経済安定委員会 第17号
- 発言数
- 22 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1953/03/07
会議録
○遠藤委員長 これより会議を開きます。 それでは国土調査法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。秋田大助君。
○秋田委員 人間社会のことは、政治も経済も文化も思想もすべてこれは土地に制約をされておるということが言えるのであります。従つて国の政治を行うにあたりまして根本的なことは、わが国の国土の実態を正確に把握しておくということであろうと思います。わが国土の実態の正確なる把握、それがためには調査を必要とするのであります。従つて国土調査ということは非常に地味ではあるが、重要な問題だと思います。従来わが国の国土調査に関してどういうふうな状況であつたか、その実態並びに将来政府はどういう計画をもつてわが国の国土を調査しようとしておるか、その将来の計画についてまずお尋ねいたします。
○宮前説明員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。 諸般の行政を行う上におきまして国土の実態を正確に科学的に把握しておかなければならないということは、ただいまのお説の通りでございまして、政府といたしましてもこの点につきまして従来からいろいろと考えておつたのでございます。しかしながら国土調査のやり方等につきまして規定の整備されたものがなく、ようやく昭和二十六年六月になりまして、国土調査法というものを施行いたし、これに基きまして全国の土地及び水等について根本的な科学的な調査を始める、こういうことに相なつた次第でございます。 この国土調査法の実施の概況を申し上げますと、法律は二十六年に制定されました。二十七年度の当初の予算までは主として基準点の測量、と申しますのは三角点でございますが、四等三角点を入れる、こういうふうな仕事を地理調査所において行いまして、その他の調査につきましては標本的に実施しておる程度でございまして、作業規程の準則などの制定をして参つたのでございます。ところが皆様の御協力によりまして、昭和二十七年度の補正予算におきまして地積調査の補助金千四百万円ばかり計上せられまして、特に本年度の予算といたしましては補助金といたしまして四千万円、ほかに直轄の調査をやります分が八千五百万円ばかり、計一億二千五百万円ばかりの予算を御要求申し上げまして、これでもつて地積調査を本格的に取上げることが可能になつたという段階になつております。 次に国土調査の法律案で考えておりますことは、基準点の測量、地積調査、水調査、土地の分類調査でございますが、このうち基準点の測量につきましては、建設省の地理調査所におきまして、十二の支所を置き、一道十八県にわたりまして四等三角点の設置を実施している次第でございます。全体の点数は昭和二十六年度四千三百六十八点、二十七年度におきまして三千七百八十一点、二十八年度におきまして三千二百点を実施する予定にいたしてあります。これは完成までには約二万八千点要するのでございますが、大体昭和三十一年度までに完成いたしたいというふうに考えておる次第でございます。 次に地積調査でございますが、国庫補助の仕事といたしまして、昭和二十七年度に実施しておりますものは百六十町村でございますが、昭和二十八年度におきましては百箇町村を予定いたしております。現在実施いたしております分は、土地改良事業、交換分合、農村振興計画等の基礎資料として地積調査の成果を利用しようといたしておりまして、標本調査として初めに指定いたしました分についてはおおむね外業を終りまして、成果を利用して一応効果を上げておるものも相当ございます。 それから水調査でございますが、鬼怒川水系におきまして二十七年度本格的に実施いたしておりますが、二十八年度の予算におきましては、補助金二百万円を計上される予定になつておりますので、さらに三水系を追加して実施いたしたい、かように考えております。鬼怒川の分につきましては、既存の水門資料全部収集整理いたしまして、水位、流量、洪水量についてはとりまとめて、印刷いたしております。 なお鬼怒州を含め関東地区につきまして深井戸の調査をいたしまして、資料の台帳を作定いたしております。 土地の分類の調査につきましては、現在作業規程の準則を作成いたしますために実験的な調査を行つております。二十九年度から予算と見合いまして本格的に着手できるのではなかろうか、かように考えております。なお今申し上げました分は、全般的に申し上げますと、非常に広い国土に対して精密な調査をするわけでありますので、主として国土総合開発法に指定されました十九の算定地域をまず重点的にやる、こういうことに計画いたしております。
○秋田委員 国土調査の実施のためには相当巨額な金がいると思いますが、従来の、またただいまのような予算で十分であるかどうか、また相当これに力を入れてやることになりますと、地方、都道府県の財政的負担を過重ならしめるようなおそれがないか、その点政府の御見解をお尋ねしておきます。
