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15回国会衆議院1952/11/12

通商産業委員会 第3号

発言数
47
登壇者
13
会派数
4
開催日
1952/11/12

会議録

坪川信三自由党

○坪川委員長 これより会議を開きます。  池田通産大臣より発言を求められております。これを許します。

池田勇人自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○池田国務大臣 今回はからずも通商産業大臣の職を汚すことに相なりました。今後皆様方の御協力を得まして国務に精励いたしたいと考えておるのであります。何とぞよろしくお願いいたします。  御承知の通り敗戦後の混乱いたしました日本経済も、ようやく安定をとりもどしまして、愁眉を開いたのでありまするが、この安定も実は非常に脆弱な案で、ございまして、われわれは今後この安定の上に日本経済を底深く、幅広くして行つて、産業の隆盛と国民生活の向上発展を期さなければならないのであります。昔のごとく日本経済圏内、すなわちアジアにおきまする日本の経済圏というものは、よほど縮小いたしまして、過去数十年間に獲得いたしましたいろいろな権益もなくすのみならず、領土も半分になりまして、昔のような考え方ではなかなか日本の経済を発展さすことも困難であるのであります。従いまして私はできるだけ国内産業の育成強化、言葉をかえて申しますると、資源を極度に開発する、また設備をできるだけ合理化させまして、経済の拡大強化に努めると同時に、これと相マツチいたしまして、東南アジアにおきまする貿易の振興はもちろん、世界貿易拡大に寄与することがわれわれの通商産業政策の根本であると考えておるのであります。具体的の問題につきましては、随時皆様方に御相談申し上げ、立法化すべきものは立法化しまして、先ほど申しました日本の経済の発展、国民生活の向上に邁進いたしたいと考えておるのであります。ごらんの通りの駑馬でございまするが、あなた方にむちを入れていただきまして、ともにともに国家再建に邁進いたしたいと覚悟しておるのであります。どうぞ今までにも増して御援助をお願いいたしまして、ごあさつにかえたいと思います。  なお、ただいま御審議願つておりまする電気ガスの臨時措置につきましては、昨日政府委員より御説明申し上げました通りでございます。現下の事情にかんがみまして、早急に御審議御決定をお願いいたしたいと思いま。簡単でございますが、これで終ります。

坪川信三自由党

○坪川委員長 戸塚労働大臣より発言を求められておりますからこれを許します。

戸塚九一郎自由党労働大臣

○戸塚国務大臣 私このたびはからずも重職を汚すことになりました戸塚でございます。一向わきまえのない男でございまして、ことに長らく世間と離れておつたような関係もございますので何かと不行届きのことも多いと存ずるのであります。今後よろしくお願いいたします。

坪川信三自由党

○坪川委員長 本日は電産、炭労ストに関連する電気事業及び石炭鉱業に関し質疑の通告がありますから順次これを許します。伊藤卯四郎君。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 通産大臣も労働大臣もきわめて出席時間が短かいということでございますので、きわめて重要な要点だけを本日お伺いしまして、後日さらにお伺いしたいと思つております。  両大臣すでに御承知のように、今行われておりますところの炭労ストライキというものは、その参加人員においても、また長期にわたつておる点においても日本のストライキ史上においてかつてない歴史的なものでございます。しかもいつ解決するかの見通しも全然ございません。従つて漸次貯炭もなくなりまして、一般産業の消費もきわめて石炭危機に陥りつつあることは申すまでもありません。石炭は産業の米であつて、石炭を食わない産業はないといつてもさしつかえありません。そこで政府は、先ほど池田通産大臣のごあいさつもありましたように、日本の産業隆昌に資するために自分はやるということを言われておつたが、一体石炭が産業の基本であり、産業の食糧であるが、それが危機に陥つて来、漸次重大な問題になろうとしておるのであるが、これはほとんど通産大臣も労働大臣も放任しておられるようであります。一体この重大な問題を放任しておかれる政府の考え方はどういう点にあるのか。政府はこれにどう対処しようとしておられるか。また労働大臣はこのストの解決にどのような考え方をもつて解決しようとしておられるか、この根本問題について、ひとつ考え方を先に伺いたいと思います。

