海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第8号
- 発言数
- 27 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/03/02
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きま正す。 本日は、中共地区残留同胞引揚に関する件について議事を進めます。中共地区残留同胞引揚げ問題につきましては、北京における代表団の打合せ会議もすでに終り、その交渉の具体的事項は漸次連絡されておりますので、これに対する政府当局の処置について関係当局より説明を聴取いたすことにいたします。関係当局者の説明を求めます。木村援護庁長官。
○木村(忠)政府委員 引揚げ代表団が先般参りましてから、大体現在のところ交渉すべき主要な事項の交渉はその妥結を終つたように先方から電報が参つております。 〔委員長退席、中山(マ)委員長代理着席〕 なお、細目につきまして、当方といたしましてきめておかなければならないと考えられる事項につきましては、代表団の方に打電をいたしまして、こまかいことでございまするけれども、これについての打合せをしてもらうように依頼してございました。これに対しまする返電はまだ参つていないのでございます。 大体の経過を申し上げますると、引揚げ代表団から現在までに確か十八報まで電報が参つております。その中で、主要でありますものは第五報以降のものでございます。それまでにつきましては、ただ会議の事務的なことといたしまして、先方の代表団の選定があつたこと、それから予備的な会談が始まつたことというような電報でありまして、第五報以降におきまして初めて問題が明らかに提起されたのであります。 第五報におきましては、日本へ帰りまする問題は、先方としては、これはいわゆる引揚げのためではない、在華日本人の帰国を援助するものである、日本で引揚げという言葉を使つているのは適当でないから、自分の方では帰国という言葉を使いたいと思うというようなことでございます。それから、乗船地が天津、秦皇島及び上海、そうして三千ないし五千が一時に帰国をする、第一回の帰国船が三月中に向うを出港する、それから、帰国者が持つて帰るものは輸出禁制品以外は制限しない、帰国者で経済的に困難する者については中国紅十字会は乗船地までの旅費問題について帰国者を援助する、というのがございます。 さらに、第六報といたしまして二月十七日に日本代表団から参りましたものでは、この三つの港のうちで二つの港に対して高砂丸、興安丸で三千人を輸送するように向うと交渉したい、従つてこの二つの船が中国にいつ来るかを代表団に連絡してもらいたいというのでございます。これは代表団の意向でありまして、先方との連絡の結果先方の意見によつて出したものではないようでございます。そういたしまして、これに対しましては、日本政府側からは、代表団の事務所を通じまして、高砂丸が三月十五日、興安丸が三月十九日舞鶴を出ることができる、それから白龍丸は三月十五日に舞鶴を出港することができる、港は三つでもさしつかえない、なお港別送還人員を決定次第知らせてほしいということを向うへ言つてやつたわけであります。 二月二十一日になりまして、二十日に開かれました第二回公式会談の結果といたしまして、先方からの希望と申しますか、意見を申して来たのであります。これによりますと、第一が、中国と日本政府との間には今なお戦争状態が続いているから、日本政府の公務員が日本船舶に乗船して中国の港に入ることはまつたく問題にならないということ、それから、日赤、日中、平和三団体はその代表を帰国する日本人の世話をするために乗船させることができる、その他の者は一切乗船は許されない、それから、中国紅十字会におきましては日本人の全帰国者に対して現住所から乗船地までの食糧、宿泊、旅費及び五十キロ以下の所持品携行に必要なる費用を支払うことにする、五十キロを越えるものについては本人がその経費を負担すべきである、ということがきまつたということを言つて参りました。 続いて第八報といたしまして、同じく二十一日にこちらに参りました電報によりますと、高砂丸は上海へ、興安丸は秦皇島へ、白龍丸を塘沽を含む天津に、それぞれ高砂丸は千五百人ないし二千人、興安丸は二千人、白龍丸は五百人乗せるような準備でもつて三月十五日から二十日の間に到着することを要請する、そのほかになお天津からは千人同時に乗せるだけの集結計画があるから、その他の船も出して、できるだけこれに間に合せるようにしてもらいたいということ、それからもう一つは、天津に参りまする船の吃水についての制限があるというようなことが参つております。 