労働・大蔵連合委員会 第1号
- 発言数
- 63 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/05/23
会議録
○委員長(中村正雄君) 只今より労働、大蔵連合委員会を開会いたします。恒例によりまして私委員長の職務を行います。 労働委員会に付託されておりまする労働金庫法案を議題といたします。最初に発議者を代表いたしまして、波多野林一君から本法案の提案理由の説明を伺います。波多野君。
○波多野林一君 只今提案になりました労働金庫法案の提案理由を御説明いたします。 我が国におけるいわゆる労働金庫は、昭和二十五年に岡山県において岡山県勤労者信用協同組合として設立されて以来、各地においてこれにならうもの多く、今日では北海道、宮城、福島、千葉、埼玉、東京、神奈川、長野、新潟、大阪、兵庫、広島、山口、愛媛、大分等すでに十六の都道府県においてその設立を見ましたほか、福岡、愛知、三重、静岡、群馬、山形、岩手等の各県におきましても近く設立されようとしております。これらの労働金庫は、労働組合を初め消費生活協同組合その他の労働者の国体を主たる構成員とする協同組織の形態をとり、その事業は、一方において労働組合や消費生活協同組合の組合資金及びその構成員たる労働者の預貯金を広汎に薮收し、地方においてその資金をこれらの団体の行う労働者のための幅利共済活動の資金として貸出すと共に、各労働者に対し、その生活資金として貸出しているのでありまして、自主的組織により労働者の間の遊休資金を集めて、これを従来の金融体系において全く等閑に付されていた労働者大衆自身のための生活資金金融の遂に活用するもので、社会的にも大きな意義を有するものであります。 然るに労働金庫は、これまでそのための独自の法制がなかつたため、中小企業等協同組合法に基いてその信用協同組合として設立運営されて来たのであります。併しながら、中小企業等協同組合法の規定するところは、本来の労働金庫とはその構成組織も、金融の性格、目的も異り、そのため事業の運営にも幾多の不便を感じて来たのでありまして、労働金庫が今日の段階まで来ました以上、前述のごとく労働金庫の健全な発達を図るためには、その本来の性格に即した独自の法律を制定し、以てその基礎を明確にすると共に、監督の適正を期することが是非とも必要であると考えまして、本法案を提案いたした次第であります。 以下本法案の規定の建前の主要点を御説明いたします。先ず第一に、本法案では労働金庫の構成員を労働組合や消費生活協同組合その他労働者を以て組織する福利共済のための団体としており、会員としての議決権の行使、役員の選任等金庫の運営についてもその建前に立つて規定を設けております。これは労働金庫が労働組合運動の一環として行われており、労働者を団体として把握することによつて、初めてその設立運営が可能となるばかりではなく、広汎な労働者から預貯金の吸收や労働者に対する貸付の回收の確保等の金融機関としての労働金庫の業務も、これらの団体を通ずることによつてのみその円滑確実な運営を期待し得ると考えるからであります。 第二に、本法案では労働金庫の組織運営については、金融機関たる性格に反しない限り協同組織の原則を固くとつているのでありまして、この建前より預貯金の受入、資金の貸付等の労働金庫の業務も專ら会員たる団体及びこれに加入する労働者のみをその対象としております。これは労働金庫が会員たる団体による労働者の相互扶助の組織である以上当然のことであり、又それによつて初めて労働金庫の民主的な健全な運営が期されるからであります。その他本法案が労働金庫が多数の労働者の零細な預金やその他労働者の福祉のための貴重な資金を預る金融機関である以上、その安全確実な運営を確保するため必要な規定を設けると共に、そのためには行政官庁の監督についても極力その適正を図つております。 なお、この法律を施行する行政官庁といたしましては、大蔵大臣及び労働大臣といたしてありますが、これは労働金庫が広く労働者の福祉の増進と労働組合の運動とに密接な関連を有するものでありますので、労働行政上の必要から、これを労働大臣に所管せしめると共に、労働金庫は一種の金融機関でありますので、金融行政上の面からは大蔵大臣の共管といたした次第であります。 以上、本法案の要旨を御説明いたしたのでありますが、それによつて明らかなごとく、その内容は労働金庫の本来の特殊性に即応し、その健全な発達を期するため必要欠くべからざるものでありますから、何とぞ御審議の上、速かに可決されるようお願いする次第であります。
○委員長(中村正雄君) 引続きまして法制局部長より補足説明を行います。
○法制局参事(今枝常男君) それでは法案自体につきまして、この法案の特殊性を持つていると考えられるような規定を拾いまして、かいつまんで簡単に御説明申上げます。 順序に参りまして、先ず第一條でこの法案の目的を明らかにしまして、これによつて労働金庫の特殊性を明らかにしようとしております。つまり第一條におきましては、この機関が労働者の団体の福利活動のために金融の円滑化を図る、こういうことによりまして、その団体の福利活動を助長しよう、こういう目的を持つておるものであることを明らかにしまして、金庫の特殊性を現わしたわけであります。なおこれと関連しまして、第五條におきまして、金庫がその会員に対して奉仕する機関であつて、営利機関でないという特殊性を同時に明らかにしております。次に、第六條におきまして、この金庫の事業については免許を要するということにいたしております。これは中小企業等協同組合法の信用協同組合等の場合におきましては、認可制をとりまして、一定の基準に当りますれば必ず認可するという建前をとつておりますが、そういうことになりますと、場合によつては煩雑になりまして、却つて安全性を欠くというような虞れがあることが考えられますので、特に免許制といたしまして、その地の労働情勢その他から見まして適正な範囲で金庫を設立させる、こういう趣旨からいたしまして免許制をとることにい、しております。