戸塚九一郎自由党労働大臣

○戸塚国務大臣 ただいま伊藤君のお尋ねでございますが、私はこの争議が労使の間の交渉でそれがなおうまく行かないような場合に、中労委のあつせんなり調停ということでお互いの互譲の気持で妥結ができることを衷心から望んでおるのであります。ただいまの制度の上からは、政府がただちにどうこうと介入する方法はよほど考えなければならぬものだと存じておるのでございます。あるいは見方によりましては、まつたく放任しておるというふうにお考えになる向きもあるかもしれませんが、努めて中労委の線を通じて円満な妥結ができることを望んでおるのでありまして、その間に私どもでできる限りの方法を尽して参りたい、かように大体考えておるものでございます。近年非常に争議行為が多いのであります。またそれがことに公益事業であり、基幹産業でありますと、ずいぶん国民に迷惑をかける場合が多いのでありまして、その点はまことに遺憾に存ずるのでありますが、ただいま申し上げたような趣旨で参りたいと考えております。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 今戸塚労働大臣は、当時者双方の交渉を待つておられるようであるが、もはやすでに御承知のように一月である。この重大な争議を、しかも三十万近くから参加しておるこのストライキを、産業全体に与える重大なこの基幹産業のストライキを、一体今日までほつておいて、なおまだ当時者双方の交渉が熟するのを待つような意味の答弁をしておられるようであるが、一体いつになつたらそれらの決断をされるつもりであるか。むしろ私は伺つておると、かえつて放任しておけば、弱肉強食で、強いやつの方が勝つて、弱いやつがこれに服従して来るだろう。自然解決、これが一番いいのだ、こういう考え方を持つておられはせぬかと思う。そもそもそういう放任政策というのは大体誠意のないやり方である。政府というのは、常に計画をし、指導して、やはりよりよく—問題を起らないように、起つたらすみやかに解決するように臨んで行くのが政府である。それを政府がやらないならば、国会で法律をつくつて、あとは警察、裁判所を置いたらいい。政府というものはそういう重大な使命があるはずなのだ。それらに対して何ら手を打とうとしておられない。中労委云々とか言つておられるが、一体中労委に対してどういうふうな手を打つておられるか、どういう見通しを持つておられるか、その点を戸塚労働大臣からもつとはつきり伺いたい。これはきわめて重大な問題である。  さらに池田通産大臣にお尋ねいたしたいのであるが、このストライキが長引くことによつて、炭鉱経営者の方にはこういう点があります。池田通産大臣御承知であるかどうか知りませんが大体これが長引いておることによつて一般工業の石炭消費者が石炭に困つて来る。そうすればこの春以来石炭が余つたといつて消費者から石炭業者、生産者は相当炭価問題で追い詰められて来た。このストライキが長引いて炭がなくなるのを契機に、この炭価改訂期に値下げ防止をしよう、逆に値上げをしよう、すでに値上げが今行われております。大体において、一般常識としては、この秋の改訂期にはトン当り三百円から五百円くらい下るものと世間では言つておつた。ところがこれが最近には、逆に値上げの計画がされつつあります。これは物価に与える影響、生産に与える影響、貿易、輸出に与える影響に重大な関係もありましよう。そういうようなからくりがありまして、炭鉱経営者は長引くことをかえつて炭価値上げの口実のチヤンスであると考えておる。だから痛しもかゆくもないと言つておるのです。さらに、一箇月の出炭ができなくても、減産になつても、来年の春までには完全に取返せる、そうすれば値下げを防止した、炭価の値上げをした者だけがもうかることになる。そのために少くとも何十億というような利益を得ることができるということがひそかに話されつつある。池田通産大臣が先般の新聞紙上に発表されているのを見ると、今度の炭鉱労働のストライキの、マーケツト・バスケツトの賃金方式には自分は反対だと、こういうことを言つておられる。反対であるからというので、これを放任しておかれるということは、ひいては一般産業に重大な影響を与え、ひいては炭鉱経営者の炭価値上げに対する思惑を援助しておることになる。しかも政府委員の話を聞いておると、特殊炭の足らないものは輸入をもつて補うということを言つておるようであるが、一体日本の国内の炭鉱争議をそのままに投げて、混乱状態に陥れて、それを今度特殊淡を輸入炭をもつて補うということになるならば、一体そういうことが国家経済の上から許されるか。それがひいては炭鉱労働者をいやが上にもこれを惨敗せしめようという結果をつくることになる。一体そういうからくりの点などを知つて放任しておられるのかどうか。こういう点を通産大臣にはつきりひとつお伺いしたい。

戸塚九一郎自由党労働大臣

○戸塚国務大臣 ただいまお話もございましたが、全然放任しておくという気持でおるのではございませんので、中労委とは常に連絡を密にいたしまして、始終の様子を注視いたしておるのであります。私どもの方で、適当だと思う機会に適当な方法をとつて参るという気持であることを申し上げるほかございません。

池田勇人自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○池田国務大臣 炭労のストの問題につきまして、これが経済界に及ぼす影響につきましての御質問の点、私もひそかではございません。さきの炭労ストの場合におきましても、そういうことがあつたのであります。今回の長引く情勢は、御承知の通り、ストの始まりましたときには、七百数十万トンの貯炭がございまして、前年のそれの七、八割くらいの状況であつたのでございます。従いまして、炭価は先行き下落の傾向のようでございましたことは、御説の通りであります。また貯炭があつたということは、ストによりまする産業界に及ぼす影響がそれだけ徐徐に来るということも、今回の炭労ストの長引く原因であろうかと考えるのであります。私は直接の関係ではございませんが、電産あるいは炭労のストがわが国の産業経済、国民生活に及ぼす重大な影響につきましては、重大な関心を持つて見ておるのであります。しかし、ただいま労働大臣がお答えになりましてように、われわれの労働政策につきましては、労使お互いに互譲の精神で、そこに妥結して行くことを期待いたしておるのであります。いたずらに政府が争議に直接介入するということはなるべく避けたい、この方針で行つておるのであります。従いまして、ただいまのところ、石炭の問題につきまして、ストにつき通産大臣といたしまして、労働大臣にこの問題を早く何とか処置せいというふうなことは申入れいたしておりません。労働大臣のお考えで、ただいまのところけつこうだと思うのであります。そのことによりまする今の特殊炭の輸入その他の問題につきましては、まだ今のところ情勢を見てけつこうだという考えでおるのであります。

伊藤卯四郎日本社会党(右)

○伊藤(卯)委員 ただいまの答弁は非常に不満である。戸塚労働大臣の答弁は、政治上の答弁になつておりません。適当な時に適当な考えといつて、一体一箇月も経ておる。今なお適当な時に適当な考えという、ただそれだけで政治の答弁になりますか。これは私の責任政府の担当大臣としてはなはだ—1時間がないようでありますから、後日に譲りますが、いま一点だけ質問しておきます。  私は労働大臣のその答弁に対しまして、もつと見通しの問題についてはつきりひとつ、中労委とどのようなことをされつつあるのか、それから一体大体の解決をどのような見通しのもとに、時間的にも、また円満解決の上にもやろうとしておられるのか。すでに当事者双方ではできません。できないことは、あなたが一番御承知だ。さらに問題が長引くことによつて、重大な問題が今炭労に起ろうとしております。というのは、今まで坑内保安について労働組合側は、非常に職場の保安を維持するために協力しておりました。ところが今日のこの炭鉱経営者の状態あるいは資本家団体、日経連などがこれをバツクして、いろいろな点からいたずらに引延ばして、労働者側をやつつけようということが明らかになつて来たので、資本家側の方がそういうやり方をするなら、自分らも保安に対する協力はせない。従つて法律に許される最低の線までやるが、それ以上のことはやらぬ。そういうことになりますならば、おそらく坑内の現場はほとんど崩壊してしまいます。ひとたび坑内が崩壊すれば、二箇月三箇月で復旧することはできません。このストライキをそこまで追い込む、そういうことをなさしめるようなことを、通産大臣にしても労働大臣にしても放任しておかれるとするなら、今後起るすべての重大なる事件は、政府が責任を持たなければならぬということを、私はここではつきり申し上げておく。もしいたずらにこれを延ばされておいて、争議団をそこに追い込もうとして行つて、一大不祥事件、重大事件が次から次に起つてどうすることもできないことが起るなら、政府が責任を負わなければならぬということをはつきり申し上げておく。必ず起ることを私は予言することができるような気がする。そういうことを御承知の上で一体おられるのかどうか。そういうことをやつたら、法律で縛り上げたらいいじやないか、そのうちに惨敗するだろう、そのうちに炭鉱資本家側が勝利を得るだろうというようなことで、いたずらに延ばしておられるような気がする。そういうことをやつておられると、今私が申し上げたような事件の起ることをお含みを願いたい。必ず起る。それは政府の責任であるということを私ははつきり申し上げておきます。時間がございませんから、あらためて両大臣の御出席されたときに、さらに私は内容にわたつて質問をいたします。時間の関係上、以上をもつて私の質問を打切りますが、そのような点について、さらに戸塚労働大臣のもつとはつきりした政治上の答弁を求めます。

