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15回国会衆議院1953/03/10

水産委員会 第25号

発言数
71
登壇者
13
会派数
4
開催日
1953/03/10

会議録

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 これより会議を開きます。  まず以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお・まぐろ漁業の許可等についての漁業法の臨時特例に関する法律案を議題として審査を進めます。  本案に対する質疑を継続いたします。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 ただいま議題となりました以西底びき漁業の特例法案につきまして、審議の途上に若干法律上の疑義が生じたのであります。この点につきましては、すでに水産庁の見解は承つたのであります。その意向はわかりましたけれども、なおこれをはつきりさせておくことが今後の漁業政策上必要かとも存じますので、この機会に内閣法制局の御見解を承つておきたいと考えるものであります。  第一に、漁業法第五十二条第二項に以西底びき網漁業に関する定義がうたわれておるのであります。すなわち東経百三十度以西の海面で操業する五十トン以上の底びき網漁業だということを明記されておるのであります。従つて百三十度以西では五十トン未満の船は操業できない、こういうふうにも解釈されるのであります。法制局の御見解を承りたいと存じます。

西村健次郎参事官(法制局第三部長)

○西村政府委員 お答えいたします。漁業法の五十二条の二項で以西底びき網漁業の定義がありますが、これは総トン数五十トン以上の推進器を備えつける船舶により底びき網を使用して営む漁業であつて、これこれの地域を操業区域とするもの、これが漁業法にいう以西底びき網漁業で、このこと自体は他の漁船がたとえば五十トン未満の船が百三十度以西に操業してはいけないということをいつておらないのであります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 いけないとはいつておりませんけれども、以西底びき網の船はこれこれの船だ、この海面で五十トン以上のものだというふうに書いてあれば、それ以外のものは操業できないというふうに解釈されるのでありますが、この点に関する御見解を伺いたい。

西村健次郎参事官(法制局第三部長)

○西村政府委員 五十二条の一項を見ますと、大型捕鯨漁業、以西トロール漁業、以西機船底びき網漁業等は主務大臣の許可を受けなければ営んではならない。従いまして、五十トン以上の底びき網漁船は東経百三十度以西の海面では許可なしでは営んではならないということは、法律的にはつきりしておるわけであります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 それでは五十トン未満の船は百三十度以西では操業していけないというふうに解釈できるのでありますか、さように解釈してよろしゆうございますか。

西村健次郎参事官(法制局第三部長)

○西村政府委員 私の申しましたのは、五十トン以上の底びき網漁船は、許可なければ百三十度以西では操業できないということを申し上げたわけであります。五十トン未満の船につきまして、指定遠洋漁業の許可船については何ら言及していない、かように申したのであります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 はつきりしないようでありますが、それで一応この問題は打切りまして、次に進みたいと思います。指定遠洋漁業取締規則の第十九条の二の基本法、母法はどれによつたものであるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。

西村健次郎参事官(法制局第三部長)

○西村政府委員 御質問の趣旨は、指定遠洋漁業取締規則の第十九条の二は、一体どの法律の規定の委任に基いたものであるかということかと思いますが、私の考えますところでは、前提といたしまして、およそ省令は、法律あるいは政令の委任に基く、あるいはこれらを実施するために主務大臣が発することができることになつております。従いまして省令のうちには法律から直接委任されました委任命令と、法律を実施するために発せられるところの実施命令と二通りあるわけであります。この十九条の二は、私の解釈では実施命令である、実施命令といいますれば、漁業法を実施するための命令である、こういうふうに考えて間違いなかろうと考えております。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 実施命令だとすれば、その趣旨の根拠はどこにあるか、漁業法のどの実施関係にあるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。

西村健次郎参事官(法制局第三部長)

○西村政府委員 御質問の点にあるいは私の答えがぴつたりいたさないかもしれませんが、これは要するに指定遠洋漁業の許可にかかわる規定でございまするから、この規定を実施するためと申しますれば、漁業法の第五十八条ということになるのではないかと思つております。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 私、しろうとでよくわかりませんが、第五十八条の立法精神のどこによるものでしようか。

西村健次郎参事官(法制局第三部長)

