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15回国会衆議院1953/02/05

経済安定委員会 第11号

発言数
38
登壇者
6
会派数
1
開催日
1953/02/05

会議録

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長 これより会議を開きます。  それでは日本経済の基本的政策に関する件の調査を進めます。まず小笠原国務大臣よりその説明を聴取したいと存じます。小笠原三九郎君。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 この日本経済をめぐる世界経済最近の情勢と、また日本の経済情勢等につきましては、先般本会議においてこれを申し述べ、さらにそういう情勢下におきまして、日本が今後いかなる政策をとるべきかということについて概略これを申し述べたのであります。従いましてこれに対する重複のことをここで申し上げることを避けまして、予算総会でちよつと話をいたしております昭和二十八年度に対する予想といつたようなものの数字について、事務的にちよつと御説明申し上げておきたいと存じます。  二十八年度経済の見通しにつきましては、お手元にそれぞれ資料を配付申し上げることにいたしましたから、これにて御了承をお願いいたします。大体におきましてだんだんと日本経済も好調に進んで参つておりますが、しかし本年は貿易その他の関係が、世界的情勢を受けまして相当まだ苦難な時期でもありますので、何かとこれに伴う対策を必要とし、目下政府もこれに対する万全の措置を講じておる次第でございます。さきの経済演説並びに本日差上げました資料等につきまして、御質疑等がございますればこれに対してお答え申し上げたいと存じます。

前田正男自由党

○前田(正)委員 この際大臣の経済演説及びその他の御説明に対して御質問申し上げたいと存じますが、昨年の開会のときに経済演説がなかつたことに対しまして非常に遺憾の意を表しましたところ、今回は開会にあたりまして経済演説をしていただいたということに対しては、私といたしましては喜びにたえないと考えておる次第であります。そこでこの経済演説に対しまして、まず話を進めて行きたいと思うのでございますが、過日の経済演説は、現在問題の起つておる点について、なるほど詳細な御説明があつたと思いますが、ここで特に聞きたいと思うことは、二十八年度の日本の動きというものは、相当防衛方面において変化を見ておると思うのでございます。特に保安庁の予算におきましても増額を見ておりますし、あるいはまた特需その他の点においても相当の変化を見て来ると思うのでありますが、これはまだ明瞭でありませんけれども、保安庁の予算の中の一部には燃料を備蓄するというようなことが考えられてあるというふうにわれわれは聞いておるのであります。そこで日本全体の経済というものは、この二十八年度を通じまして、日本の防衛態勢というか自衛態勢というものを整えて行くという政府の方針でありますならば、二十八年度を基幹といたしまして、経済方面においても自衛できるところの経済態勢というものに方針をかえて行く必要があるのではないか、そのことはすなわちドル地域からの資源をポンド地域から輸入いたしますとか、あるいは日本の経済の中におけるところの生産の状況の総合的な判断をして、育成すべきものを育成するとか、あるいはまたただ単に保安庁の備蓄のみならず、経済政策といたしましても日本経済のある程度の備蓄というものを持つべきではないか、こういう根本的な問題があると思うのであります。二十八年度において大臣といたされましては、経済審議庁というものは長期計画を立てるのが一番大きな任務でありますが、そういうことに対しまして、どうお考えになつておられるか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 前田さんの御指摘の点はきわめて重要な問題であると存じますが、自衛力の問題につきましては、しばしば総理及び保安庁長官から御説明しておる通り、また大蔵大臣から申しております通り、あの予算の範囲内で私どもは実は一応の見通しを立ててやつておるのでございまして、これが将来、条約では自衛力漸増ということになつておりますが、この漸増方針がまだ明らかにされておりませんので、一応現在の状況に基いて経済審議庁は案を立てておる次第であります。従いまして経済審議庁の産業政策あるいは経済政策というものは、まず今お話になつたようないろいろな点もございます。たとえばドル地域から資源をとつているものを、あるいはポンド地域から、あるいはその他の部面へ振り向ける、あるいは東南アジアの開発等についていろいろ努力することはいたしておりますが、実はお話の長期計画というものは、率直に申しましてなかなか立てにくい国際情勢でもございまするので、従つてただいまのところ審議庁ではせつかく努力いたしており、またさきに経済審議会の委員を御委嘱いたしまして、各方面の権威者にそれぞれそういつた方面から御検討願つているのでありますが、まだ結論に達する時期に参つておりません。これは各方面の権威者を網羅しておりまするから、各方面の意見をよく総合いたしまして、できるだけ早く長期計画の一応の見通しでも立てたいと思つている次第でありますが、ただここであわせて申し上げておきまするのは、先ごろ昭和三十二年には一応こうなるといつたような事務的なことがたまたま新聞に漏れて出ましたので、その事柄が何か経済審議庁で五箇年計画について意見を持つているじやないか、これはこのごろもよく申しました通り、世界銀行に対して電源開発等の各種の資金の貸出し方を申し出る際にも、日本として一応現在の状況でいろいろなことを前提に置いて、そういつた点で日本がやるとすれば、どういうようになつているかという見通しだけの、ほんの事務的のことを出しただけで、実は長期計画はまだ立つておらぬ次第であります。その辺御了承願いたいと存じます。

前田正男自由党

○前田(正)委員 今のお話の三十二年の経済表は、ここに手元に第一試案をいただいているわけでありますが、これを見ましても、根本方針である自衛力漸増ということに対しては、どういうふうな経済関係を持つておられるのかということについて、どうも私たちとしてはわからないのでありますが、今のお話によりますと、根本方針は自衛力漸増で行くのだけれども、それに対する経済問題については、まだ方針というものはきめておられないというように伺うのでありますが、私といたしましては、防衛力というものは、これは毎年々々予算を組みまして、また国会の承認を得てやつて行くわけでありまして、これは逐次漸増ということは割に簡単に、また国会の方針さえきまればそれに従つて国の方針というものは決定されつつあるわけでありますけれども、防衛経済ということになつて参りますと、これは行政的な部面が非常に多いのであります。行政的な外貨の割当、あるいは予算の運用であるとか、いろいろ行政部面が非常に多いと思うのでありますが、またそれに伴う民間の経済界の協力というような問題も非常に多いと思うのでありますけれども、しかしこの防衛経済というものは、一朝にしては成らないのでありまして、経済力を防衛に切りかえるということになると、これは非常に周密な計画のもとに、また相当各方面の協力を得てやりましても、なかなか十分にできないというのが実情ではないかと私は思うのであります。従いまして少くも政府の方針といたしまして、自衛力漸増というものを現わし、具体的には防衛力におきましては漸増の予算を国会に提出して来る、こういうような段階になりまして、またフリゲート艦ももらうとかあるいは航空機も持つとか、こういうように一方の防衛力の方は具体的な方向を逐次示しておるのでありますが、経済政策においてはどういうふうに具体的に防衛経済というものを示して行かれようとしておられるのか、それが私にはわからないのであります。そこで政府といたされましては、今後防衛力漸増に伴う、政府の根本の方針に伴うところの防衛的な経済というものについて研究を進められる態勢が整つておられるのか、あるいはそういうことを第一に研究して行こうと考えておられるのかどうか、あるいはまた現在すでに政府の方針の中にそういうものが現われておるのか、この辺を明らかに御説明を願いたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 あるいは私の言葉が足らなかつたかとも思いますが、私どもは自衛力漸増ということを方針としておるというわけではございませんので、自衛力漸増ということがいわれておりまするけれども、しかしただいまのところでは予算に盛られておるあの限度で経済政策を立てておる、こういう意味を実は申し上げた次第でございます。従いまして、ただいまのところ防衛経済といつたようなものも特に立てておりません。ただいま俗にいう特需その他のものは、これは前田さんもよく御承知のように九割九分までがいわゆる駐留軍の注文なんでありまして、これに対する措置については今般武器等製造法案出しまして、いろいろ御審議をお願いしておる次第でございますけれども、今日本が防衛経済について考えるとか、あるいは経済力のそれに伴う切りかえをするとか、さようなことについてはまだ実は何ら審議に上つておらぬ次第でございます。ただ私が自衛力漸増という言葉を申し上げましたのは、自衛力漸増ということが条約にきめられてあるということを申したのでありまして、その自衛力漸増について経済政策を立てておるという意味は――もしそういうふうに聞えたら非常に誤解であるのでありまして、その意味は毛頭申しておらぬのでありますから、その辺をひとつ御了承願いたいと存じます。