次に、第七條におきまして、出資総額の最低限を規定いたしておりますが、これも信用金庫なんかにおきましては、その地域の人口等を主として基本にいたしまして、その人口の多い所は大体総額も多くするという建前をとつておるわけでありますが、本法案におきましては、むしろ労働者自身の趨勢ということが主たる要素になるべきものでありますので、そういう見地からいたしまして、必ずしもその土地の人口にはかかわりませず、殊に組織労働者の多い、第一号に掲げました地域におきましては最低限を多くいたしまして、七百万円とし、その他の金庫におきましては三百万円ということに規定いたしております。なお連合会におきましては、その最低限を七千万円、こういうふうに規定いたしたわけであります。総則のところでは以北のほか特に御説明申上げるような規定はないと思います。 次に第二章におきまして、会員、特に組織関係の規定を一部挙げてございますが、この中では十一條が特殊性ある規定でございまして、これは先ほど提案理由にも御説明がありました通り、金庫が団体構成であります。個人を構成員としないで団体を構成員とするという建前を第十一條ではつきりいたしておるわけでありまして、労働組合、それから消費生活協同組合、それから国家公務員の共済組合その他の社会保険的な団体というようなものは当然団体資格を持つものとして規定いたしております。なおそのほかの団体でありましても、労働者がその組織員の過半数を占めているようなものは金庫の会員になる資格があるということを規定いたしております。次に十二條におきまして、殊に十二條の三項におきまして、各金庫が持つ出資口数の最大限を規定いたしておるのでありますが、信用協同組合等におきましては、この最高限が百分の十といたしてありますけれども、ここでは特に百分の二十五、即ち四分の一ということに規定いたしております。これは地域によりましては、この労働組合の非常に大きいものが一つあつて、その他は必ずしもこれに次がない規模を持つておるというような場合におきまして十分の一というようなことに限定いたしますと、実情にもそぐわないということがありますのと同時に、ここで最高限を規定いたしております趣旨が、大体会員の脱退等によりまして、その資産の基礎を一時に減らすというようなことがある場合の危険を防止しようということが主たる狙いと考えられるわけでありますが、この金庫におきましては一面におきまして、後に申しますように、脱退について必ずしも無制限な自由の制度をとらないということによりまして、その危険を防ごうというような見地からいたしまして、ここでは最高限を四分の一程度に限るという規定にいたしております。次に、第十三條におきまして、この議決権に関する規定を置いておりますが、その中でこの金庫が団体構成であるという特殊性からいたしまして、二項、三項で特別の規定を設けまして、議決権を行使するものをこの会員である団体が必ず一人選んで定めておく。仮にここで代議員ということが出ておりますが、そういう代議員というものの制度を設けまして、団体構成であることによつて生ずる議決権行使の上の不便を除去しようという特殊の規定を置いておるわけであります。次に飛びまして第十六條におきまして、先ほど申しました出資の最低限、最高限のところで申しましたことと関連いたしますが、この会員の脱退につきまして、持分の譲渡によつて初めて脱退することができる、こういうことにいたしておるわけであります。つまり一般の場合のように任意にいつでも脱退することができるように、何の條件もなしに脱退することにいたしますと、その会員の持分だけが減りますので、金庫の基礎が危くなる、こういうことが考えられますので、必ず持分を誰かが引受けた場合にのみ脱退ができる、こういうことにいたしまして、只今の危険を防ごうということにいたしておるわけであります。なおこれと関連いたしまして脱退しようとする場合におきまして、直ちに持分を讓り受ける者が見付からない場合におきましては、金庫に持分を讓つて脱退することができるのでありますけれども、そういう場合におきましては、金庫みずからがその取得した持分を速かに処分するような方法を講じて、金庫の基礎を保つということができますように、二十一條におきまして特にそういう趣旨の規定を設けているような次第であります。第二章におきまして特に申上げる事項は以上のようなことであろうと存じます。 次に第三章におきましては、第二十二條の第二項の規定でございますが、ここで労働金庫が設立されます場合の会員数の最低限を規定いたしております。これは信用協同組合の場合でありますと、個人構成の建前に立つておりますので、現在最低限会員が三百名以上ということになつておるわけでありますが、これが実際上は労働金庫の場合には非常に不便がある、こういうわけでありまして、従来の実情等から考えまして、五十程度にこれを規定することが適当であろうという趣旨から、最低会員数を五十といたしまして、なおこれに伴いまして、その会員であります団体に属している労働者の実数が少くとも二万人以上あることを必要とするということにいたしまして、設立上の便宜と金庫自身の基礎の安固ということとを考慮いたして規定しておるわけであります。 それから少し先に参りまして、第四章のところで金庫の管理に関する事項を規定いたしておるわけでありますが、そのうちで特殊性を持つた規定といたしまして、三十四條で役員に関する規定を置いておりますが、その役員をどういうところから選ぶかという場合におきまして、三項によつて役員は代議員のうちからこれを選ぶということにいたしておるわけであります。これはやはむ団体構成の特徴からいたしまして、会員自体からは勿論選べませんので、自然人を選ぶ必要があるわけでありますが、そこで先ほど申しました代議員のうちから選ぶことを原則とする、こういうことにいたしておるわけであります。