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15回国会衆議院1952/11/24

本会議 第5号

発言数
11
登壇者
5
会派数
1
開催日
1952/11/24

会議録

大野伴睦自由党議長

○議長(大野伴睦君) これより会議を開きます。      ————◇—————

大野伴睦自由党議長

○議長(大野伴睦君) 去る十一月七日、本院において御決議になりました、皇太子殿下の立太子の礼及び成年式の賀詞は、十日、議長が皇居において天皇陛下及び皇太子殿下にそれぞれ拝謁し、差上げましたところ、天皇陛下からは「衆議院の深厚なる祝詞を受け誠に喜びに堪えません」とのお言葉を賜わり、また皇太子殿下からは「衆議院の丁重なる祝意に深く感謝します」とのお言葉を賜わりました。  右御報告申し上げます。(拍手)      ————◇—————  一 国務大臣の演説

大野伴睦自由党議長

○議長(大野伴睦君) 内閣総理大臣から施政方針に関し、外務大臣から外交に関し、大蔵大臣から財政に関し発言を求められております。順次これを許します。内閣総理大臣吉田茂君。     〔国務大臣吉田茂君登壇〕

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 去る四月、国民待望の講和がなつて、わが国はようやく自由諸国家の一員として国際社会に復帰することを得、かつ去る十一月十日には、皇太子殿下の立太子の礼及び成年式が、国内はもとより世界各国の祝賀のうちに、めでたくとり行われましたことは、諸君とともに、まことに喜びにたえないところであります。(拍手)  独立後最初の総選挙において、国民の大多数はわが党を支持し、私は四たび国政を担当することになりましたが、ここに政府の施政方針を申し述べることを欣快といたします。(拍手)  政府は、世界平和維持のため国際連合及び民主主義諸国家と提携をますます緊密にし、ことにアジアにおける平和と安定の増進に寄与するため、アジアの民主主義諸国との相互理解を深め、これとの国交に特別の注意をいたしたいと存ずるのであります。また、朝鮮における国際連合の集団的措置が、平和維持の努力であるのみならず、これがわが国に直接かつ重大なる関係を持つことに顧み、国際連合の要望に対して、今後ともあとう限りの協力をいたす考えであります。  わが国の対外国際経済関係については、わが国内の諸経済施策と呼応し、互恵平等の原則に基く通商航海条約を締結し、ことにアジア諸国とは、貿易の増大並びに可能な範囲の技術協力、資本提携を通じ、緊密な経済関係の樹立に努力を傾注する所存であります。また、賠償問題の処理については慎重に考慮をいたしております。  南西諸島及び南方諸島の祖国復帰に関しましては、現地居住者はもとより、全国民の要望するところであります。政府は、その実現に努力するとともに、さしあたり同地域との関係をますます緊密にし、現地居住者に関する懸案事項をすみやかに解決して参りたいと考えております。(拍手)  民心安定と経済再建の基盤となる治安の確保については、将来にわたる治安情勢の推移に備え、適切な対策を講じて参りたいと存じます。国内における一部破壊分子による暴力主義的の活動は、近時表面的にはややその影をひそめておるかに見えまするが、その基本的な企図には、こうも変化はないのでありまして、国際情勢との関連を保ちつつ、将来一層周到かつ巧妙な方法によつて自由社会を崩壊せんとする行動に出ずる危険性は依然としてすこぶる大なるものがあります。この種類の破壊活動に対しては、政府は一貫した治安対策のもと、治安関係諸機関の活動の連携統一をはかるとともに、警察力の発揮に遺憾なからしめ、いやしくも暴力を手段とする不法過激分子の騒動に対しては、断固法をもつてこれを取締り、もつて治安の完璧を期したいと存ずるのであります。(拍手)  なお、これに関連し、戦後急激に改革された現行警察制度及び治安関係諸法令についても、現下のわが国情に適合しないと思わるる点について検討を加え、能率的かつ民主的な治安機構の運営を保障し得るよう是正をはかりたいと存ずるのであります。  