P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
15回国会衆議院1953/02/28

農林委員会 第25号

発言数
74
登壇者
8
会派数
4
開催日
1953/02/28

会議録

坂田英一自由党

○坂田委員長 これより会議を開きます。  まず肥料問題について調査を進めます。本日は主として肥料の安定帯価格における建値の問題について質疑を行うことにいたしたいと存じます。なお公正取引委員会委員長横田正俊君が出席をされております。足鹿覺君。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 横田委員長にお伺いしたいのでありますが、昭和二十七年秋、日本硫安協会がその内部に硫安輸出奨励要綱なるものをつくり、かつその要綱の実施にあたり、細目としまして硫安輸出奨励金に関する件というものをつくり、加盟各社の理事が署名、捺印をして、いわゆる出血輸出に対する損失額の分担の建前をとつたことは、巷間よく言われておる事実と思いますが、昭和二十七年十一月十一日に行われました奨励要綱及び奨励金に関する件というものについて、御調査になり、かつ御検討になつたことがありますかどうか、最初にこの点からお伺いをいたしたいと思います。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 ただいまの昭和二十七年十一月の問題のみならず、その前後にわたりまして、この硫安の問題につきましては、公正取引委員会内部の経済部の調査課というところで、ずつと取調べをいたしておりました。ただいま私といたしまして、詳細なことは記憶しておりませんが、お話のような問題があつたと記憶いたします。この一連の硫安協会並びに硫安メーカーのいろいろな行為の中には、独占禁止法上いろいろ問題になるものがございます。ただいまの損失負担の問題、あるいは出血輸出につきまするいろいろな価格の問題等につきましては、いずれも独占禁止法上問題になる事柄でございますが、ただその際公正取引委員会といたしましては、問題が輸出でございまして、これはそういう無理な輸出をすること自体が、はたしてよろしいことであるかどうかということは別といたしまして、問題が輸出であるということと、それから御承知のように、日本の業者に対立いたします外国の業者が、かなりひどい手段をとつておつたように認められましたので、この一連の動きに対しまして、公正取引委員会としまして、独占禁止法上これをただちに取上げて論議するということを差控えた次第でございます。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 私の伺いたいのは、他の事例もあろうとは思いますが、昭和二十七年十一月十一日の硫安輸出奨励要綱、硫安輸出奨励金に関する件、これに伴う硫安協会のとつた措置というものについて、御存じであるかどうか。また今、一連の輸出問題については、調査課で調査を進めておるという御意見でありますが、御存じになつておるかどうかということを、最初に明確にしておきたいと思うのです。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 正確なことはただいま記憶しておりませんが、委員会で問題にして論議をいたしたことはございます。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 公正取引委員会において御検討になつた。その御検討の中心は、独占禁止法の第三条または第四条、あるいは事業者団体法の第五条等に関連して、違反に該当するやいなかということについて御検討になつたのでありますか、それとも単に調査の結果を委員会で御協議になつたのでありますか、その点をもう少しはつきりと伺いたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 単なる経済問題として取上げましたのではございませんので、法律違反の疑いがあるということで会議に付したものでございます。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 その結論はまだお出しになつておらないのでありますか、事態が起きたのは、去年の秋のことであります。また現在春肥を中心に問題が起きておる。従つてこのような顕著な事例というものは、公正かつ慎重にお取上げになることはもちろんけつこうではありますが、しかし機宜を得た措置をまた一面必要とするわけであります。それでお取上げになつた後、結論としていかようなる御判断を下しておいでになりますか、正式な結論はいつころ出ますか、その点を伺いたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 先ほど少し先走りまして申し上げましたが、問題が輸出に関することでございますし、輸出の外国業者に対抗する必要というような点を考慮いたしまして、会議の結果は、一応事件としては取上げない。今後硫安協会なり、あるいはメーカーの動きを監視して参る、こういうことで、一応そういう結論に達した次第でございます。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 この十一月十一日の硫安輸出奨励要綱の目的一によりますと、「本要綱は、輸出契約価格が国内販売価格を下まわる場合に、その差額の一部を各社の共同負担において補償し、もつて強力なる輸出促進をはかることを目的とする」と明確にしております。いわゆる生産費を下まわる場合ということは言つておりません。すなわち農民が買わされる価格、国内価格を下まわつた場合ということになるので、私どもは農民の犠牲による、いわゆる業者の海外市場開拓のためのダンピングだという見解を持つものであります。生産費を割る場合に各社が共同しておやりになりますこともけつこうであります。また輸出そのものに私どもは別にけちをつけたり、日本の海外市場の開拓に阻害行為をやろうというのではありません。輸出そのものには絶対賛成である。しかしこの目的にある輸出契約価格が国内販売価格を下まわる場合にというこの一点から、明らかにこれは内地の農民を犠牲にして、海外市場開拓の美名のもとに、ダンピングをやつておる。そこから私的独占禁止法の第四条、あるいは事業者団体法の第五条に該当するものであるという見解をとらざるを得ない。今委員長は、事が輸出の問題であるからということをおつしやいました。私は単なる輸出の問題でありますならば、国内価格と同様な価格で海外市場を開拓する、あるいは海外市場の価格と国内価格を同一の価格に置いて業者が出血される場合には、別に独禁法をかざしたり、不当に業者を圧迫したりしようという考えはないのであります。問題の発端はここにあるのでありますから、ただ単なる輸出問題としてお考えになるということは、少し公正取引委員会としての御措置が甘いのではないか。もう少しよく御検討になる必要がありはしないか。こういうことをお聞きしておるのであります。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 その点は私もまつたく同感でございまして、昨年来の動きにつきましては、その後も引続き監視をいたしておりますし、なお今後の動きも、この二十七年の動きの一環といたしまして、ただいまの御趣旨をよく体しまして、独占禁止法の観点から問題を慎重に取上げて参りたいと思います。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 去年の秋の問題につきましては、一応事が輸出の問題に関連し、公正取引委員長の御所見ももつともな面があると思います。過ぎ去つたことではありますが、しかし不問に付するわけには参らない。勇敢にお取上げになり、今後のメーカーの出方を監視になりまして、反省の色がないならば、断固たる措置をおとりになることが、私は当然だと思う。公正取引委員会は、独禁法の緩和その他で漸次その活動の範囲が抑制されるような雰囲気にあります。そういう時期に、あつてなきがごとき存在であれば、ますますそういう結果を招来いたします。ときにはその存在の意義を明らかにし、全国民の四割五分を占める農民を犠牲にしておるという事実を、私どもは信じて疑いません。そういう見地から、勇敢なる措置を今後も引続きとられんことを要望いたしまして、昨年の輸出の際の問題は一応この程度にとどめます。  第二点の問題でありますが、それは今月の十二日に、衆議院は昨年末の本委員会の決議に基きまして、院議をもつて肥料価格の引下げについて必要な措置を講ずべきことを決定いたしました。一方政府は肥料対策委員会を設置いたしまして、おのおのの立場から、この春肥問題に端を発する肥料安定帯価格の是正の問題が、非常に大きくなつて来ておることは御存じの通りであります。ところが最近の状況を見まするのに、去る二月二十四日、硫安協会は東京会館で需給委員会を開催し、その委員長は東洋高圧の野村常務が委員長である由でありますが、その委員会において、春肥の取引価格について検討し、全購連渡しの建値を、二月から五月まで一応の話合いのついた価格のほとんど最高価格をもつて決定し、そ、れを一方的に発表しております。この事実は、輸出の場合と異なりまして、明らかに独占禁止法の第四条に抵触すると思う。輸出の場合には、まだ海外市場の開拓という一つの大きな面も含まれておりますから、委員長も二十五日の毎日新聞においては、寛大の措置を必要とするというふうな談話を発表されたことと思いますが、その事実を御存じでありますか、この点からお伺いいたしたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 二月二十四日の硫安協会の需給委員会の建値の発表につきましては、その直後から委員会におきまして調査を開始いたしまして、ただいまその調査の途中でございますが、その調査の結果を一応申し上げたいと存じます。まだ調査中でございますので、確定的なことは申し上げられませんが、ただいままで調べました結果によりますと、この委員会におきまして、今お述べになりましたような建値を発表いたしまして、この発表を法律的にどういうふうに見るかという点が問題でございますが、結局硫安のメーカーが集まりまして、委員会という形式を通じて一本の価格をきめ、かつその価格によつて取引をすることを法定いたしたものと見られますれば、これは明らかに独占禁止法の問題並びに事業者団体法の問題になるわけでございます。