併し労働金庫が本来金融機関である特殊性からいたしまして、その会員である労働組合その他労働者の団体に属する人の中から役員を選ぶことが必ずしも適当ではなく、場合によれば員外者で金融に通じたような適当な人のある場合におきましては、そういう人からも役員を選ぶ途を開くのが適当であろうという趣旨からいたしまして、第四項で或る場合においては員外者からも役員を選び得る、こういうことを規定いたしております。この竜におきましては、その他管理関係について各種の規定を置いておりますが、多くの機関と非常な隔たりのないものと考えられますので省略いたします。 次に第五章、事業のところに参りまして、第五十八條において金庫の事業のことを規定いたしております。これは先ほど提案理由でも大体御説明がありましたが、原則といたしまして、一号におきまして会員の預金又は定期積金の受入をすること、それから会員に対して、つまり会員たる団体に対して貸付をする又会員のために手形の割引をするといつたようなことがこの金庫の本来の業務ということに規定いたしておるわけであります。そしてその本来の業務のほかになお二項におきまして、附随的に、附随的ではありませんが、二項において更に必要な場合においてできるところの事業を規定いたしておるわけでありますが、そのうちで特にこの四号あたりで会員に所属するつまり個人からも預金を受入れ、又は五号におきまして、そういう個人に対しては資金の貸付ができる、こういうことにいたしまして、原則は団体に対する預金又は貸付をするわけでありますが、必要によつてはその構成に至る個人に対しても貸付ができる、或いは預金の受入れができる。こういうことにいたしまして、金庫の本来の機能を果すことができるようにしよう、こういうことにいたしております。非常に特殊性のある規定はおよそ以上のごとくかと思います。 なお六章の経理の関係の六十條のところで準備金の規定を設けておりますが、これも信用協同組合などの場合におきましては、準備金が出資総額の二分の一程度で足りることになつておるわけでありますが、本法案におきましては、労働金庫の基礎を確実にする、安全を確保するという意味からいたしまして、特に出資の総額に達するまで準備金を積立てるということを規定いたしたわけであります。 その他その先におきましては、登記或いはその他の事項について規定を置いておりますけれども、これらは大体非常な特殊性のある規定でもありませんので省略させて頂くことにいたします。 なお十章のところで、九十四條あたりにおきまして、銀行法関係の規定を準用いたしまして、銀行と同様な検査をいたしましたり、或いは業務報告を出させるというような規定を設けまして、金庫の基礎を確立し、金融機関としての安全性を保つというようなことを考慮をいたしております。 なお最後に附則におきまして、現在存在いたしますところの信用協同組合として設立しておるところの労働金庫を、本法案による労働金庫に組織変更をすることができるという趣旨の一連の規定を置き、更に金庫に対する免税措置等について規定をいたしておるわけであります。 主たる規定は以上のようなものであります。
○委員長(中村正雄君) 只今提案理由並びに補足説明は終つたわけでありますが、本法案に対しまして、一応委員長から労働省の見解を聞きたいと思います。 労働金庫に対しまして、労働省は従来どういう態度をとつておいでになつたか、又今後におきましてどういうふうにお考えになつておるか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
○政府委員(賀来才二郎君) 労働省といたしましては、労働組合の現状をいろいろ考えて参りまして、何とか健全なものにして行きたいという意味で研究をして参つたのでありますが、御承知のように我々の考えるところによりますれば、労働組合というものは三つの運動性格を持つておる、又おらねばならん。第一は組合員同士がお互いに零細な金でも出し合いまして助け合う相互共済の活動であります。第二は、それだけで不十分な状態におきましては団結をいたしまして、そうして自己の経済生活の向上発展を図つて行く、維持向上を図つて行く、これは経済活動、即ち共済活動の次に経済活動、更に労働者の生活の維持向上を図りますためには、やはり政治的な問題につきまして十分しつかりした考え方を以て運動をすることもあり得る。これが政治活動であります。この三つの活動面を持つておるものと思うのであります。御承知のように諸外国におきましては、先ず共済活動から経済活動へ、次いで数十年の経験を経ましてから政治活動へという活動の経歴を持つておるのでありますが、日本のはいろんな事情もごいざましたが、終戦後の実情を見ますると、一気に経済活動と共に政治活動の面が非常に強く出て参りまして、かようなインフレの時期、異常経済の時代には尤もとは思いますけれども、相互共済活動というふうなじつくりしたものが欠けておる。従いまして賃上鬪争というふうな場合或いは政治的鬪争をやる場合には非常に団結の強い面を現わしますけれども、実態といたしましては団結が弱いし、又健全さも欠くという実情にあると、かように見ましたので、今後の又経済の独立後におきまする状況を考えますると、従来のインフレ時代のように、賃上げ賃上げの鬪争のみで経済生活の維持向上ということもむずかしいような状況が必ず来るものと考えなければならん。さような意味におきまして、相互共済活動の面を強化いたしたいという立場から、一昨年労働組合の間を斡旋をいたしまして、極左の運動方針を持つておりまする組合を除きました他の組合全部で福祉活動に関しまする協議会というふうな協議会を作つてもらいまして、その組合同士でいろいろ今後の福祉共済活動についてどうあるべきかということを研究をし、推進して来るように我々協力して参つたのであります。で、その結果先ず取上げられましたのが生活協同組合運動であり、次いで取上げられましたのが、この相互共済によりすする金融活動であります。御承知のように、最近二、三年来賃金の遅拂が出て参りまして、いろんなことに関連いたしまして、炭鉱地区においては高知貸が非常に活動するという状況もございました。或いは又共済組合その他のいろいろな施設ができておりまするが、実際にそれが恩典を浴しますためには、例えて申しますと共済金の給付を受けますのが、事実が起つた時期と非常に時期が握れて来ますとか、或いは給付金をもらいますにつきましても、さような状態が出るというふうなことからいたしまして、直接にさような実情もありましたような関係から、先ず労働金庫の設立運動が出て参つたのであります。これに対しまして労働省といたしましては、先ほど来申しましたような基本的な方針から、やはり労働金庫というものを助長育成するの立場をとつて参りましたが、併し他面におきましては、かような運動は零細な金を集めてやる運動でもありまするし、諸外国の例を見ましても、いろいろ消長があつたわけでありますので、その点を非常に愼重な態度でこの育成に協力すると、かような経過をとつて参つた、かような状態であります。
