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15回国会衆議院1953/03/10

経済安定委員会 第19号

発言数
33
登壇者
4
会派数
2
開催日
1953/03/10

会議録

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長 これより経済安定委員会を開会いたします。  議事に入る前に、理事の辞任及び理事の補欠選任を行います。理事前田正男君より理事を辞任いたしたい旨の申出があります。これを許可するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。  次に、理事の補欠選任を行います。ただいま理事辞任を許可いたしました前田正男君とともに、去る六日委員を辞任せられました吉川兼光君は理事でありましたので、理事二名が欠員となつております。ただいまよりその理事の補欠選任を行います。これは先例によりまして委員長において指名するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長 御異議なしと認めます。それでは綱島正興君及び中村高一君を理事に指名いたします。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長 次に昨九日、内閣提出による私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律施行法案が付託と相なりました。以上御報告いたします。  それではただいま御報告を申し上げました、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律施行法案を議題とし、その審査に入ります。まず本案の趣旨について政府の説明を求めます。公正取引委員会委員長横田正俊君。

横田正俊公正取引委員長

○横田政府委員 ただいま上程されました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律施行法案について、その提案の理由を説明いたします。  さきに上程いたしました独占禁止法の一部を改正する法律案が、幸い御可決となり、施行されますときには、現行独占禁止法及び事業者団体法との関係から、施行上の経過措置を講ずるとともに、関係法令の規定を整理する必要がありますので、この法案を提出する次第であります。  本法案の要旨の第一は、独占禁止法の改正及び事業者団体法の廃止に伴い、すでに審決の確定した事件、審判または訴訟係属中の事件の取扱い等につき所要の経過措置を講じたことであります。第二は、特定の事業者団体に対する適用除外規定及び独占禁止法の適用除外に関する関係法令その他の規定を整理したことであります。  以上が、本法案提案の目的及び要旨であります。  引続きまして、内容について簡単に御説明申し上げます。  第一の経過措置といたしましては、すでに審決の確定いたしました問題につきましては、旧法を適用するという原則を第一条の一項で明らかにしておりますが、しかしすでに確定した審決の対象となりました問題の中には、新法によれば違法ではなくなつたというようなものがあるわけでございますので、その点につきましては、第二条におきまして、改正法の施行に伴つて、審決を維持することが不当であつて、公共の利益に反すると認めるときは、公正取引委員会が審決をもつてこれを取消したり、あるいは内容の変更をすることができることにいたしまして、こういう手続によつて新法による緩和がすでに審決のきまりました問題についても及ぶという措置を講じたいと存ずる次第であります。その他確定前の問題につきましては、第一条の第二項によりまして、原則として新法を適用するということにいたしてございます。  第三条は、現行法の不公正競争方法の指定に関する規定でございまして、現行法におきまして公聴会等の手続を経まして指定いたしたものは、さらに新法によりまして指定をいたします際に、再び公聴会等の丁重なる手続をする必要はなかろうということで、第三条をもちまして旧法で丁重なる手続で指定したものは、新法によつて指定する場合には、その丁重な手続を省略できるという趣旨の規定をいたしました。  第四条は、独占禁止法の適用除外法律に対する改正でございまして、事業者団体法の改正に伴いまして、事業者団体法の適用除外に関する規定をこの中に織り込んだのでございます。大体第一条と第二条におきまして現行の適用除外等に関する法律プラス事業者団体法の第六条と第七条関係の適用除外法令がここに一本に合さつて規定されたわけであります。  それから第五条の保険業法の改正は、保険業を営む会社は、他の会社の株式を百分の十持てるという現行独占禁止法に対する例外規定が十二条の二にございましたが、これは今回の独占禁止法の改正によりまして保険会社のみならず、一般の金融業につきまして百分の十ということになりましたので、保険業法の規定は不要となつたわけで、これを削除するつもりでございます。この第五条のその他の関係及び第七条以下の諸規定は、事業者団体法が廃止されましたことと、それから「不公正ナル競争方法」という言葉が「不公正ナル取引方法」と改められましたことに関連いたしまして、ここにあげてございますようなもろもろの法律に改正が加えられたわけでございます。  やや同じような規定といたしましては、さかのぼりますが、第六条に蚕糸業法の改正問題が取上げてございます。これは本国会に提案の予定でございました蚕糸業法の改正法律の中に盛られておりました規定でありますが、蚕糸業法が今回提案されなくなりましたので、この際この規定だけはぜひ急いで入れたいという農林当局等の強い要望に基きまして、この施行法経済の中に一条を加えたわけでございまして、この規定の趣旨は、繭の取引につきまして製糸業者側で、ある範囲において共同行為が行える、繭の価格の決定につきまして、製糸業者側で共同行為が行えるということを規定いたしたわけでございます。この共同行為については、独占禁止法の適用を除外するということになるわけでございます。但しこれは無条件に認めますと、共同して繭価を不当に引下げまして、売る側に非常に不利益を与えるというようなおもしろくない結果も出ますので、この条文で、ごらんになりますように、協定のできまする場合は、農業協同組合または農業協同組合連合会から、その団体協約または繭の売買契約を結ぶということを特に申し出ました場合に限ることにいたしておりますことと、それから但書によりまして、不公正な取引方法を用いてはならぬ、または不当に繭価を引下げるような場合はいけない。この点と、それから協定の内容が不当に差別的であつてはならない。それから協定に参加を強制いたしましたり、あるいは協定から脱退いたしますことを制限するような、いわゆる任意加入、任意脱退ではないような拘束的な協定では困る、こういういろいろな制限を設けまして、この製糸業者側の協定を認めることにいたしました。この規定につきましては届出制をとる、こういうことになつておるわけでございます。  施行法案の内容は、大体ただいま申し上げたようなことでございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御議決あらんことをお願いいたします。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長 これにて本案の趣旨説明は終りました。  引続き、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び同施行法案を一括議題とし、質疑を継続いたします。志村茂治君。

