P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
15回国会衆議院1953/03/06

水産委員会 第24号

発言数
86
登壇者
11
会派数
4
開催日
1953/03/06

会議録

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 これより会議を開きます。  福永委員長はしばらくの間御旅行されるとのことでありまして、委員長の御指定により、本日以後当分の間私が委員長の職務を行います。  ただいまより以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお・まぐろ漁業の許可等についての漁業法の臨時特例に関する法律案を議題といたします。本案に対し質疑の通告がありますので、これを許します。井手以誠君。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 議題になりました以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお・まぐろ漁業の許可等についての漁業法の臨時特例に関する法律案、これについて質疑をいたしたいと存じます。  まず先般水産庁より回答がありました事項につきまして、逐次御質問申し上げ、その上で総括的にお尋ねいたしたいと考えます。できれば農林大臣の出席を求めたいと思います。  まず最初に、この臨時特例に関する法律案は、文字通り漁業法に対する特例法でありまして、あくまでも漁業法の根本精神は尊重されねばならないと考えるのであります。この点についてまず長官のお考えを承りたいと思います。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいま御質問がございました点でありますが、この法律を臨時特例の法律といたしまして、いわゆる基本法たる漁業法と別途にこれを立案いたしましたという点につきましては、すでに御説明を申し上げているかと思うのでございますが、確かに御質問の通り、漁業法というものはわが国の漁業の規制に関する根本の法律でございまして、この基本精神につきましては何ら問題のないことでございまするが、今後漁業法の問題につきましては実はいろいろ問題もあるのであります。基本精神は存じておりながらも、なおかつ今後事態に即応して必要な措置をとつて参らなければならぬかとも思つておるのであります。しかしながらただいまお話の通り、漁業法の根本精神は現在はそれを維持して措置を講じて行かなければならぬのであります。ただこの法律は御承知の通り、またすでにしばしば御説明申し上げているかと思うのでありますが、この措置自体がいわゆる講和発効によるマツカーサー・ライン撤廃後の新しい事態に即応いたしまして、またその措置がはつきり固まらない間の臨時的な措置であるというふうな建前から、根本法たる漁業法とは別途にこれを特例的に取扱う。しかも法律も期限を付しておる、こういうようなことでありまして、これらの以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお・まぐろ漁業に対するマツカーサー・ライン撤廃に伴う臨時的な措置が固まるまでの間という意味における臨時特例である、こういう取扱いをいたしておるのでありますから、その辺を御了解願いたいと思うのであります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 委員長にお願いしたいのですが、この水産庁の回答は法案の審議にきわめて重要な関係がありますので、全文を速記録に載せていただきたい、かように考えます。もしぐあいが悪ければ、読み上げて速記録に載せる方法もございますけれども、時間の関係がありますので、そのようにとりはからつていただいて、質問を続けたいと思います。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 皆さんにお諮りいたしますが、時間がありませんから、井出さんの言われるような方法をとつていかがでございましようか。

