予算委員会 第22号
- 発言数
- 156 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1952/03/19
会議録
○委員長(和田博雄君) 予算委員会を開会いたします。 昨日の理事会の決定に基きまして本日お手許に配付してあるような日程でこの委員会を運営して行きたいと思います 政府側に一言御注意申上げておきたいのですが、この委員会は二十七日に本会議に上程して上げたいというので日程を組んでおります。あと僅か今日を入れまして九日しかありません。二十三日の日曜日もやる予定になつております。そこでこれは政府の大臣及び委員は時間を厳守して出てもらいたい。そうしませんと、折角の審議が日曜まで潰して各委員のおかたに御努力願つておつても終らないようなことになると思いますので、これはもう政府のほうで責任を以て一つ出て頂きたいと思います。本会議の関係もありますが、渉関係とかその他いろいろなものも、これは委員会はあと僅か九日のことですから、できるだけ委員会の済んだあとでやるように一つお繰合せを願つて、これは嚴重に出て頂きたい。 それでは理事会の決定に従いまして、順次通告順によりまして発言を許しますが、大体の持時間はまあ約五十分ということに一つして行きたいと思います。まだ質疑の通告者が殖えると思いますので、一応五十分ということで進めて行きたいと思います。それから一人の持時間は五十分でありますが、そのかたに関連しての質問は二人くらいは委員長において適宜に許しますから、そのつもりで一つやつてもらいたいと思います。左藤義詮君。
○左藤義詮君 総理大臣にお尋ねすべきことでありますが、お見えになりませんので、取りあえず木村総裁にお尋ねをいたしますが、先日から自衛力の漸増のことがいろいろ問題なつているのも、結局は果して本当にそういう必要があるかないか、国内の治安というものが心配する必要がないものであるかどうか、かような私は認識の程度よつていろいろ議論が出ると思うのでありますが、私どもは現在のこの情勢が必らずしも楽観を許さない、特に極右極左分子の暴力行為というものか瀕々として繰返されているのでありまして、而もそれに対して殆んどその検挙がなされていない。国民としては非常な不安を持つておるわけでありまして、特に三鷹事件とか、松川事件或いは札幌の白鳥事件、長野の事件というような非常な兇悪なことが繰返されておる。殊に白鳥事件のごとき、日本共産党の札幌委員会の名義でビラが撒かれておる。本会議でも質問がありましたが、その「見よ、天誅ついに下る。自由の強敵白鳥課長の醜い末路こそ、全フアツシスト官憲の陥り行く運命である。全官憲は白鳥となるような行為をするなかれ。白鳥のむごい末路を夢にも人ごとと思うなかれ」、かような殺人者を愛国者とほめる、これはもう主義の如何にかかわらず、いわゆるヒユーマニズムの敵である、こういうような暴力によるテロ行為を若し是認するような暴力政党があるとしまするならば、果してこれを公党として許して行かれるおつもりであるか、何らかの確証が上つた際には、これははつきり非合法化するだけの覚悟を持つておいでになるか、この白鳥事件後のいろいろな宣伝工作に関する反響を本部に報告しろ、こういう秘密指令を出したというような形跡も伺われるのでありますが、若し私は共産党が否定されるように、これが事実でないと、自分たちには関係のない捏造だと言われるならば、なぜそれをはつきりと取消されないか、或いは日本共産党の名前によつて全国の党員に、一切暴力行為はしてはいけないということを私は指令されたいと思う。クレムリンから指令がありましたら、忽ちにして恐懼改心して自己清算をするくらい非常に統制のとれた党のはずであります。私は若し私の今申上げたようなことが事実でないとするならば、はつきりそれは天下に取消しをし、又一切そういう合法政党として疑われるようなことをしないと私ははつきり指令されたらいいと思うのでありまして、さようなこともないので、国民としては非常な疑いを持ち、又不安を持つておる。若し今後かようなことが繰返されて、而もこれが日本共産党と何らかの関係があるということがはつきりいたしました場合には、これをヒユーマニズムの敵として、或いは私は国家再建に非常な害を流すものとして相当の処置をおとりになる覚悟があるかどうか、先ずその点を法務総裁に伺つておきます。
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。危險分子が相当活躍しておるということは事実であります。只今御指摘になりました白鳥事件におきましても、相当過激な文書が頒布されております。又「内外評論」とか、或いは「パチンコ必勝法」とか、或いは「球根栽培法」とかいうような名の下に雑誌が相当数頒布されております。その内容を見ますると、実に戰慄すべきようなことが書かれておるのであります。その他いろいろな面で宣伝文書が頒布されておるという事実は左藤委員も御承知の通りであります。又実際テロ行為も相当数行われておること、これ又事実であります。誠に遺憾と存じます。民主平和国家を建設するという途上におきまして、かようなテロ行為が行われるということは、何としても我々はこれに対処して行かなければならない。治安確保の意味から申しましても、これらの行為の絶滅を期しなければならんと考えております。併しながらこれらの過激な冊子の領布及びテロ行為が果して日本共産党と連絡があり、又その指導の下になされたものであるかということの確証は今挙つておりません。果してこれがその指導の下に行われておると仮定いたしますると、これは容易ならんことであると私は考えておる。各方面において、これが如何なるものの手において、或いは又如何なる団体の手においてかようなものが頒布され、又テロ行為が指導されておるかということについての実証を掴むべく、当局においては愼重に又果敢にこれをやつておることを申上げたいのであります。併しながら前申上げました通り、只今のところでは確証が挙つておりません。確証が挙りましたなら、我々は平和民主主義国家建設の途上におきまして、かような行為は許すべからざることでありますから、相当な処置はなさなければならんということの覚悟は持つておる次第であります。
○左藤義詮君 特審局もございますし、更に警察予備隊も非常に強化せられておるのでありますが、それにもかかわらず、只今愼重果敢にやつておるとおつしやいましたが、一向その実績が挙つていない、これにつきましては、何か機構上の特審局とか、或いは国警、自治警、予備隊等の連絡が不十分であるのか、この機構によつて何か欠陥があるのか、或いはこれだけの大きな予算を以つて増員をしてもまだ人員が足らないとおつしやるのか、或いは何か士気が揚らないと申しますか、先ほど読上げたようなビラにおびえて、本当に命がけで責任を全うするような気魄が欠けておるのか、国民としてはこれは非常な不安でありまして、ただ予算を出して人員だけ殖やしたつて何にもならない、こういう点につきまして、治安の責任をお持ちになる総裁としてはどういうところに……、国民がこんなに心配しておることが、ちつとも確証が挙つて行かないというような事態になつておるのか、それに対して相当の反省をしておいでになるか、それに対してどういうような処置をおとりになるおつもりであるのか、その点伺いたいのであります。
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。成績が挙つていない、誠に御尤もであります。遺憾というよりほかいたし方がありません。併しどこに根本原因があるかということになりますというと、いろいろ原因は輻湊しておると私は考えております。第一このいわゆる市警であります。これが実は甚だしく厄介であると申しても差支えないと思います。
○左藤義詮君 市警というと……。
○国務大臣(木村篤太郎君) 市の自警であります。自治体警察であります。だんだん地方におきましては、市警が国警に代る情勢になつておりまするが、法の建前といたしましては、これは強制することはできないのであります。そこで現在の段階といたしましては、市警、国警、特審局の三者が緊密な連絡をとり、この調整を図るということが急務であろうと考えております。この特審局のあり方につきましても、いろいろ考えられるのであります。アメリカのような組織にして行くかどうかということも考えられるのでありまするが、なかなかこれ容易らん問題であります。而うしてこの折角できた自治体警察を一挙に国警に変えるというようなことは、これはよほど考えなければならんと私は考えております。又警察力の集中ということも、これは将来を考えますると考慮しなければならん。かたがた現在の段階におきましては、国警と自警と、この連絡を緊密にするということが何よりの急務かと考えております。これにはいろいろな方法はありましようが、結局は人の問題であります。今左藤委員から仰せになりましたように、質より量、これが考えられる筋であります。