○西村政府委員 第五十八条は、すでに御承知のことと思いますが、指定遠洋漁業につきましては、一定の許可すべき定数を定める。これは私の記憶にして間違いなければ、水産資源保護法に基いて定めると思つております。その定数については、あらかじめ主務大臣が公告する、一般に知らせるということになつております。そして漁業を営みたい者が許可の申請をした場合におきまして、その申請者が一定の適格条件を備えておる場合においては、すべてこれを許可するということになつております。たまたまその申請者の数、すなわち適格性を有する申請者の数が定数よりオーバーする場合にはどうしたらよいか、こういうことは五十八条の四項においてきめております。すなわちこの場合におきましては、くじ引きできめる、そこにはたとえば許可の定数が十一あります場合において、二十人の適格性を有する申請者がありました場合には、その二十人のうちだれが十一の許可が得られるかくじ引きできめるということは、五十八条の四項できめられております。その限りにおきまして、ここに何ら主務大臣の認定と申しますか、裁量の余地は全然ないのであります。しかしながら同じく五十八条の第五項をごらん願いますと、「前項の組を分け、及びこれに割り当てるべき許可又は起業の認可の数を定めるには、左に掲げる事項を勘案しなければならない。」ということでここに「その申請に係る漁業を営んだ経験があるかどうか」。その他六項目にわたりまして、いろいろ主務大臣がそのくじ引きの組みわけをきめる場合において勘案すべき事項が定められております。この規定の趣旨はどういう意味かと申しますと、結局十一の定数のところに二十人の申請者がある場合におきまして、そこを完全に機械的にやるのじやなしに、その間に何らかの優先性を与えるということの考慮が払われてもよろしいということは法律上予想されておるわけであります。たとえばある組におきましては、二十人のうちの十一人に七隻の許可を与える、残りの五人についてはあるいは二隻与える、その残りの四人については一隻というようなくじ引きの組のわけ方、そこはおのずからここに掲げられておりますようないろいろな事項を勘案しまして、そうしてその組のつくり方をきめる言いかえれば、そこにおのずから二十人というものを、機械的に簡単なるくじ引きにするのじやなしに、その前提としてやはりそこにある程度の優先性の考慮が払われてしかるべきだというように、法律は予想してあるわけであります。しかしここで書いてあります一号ないし七号の勘案すべき事項というものは、きわめて抽象的でありまして、現実の許可申請について勘勘案する場合には、具体的な一々の許可について主務大臣が勘案するわけであります。これにつきまして、この取締規則の十九条の二というものは、特に水産資源枯渇防止法なり水産資源保護法によりまして、許可を取消され、あるいは漁場の転換を余儀なくされた者についてはこの優先的な考慮を払う、言いかえれば、このくじ引きの組をつくる場合において、こういう考慮を払つてしかるべきだ、こういうふうに読まれるのではないか、そうしますと、これが五十八条の五項の、いわば実施の命令である、こういうふうに考えられるわけであります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 重ねてお尋ねいたしますが、御答弁によれば、五十八条の五の勘案によつて、その勘案の趣旨によつて、第十九条の二が生れるという御答弁のようでありますが、しかし第五十八条の趣旨は、あくまで民主的な抽籤の方法によることが原則であつて、組をわける場合の勘案事項が書かれておる。ところが第十九条の二によりますると、こうした申請があるときは、他に優先してその者に許可または認可を与えるよう処置するものであるというふうに、全面的に優先権が与えられておるのであります。従つて組をわける時分に、どの項はどれにするというような勘案事項というものと、全面的な優先権というののとは大分隔たりがあるように私は考えるのであります。この点についての解釈を……。

西村健次郎参事官(法制局第三部長)

○西村政府委員 その点につきましては、この指定遠洋漁業取締規則の第十九条の二の表現の問題があるいは適切ではないという御批判はあるいは当るかと思つておりますが、これにつきましては、これは農林省令として定められておりますので、農林御当局からお答えを願つた方がいいかと思いますが、私の申し上げましたのは、この第十九条の二も、「優先してその者に許可又は認可を与えるよう処置する」で、与えるとは言つておらないわけであります。従いまして先ほど私が例をあげましたように、十一人の申請者には七はいを割当てる、五人の申請者には二はい、というようなことにすれば、十一人のグループに当る率がいいわけであります。この場合においては、この十九条の二は、その十一人の方に入れるというようなことに相なるのではないか。そう解釈いたしますと、この十九条の二はまさしく漁業法の五十八条五項の一つの解釈規定と申しますか、実施規定というふうに読めるのじやないかと、こう思つております。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 お答えによりますると、与えるようと書いてあるから、全面的ではないというお話で、私はこれはへりくつにわたるのではないかと思います。私はくどくなりますので、詳しくはいろいろ申しませんが、では内閣の法制局としては、この五十八条の五によつて生まれたものだと、こう断定なさるわけでございますか。またもう一つは、第二点といたしまして、この第十九条の原理は正しく立案されたものである、根拠があつて立案されたという御信念があるか。この二点をはつきり承つておきたいと思います。

西村健次郎参事官(法制局第三部長)

○西村政府委員 ちよつと御質問の御趣旨がよく私にはつきりしない点もありまするけれども、十九条の二がどこに根拠があるか、根拠という意味のとり方の問題でございまするけれども、私が先ほど申し上げましたように、これは漁業法五十八条の規定を実施するためのものである。しかも実施するためのものである以上は、法律の範囲は出られないわけでございます。従つて十九条の二が、もしこれが与えると書いてあれば、その与えると書いてある限度においては働く余地はない。むしろ無効と言えるかもしれません。与えるよう処置すると書いてあるところにおいて、五十八条の規定のわく内でこれは読むべきものである、読めないことはない、こういう意味でございます。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 そこで水産庁にお尋ねいたしますが、先般当委員会に、あの質問に対する回答を寄せられた。その回答において、第二に、第十九条の二は、水産資源枯渇防止法が制定された時分に付加されたものである、かように回答が出ております。それから先般の委員会において、長官は、この第十九条の二は、漁業法第六十五条によつて制定されたものである、こういうように御答弁があつたのであります。今の法制局の御答弁と大分違うように考えますが、長官の御見解を承りたいと思います。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、この前、水産庁から御回答申し上げた二の中に書きました、法的根拠いかんという御質問に対して「昭和二十五年水産資源枯渇防止法が制定された際」云々という御返事を申し上げましたのは、確かに御質問の法的根拠いかんということに対しまして、いささかお答えが不十分であつたと思います。これは水産資源枯渇防止法が制定された際という、時期のことを申し上げたのであつて、その法的根拠まではさかのぼつてお答え申し上げていなかつたのでありまして、この点はあらためてお答え申し上げることになるのではございますが、この点は先ほど西村部長からもお話があつたのでありますが、この法的根拠と申しますれば、漁業法ということに相なると思うのであります。  それから第二点の、この前六十五条の漁業調整に関する命令であると答えたではないかという点でございますが、この点は確かに私まことに研究不十分でございまして、六十五条の命令であるということは、これは妥当でないと考えます。この点私が前今申し上げたお答えは訂正をいたしたいと思うのであります。従つてこれはやはり先ほど部長が御説明申し上げたと同じでありますが、六十五条ではなくして五十八条の施行に必要な施行命令である、こういうふうに法的根拠を求むべきだと考える次第であります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 長官は最近就任されたので、過去のことについていろいろと論議するのはお気の毒のようにも存じますが、いずれにしても、この法的根拠に疑義があることは、ただいままでの答弁によつて明らかなようであります。ただ申し上げたいことは、当局は間違いであれば間違いである、訂正するなら訂正するとはつきりおつしやつた方がいいのであつて、字句を妙に解釈して体面をつくろうという態度はおもしろくないのであります。私は、間違いであつたとおつしやれば、はいと言つてひつ込むたちでありますので、回答第二の場合においても、私は間違いであつたと訂正が願いたいのであります。  そこで最後に法制局の部長にお尋ねいたしますのは、この漁業法との関連において指定遠洋漁業取締規則の第十九条の二がおもしろくない、疑義が多いように感ずるのであります。部長も多分そういうふうにお感じになつておるだろうと思いますが、法制上この規定が妥当と考えられるか、近く何らか改正する必要があるとお考えになつておるのか、その点をお尋ねしておきます。

