法務委員会 第9号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1952/12/09
会議録
○田嶋委員長 これより会議を開きます。 本委員会は二時半より再開いたすことにいたしまして、しばらく休憩いたします。 午後一時四十一分休憩 ————◇————— 午後三時五十二分開議
○田嶋委員長 これより引続いて会議を開きます。 この際お諮りをいたします。人権擁護の件に関して昨日調査いたしました鹿地亘氏失踪事件につきましては、理事会の協議に基きまして、明十日午前十時より鹿地亘君、山田善二郎君、内山完造君、斎藤正太郎君、以上四名の諸君を証人として出頭を求める手続きを進めたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田嶋委員長 御異議なければさよう決定いたします。 次にお諮りをいたします。電産スト等をめぐる国内治安に関して参考人より意見を聴取いたしたいと存じますが、賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田嶋委員長 起立多数。よつて参考人より意見を聴取することに決定いたしました。 —————————————
○田嶋委員長 それではこれより検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。まず選挙違反事件について法務省より説明を願います。岡原政府委員。
○岡原政府委員 今回の衆議院議員選挙につきましては、解散が予期以上に早かつたために、その対策準備、法令の周知徹底等のために、大分時間的な余裕がなくて、事務当局がたいへん困つたと思うのでございますが、それでも私どもといたしましては、今回の改正法の趣旨を徹底させるために、まず九月十日に次席検事会同を催し、これに主要地の地検支部の上席検察官を加えまして、法令の周知徹底をはかりました。次いで同月十三日検察長官会同を催しまして、検挙方針等につきまして、本省の指示をなし、さらに協議を重ねたのでございます。その検事方針に基きまして爾来選挙違反の犯罪事実に対し適切、妥当、公平なる検挙を行つて参つたのでございますが、十月一日の投票日以後、特に事件の摘発が活発になりまして、別にお配りいたしました資料の通り、私どもの方で集めました各地検の受理人員を総括的に申し上げますと、十一月十五日現存をもつてその数は四万百六十名ということに相なつております。このうちその日までに事件の調べが済みまして、求公判、すなわち公判の請求の手続になりましたのが三千四百八十五人、略式請求の手続をいたしましたのが四千八百二十二名、いろいろな理由で不起訴になりましたのが九千二百七十名、その他の中止、移送等が四千六百二十一名、その受理と処理との差引すなわち事件がまだ検察庁の手元において未済として残つておつたのが一万七千九百八十二名、かように相なるわけでございます。 なおその選挙違反の態様等につきまして各犯罪罰条別に検討いたしましたのがお配りした資料の第三ページにございます。これはお断りいたさなければならぬのですが、資料の収集上十月三十一日現在をもつて統計をとつてございます。その十月三十一日の私どもに入りました受理人員の総数は、三万二千五百七十八名、これは第二表に各庁別の内訳がございますが、その第二表の内訳をさらに犯罪別に区分いたしましたのが第三表でございます。これによりますと、上の方から買収事犯、それから選挙妨害の関係あるいは虚偽事項の公表、新聞等の公正を害する罪、不正投票、事前運動、戸別訪問、文書図画の違反、その他というふう、にずつとわけございますが、これは一人で数件の違反をやつておるものがございます。たとえば買収と事前運動、あるいは買収と新聞の選挙公正を害する罪というふうなものもございまして、そのおも立つたものをもつてこの統計をつくつてございます。従いましてその数は先ほどの受理人員の三万二千五百七十八名と合つておるわけでございます。さらにこの犯罪別の内訳を起訴、不起訴並びに中止、移送その他に区分しておりますが、詳細はこの数があまりにこまかくなつておりますので、第三表をもつて御承知願いたいのであります。 なおこれに関連して申し上げたいのは、今回の選挙がいわゆる公明選挙を標榜いたしまして、かなりきゆうくつ、かつ取締りの面からいいますと活発に行われました関係か、事件がたいへんございまし検察庁におきましてもその処理に忙殺されるというふうなことでございましたが、その間候補者の違反数が——これは違反数と申しましても中には単なる告発等もございます。告発等も一件と勘定しておりますが、それを加えまして百九十四名と相なつております。このうち当選が五十四名、落選が百四十名、うち当選関係の起訴は五名ということになつております。かようにたくさんの事件が取調べられ、そうして一部処理が済んだのでございますが、年末を控えまして検察庁もたいへん多忙で、このような事件の処理にあたつておる次第でございます。従いまして年末で、処理しなければならないほかの事件がいろいろたまつておる際でございますので、中には相当処理が遅れておるのもございまするけれども、検察庁といたしましては全力をあげて鋭意この事件の処理にあたつておることを付言いたす次第でございます。一応簡単でございますが、これをもつちまして御報告といたします。
○田嶋委員長 発言の通告がありますから順次これを許します。発言者に前もつておはかりをいたしておきますが、法務大臣は予算委員会の方へ出席を迫られておりますので、法務大臣に対する質疑を先に終えたいと思いますから、そのお気持で御発言を願いたいと思います。松岡松平君。
○松岡(松)委員 今ほど委員長から御注意がございましたので、先に岡原さんにお尋ねしたいことがたくさんありますが、あとにいたしまして総括して大臣にお尋ねいたしたいと思います。 今回の選挙に関係いたしまして多量の選挙違反が出されており、また多数の検挙者を出しておるのであります。しかしながら先ほど御報告の総検挙者というのは四万百六十名に対しまして、公判請求せられた者はわずかに三千四百六上五名、その一割弱であります。実に九〇%以上の人は起訴されておらない。そのうち略式命令によつて処罰を受けた者は四千八百二十二名、あとは不起訴、中止、移送、未済ということになつておるのでありますが、この未済というのはまだ未処理であるか、あるいはどういうことかわかりませんが、何分にもたいへんな数の検挙であります。もとより選挙は公明選挙を標標したことであり、おそらく本委員の全員が公明選挙を掲げて闘われた方であるし、またおそらく議員の全体もそうであつたろうと私は信じております。しかるにかかる選挙違反を出しておるということは私どもははなはだ遺憾とは存じまするが、もとより政治は情熱を中心にするのでありまして、ことに選挙においては各人の情熱が爆発するのでありますから、軌道をはずすということは、これは選挙につきものであります。ですから多少の選挙違反は、これはやむを得ないといたしまして、今度の選挙におきましてかかる多数の検挙者を見ましたことについて、われわれといたしまして大いに当局にお尋ねしたいのは、はたして公正妥当なる検挙方針に基いてなされたものであるか、また行き過ぎではなかつたか、あるいはその過程において人権を蹂躙したる事実はないか、こういう点について本員は自分の同僚なりあるいはその他の人々について調査したところによりますると、この選挙の検挙過程におきましてかなり行き過ぎもあり、人権蹂躪もあり、また検察当局と司法警察官との間における不統一が暴露されておるのであります。その事例をこれから一、二点について申し上げてみたいと思います。 先ほど岡原刑事局長からこの選挙違反の検挙に対して検事会同をなされて、検挙方針を打合されておやりになつたということであるが、もとよりこれは当然のことであります。しかしながら国警、司警、自警との間においていかなる打合せをなされたか、この点についても明瞭なる御説明はございません。