第一は、先ほど申し上げましたように、昭和三十一年をピークとする世界的な景気後退を控えまして、この昭和二十八年度予算は残念ながら経済基盤を確立すべき生産的な財政投資においては、逆に二十七年度より三百十四億円減少しており、わずかに二千八百三十五億円より財政投資を見ておらないということを指摘せざるを得ないのでございます。かくては自衛力漸増の支出、片方においては人口は年々二十万人ずつふえて行く、これでどうして来たるべき国際的不景気に対して、日本の国民の生活程度を下げないで、輸出も落さないで、経済危期に対処できましようか、ということを私は指摘したいのであります。このことは現在の政府の経済に対する総合計画性の欠如ということを端的に示しておるのでありまして、この二十八年度予算は、かかる意味において何らの日本自立計画に対する構想を持たない無計画予算であるといわれるゆえんでございます。しからば、かような要請にこたえるためには、かつてチヤーチルが政権をとつたとき、最近は、アイゼンハウアーが新しくアメリカ大統領に就任した直後発表いたしました趣旨でも明らかでありますが、どうしてもこの際行政費、冗費、不急不要事業の徹底的縮減をはかつて、来るべき不況に備える経済基盤の確立のための生産投資的な予算を組まなければならないというのが、絶対的な至上要請であると私は思うのであります。しかるに、政府は、品に行政整理を唱え、口に冗費の節約を唱えながら、遺憾ながら本予算においては何らかような行政費、冗費、不急不要事業の徹底的縮減に対して考慮が払われておらぬということを、私は残念に思うのであります。われわれは少くとも行政費、冗費、不急不要事業の節約のために、本予算においては四百二十八億円の節減可能なりという数字をあげておるのであります。私はかようなことは、占領治下の惰性を脱し、思い切つた自主独立の精神をもつてするならば、おそらく政府において可能な最小限度の数字であると思うのであります。アメリカの上下両院におきましては、最近六〇%の行政費、冗費の節約を決議しております。この四百二十八億円の冗費節約は、行政費のわずかに一五%を節約するにすぎない数字であるのであります。われわれはかような消費的な行政支出を徹底的に圧縮し、財政投資、生産基盤拡大のためにこれを使わんとしたいと思うのであります。 次に、第二に重要なことは、二十八年度の政府予算は、二十七年度政府予算に対しまして非常な大きい変化を来しておるのであります。どういうような相違かと申しますと、二十七年度においては厖大なリザーヴ資金を持つておつたのであります。しかも多くのリザーヴ資金を持ちながら、なおかつ六百億円の受取り超過の予算でございます。ところが、このたびの政府提出の二十八年度予算は、リザーヴ資金が皆無であるのみならず、さらに政府資金の散布超過千五百億円に上つておるのであります。かようなことでは、先ほど申し上げましたように、財政投資が逆に減つておるということと、散布超過がふえて、リザーヴ資金が皆無であるという、この二つの本予算の性格をあわせて考えるならば、ここにインフレーシヨンに対する大きい危険が伏在するということを私は言わざるを得ないのであります。しかるに、これに対して何らの金融政策、何らの物価政策、何らの消費節約政策、さらには資本蓄積の政策に関しまして、何らの国家的施策を講じないのでございまして、かくては日本の経済をやがてインフレーシヨンの危機に陥れるものと私は断ぜざるを得ないのであります。 第三に本予算に反対するゆえんは、貿易振興のための経費が非常に僅少であるということのみならず、外貨政策、為替政策において、政府は本予算において根本的な誤謬と矛盾を犯しているということを指摘したいのであります。外国為替特別会計におきましては、二十八年度末十一億七千五百万ドル、四千二百万ドルの受取り超過でございますが、外貨をいたずらに遊休蓄積するというだけでは、この迫り来る日本の経済の危機に対しては、私は何らの寄与をなすものではないということを申し上げたいのであります。いわんや外資導入に関して逆に悪い影響を与えておるというこの矛盾を指摘いたしたいのであります。先般世界開発銀行のガーナ氏来朝にあたりまして、日本政府の経済政策は何ら外資導入を必要としないような経済政策をとつておるから外資導入必要なしと言明されたことは、諸君も御承知の通りであります。私はかような政策をこの際すみやかに一擲いたしまして、低価格の石炭、あるいは産業合理化のための資材、さらには一般民生安定の物資——今までの誤つたる輸入偏重主義を改めて、真に日本の経済自立のために必要なる物資は思切つて輸入するとともに、この輸入超過に見合うところの円資金で、外為特別会計においてふえる手持の分だけは、迫り来る不況に対処いたしまして、日本の生産基盤拡大、輸入物資のコスト切下げのために、できるだけ大胆な、積極的な為替政策をとらなければならないということを私は申し上げたいのであります。(拍手)そうすることによつて、年間一億ドル程度の輸入超過になりますけれども、それは何らインフレを起さずして、将来の長期的な輸出不振に対処し得る、真に名医の行う外科手術たる効用を与えるものと私は信じて疑わない。かような政策をとることなくして、ただただ余つている外貨を外国の貿易業者に貸し付けたり、あるいは為替銀行に預けたりするだけでは、どうして政府の一枚看板でございます外資の導入が達成できましようや、ということを私は申し上げたい。事実をもつて申し上げますならば、吉田内閣すでに数年の政治を行いながら、あれだけ国民大衆に呼号した外資は、わずかに現在まで二千四百万ドルより入つておらないのであります。政府が要求する八億ないし十億ドルに上る外資導入と比べたならば、これこそ羊頭を掲げて狗肉を売るものであると私は申し上げなければならない。かような誤れる為替政策、誤れる輸出偏重主義を私はこの予算の中に見るのであり。さらに予算委員会おける各閣僚の答弁において見るのでございまして、かようなことは、日本の自立経済達成のための最大の障害の一つであると、私は信じて疑わないのであります。 次に本予算に反対するゆえんのものは、先ほど申し上げましたように、日本経済の自立達成、経済基盤拡大のための重要な一つは、食糧自給増産計画であるのであります。しかるに政府の呼号しておつた農林省案の五箇年間米麦千七百万石増産計画、十箇年後国内自給達成計画は、この予算においていかになりましたでしようか。農林当局の要求のわずか六割程度に圧縮いたしまして、どうしてこの五箇年計画千七百万石増産が達成されましようや、ということを私は言わざるを得ないのであります。世界の情勢は、人口の増加に反比例して、食糧は増加しないのであります。食糧の値上りは世界的な一つの経済の特徴であります。かような特徴をわれわれは認識するのみならず、輸入の大宗をなすこの食糧問題に対して国家の施策を集中し、国家の資金のあらゆる動員を行つて、いかなる冗費をも節約して、この増産計画を達成する決意がなければならないのであります。かような重要性を持つにもかかわらず、本予算においては非常な削減でありまして、少くともこのことは食糧増産の世界経済のもとにおける重要性、国内の輸入削減の重要性に対する政府の無定見を暴露したものといわなければならないと思います。少くとも本予算においては、食糧増産五箇年計画達成のために、さらに百二十億円の増額を必要とすると私は考えております。 さらに不可解なのは生産者米価の問題でございます。本予算案におきましては、米価石当り七千七百九十二円でございますが、ほかの物資は国際価格よりも三割ないし五割高い。しかるに米価だけは外国の輸入米価よりも逆に三割程度低いというこの矛盾を、いかにして農民に対して納得させることができましようや。さらにそれのみではありません。米価は国際価格より低く押えながら、農家の最も重要とするところの肥料に関しましては、今度は逆に国際価格よりもはるかに高い肥料を、農家に押しつけておるという矛盾を、この予算ははらんでおるのであります。すなわち国内においては八百九十円である。ところがインドに輸出いたしました日本の肥料価格はいかなる値段でありましたでしようか。国内の農家に八百九十円をもつて買わせながら、インド向けの輸出価格は六百十五円であるというこの矛盾を、農家に対して政府はいかに説明しようとするのでございましようか。私はかかる農業政策の矛盾をあえて続けて行くならば、日本の経済自立、さらには国際貿易のバランスを直して行くために最も必要な、根本をなす食糧政策、食糧自給においては、この事実を知らしたならば、必ずや農民の反感を巻き起して、政府の企図する一切の経済政策の根本がくつがえるものであるということを、私は指摘せざるを得ないのであります。(拍手)すでにわが国は第二次世界大戦において敗れました。戦後の平和経済戦争におきまして、西独、イギリスに——せつかく終戦後伸びて行つたエジプト、近東、インドにまで及んだこの輸出の力は、現在は政府の無政策をもつてして、すでに台湾の硫安までも、西ドイツの硫安に市場を独占されているというこの事実を考えたときに、私は政府の無計画な経済政策の破綻は、平和の経済戦争においても、われ敗れりの感を深くせざるを得ないのであります。 さらに私は本予算における重大な欠点の一つといたしまして、中小企業に対する何らの施策が講ぜられておらないということを次に申したいのであります。御承知のように、先ほども申し上げましたように、財政投資においては二十七年度より、インベントリーも含めまして、三百十四億円減少しておるのであります。片一方においては、今までは六百億円の揚超であつた政府資金が、二十八年度は千五百億円の散布超過でございます。その結果いかなる状態が来るかと申しますと、政府がもしインフレーシヨンを押えようとするならば、その結果起るのは当然金融の引締めということになるのであります。そうしなければインフレーシヨンは起る。そこでその最大の被害者は、大企業ではなく、大資本家ではなくして、ほかならぬ中小企業者であるという、この根本的事実を忘れておるのではないかということを私はおそれるのである。昭和二十七年度においては、あの中小企業者の五人や十人死んでもよろしいという池田財政のもとにおいて、八千五百億円の政府予算のうちで、わずかに中小企業に対する財政投資は七十五億円であつた。この中小企業圧迫の政策を同時に向井財政においても踏襲しておるということは、私は日本の生産の六割を占め、日本の労働者の数の五割を占めるこの中小企業に対して、あまりにも現在の政府は無関心過ぎるということを痛感せざるを得ないのであります。(拍手)私は最小限度本予算において、中小企業育成のために、少くとも百億円程度の増額をする必要を痛感するものでございます。 さらに次に問題は社会保障の問題でございます。社会保障というものを軽視する限り、手放しの自由資本主義経済機構は崩壊の運命に瀕するという基本的な考え方は別といたしまして、私の遺憾に思うのは社会保障の中心をなす国民健康保険のこの危機の打開に対してすら、きわめて微温的な施策よりとられておらないということを私は残念に思う。 〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕 少くとも国民保険に対する赤字の再建整備のためには三十億円が必要である。さらにまた医療費の国庫負担は、政府は一割五分というものを計上しておりますが、少くとも最小限度二割を与えなければ、せつかく国民各層に行きわたりましたこの社会保障の最も重要な国民健康保険は、私は瓦解に瀕すると思う。これに対してまことに残念な措置がとられておるということを指摘せざるを得ないのであります。 さらにもう一つ、私は減税国債というものに対して断固反対せざるを得ないのであります。もともと減税国債は現政務次官をやつております愛知揆一君の案にかかると聞いております。貯蓄国債同じことでございます。ところがその発案者の因縁にとらわれ、向井さんまでがこの特別減税国債三百億円を本予算に計上するということは、まことに私は向井さんの財政観を疑わざるを得ないのであります。世界各国において国債を買う者には減税をしてやるという、こういう邪道をとつておる国債政策が一体どこにあるか。さらにこれこそ一般消費ができる、一般の公募ができる……(発言する者あり)減税六十六億円のえさでつつて、三百億円の特別減税国債が一般において消化できると考えておるのは、まことに、私は不可解である。しかもこの特別減税国債は、日銀担保を許さないという国債である。このような特別減税国債を発行するということで、どうして円満な市中消化ができましようや。もしできてもよろしい、できてもいいが——おそらくできまいと思うが、できてもいいが、なお大きい弊害は、現在金利を引下げようと政府はやつておりながら、逆に金融の金利体系を乱すという弊害を起すのであります。さらにもう一つの欠点は、この減税国債というものは、お金持ちの、金の余つた人がこれを買えば減税してもらうというような、こういう邪道をもつて国債を考えるということ自体、まことに遺憾な考え方でありまして、この際三百億円の国債を出すならば、むしろすなおにはつきり建設国債を発行し、日銀担保を認めて、ほかの面において預金増強の策、すなわち預金利子の課税を軽くするなり、あらゆる手を講じて公債政策の本筋を通して行くべきが、向井さんらしい財政政策であるということを、私は申し上げなければならないのであります。(拍手)私はそういう意味において、貯蓄国債のこの考え方、計上に対して、断固反対せざるを得ない。 さらにもう一つ重要なことは、本予算案は従来の予算と違つて、重要法案と何ら表裏一体をなさない矛盾撞着を持つておるということを、指摘いたしたいのであります。予算委員会における野党各委員の非常な努力に対して、義務教育費国庫負担においてしかり、警察法の改正においてしかり、財政法上幾多の疑義をはらみ、しかも本予算と矛盾撞着しながら、無理やりに多数の力によつてその無理を押し通そうとするこの予算は、今まで終戦後八年の私の代議士生活を通じて、初めて見る乱雑な不用意な予算であるということを指摘いたしたのであります。 さらにもう一つ重要な点は、アイゼンハウアー政権のもとにおける国務長官のダレス氏が日本に来朝され、今後当然起つて来る問題は、自衛軍備のはつきりした線であります。アジア人はアジア人によつて守れという線であります。さらに吉田さんみずからがサンフランシスコにおいて結ばれた日米安全保障条約の米国軍隊にかわる、みずからの責任による自国防衛の義務、責任をはつきりした姿で押し出して来るということは、いやしくも国際政局に目を通した人ならば当然わかることであります。その場合に起つて来る問題は、今のようなごまかしの軍備ではいけない。あるいは自衛軍備の費用がたくさん出て参ります。そうなつた場合に、このような余裕のない、しかも補正予算は断固組まないというような、まつたく予算技術上きゆうくつきわまるこの予算をもつてして、どうして補正予算を組まないで済ませることができるかということをまじめに考えまして私は遺憾に思うのであります。 以上数項目にわたりまして、本予算は根本において、日本の現在直面しておるところの最大の二つの課題、昭和三十一年をピークとするところの自衛力の漸増と、その後に起る不景気に対処するコストの切下げ、生産基盤拡大、経済自立の達成というこの矛盾した二つの困難な課題を解決するところの、積極的な独立後初めて気魄ある施策を盛つた予算でないということを心から遺憾に存じ、私はこの政府提出二十八年度予算に対して、あえて反対せざるを得ないということを申し上げたいのであります。 最後に中曽根委員外九名提出のこの組みかえ要求に対して、簡単に私の賛成討論を行いたいと思うのであります。 本組みかえ要求動議の内容によりますと、財源においては行政費節約が四百二十八億円であります。さらに外為特別会計のインヴエントリー・フアイナンスより投資会計への繰入れ三百六十億円であります。防衛関係諸経費は、政府計画の二百三十億円の繰入れだけでなく、それ以外に余裕が百五十億円生ずる。これは一般会計歳入とすべし。これももつともである。最後に減税国債の減税とりやめ六十六億円であります。合せて千四億円を財源の捻出に充てておるのであります。かような消費的な、あるいは資金を遊ばせておるような千四億円が——現在の政府が政権をとつておるということを前提として、政府の経済政策を大きく変革しない前提の上において、なおかつ一千四億円の財源が捻出できるということは、私はまことに機宜を得た組みかえ措置であると存ずるのであります。しからばこの一千四億円をいかなる用途に使うかとながめてみますと、第一には四百三十億円を産業基盤拡大のための積極的な財政投資に充てたい。言葉をかえて言いますならば、投資特別会計への繰入れをはかつているのであります。しかもその内容は、電源開発、縦坑開発、中小企業育成、国土総合開発等、全部を合せまして四百三十億円でありまして、かような産業投資に、政府案よりも四百三十億円の資金を充て得る。消費的な財源を節約して、日本の経済再建、不況の到来しておる貿易産業の基礎確立のために充て得るということを、心から喜ぶものであります。 さらに次には、食糧増産費の増加百二十億円を計上しているのであります。これは自由党の政府みずからが計画いたし、廣川さん自身が計画いたしました、あのりつぱな食糧五箇年間増産千七百万石計画というものを、何とか野党の力で達成させてあげたいために、われわれは苦心してあえて百二十億円の増加を計上しておるのであります。 さらに第三は、買上げ米価引上げに対する経費を百九十八億円組んでおりますが、これは先ほど私が全般的な政府予算批判において申し上げましたように、肥料は国際価格よりも三割も高く売られておる。米価はむしろ三割低い。この矛盾を何とかできる範囲において解決いたしたい。社会党右流の諸君の言うように、米価を一万円まで上げたいというのは私も念願するところであるが、少くともこれを達成するためには、政府がひつくり返つてほかの政府が天下をとらなければできません。そういう前提の一万円である。ところが政府の政策のもとにおいてもおかつこの組みかえ要求の通りやるならば、少くとも生産者米価八千五百円の実施は可能であるという考え方であります。 さらに第四番目に、社会保障費の百億円増加であります。これは国民健康保険の二割国庫負担と再建整備費、住宅増設費に充てるのでありまして、これまた重要であります。 その他義務教育費全額国庫負担額の増加、さらに民間資本の蓄積のための預金利子その他信託の利子所得等に対する課税を全廃し、法人税、所得税の軽減のために百億円を充てたい。 これが千四億円の支出計画でありまして、私はこの歳入の面と歳出千四億円を比較したときに、現在の政府の根本的な経済政策の変更なくして、なおかつ千四億円の消費支出を押えて、生産的なものに千四億円を増加できるという、この組みかえ案に対して全幅の賛意を表し、政府与党もこの組みかえ案の提案に対して、何らかの考慮と賛意を表すべきものであるということを最後につけ加えまして、本予算に反対、組みかえ要求動議に対して、改進党を代表いたしまして賛成するもので事あります。(拍手)
○太田委員長 植木庚子郎君。
○植木委員長 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題と相なつておりまするところの昭和二十八年度の予算に対して賛成の意を表しますとともに社会党左派から提案にかかります修正案並びに野党三派からそれぞれ提出にかかるところの組みかえ要求案に対しまして、私は反対の意を表するものであります。 〔「二派だ」と呼び、その他発言する者あり〕
○太田委員長 静粛に。
○植木委員 本予算案に対しまする野党各派の反対論中最も重要な点は、この予算は、わが国の経済にインフレをもたらすという推定にあるのであります、そこでまず私はこの点に対する反駁論から入りまして、私の討論を進めて参りたいと存じます。 インフレ論の第一の理由は、財政規模の膨脹を指摘しておれるようであります。なるほど昭和二十八年度の財政規模は、前年に比しまして、一般会計において二百八十億円の増加と相なつております。また一般会計以外の財政投融資額を加えますれば、約六百八十億円の増加と相なつております。さらにまた予算純計を見ますと、前年度に比べまして、歳出面におきましては六百三十億、歳入面におきましては四百二十億の増加と相なつております。しかしながら、およそ成長して参りまするところの社会、発展的段階にありますところの国家におきまして、人口増加のような自然的条件があることはもちろん、国民経済の機構の複雑化、生活水準の向上、国家活動の範囲の拡張などに伴いまして、社会経済的要請が漸増して参りまする関係から、財政規模は漸次膨脹をせざるを得ないものなのであります。すなわちこれいわゆる経費膨脹の原則と言われるものであろうと存じます。いまさらこの点は申し上げるまでもないと存ずるのであります。現に財政規模の大小を検討いたしまするときに、常に問題に相なりますところの国民所得の推計を見ましても、その昭和二十八年度の金額は五兆六千七百四十億円でありまして、これを前年の五兆三千八百五十億円に比較いたしますると、約二千八百九十億円の増加となつておるのであります。これは日本経済の発展を物語るものであります。従いまして、世間には二十八年度はあるいは一兆億円予算となるのではないかという懸念すら相当に強かつたのであります。しかるにただいま提案せられておりますところの政府提出にかかる予算案は歳入、歳出ともに九千六百五億円に食いとめることができましたことは、編成当局の苦心を端的に物語るものとして考えてよいと思うのであります。ことに一般会計予算額と国民所得との金額を対照いたしますと、昭和二十七年度におきましては、一割七分三厘に当つておりましたのが、同二十八年度は一割六分九厘でありまして、逆に若干の減少をすら示しておるのであります。