外務委員会 第20号
- 発言数
- 107 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/02/25
会議録
○栗山委員長 ただいまより外務委員会を開きます。 千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、及び千九百三十四年六月二日にロンドンで修正された貨物の原産地虚偽表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定への加入について承知を求めるの件を議題といたします。本件に関する質疑を許します。並木芳雄君。
○並木委員 今まで日本に入つて来たもので、原産地虚偽のものがあつたかどうか、あつたとすればどういうものがありましたか。また日本から外国に出したもので、そういうことが発見されたものがあつたかどうか、それをお尋ねいたします。
○長村政府委員 お答えいたします。現在までに入つて参りました外国輸入貨物で、この条約にいつておりますような意味の原産地虚偽表示をしておると思われるものは、私の知る限りにおいては本日まではないと思つております。それから日本から出ておりますもので、同様に原産地虚偽表示ということで問題を起したものは、これまた私の知る限りにおいてはないと思つております。
○並木委員 この条約を締結されましてから日本の国内として法的措置の必要なものが起つて来ますかどうか、あるいはすでにそれが整備されておるかどうか、お尋ねいたします。
○長村政府委員 お答えいたします。この条約に加入いたします結果、国内法制としましては現在ございます不正競争防止法、これを一部改正をする必要がございますので、今国会にこの不正競争防止法の改正法律案を提案いたしまして、通産委員会で目下御審議になつております。
○並木委員 アメリカとかインドなどが入つておりませんが、これはどういうわけですか。
○下田政府委員 アメリカが入つておりません理由は、はつきりはわかりませんが、推測いたしますところでは、本協定の第四条の但書に、国内裁判所の決定をも拘束する事項があるのでございます。それは貨物の名称が通有性を有するかどうかという点は、各国の裁判所が決定し得る建前になつておりますが、ぶどうの生産物の名称については、裁判所といえども通有性を持つておるという理由で、この原産地虚偽表示の防止に対する措置を除外するという決定をしてはいかぬという但書が第四条にございます。それでアメリカは御承知のように裁判所の権限を非常を強く主張しておりますので、こういう国内法令と矛盾するような協約の規定を受諾するという点に、国内的の困難があつたのではないかと、そういうふうに推察いたしております。 なおインドにつきましては、事情がはつきりいたしませんが、まだ独立後日なお浅く、かつ原産地虚偽表示の問題であまり実際問題が発生しないために、この協定に加入いたします実益を認めていないというのが、インドがいまだ加入していない理由ではないかと、そう推察しております。
○栗山委員長 本件に対して他に御質問はございませんか。——御質問がなければ次会に討論採決することといたしまして、質疑を打切ります。 —————————————
○栗山委員長 次に緊急質問を許します。大邦丸事件と日韓関係悪化に関しまして、並木芳雄君に緊急質問を許します。
○並木委員 一問にまとめるようにとの委員長のお言葉でありますから、まとめて御質問いたします。 外電が伝えるところによりますと、本件については日本の抗議に対し、韓国政府側が反発に出ておるようであります。陳韓国内務部長官の声明によりますと、必要な場合には発砲するかもしれないと言つております。また李承晩大統領の新聞係の祕書の言によりますと、日本を敵とみなすかもしれないとか言われております。あるいはまた韓国政府のスポークスマンの言明を見ましても、この前岡崎外務大臣がこの委員会で報告された点とは、事実において相違があるのでございます。そこで政府といたしましては、この前ここで御報告になつた点を訂正すべき点がその後発見されておらないかどうか、外相の報告によりますと、事件は四日に起つておつて十三日に口上書をもつて韓国公使館に抗議をしております。しかし船が佐世保に回航されましたのは十六日だという御報告でございました。そこに若干日取りのずれがございます。従いまして、これを調べましたのは日本の政府として調べたのか、あるいはまた何か他の方法によつて調べたところに準拠しておるのかどうか、その点はつきりしておりませんのでお確かめしたいと思います。それから要するに事実の認定において、日韓両国の食い違いがあるのでありますから、政府の言い分と向うの言い分とは水かけ論になつて行くおそれがあります、これを最終的に解決する手段としては、どういう方法をお考えになつておりますか。 それから大分韓国が日本を敵視し、また金公使のごときは、日本は朝鮮動乱でもうけておると言つております。どうも私どもには韓国政府がどういうふうに考えているかはつきりいたしませんが、外務大臣は今度のような措置をどうお考えになつていますか。あるいは本心から言つているのでなく、韓国の国民に対するゼスチュアというようなものが手伝つて、こんな強いことを言つているのかどうか、その点も聞いておきたいと思います。 それから朝鮮動乱で日本がもうけているということは見当違いだと思うのです。朝鮮の動乱を鎮圧するために、国連軍の飛行機は毎日のように日本の基地から飛び立つております。そういう点において韓国では認識を欠いているのじやないか。もしこういう日本の基地を新たにつくる場合には百億円もかかるということを伊関局長が答弁しております。そういうものをつくつて借りていたとすれば莫大な費用がいるので、はたして韓国はそういうことを計算に入れているかどうか。従つて国連軍としては最近日本に対する支払い状態はどうなつておりますでしようか。内容を知りたいのでございます。 それから、問題の李承晩ラインでございますけれども、これは米国や英国は承認しているのでございますかどうか。もし承認しておらないのに今日まで荏苒日をむなしゆうしたといたしますならば、これは日本政府としても要請がりなかつたのじやないかと思います。昨年の一月につくられた李承晩ラインでございます。今日まで放置しておつたわけではございますまいが、とにかく強く解決しておらなかつたところに、今度のような不幸な事件が起つたと思うのです。お尋ねをいたします。 同時に防衛水域というのは国連がきめたと申しますけれども、これは国際法上ないし国際慣習上、認められているものかどうかということは疑問だと思うのです。日本政府としてはどういうふうにこれをお考えになりますか、はつきりしていただきたいと思います。この前下田条約局長から中共封鎖の点について質問したときのお答えに、軍事封鎖と政治封鎖の二種類があるという答弁でございました。あるいは防衛水域というものはそのまま当てはまらないにしても、一種の政治封鎖ではないかとも思われるのでございますが、この際政治封鎖とはどういうものだという意味とともに、防衛水域の性格についてはつきり御答弁を願いたいと思うのであります。 なお大邦丸の犠牲者及び損害に対してはまことにお気の毒でありまして、政府は今日まで李承晩ライン、防衛水域内における漁業というようなものをはつきりしておいたならば、こういう不幸は起らなかつたはずであります。従いましてとりあてず政府は弔慰金及び補償金というものを出すべきであると思う。出しておいて今後の交渉によつてそれをカバーして行くという方法をとるべきであると思うのでありますが、その御用意がありますかどうか。これに関連して日韓会談再開に支障を来すおそれもありますが、その点外相はどうお考えになつているかどうか。 それから再発防止の対策としては、日本が敵国であるなどと言われてはたいへんであります。今後どういうふうな再発防止の対策を有しておられるか。場合によつては北海道に起つた上空侵犯の場合のように、日米安全保障条約に基いてアメリカの出動を要請するような方法をとるかどうか。あるいはけさほど伝えられるように国連軍ないし国連に対して要請するのかどうか。現場の問題としてはフリゲート艦のような海上警備隊を配備する用意があるのかどうか、それをお尋ねしておきます。 最後に、海員組合が場合によつてはストをやるというような決議をしております。この点については私どもその気持がわからないわけではございません。しかし国際連合協力という線においてこういうストが許されるものかどうか。これも解決しておかなければならない問題だろうと思います。それには強く国際連合軍に対して、海上の安全の保障を求める必要があると思いますが、以上の点について外相の明快なる御答弁を期待するものであります。
○岡崎国務大臣 新聞等に出ている声明なり発表なりは、正式な日本政府に対する通告ではないのでありますし、またその中にも必ずしも一致していない点があつて、今お話のような韓国のスポークスマンが言つたという新聞も出ていますが、同時に金公使の談話として、あれは韓国政府の意思ではないのだというような談話も見受けるのでありまして、一概に新聞に出たことをただちにとつてこちらがまたいきり立つて議論をしますと、だんだんだんだん売り言葉に買い言葉といいますか必要以上にむずかしい感情的な問題が起りますので、私は新聞に出ていることはしばらく意見を述べることを差控えまして、韓国政府から正式な回答があるのを待つているのであります。 それから私が前に述べたのはちよつと今記憶しておりませんが、十三日に口上書を出した、それはその通りであります。これは現地その他水産庁等からの報告に基いて事実の取調べと、船が拿捕されたことは間違いないのでありますから、その点に対する抗議等を口上書で出した。船はたしか十六日に帰つて来ました。その後の事情がはつきりいたしたと考えまして、十八日に正確な資料と思われるものに基きまして韓国側に、主として漁撈長が撃たれた問題について抗議をして、これに対する損害の補償とか事件の再発の防止とか一連の要求を出したのであります。そういうような事情でありまして、この問題が日韓会談の前途に、普通で行けばいい影響を与えないのは当然であります。でありますが、私の希望としてはいまだに、この問題のために、日韓会談が阻害されるようなことのないようにいたしたい、これはこれとして別個に取扱つて、満足の行くような解決をはかりたいと思つております。それは日韓両国の大局から考えても当然であろうと思いますし、またこういう事件が起れば、ますます早く日韓の関係をはつきりさして、事件の再発防止という方に心がけなければならない意味からも、日韓会談というものがこの事件で阻害されるようなことのないようにする、こういうのが私は自然のやり方であろうと考えております。 なお防衛水域問題は、これは国連軍のとりました措置でありますが、これは今のところ、事実上現われているところから見ますと、一般の封鎖というような法律上の問題ではないように用います。現にコントロール・パッセージといいますか、一定の航路、一定の目的を持つた船は自由に通行ができるのであり、そのほかの船は、作戦等の必要がある場合は退去を命ずるというだけのことになつております。従つて主として作戦上の必要、広義にいえば機密保持上の必要——あの水域の中には捕虞等もたくさんおるようでありまして、それのセキユリテイーの問題も入つて来るのだろうと考えております。この問題は、元来韓国と日本との間に起つた事件でありまして、私はできるならば、これは日韓両国間で解決するのが当然のことであつて、そう何でもかんでも国連軍等にあつせんを依頼するというやり方は、すべきでないと思つております。