○左藤義詮君 逆でしよう。
○国務大臣(木村篤太郎君) 質より量……。
○左藤義詮君 逆でしよう。
○国務大臣(木村篤太郎君) ええ、量より質……、(笑声)如何に量を殖やしましても、これは役に立たん人間ばかりでありますれば成績は挙らないのであります。質を十分に高めて行くことが何よりの急務かと考えております。これには教育、それから施設、各方面から考えられるのでありまするが、只今の段階におきましては、この質の方面に力を注ぎまして、十分に教育を施しつつあるのであります。又施設の方面におきましても、通信方面において、或いは監察方面において、いろいろな方面から目下その整備をしておりまするから、近くその成績が挙つて来ることだと私は確信しておるのであります。そこで現在言われまする首都警察なんかという議論が出るのでありますが、私はそれよりも、今申上げました通り、質の向上と国警と自警との連絡を緊密にして行けば相当の成績は挙るのじやないかと考えております。殊にこの警察官の士気の高揚、これは左藤委員の仰せられましたように、なかなかむずかしい問題であります。危険分子のこれに対する相当なテロ行為とか、或いは宣伝とかで以てその士気の潰滅を図りつつある形勢すらあるのでありますが、これに対処して行くのには、どうしても警察官の士気の高揚を、殊に又これらの人たちに対して十分なる安心感を與える、生活上の安心感を與えてやる、これも必要であると思います。国家予算においては相当制約されるのでありますが、できるだけこれらの人のことを考えてやつて、安んじてこの危険なる職務に従事するという安心感を與えてやるということが一番急務だろうと私は考えております。そこで考えられることは、質の向上と、それから設備の改善、施設の改善、それと警察官の身分の改善、この三者の方面を急激に改善いたしまして、そうしてその間の連絡調整をとりますれば、国民の期待に副うことができると考えておりまして、着々その方策を今とりつつある次第であります。
○左藤義詮君 今自治警のほうに非常に欠陷があるようなお話でありましたが、私は必ずしも自治警だけではないと思うのでありまして、自治警を国警にさえすれば何か統一がとれるようなお話でありますが、士気の弛緩とか、或いは只今規則の不十分な点は私は国警にもあると思うのでありまして、警察法の改正でいろいろ問題になつた点でもありますが、只今自治警だけに、何か市警ということをおつしやいますが、自治警だけに私は欠陥があるというようなふうにとれるような御答弁がありましたので、ちよつと伺いたいと思いますが、量よりも質ということも伺いましたし、いろいろ教育施設その他を努力したいということも伺いましたけれども、これから教育をして、これから施設をよくして、それからやろうというのは、もう時期じやないと思うのであります。もうすでに十数名の人が地下に潜つて、それが数年経つても未だにその行方もわからない。国民は全く警察に信頼ができていない。而もこうして恐ろしいテロ行為がしばしば繰返されて行つおるというようなことでは、着々と進んでおるとおつしやいますが、着々効果が上つていない。もう少し根本的にこの際お考えになる必要があるのじやないか。私はこれが自衛力漸増その他一切の問題の根本であると思いますので、法務総裁としての私は確信を伺つておきたいと思うのであります。若し臆測を交えまするならば、警察の中にも、或いは特審局の中にもスパイが入つているのじやないか。存外月夜に釜を拔かれてしまつておるのじやないかというようなことを心配しなければならんほど国民は不安を持つているということを一つこの際よくお考え頂きまして、もう一度はつきり法務総裁の、だんだんこれからよくして行こうというのではなしに、今本当に全警察官にあなたの信念を打込んで、治安を、民族を守るのだという一つ気魄をこの機会に私はお示し頂きたいと思います。
○国務大臣(木村篤太郎君) 私は自警が、いわゆる市の自治警が従事しておる警察官が弱いということを言うのではないのであります。事実上これは各種の制約を受けております。例えば白鳥事件の起りました札幌あたりでも、この犯人捜査についつ相当な費用がかかる。それには札幌市では手を挙げておるのです。その費用を如何にして捻出すべきかということについて非常に苦慮しておる事実があるのです。さような点から見ても、これはよほど考えなくちやならん、こういうことを申したのであります。そこで働いておる警察官の士気が弛緩しておるとか、何とかいうわけじやありません。相当働いておる人もあるのでありますから、この際私はその点を特に強調いたしたいと思います。そこで士気の高揚については、私は警察担当以来十分図つております。私は警察担当は最近なつたのであります。国警の長官も或いは幹部も、皆と会合いたしまして、如何にして警察官の士気を高揚すべきか、ここに重点を置いております。だんだん、成績が上つております。これ又私は確信を持つております。私これを担当してから一カ月になりませんが、その間における士気の高揚ということは相当なものであるということは、ここに確信を以て申上げます。(笑声)つまり警察官がどうして十分な働きをするか。いわゆる国家の公務員でありますから、国家のために働くのだという気持を持つていなければならん。ただ一片の月給取であるという気持じやいかんのであります。その点についての十分な認識をしてもらいたい。この点について相当な認識が出ております。私は内地の治安を維持する上においての働きは今後出て来るだろうと確信しております。そこで今申上げました通り、これらの人の連絡調整を如何にとるかということの問題だけ残つておるのであります。それについては十分考慮いたしまして調整をとつて行きたい、こう考えております。
○委員長(和田博雄君) 左藤君、大蔵大臣が見えましたから……。
○左藤義詮君 木村総裁に伺いたいことがありますが、あとにいたしまして、大蔵大臣或いは安本長官にお伺いしたいと思いますが、本年度の予算が、いろいろ野党のかたからの御批判がございましたが、自衛力の漸増或いは生活水準の維持、国民負担の軽減等、いろいろな困難な問題を織り込んでおられることにつきましては、私は提燈を持つようでありますが、非常な苦心であり、相当よくできた予算である、かように思いまするだけに、明後年度以降に果してこの方針で維持できるかどうか、むしろ国民は本年度予算よりは明年度以降のことについて非常な心配を持つと思うのでありますが、そういう点につきまして、先ず自衛力漸増、これはまあ国際情勢とか、治安の問題等もございましようが、少くとも漸増ということを政府が必要を認めておいでになる、それが増税或いは内政費への圧迫なしに賄つて行けるか、どうか。明年を待たなくても、すでに補正予算等においてこれがどかつと来るような心配がないかどうか、その点を先ず大蔵大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 明年度以降の問題もございまするが、二十七年度におきましても、今お話のような点に苦慮いたしたのであります。平和回復後、日本の自衛ということは我々がどうしても考えなければならんことでございまするが、再軍備等は今の状態から言つて、これはもう不可能なことでございますので、安全保障條約を結び、そうして又一方では警察予備隊等を増加いたしましてやることにいたしておるのであります。今年度からかなりの苦しさを感じておるのであります。従いまして、昭和二十七年度におきましては、御審議の通りに、十一万人に警察予備隊を増加いたしますが、二十八年度以降をどうするかという問題は、先般も委員長からその漸増計画を出せとおつしやいますが、これはなかなか漸増計画というものはできません。今具体的の計画を出せとおつしやつても、これはできない。それじや今後漸増というのはどういうふうなことで行くかという問題になりますると、どうしても第一に国民生活水準の低下は絶対に避けなければならん、向上さして行かなければならん、これが一番の問題であるのであります。