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15回国会衆議院1952/11/29

通商産業委員会 第5号

発言数
12
登壇者
5
会派数
1
開催日
1952/11/29

会議録

坪川信三自由党

○坪川委員長 これより会議を開きます。  本日は電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案を議題といたし、本案に関連して、炭労、電産スト問題に関し、参考人より意見を聴取することにいたします。  この際一言参考人の方々にごあいさつ申し上げます。本日は御多用中のところ本委員会のためにわざわざご出席くださいましたことを厚く御礼申し上げます。  申すまでもなく、電産、炭労ストの産業界に及ぼす影響ははなはだ大なるものがあり、われわれといたしましてもすみやかにその交渉の円満なる妥結を希望いたすものでありますが、どうかおのおののお立場より、議ない御意見をお述べ願えれば、本委員会といたしましても今後の法案の審査あるいは国政の調査のために、参考になるところ大なるものがあると存じます。  この際参考人各位に一言申し上げておきますが、御意見発表の前に御氏名御職業を述べていただき、また発言の都度委員長の許可を求めてから御発言願います。なお念のため申し上げておきますが、委員より参考人に対し質疑することはできますが、参考人は委員に対し質疑することはできませんから、さよう御了承願います。それでは順次参考人より意見を聴取いたし、その後委員より質疑をお願いたすことにいたします。なお御意見発表の時間はお一人十五分程度にお願いいたします。  なお申し上げますが、報道関係者以外の方は御退場を願いたしたいと存じます。  それではまず早川勝君より御意見を御述べ願いたいと存じますが、関係者、新聞社以外の傍聴人は御退席を願います。早川勝君。

早川勝日本石炭鉱業連盟専務理事

○早川参考人 私は日本石炭鉱業連盟専務理事の早川勝でございます。ただいま委員長からのおさしずによりまして私の意見を申し上げたいと思います。  まず何よりも先に、今回の長期ストライキによりまして、一般国民の皆様方に多大の御心配、御迷惑をおかけしていることをごの場所より衷心おわび申し上げます。何にしろ四十日を越えます長期ストライキになりまして、事態は実に重大でございますので、御報告及び意見は端的に現在の段階から逆に申し上げるのがよかろうと思います。  昨日夕刻第十三回目の団体交渉を行いました。ストライキは目下続行中でございますが、団交を持ちました。当方より次に申し上げます内容の提案をいたしました。これに対しまして組合側はいれることができないと再考慮を私どもの方に述べ、私どもは逆に組合側の考慮を求めて物わかれとなつたという段階でございます。私どもの提案の内容は、実は今までの長い交渉と実力行使の段階を通じまして闘われておりました問題点は要するに二点であつたのでありますぽかにもいろいろとございますが、まつたく対立し、まつたく大きく争いの点になつております点は二点でございました。その一点は賃金の額を現在よりも倍にせよというのが組合側の要求であります。私どもの方といたしましては賃金を上げる根拠はございませんので、賃上げはできないという主張でございます。もう一つの点は標準作業量引上げ問題でございまして、標準作業量、すなわち仕事場におきまして抗夫が仕事をします場合の能率のベースを意味します。これを私どもは引上げることは合理的でありかつ必要だという点から強く主張しておつたのであります。もどりますが、第一点の金額を上げる上げられないという問題につきましては、実は一応話は決裂状態ではございますけれども、組合側の主張いたしております理論的根拠はマーケット・バスケット理論でございます。これにつきまして私どもの方より反撃を加えまして、組合側としましてはもはやこの問題は打切りと申しまして、マーケット・バスケット理論自体は振りまわさなくなつておる実情でございます。一方物価は横ばいでございます。炭鉱労働者の生活の実態は、過去五年間組合も承認の上でこしらえました毎月々々の生計調査をやり、その生計調査によりまして最近六箇月以上はずつと黒字になつておる状態でございます。物価は横ばいであり、生活状態は黒字になつております。この場合におきまして、私どもは賃上げの根拠はないという建前をとつておるわけであります。組合は一つの理想を持つておることはさしつかえございませんが、マーケット・バスケット理論という、いわば空疎な理論、内容につきまして御説明することもできますが、それの弱点を反撃いたしましたところ、組合としてはその旗をひつ込めた形になつております。従つて残つております論点の最大の問題は今の標準作業量問題でございます。この標準作業量問題につきましての当方経営者側の主張は次のごとくでございます。少しまわりくどい表現でございますが、皆様の御支援と御激励によつて石炭は終戦後二倍の数量を出すようになりました。能率もその当時よりは倍の状態になりました。しかし従前われわれ炭鉱におきまして経営いたしておりました能率はまだまだ及ばぬのでございます。しかも私どもは数量を相当に供給することができるように相なりましたが、今立たされておる問題は高炭価の問題であります。高炭価の問題の根本は生産の能率が低いということに非常に大きな要素がかかつておると思います。アメリカとは比べものになりませんが、英国、西独の能率の三分の一でございます。これでは私どもとして安いよい石炭を供給するということには相なりませんので、すべての場合に経営者側といたしましては能率を向上させるという点に常に考えをいたしておるわけでございますが、この賃金問題を取上げる場合におきましても、能率を向上するということに重点を置いております。しかも御案内のように、炭鉱の復興はおかげさまで毎年一割ずつは能率が上つておる段階でございます。従つて能率が上りますれば、それに応じまして能率の方の賃金ベースを引上げるのは当然のことでございます。ことに近代化されつつあります炭鉱企業におきましては、その能率の向上によりまして、そのまま前の能率ベースで払つておつたのでは、賃金が水ぶくれになるばかでございます。そこで企業経営者側の努力に応じますところの取分は、私ははつきりと回収するのがほんとうであると考えるのであります。例をあげてみますと、ちようど陸上競技の走高跳でございます。走つて参りまして踏切板から飛び越して行くというのが普通の高跳でございますが、企業の努力によりまして、生産の方法、設備あるいは作業環境を改善いたしますごとによりまして、跳切板の方がだんだん上つて来ております。すなわち仕事がしやすくなつておるわけであります。従つてこの上つておる分のある程度は、能率の賃金の率をきめます場合には、それだけは元にもどすということをいたしませんければ、経営の改善には相ならぬという立場をとつておるのであります。ところが組合側といたしましては、この点について非常にスティックいたしておりまして、どうしてもこの点は譲れない——これは賃金労働者の立場は一応わかりますけれども、こういうふうにだんだん能率が復興して来るという過程におきましては、どうしてもこれは上げねばならぬという経営例の主張と、今まで働いていたよりもたくさん働かされて賃金が同じではつまらぬというただ目先だけの考えと、これは世界経済における日本の炭鉱の使命というものの実際の認識の程度によるわけでございますが、結局その点で対立いたしまして、今の最大の論点はその作業量問題でございます。しかし、こういうふうに事態が重大になりまして、もはや私どもとしてはこの問題のみにかかつておつて長くストライキを続けることは国民の皆様に相済まぬということで、昨日長時間の協議の結果、実に忍ぶべからざる点を忍びまして、経営上の重大支障をあえて忍びまして、標準作業量の主張を放棄したのであります。それが昨日の段階でございます。従つて組合との間において対立しておりました最後的な一点は、ここに完全に解消されたのでございます。しかし組合側としましては、いや実は自分の方はベース・アップを望んでいたから、ベース・アップはやはりしてもらわなければ話にならない——こういう言葉は悪うございますけれども、居直られておるというただいまの段階でございます。昨年中労委はわれわれの炭鉱の争議につきまして大幅の引上げをあつせん案として出された。二割ないし三割に上る引上げでございました。そのときの根拠は、CPSでは物価が一四%上つている。それから一般産業とか製造工業に比べて、炭鉱の賃金は千七百円低い。また炭鉱の利益は昨年九月に終りましたときの利益よりも、その次の期はおよそ倍額になるであろうという想定のもとに、二割以上の引上げを出されたのであります。本年ははCPIは横ばいでございます。物価はかわつておりません。それから一般産業及び他の製造工業と比べますれば、炭鉱の方が千円ない上二千円上まわつておるのでございます。また公務員等はむしろ一般産業がきまつたあとで調整するということでございますので、他との比較におきましては炭鉱の方がよいのであります。それのみならず炭労自身も認めております他産業にない実物給与的なものが炭鉱には多い。炭労としては千六百円ばかりと見ておりますが、私どもの計算では二千五百円程度と思つております。しかも昨年利益が倍になるという見通しでございましたが、今年及び来年上期以降のことを考えますれば、横ばい以下、すでにもう昨今総会をやつております各社におきましても、すべて利益は前期よりも下つて来ておる実情であります。従いまして賃上げの根拠はまつたくなく、組合側といたしましても、実情をほんとうに考えてくれれば、私どもの主張に同調されるのではないかと思つておるのであります。  なお一、二点誤解があつては、と思います点につきまして申し上げます。炭鉱の労賃のベースは、一応賃金制度の上では低いような形で定めておりますが、その上に附加給与——生産賞与だとか基準外労賃がつきまして、他産業に比べれば、遜色がないことになつております。一般的に組合側が宣伝いたしますときには、いわゆるベースというものだけを取上げて、ほかよりも低いと宣伝される場合があるようでございます。この点は世の中の誤解があろうかと思いますので、賃金制度上、いわゆるベースというものは産業によつてまちまちであつて、炭鉱の場合のベースは実収入とは違つて低いのだということを一応申し上げておきたいと思います。  なお石炭連盟に加入しておりません小さい炭鉱が若干あるのでありますが、その炭鉱に対して組合側の組織の大きな力がかかりまして、実は北海道方面の二、三の炭鉱では、かなり高い賃金を出されておるところがあるのであります。しかし、それはまつたく非近代的な作業をやつておる炭鉱でありまして、そういうところでは、まず組合の協力を求めねば仕事にならないという考えでございましよう。かなり高率の賃金を今まで出しておりますが、今後はとてもそういう高率の賃金は出せないという状態に相なつておりますことを、ある情報によりますれば、そういうところは非常に大幅な引上げを約束したと言わんばかりの宣伝もございますので、これも誤解があつてはと存じますので申し添えておきます。  要するに私どもこの四十日余りの長い実力闘争につきましては、深く深く考えさせられる点がございます。私ども社会的重要な責任を負つております経営者といたしましては、この問題につきまして、今後はそういうことのないように十分に考慮したいと考えております。現段階から始まりまして、私どもの立つております立場、主張の内容等概略を申し上げた次第であります。