つまり硫安協会の行為としましては、事業者団体法の第五条に触れますし、それからその硫安協会を通じまして個々のメーカーがその価格を維持するという共同の行為があるということになりますれば、御指摘の第四条の問題にもなりますし、ひいては第三条の取引制限ということになると思われるのでございます。これにつきましては、硫安協会側からいろいろ聴取いたしました今までの弁解といたしましては、結局御承知の安定価格というものがあるのであるから、この安定価格の中できめたことは、別にさしつかえないのであるというような弁解、あるいは安定価格そのものがはなはだ酷なものであるから、その安定価格のかなり上のところで建値をきめても、それはむしろ正当防衛的なものであるというような主張などしておるのでございますが、しかしこれは御承知のように、安定帯価格は上限と下限がありまして、結局その価格の間におきまして、おのおののメーカーの採算を考えまして、個別に全購連等と契約するという趣旨があの安定帯価格の値幅を設けた趣旨だと考えられますので、その中できめたからそれで当然いいというりくつは出て参らないと思うのでございます。結局その価格の中におきましても、一本の価格で取引をするということを決定いたしますれば、これは明らかに競争を制限するという趣旨がございまして、独占禁止法また事業者団体法の問題になると思います。なお安定帯価格そのものがはなはだ酷であるというような点につきましても、これは御承知のように、硫安の生産費につきましては、私どもの委員会でも、従前からいろいろ検討いたし、各会社、業者から、昨年九月以降そのコストを出してもらいまして、それを中心にいろいろ研究いたしておりますが、今までの私の調査いたしますところでは、あの安定帯価格で非常に苦しい業者というものはきわめて少数でございまして、その他の業者につきましては、あの中で十分採算がとれるというふうに一応われわれは見ておりますので、やむを得ない事情として業者が申しますそういうような事柄も、そのまま受入れることはできないように考えております。従いまして、なお今後この問題は慎重に検討いたしまして、先ほど申しました輸出の問題とは全然問題が違いますし、非常に農家に対しての影響も大きなものがありますので、さらに調査を進めまして、もし違反ということが確認されますれば、はつきりした処置をいたしたいと考えております。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 相当明瞭な御所見を承りまして非常に参考になつたのでありますが、私は先刻も申しましたようにいたずらに独禁法を振りかざして業者に迫つて行くというのではない、特に今度の場合、委員長が今述べられた点でもう一つ私は強く御所見を承りたいと思うのは、全購連は、農民がつくつた自主的な組織であります。しかも法律的な裏づけのある団体である。日本の取扱い量の五〇%以上を占めておる。従つて全購連以外に農民を代表する機関は、肥料に関する限り今のところないわけである。私どもが一番遺憾に思い、かつ問題にしておるのは、なるほど八百九十五円から八百二十五円の一つの振幅度の安定帯が出た。これはいろいろ各方面の苦心によつて不満足であるが一応そういうものが出た。従つてそれをどこにおちつかしめるかということについては、当然全購連との間に話合いを持つてきめらるべきものとわれわれは解し、また政府もしばしばそういうことを—商行為の中へ介入することは自分たちとしては好ましくないからこれは全購連とメーカーとの間に話合いをすべきであるという前提に立つておつたと思う。ところが二十四日に東京会館で委員会を開き、建値を決定し、しかも二月から五月までのものをきめて、そして一つの紙切れを全購連に、かように決定したからそれでやれ、こういう態度は情状酌量の余地は少しもないと思う。院議をもつて政治的な圧力を加えられたとか、いろいろへりくつを並べて、全然誠意のほども見ることができません。そこに一つの問題があると思う。出血の問題あるいは農民犠牲の問題を別にして、ただ単なる輸出の問題ということになりますれば、私どもとしては純粋理論としてそこに情状の余地があつたという委員長のお考えにも若干同感の点もありますが、この問題だけは許せない。従つてこの点につきましては、特に委員長の勇断を求めたい。特に昭和二十二年七月に独禁法が改正になつて、委員長の身分は天皇の認証によつて保障され、いわゆる権威ある存在としてあるのだ。従つてこういう点からもこの問題を不問に付せられ、あるいはうやむやになるようなことにでもなりますと、さらにまた深刻な問題として発展をして行かざるを得ないと思うのでありまして、その点は特に委員長の毅然たる態度を私は要望いたしたいのであります。協会はこういうことを言つておる。私的独占禁止法に抵触するそうだから、今後は全購連と硫安協会は話はしない、全購連と各メーカーと個々に折衝したらどうか、こういうふうにうそぶいておる。言語同断といわざるを得ない。何らの反省の色もありません。輸出の場合等についての過去にとつた措置に対して反省の色もなければ、今度とつたのも政治的圧力でやられたと、いかにも自分たちのとつたことが当然のように、今までの自分たちの違反行為は捨てて、今度は法に抵触するからお前たちかつてに取引をやつたらいいだろう、こういう態度は、農民のみならず広く一般国民がこういう態度を見て、これに対して断固たる処置が講ぜられないということになりますならば、法律はあつてなきがごときものになり、従つて法律に対するところの不信を呼び、公取委員会の存否の問題になつて来ると私は思うのであります。そういう点から、特に強い御所信をもう一度承りたいと思います。具体的にお尋ね申し上げたいことは、二十四日の協会のとつた態度に対して、委員会をお開きになつた事実がありますか、もしあつたとすれば、具体的にはどういう御相談をなさいましたか、お伺いいたしたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 この問題についてまだ正式の委員会は開いておりませんが、先ほど申しましたように、二月二十四日のこの建値決定が発表されますや、ただちに事務局におきまして調査を開始いたしまして、近々にその結果を委員会の議にかけまして検討いたすという段階になつております。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 最後にもう一点伺いたいのでありますが、今までおとりになつた措置は大体わかりました。問題は今後でありますが、去年の輸出硫安の際の結論は、お考え方にも若干躊躇されたような点もあり、若干日にちが遷延したことは免れないと思うが、今度ははつきりしておる。従つてこれに対する御結論はいつごろおやりになることでありますか、大体の今後の見通し、また今後とるべき措置についての方針というようなものをお伺いいたしたい。  先刻私に対する御答弁で、硫安の生産費の問題は、二十七年の九月以降調査をしておる、苦しい業者はきわめて少い、今度の安定帯価格の範囲内で採算は十分とり得るという見解を持つておるということでありましたが、その御調査になりました、あるいは研究になりました内容について、明らかにしていただきたいと思うのです。その二点であります。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 第一の、いつ正式な措置をとるかという問題につきましては、ただいまの予定では、大体来週中に委員会を開きまして、何らかの方針をきめたいと思つております。なおその結論は、結局五人の委員会で決定いたすことでありまするから、ここであらかじめ何とも申し上げられませんが、きようお述べになりました御趣旨をよく体しまして、慎重に検討いたしたいと思います。  それから硫安のコストの問題につきましては、昨年の九月にかなり取調べをいたしましたが、この問題は、実は極秘ということで、特に各社からいろいろ出してもらいましたような関係もございまして、この点はいずれ正式な問題、たとえば審判というようなことになりますれば、自然にそういうことはある程度出て参ることと存じますが、その内容を詳しく申し上げることには、もう少し時期をいただきたいと考えます。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 お立場もあろうと思いますが、今一番問題になつておることは、やはりコストに関連しておるのです。これが結局重点になるわけでありますが、このコストは十四社各社別の九月以降のものを御調査になつておりますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 九月には十四社全部から各社別のをとつております。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 そのとき一回の御調査でありますか、その後も、輸出の問題が起き、あるいは最近の経済情勢の変転に備えて御調査になつておりますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 昨年の四月と九月と二回いたしております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 十四社のお調べの中で、電解法に基いての最低のコストと最高のコストの開き、またはガス法による最低と最高の開きはどのくらいあるか。これは会社の名前はあげにくいと思いますが、その開きくらいは言えると思います。なお統制時代における開きは二割四、五分あつた。今普通証券界あるいは財界からは、依然として四流、三流会社と一流会社の開きはもつと増大しておるのであろうというふうに認められておるようでありますが、そのような結果が出ておるか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 この点は詳しい数字の問題でございますので、当委員会の調査課長からお答えいたしたいと思います。