西村健次郎参事官(法制局第三部長)

○西村政府委員 この十九条の二は指定遠洋漁業取締規則でございまして、これは農林大臣がその権限に基いて発した命令でございますので、私がこれについてとやかく言うのはいかがかと思います。先ほど申し上げましたように、多少それは表現としては、しいてけちをつければいろいろつけられるかもしれませんが、妥当、不妥当というほどこの規定がシリアスな意味を持つというふうに、私の方では考えておらないわけであります。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、要するに五十八条の五項で勘案すべき事項がいろいろ掲げられております。勘案すること自体はこれは農林大臣がやる、そのやり方についてより明確にしたというふうに考えますので、特にこれを今重大問題として改正すべきであるというふうにまで申し上げるのは、私はいかがかと思います。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 このくらいで打切りたいと考えます。当局でも十分お考えになつておることだと思いますので、これ以上は追究いたさないことにいたします。  次に進んでお尋ねします。回答第八の関係でございますが、以西底びきの漁船を大型化して行くということについてはよくわかりますが、すでにそういうものが着工されておるかどうか、さらに今後二箇年間にどういうふうに進められて行くか、大型化の計画についてお尋ねしておきたいと思います。

増田正一農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○増田説明員 従来中間漁区を操業区域といたしておりました中型機船底びき網漁業につきましては、昨年の十月以降操業区域の変更をいたしまして、現在百八隻のうち百隻が、すでに百二十八度三十分以西に操業区域を変更いたしております。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 二箇年計画の大型化の内容はどうなつておるか、その見通しをお尋ねいたしておるのであります。

増田正一農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○増田説明員 船型については現在一隻も大型化しておりません。この百隻につきましては、水産庁の現在の構想といたしましては、できる限り早い時期において船型を大型化して参りたい、かように考えております。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 それでは一箇年間にどのくらい大型化すという見通しもないのでございますか、この年の秋は何隻ぐらい大型化するとか、あるいは明春はどのくらいになるという見通しはないのかということをお尋ねいたしておるのであります。

増田正一農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○増田説明員 ただいまの点は資金関係の裏打ちが非常に問題になると思いますが、来年、すなわち二十九年の七月三十一日までに全部大型化して参りたい、かように考えております。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 回答八によりますと、二箇年の過渡期の措置として百二十八度三十分から百二十九度の間に海面の操業を認める方針であるとあるのでありますが、この方針の内容はどんなものであるか、どのくらいの希望があり、どういう操業を許そうとされるのか、この点を承りたいと存じます。

