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15回国会衆議院1953/02/10

通商産業委員会 第17号

発言数
43
登壇者
5
会派数
3
開催日
1953/02/10

会議録

坪川信三自由党

○坪川委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず輸出品取締法の一部を改正する法律案を議題といたし、政府より提案理由の説明を求めます。小笠原通商産業大臣。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 輸出品取締法の一部改正案の理由を御説明いたします。  現行輸出検査制度の基本法でありますところの輸出品取締法は、昭和二十四年及び昭和二十六年の二回にわたり改正を加え今日に及んでいるのでありますが、その内容といたしますところは、まず主務大臣が輸出品の品目を指定し、そのおのおのにつきまして等級、輸出の最低標準または包装条件を公示いたします。そこで一般の検査品目につきましては、輸出業者または生産業者が表示の責任者となり、公示されました標準または包装条件に基き自家検査を行いまして、適正な等級等を一定の様式に従い輸出品に表示いたしますれば自由に輸出することができるのであります。また双眼鏡、家庭用ミシン、軸受及び鋼球のごとき特定の検査品目につきましては、表示者を制限いたしまして、主務大臣の登録を受けた者または政府機関(現在通産省工業品検査所)のみが、適法の表示をなし得る民主的検査制度であります。もつともこれらの民間における表示の励行を確保いたしますために五種類の政府機関が設けられており、日夜輸出検査官が、輸出品の臨検検査を行つているのであります。  この制度は、終戦後経済民主化の一環として発足したものではありますが、わが国貿易の実情に必ずしも適合したものとは言いがたく、特に最近における本邦輸出品に対する海外の批判、すなわち輸出クレームの半分は品質不良によるのでありますが、これを顧みますれば、すみやかに現行法の一部に所要一の改正を加え、検査制度を確立し、今案ますます競争の熾烈化を予想せられます国際市場裡におきまして輸出貿易の飛躍的振興をはかる一助といたしたい考えでございます。  政正の第一点は、品質に関する最低標準を設ける輸出品の範囲を拡充いたしたことであります。すなわち、現在最低標準を定める品目を指定いたしますには、保健、衛生、安全、純度または機能のみの観点からこれを行つておりますが、品目によりましては最低標準を定める必要がありながら、この条件によつては、指定し得ないうらみがあるのであります。よつて、この指定条件を「品質」という包括的観点に改め、検査を必要とする輸出品に対しては、すべて品質の面から輸出の最低線をしき、粗悪品の輸出を防止し得ることといたしたのであります。  改正の第二点は、仕向地別に異なる最低標準または包装条件を定めることができるようにいたしたことであります。これは一般に輸出の最低標準(またに包装条件)を設けました品目につきまして、特定の地域、すなわちたとえば文化の高度に発達いたしました国におきましては、その国の需要に応じ、かつ競争品との対抗上、一般の最低標準または包装条件より高いものを定める必要が生じてくるのであります。かような意味よりいたしまして、一般の最低標準と異なる高い標準を定める規定を設けた次第であります。  改正の第三点は、輸出品に特例を設けたことであります。御承知のように現行法におきましては、輸出品に一切例外を認めておりませんが、本邦にある外国公館が送付する貨物、引越荷物等にも本法は等級の表示を要求しており、これは実情に適合したものとは言いがたいので、これを適用除外といたしたいのであります。  また、風水害等に遭遇した特定の地域における難民救済用等に充てられる貨物その他輸出品の声価を害するおそれがないと認められるものにつきましては、主務大臣の許可により本法による表示を行わず輸出し得ることといたした次第であります。  改正の第四点は、被登録者の公共的性格を強化し、民間検査機関としての地位を確立しようとすることであります。  現在、民間検査機関の登録制度は、双眼鏡、家庭用ミシン、軸受及び鋼球について行つておりまして、登録基準といたしましては、特別の検査機器の種類と性能並びに検査人の知識経験の程度のみを掲げるにとどまり、申請に応じてこれらの基準に合致しました者を無制限に登録いたしておるのであります。従いまして、登録基準がきわめて容易でありますことと関連いたしまして、被登録者の数は、現在(二月一日)九十に達しておりますが、その大部分(八十)は、一般の会社を登録しておるのであります。これらの被登録者の実態につきましては、政府機関による臨検検査をたえず行つておりますが、その成績は遺憾な点がすこぶる多く、登録制度の将来を憂慮せざるを得ない次第であります。また海外よりの批判におきましても、権威ある第三者的検査機関の公正な活動を要望する向きが多いのであります。  以上二つの理由に基きまして、この種の機関の厳正化をはかりますとともに、その充実した活動によりまして、検査の公正を期し、本邦輸出品に対する国際信用を急速に回復いたしたい所存であります。  以上の理由によりまして、被登録者の登録基準を改め、その質的向上をはかりたいのであります。これがため、現在の登録基準である検査設備と検査入の知識経験のほか、新たに検査人及び事業所の数を定め、被登録者の営む兼業の制限並びに人的構成の規正を通じて、公正な検査を行い得る者を登録するよう配慮し、かつ被登録者の数をある程度制限して、検査の無用な競争を避けることといたした次第であります。  改正の第五点は、被登録者の監督を強化することであります。被登録者は、前に述べましたように登録基準の向上によりまして、公益性を持つ検査機関として誕生いたしますので、その監督も現在より強化する必要があるのであります。かような意味から被登録者の業務規程を認可制といたし、業務の休止または廃止につきましては、一一主務大臣の許可を要することとし、かつ現在政府機関による立入検査は、被登録者の検査設備と帳簿とを対象といたしておりますが、今回の改正によりましてその対象を広げ、業務の状況を検査し得る等といたした次第であります。  改正の第六点は、被登録者のする処分に対しまして不服のある者にも聴聞会開催の請求に応ずる道を開いたことであります。  御承知のように、現在政府機関のする処分に対しまして不服のある場合は、聴聞会を開催し得ることとなつておりますが、被登録者の地位の改善に伴いまして、被登録者の行つた表示等の処分につきまして不服のある場合も、新たに聴聞会の開催を請求し得ることとし、輸出業者の利益を擁護いたしたいと考える次第であります。  以上が今回の改正の要点でありますが、何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたす次第であります。     —————————————