前田正男自由党

○前田(正)委員 それでは今の大臣のお考えは了承できましたが、現在のところはそういう段階のようでありますが、政府といたされては、長期計画を立案する経済審議庁の責任から、防衛的な経済というものを考慮した長期計画の研究をされる意思があるかないか、それについて御答弁を願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 これはそういつた場合を予想しまして研究することは必要かとも思いまするが、ただいまのところはまださほどに私どもの方ではその必要を感じておりませんので、そういうことについての調査はまだ進めておりません。現在のところ、前田さんも御承知の通り貿易その他が非常に悪いので、こういつた根本の問題について今私どもは日本の貿易をどうしようか、あるいはどういうふうにして貿易外の収入勘定をふやそうか、また貿易増進のためには国内資源の開発をどうやつて行こうか、あるいは経済規模はどうやつて拡大して行こうか、あるいは国民生活をどういうふうにして向上させて行くか、こういつたこと等に実は調査の全力を注いでおる次第でございまして、まだ将来起ることあるべき、あるいは起るかもしれぬと見られる防衛経済関係につきましては、ただいまのところ経済審議庁としてまだそう調査を進めておる次第ではございません。

前田正男自由党

○前田(正)委員 経済審議庁の一番の責任として、長期計画ということがあるのでありまして、長期計画の中には、自衛力というものを現在すでに政府がつくりつつあるわけでありますから、当然その方面から見て、従来占領下に行われましたところの経済政策、いわゆる無防備時代の経済政策というものと、ある程度自衛力を持つて行こうという場合の経済政策というものは、各方面において相当食い違いがあるし、また是正しなければならぬところがあると思います。総理大臣も占領下におりますところの政策をこの際修正するということを明瞭に本会議で述べておられるのでありまして、私はこの機会にひとつ経済政策におけるところの各方面にわたる占領下における政策を修正していただきまして、さらにそれに加えて自衛力の立場から見た長期計画というものを審議庁で大きくお立て願いたいと思うのであります。  しかしながら、その問題はこのくらいにいたしまして、現在審議庁がおやりになつておられますところの当面の経済政策につきまして、いろいろと本会議でお述べ願つたのでありますが、そのことについて御質問をさせていただきたいと思います。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長 前田君にちよつと申し上げます。政府委員から補足説明を聞いてからその問題に入つて下さい。  引続いて政府委員より補足説明を聴取したいと思います。岩武政府委員。

岩武照彦総理府事務官(経済審議庁調整部長)

