通商産業委員会 第28号
- 発言数
- 44 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/03/04
会議録
○坪川委員長 これより会議を開きます。 本日はまず火薬類取締法の一部を改正する法律案及び中小企業金融公庫法案を議題といたし、政府より提案理由の説明を求めます。通商産業大臣小笠原三九郎君。
○小笠原国務大臣 火薬類取締法の一部を改正する法律案について、提案の理由を御説明申し上げます。 この法律改正の主要な点は、煙火の消費につきまして、都道府県知事の許可を受けなければならないとすることでありまして、この点につきましては、従来銃砲火薬類取締法(明治四十三年四月十三日法律第五十三号)により、また昭和二十一年十月十日ポツダム共同省令「兵器航空機等の生産制限に関する件」が施行になりましてからは、この省令によりまして法的規制を加えて参つたのでありますが、昨年十月二十四日この省令が失効いたしました結果、仕掛煙火、打揚煙火の消費につきましては、何らの法的規制がなくなることになつたのであります。しかしながら煙火の消費につきましては、災害防止の観点から法的規制を加える必要があり、この際必要な法的規制を行い、一定数量以上の煙火の消費につきまして、都道府県知事の許可を受けなければならないものとするとともに、煙火の消費の技術上の基準を定め、この基準に従つて煙火を消費せしめるよう改正いたしたいと存ずるのであります。 次に、煙火の消費に関する事項以外に、火薬類取締法を施行して参つた今日までの経験にかんがみまして、この法律の適用を受けない玩具用煙火その他の火工品の範囲を法的に明確にするとともに、火薬庫の譲り受け等の場合における許可制度を簡素化し、また火薬類作業主任者等の免状交付の際の手数料徴収を、受験の際の手数料の徴収に改める等、所要の改正を加えることが適当であると認められますので、この改正法律案を提案いたしました次第でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いいたします。 次に中小企業金融公庫法案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。 まず提案の理由について御説明申し上げます。 わが国経済の自主体制を確立するためには、その基盤をなす中小企業の振興をはかることが目下の喫緊事でありますが、このためには、その必要な設備資金及びこれに伴う長期運転資金を積極的に導入することが刻下の急務であることは言をまたないところであります。しかるにかかる資金は、長期かつある程度低利であることを必要とする関係上、一般金融機関の融通にまつてとは困難であり、従つて国家資金により調達する必要があるのであります。 ここにおいて、昨年末衆参両院における国家資金による中小企業長期資金融通制度の創設に関する御決議に即応し、中小企業者に対する長期金融の特別な恒久的政府機関として中小企業金融公庫を設立しようとするものであります。これが本法案を提案した理由であります。なお特別会計によらず、公庫を設置することといたしましたのは、農林漁業金融公庫の例にならい、長期貸付の責任の所在を明確にすることと、業務の円滑な遂行を期そうとすることのためであります。 次に本法案の概略を御説明申し上げます。 まづ中小企業者に対する長期資金の融通を目的として、中小企業金融公庫を設置し、これを法人とするものであります。 これが資本は全額を政府出資とし、その金額は一般会計からの出資金五十五億円と、産業投資特別会計からの法定出資金との合計額であります。 業務につきましては、中小企業者に対する設備資金または長期運転資金の貸付を行うのでありますが、その業務の一部を金融機関に委託することができるものとしております。 貸付限度は一企業者当り貸付累計一千万円(中小企業等協同組合、調整組合または調整組合連合会については三千万円)以下、貸付金利は年一割、償還期限は一年以上最長五年、すえ置き期間は一年以内を予定しておりますが、これら貸付に関する業務の方法及び業務委託の基準は業務方法書に記載することとしております。なお業務方法書、事業計画書等の主要事項については主務大臣の認可を要するものとして、行政との密接な関連を保持せしめることといたしております。 役員については、総裁及び監事は政府任命とし、理事の任命についても主務大臣の認可を要するものとしております。 会計については公庫の予算及び決算に関する法律の定めるところにより、大体国の予算及び決算に準じて取扱いをするものとし、利益金を生じた場合は、全額を国庫に納付するものといたしております。 なお公庫は政府から資金の借入をなし得るものとし、今後の政府の追加出資とともに貸付の財源となし得ることといたしております。 以上が法案の内容の概略であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決賜わりますようお願い申し上げる次第であります。 —————————————
