通商産業委員会 第31号
- 発言数
- 37 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1953/03/09
会議録
○坪川委員長 これより会議を開きます。 本日はまず去る四日付託になりました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたし、政府より提案理由の説明を求めます。通商産業政務次官小平久雄君。
○小平政府委員 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。御承知のように中小企業信用保険法は、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にするため、金融機関の中小企業者に対する貸付につき政府が信用保険を行う制度として昭和二十五年十二月に発足をいたし、さらに一昨年十一月の改正により指定法人の行う中小企業者の債務の保証をも保険の対象に加えて今日に至つたものでありまして、もつぱら中小企業者の信用を補完することにより中小企業金融の円滑化に寄与して参つたのであります。今制度発足以来の利用状況を見ますと、金融機関を相手方とする保険におきましては、満二年間の付保実績が九千八百件、約百二十四億円に及び、指定法人を相手方とする保険におきましてもこの一年の間に九千件、約三十億円の利用を見たのでありまして、制度の普及とともにその利用は逐次上昇の一途をたどつているのでありますが、現在の金融情勢中におきましてなお多大の困難を有する中小企業金融の促進のためには、この際本制度に及ぶ限りの改善を施し、その効果を一層大ならしめる必要があると考えるのであります。 今回改正を必要とする諸点といたしましては、第一に中小企業者の定義を改正し、資本の額による制限を現在の五百万円以下から一千万円以下に、常時従業員の数による制限を現在の二百人以下から三百人以下に拡大するとともに、新たに医療法人と調整組合を対象に加えること。第二に相互銀行あるいは無尽会社の行う給付を貸付に準じて保険すること。第三に保険関係が成立する貸付金の限度を現在の五百万円から一千万円に引上げること。第四に保険金支払い請求権行使の始期を現在の保険事故発生後六ケ月経過時から三ケ月経過時に繰上げること。第五に保険金支払いに伴う代位の規定を回収金の納付の規定に改めて手続の簡素化をはかること。第六に指定法人を相手方とする保険について保険金の填補率を現在の五〇%から六〇%に引上げること。第七に中小企業金融公庫、日本開発銀行及び国民金融公庫の行う代理貸しに際し、代理金融機関の債務保証を保険する制度を新設することでありますが、これによりまして制度の能率的な運用と大幅な利用の促進とが期待されるのでありまして、中小企業金融の円滑化に大いに資するところがあると存ずるのであります。 何とぞ右につきまして愼重御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたす次第であります。
○坪川委員長 以上をもつて提案理由の説明は終了いたしました。 —————————————
○坪川委員長 次に中小企業金融公庫法案を議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。南好雄君。
○南委員 先般当委員会に提案になりました中小企業金融公庫法案につきまして、少しばかり御質問を申上げたいと思うのであります。中小企業対策につきましては、政府の方もいろいろと考究をなさつておいでになるようであります。また中小企業対策と申しますことは、各政党におきましても非常に大き問題でありまして、いろいろの対策を考究しておいでになるようであまするが、中小企業の持つておりまする複雑性からいたしまして、どの政党におきましても、なかなかいい対策がない、こういうことでまことに困難な対策になつて参るのであります。しかしながら現下の日本の産業機構におきまする、中小企業の占めておりますその重要度から考えますならば、ただ単に困難であるということで済ましておるわけには行かぬのでありまして、あらゆる万般の対策、政策が考究されて、どんどん実行されることが必要である。そういう意味合いにおきまし、先般提案になりました中小企業金融公庫法案のごときものも、対策中における一つの重要な部門を占めるべきのであると私は考えております。最近二、三年、超均衡予算がとられまして、どつちかと申しますと、いろいろしわ寄せが中小企業部門に参つておる。中小企業金融と申しますことは、中小企業対策におきまする最も重要な事項といたしまして、わが党におきましても、政府におきましても、いろいろ方法を考えられたその結果が、この中小企業金融公庫法であろうと考えるのであります。そこで私はこの提出せられました法案につきまして、いろいろの点について、あらゆる角度から問題を鮮明しつつ、政府の所見をただしたいと思うのであります。 まず第一番に、この中小企業金融と申しますものにつきましては、従来から中小企業に関係する組合金融があるのでありましてそれには商工中金というものがあるのでありますが、その商工中金と、今度提案になりました中小企業金融公庫法案との関係であります。何と申しましても中小企業は非常に雑多なものであります。これらのものに一つの組織を与え、その組織を拡充して行くということは、通商産業省におきましての中小企業対策の根幹をなすものではなかろうかと私は考えておる。その意味におきまして特定中小企業の安定に関する臨時措置法なども、中小企業等協同組合法と相並んで、一つの組織法としての意味を持つておる。この組合を育成するためにできております、いわゆる商工中金と、今度御提案になつた金融公庫法案との関係が、本法案によりますといろいろの点で錯綜しておるのであります。この問題につきまして少し御質問申し上げたいと思うのであります。 まず第一に商工中金と中小企業金融公庫とはどういうふうな関係にあるのか。この点について政府のお考えをまず第一にお聞きをしてから質疑を続けたいと思います。
○小平政府委員 御指摘のように、中小企業対策としましてこれが組織化ということは、当局において長年にわたつて力をいたして、参つたところでありまして、またその組織化を促進する一つの柱といたしまして、商工中金、これを従来通産当局におきましても、いろいろな方法によりまして援助いたして参つたことは御承知の通りであります。しかして今回この公庫をつくることによりまして、この組織化の面と何か相反する点がないかというような御趣旨だと思いまするが、まずこの中金と今回できます公庫との関係でありますが、それにつきましては、先般も長官から御答弁申し上げておりましたが、中金の公庫に対する立場ということにつきましては、形式的には一般その他の市中銀行、公庫から融資を受くべき、中小企業の一般金融機関、これと何ら形式的には異ならないのであります。ただ御趣旨のように、中金が従来果して参りました、また将来においても果すべき使命にかんがみまして、公庫と中金との関係、公庫に入りましたる資金源というものを、いかに中金に流して行くかということにつきましては、これは十分従来の実績、また今後の使命というものが考慮されて、重点的に扱わるべきものだと考えておるわけであります。