事はここにあるのであります。現在司法警察官は独自な犯罪捜査権を持つております。これに対して検察当局は一般的指揮を持つておりまするが、現実に行われている状態を見ますると、むしろ司法警察官が捜査をいたしましてそれを検事当局が起訴するか、不起訴にするかを処理しているという状態でありまして、統一あるところの検挙方針がなされておるということを、われわれはわれわれの目をもつて、われわれの耳をもつて、われわれの知る限りにおいては知ることを得ないのであります。そして逮捕状の濫発というものは実におそるべきものであり、ここに数字に掲げられておるところの事前運動者は七百五十一名とありまするが、私らの調査によりますると、全国ではかような少数なものではなかろうと思うのであります。ことに政党の支部講演会、また支部団体を中心にする選挙の事前における会合に対しては、かなりの逮捕状が出て、調査をされておる事実があるのであります。はたしてそういう事柄に対して法務当局に完全なる報告が来ておるのかどうか、私ども疑わしいと思われるのであります。 それから今度の選挙の過程において、私どもの同僚もたくさん訴えられておるのでありますが、犯罪の起る前に、候補者に対して図星をさしておる、一種の選挙妨害と見られるところの尾行、張番、こういうものが警察の手によつて行われておる事実が方々にあるのであります。ごとに同じ党派であつても、ある者に対しては緩和方針をとり、ある者に対しては厳重な方針が加えられておる。その選挙事務所に四名の警官が目々張番をしたり、あるいは重要な運動をする可能性のある者に対して尾行をつけておる。一名ないし二名、それも昼から夜間にまで達しておるという事実がある。かように選挙中において、警察官みずからが選挙の妨害をする。ある検事正のごときは解散後新聞社主催の座談会に出席いたしまして、地元から立候補をしておる者には支持するが、東京から出て来るような候補者には投票すべきではないというような広言を吐いておる検事正すらある。これは新聞をお調べになれば——いつても私どもの手元にあります。御希望とあれば大臣の手元に出します。いやしくも公正なる検挙をやるべきところの検事正が、こういう新聞社の会合に出席して、かかるへんぱな選挙の妨害となるべきところの言動を吐くがごときことは許すべからざることである。これに雷同いたしまして、司法警察官は、尾行する、張番をする、おそらく尾行、張番をされたならば、行動の自由というものはないはずである。かような人身の拘束というものはないはずであります。しかるにこれが現実に行われておる、まことにゆゆしきできごとであります。しかしながら選挙途中でありますから、どの候補者にいたしましても、かようなものにかかり合つているいとまはございません。おそらく泣きの涙で闘われた方かたくさんあるのであります。もとより犯罪は許すべきではない、犯罪は取締つていただかなければならないが、犯罪を犯すだろう、何か犯すだろうという名目のもとに、張番をしたり尾行をするということ、そういうことが一体日本の検察制度の上に認められておるのかどうか、警察制度の上に認められておるのかどうか、これが私の伺いたい点であります。 それから人権蹂躙の事実でありますが、今度の逮捕状の濫発というものは、はなはだしきに至つては、同一事件の同一行為について、同時に二枚の逮捕状を出された事件がある。そのために逮捕された人は人違いであるということで、これは釈放されておるが、一名はいない。逮捕状を発行する犯罪はわかつておるはずであります。同じ内容の同じ行為について二名に対して同時に逮捕状を発行するがごときことは、はなはだしきことであります。それから伝え聞くところによりますと、逮捕状はとりまとめて五十通も百通ももらつておいて、そうしてそこへ書込みをして逮捕状を突きつけるというような事実があると伝えられております。これに対する当局の調査は、どの程度に行われておるか。戸別訪問で逮捕状を出し、それから二十三日ぎりぎり一ぱい拘束しておいて、そうしてこれで起訴をする。その上に追起訴、追起訴をかけて来る。それも何らの証拠もないにかかわらず、五十幾日拘禁した事実もたくさんある。それから最も私がここに摘出して皆さんの御批判を仰がなければならないし、特に大臣に聞いていただかなければならぬのは、富山県の泊町に起つた事件であります。九月の二十八日ごろに会合をやつたという名目で関係者多数を逮捕をいたして取調べをいたしました。この事件はだれに聞きましても、起訴の事実をでつち上げたんだと申しております。事件の内容はもちろん起訴されておりますから、ここで白黒の論評をする必要はありません。だが、しかしその過程において行われた脅迫、拷問、圧迫、この事実について私は申し上げてみたい。まず高邑幸三郎という医師に対して入善地区の署長がみずから行つた脅迫事実であります。これは私は本人の訴えによりまして弁護士、新聞記者立会いのもとに聞いたことでありますが、二十三日ぎりぎり拘束を受けまして、ないことを強要された。しかもその間において署長がその被疑者をみずから取調べまして、巧言令色を用い、あるいはおどかしをかけ、遂にうそのことを言わしめて、二十三日ぎりぎりのところでこの医者を帰した。問題は、それならばよろしい。ところが、案件になつておりますところの十名の会合のうち七名を起訴してあとの三名を起訴いたしておりません。高石幸三郎というのはその起訴されなかつた人であります。その高邑幸三郎に対して、釈放後連日にわたつて係の刑事を派遣して、まだ調べ足らぬところがあつたといつて毎日取調べに行くのであります。その上に、四日目に署長みずから出かけて来て、その高邑素三郎という医師に対して、あの事件について君は証人に出なければならぬ。警察において自白したることを、供述したることを変更すれば、誣告罪になつて再び冷い監獄に入らなければならぬということを言つて、威嚇したのであります。私は新聞記者と弁護士立会いの上でこの事実を聞きました。狂気して自殺のおそれすらあるということを夫人から伝えられておるのであります。私はただちに入善署長に面会を求めまして、その事実を確かめましたところ、確かに誣告のことを言つた覚えがある。けれどもそれは偽証の意味で言つたということを申しております。警察署長ともある者が、誣告と偽証を取違えて言うなどということは常識上考えられないことであります。そうしてもう一名川端伝吉という者に対して、この入善署における拘束中に加えた拷問というものは実にばかげ切つたことであります。小便をするときは片足を上げて小便せよ。お前は一人前の人間でないんだから両足で立つ必要はない。ほんとうのことを言えば両足で立たしてやる。それから房に入るときには四つんばいになつて入れ。このために自殺未遂者が二名出ておる。窓を破つて出ようとした者に柚木文次というのがおります。これは被告になつて起訴されております。その傷が今なお残つておるそうであります。川端伝吉も自殺を企てようとしたことがあるそうであります。もう一人起訴になつております中陣源次というのも自殺を企てておる。私の富山県でもずいぶん選挙違反で逮捕せられ、拘禁せられ、それから起訴された人もありますが、こういう事実について訴えて来たのはこの泊町事件だけであります。しかも被告人となり、自分の身に覚えがあれば多少のことは忍ぶものでありますが、本件についてはまつかなうそを警察署長みずからが司法警察官並びに警察員全部を動員してこれをやつておる。もつとはなはだしき事実を申し上げます一と、氷見という県会議員が一万円ずつ九名にやつたというのが被疑事件の内容であります。これは事実でないということを何人も言つております。そしてこれを一名に対して二百円ずつ分配したというのが警察側の断定であります。そして九万円の金を二百円で割つた数を出せ、それはだれとだれだというので、巡査を派遣いたしまして、片つぱしから戸別に威嚇して歩くのであります。たつた二百円もらつた、もらわぬということで逮捕状を執行して四名の者を拘禁しております。