経済安定委員会 第15号
- 発言数
- 120 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/03/05
会議録
○遠藤委員長 これより経済安定委員会を開会します。 議事に入る前に、理事の補欠選任を行います。去る二月二十八日、理事下川儀太郎君が委員を辞任せられましたので、理事が一名欠員となつております。ただいまよりその理事の補欠選任を行います。これは先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。それでは下川儀太郎君を理事に指名いたします。 —————————————
○遠藤委員長 それでは私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、その審議に入ります。まず本案の趣旨について政府の説明を求めます。内閣官房長官緒方竹虎君。
○緒方国務大臣 ただいま上程されました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由を説明いたします。 昭和二十二年七月に独占禁止法が施行されましてから、早くも約五箇年半を経過いたしたのでありますが、その施行の経験に徴しまして、本法の諸規定のうちには、わが国の経済の特質と実態に沿わないものがあり、これがため経済の発展にかえつて支障を来すおそれがあることが感ぜられたのであります。もとより国民経済の民主的で健全な発達を促進するため、私企業による市場独占のもたらす諸弊害を除去し、公正かつ自由な競争を促進しようとする独占禁止法の根本精神はあくまで尊重すべきものでありますが、この際、内外諸情勢の推移にかんがみて、独占禁止法に適当な調整を加える必要があると考え、本法律案を提出するに至つた次第であります。 本法案の改正の項目は多岐にわたつておりますが、その主要なものは、特定の場合、すなわち不況に対処するため必要がある場合及び合理化の遂行上特に必要がある場合における事業者の共同行為を、一定の条件のもとに認容したこと、企業の健全な結合に資するため、株式の保有、役員の兼任等の制限を緩和したこと、不公正かつ不健全な競争ないし取引方法を抑制するため、不公正競争方法に関する現行法の規定を整備したこと、事業者団体法を廃止して必要な事項を独占禁止法中に収めたこと等であります。 以上が、本法律案提案の目的及び要旨であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
○遠藤委員長 次に公正取引委員会の方よりその補足説明を求めます。公正取引委員会委員長横田正俊君。
○横田政府委員 ただいま官房長官の述べられましたことを、私から多少補足して御説明いたしたいと存じます。 本改正法律案による改正点のおもな第一点は、現行の特定の共同行為の形式的な禁止を、当該行為が一定の取引分野における競争を実質的に制限する場合にとどめるように緩和いたしまして、さらに不況に対処するため、または合理化の遂行上特に必要である場合における特定の共同行為を条件付で認めたことでございます。独占禁止法の法益といたしますところは、要するに自由競争秩序を確保することであります。従つてこの自由競争秩序を侵害するか、またはその蓋然性の高いものが独占禁止法上違法とせらるべきものでありまして、これらの程度に達しない行為は、たといそれが事業者の共同行為でございましても、独占禁止法上違法とすべき積極的な理由はないと考えます。ところが現行法におきましては、第四条においてこれを競争に対する影響軽微なるもの以外はすべて画一的に禁止しておるのでございます。従つてある取引分野においてなお有効な競争が活発に行われておるにもかかわらず、ある共同行為を形式上違法としなければならないという社会通念上不都合な面もございます。よつてこの際共同行為に関する形式的な禁止をやめまして、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとならない限りこれを認めることとしたのでございます。また戦後の日本経済が幾多の脆弱性を持つておりまして、わが国産業が不況もしくは恐慌に対する適応力が十分であるとは言えませず、不況が深刻化した場合においては、わが国産業が重大な危機にさらされることも予想されるのであります。このときにおいて、この事態の救済を単に自由競争による自動調節作用にだけ求めることは、場合によつては産業界における破滅的競争を招来いたしまして、その結果日本経済に回復することのできない損害を及ぼす危険性がないとは言われないのでございます。従つて事業者が共同して過剰生産による需給の不均衡を調節し、または市価の安定をはかるなど、この不況に対処すべき必要最小限度の方途を講ずることはやむを得ないものと存じます。 次に規格の統一、製品の標準化、廃物、副産物の共同利用などのように、むしろ生産費の引下げ、技術の向上、能率の増進等、企業の合理化をもたらすような特定の共同行為は、単に当該事業者に利益をもたらすばかりでなく、わが国産業の進歩発展に裨益するところがあると思うのであります。 政府は以上述べました二つの場合における事業者の特定の共同行為を、現行独占禁止法の規定によつて画一的に禁止することの適当でないことを認めますとともに、事業者の共同行為がその性質上自由競争の長所を没却いたしまして、往々にして関連事業者もしくは消費者等にいたずらなる不利益を与える危険のあることを考慮いたしまして、共同行為を原則的に認め、その弊害のみを規制するという方式、たとえば単なる届出制を採用いたしまして、不当と認められるものは事後にこれを取締るというような方式によることは妥当ではないと考えまして、特定の共同行為について一定の要件、認可制のもとにこれを例外的に許容することにいたした次第でございます。 次に本改正案のおもな第二点といたしましては、現行法第四章関係の規定を緩和いたしたことであります。わが国経済の脆弱性の一つ上して、企業が濫立いたし、かつその資本構成が不健全であり、その結果単位企業の経済力が国際的視野において相対的に弱いことは御承知の通りであります。そのために企業の整備統合による合理的な再建、証券消化の促進による資本の蓄積等が強く要望されております。この点につきましては、昭和二十四年の本法改正によりまして若干の解決を見たのでありますが、なお現行法の株式保有、役員の兼任等について厳格に過ぎ、もしくは不当に画一的な制限があることが認められますので、これを是正し、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるか、または不公正な取引方法を用いる場合のほか、原則的に自由に株式を保有し、役員を兼任し得ることとするのが当を得たものと考えた次第でございます。 次に本改正案のおもな第三点は、現行法の不公正な競争方法を不公正な取引方法というふうに改めまして、その内容を整備いたしたことであります。本来公正かつ自由な競争は、価格、品質及びサービスの三面を中心といたしまして、事業者の創意と責任と計算によつて行われるべきものと思うのでありますが、競争が激甚になるとともに、たとえば特定の事業者を市場から排除するための不当な取引拒絶、ダンピングと称せられる不当な廉売による競争者の排除、他の事業者に対する不当な差別扱い、競争者の取引相手の強制奪取、取引上の優越した地位を濫用する一方的な取引条件の強制、または不当な手段によりまする競争会社の乗つ取りのような、不公正かつ不健全なる取引方法が現われて、これが公正な競争秩序を侵害することとなることは戦前の日本経済の実情に徴しても明らかなところでございます。従つてこれら不当な競争手段を抑制する必要があるのでありまして、現行法におきましても不公正競争方法として所要の規定が置かれておりますが、最近における競争の激甚化に伴い、この種の規定のより一層の整備が強く要望せられておりますので、この際この要望に沿つて、現行法に適当な改正を加えることといたした次第でございます。 本改正案のおもな第四点といたしましては、現行事業者団体法を廃止いたしまして、その必要な規定はこれを独占禁止法の中に収容することとした次第でございます。わが国の事業者団体法は、独占もしくは不当な取引制限がしばしば事業者団体を中心として行われておるという過去の事例に徴しまして、個々の事業者の行為を規制する独占禁止法に対して事業者団体の行為を規制するために生れた、いわば補完的な法律でございます。しかし昨年八月の改正によりまして、本法の法益は独占禁止法の法益とほぼ同一となつておりまして、これを単行法として存続せしめる積極的な理由は存しなくなりましたので、この際団体法の規定でなお必要なものを独占禁止法の中に収めまして、団体法自体はこれを廃止することにいたした次第でございます。 以上申し述べましたことは今次改正法律案のおもな点でございますが、このほかに私的統制団体の禁止に関する規定、また事業能力の較差に関する規定などを削りましたが、これらは大体他の規定によつて取締りの実を上げることができると認められたためでございます。そのほか商標付日用品もしくは書籍などの定価売り制度を認めるなど、実体的なる改正を行つておりまするが、それのほかに以上のもろくの改正点に伴いまして、手続規定、罰則規定に所要の改正を加えております。 以上が今回提案いたしました改正法律案のうちの改正の要旨でございますが、次に進みまして、問題が非常に多岐にわたつておりますので、改正法の条文につきまして順次多少の御説明をいたしたいと考えております。それでは便宜お手元に差上げてございます現行法と今度の改正案を対照いたしましたものがございますので、それをごらんいただきたいと思います。 第一条の方にはちよつとした改正がございますだけで、第二条は御承知のいろいろな定案を掲げましたものでございます。これもたとえば事業者の規定等は現行法の規定に事業者団体法の中にございますものを突きくるめまして設けたものでございまして、なお事業者団体法の中にございます事業者団体の規定をこちらに移したことや、あるいは競争の定義の中でちよつとした修正を加えておりますが、これは単なる国内競争だけでなく、国際契約等の国際的な問題が出て参りますので、競争の定義も若干の修正を加えておりますが、これは大した問題ではございません。それから独占の定義は現行法の通りで、不当な取引制限いわゆるカルテルの定義の中には、先ほど要旨を申し上げた際に申し上げましたが、第四条の規定の中の文句を少しこちらへ取入れて修正を加えた程度でございます。それから事業能力の較差の規定が除かれたことは、先ほど申し上げましたように、これは大体このような規定がございませんでも独占の取締りの規定で足ると考えましたのと、それからす後にあります不公正な取引方法の中に、事業能力の大きいことを濫用いたしまして、いろいろ他の事業者、特に中小企業を圧迫するような問題を、不公正な取引方法として取締つて行くということにいたしましたので、かたがた事業能力の較差の規定の定義も除きますし、後に八条の規定もございますが、それも削除いたしたわけであります。 今度の改正の重要な問題として、先ほど申しました不公正な取引方法の規定は、この対照条文の七ページに、「この法律において不公正な取引方法とは、」といたしまして、定義が掲げてございます。これと現行法の上に掲げてございます不公正な競争方法とを比べていただくとおわかりになると思いますが、大体新しい法律の一から四までは、現行法の一から六までに書いてあることが、この中に要約されて入つております。問題は第五・第六でございまして、第五は、先ほど申し上げました自己の取引上の地位が相手方に対し優越しておることを不当に利用しまして、相手方に不当な不利益となるような取引を押しつけるというこの問題が新しく不公正な取引方法として入つたわけでございます。 それから第六は、先ほどちよつと申しました他の競争会社を圧迫するためのいろいろな手段といたしまして、この六に掲げてありますような手段をとることを今後禁止しようということで特に今度入れたものでございます。この五と六が今回加わつたものでございます。なお現行法では、このほかに公正取引委員会が指定をいたしまして、だんだんこの不公正競争方法を増加して参りますいわば一種の立法権を与えられたような形になつておりますが、これはあまり適当ではないのではないかというので、今回はこの定義を非常に幅広く規定いたしますと同時に、その指定に関する規定はやめまして、ただここに書いてありますことがやや抽象的に失しておりますので、これを明らかにするという意味におきまして、不公正な競争方法はここに掲げてございますわくの中で公正取引委員会が別に指定をいたす、こういうことに改まつたわけでございます。 