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15回国会衆議院1952/12/10

外務委員会 第8号

発言数
114
登壇者
14
会派数
6
開催日
1952/12/10

会議録

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 たただいまから外務委員会を開きます。  日本国民とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  委員長からお諮りし、御承諾を得たい件がございます。それは本件と保安庁法並びに海上人命安全条約などとの関係につきまして、政府当局の説明がまとまつておりませんので、それをまとめるように要請しておきましたところ、ただいま刷りものにして回答がございました。これを委員各位に配付するとともに、委員会外にも発表することの御承認を得たいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「ちよつと読んでください。」「まだもらわないよ。」と呼ぶ者あり〕

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 それでは配付して朗読させます。——配付が済みましたら、政府委員からどなたか朗読してください。     〔下田政府委員朗読〕     保安庁法と海上人命安全条等との関係について      昭和二十七年十二月九日   過日の衆議院予算総会において、「保安庁法で、船舶安全法、船舶職員法等の適用を除外しているが、これらの法律は国際条約に基くものであり、従つてこれらの法律の適用除外は、国際条約をも排除することになるから、保安庁法は憲法の条約尊重義務に反する違憲立法である。  またこれらの国除条約の適用があるものとすれば、海上人命安全条約は軍艦、軍隊輸送船等に対してのみ適用の除外を認めているだけであるから、今回米国から借り受けようとする船舶はこれを軍艦であるといわない限り、その構造等の点について、右の条約に違反することとなる。」という趣旨の質疑があつた。この問題については、すでに関係大臣及び政府委員からずい次説明があつた次第であるが、問題がこみ入つているために世間一般にはまだ充分理解されていないように思われるので、重ねて左のとおり政府の見解を明らかにしたい。一、わが国は千九百四十八年の海上における人命の安全のための国際条約(以下「海上人命安全条約」という)に加入し、同条約及び附属規則の規定を実施することを約束しているので、これらの規定をわが国の公私の船舶に適用する義務を負うものであることはいうまでもない。二、これらの規定の適用を確保するための国内措置として、同条約は、「こさの条約を充分且つ完全に実施するのに必要なすべての法律、政令、命令及び規則を公布し並びにその他のすべての措置を執ること」を規定している(条約第一条b)。しかして、条約当事国がその遵守のために具体的にいかなる法令を制定し、その他いかなる措置を執るか等の点については条約はこれを当時国の自由にまかせている。このことは各当事国によつて、それぞれ国内法制上の立 前が異る以上当然のことである。   問題つの点は保安庁法が警備隊の使用する船舶について船舶安全法の適用を排除した点であるが  (第八十七条)、船舶安全法の適用を排除することは本件船舶につき海上人命安全条約そのものの適用を排除することを意味するものでは決してない。   政府としては、船舶安全法は、条約の要求する以外の事項をも規定しているので、本件船舶のごとく国家機関に所属し、特別の公共の任務を遂行する船舶に対しては、一般法たる船舶安全法をそのまま適用することを不適当と認め、その適用を排除するとともに、条約の要求する事項については、政府の責任において直接該船舶につき最も忠実に条約の規定を履行するための部内規定及び命令を発するの措置を執りつつあるのである。三、もつとも、前記条約の実体的規定をなす附属規則の大部分は、「国際航海に従事する船舶についてのみ適用」されることになつており、本件船舶のごとくわが国沿岸及び近海における海上警備に従事する船舶には関係がないわけであるが、政府としては右規則中本件船舶にも適用のある部分については、あくまでこれを誠実に履行するものであることは、前記のとおり、きわめて当然のことである。四、なお保安庁法(第八十八条及び第八十九条)は、船舶安全法の外、船舶職員法及び電波法の適用除外をも定めているが、イ、船舶職員法の適用を除外したのは、警備隊の任務の特殊性に基き、乗組員の資格、定員等につき特別の定をなす必要があるからである。なお船舶職員法は国際電気通信条約の義務規定に基き制定されたものではりなく、その基礎となつたのは、国際労働総会の採択した「商船に乗組船長及び職員に対する職務上の最低要件に関する条約」であるが、この条約にはわが国は未だ加入しておらず、且つ同条約は「商業に従事せざる政府の船舶又は公の権力の用に供せられる船舶」には適用されないことになつている。従つて船舶職員法の適用除外は、右両条約との関係においては直接の問題を生じない。   口、電波法については、保安庁法はその全面的の適用を排除していのではなく、警備隊の使用す る移動無線局の特殊性にかんがみ、電波法中無線局の免許及び検査並びに無線従事者に関する規定のみを、右移動無線局について適用しないこととしたものである。電波法のこれらの規定を排除したのは、同法がその基礎となつている国際電気通信条約及び国際無線通信規則に定められている事項以上のものを含んでいるからであつて、右条約及び規則自体はもとより警備隊の電気通信業務につても遵守せらるべきものである。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 この説明書につき御質問がございますれば発言を許します。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 ただいま朗読をされましたこの政府の解釈に関する文書について疑問がありますので、これを発表するとしますれば、その点をはつきりしておく必要があると思うのであります。まず第一は、二枚目の二というところにある文章でありますが、特に政府では「この条約を充分且つ完全に実施するために必要なすべての法律、政令、命令及び規則を公布し並びにその他のすべての措置を執ること」とあるところの「措置」というところにマルをつけてありまして、おそらくこの「措置」というものは政府の都合のいいように措置しようとしてマルをつけたと思うのでありますが、一体この「措置」というのは法律や政令、命令、規則などを適用しても適用しなくとも自由だという意味に、政府は解釈をしようとしておるようであります。だから国内法でいろいろつくつてありますところの法律を適用しようがしまいが、それは当事国のかつてだというような意味に解釈しようとして、「措置」というところにマルをつけたと思うのです。しかしこれはどうも政府の考えの方が無理だと思うのでありまして、この「措置」は別に当事国の自由にまかせられておるのではなくして、この「措置」というのは、その前の言葉を受けて、「条約を充分且つ完全に実施する」ための措置であつて、実施しなくてもいい措置をとつていいという解釈をとることは、私は条約局のかつてな解釈だと思う。十分にかつ完全に実施するための法律をつくつて、その措置をとれというのですから、これはあくまで完全に実施するととの措置である。それを自由にまかせられておるから除外をしてもいいのだというような解釈をするとするならば、どうも条約の趣旨を政府は曲げておるように思われますが、いかがでしようか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 御指摘の「措置」のところにマルをつけましたのは、これはなくもがなのことでありまして、大した意味はないのであります。仰せの通り、この「措置」ということの中には、法律、政令、命令、規則等の、一口に申しますと立法措置と、そうでない措置とがある。そういう二つの概念にわけまして、「並びに」という言葉で結んでおるのでありますが、ただいま保安庁で考えておられます措置は、部内の規定、つまり海上警備隊という国家機関に処属する船並びに船の乗員に対する措置でありまして、これは直接国民の権利義務に関係ないわけでありますから、法律等の立法措置は要しないわけであります。昔の陸海軍がありました当時におきましても、部内の達しとかなんとかいう形式で行われたもので、国民の権利義務に直接関係がございませんから、立法措置は要しないだけの話であります。しかし部内の船舶並びに乗員をして、条約の規定を忠実に履行せしようとしますならば、やはりそれぞれに対するその命令なり部内規話なりがなくてはいけませんので、その点を今保安庁の方で至急制定の手続中であると承知しております。それが完成いたしました場合には、日本の一般商船、私船に対しましては、条約、法律という二段構えで参ります。それから国家機関に所属します公船につきましては条約、その下の部内規定という二段構えで実施されることになる。さように御承知願いたいたのであります。中村(高)委員 どうも今の局長の弁明は納得できないのです。今あなたの答弁では、実施をするためにこれからいろいろの具体的な措置をとるのですということでありますから、これはわかるのです。その通り条約に従つていろいろの法律やその他をつくり、またそれの実行をするためのいろいろの具体的な措置をする、それはけつこうです。けれども、この声明書ではそうではなくて、法律などを適用するかしないかは、当事国の自由にまかせられておるから、法律の適用を除外したことはちつとも間違いではないのだという解釈書でありますから、ただいまの説明の趣旨とはたいへん違うのですよ。はずしていいという議論はどこから出て来るか。私はこの点を議論をしておるのであつて、実施するためにいろいろの措置をとる、これは条約の趣旨にのつとつておるのですからけつこうだ。けれども、今日のこの弁明書自体が、法律の適用をはずしてもさしつかえがないのだという政府の解釈書でありますから、そのはずしていいのだという根拠は、この「措置」というところからは出て来ないと思うということを聞いておるのであつて、私の質問の趣旨を取違えておるようでありますから、もう一ぺんその点を伺いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 保安庁長官にお答えになつてもらつた方がよろしいかと思いますが、私どもの考えでは、条約自体は絶対にはずしません。条約自体これは公私の船舶にすべて適用すべきものでありますから、公船であろうが私船であろうが、国家として国内のすべての船舶に忠実に条約の義務を履行させる義務を負つておりますから、条約自体の規定をはずせないことは明らかである。しかしながら、法律はすべて国民の権利義務に関係するからこそ制定せられるのであつて、国会の御承認を得て制定せられるものである。しかもその法律が条約の規定する以上のその他のことを含んでおる場合におきまして、国家機関所属の公船にこの一般法を適用すべきか、あるいはその国家機関所属の船についてのみは、一般法の適用をはずして、別に条約遵守のための措置をとるかということは、これは便宜の問題であります。従いまして、その便宜の問題の処理は、各国によつてそれぞれ取扱いを異にしておる。そういうことを述べようとしたのが御指摘の部分なのでございます。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 それでは、長官が来ておりますから、長官も法律専門家であり、私も法律専門でありますから、この点について長官のお答えを聞きたいのですが、それならば、条約の要求する以外の規定が、かりにある法律にあるとして、それを適用することは一向さしつかえないと私は思う。適用する以外の事項があつたならば、それは別に適用すればいいのであつて、たとえば十条ある法律のうちで、全然適用のない条項が二つなり三つなりあつたとしても、あとの八つは適用したらいいではないか。そんななことでちつとも全体をはずす必要はないのです。八つなら八つの適用される条項があつたならば、それを堂々と適用して、あとの二つは関係がないのだから、それは適用されない。これは法律の原則です。それを保安庁法からはずしてしまつたのは、これは政府も間違いであるし、国会も間違つておつた。はずさなくてもいいものをはずしてしまつたのであつて、これは国会にも責任があるのでありますけれども、この点についても私は専門家である長官は私と同じ解釈だと思う。はずしたことは何か間違いがあつたというならば、議論は別問題です。けれども、必要以外の条項があるからといつて、それをはずすというようなことは、法律上できないのですよ。いかなる法律だつて、もし百の規定があるならば、われわれの生活に百の規定が全部当てはまるなんという法律解釈はない。その百条の中の一条にわれわれがひつかかれば、これでやられる。ところが、一条はかかるけれども、九十九条は関係ないからこの法律をはずすといつたら、法律の適用なんというものはあり得ない。長官の御明答を求めます。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 まことにわが意を得た御質疑で、大いに敬服いたします。もちろんおつしやる通り、立法技術の問題としては、そういうやり方も大いに可能であり、考えられることであろうと思います。ただここでお考えを願わなければならないのは 一体条約というものは国内に拘束力を及ぼす関係において二つの面があるとわれわれ考えます。一つは条約を締結した国自体を拘束する部面がある、それからその国の中におる国民を拘束する部面と、二元的の場面があると思うわけであります。そこで今度の場合はだれを拘束する場合かと申しますと、これは保安庁の船でありまして拘束されるのは国自体であります。国民を拘束されるという部面で場面が残りますならば、これはあわせて法律をつくつて、法律をもつて国民を拘束した方が立法政策として好ましいではないか。しかし私が申し上げましたように、そういう場合ですらも、国内法の中継ぎなしに条約が国民を拘束した例も新旧憲法にわたつてございますと申し上げたこともありますが、それも今お話の通り、国内立法を別につくつた方がいいではないかというお考えも成り立ち得ると思います。ところがこれは先ほど触れましたように、実は国の機関である保安庁そのものの船を縛るのでありまして、国が条約そのものに当然拘束されるのは何ら問題のないところであり、憲法を見ましても、国の公務員は条約というか憲法を遵守しろと第九十九条に書いてあつて、そのお隣の第九十八条には条約遵守の義務を憲法がきめているのでありますから、国の公務員が憲法の道を通じて条約を遵守することは憲法がきめているくらいのわかり切つたことであろうという点から、そのお考えはまことにごもつともとは存じますけれども、これを全面的に排除しても一向さしつかえないことであり、またそれが適当であろうというのが私たちの考え方なのであります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 そうすると、その点についてはいろいろの解釈もありましようが、とにかく条約でなさねばならないいろいろの国内法、特にこれ実施すべき必要のある問題の適用を除外してしまつて保安法庁をつくつてしまつたのですから。そこで保安庁法を政府は改正して、もう一ぺんこの必要な部分は適用するという改正案を出そうとするのか。それとも不必要な点がたくさんあつて、そのまま適用するのはまずいから、特別な何か保安庁に関係した船舶安全あるいは船舶職員、電波法というような特別法を作成しようという考えがあるかどうか。この点をひとつ……。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私からその点はお答えします。大体において保安庁の船に関する問題でありますが、訓令等によつてこの問題を実施して行きたいと考えております。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 そうすると法制局長官ですか、佐藤さんにその点をはつきりしていただきたい。船舶安全法とかその他の法律に規定されておりますようなものを、訓令等ではとうてい包含することはできないと思いますが、いかがですか。とてもこの穴を訓令などで充分できるものではありませんよ。この法律の詳細なことを。どうも長官は何かその点が不勉強のようですから、ひとつ佐藤さんお答えを……。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 不勉強である点はまことに申訳ございませんが、今の御指摘の点はこの法律できめていることでありますから、訓令でできないはずはないと簡単に私ども考えているわけであります。できるだけ精密に条約の趣旨が通りますように訓令を書くことは、決して不可能なことではないと考えております。またそのつもりで今準備をしているわけであります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 それがどうも政府の間違いだと思う。法律に詳細に規定されて、国内法としてあります法律を、訓令などという政府の命令によつて法律を動かすがごとき命令を出すということ自体がいけないのです。だから再軍備をやらないと言いながらこういう矛盾が出て来るのでありまして、この重要な、国会で審議しておりますところの法律を適用するとか、除外するとかいうようなことを、政府の訓令だけでやるなんということは、国会無視でありまして、とんでもない、これは感違いだと思いますから、その点をひとつはつきりしてていてください。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 訓令で法律を除外しようということは毛頭出て来ないことだと思います。と申しますのは、実は先ほどのお話のように保安庁法によつて法律の方は排除してしまつた。すなわち保安庁法という法律によつて船舶安全法等の他の法律を排除してしまつて、そこへ空白ができたから、空白は条約がそこに入つて来て条約に直接拘束されなければならぬ。その条約が誠実に実施されるようにどういう方法をとるか、その空白地帯についての問題としてなおそこに念を入れて、訓令等をもつて十分条約が実施できるように万全を期そうというのが、今の考え方なのであります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 そうすると、その穴を——訓令で条約を尊重しろというその訓令はよろしいのですよ。それ自体がいいとか悪いとかいうのでなくして、しかしそれではこの船舶安全法とかその他の法律に規定をされたものを、一体どうするかということを除外をしてしまつているのだから、訓令だけを尊重しろしろと言つてみたところが、尊重すべき規定は除外をしてしまつておつて、精神だけ尊重すればいいのですか、それでは中身は別に当てはまるべきものはなくして、精神だけ演説みたいなことを言つて、精神だけを尊重しろという訓令を出してみたところが、穴埋めにはならぬのですから、そんなことを言わずに、その穴は新しく法律をつくつてやりますとか、あるいはあらためて今までできている法律の中で実施すべき点だけは適用するということにするかというその態度をきめられて、条約を尊重するなどというそんな空な答弁は認めませんから、もう少しはつきりしておかなくちやいけません。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 私は先ほど来申しましたように、条約を尊重するとかしないとかいう心構えの問題では実はないのであります。もつと深刻な法律的な問題だと思います。と申しますのは、いかに船舶安全法が保安庁法で排除されましても、条約というものは法的に大きな力をもつてそこに働いて拘束力を及ぼしているという建前は、憲法上当然出て来る建前でございまして、尊重するもしないも、せざるを得ない法的の力をもつて条約が迫つているわけであります。その条約を実施するに万遺憾なきを期するために、なお訓令を出してその徹底を期そうというのでありますから、きわめてその措置としては十分であろうというように考えているわけであります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 今の趣旨で大体何かやろうということだけは、はつきりしたのでありますけれども、なかなか政府も何か責任を追究されるというようなことでもびくついているようでありますが、どうせ何かをつくらなければ跡始末はできない問題でありますからして、われわれは政府に向つてもこの穴埋めは何らかで解決をしなければならないという要求だけをいたして、まずこの程度にいたしておきます。

