内閣委員会 第20号
- 発言数
- 97 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1953/03/05
会議録
○船田委員長 これより会議を開きます。 本日の議題は、公報をもつてお知らせいたしておきました通り、栄典法案、保安庁法の一部を改正する法律案、青少年問題協議会設置法案、厚生省設置法の一部を改正する法律案、恩給法の一部を改正する法律案、大蔵省設置法の一部を改正する法律案、及び厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。 栗山委員より議事進行についての発言を求められております。これを許します。粟山博君。
○粟山委員 私は、当委員会において栄典法案が上程されておりますが、長い間の審議にあたられ、委員長が慎重な態度をもつてお取扱いになつておられることに対しては、敬意を表するものであります。この栄典法案こそは、一見国民の生活問題とか、あるいは国民の人権問題に直接関係するものではないように見える法案ではありまするが、この栄典法案の取扱い方について考えますれば、まことに大きな影響をもたらすものと考える。従つてこの審議はいろいろな観点から券論案尽して結論を求めるべきものであろうと私は考える。いわんや曠古の大戦争の後に敗戦のうき目を喫した日本の国情の今日のあり方からすれば、国民ことごとく深刻な批判をおのおの持つておるのでございます。この法案によりますと、過去の功績に与えられたる者も残り、さらにまた新たなる国家再建に尽された者に対して授与するという目標において審議されておるのでありますが、この過去より現在に及ぶ広範囲にわたり効力を持つ法案であるという性質から考えますならば、私は非常に慎重な態度をとらなければならぬと思う。委員長が慎重な態度をとつてくださることに対して私は敬意を表するものでありますが、仄聞るところ、政府の提案に対して、委員長御自身が試案をお持ちになつておるようであり、また社会党の両派においてもそれぞれ試案を持つておられるように承るのであります。そうでありますならば、これからの審議はなかなか容易にあらざるものと私は想像するのでありまして、相当の時間を要さなければならぬことは言うまでもありません。ことに総理大臣が次会に出席されるということによつて、私どもはそれを期待しておりました。しかるに、二回続けておるのでありますが、まだ総理大臣がお見えになつておらない。かような重要法案を取扱うにあたつて総理大臣並びにこれに関係する大臣が親しく出席して、懇切丁寧なる答弁があつてしかるべきだと私は考えます。よつて私はこの法案こそは、議員全体の高邁なる常識の上から、これこそ重要な法案だということの自覚の上に、どうか誤りなきを期するようにいたしたいということを念願にたえないのであります。従つて、この法案の取扱い方に対しては、格段なる方法を用いまして、十分その審議を尽して憂いを後に残さないようにお取扱いなされんことを、この機会において私は委員長に希望する次第であります。
○船田委員長 ただいまの粟山君の御意見につきましては、委員長において了承いたしました。御承知の通り、本法案はきわめて重要なものであり、かつ超党派的の問題でもありまするので、委員長におきましても従来慎重にこれを扱つて参りました。ことに輿論調査もすでに政府の方で済んでおりまするし、また本委員会といたしましても、公聴会を二日開きまして、各方面の権威ある方々の意見を十分伺つておるのであります。ただいまの御発言にありました御意見はごもつともではございますが、委員長といたしましては、総理大臣及び主管大臣である官房長官の出席も要求はいたしておりますが、国務の都合上出られぬことはまことに残念でございます。本日は官房長官はお見えになるはずであります。しかし昨年以来継続審議をいたしておりまするし、また同様の法案につきましては、かつて芦田内閣においても、一度各派一致で法案が通過いたしておるというようなこともありまするので、委員長としての希望は、本法案についての質疑をさらに十分お尽しになることはけつこうでございますが、なるべく近い機会に結論を出していただきたいということを希望申し上げます。
○粟山委員 私はこの議事進行について練達堪能の委員長と問答を試みたいという考えは毛頭ないのでございます。私は戦後の人心の変化の状況、それから国際関係、国内情勢等、目のまわるように深刻な動きを続けております重要な事態から考えますると、現在は、過去を尊重することは当然のことであるが、日に日に新しくして、そのときにおいて最善を尽したいと存ずるのでございます。過去において私の属する改進党が、あるいは芦田内閣のありし日もあつたかもしれませんけれども、さような事柄は、広い意味において考えから取去つて現在の状態において、過去及び未来という大きな見地から深く掘り下げて私はこの問題を取扱いたいと思うのでございます。そういう意味におきまして、芦田君が内閣であつたときにどうであろうとか、どの内閣でどうであろうとか、そういうことは別問題としてこの審議を続けたい、かように私は考えております。これは私だけの考えを申し上げます。
○船田委員長 十分了承いたしました。善処いたします。
○船田委員長 次に、厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(佐藤洋之助君外二十四名提出、衆法第四三号)を議題とし、提案者より提案理由の説明を求めます。佐藤洋之助君。
○佐藤洋之助君 これより衆議院海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会に所属する全議員二十五名の共同提案の厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。 ソ連、中共地域からの集団引揚げは、昭和二十四年十月以降杜絶しておつたのでありますが、今回ようやく中共地域からの引揚げが実現せんとする事態を迎えましたことは、深く喜びとするところであります。 もともと未帰者の帰還促進と消息の究明は、ただに留守家族の関心事たるにとどまりませず、全国民的課題として、これが解決には朝野をあげ、かつ国際社会にまで訴えて来たところであり、本院におきましても、毎国会ごとに特別委員会を設けて未帰還問題の終局的解決を期して参つたのであります。 引揚援護庁は、在外同胞の受入れ援護と未帰還者の調査究明並びに未帰還者留守家族の援護を本来の職務とし、これに昨年四月より施行されました戦傷病者戦没者遺族等援護法の業務をあわせて行つているのであります。すなわち引揚援護庁は、未帰還問題の直接の衝に当る責任官庁であります。ところが、同庁は、昭和二十七年第十三国会において成立いたしました厚生省設置法の一部を改正する法律によりまして、本年四月一日からは従来の外局の組織から厚生省の一内局に改編吸収されることになつているのであります。 引揚援護庁が、集団引揚の中絶中も、あえて今日のごとき組織のもとに存置されて参りましたことは、この未帰還者の問題が、太平洋戦争の跡始末の未解決な問題のうち、同胞の生死にかかわる深刻な問題であり、この問題解決の念願には、人道と正義を確立し、国際平和をもたらさんとするわが国の決意が込めれていると解するのであります。 しかるに国民多年の宿望たる中共地域からの引揚がまさに実現せんとするとき、この受入れ処理に当るべき引揚援護庁が廃止され、その業務が厚生省内の一内局に縮少転移いたそうとしているのでありますことは、単に一行政部局の改編に過ぎないように見えますが、申すまでもなく、外局が内局に転移いたしますとすれば、内部機構の大幅の変改、これに伴う広汎な人事の異動によりまして、関係職員の心理に少からぬ動揺を与えまするほか、引揚第一船の入港前後に広汎多岐にわたる物品の保管がえや、諸書類の引継等を行わなければならないため、引揚者の受入援護に相当の混乱と支障が生ずるであろうことは容易に想像されるところであります。また今日あるに備えて存続して参りました引揚援護の責任官庁を、この際縮少改編いたしますことは、全国留守家族はもとより、国外に対しましても好ましからぬ影響を与えるであろうことを憂慮いたすのであります。 また消息不明の未帰還者の調査究明については、今次の帰還者から今後有力な資料の得られることを期待し、引揚援護庁が一段とこの方面について積極的な活動を促す必要があろうと存ずるのであります。 なお、国会が多年にわたつて要望して参りました留守家族援護の法案が整い、明年度より実施の運びに至らんとしておりますほか、戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正による複雑な業務があり、さらに軍人恩給の復活に伴う厖大な施行業務等も引揚援護庁の任務として明年度より新たに加わらんとしておるような状況であります。 このような情勢を勘案いたしますとき、引揚問題のおおむねの処理が終り、その他の業務も軌道に乗ると思料されます時期、これを明年度末と見込みまして、昭和二十八年度三月末日まで、引揚援護庁は、現行の機構のままにいたし、全機能をあげて、叙上の業務の完遂に当らせるのが時宜に適した措置と存ずるのであります。 以上の理由により、厚生省設置法の一部を改正する法律により昭和二十七年三月末日までとされている引揚援護庁の従来の組織機構をさらに一年延長いたすため厚生省設置法の一部を改正する法律を一部改正し、これに関連照応する国家行政組織法の一部を改正する法律及び行政機関職員定員法の一部を改正する法律をそれぞれ改正いたそうとするのであります。これら法律案の改正点は、以上の法律の附則中引揚援護庁設置令の有効期限につき、いずれも昭和二十七年三月三十一日とありますのを、それぞれ昭和二十八年三月三十一日とする一点のみでありまして実体規定の改正には何ら触れるところはないのであります。 何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことを切に希望いたす次第であります。
○船田委員長 次に補足的に政府より説明を聴取いたします。木村引揚援護庁長官。
○木村(忠)政府委員 ただいま佐藤引揚委員長から提案理由の説明が、ございました。引揚援護庁は本年度末まで外局でありますものを、明年の三月三十一日までそのまま存置するということにつきましては、引揚援護庁といたしましては、これはぜひともそうある方がいいということに考えておるのでございます。ただいま御説明がありましたような理由によりまして、われわれとしましては現在のままで行きますると、相当引揚げ業務に支障を来す、引揚げ援護にも支障を来すということは明らかだと考えますので、そういうふうにいたしますことは、引揚げ業務を円滑にする意味におきましてきわめて必要であろうと思います。こういう事態の変更が最近になつて明らかになつて参りましたために、政府といたしましてはこれの準備ができず、そのためにいろいろな問題もございますので、政府でこれを提案することができなかつたような状況でございます。 ―――――――――――――
