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15回国会衆議院1952/12/03

外務委員会 第5号

発言数
71
登壇者
13
会派数
6
開催日
1952/12/03

会議録

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 ただいまから外務委員会を開会いたします。  日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定の締結について承認を求めるの件、国際情勢等に関する件につきまして質疑を継続することといたします。

安東義良改進党

○安東委員 議事進行について……。本条約の基礎的問題につきまして、総理大臣に質問いたしたいのでありますが、今まで御出席がないようですから、ひとつ委員長からその旨至急お伝え願いたいと思うのです。総理がまさか外務委員会を軽視しておる意味でもないでありましようし、お忙しいこととは思いますけれども、この点については本件審議を進行させる上から、私は絶対に必要だと思いますから、強く要望いたします。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 さようにとりはからいます。なお明日理事会を開きまして、その席でお打合せいたしました上で、どういう日程にいたしますかをとりはからわせていただきたく存じます。  並木芳雄君から緊急の質問の申入れがあります。これを許します。並木芳雄君。

並木芳雄改進党

○並木委員 宮内庁の宇佐美次長が見えておりますから一点お聞きしておきたいと思います。それは英国のエリザベス女王の戴冠式に天皇陛下が正式に招請されたということでございますが、それはまことにけつこうだと思うのです。そこでこれは正式のものですから、憲法第七条にいう天皇の国事になると思いますが、この一から十まであげてある項目の中には、それに適当するものはないように思われます。しいていえば、十に「儀式を行ふこと。」というのがありますけれども、これは天皇が儀式を行うことであつて、外国で行われる儀式に、天皇が正式に招待を受けて、御列席されるという項目には当らないのではないかと思います。従つて私は一応の基礎というものをこの際お尋ねしておきたいと思います。それから第二点は、急いでこの準備を進めて行かなければならないと思いますが、その準備の進行状況、また首席随員には三谷侍従長が内定しておるということですが、そういう点もあわせてお聞きしたい。とともに第三点として、これは私ども国会議員としても、国民の代表でありますから、こういう晴れの祝典には、できれば参列して、祝意を表したいという気持を持つております。それについて、もちろん随員というようなことは、私どもの立場からいつてできないかもしれませんが、何らかの形で国会代表というものが、これに参列する道がないものかどうか。今度の準備においてそういうことも考慮してやつておられると思いますが、その点どういうものかこの際聞いておきたいと思います。

宇佐美毅宮内庁次長

○宇佐美政府委員 来年の六月二日のイギスリ皇帝陛下の戴冠式に、天皇陛下の御名代の御出席の招請がございまして、イギリス側の準備の都合もある模様で、皇太子殿下が御名代として御出席になることを、なるべく早い機会に返事をする必要がありまして、そのことを政府といたしまして決定をいたした次第でございます。これの法律上の根拠ということについてまずお尋ねがございましたが、ただいまお述べになりましたように、憲法第七条の国事行為というのは限定的に書いてございまして、第七条の末項にあります「儀式を行ふこと。」ということも、結局は天皇の行う儀式という意味に解されるようでございます。従つて他国におきます儀式に出席をされ、あるいは名代を出されるということは、憲法上にいう国事行為ということには、該当しないのではないかと考えるのでございます。しかしながら個人という立場でなく、象徴としての、公の天皇としての御行動につきましては、たとえて申しますと、他国の元首からの御親電に答電を出されるとか、国内的に申しましても、国会主催の開院式に出席されるということは、天皇個人という立場でなく、公の立場でなされることと考えまして、そういつたような公の立場でなさいます一つの事実上の行為があるように考えられるのでございます。  今回の御名代派遣につきましても、単に私的な交際ということでなく、一国の象徴としての行為と考えられますので、そういうような観念に入るものと解釈をいたしておるわけでございます。純然たる私的の行為でございますと、予算的に申しましても皇室の内廷費ということになりますけれども、これは法律によりまして、一定の年額に定められたことであり、会計検査院の手を経ない、いわゆる私的な経費になるわけでございますが、今回のことは、ただいま申し上げましたような公の事実上の行動といたしまして、国費であります宮廷費関係のものではないかと考えておる次第でございます。  第二の準備の状況でございますが、このことは目下随員の編成、日程その他につきまして検討中でございまして、まだ結論が出ておりません。ただイギリスの戴冠式に出席されることが主たる目的でありますことはもちろんでございますが、この機会にあるいはヨーロツパ大陸等の諸国におまわりになることも、適当ではないかというような考え方で今検討をいたしております。  第三の問題の随員の点につきましては、きわめて少数の範囲で構成をいたしたいというふうに考えております。国会議員を随員とは別に御派遣ということにつきましては、過去の戴冠式等におきましては前例のないことで、あるいはこういつたものに対する招待という形が必要ではないかと考えられますので、御意見の点は承つておきたいと存じます。

並木芳雄改進党

○並木委員 私が最初に法的の根拠をお尋ねいたしましたのは、独立後初めて天皇が外国に行かれることでございますから、こういうことは絶対にないことでありますが、万一のことがあつた場合にはどういう取扱いを受けるか、また向うにおける待遇は何をもつてなされるかということについては、戦前における天皇とあるいはそこに違いが出て来るのではないか、そういうことも懸念されましたので、この際はつきりしておきたい、こういう意味でございますから、その点をはつきりしていただきたい。それから三谷さんのは内定したのかどうか、こういうことです。

宇佐美毅宮内庁次長

○宇佐美政府委員 皇太子殿下は天皇陛下の御名代ということで、ただいま申し上げましたようなことでおいでになるわけでございまして、イギリスにおきましても、一国の元首の御名代として、正式にお取扱いになることと思います。また途中における警備その他につきましては、外務当局を経て各国とも連絡をとつて遺憾なきを期して行きたい、かように考えておる次第であります。  三谷侍従長のことにつきましては、実はこの準備を進める意味におきまして内部的に準備委員というものを置きまして、その委員長ということをお願いいたしておるのであります。いずれ予算等その他をにらみ合せまして、随員のことは正式にきまることと存じますが、ただいまわれわれの考えておりますのは、準備委員の委員長としてきまつたということでございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 委員長に私要望しておきたいと思うのです。今度の戴冠式は、これはわれわれもほんとうに心からお喜び申し上げなければならないことでありますので、国会としては独自の立場から、国会議員を派遣して、できれば現地で祝意を表したい、それができなくても、何かの形で英国に渡つてこの際見聞を広めるよい機会でもありますので、どうかひとつ国会からも派遣ができる道を、外務委員長として開くように御配慮願いたい。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 今の宮内庁次長の答弁の中に、天皇を元首としてという言葉がございましたが、天皇は国民の象徴としての天皇であつて、元首としての天皇ではないと思いますが、どういうところからそれは元首でございますか。