○南委員 公庫と商工中金の関係につきましての政府のお考えをお聞きしたのでありますが、考え方といたしましては、私はこういう特殊法人の形をとらなくとも、いわゆる中小企業金融の総元締といたしまして、特別会計というような形で、中小企業金融の元締めであるべき形をとり得るのではないか。つまり従来通商産業省のとつておりました中小企業金融というものに、ほんとうに魂を入れて行く上におきましては、むしろこの際こういう特殊法人の形をとらずに、商工中金と相並んで、同じような特殊法人の形をとるというような行き方をせずに、政府のいわゆる特別会計というような形のもとにおいて、その下にいわゆる系統金融として、組合金融をつかさどる商工中金、あるいはまた零細企業の金融を担当しておる国民金融公庫、あるいは無尽会社、相互銀行、あるいは信用金庫というようなものと両々相まつて、そうしていわゆる中小企業の一般金融を扱つて行くようにした方が、理論的に見ても実際的に見ましても、私はほんとうの金融対策として正しいのではないか、こう思うのでありますが、それにもかかわらず、形の上におきまして、今政務次官からお話されましたように、しいてこれを結びつけるならば、こういう特殊法人の下に別個のいわゆる中小企業金融機関である商工中金を置いて、そうしてそれと国民金融公庫だとか、あるいは相互銀行というものを相並べさすというような形も、しいて理解はできないことはないと私は考えておりますけれども、どうもはつきりした形にならぬのじやないか。むしろこういうことになつて参りますると、従来通商産業省が一枚看板のようにしておりました、商工中金のいろいろの事業を、直接または間接に狭めて行くような関係が出て来るのではないか。なぜそういうことを申すかといえば、本法案によりましてこの公庫の金利は年に一割でありますけれども、商工債券で資金源を仰いでおりまする商工中金は、営業費を加えて参りますならば年に一割三分ということになる。そういう金利の面から逆算して参りますと、組合または個人に対する金融を主たる業務としておりますこの公庫に、中小企業金融が片寄つて来る。そうなると、今政務次官の言われたように、これを上に置いてその下に商工中金なり、国民金融公庫を並列的に並べて行くというようなことが、いささか無理な形になつて参らぬか、こういうふうに考えるのでありまして、政府はなぜ特別会計をとらずに特殊法人の形をとるに至つたかを、この際はつきりお答え願いたいと思うのであります。
○小平政府委員 今回中小企業金融の、いわば一つのタンクをつくるにあたりまして、これをどういう仕組みにいたしたならば適当であろうかということにつきましては、いろいろと研究いたしたのであります。御指摘のように通産当局におきましては、従来これを特別会計でやつたらどうかという考えを多分に持つておつたわけでありますが、いよいよ予算化の過程におきまして、各方面の意見を調整いたしました結果、今回御提案申し上げました公庫の形をとることになつたわけでありますが、その理由といたしましては、特別会計によりますときには、この公庫の場合に比して国の予算に非常 に縛られる面が多いということ、従つて金融という一つの業務を行うにあたりまして、これが能率的に行い得ないうらみがあるということ。また第二には、特別会計でありますときには、国家の職員が直接金融の業務に携わるということになるわけでありますが、そういたしますと、政府の職員でありますから、その任期等も不安定であり、いつ特別会計のいわば責任者がかわるかわからぬといつたような事態が起りやすい。従つてこの業務の責任ということも明確を欠くおそれがある。主としてこういつた点からいたしまして、今回御提案申し上げました公庫の形をとる方が、金融を行うというこの業務の性質からいたしましてより適当であろう、こういう結論に達しまして、この公庫の案を通産省においても採用し、これによつて御提案申し上げたのであります。
○南委員 一応はどういうことについても理由があるのでありますが、ただいま小平さんからお答えになりましただけでは、むしろ特別会計にしておいて、その下に商工中金その他のいわゆる個人金融機関を並列的に並べて行つた方が、今まで通商産業省がとつておりました中小企業金融対策としては、筋が通るような気がするのであります。なお他の同僚からも、この点についていろいろ質問があると思いますから、しいて私は深く質問申し上げませんが、そういうようなお考えのもとにおいて、この公庫がほんとうに商工中金を侵さないで、組織的な運営を商工中金にやらせて行くというようなことをなさるためには、この中小企業金融公庫の運用につきましては、格段の留意と配慮がいる。これは各論の方でもう少しつつ込んで詳しくまたお伺いいたしますが、大前提といたしまして、この公庫と商工中金の関係は、従来通商産業省がとつておりました組合金融と申しますところの観念におきまして、よほど運用を注意していただかなければ、そこに二元的になりまして、はなはだ片寄つて来る。しかもこの公庫は、御提出の法案では、わずか全国で五十名の職員しかなくて、ほんとうの窓口をやるというようなこともできかねるということから考えて参りますと、私は非常にむずかしい問題を多分にここに包蔵しているのではないか、こういうふうに思うのであります。それは開発銀行における中小企業金融の実例を見ましても、私の危惧が事実になつて現われることを、私は今から憂えておるものの一人であります。しかしそれは今の御説明で一応はよろしいといたしまして、さらに進んで、この公庫の資金であります。総計百五億円になつておつたかと記憶いたしますが、これの内訳、内容はどういうことになつておりますか。
○小平政府委員 百五億の内訳は、二十八年度の一般会計からの出資が三十五億円、それから二十七年度の補正予算におきまして商工中金に貸し付けた金額の振替による分が二十億円、資本としては、ただいま確定いたしておりますのは、今申し上げました三十五億と二十億、この合計五十五億であります。その他に、産業投資特別会計より出資があつたとさるべきもの、これはまだ金額は確定いたしておりませんが、約二十四億円程度とただいま予想をいたしております。その他資金運用部よりの借入金が五十億円でありまして、ただいまお話の百五億円というのは、二十八年度一般会計よりの三十五億円の出資、それから二十七年度の補正予算におきまして商工中金に貸し付けた金額の振替によるもの二十億円、以上申しました二つは出資でありますが、その他に資金運用部よりの借入金五十億円、これを加えましたものが百五億円、こういうことになるわけであります。