並木芳雄改進党

○並木委員 この説明書に「条約はこれを当事国の自由にまかせている。」とありますが、条約のどこで当事国の自由にまかせているのですか、明文があつたらお示しを願いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 この点については条約が別段の定めをなしておりません。白紙に残しておりますので、当然の解釈として、その点は当事国の自由にまかせられるもの、このように解釈しております。

並木芳雄改進党

○並木委員 それは少し私どもの解釈と違うのです。この条約の第一条の(b)のところで、「この条約を充分且つ完全に実施するのに必要なすべての法律、政令、命令及び規則を公布し」云々とある。ですからこれはやはり任意規定でなくして、強制規定のようにとれますが、他の条約にこれと同じような条文があつて、なおかつ法律とか、政令、命令などをつくらないで済んでいる実例がありましたら、それもあわせて示していただきたい。

林修三法制局次長

○林政府委員 他の実例というお話でありましたが、ここに条文を持ち合せておりませんので、後ほど調べましてお答え申し上げますが、大体私の記憶でございまして多少間違つているかもしれませんが、一応私の記憶で申し上げますと、先般この国会でも御審議願いました国際通貨基金でございますが、国際通貨基金に対しましては、各締約国の政府は、治外法権的な措置をいたすことになつております。民事訴訟の相手にしないとか、あるいは国税を免除するとかいう措置をみなきめることになつております。これは各国の国内法によつて立法するということが書いてあります。これはわが国におきましては、従来外交官につきましても別に立法措置を講ずるものとして当然免税の措置をとつております。あるいは治外法権的な措置を認めております。当然この条約の規定がわが国においては国内法と同一の効力を持つている。こういう考えに基きまして立法措置を別にとつておりません。この国際通貨基金の規定は当然にわが国を拘束している。こういう考えのもとにそれでやつております。