増田正一農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○増田説明員 ただいまの御質問のいわゆる帯状の水域につきましては、現在水産庁に希望の申出がありましたのは約百隻でございます。この希望の数をどの程度まで水産庁として認めるかという点については、現在検討中でございます。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 そうしますと、先般問題になりました以東の入漁問題についてはすでに取消されて、漁業調整委員会に委任されておるように承つておるのでありますが、もしかりに入漁を許すような場合に、過渡期の措置として二箇年内にこの海面で操業を許される従来の以西底びき網とダブることになるのであります。ここに調整の必要が出て参るかと考えるのであります。当局が中間漁区の入漁をどうされるかについては、私はつきり存じませんが、うわさによると一時はそういう計画をされた、こういうふうに聞いておるのでありますが、非常に心配されておる、この狭い海面においてどのように漁船を調整されようとするのかまたその場合にもちろん従来の以西底びき網が優先権を与えられると考えられるのでありますが、この辺の調整をどのように考えておられるのか、お尋ねしておきたいと存じます。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいまの問題でございますが、ただいまお答え申し上げました帯状区域に明年の七月三十一日まで暫定的に入漁を認めるという問題につきましては、ただいまお答え申し上げました通り、約百隻の希望がございますが、どの程度にそれを認めるかということは、いまだ検討中でございます。しかし私どもの気持といたしましては、すでにこれは百二十八度三十分以西に操業いたしておるわけであります。ただ船型が大きくならないために、帯状区域に時々入つて行きたい、こういう希望でありますので、私どもといたしましては、この帯状区域に操業を認めております。船数は相当制限すべきものであるというふうに考えております。従つて希望がありますれば、すぐそのまま認めるということではないのでありまして、この点については、その船型なり、今までどういう所を主として漁場として操業しておつたかというようないろいろの事情を勘案いたしまして、なるべく制限的に帯状区域に操業することは認めて行きたいというふうに考えておるのでありまして、百隻の希望をそのまま許可するというような考え方ではないのであります。なおいわゆる中間漁についての入漁の問題でございますが、この点はすでに昨年度水産庁といたしまして案を考えましたときにおいても、その隻数の問題は一応七十隻ときめたのであります。操業する場合におきましても、それらのいわゆる以東底びきの漁船が入漁する場合におきましても、期間を限りまして、四月から九月までは認めない、あるいは夜間操業は認めない。根拠地も元の通りで増設は認めない。いろいろな制限を付加しております上にいわゆる底びきの禁止区域のほかに、さらに操業制限区域というものまでも設けるというようなことをいたしまして、極力狭い区域において船が入り会う場合においての、いろいろな摩擦を避けるという措置をとつて参つておるのであります。なお違反船の取締りの問題につきましても、今までの方針をさらに強化いたしまして、相当きびしくその違反取締りの措置をとりたい。またその面に活動する取締船の問題につきましても、私どもとしては、海上保安庁の応援を求めるなり、その他いろいろなくふうをいたしまして、できるだけ政府としての取締りの強化をいたすということも実は考えておつたのであります。しかしながら、その問題は先ほどすでに御説明申し上げました通り、中央漁業調整審議会に白紙をもつて御委任申し上げておるのでありまして、現に審議会の方は、本日現地でもつて関係の方々の御意見を十分承つておることと思うのでありまして、やがてお帰りの上は、いろいろな適当なる御意見の御開陳があろうと思うのであります。私どもといたしましては、皆さんの御意見を十分尊重いたしましてやるわけでありますが、沿岸漁民がこの問題によつてよけい不利益をこうむるというようなことのないように、今までの措置に対しましてさらに付加いたしまして、すぐいたすべきものはすぐ実行する、予算措置の必要なものは予算措置を考えるということによつて、取締りの強化を考えて参りたい。この問題につきましては、先般非常にきびしい御批判もありましたけれども、私どもといたしましては、今後極力この問題につきましては、予算、実施両面から措置をやつて参りまして、沿岸漁民を安心させて参る方向に進めて参りたいと考えておるわけであります。  それから入漁船の操業の問題につきましても、これまたどういう御意見が出るかわからないのでありますが、目下地元に行つていろいろ御意見を聞いておるわけでありますから、相当地元の御意見を率直に反映された御意見も出ると思います。その御意見につきましては、私どもも十分尊重いたしまして、この海区に操業する各種の船舶が摩擦のないように、安定して操業できるというふうにして参りたいと考えておる次第であります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 ただいまの御答弁で大体わかつたのでありますが、いわゆる中間漁区の海面の操業漁船数を相当制限せねばならないという点、明らかに昨年末の水産庁の方針と大分かわつておる点を私は承つたのであります。そこで最後に二点承つておきたいのは、百そうの希望が暫定期間中はあるということについて、これも相当しぼりたいということでありますがいずれにいたしましても、この海面で操業する場合、今までやつておつたものに、まず制限された隻数の中で優先的に認められるのではないかと思うのでありまして、これに対する当局の見解、並びに私どもとして一番心配しております沿岸漁民の関係、漁船がだんだん大型化して参りますと、それは西の方に参るのであります。九州の北の方には、中型と申しますか、比較的小型の船が操業することも予想されるのであります。そういう場合に沿岸漁民との摩擦が非常に心配されるのであります。これについては十分取締る方針だとただいま御答弁になりましたが、厳重に取締る何らかのもつと具体的な方策、許可の取消しとか、没収とか、いろいろな方法もありましようが、そういつたきめ手になるような取締りの方法の案をお持ちでありましたならば、この際お聞きしておきたいと存じます。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいまの第一点の御質問でございますが、私どもとしましては、この法律案はそういう趣旨でできておる案でありますけれどもなるたけ船を大型化いたしまして、沿岸から離れた西の方で操業をしてもらうという建前でできておりますので、この措置によりまして、新たに西の方に出て参ります船につきましては、全面的に大型化をなるべくすみやかな期間において措置して参る。それに必要な資金の措置等につきましては、十分考慮をいたしまして、明年の七月三十一日までの間に、できるだけ早く該当の船を大型化して、西の方に持つて参りまして、沿岸の漁業と摩擦のないように進めて参りたいと考えております。  第二点の問題で、取締りについて特に具体的な案はないかということでございますが、私どもとしましても、内部ではいろいろ相談をいたしております。すでに先般きめた案の中でも、実は一隻取消しますと、取消した数だけその県の入漁する船を落すというような案を考えておつたのであります。  それから取消しにつきましても、今までは三度ぐらい違反をいたしますと最後的な措置をしたわけでありますけれども、これも厳重にするというような案もあつたのでありますが、この点は今まだ検討中でございますので、はつきりお答えできませんけれども、趣旨は井手委員から御質問があつた趣旨に考えておりますから、この点は、実際実施いたす場合には、もつとはつきりした措置を講じまして、単に取締りを厳重にするというような文章でなしにこういうことで、こういうふうにするというふうな、具体的な措置をもつと明確にして、沿岸漁民の方を納得させるような方法をとつて行かなければならぬと考えておりますので、案をきめますときには具体的な措置をとる、こういうふうにやつて参りたいと考えております。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 長官のただいままでの御答弁に信頼いたしまして、この程度で質問を打切りたいと存じます。ただ私感じまするのに、この特例法は、ほんとうは漁業法の改正によつてやるべきじやないかとも考えるのであります。先刻来申しますように、漁業法についてどうもすつきりしない点が随所にあるように見受けるのであります。基本法で行けないから特例法でやるんだ、こういうようなことで、法制上にも疑義があるのであります。漁業法という基本法がどうも現実においてめちやくちやになつたような感をいたすのであります。当局はこれを機会に漁業法を改正して、すつきりした漁業政策と申しますか、漁政上の立法をなさる御用意があるかどうか、いかなる場合でもすつきりした答弁ができるような立法をされる御用意があるかどうか、承つておきたいと存じます。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 漁業法の問題につきましては、いろいろ実は問題があるわけでります。各委員からもいろいろここには今までも御意見が出ておつたのでありまするが、ただ本問題は、漁業法を根本的に改正する前に応急措置として立法いたしましたことは、すでに先ほども申し上げた通りであります。私どもといたしましては、この漁業法につきましては、ただいま申し上げた通り、いろいろな角度から申し上げまして、問題があることは私ども承知いたしております。ただこれを改正するということになりますと、これが基本法でありまするために、よほど愼重にいろいろな角度から考えまして、各方面の御意見を十分承つた上で改正をいたさなければならぬのでありまして、この点はよほど基本法たるがゆえに愼重を要する問題だと思うのであります。しかしながら、私どもは常にこの問題の検討は内部ではいたしておるのであります。しかし成案をすぐ得るということはなかなか申し上げられないのでありましてわれわれの方といたしましては、この根本法につきましては、本日は研究を今内部ではいたしておるということを申し上げるにとどまるわけでございまするが、問題はきわめて重要でありますので、いろいろの意見についてさらに今後も検討を続けて参りたいこういうふうに考えております。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 川村善八郎君。