戸塚九一郎自由党労働大臣

○戸塚国務大臣 先ほど私が適当な時と申し上げましたのは、こういう問題にきわめて微妙な影響を与えるものでありまするので、あらかじめこういう手、ああいう手ということを申し上げることをはばかつた意味で申し上げたのでありまして、自分としては、考えられることはいろいろ考慮をめぐらしておるのであります。ことにただいまもお話がありましたように、重大影響があるということについては、私も伊藤さんと同じように、日夜傷心いたしておるものでございます。なおまた何か経営者の方が都合のよくなるように引延ばしておるのだというような意味のお話がございましたが、私は決してさような考えを持つておりません。

坪川信三自由党

○坪川委員長 今澄君。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 私は戸塚労働大臣と通産大臣に二、三御質問申し上げて同僚にかわります。  第一問は、このたびの電産争議について、中山中労委会長は、職権あつせんを表明しております。この職権あつせんは、本日午後一時から電産側の労働代表と会見して、委員長として想を練るようでございますが、その前に労働大臣並びに通産大臣と中労委会長は、この職権あつせんについての相談をするということになつております。労働大臣はこの職権あつせんの問題について、中労委の中山会長にどのような御見解を表明され、どういう交渉をなされたか、またなされるおつもりであるか。第二点は、この職権あつせんに対する労働大臣の考え方は、一体どうであるか。三番目として、このストライキ中、大工場については経営者側の一方的な電力融通でどうにか今日まではやつて来ておるが、中小企業は壊滅的な打撃を受けておる。この中小企業に対して、一体通産省としてはこの電力ストライキの中においてどのような対策を立てて、中小企業のこれらの電力事情を解決せんとしておるか、以上三つの質問のうち一点は通産大臣から、漸次お答えを願いたいと思います。

戸塚九一郎自由党労働大臣

○戸塚国務大臣 お答えいたします。中山会長と会見するというお話でございましたが、まだそういう打合せは私はいたしておりません。あるいは私の方から、ただいまお話の職権あつせん云々のことを私も聞きましたから、どういう意味であるか、どういう気持で言われておるのか、そういう点について私の方からむしろそれを尋ねてみたい、かように考えておるものであります。

池田勇人自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○池田国務大臣 電産ストの問題につきましては、先ほど御質問のありました炭労ストよりも、もつと切実な問題であるのであります。従いまして通産省に参りまして以後、毎日のごとくこの問題につきまして検討を加えております。私の領域に関しまするストによる産業に及ぼす影響、大産業並びに中小企業に及ぼす影響につきましても、その影響ができるだけ少いように努力いたしておりまするが、しかし電気が来ないことにつきまする実害は相当なものでございます。従いましてこの問題は、昨年の秋にもこういう問題が起りまして、中小企業に対しましては、特に年末金融、あるいはその被害の状況を加えまして、個々の指導その他でこの被害をできるだけ緩和しようという考えのもとに調査をし、そして電産ストというものに対して善処いたしたい、こういう考えを持つておるのであります。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 今の質問に対する労働大臣のお答えはどうも了承できません。私は労働大臣に、この職権あつせんというものに対する労働省の考え方と、今日の段階に臨んだこの電産ストに対して、労働大臣はまさかその段階でないとは御答弁できないと思いますので、この点の再答弁を求めるとともに、もう一つ、時間がありませんから簡単に質問いたしておきますが、これは池田通産大臣に対して、私は例の四日市の燃料廠の払下げの問題について、この際通産委員会にひとつ意見を開陳してもらう義務があると思う。なぜかなれば、この通産委員会において、かつて前大臣にわれわれが四日市の払下げの問題についていろいろ尋ねたところ、前大臣は五人委員会の答申によつて、その答申案を中心とした払下げをするということを明確に答弁をされておるとともに、大蔵委員会において池田さんも、大蔵省の観点から答弁されているが、それはやはり五人委員会の意見を尊重して三菱系に払い下げることは妥当ならずというように私は速記録でながめて参りました。しかるにこの際通産大臣退官にあたつて、一方的にこれを三菱系に決定して、そうしてやめたのであるが、新大臣はこの払下げについては新たに五人委員会のごとき諮問委員会を設けられるかどうか。前大臣の決定はまことに妥当ならずと考えられるが、通産大臣の御見解はどうか。今後この払下げの問題についてはどのような手続と、どのような輿論を反映した払下げ方法を決定なされるものかということを、池田さんにひとつこれは明快に詳しく述べてもらいたいと思います。

戸塚九一郎自由党労働大臣

○戸塚国務大臣 職権あつせんのことは、法文上の解釈が多少手伝うかと思いますので、政府委員に説明いたさせます。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 これは今澄さん御専門でありますので、御承知と思うのでありますが、職権あつせんの発動につきましては、中労委会長は一方または双方の申請または職権をもつてあつせんに入ることができるという労調法の規定に基いておやりになつただろうと思うのであります。ところで従来かような例は非常にまれでありまして、多くの場合は一方、たとえば組合側または使用者側があつせんをしてもらいたいというのに対して、一方の方がこれに応じない、それがために解決ができないという状態の際にこれを発動している例が多いのであります。この電産ストの今日の段階におきまして、中山会長が双方の申請または一方の申請という形をとらずして、特別な職権というふうな形をとられましたことは、現在の電産争議の状況、ことに使用者側がこの前の中山会長の勧告以後も全然態度をかえていない状態であつて、これを放置すれば相当重大な段階に来るという御認定のもとにやられたものと考えるのでありまして、労働省といたしましては、これは中山会長としてはやむを得ない処置であるとともに、ある意味から申しますれば機宜の措置ではないか、かように考えておる次第であります。