この点から結論いたしますなれば、この程度の財政規模の増大では、インフレ必至論の根拠としてとうてい認めがたいものであろうと存ずるのであります。 インフレ論の第二点といたしましては、公債の発行をもつてインフレ要因なりとせれる議論もあるようであります。今回発行の公債は、日銀引受によるいわゆる赤字公債ではございません。特別減税国債の三百億円は、個人百億、法人二百億の引受を期待するものであります。また国鉄及び日本電電公社の債券二百二十億円、これまた完全なる市中消化可能な限度において認めてあるのであります。従いましてインフレ進行の重要な契機とはなり得ないものと考えるのであります。試みに全国銀行の預金高を見ましても、昭和二十五年末におきまして一兆億円から、二十六年末には一兆五千億円、二十七年末には二兆億円というふうに、漸次非常なる増加を見ておるのであります。すなわち最近におけるわが国民全般の貯蓄性向の上昇、株式投資の情勢等から見ましても、この程度の公債発行はさして困難ではないと考えるものであります。市中消化が完全に行われる限りにおきましては、インフレ発生の危険はございません。ゆえに私は政府のこの公債措置に対しましても、同感であります。 インフレ論の第三点といたしましては、本予算中に含まれております不生産的経費の急増と、生産的経費の効率発揮の時間的ずれの問題であります。旧軍人等に対する恩給費の新規計上でありますとか、国民健康保険給付費の補助でありますとか、公務員の給与の平年化でありますとか、そのほかいろいろな不生産的経費が増加いたしておりますことは事実であります。この種の経費の多額なる支出の結果は、時には購買力の増加や物価の騰貴、インフレ傾向への拍車となり得ることは、いなみがたいところでありますけれども、いずれも緊要やむを得ざる経費であることを認めずにはおられないのであります。また生産的経費の支出の時期とこれに伴う生産増加の時期とのずれの問題、これは確かにその通りでありますけれども、これもあえて本年度予算に特有のものではございませんで、これらの点につきましては、政府の適切なる施策によりましてインフレ移行への危険を除去すべきものであり、また除去し得るものであると信ずるものであります。 インフレ論の第四点は、いわゆるインヴエントリーの廃止と政府資金千三百余億円の散布超過の問題であります。しかしこれは社会経済の発展に応じまして、従来のドツジ・ポリシーの行き過ぎを是正せんとするものであります。わが国近年の経済界、金融界の底流をなしておりますところの資金枯渇の問題、オーバ・ローンの問題、滞貨問題等、ことに朝鮮ブーム消滅後の金詰まり状態等の実情に顧みまして、むしろ適切妥当な財政措置であると思うのであります。ドツジ・ラインによつて資金の引揚げ超過を来し、市中金融は極度にきゆうくつ化して参りましたので、これに対し国家の財政資金を再び私経済方面に流し込みますことは、膠着した金融界に対しまして一種の潤滑油のごとき作用を果すものとして私は全面的に共鳴するものであります。野党の諸君は従来ドツジ・ラインに対して口をきわめて非難して来られたのであります。今回政府がこれを緩和せんとするのは、いわば政府がその御要望に沿うべく心を砕いたものであるとさえ言えるのではなかろうかと思うのであります。貿易の大幅な好転がにわかに期待されない今日、この程度の散布超過はむしろ国民の消費性向を刺激し国内需要を喚起し、景気後退を阻止する上にきわめて役立つものとして歓迎すべき措置であるとさえ思われるのであります。いわんやわが国の生産力は年々着々として高まつており、それに従来の厖大な滞貨の存在をあわせ考えますならば、政府資金の散布超過による通貨量の増大につきましては、政府当局言明の通りこれに対するに慎重な態度をもつてしかつ金融政策等、において適切なる措置を講じますならば、決してインフレにはならないものと信ずるのであります。よつて私はこの予算が執行せられましても、決してインフレを招来するものではなく、かつ財政金融の強力なる操作によりまして、絶対にインフレを発生しないように措置し得るものと考えるのであります。 次に本予算案が持つ積極的な面につきまして二、三の重要な点を論じたいと存じます。第一に申し上げたいのは、防衛関係諸費が削減されている点であります。すなわち前年度の防衛関係諸費は千八百二億円でありましたが、昭和二十八年度は千四百五十億円に減少しておるのであります。防衛関係諸費のうち防衛支出金が三十億円の減、安全保障諸費は前年度限りの経費として全額減少いたしておるのであります。ただ保安庁経費は二百三十八億円の増額と相なつておりまして、八百三十億円の計上でありますが、これは装備、施設の充実をはかるものでありまして、人員の増加に充てるものでないことは政府の説明によつて明らかであります。元来防衛関係諸費は世界情勢や物価の値上り等から考えますと、若干増額するものと見られていたのであります。それが三百五十億近くも総額において減額に相なり、その分が一般内政費に振り向けられることになりましたことは、まことに喜ばしいことであると考えられます。 第二に、本予算案はわが国経済力の充実、発展に著しく意を用いられている点であります。すなわち国民経済の基盤を育成強化するための電源開発、外航船舶の建造、中小企業、農林漁業、交通、通信等の振興に対しまして巨額の財政投資を見込み、また食糧増産、公共事業等の国民経済の根底を培養する経費千五百十三億を計上いたしておりまして、前年度に比しますれば二百七十余億円の増額であります。さらにまた住宅建設や社会保障等の民生安定費につきましても、本年度に比べまして著しく増額を見ているのであります。ことに民生安定的性格を有する経費として、特に強調しなければならないのは、旧軍人等に対する恩給の復活であります。これに対し四百五十億を計上しております。遺家族、留守家族等の援護のための五十億円を合せて五百億円をもちまして全国二百万に近い多数の人々の生活安定に資し、その前途に光明を与えることになりましたことは、独立後のきわめて意義ある措置といわなければなりません。また文教振興に関する予算措置も大体におきまして適切であると言えると存じます。特にかねてから懸案となつておりました義務教育の全額国庫負担につきましては、今回断行の一歩を踏み出しましたことは、わが国の文教制度におきまして、真に画期的改革であるといわなければなりません。義務教育につきましては、その性質上これを国庫の負担といたし、教員の待遇と地域的差別をなくし、転任等に不都合が生じないようにいたしまして、その地位を安定いたさせますことはきわめて肝要な問題であります。わが党といたしましては、早くよりその実施を公約いたし、その準備を整えるように要望して参つたのでありますが、明年度の予算におきましていよいよ実現の緒につくことに相なりましたことはまことに慶賀にたえません。ただ事はきわめて重大な問題であり、かつ関係するところはきわめて広汎にわたりまするので、来年度におきましては経過的措置を採用することになつたようでありますが、政府の説明によりますれば、教員の給与その他には全然不安動揺をもたらすものでないとのことであります。よつて政府の適切なる措置を信頼いたしまして賛意を表せんとする次第であります。 次に警察制度の改正に関しましては、本予算は現行制度を基礎といたしまして編成せられておりますけれども、改正警察法中の経過規定と予算総則の規定との運用によりまして、その実施は可能であるというふうに考えます。政府はもちろん現下の諸情勢に顧みまして、国家警察制度、自治警察制度両者の長所を巧みに取入れて、警察力の能率化、ことに治安警察力の強化の早期実施を目標とせられますとともに、財政上、会計上適法かつ妥当なる措置を講ぜられますることを信じて賛意を表するものであります。 最後に国民の租税負担を軽減し、資本の蓄積をはかりますことは、われわれの常に要望してやまないところでありますが、幸い政府がここ数年来毎年度多額の減税を断行して参りましたことは、われわれの心から共感を覚えるところでございます。昭和二十八年度におきましては、独立第二年の予算として各方面の要望がきわめて広範囲にわたり、財政需要も非常に急増しておりまする関係上、あるいは減税が困難なのではないかとさえひそかに私どもは懸念いたしておつたのでありますけれども、本年度予算に引続きまして、来年度におきましても千九億円の巨額なる減税を行つております。すなわち前年度実施にかかる所得税軽減の臨時措置の平年化、あるいは法人税、あるいは相続税、あるいは酒税等につきまして、適切なる時宜に適した改正をいたしておりますことは、まことに欣快にたえません。 以上を要しまするに、今回政府の提出にかかりまするところの二十八年度予算の各案は、わが自由党の年来の政策実現に直接役立ち、また総選挙におきましての党の公約の推進に直接つながるものと考えまして、その成立を心から希望してやまないものであります。 なお先ほど野党各派から趣旨弁明のございました改進党及び社会党両派の修正案または組みかえの要求に対しまして一言申し上げたいと存じます。個個の事情につきましては一々思いつきの点を羅列せられておるのではないかと思われるほど、実は失礼ながら研究未熟なのではないかと考えられる問題がございます。(拍手) 修正案の主要な二、三点につきまして意見を申し述べます。社会党の両派によりますれば、防衛支出金及び平和回復善後処理費等を削減せられておりますが、この種の経費は平和条約の調印に伴いまして、独立国家としてわが日本におきまして欠くことのできない経費であると考えます。またこれを削減するということは、国際信義にももとるものではないかと思うのであります。公務員の給与ににつきまして社会党の左派の方々は、約三千円のベース・アツプ、社会党の右派の方々によりますれば千円のベース・アツプを予定しておられるようでありますが、このためには、左派の場合におきましては中央、地方を通じますと千五百億円、右派の場合には五百億円の程度の新規財源を必要といたします。このためにはあるいは通信料金の引上げ等が必要となることも考えられまするし、鉄道運賃のごときにおきましても、考えようによりますれば、これまた引上げのやむなきに至ることが起るのではないかとも思うのであります。ひいては物価及び生計費の騰貴に相当の悪影響を及ぼす結果となることを考えます。改進党及び社会党両派の旅費及び物件費の大幅削減の点につきましては、行政費の節約というこの趣旨には賛成でございますけれども、この旅費及び物件費の予算の中には学校、試験研究機関の経費、刑務所収容者の食費、病院、療養所入院患者の医薬費及び食費等を含んでおるのでありまして、これらの経費につきまして一律に大幅の節約をいたすことは不可能と存じます。ことに改進党の修正案によりますと、超過勤務手当の二割削減を主張せられておるようでありますが、かかる措置は特に下級公務員の待遇を低下せしめることに相なりまして、とることができないと存じます。 