岸川忠嘉総理府事務官(公正取引委員会事務局経済部調査課長)

○岸川説明員 御質問にございましたように、コストはまことに調査の困難なものでございまして、われわれ一応調査はいたしましたけれども、そのコストがはたして正確なものであるかどうか必ずしも保証しがたい点もございます。従いまして、私どもが調査いたします場合のコストも一応の標準として見ておる程度でございます。ただいま御質問のございましたように、電解法とガス法、あるいは石炭のみを使う方法の三通りございますが、会社によりまして電解法のみのものもございますし、電解法とガス法を併用しているところもございます。またガス法のみの会社もございます。ところがまた併用しておる会社もございまして、一般的にこれらの間のコストを平均した形でわれわれの方に報告して参つておるところもございますので、どの場合にどういうコストであるかということをここで申し上げますことはまことに困難でございます。というのは、御承知のように電解法はコスト的にはトン当り三千円ないし場合によつては六千円から安いはずであるといわれておりますけれども、ただいま電解法の操業率は六割数分しかございません。従いまして、当然安かるべき電解法でもガス法と幾らもかわらないようなコストになつておるようにわれわれの方では一応見ております。一般論としましては、電解法とガス法との間には数千円の開きがあるべきでありますが、現在の実際の操業の実情から申しますと、併用その他の関係から、各社の間にそう大きな開きがあるわけでもございません。われわれの御報告できる範囲は、いわゆる専門家ではございませんので、業者の方から参りましたコストをただ見ておるという程度でございまして、これ以上詳しいことは差控えるのがあるいは当然ではなかろうかと思いますので、この程度だけお答え申し上げます。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 私はむずかしいかむずかしくないかというようなことをお尋ねしたのではないのでありまして、そのくらいのことは常識をもつてお尋ねいたしておるのであります。開きがどのくらいあつたかということくらいは述べられぬのですか。コストについてここで一々説明することは困難である、あるいは公表をはばかるというのですが、開きぐらいは発表できないことはないと思う。もしも開きの発表ができなかつたら、この調べはずさんであることをみずから認めておられるものと信ずる。これはあえて追究いたしませんが、発表できないというくらいでありますから、相当握つておるという観点に立つてお尋ねしているのです。どのくらいの開きがあつたかくらいが発表できぬようではしようがない。幾らであつたかということを聞いておるのではない。最高と最低とどのくらい開きがあつたか、また過去の統制時代の開きと今とはどのくらい違つておるか。このくらい抽象的なことが答弁できぬことはないと思う。

岸川忠嘉総理府事務官(公正取引委員会事務局経済部調査課長)

○岸川説明員 ただいまわれわれの方に到達いたしておりまするコスト表が正確であるかどうかは別といたしまして、ただいまの御質問に対しまして一番高いと思われまする肥料会社のコストは、硫安の場合に二万六千円以上になつております。それから一番安いと思われますところは一万九千円弱となつております。これらの間の加重平均を見ますると、二万三千円程度になつております。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 私はもう一点で質問を打切りたいと思います。今月の二十五日に、先刻来私が問題にしておりました硫安協会の建値発表の後におきまして、本委員会において、廣川農林大臣に質問をいたしました。独禁法の問題いろいろな問題について質問をいたしたのでありますが、そのとき農林大臣は私に対しまして、農林省としては春肥の契約価格は平均八百六十円程度が妥当であろう。二十四日メーカーが発表した建値に対し、農林省としてはきわめて不快に思つておる。公取委員会と折衝の上、もし独禁法、事業者団体法の違反の事実があれば、政府はメーカーに対して厳重な警告を発するであろうという旨の答弁をいたしておりますが、公取の方としては、農林省から具体的に折衝あるいは協議—公式、非公式たるを問いませんが、その事実がありますかどうか、その点を最後にお伺いいたしたいと思います。問題は要するに先回の輸出の問題といい、今度の硫安協会のとつた春肥の建値の問題といい、私ども非常に遺憾に思つておりますことは、日本の肥料工業は終戦後において、特に硫安の場合は十八万トンの生産量しかなかつた。それが現在二百万トンにも及ぶという飛躍を遂げたのは、個々のメーカーの努力もさることながら、国の財政投資、あらゆる面におけるところの保護育成の対策がこれに伴つて、今日の復興を見たものと私は信じておる。こういう面から、しかも一面政府は食糧増産の計画を、不十分であるが一方において推進しようとし、この経営経費のうちに、自家労賃に次いで一番大きなウエートを占めるものは肥料である。この問題を具体的に解決せずして、口に食糧増産を呼号いたしましても、問題にはならないと思います。そこにこの問題が私は非常に重大な問題としての意義を持つておると思うのでありまして、そういう点からも関連して重大視し、これの急速な解決をこい願つておるものであるわけであります。どうか横田さんにおかれましては、私どもがただ単にメーカーを圧迫し、輸出を阻害するというふうな単純な考えではなくして、国の食糧増産の推進の重大な一環であるということ、また日本の海外市場の開拓なくして、日本の肥料を中心とする化学工業の進展もあり得ないということ、また今後肥料工業の近代化なりあるいは合理化を行わんとする場合には、必ず国の施策がこれに伴わなければ、容易にこの問題は解決しない。そういう観点からみまして、いたずらに国家権力の介入を拒否し、話合いできめるべきものまでも、これを全然とり合わず、独善的な態度をとつておる現在のメーカー側の態度に対しましては、われわれとしては、このような態度を改めない限り、国民の意思機関である国会としては、政府がいかような対策を講じようとも、われわれは国の援助その他を講ずることに対しては断固反対する。さような不心得な業者の私益追求のものに対しては、われわれは断じて国の支援を与えるべからず、こういう結論に達せざるを得ないのであります。これはただ単に私どもが公式的に問題を割り切つて、いたずらに矯激な議論をしておるのではなくして、真に日本の肥料業界の将来の問題、あるいは日本の食糧の問題、農民経済の問題、そういう一連の関連において、きわめてわれわれは真摯な態度をもつてこの問題を取扱つておるということを最後に申し上げまして、われわれの意とするところを十分くまれまして、公正かつ慎重、しかも勇断をもつた態度で、本問題の適当なる処置を講じていただくことを強く強く要望申し上げまして、私の質疑を終りたいと思います。