志村茂治日本社会党(左)

○志村委員 第九条に「国内において持株会社となつてはならない。」という規定がありますが、爾後に持株会社になつた場合に初めて公取が発動するのか、あるいはそういう性格をもつて活動し始めたときに、これを制限するのか、その点をお尋ねしたい。

横田正俊公正取引委員長

○横田政府委員 第九条の持株会社に関する規定は、最初から持株会社をつくるつもりで設立されました場合は、九条の第一項の「持株会社は、これを設立してはならない。」ということで禁止いたしまするし、最初は何か別の事業をするつもりで会社ができまして、現に何か事業をやつておつたものが、だんだん性格がかわつて参りまして、株ばかり持つようになり、しかもその株を通じて他の会社の事業活動を支配するというふうになりますと、そのときに普通の事業会社から持株会社になつたことになりまして、そのときにすでに違法状態が発生する。これを第二項においてわれわれの取締りの対象にいたす、こういうわけでございます。

志村茂治日本社会党(左)

○志村委員 そうしますと、次には金融会社がそういうような性格に陥る危険についてお尋ねするのですが、第十一条の第一号に「担保権の行使又は代物弁済の受領により国内の会社の株式を取得し、又は所有する場合」これは除外規定になつておりますが、そういう場合が集積されて事実上はホールデイング・カンパニーとなるような場合に、どういうふうにお考えになりますか。

横田正俊公正取引委員長

○横田政府委員 持株会社は、九条にもございますように、株式を所有することによつて、国内の会社の事業活動を支配することを主たる事業とする会社、そういうことになつておりまして、この金融機関等が金融業をちやんと営んでおりまして、そのかたわら株式を持つて、いろいろ支配するというような場合は、第九条には当てはまらないのでございます。従いまして、そういう場合の規制は、結局第十一条で、金融会社が株式を持ちました場合に、それが十条と十一条におきまして取引制限の効果を持ちましたり、あるいは持ち方が不公正な競争方法による場合ということになれば、その金融会社に対して、株を放せというような処置ができるわけでございます。

志村茂治日本社会党(左)