坪川信三自由党

○坪川委員長 次に通商産業政策の基本方針に関する件について質疑の続行をいたします。質疑の通告がありますからこれを許します。木下重範君。

木下重範無所属倶楽部

○木下(重)委員 大臣にちよつとお尋ねいたしたいのでありますが、先般の基本方針に対しますところの説明で、国家産業の根源は、電源開発にある、従つて国家予算も抜本的に多額の国費を出資するというような御説明があつたのでありますが、これは現下の情勢に最も適応したことでありますので、われわれも双手をあげて賛成するものであります。しかし一面、今度の国会で特に取上げられました問題は、いわゆる中小企業者の救済、保護育成の問題であります。大臣はこの電源開発に対して中小企業者を活用することにより、この中小企業培が救済される方法等につきまして、考慮検討されておられますかどうか。この点について所見を伺いたいと思います。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 電源開発用の機械器具等につきましては、その価格とか性能等に特別な差異がある場合を除きましては、大体国産のものを使うことにいたしておりまするし、また電気機械器具のメーカーのうちで、なるべく中小企業者のものを使うように、私どもの方でも電源開発の担当者の方へ要請することにいたしております。電源開発と申しましても、御承知のように、今は電源開発会社が行つておりまするほかに、電力会社が行つておるものもありまするし、各地方庁が行つておるものもございまするし、非常に広範囲にわたつておりまするので、できるだけそういつた方面の力を使いたい、こういうふうに実は努めておる次第でございますが、電源開発会社が、たとえば天龍のあの佐久間ダムというようなものをやります場合は、直接の請負をするものはどうしても大きなところになると思います。けれども大きいところだけではやり得ることではございませんので、自然そういつた力を使うように私どもの方では勧告しておる次第でございますが、御趣意をくみまして、なおそういつたことを努めてやらせるようにいたしたいと存じております。

木下重範無所属倶楽部

○木下(重)委員 これは私の意見もまじるのでありますが、何といいましても現段階におきましては、事業としては、国家的に見まして、電源開発の事業が一番大きな事業であります。この事業に向つて、一流メ—カーがあの手この手で資材納入、工事獲得に血まなこになつておるように聞いております。よほど注意を払つていただきませんと、御承知の通り、さきの保安庁の前身でありますところの予備隊で、資材、製品等の納入につきまして疑獄事件も起つております。現在この電源開発事業に対しましては、業界は全部注目しておるのであります。そこで、さようなことはもちろんありますまいが、とかく情実因縁によりまして、利権屋が暗躍する機会をつくつているように感じられるのであります。私が特にここで提案いたしたいと思いますことは、電源開発事業遂行についての年次計画推進のため、もちろんメーカーと直接取引をされるのもけつこうでありましよう。また一面国費節約という面から——ちよつと私耳にしたことでありますが、このたび着手されましたところの天龍川佐久間の発電所、この所要のセメントを安価で急速に間に合せるために、某セメント工場に資金の保証を与えて工場建設をさせるという処置をとられたように聞いておりますが、これは内容を聞いてみますと、はなはだけつこうなことと考えております。しかし、ここでメーカーが開発会社に出入りする状態を考えましたときに、御承知の通りメーカーが開発会社に品物を納入するようになりました際には、必ずいろいろの資材あるいは製品の見積りを命ずるわけであります。ところがこの商社から中小企業者に対しまして、その製品の発注をなすについて、実際に仕事をするのは中小企業者であります。従つて、商社が信用でき得るような中小企業者に、直接その仕事を開発会社からやらせる形にいたしましたならば、商社に払うマージンも助かるわけであります。そのことによつて中小企業者が救われるという状態が現われて来るのではないかと思います。もちろん業種は広汎でありますから、各種にわかれておりますけれども、私はそうした処置をしてもらうことこそ、この大事業に関して中小企業者をほんとうに救うゆえんじやないかと考えるのでありますが、大臣はどういう御意見でございましようか。さつきの御趣旨で大体わかりましたけれども、こういう点に特に御考慮を払つていただきたい。特に会社にそうしたことをよく進言していただきたいと思うのでございますが、大臣はいかがお考えになりますか。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 木下さんのおつしやつた今の佐久間ダム所要のセメントは、相当多量にいるそうでありまして、先般高碕さんがやつて参りまして、それがためには、あそこに磐城セメントと提携してセメント工場をつくる、そうすることによつて、何でもかなり安いセメントができる、そういうような計画を立てておりますから、という話がありましたが、これは私の方で認可する事項でもないようです。安くできることは、私も希望する、こういつておいたわけでしたが、それ以上の話はございませんでしたので、それ以上立入つても聞きませんでした。ああいう仕事でセメントが多量にいることは、私も了承したわけですが、高碕さんという人も人格的にりつぱな人だから、そういつて安くやり上げることは非常に望ましいことだと思います。そのやり上げるについて、今木下さんがお話になつたような、中小企業者をなるべく使うことによつて——日本ではどちらかというと、中小企業者は不況のいろいろのしわよせは受けますが、好況のときはあまり恵まれることが少いというような状況にありますから、お話の趣旨は、高碕さんも見えますから、私からもよくお話をいたしてみましよう。ただ、こういうことはあるのです。ああいう比較的大きな仕事をやるときには、責任をもつて遂行してくれることがきわめて大切な問題であります。この点について、率直に言いますと、私どもがあまり干渉がましいこともやりにくいということもございますので、今お一話の点は、私としては当事者におまかせをしたいという考えではおります。しかし、お話をしてみたいと思つております。