○船田委員長 次に恩給法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。緒方官房長官。
○緒方国務大臣 ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由及びその内容の概略を説明申し上げたいと存じます。 昭和二十年十一月二十四日連合国最高司令官から「恩給及び恵与」と題する覚書が発せられ、これを実施するがために制定された昭和二十一年勅令第六十八号恩給法の特例に関する件によりまして、この特例第一条に規定された旧軍人軍属及びその遺族の傷病恩給以外の恩給は廃止せられ、その傷病恩給は、一定条件のもとに制限支給されることになつて今日に至つたのであります。ところで、これら旧軍人軍属及びその遺族に対しましては、今次大戦の終りに至るまで、一般公務員及びその遺族と同じく、恩給が給されていたのでありまして、これらの人々のみが恩給を給されなくなつたのは、まつたく連合国最高司令官からの覚書によるものであり、講和条約成立し、わが国の独立を見るに至りましても、なお、このような状態を放任し、戦争責任を、ひとり、旧軍人軍属及びその遺族のみにしわよせするかのような状態を続けますことは、好ましくないことと考えられるのでありますが、さきに、総理府に設けられました恩給法特例審議会においては、これら旧軍人軍属の恩給に関する重要事項に関し調査審議の結果、国家財政の現状及び国民感情の動向等を勘案し、旧軍人軍属及びその遺族に対し、相当の恩給を給すべきものと認め、特に、遺族、重傷病者及び老齢者に重点を置いて給すべき恩給の内容等を決定し、これを昨年十一月二十二日政府に対し建議いたして参つたのであります。政府はこの建議の趣旨を尊重し、これら旧軍人軍属及びその遺族に対し、かつてこれらの人々と同じく恩給を給されていた公務員と、恩給の取扱いの点において、差別しないことを目途としつつ、国家財政の現状を考慮し、来年度予算の許す範囲内において恩給を給することといたそうとするのがこの法律案の主要な事項の一つであります。 次に、現行恩給制度は、終戦以来今日まで、たびたび改正されたのでありますが、これらの改正は、いずれも、旧軍人軍属及びその遺族の人々の恩給が廃止または制限されている現実のもとに行われたのでありまして、もしも、かりに、旧軍人軍属及びその遺族の恩給が今日のごとく廃止または制限されていなかつたとしますならば、国家財政等から考えましても、当然、現行恩給制度の実体は、相当改変されたであつたろうと察せられます。従つてこのたび、旧軍人軍属及びその遺族に対して恩給を給しようとするのに伴い、国家財政の状況、国民感情その他の諸種の事情を考慮にいれて、現行恩給制度に対し、若干の改正を加えることといたそうとするのがこの法律案の主要な事項の二であります。 なお以上のほかに、制度の改正等に伴い、恩給法に若干の改正を加えようとするのでありまして、以上がこの法律案の提案の理由及びその内容の大要でありますが、次に、改正の主要な事項について御説明いたしたいと存じます。 第一に現行恩給制度に改正を加えようとする主要な事項について申し上げます。 実在職年に対する加算制度は、実際、在職しなかつたにもかかわらず、在職したものとして取扱い、いわば、想像上の在職年を実際の在職年に加えて在職年を計算し、恩給を給しようとする趣旨によるものでありまして、勢い、短期、若年退職者に恩給を給し、かつ、恩給金額の増大を来す結果となるものであります。今日のごとき脆弱な国家財政のもとにおいては、かかる制度を存しつつ、旧軍人軍属及びその遺族に恩給を給することは困難と思われます。そこで、これらの事情その他諸般の事情を考慮し、旧軍人軍属及びその遺族に恩給を給するにあたりましては、加算は、すべてつけないこととし、その在職年は、実在職年のみをもつて計算することといたそうとするのであります。かかる事情からいたしまして、現存加算制度は、条理上存置すべき理由のないもののように思われますばかりでなく、現に、加算がつけられている業務または在勤に対しましては、従来、一般的に俸給のほかに手当が給せられ、その手当は、恩給金額計算の基礎俸給に算入されていなかつたのでありますが、最近の公務員の給与におきましては、これらの業務に従事する人々や、これらの在勤者に対しましては、一般公務員に対し適用される俸給号俸よりも割よい俸給号俸が適用され、これらの人々に対する給与が改善されました結果、一般公務員に比して割よい俸給が、これらの人々の恩給金額計算の基礎俸給になつているのが通例であることを考えますと、加算を存置する理由は、いよいよ少くなりて来ているように思われます等の諸種の事情を考慮いたしまして、今後在職年に対する加算は廃止し、恩給の基礎在職年は、実在職年のみをもつて計算することとし、ただ、すでに恩給を給されている者及びこの法律施行後六箇月までの在職年につきましては、従来通りの取扱いをいたそうとするのがその第一であります。この法律案中、恩給法第三十八条から第四十条までの改正規定、恩給法別表第一号表の削除、並びに附則第三条及び第四条の規定がこれに関するものであります。 次に現行恩給法におきましては、公務員の外国勤務の実動続在職年が普通恩給所要最短在職年限を越える場合並びに警察監獄職員及び教育職員の勤続在職年が普通恩給所要最短在職年限を越える場合においては、普通恩給年額を計算する場合に、その最短在職年を越える年数に応じ、通例の場合に比し、若干の恩給加給の取扱いをすることになつているのでありますが、外国勤務の実動続在職年に対する加給につきましては、その実例も乏しく、かつ、外国勤務事情の変化等により、その存置の理由も少く、また、警察監獄職員及び教育職員につきましては、この制度の設けられましたころから考えますと、一般公務員に比較して、その給与が相当改善され、これを存置する理由の消滅しましたこと等によりまして、この際、この取扱いを廃止し、ただ、すでに退職してこの加給を受けている者及びこの法律施行後六箇月までの在職年につきましては、従来通り加給するごとといたそうとするのがその第三であります。この法律案中、恩給法第六十条第三項、第六十三条第三項及び第五項の改正規定並びに附則第三条、第七条及び第三十条の規定がこれに関するものであります。 次に、現行恩給法におきましては、普通恩給は、これを受ける者が、四十才未満の場合はその全額、四十才以上四十五才未満の場合はその半額、四十五才以上五十才未満の場合はその三割の額を停止されることになつているのでありますが、最近の公務員の退職時の年齢の上昇及び国家財政の現状等を勘案し、右年齢を五才ずつ引上げることとし、この停止に関する取扱いは旧軍人軍属についても適用することとし、ただ、現に、普通恩給を受けている者及びこの法律施行後六箇月以内に退職する者につきましては、従来通りの停止をいたそうとするのがその第三であります。この法律案中、恩給法第五十八条ノ三の改正規定並びに附則第六条及び第二十三条の規定がこれに関するものであります。 次に、現行恩給法におきましては、恩給年額が六万五千円以上で、恩給外の所得年額が三十三万円を越える場合には、恩給年額と恩給外の所得年額との合算額に応じて普通恩給年額の一部を停止することになつているのでありますが、昨秋、公務員の給与水準が引上げられたこと及び経済事情の変動等に伴い、右金額を若干引上げることとし、恩給年額八万円以上で、恩給外の所得年額が四十六万円を越える者につきましては、従来の方法に準じて、恩給年額の一部を停止することとし、この停止に関する取扱いは、旧軍人軍属にも適用することといたそうとするのがその第四であります。この法律案中、恩給法第五十八条の四の改正規定並びに附則第六条及び第二十三条の規定がこれに関するものであります。 次に、現行恩給法におきましては、いわゆる公務傷病恩給または公務扶助料につきましては、特殊公務による場合と普通公務による場合とに区別しているのでありますが、特殊公務と申しますのは、軍人恩給廃止制限当時の恩給法に規定された戦闘まだは戦闘に準ずる公務に相当するものでありまして、もともと戦闘に由来するものであり、軍務に服し、傷病にかかり、または死亡した者について、それが、戦闘に起因するものであるか、または普通公務に起因するものであるかは、容易に区別しがたい場合が少くなく、今次戦争におきましては、その特殊実情にかんがみまして、一層その感を深くするのであります。従つて、旧軍人軍属及びその遺族に恩給を給するにあたりましては、その区別を廃止して恩給を給することが、公平な恩給給与の見地から考えまして妥当であると思われますのみならず、一般公務員の場合におきましても、これと同様に、この区別の困難な場合も少くなく、またいやしくも公務に基因して傷病にかかり、または死亡した場合、その公務の種類によつて、一般公務員の恩給取扱いについてのみ、こまごましい差別をつけることは適当でないと思われますので、この区別を廃止いたそうとするのがその第五であります。この法律案中、恩給法第四十九条の改正規定及び別表第一号表の三の削除並びに附則第二十三条の規定がこれに関するものであります。 次に、現行恩給法におきましては、増加恩給年額は、退職当時の俸給年額に、傷病の程度により定めた一律の割合を乗じて計算することになつているのでありますが、これを改めて軍人恩給廃止制限当時の恩給法の例にならい、退職当時の俸給年額により、数理の区分を設け、その区分ごとに傷病の程度により定めた定額の増加恩給を給することとし、その年額は、傷病の程度の高い者に割よく、また同程度の傷病者については、俸給年額の少い者ほど、従つて旧軍人にあつては階級の低い者ほど、割よくなるようにいたそうとするのがその第六であります。二の法律案中、恩給法第六十五条第一項及び別表第二号表の改正規定並びに附則第三条、第八条、第十九条、第二十二条、第二十一二条及び附則別表第三の規定がこれに関するものであります。 次に、現行恩給法におきましては、公務扶助料年額は、普通扶助料年額に一律の割合を乗じて計算することになつているのでありますが、これを改めて、軍人恩給廃止制限当時の恩給法の例にならい、公務員死亡当時の俸給年額により数個の区分を設け、その区分ごとに定めた割合を、普通扶助料の年額に乗じて計算することとし、その割合は、俸給年額の少い公務員の遺族ほど、従つて旧軍人の遺族にあつては階級の低い者の遺族ほど、割よくなるようにいたそうとするのが、その第七であります。この法律案中、恩給法第七十五条第一項、別表第四号表及び第五号表の改正規定並びに附則第三条、第八条、第二十二条、第二十三条及び附則別表第三の規定がこれに関するものであります。 次に、現行恩給法におきましては、公務傷病者に対しては、特別項症及び第一項症から第七項症までの増加恩給、並びに第一款症から第四款症までの傷病年金が、年金たる恩給として給されているのでありますが、増加恩給第七項症及び傷病年金程度の傷病者に対しては、昭和八年九月以前の恩給法においては、一時金が給されていたのでありますから、現在の国家財政等を考慮して、この程度の傷病者に対しましては、一時金たる傷病賜金を給ずることといたそうとするのが、その第八であります。