各派の修正案は、また外貨資金を漫然と国内資金として使用することを主張しておられまするが、これは決して外貨資金を活用する道ではなく、ただいたずらにインフレの促進に拍車をかけることになるのではないかと考えます。よつて野党各派の修正案または組みかえ要求案に対しましては、とうてい賛成することができないのであります。 ここにおきまして私は、政府提出にかかる予算三案に賛成の意を表しますると同時に、この際本案に対しまして、わが自由党と同友会との共同立案にかかる次のごとき附帯決議を付しまして議決されんことを提議いたすものであります。 案文を朗読いたします。 附帯決議 第一 速かに長期に亘る経済及び財政計画を樹立し自立自主経済財政の方針を闡明すること。 第二 財政資金の撒布超過の多額なるに備え貯蓄増強の施策を強力に推進すること。 第三 冗費の節減の為一大財政整理を断行すること。 第四 速かに中央地方を通ずる財政の根本的調整を行うこと。 以上であります。 なお附帯決議の趣旨を簡単に説明いたします。 第一にあげておりますところの財政経済にわたる長期の計画樹立の問題、これは委員会におきましての政府の説明を通して考えまするときに、なおそこには若干の研究不十分なるうらみありと考えまするので、こうした附帯決議を付せんとするものであります。 第二の財政資金の散布超過の問題につきましては特に説明を要しません。 第三の冗費節約のための財政整理の問題、これは、政府の予算の財源は、その主要部分が、すなわちわれわれ国民の税負担によるものであります。ゆえに予算の執行にあたりましては、最も厳正に、いやしくも不急不要のむだな経費の支出をいたすことは厳に戒めなければなりません。それを計画的に、この際ひとつ整理を断行せんことを希望するものであります。 また、第四の中央地方を通ずる財政の根本的調整の問題は、現下最も急を要する問題でありまして警察制度の改正あるいは教育制度の改正等にも関連し、あるいは地方制度調査会も目下お開き中のことでありまするから、並行して至急にこれに対する善処を希望するものであります。 これをもつて私の討論を終ります。(拍手)
○太田委員長 川島金次君。
○川島(金)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になつておりまする昭和二十八年度一般会計並びに特別会計及び政府関係機関予算の一括原案に対して根本的に反対をし、先ほど同僚の石井委員から説明されましたところの、わが党提案になりまする組みかえ要求の動議に賛成の意を表するものでございます。 昭和二十八年度の予算案は、少くともわが国独立後の最初の予算であることは言うまでもございません。それゆえに、わが国の独立と自主性がこの予算に最も端的に表明され、わが国今後の自主的な進路と確固たる方針が国民の前に示されなければならないはずであるのであります。しかるに本予算案は、編成の当初において、いまだかつてなき難航を続け、その醜を天下にさらしたことはまぎれもない事実であります。しかもその上に、その内容に至りましては、依然として厳固たる憲法を無視し、露骨な、再軍備予算を頭にいたしまして、その下には何ら吉田内閣の計画も自信も見通しも持たず、ただいたずらに選挙の公約を果すのだという美名のもとに隠れたる、文字通りの食い荒し、食い散らし予算であるとわれわれは断定をしなければなりません。(拍手)従つて、その間には、何ら確固たる自主性もなければ、計画も方針もないのでありまして、おせじにも国民経済自立達成を基本とした、安定と発展を目途とした予算であるとは断じて言えないしろものに終つておることを断定しなければなりません。しかも大蔵大臣は、本予算委員会で劈頭から問題になつておりまする公債の発行の問題につきましては、公債を発行するという政策に手をつけることはあたかも阿片に手をつけることであり、一たびこの阿片を飲むや、それが慢性化して、日本経済と財政の上にゆゆしき事態を招来するであろうと、向井蔵相は、この問題の当初においては断固として反対の態度を示しておつたこともまぎれもない事実であります。しかるに、その向井蔵相の当初における信念と見解とは、インフレーシヨンによつて大資本、大企業に奉仕せんとする手放し自由経済を謳歌するところの与党自由党諸君の強引なる要求に遭遇し、手もなく大蔵大臣の当初の方針をまつたく根本的にくつがえすに至りましたことはまことに御同情にたえないと、われわれはむしろ憐憫の情を注いでいるものであります。 〔発言する者あり〕
○太田委員長 御静粛に。
○川島(金)委員 この大蔵大臣が、公債政策に対して当初から反対をいたしていた理由は、今申し上げたごとくに、日本経済の今日の段階において公債政策に手をつけるがごときは、その後においてインフレーシヨンを誘発し、それはやがて、ようやく安定の緒につきかかつておるところの日本経済の根本を脅かすものであるという立場において蔵相は反対をいたしておつたのであります。しかるに、一たび予算編成後においては、その当初の大蔵大臣の確信と見通しを翻し、この公債政策が何らインフレーシヨンを誘発するものではないと、たなごころを翻した言明を繰返しておりますることは、その心中まことに察するに余りありとわれわれは申し上げたいのでございます。(拍手)日本の財政経済の上に大きな重圧となつておりましたドツジ政策をば根底からはね返すというドツジ政策修正に対する要求は一昨年当初からわれわれの強く掲げて参つたところであります。従つて向井蔵相が、吉田内閣のこのドツジ政策の一つの重点であつたインヴエントリー・フアイナンスを廃止いたした事柄については、われわれは必ずしも否定をするものではございません。しかしながら、このインヴエントリーを廃止した一面において、財政の規模は昨年度に比べて三百億程度の膨脹で食いとめたと、こう鬼の首でもとつたかのごとく宣伝をいたしておるのでありますが、インヴエントリーを廃止したかわりとして、三百億の財政の膨脹を来したということは、実質的には、二十七年度に比べて六百五十億の財政膨脹を来したものであるということにわれわれは断定をしなければならぬのであります。 なおさらに、われわれの強く指摘いたさなければなりません問題は、政府は本年度の国民所得を五兆六千億と推計をいたした旨をわれわれに発表いたしておるのであります。それに反しまして、政府一般及び特別会計、関係機関予算並びに地方財政を通じての純歳計額というものが、驚くなかれ、二兆八千億の巨額に上つておるということは、政府みずからがこの委員会を通じて国民の前に発展したところであります。今かりに、政府の推定するがごとく、二十八年度における国民所得が五兆六千億であると仮定をいたしました場合に、政府の今回立案をした国家財政及び地方財政を通じての純歳計額というものが二兆八千億に上るということになりますれば、実に国民所得の五〇%は租税その他の形式において国民の懐中から強引に吸い上げられるという形になるということは、いなめない事実であります。今われわれ一般国民の生活水準は、政府がしばしば言明をいたしておりまするがごとくに、なるほど戦争前に比較して、農民諸君の消費生活水準は一〇〇%程度に回復したとわれわれも一応計算をいたします。しかしながら、農村以外の都市において勤労いたしますところの農村外消費国民生活の水準は、いまなお戦争前に比較して、わずかに八五%内外をさまよつておるというきわめて低い生活水準に押えられておることは、これまた政府といえども否定するものではなかろうと思うのであります。このことを考えた場合に、政府の少くとも財政経済政策は、独立日本の段階において、いかにしてもこの働く大衆の生活と台所を守りながら、名実ともに備わつた日本経済の自立達成を目途とするものでなければ断じてならないとわれわれは信じておるのであります。しかるに、ただいま申し上げましたように、国民所得の五〇%にも上る多額なるところの政府収奪を強行いたしまする場合において、その影響するところ、国民経済並びに生活にいかに重大なる脅威を与えるかということは、数字をあげただけでもきわめて明白な事柄であるのであります。従つて、この二十八年度の政府予算は、現状における国民経済並びに特に働く大衆の生活と台所を守ることを目途としたのではなくして、かえつて、あとで申し上げますが、一方憲法無視による再軍備を強行しつつ、一面においては大企業と大資本の利益に奉仕するところの乱反動資本主義政策をもつて一貫した財政政策だと断言しなければならないのであります。 さらに、われわれがこの機会において指摘いたさなければならない問題は、政府は先般の総選挙以来、国民経済の圧迫となつておるところの租税の大幅減税を実行したと、これまた大声をもつて誇称をいたしております。しかしながら、一たびこれを予算の計数に眼を移しましてしさいに検討いたします場合には、それは国民に誇称しているにかかわらず、まことに欺瞞インチキの減税政策以外の何ものでもないということをわれわれは指摘しないわけには行きません。その論よりの証拠といたしまして、一例を数字をもつてあげますならば、所得税において、昭和二十七年度は補正額を合せまして租税収入二千六百億万円であります。しかるに二十八年度においては、租税収入、所得税において二千五百億でございます。従つて、この数字を対比いたしますと、百億万円の減税ということになるのであります。また一方において、法人税においても、二十七年度の補正額はその収入予定額一千八百八十億であるに反し、二十八年度の法人税収入予定は一千七百七十億円でありますから、その差額はわずかに百十億万円の減税にしか当らないのであります。この数字をもつていたしましても、いかに吉田内閣の一千億減税政策というものが、数字の魔術であり、ごまかしであり、欺瞞減税政策であるということを何よりも有力に物語つておるとわれわれは断言せざるを得ないのであります。その半面に、しかも巧妙にも政府は、並びに与党は、ただいまの与党側からの賛成演説の中に附帯決議として、「財政資金の撒布超過の多額なるに備え貯蓄増強の施策を強力に推進する。」こういう附帯決議をつけるほど自信がなく、財政資金の散布超過に驚きおののいておるのであります。 しかもまた一方において政府は、日本の経済自立達成のためには資金の蓄積がきわめて重大な要件であるということを、しばしば繰返して述べておるのであります。その資金蓄積は、いかにいたしましても国民経済の消費節約にまたねばならぬことは言うまでもないのであります。そのようなことを政府は強調し、自由党の諸君まで貯蓄増強の施策の必要なることを、附帯決議にまで織り込まなければならないという態度に出ておるにかかわらず、一方において一応酒の税が引下げられて、酒を直接飲みまする場合の単価はなるほど引下げられました。しかしながら、その単価を引下げた裏口においては、昨年度の酒の税の収入千三百七十億に対して、二十八年度においては実に千四百六十億、すなわち酒税の増徴だけでも百億という巨額を見積つておるのであります。さらにまたタバコの益金のごときにおきましても、昨年の千三百億に反しまして、二十八年度は千四百億万円を予定いたすことになつておりまして、いずれも驚くなかれ百億万円の増徴を予定いたしておるのであります。