大蔵委員会 第8号
- 発言数
- 62 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/12/02
会議録
○奧村委員長 これより会議を開きます。 前会に引続き、昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法律案及び国民金融公庫法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。大泉寛三君
○大泉委員 せんだつて主税局長から大体聞いておりますが、富裕税のかわりに高額所得者の税の引上げを考えているということですが、富裕税はおのずから違うのでありまして、今富裕税を納めておる者が困つておるのは、一つはあまり財産を根掘り葉掘り聞かれる、あるいは調査されるという、この心理的な面において非常に敬遠するのです。しかし富裕税の立場は、財産をただしまつておかないというところにまた非常に意味があると思うので、財産を生かして常にこれを活用して行くというようなことは、むしろ富裕税がある方が私はそういう面にかえつて意義があると思う。そのかわりに税率を上げるということは、これはどうも無理ではないか。しかもどうもこの間も申し上げた通り、そのきわめて少数の者に対して罰金的な税をかけるということは、やはり国民の納税意欲を減殺するおそれがあると思う。そればかりでなく、大体多く所得を得るというようなものは、そういう面においては、むしろ他の少額所得者とは違つた立場において資本を残す、いわゆる金をためる。今日の言葉でいつている資本の蓄積であるとすれば、資本を優遇することを先決問題として考えなければならぬ。しかも高額所得者は、必ず資本の蓄積が前提となつて高額所得者になるのであつて、資本を優遇するならば、高率の税に持つて行く手はおそらくないだろうと思います。この点もう一ぺん伺いたいと思います。
○平田政府委員 お話のように、できるだけ資本蓄積をはかるということだけを考えますと、所得税の高い方の税率もあまり高くしないという考え方は、これは一応ごもつともだと思います。しかし所得税はあらゆる税の中で一番重要な税でございまして、この税は、全体としましてできるだけ公平な税制に持つて行くということを考えなければ、これはやはり私は所得税としての生命を失うと思います。今所得税の税率を下げておりますのは、前から申し上げましたように、別に富裕税を課税いたしまして、財産から生ずる所得に対しましては、所得税のほかに富裕税がかかるから、相当な高率課税をしておるから、所得税の税率は下げておる。両方相まちまして、所得税の今の税率の考え方をとつておるわけでございますが、その富裕税をやめつぱなしにして、所得税の税率は五五%程度ですえ置くというようなことになりますと、どうもやはり今の所得税全体の高さから行きまして、公平感といいますか、そういう見地からいたしまして、あまりにも譲歩し過ぎるのではないか。さればといいまして、日本のような国におきまして、イギリスやアメリカのごとく所得税で九七%とか九二%とか、ドイツのごとく九九%であるとかいつたような、そういう高い税率まで持つて行きますのは、これはお話のようにいろいろな事情もございますので、私らはいかがと思いますが、所得税の税率を六五%、地方税を加えまして七五%から七、八パーセントまで最高税率としまして持つて行くということは、今の所得税の負担の現状からいたしますると、これはどうもその程度は必要であり、かつやむを得ないのではないか。しかしこの辺は考え方によつていろいろ差の出て来るところではあろうと思いまするが、諸外国の税制、あるいは日本の過去の所得税の税率等からいたしましても、その程度までは高額所得者といえどもごしんぼう願わざるを得ぬのじやないか、このように考えておる次第であります。
○大泉委員 それではもう一つ別なことで伺います。現在二百万円を基点としているようでありますが、これを一律に二百万円を基点として、そういう六五%というように考えて行かれるのか、それとも三百万円、五百万円、あるいは一千万円というような刻み方で行かれるのか、どうですか。
○平田政府委員 具体案につきましては、実は目下いろいろ検討中でございまして、まだ確定案を得ておるわけではございませんが、考え方としましては、現在二百万円超過のところで百分の五十五という税率になつておりますが、その上に一段階三百万、五百万くらいの階級区分を設けまして、五百万超過を六五とする、これも一つの案だと考えております。しかしそういうことにするか、あるいは五百万では少し高過ぎるから、最高三百万くらいのところで六五に持つて行く、こういうような案もあるわけでございまして、その辺のところは、今後さらによく検討いたしまして、この次の国会までにできるだけ自信のある案をつくりたいと考えております。
○大泉委員 私はそれを聞いたからといつて、賛意を表するわけではないのですが、これは政府だけの考えでこれをやられるのですか、それとも一般のいわゆる財界の識者、あるいは政党方面の意見を聴取せられてそういうことをやられるのか、それに対してやはり大蔵省独自の立場で考えているのではないのですか。
○平田政府委員 私どもやはりいろいろの研究に基きまして、独自の意見を持つべきだと思いまするが、しかしもちろんそれだけできめるわけにもいかないと思います。各方面の意見もよく聞き、もちろん自由党の政調会の方とも連絡をとりまして、案をとりまとめた上で国会に出すようにいたしたいと考えております。
○大泉委員 それならばけつこうでありますが、私どもはそれに対してただちに賛意を表することはできないわけでございます。やはり多少の国民感情は考慮に入れて、国民にこんなに税金をかけられるのでは、われわれは使つてしまつた方がいいというような感じを起させて、産業活動を減殺するような方向へ持つて行かないで、いわゆる国民を総貧乏に追い込まないような税制にしなければならない、かように私は思います。よくこの点を御注意願いたいと思います。私どもの考え方を、前もつて大蔵省の意を決しない前にここで申し上げておきたい、こういうふうに考えたので申し上げるわけでございます。どうかそういうふうに、いわゆる国民のほんとうに活動意欲を増進させるような方向に持つて行つていただきたい、こういう希望を申し上げておきます。
○中崎委員 議事進行に関して……。国民金融公庫に関する法案は、刻下の状況にかんがみて急を要するものがあると思うのです。そこですみやかに大蔵大臣に出席してもらつて、そうして必要な質疑をかわしたいと思いますので、委員長の方でそういうふうにおとりはかりを願いたいと思います。
○奧村委員長 了承いたしました。さつそくさようとりはからいます。宮幡靖君。
○宮幡委員 本日は金融関係について、銀行局長、それから大臣がお見えになつたら大臣、こういうつもりでしたが、まだお見えになつていません。そこで相もかわらず税という言葉は国民の口に上り、国民にきらわれまして、そうして必ず国会で問題にしなければならない、まことにむずかしい問題であります。いくら話しても、いくら質問いたしましても、税金がもつと安いか、とらないという国会にならない限りは、国民大衆は満足が行かないのです。そこでただいま大泉委員からも一つの御意見が出ました。これらも大いに御勘案を願いたい。但し税を扱つておりまする大蔵当局の考え方が私にはわからない。お話の中に、あるいは自由党の政調会というようなお話があつたようでありますが、これは余談としては必要でありますが、国会の審議の上においてこれが表街道だとは私どもは信じておりません。さような意味におきまして、二、三質問をいたしたいと思います。もちろんこれで終つてしまつたというわけではありませんので、委員会の進行上あるいはときにはやめもいたしますし、次会にも保留いたしますが、時間の許す程度でお尋ねいたしたい。 そこで銀行局長が来てから関連する問題は伺いますが、ただいま資本蓄積という言葉が大泉委員からも話された。それには貸倒れ準備金の限度を引上げるという問題が一つ大きく取上げられておりますが、この限度拡張についての構想はどのようになつておりますか、あわせていわゆる償却を大幅に拡大する、特別償却の範囲を拡大する、あるいは耐用年数の縮小をはかる、期間を詰める、こういうような方法を考えられておりますか。これについてただいまの補正予算に関連する税制は別でありますが、明年度の予算編成にあたりまして、大蔵省の持つておりまするこれら一連の関係の御構想をこの際承りたいと思います。
