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15回国会衆議院1953/03/02

電気通信委員会 第26号

発言数
43
登壇者
7
会派数
3
開催日
1953/03/02

会議録

橋本登美三郎自由党

○橋本委員長 これより開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件を議題とし、質疑を続けます。本日も参考人として日本放送協会会長古垣鐵郎君及び理事岡部重信君がお見えになつておりますので、質疑は政府当局と並行して行いたいと存じます。質疑の通告があります。淺沼稻次郎君。

淺沼稻次郎日本社会党(右)

○淺沼委員 NHKの予算について、関係事項ニ、三点お伺いしたいと思うのであります。第一は職員の給与に関する点であります。本年度の職員に対する給与は、前年度の平均一万四千四百六円に対して一〇%引上げて、一万五千八百四十七円としたということを承つておるのでありますが、日本放送協会は特殊法人の公企業体であります。ここに勤めております職員、これらの方々というものは団結権も持つておれば団体交渉権を持つておる。ストライキ権も持つておるわけであります。しかしながらこの事業の性質にかんがみまして、団体交渉の点まではやるけれども、ストライキに訴えるということはなかなか困難事情に置かれており、また使われております側から申し上げますならば、かかる公企業に従事しておる者は、ストライキの手段によらないで問題を解決しなければならないという、組合運動に一つの悩みがございまして、他の民間労働者と違つた立場において問題を解決しなければならぬというところに置かれておると思うのであります。従いましてこの労務者の立場というものを協会側においては当然考えて、そうして案を立てなければならぬであろうと思うのでありますが、朝日新聞、毎日、読売といつたようないわゆる新聞記者、さらに今度はNHKのいわゆる放送記者、しかもNHKには多くの科学技術者が包容せられておると思うのであります。私は科学技術者というものは自然に対して、あるいは自然のいたずらに対しまして、人間が科学技術の力をもつて争う姿であろうと思うのであります。従いまして科学技術者というものは、人間と自然の争いの中に動員されますところのものでありますから、これらの人たちの待遇というものは、相当私は高く評価してしかるべきであろうと思うのであります。ところが必ずしもそうではないようでありまして、ここに一つの資料がございますが、中央労政事務所の調査によりますと、朝日新聞は平均賃金二万三千円であります。毎日新聞は二万六十二円であります。読売新聞は一万五千六百二十七円であります。それから千代田銀行は一万八千三百七十円であります。また映画会社であります。大映は一万七千四百四円であります。ところがNHKにおきましては、昨年におきましては一万四千四百六円、これは、先ほど私が例示いたしましたのは昨年度の平均でありますから、当然これからベース・アップされているはずだと思うのであります。今回ベース・アップしたといたしましても一万五千八百四十七円、これではあまりにその置かれている業務の関係からいたしまして、さらにはその特殊法人である、公企業体である、しかもストライキはやらないで問題の解決に当つているこの労働組合の行き方等も考慮に入れるならば、もう少し考えてしかるべきではなかろうかと思うのであります。組合から提出されましたものは一万七千百三十円であります。これを一万六千百五十九円というように査定をしておるのでありますが、この間の事情についてお伺いできれば、非常に仕合せだと思うのであります。

岡部重信日本放送協会理事

○岡部参考人 職員の給与につきましては、過日も本委員会で御質問がございまして、その際も申し上げましたが、私どもとしては一つの理想的の問題としては、むろん高能率高賃金ということでいたしたいことは申し上げるまでもないのでございますが、協会の財政状況から申し上げますると、明年度増収として考えます給与の財源が、御承知の通り受信料でございますので、その受信料をどういうふうに見たかと申しますると、明年度は過去の実績その他に徴しまして六十万の受信者の増加ということを一応算算定いたしております。そういたしますと、それによる受信料の増収額は五億二千余万円でございます。そうしてただいま議案にございます一〇%上げるのにどれだけの経費がかかるかと申しますると、二億二百万円ほどかかります。それから議案にございますやむを得ざる本年度の増員というのにどれだけかかるかと申しますと五千八百万円かかるのでございます。それを両方合せますと増収の四九・三%人件費に支出せざるを得ない次第なのでございます。受信者が増加しますと、御承知の通りそれに対応する経費も要しますし、また過般来の物価の騰貴によりまして経費の増が来しております。それから施設を毎年増加いたします経費も要します。それらを人件費の四九・三%を増収方から除いたものでまかなつて行く。いろいろ経費の節約につきましても、鋭意実行いたしておりますが、それにはおのずから限度もございまして、私どもとしてはお説の通り、協会の仕事には高度の技術を要する部面もありますし、高度の演出と申しますか、企画性を持たなければならぬので、先ほど申しましたようにできるだけの顧慮をはかりたいと思いますが、財政上なかなかむずかしいことは今申し上げた通りでございます。それでわれわれとしてこの一〇%というものについて、全面的に満足しているものではございませんが、給与につきましては今後鋭意努力いたしまして、この使命の遂行に当りたい、かように存じておる次第でございます。できるだけ理想を達成いたしたいと思いましても、まだまだそれに及ばざる感がありますのは、まことに遺憾と存じますが、大要そのような事情で一〇%上げまして、昨年度の国会に御承認を得ました一八%のベース・アップに加えまして、一〇%というものをここで計上した次第でございます。なお経済事情の激変等がございますれば、今後につきましても、あるいはその他の諸経費ともにらみ合せまして、事情によりましては補正予算または追加予算ということについて、お願いをいたさなければならぬかと存じますが、ただいまの事情はそういう次第で、この一〇%のべース・アップを考えたわけでございます。

淺沼稻次郎日本社会党(右)

○淺沼委員 聴取料の引上げを行わないで、従業員の給料の問題に触れておるのでありまして、これは給与を上げなければならぬ場合において、運賃の値上げをやるとか、あるいは電信料の値上げをやらなければならぬとかいうような政府のやり方とは違いまして、それの方には手をつけないで、幾分かよくしようという努力でありまするから、その努力のあるところは私どもは認めるのであります。しかしながらまだ予算の上におきまして、もつと受信者の拡大は見てもいいのではなかろうか、またこの点ついてはまだまだ努力が足りない点があるのではなかろうかと私ども思うのであります。NHKがもつとこの受信者の拡大をはかつて参りまするならば、予算に組んである以上のものが確保できるのではなかろうかと思います。加えまして、人件費を減らすというわけには行かぬけれども、物件費その他の問題から申し上げますならば、これで一ぱいだということでありますけれども、これでも私は余地がないことではないと思うのでありまして、今言明がありまして、今後については大いに考慮されるということでありますから、大いなる考慮を願いたいと思うのであります。しかしこれは行政庁でもありまする通りに、賃金のベースの問題は手をつけないが、行政的処置によつて幾分めんどうを見るということはあり得るのでありまして、公企業体であるNHKにおきましても、この点は考える余地があるのではなかろうかと思うのであります。いろいろ勤務の態様が違いますから、一様に申し上げるわけには参らぬかと思うのでありまするけれども、いろいろなやり方によりまして、ベースの引上げざるものをいわば行政的処置といいますか、運営の上において満たして行くということは、やり得ると私は考えるのでありますが、そういうことをなさるつもりであるかどうか、一応は今のべース一万五千八百四十七円で押えるけれども、できる限りの行政的処置をもつて、実質的には賃金を高めて行く、こういうような考えを持つておられるかどうか、伺いたいと思うのであります。