この法律案中、恩給法第四十六条の二、第四十九条の二、第四十九条の三、第六十五条の二、第六十五条の三、別表第一号表の二、第一号表の三、及び第三号表の改正規定並びに附則第三条、第五条及び附則別表第三の規定がこれに関するものであります。 第二に、旧軍人軍属及びその遺族の恩給につきまして申し上げます。旧軍人軍属及びその遺族の恩給につきましては、この法律案の附則に規定されているのでありますが、この附則に規定のない事項につきましては、改正後の恩給法の規定及び昭和二十一年法律第三十一号附則第二条を適用し、改正後の恩給法の規定と右附則第二条の規定とが抵触するときは、改正後の恩給法の規定によつて恩給を給しようとするものでありまして、この法律案の附則に規定された主要な事項について申し上げますと次の如くであります。 すなわち旧軍人軍属またはその遺族に、今後給する普通恩給及び扶助料につきましては、改正後の恩給法の趣旨により、実在職年によつて計算した基礎在職年と退職当時の俸給年額を、いわゆるベースアップした基礎俸給年額とによつて恩給金額を計算することとし、ただすでに、軍人恩給廃止制限前に恩給を給せられ、恩給をもつてその生活の資に供していた人々に対しましては、この事実に照し、実在職年のみをもつて計算し、恩給年限に達しない場合においても、恩給を給することとし、その金額は、最短在職年限の場合に給される恩給金額から、その年限に不足する年数に応じ、一定の割合をもつて減額したものとすることとし、また軍人恩給廃止制限当時恩給を給されていなかつた者に対しましては、恩給給与の公平な取扱いを期するため、その恩給の基礎在職年に算入される旧軍人軍属としての在職年は、原則として旧軍人軍属としての引続く七年以上の実在職年に限ることといたそうとするのがその第一であります。この法律案の附期第九条、第十三条、第十六条、第十七条及び第二十一条並びに附則別表第一の規定がこれに関するものであります。 次に、旧軍人軍属またはその遺族の一時恩給または一時扶助料につきましては、国家財政の現状を考慮し、恩給給与の公平な取扱いを期する等のため、実在職年七年以上普通恩給所要最短在職年限未満の者またはその遺族に、これを給することとし、また兵たる旧軍人またはその遺族に対しては、従来一時恩給または一時扶助料は、給されていなかつたのでありますが、在職年に対する加算年を除いて実在職年のみによつて在職年を計算することといたしますため、もしも在職年に対し加算がつけられたとすれば、年金恩給を給せられた者も少くないことを考慮いたしまして、これらの者に対しましても、一時恩給または一時扶助料を給することとし、これらの恩給は、国家財政の現状にかんがみ、昭和二十九年、三十年、三十一年の各一月の三回に分割支給することとし、年六分程度の利子を付することといたそうとするのがその第二であります。この法律案中、附則第九条第一項第三号及び第四号、第十条、第十一条、第十二条、第十四条、第十六条、第十八条、第二十一条並びに第二十六条の規定がこれに関するものであります。 次に、公務傷病者たる旧軍人軍属は、昭和二十一年勅令第六十八号恩給法の特例に関する件によつて、現在、増加恩給第六項症以上の症状の者は増加恩給のみを、またそれ以下の症状の者は傷病賜金を給されているのでありますが、今後は他の公務員と同じように、これらの者に対し、改正後の恩給法の規定によつて増加恩給または傷病賜金を給し、増加恩給を給する場合には、普通恩給を併給することとし、また下士官以下の軽度傷病の軍人で傷病賜金第一目症及び第二日症に該当する者には、その傷病程度に応ずる傷病賜金を給することといたそうとするのがその第三であります。この法律案中、附則第十五条、第十九条、第二十二条並びに附則別表第二及び第三の規定がこれに関するものであります。 次に、すでに退職し、または死亡した一般公務員またはその遺族のうちには、昭和二十一年勅令第六十八号恩給法の特例に関する件により、旧軍人軍属としての在職年を除算されて、少い額の恩給を受け、または恩給を受ける権利を失つた者も少くないと思われますが、今般、旧軍人軍属及びその遺族に恩給を給しようとするのに伴い、これを旧に復するのが適当であると考えられますので、これらの者については、旧軍人軍属としての在職年を通算して、新たに恩給を給し、または現に受ける恩給を改定いたそうとするのがその第四であります。この法律案中、附則第二十条の規定がこれに関するものであります。 以上のほか、連合国最高司令官により抑留または逮捕せられ有罪の刑に処せられた者及びその遺族は、昭和二十一年勅令第六十八号恩給法の特例に関する件により、現在恩給を受ける権利または資格を失つているのでありますが、旧軍人軍属及びその遺族に対し恩給を給しようとするにあたり、これらの者の恩給をそのままに放任しておくことは適当でないと考えられますので、旧軍人軍属その他一般公務員及びこれらの者の遺族の例により、恩給を受ける権利または資格を与えることとし、ただ現に拘禁中の者につきましては、諸般の情勢から、この際その支給を停止することとし、またソ連その他の外地に抑留されたまま、いまだ帰還していない人々に対しましては、その留守家族の実情にかんがみ、この際一定条件のもとに恩給を給し、当該留守家族の請求に応じて支給するようにいたし、また旧軍人軍属及びその遺族に対し恩給を給しようとするに伴い、現在実施されている戦傷病者戦没者遺族等援護法による給付との引継ぎ、その他の経過的措置を講じ、なお恩給受給者の恩給担保金融の道を開くため、その他諸制度の改正及び法令の改廃に伴い、所要の改正を加えようとするものでありまして、この法律案中恩給法第十一条第一項の改正規定並びに附則第二十四条、第二十五条、第二十七条、第二十八条、第二十九条及び第三十一条の規定等がこれに関するものであります。 以上が、この法律案を提出するに至りました理由及びその概要の説明であります。なお詳細な点につきましては、御質問に応じて御答えいたしたいと存じます。何とぞすみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
○船田委員長 これにて提案理由の説明聴取は終りました。本案についての質疑は次会より行いたいと存じます。 ―――――――――――――
○船田委員長 次に栄典法案を議題とし、質疑を行います。質疑の通告がありますから、これを許します。辻政信君。
○辻(政)委員 この前官房長官が御出席ないときに申し上げておいたのでありますが、日清、日露戦争満州事変等において与えられました金鵄勲章、これを今回の規定には承認されないことになつており、それと併用された旭日章、瑞宝章、従軍記章等を効力をお認めになつておりますが、これでは国家として片手落ちではないかということについて承りたいのであります。
○緒方国務大臣 ただいまから考えますと、金鵄勲章、旭日章の間にはつきり差別を盛つたことは多少片手落ちの感なきを得ない気がいたします。しかし金鵄勲章はすでに昭和二十三年憲法制定と同時に日本が戦争放棄をいたしましたことに関連したのでないかと思いますが、廃止されておりまして、今日の措置といたしましてはとりはからいようがないように考えております。
○辻(政)委員 この支給されました金鵄勲章は、四十数万のうちの大部分が戦死者に対する国家としての表彰でありました。現在みな仏壇に飾つて英霊として拝んでおる、こういう実情であります。これを国家が戦争放棄の憲法なるがゆえに好戦思想と誤解されることをおそれておやめになるということは、私は過去の戦場に命を落して戦つた人に対して相済まないという感じがするのであります。日本がこの過去のものを認めるということは、将来にそれと同じものをつくるということとは違うのであります。将来のことを考慮して金鵄勲章をつくるということはいかにも憲法に違反をし、好戦的な思想と思えるのですけれども、過去において国家が最高の名誉として表彰された、ことに大部分が死者に対する表彰であるということをとくとお考えになつていただきたい。 なおこの金鵄勲章の特権を認めるということになりますと、たしか昭和十六年でありましたか、それ以前のものは年金を支給されておりましてそれ以後のものは年金を廃止になつておるということがあります。私の申しますことは以前の年金も認めよというのではなくして、過去において生命を国家にささげた人々の名誉だけは国家が認めていただきたい。蒋介石の政府が倒れて毛沢東の政府になつた場合においては、過去の勲章はことごとく抹殺されるものであります。日本の今度の敗戦は革命ではない。道統は残つておる。しからば道統によつて過去の公務員、軍人に対して与えられた栄誉は、依然として国家が認めてやるということが政治家として涙であり、国家としての義務ではないかと考えるのであります。この点をひとつ慎重に御研究になつていただきたいと思います。
○粟山委員 私は官房長官にお伺いいたすのでありますが、この栄典法案提出の理由説明の中に「栄典制度を整備し、国家の再建に寄与している国民の功労に報い、その志気を高揚するのは、きわめて必要と考えまして、」とありますのが、この法案の成立によつて戦後の国家再建に重点を置くということは想像ができますが、この敗戦以前の、いわば隠れた功労者もあるわけです。戦争一色に塗りつぶして軍人でなければ夜も明けないというような状態にあつて、ここに憲兵政治の深刻なる趨勢に制圧されておつた国家社会というものにおいて、まことに涙ぐましいほど社会のために、国家のために筋の通つた正しいあり方において国に尽しておつた人は少くないのであります。そういうような過去の功労者、えりを正して尊敬すべき人があつたというようなことが今見出されましたならば、そういう方々にも恩賞を与えるような心構えでこれが制定されるものか、その点お伺いいたします。
○緒方国務大臣 戦争前の古い功労でありましても、現在の標準によつて功労と認められるものはむろん恩典にあずかるのであろうと考えますし、さらにさかのぼつてもつと古い物故者の功労に対しましても、今までも行われたことでありますが、さらにその功績を回顧いたしまして、これを表彰顕彰いたしたいというような場合に備えて位階を設けたような次第であります。
○粟山委員 戦時中に功労のあつた軍人には金鶏勲章が授けられて、同時にその人に金鶏勲章とあわせて他の勲章が授けられておつた、こういうような人に対してこの法律が実施されたあかつきにおいて金鶏勲章は廃止になつたが、その他の勲章はそのまま効力が残るのである、こういうふうに考えてよろしいのですか。
○緒方国務大臣 金鶏勲章だけを廃止した事実は今御指摘の通りであります。この際、先ほど辻君から御質問でなかつたのでお答えをいたしませんでしたけれども、多少片手落ちの感がないかという点、今日現在の感じを持つてみますと、多少そういつた気もいたさないものでもない。但し過去の功労を考えまして、特にまたその遺族の人等がそれを神だなに飾る、あるいは家に保存しておくということはもちろんさしつかえありませんし、さらに歴史の上に過去の功労は残りましてその時代時代の国民感情がそれに対して、そのときの気持を述べて参ることは言うまでもないことと考えます。