木下重範無所属倶楽部

○木下(重)委員 私が申し上げました点は、ほかにまだもう一つの理由があるのであります。ただいま大臣の説明で私も大体了承いたしましたが、もちろん立入つて大臣の方からこうせいああせいというさしずはできますまいけれども、私の申し上げております中小企業者と申しますのは、メーカーが頼まれまして、メーカーがさらに中小企業者に頼むという形式があるのでありますが、そのメーカーの信用できるような中小企業者であれば、おそらくその信用程度も十分に買われるのであります。そうしたものについて特にそうした処置をとつていただきたい、考えてもらいたい、こういう趣旨であります。特に私がメーカー等を排撃する考え方を持つておるように思われますが、そうではありません。大メーカーは大メーカーでなければならない仕事があるのでありまして、決してこれによつて大メーカーが損害をこうむることはないのであります。さつきも言つたように、今度着手されました天龍川佐久間発電所の方に、それに要するセメント工場を建てられる、これはけつこうだ、私は賛成するわけであります。時宜に適した処置でありまして、安い材料を急速に間に合せる意味において、特にそうした処置をとられたということを聞いておりますから、そうしたこともけつこうだということを私申し上げておきます。それで、中小企業者に対して特にそうした御考慮を願いたいと申しますのは、たしか今度提案される予定になつております中小企業金融公庫、さらに従来からありました商工中央金庫あたりを見ましても、運用面においてなるほど担保や確実な保証があれば比較的よいでありましようけれども、中小企業者はこうした面に非常に恵まれない。今どういう面で金が出されておるかというと、大臣も御存じだろうと思いますが、相当信用のある会社からの発注書あるいは請負書、そういうものによつて金を出しておる状態であります。従つて、中小企業者はどうかと申しますと、電源開発のような大きな事業でありますと、その発注書をもらつたり、資材の納入書をもらえばこれができるわけで、ただちに救われるわけであります。ところが現在のあり方は、中間の注文者から注文をとりまして、資材の納入書を持つて行きましても一発注者の方の信用が十分でないというところから、なかなか金融を受けられないで行き悩んでおるという状態がある。これは大臣も御承知だと思います。そうした面からいたしまして、もしこれを活用されることになりますと、中小企業者は喜び勇んでこの仕事をするのではないかと考えられますので、こうした大事業については、十分信用調査をされた上で中小企業者の仕事を生かしていただきたい、こういうことをお願いする趣旨を私は申し上げたのであります。大臣におかれても、おそらく同感だろうと思いますが、御意見を伺わせていただければけつこうだと思います。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 木下さんの御意見は十分傾聴いたしまして、私どもも中小企業の育成については、中小企業が日本において占める重要性にかんがみてそういうふうに十分やつて参りたい。今お話のように、零細企業については、国民金融公庫とかああいうものに行くのでありますが、今後は、組合金融については主として商工中金、それから企業というか、設備資金については、今度つくる中小企業金融公庫を主として使つてもらいたい、こんなぐあいに考えておりますので、その資金を使う分野をよくただしまして、三位一体というか、三者をぐあいよいよ活動させて行きたい。どうせ最初はなかなか十分な資金とは申されません。けれどもだんだんと、これはレールを敷いたようなかつこうになりますから、数年後にはこれで相当な資金の供給ができるのじやないか。これといつぞや申しました通り、各地方銀行がそれぞれ相当中小企業に金融をしてくれますので、それらと相まつてやつて参りますれば、中小企業の金融面が相当使命を果されるのではないか、こんなふうに考えてやつておりますが、なお、いろいろ御鞭撻を願つて、その使命を果して参りたいと考えておる次第でございます。

木下重範無所属倶楽部

○木下(重)委員 大臣も大分時間をお急ぎでありますから、本日提案されました輸出品取締法の一部を改正する法律案に対しては意見がありますが、これは後日に譲りまして、ただ一点だけ中小企業金融公庫に対する大臣の所信を伺いたいと思うのであります。これは商工組合中央金庫法の一部改正によつて目的を達成せられるのじやないかという感じがするのであります。いろいろ比較検討してみたのであります。すなわち政府が大幅に出資を増額いたしまして、結局従来の商工組合中央金庫に出されておりますところの、いわゆる組合組織の困難な業者に対しまして、別の方法をもつて貸付の対象として、組合外の補助をしてやるというようにすれば、大体において一部改正の目的が達成されるのじやないかと考えるのであります。  私がこう申し上げます理由は、従来政府の方針としておりますところの業者の組織化が、最近やつとどうやらこうやら軌道に乗つたようであります。今こうしたものをさらにつくられることになりますと、結局この組織化の熱意を失わしめてしまつて、中小企業対策の根幹でありますところの組織化が崩壊するのではないかというふうに私は考えるのであります。そのことは結局商工中金を弱体化せしめるというおそれが生じて来るのじやないかという考えを持つておるのであります。私は中小企業の組織化を推進せしめる線で、系統的にこういう体系というものを装備して行くのが妥当ではないかという考えを持つておるのであります。政府はどうでありましようか。今もしこの商工組合中央金庫法の改正によつて、この目的が達成されると思われるようでありますれば、その改正によつて進めるという方途はありませんか。お伺いいたしたい。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 実は木下君も御承知と思いますが、日本で中小企業に対する貸出しを通算いたしますと、大体現在で八千数百億に達しておると思います。そのうち地方銀行が出しておりますのは、大体その三割の二千数百億であります。その商工中金を組合外の者にも貸し出さすということにいたしましたり、あるいは何かいたしますと、地方銀行との間に摩擦を生じて来まして、地方銀行が貸出しを躊躇する、こういうことになつて、その結果は、かえつて中小企業に対する金融面がおもしろくなくなる、こういう大きな結果を来すので、それで商工中金をそう使つてもらつては困るということがやかましく言われた。それと商工中金というものは、長期運転資金まではいいのですけれども、設備資金ということになると困る。ところが中小企業者のうちには設備が相当老廃しておるものが多く、いわゆる陳腐化した設備が多いのでありまして、いわば設備の更新をするのでないと、これらがだんだんと時代遅れのことになつて、ますます企業が収益性を失つて来る、こういうことにもなり、こういつた長期の資金を供給したいという考えもありいたしますので、そういつた点から一口に言うと、長期資金を供給する機関がいるんだという考え方からあの金融機関をつくる。こういうことにした次第で、言いかえますと、短期の金融機関と長期の金融機関、それから零細の金融機関と、この三つがあると、中小の金融機関がそろつて行くのではないかという考え方から出ておるのでありまして、私どもは組合金融というものは今後ますます助長して参りたいというふうに考えております。これは普通の金融についても大体そういうふうな制度がとられておりますが、中小の金融についてもこの三つがいるんだ、こう思つておりますので、もしその間に弊害等が出て参りますようなことがあれば、この弊害はためて行くようにいたしますが、一番大きいのは実は地方銀行との摩擦なんです。そういうふうな点から考えた次第でありますので、まず私はこの三つがかなえのごとくに進んで行くことが一番いいんじやないか、こう考えている次第でございます。