岡部重信日本放送協会理事

○岡部参考人 ただいまのお話の通り、放送協会の財源はもつぱら受信料収入によつておりまして、受信者を増加することにつきましては、私どもといたしましては極力これを実行いたしておるのであります。ただいま受信者の増加というものはどういう方面から増加になつているかといいますと、最近の実績を見ますと、受信者の増加の五〇%ちよつとは、職員の手によつて増加されている次第なのであります。それで放送協会といたしましては、増収がありましても、それは協会自体の設備の改善なり借入金の返還なりに充てられるものでございますから、先ほど申し上げました予算が六十万の増加であるから、予算通りにとめておくのだというような考えは毛頭持つておりませんで、できるだけ早く、できるだけたくさんの受信者を獲得するということに従来とも努めております。なおそういうことによりまして増収がありました場合は、予算総則の第七条によりまして、これが増収分が予備金に繰入れられ、それから但書によつても、また一つの御指摘のような方法も、場合によるとあり得るのでございまして、それらの措置によりまして、できるだけ職員の待遇改善、厚生というような面について努力いたす、さような所存で来年度もやつて行きたい、かように存じております。

淺沼稻次郎日本社会党(右)

○淺沼委員 もう一点お伺いしたいと思いますことは、政府からの交付金の問題であります。この事業の性質にかんがみまして、ことに国際放送等のことを考えてみまするならば、政府からの交付金ということも考慮に入れながら、予算を充実して行くことも考えられると思うのですが、今の政府の交付金必ずしも妥当ではないと思うのでありますが、これについてどういう考えを持つているか、お伺いしたいと思うのであります。

長谷愼一郵政事務官(電波監理局長)

○長谷政府委員 政府から最初にお答え申し上げます。ただいまのお話の点は、私どももできることならば、国際放送に必要といたします経費を、全額国で負担したいという考えを持つているのでございますが、国の財政状態等の問題もございますので、現在のような形になつているのでございます。しかし本二十七年度の日本放送協会の予算の中に予定しておりますのは、四千八百万円政府の交付金を受けよう、こういうことで、一方政府が目下国会の御審議をお願いいたしております予算におきましても、同額を大蔵省を通じて要求いたしているのであります。この四千八百万円は、一日十時間、十方向に向つて放送いたします場合に、必要な機械の運用費、そのほかニュース解説等に必要な番組上の経費等を見込んでいるのでございますが、御案内のように海外放送といえども、その番組の内容につきましては、一切放送協会の自主的な編成にまかしておりますので、番組の編成上の費用は、放送協会は、協会の財政上許す範囲内におきまして、政府の交付金以外に何がしかの経費をこれに向けまして、目下御審議を願つております放送協会の予算におきましては、七千数百万円になつておるのでございます。お答の通り私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、できるならば全額交付したい考えを持つているのでありますが、一方放送協会は、その行い得る事業といたしまして、政府の命令なしでも、言葉をかえますと、政府からの交付金なしでも国際放送を行える形になつております。またいろいろ協会の財政上もありますので現実には今申し上げましたように、設備その他必要な最小限度の範囲では、政府の交付金によつてまかなつて、そのほか番組編成上、ふさわしい国際放送とするために、音楽その他の番組の費用が約半額に相当すると思いますが、放送協会が負担しておるという現状になつておる次第でございます。

淺沼稻次郎日本社会党(右)

○淺沼委員 国際放送といえども、この放送といつたものに対しては、政府が内容に関与することはいけないと思います。従いまして自主性を持つて番組を組まれ、仕事を遂行することは当然だと思うのでありまするが、しかしながら日本の国情を広く諸外国に紹介し、なおかつ国際間の平和維持に寄与する点において、この点は私は少くとも一時的な経済あるいは文化使節の交換よりも、絶えず電波を通じまして、平和的交歓をやるということは、非常に日本に寄与するところ大なるところがあろうと思うのであります。従いまして番組はおのずから別といたしましても、かかる事業は私は全額国庫が負担をするということが建前でなければならぬと思うのであります。金額は小でありまするけれども、政府が四千八百万円を交付して、協会負担が三千八十六万円ということになつておるようでありまして、これは必ずしも私は妥当ではないと思うのであります。将来は当然政府の交付金によつて、内容は自主的にまかすけれども、財政的な面においては政府がこれを負担する、これが私は建前でなければならぬと思うのでありますが、この点についてもう一ぺん念のために承つておきたいと思うのであります。

長谷愼一郵政事務官(電波監理局長)

○長谷政府委員 お答え申し上げます。ただいまの御意見は、私どもも一々ごもつとかと存じますが、先ほど申し上げましたようないろいろの事情からこの案のような形になつておりまするが、ただいまの御意見等も十分考慮いたしまして、将来御趣旨に沿うように努めて行きたいと思います。

橋本登美三郎自由党

○橋本委員長 松前重義君。

松前重義日本社会党(右)

○松前委員 私は放送協会が、公共性を持つたいわゆる公共企業体としての性格から、ただいまの海外放送等におきましても、最も重要なる文化的な要素としまして、日本の代表的な音楽あるいは芸術、そういうものに対して、放送協会が世界水準を目標としたところの何らかの具体策をお持ちであるかどうか。この点について放送協会にお伺いしたいと思います。