○坪川委員長 次に昨日に引続き武器等製造法案を議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。永井勝次郎君。
○永井委員 昨日来大臣が欠席でありましたけれども、この法案の仕上げとしての質問を継続して参つたのでありますが、大臣に対して二、三お尋ねをいたしたいと存ずるのであります。 大臣は前会の質問者の答弁において、この武器等製造法の実施によつて日本の産業構造を変質するというようなものではない、つめのあかほどの事業量である。こういう答弁があつたのでありますが、御承知のように武器産業はあらゆる産業の総合的なものであつて、それを合理化し、これを国際市場において競争可能なコストに安定せしめますためには、どうしてもその基幹としての鉄なり、石炭なり、電力なり、こういつたものを合理化しなければならないし、武器製造のための工作機械器具、そういうものも総合的にやつて行かなければならないし、一つの鉄砲をつくるだけの産業としてこれを終らせることはできないのでありまして、そういうあらゆる基礎から地固めをして持ち上げて行かなければならない。そういうところに武器製造というものの方向が打出されることによつて本質的な変化を来さざるを得ない、こういう性質のものであろうと思うのであります。これに対して大臣はどう考えておられるか。
○小笠原国務大臣 過日私の言葉が足らなかつたかも存じませんが、ちようど長谷川さんの質問にお答えしたように、日本産業構造の一部であることは私も十分認めるのでありますが、東南アジア等へ輸出貿易をやるという、そういう非常に大きな輸出貿易の転換をさすような構造でないという意味を申し上げたのでありまして、この点はそのときも申し上げましたから、もうすでに誤解が解けておることと存ずるのでございます。今お話のごとく、武器等のものでも、広い意味で申しますと—これは航空機は別であります。この武器等というのは航空機は入れておりません。航空機等でございますと非常に大きな総合工業でございますが、これ自身は今のところ武器等で申しますものの中に入れておりません。従いまして永井さんのお話のごとくに、鉄鉱も石炭も、各種のものの合理化とか進歩とかいうものと相伴わなければならぬことはもちろんでございまして、この点については私どもも過日来各種の機会で申し上げましたように、あるいは石炭の値下方につき、あるいは鉄鉱の値下方につきいろいろ努力を続けておるのであります。だがこの直接の問題といたしましてはこの武器等製造法によりまして、ややもすれば濫設に陥り、また過度の競争に陥りやすいことを防止しようとする点から出ておるのでございますので、この点は御了承を願いたいと存じます。
○永井委員 防衛産業としての武器産業の本質上、計画性が不安定である、あるいは一つの形の仕事が永続しないというようないろいろなことがありまして、本質的には国家の手厚い助成をまたなければ、企業を安定させる条件はないと思うのであります。アメリカのようなところでも、実に至れり尽せりの助成をしておる。たとえば所要原材料の確保のために、あるいは生産設備の整備改良のために、製品売却の便あるいは損失の補償、あるいは融資あつせん及び保証、あるいは可速減価償却制度の実施というような、いろいろな形においてこれをやつているのであります。この武器等製造法は武器製造の企業の安定をねらつておるようでありますが、こういう国家助成の薄い、こういう法案の内容によつて安定をさせる見通しがあるのかどうか。一応にういう案を出して、やがては許可制によつて財閥の企業を指定して、そこに国家投棄どんどん注ぎ込んで行くための素地としての、第一着手としての非常にゆるやかな法案ではないか、氷山の一角をちよつと出したにすぎないのではないか、こういうふうに思われるのでありますが、これに対してお答え願いたいと思います。
○小笠原国務大臣 最初に申し上げておきますが、別に財閥を庇護し、またそれを助長さすような考えは毛頭持つておりません。 それから今お話の点でございますが、アメリカの国内における武器と日本の武器とは違うのでございまして、アメリカでは自分の国の需要する武器についてやつておるのでありますが、日本では、くどく申しますように、駐屯軍の注文の分等をやつておるので、いわば平和産業であり、輸出産業の一つとしてやつておりますが、従いまして特別の助成的措置はとらない考えであります。しかしながら間接には今のところ輸出産業の一つといたしましての役目をしておりますから、その金額は大きなものではございませんけれども、そういう役目をいたしておりますので、金融上の措置等についてはできるだけの援助を与え、また税制につきましては、過日来長谷川さんでしたか、永井さんでしたか、お話がありましたように、少し償却等につきましては考えなければならぬのじやないかというお話もございましたので、この償却等につきましては、償却年限を短縮する、あるいに税制の措置につきましては、目下大蔵省と打合せ中でありまして、近く解決を見るだろうと存じております。
