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13回国会参議院1952/04/01

労働委員会 第8号

発言数
110
登壇者
12
会派数
3
開催日
1952/04/01

会議録

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 只今より会議を開きます。公報を以て御通知いたしておきました夏時刻法を廃止する法律案、これを議題に供します。先ず提案者の説明をお願いいたします。衆議院議員の島田末信君。

島田末信自由党

○衆議院議員(島田末信君) 只今議題となりました衆議院提出の夏時刻法を廃止する法律案につきましてその提案の趣旨を簡単に説明いたします。  夏時刻法は御承知の通り昭和二十三年四月に制定されましたが、この法律によつて国民生活において日光を十分に利用する習性を養い、以て一、国民保健の増進に寄与する、二、電力石炭等の重要資源を節約することを狙いとしたのであります。ところが夏時刻の始期を四月の第一土曜日の午後十三時にすることは国民の実生活に適合せん点を多々生じましたので、昭和二十五年三月法律の改正が行われ、始期は一カ月遅れて五月の第一土曜日の午後十二時からとせられたのであります。併しながら夏時刻はその後の実施経験に鑑みましても労働者、農民及び家庭の主婦等の過労の原因となり、却つて能率を低下させる慮れもありますので、これを廃止する必要があると認められ、更に三月二十六日議員より廃止法案が提出せられ、法案の内容自体については殆んど論議もなく衆議院において決議を見た次第であります。参議院におきましても何とぞ本案の趣旨を諒とせられ、よろしく御審議の上速かに本案に御賛成あらんことを希望いたします。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 只今提案理由の説明を承わりましたが、夏時刻法の廃止に関する法律案につきましては一応衆議院の提出案となつておりますが、本院労働委員会におきましても早くからこれが廃止をしたいということを考えて準備いたしておりましたことは御了承の通りであります。従つてたまたま衆議院提出によつて本法案が提出願つたわけでありますが、大体この内容につきましては各委員も十分御検討のことと存じますので、そういう経過に鑑みまして、又法案自体も非常に簡単なものでありますので、この際、質疑討論を省略いたしまして、直ちに採決いたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) では質疑討論を省略いたしまして直ちに採決いたします。  夏時刻法の廃止に関する法律案、本法律案につきまして賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 全会一致で本法案は可決しました。  それから本院規則第七十三条により委員長が議院に提出する報告書につきましては多数意見者の署名を附することになつておりますが、本案を可決されたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名    安井  謙   波多野林一    上原 正吉   野田 卯一    椿  繁夫   岩男 仁藏    堀  眞琴   —————————————

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 次に只今までに付託されました請願十五件、陳情二十三件合計三十八件ありますが、このうち労組法関係、労調法関係のものは近く政府より法案が提出される見通しがありますので、これをあとに廻しまして、一応現在議題になつております請願の百八十八号、井上なつゑ君の紹介にかかわります看護婦の労働基準確保に関する請願、これを議題といたします。一応専門員から趣旨につきまして御説明いたします。

高戸義太郎常任委員会専門員

○専門員(高戸義太郎君) この請願は、労働基準法の改正に際して医療従業員を基準法外に置くことによつて現在の看護婦の労働過重を十分考慮の上、完全看護を通じて国民保健確保のため日夜精進努力しておる女性である看護婦が、更にこの上労働強化されないよう現行法を確保せられたいとの請願でございます。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 本請願につきまして、政府委員から御意見があれば発言願いたいと思います。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○政府委員(亀井光君) 本請願につきましては労働基準法の改正の問題と絡むのでございますが、現在中央労働基準審議会から答申として出ております中には、この問題について何ら触れていないのでございます。又事柄の趣旨からいたしましても、我々としましてこの問題は慎重に取扱うべきものだと考えております。今そういう意図は我我として考えていないということを申上げておきます。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 只今政府のこれに関しまする意見もありましたが、大体願意につきましては政府のほうも異論がないという御答弁でありますので、本請願は採択しまして議院の会議に附し内閣に送付することを要するものというふうに決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) じやさよう決定いたします。次に請願第三百五十六号、長谷山行毅君紹介にかかわります秋田県に労災病院兼けい肺療養所設置に関する件を議題といたします。先ず専門員から説明いたします。

高戸義太郎常任委員会専門員

○専門員(高戸義太郎君) 請願の要旨は、労働者の産業災害の防止とその補償は、種々の対策が講ぜられているが、災害労働者に対する医療については専門的な産業整形外科が最も必要であるにかかわらず、当東北地方にはこの種の専門施設がなく、一般外科医に頼るのみで、東京その他遠く県外の病院を利用している現状で、不便この上なく、又他方金属鉱山労働者の東北六県のけい肺患者は千五百名に達し、秋田県はその過半数を占めている状態であるから、本県に労働省立労災病院兼けい肺療養所を設置せられたいとの請願であります。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 本件に関し政府のほうの所見を承わりたいと思います。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○政府委員(亀井光君) 現在けい肺療養所といたしましては、労災保險特別会計におきまして、栃木県に一カ所設置をいたしておる次第であります。これの利用につきましては全国一カ所でありまする関係上、北は北海道から南は九州までの患者がこれを利用いたしておりますが、最近の状況からいたしまして、けい肺患者の数が逐次健康診断の結果発見されて参りまして、特に秋田県におきまする金属鉱山におきまする状況を見ますると、秋田県下に一カ所けい肺を主体としまする病院を設置する必要を痛感いたしまして、明年度、昭和二十七年度におきまして、けい肺を主体といたしまする病院設置の計画を立て、予算的措置も講じられております。目下敷地を選定いたしておるような状況でございまして、本請願の趣旨は実現できるものと存じます。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 只今本件に関しまして、労働省のほうから願意につきまして、現在準備中であるという御答弁があつたわけでありますので、本件も議院の会議に付しまして内閣に送付するを要するものと決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) さよう決定いたします。  次に請願百十九号、杉山昌作君紹介にかかわりまする失業対策事業に関する請願を議題といたします。専門員から説明いたします。

高戸義太郎常任委員会専門員

○専門員(高戸義太郎君) この請願の内容は、失業対策事業は、当初失業救済事業であつたが、その後事業効果に重点が趨かれ、事業名も失業対策事業と変つた。然るに失業という字句のために失業者に対し悪影響を与え、事業効果が上らないように思われるから、失業対策という事業名を取除き事業本位にせられたいというのであります。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 本件に関しまして政府の所見を承わりたいと思います。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○政府委員(亀井光君) 請願の趣旨御尤もでございまして、失業対策事業につきましてはとかく世上種々なる批判もあるのでありますが、私どもといたしましては飽くまでも失業対策事業は失業者の救済でありますけれども、それと同時に飽くまでも事業効果ということを重点として運営をして行かなければならん。こういうふうにまあ考えておるわけであります。従いまして職場秩序を厳正にして、失業者が失業救済なるの故を以て、とかく何と申しますか、なまけるといつたことのないように、職場秩序を厳正にして、事業効果を上げるようにということで指導をいたしておるのでございます。而も御承知のように最近失業対策事業は非常に恒久的な事業になつて参つておりますので、特に事業効果に重点を置いた事業種目を選ぶというやり方でいたしておる次第でございます。なお失業者のかたがたも従前はいろいろなまけるといつたふうな非難も大分ありましたけれども、最近におきましてはそうした傾向も徐々に減少いたしつつあるような状態でございます。御趣旨の線に沿うて私どもも失業対策事業を運営して参りたい。かように考えておる次第でございます。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 只今政府の答弁にもありましたし、又願意につきまして、一応まあ形式的な願意だと思いますので、前の例と同じように、折角出ておりますので、議院の会議に付し、内閣に送付するというふうに決定いたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) さよう決定いたします。  次に陳情六百五十七号、失業対策事業資材費国庫補助増額に関する陳情を議題といたします。先ず専門員から説明いたします。

高戸義太郎常任委員会専門員

○専門員(高戸義太郎君) この陳情は宮城県知事佐々木家寿治ほか七名のものでありまして、失業対策事業に関する国庫補助は、労力費について三分の二、資材費については二分の一となつているが、資材費については、労務者一人当り二十円の範囲内で交付されているため、実際の必要額とは相当な差異があり、工事施行に支障が大きいから、資材費の伴わぬ工事のない現状においては、資材費については、実際必要額を国庫補助として交付せられたいというのであります。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 本件に関しまして労働省の見解を伺います。