次に第二章へ参りまして、第三条は現行法通りでございます。 第四条は、先ほど申し上げましたようにややきびし過ぎる規定でございますので、これを一般のカルテルの禁止の規定の中に含めまして、第四条そのものは削除いたしました。 それから第五条は、先ほど申しました私的統制団体の禁止の規定を削除いたしておりますが、それは何もこういうものがよいというわけではないので、こういうものは別にその他の規定でもつて十分に取締り得るという観点からいたしましてこの五条を削除いたしておるのであります。 第六条は、国際契約に関する規定でございまして、現行法は外国の事業者と日本の事業者との取引のほかに、国内事業者同士の貿易に関する契約、協定などが含まれておりますが、後者は他の規定で十分に律し得ますし、なお輸出取引法が今度は改正いたされまして輸出入取引法ということになるようでございますが、その貿易に関する国内事業者の取引行為はそれらの規定に譲ることにいたしまして、第六条そのものは純然たる国際契約、国際協定の規定にいたしたのと、それから現行法では単にカルテルのみを規制する規定になつておりましたが、これは御承知のように外国の事業者が、先ほどあげました不公正な取引方法によつて日本の事業者を圧迫するというような問題もございますので、その問題をも取入れましてこの第六条によつて取締つて参ろうということで、いわゆるカルテルまたは不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定または国際的契約をしてはならないということにその点はつきりいたしたのでございます。あとは国際契約について届出をとるという点は現行法とまつたく同じでございます。 次に十四ページへ飛びまして、第三章の不当な事業能力の較差に関する規定を削除いたしましたことは、先ほど申した通りでございまして、ちようどここがあきましたので、事業者団体法を廃止いたしまして、事業者団体法の中の所要の規定をここに取入れたわけでございます。 第八条といたしまして、事業者団体法のしてはならない行為を四号掲げておりますが、この中の一、二、三は現行事業者団体法第五条に一号から八号まで非常に詳細に規定してございますことを要約いたしまして、一号から三号あたりに規定いたしました。なお事業者団体法が不公正な取引方法をいろいろ指導いたしたりなんかすることも禁止する必要がございますので、第四号へ持つて参りまして、不公正な取引方法に該当する行為をするように事業者を誘引したり強制することは、事業者団体の行為としてはよろしくないものとして、ここにはつきりその点を規定いたしたわけでございます。あとに出て参ります事柄は、事業者団体の届出の規定あるいは事業者団体法違反がありましたときの公正取引委員会のとることのできる措置等に関する規定で、これはいずれも現行の事業者団体法の中にある規定をこちらに取入れたものであります。 次に第四章のいわゆるトラストの規定をやや緩和するということに関する問題が出て参りますが、第九条の持株会社の禁止の規定は、これをそのまま維持いたしまして、ただ定員等の妥当でない点を改正するにとどめております。 第十条が、普通の事業会社の株式の保有の規定でございまするが、これは上と下とを比べていただきますればおわかりになりますように、禁止します場合をやや減しておりまして、一定の取引分野における競争を実質的に制限することになる場合と、それから不公正な取引方法による場合とを禁止いたしまして、現行法のように競争会社であれば、その間に一株も持てないというような、あまりに厳格な規制は廃止いたしました。なお届出制につきましては、大体現行法よりももう少し緩和いたしまして、総資産一億円以上の会社について届出制を施行するというような形にいたしております。 次に第十一条の、銀行その他のいわゆる金融会社の株式保有につきましては、第一項の規制をやめまして、第二項にございまする百分の五以上を越えて一つの会社の株を持つてはならないというのを百分の十に引上げました。これはすでに保険業法の改正におきまして、保険会社については百分の十まで持てることになつておりますので、大体その程度持たせても独占禁止法上の観点から大した不都合はなかろうということで、百分の十に引上げたのでございます。但し但書によりまして、場合によつては百分の十以上持てるというようなことになつておりますが、これはきわめて例外的な、たとえば保険会社が再保険会社をみんなで寄つてたかつてつくるというような場合に、場合によりますと、百分の十以上の株式を持つというような事態が出て参ります。これはむしろその再保事業の特質上そういうことが例外的に認められるということでございまして、その以外の場合について野放図にこれを認める趣意は全然ないのでございます。しかもこの点につきましては、公正取引委員会の認可というようになつておりますが、大蔵大臣の協議を必要といたします。大蔵省の方針といたしましても、百分の十以上は持たせることをほとんど考えておらないということでございますので、その百分の十の禁止ということは、これがほとんど原則というふうにお考え願つていいかと存じます。あとの点は大体現行法の証券会社が業務として株式を取得するというような場合に、百分の十の制限は無意味でございますので、これは現行法と同じように例外になつております。 第十三条が、役員兼任の制限の規定でございますが、これも先ほど申しました株式の場合と歩調を一にいたしまして、一定の取引の分野における競争を実質的制限になるという場合、及び会社が—第二項にいろいろその点を明らかにいたしておりますが、不公正な競争方法によつて自己の取締役、あるいは従業員を他の競争会社の役員に押し込むというようなことを取締るために、第二項へ持つて参りましてそういう規定を置きますと同時に、競争会社の役員を兼任するという場合につきましては、そのいずれかの会社の総資産が一億円を越えます場合には、公正取引委員会に届出を必要とする、こういうふうな第三項の規定を設けておる次第でございます。 第十四条は、会社以外の者が株式を取得することでございますが、この取締りの原則は、先ほど申しました一定の取引分野における競争を実質的に制限することになる場合と、不公正な競争方法による場合と、この二つを禁止するということは、普通の会社の場合と軌を一にしておるわけでございます。なお若干の届出制を存置いたしております。 二十八ページに参りまして、第十五条、第十六条、いわゆる合併または営業譲り受け等の制限に関する規定でございますが、ここは現行法とほとんどかわつておりません。ただ第一号の「事業能力に較差が生ずることとなる場合」というのは、先ほど申しましたように、この基本の規定が削られましたので、これが落ちただけでございます。 なお合併にはいろいろ大小ございまして、小さなものまで届出をとるのはどうかという考え方もございますが、しかし一応この案におきましては、すべての会社に届出だけはしてもらうことにしております。これはもちろん届出の様式等については今後十分に考えたいと思つておりまするが、そういうきわめて簡単な、弊害のないことの明瞭なものにつきましては、現行法のように届出後三十日たたなければ合併ができないというようなことでは、多少困るような面がありはしないか、ことにこれが十六条に準用されておりまする場合についてその感が深いのでございます。その点を緩和いたしますために、公正取引委員会は必要に応じましてこの三十日の期間を短縮できるというようなふうに改正を加えております。その他の点は現行法と何らかわりはございません。あとは大体いわゆる技術的な修正にとどまるのでありまして、一御説明を申し上げるほどのものはないのであります。 三十七ページに参りまして、いわゆる適用除外の中に、先ほどもちよつと触れました再販売価格維持契約に関する第二十四条の二という規定が新たに設けられたのでございます。これは御承知のように、名のあるいろいろな日用品につきまして、メーカーがさし値をいたします。さし値を守ることは考えようによりますと、卸売価格なり小売価格が一本になりまして、卸売業者あるいは小売業者の間の競争をなくしてしまうという面があるわけでございます。この点は確かに独占禁止法の基本的な精神には多少問題があるのでございますが、一方におきましてメーカーが自信を持つた商品について、適正な定価をこれに付して、小売業者がその定価を守つて売るということは、考えようによりますと、その商品の品位を高め、また買う方としましても安心して買えるし、また小売業者といたしましても、一定の利潤が保証せられるというような面がございますので、この再販売価格維持契約を一定の条件のもとに認めようとしておるのであります。これは見方によりますとメーカーの保護というような点に力点が置かれておるようにも見られるおそれがございますが、これは実に小売業者がめちやくちやに定価を割つて売るということになりますと、まじめに売つておる小売業者が非常に迷惑をするというような点が多々ございますので、いわゆるよく申されますように、労働者に最低賃金、農民に最低価格、小売業者には最低の利潤を保証するというような一つの考え方からいたしまして、この維持契約を認めるということが今度の改正の主要な目的でございます。もちろん他に競争品がないようなものにつきまして、そういうさし値を認めますると、消費者に非常な不利益を与えるというような点も出て参りますので、その点はいろいろな点からしぼりまして、消費者の利益を害するようなことのないように、あるいは同種の商品がございまして、りつぱに有効な競争が行われている場合に限つてそれを認めるというような、いろいろな一定の条件がついております。なお同じような問題は、著作物についても申されるのでございまして、公正取引委員会が指定いたしまする一定の日用品と出版物につきまして、この維持契約を認めて参りたいというのが、二十四条の二の規定でございます。こまかな点は、また御質疑に応じましてお答え申し上げたいと思います。 それから二十四条の三と二十四条の四が、改正の要旨といたしまして最初に申し上、げました点でございます。これがいわゆる共同行為を例外的に認める二つの場合でございます。この第二十四条の三の方は、いわゆる不況の対策のためのカルテルを、きわめて制限せられた範囲内において認めて参ろうというのでございまして、こまかな字句上の御説明は、また御必要がございますればお答えをいたすことにいたしまして、きわめて簡単に申し上げますれば、市場価格が平均の生産費を下まわつて、いわゆる赤字が出ております場合において、それをそのままにいたしておきますると、事業者の相当部分が営業困難に陥るというような、きわめて緊迫いたしました事態が生じます。しかも企業の合理化でもつてその不況を打開することができないというような場合に限りまして、認可制のもとにおいて認めて参りたいというのが、この基本の考え方でございます。なおカルテルと申しますものは、御承知のように、必然的に関連産業やひいては消費者の利益を侵害するおそれの多分にあるものでございますので、その点を監視いたしますために、認可の際に、消費者の利益、関連事業者の利益というものを十分に考え、また必要最小限度のカルテルを認めるというような保障のために、一定の要件が指定してございます。なおこのカルテルの認可権の所在につきましては、一応この案では、産業行政上の見地を尊重いたしまして、主務大臣が認可権を持つておるという形になつておりますが、その前提といたしまして、公正取引委員会が、カルテルが先ほど申しましたような要件を備えておるかどうかについての認定をいたしまして、その認定に基いて主務大臣が認可をいたす。なお認可した後におきましても、そのカルテルが要件を欠いて参ります場合には、主務大臣自体も取消しができますが、公正取引委員会もその取消しなり、あるいは内容の変更を主務大臣に請求いたしまして、主務大臣がこれに応じませんでも、一箇月たちますと、もはやそのカクテルは適用除外の恩典を受けないことになりまして、独占禁止法の対象として公正取引委員会で取上げるということにいたしまして、カルテルを認めることにより生じます弊害をできるだけ除去するように、万全の規定を設けておる次第でございます。このこまかなことにつきましては、また適当な時期に御説明申し上げたいと思います。 二十四条の四の、いわゆる合理化の必要上のカルテルにつきましては、この条文を見ていただけばわかると思いまするが、きわめて限定的にこれを認めて参りたい。なおその認めまするについての要件でございますとか、あるいは認定の問題、内容の変更、取消し等につきましては、先ほど不況関係について申しましたことがそつくりこちらへ参ることになつております。 以上が、いわゆる実体規定に関する改正点でございまして、あと条文としていろいろたくさん出て参りまするが、これはいずれも先ほど申し上げました通り、以上の改正に伴いまする手続上あるいは罰則の上の改正点でございまして、特に御説明申し上げるほどのものはございません。 なおカルテルにつきましては、貿易につきましてカルテルを認めるということは、私ども政府におきましても、すでにこの前の国会におきまして輸出取引法という特別の法律を持ちましたのでございますが、これにうきましては、今回輸出取引法の改正案を政府において鋭意準備中でございます。きわめて近い機会に御審議をいただく時期に達するかと存ずる次第であります。 なお、まだ提案にはなつておりませんが、この私的独占禁止法の改正案に伴いまして、この改正案の施行法案がすでに準備せられまして、近く国会に提案をいたされることになつております。これはいわゆる経過規定といたしまして若干の規定を設けまするほか、事業者団体法あるいは独占禁止法の適用除外に関する法律がいろいろございますので、それらに関して必要な修正を加える、なおいろいろな法律の中に、独占禁止法なりあるいは事業者団体法の規定を準用したりしておりまする関係を調整いたすために設けられたものでございます。いずれこれらの法案も当委員会において御審議の対象となることと思います。念のためにつけ加えて申し上げます。
