外務委員会 第3号
- 発言数
- 174 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1952/11/29
会議録
○栗山委員長 ただいまから外務委員会を開きます。 まず理事会の申合せによりまして、日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件に関する質疑を通告順によつて許します。高岡大輔君。
○高岡委員 私は、ただいま議題になつております日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定についてお伺いしたいのでありますが、この協定文を大観して参りますと、どこかに再軍備にこれが備えられておるような感じを受けるのであります。ところで、ここにあります四月二十四日の外務大臣としての吉田さんの手紙なるものを見ますと、現有船隊の船舶数四十五隻では、九千マイルにわたる日本の沿岸の警備には不十分だから、ひとつアメリカから船舶を拝借したい、こういうことを言つておられるのでありますし、なお過般の施政方針に対する質疑の際も、ダレス氏に対しては再軍備は決して約束はしていないけれども、いわゆるフリゲートはパトロールのために使うのだというようなことを言つておられるのであります。そこで問題になりますのはパトロールのことでありますが、これは私が申すまでもなく、日本海の方にはあるいは李承晩ラインなるものがあり、その他いろいろな海面上においての線が引かれております。この線を突破した、しないということで、日本の漁船が相当拿捕されておるとかいうようなことがいわれておるのでありまして、もしもそれらのものを対象にして警邏するということになりますと、ただ単に監視だけの問題でなく、ときには発砲するに至るような危険が生じて来るのではないかということを憂えるのであります。それはもちろん、たといこの船舶に大砲が積まれてありましても、これは日本側から撃つための大砲でないとおつしやるでありましようが、もしも先方から撃つて来ました場合に、これに応戦をするというようなことが現実としてあり得るのではないか。かつて揚子江において橋本欣五郎当時の大佐が例のパネー号を撃ちます場合に、四時間の間考えたあげく、そのときには霧のかかつておつたのが、偶然とでもいいましようか、この霧が晴れ上つたときに、天の啓示を受けたような気持で撃てとの命令を下したと橋本欣五郎氏は当時を語つておつたのでありますが、もしもそのような場合に、これは人間のやる仕事でありますから、どうした拍子に発砲しないとも限らないのでありまして、そうした事態が起きました場合には、ただちに日本が朝鮮戦線とでもいいましようか、それに参加したことを意味し、しつぺ返しとでもいいましようか、日本の国土はただちに空襲される危険がここに生れて来るのではないか。ただ単に沿岸の警邏に使うのだからといいましても、事は決して簡単ではない。しかもその船舶をアメリカから借りておるということになりますれば、アメリカも一緒にこれに加わつているという解釈が下さるる場合もあり得るのでありまして、そうなつて来ますと、これはやがて第三次世界大戦の火ぶたを切つたことにも相なるのでありまして、これは軽々にパトロールだからいいのだというわけにも参らないと思います。そこで保安庁としましては、一体どの程度の事態を考慮していられるか、この点をまずお聞きしたいと存じます。
○増原政府委員 保安庁警備隊の任務は、御承知のように海上における治安警備——もとより海難救助等の任務をあわせ持つておりますが、海上における治安警備の任務も遂行いたしますために、いわゆる巡邏、巡視等の通常業務を持ち、このたび船舶を借用するのでありますが、この借用した船舶によつて、そうした海上における治安警備の任務を行いますので、ただいま仰せになりましたような事態は、もとより極力起りませんように、十分の配慮をいたさせるということにいたしたいと考える次第であります。
○高岡委員 なるほど、ただいまの御答弁ではやらぬつもりだとおつしやいますが、私がさつき申し上げたように、やらぬとおつしやつたところで、向うから発砲して来る場合が私はあり得ると思う。向うから発砲したときでも、われわれは撃たないのだということをおつしやるのでありましようか。最後までお撃ちにならないのか。大砲が積んであるから撃たないというわけには参らないと思います。その限度が必ずあると思います。その限度というものをはつきりしておきませんと、われわれは白紙でこうした危険物を差上げるというか、国民として保安庁にこういうことをやつていただくということは、非常に危険なことでありまして、これは保安庁として、昔のたとえで言いますれば、正宗の名刀であるか、村正の名刀になるかということをわれわれは非常気づかうのでありす。国民の海上の保安のために、懸命になつて警邏してくださることに対しては、われわれは感謝をするのでありますけれども、もしもそのときに村正の刀となつて相手を切ることにのみ専念するような場合が起きないとも限らないのでありますが、これは一応今の政府委員の御説明によつて、村正の刀にはなるまいかと思いますけれども、向うから仕向けて来た場合に、どういう順序を経てそういう事態を処理なさるか、その点をもう一度重ねてお尋ねしておきます。
○増原政府委員 警備隊の持つ予定であります船舶は、もとより軍艦ではございませんので、軍艦としての権限行使などは全然思いもよらないところであります。お申述べのような事態の場合には、現在の警備隊のとるべき措置としましては、これはやはり退避をいたしまして、爾後外交折衝等によつて処理をつけるという方法にものを考えて行くべきものであろうと考えております。
○高岡委員 ただいま、事態が発生した場合には外交交渉による、こうおつしやつておりますが、その外交交渉の段階に入る前に、その場で発砲するような事態が起きはしないか。これをいくらお尋ねしてみたところで、あるいはそういうことはしないつもりだとおつしやるのでありましようから、水かけ論でいたし方もないでありましようが、一体日本海の沿岸を警邏する場合に、朝鮮の政府、大韓民国ではどのような考え方をしておりますか、さらには東亜の諸国はこれをどう見ているか、ひとつ御説明願いたいと思います。すなわち、今アメリカから相当の船舶を借りますことを、いわゆる日本の海軍をつくるのだというように見ておるかどうか。日本の方ではなるほど船舶だ船舶だとおつしやつていますが、おそらくこの船舶は、アメリカの沿岸におる場合には、アメリカ人は決して船舶とは言つていないだろうと思う。大砲も積んであるのでありますし、これはやはり軍艦なのであります。それを日本に持つて来て言葉をかえるから、すぐそれですべてがかわるというのは日本だけの考え方です。これは日本人の悪い癖です。たとえていえば、占領されているにもかかわらず、占領軍といわずに進駐軍といい、完全に負けたにもかかわらず、終戦でございますといつて敗戦という現実をごまかしてみたり、占領の現実をごまかすような言葉づかいをやるところに、日本人の非常に悪い癖があるのでありますが、今の問題も、これはアメリカにおいては完全に軍艦であります。それを日本へ持つて来て、日本人同士では、なるほど船舶といつてそれで通るかもしれませんけれども、問題は国際間の問題でありますので、外国がこれを見た場合には、船舶だと日本がいつているから間違いないだろうと言うでしようか。それほどには日本は諸外国に信用はないだろうと思う。やはりこれは現実問題として取扱われる。その現実問題として取り扱われることをわれわれが考える場合に、今政府委員は、ただこつちはずつと海上の警邏、保安にだけやつているのだとおつしやいますけれども、私は決してそうでないと考えるのであります。そこで繰返して申し上げますが、諸外国はこれに対してどういうことを言つておるか、もしもそうした具体的な何かございましたら、お示しを願いたい。
○中村(幸)政府委員 今回貸借の対象となつております。パトロール・フリゲートあるいは上陸支援艇は、米国におきましてもパトロール型、すなわち警邏船型と称しておりまして、決してこれは戦争用のものではなく、沿岸警備程度の働きしかできないのであります。外国においても決してこれが戦争用に使われるとか、戦備を整えるというふうには思つていないと考えております。
○高岡委員 それは非常な甘い見方であつて、現に南方諸国は、日本のこうしたことに対しては、再軍備を着々やつているのだということを言つているのです。これは考え方でありますけれども、たとえていうならば、除幕式がないまでは、どんな銅像ができるかは一般の人にはわからない。しかし頭のいい者は、その幕の陰にどんな材料が持ち込まれるかということによつて、大体その銅像の形も想像がつくのです。除幕式のないうちはわれわれはどんな銅像だか一向わからない。しかし決して除幕式が終るまで黙つているような今日の状態ではないのです。すなわち、こうしたものが次から次へと幕の内側に運ばれて行くときに、諸外国は日本は再軍備だというのです。再軍備の善悪については後ほど申し上げることにしまして、今その善悪を問うておるのではありません。ただそうした形で進んで行きますときに、今おつしやつたように、それはパトロール用のものであつて、かつての陸奥のような六万トン級のいわゆる戦艦ではない、こういうことは言えましようけれども、それは見方でありまして、私は決してそうきつかり断定できないと思うのであります。 ただいま長官がお見えになりましたので、長官にお尋ねしたいと思います。もう一度申し上げますが、ただいま私が質問しております点は、ただ単に日本の沿岸の警邏に用いるのだ、こうおつしやつているのでありますけれども、その警邏をしておる際に、いわゆる日本の漁船を李承晩ラインに入つたから拿捕するのだというようなことで、向うがこつちに何か申し込んで来、それが違うのだといつたようなトラブルの起きて来ましたときに、向うが何とかかんとか言う、いわゆる感情のもつれとでもいいましようか、これは戦争の起きる場合にはいつでもそういうことが動機になるのです。長官は今までの長い間の生活の上において、いろいろの場合の御記憶がおありだろうと思うのでありますが、この警邏の際に、たまたま両者の間に発砲するような事態が起きました場合に、長官としてはどういう態度をおとりになりますか、お聞きしたいと思います。
○木村国務大臣 お答えいたします。ただいま御質問のような事態がかりに起つたといたしましても、わが方の警邏船は発砲とかいうようなことはいたさせないつもりであります。
○高岡委員 まことにあつさりした御答弁で恐縮であります。それは長官としては発砲するなとおつしやつてもおりましようし、そういう命令もお出しになるでありましようが、さてそこにおります船長——これは船舶だから船長ということになりましようが、その船長は必ずしも長官と同じお気持の方ばかりとは限りません。中には事を処するについて興奮される方もありましよう。そういつたような場合でありまして、こんなことが百起きて初めて問題が起きるのでなくして、緊迫した情勢下におきましては、ただ一つの事件でも大事に至らないとは限りません。その際に、私は長官に重ねて申し上げるのでありますが、そのいわゆる指揮権とでもいいましようか、端的に申し上げますならば、昔の指揮権のような形をおとりになるのか、それとも新たなる平和日本として、最もふさわしい方法をお考えになつていらつしやるのかどうかということをお尋ねするのであります。
○木村国務大臣 ただいまの御質問しごくごもつともでありますが、この警備隊の任務は、御承知の通り国内の平和と秩序を保持して、人命と財産を保護することを目的としておるのであります。その線に沿つてわれわれは十分な訓告をしております。結局私は人の問題であろうと考えております。決して昔の軍隊のようなやり方ではこれは参らないのであります。きわめて平和的に事を運ばせるべく平素の訓練が必要だろうと考えております。その線に沿つて隊員を現在も訓練し、今後も訓練したいと考えております。従いまして先刻御質問のような事態におきましても、必ずや平和的に処置すべく、断じてさようなトラブルの起らないように、十分な心がけを持たせてやりたい、こう考えております。