さらに、二十二日に第十報が参りました。これでは、大体船が向うに入ります場合のあらゆる制限、その他これについて守るべき事項などにつきまして、十六項目にわたつて詳細の電報をよこしておるのであります。 さらに、十一報といたしましては、これは別に大したことは入つておりません。 第十二報といたしまして、四月以降の配船計画といたしまして、第二回目が四月十日ころ、それから、上海の方はだんだん集結が減る、秦皇島、天津の集結は増加する、それから、集結いたしました場合にこちらの船がどのくらい中国の港に滞在するかということについては、できるだけ短い期間にするように中国側は協力する、それから中国官憲から日本人名簿を受領する責任者は各船舶の船長であることを了解した、それから、中国側は船が適当の間隔を保つて舞鶴に到着できるように協力する、中国の港における日本船に関する特別規則第一条に関しては日中双方同意した配船計画に基いて実施する国内手続規則にすぎないことを了解した、こういう電報が参りました。 大体こういうことで、引揚げ関係の先方との関係は一応全体が明らかになりました。従来、政府といたしましては、政府の責任者を船に乗せて先方に派遣いたしまして、こちらに帰つて参りまする人を受取つて、世話をしてこちらへ帰る、なお船内におきまして一定の業務をいたしまして、これによつて引揚げ港におきます事務を簡素化いたしまして、できるだけ短い期間で、引揚げて参りました方々が故郷へ帰られるようにいたしたい、かように考えまして、諸般の準備をすすめまして、予算等もそういうふうにいたしたのでありまするが、先方の非常に強い意向をもちまして、日本政府の職員が中国港に日本船舶に乗つて入ることは許さないという明らかな意思表示がございましたので、これに対しましていろいろ検討いたしました結果、中国側におきましてそういう意向がありまする場合に、これをどうしても乗せなければならぬと言うほどの問題でもないというふうに考えまするし、やり方によりましては、これを乗せないで十分にできるであろうというふうに結論が得られましたので、当方といたしましては、日本政府の職員が乗らないで、船だけを向うに出すということにいたしまして、先般、従来の引揚げに関する閣議決定の変更をいたし、乗船者名簿は船長が受取る、船内における業務につきましては、給食等の世話については船にこれを一任する、なお船内の業務は、上陸に際して必要なる最小限度にとどめる、しかして引揚港におきまするこれらの連絡について遺憾のないように、引揚港の方の準備をするということにいたしまして、閣議決定の変更をいたしたわけでございます。 大体以上のようにいたしまして、船の派遣につきましては、その後派遣を急ぐようにいたし、高砂丸を三月十四日に舞鶴を出させる、それから興安丸を、これは舞鶴に回航して出させるはずでありましたものを、宇品から直接向うに出すことにいたしまして、その結果三月十四日に興安丸は宇品から出港させる、白龍丸は、これは同じく舞鶴に回航する予定でございましたけれども、これも神戸から先方に出す、それから、白山丸を新たに契約いたしまして、これを三月十五日に横浜から出港させる、そうして、これらのいろいろな準備の積込み等につきましては、すべて舞鶴でやるようになつておつたのでありますけれども、これを手配をかえまして、それぞれの港に物資を送り、そこで乗せて行かせるようにいたしたのであります。これによりまして、大体先方の指定いたしまする二十日までに、これらの船が全部先方に到着するようになつておるのでございます。特別の事故等の起りました場合は別でございますけれども、現在のところ、船は先方の要求通り着くようになつております。なお、こちらといたしましては、舞鶴に着いた場合の混雑を防ぎまするために、先方からも申出がございまして、舞鶴に着く船は適当な間隔をとるようにいたしたいというふうに申して参つておりまするので、これに応じまして、少くとも興安と高砂との二船は二日間以上の間隔をあけていただければ非常に仕合せであるというような連絡をいたしました。こういたしますと、一時に入る者が、一番多い場合におきましても三千名ということになりますので、仕事をいたす上においては非常に都合がよろしいわけであります。