坪川信三自由党

○坪川委員長 それでは速記をやめまして、懇談の形式で質疑を続行いたしたいと思います。      ————◇————— (午前十時四十八分懇談会に入る)     〔午前十一時三十九分懇談会を終る〕      ————◇—————

坪川信三自由党

○坪川委員長 速記を始めて下さい。  それでは次に田中章君。大体十五分程度で御意見をお述べ願いたいと存じます。

田中章日本炭鉱労働組合中央執行委員長

○田中参考人 日本炭鉱労働組合の執行委員長をやつております田中でございます。委員長から言われましたように、大体十五分間では十分な説明もできないと思いますが、一応概略をお話申し上げまして、疑義の点につきましては質疑に応じまして詳細補足をいたしたいと思います。  まずこの秋におきます炭鉱の今次の争議の裏づけをなしております問題は、いろいろあるわけでありますが、われわれはこの賃金の値上げ要求を出しまして、それで今日まで闘つて参りました。概略申し上げますと、炭鉱の今までの賃金形態がどういうふうになつておるかということが一応皆さんにおわかり願えないと、われわれがなぜ現状において、これだけの出血を払つても、なおかつ闘わなければならぬかということが、御理解願えない面があるかと思いますので、簡単に申し上げますと、昭和二十一年から二十二年におきます当時の炭鉱賃金というものは、いわゆる鉄鋼あるいはまた公務員その他の給与ベースに比較いたしまして、大体基準賃金が二割程度、二〇%程度上まわつておつたのであります。それがたまたま二十三年の暮れから二十四年に至りまして、これがほぼ一般公務員それから他産業の水準と同じレベルに引下げられたのであります。御承知のように、二十四年度におきましては、配炭公団が廃止されまして、経済界におきましても、いわゆるドツジ・プランのもとに強行されました経済三原則、九原則、十一原則というようないろいろな原則が出ましたが、そういうものも影響いたしまして、二十四年度におきまして、組合は果敢な賃金値上げの闘争をやはり行いましたが、力及ばずいたしまして、これで当時までとつておりました、抗内作業という特殊な条件における炭鉱賃金の、他産業より優位を保つておつたレベルというものはくすされたわけであります。それから二十五年度に至りましては、やはり一応のベース・アップ闘争は繰返されましたが、依然としてこの状態は続きまして、昨年度に至りまして、一応秋の、十月以降の賃金闘争が行われましたが、その当時きまりました賃金ベースが、現在われわれが保持しておるベースであります。これは抗内五百六十円、坑外三百四十円というベースでありまして、これの基準べースは坑外が八千五百円、坑内が一万二千円、こういうことに相なつております。その後改訂されました各産業のベースあるいは公務員のベースは、御承知のように、いずれも大体一万円は上まわつております。従つて従来労使双方とも、炭鉱ベースの基準は、あくまでも坑内という特殊なものを基準にするのではなくて、一般産業と同じように坑外で働いておる労働者を一般産業の賃金ベースの水準として、われわれは考えて参つたわけでありますが、現状におきましては、大体一般産業よりも二〇%下まわつております。どの基幹産業におきましても、重要産業におきましても、あるいはまた一般産業を見ましても、八千五百円というベースはないのであります。加えまして、この八千五百円というものは、他産業と違いまして、炭鉱の場合は仕事が特殊でありますので、十八才未満の未成年者あるいは婦人をこれから除外をいたしておりまして、別途協議の形で、さらにこれより低い水準で協定を結んでおるのであります。他産業のベースは一応その社に籍があれば、それが未成年者であろうと、婦人であろうと、そういうものの差別はなくして、一律に基準ベースを適用されるのでありますが、炭鉱の場合はこれを除外されておる、従つて、もしこれを一般産業並に引伸ばしますと、大体七千五百円ベースに現行ベースは相なるのでございます。従つてこういう低位に置かれた状態、しかも石炭産業という特に悪い条件の中で働いておるわれわれといたしましては、どうしてもこの賃金に甘んずることはできない。しかも家計は決して楽ではない。赤字続きである。さらに御承知かと思いますが、炭鉱の場合は、そういう家計の不足を、戦時中に開墾いたしました畑やその他の方法によりまして、野菜やその他の補給をしておるのであります。重労働をして帰つて参りまして、それから畑やたんぽに出ていろいろな仕事をして、それを秋に取入れて、この苦しい家計の足しにしておる、こういう実態でありまして、われわれはどうしても最近の物価状態をにらみ合して、昨年締結いたしました賃金協定にそのまま今後も甘んじて行くわけに参らぬ。そういう形で、八月に大体話合いをしまして、八月の十五日に第一回の団交を持ちまして、今日に至るまで十数回の団交を繰返しておるのでありますが、遺憾ながら、御承知のように、本日まで解決に至つておりません。そこで特に現状の段階においてわれわれが申し上げたいことは、連盟側が対外的に発表いたしております資料の中では、炭鉱は現在一万四千円平均をとつておる、従つて決してごのベースは低いものではないということを、労働省の統計などによりまして示しております。しかしこれは坑内外を含めますと確かにその通りになるかもしれませんが、その内容をちよつと申し上げますと、これは三月から資料は持つておりますが、八月の状態を申し上げますと、坑外夫の賃金の状態は、ベース実績は七千二百三十八円であります。それに基準外賃金が三千七百二十四円、合せまして一万九百六十二円という数字になつております。しかし今申し上げましたこの基準外賃金というものは、平均いたしまして——これは組合側の資料をもつて言いますと、かつてな資料ではないかと言われることをおそれまして、これは連盟の資料であります、労働省も公認いたしております。この資料で参りますと、七千二百三十八円の賃金ベースに基準外賃金三千七百二十四円、合せて一万九百六十二円という数字になつておりますが、この三千七百二十四円という基準外をとるために、大体全国平均一人一日、一時間四十二分の残業をやつております。従つて炭鉱においては、現実の状態は、八時間働いただけでは七千二百三十八円しかもらえない、九時間四十二分、約十時間近く働かなければ一万円の金はもらえないということに相なつておるのであります。これは本年八月でありまして、最新の資料でありますが、こういうことで賃金の三分の一が労働者の労働強化によつて行われておる。