○岩武政府委員 お手元にお配りしてあります「昭和二十七、八年度の経済の見透し」と申しますものにつきまして御説明申し上げたいと思います。これは御承知のようにいわゆる見通し、観測でございまして、毎年定期的に行つておりますが、在来と違いまして計画あるいは統制といつた形のものが行われませんので、もつぱら経済界の動き並びに経済施策の方向等を勘案しまして、一応の観測をいたしたわけであります。  最初に産業活動指数でございますが、これは前の当委員会において御質問がございましたが、その下の鉱工業生産指数との関連は、この鉱工業の生産指数に公益事業でありまする電気とガスの両者を加えましたものが上の指数でございます。昨年は石炭、電気等のストライキもございましたが、生産指数におきましては前年度対比五・八%になつております。活動指数の方も七・二というふうに上昇を示しております。これが明年度いかが相なるかということでありますが、いろいろな情勢を観察しておりますと、電力の方も、平水でありますれば昨年よりも二%程度出力もふえるようであります。また石炭もストの傷をいやしまして、大体五千万トン前後の出炭もできるという状況であります。こういうふうな動力源の拡充を考えて参りますと、鉱工業の方も相当伸びるのでございますが、ただ御承知のように、内外の有効需要の停滞ぎみ等もございますので、あまり芳ばしき増加は見られないかと考えております。一応の見通しとしましては、たとえば鉄でありますれば大体昨年程度のことに相なるか。但し銑鉄等は鉄鋼業の特殊性もございまして、若干ふえております。繊維関係も化繊ではふえますが、綿等はそう芳ばしく伸びない。かえつて財政投資の増加等に伴いましてセメント等の増加が見込まれておるわけでございます。  それから農林水産業の方でございますが、昨年は御承知のように米の相当な増収もございましたし、また麦は実にレコード的な増産でございましたが、明年度はあまり麦の方は増加が見込みにくいのではないか。むしろ若干減少ぎみではないかというふうに見られております。米の方は一応平年作程度と考えて見ております。このほかに工業作物でありますタバコでありますとかあるいは養蚕等の増加は、相当目ざましいものがあるのであります。また林業におきましても現在の伐採制限がございまするが、何せいろいろな建築用材との関係で需要がふえておりますので、これは若干増加して参るだろうというふうに見ております。従いまして二十七年度に比べまして約一・一%程度の増加にとどまるのではないか、こういうふうに考えております。  それからその次の輸出入の関係でございまするが、この輸出の問題は非常に見通しがむずかしくなつておりまして、御案内のようにポンド地域の全面的な輸入制限という問題もございまするし、またオープン・アカウント地域におきまして、いろいろな通貨上の阻害等の関係で、なかなか思うように輸出が伸びて参らないという状況もございます。特に二十八年度といたしましては、十億四千八百万ドルないし十二億三千万ドル、二段にわけて書いてありますが、この下の方の数字は現在程度の輸出ということに相なりますると、この程度しか行かぬではないだろうか、つまり今年度よりも若干減少して参るのじやないかというようなことでございます。ただこれは輸出価格の大分値下りもございますので、物量で申しますと、その金額に現われまするほどの減退ではないのではないかと考えております。具体的に申しますると、綿布等は二十七年度大略七億五、六千万ヤールの輸出を考えておりますが、まあそれに近いものは、大体現状から判断しまして行けるだろう。これもポンド地域の輸入制限が解除されますれば、もう少し一億ヤールあるいは二億ヤールぐらいふえるのではないだろうかと考えております。現状ではそのきざしが十分認められません。また伸びて参りました鉄鋼等も、昨年は第二次製品も含めまして百二十万トンを越えておりますが、これは明年度はいろいろ国際的な鉄鋼過剰ぎみもございまするので、現状のままではおそらくは八十万トンに達するのもやや困難ではないかと考えておりますが、なお通商問題につきましては、ポンド地域の問題、あるいは東南アジアの全面的な通商航海条約の再開等の関係を期待できますれば、十二億程度のものはできるのではないかと見ております。またそうしなければ、いろいろな関係、ことに通貨バランス等の関係で困難な事態に相なるのではないかと存じております。  輸入の方でございまするが、これもここに二つの数字をあげておりますが、これも明年度の見通しといたしましては、いろいろ輸入価格の低下もございまするし、また生産能率にいたしましても、逆に若干輸入量の増加の必要もございまするが、御案内のように主食でありまする米なんかは、予算上も今年の政府買上げ米の増加を見込みまして、ある程度の輸入数量の減を予定されておりまするし、またその他のものにおきましても、国内の需要の関係から、あるいは若干減退するものがあるかと考えておりますが、低く見まして大体十七億一千二百万ドル程度、さらにこれがポンド地域等の輸出促進等の関係から買い進み等がございますれば、十八億五千五百万ドル程度まで相なるであろうかというふうに推定いたしております。量的には、輸出も輸入も、大体下の方の小さい方の数字で申しましても、あまり二十七年度との減は大きくないようでございます。つまりそれぞれの価格が今年度に比べまして約一割近いものが下つておりますし、比較的高目の主食等は逆に輸入数量を減らせるという状況でございますので、この輸出入の金額だけから国民経済の規模が縮小して参るということは、ただちには言えないと存じております。  次に国際収支でありますが、これも一応の見通しでありまして、本年度は当初相当額の黒字を見込んでおりましたが、御案内のように、国際通貨基金の加入のための一時的な五千万ドル程度の出資、あるいはポンド債、それから米国債等の合計八千万ドル程度というような巨額な資本取引がございましたので、ここにありますような約二百万ドルという赤字が見込まれるような情勢でございます。明年度には、そういうふうな資本取引は現在のところは一応予定されませんので、従いましてここにありますような若干の黒字が見込み得るかと存じております。この貿易並びに貿易外の問題は、いずれも見通しでございまして、ことに貿易外の受取りのドルの面の大きな収入であります駐留軍に関連する収入も、この見通しでは八億ドル弱、正確に申しますと、七億八千万ドル見当でありますが、見込んでおります。これは例のどんぶり勘定と申しまする方法で分担金勘定に関します一億五千万ドル何がし、それから朝鮮特需を中心にします特需でございますが、これも三億四、五千万ドル程度の受取りが見込み得るのではないかというふうに見ております。それからそのほかに駐留軍消費と申します個人的な消費が、約二億七、八千万ドル程度期待できますので、その面から合計七億七、八千万ドルというドルの収入が受取りに見込まれる、こういうふうに見ております。ただこの場合問題になりますのは、ドルの方はそういうふうな一時的な収入で相当な受取り勘定になりますが、ポンドの方が格段の輸出振興措置を講じませんと、相当手持ちポンドが減少して参りますというふうな結果に相なりまして、何としましてもポンド地域に対する輸出振興は、抜本的な措置を講じませんと、年度末に至りますと、相当手持ちポンドの減少を来して参るのじやないかというふうに憂慮されております。  それから次の一般会計予算でございますが、これは御案内の通りでありますから、省略いたします。  その次の産業設備資金でございますが、これはいろいろな企業におきます社内資金の関係、あるいは財政投資その他の外部資金等をいろいろ勘案いたしまして、一応本年度はここにありますような四千六百六十二億、明年度は若干増加いたしまして、四千九百六十二億円見当を推定いたしております。これも一般的に産業資金の需要は、運転資金の面におきまして、生産の伸び等に相応いたしまして、ある程度の増加ということに相なるかと存じておりますが、なかなか最近のような滞貨の累増ぎみ、あるいは採算ベースの低下等に伴いまして、金融面の貸出し等もそう大幅に増加して参るというわけには参らぬだろうというふうに考えております。若干の増加は運転資金では見られるだろう。それから設備資金の方におきましては、最近は一応の合理化あるいは拡充設備等の山を越したという感じもございまして、やや資金需要の増加が鈍つておりますほかに、逆に財政投資を中心といたしましたいろいろな電源でありますとか、あるいは農林漁業関係の資金等も見られますので、その面からむしろ財政資金の方が増加して参るというふうに考えております。その面におきましては、総額におきましてはある程度の増加を見ることに相なるであろう、こういうふうに考えております。  その次は物価の問題であります。物価の問題は実にむずかしい問題で、いつも頭を悩ましておりますが、一応見通しとしましては、生産財の方は一般的な滞貨の増加ぎみ、並びに有効需要の減退ぎみ等を反映いたしまして、横ばいじやないか、むしろ弱含みの横ばいじやないかというふうに考えております。ただ財政資金の関係等から一部の生産財需要はあるいは増加いたしまするので、木材とかセメントとかいうものにつきましては、供給の関係等もございまして、ある程度強含みに相なるかというふうに存じております。  それから消費者価格のことでございます。これは改訂されましたCPIを使つておりまするが、御案内のように、昨年におきまして消費者米価の引上げあるいは地代、家賃の引上げ並びに運賃それから諸料金等の引上げが年度の後半におきまして実現いたしましたので、若干上つて参りまするが、この傾向を明年度横ばいといたしましても、全年を通じまするとやはり二%程度の値上げに相なるのではないかというふうに考えております。その他の公認価格のありませんものはあまり騰貴して参るとは考えられないかと存じております。それは一般的には消費者の手元が楽になりまするが、いろいろ統計資料等から見ますと、やはり相当部分が貯蓄にまわつているようであります。それからもう一つは繊維でありますとかあるいは雑貨等の消費財に限られると思いまするが、これも御承知のようにもう滞貨を擁しておる産業もございますので、むしろそういう滞貨を吐かすという形で、直接物価を上げるというふうには働かないかと存じております。従つて生産財、消費財ともに基本的には横ばいで、それに若干の品物において騰貴が見られるかというふうに考えております。  それから国民所得であります。これはお手元に別途詳細な資料をお配りしてあると思いますが、この方も全般的に結論だけ申し上げますると、二十七年度に比べまして五・四%の増加の五兆六千七百四十億というふうに見られまするが、この内訳を見ますと、やはり勤労所得の増加が一番大きいのでございます。これは昨年中におきまする賃金ベースの高騰並びに公務員給与の引上げ等もございましたので、かりに三月末現在の形のものがそのままに横にすべるといたしましても、年間を通ずれば相当量の増加になると見られるのであります。この勤労所得の増加は一番大きいと考えております。  その次には個人業主所得というところでございますが、これも生産の増加、なかんずく個人業主所得の一番大きいものでありまする消費財の需要増加、それから若干の消費財の季節的な値上りといつたものがあるかと存じますので、それを考えますと、この個人業主所得も少し増加して参ると存じております。  法人所得の方は、これはあまり増加は期待できない。むしろ生産量の増加に見合う程度しか増加は期待できないかと考えております。いずれもこの企業関係におきましては、収益率は格別好転されるという見通しはないかと存じております。  それから人口でございますが、これはここにありますような統計局の調べによりますと、前年度対比一・三%程度の増加が大体見込み得るようでございますが、このうちの相当な部分が生産年齢人口の増加というふうに相なります。  その次に雇用者の問題でございますが、この雇用者数は本年度に比べまして約三十万、二%の増加を見込んでおりますが、これは財政投資の増加等で直接そういう方面に吸収されます者のみの増加でございまして、このほかに雇用になりますかあるいは自分の営業になりますかわかりませんが、一応潜在的な、あるいは稀釈された労働といつたような形の雇用者なりあるいは有業者なりはふえるのではないかというふうに考えておるのであります。この雇用の問題は従来からも難点でございますが、反面、統計資料におきましても御案内のように、労働調査では完全失業者は大体四十万台ということになつておりますが、実際はもう少し労働時間の短かい雇用者、被用者、あるいはこの取扱いなり生産量のきわめて少い有業者といつた形のものがあつて、その面に労働力人口の相当部分が吸収されているというふうに見られますので、もう少し統計を集めてみなければわかりませんが、あるいは雇用者の数はもつと増加して参るというふうに推定するのがほんとうかと存じますが、この辺はなかなか的確な資料がつかめませんので、一応はつきり推定される三十万だけにとどめております。  最後に消費水準でございます。これもお手元にあるいは一枚刷りのものがお配りしてあるかと存じますが、この消費水準の考え方は一応方法論といたしましてちよつと問題もあるかと存じますが、都市、農村におきまして、都市の消費者実態調査における家計支出の動き、それから消費者物価の動きとの関連で指数を出して参つております。農村も同じく農家経済調査における家計支出の数量、金額、それから農村物価指数のうちの家計用品の指数、この関係から調整しまして、都市と農村とのそれぞれの消費水準を人口比で按分したのがここに出ている数量でございまして、二十六年度年間を通じて対戦前八六%、二十七年度は九八%、二十八年度は一〇三%というふうになつおりまして、二十八年度は約五%程度の伸びが見えるというふうに考えております。これはこの二十八年度の推計におきましては、減税による家計の所得の増加との割合というふうなものを勘案いたしておりますので、家計支出が都市、農村を通じまして、ある程度ふえて参るというふうなことを前提としておるわけであります。  以上をもちまして一応御説明を終ります。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長 他に補足説明がありますか。―― これにて政府委員からの補足説明は終りました。この際質疑を許します。前田君。