川村善八郎自由党

○川村(善)委員 私はただ一点だけお伺いしたいと思います。それは遠洋かつお、まぐろ並びに中型かつお、まぐろ漁業の許可等について将来水産庁はどういうふうな方針をとつて行かれるかということについてであります。申し上げるまでもなく、ただいま議題になつております漁業法の臨時特例に関する法律案の第二条は、以西底びき網漁業及び遠洋かつお、まぐろ漁業の許可並びに起業の許可等の規定でございます。その二にかような字句が使われております。「中型かつお、まぐろ漁業取締規則第二条又は第四条第一項の規定にり総トン数七十トン以上の船舶についての漁業の許可又は起業の認可を昭和二十七年十二月一日において受けていた者で、その許可又は起業の認可を受けた船舶によるその漁業を廃止し、その船舶に代る船舶について遠洋かつお、まぐろ漁業を営もうとするものから、当該漁業の許可又は起業の認可の申請があつたとき。」こういう場合におきましては、いわゆる中型かつお、まぐろから、遠洋かつお、まぐろの許可あるいは認可を得ることができる、こうなつておりますが、私いろいろ各業界から承りますと、いよいよ講和条約が発効されまして以来、遠洋に進出するという意気込みは非常に多くなつて参つたのでございます。特に遠洋のかつお、まぐろあるいは中型のかつお、まぐろ漁業に新たな許可を得たいという者や、さらに現在兼業で許可を得ておる者等につきましても、相当に本格的な漁業許可を与えてもらいたいという希望等もございますし、さらに機船底びき網が、以東でございますが、非常な不振になりまして、これを転換させなければならぬというような議論も起きております。そういたしますると、これらの漁業についての希望する許可は、何といつてもやはり遠洋等に持つて行かなければならない、かように考えておるのでございます。今本特例法案は事情やむを得ないものに限つてかような措置を講ずるということでございまするが、将来漁民の希望に応じては、相当に伸ばして行かなければならぬのじやないかと、かように考えておりますが、先ほど申し上げました遠洋かつお、まぐろあるいは中型かつお、まぐろの許可等について、一体将来どういうお考えをもつて進められるか、この点について水産庁の御答弁を願いたいのであります。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいま、遠洋かつお、まぐろについて、将来どういう方針で進むかという御質問でございますが、ただいまの御質問の御趣旨にもありました通り、今回の措置は、マツカーサー・ラインの撤廃に伴う漁区の拡張に伴いまして、遠方に発展をするという建前からの措置でございます。従いまして、本法律がかりに通過いたしましたあかつきにおきましては、すでに御説明申し上げた通り、中型の七十トンから百トンまでの船を、百トン以上の大型に認めて参るということによりまして、遠洋の方に発展さして参りたいということでございまするし、また同時に、二十トンから七十トンの間の、いわゆる今回百トン以上にならなかつたものにつきましても、少くとも百トンまでの大型船への増トンは認めて参るといううな方向をとりまして、できるだけかつお、まぐろにつきましては、大型化して、遠洋に発展させるという方法をとつて参りたいと思うのであります。かつお、まぐろの資源につきましても、これまた他種事業と比べまして発展性があるということは、私どもも認めておるわけでございますので、この今回の措置とともに、今後の問題といたしましては、あるいは底びき船がこれに対する兼業を希望しておるといような、その他特殊の必要な場合がありましたときにおきましては、私どもといたしましては、さしあたりは二十トンまでの範囲内のものに限つて、将来かつお、まぐろの兼業を認めなければならぬと、こういうふうに考えておる次第であります。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 他に御質疑はありませんか。他に御質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれで終了いたします。  これより討論に入ります。討論は通告によつて順次これを許します。井手以誠君。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 ただいま議題になつておりまする以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお・まぐろ漁業の許可等についての漁業法の臨時特例に関する法律案はその趣旨が漁場の拡大に伴う適性船型の近代化にあるようであります。その趣旨については私ども賛意を表するものであります。ただその結果といたしまして、いわゆる中間漁区の今後のこれに対する当局の施策、あるいは沿岸漁民の不安などにつきましていろいろと紛議が生じまして、今日まで審議が継続されたのであります。特に昨年末当委員会の決議による申入れにもかかわらず、農林大臣は、かつてに以東底びきの入漁七十隻を許可した事実があります。もちろんこのことは、当局もその非を認めて取消し、現在中央漁業調整審議会に、長官の言われる通り白紙一任されておるのでございまして、これはその審議会において適正な答申案が出ることを私どもは期待いたしておるのでございまするが、審議の途中においてこのような不審な当局の態度があつたために、非常に審議は紛議遅延いたしたのであります。従つて私どもは、この法案について、いろいろと沿岸漁民のことにつきまして、あるいは漁船の適正配置について質疑を行つたのであります。ただいままで質疑いたしましたが、不幸にして満足な答弁を得なかつたのであります。特に漁業法の疑義についてなお割切れないものがあるのでありますけれども、私はこの特例法案を実施せねばならない、いわゆる大型化が急がれておる、また漁期の関係からこれを早急に成立させなければならないという事情を考えまして、不満ではあるけれどもこの法律に賛意を表するものでございます。それとともに、長官も新たに就任なさつておりますので、その答弁に一部言われておりますその誠意に期待いたしまして、特に沿岸漁業取締りに対する格段の配慮に絶大な期待を私はかけまして、賛成することにいたしますが、なお直接関係はないにいたしましても、今後予想されまする中間漁区のことにつきまして、今まで行われました当委員会の質問の焦点、委員が不安に感じております中心点を私は附帯決議といたしまして、賛成いたしたいのであります。  その附帯決議といたしましては、 以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお、まぐろ漁業の許可等についての漁業法の臨時特例に関する法律案に対する附帯決議(案)  東経百三十度と同百二十八度三十分との間の所謂中間漁区の将来の問題については、本海区が、各種沿岸漁業によつて高度に利用されている現状にかんがみ、政府は、関係県及び漁業者と充分協議をして、いやしくも将来本海区に関聯して漁業岩間に紛争を惹起することがないよう処置すべきである。  以上の附帯決議を付しまして、当局が私どもの意思を十二分に尊重されんことを最後に期待いたしまして、本案に賛成する次第であります。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 川村善八郎君。

