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第15回国会衆議院1953/02/06

外務委員会 第15号

発言数
31 件
登壇者
5 名
会派数
2
開催日
1953/02/06

会議録

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 ただいまから外務委員会を開きます。  理事会の申合せにより、まず日米行政協定の実施状況について政府当局から説明を求めます。  なお、十一時に表玄関を出発いたしまして、立川の米空軍基地を視察に参ります。目的は、申すまでもなく、この委員会が日米行政協定の実施状況につき調査をすることを一つの使命といたしております。従つて基地そのものに関する施設、同時に基地が所在地に及ぼすマイナス・プラスの影響についても調査をすることになりますので、そのおつもりで御視察におもむいていただきたく存じます。  それでは伊関国際協力局長。

伊関佑二郎外務事務官(国際協力局長)

○伊関政府委員 それでは行政協定につきまして御説明申し上げます。  まず行政協定の改訂という問題でありますが、行政協定の第十七条刑事裁判管轄権の項につきましては、もしNATOの方式が採用されて、行政協定発効後一年以内にNATOが発効しなければ、そこであらためてこれを審議するということになつておりますので、四月二十八日までにNATOの協定がアメリカの上院で批准されるかどうかということが、非常に大きな問題なのでございます。私は先般ワシントンに参りまして、国防省、国務省等の関係官と会いましたときに、国防省も国務省も非常にこの点は努力をいたしておりました。NATOの協定を批准するということは、単に日本だけでなく、欧州の各国も非常に興味を持ち、非常な関心を持つておるので、国務省、国防省ともに、これはぜひそれまでに間に合せたい、努力をするということを申しておりました。もちろん四月二十八日までに必ずしも間に合わぬという場合もあり得るかもしれぬ。しかし四月二十八日ころになれば、必ずこのNATOの協定がどういうふうにアメリカの上院で扱われるかという見通しははつきりすると思うから、そのときになれば、もう少し具体的な御相談ができる、こういうふうに非常に誠意をもつて努力してくれておりますので、いましばらく先方の動きを見ようと思つております。その以外の点につきましては、行政協定で改訂を要するものがあるかどうかということは、これは必ずしもいつ改訂をするということは、行政協定には書いて、ございませんが、これは一方の当事者から申し出れば、他方はこれに応じて改訂の協議をしなければならぬということになつております。私の方は一年間のこの実施状況にかんがみまして改訂すべきものがそのほかにもあるかどうかという点を今検討いたしております。あまり問題はないように考えておりますが、大蔵省関係の税等につきまして多少こまかい技術的な問題があるのじやないか、こういうふうに思つております。その方は今大蔵省で早急に研究を進める、こう申しております。  協定の改訂ということにつきましてはそれだけにいたしまして次に行政協定実施の面では、施設と施設以外とこの二つにわかれるわけでございますが、施設につきましては、まず家族住宅は、占領終結当時には約二千百戸くらいの民有の日本人の個人の家が、米軍の家族宿舎として使われておりましたが、現在では四百五十くらいに減つておりまして、これは本年三月末でもつて原則的に全部返還になります。ただ例外のございますのは、たとえばクラーク司令官の住んでおります前田侯の家とか、あるいは空軍司令官が住んでおります田島さんの家とか、この方は年内には明くと思います。それから横浜で陸軍の司令官が住んでおります家が一軒ございます。これも座間の方に建てて、おそらくことし中には明くと思います。そういたしますと、将来とも考えられる例外は、米軍の個人の家族住宅としましては、総司令官の家が一戸だけというふうになると思います。そのほかに現在住んでおりますもので、三月末とか四月のこく初めにアメリカに帰る予定になつておるというふうなものが約八戸くらいございます。これらにつきましては解除手続等のために、実際に解除されますのが四月の十日とかあるいは半ばというふうなことが起り得ると思います。これは総数四百五十幾つの中で約八戸くらいでありまして、非常な例外であります。これにしましても、四月の半ばには完全に帰るという見通しであります。