○宮前説明員 国土調査を全国的に実施いたしますためには、相当巨額の経費を要することになつております。現在国の財政状況ともにらみ合せながら、先ほど申し上げました十九の特定地域につきまして、相当の調査を行いたいということで、これはまだ私ども事務的の考え方でございますが、昭和二十八年度から大体三十八年度に至る経費を積算いたしております。既往の見通しでは三百億程度の経費を必要とするということになつておるのでございまして、これは国の財政状況を十分考えながら、その範囲においてできるだけ実施いたして参りたい。かように考えております。なほ府県の分につきましは、財政を圧迫いたさない範内におきまして、国の予算等とにらみ合せながら、財政の負担にたえる限度で、できるだけ支出をお願いするということで、指導して参りたいと思つております。本年度相当大幅に実施いたしたいと存じております地籍調査につきましても、大体国費が三分の一、府県が三分の一を負担していただきまして、残りの三分の一を地元の町村なり土地改良区で負担していただく、かように考えておる次第であります。
○秋田委員 大して地方財政に過重にならないという見通しでありますか。
○宮前説明員 現在の見通しでは、大した負担にはならない、かような見通しであります。
○秋田委員 最近特殊地帯、はつきり申しますと積雪の非常に多いところとか、寒冷地帯とか、特殊の土壌の地帯とか、あるいは急傾斜の地帯、湿田単作地域、そういうものに関しての臨時措置法が出ておりますが、これと国土調査との関係はどういうふうなことになつておりますか、お尋ねいたします。
○宮前説明員 国土調査と積寒あるいは特殊土壌地帯あるいは急傾斜地帯、湿田単作地帯等の法律との関係でございますが、国土調査は、特に土地の分類の調査において、山地とか農地とか、河川、都市等、国土全般にわたる土地利用の可能性を総合的に調査いたしまして、合理的対策を立てることを目的といたしております。従つて土地分類の調査が完成いたしますれば、土地の利用または生産力の向上を阻害しておる条件というものが明らかになりますので、それで総合的に公正な判断を下して、国の助成というようなことも合理的にすることができるかと思うのであります。しかしながら先ほども申し上げましたように、現段階におきましは、土地の分類調査の方がまだ実験の段階にありますので、関係官庁におきまして、これらの特別な地帯につきまして臨時的な措置としてそれぞれの法律が制定されておるわけでありますが、これらの地域を指定するにあたりましては国土調査の関係と十分連絡をとりながらやつて行きたいというふうに存じております。将来土地分類調査がだんだん進んで行きますと、この成果の利用がいよいよ盛んになりまして、合理的に運営されることが可能となるということを考えておりまして、また私どもといたしましてもそうなることを切望しておる次第でございます。
○秋田委員 国土調査実施の結果、地籍と実態がわかるということは非常にけつこうなことなんですが、過渡的に固定資産税とかあるいは米の供出というような面について、帳簿面と実際とが非常に違つておる現状でありますから、こういう面にいろいろ支障が来はしないか。過渡的にいろいろ不公平が生じはしないかというようなことを、世間では非常におそれておる向きがあるのであります。このおそれも無理からぬ一面を持つておる。こういう面に対して政府はどういう措置をとろうとしておるか。世間の一部で非常に心配をしておりますが、どういうふうにお考えになつておるかお伺いいたしたいと思います。
○宮前説明員 固定資産税は御承知の通り市町村の税といたしまして一定の税率でもつて賦課徴収するのでありますが、その基礎となつておりますものは固定資産の課税台帳と土地の補充課税台帳とでありまして、土地補充課税台帳の方は土地台帳に記載されていない土地について作成される台帳であります。また土地の評価にあたりましては昭和二十六年度以降は台帳に記載された面積を基礎としないで、その土地の実際の面積によつて評価するということを原則といたしております。従いまして固定資産税というものが現在の土地台帳だけを基礎として課税されるものではありませんので、国土調査が実施されたために固定資産税の負担が重くなる、不公平が生じるということはなく、むしろこれを実施いたしまして正確な資料を得るということによりまして、かえつて負担の公平化という点におきまして役立つ点があるのではなかろうかと考えております。また米の供出の点の御心配はごもつともがございますが、全国一斉に地籍調査を実施するというわけには参りません。従いまして地籍調査をやりました結果その村だけの割当が多くなるというふうなことがないように私どもは考えておる次第でございまして、これでもつて直接米の供出の資料にするということは考えておりません。ただ当該町村の内容におきましては正確な測量ができました結果、不公平が是正できるということは十分考えられるのでありまして、これの利用によりまして、町村の内部における割当が非常に公平になる。しかしながら県その他の段階におきましては、今申し上げましたように全体について地籍調査をやらなければ何とも言えない問題でありますので、そういう点の不公平がないように農林省とも十分連絡をとつております。
