文部委員会 第18号
- 発言数
- 24 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/03/12
会議録
○伊藤委員長 ただいまより開会いたします。 学校教育法等の一部を改正する法律案を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。廣瀬政務次官。
○廣瀬政府委員 今回提出の学校教育法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。 この法律案は、教科用図書の検定を文部大臣において行うことを明確にするため、学校教育法を初め、教育委員会法、私立学校法及び文部省設置法などの関係の四法律の一部について改正を加えることを内容とするものであります。 従来教科用図書の検定については、今申し上げました四法律にそれぞれ規定があります。すなわち学校教育法においては、教科用図書は監督庁の検定もしくは認可を経た教科用図書または監督庁において著作権を有するものとし、その監督庁は、これを当分の間、文部大臣と定めているのであります。また文部省設置法においても、文部省の初等中等教育局において当分の間教科用図書の検定を行うこととしているのであります。他方、教育委員会法及び私立学校法によりますと、都道府県の教育委員会または都道府県知事が教科用図書の検定を行うこととしながら、用紙割当制が廃止されるまでは、文部大臣が行うものとしているのであります。これらの法律相互間の調整は、早急にはかられなければならない問題であります。 ところで、教科用図書は、学校教育における主たる教材として、重要な使命を持つているものであることは申すまでもないことであります。そこで今後一層この教科用図書の内容を充実し、初等中学教育の水準を維持し、さらにこれを向上させるためには、教科用図書の検定は、これを文部大臣において行う必要があるのであります。この趣旨にのつとり、かつはさきに申し述べました法律上の調整をはかるため、今般関係法律を改正して教科用図書の検定権の所属を明らかにし、文部大臣に属せしめることとしたわけであります。 以上この法案の提案理由について御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同賜わらんことをお願いいたします。
○伊藤委員長 次に同案について政府委員より補足説明を聴取いたします。稻田政府委員。
○稻田政府委員 この法律案の趣旨につきましては、ただいま御説明申し上げた通りでありますが、なお若干の説明を補足いたしたいと存じます。 教科用図書の検定につきましては、先ほどの大臣の説明にありましたように、現在学校教育法、文部省設置法、教育委員会法、及び私立学校法にそれぞれ規定があるのであります。 本法律案は、教科用図書の内容の充実と教育水準の維持向上をはかるため、これら四法律間の関連規定を調整し、整備し、教科用図書の検定は文部大臣において行うこととしようとするものであります。 次に各條につきまして内容を御説明申し上げます。法案の第一條は学校教育法の一部改正でありますが、まず現行法について申し上げますと、学校教育法第二十一條第一項におきましては「小学校においては、監督庁の検定若しくは認可を経た教科用図書又は監督庁において著作権を有する教科用図書を使用しなければならない。」とされており、この規定は第四十條によつて中学校の場合に準用されております。従いまして、本法律案第一條は、さきに申し述べました趣旨にのつとり、同法第二十一條第一項中の「監督庁の検定若しくは認可」を「文部大臣の検定」に、「監督庁において」とあるを「文部大臣において」に改めようとするものであります。認可規定を削除いたしましたのは、検定教科書が普及しました現在においては、もはやこの制度を存続せしめる必要がなくなつたからであります。 次に同條第二十三條及び第二十六條中の「市町村立小学校の管理機関」を「市町村の教育委員会」に改め、現行第百七條を削除いたしましたのは、教科用図書の検定と直接関連するものではありません。御承知の通り、昭和二十七年十一月一日全市町村に教育委員会が設置されましたので、昭和二十七年十一月一日以降は、すべて各市町村に置かれた教育委員会が市町村立小学校の管理機関となりましたので、これを明確にいたしますために改正を加えたものであります。 次に第四十九條及び第五十一條の規定の改正でありますが、これは高等学校の教科用図書に関するものであります。現行法によれば、高等学校並びに盲学校、聾学校及び養護学校の教科用図書につきましては、第四十九條及び第七十三條の規定により、監督庁がこれを定めるものとし、その監督庁は、第百六條第一項の規定により、当分の間文部大臣とするとなつているのであります。