川村善八郎自由党

○川村(善)委員 ただいまの井手君の発言でございますが、法そのものの表面を検討しますと、何らこれは抵触しておらないものでありますけれども、この特例法の施行後において当然起きて来ると思われる問題でありますので、井手君の発言の通り、これは速記録に載せておくべきである、私もかように考えるのでございます。ただこの水産庁の回答を根幹として、この法律に時間を費すということは、もう会期の終了も間もないことであり、この特例法が通らなければ、何百人という漁業者が非常に窮地に陥るばかりでなく、陰に何方という家族もおることと思いますので、でき得るだけすみやかな機会にこの特例法を通過せしめるよう、委員長においては努力されることを私から提議いたしまして、井手君の意見に賛成をするものであります。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 井手委員の提案に対しまして川村委員より賛成がございましたが、皆さん御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 ではさよう決定いたします。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 ありがとうございました。それではなるべく要点だけについてお尋ねいたしたいと思います。  第一に、漁業法第五十八条の規定によりまして新規許可は行わなかつたという回答になつておりますが、講和発効後十一箇月近くになるのでありまして、この期間に新規許可の申請が相当あつたのじやないか、かように考えられるのであります。この新規許可の申請はどのくらいあつたか、またこの十一箇月間この大事な漁業を放任されておつたのかどうか、その点についてお伺いいたしたいのであります。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいま新規許可について放任しておつたのじやないかという御趣旨の御質問でございましたが、どの程度の新規許可の申請がございましたか。私ただいまちよつと確定的にはお答え申し上げられないので残念でございますが、講和発効後本日まで、私どもといたしましては決して事態を放置しておつたわけではないのでありまして、先ほど来お話申しました通り、いわゆるマツカーサー・ラインの撤廃によりまして、主としてただいま問題になつております以西底びき並びにかつお、まぐろの問題等につきまして、いろいろ相談をし、業界の意見をも十分聞いて参つたのでありますが、その間業界との間の意見の調整その他につきましも、いろいろ水産庁といたしまして配慮いたしまして、本日まで引続き参つておりました。今回大体業界の意見等もおちついたところを見はからつて、この特例法案を御提案申し上げるという段階に至つたのでございまして、今後は、かりにこの法案が通過いたす場合におきましては、なお従来業界との相談をいたしました線に沿い、この法律の趣旨に沿いまして、適当の措置をして参りたいと考えておる次第であります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 申請の件数につきましては、ただいまとは申しませんから、ひとつ次会に御報告をいただきたいと考えます。  この点もう一つお尋ねしておきたいことは、新規許可については、やはり基本法たる漁業法の改正によつて、あるいは漁業法の五十八条によつてやるべきじやないかという考えを私は持つておるのであります。特例法でこれを自由にするということは、基本法の精神にもとるものではないかと考えるのであります。この点もいろいろ申し上げたいが、意見にわたりますので、簡単に長官のお考えを承つて、あとは後日にまわしたいと思います。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいま御質問でございましたが、この特例は確かにいわゆる特例でございまして、この法案にございます通り、以西底びきにつきましては、いわゆる中間漁区に操業しておりました百八隻の問題についての特例的な措置であります。普通でありますならば、中間漁区の措置がありますまで新規許可は不適当であるということのために、とりあえずこの措置によつてやる行き方であるのでありますが、かつお、まぐろに関しましても、マツカーサー・ラインの撤廃によつて漁場が広がつたことによつて、適当な増トンを認めて行くという方法でいたして行きたい、こういうことのためのいわゆる特例法でございまして、しかも期限が限られているという法律であります。この特例に基くところの法律の措置が具体的に済みました場合においては、新たに五十八条による許可という問題になつて来るのでございますが、その許可自体についてどういう措置をとるかということにつきましては、今すぐ私はお答え申し上げられないのでありますが、法の精神並びにそのときにおける経済界、業界の事情等を十分勘案いたしまして、措置をとらなければならぬというふうに考えておる次第であります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 百八隻の処理をするためにこの特例法をやるということについては、私は多くの意見を持つておりますが、意見にわたりますので、後日に譲りたいと思います。  そこで次にお尋ねいたしたいと思います。指定遠洋漁業取締規則の第十九条の二でございますが、この法的根拠をいま少しく確かめておきたいと思うのでございます。水産資源枯渇防止法は昭和二十六年十二月十七日に廃止になつておるのでありますが、次いでこれにかわる水産資源保護法は二十七年六月に制定されておるわけであります。しかし規則をつくるときにはやはり母法がなくてはならぬ。親がなくては子供ができぬわけで、これは周知の事実でありますが、この指定遠洋漁業取締規則というのはいつどういう根拠で生れたものか、親がなくて子供ができたものか、この辺を承つておきたいと思うのであります。国家行政組織法によりますると、この十二条の第三項に「前二項の命令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。」というはつきりした規定があるのであります。従つてこの規則ができるのには母法がなくてはならぬことは申すまでもないのであります。その上に漁業法の第五十八条には長い文句を用いまして許可の場合の方法を詳細に規定されておるのであります。この詳細に規定されたということを私どもは考えねばならぬのであります。これについていろいろ承りたいのですが、まず第一にどういう根拠で制定なさつたものであるか、お尋ねいたします。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 御指摘の点は、私の方の説明が不十分であつて、あるいは申し上げなかつたかと思うのであります。確かに御指摘の通り、水産資源枯渇防止法の精神は現在の水産資源保護法に引継がれておるのでございますが、この指定遠洋漁業取締規則第十九条の二は、水産資源枯渇防止法施行規則の附則でこれが制定されたのでございますけれども、その法的根拠は水産資源枯渇防止法ではないのでありまして、漁業法に基いて十九条の二というものをこの際特に附則で附加した、こういうふうに解釈いたすべきものと私どもは考えております。従つて水産資源枯渇防止法に基く施行規則、それから漁業法に基く施行規則の二つが合さつたと申しますか、たまたま異種類の法律に基く規則が附則に加わつた、こういうように法律的には解釈すべきであるというように考えております。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 そうしますと、私よく聞き取りがたかつたのですが、端的に申しますと、漁業法の第何条によつておやりになつたか、精神でなくてその辺を簡潔でよろしゆうございますから、はつきりおつしやつていただきたい。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 これは漁業法の六十五条に、主務大臣または府県知事がいろいろな省令または規則を定めることができるという規定がございまして、それに基きまして水産関係の諸般の取締り規則ができておるのでございますが、その条文に基きまして、この十九条の二というものが附加されておるというように考えますので、法律の根拠と申しますれば、漁業法の六十五条から出ておるものであると私は考えております。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 私は今ここに六十五条の規定を持ちませんのでわかりませんが一応信頼いたしまして、六十五条から生れたものだと解釈いたしますが、先刻申しましたように、漁業法の五十八条では、新規許可は抽籤によりやるべしというようなことが非常に詳細に規定されておるのであります。ところが十九条の二によりますと、優先的に許可するようになつておるようであります。「やはり基本法から行けば、許可をする場合には抽籤で民主的にやれということがはつきり規定されておる。それを今度この十九条の二によれば優先的にやる、これは基本法に違反するものではないか、かように考えるのですが、当局の見解を承つておきたい。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 この点は見解の相違かもしれませんが、私の方は違反しないというように考えておるのであります。これは抽籤によるということを五十八条に規定しておりますが、特にその第五項に、第四項を引いて参りまして、抽籤をする場合に、組をわけたり、その組をわけて割当てるべき許可または起業の認可の数を定める場合は、左に掲げる事項を勘案しなければならないとありまして、「その申請に係る漁業を営んだ経験があるかどうか。」というようなことが記載されておりまして、その二号、三号、四号において、その申請にかかる漁業を営んだ経験があるかどうかということが、五十八条の許可をいたす場合に実際上一つの勘案条件になつておるのであります。そういうようなことから考えてみましても、五十八条は抽籤ということになつておりまして、しかも抽籤の場合に組をわける必要のある場合には、漁業の経験を勘案する、こういうような規定があるのであります。この精神から申しましても、この十九条の二は法にかなうものであると考えておるのであります。直接の法的根拠は六十五条と考えられるのでありまして、私はこの点は法の精神並びに法的根拠から申しましても妥当であるというように考えております。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 私は少し解釈に苦しむのであります。第六十五条は漁業の調整であつて、私はこれに該当するかどうか疑問を持つのであります。これについては本日は長くなりますので、あらためて次の機会に十分追究して行きたいと考えます。六十五条は、漁業取締りその他漁業調整に関する問題であつて、五十八条によるこれとは違うと思う。わざわざ五十八条に詳しくこうやれと規定されておる。これは漁業調整あるいは漁業取締りが法的根拠だとは、どうも受取りかねるものであります。川村さんから議事進行の発言もあるようでありますから、先へ進みたいと思いますが、これは抽籤によるべしとあるのに、その子供の規則で、この精神に反して優先的に認めるということは漁業法に反するものである。組をわけてやるということは民主的にやる方法であつて、優先的にやるということは漁業法の精神に反しておると思うので、もう一ぺん確かめてから次に進みたいと思います。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 たびたびの御質問でございますが、この点は井手委員と見解を異にしなければならぬと思うのであります。なるほど御趣旨の点もよくわかりました。しかし抽籤ということにしておりますけれども、くじ引きを行うときには、必要ある場合には経験を見る、こういうようなことがございますので、建前は抽籤ではありますけれども、そこにやはり経験のあるものを非常に尊重するという趣旨の規定が、第五項に入つておるのでございますから、この精神から申しましても、抽籤に対してある程度の是正をしておるというな考え方が本法の中に入つておることは明らかであるというふうに考えております。従つて第十九条の二にかような規定が入つておりましても、私は適当であると考えておる次第であります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 議事進行の関係もありますので、多くの疑問を持つておりますが、これは後日に譲りまして次に進みます。  三項の野放しの状態の問題でございますが、「定数を定めるようにしたい。」とありますが、かつて水産資源枯渇防止法では「定数を定めなければならない。」と強くうたつてあり、その後これにかわつた水産資源保護法では「定めることができる。」今度また定められるようなかつこうになるわけですが、講和発効以来水産庁はこの定数の問題についてどういうお考えを持つておられたのか、今までほつたらかしの状態じやなかつたかと思うのですが、この点について当局の今までとられた態度、基本方針、今後のやり方についてお考えを承りたいと存じます。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 この点は先ほどの御質問にもちよつと触れられたのでありますが、確かに水産資源枯渇防止法においては「定数を定めなければならない。」という規定がありまして、いわゆる遠洋漁業につきましては定数を定めておつたのでありますが、その後に制定されました水産資源保護法におきましては、「定めることができる。」というふうにかわつたのであります。これは御承知の通り、講和発効後、マッカーサー・ラインの漁場制限の撤廃が行われた直後でありまして、従つて定数というものもこの漁場が広がりましたことによりまして当然検討しなければならぬのであります。そういうことでありましたので、しければならないというふうにきめました。その間私どもは、先ほども申しました通り、いろいろ漁場が拡張しましたのに伴いますところの関係の漁業の実態なり、あるいは資源の実態なりを十分調査し、あるいは関係の方々の御意見を聞き、あるいはこれに伴う漁船の譲渡の問題あるいは設備の能率化の問題等を十分勘案して参つておるのでありまして、われわれとしては、いかに今後やつて行くべきかということについて検討をいたして、今日に至つておるのであります。むろんこの定数につきましては、今後それぞれ遠洋漁業の各種について十分検討を重ねまして、定数を定めて参るようにいたさなければならぬと思つておるのでございますが、ただいまは経過的な問題を取扱つておりまして、定数を定めておりません。今後こういつた遠洋漁業の実態に即しまして、それぞれ定数を定めるようにいたして行かなければならぬものと考えておる次第であります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 過去のことは申しません。