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15回国会衆議院1953/03/12

農林委員会 第31号

発言数
20
登壇者
3
会派数
2
開催日
1953/03/12

会議録

坂田英一自由党

○坂田委員長 これより会議を開きます。  有畜農家創設特別措置法案を議題といたし審査を進めます。質疑または御意見があれば発言を許します。井上良二君。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 この際畜産局の方から、二十七年度の有畜農家創設の進行状況及び二十八年度計画についての説明を伺いたい。

長谷川清農林事務官(畜産局長)

○長谷川政府委員 有畜農家創設事業の二十七年度の実施状況に関しましては、お手元に別途配付してあると思います有畜農家創設特別措置法(案)説明資料の第七の有畜農家創設事業進捗状況についてごらんをいただきたいと思います。一応各都道府県に割当てました割当額は、この表にありますように、総計二十二億六千七百三十万二千円でございまして、その家畜別の内訳は、その次の欄にありますような状態でございます。これが現在どの程度に進捗しておりますかと申し上げますと、この表は昨年十二月三十一日現在でございまして、最後の欄に各都道府県別に実際に消化いたしました金額を掲げてございます。その合計が十六億八百二十六万一千円。割当額に対します実施の金額は備考欄にありますように七二%ということに相なつております。大体われわれの今後の見通しといたしましては、この三月三十一日までにこの割当額は大体消化されるものというふうに考えておる次第であります。  それからなお二十八年度の有畜農家の計画でございますが、これはやはり同じ資料の第五のところに有畜農家創設計画戸数というのがございますが、その二十八年度の欄にありますように、頭数で申し上げますと乳牛を一万五千頭、役肉用牛を四万三千五百頭、馬を五千五百頭、めんようを二万一千頭、従つてそれを合計いたしますと八万五千頭をこの資金によりまして導入する計画でおりまして、その所要資金の合計は約二十二億円に相なつております。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 二十二億というのはどこに書いてあるのですか。

長谷川清農林事務官(畜産局長)

○長谷川政府委員 具体的に書きました表がございませんので恐縮でありますが、その金額の算出基礎を申し上げますと、乳牛につきましては一頭当り五万二千五百円、これは乳牛の単価七万五千円の七割を見たわけであります。役肉用牛は二万六千六百円、これは単価三万八千円の七割であります。馬が二万四千五百円、これは単価三万五千円の七割、めんよう五千二百円、これは単価七千五百円の七割、この単価を先ほどの頭数に乗じますると、その金額が二十一億八千九百六十万円ということに相なりまして、この金額を別途御審議を願つておりまする明年度予算書に要求をしておる次第でございます。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 そうしますと、二十一億八千九百六十万円の導入資金で利子補給はどのくらいいたしますか。  それからさらに、本法律では損失補償を予定しておるようですが、損失補償をするといたしまする場合は、このうちでどのくらいが損失になるという見込みを立てておるか、それからその予定されます地域、団体等は、全体の割当のどのくらいの率に当る見込みを立てておるか、その点を御説明願いたい。

長谷川清農林事務官(畜産局長)