川村善八郎自由党

○川村(善)委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつております漁業法の臨時特例に関する法律案について討論を行いたいと存じます。  本案は、本委員会に付託されて以来、数次にわたつて政府当局の説明並びにこれに対する質疑応答を重ねて、その内容は十分私らが了解できることに相なつたのであります。御承知の通り、わが日本は敗戦の結果マツカーサー・ラインを設定されまして、遠洋漁業については極度に制限を受けたのでございます。しかしながら今や日本は平和条約が締結されましたので、日本の漁業を公海に伸ばさなければならないという見地に立つてわれわれが検討しまするときに、本案のごときは当然認めなければならないのでございます。しかしながら先ほど井手君の討論の中にもありましたように、かような漁業の許可並びに認可の措置については、根本的な漁業法の改正をすべきが当然でございまするけれども、漁業法の改正をいたしますると相当の日時を要するのでございます。かかる意味からいたしますと、どうしても急を要するものは、漁業法の不備を補うために特例の法律案を提出して、その採択を求めなければならないのは理の当然であります。かかる意味におきまして、日本の遠洋漁業を伸ばすためには、この法律案をわれわれが認めてやつて、すみやかに以西底びき網並びに遠洋かつお、まぐろ漁業の進展をはかり、あわせて沿岸漁業の進展をはからなければならぬ、かように考えまして、私はこの案に賛成するものであります但し、井手君の附帯決議の案もありますので、これに対しても十分政府当局は遺憾のないようにすることを私は前提といたしまして賛成するものであります。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 辻文雄君。

辻文雄日本社会党(右)

○辻(文)委員 私は社会党を代表いたしまして日本の水産業は漁区の狭小、濫獲によるところの資源の枯渇並びに国際関係の複雑化による現状を考えまして、ただいま井手委員からの御発言の一抹の不安を残して、全体的に考えました場合に賛成をすることにいたします。しかしながら井手委員から再三当局に申されておりました通り、第五十八条のうちの水産資源保護法の九条一項の規定によりますと、たとえば憲法の三章の二十二条の、国民の権利義務に基く職業選択の自由の精神とは根本的に食い違いがあるのではないか。かような特別立法をされるとか、あるいは暫定的の立法をされるという場合に、それをにらみ合せると同時に、十分の根拠を持つて、われわれが納得の行くような立法をしていただきませんと、骨子立法といえども、それがたけのこのようになつて、実際の運営上、私どもにはどうしてもがつちりと腹に落ちないような広汎なものになる、あるいは暫定だと言いながらも、それが承知できぬような紛争を起すようなもとになるというようなことを考えますので、この点は水産庁だけの問題じやないのですけれども、十分お考えおきを願いたいということを申し上げなければならぬと思います。同時にたびたびここで言われましたが、きようは外務省の方は要求してないからおいでになつてないようでありますけれども、大体こういうことが起るという原因も、公海の自由操業に根本が置かれてないからであるということがはつきりしております。今日以西の漁業者はどんな状況であるかといえば、一千八百隻で、三万数千人の漁民の操業が、実際の面から失われつつある。さらに二十数万トン、約七十五億円くらいの漁獲生産が制約されておる。こういうことを考えてみましても、たとえば李承晩ラインそのものがわが国にとつては非常な無理がある。独立国家として、このようなものを認めてよろしいかどうかということについては、外務省の政務次官もここへお見えになつて、どうもはなはだ漠とした御答弁しかなかつた。その上に、外務大臣にしても農林大臣にしても、あまりここにお見えにならぬ。これは川村委員なんかからも、ずいぶん水産委員会をばかにしておるというようなことを再三仰せられたように思いますが、私どももそういう点に非常に不満があるのであります。水産庁は外務省じやないから、そういうことは外務省がするであろうというようなお考えでは、局部的にあるいは妙な中間漁区をつくつてみるとかいろいろなことで苦労された上に、解決がつきかねるというような感じを深くするものであります。  昨年の七月十六日から二十三日までの間に、ストツクホルムで開かれましたITF、国際運輸労働組合連盟の第二十二回の世界大会において、組合より、公海漁業に関連して発生する紛争は、公海と領海について明確な国際条約を決定するために必要な国際機関と協議すると提案されて、そうしてこれが可決されておる。そしてすでに国連本部に交渉を開始しておる。かような動きさえもある、また世界の法曹会議でもその通りであります。こういうところに、水産庁の方々としてもあるいは農林省を通じて外務省に強く当り、そうして根本的解決をするというような腹をきめていただかなければ、日本は農業の次には水産国だといわれておりますが、将来逐次非常に狭隘な面に持つて行かれて、わが国の経済面にも、また営養資源の面から見ても、だんだん心細い状態になるのではなかろうか、かようなことを考えるのであります。  まだたくさん申し上げたいことがありますけれども、大体今日までの質疑の間で言い尽されておりますので、私は簡単に申し上げますが、かようなことを水産庁の方々も十分考慮して、新長官のただいままでの御答弁において、今後沿岸漁民、言いかえると零細漁民の人たちが困らないように、実質的な運営をして行くということを深く信頼いたしまして、私どもはこの立法に対して賛成をするものであります。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 中村庸一郎君。