木下重範無所属倶楽部

○木下(重)委員 まだいろいろの問題につきましてもう少し御意見を伺いたいと思いますけれども、時間の関係がありますから、今日はこの程度で打切ります。

坪川信三自由党

○坪川委員長 伊藤卯四郎君。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 まず大臣に先にお尋ねをして、あとは政務次官に伺います。  私がこの間質問いたしましたのは、今日製鉄鉄鋼業者が相当赤字である。従つて輸出の関係においても、今言われる出血輸出ということで、市場獲得のために無理しておりはせぬか。そういう点から鉄鋼業者も値段を下げたいのだが、下げられぬでいる。さらにそこへ労働組合から新たに賃金要求が出ている。こういう点で鉄鋼業者も製鉄業者も相当苦んでいるという点についてお尋ねをしたところが、大臣は私の言うほど赤字じやなくて、配当しているところもあるし、黒字もあるしという非常に経営に楽観論を言われておりましたが、それは聞違いがないかどうかを先に伺いたい。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 これからの経理については存じませんが、ただいまのところは各製鉄会社はいずれも利益を計上しておりまして、また配当をいたしておりますことは御承知の通りでありますから、私は赤字であるとは見ておりません。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 そうしますと、鉄の値下げをしなければならぬということは、御承知のように造船業においても、車両においても、機械工業においても、切実にこれを求めておる。また鉄鋼材の値下げをしなければ、ここでつくつた機械も輸出ができないということで、今日車両及び機械工業などでも輸出の上から見て非常に大きな悩みになつて、鉄鋼値下げを切実に求めておるのであるが、何ゆえに日本の工業復活のために、またこうした重工業関係の輸出の増進のために、鉄が高いのでやれないでおるが、こういう点を通産省では妥結されないのか、どの点に値下げの妥結ができない原因があるのか、今の価格のままでよろしいのか、どの程度下げなければ国際市場に打ち勝てないのであるか、こういう点について具体的にお示しを願いたい。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 現在の鉄鋼価格では国際競争力を持ちません。従いまして鉄鋼価格はこれを引下げる必要があると存じまして、昭和二十六、七、八のこの三箇年にわたつて鉄鋼合理化計画を立てて、これに資金の供給等をいたしておるのであります。すなわち日本の製鉄業者は非常な旧式な機械とボロボロな機械でやつておりましたので、相当大きな資金を出しまして、製鉄機械の更新をはかつております。それで二十八年度で一応機械が更新されますから、二十八年度ではその部面から機械がよくなりまして、製鉄のコストがやや下りますが、何と申しましても最も大きいものは石炭の価格なのであります。まずその石炭の価格が安くなることが製鉄価格を最も安くするものなのでありまして、私どもはその点から石炭の価格を安くしよう、こういう点に重点を置いて、今は石炭価格の引下げに努力をしておる。先般伊藤さんは、夏になると千円以上も石炭が安くなるぞとおつしやいましたが、あなたがおつしやるように安くなれば、もう鉄鋼価格はそれだけ安くなつて参ります。私は千円安くなるかどうかわかりませんが、少くとも五箇年後には、私どもの案で行きますると、石炭価格は三割安くなります。そういたしますると、鉄鋼も国際競争力を持つて参ることになると信じております。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 核心に触れた点を御答弁を伺つたのでありますが、大体日本の鉄鋼の生産費を内訳いたしますと、あるいは輸入原鉱なり石炭なり、そうした原料にいる費用、あるいは人件費、その他のものに含まれる内訳関係を、国際的に比較して、どの点がどのように日本の鉄鋼が不利な立場に立たされておるかを、ひとつお示し願いたいと思うのでございます。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 こまかい数字は政府委員より答弁いたさせますが、今申し上げたのは、ごく大きな数字を申し上げたのであります。そのほかにも、鉄鋼の価格を安くすることは当然でありまして、それには、今の日本の鉄鉱石は輸入のものでありまするから、その輸入の鉄鉱石を近いところでとり、あるいは運賃を安くすることにいたし、あるいは輸送設備をかえること等によりまして、これを下げて行く。どれがどれだけのパーセンテージを占め、どれをどこまで下げ得るかというようなこまかいことについては、政府委員より答弁いたさせます。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 それではあとで政府委員から、大臣がお帰りになつた後に伺うことにいたします。  大体御承知のように、国際市場では丸棒がその国の鉄の価格というか、あるいは国際価格というか、そういうことで見られておるのであります。日本のこの国際市場における丸棒価格というものは、どのくらいで売れば引合うのか、あるいは外国との関係でどのくらい高いのか。それを日本の鉄鋼業者は出血輸出と言つておるが、その出血輸出の額はどの程度のものをさしておるのか。こういう点をひとつ伺いたいのでございます。もしこれは政府委員でなければならぬということであれば、この点はあとで政府委員から答弁を求めます。もし大臣この点で答弁されることがいいということであれば、伺いたいが、どうでございましよう。これは政府委員の方がよろしゆうございますか。——それでは、それは政府委員の方に譲ることにいたします。  そこで、先ほどから大臣が答弁をされております中に、どうもまだはつきりしないのでありますが、日本の鉄鋼価格が高いことは大臣御承知の通りで、国際的な上においても国内的な上においても、鉄鋼価格が高いので、先ほどから申し上げる船なり車両なり機械なり、そうした輸出向けのものがつくられないでおるのが、今の重工業の大きな悩みである。そこで国際価格に太刀打ちのできるように日本の鉄鋼業を近代化する上においては、設備を近代化するということが急務なのであるか、あるいは依然として古い形のままで、たとえば技術、あるいは歩どまり関係、あるいは労働生産性、そういう点において古い惰性がそのままのために能率が上らないのか、設備が近代化しないために能率が上らないのか、こういう点をひとつお伺いしたいのでございます。