在日朝鮮人は、日本に居住する限り、わが国の法秩序を尊重すべきは当然でありまして、日本の治安を乱る一部不法分子に対しては厳重な取締りを励行する所存でありますが、他方、平穏に生活する善良な朝鮮人に対しては、善隣友好の精神にのつとり、安んじて正業を営み得るよう努力したいと存ずるのであります。  戦争犯罪により受刑中の者に対しましては、そのすみやかなる釈放措置が広く一般国民より熱烈に要望されておるところでありまするが、幸い仮出所につき、関係国の好意により漸次好転しつつありまして、政府においては、今後もこれが解決のため一層の努力をいたす所存であります。(拍手)  終戦後の教育改革については、その後の経験に顧み、わが国情に照して再検討を加うるとともに、国民自立の基盤である愛国心の涵養と道義の高揚をはかり、義務教育、産業教育の充実とともに、学芸及び科学技術の振興のために格段の努力を払う所存であります。  政府は、従来の均衡財政の方針はこれを維持しつつ、国民負担の軽減、公務員給与の改訂、地方財政平衡交付金の増額、米価引上げに伴う措置並びに財政投資及び公共事業費の増額を中心として本年度補正予算を編成し、国会の審議を求めております。  なお政府は、明年度においては国税及び地方税を通ずる税制の一般的改正を行い、さらに国民負担の軽減合理化をはかる所存であります。  次に、当面の金融方針については、物価の安定をはかりつつ、今後も一層民間資本の蓄積を促進するとともに、貸出し金利の引下げ、財政資金の産業投資等をはかるため各般の施策を推進して参ります。  また、国際通貨基金への加入、外貨債の支払いを機会に、友好諸国との貿易の振興をはかるとともに、今後外資導入についてはますます努力いたしたいと思うのであります。  食糧自給の強化をはかることは、民生の安定、経済自立達成土特に緊要である点にかんがみ、農地の拡張改良を積極的かつ計画的に施行するとともに、治山治水の対策の実施に努めまして農業生産の基盤を整備することとし、これがため必要な財政金融の措置を講じたいと思つております。  生産の規模を拡大し、流通機構を整備して生産の増強をはかることは、わが国経済の重要課題であります。これがため、政府はまず貿易の振興について、通商航海条約、通商協定の締結等、一連の経済外交を推進するとともに、外航船舶の増強をはかり、輸出産業の強化、保有外貨の活用とあわせ、輸入を促進することによつて輸出市場の開拓をはかり、もつて貿易規模の拡大に努め、特に東南アジア諸国との経済提携を促進せんとするものであります。  産業政策としては、その基盤を育成強化するため、電源開発を一層促進し、基礎産業の合理化に努め、これらに対し外資及び優秀技術の導入を進めたいと考うるのであります。  中小企業については、中小企業金融制度の強化と財政資金の投下によつて資金供給の円滑化をはかる等、その育成振興に努力する考えであります。  政府は、戦時戦後を通じて著しく荒廃した鉄道、電話について、すみやかなる更新拡充をはかるとともに、特に資源開発、観光外客誘致のため、幹線道路、産業観光開発道路の整備増設をはかる考えであります。  国民生活の安定は経済復興の基礎をなすものであることにかんがみ、政府は国民一般の厚生施設、勤労者の福祉向上、住宅の不足を緩和する等、各般の施策に留意する所存であります。  また遺家族、留守家族の援護につきましては、去る第十三国会において所要の立法をいたしましたが、なお軍人等の恩給についても、世論と国家財政を勘案して、近く所要の法的、財政的措置をいたしたいと考えております。  この機会に申し述べたいことは、未帰還者同胞のことであります。政府は、帰還促進についてさらにたゆまざる努力を傾け、その留守家族に対する援護にも遺憾なきを期するものであります。(拍手)  最後に特に申し述べたいことは、いわゆる再軍備の問題であります。世上再軍備につき種々の論議がありまするが、政府の所信は一貫してかわるところはないのであります。国力の回復に伴うて自衛力の漸増をはかるべきはもちろんでありまするが、現在の段階は、もつぱら物心両面における国力の充実に努力を傾くべきときであると信ずるものであります。(拍手)