齋藤邦吉労働省職業安定局長

○政府委員(齋藤邦吉君) 本請願につきましては資材費の増額という問題でございまして、私どもといたしましても御趣旨は誠に御尤もと存じておりまして、資材費の増加につきましては今日までも努力をいたして参つておるのでありますが、本年度におきましては財政の都合等もありまして、二十円、二分の一ということで、前年度と同じ予算を計上いたしております。が、問題は地方負担がこの失業対策事業を行うことによつて、地方の財政に相当大きな圧力を加えるというところにこうした意見が出るという根本の原因があると考えておるのでありまして、私どもといたしましては予算面土資材費につきましては前年度と同じでありましたけれども、地方の負担分について別途の措置によつて地方の負担を軽減せしめるということにいたしたいと存じて、目下努力いたしておるのであります。即ち先ず第一点は地方の趨債の問題でありますが、本年度におきましては大体十億程度の起債が認められておつたのでありますけれども、明年度におきましてはこの起債の額をもつと増額したい、そういうことを努力いたしまして、これによりまして地方の負担を軽減する、こういうような措置を講じたいと思つております。なおそれと同時にもう一つの方法は平衡交付金の問題でございますが、従来失業対策事業につきましては府県の分につきましては、平衡交付金の交付に当りまして基準需要額の府県分は認められておつたのであります。市町村の分につきましては認められていなかつたのでありますが、今度平衡交付金の法律改正といたしまして、市町村の負担分につきましても平衡交付金の交付のための基準需要額の算定をするということになりましたので、起債の枠の拡大という面の努力と相待ちまして、地方負担額の軽減ということに努力をいたしたい、かように存じておる次第であります。御趣旨の点は誠に御尤もでありまして、将来とも努力をいたして参りたいと、かように存じておる次第であります。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 願意に対しましては政府のほうも極力努力をするという御答弁でありますので、これも議院の会議に付しまして内閣に送付するというふうに決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) さよう決定いたします。

安井謙自由党

○安井謙君 ちよつと今の地方起債の関係を具体的に言うとどうなりますか、今7の政府のお話で……。

齋藤邦吉労働省職業安定局長

○政府委員(齋藤邦吉君) 起債につきましては、失業対策事業は本年度二十七年度の予算が七十六億でございますが、地方の基準負担額は大体四十億でございます。四十億につきましては、前年度は七十七億五千万円、ほぼ今年と同額でございますが、前年度におきましては約十億の起債が認められておつたわけであります。それを私どもといたしましては、明年度におきましては地方負担額四十億につきましては、大体十五億ぐらいはぎりぎり必要であるということで、目下地方財政委員会のほうと折衝をいたしているわけでございます。近くその枠につきましては決定を見ることと、かように存ずる次第であります。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 次に請願九百九十七号、小林孝平君紹介の日雇労働者の救済に関する請願を議題に供します。先ず専門員から説明をいたします。

高戸義太郎常任委員会専門員

○専門員(高戸義太郎君) この請願の内容は、高田職業安定所を通じて就労している日雇労働者は、当地の特殊事情として冬期間は一般事業家への就学も少く、殆んど失業対策事業に就労するほかなく、この失業対策事業も低賃金に加えて一日おきに就労を制限し、而も就労適格者は一家の生活の支柱者に限定されているため、自由労働者の生活は困窮を極めているから、これらの日雇労働者を救済せられたいとの内容であります。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 本件に関しまして政府の所見を承わります。

齋藤邦吉労働省職業安定局長

○政府委員(齋藤邦吉君) 請願の趣旨はいろいろあると思いますが、新潟県の高田市におきましては、現在におきましても失業対策事業を実施いたしているのでございます。昨年の十三月までは高田市におきましては、日雇の平均就労日数も二十日を超えているような状態でありましたが、この請願の趣旨にもありますように、冬期間になりますと、一般事業が非常に減少して参るということで、実は本年の一月、二月は二十日以上の就労日数でありましたのが、十五、六日というふうに非常に減少して参つております。従いまして私どものほうといたしましてもこの高田市の冬期間の趨勢に鑑みまして、第三四半期におきまして失業対策事業の割当を七十人ほどにいたしておりましたが、一月からは殖やしまして八十人、百人というふうにそれをいたしておる次第でございます。この点につきましては冬期間の就労という問題につきましては、誠に御尤もでございますので、できるだけそういう線で勿論将来も努力して参りたいと思います。ただそこに低賃金というのがございますが、これは御承知のように一般職種別賃金の一つの線に沿うて賃金をきめてございますので、私どものほうといたしましては必ずしもそれが民間賃金に比べて低賃金であるというふうな断定はちよつと困難ではないだろうか、かように考えておる次第でございます。いずれにせよ高田市、特に冬期間におきましては一般民間の事業も減少して参りますので、私どもといたしましてはそうした特殊事情を頭に入れながらこうした日雇労働者の救済というものに努力いたして参りたい、かように存じておる次第でございます。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 願意につきましては政府も御異議ないようでございますので、これも議院の会議に付しまして内閣に送付することを要するというふうに決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) ではさよう決定いたします。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 速記を始めて。  次に請願六百三十八号、藤原道子君ほか四議員の紹介にかかるものでありますが、六百三十八号の帝国石油労働組合幹部不当解雇に関する請願及び請願六百三十七号、藤原道子君ほか四議員紹介の全三越労働組合のストライキに関する請願、それから六百三十六号、栗山良夫君ほか四議員紹介の労働争議権不当弾圧実情調査に関する請願、以上三件を議題といたします。本件につきまして専門員から説明いたします。

磯部巖常任委員会専門員

○専門員(磯部巖君) 只今議題となりました帝国石油労働組合の請願を御説明いたします。日本の石油資源を独占する帝国石油株式会社は現経営者の短期間に高利潤を挙げようとする浪費的な生産政策によつて日本最大の油田である八橋油田を危殆に瀬せしめておるのであります。帝石の労組はこのような経営者の誤れる政策は国家的に見て許しがたい政策であるばかりでなく、石油鉱業に生活している従業員にとつて重大な支障を来たす問題であるので、六千の従業員にとつても誠に重大な問題であると考えて現経営者を批判し、責任を追究して昨年十月帝石民主化闘争に立上つたのであります。更に現経営者がこのほかに不用資材売却に関して幾多の不正被疑事実が発覚いたしましたので、帝石労組は昨年十二月十九日東京地検に現経営者を告発し、このような経営者の政策及び態度について広く世論に訴え、危機に臨んでいる石油鉱業を守ろうと尽して来た次第であります。然るに会社は本年一月十五日当労組の行動は政治闘争であり、経営権侵害の不当な労働行為である、又告発は信用毀損及び業務妨害であるとして当労組幹部七名を就業規則により懲戒解雇いたしました。当組合は飽くまで石油鉱業を守り、組合員の職場を確保するため組合の機関の決定に従つて行動して来たものであり、従つて会社の行なつた組合幹部七名の解雇は不当な労働行為であると信ずるのでありまして、こういう点につきましてどうか貴院におきまして使用者が組合運営について支配介入し、労働法を無視している実情について十分なる御審議をして頂きたい。こういうのが趣旨でございます。  次に三越の労働組合からの請願でございますが、請願の趣旨は、昭和二十六年十一月十八日、十九日、全三越労働組合が行なつた組織防衛のための四十八時間ストに対し警察官の不当弾圧があり、加うるに、二十二日以後無期限ストに突入することを決定したが、別紙のごとき警視庁の見解が発表され、深夜より警官隊多数の出動を見るに至り、遂に中止せざるを得なくなつたのであります。かかる行為に対する貴委員会の調査及び救済をお願いいたします。こういうのが趣旨でございまして、それにつきまして事件の経過内容、それから今の別紙というところにございます警視庁の発表いたしました取締当局の見解、いずれも詳しく附してございますが省略いたします。  その次は、日本電気産業労働組合からの請願でございます。その請願の趣旨は、昭和二十六年十一月本格賃金べース・アップ要求に絡む争議に際し、中央本部より発した実力行使指令により、泰阜、生田、西横山発電所において労働提供拒否を実施いたしましたが、これら発電所において現地指導に当つた当組合中部地方本部常任執行委員柴田鋳三は公共事業会違反として十二月四日逮捕され、十二月二十六日別紙のごとく起訴されました。当組合としては本争議行為は憲法により認められた正当なる争議権の行使であることを確信いたしているところであります。然るに今次の起訴は、その起訴状に明日なことくストライキ権については一言も触れず、業務命令に対する背反のみを言つており、労働基本権を無視した政治的弾圧の色彩が極めて濃厚でありますので、貴院においてこれが実情を調査いたされ善処方をお願いする次第でございます。これにも別紙がついておりまして経過は詳しく述べてございますが省略いたします。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 以上三件に関します不当労働行為に関しますものは、先般来本委員会で調査いたしておりますので、今暫らく保留したいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) さように決定いたします。  次にけい肺特別法制定に関します請願三件、陳情が相当参つておりますが、これを一括して議題といたします。請願三百六十六号、請願五百五十四号、請願六百九十三号及び陳情百六十一号、七百三十三号、六百八十四号六百三号、五百八十九号、五百五十三号、五百十五号、五百二号、四百二十四号、三百五号、二百九十二号、二百五十六号、二百四十八号、二百三十六号、以上が陳情であります。一括して議題といたしまして、先ず専門員から説明をいたします。