今後定数を定めるというお考えのようでありますから、一応了解いたしたいと思います。  次に第五に移りたいと思います。問題の以西底びき漁業に対する百三十度のことでございますが、百三十度の線というのは長い歴史を持つておる。風浪に耐え得るトン数によつてこの百三十度というものがきまつた、これが私は大きな原因だと思うのであります。今度これを百二十八度三十分にされるのですが、これは漁場にとつて革命的なことではないかと思うのであります。最近講和が発効になつてから、朝鮮海峡が非常に穏やかになつたと思いますが、この百三十度線を百二十八度三十分にかえねばならない重大な原因を承つておきたいと思うのであります。これはやはり地方においても、この重大な変更については各方面に了解を得なくちやならないことでありますので、風浪が非常に穏やかになつた、内海になつたというこうであれば、よくわかるわけであります。この変更される重大な原因をここでお伺いいたしたいと思います。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 すでに過般の御質問書に対する答弁の中に、十分その理由を明記いたしておつたと思うのでありますが、御質問の点はきわめて重要な点であります。私どもも東経百三十度という線は昔から聞いておつた線であります。これがなぜこういうように、さらに西へ移して百二十八度三十分にするかということでございますが、この点は根本的な問題といたしましては、今までの以東の底びき船と以西の底びき船の能力が非常に違つておるということが、第一に言われなければならないのではないかと思うのであります。今までは以東の底びき船の平均トン数が大体十数トン、以西の底びきが大体四十トン程度というようなときに、東経百三十度という線が一応確保されたのでありますが、すでに現在では以東の平均が三十トン、以西の平均が七十五トン程度に、相当これが大型化されておりますし、漁港自体も相当進歩いたしておるというようなことでありますので、この大型化に伴い、あるいは漁業のやり方の能率化に伴い、その他漁船の装備の改善に伴いまして、当然これは沿岸より沖へ出て行かなければならないという方向にあるのであります。それとともに、沿岸漁業との摩擦を避けるという意味から申しましても、なるべくこれは沖の方に出て行くというふうにいたしまして、公海の遠洋の方へ出るような方向に船を持つて行かなければならないということが、今まで考えておりました百三十度線が西へ移るということの最も大きな理由ではなかろうかと思うのであります。そのほかに、今まで中間漁区線というものを置きまして、漁区の設定を百二十七度三十分、相当西の方に線を引きまして、いわゆる以西底びき網は百二十七度三十分から西の方で漁業をする。それから中間漁区線は百二十七度三十分から百三十度の間で漁業をするというふうに、いわゆる以西底びきは、今までは百二十七度三十分という線を限つて、そこの西で実際やつておつた、中間漁区線はその間にあつて、以東がさらにその東というように、言葉通り中間漁区線というものがある、こういうような実態だつたのでありますが、この際この中間漁区というものの性質をはつきりさせまして、いわゆる以東と以西との間に一本の線を引く必要があるということからいたしますれば、百二十七度三十分から一度だけ東の方にいたしまして、百二十八度三十分に線を引くということも妥当である、こういうことが実際問題としていえるということに理由があるのではなかろうかと思います。大体大きな問題は先ほど申しました漁船、漁具、漁法、根本的な施策のその後の情勢の変化、そしていわゆる中間漁区というものをこの際解消したという、この二つのことからして、この際百三十度の線を百二十八度三十分の線で区切つて、実際上以西の限界をそこに置くということにいたしたい、こういうふうに考えているのであります。この点は特に関係の業界の方々とも、昨年来十分相談を重ねて参りまして、大体この線でおちつき得る見込みも立つているのであります。この際これが実質上区画の一つの線となりましても、実際問題としてはさしつかえないという見通しも私どもは得ておる次第であります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 情勢の変化と以東の船のトン数が増加した、そういうことで西の方に移したいということはわかる。中間漁区、マ・ラインによる中間漁区ということでなくて、百三十度の線を区切つた理由は——私はしろうとでよくわかりませんが、漁業法の五十二条によりますと、五十トンを区切つて百三十度から西になつておるようでありまして、三十トン平均なら、ものによつては十トンあるいは四十トンということになるのでしようが、百三十度の西であるものは五十トン以上でなければならないというように、私の読み間違いか何か知りませんが五十二条には書いてあります。百三十度から西に移すというならば、漁業法との関係はどうなるか、中間漁区の問題はまたお尋ねいたしますがまず五十二条にいうこの制限、これとどうなるかということを承つておきたいと思います。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 これは法律的に申しますと、きわめてむずかしい問題でわかりにくい問題であります。実は私も来て早々ただいまのお話のような疑問を持つてよく検討いたしましたが、やはり間違いないということを発見いたしたのであります。御説明書にも申し上げたと思いますが、この漁業法第三章の五十二条で遠洋漁業として指定いたしております以西機船底びき網漁業というのは、百三十度の西であつて、しかも北緯二十五度以北、そこで一定のトン数の船すなわち五十トン以上の船がやる場合が以西の底びきであるというふうになつておりまして、百三十度以西においてどの程度の操業をするかということは、これは許可の面によつておのずから制限をされるのでありまして、いわゆる以西底びき網という範疇に入りますものは、百三十度以西の一定のところで農林大臣の許可を受けた操業面積で、しかも五十トン以上の船でという、それが以西である。こういうふうにある一定のわくを限つておるのが以西の底びき網漁業なのであります、ところが以東とか、その他一般に言われている底びき網漁業というものは、中型機船底曳網漁業取締規則で制限をいたしておるのであります。いわゆる中型機船底、曳網漁業取締規則というものが底びき網漁業取締規則の一般法でありまして、一般的にどこでもやれるという建前になつている規則であります。従つて南方でも北方でもどこでもやれる建前になつております。ただ五十トン以上であつて、しかも以西の一定の海面でやるのだけがこの規則によつて制限されるという、一般法と特別法的な考よ方になつておるのであります。従つていわゆる以東と言つておるのは中型機船底曳網漁業取締規則によつて許可を受けているので、南方の海面でも北方の海面でもこの中型機船底曳網漁業取締規則によつてやれる、こういう建前である。そのうちほんの一部を限つて、ここに以西底びき網漁業というふうに制限いたしておる特別法的な考え方であるのであります。もつと御質問の趣旨に対してはつきり申し上げますれば、むしろ漁業法そのものを改正して、百三十度を百二十八度三十分というふうに直したらいいじやないかということは確かに言えます。けれどもこの点は先ほど来申しました通り、この法律が経過的な臨時措置であるから、臨時的な法律でこの法規を立案制定実施いたしまして、この法律が完全に実施されたあかつきにおきまして、今度はこの百三十度という問題を改正して百二十八度三十分にするという問題が起るのでありまして、これは実際に言えばむしろ空文的な条文になるのであります。こういうふうに考える次第であります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 これはちよつとおかしいのであります。それでは今度の臨時特例法案に、百三十度以西に五十トン以下の船も許すという規定がどこにありますか。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 これは先ほどちよつと申し上げました中型機船底曳網漁業取締規則というのが一般法でありまして、この法律は以西とも以東とも制限がないのであります。どこでやつてもいい建前でありまして、この中型機船底曳網漁業取締規則は総トン数十五トン以上の船でもつてやるというふうに規則で制限をしておるきりでありまして、操業海区についてはどこでもとれるという建前になつておりますので、これは先ほど私が一般法と申し上げましたのはその趣旨であります。従つて、しいて申し上げますれば、十五トン以上、五十トン以上の上で以西の底びきをやる場合も、中型機船底曳網漁業取締規則に入り得るのであります。しかしそこは以西の方の別途の規定でありますから、そこが抜けている。従つて一般法と特別法の関係になつて来て、一種法律の形ではダブる形になつております。しかしこれは、はつきり申し上げますれば、規則上は十五トン以上の底びきであれば中型汽船底びき網漁業ということで、どこでも操業できるという法律の建前になります。中型という規定はありますが、大型という規定はないのであります。小型中型という——つまり十五トン以上中型、五十トン以上大型ということになるのであります。しかも中型機船底曳網漁業取締規則では、以東、以西ということは触れてないのであります。従つてこの規則によりましては、十五トン以上であれば、日本の海面では、どこでも操業ができるという建前になつております。その一般法の上に、五十トン以上のもので百三十度以西の一定の海上でやるものは、この以西の規則で取締られる、こういうことになつておりまして、これは法律的には若干問題はあるかと思いますが、現在はこの規則で処置するよりほかに方法がないというように考えております。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 いたし方がないという結論のようでございましたが、これは非常に疑義があるのでありまして、一般法、いわゆる漁業取締規則ですか、この十五トン以上中型という、これは規則であつて、私の申し上げているのでは基本法の問題を申し上げておるのであります。基本法に対して今度特例を設けるということであれば、この法律案に載せておかなければならぬのじやないかという見解を持つているのであります。しかも、今新任の大臣がお見えになつたようでありますが、この問題は昨年以来いろいろ論議されておる重要な問題でありますから、大臣も十分御研究をいただきたいということを希望して質問を続けます。  五十二条の第二項に以西底びき網漁業とは「総トン数五十トン以上のスクリユーを備える船舶により底びき網を使用して営む漁業であつて」ということで、五十トン以上ということが入つております。すべて五十トン以上です。だから百三十度以西には五十トン以下のものは行けないということがはつきり線を引いてあります。その点については基本法にはつきりしておるものを、東の平均三十トンのものを入れるという考え方、そこが私はどうもふに落ちないわけであります。樺太のところを埋め立てて、百二十八度三十分ですか、朝鮮海峡のところを内海にしてしまつた。だから小さい船でよいということなら話はわかるのですが、私はなかなか納得行かない。それと同時に、百八艘の船を遠洋にやる、こういうことのための臨時特例であるというならば、この百三十度の線という、この漁場でいえば憲法のようなものを百二十八度三十分に移すという問題は、臨時特例の趣旨に反するのじやないか、そこをもう少し解明してもらわなければ納得が行かない。だんだん大きくなつたが、なお平均三十トンである。それを入漁させるという前提で百二十八度三十分に移すということであれば、もつとはつきりした理由が解明されなければ私は納得できないと思います。その点をお尋ねいたしたい。中型のが一般法であるということでは、この基本法である漁業法に反する。あなたは規則であるとおつしやるが、われわれは規則は本法によつて生れるものである、こういうように考える。本法によつて規定されたものをかえる場合、規則によつて変改されるということは私はふに落ちないのですが、詳しくひとつ承りたい。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいま重ねての御質問でございますが、実は私が御説明申し上げたことに尽きると思います。まず、法律については、これを規則でやるのはおかしいということでありますが、これは規則といつても法律に基く規則でありますので、法律的には法文の本文の内容と同一効果を持つものというように考えざるを得ないと思うのであります。  また第二点の御質問の、百三十度以西の海面にやるのがいわゆる以西ではないか、こういうことでございますが、これは法律上、百三十度以西の海面全部という意味ではないのであります。この海面の中で農林大臣が操業区域というものを許可するわけであります。許可された操業区域の中で、しかも東経百三十度以西の海面でなければならないのが、この以西底びき網漁業の規則であります。従つて法律的に解釈いたしますれば、法律には百三十度以西の海面となつておりまするけれども、実際上の許可の際に、これを百二十八度三十分以西で許可をする、こういうことになるわけであります。しかもその船が五十トン以上、それが以西底びき網漁業、こういうことになるわけであります、従つて、いわゆる中型はその百二十八度三十分より入りましても、中型機船底曳網漁業取締規則の建前から申しますと、これはさしつかえないことになるわけであります。ただ御質問の点は、すぐそこへいわゆる中型機船を入れるところに問題がある、こういう御質問の趣旨であろうかと思うのでありますが、この点は従来しばしば御説明申し上げている通り、大型漁船が西の方へ参りましたために、そこにある程度余裕ができますので、その余裕のあるところに以東底びき船の一部を入れたい、こういうことでありますので、この点は従来からたびたび申し上げている点であります。法律上の問題につきましては、これは御疑問の点は確かにわかりますし、また法律に百三十度ということを残しておいて、特例で百二十八度三十分にするのがおかしいじやないかという点も確かにあるのであります。ありますけれども、この特例法というのは、先ほども申し上げました通り、臨時特例の法律でありますので、しかもこれは法律的にはさしつかえないものでありますので、この措置によつてやつて行くことを御了解願いたいと思います。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 井手委員の発言中でありますけれども、大臣が委員諸君にごあいさつ申し上げたいということでありますので、しばらく質疑を中止していただきまして、大臣にお願いしたいと思います。新聞記者との会見時間がございますので、どうぞ皆さん御了解願います。