○委員長(中村正雄君) 次に労働金庫のための特別立法といたしましての労働金庫法の制定という点につきまして、どういうふうにお考えになつておりますか。
○政府委員(賀来才二郎君) 実は先ほど来申しましたように、労働省といたしましては、この労働金庫の設立につきまして育成助長するという態度をとつて参つたのでありますが、現在先ほど波多野委員の御提案の説明にもありましたように、十六府県にできておりますが、いずれもおおむね中小企業等協同組合法に基いてできておるのであります。併しこの法律の規定いたしますところは、その構成、組織につきましても、又金融の性格、目的におきましても、労働金庫としてできましたところの現在の信用協同組合の建前とやや趣きを異にしておる点がありますために、労働金庫の事業の運営上にも種々不安があつたようでございます。従いまして何とかしてこの健全なる発達のためには、この性格に適応したような法的根拠が欲しい、かように考えておつたのでございますが、ただ労働金庫の運動自体はやはり労働組合運動と同じように自主的な運動でなければならんということと、従つて自然の成長発展を期待して行くというほうがいいのじやなかろうか、かような意味において今直ちに政府といたしましては、このような法律を立案制定するということまで考えていなかつたのであります。併し今度当院の御努力と御盡力によりまして、かような法案が議会に提出されましたことにつきましては、内容を今承わりましても結構だと考えますし、本法案の設立につきましては、労働省といたしましては賛意を表したいと考える次第であります。
○委員長(中村正雄君) 最後に労働組合、生活協同組合等の団体のみを会員といたしておるわけでありますが、この法律の建前につきまして、労働省はどういうふうにお考えになつておりますか、御答弁願います。
○政府委員(賀来才二郎君) この法案の建前は、労働組合、生活協同組合その他労働者が組織いたしますところの福利共済施設のみを労働金庫の会員とするという建前になつておるのは只今承知いたしましたが、労働金庫の本来の性格といたしまして、我々といたしましては当然であると考えるのであります。勿論現在の労働金庫の中には個人加入を認めておるものもございますが、これはやはり一般の庶民金融等の間の性格の混淆を来たすということもございまして、適当ではないというような研究もいたしておつた次第であります。このような団体構成によりますると、初めて労働者の貯蓄金の広汎な吸收ということ、或いは労働者に対しまする貸付の確実な回收等がなされると思われるのでありまして、業務の円滑なる運営を期し得ると考えておる次第であります。又この金庫がとつておりますところの協同組合原則ということ、及びこの本法案がとつておりますところの金融機関といたしましての確実性の保障、そのための適正な監督の実施という建前、先ほども申しましたように労働省といたしましては、労働金庫の普及発達を望んでおりますが、何と申しましても零細な労働者の金を集めたものでありますので、これが万一諸外国の例にもありますように失敗をいたしますると、非常に労働者にとつて不幸を来たしますので、適正な監督ということが必要だと考えておるのであります。さような意味におきまして、法案の建前につきましては賛意を表したいと思うのでございます。
○委員長(中村正雄君) 続いて本法案に対しまして大蔵省の見解を承わりたいと思います。
○説明員(有吉正君) 大蔵省といたしましては、労働者だけの相互扶助の金融組織の必要性ということにつきましては、かねてより認めておるところでございまして、そのために先ほど提案理由の説明にございました通り、昭和二十五年、岡山県におきまして初めて中小企業等協同組合法に基く信用協同組合といたしまして労働金庫、いわゆる労働金庫の認可をいたした次第でございます。その後兵庫県、北海道或いは千葉県、埼玉県、数カ所に亘りまして、それぞれ同様に信用協同組合といたしましての労働金庫の認可をいたした次第でございます。昨年の六月十五日信用金庫法が制定施行せられまして以後におきましては、信用協同組合につきましての認可が府県知事に移りまして、現在におきましては、先ほど御説明の十数の信用協同組合に基く労働金庫がそれぞれ府県知事の認可になつておる次第でございます。かように大蔵省といたしまして、労働者だけの相互扶助的な金融組織の必要性を認めまして、これが健全なる発達を図るということにつきまして努力して参つた次第でございます。従来中小企業等協同組合法によります労働金庫というものにつきましては、いろいろ技術的な困難性があるということはかねてから承知しておつた次第でございます。ただ現在までのいわゆる労働金庫の経営の内容等から申しまして、ここに新たなる法の制定の必要はないのではないか、中小企業等協同組合法の建前によつてこれが運営を図るという趣旨で行けるのではないかと、我々かように考えておつた次第でございます。殊に資金の効率的な使用という点から考えますと、各種多様の金融機関がそれぞれの特別の根拠法に基きまして設立せられるということにつきましては、相当の疑問があるように考えておつた次第でございます。