この規定に基き、文部省令たる学校教育法施行規則第五十八條におきまして、「高等学校の教科用図書は、文部大臣の検定を経たもの又は文部大臣において著作権を有するものを使用しなければならない。前項に規定する教科用図書のない場合に使用すべき教科用図書は、校長が、これを定める。」とし、この規定は、盲学校、聾学校及び養護学校にも準用されているのであります。 このように高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教科用図書の検定につきましては、学校教育法において直接規定していないのであります。しかし、教科用図書の検定の重要性にかんがみ、これを法律において規定することを適当と認め、小、中学校に関する規定を準定を準用することといたしまして、第四十九條、第五十一條及び第七十六條に改正を加えたわけであります。 なお、これらの学校の教科用図書については、高等学校並びに盲学校、聾学校及び養護学校の高等部の教科、特に職業教科は多岐にわたつており、その発行部数も少いという関係上、検定教科書及び文部省著作教科書の発行を行うことが困難な事情から、まだ必要な教科用図書が十分行き渡つていない事情でありますので、現在学校教育法施行規則第五十八條において認めているような特例措置を必要といたしますので、第百七條を新設してこの特例を認めるようにしたわけであります。 第二條は教育委員会法の一部改正であります。教育委員会法第五十條第二号におきましては、都道府県教育委員会が行う権限の一つとして、文部大臣が定める基準に従い、都道府県内のすべての学校の教科用図書の検定を行うことを掲げております。 さらに、同法第八十六條におきましては、教科用図書の検定は、第五十條第二号の規定にかかわらず、用紙割当制の廃止されるまで、文部大臣が行うものと規定しているのであります。今後、文部大臣が検定を行うことといたしますので、これらの規定を削除し、並びに第四十五條及び第四十七條中検定に関する字句を削除したのであります。 第三條は、私立学校法の一部改正であります。私立学校法第七條におきましては、都道府県知事の権限として、教科用図書の検定を規定しています。さらに、同法附則第十三項におきまして、この権限は用紙割当制が廃止されるまで文部大臣が行うものとされているのであります。第二條の教育委員会法の改正の場合と同様の趣旨によりこれらの規定を削除することとしたわけであります。 第四條は、文部省設置法の一部改正であります。文部省設置法附則第十項におきまして、初等中等教育局の事務といたしまして、当分の間教科用図書の検定を行うことが規定されておりますが、第一條の学校教育法の改正に伴い、この事務は一般的に文部大臣の権限となりましたので、第五條の文部省の権限及び第八條の初等中等教育局の事務として新たに規定を加えたわけであります。 以上補足説明を終ります。 —————————————
○伊藤委員長 次に大日本育英会法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。廣瀬文部政務次官。
○廣瀬政府委員 ただいま議題になりました大日本育英会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 昭和十九年大日本育英会法施行以来、大日本育英会は年々堅実なる発展を遂げ、今日まで同会を通じて学資の貸与を受け、その勉学を続けることができた学徒はきわめて多数に上り、国家的な育英事業として多大の成果を収めて参りましたが、その後の諸般の事情の変化に伴い、現行法の一部に必要な改正を加えることが適当であると考え、この法律案を提出するものであります。 改正の第一点は、大日本育英会の名称を日本育英会に改めることであります。 改正の第二点は、学徒に対する貸与金の無利子、その返還期限と猶予の方法など学資の貸与の條件を、法律に明記したことであります。 改正の第三点は、義務教育に従事する教員と高度の学術研究者を確保するため、学資の貸与を受けた者が、実際にそれらの職に一定年数以上従事した場合に、その貸与金の返還を免除できる規定を新たに設けたことであります。 改正の第四点は、政府が日本育英会に対し、学資の貸与に要する資金を無利子で貸し付けることができることを法律に明記したことであります。 改正の第五号は、日本育英会が学資の貸与を受けた者に対して貸与金の返還を免除した金額に相当する額について、政府が日本育英会に対して貸付金の億還を免除できる規定を設けたことであります。 改正の第六点は、日本育英会に対する大蔵省預金部からの借入金の利息及び貸与された者の死亡による日本育英会の損失に対し、政府が補助金を交付することができる規定を削除したことであります。 改正の第七点は、日本育英会の役員に対する罰則について、過料の金額を現在適当であると思われる額にまで引き上げたことであります。 以上申し上げましたのが、本法案の提案理由及び内容の概要であります。どうか十分御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願いいたします。