○平田政府委員 貸倒れ準備金の制度は、宮幡さん御承知の通り二十五年度から設けまして、実行いたしておるわけでございますが、その準備率と申しますか、積立ての限度につきましてすでに二年半ほど実行して参つたわけでございます。一方最近の状況から見まして、はたしてどの程度の貸倒れの実績があるか、そういうことにつきましても、現在いろいろ過去のデータを集め中でございまして、そういうものをよく見まして、この際としまして妥当な率をきめることにいたしたい。方向としましては、どの程度上げるか、今成案を得ておりませんから申しにくいのでございますが、卸、製造、小売というふうにわけまして、今若干の差をつけておりますが、はたして今の率がいいかどうか、よく検討いたしまして、引上げる意味合いにおいて改訂を行いたい、そう考えております。 それから償却の問題につきましては、いろいろ問題がございますが、これは率直に申し上げまして、この二、三年は前と比べますと、相当大幅に拡大されている。これは宮幡さん御存じの通りでございます。再評価を第一やりましたし、それから特別償却といたしましても、二つの方法を講じております。一つは、三年間普通の償却額に五割増しした額を償却できるという制度と、それから今年から新たに重要産業につきましては、機械等を買いました最初の年度に、半分を一時に償却できる。これは相当な措置でございます。そういう措置も講じて来ておる。いずれも実行の途中でございますので、まだそれほど民間においてもピンと来ておられないところもあるようでございます。しかし企業によりましては、そういうことによりまして、相当な改善をはかりつつあるものも、中には現に出て来つつあるのでございます。しかしそれにいたしましても、長い間インフレーシヨンのために償却が十分に行われなかつた。この事実はどうもいかんともしがたい。従つて私どもといたしましては、今後におきましても、減価償却についてはできる限りの措置を考えてみたい。そこで大臣からお話がありましたように、再評価をこの際もう一ぺん認めるかどうか、認めるという方向で研究してみたい。それから特別償却につきましても、産業合理化法で業種をある程度指定しておりますが、その指定の範囲をもう少し拡張した方がいいではないかという考え方で検討してみたい。これは一時に半額を償却できるのでありますから、償却としては相当勇敢な措置でございます。そういうことももう少し考えてみたい。 耐用年数につきましては、昭和二十六年度、昨年度に全面改正をやつた。この際は各企業の代表者に何百人、何十人とお手伝い願いまして、相当専門的に調べ上げまして、それをもとにして、最後に物理的命数だけではなくて、経済的命数ということを考慮しまして新しくきめ直した。どうも私ども宣伝が下手かどうかわかりませんが、耐用年数に関する限りは、イギリスやアメリカよりも日本の方が短かくて、合理的にできている。昨年財界の専門家を全部集めまして、経団連その他とも協同いたしましてつくり上げたのでございまして、この率は、私ども世界に出しても決してはずかしいものとも考えておりません。従いましてこの率を今ここですぐまた考え直すというのは、少しどうかと考えておるのでございます。船舶につきましては、いろいろな事情がありましたので、今年さらに若干の特例を認めまして、年限を短かくしました。あんなに短かい年限を定めている国はどこにもないのであります。そういうようなわけでございまするが、今申しましたように、何しろ長い間インフレ時代の償却不振、これが相当たたつておるようでございまするから、これを直接、間接に救う意味におきまして、今後とも償却につきましてはできるだけの措置を考えてみたい。そういうことで目下検討いたしておるわけでございます。この次の国会にはできるだけ具体案を作成しまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思つております。
○宮幡委員 今の大蔵省の構想は、全般的に申せば無難な進歩的な考えであるということを、私どもは認めるにやぶさかではない。しかしたまたまその言葉の中に、必ずしも満足のできないところがある。たとえば、耐用年数が諸外国に比べまして日本ほど短かい国はない、物理的償却、経済的償却の精神を加味いたしましてやつておる。この理論はわかるのでありますが、実際によそに比べて償却率が多いということは、誇るべきこととは私は考えない。それほど日本の機械設備、その他一連の関係というものが諸外国のものより遅れておる、古いものである。あるいは経済的に考えました場合には陳腐化いたしまして、もはや用をなさない、ゼロに近いものが多いのではないか。従いまして、優秀なる施設を持つておりまする諸外国の耐用年数より、日本ははるかに低くて正当であります。それでこそ産業界の実情というものを知つての行政的改革だと私は思う。従つて、単に耐用命数の見方を短期間に見ておるから考慮が払われておるということは、機械の合理化を初めとし、近代化というようなことの趣旨とは少し離れておる。この点につきまして、私は賢明なる主税局長の再考を煩わしたい。具体的にどれだけにしろということは、財政需要とも考えまして、全般の産業経済の立場におきまして勘案をする。具体的に五年後はよろしい、七年は悪い、二十年は長過ぎる、十八年にしろ、こういうような意味ではありませんが、しかしながら全体としまして日本の機械設備というものは、すべての点に比較しまして、諸外国のそれよりも劣つておる。だから早く更新できるだけの償却を認むべきである、こういう理論になるであろうと思うのでありまして、さらに御意見の中にこれらの構想も含められまして、将来にわたつて御考慮願いたいと思うのであります。 さらにもう一つは、第三次再評価の問題につきまして、大蔵委員会の冒頭において、幸い大臣が御出席になりましたので、私からお尋ねいたしましたら、第三次の再評価もいたした方がよろしかろうというような御意見でありました。ところがその翌日、新聞でありますからとるに足りませんけれども、あるいは新聞記者に怒られるかもしれませんけれども、新聞を見ますと、大臣は第三次再評価もすべきであるというように言つたが、大蔵事務当局の考えとしては、今は適当でないと思うという社説が、これは各社を通じまして掲載されておつた事実があります。主税局長の今の御答弁は、これもやるべきであろうと考えてやつておる。この間に食い違いがあるのでありますが、これは産業界としては相当重大に見ておるのでありますから、たまたま言葉がそこに及ばれましたので、この際その点をはつきりしていただきたいと思います。