しかしどうしてもそれが必要になれば、事件の解決の方が大切なのですから、あつせんを請うこともありましようけれども、ただいまのところは、できるだけ日韓両国の間で話し合つて解決をいたしたいと思つております。 本日の新聞等に、漁船の保護に国連軍が任ずるという趣旨のことが出ておるようでありましたが、私はこれは全然聞いておりません。国連軍としては、できるだけ防衛水域には日本の漁船は入つてもらいたくないという意向なのであります。つまり退去を命ずるということになつておるけれども、一々退去を命じに国連軍の船が出て行くことは、漁船の数も非常に多いのですから、防衛水域の安全の保持のために使う国連軍の海軍が、日本の漁船の退去を命ずるのに奔命に疲れることも困るのですから、なるべく入つてほしくないという意向のようであります。われわれの方も国連協力の意味から、できるだけ入らないで漁業ができればその方がけつこうである。まあどうしてもしかたがない場合には、これはやむを得ずというようなことにいたしておるのであります。 それから李承晩ラインの問題につきましては、ラインはありますけれども、これは主として漁業の問題であつて、一般に公海を航行する船にそこへ入つてはいかぬというのでもない、日本の船であろうとどこの船であろうと、そこを通過することを別にさえぎつておるわけではなく、韓国側の主張は漁業であり、また魚族の保護ということを言つておるようであります。そこで漁業の問題になりますと、これはほとんど日本と韓国との間の問題であつて、その他の国があすこへ来て漁業をするという事実はないのでありますから、いわばこれは日韓両国の問題になるのであります。漁業の問題でこういうような議論あるいは紛争が生ずるということは、これは日本と韓国との間ばかりではない。世界各所に例があることでありまして、アメリカとカナダとの間でも議論がある。アメリカとメキシコとの間でも議論がある。いろいろ議論はあるわけでありますから、たとえば公海自由というような原則と、この李承晩ラインというものと、必ずしも全部が全部抵触しているのでも、全部が全部一致しているのでもない。要するに漁業の問題だけが実質的にはここで取上げられておるわけであります。従つて国連側なりあるいはほかの国々が、李承晩ラインに対して特に批評を加えておらないと私は了解しております。結局これはせんじ詰めると日韓両国の問題であります。日韓両国の問題としては、昨年の初めからずつと議論しておりまして、遂に意見が合わずに、五月の初めでしたか、ものわかれになつてしまいました。その後もしばしば会談を再開しようと思つて、韓国側に話しましたが、同じような立場を双方が主張しておるものですから、話がつかないで今日に来ております。お正月に李承晩大統領が来まして、われわれが会つて話をしたところによりますと、先方には会談再開の意向がまじめにある。また両方とも日韓関係を改善するということについて努力することは、ぜひやろうというふうに意見が一致したので、非常に空気がよくなつて来ておるところに、こういう事件が起つたので、はなはだ残念でありますが、初めに申した通り、この事件によつて大局が乱されないようにいたしたいという考えは、いただに捨てずに持つて、その意味で努力をして行こうと考えております。
○栗山委員長 本件に関しましては関連質問等があろうと存じますけれども、議事進行上、もし関連質問があれば、後刻の国際情勢等に関する質疑にお譲りを願いまして、この際委員会として政府当局の意向をただしておきたい点が二、三あります。第一点は戦犯で死刑に処せられた者、及び戦犯で獄死した者の遺家族に対する援護措置につき、外務当局の態度があいまいであるかのごとく伝えられておりますが、この点に関し、当局の見解を明らかにされんことを望みます。
○岡崎国務大臣 戦争裁判の受刑者の中で、今委員長が言われましたような、なくなつた人々の遺家族に対する援護というものは、これは人道上当然の問題でありますから、外務省がこれに対してあいまいな態度をとるというようなことはあり得ないのであります。遺家族に対しては当然援護すべきものだと思つております。しかしながら援護をどういうふうにやるのかといいことは、これは厚生省が主管としてやるところでありますから、具体的の方法は厚生省が立案し、外務省等がこれに参画するということになりますが、原則論として、援護について外務省に異論があるはずは決してありません。
○栗山委員長 次に前回の委員会において問題になりました領空、領土、領海等が侵された場合、その事実を発表するかしないか、発表するとせばその方法、また侵犯した方面に対していかような措置をとるかということにつき、政府当局の見解を明らかにされんことを望みます。——ただいまの件につきましては、後刻回答されんことを望みます。 次に前回の委員会において主として安東委員より提起されました。訓練用飛行機の借受けに関する措置を、何ゆえ明らかにして国会の承認を求むる方法をとらないか。フリゲート艦の貸与契約とどういう相違があるのかというような点について、まず政府当局の答弁を求め、安東委員の継続する質問を許します。
○下田政府委員 その点に関しましては、保安庁長官あるいは増原次長がおいでになる予定になつておりますので、保安庁当局からお答えした方がいいと存ずるのであります。
○栗山委員長 それではあと五分か十分間くらい外務大臣に対する質問を許します。安東義良君。
○安東委員 五分では尽きませんから、またあと適当の機会に続けてやりたいと思いますが、今日は外務大臣から対米外交方針について伺いたいと思うのです。 アイゼンハウアー大統領の就任演説あるいは一般教書、ダレス氏の訪欧というような一連の事態から、アメリカの新外交政策なるものが、だんだんと明らかになつて来たようであります。それでお伺いしたいのは、従来のトルーマン大統領のとつておつたいわゆるコンテインメント・ポリシーと今度のダレス国務長官あたりの言つておるロール・バツク・ポリシーとの根本的差異はどこにあるか、これについて外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 結論を申せば、私は根本的の差異はないと思います。要するに共産陣営の侵略行為に対して、冷たい戦争をもつてこれに応じておる現状であつて、その方法としてコンテインメントにするか、ロール・バツクにするか、またロール・バツクとコンテインメントとはどれだけ違うか。これはやつてみないとわかりませんが、気持においては消極性と積極性の幾分か違いがあると思いますが、これは方法論であつて、根本の精神は、今までも現在も違つておらないと思います。
○安東委員 私もその点については全然同感であります。要するにロール・バツク・ポリシーと申しましても、結局コンテインメント・ポリシーの動的な表現ではなかろうか。新しい時代に応じての動的表現にすぎないようにも思われるのでございます。ところが世間では、このいわゆる巻き返し政策というものは、戦争の危険を増大するものであるというふうに、国民の間にも相当広く議論がせられておるようにも思うのでありますが、この見解ははたして正しいかどうか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 たとえばアイゼンハウアー元帥のステートメント等を通読いたしますと、その中から出て来るものは、やはり平和維持ということに対する強い信念でありまして、あくまでも戦争を防ぐということに尽きると思います。ただその方法が、たとえば守つているばかりでいいのか、あるいは攻勢は最良の防禦であるというようなこともありますが、一歩々々しりぞくよりは、むしろ出て行くくらいでちようどうまく守れるのだという考えもありましようが、要するに戦争に至るのだというようなことは、アイゼンハウアー元帥なりダレス氏なりの言つていることを、全般を通じて十分に読まないか、あるいはためにする宣伝であつて、アメリカ側としても、平和維持の強い信念はさらに強くなることがあつても、決して弱まるというようなことはないと私はかたく信じております。
○安東委員 この点についても私は同感であります。要するにコンテインメント・ポリシーとしても、ロール・バツク・ポリシーにしてもその基調は、ソ連の和戦を通ずるいわゆる世界革命戦略に対しては、広義の力を用意結集する必要がある、これが自由世界防衛の根本義であるという立場に立つておるものであると私は思う。従つて、われわれが講和条約において好むと好まざるとを問わず、自由国家群のうちに投じた以上は、この点についての認識を一層強める必要があるように思うのであります。今日国内においていろいろ軍備の問題その他について意見がわかれており、そしてまた国民も帰趨するところを知らないような状況にあることは、この点についての根本的認識がまだ十分でないというところがあるように思いますので、今後外務当局におかれても、この辺に対する世論の啓発に一段の努力をせられたいと思うのであります。 次に米国のいわゆる対日政策が今後どういうふうにかわつて行くかという問題は、今の根本政策から見て、非常な変化があるものとも私は思わないのでありますが、近くダレス氏がやつて来るという話でありまして、このダレス氏の訪日の使命は、訪欧の使命と相通ずるものがあるに違いない。これに対して政府としてはいかなる心構えをもつて対処せられんとしておりますか、一応お伺いいたしたいのであります。
○岡崎国務大臣 ダレス国務長官がこちらへ来るという新聞報道等は、しばしば私も見まして、たとえば駐米大使なり、その他アメリカにおるいろいろの人の意見も徴しておりますが、今のところ急に来るような模様は見えておりません。まあ来るならば秋ごろじやないか。しかもそれも、来るという新聞報道に基いて、その前提で、来るとすればというような意見のようでありまして、まだ全然きまつてはおらないようであります。しかしわれわれももちろん、来る来ないにかかわらず、アメリカの方策が少くとも主義上の点は明らかになつておるのでありますから、これは十分検討し、また将来の日米の国交あるいは外交上の問題として研究をいたしておりますが、この二、三箇月のうちにはさらに具体的にいろいろはつきりする点があるだろうと思いまして、研究は怠らずにいたしております。また駐米大使等ともよく連絡をいたしておりますが、今のところ、従来の自由国家諸国との提携を、いかなる方面においても、できる範囲でそれを強固にして行く、そして自由主義陣営の結束が非常にかたいということを世界に示す方法をできるだけとるという方針のもとに、具体的の方法を一つ一つ検討しておるわけでありまして、もうしばらくたちますと、さらに具体的の方法も現われて来るかと思いますが、その程度に今考えております。
○栗山委員長 安東、植原両委員の御了解を得まして、木村長官の出席時間が限られておりますため、先ほどの問題につき、木村長官からお答えを願いたく存じます。その問題というのは、訓練用飛行機の借受けに関する日米間の措置いかん、なぜこれが国会の承認を求めるような方法にならないのかフリゲート艦の貸与契約とどんな違いがあるのか、かような点につきまして、木村長官のお答えを願います。
○木村国務大臣 お答えいたします。アメリカから飛行機は借りていないのであります。浜松で保安隊員の一部は訓練をしておりますが、この訓練は、アメリカが現在保管使用しておる飛行機に乗せてもらつて訓練を受けておるのであります。われわれといたしましては、一日も早く何とか処置をいたしたい、こう考えております。これはわが方だけの考えではいけないので、やはりアメリカにもいろいろ考えがありましよう。そこで双方の意見を合致させる、それをどの辺まで持つて行くか、ただいませつかく研究中であります。そこで私はぜひとも飛行機は日本で持ちたい、少くとも練習機は日本で持つて練習をさせる、これを観測用あるいは通信用に使用いたしたい、こう考えている次第であります。