○遠藤委員長 これにて本案の趣旨説明は終りました。 この際公聴会開会に関する件についてお諮りいたします。ただいま趣旨説明を聴取いたしました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案は、委員諸君もすでに御承知の通り、一般的にも非常に関心が持たれ、先ほどの理事会におきましても、本案審査のために公聴会を開き、広く各界の意見を聴取し、それらの輿論を十分参考にして参りたいと一応申合せをいたしたのでありますが、このことを議長に承認を求め、承認がありましたならば、後日適当な時期に公聴会を開くこととし、その公述人の選定、開会日時等は、委員長に御一任願うことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。それではさようとりはからうことに決しました。 それでは本案に対する質疑に入ります。これを通告順に許します。成田知巳君。
○成田委員 法案の審議に入ります前に、現行法の運用方針について、実際問題についてお尋ねしたいと思います。実は今度の改正法案につきましては、通産省と公取委員会との間に意見の対立があつたということは世上周知の事実であります。私どもは、公取委員会の案に対して、積極的じやございませんが消極的な賛成の意を表しております。この改正案を見ましても、やはり相当大幅の現行独禁法の改正が行われておる。たとえば第十条なんかは特にその一つだろうと思いますが、この第十条の現行法の運用の問題なんです。実は委員長ももう御承知だと思いますが、日本経済新聞で最近三菱化成による東亜合成の株の買占めの問題が相当大きく取上げられておる。最近株の買占めが全国的に行われております。しかし利ざやをかせぐという意味の株式買占めは、このいい悪いは別としてやむを得ないが、この東亜合成の問題は、現行法の第十条に真向から違反しておる事実があるのじやないかと私ども考えております。この新聞の記事を見ましても、「三菱化成が東合成、日カバなどの株式を大量に買集めていることについて同社神経理部長は次のように語つた「別にいまどうという意図はない、実はコークス炉が大分古くなつてきており取替えのための資金を積立てているが、現金をただ遊ばせているのは無駄だと思い、株式を買つたのだ、もつとも将来提携できるような会社の株という基準はつけているが……」」と書いているが、「これに対しまして一方東亜合成の吉武常務は「今後の動きをみなければなんともいえないが、乗取りなどはさておき技術提携といつても技術を買いにくればいいものを六三菱ともあろうものがそんな下品なマネはしないと思いたい、金融法人の安定株は十二月末で約三百四十万株あり洋レの四十万株と合せると三割余あるから当分静観したい」と語つた」こういう記事が出まして、その翌日の産経で「あとを絶たぬ株買占め」「日本皮革、陽和不動、渋沢倉庫をはじめ白木屋などあとを絶たず、最近では三菱化成の東亜合成買占事件が起きて兜町の大きな話題となつているが、今回の買占はその規模が大きいのと複雑なことにおいてはいままでにないとされているだけに成行は注目されている」と、相当詳細な記事が載つておるわけなんです。これは現行法の十条から行きましても、真向から独禁法違反だと思いますが、この事実について公取としてどういうお取調べをやつていらつしやるか、それをまず承りたい。
○古内政府委員 お答えいたします。最初に御指摘の三菱化成と東亜合成、あの関係はただいま事務局の方において事態を調査中でございまして、結論までまだ申し上げる段階に達しておりません。われわれが現在まで調べたところによりますと、今御指摘になつたように、経理部長が一時余裕のある資金を運用したと申しておるようでございますが、まだ首脳部、社長その他がその件を存じておらなかつたということを言つておるらしいのでございまして、事態がどういうことかまだその点ははつきりしておりません。目下調査中でございます。 なおその他の点について御指摘になつた陽和不動産、その他渋谷倉庫等の問題は、従来問題になりましたときに調査した結果によつては、独禁法に触れるというほど確実な立証をすることはできませんので、そのままになつておるわけでございまして、御承知のようは独禁法の観点から申しますと、株の買占めの問題のひつかかつて来る点は、持株会社的な立場でやつておるかどうかという点と、それから競争会社が株を持つておるかどうかという点でございます。 それからまた、株の取得について不公正な方法がとられたかということだろうと思いますが、今まで問題になつた御指摘の会社については、競争関係がはつきり存在したという結論には到達しなかつたのであります。ただ最近問題になつております白木屋の問題について、白木屋が横井産業と多少競争関係があるかもしれないというので、これもただいま審査部の方で調査中でございます。そういう実情でございます。
○成田委員 今の三菱化成と東亜合成の場合、経理部長が、遊んでおる金をそのまま置いておくのはもつたいないから株を買つたと言つていますが、聞くところによりますと、これは多分御調査になつたと思いますが、東亜合成の株を百八十万株くらい買つております。これは一億四、五千万円の金です。今社長が知らない、こういうような御答弁でございましたが、少くとも一億四、五千万円の金を、一経理部長の独断で使えるはずはないのでございまして、社長がこういうことを知らないはずはないと思いますが、そのお見通しはいかがですか。
○古内政府委員 御疑問をお持ちになることはごもつともでございます。私もただ事実だけ見ますれば、なるほど一億円くらいのものが一部長の考え一つで動くということは非常にふしぎな話でございますが、現在の調査段階では、まだただいま申し上げましたような状況でございまして、御指摘の点もありますから、十分私どもの方でも注意して本件を取調べたいと思つております。
○成田委員 それでは三菱化成と東亜合成の場合は、もしそういう事実があるとすれば、第十条に該当するケースだとお考えになつておるのですか。
○古内政府委員 非常にその疑いが濃厚であると思うのでございます。三菱化成と東亜合成の場合ならば、株の持ち方が、たとえばほんとうにごく一時的にちよつと流用した、これは金額の問題もございますけれども、すぐそれを手放すつもりであつて、現に手離したというような場合は、実際問題としてはそれを事件に持つて行くまでにはならない場合も考えられると思います。
○成田委員 手放された場合は事件にならないと言われましたが、事実公取でこれをお取上げになりまして、その後手放したということになると問題は別でございましようね。念のためにひとつ聞いておきます。
○古内政府委員 お答えいたします。その場合は、いろいろ取調べた結果罰則の問題が残ると思うのであります。それも、現在具体的に御指摘になつた事件をそこまで持つて行くかどうか、まだお答えする段階になつておりません。
○成田委員 今の御答弁で大体現行法第十条には違反する疑い濃厚である、こういうお話なんですが、改正の十条から行きましても、今度の事件についてはもしそういう事実があつたとすれば違反する、第十条に該当しておる、こういうふうに解釈してよろしゆうございましようか。
○古内政府委員 お答えいたします。改正後になりますれば、株の買占めによつて一定の取引分野の競争の自主的制限という点になるかどうか、それが問題だろうと思いますが、その点についてはまだ法律も立案中でございますし、事務当局といたしましても非常に明確なお答えをするほど、その具体的な場合は違反事件になるかどうかちよつとお答えできないのであります。
○成田委員 いろいろ御研究願いたいのです。公取の方面も十分御調査になつていると思いますが、単に三菱化成や東亜合成の株を買い占めて、これに対してある程度経営権を支配しようというそれだけの意味ではなしに、やはりもつと背後に大きなものがあるということが世上うわさになつているわけです。たとえば四日市の燃料廠の問題にもからんでいるということでありますので、現行法でさえ業者はもぐつてやつているのですから、ましてや今後改正して緩和されましたら、ますますそういう問題が起きると思いますから、十分御調査されまして、毅然たる態度をお示し願いたいと思います。
○遠藤委員長 午前中の審議はこの程度にとどめ、午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十一分休憩 ————◇————— 午後二時九分開議
○遠藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。成田知巳君。
○成田委員 午前中に株式の買付の問題についてお尋ねしたのでありますが、そのとき三菱化成によるところの東亜合成の買占め、あるいは白木屋の株の買占めにつきましての問題については、独禁法十条違反の疑いがある、こういう御答弁がありましたが、事実関係をはつきりしたいと思いますから、まず東亜合成問題につきまして三菱化成がどのようにして株式を取得したか、その経路、それからまた現在どの程度の株を取得しておるか、これをわかつておる範囲内でお知らせ願いたいと思います。
○古内政府委員 ただいまの御質問に対してちよつと時間をいただいて専門の担当官を呼び、資料を取寄せますから、ちよつとお待ち願います。
○成田委員 今こちらに出て来ましようか。
○古内政府委員 今呼び寄せます。
○成田委員 この問題につきまして、相当資料をお集めになつておると思うのですが、これは両当事者から、三菱化成、あるいは東亜合成の関係者について事情を御聴取になつたのだろうと思いますが、いかがですか。
○古内政府委員 ただいまの段階ではそうです。一、二回関係会社の担当者を呼んで聞いた範囲でございまして、まだ社長とか、そういうところまでは行つておりません。
○成田委員 そうしますと、ただ非公式に各社の担当課長とか部長をお呼びになつてお調べになつた程度で、独禁法のたとえば四十五条の規定で「公正取引委員会は、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、職権を以て適当な措置をとることができる。」これによつておやりになつたわけじやないのですか。
○古内政府委員 三菱化成の方は、ただいま申しましたように、まだ非公式の段階でございます。 それから白木屋の方は、白木屋の方から審査部に正式に提訴しております。法律の手続によつて調べております。
○成田委員 そうしますと、白木屋の方は四十五条の一項でございますか。「何人も、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。」これに基いて第二項の「前項に規定する報告があつたときは、公正取引委員会は事件について必要な調査をしなければならない。」この規定に基いておやりになつておるのでございますか。
○古内政府委員 その通りでございます。
○成田委員 そうすると、三菱化成、東亜合成関係については一応非公式におやりになつておるのですか。
○古内政府委員 さようでございます。
○成田委員 現在お調べになつておる段階におきまして、非公式なものはやはり限度があると思いますが、この四十五条の三項、もしくは東亜合成の方から一項に基く報告がありましたら、この場合には当然おやりになると思いますが、三項の法律の規定に違反する事実があると思料するときはという行為に該当するような段階に今あるかどうか。今の非公式のお取調べの範囲内で、そういうところまで発展するとお考えになつておるかどうか、お知らせ願います。