大野伴睦自由党議長

○議長(大野伴睦君) 外務大臣岡崎勝男君。     〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 本日ここに外交方針について所信を明らかにする機会を与えられましたことは、私の最も欣快とするところであります。  四月二十八日平和条約が発効してよりすでに半歳を経過し、その間、共産圏の諸国を除き、世界の大部分の国々との国交を回復いたしました。わが大公使等、在外使臣もほぼ任命を了し、それぞれ任地にあつて活動いたしております。かくして、われわれは、平等かつ独立の一員として国際社会に復帰し、世界の安全と繁栄のため力を尽すべき地位を有するに至つたのであります。政府は今後とも平和条約の誠実なる履行と実施に努めることは、あらためて申すまでもありません。  かくて平和条約も成立いたし、わが国内におきましては万事平和の建前になつて来ておる次第でありますが、目を海外に転ずれば、国際情勢はいまだ緩和せず、共産陣営側におきましては、あるいは戦争の脅威を唱え、あるいは平和攻勢を行い、さらにはまた貿易等の利をもつていざなうなど、あらゆる方法で民主主義国家の結束を乱さんと努めておるのであります。幸いにして、自由国家の努力により、現在軍備の漸増が実現具体化せられ、その他経済、思想等、いずれの面においても共産側に比し健全なる発展を示しておりますため、戦争の危険は遠のきつつあるがごときものの、いわゆるコールド・ウオーまたはコールド・ピースの様相は依然として継続するものと考えざるを得ません。しかのみならず、わが国と一衣帯水の朝鮮におきましては、今なお苛烈な戦闘が行われておるのでありまして、われわれとしても、かかる現実の事態は十分認識し、今後とも強い決意と勇気をもつてこれに対処するを要するものと信じます。  さきの第二次大戦及び戦後の事態が人類に与えた教訓の一つは、いかなる国も自国だけの力ではその安全を守り得ず、また、いかなる強国といえども自力だけでは世界の平和維持はできないということでありましよう。そのため、現在集団安全保障の体制が特に強く推進され、北大西洋条約の成立や、各国軍隊がただ一人の司令官のもとに統率を受ける北大西洋軍の創設のごときが実現されております。この理念の特徴は、世界平和の維持及び自国の安全のためには主権の一部、統帥権の一部をも譲り、各国相寄り相助けることの必要を強く認識し、これを大胆に実行に移した点にあります。かくのごときは戦前にはとうてい考え得なかつたところでありましようが、現下の国際関係のもとにあつては、これが残されたるただ一つの平和維持の方法であり、従つて自国の安全を保障する手段であると認められるに至つたのであります。  政府が国連及び自由主義国家との協力を常に唱えておりますのも、以上のごとき理念に基くものでありまして、かかる協力を強く実行する以外、平和の維持に寄与し、わが国の安全を守る道なきを信ずるのであります。この意味におきまして、平和維持の機関である国連への加入を強く希望いたします。  先般、政府は正式に国連加入の申請をなしたのでありますが、安全保障理事会において、理事国十一国のうち十国の賛成を得ましたが、ソ連が拒否権を行使した結果、遺憾ながら実現するに至らなかつたのであります。政府は今後とも加入のためにあらゆる努力をいたす所存であります。国連加盟に至ります前にも、国連との協力につきましては、政府はすでにアジア極東経済委員会と協力いたしておりますほか、国連の後進国技術援助計画及び児童緊急基金に対し応分の醵出を行い、また朝鮮における国連の緊急救済事業にも醵出を行わんといたしております。