○伊藤委員長 さらに、同案に対して政府委員より補足説明を聴取いたします。稻田政府委員。
○稻田政府委員 大日本育英会法の一部を改正する法律案の概要を補足して御説明申し上げます。 改正の第一点は、名称の変更でありまして、昭和十九年四月現行法施行後の諸般の情勢の変化に伴い、これを改める方が適当であると考えられておりましたが、これまでその改正を行う適当な機会がなかつたので、今回これを取上げ、法律の題名、條文その他関係法令中の「大日本育英会」を「日本育英会」に改めるものであります。 改正の第二点は、学徒に対する貸与金の貸与の條件を法律に明記したことでありまして、貸与金に利息をつけないこと、その返還の期限は政令で定めること、及び特定の場合にその期限を猶予できることなどを規定したものであります。これら無利子と返還猶予は、従前も実施されて来たことでありますが、次に申し上げます返還免除の規定との関連において、これを法律に明記する必要が生じたわけであります。 改正の第三点は、貸与金の返還免除に関する規定を新たに設けたことであります。死亡などによる免除はこれまでも実施して参りましたが、次の二つは新しい規定であります。その一は、旧制師範学校時代の給費制度が、新制大学の設立とともに日本育英会による奨学金貸与制度に切りかえられましたが、これらの貸与を受けた者が、修業後一定年数以上継続して義務教育関係の職に実際に従事した場合には、その在職年数に応じて貸与金の全部または一部を免除する方法を講じ、必要な教員数を確保しようとするものであります。その二は、従来大学院特別研究生として、修業後高度に専門的な学術研究に従事しようとする学生に給費を与える制度がありましたが、昭和二十四年ごろからこれも奨学金貸与の制度に切りかえられましたので、その一と同様な方法で返還を免除し、必要な研究者を確保しようとするものであります。 改正の第四点は、政府貸付金及びその無利子の規定に関するものでありまして、昭和二十一年に大蔵省預金部からの資金の借入れがなくなつて以来、今日まで実際に行つている政府の貸付とその條件を、次に述べます償還免除の規定との関連において法律に明記したものであります。 改正の第五点は、先ほど申し上げました死亡、不具廃疾者、義務教育従事者及び特別の教育または研究の従事者に対する返還免除によつて生ずる日本育英会の損失を、政府がそれに補助金を与えて補うかわりに、それに相当する金額だけ政府に対する償還の義務を免除することによつて補償しようとするものであります。 改正の第六点は、現行法第二十八條第一項及び第二項の削除であります。第一項は、大蔵省預金部からの借入金の利息に対し、政府が補助金を交付し得る規定でありまして、現在預金部からの借入金は、ほとんどその償還を完了いたしましたので、不必要な規定として削除するのであります。第二項は、学資を貸与された者の死亡によつて生ずる日本育英会の損失を、毎年度一定の方式によつて算出した政府の補助金によつて補い得る規定でありましたが、これらに対しては、前の改正の第五点で申し述べました通り、政府に対する償還を免除する方法が適用されますので、不必要な規定として則除するのであります。 改正の第七点は、現行法の第六章罰則の條項中、過料の金額が制定当時のままでありますから、最近の類例法規にならい、「千円」を「三万円」に、「五百円」を「一万円」に改めることであります。 —————————————
○伊藤委員長 次に、教育職員免許法の一部を改正する法律案、辻原弘市君外二名提出、及び教育免許法施行法案、辻原弘市君外二名提出を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。辻原弘市君。
○辻原委員 ただいま議題となりました教育職員免許法の一部を改正する法律案、及び教員免許法施行法案につきまして、一括してその提案理由を申し述べます。 現行の教育職員の免許状制度は、著しく複雑多岐にわたつているため、教育上少からずの混乱と弊害を及ぼしている状況にかんがみ、免許状の種類を簡素化し、免許状の授与を適正にするため、教育職員免許法及び同法施行法に所要の改正を加える必要を認めましたので、この法律案を提出するゆえんであります。 以下この法律案提出の理由と法案の要点について簡単に説明いたしたいと存じます。 占領下に制定された日本の法律の中で、日本の実情に即さないいわゆる行き過ぎの法律の代表的なものとして、現行の教育職員免許法並びに同法施行法をあげざるを得ません。