○粟山委員 たいへん親切に御答弁をくださいましたが、ではその勲章がかりに旭日章とか端宝章とかが、やはり当時の金鶏勲章が与えられたその人の功績にあわせて授けられた場合、その功績に示されたるこの勲章の価値というものは、その通りお認めになるのですか。端的にお伺いしたい。
○緒方国務大臣 金鶏勲章に関連する勲功を表彰した意味を残すのかという御質問ですか。
○粟山委員 勲功ある人の功績に対し金鶏勲章と他の勲章とがあわせて授けられた場合があるはずです。その場合金鶏勲章は効力を失つたが他の勲章の効力は残つている。つまりその功績というものをその通りお認めになるのですか。
○緒方国務大臣 そうでございます。御質問の通りに考えております。
○粟山委員 私は、実ははつきり了承することができないので、進んでお伺いいたしますが、長官はかつて予算委員会においてある議員の質問に対し、戦争の責任は満州事変前後から太平洋戦争勃発当時に至る間の軍人を含む政府そのものにあるとお答えになつたと承知していますが、その通りでありますか。
○緒方国務大臣 東京軍事裁判の戦争責任の追及が、満州事変までさかのぼつて太平洋戦争勃発に至るまでのものを扱つているように思つております。それがはたして妥当であるかどうかわからないが、一つの標準にはなると思うということを申し上げました。
○粟山委員 終戦後吉田内閣は四回も内閣を重ねている。その政治経歴から行つて私は相当時代感覚を把握されたろうと考えます観点からいつて、今日この栄典法を制定されるお心持の上から申しまして、やはり二千六百年の長きを誇るべきわが民族の歴史の上に、何としても残念しごくにたえないあの敗戦の跡を考えまして、私どもはいたずらにその死屍にむちうつのではないけれども、その責任の所在を明らかにするということは、今後の日本の遠大なる建設の上に非常に大事なことではないかと思う。従つて長官が一議員の質問に対しその範囲を明らかにしようという心持はよくわかります。しかし今日本は、ここにもうたつてあるように、独立国になつたのだ。厳密に言えばそうでないということも言えましようが、とにかく食うにも困らず、着るにも困らず、あの苛烈なる状況から一応世の中がおちついて来た、そして独立国家という銘が連合国の間に打たれているのだ、まあこの線で行くのだというようなことから考えると、この辺で栄典制度というものを置いてもいいのじやないかという気持も考えられないではないのでありますが、さてこの栄典制度を定めてこれをいかにするかということを考えるときには、どうも私は日本国民全体の感情、理性の上から、あの苛烈なる戦争の責任者というものに対しては、良心的にはなかなか解放しきれないと思う。そこで過去に授けられたる勲章があるいは廃止される、あるいは残すというときにおいて、よほど政府は責任をもつて厳密な選考をしなければならない責任が過去に対して生ずるのじやないか。むろん将来もそうであります。そういう観点から考えますと、かりそめにも戦争責任というものに言及された以上は、緒方さん御自身の考えばかりではない、総理大臣も、政府の責任においてこれを明らかにするところのその責任が一歩進められなければならない、とこう私は考える。この点について官房長官にお伺いしたい。
○緒方国務大臣 ちよつと御質問のしまいの方がよくわからないのですが、戦争の責任を……。
○粟山委員 その範囲を満州事変の前後から太平洋戦争の当時までの軍を含めたる政府にあると御説明をなさつた。これがたとい軍事裁判を例にとられましても、今日はもう軍事裁判なんということを、参考には言つていいけれども、それにとらわれるときではない。独自の政府の見解においてはつきりした線を出さなければならぬものであると考える。
○緒方国務大臣 私の申しましたのは、戦争の責任を論ずれば満州事変以後軍を含む政府というものが取上げられるのが常識であろう、但しこの戦争挑発の責任が日本のみにあると考えることは私は賛成いたさないのであります。但しどこからが戦争責任であるか、国民一般に責任があるかと言われれば国民一般に責任はない。直接の責任は少くもない。それならだれにあるかと言われる場合に、軍を含む政府にあつた。私は軍に五〇%、政府に五〇%あるということははつきり論じられないが、いずれにしても軍を含む政府に責任があつたということは言い得る。しかしそこに至つた責任が日本のみに帰すかということは考えておりません。
○粟山委員 長官は挑発という言葉を使われるけれども、むろん挑発者は重きによつて罰せられなければならない。しかしながら戦争の行為そのものに対しての責任はだれかということにおいて私は考えられなければならないと思う。それは直接挑発者になる人もありましようし、間接になる人もありましようが、あの予算委員会における答弁の内容は、速記録を見ますと、戦争責任者は、ということになつているのであるから、その御答弁になつた範囲を明らかにすることにおいて、長官お一人の責任においてなし得るか。私はむしろ政府という重い責任においてこれをはつきりなさる必要があるではないかとお伺いしているのであります。
○緒方国務大臣 予算委員会においては、戦争責任が国民にあるかという質問に対しまして、私は先ほど申し上げたように答えたのであります。それは私としてはこういうふうに考えるということを申したのにとどまるのであります。
○粟山委員 今の陛下を御成年に至る間御教育を申し上げた人は、緒方さんも御承知の通り一代の人格者杉浦重剛先生である。あの倫理御進講草案というものを私はかつて拝読したことがございますが、そのうちで一番私の胸を打つたものは御醍醐天皇の賞罰に対する態度について、婦女子に対する寵愛の事柄について述べられておる。まことにこの功労者を賞し、罪ある者を罰する、当然なことであつて、これは論ずるまでもないが、これを行うことにおいて非常に重大な結果を生ずる、国の興亡に原因する。おそらく政党でもそうだろうと思う。公平に賞罰を取扱わなければ政党においてもこれは立つて行かぬ。ことに一国を扱うことにおいては、政府は賞し、罰するということによほど真剣に至公至平の誤りなきを期さなければならない。ことに今日のように世道人心がまことに一方に傾いておりまするときにおいては、私はこれは非常に重大なことだと思うのです。一言にしていえば、大義名分とは何ぞやということになると、明治維新この方のわれわれ年配の者にとつての大義名分はきわめて明らかであつて、この常識によつてすべてのものが規律された。しかし今は、大義名分という言葉は、いろいろな場合に、いろいろな観点から使われる、それでよいかということまで考えさせられる。一番大切なことは国民が一つの大きな常識を、国民常識というものを打ち立てることにあると思う。その一番大事な手本を示すものは内閣である、私はこう考える。内閣の人格、内閣の行動というものは、私は一番高いところで、この議事堂が低いところから仰いで見られるように、全国民から仰いでながめられるところの焦点だろうと思う。それで罰することと賞することは一番大事なことと思う。今において一番大事だと思う。各法律案中においてこの栄典法のごときは、この国家将来をトするに最も重大な使命を持つものと本員は考えておる。こういう観点から考えますと、過去のことではありますが、過去の戦争におけるところのその被害がいまだに―これは恩給法においても現われておるように、忘れんとして忘れ得ないものがある。中共の関係においても、ロシヤの残された人々においても、いろいろの面において忘れられないものがある、満州事変前後と太平洋戦争の勃発よりかも、考えようによつては終戦のときに至るまでの政府というものは非常な責任があると私は考える。戦争を挑発したものは悪い。悪いけれども、その戦争に従事した責任というものは免れることができない、無事の徴用者をいたずらにその工場に駆使し、そうして若い娘さんたちは爆弾に死んだ人もある。あるいはまた非道の徴用のために家庭を破壊された者もある。生業を失つた者もある。誤れる方途によつて国民は非常な迷惑をこうむつたというようなことがたくさん戦時中の内閣においてこの日本の国に悪い痕跡を残しておるものである。それらに対しては戦争の挑発云々よりかも広い意味において良心的に高き地位にある者が自粛反省するにあらずんば、国の信用、倫理道徳というものは保ち得ないと私は考えておる。まさにこの栄典法案は戦前にもわたり、戦後はむろんでありまするけれども、広く視野を広めて深く掘り下げて、厳粛な必賞必罰に対する態度をとつてこそ、法そのものよりも取扱い方において重大な関心を持たなければならぬと本員は考えるものである。これに対する長官の御覚悟を承りたいのでありますが、実は私は総理大臣に伺いたかつた。余談を申し上げるようでありますが、吉田さんは四度内閣を勤めて、六十何人という大臣をすげかえておる。日本の歴史において、征夷大将軍、関白太政大臣といえども、徳川あるいは織田信長といえども、かような大きな人事をなされた人はない。明治天皇の欽定憲法のもとにあつても、数人の大臣のかわることは許されなかつた。今の憲法を文字で表わしたものがこういうことをしてよろしいということであつても、私は精神解釈するならば、およそ限度があると考えるのである。それがすなわち政治上の、道徳上の責任である。道徳上の責任を明らかにせずして、私は栄典法のごときは、いかにその名において天皇にかわつて授けられても、これは決して国のためにはならぬ。むしろもらわぬ方がいいということになるかもしれぬ。この栄典法の一番大事な審議会の結論は、すなわち総理大臣の掌中にある。おそらくどの内閣がかわつてこの栄典法をつくり上げても、まず形に現われた功績からいうならば、日本国民八千万の中で一番高い勲章と高い位に恵まれる人は吉田茂さんであろうと思う。私はこういう点からいつて、その吉田さんが総理大臣で内閣の首班としてこの法案を取扱うことは、日本全国民の良心の上からいえば、むしろ御遠慮なされる方が、栄典法を実施するよりも効果が大きい、かように考えるのである。ことに吉田さんにとつては、国のためにこの政局を安定しなければならぬという大きな任務がある。われわれも一議員でありますけれども、この国際情勢と国内情勢の上から考えて、人と人とにおける増悪やあるいは偏見とかいうものにとらわるべきときではない。真にこの日本の国難を突破するためには、政治を安定しなければなし得ないのである。そういう使命をもつてこの議会にこの席を私どもが保つ以上は、私はこの栄典法そのものを単なる栄典法として考えるのじやない、もつと大きな視野から良心的にこれを取扱わなければならぬと思うのである。聞くがごとくんば、委員長において試案をお持ちになつておる。各党においても試案があるという。この状態は何かといえば、こういう法案であればこそ全会一致で可決をしたい、これは国民の願うところでありましよう。私もごいねがうところである。二の仕上げをりつぱに仕上げようということは、これはすなわち国民のまじめな心にこたえんとするわれわれの試意である。われわれの良心的態度なのである。その結論を求めて、船田委員長の御心労に沿うということになりますると、なかなかこれは実際には容易ではないのである。しからばこの際政府はさらに慎重にこの法案の取扱い方をば、この程度において考えられることが、至当であろうと考えるのである。こまかに論じますると、数限りがありません。私はこの程度において、意見を加えたようで失礼でございまするけれども、私の志のあるところを述べまして、政府諸公の御参考に供したいと思うのであります。