宇佐美毅宮内庁次長

○宇佐美政府委員 私の言葉が足りませんで、象徴と申し上げておりましたのですが、元首という言葉がございました点は取消します。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 それで了承しました。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 ただいまの並木君の御発言につきましては、理事会において協議をいたし、適当の方法を講じたいと思います。  なお御承認を得たい点がございます。前回の委員会におきまして、裁判権のダブりますこと、また競合いたしますことについて質問が集中されておりましたが、政府当局の答弁は十分まとまつておりませんでした。委員長におきまして、まとめて明快なる回答をいたすように交渉いたしましたところ、ただいま印刷物にして、その問題に対する政府の見解がこちらに送付されました。委員各位に御配付をいたしますと同時に、これを一般にも発表いたしますことの御承認をいただきたく存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 そのようにとりはからいます。  次の質問は、黒田君が譲歩なさいましたので、加藤勘十君の番であります。加藤勘十君。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 私は船舶貸借協定に関する条文の内容にわたつてお尋ねをする前に、それの持つておる政治上の見解について、保安庁長官と外務大臣とお二人に御意見を聞きたいと思います。先日来同僚委員の質問に対して、木村保安庁長官がお答えになつた点は、いかにしてうそを言うか、こういう点に力が置かれておると思うのであります。木村さんのようなすぐれた法律家で、学者的な良心を持つておいでになる方は、うそを言うことがどんなにむずかしいかということを十分御承知になつたことと思うのであります。従つて堅白異同の弁を弄して、からすをさぎと言いくるめようとされても、結論は禅問答のような、わけのわからぬことになつてしまうのであります。これはもちろん、その場だけの問題であればけつこうでありますけれども、事柄は国の消長に、国民の生活に、重大な利害関係を持つておる問題であるだけに、私どもはそれをそのまま聞きのがしにするということはできないのであります。どうしても実体を明らかにして、それが国の将来に、どのような影響を及ぼすかということを突き詰めた後に、賛否を決定しなければならないと思うのであります。であるから、そういう意味において、私は木村さんが正直であるにもかかわらず、いかにうそを言うかということに苦心されておる心持はよくわかりますけれども、そういうことでなく、あくまでも正面を正直にそのまま答えていただきたいと思うのです。  第一には、船舶というものと、それから艦艇というものとの文字の持つておる意義、解釈、これについて先日来お話を聞いておりますと、程度の問題である場合には兵力ともなり、ある場合にはそうでないというようなお答えでありましたけれども、われわれの理解する点によれば、船舶とは、言うまでもなく人や物を運ぶ、輸送を主としたものである。艦艇とは、たといどんな微力なものであつても、武力を備えたものが艦艇であるわけであります。まずこの点について、フリゲートが一体艦艇に属するのか、船舶に属するのか、はつきりお答えを願いたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私はうそは申し上げていないのでありまして、どうかそのおつもりでお聞き取りを願います。ただいま加藤さんの御質問は、船舶と艦艇、平たくいえば軍艦との差異はどうであるかという御質問のように承りました。これは過日も私から申し上げましたように、そこに根本的の差異があると私は考えます。御承知の通り軍艦におきましては、国際法上一定の権利が認められております。治外法権、不可侵権その他の権利が認められております。かつ、これを操縦する面から見ますと、いわゆる国家の軍人がこれに乗り組んでおるのであります。またこれを客観的に見ますと、軍艦旗というものを揚げまして、これが一国の軍艦であるということを明らかに明示しておるのであります。これに反しまして、いわゆる船舶、これは御承知の通り、国際法上何ら軍艦としての権利を有しておりません。また乗組員も軍人ではありません、文民であります。また軍艦旗も掲げておりません。この点においてはつきりした区別があるのであります。  しからば、今度アメリカから借りようとするいわゆるパトロール・フリゲートはどういうものであるか、そういうことになるのであります。申すまでもなく、アメリカにおいて、これはかつて上陸支援艇として使つた型の船もあります。またその後これはいわゆるコースト・ガードに転用されて使われたこともあるのであります。しかし日本において借り受けました以後におきましては、これは軍艦として使用するわけではありません。もつとも日本においては軍というものは認められていないのであります。乗組員も軍人ではございません。また軍艦旗も掲げません。従いまして国際法上軍艦として取扱いを受けないわけであります。いわゆる権利がないわけであります。ただただ、この船をわれわれが借り受けたというのは、御承知の通り日本は、非常に長い海岸線を持つておるのであります。アメリカに次いでの長い、八千海里からの海岸線を持つております。この間におきましてのいわゆる海上の海難救助とか警備等におきましては、従来から非常な手不足であります。これはもう御承知の通りまつたく手不足であります。ここにおきましてか、われわれといたしましては、ぜひともこれに向くような船を早急につくつて、万違算のないことを期したいのでありますが、国家財政上これは許しません。幸いにしてアメリカから御支援を願いますこの船について、無償で貸してやろうということになつたのでありますから、これを借り受けまして、海岸警備と、海難救助のために使いたい、こういうことであるのであります。今後これは日本の公船として使用するわけで、決して軍事上の目的に使用するわけではないのであります。さよう御了承を願います。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 ただいま長官は、国際公法上の取扱いと形式の点から、船舶と艦艇というものの区別をお述べになりましたが、その実質、すなわち武器を持つか持たないか、武器を備えておるか、備えておらぬかという実質的な解釈については、どのようにお考えになりますか。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 加藤君に申し上げますが、長官はちよつと参議院の本会議に出席されて、またすぐ帰つて来るそうですから、その間、今出席している岡田保安政務次官、増原保安庁次長、倭島アジア局長、下田条約局長、佐藤法制局長官等に対する質問をお願いいたします。木村さんはこの一問だけお答えになつて参議院の方に行つてください。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 これは多少の砲門を備えつけております。しかしながら、これは決して戦争を目的とするようなものではありません。また現在海上戦においては、こんなものはものの役にも立たぬ程度のものと思つております。御承知の通り海岸警備におきましては、相当の実力を備えなければならぬのであります。その実力を備えるべく必要最小程度のものはぜひとも持たなければならぬ。どこの国においても、海上警備に当つている船は相当の武器を持つておるのであります。従いまして、この船におきましても相当の武器を持つということは、私は当然の事理であろうかと、こう考えております。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 それでは長官が参議院の本会議に行かれるそうでありますから、やむを得ぬと思いますが、あちらがお済みになり次第御出席願います。  今長官は私の質問の焦点をはずして、使用目的ばかりこまごまと述べておられるが、私は使用目的を聞いておるのではない。まず船舶というものの実体と、艦艇というものの実体とにおいて、船舶は何らの武力的装備を持たないものであり、どんな微力なものであつても武力的装備を持つたものを艦艇というのではないか、この点に対するはつきりしたお答えを願いたい。言葉は簡単でけつこうです。

増原惠吉保安庁次長

○増原政府委員 ちよつとこちらで話をしておつて、詳細聞き取れませんでしたが、今度借りますものに武器を備えておりますことは、申し上げた通りでありますが、先ほど長官からも申し上げましたように、武器を備えておることは、沿岸警備等の目的にかなうものとして備えておるわけでありまして、武力行使、あるいは軍艦としての使命達成等のために、武力を備えておるわけではございません。たとえば当初フリゲート艦がつくられました場合には、米国における海軍の構成のものとして、武力を持つものとしてつくられたものであろうと思いますが、日本に借用をしまして、保安庁の警備隊が海上警備のために使用する。そうして海上警備に役立ち、またそれに必要な程度の武装というものであると解釈をいたしますので、これはいわゆる軍艦というふうなものに相当するものではない。実質的にさように解釈し得るものと考えるわけであります。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 次長のお答えも、長官と同じような、まつたくわれわれが聞かんとするところと焦点がはずれておるのですが、フリゲートという名称は、申し上げるまでもなく、十八世紀の後半から十九世紀の初頭にかけては、軍艦としての役割を第一線で勤めて来た艦艇に対する名称なのです。そのフリゲートという名称によつて、今日なおその実体を備えておる艦艇が、どうして船舶という名称にかえられなければならぬのか。ここに政府が本案の承認を求めるべく提案されるにあたつての欺瞞が存しておると思う。初めから、沿岸警備のための哨戒艇である、あるいは警備艇であるとして、そういうものの貸借について承認を求めるなら求めるということを言われれば、うそでも何でもない。そういう武力を持つた実体、すなわちアリゲート艦艇を船舶という名によつて、承認を求めようとされるから、いろいろな疑問が起るのです。従つて私どもはこれはあくまでも艦艇であつて船舶ではないと思う。政府が委員会に承認を求められる趣旨が反しておる。私どもはこのように解するのですが、やはり依然として、今お答えになつたように、警備艇であるからこれは船舶であるというお考えでしようか、その点をはつきりお伺いしたい。