その他のものにつきましては全部三月中に所有者に返還されます。  それ以外の施設——家族住宅以外の施設は、占領終結当時には約千四百ほどあつたわけでありますが、現在はそれが約七百二十くらいの数に減つております。その中で四百二十三宅というものは、昨年の七月二十六日に協定をいたしまして表をつくりましたときに、無期限使用ということになつております。これはあまり問題がないのでありましてずつと米軍がおります間は使わせるということになつております。もちろん事情が変化いたしますればこれらも返して来るものもございます。またふえるものもございます。この無期限使用の中で、解除になりましたものは三件しか、ございません。ですからこの方は大体米軍がいるうちは変化なくこういう数字で米軍が使うものであります。そのほかに一時使用と申しますものが約三百ございます。この一時使用は、昨年七月二十六日にこの米軍施設につきまして、一時使用並びに無期限使用という協定をいたしましたときには、大体本年の春四月、五月ごろには全部返るというつもりでおつたのでございますが、今の見通しでは大分遅れまして、これが整理できますのは、逐次返つて来ておりますけれども、やはりほとんど全部がきれいにたりますのは、多少の違いもございましようが、この秋から冬にかかるというふうに思つております。なぜ遅れたかと申しますと、朝鮮事変が逐次はげしくなつて来た。この一時使用の施設の中には、朝鮮関係に使つておるものが相当ございますので、これは今すぐ返すということが非常に困難だというのが一つでございます。もちろん、これらにつきましては、朝鮮事変の解決の見通しというものが今、ございませんので、それらにつきましては、一時使用になつておりますもののうちの、ある種のものは例外として朝鮮事変が済むまでというふうなことで、あと二年か三年延びるというのも多少ございましようが、その他のものにつきましては、やはり原則として返すということにいたしておりますので、これは代替施設をつくるということで今具体的な計画を進めております。もう一つこれが遅れました理由は、当初はリツジウエイ司令官も声明いたしましたように、こうしたものは米軍がなるべく自分の予算でもつて動かそうという方針を立てておりましたところ、昨年の七月になりまして予算が決定いたしましたら、この米軍の予算の割当が予想外に少かつたという点が一つございます。そこで日本の安全保障諸費の方に入つて来るというのが一つと、それから昨年行政協定ができました当時、急いで米軍の方では計画をいたしましたが、やはり計画がずさんであつた。そういう点もございまして計画のやり直しをやつております。はつきりした米軍の計画、ことに陸軍でありますが、これができましたのが大体昨年末ごろ——今でも多少の訂正をやつております。それからもう一つは、日本側で代替施設を提供する際に、代替施設を従来国有財産にしましても、一時使用で借りておる者がある、こういう人たちに出てもらうのに非常に時間がかかりまして、やはり何か仕事をやつております、それの補償金の額が折れ合わない、そういう意味で代替施設がすでに建つておるものでも、これを明けるのに非常に時間がかかる。もう一つは新規に兵舎等を建てるために土地をとらなければならない。こういうのが皆さん御承知のように非常に各地で問題を起しまして、なかなか計画通りに参りません。もちろん強制収用等の方法はありますが、そうした方法は避けております。いまだかつてこの法律を適用したことはございません。すべて話合いでもつて解決しておりますので、話合いに非常に時間がかかる。そういうことで、米軍が移つて行く移転先がなかなかとれなかつたり、いろいろなことがございまして、大体この春と思つたものがまず半年のずれができたというふうに見ております。  施設以外につきましては、経済関係とか労務関係というのがおもな問題でございますが、経済関係につきましては、大体問題は片づいております。今のところ、この経済関係の一番の問題は、米軍の調達をいたします際に、米軍が使いますところの契約方式がすべてアメリカの法律とか、商慣習により、日本の商慣習を無視しておるという点があつたのでありますが、これは委員会をつくりまして、努めて日本の商慣習によるようにいたしました。またそれらに基く紛争のありました場合にも、調停委員会を設けておりまして、そこで解決する、そうした方法によつておりますので、今のところ、ほとんど問題は起きておりません。  