前田正男自由党

○前田(正)委員 つきましては審議庁長官の演説に対して、具体的な構想についてひとつ御質問をさせていただきたいと思います。まず第一に経済外交のことでございますが、現在までに日米通商航海条約であるとか、その他各国の方面において、通商航海条約の交渉をしておられまする経過及びその見通しについて、この際説明ができますものならば御説明願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 日米間の通商航海条約は、ずつと話を進めて参つておりまして、二、三の点、たとえば既得権の問題とか、あるいは銀行営業の問題とか、為替関係とか、外資関係等についての問題が多少残されておりまして、交渉を続けておりましたが、ほぼもう了解点に達しましたので、大体二月中には締結されるのではないかと存じております。従いまして、これがいわばモデル・ケースともなりまして、各国との条約もそれぞれ進めておりますが、促進されて参るのではないかと思つております。日英支払い協定の問題は、これは前田さんも御承知のように、昨年の末に前通りで一年間の契約を延長いたしましたが、しかしこれは約一週間ほど前から具体的にもう少し――今御承知のようにポンド地域からあのように輸入が多いので、さつきちよつと話が出ましたように、ポンドの金が出ますのが年末にはますます苦しくなつて行くというような情勢等もありますので、目下日本のために有利になるようにいろいろ交渉をいたしております。こちらの方は、よほどこちらの立場を了解しまして、本国へそれぞれこちらの意向を通じておりますから、これも相当有利に妥結して行くであろうと考えております。  それから賠償の問題であります。フイリピンもお聞き及びの通りだんだん好転して参りまして、沈船等につきましても、それぞれ調査しおるというような状況でもございまして、当初非常に日本に対して強い悪い感情を持つておつたのが、最近よほど緩和されて参つておりますので、賠償問題も遠からず妥結を見るのではないかと思つております。そういたしますと、通商航海条約等もこれに伴つてまたできることになつて参りましよう。あそこができますと、インドネシアの方面もこれにならえというようなことにだんだんなつて来るのではないか、ヴエトナムの方の三国は、これはあまり問題はございません。ビルマの方は若干問題がございますが、これも一番むずかしいのがフイリピンなんでありまして、フイリピンが解決すればよくなつて来るのではないか、そういうふうに考えますと、各種の通商航海条約を初めとして、漸次条約はあまり遠くないうちに――たとえて申しますと、ことしの上半期くらいには相当多数締結を見ることになろうかと考えておる次第でございます。  なおガツトへの加入の問題でございますが、これも向うの委員会で、こちらの立場、こちらの実情等をよく説明いたしました結果、最近ではだんだんと各国別に交渉に入るようになつておりますから、これもあまり遠くないうちにできるであろうと存じてあらゆる努力をいたしておるような次第であります。  一般に申しますと、そういつたのが通商航海条約を初めといたしまして各国との条約の関係でありますが、なおフインランドとかイタリアとか各国と二、三支払い協定を結びました。これも前年よりは多少都合がよくなつておることは御承知の通りであります。今後も、何といつてももとになるのが今度の条約関係でございますので、経済外交関係を強力に進めて参りたい、かように考えておる次第であります。

前田正男自由党

○前田(正)委員 政府の努力によりまして、この方面との条約の締結をすみやかに実現するということは、われわれ国会側といたしましても日本の貿易の振興上ぜひ早急な実現をお願いしたいと思うのでありますが、この機会に、今お話のありましたポンドの問題でありますが、相当輸入も増大しておるようでありまして、従いまして、当然輸出の制限は事実上あまりないような状態になつておるようでありますけれども、何か一々認許可をもらわなければならぬような品目その他手続があるように聞いておるのであります。最近は中共貿易も、政府の努力によりまして相当部分解除されるというような――貿易関係の統制的ないろいろな制限を解除しようと政府も努力せられておる機会でありますから、ポンド地域に対します一切の貿易は、これを自由にするというような方針にされてはいかがかと思いますが、いかがでございましよう。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 最近も一切の制限を解きまして、ポンド地域に対する輸出制限の措置はとつておりません。のみならず、為替関係等で、たとえば売りとか買いとかいうふうに相当大きな開きもありましたが、その開きも少くいたしまして、銀行為替手数料等も少額に縮めておるというようなぐあいでありまして、今はポンド輸出についての制限的なものは何ものもございません。なお今お話がございましたが、先般前田さん御承知の通り、数品目緩和してもらいました。緩和してもらいましたというと語弊がありますが、自主的にああいうふうに話をしたのでありますが、話がつきました。従いまして、今後とも日本の立場をよく話しまして、もう少しあの範囲を拡大することに努めたい、かように考えておる次第でございます。私今ちよつと言葉が悪くて、向うの了解を得たというのは、これは例のいわゆる国連協定の線がありますので、話合つておるからという意味でございますから、どうか自主的の立場がないというふうにおとりにならぬように、誤解を防ぐために一言申し添えておきます。

前田正男自由党

○前田(正)委員 次に、在外公館の整備充実という問題でございますが、これは具体的に言いますと、商務官を設けるという意味でありますかどうか、その点について御説明願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 今のところまだ実は予算措置等もあるでございましよう、また人間の問題もあるかと存じますが、在外公館等は十分に各所に設置されておりません。その問題と、それから重要なところで商務官もしくは商務官にかわるような機関をつくることになつておりますが、その意味を申しておる次第でございます。

前田正男自由党

○前田(正)委員 さらに在外公館の整備充実は、商務官と同時に、日本の経済問題には外国の科学技術関係の情報でありますとか、そのほか技術導入とか、いろいろなものが日本の通産あるいは産業政策として大きいのでありまして、これも政府にかねてそういう案があるというように聞いておるのでありますが、科学使節――科学アタツシエを在外公館に設けようというようなことでありまして、これはすでにイギリス、アメリカ、その他各地でこれを行つておられるところが相当あるのでありますが、こういうものも商務官とともにあわせて急速に設置する、こういうふうにお願いしたいと思うのでありますが、それについて政府は具体的なお考えをお持ちであるかどうかお聞きしたいと思います。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 前田さんの科学を重んずるというお話まことにけつこうでありますが、科学技術のアタツシエを設けるということは、今のところ予算措置は実はとつてないように私は承知いたしております。しかしそういう技術の導入方等につきましては、極力これをやりまするつもりで、これにつきましては、たとえば日本貿易斡旋所というようなものがニユーヨークにできます。あるいは東南アジアの方面にも輸出相談室をつくりますが、これは日本のものを向うに持つて行くという点もありますけれども、同時にまた、特にニユーヨークの場合には、そういつた技術導入等についての照会も求め、何といいますか、こちらに対するいろいろな情報を求めることにもなつております。しかしジエトロの本来の性質は、日本の貿易の宣伝でございまするけれども、そういつたいろいろな情報等もとることになつておりまするので、御趣意に沿つて立ち遅れておる日本の技術の導入方に全力を尽したいと考えております。