○安東委員 過日ここの祕密会で、日本の保安隊がアメリカから借りておる武器の内容を御発表になつたのでありますが、今の飛行機の話はまず一応お預けとしまして、その後武器の増強が行われたのじやないかと思うのです。その内容を発表することはできませんか。
○木村国務大臣 この前こちらの秘密会で発表いたしました武器の数量、あれ以上にはただいまのところ増加いたしておりません。しかしわれわれといたしましては、相当の整備はいたしたいと今考えておる次第であります。
○安東委員 今の飛行機の問題でありますが、アメリカの飛行機に乗つけてもらつて訓練しておるというお話で、実は意外に思つたのであります。これもほかの武器と同様に、やはりアメリカの軍憲と係安庁の役人との間の契約によつて使つておるのじやないかと思つておつたのでありますが、そうでないということであります。その点ははつきりしておりますか。
○木村国務大臣 それはさように相違ございません。
○安東委員 そういう行き方が永続するものではないことはもちろんのこと、練習する者の志気にすこぶる悪影響を及ぼすと思いまして、保安庁長官がみずからの飛行機を持ちたいといわれる気持には、私も賛成であります。しかし一挙にして日本が飛行機を保有することができないのはあたりまえのことであります。アメリカでもすでにフリゲート型について特にアクトを国会につくらして貸している先例もありますから、私はフランクにアメリカにそういう方式をとらして、もつと正々堂々と借りて、日本のものとして使うというようなふうにやつていただきたいと思います。それと同時にわれわれとして最も重要視する点は、日本の保安隊、実質上の軍隊にひとしいものが、国会の知らぬ間にでき上つてしまう。言いかえれば国民の知らない間にでき上つてしまう。そういう既成事実をつくり上げるような行き方に対して、はなはだ不満とするのであります。真に保安隊に対する国民の期待と信望をつなうとするならば、あくまでも国民を代表する国会の同意を得た形において持つて行くべきものであることを私は確信するのであります。この意味において政府当局は十分反省あらんことを希望するものであります。
○植原委員 私は進んで質問しようとしないのですが、所見をただしておきたいと思います。北海道の上空を国籍不明の飛行機が飛びましたことも、国民をかなり強く刺激しております。また朝鮮の沖に起つた大邦丸の事件も、国民を刺激することかなり甚大だと思います。新聞に伝うることをかれこれ申すのではないが、この根本の政策は、私は外務当局としても、木村長官としても御同意であり、国民も一致するところであると思います。たとい何人が日本の外交方針は米国一辺倒であると批評いたしましても、日本の今日の現状は、何といたしましても、日米の間の外交問題を根幹として世界に対する政策に向わなければならない。しかもこれが徹底的に親善関係を持続するということでなければならない。そういう場合に、ダレスが参りますことについても、いろいろ新聞でうわさされておるとが議会の問題になる。なぜ問題になるかといえば、どこからその宣伝が出るか知りませんが、しかしダレスが来ればあるまいは日本に対して再軍備を要求するのではなかろうかという記事がかなり強く出ます。これはだれが出すからいいとか悪いとかいうわけには参りません。そういうことは国民をかなり刺激する。ただいま安東君の御質問に外務大臣は、トルーマンの対外政策とアイゼンハウアーの対外政策とは根本において違いはない。今日の世界の風雲はかなり悪いけれども、どのようなことがあつてもアメリカとしては第三次世界戦争を避けたい、これは同じだと思います。但し両者の間の外交において、ねらいは同じであつてもやる手段、方法はかなり違います。ということは、極東において台湾におけるところの中立化の問題も、御承知の通り私が言わなくてもわかることです。またダレスがヨーロツパにおもむいて、各国と交渉したところのヨーロツパの共同軍備の計画を見てもまたしかり、かなり違つております。そこで私は総理大臣の心持をよく知つておる。総理大臣は日本が独立国である以上は、やがて軍備はしなければならないが、国民の間に盛り上つて来たらしようというのである。これは政治家としてきわめてずるいやり方であります。ステーツマン・シップのあるやり方ではありません。今日駐留軍がおります地方における風紀の問題、演習から起つて来る地方民との摩擦の問題、これらはアメリカに対する日本の国民の感情をずいぶん害することであることは争われざる事実であります。そこでもし政治家が日米親善の関係を熱心に希望し、名実ともにその通りであるとするならば、駐留軍の滞在の期間は短かければ短かいほどよろしい。これを短かくするには日本ではつきりとした再軍備のことを——これは今ただちにじやない。日本で持ちたくてもどうせ財政経済情勢から大きい軍備は持てはしないのだから、私は軍隊としては今の保安隊だけでよろしいと思う。またアメリカの駐留軍と保安隊が集まつたぐらいでよろしいと思う。他人に守つてもらうよりは、独立国として日本がこれを守るということの方が、日本国民の矜恃の上からいつても、誇りの上からいつてもよい。そうして政治家は、きようただちに、というのじやないが、やがてその機会を一日も早く展開せしめることがよろしいことであるといつて、政治家は責任をとつて陣頭に立つて国民を指導することこそしかるべきだと思います。日米親善を考慮するならば、北海道の上空に飛来した国籍不明のものならば、アメリカの発表をまたずしてなるべく日本の国がこれを発表できるようにし、また駐留軍におつてもらうことをなるたけ短かい期間にする。そこで私は、保安隊がロケット砲を使い、戦車を使い、大砲を撃つことを訓練しており、またフリゲート——これはある一種の軍艦の装備を持つたものであるに違いないが、しかしこれは警察権を行使するものだから軍隊でない、保安隊だという、さらにこれは国外に向つて目的を有するものでない、国内の治安のためのものであるからこれは保安隊でよろしい、軍隊でないという、そういう一応の形式的の説明はできますが、これは法律上で言うならば、保安長官は私の言うことを御否定なさるでしようが、これは一種のフィクシヨン、擬制的の説明であつて、ほんとうに正しい、天地神明に誓つて恥じざるところの説明じやない。これは今の実情としてそう申さなければならないということで申しておることだと私は思います。これは国民がどうしても納得しない。戦車を使つて大砲を使つてぽんぽんやつておいて、それが国内の治安の維持だけで、警察力行使以外に何ものもないといつても、そういうわけには行かない。朝鮮の問題についてフリゲートを使うかといえば、使わないとは言われないけれども、そういうことの起らぬことを希望する。ことによればそういうこともありはしないというような、まことに曲りくねつた御答弁を政府当局はなさらなければならないので、まことにお察しするのですが、一体保安長官は、今軍備をするということはどうでもよろしいけれども、実際独立国として国際連合に加盟しなければならない、今日の駐留軍によつて日本の安全を防衛してもらうという立場はきわめて不自然である、フリゲートをもつて、これをただ警察力の行使、海上の巡羅だけだというようなことでいつまでも行けないのだから、やがて近き将来に軍備を持つべき用意をしなければならない。これが日米親善の関係を最もよく有利に導く方法だ。——総理大臣を横に乗せておいて、外務大臣率直にひとついかがでしよう。私はそういう方向に行くことが政治家としてとるべ道きであり、また私はしいて総理大臣と外務大臣の意見が違うといつてあげ足をとろうとも思わないし、いろいろするのでありますから、実際今のこの擬制的の答弁が議会で繰返されておつては、日米親善に害あつて益なしと私は信じますが、それに対する外務大臣の率直なるお答えを得ればたいへん仕合せだと思います。
○栗山委員長 木村長官がお急ぎでありますから、木村長官の方から先にお願いしましよう。
○木村国務大臣 私はかように考えております。日本は一つの独立国であります。独立国となつた以上は、みずからの手によつてみずからを守るという体制を整えなければならぬと考えております。ただいかんせん、ただいま経済力その他の観点からいたしまして、軍備は持つことはできない、これは総理がしばしば言明している通りであります。ただ申し上げておきたいのは保安隊のことであります。保安隊はいかにもいわゆる軍隊——正式に申しますと、憲法第九条の第二項の戦力に該当するようなお考えでありますが、私は決してしからずと考えております。今戦車なんか持つておると仰せになりますが、持つておることは事実です。しかしきわめて僅かの数であります。しかもその戦車たるや旧式の戦車で、こんなものは近代戦に役に立ちません。はつきり申し上げます。朝鮮戦線あたりに使われておる戦車はおよそこんなものとは違うのであります。これは一たび戦争の起つたときにはこんな戦車では間に合わぬと思います。高射砲にしてもしかり、現在北海道に飛んで来ておりますミグ飛行機のごときは三万五千フィートから四万フィート、これはわれわれの目では見えない、レーダーで捕捉するよりしかたがない。われわれはごく少数の高射砲も借りて訓練しておりますが、こんなものは私から見ればおもちやのような高射砲であります。およそ縁遠いものであります。それでまた今使用している武器にいたしましても、ことごとくわれわれの目から見れば近代戦に役立たぬものと考えております。およそ軍備と申し上げれば、いわゆる近代戦を遂行し得るだけの組織と能力がなければならぬと私は考えております。従いまして、今の保安隊の内容、編成その他から見まして、私は断じてこれは軍隊にあらずと考えております。これは私の信念から申し上げたい。一たび戦争が起るようなことがあれば、こんな装備ではものの役に立たぬと考えております。しかしながら近ごろ保安隊員、海上警備隊員の精神力は、なかなか旺盛であるということをはつきり申し上げておきます。われわれの手によつて祖国を守ろうという精神力が、旺盛になつて来たことはまことにうれしいと私は考えております。従いまして、今植原委員から申されましたように、一国としては早く戦力を持たなければならぬと、こうう仰せになりました。これは日本人多数が同感であろうと私は考えております。しかしいかんせん。経済力その他の点から申しまして、早急にさように参らぬということをまことに遺憾と私は考えております。
○栗山委員長 木村長官は本会議出席のため退席をされます。御要求があればそのとき出席を求めます。