私が署長に会つたとき、現に拘禁中だということでありました。そしてその町の町長を使い、高邑という医師が釈放されて出るときに、その四名の家族の者に、否認しておるから家族からかような問題を早く認めて出るように勧誘しろということを要求しておるのであります。私は二十歳の時代から弁護士をいたしておりますが、このような事件に接したことがありません。しかも終戦後民主主義国、法治国家だなんて言つておりながら何ごとであるか。たかだか二百円の金をもらつたもらわぬで、しかも老人や婦人を拘禁して、自白しないからといつて家人を使うに至つては、警察のなさるわざではありません。この署長は、私が難詰いたしましたところが、真実発見のために皆さんの御協力を願つておるのだといつてうそぶいておるのであります。何事であります。いやしくも町長や被疑者にかような手伝いをさせるのが警察ではありません。二百円もらつた者に対して逮捕状を発行すること自体が乱暴きわまる話でありまして、二百円というのは、貨幣価値は今日はもつと下つたかもしれないが、昔でいえば二十銭あるいは十銭にひとしいものなのであります。はたして今まで十銭や二十銭の金で逮捕状を出して拘禁したる選挙違反がございますかどうか。法務当局の過去の事例を私はお聞きしたい。この二百円の金で、しかも十数日拘禁しておる。これはこの事件の証拠を固めるために、証拠をつくり上げるためにやつているとしか断定できない。そして署長は被疑者に向つて、自分はこの事件で職を賭しておる、首をかけておると豪語しております。しかも署長が取調べするのではありません。担当警察官が取調べているのを、自分が呼びつけてこれを誘導、圧迫を加えているのであります。署長みずからこれを認めておる。警察官が少数のために手がまわらないから自分がお手伝いしているんだと言つておる。なぜしからば君は調書をとらないかという私の質問に対して、一言半句も答弁できない。そしていわく、あなたはどういう資格で私を尋ねるかなどとしやくし規定なことを言う男であります。森山という男であります。伝え聞くところによると、隊長に向つて進退伺いを出したそうであります。この被管人に私は全部会いました。もしこれが犯罪になるならば、日本という国は信用できぬ、革命を起さなければならぬと言つておる男もおります。何ら身に覚えなき事実をでつち上げて、そうして尋問の際のごときは数名の警官が包囲して、いわゆる共産党のつるし上げと同じ方法によつて、そのときのおぜんに出ておつた刺身はいかの刺身であろう、おぜんは赤塗りであつたろうなどといつて尋問を加える。この事実に対して当局は何とお考えになるか、かかる大量な検挙を行うときは必ず人権蹂躙ということを伴うことは、在来の例に徹しても一応想像ができるのであります。法務当局におかれまして、人権便書の事実に対してはいかなる活動をすべきかについて人権擁護局を督励せられた事実があるかどうか、私どもから見ますると、人権擁護局なんというものは、あつても名のみで何らの活動もしておらぬ。また地方人権擁護委員のごときは、今日の思い上つた警察官の前には何ら活動し得ない一つの存在でしかあり得ないのであります。警察官は犯罪ありと思料すれば、すぐ逮捕状を出せるということで現在は思い上つておる。ある県のごときは検事局が手をやいておる。どんどん検挙してそれを検事局の方へ持つて来る。まるでそれを始末して行くだけで仕事が一つぱいだという話も私は間接的に伺つておるようなわけであります。検挙する犯罪者は一名でありましようが、それを取巻く家族、親族、友人を合せれば一人について二十人、三十人の人がその身辺に利害関係を持つて心配をしておるのであります。四万人検挙すれば、これを十倍にすれば四十万人、五十倍にいたしますれば二百万人の人間がその身辺を思い憂えておる。このことは結局国民の民心の安定に重大なる関係があることであります。従つて選挙違反に対していかなる方針のもとに検挙をやるか、事前運動に対してはいかなる処置をとるか、百円、二百円の事案あるいは戸別訪問に対しても逮捕状を出すべきかどうか、こういう問題に対しては統一あるところの方針をもつて臨むべきは当然であります。また警察官個々がかつてに裁判所を利用して逮捕状を持ち出して、そうして片つぱしからこれを検挙して来るのを一々おそらく法務大臣は責任を負えないはずであります。現在のように司法警察官が独自の逮捕権を持ち捜査権を持つておる状態において、はたして統一あるところの犯罪対策というものができるかどうか、これは立法上の問題になりますが、大いに本件と関係があることであります。少くともかかる場合においては検察当局と司法警察官との頭脳の開き、その社会的地位その責任感においては格段の差異がございます。現在の日本の司法警察官の頭脳を私は低いとは申しません。まだ高いとも申しませんが、検察当局のその社会的地位並びに責任の負担度におきましては、はなはだ懸隔のあることを遺憾とするものであります。新刑事訴訟法の生れたのは、アメリカの輸入的な現象であると言わざるを得ないのでありまして、アメリカの警察官とわが日本の警察官とを比較した場合に、おそらくその知脳において、その責任の負担能力において、その社会的地位において各段の差のあることを私は言わざるを得ない。かかる日本の警察官に対して、いわゆる気違いに刃物ということわざがございます。捜査権はただちに逮捕に関輝いたします。そういう権限をまんべんなく与えたという刑事訴訟法に根本の欠陥があるのであります。おそらく検察当局の力をもつてしても現在の司法警察官のかかるかつて気ままな行動を統轄することは不可能だと私は信じます。これに対して法務大臣はいかなるお考えをお持ちであるか、いかに検察当局の幹部の方々が会同をせられて方針をきめられても、司法警察官自体が独自の捜査権を持つておる、これでは何の統一にもなりません。また埼玉県の事例につきまして私は先ほども聞きましたが、自由党の支部の事前会合についてまで干渉を加え、呼出しをかけ、逮捕を加えておる。政党の会合にすらさような干渉をしておる。講演会、政党支部団体の活動に対してはあらゆる弾圧を加えておる事例がたくさんあるのであります。結局かかる大量なる検挙をなさる場合においては、人権擁護局はもちろん、法務省は一方において犯罪を捜査すると同時に、一方において人権に対して侵害の事実なきかを大いに督励して守つていただかなければならないのであります。そうでなくして、昔の岡つ引のように、要するに人間をつかまえて来て監獄に入れて処罰するだけの機能であるならば、これは民主的法務省の仕事ではございません。一方において犯罪を取締り、あるいは厳正にこれを処罰し、また人権を守つて行く、それから容疑者といえども人権を保護せらるべきものであるということが地方に徹底いたしておりません。はなはだしきに至つては、検事みずから手錠をかけて調書を作成したことがございます。検察事務官が手錠をかけて調べるのはもちろん、いやしくも検事が手錠をかけた者を取調べて調書をつくるがごときことは、私はあまり聞かなかつたのである。しかるに今度の選挙違反においてはこれが行われておる。こういう事例を私はたくさんに持つておりますが、大臣もお時間があることでありますから、詳しいことは岡原刑事局長にお伺いすることにいたしまして、今ほど申し上げました検察行政と司法警察官との関係についての御意見、また人権擁護局をしてはたして何ほどの活動を法務当局がさせたるやいなや、それから今後における大臣の御所見を承りたい。それから刑事政策というものを必要とするやいなや、現在の選挙違反に対する検挙の状態を見ますと、刑事政策というものは一つも行われていない。ために民心が非常に不安動揺いたしております。政治運動に関与すれば必ず選挙違反でやつつけられる、罪がなくともやつつけられるという恐怖観念を抱かしております。かようなことは民心の安定を期する上において一大妨害であります。おそらく刑事政策の必要なことを何人も否定する方はあるまいと思う。しかるに現実においては刑事政策が行われていない状態であります。これに対する大臣の御所見を承りたいと思います。