前田正男自由党

○前田(正)委員 東南アジアの問題について経済提携を強くされるということはまことにけつこうであると思うのであります。しかしここに一つ具体的な問題について大臣に御質問申したいと思うのは、最近新聞紙上によりまするならば、東南アジアに対しまして市場の開拓とか経済提携のために使節を政府から派遣される。これはまことにけつこうであると思うのでありますが、それは通産省という立場において通商産業省の方から使節を派遣したい、しかしその資格は外務省の顧問という形で出したいというようなことが新聞紙上に出ておるのであります。しかしながら大臣はよく御存じと思うのでありますが、経済審議庁を設置するにあたりまして、私は当時委員長でありましたが、この任務のところにおきまして、長期計画の策定と、第二に、「二以上の行政機関の経済施設に関連する総合的且つ基本的な政策の企画立案」こういう問題がありました。しかしこの二つの実例である東南アジアの開発とか日米経済協力というようなものは通産省だけではできないのであります。もちろん外務省もある、運輸省の関係もあるでしよう、また農林省の関係もあると思いますので、こういうものをやることこそ経済審議庁の任務ではないかというので、この長期計画とか、この二つ以上の総合的かつ基本的な政策の企画立案の例として、日米経済協力、東南アジアの開発ということをあげてこの設置法は審議されていたのであります。そこでこれは新聞の誤りかもわかりませんけれども、通産大臣の立場で使節を出そうというふうにお考えになるのですか伺いたい。これは経済審議庁の長官という立場で東南アジアに使節を出されるというふうな考え方にしていただく必要があるんじやないか。その顧問は政府顧問といたしまして、外務省の顧問は私は当を得ていないと思う。外務省で経済政策をやるわけではないのでありまして、当然経済審議庁の顧問という立場で派遣さるべきものではないか、こう思うのでありますが、これに対しましていかがお考えになつておられるか、お尋ねいたします。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 前田さんのお話まことにごもつともでございます。実は別に通商産業省だけであれは考えておる次第ではないのでございまして、日本全体としての考え方でこの間のように私は話をいたしております。あるいはまた具体的に話を進めて参りたいと思つておりますが、そういう場合に今前田さんの仰せになつた経済審議庁の顧問ということがよいか、あるいは外務省顧問ということがよいか存じませんが、いずれにしても全体として日本の通商関係について役立つような意味合いでやつてもらう次第ですから、今御趣意の点はよく考えさせていただいて織り込むようにいたしたいと存じます。

前田正男自由党

○前田(正)委員 どうもせつかく経済審議庁ができましたが、その活動は鈍いという世評を聞くのでありますが、私はそういうものではないと思う。経済審議庁こそ、今後の日本の発展に、特に自由経済を伸ばして行こうという立場においては、かくのごとき経済の企画、立案ということは一番大事な点であつて、経済審議庁の活動こそ今後の日本の発展には重要なものであると私は考えておるのであります。しかしながらどうも政府の中においても少しく考え方を誤つておるのではないか。経済審議庁は当然そういう問題は取上げ、経済審議庁においてやつて行くべきものであると私は考えるのであります。どうかひとつこの機会に東南アジア開発だとか、あるいは日米経済協力だとか、あるいはまた日本の長期計画だとか、こういうものは積極的に経済審議庁の方でみずから調査し、みずから立案し、そうして政府の各官庁に意見を求めて行くというふうな立場に立つていただきたい。各官庁、通産省とかその他の官庁から意見が出て来て、それを単に総合調整して行くというようなことでありますならば、これは経済審議庁という外局の必要はないわけでありまして、当初政府の行政整理に考えられたような単なる審議委員会でけつこうであると思います。単なる総合調整をするならば委員会程度のものでよいと思うのでありますが、みずから企画、立案をして行くというところに経済審議庁としての役所の仕事があるのではないかと思うのであります。特に日本の今後の発展に一番大事な東南アジアの開発に対しまして、少くとも使節を派遣するというようなことはまことにけつこうでありますが、経済審議庁が自主的にひとつおやりになる、こういうふうにこの際明らかに線を立てていただかないと、経済審議庁自身の存在の理由を失うことになるのではないかと思いまして、一言申し述べた次第であります。大臣の御考慮を切にお願いする次第であります。  次にこの東南アジア開発計画につきまして、具体的なことでございますが、今度の演説の中におきまして、農業を中心とする技術提携の促進、あるいはまた工業化の問題等が出ておるのであります。これはまことにもつともな話であると私は思うのであります。東南アジアの経済的な進出提携というような問題についていろいろと言われておりますけれども、実際問題としては東南アジア自身の経済的な力というものを強力に伸ばして行つて、そうして文化国家にすることについてわれわれが協力して行くということによりまして、初めて市場の開拓もできると思うのであります。従いまして東南アジア諸国の経済力を充実して行くということになりますと、農業とか、林業とか、水産業とか、あるいはまた一般の通商関係の企業であるとか、あるいはまた衛生関係のいろいろな企業であるとか、こういつた方面におもな力をまず第一に注いで行くということが恒久的な発展のもとであると思うのであります。単に貿易の面だけ考えないで、東南アジア諸国の発展ということにわれわれの方ができるだけの技術協力をする、こういうような考え方からスタートして行かなければならぬと思うのであります。そういうことを考えますと、日本といたしましては、実際に働いて指導できるような技術者を多数送り込んで行くということから、経済発展に協力しようという日本の誠実な意思を向うに伝えることになるのではないかと思うのであります。この点につきましては、どうも向うに行きます人が、貿易とかあるいはまた一般視察という考え方の人が多くて、日本に利益をとつて来ようという考え方の方が多いように思いますが、そういうことでなしに、東南アジア諸国の経済発展に協力して、向うをよくして行く、それに日本はできるだけの力を添えて行くという考え方でなければならぬと思うのであります。先方の発展を望むことがまたわれわれの発展になることと思いますので、いろいろな実際に働くところの技術者の派遣という問題について、政府は、どういう施策とか、助成とか、あるいはまた調査の問題とかを考えておられるか、こういうことについてお考えがありましたら、お聞かせ願いたいのであります。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 最初に経済審議庁の立場について、前田さんに御鞭撻していただいてまことにありがとうございました。また恐縮であります。これはぜひ御趣意に沿いたいと思います。  ただいまお話になりました農林漁業を中心とする技術提携の問題は、御承知のごとく、日本人が戦前に多数向うに行つておりまして、りつぱな農林漁業等に対する技術者を持つておるのであります。そういつた方面で向うの方と技術提携をしようという考え方、それからプラント輸出などいたしますのに、先ほどちよつと申しました相談室などをつくりまして向うに技術上のことをやる。それからまた今後積極的にその地域に投融資をするために、前田さんも御承知かと思いますが、今度輸出入銀行法の改正案を出しておりまして、この法案に基きまして、これが通りますと投資も積極的にできることに相なつております。そういうことで具体的な話を進めて参りたいと思つておるのでありますが、今仰せになりました中で、最も私が同感してぜひそうでなければならぬと思う点は、日本人が向うの利益のために働いてやる、向うをりつぱな国にしてやる、向うの産業をりつぱにしてやる、こういう心持が常にあつてこそ初めて向うの文化の発達も助け、産業の振興も見ることになり、ひいては日本の輸出入市場ともなるのであつて、向うとの取引についてもうけさえすればよいというような考え方を一蹴して、向うのためになつてやるという今の前田さんのお考えは、私は全幅的にそうでなければならぬと存じます。今後ともああいう所に行つた者が、そこでちよつともうければよいのだという考えは捨てて、その国のために、その国民のためになつてやるという考えで行くことが、一番両方を強くつないで経済提携を厚くするもとであると考えますので、この点は前田さんの意見に全幅的に同感いたすものでございます。