このことは一体何を意味するのであるか。政府は口に資金蓄積の必要なる要件を強調しながら、一方において酒税の引下げの美名のもとに隠れて、巧妙にも酒とタバコの両面にわたつて二百億の増徴をはかろうといたしておることは、資金蓄積を強調いたしておる手前において、きわめて大なる矛盾であると私は断言しなければならないのであります。むしろこの場合において、私どもの立場からいたしますならば、酒税のごときにおいて、下級酒の引下げはあえてわれわれも反対をいたすものではございませんが、特級酒等の高級種類にわたるものはむしろ引上げて、その増徴をはかることこそが最も妥当なる税制政策であろうとわれわれは考えまして、別途の税制改革案をつくつたのであります。かように政府の税制政策から見ましても、その主張しておりますことと、その実行する政策においては、矛盾きわまるものを如実に露呈いたしておるのであります。 さらに見のがしがたい一つの事実は、先ほども改進党の早川君もこれを指摘いたしたのでございますが、いやしくも日本のこの困難な生活を続けておりまする国民から、血の出るような、いうところの血税を収奪いたしておるにかかわらず、昭和二十七年度の防衛費の一月三十一日現在における未使用分、すなわちいまだに使つておらないところの総額は、驚くなかれ八百億万円という巨大な額に上つておるのでございます。少くとも責任ある政府が予算を立て、財政計画を樹立いたしまする場合には、その総額は大半国民の血税によつて行われるのでございまするから、あくまでもその年度において責任ある計画のもとにおいて、予算というものは立案されなければならないのであります。しかるに政府は今申し上げましたように、一月三十一日すなわち年度の三分の二を経過いたしておるにかかわらず、八百億万円という驚くべき厖大な額をば未使用分に残しておくがごときは、国民の血税を徴収いたしておる政府の責任者としては、重大な責任を感ずべきものであると私は主張いたしたいのでございます。しかもこれのみならず、ついでに申し上げるのでありますが、昭和二十五年度において使用する役人において不当な支払いをしたもの、あるいは不当な支出をいたしたと認められるもの、あるいは横領着服等のごとき事態においてむだに濫費された額は、会計検査院の報告によつて、実に驚くなかれ二百三十億に上つておることはきわめて明白にされておるのでございます。さらにまたあまつさえ二十六年度の会計検査院の報告においても、三十数億に上る不当支出があると報告されておることは、政府もこれを認めておろうと思うのであります。 かくのごとく二十五年度と二十六年度を合せただけでも実に三百億万円近いところの不当支出、不当支払いが行われておるというこの事実は、道義の高揚を強調し、道義国家の建設をば強調いたしておりますところの吉田内閣の首班である吉田茂氏として、重大なる責任を感ずべきであるということをわれわれは強調しなければならないのでございます。(拍手)しかもこのような重大な事態をみずからの内閣のもとにおける各省において続出せしめながら、みずからの罪状をほおかむりして、ひとり国民に向つて道義の高揚を叫ぶなどとはまことに片腹痛しと言わなければならないのでございます。(拍手) さらにわれわれはこの機会に、国民の生活にとりまして重大な事項について指摘を申し上げ、われわれが原案に反対しておりまするゆえんを明らかにいたさなければならぬと思うのでございます。この予算の表裏をなしますところのいわゆる義務教育学校職員法案、あるいはまた警察法の改正、あるいは恩給法の改正等は、まつたくこの二十八年度の予算とは不可分の関係にあることは言うまでもないのであります。そこで政府の今般実施いたそうといたしておりまする義務教育費の問題でございます。本委員会において、あるいは本会議おいて、しばしば岡野文部大臣は、この法律を実施するゆえんのものは、僻陬に在職する小学校の教員にも、大都会の学校に奉職する教員にも、ひとしく俸給の正当な、平等な額を確保しながら、その生活を守るにあるんだ、こう述べているのであります。しかしながら一方においては、この予算委員会においてもしばしば繰返してわれわれ同僚から主張されたごとくに、せつかく文部大臣がこの法律を実施するにあたりまして、反面においては、今日義務教育に携わるところの四十万小学校職員の基本的人権である、憲法に保障された政治活動を完全に封圧をしようという陰謀をたくらんだものであることは、まぎれのない事実であります。文部大臣は何か小学校の教員はただ自己の俸給が平均化され、そしてその俸給が守られるならば、いかなる自由、独立、自主権を剥奪されても、それをもつて満足するものなりと曲解をいたしておるように、われわれは考えられるのであります。昔から、われわれが言うまでもなく、奴隷か自由を選ぶという場合、古今東西の歴史を調べるに当りません。奴隷か自由かというときには、奴隷か死かという問題でございますから、奴隷を選ぶか死を選ぶかというときには、むしろ死を選ぶであろうということが、人類最高の理想であり、熱願であろうということは、文部大臣もよく御存じのことであります。しかるに今日付与されておりますところの、せつかく憲法で保障された四十万に上る小学校の教職員諸君に対して、一方において俸給を守つてやるのであるから、自由権、政治権は剥奪しても教職員は満足するであろうと考えられております文部事大臣こそは、きわめて時代錯誤のはなはだしき思想であると断言をせなければならない。われわれは小学校教職員諸君の俸給を守り、生活を守ることにおいては、あえて文部大臣に何ら異を立てるものではございませんが、一方においてその俸給を守り、生活を守るという美名のもとに隠れて、天賦の人権、憲法に保障された教職員諸君の政治活動を完全に封圧するという、この暴挙に対しましては、教職員諸君とともに断固われわれは反対の意思を明確にしなければならぬのでございます。 さらにまたこの予算と直接の関係のある警察法の改正でございます。この警察法の改正の問題についても、しばしば本委員会で問題となつたのでありますから、いまさら繰返してくどくどしく申し上げる必要はなかろうと思いますが、一言簡単に申し上げますならば、事、警察法の改正と言いながら、実質的には日本に新たなる警察制度を設置するという、根本的な新しい制度と言つて過言でない問題であるのであります。しかもこの警察法の改正は、十月一日を目途として実施するのであると言つておるのである。しかもその上に、この警察法の実施をいたそうという重大なる事由と根拠は、国内の事態きわめて緊迫、切迫をいたしておるという事柄が、重要なる根拠になつておるにかかわらず、この警察法の実施の準備あるいは予算的措置、きわめてこれが無準備、無計画きわまつておるということは、予算委員会の本席上において同僚諸君から繰返し質問されました問題に対する政府の答弁が、実に朝令暮改、あしたに令し夕に変ずるという盲進無準備ぶりを明らかに露呈いたしておる。この事実をもつていたしまして、しかもその上にいかなる緊急事態がありやという、この重要な質問に対しては、実に抽象的で、国民を納得せしむるに足るところの答弁は、いまだかつてこの席上においてはなされておらないのであります。このような無計画、このような無準備、まさにどろなわ式警察法の改正であると断ぜざるを得ないのでございます。(拍手)しかもこの実施にあたつて、十月以降は、目下自治警に携わるところの警察官の諸君は国家公務員になるにかかわらず、経過的措置があるのだからということで、一片の経過措置をもちまして、国家公務員であるところの警察官の俸給その他の施設の費用をば、従来のごとく市町村にこれを負担せしむるというがごときは、実に財政法違反の疑い重大であるとわれわれは断定せざるを得ないのであります。かくのごとく無準備に行われ、無計画に行われ、しかもそのおかげで市町村自治体が国家警察の諸費用を、政府の一方的悪意によつて強要されなければならぬということは、実に重大な自治への侵害であると私は断言をいたさなければ、ならないのであります。 さらにまた恩給法の改正の問題であります。旧軍人の恩給に対しましては、われわれは必ずしもこれを全面的に否定するものではございません。しかしながら今日わが国の憲法は非武装の宣言をいたしております。従つて軍備は一応ないという建前を吉田内閣がとつていることは言うまでもございません。しかるに今日普通一般文官の恩給を改正したからと称し、その反面に十七階級という複雑な階級を持つておる旧軍人の恩給を、そのまま大体において今日復活しようという方針に対しては、われわれは深い疑点を持つておるのでございます。私どもの立場を明確にいたしますならば、旧軍人の中で戦争中その主人公あるいは兄弟を失い、夫を失つた遺家族を初め、あるいはまた明日の生命をも予測のできないという高齢者であるところの旧軍人の人たち、あるいは傷癖者等に対しては、当然の国家的責任において何らか補償をするということが必要であることをわれわれは認めておるのでありますが、政府のこのたび出して参りました一律的な、無差別的な方針に基くところの恩給法の改正に伴う財政措置には、われわれは遺憾ながら反対の意を表明しなければならないということを、ここに明確にいたしておきたいのでございます。 さらにまた、これも先ほど改進党から触れられた問題でございますが、中小企業の問題でございます。政府は今般の予算と、並びに法律をもつて中小企業に対するところの専門金融機関の設置を試みたことに対しまして、必ずしも異論をさしはさむものではございません。しかしながら政府の今次の財政金融的措置をもつていたしましては、今日のごとき窮迫を告げておりまする中小企業は断じて救われないという考え方を、われわれは持たざるを得ないのであります。ここで中小企業に対する現状について、政府に対して強力に訴えておきたい事実を二、三あげて、ことに大蔵、通産両大臣の猛省をば、この際促しておきたいと思うのであります。たとえば中小企業の現状について、日本銀行の調査いたしましたところの昭和二十七年度中の十二月における不渡り手形の数というものは、千六百十五件、枚数は二千九十八枚、金額におきましては二百三十一億八千九百万円に及んでおるのでございます。しかもこの不渡り手形の内容を一瞥いたしますと、一件当り百万円以下のものが圧倒的の多数を占めておるという事実であります。これはいかに今日の吉田内閣の政策下において、中小企業が大資本の上に犠牲となつておるかということを、何よりも有力に物語つておる証拠であると私は思うのであります。さらにまた注目すべき事態は、最近における中小企業の廃業の続出でございます。これまた労働省職安局の調査いたしたところによりますれば、昭和二十七年一月現在で廃業を届け出たもの六百六十五、さらに順次増加いたしまして、昨年十二月のごときは実に一千件を数えるに至りまして、昭和二十七年度中における中小企業の廃業者の数は、驚くなかれこれまた一万数千戸に及んでおると労働省は発表いたしておる事実であります。