坂田英一自由党

○坂田委員長 井上良二君。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 足鹿君から重要な点について質問されたのでありますが、私も二、三点この際伺つておきたいと思います。今足鹿君からお話がありましたように、去る二十四日、硫安協会の東京会館における需給委員会決定は、正式な決定がされております。そしてそれが発表されております。その需給委員会の会合を開き、そこで一つの方針が決定され、そしてそれが一般に発表されたというこの事実は、これはあなたが御指摘になりました事業者団体法の第五条の第一項ないし第四項に触れる、はつきり触れるとわれわれは解釈するのですが、委員長はそう解釈しませんか。委員長は委員会を代表する責任者でありますから、委員会が議論を討論をした後でなければ何とも解釈は発表できぬとおつしやいますか。これだけはつきりした具体的な事例があがつておるものに対して、抵触しないと解釈しますか、抵触すると解釈しますか、これをはつきり伺いたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 ただいまのお話の点は、一応触れるというふうに認められますので、その点は事業者団体の問題としまするときわめてはつきりしておるのでございますが、さらにその裏に各メーカーのいわゆる話合いというものがあるかどうかという点が一つの次の問題でございますので、それらの点もあわせて検討いたしておる次第でございます。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 この二十四日の東京会館で開きました需給委員会は、今まで調べたところによると、どういうメーカーがお集まりになつておるのですか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 各社の業務部長が出ておるというふうに、取調べの結果はなつております。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 十四社全部ですか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 その日に全部出ておつたかどうか、はつきりわかりませんが、大体出ておつたと思います。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 このことは、あなた方の結論を出される上に非常に重大な要素になる。それに何ぼ出ておつたかわからぬというようなことでは、どだい網をかぶせるのにかぶせようがないじやないか。どこどこの会社が出ておつたということがはつきりしなければ、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律に抵触する会社がこれこれ、これは抵触しないと、こうはつきりしなければ……、これに参加したものははつきり抵触しますよ。そう解釈してさしつかえないと思いますか。どうです。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 先ほど申し上げましたように、まだ調査を始めました段階でございますので、いずれ正式に取上げます場合には、ただいまお示しのような点は、もちろんきわめて明らかにいたしまして、処理いたしたいというふうに考えております。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 次に伺いますが、この問題は当然われわれは二つの法律ひつかかると解釈をいたしております。ところが、相手もさるもので、何とかひつかからぬようにしようと考えることは、あなたのさつきからの御答弁でもうかがわれるところで、一つは値段をきめるについて、個々のメーカーと話合いをすることが困難であるので、できるだけ団体的な話合いをしたい、こういう全購連側及び政府側のあつせんによつて、硫安協会を中心にした団体交渉が行われた、向うはこういう立場に立つておるのです。ところが、団体交渉の場合においても、さきにお話のように、上限価格と下限価格をきめて、その間における各社自由の取引、こういうきめ方は、一般の物価を安定させ、国民生活を安定さすという広義の解釈から一向ひつかからないと私は考えております。ところが今度のように、何月はこの価格、何月はこの価格、地方別、月別にはつきり規定して、値段もはつきりきめてしまつて、これを下部の加盟会社に全部流し、相手方にもそれを指示する、こういう行為がとられるところに問題があるのです。従つて、団体交渉によつてこういうことをやつたことは決して違反にはならぬ、そういう解釈は私は逃げ言葉だと思いますが、さよう解釈してさしつかえありませんか、どうですか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 大体おつしやる通りでございます。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 今一点。かりにあなた方の御活動や、国会におけるこういう論議がメーカー側及び硫安協会に響きまして、硫安協会側がさきに申合せをいたした建値発表は取消すと言うた場合に、あなたの方はどう処置しますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 それは口だけでなく、真に取消したものかどうかは、やはり今後の動きを見なければわからぬと存じます。取消したと言いながら、各社別に交渉してみて、結局全部がこれを建値以外の額では取引しないということになりますれば、いくら取消しても、そこに共同の行為があるというふうに解釈されると思います。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 相手は営利主義を中心にした営利会社でありますから、その場合、全購連がたとえば安定帯価格のうちで、全国的な取引の実勢に基いた実勢の相場によつて、ある会社にこの価格で出してくれ、こう言いましても、一方商社というものがございます。この商社は、新聞ですでに御存じの通り、建値価格を支持しております。自分の方に品物をよけいとろう、この際全購連の販売部をたたき破ろうという一つの意図のもとにこの建値価格を支持して、これで取引をしようという態勢を整えておることは新聞で御承知の通りであります。だから、全購連に対しては、その値に乗らずに、片一方でかりにその値で取引が行われたという場合には、これは明らかにこの法律にひつかかるとわれわれ解釈してさしつかえございませんか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 その場合はいろいろ複雑な問題があると思います。しかし、結局商社間の話合い、あるいはメーカーの一つのさし値というような形で、やはりそこに取引を拘束するという問題が出て参るのであります。そうなりますれば、またその面で独占禁止法の違反の疑いが出て参ると思います。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 問題は、硫安協会が再び会合を持ちまして、二月四日決定したことは諸般の情勢から穏当を欠くから、あの決定によつて今後の取引を拘束しない、こういうように正規の機関において決定され、それがまたほんとうに正常な取引に返るか返らぬかということでないかと思います。そういう措置がとられた場合は、これは問題にしないのですか。そういうことがきめられても、一応そういうことを決定し、発表した以上は、ひつかかるという建前で行きますか。これは問題を非常にむずかしくしますけれども、協会側がそういう政治的な含みで、一応決定したものを取消して、正常な取引にもどすという行為に出た場合には、問題にせぬということで行きますか。その点はどうですか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 これはまだ仮定のお話でございまして、何ともお答えできませんが、一般問題として申し上げますと、違反がかつてありましても、真にそれをやめてしまえは—独占禁止法のいわゆる審判と申しますものは、その違反行為を排除することを目的といたしますので、審判の対象がなくなるということになります。しかし御承知のように、独占禁止法並びに事業者団体法には同時に罰則もございますので、罰則の問題は残るわけでございます。この罰則を適用するかどうかという点は、諸般の事情を考えまして慎重に考えたいと思います。

坂田英一自由党

○坂田委員長 この際横田正俊委員長は所用があるそうですが、他に御質問はございませんか。     —————————————

坂田英一自由党

○坂田委員長 それではこれより去る二月二十五日本委員会に付託になりました内閣提出、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、同じく二十六日付託になりました内閣提出、農業災害補償法の一部を改正する法律案及び農業災害補償法に基く家畜共済の臨時特例に関する法律案を順次議題といたし、審査に入ります。  まず農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律の提案趣旨について政府の説明を求めます。廣川農林大臣。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 ただいま上程せられました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律の提案の理由を御説明申し上げます。  農林漁業の生産力を増強するため必要な長期かつ低利の資金を積極的に導入する機関としての農林漁業金融公庫については、昨年末法律の施行以来諸般の準備を取進めており、四月一日をもつて発足する予定になつているのでありますが、昭和二十八年度予算の編成に伴い、あるいは農山漁村電気導入促進法の施行に伴い、さらには公庫の役職員の待遇に関する不適当な点を改善して公庫の運営の円滑を期するため等の理由により、ここに農林漁業金融公庫法につき、二、三の点に改正を加える必要を生じたのであります。以下改正案につき簡単にその内容を御説明申し上げます。  まず第一点は公庫の資本金に関する規定であります。公庫の資本金は、現行法においては公庫が農林漁業資金融通特別会計から承継する資産と負債の差額に相当する額と定められているのでありますが、昭和二十八年度における公庫の新たな貸付資金二百四十億円の資金源の一部として同年度において一般会計より百億円の追加出資が行われることになつており、これを公庫法に明示する必要があるのであります。  第二点は農山漁村電気導入促進法の施行に伴うものであります。すなわち農山漁村電気導入促進法の一部を改正して、公庫が電気導入施設に対し貸付を行う場合は全国農山漁村電気導入計画を基準として行うものとするとともに、電気導入施設に対する貸付の条件を緩和するため公庫の貸付条件のうち、農林漁業者の共同利用に供する施設に対する貸付金の償還期限及び据置期間の最長限度をそれぞれ二十五年及び三年と改めるのであります。  改正の第三点は、公庫の役職員に対する退職手当に関する点であります。従来公庫の役職員の退職手当については、一般職の公務員と同様に国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の適用があつたのでありますが、本来身分が公務員でなく恩給制度の適用等もない公庫の役職員に対し、公務員と同一の規定によることは不適当でありますので、この際この法律の適用を排除し、公庫の退職手当の支給の基準については主務大臣の承認を要するものとするのであります。  以上がこの法律案の提案の理由並びに内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。     —————————————