○平田政府委員 事務当局の見解が新聞に出たということでございますが、私その記事は読みましたが、主税局に関する限りにおきましては、そのようなことはございません。その前から検討いたしておつたわけでありまして、断定は下しておらなかつた。しかし大体やる方向で進めるということで、いろいろ問題を研究しておつたのでございまして、その点御了承願いたいと思います。そういうふうに新聞に出ておるとすれば、それは正確な記事だと思いますが、反対的な記事だとすれば、だれが話したか知りませんが、その人の個人的な見解ではなかろうか、このように考えております。従いまして今申し上げましたように、やるという方向で研究しておるということを御了承願いたいと思います。
○宮幡委員 その点は第六感で判断いたしまして、了承することにいたします。 それからさらに今貸倒れ準備金の話がちよつと出ましたが、価格変動準備金制につきましても、どうもこの制度をやつて以来というものは、おおむね緩慢ではありますが、物価にいたせ、あるいは生産数量にいたしましても、すべて上昇気味であります。従つて値段の上つておるというときにこの効果がどうだということをあまりためしてみることができなかつたのでありますが、これは名目倒れの制度でありまして、実際資本蓄積という大きな観点から見ますと、あるいは企業の健全性を保障いたますための制度としては、若干不備のように考えます。これは価格が下落して行く趨勢のときでありますと大いに効果があるのでありますが、上昇の段階においては、この効果が乏しかつたと私は思います。さような意味におきまして、この制度につきまして何か一つ新機軸を出しまして、同一の精神を税法の上に現わす御用意があるかどうか、これは御意見でけつこうであります。どう言つたからといつてそれをとがめるものではありません。どうも効果が上つていない。この事実から反省してわれわれは考えるのでありかすから、忌憚のない御意見を伺いたい。
○平田政府委員 この問題は宮幡さん専門家でありますので、おわかりだと思いますが、御承知の通り二十五年度からたなおろし資産の計算方法につきまして、あと入れ先出し法といういまだかつて認められていなかつたような措置を認めておる。これは今お話になりましたような趣旨を企業がやりますれば、まさにその通り行くのでございます。しかもきわめて的確厳正に行きまして、途中で適当に変更する余地もございませんし、その方法を一貫してとるということでございますれば、課税の上においてもさしたる弊害はないということでああいう措置を認めたのでございます。従いましてああいう方法をとつておられますところは、これはお話のようなことにぴつたりと当てはまるようなことになり得ると思う。ただその計算方法が実は少しやつかいである。一々前の原価を調べてそれによらなくてはならぬということでございますので、そこに問題があるようでございます。従つてその辺のところにつきましては、もう少し簡単に計算するような方法を研究してみたらどうか、これは一部の学者があと入れ先出し法の際におけを一種のドル価値法と称しておりますが、そういつたような平均価格で前の価格を見出しまして、それで簡便な方法で記帳する、こういう方法も確かに一つの方法だと思いますが、それをどうするか考えておる。 それから変動準備金につきましては、これはもちろん一つの方法としまして認めたわけでございますが、ただあれをあまり大幅に認めて行きますと、相当利益が出たりきに隠してしまいまして、あと会社の都合さえ悪ければいつまでたつても利益は出て来ない。つまり課税するチヤンスがなくなるということにも、あまり甘くするとなりますので、その程度はおのずから限界がなければいけない。その際におきまして、時価を基準にいたしますればその弊害が比較的少い。原価を基準にいたしますとその弊害が実は非常に多い。わが国は昔は原価を基準にしたのを認めていたのでございますが、その結果、どうもやはり法人税の負担は必ずしも公正を得られなかつたという点がございましたので、今改めているわけでございます。従いまして原価を基準にして変動準備金を積むというようなところまで行くのは行き過ぎだと思います。それをやるのなら、今申しましたあと入れ先出し法をやつてもらいたい。それでなければ時価を基準にいたしまして、時価の一定のところまで詰めるというような制度を考えたらどうか。ただそのためには、少し渋過ぎると申しますか、一事業年度に二・五%ずつ逓増しまして、一割にまで達し得るということで行きましたのは、あるいは少しこまか過ぎたのではないかと考えておりますので、その辺を再検討いたしまして、これも相当機能を発揮できるように考えてみたい。そういう方向でこれも目下検討中であります。いずれ結論を得ましたら詳しく御説明申し上げたいと思いますが、大体そういう方向で勉強中であります。
○宮幡委員 その程度はけだし適切なお考えだと私は思います。しかし業界では、税金でありまするからとられない方がいいという観念でおりますので、なかなかむずかしい。価格上昇のときにこの準備金の設定を認め、しかもその程度というものはお話のように甘くして、そして価格下落のときにはこれを一ぺんにつぶす、こういう声も大きいのでございます。これは税制上、いかに産業界の要望でありましても、ただちに取入れることは困難であります。しかしこの観念をも加味して、もつとやはりお話のように簡易に、そしてこの制度がある程度納税者の納税意欲を促進するというか、あるいは税に対します正しき観念を養成すると申しますか、さような方面に有効に持つて参りたいことを私どもは念願いたしております。従つて今お話の程度以外には現在は考えられないであろう。しかし産業界その他の要望等も汲みまして、やはり価格上昇のときに準備金の設定ができ、そして下落のときにこれをとりくずし得る、その点ある程度自由に経理できるような気持をも加味した制度を今後においてお考えをいただきたいと思うのでございます。 さらにそれに関連いたしまして、資本蓄積と申しますか、たとえば本日ここに触れるのはよろしいかどうか知りませんが、貯蓄国債の問題等を取上げましても、かなりこれは議論の多いことであつて、単純に資本蓄積という表から行きまして一番よい蓄積ができるのは、何といつても利益の出たときに内部留保を寛大に認める以外にないのであります。どんなによい方法でも手数が多くては効果がない。利益が出たときに、これを比較的容易に内部留保ができますような方法を税法の上に現わすことが一番効果がある。かりに百万円の利益があつて、その五割の五十万円を社内留保、あるいは経営安定準備金というような名前で保留した場合においては、ただいまの法人税で申しますならば、四二を三〇にしてやる。こういう方法をとることが一番適切であります。この問題につきましてはいろいろとわれわれも研究しているのでありますが、なかなか現在の税法の精神の上には浮いて来ない。先般もちよつと質問の中で触れましたが、いわゆる同族会社の積立金とか、昔から申す加算税制度というようなものは今やるべきではないと私は思います。むしろ内部蓄積を促進する意味におきまして、同族会社の留保金も会社が手かげんいたしまして、ためて行くというようなことにすべきじやないか。こういうにおいのするような言葉をもちましてお尋ねしたわけであります。一般の同族会社に対しまするところの内部留保の点について、私の申すように四二を三〇というような極端な率でなくとも、若干そこに貯蓄国債等に盛り込まれておりまする精神等を加味いたしました何らかの優遇措置を講ずる御用意があるかどうか。あるいはこれに対しまして若干の研究等が進められておりますかどうか。この点をひとつ御説明願いたい。