そういうことでありまして、この労働強化の状態を今後も継続して参りますと、災害の状態はますます疲労の度合いその他からふえて来るものと判断しなければならない。基準外三分の一もとらなければ一万円べースはとれない。そうしなければ食つて行けないというところに大きな問題があるのではないか。しかも経済界の見通しその他につきまして、いろいろのこと申しておりますが、しかし現状の中において、これは一律に各産業とも——職種によつて多少の相違はありましても、共通なものでありまして、この点は炭労あるいは炭鉱のみに当てはまらない。こういうことでわれわれは終始一貫いろいろの角度から連盟の言い分に対して反論をいたして参りました。つけ加えて申し上げますならば、この他産業に見られない悪条件に伴いまして、災害の状況は次の通りであります。大体年間を通じて十二万人の人間が死傷しております。一箇月に大体一万人近い人間が、死んだり傷ついたり倒れて行つておるわけでありまして、この中で死亡者のみをあげましても、一箇月大体六十人の人間が倒れて行つておるのでおります。仕事によつて、公務によつて倒れておる。こういうことで、この一事を見ましても、非常に条件は悪いのでありまして、とうていごの状態を他産業並に同一視して考えるわけに行かぬ。  もう一つ特に申し上げたいことは、これは科学的なはつきりした資料はございませんけれども、常識的に判断できますることは、一般産業の労働年限というものは、大体三十年というふうに一般では常識になつております。ところが炭鉱の場合には、御承知のように、けい肺病その他特殊な職業病もありまして、さらにまた悪い条件の中で働いておる、つまりガスや炭塵の中で働いておるという関係から、どうしてもこの労働年限というものは、一般産業並に三十年とは参りません。今までの統計で出ております範囲を申しますと、大体炭鉱坑内夫の労働年限は、十五年から十七年ではないか。従つてほかの産業よりもどうしても労働年限というものは十年も体がもたないということになるわけであります。この労働者は当然他の産業の労働者と同一の賃金をもらつたのでは、十年早くやめなければならぬのであるから、その後の老後の生活というものはまつたくこれは保障されない。そういう観点からいうと、どうしても働いているうちに幾分かでも貯蓄をして、これらの将来の対策も考えなければならぬ。こういうのがやはり特殊な状態として言い得るのではないか。そういういろいろな点から判断いたしまして、私どもは現在組合が考えておりまするベース・アップの要求に対して、企業が労働と資本というものから成立つておる以上、ただ単に利潤の度合い、あるいは企業形態の度合いのみによつて、これらの状態が全然考慮されないという形の連盟の答弁に対しましては、絶対に納得ができない。こういうことも今度のベース・アップ闘争の中で具体的に考えらておることであります。そこで私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、八月の十五日に要求書を提出いたしまして、第一回の団交を持ち、さらに八月の二十日過ぎに第二回の団交を持つて、いろいろ組合側の要求を言つているのでありますが、九月の一日に至りまして会社側は、いわゆる組合の要求案なるものはまつたくむちやくちやである、従つてわれわれとしては、組合側の要求案の内容に一顧だも与える必要がないと認める、従つてこうであるということで、御承知かと思いますが、現行賃金の二〇%引下げを提案して参つたのであります。額面の引下げは一、二の会社でありますが、内容におきましては、いわゆる今までの標準作業量を百といたしますと、その上昇率の八〇%をさらに標準作業率につけ加えて、これをパーセンテージにいたしますと、大体一六%から二〇%の賃下げになる、金に換算いたしますと、約二百円程度の金になるのでありますが、そういう形の案を提示して参りました。もちろんこれは組合側はとうてい認めがたいということで、ただちにこれに対する反論を開始したわけであります。しかし従来炭鉱の争議の状態もわれわれといたしましては十分考えたわけでありますが、過去の形態を見ますと、どうしても組合側が要求案を出す、会社は認めない、ただちにストライキである、こういうことで十分論議が尽されないままに、ただちに実力の発動が行なわれるという傾向は、経営者側にももちろん責任はあるけれども、組合側としても考えなければならぬじやないか、こういう点も充分考えまして、とにかく連盟の考え方は考え方として、われわれの考え方を聞く必要がないという態度はけしからぬじやないか、一応われわれの考え方を各項目別にわたつて詳細に説明をするから、それに対してそちら側の言い分も十分聞きたいということで、具体的な内容に入つて行こうとずいぶん努力いたしたのでありますが、どうしても受付けない。そういう形の団体交渉が二、三回繰返されまして、ようやく連盟側では、一応それなら組合の案の内容について話を聞きましようということになりまして、一箇月余にわたりまして、組合の要求案に対する各項目別の内容を十分審議したのであります。その結果私どもとしては、いろいろ私どもの考え方や賃金の要求案の内容については十分説明が行つたと思う。従つて九月一日提示の連盟の賃下げ案というものはとうてい認めることができないから再考してもらいたいということで、十月の四日に至りまして、十月の九日までの期限付で連盟側の最後回答を求めたのであります。最後回答の内容は、八〇%の能率の付加を六〇%に切下げて参りましたが、依然として内容は厖大なる賃金の切下げなのでありまして、この程度ではとうてい了解するところとならず、そこでわれわれといたしましては、最後に望みをかけまして、十三日の警告ストライキを通じまして、その間十分連盟に反省の機会を与えたのでありますが、不幸にしてその成果は期待できず、十月十七日無期限ストライキに突入しまして、今日まで四十日間のストライキを展開しておるわけであります。もちろん労組側といたしましては、これはあくまでもわれわれの要求する賃金の獲得を第一の目的とするものでありまして、世上言われる政治目的云々のことは、いささかもわれわれは考えておりません。今でもわれわれの認められる賃金、納得ができる額が香れるならば、われわれは欣然としてこれに応ずる用意はもちろんございます。さらにまた第三者に対する問題にいたしましても、本質的にわれわれは第三者に迷惑をかけるということはその本意ではありませんし、今日国権の最高機関である代議士の皆さんの前においても、こういう釈明をしなければならぬこと自体をまことに遺憾とするものでありまするが、大体のいきさつはそういうことになつておるわけであります。