○志村委員 その場合に担保権の行使あるいは代物弁済で受領した株式がたくさん集まるというようなことで、一応はコンツエルンが成立するということも考えられるわけですが、そういう場合の取扱いはどういうふうになりますか。

横田正俊公正取引委員長

○横田政府委員 この新法の第一項によりまして、十分の一を越えて持つておる場合がございまして、それが非常に分量がたくさんになるというような場合があるかもしれないと思いますが、この点につきましては、その次の項におきまして、そういうふうに、十分の一を越えて所有することになりました場合に、それを一年以上持ち続けるという場合には、あらかじめ公正取引委員会の認可を受けなければならぬということになつております。この認可は、ここに書いてございますように、金融業を営む会社が当該株式をすみやかに処分することを条件とするということになつておりますので、今仰せになりましたように、そう長期間にわたりまして株式を持つことはできないわけでございます。もし認可を受けずにそういうものを持つておれば、これは明らかに十一条違反ということで処理ができるわけであります。

志村茂治日本社会党(左)

○志村委員 次にお尋ねいたしますが、再販売価格の維持契約ということ、これは何ゆえにこういうものをつくらなければならなかつたかということ、これにつきまして、主として化粧品類が多いようですが、大衆の利益を擁護するためには、できるだけ自由競争であるべきであるというふうに私たちは考えておるのでございますが、この意味から、大メーカーのそういう商品が特に再販売価格について保障されるということになつた場合には、中小メーカーの商品はその恩典に浴することができないということと、それからこれはその小売業者の立場になつた場合に、小売業者はある程度サービスによつて、価格の競争によつて客を吸引する、これが大衆の利益と一致するわけでありますが、こういうような方法によつて、メーカーあるいはその商品を販売する小売業者の利益は擁護されるので、ございましようけれども、そのほかの中小メーカーの商品を販売しようとする場合、そういう場合も考えられますので、多くの小売商の利益が擁護されない。特に生活協同組合であるとかあるいは農業協同組合というような、特殊なサービスの不足したところは、価格によつて競争するというふうに考えられますが、この価格維持協定によりまして、その価格を下まわつて売ることが許されないということになつた場合には、そういう方面の打撃が非常に大きかろう、こういうふうに考えるわけでありますが、その点いかがでございましよう。