田子一民自由党農林大臣

○田子国務大臣 御発言中を特に委員長のお許しを得まして、ここにごあいさつをいたす光栄をにないました。  今回農林大臣の地位につくことに相なりましたが、御承知のように、全然未知の世界と申しますか、しろうと中のしろうとの身でこれに当ることになりました。はなはだ慚愧にたえないところでございます。国会法によりますと、立法活動、議会活動の中心がことごとく委員会に収められております。しかして委員会がその道の練達堪能な、優秀なる各位をもつて構成されておるのを見まして、まことに心強く感ずるのでございます。どうぞ皆様の御鞭撻、御支援によりまして、日本のすべての階層にわたる食糧問題の重要課題であります水産その他につきまして、お世話をいただくことを切にお願いをいたすものでございます。  はなはだ突然なために、まだ引継ぎも完全に終えておらないような今日でありまして、いろいろな法案とまた問題の解決にも力不足でありますが、しかし道のあるところ正しき道を進んで、すべての人の幸福に貢献したいという精神だけは、決して老いたりといえども衰えてはいません。何分ともよろしくお願いいたします。(拍手)

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 この際大臣に希望を申し上げておきたいと思います。  ただいま審議中の漁業法の特例法の問題でございますが、昨年の暮れに本委員会におきまして、本問題は、北九州におきましては、毎日血を流すような悲惨な事件が繰返されておるのであります。従つて許可をめぐりまして非常に事態が重大化しましたので、この法律案の結論が出るまでは、いわゆる中間漁区の入漁許可を与えないようにというこの委員会の決定を持つて、農林大臣に申し出たことがあつたのであります。ところがその申出にかかわらず、われら国会の意思にもかかわらず、農林大臣はかつてに、われわれの意思に反して、七十艘の入漁を許可したのであります。このことが非常に地方も衝撃を与えまして、多数の人が国会に押しかけ、委員会でも問題になり、そうしてこの日本の政府に許可された七十艘が後に取消しになり、そうして水産庁長官が更送になるという問題があつたのであります。すでにお聞き及びかと思うのであります。私は新大臣の人格円満、高潔なことを承つておるのであります。どうか今までのようなうそを言わない農林行政、水産行政をやつていただきますように、特にお願い申し上げる次第でございます。お忙しいところ恐縮でございました。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 この際大臣に希望を申し上げておきたいと思います。  ただいま審議中の漁業法の特例法の問題でございますが、昨年の暮れに本委員会におきまして、本問題は、北九州におきましては、毎日血を流すような悲惨な事件が繰返されておるのであります。従つて許可をめぐりまして非常に事態が重大化しましたので、この法律案の結論が出るまでは、いわゆる中間漁区の入漁許可を与えないようにというこの委員会の決定を持つて、農林大臣に申し出たことがあつたのであります。ところがその申出にかかわらず、われら国会の意思にもかかわらず、農林大臣ほかつてに、われわれの意思に反して、七十艘の入漁を許可したのであります。このことが非常に地方に衝撃を与えまして、多数の人が国会に押しかけ、委員会でも問題になり、そうしてこの日本の政府に許可された七十艘が後に取消しになり、そうして水産庁長官が更送になるという問題があつたのであります。すでにお聞き及びかと思うのであります。私は新大臣の人格円満、高潔なことを承つておるのであります。どうか今までのようなうそを言わない農林行政、水産行政をやつていただきますように、特にお願い申し上げる次第でございます。お忙しいところ恐縮でございました。