○犬養国務大臣 だんだんの御意見、まことに私も参考になつたのであります。今度の選挙は私の就任前のことではございますけれども、大体公明選挙というのは名前はむずかしいのでありますが、金のかかる選挙はできるだけやめて行きたい。りつぱな人だが、選挙というものは金がかかるそうだからやめる、一方においては大もうけしたので、選挙というのは金だけで済むということを聞いておるから、名譽心の意味から、一ぺんこのもうけた金で代議士になつてみたい、そういう風潮を根本からなくして行きたいというのが、公明選挙というむずかしい名前の趣旨だと思うのであります。中央の役所にいる者は、そういう点について緩急よろしきを得た比較的広い意見を持つておるのでありますが、率直に申して第一線にそれが行き渡つていない場合がありまして、また第一線の者は人生においてもまだ苦労の足りない年齢の人が多いのでありまして、その点私ども就任後非常に苦慮して、個々の事件について実地教育として調べながら、もしあれば今後こういうことを二度を繰返さないようにやつて行きたい、こういう考えを持つているのであります。先般松岡委員が御指摘になりました富山県における手錠をはめての取調べという問題も、その意味で現実の個々の場合の今後の参考として、さつそく現地に連絡をしております。また人権擁護局にも、公明選挙というのを厳格に取締るあまり逸脱した部分については、大いに研究もし、善処もしなければならぬということを申しているのであります。具体的な問題として松岡さんの言われました、警察が独自の捜査権を持つていることからいろいろな行き過ぎが起る、これは個々の場合第一線にそういうことがあると思います。実際の場合を申し上げますと、大部分の地方検察庁としましては、重要な事件は警察が着手する前に検察庁の指示を受けるように協議してあるのでありますが、その重要という線が、現地のとつさの場合、必ずしも統一整理されているとは思えません。結局この問題は、選挙というものはわれわれの一生のうち何度もあることでありますから、この次の戒めとしても個々の事件を進んでお教え願い、われわれとしても個々の事件について警察官の訓練をする、また誤つた点については、相当の善処をしなければならぬと思います。立法論としまして、警察が逮捕状を請求する場合は、検察庁を経由した方がいいという御議論もあります。松岡さんもその御議論を持つておられるお一人と思いますが、実際上は、これにはまだなかなか問題があるのでありますが、しかし十分検討すべき当面の問題だと思つております。刑事訴訟法改正の場合には、一つのきわめて重要な問題として私どもは考究しなければならぬ問題だと思います。ただそれをどうするか、結論をどうするかということは、ちよつとまだ申し上げるのは早いと思うのであります。まさに重要な課題であると考えているということは、はつきり申し上げ得ると思うのでございます。あと個々の問題については、私どもも、もし事実なら驚くべきごとだと思う点も相当ありますので、これはさつそく現地に照会いたすとともに、人権擁護の問題として中央の役所でもさつそく取調べもし、研究もいたしたいと思つております。 それから国警と検察庁がしつくり行つていないのじやないか、現在率直に申し上げまして、就任前にそういううわさを聞いておりましたので、私も就任後さつそく監察すべき重要問題として取上げていたのでありますが、事中央に関する限り、予想以上にしつくり行つております。問題は地方だと思います。抽象論で申しても、今申し上げたように、結局地方は、そんなに偉い人が地方の警察官になつていないのであります。偉ければもつといろいろな仕事に従事しているのでありまして、これは個々の問題でお互いに教育し合い、研究し合つて、あやまちを再びなからしむるよう現実教育をして行きたいと思つております。そういう誠意のあることだけはどうか御了承を願いたいと思います。なお落しましたことがございましたら、御質問に応じて再びお答えをいたしたいと思います。
○松岡(松)委員 ちよつと大臣にお尋ねしますが、人権擁護局は、伝え聞くところによりますと、予算がなためにどうも開店体業になつておるといううわさを聞くのですが、この点どうなんですか。事実もしそうだとしたならば、人権擁護に対する費用は十分とられていいものじやないか。そういう点は打明けてお話願つた方がよろしいのじやないかと思うのであります。
○犬養国務大臣 この御質問はまことにありがたい御質問なのであります。御承知のように、行政整理のときに人権擁護局はまさに累卵の危うきに至つたのでありまして、やつと残つたというような形になつております。それでこれはあなたに対しては釈迦に説法で失礼だと思うのでありますが、国外から日本を見る場合、人権擁護精神がどのくらい発達しているかということが日本の水準を見る一つの標準になつておると思います。お互いは四等国などといつた仲間に入りたくないのでありまして、文化の名において一等国と評させてから仲間に入りたいと思うのでありますが、その標準はやはり人権擁護ということが非常に重要になつておりますので、私も就任後、人権擁護を扱う局は、もつと政府のみならず国民から敬意を表されていいんじやないか、敬愛の念を持たれていいんじやないかと思つておりますが、御指摘のようにいかにも金がない局でありまして、どうも貧血状態なのであります。今後予算の御審議を願うときに、これはお願いでありますが、特に御同情をいただきたいと思つております。
○福井(盛)委員 重複しないようにお尋ねしたいと思いますが、私もこのたびの選挙を通じまして、検察官と司法警察職員との協力関係について、まことに憂慮にたえないものをたくさん実見したのであります。この点につきまして一点お尋ねをいたしまして明瞭にしておきたいと思います。検察官と司法警察職員との関係は、申すまでもなく刑事訴訟法の規定に明らかになつておるのであります。原則といたしまして協力関係につきましては、捜査に関する司法警察職員の協力を検察官の側では確保するために、司法警察職員に対する検察官の一般的指揮権が認められておるのであります。でありますから必要に応じまして検察官が司法警察職員に対しましては一般的の指揮をなすことに相なつております。もつともそれは一般的の指揮権に限られているのでありますから、個々の具体的な事件につきましては司法警察職員を指揮することはできないというのであります。しかしながら個々の事件についても司法警察職員一般に対しまする指揮をすることはできると私は解しております。個々別々の具体的な事件についてはできないけれども、司法職員一般に対して適用することはできると考えておるのであります。但しこの点について、今回の公職選挙法違反事件の取締りにあたりまして、検察側と司法警察職員側との間にこの解釈につきまして意見の相違があつたというようなことがある新聞にあつたように記憶しておりますが、はたしてこの両者の間の緊密な関係の維持ができるかどうかということを私ども経験から心配しておつたのでありまするが、これはおそらくは両者の良識によりまして解釈の一致点が見られたことと存じておるのであります。従いまして公職選挙法違反事件の捜査につきましても、検察官から司法警察職員につきましては適切な一般的指揮がなされておることと存ずるのでありますが、この点に対してはいかがなものであるかを一ぺんお尋ねしたいと思うのであります。もとよりここでは解釈上の議論を私は云々するのではありませんのでありまして、この両者の協力が完全に行くかどうかということは非常に大事な問題であるものですから、この点についてお尋ねするのでありますが、これをたとえてみますならば、司法警察職員が、裁判官の発する令状によりまして押収、捜索をする場合に、それらの処分を受けたる者が、今度の事件におきましても、当選人であつたというような貴重な場合におきまして、司法警察官はその令状を請求する前に、あらかじめ検察官に対して連絡して了承を受けることが私は非常にいいことだと思うし、またそうすることによつて初めて運用上の完璧を期することができて、人権の蹂躙ということもなくて済むと思うのであります。