並木芳雄改進党

○並木委員 さつき私が質問したら、強制規定でなく、任意規定であるにいうふうに政府は解釈しておるようでありますが、これは国際慣習ですか。

林修三法制局次長

○林政府委員 その点につきましては、結局こういう条約は、各国の国内法にその措置をまかしておるわけでありまして、法律を国内法として作成しなければ、条約は国内法としての効力を持たないという国もございます。条約だけで国内法として効力を持たしておる国もございます。それは国内法の措置にまかしておる、こう考えておるわけであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 そうすると、どうしても法律をつくらなければならないという場合には、法律をつくらなければいけないという、何かこれとはまた違う表現の方法があるのですか。

林修三法制局次長

○林政府委員 そういう表現は、おそらく今の条約にはないと存じまりす。結局わが国のように、条約に国内法としての効力を認めております国におきましては、条約の実施のために国内法をつくりますのは、結局条約実施のための罰則規定を置く必要がある、あるいはその条約の実施のために、いろいろな手続規定が必要である、それが立法事項である、こういう場合に国内法をつくる。あるいは、もちろんそういう意味で、民間の者を縛る場合に、どうしても罰則規定等の励行規定が必要である。そういう意味において、民間の者を縛る場合は国内立法を必要とするというのが、今までのやり方でありまして、国だけを縛るという場合にはり国内法をまたずして、条約だけで十分に目的を達し得る、従来のわが国の法制はそう考えておりますので、今までもそういう措置をとられたことは非常に例が多いと考えます。

並木芳雄改進党

○並木委員 政府はそういうふうにつつばるのであるならば、私はなせ今度の場合も最後までつつばらないのか、こういう感じを抱きます。ここで急いで保安庁の方で訓令か何かつくるといつておることが、またつじつまが合わなくなつて来るわけです。そうすると、この条約が日本を拘束したのは、この前の答弁では十一月十九日とか聞きましたが、その的確な日を教えていただきたい。その日から今日までは、少くとも保安庁としては、この条約に違反をしておるか、あるいは適切な措置を怠つておつたか、こういうことが言えると思います。フリゲート艦その他はまだ引渡しを受けておりませんから、それについては適用はありませんけれども、海上警備隊が持つておるところのもろもろの船舶について、少くとも条約違反か、措置を怠つておつたということは言える。急遽訓令をつくつてやるといううろたえ方が、むしろただいまの説明の一貫性を阻害しておると思うのです。こういう点についての政府の明快な答弁を求めたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 海上人命安全条約は、わが国に対しまして、十一月十九日から効力を発生しております。そこで十一月十九日から今日までの間どうしておつたかというお尋ねでございますが、これは先ほど法制局長官が申し上げましたように、条約は当然国内法としての効力を持つて、特に国家機関は直接条約の拘束を受ける、従つて条約の趣旨に基いて、今までも事実上やつて来たわけでありますが、今般国会の御審議に際しまして、それだけでは不十分だ、もつと慎重な手続をとれという御要望がございましたので、その御要望にかんがみまして、それに沿つた措置を重ねてとるという慎重な手続をとることに、政府として決定いたした次第でございます。

高岡大輔改進党

○高岡委員 ちよつとお伺いしますが、国際条約は、国内法も何も定めのない場合は、国内法にない場合だけは、そこへ入つて来ましようけれども、国内法の、いわゆる保安庁法というものがあつて、その保安庁法に、除外するという一つのきめをつくつたところへ、どうして条約が入つて来るのですか。そこが私は問題だろうと思うのです。何もなければ、条約はなるほど規制して来ましようけれど、こつちに保安庁法があつて、その保安庁法にこうこうこういうふうに除外すると書いてある。こつちの方で区切りをつけておるところに条約が入つて来る。そこに私は問題点があるのではないかとと考えるのであります。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 保安庁法では船舶安全法等の国内法を排除するということは書いてございます。しかしながら、条約を排除するということはどこにも書いてないのでございます。条約が排除されていない以上は、当然先ほど法制局長官がおつしやいましたように、国内法としての効力を持つて国家機関には迫つて来ておるわけでございまして、その点条約との関係においては、何ら空白が出ていないわけであります。ただ国内法だけを、国家機関について適用を排除しただけの話であります。

安東義良改進党

○安東委員 ただいまの条約局長の御説明は 一応りくつが立つておるようなふうに聞えますけれども、どうも納得できない。それはなせか。船舶安全法なるものの実体は、海上安全条約の内容を持つておる。そうしてその中には、第五章のことなども関連しておる。それを保安庁法で排除しておる。だから、国際条約はなるほど空間を満たすという解釈も立つかもしれぬけれども、その実行する法律、それをわざわざ保安庁法で排除しておる。だからして、それは排除したからいきなりその空間を満たして来るということは、いかにもどうも私ども納得できない。なせか。一体、日本の法律と条約との関係でありますけれども、先ほど法制局長官が説明されたように、権利義務に関連する問題については、おそらく今まではつきり法律というものをつくつて来たろうと思う。ところがこの権利義務に直接関連しない場合には、なるほど条約公布によつて法律同様の効力を持たしておつた。それが大体の私は今までの慣例だつたろうと思う。してみれば、この条約はその意味合いにおいて、法律に優先するものではないと思う。法律に優先するわけではない。法律と平等の立場にある条約に対して、法律的効力を日本で持たしておる、そういうことであろうと思う。それだつければ、要するに私は下手すれば条約フアツシヨ時代が来ると思う。なぜか。この条約によつて日本の憲法それ自体の内容までかえることがでさることになつてしまう。これは非常に危険なことだと思う。でありますから、問題はきわめてささたることのようでありますけれども、この点をはつきりしない限りにおいては、将来条約フアツシヨ時代が出現することをおそれる。この点について明快なる御返答を願いたい。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 ただいまの安東委員の御懸念は、まことに適切なる御心配であると私も同感いたします。ただいまのお言葉にありましたことを、一応整理して考えますと、条約と普通の法律との効力関係と、条約と憲法との効力関係の問題、この二つの問題がその中に含まれておるわけでございます。そこで最初にお述べになりました条約と法律との関係、これについては、実は憲法ができましたときに、当時の金森国務大臣は、御審議の帝国議会では、条約は法律に優先するというようなことを言つておるのを私は覚えております。しかしこれは、そういう学説もありますけれども、今の安東さんのお話のように、優先するとまでは行かないで、同等じやないか、先法と後法の関係で、条約があつても、あとでそれに矛盾する法律ができれば、その条約は国内的には変形あれるのではないかというような考え方も、学説としてはございます。しかしこの点は、今申し上げましたように、大体憲法の第九十八条の第二項をどう見るかということで、条約を尊重しなければならぬという憲法の条文は、法律に対する関係では、せめて優先的に扱えということを言つているのかどうかという見方があるわけです。そこでおそらく金森さんも、法律よりは優先しますと答えたのだろうと思います。現在政府としては別にそれを変更するような気持は持つておりません。  ただ大事なことは、それでは憲法との関係はどうなるのか、これは、私はまことにおつしやる通りに、最も重大な問題として考えなければならぬと思う。政府といたしましては、この新憲法になつてからの国会においてもたびたび御説明申しましたように、第一先ほども触れました憲法の第九十九条の方で、天皇も入つておりますが、国会議員その他の公務員は、「この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」とはつきりとうたつておるわけであります。従いまして、条約の締結に従事する人は一体だれか、公務員でしよう。それを御審議になる人はどなたですか、国会議員でしよう。その国会議員その他公務員について、憲法第九十九条ではつきり憲法尊重の義務を課している以上は、その条約締結に当り、あるいはその審議に携わる方々は、やはり憲法を尊重しつつ、その条約をつくるように心がけよということを憲法で言つているのではないか、私はさように確信して、いわばそういう憲法違反の条約ができるはずが第一ありませんと申し上げているわけであり、また冷静なる法理論としても、第九十八条の第二項は——憲法がその改正のためにはレフエレンダムを必要とするような重要なる手続をきめている場合に、それを条約をもつてするならば、その実質的な改正はいくらでもできるという考え方は、だんだん押して行きますと、非常に懸念すべき考え方になりはせぬか、そういう気持を持つておりますから、そこまでは言つておりませんけれども、第一、第九十九条がありますから、憲法に違反するような条約はつくりませんと、そういう覚悟でおりますということを、たびたび申し上げて来ておるわけであります。