このほか、わが国は国際労働機関等八つの機関にすでに加盟し、国際民間航空機関には加盟を申請中であります。これを要するに、われわれは今日独立国としての権利を当然享有するとともに、これに伴う義務のあることも忘るべきでないのであります。政府におきましては、可能な限り世界の諸国の福祉に実際的に貢献せんといたしておるのでありますが、諸外国におきましても、わが国に対しこれに相応ぜんとする意向は十分認められるのであります。  かくして、私は民主主義国家との協調を外交政策の基調といたします。米国については、その世界における地位及びわが国との今日までの関係よりして、日米間に最も緊密なる提携の存すべきは多言を要しません。また、明年英国皇帝陛下の戴冠式にあたりましては、各国の首脳も参加されるはずでありますが、わが国よりも御名代として皇太子殿下が御参列になりますことは、まことに慶賀にたえません。これにより、日英間の伝統的友好関係はもとより、他の諸国との親善関係もますます増進されることと信じます。さらに、アジアに国をなすものの一として、志を同じゆうするアジア諸民族との間に理解と友情の上に立つ親善関係の樹立がわが国にとり欠くべからざるものなることも言うまでもありません。過去におけるわが国の行動は、アジア諸国を初め各国に対し不安と誤解を与えて来た関係もあり、これを一掃して真の親善友好関係を樹立するためには種々の努力を要します。しかしながら、現在われわれは、民主主義諸国との強固なる提携のみが世界の平和と繁栄を確保し、その結果わが国の平和と繁栄をもたらすものなることを深く認識し、この意味において各国との友好関係の増進を衷心より希望しているのでありますから、各国においてもこの点は十分理解せられんことを望みます。  さらに私は、朝鮮における国連軍の行動につき、わが国民諸君が一層の認識を深められんことを望んでやみません。この国連軍による平和維持の成否は、わが国の安危に直接かつ重大な影響を及ぼすものでありまして、もしもこの暴力と侵略が朝鮮を支配した場合は、わが国はまつたく累卵の危うきに立つものというべきであります。われわれは、いかにしても国連に十分なる協力を与え、その韓国における努力をして成功を収めしむるよう努めなければならないと考えます。なお、現在問題になつておりまするいわゆる国連軍協定につきましては、裁判管轄権等に関しいまだ意見一致せざるため妥結に至つておりませんが、交渉は友好裡に進められつつあります。双方において相手方の基本的利害を十分考慮し、公正かつ妥当なる解決に達するよう努力いたす所存であります。また、わが国は自由諸国の責任ある一員として、いやしくも侵略主義者の戦力を増強するような措置をとらないことは当然のことでありまして、朝鮮事変が継続されている限り、共産主義圏との貿易関係も、この見地より列国と歩調を一にして、適切なる措置をとるべきであると信ずる次第であります。  さきに述べました通り、アジア諸国との密接なる提携は、われわれの常に願つてやまないところであります。従つて、この際すでに国交を回復せる諸国との間に一層緊密なる関係を樹立すべきはもちろんでありますが、さらにまた関係国の要望をも考慮して賠償問題の早急なる解決に努め、フイリピン、インドネシア、その他の国々との国交調整に努めたき所存であります。また、韓国が現在侵略と暴力に対し勇敢に戦つておることに対しては、われわれも心からなる同情と声援を送つておるのであります。従つて、政府は、すみやかに韓国との間に正常関係を樹立し、相互の安全と繁栄に資したく考うるのであります。  