○平田政府委員 今お話の問題は、なかなか複雑な問題でございますので、簡単に断定を下すのはいかがかと思いますが、ただ会社の今の現状から申しますと、配当率は非常に高い、これは疑問の余地はないと思います。ただ利益の中で配当される金額、これが多いかと申しますと、最近は大分多くなつておるところもありますが、概して申しますと、まだ留保の方がはるかに多いものが多い。会社の全体の利益を約五千億前後と見ておりますが、その中で税金は二千億くらいと考えまして、三千億弱くらいが純利益になりまして、配当は六、七百億、賞与を加えましても一千億くらい。社内に留保される分が二千億前後というのが、ごく概略の昨年度から最近までの法人の決算の状況でございます。これは前会資料としてお配りしたところによつても明らかだと思います。そういう状況でございますが、そういう際におきまして、配当率はなるほど高いので、私はなるべく増資してもらつて、配当率は下るということがあつてもよいのじやないかと思います。配当金の総額を今よりもよほど減らした方がよいかどうかということになりますと、これはなかなか問題は簡単ではないように思います。しかしこの辺のところになりますと、なかなか企業の実態につきましては私どもの判断だけでは実は正しくないので、各方面について目下意見をよく聞いて、公正な判断を下すように勉強をいたしております。それと一般的に留保所得を減税しますと、今申しましたような状態でございますから、法人税は大幅に減収になるということも一方において考えなければならぬ。減収になつただけ留保が相当多くなつて、それが国民経済的に見て非常にプラスになるという場合でありますと、若干税が減りましても、これは考え方の問題になるかもしれませんが、その辺をよく考えた上で断定を下さないと、かりに税を軽くすれば留保が多くなつて、この状態が好ましいからよいというふうには言い切れないのが、現在の企業の実態ではないかと思います。これはよく勉強いたしまして断定を下してみたいと思います。
○宮幡委員 その点も現在ではやむを得ないのではないかと思いますが、どうしても資本蓄積促進ということをお題目といたしまして、それらの方面にも相当の配慮がいたされなければならないものであることは、かたく個人としては信じておるわけであります。ただいまお話の中にありました配当という言葉ですが、これは厳密な意味で申せば、資本に対しまする利子であります。その率が不確定であるということ、欠損ならばないということ、こういうことから御意見とは相違がありまするが、厳密なほんとうの資本主義的な考えから行きますれば、これは資本に対する金利であると考えられる。外部負債をもつて会社が借入金をいたしますと、それに対します利息は損金の算入になる、これは明らかであります。同様な意味におきまして、配当に対しましてもこれは利子だという観念から申しますと、配当に対しまする課税、これは利息の税金でありますので、さらに深く掘り下げますと、少ししろうとくさい議論になりますが、やはり損金に算入するのが妥当であるという議論が生れて来る。この点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
○平田政府委員 そういう一つの考え方があることも私ども承知いたしているのでございますが、税金とか、税制とかいう面から申しますと、配当を経費と見ている国はどこにもないのであります。会社はやはり株主のものでありまして、利潤を上げる、その利潤の上つたものを株主に分配する。会社の利益は何かと申しますと、これはもちろん配当を含めました利益であります。債権者はこれと違いまして、利益が上ろうと上るまいと会社は払わなければならない。義務でありまして、株主総会できめるわけでは全然ない。これは最初から負担としてきまつている金利でありますから、会社のそういう計算におきましても、これは当然経費になるわけであります。配当を経費として控除して課税するということは、法人税の建前から考えましてピンと来ない。しかしピンと来なくても、一つの考え方であるようには思うのですが、どうもぴたつと来ない。のみならず、今の説でございますと、株主が配当を受けますと、法人税と二重課税をできるだけ避ける意味で、例の二割五分の税額控除をいたしております。もしもそれをそのままにしておいて、法人税を課税する際に経費で落すということになりますと、法人という企業で生れた利益を、会社でも払わぬし、株主の段階でも払わぬ。そこまで行きますのは、資本蓄積の必要からするといいかもしれませんが、どうも少し行き過ぎではなかろうか。もちろん増資を促進するための一つの構想であることは、私どもも否認するわけではないのでありますが、税のそういう根本的な考え方とどのように調和をとつて結論を下すか、どうもまだ私どもしつくりしていない。そういう点がございますので、一案としまして、意見はあちらこちらから聞いておりまして、研究はしておりますが、今のところそういうような考え方にならざるを得ないような状態であります。
○宮幡委員 今の御答弁は、そのことについてはけつこうであります。私の質問は、配当に対する課税は利子の上に利子を払うというようなことになるのであるから、配当に対します源泉徴収の二〇%、これを会社の経費として認むべきではないかという議論であります。この点はどうですか。
○平田政府委員 配当の源泉課税は、これは配当を受ける人の所得税として実は徴収いたしております。従いまして、確定申告の際は配当を申告してもらいまして、本来の所得税額を計算して、その計算された税額から源泉でとられた税額を差引きまして、最後の税を納めてもらう。なるべく申告で納めてもらわなくて、源泉で納めた方が納めいいだろうというので、源泉でとつているわけであります。とり過ぎになれば返すのであります。ちようど勤労所得の源泉徴収のとり過ぎがあれば、年末になつて返する同じように、この方も確定申告の場合にとり過ぎたものは返すということにいたしておるのでありまして、そういうものを法人税で経費に見込みますのは、どうも少しいかがであろうかと考えるのであります。
○宮幡委員 そこが実は問題なんです。法人税で落すといいますが、配当所得について、個人はまるがかりでもつて総合調整をされまして、局長の説明されましたような租税の恩典を受けておる。でありますから、配当金というものはそれに課税されることが必然とするならば、それは損金として会社が計算して落した純粹なものをもらつた計算にすればいい。私はこういう一つの見解を持つておる。もちろんこれに対する理論というものはかなり複雑でむずかしいので、この委員会でそういうこまかいことまでせんじ詰めるべきであるかどうかということについては疑問がありますから、きようはやめにいたしておきます。 ちようど銀行局長も見えましたので、相互に関連のある問題を一、二伺いたいと思うのであります。第一番に、最近しばしば新聞やラジオで伺いますが、金融機関再建整備法にのつとつて行われました調整勘定の中間処理が行われるということで、この状況は、銀行局として現在通達を出そうというような段階にまでなつているのでありますが、どのように進んでおりますか、これをちよつと御説明願いたい。