川村善八郎自由党

○川村(善)委員 お忙しいところまことに恐れ入りますが、せつかく水産委員会にごあいさつに上つてくださいましたので、この機会にお願いをしておきますことは、第十三回国会におきまして、自由党の首脳部において、国会法を改正をして水産委員会をなくするという問題が台頭したのでございます。われわれはあくまでも反対いたしましてこれを阻止いたしましたが、どうも新聞紙上で見ますというと、その問題ははつきり打出してはおりませんけれども、今度の整理にあたつては、漁業制度改革もやめようじやないか、それから漁港法もなくしようじやないかというようなことが、本多国務相の談話として出ております。この点につきまして私は、もつてのほかである、日本の水産を軽視するもはなはだしい、かように思うのでございます。今やわが日本が独立いたしまして、公海漁業に伸びようとしておるときに、日本の国会が日本の水産を軽視するということは、これほ許さるべき問題ではございません。むしろ政治的に見ましても、あるいは行政的に見ましても、今日公海漁業に伸びようとするならば、国際的な問題がたくさんこれから起ると思いますので、水産省を設置して専任大臣を置くべきである、またもし専任大臣を置くことができなければ、特に水産庁は外局であるだけに、政務次官を置いて、いわゆる政治的に解決をつけべきものは政務次官の手で解決をつけ、長官が行政的に解決して行くべきことは長官の手元でやつて行くべきだと考えておるやさきに、またぞろ今度の行政整理に水産庁の方を何か整理をしてやろうというような趣のように承つておりまするから、かようなことのないように、ひとつ十分農林大臣においては御注意を願いたいのでございます。  それからさらに党内の事情等も、大体おわかりのことと思いますけれども、現在の自由党のあの党内のいわゆる各部門をごらんになればよくわかります。かつては政調会に水産部というものがありましたが、今では政調会に水産という文字は消えております。いわゆる農林部門の中に、わずかに田口長治郎君が副部長として入つておるだけで、水産という字が消えております。それから私らの方では、ぜひとも本委員会から予算委員に一人出してもらいたいという要望がありましたけれども、自由党の水産関係からは一人も予算委員に出ておりません。それからもつと極端に言うならば、国会対策の委員会の中にも入つておりません。自由党の機構の中には、まつたく水産というものが抜けておるというような感じがするのでございます。聞くところによりますと、水産委員会は暴力を振うというようなことで、でき得るだけ水産委員会を圧縮してやろうという考えだそうであります。これは聞いたことでありますから、事実はどうか知りませんけれども、それはそれとして、自由党の機構の中に入れられてないということは明らかであります。日本の水産は、貿易をいたしまして外貨を獲得する意味におきましても、他の産業とは違います。他の産業であるならば、原料を外国から持つて来て、自分たちが賃金で働いて、それを輸出するというようなことでありますが、水産は元からうらまで、全部日本人の手によつて生産され、日本人の手によつて加工もされ、日本人の手によつて貿易もするのでありますから、日本経済の発展という点からいつても、また食糧としましても、農村の食糧をもつてまかなうのが容易でないときに、これはもちろん食生活の改善ということもありましようけれども、われわれはいかなる角度からいたしましても、日本の水産をこの機会に伸ばして行かなければならぬと思いますので、新農林大臣におかれましては、その意を十分含まれまして、今後とも日本の水産のために御貢献あらんことを切にお願いいたしまして、私の大臣に対する御要望とする次第でございます。 (拍手)

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 私は本法律案の審議を進めるのにやぶさかでないのであります。すみやかに結論をつけなければならぬと考えておるのでございますが、内容がきわめて重大でありますので、さらに疑問の点を明らかにしておきたいと考えております。しかし党の関係でただいまから九州に参りますし、幸いもう一回質疑の機会があるようでありますので、この次にさらにお尋ねいたすことにして本日はこれで打切りたいと思います。当局におかれても、われわればかりでなく、関係漁民に、日本の水産のために割切るような説明をなされるように、研究して次会にお臨みいただきますよう希望する次第でございます。質問はようやくかんじんの点になつて参りましたけれども、残念ながら時間の関係で次会に譲ることにいたします。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 漁業法の臨時特例に関する法律案の審査は、本日はこの程度にとどめたいと思います。     —————————————

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 次に日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案を議題といたします。本案に対し御質疑があれば、これを許します。

中村庸一郎改進党

○中村(庸)委員 ただいま提案されておりまする法律案に対しまして、前回水産、農林合同委員会におきまして、水産庁並びに調達庁より懇切なる御答弁がありましたことは、感謝いたしておる次第であります。その際幾多の特別損失補償に関する事例を御発表になりました。その中に種々困つておりまする問題が書かれておるのでありますが、本案の第一条第三項の「その他政令で定むる行為」というのはどういう行為であるか。現実に演習によつて損失をこうむつておる特殊加工業者、こういうものの行為をはつきり明示していただきたい、こういう希望を私は申し上げておいたのであります。しかるところ、政令で定むる行為は、次官会議の結果によつて政令がきまるということになつて参りまして、この行為をこの法案にきめるということはなかなか困難であるというお話も、その後に承つておるのであります。本日はこの第三項に該当いたしますところの特殊加工業者の問題につきまして、先刻来委員会の懇談におきまして、川村委員よりきびしい御質問をちようだいいたしたのであります。この特殊加工業者と申しますのは、水産庁におきまして、損失補償の対象となる事例におあげになつたのでありますが、そこに書いてありまする加工業者とは実態が違つております。この演習によつて損害を受けておりまする加工業者は、まつたく共同経営体であるのであります。この問題につきましては、先般本委員会におきまして、現地の実態を調査するということにはつきりきまりまして、用意までいたしたのでありますが、その後地の会議の関係で実現するに至らなかつたことは、非常に遺憾に存じております。九十九里における特殊加工業者と、水産庁のお示しになりました九十九里の演習によつて被害を受けた加工業、これは項目だけお取上げになりましたが、この中に書いてある文句は実態と違いますので、この漁業者と共同経営体であるということを御認識願つたと了解してよろしゆうございましようか。この点に対する水産庁長官の御答弁を願いたいと思います。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 申し上げますが、本日は政府側から清井水産庁長官、岡井次長のほかに、調達庁から根道長官、川田不動産部長、大蔵省から谷川主計官が御出席になつております。

清井正水産庁長官

○清井政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、この点は実は私も現地の方々から非常に御熱心な陳情を受けたのであります、特にいわしについて、その漁業と加工とが非常に一体的な経営であるということを御陳情になつたのであります。いろいろ事情を伺いましてこの問題を考えてみますと、単に加工業者全般の問題ということになりますと、実は非常に問題が広がるのでありますが、われわれの立場からいたしますれば、損害を受けた関係の業者が救われれば救われるほどけつこうなことでありまして、われわれといたしましては、その多きを望んでおるわけであります。しかし実際問題といたしましては、あまりこの問題が広がり過ぎることによりまして、かえつて問題の重点が失われることになりましても、非常に問題が起るであろうというふうに考えて遺憾に思つておつたのでございます。そこで私どもこの加工業の問題につきましていろいろお話を伺いますと、あるいは特殊な地点も二、三あつたようでございますが、こういう特殊な地点において、特にこの点がいわゆる直接の漁業者の問題と経済的にきわめて密接である。しかも実際の具体的な場所におきましては、ほとんどが一体化して実際の仕事が行われておる。その当該いわしの漁獲が少ければ、それがそのまま直接に加工業者に響くというものであるし、しかもまたそれの生産から流通消費にかけての問題、あるいはそれの経済的な措置の問題等、一般の加工とは違つた、いろいろ特殊な形態があることは十分認識いたしておるのであります。従つてそういう意味から申し上げましても、特殊な地点におきまする加工業といたしましては、漁業者と一体という観点から、それは当該法律の対象として補償に当るべき問題であるといろふうに私どもは確信をいたしておるのであります。共同経営体という言葉の法律的な問題はいろいろあろうかと思いますけれども要は実体であります。実体的にとらえまして、いわしの生産業と加工とが、いわゆる生産、加工という形で行くべきものではなくて、生産すなわち加工であるというくらいに、加工業者と生産者とがすべての点についてはつきり一体化しておるという特殊な問題につきましては、これは漁業者とまつたく同じ地位においてこの法律の対象になるべきものであるというふうに私ども考えておるのであります。しかしながらこれは私だけではきまりませんので、関係の方とも広く相談をいたしまして、これらの関係者がその補償対象になるように、今後積極的に措置を進めて参りたいというふうに考えておる次第であります。