○長谷川政府委員 先ほど申し上げました二十七年度の融資総額は二十二億五百八十四万円でございます。これに要しまする利子補給金額は、三年ないし四年に償還することになるわけでありますが、その償還完了までの合計の利子補給金額を申しますると、約三億二百万円になります。それから二十八年度の先ほど申し上げました二十一億八千九百万円の融資総額に対する償還完了までに要しまする利子補給総額は、三億七千七十五万円に相なります。しかしこれが本年度の利子補給金額は幾らかということになりますると、二十七年度の二十八年分の利子補給額とそれから二十八年度に融資いたしまするものの二十八年度の利子補給額ということに相なるのでありまして、その数字を申し上げますると、二十七年度に融資をいたしましたものに要する利子補給額は二十八年度一億一千二十九万二千円、それから二十八年度に融資をいたしましたその二十八年度の利子補給金額は八千二百十一万円、従いまして合計いたしまして二十八年度の要利子補給金額は一億九千二百二十四万二千円でございまして、この金額を明年度の予算に要求をいたしておる次第であります。  なお損失補償の具体的な予想見込みはどうであるかというお尋ねでありまするが、御承知のように、現在やつております創設事業資金は、原則として農林中央金庫の資金を単位農業協同組合を通じて融通をするという建前になつておる関係上、単位農業協同組合の信用力が貧弱な場合には、中金資金が円滑に導入されないおそれがありますので、それを保証いたしまする意味におきまして損失補償の制度を設けるということに相なるのであります。しかし私たち抽象的な考え方といたしましは、御承知のように農家に家畜を導入いたしますことは、これによつて農家の土地の生産力を高め、ひいては農家経済の安定に資し得るものであるというふうに確信をいたすものでありまして、従つてその償還につきましては、個人といたしましては、さほど危惧する必要は少いのではないかと考えるのでありますが、その属しておりますところの農業協同組合の資力が非常に薄弱であるために、資金の融通を受けられないということは、きわめて不適当でありますので、それを打開するという意味でこの補償の道を開くというふうに考えておるのであります。従いまして具体的にどの程度損失補償が必要であるかということにつきましては、私たちはそうたくさんの損失補償をする必要は、具体的には少いであろうというふうに考えるのであります。もちろんいろいろの事情によりまして、損失補償の必要が具体的には起り得る場合があると考えますので、一応三割程度の損失補償をいたしますれば、所期の目的を達し得るのではないかというふうに考える次第であります。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 昨二十七年度の家畜導入計画に基いて、各都道府県から政府に対して、かくかくの家畜を導入したいというそれぞれの政府の実施要綱に基く要請があつたはずであります。その要請の全体の要求はどのくらいになつておりますか、その要求に対して、政府の方で実施要綱に基いて割当てました場合の比率はどうなつているか伺いたい。

長谷川清農林事務官(畜産局長)

○長谷川政府委員 具体的に詳細な資料を持ち合せておりませんので恐縮でございますが、総額におきましては約七十億程度の希望がございました。特に乳牛が圧倒的に希望が多く、当初約一万頭の導入を考えておつたのでありますが、乳牛につきまして五万頭程度の希望があつたというふうに記憶をいたしております。しかし一面わが国におきます導入すべき家畜資源の関係から見まして、どうしてもこれだけの大量のものを導入することは無理であると考えまして、各府県の希望と、それから家畜資源との関係をにらみ合せまして、乳牛につきましては最初の計画一万頭を、現在は約一万五千頭というふうなことにいたしまして調査いたしたような次第であります。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 損失補償の問題に対して、これは後ほど農林大臣に出席を願つて、国務大臣として御所見を伺いたいのですが、今局長から説明の通り、二十七年度の家畜導入計画に基く各府県の受入れの要望は、政府の計画の約三倍以上に上つております。それぼどの要望が現実にありますのに、どういう理由で損失補償の法的根拠をここに講じられなければならぬかということに一応疑問が起つて来ます。損失補償をしてもらわなければ家畜の導入ができないというところは、そんな要望はして来ないはずです。従つてそれほど大きな要望が現実に各府県にありますのに、特に一年も二年もやつた後の赤字について、あらかじめ予備的法規を設けるという理由は、何としてもこの法案つくりますわれわれとしては納得が行かないのであります。政府としては、たとえば五十万頭の家畜を持たすについては、農家経済が貧弱であり、かつ農家を対象とする協同組合の財政的規模がまことに薄弱であつて信用力がないから、そこであらかじめ損失補償を準備する必要がある、こういう建前でございますならば話がわかるのでありますけれども、現実に政府が家畜の導入の資金的あつせんをし、利子補給をしてやるということだけで、政府の計画の三倍も上まわる要望があるのを、何ゆえに一体損失補償をしなければならぬかという理由が、ちよつと見出されないのです。そういう事実に基いて、それほど各府県の要望があるとすれば、そのものを一応満した上で、なおかつ政府としては畜産振興の必要性から、この際無理に家畜を各農家が導入することの必要性を説く場合、資金の不足があり、損失の憂えがあるというときになつて、損失補償の規定を設けることが妥当ではないか、こう一応われわれには考えられます。そういう点でわれわれとしては、他の産業との関係もあり、また同じ農家関係の事業にしても、災害復旧、あるいはその他の資金の導入の上においての問題と関連して来ますと、この法案は一つの前例をつくるということになるので、その点に対しては、立法上としては相当慎重に扱つて行かなければ、問題を後日に紛糾さすことになるので、その点に対する提案者並びに政府の御所見を伺いたい。