○岡崎国務大臣 今の植原委員のお話でありますが、これは二つの問題を含んでいると思います。一つは、現在の保安隊は、あれはフィクシヨンであるから、むしろあれを軍隊としたらどうかという御意見、もう一つは、早く日本で国を守る力を備えて、アメリカの軍隊に帰つてもらうようにしたらよいだろう、こういう二つの問題を含んでいると思います。そこで第一の点について、私はこう考えておるのであります。かりに現在の保安隊に軍隊という名前をつけたといたしましても、事実はかわらないのであります。従つて保安隊の実力というものは、今の保安隊を軍と名づけたとしても中身は同じことだと思います。そうするとその中身はどういうものかといいますと、今木村国務大臣も言われたようでありますが、まだ直接侵略に対して国を守るに足るだけの力はとうてい備えていない。従つてやむを得ずアメリカの駐留軍の、ことに海空軍の力によつて、及び一部の陸軍の力によつて、直接侵略のないように守つてもらう以外に方法がないという程度であります。従いまして、この今の保安隊を軍隊と名づけようと名づけまいと、第二の問題であるアメリカの駐留軍に帰つてもらえるかどうかという点には、解決の問題はないのであります。ただ今のものが軍隊の形態を備えておるから軍隊にするか、あるいはまだ保安隊だから保安隊にするかという議論にすぎないと思います。 そこで第二の問題の安全保障条約等によらず、日本の国は日本で守るようにした方がいい、これはその通りでありまして、日米安全保障条約による駐留軍というものは、これはやむを得ざるに出た措置でありますから、でき得るならば早くこのような必要がないことを希望するというのは、これは当然であります。そのためには、これは非常に抽象的な理想論でありますが、たとえば世界が平和になつて、もうそんな直接侵略を心配する必要のないような事態になるということも、一つの議論としては考えられるわけであります。あるいは集団安全保障の組織が非常にはつきりして、日本としてはその中で守つてもらえるから安心だということになり得れば、これまた一つの問題だと思います。それでなければ、今度は自分の力でもつて国を守るということになるのでありますが、そういう時期が来れば、アメリカ側も痛くありますまいし、日本側もいてもらう必要もないししますから、駐留軍は撤退するという事態が起るわけであります。もう先ほど保安庁長官が言われましたように、国民がみなその気になつてくれることを希望いたしますし、またそうならなければならぬと思つておりますが、国内には、国会の中でもそうでありますが、現にこれに反対する議論も相当多いのであります。また今度は実際上の見地から見ますと、今飛行機の話も出ましたけれども、飛行機だけ備えるにしても、これは非常な経費がかかるし、ことにいわゆる軍艦というようなものを備えるとすれば多大の経費がいりまして、アメリカの軍事援助というようなものもあり得ましようと思いますけれども、それにしても非常な費用がかかることは、たとえばイギリスで軍備拠張をいたします。今まである軍備を拡張しますのにも、日本の金に直しますと一兆四千億程度のものを予算に組んでいるような実情でありますから、財政上にもこれは容易なことではない、また憲法の規定もある、国民の中にも反対の意見がある程度ある、こういう実情から見ますと、結局総理の言われたような方法で進む以外に、私もやはり方法はないと考えております。
○植原委員 海上にせよ陸上にせよ、今の保安隊というものは変則なものであるといいことであります。警察力を行使する警察制度の問題と違いまして変則なものである。この変則なものを存在せしめることは、国民に対していろいろの疑心暗鬼を生ぜしめてかえつていい結果にならない。過渡的でやむを得ぬということは私も認めますけれども、この変則なものは早く取除く方法を考えなければならぬ。また日米の親善を考える上からいつても、今駐留軍の各地における風紀問題や、地方の利害関係と衝突していることを考えても、それをしいてやつて行くということを政府が釈明するところに、米国一辺倒という強い批判が出て来ます。この批判は、日米の親善をよくするよりは、かえつて悪い方向に持つて行くものであります。台湾の問題を考えましても、朝鮮に対するアイゼンハウアーの政策を考えましても、これを否定することはできない。なるべく極東のことは極東で守つてもらうようにする、朝鮮のアメリカの兵隊、あるいは国連の兵隊をにわかに引揚げるというようなことはいたしますまいけれども、朝鮮人を訓練してなるべく朝鮮を守つてもらうようにする、こういう建前であります以上は、国内においていろいろな批評や疑心暗鬼の起るゆえんは、政府がはつきりしたところを示さないからであります。はつきりしたところを示して国民を指導して行くことが、政治家のとるべき道である。将来の日米親善のことを考えれば、駐留軍に早く退去してもらうことだ。また台湾の問題を考えれば、アメリカとほんとうに提携し、アメリカのできるだけの援助が必要でしようが、その援助を必要だとするならば、日本みずから立つて守るという体制を整えない限りは、今までと違つてアイゼンハウアーの政策としては非常にやりにくい政策になりましよう。国内において再軍備に反対する者のあることは認めますけれども、どこの国でもガンジー式の平和論者もあるし、いろいろある。独立国家として日本が行く以上は、流されて行くことは政治家のとるべき道ではない。ことに民主政治家は目標を定めて、そこに到着すべきところを置いて指導して行くという立場で立たなければならぬじやないか。流されて国民が要求すればやるし、国民に愛国心ができて来たならば軍隊を持つし、国の財政がゆたかになつたら軍隊を持つというが、これはほとんど政治家としてとるべき道ではないのですよ。独立国になつた日本は、将来米国の軍隊に一日も早く退去してもらわなければならぬ。アイゼンハウアーの政策は、極東は極東によつてなるべく守つてもらいたいというのですが、そのようにしていて共産主義者を刺激するようにしたり、あるいは第三次世界戦争を迎えるようなことはできるだけ避けなければならない。極東においてもヨーロッパにおいても同盟軍をつくつて、極東においては、将来極東は極東みずから守るという体制を整えない限りは、極東における平和は維持できぬというのが、アイゼンハウアーの根本の考えであるということは否定することができない。政府を責めたり議論するのじやないが、外務大臣もぼくと同じだろうけれども、今の政府に地位を占めるので、どうも曲りくねつた御答弁をなさるが、もう少し政治家的の抱負経論をもつて進んでいただきたい、こういうことだけであります。
○栗山委員長 関連質問もあるように存じますが、議事の進行上御質問は後刻にお譲りを願いたく存じます。 —————————————
○栗山委員長 次に、航空業務に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件につきまして、は一応質問を終了いたしておりますが、戸叶委員から一点だけに限り御質疑の申出がありますので、これを許します。
○戸叶委員 一点だけ伺つておきたいと思います。第六条に、施設の使用料及び特定物品に関する待遇のことが書かれてありますが、これを見ますと、日米航空協定の場合と日英航空協定の場合と違つております。日米の場合は相互免除の形をとり、今度は最恵国待遇をとつておりますが、このわけられました理由は何かということと、日本のような航空業務のまだあまり発達しておらない国において、どちらの方が有利であるかということだけ伺つておきたいと思います。
○下田政府委員 御指摘の第六条の日米航空協定と日英航空協定の差異でございますが、第二の点につきましては、実際問題としてはまつたく結果は同じでございます。 第一の点につきましては、この前申し上げましたが、大体実際行われております航空協定を見ると、アメリカ方式とイギリス方式と申しますが、欧州方式という二つのカテゴリーがありまして、アメリカとの間はアメリカ方式によつたわけでありますが、イギリスを初め今後結んで参りますヨーロッパ諸国との協定、これは日本側が案を提出したのでありますが、その案を作成する際に、ヨーロツパ方式を参考としてつくりました。従いまして建前の上だけの差異になつておりますが、実際問題はまつたく同じことになるのでございます。
○栗山委員長 それではこれから討論に入ります。討論の通告がありますので、これを許します。田中稔男君。
○田中(稔)委員 私は社会党左派を代表して本協定に条件付で賛成の意を表明するものであります。 この協定は、本来商業的、技術的性格を持つた協定でありますから、必要だと思うのであります。ただこれが平和条約第十三条に基くものである点でありますが、平和条約にはわれわれ非常に大きな不満を持つており、締結当時反対したことは御承知の通りであります。この協定の末文に交換公文がありますが、この中に、琉球の政治的地位について触れられておる。沖繩に対する残存主権について日本国の請求権を主張しておる。このことについてはけつこうだと思いますが、大体その平和条約第三条において、政府が琉球について将来アメリカの単独信託統治というようなことを認めたということに対して、国民全般、特に琉球同胞の非常な反対があつたことは御承知の通りであります。まさにこれは国辱的な条文であると思うのです。こういうふうな交換公文を出さなければならぬという結果を来したのは、現在の政府の外交上の大きな失態であると私は思う。 御承知の通りに、今度の戦争では、琉球において十六万の同胞が犠牲になつた。ひめゆりの塔、健児の塔というようなものもできていることは御承知の通りであります。敗戦日本が非常な困難のうちにたくましい再建を始めたのでありますが、戦争において最も悲惨な運命に遭遇した沖繩の同胞が、本土におりますわれわれ日本人とともに祖国の再建に参加することができなかつたということは私どもも遺憾でありますし、沖繩の同胞諸君も最も遺憾としておるところでありまして、絶えず琉球諸島の本土復帰の熾烈な運動が行われておることは御承知の通りであります。 現在沖繩の状態は、御承知の通り、非常にひどいのであります。たとえば教育の施設をとりましても、かやぶきであるとかあるいはトタン張りの校舎、窓もなく、床もないという状態である、雨はどんどん漏る、そういう校舎で二部教授、三部教授をしている。さらにまた基地風景といたしまして、沖繩全体が基地風景で、無数のパンパンがいる、混血児だけで三千人。そうして生産の意欲のなくなつたただその日暮しの状態で、若い者は堕落しているということそうして一体琉球はいつ日本に復帰することができるかということは非常にむずかしい問題であると思う。琉球の司令官その他米軍の関係幸いろいろ話されておる、あるいは雑誌その他に寄稿されておるところを見ましても、アメリカはなかなか琉球を手離さない、こういうふうに考えられる。こういうことになつてしまつて、本協定の末文に、残在主権についての弱々しい請求権を主張する。私はこの一点においても吉田内閣に対して重大な不信の意を表明しないと思います。しかしながらこの協定自体は、冒頭申し上げましたように、商業的、技術的性格を持つたものでありますから、この条約に基かなくとも、いずれこういうような協定は締結する必要があると思う。 最後に一点、この協定実施にあたつて何か軍事的目的に利用されるというようなことがないように政府において御留意願いたいと思います。 これを申し上げて、賛成の意を表します。
○栗山委員長 これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。航空業務に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件を承認すべきものと決するに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗山委員長 御異議なしと認めます。よつて本件は承認すべきものと決定いたしました。 なお本件についての報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗山委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。 —————————————
○栗山委員長 引続き国際情勢に関する質疑を許します。安東義良君。 〔委員長退席、池田(正)委員長代理 着席〕