このことはいまさら言うまでもなく、現行法の立案に直接あたつて来られた文部省自身が最もその間の事情を察知しておられるはずであります。この法律の制定並びに施行後の免許法認定講習の実施をめぐつて、教育現場の教員諸君に多大の困惑と動揺を与えて今日に来ている事実が、これを証明していると思うのであります。 政府は去る三月五日、教育職員免許法及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案の提案理由において、「免許法の所期の目的が、着々実現されつつありますことはまことに御同慶の至りであります」と述べていますが、現行免許法について今日なお、現場の教員諸君から天下の悪法として事ごとに忌避され、かつ文部省自身が悪法であることを十分認めて来たにもかかわらず、悪法たる要素を現に有している現行免許法の免許事務が順調に進んで来たことが御同慶の至りであるとは、どうしてもその真意が解せないのであります。問題は、現行免許法の施行によつて教育全般にいかなる影響を及ぼしているか、その実体を正しく認識することが先決問題であると思うのであります。 免許法の改正問題が起つた当時、時の天野文相を初め文部省事務当局が繰返し、「現場の教員が要求する抜本的改正の趣旨は十分了解できるが、この法律は占領下における法律としては、これ以上改正することは不可能であるので、講和独立後において日本の実情に合致した改正案を提案する」ということを明言して来たのであります。しかるに政府は現行の免許法並びに同法施行法が今日現場の教員、児童生徒、その他教育全般に及ぼしている混乱と弊害の原因をなくするため、積極的にこれを改正しようとしないで、若干の不合理を是正する糊塗的な改正にとどめていることはまことに遺憾に存ずるのであります。政府提案による今回の改正法律案もまつたくその域を脱していないといわざるを得ないのであります。 新しい教育制度に合致した教育免許制度をもとより否定するものではありませんが、しかしそれは教員の任用並びに研修とは別個の立場で教員たる資格を付与するための最小限度の資格要件とその基準の規定にとどめるべきであつて、任免並びに研修の本来的なものと関係づけるがごとき要素は、一切これを除去するのが妥当であると思うのであります。 現行免許状制度では、一般教員にあつては学校種別ごとに、一級、二級、仮、臨時の四段階の免許状にわかれ、さらに校長、教育長、指導主事にあつては、それぞれ一級、二級、仮の三段階にわかれているので、現場の教員は上級免許状の授与を受けるため、児童生徒の教育並びに自主的な研修を犠牲にしてまでも単位修得に忙殺されている現状は、教育上ゆゆしい問題であると思うのであります。こうした事実に対し、文部省あるいは単位を修得して免許状の授与を受ける受けないはまつたく各自の自由であり、強制でないから、それぞれの置かれている條件に応じて認定講習、通信教育、あるいは試験検定による適当な方法で単位を修得すればよいのであつて、それは教員各自の自覚の問題であると弁明されるかもしれません。私はもとよりこうした意見を全面的に否定しようとはしませんが、結果的に教員諸君をこうした立場に立たせている現行免許状制度の行き過ぎを率直に認めざるを得ないのであります。 およそ教育に関する一切の法律は、あくまで教育本来の目的を実現するための法律として制定され、また改正されなければならないと思うのであります。教育基本法に明示されている教育の目的、すなわち「教育は人格の完成をめざし、平和な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」とありますように、教員はこの教育の目的を実現しなければならないという自覚のもとに、ひたすら児童生徒の教育に精魂を傾けて携わるために、現行の教育職員免許法及び施行法がいかなる役割を持ち、またいかなる影響を及ぼしているかを考えるとき、先ほど述べたように教育上少からずの混乱と弊害を及ぼしている事実を率直に指摘せざるを得ないのであります。ここに本法案提出の理由があるのであります。 次にこの法案の要点について説明いたしたいと存じます。 第一は、現行の免許状制度における一級、二級、仮、臨時の体系を廃止し、免許状の種類を教諭免許状、助教諭免状の二種類としたことであります。すなわち、各学校種別を通じて免許状授与の学歴基準を一元化するとともに、教諭免許状は大学四年卒業の学力を有する者に、助教諭免許状は高等学校卒業以上の学力を有する者に与えることとし、助教諭免許状を有する者が教諭免許状の授与を受けることのできる所要資格を、それぞれの基礎資格に応じて一定の在職年数と最低単位数を満たしたものとしたことであります。 第二は、現行の免許状制度における校長、教育長、指導主事の免許状を廃止したことであります。