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15回国会衆議院1952/12/11

運輸委員会 第11号

発言数
148
登壇者
16
会派数
3
開催日
1952/12/11

会議録

逢澤寛自由党

○逢澤委員長 これより開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。河本敏夫君。

河本敏夫改進党

○河本委員 今度の国鉄の運賃の値上げ問題に関しまして具体的な質問に入ります前に、まずそれの根底をなす現内閣の基本的な物価政策につきまして、運輸大臣から御説明をお伺いしたいと思います。

石井光次郎自由党運輸大臣

○石井国務大臣 現内閣の物価政策について、私から申し上げますれば、できるだけインフレ的様相を呈しないような方向に持つて行きたい。横ばい、あるいはできれば物価が下ることを期待して、そういう政策をとつて行きたいという心持であります。従つて、先日ここで申し上げましたように、国鉄の運賃値上げ問題につきましても、国鉄そのものの経営から申しますと、相当大幅に値上げを希望しておつたのでありますが、一割値上げという程度におちついたのも、そこに由来しておるわけでございます。

河本敏夫改進党

○河本委員 先ほど運輸大臣の御答弁では、インフレ的な要素をできるだけ避けるようにするのが、現内閣の基本的な物価政策である、かような御答弁がございましたが、私は総理大臣あるいは大蔵大臣の施政方針演説並びに国会の本会議あるいは各委員会における答弁等を総合いたしますと、なるほど現在の政府は物価安定に全力をあげるということを言つておられます。しからばその物価安定の線を、現在の国内物価水準に置くか、あるいは現行の為替レートを基準にするか。ここに大きな問題があろうと思うのでありまするけれども、政府の答弁を総合しますと、現行の為替レートを基準として、物価の安定をはかつて行きたい、こういうふうな御意見のように思われるのであります。しかりとするならば、現在の国内の物価水準というものは、国際価格から比べますと、繊維のように比較的国際物価水準に近いものもありますけれども、大部分の品物の値段というものは、国際物価よりも二、三割高い。従つて、現内閣の基本方針であるところの現行為替レートを維持しながら物価の安定をはかつて行こうとするならば、どうしても主要な物の値段というものを現在よりも二、三割下げて行かなければならぬ。ここにおいて急速にこの対策を立てなければならぬと思うのでありますが、こういう際に、かりに一割でも運賃を上げるということは、日本経済の先ほど申し上げましたような現状と、国民生活のただいまの状態から考えまして、相当大きな影響があろうと思うのであります。従つて、現行為替レートを維持しながら現在の国内物価の高い線を、二、三割下げようとする政府の基本方針と、今度の国鉄の運賃一割値上げとは、基本的な矛盾があろうと思うのでありますが、この点について運輸大臣の御意見を重ねてお伺いいたします。

石井光次郎自由党運輸大臣

○石井国務大臣 基本的な物資の値段をなるべく低くし、さらにまたそれをいろいろな経営の合理化の線に沿うて原価を下げて行くということが大事なことだと思います。そういう点からいたしますと、運賃のようなすべての物にかかつて行く性質のものは、なるべく上らない方が、その線から見ればもつともだと思います。しかし、一応独立採算という建前で鉄道が出発いたしておりまして、内容的に見ましても、今までの運賃も、ほかの物価からしますと、そう高いところには至つていないのであります。その意味からいたしましても、国鉄の経営に赤字が出るのを運賃によつてまかなうということは、やむを得ぬ次第であるように思つております。それでは、一割程度でやつて行けるかというと、平均一割でありますから、いろいろな物資に当てはめますと、一割以上になるものもあるということで、上らない方がよいことは当然でありますけれども、それをできる限り低い線に押えてやつて行くという上からいたしまして、一割ということを提案いたしたわけであります。

河本敏夫改進党

○河本委員 私は現在の内閣のやろうとしておるところの基本的な物価政策と、今度の国鉄運賃の値上げは、非常に矛盾しておるように考えております。従つて、先ほどの運輸大臣の御答弁では満足し得ないのでありますが、この問題は留保いたします。  次に、個々の問題につきまして、事務当局にお伺いいたします。今度の値上げは、平均一割の増収をはかるということにあるわけでございますから、実際の値上げは、一割以上になつておるだろうと思うのであります。特に貨物につきましては、その一割前後の値上げに、加うるに今度の等級の改正がありますので、ある物資につきましては三割ないし四、五割も高くなつておるという例が非常に多いと思うのであります。それで、これらの主要な物資につきまして、今度の運賃値上げが具体的にどういうふうな影響を及ぼしておるかということにつきまして、数字をあげて御説明願いたいと思うのであります。

細田吉藏運輸事務官(鉄道監督局国有鉄道部長)

○細田政府委員 お答え申し上げます。今回の運賃改正は、増収一割ということを目標にいたしております。旅客につきましては、先日申し上げましたように、運賃値上げの結果どれだけの輸送減があるかという点に、若干の問題があるのではなかろうかと考えるのでございますが、これにつきましては、過去の実績から考えて、定期外の三%程度の利用減があるということで、結果的には一割の収入増と相なつておるわけであります。貨物につきましては、賃率そのものは一割の値上げでございます。等級がこれに伴つて変更するために、三割四割といつたものがあるではないかというお話でございます。この点に関しましては、昨日国有鉄道の営業局長から、等級の根本原則については御説明をいたしたのでございますが、さらに主要品目のあるものにつきましては一割以上上つております、あるものにつきましてはそれ以下と申しますか、現在よりも値下りになるというものもあるのでございます。それではなぜ等級では不増不減であるかということでございますが、これにつきましては、トン数と申しますか、もつとやかましく言いますと、トン数と距離との関係によりまして、いろいろ違つて来るわけでございます。そのトン数と距離の関係を、新しくかえました等級の指数で一応はじきまして、これを現在の等級の指数に対するトンキロというものと比較いたしまして、全体といたしましては、これによつては増減がないということではじいておるわけでございます。従つて全体といたしましては賃率の値上り分だけが上るということなのでございますが、固々の物資につきましては、そういつた非常に下るもの、あるいは非常に上るものがあるわけでございまして、この個々の物資がどうなるかという点につきましては、営業局長からお答え申し上げます。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 ただいま国鉄部長から御説明があつた通りでございますが、実は昨日、今回国鉄として計画しております等級改正の方針的なもの、あるいは今までの沿革、現在の進行模様等につきまして、概略お話を申し上げたのでございます。ただいま河本委員からお話のございましたように、ものによりましては一割以上二割、三割、あるいはわずかではございますけれども四割程度の値上りになつておるものもございますし、また一割の値上げは別といたしまして、現状よりも指数的に下つておるものもあるのでございます。これらにつきましては、先ほどもお話がございましたように、いろいろの物資に対する影響、産業に及ぼす影響、あるいは取引に対するさまざまな等級改正に伴うところの影響等々を慎重に考慮いたさなければならぬので、国鉄といたしましては、運輸省とともに、物資の所管官庁であります農林省あるいは通産省の責任の部局と目下折衝を進めつつあるのでございます。大部分のものについては片づいておりますが、なお数品目につきまして、具体的な了解点に達していないものがあるのでございます。そのような次第でございまして、実は最初から価格の中に占める運賃の比率という点に重きを置きました表をととのえまして、お手元に差上げることができるならば、非常によかつたのでございますけれども、きわめて重要な数品目については、まだ完全な了解に達しておりませんので、実はそれを待ちましてから、その表をつくりましてお手元に差上げようと思つていた次第でございます。御了承願います。

河本敏夫改進党

○河本委員 まだきまらぬとおつしやる数品目というのは、どういうものでございますか。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 これはきまらぬと申しますか、農林省としての主張、国鉄としての主張が、まだ完全にこれで行こうというふうにまとまつていないのでございます。一番大きなものとしては、木材関係がございます。それから鮮魚関係につきましても若干問題がございます。それから生かんしよ、生ばれいしよ、若干の飼料等につきましてもあるのでございまして、実は毎日折衝を進めているような次第でございます。

河本敏夫改進党

○河本委員 ほかの多数の例はよろしゆうございますが、目下折衝中の木材について、もし国鉄の主張しておられる等級が通るとするならば、どの程度の影響があるか、御説明願います。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 木材は現在の等級表の上におきましては、上級木材、中級木材、下級木材というふうにわかれているのでございますが、上級と申しますと、ひのき、けやき、かしといつたように、きわめて限られた材質のものでございまして、鉄道輸送の九〇%を占めておりますのは、一般の下級の原木木材でございます。それについて、昨日御説明申し上げた指数でお示し申し上げますと、現在の普通木材は、八五という指数になつておるのでございます。今回の計画いたしております改正等級によりますと、それが八八という数字に相なりまして、一割の値上げは別といたしますと、三だけ指数が上るということでございます。農林当局といたしましては、できれば現在の八五の指数にとどめておいてもらいたい、こういう主張が強いのでございます。昨日御説明申し上げましたような等級審議会において決定されました方式に従つて計算いたしますと、八八という数字に相なるわけでございます。しかし、木材というものは、鉄道貨物として大量物資の中の尤なるものでございます。従つて、これが運賃の上に及ぼす影響も重大であると同時に、また木材が国の経済再建の上に持つ影響もこれまた重大であるというは点、国鉄といたしましても十分承知いたしておりますので、なお農林当局との間に鋭意折衝を続けて参りたい、かように存じておる次第でございます。

河本敏夫改進党

○河本委員 材木の例でもわかりますように、今度の運賃の値上げと等級の改正は、日本の産業に非常に大きな影響があると思うのであります。従つて、こういう点から、どうしても現内閣の基本政策と矛盾撞着を来して来る、かように確信いたしておるものであります。  次の問題に入りたいと思いますが、その前に臼井委員から関連質問があるそうでありますから……。

臼井莊一改進党

○臼井委員 ただいまの等級の問題に関連して、一言お伺いしたいのですが、ただいま各省といろいろ折衝中の点があるというお話であります。生活必需物資としての重要な部面を占めておる農林物産について、特に値上りがひどい部面があるのです。等級表によりますと大分幅を広げて、三階級か四階級か広げたのですが、下の方の指数が非常に高くなつて行つて、一級、二級に対する指数が非常に少くなつておる。たとえば一級で実際の重量一トン当りの価格が百三十四万四千円以上のものについては、旧指数が二五〇であつたのに二〇〇になつて、指数が五〇下つておる。また二級についても一九〇が一六〇に下つている。しかるに、下級のものにつきましてはこれが相当上つておりまして、生活必需物資の農林省関係の物資については、非常に指数が上つておる。たとえば生だいこんとか生野菜、こういうものは一二五というパーセンテージが出るようであります。しかもこの一二五というパーセンテージは、旧指数によつてのものでありますから、これがさらに一割上るということになると一三七、すなわち三割七分上るということになります。そのほか野菜の塩づけというようなものについても、指数と比率を見ると一三三%ということになります。従つて、これがかりに一割上るとしてみますと一四六、すなわち四割六分上るということになるのであります。こういうふうに生活必需物資である農林関係の運賃が非常に上る。値段の高い、たとえば味の素とかそういう値段の高いものはむしろ、安くはならぬでしようが、指数の面から見ると非常に下つておる。こういう点について、先ほどの大臣のお話のように国民生活ということを考えた場合に、そこに非常に矛盾があるというふうに考えるのですが、その点についてお伺いしたい。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 昨日の貨物等級表についての一般的問題につきまして、詳しく御説明いたした内容に関連するわけでございますが、その際に、私は次のようなことを申し上げたように記憶いたすのでございます。すなわち各界の有力者、権威者をもつて組織せられましたところの貨物等級審議会の御答申の中に、運賃の最低限といたしまして、コストの全体をカバーするということは望み得ないにいたしましても、最低といたしまして管理費、利子等を除きました、実際の輸送に要するコストだけはカバーするという線を維持したいということが、御答申の中にあつたのでございます。この管理費、利子を除きましてどうなるかと申しますと、全体のものを、こまかな原価計算をやつておるのでございますが、コストの全体を一〇〇といたしますと、そういつた二つのものを除きました、ほんとうに輸送に要する直接原価が、大体七五という指数に相なるのでございます。従いまして、今回の等級を決定いたします場合にも、最高は対抗運輸機関との運賃のつり合いを考える、最低は直接の輸送に要する原価だけはまかなう程度にきめるということであります。そのような御答申の線に沿いまして、凡百の物資につきまして、新しい等級の当てはめをやつたわけでございます。ただいま臼井委員から御指摘のございましたような、生野菜あるいは野菜の塩づけ等の大衆の生活必需物資につきましては、農林省とも打合せまして、公共性に基くところの特別な措置を考えたのでございます。なおまた、さきのような御答申もございまして、ただいまお話になりましたような指数に相なつておるのでございます。ただ、この生野菜等につきましては、農林当局におきましても、やはり今臼井委員が御指摘になりましたような御意見があるようでございますので、なお若干調整の必要があるのではないかというふうに考えております。生野菜の例で申しますと、今回の等級といたしましては、昨日私が割引等級、特別等級が三等級あるというふうに申し上げたのでありますが、その割引等級の三つのうちの一番下のランク、お米と同じ等級に当てはめておるという点を御了承いただきたいのでございます。

臼井莊一改進党

○臼井委員 審議会においては、大体最低を原価で、その原価も管理費を除いた原価によるというお話でありますが、原価をどう見るかという問題についても、いろいろの問題があるのであります。その点はこの場合触れないといたしましても、国鉄経営上、採算というばかりでなく、社会政策の面から十分考えなければならぬということは、すでにはつきりした事実であつて、旅客運賃においても、通学とか通勤とかの定期は、原価を割つて実施しておる。そういう点から考えても、国民生活に直接必要な必需物資というようなものについては、あまり原価にとらわれずに、むしろそれを割つても、なるべく値上げをしない、私はこういう万策も必要ではないかというふうに考えます。しかし、かりに値上げすると仮定すれば、それを全然しないというわけには行かぬとしても、最高の指数のパーセンテージは一一〇くらいでとどめておく、そして値上げしてもこれが一二〇、二割程度の値上げにとどむべきであるというふうに私は考えております。これは特に農村方面に非常に重大な関係のある問題でありますので、その点をさらに一層農林当局とひとつお打合せ願つて、そして、かりにこれが通るとしても、十分そういう点について御勘考を願いたいことをお願いいたしまして、私の質問を終ります。

細田吉藏運輸事務官(鉄道監督局国有鉄道部長)

○細田政府委員 先ほど来、営業局長から説明がございましたように、今回の等級で、最低指数七五ということが一番問題になつておるわけであります。また昨日も営業局長から説明がありました関係各省、と申しましても、特に農林省並びに農林省関係の機関がこの点で一番問題になつているわけであります。運輸省といたしましては、等級は国鉄総裁がきめるということでありますので、できますならば国有鉄道できめて、了解が行くということが望ましいというふうに考えておるわけでございますが、ただいま御要望もございましたような、著しく国民生活に影響を与えるという点については、先般の次官会議あるいは閣議の席上でも、そういつた御意見も出ておるのでございまして、今後まだ国有鉄道と農林省、あるいは関係の機関との間にいろいろ折衝があるのでございますが、運輸省といたしましても、十分その点は考慮いたしまして、いわば中間に入りまして、妥当なる線を発見いたしたい、かように考えているわけであります。

河本敏夫改進党

○河本委員 次に、今度の運賃値上げが国民生活に及ぼす影響につきまして、質問いたします。御承知のように、現在の国民生活の水準は、全国的に平均をとりますと、戦前の約九十二、三パーセントです。都会だけを例にとつてみますと、最近は逆に低下いたしまして八割を割つておるはずでございます。さようなところへもつて来て、昨年の十一月に二割五分の旅客運賃の引上げ、三割の貨物運賃の引上げがあり、今回またさらにそれに対して一割以上の運賃の引上げを行うということは、私は国民生活に及ぼす影響は、非常に大きいものがあろうと思うのであります。特に国鉄の利用度の非常に多い都市の生活者、しかも生活水準は戦前の八割を割つておるというような都会の勤労生活者に対する今度の値上げの影響は、甚大なものがあろうと思うのであります。こういう点から見て、今度の運賃の引上げが、都会の勤労生活者にいかなる影響を及ぼすかということについて、具体的な数字をあげて事務当局から御説明願いたいと思います。

細田吉藏運輸事務官(鉄道監督局国有鉄道部長)

○細田政府委員 全般的な影響がどうであるかということにつきましては、いろいろ調査もいたしておるのでございますが、最初にお配りいたしました「鉄道運賃改訂資料」を見ていただきますと、二十八ページから二十九ページにかけて、いろいろの関係資料が出ておるのでございます。ただいま御指摘のように、昨年秋にも旅客二割五分、貨物三割の値上げをいたし、さらに今回約一側の値上げをいたすわけでございますが、この運賃値上げが重大な影響を与えるという見方もあることは、もとより当然だろうと思うのであります。ただ国有鉄道の建前といたしまして、今日では独立採算制をとつておりまして、できるだけ国有鉄道の収入によつて支出をまかなう。これは工事経費としての一部の大きな施設の改良であるとか、建設であるとかいう面は別でございますが、経営的な支出、減価償却に相当する部分は、運賃をもつてまかなうという原則で参つております。それから、同じ資料の二十九ページにございますが、他のいろいろな公共的な料金と比較いたしてみますと、現在の国有鉄道の運賃を一割値上げいたしましても、他の公共関係のいろいろ生活に密接しているものの値段より、必ずしも高くはないというふうに考えておるのでございまして、これはやや高低があつて事情は少し違うかもしれませんが、たとえば、ガスと鉄道の定期外とをかりに比較いたしましても、昭和十一年を一〇〇といたしますれば、ここにございますような数字でガスが二四三七一という指数であるのに対して、国鉄の定期外が一二〇〇〇、定期についてはこれが一〇〇〇〇というような数字でございます。水道は九一四〇で、国鉄よりもやや低くなつております。郵便料金については三三三三三、電話は一四四〇〇、電報は一六六六七、新聞は二二〇〇〇、ラジオは一〇〇〇〇で定期券とほぼ同様になつているかと思います。そういつた関係でございまして、もちろん一割の値上げでございますから、それだけの影響はいたすのでございますが、私どもとしては、この程度の影響はごしんぼう願えるのではなかろうか、またお願いしたいというふうに考える次第でございます。

河本敏夫改進党

○河本委員 私がお尋ねいたしておりますのは、国鉄の運賃の騰貴率が、他の物価に比べて高いか安いか、そういうことをお聞きしておるのではなくて、今度の一割値上げが、昨年の二割五分の値上げに引続いて行われるということ、それから都会の生活水準というものが、最近は逆に低下しておつて、戦前の八割を割つておる。さようなときに今度の運賃の値上げが行われるについて、特に都市の勤労生活君に対するところの運賃値上げの影響を、具体的な数字をあげて御説明願いたい、こういうことを申しておるのであつて、他の比較をお尋ねしておるのではありません。質問の要旨に沿つて御答弁を願いたいと思います。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 ただいま河本委員から御質問のございました点は、非常に重大な点でございまして、実は国民生活あるいは産業に及ぼす影響というようなものを、当然数字をもつてお示しすべきでございますが、先ほど申し上げましたように、その等級の点につきまして、所管省と若干まだ問題を残しておりまするので、それがきまりましたならば、産業に及ぼす影響、具体的にはこの価格の中に占める運賃の割合が、今度の貨物一割の値上げによつてどうなるであろうかという点をお示しいたします。その機会に、同時に旅客につきましても、今回の定期運賃の値上げあるいは普通運賃の値上げが、一般の勤労生活者にどのような影響を及ぼすであろうかというようなものも、数字をもつて御説明いたしたいと考えておつたのでございますが、まだ貨物の関係がございまして、手元に持つておりませんが、旅客関係につきましても、すぐはじけるわけでございますので、今明日中に、具体的な方式は何回かの運賃改正によつて一定のフォームがございますので、それによつてお示しをいたしたいというふうに考えております。しばらくお待ちを願います。