従いまして今後経済の発展によりまして国民所得が殖えた場合において、生活水準の維持向上に先ず考をいたすと同時に、第二段といたしましては、できれば自衛力の漸増のほうにも金を向けて行かなきやいかん。而して昭和二十八年度の国民所得はどうなるか、その数字を示せとおつしやつても、これは今回の情勢から申しまして、二十八年度の国民所得を推算するということは困難であります。それを推算してから後に生活水準がどの程度の経過を迫るかということの前提もありますので、二十八年度においての警察予備隊等の自衛力漸増計画の具体的計画というものは今のところは困難であります。我々といたしましては、先ほど申上げましたような国民生活の維持向上を図りつつ、自衛力の漸増、こういうことよりほかにないと思うのであります。私の考えでは、自衛力の漸増と申しましても、警察予備隊の五百四十億円の昭和二十七年度の予算を見ましても、これは説明で申上げました通りに、一昨年に募集いたしました七万五千人の警察予備隊員の裝備を強化するために、昭和二十七年度におきましても三百五億円の大部分がそれに行つておるのであります。即ちほかの機会で申上げましたごとく、人の数の問題でなしに、裝備をどうするか。今警察予備隊員の一人に対しましてどれだけの金が要るかというと、大体九十万円要ります。この九十万円の内訳は、物件費として大体四十万円要る。この四十万円の内訳は、自動車の施設が一人当り十四万円要る。通信機の施設が一人当り十一万何ぼ要る。被服代が四万円、それからシャベルとか、いろいろなものがあります。こういうもので四十万円要る。又施設費として例えば一人当り四坪足らず、即ち三・八一八坪の施設費、こういうものを見ますと、これで相当の経費を要します。いろいろな学校とか、何とかいうものを合せて二十四、五万円の施設費であります。一人警察予備隊員を雇いますと、六十三万円程度の初年度の費用が要るのでございます。又給與その他の経営費が二十六万円程度必要であります。人を殖やしても、自動車、通信機や施設をどの程度にするかによつて経費がよほど違つて来るのであります。どこも議論を聞きますと、人が殖えたから、必ずしもすぐこれだけの金が要るというわけのものではございません。そこで人を殖やす場合におきまして、この施設費或いは物品費をどう見て行くか、こういうことが問題になるのであります。人を一年間今の俸給で、そうしてやりますと、食費その他で二十万円足らずでございまして、この二十万円なら大したことはないのですが、それの三倍に相当するものが要るのであります。それを一遍に調達してしまうか、或いは二年越しでやるか、三年越しでやるかというので、今の警察予備隊員の増加その他によほど影響して来るのであります。そういうことで今後の警察予備隊員の増加或いは物件費、施設費のことを考えて見ますると、今日本の経済力は昭和二十八年度、二十九年度はどうなるかという前提なかなか困難でございまして、又生活水準の維持向上ということにどれだけの金が要るか、或いは産業の復興にどれだけの金を政府で出さねばならないか、こういうような前提がたくさんあるのでございまして、なかなか具体的に漸増計画を出せと、こう言つてもこれは我々としては今のところ困難であります。ただ一に今まで辿つて来た日本の経済の自立をもつと高いものにして行く、そうしてもつと発展過程を急速にして行く、そうして片一方に生活水準の維持向上を図り、日本の産業復興を企画すると同時に、第二段として防衛力の増加、漸増ということを考えておるのであります。
○左藤義詮君 非常な厖大な防衛支出は殆んど消費的な面が、そうでないものもあるでありましようが、消費的な面が多いのであります。遺家族の援護にしましても、或いは公共事業等においてもそういう消費的な面が非常に多いと思うのでありますが、これが若しインフレを刺戟し、物価が高くなつて実質賃金が下ることになれば、この予算の立つております基礎が崩れて来るわけでありますので、あとで貿易のこともお伺いしたいと思いますが、貿易の面においても必ずしも計画通り行きそうもない。これらのことを考え併せますときに、この防衛支出がインフレにならんように、大蔵大臣、安本長官はどういうふうな用意をしておられるか、どういうような計画を持つておいでになるか、その点を一つお伺いしたい。
○国務大臣(池田勇人君) お尋ねの遺家族援護も実は二百三十億で少いじやないかというお叱りを受けておるのでありまするが、これをこのままやりましても、来年度におきましては三百数十億円になります。今年の支出が二百三十一億六千万円でございまするが、昭和二十八年度におきましては、これは当然三百数十億円になつて来ることは、もう元本の支拂い等で明らかであります。而して又軍人恩給の問題等も、昭和二十八年度には是非とも考えなければならない、これによりましても、今までの既定通りで行きますと数百億円になります。こういうことを考えますと、なかなか個々の問題で多いとか少ないとか言われても、大蔵大臣としてはかなり困ることなのでございまして、全体をインフレに持つて行かないように、金の価値を下げないように、幾らたくさん出してもインフレになつては、これは意味をなさないのでございますから、金の値打を下げないように、皆さんの言うようにやるのに苦労いたしておるのでございます。従いまして私は絶対にインフレを起してはいかん、これでインフレ防止を死守いたしております。で、インフレ防止の最も手近いやり方は絶対均衡予算でございます。政府が赤字財政を作らんということが絶対の要件であります。而してその次には生産を増強して生産と消費をマッチさせる、又外貨の問題、受取、支拂をマッチさせて行く、こういうことに主眼を置いてやつておるのであります。漸やく過去三年間におきまして、あの悪性インフレを克服した我々でございますから、今後如何なることがあつても第一の命題はインフレを起しちやいかん、こういうことで行かなければなりません。今後におきましても、今お話のような不生産的経費と、こう言われるかも知れません。まあ不生産的経費と申しましても、やはり国として遺家族を放つておくわけに行かんですから、いろいろな手を打ちましてインフレは絶対に避けるという方針で行かなければなりません。私といたしましては、実は今までの経験から言つて、日本はインフレを防止し得る、国民の努力によつて防止し得るという確信を以て努力いたしておる次第であります。
○左藤義詮君 大蔵大臣は非常な神がかりに近い確信を以て努力されておるようでありますが、そういたしますと、具体的に、安本長官は只今私の申上げたような不生産的な支出をどういうふうに調整をしてお行きになるつもりでありますか、それを伺いたい。
○国務大臣(周東英雄君) お答えしますが、只今の大蔵大臣の答弁にありました通り、積極的には生産増加の面でやります。その面に当つて一番考えられることは、国民生活必需物資、食糧、衣料品等の確保であります。これは第一の点であります。それから同時に又鉱工業生産を通じて国民生活必需品たる食糧輸入、原料品の輸入を確保することが必要でありますので、鉱工業の増産によつて輸出を増進し、而してその受取勘定によつて必要な原綿、食糧の輸入を増加するという点に第二点を置いております。従つてそれらをやる場合における生産のどこに重点を置くかということに関しましては、只今財政的な面について大蔵大臣は均衡ということを言われましたが、同様に資金計画においても不急な事柄に対する資金の融通は極力抑えつつ必要な面に資金の供給を続けて行くという形をとりたいと思つております。殊に食糧の面におきましては、これは過去三カ年ずつと政府は努力をしておつたことでありまして、御承知のように、今日二合七勺の配給に関しては量の増加のみならず、質的にも今日麦、米の関係だけで配給ができておるということが一つの証左でありますが、そのほかに今日このことができることが、輸入というものに対する或る程度の国の補給金によつて、国内における食糧の価格の安定を図つておると思うのであります。これは今後においても続けたいと思つております。こういうように外麦、外からの米の輸入は今日の状態においては止むを得ずとしても、これはどうしても漸減の方針をとつて行くという立場から、国内における食糧の増産ということについて極力意を用いる必要があるのでありまして、二十七年も食糧の増産面に向けて支出しておるのが一つの具体的な政策の現われであります。同時に衣料原料につきましては、簡單に申上げますと、今日はいろいろな事情から紡績関係は値が下つて困つておるが、操短でもしなければならんという形でやつておりますが、併しその操短をなさなければならんというほどに発展しておる現在の六百万錘の設備の拡充ということが、延いて国内に対する国民生活としての必需品、主要原料については、戰争直後二ポンド平均が今日では七ポンド平均の国民必要量を確保している。この点については将来ともよく留意して行くつもりであります。