○永井委員 最後にアメリカの国防生産法によるいろいろの助成の順位、その順位によれば、第一が工作機械器具、第二が銅、鉛、亜鉛等、第三が銑鉄、第四が硫黄、第五が軍需品、第六が塩基性アルミ、こういうような順序で国防生産法に基く業種の助成を決定しておる。このように軍需品というものが第五位であつて、軍需品を成り立たせるための基礎としての工作機械、銅、鉛、銑鉄、こういうものが基幹になつておる。こういうふうに武器製造をほんとうに合理化してやるというのには、こういうところから地固めして行かなければならぬ。こういう意味において、今は武器等製造法というので、前世紀的の武器の指定でありますけれども、これは当然軍需産業としての飛行機も入つて来るでありましようし、艦船も入つて来るでありましよう、あるいは戦車も入つて来るでありましよう。そういういろいろな近代武器が中に入つて来なければいけない。そういうものが入つて来て、外国の注文によつて輸出するというようなことは二の次であつて、これは当然日本国内の再軍備の一環としての武器生産というものが本格的に発足して来るでありましよう。そういう場合に日本の産業構造というものが本質的にかわらざるを得ない必然性を持つておる。こう考えるのであります。でありますから、大臣の、今の段階においてはそういうことはないということは了承しますけれども、現在の武器等製造法はそういう一つの必然性を持つておるのだ、氷山の一角が現われたのだ、今通産大臣小笠原三九郎と、こう言つておりますが、やがては軍需大臣小笠原三九郎と、こう看板が塗りかわる日が来るかもしれない要素を内容に持つておるのだということを、私ははつきりと断言せざるを得ないのであります。そこでそれはそれとしておいて、現在の段階においては武器の製造について一番問題になるのは、駐留軍が接収しておる工場を通して切りまわしておる。あるいは契約の面においてアメリカの国内法を適用していろいろやつておる。こういうことが一番日本の国内の武器製造上における当面の障害になつておるのでありますが、これらの問題の処理を不十分にしておいて、国内法だけでいくらやつたつて武器生産は当面安定する状況にはない、こう思うのであります。でありますから、第一は、産業構造の変革にならないということと、第二は国内法では武器生産の安定ができない。無期限接収になつている駐留軍の工場の運営の問題。それから契約の問題、それにアメリカの国内法を適用されてやつていることが日本のこれらの生産をかきまわしているのだ、その面の処理を大臣は十分に考えているかどうか、この二つを最後にお聞きしておきたい。
○小笠原国務大臣 ただいまお尋ねの点でございまするが、私どもが繰返し申しまするように、まだ軍需的な考えを全然持つておりません。つまり平和的なものであつて、駐留軍のものを注文に応ずる、こういうことだけを考えておるのでございまするが、御承知のようにそれにしましても、何も今のところ法的な規制がございませんので、それで乱雑に陥つたり、俗にいわゆる出血受注をやる等、日本経済に及ぼす悪影響が少くないから、そういうことを実はねらつて、それを目的としてこの法案を出しておる次第でございまして、従つて将来これが軍需産業に発展するかどうかというような事柄等については、今お話の、これは永山の一角であるかどうかということについては、私どもは永山の一角とは考えてはおらないのでありまするが、しかし先々のことですから、そう非常な長い先のことは、どうも私どもは神ならぬ身で予言を躊躇するのであります。ただいまのところはそういう考えは持つておらぬ次第でございます。 さらに産業構造に占める位置については、過日来永井さんからたびたび指摘されまして、私どもも十分その点について注意を払いたい。そうやつて、これをよく申しまするように、発展させるという考えではなくて、見守つて健全に育て上げて行くというだけの考えを持つておる次第でございます。
○永井委員 それから昨日もお尋ねいたしたのでありますが、旧軍工廠、火薬工廠跡の処置の問題でありますが、けさの新聞で見ますと、大臣が新聞記者に発表しておられまして、その中の香里火薬工廠の跡の処理について、現在どのように措置なさるお考えであるか、これを承りたい。
○小笠原国務大臣 旧火薬廠の問題につきましては、私どもの考え方としては、どうも利権的なことから言われるのは不愉快であるし、また国家のためにもとらぬところでありますから、国有の線で行つて、払下げをしないということでやつております。但し火薬についても相当注文が参つておりますので、これを貸し、与えて活用して参りたい、かように考えておるのであります。香里の問題につきましては、いろいろ問題もございますので、問題のあるものを無理に押し切つてやるという考えは持つておりません。これは永井さんも御承知のように、すべて私の考えは理解の上でやつて行きたいという考えでありますから、政府が権限を持つているから、こうするぞというような考えは毛頭持つておりません。従つて香里の問題は了解がつけば話を進めたい、今の段階ではすぐ右左に措置する考えは持つておりません。