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 まあおつしやつたすべての点を合せて能率が上らない、こういうふうに申したらよかろうと思います。但し情勢の変化によつて、去年などは伊藤さんも知つている通り、約百万トンくらいは日本の鋼鉄でも輸出したのです。そこで今のような情勢の変化に応じて、現在の段階で、私どもは今後も輸出能力を持ち、国際的に競争力を持つのにはどう持つて行つたらいいか、こういうことで、今すべての施策を立ててやつておるわけで、過日来申しました通りに、現在の情勢では世界的にまず好景気は期待できない。また世界には大体物資が過剰状態である。従つてその情勢のもとでどういうふうに日本の政策を持つて行くかという点から、すべての施策を立てておる次第で、そういう点から割出すと、今おつしやつたことは、それらに対するすべての施策を立てて行かなければならぬ、こういうふうに考えております。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 どうもはつきりしないのです。たとえば具体的に私の方から申し上げますが、石炭などにおいて国際市場に打ち勝つためには、石炭を炉前五千五百円ぐらいに下げてもらわなければならぬ。あるいは船賃においても、相当外国の船賃かせぎの犠牲になつておることを省いてもらわなければならぬ。あるいは輸入原鉱においても、一割五分以上引下げてもらわなければならぬ。こういう条件がそろわなければとうてい外国との太刀打ちはできないということが、はつきり出ておるのでございます。さらにまた設備においても、さつきから大臣が言われておるように、設備は老朽老廃しております。近代化々々々と言つておるが、この点が国際市場競争に大きく太刀打ちのできない点が現われておるのでありますが、その設備の近代化と言われる点において、どのような対策を立てて、近代化して国際市場に打ち勝つ態勢をとろうとしておられるかどうか、この点は大臣はお考えになつておると思いますので、お示し願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 さつきも申しました通り、石炭については五箇年後に現在の市価より三割引下げるという案で、過日来お話した通り、縦坑その他あらゆる施策をとつておることは、もうすでに説明済みでありますから、ここで繰返しません。また二十六、七、八年三箇年間で設備の近代化をはかつておるのでありますから、この二十八年度で一応完成いたします。従いまして二十八年度がたちますれば、製鉄設備の近代化は一応でき上ります。従いましてお話の点は、そういうふうに行つておるのであります。また最近できつつあるものは、みな近代化された設備でございます。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 この近代化に対する政府からの資金投入について、具体的にあとで資料でもよろしいが、ひとつお示し願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 昨年と本年とで開銀資金で八十億円出しております。自己資金は別でありますが、開銀から出したのが八十億円であります。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 その点もそれが大体どのように計画的に使われたかという点については、あとで政府委員の方から説明を求めることにいたします。  さらにお伺いしたいのは、赤字か黒字かというような問答になりますが、実は私どもの調べておる点では、今製鉄、鉄鋼業、特に製鉄などで配当しておる、あるいは赤字はあまり出しておらぬという点などは、いわゆる外部をごまかすというか、偽るというか、そういう意味でのたこ配当であることをわれわれは知るのであります。これはおそらく大臣も気がつかれるところだと思いますが、たとえば社債の関係、金繰りの関係、いろいろそういう関係がありまして、つまり経営上のいろいろな操作をして無理な黒字を出したような形、あるいはたこ配をしたような形でやつておることが偽らざる姿であると私は思つております。しかしこれは決して健康体ではありませんから長続きをしません。そのままの形でさつき大臣が言われたように、製鉄、鉄鋼業というものを政府が見て見逃しておられるならば、いよいよもつて窮地に立たざるを得ないことを私は深く憂慮をしております。経営上の点においてそのような操作上に非常な無理をしておるという点などについて、大臣はお感じになつておられるかどうかをお伺いしたいのであります。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 伊藤さんの言われることが現金についてのお話ならば、あるいはそういうことかもわかりません。しかし商法が規定しておる、いわゆる貸借対照表から出て来る資産、こういう利益勘定というものについてならば、会社は二割の配当を現にしておりまして、また相当大きな利益勘定を出しておるのでありまするから、現金を持つておる、持つておらないは別でありますが、私は経理の面から見るならば、ごまかしておるとは考えません。それは伊藤さんも知つておられる通り、利益勘定が出るからそれだけ現金を持つておるかと言われたら、これは会社のことでありますから現金は持つておりますまい。現金は持つておりますまいが、貸借対照表上の利益勘定、いわゆる商法で定めてある利益勘定というものから見ますならば、何らごまかしておるものではない、私はかように考えております。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 これは問答みたいになりますけれども、今大臣が言われるように、なるほど表向きはそうやらなければならぬのは、これは法律の規定でございます。これは会社経営の当然の常道でございます。ところが今日の鉄鋼界は目下非常に対立をしております。弱いしりを見せたくないというのが今日の現状であります。そこで国際市場においてもやはり——これは後刻政府委員との間に話合いをしますが、出血輸出をてしおることをわれわれは知つております。そこでそういう苦しい中において、やはり会社の信用を落さないようにしなければならないというところから、経営上の操作において、いろいろからくりをやつております。しかしそれはもちろんそういうことをやつていることが表に現われて来れば当然問題になりますから、これは表に現われません。しかしながら実質的においては、今私が言うことは絶対間違いありません。私はこの点を鉄鋼国策として立てる場合に、やはり十分見きわめて、その点を突いて国内の重工業関係においても鉄が安く売られるように、国際市場においても打ち勝てるようにするのには、経営体をどのように整備させなければならないか、あるいは経営などが戦後非常に奨励をしてやつたために非常にダブつております。