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15回国会衆議院1953/02/19

建設委員会 第12号

発言数
44
登壇者
6
会派数
2
開催日
1953/02/19

会議録

高木松吉自由党

○高木(松)委員長代理 本日委員長が不在でありますので、私がかわつて暫時委員長の職務を行います。  これより会議を開きます。  産業労働者住宅資金融通法案(内閣提出第五七号)を議題とし、これより質疑に入ります。質疑の通告があります。順次これを許します。西村英一君。

西村英一自由党

○西村(英)委員 私は住宅政策につきまして政府にお尋ねいたしたいのでありますが、その問題は、大臣も出席いたしておりませんので、次会に保留いたしまして、本日はただちにこの産業労働者住宅資金融通法案の各条につきまして、政府の方々にお尋ねしたいと思います。  第一番に、第二条のこの法律の対象といたします事業者の範囲のことでございます。もちろん給与住宅建設の資金を、あらゆる事業者に貸与いたしたいという広い対策をとることは、これは最も望ましいことではありますが、さりとて、また資金の面、その他のことから考えますと、この第二条にうたつてあります事業者の範囲が「常時五人以上の従業員を使用する者」ということで、非常に広い範囲が含まれておるのであります。たとえて申しますれば、二百人以上の事業者でございますと、全国に六千か七千くらいあるでしようが、五人以上の事業者と申しますと、非常に広い範囲である。ことに産業労働者と申しましても、何らの制限はないのでありまして、国がその資本金の二分の一以上を出資している場合はいけないが、その他のものは全部を対象とするというふうになつておるのでありまするが、この法律の第一号の解釈は、生産、販売、運送その他の事業を営むあらゆる事業について、五人以上の従業員を使用する者を対象としておるのであるか、または産業の種類によつて対象外の産業があるのであるかどうかということを、ひとつ速記にも残しておきたいために、お尋ねをいたしたいのであります。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 お答えいたします。今の御説の通り、重点的にある産業に範囲をきめて、そうしてこの法案をその分だけに適用しようという御意見も、確かに一理あることと存じますが、政府が提案しておりますこの法案におきましては、最初に西村委員のお話のように、範囲を広めまして、産業についての制限というものはしないことになつております。

西村英一自由党

○西村(英)委員 そういたしますと、この法律の産業労働者住宅という、この「産業労働者」という意味でございますが、社会通念上言われておる——あるいはある法律には定義があるそうでございまするが、しかし産業労働者という言葉が、非常に不適当なように考えられるのであります。たとえば医者をやつている方で、五人以上の使用者がある場合に、それもやはり産業労働者というか。あるいは旅館をやつている方で、五人以上の従事員がある場合に、それを産業労働者というかということで、この法律の内容と法律の名称とが、はなはだちぐはぐなような感じがするのであります。むしろそういう意味ならば、もつと産業労働者というような狭義の文字を使わずに、法律そのものを、たとえば勤労者住宅というようにした方が、この法律の内容に適合いたしておるのじやなかろうか、かように私は思うのであります。  もう一つの点は、政府が五人以上と掲げまして、あらゆる産業の、あらゆる従事員をその恩恵に浴させたいということはよくわかりますが、この法律の各条を読んでみますと、たとえば集団的に住宅をつくるのである、あるいは衛生的に住宅をつくるのであるとかいいましてある従事員の規模の産業以上を考えておるので、中小企業における五人等の最も小さいような企業は、法文自体において考えておらないようであります。私は、もしそういうような意味であれば、この法律の名称が少しおかしいのじやないかという考えを持つておるのでありますが、政府のその辺の御所見はいかがでありますか。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 五人以上というふうにしておりますのは、御説の通りに、中小企業の産業労働者にも広く一般に広め渡るような趣旨からこういうふうにしておるのでありましてさつきのお話のように、二百人以上というような規定に持つて行きましていわゆる大企業者の産業労働者のみにそれが適用されるということは、産業労務者に対する住宅政策としては妥当でなかろうという考えから、こういたしたのであります。また「産業」という文字の定義は、まことにむずかしい問題でありまして、どういう仕事に従事していても、国家としてみれば、必ず必要な産業であるに違いないのでありましてこれに通念的な産業という言葉をアプライすると、そこにピントの合わない点もあるかと思いますが、政府自体がこの法案提出にあたつて意図しておりますところは、すべての産業というものでありましてあるいは通念的なものと一致しないところがあるかもわからぬというような点は一応心配したのでありますが、提案の趣旨におきましては、今申しましたように一般的な意味であります。