労務につきましては、これは非常に問題があるのでありまして、最近問題になつておりますのは、昨年末に米軍に働いております労務者のベース・アツプをいたしましたが、米軍並びに政府の方では従来この労務者が公務員でありまして昨年の春講和発効とともにこれを公務員からはずしたのであります。従来通り公務員と同じで、同時、同率という方針でわれわれの方はおつたわけでありますが、労務者側はそれ以上を要求いたしまして、また中労委の勧告も二〇%でなくて、二三%ということになりましたので、非常にもめたわけでありまして、一時はストライキになるのぢやないかというふうな心配もございましたが、二三%にいたしますと、やはりこの金は全部米軍からドルで出ておりますので、向うの予算の制限がありますから、結局上げれば、いずれは労務者の数を減らす、首を切るという問題になりますので、その辺を話合いいたしまして、今のところ二十%でおちついておりますが、将来これが紛争の種になることが予期されるのじやないかと思つております。  それからもう一つ、労務者を提供いたします基本契約というものの交渉をずつとやつておりまして、これは特別調達庁が主管官庁でありますので、特別調達庁と米軍の関係者の間にこの交渉が行われておりまして、一向はかどりませんので、これを私の方で取上げまして、昨年末から交渉いたしておりますが、その途中でベース・アツプの問題が起きましたので、一時はそちらの方にそれまして、また近く労務提供の基本契約の問題に入つて来るわけでありますが、これにつきましては、問題になります点は二点ございまして、一つは軍機保護というような観点から、解雇する際、解雇権はどちらにあるか、米軍としましては、軍事機密の保護というような建前から、自分の方でこういう人間は好ましくないから解雇してくれという者は、すべて解雇してもらいたいというようなことを強く主張しておつたのでありますが、政府といたしましては、実際使つておりますものは米軍である、実際に金も米軍の金が出ておる。しかし形式の上では少くとも日本政府が雇用主になつておる。だから雇用主が、そうした解雇等については最終決定権を持つべきだというのが日本政府の主張であり、軍事機密を保護するために、こういう人間が好ましくないかどうかということを判定するのは米軍だ、それで米軍の方は自分の方がきめるべきだというふうなところで折れ合わなかつたのでありますが、これは結局妥協いたしましてお互いが相談して合意の上でやるというふうな線に今来ております。もし相談しても話がまとまらないというときには、合同委員会に持つて行く、つまり私の方へ来るわけでありまして、合同委員会に来ますれば、大体の問題は今までのところ合理的に片づいております。結局、最後は合同委員会に来る、それまでは両者で十分相談してやるというふうなところへ話が向いております。  給与をどうするかというのも次に大きな問題でありますが、これは組合と特認と米軍と三者一緒になりまして、今新しい職階制というものを研究いたしております。これができますと、これによつて格付をする、但しこの格付について不平がありました場合は、やはり最終的には合同委員会に持つて来るということになつております。やはり調達庁と米軍と相談して、新職階制、合理的な職階制をつくり、それによつて格付をするという考え方、いずれにしましても、実際に金を出しておるのも米軍、実際に使つておるのも米軍、しかし形式の上では間接雇用になつておりますので、特調が雇用主になるというふうに、名実伴わないという点がございます。そこで問題が起きるのでありまして、実際の使用者、それから形式上の雇用者というものの権限をどうするかというところが、いつももめるわけでありますが、これはすべて相談で行く。そうしてまとまらぬ場合は合同委員会できめる、こういうふうな考え方で話が進んでおります。これはいずれ近くまとまるだろうと考えております。ただ組合側がこのベース・アツプの問題をめぐりまして相当軍側と感情的に対立いたしております。こうした基本契約の最終的話をつけます前には、どうしても組合側が了承しなければなりませんし、いずれそうした対立的な空気の中で最終的な話をつけますには、問題そのものに対する考え方は一致しておりましても、そういう協定を結ぶ機運になるかどうか、今様子を——空気の治まるのを待つておるというふうなことでございます。  大体以上がおもなところでございます。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 並木芳雄君。