援護局の方は、幸いにいたしまして設備が解放された関係がございまするので、現在相当多数の者、五千名以上の者もこれを収容することができるようになつておりまするけれども、鉄道の輸送関係が、一度に五千人ということになりますると相当困難があろうかと思いますので、大体そういうことでもつて向うと連絡をいたすようにいたしておるのでございます。 大体以上のような経過をもちまして、政府としては船会社と協議いたし、船舶に全部の仕事を一任いたしまして、一般乗客と同じようなぐあいにこれを乗せて帰つてもらうようにいたしておるのであります。 これに伴いまして、従来四千人の予定をもつて予算を組んでおりまするので、予算がどうしてもこれでは不足いたします。それから、今回は第一回の帰国でございますので、その中でどの程度資金を持つておる者がおるかということがわかりません。それで、これらに対しましても十分なる帰還手当が出せるようにいたさなければならぬ、かように考えますので、この帰還手当の準備、また船内における食糧等につきましても、政府の責任で船内で行います場合におきましては、現在の予算をもちましてもやる方法があるのでございますけれども、船舶にこれを委託するといたしますれば、これは不足でございますので、これの増額をしなければならぬ。それらの点につきまして、現在財政当局と予算を折衝中でございます。近く決定されるものと考えております。
○中山(マ)委員長代理 これより通告順に質疑を許します。武部委員。
○武部委員 引揚げもいよいよ近づきまして、政府としては受入れ態勢に万全の準備をしていただきたいと存ずるのでありますが、私は、そのうちで特に帰還邦人の就職の問題についてお尋ねしたいと存ずるのであります。 この点につきましては、さきの委員会におきまして、関連質問といたしまして、日本政府の職員であつた者、並びに政府の機関と申しますか、たとえば鉄道あるいは電気通信、専売等でありますが、これらの職員たちの復職につきましては、政府は民間に対しまして就職の便宜を与えろと言つておられます手前、政府みずからがやるべきではないかということを御質問したのであります。これに対し、具体的のことにつきましては関係官庁と相談し、また研究の上答えるということであつたのでありますが、本日はその点についてお答えをしていただきたいと存じます。 去る二月十二日の毎日新聞に、「中共引揚者に復職の朗報」という記事が出ておりました。これを読んでみますと、私ども、これは必ずしも朗報ではないと考えるのであります。要約して申し上げますと、援護庁の方のお答えでは「未帰還の政府職員については軍人だろうと軍属だろうと現在も留守家族に俸給が渡されているから当然復職ができる。」—この点はけつこうなのでありますが、「外地の学校、官庁、公館あるいは領事館、警察などに務めていたものは帰国後一ケ月以内に申出れば継続して勤務で送るが、この場合、受入官庁に欠員がなければはねられることもある。」こう書いてある。欠員がなければ、たとい復職を申し出てもだめであるということになつております。また鉄道関係のお答えによりますと、「国鉄を退職して外地鉄道に入つた人で、まだ帰還していない人は籍がないので問題はあるが、これらの人たちにもなんとか救済の道を講じたいとすら考えている。」こうなつておりまして、これによりますと、現在留守家族が俸給をもらつている者だけは一応復職ができるが、その他の者につきましては、あるいは欠員があつた場合、とにかく救済の道を講じたいと考えておるという程度で、はなはだあいまいなのでありまして、多くのこれらの関係の引揚者にとつては決して朗報でないと私は考えるのであります。従いまして、私のお尋ねいたしたいのは、第一には、政府の職員であつて外地に勤務して、そのまま向うにとどめられておつた者は、帰つた場合に、欠員の有無にかかわらず当然復職させるのが至当ではないか、こう考えるのでありますが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思うのであります。 第二点は、官吏、公吏等、政府の職員ではあつたけれども、戦争の際に、その必要のために半ば強制的に満洲国なり中国へ転勤を命ぜられ、政府の籍を抜いて満洲国の官吏となり、あるいは中国政府の嘱託とか、そうした職員になつた者がたくさんあるのでありますが、それらの人が帰つた場合に、元の政府の各官庁に復職させるかどうかということであります。 