講和条約発効以来、政府としては、経済自立達成の諸般の国内的施策を行い、これに応じ、対外面におきましても格段の努力をいたして来たところであります。幸いにして、外債の処理は大部分円満に解決され、わが国の立場を著しく好転せしめましたが、その他の対外債務につきましても、平和条約の規定を誠実に実行し、この上ともわが国の国際信用を高むべきであると確信いたします。真の独立には自立経済の裏づけを要します。かかる意味におきまして、狭隘なる国土に多数の人口を擁するわが国としては、国内において雇用の増大をはかるため諸般の政策を推進すべきはもとよりでありますが、特に世界経済の発展と自由なる通商貿易の伸張を最も強く希望しているものであります。世界の諸国が互恵共存の原則に立つて世界経済の拡大発展のため積極的にわが国と協力されんことを衷心期待いたします。政府といたしましては、先般来、米国と通商航海条約の交渉を行つておりますが、これは遠からずして妥結に至る見込みであります。また、他の諸国との間にもすみやかに通商航海条約を締結するよう努力いたしつつあります。また、わが国のガット加入につきましては、不幸にしていまだ日子を要することは事実でありますが、現にいずれの国も原則的に反対いたしてはおりません。政府といたしましては、現在関税交渉や、その他加入のための一連の複雑な交渉を促進しつつあります。このほか、米国とは過般航空協定及び船舶貸与協定の署名を行いました。これらはすでに国会に提出の運びになつておりますので、御審議の上すみやかに承認を与えられんことを希望いたします。また航空協定につきましては、その他の国々とも交渉をいたしております。  さらに、政府といたしましては、海外移住に対する国民の強い要望にこたえ、海外移民の促進に努めて来ましたが、最近ブラジルに向け第一陣が出発する運びとなりましたことは喜びにたえません。今後とも移民受入国の社会的経済的事情に適応するような優秀な移民を送り出したいと念願し、必要な措置を促進いたしております。  以上のような諸施策の効果的遂行の基礎として、諸外国及びわが国が互いに相互の理解を深めることが何より必要であると信じます。このため、政府といたしましては、現に仏伊等の諸国と文化協定締結を交渉するほか、米国、インド、スペイン、その他多数の国々と各種の文化交流を計画し、かつ実行しつつあります。  かくて、わが国は、世界の平和維持のため、国際連合及び民主主義諸国と誠意をもつて協力と提携の道に乗り出したのでありますが、ここになお解決を要する諸問題が残つております。戦争裁判受刑者については種々同情すべき事情が存するのでありまして、すでに関係諸国からは理解ある考慮を受けつつありますが、今後ともその円満な解決のため努力するつもりであります。また、ソ連及び中共地区にある未帰還者につきましても、さらに強く世界の世論に訴え、これが解決に邁進いたす所存であります。歯舞、色丹両島が現にわが国の領土に属することは明瞭でありまして、政府はしばしばこれを言明して来たところであります。しかるに、右両島の現状はまつたく遺憾であるといわねばなりません。琉球、奄美大島及び小笠原諸島につきましては、住民の熱烈な要望にこたえて最善を尽したいと思います。  以上申し述べました通り、わが国の前途には諸種の重要なる問題が存在しているのでありまして、私はあらゆる力を尽してこれが解決に当る所存でありますが、これがためには、同僚議員諸君はもとより、国民各位において深い理解と支援とを与えられんことを切望いたしております。  かくて、わが国が、広く人類の福祉及び国際の平和と安全の維持に貢献し、国際社会において信頼せらるる国家たらんことを期する次第であります。(拍手)