並木芳雄改進党

○並木委員 刑事裁判管轄権について伊関局長がアメリカへ行つて交渉して来て、割に見通しがいいということで、けつこうでございます。かりに四月二十八日までに批准ができなかつた場合でも、日本政府としてはこの改訂を申し入れる用意があるものと思いますけれども、この点はいかがでございましようか。

伊関佑二郎外務事務官(国際協力局長)

○伊関政府委員 ずつと形勢を見ておりましてそれまでに通れば、これに越したことはございませんし、通らぬということになりますれば、いずれにしろ一箇年たてば改訂の交渉をやるということははつきり書いてありますから、交渉は開始いたします。

並木芳雄改進党

○並木委員 けつこうでございます。ぜひそれをやつていただきたいと思います。  それから住宅の問題でございますが、最近私ラジオで聞いたと思います。約一万戸でしたか、民間の資本によつて米人向けの住宅を建設するということなんです。その内容はどういうものか、局長は御存じのはずですが、どういう方面に使うのであつて、どういう形において建設をして行くのだという点を御説明願いたい。

伊関佑二郎外務事務官(国際協力局長)

○伊関政府委員 これはまだ最終的なものになつておりませんけれども、要するにこちらに来ております米軍のメンバーで、家がほしい、家族を呼びたいという人間が大体一万くらいあるのじやないか、現在の家族住宅というものは、先ほど申しましたように日本側の個人所有のもの二千百戸を返しましたので、非常に住宅はきゆうくつになつているわけであります。ところが家族を呼びたいという者の数はだんだんふえているというふうなわけで、今もし全部に家族を呼ばせれば一万戸くらいはいるのじやないか——これもごくラフな計算だと思います。一万にもなりますか、あるいは五千くらいになりますか、とにかく向うの計算では大体一万くらいになるのではないか、それを日本政府の金で建ててもらうということはとうてい期待できない。民間でもし相当の資本を持つている人があつて、そういうものを純民間の資本で米軍が希望する所——大体兵舎等の周辺でありますが——に建ててもらえば、米軍の方はそれに対してドルで家賃を払う。もちろん軍が保証するということはできないにしても、実際上の問題として、その各将校、兵隊等は月々宿舎手当というものをもらうわけでありますから、その中から家賃は間違いなくきまつたものを払わす。そうするとどれくらいの家になりますか、百万円の家になるか、百五十万円の家になるか、三千ドルとかあるいは四千ドルくらいの小さな家でいいわけなのでありますが、そして家賃を月々幾らにするかということにもよりますけれども大体大まかな計算をしますと、五年もすれば家賃だけで建築費はもどつて来るのじやないか、そうすれば家が十年も使えれば、その間修繕の費用等もありますけれども、これは企業としても成り立つのじやないか。もちろん陸軍の場合はそう長くはおらぬと思いますけれども、空軍等になりますればかなりの期間いるかもしれないし、米軍が引続き使うか、あるいは将来だれか日本人に売り渡すということも自由でありまして、ともかく企業として成り立つのじやないかということで、日本政府に対しては政府の金を出してくれというのではなく、民間の大きな会社にそういうことを頼みたいのだが、日本政府であつせんしてくれぬかというのが話でございます。また現にその話に応じてこういうことをやりたいという申出もございます。一万戸を一つの会社でつくるというようなことはとうてい不可能でありますが、三百戸とか五百戸くらいですと、十億か二十億の会社をつくつて、それでやれるのじやないかというので、大分民間の方でも動いて来るけはいが見えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 そうすると、それに対しては何か立法措置を講じますか。

伊関佑二郎外務事務官(国際協力局長)

○伊関政府委員 立法措置はいらないと思つております。ただ純民間事業としてやりましても、種々と問題が起らないように、場所の選定等については、私の方も十分米軍と連絡して日本政府の意向を反映したいと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 行政協定の実施に当つておられる局長として御存じだろうと思いますが、最近日本にいるアメリカの要員が漸次減つて行くのではないかという質問を聞くのでございます。特にアイゼンハウアー元帥が大統領になつて、アジアはアジア人の手でという方針に基いて、漸次陸軍が減つて行くのではないかと予想されるのでありますが、この点局長としてはどういうふうに見ておられますか。

伊関佑二郎外務事務官(国際協力局長)

○伊関政府委員 安全保障条約は私はここに持つて来ておりませんが、たしか安全保障条約の中に、日本の自衛力が漸増するにつれて向うは逐次減らして行くというふうな考えが出ておると思います。ですからそれが根本方針であることには間違いございませんが、それじやいつから具体的に、たとえば陸軍、空軍、海軍にわけまして減らして行くかというふうな点については、まだ全然具体的なものがございません。また日本におります米軍の数も講和発効当時から今にかけまして同じものがおります。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 あと十五分です。あとの方もおありのようでありますから早くお願いいたします。それから下田局長も見えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 それでは早くいたします。  合同委員会を通じて、アメリカは日本の保安隊も海上警備隊も安全保障条約に基く自衛力と見ておるかどうか。

伊関佑二郎外務事務官(国際協力局長)

○伊関政府委員 合同委員会におきましては、そういう自衛力の問題というふうなのは、今までのところ全然取扱つておりません。日本の自衛力をどうするという点には合同委員会は触れておりません。