○高岡委員 それならひとつ次のことをお尋ねしたいのであります。これはあらかじめ少くともアメリカの方には了解を願えることは現実の問題でありましようが、私はさらに進んで南鮮の大韓民国でありますとか、あるいは台湾における今の国民政府でありますとか、あるいはインド連邦でありますとか、セイロンにしましても日本に今日好意を示しており、しかも平和を念願しております。これらの諸国と一応の話合いとでもいいましようか、日本はこの精神でこういう形でこういう意味においての警邏をするのだというようなことで、できますならば、これらの諸国といわゆる条約を結ぶとでもいいましようが、かつて日独伊三国同盟でありますとか、いろいろな協定があつたのでありますが、そういつたような形で、同じような考えを持つてこれらの諸国と話合いをさらに一歩進めて行きますれば、日本が万一その行動をとつた場合にも、これらの人たちが日本のために弁護してくれるとでもいいましようか、日本の精神を理解してくれるだろうと思う。事が起きてから説明したのでは、その説明は通りません。事の起きない前に、あらかじめ日本の意のあるところを、これらの諸国に、十分に手を握るといいましようか、了解を求めておくことこそ、問題の起きた場合の処理にあたつて、非常に有利に展開するのではないか、かように私は考えるのでありますが、長官としてはそのような方策を、今後おとりになるというようなお考えがあるかどうかをお尋ねします。
○木村国務大臣 お答えいたします。ただいまこの警備隊の船舶の運用に関する問題について、各国との条約とかあるいは話合いとかいうようなことは、ただいまつけるというような意思はございません。しかしながら、お説の通りさような国の感情を害するとか、あるいは脅威になるとかいうようなことはあつては相なりませんので、これ十分われわれは考慮した上に、できるだけ機会あるごとに、この精神を各国にわからせるように努力いたしたい、こう考えております。
○高岡委員 機会あるごとにというお言葉でありますけれども、これは機会あることでなくして、日本から積極的になさらなければならないのではないか、ということは、これは日本が積極的にそういう了解を各国に求めておきますことが、日本の平和に対する真意のあるところが買われて来るのでありまして、おれはそう思うから人もそう思うてくれるだろうでは、話は通らぬと思う。ことに日本海のところが一番問題になると思うのでありますが、この問題について大韓民国との話合いというものは、今日までの間に行われておるかないかをお聞きしたい。といいますことは、李承晩ラインというものができておるのであります。こつちが知らないうちに、あれができたようにわれわれ新聞その他によつて聞かされておるのでありますが、ああした問題があります場合に、いたずらにこつちが船舶を増強して参りましことは、これらの措置に対する対抗的といいましようか、反抗的な態度に出るような解釈をもしもされたとするならば、いかに長官が平和を主張されたところで、向うは挑戦して来たとしか考えないのではないかと思います。それでそうした話合いを長官として今今日までなすつたのか、また今後最も近い将来においてそういうことをなさるのか、そういう点をわれわれは非常に気づかうのであります。これは議会のかけひきのようなことでなく、きのうもお前は日本の野党としてしやべれということでありますから、本日は日本の野党としてしやべつておるのでありますから、長官もそのつもりでお答えを願いたい。
○木村国務大臣 ただいままでの経過におきまして、韓国とさようなことについての話合いはありません。御承知の通り、日韓会談というのはただいま行き悩みになつておりますが、これはぜひとも再開してすべての懸案を解決すべきであろうと考えております。その経過につきましてはただいま申し上げることはできませんが、政府におきましては、一日もすみやかに日韓会談が平常に立ち至るように努力中であります。しこうしてこのパトロールの点につきましても、その間の関係におきまして、十分にこちらの真意は向うに了解できることと考えておる次第であります。
○高岡委員 残余の質問は保留さしていただきます。
○栗山委員長 松本瀧藏君。
○松本(瀧)委員 私も相当外務当局に対する質問があるのでありますが、一点だけ長官に御質問いたしまして、あとは権利を留保しておきます。 船舶貸与の問題は、アメリカの武器貸与法に基いてなされておるものであるかどうかということについて、長官の御意見を承りたいと思います。
○木村国務大臣 これは武器貸与法ではありません。単独の法律によつて、向うが日本に貸すということを大統領がきめた次第であります。
○松本(瀧)委員 と申しますと、アメカリ大統領の、いわゆる大統領令、エグゼキユーテイヴ・オーダーによつてできたものでありますか、それとも武器貸与法の特別解釈をしてなされたものですか。
○木村国務大臣 お答えいたします。アン・アクト・ツー・オーソライズ・ザ・ローン・オブ・サーテイン・ネーヴアル・パトロールタイプ・ヴエツセルズ・ツー・ザ・ガヴアメント・オブ・ジヤパン、こういうアクトが出たのであります。これに基いて日本に貸与することになつておるのであります。
○松本(瀧)委員 ネーヴアル・パトロールと申しますと、海軍には武器にあらざる船舶があるのでしようか、その解釈をひとつ……。
○木村国務大臣 武器にあらざる船舶もありましようが、御承知の通り、これは昔の海軍時代におきましても、もつぱら戦闘を目的とする船と、しこうして後方において勤務するものがわかれております。このヴエツセルは、アメリカにおいていわゆるパトロール・フリゲートと申しまして、パトロールのためにつくられた船とわれわれは了解しておるのであります。
○松本(瀧)委員 アメリカには海軍のパトロール以外に、海岸の、何と申しますか、昔でしたならば禁酒時代のフエデラル・ガヴアメントのパトロールがあつたはずであります。これは、どうして海軍のパトロールということが武器以外の船舶になるのでありましようか。
○木村国務大臣 これはコースト・ガードの船でありまして、アメリカで何として使つておるかわかりませんが、われわれとしては、いわゆる沿岸警備の用に使うべくこれを貸借したのであります。
○松本(瀧)委員 それではもう一つ御質問します。高射砲あるいはタンク等を借り受けておりますが、これはアメリカの武器貸与法に基いてなされておるのでしようか、どうでしようか。
○木村国務大臣 これはそうではありません。ただアメリカの日本に参つております軍隊の保管に属するものを、便宜上一時こちらで使用しておるわけであります。
○松本(瀧)委員 私は原則におきまして、今の高射砲であるとかタンクを借り受けるのと、フリゲートを借り受けることは、同じことと思うのでありますが、タンクその他武器を借り受ける場合には国会の承認なくしてやり、今回の場合は特に国会の承認を得るために上程された、その理由は一体どこにあるのでしようか。
○木村国務大臣 これは便宜上の問題でありまして、われわれのヴエツセルは、今度御承知の通り、今アメリカのアクトによつて正式に借り受けることになつたのであります。いずれ保安隊で現在使つておりますものにつきましても、何らかの方法によつて、正式な交渉に移りたいとただいま考えておる次第であります。
○松本(瀧)委員 その正式の交渉というのは向うとですか、それとも国会にあらためて承認を得るという意味でしようか。
○木村国務大臣 ただいま使用しております武器につきましては、何らの負担がないのであります。しこうして国会において審議を求めない次第でありまして、これが何らかの日本の負担になるというような条件でもつけ加えることでありますれば、あらためて国会において御審議を願いたい、こう考えております。
○松本(瀧)委員 そうしますと、一般に印象づけられておるごとく、この船舶は無料で日本に貸与するということの原則がくつがえると思いますが、それはいかがでしようか。
○木村国務大臣 これは御承知の通り、五箇年契約であります。これを期間が来まして更新するかどうかはわかりませんが、返還するときは、元のありのままの状態において返さなければならぬという義務が附帯されております。その点においてこれは正式に契約とし、また議会において御審議を願いたいということに考えておるのであります。
○松本(瀧)委員 五箇年後には原則としてこれを原形で返すということになりますと、もちろんそこに相当の負担がかかる。この解釈によつて、ずいぶんそこに大きな差異があると思うのでありますが、それでは決して無料ではなくして、有料の形になると思いますが、いかがでしようか。
○木村国務大臣 有料ではありません。ただ原形に返すというのでありまして、その際に多少の費用はかかるかと考えております。
○松本(瀧)委員 残余の質問は後日に留保いたしまして、私はこれで打切ります。
○栗山委員長 並木芳雄君。
○並木委員 私はまだパトロール・フリゲートというものを見たことはないのですけれども、どういう性能を持つておるものか、また装備はどういうものですか。
○木村国務大臣 これは基準排水量は一千四百三十トンであります。速力は最大十八ノツトといいますが、現在ではさように出ません。普通速力、いわゆる平均速力と申しましようか、経済速力は十二ノツトであります。これも少しは落ちるかと考えております。それから航続力約一万海里であります。主要な装備は、三インチ砲が三つ載つております。四十ミリの機銃が二基、三十ミリの機銃が四基であります。乗組員は約百六十名、大体さようなもので、昔の日本の海防艦という程度でありましよう。性能としては大したものではありません。
○並木委員 しかし、アメリカの字引なんかを見ますと、やはり軍艦の一部に取扱われておるようですが、アメリカではもう軍艦の一部でないというふうに解釈しておるのかどうか。それからまたこの操縦には相当の専門技術を要すると思いますが、アメリカ人が乗るのかどうか、よもや乗るとは思いませんが、乗るのかどうか。またこれを操縦させるには、どういうふうにして乗組員を養成するのか、その点をひとつ……。
○木村国務大臣 もとよりアメリカでつくつたときには海軍の軍艦の一部であつたでしよう。しかしその後これはコースト・ガードにアメリカで使つておつた。御承知の通り船舶の発達は近時著しいものがあるのでありまして、これはアメリカでも現在においてはおそらく軍艦としては取扱つておらない、コースト・ガード用に使つておつた船であります。この乗組員につきましては、もとより新しい船でありますからアメリカの人からその運用方法の教授をこちらは受けました。しかし今後この船が警備用として運航するについては、アメリカの指揮あるいは監督あるいは教授というようなことは、一切受けないつもりでおります。また受けてはならぬと考えております。
○並木委員 長官の説明を聞いておればだんだんはつきりして来るのですが、しかしこの協定には用途などは全然書いてないのです。何のために使うのかなんということは全然触れてないところが、かえつて私どもは不安を招くわけです。さつきから高岡委員、松本委員からの御質問も、そういうことが根底となつて出ているわけですが、どうしてこの協定に用途を書かなかつたのか。 それからこの艦艇の配備計画ができているはずですが、配備はどの方面にされる予定か、そういう点について伺いたい。
○木村国務大臣 並木君、御承知をお願いいたしたいのでありますが、この日本の警備隊の創設目的はどこにあるか、これは保安庁法にはつきり打出しておるのであります。つまり日本の海岸の警備と海難救助、これであります。これが目的なのであります。従いましてこの船を借りるにつきましても、その使用目的はこれによつて制限されておるのであります。そこでわれわれははつきりこの船の今後の使用目標を定めて、これにのつとつて行くべきであろうと考えております。 配置計画については事務当局から申し上げます。
○栗山委員長 政府委員の答弁はあとまわしにして、次に安東義良君。