○安東委員 外務大臣に引続きお尋ねいたします。ダレス氏の訪日についてはまだはつきりしていない、あるいは秋であるかもしれないというようなお話でありますが、その訪日いかんにかかわらず、私はアメリカとの協力関係について、先ほど植原委員の言われたような意味におきましても、今までの政府の軍備に関すると申しますか、国防に関する表現方法を再考しなければならぬ時期に来ているものと私は思う。ことに日米安全保障条約につきましては、この方式についてさらに検討すべき時期に到達して来ているのではないかという感じがするのであります。 そこで日米安全保障条約の根本的欠陥は何かということになりますと、要するに日米平等の立場に立つていない、日本の国防をアメリカに依存しておるというところにある。そこで、私は今後の日米関係を緊密化して、ほんとうの理解と同情の上に立つた確固とした関係を築き上げるためには、日米相互援助条約の方式に振りかえることが適当ではないかというふうに考えている一人であります。これらについての御研究はまだお始めになつておらぬとは思いますけれども、これについて外務大臣の御見解を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 私も独立国として可能ならば今の条約よりは、もし同じような条約をつくるなら、安東君のおつしやつたような相互的なものであるのが当然いいと考えます。考えますが、この日本の憲法は国会でも長い間審議されました上で決定されたものであり、しかもそれは占領中にきめられたものでありまして、アメリカ政府当局等がその内容をよく知つておるのは、これはもう事実であります。そしてこの憲法というものが、これは総理も言われますように、永久にかわらないものというものでありますまいけれども、容易なことでこの憲法を改訂すべきものでない、十分慎重にやるべきものであるということも私は当然だと思います。そこでアメリカの方でもこの現在の憲法を熟知いたしておりまして、その上でいろいろ研究の結果、日米安全保障条約を結んだのでありまして、われわれの方でも同様の立場であります。理想を言えばいろいろのことがありましようが、今の状況といたしましては、さしあたり日米安全保障条約で行くよりいたし方がないと、現実には考えております。
○安東委員 外務大臣のお考えはよくわかりました。この点につきましてはこの上申し上げることは控えたいと思います。 そこで先日の新聞を見ますと、例の対日援助費二十二億ドルについてアメリカからつけが来た、この問題の解決を正式に申し出して来たという話でありますが、これは事実でありますか。
○岡崎国務大臣 米国側は、対日援助というとガリオアだけでございませんで、広い意味のエイド、たとえば軍の放出物資もありましようし、あるいは今でも国会で使つておりますが、ウエーポン・キャリアとか、その他ジープのようなものも政府に対して渡したこともあります。あるいはカン詰類を払い下げたこともあります。イロアというようなものもありますし、ガリオアというようなものもある、いろいろの種類のものがあるわけでありまして、それのうちのどれが日本の債務になるか、どれがならないかという内容を検討して、早くはつきりとこれだけは債務である、これだけは債務でないということをきめたいという気持はずつと持つておりまして、これは占領期間中からそういう希望があつたのであります。しかし日本側としては、それをきめるにしましても、内容がこちらに十分自信のあるような材料を持たないと、向う側の材料だけできめなければならぬということになります。ところが占領中のことでありますから、こちらに十分な材料のないということ、またことに終戦直後の食料が非常に緊迫したような場合には、手続方法のいかんを問わず、とにかく物が入つて来ればいいというのでやつておりまして、その間に資料の足りないものもあります。そこでこちら側の資料を十分に集めた上でなければ、かりにそういう話合いをすることにしても、困難であると考えまして、まだアメリカ側にそういう話合いをするということを返事いたしておりません。先方のそういう希望のあることは了承しております。ただいませつかくいろいろの資料を日本としては集めておる最中であります。
○安東委員 だんだんとわかつて参りました。これは私の記憶違いかと思いますが、サンフランシスコ講和会議のときに、池田君がこの俵務承認のことについて、一札を入れたというような話が伝わつておりますが、それは事実でありますか。
○岡崎国務大臣 池田大蔵大臣当時、ガリオア等についても債務と心得ておりますということは、国会でも申しておりましが、サンフランシスコで一札を入れたということは、全然事実に反しまして、そういうことは言つておりません。
○安東委員 してみれば、今度池田君が渡米するという目的の一つに、この対日援助費の問題は入つてないものと了解していいわけですか。
○岡崎国務大臣 実は新聞に最近非常に大きく出ましたので、私はどういう意味で急に出たしか知らないのでありますが、池田前蔵相にごく最近に会いましたところが、まだ行くか行かないかもきめてないし、行くにしても何か資格を持つて行くのか、それとも自分のただ視察旅行で行くのか、それもきめてないし、もちろん日取りもきめてないというようなことで、実は話の内容等について何ら相談をいたしておりませんし、まつたくまだきまつてない状況であります。従つてそういう問題が入るかどうか、これも全然問題になつていないのが実情であります。
○安東委員 それを聞いて実は安心いたしたのであります。少なくともアメリカには日本の大使がいる。またその人も経済通であり、財政通でもある。こういうところにことさらに政府が意味ありげに使節とうような形で人を送るというようなことは、よほど慎重でなければならぬと私は思うそれでなければ出先の大使の信頼性というものに対して、疑惑を生ずるような問題が起らぬとも限りません。これは外務当局として当然お考えになつているところと思いますけれども、特に御注意を願いたいと思いますが、この点についてあるいは同僚がすでにお尋ねしたかしれませんけれども、白洲氏の問題が同様な意味において考えられたのであります。しかもその結果ははなはだあいまいであり、むしろまずかつたじやないかとさえ思はれる。今度白洲氏がヨーロッパに特使の形で行つたということでありますが、これはどういう立場において何を目的として行かれたのか、参考までに承つておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 白洲君はアメリカに先般参りましたが、これは大使の行うような仕事には一切関係せずに、従来の知合いの者が非常に多いのでありますが、そういう方面からオフィシャルでなく、悪口を言わせるだけ言わせて聞いてみる、こういうのが主たる目的であつたのであります。その結果はずいぶん私は参考になつたことが多いと思います。たとえばこれはほんの一例ですが、東京へアメリカ人が来て、東京はきれいな町と言うのは、もうアメリカの人が来ると一様に言うことでありますが、本心でそう思つているのかどうか。これはアメリカ人同士の間だつたらずいぶんきたない町だと言うかもわからないのでありますが、大使なり私などと初めて会うと、とにかくそういう点が少しかたくなり過ぎる心配がある。そこで白洲氏が行つて帰つて来ますと、まあ本人もずいぶん遠慮のない方でありますが、かなり遠慮のない批評を向うで聞いて来ました。また白洲氏の見方からの、たとえばウオール・ストリートの意向はどうであろうとか、あるいはアメリカの産業経済はどういう方向に向つているかというようなことについて、まつたく別の角度からの観察もありまして、この内容はそういういろいろ腹蔵のない意見を取次いで来られたのでありますから、発表することは遠慮しなければならぬと思いますが、かなり日本に痛い意味では参考になつたと思うのであります。そこで今般、前から計画はいたしておりましたが、ヨーロツパに行つて、やはり同じように日本のいいことばかり聞いて来るのではなくして、むしろ悪いことばかり聞いて来るつもりで行つてもらつたらどうかよいうので、むろんそればかりじありませんが、そういう意味も含めて行つてもらうことにいたしたのであります。この前ここで申し下げましたが、それについては大使の資格で出す。従つて旅費等も外務省から出す用意をしておつたのでありますが、本人は、実はそればかりではなくして、水力電気の状況、ことにイタリア、スイス、イギリス等、山の多い国々の日本に似たようなところの水力電気の実情、機械の利用その他も見て来たい、その方にもかなり時間を使うのだということで政府の旅費は断りまして、これは会社の旅費で行く、しかし依頼されたことは十分やつて来る、こういう意味で出かけたのであります。さようひとつ御了承願います。
○田中(稔)委員 安東委員の質問に関連して対日援助費のことで伺いたいと思います。今外務大臣のお話によりますと、政府は一応対日援助費を債務と考える、そうしてその対日援助費の中にいろいろな費目がある、その費目のうち、一体どれとどれとを最終的に債務と認めるかということで、アメリカの政府と日本の政府と話合いをする、こういう段階にあるように考えられるのでありますが、まずそのいろいろな費目からなつておる対日援助費を、最も広い意味で全部債務として日本国民が負担いたします場合には、総額はどのくらいになりますか。
○岡崎国務大臣 つまりその総額についても、日本の資料によつて日本側の考え方をきめないと、先方から総額はこれだ、そのうちのどれだけお前が払うかと言われても、これは話の仕方でないと思います。こちらの資料で、一体どの程度に、たとえばガリオアはどの程度であろう、イロアはどの程度であろう、放出物資はどの程度であろうというのを、こちらの資料に基いて検討して、大体の見当がついたところでなければ、話すにしても話せないというために、今その資料を集めておる最中でありまして、まだ、ひつくるめたところで大よそどの程度になるということも申し上げるほどになつておりません。
○田中(稔)委員 それでは、こちらの資料に基いて金額を確定するので、向うの方から何か金額が指示されてはいないわけだと承るのですが、そういうわけでいろいろな費目がある。それを相談をしてずつと落して行つて、そうして結局どうしても債務として負担しなければならぬというものは、かなり残ると思いますが、外交折衡よろしきを得て、全部帳消しにしてもらうというようなわけには行かぬものでしようか。ちよつと外務大臣のお見通しを伺います。
○岡崎国務大臣 それは行かないと思います。というのはごく少い債務ではありましようけれども、現にこれは必ず支払うという約束をした債務もあるのであります。これはごく小さな額ではありますけれども。しかしそれにしても、一体こだけのものが来るといつて、実際に現実にそれだけ渡つたか、渡つたにしても途中カン詰ならカン詰でいえば、こわれたのが幾つあるか、そういうようなことは、やはり資料によらないとわからないわけであります。それにしても、ほとんど事実上全部帳消しになるとは私は予期しておりません。