○古内政府委員 まだそこまでの結論には行つていないと思います。もう少し非公式の段階を……。
○成田委員 非公式の段階でお調べになつておるのですが、今のお話では担当職員というお話でございますが、大体課長か部長級をお呼びになつておるのでございますか。
○古内政府委員 部長でございます。
○成田委員 課長、部長級ではこういう大きな問題については正確な報告もできないだろうと思いますが、社長その他責任者をお呼びになつて、非公式の段階にしろ、お調べになる御意思があるかどうか、お伺いいたします。
○古内政府委員 そういう方針であります。
○成田委員 それから先ほど私申し上げたのですが、数字は正確じやないかもわかりませんが、この新聞を見ましても、三菱化成でコークス炉の改修の金がある。これは五億円とかいう話でございますが、そのうち一億円以上のものが東亜合成の株の取得に使われている。これは一経理部長が自分の独断でやつたんだ。三菱化成の社長さんは技術屋で、そういうことはわからない。だから事務屋の経理部長がかつてにやつたのだというお話ですが、これは常識では考えられないのです。事務局長もけさお認めになりましたように、これだけの大きな金が単なる事務担当者の判断で動かせるはずはないと思います。これはやはり三菱化成の一つの方針に基いてこの株の買占めが行われたと思うのです。そこで日銀の政策委員会の関係なんかも問題になると思うのですが、三菱は現在銀行からどのくらいの金を借りているか、おわかりになりませんか
○古内政府委員 この点は承知いたしておりません。
○成田委員 相当たくさんの金の借入れがなされていると思うのです。にもかかわらず、一方、自分の持つている社内の金を株式の買いあさりに使うということは許されないと思うのです。そういう点で、ほかの問題も起きると思うのですが、先ほど申しました一億五千万円ぐらいの金なんですが、この数字は大体おわかりになりませんでしようか。東亜合成の株式総数幾らで、現在三菱合成で集めた株は幾ら、金額として幾ら使つているか、大体の数字でよろしゆうございますが……。
○古内政府委員 ただいまの御質問の点は、今呼びに参りました担当官が来れば、はつきりしたところはわかると思います。大体お示しのように一億円以上の金が動いていることは確からしゆうございますし、私の報告を受けました記憶によりますれば、その金は三菱化成のたしか黒崎工場ですか、どこか工場を建設する資金として借り受けた金であつて、支出までに多少の時間がある間動かしたという報告を受けているように記憶しております。
○成田委員 株式数は大体幾ら買い集めておりましようか。
○古内政府委員 その点は後ほどお答えいたします。百何万株とか言つておりました。
○成田委員 今のお話では黒崎工場の改築に借りた金だというお話でございましたが、日経に載つておりますのはそうじやなくて、同社の経理部長が言つておられるのですが、別に今どうという意図はない。実はコークス炉が大分古くなつて来ており、とりかえのための資金を積み立てているが、現金をただ遊ばせているのは無駄だと思つて操作しておつたというように社内の留保金か積立金のような説明をしておられるのですが、その間の事情はどうなつておりましようか。
○古内政府委員 その点もとりまとめて後ほど一括お答えしたいと思います。
○成田委員 事実関係がわからないとなかなか質問もできないのでございますが、そうしますと、あとでお尋ねすることにしまして、もしそういう事実がありました場合、先ほど申しました四十五条の問題あるいは四十六条の発動の問題が起きて来ると思うのですが、それに関連して四十八条でございますね、公正取引委員会は、事業者が、条文がたくさん書いてありますが、第十条第一項もしくは第十七条の規定に違反する行為をしていると認める場合、事業者が第十九条の規定に違反して不公正な競争方法を用いていると認める場合、または不当な事業能力の較差があると認める場合には、当該事業者に対し、適当な措置をとるべきことを勧告することができる。こう書いてございますが、この適当な措置というのは具体的にはどういう内容を持つておりますか。
○古内政府委員 株式の場合には、たとえばその株を手放せというような勧告になり得ると思います。
○成田委員 その株式を手放すというわけですが、具体的にはどういう形でどういう価格で、どういう方面に手放す、こういう問題が起きて来ると思うのですが、その内容はどんなものなのですか。
○古内政府委員 その価格などは私どもといたしましては全然タッチしないので、普通の商行為で手放していただく、だれに売れとかいうことはさしずしない。要するにその会社が持つておることをやめてくれということであります。
○成田委員 それからこの勧告に業者が応ずればもちろん問題はないのですが、応じない場合にはやはり訴訟ということになるのでございますか。
○古内政府委員 応じない場合は審判開始決定をいたしまして、審判手続に付するわけであります。
○成田委員 それから九十一条なのですが、こういう違反行為がありました場合の罰則の問題がございます。これはそういう行為をした者を罰するのですが、法人の場合はどういう関係になりましようか。たとえば経理部長がやつたといたします。社長は内容は知らなかつた。しかし経理部長のやつたことがやはり第十条に違反をしたということで、罰則の問題が起きた場合には、その経理部長はもちろん罰せられるのでありますが、団体の代表者の関係はどういうことになりましようか。
○古内政府委員 第九十五条第一項によりまして、その行為をした者が罰則の対象になるほか、その法人も罰金刑の対象になるということになつております。
○成田委員 九十五条の第一項でございますか、私条文をよく読んでいないのでありますが……。
○古内政府委員 「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、」云々「違反行為をしたときは、」……。
○成田委員 そこに第十条違反の行為ということは書いてありませんね。八十九条、九十条、九十一条第一号から第三号、第五号もしくは第六号、九十一条の二または九十四条の違反行為で、第十条は間接的に関連して来るのでありますか。
○古内政府委員 罰則規定で関連して来るのであります。
○成田委員 そうしますと、そういう行為がありましたときは、法人または人に対しても「本条の罰金刑を科する。」こうなつているのですね。
○古内政府委員 今の十条の規定が九十五条にないのでありますが、九十一条の二によつて十条も入つて参ります。
○成田委員 そういたしますと九十五条では「本条の罰金刑を科する。」となつておるのですね。九十一条では一年以下の懲役または二十万円以下の罰金に処するとなつておりますが、懲役刑との関係はどうなるのですか。
○古内政府委員 法人はもちろん罰金刑だけでございまして、懲役の点は人でございます。
○成田委員 そこで使用人はもちろん人なのですが、今まで法人は罰金刑で懲役刑がないということで、相当問題を起したので、最近はよく法人の代表者についても懲役刑をとるというような立法が行われておると思うのですが、この場合法人の代表者もしくは使用人がやつた場合に、その人たちだけを懲役刑にしまして、それから法人の代表者—代表者というのは具体的には個人だろうと思うのですが、その人が懲役刑に付されるという規定はないのでしようか。
○古内政府委員 現行独禁法ではさような規定はございません。
○成田委員 そうしますと、九十一条の「一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金しというのは、結局本人について、ただいまの三菱化成の場合でしたら、経理部長について一年以下の懲役かまたは二十万円以下の罰金が問題になり、会社法人に対しては二十万円以下の罰金が問題になる、こう解釈してよろしいのでございますか。
○古内政府委員 御指摘の通りであります。
○成田委員 それから白木屋の場合と東亜合成の場合に第十条違反の疑い濃厚だというのですが、この十条の場合、これらの会社の競争を実質的に減殺することとなる場合、これが一つでございます。もう一つは、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる、これが一つ、もう一つは、不公正な競争方法によつて株式を取得した場合、この三つあるのですが、東亜合成の場合あるいは白木屋の場合はこの十条の三つのうちのどれに該当しているとして今お調べになつておるのですか。
○古内政府委員 東亜合成と三菱化成のような場合は、第十条の第二項の競争関係、「金融業以外の事業を営む会社は、自己と国内において競争関係にある国内の他の会社の株式又は社債を取得し、又は所有してはならない。」この規定であります。
○成田委員 次に白木屋関係は、すでに独禁法の四十五条でございますか、それを正式に発動されましてお調べになつておるそうで、相当の資料が上つていると思うのですが、白木屋の株式の取得関係に至つた経過を、わかつている範囲内でお知らせ願いたいと思います。
○古内政府委員 ただいま御質問の白木屋の問題は、公正取引委員会の審査の段階によりまして、もう少し時間がたたないと、どういうふうになつたか内容までははつきり申し上げられないと思います。裁判と同じような性質のものでございまして……。
○成田委員 裁判と同じような性質のものだというお話でありますが、その事実関係というものは公表できないものでございますか。
○古内政府委員 結論が出るまでは公表を許されておりません。
○成田委員 そういたしますと、今東亜合成と三菱化成の問題について非公式ではあるがお調べになつておるものを後ほど知らせていただくということになつておりましたが、非公式で調べたものについてはわかつた範囲内で知らすことができる、審判の手続に入つた問題は結論が出るまで公表することができない、こういう関係になるのでございますか。
○古内政府委員 実は独占禁止法の第三十八条で、「委員長、委員及び公正取引委員会の職員は、事件に関する事実の有無又は法令の適用について、意見を外部に発表してはならない。但し、この法律に規定する場合又はこの法律に関する研究の結果を発表する場合は、この限りでない。」、どの程度まで私どもが発表していいものか、実はこれを厳格に解釈すれば一言も申し上げることはできないのだろうと思いますが、こういう席上でありますから、できるだけこれをゆるやかに解釈したいと思つておるのでございますが、審査部の問題になりますと、正式に手続はとつておりますから……。
○成田委員 ゆるやかに御解釈になつて、けさの私の質問に対して、どうも東亜合成と白木屋の問題は違反の疑いが濃厚だ、こういう御答弁があつたと思うのです。そこでこの三十八条でございますが、「委員長、委員及び公正取引委員会の職員は、事件に関する事実の有無又は法令の適用について、意見を外部に発表してはならない。」、こうあるように、意見なんですが、事実を発表されることについてはさしつかえないのじやないでしようか。これはいいとか、これは独禁法違反であるとかいう意見を発表されることはできるだけゆるやかに解釈して発表していただきたいのですけれども、そうじやなしに、それはできないとしましても、事実については、こういう事実があつたということを述べられることはいいのじやないでしようか。
○古内政府委員 先ほど申し上げましたように、第三十八条を厳格に適用されれば、非常にわれわれの行動の畠が、特に国会においては束縛されることになるのでございますが、審査にさしつかえない程度において、今の白木屋の問題もある程度審査部で確かめまして、もう一度機会を与えてくだされば白木屋の事実関係もお知らせしたいと思います。
○成田委員 言葉じりをとらえるようでまことに恐縮でありますが、特に国会においては発表できないというお話がございましたが、一般に発表なさることは相当問題があるかもしれませんが、国会においてはある程度発表していただいた方がいいのじやないかと思うのですが……。
○古内政府委員 ただいま私の言葉づかいの間違いでございまして、国会というところは要するに大事なところで、あらゆることを全部さらけ出さなければならないところであるぐらいに思つております。そういう関係で、片一方にこういう法律がありますので、非常に苦しい立場にあるということを申し上げたのであります。