○左藤義詮君 非常に公式の通り、増産をしておるとおつしやいますが、その増産が只今お話になりました繊維にいたしましても、非常な増錘をやつて、その設備資金がオーバー・ローンの大きな元になつておるわけでありますが、そうして今になつて操短をしなければならん、而も業界の犠牲で政府は七ポンド確保したと言つて自慢をしていらつしやるが、その苦しみは非常に業界にのしかかつて行つておるわけであります。折角増産をいたしましても、それがストックになり、それを繋いで行く金融ができませんために非常なダンピングをやつて、殆んど前途が暗澹としているというような状態でありまして、安本でお立てになりました貿易の計画にいたしましても、これがあらゆる私は国民所得の元として予算の基礎になつておると思うが、果してポンドをドルに換算いたしまして二十三億八千万ドルというようなこの輸出が、現在のような状態でも果してできるとお考えになつているかどうか。一体もうすでに新年度に入る眼の前でありまするが、今のような上半期の情勢でこの計画の上に立つてどこまでもやつて行けると安本長官はお考えになつているかどうか。これは通産大臣からも伺いたい。ポンド不安、その他の問題から殆んど通産省と連絡なしにやつたと私は考えるのでありますが、外為或いは大蔵省で為替の処置をなさつた、それに対して通産省は今度は輸出の割当をやる、これは実際は私は事業者団体法、独占禁止法等の下でいろいろな困難があると思う。例えば今おやりになつております紡績の操短にいたしましても、国民一般の道義の落ちているときにおきまして果して十五万梱というような基準が守つて行けるかどうか。すでにもう一月、二月に非常なストックを持つてそれがあらゆる通貨を圧迫する元になつている。こういうような実情を通産大臣はお考えになつているか、どう処置なさるか。只今のような情勢で安本長官は物さえ作れば、裏付さえできればインフレにならないのだとおつしやつていることが、実情においては非常な経済界の特に貿易の大きな困難になつている。その実情でなお二十三億八千万ドルという計画を御支持なさるか、何らかのそれに対して計算の基礎をお変えになる御意思があるかどうか。下半期等の神風を待つのでなしに、私は現在のこの切迫した情勢からどんなふうにお考えになつておりますか、その点通産大臣と安本長官と両方にお伺いしたい。
○国務大臣(周東英雄君) 御尤もな御心配でありますが、私ども政府で作りました二十七年度の貿易規模の縮小を考えるつもりはありません。その点は今お示しのように、成るほど一例をとれば紡績の操短の問題にいたしましても、これは成るほど只今のいろいろの国際関係もありまして、止むを得ざる処置に出たのでありますけれども、何と申しましても日本の紡績その他の輸出関係は、東南アジアその他においてこれは必要なものであります。従つて私は一時的な状況において将来長く紡績その他の輸出がとまるものとは私えておりません。昨年の丁度今頃は輸出がない、ない言つていろいろ御心配を頂きました。そしてその当時においては政府で楽観的に過ぎるというお叱りを受けながら一応の輸入計画を進め、そして正月の頃には必ず効果を発生するということをこの席でお答えしたことを覚えております。このことについてはその後いろいろ価格問題も起きて問題を起しましたが、私はそういう点から見てただ一時的の問題をすぐにそう悲観的の材料として将来長く持つて行くというのでなくして、紡績の操短がいつまでも続くという御心配のことに対しましては、政府はこれらを健全ならしめるために金融その他の措置を進め、しつかりさせて行くという処置をしなければならんわけであります。併し必ずしも今日一時的の一、二カ月の状況を見て来年度の輸出が減るのではなかろうかという御心配はさることながら、私はそれを直ちに考えて変える意思はございません。
○左藤義詮君 日本の輸出の一瞬の大宗は繊維でございますが、今非常に不況に陥つていることは、これは一時的のことだというお見通しのようでありますが、アメリカでもそうでありますが、イギリスでもそうであります。最近非常に綿製品がむしろ輸出国になつたインド等においても非常な今不況で、恐らく繊維の需給関係というものは非常な苦しいことになつて行くのではないかというような世界的な見通しにおいて、而もドルから綿花を輸入してポンドに出さなければならん非常に困難な問題をしよつている日本として私は今安本長官のおつしやるような甘い考えで私はこの輸出の数字を維持できるとは思われないのです。それでも安本長官はデフレで困るから輸出を進めるのだと掛声を大にしているだけで、こういう世界的なあらゆる困難をどこまでも吹飛ばしてこの数字通り動いて行けるというふうに楽観的にお考えになりますか。その点安本長官並びに現在の貿易を管掌しておられます通産大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(周東英雄君) 勿論手放しで楽観しているわけではありません。貿易については非常に心配をし苦慮をいたしておりますが、私の申上げるのはただこの一、二カ月の問題ですべて将来を推して悲観的に御覧になるのは行過ぎではないかと思います。殊にドル輸出等につきましては非常に努力をいたしております。今後具体的になるであろうと考えられます日米経済協力の線なども考えてドル輸出の増加も考えられます一面、ポンド圏における調整ということも考慮いたしまして、その他の方面における輸出の増加も考えておりますので、かたがたもつてそうあなたのように悲観だけをして行くべきではなかろう。勿論その間においてはポンド圏、ドル圏における貿易の調整ということもありますし相当困難な事態もあると思いますが、併し今すぐに年度初頭において将来の見通しを最近の情勢から見て直ちに悲観的に考える必要はないのではないかと、かように考えます。
○国務大臣(高橋龍太郎君) お答えいたします。本年の輸出貿易にいろいろな困難が加わる虞れのあることは御指摘の通りであります。これで今の政府の計画を変更するのはちよつと早過ると思います。もう少し様子を見なければいかんと思います。大体私は今の計画ぐらいの輸出貿易はできるのではないかと今日なお考えております。
○委員長(和田博雄君) 左藤君あと三分ばかりです。
○左藤義詮君 それでは今の問題は別の機会に譲ります。ちよつと早過るとおつしやるが私は目の前に来ていると思う。非常にドル・ブロックを考えているようだが、原綿が自由にあり仕上の立派な技術を持つているアメリカでも非常な操短をやつている。私はドル・ブロツクにこれから新しく出すという安本長官の考えは非常に甘いと思います。そういう点につきましては他日に譲ります。 次に大蔵大臣に賠償の問題でお伺いいたします。殊に対日援助費の返還、外債の返還に僅か前年度の繰越を加えて二百十億組んでおります。現在の情勢で果してこれで行けるかどうか、近き将来に補正予算等の必要ないか。殊に対日援助費はガリオア・イロアにいたしましても、これは非常に苦しい時代に援助を頂いて皆感謝しているのですが、実は国民の気持としては殆んどこれは頂いたつもりでありました。それが卒然として返還しなければならないというのはいろいろ含みがあると思いますけれども、イタリアは援助費は全部免除されていると聞いております。西ドイツは援助の三割七分ですかが三十五年間の年賦計画だということを聞いております。こういうことに対して今後どういうお見通しを持つているか。特に今警察予備隊にもいろいろ武器の貸與その他を頂いているのでありますが、これも又さような意味においていつか又返さなければならんものであるかどうか、対日援助の問題。それから外債の見通しこれは非常に大事なものでありますが、国際信用の意味からも新しく又外資導入の意味からも必要な点でありますが、こういうような点に対してどういう御見解をお持ちになつているか。特に今ポンドが過剰だというならば、このポンドを何らかの方法において政府が買上げてこれを英貨債の償還にあてることができないものであるか。二百十億の範囲において果して本年一杯賄つて行けるおつもりであるか、その点を一つ伺つておきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 私は賄つて行けると考えております。