○河野(通)政府委員 お話の再建整備の結果、旧勘定に属しました利益金、現在は調整勘定といつておりますが、これをその利益の範囲内において、打切られた旧預金者において打切られた旧預金者に返済するという問題、この問題については現在検討を加えておりますが、近くこの処理について私の名前で通達を金融界に出す予定であります。このやり方は、まず第一には、再建整備法が御承知の通り非常に複雑な法律でございますが、調整勘定の最終的な処理と申しますと、調整勘定を閉鎖してしまうという処置は現在のところではむずかしい。と申しますのは、渉外債券債務がまだ外交交渉によつてどうきまるかわかりませんのでなかなかむずかしい点があります。また閉鎖機関等の資産、負債についての処理が、やはり外交交渉等につながる点もあつて片づきませんので、最終的処理することはむずかしい。しかしながら、今後あるべきいろいろな外交交渉その他の結果を見ましても、この程度のものは支払えるという範囲のものにつきましては、中間的に支払いをしたい。それによつて、終戦後のああいう一つの大手術としてやりました金融機関の再建整備、その結果預金を打切られた方々に対して幾らかでもお払い出来るものはすみやかにお払いしたい、こういう趣旨によりまして今度の処置をいたしたいと考えております。ただここで問題になるのは、そういつた趣旨でありますし、今度の調整勘定の中間処理は、いわば一種の清算勘定の後始末の残余財産分配的なものであります。従いまして同じ金融機関の中でも、その分配される金額がおのずから違つて参ります。調整勘定の利益金の多いものと少いものとの間に、おのずからその分配の比率が違つて来る、これもやむを得ないという考え方であります。しかしながら、この点は今申しましたように、過去のいわば清算勘定の残余財産の分配でありますから、これの支払いの率が低いということは、必ずしも今存続してやつている銀行自体の信用が厚いか、薄いかという問題とは関係がないのでありまして、それらの点もございますので、各金融機関の中でも支払いの率は相当かわつて来ることはやむを得ないというふうに考えております。それから同じ種類の金融機関、たとえば銀行の中でもこれは違いますし、銀行と他の金融機関、たとえば相互銀行あるいは信用金庫との間においてもおのずから違う。これらもやむを得ないというふうに考えております。現在のところでは、銀行におきましては、差はありましても、大体三分の二程度のものは中間分配ができる。その他の金融機関におきましては、若干のものは中間分配できますが、大部分はおそらく中間分配はむずかしいのではないかというふうな見通しを持つております。これはもう少し資料について具体的に当つた上でないと的確なことを申し上げるわけに参りませんが、大体今申し上げましたような方針で処理をしたい、かように考えております。
○宮幡委員 その点はわかりました。そこで主税局長さんに伺いますが、返済の方法等はまた銀行局の方にだんだんお尋ねするとして、小口から大口に及ぼすのが妥当であろう、切り捨てるときは大口から切り捨てて来たのでありますが、逆なコースをとつていただきたいという希望がありますが、さてこれが個人の預金として返る、あるいは法人の特別損失として消えた元の勘定におおむねなる。これは金融機関再建整備法というものがああいうふうに複雑でありますので、容易に簡単にそうだと断定はできませんが、おおむね特別損失の中に返る。その場合に法人はどうなりますか。利益として課税されるのですか。個人は一時所得としての取扱いを受けるのかどうか。特に個人の税は、御承知のように前年度の欠損を翌年に繰越して処理しない。戦争後におきましての再建整備にあたつて切り拾てられたものは、今度所得があつても相殺されることができないので、これは個人に返つたら所得として所得税をかけるのか、会社に返つたら法人税の課税金額の中に加算されるのかどうか、この点につきまして主税局のお考えを伺いたい。
○平田政府委員 個人の場合でございますと、単に前の債権が生き返つて、元本がもどつて来たということでしようから、これは別に課税の問題はないかと思います。財産税も、一応返るものとして見まして、第二封鎖預金で納めさせておりますので、これも大体問題はないのじやないかと思います。法人の場合になりますと、一応ゼロにしておるところへ返つて来た場合には、旧勘定にそれだけ資産がふえるということで、利益金になる勘定になりますが、さらにその清算の結果、いろいろな損益を通算して最後にどうなるか、これはやはり個々の法人によつて違つて来るのではないかと思います。何か少し具体例に基いていま少しよく調べてみまして、一般的なお答えを申し上げた方がいいのじやないかと思います。
○宮幡委員 個人の場合には封鎖預金が生きて返つて来る、こういう観念で別に所得があつたと見ない。これは今日でも確定的に考えてよろしいのでしようか。
○平田政府委員 それは間違いありません。
○宮幡委員 法人の場合はなかなかその判断ができませんから、それは返つたそのときになつて考えてもらえばけつこうだと思うのですが、しかし第二封鎖預金をもつて財産税を納入いたしました。これは政府の持つておるところの債権でありましようが、これにも今度の分配金は返りましようか。
○河野(通)政府委員 利益金の分配の方法につきましては、先ほど宮幡さんが触れられましたように、切つて行きました順序の逆で返して行く。今お話の封鎖預金で国へ財産税等で納めたものは、実は政府の指定債務ということになつておりまして、返すのは一番先に返すと申しますか、支払いをする、こういうことになつておりますので、その部分は十分に国には優先的に返つて来る、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
○宮幡委員 そういたしますと、第一番の返済順序は、それは再建整備法の規定によりますと、政府の補償を受けたものはまつ先であり、今の指定債務、あとの場合は一般債権というか、法令でいえば九号債権といいますか、その順位ははつきりしておる。そこで今政府補償を返済できない金融機関はどのくらいありますか。
○河野(通)政府委員 金融機関によつていろいろ違いますが、現在までは政府補償金はまだ返済いたしておりません。今利益としてたまつておりますのが補償金と見合つておるわけであります。これは最終的にはどの程度の政府に対する補償ができるか、この点は先ほど申し上げました渉外関係の債権債務の問題の処理とも見合さなければなりません。しかしながら少くとも預金者と、つまり一号から九号まで書いてありますが、その九号等の債務に支払います以前に必ず補償金を先に返す、こういうことで行きたいと思つております。
○宮幡委員 そこでこれは税としては少し離れますが、ついでに伺つておきたいと思います。対外債務の引当てのことはもちろんやらなくてはならない。調整勘定の利益金をもつて配分するにしても、これは当然やつてください。われわれがとかくのくちばしを入れる必要はない。これと合せて考えると、先ほども閉鎖機関の処理も確定しないということでございましたが、いわゆる戦時特別円というものに対しまする一つの配慮がなされていいのじやないか。これはこの場合この調整勘定とただちに縁のあるものではありません。ありませんけれども、対外債務のねらいといたしまして保留をいたして行きたいという観念から見ますと、特別円の勘定というものを一体どういうふうに大蔵省は見ておるか、またどういうふうにして行くか、もちろんこれは外積との関係もありましよう。あるいはいろいろな賠償等の関係もついて来るでありましようから、一概には言えないかもしれませんが、この機会におきまして実際的にどう処理するのか、今までの特別円に対しまするところのタイの預金等は、正金や日銀以外にはないものである。そういう空名なものを引当てとしておりますところの特別円、これの返済をやるかやらないもわかませんが、どういうように大蔵省考えておりますか。本来ならば大蔵大臣に質問すべきでありますが、大蔵大臣もまだお忙しいでありましようし、就任早々でございますから、おもに御説明いただくところは事務的の方向でけつこうでありますが、この点についてお話をいただきたい。