高戸義太郎常任委員会専門員

○専門員(高戸義太郎君) 大体同じような内容でありますが、陳情の第七百三十二号、けい肺特別法制定に関する陳情、東京都議会議長菊池民一ほか九名の内容を紹介いたします。この内容は金属鉱山の鉱夫を初め、鋳物、耐火煉瓦、ゴム工場の労務者が同されるけい肺(よろけ)は、これら労務者の宿命病と言われているが、戦後政府においてこれを重視し、先年栃木県藤原町に全国唯一の国立けい肺療養所が設置され、多数の患者を収容しているが、現在けい肺療養の根拠法規は労働基準法及び労災保險法であるため、けい肺対策が一般労災と同様取扱われているのは、けい肺の慢性病的性質及び罹病率の高率等の点から見て適当でなく、けい肺対策上本十分であるので、予防と治療の両面を包含する単独法として、けい肺対策法を速急に制定され、これが万全の対策を講ぜられんことを希望しているものであります。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 以上の陳情請願につきましては、御承知のごとく衆議院でも小委員会を設けまして検討いたしております段階にありますので、これも暫らく保留したいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) さよう決定をいたします。   —————————————

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 法務総裁と労働大臣がもう暫くしたら出席する予定になつておりますので、それまでに幸い労政局長が出席いたしておりますので、先般労働関係法規につきましての法制審議会から答申が出ておりますから、それの答申の状況その他につきまして労政局長から説明いたします。