中村庸一郎改進党

○中村(庸)委員 ただいま水産庁長官より御認識ある御答弁をちようだいいたしまして感謝にたえないのであります。実はかような大きな問題につきましては、全員一致でお認め願いたい、かように私は考えるのであります。またあらゆる政党政派を超越して、この特殊なる業態にある加工業者の救済をされんことを願つてやまないのであります。先般の懇談会におきましては、他の委員からもいろいろきびしい御質問をいただいたのでありますが、九十九里においては、これはまつたく特殊なる加工業であります。漁業者がとりました漁獲物は、そのまま利害得失を離れてこの加工業者が全部加工する。また同時にこの労力も提供して漁業を経営する。そうしてこの間において漁業者がとつて来て、市場でこれをせりにかけて加工業者がこれを買つて加工するというような一般工業とはまつたく業態を異にした漁業共同体であるということを、先ほどきびしい、質問をいただきました委員の方にも御認識を賜わりたいと思うのであります。この特殊なる地帯におきまして、言葉を悪く申しますならば、まつたくその加工業者というものは漁業者の漁獲物を加工する。すなわち漁業者に使われておる従業員であるのでありますのまつたく一心同体であるのであります。従つてこの業者が——業者と申しては言葉が悪いのでありますが、この従事員、この労働者というものが切り離されまして、演習による直接被害から切り離されておるということはまつたく不合理である。これは加工業という名前をつけたことに誤りがあるのであります。従つてさきに演習による直接被害を漁業者が補償されておりまする法律案によりまして、これに含まれて補償を受けるのが当然であるのでありますが、いろいろ統制経済その他の起つて参りましたことによつて、加工業というものが個々に分離された感じを与えて参つたということはまつたくこれは誤りであるのであります。従つて私は、この補償に対しましては現に施行されております直接被害によるこの補償法の中にこの従事員であるという一項を差入れますか、しからずんばこの特殊なる、ただいま水産庁長官が加工業ということで他にこれを広げて行つてはずいぶん弊害も起るであろうというお言葉があつたようでありましたが、まつたくその通りでありますが、この地帯におきまする加工業というものは他に広がりようがまつたくないのであります。この地区だけの特殊な加工業であるのでありますから、もし水産庁並びに特別調達庁の示されました事例によつてこれを了承しまして本法案を通過させますならば、私は附帯決議として提案したい考えを持つておるものであります。このことにつきまして他に御意見がありますかどうか。委員長ひとつお諮りを願いたいと思います。

川村善八郎自由党

○川村(善)委員 ただいま中村委員から長官に対して質問があり、長官より御丁寧な御答弁があつたのでありますが、私は中村君の特殊加工といつた言葉は、特殊加工はわかるけれども、その内容をまだ十分に会得しておりません。どういう点が特殊かということは、あらかじめ先ほど業者代表からも聞いたのでありますがどうも私らは、特殊という文字をつければつけられると思いますが、私は特殊でない、かように解釈しております。そこがまだはつきりしておりませんうちは、附帯決議をつけて軽卒にやるべきでないし、もちろん本委員会においては、先般もどうしても一回現地を調査しようということになつておりますので、調査した上でなければ、われわれはまだ特殊加工でこれを救済するかどうかという点については、私らの気持ははつきり固まらないのであります。ただ漁業が演習等によつて不振になつて、その漁業の不振に伴つて加工が不振になつたから、これを何かの方法で救済してやらなければならないという気持は、おそらく中村君も私も一致するだろうと思う。ただ法律にどう織り込んで行くかという問題に重点があるので、いわゆる今の審議は法律の審議であつて、その救済の方法についてはまだ結論が行つておりません。私は救済の方法は多分政令で定めるだろうと思つております。そこで政令で定める場合に、かようにすべきであるということなれば、私はいろいろな角度から検討してみましても、この他の問題もあるだろうと思いますから、それは賛意を表するのでありますけれども、これを特殊加工であるから完全に入れるべきであるという結論を出してこの法律を通すということについては、私はまだ責任ある立場から疑義を持つものでございます。そこで委員長におかれましては、ごく近い機会に十分調査を進めるために現地に行かれることもけつこうでありましよう。こうした委員会で議論するより、業者代表も、あるいは水産庁のそれぞれの役人も、あるいはその他関係の役所等も呼んで、懇談をして結論を出した方が、むしろ議論をしておるより早いんじやないかという私は気持がするのであります。そうしますと政令でこれを入れるとか、あるいは法律の中に一部修正をして、安心したような方法で行けるとも考えていますので、委員長におかれましては各委員に適当に諮らつて、この法律を早く通していただくことを私はお願いするのであります。但しつけ加えておきますが、私は反対するものでないことだけはこの際明確にしておきます。ただその方法論としてどうするかという問題を懇談的にきめた方がいいんじやないかという気がするので、委員長に申し上げたような次第であります。

中村庸一郎改進党

○中村(庸)委員 ただいま川村委員より、この窮状にある加工業者に対する法案をつくるということよりも、他に何か政令による救済の道があるのじやないかというようなお言葉があつたのでございます。この「政令で定める行為」この行為をきめてもらいたいというのが私の気持であります。この問題については、前回現地より業者代表を呼びまして、参考人に本委員会に来ていただいて、その実態を詳細に説明願つたその結果といたしまして、この事例が出て参り、またいろいろ水産庁の長官の御意見ともなつたものと私は考えておるのであります。ただいまはこの法案をどうするかという問題に対する質議であります。私はこの「政令で定める行為」これをきめるにつきましては、現地の業者の説明も十分ついておると思いますが、なお本委員会においても現地の実態を見ようということになつたのが、実現されなかつたのはまつたく遺憾であります。この点は川村委員とまつたく同感でありますが、この「政令で定める行為」という中にどう入れるか、直接の所管でありまする特別調達庁、それから大蔵省の本日御出席の方より御意見をひとつ拝聴したいのであります。御説明願いたいと思います。

根道廣吉調達庁長官

○根道政府委員 ただいまの御質問でございますが、私どもとして考えておりますのは、ただいまのところ今お話になりましたようなことが、実態的にいるのであるという結論が出ますならば、当然この法律による補償の範囲に入るかと思うのでありますが、それはいずれにいたしましても、私は実態的の調査の結果によつて個々に具体的にきめたい、こう考えております。