西村英一自由党

○西村(英)委員 一応政府の御意見もわかりましたが、この産業労働者住宅に対して法律をつくるということは、初めての試みでもあるからして、間口を初めから広げず、五人以上というようなことでなしに、三十人とか五十人とかいうように、もつと事業者を狭くした考え方で行かないと、資金も本年度はわずかに二十億しかない。来年度これが倍になりましても四十億しかない。しかも全国の産業労働者を相手にするということは、徐々に進めばいい。資金とともにその事業の拡張をすればいいので、初めから法律で五人以上ときわめて間口を広めたことは、実際の運用上困ることができると私は思うのでありますが、政府の御意思はわかりましたから、一応この程度にとどめておきまして、次に移ります。  第四条は、見出しに「資金融通の原則」と書いてありまして資金を融通するときにはこの原則に従うということになつております。その原則を見ますと、事業者に使用されておる産業労働者の住宅の不足がはなはだしいという場合、それから資金の調達ができないということ、また資金の不足額を補うという原則であります。実際にこの場合にどういうふうにして運用するのかと私は思うのでありますが、たとえばある五十人の従事員をかかえておる事業者が融資の申込みをした場合に、その五十人の半分である五割の従事員が給与住宅をもらつておるというところには貸さないというように、給与住宅を多く持つておるところには貸さぬ。一つも持つておらぬようなところに貸すのだ、あるいは少い給与住宅のところに貸すのだということが一つの貸与の条件になるのかどうか。もう一つは建設資金がないところに貸すのだ。たとえば事業の経営が非常にいい、高配当をやつておるというところには貸さない。それは事業者がかつてに給与住宅を建てたらいい。つまり事業経営のいいところ、高配当をしておるところには貸さずに、ほんとうに資金がないというところに貸すのかどうか。もし、かりにそうだとするならば、実際上の面と非常に合わないところがたくさん出て来るのではなかろうかと私は思うのであります。従つてこの資金融通の原則の条文の書き方は、あまり感心しないと私は見ておるのでありますが、政府の所見はどうでありますか。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 第四条の資金融通の原則でありますが、これはこういう条文を設けまして、実際融通をする住宅金融公庫並びに労働基準局、労働者あたりの意見をよく聞いて、そういう場合に、非常に裕福である、資金も潤沢に持つておるというような事業主にはできるだけ貸さないで、資金は十分でなく不足しておるのだが、労働者のために給与住宅を建てたいという希望者の方に優先的に融通しようという意図であります。会社の経営内容が非常に十分であつて、そういう資金も十分に持つておると認められるところには、融通しないでよかろうという趣旨であります。

西村英一自由党

○西村(英)委員 一応承ることにいたしておきます。  次に第七条の資金の貸付の範囲の問題であります。これは第一号と第二号にわかれておりまして、事業者がみずから住宅を従事員のために建てる者に貸すということと、もう一つは会社に貸す、その会社は事業者が出資をしておればいいとなつておりますが、私は端的に申しまして第二号はいらないと思う。どういうわけでこういう第二号を入れるのか。対象はあくまでも事業者にしたらいいと思うのであります。もちろん公庫住宅には第二号に該当したようなところがありますが、住宅を会社が貸すということは、会社といたしましても、次に家賃の問題が起つて来るのであります。会社というものは、もちろん利益を追求するのがあたりまえであります。従いまして、その場合は家賃をどういうふうにするかということについても、この法律にはあまり制限規定がないということが一つ。もう一つは、事業者を非常にたくさんにしておくと、資金との関係につきましては、おそらく資金の方が負けると思うのであります。だから対象となる事業者をたくさんにしておく必要はないと思う。必要がある場合には追加するという方法にしたらいいのである。また貸付は事業者を対象にすべきで、会社を対象にする必要はない。しかも出資及び融資と申しましても、その出資及び融資は事業者と会社との関係であつて、これに融資する必要はないと思います。かような不安定なものは、公庫にはさような制度があるようでありますが、それは一まず成績を見ることにいたしまして、本制度にはその必要なしと認めるものでありますが、政府のお考えはいかがでありますか。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 お説の点、十分そういう傾向もあると思います。しかし、事業者自体の会社でそういうことをやる方が都合がいい場合と、むしろ特別会計的に、会社自体の経営とは直接には切り離してそれをやつた方がいいという場合もあろうかと想定した上で、こういう題目をつくつております。