坂田英一自由党

○坂田委員長 次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案及び農業災害補償法に基く家畜共済の臨時特例に関する法律案の両案について趣旨の説明を求めます。廣川農林大臣。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由を御説明いたします。  農業災害補償制度につきましては、昨年第十三国会において成立した農業災害補償法一部改正法、農業災害補償法臨時特例法及び農業共済基金法によりまして、制度の改善がなされたのでありますが、本制度実施五年の経験に徹しまして、さらに農家負担の軽減、蚕繭共済制度の改善、共済団体の性格に即した監督の適正化等必要な改善を行い、制度の円滑な運営を期するため、この法律案を提案する次第であります。  以下この法律案の主要内容について御説明いたします。  第一は、共済掛金の農家負担の軽減及び災害の危険度に応じた共済金額の個別化であります。農作物共済の共済掛金の負担につきましては、従来通常共済掛金標準率が全国を通じて最低となる県の通常共済掛金標準率部分を全国共通に全額農家負担としておりましたが、全般的に農家負担を軽減するために、通常共済掛金標準率のうち安全割増率を差引いた率のうち、全国を通じて最低のものの三分の一の部分を全国を通じて新たに国庫負担とすることといたしました。なお、その結果従来の方法によりますと、被害の程度の低い地域の国庫負担割合が相対的に少かつたのでありますが、これらの地域についても国庫負担の割合の合理化が期せられることになりました。また蚕繭共済の共済掛金の負担につきましては、国庫と農家との負担を合理的にするために、農作物共済の負担方法の改善と併行してこれと同様の負担方法とすることといたしました。さらに共済金額の個別化につきましては、被害の危険階級ごとにある程度の幅を設けて、その範囲内で共済金額を選び得ることとすることができますように改正をいたしました。  第二は、蚕繭共済制度の改善であります。蚕繭共済におきましては、現行法によりますと、共済事故による減収が組合員の平年収繭量の四割以上の場合に共済金を支払うこととしておるのでありますが、農業災害補償法の目的を十分に達成するために三割ないし四割の減収の場合にも共済金を支払うことといたしました。また蚕繭共済は、現行法では、全蚕期を通じた保険の建前となつております関係上、共済掛金率は、春蚕繭も夏秋蚕繭も同率で、このため春蚕繭については掛金が割高、夏秋蚕繭については割安という不合理があり、また最終蚕期の収繭が完了いたしませんと再保険金の額が決定しないため、共済金の支払いが遅れるという支障がありましたので、これを蚕期別保険の建前に改め、春蚕繭と夏秋蚕繭の被害の実態に応じて掛金率を個別化いたしますとともに、再保険金の額を蚕期別に決定することにより共済金の支払いの円滑をはかることといたしました。なお、これらは従来から検討を進めて参つた問題でありますが、蚕繭共済の料率改訂期となつております本年からこれを実施することといたしたのであります。  第三に、共済団体の運営につきまして、農業災害補償制度の一環としての特殊な性格にかんがみまして、公益的見地からの適正な監督を行い得ることとし、また役員の責任を明確ならしめることといたしました。  以上がこの法律案の大要でございまして、慎重御審議の上、可決あらんことをお願いする次第であります。  次に農業災害補償法に基く家畜共済の臨時特例に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。  農業災害補償法におきましては、家畜共済は、死亡廃用共済、疾病傷害共済及び生産共済の三つにわかれておりまして、疾病傷害共済に加入いたしますには、死亡廃用共済に加入していなければなりませんが、死亡廃用共済に加入いたしますには、必ずしも疾病傷害共済に加入することを必要としない建前になつております。しかしながら、第一には畜産振興上、疾病傷害共済の普及徹底とこれによりまする家畜診療の普遍化が必要であるという点から見ましても、また第二は、疾病傷害の事故についての診療が行き渡るに従つて、死亡廃用の事故が低下し、従つて共済掛金率が低下するという有機的な関連性から、全般的に農家の家畜共済による負担を軽減するという点から見ましても、この二つの共済を一元化いたしますことが、家畜共済事業の充実、農業災害補償制度の目的達成をはかります上において必要ではないかと考えるわけであります。この法律案は、この点にかんがみまして、農業共済組合の中から、一部の農業共済組合につきその同意を得て、死亡廃用共済と疾病傷害共済とをあわせた死廃病傷共済を一定期間試験的に実施させ、その実施成績によりまして、将来の家畜共済制度の改善に資することを目的としております。すなわち、この実験によりまして、一元化された場合の共済掛金率、共済の内容の各般にわたつて基礎資料を得ると同時に、家畜の共済制度の運営上の諸問題についても検討を加えて参りたいと考えておるのであります。  以下試験的に実施しようとする死廃病傷共済の内容について御説明いたしますと、第一に共済掛金でございますが、共済掛金率は、実験段階でありますので、一応従来の死亡廃用共済の掛金率に疾病傷害共済の掛金率によりまして機械的に算定せざるを得ないのでありますが、一元化いたしますときには、危険率が低下することが予想されますので、収支のバランスの面から見ますと、若干の余剰が出ると考えられます。そこで再保険特別会計に生じるであろうこの余剰分を見合いとし、実験を奨励するという意味を含めまして、共済掛金の一部の割りもどしという形での補助金を交付することといたしました。第二に、支払共済金でございますが、疾病または傷害の事故により、組合員に支払う共済金は、従来共済目的の種類ごとに一年間の支払い限度を設けて、濫診監療を防止することとしておりましたが、早期診療により死亡廃用事故の低減をはかるという趣旨を貫徹いたしますために、本法案によります共済については、この意味の限度は、これを撤廃することといたしております。  以上が、この法律案の目的及び内容の概要でございます。慎重御審議の上可決あらんことをお願いする次第であります。

坂田英一自由党

○坂田委員長 ただいまの三案に対する質疑は、次会よりこれを行うことといたします。     —————————————

坂田英一自由党

○坂田委員長 次に、これより前会に引続きまして、農林関係予算並びにこれに関連する農政問題につきまして、農林大臣に対する質疑を行います。金子與重郎君。

金子與重郎改進党

○金子委員 総括質問といたしまして、農政上今重要な四つ五つの問題につきまして、農林大臣の農政に対する考え方と同時に、現段階の事情をお聞きしたいと存ずるのであります。  肥料の問題につきましては、前会にも各委員から非常に熱心に討議がありましたので、重要な問題ではありますけれども、この際私はこれを後に送りまして、まず食糧の自給態勢の確立の問題でありますが、御承知のように、今日本の独立に際しまして最も重要な問題は、食糧自給態勢の確立をするということにあることは、ひとしくだれもが言われておるところでありますが、政府は先年度からこの問題を取上げて、抜本的な五箇年計画を立てて行くということを発表され、そうして食糧自給促進法というようなものによつて、その年々によつて予算が自由自在に、ある年はふえた、ある年は減つたということでなく、この問題だけは大きく基本的に取上げるというような構想を持つたかのように、私どもは承つておるのであります。しかるに今度の予算案を見ますると、その面はまつたく無視されたかようになつておりますし、また一方食糧自給促進法という法律を申訳的に出そうとしておるように聞いておるのでありますが、それだけ重要な問題が、しかも農林大臣が熱心にこの問題を取上げておきながら、どういうふうな支障があつて予算が出ないかという、現在の政府の内部的な事情を、ひとつお聞かせ願いたいと思います。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 たびたび申し上げている通り、食糧の自給は、わが民族に課せられた重大な義務であり、また使命であるのであります。これを本年度の予算面から見ますると、非常に期待に反していることは事実でございますが、しかし国家財政の見地からいたしまして、これもやむを得ないと私は考えておるのであります。しかし、さようにいたしましても、食糧の自給という、この熱意は貫徹させなければならぬ。そこで食糧の自給を長期しかも計画的にこれを推進いたしますためには、一つのやはり法的の基礎を持たせなければならぬと考えるのが、われわれの考えであります。そこで食糧自給のことに対しての大体の構想をまとめまず上において、最初に計画的、長期的な資金投入についての考えが第一点、それから第二点につきましては、この長期にして、しかも計画的な計画を立てる一つの審議機関と申しましようか、農林省のみでなく、広く学界あるいはまた一般の人たちを入れての審議会等を設けてやるという構想が一つ、それから第三は、本委員会等において非常に皆さん方から指摘されておりまする税金の問題であります。増反をいたしましても、あるいはまた土地改良をいたしましても、ただちにそれが税金となつてはね返つて来るようでは、これは増産になりませんので、その辺のことも十分閣内において一致させなければなりませんので、そういう諸点に関して、今閣内においてこれをまとめておるところでありまして、これも決して長い期間でないと思います。近いうちに法律として御審議を願いたいと思います。