増原惠吉保安庁次長

○増原政府委員 繰返してこちらからも申し上げるようでありますが、船舶という言葉を形式的に定義的に見ますならば、これはもとより艦艇等も中に含んだ用語解釈ができると思いますが、われわれが御審議をお願いしております条約に船舶という言葉を使いましても、フリゲート艦の性能なり何なりはすでに申し上げた通りでありますし、実体も本日午後は御視察をいただくという予定にもなつておりまして、こうした内容を秘匿するような意思はごうもありません。向うでフリゲート艦として使いましたものをわれわれは借用をして、これを警備用の船舶として使用をしたいというありのままの趣旨において、御審議をお願いをいたしておるわけであります。御了承を願います。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 それでは、使用目的にかなうように、警備用の貸借に関する承認を求めるということにされたらどうですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 先ほど加藤さんの御質問に対しまして、交渉に当りました者として、また国際法上の見地から、補足的の御説明をさせていただきたいと思います。  交渉にあたりまして、アメリカ側は日本が初めから軍艦として使うものでないことはわかつておりましたので、両方ともヴエツセル、日本語では船舶と言つておつたのでありますが、一方国際法上の観念から申しますと、先ほど木村長官がおつしやいましたように、国際法上軍艦と称するためには、一定の要件が必要でございます。まず第一に標識を掲げる、軍艦旗を掲げなければならぬ。第二に所属が海軍に属するものでなければならぬ。第三にその乗員は軍人であつて、軍規に服するものでなければならぬ。そういう要件を備えないものを軍艦ということができないのであります。ところが日本はこの三つの要件にかなう船舶を持ち得ないのでございますから、もしこれを軍艦と言おうとしたら、それは軍艦という名前の不当使用になるわけであります。日本はそういう制約があるものでありますから、たとい軍艦と称しようと欲しましても、称することができない法律上の建前になつておるのであります。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 だから名称と実体とにうそがあるというのです。軍艦としての実質を備えたものを、船舶という名称によつて取扱われようとするところに、うそがある。軍艦として貸借することができないと言われるが、日本はむろんそういうものを持つてはならぬことになつておりますから、持てない。その持てないものを持とうとするところに、さまざまなりくつをつけようと考えられるのではないか、こういうように考えられるのです。だからもしどうしても軍艦の実体を備えておるものを、軍艦でないという名によつて貸借をされるというならば、なぜそういう必要があるのか。そうすると、使用目的というものは、沿岸警備というだけではなくて、別な使用目的が潜在しておるのではないかということが、一応想像されるのですが、そういうことはどうお考えになりますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 国際法上から申しますと、武器の程度ということは、法律問題としてはそう重きをなさないのであります。たとえて言いますと、二、三人乗りのランチなどでも、海軍に所属し、軍艦旗を掲げれば、これは軍艦なのであります。また御承知のように、非常事態におきましては、商船といえども大砲を載せるということがあり得るわけであります。また各国とも、税関の監視船でありますとか、密輸の防止船、検疫船、その他治安の維持上から軍艦でない船舶に武器を載せるということはしばしばあり得ることでありまして、法律上の観念といたしましては、武器があるかないか、武器がどの程度のものであるかということは、そう大して意味がない次第であります。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 私の聞いているのはそこなのです。装備が微力であるからこれは軍艦でないとか、微力であるからこれは警察的な力であるとかいうことにならぬと思うのです。法律上からいえば、たといどんな小さな微力なものであつても、兵器の装備を持つておるものは艦艇の中に入るものであるし、そうでないものは船舶の範疇に入るものであるし、常識的にいつて、船舶という観念と艦艇という観念は違うわけなのだ。また私はこの条約の内容に入るつもりはありませんけれども、第四条によれば、借受者はその借受けのときからその国の国旗を掲げる、こういうことになつております。日本に引渡しされるまではアメリカの海軍旗がついておるだろうと思うのであります。それを借りた瞬間に日本の旗にかわるわけであります。そうすると、ただ日本は法律上そういうものを持つてはならぬことになつておるから、形式的に持たないようにして、実際には持とう、こういうことに日本両国の当事者の間において話合いができたから、こういうような約束ができたのではないかと思うのです。それについてはどうでございますか。

増原惠吉保安庁次長

○増原政府委員 武装をしておるものがすべて艦艇、平たい言葉でいうと軍艦というふうには私どもは解釈をいたしておりませんので、今度借ります船舶の持つておる武装は、保安庁の警備隊の任務遂行にふさわしいものであるという意味で、武装のあります船舶を借り受けるのでありまして、武装のあるものでも国内海上水域警備の目的で使用をするためには、いわゆる船舶として使用するということは、決してうそ偽りを申しておるつもりはございません。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 どうも焦点が合わないのですが、とにかく一般国民に与える印象からいいまして、国民は法律的にどうであるとか、あるいは実体がどうであるとかいうことよりも、文字そのものから受ける常識的な印象が先入観になつて、判断の資料になると思うのです。そういう点からいつて、たとい微力であつても、兵器的装備を備えたものを一体船舶と言い得るかどうか、こういうことについては、私は常識はそういうことを許されぬと思うのです。そういう国民的な常識的な解釈に反して、ただ政府だけはそのように自説を固執されるということでは、政府の考え方と一般国民の考え方との間に、私は大きな矛盾を生ずると思うのです。そんなことでは政府は自分の力があればそれを押しまくる、国民の客観的な判断を除外して、問題にしないで押しまくるということになつてしまつて、国民の考え方と非常に乖離して来ると思うのです。それでもよいといわれるのでしようかどうか。

増原惠吉保安庁次長

○増原政府委員 借用しますフリゲートなり上陸支援艇なりは、大体長官から御説明をしましたような程度の武装を持つておる、この点は国会を通じてもちろん明らかにいたしておりますし、新聞等にもそうしたことは記事に報道をされまして、関心のある一般国民には、十分その実体がわかる状態におきまして、事は推移いたしつつあるわけでございます。警備の目的に使用せられますものは、ひとりわが日本のみらず、外国におきましても、相当程度の目的にかなうだけの武装は、現にどこでもいたしておるのでございまして、ほかの方ではおよそ船舶といつて武装をしておるものは一つもない、わが日本の国のみそういうことをやつておるという実情ではございませんので、これはそうした海上警備等の実情に通じた常識からいたしますならば、決して政府のとつておる見解が、常識を無視したものであるとは考えられない次第でございます。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 私は今次長がお答えになりました点については、そうは考えません。もちろん船舶で兵器の装備を持つたものもある、どこの国でもそういう例がある、こうおつしやいますけれども、現実に今日本の国は憲法に定められたところの一切の武力というものを備えないということが本質になつておる。それが国の本質だ、そういう国が、警備のためにある程度の装備を必要とする船艇を必要とされるならば、その通りはつきりこれは警備艇であるとされて少しもさしつかえないではありませんか。なぜそれを船舶といわなければならぬのか、私はその点がどうしても理解ができないのです。船舶は船舶、御承知のように終戦直後にアメリカからリバテイ型の汽船を借りたことがあります。国民は感謝こそしておれ、少しもそれについては疑念を持たなかつた。今日同じ船舶という名によつて、こういう協定が結ばれたことに対して、疑義を持つておるということは、それが兵器を備えておるからだ、このような実体を持つておる、たといそれが沿岸警備のため、あるいは哨戒のために使われるものにしても、そういう武力を持つておるなら持つておるという実体を、明らかにするような名称を用いられたらいいではないか、ただ単にこれは言葉の相違ではないと思います。御承知のように、大正十年の軍縮会議のときには、イン・ザ・ネーム・オブ・ピープルスという名が非常に問題になつたことは御承知の通りだと思う。これは決してただ単に言葉の問題ではない。イン・ザ・ネーム・オブ・ピープルスの問題は実体の問題であるし、これは形式上の名称の問題でありますけれども、名は体を現わす、これは言うまでもないことであります。従つて実体をそのまま常識的にただちに把握し得られるような名称を付せられることがふさわしいのではないか。特に実体と名称との間に食い違いがあるような名称を使われるから問題が起るのです。この点についてはどういうようなお考えを持つておいでになるか、お伺いしたい。