而して政府の地位といたしましてアメリカの対日援助十九億ドル余りのものをどういう條件でいつ拂うということは私としては言えません。又外債の支拂につきましてまだ交渉に入つておりませんが、大蔵大臣はこういう腹案で今年度これだけ拂うのだということもこれは私の責任の地位として言えないのであります。私の腹積りといたしましては、賠償にいたしましても、外債或いは援助資金にいたしましても、一年フルに支拂期限があるわけではございませんので、大体二百十億円ならやつて行けるものと考えているのでございます。若しどうしてもやつて行けないということになれば、交渉の結果これは御審議、御決定願わなければならんと思いますが、私の只今のところではこれで十分やつて行ける、こう考えております。 第二段の御質問のポンドが余つているから英貨債の支拂いをしたらどうかということでございまするが、日本の外債にはポンドもありますし、又、ドルもあります。又フランもあるのであります。ポンドが余つたからといつてポンドだけを先に拂い、ドルや或いはフランをあと廻しにするということもこれはなかなかできないことでございますので、私は外債の支拂いは、ポンド貨であろうとドル貨であろうとフラン貨でありましようとも、三国に対しまして不公平のないような方法で考えて行かなければならない。又ボンド貨の六千四百万ポンドの中にはドルで拂うという約款のついているのも千八百万ドルほどあるのであります。今ポンドが余つているからポンド貨だけを先に拂うということは私のとらないところであります。
○左藤義詮君 岡崎国務大臣に一つ伺つておきますが、たしか一月三十一日の衆議院の予算委員会で、総理から米国の講和條約の批准は二月中にはできる、それよりも早くなつても遅くなることはないと御答弁になつたのですが、すでに三月十九日でございます。昨年私はアメリカにおりまする時分にも、日本の臨時国会で批准がどのくらいの反対があるか、いつ頃できるか、非常に向うで気にしておつたのでありますが、それに対しまして日本としては、折角非常な好意を持つた講和條約だと我々は信じているのでありますが、それに対してできるだけ早く、打てば響くように米国の批准の行われることを私ども国民としては期待していると思うのであります。これが大変遅れておりますることはどういうような事情にあるのか。或いはそう遠くはないと思いますが、近く批准のできるお見通しをお持ちになつているか、その点を一つはつきり伺いたい。まあ極東理事会各国のうち六カ国が批准すればいいのですが、その他の国の現在の批准の進行行状態……、併しそれで発効いたしますが、調印いたしました日本以外の四十八国のできるだけ多数が気持よく世界が日本を迎えてくれるという意味において、批准が早く完成されることを私どもは希望するものでありますが、それに対するお見通し、特に我我は今外交権を持ちませんでしようが、アメリカが他の国に対してもこれを促進するような努力をして下さつている、或いは下さる見込があるかどうか。この前講和條約が調印されますときに、僅かなことでございますけれども東京駅その他において今まで差別されておつたのがすつかりとれて、非常に国民は成るほど調印されたのだなという気がした。又私どもは講和が発効いたしますと共にぼちぼち接收等も解除されているようでありますが、そこに成るほど独立国になつたのだ、それだけ責任を感じて世界に協力しなければならんのだ。国民が本当に講和になつたということを、ただ日本だけで政府が計画されてお祝いするとか大赦令とかいうことでなしに、世界的に日本が立上つて行くそのはつきりした線を引く意味においてもこの批准発効のお見通し、他の調印国の現在の情勢、それと共にいよいよ講和が発効いたしましたならばそこに整然として一つ一線を画して国民に独立自主の喜びというか覚悟を持ちまするようなそういうことに対して、行政協定等もございましたが、どういうふうにお考えになつているか、その点を一つ伺いたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカの両院の手続はほかのいろいろの法案がありまして例えばハワイを州にするというような法案、それから税の改正をする法律案、又濠州、ニュージーランド、或いはフイリピンとの安全保障條約、こういうものがありまして、どれを先にするかということについてもいろいろ問題があるようであります。それからその間に共和党のほうの行事等もありまして途中で暫く休んだこともありまして、初め予想されたよりは遅くなつたと思います。併しこれは特に日本の平和條約の批堆に対して問題があるから遅くなつたとは考えておりません。もういよいよ手続をとられておりますから今度こそは近日中に批准が行われる、こう我々は思つております。 又他の国につきましてはアメリカの批准の状況を待つているような点もあるようであります。例えばニュージーランドのごときはもう手続は完了して、アメリカが批准書を寄託すればすぐに寄託するというような恰好になつているのじやないかと思います。濠州等も手続が済むかと思います。ただその他の国で賠償に関連があつて国内的に問題のある国もありまするし、又政変があつてそのほうに專念できないというような国もあるようであります。そこで二、三の国からは国内の立法機関のほうの手続は、通常の国会の開会の日取等の関係もあつて、仮に日本の平和條約が四月中にでも発効するということになれば、どうしても国内的な手続で一、二カ月遅れることはやむを得ない。そこでそういう国ではむしろ日本との間の平和條約の批准は済まなくても大使なり公使なりを交換したいという申出もあるくらいであります。いずれも国内的な手続で遅くなればその前に外交関係は回復したいというくらいの意気込でよその国もあるようであります。アメリカ側で特に各国を説得するとか何とかいう手続をとらなくても、サンフランシスコ会議の各国の演説を御覧になりましてもおわかりのように、いずれもこの平和條約に対しては賛意を表しておりますので、時日の多少のずれはずつとあるように思いますけれども、大部分の国が速かに批准を終るであろうと期待をいたしております。 それから独立しましたあとではつきりとこの切換えといいますか、そういうことが国民にわかるようにというお話でありますが、これも多少時日の、ズレはあると思いまするけれども、例えばGHQがなくなるとか、スキヤツプと申しますか最高司令官、占領軍がなくなりますので、東京におきましても、各地におきましても、そういうほうの跡始末がどんどん行われると思います。そうして新たに駐留軍としての、つまり日本の内政等には一切関係しない、日本の安全を保障するだけの目的を持つて来る駐留軍に切換えられまするから、非常にその点ははつきりするであろうと考えておりますが、その他にも今言われたような施設とか区域とかいうものの要らなくなつたもの等は、今やつておりますようにどんどん返還されるものが出て来ると思いますので、駐留軍は都心、大きな町からは成るべく移転したいという考えもあるようでありまするから、いろいろの点でそういう点は国民の目にはつきり映じて来ることと考えております。
○左藤義詮君 今政府の考えている発効の時期の見通しは。
○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと言い落しましたが、発効の見通しは、今申したようにまだ国内手続を終つていない国がありますので私にもはつきりしたことは申されません。アメリカの批准が終りますと、各国まだやつていない所は手続をとりましようし、やつている所はどんどん国会で審議を進めて行くというような恰好になりますから、そうなると大体どのくらいかかるであろうということがわかると思いますが、まあ極く大ざつぱに申しますと、来月中には遅くも効力を発生するとこう考えております。詳細のところはちよつとまだ申上げるまでに行つておりません。
○木村禧八郎君 それに関連しまして簡單に一つ伺いたいのですが、国連との協定等の関係は発効の條件にはならないのですか。それは例えば国連軍が日本に駐留できないというような、協定がありませんと……、そういうような関係上、国連との協定ができませんと発効した場合にいろいろな支障が生ずるので、最近これはたしかかどうか知りませんが、その協定ができないと発効に支障が生ずるのではないかというような情報がアメリカ辺りから来ているということをまあ聞いたのですが、そういうことはあり得るのですかどうか。