賀来才二郎労働省労政局長

○政府委員(賀来才二郎君) 労働関係法令の審議会の状況につきましては、先般一応中間的に経過を御報告申上げておいたのでありますが、御承知のようにその後審議会におきましては、小委員会に案の立案が委託されておつたのでありまして、小委員会におきまして更に吾妻委員がその小委員会に委託されました案の立案に当られておりまして、小委員会のうちで、公益側だけで吾妻委員の案について協議をいたしまして、その結果一応の案ができたのであります。そこでその公益側の案を中心にして、小委員会において総会に提出すべき案につきまして協議をいたしたのであります。ところが大体の項目につきましては労使の間に公益側の案の意見と一致した点も多かつたのでありますが、一部には労働側と公益側の意見が一致したが、使用者側が反対である、一部は使用者側と公益側との意見が一致したが労働側が反対であるというふうな事項もできました。更に最も重要な点は、労働側におきまして、公益委員側の案のうち、国家公務員或いは地方公務員或いは公共企業体の職員の罷業権、団体交渉権の問題につきまして、大体労働者側は公益側の案に同意の意向を示したのでありまするが、この点につきましては、使用者側はどうしても協調できないという事項ができました。もう一つは、労働紛争議が非常に大きくなりまして、そうして国民経済を危殆に陥れますような事態に立至つた場合の調整措置につきましての公益側の案につきまして、使用者側におきましては大体賛意を表しましたが、労働者側でどうしてもこれに賛成するわけには行かないという、この二つの項目が非常に紛糾をいたしました案として、全体の案として小委員会から総会に提出いたしまする案がきまらなかつたのであります。それがために予定よりも非常に日がたちました。その間谷側委員とも非常に御熱心に討議をされ、特に労使共にでき得るならば協調をしたいという態度であり、公益側はでき得るならば、できるだけかような主要点につきましても、案をまとめて行きたいという努力をされたのであります。この点につきまして我々は深く敬意を表しておる次第でありまするが、併し遂にこの点についてはまとまらなかつたのでありまして、従いまして小委員会において協議の結果、大体の方針としましては、三者の意見が一致した点をこれを答申として出す。それから三者の意見は一致しなかつたが、いずれか一方の反対で遂に一致を見なかつた事項のうち、あとで申上げまするような項目については、一応小委員会の議案として総会には提出する、併しながら総会で、三者一致でないという事項でありまするので、これは答申から省きまして、その旨を報告をする。それから争議権或いは交渉権の問題及び調整制度の問題につきましては、これは小委員会の案として総会の議題にしないという点で意見が一致をいたしまして、三月の十九日に最後の総会が開かれまして、答申案を決定をいたしたのであります。この答申は委員全員の署名の下に、三月二十五日に労働大臣に報告をされておるのであります。  概略を申上げて見たいと思います。第一は、労働委員会制度でございまして、この制度につきましては、四項目に亘つて記載をされております。その一つは、労働委員会制度につきましては、現状維持を原則といたします。従いまして審査機能と調査機能を別個の機関に取扱わせるとか、或いは調整機関を産業別に設けるというようなことはしない。第二は、「委員の数は各側五名乃至七名とし、」現在は五名乃至七名ということになつておるのでありますが、「三名乃至七名とし、別表によつて各都道府県の人数を定めるものとすること。労働争議の調整に関する予備委員を設け、予備委員名簿をあらかじめ作り、その活用を図るものとすること。」こういうことであります。この別表につきましては、答申にかように書いてありまするが、付いていないのでありまして、これは将来労働省で考える場合に、関係委員会の意見を聞いてくれろということが付いておるのであります。この予備委員と申しますのは、これは産業別委員の調整機関を設けるという趣旨ではなけれども、併しながら争議がやはりだんだん広範囲になりましたり、或いは非常に特殊な、例えば石炭でありますとか、或いは輸送関係でありますとか、非常に専門的な知識を要するような場合におきましては、かような専門的な知識を持つておるかたをあらかじめ予備委員として置いて、そういう人たちに調整をやつてもらうような制度を設けて行きたいという意向だそうでございます。第三は、「労働委員会の委員を特別職とすること。」ということでございます。これは現在一般職になつておるのでありまして、一般職ということになつておること自体がおかしいのでありまして、非常勤でございますので特別職といたしたい。第四は、「労働委員会直属の事務局を強化し、常時における調査機能を拡充するものとすること。」これはやはり何と申しましても委員会制度につきましては労使の信頼性を高めておくことが必要である。現在の事務局の現状におきましては、まだまだ平素の調査研究というようなことが足りないので、常時いろいろな問題については調査研究をしておいて、そうして労使の信頼性を高めるようにするという意味でございます。  第三番目が不当労働行為の問題でありまして、これが四項目になつておるのございます。第一は、「アメリカ法のように、労働組合に対する支配介入を防止することが不当労働行為制度の本来の趣旨であることがはつきりするように書き改めること。」というのであります。これはどういう意味かと申しますと、現行法の七条に、不当労働行為は次のようなことであるということが書いてございますが、その第一項と申しますか、頭に全体の趣旨がはつきり出ていない、そこで、不当労働行為というのは労働組合運動に介入する一とであるというふうに定義的なものを頭に付けて、そうして次のようなことをするのがいけないのだというふうに書き改めるべきであるという考え方であります。第二は、「調整中の発言(現行労調法第四十条)及び不当労働行為の審査中の発言を理由とする不利益取扱を不当労働行為又はこれに準ずるものとすること。」これは只今申しましたように、不当労働行為的な扱いになつておるのでありまするが、これを現行労調法四十条に書いてありますと、どうも組合法の七条と離れたような感じがいたしますので、これを現在の、現行の七条の不当労働行為の条文の中に入れて並列的に書いてもらいたいという趣旨でございます。第三は、「不当労働行為の審査における証人に対する費用弁償をすること。」これは現在はつきり規定されていないので、規定をして実際に出すようにしてもらいたい。第四は、「不当労働行為の審査に際しては、証人の出頭を求めることができる旨を明らかにすること。」現在これははつきりなつていないのであります。併し実際問題といたしましては、これはかような取扱はされておるのでありまするから、これを明文にしてもらいたいというのであります。第三番目が、斡旋、調停及び仲裁に関することでありまして、これが三項目から成つておるのであります。第一は、「現行維持を原則とすること。」まあ差当り現状でいいと考える。第二は、「現行労調法第十一条第二項を削除すること。」これは御承知のように、現在の現行法におきましては、斡旋員と調停委員とは兼ねることができない。即ち斡旋と調停の区別は明確にその委員の人的な取扱においても区別をさるべきであるという規定がありまするが、現状におきましてはやはり調停から斡旋に入る、或いは斡旋から調停に入ることがある。でかような状態からそれのほうが実情に合うのでこの区別をやめてもらいたいというのであります。第三は、「労働委員会による仲裁は、仲裁委員会を設けてなすものとすること。」これは御承知のように現行法におきましては労働委員会で仲裁をやります場合には、全員を以て仲裁委員会を組織するということになつておるのであります。それでは中労委の例をとりますると、仲裁は二十一人の委員がこれに当るということになつておるのであります。でかようなことでは実際仲裁というものはうまく行かない。煎じ詰めて申しますると、仲裁は一人で行えばいいのではないかということを末弘博士は申されておつたような事情もありまするし、現在公労法におきまする仲裁制度は、三人がこれに当つておるのでありまして、非常に効果を挙げられておるのであります。でさような意味合いからいたしましてこの二十一人のうちから更に仲裁委員会が設けられるようにすべきであるという意見でございます。  第四番目が団体交渉でありまして、「現行通りとすること。」とありますが、ここでちよつと御参考までに申上げますが、この答申で「現行通りとする」とか、或いは「現状維持を原則とする」というようなことが書いてありまして、答申といたしましては非常におかしいのでありまして、実はこの委員会には諮問をいたしていないのであります。で自由に一つ問題を取上げて、そうして御意見を承わりたいということを申上げてお願いをしておいたわけであります。そこで委員会におきましては各側から問題を出しまして、そうして問題に対しまする意見を聞いておられるのであります。その意見のうちには、団体交渉については現行法のこの点をこう改めるべきであるとか、かような規定を設けるべきであるというような意見も出ておつたのであります。それに対しまする書き方といたしましては、いろいろ審議の結果は団体交渉等については現行通りとするのがいいのだというお答え方になるのであります。現状維持の問題につきましても、調停、斡旋、仲裁制度につきましてはもう少し現状より変つた制度を設けなければ、これは今後独立後におきまする日本の労使関係の解決には不十分であるという意見に対しまして、まあ現状通りでいいじやないかという御意見であり、労働委員会制度につきましても、例えて申しますならば、先ほども請願に出ておりましたように、三越事件のような例をとりますとこれはやはり労働委員会が不当労働行為は不当労働行為として取扱うべきであつて、不当労働行為について斡旋をしたり、或いは一応の裁定を出さずに和解を勧めたりすると却つて問題が紛糾するようなことになり、従つて不当労働行為は不当労働行為として厳密に扱つて行く。但しその決定を執行するかどうかの関係につきましてはこれは又別問題として、決定は決定をするけれども、併しそれに伴う和解の取扱方については、できるようにしたほうがいいじやないかというような意見に対しまして、現在の日本の不当労働行為の実情においては、やはりとかく労働争議に伴なつて不当労働行為が起るものである。労働争議が片付きますとその不当労働行為も片付くということがあるから、従つて同一の委員会で扱うほうがよろしいのだというような意見も闘わされたのでありますが、結局まあ当分現状でやつて見ようというふうな意見になつたと、かようなことでございますので、これは御参考までに申し上げておきたいと思います。  さて第五番目は労働協約の問題であります。これは非常に、極めて事務的な書き方になつておりますが、二項目から成つておりまして、『労組法第十四条の「署名」は「記名捺印」をもつて代え得るものとすること。』これは以前の法律は記名になつておりましたのが、この先般の改正で署名になりました。これが問題になりまして、最高裁まで行きました結果、判例といたしまして記名でよろしいということになりましたので、その最高裁の判例に従つて記名捺印に改むべきであるということであります。それから第三は、労働協約の期間の問題でありますが、これが三つに分れておりまして、第一は(イ)は「三年を超える有効期間を定めることはできないものとすること。」(ロ)は「有効期間の定めのない協約は三カ月の告知期間をもつて、何れの一方からもこれを解約し得るものとすること。」(ハ)は「自動延長はこれを認めるも、(ロ)の告知期間をもつてする解約は、これについても可能なる旨を明らかにすること。」、これは現行法におきましては労働協約の期間というものは最高三年であるが、いずれも有効期間を定めておかなければならないというふうな取扱になつておりまして、以前の無期限の労働協約というものをなくする方法をとつたのであります。ところが現実の問題といたしましては、労働協約というものは労使関係の安定を図り、一つのまあ平和条項というべきものでございまするので、でき得るならば長い年月の労働協約というものが結ばれまして、そうして長い間、できるだけ長く労使関係がそれによつて規正され、安定せられることが必要である。御承知のようにアメリカにおきましてはゼネラル・モータースは五年間の有効期間附の協約が結ばれているという状況であります。まあ併しなお又例えば退職金制度に関しまする労働協約のごときは、これはやはり毎年更改するということはおかしいので、やはりそういうできるだけ長く行けるものは長くやれるようにしてもいいのじやないか、併し三年を超えることはできないものとする。はつきり三年以内において有効期間のない場合には、これは一方からの申出により実情に合うようにしてもらいたい、こういう意見になつているのであります。  以上が大体の答申でございまして、世間の批判によりますると、今度の答申はいずれも只今申上げましたような程度でございますならば、何も改めてむずかしくやる必要はなかつたのではないか、全く骨抜きであるという批判も行われているようでございますが、これは先ほど経過を申し上げましたように、ここに出ましたのは、こういう三者の意見の一致したもののみを扱うというような約束からいたしましてかような状況になつたのであります。  で、そこで先ほど申しましたが、これに附言と言いますか、附加えられまして、「本審議委員会において討議せられた左の事項については、全員の意見の一致は見なかつたが、各委員の意見は次の通りであつたから報告する。なお、原案は、公益委員全員の一致の下に作つたものである。」という説明附で挙げられているのであります。その第一は、不当労働行為に関する事項でありまして、原案と申しますのは、公益委員の案では「不当労働行為の申立期間は行為のときから一カ年とすること。」ということになつているのであります。これに対しまして使用者側は賛成をいたしましたが、労働者側は反対をいたしたのであります。で、御承知のように現行法ではこの申立期間につきましては制限がないのでありまして、不当労働行為が行われまして二年もたちましてからその申立が行われるというようなことが今まで、例は多くありませんが、一、二件そういう例がありましたので、これはもう一年を経過したならば申立の権利はなくなるようにすべきであるという意見であります。その次はやはり不当労働行為に関する事項といたしまして、原案、即ち公益側の案は、労政職員が不当労働行為の申立人となり得ることを明文によつて明らかにすることというのがございます。これに対しまして使用者側の委員は反対し、労働者側の委員に賛成をいたしているのであります。