安東義良改進党

○安東委員 ただいま長官の明快なる御答弁を得て満足に思うのでありますが、はたしてしからば、私はこの小さい問題についても、やはり保安庁法ではつきり船舶安全法を除外したというならば、これは何らか法律の形において空間を満たすという措置をとることが、一番妥当ではないかと思うのです。大した詳しいことを書かないでも、それこそ簡単なものでできはしないかと思うのです。それでこの際は、なるほど条約局長の御見解も一つの見解でありますけれども、もつと明快ならしめるために、特にこの安全条約では、第一条のbというものがあるのでありますから、この趣旨を十分徹底するために、立法的措置をおやりになつたらどうですか、それが一番妥当な方法だろうと思う。いかがでありますか。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 これは先ほどの中村委員のお話にもつながるわけで、お考え方としては成り立ち得る考えであると思いますけれども、先ほどお答えしました通り、第一要点は、例をあげて申しますと、かりに国内法をつくりまして、南米航路に従事する船舶については、船舶安全法を適・用しないと書きます。そうすると南米航路に従事する船舶については船舶安全法は適用になりません。南米航路に従事する船を見ますと、国家の公の般もありましようけれども、郵船会社とか、何とか会社の民間の会社の船がたくさんある。そうするとその船には今の論法で行きますと、国際条約が直接適用になります。しかし国内法は船舶安全法を除外しておりますから、適用がないわけです。そこでさつき私の方で御説明申し上げたように、それではそれが条約違反を起したときに、一体罰則で制裁ができるかどうか、南米航路以外の船については、船舶安全法の罰則をかぶる、南米航路については除外して、それは条約が直接かぶる、といつても罰則も励行も何も適用しないのだから、その部分については、南米航路に従事する船路に従事する船舶についての船舶安全法の特別の法律というものをつくらなければ、つじつまが合わないではないか、ということのお話は出て来ます。それは個人の持つておる民間の船が対象にななつているから、バランスがとれないという、これはもつともな考え方になると思いますが、先ほど申しましいように、条約というものは、国自体が拘束されること、これは何も異存はない。また民間に対してさえ当然拘束があるという考えで今までは来ておる。この問題は警備隊の船でございます。国に対する罰則というものは今まであまりありませんでした。そういう面も全然ないのでありますから、そういう特別な立法をする必要は全然ない。そうして今申しましたように、安全を期するあらゆる手段を講じて行けば絶対に大丈夫でございますということを申し上げたのであります。

安東義良改進党

○安東委員 それならば、電波法に関連しまして、電波法には少くとも無線局の免許及び検査並びに無線従事員に関する規定においては、これは一応は人民の権利義務にも関連すると解釈せられると思うのです。資格を与えるということなのです。 そこで電波法では、いわゆる電波監理局でそういう資格を与えるようなことになつておる。それを除外してしまつた。そうするとその問題について保安庁ではその権利を与えることができるかどうか、何る明文の規定に基いてそれを職員に与えることができるか、それを承りたいと思います。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 資格を与えるということと、資格を持つている者からその職員を採用するということとは、二にはつきりわけて考えなければならないことだと思います。資格を特つていない者から採用していけないよということがこの根本でございます。従いまして、たとえば保安庁の船に職員をとります場合には、その資格を持つて  いる者からとる。資格を持つていない者からはとりませんということで条約上の義務が果される。さういうふうに考えております。

安東義良改進党

○安東委員 資格を持つているという、その資格は実質的能力の問題であるのか、あいは資格を国家から証明せられたものであるのか、その国家から資格を証易する手段として、電波法ではおそらく電波監理局がこれを管理することになつているのだろうと思う。その点は間違いないでしよう。それならばいわゆる保安庁の職員には、無線のオペレーターには、必ず電波監理局で資格を認めた者のみを採用するのでありますか、私はそうではないと思う。通信学校をこれからつくるはずである。通信学校で教育した者に対しては、おそらく保安庁はこれを電波監理局に試験に来てくれなんて言わぬだろうと思う。どうなりますか。

林修三法制局次長

○林政府委員 そのところは御承知のように電波法の規定等は国内法でございまして、国際電気通信条約の附属無線通信規則を見ますと、同じように無線従事者の資格試験等の規定がございますけれども、これは条約の方で申しますと、そこはもちろん漠然と規定はございまして、その国がきめる一定の資格試験を受けた者を雇入れることになつております。ただいま、言つたのは、御承知のように電波法によりまして、無線通信士の試験をやつてわります。これに基きまして、保安庁でもただいまもちろんこういうものの試験を通つたものを採用するというお話でございますが、これは現在そういう趣旨であろうと思います。これは法律的に申しますと、純粋に法律問題でございまして、ただいまそうするとかなんとかいう問題ではございませんけれども、附属無線通信規則の規定は、要するに各国の政府の主管庁がきめる試験あるいは資格ということになつておりまして、必ずしも日本において電波監理局のみがそれに当るべしというまでの拘束はないわけであります。条約上の義務は国内法にまかせてあるわけであります。国内法的にはあるいは主管庁が二つにわかれるということは、条約では禁止しているわけではありません。ただ保安庁の話では、ただいまのところはもちろん電波法による試験を通つた者を採用するというお話でございます。この点につきましては、電波法によつて運用をして行かれるようでありますけれども、条約上はそこまでは拘束はないわけであります。

安東義良改進党

○安東委員 それでわかりましたが、それならば保安庁の方で通信学校あたりで教えた者に資格を与えるというような場合には、電波法にかんがみて、さらにはつきりした法律をつくるというお考えですか。それは国家の役人であるからして、国家が簡単に規則でやつてしまえるというふうなお考えですか。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 ちよつとお話が非常に精密になつて参つたようでありますが、先ほど私が申しましたように、通信の資格を持つていない者を採用してはならぬという画が重点である。もう一つ今の安東委員の御懸念は、そういう通信の職員に、国民の権利義務としてなろうとしている者の道をとざすことになるという御心配ではないかと思います。それは実は全然そういう関係はここには出て来ないのでありまして。そういう者の職業選択の自由とかそういうことにひつからめれば、そういうことになるかもしれませんが、その面はここでは取上げておらないのでありますから、その方の関係は全然ないと申し上げます。それ以外の者からとつてはならぬということを言つておるわけであります。

高岡大輔改進党

○高岡委員 私お尋ねしたいことを今中断したのでありますが、保安庁法等八十七条から九条までを除外された。これは前々国会でこの法案ができたのでありまして、国会において審議決定したものではありますが、私はその当時まだ国会議員でなかつたので、その前後のことがわかりませんのでお尋ねするのです。これを除外した理由といいましようか、考え方は一体どういう考え方で、どういう理由でこういうことを除外されたのか、その点をひとつお伺いしたい。

林修三法制局次長

○林政府委員 これは保安庁からお答えすべきか当然かもわかりませんが、便宜法制局の方からお答えいたします。御承知のようにこの法案は昨年の三月でございましたか、四月でございましたか、海上保安庁の一部改正といたしまして、海上保安庁に海上警備隊を置くという改正がございました。その際にこの適用除外の条文が同時に海上保安庁法の一部改正として国会に出された。その際にもちろん私の方で十分審査をいたしました。条約等との関係をもちろん十分検討いたしております。従いましてこの際にももちろんこの立法措置といたしましては条約は適用がある、しかし国内法としては多少この当時において海上警備隊の船舶については国内法をそのまま適用するには不適当である。やはり特殊の訓練をするとか、特殊の構造の船を持つとか、そういう関係で不適当な面がある。条約がそのまま適用になつてもよいけれども、国内法は多少よけいなものになる。そういうことで適用を除外したわけであります。そういうような趣旨のもとにこの規定をつくつた。国会におきましては海上保安庁法の一部改正としてこの法律が御議決になりました。その後さらに政府といたしましては、保安庁の制定法案を国会に提出いたしました。その際にこの海上保安庁法の中の海上警備隊に関する規定をそのまま保安庁法の中に入れまして、これをまた国会に御提案申し上げまして、それが御議決になつておるわけであります。

高岡大輔改進党

○高岡委員 そうしますと、条約は遵守する、しかしちよつとぐあいが悪いところがあるから除外しておこう、何かそこは無理なことがあるということを意識して除外をなすつたように聞えるのですし、事実そうではないかという疑いも生じて来るのであります。そういつたごまかそうという気持で、しかも当時の絶対多数を持つた自由党が多数をもつて押し切つたという疑いが私には生じて来るのでありますが、その点をもうすこし法理論的にひとつ御説明願います。

林修三法制局次長

○林政府委員 これはここでも何べんもお答え申し上げたことだと存ずるのでございますが、海上人命安全条約とこの保安庁の船舶との関係は、いわゆる海上人命安全条約の第五章だけの関係でございます。航行の安全とか、氷の監視とか、気象業務とか、そういう関係のみの適用でございます。船舶安全法は主として船舶の構造でありますとか、あるいはいろいろのそういう船舶の構造面からの規定があるわけでございます。また船舶安全法は条約よりさらに進みまして、すべての船舶につきましてそういう規定を国内法として適用いたしております。そういう意味におきまして、当時の海上保安庁の船が、やはり構造上あるいは運営上この船舶安全法の規定によつて拘束されては多少不適当な点がある、こういう関係で条約上の義務を履行することは当然でありますけれども、やはり船舶安全法の規定の方が海上人命安全条約よりも規定が重いわけであります。そういう重い点をはずしたという考えでございます。また電波法につきましても同じような問題がございまして、たとえば電波法には国際電気通信条約の無線通信規則で規定しております以上のことが規定してございます。たとえばいろいろのこまかい手続規定でございますが、電波監理局に対していろいろな届をするとか、あるいは電波監理局がそういうような非常にこまかいことを監査する規定がございます。これは保安庁の持つております無線通信につきましては、そこまでの規定は必要でなかろう、条約上の規定で十分であろう、そういう考えでそういうものの適用を排除いたしたので、何ら特別の意図があるわけではございません。