金子與重郎改進党

○金子委員 食糧自給態勢の確立について大臣は、非常に重要なことだけれども、現段階におきましては、予算全体の立場から期待に沿うような結果が出なかつたというふうな話なんでありますが、そういうことを言葉として年年繰返しておりますと、その実があがつて参りませんので、これに対しては、単に農林関係ということでなくして、政府あげてもう少し熱意をもつて、言葉の熱意のみでなしに、現実に予算の上に熱意が納得できるという程度まで御努力願いたい。そういうことを考えるわけであります。それから食糧自給態勢の確立という問題につきまして、どうも私の見るところでは、政府の施策というものが、何か農林関係の予算のぶんどりからそういうものが生れてるというように今の政府は結論を与えてるんじやないかという気がしてならないのであります。なぜならば、食糧の自給態勢を確立するということは、もちろん生産ということに第一に着目すべきであるけれども、同時に消費面について、これをもう少し合理的に計画化しなければならない。にもかかわらず消費面になりますと、最近の自由党の諸君の考えというか、一般に世の中に言い触らされている、いわゆる自由経済の波に巻き込まれまして、そうして多額の血税を使つて輸入し、しかもその輸入の過程においては、最近のビルマ米のように数億の金を海の中へ投げ込んでしまうような結果をもたらしても、それでもなお真剣な態度をとつておらない。その理由といたしまして、まず第一に私が考えることは、食糧の配給の面においてそれだけきゆうくつなものを、今度は自由販売だというようなことを言つていること自体に矛盾があるのじやないか。そして麦の統制を撤廃してしまつたために、ことしの冬の気候から見ますと、本年度はおそらく大麦作は相当減収だと思いますが、そうするとことしの冬は政府が大麦を手に入れることは非常に困難である。むしろあのくさい外米よりも、内地の大麦を精白したものの方が、消費者ははるかに喜ぶのではないか。この大麦を米の不足分として安い価格で、政府の責任において配給に乗せる考え方はないか。もう一つは、くず米の問題は、やはりこれも加工用としてのみ使わずに、飯用としてこれもまた外米よりもむしろ喜ばれて食べられる面もあるのであります。これらのものをもう一度少い配給量に足して行くという考え方を持たないか、これをお伺いいたします。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 われわれは国内増産にあまりに国費を投下するよりも、もつと工業方面を発達させて輸出を増進して、輸入をしたらいいのじやないかという安易な考えを往々にして聞くのでありますが、それにはわれわれは根本から反対するのであります。ただ輸入いたしましたビルマ米等について遺憾の点のありましたことは、われわれとして率直におわびを申し上げますが、しかしこれも決して海に捨てるのでなく、この黄変米等も処理いたしまして、これをみそなり、あるいはアルコールなりに転用いたしまして、なるべく損害を少いようにいたしたいと思うのであります。それからまた、統制をはずしたがために大麦の減収を来すのじやないかということでありますが、これは統制中にある程度押しつけて、強制的な作付をいたしたことから離れて、大分適地適作の方針がとられて来て、もう大体減産は食いとめられると思います。ただ大麦等を配給の上に復活する用意がないかということでありますが、これは自由に買えるようにいたしておりますし、しかもまた大麦のことについては、今まである程度の熱処理をいたして、圧縮して出しておつたのでありますが、これを熱処理をしないで、しかも圧縮をいたして、もつとうまく食べられるような方法をただいま指導いたしまして、この需要を喚起するように努めておるのであります。またくず米等については、これはなるほどおかゆなり、あるいはその他のことにしてやればよろしいと思いますが、配給外米の辞退、あるいはまた東北地方においては内地米の辞退等も相当にありますので、くず米をそのまま配ることについてはよく検討いたします。

金子與重郎改進党

○金子委員 なおもう一点、食糧自給に関連しての問題でありますが、これだけ少い食糧の中で、一方政府は最近酒の税金を下げまして、その収入の足らないところは増石するというような方向へ入つておるのでありますが、それに引きかえて、一方農産物であるいも類の問題を取上げますと、一体日本の澱粉食糧といたしまして、慣習から見ましたとぎに、あるいは僻地における栽培可能面積の多い点から見ましても、将来の日本のかんしよ、ばれいしよというものは、食糧問題解決の上にどうしても放任してはならない重要な一つの問題であると思うのであります。ただしかしながらこのかんしよ、ばれいしよは、貯蔵がきかぬという大きな欠点を持つておりますので、当然切りぼしなりあるいは澱粉というような貯蔵のきく形態に加工する。そういたしますと、これらのものが非常に値下りをして、今政府がこれを買上げなければならぬというような状態が起つておるのであります。これは貴重な米をつぶすならば、これだけ少い食糧事情の中でありますから、その上等の酒というものに対して、いわゆる米でつくつた酒というものに対して、ある程度までこれをむしろ減らして行つて、そうしてこれらのアルコール資源というものをもつと十分に活用するということが、総括的な食糧問題の解決に役立つと思うけれども、農林関係だけの増産問題だけを言つておる。一方では自由経済だからつぶして売るということは、政府としては大きな矛盾ではないか。たとえばいも類に対する政府の見方といたしましても、今日出まわつております菓子類の中には、米麦のりつぱなものをつぶしたものが市販されておる。いも類の加工菓子にしても一向さしつかえない。それからアルコールに対しても、穀物をつぶさないで、こうした貯蔵のきかないもの、しかし一方さいぜん申し上げたように、澱粉生産として一つの重要なる役割を持つておる作物を、どうして総合的に保護し、また総合的に消費計画を立てないかということに、私は非常に疑問を持つのであります。それに対して農林大臣はどういうふうにお考えでありますか。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 酒の増石についてのお話でありますが、なるほど絶対量が足らないのに酒の増石になぜ米をつぶすかということは、これは一応ごもつともに聞えるのでありますが、しかしこれはいわゆる濁酒その他で費す米の量は大体二百万石から三百万石と推定されておるのであります。特にただいまはいもを原料とするアルコールの製造は、各醸造家において—ほとんど大醸造家は設備を持つてないところはないくらいに持つておるのであります。また酒についても一定度の混入を強制するくらいにして認めておるのでありまして、そうしてある程度のアルコールを混用して市販にいたしておるのであります。かようなことからいたしまして、表から見ますというと、去年より多少ふやしておりますが、これによつて密造酒を防ぐことがかえつて日本の米を正常的に流すことに便利だと考えてやつておるのであります。それとまたアルコールを酒に混用することは、合成酒はもちろんでありますが、一般日本酒にも当然これは入れてやつておりますので、今までの日本酒に対するいわゆる慣習をこれによつて満たす、そうして濁酒の密造を防ぐようにいたしておるのであります。なおまたかんしよ、ばれいしよについての総合的な食糧計画をどうして立てないか、こういうお話でございますが、これはわれわれといたしましても食糧外に見ておるのではないのでありますが、しかしこのことについて、今までの計画配給のように、全部を計画的に配給することは私は考えておりませんが、しかし食生活の改善からして、ばれいしよあるいはかんしよ等が小学校の児童を通じて食生活の改善なり、あるいは農林省における生活改善課の方を通し、あるいは輿論に訴えて、ばれいしよ、かんしよが実際の主食と代替されるように、われわれは努力をいたすわけであります。それからまた一番大事な米をつぶして、群馬、埼玉等が特に多いのでありますが、せんべいの種というか、これが非常に多く都市に向つて入つて来ておるのであります。これなんかもわれわれとしては、非常に関心を持つて今まで見ておつたのでありますが、あまりに多い所についてはわれわれは何か手を加えなければならぬと考えておる次第であります。