増原惠吉保安庁次長

○増原政府委員 われわれの今度使用しますフリゲートなり上陸支援艇には、それぞれある程度の武装をしておる、武器を持つておるということは、これはすでに国会を通じ、あるいは新聞等を通じましても、明らかにしておることでありまして、秘匿をいたしておることではございません。武装をしておるならその武装をしておるような名前を使つたらどうかというお言葉でありますが、船舶というものは、全然武装がないとは、現在の各国の慣習では、必ずしもなつておらないように私どもは考えるわけであります。そうして軍艦というのは、先ほど来他の政府委員から御説明を申し上げたような要件を持つておりますので、これは軍艦とか艦とかいう言葉は使いがたいわけであります。艇というような言葉はこれは艦艇と使われる場合もありますが、船艇と使われる場合もありまして、小型の船には艇という言葉を使いますので、われわれもこの使用しましたものについても、将来これを呼びます場合には、艇という言葉を使うことはもちろんあると思いますが、艇という言葉によつて、これまた武装を意味するということにはなるまいかと思うのであります。われわれは船舶という言葉で武装を秘匿するという意思はないわけであります。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 どうももつとざつくばらんにやつてもらいたいと思うのです。ほんとうの話はいくら議論しても議論ではない。これは実体を明らかにするという点において、文字の上から問いただしているというだけのことでありますが、今おつしやるように借りてしまうと、今度は艇という名前にかえる。おそらく警備艇とか哨戒艇とか、そういう名前が使われるだろうと思うのであります。すでに警備艇であるとかあるいは哨戒艇であるとかいう文字が使われると、多分にそこには軍事的、警察的意味が持たれることは言うまでもないのですね。そうでしよう。それならば初めからそれを明らかにして、その是非を国民に問われることが必要ではないか。名称をごまかしておいて、そうして今度は借りてしまうと、もとのアメリカが使用しておつた当時の艦隊にこそ属しないが、やはり艦隊の中に属しておつたと同様な実質を備えた目的に使用される。こういうことになれば、明らかに国民をごまかすことになるのではないですか、どうですか。