さらにまたわれわれが注目をいたさなければならぬことは、賃金の不払いの問題であります。中小企業中において賃金を払うことができないという賃金不払いの件数の調査、これまた労働省の調査で明らかになつたのでありますが、昨年の十二月のごときには、実に二千件の多きに上りまして、その賃金額の総額は、十二月中だけでも数百万円に上つたのであります。これを昭和二十七年の一月から十二月までを総計いたしますと、これまた厖大な額に上つたということを労働省は発表いたしておるのであります。この事実を指摘いたしますまでもなく、いかに日本の経済再建の重要なにない手でありますところの中小企業に対して、吉田内閣の無計画な中小企業対策、池田前大蔵大臣の答弁にもありましたことく、実に涙なき冷酷無残な政策をば強行して来た結果によつてこれが現われたということは、今の数字がまた雄弁にこれを証拠立てておるのであります。かくのごとく日本経済再建の重要なにない手でありますところの中小企業が、吉田内閣の諸政策によつて重大なる出血的犠牲を強要されておるということは、まぎれもない事実であります。従つてわれわれはこの日本経済再建の上にきわめて重大なにない手であります地位を占めております中小企業の再建助成にあたりまして、現在政府が実施いたそうとするがごときなまぬるい答弁のお茶を濁すような施策に対しましては、全国の中小企業者の名においてわれわれは断乎として反対し、政府の猛省を促さなければならないのでございます。 さらにまた最後に指摘いたしたいのは、今日の農村の実況でございます。この問題は、先ほど私が消費水準の問題において、今日の日本全国の農民の消費生活水準は、政府の発表するところによれば戦前に比較いたしまして百パーセント程度に回復いたしたと保証をいたしておりますが、一たび農村の中にわれわれが足を入れましてつぶさにその実況をながめて参りますと、必ずしも政府が発表するがごとく、農村の生活は戦前の域に回復したものとは断定できない各種の事実をわれわれは遺憾ながら見るのでございます。ことに今日農村におけるところの所得税、直接国税は、なるほど政府の保証するごとくではありませんけれども、若干の軽減を見ておるということは事実であるのであります。しかしながらその反面において市町村民税あるいは県税、あるいはまた肥料等の価格引上げの面においてこれを考慮いたします場合においては、農村の現下の生活の実況というものはきわめて重大な段階に入つておるものとわれわれは認めなければならないのであります。論より証拠、農村における最近の預貯金の傾向をもつて例をあげますならば、一昨年の四月現在と昨年の四月現在を比べると——そのこまかい数字をあげることはこの際省略いたしますけれども、実に驚くなかれ三割五分も減少いたしておるということは、農林当局の数字が雄弁にこれを発表いたしておるのでございます。さらにまた憂うべきこと事は、昨年の四月以来吉田内閣の農村対策、あるいは市町村税金対策、あるいは肥料価格等の対策において重大なる欠陥がありましたために、この預金の減少の傾向は昨年四月からさらに急ピツチに勢いを加えまして、昨年の十二月に至りまするや、さらに大幅の減少を示しておるのでございます。この事実こそは、いかに現下の日本六百万戸に上りまする農民諸君が——一時はなるほど終戦後において農村の何割かには預貯金をふところにして、あるいは豊かとはいえなくても安定した生活を続けておる者が一面にあつたことはいなめないのであります。しかしながらこの事実が物語るがごとくして、吉田内閣がいかにも農村対策について熱意を示しておるがごとくに選挙の都度やあるいはその他のあらゆる機会に強調しておるにかかわらず、今私があげた二、三の具体的な事実を指摘いたしましただけでも、いかに今日の農民諸君が吉田内閣の冷酷無残な農村対策の犠牲になつておるかということは、繰返して言うまでもなき明かなる事実であるということは、最もわれわれの重大な関心を注がなければならない点であるのであります。これらのことを指摘いたしますならば、いかに吉田内閣の財政諸政策が欺瞞政策であり、インチキ政策であるかということを、これまた雄弁に物語る何よりの証拠であると断諭せなければならないのでございます。 今やわが国は敗戦後七年を経過いたしまして、なるほど一時のごとき混乱した経済を若干回復したという事実は、われわれといえどもこれを認めるにやぶさかではございませんが、いよいよ独立日本の前途におきまして静かに今日を考え、将来を事思いますときに、独立日本の経済的前述、国際的前途は、実にいばらの道であるということをわれわれは認めなければならないのであります。いわんや敗戦による荒廃した資源の欠乏、あるいは設備の荒廃、あるいはこれに反する人口の過剰等々を考え、さらに貿易の今日の停滞の状況、生産の飛躍的な増強が認められない今日、この事実を私どもは総合して考えた場合、吉田内閣が行つておるようないわゆる手放し資本主義、自由経済をもつていたしましては、日本の早急なる経済の自立達成というものは断じて望めないし、それができると保証することは、これまた木によつて魚を求めることを国民に示す以外の何ものでもないとわれわれは断言せざるを得ないのであります。(拍手) 日本の現下の実情を考え、前途いぼらの遠き道を考え合せますならば、この日本経済の自立を達成せしめ、働く者をしてその職を得せしめ、働く大衆をしてその生活と台所を守りつつ、貿易の増強と、生産の増強とをはかりながら、いうところの経済の自立を達成いたしますためには、今申しましたごとく、吉田内閣がやつておりますような手放し自由経済をもつていたしまするかわりに、徹底した計画経済をもつてするにあらざれば、断じて早急なる日本の経済自立達成は望めないということを、われわれは最後に強くこれを強調いたしまして、この吉田内閣の二十八年度の欺瞞に満ちた、ごまかしに満ちました一般会計並びに特別会計、政府関係機関の総予算に根本的に反対の意思を表明し、あわせて最後に冒頭述べましたことく、わが党提案の根本的政府原案に対する予算の組みかえ要求の動議に賛成の意思を明らかにいたす次第でございます。(拍手)
○太田委員長 福田赳夫君。
○福田(赳)委員 私は同友会を代表いたしまして、政府提出予算三案に賛成、また野党三派からそれぞれ提出されました修正案、また組みかえ要求動議に対しまして、反対の意を表明せんとするものであります。(拍手) 政府の予算案を概観いたしてみますと、一般会計におきましては財源九千六百億円、これに対しまして歳出は、恩給費におきまして四百五十億円、また昨年暮れの国会におきまして承認されました、政府職員のベース・アツプ二割、この差増約三百五十億円、これらの重要な経費に対する増加がありまして、これに対しましてどうしても財源措置がつかない。そこであるいはインヴエントリーを廃止する、あるいは前年度剰余金を使用する、あるいはさらに投資特別会計を設定いたしまして、従来でありますれば一般会計で支出いたしておりましたものを投資特別会計に移すというような措置を講じまして、均衡をとつた予算というふうに考えられるのであります。すなわちこれを見ますと、事いわゆるドツジ方式に対しまして相当大きな修正を施したものである、さように認められるのであります。 本予算案に対しましては、インフレ予算ではないかという重大な批判があるのであります。本委員会においてしかり、また言論界あるいは経済界、一般街頭におきましてもさような危惧を持たれておるのであります。これは何であるかと申しますと、私はこれは予算編成の経過に一番大きな原因があるのではないかというふうに考えております。向井蔵相は非募債主義をもつて非常に力闘された、それが与党の重圧によりましてついえ去つた、これでは健全財政、健全金融というこの財政、通貨の基本をなす礎石がくずれ去るのではないかという印象を一般に与えたごとが、その原因であろうというふうに私は考えておるのでありますが、しかし現実に提出されました予算案を冷静かつ客観的に検討いたしてみますと、私はさようには思わないのであります。財政の基礎がいわゆるドツジ方式から弾力性ある運用に切りかえられた、これは若干財政が弱くなつた、これを否定するものではないのであります。しかしながら、それだからといつて、これは破局的なインフレ予算だ、そういうふうには私は思わない。のみならず、むしろ独立国となつたわれわれといたしましては、ドツジ・ラインのあのきゆうくつな超均衡方式に対しましては、これを何とかひとつ修正しなければならぬという世論があつた。その世論にこたえたというのがこの行き方じやないかというふうに考えるのであります。公債を発行いたしました。三百億円発行する。公債三百億円くらい発行いたしましても、これは何も日本銀行が引受けるわけじやない。これは一般に市中に消化する建前のものでありまして、それができれば、これがただちにインフレの原因ということにはならぬ。またあるいは蓄積資金、インヴエントリー・フアイナンスをやめる、あるいは剰余金を使う、蓄積資金を使う結果、政府の財政散布超過額というものが千三百億というふうな額になりますが、これも見方によりましては、むしろ財政に弾力性を与えるものである。これがただちにインフレの原因というふうにはならない。金融の操作よろしきを得ますれば、特に資金蓄積の対策において遺憾なきを得ますれば、これはむしろ財政金融を通じた一体的な弾力性ある運用にその基礎を与えるものであるというふうにさえ思われるのであります。要するに今後の金融政策がどうなるかということが問題であるのでありまして、私はこの予算自体にインフレ性がつきまとつているというふうには考えておらないのであります。 予算編成の基礎になる原則につきましては、大蔵大臣の財政演説にこまごまと述べられておりますが、これに対しましては私は大体同調いたしております。この方針に基いて編成された予算三案、この内容を検討いたしますと、まずおおむねこの方針にのつとつておるというふうに考えるのであります。特に防衛費につきまして、相当多額の減額を見た。これにつきましては、われわれといたしまして、世上一撃これはなかなか困難じやないかというふうに思われておつたのでありますが、それがふたをあけて見ると減額されておる。さらに他面におきましては、電源開発、あるいは社会施設、あるいは公共事業というものにおきましても、このきゆうくつな予算におきまして、相当増額を見込んでおる。大体におきまして私はこの予算には、小さな誤りは相当ありますが、大きな誤りはない、(「じようだん言うな」と呼ぶ者あり)大過はない、さように考えております。ことにこの予算を否決し去らなければならぬというほどの、大きな誤りは私はないと断じたいと思うのであります。ことにこの予算委員会における審議、また予算案の提案理由等を検討いたしまして、その基底に流れておるところの健全財政また安定金融という思想につきましては、私は全幅の協力をいたしたい、かように考えておるのであります。