こういうダブつておる点などをどのように統合してやらすべきか、いろいろそういう核心に触れて私は対策を立ててやることが、日本の製鉄、鉄鋼業が健全なものとして国際的に打ち勝つて行ける基礎ができるものと信じておる。この点に対して最後にひとつ大臣の抱負方針を伺いたい。  それから鉄鋼生産については、依然としてアメリカ依存的な考えで行かれるのか。さらに東南アジアに対する原料市場の関係においても、開発とその市場を開くという方針で行かれるのか、この点に対してあわせてひとつ伺いたい。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 鉄鋼政策につきましては、別にアメリカ依存というような方針はとつておりません。現に東南アジア方面に、あるいはフイリピンであるとか、あるいはゴアであるとか、あるいはマレーであるとかいう方面に鉄鉱資源を持つておりますが、これは伊藤さん、率直に言うと海南島からでもどんどん鉄鉱が来るようになると、これは最も日本のためには有利でありますが、まだそこまで参つておらぬことをはなはだ遺憾といたします。  それから今の話でありますが、これは健全な経営の上から見れば、なるべく資産の評価を少くして置くことが望ましいのでありますが、しかし私が申したのは、会社が経理の上から見て決して帳簿をごまかしたりなんかしているものではないという意味を申し上げているのであります。なおまたおそらくは含み資産と申しますか、現在の時価でもつて評価することにでもなりましたならば、会社は非常に大きな資産を持つておりましよう。このことは伊藤さん、あなたはごらんになればすぐわかりますよ。現在の時価でもつて会社が評価することになれば、これはさつきちよつとたこ配のような意味のことを言われましたが、そんなことはございますまい。これは現有の時価で見たならば、会社は相当大きな資産を持つておることは、これは疑いなきことであると私は思います。しかし会社経理の上から見まするならば、私はさつき申しました通り、現金等についてそう持つているわけではございませんので、堅実な上にも堅実にして、評価をできるだけ少くいたしますることは最も望ましいことであり、またそれが、できまする鉄鋼のコストをできるだけ安くする上にも役立つことでありますので、最も望ましいことでありまするが、またそういうふうに私ども指導して参りたいとは考えておりますが、今お話のような水ぶくれ式のことがあるとは、今でも私は考えておりません。現在の時価で評価しましたならば、おそらく今帳簿価格の何倍の資産を持つておるものと私は考えております。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 どうもその点は大臣と私と水かけ論になつてしまいますが、今大臣の言われるようなことを私は惰性の食いつぶしと言うのでございます。なるほど今資産が減つておらぬと言われております。資産が減つておらぬということは、それは今まで鉄鋼界に政府が協力をしてやりました。いろいろつぎ込んである、そういう点の惰性を食つております。これは今生産をして売つて、今健全なる生産と経営と消費をしておる健康体ではありません。これは大臣が認められる通りであります。そうすると、つまり持つておるものを食つておるのだということは、私はそれをたこ配というか、食いつぶしと言つておるのであります。この点はあなたと私と議論せなければならぬことでありますから、これはやめます。私は今のような見解を持つておる。いま一点だけお急ぎのようだけれども伺いますが、今まではこれは日本の輸出業のすべてといつてよかつたのであります。鉄鋼もしかりでした。というのは、国際市場において打ち勝つためには、外国から絶えずソーシヤル・ダンピングという攻撃をさせられるほど資金操作がいろいろとつておきに使われていたのであります。ところがこの賃金操作で外国競争に打ち勝つということは、御承知のように今日労働組合ができましてから、それはもうできますまい。また国際的にもソーシヤル・ダンピングで悪名を受けるということは日本のためにもなりません。そうすると従来の国際市場で打ち勝つ賃金操作のとらの巻は使えなくなりましたから、そこで結局今後の国際競争で打ち勝つ実力をどこに置くかという点が、さきに言われた設備の近代化であるとか、あるいは鉄鋼、石炭、人絹糸とかいうものに漸次重点を置いてやるということになると私は思うのでありますが、こういう点に対して、大臣のこうして鉄鋼に対して臨んで行くのだということをはつきりとひとつお示しを願いたい。そこで今そう言うてもここで御答弁を伺うことができないのならば、次の機会でよろしゆうございますから、もつと製鉄、鉄鋼界に対する、これは基幹産業として日本の産業再建、国際市場に対する大きな実力の問題ですから、この点に対して大臣十分ひとつお考えになつて、大臣のこういう方面に対する自信のある説明、答弁を、本日伺えないなら適当な機会でよろしゆうございますから、私この点をはつきりひとつ伺いたいのでございます。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 ただいままでのところ、通産省といたしましては、石炭、電力等の引下げによりますることと、さらに産業の合理化をすること、それから金利その他を安くすること並びに輸送費、つまり鉄鉱その他を安くすること並びにこの設備の近代化等を考えておるのでございますが、これによつて大体国際競争力をこの数年後にはうけ得る、かように考えるのでございますが、しかしそのほかにも今は私企業でもございますので、課税その他政府の面でやり得る点もあると思つております。こういう面についてもいろいろ考えておりますけれども、方策はなおその情勢に応じていろいろとり得る点もあると考えておりますので、そのときどきの情勢に応じてやり得ることはすべてやつて、それで鉄鋼価格の国際競争力をつけたいと考えております。なお私がここで今申し上げたほかに失念しているところがありますれば、あらためてまた申し上げることにさせていただきます。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 この点についてはどうも私は納得できませんから、この機会に要望しておきたいと思います。これは非常に重大な問題でありますから、政府委員も見えておることでありますので、製鉄、鉄鋼に対する通産省としての今後の一つの方針とする白書のようなものでもひとつわれわれにお示しを願いたいことを、委員長から政府の方にそういう点を要望されるようお願いしておきます。大臣に対する質問はこの程度にとどめておきます。