○南委員 現下の金融梗塞状態から考えますると、この百五億円くらいの金で、中小企業金融がうまく円滑に動いて行くものとは私は決して考えておらぬのでありますが、ベター・ザン・ナツシングで、よりよくなるという意味におきまして、百五億円でもけつこうだと思つておるのであります。しかしこの公庫の貸し付けて参りまする実際の金利は、この法案によりますと大体年一割ということになつております。先ほどちよつとそれに触れたのでありますが、商工中金の一割三分、それから国民金融公庫の一割二分、その他相互銀行とか信用金庫の金利等の点を参酌して考えて参りますると、確かにこの公庫の貸金は、中小企業金融におきまする一番安いものだ、こういうふうに考えられるのでありまして、おそらくこの資金需要面は、非常に輻湊して参るだろうと思う。その輻湊して参る事務をさばくのには、今申しますように五十人くらいの人では、なかなかうまく行くわけがない。どういうふうにしてこれをさばいて行かれるか、大体政府が考えておいでになりまする公庫の仕事の動かし方の概略を、ひとつお尋ね申し上げたいと思います。
○岡田(秀)政府委員 先般政務次官よりお話申し上げました通り、公庫は資金を入れておきまするタンクのような役目を勤めてもらうつもりでおるのであります。タンクにはいろいろなパイプがついておりましてそのパイプを通じまして、いろいろ特徴のあるそれぞれの金融機関に資金を流す。これを具体的に申しますれば、商工中金が一つでございまするし、地方銀行、十一大銀行等を含めますいわゆる一般銀行が一つの窓口でございます。それから相互銀行がございますし、信用組合、信用金庫、それぞれの特徴のありまする金融機関に、公庫からパイプを流しまして、そしてそれぞれの金融機関がそれぞれ自分にふさわしい中小企業層を顧客に持つておるわけでありますから、その窓口を通じまして公庫の金が中小企業に流れるというような仕組みを考えておるのであります。なぜ公庫がみずから自分の手で受付から審査その他の仕事までして中小企業者に金を貸さないかということにつきましては、すでに十数年以上の経験を持つております商工中金にしましても、やつと一つの都道府県に一店舗しかできない、いまだに職員の充実に苦労をいたしておる状態であります。しかして中小企業者の数はおおむね三百万を越える状態でございますし、その実態を具体的に把握いたしまして、適切なる金融業務を運営するということになりますれば、実に厖大なる組織を要すると思うのでございます。それよりはむしろ多年にわたる経験と知識と職員とを持つております金融機関の職能をひとつ活用させていただきまして、その窓口を通じてこのタンクから資金を流して行くという方法をとらせていただきたい、かように考えて、先ほど申しましたような運用方法をとる方針にいたしておるのであります。
○南委員 どうも質問が一つところから進展しないので困るのでありますが、この法律の第一条を見ますと、一般の市中銀行、いわゆる一般の金融機関でありますが、これが貸出しを躊躇するような長期の貸付を本金庫の事業の主目的といたしております。私はこれがいかぬというのではないのでありますが、そういうものを目的とするならば、組合と個人金融と両方面を扱つて行くことになつて参りますと、十大銀行、八大銀行のような大きなところは中小企業を対象にはしないかもしれませんが、全国に三十幾つある地方銀行は、やはり中小企業中の優秀なるものを対象として営業をやつておるものだと思う。それらとこの公庫の貸付先と非常にむずかしい区別が出て来るのじやないか、こう考えて参りますと、今の長官の御答弁のようでは私は公庫のほんとうの目的がはつきりせぬように思います。ほんとうにこの公庫は、いわゆるタンクの作用をして、実際の窓口は商工中金なりその他の金融機関に一任するのか、それとも両々相まつてみずから業務を行うのか。やつてみなければわからぬでしようが、一体政府はどういうおつもりに考えておられるか、そこは非常に大事なところですから、その間のことをもう一度はつきり御答弁願いたいと思います。
○岡田(秀)政府委員 この法律上から申しますれば公庫が債権者でございまして、債務者は中小企業者になるわけでございます。従いまして、貸手は公庫であり、借手は中小企業者でありますが、貸し借りの実際の仕事は公庫は直接やらない。受付から内容の審査その他の実務はあげて既存の金融機関にお願いする、ただ金融機関の方ではこれは貸してよいか悪いかちよつと判断に困るから、公庫の意見を聞きたいという場合がありますれば、一つの貸出しの方法として、金融機関が受付をし審査をして、どうも可否の決定がわからないというときに、公庫の最後の決を求めるという方法は残しておいてもよいかと思うのでありますが、公庫が直接受付をし、審査その他をやることは、先ほど御指摘になりましたように、わずか五十数名の職員で出発いたします公庫といたしましては不可能になつておりますので、実務といたしましては、全部既存の金融機関の能力をお借りするという建前でございます。
○南委員 御答弁はそれでいいのでありますが、実際の貸付の実情を見て参りますと、そういうお考えでは既存金融機関のこげつきをただ肩がわりするにすぎないという結果も生じて参りましようし、またこの金庫がほんとうに中小企業金融に役立つようになるということになりますと、金庫のいわゆる意思決定ということが非常に重大になつて参りまして、その半面においていわゆる代理機関と金庫の意思の合致について意外に時間がかかりまして非常に困つております。中小企業金融にそう大して——最後は役に立つかもしれませんが、何と申しますか、普通銀行その他の金融機関の貸すような簡単な貸し方ができないようにもなるのではないか。私は今のような御説明では、なかなかこの金庫の仕事の仕方がむずかしいのではないかと思う。事実今日開発銀行におきまする中小企業金融などを見ましても、何のかんのといいながらも既存金融機関の貸付のこげつきが相当肩がわりされておる。それもけつこうなことなのであつてそれだけの資金の余裕が出て参りますれば、また新たな中小企業金融の対象になりますから、私はそれは決してやつてはならぬと言うのでありませんが、ほんとうに困つている連中よりも、得てして特定個人の放漫な借金のしりぬぐいをこの公庫がして行くということになつて参りまして非常に大きな問題を中小企業金融に投げかけて行くのではないかと私は思う。どうもただいまの御答弁では、まだまだほんとうの中小企業金融の実態を把握しておいでにならぬのではないか、もう少しいい方法があるようにも思うのであります。しかし私も与党の議員ですからこれ以上質問いたしません。 それで大体今二十八年度の資金源の予想は承つたのでありますが、刻下の中小企業金融の実態から考えて参りますと、相当長期にわたるものではないか、今の予算のあり方から考えますと、今までのやり方はどつちかというと、政府及び政府機関ができるだけ金融公庫に対していわゆる散布をして行くという形になつておる。本年の予算を達観して考えて参りますと、今後はどつちかというと政府及び政府機関が散布の役割をして、そして日本銀行その他の市中銀行は引締めの作用をやつて行く。どうしても、いずれにおきましても中小企業はそのしわ寄せを一番先に受けなければならぬ。いかに野党の方方がこの二十八年度の予算がインフレ予算であると言われましても、私は中小企業の面においてはなかなかインフレが反対論者の言うように行き渡らぬように思うのでありまして、二十九年、三十年のこの金庫の資金源の見通しなどについても、もう少しつつ込んだ御答弁をお願いしたいと思います。