○緒方国務大臣 御意見を伺つておる間に感じましたので申し上げまするが、先ほどの御質問の伏線がよくわからなかつたのでありますけれども、私がその御質問に対してお答えした中で、過去の功労でも、今の標準から功労と見ていいものは表彰するということを申し上げましたけれども、それは政治的の功労というようなものを表彰する気は、絶対にございません。それから今の政府が戦争後何がしかのことをいたしたというて、お手盛りでみずから恩賞するというようなことは絶対に考えておりません。ただ国が独立しました以上、今お話のように独立後一年で相当復興をなしつつあります。これは見方にもよりまするけれども、何がしかの復興をいたしつつあることは事実でありましてその間に営々として自分の職域において、また国のために働いておる人が多い。そういう人に対しましては、国が独立した以上、表彰の道を開いておるということが、国として、―今の政府云々ではなくて、国として私は当然のことであろうと考えておるのであります。そういう意味からこの栄典法案をここに出しましたことは、決して不自然ではない。政府はさように考えておる次第でございます。
○船田委員長 大矢省三君。
○大矢委員 この法案によりますと、従来の菊花章文化章、位及び褒章はそれぞれその法律により授与されたものとするいわゆる有効である。この法案の審議にあたつて灰関するところによりますと、来る三十一日に、皇太子殿下が英国の戴冠式に列席せられるために、外国の君主、大統領を主として定められました菊花章が、現在なお有効なのですからこれをお持ちになることは私はさしつかえないのだ。従つて、そのためにどうしてもこの法律案を上げなければならぬとは私は考えていないのですが、そういうことでいいのですか。これをこしらえなければ、皇太子さんが今度おいでになるときに妨げがあるのかどうか、その点一応お聞きしておきたい。
○緒方国務大臣 お説の通りに、皇太子殿下がイギリスの戴冠式においでになるのに間に合せねばならないから、この栄典法案を上げていただきたいという考えは毛頭ございません。皇太子殿下御渡英に際しまして、国会の責任において御審議くださいましてこれができ上れば好都合だとは考えますけれども、それ以上別に、ぜひこれができ上らなければ皇太子殿下の御渡英に際して皇太子殿下がお困りになる、また国が困るということは考えておりません。
○大矢委員 それからこの際この法律の審議にあたつて、根本的なものの考え方でありますから、この際お聞きしておきたいと思います。この附則第三項に「従前の旭日章、宝冠章、瑞宝章及び記章は、この法律の施行後も、なお効力を有するものとし、」とありますが、先ほど金鶏勲章の問題がありましたが、これは依然として効力があるということです。これを審議するに当つて、私どもが特に考慮を払わなければならぬことは、従来勲章というものは、御承知の通りに天皇の名において、天皇の官吏、軍人に九割八分までこれが贈られておつたのであります。これは資料によりますと、二百八十三万八千四百十八人、これらの人々の約九割を占めるところの、二百五十六万四千という人が、これは陸海軍軍人たのです。これは旭日章、瑞宝章、大勲位から一等―八等まで、その他ずつとありますが、ほとんど九割九分までが官吏及び軍人です。今度の憲法は網承知の通り主権が在民に移つたのでありまして、今度栄典を授与する場合、表彰する場合に、審議会にかけて、国事として内閣総理大臣の助言と承認によつて天皇陛下がこれを授与するのであります。従つてこれは国民から国民にそれをして、ただ一つの国事として陛下が扱われるのである。すなわち主権在民です。従来天皇の名において、天皇の官吏、軍人に与えた栄典とは根本的に違うのであります。従つて民主憲法の規定に基いてこの法律が今度審議されるのでありまして、国民感情として一片の召集令状によつて国のために生命を投げ捨てた人たちの功労に対しては、どなたも異論のあるはずはないのです。しかしこの新しい法案の審議にあたつては、主権在民のもとにおける栄典と、従来の栄典とは根本的に違うというこの考え方が基礎にならなければ、私はこれからいくら審議しても結局そこに来ると思う。従つて従来の功労者とかあるいはそれらの人々には、別な方面で国家がこれに対し、あらゆる機会あるいはまた法律によつて、これらの対策は考るとしても、新しく審議するこの栄典法に限つては、これは国事の一つであり、主権が在民に移つた。従来官吏、軍人に与えておつた栄典とは違うのである、この考え方が基礎にならなければならないと私は考えておる。従つてこれを出したのもこの精神でなければならぬと考えておりまするが、その考え方が間違つておるかどうか、この法案を出した最高責任者である官房長官から、ひとつこの点をお聞きしておきたい。
○緒方国務大臣 ただいまの御質問は、そういう御意見から、結論として古い勲章を残しておくのがおかしいという御意見だと思いますが、敗戦の結果、日本の憲法初め、諸制度がかわつたことは、今御意見の通りでありますが、革命があつたと言い切るだけの変革ではないのでありまして、かわつたものもあり、かわらぬものもある。皇室のあり方はかわりましたが、皇室は存在しておる。そういう意味からはつきりと一線を引くことは私はできないと思います。過去の勲章を残すことに対して、これも意見のわかれるものが多いと思います。しかしながらそれは、古い勲章を佩用することに対しまして、国民感情あるいは輿論がおのずから批判はいたすでありましよう。しかしながら今申しましたように、かわらない点もあるので、それを一部分残すということは、私は必ずしも不自然とは考えておりません。
○大矢委員 私の言うのは、血を見た革命と無血平和革命とがあるのですが、これは日本の憲法の大きな改正であり、むしろ革命といつてさしつかえない。と申しますのは、内閣総理大臣の助言と承認によつて初めて得られる。今まではそうでない。天皇みずからが官吏や軍隊に授与しておつたのでありますが、国民の代表であり、国民によつて選ばれた議員のうちから国会で選ばれて総理大臣になる、その総理大臣の助言と承認によつて初めて授与されるのですから、大きな革命だと思う。しかしその以前の日本に対する功労者、それはいつまでたつても功労者は功労者に違いない。しかしこの法律の審議にあたつてはそのことの根本的な基礎が固まらないでなおごつちやにものを考えれば、いわゆる憲法精神まであいまいになつて来る。民主憲法であるかあるいは欽定憲法であるかわからぬことになる。この点を私は言うのだ。従つて残すとか残さぬとかいうことは国民感情でいろいろありましようが、少くともこの栄典法案を審議するにあたつての根本的なものの考え方は、従来の栄典授与とは違うのである、このことを基礎に置いて審議したいと思うのです。いやそれもそうだが今申しましたようにこれは革命でない、残るものもあれば改正したいものもあるからして、その程度のものはいわゆる中間をとつた方がいいと考えられるのか、その根本的な方針について聞きたい。そうしてほかの功労者は功労者として特別に考える。新しい栄典法はそういう基礎のもとに審議し、決定しなければならぬと私も考えておる。いわゆる無血革命であるとか、革命でないということはありますけれども、私は少くとも憲法上における大きな革命であると思う。そういう点でこの基礎のもとに審議することが間違つているかどうか。私は従来とは根本的な違いがある、かように考えております。その点を再度申し上げておきます。
○緒方国務大臣 意見の相違でありまして、今の御質問に対しましても、私が先ほど申し上げた勲章に関する意見を弁解する必要はないと思います。
○砂田委員 ちよつと恩給法に関して資料をいただきたい。今度の戦争裁判によつて刑死した人の中で、恩給受給適格者の数、それから一時恩給を受け得る適格者の数、それから全然恩給にかからない人々、これは現在まだソビエトの情勢はわからぬのですが、わかつております範囲においてこれをわけてひとつお示しを願いたい。それから先ほど御説明になつた恩給法一部改正の中で、現に裁判を受けて拘禁されている者に対しては、この際諸般の情勢にかんがみて恩給の支給を停止する幅ということが書いてあります。終身刑に処せられた人はこの中でどのくらいありますか、これをお示し願いたい。もう一つは、戦争中日本の国籍を有しない外国人にして一項から七項までのけがをしておるような人が今日なお何ももらつていない。それで自分の故国に帰ると異端者として扱われるので、日本に帰つて来て、現に日本に住居しながら日本の国籍を有せざる人にしてその戦傷が一項から七項までに当る分がわかりますれば、これをお示し願いたい。同時にその人数、大体私の聞いておるのは二十人ぐらいありますが、これらの者で今でも白衣の勇士のようなかつこうをして立つておる人が大分あるらしい。これについてお調べになつた数がありましたら、これもお示しを願いたい。それだけを次の機会までに参考資料として御提出願います。
○船田委員長 ただいま砂田君からの資料提出の御要求を政府の方にお願いいたしておきます。 栄典法案についての御質疑は次回に譲りたいと思います。 ―――――――――――――
○船田委員長 次に青少年問題協議会設置法案、厚生省設置法の一部を改正する法律案、大蔵省設置法の一部を改正する法律案及び厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案の四案を一括議題として質疑を行います。質疑の通告がありますからこれを許します。大矢省三君。
○大矢委員 この青少年問題協議会については、過日来いろいろお聞きしたのでありますが、最近地方において少年防犯、青年防犯協力会とかいろいろな名称をもつて警察管区を中心にそういうものができておる。いわゆる町の有力者がこのメンバーとなり、あるいはそれをあらゆる方面に利用し、いわゆる町のボスといわれた。そういう防犯協力会を中心に、あるいはこれを政治運動の一つの基礎としたりする場合もあるのです。今度のこの協議会設置においでは、これらとの関係をどうされるか、この点をまずお聞きしておきたい。
○江口政府委員 そういう種類の団体があるかどうか詳しく存じておりませんけれども、もちろんこの青少年問題協議会は、地方においても中央においても決して政治にかかわることなく推進さるべき運動だと考えております。そういうものがもしございますれば、それは、それは青少年の正常な運動から遠ざかつた運動なりをしておるのではないかというふうに思うのでありまして、そういう方向に向わないように今後指導して行きたいと考えております。
○大矢委員 これを施行するようにあたりまして、現にあるところのそうした団体に対し、都道府県、市町村の協議会がそれらと連絡を持つことをお認めになるのか、あるいはこの法律に基いて一本化して健全なものにしたいと考えておられるのか、あるいはこれを実施するにあたつてそれらと関係のないような指令を出すとか、または政令、附則においてそういうことを決定されるのか、その点についてお聞きしたい。