高岡大輔改進党

○高岡委員 今別に意図があるわけではないとおつしやつたのでありますが、私は意図があると思うのです。意図がなければそんな無理をなさる必要がないのではないか、すなわち当時の保安庁をつくりますころは、昭和十年七月一日の条約——すなわち昭和二十三年にできましたのはこの十一月の十九日から効力を発生した、こうおつしやるのでありますから、そうすると、その前は昭和十年の七月一日の条約というものが効力がある。その条約の第五章に今の保安庁の例の五百トン以上の船がどうもぐあいが悪いという、そこが私は問題だろうと思う。なせそんなぐあいの悪い船を所有するような考え方をお持ちになつたのか。私はもしもそれが再軍備とつながるとでもいいましようか、その五百トン以上の船をつくつて考えてみると、これは条約にちよつと触れて来るから、除外して日本人だけはひとつごまかしておこうという考え方が、そこから出て来たのではないかという疑いを持たざるを得ないのであります。私はそのときに、そういう国民をごまかすという考え方でなくて、それが必要であるかどうかは別問題として、かりに当時の国家がそれだけの船舶を必要とするものであれば、私は明らかなる政府の施策といいましようか、方針を国民に知らしめて、堂々といいましようか、公正にそのことを運んでゆくということが、私は国民に親切な政府の行き方ではないかと考える、私はこの意味において今法制局次長さんのおつしやいました言葉は、いまだに国民をごまかすというとはなはだ言葉は変でありますけれ。も、そこがどうも私には納得が行かないのでありまして、私の頭が悪いせいか知りませんが、ひとつもう一度その点をお聞かせ願いたいと思います。もう一度繰返しますと、私は船が無理だということをお考えになつたから、除外なすつたのではないかという気がするのでありますが、その除外することは、条約に違反するということに疑いがある以上、その点をどう解釈なすつてこういう除外をなすつたかという問題であります。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 先ほど前の海上人命安全条約のことも御引用になりましたが、私の承知しておりますところでは、前の海上人命安全条約につきましては、貨物船を全然適用の対象から除外しております。それが新しい海上人命安全条約で五百トン以上の貨物船はやはり人命安全の見地からこれを新たに適用の対象にしようという改正が行われたと記憶しております。従いまして、新旧条約の間で海上警備隊の船舶との関係で直接問題になる点はないと思います。それから都合が悪いから条約の規定を排除するのではないかとおつしやられますが、条約の規定は新旧ともに、日本国に属する一切の公私の船舶に、適用すべきものは忠実に適用するという建前は、あくまでもわからないのでありまして、適用除外しようとしますのは国内法の規定で、先ほど法制局長官が申されましたように、罰則でございますとか手続規則等を含んでおります国内法の規定、その一般法をこういう国家機関の船に適用するのは適当でないという見地からを適用除外するという趣旨以外に何ら他意ない次第でございます。なお先ほど安東委員から電波法との関係で御質問がありましたが、例を申し上げると、はつきりなさると思うのであります。ここに電波法中無線局の免許及び検査並びに無線従事者に関する規定のみを適用しないことにしてありますが、しかし国内法のそれらの規定を適用しないことにしたのでありまして、それでは条約ではどういうことになつでおるかというと、条約は決して適用除外するのではなく、そのまま忠実に履行しようとするのであります。その無線規則の第十章第二十二条を見みますと、「送信局は、その国の政府が発給する許可書がなければ、個人又はいかなる企業においても、運営することができない。」と、条約では「政府が発給する許可書」というてるのであります。国内法ではは今どうなつておるか知りませんが電波監理局なら電波監理局が発給することになつておると思うのでありますが、国家機間に所属する船舶は、条約は、条約の規定では「政府が発給する」ということを書いてあるのでありますから、その点は電波当局と海上保安庁との了解が成立しておりますので、警備隊所属の船舶については、長官なら、長官に発給する権限を与えても、条約の規定とは一向はずれて来ないのであります。それからその次の検査に関する規定、これは無線規則の第二十八条に「移動局の発射の周波数は、その局が属する検査業務において、できる限り、しばしば検査しなければならない。」とございますが、これはだれが検査するのかと申しますと、「その局が属する検査業務において、」と書いてあります。ですからその無線局が海上警備隊に属するものとすれば、その検査はやはり所属のそういう機関が検査しても、条約の規定としては一向面さしつかえないわけでございます。それを電波法におきましては、やはり電波当局ができる限りしばしば検査しなければならぬという建前になつております。そうしますと、しよつちゆう海上警備に動いておる船上の移動無線局でありますから、それを普通の電波当局のあれが出張検査するということは不便であります。従いまして、その検査のために特殊の機関を海上警備隊内に設置して、それが便宜検査する、そういうようにする実益もあるわけでございます。従いまして条約の規定は、「政府が発給する許可書」とか、あるいは「その局が属する検査業務」というように融通のきく規定になつておりますので、国内法の不便な点を排除いたしまして、条約の原則をそのまま忠実に適用して行こう、そういう建前になつております。

安東義良改進党

○安東委員 ただいまの条約局長の前段の問題でありますが、旧海上安全条約にはやはり今度の新しい条約の第五章の趣旨のものがあつたであろうと私は記憶しておる。これはやはり一般船舶に適用がある。だからあなたの言われるような簡単なものではないのです。ただ問題は、私はこういう万国条約が、はたして戦争ということによつて日本にそのまま適用される立場にあつたか、あるいはまた日本が占領下においてそういう義務を負つておつたかどうか、これは検討の余地があり、また国際法上問題があるところですから、それをあまり私は追究したくはないと思う。だが少くとも十一月十九日以降のこの空間の時期においては、やはり何と理由ををつけられるにしても、事実上はつきりした措置をとつていなかつたということだけは事実なのである。これは手落ちといわなければならと思う。  また第二段の問題でありますが、この国際電気通信条約にやはり関連しまして、今問題の点については政府がこれを与える、それはそれでいいのです。だからその自身についれはわれわれは何とも言わない。しかしその政府はだれがやるようにしているかといえば、現在はつきり電波法で、電波監理局か何か知りませんが、とにかくそちらの方でやることをきめておる。そよで日本国民の目から見れば、その資格はそういうものを通じて得るのだ、こう思つているのです。ところが今度保安庁でそういう資格を与える、なるほどそれは政府機関であるから与えたつてさしつかえないが、そのときには国民の前に、保安庁でもそういう資格を与えるものであるぞということをはつきりする、これが国民の権利、義務にちやんと関係して来る。従つてそういう場合には、一方において、保安庁のときには法律をつくつた以上、国家機関であろうといえども、その資格を与えることについてはやはり法律をもつてするのがいいのではないか。単純な規則だけで一方的に政府が宣言するというようなことは、非民主的なやり方であろうと私は思う。それを私は言うのです。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 この際ちよつと申し上げて御了解を得たいと思うのであります。御承知の通り、今問題になつております警備隊の船は、沿岸の警備—あるいは密輸船の取締りとか、その他国家の治安保持に従事する特殊の船舶であります。従いまして普通の船舶とはその構造を異にすべきものであります。と同時にこれに乗り組ませる船員にいたしましても、普通の船員とはその訓練、またその船内における住居の問題、取扱いの問題、これも普通の船舶の船員とは異にしなければならぬ立場にあります。従いまして一般の船舶に通用いたします船舶安全法あるいは船舶職員法とかいうものを適用されますと、今申し上げます船の構造とか乗組員の処遇の点から見て、非常に不便を来すということでありますので、保安庁法においてこれらの船舶安全法、船舶職員法というものの適用を除外した次第であります。しかしながら先刻来しばしば法制局長官なり政府委員から申し上げました通り、これをはずしたところで、条約というものはかぶつて来るのでありまして、その方面においては、われわれはできるだけの手当をして万違算のないようにいたしたいと思います。その手当におきましても、今申し上げます通り、一般の船舶とは関係のない特殊の警備隊の用います警備船、これだけに関する問題でありますから、事は普通の人民の権利、義務に関係はいたしておりません。その点をひとつ御了解願いたいのであります。  さらに私がこの機会に各位に十分に御了解を願いたいのは、何分にも日本の海岸線は、この前も申し上げました通り八千海里もあり、米国に次いでの長い海岸線であります。戦前、戦時中におきましても、この海洋線を警備するためには相当数の船舶あるいは艦艇を利用したのでありますが、不幸にして終戦後にはまつたく空白を生じております。従いまして密輸入船も相当数入つておりますし、あるいは漁民、漁船の拿捕事件も相当数あります。その他かたがたわれわれといたしましては、一日も早くこの沿岸の警備を十分にいたしまして、国民に安心をしていただきたいというのであります。この船舶も、われわれの考えといたしましては、一日も早く日本でつくつた船を用いたいのであります。また警備に十分に適当する船舶をつくりたい。しかしながら時日の関係もあります。また財政の関係もあります。これらも勘案いたしまして、なかなか急速に参りません。一方において海岸の警備というものは急速を要するのであります。しかるにかかわらず今申し上げます通り、財政的また時間的に申しましても、急速につくることができません。幸いにしてアメリカからこの船を貸してやろう、しかも無償で貸そうというのでありますから、五年の期間を限りまして、これを借りたような次第であります。われわれといたしましては、一日も早くこの船を動かして、沿岸の警備に当らして、日本の治安の維持に努めたいと考えておる次第であります。その点どうぞ御了承願いたいと思います。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 時間の都合上、この点について御質疑がまだございますれば、次の機会に譲ることといたしまして、ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 速記をとつてください。