長谷川清農林事務官(畜産局長)

○長谷川政府委員 先ほど申し上げました、昨年度の各県からの希望金額は七十億でありますが、この内容につきましては、実は農林省といたしましても、一応家畜導入の基準を各都道府県に示して、それにのつとつて各地方の実情を審査した上で要望を提出せしめたのでありますが、何せ農協の事業でありましただけに、必ずしも厳格に農林省の要求しております家畜導入の基準に適合しないものをも提出したきらいがあると思います。この中に先ほどもちよつと申し上げました乳牛の要望もあつたのでありまするが、実は五万頭と申しますると、現在わが国で生れまする乳牛の頭数に匹敵する頭数でありまして、その中には、おすもおりますし、あるいはまた健康でない子牛もおるような状態でありまして、各府県といたしましては、そういう全国的な家畜資源の状況を心ずしもにらみ合せておらなかつたということも一つの理由であろうかと思いまするし、さらにはまた単位の農業協同組合の信用力の調査というものが、時期的の関係等で必ずしも十分行われた上で申請がされたということも言えないものもあると考えるのであります。従つてこの七十億が全部家畜導入基準に合致したものというふうには、実は考えられないのではないかと思つておるのであります。しかしまた一面には、導入基準に合致しながら、しかもその所属しております組合の信用が薄弱でありますために、農政的な見地からは、ぜひその地点に家畜を導入させたいということを考えましても、農業協同組合の受信能力の関係上、農林中金としてもどうしても貸し得ないと考えられるために、家畜導入がうまく行われなかつたとい事態も相当あるのでありまして、実は昨年十二月ごろ各府県に照会をして、そういう事例を調べてみたのでありますが、これは必ずしも全部の県から報告が集まつてはおりませんので、この数字をもつて全部を推すことはどうかと考えまするが、そのとき集まりました報告によりますると、単位農業協同組合の資産並びに経理内容が不良であるために、どうしても貸付けることが困難になるというものは九十七件、金額にして四千六百万円程度のものがあつたのであります。こういう組合につきましては、今回の損失補償という制度が設けられますれば、さらに資金の導入が円滑に行われるであろうということを期待するのでありまして、現に昨年この事業を始めましてから、岩手県、あるいは宮城県、京都府、長崎県、佐賀県等におきましては、すでに県自身が損失補償を行うということによりまして、そのような支障を除去するということに努力をしておるという状態でございます。今回御提案になりました趣旨は、おそらく各県ですでにやつておりますような状況を、この際全国的に押し広めることによりまして、この事業をさらに徹底いたしたいというふうに考えておるものであります。この損失補償の仕事が他の問題に波及、延長をするおそれがあるというお話でございまして、ごもつともなことと考えるのでございますが、御承知のように、すでに災害関係の融資につきましては、法律によつて損失補償の規定が設けられておるのであります。その他の農林関係の融資につきましては、御承知の農林漁業資金融通法によりますところの農林漁業資金によつて、資金がまかなわれておる現況でございますが、この資金につきましても、一種の損失補償と考えられるものが織り込まれておるわけでございまして、これ以外絶対にないということを申し上げるわけではございませんけれども、農林融資につきましては、相当の損失補償の裏づけが行われておるというふうにお考えになつていいのではないだろうかというように考えておる次第であります。特につけ加えて申し上げておきます点は、この損失補償は国が第一次的に損失補償をしようということよりも、むしろこの事業と県の責任におきまして、堅実に進展をはかるという意味からいたしまして、まず県で損失補償をせしめて、その半分を国において助成をするという行き方になつておるのであります。こういう面から申し上げても、他に及ぼします影響はあまり多くないであろうというふうに考えておる次第でありますので、御了承を願いたいと思います。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 いろいろ政府当局の苦心するところはわかりますが、私がさいぜん伺つておりますように、政府の導入基準に基いて家畜を導入して、畜産を振興したいという県は相当多いのであります。