○国務大臣(岡崎勝男君) これは昨年の九月八日にサンフランシスコで交換しましたアチソン国務長官と吉田総理の文書があります。でこれは、向うから申しておるのは、平和條約の効力発発生の後に国際連合の加盟国の軍隊が行動する場合には、これに対して日本国内又はその附近においてその軍隊を支持することを日本が許し容易にするようにすることを確認してもらいた い、こういう文句がありまして、国連協力の話合がつかなければというようなことは全然ありません。但し話合はできるだけ早くしたいとは考えております。できれば平和條約発効前にも話合をしたいとは考えておりまするが、できるかどうかはまだちよつとわかりません。そこで占領軍が日本から引上げるというのは、御承知のように、平和條約の中で條約発効後九十日という清算期間と申しますか、何かそういう期間があるわけです。この九十日がたつと協定がないものは軍隊を引上げなければならんという恰好になります。そこで遅くともこの九十日までには、若しここに軍隊を一部置きたいとか、或いは施設を利用したいとか、病院を使いたいとかいうものがありますれば輝くとも九十日以内に話合をしなければならんということは当然であります。併しその発効前に話合をしなければ批准を暫く考えておくというようなことは全然聞いておりませんし、又そういうことはないと信じております。
○委員長(和田博雄君) 午後は一時半から始めることにしまして、暫時休憩いたします。 午後零時二十六分休憩 —————・————— 午後一時五十四分開会
○委員長(和田博雄君) 午前引続き予算委員会を再会いたします。 午前に引続きまして一般の質疑を続行いたします。
○中田吉雄君 岡崎国務大臣にお尋ねいたしたいと存じます。先ず第一番目に、安全保障條約第一條と行政協定の第二十四條との関連についてでございます。安保條約の第一條に、この軍隊は日本における大規模の内乱及び騒擾を鎮圧するため日本国政府の明示の要請によりこれを使う、こういうふうになつていますが、日本国政府の明示による要請とは一体どういう権限に基くものであるか。これは憲法第六十五條の「行政権は、内閣に属する」という、政府の持つていますところの行政権の発動を意味しますものであるかどうかという点をお伺いしたいというわけであります。大規模な騒擾、内乱等がありまして、そういう要請をいたします際には、旧憲法の際でありましたら明らかにこれは戒嚴令下の状況であるわけであります。旧憲法におきましては、そういうことは旧憲法の第十四條には、「天皇ハ戒嚴ヲ宣告ス」と、戒嚴の要件及び効力は法律を以てこれを規定すると、こういうふうになり、更に旧憲法の第五條は、天皇は帝国議会の協賛を経て立法権を行われるようになつているわけであります。即ち天皇主権の際におきましても、こういう戒嚴を宣告しますには、やはり国会の協賛を経てできましたところの戒嚴の要件を備え、効力を持つた、そういう條件に合う場合においてのみ戒嚴令が施行されるわけでありますが、新らしい憲法にはそういうことを予想していないわけでありますが、国の最高機関である国会との関係は新憲法下においてはどうなるか、こういう点につきまして先ずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岡崎勝男君) 国内の治安を維持する責任はやはり政府にあるのでありまして、そういう場合に、第一には警察が出て治安の維持に当る、これは当然であります。併しながら警察だけで手に負えないようなときには警察予備隊が出動する、これも当然のことであります。それでもむずかしいような場合がありますれば、政府はアメリカの軍隊の出動を要請する、こういう順序になると思います。その他別にも非常事態と言いますか、そういうような宣言をするというような事態もあるかも知れませんが、これは又それぞれの機関を経て適当にやるので、それとは直接に関係がないと思います。
○中田吉雄君 そういうふうに最初には日本の警察が、更に大きくなれば警察予備隊、そうしてそれでも事態が收拾できません際には、日本政府の明示によつて駐留軍が活動するわけでありますが、それは先に申しましたように、吉田内閣におかれては、ただ内閣の持つています行政権の発動だけで、国会との関係等については新らしい考慮を全然しておられません。我々といたしましては、そういう事態は、やはり旧憲法下における戒嚴令が宣告されたと同じ状態でありますので、やはりそういうことが濫用されないためには、そうして又そういう騒擾なんかを手際よく牧拾いたしますためには、やはりそういうことを規制するところの何らかの立法措置を作つておくということが必要ではないかというふうに考えるわけでありますが、ただ国会としては、そういうことを政府が持つている行政権に基いて発動して、あとで国会の持つている国政調査権等に基いてだけ、ただ国会で質問したり、或いは方法がよろしくなかつたら議会で責任を負うというような状態に置かれようとされておるのですか。その点を一つお伺いいたしたい。
○国務大臣(大橋武夫君) 便宜私からお答え申上げます。只今中田委員の御質問の御趣旨は、警察予備隊の出動をいたしましたる際におきまして、これが内閣の権限だけでやられるかどうか、国会との関係はどうか……。
○中田吉雄君 いや、それとアメリカの軍隊ですね、駐留軍……
○国務大臣(大橋武夫君) をも併せてですか。
○中田吉雄君 ええ。
○国務大臣(大橋武夫君) アメリカの軍隊につきましては別といたしまして、この警察予備隊の関係だけを申上げますると、御承知のように、警察法におきましては、非常事態宣言という制度がございまして特に内閣総理大臣が、自治体警察をも併せまして、すべての警察力を指揮して、そして対処して行く、そういう必要のある事態につきましては、非常事態の宣言を政府が行います。その場合におきましては、二十日間以内に国会を召集いたしまして、この非常事態宣言を認めるかどうか、こういうことを諮ることに相成つておるのであります。警察予備隊につきましては、現在の制度はポ政令によつてできておりまするので、そうした点にまで十分な配慮を加えてないのでございまするが、いずれ総理も、いろいろな機会に申上げておりまする通り、この秋に、警察予備隊を保安隊に切替うたい、こういう考えを持つております。その際におきましては、こうした出動の場合における行政権と国会との関係につきまして、これらの警察法の非常事態宣言の制度等を参考にいたしまして、十分に合理的な措置をとるように、只今研究をいたしておるのでございます。未だ結論としてこういうふうな方案を考えておるということは、申上げる段階に至つておりませんが、併し国会との関係につきましては十分に考慮をする必要があるとこういうふうに考えておるわけであります。勿論米国駐留軍が、日本政府の明示の要請に基きまして、出動をいたしまするような場合におきましては、恐らくは同時に日本の警察予備隊も適当な行動をとることに相成るのではないか、こういうふうに考えられるのでありまして警察予備隊が行動せずに、駐留軍だけが行動をするというようなことは、どちらかというと、非常に稀ではなかろうか。従いまして警察予備隊の出動につきまして只今申上げましたような点を考究いたしておりまするが、こうした方法が実行されました場合には、全般的に、併せまして非常事態の際における予備隊或いは駐留軍の活動を必要とするような事態に対処する政府対国会の関係というものが、総合的に解決され得るんではないか、こういうふうに考えております。