○成田委員 そこでこの三十八条の解釈なんですが、これをそういうふうに御解釈なさいますと、これからも国会としては、審判にかかつた問題については、何一つ、また公正取引委員会でお取調べになつたことは何一つ御説明いただくわけに行かないことになりますが、先ほど申し上げましたように、この三十八条というのは、意見を外部に発表してはいけないので—公正取引委員会としてこう考えているとか、いいとか悪いとかいう価値判断ですね。そういう意見を発表してはいけないので、こういう事実があつたらしい、こういう調査になつているという報告があつた、この程度のことは報告していただいて当然さしつかえないと思いますが、いい悪いは別問題といたしまして、どうでございましよう。
○古内政府委員 大体御希望に沿うように善処したいと思います。
○成田委員 そうしますと、東亜合成、三菱化成の問題についても私たちの知りたいことは後ほど御報告願い、白木屋の問題についても、大体審判にはまわつておりますけれども、意見を言つていただくのじやなしに、どういう経過になつたかというようなその事実をありのままに御報告願いたいと思います。
○古内政府委員 三菱化成、東亜合成に関しては、先ほどもお願いいたしましたように、今事務局から人が参りますので、ちよつとお待ち願います。白木屋に関しましては、ただいまお願いいたしましたように、一応帰りまして、審査部と打合せまして、この次の—急げばきようでございますが、あるいは明日でもお答えをさせていただきたいと思います。
○成田委員 それではそういうことにお願いいたしまして、経過の報告がありましてからまた質問さしていただきたいと思います。
○菅野委員 先ほど、たとえば今の三菱化成などが買占めした株を手放さすというようなお答えがありましたが、そのときに、手放さした場合にだれに幾ら売つたかというようなことまで公正取引委員会の方でお調べになるのですか。
○横田政府委員 この三菱化成の問題としてでなく、今まで違法な株式を取得し所有いたしました違反事件について、公正取引委員会がとつて参りました現実の処置を申し上げますと、大体ただいま古内事務局長から申し上げましたように、その違法の取得の株を放せということを命じますと同時に、その報告書をとるようにいたしております。大体それで、この報告書のとり方も、非常にこまかいことまで命じたこともございますが、大体どこへ売つたかということを報告してもらうことにしております。この趣旨は、往々にして放したるがごとくいたしまして、名前だけかえて実質的にはまだ持つているというようなこともございますので、現実に違反状態がなくなつたかどうかということをあとまで監査いたす意味で、そういう報告をとるという処置をいたしてあるのでございます。
○内田(常)委員 私は、この法律の改正案につきましては、本会議で主要な一事項を御質問いたしたいと思いますから、委員会では比較的細部にわたる二、三の点をお尋ねしたいのであります。 第一は、今成田君からお話のありました株式の取得に関する違反案件と同じように、事実の問題として、最近硫安協会が硫安の建値を二月二十四日に一本建として月別に発表した。これは政府が定めたいわゆる硫安の安定帯価格の中における価格ではありましようけれども、このことは現行の独占禁止法の三条ないし四条の違反ではなかろうか。またその事実がわが国の農民に非常な不安を与えている。ことに、いわゆる出血価格で輸出をされているのではないかというような不安があります。一方において国内で業者が価格の協定をして利潤を確保しながら肥料を売るというようなことになりますと、国内もしくは国外のしわ寄せを国内の農家に持つて来るのではないかというようなことにもなりまして、今度の独禁法改正において、一定の制約的条件のもとであるとはいうものの、共同行為の認容というものが本質的にいいか悪いか、こういうような独禁法の改正が非常に禍根を残すのではないかというような不安を持たせることにもなります。他の委員会等においていろいろ御説明があつたと思いますけれども、この点について、公正取引委員長ないしは通産省なり農林省なりの方から事実の御説明を伺いたいと思います。 なおついでに伺いますが、昨年来から問題があります綿紡及び化繊の操短についての通産省の指導ないし監督という、行政官庁の指導ないし監督が、この独占禁止法の、これも三条か四条かとも思いますが、それに違反するような疑いを世間で持つた際に、公正取引委員会における取扱いとどういう関係に立つものであるか、またあの問題は今日どういうことになつておるか、この事実についてお話を願いたいと思います。
○横田政府委員 まず硫安の問題からお答えいたしますが、御承知のように今年の二月二十四日に硫安協会の需給委員会におきまして、新聞紙上に発表されましたようなああいう一本の建値の発表があつたわけでございます。これにつきまして、われわれの方といたしましては、独占禁止法上問題になり得ることといたしましてただちに調査いたしまして、最初調査の方で取上げまして、すでに審査の段階に移しまして、この結論はおそくとも来週早々には出ることと存じますが、まだ詳しい報告を受けておりませんので、はつきりしたことを申し上げることはできませんが、仮定の上に立ちまして、独禁法上の問題を申しますと、結局安定帯価格の中におきます一つの決定ではございまするが、しかしあの安定帯価格なるものの性格は、御承知のように七十円の値幅がございますので、その値幅の中で、各硫安メーカーが需要者との間に適当な値段をきめて取引をする、そこには自由競争する余地が残されておるというのがあの値幅の意味だろうと思いますので、もしあの建値の発表というものが、硫安協会の傘下のメーカーに向いまして、この建値で取引をしろ、その以外のことでは、ことにその下では取引をしてはならないという趣旨であれを決定したといたしますれば、事業者団体法の第五条の第四号でございますか、対価を決定するということに当りますし、なおまたそのメーカーがその事業者団体であります硫安協会の委員会を通じまして、ここできまつた建値を維持するという共同の行為をしておるということになりますれば、これも独禁法の第四条の対価の決定あるいは第三条の取引制限ということに当るわけでございます。これは硫安メーカー側からはいろいろ弁解の言葉も言つておるようでございます。しかしいずれもただいまのところではわれわれが納得するに足るものがないように思われております。この点は重要なる肥料の問題でございますので、私どもも、委員会としましても、きわめて慎重に、かつなるべく早くこの問題の結論を得たいと思いまして、今鋭意審査中でございます。 次に綿紡、化繊等につきまして通産省等から勧告をいたしまして、業者に一種の操短カルテルを結ばせるという問題につきまして、昨年あたりから非常に問題になつて来ております。この問題につきましては、昨年の三月の綿紡の操短につきまして、われわれは業者の共同行為という面よりも、もし通産省の勧告に応じなければ、原綿の割当をしないという一種の制裁づきの、かなりきつい申渡しによりまして、業者がやつておるという点を置きました結果、独占禁止法のカルテルというふうには認めませんので、これを正式な事件として取上げることは差控えたいのでございます。しかしかりに通産省のそういう勧告とは申しながら、これは別にそういう統制の権限に基いて通産省がやつておるものでなく、単に原綿の割当というような一種の間接的な方法によつて、実質的には統制をやつておるという、いわば正確な法律上の根拠に基かないものでございますので、われわれはそういう勧告につきましては、最初の操短を開始しました際には、なるほどこれはやむなきものとして認めましたが、その後これが続けられまして、八万円のものが十万円とういうふに相当値が上つて参つても、なお操短が続けられますことにつきましては非常に遺憾に思いまして、いろいろと通産省にも申入れをしたわけでございます。しかしこれは根本的には先ほども申しましたように、事業者の共同行為ということをはつきり把握いたしません立場からいたしまして、その後も事件として取上げずにおるわけでございます。 化繊の操短につきましては、大体情勢は同じようではございまするが、これにつきましては通産省の勧告はきわめてゆるやかなものでございまして、大体のわくについての希望を通産省の方から申し出で、そのわくの中におきまして業者がいろいろ話し合いまして、操短の限度などを自主的に決定をしておるという点が、独占禁止法から見まして明らかに第四条違反ということに認められましたので、審判を開始いたしまして、いろいろ手続が長くなりましたので、いまだに審決になつておりませんが、一応昨年のうちに審判を終結いたしまして、近いうちに審決が下る情勢になつております。
○内田(常)委員 事情はよくわかりました。その事情そのものにつきまして、ほかの委員会と重複して追究いたすことはいたしませんが、今度の独禁法の主要な改正は、事業者の共同行為を一定の条件のもとに容認することにあることは皆さんも御承知の通りであります。私は日本経済の現状から見まするときに、ある制約のもとに、今回の改正のようにカルテルを認めて行くということは、絶対必要じやないかと思つて賛成するものでありまするが、これに対しているくの見地から反対する向きも相当あると思います。その際に私は、公正取引委員会なり、あるいは行政官庁なりが、各事業におけるカルテルの認可、あるいは現在認可制度のないときにおいて、カルテル化の傾向に対する態度というものは、よほどはつきりした、世間に誤解の起さないような立場をおとりにならないと、今のこの問題なんか最たるものでありますけれども、政府なりあるいは公正取引委員会なりの、日本経済の発達というものを思う立場が疑われたり、またわれわれ国会議員としてこの法律を通そうとする者の立場が疑われることにもなりますので、今度の肥料の価格協定の問題なんかにつきましては、よほど割切つた態度をおとり願いたいと私は希望するものであります。たとえば今度の改正法が通りました際に、一体今度の硫安協会のような建値をきめんとする認可の申請があつた場合に、政府なりあるいは公取が、その認定なり認可なりをなさるおつもりであるか、またこの法律の規定は、諸種の条件に当てはまるものとしてお考えになつておられるのかどうか、その辺の見通しをもお聞かせ願いたいのであります。肥料のような化学工業におきましては、私も十分はわかりませんが、おそらく生産制限ということは、他の綿紡や化繊とは違いまして、できないんのだろうと思います。一定の電力の供給を受ければ、ほつておいても肥料はできてしまう。これについて何らかの共同行為をする場合は、とかくカルテルに追い込まれがちなものであります。今でさえその傾向が出ておるのでありますから、これを今度の改正法がかりに通つた場合にはどうなさるのか、しかも、さつきの日限、日時の関連におきまして誤解もあることでございますから、これは将来の問題でありましようが、事実は現に発生しておるものでありますので、見通しといいますか、方針について、公正取引委員会あるいは新法によつて認可の権限を持たれる通産省の方から、皆さんに安心を与えるようなお話を願いたいと思います。
○横田政府委員 硫安の問題につきまして、たとえば今度問題になつておるような事態に対して、新しい独占禁止法の規定によつて、この価格協定と申しますか、価格の建前の決定を認可で認めることができるかどうかというお話でございますが、これは結局今度設けられます二十四条の三の規定の解釈問題かと存じます。もちろんこれは二十四条の四の合理化カルテルの中に入らないことは明らかだと思います。そこで二十四条の三におきましては、はなはだ言葉が足りませんが、結局この商品の価格が平均生産費を下まわつておるということと、そのために相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがあるというような、かなり厳重な要件がございまするので、これは硫安等につきましては、御承知のように原価計算なるものが非常にあいまい、かつどこがほんとうのものかなかなか把握しがたい面があるようでございますが、結局問題はそこにあると存じます。つまりはなはだしく生産過剰になりまして、滞貨を生じ、あるいは場合によりましては、こういうような非常の事態に至る場合がないとは言えませんけれども、しかしこの事態に至りまするのはよくくな場合でありまして、従つて第二十四条の三で認可がそう簡単にできるものではないと私は考えております。但し、現在の状態がそれに該当するかどうかということにつきましては、なお十分の調査をいたしませんと、はつきり申し上げられません。
○内田(常)委員 お話の次第もわかりますが、肥料については、これは時期的の需給関係が非常に影響があると思うのでありまして、おそらくこの春肥の時期が過ぎれば、七月とか八月の時分には、四十万トンから五十万トンの国内滞貨ができると言われておるのでありましで、その際はひよつとすると、今度のカルテル行為認可に関する条項に当てはまつて来る場合がありそうにも思えるのであります。幸い通産省の企業局長がお見えになつておるようでございます。ここに書いてある主務大臣とは、肥料の販売価格の場合、通産大臣であるのか農林大臣であるのか、そこはよく知りませんけれども、通産省の立場において、あるいは農林省のお考えも代表して、政府の方からも御説明願いたいと思います。