独立国といたしまして、すみやかに経済の独立態勢を整えなければならぬこのときにあたりまして、一日も早くわれわれの独立の営みの基本になるところの予算が成立しなければならぬ、私は本予算案に対しまして、このゆえに賛成の意を表するものであります。 しかしながら問題はこの予算でなくて、この予算を執行する今後にある、かように考えております。第一に、この予算の背景をなすべきところの財政経済計画、この問題であります。われわれの経済は、ただいまの状況におきましては朝鮮事変というものによつてわずかにささえられておるところの経済であります。一体朝鮮事変がなくなつたらどうなるか、朝鮮事変がさらに激化したらどうなるか、この非常の時局に対応するところの基本的方針というものが、私は遺憾ながらきわめて微弱である、かように考えておるのであります。また財政を見ましてもそうであります。財政も一年度限りの財政であります。今後非常の事態に応じまして、財政を長期にわたつてどう持つて行くかという見通しがない、この点を非常に遺憾に思うのであります。今後財政、経済両面にわたりまして、すみやかに国民の納得するような計画を樹立して、これを鮮明せられたい、この点を第一に要望いたしたいのであります。 第二に、財政資金の散布超過の問題でありますが、この問題につきましては、どうしてももつと大きな資金蓄積対策をもつて臨まなければならぬ、雄大なる構想をもちまして、その資金蓄積の問題に、政府は大きく乗り出してもらいたい。これはすなわちこの予算を完全に実施するところの重要なる柱であります。ぜひこの点について留意してもらいたい。 第三点は冗費の問題である。私はしばしば指摘いたしたごとく、この予算にはまだ戦争中、また占領下におけるところの放漫なる財政色彩が濃厚であります。政府はこの予算が実施されまする上は、ただちに冗費の節約にとりかかつてもらいたい。総理大臣みずから、陣頭に立つて、この問題と取組んでいただきたいのであります。 第四は、中央及び地方を通ずるところの財政調整の問題であります。大きな地方財政への影響のあるこの予算案であります。私は政府が地方財政の問題を、もつとつつ込んで大いにひとつ検討、掘り下げてもらいたい、この点を切にお願いいたしたいのであります。私はこれらの附帯条件を付しまして、本予算案に賛成いたしたいと思うのであります。(拍手) 最後に野党三派から提案されております組みかえ要求、また修正案に対しまして意見を申し述べたいと存じます。野党三派におきましても、研究を重ねられたことにつきましては、非常な敬意を表します。ことに社会党左派におきましては、きわめて精細なる検討を遂げられました予算修正書の提出を見ましたこと自体につきましては、深甚なる敬意を表するのであります。(拍手)しかしながらこの内容につきましては、私は異なる見解を持つております。まず改進党の案につきましては、先ほど早川さんから精細なる御説明を承りまして、私も傾聴するところ多大のものがあつたのであります。その根幹をなすところの財源計画、冗費の節約ということにつきましては私は同感であります。しかしながら外貨資金をこの際使用する、この一点につきましては遺憾ながらこれに反対せざるを得ない。むしろ大蔵大臣がこの予算編成の過程において、この外貨のとりくずしにつきまして最後までねばりがんばつたその態度に同調いたしたいと思います。改進党の案につきましては、その意味におきまして反対いたします。右社また左社におきまする経費節減の思想につきましては、これまた共感を覚えるのであります。しかしながらたとえば左派社会党におきまして給与ベースを一万六千円にする、ちよつとけつこうなようにも聞えるのでありますが、これは物価の面に非常な大影響がある、一体これは勤労者のための考え方であると思うのでありますが、これは逆に勤労者を殺してしまうところの大きなインフレーシヨンの原因になる、決して左社におけるところのこの一万六千円案というものは、勤労者のためでない、逆であるということを申し上げたいのであります。右社また左社におきまして提唱しておるところの防衛費の削減の問題、この問題につきましても、現在の国際情勢から一体そういうことが可能だろうか、私はこの点につきましても多大の疑問を抱かざるを得ないのであります。 さような意味におきまして、野党三派からそれぞれ提出いたしておりますところの組みかえ要求また修正案に対しましては、ここに反対の意を表明するものであります。(拍手)
○太田委員長 伊藤好道君。
○伊藤(好)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、政府提出の予算三案に反対いたします。野党として、おそらく国会の歴史あつて初めて一般予算の修正書を作成いたしましたので、その一般予算修正書に対する賛成と、それから特別会計及び政府関係機関会計に対する組みかえ要求のわが党の提出いたしました動議に対する賛成の討論をいたしたいと思います。 私が政府の予算案に対しまして反対し、われわれの修正案及び組みかえ動議に賛成をいたします第一の理由は、予算と国際関係の観点からでございます。われわれは日本の防衛費の増加、保安隊の増強あるいは日米安全保障条約というものが、かえつて日本という特定の国の現在の状況のもとにおきましては、安全を変るゆえんではなくして、むしろ戦争の脅威を引起すものであるという見解に立つものでございます。(拍手)これは特にアメリカのアイゼンハウアー新大統領の当選以後の新たに展開されました国際情勢のもにおきまして、大体その傾向はすでに顕著になつて来ておると思います。台湾の中立化政策の放棄は、その具体的な現われでありますし、またいわゆる巻き返し政策は、世界全体の非常な脅威の的になつておるのでありまして、われわれが日本にとつて一番おそれておる朝鮮事変の長期化と、拡大のおそれ、その問題にわれわれが巻き込まれるおそれ、そのおそれに対して、本年度の政府提出の予算は非常な脅威を増強するものであると私は信じます。政府の防衛関係の費用は、申し上げるまでもなく、前年度に比べて一応減つた形で出ておりますけれども、二十七年度の未使用の残額を加えましたり、その他を考えますならば、これは決して減つておるのではないのでございまして、われわれはむしろ日本を戦争の脅威に巻き込む危険性を持つ予算であるという点において、第一に政府のこの予算案に反対の意思表示をするものであります。(拍手) これに対しましてわれわれの修正案においては、防衛関係費は削除いたしました。われわれはわが日本の国民生活の安定をはかるいろいろの施策、また民主主義政治の徹底、さらに困難ではございますが、国内におけるる政治、経済の施策の上に立つて中立的な現実の政策を推進することによつて、国の安全を守るべき事態に今日日本は置かれていると信ずる次第でございまして、この点で私どもは政府の案に反対し、わが党の修正案に賛成するものでございます。 第二の点は、これはいろいろな政府の重要法案との関係において、われわれは政府の予算案に反対し、われわれの案に賛成するものでございます。申すまでもなく政府は五つの大きな政策をやつておりますが、特に今までの予算委員会においては、いまさら申し上げるまでもなく、義務教育職員法案もしくは警察法案と予算の関連において展開されましたいろいろな質疑応答を通じまして、あるいは憲法との抵触問題、あるいは財政法の問題、あるいは地方財政法の問題等が幾多展開されたのでございます。これらの法案に対する予算の裏づけがきわめてずさんであつて、予算全体の建前が十分でないということは、予算委員会の論戦においても、討議においても、質疑においても、十分に実証されたものであると私は思うのでありまして、そういう点から、われわれはこの政府の予算案に反対するものでございます。 これに反しましてわれわれの修正案は、義務教育費のほんとうの国庫負担の線に向つて大きく前進をしておりますし、警察制度につきましては、国警を廃して自治警察制度をつくるための予算措置を講じておる次第でございます。なお教育関係については、資材費あるいは老朽校舎などについても十分の注意をできるだけ払つたつもりであります。 第三に私が政府の案に反対し、わが党の修正案を支持いたします点は、これは予算の内容に入つてでございます。すなわち予算と予算を組む前提条件との関係からいたしまして、私は政府の予算案は規模が過大であると思うのであります。規模が過大であるということはどういう意味であるかと申し上げますならば、申し上げるまでもないと思いますけれども、これは必然に増税を誘発するかあるはい公債発行を誘発するか、さらに進んでいえば、財政が経済を圧迫するということになるのでございまして、そしてそういう総過程を通じて、増税かインフレーシヨンかという大きな問題に対する根本的な目安となるのであります。われわれの承りました政府のいわゆる来年度の海外経済の状況、あるいは貿易の状況、あるいは日本の物価の状況、雇用の状況、さらにそういうものを総合した国民所得の将来の見通しなどを拝見いたしましても、これはときに政府は国民所得五兆六千億円というような説を出しまして、あたかもこの予算規模が大きくないかのようでございますが、われわれはその国民所得の数字の算定にも大きな疑惑を持つております。従いましてわれわれはこの際、予算の規模の過大であるという大きな問題について、ぜひとも国民の注意を喚起しなければならないのでございまして、その意味においてわが党の案が九千三百四十億円に押えましたことは、私は正当であると信じて疑いません。(拍手) なおただいま福田君からインフレとベース・アツプの関係についてお話がございましたが、私はこの説には承服いたしません。われわれ労働者あるいは百姓、あるいはまた商人の人たち、要するに働く連中が生活費として使います金額は、たとい相当の金額に上るといたしましても、保安隊の軍人がりつぱな服を着たり、ぜいたくをするのと違いまして、これは再び労働という過程を通じまして生産に十二分に寄与するのでございまして、私はこの点でンイフレとベース・アツプの関係を、あたかもインフレと軍事費の膨脹の関係に見られるがごときことは、とうてい承服することができないのでございます。(拍手) 第四に、私は減税公債の発行について申し上げたいと思います。私どもは減税公債を発行いたしません。政府は減税公債を発行しております。そして公債の金額がたまたま三百億円であるからといつて、インフレを過大に危険視してはいけないということでございますが、なるほど三百億円という金額は、決して大きな金額だとは、今日必ずしも言えないのであります。ただ、しかしながら問題はこういう点にあると思うのであります。今日なぜ公債三百億が発行されたかといえば、これは少くとも私は三つの客観情勢があると思うのでありまして、いわゆる吉田内閣の自衛力漸増に伴う軍事費の漸増という一つの背景、あるいはまた減税の限度がほぼ今日来てしまつているという背景、さらに言いますならば、いろいろな見返り資金その他資金関係において、余裕がなくて非常な窮乏を告げつつある、こういう事態におきまして、一旦公債を発行いたしましたならば、この公債を阻止すべき確たる見通しは、私は絶対にないと思うのであります。