○田中(稔)委員 もう一つ、これは国民が非常に心配しておることですが、この問題の背後には一つの政治的かけひきがあるのじやないかということです。昨年の十二月二十二日、日本経済新聞にこれは載つております。私も先般本会議でこの点に触れたのですが、APかUPの外電ですが、アメリカ政府が日本政府に対して対日援助費の処理について相談したいという申入れをしたらしい。そうしてその含みとしては、日本に再軍備をいよいよ要請する場合、あるいは、言葉が強いかわからぬが、強要する場合、この借金をひとつ手に使う。再軍備を日本が快くやるならば、これは棒引にしてもよかろう、しかしやらないというようなことで渋るならば、借金をひとつ苛烈に取立てるということで、これを牽制の道具に使う、こういうかけひきがワシントン官辺の一つの総合的見解としてあるやに外電が報じておる。こは今外務大臣として、これについて詳しい御答弁をいただけるかどうかわかりませんが、一般にはそういうふうなことが新聞その他で伝わつておりますし、国民がやはり何かそういう危惧の念を抱いておる。そういうことについて外務大臣は一体どうお考えになりますか、ひとつ承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 今新聞等に伝わつているとおつしやいましたが、私は外電の記事は見ましたが、日本の新聞がそういうふうに意見として伝えているとは思つておらないのであります。それは別としまして、日本とアメリカとの間の関係は非常に緊密でありますために、ときどき一辺倒などといつて悪口を言われるくらいでありますが、しかし非常に緊密な関係にあることは、これは事実であります。そうしてたとい再軍備の問題であろうと何の問題であろうと、そんないやがらせみたいな責め道具を使わなければ、アメリカの意思が日本に表示できないような関係じやないのでありまして、従つて片方に責め道具を使つて何かさせるというような、そんな事態にはなつておりません。
○並木委員 大臣にさつきお尋ねした大邦丸の緊急質問ですが、一般質問にまわせということでしたから残つている点をちよつとお尋ねしたいと思います。それはさつきの大臣の答弁の中で、防衛水域については、国際連合軍の方では日本の漁船に立ち入つてもらいたくないと言つているのだ、さういう御答弁がきようはあつたのです。これは私が聞いておりまして、今まで大臣が防衛水域については国連軍の了解を得ておるのだ、だから安心して日本の漁船は行けるのだという印象を与えておつたところと、大きく違うのじやないかと思うのです。考えますと、こういうことが今度のような事件を起した原因になつているのではないかと思いますが、その点をお確かめしたいと思います。前にははつきり了解ができておらなたつかのですか、どうですか。
○岡崎国務大臣 これはあまり言葉じりでもつてやられると困るのですが、私が言つていることは、ごく簡単なことで、もし日本漁船がいくらでも入つて来ていいようなところなら、なぜ防衛水域などということを言うかというのです。要するに防衛水域ということは、作戦上やら、あるいは機密保持上やら、あるいは密輸船取締り等によつてこういう水域を画して、このところは防衛の必要上限定した水域であるということを言つておるのでありますから、当然ほかの船は入つて来てもらいたくないというのは、これはあたりまえな話であります。ただ日本の漁船は、そこに行かなければ魚がとれない、生業を維持できない、あるいは日本の水産資源を確保するに十分でないという、やむを得ざる事情でそこに入つて行く場合があり、そのときは先方はこれを拿捕したり、射撃したりしないで、退去を要求することあるべし、それを承知の上で行くのであります。行くのでありますが、もし行かないで済めば行かないでもらいたいというのは、常識的にあたりまえの話であります。
○並木委員 そうすると、国連軍としては今度の事件に対しては、日本側が正しい、日本の政府の言うことが正しいということを認めておりますか。
○岡崎国務大臣 私は特に日本政府の見解については、国連側のあつせんなりその他を求めることはありますけれども、日本政府の見解を国連軍が正しいと認めてくれるかどうかを、伺いを立てなければいかぬとは考えておりません。正しいことはやはり正しいのでありますから、もちろん国連軍もこれを認むるものとは思いますけれども、伺いを立てる必要はないと思つておりますから、そういうことはいたしておりません。
○並木委員 今後、ああいうことが起つてはたいへんなのですが、何か護衛船のようなものをこれからつける計画がありますかどうか、どういうふうにして今後の再発を防止する具体的な処置をおとりになりますか。
○岡崎国務大臣 これは並木君も、たとえばメキシコとアメリカとの間の紛争とか、カナダとアメリカとの間の紛争、その他スエーデンの方にもありますし、方々にこういう漁業の関係の水域の問題の紛争があります。その状況をごらんになればおわかりになると思いますが、双方の主張が異なつておる場合に、お互いにこれは自分の方の主張は事理明白だと主張しておるのは当然でありますが、その場合はやはり忍耐強く相手に理解させる方法を講ずるのがまず第一でありまして、こちらの主張が通らないから、すぐ護衛船を出して、変なのが来たらおつぱらつてしまうということは、だんだんにこれは政策遂行の具に武力——武力というのはおかしいのですが、そういうものを使うという傾向になるのでありまして、われわれは憲法の趣旨から申しましても、忍耐強くなければならない。そうせつかちにはできませんけれども、よく理を説いて相手を納得させる措置をとることが第一だと考えて、そのつもりでおるのであります。
○並木委員 答弁の残つておる中で大邦丸の犠牲者及び損害に対し、こういう事情ですから政府はとりあえず手当をすべきであるという点につきましてはいかがですか。
○岡崎国務大臣 これはまことにお気の毒でありますけれども、今までのしきたり等から申しますと、大邦丸の所属する会社において必要な弔慰金等を払つてもらいます。そうして、将来損害の補償等が行われた場合には、会社にそれを渡して適当に処理してもらう。あるいは本人に渡すこともありましようが、要するにそういう措置で行くよりいたし方がないのではないかと考えておりますが、これは主管はやはり水産庁、あるいは場合によつたら厚生省も関係あるかもしれませんが、その方に具体的のことはお聞きを願いたいのであります。
○並木委員 海員組合のスト決議の問題は、これは相当重要だと思います。事の成行きによつては、実行手段に入るかもしれませんが、この点について、政府の考えを聞いておきたいと思うのです。
○岡崎国務大臣 海員組合がああいう気持になることも、これは了解できますけれども今のこの問題は、私は国連軍と日本との関係ではなくして、韓国と日本の問題であろうと思います。そのとばつちりが国連側の作戦に影響するようなストとかなんとかいうことになることは好ましくないし、実は多少筋が違うのではないかと思いますので、海員組合でもその点を十分考慮してもらいたいと思います。
○並木委員 もう一点中共引揚げの問題について、私は要点だけをお尋ねしておきたいと思うのです。中共引揚げの問題では日本の政府がボイコツトされて、あたかも人民政府をつくる第一歩のような感じを与えておらないとも限りません。外電なんかをいろいろ調べてみますと、中共の引揚げは作戦である、甘言であるというようなことも言われております。あるいは中共封鎖を牽制する目的があるのだというようなこともあるのです。こういう報道を見ますときに、私どもの国の政府が無視されてそうして一種の人民戦線の形で、人民政府を形づくるような傾向があるとするならば、これはゆゆしい問題であると思いますが、この点について、おそらく外務大臣は先日来心の中では切歯扼腕というような気持を抱いておるのではないかと思うのです。どういうよう大所見を持つておられますか、お伺いしておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 第一の問題、中共側にいろいろほかの意図があつて、引揚げでありますか、帰国でありますか、させるのではないかというお話、いろいろの臆測がありますことは、私も承知しております。しかしこの委員会で一番最初に申したと記憶しておりますが、私はそういう臆測は臆測として、とにかく引揚げという問題を向うで出されたからにはこれを百パーセントそのままにとにかく受取つて、ほかのことは考えずに引揚げ専心にやろう、こう思つておるのであります。それから、日本政府を否定して人民政府を樹立するという計画の第一歩で、ゆゆしい問題ではないかというお話でありますが、私は日本政府というものはこれは現内閣だけを言つておるのではありません、司法、立法、行政の集まつた日本政府であり、また国家的野党も含めた日本政府でありますが、この日本政府というものは、このくらいのことで人民政府が打立てられるような脆弱なものではないと考えております。従つてそういう点についてはいささかの懸念も持つておりません。
○並木委員 それではなせ中共は日本の政府を相手にしないのでしようか。
○岡崎国務大臣 これについてもいろいろ想像されることはあります。ありますが、私は今はそれについていろいろこちらの考え方を言うことを差控えまして、とにかくそれならそれで引揚げのできるようにする。要するに、先方に三万でありますか、何万でありますか、とにかく日本の人がおつて帰りたがつておるのでありますから、その帰れるようにするのが第一歩だと考ます。これについていろいろ議論をすることは、またこの引揚げの問題について何か支障になる場合もなきにしもあらずと考えますから、とにかく日本政府の方はきらわれておるのだと、こう考えて引揚げの方を努力するつもりでおります。
○並木委員 その引揚げの促進という気持においては、まつたく同じなのです。同じなのですけれども、それのために、何でもかんでも、国家の主権をすら屈していいものかどうかということに対したは、やつぱり深く考えておかなければならぬ問題だと思うので聞いておるのであります。日本の船に中共の旗を立てるというようなことを言われておりますが、一体そういうことはできますか。こういう前例なんかあるのでしようか。船といえばいわば領土の延長でございます。それに対して向うで旗を立てて入港しろとか、あるいは日本の政府の職員は嘱託にしても乗つてはいかぬというのは、これは少し注文が無理じやないかと思うのです。そういう点について、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○岡崎国務大臣 中共の旗の問題につきましては、これも電文簡にして非常にはつきりはいたしておらないと思いますが、外国の港に入るときならば、その国の旗を立てるということはこれは国際慣習でありますから、さしつかえないのであります。ただその際に日本の旗をおろすかどうかという問題があるようでありますが、これはもう少しはつきりいたしてみないとわかりません。さらに日本の政府の職員は乗せないというようなこと、これは私ももちろん無理だと思いますけれども、それをがんばつて無理に乗せて行つて、向うで、そういう約束違いの者がいるなら、この船は港に入れないというようなことになりますと、これまた困るのであります。船の中は船長が警察権を持つておりますし、船内の取締りは十分することになつておりますので、一切のことを船長に委託して、それで引揚げを完成したい、こう考えております。政府の職員は乗せないで行こうと思います。
○並木委員 帰国か引揚げかということで論争があるようでございますけれども、これはまたどういうわけで帰国か引揚げかという論争が起るのですか、その点政府は調べておるかどうか、所見とともにお伺いしたいと思います。
○岡崎国務大臣 実は先方が、どういう理由でということは明らかにしておりませんからわかりません。一般にいわれるところでは、無理に抑留されたものを連れて帰るときは引揚げだが、希望して残つていた者は、国に帰るのだから帰国だというようなことを言う向きもありますが、真偽のほどはわかりません。しかしわれわれは常に英語で言えばリパトリエーシヨンという言葉を使つておりまして、リパトリエートというのは、結局国に帰るということでありますから、帰国でもさしつかえない、こう思つております。