すなわち、教諭免許状、助教諭免許状の上にさらに校長、教育長、指導主事の免許状を設けることは、教育職員の免許体系をいたずらに複雑化し、教育職員の自主的な教育活動と地についた研修を阻害し、弊害を起している現状にかんがみ、これを廃止し、校長、教育長、指導主事は、教諭免許状の所有者で相当の教育経験を有し、その職務遂行の能力十分とみとめられる者を、教育公務員特例法の定める任用規定により、教育委員会が任用する方途を講じたことであります。 第三は、助教諭免許状を有する者が教諭免許状の授与を受ける方途として、学校教育、認定講習、通信教育のほかに、文部大臣が大学に委嘱して行う試験の合格による単位によつても、教諭免許状の授与を受けることのできる試験検定制度を採用したことであります。 第四は、免許状の効力期間と効力範囲の制限を廃止したことであります。すなわち、現行免許制度では、臨時免許状及び仮免許状に関して、その効力に制限を加え、なかんずく臨時免許状の効力期間については、原則として一箇年、特例として二年ないし三年間としているため、当該教員は年度末人事異動をめぐつて常に不安と動揺を感じ、おちついて児童生徒の教育に精魂を傾けて専念できない條件に置かれていることは、教育上きわめて好ましくないことである思うのであります。従いまして、免許状の授与と任免はおのずから別の問題であるという原則に立つて、免許状の効力によつて受ける不安と動揺を一掃するため、免許状はすべての都道府県において効力を有するようにしたのであります。 第五は、免許状取上げ処分の濫用を防止するため、所要の措置を講じたことであります。すなわち現行法では「免許状を有する者が、法令の規定に故意に違反し、又は教育職員たるにふさわしくない非行」があつたとき、免許状取上げ処分を行う規定になつていますが、これは何人といえども法を犯してはならないことは当然でありますが、前者の場合は司法処分または適当の方法で行うべきであり、後者の場合はまつたく認識の問題であり、程度の問題であり、悪用されるおそれがあるので、これらの規定は廃止されるのが望ましいが、現段階においては、その濫用を防止するため、「特にその情状が重いと認められるとき」と改正を行つたことであります。 第六は、大学において養護教諭を直接養成することができる規定を設けたことであります。すなわち、養護教諭の職務の重要性にかんがみ、教諭はすべて勤務する学校の種類、担当科目、職務の種類等によつて差別されてはならないという基本的立場から、養護教諭の養成に関して他の教諭と同様、大学においても直接に養護教諭を養成することができる規定を設けるとともに、保健婦、助産婦、看護婦法の一部改正に伴い、養護教諭養成機関における従来の養成方式に関する規定の一部を改正したのであります。 最後に、教員免許法施行法案の要点について、簡単に申し述べたいと思います。この法律案は、教育職員免許法の一部を改正する法律案の施行の際、現行法による教諭一級普通免許状、教諭二級普通免許状、教諭仮免許状、または助教諭免許状を有し、有する者とみなされ、またはその授与を受けることのできる者に対する切りかえ措置を規定するとともに、教育職員免許法の一部を改正する法律案及び教員免許法施行法案により助教諭免許状を有し、有する者とみなされ、またその授与を受けることのできる者で、相当の経験年数を有する者が教諭免許状の授与を受ける場合の特別措置を規定したものであります。 以上申し述べましたのが、教育職員免許法の一部を改正する法律案及び教員免許法施行法案の提案理由並びにその要点であります。詳細の点につきましてはいずれ御質疑の際にお答えいたします。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。 —————————————
○伊藤委員長 次に、教育委員会法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案、田中久雄君外二百三名提出、衆法第四四号を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。田中久雄君。
○田中(久)委員 教育委員会法及び教育公務員特別法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案の説明をいたします。 教育委員会法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律に伴う関係法令の整理等に関する法律案の逐條説明を申し上げます。 第一條は、学校教育法の一部改正であります。これは現行教育委員会法におきまして、都道府県教育委員会で教科用図書の検定ができることになつておりますが、この教科書が学校教育法におきましては文部大臣の検定した教科書のみを教科書といたしておりますので、その不備を直したのでございます。 