古垣鐵郎日本放送協会会長

○古垣参考人 お答え申し上げます。御承知の通り、音楽というものは、ラジオにおいて最も大きな役割を演ずるものでございます。それから音楽そのものが、個人におきましても、その人のほとんど基本的人権の一つのように私どもは考えております。生けるしるしは、一つは音楽を演奏し、または音楽を聞くという点にあるというように考えておりますが、さらに音楽はまた一つの世界的な言葉であつて、世界の人間同士が融和し、親愛し、なじみ合つて、世界の平和、世界の繁栄というものに寄与するものであるというように考えておりますので、ただいま松前委員のお話の通り、NHKとして最も力を入れてやらなければならない仕事の一つと考えて、具体的にいろいろと策を立てております。  そのおもなるものを申し上げますと、早くから、ほとんど三十年に及ぶ経歴を持つておりますところのNHK交響楽団というものを持つております。百数十名の楽員を包容して、交響楽の日本における普及発達、ひいてはこれを通じて国際親善というようなことに寄与したい。このNHK交響楽団の規模あるいは実力というものは、おそらく国際的に出しましてもはずかしくないものだと思つておりますが、さらにこれを引上げますためには、現在も外国より常任の指揮者を招聘して、そして楽員の技能の向上に努めておりますほか、楽員中にもめぼしい器楽者を数名これまた常任で呼んでおります。そして一年を通じまして定期的に非常に頻繁に、東京ばかりでなく日本全国をまわらせて演奏させて、NHKの使命でありますところの個々の聴取者の要望にこたえるばかりでなくて、国の文化の水準を引上げることに最善の努力を尽すという責任の一端を果させております。また定期的に海外より一流の音楽家を招聘いたしまして、あるいはNHK交響楽団と一緒に演奏させる、あるいは単独に演奏させる。これまた日本全国に演奏会を持ちまして、単に日本全国に放送いたしますばかりでなくて、実際に日本全国に、この招聘しましたところの一流外国音楽家を派遣いたしまして、先ほど来申し述べておりますような目的の達成に努力いたしております。  また番組におきましても同様に、新人の音楽家を発見し、さらにこれを養成して行くということにも、幾多の努力をはかつておりまして、たとえば新人の時間というようなものは、一週に五時間半あまりございまして、この中で私たちの音楽とか、あるいはしろうとののど自慢を初め、新人の発見、新人の養成、向上というようなことに努力いたしております。さらに日本全国よりの作曲の募集ということにも努力いたしております。またそういう作曲ばかりでなく、音楽コンクールも催しまして、音楽の向上に努めております。また東京本部はもちろん、地方の中央局にも交響楽団を持ちまして、中央及び地方がそれぞれ音楽の向上に努力いたしております。なお単に洋楽ばかりでなくて、邦楽の面についても同じような努力をいたしております。それから中央、地方を通じまして、音楽関係の委員会を幾多持つておりまして、部外の権威者の適当な方々の参加を得まして、一層音楽に対するNHKの責任を果す点に寄与してもらつております。その他歌劇団を助成するとか、あるいは合唱団を養成するとか、邦楽の面につきましても、若干の人たちを助成するとか、いろいろの努力をいたしておりますけれども、この道はきわめて重要でありまして、私どもが音楽に寄せております重要性から考えますと、決してこれで満足すべきではなくて、一層この面に力を尽して参らなければならないと考えて、今後も一層具体的に善処して行きたいという心構えでおります。

松前重義日本社会党(右)

○松前委員 芸術的な面において、優秀な立場を維持しようと思つて努力しておられることに対しては敬意を表しまするが、聞くところによりますと、どうも放送協会は、音楽家や芸術家に対して待遇が悪い、非常にけちだというような話を聞くのであります。ただいま一般の従業員の方々の待遇の話を淺沼委員から伺つたのでありますが、これらの一般の方々と、いわゆる音楽家や芸術家等に対する待遇と申しますか、謝礼と申しますか、そういう点について、今まで聞くところによりますると、あまりにも待遇が悪いために、放送協会の芸術的な面における発展が阻害されておるというような話も承るのでありますが、この点について伺いたいと思うのでございます。

岡部重信日本放送協会理事

○岡部参考人 実は昭和二十六年度でございましたかの予算におきまして、いわゆる薄謝協会とかなんとか、とかく論議の種になつておるところの謝礼の基準を引上げまして、できるだけ礼を厚くしたいという改革をいたしましたが、それ以後大体財源の限度もありまして、やりにくい部面も相当ございますので、あるいはそういう点がお耳に入つておるのではないかと存じますが、私どものただいまの様子といたしましては、純音楽部門といいますか、’その方面については必ずしも他との均衡上、薄遇であるということはないのではないかと思います。ただ流行的の音楽といいますか、軽音楽のようなものであるとか、歌謡曲のようなものについては、他と劣るという点がございますと思いますが、これらの基準をどこに置くかということにつきましては、なかなかいろいろの問題がございまして、われわれといたしましては好んで薄遇するということではございませんので、できるだけはいたしたいと思つて、絶えず謝礼の基準について検討をいたしまして、社会通念から妥当な線ということによつて番組を向上さして行きたい、かように考えている次第でございます。

松前重義日本社会党(右)

○松前委員 その点についてはいろいろ御事情もありましようけれども、とにかく放送協会は、政府の代行機関として公共性を持つた放送の機関でありまするので、従つて先ほど来お話がありましたような、日本政府のやるべきことを代行して行かれる、すなわち海外放送、このような国家性のある事業を経営して行く、あるいはまた研究機関を持つて、日本の放送面における技術の向上に寄与して行く、そういう点において相当な貢献をしておられることを認めざるを得ないのでありまするが、しかし何をおきましても、海外放送をやるにしても、どうしてもそのプログラムの内容、ことに音楽を通じての日本の文化の宣伝というような問題は、今までのいわゆる世界における文化国家なるものは、争うてこの方面に努力して参つたのであります。放送協会が政府のこういう公共的な事業を代行しておるというために、これらの音楽のレベルを上げるところの使命、ただいま会長からお話がございましたけれども、この使命は一にNHK以外に相当しているところはないように私は思うのであります。ヨーロッパへ行つてもどこへ行つても、りつばな楽団がある。しかも政府の保護のもとに、その国の表徴として、誇りとして、こういうものを持つておる。日本だけが従来こういうものにまつたく認識を欠いている。国立の音楽堂一つ持たないというような、哀れな状態に現在あるのであります。これらに対しましては、もちろん政府に対する鞭撻も必要でございますけれども、放送協会の公共心業体といたしましての性格、使命といたしまして、これらの目的を達するためには、思い切つた予算をお組みになつて、政府の補助をおとりになつて、そうしてどしどしその使命遂行に邁進されんことを希望いたすのであります。このような方向に向つて放送協会が向われるといたしまするときには、政府としては一体どういうふうなお考えをお持ちであるか。すなわちこのような予算をできるだけうんととつて、そうして海外放送の価値を高め、少くともアジアの民族が喜んで日本の放映を聞くようになり、アジアの交化的な一つの指導的な立場を日本がとつて行く、こういうふうな方向に持つて行くのが、当然の政府としての抱負でなければならないと思うのであります。これらに対しまして政府はどういうふうなお考えをお持ちであるか。先日来のお話をいろいろ聞いてみますると、どうも一般のいわゆる民間放送なるものと、放送協会の放送の性格、これらに対しましては、大臣の御答弁は、どうもあいまい模糊としてわからないものがあつたのであります。こういう方向に向つての政府の方針が確立しておるといたしまするならば、もつと明確な御答弁がこの間にできたであろうと思うのでありますが、あらためてこの点を政府として御答弁を願いたいと思います。

長谷愼一郵政事務官(電波監理局長)