池田勇人自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○池田国務大臣 四日市燃料廠の払下げ問題につきましての御質問でございますが、御質問中にございままた、私が大蔵大臣時代におきまして三菱系に売り渡すことは反対であるという意思を表明した覚えはございません。この問題につきましては、事務引継ぎの際に前大臣より一応自分の意見をきめた、こういう引継ぎがございました。しかしその意見害もまだ見ておりません。それからまた五人委員会の状況も通産省の事務当局からまだ聞いていないのであります。私はこの燃料廠の払下げ問題のみならず、それよりも早く起つて来る旧陸海軍その他の火薬廠の問題、また今後の特需関係によりましての日本の関連工場をいかに指導して行くかというのが先だと自分は考えておるのであります。従いましてただいまのところ火薬問題の解決を早くし、そうしてその次に兵器、燃料廠の払下げ問題について考えなければならぬと思います。私は従来大蔵大臣といたしまして、国有財産の売払いは早急に安く払い下げることを、あるいは貸し下げることを基本の考え方といたしておつたのであります。しかし最近の状況から見ますと、国有財産を払下げすること、売却することを原則とするという考え方は再検討しなければならぬ。国有財産にいろいろな種類がございますが、日米経済協力の上からいつて、新特需のことを考えますと、全部国有のものを払い下げるという考え方は改めなければならぬのではないかということを三、四箇月前から感じ出したのであります。従いまして燃料廠のこともさることながら、一般の旧陸海軍工廠あるいは工場につきまして、今後どういう措置をするかということは、ただいま専心検討中でございます。従いまして引継ぎは払下げに決定したということは聞いておりますが、これは最後の決断は大蔵省でやる。通産省の意見は大蔵省の国有財産払下げの参考資料になるのでございます。従いまして今後大蔵大臣ともとくとと打合せの上、火薬工場の問題あるいは兵器工場の問題、燃料廠の問題につきましては、国民の納得行くように、また日本の将来の経済に貢献するような方法で考えて行きたいと努力いたしておるのであります。

山手滿男改進党

○山手委員 関連して通産大臣に簡単に伺いたい。こういう問題は、いわゆる防衛産業に関係があるのでありますが、今のお話の国有財産を安く払い下げるという方法を是正して行こうという考えであることは、われわれも承つております。しかし今までいろいろ仮決定のようなことがされた高蔵工廠の問題やあるいは火薬廠その他の工場に対して、新通産大臣が全然新規な見地からこれを検討いたして、いわゆる国有民営方式でこういうものを処理して行こうという基本観念を新聞などに発表しておられるようでございますが、その点についてもう少上明確な御答弁を願いたいと思います。

池田勇人自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○池田国務大臣 個々の工場につきましては、今お話の高蔵工廠はどこにあるか存じませんが、今まですでに年限をきめまして賃貸しておるもの等につきまして、今ただちに契約を解除するということはなかなか至難な問題じやないかと思います。私の申し上げてあるのは、今までにいまだ貸与または払い下げてない工場につきましての考え方でございます。しかして国有民営にするがいいか、民有民営で行くべきか、この問題につきましては、個々の工場またはこれを受入れする企業体自体の考え方もいれなければいけません。一概にきめ得られないと思います。こういう問題は、将来の火薬の需要はアメリカを主とするものでございます。また日本が自衛力を漸増し、経済力が強くなつた場合に、保安隊の持ちまする武器あるいはそれに相当する弾丸を日本で製造するようになつた場合に、どれだけのものがいるかというようなことを兼ね合して考えなければならぬのでございます。国有民営とか民有民営に全部切りかえるという意味じやない。いろいろな事情を勘案しながら、国有民営がいいか民有民営がいいかということは、今後検討して行きたい。その気持はただいま今澄君の御質問に答えましたように、とにかく皆さんの納得が行き、日本の将来を考えて妥当な線を見出すことが私の方針であるのであります。  まことに失礼でございますが、きようは宮中に慶事がございますので、これで失礼さしていただきます。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 大臣の御都合があるようでございますから、私の方の質問は次の機会に譲りたいと思いますが、ただ先ほどからの質疑応答を伺つておりますと、政府の方は、ただいまの電産あるいは炭労のストに対しては、労使の自主的な解決で、政府として今のところこれに強権的な干渉をして行く考えはないということは理解できるのでありますが、現実に炭労争議の問題につきましては、坑内保安要員に関しまして通産次官通牒が出ております。これはもちろん鉱山保安法に基く事務的な手続のようにも解釈できますけれども、これはある意味から見れば労働者側に対する一つの干渉というふうにもとれないことはないのであります。そういう意味で、先ほどから両大臣が答弁せられました労使の自主的な解決を待つという基本的な線を、私はくずすべきではない。特に保安要員の問題については、炭労としては新たなるこれに対する態度を決定いたしておるのでありまするけれども、これはあくまでも労働者の一つの闘争手段として法規に認められておる権利行使でありますから、これに対して政府は関与してもらいたくないという立場だけを申し上げておきまして、私の方の質問は別の機会に譲りたいと思います。

坪川信三自由党

○坪川委員長 大臣は所用のため退席されますが、政府委員に御質問はありませんか。

山手滿男改進党

○山手委員 ちようど通産省の官房長が来ておりますから、今たまたま今澄君から四日市の燃料廠の払下げ問題が出ましたので、関連をいたしまして一、二お伺いをいたしておきます。先般高橋通産大臣が新大臣に申し送つたという決定の性格、あるいはそれに至つたいきさつは官房長が一番よく知つておられるようでありますから、この際明らかにしておいていただきたいと思います。

永山時雄通商産業事務官(官房長)

○永山説明員 御質問の四日市の関係の引継ぎの問題でございますが、これはむしろ正確には前大臣から直接にお聞き取りくださることが一番適当じやないかと思いまするが、せつかくの御質問ですから私が理解している限りのところで一応申し上げますが、これは私の理解している限りで申し上げているわけでございますから、あるいは若干誤りがあるかもしれぬということをお含みおきを願いたいと思います。  あの問題は、御承知のように、どのくらい前でしたか、もう二年ぐらい前だろうと思いますが、高橋さんの前の横尾さんが通産大臣当時から起つておる問題であります。従つて高橋前大臣が在任一年数箇月の間重要な問題として十分自分自身検討もされ、あるいは五人委員会を設置して十分その意見も聞かれたということで、高橋前大臣としましては、とにかく一応これだけの期間をかけて研究したことだしするので、自分の意見をきめておくことがむしろ妥当だというようなお考えでおきめになつた、かように承知をいたしておるのであります。しかして、これは通産大臣として決定をされたものでございますが、先ほど現池田大臣からお答えがありましたように、払下げ自体の問題は大蔵省が最終的な決定をすることでございます。また事の性格から行きましても、単に事務的な問題として取扱う問題ではなく、何らかの形で、関係閣僚、経済閣僚——少くとも経済閣僚の間では相談をされて、最終的な決定をなさるべき問題だと考えます。従つて政府としての決定に立ち至つている問題ではないのでございます。また現大臣が前の大臣の当時からの引継ぎを検討されて、それは不適当だと考えられれば、これまた変更することは、決してできない問題ではない、かように考えております。