併しながら他面考えますと、現在の中小企業等協同組合法の目的、建前を用いますと、これは事業者のための法律でございまして、従いまして現在の信用協同組合におきまして、事業金融というものを主体となしておる次第でございます。然るに他方労働金庫というものにおきましては、労働者の福利共済の活動を行うということでございまして、事業金融ということに対しましては、生活金融と申しましようか、消費金融という部門に入ることと考えます。従いまして、労働金庫が今後十分に健全なる発達をし、その活動の枠外を蹈み外さないということの保証を付るという意味におきましては、中小企業等協同組合法による規制におきましては不十分であろうということも考えられるわけでございます。かかる観点から申しまして、労働金庫法というものを新たに制定する立法の必要性という点はかかる見地から生ずるものであろうと、かように大蔵省としては考えておる次第でございます。従いまして、法の内容その他から申しまして、労働金庫というものは、飽くまでも信用協同組合法に基くところの現在までの協同組合というものとは違つた目的に立ち、飽くまで生活金融というものを中心主体として取上ぐべきだと、かように考える次第でございます。
○委員長(中村正雄君) 只今より本法案の質疑に入りたいと思います。特に大蔵委員のかたに優先的に発言願いたいと思います。
○木村禧八郎君 この法案は、労働大臣及びそれから大蔵大臣の共管になつて、その認可を必要とすることになつていますが、労働省及び大蔵省のほうの認可の基準ですか、そういうものについて伺いたいのです。何か認可する場合に、こういう條件に満たなければ認可しない、こういう條件を満たさなければいけないというような、そういうものを政府側において考えているか。
○委員長(中村正雄君) 政府のほうの見解ですか。
○木村禧八郎君 ええ、政府のほうの見解です。
○政府委員(賀来才二郎君) この認可の方針につきまして、この法案に盛られておりまする以外にいろいろ実情を調べるとかいうことがありましようが、我々といたしまして、これは大蔵省とまだ具体的には相談をいたしておりませんので、詳細確定的なことを申上げるわけには参りませんけれども、適正な規模であり、この法案に適するものでありますれば認可をされるものと考えております。
○木村禧八郎君 それはもつと具体的にわかつたら大蔵省のほうとも相談してそれを知らして頂きたいのです。それが非常に重要だと思うのです。それからもう一つの監督ですね、監督の範囲、この資金の貸付その他は定款によつて恐らく細かく貸付の條件、範囲等も明らかになつて来ると思うのですが、その條件如何によつては認可しないかも知れない、そういうことが起つて来ると思うのです。そこで認可の條件、監督の範囲、こういうものについて大体できる限り具体的に我々は聞きたいのです。それが例えば貸付の條件が、或いは範囲が労働省の考え、いわゆる労働運動としての一環としての消費金融機関としての範囲を逸脱しているかいないかということは労働省で判定する、そういう場合は労働金庫のほうでは、こういう貸付をしてもいい、それが正常なる労働運動の一環としての貸付である、こう判断した場合に労働省側の見解の相違が私は出て来ると思う。私は出て来ることが必ずあると思うのです。従つてあらかじめ労働省としては、監督官庁としてその監督の範囲或いは又認可の條件というものは、この委員会において考えられないと、折角こういうものを作つても、そういう労働省のほうの立場からこれが運営が制限され、又政治的に制約される、こういうことになつたならば、私は折角こういうものを作つても、それが十分の効果をもたらすことがないのじやないか、そういうことを憂えますので、一応そういう点については私は労働省側の見解をお聞きしておきたいのです。
○政府委員(賀来才二郎君) 只今の御懸念は、この認可並びに監督に関連しまして、政治的な操作と申しますか、そういうようなものが入るのじやないかということも懸念されるという意味での御質問のように拜聽いたしたのであります。我々といたしましては、現在十六府県にございまして、これは中小企業等協同組合法でできておりまして、大蔵省及びその筋の官庁で監督を受けているのでありまして、その実績から見ましても、さような意味のような、御懸念のあるような監督或いは検査等は行われた事実はございませんし、今後においてもさようなことはあり得ないと考えておるのであります。で、先ほど申上げましたように認可の方針といたしましては適正な規模で、例えばその県下におきまする大部分の組合も入つておりまするし、今後の運営についても差支えないという本法案の中にありまする諸條件を満たしたものでありますれば当然認可をするものと、かように考えておりまするし、更に監督といたしましても、金融機関といたしましての確実性を確保し、且つこの法案の目的を最大限に確保されるような運営が行われるというものでありますならば、御懸念のような監督はいたしかねるとさえ考えているのであります。或いはさようなことはする意向もありませんし、又できかねるものと、かように考える次第であります。
○木村禧八郎君 もう少し大蔵省のほうの意見を一つ伺いたいのですが、若しこの労働金庫が相当発展する場合ですね。これは非常に発展する私可能性もあると思うのですが、そういう場合大蔵省側としては、市中の他の金融機関との競合の問題が問題にされやしないかと思うのです。そういうような場合に労働金庫を育成するという面から、成るべくそういう市中の普通銀行或いは貯蓄銀行その他の金融機関から、この労働金庫に対して何らかのいろいろな制限、圧迫、そういうものは起らないように、起つてもそういうものを排除して、これを健全に飽くまでも大きく育成して行く、そういう方針を我々はとるべきだと思うのでありますが、将来の問題でありますけれども、そういう点について大蔵省としてはどういうふうに考えておるか。私は将来そういうことが起る可能性があるように思うのですが、その点について伺つておきたいと思います。