横田正俊公正取引委員長

○横田政府委員 この再販売価格維持契約の制度を今回提案いたしました理由は、一口に申しますれば、結局一面におきましては小売業者の保護、一面におきましてはメーカーの保護ということになるわけでございますが、主といたしましてねらつております点は小売業者の保護という点にあるのでございます。なるほど一種類の同じ品につきましても小売の価格が違つて店によつて安く買えるということは、これは確かに消費者の面から申しますと、同じ品がある店では安く買えるということが行われることはけつこうなことでございましようが、しかし実際におきまして名の通つております日用品につきまして、特にそれが優秀なものであれはあるほど、小売業者はこれをむちやくちやに安く売ることによりまして、その店の他の品も非常に安いような一種の錯覚を起させる。ことに大きなところでは、たとえば大きなデパート等におきまして値引きをいたしまして、他の商品まで安いようなふうに装います場合には、結局その定価によつてまじめに商売をしております小売業者が非常に迷惑をこうむるという面があるのでございます。その点からいたしまして、なるべく小売業者に安定した利潤を与えるというところに眼目を置きまして、メーカーが自分の自信のある品物につきまして、自分が適正と思う定価をつけまして、それを卸売を通し小売に守つてもらうということは、結局ただいま申しましためちやくちやな濫売であるとか、あるいはおとり販売——消費者を誤まらせるようなおとり販売を防ぐということになる面がございまして、これはメーカーといたしましてもその品物の信用を保持する。一つの品物が店によつて非常に値段が違うということは、ひいてはその品物の品質がどうも変なものではないかというような疑いを一般公衆に起させるという面もございますので、そういうような点を考えまして、メーカーが自分の自信のある品物につきまして適正な価格をつけまして、これを守ることによつて小売間の、先ほども申しましたが不当な競争を避けるということが適当なのではないかという点が、この制度を今回提案いたしました理由でございます。もちろんこの再販売を認めます場合には、他に同種の商品がたくさんございまして、そしてその商品の間に競争がちやんとある、自由な競争が行われているということを前提といたしまするし、なおまた消費者の利益を害さないように、つまりあまり大きなマージンを小売業者に認めるような販売価格の指定というものはどうしても消費者に不利益を与えることになりますので、それらの点はいろいろな条件をつけましてこれを認める、こういうふうにいたしたわけでございます。  それから消費組合あるいは共済会等において、定価を割つて売ることまでも禁じては非常に不当ではないかというお話でございました。これは私もまさにそうだと思いますが、この法律にははつきりその点を書いてございませんが、この制度は大体アメリカにおきまして大きなデパート等がむちやくちやな小売をいたしますのに対して、ささやかな小売業者を保護するというような観点で、アメリカで広く行われておるものでございまして、アメリカの法制は今回われわれが提案いたしましたよりももつときつくなつておりまして、結局定価を定額でもつて維持することを約束しなくても、メーカーがつけた定価を扱う以上はその定価を割つて売つてはならないというような非常にきついことになつておりますが、そこまで行きますのは少し行き過ぎというふうに考えまして、この法案におきましては、特にメーカーとそういう再販売価格を維持するということを契約をいたしました業者だけについてこの定価維持をさせる、こういうことにいたしました。従いまして、たとえば消費組合等におきましてこれを安く売りたいという場合には、メーカーの間の契約によりまして、一般の小売商が売る定価とは別に一定の価格をきめまして、その価格によつて売るということは一向禁じておらないわけでございます。ただメーカーがそういうような約束に応ずるかどうかという点がございますが、その点はわれわれといたしましてはメーカーのいわば良識にまつというような意味で、その点に関しましてはつきりした規定を設けてないのでございます。

志村茂治日本社会党(左)

○志村委員 ただいまの御説明の中で、消費組合あるいは共済組合、協同組合等には特別の契約をすることも、メーカーの良識によつてできる、こういうような御説明ですけれども、もし一般の再販売価格と別な安い価格によつて、そういうふうなところで販売することを許された場合には、それは決して一般の小売業者の擁護にならないというふうに考えております。従つてメーカーがそういうような価格を指示するということは、経済上は考えられない、こういうように見ておるわけです。そういうように考えられますから、これは消費組合、協同組合の場合は事実上あり得ないものと私は考えております。あつた場合にはこの契約は根本からくずれて、何の効果もないものだというように考えております。  それから次に、小売業者の擁護はその点でマージンが保護されるということになるからけつこうだと思いますが、そうした場合に、メーカーの立場に立つた場合、有名品については一応保障されますけれども、新しい化粧品をつくろうという立場にある人々は、こういう人々の商品を小売業者がはたして売つてくれるかどうかということが問題になると思います。相当幅のマージが保障されておるものと、そうでないものとの間にあつて、小売業者の態度は違つて来る、こういうふうに考えますので、将来新しいメーカーの進出ということははばまれるであろう。そうしてそのメーカーが進出しようとする場合にはどういうような処置を講ずるか、そういう点をお聞きしたいと思います。

横田正俊公正取引委員長

○横田政府委員 仰せのようにこの契約の適用がございますものは、国内において広く認識された氏名、名称、商号、商標または標章を使用した日用品というようなことになつておりますので、新しいメーカーが進出いたします場合には、広く認識されるまではこの維持契約の適用がないというようなことになろうかと思います。従いまして一面におきましては、あるいは仰せのような進出をはばまれるというような、あまりおもしろくない面が考えられないではないわけでありますが、結局先ほど申しましたような趣旨によりまして、この契約の維持によりまして、多くの小売業者が利益を受けるという点に重点を置きまして、提案いたした次第でございます。

志村茂治日本社会党(左)

○志村委員 それでは企業局長にお尋ねいたしますけれども、ただいま申し上げましたように、小売業者の利益は相当程度擁護されるけれども、新しく進出しようとするこの種のメーカーが非常に苦しい立場に置かれるということが予想されるのですが、それにつきまして通産省ではどういうふうにお考えになつておりますか、それを聞きたいと思います。