西村英一自由党

○西村(英)委員 一応お話を承つておくことにいたします。  次に第十三条は、ただいまもちよつと触れましたが、家賃その他貸付の条件でございます。これを見ますと、第十三条は第一項と第二項からなつておりますが、第一項につきましては、その家賃は事業者が入る者の住居費の負担能力を考慮して適正に定めるということだけであります。しかし、もしかりに、事業者がかつてに従事員の家賃から利益をあげようと考えた場合には、これは防ぎようがないのであります。しかしながらこの勤労者住宅の目的は、勤労者をしてあまり家賃を払わしたくないという国家の意思であります。それは家賃もただで貸すくらいの善良な事業者であるならばいいですが、世間必ずしもそうではないと思う。家賃は入居者の負担能力によつて適正に定めなければならないと申しましても、これは取締り規定がないのであります。そこで私は、この条文はやはり住宅金融公庫法の精神を取入れて何か基準をつくるとか、あるいは適当な方法を講じて、勤労者の住居費を少くすることが適切ではないかと思うのでありますが、いかがなものでありましようか。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 政府自体としましても、この法案のねらいますところは、まつたく労務者に対しまして住宅を給与するというような精神でありますから、家賃につきましては、これが労務者の負担に耐えないような家賃であることは、政府の意図しているところとまつたく相反するのでありまして、ただ五割の資金を事業主が出すということで、その事情によりまして、事業主の負担にはいろいろでこぼこがあるだろうということも一応考えなければなりませんし、また会社の内容によりまして、一律に一つの規則を設けてこれをやつて行くということは、会社自体の立場から言うと、まことにきゆうくつな点も出て来はしないかというような考慮をいたした上で、そういう強い規定を設けていないのでありますが、実際の家賃は、大体五百円から千五百円内外のものであろうということを期待しておるのであります。これがそういうやかましい規則を設けなかつた趣旨であります。

西村英一自由党

○西村(英)委員 私は三池政務次官のお話を承りましたが、考え方は全然違うのであります。政府としては、事業者の方を非常に親心を出して保護するというか、考え過ぎているように思うのでありますが、これはむしろ勤労者の住宅のことに重きを置くべきでありまして、われわれの考え方としては、事業をやる人は、従事員のために強制的に従事員の住宅を設けてやるべきだくらいに考えておるのであります。従いまして、これをほうつておきますと、これは半分は政府の補助、半分は事業者となつておりますから、その事業者から、たとえば自分の方の益金からその費用を持つたのではない、あるところから二割、三割の金を借りたのであるから、こういう家賃の計算になるのだというようなことを言われても、家賃の不適正を防ぐ方法がないのであります。私はもう少しこの家賃を低廉にすること、ことに計算上から行きますと、相当に高い家賃になるようでありますが、私の考え方は、事業者は義務としてでも勤労者に給与住宅を提供するのだというところまで行きたいところであります。政府としても、わざわざ国家財政の窮乏の中から半額の費用を持つてやろうと事業者に言うのでありますから、事業者としても、その心構えを十分にしておらないとどうかと私は思うのであります。この点、もう一応政府のお考えをお尋ねしておきたいのであります。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 この法案の趣旨は、西村委員の言われた通りに、会社が労務者に対して住宅を給与するという精神になつております。むしろ今ある公営住宅的な精神を持つております。ですから、普通一般の住宅金融公庫から借りるものとは違いまして、会社が労務者に対して住宅を給与するのだという精神であります。ですから、会社自体が高い家賃をとるのに都合のいいようにそういう罰則を設けてないというのではない。それは全然政府の意図とは違う。その家賃に対する実際の計数上の数字、また予測しておりますところは、局長から数字的に説明いたさせます。

西村英一自由党

○西村(英)委員 気持はわかりますが、実際の法律に現われている文句から見ますれば、これは防ぎようがないと私は思う。いかに計算しましても、これはこうなるのだということでありまして、事業者が入居者の負担能力を考慮してやるのでありますから、これは方法がないと思う。ことに政府としては半分しか出していない。公庫住宅の場合は、個人別でありますからおのずからきまつて来るし、また公庫住宅を会社に貸す場合は、おのずから基準の制限を付してある。この場合に、私はそういう制限を付せないということはわからない。  もう一つお聞きしますが、勤労者の住宅に充てる入居者の負担能力は、一体どのくらいが適切だとあなた方はお考えになつているか、その点をお聞きしたい。

師岡健四郎建設事務官(住宅局長)