おそらく本年の導入計画の実施をいたしましても、各県からは満たし得ないほどの要求が来るだろうと思います。そういう要望を一応満たした後に、さらに政府が重点的に、この地域をやりたいという地帯に損失補償その他の規定を適用するのではなければ家畜が入らない、こういうことが私は一応筋道ではないかと思います。  それといま一つのお考えを願わなければならぬのは、単協の信用力がないというのは、すでに二、三年前からそれが問題になつて、御存じの通り、農協の再建整備の法律さえでき、現在再建の軌道にある単協が全国の三分の一以上に及んでおる。この実情をわれわれが度外視して、そういう不健全なものに損失補償をあらかじめ予定した法律をつくつたということは、かえつて農協の再建整備の上にも弊害を来しはしないかと考えられる。そういう面から、この損失補償に私は本質的に反対をしておるのじやありませんが、そういう実施を法的に規定するのにはまだ少し早いのではないか。従つてこれは後ほどそういう事態が起りました場合に、法案を修正して、そういう処置のできるような道をわれわれは考えたらいいのじやないか、今日の段階において、各県から政府の計画を上まわるような要望が現実にあり、それさえ満たし得ない実情にあるのに、その上に損失補償までして、導入を押し進めて進捗させて行くという必要はない。今日の事態では、どこまでもまだきゆうくつに考えてもいいではないか、こういう考え方です。これは多少あなた方の立場と意見が違う点があるかもわかりませんけれども、法案をつくりますわれわれといたしましては、一応そういう点について注意を払つておく必要がありはせぬかと私は考えています。従つてその問題はそれ以上私は追究をして質問しようと思いません。  それからいま一つ、あなたの御答弁で非常に重要な点は、この法案では国が損失補償を三割全部引受けるのではなしに、一応法の建前は、府県の責任において損失補償をやらす、損失補償をやりました分のうちの半分だけを国がめんどう見てやろうといふような御説明です。もしさようでありますならば、こういう法律をつくられたことによつて、府県は当然その損失補償を一割五分だけはしなければならぬ建前になります。そうすると、府県の財政の現状から、すなおに受けてくれる府県はいいけれども、そういうことは受け得られぬ、またそういうことが現実に規定をされた法律が出ますならば、またそういう事態が起りますならば、当然平衡交付金その他において府県にそれだけの資金的あつせんをしなければ、現実に府県としてははなはだ迷惑になりはせぬか。家畜導入を積極的に奨励しよう、損失補償までしてやろうという積極的な県はいいのですけれども、そうでない県は、とんでもない法律をつくつてくれた、こういうことになつて逆効果を来す憂いもありますから、そういう点からもこの問題は、委員会としてもう少し検討を要するのではないか。  次に伺いたいのは、二十七年度の導入基準に基きまして各県にそれぞれ渡したのでありますが、しかし実際割当てられました各府県が、それを単位農協を通し、あるいは畜産組合を通して家畜の導入をはかつておる実情を見ますと、ほんとうに無畜農家を解消するという建前で導入させておるにかかわらず、たとえば乳牛なら乳牛を一頭割当を受けましても、乳牛一頭だけを買うておつたのでは、農家の労力、飼料その他の関係から、経済的に成り立たないという問題が起つております。どうしても乳牛は、三頭なら三頭買いませんと採算がとれない。こういうような事態にあります関係から、せつかく無畜農家に割当てられます家畜が有畜農家に持たれるという事態が、至るところに起つております。これらの点に対して政府はどうお考えになりますか。そういう点についてもつと実情をよく調査をして、飼料その他耕作反別だけを日当にしました導入計画の中に、農家の労力、それからそれを飼いました場合の経済的の効果というようなものをあわせて考慮されぬと、せつかく導入したものが有畜農家に持たれて、無畜農家にはかえつて入つていないという現状になつていますから、それらの点に対してどういうぐあいにお考えになつていますか、伺いたい。