○並木委員 今度帰つて来られる方の中には、中立の国籍を持つた方もあるのですかどうか、私どもにはわからないのですが、政府の方ではどういうふうに見ておられますか。
○岡崎国務大臣 これは中共側の言葉によりましても帰国でありますから、中共の国籍を持つた人が日本に来るのは帰国とは考えない。日本の国籍を持つた者だけが帰国するのだと思つております。
○並木委員 それならばけつこうですが、中共の国籍を持つがために、日本に引揚げることができないから、至急日本で手続をとつてくれという電報なんかが来ておるところがございます。それを見ますと、今の大臣の答弁のように中共の国籍を全部持たずに帰るのかとも思いますが、もしそういう場合に、日本の国籍を取得して帰るとすれば、中共の国籍はそのままで、合せて日本の国籍を取得して、二重国籍者として帰ることになるのでございましようか。
○岡崎国務大臣 私はまだそういう点については聞いておりませんし、ちよつと今ここでお答えできません。いずれ取調べてからお答えいたします。
○戸叶委員 先ほど並木委員の御質問の李承晩ラインに関係したことなのですが、李承晩ラインが公海の慣例からいつて国際法にそむいているということは、だれでも認めるところであります。そしてまたこのラインのことに関しましては、いろいろ外務省の方でも折衝し、その折衝がなかなか妥結点に至らないというような御答弁もありました。しかしこれからもなかなかこの点の妥結を見るということはむずかしいのじやないかと思いますが、これを韓国側に了解させるような何らかの方法あるいは手段は、日本と韓国側だけでやつていてはなかなか交渉が進まないという場合に、何らかの方法なり手段があるかどうかという点と、それからあつたならばそういうふうな方法、手段をとろうとなさるかなさらぬかということを伺いたい。
○岡崎国務大臣 これは二国間が主たる関係でありますから、直接には私はないと思います。しかし両方の論点を公表いたしまして、世論といいますか、国内の輿論というものではなくて、国際的な輿論に問うという方法はなきにしもあらず、国連軍としても戦線の後方で両国がいろいろの問題で意見を異にするということは好まないわけでありまして、連合国の各国がどつちの意見を正当視するか、そういう論点を公表するというような方法もあるだろうと思いますが、直接非常にきき目のあるやり方というのはない、やはり忍耐強く相手方を納得させる以外に方法はないのじやないか、ただいまはそう思つております。 〔池田(正)委員長代理退席、委員長 着席〕
○戸叶委員 先ほどアメリカとカナダの場合もそういうふうなことがあるとついうお話でございいましたが、日本はどうしても漁業が非常に大切なところでございますので、こういう問題も早く解決されなければならないと思います。今そういう方法もない、世論に問うだけだというお話でございましたが、世論に問うというようなことをなさろうというお考えはないかどうか。
○岡崎国務大臣 そのために私は実は日韓余談の再開を希望しておるのであります。初めは韓国側の主張は、こういう線を引いて、これは韓国側のもつぱら漁業するところだという主張のようでありましたが、先般李承晩大統領の発表されました声明書のようなものを見ますと、これは魚族保護のためだとか、あるいは韓国の漁民の保護のためだとか言つておるようであります。多少論点が違うのではないかと思いますが、そういう点を明らかにすれば、魚族の保護のためなら、日本も決して人後に落ちるものではない、韓国その他と平等の立場で魚族を保護するのは、一向さしつかえない、また韓国の漁民の生業を保護するためにああいう方法をとらなければならない、こういう方法をとらなければならないということなら、私どもも方法はあるだろうと思います。そういうふうに話が具体的になつて来れば、また解決の方法もあろうと思いまして、実はこの問題にも関連して、こういうことがあればこそいろいろの言葉のやりとり等にこだわらずに、会談を再開して解決することがむしろ早道ではないかと思つておるくらいであります。
○戸叶委員 もう一点伺いたいのですが、日本には韓国の代表部があつて、日本からは韓国の方に行つていないと思いますが、それはどういう理由かということを伺いたい。
○岡崎国務大臣 これは先方の説明によりますと、各国の代表者が釜山におるのでありますが、釜山が非常に混雑しておりまして家その他がない、それからまだ日本人に対する反感というようなものがなきにしもあらずであつて、保護の万全を期し得るかどうかちよつと心配である、ことに韓国は戦争のまつただ中にありますので、そういう方面の保護に十分なる手をさくということもむずかしい状況であるので、もし万一に何かのことがあるとたいへんだから、しばらく控えてもらいたい、こういうことだつたと記憶しております。今でもそうでありましようが、私ども話しましてから空気は非常によくなつたと聞いておりますが、新聞その他の論調等に見ても、なかなか向う側の言うことも理由なきにしもあらずと思いまして、向うだけ置いてこつちだけが置かないというのは、何か不平等のようでありますが、置けるようになつたらすみやかに置く、その間は向うの方でもこちらにいた方がいろいろ都合がよい、こう考えておるわけであります。
○中山(マ)委員 関連して外務大臣にお尋ねをいたしますが、こういうふうないろいろないざこざがあるためかもしれませんけれども、また李承晩大統領が訪日されたということから割出されたことかもしれませんけれども、外務大臣が韓国へおいでになるというような情報をちよつとあるところで聞いたのでございますが、これは事実でございましようか。おいでになるならば、第二点といたしまして、こういう問題の解決のために、答礼という意味もあつてお出ましになるのかどうか、伺つておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 私もいつだつたか新聞を見ましてびつくりしたのでありますが、これはこういう問題の解決を促進するようなことであれば、行くことは一向辞しませんけれども、ただいまのところ別に具体的にそういうことを考えてありません。
○戸叶委員 今の一方的に代表部なりあるいは公使館なりを置いておくという例で思い出されますのは、ビルマなのですが、日本からビルマヘは公使が行つておりますが、ビルマからこちらへ代表部なり公使館なりそれに相当するものがないと思うのです。これはビルマとの間に平和条約が結ばれておらないからでもありましようけれども、日韓との間の関係とどういうことになるかを伺つておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはその国の都合でありまして、永久に置かないとか置くとかいうことではなくて、さしあたりまだそこに手がまわつておらないということであります。たとえば日本の場合でも、外交関係が再開しまして、トルコの正式の大使は日本に来ておりますが、日本ではまだ大使館を開くに至つておりませんから、トルコには何もございません。これなども早く開きたいのでありますが、一方的になつておる。ビルマとの間は逆にこつちだけあつて、向うがない。そういういろいろな場合が、まだ初めでありますから、この二、三年の間はあるかもしれませんが、別に意味はないのであります。
○戸叶委員 ビルマとの関係は非常に重大だと思うのです。この場合ビルマに、こちらの方へ置いてもらうような要請をする意思はないかどうか。
○岡崎国務大臣 これはもう日本の領事館を置きますときに、先方もこちらへ置くという了解になつております。ただそれが、まだ実質的になつておらないだけだと了解しております。
○今村委員 ブラジルでは来年独立四百年祭をするというので、すでにいろいろの準備が始まつておると聞いております。現に日本系市民とでもいうか在留邦人が一億からの金を集めて、この独立祭にいろいろ準備されておるものに協力する。計画は何でも五十種類にわたるいろいろの会議、あるいはスポーツの大会、博覧会等がされるのだそうであります。しかるに御承知の通り、ブラジルには戦時中日本が勝つたといい、負けたという、勝組、負組というものができておつて、最近その軋轢等も順次なくなりつつありますが、この独立四百年祭に際しても、多少その軋轢が実際現われて、一応計画したサンぱウロ州の議員をしている田村氏の案というものは、結局こういう軋轢から瓦解したと伝えられております。この独立四百年祭に際して、このサンパウロの計画しているいろいろのことに協力することは、日伯親善の上に、ことに再開されたといいますか、口の開かれたところのブラジル移民の今後の増進というような意味においても、非常に私は意義のあることだと思うのであります。いろいろの内容を聞きますと、単に外務省の所管だけではなく、博覧会のごときには日本のいろいろの進歩的な生産品の陳列等を要望しておるようでありますし、また文化の面では、近代美術あるいは古代美術等の面にわたつて出品を希望しておるのだということであります。こう考えますと、この期にぜひともひとつ外務省は、通産省あるいは文部省等と提携して、日伯親善を一層高める努力をする必要がある、こう思うのであります。そこで私は外務大臣にお聞きするのでありますが、これについて現地から何か連絡があつたか。第二点にはいわゆる勝組、負組の問題は、どの程度に今日なつて来ておるのか。第三番目には相当経費もかかる面もあると思うのでありますが、これらの点を努力によつて克服いたしまして、何とかこの事業に参加するようにしてもらいたい、こういうように思うのでありますが、外務大臣にひとつ所見を承つておきたい。
○岡崎国務大臣 これは前々からブラジルからは言つて来ております。それからこちらにおります大使からも、昨年の十一月二十五日ですかに、正式に招待状を出して参りましたので、政府としては十二月の十日にこれに参加するという回答をいたしております。計画はいろいろありまして、今おつしやつたような各方面にわかれておりますが、まだ具体的な計画が出ていないようでありますので、本年の六月ごろまで待たないと具体的な方法が講じられないのじやないかと思いますが、さしあたり通産省では見本市をやろうということはきめておるようであります。それから文化団体、スポーツ団体の方でもいろいろの計画がありまして、たとえば近代美術展をやるとか、その他できればスポーツの選手も派遣する。また外務省としても中南米に親善使節のようなものを出したらどうか、あるいは日本の国情を紹介する展示会のようなものはどうであろうかと、いろいろ考えております。それからその他にもたとえば博覧会の中に日本館をつくるとか、あるいは日本美術館をつくる、あるいは付属庭園をつくるとか、いろいろ左翼人の寄付まあつて、やれるものもありましようと思います。要するにこれには大いに参加しまう、こういう計画で、予算の措置も講ずるつもりでおります。もつともこれは必ずしも補正の予算を出さなくてもできる部面がかなりあると思います。またこれはこの次の年度にかかる分もあるのでありまして、新しい予算による場合もあるようであります。 それから、邦人の間の争いということは、この問題については、私は意見の相違はずつとあるにしましても、この問題についてはそう心配することはないのじやないかと考えております。これについては、最近南米で公館長会議も開く予定になつておりますし、それからアルゼンチンへ通商代表も送るつもりでおりますので、さらに現地の事情はその時分には確かになるだろうと思います。