○河野(通)政府委員 この問題は前の国会から実はいろいろ御質問を受けている問題であります。御指摘もございましたように、賠償の問題、あるいはその他対外的の渉外債権債務の処理の問題、あるいはこれを為替相場としてどういうふうに考えて行くのがいいのかという問題、非常に複雑多岐の問題を持つた大きな問題であろうと思う。現在のところでは、これらの問題につきまして研究はいたしておりますけれども、事務的に一体どういう方向で処理するかということを申し上げる段階に実はまだ来ておりません。従いまして今度の調整勘定の中間処理との関連におきましても、今御指摘のように必ずしも直接には関係はないわけでございますけれども、関係をする部分が確かにございます。その部分につきましては、一般の外貨建の銀行によつて申しますと、外貨建の債権、債務というものの処理の問題と関連しまして、これらの問題をどう処置して行くかということは、最悪の事態においてはこれを政府がさらに補償しなければならぬとか、あるいは一度預金を中間分配いたしましたものをとりもどさなければならないとか、そういつたふうのことのないように、一番かたくふんだところで処理をいたしたい、こういうように考えている次第でありまして、たとえばドルの債務について、一体換算をどうするかというような問題とも関連をいたして参りますので、これらは一括してやはり外交交渉、条約その他のとりきめによつてでなければ解決しないというふうに私どもは考えておる次第であります。これらの点についてはかたくかたく押えて再建整備の調整勘定の処理はやつて行きたいと、かように考えております。
○宮幡委員 それはわかりましたが、これはほんとうにくだらないことでありますが、今でもやはり正金なり日銀の帳面の上に、たとえば仏印三国、あるいはタイ国あたりの特別円に見合いますところの円勘定はあとあるのですか、ないのですか。
○河野(通)政府委員 これは残つております。残つておりますが、日銀等にございますのは完全な円の債務でございます。あとの処理は円と向うの通貨と申しますか。そういつた関係は政府の責任において処理される。日本銀行に関する限りにおきましては完全なる円の債権、債務、こういうことに相なつております。
○宮幡委員 そうしますと、それは今でも正常な外交関係さえ結ばれれば、日銀なりのタイのバーツというようなものの勘定は預金の一覧払いである、その預金の引出しに応じなければならない、こういう関係になりますか。
○河野(通)政府委員 これはちよつと御説明がむずかしいと思いますが、やはり過去の戦争中の債権、債務でありますから、外交交渉によつて結論を出さなければいけないのじやないかと考えております。今のところでは、これの支払い方法等については研究はいたしておりますけれども、的確な結論を持つておりません。恐らく外交交渉の一環として処理されるのじやないかと私は考えております。しかし間違つておりましたらもう一度調べました上で答弁します。
○宮幡委員 この問題は非常にむずかしいのでありますから、御意見を伺つた、今の実情を述べられたという程度に私ども伺つておきます。これが決定的のものだとは決して受取つておりません。今言つた通りただちに引出しがきかないというような日銀の預金である。かりに、例は日銀でありますが、預金があつたとすれば、やはりこれは請求されれば賠償の範囲である。一般市中銀行にこういう勘定があつた場合等も、これは調整勘定と見合いまして、金額は大したことはなかろうと思いますが、なかなかうるさいものだと思います。これらの問題につきましても、この調整勘定が十分中間処理されますまでの間に、この委員会におきましてももう少し話を進めてみたい。そこで御迷惑ですが、この点につきまして事務的方面で十分解明ができますような御用意をいただきたい。時期は委員長あるいは理事会の決定によりまして、委員会の運営と見合いましてまた申入れをいたすことにいたしますが、本日はこの問題はこの程度にしておききす。私が一人でお尋ねしておることも委員会の運営上どうかと思います。 そこで最後に一つだけ、これも大きな問題の一環でありますので、詳しい質問はあとにいたしますが、今話題に上つておりまする貯蓄国債、これは譲渡禁止やその他の条件がついておりますが、これは主税局長さんに伺いますが、これを納税賃金として充当するには、一定の保留期間を除いたあとは納税に代用出来るかどうか。減税を受けた公債でありますので、これを納税に充てるということは理論的にはなかなかむずかしい。矛盾もあろうと思います。しかしすえ置期間を過ぎた一定の償還の時期となつておりますものならば、これは納税に充てられる、こういうような措置も考えなければならぬのであります。従来公式ではありませんが、非公式に聞いておりますときには、納税賃金には流用できないようになつていましたが、この点はどうでありますか。
○平田政府委員 貯蓄国債の問題はまだ問題をいろいろ検討中でありますので、きまつた上でお答えした方がよいと思いますから、御了承願いたいと思います。
○宮幡委員 きまつた上でけつこうでありますけれども、貯蓄国債というものは、元はおおむねドイツあたりでやりました納税国債というものに似通つた点があるように私は考える。そういう意味から税金として納められるのかどうか、納めたらこういう矛盾があるのだということくらいは——私も矛盾のあることくらいはわかる。矛盾があるからなかなかそういう方向には行かないというくらいのことは、御説明願えませんでしようか。こういうわけでちよつと無理だというようなことは……。しいては申しませんが、この機会にお話をしていただくわけに行きませんか。
○平田政府委員 今日の段階では、むしろ御意見等がありましたらよく承つておきまして、きまつた上でお答えした方がよいではないかと思います。
○宮幡委員 なかなかむずかしい問題になると、結局やはり大蔵大臣の政治的答弁が必要となるのでありまして、きようはお見えにならぬようであります。私一人だけ質問を続けているのもいかがかと思います。どうぞ委員会の円満なる運営をはかる意味におきまして、野党の方々からも十分質疑を尽していただき、機会があるときにまたそれぞれの問題についてお尋ねすることにいたしまして、本日はこれで一応質問を保留することにいたします。
○奧村委員長 内藤友明君。
○内藤(友)委員 平田さんに一つ、二つ教えていただきたいと思います。それは自然増収というものの本質であります。今度また七百一億八千百万円の自然増収があるという前提のもとに補正予算ができたようであります。減税する減税するというので、いつも減税の法律が出て来るのでありますが、しかし実際を見ますと、いつもこの自然増収というものが出て参ります。一体減税というものと現実的に出て来る自然増収というものはどういうことなのでありますか。こういうことから苛斂誅求という言葉が生れて来るのではないかと思うのでありますが、自然増収というものは一体どうして出て来るのか、それを一つお伺いしたいのであります。自然増収というものは一体どんな性質を持つておるのか。当初から政府が、ほんとうにこれだけあるのだけれども、予算編成上内輪に見ておいて、そのさいふのひもを締めて小出しにするというふうな方式をとつておられるのか、あるいはほんとうに国の生産が上りまして、そして所得がふえて来て、そのために自然増収が出て来たのか、そこらあたりを教えていただきたいと思うのです。いつも減税したという声を聞きながら、われわれがほんとうに税金を納めるところを見ますと、減税にもなつておらぬ。さてはこういうことで、自然増収という形で歳入を処理せられるのか、こう思うのでありますが、そこをわかりやすく教えていただきたいと思います。