第二條は、地方自治法の一部改正でありますが、これは教育委員会法第四十九條、第五十條等の改正に伴う整理であります。 第三條は、教科書の発行に関する臨時措置法の一部改正でありますが、これも都道府県教育委員会の権限にある検定権についての法の不備を直したものであります。 第四條は、市町村立学校職員給与負担法の一部改正でありますが、これは任免権の移動に伴う整理であります。 第五條は、文部省設置法の一部改正でありますが、これは学校教育法の改正に伴う整理であります。 第七條は、社会教育法の一部改正でありますが、これは教育委員会法第三十一條削除及び教育委員会の置かれていない市町村についての特例を設けたことに関する整理であります。 第八條は、私立学校法の一部改正でありますが、これは都道府県委員会の検定権に伴う整理であります。 第九條は、学校施設の確保に関する政令の一部改正でありますが、これは教育委員会を置かないことができることとしたことに伴う整理であります。 第十條は、公職選挙法の一部改正でありますが、これは教育委員会不設置の條例廃止の場合に関する整理であります。 第十一條は、図書館法の一部改正でありますが、これは教育委員会不設置の場合の整理であります。 第十二條は、産業教育振興法の一部改正でありますが、これも教育委員会不設置に伴う整理であります。 第十三條は、博物館法の一部改正でありますが、これも教育委員会不設置に伴う整理であります。 以上の通り整理いたしましたので、何とぞよろしく御審議の上、可決あらんことをお願いいたします。 —————————————
○伊藤委員長 次に勤労青年教育振興法案、矢嶋三義君外十九名提出、参法第一一号を議題といたします。 本案は予備審査の法案であります。提出者より提案理由の説明を聴取いたします。矢嶋三義君。
○矢嶋参議院議員 勤労青少年教育振興法案のご審議を願いますにあたり、発議者を代表いたしまして、私から本法案の立案の趣旨を御説明いたしますとともに、その内容の概略について申し上げたいと存じます。 終戦後、わが国が、極度の疲労困憊のまつただ中におきまして、非常な苦心を払い、義務教育の年限延長や、それに伴う多方面の教育制度の改革を断行いたしましたのも、ひとえに、新憲法および教育基本法において明示された、教育の機会均等の保証という新教育制度の基本原則に従つたものでありまして、これによつてさらに、国民の教育水準を向上させ、わが国の民主化を促進いたしますとともに、文化的経済的発展の基礎をつちかおうといたしたものと申さねばなりません。 しかしながら、このようにして発足いたしました新教育制度も、その後の実施状況を見ておりますと、そのすべての面にわたって、われわれははなはだしい不満を禁じ得ないものがあります。それはいたずらに基本原則だけが高く掲げられ、現実があまりにこれと懸隔しておることでありまして、義務教育無償の原則の場合は、その最もはなはだしいものでありますが、この教育の機会均等の原則につきましても、また同様の実情にあるものと認めねばなりません。 試みに昭和二十七年の義務教育終了者について申し上げますと、総数百七十二万余名の者のうち、高等学校の通常課程へ進学いたした者は、三八%にとどまり、その残余は、高等学校の定時制課程に進みました者一一%、高等学校通信教育を受ける者〇・二%を除きますと、全体の五一%、すなわち過半数以上のものは、能力のいかんを問わず主として経済的理由によりまして、それ以上の学校教育を断念いたしておるわけであります。年々大体このような割合で社会に送り出される青少年は、教養の面におきましても、また職業技能の面におきましても、なおきわめて未熟、不十分でありますことは当然でありまして、何らかの形式において、彼らが少くも高等学校程度の教育をさらに受け得るるよう、その対策が講ぜられない限りは、これらの青少年には、教育の機会均等はほとんど実質的には保障されていないものと申さねばなりません。 さらにまた高等学校課程を終了したものにつきましても、その多数の者は、現在ただちに職業につきます関係上、大学進学の道をはばまれております。これらの多くの青年が大学教育の機会均等を失つています重要な原因といたしましては、現在わが国の大学夜間部や大学通信教育の普及充実が不十分であることを指摘いたさねばならぬと存じます。 さて現在、わが国におきましては、勤労青年の学校教育施設といたしまして、定時制高校、高校通信教育、大学夜間部、及び大学通信教育等を数えることができます。 そのうち、まず第一に、定時制高校と高校通信教育について、その現状を申し上げますと、定時制高校と高校通信教育は、農山漁村等の僻地にまで、高校教育の普及をはかる場合には、最も適当な方法であります。 