これは現在の不当労働行為の状況を見ますると、争議に伴いまして首を切るとか、或いは現在の組合活動の状況から見まして組合の役員を首切るというふうなことがはつきり出ておる不当労働行為は、本人又は組合側の申立で大体表面に出ておるのでありまするが、そうでないような不当労働行為、即ち中小企業等におきまする労働者が組合を作ろうといたしますると、使用者側がいろいろな方法を以て組合の結成を阻止するというふうな事案がこれは相当あるやに我々は聞いておるのであります。かような場合には組合もありませず、又作ろうといたしました本人も、提訴までしてやろうというふうなことも考えるに至りませず、更に大きな産業別の組合の幹部がこういうふうな組織の中小企業の労働者の組織にオルガナイザーとして活動するというまでにまだ現在では至つてないのであります。そこでこれらの実情を知つておりまする労政職員に、そのような不当労働行為がありましたときには、その本人に代りまして不当労働行為の申立ができ得るように明文にしたらどうか……これは現行法でははつきりいたしていないのであります。できないとも書いてありませんが、できるとも書いていないのであります。それに対しまして使用者側は、これは労政職員が組合運動に干渉することになるからいけない、労働者側委員はよろしいという意見であります。第二は労働組合の規約要件の問題でございますが、御承知のように現在の労働組合法におきましては、第五条におきまして労働組合というものはかような規約を持つていなければならないということがありまして、それはやはり労働委員会の審査を受けなきやならんということになつておるのでありまするが、この公益側の案は、労働組合法第五条第一項を廃し、第五条第二項の規約記載事項を旧法程度に整理すること。この旧法程度と申しますのは、旧法におきましては、労働組合の場所でありますとか代表者でありますとか、いろいろなこういう項目などは届出ればよろしいということになつておつたのでありまするが、現行の労組法におきましては、労働組合の規約はかくあらねばならんというふうな条件がついておるのであります。これに対しまして使用者側の委員は反対でありまして、労働者側委員は賛成をいたしておるのであります。第三番目の労働協約の問題でありまするが、現行労組法第十七条、第十八条はこれを削除することという問題に対しまして労働者側は反対し、使用者側は賛成をいたしております。第四番目の労組法第一条第二項但書の「暴力の行使云々」の規定は削除することという公益側の原案に対し使用者側は反対し、労働者側は賛成をしておるわけであります。  以上が大体答申の内容につきまして御説明を申上げた次第であります。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 只今労政局長から説明がありましたが、答申書につきまして、後日で結構です、各委員に一応配付願いたいと思います。  只今法務総裁並びに労働大臣が出席しましたので、先の委員会で決定いたしておりました破壊活動防止取締法案に関係いたしまする調査を議題といたしまして、法務総裁から意見を聞くことにいたします。一応法務総裁に委員長から質問いたしますが、前のこの委員会におきまして法務総裁から御答弁になりました大要と、このたび新聞に発表になつておりまする破壊活動防止取締法案の内容とは幾分食い違つた点もあるように思いまするし、一応現段階におきまする政府の考えといたしまして、破壊活動防止取締法案につきましての内容の説明できる限りにおいて御説明願いたいと思いますのと、それからもう一つ、先日の議院運営委員会におきまして官房副長官からの答弁によりますると、両三日中に国会に提案すると、こういうお話でありましたが、提案の時期等に関連いたしまして御答弁願いたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 只今委員長からのお求めによりまして、この破壊活動防止法案の我々の考えておるところを申上げます。  このたび我々が計画いたしました破壊活動防止法案は、従来一般に公安保障法或いは特別保安法とも呼ばれておつたものに対しまして再検討を加えると共に、その間朝野各界の意見を尊重いたしまして、試案を進めて最終段階に至つたのであります。そこでこの法案の基本方針を述べて御参考に供したいと思うのであります。  この法案の焦点は専ら団体組織によつて、国家社会の基本的秩序を破壊する暴力主義的活動の取締に置くことを明確としたのであります。第二には言論、集会、結社等の一般的取締法とならないということに特に注意をいたしました。即ち労働組合や報道通信及び各種研究機関の活動を取締の対象としたり、又これを制限したりすることは絶体にないように十分考慮を払うことにしたのであります。第三に、破壊的団体に対する規正の手続は公正であると共に、有効にでき得るものとすることに主点を置いたのであります。第四に、各規定は実体及び手続に亘りまして、いずれも厳に合憲的であり、且つその精神に則るものであることにしたのであります。この方針によりますると共に、各方面の意見を十分に尊重してこれを取入れたのであります。  本案の骨子を説明いたしますると、この法案は暴力主義的破壊活動を取締るために、第一には暴力主義的破壊活動を行なつた団体に対しまして行いまする行政処分についての実体及び手続を定めました。第二は現行刑法との重複を避けて、かかる暴力主義的破壊活動に対する罰則を補正したものでありまして、その内容は団体及び暴力主義酌破壊活動の定義、破壊的団体の規正の条件と手続規則の効果、法律を実施する機関とその権限並びに罰則等に亘るものであります。この暴力主義的破壊活動とは何を言うかと申しますると、真に暴力によりまして国家社会の基本的秩序を破壊する活動に限定いたしまして、その概念の明確化を期するために、刑法の内乱、騒擾、殺人等の規定にその基本類型を求めまして、これ以上の行為の事前の危険な準備行為といたしまして、その予備、陰謀、教唆、煽動等の行為を規定することといたしたのであります。破壊的団体の規正につきましては暴力主義的破壊活動を行なつた団体が将来更に暴力主義的破壊活動を行う明らかな虞れがあると認めるに足る十分な理由がある場合に特に行い得るものといたしております。その手続は、事前に審査をいたしまして、当該団体に十分に意見弁解をなす機会を与えることとしたのであります。規正には制限的な処分と解散との二種類を設けまして、それぞれ所定の効果が生ずるものとしたのであります。又この法律を実施する機関といたしましては、法務府の外局として公安審査委員会及び公安調査庁を設けることといたしまして、前者は処分の決定のみを行います。後者は調査と処分の請求を行うものといたしまして、各それぞれの権限を分離し、権力の集中することを避けたのであります。又この決定に対しましては一般の行政訴訟手続によつて争うことができるものとされておるのであります。  次に公安調査庁の調査権につきましては、諸般の事情を考慮いたしまして間接行政の調査権のみを認め、直接行政調査権は認めません。原則として委員の調査によることにいたしたのであります。以上の次第でありまして、講和発効後の事態に対処いたしまして、国家社会の安全を確保するためにこの程度の内容を持つた法案を国会に提出することは、必要且つ止むを得ないと信じた次第であります。なおくれぐれも申上げたいのは、この法案の主たる目的は専ら団体組織によりまして国家社会の基本的秩序を破壊するというような暴力主義的活動の取締に重点を置いたのでありまして、言論、集会、結社等の取締は何らこれをなさないのであります。殊に労働組合や労働通信及び各種研究機関の活動に対しましては毛頭もこれを規正することを避けたのであります。提案の理由につきましてはまだはつきり確定はいたしておりませんが、あと一週間内ぐらいに何したいと、こう考えております。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 一応今御説明のありました法案の内容につきましては、これは現実に法案が出ましてからそれぞれ質疑なり検討なりがあると思いますが、去る二月二十六日の本委員会におきまして、法務総裁の構想は、この団体等規正令の法制化に当りまして、この法案の対象になる団体というものは暴力行為を目的として設立された団体、これが対象であるというふうに答弁されたと記憶いたしておるわけなんです。従つて当時の構想においては一定の目的を持つて設立された団体が対象であつて、そうしてそれ以外の他の一般法律に基きましてできた団体は全然関係がない、こういうふうな答弁であつたと記憶いたしておるわけなんです。ところが只今のお話によりますると、対象はどこまでも行為であつて、そういう行為をやるものについては如何なる団体であつてもすべて対象になる、こういうふうに伺えるわけなんですが、若しそうであるかどうかもう一度御答弁願いたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) これは如何なる団体でも、今申上げましたように破壊的活動をいたしまして、それが刑法に所定いたしまする、今申上げました騒擾とか或いは殺人、叛乱とかいうようなことを現実に行い、而してなお将来行う危険のあるものに対しては規正をして行きたいと、こう考えておる次第であります。初めから暴力を行使することを目的とするというような団体はあり得ないと、こう考えております。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 従つて二月二十六日の委員会でもそういう団体が対象であれば恐らくどういう団体であつても暴力行為を目的として設立する団体はないと思うからこの法律の制定は必要じやないのじやないかという話もあつたことがあるわけなんですが、従つて当時と今と構想が変つておるかは別にいたしまして、今言われたような構想でありますると、やはり労働組合もその行う行為がこの法律の対象であるような行為であれば当然規正を受ける、こうなるわけなんですが、それに関連いたしまして、労働大臣としてこの防止取締法案につきまして労働組合の行いまする行為がこれに該当すれば当然規正を受けるわけであるので、恐らくこの法案作成につきましても協議に当られたと思うわけですが、労働大臣としてこの法案に対しましてどういうお考えをお持ちか一応見解を発表願いたいと思います。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) 私どもは現在ありまする労働組合がかような暴力的な破壊的な行動をされるとは思つておりません。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 一応今法務総裁から破壊活動防止取締法案につきまして、政府の構想が発表になつたわけでありますが、一応これに限定いたしまして、各委員から質問があれば発言を許したいと思います。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 只今法務総裁の御説明によると内乱、騒擾、殺人等に大体取締を限定するということですが、そういう罪は刑法でちやんと規定されておることであるから若干足りない部分があれば刑法の部分的な改正法律案という形でも行けるんじやないかと、こう思われるのでありますが、特にこういう問題の多い法律を単独法として用意されるというのはどういうところに意味があるのですか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) それは御承知の刑法で規定しておるのは個人の何であります。これは団体活動について重心を置いておるわけでありまして、団体がそういうことをやる……。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 どうも私は法律家でないので、これは教えてもらいたいのですが、今御指摘のような刑法で定めておりまする各種の例えば内乱とか騒擾というようなものは個人では成立しにくい刑罰のように思われるのです。団体であつても内乱、騒擾、殺人というようなことをやつた場合当然刑法の処罰の対象になることは明らかであると思つておるのです。それをわざわざこういう単独法を用意されるということは……もう少しわかるように御説明頂きたいのですが……。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) それは御承知の通り刑法で内乱や騒擾のときは大勢でやるのは御尤もであります。併しそれは多数個人なんです。団体としてやるわけじやないのですね。それで団体としてやる場合に、その団体をどうするかということなんです。例えばここに仮定論といたしまして団体組織を以てその団体の力によつてこういうことをやろうとした場合には、刑法ではその団体を如何ともすることができない、ただそれに参加した個人だけをやるのに過ぎない、そこで団体そのものをこれでは規定しておる、こういうことなんです。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 先ほども団体として暴力的なことを綱領なり主張なりに掲げるものは恐らくないであろう。従つて前回当委員会で御説明のありました際そういうふうに看板を掲げて暴力を行うというものはないんだから結局こう、う法律を作らんでもいいのじやないへという話があつたのでありますが、今政府がこれを特に出そうとされるのは、団体としてどういう程度の行為を行なつた場合にこの取締の対象とされておるのか、もう少し具体的にお聞かせ願いたい。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) それは内乱とか、騒擾とか、或いは殺人とかいう殊に刑法で重要視するようなものを対象といたします。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 それを団体で協議をし、決定をし、そしてそれが行為に移された場合に、この取締の対象となる……。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) そうです。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 重ねてお伺いいたしますが、労働組合活動、或いは報道通信その他の公共的なものに対しては、一切これは適用しないのだという言明がありましたが、この提出される法案の中には、説明を聞かんでもわかるようにそういうことはなつておりますか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) それは特審局長から……。