中野哲夫通商産業事務官(企業局長)

○中野政府委員 ただいま御質問の点につきましては、今度の独禁法の垂直契約を認めるという改正の趣旨は、やはりそういう市場に銘柄が通り、消費者も生産者も安心して価格も守つてやつて行けるというような形にした方が、小売業者、メーカーあるいはその間に介在しまする卸売業者も一種の安定した取引がやれる。こういう趣旨であるのでございまするが、御指摘のような新しい化粧品なら化粧品、その他のものにしましても、新しい銘柄で新規に製造を開始したものは一種の既存勢力から拘束を受けまして、不利になるということは率直に認めざるを得ないのでございまするが、その点は広い意味の企業合理化で、品質もよく、また価格も安いというような商品が出ることは、通産省としても非常に望ましい、また奨励すべきことでもございまするので、できるだけその点は一般の行政の指導でこれを助けて行く金融問題も、ございましようし、設備の問題もございましようし、そういうことで助けて行く、こういうことでできるだけこの法律による事実上の拘束を軽減する、これを盛り立てる、こういう方向で行政をやつて行きたい、かように考えております。

志村茂治日本社会党(左)

○志村委員 時間がありませんので、この点もう少しつつ込んで御質問申し上げたいのですが、他の問題もありますから、これは一応留保いたしておきます。  次にカルテルの問題ですが、価格のカルテルにしましてもそのほかのいろいろな各種のカルテルにつきましてアウトサイダーを認めるということになつておりますが、そういたしました場合に、今度の化繊であるとかあるいは綿紡績の場合のアウトサイダーによつて、操短を行いながら、一方において企業の設備の増加が行われておるというふうな現状でありますけれども、そうすることはカルテルの本来の目的から離れて参りますし、また設備の内容ということになるのですが、そういうような生産設備の拡張に対しては将来どういうふうな取締りをやつて行こうとするのか、これをお聞きしたいと思うのであります。

中野哲夫通商産業事務官(企業局長)

○中野政府委員 今回の独禁法の改正が政府としてきまります途中の段階におきましては、アウトサイダーの撹乱行為をある程度押えるというような、アウトサイダーを規制する規定も置くべきでないかという意見も一部にありまして研究もいたしたのでございますが、独占禁止法の公正競争を維持するという建前からは、にわかにそのアウトサイダーを規制する規定を入れるということは、少くとも時期尚早ではないか、今回御提案いたしました改正法で運用をやつてみて、それでアウトサイダーの数がむやみに多い、あるいはその力が非常に強い、それで業界が不況等で安定が得られぬというような事態が超りましたならば、今後立法手段を講じよう、こういう政府の考え方でございます。また一方ある産業において二十四条の三に書きましたような平均生産費を割つた、あるいは事業の継続が困難になるというような混乱時になりますれば、これを防止するために、その安定を回復しますために必要最小限度のカルテルでございますならば、生産数量にしても販売数量にいたしましても、おそらく現実の運用では大多数の企業者がこれに入るのではないか、これをもう一つ逆に申しますと、少数者のカルテルをつくつてその下況を克服する必要以上に、たとえば値段を高くする、あるいは生産数量を多くする、販売数量を多くするということになりますれば、それだけそれに正比例してアウトサイダーが多くなる、自分はそういう協定に入らぬというようなことにもなるわけで、そういう不況を克服するために必要最小限度のカルテルをつくるということでありますれば大多数の業者はこれに入る、こういうことを現実には言えますので、それで法の大きな欠陥なしに当該業界の安定の目的が達せられるのではないかということを運用面からも考えておるのでございます。なお設備の規制につきましては、独禁法には今回盛りませんでしたが、中小企業安定法におきましては、近く議員提案によつてこの独禁法の趣旨に沿つた中小企業の安定のための法律改正が行われる模様でございますが、この安定法の中では当該主務大臣が調整組合の設備制限を認可してその設備制限についての統制が調整組合で行われている間は、設備の新増設の命令をもつて制限できるというような規定も置かれる模様でございますので、中小企業安定法の中では今お話のような特に中小企業については競争が非常に激甚で、新規設備あるいは増設が比較的安く行われるというので、その方面を押える、こういう形に相なると考えております。一般に設備の制限について過剰投資になるのではないかということも言われておのでありますが、一般に経済をコントロールするために、設備の新増設について直接政府が許可制度にするということもきわめて重大な問題でございまして、国際経済の動き、市況の動き等もございますので、綿紡にせよ、鉄鋼にせよ、設備はこの程度でちようどいいのだということの判定もむずかしい、そこでただいまでは大企業につきましては御承知の開発銀行の国家資金の融資その他において、できるだけ重点的なものを選びまして、大産業について不必要な、過大な設備にならぬような間接的な一種の規制を金融面において行つておる段階でございます。