金子與重郎改進党

○金子委員 私どもの期待とは大分幅があるのでありますが、それにいたしましても、大臣が最近これだけ貴重な米を菓子原料その他せんべい等につぶされる量が非常に多いということが考えられるということに対しては、一面の明るさを私ども持つておるわけでありますが、私どもといたしましては、戦後におきます食糧事情が、全体のわくでこれだけきゆうくつであるにもかかわらず、一般の思想的に自由だという感じの方が強過ぎる。それに対して政府は、もう少し食糧問題は引締めてかからなければいけない。これは一面自由だ、放任だという形をとりました今までの反動でもありましようし、また政府のこれに対する引締め方の足らない責任だ、こういうことを私は責任を持つてもらいたいと思います。それから今の段階で参りますと、いも類の増産はこれで天をつくのではないか、協同組合の加工場等における澱粉製造もほとんど行詰りになつておる。生産者も従つてこれ以上増産できない、しかるに反当澱粉の収量から見ますと、まだまだ余地がある。りつぱな陸稲やその他の作物のできない所でも、かんしよ、ばれいしよならできる土地が内地にはたくさんあるのであります。また北海道でもあるのであります。これをどういうふうに将来転換されるか、かんしよ、ばれいしよというものはこの程度であきらめるか、ないしはどういうふうな施策によつて、全体の食糧の一環としてこれを増産さして行くか、この見解を承りたいと思います。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 これはあきらめるどころのことはないのでありまして、ばれいしよ等は内地で足りなくて、内地の食糧のみならず東南アジアに輸出する大事な食糧品であります。それからまた北欧等に見られるように、ばれいしよを実際主体として食糧を考えているようなことにまで、われわれは考えて行きたいと思つております。またいもにつきましては、いも自体をわれわれが食べて、余つたものはこれは家畜の飼料とするに決して劣るものではないのであります。特につる等は酪農等においてはむしろ大事な食べものであるのでありまして、秋口これをサイロに入れておきますと、冬期でも家畜にやることができるのであります。なおまたいもにつきましては、単に澱粉のみならずこのいもからとりまするアルコールを主体とした原料によつて、これはアメリカにおいて盛んにやられておることでありますが、合成樹脂がこれから大半つくられておりまして、生ゴムの輸入は防ぐことができる程度に至つております。これは農林省といたしましても、これを推進する考えから、近いうちに実際に機械の買入れと技術を検討するため、二十数名の人がもうアメリカに行くことになつておるのでありまして、これが工業化できた場合には、なおまた大きな用途が今後あるわけであります。食糧のみならず、工業原料としても大事なものでありまするので、われわれといたしましては、決してこのままこれを退歩させる考えはないのであります。これの買上げ等についても十分注意を払つてやつておるようなわけであります。

金子與重郎改進党

○金子委員 話が非常におもしろい方向へ進んでおると思います。そこで私は大臣にほんとうに考えてもらわなくちやならないことは、かりにかんしよ、ばれいしよから澱粉をとる。それがアルコールの過程を経るなり、あるいはもつと高度の工業化資源として入る。これは文化の当然であります。しかしながら日本の過小農の立場におりますと、御承知のように企業採算が成り立たない上に農業をやつておりますために、交換経済に依存することは農民に対して生活をだんだん苦しくしてしまう。そういう点からいいますと、農民が企業採算のとれない経営の中で、なぜ生きておるかということは、結局半分程度のものを自給経済にまつておるところが、いい悪いは別として、これは日本の経営の現実であります。しかしながらだんだんと世の中が先に進んで参りますと、農民が当然自給自足すべき酒は政府の収入として大きな角度を持つて行く、政府がいわゆる没収してしまつた。農民が当然自給自足なさるべきタバコは、これまた専売として政府がとつてしまつた。そして今度はかんしよ、ばれいしよから貯蔵のきく、市場価値の高い形体であるところのアルコールにしようとすると、これまた政府の専売にやつて、しかもそれをやらせる企業も農民にやらせない、やらせないとは法律にはないけれども、現段階の大蔵省の方針はそういう結果になつておる。こういうことであるならば、農民はいつまでもその原始生産の中だけで非常な苦しい生活を続ける以外に道はない。そこで今のかんしよの問題の加工過程としてアルコール製造のごときは、もう少し協同組合のような農民自体の協同体にもこれを許したらどうか。これは大蔵省の主管だといつて逃げるということでなく、政府の責任において、そういう方向をとるべきではないか。一体、農民がもつと高度に自給自足するならば、最近肥料の問題で高い高いといつてあれだけやかましく言つておりますけれども、全農民が一日に巻タバコ一箱吸うと肥料の代金以上なんです。それだけ言葉は悪いけれども農民は搾取されておる。肥料問題のごとき大きいけれども、自分の屋敷のすみに十本か二十本の葉タバコを植えておけば間に合うものが、あれだけ問題になつておる肥料代以上の農村支出になつておるということを考えたときに、今さら私は酒、タバコの専売あるいは専売に近い国家収入を得ることを云々するのではありませんが、少くともこれから問題になる、澱粉等に悩んでおります現段階において、それほど施設も大きなものを要する問題でない、また科学性を要する問題でないアルコール製造のごときは、協同組合に対して許すという方針で行かれたらどうかと思うのですが、それに対して農林大臣はどうお考えになりますか。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 いも、ばれいしよを農家の自給食品としてわれわれはこれを軽視するのではないのでありまして、ばれいしよ等もこれをフライにいたして牛乳と一緒に召し上ればりつぱな主食になることは先刻あなたも御承知の通りであります。決してこれをわれわれは阻害するのではないのであります。その残つたものについての話をいたしておるようなわけであります。それからまた酒や何かを農民が自給するようにしたらいいんじやないかということでありますが、実際東北地方において濁酒をつくつて飲んでおりますが、その結果は非常に胃潰瘍がふえて参つております。これは何か雑誌で読んだのでありますが、フーゼル油とか何とかいうそうでありますが、非常に有害で胃壁を痛めておるのが、現在東北地方に彌漫いたしております。こういう事実から見ましても、これはやはり政府が監督して、りつぱな酒にして安く売つて行く方がいいじやないかと考えております。それからまたアルコールの製造につきましても、現在のところにおいては限界に達して、まだ協同組合にこれを推奨するほどの需要が実はないのであります。そこで政府でもつております通産省所管になつておるあの工場すら、実は民間払下げをやつても売れないような状態でございます。ただ今後ほんとうに工業的価値が出て参りまして、ただいまも私が言いました合成樹脂等がこれによつて製造され、そして生ゴムをどんどん駆逐するというように、国内において生産されるような場合においては、協同組合にも一役買つてもらわなければならぬと考えております。