○今村委員 大体の意向はわかりまし—たが、もう一つ、これを進めるために、外務省が通産省、文部省等と委員会などを設置して準備する考えはないか。もう一つ、経費の点では、日本民間の側でも、何か協賛会のごときものをつくつて協力したらいいと思うでありますが、これに対して大臣はどう考えておるか、承つておきます。
○岡崎国務大臣 いろいろ今申した通り、六月ごろまでには具体的な計画に入らなければならぬと思つておりますので、結局その時分になると思います。最後には関係省の委員会というものが必要になるのじやないかと思います。またそれに民間の方の人も加えた方がいいのじやないかと思いますが、これは外務省だけできまる問題でもありませんから、関係省とよく相談して、なるべくうまく行くようにするつもりでおります。
○池田(正)委員 さつき安東君から特派大使の問題が出たのですが、どうもはつきりしない点がありますので、簡単にひとつお伺いいたします。特派大使を出す場合には、一体何か使命があるのじやないかと思われるのですが、従来の外務省の慣例では、その場合に行つて帰つて来られたら何か報告をしておるものかどうか、そういつたような慣例についてひとつお聞きしたい、
○岡崎国務大臣 これは大使に二重類ある——と言つてはおかしいのですが、いわゆる特命全権大使というのと、大使という資格を持つた人、こういう二つがあるのであります。特命全権大使に任ずるときは、閣議の決定を経て認証されて任命されるのであります。それから普通の大使、ただ大使という資格を持つ人は、これは外務大臣限りでその資格を与えられることに外務省の組織令でなつております。これは会議に出席するとかあるいはあの国に何かそれほど大げさな使節ではないけれども、一定の資格を与えた方が話が都合がよく行くとか、いろいろの場合に大使にして出すのであります。それは普通に言う特派大使ではないのであります。特派大使というのは、特命全権大使であつて、ある国に駐在するものでなくて、特に派遣されたものを特派大使と言うのであります。白洲君の場合はその方でなくして、外務大臣限りで大使の資格を与えるというものであります。こういう人につきましてもむろん報告は受取ります。また私ばかりでなくて、外務省の幹部に対しても向うの話を腹蔵なくいたしております。総理に報告する場合ももちろんあります。報告は十分受取ります。
○池田(正)委員 そこで白洲君の問題に入る前に池田君の問題ですが、これは先ほど外務大臣は何かそんなことはまだはつきりしておらぬという御答弁だつたのですけれども、われわれが承知している、あるいは池田君自身が新聞記者に語つておる談話から想像しても、あるいは——外務省の内部のことは申しませんけれども、外務省の内部から私は聞いておることもありますが、それは別としても、おそらく池田君をアメリカにやることは妥当でないという世論にかんがみて、賢明な外務大臣はこれをとりやめたのじやないかと私は想像するのです。もしそうだとすればまことにけつこうなので、この点はしいて私は御答弁を求めません。ただ白洲君の場合に、先ほど外務大臣のお話によれば、白洲君はアメリカ人から率直なる日本観なり、そういつたような意見を聞くということも一つのポイントになつているというふうに承知したのであります。そうなつて来ると、今は日本から外国——アメリカが主でありますけれども、に行つている旅行者というもりのは戦前の日本の全盛期よりはるかに上まわつているはずであります。これは数字が明瞭に出ている。そういう人からでも十分に意見とか、そういつたような程度のことは聞かれるはずだ。しかもそのほかわれわれが聞いているところによれば、今の新木駐米大使の病気の様子もひそかに打診して来るとか、いろいろなことを言われておる。あるいは世間ではカン詰会社の手先になつて商売に行つたのだろうというようなことも伝えられております。商売上のことは——これは白洲君の場合は世評でとかく定評があるが、私はあまり言いたくありません。しかしそういうカン詰会社とかなんとかということは別として、少くともアメリカからアグレマンを断られたような人間を——特殊な使命を持たしてやるとしても、これは白洲君でなければならぬものでもないと私は考えます。そういう者を、外務大臣限りとは言いながら、しかも大使という資格をつけなければならぬ理由は一体どこにあるのか、われわれにはちよつと了解がつかないのですが、この点をひとつ伺いたい。
○岡崎国務大臣 方々たくさん旅行する人がありますが、これは大体視察であるとか、あるいは商業上の用であるとか、学術上の話であるとか、ある目的を持つて行つているのでありまして、本気になつてアメリカの有力者の偽らざる話を聞いて来る、あるいはこちらの側の考え方を率直に話して来るという目的を持つて行くには、やはりそういう特殊の要務と申しますか、特殊の目的を持つて行つてもらわなければ、たまたまこういう話であつたというのじや、私どもはこれを正確な資料にしていろいろの考えをきめるのを躊躇せざるを得ない。そこで白州君の人選がどうかということになると、これは御意見にまかせるよりしかたがありませんが、ただなせああいう資格を与えたかといいますと、これは率直な意見を求めるのではありますけれども、政府が依頼して行つてもらつておるのだということを明らかにしておるのであります。その意味におきましては、白州君は過去の経歴において、たとえば終連の次長をやつておつたり、あるいは貿易庁の長官をいたしておつたり、現に非常に有力な会社の会長をいたしておるという見地から見て、資格を与えるならば大使の資格を与えるのがこれは当然と考えたのであります。
○池田(正)委員 今の外務大臣の答弁はどうも私には納得できない。というのは、先ほど外務大臣、われわれ及び駐在大使やなんかだと、どうしてもほんとうのことを言わない、それだから民間人を使うのだというお話であつたのであります。白洲君は今あなたの御説明にもあるように、これはしかも日本の吉田総理大臣の特殊なブレーンであるということは、これはアメリカでも周知の事実である。そういう者に特に名前をつけてやることは、かえつて私はじやまになるのじやないかと思う。これは意見の相違といえば相違かもしれませんが、何のために一体大使という名前をつけるのか、白洲君の虚栄のためにつけているとしかわれわれには考えられない。これは今ここにであなたと議論してもしかたがないことですが、かようなことは今後絶対にないようにお考え願いたい。ことにヨーロツパに行くのに、電気事業の視察に重大なウエートがあるというのならわれわれも了解いたしますが、その場合でも東北電力会社の会長として、財界における白洲君の立場は相当なものですから、むしろ民間人として行つた方がいいじやないか。それにしいて大使だとかいう名前をつけることは、われわれ与党でも納得できない。これは答弁は求めませんが、このことをひとつ十分考えておいてもらいたい。今後池田君をかりにやるとすれば——おやめになつたとすればはなはだけつこうでありますが、その点もあわせて白洲君と同様に考えていただきたい。 それからついでですから一ぺんだけ伺つておきますが、実はこの間の北海道の領空侵害の問題、この問題について日本側が発表する前に駐留軍が発表したこの問題について、実はこの間条約局長にお尋ねしたのですけれども、局長からははつきりした御答弁がない。それも御無理ないと思いますが、一体こういうことは——しかも昨年数十回もさような事件があつた、これはわれわれ国民には正式には何ら発表いたしておりません。それはおそらく何らかの政治的意図をもつて発表しなかつたのだろうと思いますが、この発表というものは非常に重大な問題であります。それを発表もせずにおつたということそれ自体の問題は別として、今度しかも日本側が発表しないうちに向うがだまつてかつてに発表したということは、これはわれわれは国家の名誉のために納得ができない。これについてもひとつ外務大臣の御所見を伺いたいと思う。
○岡崎国務大臣 所見を述べます前に一応弁明しておきますが、これは実際やつてみるとおわかりになると思います。民間の人が行つたらよかろうとおつしやるけれども、われわれの開きたいのは、政府のいろいろの施策に対する先方の考え方なり、あるいは先方に対して日本政府の考えていることを率直に伝えるということであります。これが民間の会社の社長が行つて向うの要路の大官に会つてそういう話をしますと、えてしてお前は何の資格で来たんだということもあり得るのであります。そうかといつて特命全権大使といつて行けば、どうもこれは正座に据えてきちんとやらなければならぬ、この間をとつたという意味に御了承願いたい。 それから北海道の問題ですが、これはお互いに相談して発表も一緒にするということにしておるのであつて、向うが先に発表したとはどうも思れないのですが、あるいは何かの手違いで先方のが先に出たというようなことはあるかもしれませんが、私の了解したところでは、同じ時刻に発表したということになつているのです。それから今まで発表しなかつたのはどうかと言いますと、昨年中に来ましたのは、これは領空を侵犯したかどうかという疑いも初めはあつたのであります。そばへ来たけれどもはたして上に上つて来たかどうか、それからかりに来ても、非常に早い飛行機でありますから、気流か何かの間違いでずつとこつちに入つて来たというふうにも考えられたので、様子を見ておつたわけであります。ところがたび重なつて来ますと、中には根室のかなり上の方までやつて来る、これは明らかに領空の侵犯であつて——領水ではなくて、領土の上のところまで来るということがだんだんはつきりして来まして、たび重なりますから、これは偶然ではなくて故意であろう、しかも明らかに上に来ておるという結論が出て来ましたので発表したのであります。これは当時、池田君はおられなつたかもしれませんが、ここでよく御説明いたしたわけであります。それからその発表の行き違いは、これはもしあつたとすれば間違いであります。一緒に発表するということにいたしております。
○池田(正)委員 今御親切に前半の問題についても御答弁があつたのですが、それならばもう一言御参考に言つておきます。白洲君がアメリカ人の日本に対する率直な悪口を聞いて来るのはまことにけつこうなのですが、逆にアメリカに行つて日本国を代表する新木大使の悪口をさんざんに言つて歩いた、それ新木君がかんかんに怒つているということを、私は相当確かなことをあちこちから聞いておる、さような人間だからやつてはいけない、大使などという肩書をつけてはいけないということなのです。 それからもう一つはあとの問題なのですけれども、実はこれは条約局長に聞いたところが、条約局長は、向うがかつてに先にやつてしまつたという御答弁だつたのです。しかし私は、しかも与党の立場であなたとけんかしようと思いませんから、これ以上私はつつ込みませんが、さようなことがありますと、これはきわめて重大な問題で、これは外務大臣自体のあるいは政府自体の政治感覚の問題になつて来ると思います。こういうことは、時間がありませんので深くは論じませんが、この発表の仕方及び方法というものは非常に重大だと思うのです。ことに先ほど来一番大きな問題になつておる再軍備の問題にからんで来るので、そう軽く扱われては困る。従つて今あなたがおつしやつたようにアメリカと同時にやるようになつておるというあなたのお言葉を信頼してこれ以上申しませんが、これは国内的にあらゆる問題に非常に大きな基本的な影響を持つという意味において、この問題については向う側とも十分に連絡をとつて、今後向うが先にやつちまつたというようなあやまちのないように御留意あらんことを希望いたしまして、これで私の質問を打切ります。
○栗山委員長 次会には三つの条約、一つの法案を審議いたします。 本日はこれで散会いたします。 午後零時五十三分散会