従つて昨日まで二、三回の団体交渉をさらに繰返しまして、団交決裂以来四十日にして、ようやく団交は再開されましたが、そのときに提示されました連盟の第三次案というものは、依然として先ほど申しました八〇%を六〇%に譲り、この六〇%をさらに四〇%に縮めて参つただけでありまして、依然としてその考え方はかわつておらぬ。昨日の団体交渉においては、ようやく一応現行のままで行ごうじやないか、こういう回答がありました。しかしその中で、やはり特殊な、経理の悪い状態の会社については、別途に協議してきめたい。この内容は明らかに賃下げの意図を含んでおるのでありまして、他の産業と違いまして、私ども今までの闘争は、賃金を値上げするのが労働組合の目的でありましたが、実質的には連盟の賃金引下げ案に対して今日まで闘つて来たという方が、適当でないかというふうに考えるのであります。この点が各経営者には見られない状態で、炭労の争議の特殊性がここにあるのではないかと考えられるのであります。そういう観点で、私どもも今日の段階に至りましては、当初主張いたしました要求案の内容その他につきましては、もちろん基本的にそれが間違つておるということは考えておりませんが、事態の収拾につきましては、さらにわれわれも当事者としての責任も十分あることでありますので、今後も最善の努力をいたして参りたいというふうに考えております。  さらにまた第三者の介入云々の問題につきましても、いろいろの方面から意見が出ておりますし、私どもの方といたしましても、その可否についていろいろ話がありましたけれども、標準作業量という内容は、他産業に見られず、非常にむずかしくできておりまして、この問題と金額の問題とは、炭鉱賃金の場合表裏一体をなすものであつて、これは絶対に切離せない。過去のいろいろな例を見ましても、第三者が入つて成功したためしがない。そういう観点から私どもは、今日おそらく第三者が入つてもこれは無理じやないか、あくまでもやはり、よく事態を知つておる労使双方によつて、自主的に解決をはかりたいという根本的態度を、今日まで持つて参つたのでありますが、遺憾ながらそれが非常に長引いておりまして、一般の国民生活にも非常な影響を与えておるという現状につきましては、まことに申訳ないと思つておる次第であります。  最後に連盟は、今回の炭労の賃上げを認めたならば、ただちに炭価の値上げをやらなければならぬ、こういうことを盛んに申しておるわけでありますが、これは全然架空の論でありまして、そういうことには相ならぬと思うのであります。三月決算の当時においても、御承知かと思いますが、また最近の状態でも、昨年度の億万長者のうちの二十名のベテラン、その中の十三名が炭鉱業者でありまして、そういう状態を見ましても、炭鉱企業というものは、現に経営者が説明しているような内容では決してない。それから三月の決算におきましても、純利益が三井三十五億、三菱二十五億、住友十億、北炭十九億というような形で、厖大な額になつております。しかもこれは余談でありますが、私の考えておりまする点で申し上げますと、今われわれがストライキに入つておるわけでありますが、このストライキに入る前の貯炭は、御承知のように市場貯炭二百六十万トンと大口需要の手持ち貯炭を合せまして、約七百万トンというふうに相なつております。この七百万トンの炭がありましたが、現状において、明日までの推定でありますが、石炭というものがこのストライキによつて大体四百五十万トンなくなつて来ておる。月末までの市場貯炭、あるいはまた大口需要者の貯炭を合せますと、大体百二十万トンということになるだろうと思います一そうしますと、いろいろないわゆる炭繰り操作その他によりまして、平常の場合は市場貯炭あるいはまた大口需要者の貯炭を合せまして、大体二百万トンの炭がなければ、これは正常な状態ということができないのであります。そういう点から参りまして、今後ストライキが解除されましても、相当需要面におきまして石炭の圧迫があるだろうということは想像されます。しかし私どもは先ほど申しましたように、本意ではありませんけれども、現に私ども組合側の調査によりましても、すでに中小企業一般の人々の求める炭はトン当り千二、三百円の値上りを示しており、さらにまたわれわれに対しては、君たちの賃金が高いから、それを認めたら炭価を値上げしなければならぬ、そういうことは一般国民に迷惑を与えるからだめだと言つておりながら、片一方では強引に炭価の値上げ交渉をやつておることは、御承知の通りであります。従つてわれわれに言つておることと、需要者に対してとられておる経営者の態度というものは、まつたく逆でありまして、このことは、いかに連盟側が国民の立場を考え、需要者の立場を考えて、炭価を上げないためにわれわれはがんばつておるんだということを言いましても、現実には国鉄に対しても、その他に対しても、炭価の値上げを強引に迫つておるというのが、石炭業者の現在の状態であります。これを裏づけしておるものは、まつたく本意ではない形でありますが、組合のストライキによる貯炭減によつて需給面の圧迫が当然とされる結果、これを巧みに利用しておるという形に相なつておると私は考えておる次第であります。従つて、そういう面から推定いたして参りますと、たとえばこのストライキが五十日で終止符を打ちまして、炭労の要求のある程度を認めましても、連盟は今後の市場状態から考えまして、明年の三月までには、この五十日間のストライキによる損害は全部回収できる。こういうことが考えられるのじやないが。このことは、一部経営者の中でも公然申しておる人間もある状態でありまして、結果的には、われわれが五十数日間犠牲を払つたということと、一般の需要者の石炭価格がつり上げられる。経営者は何ら腹を病まないで、今日までの損害は明年三月までに回収し、九月までの半期におきましては、それだけ彼らは十分に採算上今までよりも良好な形になつて行くのではないか、こういうことを推測として申し上げていいのではないかというふうに考えております。そういう点から考えましても、われわれのストライキそのものが、本質的に自分みずからの苦しい生活の打開のためのベース・アップ闘争ではありましたが、結果的には一般需要者のそういう面における影響というものも、われわれは十分責任を感じております。  あらまし申し上げましたが、具体的な内容につきましては、時間も参つたようでありますので、一応質問の中でさらに明確にして参りたいと思います。