○安東委員 実はもう少し性能と装備の問題についてお聞きしたいのですが、非常にお急ぎのようですから、後刻出席をいただきまして、そのときに譲りたいと思います。ただ、ただいまのお答えの中に、保安庁法で目的がき、まつておる。だから心配はないというようなお言葉でありますが、その海岸警備という問題は、日本の立場から申しますと、今日のごとく、ソ連が千島を占領して、しかも歯舞、色丹のごときわが領土までも占有しているときに、根室とこれらの島とのいわゆる距離というものは、領海問題だけで解決はつかない。従つてこれらの地域において、今後漁船が拿捕せられるというようなことをみすみす目の前に置いて、このいわゆるフリゲートなりあるいは上陸援護艇なりが、ただ写真でもとつて逃げて帰つて来るのか、この点についてちよつとお伺いいたしたいと思います。
○木村国務大臣 私はかような警備船を日本が持つて、漁船の出漁を擁護して行くことは、いわゆる一種の無言の相手方に対する警告になると思います。もとより不法に相手が日本の漁船を捕獲したような場合においては、こちらからは武器を使用することはいたしませんが、その点について相当の抗議をいたし、また今仰せのごとく、写真なんかをとりまして、後日の証拠にするということになりますと、今後のために、私は日本国家として非常な利益をもたらすものと考えておるのであります。
○安東委員 ただいまのお話でございますと、結局これらのいわゆる船舶は、武装はしておるけれども、一切武器を使用せぬというように聞えますが、さよう心得てよろしゆうございますか。
○木村国務大臣 使用するのが目的ではありません。しかしかりに、たとえば密輸入船があります。その密輸入船が日本に不法に侵入して、そうして向うから抵抗でもした場合には私はやむを得ない、こう考えております。
○安東委員 しからば、かりに国籍不明の船が現われて、これらに攻撃を加えるというような事態が絶無とは考えられないのでありますが、さような場合には当然正当防衛としてこれらの船は抵抗もするでありましようし、戦いもするであろうと思います。その点はいかがです。
○木村国務大臣 国籍不明の船が海賊行為をやつた場合に、これに対して警備船が相当の処置をするのは当然であろう、私はこう考えております。
○安東委員 私は単純なる海賊行為として問題を提起しておるのではありません。万一これらが直接に攻撃を加えるような場合には、一体手をこまねいて逃げて来るか、あるいはその場で撃沈せられてもほかの友艦は黙視しておるのか、そういう点をはつきりしておきたいと思うのであります。
○木村国務大臣 御承知の通り、われわれといたしましては自国の防衛をする権利は持つておるのであります。従つて、私はあえて不法ないわゆる海賊行為と言いたいのであります。何ら理由なくしてわが国の漁船に対して不法な行為に出た場合には、それに対して相当な処置をとるということは、これは当然あり得ることと考えております。
○安東委員 単に漁船に対してのみならず、この船それ自体に対する攻撃が起らないということは断定できない、そういう場合にはいかがですか。
○木村国務大臣 不法に何らの理由なくしてさようなことがあり得れば、それは抵抗するのは当然であろうと考えております。これは人間においても国家においても同じことであります。
○安東委員 その場合における抵抗は、当然に自衛行為であります。私も大臣と同感でありますが、この自衛行為の場合におけるそれらの行為は、まさに戦闘行為であります。武力を行使するものだと私は思いますが、いかがですか。
○木村国務大臣 私はこれは戦闘行為とは考えておりません。正当防衛行為と考えております。決してこれは戦争でも何でもありません。一種の暴力行為であります。
○安東委員 戦闘行為は必ずしも戦争でないことは、私は社会の通念だろうと思う。この点について大臣は同一のごとくただいま御答弁になつておるようでありますが、もう一度その点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
○木村国務大臣 われわれはこれは暴力行為と考えておるのであります。戦闘行為にもいろいろあります。いわゆるあなたの仰せが、その戦争と目することをもつて戦争行為と仰せになるなら、私はしからずと……。(安東委員「戦争行為じやない。戦闘行為」と呼ぶ)これは言葉のあやであります。言葉の使いわけであります。われわれはそれを暴力行為と考えております。あなたがそれを戦闘行為とお考えくだされば、まさに戦闘行為でありましようが、われわれはそれはいわゆる軍の行動とは考えていないのであります。暴力行為と考えております。
○安東委員 しからばその大臣の言われる暴力行為に対しては、このフリゲート型にしても、上陸援護艇にしても、戦つてよいということに了解いたします。
○木村国務大臣 戦うということは私は避けたいのであります。それは防禦行為であります。いわゆる正当の防衛行為であります。今申し上げました通り、個人におきましても、国家におきましても、不法な行為に対しては、これを防衛するところの力は認められておるのであります。一種の暴力行為に対しては、これを防ぎ得る力を持つということは当然であろうと考えております。
○安東委員 この問題はそのくらいにしておきまして、一体長官は戦力という問題をどういうふうにお考えになつておられますか。
○木村国務大臣 憲法第九条第二項の戦力とは、いわゆる物的、人的において総合された一つの力でありまして、戦争を有効に遂行し得る能力であろうと、私はこう考えております。
○安東委員 人的、物的に総合された力である。しかも有効に戦争を遂行する力であると、こういうお話でありますが、有効に戦争を遂行する力という場合に、戦争にもいろいろある。これは申すまでもなく大きい戦争もありましよう。小さい戦争もありましよう。小さい戦争に対しては小さい戦力をもつて向うこともできるはずです。戦争は必ずしも米ソ戦争ばかりじやございません。そう考える場合に、そういうような意味合いでいうならば、現在の保安隊といえども、人的物的に組織せられた総合的力であろうと思う。これが小さな侵略をこうむつた場合に、自衛的意味合いにおいてこれを防ぐ、暴力に対してこれに反撃する、その場合にはやはり一つの戦争というものが行われ得る。そうすればその場合には有効であり得るはずである。小さい規模の侵略に対してはあり得る。しからばこの保安隊を絶対に武力にあらずという、その今の長官のおつしやつた定義から、あらずという理由をもつと納得の行くように説明していただきたいと思います。
○木村国務大臣 戦争にも大きな戦争もあり、小さい戦争もあると言われましたが、われわれの戦力というものは、いわゆる近代戦を遂行し得る能力と考えております。一体憲法において規定されておるのは、いわゆる国際法上の戦争であります。国権の発動たる戦争及び武力による威嚇、あるいは武力の行使は国際紛争を解決する手段としてはこれは行使してはならぬ、これは永久に放棄する、これが大前提であります。いわゆる侵略戦争をとめようというのが、私は憲法第九条の大眼目であろうと考えております。従いまして、日本が自衛力はこれを保持することは何ら禁止されておるわけではありません。従いましてこのいわゆる侵略戦争を禁止する一つの方法として、第二項において戦力を保持してはならぬ、こう考えているのであります。その戦力はこの大きな前提から導き出されるのでありまして、いわゆる近代戦を有効に遂行し得る能力、いわゆる他国を侵略し得るような能力をさしておるもの、こう考えております。
○栗山委員長 現在出席の政府委員は中村外務政務次官、外務省の条約局長下田武三君、海運局長の岡田修一君、保安庁次長の増原恵吉君、保安庁の政務次官の岡田五郎君その他説明員であります。その範囲で御質問くださる方はどうぞ。順序は外務関係にもどればまた高岡さんから始まります。
○高岡委員 先ほどの質疑に続いてお尋ねしますが、李承晩ラインというものが世にいわれておるのでありますが、この問題について御存じの範囲内で御説明願いたい。
○下田政府委員 李承晩ラインはすでに新聞等でも非常に詳細に紹介されておりますので、事実の関係は詳しく申し上げる必要がないと存じます。御質問の要点は、その法律的性質はどういうものかという点であろうと思いますので、その点をお答えしたいと思います。 日本政府といたしましては、李承晩ラインは、国際法の原則から見まして、非常に不法であつて、絶対に認めることができないという立場を堅持するものでございます。類似の公海の一定の水域に対して、ある支配権、管轄権を主張するような事例は、今まで絶無ではございません。御承知のトルーマン宣言でございますとか、あるいは南米諸国の公海に対する専用漁業権の主張でございますとか、そういう事例もあるにはあるのでございます。しかしながら、いまだかつて李承晩ラインのような不法なる主張をなした国はないと承知しております。なぜ不法かと申しますと、たとえて申しますと、トルーマン宣言は、一定の管轄権を主張する、しかしその管轄権の行使にあたつては、関係国と協定の上で管轄権を行使しようという主張であります。ところが李承晩ラインの主張は、何も協定によらずして、一方的に公海の権利を主張するのであります。この点が非常な違いであります。 それからもう一つの李承晩ラインの従来の主張との大きな違いは、南米諸国その他は、大体漁業その他人的の技術でもつて開拓し得る資源に対する主張であります。大体今日までの技術の発達段階では、水深二百メートルまでのいわゆる大陸だなと申しますか、近接海域においては、漁業その他の資源の採取ができる。従いましてその程度のところまでの主張であるのでありますが、李承晩ラインの主張は、海底に至るまでの、水深のいかんを問わず、権利を主張しておるわけであります。これが従来の類似の主張との大きな差でございます。その他いろいろこまかいことを申しますと、たくさんの差異がございますが、決して一般的に国際法上認められたものでない。従来の主張との差異を見ましても、このように不法なものでありまして、日本政府といたしましては、この不法な主張は絶対に認めることができないという立場を堅持し、かつ今後も堅持して行こうと存じておるわけであります。
○栗山委員長 高岡さん、順序が前後して恐縮ですが、先ほど並木君から御質問の警邏船の配備計画の答弁がまだなかつたのですけれども、それを先にさせてください。
○増原政府委員 借り受けたいと思つております船舶の配備の現在考えております方向は、第一船隊群、第二船隊群といたしまして、第一船隊群には三つの船隊、第二船隊群には四つの船隊、そうして第一の方にはパトロール・フリゲートを十三隻、第二船隊群にはフリゲートを一隻と上陸支援艇を二十四隻、その他のものは舞鶴と横須賀にあります地方隊に適宜配属をするという方向で、今計画を立てつつあります。まだ確定したというところまでは参つておりません。
○高岡委員 ただいまの政府委員の御説明では、李承晩ラインなるものは、日本としては認めていないということを明らかにされたのでありますが、もしもそのような現実であるとしますれば、日本の漁船が李承晩ラインに入つて海中の漁獲をやつた場合に、トラブルが起き得るという感じはお持ちにならぬのですか。
○下田政府委員 事実問題としてトラブルが起きる情勢にございます。なぜかと申しますと、日韓会談におきまして、漁業交渉でいろいろ交渉を試みましたが、遺憾ながら妥結に到達いたしませんために、両国間に何らのとりきめができませんでした。従いまして、わが方の法律的主張は、先ほども申し上げたようでございますが、事実問題として、現場で紛争が起るという可能性はある次第でございます。
○高岡委員 その紛争に対して、例のパトロールはどう解釈されているのですか。これは増原政府委員からひとつ。
○増原政府委員 警備隊の持つておる任務は、先ほどから繰返して申し上げますように、海上における治安の維持、海岸警備等でありますので、そうした紛争を直接警備隊の力で解決するという方向には参らないと考えております。
○高岡委員 ただいまの御説明はちよつと明確を欠いておるといいますか、私には理解しかねたのでありますが、そうすると、漁船が李承晩ラインを侵したということで先方に拿捕された場合でも、これは巡邏の範囲を越えているものとして見のがすわけですか。