山手滿男改進党

○山手委員 きようは理事会の方でこの問題を予定しておらなかつたようでありますから、簡単に一、二聞いておきますが、五人委員会の方では結論を出して答申したことになつておりますが、その答申の内容は、新聞そのほかでいろいろ報道されて、うすうす承知をいたしております。そう五人委員会の答申は三様の答申が出されたというふうに聞いておるのでありますが、その内容をここで説明を願いたい。

永山時雄通商産業事務官(官房長)

○永山説明員 五人委員会からは答申が出たのでございます。出ましたが、その答申の内容につきましては、私からここでごひろう申し上げる自由を持ちませんので、あらためて別の機会にお答えをいたしたいと思います。

山手滿男改進党

○山手委員 何かもつたいぶつて自由がないとかいうお話でありますが、大して問題のないことだと私は思いますが、これは大臣が出たときにまたやります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 石炭局長にお尋ねいたしたい。きのう需給状態の資料をいただいたわけですが、十月末現在が、できれば十一月十日現在における各種別貯炭の状況をお伺いいたしたい。

佐久洋通商産業事務官(石炭局長)

○佐久説明員 ただいま私の手元にその資料がざざいませんが、これは大体推定でつくる以外に方法がないのでございますが、帰りましてできるだけ資料を集めましてお届けいたします。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 私は事務当局の賀來労政局長にお伺いをしておきたいのでございますが、これは賀來労政局長の御見解としてひとつ明確な御答弁を願つておきたいと思います。炭労の争議において保安要員を引揚げて、現下の争議の現状にかんがみて、切羽その他の方向に多少の問題は起るとしても、新しい争議の形態に入るということは、これまでの経営者側の一方的な態度、並びに炭はいくらストライキをやりましても、炭そのものがなくなるわけではないので、あとでどんどん売り出せば経営者側には何らの損失もないというような点から、私どもはこのたび炭労が新しい事態として取上げたこの炭労の争議の戦術というものは、どの方面から見ても妥当なものである、かような判断を下しておる。これに対して中労委は今検討中であるというけれども、私はこれが正当な争議行為として認められないというようなことは、絶対にあり得ないことであると思いますが、賀來さんはこれらの問題についてどのようなお考えであるか。今後の見通上として、ぜひこの際御見解を述べておいていただきたいと思います。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 保坑、保安の問題を争議行為の手段として取上げて来まするのは、従来からも御承知のように炭労のストライキにおいてはたびたび用いられた方式であります。これに対する法的な解釈なり立場につきましては、これは今澄さんの方が御専門と考えるのでありますが、われわれといたしましては、労調法の規定に基きまして、そこに限界があるもの、かように考えておるのであります。ただ問題は、鉱山保安法の立場がありまして、その立場から見ました保安の問題、労調法の立場から見ました保安の問題には、おのずからややそこにニユアンスがあるのでありまして、これらの諸点につきましては、労働省及び通産省が適宜調整をはかつて、遺憾なきを期して行きたい、かように考えておるわけでありますが、根本的な私の感じを申述べますと、何と申しましても山を愛しておりますのは、炭鉱の経営者よりも労働者であります。従いまして労働者に信頼を申し上げておけば、さようなむちやはなさらぬものである、かような考え方をいたしておるのであります。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 今度の通産省の鉱山保安局が出した全国に対する通牒は、このような保安関係については、炭坑の労働者がそのストライキのほとんど死命を経営者側に制せられておるにもかかわらず、山を愛する意味合いにおいて、鉱山保安要員を相当以上に送り込んで、これらの鉱山の万全を期しておるにもかかわらず、鉱山保安局の出した通牒はこれらの労働者の誠意を踏みにじつて、まことに一方的なものである。私は鉱山保安法の制定のときに、この鉱山保安法の逐條別の審議をして、この法律通りの鉱山保安に対しては、経営者は断じてこれはできないであろうということを質問したところが、あるいはそうかもしれない、現状のもとにおいてはこの鉱山保安法の理想的な運営は不可能であるかもしれないという答弁があつたが、その後の運営は経営者が負担すべき鉱山保安に対しての実績というものは、法律からうんと離れた、法律を文字通り適用すれば、片つぱしから処罰をしなければならない現状であつたということは、監督官庁の皆さんの御存じの通りである。しかるにこのたびの争議に関してこの鉱山保安法を一方的に利用してそのような通達を出すということは、鉱山保安に名をかりて、炭鉱労働者の山を愛するの心を打砕き、しかして経営者側に大きく味方をするという、この法律の大きな悪用といわなければならぬが、この鉱山保安に関する責任者の事務当局の見解と御答弁をひとつお願いしたいと思います。

吉岡千代三通商産業事務官(鉱山保安局長)