中村庸一郎改進党

○中村(庸)委員 ただいま長官より御説明があつたのでありますが、前回も申し上げました通り、この「政令で定める行為」これをはつきりしていただかなければ、あるいは具体的にこの特殊なる加工業に対する補償が得られるという見通しがつきませんければ、このまま本法案を進めるということは、まつたく無理ではないかと私は考えるのであります。なお現地の実態を調査したいという川村委員のお言葉もありますので、私はこの法案を成立させまするには、現地を皆さんに見ていただいてそうして認識の上できめるということが最もいい案であろうと考えております。このはつきりした見通しがつかないうちは、本委員会を開いてもまつたくむだであろうと私は考えるものであります。なお私の質問を保留いたしまして、本日はこの程度でとどめたいと思います。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 ただい調達庁長官から説明いたしました点、なお補足的に申し上げます。その申し上げますことによつてただいまお考えになつておる問題があるいは解決されるのではないかと存じます。  先ほど「政令で定める行為」の中に加工業または実質的に漁業従業者であるその加工業、これを入れたらというお話がございました。この点はひとつ御認識願いたいと思いますのは、この「政令で定める行為」と申しますのは軍の行為を意味しております。つまり被害の原因になる行為を政令で取上げましてきめるということでありまして、加工業の方の範囲は、本文の方にあります「政令で定めるその他の事業」この事業の中に取入れるかどうかということでこれはただ法文の解釈をここで明らかにしたいと思う趣旨で申し上げる次第であります。  それからこの提案になつております法案の審議に際して、ただいま御質疑の問題が解決しなければ、この法案の審議は進めにくいという仰せでありますが、実は私の解釈から参りますと、ただいまあげられましたような特殊な事例の加工形式が漁業のうちに入るという解釈が成り立ちました場合には、現在提案しております法案とは関係なく、すでに成立しております漁業制限の法律こよつて真正面から補償ができるのでありまして、この加工の状態がいわゆる漁業の範疇に入るかどうかということさえきめますならば、かえつてこの法案以前において補償ができるのであります。従つてただいまの問題を解決することと、この法案をお進めになることとは実は関係がなくなるということになるのではないかと存じます。また現在提案の法案によつて政令でその他に定める事業として取上げるという道もございますが、そうした際には、どういたしましてもこれこれしかじかの加工を行うものというような表現を用いるということになります。そういたしますと、漁業なり林業、農業そういう方面の業態につきましても、非常に多くの類似のケースが出て参りまして、政令の制定にひまどり、ひいては現在問題になつております救われざる被害、これらを一日も早く救おうということが遅れて参りますので、どうか加工業を特別の補償の対象になる事業としてお取上げになるということを今後お進めになりますよりは、現在問題になりました加工の実態が漁業に入るかどうかということを、先ほど川村委員からお話がありましたように御調査になりまして、むしろこれは漁業制限に基く補償の対象となるかどうかという点をお定め願つた方が解決が早いかと存じます。これが早期に解決されますならば、本年度の漁業補償のうちに取入れまして、やることもできるのであります。この法案ができ政令ができてから処理するよりその方が早いと思います。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 ちよつとお伺いしたいのですが、政令で定める行為というのは被害を受ける方の行為でなくて、被害を加える方の行為のことを言つておるのですか。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 さようでございます。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 私が理解してないからかもしれぬのですが、どうも法案の条文の排列の上から非常にまぎらわしい点がある。第一条にはこう書いてある。「アメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍の左に掲げる行為により、」その「左に掲げる行為」というのは一、二、三とありますが、ところがその一、二、三を分析してみると「防潜網その他の水中工作物の設置又は維持」「防風施設又は防砂施設の除去又は損壊」これはどうも加えている方の行為のみを羅列しているのでまぎらわしいのですが、第一条をしまいまでずつと読んでみると、観念の違いかもしれませんけれども、そこを明確に説明していただけばこれはすぐ了解が行く問題だと思います。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 政令で定めるものが二種類ございます。本文の「左に掲げる行為により、」というこれが号になりまして、一、二、三といたしまして、軍側の行為、それから一つの政令の事項では従来適法にこれこれの業を行つていた者、または政令で定める事業、まあ一口に申しますならば、原因たる方が政令で定める行為、または法律で定める行為、それから被害を受ける方が本法できまつております事業、それから政令で定める事業、こういうことでございます。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 私、前の方を聞いておらないのでよくわからないのですが、こういうのはそれに入りますかどうか。たとえば沿岸でのりをとつて来て、よしずを張つてのりを製造しておるとします。そういうものが損害を受けた場合は、やはり補償を受ける対象になるのですか。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 のりは、その実態が漁業と見られる場合におきましては、漁業の方に入ります。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 そこで水産庁は、今具体的に取上げた問題を漁業の範疇に入れておられるのかどうか。のりは加工業なんですが……。

高橋泰彦農林技官(水産庁漁政部経理課長)

○高橋説明員 ただいま椎熊委員からのりの問題が出ましたが、従来補償して参つておりますのは、御存じのようにのりの養殖業者がのりをつくりまして売つておるのでございまして、この場合のりの漁場が駐留軍の演習によつて制限されたような場合には、のりの漁業者として補償を受けておるのでございます。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 あなたの説明は、それは当然だと思います。のりを養殖しておるところが防潜網のためにできなくなれば、それは、補償を受けなければならない。ところがとつて来たのりを陸揚げして加工して沿岸でほしておる。それが防潜網かなんかやるためにそこを加工場に使えないということになる場合が想像できないわけでもない。例は適当でないかもしれないが、ともかくとつて来たのりを陸上で加工しておつたのが、ここに掲げられてをる三つの行為によつてできなくなるという場合には、それも補償の対象になり得るかどうかということです。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 そういう場合は陸上の問題になりまして、これは不動産の世界に入ります。接収地の中にそういうものがありました場合は補償いたします。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 そうするとのりを養殖しておるところは不動産ではないのですか。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 海と陸との問題でありまして、海が漁場補償の世界、続く陸の方は接収地になつた場合には、不動産の関係で補償ができるのであります。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 そこでよくわからないのですが、接収地にならないけれども、ここに掲げてある三つの行為のために事実上業務を営むことができないような場合があり得ると思う。それは補償しないのかどうかということですが

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 つまり海から来る材料がなくなつたために……。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 そうじやない。沿岸から防潜網を出したりする作業をするためにのりの乾場なんかが被害を受けたようなときのことです。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 材料がないためにというのでなく、現実にのりをほしておる場所が軍に使われるということでありますと、これは今は提供と申しておりますが、提供地域にしなければ日本国民の土地を駐留軍が自由に使うことはできませんので、もしそれを使つておつて、事業に損害があれば損害賠償をする。陸土はちやんと一定の提供区域にきめない以上は駐留軍の立入りはできない。それは調達庁の方で許可するので、昔とは逆の立場になつております。