中村庸一郎改進党

○中村(庸)委員 本案は以西底びき網漁業及び遠洋かつお、まぐろ漁業について、講和後の漁場の拡大に応じて資源の開発に努め、あるいは漁業の健全なる発展を期するものでありまして、基本的には賛意を表するものでありますが、本法実施後の行政措置について愼重を期さねばならないことは、委員会における審議を通じまして痛感する次第であります。井手委員の附帯決議は当を得たもつともなものと存ずる次第であります。  改進党を代表いたしまして、本案に附帯決議を付して賛意を表するものであります。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 起立総員。よつて本案は満場一致をもつて原案の通り可決いたしました。  次に井手以誠君提出の附帯決議案を採決いたします。これに御賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 起立総員。よつて本附帯決議案は満場一致をもつて可決いたしました。  なお本案に対する委員会の報告書の作成につきましては、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 御異議なしと認めまして、そのように決定いたします。     —————————————

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 次に日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案を議題として審議を進めます。本案に対する質疑を継続いたします。中村庸一郎君。

中村庸一郎改進党

○中村(庸)委員 すでに、日本国民とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律が今日施行されておるのでありますが、この法律によりまして補償されない一種の業態があるのであります。その業者をただいま審議されております補償の法律によりまして補償さるべきであると私は考えて、今日までいろいろな業態の説明を申し上げ、今日まで審議を願つて参つたのであります。そこで私は今日までこの法律の適用を受けざる業態にこういうものがあるということを確認させておきたい。資本、漁船及び漁撈、加工の資材、労力及び技術等を出資し合つて、漁撈より処理加工まで一貫して経営する漁業経営体の構成員として、その漁業共同経営体自体の漁獲物を処理加工する場合もまた、当然その処理加工の面において経営上こうむつた損失に国が補償すべきものであることは明白であると私は考えるのであります。かような業態を続けておりまする業者がありますが、これがさきに申しました直接被害を補償しまする、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基くというこの法律によつて適用を受けないことになつた。この業者はまつたく漁業者と一体不可分の共同体であるのであります。かような共同体を救う道がないのであります。従つてこの間接被害を補償しまする本法案によつて救わるべきものであると、私は今日まで主張して参つたのでありますが、いろいろなこの法案に対する見解その他によりまして、なかなかむずかしいようであります。しからばこの一心同体であるところの、共同経営体でありますところのこの業者に対しては、現在施行されておりまする法律によりまして補償さるべきものであると私は考えるのであります。この間接被害も本法案によつて救済さるべきものであると私が御質問申し上げ、水産庁長官から非常に御同情ある御答弁をちようだいして、非常に喜んだのであります。この救われざる業者をいかにするかということは、今日最も大きな問題である。しかるに調達庁並びに大蔵省方面におきましては、法案の性質上なかなかむずかしいという議論が多くなつて参りました。また委員の中におきましても、この業態そのものに対するむずかしい批判がだんだん下されて参つたので、しからばこの業者は現在施行されております直接被害の法律によりまして補償さるべきものであると私は考えるのであります。今年度におきましてすでにきまつております以外に、かような業態をこの法律で救済すべきであると考えますが、関係当局水産庁調達庁並びに大蔵省の明快なる御答弁を願いたいと思うのであります。

大石孝章総理府事務官(調達庁不動産部次長)

○大石説明員 お答えいたします。ただいまの御質問の点につきましては、実は非常にデリケートな点がございまして、なかなか私どもの方の研究もむずかしかつたのでありますが、現在到達幸いたしております大体の結論を申し上げますると、現に施行中の法律第二百四十三号、すなわち漁船の操業制限等に関する法律、これを適用してただいまのような損失は補償すべきであるという御見解でありますが、この中でいわゆる共同体の中の一部門、漁業労働部門に当るのであるというような点につきましては、私どもの方でも調査の結果、ある特定のものについては、確かにそういつたようなものであるというふうな結論に到達いたしております。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 私の方の気持は、前回御答弁申し上げた通りでございます。これは一般加工業者ということであつては、なかなか問題がございますが、特に漁業と一体をなしている特殊な加工ということでわくが引かれます場合においては、私どもの方といたしましては、何とかこれを補償できるようにしたい、こういうふうに考えておるわけであります。ただこれは私がそう考えましても、関係官庁の方々と十分相談しなければ、実現できないわけであります。この点は私の今申し上げたような趣旨によつて十分相談して参りたいと考えております。

中村庸一郎改進党

○中村(庸)委員 御説明によりまして、よく了承いたしましたが、私がこの際申し上げておきたいことは、漁業者より製造原料として漁獲物を買い入れ、水産製造業を営む商工業者と混同されては気の毒である、まつたく違つた業態であるということを御認識願つておきたいと思うのであります。漁業者があるいは漁撈従業員が、自分の漁獲物を処理加工する場合は、これは現に施行されております二百四十三号ですか、やはりこの法律によつて補償されておるのでありますが、これに該当せざる扱いを受けておる業者がある。ということ、しかもこれはまつたく共同経営体であるにかかわらず、かような扱いを受けておる業者があるということを深く御認識を願つて、直接被害の法律によつて補償されるということを願つておきたいと思うのであります。この点だけつけ加えまして、これをもつて私の質疑を終ります。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 他に御質疑はありませんか——別にないようでございますから、本案に対する質疑は、これをもつて終了いたします。  引続き討論に入ります。討論は通告順によりまして、これを許します。中村庸一郎君。