長谷川清農林事務官(畜産局長)

○長谷川政府委員 最初のお話は質問ではなかつたと思いまするが、言葉が多少足りない点もございましたので、つけ加えて申し上げるわけでありまするが、本年度各府県からの希望が相当あつて、それを査定している現状であるから、当分の間は資力のいい組合だけを標準に貸しておつて、漸次不良組合にも貸し付けなければならないような事態になつたときに、こういうことを考えればいいのじやないかというお話、これは一応ごもつともだと思います。ただ御承知のように、優良組合とか不良組合とかいうようなものは、必ずしも全国的に平均的にあるというわけでもありませんし、ある県には非常にそういうものが多いというようなものもありまして、そういうところになりますると、この事業がぼとんど行われないというようなことが考えられますし、また同じ県内におきましても、先ほどもちよつとお話があつたのでありまするが、特に乳牛のごときは、何といたしましても集中的に、集約的に、ある地域に家畜を導入するということが必要になつて参ります。そうしますると、ある郡なら郡単位の中の組合で、大部分はいいけれども、ある村は非常に農業協同組合が資力が悪いというようなことになりますると、その村には家畜は入らないという場合も起り得るのでありまして、現実にこの法律が実施せられまして損失補償が具体的に動いて来るという事態は、お話のようにあるいは相当あとになつて来るのではないかというふうに考えますけれども、政府自身は本年度あたりからこういう制度をつくつておくことが必要なのではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから再建整備を要する組合等について、これに資金を貸すということもいかがかというお話でございまするが、それもまことにごもつともなお話であります。私たちといたしましては、再建整備を要するような組合につきましては、こういう措置をやりましてもおそらくなかなか資金は融資しにくいのではないかと思いますが、再建整備を要する組合が、再建整備計画を立てて具体的に進行しておりますような組合には、こういう制度がありますると、これによつて資金が円滑に行くというふうに考えられるのではないか。実は先ほど申し上げましたように、集約的に家畜を導入する必要がありますような場合において、ある組合がほかの理由で、非常に農業協同組合の成績が悪いというようなところに、しかも家畜を導入する必要がある、こういう場合も予想いたされますので、そういう場合におきましては、この法案の第二の柱になつておりますところの県がみずから有畜農家創設事業を行う、すなわち県が家畜を県費で購入をいたしまして、そうして県有の家畜を導入地帯に貸し付ける、こういう制度も考えられるのでありまして、原則といたしましては損失補償でなく一般利子補償で行く、その次は損失補償で行く、それでも行かないという場合においては県有の家畜を貸し付けるというようなことによりまして、この事業の円滑な進展がはかれることを切望しているような次第でございます。  それから最後にお話のございました、農家の経営事情から見まして、たとえば乳牛一頭だけでは不十分である、あるいは不徹底であるというような組合に、一頭だけの導入をするというのもいかがかというお話でございました。私たちもそういう事態のあることは考えているのであります。有畜農家の創設基準につきましても、これもお手元に配付してあると思いますが、有畜農家創設要綱というパンフレットの十ページに、有畜農家基準というのをつくつてありまして、これは各地区別に、経営規模別に農家が家畜を導入することを必要とすると考えられる一つの基準を作定いたしておりまして、この基準になるべく早く農家が到達するようにという趣旨で、家畜導入を指導しているような次第でございまして、お話のような農家につきましては、必要があれば二頭家畜を導入せしめるというようなことも考えている次第でございます。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 今度のこの法案によると、政府は府県に導入家畜のうちの乳牛を貸し付けることになつておりますが、府県はまたこの家畜を各単位の農協に貸し付けることになると思いますが、その場合の条件はどういうことになつておりますか。