椎熊三郎改進党

○椎熊委員 わかりました。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 この法案は大分審議が進められたのですが、問題になりました点は、政令の内容、それから法文に現われておりまするのは、通常生ずべき損失という一条の三項にあるのですが、それと公布の期日が問題になると思つております。過般の農林委員会との合同審査の場合において、川田不動産部長が直接損害はもちろん間接損害の解釈を非常に広く拡張されて、鶏が卵をなさなかつた場合、牛が牛乳が出なくなつた場合、妊婦が早産したというような場合、最後にはこの問題のためにいろいろ運動した町村の財政の欠陥までもこの法律で補償する、こういうような意味のことまで拡張解釈して言つておられる。そのとき質問の通告をしたが時間がなくて打切りになつておりましたが、私の方にも演習地の付近で、農夫が馬車を引いて行つたら、馬が大砲の音に驚いてかけ出して行つた。押えようと思つたら手綱にからまつて馬車にひかれて死んでしまつた、そうしてその家族が今非常に悲惨な生活をしておる。こういう点までも拡張解釈して行ける意味のことをとうとうと述べられたようでありますが、さすかに不動産部長は、これは円満な常識と経済事情、そしてそれは因果説建前で最終決定は中央不動産審議会がやる、こういうことを云つておられる。こういたしますと、不動産部長の答弁が、はたして中央中動産審議会でそのまま採択になるか、法文の表面に現われたものは、「第一項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失」こう規定いたしておりまして、法律解釈の通念上ここまでこの解釈を拡張し得るかどうか、この点を不動産部長は自信を持つてここまで云われておる。私らも特別法律であるから、できるだけ広く拡張して解釈したいと考えておるが、この拡張解釈を何か規定づけるものがこの法文のどこにも見当らない。政令の内容は行為だけに限られているということになりますと、これをどこかで救済して、できるだけ広く拡張解釈するのだ。たとえばこの法律の主たるねらいは、善意無過失の損害に対してはこれは国が補償する、こういう建前であるから、従つて公布の日から施行する。この法律が遡及され、結局この間の話では、占領治下に入つていた当時、法律で定める補償を与え得ない場合は、見舞金の形ででも出す、ここまで云つておられるのであるが、こういうできるだけ拡げて、拡張解釈を許すところのあなたの答弁を確保する法的根拠をこの法律のどこかにうたつておく必要があるのじやないか、部長は在任中はいいか知らぬけれども、あなたがその任を去られてこの法律だけが残つた場合、中央不動産審議会が厳格に、多くは勧業銀行の諸君であるとか、あなたの部下の諸君が、あなたの解釈のように、この損失の補償を解釈してくれるかどうか非常に疑問があるので、何かよりどころがあるか、どこでそれを確保しあなたの答弁を生かして、この法律を十分役立たせるように考えておられるのか、この法文のどこにそれを補償する条項があるか、もしなければこれをどこかに挿入する御意思があるか、そうでなく、このまま通してしまうと、この法文の規定通り解釈されて、きわめて狭い範囲に極限されるおそれがありますので、この点を伺つておきたいと思います。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 前会のときに私が補償するということは申したろうと存じますが、この法律によつて補償すると申したわけではございません。もうすでに馬の問題や鶏の問題は補償できるような法律ができております。それでやるという趣旨でありまして、この前の御質問は実は端的に申しますならば、この法案より別の世界のことをその機会に御質疑になつたものと思つて、まあ、機会だからと思つて御答弁申し上げたわけですが、この法案にも明らかにする意味のことが書いてございます。それは第一条の二項の「前項の規定は、他の法律により国が損害賠償又は損失補償の青に任ずべき損失については、適用しない。」他の法律でも補償するものもありますということを云つております。従つてこの法律では一定の事業に対して一定の軍の原因たる行為があつたら、間接直接を問わず補償しようというわけであります。今まで御質問がございましたような個々の事柄につきましては、行政協定十八条に基く損失補償の法律もございますし、総理府令によつて直接の被害に対しては見舞金を支出するという方法もありますので、それらをもつてしてもなお補償できない場合に、この法律を施行して、その損害を補填しようという趣旨でございますので、ただいまの鶏や馬の問題が解決しなければこの法案が通らないということはちよつとあり得ないと存ずるのであります。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 そういたしますと、この法律はすでに現存する法律の補償を受けられないものをこの法律で補償してやるという趣旨ですか。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 趣旨はそうであります。ただ事業と軍の原因たろ行為に一定の限界を設けるということでございます。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 要はできるだけ広く幅を広めて法律解釈を拡張してやりたい、こういう趣旨からの質問なので、あなたが過般の委員会で、できるだけ広くこれを補償してやる。そのためにはこれこれという事例を一つ一つあげまして、期待権の問題まで飛び出し、これは辛うじて逃げられたようでありますけれども、あの速記録であなたの答弁をあのまま迫られたならば、相当広いものになると思うのでありまして、この趣旨とは——第一条の三項「第一項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失」これはこのままの解釈で行きますと、あの答弁とはかなり食い違つたものになりはしないかという心配なんでございまして、それを何か救済する方法がないか、何かあとの方に改正したような何も見えれおりますが、不動産だけとは限らないと思うのでありまして、不動産以外の損失等もありまするので、第十二条の第一項を次のように改めるというのは、これを修正するのですか。「『二十人』を『二十三人』に、同条第四項中『並びに不動産及びこれに附属する動産の評価』を『及び第一項各号に掲げる事項』に改める。」というのは、どの法律を改めるのですか。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 これは中央不動産審議会の所管事項を、不動産以外まで広げたわけであります。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 そういう意味ですか。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 さようでございます。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 そういたしますと、これで不動産以外の評価委員をここに入れようという意図と解してよろしゆうございますか。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 おそらく実体上そうなると存じますが、この改正の趣旨は、不動産以外の委員を入れようという意味は表われておりません。しかし運営上その所管事項に関する学識経験者を入れるということになつておりますから、漁業をやる場合には、漁業の専門家を入れる、またその他の事業であれば、その専門家を数の許す限りにおいて入れる、こういうことになろうと思います。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 一応若干の救済ができると考えればよいのですが、この「第一項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。」というこの字句の解釈、これは法律用語ですからこうなると思いますが、これだけで不動産審議会にまかして、損害評価の基準というものが政令に含められないとすれば、これは何で規定されますか。評価基準の規定がおありでしよう。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 評価基準はあります。どういう形式であるかと申しますと、各省協議会を開きまして、各省の協議が成立した上国庫当局と打合せをいたしまして、一種の行政命令の形で規定されます。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 その規定はいつ出されるのですか。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 この法案に関するものは、この法案が施行されますときに間に合うようにその規定を作成いたします。その他のものは、すでにできているものもございます。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 できれば、この法案を審議する場合に一定の基準が示されれば、その中に今の千葉県の問題等入れ得るか、どうかというようなことも論議されて、審議に非常に都合がよいのですが、この法案がきまつた後それが出されるということになりますと、あなたが補償してやろうという事例が当てはまるかどうか、そしてそれらが盛り込まれるかどうか。過般の不動産部長の解釈のように、広汎に善意無過失の国民の損失を補償してやるという趣旨でもつて、十分それらを取入れる用意をもつて基準をつくつて、具体的な基準に基いて中央審議会がやるのでなければ、せつかくの法律が、冷酷にこの法文通り解釈される危険がありますので、このことはひとつ希望として申し上げておきます。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 速記を始めてください。中村庸一郎君

中村庸一郎改進党

○中村(庸)委員 不動産部長がこういう間接被害を補償するのに行政命令できめて出す、各省の連絡会議で行政命令で出す、こう言われたのでありますが、その行政命令の中に十分間接被害、特殊加工業者のことを御認識になつて、十分考慮の上で政令を出されるということでありますならば、私はあえて反対するものでないということを申し上げておきたいと思います。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 加工業という扱いでは私の方もお扱いできかねるので、その実態を分析しまして、漁業としての収入がどのくらい失われているかということが明らかになりますならば、漁業者としての補償ができる、こういう趣旨でございます。加工業というところまで入れますと、ずつとほかの運輸、窯、いろいろなものに影響がありまして、とうてい収拾がつかなくなります。

中村庸一郎改進党

○中村(庸)委員 この法案というものは、すでに施行されております直接被害を補償します法律の適用を受けない間接被害を補償し得る法案であるのであります。特殊なる業態における加工業者は、漁業者が魚がとれないときにはまつたく仕事ができない。生活もできない。この間接被害に本法が適用されるということを私どもが考えての問題であります。ただ加工という名前をつけたのが誤りだ。元来なれば漁業者であるのです。漁業者がみずから加工しておるのです。しかしながらこの業態がそういう特殊な業態でありますから、特殊業態を認められて政令で出すという中に御考慮いただきたいというのです。加工という言葉が悪いので、まつたくの漁業であります。これを十分取入れられますならば、私は賛成しておきたいと考えております。

川田三郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○川田政府委員 その実態を水産当局と共同いたしまして十分調査いたします。第一次の被害者に対して、相当な因果関係があれば補償するというのがこの法案の建前でありますから、第一次の被害者の中に入るかどうかという点について十分調査し、結論を出したいと考えております。

田口長治郎自由党

○田口委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十五分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