河本敏夫改進党

○河本委員 私は今度の運賃の植上げに関する国鉄当局の態度に対しまして、基本的に納得しかねる点があるのでございます。というのは、すでに昨日から質問が始まつておりまして、一昨日の質問のときも、自由党の方の質問に対して、たびたび近く資料を提出するというお話があつたことを覚えております。本日もまた、今度の運賃値上げの及ぼすところの一番眼目である産業、特にそのうちの重要物資について、どういうふうな影響があるかという質問に対しても、資料が整つておらぬ、あるいは国民生活、特に都市の勤労者の生酒にどのような影響があるかということに対しても、十分なる資料ができておらぬということは、私は国鉄当局の非常な怠慢であろうと思うのであります。こういうふうなことを十分検討しないで、私は今度の運賃の値上げを計画するということは、まつたく残念であります。こういう点から、当初に大臣にお尋ねいたしました現内閣の一般的な物価政策についての私の質問に対して、大臣はインフレ的な要素をできるだけ避けるようにして、今度の運賃値上げをやるのだという漠然とした気持ではなく、具体的な数字をもつとよく検討して、このような重要問題と今後取組んでもらいたい、かような希望を持つておるものであります。従つて、先ほどの重要物資に対する影響及び都市の勤労者に対する影響、こういうものについては早急に資料を整えて出してもらいたいと思います。  それでは、次の問題に移ります。今度の運賃の値上げの大きな原因として、政府並びに国鉄は、二つの理由をあげておられます。その第一は、国鉄の運賃が他の物資の騰貴率に比べてきわめて安い。すなわち他の一般物価が、昭和十一年を基準にするならば、三百二十倍に達している。しかるに旅客の運賃はその当時の百十倍である、貨物は百六十倍である。だから、非常に安いから、ある程度これを調整しなければいかぬ、こういうことが第一の理由になつているように思います。私は、この点に関しまして、国鉄当局並びに運輸省当局とは、基本的に対立した考えを持つておるものでありますけれども、この問題は後ほど詳細申し述べることにいたします。  第二の理由といたしましてあげておられますことは、今度の国鉄裁定に伴う国鉄従業員等の給料の引上げ及び石炭、電力等の動力費の値上り等をカバーするために上げるんだ、こういうことを直接の理由にしておられるわけでありますが、私はこの直接の理由である国鉄裁定に伴う賃金の引上げに関するその後の団体交渉の経過につきまして、運輸大臣から詳細御説明を願いたいと存じます。

石井光次郎自由党運輸大臣

○石井国務大臣 国鉄裁定を国会の方へ提出いたしておりますが、第一項の基本給は裁定通りそのままのむ、但し八月から実施せよという問題だけは、財源の関係、また公務員その他との振合い等がありまして、十一月からにしていただきたいということをお願いいたしているのであります。第二項以下第三、第四のいろいろの手当、年末賞与等の問題につきましては、予算を提出いたしておりますが、これは団交によつてきめられる問題になつておりますので、国鉄総裁になるべく早く話合いを続けられますように、特に年末賞与は、名のごとく年末にぜひ出してあげたいと思うのであるから、それを急いでやつてくれと、今せつかく折衝中のように承知しております。

河本敏夫改進党

○河本委員 私は、今度の国鉄裁定は、きわめて妥当なものであつて、裁定の第一項の十一月一日から実施するということは反対でありまして、これは八月一日に遡及して当然実施すべきものであると考えておるのでありまするこれの、財源の問題につきましては、後ほど検討しながら質問を進めたいと思います。  次に、炭労ストに伴う貯炭の減少、それから国鉄裁定に伴う団体交渉がうまく行かないために、一昨日でございますか、遵法闘争というものが国鉄に起つて、炭労ストに伴う列車の第三次削減と相まつて、非常に大きな影響を経済一般及び国民生活に及ぼしていると思うのでありますが、炭労ストに伴う列車の削減及び遵法ストに伴う影響について、御説明を願いたいと思います。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 炭労ストの始まります前の本年九月の末には、約六十万トンの貯炭があつたのでございますが、それが十一月十九日に至りまして三十六万トンに減少いたしました。特に北海道地区におきましては、貯炭の状態が非常に悪くなりましたので、第一次手配といたしましては、北海道地区に対しまして、まず旅客、貨物の削減が行われたのであります。さらに十一月二十七日には貯炭の量が三十万トンに減少いたしましたので、全国的に約一割程度の列車の削減をいたしまして今日に至つているようなわけでございます。なお炭労ストの解決の見通しがつかない今日、貯炭も十二月八日には二十五万トンに減少し、十日には二十三万トンに減少いたしまして、このままの情勢では、今後二十日ごろには十三万トンくらいの状態に減るのではないか。かような状態では、列車の正常な運行はとうては期し得られない、かような見地から本日から第三次の削減を実施せざるを得なくなつたのでございます。第三次の削減によりまして、全国的に見まして、平常の状態に比べまして旅客は約二一%、貨物は三三%、かような大幅な削減を実施せざるを得なくなつたのでありまして、この点は、はなはだ遺憾に存じております。この結果、旅客におきましては急行列車、準急列車等相当大幅な削減をいたしております。地方の通勤、通学等の列車は極力確保して参りたい、できるだけ影響の少い列車を削減いたしまして、一般に対する影響を極力少くしたい。また貨物の面におきましても、今回の削減によりまして相当輸送力も減つて参りますが、主食あるいは生活必需品というような日常生活に欠くべからざる重要な物資の輸送につきましては、極力優先的の手配をいたしまして影響を少くしたい、かように存じている次第であります。  なお遵法闘争の影響につきましては、国鉄部長から御説明いたします。

細田吉藏運輸事務官(鉄道監督局国有鉄道部長)

○細田説明員 遵法闘争の影響につきまして申し上げたいと思います。新聞紙上では、遵法闘争による影響が非常に大きく伝えられております。もちろん小さなものとは私ども考えておりませんが、かなり実際よりも大きく伝わつているようであります。私の方で調査をいたしましたところ、ただいままでに入つております情報では、最も大きな影響を受けているのは大宮操車場で、夜間作業が非常に緩慢になりまして——これはダイヤグラムによつて作業いたしているのでありますが、おおむね三十分程度ずれて参る。これがずれて参るということは、貨物列車がそれだけ動かせなくなるという結果になると思いますが、これが一番大きな影響でございます。なお、昨日沼津発の列車が数本、いわゆる遵法闘争のために、おおむね三十分から、長いのは一時間ちよつとくらい遅れました。これは大きな影響でございます。昨日のNHKの午後七時のニュースで、九州、山陽方面、あるいは大阪方面、そのほかの遵法闘争による列車の状況が放送されたのでありますが、これにつきまして一々調査してみましたところ、かなり事実と相違しているような点もございました。九州方面におきましては、主として貨物列車が相当遅延をいたしましたが、旅客につきましては、影響は非常に少いようであります。貨物につきましては、九州で特に著しいのは、一箇列車鳥栖で百四分遅れているというようなものを出しております。また三十分、四十分というような遅れを出しているようであります。現在、いわゆる遵法闘争に入つておつて、影響が大きいというようなところにつきましては、門司操車場、幡生、東小倉、米岡、鳥栖、熊本、西鹿児島、鹿児島、大分、直方、折尾、小郡、広島操車場といつたような西の方にかなり集中をいたしておる次第であります。  本日から列車が削減になつたわけでありまして、これといわゆる遵法闘争との関係がからみ合いまして、列車の本数が今日から減るわけでありまして、その関係が非常に錯雑した状況に相なつておるかと思います。遵法闘争そのものは、今申し上げましたような程度の影響でございまして、これによつて非常に重大な輸送上の支障が起つておるというところは、一番初めに申し上げました大宮擬車場の関係以外は、ただいままでのところでは、あまり大きいものはないというふうに国鉄では考えております。  今後の問題につきましては、何とも言えないわけでありますが、特に今日から列車の大削減を行います。これとからみ合つて、どういう形になるかという点につきましては、われわれといたしましては、十分注意をいたしておるような次第でございます。なお今、西の方について申し上げましたが、そのほかに金沢方面で敦賀、金沢を中心にいたしまして、おおねむ十五、六分から三十分程度の遅れを来しております。これは列車の貨物ヤードの遵法闘争のために列車の組成が遅延をいたしておるのであります。これは全体の輸送に非常に大きな影響を与えるというところまで参つておりません。大阪天王寺附近で、城東線の電車が十八分から約三十分遅延いたしましたが、これは信号装置の故障と競合いたしておりますので、どの程度が遵法闘争の影響であるかという点がはつきりいたしておりません。ただいままでのところはそういう状況でございます。  なお、順法闘争はいろいろな方法がございまして、非常にデリケートな問題に相なつておると考えるのでありますが、もちろん基準法あたりに定められておるものにつきましては問題はないわけであります。特に貨物列車の組成が遅れるという点につきましては、大宮操車場あたりの例でみますと、ハンプと申しまして、坂から貨車を切りまして、仕分群線にわけておるのでありますが、これに連結者が乗りまして、制動を所定の位置でかけて、もとのハンプヘまた帰つて来ることになるわけです。平素は走つて帰つて来なければ作業ができないような状況なんでありますが、これがどの程度ゆつくりか、いつもよりは遅く帰つて来る。これは遵法と言えるかどうか疑問なんですが、そういつたことの影響が、貨物の操車場に最も大きな影響を与えているわけでございます。  なおさきに申しました旅客列車の沼津あたりの例は、列車の登載の備品がきまつておるのでございます。これは、総裁がきめておるものでございまして、いろいろなものがあります。これが全部なければ列車の運転が不安であるかどうかということにつきましては、相当ものによりまして問題があろうと思います。ただ、昨日あたり沼津で起りました例は、何か一つ欠けておりましても、これがそろうまでは発車を待つておつたというようなことのために起つたようであります。  なお遵法闘争につきましては、国有鉄道を通じまして情報収集中でございますが、ただいままでにわかりましたところでは、その程度でございます。

河本敏夫改進党

○河本委員 炭労ストに伴うところの列車の削減につきましては、私は国鉄の当局にも、多少の手ぬかりがあつたのではないかと思うのであります。炭労ストを比較的甘く考えておつたために、石炭の対策が十分でなかつた。もう少しこれを真剣に、重大に考えて、事前に十分な対策を立てておつたならば、私は今度のような第三次削減というところまでの大きな削減はやらなくても済んだのではないか、かような点で非常に残念に思つておるものであります。今後はかようなことのないように、十分なる準備をしていただきたいということを希望いたしますとともに、先ほど運輸大臣の御答弁では、団体交渉は国鉄の当局に一任しておる、こういうお話がありまして、詳細な説明がなかつたのでありますが、その団体交渉の現在の状況と、今後の見通しにつきまして、国鉄の当局から御説明を願いたいと思います。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 ただいま河本委員から御発言のございました仲裁裁定に関連いたしまする団体交渉の経過、現段階等につきまして、国鉄当局からこれを報告しろというお話でございました。まことに遺憾でございますが、私その担当の衝に当つておりませんので、もしお昼からでも、この委員会が開かれておりますならば、あるいはもし御希望なら、今でも国鉄の担当の局長なり、あるいは総裁、副総裁に出席をしてもらうようにとりはからいと思います。

河本敏夫改進党

○河本委員 この国鉄裁定に伴うところの団体交渉は、今度の運賃値上げと非常に大きな関連がありますので、私は先日来、国鉄の総裁または副総裁に、たびたび出席を要求しておつたのでありますけれども、本日も御出席がないということは、非常に残念に思います。午後からでも当事者に御出席を願いまして、国鉄裁定に伴うところの団体交渉の現段階並びに見通しにつきまして、御説明をお願いいたしたいと思います。  それでは次の問題に入ります。先ほど細田政府委員のお話では、今度の運賃値上げの理由の一つといたしまして、昭和十一年当時を比べて、他の物価が相当上つておるにもかかわらず、国鉄の騰貴率というものが少い。だから、これをある程度調整するところに今度の運賃値上げの大きな原因があるのだというふうな御説明がありましたし、また国鉄当局から出されておる資料にもそのことが書いてあります。しかし、私は現在の国鉄の運賃が、他の物価の騰貴率に比べまして、相当安いところにあるということは、これには大きな理由があることだろうと思うのであります。すなわち、昭和二十四年の五月に国鉄が発足いたしましたときに、当時の簿価で、たしか全部の財産を四十九億の評価で国鉄に出資し、それに現金四十億を加えまして、国鉄の現在の資本金は八十九億になつていると思うのであります。ところが、国鉄が当時政府から譲り受けましたところの資産というものは、現在新しくつくろうと思えば、約二兆一千二百億かかる、それから復成価格に換算いたしましても約一兆八十余億円になつておりますから、もし現在の国鉄というものを国鉄当局が新しくつくられるということになりますと、当然二兆一千二百億の金を要するわけでありますから、これの減価償却や、金利、こういうものだけでも、年々三千億円近くかかる。こういうものを考慮いたしますならば、国鉄の運賃が比較的安いということは、政府が今つくろうと思えば二兆もするようなものを、わずか四十九億で出資したということに、根本の原因があるわけでありまして、これは国鉄当局の努力があつたために運賃が安くなつているわけでもないし、また他の理由で安くなつているのでもない、かように確信しておるのでありますが、この点について運輸大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

石井光次郎自由党運輸大臣

○石井国務大臣 今つくれば二兆何がし、民間などの再評価の基準だと一兆何がしというお話は、まことにその通りであります。しかし、今それたけの品物であつて、これを保守し、改善して行くには、減価償却もやつて行かなければならぬ。それを大体民間の再評価の基準でやつて行きたいということでありますが、それにいたしましても、現在の情勢では減価償却をそれだけ見積ることはできないというようなことを、いろいろ国鉄当局の方では申しておりまして、その辺のところがにらみ合せでありまして、そこまで償却せぬでもいいじやないか。国鉄ができないときに譲つた値段とすれば、ごくわずかでいいわけでありますが、それでは実際に合わないのであります。それで大体再評価の基準を目標にして減価償却するという方針のようであります。そういうことからいたしましと、個々の経営状況が、どこまでそういう償却等をして、老朽施設等を直して行くかというような問題ともにらみ合せなければならないのでありますが、そういうことからいろいろ考えまして、今の国鉄の値段は安いとか、高いとかいう問題も、——どちらかといいますれば、一般物価と比べてこの程度だという状態を私も申し上げ、先ほど国鉄部長からも申し上げましたように、国鉄を運営して行くにどうしたらいいか。先ほど申しましたような物価に及ぼす影響等も考慮いたしまして、最低一割は上げて行かなければならないということを考えたわけであります。

河本敏夫改進党

○河本委員 私の質問の要旨よりも、少し答弁の線がはずれておつたと思うのでありますが、私の言いたいことは、国鉄当局は、現在の運賃値上げの一般的な理由として、一般の物価の騰貴率よりも、国鉄運賃の騰貴率の方が安い、だから上げる理由があるのだ、かように言つておられるわけでありますが、私はそれは理由にならぬと思う。現在国鉄の運賃が安いのは、結局、現在政府がつくろうと思えば一兆円もかかるようなものを、四十九億で出資したところに根本の原因がある。だから、今かりに国鉄当局がそれだけの資金を投じて全部建設せられたならば、私は一般物価よりもはるかに高くなると思うのであります。でありますから、こういう点につきまして、私は全然反対の意見を持つておるものでございますが、大臣から満足な答弁が得られなかつたので、事務当局あるいは国鉄当局から、これに対して御答弁をお願いしたいと思います。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 国鉄の資本金につきまして、多少誤解がおありじやないかと考えますので、御説明申し上げます。国鉄の資本金は「別に法律に定めるところにより、昭和二十四年五月三十一日」——これはつまり公社に発足する前日であります。——「における国有鉄道事業特別会計の資産の価額に相当する額」ということでありまして、この「別に定める法律により」と申しますのは、日本国有鉄道法施行法によりまして、「日本国有鉄道法第五条に規定する資本金は、昭和二十四年五月三十一日における国有鉄道事業特別会計の資産の価額から負債の金額を控除した額に相当する金額とする。」ということに、国有鉄道法施行法の第十一条に定められておるわけでございます、つまり国有鉄道発足当時におきますところの資産から負債の金額を控除した額、これが今御指摘の四十九億何がしの金額でございまして、必ずしもそれがその当時の固定資産の全額というわけではございません。この資産から負債を差引いた額、これが資本金として計上されたのでございます。その昭和二十四年におきますところの固定資産といたしましては六百十億、資産合計では八百九十四億というものが、昭和二十四年におきましてはあつたわけであります。  なお、この点は別の問題といたしましていわゆる運賃の割安を調整することが、運賃値上げの一つの理由であるかのごとく説明があつたというお話でございますが、値上げの理由として、それを原因として、それを動機として値上げを考えたということはないのでございまして、いわゆる国鉄財政上の建前から収支のバランスを合わすためにやむを得ず運賃価上げをしたい。その値上げの結果において、他の物価その他の料金と比較いたしましても、まあごしんぼう願えるような状態ではないか、かように申し上げた趣旨と考えております。

河本敏夫改進党

○河本委員 国鉄の出資に関する固定資産には、私の考え違いがあつたようであります。今の御説明でよくわかりましたが、国鉄へ当時政府出資した価格は約八百億余り、それにいたしても、先ほど来申し上げておりますように、現在の時価から比べれば著しく安い。ここに一般物価と国鉄運賃の騰貴率の食い違いの大きな原因があると私は確信しておる。楯岡局長は、先ほど、その調整が値上げの直接の原因になつておらぬとおつしやいましたが、細田部長のお話では、そのようにとれる御説明であつた。それでちよつと申し上げたのでございます。  次に、値上げの直接の理由に入つて来るわけでありますが、その前に運輸大臣にお伺いしたい。現在の国有鉄道の運賃法には、国鉄運賃決定の四原則、すなわち第一には、公正妥当であること、第二には、原価を償うものであること、第三には、産業の発達に資すること、第四には、賃金及び物価の安定に寄与すること、この四原則をきめて、それによつて国鉄運賃を決定されるものと了承いたしておりますが、第二の項目であるところの、原価を償うものであることという条項は、御承知のように非常に意見のわかれる重大な事項でございますので、この第二の条項につきましては、運輸大臣はどういうふうな御解釈を持つておられるかについて、まずお伺いいたしたいと思います。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 原価を償うものであることということは、旅客におきましても、貨物におきましても、総合的に考えまして輸送原価を償うということを申すものでございます。たとえば、旅客におきましても、いろいろ等級もございますし、あるいはまた定期券のごとく、非常に社会政策的に割引しておるものもございます。貨物におきましても、いろいろと等級がございますが、いずれにいたしましても、輸送原価を割るようなことでは、経営の健全化はとうてい望み得ないのではないか、そういうことを総合的ご考えまして、原価を償う最低限度の運賃としてそれだけは必要であると、こういう原則を定めたものと考えております。

河本敏夫改進党

○河本委員 私はこの原価を償うというふうな条項は、国鉄のような公共性を持つた事業では、これを狭く解釈しないで、広く解釈してかからなければならぬものであろうと確信いたしております。すなわち、民間の企業においてもそうでありますが、償却をするのに足る利益が上らない場合には、償却を計上しないで決算をするのが普通であります。利益の少いときに限度一ぱいの償却をして、大幅の赤字を計上するというふうなことは、企業の原則からいいまして、やつておりません。またやらないのが当然でございます。私鉄等でも、私はこの原則が貫かれておることと思うのであります。従つて減価を償うということは、これを広く解釈いたしまして、国鉄の償却年限がどのようになつておるか存じません、二十年になつておるか、あるいは三十年になつておるかわかりませんけれども、その償却年度内において完全な償却をやればよいのでありまして、その償却期間中におきまして、経営状態の悪いときには償却を減少して行く、経営状態のよくなつたときにはその償却を増加して行く、そして償却年限一ぱいに償却できるように考えて行くということが、私は企業の原則でなければならぬと思うのであります。従つて、国民生活の水準のきわめて低いときであるとか、あるいは産業を急速に回復しなければならぬときであるとか、こういうふうなときには、賃金とか物価とかいうような要因を十分重視いたしまして、厳格なる定額償却は実施すべきでない、かように確信いたしておるものでございますが、こういう点につきましてどういう考えを持つておられるか、お伺いいたしたいと思います。