増原惠吉保安庁次長

○増原政府委員 私の説明が少し言葉が足りませんでまずいかもわかりませんが、舟艇、艇という言葉を使いました場合には、武装を意味するというふうにはわれわれは常識的にはとつておりません。海上保安庁に持つております全然武装のないものを舟艇という言葉によつて現在呼んでおります。艇という言葉は必ずしも武装を意味するものとは考えておらないわけでございます。われわれが借りますものは、ただいま他の政府委員から説明をしましたような経緯でヴエツセルという言葉を使い、船舶という言葉を使つてこの条約の成文交渉は行われておつたのであります。それによつてわれわれは武装を持つていることを隠すという意味はないことは当然であります。そうしてその武装は海上警備に必要な武装である。向うでは軍艦という用途に充てるためにつくりましたものでも、われわれが借りて使用しますものは海上警備である、そうしてその武装が海上警備に適当なものであるということでこれを船舶と呼び、条約を締結するということでございまして、別にごまかしをいたしているつもりはございません。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 私も艇という言葉が使われているから、武力を持つていると言うたのではありません。もちろんボートなんかでも艇といえば艇なのですから。だからそういうことでなくて、実体が、アメリカでは艦隊に所属する艦艇として使用されておつたものが、今度日本に貸される場合には、それが船舶という文字にかえられる。それから今度日本がこれを借りてしまうと、またそれに警備艇なり哨戒艇なりという名がおそらくつけられるだろう。あるいはそういう特別な名称がつけられないで、フリゲートならフリゲートという名前が使われるかもしれませんが、とにかく実体はそういう武力を持つた、たといどんなに微力なものであつても、武力を持つた船として、これがときによれば使用目的の中に、昨日おつしやつたように海上暴力に対してはその武力を発揮するのだ、こういうことも言うている。そういう点から行きまして、それならばアメリカが使用しておつたときにもふさわしく、日本が借りてからもふさわしいところの名称をもつて、協定を結ばれることが一番ふさわしいのではないか、こう言うのです。それをもう全然飛び離れたとは言いませんけれども、なるほど船舶という、船という言葉の中には軍艦も船なのです。けれども船舶という、特にそういう特殊な名称がつけられたときには、大体商船を言う。人なり貨物なりを輸送する商船が船舶であるということの常識の範疇に入る。船という非常に広い意味で使われるならば、今おつしやつたヴエツセルにしても、シツプにしても、それは確かにその中に軍艦も入るかもしれませんけれども、船舶という日本の言葉に移されたときにおいては、日本人の常識的な概念としては商船を意味しているのです。決してその中に武装した舟艇、艦艇、艦隊、そういうものを含んではいないと思うのです。だから私は船舶というような言葉を使われないで、警備艇なら警備艇、そのまま実体を明らかに現わすような名称によつて約束されることが妥当ではないか。その上でそれを借りることが、はたしていいか悪いかということを今度議論すればいいわけです。私は名称の点に決してこだわるわけではありませんけれども、実体が非常にぼやかされてしまうわけです。従つて使用目的に至るまでぼやかされてしまうことになるから、私ははつきり名称と実体とが合致するような形式をとられることが必要ではないか、こう言つてお尋ねしているわけです。どうでしよう。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 横合いから何でございますが、今までのお話を承つておつて、おか目八目的に感じましたことを申し上げますと、確かに先ほどお話がございましたように、名は体を現わすという言葉がございました、まことにその通りだと思います。ただ逆に言いますと、名は実の賓という言葉もあるのでございまして、やはりそこは実体をとらえて見なければならないのではないかと考えております。そこできわめて卑近な話で恐縮でございますが、アメリカで軍用犬として使つている、それを日本の警察犬に使いたいという場合に、それを借用いたします場合に、軍犬の借用ということはおかしいことは申すまでもない。警察犬の借用あるいは探偵犬の借用とやつてどこが悪いだろうか、警察犬を軍犬といわなければならないものだろうか、こういう気持がしておりまして、従つて御指摘の問題は、船舶といつても決して間違いではないのであります。むしろ問題は、よけいなことを申しますが、問題はそのあとに加藤先生がお考えになつているところにあるので、その実体が一体どういうことだ、その実体がはたして警備隊の目的とする警備の役に立つものか、あるいはそれにふさわしいものかという問題が一つだろうと思います。これはきよう午後ごらんいただきますればはつきり御了解願えることと思うのであります。  第二の問題は、そういうものを警備隊の組織の中に加えることによつて、この保安隊警備隊を総合した実力というものが、憲法にいう戦力に達するかどうか、こういう問題がさらにその次に来る問題だろうと思います。これもいまだ政府といたしましても、そういうものを加えたことによつて、決して戦力などに達するものではございません。これもきよう午後とくとごらん願うことになる、こういうことにどうもなるのではないかと私は思うのでございます。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 もちろん私どもはこれが第一歩で、ここから条約協定承認不承認という議論に入つて来るわけでございまして、議論に入つて行けば、もつとつつ込んで内容にわたつて行くことは明瞭ですけれども、私は第一その入口の名称において、すでにこのような疑義のあるようなことで、内容についてほんとうの議論ができるかどうかということをおそれるがゆえに、まずはつきり名称と実体とを合致するようにしてもらいたい、こういうことが一つの私の質問の要点であつたわけでおります。これはまた本日午後見まして、ことに上陸用舟艇の問題であるとか、あるいは爆弾投下の補助機の装置であるとかいうようなものが、今度はどういう使用の目的に利用されるか。そういうことについてはまた後ほど実物を見ましたあとで意見を述べたいと思いますから、この点はそれでは未解決のままにしておきます。  さらに進んで今度は、ほんとうは外務大臣にお尋ねしたいのですが、時間の関係等でおそらく外務大臣はむずかしいのではないかと思うのです。これは一体だれに聞いたらいいか、外務大臣にかわつて、責任をもつて答えられる人が答えてもらいたいと思う。この協定は、この説明書によりますと、日本の要請によつてアメリカが好意で貸してくれた、こういうことになつている。一体アメリカは好意といいますけれども、どういう立場で好意を寄せたと思われるかどうか、これを第一にお伺いする。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 わが方の要請は、吉田総理大臣から当時の最高司令官にあてました書簡で、その書簡は御配付申し上げておりますが、ただ九千マイルの長い海岸線を持つている日本として、現在の非常に少数の船では、とても海上の警備まで手がまわりかねるから、何とか船を貸してもらいたい、できるならば、日本の希望する隻数はフリゲートが十隻と上陸支援艇五十隻を貸してもらいたいということを申したのであります。先方は今般、それなら日本の希望に沿つてやろうということで、そのためにはまず大統領に日本に船を貸す権限を与えてやらなければいけないということで、七月に向うの法案を国会が通しまして、十八隻と五十隻、合計六十八隻を貸すことになつたわけであります。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 日本は長い海岸線を持つておるということは、きようやきのうに始まつたことではないのです。終戦当時明瞭であるし、戦争前もちつともかわかりません。もしアメリカが、日本の沿岸警備のために必要であるから、好意をもつて貸してやるというならば、一体終戦当時に、日本からそういう一切の力を奪つてしまつたこと自体が、間違つておるわけなのです。それを今日に至つて、急に好意がわいて来たということについては、何か好意について目的が内在しておるのではないか、こういうことが当然考えられることなのです。たとえばアメリカが戦争中にイギリスに駆逐艦を貸与した。その駆逐艦貸与の代償としてバーミユーダ島の永久租借権を獲得した。日本にこれだけのわずかな舟艇を貸すことによつて——もうこれ以上日本からどこも租借するような土地はありはしませんから、租借というような大それたことはやつて来ないであろうが、現在全国に張りめぐらされておる軍事基地、その軍事基地の点について、何か特別にアメリカに、表に現われた協約以上に、日本から特定の好意を寄せるようなことが、日本に求められておるのではないか、あるいは平和条約の精神から行けば、当然国際連合の信託統治に移されるべく予定されておつた西南諸島が、今日に至るまで依然としてアメリカの手に領有されておる。国際連合の信託に移されるようにアメリカから提起されていない。これはアメリカが提起しなければ、いつまでたつても国際連合の信託には移されない。それが移されないことについて、アメリカが何か日本に対して特殊な関係を結ぼうとしておるのではないかどうか、こういうようなことについて、この条約の簡単な条文以外に何かありはしないかどうか、こういうこともわれわれとしては、当然一応疑いを持つて見なければならないと思うのです。この点についてはどうでしようか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 御推察のような事柄は全然ございません。ただいまおつしやいましたアメリカがイギリスに駆逐艦を貸して、その代償としてバーミユーダ諸島の基地を得たというような対価の要求も全然ございません。また信託委任統治に関連いたしまして、何かのフエーヴアーをひつかけるということも全然ございません。のみならず、日本の軍備を徹底的に破壊しました結果、軍備のみならず、独立国として当然持つておるべき、海上の平和維持のための平和的の警備手段までも、破壊したことを後悔しておるということは、これは事実だろうと思います。行き過ぎたということは事実。それでアメリカの議会における論議を聞きましたところ、一体日本は海上警備の船を欲しておるのだけれども、アメリカでは海軍に所属しておる船で、いわゆる海上警備の役に立つのかどうかという議員の質問があつたそうでありますが、それに対しましてアメリカ政府当局は、そのパトロール・フリゲートは、戦時中通商破壊船に対抗するために、コンヴオイー護衛する艦種の中でも最も小さい艦種であつて、海上警備には適当である。また上陸支援艇というのは、これは何もおしりがぽかつと開いて、兵隊がなだれ出る上陸用舟艇ではございませんで、上陸戦の連絡とか何とかいう場合に、割にスピードが早くて、連絡にちよこちよこ歩くのに便利な小さな船でありますが、これもやはり海上警備には役に立つだろうということで貸すことになつたのでありまして、これを軍事的な意味で貸すというような考えは、アメリカ自身にございませんで、日本が要求しました通り、海上警備そのものに役に立つだろうという判断から、貸しておるわけでございます。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 私も多分そうあつてほしいとは思うのでありまして、今のお答えでその点がないということだけで満足します。しかしながらそういう形而下の、すなわち物質上の反対給付は求められなかつたにしましても、それならば、今世上で日々の新聞をにぎわしておるような日本の再武装に関して、アメリカ側からの具体的な意思表示はなかつたかどうか、これをお伺いしたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 その点も全然向うからのお話はなかつたのであります。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 そうすると、ほとんど毎日のように新聞に、アメリカ側の日本に対する再軍備の要請を意味するところのさまざまな報道がなされておりますね。あるいはアジアはアジア人をもつて守らしめるとか、あるいは朝鮮戦線に日本人を動員すべきであるとかいうような、アメリカの政治家もしくは軍人が語つておることがそのまま大きく日本に報道されておるが、それはただ単に一片の社会的な記事としてだけ理解してさしつかえないのですね。われわれが聞いおるような吉田・ダレス書簡の内容に、そういうことが書いてあつたというようなことはないのですね。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 最近内外の新聞でいろいろ推測記事がございますが、非常に行き過ぎであると思うのでありまして、本件の戦舶の貸借ということをめぐつてのアメリカ政府の真意は、こういうところにあるのだろうと思います。なるほど連合軍は日本の軍備を徹底的に破壊をしたが、ほんとうならアメリカの海軍としては純軍事的行動に専念したい、それを他国の海上警備まで背負わされたのではやりきれたものではない。他国の海上警備、日本に船がないなら船を貸してもいいから、日本の海上の治安維持は、日本自身でやつてもらいたいということが、本件に関するアメリカ側の真意であろうと思います。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 そうしますと、秘密協定というようなものでないにしても、総理大臣の書簡等によつて、日本の将来の運命を規定するような事柄は何にもないと、はつきり承認していいわけですね。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 はつきりそう申し上げられます。

加藤勘十日本社会党(右)