坪川信三自由党

○坪川委員長 それでは懇談の形式で質疑に入ります。速記をやめてください。      ————◇—————     〔午後零時五分懇談会に入る〕 (午後零時四十四分懇談会を終る〕      ————◇—————

坪川信三自由党

○坪川委員長 速記を始めて。  それでは御多用中たいへん御苦労さんでございました。次に高井亮太郎君より大体十五分程度で御意見をお述べ願いたいと存じます。

高井亮太郎東京電力株式会社社長

○高井参考人 私は東京電力の社長高井亮太郎であります。今回の電産争議の大体の経過と会社側の主張、立場を簡単に申し上げます。  現行の電産の全国平均一万二千八百円の基準賃金は、御承知のように、非常にはげしい争議を経まして、昨年十二月四日妥結をいたしまして、十月に遡及されて実施を見たものでありますが、早くも今年の四月十四月に、電産は健康にして文化的なる生活を営み得る賃金の実現を念願するものといたしまして、いわゆるマーケット・バスケット方式による算定基準に基きまして、今年の四月以降約六割の増額、すなわち基準賃金平均二万五十五円に、なお都市手当六百円を加えました合計二万六百五十五円の要求をして来られたのであります。これに対しまして会社側は、電気料金の建前上からも、また経理の実能力の上からも、また物価の騰貴もほとんどなかつたごの短かい経過期間を考えても、このような要求に応ずる力もなし、理由もないとして拒否をいたしました。何回か交渉をいたしましたが、組合側は五月十六日に調停申請をせられました。爾後九月六日に至るまで九回の調停委員会を経たのでありますが、組合側は、たまたま本年の上期が比較的豊水であることから、その実積を推定せられまして、支払能力があることを主張しましたし、会社側は、まだ一半期間、水の状態がよかつたということで恒常的な支出増加になるベース・アツブはできないということ、それから労働条件の合理化、職階賃金の実施等を条件といたしまして、月平均九百五十円までの賃上げしかできませんということを主張いたしたのでありますが、この九月六日に調停案が提示いたされました。その要領は、本年の十月から実施するものといたしまして、全国平均基準賃金を一万五千四百円に上げる。労働条件の合理化、職階制賃金の実施等については会社、組合両者間に協議をする。なお経理の実情からこの賃金の実施が事実上困難となる場合には、さような会社においては別途協議をするという例外条項を含む調停案でありました。これに対しまして組合側は、九月十日組合の要求とはほど遠いものとして拒否をいたしまして、経営者側は九月二十七日にやはり電気料金決定の基準その他の実情からいたしまして、二〇%近い人件費を一挙に増額するということはできません。事業経営の合理化、職階制賃金の実施、家族給それから基準外賃金、その他労働条件の合理化等につきまして極力推進をいたしまして、これら諸事項の進展に伴つて漸次本問題の解決に努力をしたいとの趣旨で拒否の返事を調停委員会に対していたしました。ここにおきまして両者とも調停案拒否の形になりましたので、組合は九月十六日ころから事務ストを始め、二十四日からは十一月十九日までの間に大体十回ほどの電源スト、あるいは十一月七日以降数回の停電スト、あるいは職場放棄等いろいろなストを行つて参つたのでありますが、一方経営者側は調停案につきましてなお慎重審議の結果、すでに昨年の五月以来再編成を経て各独立な企業体となつた九電力会社の実情においては従来のように全国一本の賃金により統一交渉による解決はいたしがたいということに相なりまして、十月八日に局面打開のためには各会社において経営及び労働条件の合理化、経理の実情等に基いて当該地方本部、すなわち各会社別にその地方組合の地方本部と話合いの上、それぞれの実情に即する解決をはかることが最善であるから、さようにしてもらいたいとの主張をいたし、その申入れをいたしたのであります。組合側はこれに反対したのでありまするが、会社はまたこれをあくまで主張をいたしたのであります。御承知のように従前は電気事業が日本発送電と九配電会社にわかれておりました場合にも、その間にプール計算がありましたり、そのプール計算の程度もだんだんと違つて参つておりまするが、とにかくプール計算もあつたのでありますが、これが昨年五月一日以来なくなりましておのおのの独立責任経営となりまして、ややプール的のもので残骸が残つておりますのは追加調整金だけでありますが、これについてもはつきりした限界を定めておりまするので、いわゆるプール計算はなくなつておるという状態でありまするので、全国一つといたしまして統一賃金をもつて事を進めるということは事実上実情に即さない状態になつて参つておるのであります。それでかような状態で団体交渉が始まらずストライキは強化せられたのでありますが、十月二十二百以降中央労働委員会会長があつせんに乗り出されまして、交渉の様式等についても両者一団となり、ばらばらでなくとにかく一室に集まつて交渉なり、あるいはあつせんを受けろということであつせんが始まつたのでありまして、十一月十五日から二十六日まで数度のあつせんがありました。経営者側はこのあつせんにおきまして、さらに具体案を練りました結果、経営の合理化への協力、それから一週実働四十二時間制を実行する等の——ただいままでは電産の労働時間が一週三十八時間半という標準になつておりますが、四十二時間制の実施その他の労働条件の調整、それから職階制の実施を予約するというようなことを条件といたしまして、おのおのの経理実態等につきまして、東京と関西と中部と東北の四電力会社は、さきに出ました調停案通りの基準賃金を払うことにいたしましよう、北海道、北陸、中国、九州等は平均の値上げでありまする基準賃金の平均月二千五、六百円の値上げは調停案通りにはできない。今申した四社では月一千三百円ないし千八百八十円の増額をいたしましよう。四国は特に経営状態が苦しいので九百五十円限りの賃上げにとどめたいという主張をいたしました。