志村茂治日本社会党(左)

○志村委員 ただいまの御説明によりまして、ちよつとわからない点があるのです。カルテルは本来弱体企業の援護機関だと言われるものでありまして、一応カルテルが結ばれましても、この二十四条三の四項四号で、「その共同行為に参加し、又はその共同行為から脱退することを不当に制限しないこと。」ということになりますので、割合に優秀企業というようなものが、このカルテルから脱退し、大きなアウトサイダーになるということは当然考えられるのですが、そうした場合、カルテルをつくりましても、結局弱体な企業だけがそのカルテルに入つて、カルテル価格の利益だけはアウトサイダーは受けておつて、あるいはそれを利用して大企業はますます大きくなり、カルテルに入つた弱小企業だけが没落して行くということになるのではないかというように考えられるのですが、その点はいかがですか。

中野哲夫通商産業事務官(企業局長)

○中野政府委員 ただいまの御質問は、とかく生産費が高い、従つてその当時の市況におきましては経営が苦しいという弱小業者がカルテルを結ぶ。それで生産数量なり、場合によつては価格協定などを結ぶ。優秀な企業がアウトサイダーに立ちまして、その協定を撹乱するような活動をすれば、当該カルテルはむだになるのではないか、こういう御質問でございます。その点は、この認可条件これは、主務大臣の認可条件と公正取引委員会の認定条件が厳密に相なつておりますので、アウトサイダーがカルテルの効果を全然無視できる程度である場合には、認可条件によつて、そのアウトサイダーの撹乱を牽制できる程度の協定内容になるのではないか。ちよつと説明がまずいのでございますが、協定の内容等で、当該業界の過半が入つてつくつた協定の内容は、これを無効果に終らせるような程度のカルテル内容でない。従つてアウトサイダーの多少の競争がありましても、当該産業全体として見ますれば、一種の安定状態におちつくだろうという程度のアウトサイダーの活動で、大多数の場合はその程度に納まるのではないかと考えている次第であります。

志村茂治日本社会党(左)

○志村委員 ただいまの説明では私よくはわかりませんでしたが、大体こういうふうに解釈したらどうかと思うのです。不況カルテルの不況の規定です。これはその業界の中庸生産費であるという点をとつた場合には、アウトサイダーもそう乱暴な取引はできないだろう、それによつて規制される、そういうふうに解していいわけですか。

中野哲夫通商産業事務官(企業局長)

○中野政府委員 さようでございます。私の説明が拙劣でしたが、ただいまお話の通りであります。

志村茂治日本社会党(左)

○志村委員 そういたしますと、この不況の規定が問題になるのです。よしんばそれが中庸生産費によつて規定されたといたしましても、よりコストの安い業者というものはあり得るわけです、その人たちが抜けてしまうという可能性もここに出て来るのではないか。その人たちはそういうふうな企業家カルテルの価格上の利益だけを受けておつて、販売数量なりについて何らの規制を受けないことになつた場合には、せつかくカルテルはつくつても、弱小企業は生産数量の規制を受けており、アウトサイダーである優秀企業はその規制を受けないというような結果になつて、ますます独占的な巨大企業の発達に資する結果になりはしないかということを申し上げているのですが、その点をお聞きしたい。