この点につきましては、先ほど松岡委員からの質問に対して詳細な答弁もあつたようでありますが、私もそれを痛切に考えておるのであります。そこで一般に指揮することができるのでありますから、その一般的指揮をきわめて有効に発してもらうことが今の法規のもとにおいては必要なことと思いますが、これがどの程度なされておつたか。かりに指揮することがなくても、検察官に対して司法警察職員から事前の連絡をなさるべきことは、捜査の適正を期する上におきまして最も必要なことであると私は思うのであります。しかるに今回の公職選挙法違反事件の捜査におきましては、検察官と司法警察職員との間の協力関係がどうも法の庶幾する通り緊密に、かつまた敏活、適正に行われているかどうかということが非常に懸念されたる事例が二、三にとどまらないのであります。はなはだしきに至つては、裁判官の令状による押収、捜査が司法警察職員の手によつて行われたことをその検察官が少しも知らない。捜索令状を執行されて、そして後になつて検察の方で知つたというような事例があることを私は当選人に関する弁護人から聞いて驚いておるような次第でありまして、これはまことに憂慮にたえないのであります。でありますから、この点に対しまして一般的な指揮がどのように行われておつたか、また今後これに対する政府当局の御意見はどういうところにあるかということを私は一般的にお伺いしておきたいと思います。
○犬養国務大臣 ただいま御指摘の一般的指揮という問題であります。大部分の検察庁がそれぞれ文書とか口頭かでやつておるのでありますが、そういう形式的な答弁を申し上げれば済むようなものでありますが、就任日浅い私が先輩の福井さんに申し上げるのは変なことでありますが、一般的指揮というものにどうも限界があることを私は体験しておるのであります。今お言葉の中で、互いに良識を持つてというのですが、良識のあるクラスはうまく行つております。良識のない人という言葉は失礼でありますが、経験も浅く、先ほども申し上げたように年齡からいつてもそう世の中の苦労を積んでいない人が第一線に立つております。第一線というのは現場の前線のようなものでありまして、そこに思わざる食い違いが起る。これをどうしたらいいかという問題につきまして、先ほど松岡委員にお答え申し上げましたように、そこを法で一つのつながりをつける方がいいかどうかということを真剣に今考慮すべき時期に来ているのじやないか、一般論でここの場合はこの水準で大体やれと言つてもそれがのみ込めない人があります。のみ込めてもとつさにそれだけの考慮を払うことができない人がおるのでありまして、そういう現実の場合を考えますと、先ほど言いましたように法理論になりますが、何か法的なひとつ根拠をつくつた方がいいかという問題に立ち至つていると思います。私も本省におりまして、一般的な指揮というわくをもらつてやつている事項がありますが、非常にむずかしいのです。あなたも御経験になつたと思いますが、個々のものには入れない、一般的な指揮はやつてよい、なかなか現実としてはむずかしいのでありまして、うまく行かない場合があります。この場合も地方の検察庁と現場の司法警察職員の関係を、ただその場の良識と判断にまかせてよいか、あるいは法的なつながりをつけてよいか真剣に再検討をいたしたいと私は考えておるのでございます。
○岡原政府委員 ただいま大臣の答弁の通りでございますが、法律的なお話がございましたので一応補充して申し上げますれば、御承知の通り刑事訴訟法百九十三条におきまして、ただいま福井さんからお話の通り、一般的な指示、指揮の関係が確立されておるのでございます。そうしてその第四項において、司法警察職員は、検察官の指示または指揮に従わなければならぬということになつておるのでございます。法律的に申しますと、その指示、指揮に従わなかつた場合にどうなるかと申しますと、これは刑事訴訟法百九十四条に「別に法律の定めるところにより」と書いてございまして、そのかんじんの法律がないのでございます。従いまして、抜け穴がそこにございますので、われわれといたしましては、その関係が前とうしろがいかにも合わないようなことになつておりますので、この点も一緒に考慮すべき問題ではないだろうかというふうなことをあわせてつけ加えておきたいと思います。
○田嶋委員長 どうですか、その点に対してあなたの方では立法の意思でもあるのですか。
○岡原政府委員 その点は実は警察との関係で、どういう形でそれをするかということになりますと問題がございましようし、また単に国警、自治警の問題のみならず、特別司法警察職員等との関係もございましてそれらの関係で事務的に若干話を進めたこともございますし、ある程度の案もつくつたことはございますけれども、いまだ国会の御審議を仰ぐ段階には至つていないのでございます。
○犬養国務大臣 再び福井さんにお答えをいたすのでありますが、ここに国警の人がおりませんので、こう一問一答いたしておりますと国警の方だけが非常に早まつていて、検察庁が困つて法律の改正をするかしないか、こういうふうに聞えがちになりますが、これはまことに気の毒でありまして、私が率直に見たところでは、国警は国警の一つの学風があり、検察庁は検察庁の学校出の学風がある。両方愛校心といいますか一種の精神がありまして、それがどつちも悪いと言えない。この精神をあまりくじきますと今度は綱紀弛緩になりますので、その点をどうやつて行くかということが私の今の研究課題であります。これは個々の問題でも体験している問題でありますから、研究の結果何かの措置に出たい、こう考えていることを御承知願いたいと思います。
○田万委員 犬養法務大臣に、先ほど松岡さんからいろいろと人権問題の立場から検察庁並びに警察当局に行き過ぎがあつたというお話がございましたが、反対に、当然検挙さるべきものが見のがされている。言いかえるならば、その人自身はそれで助かつていると思うのでありますけれども、大きな立場から言えばさような人が当選して国会に席を持つて、そうして買収で当選した人でありますから、従つて大きな間違いを起す危険性があり、国民が人権の侵害を受けるような事案がなきにしもあらずと私は考える。私どもの見聞しているところによりますれば、当然事前運動をやつておるにかかわらず、警察官がもしそれを検挙するとすれば一つの部落が大きな騒ぎになつて、むしろ村の平和のためにはやらない方がいいんじやないかというような見解を持つて静かに収めているというような話もあるのであります。人情論としては一応もつともなようにも聞えますけれども、実質的に考えたならば、さようなものがあつてはならない。この意味から申しまして事前運動、特に事前運動がはげしかつたのですが、その限界について法務大臣の御見解を承つておきたいと思います。
○犬養国務大臣 これもごく率直に申し上げまして、私は事前運動の実態を見たのではありませんが、まだ選挙が始まる前にいろいろなうわさを聞きました。まことにこれではいい人が出にくい、こういう感を深ういたしまして、もしもそういうケースについて、お話のように非常に見のがしてあるということがありますならば、ここでなくてもけつこうでありますから、参考までに伺えば、なぜそういうことをしたかということを取調べたいと思います。
○田万委員 それから選挙が済みまして、この間佐藤検事総長にお目にかかつて、いろいろ新聞紙上にも載つおる大物の検挙についてお尋ねをしたのでありますが、その際のお話の中に、選挙中の違反に対する取調べは選挙干渉になる危険性が多分にあるので、これはなるべくいたさないようにしていたというふうなことがあつたのです。私どもは、選挙中でありましても——初めから選挙違反これこれであるということで新聞に書くということは明らかに選挙干渉になる危険性があるが、一応内面的に忠告を与える。しかもこれがなお聞かれないで二回、三回と繰返して悪質な選挙違反をやるということならば、選挙中でもあくまで断固として検挙をやるべきであるというのが私どもの考えでありますが、これに対する法務大臣のお考えはいかがですか。