○吉岡説明員 ただいま今澄さんからお話がございましたように、争議中における坑内保安につきましては、特に従来から組合が注意いたしまして、一般的には大なる支障なしに推移しておるわけでございます。最近までの状況につきましては、大体労働者の二割程度が現場に出ております。保安要員の勤務につきましては、経営者との間にも一般的に摩擦は生じておらないわけでございます。ただ争議が相当長期にわたつて参りましたので、先月の末に常磐地区において一部自然発火をいたしました。それから最近において九州地区でやはり二箇所ばかり自然発火の兆候を生じておる事態があるわけでございます。同時に争議の長期化によりまして、最初の間は切羽を支柱によつて維持しておつたのでありますが、これが一定の期間経過いたしますと、盤圧が逐次加重いたしまして、切羽の崩壊を来す。この切羽の崩壊についてどういう考えをとるかということは、実は現場の方から照会が参つたわけであります。私どもといたしましては、切羽の崩壊そのものをすべてとめるということは、これは問題があると思いますが、少くとも切羽の崩壊の結果、自然発火の危険を生ずる、あるいは通気、排水等の施設が破壊されまして、爆発あるいは水没というようような、重要な保安の関係の事故が起りまして、鉱山の全施設、資源が破壊されるということは、これは放置しておくわけには参らないという考えをもちまして、先月の末でございましたが、こういう場合においては、経営者、労働者双方の良識に訴えて、必要な措置をとつてもらう、従いまして、取上げる事態の対象としては、自然発火あるいは爆発ないしは水没に関係のある通気、排水の施設の停廃、こういう事態をとらえまして、その手段としてはあくまで労使双方の話合いによる自主的解決を促進する、こういう措置を指示した次第であります。その後先ほど申しましたように、九州地区の自然発火等の場合におきましても、これによりまして円満に処理されたように聞いておるわけでございます。なお切羽の進行につきましては、現在までのところでは、大体一般的には二日に一回とか三日に一回とか逐次切羽を移動せしめまして、大なる災害を生じないような措置がとられておる、こういう次第でございます。なお昨日の中闘におきまして、先ほどお話の保安要員の削減という指令が出されたということで、ただいまその内容を見たのでございますが、これも今申しました程度の主要なる通気、排水、あるいはそのための巡回であるとかという程度の要員は、維持するという趣旨であります。この解釈上にも相当の弾力性があるように考えられます。ただいま労働省からお話炉ありましたように、各現場の労務者としては、山の施設を愛するという気持をもつて処理されると思いますので、現状におきましてはただちに大なる問題を生じない、こういうふうに考えておる次第でございます。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 今の労働省並びに通産省の見解は、総合すると、このたびの炭労中闘がきめたこれらの問題は、概略して妥当のものであるという御答弁であつたということに、私は了承して、この質問を多賀谷さんに引継ぎます。なお私はもう一点、せつかく公益事業局長が見えておるので伺いたい。われわれはかつて——公共事業令第八十五條において、停電ストの問題についての規定が、この中にあつたことは、いまさら私が申し上げるまでもございません。しかるにこの公共事業令は、政府の怠慢によつて今や空白となつておるわけであります。これひとえに吉田内閣の大きな失政であるといわなければならぬ。私どもはかかる公共事業令の空白な時代においては、これらの通産省関係、公益事業関係の立法において、このたびの電産争議を強制的に押えるということは断じてできないものであるという見解を持つておるが、これに対する公益事業局長の御答弁を願いたい。なおもう一つ、私は公益事業局長に対して、従来一つであつた電力会社を、再編成令でもつて九つに分断したのであるが、そのときもすでにわれわれは、この九分断というものは、将来の労働問題の上にも、大きな問題を残すであろうということをつけ加えて反対したのである。しかるに現在電気の経営者と労働者との争点は、団体交渉の形式においてもこの九社別の交渉であるか、一本化であるかという問題で対立しておるところを見れば、これまたこの九分断というものは大きな禍根を残しておるということをいわなければならぬのでありますが、この争議を通じて公益事業局長は、将来の電気事業のあり方というものは、現在の九分割会社が自由な営業をあなた方の監督を受けてやつておるという姿ではたしていいのかどうか。今後もこのような賃金問題が出たときには、一体どういうふうにお考えになるのか。私は公益的な立場で政府が強制するとすれば、これは全国的にも一つの姿であつて、しかも国民の公益を代表するという形態でなければならぬのに、事業形態としては私利を追求する純然たる民間会社にしておいて、こういう賃金交渉のときだけは公益事業であるといつてこれを押えようとする政府の態度というものは、まことに片手落ちの自分かつてな考えであるといわなければならぬが、公益事業局長のこれに対する見解をひとつ承つておきたいと思います。

石原武夫通商産業事務官(公益事業局長)

○石原政府委員 第一点の公共事業令八十五條の関係でございますが、今お話のように公共事業令は失効しておりますので、現在この法律はもちろん適用にはなつておりませんが、これはストとの関係でございますが、この規定は労働行為で、不当な労働行為が行われた場合にのみ適用があると解釈しております。従いまして今ちよつとお話がございまして停電ストの場合に、ただちにこれに該当するかどうかは、停電ストが違法な労働行為であるかどうかの解釈のいかんにかかると思います。かりに停電ストが違法であるということにもし解釈がきまりますれば、八十五條が適用になるわけであります。停電ストが労調法との関係で、別に違法ではないということでございますれば、八十五條がたとえ有効であつても、停電ストは当然合法的に行われているということに相なるわけであります。一般的に申しまして、公共事業令が失効の状態になつておりますことは、はなはだ遺憾な状況で、一刻も早くかような状況を解消したいというふうに考えておるわけであります。  それから次の御質問の九分割と労働争議、ことに賃金との問題でございますが、ただいまのお尋ねは九分割自身がどうかという点につきましては、これは非常に大きな問題で、われわれ事務当局の一人が、これが適当であるとかそうでないとかいうお答えをすべき性質のものでないと思いますが、私といたしましては、少くとも九分割が行われました現在におきましては、この制度がそのまま維持されて行つてしかるべきで、やたらに制度が変更になることは、電気事業全体の発達のためにも適当ではないのではないかというふうに考えております。従いまして、現状の九分割の前提におきまして、労働の賃金問題がより解決が困難ではないかということにつきましては、いろいろ御意見があると思いまするが、これは別に今澄さんの御説を否定するつもりはございませんが、それはその問題があるからただちに九分割が悪いということにも相ならぬと思いますので、御質問に十分お答えにならないかと思いまするが、一応それは別問題として処理するよりしかたがないというように考えております。なお九分割になりましても、現在の賃金ストの関係を特にわれわれの方で公益事業とい建前であの公益事業賃金を特別に抑圧しようというような考えは毛頭持つておりません。このストの問題は、先ほど来お話がありましたように、現在の段階では中労委のごあつせんによつて解決せられることを期待しておるような次第でございます。

今澄勇日本社会党(右)