○長谷政府委員 お答え申し上げます。ただいま国際放送のあるべき姿、並びはこれを中心にいたしまして放送協会が放送文化というものについて貢献する使命を持つておる点から、いろいろお言葉をいただき、またこれらに対する政府の考え等につきましてただされたのでございますが、お話にございました根本的な考え方は、私どもごもつともに存じ、また政府といたしましてもそのような考えでおるわけでございます。法律の条文を引用いたしまして恐縮でございますが、放送法におきまして、放送協会がその放送番組の編成上よるべき基準としてあげてございますのには、「協会は、放送番組の編集について、公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払わなければならない。」そういうような条項がございます。また「協会は、公衆の要望を知るため、定期的に、科学的な世論調査を行い、且つ、その結果を公表しなければならない。」というような条項もあるわけでございます。特に国際放送におきましては、これは日本の姿を直接に外国に現わすことになるわけでございますから、一層その放送番組について意を用うべきことはまことにお言葉の通りでありまして、私どももそのように考えておるのであります。放送協会におかれても、国際放送につきまして特に各方面の権威者をもつて国際放送の審議会のような機関を設けられて“その番組なり、放送のやり方についての諮問機関とされて、広く各方面の知識を集めて、御趣旨のような線に沿うべく努めておられるのであります。政府といたしましても、先ほど来お話がございましたことく、でき得るならば国際放送に必要な経費を全額国が負担をし、しかもその国際放送の目的とする方向なり、時間なり、内容につきまして格段の拡充をしたいと考えまして努力して参つておるのでございますが、財政上その他いろいろの問題がございまして、現状のような姿になつておるのであります。この国際放送の問題は、お言葉にありましたように、われわれとして大いに力を注いで行かなければならぬ問題でございますから、各国の実情等を見ましても、日本が至急に拡充をしなければならない重大な仕事の一つだと存ずるのであります。また電波の獲得問題上からいいましても、国際放送を一日も早く十分なところまで持つて行くように努めなければならないのでありますが、これらの点につきまして私どもも今後いろいろ御援助、御指導を仰ぎまして、われわれが理想とする線に近づくように努力して行きたいと存じております。

松前重義日本社会党(右)

○松前委員 ただいまの御答弁によりましても、私どもまだ満足いかない点があります。それはすなわち問題はどうしてもこういう施設や、あるいはその他の経費の問題になると思うのであります。先ほど来西洋音楽、日本音楽等のお話がございましたが、私がドイツに行つたときに初めて国際放送の交換をやつたのでありますが、あのときに日本から送るものがありませんで—何かちよつとしたものはあつたようでありますが、ドイツからの一方的なプログラムを日本が得たというだけにすぎない、すなわち文化交換という意味におきましても、交換ではありませんで、一方的な吸収にすぎなかつた、このような姿はただいま会長の御説明もありましたけれども、私はいまなお持続しておる現象であろうと思うのであります。どうしてもこの面において思い切つた拡充をやり、政府としてももう少し文化性のある意図をもつて、何も放送機だとか、機械だとか、あるいは家だとか、あるいはアンテナというようなものに補助金を出すというようなことなくいたしまして、本質的な日本の文化をつくる、これを築き上げるという意味における補助金なり何なりを相当思い切つて大蔵省に要求するなり、あるいはまた獲得するなり、このようなことに対してはたして政府は来年度以降熱意を持つておられるかどうか、放送協会もまたこれに対する猛運動を起して、これだけの大きな使命を果して、その負託にこたえるべき御意思があるかどうかお伺いいたします。

長谷愼一郵政事務官(電波監理局長)

○長谷政府委員 最初に政府から御答弁申し上げます。先ほど来いろいろ御意見、御注意の点は、私ども一々ごもつともに存ずるのでありますが、先ほど来申し上げた通りに、国としての財政上の問題等から、いまだ意に満たない状態になつているのでございますが、今後私どもといたしましてもお話にございましたことく、単に国際放送におきまして設備その他の点ばかりでなくて、この放送の内容につきましても十分政府として、補助あるいは助成の施策を実施して行くように努力いたして行きたいと考えております。実は二十八年度におきましても、単に設備の運用等に必要な経費ばかりでなしに、番組面につきましても相当の交付金を交付すべく計画を立てまして、いろいろ関係の筋と折衝をしたのでございますけれども、現実のところにおきましては先ほど来申し上げましたように、一日十時間、十方向に向つて実施するために必要な維持費、及びニュース解説等に必要な経費、及び必要な方面の自国語の語学者の採用の費用、そういうようなきわめて限られた最小限度と申しましようか、そういう費用しか現在認められていないような状態でございますが、私どももこれでは決して満足すべきものではないと存じておりますので、御趣旨の点もございますが、政府といたしましても今後努力をして行きたい、そういうように考えております。

古垣鐵郎日本放送協会会長

○古垣参考人 放送協会の方からもお答え申し上げます。本案の審議の最初に私御報告申し上げました中にも申し述べさせていただきましたように、最近ただならぬ国際情勢の中において、アメリカ、イギリス、ソビエトを初め、諸外国においてこの国際放送に格段の努力をいたしておりますことは御承知の通りであります。たとえばイギリスのBBCにおきまして、一九五〇年の現在において放送時間一日延べ九十五時間強、英連邦諸地域に対する放送が二十四時間、これは九十五時間強のほかにさらに英連邦の海外諸地域に二十四時間、一日放送しております。使用国語は四十四箇国語、その経費が四十六億八千万円で、これは全部国から交付されていたしております。また一九四二年現在におけるアメリカの国際放送、VOAの実績を見ますと、放送時間一日延べ五十一時間ずつ放送いたしております。使用国語は四十六箇国語、その経費が大体七十一億五千万円強といつたふうになつております。ソ連におきましてもこれにまさるとも劣らない実情でございます。こういう事態を考えますときに、わが国といたしましてどうしても国際放送の面におきまして非常な努力、非常な熱意をもつて拡充しなければならないということは、実施をいたしております私ども自身感ずるところでございます。そういう考えのもとに政府にもお願いをいたして参つておりますが、国家としてまたいろいろの事情がございまして、現在のところは御承知の通りの放送になつております。しかし放送協会といたしましては、一方において国会にお願いいたしますとともに、NHK自体でできる面を一層拡充強化するという考えをもつて、機構の面におきましても、また放送の番組そのものの面におきましても、目下すでに立案して検討いたしておる次第でございます。どうぞ皆様の御援助によりまして、できるだけ早く、できるだけ拡充されて行きますように願つてやみません。

松前重義日本社会党(右)

○松前委員 国際放送において、波長の割当とかその放送時間帯に対して、国際的な制約を受けておられないのでありますか。あるいはアメリカのような、英国のような、世界の耳をそばだたしむるような、しかも長い時間の放送、二重、三重の放送をやるというようなことをたとえば計画したといたします場合、日本の国際的な電波の割当について何か制約があるのか、あるいはやれば可能であるのか、その辺を承りたい。