○遠藤委員長 内田君に申し上げますが、通産省は出席しておりません。
○内田(常)委員 それではこの問題は保留しておきまして、次に第二点を簡単にお聞きいたしたいと思います。 今度の改正法の第二十四条の二、再販売価格の維持契約、これは俗にいう低価格でありまして、現行の独占禁止法にはない条項であります。今度独占禁止法を、日本の経済の実情に沿いまして改正する際に、あわせて織り込まれたようでありますが、こういう規定まで入れるのは、日本経済の現状から見てはたして必要であるかどうか。ことにこの低価格のことにつきましては、これはたとえば例を引きますと、ライオン歯みがきを一袋十円なら十円という定価売りの規定をきめたら、それ以下で売つた場合には、もうお前のところにはライオン歯みがきを卸してやらぬというような契約をするであろうと思いますが、ほかにクラブ歯みがきもスモカの歯みがきもあるということで、代替し得る生活必需品があるということで、歯みがきの場合はいいんじやないかというようなことで、これをそういうような一通りの解釈で行けば、おそらくこの改正案が成立する限りに、公正取引委員会の指定になるようにも思いますけれども、ただ一つここに困つた問題は、消費組合とか、あるいは生活協同組合のような、そもそも組合の結成自身の目的が、一般の商人が売る値段よりも、お互いの組合だから安く売るのだということでできておる組合を、それでは抹殺することになる。もちろん抜け道はありましよう。ライオン歯みがきが再販売価格の維持契約にはまつた場合には、ライオン歯みがきの取扱いをやめて、クラブ歯みがきを売ればいいということでございますが、なかなか事情そう簡単に行かないことも多いのでありまして、クラブ歯みがきも同じような定価売り契約をつけて来るというようなことで、これは先の心配になりますが、そのような事情が続けば、今のような協同組合が成立たないというような問題をもお考えになつたかどうか、かかる場合にどう処置をしたらいいか。さらにまた、あるいは今度の改正の眼目がその辺にあるのではないか。事情によつては、この二十四条の二というような新しい規定を設けないで、削つてしまつても、世上さしたる反対もないというようなことであるのか、その辺の事情、お考えを承つてみたいと思います。
○横田政府委員 この二十四条の二の再販売価格の維持契約については、今朝ほど不十分ではございましたが、一応こういう新しい制度を認めまする理由を申し述べたのでございます。これには今仰せのようないろいろな問題点も多少ございまして、消費組合、慈善団体あるいは共済会というような特殊な団体等に対しまして、日用品を下げます場合にも、やはりその価格を維持しなければならぬということになつて、はなはだ不都合ではないかという、まことにごもつともな御質問でございますが、われわれの考えといたしましては、結局メーカーの良識にまつということになるのでございますが、こういう消費組合やその他の特殊のものに売ります場合には、そこにまた別途の価格維持と申しますか、そういう契約をすることができるのではないかと考えておるのでございます。もちろんそういたしますと、普通の卸売を通して小売へ下げるその価格と、そうでないものとの間に差ができて、これはまた独占禁止法の一つの差別対価、公正取引方法の差別対価というような問題が、ここに出て参るのでございますが、しかしそういうような指定をいたしますれば、この二十四条の二の法律の規定は適用がないという解釈もできるのではないかと思うのでございます。しかしこの点はなおもう少し法律的にも、実際の問題としても、考える余地があるのではないかと考えております。 なおこの規定はどうしても入れなければならぬのかというお尋ねでございますが、この維持契約をぜひ認めてほしいということを一番強く申し出て来ておりますのが、大体化粧品等を中心といたしまするメーカー、あるいは薬品等の関係でございまして、この方面からはかなり強く要望がございます。これは単にメーカーが自分の利益を擁護するという立場からばかりではないように考えております。結局この制度は、メーカーの利益にもなりますが、しかしめちやめちやな小売競争をいたしまして、小売が共倒れになることをささえる、いわゆる小売の最低の利潤を確保するという、小売を保護する面が相当ございまして、むしろアメリカなどではそういう面が非常に強調されまして、この再販売価格維持契約というものが、もつときつい形で法律になつておるような実情でございますので、われわれといたしましては、一応この改正案に盛つてございますので、御理解がいただけますれば、これを通していただきたいと思います。しかし先ほど申されたような面とか、あるいは消費の面から言いますと、やはりそこに競争がなくなるということになつて、安く買える場合がなくなるという面もございますので、この点は十分に御検討をお願いいたしたいと思います。
○内田(常)委員 了解いたしました。 次にお尋ねしたいのは、この新しい改正案の第二条の不公正な競争方法の定義の中におきまして、第二条の第六項を見ますと、不公正な取引方法というのは、次に書いてある事項のうちで公正取引委員会が指定するものをいうというように書いてあります。ところが現行法では列挙的に第一号から第六号までありまして、第七号に至つて、前号に掲げるもののほか、公正取引委員会の指定するものと書いてあるわけです。今日までこの第七号の運用において何が飛び出して来るかわからない。公正取引委員会が、その都度の事情に応じて、やにわにこういう取引は不公正な競争方法だといつて指定をなさる、告示をなさるということで、業者が非常に面くらう場合が多い。公正取引委員会は、いわばあたかも準立法機関のような観を呈しておつたように思われます。そこで今度の改正案につきまして、委員会あるいは政府の要綱を拝見いたしますと、公正取引委員会は、かかる準立法機関のような建前を捨てて、あらかじめ法律の中に限定しておくのだ、しかもそのほかに出て来る事項については、何か基準となる要件を、国民が判断に迷うことがないように掲げておいて、今までの立法機関類似のまぎらわしいことはやめるのだということが、たしか要綱等にはうたわれておつたと思いますが、この条文を見ますると、前より悪くなつておる。初めから終りまで、一号から各号公取の指定で行くのだということでありますと、どうも前より悪くなつたと思いますが、この点はどう解釈するのですか。
○横田政府委員 その点は、現行法は仰せのごとく、第七号というのがございまして、ここにいわばこの法律の委任に基きまする公取の準立法権とでも申すような部分がひそんでおつたわけでございます。もちろんこの第七号につきましては、ずつと先の手続規定のところで七十一条、七十二条というのがございまして、公正取引委員会がこの指定をいたしまするには、公聴会を開きましたり、案を一般に公表しまして、その全体の意見を聞きましたり、あるいは告示をいたしまして、その告示の日から三十日たたなければ指定の効力がないというような、かなり丁重な手続がございまして、突如として指定が行われるということはないのであります。現にごの規定によりまして、しようゆ業界において御承知の招待付とか、きわめておもしろくない競争方法が行われましたものを指定いたしました。これがみその業界にも行つておりまするし、最近は海上運送のいろいろな特殊の競争方法をこの規定でやつたのであります。大体その程度で今日に至つておりますが、今回はそういうようなどこまで広がつて行くかわからないというようなことを一応やめまして、この法律の第六項にございますような全体のわくというものを一応きめまして、そのわくの中で公正な競争を阻害するおそれのあるものを公正取引委員会が特に指定する。つまり今度の法律ではわくがきまつておりまして、その中で指定をいたす。その指定には、大体どの業界にも通じまするような一般的なものを指定いたしまするのと、先ほどしようゆや、みそや、あるいは海上運送関係について申しましたような特殊の業態にふさわしい、それを取締ることの必要のある特殊な不公正な取引方法というものを指定するのと、指定の仕方が二つあると思うのでございます。そういうふうに指定をすることになりますので、国民の一般の方がとんでもないものが指定になるというようなおそれは、むしろ現行法よりはなくなるのではないかと考えております。しかし特定の取引方法を指定いたします場合には、現行法の先ほど申しました第七十一条とほぼ似た公聴会などを開いてやる手続を置くことになつております。
○内田(常)委員 お話はわかつたように存じます。もう一、二点ちようど通産省の関係当局の方もお見えになつたようでありますので、先ほどの肥料の建値に対する考え方の問題に関連して伺いたいと思います。 今回の改正案は、公正取引委員会の権限と主務官庁の権限を交錯させながら両方を調整しておる御苦心がよく見えるのでありますが、私の元来ふしぎに思うのは、公正取引委員会の性格であります。私はこの公正取引委員会は、消費者あるいは公共の利益を保護する立場に立つよい官庁だと思いまして、にわかにこれを排除することを主張したり希望するものではありませんけれども、ただ日本も独立いたしまして、だんだんそれ自体の官庁の組織なり秩序なり統制なりというものを持つべきときにあたりまして、昭和二十二年にアメリカ側から押しつけられた法制とともにできたこの公正取引委員会というものは、何か割切れない押しつけられた機関のようにも思うのであります。と申しますのは、御承知のように、わが国の国権というものは三権分立で、行政権、司法権、立法権にわかれており、憲法にもそれぞれ規定がありまして、行政権は内閣に専属するし、国会は唯一の立法機関であるし、また司法権については、最高裁判所とこれに連続するところの裁判所というものだけが裁判を行つて、別に特別裁判所というものはないはずであります。しかるにこの公正取引委員会の実際の機能というものは、行政と準立法的なもの、審判、審決というような特別裁判所的機能とをあわせ持つておる。しかも公正取引委員会設置の根拠が、憲法上の会計検査院等のような特別の機関になつていないで、独占禁止法の第何条かで設けられた機関で、国家行政組織法に基くものでもない。しかも独占禁止法の第何条かを見ましても、公正取引委員会は内閣の所轄に属するとはいいながら、「委員長及び委員は、独立してその職権を行う。」こう書いてあるのであつて、公正取引委員会のやることは、内閣といえども何らくちばしが出せない。従つて出せるとか出せないとかいう通産省の勧告と、公正取引委員会の見解なりあるいは調査の開始なりというものが別々に行われて参る。今度の肥料の建値の問題につきましても、農林省と公正取引委員会の見解は一致するかもしれませんが、通産省と公正取引委員会の意見は一致しないというようなことにもなつて参ります。本日は内閣の首脳部がお見えでありませんし、また法制当局の方々がお見えでありませんから、これを通産省の方なりあるいは公正取引委員会の委員長に追究いたしてみましても、どうにでもしてくれという以外にないので、どうしようもないと思いますけれども、私は最初に申しましたように、公正取引委員会を決して否認するものではありません。むしろ公益代表としてけつこうだと思いますが、ただ顧みますと、行政官庁といえども、通産省、農林省とも生産者のみを保護育成するという片寄つた機関でもなし、また消費者を保護育成する機関であつてはならない。たとえば大蔵省は銀行の監督をやつておりますが、大蔵省というものは銀行業を保護育成するばかりの役所であつてはならない。現にそうではない。預金者の保護ということを口を開けば言つて、何かといえば預金者に対しては重大責任を持つておるから許可できない、認可できないというようなことで押え込んでおるというようなかつこうになつておりますが、肥料についてもあるいは繊維についても、通産省がそれを所管する以上は、生産者たるメーカーの方の保護育成と消費者と両方の立場を考えることが当然であつて、そんなことができないような通産省だつたら、これは出直していただかなければならない。これを出直せるようでしたら、公正取引委員会のあり方についても、今後だんだん考えて行き得る可能性があるのではなかろうか。その場合、公正取引委員会というものは、たとえば英国の機関のように、調査をやる、調査をやつた上で、その調査の結果を報告して、行政官庁の活動を促すという形もとれるかもしれない。ことにこの法律に追加されましたカルテル行為の認可と認定に関しまする二つの機関のいろいろな取引の形において、うまくできているようでもありますけれども、これがなかなか議するところもあろうかと思うのであります。ひとつ通産省の方から、これらに関する御見解を伺いたいと思います。