中野哲夫通商産業事務官(企業局長)

○中野政府委員 平均生産費算定の問題にも関連するのでございますが、そういう当該業界の大体の平均生産費より安いコストでできる業者がかりにアウトサイダーに出ましても、当該カルテルに残つて、適正利潤を得た程度の価格の峯をはかるためにいろいろなカルテルを結ぶわけでございますが、それ以下に安く売つて当該カルテルと競争して、その効果をなくしてしまおうというような員外活動には現実問題としてはならぬのじやないか、かように思つておりますし、逆に当該カルテルの数量あるいは価格、製品が適正でありまするならば、当該優秀企業といたしましては、そのカルテルに残つてその協定に服する、こういうことに相なるのじやないかと考えられます。

志村茂治日本社会党(左)

○志村委員 公取委員長にお尋ねしたいのですが、そういう場合には、先ほど申しました第二十四条の三の第四項の四号、これはどういうふうになりますか。

横田正俊公正取引委員長

○横田政府委員 優秀企業がカルテルの外にありまして、コストが低いために、相当な利益を上げながらなお生産を継続し得る。その結果、カルテルがうまく行つて値が上れば、その利益も受けるし、またそういうものが外にあるために、カルテルが実際の効果を十分に上げ得ないというような面がございますことは、まさに仰せの通りだと存じます。ただこれは非常にむずかしい問題で、ございまして、今回の改正の建前は、そういうような優秀な企業をむりやりにカルテルに引込んで、生産制限をそれに押しつけるというようなことは、やはり優秀な企業は伸ばさなければならぬという独占禁止法の基本的な考え方から申しますると、非常に矛盾を来すことになるわけでございますので、つまりこの不況カルテルを認めます場合でも、やはり自由競争によるよい面はできる限り残して行くという面が確かに出ておるわけでありまして、先ほど仰せの第四項の第四号も、まつたくそういう精神でできておると思うのでございます。従いまして、仰せのような劣悪な企業がカルテルを結成してもなお脱落して行くというような面がございますことは、これは率直に認めなければならぬかと思います。しかしこの問題はさらに観点を進めまして、そういう場合に、やはり多少劣悪であつても、小さいものを保護して行かなければならぬということになりますれば、この独占禁止法の精神から少し離れまして、一つの国家の統制によりましてその問題を解決して行くということに行かなければならぬじやないかと考えます。この独占禁止法の今回の改正の中には、実はそういう考え方ははつきり入つてはおらないのであります。

志村茂治日本社会党(左)

○志村委員 ただいまの説明によりますと弱小企業は、資本の有機的組成が割合に低い産業が多いのですから、フル運転ということがコストにはそう強く影響しないということは一応考えられるのですが、しかし全体といたしましては、一方弱小企業は価格によつてある程度保護を受けようと思つて数量の規制は受けているのですが、アウトサイダー、特に優秀なアウトサイダーが出て来て、それがためにその人たちは数量の規制は何ら受けていないということになると、カルテルによつた価格の利益は、優秀企業が、カルテルを結成しておる中小企業よりも有利な立場に置かれておるという結果になるわけです。こうした場合には、独占企業というものの利益をこの禁止法によつてかえつて助長する結果になりはしないか、こういうことになるのですが、その点いかがでしよう。

中野哲夫通商産業事務官(企業局長)

○中野政府委員 この改正法律案が成立いたしまして、現実の運用面で御指摘のようなケースがしばしば起り、通産省としても、当該産業全体としての育成上欠陥を認めました場合には、適宜立法手段を是正することを検討いたしたいと思います。     —————————————

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長 この際連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。ただいま当委員会で審査を行つております本案について、通商産業委員会より連合審査会開会の申出があります。これと連合審査会を開くに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。  なおその他関連のある委員会より申出がありました場合、これと同じく連合審査会を開くことといたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。  なお開会の日時は明十一日午前十時より開会することにいたします。  この際暫時休憩いたします。     午後零時十六分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕

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