○師岡政府委員 この十三条につきまして、実は賃貸条件等、家賃の基準を設けたいと思います。その点につきましては、ただいまの御質問と同感の点もございます。ただ、かような規定にいたしました点は、実際問題といたしまして、五割貸し付けた場合のその五割の償還を考えてみますと、木造十三坪の場合に約二千九百円になるのであります。従いまして、普通から言いますと、借りた金を返すところを基準として家賃をきめるということになりますが、この産業労務者の住宅にありましては、ただいま政務次官からも御説明がありましたように、産業労務者に対して低家賃の住宅を給与するということにあるのであります。それで従来の社宅の使用料につきまして抽出調査を行つたのでありますが、それによりますと、大体五百円程度の社宅が一番多かつたのであります。つまり使用料が、ただのものが七十三事業者、百円程度のものが七十事業者、それから五百円どまりのものが二百五十九事業者、千円どまりのものが二十八事業者、千五百円どまりのものが四事業者、このほかに二千円から二千五百円のものも若干あつたようでありますが、ただいま申し上げましたように、大部分のものは五百円どまりでございます。従いまして、先ほど申しましたように、この五割借りたものを償還するというようなところに基礎を置いて計算いたします基準で言いますと、むしろ高い二千九百円というようなことになつてしまいます。さればといつて、五百円と押えて基準を設けますことも、また会社の実情によりましては、少し無理なことに相なるわけでございます。従いまして、この程度の規定にしておきますれば、いやしくもこの社宅をつくろうというような事業主にありましては、そうばかげた家賃をとることは絶対あるまい。また場合によりましては、この償還に必要な程度以上の家賃をとる場合には、契約を解除するというようなことを契約にうたうこともできますので、法律で非常にかたく縛ることは一応やらなかつたわけでございます。

西村英一自由党

○西村(英)委員 私は非常に不安を持ちます。計算上は、たとえば二千九百円になりましても、それは適正に行われている金利で計算してそうなるのであつて、もし事業者が——これは全国を相手の事業者でありますからいろいろありますが、かりに自分の方はそれ以上の金利で借りているのであるから、これを四千円にしても高くない。一間借りても四千円するので、一軒借りるのだから、まだあなた方の方はいいのだということを従業員に言うこともできるのであります。従いまして、計算がそうなるから必ずしもそうであるということにはならないと思う。大部分の事業者は、あなたがおつしやるように、それは給与住宅であるから、非常に安い、おそらく給与の五%くらいの家賃で貸すと思いますが、そうでない方もたくさんあると思う。従つて、法律はそういうことにしまして、やはり十分な制限を設けておかないことにはいかないと私は思います。これは意見にわたりますからやめますが、この辺は私も質問を保留さしてもらいます。  第二項の問題ですが、「この法律による貸付金に係る住宅は、産業労働者以外のものに貸し付けてはならない。」——これはあたりまえの話ですが、特にこう入れたのはどういう意味でありますか。私がお尋ねしたいのは、償還が済んでしまうと、その家はやはり事業者のものになつてしまうのであるから、事業者がその償還が済んでしまつたら、それを売買しようと、人に上げようと、どうでもいいのか。その償還が済んでから後でも、せつかく国家が五割の補助をして建てた家であるから、やはりその場合も、永久に産業労働者以外の者に住ませてはいけないという意味であるか、どちらですか。

師岡健四郎建設事務官(住宅局長)

○師岡政府委員 これは貸付金にかかる住宅は、産業労働者以外の者に貸し付けてはならないということであります。従いまして、貸付金の償還が終つた後におきましては、その以外の者に貸してもやむを得ないと思います。そこまで縛るわけにはとうてい行かないものと考えております。

西村英一自由党

○西村(英)委員 第十三条の家賃の制限のないことについて、労働省の方がおりましたら、労働省の意見を聞きたいのですが……。

高木松吉自由党

○高木(松)委員長代理 おりません。

西村英一自由党

○西村(英)委員 それでは後ほど……。私の質問はそれだけでございますが、他の住宅行政上の問題につきましては、公庫の方がおいでになつておりませんから、次会に譲ることにいたします、これで私の質問は終りました。