並木芳雄改進党

○並木委員 先ほどの長官の御説明はよくわかります。私どもも旨くそういうふうに結論を持つて行きたいと思うのでありますが、その前に条約違反の疑いがあるというので、きのうの声明にもなつておる状態でありますが、どうしても確かめておかなければならない点があるのです。それは説明書によりますと、保安庁の方では「部内規定及び命令を発するの措置を執りつつあるのである。」 という、この「部内規定及び命令」というのは、あわせて訓令によつて表現されるものであるかどうか。それから訓令によつて生ずる効力と、船舶安全法の一部を通用させることによつて生ずる効力との違いはどこにあるか、こういう点であります。ちよつとわかりにくいかもしれませんが、保安庁法で船舶安全法を除外しております。ところが先ほど安東委員からも提案があつた通り、この適用の一部排除を、一部復活したらどうか。つまり安全条約第五章に相当する航海安全の項に関する点を除き、船舶安全法はこれを除外する、つまり法律の改正になりますが、そういうような措置によつてする場合とどういうふうに効力が違うか、こういうことなのです。私はしろうと考えですが、ちよつと考えてみますと、船舶安全法にのつとつて、そのうちの一部が保安庁法に適用になるのだということになれば、あれには厳重な罰則もありますから、それを怠つた者は刑罰に処せられる。ところが今度保安庁で予定されておる訓令でやると、そういう罰則が達せられないのではないか。国が責任を負うということは先ほど法制局長官の答弁ではつきりしておりましたけれども、国といえども、その国の機関たるものは個人尺八の公務員でありますから、その公務員を拘束する、あるいは働く公務員を保護する、その力が強く出て来なければならないと思います。そういたしますと、訓令ではそれが出て来ないのではないか。船舶安全法には船舶所有者とか船長に対する罰則などがはつきりしておりますから、これはあくまでも遵守する効力が非常に強く出て参りますけれども、訓令ではただ心せよという程度であつて、罰則が出て来ないのではないか。条約にのつとつてそれをやらなければ、条約違反になるから、お前を罰するぞということは、りくつは立つかもしれませんが、たしか日本国憲法には、も法律によるにあらざれば刑罰に処されないという一項があつたと思います。そういう点にも触れて来ると思いますので、この際訓令による場合と、保安庁法の一部改正、つまり船舶安全法の全面的排除を全面的排除にせずして、一部排除によつて対策を講ずる場合との効力の差について、はつきり御答弁を願いたいと思います。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 お答え申し上げます。先ほど来のお話に続くわけでございます。要するに条約そのものには罰則がないということで、罰則の関係を中心にお答えすればいいのではないかと思いますが、一般の法律の罰則は国そのものあるいは国の機関に適用になるかどうか、これは学問上実は大きな問題なのです。たとえば法人処罰の罰則がたくさん会社の関係のものでございますが、その場合に国そのものが一つの法人として罰せられるかどうか、そんなことはとうては考えられないということで、そのこと自体について学問上の議論があることは御承知の通りであります。従いまして先ほど例にも申しましたように、たとえば南米航路に従事する船は船舶安全法を適用しないということで、罰則関係で、同じ民間会社でも、片一方は国内法がないために罰則がない、片一方には罰則が残るというようなふつり合いが自に見えて、はつきりおかしいということが言い得るわけでございますけれども、今の官庁の持つておる仕事の関係での罰則の適用関係というものは、そういう民間関係のもめに対する罰則の適用関係とはおのずから違いますから、そこにアンバランスというものは生じない。しからば今度はそれに違反した事実が起つたらどうなるかと申しますと、結局国家公務員の懲罰規定——保安庁関係では特に別の規定があつたかと思うのでありますが、これは並木先生の方が詳しいと思います。要するに公務員に対する懲戒ということで、すべて万全を期することができる、こういうように申し上げていいだろうと思います。

安東義良改進党

○安東委員 大体並木君の質問で尽きておるようにも思いますが、政府は今部内規定及び命令を発せられるおつもりのようですが、内容それ自体を私どもは知りたいのです。それからさらにもう一歩進んで、並木君が言われましたような趣旨において、法律をつくるお考えは絶対にないのか、またその点はもう一ぺん考慮してみようと言われるのか、長官から伺いたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 絶対に法律を制定する意思がないとは申し上げません。考慮しても私はさしつかえないと思います。それはお互いに国家目的で帰一いたしておりますので、われわれはそんなことは固執いたしません。しかし訓令で手当ができると考えますので、訓令をつくろうということであります。

安東義良改進党

○安東委員 御趣旨はわかりましたが、それでは部内規定及び命令の具体的内容を一応ごひろう願いたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 それは後刻お示しいたしたいと考えております。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 政府はこの解釈のプリントをきよう発表するそうでありますから、もう一点だけお聞きしておきたいのです。三のところにあります問題ですが、国際航海に従事する船舶ではないから、この人命救助に関する条約は適用をする必要がないのだ。けれども政府では、条約のうちで本件船舶に適用のある部分についてはあくまでそれを尊重して行く。原則的にはもう適用しなくてもいいのだけれども、条約の趣旨は尊重する、こういうことなのです。そうすると、これは政府がかわるというような場合には、吉田内閣ではこういうふうな解釈をするかもしれませんけれども、次の内閣がどういう解釈をするかわからないのであります。先ほどの長官の説明によりますと、このフリゲート艦は国内繁殖の特殊な目的を持つておる船であつて、普通一般の船舶とは構造も違うし、乗組員も違うというるる御説明があつたのであります。この条約に規定されておりますところの国際航海に従事する船舶ではないということは、さきの説明ではつきりわかつたのでありますが、そうすると、フリゲート艦は国際航海も今後も従事はしない、こういう点をもう一度はつきりしておかないと、いつまた国際航海に飛出すかもしれぬ危険があるのでありますが、国際航海には従事しないという言明ができますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 もとよりこの問題の船舶は、沿岸の警備その他治安の目的に使う船であります。将来といえども国際航路には一切使用いたさないということを私は言明いたします。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 わかりました。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 木村保安庁長官の先ほどのお話のうちに、この船舶の警備活動について触れられました際に、漁船の拿捕等のこともあるというお言葉がありました。そうしますと、こう船舶の警備行動の範図において、日本の漁船が出漁いたします場合に、必要な場合には護衛をしたり、あるいは拿捕が行われるような危険があつた場合には、その際抵抗をしてあるいは実力発動、発砲するとかなんとかいうような場合も起ることがあると思いますが、その点ちよつとお伺いしたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 もとより漁船につきましては、そういうような事故の起らぬようにあらかじめ警備をいたします。それでなくちやならぬのであります。警戒もいたしましよう。漁船が危険な区域に参りますと、それを警告して、さようなことのないようにあやまちを未然に防ぐ。しこうしてかりに海賊船に追われるような場合には、これは御承知の通り緊張急避難行為があります。またみずから不当に攻撃された場合には、正当防衛権も持つておると私は考えております。しかしさようなことはみだりにやるべきものではありません。われわれは十分これを警戒のために使いたい、こう考えております。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 一応御賛成を得ておりましたが、重ねてお諮りいたします。保安庁法と海上人命安全条約等との関係についての政府説明書を公表するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 御異議なしと認めて、その通りとりはからいます。  次に前回の逐条審議を継続することといたします。議題になつております協定の附属書A及びBについて質疑を許します。木村国務大臣は予算委員会に出席のため退席をいたします。御質疑のおありの方は発言を願います。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 附属書に書いてありますフリゲート艦の軍艦としての性能を詳細に御説明願いたいと思います。先般トン数が幾らであるとか速力がどうであるとかいう程度のお話は聞きましたけれども、それ以上のことは詳しく承つておりません。日本では海上警備用に用いるのだという御説明でありますから、軍艦としての性能を説明する必要はないとお考えになるかもしれませんが、参考のために本来の軍艦としての、たとえば航空機に対してどういう戦闘力があるか、潜水艦に対してどういう戦闘力があるか、こういう戦争のための船舶としての性能をもう少し詳しく御説明していただきたいと思います。

麻生茂保安庁法規課長

○麻生説明員 ただいまお話になりましたのは、おそらく砲やあるいは機関銃の性能のことだろうと了承したのでありますが、これについてはまだ引渡しを受けておりませんで、向うとも相談いたしまして、承認さえ得ればできるだけ御期待に沿うようにいたします。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 近いうちに御説明願えるようになりますか、その見込みを伺いたい。

麻生茂保安庁法規課長

○麻生説明員 さつそく連絡いたします。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 ほかに御質問はございませんか。なければ、附属書のA及びBに対する質疑を終つたことにしてよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 それでは逐条審議は一応終つたことにいたしまして次いで条文全般についての質疑をお許しいたします。

並木芳雄改進党

○並木委員 私はこの際条約局長では無理かと思うのですが、大臣かアジア局長の管轄かもしれませんが、例の朝鮮の李承晩ラインの問題です。今度フリゲートを使うようになると、当然あそこの警備に当るようになりますので、双方の主張が一致しておりませんから非常な問題が起るのではないか。そこでこの交渉はどういうふうになつていますか。李承晩ラインを向うは主張し、日本はそれを認めないで来ていると思います。それで、その後の状況はどうなつているのか。こちらは認めないでむこうは警備のために入つて行きますと、向うは李承晩ラインを侵したというので不法な攻撃を加えて来るかもしれない。そういう非常に懸念がありますので、李承晩ラインに対する交渉の経過——それをはつきりやつて行かなければならぬのではないか、早急にこれをきめて行かなければならないのではないかと思いますが、そういう点。日韓会談なんかについても若干質問しておきたい。