○秋田委員 ただいまお尋ねいたしました点は実際問題でありまして、地方の農民その他一般国民にとつて非常に実際上の利害に関係いたしておりますので、慎重にひとつおやり願いたいと思います。その他国土調査一般に関してお尋ねいたしたいこともいろいろありますが、次に条文に入りまして二、三お尋ねいたしたいと思います。 第九条に、第一号から第四号までの間に、国が補助金を交付する場合をいろいろ規定されていますが、こういう制限規定がありますと、かえつて国土調査の実施に支障を及ぼすのではないだろうかという疑問があります。またこの制限規定によりますと、勧告助言による変更を必要としないような、よい計画や作業規程を作成すれば、もう補助金はいらないというので、補助金は交付されない、悪いものほどこの補助金が交付されるという結果になりはしないかと思いますが、こういうことになると不合理であつて、国土調査をしようという熱心な意欲がかえつて削減されはしないかということをおそれるのでありますが、いかがなものでありましようか。
○宮前説明員 ただいまの御質問はまつたく同感でございまして、その点につきましていろいろ事務当局としても考慮をめぐらしておる次第でございますが、この法律施行の際におきまして、ほかの事業とあわせ行うということが非常に便利であるということに重点が置かれましたので、国土調査に必要な経費のうちで、たとえば土地の交換分合なら交換分合という事業の目的のために使用する経費というものが別途計上されることに考えられますので、それに国土調査を附加するということになりますと、その部分を別に国土調査として負担するというふうな結果になりまして、その差額に対して補助をする、こういう考え方でこの法律の建前ができておる次第でございます。そこで自主的に本事業をぜひ実施したい、こういうふうな町村もおいおいできて来るかと思いますが現在の段階におきましては、おおむね区画整理あるいは交換分合等の事業とあわせて実施しておるというところが非常に多うございますので、現在ではさして支障は考えておりませんが、非常に町村の熱意が盛り上りまして、単独でこれをやろうというふうな機運が醸成できました際におきましては、法律を改めるということもあらためて考えてみたい、かように考えております。
○秋田委員 引続き第九条の補助金の交付の関係のことでございますが、改正法案によりますと、国土調査を行う者または国土調査を行う者に対して補助金を交付する都道府県のいずれに対しても、国は補助金を交付することができることになるのでありますが、国が補助金を交付する場合の具体的な取扱いはどういうふうになつておるか、またこの改正案によつて都道府県に対して補助金の交付を強制するようなことにならないかどうか、また国土調査法には都道府県が国土調査を行う者に対して補助金を交付する規定がないのでありますが、都道府県が交付する場合の規定は何によつて定められるのであるか、そういう点をひとつお伺いしたいと思います。
○宮前説明員 お答えいたします。第一点の国土調査を行う者または国土調査を行う者に対して補助金を交付する都道府県のいずれに対しても補助金を交付することといたしておる点でございますが、これは国は国土調査を行う者、つまり市町村とか土地改良区等に対しましては、第九条各号に定められた場合に補助金を交付いたしまして国土調査の実施を奨励し、その推進をはかるのが本条の趣旨でございます。ところが市町村なり土地改良区がこういつた積極的な仕事をやつて行く場合におきまして、都道府県といたしましても国土調査に対して十分関心を持つていただくという意味におきまして、従来の交付方法を直接交付から間接交付に改めまして都道府県に対して補助金を交付する。その都道府県は国からもらつた額とほぼ同程度の額を支出いよしまして市町村なり土地改良区に補助する、こういうふうに扱うように考えております。 次に補助金の交付を都道府県に対して強制することにならないかというお話でございますが、国土調査を行います都道府県があります場合には、その都道府県に対して国は補助金を交付することができるというのでございまして、別にこの法律によりまして直接都道府県が義務を負うということは考えておりませんが、先ほども申し上げましたように、都道府県もできるだけこれに協力していただき、市町村なり土地改良区の土地といえども都道府県の区域にあることは間違いないのでございまして、その意味において関心を持つていただくという意味から補助金を出していただきたいというふうに考えておるのでございます。なおこの例といたしましては、森林法等にもそういう間接交付の例がございます。 それから国土調査法には都道府県が国土調査を行う者に対して補助金を交付する規定はないが、都道府県が補助金を交付する場合の規定はどうするのかというお話でございますが、これは都道府県が市町村なり土地改良区等に対して補助金を交付する場合には、当該都道府県でそれぞれ交付規定をきめていただきまして——これは条例なり規定なり適当におきめ願つてけつこうだと思いますが、そういうふうな方法でもつて基準をきめて交付していだく、かようにいたしたいと考えております。