それから第三点は、大体同じでありますが、当時の運輸省といいますか、通信省といいますか、国鉄とか電気通信でございますが、そうしたところの技術者で、向うの満鉄なりあるいは華中、華北の鉄道会社、あるいは満洲なり中国の電電公社に転勤させられた者が帰つた場合に、現在日本にあります国有鉄道あるいはこちらの電電公社等に復職させるかどうかという点であります。 さらに、これは数は少いかもしれませんが、初めから外地におりまして、電報等の電気通信に従事した者、あるいはタバコ製造といつたような職業に従事した者は、内地へ帰りましても、これはいずれも、政府の機関であるところの電電公社なりあるいは専売公社以外には使い道がないのでありますが、これらの人々に対しても復職の便宜を与えられるかどうか。 以上四点についてのお答えをお願いしたいと思います。
○木村(忠)政府委員 この問題につきましては、先般来皆様方の御意見もございましたし、また帰られます方々の御事情心ございますので、引揚援護庁といたしましては、何らかの措置を講じていただくようにいたしたいというふうに考えまして、関係の方面とはいろいろと折衝いたしておるのでございますけれども、現在までのところ、一般的な、原則的な結論にはまだ達しておりません。現在のところによりますと、先ほどのお話とはちよつと違うのでございますが、これは新聞の方でどろいうところからとられたのか、よく存じませんが、一箇月間はその職があるわけでございます。一箇月たちますと、現在の規定によりますれば、自然に退職するという形になつております。つまり、帰りまして一箇月間はその職にありますけれども、一箇月で自然退職の形になるということに相なつております。そこで、それを引続きどうするかということにつきましては、すべてそれぞれの行政機関の長の裁量によつてやることに相なつておりまして、この裁量によりまして、できるだけ、何と申しますか、あたたかい措置を講じてもらうようにいたしていただきたいことをわれわれとしては希望しておるのでありますけれども、これは、それぞれの具体的な場合によつて定まることでございまして、現在までに一般的にどうするという原則はきまつておらないのでございます。これらにつきましては、いろいろ問題があるのでございまして、長い間期間がたつておりまするし、その当時と同じような地位にありました人が、どの程度の地位まで上つているか、それとの均衡の問題とか、七、八年もたちますと、相当のところに大体が昇進しておるわけでありますので、そういう場所がちようどあいているかどうかというような問題もございますし、いろいろそういう問題がございます。また、現在の公務員法の問題、あるいは人事院規則の問題というようなこともあるようでございます。これらの点につきましては、人事院におきまして御研究願うようにお願いしております。それからなお、現在では、一般的には、行政整理の関係上、欠員は一切補充しないという原則を行政管理庁におきましてきめまして、その方針をとつているようでございます。これらにつきましても、この点についてはこれを緩和する措置を講じてもらわなければならぬのじやないかというふうに考えております。 そういうふうなことで、はなはだ要領を得ないのでありますが、これは、われわれの方では、上から命令を出しましてこうせい、ああせいというようにすることができないものでございますから、現在そういうふうに努力をいたしているということで、引揚援護庁としてはごかんべんを願いたいと思います。
○武部委員 今のお答えは、私としては、はなはだ満足できないのでありまして、もう月末近くに五千人、六千人の人が帰つて来るのに、いまだに折衝しているとか、あるいはお願いしているという程度では、はなはだ心もとないのでありまして、この点につきまして、官房副長官も出ておられますので、内閣としての強い意思を御発表願いたいと存じます。 なお続きまして、ただいまの、政府の職員が復職した場合、一箇月は当然復職できるが、それから先はポストの関係とかその他で相当むずかしい点もあるというお話でありますが、あるいは年齢の関係とかポストの関係等でそういう不幸な目にあう人もあるかもしれません。これは私も認めざるを得ないのでありますが、その一箇月後に退職させる場合に、退職金はどういうふうにやられますか。私は、この場合の退職金というものは、さきの行政整理のときにやりましたのは八割増しですが、この退職金の歩合は行政整理と同様によくしなければならないと考えるのでありますが、この点についてのお考えもお伺いしたいのであります。