中村庸一郎改進党

○中村(庸)委員 本法案は駐留軍軍隊の行為によつて農林漁業者がこうむりました各種各様の損失を補償する点におきましては、画期的なものであると私は考えるのであります。各企業家がまつたく困難なる立場に立ち至つておるような現段階におきまして、本法案が提案されたことに対しましては、水産庁並びに大蔵当局に対しまして満腔の敬意を表するわけであります。  ただ本法本来の使命を達しまするには、質疑の際におきましても申し上げましたように、種々なる業態の複雑なる面がありますので、この法律によりまして救済できざる業態に対しましては、特に現在施行されております、間接被害でなく、直接被害の部面に加えられまして、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律によりまして救済されんことを希望いたしまして、私は本案に対し、改進党を代表いたしまして賛意を表するものであります。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 日野吉夫君。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 本特別損失補償法につきましては、日本社会党を代表して賛成の意を表するものでありますが、問題になります政令の規定の仕方、過般の答弁で明らかになりましたように、各省協議会の行政命令等でこれを救済してできるだけ広く無過失損失の補償をやる、この立法の趣旨を十分に生かして、本法案の適用にあたりましては中央調達不動産審議会等においても十分この損失の調査、査定等をされて補償の範囲を広める、こういう本法の趣旨にのつとつて実施されんことを希望申し上げまして、本案に賛成の意を表しておきます。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 森清君。

森清自由党

○森(清)委員 私も本案に賛成するものでございますが、それにつきましてその理由を簡単に申し上げたいと思います。  まず九十九里における問題は、水産加工業者という名前を使つていることがきわめて不的確なものであります。元来いわしの揚繰網業者がいわしをとつて参りますと、従来ここ数十年来の実績から申しますと、九〇%から一〇〇%まで、ほとんど全部が加工業者の方にまわつているのであります。すべて加工されたものが市場に出るということになつています。従つて鮮魚が出荷されることはほとんどございません。その例を見ましても、この漁業者、いわゆるいわし揚繰網業者と加工業者というものは、ほんとうに不即不離の形になつておるのであります。しかもこの形が、しいて線を引けば、一方は漁業者であり、一方は加工業者であるというふうになるのでございますけれども、この関係はさらに追究して行きますと、いわゆる先ほど中村委員が申されましたところの中小加工業者というふうな形でなくて、わかりやすく言うならば、いわゆる百姓でいうところの農奴的な形で漁業者とくつついているのであります。さらにわかりやすく申しますならば、会社における製造部と営業部、あるいは製造部の中のある係と係というふうな形で、これは完全に一心同体であるということを私はここで強調申したいのであります。従つてこの漁業者が損失を受けた場合には、加工業者も同じような損失を受けているという意味から、当然これは先ほど中村委員が申されました御意見に全然私も同感するものであり、同時にこの法案に賛成するものであります。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 これにて討論は終結いたしました。採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 起立総員。よつて本案は満場一致をもつて可決されました。なお本案の委員会報告書の作成につきましては、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 次に漁船損害補償に関する問題について発言を求められておりますので、これを許します。濱地文平君。

濱地文平自由党

○濱地委員 ちよつと緊急的に質問をさしていただきたいと思います。戦争中に漁船を徴用されまして、これが戦場で沈没して何らの補償をもらつていない気の毒な漁業者があるのでありますが、これに対してその後どういうような措置をとつてくださつていたのか、一度当局の御意見を承りたいと思います。

永野正二農林事務官(水産庁生産部長)

○永野説明員 一応私からお答え申し上げます。戦時中漁船で軍のために徴用になりまして、徴用中に戦争の事故で沈没をしたというものに対しては、当時の補償の契約に基きまして一応政府が補償の義務を負つておつたのでございます。それが占領当局の当時に一応補償は金の形では渡せないということに相なりましたので、当時そういう気の毒な漁業者の代船の建造につきましては、政府の方で特に方針を立てまして、当時の復興金融金庫の融資につきまして、優先的にそういう漁業者に対してあつせんをいたしまして、代船の建造ができるように措置をしたということを私は記憶いたしております。戦時補償金の現在の成行きにつきましては、ただいまもう少し調査いたしませんと、ちよつとお答えができかねるのでございますが、金融的にはそういうふうに特に優先的な措置をしたということを記憶いたしておりますので、お答え申し上げます。

濱地文平自由党

○濱地委員 そういうふうにも実は承つていたのですけれども、実際問題といたしまして、漁師というものはそういう手続を知らなかつたり、指導者がそれだけのことをしてくれない場合においては、何も知らぬうちに時効にかかつてしまつて、まことに気の毒な状態に立ち至つておるのがちよいちよいあるのであります。そして無理な金を借りたり、高利な金を借つたりして、そのためにいくら漁をしても高利貸しにとられてしまつて、今悲境にあえいでいるというような状態のものがあるのであります。きようそのことを聞きましていかにも気の毒で、ふびんでたまらないのでありますが、今後そういう一物も補償として与えられなかつた漁船主に対しまして、政府として何か方法はないものかしらんと私は思うのでありますが、もう何もないものでしようか、どうでしよう。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいまの問題、御本人には非常に気の毒なことだと思うのであります。ただただいま申しました通り、特殊な事情で補償関係の方は一応見送りになつて、金融の措置によつて代船建造に便宜を与えたということの措置はいたしたのでございますが、実は詳しいことは私も存じませんので、この問題はちよつと研究さしていただきたいと思います。どういうことになりますか、私も今具体的にどうこうということは申し上げられませんので、ちよつと研究の時間を与えていただきたい。

濱地文平自由党

○濱地委員 できるだけ愛のある措置をとつてやつていただきたい、こう思うのであります。どうぞよろしくお願いいたします。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 ほかにございませんね。  ではこれをもつて閉会しまして、次会は公報で御通知します。     午後零時三十九分散会

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