吉河光貞検事(特別審査局長)

○政府委員(吉河光貞君) 総裁に代つて御説明申上げます。この法案におきましては、労働組合自体その活動を取締る、或いはその活動を制限するというような規定を絶対においておりません。又通信報道機関の活動それ自体を統制したり、或いは制限したりするような規定はおいてございません。すべての団体、如何なる団体にいたしましても、この法案に規定されているような非常に極端な暴力主義的な破壊活動をその団体の活動としてした場合に、これを規正するという立て方をいたしております。特にこの現在の労働組合との関係につきましては、簡単に申上げますると、この法案では只今法務総裁からも詳細御説明がありました通り、先ず暴力主義的破壊活動の概念を明確に定める、でこの概念が不明確でありますと、法案全体が極めて不明確なものになるので、この概念を非常に明確にすることに努力いたしました。従いましてこういう暴力主義的な破壊活動を行なつた団体に対しまして、将来その団体が再び暴力主義的な破壊活動を行う明らかな虞れがあることを条件といたしまして、団体の活動を規正するという立て方をいたしております。只今申し上げました暴力主義的破壊活動につきましては、申すまでもなく、国家社会の安全に直接危険を及ぼす行為のうち悪質且つ高度なもののみにこれを限定いたしまして、刑法に規定されておりまするこの種の犯罪、内乱、騒擾、放火等の規定を基礎といたしまして、これに予備、陰謀、幇助のごとき修正形式を規定したのでございます。ここに規定してありますような暴力主義的な活動は刑法の規定に徴しましても、極めて極端な危険且つ悪質な犯罪に限られておるのでございまして、日本国憲法及びその下に成立された法令の下におきまして、労働団体が本来の活動としてかような暴力主義的な破壊活動をなすというようなことは、現在我々としても考えられないようなところでございます。言い換えればかような暴力主義的な破壊活動は、もはや法の下における労働団体の活動とは到底考えられないような活動を規定しておるのでございまして、従つてこの法案は本来の労働団体自体の活動を取締つたり、規正したりするようなことは考えていないのでございます。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 もう一言だけ……。特審局長のお話では、労働組合は当然こういう取締の対象にはならんだろうという力説がございましたが、今政府が特にこういうものを準備されるというのには、何か対象とか、目的とかいうものがあるのでしようが、どういうものを対象にしてこれは立案されたのですか。

吉河光貞検事(特別審査局長)

○政府委員(吉河光貞君) 御質問にお答えいたします。この法案の対象は、只今この法案に規定いたしておりまする暴力主義的破壊活動の内容を見ても御了解頂けることと思うのでありますが、左右両極端の極端な分子による活動であると考えるのであります。法案が正式に国会に提案されました暁におきましては、現在におけるような破壊活動の実態を証する各種の資料を提出いたしまして、御検討願いたいと、かように考えます。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 これは今御説明を法務総裁から承わりましたのに、予備、教唆、陰謀というふうなことについて特に力を入れての御説明がありましたが、これは前にも世界を通じての悪法であると言われておる治安維持法でありますとか、或いは暴力行為等取締法というものがあつて、民主的な労働組合運動が非常にこの拡張解釈によつて圧迫をされた歴史もございますし、私どもも経験して参つております。従つてまあ正式に国会に上程されるまでには、よほど内容を検討されて、慎重な態度で一つ提案して頂くように希望しておきます。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 只今椿委員の御質問に対しまする政府の答弁に対して、特に内容じやありませんが、お聞きしたい点と思いますのは、刑法におきまする内乱とか、騒擾というものは、すべて不特定な多数人、個人がどこまでも対象になつておるが、従つてそれでは団体の規正はできないので、団体がこのたびの破壊活動防止取締法の対象である、こういうような総裁の御答弁であるわけですが、そういたしますと、内容がわからないから内容の質問になるかもわかりませんが、この法案の対象はどこまでも団体でありまして、それに対しまする違反行為に対する罰則その他が若しありますれば、どこまでも団体が対象であれば、解散であるとか或いは集会の制限であるとか、或いは又刑罰を科しましても罰金刑以外は科せられない、こう思うわけなんですが、若し処罰する場合の対象もやはり団体に関係する個人までも及ぶようにお考えになつておるかどうか、この点だけちよつと御答弁願いたいと思います。

吉河光貞検事(特別審査局長)

○政府委員(吉河光貞君) この法案の立て方は、暴力主義的な破壊活動から国家社会の公安、公共の安全を守るということを目的といたしまして、いわゆる暴力主義的な破壊活動といたしまして刑法に規定されておる各種の重大な且つ悪質な犯罪を列挙いたしまして、これについて必要最小限度の拡張形式を規定いたしまして、これを犯罪として罰則を規定いたしました。刑法との重複を避けまして、拡張形式につきまして必要最小限度の罰則を規定いたしました。これが第一点でありまして、これは個人がかような犯罪を犯した場合には、当然個人として罪責を負わなければならないという建前でございます。そういたしまして団体活動として、かような暴力主義的破壊活動が行われました場合におきましては、その団体が将来更に暴力主義的な破壊活動を行う明らかな虞れがある場合におきましてのみ、その団体に対しまして必要な団体活動の制限、禁止等の規正処分を課する、こういうような立て方になつております。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 只今の特審局の説明によると、法務総裁と幾分変つておると思うのですが、そうしますとこの法律は刑法には犯罪として認めておらない別個の犯罪もこの破壊活動防止取締法で認める、こういう意味なんですか。

吉河光貞検事(特別審査局長)