前田正男自由党

○前田(正)委員 ただいま大臣のお言葉によりまして、政府の方針はわれわれと同じような考え方で進めていただけるということで、非常に私どもの喜びとするところであります。どうか実際に働くこの技術者の派遣ということについては、各方面にわたりましてできるだけひとつ政府において御援助をし、それを指導するようにお願いいたしたいと思つておるのであります。  次に貿易商社の問題について今回は特別の償却をいろいろと認められて、政府もこれの強力な発展について考えておられるようであります。この貿易商社の問題で特にお考えを願いたいと思いますことは、海外の方面にいろいろと日本の商品の宣伝をいたしますために、いろいろな宣伝の関係の人を派遣したり、あるいはまた印刷物を送つたりすることに対しまして、相当の費用がかかり、同時に国際入札等における費用は、一件について百万円以上にも上るというような厖大な金を投資いたしまして、しかも現下の石炭とか、鉄が高いので、国際入札においてあまり入札が落ちないというような実情にあることであります。そういうような多額の費用をばらまいてやつておるわけでありますので、この点については海外支店設置の特別償却等もありますが、できるだけひとつ商社の経理内容等について、政府の方において援助できるものがあるならば極力ひとつ援助してやつてもらうと同時に、この際政府も強力なる商社の実現するように、ひとつ指導してやつていただいたら非常にけつこうではないかと思つておるのであります。ここでは単に金融上の措置あるいは特別償却等というふうに書いておられますが、もう少しく具体的な、金融上についてはどういうふうな処置をしようと考えておられるか、それについて御説明願えればお願いいたしたいと思います。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 これにあげてありますのは、御承知のごとく、現在各商社は相当大きな赤字勘定に相なつておるのであります。そうでないものもありまするが、そういう部分が多いのでありまして、その債務を一挙に返すということは非常に困難な点がある。従いまして向うに一応整理案等を立てさせまして、その整理計画等に基きまして、たとえばある年間すえ置いて、だんだん払わすようにしますれば、償還方法も立ち、商社も活発に行動ができることになるので、今のごとく、あるいは六十日手形、九十日手形というように、しよつちゆう金融のために奔走をしておるようでは、かんじんな商売がおろそかになるといつたようなこともありますので、そういつたことについて、みずから誠心誠意整理案を立てて、それを実施する向きに対しては、政府の方でも日銀その他各金融機関に話をしてそういつた措置をとつてあげたい、こういうような考え方であります。それから税法上の措置は、たまたま海外支店設置費特別償却とあげておきましたが、そのほかにも、あるいは貸倒れ準備金といつたような性質のものですが、そういつたものに対する課税上の措置をいろいろやつております。西ドイツあたりでやつておる例を参酌いたしまして、もう少し税法上の何らかの措置をとり得ないものかというので、目下大蔵省と相談しておるものもあります。しかし西ドイツもしくはイタリアがヨーロツパで置かれておる国際環境と、日本がアジアで置かれておる国際環境と少し違うのでありまして、あれをあのまま持つて来ると、よそを刺激して、かれこれ問題になる点もございますので、適当にその辺をあんばいして今大蔵省とも話をしております。「資本力の充実」とありますのは、これは前田さん御承知の通り、大きな貿易を扱つておる商社などはこのごろはいかにも資本金が少い、そこでちよつとしたことにでも影響を受けやすいのでありまして、私どももできれば合併、合同をする、あるいはまたみずから増資をするというようなことをやつてもらつて、できるだけ商社の不況等に対する抵抗力を増すように努めたい、こういうような考え方からそういうことを今極力勧奨しておる次第でございます。なおそのほかにも何か商社の活動等に資することがあれば、それらの点について政府としてはできるだけの措置をとろうと考えております。

前田正男自由党

○前田(正)委員 次に、政府の産業政策について簡単に一、二点お聞きしたいと思うのであります。  まず第一に、電源開発の問題でありますが、電源開発の一覧表というものをいただいたのでありまして、このうら電源開発会社がやろうとしておられますところの地点でありますが、電源開発会社が今後取上げられる只見川、熊野川については相当の問題があると思うのであります。もちろんそれに対します調査立案ということが一番大きな問題でありまして、その方式をどういう方式でやるかということが大きな点であると思うのでありますが、只見川の流域変更の問題、熊野川についてもそういう問題があるわけでありますから、そういうことに対しては、政府といたしましては、いつごろまでに調査立案を完了する方針を立てられておるのかということをお聞きしないと、どうも電源開発はだんだんと紛糾に紛糾を重ねまして、開発するよりか紛糾するための電源開発というような現状になつておると思いますので、二十八年度はどの点を開発するかということを調査され、決定される方針であるか、このことをお聞きいたしたいと思うのであります。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 二十八年度に新規に開発会社といたしまして予定しております地点は、ただいまの予算で、大蔵省との折衝に際して出しました地点は、只見川の中上流の地点が一つあるのでございます。もう一つはできれば熊野地点をやりたい。もう一点は九州の球磨川、これは御承知のように非常に電力の需給関係が逼迫しているので、できれば一日も早く着手したらどうかというつもりで予算を組んでおります。  その前に第四回でございましたか、調整審議会で調査地点というものをきめたのでございます。それは只見川、熊野川、琵琶湖、四国の吉野川、九州球磨川を予定してございます。その調査地点に関しまして、開発会社といたしましては調査事務所を現地に設けまして、資料の収集、あるいは現地の実際の調査を進めまして、立案を急いでいるのでございます。その問題がある程度進捗いたしまして、もう諸準備もできたというところで、逐次その中から着手可能なものを選びまして、できるだけ早く着手したいと考えております。  なおただいま申し上げました調査の地点の中で、一番問題の大きなのは只見川でございます。例の本流案、分流案という二つの案がございまして、これに対する調査の進捗状況は、政府側といたしましては関係各省にそれぞれ協力を願い、各現地と申しますか、新潟県あるいは福島県、東京電力、東北電力、あるいはOCIの方たちもまだこちらに残つておりますので、そういう人たちにも来ていただきまして、具体的なデータを出したり、またいろいろ向うで調べました調査資料なども聞き入れまして、官庁は官庁として調査を進めております。同時に開発会社といたしましては、自分で開発する予定でございますから、十分力を入れまして、目下調査中でございます。それぞれ日本では指折りの技術者陣を入れて人員を整備して参りましたので、只見川の問題をどういうふうに調査立案すべきかという点で、非常に熱心に研究をしているようでございます。最近は高碕総裁みずから只見川の視察をなされ、また係員もたびたび行つて調査いたしましたので、開発会社側の成案と申しますか、ある程度の具体案をもちまして、政府の調査の進捗状況とにらみ合せまして、なるべく早く審議会で御決定を願いたいと考えております。