○永井委員 終りました。
○坪川委員長 他に御質疑はありませんか。—他に御質疑がなければ本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。 これより討論に入ります。討論の通告がありますから、順次これを許します。福井勇君。
○福井(勇)委員 私は自由党を代表いたしまして本法案に賛成の意を表します。 本法案はポツダム勅令失効後における空白状態を埋める一方、武器の生産を調整すると同時に、その製造販売等を規制することによりまして、国民経済の健全なる発達をはかり、あわせて公共の安全を確保せんとするものでありまして、時節柄すこぶる当を得たるもの、いなむしろ提案せられたことがおそかつた感なきを得ないものであります。法案の内容につきましても、おおむね妥当なりと申すべきでありますが、その運用の面におきましては、よく注意をしてもらいたいと存ずるのであります。 第一の点は、隣邦諸国の不必要な誤解を回避することについてでございます。本法案は憲法第九条に抵触することなしとの法制局当局の証言によつて、この点は安心いたしたのでございます。しかしながら、憲法上の解釈はともかくとして、わが国がこの際兵器生産に積極的に乗り出すことは、隣邦諸国、特に東南アジア諸国、濠州などの誤解を招くおそれなしとしないのでございます。政府当局はこの点に深く意を用いられて、わが国の武器生産が平和産業にほかならぬことを十分これらの国々の納得するよう、いやしくも誤解に基く不必要な摩擦の生ずることがないように万全の注意をお願いしたいのでございます。 第二の点は、将来の需要の見通しが確かでないということについてであります。およそ需要見通しが立ちにくい以上、製造能力の過大なりやいなやもわからないでありましようし、経営の安定などは根底からくずれ去る。もちろん経営の合理化などは非常にむずかしいものでありましよう。政府においてはこの点にかんがみ、今後これらの生産の競争各国の間に起る推移ともにらみ合せ、需要の不安定から来る事業の困窮、破綻、ひいてはこれがわが国経済に及ぼす混乱を未然に防止するために万全の処置を講ぜられたいのでございます。 第三の点は、出血受注の問題についてであります。製造に対しては罰則を伴う許可制をとつておりますが、受注に対しては届出制をとり、単なる戒告にとどめておる点であります。これではたして不公正なる競争の防止ができるかどうか、いささか心配せざるを得ないのでありまして、この点につきましてまた政府当局の善処を望まざるを得ないのであります。 第四の点については、火薬類取締法との関係であります。火薬類関係業者に対して、本法と火薬類取締法と二重監査の弊に陥らぬように万全の注意を払つていただきたい。 第五の点は、助成措置についてであります。法案は消極的助成を主としたものでありまして、積極的助成については何らの考慮も払つておりません。由来武器の生産は、工業の中におきましても特に急激なる進歩のため、不断の研究を要するものでありまして、ことにわが国は資源に恵まれないことはもちろん、技術の面におきましても十数箇年間の久しきにわたる空白時代のために、世界的の水準から著しく取残されておるおそれがあるのであります。従つてわが国の武器製造工業を国際競争場裡に雄飛せしめんがためには、工作機械等の製造技術の飛躍、整備等を初め、欧米諸国の優秀なる技術の導入、その他武器生産技術の研究、向上などに関して、特段の指導、助成を講ずることはもちろん、わが国の官民を通じての技術家をして、広く海外の技術を学ばしめる措置も忘れてもらわないように願いたいのであります。 以上本法案の運用に関する二、三の要望を述べまして、本法案に賛成の意を表するものであります。
○坪川委員長 長谷川四郎君。
○長谷川(四)委員 武器等製造法案なるものは、取締りのみに走つているような感もあるのでありますけれども、この法案の最も精神とすべきものは、いかにこの種の業態、この種の技術を向上せしめようかということが目的であろうと思うのであります。現在日本にあるところの三十数万台という工作機械のうちに、他国に比較のできるものが約一割という程度であります。この貧困なるわが工業界を、いかにして国際場裡に進まして行くかということは、大きな問題でなければならないと思うのであります。従いまして、これらについては先般来の質疑におきまして大体よくわかつて参つたような感じもいたすのでありますけれども、これに対しまして、まず許可、認可に当る技術及び設備の基準等について、これらが大企業偏重になるような憂いはないかとわれわれは考えておるのでありまして、この点については行政に当るものは、一段の考慮を願わなければならないと思うのであります。 