高木松吉自由党

○高木(松)委員長代理 前田榮之助君。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 私の質問は、今ちよつと遅れて参りましたので、西村委員の質問された点が明確になつておりませんから、あるいは重複する点があるかもわからぬと思いますが、その点御了承願つておきたいと思うのであります。  まず第一にお尋ね申し上げたいのは、政府は従来住宅政策といたしましては、公営住宅、公庫住宅、今回提案されました産業労働者住宅というような線で、住宅問題の解決に努力されておるのでありますが、大体現在住宅不足数は、三百五十万といわれておるようであります。住宅問題は今、日本における国民生活安定のために最も必要な案件であると思うのでありますが、この三百五十万からの不足住宅は、根本的に計画的に解決づけなければ、とうてい一時のがれのことでは解決つかぬと思うのであります。ことに産業労働者住宅の問題につきましては、大体本案において一年六千五百戸を建てる計画のようであります。それだけふえることについては、われわれも納得するわけでありますが、それだけでは、なかなか住宅問題の解決には道遠いとわれわれは考えるのであります。根本的にこの問題について年次計画等を立てて、全般的の計画を十箇年なら十箇年でどういうようにして行く、こういう根本方針をお持ちなら、まず第一にそれからお聞きしたいと思います。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 政府は、住宅問題につきましての前田委員のお気持には、まつたく同感であります。一昨年制定されました公営住宅法によりまして、三箇年計画を目下実施中であります。その結果を見ました上で、またあらためて住宅に対するところの根本的の施策を講ずる必要があるということも十分考えておりますが、まだ途中でありますから、一応はそれを見ることにいたしたいと思います。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 全般的な根本的な計画は今から立てるということでありまして、これは非常に遺憾とするところでありますが、今日何もこの問題を追究するときではないと思いますから、これは後日に譲つておくことにいたします。  それで、この産業労働者住宅を本年六千五百戸建てるということでありますが、大体この法律の対象となるべき、しかも必要とする産業労働者は、どのくらいの数字に上つておるのでございましようか。

鮎川幸雄建設事務官(住宅局住宅経済課長)

○鮎川説明員 ただいまお尋ねになりました労働者の数でございますが、これに対する厳密な判定といいますか、そういうものについては申し上げかねるのでございますけれども、ただいま私のところでいろいろ調べました結果によりますと、この法律の対象になります労務者の世帯数は、大体四百七万世帯であると考えております。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 四百七万世帯が、全部新しい住宅を必要とするものじやないと思うのです。これの対象となるべきもので、今さしあたり住宅を必要とする数字が四百七万であるのか、あるいはそうじやないと思いますが、それはいかがでございますか。

鮎川幸雄建設事務官(住宅局住宅経済課長)