○説明員(有吉正君) 労働金庫も一個の金融機関でございます。他の金融機関との間の競合という点につきましては、大蔵省といたしましても関心を持つべきことでございます。これが競合が避けられるように相互の調整を図るということを今後の方針ともいたしたいと思つております。ただ労働金庫が法の目的に従いまして、各会員の福利共済の活動を増進する趣旨におきまして、労働金庫独自の発展ということを期することも我々としまして、法案が通過のあとにおきましては念願するところでございます。かかる労働金庫のその成長発展ということを、他の感覚から抑えることはいたしたくないと存じます。
○木村禧八郎君 もう一つ他の委員もおられますから、簡単に伺いたいのであります。労働省のほうに伺います。これは労働者側の相互扶助機関として、こういう金融機関を設けざるを得なくなつて来たのでありまして、私はこの労働者の福利増進をする場合に、單にこういう機関だけで足りないことは言うまでもないのですが、特に一番こういう消費金融に関連して重要なのは、中小企業に対する金融、これが完全に十分に行われると、相当労働者のほうに、こういう消費金融なんかについても楽になると思うのです。遅配欠配など起つて来ると困るのであつて、中小企業金融、こういうものに対しても、これは單に通産省とかそういう関係でなく、これは労働省も非常に労働行政の上からも大きな関心を持つべきことじやないかと思う。それから更にこの雇用の問題、景気政策になりますと、我々はたで見ておりますと、労働省は例えば争議の問題とか、そういう方面にのみ大きな関心を持ち、戰いは労働組合法の我々から言えば改悪ですが、そういう方面にのみ関心を持つて来て、一番労働行政として基本的になる景気政策、雇用の問題或いは賃金の問題、景気をよくして賃金を引上げる、金融の問題についても事業自体に対する金融、中小企業、そういうものに対して労働省はこれはどういう政府部内で態度をとられておるか、單に労働部面だけの行政、そういうものだけでうまく行かないのであつて、そういう根本的な経済政策に対してもつと労働省は積極的に政府部内において発言すべきである、そういう形において労働行政をやつて行けば、單に労働組合の運動を、組合の争議とか何とかを抑えるという形で労働行政をやるのでなく、もつと積極的に労働問題を解決する方向に行くのではないか、そういう点について丁度いい機会ですから、我々労政局長に質問する機会はめつたにないので、この機会に一応聞かして頂きたいのです。又そういう方向に強力に努力すべきだと存じますので、御意見を伺つて置きたい。
○政府委員(賀来才二郎君) 労政局長という名前は非常に、全部の労政をやつてるように聞えて甚だ困つておるわけであります。私のほうの仕事は労働組合の健全な発達と労資関係の平和を維持するという仕事でございますが、このような仕事を通じまして感じますことは、只今木村委員の御指摘の通りでありまして、我々が労働組合一つを健全に発達するようにいたしたい、或いは又労資関係の安定を図つて行き、紛争を予防し、若しも紛争に入りましたときには争議を解決するということのために努力しなければならない立場から、今までの経験によりましても、それらの労働政策というものは経済政策なり、或いは景気政策なり、或いは金融の面にいたしましても、中小企業の問題なり、いろいろ総合政策の一環としての労働政策をやつて行かなければ不十分であります。のみならず実効が上らないということは過去の経験においても痛感をいたしております。我々といたしまして先般機構改革に際しまして、労働省と厚生省の合併問題がございましたときに、一応の理窟は通りましても、やはり閣内におきまして独自の立場で独自性を保持しつつ閣内で発言し得るということが、労働省が單独でおります重要な任務であろう、かように考えたこともあるわけでありまして、さような意味合におきまして、今日までの異常な経済の状況下におきましては、その現象面に追われるというふうなことでやつて参りましたし、更に又戦後発足いたしました関係から、諸法規の整備、これが確実な実行を図るというふうな面に仕事が忙殺された関係もございまして、御指摘のような御非難なり、或いは御不満が各方面から起きておるということも十分承知いたしておりますので、今後御指摘のような問題を十分に我々といたしましては研究し、且つ立案をして行かなければならないと考えておる次第であります。なお只今御指摘の点は大臣に申上げまして十分さような面に努力して頂くように我々も補佐をいたしたいと考えておる次第でございます。
○田村文吉君 ちよつと伺いますが、これは在来の組合法によつてやつておりましたものは個人で構成されておつたわけですね。今度のものは全部団体が会員になる、こういうことに承知してよろしいですか。
○法制局参事(今枝常男君) 在来のものは個人とそれから団体とがまとまつておるようにいたしております。それで今度の法案によりますというと、団体ばかりで構成する、こういうふうに考えております。
○田村文吉君 それはどういう意味でそういうふうにやるのですか。
○法制局参事(今枝常男君) それは労働者個人ということにいたして参りますと、出資等の関係かちいたしまして、何と言いますか、零細な資金のみを集めて行かなければならない。又貸付ける場合も直接そういう方面に貸付けて参りますと、金庫そのものの確実性が期し得ない、こういうような観点からいたしまして、原則として団体構成にする、こういう趣旨であるわけであります。在来のものが個人が入つておりますのは、これは本来は団体構成でありたいわけでありますが、中小企業協同組合法に則つて作つておりますので、止むを得ず個人が入ることによりまして、先ほども申しました最低の構成員数が三百を要するといつたような要件を充たす必要からいたしまして、個人加入の分も認めて行かなければならないのでありますから、止むを得ざる結果に出ていたわけであります。従つてこの法案におきましては、本来の形に戻した、こういう趣旨でございます。
○田村文吉君 今の御説明ですと、場合によつては個人が金を貸してくれというような場合に貸してもらえるようなこともあるかのように伺つたのですが、そういうことは絶対にあり得ないのですか、運用の面で……。