さらにまた火薬類の取締法との関連にあたりましても、業者が二重の圧迫を受けるような感を持つのであります。この点についても、取締り官庁が一つである以上は、あまり業者を圧迫ないような方向に進んでいただかなければならない。さらにまた請負業者なるものが下請負業者にのみ出血を転嫁しているというのが争われないところの事実でございます。この法案の精神にのつとり、この法案の通過と同時に、これらにつきましては、行政に当るものはこの相互の実情をよく認識して、その上に立つて監督に当つていただきたいことを私はお願い申し上げるわけであります。従いまして以上申し上げたような三点について、十分政府の考慮を促すととももに、この法案に対しまして改進党を代表いたしまして賛成の意を表する次第であります。
○坪川委員長 今澄勇君。
○今澄委員 私は日本社会党を代表して、武器等製造法案に対して以下数点の理由により反対の意を表明するものであります。 政府は本法律案提案の理由として、一、現在ポツダム共同省令の失効により武器製造を規制する法律がない。一、最近駐留軍関係の発注が相当増加しており、加えて関係業者の武器受注に対する熱望がきわめて強く、ために濫立の傾向が見えるので、武器の持つ特殊な性格より見て、国民経済への悪影響を避けるためにも、また公共の安全を確保するためにも、本法案が絶対に必要であると言われております。私は政府の述べたこの武器は人を殺傷するためのものであるだけに、武器製造を法的に野放しにしてこれを何ら取締りをしないというようなことではなくて、厳重な規制を加えるという政府のお考えには賛成をいたすものであります。しかしながらわが国産業構造の中における武器生産の影響と、将来の経済規模に対する見通しの不明確な無計画性と、本法案の持つポイントを押えないずさんな組立て方に対しては、私どもはこの法案がその目的を達し得ないものと考えます。すなわち無計画な応急対策として、基本的な計画を持たないところにわれわれがこの法案に対して反対する理由があるのであります。 まず私は、日本の産業経済は将来輸出貿易によつてわが国のこの微弱なる産業経済をささえなければならないが、その輸出貿易の不振を国内における軍需兵器産業工業の勃興によつて補わんとするがごときことは、日本産業の置かれた特殊的な地位と、わが国経済再建に対する根本的な方途を誤るものであるといわなければなりません。 次に私は現在特需関係工場及び駐留軍関係の仕事に従事いたしておりまする労働者に対する労働基準法、あるいはまたこれらの賃金等の問題について大きくわが国内法規を無視したいろいろの問題が惹起せられておりますことは、日本の特需に関する兵器生産工業において、わが国がわが国内法だけでこれらの人々を守り、日本の産業労働者としてこれを擁護する点において、政府の施策に大きく欠けたものがあるといわなければなりません。 さらに第三番に、私は本法に対する矛盾について申し上げたいのでありますが、すなわち本法第五条の許可の基準の規定といい、第十一条の保管規程といい、第十五条の内容といい、数え上げればまことに限りなきものであります。すなわちかような一番大事な点が最もずさんにこの法律に作文せられておることは、何か他に目的があるものといわなければなりません。武器生産の持つ意義と、武器生産の持つ実力は、一国の運命を左右するほどのものでありますだけに、イデオロギーはイデオロギーでよろしいから、真に現政府が武器生産に関する法律案を必要とするならば、もつと真剣にして、もつと健全なる、国民経済を守り、公共の安全を確保すべき立場から立案しなければなりません。私は本法律案に見られる数々のこれらの疑問の点をながめてみると、どうしても政府の日本産業の再建計画に対する無計画な、その腸限りの、その日暮しということが痛感せられてなりません。 これを要するに私どもは観念的なイデオロギーから本法律案に反対するものではなくて、日本産業の性格並びに計画的な対策等に欠ける政府の彌縫的な政策に反対するものでございまして、武器製造等の行政に関しては、この際政府の根本的な反省を望むものでございます。
○坪川委員長 永井勝次郎君。