○菅野政府委員 お答え申し上げます。 先ほどの御質問の第一のグループに属します、つまり政府部内あるいは政府機関に籍がありまして、外地に行つておりまして、今度帰還される方々につきましては、引揚援護庁の方からお答え申し上げた通り、当然復職するようなかつこうになるのでございます。ただ、その期間につきましては、その間に本格的な採用にするとか、あるいは年齢その他の関係でもつて採用するとかいうことをきめる期間をきめてあるのでありまして、政府といたしましては、できるだけそういう人たちのために本採用といいますか、ずつと長く採用されるように努めるということは当然のことでありまして、そういうふうな気持で考えて行きたいと存じます。 第二、第三のグループ、つまり政府部内あるいは政府機関に元おりました者が、外地の機関に転勤して参りまして、今回引揚げられる方々につきましては、第一のように当然ということはございませんが、何しろ元は机を並べて一緒に仕事をしておつたのでございまして、その間の転勤の事情等につきましても、先ほど武部委員からお話のあつたように、必ずしも本人の自発的の意思でないものがあつたかもしれません。そういうような事情もありますので、こういう人たちにつきましては、できるだけ再びこちらの方でもつて採用して仕事をしていただけるように努めたいと考えております。 一般邦人の問題につきましては、政府といたしましては、職業安定所機関を督励しまして、できるだけ早く再就職ができますように努力するつもりでございます。今回待望の中共地区からの引揚げができますことにつきましては、国民があげてこれを喜んでおるところでございまして、おそらく国民全般の同情といいますか、気持が、そういう人たちに対して、政府が予期している以上に同情の手が伸ばされまして、再就職等についてよい結果を得るのではないかということを期待しております。また政府も、せいぜいその点につきましては努力をして行きたいと考えておる次第でございます。 なお、退職手当の問題でございますが、現在の退職手当の法律は三月三十一日をもつて期限が切れまするので、別に政府は、当分の間この効力を存続し、なお内容につきましても多少の変更を加えて、改正案を提案する予定でございます。定員法による整理という点につきまして多少の疑義があると思いまするが、いずれにしましても、定員のために採用することができないという事情がありまするならば、これは当然八割増の退職手当が行くべきであるというふうに考えておる次第でございます。
○中山(マ)委員長代理 委員長としてでなく、一委員として官房副長官にお願いいたしておきます。民間のいろいろな会社あるいはそのほかのところに、—これは関連でございまするが、いろいろとこれから帰つてきた人たちの採用をお勧めになることと思います。私は政府与党ではございまするが、まず政府がこの範を示さなければならぬ。過去の自分のところに使つておつた人たちをただ一箇月—一箇月ということは、帰つて来て、もうあたふたとしておりますると、じきに立つてしまうということを私は心配いたすのでありまするが、民間人に頼む前に、官庁、内閣が率先してその範をお示しくださいまするような御指導をお願いいたしておきます。
○武部委員 ただいまの官房副長官のお話、わかりましたが、援護庁長官にお伺いいたしたいのです。 ただいまの一箇月復職でありますが、ただいま委員長代理のお話のように上陸、ごたごたのときは、うつかりすることがあるのであります。従いまして、舞鶴におきまして、援護庁の方から、はつきりと、元政府にいた者は一箇月間復職できるのだということを周知できるような方法をとつていただきたいと思います。と同時に、以前政府関係の機関にいた者は、その復職については、いわばその親元の機関が十分に懇切丁寧に復職の世話をするのだということを周知徹底させるとともに、各政府の機関から人事係の者が必ず舞鶴に行くというふうにしていただきたいと思います。
○中山(マ)委員長代理 それでは、外務省からお越しをいただいておりまするので、柳田委員。