長谷愼一郵政事務官(電波監理局長)

○長谷政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘の点は、先ほどもちよつと触れた点でございますが、実は財政問題を別として、あるいはより一層解決困難な問題の一つであるのでございます。戦争前は、日本は四十数時間、波長にいたしまして、確かな記憶はございませんが、たしか十数波にわたる波長を駆使しておつたのでございますが、戦争後これらの海外放送の仕事は一切廃止せられております。その後、日本といたしまして、独立の前から、日本の国情をつぶさに外国の友邦に伝えるためにも、あるいは海外に残つておられる多数の邦人の方々に国の様子をお知らせするためにも、ぜひ海外放送を再開したいということで、努力いたして参つたのであります。一方ただいま御指摘のように、電波の使用は、最近特に国際的な関連が強くなりまして、以前は大体どういう仕事に電波を使うかということだけを国際間に協定をいたしまして、その範囲で、どういう方向に向つて電波を使用するかというようなことは、相互に混信さえ起さなければ、それぞれの国が自主的にきめられる、そうして国際電気通信同盟の事務当局に登録だけをすればよろしい、登録の順によつてその既得権が確保されるというような行き方でございましたけれども、戦争によりまして各国の電波の使用の状況がほとんど無秩序になりました。従いまして戦後、これらの電波の使用の国際的な秩序を回復する意味におきまして、しばしば国際会議が開かれまして、特にこの海外放送、ただいまお話の国際放送でございますが、これには各国がその国の宣伝—と申しましても言葉が適当ではないかとも存じますが、どこの国もこの海外放送ということには非常に力を入れております。そういう点からいたしまして最も激論をかわされた会議の一つでございます。実は今までメキシコ及びイタリアのラパーロにおいて二回の国際会議が開かれまして、いずれも三箇月以上かかりまして各国の要求をいかに割当て、あんばいするかということについて会議が進められたのでありますが、遺憾ながら各国の要求が、可能である電波の数をはるかに超過しておるために、妥協点が見出されずに今日に至つております。その際も日本といたしましては、相当多くの波長を多くの方向に向つて海外放送を実施すべく要求をいたしまして、第一回の会合におきましては、日本の要求も百パーセントではございませんけれども、相当のところまで認められた形になつておつたのでありますけれども、ただいま申し上げましたように、会議そのものが完結しておらないために、現在は、極端に申し上げますと秩序のない形のままになつておるのであります。従いまして現在は、日本からどちらかの方面に向つて海外放送を実施する場合は、関係方面に一々—これは関係国と申し上げた方が適当だと思いますが、関係国にそれぞれ個々に折衝いたしまして、そちらに妨害がないと思われる電波を探しまして、そうして試験的に海外放送を実施して、それでも既得権のある国からこちらにコンプレイントが参りましたならば、それによつてまた処置をするというような状態になつております。先ほど申し上げましたように、戦争前は相当の日本としての権利のある電波を持つておつたのでありますが、現在は非常に少くなつておる状態であります。しかしながらそのためにいつまでも重要な国際放送の実施が遅れておつてはいけないので、私どもといたしましては、いろいろな方法でこの電波を探し出しまして、徐々に実績を築いて行く、これよりほかに方法はないということで、昨年の二月から海外放送を再開しておるのであります。そのときから順次実績によりまして電波を獲得して来まして、来るべき将来適当な国際会議等がありましたならば、これを確認せしめると同時に、さらに一層拡張をしたいと実は考えておる次第であります。

松前重義日本社会党(右)

○松前委員 施設は、多分戦前、戦争中の設備その他がありまして、相当な用意はあるだろうと推測しておるのでありますが、ただいまの電波獲得の模様を承つてみると、いよいよもつてこれは非常に急を要する仕事である。どうかひとつ大蔵当局その他にうんと認識させられまして、海外放送の拡充あるいは電波の獲得、これらの問題を解決するために、うんとひとつ努力をしていただきたいと思う次第であります。これで打切ります。

橋本登美三郎自由党

○橋本委員長 原茂君。

原茂日本社会党(左)

○原(茂)委員 今日は資料を持つておりませんので、数字の点は御質問できないわけでありますが、今日まで協会が運営されて参りましたマネージメントの面で、その特質は、国民の利益を中心にする企業体といつたところに重点があるわけであります。そういう面から、普通民間にある企業と違つた経営監査というか、内部操作というか、予算その他の統制に法規に特殊なものがあるのではないかと思うのでありますが、そういうものをお持ちになつて、しかる後に重要な問題としての業務管理というようなものを取上げて行くのが、放送事業の特異性にマッチしたやり方だと思うのであります。この今日行われております協会の経営の上にどんなような監査をして、どういうところに経営の合理化をはかる焦点を置いておられるか、簡単に概略的なものでけつこうですから、一応御説明願いたいと思います。

長谷愼一郵政事務官(電波監理局長)

○長谷政府委員 最初に政府から御答弁申し上げます。ただいま放送協会の経営の方針と申しましようか、そういう点についての御質問でありますが、その経営委員は御案内のように政府が任命し、その任命については国会の御承認を経ております経営委員が、その根本方針を定め、また協会の運営の実際を監督指導する立場にあるわけでありますが、その経営委員会によりましてすべての根本方針が定められて行くわけでございます。なお放送協会の経営の会計上の問題につきましては、もちろん定款の上から監事が設けられておりますが、そのほかに毎年決算の報告を政府に提出し、政府はこれを会計検査院の検査に付して、その結果を国会に御報告する、こういうような形をとられておる次第でございます。

原茂日本社会党(左)

○原(茂)委員 質問の焦点を何か感違いされたらしいのですが、今の経営の結果に対する監査その他はよくわかつておりますが、経営が運行される途中における内部操作といいましようか、あるいは今言つた会計の面で言うと、予算統制といいますか、合理化した事業を経営するための必要な経営手段というものが、今日いろいろあるわけでございます。このことをどういうような方法でやつておられるのかを聞いたわけであります。

岡部重信日本放送協会理事

○岡部参考人 ただいま政府側から経営委員会によつて経営方針を決定して、それを執行するというような管理制度と会計監査の制度についてお話がございましたが、これらの経営方針がさらに具体化する場合は、先般の委員会でもございました部外者の参加を得て各種の委員会という制度をとりまして、できるだけ国民の利益を中心とするといいますか、そういう観点に立ちまして、独断的でなく、部外の意見によつて経営方針を具体化するための措置をとつております。それから部内的に申せば、業務の監査と一言で申し上げればそういうことになるのですが、会長直属の機関として監査部を設けまして、そうして中央、地方を問わず業務の監査をいたしている次第でございます。

原茂日本社会党(左)