○永井委員 私は日本社会党を代表しまして、武器等製造法案に対し反対をいたすものであります。 政府は武器等製造は輸出産業である企業の安定をはかるため、企業の許可、契約の届出をさせる武器とはこれこれであるという、きわめて原始的な少数種目を定義しておるにすぎないのであります。武器製造は自国の国防生産として計画性を持ち、国家の助成をまつて維持せらるるもので、計画性のない外国発注による輸出産業として安定する条件はみじんもないのであります。武器とは戦車も航空機も艦艇も軍需産業の範疇に広く包含すべきもので、野蛮人の使うような前世紀的武器のみを武器と定義することはこつけい千万であり、企業許可、契約届出によつて安定がはかられるというに至つては、ただあきれざるを得ないのであります。われわれの見るところでは、本法案はわが国の再軍備を本格的に切りかえる一環としての軍需産業の発足であり、いわゆる防衛体制漸増の線に沿つて、ごまかしのなしくずしであると断定せざるを得ない。警察予備隊が保安隊となり、やがて軍隊となるように、この武器等製造法案も、おたまじやくしからかえるに成長、変質して行くことは明らかであります。このごまかしはわれわれの断じて許し集いところであります。企業許可制によつて財閥産業の独占を確立し、やがて兵器産業の本質である国家助成を至れり尽せりの形において注入せんとする意図を蔵しておるものと見れるのでありまして、われわれの断じて許容し得ないところであります。この法案に隠されておる国民基盤の諸点、武器製造におけるいろいろの矛盾、新しい産業構造に対する影響、国民生活に対する圧迫、駐留軍の無期限接収工場、発注契約等におけるわが国の情ない隷属的な実情等については、いずれ本会議において反対討論することといたしまして、この委員会においては以上の本質的な立場を明らかにいたしまして、本法案に対して断固反対の意を表明するものであります。
○坪川委員長 木下重範君。
○木下(重)委員 私は同友会を代表いたしまして、二、三要望事項を付して本案に賛成するものであります。 本案の根本問題につきまして、本案に掲げられておりますところの武器製造が、憲法第九条のいわゆる戦力に該当するのではないかという点でありますが、政府委員はこの点につきまして、戦力の構成要素の一ではあるけれども、戦力そのものではないという憲法論を展開したのであります。この憲法論には私は必ずしも同調するものではありません、別の意見を持つておりますが、ともあれ特に御留意願いたいと思いますことは、この際国際社会に何か日本が再軍備でも始めたのではないかという誤解を招かないようにということであります。現在の状態を見ておりますと、武器等の発注はほとんど駐留軍からのもので、九十パーセントはそれである。産業の興隆にいささか寄与するのではないかと思うのでありますが、反面本委員会で問題になりました出血受注の問題がある。これらの点の考慮を十分払われまして、この運用面に十分なる御留意を賜わりますならば、私は支障ないものと思う。この要望を二つ付しまして賛成の意を申し述べます。
○坪川委員長 これより採決に入ります。本案に賛成の方の御起立を願います。 (賛成者起立〕
○坪川委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。 この際お諮しいたします。本案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坪川委員長 御異議なければさようとりはからいいたします。 —————————————
○坪川委員長 次に、テレビの生産に関し長谷川委員より発言を求められておりますのでこの際これを許可します。長谷川四郎君。
○長谷川(四)委員 重工業局長に特にお伺いしたい点は、現在の日本のテレビ事業に対して、局長としてどういうようなお考えを持つておられるか、一、二の点につきましてお伺いをいたします。 日本のテレビジョンの問題は、いかに文化をわかち合うか、これが目的でありまして、議会がテレビ実施促進の決議案を可決した理由であります。しかるに、現在の日本のテレビは、本年二月NHKの本放送実施に対応いたしまして、それらの生産態勢がいかに確立をしておるかということに対しましては、大いなる疑問を私をは持つものであります。従いまして、国内の文化の向上と相まつて、現在の製造能率がいかがなものであるかという点についてお聞かせ願いたいのであります。
○葦澤政府委員 二月一日NHKがテレビの本格放送を始めたにつきまして、いろいろな角度からこの募集論ぜられておることは御承知の通りでありまして、文化的面からも非常な意義があろうかと思うのでありますが、これが普及がどういうような見通しになるかということが、生産についても重要な問題になろうかと思うのであります。われわれの予想いたしておるところによりますれば、大体二十八年度の終りには四万二千ぐらいのテレビ受像機の普及があるだろうと存じまして、それに対応する生産態勢を持つことが必要であろう、かような考え方をいたしておる次第でございます。しかし何分にもテレビ受像機工業の確立をまつて放送が始められたのではありませんで、放送の方が先に行われておるような状況でございますから、生産と需要とのギヤツプが生ずるだろうということは予想されるところでありますので、必要な限度におきましては、これを海外からの輸入にまたざるを得ないというような考え方をいたしておるわけであります。