○岡田(秀)政府委員 最初にこの公庫の金の貸し方につきまして若干疑問の点を御指摘になつたので、その点につきましてちよつとお答えをさせていただきたいと思います。私どもが各種の金融機関を使います場合にまず参考といたしましたのは、現在開発銀行が見返り資金を中小企業向けに出しております代理貸しの方式でございます。この見返り資金の中小企業向けの貸出しが、かつて協調融資の形で日銀の管理下にありましたときには非常に手数、煩雑をきわめ、いわゆる代理的な役目をいたしておりました金融機関もこの協調融資を非常に歓迎しなかつたように見受けたのでございます。そこで開発銀行ではこの見返り資金を受継ぎまして、中小企業向けの貸出しをやるにあたりましてはその点を相当研究いたしたのでございます。そこで貸出しの形に、一つは意思決定を全部代理機関にまかしてしまいますかわりに、その責任も代理機関にまかすという方式を採用いたしましたところ、これが非常に好評を博しまして、かなりの成績を上げておるのでございます。今度私どもがやります場合におきましても、まずやり方といたしましては一切の実務を金融機関にまかす、そのかわりその貸出しがわれわれの考えと違つた貸出方法をやつては困りますので貸出準則なり貸し出す相手の中小企業者の範囲等は法律できまつておりますし、さらに業務をやります場合には貸出準則というものもおのずからできるのでございますが、それにのつとつてこの代理機関が中小企業者に金を貸すことが現実にはつきりいたしました場合に初めて公庫から金を流し、ある程度時間的な余裕を見て迅速に流れるような仕組みはこまかくいたすのでありますけれども、大まかに申しますればわれわれの希望する形におきまして希望する中小企業者に流れることが確実な場合において、公庫から金が流れるということになりますので、横流れその他不都合な結果は防止し得ると考えます。同時に金融機関の意思を別途十分尊重する形において仕事をしていただきますから、敏速にやつて行ける長所もまたあろうかと思うのであります。開発銀行の中小企業向けの貸出しもこの一——三月だけの申込みだけで九十億以上あつたというふうなことでございます。いかに長期の金融に対する需要が多いかということと同時に、形を簡素化いたしますればまた需要を喚起するものであるということがわかつておりますので、その辺の過去の経験もにらみ合せまして、御指摘になりましたような不都合な点が起きませんように運用して参りたいと存ずるのであります。 なお二十九年度、三十年度の資金の見通しでございますが、本年度の資金のうちのいわゆる一般会計から出資いたしておりますところの三十五億、あるいは二十七年度の振りかえの二十億、あるいは資金運用部からの借入れの五十億、これらのものはその都度毎年の予算折衝にまつほかいわゆる保証はないのでございますけれども、われわれといたしましては、本年度この程度の予算がとれたということは、二十九年度、三十年度の予算折衝にあたりましてもこれ以下のことはなかろうという一つの目安ができたものとして、この公庫がいよいよ十分なる使命を果し得るよう、来年におきましても再来年におきましても予算折衝に最善の努力を尽したいということを申し上げるほかはないかと思うのであります。先ほど政務次官が申し上げました産業投資特別会計からの出資、これは開発銀行が引継いでおりますところの見返り資金の債権でございますが、かような債権その他開発銀行から貸付の形になつて参りまする債権が四、五十億あるかと思うのでありますが、これらの債権は一度参りますればそのまま引継いで残存いたしまして、それらの回収金が次から次へと公庫の資金を形成して来るわけでございます。一番重要な点は一般会計からどの程度の出資をするか、あるいは資金運用部からどれだけの貸付金を得るかという点は、これは一にかかつて今後の毎年の予算折衝にまたねばならぬ。ただそれに対しましては、われわれといたしましては、大蔵省とも十分に折衝をいたしまして、公庫が中小企業金融のために役立つような方向に努力するということを申し上げる次第であります。
○南委員 一般会計の方からこの公庫に供給する資金源につきましては、今長官がお答えになつたように、予算折衝にまたねばならぬことは当然であります。しかし返つて来る金をこの公庫の資金源にして参るということになつて参りますと、一体その見通しは、各年度にどの程度にあるか、これをひとつはつきりしていただきたいと思います。 それから商工中金が五年間期限付で借りておる金もここに入つておるように思われます。そういうものをこの資金源に入れることは、商工中金に対して非常に権利侵害とでも申しましようか、ことさら本公庫と商工中金の今後の活動が交錯して複雑になつておりまする関係から判断して参りますると、いささか商工中金がかわいそうな気もするのであります。その間におきまする政府のお考え、それから毎年どの程度の金が返つて来るか。少くとも百億円以上の資金源を相当長期に確保してやる必要があると思いまするから、われわれも協力したいと思いますので、もつとはつきり御答弁願いたいと思います。
○岡田(秀)政府委員 ことし公庫が動かしまする資金のうちで、一般会計からの出資三十五億、資金運用部からの借入れ五十億というものは、本年度初めて貸すものでありまして、しかもこの金は、大体最長一年すえ置きの五年でございますから、六年ということに相なるわけでありますから、これを平均いたしまして三年といたしましても、今年度新規に貸し付けますものは、二十九年ないし三十年ではまだ回牧收はなくて、金利の問題がある程度ではなかろうかと思うのであります。開発銀行から引継ぎますところの債権につきましては、二十八年度中にすでに回收金が見込まれるわけでありまして、これは出資に予定しておりまするものが先ほど政務次官が申しましたように二十四億であります。そのほかに開発銀行からこの公庫に貸付の形になります債権は、復金の過去の債権でありますとか、あるいは開発銀行自体が昨年の九月から開始いたしました見返り資金の貸付の金でありますとか、その他の債権が来るのでございましてこれが二十八年度にはおおむね十億から十四、五億程度の回收金になろう、かように考えておるのであります。 なお商工中金にことしの初め一般会計から貸し付けました二十億の金は、一応五年の期間で貸し付けたのでございますが、これを一般会計からこの公庫へ振りかえたのであります。これを公庫の方へ振りかえてしまいますと、本来ならば、その瞬間から公庫のねらいといたしておりますところの長期資金にこの二十億はかわつてしまわねばならない筋合いでございまするが、商工中金がすでにこの二十億を無条件で借り受けて、無条件で運用いたしておりまするので、これをすぐ長期専門の資金に振りかえさせますことは、中金に対して非常に気の毒であります。かと申しまして、この公庫の金といたしましては、なるべく長期の方に運用していただくことが望ましいわけでございますので、その間の調整をとりまして、今後二年間はこのまま中金において無条件に運用していただいてけつこうであるが、二年たちましたならば公庫のわくの形にかえます。ですから、表面上では回收したことになりまするが、長期の資金を中金に流すわくとしてこの二十億を運用して行くようにいたしたい。さような意味でありまするから、たとい二年後におきましても、実質的には二十億というものは、中金で扱う資金量として残る予定に私どもは考えておるのであります。 なお公庫と中金とは相互に相対立いたしまして金融をいたす二つの金融機関ではないのでありまして、公庫は中金に対しましても、一種の親銀行的な意味合いにおいて、中金の窓口を通じまして相当な資金を流す、そうしてその金は中金が協同組合ないしその組合員に融資をいたすという関係になつておりまして、その辺に矛盾のないように、また御説にありますように、組合金融という特殊の使命を持つておるわけでありますから、公庫の運営にあたりましても、中金の使命がうまく果せますようなぐあいに運営して参りたいということは、私どもの念願としておるところであります。