○加藤(勘)委員 そうしますと、話は全然別になりますが、日本国内に設けられておる多くの軍事基地等については、日米安全保障条約並びにそれから発した日米行政協定等の範囲において論議していいわけになりますね。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 仰せの通りでございます。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 帆足君から緊急の質問の申入れがあります。これを許します。帆足計君。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 ちよつと一言お尋ねいたしますが、中国から在留民が引揚げ可能であるという、昨日新華社の電報が参つておるようであります。私は過日北京に参りまして、実は多くの在留日本人に会いまして、そうしてその正確な報道を皆様のお耳に伝えたいと存じておりましたが、そういう機会がありませんで、新聞に伝えられておりますのは——、御承知のように新聞というのは、うそが五〇%、ほんとうが五〇%というのが相場でございますので、正確な報道が一般に伝えられておりませんことを、非常に遺憾としておる次第でございます。ところが向うにおります者が、三万人見当で、今般引揚げが可能であるという朗報に接しましたので、大いに喜んでおる次第でありますが、それにつきましてお尋ねをいたしたいのでございます。  先方におります邦人の生活は、そう悪い生活をいたしておりません。このことは先方から来ております手紙でも明らかでありますし、私どもも現地で見て参りましたが、とにかく多くの日本人は、帰心矢のごとく帰りたいというのに、いろいろな事情で帰れない人もおるし、それからあのまま向うにいたいという人もおるし、また帰つたり行つたりしたいという人もあります。墓参に帰つたり、嫁もらいに帰つたり、また日本におる女房を逆に今度は中国に連れて行きたいという人もおりますし、いろいろさまざまでありますけれども、帰心矢のごとく帰りたいという人が多数おることは、自明のことでございます。これが新聞に誤り伝えられまして、中国におる在留邦人が全部帰りたくないと言つているかのごとく伝えられております点は、すでに朝日新聞その他の投書欄で、私どもは修正いたしてありますけれども、多くの人たちの耳に達する機会がなかつたことをまことに遺憾に存じておりましたところが、今般そういうことが可能になりました。  そこで結論だけお尋ねいたしたいのでありますが、第一には、中国側は、私が参りましたときにも、公正合理の立場で、すべて交渉してもらいたいということを申しておりました。そしてそのときは二万数千人見当であろう——これは中国人民銀行総裁で、向うの貿易促進会主席の南漢宸氏にお目にかかつてお茶を飲みながら話をいたしましたときに、二万数千人であろうが、詳しいことはさらに専門の係に調べさせて御報告したい、こう申しておりました。同時に、在留しておる日本人の人たちは帰りたい人は返すようにしたいということを申しておりました。日本に帰りましても、私は、それは中国本土ではそういうことは可能であるけれども、満州すなわち東北地方では留用という制度があつて、正式の外交交渉が多少進まない限りは、むずかしい事情があるということを中日友好協会で聞いたわけでございます。ところが留用になつておる人の中でも、非常にからだが悪いとか、留守家族が非常に切望しておるとかいうようなことで、例外的に最近帰国が許されております。しかし例外的だけでは困りますので、帰りたい人はやはり帰ることが当然でありますから、これはぜひ中国当局に要望せねばならぬと存じて、私個人といたしましても、南漢宸氏あてに手紙を出しまして、あなたは二万数千人の方は、どうしても帰りたい人は返すとおつしやつていたけれども、留用という制度があつて、むずかしいように聞いておる。この問題についての過去のいきさつや、またわれわれの誤解があれば正すし、公正合理の見地からわれわれが要望すべき点があれば要望せねばならぬが、どうであろうかと問い合せましたところが、それはそれぞれ専門の部局と相談して、いずれ御返信を差上げますという書信を先般受取つたのでございます。そういういきさつもありまして、結局今般の先方の申出を、新聞記事でニユースのままを見ますと、日本から適当な人が向うに折衝に来ることを希望しておるということを書いております。この問題につきまして中国側は常に公正合理ということを言つておりまして、この問題を政治的に利用したり、または極端な保守思想を持つておる方々が参つたのでは、円滑を欠くわけでありまして、国内においても、あの人は公正合理だ、たとえば私どもの常識でいえば前東大学長南原さんのようなタイプの人、ああいう人はとにかくうそを言わないし、政治に使わないし、そういう公正合理だというような人と話をし合うことを希望しておりますし、また留守家族のほんとうの代表——政治的に動いたり何かせずに、ほんとうに公正合理の見地から、留守家族の人たちの気持を伝え得るような代表であるならば、この問題の折衝は成功すると思うのでございます。従いましてもし折衝するとしましても、私は今中国その他からきらわれておる外務省当局の一部の人たちだけでなくて、やはり国民代表と申しますか、公正合理な代表たちと相談してこれを解決することが必要であると存じますが、政府当局は旅券法並びに憲法の規定にもかかわらず、中国、ソ連に対する旅行を禁止いたしておるような現状であります。これは重大なる法律侵犯を政府当局がやつておるのでございまして、私は政府当局を処分しようか処分しまいか慎重考慮の結果、外務省当局を処分することに決定いたしまして、裁判所に提訴をいたしておる次第でございまして、それは今審理が進んでおるような現状でございます。そこでお尋ねしたいのは、この問題の公正合理の解決のために、公正妥当な留守家族代表を北京に送ることを許可する意思があるかどうか、これが第一点でございます。  第二点は、三十六万の人たちがあちらに滞在しておるということを宣伝されて、国民はそう思つておりますけれども、最近の政府当局のお話によりますと、ソ連に一、二万、中国に五、六万というふうにも聞いておりますが、その数字を、今日でなくてけつこうですから、正確な最後の数字を知りたい。同時にその数字のよつて来る科学的根拠をお尋ねしたい。この数字はしごくあいまいなものであつて、中国側がいう三万の数字も信憑することができぬと、きよう局長は言うておりますが、同時に日本政府の申しておる五万何千という数字も、学術会議にかけるかどうかしなければ、はたして統計学上正確なものであるかどうかわからない。お互いに公正合理でなくてはなりません。中国側の言うことにおいて、科学的に見て間違つておる点があるならば、中国であろうと、ソ連であろうと、正々堂々と主張すべきものは主張すべきでありますけれども、同時にこちらの数字の根拠が薄弱であつて科学性を欠いておるならば、こちらの数字もまた私は公正合理の見地からよく検討して行くことが、留守家族のための良心的務めであると存じます。従いまして、この数字に対して明確な資料の御提出をお願いしたい。従来私どもが聞いておりますところによると、その数字の根拠または調査方法等は、秘密になつておるから明らかにせぬということを言われておりましたが、もはや私ども一市民としてだけでなく、国会議員としてそれを要求するわけでありますから、その数字とその根拠の正確な資料を提出願いたい。  それから第三には、今後貿易、視察または引揚問題等国家公共のために必要な用務のためであるならば、中国なりソ連なりに参ることを当然許可するのかどうか。これは実は許可事項でなくして、視察とか学問上の問題とか、または貿易上の用務で中国、ソ連に旅行を禁止されておる国は、世界中一国もありません。ホツテントツトですらモスクワに行けるのでございます。しかるに日本は幕末同様の鎖国の状況に置かれておつて、外務省は法を曲げて、そうして旅券法を悪用しておるような現状でございます。この問題につきましては、他日席を改めまして、私は外務大臣にお尋ねしたいと存じております。ただ問題は、今の北京の平和会議とか、その他論議の余地があると政府が称しておる会議のことは別といたしまして、貿易問題とか、視察とか、引揚問題等に対して、中国またはソ連に渡ることをとめられる、さらに行かせないような意思であるかどうか、この三点についてお尋ねいたしたいと存じます。  外務大臣がただいま出席いたされましたから、結論だけをもう一言申し上げますと、第一は北京の交渉に公正合理な留守家族代表等を渡航させる意思ありや。第二に引揚問題の数字に対して詳細な資料と科学的根拠を示していただきたい。そうして中国側の数字に欠点があるならば、堂々としてわれわれは主張せなければならぬし、日本側の数字にもまた欠点があるならばよく調べて修正することが、留守家族に対するわれわれの務めである。第三には貿易とか、視察とか、引揚問題とか、論議の余地のない問題、そしてアメリカもイギリスも許しておるような視察旅行に対して、政府はなおかつ旅券を出す意思がないのかどうか、この三点だけをお尋ねしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 今結論は伺いましたけれども、前提の御議論について、途中から入りまして十分まだ把握しておりませんから、とりあえずアジア局長からお答えいたさせます。