金子與重郎改進党

○金子委員 その問題はいま一点だけで次に移りますが、農民が濁酒をつくる、それが生理的に悪い結果を及ぼすというようなことをいろいろ言われておりまするけれども、これは、政府または資本家のもうかりそうな仕事は農民団体にはやらせないという結論なんです。現実にそうなんです。つまり農民が正月に各戸で甘酒をつくる、その麹をねせること自体も、農民の共同組織においてはなかなか許さぬというような、実にばかげた今の考え方なんです。ですから、農民を一番搾取しているのは大蔵関係なのであります。農民が昔自給自足しておつたものを、政治の近代化と一緒に法律化して、自給自足の面を剥奪しておるのであります。それと、次には資本主義が発達して、工業が高度化するに従つて、交換経済に依存する部分が多くなつておる。私どもがこういうことを申し上げると非常に変な話でありますけれども、酒のごときも共同醸造所をつくつて、自家用醸造の工場は別にして政府が管理するならば一向にさしつかえない。従つてあなたが心配するように、密造酒のために胃潰瘍を起すというようなべらぼうなことは絶対にない。そういうことを農民がふしぎに思わないで、搾取されることはあたりまえだというふうに思うような政治形態になつておる。私がこう申し上げると、何かとつぴなことのように聞えるのでありますが、これはとつぴなことでなく、まじめにこの問題は研究しなければならないと考えるので、お願いするわけであります。  次に農業共済の問題でございますが、この法律は年々改正案が出ております。この改正案が出ておるということは、農業共済というものがむずかしい仕事であるだけに、やつてみてもやつてみても次から次へと改正を要する点が出て来る。従つてこうして毎回改正の法律案が出て来るのでありますが、大臣は、農業共済という今の考え方、もつとくだいて申しますと、作物の災害を共済の形てやつて行けるか行けないかという、根本的な掘下げをしてみたことがあるかどうかということを、まずお聞きしたいと思う。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 非常に天災の多い日本の農業について、これを共済でないその他のことで考えたことがあるかどうかということでありますが、私はやはり共済の形がいいと思つて、ほかの考えは今のところ持つておりません。

金子與重郎改進党

○金子委員 それを農林大臣が考えたことがないとすれば、遺憾ながら私は不勉強だと申し上げるよりほかないのであります。これだけ天災の多い国で、これだけ天災への金額のボリュームの大きいものを、共済という観念で行つてはたしてその掛金を今の貧弱な農民がかけ得るかいなか。被害をなからしめる程度までの実を上げようとしても、今の農民の平時経済力では負い切れない。それならば国家が全部これを負うかというと、国家の立場からいつても、財政上非常に厖大な金額になるので、そこに悩みがあるのであります。  それからもう一つ作物共済の困難な点は、災害の量の査定が非常に困難だということであります。たとえば火災保険にいたしましても、家畜保険にいたしましても、それらのものは、どんなに政治力を使いましても、生きている豚を死んだと言い得ないのであります。死んだ牛を生きているとも言い得ないのであります。ところがこの作物共済の場合は非常に政治的であつて、掛金をかけるときになると、ゴムのようにたんぼの面積が縮んでしまうというのが末端の実情であります。大臣は末端においてお聞きになつたでしようが、政府がこれだけの犠牲を払つて、これだけ法的に苦労している共済事業を、末端の農民で喜んでいる人が何人あるか。それをお調べになつておられるか。りくつで行くのではなしに、作物以外の火災あるいは家畜の共済は成り立つ可能性がある。またこれを保護育成し、しかもこれを農民の自主的機関がやつて行くならば、中央に集中する資金を緩和ずる上からも、いろいろな面からいつて役立つという自信を私は持つております。しかしながら、遺憾ながら農業共済に対しては自信がない。この際抜本的な考え直しをすべきではないか、こう考えるのであります。あなたが今考えておらぬとするならば、近き将来、たとえば今の実際の数字を農民に示して、そうしてこの制度を置く方がよいか悪いかということに対する農民の実際の考え方をあなたにお示しする機会があると思いますが、一番予算を使つているこの重大な問題について、まだ考えておらない、今の方法がよいと考えているのは不勉強だと考えますが……。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 われわれしろうとで最初に入つて来て、このくらいむずかしい問題はないと思つて、いまだに検討いたしておるのですが、災害の少い土地と多い土地とこれがまた非常に区別があるのであります。特に東北地方あたりは、今まで冷害々々と非常にやつておつたのが、ぱたつとなくなつてみたり、あるいは暴風地帯の暴風がなくなつたというようなことで非常に違うのであります。またあなたの御指摘のような、火災あるいはその他生命等のことは、これは端的に現われておるので、なるほど楽であります。しかしこの作物はなかなかむずかしいのでありますから、今農林省としてもいろいろ—今度の法律改正なんかもそこにあるのですが、むずかしいから何回も何回もやはり改正して実際に適合するようにやつておるのでありまして、われわれとしてもむずかしいことを十分承知の上で検討いたしたいと思つております。

坂田英一自由党

○坂田委員長 金子さんにちよつと申し上げますが、災害関係の法律案も出ておりますから、もし何でしたらその折に。

金子與重郎改進党

○金子委員 それでは委員長のお話がありますから、災害の問題はこの次に譲ります。ただ一点、最近青森県等に起つておりますのは、相当大きな問題であり、これは私の想像では、単に青森県だけではありません。ただ一県が現われただけである。大きなボリュームの金額を取扱います関係上、いろいろな問題ができていると想像しておりますので、これを簡単に御説明願いたい。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 青森県の本日の新聞に載つておりますことは、多分これはまだ現地においてもはつきりわからないと思いますが、実はわれわれの方で今調査いたしておりますので、調査をまつてはつきりしたことをお答えいたしたいと思います。

金子與重郎改進党

○金子委員 これは法案を審議するまでに全貌を明らかにして、われわれに報告していただきたいと思います。  最後にもう一点お願いすることは、去年問題になりました農林省設置法のうち、別表によつて営林局の変動といいますか、そういうのがあつたように思います。去年は握りつぶしになつたのですが、ことしはそれをどういうふうにお考えになつておりますか。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 農林省の行政機構の一部を改正する法律案は、最初の方針通り出す考えでございます。これは御存じのように、あるいは戦争中一部一時避難をいたした箇所であります。そしてまたその他の各河川の流域別に担当区域を変更したという簡単なことであるのでありまして、本国会に提出いたしたいと思います。

金子與重郎改進党

○金子委員 この問題は単に戦争中役所の疎開だ、だからまた東京のまん中に持つて来るのだというようなお考え方は、これは農林大臣にも似合わない話だ。一体この問題はすべての役所、すべての文化機関というものが必要以上に大都市に集まり過ぎておる。だからむしろこういうふうな機関は地方へ分散する。いわゆる疎開したこと自体がいいことであつて、それをこんなにごちやごちやした東京のまん中へいろいろな機関を持つて来るという考え方に対しては、私はどうもあなたの考え方は承認できないのですが、しかしどうしてもこれをお出しになるというならば、どうしても政府に対してこういう考え方は反省してもらいたい。しかもここに定員法の中で首切りという問題が出ますと、すぐ労働組合があれだけの騒ぎをやる、それに政府は負けて行く、しかしながら役所を移転することは実際上首切りなんです。その役所には、その地におるがゆえに就職しておる人たちが、三年なり五年なり一つの役所におりますれば、それをかつてにこちらへ移す、あちらへ移すとなると、そのあとついて行けない職員が相当出るのです。これは首切りということをやらずに、実質的に首を切ることなんです。そういうこともお考えになつていただきたい。とにかくこの問題については、それ以上は討論になりますから私は申し上げませんが、十分御反省を願わなければならぬということを、あなたも覚悟しておいてもらいたい。そういうことで時間が参りましたから、私の質問は一応ここで打切ります。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 これは必要以上に便利の悪い所へ疎開いたしておりますので、便利のいい所にやりたいということであり、また決して首切りなんということではなく、親切な態度をもつて従業員諸氏には臨みたい、こう考えております。

金子與重郎改進党

○金子委員 今私はこれで打切ろうと思つたのでありますが、必要以上に不便な所ということでなければ、それではこれはよろしい。それから首切りはしないというけれども、実際上一つの地域にあるものが、また二十里、三十里の所に居を移して行くことは実際上できない。だからこれは首切りになる。あなたは何ぼ親切にやると言いましても、住宅をつくつてくれて、そして居を移すまでの親切はできないにきまつておるのでありまして、これは単なる口の上の言いのがれでなしに、もう少し真剣に考えていただきたい。それによつて政府の林野行政上、どうしてもこういう支障があるということであれば別でありますけれども、私どもは今の段階においてそう考えられないということを固く信じておりますから、警告しておきます。

坂田英一自由党

○坂田委員長 他に御質問はありませんか。  別に御発言がなければ、本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時四十四分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