○長谷川(四)委員 第三章業務のところで、第二十条に「金融機関に対し、その業務の一部を委託することができる。」ということで、東京の本部というか、そういうものを除いた以外は全部このように取扱つて行くようになるので、従つて金融機関にこれを委託する場合には、指定銀行、指定金融機関をつくらなければならない。そうすると指定金融機関というものは、貸付に対して一つの責任を持たなければならない、保証を持たなければならないというふうに私は考えますが、この点についてはどういうようなお考えでありますか。
○岡田(秀)政府委員 この二十条の趣旨は、とにかく公庫は法律上金の貸主になるわけでありまして、債権者は公庫であり、債務者は金を借りた中小企業者であるわけであります。ここに「一部」ということを書きましたのは、やはり名義人はかわりはないわけでありますので、実務をまかすということを業務の一部という形で書いてあるわけでありまして、具体的に申しますれば、貸付方法に二つある。一つは貸し付けてから審査いたしまして、貸付の可否、貸付の金額等を全部当該受託機関が決定をいたして、その通知を公庫にやる、公庫の方にその通知が来れば、不都合なことがない限りそのまま金が流れて行き、契約が成立する、その場合の受託金融機関の公庫に対する債務の保証は八割で、手数料としては四分五厘をその受託機関に差上げる。第二の方法として現在考えておりますのは、受託機関が融資の申込みを受けて、内容の審査その他所要の手続をやつてみた上で、貸してしかるべきやいなやの決定は、自分でやるのはどうもおもわしくないというので、その決定を公庫に持ち込んで来る、その場合におきましては、可否の決定は公庫がやり、受託機関に対する債務の保証は三割でありまして、手数料を三分差上げる、こういう二つの方式を考えておるのであります。その二つによりまして、程度は違いますがやつて行くわけで、業務の一部というのはさような意味であります。御説の通り全国には、金融機関の数から申しまして、商工中金は一つでありますが、銀行が八十、相互銀行がおおむね七十、信用金庫が四百八十、信用組合が百五十六というふうに、多数の金融機関があるわけでありまして、これを全部公庫の代理店とするということになりますと、いまだそこまで行くのは行き過ぎじやないかと思われる事情もありますので、あるいは開発銀行が現在やつております中小企業向けの貸出しの代理店というようなものを一つの標準といたしましてあれも相当時間がたつておりますから、その後の経済事情の変化を織り込みまして妥当な線で代理店の範囲をきめて行くということに相なろうかと思うのであります。これらの点は具体的にはやはり公庫が準備を開始いたしませんと、どの辺かということがはつきりいたしませんけれども、考え方としてはさようなことでございます。
○長谷川(四)委員 これは確かに長官のおつしやる通り、公庫が金融をして中小企業者が借りるんだ。これはよくわかる。しかしその間に入つた銀行が——実際は銀行で貸せない人間が借りに行きたいのです。何もそこまで行かなくても銀行は貸すのだけれども、銀行から金融のつかない人間が実際は借りたいのです。そういう者に役立たせてもらえるものか、こういうふうに考えておる。ところが銀行は三〇%とらなければ保証しない。それで開発銀行に見るごとくみな窓口から帰つてしまう。同じ過程を踏むのだ。そうなつて来ると、おもしろいのだが、あなたの提案理由は非常に美名なんです。従つて第一章の第一条を見るとまことにごもつともだ。政府がかりにも金額の大小を問わずやろうという考えを持つたということに感心をするくらいです。ところが内容に入つて見ると、この事業をやれば必ずいいから借りたくてしようがない者が必ず借りられないことになつておるのだ。その種の銀行で金融のつかない、少くも零細な者にも何とかその目的を達してやりたいというのが主たる目的のようであるけれども、実際の内容はそれは逆コースを行つておるということを言わなければならぬ。あなたはお金を借りたことがないからわからない。あなたが銀行の金を借りに行つて、たとえば開発銀行から金を借りてくれと言つてある銀行へ行つてごらんなさい。百人行つた者が百人全部によろしうございますといつて持つて来ると思いますか。銀行は責任を持つのです、保証をするのです。こういう点について何とか考えられなければ目的なり説明とまつたく内容は逆だといわなければならぬ。それであなたは準則をつくつて云々と言われるが、準則というものはどういうふうにつくるのか、あなたのおつくりになろうという準則のお考えを示してください。
○岡田(秀)政府委員 第一条を御指摘に相なつたのでございますが、普通の金融機関はすえ置き期間一年で、回收期間が五年という意味におけるところの長期の資金はないのでございまして、普通の銀行では貸そうと思つても貸せないような長期の資金の融通することをこの公庫が目的とするんだ、こうやつておるのであります。普通の銀行が貸そうと思つても——貸せば貸倒れになるから貸さぬというのを公庫は貸すのだということではないのでありまして、公庫はあくまでも経済的べースに乗るものでないとやらない。つまり救済資金を出すものではないということは、やはりはつきりしておかないといかぬと思うのであります。融資準則と申しまするのは、特にそうむずかしいのではございませんで、たとえば対象といたしましては法律に書いてありますように、中小企業者の定義がはつきりいたしおります。いろいろな業種なんかもちやんと政令その他できまるのでありますから、準則といいまするのは、たとえば中小企業の保険約款のようなもので、つまり自分がすでに貸しておつた旧債を肩がわりにするのはあまりよろしくないとか、償還方法をどういうふうにするんだとか、あるいは利率は何ぼで行くとか、担保は大体現存の物件を中心として徴収する。しかし担保がないときは保証人でもよろしいのだとか、いろいろないわゆる金融常識とされる事柄を銀行に対しまして、こういうふうな形で金を貸してくれ、こういう形で審査をしてくれというふうな、いわゆる技術的な問題でございまして、この準則をあまりめんどうくさくいたしますと、金融機関を無用に縛りまして、手続が遅れることに相なつてはならぬわけであります。その辺を加味いたしましてこういうふうなごく常識的な範囲を金融機関と公庫との間でとりきめて行く必要があろうと思うのであります。そのことを申し上げたわけであります。