○江口政府委員 もちろん青少年問題に関しますいろいろな団体なり、そういう志を同じくするような者が集まりまして何かの企画をするような場合もあるかと思いますが、もうこの青少年問題協議会の設置以来数箇年になつておりますので、大体この協議会として取上げる範囲の団体あるいは企画等も条例できまつておりますので、新しい認識ができました際に、それらとの連繋をどうするかという問題は、個々の場合について考えて行きたい、かように考えております。
○大矢委員 それから私はきのう尋ねましたが、これは単に補助金を都道府県のみに一部援助するということになつておりますが、これは今申し上げました政令か何かで市町村にも補助を与える御意思があるのかどうか、この点を伺います。
○江口政府委員 この法律を御審議願いまする場合におきまして、将来におきましても、二十八年度は少くとも都道府県のみに出すということに考えております。もちろん予算折衝の過程におきましては、国費が許しまするならばその他の大きな都市、あるいは小さな市町村にまでこういう種類の経費が出ればそれに越したことはないと考えておりましたが、財政の都合上、とにかく二十八年度は都道府県だけということに法律上は書かれておりますので、この法律の建前上、余裕金ができましてもその方面に補助をすることは不可能ではないかと存じます。
○大矢委員 この種の諮問機関は内閣にたくさんあるのです。これは当然行政府として残さなければならぬものは局なり何なりにして残さなければならぬ問題だと思うのです。もちろんこれは青少年に対する指導、育成をやるのですから、法務省にも、厚生省にも、大きな仕事であります。こういうものは単なる諮問機関とせずに、どこか部局として常時行政機関の中に入れてはどうか、私は、こう考えておるのです。こういうふうに単なる諮問機関、しかも専門委員を相当数置いてそして兼務をさせ、何か知らぬが看板だけかけているようなかつこうなんです。きのうも言いましたように、人口問題審議会のごときは諮問機関ですが、わずかに一年を通じて三百四十円の手当では、りつぱな委員が得られるとは思わぬ。こういうような申訳的な、看板だけかけてお茶を濁しているようなやり方は、私ははなはだ感心しないのです。もつと権威ある常置的なものをこしらえて、本腰を入れてやられる方がいいんじやないかと私は思つております。それについて単なる諮問機関として協議会を置くか、あるいはもつと進んだ、いわゆる行政機関の一部局としてこれを置く必要があるのじやないか、かように考えます。その点をお伺いいたします。
○江口政府委員 青少年問題に関する総合的な官庁を設けたらどうかという御意見は、従来からもあるのでございます。婦人問題に関して特別の官庁を設けたらどうかという、同じような問題があるように思うのでございますが、現在政府におきましては、できるだけ機構を簡素化しようという方針をとつておりまするので、現在の各省に関係しておりまするこの青少年問題の取扱い方を、ただ単にばらばらにせずに総合調整するという役目だけを持つこの協議会を内閣に設けるということで、当分の間は齟齬なくやつて行けるものだと考えまして、特別の官庁を設けるという点には触れなかつたのでございます。
○大矢委員 先ほど答弁にありましたが、この事業を完遂するためには、ずつと末端の市町村の協議会が最も力を入れて、中心になつて動かなければならぬと私どもは考えておる。それを都道府県あるいは中央にはこういう機関を設けて市町村には何らの補助金もない。従つて市町村みずからの財力によつてそういう機関を設け、実践しなければならぬというところに非常な欠陥がある。しかしこれは意見にわたりますから……。今お聞きしますと、どうしても法律によつて出す意思はない、後日また予算が許せばというのですが、私ほそれは逆だと思う。市町村に先に出して、それで足りなければ府県に出すということで基礎を固めなければ、実績は上らないと私は思つておる。しかしながらこれは意見であるし、この法律にはそういうことは書いてないのでございますから、政府委員に聞いたつてできないことかもしれません。私は少くともこういう考えを持つております。この法案自体には私は反対ではないが、その取扱い方について、単なる諮問機関としてお茶を濁すということは、はなはだ困るのであります。これは意見になりますから、私はこれ以上質問いたしません。これで打切ります。
○船田委員長 辻政信君。
○辻(政)委員 この提出された法案を見ますと、青少年の指導、保護及び矯正というきわめて消極的な面に重点を置かれているように拝察するのであります。また委員、専門委員の顔ぶれを見ましても、大体において裁判所の役人とか、それに類するような人が多いのであります。このほかに青少年問題の根本として、今政府が考えておられるのは農林省関係における食糧増産、建設省関係における国内の国土開発、こういうものに次三男を動員せられようとしておるようでありますが、これらとその消極面との調整、連繋をはかることが非常に大事ではないかと思う。ことにこういう協議会が地方の末端に設置されますと、今度は農林省もそれと同じものをつくる、あるいは建設省もまた同じものをつくるのであります。そうして受ける地方の青少年は、三本、四本の線から引きずりまわされるというのが地方の実情であります。青少年、次三男対策に対するあらゆるものは、消極、積極いずれの面を問わず、その協議会一本になるようにしてもらいたい。それをもう一度検討なさる必要はありませんか。
○江口政府委員 この青少年問題協議会の目的は、しばしば申し上げますように、現在各方面においてただいま御指摘がありました保護、育成、矯正という点について、各省でやつております仕事の調整をはかろうというのがその目的であります。もちろん地方に参りますといろいろな団体がありまして、ただいまお話のように引きずりまわされるような点がないでもないと思いますが、それらの点がそういうことに陥らないように、地方においても連絡協調して行くというのがこの協議会の精神でございますので、都道府県の範囲におきましては、来年度は予算を補助してその目的に沿わせたい。市町村におきましては、もうすでに六割からこういう種類の協議会ができておりますので、その区域の間でしかるべく調整をはからせて行きたい、かように考えております。
○辻(政)委員 そうしますと委員のメンバーの中に建設省もしくは農林省の次官が入る必要はありませんか。
○江口政府委員 お説のようにいろいろ関連を考えて参りますると、あるいはそういうものが組織的にでき上りました際に、そういう方面の方々にもお入り願うようにした方がいいのかもしれませんが、とりあえずただいまのところ二十人の委員でございますし、来年度はこれを二十五人にふやした程度でございます。この人数は将来の動向を見まして、あるいはそういう方面の方を入れるために、人数を増加するような改正案を出すようになるかもしれませんが、とりあえず五人だけをふやしたのであります。
○辻(政)委員 なるかもしれぬと言うが、なることはきわめて明瞭であります。あなたは先ほどそういう関係機関の調整をやるのだとおつしやつた。調整をやるのなら、積極面と消極面の調整をやらなければならぬ。なるかもしれぬということを言いながら、現在それをいい加減に出すことは適当でない、それを検討するまでこの法案の審議を延ばしたらいい。
○佐藤説明員 お答え申し上げます。御意見はまことにごもつともでありますが、委員の数をあまり多くするということも問題があります。二十五人で一応やつて、その中でまた官庁だけが多くなることもまずいのであります。そこで全体のわく並びに官吏の人数というものを考えますと、どうしても十人以上にはできなかつたのであります。おつしやるように、建設省あるいは農林省も非常に関係が深いのであります。さらにまた大蔵省、郵政省もいろいろ関係がございます。そうして行きますと、どうしても人数が多くなつてしまいまして寄合世帯となりまして、あるいは逆に効果があがらないという面も考えられます。そこでそういうような緊急あるいは関連度、関係度で、その度合いの強さに従つて―もちろん絶対的な基準は引けませんけれども、そういうような関係度の深さによつて、一応現在の委員にあるいは次官を加えるとか、あるいは建設省、農林省ということには行かなかつたのであります。しかしおつしやることは確かにごもつともでありまして、その面をどうするか。専門委員の制度の活用という方法もございます。あるいは学識経験という面で入つていただくことも考えられます。当初から事務的には相当議論した点でありますが、今のところは、専門委員ないしは学識経験というような面で、農林省あるいは建設省に入つてもらおうというふうに考えております。もう一つは消極面だけとおつしやいますが、そういう感じはそもそもこの委員会が発足した当時からのことであります。と申しますのは、衆議院の勧告からいたしまして敗戦後不良少年の防止というような問題が大きくなつて来た関係上、どうしても消極面が多かつたのでありまするが、しかしそれではいけないというふうに考えまして、最近では、厚生省、文部省―ことに今までは社会教育と学校教育の関係が非常に薄かつたのでありますが、そういうふうに考えまして、文部省の方の積極面あるいは厚生省の児童福祉の積極面という面もあわせて考えてやつて行こうという考えでありまして、決して消極面だけに終りたいという考えはないのであります。
○辻(政)委員 今の御答弁は官僚流でありまして、はなはだ不愉快であります。趣旨をもつともと認めながら実行しない。そうでしよう。この委員の中には建設省は一人も入つていない。たつた二人の委員を増すのに、制限を受けて増せないというほど厳格なものではないでしよう。十七名になつたら多過ぎる、十五名がいいというようなりくつがあるか。
○江口政府委員 人数を何人にするかという点につきましては、いろいろ関係する内容との結びつきを研究して行かなければならぬと思います。ただいま説明員から話がありました通り、郵便友の会というような青少年の団体もございます。そういうものを導いて行くという考えから郵政省も入れたらどうかとか、お話の建設省、農林省の問題もございましたけれども、比較的縁の遠いものだけをまずふやして行こう、こう考えまして、大体二十五人のわくに納まるようにとつたのでございます。確かに一線を引くということはむずかしいことでございますが、一応この程度の人数にとどめまして、将来また考え直してみたい、こう思つておる次第であります。
○辻(政)委員 郵便友の会と、二、三男対策をもつて国土建設、食糧増産をやるのと同格に扱うべきものではない。今度の国策の最も大きいのはそれじやありませんか。国土開発、失業した二、三男をどうするかという重大な問題を抜きにして友の会とか、とんでもないものばかり入つておる。大東学園の園長なんか入つておる。こういうのも悪くないけれども、ほんとうに国家の予算を通じて国策を通してやろうという大きな建設面を除外するのはおかしい。必要があつたらまた改正するというが、そういうふうに朝令暮改されたら、委員会のみならず、受ける方は迷惑をする。ごもつともと趣旨を認めるなら、それを加えることはちつとも無理じやないと私は思います。