大野伴睦自由党議長

○議長(大野伴睦君) 大蔵大臣向井忠晴君。     〔国務大臣向井忠晴君登壇〕

向井忠晴大蔵大臣

○国務大臣(向井忠晴君) 昭和二十七年度補正予算案の提出にあたりまして、政府の財政金融政策に関し、所信の一端を申し述べたいと存じます。  わが国の経済は、過去七年間にわたる国民諸君の努力により、すでに相当の回復と安定を見たのでありまして、今や国際経済に伍して名実ともに独立国たるにふさわしい発展を遂げ得るよう、一段と経済の基礎を充実強化すべき時期に当面いたしておるのであります。私は、今後における財政金融政策の基調は、健全財政及び通貨安定の方針を堅持しつつ、財政及び金融を通じて経済施策の弾力ある運用をはかり、もつてわが国経済の充実発展を期することにあると信ずるものであります。  今回提出いたしました補正予算案は、右の基本的な考えに基いて、当初予算編成後の諸般の事情の変化に即応するため編成いたしたものであります。すなわち、財政収支の均衡をはかりつつ、租税負担の軽減、公務員給与の改訂、地方財政平衡交付金の増額、米価の引上げに伴う措置並びに財政投資及び公共事業費の増額等に特に意を用いた次第であります。  今回の補正によりまして、昭和二十七年度一般会計予算総額は、歳入歳出ともに約九千三百二十五億円となり、当初予算に比し約七百九十八億円を増加することになつたのであります。他面、わが国経済の伸張発展による国民の所得及び消費の増加に伴い、租税収入等において相当の増収が見込まれる結果、後に申し述べるごとき減税を実施いたしましても、一般会計の収支の均衡は完全に保持されているのであります。  次に、今回の補正予算案の主たる内容について説明いたします。  まず歳出におきましては、第一は公務員給与の改善であります。公務員の現行給与水準は、昨年十月に定められましたものでありますが、その後民間給与及び家計費の増加等に伴い、その引上げの必要が認められるのであります。政府は、先般の人事院の勧告の趣旨を尊重しつつ、一方財源の関係等をも考慮いたしまして、本年十一月から平均二割程度を引上げることといたしたのであります。また、今回さらに勤勉手当等として〇・五箇月分を追加計上することとし、これらの給与改訂のための経費として約百二十八億円を計上いたしました。  なお、日本国有鉄道につきましては、本年十一月から仲裁裁定のベースを実施し、別に〇・五箇月分の手当を支給するに足る財源を計上いたしましたが、これがため、明年一月から旅客運賃を、二月から貨物運賃をそれぞれ一割程度引上げることといたしております。  第二は、地方財政平衡交付金の増額であります。今回の国家公務員の給与改善と関連して、地方公務員の給与についても改訂を行う必要があること等を考慮して、この際地方財政平衡交付金を二百億円増額することといたしました。また地方起債の限度につきましても、地方財政の現状にかんがみ、百二十億円の増額を予定しているのであります。なお入場税等の地方税の減税は、明年一月から実施する予定であります。地方財政につきましては、その健全化をはかるため、根本的に検討を要する問題がありますので、この点につき今後一層の努力をいたす所存であります。  第三は、米価の引上げに伴う措置であります。米の生産者価格は、先般石当り七千五百円に決定を見、これに伴い、消費者価格につきましては、内地米現行十キロ当り六百二十円を六百八十円に引上げることといたしました。引上げの時期につきましては、生計費への影響をも考慮し、減税の時期とにらみ合せて、明年一月といたしたのであります。しかして、米の生産者価格と消費者価格の引上げの時期が異なること等による食糧管理特別会計の赤字を補填するため、百十五億円を一般会計から同会計に繰入れることとしたのであります。なお輸入食糧につきましては、輸入価格の値上り等のため、輸入食糧補給金を百十億円増額いたしました。  第四は、経済力の充実と国民生活の向上をはかるための措置であります。これがため、政財資金による投融資として、国民金融公庫に対し三十億円、住宅金融公庫に対し三十億円を一般会計から追加出資するとともに、資金運用部から国民金融公庫に二十億円、一般会計から商工組合中央金庫に二十億円を貸し付けることとし、中小企業方面に対する財政投資の充実に特に意を用いたのであります。また、農林漁業資金融通特別会計に対する出資を五億円増加するとともに、中小漁業への資金の融通を一層円滑にするため、新たに中小漁業融資保証保険特別会計を設置し、これに五億円を出資することといたしました。  第五は、公共事業費の増額であります。すなわち、災害対策費としまして三十五億円、一般公共事業費として十六億円、合計五十一億円を追加計上いたしました。  以上が歳出増加のおもなるものでありますが、他方、人件費及び物件費を通じて、でき得る限り経費の節減を行うこととし、約三十五億円の節約を予定いたしております。  