○長谷川(四)委員 金融の常識といつて、銀行は営利を目的として立つているのだから、あなたがおつしやるように貸倒れができるということは、これに貸せば貸倒れができると考える者には銀行は貸しやしない。また借りる者も銀行から金を借りるときに、貸倒れをさせようと思つて借りる者もないのであります。おそらくそういう人は今の、ところ日本人にはいないのであります。しかし銀行が保証するということになつて来ると、銀行が保証する分ならば、自分の方の融通がつくならば貸してやつた方が向うは営利会社なのだから利益になる。ところが銀行がこれを保証する場合には一応ABC等出たものを全部銀行がこれに対して意見を付してそれを審議会で審議するために送り込めば、その一、二だけを取上げて銀行が保証する。銀行が保証する程度のものは必ず大丈夫だ。もつともあなたが考えてみたつて、倒されてはたまらないからそう考えるだろうけれども、実際真の目的を達することができないのではないか。私たちは金額の大小を問わず、三百人以下だとか、法人としても一千万円の資本以下だとかいうのだから、以下でいいかもしれないけれども、もつと零細な者に対しての金融の面が打開されなければならないのではないか。こういうような考え方からいつて、銀行と取引のないところにはそれではどういうふうな取扱いをいたしますか。
○岡田(秀)政府委員 この公庫をつくりましたことから、政府の金融機構というものがどうなつたかということにつきまして、ちよつと御説明申し上げたいと思うのでありますが、生業資金と申しますか、こく零細な事業資金もございまするが、ごく零細な資金を貸し出すことを目的といたしまする国家金融機関といたしましては、現在国民金融公庫があります。それから主として重要産業と申しますか、発電であるとか、造船であるとか、石炭その他、どちらかといえばいわゆる大規模産業に重点を置いて、産業資金を流すものといたしまして開発銀行が現存いたしておるのでありまして、ちようどその中間にありますところの中小企業者へある程度の事業資金を供給しようというのが今度提案をいたしております中小企業金融公庫でございます。中小企業金融公庫といたしましては、先ほども申しましたように、銀行ももとよりでありますが、商工中金とか相互銀行あるいは信用金庫、組合等も代理機関として利用させていただきたいと考えておりますので、これらの金融機関はそれぞれ自分の持分といいますか、特色に応ずる中小企業者をお客に持つておる、また今後お客に持つであろうと考えられますので、それぞれの金融機関はやはり中小企業の中でも比較的大きなものから始まりまして、比較的小さい、国民金融公庫まで行かぬが、もうちよつとというところまで、それぞれ幅を持つて活動いたしておるのでありますから、比較的大きなものも、また御指摘になりました比較的小さなものもひとしくこの公庫の金が利用できるような仕組みに相なるのではなかろうかと考えておる次第であります。
○長谷川(四)委員 その指定された銀行、つまり指定された金融機関の保証を通つたものでなければならないという原則でしよう。そうすると金融機関と取引のない者が借りるためには、どういう方法をとるのですか。
○岡田(秀)政府委員 初めて金融機関においでになるときには、どこの金融機関へ行きましても、若干の手数はかかるかと思うのでありますが、保証と申しますのは、実務を預つたのでありますから、その実務を預るにつきましては、ある程度責任を持つてもらわねばならぬという意味で、金融方式によりまして、八割ないし三割という保証を公庫に対して持つわけでありますが、この点を円滑に運営をいたしたいと考えまして、本日提案理由の説明を申し上げました。中小企業信用保険法の改正によりまして、これらの公庫でありますとか、それの代理貸を金融機関がやつた場合に負担しまする保証債務につきましても、保険に付することができるように仕組んだのでございます。それらをうまく動かすことによりまして、中小企業者が公庫の金を借りることもよほどやりやすく行くのではなかろうかと期待いたしておるのであります。
○長谷川(四)委員 どうもそこがはつきりしないのじやないですか。こういう金融の面については私どもあまりしろうと過ぎるのでわからないけれども、但し金を借りに行くことはたくさんあります。ただここでもう一つはつきりしておいてもらわなければならぬのでありますけれども、あなたが指定した金融機関と取引のない人が、初めてその金融機関に行つて、私はここから金を借りたいのですけれども、様式一切をくださいと言つてもらつて来て、それを提出した場合に、その金融機関はそれを拒むことができるかできないか、それをはつきりしてもらいたい。
○岡田(秀)政府委員 それは拒むことができないとも何とも申し上げかねるのでありまして、いわゆる普通の金融の取引の一般原則によつて、それが扱われて行く以外は方法はなかろうかと思うのであります。
○長谷川(四)委員 これは非常に美名に隠れておると思うのです。結局金融機関擁護法案とでもいわなければならない方案です。その目的とするところの中小商工業者というものに、はたして円滑に貸出しができるか。それは金融機関との非常な結びつきの悪い、もつとほかの言葉で言えば、非常に下手な者は、どうしてもこれの金融を受けることができない。できないというのは、その指定された銀行がこれの諾否を決定して、そうして銀行から出て来たものに対して、審議会なら審議会というものをつくつて、それにかけて出すのですから、銀行が保証して出したものは必ずいいかもしれない。また銀行が、あなたのところは多過ぎるから、たとえば五十万円要求したけれども、あなたのところは二十万円なら保証しましよう、こういうような方向に向つて銀行がやつてくれればいいのだけれども、今の地方の銀行なんていうものは、あなたが今お考えになつておるような銀行だと考えるとたいへんなお間違いでございます。今の銀行などというものは、たとえばこれから金融を受けようなどということになりますと、これはここでそんなばかげたことは言えないから言わないけれども、想像より以上のものがあるといわなければならない。そういうものに託してこの金融をするのだということになつて行くと、決してあなた方が考えている目的を達することはできません。但し百億であろうが、五百億であろうが、一千億であろうが、その期間に金が貸出しになることだけは明らかです。しかし金融を受けた人は、あなた方が政治の上から考えるような人は、金融はさらに受けられないということは明らかである。こういう点から考えたときに、われわれは政治の上に立つて、いかに国民金融を行うかという場合になつて来ると、これは大いなる疑問を持たなければならないといわなければならぬ。いずれにいたしましても私はきよう初めてここへ参りましたので、ただちよつと見ただけでわからないから、いずれ次会にゆつくりと御質問申し上げることにいたします。