○平田政府委員 この問題は、おそらく私から申し上げなくても内藤委員多年の御経験でよくおわかりだと思うのでございますが、結論を申し上げますと、要するに最初の見積りに対しまして、その後の経済情勢の推移が見積りと若干違つたために、税収入がふえてみたり減つてみたりするということだろうと思います。見積りはあくまでも一定の税法を予定いたしまして、その税法のもとにおきまして課税物件の消長を見て、どの程度の収入が上るかというようなことで見積つているわけでありまして、それが最初の予想通り行かなかつた場合におきまして増減収を生ずるわけであります。もちろん見積ります場合におきましては、その当時としましては将来のこともある程度予測しまして、できる限り的確を期していることは御承知の通りでございます。なお最近ばかに自然増収が多いじやないかという御疑問のようですが、そういう話が大分ありますので、実は少し昔にさかのぼつて調べてみたのでございます。この前の第一次ヨーロツパ戦争のときには、実はもつと猛烈な自然増収が出ております。一例を申し上げますと、大正六年は税の予算が三億四千二百万円、今日から見ますとまことに小さい数字でございますが、それに対して実際の決算は四億八千三百万円、四割一分の自然増収を生じております。ことしは当初予算六千三百億に対しまして七百億程度でございますから、一割強でございます。今度の補正予算で見込みました自然増収は、第一次世界戦争の際のそれに比較しまして非常に少い。その次の大正七年におきましても同じく四億八千九百万円の予算に対しまして、決算は六億六千六百万円、三割六分という自然増収を生じております。その次の八年におきましても、なお好況が続きまして、六億三千七百万円の予算に対しまして、決算は九億三千三百万円。反対に、たとえばこの前の世界恐慌の時代、この時代は実は自然減収を生じております。たとえば昭和六年を申し上げますと、予算額八億五千百万円に対しまして、決算は八億一百万円、五千万円ほどの実は自然減収を生じておる。昭和七年前後四、五箇年くらいは実は減収になつております。その後ずつと参りまして、戦時中はおおむねやはり財界が上向きになつた結果と思いますが、たとえば昭和十七年のごときは予算額六十億八千百万円に対しまして、決算は六十九億六千万円、約八億七千九百万円、一割四分程度の増収になつておる。こういうわけでございまして、過去におきましてもやはり相当な自然増減を生じておる次第であります。最近も今申し上げましたような事情で若干増収になつておりますが、見積りになるべく的確を期しますわけでございますけれども、今度の場合は、先刻申し上げましたように給与所得が予想より以上にふえて来た、賃金が高くなつて来た、それからそれに件いまして消費がやはり非常に増大して来た、これによりまして当初の予算よりも増収になつて来た。ごくかいつまんで申し上げますと、そういうところに特徴があろうかと考えております。
○内藤(友)委員 御説明を聞きますればその通りになりますが、だから私は、この法律をお出しなさる減税の度合いがまだ足らぬのじやないかと思います。それでこのままにしておきまして、この間いただきました「国の予算」というのを読んでみますと、昭和二十三年以降二十七年までの国民所得からいろいろなものを調べた数字が出ておりますが、この国民所得の様子を見ますと、だんだんインフレになつておると見なければならぬのです。こういうインフレになつておるにもかかわりませず、給与所得者に対しての控除率が非常に低いのじやないか、そういうふうになつておるからこういう自然増収という結果になつて来るのじやないかと思うのであります。先年でありましたか、平河町の停留所を通りますと、あそこに自由党という本部がありますが、そこには一千億円の減税というのが出ておりましたが、そのうちにこの看板はなくなりました。与党のおつくりになつておられる政府ですけれども、実際の数字を見ますると、国税一千億円はちつとも減税になつておらぬのであります。それで昭和二十六年度六千七百八十三億九千五百万円になつております。これは率から申しますると、国民得に対して一四・六%というのですが、もし一千億減税するとすれば、これを一二・五%にしなければならぬのであります。しかし実はそうなつておりません。だからあの看板がおりたのだろうと私は思うのであります。こういうことで、政府を支持しておる政党が減税を叫んでおるけれども、それが現実にできないというのは、——今給与所得のことをお話になつたのですが、この率の下げ方がまだ緩慢なのじやないか。インフレになつて行く、それに応じてこれを緩和すべきであるが、そこの方はあまり緩和しない、インフレはどんどん進んで行くというところにこの自然増収なるものが生れて来るのじやないかと思いますが、私の見解が間違つておりますれば、ひとつ教えていただきたいと思います。
○平田政府委員 今内藤さんのお話のような事情は、昭和二十四年度までは実はそのようなことが大分あつたのです。インフレが進行しまして、名目的に所得や賃金がふくらむ、そういう際におきまして、控除をほつておきますと間接に増税になる。ところが二十五年度を頂点にいたしまして、その後はそういうお説は私は賛成できない。これはもちろん控除も物価が上つた以上に引上げております。税率も物価が上つた以上に調整いたしておる。そうして所得税といたしましては、最近は昭和二十四年度等に比べますと相当下つていることは間違いございません。必要でございますれば一時間くらいお話してもいいかと思います。私も論文を書いたことがございますが、そのことは間違いない。 それからさらに最近の事情でございますが、これはまた数字をはつきり申し上げます。先般も松尾さんに申し上げたのですが、消費者物価指数がどうなつているのか、それから毎月きまつて支給する給与がどうなつているのか、これは私ども非常に注目して見ているのです。この数字を申し上げますと、消費者物価指数二十六年一年平均を一〇〇としまして、この九月は一〇五・七と、五・七%上つております。昨年の九月を一〇〇としまして、この一年間にどうなつているのかと見ますと、去年の九月から今年の九月まで、消費者物価指数は二・三%上つておる。これに対しまして給与の方はどうかと申しますと、これも労働省の調査でございますが、昨年平均を一〇〇とすれば、今年の九月の水準は一二二、つまり二割二分上つている。物価が五・七%上つているのに対しまして、給与は二二%上つている。昨年九月に比較いたしますと、一七・五%上つている。つまり消費者物価が二・三%上つておるに対しまして給与は一七・五%上つている。こういう情勢でございますれば、給与がふえまして給与の実質購買力が上つている、実質賃金がふえている、それに伴いまして税の自然増収がある。これはもちろん当然望ましい自然増収ということでございまして、そういうものこそ、生産がふえて国民所得が実質的に増加いたしまして、それに伴つて自然増収が出て来る。それによつて必要な財源もまかなえる、減税もできるということでございますれば、これは行き方としましては望ましいところに来ているのではないか、こういうふうに考えます。
○内藤(友)委員 ちようど大臣が来られましたので大臣にお尋ねしたいと思いますが、委員長の方から、国民金融公庫の今出ておりまするこの法案を早くあげてもらいたい、年末資金に非常に関係があるからというお注文で、なるほどそうだと思つて一生懸命勉強しておるのでありますけれども、そこで大臣に伺つておきたいことがあるのであります。これはごく大ざつぱなお答えでけつこうでありますが、この間池田さんが、中小企業などどうでもいいと言われたことでああいう問題が起きました。おそらく大臣はそういうお考えはお持ちにならぬと思うのでありますが、やはりああいうお考えを持つておいでになるのかどうか、一応重ねてそれをお伺いしたいと思います。