坪川信三自由党

○坪川委員長 伊藤君、政府委員に対しまして続行されますか。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 さきに政府委員にお預けになつておつたことを御答弁願います。

葦沢大義通商産業事務官(重工業局長)

○葦沢政府委員 鉄鋼の生産費の内容はどうかというお尋ねでありますが、伊藤さんは、鉄鋼業についてはきわめてよく御研究になつてよく御承知のことと思います。わが国の鉄鋼業は、原料代に生産費の大部分を食われます。現在のところ約八五%前後が原料代になつているような次第でありまして、その他の一割五分前後がいまだに本社費あるいは労賃の中に入つているような状況であります。従いまして原料は国内で生産されるものと海外から輸入されるものとありますが、最近は特に海外から輸入されるものがむしろ上まわつているような状況でありますので、海外からの原料を安く買うとともに、国内の原料を安く買いつけることが、先ほど大臣から御説明がありましたように、鉄鋼業の合理化と相まちまして鉄鋼コストの軽減に非常に重要な問題であるというふうに考える次第であります。  それから開銀資金がどう使われておるかという具体的な内容についてのお尋ねでございますが、これは第一年度におきましては、製銑設備、製鋼設備並びに圧延設備の三設備につきまして、三箇年計画をもちましてスタートを二十六年度にいたしておるわけでありまして、二十七年度が第二年度になつております。その中で特に製銑設備につきましては、千葉の川鉄高炉の建設、近代的な溶鉱炉の建設というような面も取上げられまして、国家資金がつぎ込まれておるわけであります。第二年度の今年度におきましては、さらに特殊鋼関係の合理化につきましても、開銀資金の投入、国家資金の投入ということにつきまして合理化をいたしたいという考えで、若干の開銀資金の投入ということについて配慮されておるような次第でありますが、こういう諸設備の完成は一応二十八年度をもつて完成するというような考え方をしておるわけであります。この設備の改良によりまして、品種は御承知のようにたくさんありますが、品種によりましては、現在のままで進行したときの生産費に比べて、コストは二割くらい低減するだろうという見方をいたしておるような次第であります。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 私がさきにお尋ねいたしましたこの丸棒を中心にする国際市場における日本の鉄鋼と、アメリカ、イギリスその他の外国のそうした品々との開き、どのくらい日本の品物は高くて苦しんでおるか。生産原価からみて、率直に言えば、二十ドルくらいの出血輸出をしておるということを今日われわれも聞いておりますが、そのような出血輸出をしておるのであるかどうか。また調べるところによれば、日本の品物はよいのであるから、外国より高くてもよいというのを、高く売れないでおるというような点なども現われて来ておりますが、こういう点に対する市場を中心にする一つの情勢をひとつお伺いしたいと思います。

葦沢大義通商産業事務官(重工業局長)

○葦沢政府委員 伊藤さんの鉄鋼材の価格の問題として丸棒を取上げてのお話の点はお説の通りでありますが、ただいま正確な資料を持つて来ておりませんのですが、厚板の例から申し上げますと、日本の現在の造船用厚板としての価格が百三十三ドル、アメリカが八十六ドル、ベルギーが九十五ドル、西ドイツが百十ドル、英国が八十三ドルというような状況に相なつておりまして、相当な開きを示しておることは、これからも御指摘の通り、認められるところであります。ただ日本の製品が、特に品質が外国のものに比べて特性を持つているから、値段が高いというようなことは、価格の差の上においてはないと思いますが、何と申しましても、日本の銑鉄は、海外からの多量の輸入にまつておりまして、この原料代が非常にかさんでおるということが、日本の鉄鋼価格が高いというおもなる理由になつておるというふうに考えておる次第であります。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 外国市場を維持するために、そのような無理がされておることは御承知の通りであります。これに対して、政府としてどのような手を打つておるか、あるいは各社とも市場を維持するために、むちやくちやに他を顧みないでやつて、共食い、共倒れというような、つけ込まれるという点なども多分にあることを、われわれは知るのですが、こういう点に対する政府としての統制というか、そういう共食い、共倒れのようなことをやらせない方策というか、あるいは市場を維持するために、無理をしておるのに対する維持のできる方法というか、そういう点に対して、政府としてどのような方針を持つて指導というか方策を立てておられるか、そういう点を伺いたいと思います。

葦沢大義通商産業事務官(重工業局長)