○江口政府委員 その二、三男対策の問題あるいは建設省問題などにつきましては、ただいま説明員からお話しましたように、むしろ青少年問題協議会にひつかかりを持つということが―つまりその面だけを強く推進するという場合には、建設省自体でほかの協議会などからくちばしを入れられずに推進する方が十分効果を上げ得る、こういうふうに考えられる面もあるのではないか、こう思いまするので、むしろ建設省にいたしましても、こういう式の国体、協議会からとやかく言われないで、自分の責任において、自分の予算において仕事を進めて行けるように推進する方がいいのではないか、こう思つておる次第でございます。
○辻(政)委員 いやしくもこの機関が調整するということを銘を打つておられるからには、受ける方の人間になつて考えたらたいへんです。地方には建設省の末端機関、農林省の末端機関と末端機関がたくさんできて、青少年たちはだれの言うことを聞いてよいかわからない。だれに引きずりまわされるかわからない。あなたは先ほど積極面と消極面の調整が重大な問題だ、こうおつしやつておられる。建設省がこの協議会に左右されるのは適当でないから独自のものをつくろうという考えは、すでに末端に二つのものができることを認識することです。今地方においては、政府の出先機関があまりに多くて、それを受取るものが応接に困るという実情であります。各村に行つて委員会が幾つできておるか調べてごらんなさい。その点、もう一回はつきり伺いたい。
○江口政府委員 出先に各種の団体がありまして、それに引きずりまわされるものは一つであつても、それをひつぱる団体が非常にたくさんで迷惑するという実情は、この問題のみならず非常に多かろうと思います。この青少年問題の団体ができておる市町村におきましては、その面においては調整をとりつつあるだろうと思いますが、この点はなお都道府県を通じて十分実情を調査いたしました上、適当な措置を講じたい、かように考えます。
○船田委員長 他に御質疑は、ございませんか。―御質疑がなければこれより四法案について討論、採決を行いたいと思いますが、討論はこれを省略し、ただちに採決を行うに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○船田委員長 御異議がなければさようにいたします。 これより採決を行います。まず厚生省設置法の一部を改正する法律案、大蔵省設置法の一部を改正する法律案及び厚生省設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して採決いたします。三法案に御賛成の諸君の御起立を願います。 〔総員起立〕
○船田委員長 起立総員。よつて三法案は原案の通り可決いたしました。 ―――――――――――――
○船田委員長 次に青少年問題協議会設置法案の採決を行います。本案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○船田委員長 起立多数。よつて本案は原案の通りに決しました。 以上可決いたしました四法案についての委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願います。 ―――――――――――――
○船田委員長 次に保安庁法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。井手以誠君。
○井手委員 保安庁長官にお尋ねいたしたいと思います。先般来次長その他から保安庁に関連していろいろ承つたのでありますが、満足な回答を得られなかつたのであります。長官よりお聞き願いたいということでありましたので、本日いろいろお伺いしたいと思います。相当時間もかかるかと思いますがその点はお許し願いたいと思います。 第一に、保安庁はアメリカの戦車学校、砲兵学校などに留学生を本年度三十名派遣されるということを官房長は発表されたのであります。長官は常に、保安隊は軍隊ではないとおつしやつておるのであります。もしおつしやる通りに、警察で手に負えない内乱その他を鎮圧するために保安隊があるとするならば、アメリカの警察の学校ならばわかるけれども、りつぱな軍隊に留学させるという意味がどうしても私どもにはわからないのであります。頭隠してしり隠さずじやないかというような気もいたすのであります。なぜアメリカの軍隊に警察の予備隊的な保安隊を留学させるのか、その意味をお尋ねする次第であります。
○木村国務大臣 お答えいたします。保安隊が軍隊にあらざることは、すでに私が本会議その他委員会において述べた通りであります。ただいまの質問は、軍隊にあらざる保安隊の隊員を何がゆえにアメリカの軍隊に派遣するかということでありますが、それにつきましては、われわれの考えとしては、決して軍隊の戦術とか編成とかいうものを学ぶためではありません。アメリカの軍の学校にやりましてつぶさに兵器の使用方法その他技術の点について学ばせたいと思つておるのであります。申すまでもなく保安隊において使用しておる武器は多種多様にわたつておるのでありますが、残念なからこれはただいまアメリカから貸与を受けておるのであります。従いましてこれらの武器についての技術的方面の研究をさせることは、将来日本においしまた武器をつくる場合に、非常に参考になると私は考えております。従いましてでき得るならばこれらの者を向うの学校にやつて、つぶさにそれを研究させたいと考えております。ただ学校にやることについては、ただいまはつきりはしていないのでありまして、多分行けるだろうと考えておる次第であります。
○井手委員 せつかく軍隊でないと言明されておつても、今日長官その他何人かの人を除いた全国民は軍隊だと思つておるのです。自由党の星島氏は、数日前の討論会でも、軍隊ではないと言つても実際は軍隊でしようと言つております。あなたの身内の人もそうおつしやつておりますが、そういう場合にアメリカの戦車学校、砲兵学校に入学させるということは、どうも世間の誤解を招くと思います。別に目的があるのだ、こうお考えかもしれませんが、アメリカの警察は日本と違つて相当大規模な犯罪を鎮圧するために飛行機も持つておる。戦車のようなものも持つておる。日本の国内の内乱あるいは騒擾というようなものを予想する場合に、あの大きなアメリカのいろいろな鎮圧の武器を持つておる警察学校でも、私はあり余るくらいではないかと思う。それをわざわざアメリカのそういう大規模な警察の学校に入れることなくして麗々しく名前のついた工兵学校などに入れるということは、私はどうも割切れない。もし鎮圧する場合、いろいろな武器を持つておるからそういう場合に備えて見学しておこう、そういうことのようでしたけれども、それは何の場合でも、どこの学校に行つても、女子が男の学校に行つても何かの勉強になるでしよう。しかしいやしくも国費を投じてわざわざアメリカまで留学させる場合に、種類の違つた学校に、女学生が中学校に行くような、こういうかつこうの留学の方法は私は絶対に了解しがたいのであります。その点について、私もそうですが、国民が納得の行くような御説明をいただきたい。
○木村国務大臣 ただいまの御意見でありますると、アメリカヘやるようになれば警察学校のようなところに行つたらどうか、アメリカの警察では大騒擾鎮圧のためにいろいろな武器を持たせて現にやつているのだからという御説のようでありました。私の知る限りにおいて、アメリカではFBIという情報機関とか、普通の警察はやつておりますが、騒擾あるいは反乱についてこれは軍隊を用いるのでありまして、さような手当に使うべきものは、日本の保安隊に相当する武器は持つておらないと思料いたします。従いましてアメリカの警察学校に入れて留学させるには、これは今申し上げました主として情報あるいは交通の取締り、そういう面については大いに学ぶべき点があるだろうと考えております。しかし大擾乱あるいは反乱とかいう場合に適用すべきものは何ものもアメリカの警察学校で学ぶものはないと考えております。従いましてわれわれは保安隊の隊員のある数は、それらの使用する武器の操縦その他の研究はしてよかろう、こう考えておるのであります。
○井手委員 それでは向うから来ておりまするあるいは要請したかしりませんが、軍事顧問団では、そういうものの訓練が、教育が間に合わないのか、そういう軍事顧問団では物足りないのか、その点をお尋ねいたします。
○木村国務大臣 アメリカの顧問団によつていろいろ指示を受け、学んだ点は、現在日本に貸与されておりまする武器についてであります。今度アメリカに行きまするものについては、なおなお進んだ武器が必ずあるものと想像いたしております。しかるに日本の保安隊にどういうものを持たせていいか、それらの点については、実際にアメリカに行つてこれを学ぶことが私はきわめて適切であろうと思います。
○井手委員 大体打切ろうかと思つておりましたが、また意外なことを言われたのでお尋ねいたします。先般お尋ねしたところでは、次長であつたか、官房長であつたかはつきりいたしませんが、今後ともアメリカから武器は幾らか借りるかもしれないけれども、現在の種類以外のものは借りない。摩滅したとかいろいろなことでその交代なるようなものは借りる考えは持つておるけれども、新たな大きな武器を借り入れるような考えは全然ないということをはつきりここで明言なさつたのであります。ただいま長官のお答えのもつとよい武器があるからそれを習いたいということになりますと、先般の次長、官房長の私なりあるいは辻委員に対する答弁と大分食い違つているようであります。一方ではもうこれ以上のほかの武器は借りないと言い、長官の答弁では、もつとアメリカによい武器がありそうだから借り入れてうんと増強しようというふうに聞き取れるのでありますが、どうもその辺がますます私にはわからなくなります。
○木村国務大臣 お答えいたします。アメリカからこれ以上の武器は借りる考えは毛頭持つておりません。私が常に申し上げておりますように、アメリカから借りている武器は、私は完全なものではないと考えております。しかも将来保安隊員に持たせる武器は、ぜひとも日本で製作して魂の入つたものを持たせたいと思います。今度アメリカに行くについても、何もアメリカから借りるという考えのもとに行くのではありません。日本で将来保安隊員に持たせる武器を製造する場合においては、どういう武器を持たせたうよいか、それらの点について十分研究させたい、こういうことであります。
○井手委員 今後新たな武器を借りる意思はないということをはつきりと承つたので安心いたしました。将来国内でつくつて行きたいという場合にどういう武器がよいかというお考えがあるようでありますが、それならばもつと違つた人々の派遣がアメリカの軍需工場その他にあつてしかるべきである。工場ばかりではないけれども、そういうものを鎮圧する向うの組織なり、あるいは訓練なり、あるいは武器を日本で製造する場合に備えてのものであるならば、保安庁の中堅と申しますか、元の佐官級と申しますか、そういう人人を学校にやるのは少し当らぬのではないか、少し意味が違うのではないか、日本でつくるためには工場の技師の人が行くのがあたりまえだ、こう思います。そういう技師の人なり、保安庁の文官のような人、そういう人が行つて研究なさるなら意味がわかるが、佐官級のような人ばかりすぐつて学校に入れることはどうしても私にはわからない。もう一ぺん説明していただきたい。