石井光次郎自由党運輸大臣

○石井国務大臣 公共企業体のこういうふうな仕事の償却問題は、まことにお説の通りだと思います。再評価の基準によつて、一兆何がしという数字がさつきあげられました。ここらを基準として償却の割を出しておるようでありますが、それも十分な状態に使われて償却に充てられてはいないようであります。国鉄そのものが、このくらいにやりたいという金額まで出し得ないので、今まで出しております金額も、御承知のように、今経営が立つ範囲において、そしてまた、その償却によつて修繕その他をやつて行くのでありますから、これが人命その他に被害を及ぼさないような点はどうしても考えなければなりませんが、進んで改善といいますか、積極的な面に使うほどの償却ができないというふうな情勢であります。

河本敏夫改進党

○河本委員 先ほど申し上げましたように、国鉄は昭和二十四年の五月に八百余億で、政府から現物出資を受けておる。これは現在の時価から比べれば、まつたくただぼう然とするといつてもいいような値段でありまして、また再評価は行つておらぬと思います。従つて、国鉄の経理内密を見まして、三十七億の償却を計上するのが現在の帳簿価格から見て当然だと思いますが、国鉄財政の現状というわれわれがいただきました。パンフレットには、二百七十億、特別補充取替費と称して、これは償却を充てるものだというふうな御説明があります。再評価を行つておらぬのに、これに該当するものを計上いたしたということは、経理の原則上納得できぬと思うのであります。その点につきましては、どういうふうなお考えでございましようか。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 減価償却というものは、事業をやる上におきまして、そのもとになるところの施設を維持する上において、どうしても必要なものだと考えるのであります。先ほど御指摘がありましたように、ここに計上いたしております。減価償却三十七億と申しますものは、国鉄の現在の帳簿価格を元にいたしまして算出いたしましたものであります。しかしながら、国鉄は、再評価はいたしておりませんが、新たにとりかえを実施するとすれば、その帳簿価格の三十七億ではとうてい足りないことは明瞭でございます。昭和二十四年に実は財産の調査をいたしました。そのときの価格をもとにして、いわゆる減価償却に当る額を算出いたしますと、それが約三百三億必要であるという結果になつておるのでございます。従いましてこの三百三億必要である中で、帳簿価格からはじきますと三十七億、この残余の二百六十億ばかりのものは、形式的な減価償却ということは言い得ませんが、実際的にはこれだけのものを計上いたしませんと、国鉄の施設の維持、取替は不可能なりくつになるのであります。従いまして、その差額の二百六十六億を特別補充取替費として計上いたしたような次第でございまして、実質的にはこの両方合せた約三百三億ばかりのものが減価償却費に該当する、かような観点に立つているわけでございます。但し、さきに申しましたように、この三百三億というのは、昭和二十四年の価格をもとにして考えた適正価格でございます。今日におきまして、その後の物価の変動その他によりまして、これで十分であるかどうかということにつきましては、いろいろ議論がございますが、今日まで二十七年度の予算に含まれている数字の根拠は、そういうわけであります。

河本敏夫改進党

○河本委員 私は、ただいまの説明では、再評価しておらぬのに、再評価をしたものとして、それに該当する償却費を何らかの名目であるとしても計上せられておるのに対して、どうしても納得ができないのであります。この提出された書類を見ますと、本年度の修理費が五百五十億計上してあります。この修理費の基準は、大体適正価格の六%が基準になつているという説明がありますから、この観点から見ますと、国鉄の適正価格が一兆八十億円だから、五百五十億円というのはまず大体妥当な金額だと考えているわけでありますが、この五百五十億の修理費で、レール、まくら木であるとか、電線であるとか、こういうものは全部とりかえられて、修理費で落しておられるように了承しておるのであります。そのほかに別に計上せられておりますこの特別補充取替費というのは、車両、船舶、自動車、建物、工作物、機械等の補充取替費に充当せられるものであると私は了承しておるのであります。ところが、先ほど来申しておりますように、これらのものの現在の帳簿の価格は、全部償却済みというてもよい価格であろうと考えます。従つて、これらを新造あるいは新設、新規購入した場合、たとえば、車両だとか船舶とか、自動車、工作物、建物、機械、そういうものを新たに購入した場合、当然それは国鉄の資産が増力する。かように私は解釈すべきであると思うのであります。だから、資産として計上しなければならぬものを、経費として落しておられるのではないか、こういうふうに考えておるわけですが、この点はどんなものでしようか。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 減価償却費と修繕費等の関係は、もちろんはつきりとしておるわけでございますが、今具体的ないろいろなお尋ねがありました修繕費の関係、あるいはまたむしろ財産の増加、工事経費の関係、そういう点につきまして私から一般的な御説明を申し上げると、かえつて間違う点があるいはあるかもしれませんので、国鉄当局者から、さらにその点につきまして正確なお話をしてもらつた方がいいかと存じておりますので、そういうふうにとりはからいたいと思います。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 こまかい点につきまして、専門的な関係から申し上げた方がいいと思いますが、ただいまのお話は、修理費をもつてやつておるものもありますが、修理費でなくて、たとえばトンネルとか橋梁とかいうようなものの減価償却は、財産の評価にはなりません。やはり現在のそのものが維持されてとりかえられて行くということになるのであります。

河本敏夫改進党

○河本委員 私の申し上げておるのは、たとえば修理費で、レールとか、まくら木とか電線とか、そういうものの取替を全部落しておる、そのほかに要償却資産として車両とか船舶とか自動車、建物、工作物、あるいは機械というようなものを計上されておりますが、こういうものを新たに取得されたときには、当然資産として計上しなければならぬと思うのであります。ですから、特別補充取替費というものが、実質上減価償却に当るものであるならば、これは国鉄が再評価をしておるというのであるなら了解できるのでありますが、再評価はしておらぬ。一方資産の再評価は、ただ同然の値段で計上してある。そこで、新しく資産を取得されたならば、当然新たな国鉄の資産の増加でありますから、資産として計上せらるべきものである、こういうように思うのであります。ここに根本的な考えの食い違いがあろうかと思いますが、もし事務当局が来なければわからぬというお話でありますれば、午後からでも重ねてその点についてお伺いをいたします。おわかりの範囲内で御答弁を願つてもけつこうであります。

逢澤寛自由党

○逢澤委員長 河本委員から、さきに総裁に対して争議の今後の見通しいかんという質問があつたのでありますが、これに対してもあわせてこの機会に御答弁願います。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 最初に今の償却の問題について申し上げますが、なるほど数字の上で申しますと、かりに簿価が百円でありましたものが、今日千円でつくらなければならぬといううとになりますと、その面では九百円資産が増加するように見えます。実際的には建物そのものは昔のままに復旧されるたけでありまして、取替の場合におきましても、別に実質的な面では増加はいたしておらぬのであります。その点は御了承願いたいと思います。もちろん昔の簿価で、もとのままの建物ができるはずはありません。そういう意味におきまして、国鉄の現状を維持して行くことが大事でありますから、再評価はいたさないでおりますけれども、もとのままの姿を維持して、もとのままの力を持つて行くという意味合いにおきまして、取替償却をやつているのであります。その点は御了承願いたいと思います。  それから団体交渉の問題でございますが、これは内々いろいろと交渉いたしておりますけれども、何分にもまだ予算もできておりませんし、裁定の問題についての御決定もございませんので、今やるわけには参りません。しかしながら、時期はだんだん切迫して参りますから、内々においてはいろいろとお話合いをいたしております。近き将来におきまして、なるべく早い時期に、御決議のあり次第、これがまとまるように進めております。

河本敏夫改進党

○河本委員 先ほどの資産の取得の問題ですが、たとえば民間の会社などで考えますと、一つの大きなビルデイングが古くなつて来て、ここで何十億かかけて新しいものを取得した。しかしながら、これは現状維持だ、だからこれはただでなければならぬというのと同じ議論になると思います。船舶を例にとりますと、船舶が古くなつた、そして今度新たに船舶を建造した、けれども、もとあつた船舶をつくつたのたから現状維持だ、だから新しい資産の増加にはならぬ、その船舶もただで計上しなければならぬ。機械を買つた、この機械は古いものをとりかえたものと仮定いたしますと、当然私は新しい資産の増加に相なつておると思うが、古いものをとりかえたのだから、もとここにあつたものをとりかえたのだから、これは当然ただでなければならぬということだと思う。それでは私はどうしても了承できないと思うのであります。もつとも、再評価しておればこれは別です。再評価しておらぬのですから、私は先ほどの御説明では、納得できないと思うのです。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 でございますから、収支の上におきましては御議論の通りと思います。しかし、だからといつて、そういう経費を計上しておかなければ現状の維持ができませんから、計上するのでございまして、私は再評価をすべきものだと思います。

河本敏夫改進党

○河本委員 補充取替については、車両、船舶、自動車、建物、工作物、機械、これに充当せられておると思うのであります。先ほども申し上げましたように、レール、まくら木、電線は減価償却しておる。だから、こういうものは、一般の経理の概念から見ますと、新たにつくつた場合は、現状維持だから、ただでなければならぬという意見は、いささか暴論である。新たにそういうものを建造したり新設したり、あるいは購入したりした場合には、当然国鉄資産の純然たる増加になつておるわけでありますから、これを経費で落してしまうことは、どうしても私は暴論のように思うのですが、どんなもので、ありましようか。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 重ねてお答えいたします。それは河本さんのお話の通りでありまして、私は再評価をすべきものと思います。それをしてないところに、無理があると思います。

河本敏夫改進党

○河本委員 再評価をすれば、当然そういうことをしてもさしつかえないわけです。しかし、再評価をしておらぬのに、現在のところ、そういうことをやつておられることは納得できないと、初めから申し上げておるのであります。ここに今度の運賃値上げに関するわれわれの根本的な考え方の相違があると思うのであります。従つて、私たちの考え方から言うならば、現在、本年度の国鉄の新規の工事勘定を約四百三十億計上せられております。その財源として政府の借入金が、今度の補正予算で増加したのを入れまして百三十億、それから償却費三十七億、再評価をしておらぬのに再評価をしたものとみなして計上しておられる特別補充取替費二百六十七億、これを計上して財源をまかなつておられるように思うのであります。私は根本の考え方といたしまして、日本の経済の現状、それから国民生活の現状から考えますならば、先ほども運輸大臣にお伺いいたしまして、大幅な減価償却、限度一ぱいの減価償却は現在のような時代にはすべきでないということを特に強調したわけでございますが、現在のような日本の経済状態、また国民生活の水準の低いときには、この特別補充取替費というようなものは、当然政府の惜入金でやつて行かなければならぬものである、こういうふうに私どもは思つております。もつとも、資金が余れば別でありますけれども、この特別補充取替費の二百六十七億の限度までは、国鉄の当局は政府からの借入金を増額されてもいいのじやないか、こういうふうに考えておるわけでありますが、この点はどんなものでございましようか。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 政府からの借入れあるいは出資その他の方法ができますれば、そういうことも考えられます。しかしながら、なかなか国費多端でございまして、私どもの今までの経験によりますと、さような多額な借入れはできない現状でございます。重ねて申し上げますが、河本先生のお話ごもつともでありまして、再評価をしてないことに根本的な誤りがあるのであります。しかしながら、再評価をしてあろうがなかろうが、国鉄の現状というものの維持は、絶対にやつて行かなければならぬと考えております。

河本敏夫改進党

○河本委員 政府の財政状態を考慮して、借入金によらないというふうなお話でありますけれども、私はさようには考えておりません。というのは、先般の選挙中も、前の大蔵大臣の池田さんが京都で演説せられたのを聞いておりますと、政府は現在財政資金を三千億ためておるというふうなことを言つておられました。私はその話を聞きまして、日本の産業を現在のような麻痺状態に追い込んでおきながら、政府はなお財政資金を三千億ため込んでおるということを、得々として話される大蔵大臣の経済感覚に対して、疑いを持たざるを得なかつたのでありますけれども、数日前に政府の発表いたしました数字によりますと、財政資金はやはり約三千億あるはずでございます。正確に言えば、二千八百二十七億あるということを政府自体が発表しております。しかもそのうち、インヴエントリー・フアイナンスによる蓄積が約二千億近く計上してあります。でありますから、このような日本の経済を急速に回復しなければならぬ、そして日本の物価を現在の三百六十円の為替レートに合うような方向に持つて行かなければならぬ、こういうふうな経済状態のときにおきまして、また都会の国民生活の水準というものは八割を割つているというふうなときにおきましては、どうしてもこの特別補充取替費というようなものは計上しない、つまり工事勘定というものを、営業収益の中から大幅にまわさない。政府自体に金がなければ別でありますけれども、三千億に近い財政の余裕金があるわけでありますから、当然その中から借りるように努力せらるべきであると私は確信いたしております。本年度は二百六十七億の限度までお借りになつてもさしつかえないと、私は申し上げたのでありまして、本年度の計算で行きますれば、本年度国鉄の方で百億見当のものを借入金で工事勘定をまかなつて行かれることにされますと、今度の運賃の値上げというものはやらないで、しかも国鉄の裁定を八月一日に遡及して実施でき得るのではないか、そういうふうな考えを持つておるものであります。従つて、国鉄総裁が、政府の財政事情からこれは無理だとおつしやられることに関しては、反対の意見を持つております。ぜひとも国鉄の方で、今度の運賃値上げはやめて、借入金でやられるようにしたいと思うのですが、その点はどんなものでございましようか。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 そういうことができますように、今後とも努力をいたしたいと思います。

臼井莊一改進党

○臼井委員 関連して……。ただいま河本委員の御質問になりました特別補充取替費でございますが、これは民間側——われわれの事業の経営から考えると、一ぺんに経費として落してしまうべきものでなくて、やはり財産としてそこに残るべきものである、従つて、これは何年かにわたつてそれを償却すべきものであるというようなお話であります。そうなると、これは資産であつて、損失でない。この二百六十六億全部がそうとは言えないでありましようが、相当の部面が資産として残るということになれば、それだけ赤字がないということになる。河本さんの今おつしやられた点は、従つて、それを見返りとして、他に資金を政府なり民間側から借りてまかなうべきものであつて、これを経費として運賃値上りの原価に入れるべきものでないという論拠になるのではなかろうかと思うのであります。たとえば、民間側におきまして、極端な例を言いますと、ある機械を修理した。これが小さな単位で十万円かかつたとしても、税務署あたりの解釈によると、修繕費十万円全部は認めないで、そうしてその半額なら半額の五万円は修繕費として認めるけれども、あとの五万円については、要するにそれだけの価値が上つたのだ。従つて、それは機械を十年間の償却にしろというので、その年度の償却においては五千円しか認めないというのが、民間会社に対する税務署の考え方である。そうなりますと、この特別補充取替費を、全部経費でその年度に落してしまうということについては、隠し利益といいますか、何かそういうふうにもとれないことはないので、そこに河本さんがつかれた論拠があり、もしそうであるとするならば、国鉄はここで値上げしないでも、この限度においては赤字が少くなるか利益がよけいになるか、とにかく相当の余裕が出る。ただ金がないということではあるけれども、しかし、運賃の原価が上るという論拠にはならぬのではないか。こういうことをつかれているのだろうと私は考えるのでありますが、この点はいかがでありますか。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 減価償却並びに特別補充取替費の額が、相当に大きいものでありますから、いろいろとお考えになると思いますが、私どもは現在の状況から申しますと、三百何億の償却でも、これで十分だとは考えておりません。今の価格で行きますと、資産は約二兆ぐらいあるのです。これでも建物あるいは線路、車両その他、みな耐用命数をきめております。その命数によつて割出したのが、実はわれわれの計算だと五百二十億になるのでありますが、そういう多額のものはとうてい出ませんので、やむを得ず三百億円にとどめているような次第であります。本来ならば五百億以上の減価償却費がいるように考えられます。それと収入とのつり合いが悪いというようなことも、むろんありますけれども、二兆の資産でもつて二千億の収入しかないというような事業はないと私は思います。二割といいませんが、少くとも一割五分ぐらいの収入がなければ、事業というものは成り立たぬと私は思うのであります。そういう意味合いからいいましても、私は運賃がいかに圧迫されているかということを考えざるを得ないのであります。

臼井莊一改進党

○臼井委員 しかし、もうだめになつてしまつたものに対して、新しくそこでつくる、新しいものができるということになれば当然現在の評価にしても、そのものはゼロでなければならぬ。つまりここに百万円の施設がある。これはもう老朽化してゼロになつてしまつたという危険な状態であるから、これをとりかえて新しくするのだということであれば、今後十年間にそれを償却すべきであつて、全部を経費として落してしまうということはどうも納得が行かない。現在二兆からのものがあるというけれども、そのものを二兆のうちに見積るということが、すでに違うのじやないかと思うのです。ほかに二兆のものがあるとしても、それを二兆のうちのあるものとして見積るところに、何か違うところがあつて、それだけのものは少く見積らなければならぬのじやないか。従つて、それをつくれば二兆以上にそれだけのものがふえたというふうにちよつと考えられるのです。どうもそこは非常にむずかしい問題でして、あるいは私の方に錯誤があるかもしれませんが、民間の考え方で行くと、税務署あたりの所得の調査と利益の調査という点からいつて、そういう点が認められないように思うのです。その点、私の方でも経理の専門家でありませんから、そうだとは申し上げられないのですが、よく御研究願いたいと思います。

河本敏夫改進党

○河本委員 先ほど国鉄の総裁は、もし借入金でやれるならば、運賃の値上げをしないで借入金でやつて行こうというふうな御答弁をされたと思いますが、そういうことでございますか。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 ただいま申し上げましたように、償却さえもほんとうにやれば二百億ぐらいまだ足りぬのです。だから、二百億の足りない分だけでも借りられるならば、非常にけつこうであります。

河本敏夫改進党

○河本委員 総裁の答弁がきわめて簡単なので、要領を得ないのでありますが、私が先ほど来申し上げていることは、運賃の基準をきめるのに四原則がある。そのうち第二項目に、運賃の原価を償うものでなければならぬということが書いてある。ところが、国鉄の公共性から考えまして、運賃の原価を償うものでなければならぬということは、相当大幅に解釈しなければならぬ。だから国民生活が非常にきゆうくつで、経済界が不振を来しているというときには、償却をできるだけ少くする、そして国民生活がゆたかになり、また経済の再建ができたときには限度一ぱいの償却をしてよろしい。現在のところは前者のような立場にあるわけだから、この際償却をできるだけとどめ、運賃の値上げもしないで、政府に財政資金が十分ある場合は借入金でやつて行くのが常道ではないか、こういう論拠でございます。何分私は国鉄のことに関しては、しろうとでございますので、皆さん方の専門的な立場から見られたならば、質問の要点がピントをはずれているような点もあろうかと思いますけれども、もう少し納得の行くような丁寧な御答弁をお願いしたいと思います。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 私は河本委員の御質問から、いかにも国鉄の運賃が高いかの感を受けるのでありますが、たとえばこういう卑近な例を申し上げて、あるいは失礼かとも存じますけれども、昔から国鉄の一人一キロの運賃は、ざるそば一ぱい、あるいはふろ賃、はがき代、これらと大体同じであつたのであります。ところが今日におきましては、現行の運賃は一人一キロ当り八十五銭、はがきは五円でございます。その他は申し上げるまでもないことで、相当大幅な開きがございます。それはなぜかといいますと、十分なる償却さえもし得ないような状況でございます。そういう観点から申しましても、先ほどから申し上げたように二兆の資産で二千億というと、一割程度の利益しかないという点も、十分御了承願いたいと思います。定期のごときは八〇%、九〇%近い割引をしている。この上になお公共性をあまりに高調されることは、いかがかと思います。