○法制局参事(今枝常男君) これは運用の面のみならず、制度上の原則といたしましては団体に貸す、団体を通じまして個人へ貸して行く、こういう建前をとつておるわけでありますけれども、併し場合によりましては直接個人へ貸すこともできるという建前に法律上もいたしておるわけであります。ただそういう場合に運用の面といたしまして、確実を期するような方法なんか講じて行かなければならない、こういう必要が起つて来るであろう、こう考えております。
○田村文吉君 それから今のような方法で行つた場合においては、全国で幾つくらい大体お作りになれる見込みですか。
○専門員(磯部巖君) 先ほども御説明ございましたように、零細な労働者の団体を対象といたしておりますので、範囲を広くいたしまして、成るべく基礎を確実にするという意味で、大体各都道府県に一つという目標で進んでおります。
○田村文吉君 それからもう一つ伺いますのは、会員の最低員数が五十ですね。そうしますと、県によつては五十くらいしか組合のないところがあつて、その一つが脱退したいと言つても、どうもお前が脱退すると、全体の組合が潰れてしまうというようなことになつて、任意団体というものができないというような場合が起るようなことが考えられませんか。そういう場合にはどう処置しますか。
○専門員(磯部巖君) 御心配の点は御尤もでございますが、大体組合数はお手許にお配りしました資料の中に、三十七頁のところに全国の労働組合の分布表がございます。それで一番組合数の少いのは新潟県でありますが、それでも百二十七ございます。そうして先ほど申上げましたように、大体最低を五十といたしておりますけれども、一県一單位で奨励して作らせても数は五十を相当超えるのじやないかと思つておりますので、現実問題としてはそういう問題は起らないような状態で指導奨励して行くことになるのではないかと思つております。
○田村文吉君 各県における数は五十以上でありましても、実際こういうものを作るから中へ入らんかという場合に、なかなか五十をまとめるのに容易でない、私はむしろそう思うのですが、そういう場合にそういう実際問題が起りはしないか、そういう場合にはどう処置する方法が拂われているか。
○委員長(中村正雄君) それは一応発議者の一人として答弁いたしますが、今後の労働省の助成策如何にもよると思いますけれども、作るのはやはり任意でありますから、大体今できております状態から言いましても、五十を割るというようなことはちよつと想像できませんし、又実際作るとなれば、やはり県下の大部分の組合が入り得るという見通しがなければ恐らく作らないと思いますので、一旦作つたものが、一、二の会員の脱退によつて基礎数がなくなるという懸念は、今のところ想像できない、かように考えておるわけなんです。
○田村文吉君 それから何ですか、運用状態は一体どのくらいの金利で借りて貸しているのですか。それを又今後はどういう運用状態から行つたらやれそうですが。
○専門員(磯部巖君) この参考書の五十五頁に、大体東京の金庫の業務の詳細なものがございますが、大体普通貯金は日歩七厘以下ということになつておりまして、通知預金は八厘以下、それから定期預金が一ヵ年のものは六分一厘以下というようなことになつておりますし、それからなおそのほか据置貯金、これは年利五分、それから定期積金というようなものにつきましても、こういうふうにきめております。それから貸付のほうでございますが、利率は一年以内大体日歩五銭以下、その他の貸付は年利一割八分、その他期間、保証等につきましても詳細にきめております。大体現在の市中の信用組合に準じてきめているように考えられます。
○田村文吉君 今後の労働金庫は大体そのくらいの程度で運用できる、そういう御予定でございますか。それというのは、過去においては個人を対象にした場合が多い。今度は団体でありますから、団体ですと、今度はお互い帰つて来て自分の組合に来ると、組合自体の経済に関係もあるのだから、せいぜい高い金利で預つてもらつて、安く貸してもらうのは結構なんだが、それじや今の労働金庫自体の経営が成り立たん、こういう問題が起るだろうと思うのですが、大体今後の経営は市中の普通のいろいろな金融金庫と同等程度でやられる、こういう御見込でございますか。
○専門員(磯部巖君) 只今の御質問でございますが、今日まで二ヵ年間の経験がございます。それでそれは先ほどの御質問にも、ございましたように、法律の関係上団体だけでなくつて、個人も会員にはしておりますが、やはり今日までといえども、団体を主たる構成員としてやつて来ております。今日までの成績を大体御説明申上げたと思うのでありますが、こういう信用組合というものは、普通の場合設立いたしまして二年乃至三年は赤字を続けるのが通例だそうでございますが、労働金庫におきましても、一番古い岡山或いは兵庫でも丁度二年くらい赤字になつておるのでありますが、これが昨年の終り頃から黒字に転化しておるのであります。これまでのそういつた成績から見ましても、大体この程度の金利で運営は十分ついて行くように思つております。
○田村文吉君 最後に伺いたいのですが、内容を今ちよつと説明を聞いただけでありますから、よくわからんのですが、何かあれですか、労働金庫になるについては、政府のほうで特殊の便益をやるとかいうような点がどこかに盛つてあるんですか。
○専門員(磯部巖君) その点につきましては、今日までは何ら便益が與えられておりませんし、又只今提案されましたこの法案におきましても、そういうことは予想されていないのでございます。ただ地方庁の資金を預託して……。
○田村文吉君 労政局長さん、どうなんだろう、その点については何か考えを持つておられるのでしようか。