前田正男自由党

○前田(正)委員 電源開発調査というものは、ダムなんかは十何年もやつたという例もありますから、十分にやり得る余裕があれば、精密な調査をおやりになるのはけつこうと思いますが、実は日本の場合は、そういう精密な調査でなしに、開発方針について大きな政治的な争いになつて来て、それが延引するために只見川から熊野川、それから琵琶湖、おのおの地方と地方、あるいはまた隣の県とその県とがいろいろと紛糾の種になつて来るというようなことで、実際の方針がきまらぬから、細密調査にも入れないというように、かえつて電源開発が紛糾する結果になつているようにむしろ考えられるのであります。従いまして細密調査のことは、調査にできるだけ時間と経費を使うということは、われわれも技術的な立場からまことにけつこうだと思いますが、しかしあまり紛糾を重ねるような問題については各方面の御意見を聞いて、政府としても徹底的な態度をもつて、なるべくすみやかに方針をきめられまして、それに伴つてまた工事的な細密調査に入つて行くというふうなことにしないと、非常にむだな金が流れて、またいろいろと世間につまらないところの風評とか誤解あるいはまたいろいろなうわさが出るというようなことは、われわれといたしましても残念に思うのであります。電源開発というものは日本の将来に絶対に大事なものであるのに対しまして、いかにも変なことが言われるというふうに考えられることは非常に残念でありますので、政府もひとつこの機会に毅然たる態度を二十八年度はとつていただきたい、こういうことを切にお願いする次第であります。  次に一般の産業におきまして、近代化、合理化ということは非常に大事なことであります。従いましてこの近代化、合理化のためにいろいろとやらなければならぬことがあるわけでありますが、その中におきましても特に近代的な、専用的な機械をつくる。あるいはまた非常に進んだ工作機械をつくるというようなことは日本の将来に非常に大事な問題であると思います。最近いろいろと政府の努力によりまし民間の外貨及び民間の技術というものが相当日本に入つて参つているのであります。しかしこれは単に技術導入をしたというだけでは日本のためにはならない。これを日本において広く普及して実用化して行かなければならぬと思うのであります。またその技術というものを伸ばして行かなければならぬのでありますが、それにはどうしてもこういう新しい機械あるいは新しい工作機械というものをつくらないと非常に困ると思うのであります。この点について残念ながら、たとえば航空機の生産でありますとか、あるいはまた兵器の生産等においては、日本の現在使つております工作機械とか製造機械というものは何十年という開きを持つておりまして、特殊な飛行機等の部品なんか日本では製作できないだろう、こういうことまで言われております。たとい製作しても百倍以上の経費と時間がかかるというように聞いているのであります。こういうような加工のやり方というものは、現在非常に進歩いたしまして、日本はその間に二、三十年の開きが、加工の技術においてはあるとまで言われているのであります。しかしこれをとりもどすということは、一年でも二年でもとりもどせぬことはないのでありまして、それには日本でそういう加工機械というものをつくつて行けばできるわけであります。そこでこの面に対しましては、政府もいろいろな産業方面の近代工業化、合理化について助成、援助をしておられるようでありますが、特に二十八年度においてはこの新しい加工機械、あるいは新しい工作機械の製作といつた方面について思い切つた助成、援助をひとつしていただいたらどうか。これは予算としても工業化とかあるいは合理化とかいろいろな名目で相当予算が出ておるように見える。これは通産省だけに限らず、各省にわたつて相当そういう助成的な予算があるようでありますが、この機会にひとつその予算を新しい加工機械、工作機械、あるいはせつかく入れました技術とかせつかく日本で発明した技術というものを実用化して行くための方に思い切つてその金を投じてもらうというふうにしていただいたらどうかと思うのでありますが、大臣はいかがお考えになつておりますか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 前田さんの言われたこと、まことにごもつともでありまして、今年は御承知の通り通産省方面においてもそういつた機械の試作等に対する予算も、初めて一億円以上計上しているというような問題もありまして、これにはできるだけの努力をいたして参る考え方でおります。なおこれは今までもやつたことでありますが、優秀な機械を向うからサンプル用として取入れる場合には、外貨の割当その他あらゆる便宜をはかつております。但しこれが日本の産業を圧迫しないようにやつておりまして、そういつたものについてのあらゆる措置をとつておりますので、仰せになりましたような立ち遅れている日本の機械工業等については、急速に進歩をはかつて参りますように、今の予算では実は非常に足らぬと思いますが、しかしようやくことしは頭だけ出しておいた。来年度からはもつと積極的にやりたいと思いますのでよろしくひとつ御援助をお願いします。

前田正男自由党

○前田(正)委員 大臣のお考えは積極的におやりになるという、まことにけつこうであります。われわれもできるだけ協力いたしたいと思いますが、さらにいろいろな行政指導処置とか金融措置とかその他の点においてできるだけ強力に指導援助をしてやつていただきたいと思います。  次に中小企業の問題について一点お聞きしたいと思いますが、今度新たに公庫を設置されるということはまことにけつこうでありますが、この公庫というものと従来の商工中金とか国民金融公庫との問題でありますが、これが動きますためには、従来商工中金だと思いましたが証券を発行しているところがあるわけです。そういうようなところはこの公庫の金と証券の金とは金利が違つて来るわけでありまして、あるいは国民金融公庫の利子も今度の公庫の利子とは差ができて来るのじやないかとちよつと思うのであります。こういつた場合に、今度公庫から出す金の利子と従来商工中金とか国民金融公庫から融資しております利子との間に差額ができて来るということになりますと、これは単にダブつてできて来るというだけでなしに、かえつて従来の機関はこれができたために利子の点において活動がやりにくくなるのじやないか。こういうことになつて、せつかく中小企業の発展のために公庫をつくつたという政府の親心がかえつて無になつて来る結果になるように私は思うのであります。そこでこの際公庫をおつくりになるならば、従来の商工中金とか国民金融公庫の利子は少しわれわれから見ておりますと高いように思うのでありますが、それは話を聞きますと無理もないことでありまして、こういう特殊銀行でありますからほとんど預金がない。それで資金は債券その他から集めなければならぬ。預金がないのに資金はそういうところから集めてやつて行く以上、当然市中銀行融資より三銭とかいう高い利子になつているのでありますが、これは高過ぎるようにわれわれは思つおりますので、この機会に公庫というものができるのでありますから、この公庫の金と国民金融公庫とかあるいは商工中金等の従来の資金等をプールいたしまして、利子を同一にして、中金の利子とか公庫の利子をこの際少し下げるというようなお考えをしていただかないと、せつかく片方が公庫の金を使うけれども、かえつて中金とか国民金融公庫は動かないというようになる、このようにわれわれは考えられるのでありますが、この点について政府はいかにお考えになるか。せつかくの対策が十分に活用できますようにひとつお考え願いたいと思います。・