長谷川清農林事務官(畜産局長)

○長谷川政府委員 国が特別にその必要を認めまして、国有の家畜を農家に貸し付けます場合には、まずそれを県に貸付をいたしまして、県がさらに組合を通じて個人に貸付をする、こういうことになるのでありますが、現在考えております、そしてまた来年度の予算に要求をしております集約的酪農地区の家畜導入につきましては、先ほど申し上げました説明資料の最後のページの十一に、集約酪農地区建設要領案を掲げておいたのでありますが、この考え方は、要するに先ほど来お話がありますように、特に乳牛につきましては集中的に、集約的に家畜を導入いたしますことが、牛乳、バター等の畜産物の値段を引下げます上において最も大切なことでありますので、そういうことを中心にまず考える、そしてまた従来とかく放置されがちでありましたところの、山村地帯におきまする経済の振興をはかるというような意味からいたしまして、草をおもなる飼料といたしますような種類の乳牛を、集団的に一定地区に導入するということにいたしたい、そういうような新たなる仕事をいたすにつきましては、これを個人あるいは組合、あるいは県にまかしておくよりも、まずテストケースとして、あるいは一つの指導地区として、国がみずからやることが必要であるというふうに考えまして、今回新たにこういう制度を設けたいというふうに思つておるのであります。その予算を法律的にも実施し得るようにいたしまするために、この法案に国有の家畜を貸し付け得る規定を設けてある次第でございます。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 私の聞いておりますのは、主として国有の乳牛であろうと思いますが、これを二十八年度にさしあたり三百頭として、五箇年後にはこれを二千頭にふやす、こういうことで貸し付けることになつておるわけです。この貸付の条件を聞いておるのです。ただで貸すのか、有料で貸すのか、国の所有物ですから、それを使います場合は、死んだときとか、病気したとかいうときはどうなるのか。またできた子供は返すのか、もらうのか、それはどういうことになるかということを聞いておるのです。それを一つ伺いたいのと、それから集約酪農地区建設要領の中に、地帯選定というのが一つの条件になつておるのです。この地帯選定の「地区の広さは、中心となる乳製品工場又は市乳処理工場よりの距離が夏季送乳所有時間が概ね二時間以内程度であること。」それから「地区内の産乳量は一日平均一五〇石以上を目標とする。従つて地区内で将来五〇〇〇頭以上の乳牛の飼養が可能であること。」こういうことが書いてあるのですが、こんな所が一体全国のどこにありますか。これだけの条件にかなう地帯というものが、一体全国に何箇所ほどありますか。これは東北、北海道ならあるかもしれぬけれども、関東、中部、四国、九州の方に行つたら、全然こんな地帯には該当しないじやないですか、こういうべらぼうな規定を設けても。それから無畜農家も解消するという点から行きますと、これはどだいややこしくなつて来る、そこがおかしいことになりますので、その点を、地域はどこどこにこんな厖大な地域が予定されておるかということを伺いたい。  それからその次に伺うのは、生産牛乳の処理場すなわち消毒をいたします処理場に対する資金的あつせんはどうなつておるか、それから今度は、処理したものを販売します場合のルートはどうなつておるか。私は先般も申し上げたのでありますが、せつかく家畜導入の計画を立て、また農家経済の多少でも足しになるということで、主として乳牛を導入いたしまして牛乳をつくりましても、それが完全に消化され得る販売ルートが確立されていなければ、農家はまつたく都市の略農資本に搾取される形になつて来るわけです。たとえば明治、森永というものが常に問題になつて来ますが、明治、森永まで行かなくても、あれに近寄れるくらいのやはり酪農工場を持ち、あるいはまたそこから出て参ります脱脂牛乳は、都市の健康保険組合なり、あるいはまた学童等にこれを安く配給できる組織をつくり上げなければ、いかに導入をやかましく言うても、できました生産牛乳が、原価を割つても売らなければならぬという実情に置かれておりましたのでは、農家はかえつて損をすることになりますので、その点に対して一体どうお考えになつておるか。ただ畜産局は農業生産力の増強と農家経済の安定という立場から、単に家畜を導入し、農村を有畜化して行けばいい、こういう考え方で、できた製品についてはかつてにせい、その点まではめんどうは見れぬ、こういう立場におりますか。それともそれを一貫して、やつぱり積極的にそういう方までめんどうを見てやるということでなかつたらいかぬと思うのですが、そういう点に対して予算的なり、あるいはまた現実の行政面では、どういうことをやられていますか、それを伺いたい。