河本敏夫改進党

○河本委員 国鉄総裁のお話では、他の物価から比べて、運賃は非常に安いということであります。先ほど国鉄当局からの御説明を聞きますと、他の物価と比べて運賃が安いということは、今度の値上げの理由にはなつておらないというお話でありました。それに対するわれわれの考え方は、先ほどから申し上げていたのでありますが、そのとき総裁はおいでになつていなかつたので、ごく簡単にわれわれの考え方を申し上げますと、なるほど戦前は、国鉄の固定資産は当時の時価に評価されていた。だから、運賃が先ほど例をあげて申されたような他のものと同列であつたということは納得できます。しかし、昭和二十四年五月に国鉄は政府から八百億余りの価格で出資されている。現在これをつくろうとすれば二兆かかる。それをわずか八百億で出資したわけでありますから、そこに運賃が安くてもいい当然の理由があるわけであろうと思います。今もし国鉄の全部の建設を二兆でやるとして、それを収支償うようにせられたならば、一般物価の騰貴率が三百二十倍であるから、国鉄の運賃は四百倍、五百倍もしなければならぬ。だから、こういう点について、総裁の他の物価との比較からの運賃安という御説には、納得しかねる点があります。この点についてはこれ以上申し上げませんが、かような日本の経済の回復期あるいは国民生活の水準の低いときには、再評価をしておらぬ資産を再評価をしたとみなした、つまり船舶をつくつても家を建てても、資産に計上しないで、ただでそれを経費に落してしまう、そういうわれわれの常識から判断できないような経理方法でやらないで、償却はできるだけ少くして、国鉄の公共性を考えながら、日本の経済の回復と国民生活水準の向上に努められるのが現在の情勢から当然ではなかろうかと思います。そこで総裁は、政府の財政状態が悪いから借入金によつてやれないという御答弁をせられておりました。しかしながら二千八百億という政府の財政余裕金がある、それを今年、百億借りたならば、運賃の値上げはやらなくて済む。かりに一歩を譲つて、財政資金を借りないという場合を考えましても、電信、電話公社なんか本年電話公債を発行しております。当然国鉄も現在のような段階におきましては、鉄道公債を発行することについて御研究にならなければならぬ。国鉄の経理のしわ寄せを、すぐに安易な方法に求めて、国民に全部これを転嫁する、こういうふうなやり方は、私は国鉄の公共性から考えて、もう少し慎重にやらなければならぬ問題だと考えておりますが、鉄道公債についての政府の考えはどんなものでございましようか。これは運輸大臣からお聞きしたいと思います。

石井光次郎自由党運輸大臣

○石井国務大臣 鉄道債券の話は、私も寄り寄り承つております。これは十分研究すべき問題だと思つておりますが、まだそれをどうするかということはお答えできません。

河本敏夫改進党

○河本委員 先ほどの国鉄総裁の御答弁に関連してお伺いいたしますが、定期運賃であるとか、そういうものを原価を割つて非常に安くすえ置いておるというお話がありました。そのほかに貨物の中にも、貨物の公共性を考慮せられまして、原価を割つて運賃を安くすえ置いておるのがあろうと思います。このように貨物の公共性あるいは定期運賃の社会性というようなものを考慮せられて、特別に安くしておられる運賃の金額は、総額でどれくらいになるのでありましようか。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 御承知のように、まず旅客関係におきましては、鉄道の定期旅客運賃、通勤、通学につきまして約五割から、最大は九割二分五厘というような非常に高率の割引をいたしておるのでございます。これをもし通勤、通学定期というような制度を全然なくしてしまつて、通勤、通学の方からも、一般の定期外の運賃をその都度ちようだいするというような計算にしたらば、どれくらいの額になるかという御質問でありますか。

河本敏夫改進党

○河本委員 ただいまの質問は、国鉄の総裁の御答弁に関連してお伺いしたことなんですが、国鉄の公共性を考慮して、定期運賃なんかをある程度原価を割つて安くしておる、こういう御答弁なんです。それと関連して、貨物においても、貨物の公共性を考慮して原価を割つて運賃を安くしておられるものが相当あろうと思う。だから、そういうふうな貨物と定期運賃と合せて、原価を割つて公共性のために安くしておられる運賃の総額は、国鉄の計算では一体どれくらいになるかということについてお伺いをしておるわけです。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 二十六年度の原価と収入との関係を申し上げますと、旅客関係におきましては、一人キロ当りの収入が九十銭七厘になつておつたのであります。この一人キロ当りと申しますのは、定期も定期外も全部を含みましてのコストでございます。それに対しまして、収入は九十七銭四厘ということでございまして、経費を収入が償つておる。営業係数が九三ということに相なるわけであります。同じ年の貨物の関係につきまして申し上げますと、今この一人キロ当りに相当しますのを、貨物においては一トンキロ当りというものを原単位にしておりますが、貨物の場合におきましては、原価が二円二十銭一厘、それに対しまして収入が二円二銭三厘、営業係数が一〇九ということで、貨物関係では原価を割つているということが言えるのでございます。それでは昭和二十七年度、当年度計算について申し上げますと、どういう数字になるか。今と同じ計算で申し上げます。ここで申し上げます収入の方の運賃のベースは、今回改訂をお願いしております一割値上げになります前の現在の賃率収入で行つております。それから経費の方は、裁定によりますベース・アツプ等の経費の増を見込んだ数字になつております。それについて申しますと、旅客の場合には、原価が一人キロ当り一円十七銭四厘、それに対する収入は一円十五銭一厘ということで、営業係数が一〇二、約二%ほど収入が下まわつておるということでございます。今度は貨物関係について見ますと、一トンキロ当りの原価が二円八十八銭二厘ということに相なります。それに対しまして収入がトンキロ当り二円四十一銭六厘ということで、コストの方がはるかに上まわつておりまして、営業係数で申しますと一一九、こういうことになるわけであります。このように原価に対しまして収入の下まわる分を、今回の運賃値上げによつて補填して参りたい。こういう次第でございますが、さて河本委員の御質疑になりました旅客関係あるいは貨物関係全部について、公共的な見地から原価を割つているものを全部抜きあげて、その総額が幾らになるかという点につきましては、その算定の方法にも関連するわけでございますが、今手元に資料を持つておりません。あるいは一定の方式、考え方をとりまとめ、お示しすることもできるのではないかと思います。

河本敏夫改進党

○河本委員 私がお聞きしましたのは、その計算方法ではなくして、総額についてお聞きしたわけでありますが、できるだけ早くそれの資料をお示し願いたいと思います。  そこで運輸大臣にお聞きしたいのは、旅客並びに貨物の公共性のために、国鉄は原価を割つて運賃を相当安くしている。これは何十億あるのか、何百億あるのか、今の状態ではわかりませんけれども、特別に社会政策あるいは経済政策のために、原価を割つて安くしている。そういう運賃の総額に対しては、私はりくつからいつて、当然一般会計から補給してやらなければならないものだ、こういう考えを持ちますが、こういう点につきまして、運輸大臣はどういうふうなお考えを持つておられますか。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 ただいまの河本委員の御質問でございますが、国鉄は公共性を考慮いたしまして、原価を割つて運送いたしておりまする旅客あるいは貨物がございます一面、原価を償つて、あるいはそれをオーバーして運送している旅客、あるいは貨物もあるわけでございまして、総体といたしまして、現在はとんとんであるところを、今回のベース・アツプあるいは石炭等の値上りによつて収支の均衡が破れる。こういうわけでございまして、一方におきましては原価割れで運送している、一方においては原価を償い、あるいはそれをオーバーして運送している。総体といたしまして、独算制を貫きたい、こういう趣旨でございます。

石井光次郎自由党運輸大臣

○石井国務大臣 お答えします。国有鉄道を独立させまして、独立採算を基礎的に考えております建前上、できる限り国鉄が自分の経営においてそろばんを合せてもらいたい。もし万やむを得ぬ場合があつたら、国庫でこれを補給することも道は開けておるわけでありますから、ただいまのお話のように、毎年起つて来るものを、政府がすぐ補給するということは、ただいまのところは考えておりません。

河本敏夫改進党

○河本委員 次に、経営の合理化の問題につきまして、簡単に二、三お伺いしたいと思います。私は経営の合理化の根本は、設備の近代化にあると思うのであります。特に主要幹線の電化及びその他の線をデイーゼル化するというような設備の近代化が必要であろうと思うのであります。これをやらなければ、どうしても経営の合理化というものはなし得ない。そこで国鉄当局にお伺いしたいことは、こういうふうな設備の近代化に関する今後の基本的な計画というものをお立てになつておるかどうかということにつきましてお伺いをいたします。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 設備の近代化が必要であるということは、河本委員のおつしやる通りであります。それにつきましてはいろいろ考えおりますが、御指摘の通り電化が必要であり、電化につきましては、さしあたり七百五十キロ程度の電化をぜひやりたいというふうに考えております。なおデイーゼル機関車の建造、デイーゼル自動車、これを一千両ぐらいつくつて、ローカル線のサービス改善に充てたいと思つております。これらによりまして節約されます石炭だけでも、昭和三十二年度ころには百三十万トンの石炭の節約になると思います。これはそのときに使います国鉄の石炭の約二割に当ると思います。そういうふうなことをさしあたり考えております。なお、今後考えたいと思つておりますのは、貨物の集中高速度輸送でございます。

河本敏夫改進党

○河本委員 時間がありませんので、あと簡単に質問したいと思います。今後国鉄は、どうしても自動車の発達によりまして、自動車にその営業部門を侵蝕される可能性が、私は多分にあろうと思うのであります。国鉄経営の内容を拝見いたしますと、雑収入では最近非常に増加して、六十二億円見当が増加しておることになつております。私は今後国鉄としては、電化あるいはデイーゼル化による根本的な設備の改善、それから自動車によるところのいろいろな対策、これを根本的に考えながら、経営の合理化をはかつて行かなければならないと考えておるのであります。  それからこの問題に関連いたしまして、ちよつと人員の問題につきましてお伺いを申し上げます。最近国鉄の人員が非常に減つておりまして、約四十五万になつておるそうでありますが、それでも昭和十一年の約二倍になつておる。これの理由として、労働基準法ができたために、相当従事員がふえた。それから国鉄の輸送量が相当ふえたために、また人員の増加を来しておる。こういうふうなことが二つの原因としてあげられておるようでありますが、この労働基準法の適用のために、現実に国鉄の従業員はどのくらいふえておるか、その数字をお伺いしたいと思います。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 これは簡単に申し上げますと、昔は平均して十時間ないし十一時間働いておつたと思います。今日においてはこれが八時間になつておりますから、二時間ないし三時間の違いが出て参ります。これが約二割ないし三割に該当するのであります。それによつて御指摘のように二十三万人くらいの従事員がおりましたが、これに三割かけますと、約七万人ぐらいの増になります。

河本敏夫改進党

○河本委員 それから輸送量の増大によつてどれくらいふえているかということについて、お聞きしたいのですが、なるほど国鉄当局の説明によると、昭和十一年に比べると、輸送量が二倍半になつている。これも国鉄の従事員がふえた一の大きな理由になつておるようであります。しかし列車の走行キロを見ると、結局一六%しかふえておらぬ。これは言葉をかえていうならば、列車の単位もある程度大きくなつて来たということが考えられると思う。しかしながら、それよりも一番大きな原因は、人間をすし詰めにして運んでいる。ここに輸送量が二倍半であるのに列車の走行キロが一六%しかふえておらぬという食い違いがあろうと思うのであります。これが列車の走行キロが相当ふえ、しかも輸送量がふえたというのであるならば、相当数の人員の増はやむを得ぬと思いますが、列車の走行キロはわずか一六%にしかすぎぬ。それで輸送量の増大から来るところの人員の増加はどのくらいかということについてお聞きいたしたい。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 それについても、いろいろの見解はあろうと思います。大体私ども昔やつておりました当時は、輸送量がふえますと、そのふえる割合の半分ということに考えておりましたけれども、半分まで考えなくても、かりに三分の一といたしましても、七割の増加が必要になると考えております。

河本敏夫改進党

○河本委員 国鉄当局は、現在の人員四十五万という数字は、もうこれを合理化によつて減少し得る余裕はないというようなお考えでございますか。それとも、なお合理化いかんによつては、現在の労働基準法を尊重しながら、ある程度の減員をはかれるというお考えを持つておられるか、この点についてお伺いいたしたいと思います。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 これ以上の合理化は無理だと考えています。

河本敏夫改進党

○河本委員 それから今度の補正予算編成の基本方針を見ますと、旅費を五%減らされておる。それから物件費を一〇%節約するということになつております。われわれはこれを旅費を一〇%、物件費を二〇%減らして、一般会計で七十一億円程度の節約をはかるべきであると主張をいたしているのであります。最近国鉄では、物件費の節約に相当留意せられているように、いろいろの資料を拝見いたしまして考えるのでありますが、なお補正予算におきまして、一般会計でもこの程度の物件費の節約をはかろうというような案でございますが、国鉄ではこれに同調をして何らか特別の対策を立てておられるかどうか、お伺いいたしたい。

長崎惣之助日本国有鉄道総裁

○長崎説明員 一般会計の場合とほぼ同様な査定を受けておりますから、それがみな財源になつておるわけであります。

河本敏夫改進党

○河本委員 まだほかにお伺いしたい点が二、三あるのでございますが、時間も大分たちましたので、一応この辺で質問を打切りたいと思います。

逢澤寛自由党

○逢澤委員長 午後二時から続行することといたしまして、しばらく休憩いたします。     午後一時休憩      ————◇—————     午後二時二十九分開議

逢澤寛自由党

○逢澤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。熊本虎三君。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 ちよつとお尋ねいたしますが、前に多くの委員諸君から、いろいろ質疑がありまして、重複するものが多いかもしれませんが、申し上げます。数日前から大蔵当局の出席を求めて、大蔵当局の考え方を重点的に質問いたしたいと考えておつたのでありますが、いまだに御出席がございません。そこで逆にお尋ねいたしたいことは、この前もちよつと触れたことがあると思いますが、たとえば、現在の国鉄で経費を持つております公安官の費用の国費負担という問題が論議されております。それについて国鉄運用上、やはり支出の問題と、業務運用の問題に関連するものがいろいろあろうと考えまして、その点いささか疑問もあつたわけでありますけれども、輸送運営については、別に支障がないということでございます。そうなれば、当然公安警備の任に当るべき公安官の費用は、国鉄において支弁すべきものではない、かように考えておりますが、その点についてのお答えを願いたいと思います。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 鉄道公安官と申しますものは、制度的には終戦後できました制度でありますが、その大部分の仕事は、以前からございました構内警備であるとか、あるいは守衛であるとか、そういう鉄道の事業をやります上におきまして、みずから守衛を置いたり、あるいは構内の警備をしなければならぬ、そういうような職員の仕事を引続き継承いたしておるわけであります。終戦後、治安がある程度乱れましたので、その結果、鉄道構内、あるいは列車中における純粋の警察官的な仕事も、その上に附加されておる部分も確かにございます。しかし、今申しましたような経緯を経まして、今日の公安官ができておりますので、必ずしもほんとうに純警察官的な仕事と、鉄道の運営上もとから存在し、かつどうしても必要な仕事とをはつきり切り離すということは、実際問題としては、かなり困難ではないかと思います。純粋の警察的な部分というものにつきましては、今後の問題としまして検討しなければならぬ、かように考えておる次第でございます。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 そうしますと、従来あつた要員を、公安官と名称をかえたということに了承してよろしゆうございますか。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 仕事の量的に申しまして、全部が全部そうだというわけじやありませんで、確かに戦後の治安維持のために附加された仕事もあります。しかし、一面におきまして、戦前からございました鉄道構内警備あるいは守衛というような面の仕事を、そのまま引継いでいる面が、かなりたくさんある。かような状態でございますので、実際問題として切り離すことは、かなりむずかしい状態でございますが、戦後新たに附加された部分があることは確かであります。そして純粋な警察的な仕事といたしましては、今後の問題として確かに残つておるかと存じております。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 答弁が徹底しないわけでありますが、分類し得るものがあるとすれば、その比率はどういう形で分類されるかということを、お尋ねいたしたいと存じます。  次に、鉄道用地及び高架線のガード下の貸付等によるものが、従来の関係によると、国鉄が直接これを扱つておらないところがあるわけですが、これの貸与等についての手続や方法について、ちよつと御説明願いたい。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 先ほどの公安官の、さらに掘り下げた内容、あるいはまたただいまお尋ねがございました用地貸付の実際のやり方、方法等の問題につきましては、国鉄の当事者から答弁していただくのが適当ではないかと存じておる次第であります。

逢澤寛自由党

○逢澤委員長 熊本委員にお諮りいたしますが、今の答弁を待つて進めますか。ほかに進めることがありましたら、ひとつ進めていただきたい。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 それから、これは労組の方から指摘されてあつたものでありますが、たとえば死蔵品、遊休不動産等の払下げが、財減捻出の方法として指摘されてあります。これらの問題に関する所管者がおいででしたら伺いたい。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 細部の御説明はできないのでございますが、不用品、死過蔵品につきましては、もちろん極力整理すべきものだと考えます。二十七年度の当初予算におきましては、これの払下げ整理による収入を一億九千万円見込んでおつたのでありますが、その後鉄道の経営の合理化等の見地から、極力この点の収入の増加をはかりまして、さらに八億六千万円補正による収入増加を見込んでおる次第でございます。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 それから鉄道用地の不用払下げというようなもの、あるいは建物等の不用に帰したもの等が相当あるかと思いますが、こういうものについてはどう処置されますか、お尋ねいたしたいと存じます。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 そういう土地物件等につきましても、整理できるものは極力整理いたす方針をとつておるのでございますが、その具体的細目につきましては、現在手元に資料を持ち合せておりませんので、国鉄当事者の方から説明を願つたらどうかと思つております。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 次官も見えておりますから、いろいろ質問を続ける用事しております。しかし、私は繰返し言いますけれども、私と同じような考え方に立つて質疑応答が相当に繰返されております。それをいささか観点をかえて質疑応答をいたしましても、帰するところは同様類似の方向にかわつて来るわけでありまして、大蔵省から出て来ないということになりますれば、私はこの機会に質問はやめたいと思つております。それまで休憩しておつてください。