○鮎川説明員 ただいま申し上げました数字は、適用の対象になります労務者の世帯でございまして、その中で住宅に困つておると考えられます世帯数を申し上げますと、約百十九万世帯と考えておるわけでございます。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 そこでお尋ねを申し上げたいのですが、産業労働者住宅と一応名前がなつておるわけでございますが、産業とはいかなるものであるか、こういう問題であります。すなわち、この法律で規定される産業は、第二条において「事業者、生産、販売、運送その他の事業を営み、」と書いてありますが、「その他」はどういうものであるかたとえばここに「常時五人以上の従業員を使用する者」とありますが、パチンコでも相当大きいものがございます。これが五人以上使用しておれば「その他」の中へ入るのか、またカフエーやいろいろな事業をやつておる者もあります。産業と名前がついておるのでありますけれども、産業の中で、その事業はどんなことに範囲をきめられるのであるか。それは漠然ときめずに、ただ賃金を受けておる、この法律に書いてある範囲のものは、いかなる事業でもよろしいとお考えになつておるのかどうか。この点この法案でも、きわめて不明確だと思うのです。「その他の事業を営み」とあるが、事業というものはいろいろな種類があるのでありまして、その点がきわめて不明確であります。この第一条の目的においても、またこれの理由書によつても、産業の発展のために寄与するということでありますが、この産業の発展に寄与するという産業は何と何というように、もつと明確にすべきではないかと思うのでありますが、その点はどういうお考えでありましようか。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 前田委員の御説も、一応ごもつともと思いますが、産業というものを規定するということが、どの範囲までを対象にして規定するかということは、なかなか困難なことであるというような点から、むしろこれは運営の面でよろしきを得るということを期待しているわけであります。ですから、法文そのものを見ますと、先ほどお話のようなものも含めた、あらゆるものを包含していることになるわけであります。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 それでは運営で、この第一条の目的に合致するような運営を行うという御意見のようでありますが、しかしながら、事実上非常に困難なことがあるのじやないかと私は思う。現在実施の住宅金融公庫による住宅にいたしましても、一々規定に基いて融資をされておつても、全部の住宅へしよつちゆう番人をつけておくわけには行かないのでありまして、あるいはその後模様がえいたしまして、いろいろ住宅でない店舗に使つてみたり、あるいは倉庫に使つてみたり、はなはだしきに至りますと、売娼婦を収容するようなものに使つておるのも、全然ないわけではないのであります。これに一々番人をつけておくわけには参りません。そういうことのないようにする上からいいましても、これは立法技術の上において非常に困難だといたしますならば、ただ単に運営で行うというようなことは、いわゆる法治国として正しいやり方ではないと思うのでありますが、これは内規かあるいは何らかの方法で、それをもつと明確にするお考えがあるのかどうか。また運営々々とおつしやるが、運営は具体的にどういうことをしようとされるのか、この点お聞かせ願いたいと思います。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 住宅金融公庫の場合に、そういうふうな不届きなことが行われているというようなことでありますが、この産業労働者のこの法案の場合ですと、範囲は一般の場合より狭くなります。また実際問題として二十八年度に予定しております戸数も、それほどじやないのであります。一般の住宅金融公庫の場合に比較しましても、この場合に十分な趣旨の徹底が行けるようにできると思うのであります。運営の面に期待するというのは、どういうふうな方法かということでございますが、貸付をいたしますときには、地方団体及び労働基準局に申請をいたしまして、その両方で調査の結果、妥当なりと見られたものが選考に入るわけでありますから、その点は一般よりも十分な趣旨の徹底ができるというように期待しておるのであります。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 ただいまの答弁では、大体そういうようなことにはならぬだろうという、だろうぐらいのお考えであつて、この点もう少し明確にすることを考えたらいかがかと思うのでありますが、それはこのくらいにいたしまして、次にお尋ね申し上げたいのは、第二条の一号に「常時五人以上の従業員を使用する者」とあるのですが、五人以上という一つの程度をおきめになつたのは、いかなる基準に基いておきめになつたのか、五人や六人、あるいは十人、十五人のきわめて小規模な生産業者等のごときは、この法律では一応こういうようにきめられておりましても、実際には、五〇%の融資でありましてこの法律によりますと、自己資金をやはり五〇%出さなければならぬのでありますから、そういうものは、おそらく法律ではきめられておつても、この法律を利用するだけの実力のないものがほとんどではないかと思う。もしこの法律通り実行されましても、五人や十人の使用者は、たまにはあるにいたしましても、全般的にはこの法律があつてなきがごとき実態ではないかと思うのでありますが、何ゆえに五人という程度をおきめになつたのか、この基準についてひとつお聞かせ願いたい。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 五人という数そのものには、別に厳格な意味を持たしたのではありません。