ことに定時制高校は、その教育活動が夜間とか、特別の時間、時期において自由に行われるものでありまして、働きながら通常課程の学校とまつたく同等の教育を履修いたし得るとともに、各自の好む教科をすきなだけ学べるという科目別履修の方法もありますし、またその学校施設と教職員を活用いたしますならば、社会教育講座や公民館の行う定期講座等を開設いたしまして、社会教育の振興にも多大の貢献をなし得るわけであります。従つて、義務教育を終えた勤労青少年教育の振興には、この定時制高校の普及拡充をはかることが最も有効適切な方法であると申さねばなりません。 ところが、現在この定時制高校の設置者は市町村の場合が相当多数に上つておりますが、市町村はすべて定時制高校に非常な熱意を持ちながら、義務教育の施設整備のために、その貧弱な財政のほとんどすべてを消耗いたしておる現状では、定時制高校にはほとんど手のまわらないことは、やむを得ないところであり、都道府県もまた、全日制高校のため、その高校教育費の大部分を費消いたしておるため、定時制高校に対する補助や、高校通信教育を充実する余裕は持つておりません。地方財政のこのような窮状をつぶさに考えますと、定時制高校や、高校通信教育の維持運営や整備充実には、もはや国の援助を求める以外には道のないことを痛感いたさないわけには参りません。 定時制高校の教職員給は、昭和二十三年度から施行されました市町村立学校職員給与負担法によりまして、義務教育学校の場合と同様に都道府県の負担となり、さらに同じく昭和二十三年から、公立高校定時制課程職員費国庫補助法によりまして、この教職員給の四割を国庫で負担することになつたのであります。昭和二十五年、この教職員給の国庫負担が平衡交付金に移行いたします直前には、この負担額は年額六億円に達するに至りました。 その後、平衡交付金に移りましてからは、府県に対する国の財源保障は、おのずからきわめて不明確となりましたため、現在その教職員定数は暫定基準(乙号表)にも達しない地方が多く、そのため生徒も向学の機会と意欲とを著しく減殺され、現場の教職員の苦労は名状しがたい現状であります。 第二に、大学夜間部と大学通信教育との現状を見ますと、まず大学夜間部は、国立三校、公立三校、私立三十一校、計三十七校にすぎないのでありまして、すでに数年前から各地に夜間部増設の運動が盛り上つております。 国は、国立大学の夜間部につきましてその設置に要する経費は地元負担の建前を主張していますため、ついに今日まで、その期待にこたえるに至つていないことは、はなはだ遺憾であると申さねばなりません。 次に、大学通信教育は、農村を初め、僻遠地等において果たしております役割は極めて重大でありますにもかかわらず、今日、大学卒業過程の通信教育部を置く大学は、私立の六校だけでありまして、しかも所要経費の関係で、まだ完全に卒業資格を得るような通信教育となつてはいない実情であります。 しかも、これらの大学夜間部や、大学通信教育は、いずれも、その特殊性のため、教職員の負担過重の傾向がきわめて著しく、教職員給や、運営費等において、国の積極的な充実、助成の措置がぜひとも必要なわけであります。 勤労青年教育の施設の現状は、およそ以上の通りでございますが、さらに進んで、勤労青年の就学問題につきまして考えますと、現在、勤労青年の就学をはばんでおります一般的原因といたしましては、ただいま述べましたような教育施設の不足不備が重大な原因をなしておりますが、さらに個人的原因を見ますと、その最も主要なものはもちろん経済的理由であります。このような就学困難な者に対して、育英資金貸与の大幅適用や、授業料の減免あるいは教科書用図書等の補助等によつて、奨学の措置を講ずる必要がありますことは、言をまたないであります。しかし勤労青年の就学問題についてさらに注目いたさねばならないことは、最近職場におきまして、職制強化や労働強化の影響を受け、定時制高校あるいは夜間大学に就学する勤労青年に対する圧迫が次第にはげしくなつておる事実であります。勤労青年に対しまして、真に教育の機会均等を保障いたしますためには、奨学制度の確立とともに、さらに進んで就学を保護する措置もまた必要となつて来ております。 およそ以上のような勤労青年教育の実情にかんがみまして、その振興のため、最も有効適切な法的措置をこの際早急に講ぜねばならぬと存じ、今回本法案を発議いたした次第であります。 次に、法案の骨子を申し上げますと、本法案におきまして、勤労青年と申しますのは、義務教育を終了した後、働きながら、学校教育法に規定された学校の教育を受ける者をさしております。 次に、勤務青年教育と申しますのは、定時制高校の教育、高校通信教育、大学夜間学部教育、及び大学通信教育をさしております。 本法案は、まずこのような勤労青年教育につきまして、国が地方公共団体と協力して、その振興をはかる任務を持つことを明らかにいたしますとともに、充実した勤労青年教育を実施して行くためには、国及び地方公共団体において、何よりもそれに従事する教職員の員数及び待遇について、特別の考慮を払わねばならぬことを規定いたしました。 