○原(茂)委員 あまり予算統制などの問題になりますとこまか過ぎるから、かえつてお答えが困難かと思いますから、少し方向をかえまして、そういうことをやりつつ、先ほど淺沼委員からも質問のありましたベース・アップの問題に対して、今日一〇%の値上げの予算を組んでおるわけですが、この一〇%というものは事業支出に対してどのくらいの割合になるか、この点を一つ先にお伺いいたします。

岡部重信日本放送協会理事

○岡部参考人 事業支出中における給与のパーセントでございますが、ラジオの方の部で申し上げますと、二十六年度におきましては三三・九でございます。それから二十七年度におきましては一八%ベース・アツプをいたしました関係が主でございますが、三四・三というパーセントになつております。二十八年におきましては今お話の一〇%引上げと増員の分、とで三七・一%に該当いたす次第でございます。

原茂日本社会党(左)

○原(茂)委員 ここで協会の幹部の方は御存じかどうか知りませんが、組合の側では一〇%では満足しない、何とかせめて一七、八パーセントくらいまで値上げしてほしい、こう言つております。これは何かの折衝の間に御存じだと思いますが、もしこの事業支出に対して三七・一%というのを四〇%まで出すということになりますと、要するに二・九%多くすると、逆に何パーセント賃上げができるか、そういう計算がありましたら伺いたい。

岡部重信日本放送協会理事

○岡部参考人 パーセントの点はちよつと申し上げられませんが、金額にいたしまして一億四千八百万円ほどの相違が出る次第でございます。

原茂日本社会党(左)

○原(茂)委員 大体一億四千八百万円は正しいと思うのですが、約一九%くらいの値上げに相当するのではないかと思うのであります。この事業支出に対する二・九%の値上げというのは、この程度もしどこからか生み出すとしたら、どんな方法があるかといいますと、どの企業でも同じですが、結局出るものを制圧する以外にない、合理化をはかる以外にないということになるのです。この合理化をはかるのには、今はいやでも予算統制を実施する以外にはないということに常識上なつておるわけですが、そこでこの組合のベースを上げなければならないというお気持がもしあるならば—前回委員会でお伺いしましたときに上げたい気持があるのだが、やむを得ず一〇%に押えたという御回答があつた。やむを得ずですから、やりたい気持は十分ある。そうすればたかが事業支出に対する三%くらいのものは、どうにか物件費その他の面から出せるのではないかという前提のもとに、もしこれを出すとしたら、予算統制をやる以外にないと思う。最初にお伺いしたのは、はたして予算統制をどんな形のものを今採用してやつておられるのか。世上御承知のように、協会の財政を放漫財政とよくいわれております。いろいろなうわさがあります。ことにそういう点に対してそうではないのだと強く御指摘なさるためにも、当然予算統制くらいは行われていなければならないはずであります。特に単なる民間企業ではなくして、国家の貴重な資金を使つておる協会でありますから、当然予算統制のケースというものがはつきり用意され、しかも実施されていなければならない、こう考えたので、冒頭の御質問をしたわけなんです。その点どんなふうな予算統制をやつておるのですか。普通の企業ですと、予算統制をやりますと、大概三%前後のものは必ず浮かせられるものです。それがもし浮かせられないというなら、どういうような予算統制をしていて浮かないとお考えになるのか。私の経験からもひとつ浮かす方法を皆さんとディスカッションしてみたい、こう思うわけです。

岡部重信日本放送協会理事

○岡部参考人 予算の実施面にあたりましては、国会で御論議になりました点について、全国各局に従来の実績並びに節約する面を決算面からながめて節約いたしまして、それで毎月それの試算表的なものでこれをながめて、どこにむだがあるかということについて、絶えず月々の報告並びに先ほど申参し上げた監査部の監査によつて、調査いたしておる次第でございます。なお合理化委員会のようなものを本部に設けまして、各種の措置を講ずる次第でございますが、あるいは直接には金に響かないかもしれませんが、事務の簡素化をはかるために機構の改革をいたすとか、あるいはこまかい話ですが、報告書類をできるだけ少くするとか、あるいは報告書類を簡単にして人手のかからぬようにするとかいうような面の、こまかい面につきましてやつている次第でございます。御承知の通り節約になりますと、大きな問題というものはほとんどなく、相当こまかい問題でございます。あるいは非常連絡といたしまして、常時短波で連絡いたしておりますものを、夜間は別の大電力の波長によつて連絡をする。そのために短波の使用を節約する、各般のことにつきまして節約をはかつておるのでありますが、御承知の通り昨年度からいろいろの物価の高騰もありますので、それらを結局いろいろの合理化による節約でまかないまして、そうしてこの五十円のわくで予算を編成いたしたのでございまして、他面ある意味においてはぎりぎりでございますが、なおできるだけ合理化、節約をはかりながら、使命の達成ということに努力いたしたい、それと先ほどもございましたように、受信者の増加というものを極力はかりまして、そうして先般も御答弁申し上げたように、それによつてそのときに応じた各般の措置を講じたい、こういうふうに考えている次第でございます。

原茂日本社会党(左)