○増原政府委員 現在の警備隊の使命から考えますと、そうした場合には、不法に拿捕された事実をわれわれの警備船が確認して、その事実に基いて外交交渉を行うという手段になるかと考えます。〔「飛行機で十分だ」と呼ぶ者あり〕
○高岡委員 そういたしますと、同僚安東委員がおつしやつたように、写真をとりに行くだけの船でありますか。私は写真をとりに行くだけの船とは、どうしても考えられないのでありますが、あくまでも写真とりの撮影船としか考えられないのですか。それだつたら今同僚並木委員が言われたように、飛行機の方がもつと適格だと思うのですが、何のために三インチ砲が積んであり、四十ミリないしは二十ミリの機銃を積んだものを、撮影船にお使いになるかというところに、私はまだ割り切れないものがある。その点をひとつ御説明願いたいと思います。
○増原政府委員 飛行機による方法も、もちろん一つの方法であると思いますが、こうしたフリゲート型の警備艦を持つておりますことは、単に写真をとるばかりでなしに、先方としても、ある程度の実力を持つておりますものが、法規に従つた行動をとつておりますことに対しては、やはり自制をすることは期待できるというふうに考えられます。
○高岡委員 しからば、そこで問題が出て来るのであります。話を聞きますと、なるほど増原次長のおつしやいますことは、お言葉の通りでありますが、先方は威嚇と考えて来るだろうと思う。いわゆる日本の漁船に対する警備といいましようか、そういつたような考え方をして来ました場合に、これはただ単に太平洋を渡つて来たからということで、軍艦が船にはかわつて来ないのであります。どうしてもこれは先方の考え方によつて、事件が勃発することもわれわれは一応考えねばならぬ。さらに申し上げますことは、先ほど長官が近代戦々々々、こうおつしやつておるのでありますが、近代戦は決して最初から近代戦にはならないのであつて、どこかで火ぶたが切られる、その火ぶたを切られたそのところだけを考えて行きますれば、これは決して近代戦ではないのです。わずかなことが、いわゆるマツチ一本が火事の元なのであつて、マツチをする場合は、タバコをすう場合のマツチもあるのですし、火事になる場合のマツチもあるわけであつて、マツチそのものは、なるほど戦争ではないという解釈をされるかもしれない。しかしそういう事態が、いわゆる近代戦の火ぶたを切ることになる危険性が多分にあることを私らは非常に憂えるのでありまして、この点をよほどよく御考慮願いませんと、われわれは近代戦を行うだけの戦備がないではないか、こうさつきから長官も、いろいろの方がおつしやるのでありますけれども、なるほどそれは現実であります。原爆もないし、戦艦もなし、戦闘機もなし、何もありませんから、日本としてはそれは近代戦はやれませんけれども、第三次世界大戦という言葉に今表現されておるその近代戦をやる火ぶたを切ることは、あるいは起きないとも限らないのであつて、われわれは何も世界を相手にして戦争しようなんというような、そういう戦備を考えてもおりませんし、それをのみわれわれは再軍備といつていないのです。われわれのいう問題は、その近代戦の緒戦になるとでもいいましようか、そういうきつかけのようなものをわれわれが準備するかいなかということが、ここに問題点があるのだ。かように考えるのでありまして、今の増原次長のおつしやいます言葉を私解釈していいますと、決してその危険なきにしもあらずという感じを持つのであります。それを先ほどから私が言いますように、それならばそのようにもつとはつきりと諸外国とあなたの方で話合いができませんければ、みだりに日本だけの考え方で、われわれは決して悪いことをしないのだから、平和を念願としているのだから、ということだけでは通りませんよということを申し上げているのでありまして、この点をもう一度——これは問題は李承晩ラインのところと日本の北方の海域きりなのであります。何も太平洋のまん中でアメリカと戦争するきつかけが生れようとは、だれも考えていない。問題はそこなのでありますので、そういう場合における態度というものをもう少し明確にお話を願いたい、こう思うのであります。ただ写真もとるかもしれないけれどもなんということではなくて、もう少し明確に御説明を願いたい、こう思うのであります。
○増原政府委員 今度借ります二種類の船舶は、ただいま長官から説明をしましたような程度の装備を持つておるわけでありまして、これは私どもとしては、外国に対する威嚇になるという種類のものではあるまいと考えております。またその訓練なり運用につきましては、長官が申し上げましたように、わが国の平和を確保し、治安を維持するという根本信念に基いて、訓練をして参るわけでございまして、装備の程度及び訓練の実際、目的の認識度から申しまして、他国を威嚇するというふうなことのありませんように進めて行けるものと考えます。先ほど御質問なり御主張になりました関係諸外国の了解を求めるという点は、長官からお答えを申し上げました通りでありまして、これは政府として適当な時期、方法によつて考慮をされるものと考えております。
○高岡委員 それならば対外的な問題はせいぜい政府に御努力を願うことにしますが、それにしましても気をつけていただかなければならぬことは、日本はアジアの孤児になつたわけではないというようなことを、外務大臣はこの前の施政方針の演説の質疑応答のときに言われておるのでありますが、このアジアの孤児でないということを言われます言葉は、これはまことにけつこうな言葉でありまして、ぜひそうやつていただきたいと思うのですが、日本は、過去のことを私はかれこれ申しません。過去においては今の言葉とは非常に違つておつたのでありますから、かれこれ申しませんが、今後一体アジアの孤児にならないためには、どういうことを考えていらつしやるのでありますか。たとえていいますと、今吉田さんが盛んにおれは向米一辺倒でない、こうおつしやつておるのでありますけれども、向米一辺倒でないといつたところで、やつておることが向米一辺倒であれば、これはわきの者が言うのでありまして、御本人だけが向米一辺倒でないといつたところで、これはどうにもならないわけであります。そこで向米一辺倒でないという意味は、アジアの孤児でないということも一応はつきりしておかなければならぬ。しからばどういう手をお打ちになるのか、アジアの孤児でないという意味の裏書きをひとつ説明を願いたいのであります。といいますことは、今日まで日本がかつて日露戦争をやつたときのインドの考え方というものは、これは東亜の黎明だといつて喜んだ。ところがその後の大きなものを申し上げますと、第一次欧州大戦直後の平和会議の場合、日本から有色人種差別撤廃問題というものを言い出した、このときも東亜の諸国家は日本に対して非常に拍手喝采をした、非常な好意を持つた、ところがいつの間にやらこの提案をひつ込めて、かわりに出したのが、何と驚くべきことには、山東二十一箇条の要求が出て来た。こういうことが、日本がいわゆるアジアの孤児になつた大きな問問なのでありまして、そうした過去から考えて行きますときに、今後の日本の対アジア政策というものは、那辺に置いてよいかということが、おのずから出て来なければならぬ。現に今の台湾における中華民国に対する態度にしましても、ああいう手を打つたのでは、これは私は東亜に刺激するものが非常に多いと思う。一方において日本の再軍備というものに対しては、これは日本で再軍備という人があり、また先ほど長官のようにこれは軍備でないのだとこうおつしやつておる人がある。日本国内における議論はいずれにしましても、諸外国がこれをどう見ておるかということが非常に大きな問題である。濠州にしてもフイリピンにしても、これらの問題に対しては、相当関心を深めておると私は思う。その関心を深めておるものに対して、一体どういう説明を今後やつて行くのか、説明だけでは終らないのであつて、現実の問題を示して行かなければならぬ、具体的方法を考えて行かなければならぬというところに、私は今後の日本の新しい平和の道があると考えるのであります。なるほど今日の世の中においては、中立というようなものはあり得ないかもしれない、地球上のいわゆる二大陣営のいずれかにわれわれはくみしなければいけないかもしれませんけれども、平和を念願とする意味におきましては、それだけの角度からやつて打つべき外交の手というものはあると思う。それをただひとりよがりの考え方をして、今のこの船舶をアメリカから借りるにしましても、ただアメリカと日本の二箇国だけで、話合いが済むのだというのでは、これはますますアジアの孤児になる。私は、こうした国際問題は、いわゆる友邦というものと話合いをして、そうして逐次友邦の数をふやして行くというところに、平和日本の行き方がある、かように考えておるのであります。先ほどから申しましたのは、何が一体質問の要点かということから遠ざかつたようでありますから、質問の要点に入りますと、いわゆるアジアの孤児にならないという政策の見るべきものがありましたらひとつお示しを願いたい。ただ口だけのアジアの孤児にならないということでは、私は承知ができないのであります。
○中村(幸)政府委員 お説まことにごもつともでありまして、わが国といたしましては、お説のようにアジアの孤児にならないように、むしろ積極的にアジアに位する強力なる一国といたしまして、各国と緊密に提携いたしまして、今後処理して行かなければならないと考えております。すでにインドまた中華民国とは平和条約も締結いたしました。さらにフイリピンあるいはインドネシア、ビルマというような諸国とも、国交を回復いたして参りたいと考えておるのでありますが、それには、まずもつて賠償問題という困難な問題があるのであります。さしあたり賠償問題の解決に努力いたしまして、引続きあるいは同時に国交の回復に努めたい。さらにそれらの国々との間に、技術の提携あるいは資本の提携等によりまして東南アジアの開発をはかつて参りたい、かように考えております。
○高岡委員 今アジアの経済開発をやりたい、こうおつしやつたのでありますが、これは日本人が聞くと非常に喜ぶのであります。ところが先様から言わせると、これは経済侵略と考えるのであつて、この言葉こそアジアの諸国を刺激する言葉であつて、対外的には慎まなければならない言葉であります。外務政務次官は、ここは日本人だけだから、日本人の気に入るような言葉でおつしやるのでしようが、そういうことであればそれでけつこうなのでありますが、これはたいへんな間違いであります。現に南方諸国の連中は、日本の経済開発ということをきらつております。これはどこの国でもそうで、自分のところをかつてにやつてくれるといつたところで、それは決して好ましいものではないのであつて、むしろその自国の経済開発にわれわれができるだけの協力をする、お手伝いしましようというのならこれはいいのですけれども、日本が先になつてお前のところを開発してやるなんということは、誤解を招くもはなはだしいものだと思う。その一つの例としまして、シヤムのメナム河の河口、あの浅瀬を日本がかつて取除いてやろうとしたことがあります。これはあそこの浅瀬を取除けば、相当の船がどんどん入つて行き、その首府であるバンコツクに横づけになるのだから、いいことではないかといつたことで、日本が考えたのでありますけれども、先方ではこれをどういうふうに解釈したかというと、日本はあの浅瀬を取除いて、日本の軍艦をべたりと横づけにするのじやないかという恐怖観念を持つた。その当時の対日感情というものは、その前は相当よかつたものが、ただこの一つだけで悪くなつたという事実が、過去にはあつたのでありまして、そういう、あそこが悪いから直してやろうとか、あそこに埋蔵資源があるから開発してやろうなんということは、なるほどこれが神様の言葉であれば喜んで聞きましようけれども、日本人がそういう言葉を使いました場合の先方の考え方というものは、経済侵略としか考えないのでありまして、この点はひとつ今後とも御注意を願わなければならない。かように考えるのであります。 さてそこで私がさつきからお尋ねしますのは、船舶の問題に関連してのことでお尋ねしておるのでありますが、日本がアメリカから借りるということを、これらの南方友邦諸国に一応お話になつたかどうか。