○柳田委員 二十四日の代表団からの十三号公電によりますと、特に国際結婚した妻や子の引揚げに関して、中共側の意向が明らかになつておるのでございます。すなわち、中国人の夫と結婚した日本人の妻は、希望するならば日本に帰つてもさしつかえない、日本人の夫と結婚した中国人の妻は、日本へ行きたくなければ中国にとどまつてもさしつかえない、これらの夫婦の子供たちで十六才以上の者は、自分の意思で日本に帰り、あるいは中国にとどまることが決定できる、十六才未満の子供たちは、そのいずれかは両親が相談してきめる、こういうように中共側の態度をきめております。これはまさに、法三章の精神にのつとつたところの、いわゆる社会常識で判断しておるのでありまして、私は中国側の意図を非常に了とするものであります。しかるところ、新聞によりますと、翌日の二十五日に、入国管理局の平野入国審査課長の一行が舞鶴に参りまして、平野入国審査課長は次のように語つておるのであります。「在華同胞中には日本人でありながら本人の知らぬ間に日本国籍を失つていたものや、」云々とあるのですが、そういう者は「気の毒ながら舞鶴まで来ても次の帰国船で送還する方針である」というふうに語つておられるのであります。これはまさしく中国側の意図に反するものでありまして、本人が自分の意思によりまして国籍を離脱したものならばあえて問いませんが、本人の知らぬ間に国籍を離脱されておる。—おそらくこれは中国人の妻になつている人たちが多いと思うのでありますが、そういう人がみずからの意思によつて内地に帰つて来て、なつかしの故郷の山を見たその目の前で入国を拒絶されまして、次の船でまたあちらに送り返されるということは、これは何といいますか、まつたく法律、規則に縛られたお役人根性であります。中国では、かつて日本が中国に進駐いたしましたときに、こういう言葉を使つておるのであります。中国には昔から共匪、土匪という言葉がありますが、日本人のことを法匪と言つておる。何でもかんでも七めんどくさい法律でしばる日本人のことを、東洋鬼は法匪であると言つておるのであります。まさしくこれも法匪のうちに入ると私は思うのでありますが、これに関する外務省の御見解を承りたいのであります。
○浅田説明員 ただいま御質問になりました、すでに日本の国籍を失つた者に対しては、これの入国を認めないというような新聞報道がございました。ところが、すでに日本政府といたしましては、今回の中共地域からの引揚者に対して、引揚げ該当者として受入れる範囲をきめております。それによりますと、日本国民はもちろんのこと、元日本国籍を有しておりまして、すでに中国籍を取得しておられ、日本国籍を失われた方でありましても、元日本国籍を持つておられた方については、これを引揚該当者といたしまして、受入れることといたしております。それに相違ございません。従つて、平野入国審査課長が舞鶴において言明されたことは、元日本国籍を有したという人々のことについてではなくして、明らかに外国人である人がもし引揚者の中にまじつて帰つて参つたときには、その人については、これは外国人として、引受けるわけには行かないということを申したものと考えております。
○柳田委員 きようは外務省の責任者がお越しになつておりませんので、私その点は留保いたしておきたいと思いますが、もう一度読んでみます。「在華同胞中には日本人でありながら本人の知らぬ間に日本国籍を失つていたものや、日本人を装つた外国人のあつた例もあり、今回もこれらの人々には、気の毒ながら舞鶴まで来ても次の帰国船で送還する方針である」、かように言つておりまするから、ただいまのお言葉とは大分違う。従つて、こういうふうに、日本人でありながら本人の知らぬ間に日本の国籍を失つた、—本人の意思でないそういう者までも帰すというふうに言つておられるのであります。従つて、これを私は日本政府、内閣の責任ある方々からひとつ御見解を承りたいのでありますが、その答弁はしばらく待つておりますから、至急にお呼び願うよう、委員長の方でしかるべく適当に御処置を願います。
○中山(マ)委員長代理 ほかに御質問ございませんか。
○柳田委員 ありません。
○中山(マ)委員長代理 それでは、しばらく保留いたしまして、またあとで……。大臣官房審議室の中村政府委員においでになるように申込んであるのですけれども、まだお見えになつておりません。 それでは帆足委員。
○帆足委員 これは、先般外務当局に要求したのですけれども、例の一時帰国を依然としてお認めにならないというような風評を承つたのですが、はたしてそうでありましようか。そこで、一体外務省当局は、中国に将来一人も日本人がいなくなることを希望しておられるのかどうか。移民促進の決議案というのが前国会で満場一致で通過したことは、よもや外務省当局は忘れておらないと思います。そうすると、中国におつて、そして適切な職業を得てまじめに働いておる人たちは、一種の移民の役割も務めておると私どもは考えておりますが、そういうような解釈にはなつていないのでありましようかどうか。ちよつとお答え願いたいと思います。