○原(茂)委員 今申し上げました根本的なものを先に申し上げますと、日本のお役所のこれは悪い弊害なんですが、一度予算が与えられますと、これは人の金だというような感じでこれを使うのであります。協会は御承知のような形態ですから、そういう考えをまず早期に一掃することが非常に重要だと思うのです。やはりそういう悪い考え方、習慣が多少身についているために、合理化という面に対してはあまり注意が注がれていないように、今の御答弁では感ずるのです。いやしくも予算統制というものはどういうことをやるのか、まだ的確におつかみになつていないようであります。そんなことで経営ができるわけがない。特に今日の文化性の向上のために、貴重な国家資金を流そうとしても、他の再軍備その他に大きく金がさかれる、こういう現実の事態の中から、無理々々文化方面への資金として金をさくわけでありますから、ここいら辺で重要なポイントとして、ひとつ考え方を改めていただきまして、人の金でなくて、自分の金を使うのだという、切実な、民間企業と同じ気持になつて、与えられた予算といえどもできるだけ節約して余して行く、余つた中から、先回の委員会で御答弁がありましたように、やむを得ず一〇%に押えたといわれたその気持でもつて、どうか皆さんのお力にて解決するように努力を願いたいと思うのです。そういう気持があれば、この厖大な予算の中から、当然この一億四千万円くらいは出ると私は確信を持つております。もしその面に対して、内部統制その他が皆さん方の御経験にないようでしたら、また次の委員会あたりに何かの資料をお出し願えれば、民間企業から見た経営監査というようなものを端的に申し上げてもよろしい、こう考えるわけです。  なおもう一つ大事なことは、先ほども申し上げましたように、この合理化をはかるのに一番必要なのは、何といつても全職員の節約を必要とする気持から来る協力がなければできないわけなんです。そこで今日せつかくできております労働組合、職員組合というものに、ある意味の経理の公開といいますか、ガラス張りの中で経営を運行していただきまして、これに率直に余る面、あるいは足りない面を理解させて、そうして少しでもよけい待遇を向上したいならば、諸氏の協力をほしいと、率直な態度で組合に対して協力を要請すべきだと思うのです。要請する手段としては、民間にありますように、経営協議会というような形がどうしても必要だと思うのですが、公労法の関係で、経営管理権に対しては職員の容喙は認めないといつたようなことがあるそうでありますが、そういうようなこともあまり法にだけ準拠しないで、もつと違つた形で、協会は独自の立場でそれができるような形態で、単なる職制を通じての下部との連絡協議でなくて、組合全体としての力をこの経営の中に導入するという意味の経営協議会に準ずるような、相談、経営を一緒になつて行くというような気持を恒常的に持たせる機関が、どうしても必要であると思うのです。それがなければ、とてもこの合理化というものは推進できないわけなんです。これをやろうとするならば、全職員の協力が必要だ。その協力を得るためには、どうしても協議機関を持つべきだというようなことにまず着想していただいて、先ほどの予算統制その他を採用しない限りにおいては、従来の、予算をもらつたら使うのだ、非常に放漫な考えに流れやすい、こういう点は特は御注意願いまして、できればそういう機関も設けて、今後の運営をし、今職員のベース・アップの最低限度を要求しているものを満たすように努力をお願いしたい、こう思うわけであります。  第二点にお伺いしたいのは、今の職員の企業実態といいますか、こういうようなものが、一体他の企業と比較すると、どんな企業と同じものになるか、どうお考えになつておるか。たとえば先ほど淺沼委員は、新聞社の例をあげておりましたが、新聞社なんかは、大体この放送協会職員の同種企業と見てよろしいのか、こういう点ひとつ、当局のお考えを聞きたいと思います。

長谷愼一郵政事務官(電波監理局長)

○長谷政府委員 お答え申し上げます。ただいまのお尋ねの点は、放送というのは確かに報道と同じような面もございますが、そのほかにその仕事の実態からいいますと、また報道と大分違つた面を持つておるのでございます。従いまして私どもといたしまして、この業種別に、仕事の内容から、従業員の仕事がどんなカテゴリーの中に入るかどうかということにつきましては、いろいろむずかしい点があるのでありますが、今までたとえば給与などの点を比較するような場合も、よく新聞その他通信関係のものを、比較と申しましようか、参考にいたしてはおりますけれども、必ずしも業種そのものが、通信とか新聞と同様だとも見られない、こういうふうに考えておるわけであります。

原茂日本社会党(左)

○原(茂)委員 完全に同じものとは見られないが、比較を求めれば新聞社その他が大体似通つたものだというふうに答弁があつたわけですが、そうするとそれらの今日のベースと比較して、先ほど淺沼委員の指摘しましたように、ものすごい差があるわけです。そこで先ほど協会にお伺いしましたら、節約その他ができました場合には、この予算費目の組みかえを必要としない範囲で、物件費その他のものを給与にまわすというようなことを協会がやろうと考えたときに、当局がこれを許すお考えがあるかないか、また法規上それができるものかどうか。

長谷愼一郵政事務官(電波監理局長)

○長谷政府委員 お答え申し上げます。日本放送協会の予算の項の流用につきましては、予算総則にうたつておりますが、これによりますれば、ただいま御指摘の点は、予備金を充当するということはできるのでございますが、それ以外は困難なように思います。もつともいろいろ諸情勢の変化によりまして、追加予算なりあるいは補正予算を組んで、国会の御承認を得て行うということも、もちろんできるわけでございますので、全然不可能ということではございませんけれども、この予算の成立の範囲内でできる道はどれかということでありますと、予備金だけということになるのではないかと思います。

原茂日本社会党(左)

○原(茂)委員 その点は予備金だということを、前にも私聞いておつたのですが、これはひとつ国会でも取上げて行かなければならぬ問題だと思います。できるだけ何かの方法で、それのできるようなことを研究願いたいと思います。なお特にベースの問題で申し上げておきたいと思いますのは、地域給の問題ですけれども、特に協会の職員は、聞くところによりますと大都市中心のために、平均二〇%の地域給ですか、これが多いのだそうであります。こういう点を考えますと、なおさら何か合理化した方法で、協会内の節約その他でベース・アップをする以外には、急速にやる方法がないと考えますので、地域給なんかの問題も考えて、同情ということはありませんが、当然他の企業に比較して低過ぎるこのベースを、せめて親心で水準まで持つて行こうというお気持で、最大の努力とくふうをやつていただきたい、こういうこうをお願いしておきます。  次に、ラジオを聞く方の側からひとつお願いしてみたいのですが、私どもいなかの方でラジオを聞きますと、なかなか思つた局が思つた時に出て来ない。これはラジオの精度が悪かつたり、あるいは四球ではとても無理だつたりということが、いろいろあるようであります。そこでお願いしたいのは、こういうようなラジオに対して、ただ聞ける聞けないをしろうとの聴取者にだけまかせないで、協会が率先して、もう少しこれを指導して行こうとする努力をしていただけないか。もし悪いものがあつたら、協会の手でひとつ直してやる、そういうサービス網を設けるといつたようなところまでやつてもらえないものか。そういうような御意思があるならば、ただ民間の業者にだけまかせないで—ラジオを一つ買つて聴取する側に立ちますと、協会と聴取者とは完全に密着しておるわけですし、業者との関係は離れておるのです。協会の方では、聞いてもらう人がお得意様ですから、聞いてもらう人のあらゆることに対して奉仕する、諮問機関となつてやろうといつた奉仕の気持を、何かの形で現わすことができないものか。そういうような計画がおありか。やろうとしてできるものかどうか、こういう点を協会の側からお聞かせ願いたい。

長谷愼一郵政事務官(電波監理局長)

○長谷政府委員 先に政府からちよつと御参考までに申し上げて、それから協会の方から御答弁願うようにしたいと思います。確かに御指摘の点は、放送協会として行うべき重要な仕事の一つでございます。普及費その他として、何がしの予算も計上してございますが、実はラジオの、あるいは今後テレビジョンの問題も起つて来るわけでございますが、受信者の設備のいろいろな相談ということにつきましては、前から放送協会がそういうサービスを続行されておるわけでありますが、これが実は受信機の修理ととかく直結するのであります。従いまして放送協会が、そのやり方いかんによりましては、たくさんの中小企業者であるラジオ業者の圧迫になるのではないかということも、一思配されまして、現行、の放送法によりますと、放送協会は郵政大臣の指定する範囲内において、そういう修理業務もやつてよろしいということになつております。しかし一方、先ほど申し上げましたように、いろいろな相談ごとに応ずることは、一向さしつかえないわけであります。たとえて申し上げますと、聴取状況が悪かつたり、あるいは混信状態が起つたりするようなときには、たとえばアンテナの立て方とか、アースの使い方ということについて、いろいろ指導、援助をするということは、一向さしつかえないわけであります。現にそういうことも相当大規模にやつていただいておりますし、今後も御趣意にあるような線に沿うて、協会がおやりになることと私どもは考えております。