ならないで、これを借りてしもうてから話をしたのでは、はなはだこれはけしからぬということになると思う。そうして日本が非常に気をつけなくてはならないことは、うそを言わないことであります。外交問題はうそがあつてはいけない。といいますことは、その一つの例を最近の例でいいますと、吉田さんがマーフイー大使に手紙を出した。五月三十一日でありますか、例の吉田書簡を出した。ところがマーフイーはこれに返事をしなかつたということがこの前の委員会であつた。ところがこのマーフイー大使はこれを謄写版に刷つて世界各国に全部渡してある。ところが日本ではだれも知つていない。そこへ水兵事件が起きた。そこで、日本の検察庁ではこの第一項と第二項の解釈をして、しかも第四項の解釈を逆に説明しておる。この書簡に対する承認はイーデンが引例したことによつて承認されたと見るべきで、日本政府が返事がないといつたところでイーデンが言つたことは返事であります。そうした返事によつてこの吉田書簡が生きたというか、効力を発して来たのでありましようが、ここに差があつたことに私は憤激しておる。さればこそガツト加入に対して反対したのであろう。いろいろな問題がこれにからみついて来た。たつたこの一つの手紙が、どれほど日本の国力充実に対して、障害をなしたかという大きなことをわれわれは考える場合に、船舶を借りるのは、なあに、ただで借りるのだ、返すときは元通りにして返すのだというように考えると、とんでもない結果が生れて、これから日本があらゆる諸国と平和的に提携して行こうとする際に、日本の痛くもない腹を探られる。痛い腹を探られるのだつたらいいけれども、痛くもない腹を探られるということは、いかに外交上損であるかということは、私があえて言うまでもありません。従いまして、私がここで外務当局の御意向をお伺いしたいのは、これはまだここできまつたわけでも何でもありませんから、時を移さずそれらの諸国に、この協定に対する了解を求める態度に、お出になるかどうかということをお伺いしたいのであります。
○中村(幸)政府委員 その点につきましては、先ほど来長官初め政府側から説明した通りでありまして、国の沿岸を警備するということはその国の権利でありまして、特にパトロール・フリゲートあるいは上陸支援艇のような船舶が、戦闘の力を持つていないということは、各国ともよく承知いたしておることと存じます。そういう意味合いからいたしまして、特別にこの問題に限つて、南方諸国あるいは韓国の了解を遂げるということは、ただいま考えておりませんが、お説ごもつともと存じますので、あらゆる機会にそういうような了解を遂げる処置を講じて参りたいと考えます。
○高岡委員 そうしますと、非常に平和的に進むのでまことにありがたいのでありますが、ここにひとつ私増原政府委員にお聞きしたいことは、この五十隻の上陸支援艇というのは、どういう場合にこれを使うか。これを使う場合のものを想定して、こういう場合にはこういうふうに使うのだ、というようなことを御説明願いたいと思います。
○増原政府委員 やはりフリゲートと上陸支援艇と、船の大小はありましても、同様に海上警備、海上を警邏し、警備するという目的に使用するわけであります。
○高岡委員 そうすると、この上陸というのは、結局日本の国に上陸することを意味するのですか。
○増原政府委員 これはつくられましたときが上陸支援艇でありまして、借ります場合は上陸をするために借りるわけではないのでありまして、結局わが国の海上における警備あるいは海難救助等のために使う。建造目的そのままにわれわれが借りておるわけではございません。
○高岡委員 そうすると、向うでパトロールのフリゲートをうんと貸してくれればいいけれども、それを借りると、返す場合に金がかかるし、安い上陸支援艇を借りておいてそれをその方に使おう、こういう意味ですか。向うの都合で、こういう小さなものを貸して、これで間に合せるというのか、大きなのが借りられなかつたからこれでがまんするという意味ですか。
○増原政府委員 この小型の方も、海上の警備救難等には役に立つと考えまして、借りるように相なつたわけであります。
○高岡委員 だからそれを使う場合の、こういうときに使うのだというような点を、ひとつ御説明願われませんか。それとも来てみて使つてみないと見当がつかないのですか。
○増原政府委員 どういうときに使うという、具体的な場合を想定してやるということは、ちよつと困難でございますが、今申し上げましたように、海上の警備、海難の救助などに使うわけでありまして、大きい船は大きいように、小さい船は小さいように、それぞれ具体的な場合に応じて使い道はあると思います。またこれを船隊等に組みます場合には、大体において両者組み合してそれぞれの目的にかなうように使つて行きたい、こういうつもりでおります。
○高岡委員 そうしますと、この上陸支援艇に乗つておる者は、ただフリゲートに乗り切れないからこれに乗せておいて、そうしてぶらぶら歩く、こういうわけですか。ひとつほんとうのところを聞かしてください。
○増原政府委員 先ほどから申し上げましたように、警備隊ではこれを海上の警備あるいは海難救助等のために用いるのであつて、上陸用舟艇として用いるわけではありません。これはもともと上陸用舟艇というのではなく、上陸支援艇ということになつておるわけであります。われわれの方では、海上の警邏をし、警備をし、また海難救助等をするために使う、その目的にかなう性能を持つておると思うておるのでありまして、そうした状況で大きい船、小さい船組み合して船隊をもつて使う、こういうつもりでおります。
○高岡委員 そうすると、これは難船した場合に救助してここに乗せて来る、こういうふうにわれわれは軽く考えていいわけでありますか。
○増原政府委員 もちろんそういうときもありますし、海上の警備に当るという意味も持つております。海難救助だけをやるわけではございません。
○高岡委員 どうも先ほどからお話をしておりまても、私にはだんだんわからなくなるだけであれでありますが、一体これを借りるということは、吉田さんのこの手紙にも書いてありますように、日本で今のところなかなかそう行かないからというのでありますが、予算が許して行けば、今後日本で建造してふやして行くという御意思があるかどうか、最後にお聞きしたい。
○増原政府委員 予算その他の状況が許すに至りますならば、警備あるいは海難救助のための船をつくりたいという意向は持つておりますが、まだその計画を具体化する域には達しておりません。
○高岡委員 時間もありませんから、私の質問はこの程度でやめまして、何か問題が起きました場合に関連して質問さしていただくことを条件として、私の質問を終ります。
○中山(マ)委員 関連して。先ほど中村政務次官のお話を聞いておりますと、外国はこういう問題については了解を持つておるというようなお言葉でございますが、私がいつか読みました——濠州であつたかと思いますが、外務大臣が、議会で堂々と、アメリカは日本に海軍力を与えて、そうして盛大なるものに仕立てようという意図があるようである、であるからわれわれもこれに対処しなければならぬ、という演説をしていられたのを読んだことを私は記憶いたしております。そうなつて参りますと、これは先ほどのお言葉とは少し違うように私は考えますが、外務大臣はそういう点で、こういうものは単に沿岸警備であるという了解をさせるような手を、そういうふうなおそれを持つております国に、もうお打ちなすつていらつしやるかどうか、御説明が願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 途中で、よくお話の経緯がわかりませんが、今伺つたところですと、私は濠州でどういう話があつたか実は今覚えておりませんが、最近濠州からも大使が見えておりますし、こちらからも大使が行くことになつており、また濠州の陸軍長官もこちらに見えておりまして、いろいろ相互の意思疏通といいますか、理解は深まつております。ただいまの船舶貸与の協定のこの内容程度のことについて、濠州で誤解があるとは私は信じません。それは講和条約締結前とかいうときにはいろいろあつたかもしれませんけれども、今ではそういう心配はないと考えております。
○栗山委員長 松本瀧藏君。
○松本(瀧)委員 外務当局に一般質問をしたいのですが、その前に、先ほど時間の関係上質問を割愛して最後を切つたのですが、増原次長でもいいのですが、二つだけ簡単に御質問したいと思うのです。先ほど長官は二日目には英語でヴエツセルという言葉を使いまして、ヴエツセルだから戦艦ではないという印象を、この委員会を通じて与えられたのでありますが、いかがでありますか、そう了解してよろしいのでありましようか。
○増原政府委員 先ほど長官が申し上げましたのは、今度船舶を借りますことについて、米国の側における基本になります法律を読み上げられたわけであります。それにはヴエツセルズという言葉が使つてあるわけであります。
○松本(瀧)委員 私の言つているのは法律を読み上げられたときの文句ではなくして、私の質問に対する答弁のときに、ヴエツセルを借りたのだから武器ではないという印象を与えられたのですが、さよう了解してよろしいのでしようか。
○増原政府委員 私どもといたしましては、借り受けましたフリゲートなり上陸支援艇というものは、船舶であるという解釈をいたしております。
○松本(瀧)委員 私どもの観念では、これはマーチヤント・ヴエツセルではなくて、やはりウオー・ヴエツセルだと思うのです。ただいまの答弁を聞いてみましても、船舶——英語でいうマーチヤント・ヴエツセルになる。そうでなくして、ここではネーヴアル・パトロール・タイプ・ヴエツセルズと書いてあるが、ここに食い違いがある。こういうごまかしがあるから惑うと思うのですが、その間の見解はいかがでありましようか。
○増原政府委員 よく御承知のように、ネーヴアル・パトロール・タイプ・ヴエツセルズと書いてございます。これを私どもは船舶という言葉をもつて呼んでおるのであります。現に性能、艦種その他明瞭に現物があるわけでございます。これを私どもが船舶と呼んで、警備隊の用に供するということでございます。その間に何らの他意はございません。
○松本(瀧)委員 これ以上討論しましても、水かけ論みたいになりますので、これはもちろん輿論に訴えてはつきりする必要があると思うのでありますが、もう一つ、先ほど長官の私の質問に対する答弁のときに、いわゆるコースト・ガードだという言葉を申されました。私はこのコースト・ガードとネーヴアル・パトロールというのは、組織や機能がおのずから違うと思うのですが、いかがでございましよう。
○増原政府委員 米国におきますコースト・ガードというのは、米国海軍とはもとより組織は違つております。平素は財務省の所管に属しておると聞いております。米国においては、戦時になりますと、海軍等の管下に入つて、一体的な使用をしたという経過が、今まではあるようであります。そういう状況であります。
○松本(瀧)委員 私はただいまの御答弁の通りだと思うのであります。しかるにコースト・ガードとネーヴアル・パトロールをごつちやまぜにして国民をごまかさんとするような答弁が、すなわちわれわれはいかぬと言つておるのであります。この問題に関しましては、時間の関係もありますので、後日もつとつつ込んで質問する権利を留保いたしまして、私は外務大臣に一般質問をしたいと思うのであります。 まず第一点は、岡崎外務大臣にお尋ねしたいのでありますが、去る国会の本会議におきまして、行政協定の説明がありましたときに、治外法権的のものはこの中にはないという御説明がありましたが、今日なおあの行政協定には、治外法権的なものがないとお考えでありましようか。