○南委員 そこでこの法案の第一条にありますように、また先ほど岡田長官から御答弁がありましたように、中小企業の金融機関と申しますものは、この公庫と商工中金と、それから国民金融公庫と、従来ありました一般金融機関、こういうことになつて参ります。いずれも要するに長期、短期の資金を供給しておるのでありますが、商工中金におきましては、先ほどの説明にありましたように、この資金源の二十億が、ここへ振りかわつておるような点から見ますと、組合の長期金融は、商工債券でやつて参りかねると思うのでありまして、やはり一般会計その他から流れて行くのでなければならぬと思います。そうなつて参りますと、非常に組合金融においての長期資金と申しますものがきゆうくつになつて来る、私はこういうふうな気がするのであります。その点における政府の所見はどういうことになつておりますか。
○岡田(秀)政府委員 中金との関係におきましては、先ほど申しましたように、現在二十七年度の補正予算で中金に貸してあります二十億の金、これは公庫が債権を継承いたしましてもそのまま置いておきまして、そして今度の公庫の金の運用は、この二十億と切り離して行うのでございまして、二十億のほかに公庫のいわゆる長期資金が幾ばく行くかということは数字的に今申し上げることは不可能でございますけれども、るる申し上げますように、商工中金というものが組合金融に対する特殊の使命を持つた機関でありまた他方において相当の束縛を受けている金融機関である、預金も非常にとりがたいというふうな事柄から、国家資金を流す場合におきましては、どうしてもこの機関というものを相当重点的に扱いませんと困るということは事実でございまして、過去における預託金の配分等におきましても、絶えず中金というものは特別のウエイトを置いてやつて来ておるのでございます。従いまして、この公庫の金をやります場合におきましても、つまり今の二十億以外に公庫の金を出します場合におきましても、他の金融機関と比較いたしますれば、たとえば貸出し残高のみを押えてやるというふうなことになりますと、これは中金に対しては気の毒な結果とも相なるのであります。それらの使命等を考慮いたしまして、十分重点的な資金の配分を行うということだしけは、今からでもはつきり申し上げられるかと思うのであります。
○南委員 そういうお答えを聞くからには、ますます私は先ほどから心配しておつた点が強く浮き出て参るのであります。組合金融といいましても、組合自身が共同作業所や共同施設所を持つて、それに対する資金を借りるのが目的でなくて、どつちかと申しますと、今の中小企業等協同組合は、個々の営業をやつておつて、そして一本に解け込んでおらぬ業態が多いのであります。もつとはつきり申し上げますならば、組合員自己のいわゆる長期資金がほしいのであります。そう考えて参りますと、どうも政府の考え方は、個人の金融はこの公庫で行け、たとい組合員の長期金融でも、この公庫で資金を仰げ、組合金融は運転資金なりその他の商業資本のような短期資金で行けというふうになつて、今までわれわれが常に主張し、常に考えておりました商工中金の長期金融と申しますものは、考え方がくずれて来るのじやないか。もしも政府が主張するように、この公庫が一番上にあつて、その下に並列して組合金融その他の従来の金融機関があるというふうに考えて参りますならば、この公庫と従来の商工中金との関係が非常にむずかしくなる。何かいい方法がそこに考えられてしかるべきじやないか。場合によつては重役の兼任ということも考えられましようし、あるいは今つくつている組合につきましては直接に公庫が扱わずに、その組合に属している組合員の金融は商工中金を通してやるような準則を設けるようになさらないと、常に主張し続けておつた、通産省伝統の中小企業者の組織化が、かえつてこの金庫のためにくずされて行くという心配が多分に出て参るのであります。この点についてはもう少しつつ込んだ、掘り下げた長官のお答えを特にこの際お願いしておきます。
○岡田(秀)政府委員 金融というものは、私はある意味から申しますると主食の配給に似ておりはせぬかと思うのでありまして、ある特定の部門に対して重点的な配給、加重した配給をするということは考えられますけれども、他の部面に対して、あるところだけしか配給しないというのではいかぬのじやないかと思います。従つて従来の中小企業金融方策を見ましても、たとえば預託をする場合におきましても、商工中金とかあるいは相互銀行等、中小企業専門の部門に厚く出すということはいたしておりまするけれども、他の部面にもやはり流している。また、たとえば信用保険法をやる場合におきましても、中金が組合に貸す債権だけを保険にとるということはいたしませんで、やはり他の金融機関が中小企業に出している債権もとるというふうにいたしている、こう考えるのでございまして、私どもといたしましては、先ほど来申し上げまするように、公庫の金を流す場合に、中金には重点的に流す、そういたしますれば中金の扱う長期向けの資金が比較的潤沢に中金に参るわけでありまするから、中金にぶら下つております協同組合ないしその組合員へはこの公庫の有利な資金が多く流れることになろうかと思うのであります。なお協同組合の中におきましては、従来中金から金融を受けている組合が割方多いことは事実でございまするけれども、中金には何ら取引がなくて、他の金融機関から融資を受けている組合もまた少なしとしないのでございます。それらの点を考えてみますれば、一方においては商工中金にウエートを置いた資金量を流しながらも、他の方面に対しましてもやはり、金を流すということは、組合を弱化さすということには相ならぬようにも思うのであります。一方におきまして金融の面においては重点的な扱いをするにとどまるのでございますけれども、他方におきましては、協同組合の共同施設には補助金をだすとか、あるいは税法上の関係におきましても、協同組合なるがゆえにある程度特別扱いをするということで、両々相まちまして、協同組合助成の方策というものは今後とも何らかわりなく推し進めて参りたい、かように考えておるのでございまして、公庫の出現により、商工中金が業務の運営上困るとか、あるいは協同組合が困るとかいうことのないように、十全の努力はもとよりいたすつもりでございます。
○南委員 そのお答えでいいのでありまするが、私はそういう漠然とした答弁でなくて、大体この公庫は組合に入つてない中小企業者の長期金融を中心にして考えて行く、それから組合に入つている中小企業者は商工中金を通して金を借りるのだというふうにはつきりしておかなければ、従来のいわゆる組織化ということを妨げる憂いが出て来るのじやないかということを申し上げている。私先ほどから申し上げているように、協同組合といつても、協同組合自身が持つておる共同施設に対する金も借りられるが、主として現在の商工中金の金融は組合を通して組合員に流れておる、そういうことから考えて参りますと、この第一条、第二条の公庫の目的が、個人と組合とを対等に、いわゆる並列的な考え方を持つておるのでは、長官が何と言われても、商工中金の組織化ということは、金融面においては逆行して行くことは私は避けられないと思う。先ほど食糧の配給にたとえられましたが、食糧の配給にたとえられればたとえられるほど、私の言うておることがよくおわかりになると思う。そこで組合をつくらそう、組合を重点にして行こうという考えならば、組合に入らぬ者をこの公庫でまかなう、組合に入つた者は商工中金を通して行くのだという考え方を、この際準則または政府の徹底した一つの方針としていただかなければ、商工中金としてはこういう機関の出現によつて、使命の一半が失われるような感じを抱いて、ある程度安からざる思いをいたすのはあたりまえだと思います。