逢澤寛自由党

○逢澤委員長 委員長として申し上げます。大蔵省関係の政府委員が見えますまで、田原委員に質疑を願いたいと存じます。田原君。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 ここに配付された国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案提案理由、これは大臣の説明理由の原稿であると思います。この中に、一枚目の終りから三行目のところに「最低普通旅客運賃及び寝台料金をすえ置いたこと並びに定期旅客運賃割引率につき」云々とある。その理由を次のページに説明されてありますが、次のページの説明は、定期乗車券等の説明であつて寝台券の説明はぬかつておる。これは意識的にぬかつたのであるか、あるいはそうでなかつたのかわかりはせんが、一体寝台の利用者というものは国民の一部であり、もちろん収入からいつても大したことはないかもしれませんけれども、何ゆえに寝台料金のみをすえ置きにしたのか、この理由が私には明らかでないのであります。どういうつもりで、すえ置きしたのか、伺いたい。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 現在の一般の旅客運賃は、戦前のそれに比べますと、百三十倍程度でありますが、寝台料金は現在の料金が三百倍以上の高率になつているわけであります。これは戦後寝台車の設備が少くて、需給調整の目的もございまして、非常に高い料金をとつておつたのでございます。そういうような事情でございまして、今回すえ置きといたしましても、均衡を失しない、かように考えたわけであります。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 これは実におかしなものの考え方であると私は思うのですが、一番問題になつているのは、御承知のごとく、近距離の百キロ前後の日常通勤者の定期券が問題になつているのでございます。しかるに、遠距離に旅行する寝台利用者は、最近は激増の一方でありまして、全体としての収入はわずかであろうけれども、これを特にすえ置きにして、定期券利用者の率を上げるという考え方は、私にはわからないのであります。はたして国有鉄道としてとるべき道であろうか。元来鉄道が国有である理由は、いまさら言うまでもなく、公益性ということが、その一つの理由になつていると思うのです。しかるに、独算主義になつて、抵抗力の弱いところの運賃を上げて行く。そうして寝台利用者は、三等旅客のわずか一%に達しないであろうけれども、寝台料金に対してすえ置きという考え方に、はたして公益性があるかどうか、私は疑問に思う。なるほど三百倍という数字になつているかもしれませんが、三百倍になつておるからといつて、今度の一般的値上げをきめるときに、上げないということは納得できない。これは鉄道の公益性から出ているのか、採算本位から出ているのか、あるいは一部有力者に対する遠慮から出ているのか疑わしいから、もつと明確にしていただきたい。まずそれをお尋ねしておきます。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 ただいま田原委員からの御質問でございますが、寝台料金をすえ置きにいたしました理由については、ただいま鉄道監督局長から申し上げた通りでございます。それと同時に、もう一つの理由といたしましては、最近国内航空が漸次整備せられて参りまして、国内航空を利用される乗客と、鉄道の一等旅客を利用される場合と、その運賃が相互に比較をされるわけでございます。遠方に航空機で行かれるような地域に関しましては、もし鉄道を利用される場合にも急行券、あるいは特別急行あるいは特別二等の座席料金というようないろいろな料金関係の負担もあるわけで、それらにつきましては一般の倍率よりも、御説明申し上げましたように相当大幅の値上げをいたしておりますので、そういつた航空運賃とのバランスも考えまして、今回寝台料金はすえ置きということにいたしたいと考えている次第でございます。  それから、その問題に関連いたしまして、国鉄は大衆の利用する定期乗車券制度、あるいは定期運賃について、もつと考慮すべきである。寝台なんかをすえ置きにするよりも、もつとそういう方面に力を入れるべきである。れは非常にごもつともだとは存じますが、前々御説明申し上げました通り、定期につきましては実に五割から九割一分——九割二分の割引と申しますれば、ほとんどただみたいなものでございますが、そういう程度の社会政策的な考慮に基いての割引をいたしている次第でございまして、先ほど河本委員から、国鉄が原価を割つて運んでいろ旅客荷物についての運賃の額を示せという御注文があつたのでございますが、かりにそれを定期乗車券だけについて考えてみましても、先ほど申し上げましたような非常な原価割れの運賃で運んでおります関係上、もしそれを普通運賃に引直したならば、さらに百八十三億というような莫大な額を勤労者の方からちようだいしなければならぬようなことになるわけでありまして、国鉄といたしましては、国家の社会政策、産業政策、あるいは労働政策と申しますか、そのようなさまざまな国策にに即応いたしまして、大衆に対するできるだけ安いサービスという点につきましては、常日ごろ念慮いたしていることを申し上げたいと思います。

逢澤寛自由党

○逢澤委員長 田原君に申し上げますが、その他の問題でありましたら、大蔵省から石原政府委員が見えておりますから、熊本君にお譲りを願いたいと思います。今の継続でありましたらどうぞ。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 いま一点だけ……。これは議論になつているようでありますが、私としては、寝台料金のすえ置きは納得しがたい。  それから今の御答弁の中に定期券が最高九三%も割引いているというのでありますが、実際九二%の割引をしているのは学生でありまして、学生の六箇月の長期でありますれば、これは日曜が入るし、夏休みが入るし、冬休みが入るし、また紛失があつたりして、実際六箇月全部を利用しているということはない。  それからこれもある意味においては社会政策的と言うけれども、実は鉄道側の改札等の便宜から来ているのであつて、他の国の定期券の使い方は一回一回パンチを入れるものもある、それがめんどくさい。それをやれば非常に時間もかかるし、それだけ駅員もふやさなければならぬという便宜論もあつて、鉄道としては今日まで来ている。これが今度の運賃値上げのときに、これみよがしに、特に学生の長期の率をふやすことは、理由として薄弱である。これ以上議論はいたしません。  なお、貨物運賃その他鉄道運賃と自動車運賃との関係の問題がありますが、これは後ほどにまわしまして、一応私の質問はこれで打切ります。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 ようやく大蔵当局からお見えになつたそうでありますが、一度お尋ねいたしたいと存じます。  第一にお尋ねいたしたいことは、運輸大臣や国鉄総裁等に多くの同僚からお尋ねされたことでありますが、その第一は、国鉄経営に関する基本的な考え方の問題でございます。公社制度がしかれましてから、その当初において、いろいろなものが勘案されて現実に至つておりますから、現在の大蔵省に向つて、その是非をまともに論議することはどうかと存じますけれども、しかし、御承知の通り国鉄という経営体は、これは単に利潤目的の経営でないことだけは明確であろうと思います。従つてこの経営は、できるだけ独立採算制へ到達するように目標は置きましても、現実のごとき経理困難なる場合には、当然これは国家目的の立場から、一般会計法による補填等がなければならない、かように考えますが、大蔵当局はどうお考えになりますか。

石原周夫大蔵事務官(主計局次長)

○石原(周)政府委員 非常に大きい問題でございますので、私からお答えをいたすことが適当であるかどうか存じませんが、従来国鉄の運賃につきまして考えて参りましたところも、国鉄は、おつしやいますように利潤を目的とする経営でございませんので非常に社会的、公共的な役割というようなものを考えながら経営をして参らなければならぬという点は、まつたくその通りだと思うのであります。そこで、たとえば税金というような関係におきましても、従来から、それらの営業あるいは不動産その他の施設につきましての、相当大きな金額に上ります免税をいたしておる状態でありまして、この点は、類似の鉄道営業に比べまして、非常に大きな差になつておるかというふうに考えておるわけであります。また国といたしましても、相当程度の補償金を出しでおるわけでありますが、申すまでもなくそれに対する配当というようなことは問題になつていないのであります。そういうようなところから、一応国の公共的な経営ということに対します筋道を考えておるわけでありますが、運賃というものを考えて参ります際におきましては、そういうような前提に立ちながら、独立採算均衡がとれるということを目標にして考えて参りたい。申すまでもなく、そのために非常に大きな利益が生じ、その利益をもちまして建設勘定をまかなうというようなことは考えておりません。しかしながら、経営収支というものはとにかく合うということを目標にいたしまして、それから料金を考えて参つたのであります。御指摘のように、かつて非常にインフレのはげしかつた時代、昭和二十二、三年ごろだと思いますが、若干損益勘定におきまして収支の補填をいたしたことがございます。しかしながら、これは最近数年におきまして、経営勘定というものが非常に収支の均衡を目標として賃率をきめて参る。ただ本年度の追加予算、あるいは昭和二十五年にも同様の事実があつたのでありますが、運賃の改訂をいたします際に、運賃の改訂というものは、当然平年度の計算を基礎にして考えなければならないので、この運賃改訂を実行いたします場合における収支のずれがございますので、経過的に平年計算になります前の、すなわち例を申し上げますれば、昭和二十七年度のごときは、どういうふうにやりくりして行きましても、三十億の赤が出る。従いまして、損益勘定に対して三十億という一般会計からの補填を臨時的にやつております。そういうふうな臨時的な調整につきましては、従来もある程度やつておるわけでありますが、平年計算というような一つの筋道の問題といたしましては、やはり経常的な収支というものは、収支が合うということを目標にしてやつておるわけであります。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 さらにお尋ねいたします。国鉄の資料によりましても、現在必要を迫られている新線工事の予定がございますが、これに要する費用は、現在の方針によるものだけでも百二十五億五千万円を算しております。さらに戦災及び戦争中における保守、修理の怠慢から来ますものが概算千五百六十数億円と相成なつておるわけであります。加えて電化のために現在実行に移されつつある計画線の費用六百三十二億、合計いたしますると、二千三百十七億数千万円という厖大な費用がかかるわけであります。この中におきまする電化の問題は、経営合理化とも相合致して、将来国鉄の経理上、数十億円の利益が見込まれるというのでありますから、たとえばこれが民間公債によりましても、将来これを改修するの見込みがあろうかと存じますが、復元費の問題に関する限りは、当然国鉄という一つの経営体が責任を負うべきものではない。さらに新線にいたしましても、御承知の通り現在の三百線区の中で、黒字経営のできるものが四十二線との報告であります。従つてこれから投資いたします新線の開通に至りましても、とうてい五年や十年の間に独立経営が成り立とうとは考えられないのであります。だから、独立採算がとれないから、これからは新設工事をやらなくてもよろしいかということになれば、国家国民の経済並び文化向上の建前からいつて、そうはならない。国家目的のために当然新設工事をでき得る限り拡大して行かなければならないと考えます。従つて、これらの二点につきましては、当然国鉄の資力、経営、これらのものによつてこれを改修し、これを補填すべきものではない、かように考えますが、その点どうお考えになりますか、御答弁願いたいと存じます。

石原周夫大蔵事務官(主計局次長)

○石原(周)政府委員 お尋ねの前段にございました一般会計からと申しますか、現在非常に資産状態として不良な状態にあるとおつしやいました千五百億という計算につきましては、私しさいに承知をいたしませんが、現在の資産の中で相当老朽をいたしているものがあることは、私ども事実でないかというふうに考えるわけであります。お話のように、この数年にわたりまして修繕費あるいは建設勘定におきます補充取替の関係、そういうようなものの経費が比較的少かつたのでありますから、そこにおきまして若干施設の老朽のものが残つていることはあるわけでございますが、その点につきましては最近におきまして国有鉄道の損益勘定を、昭和二十四年六月、七月ごろを基準といたしまして、事実上再評価をいたしましたと同様の減価償却をして来たのであります。これが本年度三百億をちよつと越える金額で建設勘定に繰入れられているのであります。この繰入れられております金に、御承知の通り、預金部から借りました金が今度の補正予算を加えまして百三十億、これを加えまして建設勘定ができ上つているわけでありますが、最近におきましては、そういうような相当大きな減価償却を計上いたしておりますために、この金額をお説のような電化であるとか新線の建設——これは別にお答えいたしますが、こういうような積極的な工事をいたしておるのでありますが、私どもの承知しておりますところでは、おおむね半分くらいの金額はいわゆる補充取替の関係にまわつているというふうに承知いたしております。従いまして、毎年相当大きな金額が現在の老朽設備の補充取替にまわつておりますが、現在までのところでは、そういうものの補修は終つていないのであります。今後におきまして相当急速に、現在のようなやり方でありましても、そういう老朽設備というようなものがだんだん減つて参るのではないか、それは比較的早く行くのではないかというような考え方をいたしているわけであります。ただ御指摘に相なりましたように、一方積極的な新線でありますとか、あるいは電化工事でありますとかいう問題が入つて参りまして、全体の建設勘定を通じた補充取替も含みます積極的な施設及び消極的ないろいろの補修等を合せまして、建設勘定に対する要望は非常に大きいのでありまして、これを従来は預金部からある程度の金額を借り入れましてまかなつて来ているわけであります。今後におきましてそれが相当大きなものになつております。これを現在の財政収支の上におきましてどういうふうにまかなつて来るかということは、なかなかむずかしい問題だと考えております。ただそれをある程度国鉄の運賃、あるいは国鉄の経営収支をもつてまかないがつかないかどうか、何らか別途の補填方法を考えたらどうかという点につきましては、今申し上げましたように、大体それ以外の政府民間企業の関係から見まして、今申し上げたような程度の償却を行つておりますれば、そう著しく悪いという状況ではないというふうに考えるわけであります。  第二点の新線建設の点でありますが、これは本年度におきまして二十億円でございますが、御指摘のようにまた線路が加わりますと、さらに負担額がふえて参るということはおつしやる通りであります。ただこれが相当増加をいたしましても、現在御承知のように国鉄の全資産は、大体再評価をいたしますと、二兆くらいと称せられております。これは正確な数字ではございませんが、少くともそういう大きさのものであろうというふうに考えております。従いまして、そこに百億あるいはその程度の金額が毎年増加をいたして参りまして、かりにそれらの線が、二年とか三年とか、そう近いうちには採算性にはならないという状況でありましても、これが国鉄全収入の中に占める割合というものは相当小さなものである。従いましてそれについて従来とかわつた特段の措置をするということは、目下のところ考えておりません。  ついでに申しておきますが、先ほどお答えいたしました中に、二十七年度三十億の金を一般会計から繰入れるということを申し上げたと思いますが、それは間違いでありまして、預金部から繰入れるのであります。この機会に訂正させていただきます。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 なかなか確たるお考え方を伺うことができませんが、重ねてお尋ねいたしておきたいと存じます。すべての経営体におきます保守改善というようなものが、一般経理の中から補填されることは、すべての業体がその通りであります。しかし国鉄の計上いたしております見込額千五百六十億という復元費は、当然なすべきことをなさずして今日に至つておる。言いかえればこれだけの保守改善の借金を背負つたまま国鉄が分離、独立採算制にかわつたものであるというふうに解釈して間違いはないと私は考えておりますが、この件について私の考え方が間違つておるかどうか念のためお尋ねしておきたいと思います。

石原周夫大蔵事務官(主計局次長)

○石原(周)政府委員 御指摘の千五百数十億という金額につきましては、私どもの方も、国鉄あるいは運輸省側から、今おつしやいます特別の復元を要するための金額について説明を伺い、またこれに対しての検討をいたしておりますが、目下のところ理解しておりますところでは、それらのものは耐用命数は来ておるが、まだ現用いたしておるという数字に当るものと承知しております。また事実問題として、相当老朽な施設が、現に用いられておるという点は、先ほど申し上げた通りでありまして、これらのものが、何と申しますか資産の中における一つの老朽部分としてあるという点につきましては、御指摘の通りであります。ただ金額の点につきましては、なお検討を重ねまして、どの程度の金額になるかということを確かにつかみたいと思つております。  ただ申し上げておきたいことは、ある前提の下におきまして、そういうものはある期間のうちに、できるだけすみやかに償却し切るという、貸借対照表というか、資産の健全性という点からの考えと、もう一つは、そうではなく、現にそういう老朽施設を使つておつては非常に危険であるという、現実の使用上の危険という問題と両方あります。資産の健全性という点につきましては、御承知の通り国鉄は久しい間にわたりまして償却という制度をとつておりません。終戦後鉄道会計法の改正によりまして、初めて償却制度を採用したものであります。従いまして、資産の健全性という意味における不良資産が残つておるかという点につきましては、正確には、はたしてどれだけ不良な状態にあるかということは申し上げかねるのであります。目下のところ私どもとして申し上げられることは、少くとも二十四年六月末までにおける価格に基いて再評価をしたベースにおける処置をとつておりますので、民間の企業に比べれば相当よい償却の割合になるのではないかということであります。現実に危険な設備が使われておつて、事業の運営上危険があるかないかということにつきましては、私どもの方で詳細なことは承知しておりません。これは建設勘定の具体的な使用内容の問題になるのでありますが、これは運輸省なり国鉄当局の方からお答え願いたいと思います。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 ただいまお触れになりました耐用年数の切れたもの、これを概算して、二十六年度の調べにおいて四千億円と国鉄は資料を出しております。なおただいまお触れになりました危険の状態にあつて、どうしてもこれを早く復元しなければならないというもの、これが、二十六年の資料でありますが、一千八百六十億と国鉄では言つております。二十五年に、従来運輸省、国が経営しておつて耐用年数の過ぎたるもの、しかも危険にしてただちにとりかえなければならないもののみでも千八百六十億という概算の出るものを、そのまま国鉄に背負わせて、独立採算制というがごときは無謀にひとしきことである、私はかように考えますが、私の考え方が間違つておるかどうか、お尋ねいたします。

石原周夫大蔵事務官(主計局次長)

○石原(周)政府委員 前段にお触れになりました償却のことについて、耐用命数が経過をいたしておりますものが現在資産の上に載つているという点と、あぶない施設があるという点を、わけて申し上げなければならないと思います。前段の点について申し上げることは、先ほど申し上げましたように、国鉄は一応観念上の再評価をいたしまして、年々の減価償却額は大体それにマツチした金額であります。しかしながら、帳簿上におきましての整理はいたしておりませんので、今それらの資産が、不良資産としてどの程度に残つておるかという点につきましての——これは国鉄の推定では、あるいはあるかとも思いますが、正確な議論をいたすことは困難であると思います。  つけ加えて申し上げておきますが、そういうような不良な資産は、できるだけ償却を早めまして、特別なる償却をする方がよろしいという点につきましては、私ども異論がございません。ただそれらの金額が必ずしも正確になつていませんので、にわかに結論は申し上げられませんが、理論としては、おつしやるように、そういうものにつきましては、できるだけすみやかなる償却をいたす方がよかろうと思います。ただ、私どもの考えでは、冒頭に申し上げましたように、そういうような償却は当然原価のうちに入るであろう。従つてそれらの原価に入ります場合におきます運賃の値上率を、今回の補正予算の際いろいろ議論をし、いろいろな案を考えてみたのでありますが、現在までの状況では、それ以外の全体の産業につきまして、多かれ少かれそういう事情が存在いたしておりますので、これらとの関係をにらみ合せてみますと、今日その分だけ特別に割増しをした値上げをいたすのは適当ではないという結論に到達したのであります。お尋ねの点はおそらくは、それならばそれを一般会計から負担をしたらどうかというような点かとも思われるのでありますが、それらの点につきましては、これは償却ということの本来の性質上、当然原価のうちに考えてしかるべきではなかろうか、それらの点について償却というものが、先ほど申しました通り、比較的いい金額になつておるという点から考えてみまして、まずまず国鉄側にごがまんを願つてしかるべきではないかというように考えたわけであります。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 途中までは御賛成のようですけれども、最後の金のことになると、どうも逃げられて困るわけでありますが、私の言うのは、耐用年数が過ぎたから、ただちにそれはとりかえなければならないという、それほど耐用年数というものが厳格なものではないことは、私も了承いたしております。しかしながら、事務的にこれをあげれば四千億という調査が出ておるということをまず了解願わなければならない。その中の約二千億に近きものは、やはり運転に支障を来すおそれありという緊急な補修を要するものである。こういうものを背負わせて、独立採算制という建前でこれを年々経費の中から償却せしめるという建前は、あまりにも無理ではないか。本来からいいますならば、公共性を有する国鉄であります限りは、なすべきものをなして、しかしてこれから起つて来る償却費に対しては、耐用年数とにらみ合せて、そして少しでも多く償却費がとり得るような健全な経営をなさしめるのならば、わかるのでありますが、かような荒廃せるものを背負わせたままで、国は、独立採算制であるから、通常経費からの償却によつてカバーせいということは、それ自体が無理ではないかというのが私の考え方であります。  それから、もう一つお尋ねいたしておきたいが、それは新線の問題であります。今年も百十億並びに追加二十億という財政余裕金の方から立てかえはいたしますが、しかしながら建前としては、これもやはり投資の形において独立採算制という建前で普通経常費から払うことが原則であるかのような御説明でございますけれども、これも大きな間違いではないか。それを独立採算制による投資として経常費から出し得る、あるいはそれを借り受けて利子を払うというようなことにいたしましても、それを償うべきところの運賃の改訂をしなければならない。そういたしますと、将来への希望としての国家投資であらねばならざるものを、現在使用するところの受益者が不当なる運賃を払わなければならない。そしてこれが現在の受益者によつてまかなわれるのであつて、これらの賃金制、運賃改訂につきましても、十分なる考慮が払われなければならない。従つてこういうものは当然国家の融資に基くところの建設資金というようなものによつてこれをまかない、そして国鉄の健全経営ができるときにおいて別途方法を考慮すべきである。たとえば、専売局のごとくに、その経営体の中で利益が上れば、国家の一般会計に吸収するのである。利益のあるものは吸収し、かくのごとき荒廃せる施設をかかえて多くの負担を背負わせられる国鉄等の経営については、そのまま独自の力をもつて、独立採算制であるから自己資本をもつてやれというようなことは、そもそも国の政治の基本的な考え方の上に間違いがあるのではないか、私はかように考えますが、その点もう一度御説明を願いたいと存じます。

石原周夫大蔵事務官(主計局次長)