○政府委員(吉河光貞君) 必要最小限度の拡張形式につきまして罰則を規定しております。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 私の質問しておりますのは、今言つた騒擾なり内乱は、それぞれ個人であろうと団体であろうとそれぞれ刑法で犯罪として処罰がきめられておるわけなんですが、従つてただそういう国家社会の破壊活動は殆んど今まで想定されておりますのは、すべて刑法の犯罪対象になると思うわけなんです。従つてそれでは今なお国家の存立が危ないので、刑法で認めておりまする犯罪とは別個なものの犯罪までこの法律でこさえようという一つの目的もあるわけなんですか。

吉河光貞検事(特別審査局長)

○政府委員(吉河光貞君) さようであります。例えば政治目的を以ちまして騒擾をやること、これは刑法に騒擾罪として目的の如何を問わず規定されておりますが、この法案におきましては政治目的を以て騒擾をやることを煽動するというような行為が、必要最小限度の罰則を以て犯罪として規定されております。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 法務総裁にお尋ねしますが、そうするとさつきの法務総裁のお考えは刑法では個人しか対象できない、従つてこれでは困るので、団体としてやつた行動についてこの法律が取締の対象になる。こういうふうに御答弁になつておりましたが、主たる目的はこの法律は団体が対象でありますけれども、やはり個人も対象になると、又別に刑法で認めておりまする犯罪以上の犯罪をこの法律で一応制定する、こういうふうに特審局長からの答弁があるわけなんですが、法務総裁もそういうふうにお考えになつておるわけですか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) この主たる法案の狙いは、今申しまするように破壊活動をする団体であるのであります。それに附随いたしまして、刑法の罰則を多少補正してやるということが狙いであります。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 一応法案が出て参らないとわかりませんわけで、出て参つたときに審議するとして、幸いに法務総裁と労働大臣と二人とも御出席になつておりますので、先般新聞に又ゼネスト禁止法が再び問題になつておるように、労働大臣の談話として新聞に出ておりましたが、一度このゼネスト禁止法につきましては今国会は考えないのじやないかということも誠しやかに報道されておりましたものが、又突如として取上げられまして今国会に出すというふうなことが新聞に載つておつたわけですが、これに関しまして労働大臣から現在どういうような状態になつておるか、並びに今国会に出すとすれば提出の見込、内容等につきましてわかつております限りにおきまして御答弁願いたいと思います。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) 新聞にどういうふうに出ていたか、私の見たところでは労働大臣の談話としてそういうものを出すという記事は私は存じませんが、記事の見出し等によりますると、ゼネスト禁止というものを考慮しているというような記事があつたようであります。まあ労働法としては別にゼネストだからと言つてこれを禁止するという考えはございません。併し争議であつて、それが大規模で而もそれが非常に国民の生活を危殆に瀕せしめるというような状況のあつた場合にそれを放つて置くというわけに参りませんので、そういうものを合理的な機関によつて解決をするという方法はこれは考えなきやならんという感じは持つておりますが、まだ具体的な案は作つておりません。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) そうしますと、この破壊活動防止取締法につきまして法務総裁なり、特審局長から御説明のあつた点によりますると、団体が対象じやなくして、いわゆる行為が対象になつておる、これが破壊活動防止取締法の内容であるとしますと、今労働大臣の説明によると労働組合運動としてのゼネストを禁止するものではない、国家社会を危殆に瀕せしめるような問題を考えているのだということであるとすれば、当然この中に入るわけでございますので、特にゼネストを禁止するという法律をこしらえなければならない事態はどこにあるのか、労働組合のストライキについては何ら考えておらないというのであれば、ゼネストを禁止する単独立法を考えなければならんという意思というものは那辺にあるのかちよつと了解に苦しむ、この点どういうふうにお考えになつておりますか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) 今申しましたようにゼネスト禁止というと非常に私は誤解が生ずると思います。ゼネスト的な争議であるからと言つて、すぐにそれが国家、国民生活を危殆に陥れるとは言えないのであります。そこにゼネスト禁止というものに対する誤解を生ずるのでありますが、それじやゼネストだつたらどんな場合でも国民の生活を危殆に陥れることがないか、こう逆に言いますと、それは大規模に、而も全面的にやるというと放つて置けないということがあるだろうと思う。そこで私が申上げましたようにただゼネストだからと言つてこれを禁止するということはこれは行過ぎじやないだろうか、こう思つておりますが、さりとてそういうものが非常に大規模に、而もどうも放つて置いたのでは、国民の生活を非常に危殆に陥れるというようなものは放つて置くということではなくして、合理的な機関によつて解決したい、こういう気持でございます。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) そうしますと、大臣の考えは純然たる組合運動であつてもその及ぼす影響が国家社会の存立に危険を生ずるというような場合は取締らなければいけない、こういう考えですか。それとも組合運動でないところの、こういう罷業権の行使によつて生ずる場合を取締る、こういうふうにお考えになつておるのですか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) これは実際問題になりますと非常にデリケートだと思います。正常な組合運動であれば、私はそう国民生活を危殆に陥れるような争議というものは恐らくやらないだろうと信ずるのでありますけれども、併しそうかと言つてそういう政治的な目的がないものであつても、絶対にないかと言われると、これはあるかも知れないという感じがいたします。国民生活を危殆に陥れるような大規模のものというものは、とかく政治的なものが入りがちであります。その意味においては治安の問題が多分にありますけれども、併しこの争議というものは委員長も御承知のように極めて政治的なものが入る場合は非常に巧妙に行われるということで、その表向に見たときには、これは政治的なもので、はつきりするとかしないとかいうことによつてはなかなか区別しにくいじやないか。従つて労働問題の面につきましてはそれが如何なる場合であつても国民生活というものを非常に危殆に陥れる場合はこれは放つて置くということでなしに合理的な機関で解決して行くという努力を払うべきじやないだろうか、かような感じを持つております。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 労働大臣のお考えがそうであるとすると、仮に組合のゼネラル・ストライキ等は別にこれを規律する労働関係の法律があるのです、労調法その他において十分調整もできる、防止する機関の設置もできるので、単独立法をこしらえる必要は毫もないと考えられます。又それが政治的ゼネスト、いわゆる政治ゼネスト等の関係でありますれば、先ほど法務総裁の言われました破壊活動防止取締法の恐らく分野に入るのではないか、いずれの分野にも入らないところの国家、社会を危殆に瀕せしめるようなゼネストというものがあり得るかどうか、こういう架空の問題を捉えて、でなくても問題の起りやすいこういう法律案をお考えになつておるということはちよつと我々として理解に苦しむので、従つてどういう意味でどういう必要があつてこれを考えなければならないのかという点がお聞きしたい点であります。何かこの点についてお考えがあればもつと率直に御答弁願いたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) この破壊活動防止取締法案は先刻来申上げましたように、いわゆる暴力的破壊活動そのものが狙いなのであります。御承知の通りそこで法案の狙いは叛乱とか騒擾、殺人、こういう本当の刑法に規定されてあります重大犯罪は、ゼネストでありますと、私は恐らくそういうような今申上げましたような行為をやるということは想像もできないのであります。ただそのゼネストの結果、今労働大臣の言われたように国民生活を危殆に瀕せしめる虞れがある、そういう場合にどうするかということでありまして、この法案の狙つておるところはそういうところじやないと思います。これは全然問題を区別して考うべきだと、こう考えます。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) そういう問題でありますれば、純然たる組合運動から発しました問題なれば、当然労調法でこれも防止できるし、又妥当な解決もできるわけなので、別にゼネスト禁止法をこしらえる必要がどこにあるかということがますます不可解になつて来るわけなんで、労働大臣がこういう必要があるから考えなくちやいけないのだというお考えがあれば一つ率直に答弁を願いたい、こういう意味なんです。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) 先ほど申しましたように、つまりゼネストだからと言つてこれを禁止するということは私は不思議だと思うのですが、さてそれが非常な大規模で国民生活を危殆に陥れるような場合を放つて置くわけに行かない、だからその場合には争議ということによらないで合理的な方法で解決して行きたい、こういう考え方であります。従いまして又私は今日の組合活動というものがどうも無謀なことはされるとは思わないのでありまして、若しそれが政治目的で労働運動の名をかりて、そうして非常なことをやるということになれば、これはこの治安に関することなので若しそういうことを予想すれば治安立法というものが必要だろうということは言えるのであります。併し今委員長もおつしやつたように、まあそういうことはなくて、労働法の中で何か解決するような途が考えられやしないかということは私もそうあつて欲しい、こう存じております。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 それで大体明らかになりましたが、伝えられておるようなこの法律案は準備しておられるのですか、おられんのですか。それだ、問題は……。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) 伝えられる法律というのはどういうのですか。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 ゼネスト禁止法という……。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) それは今私のほうでは考えておりませんが、いわゆる治安として必要であるかないかということは、まあ法務総裁からお答えいたします。