中村幸八自由党外務政務次官

○中村(幸)政府委員 李承晩ラインにつきましては、わが方としてはこれを認めておりません。しかし李承晩ラインと国連の防衛海域との間には非常に食い違いがありますので、この点において今後の紛争等も生じ得ると思いますがその場合におきましてはアメリカ大使館を通じ、あるいは国連軍を通じまして、十分外交折衝を遂げなければならないと考えております。さらに根本的の問題といたしましては日韓の国交回復というような交渉の経緯におきまして、その問題も十分解決いたしたいと存じております。

安東義良改進党

○安東委員 関連して……。ただいま李承晩ラインのお話が出ましたが、これは日本側で承認する筋合いのものでは断じてないのです。ことに例の対馬の北の方の竹島、あそこまで李承晩ラインが伸びている。そこで今度はおそらく沿岸警備の見地からいえば、竹島は明らかに日本の領土なのです。これは守らなければならぬ、当然なことだ。そこでやはりこの問題はその一角からも起つて来る現実の問題です。初めからそちらの方へは出動させないというような、そんないくじのないものはつくらぬ方がいい。やつぱりやらなければならぬ。しかしその間に細心の注意はしなければなりませんけれども、現実としてはその通りなのです。この李承晩ラインの問題については、やはりもつと積極的にアメリカ側とも話し合つて、韓国側を反省させるように御努力願いたいと思います。

中村幸八自由党外務政務次官

○中村(幸)政府委員 私もまつたくただいまの安東委員の御発言と同意見でございます。政府といたしましても李承晩ラインの解決に十分努力いたします。

並木芳雄改進党

○並木委員 今の答弁で非常に懸念が出て来るのです。それで、どうですか、政府の方針は。さしあたりは李承晩ラインの中に入つてはいけないというような措置をとるのか、それともこれは日本では認めないのだから、ここで日本の漁船が拿捕されるとか、あるいは海上治安のために不都合が生じたときには、正当防衛として行動してもいいのだとか、そういうふうに言つてやるのか。そういう点をはつきりしておかないと、ほんとうにこれは問題だと思うのですが、いかがですか。

中村幸八自由党外務政務次官

○中村(幸)政府委員 海上警備隊といたしましては、わが国の領域に関する限りは十分警備しなければならない責務を持つておるわけであります。それがたまたま李承晩ラインと区域的に一致するといたしますれば、そこにいろいろ紛争が起るわけでありますが、わが方としてはあくまで李承晩ラインは認めないという立場で善処したいと思います。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 なお保安庁岡田政務次官が出席いたしております。

並木芳雄改進党

○並木委員 保安庁の岡田さん、その点どうですか、必要の起つた場合にはやるという方針なのか行つてもいいという方針なのか、当然その点が起ると思うけれども、どうなのか。

岡田五郎自由党保安政務次官

○岡田(五)政府委員 先ほど中村政務次官から御答弁になりましたけれども、李承晩ラインというものについてはわが方としては認めていない、こういう見地から、またわが領海内の警備は保安庁の責任としてやらなければならない。こういう二点から攻めたてて行きましても、李承晩ラインの中に入つていてしかもわが領海内にあるという区域においは、わが方は当然警備もし、また領海内に行われる不法行為につきましては、適正な措置を講じなければならない、かように考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 その点こちらにおける趣旨はよくわかるのですが、現地で任務についている者としてはなかなか問題が起ると思うのです。その点ひとつ万全を期していただきたい。それについてはやはり日韓会談というものが停頓している点にあると思います。それは明らかに政府の責任なので、私はこの点を特にに岡崎外務大臣に聞いてみたいと思つているわけなのです。さつき中村次官はもし紛争が起つた場合には、アメリカ大使館あるいは国連を通じて交渉するということでございました。紛争が起つては困るのですけれども、起つた場合にはそういうところを通じてやるというお話でございました。今大韓民国から東京にだれか代表者が来ているように聞いているのですが、あれはどういう資格でだれが来ているのか。それから前に日本からも在外公館というものを大韓民国につくるというような答弁があつたと思うのですけれども、それはどういうふうになつているか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 ただいま日本におります韓国のミツシヨンは金公使以下しスタツフで、それ以外に特別な先方の人物が来ているということは承知いたしておりません。またわが方から韓国に使節を派遣するという点も、日韓交渉の杜絶以来ペンデイングになつておりまして、いまだきまつておりません。

並木芳雄改進党

○並木委員 金公使というのは正式の公使なのですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 公使の資格を先方の国内法上持つているだけでございまして、わが国に正式にアグリードされた公使という意味での公使ではないわけであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 そのために、金公使などを通じては交渉ができないから、アメリカ大使館または国連を通じて交渉するというのですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 正式な外交使節としての身分を持つておらない、事実上のミツシヨンとしての金公使を相手にして、事実上はいろいろ折衝しております。

並木芳雄改進党

○並木委員 日本から向うに派遣する方はどうなのですか。交渉しているのですか。こういう機会ですから、やはり向うから来ているならば、こつちからだつて当然早く派遣してやつたら、両国の関係にいいのではないかと思うのですけれども……。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 その希望を持ちましてずつと折衝を続けていると思います。現在どういう段階になつておりますかという点は私存じませんが、いずれアジア局長が参りまして御説明いたすことにいたします。

並木芳雄改進党

○並木委員 李晩ラインと例の防衛水域問題、それとの区域というのはどういうふうになつていますか。大体同じになつているのか、それとも大分地域が違うかどうか、この機会にはつきり聞いておきたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 簡単な地図をすでに御配付してあると思いますが、李承晩ラインの方が範囲は広くなつているわけでございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 防衛水域より李承晩ラインの方が範囲が広い。しかし防衛水域の中で公海に属する部分も相当あると思います。李承晩ラインはもちろんわれわれは認めない。しかしその中で防衛水域にはひつかかつて来るところがあると思います。それに対しては、今度の海上警備隊の使う警備船はどう関係いたしますか。

岡田五郎自由党保安政務次官

○岡田(五)政府委員 お答えいたします。防衛水域は、私あるいはお答えが間違つているかもしれませんが、アメリカ極東軍の作戦上から来た一つの区域だろうと思うのであります。従いましてその区域内に入るにあたりましては、日本の警備船といえども、アメリカ軍当局の了解を得て入らなければならない、かように考えておるのであります。従いまして、了解を得まして、その防衛水域内において、しかも公海の区域において、日本の漁船に対するいろいろな不法行為が行われる場合に対しましては、日本の警備艇は緊急避難行為、また正当防衛行為としての活動の範囲内において責任を果すべきである、かように考えておる次第であります。

並木芳雄改進党

○並木委員 その点はよくわかります。  もう一点お尋ねしておきますが、そうすると防衛水域というのは、国連の方で考える場合に、李承晩ラインの範囲内だから防衛水域をつくつてもいいのだ、こういう見地から大韓民国の李承晩大統領をバツク・アツプしているところもあるのではないか、なければけつこうです。ないとすれば、国際法上のどういう根拠で、防衛水域というものが公海に設置せられるか、その点をこの際聞いておきたい。

中村幸八自由党外務政務次官

○中村(幸)政府委員 李承晩ラインと防衛水域との間には何ら関係はございません。しこうして防衛水域を設定した理由は、国連軍の勢力範囲内に不法分子の侵入するのを防ぐ、あるいはまた禁製品の持込みを禁ずる、あるいは航行の自由を確保する、こういうような意味から防衛水域を設定したのでありまして、李承晩ラインとの間には何らの関係のないことを国連側でもはつきりと言明いたしております。

並木芳雄改進党

○並木委員 その法的根拠。

中村幸八自由党外務政務次官

○中村(幸)政府委員 その法的根拠につきましては、わが方といたしましてはいろいろ意見もありますので、とやかく言うよりも、むしろ今日の問題は、わが方の漁船が自由に防衛水域内に出漁ができるようにいたすのが一番いいのではないか、この法的根拠をいろいろ論議いたしておりますと、なかなか解決ができない。従つて出漁もできないというおそれもありますので、さしあたり出漁ができる手段を講じておるわけでありますして、大体国連側でもわが方の要求を暗々裡に認めておるような次第であります。

並木芳雄改進党

○並木委員 ただいまの答弁は半分だけわかるのです。次官は日本の政治的立場を説明しておるのですけれども、私の言うのは、ああいうものが設定される国際法上の根拠です。これをこの際確かめておきたいから質問しているので、できなければ条約局長から…。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 ただいま政務次官からお答えいたしましたように、実は国際法の領域で、この問題はまだ確立した原則が樹立されてないというのが正直なところであろうと思うのであります。第一次、第三次大戦におきまして、アメリカでありますとか、ドイツ、イギリスの類似の宣言、つまり国際法上完全に認められている閉鎖、一定の敵国を実力をもつて封鎖して、それを宣言して内外に明らかにする——封鎖は国際法上すでに確立しておりますが、こういう公海を含む広米囲の海域に、防衛水域でありますとか、危険区域でありますとかの宣言するということは、交戦国の権利としても、また国際法上完全には確立した原則として認められていないというのが正直のところであります。しかしながら先ほど政務次官が申されましたように、この国際法上の不明確をついてとやかく言うべき問題でもない、つまり日本は、国連の決定に従つて朝鮮において行動しておる軍隊に援助を与える義務を負つておりますので、この見地から申しますと、国際法上多少不明確な点がありましても、この軍事上の必要に基く国連軍の要請には快く協力するというのが適当であろう、そういう見地から、日本側としてはできるだけわが方の漁民その他の合法的な権益が書されないという見地に重きを置きまして、この問題の処理をはかつておるわけであります。     —————————————