○犬養国務大臣 これは私の就任前でございますが、今度はそういう方針だつたのじやないですか、そういうふうに聞いております。もつともそのときに法務省に勤めておりませんでしたので、責任のあることは申せませんが、原則はそういうふうだつたということを聞いております。
○田嶋委員長 ちよつと私からも大臣に伺つておきますが、当委員会にも選挙違反に関していろいろと陳情があります。その陳情というのは、主として人権蹂躙の問題にからんでおるのですが、委員長として受取つた書面の中には事実らしい書面もたくさんあるのでございますが、法務省として、選挙違反にからんだ人権蹂躙を調査し、なお具体的な事案を握つておるというようなことはありますか。全然調査もしていないのですか。
○犬養国務大臣 原則として人権蹂躙のいけないことは自明のことでございますが、どこの町でどなたがどうなつておるかということを伺うと、さつそくそれを一々調査するというふうにいたしております。ここで個人的なことを申せば、この前の前の委員会で松岡委員から伺つたことは、現にさつそく取調べを開始しておる、というふうにいたしております。
○田嶋委員長 それでは委員会に参りましたものを法務大臣の方に適当に通知するということにいたしますから、誠意をもつて取上げて、警告を与えるなら警告を与えるし、取締るものは取締るようにしていただきたい。
○戸田政府委員 今度の公職選挙法の施行にあたりまして、人権擁護局としてとりました態度を御参考までに申し上げます。人権擁護局としては、各法務局に通達をいたしまして、情報の収集にできる限り努力し、それから、選挙中は侵犯事件の申入れに対してできる限り注意して、あまり事実のはつきりせぬうちに手を出さないことというふうな注意をいたしたのであります。それは選挙中に私の方があまり積極的に出ますと、いろいろ選挙の操作あるいは他の候補者等にも影響する場合がありますので、なるべく選挙を終つた後に着手するというふうにいたしました。現在まで私の方に参つております事件は、大体報告のありましたのは八件くらい、現に各法務局において調査をいたしております。
○田嶋委員長 その八件を具体的に……。
○戸田政府委員 新潟地方法務局にありましたのが大体五件、和歌山県で一件、それから京都地方法務局で一件、それから先ほどの富山の泊事件でございますか、これは話を聞きましたので、法務局に調べるようにいたしております。
○田嶋委員長 どういう内容か、事件の内容を知らせてください。
○戸田政府委員 詳細には申し上げにくいのでありますが、大体手錠をかけたという事件と、それから弁護人に面会をさせなかつたという事件、あとは関係者をゆえなく検挙して調べたという意味のものであります。
○岡原政府委員 田万さんからお尋ねの、投票前の検挙方針ということでありますが、私どもといたしましては、最高検とも十分打合せをいたしました末、今回の選挙は従前と異なりまして、非常に公明選挙の声が大であるから特に十分な調べをするようにというふうなことをつけ加えて申しました。その一つの現われとしまして、詳しい言葉は忘れましたが、次のような意味のことを指示しております。それは、悪質重大なる事犯については選挙運動の期間中といえどもこれを取調べて妨げない、但し、これが選挙干渉の疑いを受けるような調べ方については十分戒心するようにというふうな指示をいたしております。従いまして、具体的な事件々々によりまして、現地の長官がその判断によりまして適当に事件をやつて行く、この方針は大体国警側とも連絡がついておりますので、おそらく国警の連絡で、さらに自治警におきましても同じような方針でかかつておられることだと思つております。
○田万委員 具体的にはこれは法律問題になると思うのですが、刑事局長にひとつ伺います。選挙前あるいは選挙中において、船会社をやつている人が無賃乗船をさせたとか、あるいは石けん、タオル等名前入りのものを配つたとか、あるいはいろいろ手がありましようが、後援会というものをつくつてそこで一ぱい飲まして食わしたとか、こういうものは私たちの常識から言うならば、法律的に見て明らかなる事前運動あるいは選挙違反の疑いが濃厚であると思うわけでありますが、どういうふうなお考えでありますか、具体的な問題としてお伺いしておきたい。
○岡原政府委員 選挙法におきましては、いわゆる利益の供与いろいろの形で行われるのでありまするが、選挙の期日の前後を問わず、ただいまお話のような無賃乗船の切符を発行するとか、あるいは石けん、タオルの名前入りのものなどを出すというような場合におきましては、これはただいまお話のように利益供与のことになる場合が相当多かろうと存じます。ただこの際一言附加しておきたいことは、この各候補者の事前の地盤の培養というものが一体どの程度までが、いわゆる通法性を阻却するようなものであるか。ちよつと言葉をかえて申しますと、ふだんから近所つき合いを親しくしておくのが、どの程度に至つて度を越すのかという問題がございます。たとえば年末年始のあいさつとしてふさわしからぬたいへんいいものを贈つたとか、あるいはふだん何らの関係ない人にまで広範囲に渡すというふうな場合におきましては、その嫌疑が非常に濃厚になつて来るという場合が多かろうと思います。これは法律論でございますが、一応そういうふうな見解になるかと思います。
○田万委員 嫌疑が濃厚になると思うというのではなくし犯罪は成立することになるのではないですか。 それは全然知らない人にまで、不特定多数の人にさおうな品物を出すということは、これは法律上はつきりしておるのではないですか。
○岡原政府委員 先ほど附加して申し上げました通り、その土地から出られる人、いわゆる候補者というものは、ふだんからいろいろな関係でその土地の人たちのめんどうを見ておる。たとえば吉凶禍福の際には、何らかのあいさつをするというふうなことがございます。これは善悪は別といたしまして、たとえば村祭りの際に寄付をするとか、あるいは冠婚葬祭の際に、町の有力者たるゆえをもつて、普通の人よりは多く金を出させられるといいますか、出すといいますか、そういうふうな一つの慣習的なものがございますので、その慣習的なものを認められる範囲内におきましては、やはり違法性阻却という問題が出て来るのではないだろうか。もつとその違法性阻却の度を越しますると、犯罪の成立そのものもないという、いわゆる構成要件そのものにもあたらぬという場合も出て来るのではないだろうか。これが私が注意深く若干の留保を付して申し上げたゆえんでございます。
○田万委員 わかつたような、わからぬような、つかみどころがないのですが、今私が申し上げたようないろいろな具体的な点について、事前運動というのではなくて、選挙中に行われたとすれば、いかが相なりましようか。これもあるいは刑事局長の御答弁からは、慣習的とか社会通念とかいうような言葉になつて来るかもわからないのですが、そこらをはつきり言つてくれぬとまことに困る。
○岡原政府委員 まことにもつともな御質問でございます。さような際には、いよいよ選挙が始まつて平素の地盤涵養とは違つて、現なま的な、あるいは実弾的な色彩を帯びることが非常に多かろうと存じますので、その意味におきまして、違法性阻却の問題は起らなくなる場合が多いだろうということでございます。