○中野政府委員 お答えいたします。今回の改正法案の政府決定の経過、これにつきましては、新聞紙もいろいろ報道しておりまして、通産省が産業、特に今回問題になつておりまする重要産業について、いかなる観点からこれを助成して参るかという点、これに関連しまして、公正取引委員会の機構、制度が今後いかように行くべきかということについてお話がございました。これは従来からでございまするが、この改正法案において、主務大臣が不況または合理化促進のために認可をするという建前になつております。この際も、もちろん重要産業の混乱、崩壊に至るのを未然に食いとめるという意味の産業の助成政策の観点からも見ますが、同時に、通産省といたしましても、これが関連産業、あるいは中小企業、あるいは一般消費者に与えまする影響を十分に考慮に入れまして、当該業界の意見、あるいは新聞、その他一般の輿論を十分参酌いたしまして、必要最小限度の協定内容にとどめる、これは内容から申しましても、その協定の存続期間から申しましても、同様でありまするが、かように考えておるのでございます。それと同時に、公正取引委員会の認定を得た後にこれを認可する、こういうことになつておりまして、これは現在の私的独禁法も、今度改正されます法律も、前後ともに、経済の民主化、あるいは公正な取引を擁護するという根本方針はくずしておりませんし、またその実現のために、公正取引委員会は存在し、活動されるわけでございますので、十分法律に書きました認定基準に合致するような認定を礎ました上で認可する、こういう建前で、一言で申しますれば、両者よく相談の上事に処したい。もちろん公正取引委員会といえども、消費者の保護あるいは中小企業の立場のみを考えて、大企業の採算割れ、あるいは経営が非常に困難に陥るということは、全然考えないわけではなくて、それも十分考慮に入れて認定をされるものと思うのでございまするが、両々相まつて、これが特定の階層に負担が過重になり、犠牲を加重するということのなふようにやつて参りたいと思います。もちろん認可なり認定の相談の途中におきましては、それぞれ立場の相違もございすので、いろいろ資料の見方あるいは考え方について、事務的にはデイスカツシヨンをやりまして、お互いの調整に努めることがあると思いまするが、最終的な政府の決定におきましては、両者完全な同意の上において認可なりあるいは認可の取消しなりが行われるものと思います。
○内田(常)委員 中野さんのお話は、作文としてはよくできておりますけれども、必ずしも割切つておらない。つつ込みが足りないように思いますけれども、きようはこれ以上は追究しません。私は公正取引委員会のあることはいいが、だれも責任の負い手がなく、あたかも特別裁判所のような形であることは、どうしても日本の憲法あるいはそれにつながる機関のあり方として、私どもにはわかりませんが、これはだんだんまたお話を承ることにいたします。 最後にもう一点だけ解釈の問題を承りたいのであります。新しい改正法案の二十四条の三の二項には、カルテルの態様として、「生産数量、販売数量又は設備の制限に係る共同行為」というのがあり、また三項には、技術的に生産制限が不可能の場合には、価格協定も例外的にはできるということが書いてありますが、この販売協定のうちで、こういうことはこの条項ではどういうことでございましようか。つまり販売協定のやり方としていろいろありましようけれども、この共同協約をする各業者がそれぞれの申合せによつて、たとえば昨年の上半期の出荷数量以上のものは出荷しないという協定のやり方もありましようし、少数のメーカーがある場合には、それが普通でありましようが、今度はさらに一歩進んで、それぞれ自分では売らない。新しい共販会社をつくつて、すべて出荷や販売はその共販会社にのみ出荷し、販売する。そうして一般消費者に対する販売は、その共販会社のマークのついたものでなければ売らせない、こういうような完全な販売統制と申しますか、販売制限の方法をやる場合もあろうかと思います。昔銑鉄とか石炭なりについてかようなものがあつたように記憶いたしますが、しかもその一手販売機関たるや、各メーカーだけがその株式を保有するというような形をとる場合も想定するにかたくないと思いますが、そのような場合も、販売カルテルを容認する客観的条件とそのときの経済的情勢に合いさえすれば、言いかえますとこの二十四条の三の各条項に当てはまれば、販売制限の方法は問わない、あるいはその販売会社の株をメーカーが全部持つということがあつても、これは株式保有に関する第十条の制限にはかからない、こう解すべきでありましようか、これを伺いたい。
○中野政府委員 ただいまの御質問で御設例になつたような場合、つまり販売数量の制限を協定する場合に特定の共販会社に相なることがありますが、そこにしか売らぬというような行為は、何トンとか何梱というような具体的な販売数量の制限はございませんが、その共販会社にしか売らないという協定は、この二十四条の三の条件に当てはまりまする限り、そういう会社をつくるという協定行為は法律の適用除外になつておりますから、そういう会社を発起し、設立するということは、二十四条の三の条件に該当する限り今後適法である、やつてさしつかえなくなると考えております。かようにしてできましたその共販会社の販売態様において売先を不当に制限するとか、あるいは競争を実質的に制限するというような事態が起りますれば、この二十四条の三でなしに、他の不当なる取引制限その他の関係条項において制約を受ける、こういうことに相なると考えております。
○内田(常)委員 それでいいのでございましようか。共販会社をつくるということは、たとえば薄板なら薄板をつくる会社というものは日本に何社しかない、その何社が共同して共販会社をつくつて、それらの薄板メーカーは共販会社にのみ卸す、一般の消費者にはその共販会社からしか売らないということになるのですから、共販会社をつくることはいいが、でき上つた共販会社が一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合にはたらないというのはちよつとおかしいので、日本の薄板メーカーの何社かが共販会社をつくつてしまえば、それは実質的に一定の取引分野における競争を制限することとなりますので、ほかに薄板というものを売ろうにも、ほかに行つて買おうにもできない、たまたま大阪のメーカーだけが一つの共販会社をつくり、東京のメーカーだけが共販会社をつくれば、大阪と東京と共販全社を一つずつつくつてどつちから買つてもいいという場合がありましようが、東京のメーカーも大阪のメーカーも九州のメーカーも北海道のメーカーも薄板をつくる会社は一つしかない、それが一つの共販会社をつくつた場合にこれはまつたく完全に販売の規制ができるわけです。それが悪いというわけではないので、ここで販売数量なりあるいは販売方法なりを共同行為ができるという以上は、必ずそういうものができます。できた現象は、しばらく前にあつたトンネル会社式のものがたくさんできるので、われわれも国会議員を落選したらひとつトンネル会社の監査役にしてもらうとか重役にしてもらうとかいうことができて、個人的にはいいわけですが、そういう点をどう想定されておるか、これは今でなくてもけつこうです。何べんも質問する機会があると思いますので、次の機会でいいと思いますが、それまでに十分想定して実際に即したように御答弁願いたいと思います。
○成田委員 今自由党の内田さんの方から公正取引委員会が内閣から独立したような権限を持つているのは少し行き過ぎじやないか、おかしいというので、通産省の局長に誘導尋問をおやりになつたような感じを私受けたのですが、通産省の局長さんから現行の制度でうまくやつて行けるという御答弁がありましたときに、内田さんは、どうも割り切つていないといつておしかりをなさつていらつしやつたようでありますが、私はむしろ逆に、今の公正取引委員会というものは弱過ぎるのじやないかという感じを受けています。と申しますのは、先ほど内田さんの御質問にありましたが、綿紡の操短の問題です。これは内田さんも最初お考えになりましたように、第四条の共同行為の問題に該当するのじやないか、こういう御質問に対して公正取引委員会の方では、これは政府の方から原綿の割当制限の勧告をやつたのだ、そのために業者としてはやむを得ず操短をやつたのだから第四条に該当しない、こういうような御答弁があつた。しかしながら実際政府が原綿の割当制限をやりましたために起きた経済界の実情はどうかといつたら、関連産業に非常に大きい影響を与えて、原料高の製品安ということで、メリヤス業者あるいは機屋が塗炭の苦しみに陥つておる事情は御承知の通りだと思います。逆に操短をやつた紡績会社というものは非常な利益を得ておる。しかも今まで紡績というものは海外輸出をやつておつた。ところが国内で原料が高いものですから、輸出もやらないで国内だけで利潤を獲得しておる、こういう非常な悪影響が昨年三月にやられた操短勧告によつてできておるわけです。ここに私は独占禁止の根本問題があると思う。これに対して公正取引委員会が強い態度をおとりになつていなかつた、これでは私は公正取引委員会の存在理由をむしろ疑わざるを得ない。この改正案を見ても、第八条の四のところの「不公正な取引方法に該当する行為をするように事業者を誘引し、又は強制すること。」をやつた場合に事業者団体は罰を受ける。事業者団体がこういうことをやるといろいろ罰則を受けるのでありますが、国家機関である通産省が事実上第四条に真正面から該当するような勧告をやつている、これに対して公正取引委員会は何らの発言ができないというのは、私はむしろ公正取引委員会の権限が弱いのではないか、また熱意が足りないのじやないかという感じを抱いております。もし政府がそういう原綿の割当の操作をしたから、やむを得ず第四条の該当事項をやつたのだ、だから責任がないのだ、こういう御解釈をとりましたならば、国家権力と結びつく事業者というものは何でもできるので、むしろ政府がこういう独禁法違反の教唆をやつたといいますか、幇助行為をやつた、こういうふうにさえとれるのですが、第八条の事項からいつても政府がそういうことをやることに対して公正取引委員会は政府に対して厳重な抗議を申し込む、また政府がやつたにしても、第四条の法律解釈は正面から当ると思うのです。綿紡の操短行為になぜ独禁法を適用なさらなかつたか、これを承りたい。
○横田政府委員 先ほど綿紡の問題につきまして公正取引委員会がこれを正式の審判事件として取上げずに、単に通産省に対していろいろの申入れをするにとどまつたということの理由は申し上げたのでございますが、要するにいわゆる正確なる統制的な権限に基いたものではございませんが、しかしその勧告の裏づけといたしまして、非常に強力な原綿割当の権限を持ちまして事業者に臨んでおる場合に、しかもこれは事業者が協定をしろというのではなしに、個々の事業者に対してその実を守れということを命じております場合、その場合に事業者の間に協定があるということは非常に無理があると考えて事件にはいたさなかつたのでございますが、御説の通り非常におもしろくない事態がときが進むと同時に発生いたしましたので、その都度通産省の方には私どもの考え方を申し上げて来ておるわけであります。それを無視されて、なお黙つておるのはどういうことかということでございますが、相手は政府機関でございまして、事業者団体法の教唆あるいは幇助というようなことで簡単にこの法律を適用することはできませんので、われわれといたしましては、でき得る限りのことをして通産省の方に考え直していただくというようにやつたわけでございます。幸いに最近綿紡の操短問題につきましても、通産省ではいろいろくふうをこらされまして、また事態も大分かわつて参りましたためか、前のような勧告による操短ということを大体とりやめられる方針のように承つております。 なお公取の権限をそういう場合にもつと強くするというような考え方は、ちようどただいま内田さんが申されたのと全然正反対な答えになるわけでございますが、われわれといたしましては、大体現行法のこの程度のところがちようどよろしいのではないかというふうに考えております。なお国その他の公の機関が、事案としていろいろ企業をやりますことにつきましても、実は今まではわれわれといたしまして、この法律が私的独占の禁止というので、一般の私人が企業をいたします場合の規定として考えておりましたが、そういう公が営みます企業につきましても、この独占禁止法の適用があつてもいいのじやないかという点については、なお十分に研究をいたしまして、今後そういう問題に対して適当な措置を考えたいと考えております。