○浅田説明員 中国におります日本人の帰国につきましては、帰国の希望者について今回中共側が帰すということを申したわけでありまして、必ずしも全部が帰つて来るとは限らないと思います。また、移民じやないかという御質問に対しましては、こちらから渡航するということが、現段階におきましては、通常の国際関係で申されるような移民という形で交渉することができませんので、これを移民として認めるというようなことは考えられないと思います。
○帆足委員 私がお尋ねしたのは、こちらから新たに行くということではなくして、向うに残つて正当な職業に従事して、そして日本に仕送りの送金もしておるような人を移民の一種と考えないのかどうか、こうお尋ねしたわけです。そういう者は全部連れもどすことを希望しておられるのか、それとも、向うでいい職があるからそのままいたいというような人は、残つていてもいいようにお考えになつておるのか、こういうことです。
○浅田説明員 その点につきましては、今回の引揚げが行われまして、その後なお残留される人がありましたなれば、その人々についてどのように考えるか、その残留者をどのように見るかという問題だと思いますが……。
○帆足委員 現在どう考えるかというわけです。引揚げて、あとに残つた人を新たに考えるというのではなしに、現在すでに向うに残る人が予想せられておるわけですが、それに対してどう考えるかというわけです。そういう人たちは、俊寛と同じように、帰れる機会が来たのに帰らないようなふらちな人は見捨ててしまうというお考えなのか。国交関係は今不幸にして一時的にない。しかし、イギリスやその他の十数箇国とは国交関係を持つているわけです。そういう中間の段階になつておるときに、そういう人たちを俊寛のようにして見捨ててしまうのか、それとも、善良な国民として、始終心にかけるつもりか、それをお伺いしたいと思つております。
○浅田説明員 政府といたしましては、在外同胞の保護のためにはあらゆる努力をすることは申すまでもありません。ただ、現在においては、留守家族の希望、本人の希望その他を考えまして、終戦以来現地にとどまつて帰ることができなかつた人たちをできるだけ早く帰すように努力する、これが現在考えており、しかも今回打合せ代表団を派遣し、問題になつたところだと思いますが……。
○帆足委員 外務省当局の責任の方がお見えになつておりませんので、これ以上御質問申し上げるのもいかがと思いますし、他の同僚議員の方の御質問もあることですから、私は簡単にして、後ほどあらためて御質問いたしますが、しかし、お答えになる以上は、顧みて他を言うようなことはおつしやらない方がいいと思います。今私が聞いたのは、そういう人たちが向うに残ることを政府としては移民として認めるか、それとも、全部連れもどしたいのだが、帰らなかつた者は俊寛のように考えておるのかということを言うたのであります。同時に、俊寛のように考えていないのなら、親が危篤だとか、お葬式があるとか、お産に帰りたいというようなときには、一時帰国を認めてやつてもいいじやないか、中共側はそれを認めておるのに、日本の方はそれを認めないということは—こちらから花嫁を送ることは人道上の問題として認める、こう政府は言うのです。花嫁を送れば、その花嫁のお父さんが病気で危篤だから、ちよつと一箇月帰してくれという場合、親の死目に合せるのが人道ですよ。自分に都合のよい人道であるとか、仮定の問題には答えられぬとか、いろいろなつまらぬことばかり言つて、論理が合つていないと思うのです。私は、論理学というものはこういうことのためにあるのだと思う。語る人と問う人との間に論理が通つて、疏通してこそ、人類という名前で呼び得る。その論理が通わないのは人類の外になつて来るわけであります。だから、法匪にならないように、ひとつ正確なお答えを願いたい。ただいまは事務官の方ですから、どうなつておるかということだけを一言答えていただき、そうして、非常な人道的な質問があつたから、外務当局はしつかりしなければだめだということを、あとで連絡していただいて、首脳部が来てから、あらためて御質問いたしますが、とりあえず、今どういう心境でおられるかということは御存じでしようから、一言お答え願いたいと思います。