○岡崎国務大臣 これは幾度も申しておるのでありまして、治外法権と一般に申されておりますのは、これは非常に法律的な議論になつても恐縮ですが、外国の居留民全部に対して、その駐在国の法権が適用されない場合のことを言つておりまして、これはたとえば前の中華民国の場合におきましても、あるいはエジプト等におきましても、みな一様にそうであります。この場合は、外国に駐留する他国の軍隊に関する特権でありまして、この特権はいずれの国においても、程度の差はありましても、認めておるものであります。その特権をどの程度に認めるかというのが今の問題であります。従つて治外法権という名前で呼ばれるにはふさわしくないものであります。治外法権といえば、当然これは一般居留民に対する問題であります。これは外国の軍隊が一たび他国におるという事実がありますれば、多かれ少かれこれに対する特権というものは、国際法上認められておるものでありまして、いわゆる治外法権の範疇に入るものではないのであります。もつとも俗称的には、たとえば大使館をもつて治外法権と、こういうように言うことはあります。それは大使館の中にはその国の法令が及びませんから、そういうことを言う意味と同じようなことで言う場合がありましても、私はそれは正確ではない、こう考えております。
○松本(瀧)委員 私の質問はここから船舶問題に入りたいと思つたのでありますが、長くなりそうなので、ただいま委員長の御注意もありましたから、後日やらしていただくことにいたしまして、本日はこれをもつて私の質問を打切ることにいたします。
○栗山委員長 黒田寿男君。
○黒田委員 私はきようは質問といいますより、提案をしたいと思うのでありますが、その前に保安庁の方にちよつとお尋ねしておきたいと思うのであります。 今問題となつておりますフリゲート艦その他の——私どもは艦艇と考えておりますものを船舶と言つておりますが、それはわが国の領海にあるか、たれが管理しておるか、私どもはそれをひとつ見せてもらいたいと思う。この問題はいろいろ戦力規定との関連もありまして、議員諸君も熱心に研究しておいでになると思いますけれども、私どものようなしろうとには現物を見ないと、ここで説明を受けただけではよくわからないのです。今議員がこれを実見することができるような状態にあるかどうか、それをお尋ねしたい。もしそういう状態であれば、今度は委員長にお願いでありますけれども、ひとつ外務委員会でこの審議の過程中に、結論を出す前に委員一同でフリゲート艦その他を実地について調査したい。こういうようにおとりはからいを願いたい。
○栗山委員長 まず政府委員に対する質問の方からお答えを願います。
○増原政府委員 現在この両種の船舶は一部分が横須賀の方に参つておりまして、もとより米国の管理下にあります。国会の皆さんがこれを視察をされたいということであるならば、管理をいたしております米国側に連絡をいたしますれば、視察は可能であると考えます。
○栗山委員長 委員長としてお答えいたします。ただいまお聞きのような答弁でありますので、私は適当の機会にというふうに訂正をさせていただいて、もし委員の全員の方と申すよりも、多数が御希望ならば、そのようにとりはからいたいと存じます。
○黒田委員 そのとりはからいは、私どもは先ほど申しましたように、この審議を終えない間に参るというふうに解釈いたします。
○栗山委員長 いま一言申し上げますが、管理が外国の管理でございますから、私はその点で増原保安庁次長のごとく要請合いはできないと思います。向うでは艦船として扱つておりますものを、外国人がそうやすやすと行つて見るということは、私の考える国際上の慣行から行きますと、簡単にできぬように思うのであります。従つてこれは交渉をいたしました後に御希望に沿い得るようにはかるべき問題だと考えます。
○安東委員 この上陸支援艇というものも来ていますか。
○増原政府委員 来ております。
○安東委員 それではあわせてこれも見るように御努力願いたいと思います。
○栗山委員長 ほかに船舶貸借協定についてございませんか。並木芳雄君。
○並木委員 先ほど松本委員から質問した点は、非常に重要な点です。向うのアクトでは、ちやんとネーヴアル・パトロール・タイプ・ヴエツセルズと書いてあるのですから、これも当てはまるように日本で協定の題目をつくつたらよかつたと思うのですが、特にそれを船舶とぼやかした理由は何であるか、大臣にお伺いしたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはたとえば、日本で普通の船として使つておりましても、それをアルゼンチンへ持つて行つて、飛行機の母艦に改造する場合には、日本では船舶ですが、向うでは飛行機母艦ということもあり得るわけです。そのかわりに向うでは海軍か何かの船であつても、こちらで借りて来て、それを用途に供するのが海上整備その他であるならば、やつぱりわれわれの方では普通のヴエツセルとして取扱う、こういうのが当然であろうと思います。
○並木委員 そういう解釈をされることは御自由だと思うのです。そうなると、この協定の付属表に、船の名前がだんだんと載つております。現在は七つきり載つておりませんが、すでに計画では五十隻の上陸支援艇というものも予定されている、こういうふうに、これから出て来る船というものは、一々国会の承認を求めずに、この付属表の追加で行くのですかどうか。
○岡崎国務大臣 これはひとつ御承認を得たいと思うのですが、この十八隻までのフリゲートと、それから五十隻の上陸支援艇といいますか、この範囲ではお認めを願いたい、こう思つております。それ以上にはわたりません。これはアメリカ側の法律にもこうなつております。ただ今修繕その他の準備が整つていませんので、とりあえずこれだけということになりますが、これはもうはつきり申し上げていいのでありまして、この限度においての御承認を得たいというのがこの協定の趣旨であります。なおこの上陸支援艇——先ほど申しましたように、これはアメリカでは戦争に使つておつたものでありましようけれども、われわれの方は、借りて引揚げに始終使つておりました。やつぱり普通の船舶として引揚げにこれをずつと使つておりましたのは、御承知の通りであります。
○並木委員 私が心配しますのは、船舶貸借協定の中に、はつきりパトロール・フリゲート何隻、それから上陸支援艇何隻と書かれておるものならばよろしい。しかし付属表で行くのだつたらこの協定にわれわれが承認を与えてしまいますと、あとは両国政府の間で、まあ極端な言葉でいえば、どんな船でも同意さえ成立すれば借りられる。たとえば戦艦でも航空母艦でも、あるいは商船でも、あらゆるものが借りられる。その場合に、私ども国会には一々承認を経る手続を求める必要が、なくなるのじやないかということを心配するのです。
○岡崎国務大臣 これは国会の今までのやり方としまして、ここでもつて政府の者が述べましたものは、議事録に載つておりまして、審議の過程において、たとえば憲法の解釈におきましても、委員長が国会で述べましたことは憲法の解釈として、これは当然オーセンテイククなものとして取扱われるのです。この場合にはアメリカ側におきましても、法律で何隻以内ということになつておりまして、事実上そこまで行けるかどうかわかりませんので、実際にやつてみなければわかりません。ただ私のここに述べますことは、議事録にもちやんと載るのでありまして、まだ協定に載せるような段取りになつておりませんから載せてありませんけれども、その戦艦とかほかの種類の船とかそういうことは一切ありませんで、フリゲート十八隻以内、その他の船五十隻以内、この範囲以外には出ないのであります。この範囲の協定であります。さようひとつ協定と同時に私の述べましたことが、実際では協定と一体になるとお考えくだすつて何も間違いはないと思います。
○並木委員 実際はそうでしよう。また私どももそれを信頼しておりますけれども、協定の体制としては、向うでははつきりとアクトに隻数まで書いているにかかわらず、日本の方ではいたずらにネーヴアル・パトロール・タイプと省略してみたり、隻数を書いてなかつたり、使用の目的は書いてない。この協定には何のためにそういう協定を結ぶのか、その目的も書いてない。何ですか安上りで、われわれが何だか手軽く扱われておる。そして向うの言いなりほうだいに、向うの下請の安つぽい海軍でもつくり上げるようなうらさびれた感じを与える。そういうことはないと思うけれども、われわれはできれば付属表によらずして、その都度国会の承認を求めるようにいたしたいと思うのですが、大臣の所見をお伺いいたします。
○岡崎国務大臣 これはぜひこの趣旨で御承認を願いたいのでありまして、第一に船の大きさもわかつております。船の性能もわかつております。数もわかつておるのでありまして、その範囲内でありますから、ぜひその点で御了承願つて、それ以外の船を借りるというわけではないのでありますから、御了承を願いたいと思うのであります。 なおこれに目的その他が書いてないというお話であります。私どもはむしろ反対でありまして、アメリカから船を借りる協定、これはよろしいけれども、借りた以上は日本の政府が必要と考える目的に使う、一々その使用の細目まで定めるということは、日本としてはとるべきでないと思いまして、こういうふうに書いておるわけでありまして、むろんこれはわれわれの今の考えでは、保安庁で使うわけでありまして、これも警備その他に使うわけでありますが、もし万一何か非常な天災でもあつたときは、食糧の輸送にも使いましようし、その他必要に応じて——こんなことはあるかどうかわかりませんが、外国からの抑留者の送還にだつて使える。そういう広い範囲に、政府の考えるような使い方という形でおいて、一々こまかくこれ以外には使つてはいけないのだということを、外国との協定の中にうたわない方がよろしいと考えております。
○並木委員 それはちよつとさつきの木村長官の答弁とは違うようです。もつとも木村さんは海上警備隊の問題に限定して言われたと思いますが、今大臣がおつしやつたように、使用目的が非常に幅が広いのです。
○岡崎国務大臣 いや今私が申した通り、保安庁で使うのでありまして、目的はきまつておるのでありますけれども、アメリカとの協定の中に、はつきりこれ以外には使つちやいけないのだというふうに書くことは、国としてどうか。そこで広い意味で、日本が借り受けるのであるということだけの協定でいいのではないか、こう私は思つております。
○並木委員 四月に申請して、今日まで大分日子を要しているのですが、長引いた理由は何ですか。
○岡崎国務大臣 これはむしろ私より増原次長の方が、正確にお答えできるかと思いますが、主として修繕その他であつたと考えております。
○並木委員 さつき政府委員の方が、できればもとの警察予備隊、今の保安隊の方の貸与を受けている装備についても、こういう協定を結びたい、こういうふうに答弁しておりましたが、外務大臣の方でその準備を進められておるかどうか。
○岡崎国務大臣 私はその答弁を聞かなかつたのですが、今の保安隊等で貸与を受けている武器は、もうしばらくやつてみなければわかりませんが、今のままでさしつかえないのではないかというふうにも考えておりますが、これは保安隊の方の意向次第でもありましようと思います。
○並木委員 私どもは、堂々と協定を結んで、そして国会の承認を経て借りるなら借りる、そういうふうにしていただきたいと思うのです。ですからそれは外務大臣の分担する仕事でもございますから、ひとつそういうふうに仕向けてもらいたい。いつまでも表面に出ない保安隊の装備というものに対して、私どもは不安でございますから、協定を至急結んでもらいたい。 それから無償で貸りるということも、何か私どもには、独立した今日、ちよつと不自然な感じを抱かせるのですが、無償にしてほしいということは、日本の政府の方から申し入れたのかどうか。
○岡崎国務大臣 従来アメリカが方々の国に船とか武器とかいろいろ貸しておつたわけであります。大体これは、私もはつきり一々例を調べて、正確にはお答えできませんが、無償であつたように覚えております。借りたのだから金を払えとおつしやるのも、これはまことにごもつともでありますけれども、無償で貸してやるというのに、無理に金を払うということもどうかと思いますので、とりあえずは無償で借りたい、こう思つております。
○並木委員 さつき増原次長の言葉の中にあつたのですが、保安庁としては、保安隊にしても、海上警備隊にしても、将来航空機も借りる、あるいは製造して使う。そういうような計画はお持ちですか。