○石原(周)政府委員 前段におつしやいました点でございますが、これはあるいはもう大体議論であるかと思われます。いずれにいたしましても、鉄道あるいはそれ以外の通信とか、政府のやつております企業は、いろいろたくさんございますが、戦時中、戦後を通じます償却の不足と申しますか、そういうものは、公企業についてもそうでありますし、私企業についてもそうであると考えております。これをどの程度の早さでどの程度に復元をして参るか、その負担をだれが背負うかという問題は、なかなか全般通ずる広いむずかしい問題であろうというふうに考えます。私が先ほど来申し上げておりますのは、大体現在程度の償却をやつて参りますれば、相当程度のところまで行けるのではなかろうかということであります。先ほど申しましたように、三百億というような金額が減価償却でもつて計上せられておるのであります。これは相当大きな金額でありますが、運賃引上率の問題とにらみ合せまして、減価償却が著しく低い場合におきましては、おつしやいます通り何らかそこら辺はまた賃率改訂をしなければならぬ。そこら辺のところがよいところではないかという考え方であります。  後段におつしやいました新線建設の問題でございますが、新線を建設する場合における利息の支払いは、当該新線経営の上からいつて、なかなか困難であり、あるいは元金の償還もそうであります。こういう点は、おつしやる通りあろうと思います。ただ国鉄は、非常に大きな資産を持つた経営でありますし、また新規の積極的な施設の中にも、必ずしもみな利子を払うのに一ぱいであるというような採算の悪いことをやつているわけでもないのであります。国鉄のような大きな経営の強みは、申すまでもなく現在運行している線の中においても、相当多数の不採算線があり、また非常にもうかる線があるので、それを一括して運営し、それによつて、比較的公共的な性格を考えてきめられる運賃というもので採算がとられて行く点にあるかと思います。従いまして、今の経常収支だけをごらん願いましても、大体二千億を少々越えるような年々の経常収支を持つております。従つて新線建設に伴う利払いというようなものは、それに比べると比較的小さい。なお全体として借入金百数十億をもつて行つております仕事が、相当に採算の合うものもあるというような点をあわせてお考え願いますと、そのうちの一部分のたまたま非常に採算性の恵まれていない部分について、これを取立てて別途の措置をいたす必要はなかろうとわれわれは考えております。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 これは大きな政治性を有するものでありますから、大蔵大臣に来てもらつて、その意向をただしておきたいと思つたのであります。こういうことは事務的に折衝されても、納得の行くことではないと考えております。しかし、大蔵当局の大体の考え方をただしておかなければ、今度の運賃値上げ問題についての最後の結論を出すのに非常に困るわけであります。従つて、大蔵大臣は何度口をかけてもこちらに見えませんから、あなたに来ていただいたということでございます。しかし基本的には、今度の運賃値上げによつて採算をまかなうということには無理があり、これは妥当でないという考え方を持つておる。なお国鉄公社になります以前、二十年から二十四年までの間の一切の政府支出等は、あなたも御承知の通り五百億円である。年間これが平均して百二十五億という数字に上つておりまして、国鉄自体の経常費より支出したるもの十八億という程度で進んでおります。しかるに、二十七年度の予算を見ますと、二千九十九億の中で、修繕費に予定されるもの五百四十九億、償却費として三十七億、特別補充取替費として二百六十六億、合計八百五十三億が経常費から支出されておるのであります。そうなつて参りますと、総収入の二千九十九億に対しまする。パーセンテージは四十二%となり、さらに修理取替等に要する人件費を合せますれば、大よそ五〇%を突破するであろう。かくのごとくに保守修理等のために全収入の五〇%になんなんとするものを充当して、はたして経営体が成り立つか。やむを得ずして出さなければならない費用が、これだけあるにもかかわらず、それを政府の方では、何らカバーするところなく放置して、足りないから運賃値上げをやる、こういうような論拠はわれわれはなはだ妥当を欠くと考えておるわけでございます。特に運賃値上げの一つの理由として、ベース・アツプに伴う原因があるかのごとくに主張される向きもあるのでありますが、これらは最もはなはだしき誤謬であるといわなければならない。数字によつて見ますならば、国鉄自体の損益勘定は十一年に比較して四百八十三倍となつておる。その中で人件費の比率は三百三十六倍、物件費が六百八十一倍という数字になつておる。それに加うるに特別取替費の三百三十二億を加算いたしますと、一千十三倍ほど十一年に比較して暴騰しておるのである。従いましてこれらの数字から見ましても、物件費のうちの保守改善及び特別取替というようなものは、普通経営に基く数字ではないのである。とりもなおさずこういう比率の出て参りますゆえんのものは、戦争を通ずる戦災被害並びに改修保守の点がなおざりにされておつたから、こういう数字が出るわけであつて、これを国が何らの責任を負うことなく、今日の受益者に転稼するがごときことは、われわれは断じて認めることができない。この点を十分に御考慮願いまして、大蔵当局が国鉄並びに運輸省と折衝の上、適切妥当なる国鉄経理の方針を立ててもらわなければ、とうていかくのごとき状態において、受益者にのみ負担せしめるという方法はとるべきでない、かように私は考えるわけでございます。従つて、たとえば耐用年数及び直接危険をはらむ緊急補修の問題についてすら、その数字が明確に覚えておられないような大蔵当局の考え方をもつて、国鉄のさしあたりの便法をもつて、値上げ等の処置をされることは、はなはだ不当であると私は考えます。この点について、もう一度当局のお考えを承つておきたいと存じます。

石原周夫大蔵事務官(主計局次長)

○石原(周)政府委員 国鉄の経常支出の中における物件費の騰貴割合が高いという点は、御指摘のように事実であります。しかしながら、これだけが特殊に高いということよりは、たとえば石炭の費用の上り方が多い、あるいは修繕材料の関係からも、そういうものの値上りが相当はげしいというような、いろいろな事情がある。一つには、またこういうような修繕費、それから先ほど申し上げました減価償却をあわせて、国鉄が資産を逐次充実しつつあるということの現われであるかと思うのであります。ただしかし、これが御指摘のような騰貴割合になつておるわけでございますが、先ほど運輸省からお答えになりましたように、しかもなお、全体としましては、鉄道運賃の引上げ割合は比較的低いものであります。この比較的に低い運賃をすえ置きにしておいて、物件費の著しく高い部分を一般会計の、国民の税金の負担においてまかなうということは、現在考えております国鉄の独立採算という点から見まして、適当ではないのではないかと考えるわけであります。申すまでもなく、先ごろ国鉄公社をつくりました一つの理由は、国鉄を一つの企業として、企業としての運営をやつて行つていただくという点にもあつたわけであります。そういうような企業の運営という点から申しましても、独立採算という建前のもとに、初めて企業の運営もできるのではないかと考えております。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 なかなか答弁は承服しかねるわけでありますが、現在行われておる国鉄の経理は、それがやむを得ない、そして、償却についても補修についても、自己経理の中からこれを起してあたりまえだという観点に立つておられるようであります。私が先ほど言いましたように受益者負担というものは、単に現段階をもつて律すべきではない。受益者負担は、やはりその企業体の前後を勘案して妥当なる負担をせしむべきであつて、ことさらに前後の事情を無視して、赤字が出るからこの際の受益者にただちにその負担をせしむるというがごときことは、受益者負担の建前からいつて、妥当ではないと私は考えるが、大蔵当局はそれでけつこうだとおつしやるならば何をかいわんやでありまして、もう一度御答弁を願いたい。  なお投資につきましても、これは言いかえますならば、公共事業でありまして、国家国民の将来のために必要なる投資である限りにおいては、国家国民の投資として肩がわりをすべきである。今日の経営の困難なるときに、単に今日の受益者に負担をせしめて、もつてそういう投資をすべきではない。私はあくまでもそういう考え方を持つておるのでありますが、どうしても大蔵当局としては、二十七年度予算に現われるがごとき不当支弁についても、通常経費からこれを出すことが妥当であると重ねて仰せられるかどうか、もう一度承つておきたいと思います。  なおベース・アツプに伴う問題については、お触れにならなかつたのでありますが、大蔵当局はそういうふうにお考えになつておらないかもしれません。巷間伝うるところによれば、これが運賃値上げにからむ重大な原因の一つであるかのごとく言われますが、私はこれは全然そうではないという考え方を持つものでありまして、この点についても一応承つておきたいと存じます。もちろん大蔵省も、裁定の理由書等については、ごらんになつておると思うのでありますが、裁定理由書の中にもこれが明確に書いてある。現在四十四万の職員がおるわけでありますけれども、これは、キロ当りにして戦前に比し五割の増である、車両をキロ当りにして三割の増であるといつております。しかしながら人と貨物トンのキロ当りの数字を出せば、三割減じておるというのである。三割減じておるということは、それだけ能率が増加されておることであつて、こういうような状態の中における給与の関係というものは、決して給与のアツプによつて責任を負うべきものではなくて、出すべきを出さずにおるという結論である。これが原因するところは、国が国鉄にまかせてその責任を負わざるところに基因する。こういうふうにわれわれは解釈をしたのでありますが、その点のお考えもあわせて聞いておきたいと思います。

石原周夫大蔵事務官(主計局次長)

○石原(周)政府委員 今日の受益者に、運賃の形で、将来負担さすべきものを負担させているのではないかという前段のお尋ねであります。これは私どもは、二つの場合が御指摘の場合に当るかと思います。一つは、かつて戦前にそういうことでありましたように、損益勘定におきまして相当な益金を出しまして、それを建設勘定に繰入れをいたすということであります。もう一つは、先ほど申し上げましたように、補正予算並びに運賃の審議の過程におきまして論議をされましたことでございますが、先ほど来熊本委員が御指摘になつておられますいわゆる復元の経費というものを織り込みまして、それを賃率に織り込むことに相なります。そのいずれもが、正確に申しまして今日の受益者の負担ということと若干食い違いを生ずるかと思います。私はそういうようなやり方が、悪いとは申し上げませんけれども、ただ受益者の負担という点を論理的に突き詰めますと、以上のような二つの場合におきましては、今おつしやいましたような御非難に当るかと思います。しかしながら、私どもの見ますところでは、先ほど来申し上げますように、それらのいずれの場合にも該当しないのでありまして、現在再評価も大体民間の再評価の時期と時期を同じゆういたしまして、民間において行われました再評価の時期に合せまして再評価のベースを減価償却に見、また必要な修繕費を見ている、こういうことに相なると思います。従いまして、受益者の負担の、今日背負うべからざるものを背質つておるということには、必ずしもならないのじやないかというふうに考えるわけであります。  第二段の、ベース・アツプと運賃値上げの関係でございますが、先ほど申し上げましたように、運賃の値上げの計算におきましては、平年度の計算をいたしまして——これは当然現在補正予算において御審議を願つておりますペースを基礎にして、一切の損益勘定の経費を計算いたしまして、これに対します現行賃事によりまする収入を見まして、その差額をねらいまして大体一割という数字になつたわけであります。従いまして、特にある部分がこれに当るということには、必ずしも参らぬ点はおつしやる通りであります。ただ金額の点におきまして、その両者の金額がたまたま一致をいたしたというような金額に相なつたわけであります。運賃の改訂というものは、当然それ以外の一切の収支のフアクターを見るわけでありますから、特定の経費だけを見て、その分だけ上つたということにはならぬのであります。なお、現在の賃金に対しまして能率がどうであるかという点につきましては、これは私どもといたしまして、仲裁裁定によりまして与えられたベースというものを基準にして見ておる次第であります。それらの労働者の能率がどうあるかという点につきましては、また別の見地があることと存じます。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 これより以上は議論になろうかと思いますから、しばらくおきまして、政務次官がお見えになつておりますからお尋ねいたします。  先ほど来大蔵当局と私と質疑応答をかわしたわけであります。これについて運輸省といたしまして、将来の国鉄経営に関する基本的な重大な関連を持つと思いますが、政務次官はどういうふうなお考えを持つておられますか。個々の問題では御答弁いりません、大局的なことで、根本方針の上についての御答弁を願つておきたいと思います。

木村公平自由党運輸政務次官

○木村(公)政府委員 熊本委員が国鉄の経営のために格別なる御関心をお持ち願いますことは、まことにありがたいことで、この機会にお礼を申し上げます。国営の根本方針といたしましては、結局将来は、政府の補助、援助を与うることなく、独立に経営のできるところまで持つて行かなければならないのでありますが、その過程におきましては、先般も答弁のうちに申し上げましたごとく、ある程度の政府の保護政策が必要であることは、言うまでもないところであります。従いまして、どの程度の保護をいたすかという点につきましては、今までいろいろあなたの質疑の中にありましたイデオロギーに、おおむね私どもは賛成でありますが、国家全般の予算等をも勘案いたしまして、必ずしも国鉄の希望が全国的には、いれられない場合もあり得ることであります。ひとり、これは国鉄の場合だけでなく、あらゆる面において不足はあり得ることでありまして、これは敗戦後のわが国状から、ある程度はしんぼういたさなければならないのではないかと考えておる次第であります。これを要するに、結論的に申しますれば、独立採算制が完全にできるまでは、国家が当然保護政策を用いるべきであるということが、かわらざる私どもの希望であると同時に、これは国家の責任であろうかと思いますので、一言お答え申し上げておきます。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 ただいまの御答弁によりまして、運輸省としての方針に私と一致する点のあることを、私は喜びとするものであります。しかしながら、具体的に現われて参ります現在の執行状況の中には、ただいま次官からお述べになつたようなことについての熱意と努力の点に欠くるものがあることを、残念ながら認めざるを得ない。従つて、この点につきましては、その基本的な考え方に基きまして、より強く大蔵省との折衝の上において、そのわれわれの考え、一致点を具現するごとくに御努力を願いたいということを、希望申し上げておきたいと存じます。  なお、公社の方の責任者がお見えになつておりますれば、お伺いをいたし出たいのでありますが、今国会の委員会が始まつて、長い間、国鉄裁定の実施あるいは今回の運賃値上げについて、各委員の方々から熱心なる質疑応答がかわされました。そして公社といたしましては、わくの範疇に基く制約があるために、非常に苦しい答弁をされているごとくに私は見ておつたのでありますが、この機会に先ほど来の質疑応答並びに運輸次官の答弁とあわせて、公社の方から何かお考え方の一端を漏らされることがありますならば承つておきたいと存じます。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 総裁はけさほど来の腹痛のために、午後はちよつと本委員会に出席することができないのでございますが、各委員の方々からそれぞれ御発言のございました点、それらに対する運輸省あるいは大蔵省の責任ある方方の御答弁、御意見に即応いたしまして、国鉄としてもできるだけの施策を講じて行きたいと存じます。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 国鉄の最高責任者が見えておりませんから残念でありますが、私希望を申し上げておきます。  かくのごとき困難な経営の中にありながら、国鉄公社の責任者が政府に向つて当然の主張をすることに、多くの欠如するものがある。こういうような形で一体将来の経営をどうしようとするのか、われわれから見れば、まことに寒心にたえないのであります。きめられたる範疇の中であえいで事足れりというものの考え方は、将来の国鉄経営にとつて危険千万だと考えますので、きようは総裁もお見えになりませんけれども、十分その点を伝えておいていただきたい。これは単に国鉄のためばかりではなく、国家将来の発展のために、しかして国民の利害と文化のために必要な重要問題をひつさげて、なおみずからの立場のみを考えて事をあいまいの中に過すというがごときは、はなはだ不謹慎であると考えます。その点を十分総裁にもお伝えおき願いたいと考えます。  なお、大蔵省にお尋ねをするのでありますが、現在の大蔵省における財政余裕金は幾らあつて、これをどのように使おうとされるか、念のためお尋ねいたしておきたいと思います。

石原周夫大蔵事務官(主計局次長)

○石原(周)政府委員 お尋ねの財政余裕金というものの定義が、いろいろあるわけでございますので、どういうお答えを申し上げるのが適当か存じませんが、あるいはこれに当るものかというものを二、三申し上げてみますと、今年度の補正予算を組んだ後におきまして、見返資金特別会計において残る金が百億であります。資金運用部の特別会計において残る金が二百四十八億であります。その二つが従来財政投資をやつて参つた場合におきます主たる財源でありましたことは御承知の通りであります。なお、言葉の幅を拡げまして、最近二、三年の間にいわゆるインヴエントリー・フアイナンスというようなことが行われました。それに伴つて、二、三の会計は、これはもちろん現金あるいは今申し上げた二つの特別会計のごとくに短期の政府証券の形ではなく、おのおの見合いのものあるいは外貨となつているわけでありますが、そういうものを申し上げますと、まず第一に外国為替資金特別会計であります。これは御承知のように十一億ドルの外貨を持つているわけでありますが、そのうち借入金を差引きまして、いわば自己資本に該当するものは二千二百億ばかりであります。それから食糧管理特別会計、これにおいて従来二百七十億のいわゆるインベントリー・フアイナンスを行つたのであります。これとそれ以外の従来備蓄されました余裕金を合せて、本年度において現在補正予算で出しておりまする予定貸借対照表におきましては三百六、七十億の余裕金があります。現在のところでは大体四百億とお考えになつてよろしいかと思います。大きいものはこんなものでありますが、もう一つ、従来インベントリー・フアイナンスを行いまして現在資産に繰越し益金が計上されているのは貴金属特別会計であります。これに約七十六・七億の繰越し利益があります。あとに申し上げました三つは、あるいは食糧あるいは外貨あるいは貴金属というようなおのおのの見合いの資産でありますので、これは動員がただちに可能だというわけではありませんが、あるいはお尋ねの点に近いかと思いますので、あわせて申し上げておきます。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 貿易の準備金たる十一億ドルでありますが、これは現在の貿易の実情あるいは将来を見渡して十一億ドルの余裕金が確保されなければ危険であるというお考えであるか。わが党の調査によれば、この中の半額程度のものは国家将来のための建設的融資ができ得るのではないかという見通しをつけているわけでありますが、その点のお考えを念のために一応伺つておきたいと思います。

石原周夫大蔵事務官(主計局次長)

○石原(周)政府委員 その点は、正確には理財局長か何かをお呼び願いましてお答えをすべきだと思いますが、私の承知している範囲内で申し上げますれば、現在の貿易規模と将来の発展と、もう一つはここ一、二年の異常なる外貨蓄積がありましたのが、今申したような蓄積になつたのであります。それが最近におきましては多少逆調になつております。そういうような今おつしやいました貿易自身のために必要な運転資金的なものにも安全限度があり、もう一つは、十一億ドルの中で、相当大きな金額が——二億近いかと思いますが、いわゆるオープン・アカウントと申しまして、たとえばアルゼンチンであるとか、あるいはインドネシアであるとかいうような外国との間における貸し勘定であります。これはそれらの外国から物を輸入する以外に使えないという関係のものでありますので、それらの分につきましては、先ほど申しました利用可能という意味におきましても、また一つの限界があるというようないろいろの点がございますので、どの程度までが日本の現在に必要であつて、どの程度以上は余裕かということにつきましては、ちよつと簡単に申し上げかねます。

熊本虎三日本社会党(右)