組合側は統一賃金を強硬に主張したのでありまするが、ついにこの十一月二十六日にあつせん案の提示がありました。結局四国以外の八社は基準賃金について調停案通りにする、但し北海道、北陸、中国、九州の四位については期末手当、越年資金等の臨時給与の原資を調節してこれに応ずることができるごととして、もしこれに対する紛議があるならば中央労働委員会のあつせんによる、四国については別に協議することとする、すなわち賃金に対しましては統一賃金の形をとりまして四国のみは調停案の第七項による例外の扱いをすることといたしまするし、一方労働条件におきましては実働四十二時間制を一月から実施する、賃金の実施は十月からであります。それから休日休暇、社会保険料の負担あるいはその他の条件については社会水準を目標として組合、会社両者で協議して解決したらよかろう、家族手当、職階制等についても調停案のように是正または協議をするという内容を含むあつせん案が提示せられたのであります。これに対しまして二十六日即日電産組合は拒否をいたしました、会社は大体の協議を進めておつたのでありますが、労働大臣の争議解決を促す勧告がありましたあとで、昨二十八日夕刻若干の希望は付しましたが受諾の返事をいたしたのであります。すなわち最後のあつせんに対しましては会社は受諾、組合は拒否という形にただいま置かれてある。会社といたしましてもあつせんの案については多大の不満もあり、また不安のところもあつたのでありまするが、ただいまの事態を早朝解決したいということで、結局は受諾をいたしたのであります。  これが大体の経過であり、また経営者側の考えたことも織り込んでお話を申し上げたのでありまするが、かいつまんで今度の電産争議の特徴を要約いたしてみますると、第一に、臨年の十二月、前の、ただいま実行いたしております料金が決定して、四箇月くらいでただちにマーケット・バスケット方式による二万六百円という賃金要求をきわめてやつぎばやに出されたこと、これが一つと思います。第二点は、電気事業が、あるいは無配当、あるいは料金の改訂が非常に遅れたり、不安定といいますか、比較的経理的には最近不成績な状態にあつた場合が多かつたのでありまするが、とにもかくにも昨年再編成後八月、それから今年の五月、二回の料金値上げがありまして、それも業者としては幾多の希望すべきところもあるのでありまするけれども、従前に比較いたしましておおむね企業の確立を見られるに近い料金が設定をせられ、なお他の事業といえども相当な業績をあげて、みな相当な配当をする。一方においてサービスの改善、電源その他事業の拡充の努力を孜々としてやらなければならないという立場に置かれまして、早急の料金の値上げというようなことも具体的には何ら期待がでなきい。一方増資もしなければならない。株主に対する考慮もしなければならない。もちろん従業員に対する考慮も大いにしなければならないわけでありまするが、かように需用家、従業員、株主、全部に対してバランスしたる配慮を絶対心要とする場合におきまして、この賃上げを考えるのに、やはり企業内の努力、それから規正すべき労働条件は規正する、むやみに労働条件を低下するという意味ではありませんが、非常にゆるいものがあつたならば社会水準にこれを規正するというような内部の努力によりまして、ただちに料金の値上げに響かせたり、ただちに株主の配当を抹殺したりするようなことなしに処理をしなければならない立場に当然置かれてある。一方においてこの賃金の増額は、調停案によるといたしましても平均月二千五、六百円の基準賃金の増加でありまするが、基準外であるとか、あるいは法定の厚生費であるとか、その他いろいろなこれに濁するものがありまして、非常に大きな支出になります。ただいまの料金の中には現に払つている従来の全国平均一万二千八百円のベースしか織り込まれていないという観点からいたしまして、なかなかもつて軽々に扱うことはできない。ちよつとお考えになるよりも、非常に大きな金がふえるのでありますので、その点に非常な難点があつた、これが第二だと思います。第三には、電産の全国単一組織に対しまして、御承知のように電産は東電労組とか、これが約二万強ありますし、最近何か中部で二千人内外と称せられておりますが、何かわかれた組合ができたそうでありますけれども、かようなものを除いた全部、通称十二万人の全国の単一組織であります。この単一組織において従来のような経営者会議との統一交渉、統一賃金を主張したのに対しまして、再編成後の各電力会社の実態からいたしまして、個別の立場から個別の内容で交渉をしなければならないということを主張いたしましたこと、ここに非常に衝突があつてむずかしい場面を呈しておりますこと、これが第三かと思います。第四には電産の労働条件でありますが、これは比較的寛大でありまして、日本の現状によります社会水準、また世論の帰趨からも見まして是正を要望せられている点が相当にあります。なお事業の経理上から見ましても、先ほど申し上げたような大きな人件費の増をまかなうためには、やはり労働条件の方もある程度規正を願いまして、経営者側としてもできるだけの努力はする、組合側としてもやはり規正すべき労働条件はこれを規正して協力をしてもらう、労使協力の形においてこれを生み出して行かなければならないという原資の観点からもまたこの労働条件の規正が非常に要望せられ、いわゆる筋目からも金目からも両方から現実に要望せられている。なお電産の賃金でありますが、これは土地々々によつて高いとか安いとかなかなかむずかしいとは思いますが、ごく概観いたしまして特に地方においては高率であるということを大体申し上げられると思うのであります。ことに実働一時間当りというものは相当に平均を突破している。この辺からいたしましても勤務時間等につきまして組合の協力を願いたい。そうして是正すべき点は是正し、払うべき賃金は払つて、電気事業の確立を期したいということが経営者側の、主張であつたのであります。  大体以上のごとくでありますが、これをもつて概要の陳述を終ります。