○増原政府委員 警備隊の方面でヘリコプター等を使用することについて、目下研究をしております。保安隊の方では、現在ごく小さい二人乗り程度のものでありますが、軽飛行機を連絡用等に使用する目的をもつて、やはり米軍から事実上使用貸与を受けるという形で、今浜松に航空学校をつくりまして、訓練を準備中であります。来年ごろになりますと、そうした軽飛行機について、訓練を始めるという段階になると思います。海の方のヘリコプターを使います分も、まだ関係省との話合いが済んだというところには行つておりません。まだわれわれの方の研究的計画という時期であります。将来陸の方でもヘリコプターを使うということについては、いわゆる研究はいたしております。
○並木委員 けつこうです。きようはこれで打切つて、また次会に……。
○栗山委員長 山花、帆足両委員から外交問題に関連のある事項について、緊急に質問をしたいと申出がありますので、できるだけ短かい時間で片づけていただくことをこちらからの希望条件にしまして、これを許します。
○山花委員 時間も切迫しておりますので、簡単に要点だけお尋ねして、こちらの納得の行くように、ひとつ答弁を願いたいと思います。 問題は、武蔵野市の旧中島飛行機工場跡に、米軍宿舎が建設されようとしておるのでありますが、この問題に関しまして、土地の武蔵野市、近接の町村保谷、田無各町、三鷹市、これらの市議会、町議会または町民大会、市民大会を開催して、反対の意向を外務当局の方に要請しておるのでございますが、これは外務大臣として御存じであるかどうかという点を、お答え願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 存じております。
○山花委員 このように当該地域ないしは近接地域の、各議会並びに町民、市民が反対しておるのにもかかわらず、政府は押し切つて、この地点に米軍宿舎を建設されようとする意図なら、私どもは民主主義の習わしとして、当然公聴会を一回ぐらい開いて、問題の所在をはつきりした方がいいと思いますが、公聴会を開く意思があるかどうか。
○岡崎国務大臣 私が承知している地元民の反対は、一つは風紀が乱れて、若い子弟等に教育上影響がある、こういう点。第二は、犯罪が増加する。第三は、交通が頻繁になつて、交通上のいろいろの支障が起る。こういう三点であつたように了解しております。そこでわれわれ、この申出の点もいろいろもつともな点と考えましたので、初めは宿舎は、家族持ちの宿舎と、独身宿舎と両方建設するつもりでありましたが、そういう点も考慮いたしまして、家族宿舎に限定したのであります。ただいまのところ各地にも家族宿舎がありますが、集団的のこの家族住宅地区で、風紀問題が起つていることは今までないのでありますから、この点はまず心配はないと思いますが、しかしなお特に地元の人たちの要望もありますので、アメリカ側とも協議いたしまして、風紀問題等が起らないように、十分努力を払うことにいたしております。 それから犯罪等が増加する。これはいろいろの理由で自然起ります。たとえばアメリカ側の人が何かする場合もありましようし、またアメリカの宿舎があるために、日本側でもつて犯罪を犯す者が出て来る場合もありましようが、これも普通家族住宅におきましては、それほど今まで目立つたことはないのでありますけれども、この点もアメリカ側及び日本の警察等に十分協力を要求しまして、特に犯罪防止にはあらゆる措置を講じよう、こう考えております。 なお第三番目は交通の問題でありますが、これは約七百の家族を収容するのでありますが、大体平均しますと、一家族一台の自動車があるとしましても、アメリカ側では、この交通の問題も考えまして、事務所の往復には主としてバスを使うということになつております。バスで大勢乗せて行くということにいたしております。でありますから、高級の人は自動車を使いましようが、普通はバスで行くということになりますので、七百台の自動車があそこを往復するというふうには、すぐには考えられないのであります。従つて七百台よりはるかに少い数の自動車があの道を使う、つまり一台に約四名くらい乗るという平均勘定でよかろうと考えておりますから、四分の一くらいではないか、こう思つております。もつとも家族が別の用で出かけることもありますけれども……。それから今建設省とも相談しまして、道路もあそこのところを修復しまして、なるべく一定のものを使おう、こういうふうに考えております。それらの点を考慮しまして、国警の専門家にもいろいろ調べてもらいましたが、交通の問題はこうやつて行けば、それほど車両数の増加もないし、困難な問題は起らないであろうという結論に達したのであります。 なおこれにつきましては、地元の代表者がやつて来て陳情した際ももちろんでありますが、またこちらからも地元に参りまして、いろいろ説明をいたしております。できるだけ十分なる地元の了解を得まして、お互いに安心の行くような措置を講じようと考えますが、今公聴会等を開くということは、まずそれほどまでの必要はなかろうと思つておるような次第であります。
○山花委員 ただいま外務大臣の御説明によりますと、犯罪の点もあまり心配はない、風紀の点もあまり心配がない、交通の点に関してもあまり心配ない、こういう非常に安心をした説明をされておるのでございますけれども、この地域の住民は、ただいまの三点が一番心配になつておる点であります。係官を派して現地の人々とも話合いをした、こういうふうに非常に周到な準備をなすつて計画を進められておるように説明をされたのでございますが、どういう関係の人に会つたかという点が、一つの大きな問題点になると思うのであります。ややもすれば米軍宿舎を建設することによつて、ごく少数でございますが、やはり利益を得る階級がこの土地にも私はあると思うのであります。従つて広汎な住民の意思を聞くということになりますと、やはり公聴会を開いていただいて、住民の意思を率直にひとつ聞いて判断をしていただきたい。これによつて利益を得る少数の人々にお会いになりますと、むしろ排撃というよりも、歓迎の意見が私は出て来ると思います。そういう意見にのつとつてこの建設を進められるということは、私どもとしては、はなはだ遺憾に考えておるのでございますけれども、もしおわかりになりましたならば、どういう範囲の人々に会つて調査をされたかという点を、お答え願えればけつこうだと思います。
○岡崎国務大臣 いろいろの方面に面会して説明したと思いますが、たとえば私の知つている範囲では、あそこの市長であるとか、助役であるとか、またその地域を取囲む隣接地の各小学校で、いろいろ会合がありましたが、主としてPTAの代表とお会いをいたしたと了解しておりますが、そのほかにも陳情に来られるいろいろの団体がありまして、これらにも逐一お話いたしているのであります。私どもの一番懸念いたしましたのは、やはりこの風紀問題でありますので、これはしかし独身宿舎を全部やめまして、家族宿舎だけに限定いたしましたので、私は問題はほとんどない、と言つては語弊があるかもしれませんが、非常に減るのだろう、こう考えております。その他の点については今申した通りで、これは私どもが考えましても、地元でいやがつているようでは、そこの宿舎に住む人も気持が悪いのであります。でありますから、できるだけ住む人にも快く住めるように、また地元の人とよく融和するように、こちらからも要望してありまして、おそらく御懸念の点は、実際やつてみますれば、解消するのではないかという希望を持つております。
○山花委員 ただいま外務大臣の御説明によりますと、地元の市長もしくは助役、あるいはPTAのあらゆる会合でよく意見を徴した、こういうような説明でございましたが、この近接の町、市地元の市、これらはすべておのおのの議会において、満場一致この宿舎建設に反対をしておるのであります。従つて議会において反対したこの意向を、私はおそらく市長や助役が、賛成の意向を外務当局に漏らさないだろうと常識的に考えておるのであります。それからPTAの会合は、各学校関係におきまして、やはり交通、犯罪、風紀等々を懸念して、全部反対の決議をして、一応大衆的な運動をして、外務当局にそれぞれ市民の代表がたびたび折衝をしておるのであります。言いかえれば、議会においても、住民の間においても、全部反対の意向を明らかにしている。それを市長、助役PTAの会合で折衝したと言われておりますが、そのときに賛成の意向とお考えになつてこの計画を進められたかどうか。もしそのときに反対の意向が出たけれども、政府の既定方針通りでこの計画を進められようとしておるのかどうか、その点もう少し明確に答弁願いたい。
○岡崎国務大臣 われわれの努力は、要するに地元の関係各方面の了解を得るために努力いたしておるのでありまして、必ずしも全部賛成だと申しておるわけではないのでありますが、しかし反対の一番大きな理由は風紀問題でありまして、その風紀問題は、独身宿舎ということが非常に大きな原因になつておると考えております。たとえば家族の宿舎であります代々木のあの宿舎におきまして、ああいう家族宿舎の集団のところでは、風紀問題というのは、ほとんどわれわれの知つている範囲では起つておらないのであります。従いまして、今度家族の宿舎に限定いたしましたから、この点は地元でも御理解を得るものと信じて、今いろいろ努力をいたしております。なお交通につきましては、よく事情を調べて、今までの交通量の、たとえば何パーセント増しになるであろうかというような計算もいたしますし、またその何パーセント増しであつても、交通路を定めまして、特別の混雑が朝夕にないようにする計画も、これは道の修理も必要でありますが、立てておりますので、この点も私はそんなに懸念することはない。一方あの地域は国費の節約上からいたしましても、地理的にいいましても、便利なところでありますので、ぜひ地元の賛成を得てあそこにつくりたいと考えて、今努力中であります。この事情がおわかりになりますれば、ひとつ御尽力を願いたい、こうも考えております。
○山花委員 ただいま宿舎に入れるのは全部家族持ちの人々であるから、風紀問題は懸念するに足らない。その実例として代々木の例を示されたのでありますが、代々木と、人口稠密しておる武蔵野市と、同一に論ずるわけには行かないと私は思います。それからもう一つは、国費の節約というようなことを説明されましたが、今度の宿舎建設にあたつては、聞くところによりますと、相当巨額の費用が投下されるというふうに聞いておるのでございますが、どの程度の費用をこの宿舎建設のためにあてがつておるのか、一応お聞かせ願いたいのであります。
○岡崎国務大臣 正確な数学は、ここでいいかげんなことを言つて間違えるといけませんから、取調べて申しますが、とにかくあそこにコンクリート建の建物がありますので、これを利用しますれば、ほかに新しく建てるよりはかなり節約になる、これは常識的なことであります。なお、先ほど代々木だけを例にとつたようにお考えでありますが、家族の集団宿舎というのは全国的にあるのでありまして、家族だけの集団宿舎におきましては、今までどこでも風紀問題等がむずかしくなつた例はないと私は信じております。
○山花委員 大臣は、今もし不正確な金額を示して間違いがあつてはいけないと、こういうことを言われましたが、伝えられるところによりますと、千億とか十五億とか、あるいは二十億というようなことがいわれておるのでありまして、七百世帯を収容するのに、付近の道の整備なんかと関連いたしましても、非常に厖大な費用がこれにかけられると思うのでございますけれども、どういう階級、どういう種類の人をお入れになるのか知りませんが、伝えられる費用によりますと、日本の観念から申し上げますと、まるで宮殿のようなものを建てるのではないかというふうに考えられるのであります。工場の建物を利用してやることが、費用の節約という意味で極度に費用を切り詰めてやられるような御説明でございますが、もし伝えられるような費用でございましたならば、相当整備した住宅を新しく建てられても、その程度の費用で十分まかない得るのではなかろうかと思うのでありますが、私は大臣はおわかりになつておると思うのですが、いかがなものでしようか。