○中田吉雄君 岡崎国務大臣にお尋ねいたします。朝鮮協定ができるだけ円満になされることを希望するわけでありますが、事態もなかなか楽観を許さんような状態であります。そこで先般、UP電報の十日発の記事によりますと、ヴアンデンバーグー空軍参謀総長は、原爆塔載機と称せられますB36の大型爆撃機を朝鮮において使うことを協議されたというようなことが出ておるわけであります。若しそういうようなことがなされまして満州爆撃が起るといたしますなら、それは直ちに中ソ友好同盟條約の発動の対象となりまして、日本が極めて危険な事態に入るということが予想されるわけであります。その点が先ず第一点。それからこの二月十八日のテレビジヨン放送におきまして、ダレス米国国務長官顧問は、中国と日本が長く貿易をしないということは、これは不可能であると、併しそれには中共政権の性格を改めることが必要である、そうしてそれは自然発生的な変化を待つても到底期待できないから、実力を以て解決すべきであるという重大な発言をなされましてこれが欧米諸国の憂慮するところとなつています。ところが国務省におきましては、これはダレス顧問の見解で、国務省の與り知らんところであるというふうに取消されたわけでありますが、若しそういうようなことになりました際にも、直ちに日本が中ソ友一好同盟條約の発動の対象となると思われるわけでありますが、そういう重大な結果を招来します関係上、何か講和條約が発効しまして、吉田内閣とされては、アメリカがとるアジア政策については、ただ国連軍の行動として或いはアメリカ軍の行動として與り知らんという立場をとられるのでありましようか。そういうことを十分日本の主体的な立場を訴えられて、そうしてできるだけそういうことのないようにする。占領下でありますから、そういうことは現在はできにくいかと思いますが、独立後においては、そういう事態に対してはどういう態度をおとりになるでありましようか、この点についてお伺いします。
○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカでもいろいろ意見があることは我々も承知しております。併しながらそういう今おつしやつたような意見もある半面においては、そういうことをしちやよくないんだという意見もあるのでありまして、やはりダレス顧問の言われたことについても、国務省の発表は、今中田君のおつしやつた通りでありまして、いろいろの人がいろいろの個人的の意見とか或いはその他の考えから言われたことを、そのままとつて、それに対して何と申しますか、いろいろ考えをめぐらしても、余り実際の正確な判断をつかむことにはならないんじやないかと考えております。我々は国連協力ということは言つておるのでありまして、国連軍の行動というものは、私は正直に言つて、国連側から進んでとつた処置だとは考えておりません。やはり北鮮側が南鮮に侵入して来たので、これを反撃すると言いますか、とにかく朝鮮の、まあ広く言えば平和維持という目的で行動しておるんだと心から考えております。従つて日本政府は国連軍の平和維持と言いますか、国際警察的な行動に対して協力するという立場をとつておるのでありまして、これは平和條約発効後も同様であります。従つて私から言えば、中ソ同盟條約が、国連軍の措置に対して、すぐさま影響を及ぼすようなものではないと私は考えております。中ソ同盟條約は、これは先方側でいわば日本を仮想敵国と言いますか、まあそれほどではないにしても、とにかくそういうような考えから作つていると思われますので、これに一々行動を制限せられる理由はないと思います。仮に中ソ同盟條約そのものだけで見るといたしましても、国連軍の平和維持の行動に日本が協力したからといつて、これが中ソ同盟條約の発動になるというというふうには私は考えておらないのであります。併しながら今後独立した後におきましては、極東或いは日本の周辺における平和維持ということは、これは日本にとつては非常に重要な問題でありまするから、できる限りいろいろな方法で平和維持に努めたい。又努めるべきだという考えは持つておりますけれども、それをどういうふうにやるかということになりますと、そのときどきの段階によりますから、今ここでこうやるのだ、或いはああやるのだということはちよつと言いにくいと思いますが、原則的にはできる限りの努力をするということだけははつきり申上げられると、こう考えております。
○中田吉雄君 その点につきましては、極東の平和維持について、国連の行動についてあらゆる援助をするという際にも、私としては国連の行動が直ちに日本の安全保障について重大な影響を及ぼすような事態に対しては、主体的な立場を強く訴えて頂きたいという点を希望しまして、その点は打切りたいと思います。 そこで次に岡崎並びに大橋両大臣にお伺いいたしますが、平和條約第五條の(a)項の(iii)「国際連合が憲章に従つてとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を與え、」と規定したことは、警察予備隊の朝鮮派遣ということは、この規定から言えば自動的にやらざるを得ないようになるものであるかどうか、この点について、お伺いしたいわけであります。例えば一九五〇年の七月ですか、七月七日ですか、国際連合安全保障理事会が憲章の三十七條に基いて韓国援助の勧告をやりましたのですが、その際には国際連合に入つている国は六十カ国でありますが、実際にその勧告に応じて行つている国は十カ国を出ないというような状態でありますが、そういうこととからんでこの規定というものは、自動的に若し要請がありましたら朝鮮に出動せざるを得ないものであるか。或いは三十七條の安全保障理事会の勧告にもかかわらず、六十カ国のうちでそれに応じていない国があるような立場からいたしまして、政府はこれについて主体的な立場をとつて、これまでの議会内外を通じて約束されましたように、絶対朝鮮に出されるようなことはないかどうか。国連憲章との関係について岡崎国務大臣並びに主管大鹿の大橋大臣のこれに対する見解をお伺いしたいと思うわけであります。
○国務大臣(岡崎勝男君) 平和條約の第五條に規定がありますが、あらゆる援助と申しますことは、当然日本のできる範囲であることは、これはもう常識的に明らかであります。つまりできないことをしろと言つてもこれはできないのでありますから、日本の国情において可能な範囲のあらゆる援助をしろと、こういうことになります。例えば非常に大きな、まあこれはほんの仮定ですが、金を出して援助するという場合、日本に金がなければやりたくてもできないということと同じように、できないことをしろということではない。従つて警察予備隊以外の問題においても、日本に海軍はないのに海軍で援助しろというわけには行かないのです。飛行機で援助しろと言つても飛行機がないからできないのです。できる範囲でということです。 警察予備隊のほうは大橋国務大臣からお答えいたします。
○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊といたしましては、警察予備隊令の現在の規定は、警察予備隊の行動は国内治安確保という目的に制約せられているのでございまして、従いまして例えば朝鮮その他海外に警察予備隊が出かけて行つて行動するということは、この予備隊令の定めましたる目的の範囲外の発動である、こういうふうに解釈をいたしているのでございます。従いまして、只今岡崎大臣から申上げましたごとく、現行国内法の、特に警察予備隊令の解釈といたしまして、警察予備隊の朝鮮派遣ということは国内法上できないことになつております。こういうふうに考えておりまするから、従いましてできないことについて義務を負うということは絶対にあり得ないものと考えております。
○中田吉雄君 岡崎国務大臣の御答弁は甚だ捕捉に苦しむような御答弁ですが、私はこの問題は極めて近い将来に強いアメリカ側の要請になつて現れるのではないかと思うわけであります。例えば日本においでになつていましたアイケルパーカー中将なんかの言を以て見ましても、ヨーロツパの兵隊は疲れ切つてとても駄目だが、日本には二、三百万の極めて生気溌剌たるマン・パワーがある。これを速急に朝鮮戰線に使うべきであるという、そういう発言もなされております。更にレイモンド・モレー氏のごときも、そのようなことを申しまして、そういうことをやらないということはアメリカ政府の、トルーマン政府の犯罪的な怠慢である、そういうことを言つているわけであります。更に最近のニユーヨーク・タイムスの二月二十七日号には、ニューヨーク・タイムスの記者であるレストン氏は、アメリカが休戰協定について非常な強気になつたのは、日本の再軍備、リアーマメントが極めて急速にできつつあることに自信を持つたこと、そしてアメリカ政府の意図としては、警察予備隊が、リアーマメントされつつあるところの予備隊が朝鮮戰線に間に合うまで協定を延ばすのではないかということを二月二十七日の記事にもはつきり書いているわけであります。勿論これも岡崎さんの申されたようにいろいろな見解があるわけですが、そういう見解がだんだんと支配的になつて、遂に抗し切れずに平和條約の第五條の(a)項の(iii)の規定によつてもレフユーズできないと思うわけでありますが、大橋国務大臣は予備隊令は国内の治安維持のためであるから絶対にそういうことはないということを言われましまたが、重ねて念を押しておきますが、近く保安隊その他に改正される際にはいろいろ内容が返られると思うのですが、その改正法案には絶対海外に出すということを盛らない用意がありますか、その点をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(大橋武夫君) お答えを申上げます。警察予備隊令を改正いたして、例えば保安隊というようなものに予備隊を編成替をする、こういうことを考えておりまするが、その趣旨といたしまするところは、現在の警察予備隊の設けられましたる本来の目的から考えまして、現行法規の不十分な点を改善しようというわけでございまして、警察予備隊の本来の目的なり又本来の性格なりは、これを変えようというような考えは全然ないわけでございます。従いまして、この法律改正に際しましても御懸念のような点を含みますることは断じてない、こうお答え申上げます。