○向井国務大臣 ああいうお考えというお話でございましたが、そういう意味の御質問でなく、中小企業をどう思うかという御質問と思うのでありますが、これは国の産業の上に非常に大事な部分を占めておるものでありますから、私は、口先だけでなく大事にして行くつもりでおります。これは御心配はいりません。
○内藤(友)委員 よくわかりましたが、実はそれは前置きでありまして、それならば国民金融公庫の今度出されましたこの法案でございますが、一般財政資金から三十億出し、それから借入れを二十億やる、ところがこの間櫛田総裁から聞きますと、これではさしあたりでも足らぬのであります。これではどうにもならぬ、所要資金の三分の一にも足らぬという総裁のお話なんでありますが、まあ、前の池田さんのお心持ちがこの法律に盛られておるのだと思うのであります。でありますから、これを増額される御意思があるかどうか、これをひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。
○向井国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたします。本年度におきましては、財政状況にかんがみてこの程度の増額にとどめたいのでございますが、来年度については、目下予算案編成の途上にありますので、政府として確定的な見解を申し上げる段階には至つておりませんが、少くとも二十億程度の金額は増加いたしますように極力努めております。
○内藤(友)委員 そうすると、今百五十億になりますね。来年度はそれに二十億足しまして百七十億ですな。それから一般の借入金の方は今のままでありますか。
○向井国務大臣 それは、資金運用部として極力努めるつもりでございます。
○内藤(友)委員 それでもなおかつ総裁の心配しておられる金額にはほど遠いのでありますが、そういうふうなことだというと、やはり中小企業者が五人や六人ではない、百人も二百人も一束になつて死ぬ者もできて来ると思うのであります。大事にして行くとおつしやるけれども、その底にはやはり同様な思想があるような気がしてならぬのでありますが、もつと勇敢に、大幅に、よしわかつた、今度は五十億も百億も出すというようなところまで行かないものでありましようか。
○向井国務大臣 お答え申し上げます。それはそういたせばよいのでありますが、力が及ばないのと縛られておるので、その程度でがまんをしてもらわなければならぬと思います。
○内藤(友)委員 大蔵大臣は総理の一番御信頼しておられる方なんでありますから、力がないとは私どもどうも受取れないのであります。大蔵大臣のその政治力で、どうかひとつ今の困つておる中小企業者というものをほんとうにまじめに見ていただいて、二十億ぐらいと、そんなことをおつしやらずに、もつと勇敢にやつていただきたいと思うのであります。私どもは大臣を非常に尊敬をし、心から御支援申し上げておるのでありますが、何とか、二十億ぐらいじや大臣だめでございますから、どうかひとつ総裁の御要求を入れてやつていただきたいと思うのであります。これは私の希望でありますので、ひとつまじめにお取上げいただきたいと思うのであります。
○中崎委員 大臣は予算委員会の関係もあるでしようから、ごく簡単に今の問題と関連して質問したいと思います。来年度については二十億円以上を増額するという方針のようでありますが、同じ増額するにしても、政府出資の形においてやるのと、それから借入れにおいてやるのと、二つの資金の充実方法があるが、そのいずれでもかまわぬから、今までの国民金融金庫の運用の過去の経過をみましても、さらにまた来年度のこの事業計画の内容をわれわれ想像してみましても、二十億程度ではとても焼け石に水だ、こういうことが考えられるのであります。この間も総裁の話によりますと、大体五割程度が漸次増加して行くような傾向がある。その五割程度というのは、時期をどういふうに刻むかという問題については、私もはつきりした資料を持つておりませんが、いずれにしても、現在これが増額されて、今までの金額総計を考えてみましても、百五十億という限度になるのでありますが、来年度においては、それに対して二十億程度やそこらでは、とても問題にならぬというふうに考えるのです。もちろんこれは中小企業の商工中金を通ずる融資の面もありまするし、あるいは民間の金融機関の中小企業融資、特別にそういう目的をもつてする融資、あるいはまた農林中金を通ずるところの農林水金融というような問題等、全体の金融のわくを考えてみなければならぬのでありままるが、来年度におけるところの大体金融のわくをどういうふうに一体考ておられるか、その点を大きくひとつ御質問しておきたいと思います。もちろん細目にわたつてのことは、まだそこまで進む段階でないと思いますが、およそ来年度は、一体政府は金融について大体どういう見通しを持つておられるかということをお聞きしたいと思います。
○向井国務大臣 財政状況によりまして増額を研究いたすのでございますが、これは今予算の編成中でございまして、はつきりした御返事はできませんが、十分努力はいたします。
○中崎委員 実はこの問題の審議の過程において、少くとも本年度内において、二十億円の増額の必要があるのだとわれわれは考えまして、そうして実は審議の過程にある予算の修正もして行くべきだはないかというふうな考え方も、相当強く出ておるのでありますが、やはり予算の修正ということは相当大きな問題でもあるし、また大蔵大臣の側において誠意をもつてこの問題に対処していただけるということになるならば、きわめてわれわれの意に満たないところであるが、やを得ず予算の修正の措置に出ないで行こうというような考え方の上に、審議を進めつつあるという状態なのであります。ところが私たちが言う二十億というものは、まず年度内においてさえも二十億の増額が必要であるというのでありますから、来年度において二十億円程度というようなことでは、とうていこれは、私たちかこのまま予算の修正までもしないで見送つて行こうというふうな党の状態にもならぬというふうに考えておるわけであります。そこで誠意をもつてやるというふうなお言葉もあるのでありますが、少くとも来年度には二十億というようなことでなしに、金融公庫の方もすでに来年度の事業計画として一つの案をもつておられるようにも私たちは想像しておるのであります。その案に比べましても、まるきり九千の一毛にすぎないような、そういう二十億円程度のことでは、とてもそのままに見のがすことができないようにわれわれは考えるのであります。もう一度、来年度において二十億円というものでなしに、金融公庫の方においても一つの案がおありのようでありますから、これをここで金額を発表するという段階ではありませんけれども、いずれにしても相当大きな開きがあるやに私たちは想像しておるのであります。その点について、もう一奮発して、金融公庫の考え方、また同時に私たちもその程度のものは必要であるということも考えられますが、これはやはり国家財政、他の金融等の点もありますから、それだけお出し願うというまでには至らぬにしても、少くとも二十億程度ではとうていものにならぬという考え方の上に立つて、もう一度大蔵臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○向井国務大臣 ただいまのお話はよく了解いたしました。前にも申し上げました通り、誠意をもつて十分に検討はいたしますが、ただいまはつきりした金額まで申し上げるわけには参りません。
○奧村委員長 本日はこれをもつて散会いたします。 次会は公報をもつてお知らせいたします。 午後三時八分散会