長谷川清農林事務官(畜産局長)

○長谷川政府委員 先ほど失礼申し上げましたが、国有貸付牛の貸付の条件につきましては、いろいろこまかい点は目下研究いたしておりますが、原則といたしましては、子供を返していただく、子供が返れば親牛をその農家に与えるという、昔からやつております、いわゆる子返し方法を中心に考えて参りたいというふうに思つておる次第であります。最初貸し付けますときは、原則として無料でございます。ただ若干、輸送費等につきまして地元に負担をお願いする場合があり得るというふうに考えております。  それから地帯の選定でございますが、これは実はこの集約酪農地区が完成したあかつきには、こういうふうな条件が満たされるということをねらつておるのでありまして、現実に今すぐこういう地帯に家畜を導入するというわけではないのであります。本年度われわれが考えております地帯といたしましては、八ケ嶽の山麓、これは山梨県並びに長野県にまたがりますあの山麓、あるいは岩手の岩手山の山麓等を考えておりまして、その地帯をこういう将来の目標をもちまして、集約的な酪農地区の建設をして参りたい、こういうねらいであります。しかし本年度はとりあえず二箇所を考えておるのでありますが、こういうような地帯として予想いたされますものは、全国に二十箇所ないし三十箇所程度はあるというふうに考えておる次第でございます。  それから処理場に対します資金のあつせんにつきましては、現在農林漁業資金をもちまして、毎年約二億円程度の資金を準備いたして、御要望に沿いつつある状態でございます。  最後に、有畜農家の創設を初め家畜の増産をはかるのみでは、真に農家経済の安定にもならないし、ひいてはまた国民の食生活の改善にもならないのであつて、要はこれによつてつくられる畜産製品の販売ルートを確立することが最も必要であるというお話につきましては、私まことにその通りに考えておるのであります。ただ従来この点に対しまする施策が、遺憾ながら不十分であつたことを認めざるを得ないのでありますが、実はこれは小さいことでありますけれども、昨年の八月新たに畜産局に経済課を設けまして、特に家畜及び畜産物の販売処理に関する将来の基本的な政策を研究せしめるために、いろいろと研究を進めおるような状態でありまして、二十八年度の予算にも約三百五十万円の経費をお願いいたしまして、家畜及び家禽の実態調査、特に乳製品あるいは肉類等の販売の実情調査を主要の県に実施をいたしまして、その正確なる資料を基礎にいたしまして、さらに基本的なる畜産に関する経済施策を立てたい。お話の中にありました乳製品と学童給食の問題は、私たちもこれこそ真剣に取組んで研究すべき問題であるというふうに考え、せつかく努力しておるような状況でありますので、しばらく時間をおかし願いたいと思う次第であります。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 私はもうこれで大体質問を終るのでありますが、さいぜん申しました損失補償の問題は、やはり相当これは議論がございますし、政府としてのこういう法案が通過した場合の心構えを伺つておかなければなりませんので、農林大臣が見えましたら、そのときさらにこの点について質問を続けることにいたしまして、私の質問は打切ります。     —————————————

坂田英一自由党

○坂田委員長 この際お諮りいたします。目下農業団体に関する小委員が一名欠員になつておりますが、この補欠を委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂田英一自由党

○坂田委員長 御異議なしと認め、芳賀貢君を小委員に指名いたします。  有畜農家創設特別措置法案に対する質疑は引続き次会に続行することといたし、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時十五分散会

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