○熊本委員 私の質問は以上で終ります。

逢澤寛自由党

○逢澤委員長 田原春次君。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 国鉄運賃改定理由書の第四項目を見ますと「この不足額二百十五億円を補うには現行運輸収入二千十六億円に比し、約一割の増収を必要とする。」こう書いてある。ところが、具体的に運賃の引上げの率を見ますと、ほとんど約一割でなく、途中から文章はおおむね一割程度というようにかえまして、一割二分、一割三分、一割五分というような数字が出て来ておるのであります。これははなはだしきごまかしである。当初国鉄側では三割の運賃値上げを計画し、一般世論の反撃にあいまして、なおまた運輸審議会等の答申によつて、一割という数字を明示されたにもかかわらず、依然としてこういうような数字上のごまかしをやつておることに、私は非常なる不審を抱くのであります。たとえば次の第四ページの表を見ましても、三等運賃で百五十キロメートル以下の分は、一キロ当り現在一円八十五銭のものを二円十銭に上げる。一円八十五銭で一割としますと、十八銭五厘でありますから、四捨五入いたしましても十九銭であります。これを現行の一円八十五銭に加えますと、三円四銭であります。従つて、四捨五入をするならば、二円でなければならぬのに、これを二円十銭にしておる。あるいは航路普通旅客運賃のところを見ましても、なるほど三等においては青函連絡船の現在の二百円を一割上げて二百二十円にしてある。ところが三等を見ますと、宇野、高松線の現在八十円が百円、すなわち二割五分の増加を見ておる。今度は逆に青森、函館間の一等改訂料金を見ますと、現行は一千四百円でありますから、これに一割、すなわち百四十円をかりに加えたといたしますと、千五百四十円とならなければならぬのを、改訂は千四百八十円にしてあります。一等に対しては一割以下の八分程度の増率をし、三等には二割五分である。二等は至るところ、この鉄道当局の出しました表を見ましても、みな一割にとどまつたものはありません。こういうようにしてあるということは、結局実質において当初計画した三割値上げ増収を、世論の反撃にかんがみて一割程度ということにし、だんだん各項目にわたつて、具体的には二割、二割五分というようになつておると私ども考える。そういうつくり方、あるいはまた端数の切上げにつきましても、現在は十円未満の端数は四捨五入の方法でやつておる。これは一応よろしい。ところが、今度百五十キロメートル以上のものになりますと、端数は全部十円に、切捨てでなくて切上げて行く。たとえば、百八十二円になつた場合に、これは百九十円にするのでありますから、従つて率の引上げがすでに一割二、三分であり、こういう切上げによりまして、さらにまた何分かの実質上の増率になると思うのであります。かようなことで、国民の一番必要な交通機関の利用について、表面は一割とし、実質は二割ないし二割五分の引上げをするというような考え方、私どもはこの国鉄の公共性を 却した、要するに商業性だけを抜き出しにしているような傾向を見て、非常に遺憾に思います。最初に企画したときに、一割という答申であつたならば、何ゆえに一割で数字を出してみなかつたか。この立案当時の考え方をお聞かせ願いたい。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 ただいま田原委員から御指摘のございましたように、たとえば基本賃率の百五十キロメートルまで一円八十五銭、ことがもし正確に一割値上げするということになれば二円三銭ほどになるわけでございますが、それを二円十銭というのは、一割値上げという看板に偽りがあるのではないか。その他航路運賃の三等、二等、一等の角度から数字を指摘されまして、一割値上げと言つているにもかかわらず、数字を見ると、一割を越えているというお話でございます。確かにこの数字からだけごらんになると、さようなことに相なるわけでございますが、大体今回の運賃値上げにつきまして、政府の方針といたしましては、これは旅客も貨物も同様でございますが、平均一割の増収を上げることが方針でございます。旅客、貨物合わせまして、現在の収入はほぼ二千億と相なつておりますが、これに対しまして一割の増収をはかりますためには、その額が約二百億ということになるわけでございます。その二百億の増収を上げますためには、具体的に賃率をどういうふうに盛るかという点に関しましては、非常に関連はございますが、おのずから別個の問題になるのではないかと思うのでございます。先ほど御指摘の、百五十キまでのところにつきまして一円八十五銭が二円十銭に相なつておりますのは、確かに一割三分五厘の値上げということになつております。それから第二地帯、百五十一キロから五百キロまでのところにつきましては、一円三十銭が一円四十五銭、一割一分五厘、第三地帯、五百キロから千キロまでの地帯におきましては、現行の七十銭が七十五銭、これは一割を割つておりまして、七分一厘の増ということになつております。第四地帯は四十五銭が五十銭でございますから、一割一分一厘、かようにそれぞれ鉄道の旅客運賃は遠距離逓減制をとつておりますが、その運賃の地帯ごとについての値上げの率につきましては、あるものは一割を越えている、あるものは一割以下である。平均これらを総合いたしまして、鉄道の輸送の量をはかります場合には、乗客の数とその運ばれる距離、われわれはこれを人キロと言つております。貨物の場合にはトンキロという字をもつて輸送の量をはかつておるのでございますが、全体の輸送の量に具体的の賃率をかけ合せた場合の収入が、現行の収入に対して一割になるというようなことを目途としま   具体的な賃率をこしらえたということでございます。  なお端数について、今度の改正で、実は当初は五十円を越えるものについてはこれを全部切り上げるということも考えたのでございますが、それではやはり短距離の旅客に対して運賃の値上率があまりに高い場合が生ずるというような御議論も運輸審議会方面でございまして、その点はとりやめということにいたしたのでございますが、ただ百五十キロを越えるというような遠距離の旅行の場合、百五十キロに二円十銭をかけますと運賃の額が三百円以上に相なるのでございますが、三百円を越えるような額に対しては端数を十円ごとに切り上げても、あまり大きな影響はないだろうということから、その限度においては運輸審議会の答申でも認められたのでございます。  なお、急行料金であるとかその他の料金関係においては、ラウンド・ナンバー——にするというような関係もございまして、一割以上に上つておるものが相当ある点は御指摘の通りであります。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 百五十キロ以上のものに対して七分五厘であると言つておりますけれども、やはり近距離において一割三分、それから先ほど指摘するのを忘れましたが、たとえば関門間は現行二十円が三十円に上る。そうしますとやはり三割ないし四割の値上げになつているわけです。従つて申訳程度に五百一キロから千キロまでの分が七分五厘になりましても、総体かな見ればやはり七分五厘以上は出ておるのではないか。しからば、それくらいにしますならば、その率を一等、二等に何ゆえに上げなかつたかということであります。たとえばこの表によりますと、二等運賃は三等の二倍、一等運賃は三等の四倍になつておりますが、何ゆえにそうしたか。そのことは、たとえば二等を三等の三倍になぜしなかつたか、その二倍と三倍ではどのくらいの差になるか。あるいは一等は現在は三等の四倍でありますが、これを三等の六倍になぜ計算してみなかつたか。増収ということだけを考えるならば、少くとも国民に与える心理的効果からいたしましても、先ほど質問をしましたように、寝台料金をすえ置く、それから二等の料金は三等の二倍にとどめる、一等の料金は三等の四倍にとどめるというようなものの考え方が、国鉄としての公共性が薄いということを指摘したのであります。今ただちに二等が三等の二倍と三倍の場合の収入の差とか、あるいは一等の料金が三等の四倍と六倍の場合の差の比を求めようとはしませんが、一般国民の感ずる考え方は、下級サラリーマンや近距離の商人等に対しての率に比べて、有産階級に対する率があまりにもよ過ぎるということだと思いますから、それをまずお尋ねしたわけでありますが、時間の関係もありますので、それは私の意見としておきまして、次に、たとえば鉄道運賃が上つた場合、鉄道利用ではなくて、バスあるいはその他の方法で——荷物にしても、長距離トラツクの利用ということも考えられるわけであります。一例をあげますと、ここに鉄道料金の新旧比較表というものがありますが、いろいろなものはありましても、現行賃率による運賃は六千九百九十二万三千三百二円になつておる。しかるに新賃率によりますと九千二百八十六万九千九百二十二円になる。差引値上り額が礎に二千二百九十四万六千六百二十円になりまして、その値上げの率は一三二・八二%ですから概略一三三%、一割三分三厘の値上率になる。こういうことで自然また小売価格の値上りとなりまして、政府が一面声を大にしておる超均衡予算の健全財政が、この点からくずれて来るのではないか。かように必需物資の運送運賃に対して率が高い。それから多数の人の乗ります三等単に対する率は二等、一等に比して非常に苛酷である。こういうことで、私は今回の運賃値上げに対する原則の立て方に対する納得のしがたきものがあるのであります。これは意見でありますから、いずれ他の機会に表明をいたすことにいたしますが、たとえばみそ、しようゆのような類は、トラツク等によつてやろうとした場合、今日のトラツク業者に対する免許制、それからタクシー及び、バス等の免許制の問題が依然として残つておるのであります。皮肉にも、現在の自由党内閣は自由主義を言いながら、この問題に対しては依然として統制主義を固執し、われわれ社会主義を主張する者が、統制の撤廃を主張するという形になつておりますが、これは皮肉の問題でなく、実情の問題であると思います。御承知のように、地方の多くのトラツク業者の団体、あるいはタクシー業者の団体、あるいはバス会社等は、大体その地方における有力者等が参加しております。すでに手早く許可や免許をとつて営業しておる者は、自己の事業の安全性と有利性のみを考えまして、一般大衆の利用率の点を考えるところまでなかなか行かない。こういう場合に、鉄道は運賃を上げる。それでは鉄道以外のものを利用しようとすると、トラツクもバスもタシーも許可、主義や免許主義であつて、ただちに利用できぬということになれば、これは非常な交通政策上の矛盾がここに来ると思う。一例をあげますと、九州においては、西日本バスというのがあります。これは九州全般のバス会社、民間会社であります。これは電車も経営しておる。多くの都市においては、電車やバスは公営が多いのでありますが、九州はそういうことになつておる。ところが、それが一方的に運賃を上げた。そこで北九州五市、門司市、小倉市、八幡市、戸畑市、若松市等の市当局が憤慨をいたしましていろいろ陳情いたしましたけれども、遂にうやむやになつてしまつた。運賃値上げをした代償として、そくばくの金を、そのバス会社が市の結核療養所に出すということで消えてしまつたのであります。これは要するに、許可主義から来る一つの弊害であります。門司市におきましては市営のバスを計画いたして、前の村上運輸大臣のときに詳細な出願の規定に基いた書類を作成いたして、市で経営するということであります。このことは、北九州に五つの市がある、その一部の門司市だけの市営でありますから、よしんば西日本バスが門司市内の一部に入つておりましても、これは県全体もしくは九州全体の営業をしておるのでありまして、決してそのバス会社の利益を極度に害するものではない。しかるにかかわらず、いまだに市営バスに対する許可がおりない。そうして民間のバスは、先まわりして新線を次々に計画するという形になつております。これはどういう理由であれ、明らかに許可主義から来る地方大衆の乗る交通機関の圧迫であると思います。今日、私、野党側におきまして、このバス、トラツク、タクシーの免許主義を廃止し、届出主義にすべしという考えを持つて至つたのは、長年の弊風、それから利用者の不便から来る一つの結果論であると思います。これにつきまして、わけて御質問申し上げたいのでありますが、当局としては、公共団体と市が計画したバスに対して、時期的に許可を延ばすようなことが、地方市民に与える影響ということを、はたして考えてやつておるのかどうか、これをまず第一にお尋ねいたします。

中村豐運輸事務官(自動車局長)

○中村(豐)政府委員 鉄道運賃の問題が自動車の方に波及しまして、バスの免許方針を御質問されたわけでありますが、バスにつきましては、先般所管事項の御説明のときにも申し上げましたように、民営事業であつても自動車事業に関する限りは、道路運送法その他によつて厳粛に監督されておるのでありますから、特に民営であるからこれは公共性がない、常利本位であるからいけないという考えは持つておりません。バスに関しては、民営であろうと国富であろうと市営であろうと、一視同仁に考えております。むしろ国営に、先般申し上げましたように日本国有鉄道法から発生するところの性格的な制限がありますし、市営については、市民のために足を確保するという意味ではけつこうでありますが、その市の市営という地域的な制限がつくと思うのであります。ところが民営については、そのような性格的あるいは地域的な制限はございませんから、むしろフリーな立場にあると存じます。そこで、そのような制限を別にして論じますれば、その三者は同じように考えて、すでにある事業者があつて、それが十分なサービスを尽しておれば、それでよいじやないか、それ以上特に市営なり国営を、あるいは逆に民営を許す必要はないではないか、かように考えておるわけでござまいすが、問題はそこに既存の事業者があつた場合に、それが十分な責任を尽し、義務を履行しておるかどうかということの判定によることと考えておるわけでございます。そこで、先ほどの免許制度のことになりますが、免許制度というのは、その事業者に特別の権能を付与するというだけでなしに、その反面法律に基く厳重な義務を背負わせる、それを運輸大臣が厳重に監督するということになつておるのでありまして、権利と義務とがお互いにうらはらになつて、公益事業として必要なサービスをさせるという建前に出ておるのでございます。決して特権だけを付与するという趣旨では毛頭ございません。一般の商事会社にまつたく見られない厳重な監督に服するということになるわけであります。特にその中でも、運賃につきましては最も厳重な監督をいたしまして、いやしくも不当な利益をとるような額は一切認めずに、これを押えておるわけでございまして、現在バス運賃については、昨年の十月に一キロ当り二円六十銭、三円、三円三十銭という三段階の賃率を認めたわけであります。そうして人口の多い、交通量の多いところは二円六十銭で、中間都市、地方の小都市は三円、いなかのところは三円三十銭、こういうことになつたのであります。なおそのほかに山間部割増しという制度を認めまして、非常に地勢の悪いところは経費もよけいかかりますから、割増しを認めてあるわけであります。その賃率によつて、各地ごとに全部運賃を認めまして、当時の運輸省及び物価庁でもつて具体的にその認可をしたわけであります。かようなわけでありますから、大体事業を健全に経営するための最小限度の賃率ということになつております。  なお御質問の、門司あるいは北九州の市営の問題は、われわれも承つているのでござまいすが、現在の書類の運びようは、八幡市につきましては、近いうちに公聴会が開かれて、結論が出ることになるのではないかと思つております。また門司市の問題は、まだ現地から経済調査、交通量調査その他の調査が完了して書類が上つて来ておりませんので、その書類が参り次第、公聴会その他の民主的な手続をふんだ上で、結論を出したいと存じております。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 そういう民主的な手続をふこむとは当然あるし、それらは公聴会にかかるのを待つてからにいたしたいと思いますから、市営バスの問題はその程度にしておきます。  次に、一番弊害の多いのは、タクシーの免許制度の問題であります。料金も一定の基準があつて許可をしたことに違いないけれども、特に北九州は、東京よりは四倍くらい高いのであります。門司あたりには郵船、商船、日銀、住友その他の中央の商社の支店がありますので、それらの人たちが赴任して来て最初に言うことは、このことであります。しからば、他にもつと便利なタクシー等を計画して出願したらどうかと言うと、ことごとくが公聴会においてペケになつてしまう。タクシー協会の会長という反対専門の者がおりまして、これが始終公聴会に出て、既設業者が困る、あるいは車が多過ぎるということを言うのでありますが、一般の市民はそういう公聴会等に行く機会もないし、また数字等を並べて研究したこともないので、結局だめになつてしまう。日本のように、終戦後六百六十万からの人間が帰つて来て、それから年々絶対量百五十万ふえるこの狭いところにおきましては、タクシー等のごときは、免許主義を廃して、届出主義でやるべきだという考えを持つております。許可主義ならば、先ほどお話のように義務を負わせる。あるいは車両の検査であるとか、いろいろな監督、その他のことができるのでありますが、私は届出主義であつても、これはできると思います。罰則は強化していいのであります。なお局長も御承知と思いますが、アメリカにおきましては、自動車を買うときに、ただちに衝突保険と、盗難保険と、乗つている者の身体障害保険との三つの保険に入るわけであります。これは、私自身も経験があるのでありまして、私は自動車を買い、保険に入り、そして衝突してみごとに自動車をこわしたのでありますが、半日のうちに調査が終りまして、ただちに新車が与えられた。買つた所はサンフランシスコのいなかであり、事故を起したのはコロラド州のデンヴアーという所であります。距離から申ましすと二千マイル以上離れているのですが、半日にして補償が済んだ。ああいう資本主義、補償制度の発達したところでありますから、そういうことができるのであります。ところが、最近私は、車を一台買つたのでありますが、それは売り買いだけでありまして、保険も何も来ない。これは要するに、許可免許の問題だけが強くて、事故等に対する保険制度というものは、まだ日本では整つていない。なるほどタクシーは東京や大阪では多過ぎる、見ようによつてはその通りであります。しかし、乗る方から言わせれば、十円でも二十円でも安い方がいいのでありますから、乗客はちつともこわいことはない。反面また、ここで新たに免許制度が廃止になつて届出制になつたというので、業者がたくさんふえるのではないかと思われますけれども、新規にやる者は、特定のお得意を持つておるか、予算を立ててやることでありますから、そう無限にふえるものではない。東京、大阪の例で、全国の僻陬な地の自動車の少な過ぎる不便なところを一律にやつてもらつては困る。ところによつては非常に高い。おまけに、大駅にはどこにも構内自動車がありますが、小さい駅にはそれすらもない。旅行をするのに非常に不便を感ずる。各駅における構内自動車は、もつとふやすべきである。それから一般の一台や二台をもつて親子で経営しようといつた小型のタクシー業者は、許してもよろしいと思う。この意味において、許すという言葉を使うことはおかしいのでありますが、届出制にすれば、もつとふえると思います。そうしておいて、監督の面等は他の方法、規定等によつて防ぐことができますから、このバス、タクシー営業用トラツクというものの規定を大幅に緩和して自由にすべきである。今日法律がある以上、あなた方としては言えぬと思うが、このことはあとで鉄道の運賃等の問題にも関連するわけであります。私は、乗客の皆さんに御不便のないように、ここで総合的に出て初めて納得されるのではないかと思いますので、関連して局長にお尋ねしたのであります。  そこで、集約してもう一回お尋ねいたしておきたいことは、自動車行政の上におきまして、統制経済の残存のような免許主義を廃して、今の吉田自由党、総理お好み自由主義に即応する意思はないか。免許主義をこのまま強行することは、吉田内閣の政策に反するのではないかと思うのですが、どうですか。

中村豐運輸事務官(自動車局長)

○中村(豐)政府委員 いろいろと実例をあげての御質問で、まことに教えていただくことが多いのでございます。タクシーの問題にしましても、今も東京、大阪においては大分よくなつたと言つていただいたように、車も非常にふえました。従つて、先日東京においては、すでにタクシーの値下げまでもしたのでありまして、ガソリンの統制もなくなつたのでありますから、このような状態を全国的につくり出したいと思つて努力しております。ただ、北九州の地区についての実情はよく存じませんので、あるいは御指摘のような不便な点があるかもしれませんが、そのような場合にはそれこそ必要性を認めて、申請人さえよければ、免許をすべきものであると思うのであります。つまり、免許制度がいけないとは思いませんので、免許制度の運用にあたつて、非常に厳重過ぎて、ほとんど門戸をとざす弊害のあることがいけないのだと思います。今後免許制度の運用に関しては、十分に注意して、相当必要があつて、申請人に適格性がある者については、新規免許を与える方向に行けば、御心配のような状態は解消するのではないかと思うのでございます。たびたび申しますように、タクシーもトラツクも、バスはもちろんでありますが、自動車運送事業は、交通事業の環でございまして、これをまつたく自由放任にするときは、その事業が混乱して成り立たなくなるのみならず、利用者が非常に損害を受けるだけではなしに、交通全体が混乱に陥つてしまいます。そして基本の鉄道自身まで、旅客、貨物自動車関係の攻勢によつて被害を受けるのでございます。そのような交通全般を考えまして、世界各国とも、自動車運送事業は、タクシー、トラツクに至るまで全部免許または許可制度をとつております。ただいま御指摘のありましたアメリカにおいても、一九三五年に自動車運送事業は全部I・Cアクトによつて免許制度になりました。タクシーの方は、大体市長がやつておるようでございます。その他はI・C・Cというところで免許の処分を行つておるわけであります。欧州は、英国、フランス、イタリア、スイス、ドイツ、全部免許制度でございまして、このようなことは、ひとり日本の現内閣の方針であるとかないとかという問題でなしに、交通事業に必然に伴う性格でないか、かように思います。戦争中いろいろの資材の統制がありましたその一環として自動車事業の統制が始まつたのではなくて戦前の昭和六年に、すでにこの自動車事業の免許制度は始まつておるのでございます。従いまして、戦争の前後を問わず、あるいは国の内外を問わず、またさらにその時の政府の政策のいかんにかかわらず、交通事業は、自動車を含めて全部免許制度であるべきだ、かように私どもは考えておるわけであります。その理由をるる御説明することは、もうすでにたびたび申し上げたので省略いたしますが、そのような理由で、これはぜひ存続して行きたい。その運用につきまして、御指摘のような点があつた事例も、遺憾ながら見受けられますので、この点については十分注意して、必ずこれは緩和して、不満足な状態をなくするように努力いたしたいと思います。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 これは意見になりますから、また別の機会に申し上げることにいたします。許可と監督の義務観念ということについての一つの例は、これは今年の夏に実例があつたのでありますが、九州のある炭鉱で、自家用トラツクを持つておる者が、そこの汽車が二倍も込んだものですから、トラツクで労務者を四、五十人ずつ海岸地帯まで運んでレクリエーシヨンのために海水浴をしようとしたのであります。ところが、途中で警察が、バスでない自家用車に人を乗せてはいかぬということでとめまして、結局その計画は途中でやめたという実例を、当時地方の新聞で大きく書いてあつたわけであります。かようなことは、昔の取締り本位から来ておることであります。サービス本位に交通を考える場合には、たといそれがトラツクであろうと、自家用車に自分の炭鉱の者が四、五十人乗つて行くことを取締ることはないと思います。警察自体がそういう考えを持つておるということは、貨物自動車の監督と、免許制というものから来る一つの義務観念の妙な形による制限じやないかと思うのです。これは一つの意見で、こまかい例ですが、おそらく各地に例があるかもしれません。そこで、許可になりました以上、自家用のトラツクを持つておる者が、臨時に短期に近所のものを運ぶということは、厳重にいいますと違反で、押えることになりますが、許可主義の弊害がそこにあるので、サービス本位ということからもう少し考えていただきたいと思います。私どもは、許可主義、免許主義に反対の立場に立つておりますが、かりに現行法にいたしましても、今局長の言うような、運営を大幅に民主化し、サービス本位に切りかえるということは、単に問答をするだけでは、地方の陸運事務所や監督官庁に徹底しない。これをほんとうになるならば、通達なりその他の公文によつて、また実例を示して、敏速にかつ親切にやりたいと思うのです。これは私の意見ですが、そういうことをつけ加えまして、あなたに対する質問を一応終ることにいたします。