長い間、二十年も二十五年もかかつてわれわれは商工中金の強化育成ということを叫んで参つた。これができたからいかぬというのではありませんけれども、今後政府の金融政策のやり方によつて、組合をつくらなくても金を借りられるのなら別に組合をつくらなくてもよろしいという考えができては私はたいへんだと思う。こういう金庫によつて金を借りられる人は、先ほど同僚長谷川委員の質問にもあつたように、むしろ一般市中銀行でも借りられる人であつて、比較的恵まれた人である。個人の力を振うことができずに、共同の力によつてのみ金融的にぶら下つて行く者に対するのが商工中金のあり方であり、われわれが常平生主張して来た金融打開の方法なのです。私は何と申しましてもこの公庫と商工中金の使命をはつきりさして、そうして両々相まつて中小企業の金融機関として行くとい立場ならば、組合に入らぬ人間を対象としてこの金庫が動く、組合に入つておる組合員の金融はできるだけ商工中金の使命を重視して、商工中金が活動し得られるように仕向けて行くのが、通商産業省が長い間主張して来た中小企業者の組織化の方針と合致するのではないか。その方を重役の兼任とかいろいろな方法でこの際できるだけはつきりさしておかなければ、私が質問しなくても、私は野党の方からもつと痛烈な質問が出て来るに違いないと考えるのであります。この点についてはもう一ぺん、政務次官でも長官でもけつこうであります、はつきりした政府の答弁をこの際特にお願いしておきます。
○小平政府委員 公庫ができました場合において、中小企業の協同組合ないしはその組合員に金が流れるにあたりまして、なるべくというか、御説によると必ず中金を通して行くようにはつきりしたらいいのではないか、それがまた組織化のために最も適切であるという御意見であると思いますが、実際問題といたしましては、私は大体はそうなると思います。しかしまた逆に申して必ずそうするというような規定を何らかの方法で定めるということも実情にややそぐわないのではないかという気がするのであります。先ほども長官から申しましたように、現在あります組合にいたしましても、商工中金以外の金融機関から相当金融を仰いでおる向きもある。言うまでもなく中金におきましては各府県に一店くらいしか支店がないという関係で、その県内の地域によりましては、やはりその地元にある市中銀行等を利用する方がむしろ実情に適しておるという場合も御承知の通りずいぶんあるのでありまして、そういう実情から見て、組合ないし組合員は必ず中金を通して借りろというところまで規定するのは、やや今の実情にそぐわないのではないかという気がするのであります。また一面から申しますと、中金を育成する、中金に重点を置いてやつて行くということも、先ほど来再三申します通りどこまでもそういう趣旨であると思いますが、しかしながらまた考えようによると、中金そのものを育成するということは、結局中小企業者のために、あるいは組合のためにということが最終の主目的なのでありまして、やはり組合なりあるいは組合員、さらには一般中小企業者というものに国家資金が円滑に流れる方法を広い立場において考えるということがどうしても必要だろう、こういう見方も当然とられますので、あまりきゆうくつにどこまでも組合ないし組合員は中金を通してでなければいかぬというふうに限定するというのは、少くとも現状においてどうかという気がいたしておるのであります。 なおお話のうちの役員の兼務ということでありますが、これにつきましては、この法案のうちにおきましても、公庫の役員は他の金融機関等の役員とは兼務ができないということになつております。従来他の同様の機関、たとえば農林漁業の金融公庫等におきましても、同様の規定がございますので、やはり別個の組織といたしましてそれぞれ責任を持つて行くという点から考えましても、この役員の兼務ということはいかがなものかとわれわれは考えております。
○南委員 この法案を御提出なさつた責任者としての御答弁ではそれでいいかもしれませんが、私たちから考えますと、従来通産省が主張しておつた中小企業のいわゆる組織化の金融機関としては、何と申しましてもこれで十分だと私は決して申し上げているのではない。商工中金といえども金融機関の一助にしかなつておらない。従来ありますいろいろの金融機関と協力して、中小企業金融の一つの助けになつているとしか私は考えておらぬのであるが、しかし農林関係の金融機関と違いまして、中小企業の金融機関につきましては、私は何といつても組織をつくらして、その組織を育成強化することでなければほんとうの意味の中小企業金融対策の根幹はあり得ないと思つております。そこで中小企業金融も金融政策の一環であるとするならば、その方針と矛盾してはならぬと思うのです。私は商工中金に対しては、ことに政府としても重点を置いて考えて行かなければならぬのではないかと思うのであります。わずかに百五億の金しかなく、しかも人間も五十数人しか持つておらぬ機関がねらうところのものは、何としてもこの際商工中金というものを大きくクローズ・アツプして考えて、それについて組合及び組合員は、規定がきゆうくつであるならばそういう規定を置かなくてもけつこうでありますが、一貫した方針のもとにおいて中小企業の育成ということを考えて、商工中金——私はむしろこんな金庫法案よりも商工中金を改組した方がいいのではないかという個人的の見解を持つておりますが、それを今ここで申し上げてもしようがないのでありますけれども、こういう法案と従来ありました金融機関とのいわゆる円満な協調ということを考えますならば、私は特段の配意が政府にあつてしかるべきものであると考えるのであります。と申しましても、私は商工中金の今までの貸し方が万全であるとは考えておりませんけれども、少くともライバルになるような指導方針をとられてはたいへんなことになるのではないか。どつちかというと、個人金融よりもやはり組合金融ということをこの際常に考えて行かなければならない。組合金融といいましても、組合自身の事業に貸すのではなくて、組合を通じて組合員に貸すのであつて、結局それが中小企業金融になるのでありますから、そういうことを考えて参りますれば、この金庫のいわゆる貸付対象というものは組合に入りかねる事情のある者、組合をりくつて組合によつて自分の資金を仰いで行くというものについてはできるだけ組織化させてやつて行くというのでなければ、これからの資本主義下において弱小企業体がどうしてやつて行けるか、こういうふうに私は考えるので、この点につきましては、政務次官も長官ももう一ぺん深く掘り下げて考究していただいて、商工中金の使命達成にこの金融が役立つように法の運用を期せられたいと考えるのであります。 なおこまかい点について伺いたいこともありますが、きようはこの程度にとどめておきます。
○坪川委員長 他に御質疑がなければ本日はこの程度といたし、次会は明日開会いたします。開会時刻は公報をもつてお知らせいたします。 本日はこれをもつて散会いたします。 午後零時十八分散会