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 先ほどの申合せもあり、すでに印刷物もお手元に配付されておりますので、いま一件を進行させていたずきます。  日本国とアメリカ合衆国との間の民間航空運送協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。政府側から提案理由の説明を求めます。中村外務政務次官。     —————————————

中村幸八自由党外務政務次官

○中村(幸)政府委員 ただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の民間航空運送協定につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国は、日本国との平和条約第十三条(a)の規定により、連合国の要請があつた場合に、当該連合国との間に国際民間航空運送に関する協定を締結するための交渉を開始することとなつております。この条項に基き、アメリカ合衆国は、本年六月協定締結の交渉を開始する意向を示して参りましたので、六月二十四日から、両国政府の代表者間に交渉が行われた結果、日本国とアメリカ合衆国との間の民間航空運送協定案が作成され、八月十一日外務大臣とマーフイー特命全権大使とによつて署名されました。  この協定は、日米両国間の民間航空運送の促進を目的とし、世界各国が締結している二国間航空運送協定と同じく、条約附属の附表において各締約国の航空企業が航空業務を運営する路線を定めるとともに、その運営開始の手続及び運営の条件を双務的基礎におい・て定めております。ところで、アメリカ合衆国は、日本国との平和条約第十三条に基き、わが国との民間航空運送協定が締結されるまで、平和条約の最初の効力発生後四年間、わが国において航空業務を運営する一方的な特権を享有しております。従つて、この協定の締結により、わが国ば、アメリカ合衆国との関係でこの平和条約に基く片務的状態を解消することができると同時に、わが国の航空企業もまたアメリカ航空企業と平等の条件で、アメリカ合衆国に乗入れを行うことができるようになるわけであります。  よつて、この協定の締約につき御承認を求める次第であります。右の事情を了承せられ、何とぞ慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを切に希望いたす次第であります。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 本件に関する質疑は、審議の都合上あとに譲ります。     —————————————

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 国際情勢等に関する一般質問を継続いたします。

並木芳雄改進党

○並木委員 お尋ねをしておきます。海上警備隊の充実に伴つて、アメリカの海軍の任務も軽くなるであろう、こういうことは岡崎外務大臣からも答弁があつた。昨今外電の報ずるところによれば、陸上における保安隊が逐次アメリカ駐留軍にかわつて行くであろう、ですから来年度は相当の減少を見るであろうということであります。私どもはアメリカの軍隊がだんだん減少して行くということはけつこうなことです。これに伴つて日本の自衛力が充実されて——今の日本政府の言うような変な名前や形では困りますけれども、そういうふうな交換はけつこうだと思うのですが、今外電の報ずるところのような傾向があるのかどうか、これはあつてしかるべきだと思うのですが、御答弁を求めます。

中村幸八自由党外務政務次官

○中村(幸)政府委員 その点は、まだ外電の報ずるところだけでございまして、政府部内におきましても、別段その点を取上げて研究しておるという段階には達しておりません。

並木芳雄改進党

○並木委員 今までそういう話合いは全然ありませんでしたか。

中村幸八自由党外務政務次官

○中村(幸)政府委員 なかつたように聞いております。

並木芳雄改進党

○並木委員 保安庁の政務次官が来ましたから、重ねてお尋ねしておきます。、陸上における保安隊が充実されるに伴つて、アメリカの駐留軍の数が減つて行く、来年度から減つて行くという外電が出て来ております。また私はだんだんそういうことになることを望んであるものの一人ですが、事情を御報告願いたいと思います。

岡田五郎自由党保安政務次官

○岡田(五)政府委員 お答えいたします。私も実は新聞で拝見いたした程度でございまして、さようなことにつきまして何ら聞き及んでおりません。

並木芳雄改進党

○並木委員 これは次官には無理かと思いますから、いずれ吉田総理が出て来るそうですから、そのときじきじき確かめることにいたします。それから、例の、先方で軍事裁判をするというこの間の英濠兵の問題で、もうそろそろ裁判が実行されるときではないかと思いますが、その後何も連絡がないかとどうか、なくてもこつちも当然積極的にこれを監視する責任があると思うのですが、その点を確めておきます。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 ただいまの点は、先方にいつ始まるかということを絶えずこちらから連絡して問い合せてありますが、当時から先方が言つておりますことは、あれは先方の軍法会議には二種類あるそうであります。正式のマシーヴ・コートと申しますか、重い方の軍事裁判、それからサマリー・ミリタリー・コート、何と申しますか、簡易軍事法会議と申しますか、その二種類あるのでありますが、今度の事件は重い方の軍法会議で、日本側から、証人等の都合から東京で裁判しろという注文を出しておりますが、東京にそういう担当の方がおらないそうでありまして、それで呉の先方の軍事裁判所の職員その他を東京に移して、それで日本側の御便宜のように東京でやろう、そのために多少手続や準備の時間がかかるということを当時先方は断つております。

並木芳雄改進党

○並木委員 大体いつごろになりますか。それからまた、日本側からどういう人々が立ち会うことになりますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 当時、早くて二週間はかかるだろうと言つておりました。まだいつという期日は、先方から通知ございません。ですから、日本側としてまだ確定いたしておりませんが、これは裁判のことでありますから、当然法務省系統の方が、政府代表として御出席になつて、必要があれば、言語等のお世話をするために外務省からだれかついて行くかもしれません。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 身柄は英濠兵の方で留置しておるのですか、それとも外部に出ておるのですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 エビス・キャンプ内におりまして、しかも脱走する前にもう牢屋に入つておつたのを、また牢屋にほおり込まれておると思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 もう一点この際聞いておきたいことがあるのです。それは日本人の武器携帯の件ですが、実はこの聞こういう事件が起りました。日本人のCPで、拳銃ですか、鉄砲ですか持たせられて、基地の外ですけれども、住宅地を警備しているときに、たまたま犯人らしき者が現われたので撃つたところ、不幸にして当つて死んでしまつた。ところが先方では、裁判管轄権はこつちにあるから、アメリカ駐留軍の方でやるといつて、ずいぶん主張したそうですが、これは日本の警察の方でがんばつて、基地の外であるからこつちでやるのだ、そればかりでなく、属人主義ですから、たとい中で起つても、日本人の裁判は日本でやることになる。その点は解決したのですけれども、さて基地の外で銃砲等を持つていたというかどで、これは今裁判にかかつております。私どもは話を聞いてみると、いかにも気の毒なのです。向うの指揮でもつて、銃器類を持たせられて、ここを警備しておれ。こう言われた。しかもそういう場合には撃たざるを得ない。それは正当防衛であつたかどうかは別問題としても、常識的に考えて、いかにも気の毒なのです。こういう場合に、行政協定がはつきりできていないのではないかと思うのです。結局向うの憲兵の上官か何かが罰せられたというのです。そういうことはいけないということで罰せられた。ところがその命令に従つておつていたと患われるところの日本人の方が、裁判にかかつて行くということはいかにも気の毒で、これは根本にさかのぼると、行政協定において、駐留軍に雇われる日本人が、警備のために銃砲等を持つていいとか悪いとかいうことがはつきりしていないからではないかと思う。現在の法律では、何か砲銃等の所持禁止に関するようなものはございますが、それで行けば、明らかに持つてけいけないものなのだそうです。これは実際にCPの数というものは多いです。この取扱いに対して、政府はどういうふうに処置しておつたか、また損にこういう具体的の問題が起つている場合に、どういう所見を持つておられるか、お尋ねいたします。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 その詳細な法律関係をよく私手元に資料を持つておりませんので、不確実な御答弁をしてはいけないと思いますので、確かめたいと思いますが、私の聞いておりますところでは、行政協定との関係でございますが、行政協定の第十七条の3のCというところに、「施設又は区域の近傍で、当該施設又は区域の安全に対する犯罪の既遂又は未遂の現行犯に係る者を法の正当な手続に従つて逮捕することができる。」というわけでありまして、アメリカ側は、たとえば御指摘のケースは、鉄条網を張つてある何かの物資の集積倉庫か何か、盗難のあるところらしいのですが、日本人を雇つて、その倉庫か何かの監視を委託しておつた。そこに不審な者が現われて来て、どうもさくのそばに行つて、中をねらつているように見えたので、これはやはり未遂のケースに該当する。そしていろいろ離れろ離れろということを言つて、制止したけれども、一向離れない。そのうち近寄ると、逃げ出したというので、発砲したという事件であります。日本側は、これは日本人が日本人を殺した殺人事件として起訴されまして、目下裁判が進行中だと聞いております。行政協定に施設、区域及びその近傍ということが書いてありますので、解釈のしようによつては、アメリカ側もそこでそういう監視や、あるいは不審な者を逮捕する権限はあるという解釈もとれると思うのでありますが、本件はアメリカが当初から折れて来まして、先方の関係官もこれは済まなかつたと言つてあやまつて来ますし、いろいろな処置も先方から自発的にとつてくれました。また管轄権の問題も、日本側にいさぎよく譲つてくれたので、英濠兵事件式な対米関係の紛議というものは全然起りませんでした。ただ、今そういう日本人がアメリカに雇われて、アメリカの軍の必要上の任務を負わされた場合に、鉄砲を持つていいかどうかという点を私研究して、次会にでも答弁させていただきたいと思います。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 次会は明十一日午前十時より開会をいたすことといたしまして、本日はこれで散会をいたします。     午後零時三十四分散会

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