○今澄委員 私、これで質問を終りますが、最後に私は経営者側が電気の技術者を集めて、これで実力運転をやつて、この電産の争議に対抗しようというような動きがございますが、このようなあり方は現状の電産の争議の上に大きな暗影を投ずるもので、私は政府はすべからく善処して、こういう問題はひとつ円満な解決が行くような方向に進めてもらいたいとおもうが、これに対する公益事業局長の御見解と、もう一つは、賀来局長に、私は今の段階において電気事業に対する一つの考え方は労調法と公共事業令八十五條の規定をにらみ合わしてみて、はたして今次行われんとする第十次電産ストが違法なりやいなやということは、私はこれは違法であるというような結論を下すことは今日の法律的根拠に基いてはできないと思います。だからこういう問題を取上げて、緊急調整などということは私は断じてなさらないであろうことをもとより信じますが、今度の中労委会長の職権あつせんと、それからその時期に経営者側が今の態度を改めて、大体団交に応ずるものと私は思いますが、労働省としてはこのような経営者をして、この団交に応ぜしめ、少くとも一応平和の団体交渉に入る意思を宣明せしむるということが、一方的にこの炭鉱労働者のみを責めることよりも先決問題ではないか。なおこの団体交渉において、電産の問題が今度の中労委のあつせんや将来をながめて、一体どのような見通しであるか、大体解決しそうであるかどうか、ひとつ率直な御見解を賀来さんから承つて私の質問を終ります。

石原武夫通商産業事務官(公益事業局長)

○石原政府委員 ただいま私の方にお尋ねがあつた部分についてお答えを申し上げますが、ただいまのお尋ねは、ストが実施されておりますときに、会社側がそれを応援と申しまするか、経営者側の人によりまして運転をしておるのはどうかという問題だと思います。私の方といたしましては、電力会社は公益事業で、もとより電気供給企業をやつておるわけでございます。経営者側が可能な限りにおきまして、現地で施設を運転することをとめる意思はございません。ただ現実の問題といたしましては、具体的にいろいろトラブルが起る場合もございますし、各地の状況を見ましても、各地それぞれ異なつております。ほとんど経営者側の運転の非常に少い所と、割合にそうした者によつて運転の行われている所とまちまちでございますが、その辺は一応現在のところ経営者の自主的判断にまかしておるという状況で、さような方針で今特にこれについてやめろとか、あるいはさらに強化しろとかいうようないずれの措置もとつておりません。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 この電産の争議の扱い方の根本的な態度につきましては、先ほど労働大臣からもお答えがありましたし、私からも昨日申し上げたのでありまして、目下のところは何とかしてかような公益事業が第三者の仲裁がありました場合には、そのあつせん調停の案を、双方無理であろうがのんで、いたずらなる争議行為に訴えないような慣行の確立をこの際はかりたいというのが基本的な考えであります。と同時にさような意味合いからいたしまして、政府が強権をもつてこれにむやみに介入するというふうな慣行もつくりたくない。できる限り中労委の御努力にまつて行きたい。これに対して政府はあらゆる協力を惜しむべきでないという考え方を持つて参つておるのであります。従いまして、目下昨日来重ねて中山会長は非常に強い決心のもとに、今度の解決に当られておるわけでありまして、その横から政府といたしまして格別の方法をとるということにつきましては、よほど会長とお打合せの上でなければ処置すべきでないと考えておるのであります。しかしながら会長の御努力にかかわらず非常に難航をするという場合に、その状況次第によりまして、労働大臣といたしまして、経営者に対しまして強力に団体交渉に入るように、あるいは中労委の調停案を基礎として解決をするように要請し、勧告するということは当然なすべきではないかと考えておりますし、組合側にいたしましても、中労委の調停案の近くまでおりておりますが、全然これに無條件でおりて来ておるわけではないのであります。かりに経営者側がここにおりて来ましても、いま一歩の協力を組合側に対し求めなければならないのでありまして、さような場合、組合側に対しても勧告し、あるいは要請をするということについては考えなければならないと思つておりますが、午後の情勢を見ました上で大臣の意向をきめていただきたい、かように考えておるわけであります。見通しというお話でございまするが、これは非常に困難である。御承知のように、占領軍という圧力もなくなつておりますし、さらにいろいろな問題が今日の争議にしわ寄せになつておるということからいたしまして、かように長期化いたしたことは、一部やむを得ない事情もあると考えておるだけに、非常に解決は困難だと考えております。従いまして、ここでいつ解決するかということを申し上げることは困難でありますとともに、私どもの見通しを申し上げることは適当でないと思いますが、ただ一つ御了解を得ておきたいと思いますことは、中山会長の御意向を伺いましても、次の十七日から二十日のストライキは極力回避をいたしたいという御意向でありますので、政府といたしましても、その線に沿うて協力申し上げたい、かように考えておる次第であります。

田中織之進日本社会党(左)

○田中(織)委員 ただいまの石原局長と賀來局長の答弁に関連して、一点伺いたいのであります。争議に対する基本的な政府の態度は、現段階においてわれわれこれを見守つている立場でありますが、ただいま今澄委員から指摘されました停電ストに対抗するために経営者側の方で技術者を動員して実力運転をやるという問題については、石原局長はこれをやめさせる考え方はないということを申されたのでありますが、私はこの問題は、むしろ公益事業という立場から言うならば、正当なる憲法で保障された罷業権に基いて行つている停電ストに対する関係において、いわゆるスキヤツプである、罷業破りであるところの実力運転等の問題は、もしこれが現実に行われることになれば、そこに不測の混乱を引起すことになる。私は政府がこの争議の与える社会的な影響を考慮するならば、そういう実力運転をやるというふうな経営者側の暴挙を押えることが、むしろ社会的な影響を政府の責任において処理する道だと思う。われわれは停電ストの、いわゆる要請その他の問題も指摘されており、あるいは先般の参議院の本会議で犬養法務大臣は、威力業務妨害罪に抵触する云々というふうなことを申されておりますけれども、争議は大なり小なり威力を伴うことは当然である。しかもこれは憲法で認められた権限でありますから、そういう観点から、これを刑法上の威力業務妨害罪で場あるというふうな見解を示すことは、これは法務大臣の法律を知らないということの暴露以外の何ものでもない上、横浜地裁の判決等においては、むしろ労働者が争議権というものを正しく行使する建前から見るならば、停電ストというふうな戦術に出ざるを得ないであろうということまでこの判決において示しているのであります。私はそういう観点から見て、局長にお伺いをしたいのは、実力運転を停電ストに対抗してやるというようなことは、経営者側をしてそういう対抗手段を講ぜしめないということのために、むしろ政府当局が動くべきである、かように私は考えるのでありますが、その点の局長の見解を伺いたい。またそういう処置を講ずることによりまして、賀來局長から答弁されたように、いわゆる調停案を基礎としたところの団体交渉によつて争議の解決に向つて進む、すでに電産の労働組合側はそれに応ずる意思を表明しているけれども、いわゆる統一。交渉の問題に難点があるし、いまだに経営者側が調停案そのものをも、これを基盤とし、あるいは中心として団交を進めるということを頭から拒否しておる態度から見て、争議の社会的また経済的に重大なる影響を与える責任はあげて経営者側にある。これは炭労ストにおいても私は言い得ることだと思います。そういう点で、政府は労働者に対し争議行為に対して何か圧力を加えるような印象を与える動きなり、あるいは言動を慎んでもらつて、むしろ停電ストをやりたくないならば、調停案という一応の基準になる案件も提示されておるのでありますから、それを通じて争議の解決に向うべく経営者側を鞭撻することこそ私は政府の責任であると思う。その点から見て石原局長の実力運転云々についての電解を重ねて伺つておきます。