坪川信三自由党

○坪川委員長 次に藤田進君より大体十五分程度で御意見をお述べ願いたいと存じます。

藤田進日本電気産業労働組合委員長

○藤田参考人 私は電産の委員長藤田進でございます。先ほど会社側から、前段は主として今次争議の経過が述べられておりますので重複いたしました部分はこれを省略いたしたいと思います。  今度の争議が非常に長引きまして、要求をし、団体交渉をいたしまして以来すでに半年を越えて参りました。すでに調停委員会に組合から調停申請をいたしました調停案が出てま参りまして、その後争議状態になつた。ことにストライキに突入する、こういう状態はすでに九月の十六日以来これまた未曽有の長期にわたつております。そこで今度のこの解決が非常に長引きましたところの主要な理由を若干申し上げて、さらに今日組合が主張し、解決いたそうといたしております点を申し上げてみたいと思います。  今度この紛争議が非常に長くなつているということについては次のようなことが言えると思います。すなわち第一の点は、従来電気経営者においてはまつたく自主的に問題を解決するというよりも、他に解決の場を求めていた、それは御承知のように遂には電気料金を値上げするなり、そういつたところに求めていたと思います。これが占領中でありました関係上、司令部あたりの介入もあつた。ところが今度の場合には、電気料金を値上げするほど会社の経理状態は悪くない、非常によろしいのであります。私どもも電気料金値上げについてはもちろん反対でありますし、上げる理由は組合の要求を通しても成り立たないというふうに考えております。そうなつて参りますと、経営者としてはやはり本能である、先ほども言われている株主に対する立場、配当も一割五分を保証し、しかもその資産が、ことに株式の形では今度四倍に増資が完了いたすのでありまして、その中の一つは無償交付、これらに対する配当をとり、さらにその余剰利益を資本のかわりに留保してこれを評価するなり、こういつたさいふの口を締めてなかなか出そうとしない、簡単に言えばそういうことがあると思います。さらに中山労委会長の言をかりましても、今度の紛争議、これは単に電産のみならず、石炭の場合も同じことが言えると思うのでありますが、経営者自体が自主的に解決への熱意を示そうとかりにいたしましても——実際には示しておりませんが、そういう心理状態になつたといたしましても、大きなバツクが控えている。このバツク・ボーンが今度の場合は非常に強く出ているので、中労委の現在の力、権限においてはいかんともしがたい。具体的に申し上げれば、これは日経連あるいは電産に関する限りすでに当時の吉武労働大臣が公正中立な立場で、ウルトラな立場で、労使間に処してまつたくだれにも支配されないで調停案をつくるべく労働委員会に対して直接企業別の調停案を出す、こういうことを要求いたしている事実があります。私どもは直接吉武労働大臣に対しても当時抗議を申し込みました。そういう動きがあつたことは明確なのであります。こういう圧力のもとに、さらに、日経連というバツクでこの際日本の労者の賃金をベース・アップしないというこの方針と、この方針の裏づけとなる労働組合を分裂させよう、御用化させよう、こういう根強い働きかけが顕著に現われております。私どもの聞き及ぶところによりますと、相当前の日経連のお集り、大会といいますか、そこでは、すでに今度の争議を経営者も最後までがんばつて、この解決を遷延させることによつて組合の内部分裂を期待できる。現に中部電力の中においても、かつて高井社長の東京電力の場合と同じように、相当多額な資金も投入して組合の分裂工作に明け暮れているというのが現状であります。かてて加えてこの紛争議に対してほんとうにそれらのバツクになつているもの、直接の経営者、これはやはり何といつても大きな資本家ではないと思います。むしろ重役さんよりも社員の方が持株が多いという例さえあろうと思います。でありますから、少々会社が一時的にもせよ損害をこうむつても、みずから直接その痛さをあまり感じない。結局時期を延ばしてがんばることによつて、大きなバツクもあるし、それに政治権力も先ほど申し上げたように一緒になつてしまつている。こういう状態でありますから、非常に解決が延びていると思います。第二の点は、私どもも将来にわたつてやはりマーケット・バスケットの方式すなわち少くとも戦前程度の生活程度には引きもどしたい、こういう主張を持つております。しかしここまで長期化いたしましたこの紛争議を、世論も期待しているごとく早期に解決しなければならないという状態に追い込まれておりますので、私どもはわれわれの主張とまつたくかけ離れた最終的な案を過般来のあつせんの場にも持ち込んだのであります。たとえば調停案は十月以降一万五千四百円であります。電産が賃金は昨年の十月から改訂されて、今度の調停案によりますと、約]年後、十月以降実施する、こういうのでありますから、やはりこの調停案は尊重して行ごう、十月以降は今の調停案通りでよろしい、そうして内容について一万五千四百円ですが、これは税込であり、なおこれには高級会社幹部も含まれている賃金なのでありますが、この一万五千四百円に対して組合は、最終的に税込み一万六千二百円というものを打出したのであります。これはあつせんの過程に、いかに組合としては解決をこの場に求めて、組合の内部にはいろいろな批判があるけれども、中央指導部といたしましては思い切つて解決の方向に突入いたしました。この一万五千四百円の調停案と一百六千二百円の組合最終案というものは、実際的にはやはり一万五千四百円の調停案の線なのであります。それは調停案を後ほどごらんになつていただけばわかりますが、基準外オーバータイム、時間外等いたしました際のいわゆる賃金、これが電気事業においてはかなり増大いたしております。これはやはり年々自然減耗、退職あるいは事故退職、停年、そういつたような退職に対してそのままの数字が補充されて参りませんから、年間およそ三千人程度ずつ減退をいたしております。一方職場は現在約八千数百、九千近くあるのでありますが、水力発電所あるいはこれに伴う変電所等々職場は年々ふえている、増大しているのが電気事業の現状であります。こういう点からやはり三交代、完全な人が補充されていない。この間も時間外をしない、オーバー・ワークをしない、ストライキをやつたために電気がとまつたのを御承知だと思います。つまりそういう勤務時間所定以上に働かなければ電気がとまるというのが現状であります。これを無視して時間外が多いのだと言われているので、われわれとしてもやはりこの時間外を減して、現在の中労委の調停案の二五%程度、時間外基準賃金に対して約二割五分程度に合理化してくれということでありますから、私どもはもう五%くらいこれを少くいたしましよう、働きましよう、中労委の調停二五%に対して、もう五%われわれの方で努力して合理化しましよう。そうすればこの五%の金額が余つて参りますから、これを一万五千四百円にプラスしてもらいたいというのが一万六千二百円でありますから、働いてそれだけふやしてくれというので、現実に会社のさいふには大きくこたえて来ないと思います。なぜそのように申し上げるかと申しますと、電気事業の労働構成、これは年令あるいは扶養家族、勤務年数、その他経歴等々から参りまして一万六千二百円というのは、ちようど専売公社の裁定がありますが、換算いたしますとこれとちようどぴつたり来るのであります。これをもしわれわれが下げるということはどうしてもできない。従つて合理化すべきものは合理化し、あるいは家族給、そういつたものについても合理化はいたしましよう。そうして金を余分に浮かせるわけです、約八百円浮きますが、それで一万六千二百円にしてもらいたい、これが組合の最終的な案なのであります。  さらにその他の問題といたしましては、まずこれも交渉が非常にうまく行つていない実情の一つですが、調停を申請いたしまして調停案が出たのも、これは九社が団体をつくつている電気事種経営者会議です。このことは今度の賃金あるいは労働協約すべてに関して言えることで、いわゆる統一したところの交渉方式は、終戦以来この通り両者が了解して令日まで進んで来たのであります。それを今度は各社別に交渉して、そうして賃金なり労働条件をきめて行こうという、まつたく新しい事態を会社の方から提起いたしましたので、事実上交渉が持てなかつたという状態であります。さらにわれわれは統一賃金を主張いたしております。