○秋田委員 大体わかりました。 それでは第十二条及び第十五条の関係について一、二点お尋ねをいたします。第十二条第一項第三号に掲げる事項はこの改正法律案で削るわけでありますが、そうすると第五条第五項の規定による内閣総理大臣の承認の事務というものに支障を来さないかどうかということが第一点。その次に第十二条の第一項第三号には、第八条第二項の規定において準用する場合を含む旨の規定があるにもかかわりもせず、第十五条の第一号にはその規定がないのですが、これで支障なく行くかどうか、この点をお尋ねいたします。
○宮前説明員 第一点は総理大臣の承認事務に支障を来さないかというお尋ねでございますが、国土調査をやりますとその基礎になる計画あるいは国の機関の実施の計画あるいは作業規程の準則につきましては、あらかじめ国土総合開発審議会の調査、審議を経て定められることになつておりますので、今お話になりました個々の具体的な場合におきまして、中央で審議をいたしますことは実際上技術的、事務的に非常に煩雑になるというので、内閣総理大臣の補佐機関としての審議庁が関係主務省と詳細打合せることによりまして、内閣総理大臣の承認事務には支障がないと考えております。なお国土調査と総合開発との調整につきましては、第十五条の改正によりまして都道府県の総合開発審議会において十分審議することとなつておりますので、この点におきましては一段下へ下げたことによりまして、かえつて実際に即するようになると考えております。 第二点の準用の問題でございますが、これは国土調査法制定の際に多少厳密に考えれば無理な点があつたようにも考えられますが、ほかの条文でもそれぞれ準用のことを規定することなしに成文化せられておりますので、この場合におきましても準用も含むということに解釈いたしまして、ほかの法文とのつり合い上解釈でもつて補つて行けるのではないかというふうに考えております。
○秋田委員 大体わかりました。今度は改正法律案の第十七条でありますが、これは市町村の事務所において閲覧させるようにさしておるのを、「当該調査を行つた者の事務所」というふうに改めた、これは実際的な便を考えてのことであろうと思いますが、この閲覧されるものは地図とか簿冊というものですが、従来どんな方法でこの閲覧をやつて来たか、土地調査の実態に即して、すなわち地籍調査の場合、水調査の場合とわけて、ひとつどんなふうにやつておつたか御説明願いたい。
○宮前説明員 最初に、閲覧に供する地図、簿冊はどういうものかということをお話申し上げますと、現在国土調査法の施行令できめられておりますのは、基本調査といたしましては、基準点の測量関係で、基準点網の図面と、それから基準点の測量成果簿というもの、次に細部の測量関係では、国土調査基本図というもの、地籍調査といたしましては地籍図というもの、そのほかの調査にあつては、地籍簿というふうなものが基本調査として考えられております。水調査につきましては、これはまだ具体的には検討中でございますが、たとえば水調査の成果簿といつたふうなものをつくりまして、降水量、河川の水位、流量、流砂状況、用排水の量、水質、水温、水利慣行といつたものの調査の結果を閲覧に供したいと思つております。土地の分類調査につきましても、目下研究中でございますが、土地分類の等級の図面であるとか、土地の保全の分類図であるとか、土壌の分類図であるとかいうものを閲覧に供したいと考えておる次第であります。 次に地図、簿冊の閲覧は、従来どういう方法でやつて来たかという問題でありますが、非常に法律技術的な問題になりますが、国土調査の中の地籍の調査、水の調査というものは、昭和二十七年末までは標準調査として法律に基く手続を完了しておりませんので、十七条に基く閲覧は、今後行うこととなるのでございますが、すでにおおむね地籍調査の作業を終えました町村では、実質的に実施町村の役場において一般に閣覧いたしております。また基準点の測量につきましては、事務の都合上一括して処理することといたしまして、この改正案によりまして、地殻調査を行つた地理調査所等で閲覧をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○遠藤委員長 他に質疑はありませんか。——別に質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 引続き討論に入ります。討論の通告がありませんので、この際討論を省略し、ただちに本案に対する採決を行います。 本案の原案に賛成の諸君の起立を求めます。 (総員起立〕
○遠藤委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り全会一致をもつて可決いたしました。 この際委員会報告書の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時半より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十五分休憩 ————◇—————