並木芳雄改進党

○並木委員 そうすると、今局長が御答弁になつた自衛力の漸増に伴つての自衛力は、日本政府としては陸の保安隊、海の警備隊を含んでおる、こういうふうに解釈しないと、何が自衛力だかわからぬことになりますが、その点どうですか。

伊関佑二郎外務事務官(国際協力局長)

○伊関政府委員 それは非常にむずかしい問題だと思います。私は従来における答弁のあれを知つておりませんので……。

並木芳雄改進党

○並木委員 次官でもけつこうです。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 次官でも条約局長でもどちらでもけつこうです。——それではあとでお答えすることにして、ほかの問題を承ることにいたしましよう。

並木芳雄改進党

○並木委員 この際聞いておきたいのですが、先般北海道の領空侵犯に関して、日本とアメリカとの間で書簡を交換しております。これは公表になつております。ところが日本政府の出した書簡には、安全保障条約に基いてという文字が使つてございません。しかるにアメリカ大使館の、つまりアメリカ側からの書簡には、安全保障条約のもとにという文字がはつきり使つてあるのです。私はこれを見て、日本政府としてはこれは安保条約に基くものではない、新たなる別の協定であるというふうに受取つたのでありますが、その点について確かめておきたいのでございます。これは行政協定に関係して参りますから、日本政府としてはおそらくこれは安保条約の範囲内で取扱いたいと考えてやられたのではないかと思いますが、その点いかがですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 日本政府は別に安保条約を無視して掲げなかつたわけではないのであります。念頭にはあつたのですが、通牒の中に触れる必要は必ずしもないと考えたのであります。ところがアメリカの方の答えには、御指摘のように安保条約に触れております。これはアメリカのことで、どういう意味で入れたのかわからないのでありますが、おそらくアメリカの国会に対しまして、一体なぜ日本で、また日本の領空侵犯を排除するというようなコミツトメントをしたのだというような質問が国内的に必ず出る。その場合に、いやそうではないのだ、アメリカ政府はすでに安保条約で、極東の平和及び安全の維持のために必要な措置をとるという義務を負つているのだ、何も新たな義務を負つたわけではないのだということを説明し得るためには、この書簡自体に安保条約をうたつておくということが適切な措置であると、そういう考えから入れたのではないかと想像しております。

並木芳雄改進党

○並木委員 そうすると、その程度のもので安保条約に入つて来るならば歯舞、色丹、これは不法占拠だといわれておる。あるいは東京におけるソ連の対日代表部、これもすでに法的根拠はないと政府は答弁をしておる。あるいは李承晩ライン、これも公海の権利をわれわれは侵されておる。こういうものに対しても、安保条約のもとにおいて権益侵犯に対する抗議が当然出て来て、場合によつては実力行使になり得るというふうに解釈されるのでありますが、その点考えておられるかどうか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 歯舞、色丹に対して、ソ連が、わが方の目から見れば不法な占拠を行つておるという事実は、ただちに日本の安全の問題と関連して来る問題ではなく、これは領土権の問題だと思います。それから李承晩ライン、これも日本は認めないのでありますが、そのラインを主張して日本の漁船に対して不当な干渉をするということは、日本の公海における漁業権の侵犯ではございますが、日本国の安全という問題にはただちになつて来ない。従いまして、安保条約との関係も生じて参らないと存じます。

並木芳雄改進党

○並木委員 ではもう一点だけにしておきます。  伊関局長にお尋ねしたいのでありますが、先ほど、大体日本における米軍の兵員の数は増減ないというような御説明でしたが、飛行場の数とか面積はどうなつておりましようか。私どもは、平和回復とともに飛行場の数とか面積は減少すると思つたのですが、かえつてふえておるのじやないか、それはどうなつておるか。それから、その飛行場を新たに日本に設けるとすれば、幾らぐらい現在の金でかかるか。これは、われわれが無償でアメリカに提供している飛行場の価値判断をやつてみたい、こういうところからお尋ねするのです。

伊関佑二郎外務事務官(国際協力局長)