○葦沢政府委員 海外原料の低廉な買付につきましては、御承知のように、運賃がその中の大部を占めておりまして、朝鮮動乱の勃発によりまして、運賃が約十ドル前後も高騰を示したのでありますが、近時ようやく運賃も修正をいたしまして、海運業の上から見まするならば、むしろ非常に苦しいような運賃になつております。と申しますことは、海外原料の石炭あるいは鉄鉱石を輸送しますとトン当り運賃が、最近は十ドル前後下つております。こういう面から、こういう安い海外原料を全面的に使用いたすということになりまするならば、銑鉄も相当値下りを示して来ると思うのでありますが、こういつた原料の買付につきましては、相当多額の資金を要するわけであります。この多額の資金の裏づけとしまして、あるいは利子を補給するというような考え方もあろうかと思いますが、せいぜい現在の製鉄メーカーができ得る範囲内においてストツクするという意味合いにおきまして、ユーザンスの延長——従来半年のユーザンスを一年に延長して、これが金融の打開に努めるというようなことを行つておりまするので、従来長期契約によりまして、相当高い運賃を払つておつた原料を使い果してしまいますと、そういう面から鉄鋼価格の低廉ということについで大きな光を見出すことができるようになろうかというふうに考えております。とは申しながら、高い原料代を使いましたところから出て参ります鉄鋼価格が相当高いことは、御承知の通りでありまして、この高い鉄鋼価格をもつて国際市場において競争する場合に、相当苦しいという面があることはもとよりであります。こういう面におきましてお互いに申合せと申しますか、いたずらに不当な競争をして、出血輸出というような段階に至らないために、お互いに協調するということが必要だろうと考えます。こういう面におきましては、現在御承知のように、独禁法の抵触問題が起きて参りますので、こういつた面の節約がまだできない状況でありますが、この面の打開につきまして、近く公取との打合せも行われて、おそらく本国会に改正法案が提案になるのじやないかと考えておる次第であります。なお独禁法関係といたしまして、原料としましても、国内スクラツプの買上げにつきましても、いたずらに高いスクラツプを、品物がないからというので競つて買いつけるということが、やはり高鉄価の一つの原因になるわけでありますが、こういつた面につきましても、お互いに申合せによりまして、共同いたしまして、一定の値段をもつて一定数量を買うという——つまりスクラツプ価格が年に一万円も御承知のように高下している、こういうことに対して、安定したスクラツプ価格をもつて供給が行われることが一つの重要な事柄になると思いますが、その面につきましても、独禁法の改正の面から解決を見出すことができるのではないかという意味において、ただいま立案中の次第でございます。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 先ほど局長から具体的にされた、いわゆる製鉄生産品の原料代が八五%もかかるということであれば、いかにこの先、大臣が言われたようなそういう簡単なことでないかということが、私は証明されると思うのであります。八五%原料代がかかる。人件費もかかる。その他経費もかかるわけです。いかに人件費なりその他の方にしわ寄せされているか、苦しい状態であるかということは、一見して私はわかると思う。そこで原料代がこのようにかかりますから、銑鉄が高い。銑鉄が高いからスクラツプが、局長も御承知と思うが、一万五、六千円のものが最近は二万円を突破するようになつて来ている、原料代が高い。従つて銑鉄が高くなる。それを見込んでスクラツプがぐんく上つて来る。私は、こういうことを放任しておいたら、いよいよもつて日本の鉄鋼業は国際市場に太刀打ちができなくなるという見通しに立つて、さつきから非常にくどくこの質問をしているわけでございます。そこで、この原料代のそのように高いものを安くするということについて、いろいろ心配をしておられるようであるが、この安くする計画というか、見通しについて、どういう点に自信をもつてやろうとしておられるか、こういう点を一つ伺い、それから造船の問題についても、鉄鋼原料を輸入する、あるいは製品を輸出する、そういうものに対して船の問題を、それに専属的なものを云々というようなこともとかく世評に上つているようであるが、そういうこともお考えになつているのかどうか、あわせてお伺いをしたいのであります。

葦沢大義通商産業事務官(重工業局長)

○葦沢政府委員 鉄鋼価格の引下げに対する見通しでありますが、大臣も御説明いたされましたように、鉄鋼業の合理化、設備の改善、改良によりまして、薄板等の例について説明いたしますれば、二割ぐらい現在よりは下るという見通しを持つておりまするが、その他海外原料の買付値段を安く買いつける。あるいは国内原料にいたしましても、先ほど御説明いたしましたような国内鉄鉱の買上げ値段を下げるという面についての施策と相まちまして、国際価格によつても競争できるところまで引下げを行い得るというように考えております。ただ鉄鋼業は御承知の通りに輸送業と言われるくらい運賃にかかりますので、御指摘のように専門船の問題についてもいろいろ研究いたしたのでありますが、先ほど申し上げましたように、ただいまわが国の海運運賃が非常に低落いたしておりますのみならず、さらに買いつけましたところの古船がむしろ繋船に近いというような状況等もありまして、ただちに新しい専用船をもつて運賃の引下げをはかるというほど、運賃情勢からの要請が逼迫しておりませんので、今のところ専用船をもつてこれに対処するということは考えておりませんが、運賃の高騰に伴いましては、専用船の問題を予算上からも考慮しなければならぬかと思いますが、そのときにはそういう考え方をもつて運賃の安定を期したいというような考え方をしておる次第であります。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 先ほど局長のお示しになつた数字の点で、私納得できない疑問がまた大きく出て来ましたが、ここでこの点をだんだんつつ込んで質問をいたしておりましても、他の同僚各位に対してもどうかとも思いますし、先ほど私が注文をいたしておきましたいわゆる製鉄、鉄鋼に対する国際市場を中心にするというか、あるいは日本の造船、車両、機械というか、そういう重工業、輸出生産をするようなところとの計画とあわせて、通産省の鉄鋼政策を具体的にしたものをひとつつくつて出してもらいたい。これは同僚各位も要求されるところであろうと思います。ここでこの点を局長と問答いたしておりましても、どうもだんだん食い違いが出て来たりなんかする点がありますから、それをひとつお示し願つて、その上でわれわれ具体的にこの問題をお尋ねすることにいたします。  私がさらに考えることは、たとえば今の原料なんかに対する補給金の問題にしても、そういうものも出すのか出さないのか、あるいはどういうようにして行くのかということは相当重要な点でありますから、そういう点も含んでひとつ委員長から政府側の方に今私が要望するようものを至急お出しくださるようお願いしまして、私はそれを一応見た上で質問するということにいたしまして、本日の質問はこの程度にとどめておきます。

坪川信三自由党

○坪川委員長 政府側に要望いたしておきます。ただいま伊藤委員から御提議になりました問題につきまして、なるべくすみやかなる機会に御提出方をお願いしたいと思います。  他に御質疑はありませんか。——他に御質疑がなければ本日はこの程度といたし、次会は明後日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十六分散会

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