倭島英二外務事務官(アジア局長)

○倭島政府委員 一昨日の北京からの邦人の引揚げについての放送に関連しまして、留守家族等あるいは国民代表を送る意思があるかどうかということでございますが、実はこれについては目下研究中でありまして、引揚げの目的を達するのに一番いい方法をとりたいと考えております。まだ何ら決定しておりません。  第二の在留しておる同胞の数字の問題でございますが、これは従来国会においてもしばしば御要求があり、政府といたしましては、発表することが現地におられる同胞の引揚げにためになる、積極的に寄与するという範囲においては発表しておるわけでありますけれども、むしろ発表することによつて引揚げ、特に現地の同胞の方々の引揚げを促進する趣旨にかなうかどうか疑わしい際においては、発表いたしておりません。これは従来発表しております数字を、また他の機会において、さらに詳しく御説明をしたいと存じます。  第三の貿易、視察その他の目的で旅券を出すかということでありますが、現在の状況におきましては、日本が立つております諸般の国際関係、それから国内の事情、相手国の事情ということを勘案しまして、従来出し得る所には出しておるわけであります。その事情いかんによつては、今後もその個々のケースに従つて判断をするよりしかたがないと考えております。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 黒田寿男君。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 私は木村国務大臣と法制局長官にお尋ねいたします。  ちよつと本論に入ります前に、部分的なことをお尋ねしておきたいと思いますが、船舶貸借協定の私どもに配付されました資料のうちで、日付の一番早いものは吉田書簡でありますが、その吉田書簡によりますと、本来海上警邏のための船が日本において不足している、こういうふうに前文に書いてありながら、後半には軍艦を貸してもらいたい、フリゲート及び上陸支援艇が軍艦であるということは、私はもう議論をすまいと思う。それをどういう目的で使うかということは別問題といたしまして、この船舶が軍艦であるということはもう疑いのないことでありますから、私はもう議論しないことといたしまして、今申しましたように、警邏船隊が不足しているのに、軍艦を貸してくれということをこちらから積極的に申し出ておる理由が、私どもには納得行かないのでありまして、軍艦でなければ海上警邏の任務が果されないから軍艦を借りたというのであるか、それとも他に何か海上警邏以外の目的があつて借りたものであるか。私は向うが他に船舶があるのだけれども、都合が悪いからフリゲートと上陸支援艇等を貸したというのではないと思います。何となればこちらから初めから軍艦を貸してくれと、こう言つておるのですから、軍艦にする目的で貸借を申し出たということは、これはもう書面の上にはつきりと現われていると思います。   そこで本来の目的とその目的のために使う船舶の性質とが、私どもにはどうしても矛盾があるように思えてなりません。わが国にもかつて海軍が存在しておりましたときに、沿岸防禦をもつぱら任務といたします軍艦があつたのであります。これは海防艦という種類の軍艦でありまして、これは巡洋艦を使つたりして性能が非常に悪いのでありますけれども、とにかく軍艦であります。だから海上警備というものは軍艦であつた方がよいというようなお考えがあつて、軍艦を借りたとおつしやるのですか、どうですか、その点がはつきり私どもにはわかりません。この点をちよつと前提としてお聞きしておきたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 軍艦にも御承知の通りいろいろ種類があるのであります。日本国において借り入れることを目的といたしましたこの船は、もとより今黒田委員の仰せになりましたように、元アメリカにおいて上陸支援艇としてつくられたものであるということは事実でありまして、その後この型の船はアメリカのいわゆるコースト・ガードに使用されているものもあるのであります。現在軍事観から見れば、もうこれは上陸支援艇としてはアメリカにおいてはすでに旧式になつておるのであります。そこでこの船を日本に借り入れることの目的でありますが、申すまでもなく先刻私が申し上げましたように、日本において海岸警備に最も適当な船をつくるのが望ましいことであります。しかしながら日本の財政状態よりかんがみまして、さようなことは今とうていできかねるのであります。幸いにしてアメリカの方で好意を持つて、この船もすでに旧式になり、あまりそういうものに使われておらない船を貸してやろうというよい機会が到来いたしたのでありますから、これを借り入れるようになつた次第であります。しこうしてこの船を使う目的は、申すまでもなく、海岸の警備と海難救助のためであります。決してこれ以外に軍事目的を持つ次第ではないということを御了承願いたいのであります。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 そうしますと、やはり軍艦であつた方が沿岸警備のために適当であるという考え方がおありになつたのでありますが、それとも軍艦でなくとも沿岸警備に当る船があつて、それがもし借りられるものならば国民の誤解を受けなくて済む、しかし普通の船ではだめだ、やはり軍艦の方が海上警備に適当であるから特にそれをこつちから頼んだ、こういうことになるのですか、その点をちよつとお聞きしたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 もとより日本がアメリカからこういうものを借り入れることの話の当初においては、沿岸警備に適当な船ということの話は出たようであります。しかしながらアメリカにおいても、われわれの目的とするような船はさようにたくさんあるわけではありません。幸いこの船はアメリカにおいて相当数持つているものでありまして、しかもあまり今は使つておりません。前申したようにもうすでに旧式に属しておる船でありますから、この船を貸そうということになつた次第であります。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 この点につきましては、私はこれ以上質問いたしませんが、しかし私の疑問は解けません。吉田書簡によりますと、こつちから積極的に船を貸してくれとこういつておるのですから、ほかにもあればそれでもいいが、しかしないからこうなつたのだというようには、私どもには解釈できない。何かフリゲートというものをこちらが目当にして貸借を申し出た、こういうようにしか解釈できません。私は吉田書簡からはそういうように解するのであります。今木村国務大臣のおつしやいましたことははつきりしませんが、これはこの程度にしておきます。  それからもう少し部分的なことを聞きたいと思いますが、この協定の第七条に、「船舶借受者は、船舶所有者の同意を得ないで、船舶又は船内のぎ装品、器具、予備部品若しくは交換用部品の物理的占有を放棄してはならず、また、それらに関する図面、仕様書その他の情報を日本国政府の職員又は委託を受けた者以外のいかなる者にも漏らしてはならない。前記のぎ装品に関する秘密保持のための取扱区分は、アメリカ合衆国政府の標準慣行に従つて行われるものとする。」こういうことになつております。先ほどから問題となつておりますように、軍艦ではあるけれども、日本の使用目的は普通の艦艇として使う。そこで借り受けました軍艦を、私どもの瞬間は、軍艦のままの装備でそのまま使うのか、それとも使用目的が違うのであるから、軍艦的部分で廃止できるものはやめて、そして国民のだれが見ても、なるほど形までもかえるわけには行きませんけれども、にかく軍事用のものでないというようにして使うのでありますか。どうもこの条文を見ますと、アメリカの同意を得なければ、変更できないというようになつておりますので、なかなかこれはむずかしいのではないか、結局軍艦としてそのまま使うということになるのではないか、こう思いますが、この点をちよつとお尋ねしたいと思います。