次に、歳入について説明いたします。歳入の主たるものは、租税の自然増収であります。当初予算におきましては、租税収入を六千三百八十一億円と見込んでいたのでありますが、主として源泉徴収所得税及び消費税の増収により、当初の見積りに比し総額七百一億円に達する増加が見込まれるのであります。このほか専売益金その他の増収を加えますと、歳入は千二十八億円の増加となるのであります。これにより、さきに申し述べました歳出の増加に充てるとともに、租税負担の軽減を実施し得ることになつたのであります。  政府は、税制の一般的改正を昭和二十八年度において実施する予定でありますが、さしあたり所得税につきましては、本年一月以降の所得について新たに社会保険料の控除を認めますとともに、明年一月からの給与所得及び退職所得に対する源泉徴収について基礎控除額、扶養控除額等の引上げ、低額所得に対する税率の引下げ等の改正を行い、その負担の軽減をはかることとし、これに必要な法律案を本国会に提出することといたしております。これらの措置によりまして、本年度における減税額は約二百三十億円となるのであります。なお、現在予定されております米価引上げ等の生計費への影響は、この減税によりまして吸収し得る見込みであります。  補正予算案の説明に関連しまして、この機会に、当面の金融上の施策について一言申し述べたいと存じます。  当面の金融政策運営上重要な課題は、物価の安定をはかりつつ、緊要な部面への資金の疏通を確保して、民間産業の自由な活動を助長することであります。こうした考え方のもとに、政府は今後民間資本の蓄積、財政による産業投資等について特段の配意を加えて参りたいと存じますが、さしあたり今回の補正予算案におきまして、一般会計及び資金運用部を通じ、総額百十億円に達する財政投資を行うことといたしております。また、過去に蓄積されました財政資金を、最近の経済情勢を勘案して、この際放出活用することとし、資金運用部資金につきましては、本年度内に三百六十億円に上る金融債の引受を行うことといたしたのであります。これらの措置は、長期信用銀行の発足と相まつて、産業投資の充実に寄与するところ少くないと信じます。  この際特に一言いたしたいことは、中小企業金融の積極化であります。政府は、中小企業のわが国産業に占める地位の重要性にかんがみ、引続き中小企業金融の円滑化に資するため、国民金融公庫、商工組合中央金庫等を通ずる資金供給の増加をはかるほか、中小企業信用保険制度の改善、信用保証協会の育成強化等、各般の施策を推進して行く所存であります。  次に、国際経済に目を転じますと、わが国は、さきに国際通貨基金及び国際復興開発銀行に加入し、また過般外貨債処理に関する協定を締結する等、国際経済との関係はますます緊密の度を加えて参つたのでありまして、外資導入につきましても、今後は一層期待し得る機運になつて来ております。わが国といたしましては、今後も現行為替レートを維持しつつ、一層友好諸国との経済関係を増進し、国際金融及び為替取引の正常化、貿易の振興に努めることにより、経済の充実発展をはかつて行かなければならないと存じます。政府は、これがため蓄積外貨資金の積極的な活用をはかる施策を進め、産業の合理化、特に設備技術の近代化を促進し、これにより将来の発展への基礎を固め、わが国経済の国際的な地位を充実強化して参りたい所存であります。私は、国民諸君がこの際技術の改善、能率の向上に特に留意せられ、品質、価格において国際的に優秀低廉な商品を生産して、貿易の振興、国際収支の改善に努められることを切望してやみません。  以上、昭和二十七年度補正予算案を中心といたしまして、当面の財政金融政策について申し述べた次第であります。  今後の日本経済の運営に深く思いをいたしますならば、その前途には各種の困難が予想されるのでありますが、われわれ国民の努力は必ずやこれを克服し、内、日本経済を充実強化し、外、世界経済の向上に寄与することを確信する次第であります。(拍手)     —————————————

久野忠治自由党

○久野忠治君 国務大臣の演説に対する質疑は延期し、明後二十六日定刻より本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。

大野伴睦自由党議長

○議長(大野伴睦君) 久野君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野伴睦自由党議長

○議長(大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十九分散会

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