ただ、今前田委員のお話のように、五人や十人を使用しているような、そういう小事業者においては、実際問題として、なかなかこの法案による労務者に対する住宅を給与する資力がない。だから、この法案によるようなそういうことが、実際問題としてはなかなか小事業者には適用されないというような御意見でありますが、あるいは実際の問題としましては、そういう結果になるかもしれぬのであります。しかしながら、政府が意図しておりますところのこの法案の趣旨は、できるだけ広く、小事業者といえどもそういうことのできる、また希望のある人には、広く範囲を広げておきたいという気持であります。実力がないかもしれぬからといつて、法文の上にシヤツト・アウトするということは、かえつて私はその趣旨に反するものじやないかと考えております。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 今三池政務次官も、大体五人や十人では、事実上はむずかしいだろうということもおつしやつたのであります。それならば、事実上むずかしいものであるのにもかかわらず、いかにもそういうものも包含されておつて、利用する道は開けておるけれども、実際上それが利用できないということであるならば、むしろ進んでそういうものも利用できる別な住宅問題の解決をつけるようなことを一応考えなければならぬのじやないか。その点は、われわれはそういうものについては全額を融資してやる、あるいは八割を融資してやるということでなければ、ただ法文に道が開けてあるだけであつて、事実上利用のできないようなことでは、そういうものもお前らにもやつておるんだという、法律の方で利用された形になるのは、私の方としても非常に遺憾だと思うのであります。そういう点で、私はこういうものについては、全額を融資すべきものではないかと思うのでありますが、この点はわれわれは別な法律案を提出いたしておりますから、そのときに問題にしていただくことにいたします。  その次にお尋ね申し上げたいのは、同じく第二条の二号にあるところの産業労働者の問題でございます。こうした民間の資本を利用し、事業者が自己資金を半額出して、そうして労働者のために住宅を建つて行くということは、非常にけつこうなことです。けつこうなことでありますけれども、そうした場合において、その住宅を利用する者は、主としてその事業者のいわば上級の地位にある者、たとえば技師であるとか課長であるとか、またその会社の上級の地位にある者が利用して、通俗的にいう一般下級の労働者は、利用が非常に困難ではないかと思うのであります。公共団体その他の団体にいたしましても、官庁におきましても、課長あるいは局長というような者には大体に公営の住宅、いわゆる公舎が設営されておつて、その利用の道が開けておりますが、一般用員だとか、あるいはその他事務官でも下の方の者は、ほとんど住宅は支給されておりません。従つて、こういう産業労働者で利用する者は、ただ事業者だけにかつてにまかせるということでなしに、むしろこれらは、たとえば労働組合等——ある事業団体においては、労働組合の意見によつて使用者を決定するとかいうような方法を講じなければ、いわゆる上に厚くして下に薄くというような、社会事業としての精神が失われて来るのじやないかということを心配するものであります。そういう点について何かお考えがあるかどうか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 お尋ねの点、特に前田委員の御心配の点は一応ごもつともであります。しかしこの法案の政府の趣旨は、いわゆる住宅政策の一環として、できるだけこの厖大な住宅不足に何らかの寄与をしたい。特に産業労務者においてはなはだしいから、これに民間の資金を吸収することによつてその解決の一助にしたいという意図でありまして、実際の貸付が、ただいまのお話のように幹部職員にこれが給与されて、下級職員には行き渡らないというおそれがあるのではないかということであります。一応御心配の点、私もそういうふうなことを心配しないわけではないのでありますが、しかしその点は、会社自体が会社の資金において建てる。そうしてそれを会社の労働者に給与するということでありますから、その会社の労働組合並びに使用者側の十分な協調あるいは話合い、あるいはさらに厳格にいえば、労働組合の十分な監視によつて、そういうような政府自体が意図しておるこの法案の趣旨がゆがめられないように、そういう面に期待するのであります。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 三池政務次官は、いわゆる国民の良識に訴えてそういうことにはならぬだろう、労働組合の監視も行われるだろう、ただこういうだろう的な考えでありますけれども、実際は、これがそういうことを規定いたしました場合においては、非常に民間資金の引出しが困難だというならまた別でありますが、しかしながら本年度予定されておるところの二十億円、しかも戸数にして六千五百戸、こういうもののいわゆる需要については、少々条件づけたからどうとかいうことで、民間資金の引出しが困難だということは絶対に私はないと思うのでありまして、現在各産業においてはそういう傾向があるわけなのであります。政府みずからやつておるいろいろな官公庁などにおいても、事実はその通りであります。だから進んで良識に訴えるなどということは、これは立法者として、あるいはまた法治国としては、もつと積極的にその点を明確にして、ほんとうに産業労働者、ことにハンマーやハンドルを握る労働者、こういう者が産業の中心なのでありますから、この人たちの住宅の不足を補つてやる、こういうことが法律の中にも——これは立法技術の上において困難でないと思うのでありますが、何ゆえに明確に書けないのか。書くことが何か弊害があるというような理由があるのかどうか、これをひとつ明確にしておいていただきたいと思います。