○岡崎国務大臣 今突然の御質問でありましたものですから、正確な数字を私はそらで覚えておるわけではないですが、これははつきり記憶で申しますと、とにかく新しくつくる場合よりは、もちろん相当額の節約になるのであります。それを考えて中島の跡にすることにいたしたいと考えたわけであります。ぜひそれを使いたいために、相当の不便があつたのでありますが、独身者は入れないということまで向うと話をいたしまして、そういうことにいたしたので、かなりの節約になることは間違いないと考えております。
○山花委員 今何か金額を明示されるようにちよつと冒頭考えたのですが、その明示がなかつたのですが、ただ節約々々ということでは水かけ論になると思いますから、その点はまたあとで金額が明瞭になりましたならば、重ねて質問したいと思いますが、地元民の心配しておりますことは、一旦あそこへ居つくと、なかなか帰らないだろう、外務当局としては、大体どのくらいの見当をつけておられるのかどうか、おわかりになりますれば……。
○岡崎国務大臣 それはかなりの費用を投ずるのでありますから、それがすぐ役に立たないようなつもりではおりません。しかしながら、まだいつまでそこにいるかということは、何も話をいたしておりません。ある程度の期間はむしろいてもらわなければ、せつかくの改造もむだになる。つまり金をむだに使うということになるのであります。相当期間はいることになろうと考えております。先のことはまだわかりません。
○山花委員 従来この種の問題は、占領支配下のときには、俗にいういやおうなしというような、アメリカ側の要請に従わなければならぬという立場に立つていたと思うのでありますが、今度この宿舎の建設にあたつて、土地の選定その他等々については、一体どういう関係になつておりますか。これはアメリカ軍側の要請に基いて敷地をこういうところに選定されたのかどうか。私どもは、独立をしたあかつきには、そういうことはないと思うのでありますが、個々の建設敷地の点に関して、日本の自主的な選定ができると思いますが、この点はどういうようになつておりますか、お尋ねいたします。
○岡崎国務大臣 アメリカ側は日米安保条約によりまして、日本防衛の責任を負つておるわけであります。従いまして、こういう問題も合同委員会で決定するわけでありますが、アメリカ側の大体の希望は、たとえばある飛行場がある、それに勤務する人間であるならば、それから何マイルの円を描いた中に適当な場所を選定してもらいたい、人数はこのくらい、こういうような要求があるわけであります。そこでその中で、できるだけアメリカ側の要望に沿うようにわれわれの方で選定するわけであります。もちろん何マイルといいましても、所によつては、それをはみ出る場合もありますが、道路の関係その他を見まして、適当にこちらで選定して、大体それできまつて行くわけであります。
○山花委員 今度のこの七百世帯の勤務地は、おもにどこが中心になつておるのでしようか。
○岡崎国務大臣 勤務地は主として立川及び府中であります。
○山花委員 私は三多摩の住人でございますから、三多摩の地域はよくわかつておるのでありますが、勤務地が立川、府中ということになりますと、武蔵野市は地理的には非常に不便な土地になつておるのであります。ただ政府のお話を聞いておりますと、あそこに中島飛行機工場の跡があるということだけが、武蔵野市を選定した一つの理由になつておるようにうかがわれるのであります。もう少し便利のいい、言いかえればアメリカの軍人諸君がお住まいになるのに、非常に便利的な土地が他に求めれば私は求められると思うのであります。しかもこの地域におきましては、全部といつてもいいほど反対をしておるのであります。一部の特殊利益を得る人は別でございますけれども、善良なる市民、町民すべてが反対をしておる。この反対を押し切つて武蔵野市に建設をしなければならぬという理由は、私は常識的には考えられないと思います。土地の選定がアメリカ側から特に要請されて選定しなければならぬ立場にないとしたならば、日本政府としては考えるべき性質のものではないかと考えるのでありますが、その点はどうお考えになつておるか、いま一度お答えを願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 施設等をつくります場合には、われわれの方の第一の条件は、民有地をとらない、民有の施設をとらない、でき得る限り国有の土地なり施設をもつて充てる、こういうことにいたしております。そこでそういう標準から見まして、しかも現在立川、府中等に勤務しております人たちは、あそこよりももつと遠い所から通つておるのがかなり多くの部分でありますので、大分近くなりますのと、道路の便もありますし、そうして国有の施設を使い、かつ既存の施設を使いますから、新しく建てるよりは相当額節約になる、こういうようないろいろの観点から、ここに定めたような次第であります。
○山花委員 勤務に対する便利ということ、特に私有地を押えないということを考えて参りましても、府中の付近には厖大な飛行場の跡が今日残つておると思うのであります。この辺は人家も稠密しておりませんから、風紀問題等々につきましても、そう大きな心配は私はないと思います。それから費用の点につきましても、中島飛行機工場を何も米軍宿舎だけに利用しなければならぬという理由は私はないと思います。他にいろいろ利用する範囲は相当大きいのではないかと思うのであります。これらはお互いに見解の相違、意見の違いということになりますが、最後に一つ申し上げたいことは、もし日本側の自由なる意思によつて建設地をきめることができますならば、住民の意向を尊重して、他に適当な場所にきめていただきたい、またそうすることが、ややもすれば最近の国民感情は、反米感情が相当つのつておると思う。それに何か拍車をかけるような形を、日本側の外務当局の意向によつて、かもし出されて来ておるような政策の貧困を、私どもは考えざるを得ぬのであります。こういうような点は、われわれは日米両国間お互いに親善関係を持続させて行きたいということを念願しておりますがゆえに、ただいまのようなことを申し上げておるのであります。要はこれらの住民の意向を十分そんたくをしていただいて、ひとついま一度御検討を願いたい。相当厖大な費用をかけるということを聞いておりますので、それらの費用で私は新設はできると思うのです。王殿のような、宮殿のようなものをつくるなら別でございますけれども、かりに米軍の佐官級、将官級の人々のお住居を提供するにしても、伝えられるところの費用では、私はりつぱなものができると考えておるのであります。ひとつそういうふうに御尽力願うということをお願いいたしまして、他の同僚議員の方からも、この問題に関する質疑があるそうでありますから、私の質問はこれで終えたいと思います。
○栗山委員長 お諮りをいたしますが、並木芳雄君から緊急質問の申出がございます。案件は昨日渋谷に起つた米濠兵の不正規活動についてでございます。これを許します。並木君。
○並木委員 簡単に外務当局にお尋ねします。きのうまた渋谷に外国兵の事件が起つたということを新聞で拝見しまして、実に困つたことだと思うのです。きのうのはどういう事件であつたか、新聞の報道では米濠兵というふうに書いてありましたが、しかもそのうちのアメリカの兵隊はすぐ先方に引渡されて、向うの裁判に服するように報道されておつたのですが、私ども政府から今まで聞いておつたところは、同じアメリカ人でも、日本に駐留するアメリカ兵つまり日米安全保障条約に基く、その任務につくアメリカ兵と、国連軍としてのアメリカ兵と、二つにわけることができると承知しておりました。しかしきのうあたりの様子では、もうアメリカの兵隊ならばただちに向うへ引渡されて、向うの裁判管轄権に服するようにとれるのであります。それでは今までの政府の説明が違つて参りますので、こういう点についての取扱いは、実際問題としてどういうふうになつているのか、それとともに先般来問題になつておりました英濠兵の例の問題、あれはどういうふうに処置されておるか、この二つを質問してみたいと思います。
○岡崎国務大臣 私もけさ新聞で見まして、問い合せておりますが、まだ報告を受けておりません。今ここで紙をもらいましたところでは、濠州兵はいなくてアメリカ兵だけだそうであります。これは警視庁の報告だそうであります。これは正式な報告ではありませんから、はつきりとわかりませんが、新聞によれば、実際上の犯罪は大したことでないので、引渡したというふうにも見ておりますが、これはいずれ警察なりその方の係で、米駐留軍の将兵であるということを認めたから引渡したのだろうと考えております。まだしかし報告を受けておりませんから、これは後のことにしていただきたいと思います。 それからその前の問題につきましては、今双方でお互いに相手のつかまえている方を調べたりして、いろいろ調査を進めているようであります。そのうちに何らかの解決に到達するものと了解しますが、まだ別に結論には達していないようであります。
○並木委員 駐留軍の米兵である、国際連合兵である、その二つを区別して扱うについて、外務省としてはどういうような周知徹底をされておりますか。
○岡崎国務大臣 要するに行政協定につきましては、駐留軍に属する軍人、軍属、家族、こういうことになつておりますから、むろん駐留軍に属するものであるかどうかということは当然調べるわけであります。
○栗山委員長 帆足計君から緊急質問の申出があります。一、二分で済むということでありますし、関連事項ということでありますから、これを許します。帆足計君。
○帆足委員 先ほど山花委員からも申し上げたのですが、私も武蔵野市の住民の一人で、この委員会におられます並木君も、それから栗山委員長もこれらの事情はよく存じておるのですが、問題はやはりあそこの土地柄が、文教的な住宅地であるということにあるわけです。従いまして住民の反対は非常に強固でありまして、決して今日の事態では納得いたしておりません。私はやはり先ほど外務大臣が言われましたように、反対を押し切つておやりになれば、住宅街というものはその感情があとを引くということになりますから、双方にとつて好ましからぬことであると思います。従いましてこの際政府当局におきましては、もう少し他の替地の問題も御研究になつたらいかがかと思うのですが、実はそれにつきまして替地の希望のある地元も、あちらこちらには場所柄としてあるわけでございます。従いまして私どもは、第一にはもう少し御研究願いたい、第二にはわれわれ住民が納得しないでも、なおかつ強行なさるおつもりであるか、この二つをちよつとお尋ねしたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは中島の跡を選定する前にいろいろ調べたのであります。もう実にそれこそ足をすりこぎのようにして調べたのであります。しかし、民有地を使わないということ、それからできるだけ既設のものを利用して費用を節約するということ、これらのことから結局中島以外にないということになりまして、そこで地元の反対もありますので、家族だけということに特に限定しまして、独身者は置かない。私はこの地元によくお話して了解を得れば、家族だけというのならば、これは了解を得るものと信じております。もしわれわれの努力が足りなければ、さらに十分努力をいたして、できるだけ地元の考え方もいれ、地元からも歓迎されるようにして寄宿舎をつくりたい、こう考えております。この点についてはまた御注意があれば十分伺いまして、できるだけの努力をいたしたいと思います。
○帆足委員 この問題につきましては、地元の団体並びに市会などにおきまして、もう少し具体的意見もありますようですから、ぜひひとつこれをお聞き願います。 それから今のアパートに利用いたします分は、国内でも非常に今アパートが不足して困つておりますから、政府の予算から行きますれば、日本国内向きの方におまわし願つて、さらに摩擦のない場所が選定できたならば、やはりわれわれはそちらの方に行くことを期待しておるわけですから、もう少し地元の皆さんの意見も聞いていただきたいと思います。
○栗山委員長 食事の時間を五十一分ほど過ぎております。次会は理事会の協議の結果、公報をもつてお知らせいたすことにいたします。本日はこれにて散会をいたします。 午後零時五十一分散会