これは東京でも、あるいは四国でも九州のいなかでも同じ賃金をくれ、そういうことを言つているのではありません。世上誤つて伝えられていると思いますが、かりに関西電力全体の平均と、四国の電気労働者の平均、これを比較いたしてみますと、やはり賃金は四国の方が千五百七十円低いのであります。これは私ども認めるのであります。この千五百七十円差がついているものを、さらにもつと差をつけようという会社の主張でありますから、われわれはどうしてもこれをのむごとができません。この千五百七十円という差はどういうところから来ているかと申しますと、年令等の関係もありましようけれども、この大きな要素をなしているものはやはり地域給——公務員その他にもありますように地域給であります。人事院も採用いたしておりますが、物価の生活費にこたえる影響をいろいろな資料によつて計算いたしますと、四国の生活が楽だ、東京の方が困難だという、いわゆる地域差、地域給、これで先ほど申し上げたように差をつけてあるのでありますから、これを下まわらせるならば、生活内容の不均衡というものが出て参ります。いわんや一万六千二百円は会社幹部を全部含めたところの賃金で、しかも税込みでありますので、今度の調停案を見ても、一番高い者でも大したことはないのであります。調停案そのままで参りますと、一番低い人が五千六百円、これは税込みだと思います。こういうものでありますから、いわゆる最低生活をするに足る限度のものであるということは容易にお認め願えると思います。これを切り下げるということになる。しかし会社の御主張のように、経理状態が非常にアンバランスがあつて負担能力がない。背負えといつても力がない。こういうことを言つておるようですが、私どもの判断ではそのようなことはありません。各社とも厖大な利益を計上し、今資料があればごらんになればいいと思うのですが、公益事業局長さんも見えておりますが、ここらあたりの資料と、会社がつくつた資料だけを見ていただいても明確だと思います。この会社のつくつた経理内容については、ほんとうは組合員がその基礎をつくり上げているわけでありますから、私どもも全然わからないこともありません。かつて日発では、去年でしたか三十六億の含み資があつてあとから問題になりました。よく調べてみれば、これは未払い処理であつたということは記憶に新たなところであります。こういうことがあるとは思いませんが、どうもわれわれの見るところではあのままを全般として了解ができないのであります。このことは四国などについては、一部未払い処理の内容について、中労委においても若干の問答を会社と交しております。さらに現在の料金に現行賃金が含まれているということです。これはまさにその通りです。それは全国電気労働者がやはり同じような生活内容、地域差はあるけれども、統一したところの賃金であり、しかも石炭費その他を含めて各社の経理状態が、どこの会社がもうかつて、どこの会社が損する、この不均衡を認めてつくつた電気料金では絶対ないと思います。電気料金が四国においては高い、あるいは東京では安い。これは東京の人たちを安い電気料金でひとつ補助してやろうというのでも何でもない。各社の経理、決算が同じような楽さ、困難さあるいは同じように均等化されることで、そのしわ寄せが電気料金の地域差になつて現われていると思うのであります。でありますからそのことはわれわれは反対であります。通産委員会に私は強く要望申し上げたいのは、一体電気事業がこのようになつているというその本質を見きわめていただきたいということであります。四国あるいは中国、九州あるいは北海道、こういつたところが非常に東京と比べて電気料金が高いのです。高いからどうもあれ母上高くすることは困るので、当然見るべきものも料金のときに見ていない。東京電力では電気料金が安いからこれは原資計算で見てやろう、料金の中に入れてやろう。それでも高くならない。立地条件がよろしい。こういうところが問題であつて、プール計算はやめる。各社思うままに経営する。電気事業は公益事業だといつて、一たストライキをやると反撃があるけれども、しかしこのように渇水停電が各社まちまちになつたり、経理状態があのように若干まちまちになつたり、料金においてもあのような大きな差がある。公益事業がそれほど大きなものであり、一瞬のストライキを許さないものであるならば、もつと政府の政策としてなぜ電気事業に対する電気行政を根本的に考えてくれないかというのです。私どもここでそれを主張申し上げようとは思いませんが、電気事業がばらくにされていること自体が今日の電気事業、ひいては産業を発展させない原因を来していることを十分御認識願いたいと思うのであります。この電気事業の中にあつて、ここで一時的に上期ちよつともうかつたから、あるいは損したからということにあまりとらわれたくないのであります。しかし現在渇水準備金なども御承知のようにすでに数十億積み立てられているのでありますが、これがはたして将来使えるか使えないかということは各社によつてまちまちになつております。こういう事情でありますから、私どもといたしましては今ほど申し上げたように、あつせん案が出て参りましたが、これは会社が強く主張して来て、調停案よりも大きくかけ離れたものを中山先生としても出さざるを得なかつた。なぜならば大きなバツクがあり、そうしなければ中労委の権限としてはいかんともしがたかつた。会社はのむでしよう、組合はどうぞけつてください、あつせん案を出しますと言つて中山先生は席を立たれた。われわれは非常に不満に思つたのでありましたが、われわれの方もそれじや困るので、公休日も減しましよう、有給休日も減します、どうかひとつそのほかの問題は会社の言う通りにしてもらいたくないと言つて——あつせん案を出すからけつてくれと言つてたたきつけられて席を立たれたのですが、われわれは単に感情になつてはいけないからというので、翌日頭を下げて泣きついたような現状であります。しかしなるほど今度のあつせん案が出てみると、何も入れられていない。すべて会社がじやじやをこねて出して来たものが入つて、統一賃金ではない。四国については賃金はきまつていない。そして他の四社については期末手当とかそういつたものでかげんする。つまりよけい出さない、こういうことであります。越年を控えて、越年資金が他の産業では出てもわれわれのところではあまり出ない。こんなことを認めることはできない。さらに統一交渉の面も非常に不明確になつております。より重大なのは、われわれも社会権のことも調べております。時間がありませんので質問の中でお答えしたいと思いますが、四十二時間に延長をする、ノルマをふやすということで、実際にはこのことによつて、調停案として出ておりますものよりも、四十二時間に勤務時間を延長することによつて、千四百三十四円という金が下る結果になるのであります。現行の賃金よりも、名目は上つたようでも、時間延長をいたしますので、過去のようにその時間延長を基準外で計算いたしますと、金がもらえたものがもらえなくなるのでありますから、むしろ現行賃金よりも下まわる結果になるものを、どうして私どもがのめるかという点なのであります。それほど経営者の方ではがんばつておられるのでありますから、われわれとしては解決は急ぎたいし、かといつて、ここでストライキをやめるわけには行かないしというところが現状なのであります。非常に長くなりましたので、後ほど御質問によつてもつと明確にしたいと思います。

坪川信三自由党

○坪川委員長 それでは、懇談の形式で質疑に入ります。  この際委員並びに参考人各位にお願いいたしますが、時間の関係上、質疑応答は簡潔にお願いいたしたいと存じます。      ————◇—————     〔午後一時三十三分懇談会に入る〕     〔午後二時四十一分懇談会を終る〕      ————◇—————

坪川信三自由党

○坪川委員長 懇談会を終ります。  これにて参考人よりの御意見の開陳並びに質疑は終了いたしました。  参考人の方々に対し、種々貴重なる御意見をお述べいただきましたことを、委員会を代表いたし、委員長より厚く御礼申し上げます。  本日はこの程度にいたし、次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十三分散会

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