師岡健四郎建設事務官(住宅局長)

○師岡政府委員 ただいまの御質問の点は、先ほど政務次官から申し上げましたように、まことにごもつともな点でありますが、ただ、反対に上級者を全然入れないということも、住宅不足に悩む上級職員があれば、これまたいけないと思いまして、入れたわけであまりす。しかしながら、実情におきましては、そういう上級者のみを入れろとか、それに偏して入居をきめるというようなことは、ただいまもお話がありましたように、労働組合の十分な発達したところにおきましては、さようなことは行われぬと私ども期待しておるわけであります。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 ただいまの御答弁は、前の答弁から一歩も進んでおらぬ。前の御意見と同じ内容であつて、たとえば、おつしやつた中には、上級の者でも、たとえば技師長とか、工場長とかいうものでも入れてやらぬということはいけないということが、もし支障になるということなら……、それくらいのことでは理由になつておらぬように思います。しかし、そういう人々はきわめて数は少いのであつて、そういう人々は国家の融資なんというものは実際必要はないと思う。これは事業者の単独資金で建ててやるべきものである。もし必要だとすれば、そうでない、つまり下級労働者であるところの汗にまみれ、油の中でハンドルやハンマーを握つておる真実の、通常的にいう労働者、これらの人々に手を伸ばすのでなければ、この産業労務者に対する住宅の立法の精神には私は合致しないと思う。だからこういうことをするためには、あるいは労働組合の諮問を条件にするとかなんとかいうような条文を入れてしかるべきものではないかと思う。そういう点、もう少し積極的にこの立法の精神を生かして活用するということを、法文の中に明確にしなければならぬのではないか。それを明確にしなかつたという理由については、きわめて不十分であります。重ねて、これは明確にできないならできない、しかたがないのだと言われるのかどうか、この点を明確にしていただきたいと思います。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 なぜ明確にしなかつたかという御質問であります。明確にすることによつて弊害があるかどうかということでありますが、産業労務者であればどなたがお入りになつても、政府自体が意図しているこの法案の精神に合致するわけでありまして、下級職員を先に入れろとか、上級職員のみが入るから、それに対して労働組合側の意見を徴するような規制の条文を入れろというようなところまで深くは関与していないのであります。この趣旨自体は、産業労務者であれば、事業主自体の、あるいは会社の実情において適当な人をお入れになることがいいじやないか。これは半額の資金を出している会社自体の立場を考慮する。ただ会社が今お話の御心配の点のような上級者だけにこれを給与するというようなことは、その会社の中におけるところの労働組合としても、十分な関心の的でありますから、そういうものからの、いわゆる会社自体の中における使用者側並びに労働組合との良識による話合いによつて、私は自然的にきめられるということを期待している次第であります。ですから、別に弊害があるというようなことも考えないのでありますが、ただ幾分資金の集まりというような点をさきに申されましたが、私もそういう点では、別にそれほどたくさんの住宅でもないのでありますから、心配もいたしておりません。取立ててこういう弊害があるのだという、明示するほどの弊害も認めていないのであります。ただ書かなかつたというのは、先ほど申しましたように、いわゆる自主的な運営にまかせているという気持であります。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 ただいまの問題は、これ以上のことは討論になるおそれもありますから、別の機会に意見を述べることといたしまして、最後にお尋ね申し上げておきたいのは、本年度の予算の中で、産業労働者住宅資金として二十億の政府出資を行うが、これはおそらく二十億では建設省としては不満であつたのではないか。しかし、大蔵省の意見でかようなことになつたのだと思うのであります。今後これを補正予算その他において増額するよう努力をされる御意思があるかどうか、この点が第一点。  第二点は、政府出資は、日本の国家財政、ことに均衡予算の関係上足りないのでありますならば、預金部資金その他の資金の融通を受けるよう努力して、この二十億をあるいは五十億なり、六十億にするというように、何らかの計画あるいはそういう努力をいかなる方法でやるかという何らかのお考えがあるかどうか。すなわち二十億では十分だとは、もちろんお考えになつておらぬと思う。それでこれを増額するのにはどういうお考えがあるか、この点を最後にお伺いいたしたいと思います。

三池信自由党建設政務次官

○三池政府委員 この予算が二十億であるという点につきましては、同感でありまして、私たち自身の気持からいいましても、まことに九牛の一毛にすぎない、足りない金であると思つております。ただこれを補正予算ででも組むかどうかということでありますが、そういう補正予算を組むような機会がありますならば、大いに努力をいたしたいと考えております。そういう機会がはたして与えられるかどうかということになりますと、これは一建設省だけの意図ではできないのでありますから、その点御了承願いたいと思います。その努力は今後ともやるつもりであります。  なお預金部資金にいたしましても、現在の二十八年度予算の編成におきましては、ほとんど使い尽しているような状態でありまして、余裕がありさえすれば、機会を見てそういう努力を続けたい意思は十分持つております。御了承願います。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 最後であつたのでありますが、予算折衝についてはいろいろ努力をされていることをわれわれも認めておりますが、ただ予算の均衡の上からいろいろ制約を受けている現段階であります。従つて、政府出資ということについては、あまり多くを望めない実情も考えられるわけでございますが、預金部資金やその他の融資については望みなきにあらずだと思うのです。今まで建設省がこれについていかなる交渉をされ、努力をされたかということについて、お話できる範囲でお話願いたいと思うのです。

師岡健四郎建設事務官(住宅局長)

○師岡政府委員 一応額がきまつたわけでありましてただいま政務次官からお話がありましたように、決して二十億で満足しておるわけではございませんが、政府部内におきまして十分な当初の要求を出しまして、しかしそれがいろいろの事情によつて二十億の線におちついておるのでありまして、その間にどういう意見が述べられたというようなことは、ちよつと差控えたいと思います。

高木松吉自由党

○高木(松)委員長代理 次会は公報でお知らせいたします。本日はこの程度で散会いたします。     午後零時一分散会

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