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) まだそういうことについてのなんたる、どういうことを今やつておるか、それについての法案が準備ができておるかと申されますると、私はまだその程度に至つていないということだけを申上げておきます。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 何か出されるつもりですか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) これははつきり申上げることはできませんが、我々はそういうものを出さないことに一つ円満に行きたいと、こう考えております。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 労働大臣に一つお尋ねしたいと思います。  前に岡崎国務大臣から講和発効後の進駐軍関係労務者のその労働三法適用の問題についてお尋ねをいたしました際、完全に適用されるということになつておるということでありましたが、これは労働大臣のほうでも同様の見解をとつておられますか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) さようでございます。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 前々回の委員会のときでしたか、この労働組合法違反、労働基準法違反等がこの講和発効後駐留軍の施設地域等に行われた場合、裁判権というものは及ばないということでありましたが、この労働三法が完全に適用を受けるということであれば、労働基準法の違反が例えば起りました場合、この行政職員はその建物なり地域内に入つてその違反行為を摘発することができるかどうか、そういうこの行政措置というものはとれるように了解済であるかどうか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) 労働三法は適用があるということは行政協定の条文にも明瞭でありまするし、又司令部あたりの発表でもそういうふうに了解しております。ただこれをどういうふうに執行するかというお話で、法律を執行して、その法律に触れた場合の処罰とか法の執行になりますると、これは属人主義になりますから、向うがこれを執行するわけであります。併し例えば不当労働行為とか何とかいうような処罰でない、救済の方法というものはこれは労働委員会等にかかる問題でありまして、この点も過日司令部のほうから若しそういうことがあれば労働委員会において救済するという声明も出ております。併しその勧告につきましては、勿論政府としても重大なる関心を持つて向うと協議してやつて行きたい、かように存じます。そうして又向うも遺憾のないようにして欲しい、こう言つております。ですから、それは個々の具体的な現場においてはいろいろ問題が起ることがあろうと思いますけれども、今の司令部との話合いにおいては、司令部もこの法律を尊重してそうして守つて行きたいという熱意は十分にございます。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 そうすると結局なんですね、裁判権の制限は受けておるが、この行政権については制限を受けていない、こういうふうに解釈してよろしうございますか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) さようでございます。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 そうなりますとその施設地域内におきましても労働組合活動の自由、例えば紛争が起つて止むを得ず労働争議が起つたというふうな場合の罷業権の制限というふうなことはないものと理解してよろしうございますね。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) 今のところは法律の、三法の適用がありますから法律の範囲においては許されると思つております。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 今のところだけで、これから進んで行きますと制限の危険はございますか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) 将来のことはわかりません。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 これは基本的な駐留軍との関係を律する行政協定が最近行われて、そうして労働関係三法の保護を受けるというこの大原則が確定したことをあなたからも岡崎国務相からもしばしば答弁を承わりました。将来のことはわかりませんということでありまするが、これは独立後になお今よりもこの主権を制限されるような事態が予想されるので、将来のことはわかりませんというお言葉が出たのでありましようか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) 今のところ予想しておりません。併し将来どうなるかということはそのときのことでありますから、将来のことまでここで言うことはできない、今のところ予想しておりません。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 ちよつと小さい話になりますが、この最近新聞で伝えておるところによりますると、日米安保条約のほかに連合国軍が更に駐留することになるかわからん、こういう報道がございますが、今英国連邦の駐留軍のために使用されておる労務者が約一万二千人、山口、広島、岡川、東京都などであるのです。これがその講和の発効と共に例の九十日以内に撤退するということになると失業の不安にもさらされることになる。というて引続いて駐留することを私は歓迎する意味じやないのですが、この身分と職業の現状が誠に不安定のために困つていろいろ陳情して参つております。こういうことについてはどういうふうにお考えになつておりますか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) これは私のほうではわかりませんけれども、大体現状ではすぐにそう大きな失業が出るとは考えておりません。漸次減つて行くものとは思いまするけれども、勿論そういう場合につきましてはそれぞれの処置を講じなければならんと、こう思つております。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 前に岡崎国務相から承わりました際に、労働組合関係の要望が大きいので、できるだけ軍の直傭にしないで間接雇用の形式をとつて参りたい、こういう政府の御方針を承わりましたが、最近、最近というのは今日ですが、私のところへ軍の直傭になつて従来八千九百円程度もらつておつたのが五千八百円に急に報酬を下げられてどうすることもできない、いろいろ事情を組合側で調べて見ますと、これは軍の経費から出ておるのではなくて、これは申しますと大阪の信太山の教育学生約四百五十名ばかりのものがいるところに雇用されております人たちのことであります。一人の学生から七十五セントずつの醵出をさせてそれによつてこの経費が賄われておる、こういうことを言つて参りました。それから住友ビルにありますKP関係の料理人約六十名ばかりでありますが、これもよく聞いて見ますると同じようなことを言つておる。朝鮮から帰還をして来た軍人から一ドルずつ醵出をさせてそれによつて給料の支払が行われている、こういうことのために甚だ不安定なのですね、身分が……。誰に一体使われておるのか、こういうものは岡崎国務相からもお話のありましたように、例えば特別調達庁なら特別調達庁で間接雇用をしてそうして労務提供をなさしめる、そしてその支払については調達庁が軍から支払を受ける、こういうような形にして、全国で相当数これはございますが、こういうものに安心して労務提供ができるような工合にお取計らいになる御意思はございませんか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○国務大臣(吉武惠市君) 間接雇用の範囲はどういうふうにしたらいいかということは、まだ具体的には相談しておりません。まあ組合のほうからの希望が強いものですから、向うのほうに要求して初め直接雇用という話があつたのですが、労働法から言うと、労働法でなくても、直接使用する者と使用される者との間は、これは法律関係で言つても直接の雇用になるのが本当の筋ですが、だんだん組合のほうに聞いて見ると、言葉が通うとか、今の労働条件がまちまちになつていかんというので、便宜な取扱をしたらというので向うに話したら、成るほどそうか、それでもよかろうということで間接雇用にして、今まででもそれで弊害がないことですから、私は続けて行つてもいいかと思います。併しそうかといつて向うのものを一切、個人で使つておる者なんかも皆間接雇用で調達庁がせなければならんというような、これは私は大変だろうと思います。ですから今のお話になつたのを聞いて見るとよくはわからないのですが、大体軍が直接使うような労務は、これは私は調達庁が間に入つてやるほうがいいと思うのですが、そうでない個人的なものであれば、それが一人の個人であろうと、その個人が皆で集団してやろうと、それまで一々調達庁が間接雇用で行くということは私は煩瑣じやないかと思う。併しそれは話合いの上のことですから、お互いにそのほうがいいということであれば私は何も理屈にこだわるつもりはありませんが、併し建前としてはそういう個人的のことまで調達庁が、調達庁と言つても国家なんですから問に入つてやるということはどうかと思います。感じの上です。併しこれは具体的にきめて行きます。

椿繁夫日本社会党(第四控室・左)

○椿繁夫君 このために相当数のものが不安で、十分労務の提供ができない状況に置かれておるようでありますから、十分御研究を願いたいと思います。

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) どうです、次回は四日から十三日まで本会議が休みになりますが、十八日午後一時からということで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) その次回に、現在失業が相当問題になつておりますので、いわゆる中小企業並びに紡績の操短等の関係で失業に関しまして適当な参考人を呼びまして、ここに公述を願いたいと思います。この参考人の選定等につきましては委員長に御一任願いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) なお次に、次回までに今法務総裁から話のありました防止法案が恐らく提案になるだろうと思いまするし、この法案は法律の性質上法務委員会に付託になると思いますが、当委員会もやはり相当関係しておりますので、連合審査をやらなければいけないと思います。従つて法案が提出になりまして法務委員会に付託になりましたら、当委員会から連合審査の要求をするということをあらかじめ御承認願いたいと思うのですが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党(第二控室・右)

○委員長(中村正雄君) 御異議ないものと認めます。  それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後三時四十七分散会

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