○田万委員 そのようなことでは私どもは満足しませんが、聞いても水かけ論でありますから……。 次にお尋ねしたいのは、法律の網というものは、私は大物、小物の別なくかかつて来る網だと思う。最近の選挙違反の実態から考えたときには、一寸くらいの魚はよくかかるけれども、三尺も四尺もある大きな魚は逃げておるではないかというのが、一般国民の選挙に対する疑惑の念であります。新聞紙上で拝見しますと、現外務大臣の岡崎さん、衆議院副議長の岩本さん、前里米藏さんなどのもろもろの大物の選挙違反が出ておる。これはどういうふうにお取調べになつておるか。私どもは選挙法から見ますと、公訴時効は六箇月であります。またたくうちに済んでしまう。今申し上げたうちのどなたであつたか、あるいは外務大臣の岡崎さんかと思いますが、選挙事務長の金子何がしというものが逃亡しておらない。そのために取調べができないという実情になつておるということを聞いております。私は大物、小物の区別なく、やはり法は正しいものだ、公正なものだということを立証するために、できるだけ徹底的にやつてもらわなければ困る。どの程度に今二、三申し上げた方々の取調べが進んでおるか、また今後どういう態度でお調べになるか、その点について明快な御答弁を願いたいと思います。
○岡原政府委員 お尋ねの大物、小物の区別につきましては、私どもといたしまして、やはり事件は事件として、個個別々に具体的な適当な結論を出したいと思いまして、検察庁におきましても鋭意捜査続行中のようでございます。岡崎外務大臣の違反なるものも、目下横浜地検におきまして鋭意捜査続行中でございまして、ただいまも御指摘のように、出納責任者の金子四郎という人物が所在不明になつております関係上、事件の最も核心とされるところがわからないままに未済になつております。従いましてこの金子四郎が出て参りますと、事件の全貌がはつきりいたしまして、その上で最終的な判断を下し得ることになろうかと存じます。 なおその他のいわゆる大物につきましても、先ほど申し上げました通り、調べの済んだのは片つ端から処理いたしておりまして、大体半数以上すでに処理が済んだわけでございます。 なおついでに落選の方の候補者の件数を申し上げましても、落選関係で起訴が四十名、不起訴が三十三名、未済六十七名で、結局ちようど半数ほどが処理を終つておる次第であります。今後ともさ先ほど申し上げました通り、年末ではございますが、御指摘のように時効の問題もございますので、なるべく早く事件の最終的な決定をいたしたい、かように存じておる次第でございます。
○田万委員 ただいまの岡崎さんの選挙違反の問題ですが、金子四郎という人間を検挙しなければ、この事件は問題にならないというような状況になつているのですか、どうですか。
○岡原政府委員 大体お尋ねのような経過になつておるようでございます。国警におきましても、地元の自治警におきましても、この金子なる人物の行方について極力捜査の手を伸べておるようでございます。
○田万委員 私ども本職は弁護士をやつている者がこの委員会では多いのですが、金子何がしを検挙しなくとも、傍証的に客観的な犯罪の裏づけがある場合には、出納長といいますか、選挙事務長といいますか、そういうものがおらなくとも、起訴し得るものだと私は考えておる。具体的なその問題についても、やはりそういうことが考えられるのでありますが、この私の見解に対してどうお考えになりますか。
○岡原政府委員 およそ検察庁における事件の審理におきましては、ただいま御指摘のように、ある事件につきましては、特定の一人がおらなくとも、証拠固めができるという場合もございます。またある事件につきましては、特定の証拠物がなければとうてい起訴し得ないという場合もあるかと存じます。岡崎外務大臣の事件は、その特定の金子四郎なる人物が出ませんと、事件の真相がきわめて把握しにくいという事件でございます。別に大物、小物という関係ではなくて、事件がいまだ検察庁の心証を得るに至らずして起訴することもいかがかと思いますので、右左の心証をとるために、この金子という者の行方を探しておる次第でございます。
○田嶋委員長 松岡松平君。
○松岡(松)委員 それでは岡原刑事局長に、先に続いてお尋ねいたしたいと 思います。今度の公明選挙と選挙離反の摘発と、私はこれは本来関係のないことたと思うのです。ところがどうも検察当局でも、国警、自治警でも、これと関連しておるがごとく錯覚しておられる傾向がある。公明選挙であるから、選挙違反はすみくまなくやつつけて数を出せということで、警察官は数を上げれば成績が上るというので、はなはだしきに至つては、医者を動員してB一の注射をやつてまでやつているというに至つては、私はまことに奇々怪々な問題だと思う。犯罪があれば摘発するのは至当でありますが、公明選挙とは関係ありません。ところが現実は、公明選挙であるから摘発の数を出さなければならぬというふうに錯覚されているのであります。そのためにもう警察官は血眼である。方々で聞くのですが、B一の注射をやつて不眠不休でやつている。選挙違反というものを犯す人は、みな土地において相当の、多かれ少かれ人々の信頼を受けている人でなければ、選挙違反を犯すわけがない。それをはなはだしきに至つては、事前運動に名をかりて、みな逮捕状を出している。そしてつかまえておいて、選挙違反の事実をつかまえようというのが、今度のやり方では非常に多い。そこでお聞きしたいのは、一体事前運動はどの程度まで取調べろという方針であつたのか。それから先ほど申し上げたように、選挙中尾行ということを一体考えられたかどうか。張番ということを一体考えておられたどうか。それから手錠です。手錠取締りということは一体どうなつているか。手錠をはめて尋問することはいけないということについては、これはわれわれの常識でありますが、検察当局並びに検察事務官、司法警察官に対して、どういうふうに法務当局は、この取扱いに対して訓示をしておられるかどうか。現実においては検事、司法警察官、それから検察事務官は、手錠をはめながら尋問というものをざらにやつている。これはずいぶんある。そして判こを押すときだけ手錠をはずさしておる。これはおそらく法務当局の指示、徹底が欠けておつたのじやなかろうか。 それから先ほど申しました板の間での人権蹂躙に関してですが、板の間にござを敷いたところに三日間も置いておる。そして三日後に畳を持つて来て、畳の部屋へ入れておる。これなんかは明らかに拷問です。板の間の上に十月の寒空に寝かすなどということは、ゆゆしい問題であります。 それから逮捕状、この逮捕状というのは、どういう限界において出されるのか。これは私は一つの方針というものがあるべきじやないかと思つております。たとえば選挙違反なんかで、戸別訪問程度のものを、はたして逮捕状をもつて取調べる必要があるかどうか、私はこれは問題だと思う。 それから先ほど申しました、二百数十円もらつたもらわないということについて、逮捕状を出して、しかも十数日も拘禁をする必要があるかどうか。こういう点について、当局の第一線に対する指令が不徹底なために、こういうことが行われて来るのじやなかろうか。それから公明選挙と選挙違反の摘発との、まことに誤れる観念、そのために、警察官の成績を引上げるということ。それから埼玉県の鳩ケ谷、浦和地区で頻々として行われたことだが、自由党支部の選挙前における会合の取調べを、非常にやかましくやつた。それのみならず、選挙前に料理屋を片つばしから警察官が調査したために、料理屋がふるえ上つて、ために営業は半減した。こういうことになりますと、営業妨害です。具体的な事案があつて取調べるのは、これは仕方がない。ところが抽象的に、お前のところにどういう人間が来ているか、一々全部について書き出せということになりますと、これは完全なる営業妨害であります。こういう事案も現われております。 そういうわけでありまして、逮捕状を事前運動にからんで多く出して、そうして拘禁中にどろを吐かせよう、こういうやり方が非常に行われている。ですから先ほど申しましたように、現行法制下においても、逮捕状を出すという問題については、刑事政策というものは、はつきり言うと徹底していないじやないか。ために今地方ではこういう空気がある。結局警察フアッシヨで、もう警察官ににらまれたら、生存もあぶないという空気が出ているところがある。