(拍手)ここに私どもは、減税国債三百億円が必ずしも大きくないようでありながら、しかも日本の将来の財政に対して重大なる不安を持たざるを得ません。これははつきりとわれわれはそういう見解でございまして、そこで私どもといたしましては公債発行はとりやめました。そうして金額は九千三百四十億円にとどめたわけであります。 第五の理由といたしましては、これはだれしも言うことでございますが、この予算がいわゆる無原則、無性格の予算であつて、総花的であるという点でございます。この点についても、私は二つのことを特にわれわれの見地から実は大いに政府の注意を喚起したいと思うし、国民に非常な了解を得たいと思うのでございます。第一は、総花主義でございますがゆえに、今日の困難なる日本の情勢下において、どことどこに重点を置いて、どういう過程において日本の経済の自立をはかるか、この根本方針が少しも見当らないということであります。(拍手) 第二の点は、現在の経済状態におきましては——これは通産大臣も大蔵大臣もみな言われましたように、いわゆる貿易の振興、いわゆる経済外交の施策が絶対に必要でございますが、やはりこの点も、早川さんの御指摘があつたと思いますが、われわれはこれを見受けることができません。そこで私どもはこれに対しまして石炭と電力と、それから食糧の増産、それから中小企業の問題まで含めまして、日本の自立経済の国内的構成をひとつはつきりさせる、そうして外に向いましては貿易上、減税の面においても、その他決済資金、融資の問題においても、特別の増強をはかつて行くのが私どもの立場でございます。なお政府の総花主義は、実は重点産業の点に対しましては行きませんで、しかも全体の産業投資のわくは拡大しておりません。他方地方債、その他いわゆる非生産的ともいうべき関係においてはむしろふえておるのでありまして、われわれは倉の実情では、今年の産業界の圧迫、産業資金のいろいろな困難な問題に対しまして、非常な憂慮を払わざるを得ません。なおこれに関連いたしまして、われわれは、いわゆる教育関係とも相関連しまして、地方財政の窮乏という問題につきましても、十二分の考慮を払わなければならないと信ずる次第でございまして、そういう点につきましては、われわれの案においては数字的にも相当の考慮を払つたつもりでおります。 第七に、私が申し上げたいと思いますことは、国民生活と今度の予算、こういう問題でございます。国民生活の点におきましては、これは私どもの年来の主張でございますが、政府は、人事院の勧告その他裁定という国の法律、そういうもので認めている国家の機関が、妥当だと認めたいろいろの賃金ベースについても。これを行つておりません。そうして、運賃やいろいろなものをさらに上げようとするけはいが濃厚であります。しかも他方において税金のことが問題になりますが、この税金の問題につきましては、酒とタバコについては、川島君からお話がございました。砂糖についても、私の計算では、来年は百五十二億増税になるわけであります。私はこの前予算委員会でも質問したのでありますが、今後日本の租税の方向が、所得税から一歩大衆消費税に移らんとする傾向は、専門家の間では顕著な事実だと思います。大蔵大臣はよく御存じだと思う。財界にはそという要望がある。そういう際に、すでに早くもことし政府が大衆消費税の実質上の増収を企図して、財政計画を立てておるという点につきましては、私は今度のこの政府予算が、国民生活について重大な圧迫を加えるおそれがあるということを心配するものでございます。これに対しまして、われわれは一万六千円ベースを採用いたしました。生産者米価は一万円といたしました。中小企業に対しても、われわれとして十二分の、当面でき得る限りの考慮をいたしました。社会保障費につきましても、ただ漫然とふやすことなく、社会保障の中核をなすべき社会保険の問題、あるいは結核対策の問題、こういう点に重点を置きました。食糧増産費につきましても、単なる道路の事業などは削りまして、土地の改良、これこそが農業生産力の発展の基礎でございますが、この点に重点的な投資をわれわれはいたしたわけでございます。 しかもわれわれのこの修正案が、九千三百四十億円にとどまりましたゆえんは、実に防衛費に対するわれわれの断固たる態度でございます。(拍手)今日の日本においては、われわれはやはり大砲かバターかということは、大砲よりもバターではなくて、大砲かバターかである。そしてわれわれがどういう見地に立つて日本の国民を守り、そうして大衆の生活の安定の上に新しい日本をつくらなければならぬかということは、重大な問題であると思います。大衆生活の安定したイギリスには御存じのように労働党は過半数を占めるくらいの勢いを示しておれば、共産党の代議士は一人もおりません。これは民主政治の発達と大衆の生活の安定が、何よりもその国の平和的、民主的な発展にとつて、重大であるということであります。またイギリスがアメリカ陣営につきながら、なお独自の態度をもつて、台湾の中立化政策その他に対しても独立国の建前を貫きましたことも、これまた明らかでありまして、われわれの今度の修正案は、われわれの多年の主張を今日の現実の困難なる情勢におきまして、相当程度実現いたしたものと確信いたしまして、私は政府の予算案に反対し、われわれの修正案及び組みかえ要求に賛成するものであります。(拍手)
○太田委員長 これにて討論は終局いたしました。 この際議事進行について、上林與市郎君から発言を求められております。これを許します。
○上林委員 議事進行について発言いたします。ただいま原案と一括討論に付せられています一般会計予算に対する組みかえ動議と修正案とは、これを別々に採決せられんことを望みます。
○太田委員長 ただいまの上林君の議事進行の御発言の趣意は、これを了承いたしました。 これより採決に入ります。たいへん複雑であり、かつ九回にわたる採決でございます。一般会計の分について四回、特別会計及び政府関係機関について四回、ほかに附帯決議に、ついて一回、合計九回にわたるのであります。御注意をお願いいたします。 改進党の中曽根君外九名、及び社会党右派川島君外六名より、それぞれ組みかえ要求の動議が提出され、また社会党左派成田君外五名よりは別個の修正案が提出されております。 最初に、改進党提出の組みかえ要求の動議を採決いたします。一般会計予算についてであります。これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○太田委員長 起立少数。よつて改進党提出の組みかえ要求の動議は否決されました。 次に、一般会計予算について、社会党右派より提出されました組みかえ要求の動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○太田委員長 起立少数。よつて社会党右派より提出されたる組みかえ要求の動議は否決されました。 次に、一般会計予算につき社会党左派より提出されました修正案を採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○太田委員長 起立少数。よつて本修正案は否決されました。 次に、一般会計予算の政府原案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○太田委員長 起立多数。よつて本案は原案のごとく可決されました。(拍手) 次に、特別会計予算及び政府関係機関予算について、採決いたします。 これにつきましては、改進党及び社会党両派より、それぞれ組みかえ要求の動議が提出されておりますから、順次採決いたします。 まず、改進党提出の組みかえ要求の動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○太田委員長 起立少数。よつて改進党提出の組みかえ要求の動議は否決されました。 次に、社会党右派より提出されたる組みかえ要求の動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○太田委員長 起立少数。よつて社会党右派の組みかえ要求の動議は否決されました。 次に、社会党左派より提出の組みかえ要求の動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○太田委員長 起立少数。よつて社会党左派提出の組みかえ要求の動議は否決されました。 次に、特別会計予算及び政府関係機関予算の政府原案につきまして、採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○太田委員長 起立多数。よつて両案はいずれも原案のごとく可決いたしました。(拍手) これにて昭和二十八年度一般会計予算外二案は、いずれも議了いたしました。 次に、ただいま植木庚子郎君より提議された自由党及び同友会共同提案の予算三案に対する附帯決議を採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○太田委員長 起立多数。よつて本附帯決議は決定いたしました。(拍手) この際大蔵大臣から発言を求められております。これを許します。向井大蔵大臣。
○向井国務大臣 附帯決議の御趣意は、いずれもごもつともと存じますので、政府としては今後できるだけこの御趣旨に沿うよう努力いたしたい所存でございます。 すなわち今日の国際情勢のもとにおいて、長期にわたる経済及び財政計画を樹立することは相当困難でありますが、正確な経済情勢の見通しをもつて、経済施策を樹立することが肝要と考えられますので、今後もできるだけ長期的な視野において経済施策を進めて参りたいと存じます。 来年度における国庫の収支状況等にかんがみまして、今後は財政及び金融を通じ、資金の総合調整をはかることは一層必要でありますので、金融面においても資金の吸収、特に貯蓄の増強に関する施策を強力に推進して参る所存であります。 経費の節約につきましては、従来からも予算の編成及び執行を通じて、努力を重ねて来たのでありますが、今後も一層冗費の節減に努力いたしたいと存じます。 中央及び地方を通ずる財政の調整につきましては、地方制度調査会の審議等をまちまして、実情に即するように根本的に検討を加える所存でございます。(拍手)
○太田委員長 委員会報告書の作成につきましては、私に御一任をお願いいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○太田委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決しました。 ふつつかなる私に対しまして、理事並びに委員各位が御援助くださいましたことを厚くここにお礼を申し上げます。 これにて散会いたします。 午後十時十三分散会