○伊関政府委員 先ほど私が安保条約を引用いたしまして、言葉は非常にあいまいでありましたが、書いてあります文句は、「直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを期待する。」日本がみずから責任を負うことを期待するというこの文句を、私は大体覚えておりまして申し上げたのであります。  それからただいまの御質問で、兵力に変化はないと申しましたのは、私は地上部隊を申しておつたのでありましてこれは北海道に一個師団、東北に一個師団というのは前と同様でございます。空軍等につきましては、逐次これは増強されておると思います。飛行機の数はこれはしよつちゆうかわつております。空軍とか海軍というものは移動しておりますので、飛行機の数は逐次ふえておると思つております。これは先方が——北鮮側とかソビエトの方がだんだんふえており、これに応じましてもちろんこちらもふえております。飛行場につきましては、新たに飛行場をつくつたというものはございません。ただ北海道で最近の領空侵犯等の状況にかんがみまして、計根別というのと美幌第二、この二つの旧日本陸軍が持つておりましてその後そのままになつておりましたのを、去年の暮れでありましたか、また米軍に提供いたしまして、これを使える飛行場に今直しております。しかし新たに飛行場をつくつたというものはございませんで、みな昔日本の陸軍が持つておつたものを非常に拡張して、そうして強化したのであります。なぜそういうように飛行場を拡張しましたかと申しますと、飛行機の数がふえた、従つて地上勤務員等もふえたということが一つでございますが、もう一つは、飛行機がかわつて来た。すなわちジエツトにかわつて参りましたので、従来の大体五、六千フイートの滑走路では間に合わない。ジエツトでありますと、どうしても九千フイートくらいの滑走路がいりますので、できるだけ滑走路を長くして安全な操作をいたそうということであります。  それから、今完全な飛行場をつくるとどのくらいの金がかかるかという点でありますが、大体りつぱに整備されている飛行場というものは、土地を考えまして——土地を買う場合を私はちよつと考えておりませんが、私が一度計算いたしましたのでは、どうせもうそう広い土地はなく、東京湾とか大阪湾等を埋め立てまして、百万坪以上の土地をつくる。そうしてそこに飛行場の施設をする、こういたしますと、大体埋め立てる費用だけでまず五十億くらいかかり、飛行場の施設に五十億かかり、百億くらいのものはかかるだろう、こういうふうに考えております。米軍は、今までの日本の飛行場を相当整備いたしております。ですから三沢の飛行場等につきましては、相当の金をかけ、まず百億くらいのものには現在なつておるだろうと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 向うの金で……。

伊関佑二郎外務事務官(国際協力局長)

○伊関政府委員 さようでございます。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 高岡大輔君。

高岡大輔改進党

○高岡委員 時間がありませんから一点だけお聞きします。  先ほどの局長の御説明である程度納得したのでありますが、たつた一点だけ私のふに落ちない点があります。それは、日米間のいろいろの問題が起きた場合に、どうしてもまとまらないと、最後には合同委員会へ来るとまとまるとおつしやつたのですが、それほどむずかしい問題が合同委員会へ来たらなぜまとまるのか。これを悪く考えますと、結局合同委員会というものは一対一で押しつけられるのではないか。それ以外には、そこへ来るとまとまるという意味がどうも私には受取れないのですが、どういう要因があつてどういうことがある、こうこうこういう、ことがあるから、合同委員会へ来るとすぐに話がまとまるのだというものがありましたならば、教えていただきたい。

伊関佑二郎外務事務官(国際協力局長)

○伊関政府委員 合同委員会の先方の代表は、統合司令部と申しますか、陸、海、空の三軍の統合司令部の参謀次長でありますロートンという少将が今お見えになつております。大体この地方で問題が起きますと、向うの相手というものは階級の低い将校ですので、従つて視野がごく狭い、そうして、自分の所管事項については非常にかたくものを考える。何と申しますか、少しでも譲歩すると上からしかられるのじやないかというふうな点もございますし、視野も狭いのでなかなか話がつかぬ。しかし参謀次長くらいのところまで参りますと、問題を大きく考えておりましてそうこまかい点には拘泥しない。また、日米の国交というような大局的な立場に立ちますので、非常にリーズナブルなものの考え方をするという点で、話が今までのところはついておると考えております。

高岡大輔改進党

○高岡委員 今のお話でありますと、合同委員会は常に大所高所から論ずるから話がまとまる、こうおつしやるのでありますが、これは一応そうお聞きだけしておいて、時間がありませんからこれでやめます。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 それではこれで委員会を閉じます。     午前十時五十八分散会

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