○政府委員(賀来才二郎君) 政府といたしましては、先ほども申上げましたように、この労働金庫というものはやはり労働組合が自主的にやつて行くべきものであり、これに対しまして政府が関與すること自体が却つて誤解を起す虞れもあるような状態でありまして、直接これに対しては補助金を出すとか、さようなことは考えておりませんが、現在の労働金庫の各府県の実情を見ますると、各県或いは市の公金を預託しておるというふうな例が非常に多いのでございます。従いまして、この確実性が出ますならば、例えば労働省で扱つておりまする健康保険或いは労災等の掛金でありますとか、いろいろな金が年に相当金額動いております。この動いておりますのが、殆んど銀行の手を経て動いておるような状態でございますので、確実性ができて参りますれば、労働省所管にかかわりまする政府の金等をこの金庫をして扱わしめる、この法案を見ましても、それを予定されておるようでございますが、さようなことも考えておりまするし、更にでき得ますれば、現在のところはまだ非常にむずかしい状態にありまするが、厚生年金積立金でありますとか、或いは失業保険の積立金でありますとか、さような金がこの金庫に対しまして預託されるというふうなことができ得ますれば考えたい、こういうふうなことによりまする協力というふうなことは一応研究をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○田村文吉君 私はただ心配しますのは、非常に結構なことでございますが、万一その県の労働金庫自体に赤字が出たとか、何とかいうような不祥な事件でも起りますと、百の労働金庫の奨励策も全部一遍にペしやんこになる、そういう虞れもありますから、相当労働金庫を作るなら、よほどそこを締めてかかつてやらなければならんと、こう考えるので特にお伺いしたのです。
○委員長(中村正雄君) ほかに……。
○大矢半次郎君 ちよつと伺いたいんですが、資料に頂いたものの労働金庫組織概況一覧表を見まするというと、例えば福島県の労働金庫なんかは貸付金と殆んど同額或いは同額以上の預け金がある、又大阪の信用組合においても同様の状況だと、こういうようになつておりますが、この預け金というのはどういう所に預けておるんですか。
○専門員(磯部巖君) 預り先は市中銀行だそうでございます。
○大矢半次郎君 それですね、今田村委員からも御質問があつたように、非常に健全な運営をされておるときならよろしうございますけれども、ときによつてはいろいろ問題も起つて来る場合もあろうと思いますが、従つて余裕金と申しますか、こういうものの運用についてはふだんから相当注意しなければならん、殊に連合会が組織されて、そうして全国的に資金が集まつて運営する場合には、こういう金の運営はよほど注意しなければならん、一方において支拂金のような用意もふだんしておかなければならんと思うのですが、それらの点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
○専門員(磯部巖君) 御承知のように今日すでに十六労働金庫がございます。ほかに近いうちに又十ばかり設立される機運にございまして、而もその監督は先ほど御説明がありましたように、現在では地方庁でやつておりますので、只今のような御心配、御懸念を我々のほうでも同様に考えるわけであります。それで今度の法案が通りますると、大蔵大臣、労働大臣の監督が更に強化されるわけで、ございまして、そういう間違いを起さないように更に十分な監督を行われることだと思うのでございます。なお中央に資金がたくさん集まつて来る、その中央の資金の運用等につきましては、大蔵省のお膝下で最も適正なる監督をされることと我我は期待しておるわけでございます。
○大矢半次郎君 先ほど田村委員の御質問に対して、差当り国家で特別にこれを助成するということは考えておらないというようなお話でありましたが、私は或いは労働者の退職積立金、ああいうものを一つこの金庫に預けさせるというふうに指導するのもよほど考え方としていいんじやなかろうかと思いますが、その点は如何でしようか。
○説明員(阿部泰治君) 只今退職金のお話がございましたが、連合会ができますれば、それが一つの大きな窓口になりまして、政府のいろいろな資金の融資をその窓口を通じて地方の労働金庫にも流すことができるというようなことで、この法案ができますれば、そういうルートから労働金庫に対する援助ということが考えられるようにも思います。それから退職金の問題或いは厚生年金、失業保険の金、こういう工合に労働者の負担のまざつた金のようなものは、やはりできるだけこういう労働者のための金融機関というもののほうに預けられて、そうしてそれが又労働者に戻つて行くという工合に運用されるように私たちとしては努力いたしたいと、こう考えております。
○大矢半次郎君 私はそのようにして、ここにおいてはできるだけ労働者の福利施設のために資金を他の方面からも獲得するように努力をすると共に、又貸付方面において十分留意せられて、或いは支拂金等について十分留意せられて行つたならば、将来健全な発展を期し得られることと思います。そういう点を一つ御留意して預きたいと思います。
○上原正吉君 この金庫が剰余金を生じた場合に、これは無税であるというお考えでありますか。
○委員長(中村正雄君) 配当の点ですか……
○法制局参事(今枝常男君) 剰余金は税をかけないことにいたしております。これは附則の法人税法の改正その他地方税法の改正によつて処置いたしておるわけであります。
○上原正吉君 配当も無税ですか、配当を受けるほうに対しても……。
○法制局参事(今枝常男君) 受けるほうの配当でございますか……。受けるほうの配当にはその処置はいたしておりません。
○田村文吉君 各地方にあるものの監督は大蔵省なり、労働省の監督になるわけですが、大蔵省には財務局があるのだが、労働省のほうではそうすると地方ではどこが監督されるのですか。
○説明員(阿部泰治君) 都道府県知事でございます。
○田村文吉君 やはり知事のほうに頼まれるのですか。
○説明員(阿部泰治君) さようでございます。
○委員長(中村正雄君) 速記を止めて……。 〔速記中止)
○委員長(中村正雄君) 速記を始めて……。それでは本日は一応これで散会いたします。 午後四時二十四分散会