○長谷川(四)委員 日本の技術の面はいかにも遅れ過ぎていはしないか。いな、実際の日本の技術そのものは世界的水準を非常に突破している感はあるけれども、それが要は実用化されない、現実化されていないという点に大きな欠陥があると思うのでございます。従いまして、これらの許可、認可、またこの製造にあたりまして、たとえばブラウン管の製造能率が非常に低下しているという話を聞くのでありますが、ブラウン管の製造能率とその歩どまりのパーセンテージは現在どのくらいになつておるか、お伺いをいたします。
○葦澤政府委員 テレビ受像機の中で最も重要な部品の、ブラウン管についてのお尋ねでございますが、お尋ねの趣旨の中に、許可、認可制をとつておるかのお話でありますが、現在これらの生産につきましては、何ら政府としての許可、認可制はございません。ただブラウン管は従来も国内で生産をされておつたのでありますが、何分にも小型のブテウン管についての製作が行われておつたのでありまして、最近のテレビ受像機の普及状況から見ますと、大体十七インチものから二十インチもののブラウン管が需要の大部分を占めておるような状況でございますから、これらの大型ブラウン管の基盤となるガラス工業の発展ということが非常に重要な次第でありまして、これらのものにつきましては、ほとんどこれはしばらくの間は海外からの輸入にまたなければならぬというような状況でございますが、これの歩どまり等につきましては、まだそこまで論ずるような段階になつていないのじやないかというような考え方をしておる次第であります。
○長谷川(四)委員 局長は、この生産にあたり、何か規格を統一するというような考え方、要するに統一をして、能率の向上をはかるというようなお考えは持つておらないか。
○葦澤政府委員 テレビの受像機の需要でございますが、現在われわれの調査するところによりますならば、受像機は、小型から大型までそれぞれ需要者の希望と申しますか、需要者の好みによりまして、いろいろな型ができております。ただこの型につきましては、ブラウン管の大きさというものが大体中心になつて参るのでありますが、数種類のブラウン管の形は必要だと存じます。ただこれがあまりに多くなり過ぎるということは好ましくないと思つておりますが、大から小にわたつて数種類のものをつくななければならぬということは、需要に即応するという意味におきまして、やむを得ないことではないかというような考え方を持つておる次第であります。
○長谷川(四)委員 私はあなたのお考えとまつたく考え方を異にするものであります。たとえば七インチから二十五インチまであるとする。日本の家庭にいかに普及するかという問題でありまして、その問題は、要は日本の家庭に何インチなら一番よく目に映るか、受像として価値あるものかということで、これらの研究があなたの手によつておそらく行われておると思う。そうしてこの規格を統一して能率の向上をはかるのがしかるべきだと私は信じてやみません。従いまして、たとえば規格を統一するならば、甲という会社、乙という会社、幾多ある会社の部品がどちらへでも融通がつくというところに、私は最も能率的なものがあると思うのであります。これらに対して消費者が要求するからかつてなものをメーカーにつくらしておくということでは、いつになつても日本の技術の向上と相マッチして普及ができ得ないと信ずるのであります。こういう点について、何か規格を統一すべきであると私は思うのでありますが、あなたにはそういうお考えはございませんか。
○葦澤政府委員 長谷川さんの御説のように、規格を統一と申しますかある程度統合するということは、私も御同感に存ずるのでありますが、ただ十四インチに統一してしまうか、あるいは十七インチがしかるべきか、二十インチに統一するか、こういうような一つにしてしまうということにつきましては、これは必ずしも需要の内容を規制するという意味だけでなく、やはりある種類のものは必要じやないかという考え方をいたしておるのであります。長谷川さんの御説のように、現在十七インチのものが大体約四割ぐらいを占めておるように思うのでありますが、四割が十七インチものだから、すべて今後十七インチ一本で参ろうということは少し統一し過ぎるのではないか、こんなような考え方をいたしておるのであります。
○長谷川(四)委員 何も規格を統一するということは、私は一本でなければならぬという意味ではございません。一、二のものをつくり、そうしてこれを普及するんだという、普及版というようなものを決定すべきであろう。そうしてその価格というものが、現在あなたの知つておるような価格ではいかに国民の文化の向上などと言つても、とうてい買い得らるべきものではありません。規格を統一して生産能率を高めて行つたならば、私は生産コストの引下げができるであろう、こういうように考えるからでございます。ただそれのみではない。今これらの工場の建設にあたつて、それに対する融資をどのようにお考えになつてあなたの手からやつておるか、それらについてお伺いをいたします。