石原武夫通商産業事務官(公益事業局長)

○石原政府委員 スキヤツプ自身は合法的であり、ただちにそれが違法であるとは私は思いませんが、ただそういうことをいたしますために無用の混乱を起すおそれがあるわけでありまして、さような場合にはこれはぜひ避けなければならぬというふうに感じております。それから具体的に電産の場合におきまして、電気の経営者の方も、新聞等には出ておりましたが、私が承知しております限りではさようなことをやる意思は今のところ持つておらぬようであります。従つてそれについてわれわれの方からそういうものをさしとめるようにというふうな指示をしておらぬ状況であります。スキヤツプ自身はやはり違法でもなし、禁止をしなければならぬとも思いませんが、それを行いました結果非常に混乱を起すおそれがあれば、これはもちろん避けるべきであるというふうに考えておるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 十月三十一日に鉱山局長名で保安命令が出されました。争議中における採炭、切羽の維持に関する通牒について再度御質問いたしたいと思います。  われわれは争議行為の制限は労調法によつてのみ受けるものであると考えておるのであります。鉱山保安法の関連におきましても、正常なる争議を前提としてつくられました鉱山保安法が直接適用を受けるのでなくして、労調法三十六條に規定されております「安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げる行為は、争議行為としてでもこれをなすことはできない。」という條文が適用を受けるのであると考えるのであります。そこでその範囲において鉱山保安法の個々の條文が適用を間接的に受けて来ると考えておるのであります。ところが今度の通牒を見ますると、鉱山保安法の観点から出されておるのであつて、直接鉱山保安法が争議行為の中に介入をして来る、適用を受けておるというような感じを持つわけであります。そこでわが党といたしましては、十一月五日本通牒に対しまして、通産大臣を訪ねて、組合が現在労調法で要求しておる以上のものを出しておらぬにもかかわらず、かかる通牒をあえて出すということは、経営者のみを有利に導き、政府における争議行為の介入である、不当な干渉であるということを述べたので、その撤回方を要請したのであります。これに対しまして、十一月七日鉱山保安局長より回答を得たのでありますが、私は本席においてその回答を再確認いたしたいと思うのであります。それは第一に、本通牒はあくまで人命保持を目的としたものである。第二には切羽の崩壊は人命保持を全うする限りにおいて、争議行為である以上やむを得ない。第三は本通牒は、再開後の完全操業を期待しておるものではない。以上の三点を確認いたしたいと思うのであります。  それから労政局長にお尋ねいたしますが、本通牒は主管官庁である労働省には当然会議があつてしかるべきであると考えますが、事前に会議があつたかどうかをお尋ねいたしたいと思うのであります。

吉岡千代三通商産業事務官(鉱山保安局長)

○吉岡説明員 通牒を出しました趣旨につきましては、先ほどお答えした通りでありますが、内容をごらん願いますとわかりますように、これは労調法とか鉱山保安法の法律解釈をこれできめたものでない、つまり争議が適法であるか違法であるかということを、これできめておるわけでないのでありまして、ただ鉱山における特殊性から申しまして、通常の工場の争議と異なりまして、ある程度の安全保持をいたしませんことには、非常に危険が及ぶ、こういう関係がありまして、いわば純保安そのものの見地から、手段としては、先ほど申しましたように、炭使双方の自主的の解決ということを促進する、こういう趣旨で出しておるわけであります。  なお保安法には別に保安上必要な命令を出す規定があるわけでありますが、この場合にも争議中でありますので、特に慎重を期する意味合いから、事前に本省と打合せをさせるということを、地方の監督部長に指示いたしたわけでございます。従いまして、社会党からのお申入れに対しましては、大臣にかわりまして、次官からその趣旨の御回答をしたわけでございます。  なおその際の、確認したというお話の点でございますが、人命保護ということは究極の目的でありますが、同時に人命保護に必要な、すなわち爆発なり、水没を起す意味の通気、排水の重要施設の機能を停廃する、こういう重要な保安施設の機能を停廃するということも労使双方の立場から不適当であろうという意味におきまして、重要な保安施設、自然発火その他の直接に人命保護に関連する事項、それからその安全なる操業のために必要な施設の停廃、これを対象にしておるわけであります。  繰返して申しますが、これは違法性についての解釈をいたしたものではない、安全保持に支障のない意味においての通牒である。こういう点を御了解願いたいと思います。  なお切羽の崩壊自体につきましては、これは保安と別個の見地におきましても、切羽の崩壊によつて経営者はもちろんでありますが、労働者側にも再開後の作業にいろいろな問題があると思います。通牒におきましては切羽の崩壊自体をすべて取上げてはおりません。今申しました重要な保安施設の機能の停廃、自然発火の危険または再開後の作業に著しく危険を及ぼす場合、この場合を対象にしております。それから再開後の完全運転ということは、これはもちろん争議中に切羽、坑道等も相当荒れておることでありますので、ただちに完全運転に復するということは期待できない、相当の復旧の期間が必要であろう、かように考えておる次第でございます。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 今度の通牒を出されるに際しては、文書といたしまして公式の協議は受けておりません。しかしながらこの措置は労調法と直接非常に関係がありますので、案の内容につきましては協議を受けております。労働省の立場といたしましては、労調法に基きまする争議権の擁護という限界におきまして、この通牒の内容において実施せられるならばさしつかえないという考え方で、異議を申してはおりません。

坪川信三自由党

○坪川委員長 他に御発言はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕

坪川信三自由党

○坪川委員長 本日はこの程度といたしまして、次会は本委員会散会後理事会を開きまして決定いたし、公報をもつてお知らせいたしたいと思います。本日はこれをもつて散会いたします。     午前十一時四十六分散会

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