○浅田説明員 現在中共地区におもむく者につきましては、最初の呼寄せについては、その渡航を認め、旅券を発給することになつておりますが、一時帰国を願う人々については、当然再渡航を伴う問題でありますので、これについては認めないことになつております。 〔中山(マ)委員長代理退席、森下 委員長代理着席〕
○帆足委員 これ以上お尋ねしても何にもなりませんが、せつかく向うにやりました花嫁が親の死目に会いに帰るということも、その必要を認めないということであるが、あなたも、親の死目にあつたときに、そこにかけつけることをおやめになる、自分もその決意であるというならばけつこうです。この場合には冷酷にふるまつて、自分のときには一生懸命になつてかけつけて行く、そういうような御答弁はまことに人類の御答弁としてはちよつと承服いたしかねます。この点は後ほど外務大臣がおいでになつてからお尋ねすることにいたしますから、どうぞほかの委員から御質問願います。
○堤(ツ)委員 ただいま木村援護庁長官から御説明のありましたのを聞いておりましても、これから入用の金がまだ交渉中であつて、われわれ委員がこの委員会開会以来問題にして参りました、帰つて来る人たちの生活安定のための就職の問題であるとか、いろいろな問題なんかも目下交渉中であつて片がついておらない。しかも船は三月十四日に出る。帆足委員の御発言はきようだけじやございません。これは自由党からも御発言がありましたし、一時帰国の問題などにつきましても、私たちは人間としての立場から何とかしてこれを政府に認めてもらいたいと思つて質疑を重ねて来たのでありまして、当然政府のこれが最後の決意を聞きたいところでありますけれども、その答弁をする人が本日出ておりません。私は当然もつと上の人が来ておるはずだと思つてこの委員会に臨んだのでありますが、答弁もできないような外務省の末端の官吏がおいでになつておるということでは、片がつかないのであります。この大切な一時帰国の問題でも、真綿に物をくるんだように言わなくとも、政府の腹あわれわれにはわかつております。共産党に利用されるのがいやならば、それに対しどう善処したらよいか、われわれは何も相談に乗ることは拒みませんし、共産党には利用されたくない。その点がこわいので、これに対し何らなすところなく結論を出し得ない外務省の態度は、優柔不断でありまして、こういうことをもつてして基本的人権を無視したようなことばかりのらりくらりと言つておられては、われわれは国民の代表者として責任を果せないわけでございます。もつとはつきりした結論をこの委員会で出して、国民の前に明瞭にして、引揚者の受入れ態勢を整えなければなりません。しかるに、たとえば援護庁長官に私が質問いたしましても、これは大蔵省とのお取引などで非常にお困りになつておるらしいし、官房長官としても、もつと太い腹で、積極的にこの受入れをやらなければならぬのに、内閣全体にその腹ができておらないようなところがありまして、私どもが木村援護庁長官をとつちめますと、援護庁長官は窮鼠猫をかむで、逆に議員にかみつい乗るのです。だから、われわれが大蔵省を直接に、緒方官房長官を直接に、外務省を直接にやつつけなければ、木村援護庁長官では片がつかないというような節がこの委員会で再三現われておる。これを一体何回繰返して十四日を迎えるのか。私は、政府当局の責任を明らかにするために、この委員会は休憩せられて、昼から責任者をお呼出しになるように、またいかに自党が混乱しておりましても、自由党の委員諸公もお出になつて、一時帰国の問題をはつきりしていただきたい。共産党に利用せられるというならば、それに対して善処されればよい。質問者自体も、はつきりおつしやればよいのに、真綿で物を包んだようなことをのらりくらりとおつしやつておられる。大体帆足さん自体が発言しておられるのに不利があつたので、私はこの辺で発言者をかわりたいと思つておりましたが、この機会にはつきりさせてもらいたいと思いますから、もつと出席を求めていただきたい。木村援護庁長官に逆にかみつかれておるようなことでは、片がつきませんから、その辺委員長のおとりはからいを願いたい。
○森下委員長代理 一応休憩して、午後あらためて理事会を開きまして、時間の打合せをして決定いたします。 それでは、これで休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 〔休憩後は開会に至らなかつた〕