岡部重信日本放送協会理事

○岡部参考人 先ほど政府委員からお話がありました通り、受信機の聴取状況の悪いということは、単なる技術の相談でなく、ただちに修理に関連するのでございますが、ただいまは政府の指定する地域が、大体全国で四千三百ほどございます。実情に応じまして、政府の方でも聴取者の便宜を考えまして、毎年その地域を変更しておるわけでございます。私の記憶によりますと、二度ぐらい拡張になつた次第でございます。絶えず政府としては実情を考えて、この指定地を指定しておるわけでございます。しかし指定地としては四千三百余ですから、全国町村の半分までは行かぬでしようが、四〇%を越えています。しかし受信者の側から見ますと、その地域の受信者は一五%ぐらいにすぎないものであります。それで今お話の通り、いろいろお困りの方も多いと思いますが、私どもとしてはできるだけ受信者に奉仕するために、その局々において、また大きな都市においては、出張所といいますが、サービス・ステーションとまでは行かないかもしれませんが、そういうものを置いて、御相談に応じておるわけでございます。なお受信機の性能の点につきまして、混信して、思うようなところが入りにくいというお話でございますが、それらについては御承知の通り、ただいま受信機の生産のほとんど全部が、スーパー受信機と言つてもいいと存じます。一言で申し上げますれば、低廉で優秀なスーパー受信機を、どうして実現するかという問題になるわけでございます。私どもとしましても、どうしてそれを達成するか。ひとり協会だけでやりましても、思うようには達成できませんので、政府その他の機関と共同いたしまして、昨年度もこれらの回路の関係なり、あるいは部品の節約というような面において、安価な、そして性能のいい受信機をつくるということについて、絶えず努力しておるわけでございます。有力メーカーに御協力を願つて、その試作品もつくりまして、そうしてそれらの受信機ができるだけ普及するようにいたしたい。かような考えに立ちまして、絶おずラジオの方につきまして実施しているようなわけでございます。

原茂日本社会党(左)

○原(茂)委員 できるだけそのことを強化していただいて、聴取者の便になるようにはからつていただきたいと思います。その点で一点だけ最後にお願いしておきたいのは、保健婦が病人のところを巡回して歩くように、やはりある程度の技術者で、正式に協会の方が巡回相談に歩くというような方法ができたら、ひとつやつてもらつたらいいのではないか、こういう点をひとつ研究しておいていただきたいと思います。  なお最後にお尋ねいたしたいのは、先ほども委員から話のありました国際放送に対する政府の交付金ですが、資料を持つておりませんのではつきりしませんが、今回八千万何がしという金額が出ていたと思います。現在五方向で、しかも二箇国語しか使つていない。現地語を使つて十数箇国語を十方向に拡大しようというときに、これだけの資金でできるものなのか、はなはだ私どもしろうとの考えで、何かお体裁にこの予算を組んだようにとれるわけですが、確信があつて予算の申請をし、承誠を求めているのか、どうも少な過ぎるように思うのですが、その点に対する確信がおありかどうか、ひとつ最後にお聞きしておきたいと思います。

長谷愼一郵政事務官(電波監理局長)

○長谷政府委員 お答え申し上げます。最初に放送協会が巡回相談等をやるようにという御希望がございました。これはごもつともでございますが、実は範囲は御希望のところまで行つていないかもしれませんが、実施されております。本予算の中にも含まれております。今後も御趣旨に沿うようにできるだけ拡充されて行くことだろうと存じております。  第二点の国際放送の関係についてでございますが、これは先ほど来御説明申し上げておつたのでありますが、昨年までは五方面、五時間で政府の交付金が三千万円であつた。来二十八年度におきましては、政府の交付金が四千八百万円、放送協会として国際放送を実施するために必要な経費といたしまして、今回御承認を願つておりますのは七千八百八十六万円でございます。従いましてその間に差額が約三千万円余あるわけでございます。なお一日五時間であつたものが、二十八年度には十時間、十方向に増す、そういう程度からして、少くとも昨年三千万円であつたものは、その倍額あるいはそれ以上いるのではないかということにすぐ気づくわけでございますが、実は今まで五方面やつておりましたのは、遠方の設備でいいますと、相当電力その他を必要とする方向が含まれております。十方向に増しましたのは、もちろんヨーロッパとかあるいは南米とかいうところもございますが、今度は主として東南アジアの方向に重点を置いて、充実させることになりましたもので、設備その他におきまして、最初の五方面から十方面になりましても、倍額というほどは必要でない状態でございまして、いろいろ機械の運用費その他最小限度の主要国語を増加するための費用その他からいたしまして、計算をいたしました結果、約六割増で十分ではないという結論が得られまして、六割増の四千八百万円という政府交付金の基礎資料が出たわけでございます。一方放送協会とされましては、政府の交付金が四千八百万ございますけれども、その中には実は音楽とかその他いろいろ娯楽的な番組の費用というものが十分含まれておりません。一方政府が交付金をもつて国際放送を命ずるという形になりましても、番組の編成ということはまつたく協会に自主的にやつていただこう、こういう考えになつておりますので、政府としてかくかくの番組をもつて実施すべしというような方針で行きまするならば、番組の費用も政府において克明に計算ができまして、交付金の算定の基礎等ができるのでありますが、そういつた形になつていない関係上、必要最小限度の額を交付金として差上げて、番組の編成の自由という形から、もしもそれ以上の経費が必要でありますれば、さしあたつては協会の御負担でお願いするという形を実はとつたわけでございます。先ほどからいろいろ御意見なり御質問がございましたように、政府といたしましても決して将来とも、この国際放送実施の全額負担ということを考えないという意味ではございませんが、さしあたつて国の財政等の問題がございますので、ただいま申し上げたような結果となつておるわけでございます。従いまして私どもといたしましては、ただいま御審議を願つております日本放送協会二十八年度の予算に出ております七千八百余万円の経費をもちまして、十方向、十時間という国際放送の実施はできるものと考えております。

橋本登美三郎自由党

○橋本委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件、これに関する質疑はこれをもつて終了いたしました。  なお本案件の討論、採決については、来る三月四日午後一時からの委員会で行いたいと思います。各党においてはそれぞれ御用意をお願いいたします。  なお公衆電気通信法案外二法案に関する質疑は、時間の都合上午後の委員会でやりたいと思いますので、これをもつて一旦休憩いたします。    午後一時・七分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕

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