次に、本法案が措置を講じました具体的な勤労青年教育の振興方法について申し上げますと、まず第一に、現在勤労青年教育において最も重要な役割を演じております定時制高校及び高校通信教育を普及充実いたすために各種の法的措置を定めました。 すなわち、まず都道府県は定時制課程の高等学校をでき得る限り広汎に設置して、高等学校の勤労青年教育の普及充実に努めねばならないことを規定いたしますとともに、公立の高等学校の勤労青年教育に従事する教職員の給与費等につきましては、地方公共団体において要する経費の実支出額の二分の一を国が負担することにいたしました。 次に、国は公立の高等学校が、勤労青年教育を行うために必要な施設設備で、文部大臣の定める基準に達していないものを、その基準まで引上げようとする場合等には、予算の範囲内において必要な経費の二分の一以内を負担することにいたしました。私立の高等学校が、勤労青年に対して教育を行います場合にも、教職員の給与費や施設設備費につきまして国は予算の範囲内においてその経費の二分の一以内を補助することができることになつております。 第二に、大学の勤労青年教育につきましては、国は、国立大学の場合は、夜間学部の設置及び通信教育の実施、並びに勤労青年教育に必要な施設設備の整備充実に努めねばならないことを明らかにいたしますとともに、公立または私立の大学については、予算の範囲内において、勤労青年教育の振興のため、特に必要と認められる経費の二分の一以内を補助することができるようにいたしました。 第三に、勤労青年の就学の奨励と保護につきましては、授業料の減免、学資の補助、及び教科用図書に関する特別の考慮や措置につきまして、それぞれ規定を置きますとともに、就学の保護に関しましては、使用者に一定の義務を定め、特に高等学校の定時制課程教育につきましては、罰則を設けて、就学の保護をさらに的確にいたすこととしました。 以上をもちまして法案の内容の説明を終りますが、本法案は附則におきまして、従来ほとんど国の助成対象から除かれて参りました各種学校を取上げ、一定の場合、国はその行います勤労青年教育に類する教育に対して必要な経費を補助し得ることにいたしました。 なお施行期日について一言申し上げますと、本法案は四月一日から施行されることを予定いたしておりますが、第六條、第八條第一項第一号、同條第二項及び附則第三項第一号の規定に限りまして、予算の措置等の関係上、その施行を昭和二十九年四月一日からといたしました。 以上がこの法律案の提案の趣旨及び内容の概略でございますが、勤労青年教育のまことに憂慮すべき現状にかんがみまして、慎重御審議の上、すみやかに御議決くださるよう切にお願い申し上げます。 —————————————
○伊藤委員長 この際議事日程を追加し、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。なお文部大臣はまだ出席に至りませんので、大臣に関係のない部分の御質疑をお願いいたします。細野三千雄君。
○細野委員 前会稻田局長から答弁保留になつておりました大学の教職員の給与の問題について……。
○稻田政府委員 前会の御質問に対しましては配付資料として差上げてございますが、ここでお答え申し上げますれば、国立大学の教授の俸給の最高と最低についてでございます。最高額は十五級の四号でございまして、本俸が六万九千円、勤務地手当が一万七千二百五十円、合せますると八万六千一百五十円と相なつております。最低額は十級の一号でございまして、本俸が一万七千百円、勤務地手当が四千二百七十五円、合せますと二万一千三百七十五円と相なつております。
○細野委員 先日私が大臣にお尋ねいたしました、大学教授では食べて行けないと言つて辞職をされました中野好夫教授、あの方はどのくらいの給与だつたのですか。
○稻田政府委員 十四級の一号と考えております。
○細野委員 そうすると幾らになりますか。
○稻田政府委員 十四級の一号でありますと、三万八千八百円ということに相なります。なお補足いたしますが、おやめになる最後の給俸のそ他につきまして、なおよく調査いたしまして、誤つておりますれば訂正いたします。
○細野委員 あとは大臣に対する質問であります。
○伊藤委員長 ただいま坂田理事を派遣しておりますが、大臣は参議院の予算委員会において六時過ぎまではどうしてもからだがあかないと申しますので、本日はこの辺で散会するに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議がなければ、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十六分散会