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 前田さんの言われることも一つの考え方で非常に参考に資する点だと思いますが、実は私どもの考え方は、商工中金は御承知のように組合に対する金庫でありまして、これがたとえば個人その他に貸し出せることにいたしますと、現在私の記憶が間違いなければ中小企業に対する金融が全国で八千三、四百億あるのじやないかと思います。そのうち約三〇%ぐらいが普通銀行等の貸出しなんであります。これが商工中金が個人貸出しまですることになると、これと競合することになつてしまいまして、それをそぐことになる。この点がはなはだおもしろくないので商工中金というものはあくまで組合金融として発達さすべきである。お話のようにこれは二十倍債券発行ができますが、まだ相当余力があります。これを漸次発行させまして商工中金の活発化を期したいと思つておりますが、お話のように債券を発行するのでどうしても利回りが少し高くなるのは免れませんが、その点はいわゆる昔の無尽会社その他の金利に比べますと非常に安いものであることは申すまでもないけれども、これは相当高いものでありますから、政府のたとえば見返り資金、あるいは預金部等の資金、あるいは預託金などによつて、少しでも金利の低下をはかるようにさせたいと思つております。  それから今度新たにつくります公庫は、設備資金その他長期にわたる資金を個人に貸し出してやつて、そうして企業の合理化を特に行わせたいというのが主眼であります。従いましてこの方は組合ではなく、大体法人、個人等の中小企業者を相手にしておるものであります。従つて六箇月以上、一年以上の長期資金を供給してやりたい、かように考えておるので、この方は出資分は無利息でございますが、出資以外の分は見返り資金から得ても、預金部から得ても、預託金から得ましてもつきますが、長い期間としてはそういう機関が全然ございませんので、こういつた点で新しい役割を果して行くものと思つております。なお中小企業者といわれておる零細な人々につきましては、これは国民金融公庫が活発に動いてくれるということを期待しておる次第でありまして、私どもはこの商工中金、今度つくる公庫及び国民金融公庫は、それぞれの貸出しの分野と活動の分野が違いますので、これが一体となつて中小企業に対する金融機関としての使命を果してくれることと、またこれを果さしめるものであるというふうに考えている次第であります。

前田正男自由党

○前田(正)委員 大臣のお考えはまことにごもつともなことですが、ただわれわれの中小企業対策というものは、協同組合をなるべくつくりまして、協同組合を活用して行つて、そうして協同動作によりまして、大企業に対抗して行くというような対策が、従来の中小企業対策の中心になつて来ておつたのであります。従つて商工中金というのは協同組合をつくつたものには融資をするという建前で、どちらかというと、金を借りたいから協同組合をつくつて金を借りるというのが実情でありました。しかしながらそういうことによつて協同組合をつくつて金を借りた。従つてまた協同動作というものが進んで大企業に対抗して行ける。こういう結果は、金を借りるために組合をつくつたが、実際はまたその協同組合が活動して中小企業というものは生きて行けるのだ、こういうような実情もわれわれは見ながら、協同組合というものの発展を支持して来たのであります。従つて商工中金が協同組合を中心としてやつて行くということは非常にけつこうでありますが、しかし協同組合をつくつた場合は利子が高いのだ、協同組合でない場合は利子が安いのだ、こういうことになつて来ると、従来の協同組合政策というものは、この際反対になつて来るのではないかと実は考えられるのであります。今のお話のように、資金の利用面が違うということならばもつともでありまして、なるほど長期設備資金というものは商工中金も多少出しておりますけれども、あまり出しておりません。従つて長期設備資金については今度の新しい公庫は別個におやりになるということは非常にけつこうだと私は思うのでありますが、長期の運転資金というものになりますと、現在商工中金は市中銀行と違つて長期運転資金を出す。半年から一年くらいの長期運転資金を出す。しかもそれは御承知だと思いますが、中小企業信用保険というものがありまして、その信用保険をつけるというもことがこの商工中金の特徴になつておるのであります。一方の市中銀行も、信用保険をかけろ、こういうのでありますが、この信用保険というものについていやがつておる。信用保険をかけさせていやがるのはなぜかといいますと、この信用保険料は三厘だけは銀行が持たなければならぬのでありますが、そのいやがるのを商工中金が率先して扱いまして、信用力、担保力のないものは信用保険をかけてそしてやつて行く。ところがこの信用保険によりますと、六箇月以上の条件がついております。そういつたことから、商工中金は運転資金におきましては、長期の六箇月から一年くらいの運転資金を相当出しておるのであります。そういつたものが、今度の新しい公庫の運転資金とちようど競合することになつて来るのでありまして、これは御承知の農林漁業金融公庫の場合とは、全然立場は違つております。農林漁業金融公庫の場合は、なるほど長期設備資金というものは十年、十五年というようなものでありまして、この機会に今のようなことでもしおやりになるならば、われわれが従来指導して来ました協同組合をつくるということは、この際やめようじやないか。場合によりますれば、協同組合をつくつているものは、この際協同組合を廃止して、そして公庫から金をかりようじやないかというふうな方向へ、今の政府の方針の通りやつて行かれたら、そうなるのじやないか。近い例を申しますと、私の県においても、できるだけこれを指導しまして商工中金の出張所をつくつております。私が自分の県を見ておつても、そんな協同組合に金利がつくなら、この際やめた方がいいじやないか、こういうようなことになりかねないと思います。それで運転資金の点については、もしこの新しい金融公庫でもやるというならば、運転資金は二年以上だとか三年以上だとか、あるいは一年以上の設備資金とか、こういう範囲に限られて金利を安くされるか、あるいはまた商工中金と公庫との間の金利を調節して、その足りないところは政府が助成して、そして同じ金利でおやり願いたい。この辺政府の従来とつておられた政策と、ちよつと食い違つて来るように思いますので、政府はできるだけ援助してやつて、せつかく公庫の金利は安くできるのでありますから、商工中金の金利ももう少し安くなるような方法をお考えになつたら一番いいじやないかと思いますが、ひとつ御意見を聞かせていただきたいと思います。

小笠原三九郎自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○小笠原国務大臣 今まだ公庫の案をつくつておりまして、いずれ提案いたしますから、そのときにひとつ御意向のような点について十分織り込みまして、そういうことのないようにいたしたいと存じます。実は私ども中小企業の金融については、できるだけのことをいたしたいと思つておりますが、しかし中小企業者が立ち上るということについては、根本問題としては、金融の措置のみをもつて足れりとしておりません。従いまして税制につきましても、今度法案が出ておりますからごらんくださつたと思いますが、処置をとつておりますが、そのほかにも、今仰せになつた協同組合の強化ということは、これは私も非常に大きく考えておるのであります。従いまして協同組合の育成に妨げとなるようなことはさせたくないのでございまして、現にまた協同組合には、わずかながらでも協同組合の共同施設に対する助成金等も、昨年同様今年も予算に計上しているような次第もございますので、やはり協同組合で行くことが根本だと私どもは考えております。これが今の比較的弱い中小企業を強化して、大きいものに幾らかでも対抗させるために必要なことであろう、こういうふうに考えております。これはいずれ法案を出すまでに、今の御意向等よく私ども織り込みまして、国会に出しましたら、その点御審議願いたいと思つております。

前田正男自由党

○前田(正)委員 それでは私の質問はこれで大体終りたいと思うのでありますが、実は私は自由党の中小企業の委員長を二年ほどやつております。その当時は商工中金の育成及び協同組合の育成については非常に苦心をして、新しい信用保険法をつくつたような次第でありますが、その間やつて来ましたことと今度の施策との食い違いのないように、ぜひお願いいたしたいと思うのでございます。どうか政府におかれましても、経済政策を強力に発展していただきたいと思いますが、特に有効需要の喚起という問題については、幸いことしは公債の発行等も行われまして、相当起ると思いますけれども、政府は時宜に応じて政府資金を出していただき、今度の予算等もよくにらんで出していただきたい。いつも資金が片寄つたりしまして、十分でないというようなこともありますので、ひとつ有効需要が逐次喚起されて行くように、政府資金その他こういう資金の利用についても、時期を見てひとつおやり願いたいということをお願いいたして、私の質問を終ります。

綱島正興自由党

○綱島委員 各国の金融機関の実情、それから組織、金利、そういつたようなものの資料をいただきたい。これは非常に大切ですから……。

岩武照彦総理府事務官(経済審議庁調整部長)

○岩武政府委員 大蔵省にもないものもあるかと思いますが、できるだけ提出するようにいたします。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長 他に御質疑もございませんければ、本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせすることといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十一分散会

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