今言う泊の地区へ行つて、局長みずからひとつお調べになればわかるが、人民はふるえ上つている。これから選挙なんかに関係すべからざるものである。やられては六親眷族皆殺しだ、こう言つている人すらある。こうなつて来ますと、事は一人、二人の人権蹂躙じやない。そこで岡原刑事局長にお伺いしたいのですが、この事件については、被告七名に対して、次席検事が筆頭となつて五名の検事が立ち会つた。ほかの事件では一人でやつているのに、この事件に関する限り五名の検事でやつた。慎重を期されるのはけつこうですが、被告並びに証人は、それでは重大な圧迫を感じます。ほかの事件には一名の検事でやつて、この事件に関する限り、次席検事筆頭で、五名も出て来るということは、異例に属する処置である。要するに、先ほど申しましたように、森山著長が首をかけて、職を賭しているということは、言いかえて申しますれば、これは遺恨捜査です。何らかの遺恨を持つてやつている。伝え聞くところによると、氷見県会議員に対する造恨を持つているとうわさされている。これに至つては、徹底的にこういう一つの事案をお調べになつて、処分すべき者は処分し、正しからざる者は正しからざるということを明示していただかぬと、旧民は安心いたしません。私は、あれこれと多く手をつけていただいて、龍頭蛇尾に終るよりは、一つポイントを指してやつていただかぬと困ると思うが、今の手錠の問題、板の間の件、それから逮捕状の限界、それから現在逮捕状を出すについて、判事はいともたやすく判こを押しておるらしい。この事実はどうか。これらに対する当局の考え方をひとつ承りたい。
○岡原政府委員 いわゆる公明選挙と違反検挙との関連性の有無の問題でございますが、私どもといたしましては、先ほど公明選挙の声もありと申し上げましたのは、それだから特にどうという意味ではないのでございまして、ただ一般的に輿論が、その当時選挙は公明であるべきものということを強く主張しておりましたので、違反が出ましたならば、これはまた一応取調べをしなければいかぬじやないか。これを放任いたしますると、結局違反してもいいものだというふうな錯誤に陥らしめるおそれもございますので、出ましたものは、これは選挙干渉の疑いを受けないような方法で、適当に処理するようにというふうな指示がしてあつたのでございます。従いまして、いわゆる事前運動の検挙につきましても、これを特に厳重に、あるいは何でもかんでも掘り出してやれというような指示はいたしていないのでございまして、事前運動の点についても、十分考慮を払うようにという意味で、指示が出されておつたのでございます。 具体的な、いろいろの不穏当る点につきまして、これを一応一つずつ申し上げますれば、張番、尾行等の問題は、私どもといたしましては、予期をいたしておりません。これはもしありとすれば、もつぱら現地の警察官において、その当時の状況で、これを犯罪捜査の一つの方法として考えたのかもしれませんけれども、それは私どもといたしましては、選挙運動の期間中にかようなことを大つぴらでやつて、そうして運動員が自由なる運動ができなくなるような事態は、極力防止すべきものと考えます。従いまして、お言葉もございますし、今後選挙の問題がありました際には、こういう点につきましては、十分指示をいたすつもりでございます。 手錠の問題でございますが、一応法律的な建前といたしましては、監獄法の第十九条と、その施行規則に手錠を使つてもいいような、一応の根拠がございます。ただ具体的な問題といたしまして、選挙違反のごとき、ただいまお話の通り各町村の有力者あるいは各市の有力な方々がひつかかる場合が多いのでございます。さような人たちに対しましては、おそらく逃亡とかいうふうなおそれも少いことだと存じますので、具体的な場合には、多くの場合手錠は用いないのが常則でございます。ただ今申した通り、たとえば自殺のおそれがあるとか、あるいは逃亡のおそれがあるというふうな具体的な事案がございますれば、これはその場の担当看守の判断によりまして、これを用いてさしつかえないということになつております。その場合におきましても、多く検察庁で調べる場合においては、検事が、まあはずしてやりなさいということを担当の看守に申しまして、看守は一応上司の指揮を仰いでこれをはずすというのが多いのでございますが、たまたまいろいろのことから、その行き違いができて、御指摘のような不始末が出るのだと存じます。これも今後かようなことの起らぬように十分手当をいたすつもりでございます。 被疑者をとまらせる部屋が、板の間にござというふうな、非常にそまつなものである、これも人権擁護の建前から申しましてもまことにごもつともなお話でございますので、かようなことはいずれ警察の方に十分伝えまして、今後注意するようにいたしたいと存じます。 逮捕状の問題でございますが、これは具体的には刑事訴訟法の百九十九条に逮捕の要件が書いてございます。従いましてこの要件に合致するのでなければ、逮捕状を出せませんし、またこれを請求すべからざるものと存じます。ただ今度は一つ一つの事件におきまして、これがはたして百九十九条の要件を満たしておるかどうかという問題になりますると、これはかなり問題がございまして、非常に小さなこまかい事件等は、これを逮捕等の手続なしに、任意出頭の形で調べるのが、お話の通り妥当だと私は存じます。従いましてそういうふうなこまかい事件をきつかけにして、逮捕状を濫発するというふうな傾向は、極力これを是正すべきものと存ずるのでございまして、この点も今後十分戒心したいと存じます。 なお実際の検挙に当りまして、党支部の政治活動にまで容喙するというふうなことは、これまたわれわれの検挙の方針としてはあり得べからざることでございまするが、おそらく土地の警察等がそれをもつて特定候補者の選挙運動と見誤つたのではないかと存じまするので、かような点は捜査技術の不手際と存じます。今後その点も捜査の方法として十分指導して行きたいと存じます。 さらに、こまかい問題でございますが、たとえば料理屋の一々のお客さんの名前を書き立てさせるとかいうふうなことも、捜査の方法としてはまことにまずい方法でございまして、これまたかようなことがたび重なりますと、お言葉のように、警察フアツシヨというような声も出て参る次第でございます。かような警察万能主義というふうなことはいろいろな国民の声やはりためて行かなければならぬものだと存じますので、私ども捜査担当の者といたしましても、われわれの方の部面からさような間違いの起らぬように、十分な指導をやつて行きたいと存ずるのでございます。 泊地区の具体的な問題につきましては、ただいま調査中でございますので、後日また資料の集りました上で、お答えいたしたいと存じます。
○松岡(松)委員 戸田人権擁護局長に……。この地方人権擁護委員に対する人権擁護活動についての指示というものは一体十分に行われているのでしようか。
○戸田政府委員 御承知の人権擁護という仕事は非常に困難なしかも新しい仕事でございますので、中央の一人権擁護局すなわち役所だけでは容易にこの仕事ができないというふうな建前から、地方の学識経験者その他人権擁護に熱意のある有力な方々を各市町村から御推薦願つて、法務総裁が委嘱いたしております。各いずれも学識その他経験においてもりつぱな方を選んでおりまして、人権擁護の啓蒙活動等においてはかなり活発に仕事をしていただいております。ただ侵犯事件の調査等につきましては、なかなか奮の方が他の公職を持つておられるというような関係、またたいへん遺憾でございますが、予算面等から十分な活動をしていただけないような実情にございます。もちろんさような状態のままに置いていいとは考えておりませんので、そうしたりつぱな人権委員の方々がもつと積極的に、しかも有効な活動のできるようにいたしたいと考えております。
○田嶋委員長 他に御発言がなければ、本日はこの程度にいたし、次会は明十日午前十時から開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十七分散会