○葦澤政府委員 たとえば普及版のようなものをつくつて大いに生産能率を上げる方式、並びに価格の低廉を期したらどうかという御説はごもつともでありまして、そういう意味におきまして、私どももまつたく御同感な次第でございます。これらが量産化されることになりますれば—現在大体一インチ一万円というような見当をつけておりますが、実際上は現在のような量産化が行われないときには、一万二、三千円しておると思います。これをわれわれの見通しとしましては、五箇年後には約半分にしよう、これにはやはり量産化が必要だろうと思います。そういう意味におきまして「各生産会社においても、それぞれ設備の整備を行つておるのでありますが、これが所要資金につきましては、相当な資金調達希望—われわれは約十億くらいなものが希望としてはあろうと思つております。これにつきましては、開銀融資ということにつきましても目下検討を進めておりまして、何らか資金の上においてもこれが達成について力添えをしたいという考えをいたしておる次第であります。
○長谷川(四)委員 多数の部品が輸入をされておるというようなお話も承つたのでありますが、私は絶対輸入は遅けなければならないと思う。従つて日本の技術をいかに向上し、いかにこれを生かして行くかということが問題でありまして、これらの技術研究というようなことに対して助成しておるか、それともテレビ工業化試験というようなものに対して補助しておるか、この二点についてお伺いをいたします。
○葦澤政府委員 テレビ工業の確立のためには御指摘のように、技術の進歩改善が、わが国に空白な時代があつて遅れをとつておりますだけに、きわめて重要であります。通産省といたしましては、二十五、二十六、二十七、すでに三箇年にわたりまして、テレビ技術の向上に関する補助金、工業化補助金と試験研究補助金と二本建の補助金の交付をいたしておるわけでありますが、二十八年度におきましても、工業化補助金あるいは技術研究補助金の制度がございますので、優秀なるこれらの補助金の交付申請に対しましては、できるだけ多く交付いたしまして、これらの技術の進歩改善に努めたいと考えておる次第でございます。
○長谷川(四)委員 今日本におきまして、会社組織をもつてテレビの月賦販売を主とするものが二、三あると聞いておるが、これらはあなたの方とは何ら関係がないものか。こういうようなものが価格を一段と引下げて、そして月賦販売をもつて奥地まで購入できるような方法にしてやりたいというのが私の考え方ではありますけれども、今二、三結成されておるというそれらの会社と、通産省として何か関連性を持つているかいないかをお伺いいたします。
○葦澤政府委員 テレビの受像機の販売会社につきまして、二、三のものがすでに設立をされておるということは、御指摘の通りわれわれも承つております。しかしながら通産省といたしまして、法制上はこれとじかに何らの関係もございません。ただ月賦販売等について、いろいろなやはり資金、あるいは受像機の入手ということが必要になるという意味におきまして、販売会社の方から連絡を受けておるような次第でありまするが、通産省といたしましては、これらの問題につきまして、その普及の健全な発達を期するという意味におきまして、できるだけのことはいたしたいというふうに考えておる次第であります。
○長谷川(四)委員 これは局長の方とは違うがブラウン管の輸入税二五%、セットが二〇%、部品が五%、ワン・セツト三〇%というような税金をとつているようだが、この税金の課率改正をやるというようなお話を承つておるが、これらに対して何か局長の方に会議があつたかどうかをお伺いいたします。
○葦澤政府委員 関税の今の御指摘の点につきましては、われわれは改正等につきまして何らまだ議を受けておりません。
○長谷川(四)委員 最後に、このわれわれ国会が、いかにしてテレビを普及するかという問題、一日も早くこれを行いたいというのが念願であつたのであります。今のような高額では、とうていこれを個々が買入れるわけには参りません。「従つてどうしても日本国内、つまり日本人の持つている技術を向上し、日本人の技術によつてのみこれが生産されなければ、とうてい価格の引下げということは困難であろうと思うのであります。こういうような面について、今のあり方でそのまま野放しにしておくようなことであつては、どうしても目的を達することができないのであります。あなた方はこれらのメーカーに対していま一段と努力をさせてもらわなければならないと思うのであります。今のあり方で参りますと、都市にのみ偏重しやすい。文化というものが機会均等の立場からひとしくこれを国民全般にわかち合うことができないのでありまして、こういう点に考をいたし、ぜひともこの普及を早急にやつてもらつて、能率化していただくよう、特段の御考慮をお願い申し上げまして、私の質問を打切ることにいたします。
○坪川委員長 他に御質疑はありませんか。—他に御質疑がなければ、本日はこの程度といたし、明日午前十時より開会いたします。 本日はこれをもつて散会いたします。 午前十一時三十五分散会