○成田委員 私も、国家は私的法人ではないのですから、教唆だとか幇助という問題はもちろん法律の表面解釈として起きないと思いますが、しかし実際問題として綿紡の操短事情を見ましても、大業者というものはどうしても政府機関とつながりがあるのです。だからどうしても国家権力と結びやすい。そうすると事実上法律的にも押えることができない。国家権力と結びまして、大事業者が幾らでもすきかつてなことがやれる。そのために関連産業なり消費者が非常な迷惑をこうむる、こういうおそれがあるということを私は申し上げたのであります。 それから今度の綿紡の操短の場合は、通産省が原綿の割当を個々の会社にやつて、個々の会社に対して操短を要求したので、いわゆる共同行為—業者の間の話合いがあつたとは解釈できないということですが、事実なかつたのでございましようか。それとも通産省から個々に勧告したのだから、個個の勧告という点を考えると、共同行為ということはあつたと解釈するのですか、どちらでしようか。
○横田政府委員 結局行われております操短は、事業者の共同の行為に基いたものではないというふうに認定をいたしたわけでございます。
○成田委員 先ほど国または公共団体が、事業者としての経済行為をやつた場合には、今までの法律が、名前は私的独占となつておつても、これについて適用をお考えになつておるというお話ですが、何か条文上の根拠がおありなんでしようか。
○横田政府委員 この点は実は条文上はそういうものを取除くという規定はないわけでございまして、御承知のように、たとえば国有鉄道のような公の機関が、いろいろ人に迷惑をかける場合に、これはやはり商法上の一つの事業者として損害賠償の責任もございまするし、もちろん裁判の被告になつて、賠償の責任を負う、こういう形になるわけでございます。この独占禁止法の制定当時はたしてそういう公の企業をこの中に含めるかどうかということについては、当時の解釈の書類などを見ましても、ある者は適用があるといい、ある者は適用が全然ないといい、そこは解釈上の疑義が非常にあつたように考えておりますが、今回法律を改正いたしました際にも、実はその点が出まして、第二条の事業者の定義の中の「事業を営む者」というのを、今度は「事業を行う者」というふうに改めました。これは単に営業いわゆる営利を目的としないものであつても、事業者であり得るということをはつきりいたしたわけでございまして、現行法の規定で申しますと、「事業を営む者」という解釈の点からいたしまして、公の機関のいたしまする事業はこれに入らないという解釈があるいは有力に出て来ておつたかと思うのでありますが、今回これを「事業を行う者」ということに改めまして、営利を目的としない、私企業はもちろん、あるいは場合によりましては、ただいま申しましたような、公の機関が事業として行つております、たとえば国有鉄道がバス営業などをいたしまして、普通の私営のバスとの間にいろいろ競争をいたし、その間におもしろくないような方法を用いる場合に、やはり独占禁止法が働いてもいいのではないかというふうに考えます。そういうこともあわせて含みを持たせまして、「事業を行う者」というふうに改正いたしたのでございます。
○内田(常)委員 成田さんの御発言に関連して、ちよつと私の意見を述べさせていただきたいと思います。 私は通産省を誘導尋問して、公正取引委員会の権限を弱からしめるのではない。これは成田君も御存じのように、ちやんと憲法に書いてあるんですが、憲法六十五条に、「行政権は、内閣に属する。」と書いてある。しかして憲法七十六条には「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」とあり、しかも「特別裁判所は、これを設置することができない。」と書いてあるから、憲法違反を政府、国家がやらない限り、公正取引委員会というものは特別裁判所でないということは明らかなんであります。現にその証拠としてこの独場禁止法の第二十七条に「公正取引委員会は内閣総理大臣の所轄に属する。」ということが書いてある。ところが残念ながら二十八条には、「公正取引委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。」と書いてあるものだから、内閣の所轄に属さない。もちろん閣議にも出てない。通産省ないし農林省と公正取引委員会の意見が対決し、決裂しても、おれの知らぬことだと、公正取引委員会は言つている。今度の改正案で、二十四条のカルテル規定においても、さつき中野局長が名答弁したように、両者の権限調整はうまくできておるということである。しからば公取委員会が認定して、しかる後に主務大臣が認可する。それでも状況が悪い場合には、主務大臣はカルテル行為の内容の変更を命じたり、取消しを命ずることができるし、だれでも苦情があれば、カルテルの認可の取消しなり変更を公正取引委員会に申し立てることができる。一定の期間たてば、その効力を失うということがうまく書いてあるけれども、実際はあなたが指摘するように、今度肥料、綿紡、化繊の問題でも、公取が認定しないものを通産省が認可はできません。けれども行政指導とか勧告でやる場合には、ほかの業種にも今後出るかもしれない。その場合に通産省と公取委というものは全然離れたもので、一方は独立してその職権を行うものであつて、内閣とつながつておらぬものだから、話合いができないというような不名誉な問題がいつも起るのではないかというような気がする。私は一体カルテルはきらいではない。日本経済は底が浅いので、一つの事業分野において不況なり需給の不均衡を生ずると、それがただちに他の分野にも波及して、日本の経済運営、国民生活を全面的に麻痺せしめるという事態が起る。ことに日本においては大企業も中小企業も緊密に連絡し合つて、生産者は同時に消費者であり、消費者は同時に生産者であるというふうな関係において、一つの分野が倒れるということを見捨てるわけには行かぬ。私は今度の改正案はまことにいい考えであり、そのこと自体は賛成するんですけれども、さきの権限調整等の問題については割り切れないものがあるということは、これは私の個人的な意見で一党を代表しての意見ではありませんが、独禁法を改正するならば、少くとも独禁法の二十八条というものは削除することが絶対必要だ。次の機会にはこの法律案を出そうというぐらいに考えておりますけれども、そのことを申しておるのであります。これに対してきようは公正取引委員会と通産省の答えで明確ではありませんから、内閣総理大臣と法制局長官がどういうお答えをするか、伺つておきたいということであります。
○秋田委員 ただいま内田君並びに成田君から綿紡の操短に関する問題からいろいろやりとりもあつたのですが、ちよつとそれに関連して公取委員長の御意見を伺つておきたいと思います。この綿紡の場合、通産省のおとりになつた措置、これは公的のものであります。これが—私的独占禁止に関する法律が今問題だが、公取委員長の先ほどのお答えは、実質的にはこの法の精神から見て遺憾だ、しかし公的の面からいつてどうも取扱いにくいというような結論も出せる、そういう観点からやむを得ずこれを許しておる、見逃した、しかしいろいろ申込議強くしてもいい、こういうことにとどまつたということになつたのですが、この問題はまた将来起きないとは限らない。ただいま企業局長のお答えでは、認可権あるいは認定の問題等に関して、主務官庁側と公取委員会との間の調整をはかつてこの改正法案ができておるというような御見解の表明がありましたが、御苦心のあともうかがわれはしますけれども、また深く考えてみると、主務官庁の認可とそれから公取の認定、この意見が食い違つたならば、これはどうなる。成田君の御意見では公取委員会というものはもつと強くならなければいかぬというようなこともありましたが、この法律の規定から見ると、ただいま内田君が指摘したように、独立の権限を持つておられる、これは相当強いものです。その気になると非常に強い力を発揮する。そうするとこの改正法律案によつて二頭のへびになつて動きがとれないという場合も十分予想される、そういうふうになつた場合に、将来行政措置でもつてカルテルと同じ内容の効果を上げるような措置がとられないとはぼくは保証できない。そのときにまた綿紡と同じような結果になつて、これは公取委員会としてはどうにもできないというようなことが起きて来はしないかということが想像される。そこでそういうことが起きる場合は、政治が悪いのだと思うのですが、そうばかりも言つておられないから、行政官庁の行政措置によつて共同行為と同じような効果を発生させるような事態を生じた場合には、これはこの法律を適用するとか何とか、公取委員会の活動が許されるような規定を新しく設けることがこの私的独占禁止法の趣旨からいつていけないかどうか、また官庁の憲法上の建前からいつていけないかどうか。私は今関連して即座にここに疑問を起し、そういう意見を求めているわけで、私としては十分見解ができておりませんが、これらに関しまして横田さんの御意見を伺いたい。
○横田政府委員 ただいまの御質疑でございますが、現行法でも先ほどちよつと申しましたように、たとい行政官庁の勧告に基きましても、その勧告が法律上の正当な権限に基かない場合につきまして、たとえば事業者が共同行為をしたという事実上の認定があります場合には独占禁止法の適用の余地がございますので、そういう場合は今おつしやるような問題でなく、むしろ行政官庁の勧告に基いて、事実的には独占禁止法のいろいろな規定に触れないようなものでも、独占禁止法の精神に照しておもしろくないものに対しては公正取引委員会が何らかの法措置がとれるという、そこまで踏み込んだ制度としてはどうだろうというような御質疑でございますが、しかし事がそこまで参りますと、結局公正取引委員会はいろいろな行政庁に対して、もう一つ一段上の国家機関というようなところまで行きませんと、そういうことにはならぬわけだと思います。そこまでこの委員会の権限を広めることにつきましては、先ほど申しましたように非常に行き過ぎたような面も考えられますので、委員会の性格といたしましては現行の程度で満足ではないか、そういうふうに私は考えております。
○成田委員 午前中から午後に引続いての東亜合成のものについて何か資料を持つておいでになつたそうですから、ひとつ承つておきたい。内田さんの御意見を拝聴しておりまして、日本の経済は非常に浅いのだから私的独占が必要だというような御意見がありましたが、私は逆なので、経済が浅いから私的独占では問題の解決はつかない、問題を大きく残すだけなので、計画経済の立場からこういう問題は解決しなければならぬと思いますが、委員同士でやりとりをやつてもしかたありませんから、ひとつ今朝お願いした東亜合成と三菱化成の買占めの実情を御報告願いたい。
○古内政府委員 ただいま係が参りましたので、相当課長から説明いたさせます。なお事業内容に多少関係いたしますので、もし許されればこちらの説明だけ速記をとめていただきたいと思います。
○遠藤委員長 公取経済部企業課長、竹中喜満太君。ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○遠藤委員長 速記を始めてください。
○成田委員 局長の方から責任者を呼んで事情を聴取するというお話がございましたが、今の四十八万株と言われましたのは、東京関係だけでございますか。
○竹中説明員 東京だけです。
○成田委員 名古屋の方は入つておりませんね。
○竹中説明員 東京だけです。しかも今度の東亜合成の株の主要な買手といわれておる証券会社について、昨年十二月から先月の二十七日までに四十八万九千二百株という数字が出ておるわけでありますが、全部で大体二十八名おりますので、この百株、二百株の買手というのは、そこらの人であると思います。ですから実際は四十一万四千七百株を買つたものが、はたして三菱化成のものであるかどうかということが問題になると思います。
○成田委員 うわさとしてお聞きになつたと言われましたが、三菱化成の社長が東亜合成の社長を呼んで百七十万株買つた。これは大体うわさとしても当つているうわさらしいのです。今お調べのところでは、四十八万株ということで、非常に小さい数字が出ておりますが、名古屋関係がまだお調べになつていないらしい、十分ひとつ御調査願いたいと思います。午前中に四日市の燃料廠関係について局長のお話がございましたが、これは大体独禁法十条違反の疑い濃厚な事実があると思います。十分御調査願いたいと思います。
○遠藤委員長 他に質疑はありませんか。本日の質疑はこの程度にとどめます。次会は明六日午前十時より開会することにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十五分散会