○木村国務大臣 今ただちに日本の但安隊で使う武器を製造させる場合においては、むろんこれは工場の技術者が行くのが適切でありましよう。しかしそれはまだわかつておりません。どういう武器が適切であるかどうかといこことは、現に使うべき者がこれを研究するのがまず第一であります。そうしてかような武器が適切であるということになつて初めて技術者がその研究にとりかかることが適切であると考えております。
○井手委員 私には割切れませんけれども、一応この問題はこの程度で打切ります。 次に、アメリカから借り入れた武器の借り六万の方法でございます。借り入れれば、会計法の第二十九条によつて公入札はあり得ないけれども、随意契約は当然あり得べきものだと思います。この間私は、随意契約の内容を知らせてほしいということを申し上げたのでありますが、確たる御返答がなかつたのであります。会計法第二十九条によりますと、各省、各庁において売買や貸借、請負その他を行いますときには、当然契約をなさねばならぬのであります。契納をなさずして借り入れることは絶対にあり得ない。人のものを盗んで来れば別です。日本の役所としては当然契約が必要であることは会計法に明記してあるところでございます。貸借になりますと賃貸借、あるいは賃借りしない場合には、場合によつては使用貸借ということもあるわけであります。いろいろ考えてみますと、このアメリカからの武器の借入れには当然使用貸借というものがなくてはならぬのであります。その内容を承りたいと存ずる次第でございます。
○木村国務大臣 これはおそらく政府委員から申し上げたと思いますが、現在保安隊で使用しております武器は、各部隊において、現に派遣されておるアメリカの将校が自分の保管しておる武器を、事実上日本の隊員において使わせるという形式になつておるのであります。しかしいつまでもかようなことでは私はいかぬと考えております。できる限りアメリカの中央あたりと交渉いたしまして、われわれが一括してそれを貸与を受けたいと考えております。そういう形式についてどうすべきか、これはアメリカのいろいろな考えもあることでありましよう。おそらく最後の決定はワシントンにおいてやるだろうと思います。それらのことについては、目下われわれは考慮してアメリカとせつかく折衝しようと思つております。
○井手委員 向うの武器を現地部隊で貸そう、じや使つてみよう、こういうお言葉のようですが、使うという場合、人の品物を、よその国の品物を使おう)という場合、当然ただいま申しましたように会計法によつて契約をしなければ絶対に使えないものだと思う。役所がそんなにかつてに、民間のものをあるいはよその国のものを使うという場合に、貸すから使え、じや使おう、こういうことは絶対あり得ない。やはりそこには一定の随意契約というものがなくてはとうてい使えないものだと思う。少くとも二百億に上る多量の武器を使うのに、ちよつと君鉛筆を貸してくれというのとは、これは大分違うのであります。当然私は随意契約がなくてはならぬと思う。それはおもしろくないから一括してやろうというお言葉のようでありますけれども、今後のことではないのです。現在です。私はかつてに使つておることが会計法の違反だと思うのです。これについて当局のお考えを承りたい。
○木村国務大臣 会計法上の契約はこれは有償契約です。本件の場合においては、現在その保管をしておりまする隊員から無償で日本の隊員がこれを事実上使用させてもらつておるということであります。何らこれに対して何と申しますか、対価はないのであります。会計法上の問題ではないと考えております。
○井手委員 会計法の場合には有償契約だけだとおつしやいますが、なるほど会計法といえば金の関係があるようには聞えますけれども、貸借という場合には賃貸借ばかりでなく、無償の使用貸借ということはあり得るわけであります。使用ということはやはり会計法に関連したことである。お読みでもございましようが、会計法の第二十九条にいう貸借というのは、使用貸借も含んだものである。無償だから会計法には関係ないと簡単には済まされないものである。これは堂々たる日本の役所が、保安庁が使うのです。向うが貸したから黙つて使うということは、絶対にあり得ない。使用貸借です。使用貸借ならば当然契約がなくてはならぬ。会計法による契約には無償だとか、有償だとかいうことは問わないのであります。無償の場合だつて、これはどういうわけで無償だという約束、とりかわしがなくては引渡しはできないわけだ。その点についての御見解を承りたい。
○木村国務大臣 遺憾ながら見解を異にしおります。われわれはそれを有償の場合と解釈しております。しかも今の場合においては何ら書面に基かずにやつておることは事実でありまするから、これまた事実行為として法律上何らさしつかえないと私は解釈いたします。
○井手委員 見解の相違ということで逃げられておるようでありますが、それはそれで私も別途にこの点は考えておきたいと思います。それではそういう二百億あるいは消耗品の弾薬の方におきましては三百億も四百億ものものを今後どういうふうにして契約されるか、その方法あるいは内容、もうすでに相当この問題も前から論議されておりますので、研究が進んだことと思いますので承つておきたいと存じます。
○木村国務大臣 ただいまのところ研究中でありまして、具体的なことは申し上げることはできません。しかし草案ができましたらわれわれはやはり一応事前かあるいは事後において報告はしたいと考えております。
○井手委員 それではもう一つ、この貸借でお尋ねいたしますが、先般予算委員会でも論議されておりますが、海の方のフリゲートの場合には契約がなされておる。片方は契約されない、その辺割切つた御解釈を承つておきたいと思うのであります。ものによつて違うということは――これは役所の物品の取扱い規則とかいろいろなことから考えてみますと、大体同列のものである。たま一つと飛行機と一緒にされないのはこれは当然であります。片方はアメリカとの間に契約をやろう、片方は今まで会計法による契約とも考えないで使つておる、これについての御解釈を承りたいと存じます。
○木村国務大臣 先般アメリカと貸借契約をいたしましたフリゲート、LSのことにつきましては、これはアメリカ側で法律をつくりまして、一つの協定をつくるごとになつた、アメリカ側の意思であります。もちろんアメリカ側はこれを法律を作成せずにそのまま使わせるということであれば、われわれもこれは使つてもよかろうと思います。しかもこれらにつきましては返すときには原状のままということになつておる次第であります。今の保安隊で借りております武器とはよほどの差があることを御了承願いたいと思います。
○井手委員 さらに聞きたいと思いますが、フリゲートはそういうことで、片方と違うという考え方。われわれは同じように考えておるのであります。フリゲートについては向うの法律ができたからそういうふうに契約した、片方はそれがないからしない。これは向う様相手で、どうも日本の役所としての確固たる信念と申しますか、考え方というものが全然出ていないように思う。どうせ借りるものならそんな観念とか信念とかいらぬと言われるかもしれませんが、日本の堂々たる役所が、一方は向うがそうしたから契約をした、片方はしないということはどうも納得がいかない。しかし私はこれ以上は追究いたしません。 そこで次にお尋ねいたしますが、なるべく本会議や予算委員会の質疑と重複を避けまして、予算委員会などで論議されてなおはつきりしていない分について長官のお考えを承つておきたい。よく自衛力の漸増と言われます。われわれも保安隊は自衛力の漸増というふうに考えておりますが、安全保障条約の前文に言われておりますこの自衛力というものは、保安隊と了解してよろしうございますが、その点ひとつ。
○木村国務大臣 申すまでもなく自衛力と申しまするのは、国の外からたると内からたるとを問わず、国内の平和を乱し、治安を欄乱するような行為に対してこれを防遇するための一つの総会力であります。従いまして保安隊は、保安庁法第四条に明記してあるごとく、日本の平和と秩序を維持し、人命財産を擁護するために緊急やむを得ざる場合に出動すべき部隊でありまするから、これを一方から見ればすなわち自衛力の一部たることは間違いないのであります。 ただ申し上げたいのは、自衛力の解釈は今申し上げた通りでありますが、私はそれ以上に、大きく解釈して、あるいは日本の経済力、精神力、その他を含めた、いわゆる日本を守つて行こうという総合の力が、広義の自衛力であろうと考えておるのであります。従いまして、工業力の生産、発展、たとえば電力の開発にいたしましても、石炭の増産にいたしましても、一方から言えば自衛力であります。保安隊も申すまでもなく日本をみずから守るべきものに当るのでありますから、自衛力であることは間違いないと考えております。
○井手委員 自衛力というものと、今の保安隊とは同一ではないという御答弁のように承つたのであります。よく新聞その他では自衛力は漸増して行く、軍隊はつくらない、こうおつしやる。ところが今私がお聞きすると、保安隊がただちに自衛力ではないが、その一部だというふうにも考えられる。そこでお考えになつている自衛力というのは―これは日本として一番大事な問題であろうと思うが、いわゆる総合的なものは、どれがどれくらいであるか、どの程度になつたら保安隊が自衛力になるか。この点ははつきりしなくてはいけないと思うのでありまして、こういう総合したものの基準を示してもらわなくては、一番大事な自衛力の問題が解明できないと思うのです。私はきようはその点について―これは非常に重大な問題でありますから、じつくり研究させていただきたいと思います。政府の考えております、またいろいろ新聞その他で言われております自衛力というものはどういうものか、はつきりお示しを願いたい。ただぼうつと港湾も言うんだ、工業生産も言うんだとおつしやるが、こうぼうつとしたことでは、安全保障条約で言う自衛力というものを一つも解明できないのである。その点ははつきりお答えをいただきたいと存じます。
○木村国務大臣 自衛力に一定の線を引けということですが、これは引けません。どこまで持つたら自衛力であるか、そこまで至らないものは自衛力でないという一定の線は引けない。自衛力は先ほど申し上げました通り、国の外からたると内からたるとを問わず、国内の平和と秩序を擾乱するような行為を防遇するための一つの総合力であります。これは私があるいは狭義に解しているとも言えましよう。これを大きく解しますと、今申しますように、一国の生産力、精神力、これらもみずからを守るべき力であります。そこで保安隊は、保安庁法に明記してあるごとき、日本国内の平和と秩序を維持すべき力であります。これには自衛力の一部であることは間違いないのであります。
○船田委員長 本案についての質疑は次会に譲ることといたします。 次会は明後七日、土曜日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十六分散会