中村豐運輸事務官(自動車局長)

○中村(豐)政府委員 トラツクで人を運送することは、危険防止の意味からも、禁ぜられてあることでありますが、どうしても必要な場合には、地元の警察署長の許可を受ければよろしいということになつておりまして、レクリエーシヨンの時期には、その許可を受けて、この制度は相当利用されておりますので、あまりそれによつて困つたという事例は聞かないのでありますが、それだけの手続はぜひしていただきたいと思います。また自家用トラツクで他人の物を運ぶのは、法律違反でありますが、それでも、お話のような緊急事態の場合には、例外的に一般物資を運んでもよろしいし、まだ他に輸送機関がない場合には、陸運事務所長の許可を受ければ、運んでもよろしいということにして、どうしても困つた場合には、そのような緩和する例外規定がありますから、これらの事情を十分にお含みの上でしていただけば、さほど困る事態は起らないのではないかと思います。しかしながら、それにしても、根本的には事業者の車が少い。あるいは事業新規免許をなかなか与えないということによつて、そのような問題が起るのであろうと思いますので、今後ともたびたび申しますように、方針を緩和して、必要であつて、しかもりつぱなものには、新しく免許を与えるということを押し進めたいと思つております。そうして、ここで口先だけで言うのではなくて、なるべく近いうちに、現地に対して通牒を出すように、きようも盛んにその通牒文をつくつておるようなわけで、末端機関に厳重に示達いたしたいと思つております。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 私は運輸大臣に一、二質問したいことがありますが、きようは都合によつて出席ができないそうでありますから、ただいま見えております政府委員に一、二お尋ねいたしたいと思います。  まず自動車局長にお尋ねしたいのは、各地方に道路運送法によつて道路運送審議会というものができておるのであります。この道路運送審議会に対しましては、いろいろと非難が出ておる。これは法律によつて、自動車事業等に直接関係のある人々、あるいは影響力を与えるような投資をしておる人々は削除されておるようでありますが、しかし、これに類したような人々、またこういう方面と特殊の関連のあるような人々が大部分を占めておつて、一般の利用者の利益を代表すべき人が、はなはだ少いように思われるのであります。運輸省には、その資料がある思うのでありますが、道路運送審議会の現在の委員といいますか、審議会員といいますか、それになつておる人々の現在の職業と、簡単な前歴を書いた名簿でもあれば、あとでお届けをお願いいたしたいと思います。  それから、国有鉄道の経営する自動車事業と民間のバスとの問題は、地方で非常に争いの種になつております。先ほど来、田原委員に対する自動車局長の御答弁によれば、現在の自動車営業の独占性に対しまして、メスを加えようという、まことにけつこうな御方針のようであります。ぜひその方針をもつて、今後進んで業界の民主化するような方向に持つて行くように希望するものであります。いろいろ国鉄バスとの争いが猛烈でありまして、どうしても現在のところ、いわば政治力が民間バスの方が強いと申しますか、利用者の側から見れば、国鉄に承認を与えてもらう方が、民間に免許を与えるよりも、はるかに地方のために、また国家的見地からも、正しいと思われる場合でも、国鉄の承認を受流して、民間営業に免許を与えるものがあるということが言われております。これにつきましては、国鉄の経営する自動車事業には、おのずから限界がありますけれども、地方の利用者の利害も十分考えまして、これがどうも今日の道路運送審議会では、十分に利益が代表されていないうらみがありますので、監督官庁としては十分目を光らせて、正しい運輸行政をやるべきではないか、これに関する自動車局長の御所見を承りたい。

中村豐運輸事務官(自動車局長)

○中村(豐)政府委員 最初の御質問の道路運送審議会の運営について、いろいろ問題があるから、その委員についての経歴を知らせろという、それは後ほど資料にしてお配りいたしたいと思います。私の記憶しておるところでは、お話のような自動車事業に関係のある委員が大体三分の一、国鉄または運輸省の出身者であつて、純粋な交通の専門家と目される人が三分の一、まつたく鉄道にもまた自動車にも関係のなかつた純粋の民間の学識経験者が三分の一、大体そういう構成になつております。具体的には、後ほどお示しいたしたいと思います。  次に、国鉄と民営バスとの問題でございますが、これはたびたび申しましたように、非常に各地で問題になつておるのでありまして、われわれもその処置に非常に悩んでおるわけでございます。その根本的な考え方は、国鉄バスの性格と民営の性格とを考えて、具体的にその場所でどちらがよいかを判断するのでありまして、そのような場合には、あまり国鉄を押えつけたというきらいを起すことはないのであります。ただ、一番困る問題は、現在すでに民営バスがあるところへ、それでは不十分であるというので国鉄バスが進出する、こういうケースでございます。この場合に、地方の要望を聞けば、民営ではとてもサービスが不十分だ、営利本位であるから、われわれのために国鉄バスを許せと言われますし、民間バスの方は、われわれが今できるだけの努力をしてバスを動かしておるのに、それにさらに国鉄が割つて入られては、非常に損害を受けるから、これは民業圧迫で、けしからぬ。こういう二つの理論が対立するわけでございますので、その場合には、十二分に事情を調べて検討を加えておるのでございます。民営バスが、はたして十分なサービスをしておるかどうかということが、一番大きな問題を決定するかぎになると思います。政治力をいろいろお話になりましたが、民営バスの政治力だけではなく、国鉄バスを大いに支持応援される地元の方々の政治力も相当あるようでございまして、われわれは、まつたく両方の政治力の板ばさみになつて、困つておるような次第であります。決して片手落ちなことはいたしておりません。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 次に、最近の建設審議会の運輸大臣に対する答申の中に、新線十八線について調査研究をしろという答申があつたようであります。この調査がどれほど進んでおるか、結果が出ておれば、それを知らせていただきたい。まだ結果を報告するに至つておらず、調査研究の途上にあるとすれば、その研究途上の現在までの状況を、もしおわかりであれば、ここで、わからなければ、あとで資料として配つていただきたいと思います。  もう一つ、鉄道運賃を一割値上げすることによつて、国家の産業経済並びに国民生活に、いかようなはね返りがあるかお尋ねいたします。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 第一の御質問は、鉄道建設審議会の答申に関するお尋ねのように拝聴いたしたのでございますが、御指摘のように、本年の七月二日に、鉄道建設審議会におきまして、鉄道敷設法第一条の別表改正の問題でございますが、十八線をこの敷設法別表に追加することの可否について調査する要ありと認める、という答申が出ておるのであります。その後の経過でございますが、この十八線のうちには、津軽海峡の海底を貫く線と、もう一つは、明石付近から淡路島を通つて四国の鳴門付近に出る線と、二つございますが、この二つの線の調査はなかなか容易でございませんので、まだ来年度にわたつて調査しなければならぬと思つております。しかし、残りの十六線につきましては、大体調査が順調に進んでおりますので、調査ができました上で、さらに鉄道建設審議会の方に、この調査の結果を報告いたしまして御審議をしていただく、かような段取りになつております。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 ただいまの御質問で、今回の運賃値上げが、国民生活に対して、あるいは産業に対して、いかような影響を及ぼすかというお話でございますが、先ほどお配りいたしました資料の中に「貨物運賃等級改正資料」というのがございます。それの最後から三枚目に「主な貨物の価格に占める運賃の割合」という表が出ておりますが、これに鉄道で輸送されます貨物のおもなる品目をあげまして、価格の中に運賃がいかような割合を占めておるかという点を、例示的に出しておるのであります。まず一、二の品目を取上げて申しますと、最初に第一行目の石炭でございますが、三つの欄にわかれておりまして、昭和十一年当時、それから二十七年の九月——これは現在の運賃ベース、あるいは物資の価格の現在べース、それから一番右の欄に改正案——これは今回運賃が一割値上げになつた場合の数字だと見ていただけばいいと思います。そこで石炭について申し上げますと、昭和十一年当時は、貨車一トン当りの価格が十七円八十銭でございました。その当時の石炭の平均輸送キロは七十七・四キロ、それから貨車一トン当りの運賃が一円七十五銭でございます。従いましてこの十七円十八銭と一円七十五銭とを見比べますと、つまり価格に対する運賃の割合は九・八%に相なるわけであります。同じような見方で二十七年の九月について申しますと、ここで特徴的なことは貨車の一トン当り価格が五千五百十四円に上つておるのでございます。それから輸送キロ、これは二十六年度平均ですが、百十九キロと伸びており、また貨車の一トン当りの運賃が三百七十九円であります。そこで価格に対する運賃の割合を出しますと六・九%に相なるわけであります。ところで、今申し上げたように、十一年当時に比べますと、二十七年九月現在におきましては輸送キロが平均的に伸びておりますので、十一年度平均輸送キロによる運賃の現在価格に対する割合、つまりこれがもし昭和十一年当時の平均輸送キロの七十七・四キロであつたならばどうであろうかという換算をしてみますと、その比率が五・二%になり、現在運賃は昭和十一年当時に比しましてはるかに下まわつております。そこで、今度は一番右の欄に移りまして、今回一割値上げになつた場合の運賃の割合はどうかと申しますと、二十六年度平均輸送キロによる場合は七・八%、十一年度の平均輸送キロによる場合は五・九%という比率でございまして、石炭価格の中に占める運賃の割合は、値上げになつても十一年当時に比すれば、またはるかに下まわつているとということが言えるのでございます。  それから同じような見方で八行目の普通原木について申し上げますと、昭和十一年には、価格に対する運賃の割合が一七・八%であつた。それが二十七年の九月には九・九%で、輸送キロを昭和十一年当時に換算いたしますと九・六%、今回一割値上げをいたしましても、二十六年度の平均輸送キロによる場合は、一一・六%、十一年当時平均輸送キロによる場合は一〇・七%でありますから、十一年当時に比しまして、価格の中に占める運賃の割合は、はるか低いということが言えるのでございます。以下ここにございます品目の物資につきましても、大体同じようなことが言えるのでございまして、概して申しますれば、戦前の昭和十一年当時からすれば、価格と運賃との比率は、運賃の方が下まわつているというようなことが言えるのではないかと思つておるのであります  旅客関係につきましては、実は旅客運賃が国民生活に対してどのような影響を及ぼすかという算定が、非常に困難なのでございます。ここに経済審議庁でつくりましたところの勤労者の生計費と、その中に占める交通通信費との比率が出ておりますが、それに給料生活者と官公吏と労務者の三つの例が出ておるわけであります。その総平均で申しますと、生計費が一万八千百四十二円で、交通通信費は七百十五円、その比率が三・九四%、すなわち四%以下ということに相なつておるのであります。もつとも、これは通信費も含んでおりますので、交通費だけについて考えると、この率はさらに下まわるということに相なるわけでございます。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 新線の調査は、青森——函館間のトンネルまたは明石から四国へ渡るトンネルのことは別としまして、他の十六線については、いつごろ調査が完了するか、その時期を承りたい。  それから、今営業局長から御説明がありましたが、さような個々の貨物の値段に関係する割合という一局部の問題でなくて、国民生活全体に対して、また日本の産業経済全体に対して、いかようなはね返りがあるかということを、運輸省としては計算をしてみた上で、運賃の一割値上げは妥当であるかどうかということをお考えになつたのかどうか。そういう観点からただいま質問しておるのでありますが、今のお答えは枝葉末節でございまして、一割の運賃値上げが妥当かどうか、日本の経済並びに国民生活にいかなる影響を与えるかということに関する資料としては、何らの価値がないのであります。経済上、国民生活に与える全般的な、総合的な影響について、御答弁を願いたいと思います。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 今の竹谷委員の御質問でございますが、結局どういうような計算をすればいいか、私も今ちよつと考えておるのでございます。あるいは大蔵省等で申しております国民総所得に対しまして、国鉄運賃が現在どのような比率になつておるか、それがどのような数字になるかという数字をお示ししたらどうかと思つておるのですが、それでよろしゆうございますか。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 国民総生産なり、国民総所得に対する割合で御計算願つたものがあれば、それをお示し願いたい。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 第一のお尋ねの、調査の完了時期でございますが、事務的にはおおむね調査は終つておると申し上げてもいいかと存じます。大体そういうような段階でございます。

津田弘孝日本国有鉄道営業局長

○津田説明員 今、竹谷委員のお話にございました国民総所得との関連におきましては、さつそくそういつた調査をいたしたいと思つております。それから貨物関係につきましては、個々の物資について申し上げたのでございまするが、ここにございます数十品目の総平均——これは加重平均をいたしておりますが、その総平均が一番最後のページの平均というところに出ておりまして、これも産業に及ぼす影響がどうであろうかというような面におきまして、若干の御参考になるのではないかというふうに考えております。先ほどお話のございました国の総生産に対してどういうような関係にあるかという問題につきましても、何か考えまして御報告申し上げたいと思つております。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 ただいま営業局長から重ねて答弁がありましたが、現政府は、米に対して約一割強——十キロ消費価格六百二十円のものを六百九十円にして七十円、一割強上げようとしております。これが国民生活に与える影響のきわめて甚大であることは申すまでもない。ところが、鉄道運賃も一割上げる。これと米との比較はどうかという問題になると、全体的の数字としては、先ほど営業局長の答弁にあつたようなものが出て来ますけれども、米の一割値上げによるはね返りは、大体〇・八と見られておる。月一万五千円の所得のある人は毎月百二十円、米のためにより多く支出しなければならぬ。これが経済上、国民生活上相当大きな影響を与える因子であります。ところが、たとえば東京に住んでおつて、一万五千円の所得がある勤め人が、毎日十円の都電に乗る。往復二十円である。また子供が学校に通うために一人電車に乗るとしますと、その家族が四十円の運賃を毎日支払わなければならない。一割値上げということによつて——地方鉄道や軌道も追つてなるだろうと思うのでありますが、毎日四円高くなる。三十日で百二十円でございます。上野動物園を見に行つたり、あるいは何かの用事があつて電車に乗るというような運賃は全然計算をしませんでも、月百二十円の支出増を来す。これは米が一割以上上つたのと匹敵するところの影響を、毎日のわれわれの生活に与えるのでありまして、かような国民経済に与える重大な影響を十分考えずして、一割値上げということの彌縫的な、一時を糊塗するところの値上げ案に対しては、われわれは十分に納得することができないのでございまして、こういう観点から、私はただいまの資料を要求したのでございます。そういう資料なくして、漠然と国有鉄道の持つて来た一割値上げを運輸省として認めるということにつきましては、われわれはきわめて不可解であります。どうか十分研究して、明日までにその資料を提出せられんことを望みます。

逢澤寛自由党

○逢澤委員長 竹谷君のただいまのは、別に政府の方から答弁はいりませんね。

松岡俊三自由党

○松岡(俊)委員 議事進行——。先日国鉄の営業局長は、自分はこの返事ができない、いずれ総裁からというそのときの御答弁でしたが、まだ何もない。委員長からしかるべく処置してもらいたい。

逢澤寛自由党

○逢澤委員長 お答えいたします。明日の午前中に見えます。見えますが、この際、ちよつと松岡さん並びに永田さんに申し上げておきたいと存じます。永田さんからも、先ほど勘考を求められておつたのでございますが、実は先日の理事会におきまして、各党の質問日程の割当を決定いたしました。その質問が終りますまでは、日程にきめておりましたところの各党で関連質問をやつていただくことは承知する、こういうことになつております。そこで大体明日の午前中に社会党の質問が終りまして、そうして午後の時間に三、四の方が御要求の関連質問がありますから、その時間に譲つていただきたい。ただいま松岡さんからの御要求は、ちようど総裁も午前中は来ますけれども、午後になりましたら、皆様方に関連質問ないし先般来保留しておる質問の答弁をしていただくことにいたしますから、さよう御承知を願います。

永田良吉自由党

○永田(良)委員 ちよつと申し上げます。私は今の委員長の御態度に、率直に言うと不満があるのです。われわれは、各党の理事の方あるいは幹部の方で、どういう協定をなすつたか知らないけれども、私どもは、委員として政党政派を超越して、この交通問題では、他の政党の方がどんなに長い質問をなさつても、正直に拝聴しております。また関連質問は、地方的な問題もありますから、政党政派を超越して、今何議員が質問なさつた、ここにも非常に関連した質問がある、こういう場合は、その機会にやつた方が効果的であると私は思う。何もわれわれは、他の社会党や改進党の方が発言なさるその演説を妨害しようというような非立憲的な考えは持つておりません。おのおの地方を代表して来た以上は、むろん国家的な見地から大きな問題もあるが場合によつては地方地方の問題もある。そういう問題を、お互いに関連する質問を、ただ中央の幹部が、かつてにそんなことをきめて、われわれ運輸委員会における運営を妨害するというのは、あまりに幹部の横暴じやありませんか。委員長はそれを何とお考えになりますか、特に答弁を求めます。

逢澤寛自由党

○逢澤委員長 お答えいたします。永田さんの議員としての御要求も、ごもつともでございますが、各議員とも、今、永田さんのお話のようなお気持を持つておられる。しかしながら、一つの議案を整理しまして結論を得て行きますのには、やはり公平な見地から各議員の発言を求めねばなりません。従いまして、理事の方におきまして申合せをいたしまして、それで大体明日中にはその結論を得るごとになつております。  そこで、実はきようも、途中で非常に重大な関連質問の要求があつたのです。そのとき、あなたは議席におられませんでしたが、玉置議員から非常に重大な関連質問の要求があつたのですけれども、申合せの趣旨もありまして——さらにもう一言委員長として申し上げておきたいことは、一昨日のあの光景は、あなたは御存じかどうか知りませんけれども、私もあなたと同様な気持において、なるたけ多数の方々の発言を自由にしていただこうという意味合いで、特にあなたに対して発言を許した。その後の光景は、委員長の横暴、委員長の無能を非常に攻撃されたのです。しかしながら、私は攻撃されてもかまいません。なるたけ議員諸君の言論は自由にしていただきたいという希望を持つております。おりますけれども、一応発言のお約束をせられたことは、やはりお約束として、これを守つて行かねばならぬことを御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時十四分散会

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