増原惠吉保安庁次長

○増原政府委員 第七条にあります秘密保持に関する部分は、大体においてパテントの保護が主であるようであります。そうしたことのために、特別こういうものを手がけなければならない者以外の者には漏らさない。そしてそういう秘密の取扱い区分が、いわゆる極秘、秘、部外秘というようないろいろ区分がありますが、そういう区分は合衆国政府の標準慣行に従う、こういうふうな義務を、借受者である日本政府が負うわけであります。これはしかし向うでつくりましたものが、いわゆる初めは海軍に属して、軍艦であつたということであつたようでありますが、これを軍艦としてそのまま用いるかどうかという御質問の趣旨と思いますが、前々他の御質問にお答えをいたしましたように、これは日本におきましては警備のために使うわけでございまして、いわゆる軍艦としてという意味が多少わかりにくいところがありますが、外国と交戦するという意味では使用いたしません。海上における警備のために用いる。そして中に、厳密に申しますれば、不要と思われるようなものがありましても、これは条約によりまして、改造をするなりしますのには、向うの承諾もいりますし、また返しますときには、借りたときの原状で返すというようなこともありまして、ありましても支障のないものはそのままにしておく。特に必ず使わなければならぬというものでなくとも、あつて支障のないものは、これをとりはずすことをしないというような意味もありまして、原状のまま借り、原状のままこれを警備の目的に使用するということに相なるのでありますが、それはいわゆる軍艦として使うという趣旨とは異なる次第であります。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 私が質問いたしましたのは、船舶の使用目的ではない。それはもう繰返して政府から聞いておりますから、その点は聞いておりません。軍艦としてでなくて船舶として用いるというのであるならば、本来の軍艦であるべきこれを、船舶使用目的にかえるとか、あるいは軍艦的部分で不必要なものは取去つてしまうとか、そういうことをして、何か国民が疑問を持つておりますことについてはつきりとしたような、部分的改造でもなさるような御意思か、どうかということをお尋ねしておるのであります。しかしどこへも手をつけないとおつしやるのならば、それはまたそういうように承つておきます。  次に、部分的なことでありますが、つけ加えてお聞きしたいと思いますことは、この秘密保持の部分がパテントの関係だとおつしやいましたけれども、そのパテントが、戦争に関して用いられる兵器としてのパテントというようなものであるのか、普通の単に船舶としての部分品のパテントにすぎないのであるかということに、私どもは疑問を持つております。どうも秘密部分があるというのが、単に普通の船舶としての機械の秘密の保持というだけすで、その保持の理由は、パテントの関係、だということなら、私どもは何も問題にならぬと思いますけれども、何か軍事上の秘密がある。それがそのまま手をつけられないでおつて、そういう軍事的な性格を持つております機械の使用を、日本国政府の職員または委託を受けた者が訓練を受けるのではないか、こういう疑問が必ずしもないことはないと私は思うのであります。これは軍艦かどうかということが問題になつておりますので、そこへ持つて来て秘密部分があるというのですから、そういう疑問が起る。私は単なる海上警邏の船で秘密があつてはならぬと思います。しかるにこの船には秘密部分がある。何かそこに戦争に関する訓練というようなものの行われる部分があつて、いわゆる秘密にせらるるのではないか、こう一応疑うてみるのです。ちよつとこの点について政府の御見解を承つておきたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 ただいま次長から申し上げた通りでありますが、その秘密部分というのは、これは黒田委員も御承知の通りでありましようが、近ごろ船において通信あるいはレーダーというようなものは、非常に重要な役割を占めております。各国はこれについて競つて新しいものを研究しておる次第であります。ことにアメリカにおいて、このレーダー、通信機というようなものは、相当程度に発達しておるようであります。それらの点において、アメリカとしては相当秘密保持の必要はあると見ておるのであります。主としてこの船において、そういう点においてのことをうたつておるのであります。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 日本側にはいかなる部分を秘密にするということは、もうわかつているはずだと思います。けれどもわかつておつても、それが秘密であるから言えないということになるかもしれませんが、それならそれでよろしゆうございますが、わかつておるのでございましようか。秘密ならそれはおつしやらなくてもけつこうです。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 御承知の通り、この船はまだ引渡しが済んでおりませんから、詳細な点はわかりませんが、大体において今申し上げます通り、通信機その他レーダーのようなもののようにわれわれは考えておるのであります。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 私はしつこくこの問題について質問いたしましたが、元来この船は常識上からいえばボロ船であります。決して新鋭の船ではない。だから私どもはこういうボロ船についておるパテントが、何か外国に知られて困るようなものがあるかどうかということをひよつと疑う。これが新鋭の船なら、それに備えつけてあるいろいろな装置が外国に知られては困るという問題が起るかもしれません。私はそういう点において、どうもパテントという意味が、技術的な意味においてそのパナンドを保護するというよりか、どうも軍事的性質を持つたものであるので、秘密にする部分があるような感が多いのですが、しかしこれは質問いたしません。私の疑問だけを申し上げておきます。何か並木君が関連して質問があるそうですから……。

並木芳雄改進党

○並木委員 今の黒田さんの御引用になりました秘密保持という言葉を原文についてみますと、セキユリテイ・クラシフイケーシヨンという言葉で表わされておるのです。秘密保持という日本語にしてしまうから、何か特別な感じを与えるのですけれども、セキユリテイ・クラシフイケーシヨンというものはもう少しほんとうの訳があるのではないですか。つまり原状を維持するために保管を確保するというような意味——そういうことでなくて、情報の秘密とか何かそういう秘密と訳したところに問題があるのではないかと思うのです。いかがですか、原文と照し合せてちよつと見てください。

増原惠吉保安庁次長

○増原政府委員 今原文をお読み上げになりましたような趣旨でありまして、さつき申し上げておきました通りに極秘とか秘とか部外秘とかいうような取扱い区分をしそうしてこれに書いてありますように、図面、仕様書等の情報でありまして、そこに物があるのを見てはならぬとかいうようなことではなくして、御承知のようにアメリカにおいては、こうした図面、仕様書等のパテントの保護というのは、相当強いといいますか、行き渡つております。これはいわゆる軍事的な機密であるからというような趣旨のものではないと私どもは解しております。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 ちよつと委員長から申し添えますが、逐条審議の際に、訳文等に適切でないものがあれば、その際委員会から政府当局に申入れいたすことにいたします。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 そうしますと、今までの質問を総括いたしまして、この船を結局原状のままで使つて行くということになるかと思いますが、いかがでありましようか、お見込みをちよつとお聞かせ願いたい。

増原惠吉保安庁次長

○増原政府委員 私は原状のままで参りましたとえば住居の関係、調理の関係などで不便なところは、向うと話合いの上で直すというような部分も、もとよりあるわけでございます。大体は原状のままで行くことになると思います。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 それで私は本論に入りたいと思うのですが、あと五分しか時間がありません。実はこの船の貸借に関係いたしまして、自衛の問題、戦力の問題等について、先般政府におきまして解釈を統一せられたということでございましたので、私もそれについて承つております範囲に関し、多少疑問を持つ点もございます。それで実はお伺いしたいと思いましたけれども、あと五分ではちよつと無理だと思います。入口に入つてすぐやめるというのもどうかと思いますから、私はきようはこれで質問を打切つておきまして、この次にこの問題についてまとめて木村国務大臣及び佐藤法制局長官のお二人に質問させていただきたいと思います。

栗山長次郎自由党

○栗山委員長 本日はこれで散会をいたします。     午後零時六分散会

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