○中田吉雄君 行政協定の第十七條につきまして、岡崎国務大臣にお尋ねいたします。十七條の第一項には、「千五百五十一年六月十九日にロンドンで署名された北大西洋條約当事国間の協定が合衆国について効力を生じたときは、合衆国は、直ちに、日本国の選択により、」という、選択によりということをお書きでありますが、若しアメリカにとつて効力を生じましたならば、吉田内閣とされては直ちに北大西洋條約の協定と同じように刑事裁判権について改められるように選択いたしますか、この点をお伺いしたいと思うわけであります。講和條約の第二十六條におきましては、二つの中国のうちどちらを選択するかということは日本の主体的な、日本の自由なる選択に委ねられたわけでありますが、形式上は現在一応日本政府は、吉田内閣におかれては、台湾政府を承認すると、取極をされるという立場をとつていますが、海外の信ずべき情報からいたしましても、これは明らかにアメリカの強圧によつてできたということは否むことができないわけであります。そこで「日本国の選択により、」と書いてあつても、これを日本国がみずから選択しないと、こういうことに、講和條約の第二十六條の前例に鑑みましても、そういうことが起る可能性が極めて大だと思いますが、刑事裁判権について属人主義は国内で多くの批判もありますので、岡崎国務大臣とされては、アメリカについて効力が発生したら、日本国政府としては絶対に北大西洋條約に基く協定と同じようなものを選択される用意があるかどうかという点と、そして本来なら、私からいたしますれば、「合衆国は、直ちに、日本国の選択により」を抜いておくほうが、これは実際からいうと日本のような弱い国としては安全なわけであります。これが拔かれずに「日本国の選択により」、という点が入れられてあつて、あたかも日本の自由意思によつて選ばれるような恰好をしながら、実際はその筋の要請によつて、やはり現在の属人主義の刑事裁判権が存続する虞れが絶対にないと言えないと思うわけであります。その点と、それから同じ十七條のしまいでありますが、一年以内に発生しないときは、日本国政府の要請があつたときは、アメリカと協定するというふうになつていますが、これも「日本国政府の要請」とありますが、私はこれもなくてもいいことで、自動的に一年以内に発効しなかつたら協議するというふうに改めるべきが当然であつたと思うのですが、ここにも「日本国政府の要請」によりという含みのある語句が入れられていますが、一年以内に発効しないときには、吉田内閣におかれては必ずアメリカに要請されてやられるような御用意があるんでしようか。この点についてお伺いいします。
○国務大臣(岡崎勝男君) 平和條約のほうにも言及されましたが、これはただ例として言われたかと思いますから、行政協定のほうをお答えします。これは第十七條の一に書いてある軍隊の地位に関する協定ということは、アメリカの国内ではいろいろ議論がありまして、裁判権の問題についても、税の問題についても、いろいろ議論があるのであります。従つてこういう名前の協定でありますが、更にその万一の場合を考えれば、アメリカ側のほうでこれを受入れるために何か修正をして、更にきめるという場合も理窟から言えばあり得るわけであります。つまりアメリカ側のほうでは、今のままの協定は受諾困難だというので延びておるのでありますから、仮に修正でもあつて、日本のこの協定のほうがいいという場合が理屈上はなきにしもあらずというので、そこで「選択により、」という字を入れてあるのであります。併しそういうことがなくて、このままの、今ある協定がアメリカについて効力が発生いたしますれば、これは必ず選択をいたします。 それから第五の場合も同じことでありまして、各種の情勢からしまして、この裁判管轄権というような問題は、日本のほうがアメリカ側に特権を與えるものでありますから、それを修正する動議、申入れというものは当然日本側からいたすべきものである、こう考えております。そこでこういう字を入れたのでありまして、お話のようにアメリカ側の力が大きいからそれに圧迫されて選択はしないであろうとか、要請はしないであろうとかいうようなのは少しこれは情ないお考えで、そんなつもりは決してないのであります。(笑声)
○山田節男君 議事進行について。
○委員長(和田博雄君) 山田君簡單に一つ。
○山田節男君 中田委員から非常にこれは重要な質問をしておられるのですが、御承知のようにもう一般質疑が日曜を含めて今日を含めて五日しかないわけです。相当各省の数字的な内容に亘つて入る時期じやないかと思うのです。そこで中田委員のおつしやることは基本問題ですけれども、今日まで相当やつたのでもありますし、それから例えば警察予備隊とか、各項目に入つて部分的にやるというふうにしないと、こうしてもう第一国会以来の異例として、分科会も今回は設けないのじやないか、こういう事態も見えておりますから、一つ委員長のほうでもう少し各省の数字の上の検討、こういうようなことに時間ができるように一つ議事を進行して頂きたいと思います。この点中田委員の質問が非常に重大なことであることは知つておりますけれども、日にちがないので、これから分科会も開かれんのじやないかという事態に面して、それに即応した一つ議事の進行をして頂きたい。特にそういうことをお願いいたします。
○委員長(和田博雄君) 昨日理事会で一般質疑を二十四日まで当てまして、そうしてその質疑内容において各委員がそういう細かいことをお尋ねしたければ、それは各委員において十分斟酌して質問するということを昨日の理事会で打合せしておるわけでありましてやはり委員が自由に重要な問題を考えまして質問をされておることは、多少の重複はありましても、今まで政府のほうにおいてまだ十分に答えていなかつた点もありますので、その点はやはり一つ今までのように、その点は委員のかたの考えを尊重してやつて行きたいと思います。あなたのお話のような点についても、各会派の委員のか会いろいろ質問されるだろう患います。やはり今日、明日ともうあと僅かしかありませんので、いろいろの点で質疑が或る大臣に集中されて行われる場合も出て参ります。それは昨日の理事会においてそういうような点で打合せしておりますので、その点を御了解願いたいと思います。
○中田吉雄君 今山田委員から御発言あつたのですが、実は私のほうの党としても、昨日の理事会で打合せしまして、各委員が分担するようになつておつたのでありまして、その点御了承願いたいと思います。 次に周東安本長官にお伺いいたしたいと思います。昭和二十七年度の八千数百億の予算によりまして国民経済が立つて行きますためには、吉田内閣のようなアメリカに一辺倒されます政策をとられます際においては、外資の導入ということなしには国民経済の循環がうまく行かないと思うわけであります。そこでこの点についてお伺いいたしたいのですが、アメリカの国防動員局長官のウイルソン氏は、昭和二十六年の十月七日に時事通信の記者が海外援助、対日援助につきまして尋ねました際には、海外に投資してもそれが国有化される虞れがあつたり、或いは戰争で破壊されるような虞れのある所には外資導入はいたさない、対外借款はいたさないということを昨年の暮に申しているわけであります。ところがその後吉田内閣におかれては、本年の一月三十日に書類を以ちまして、日本経済の自立達成と、経済協力協定及び経済協力推進のためのクレジツト供與に関する要請という約十億近いところの厖大な米資導入と自立計画について、総司令部を通じまして政府の要請を出しておられるわけであります。その全文も持つているわけでありますが、そういうふうにされたにもかかわりませず、先般来のマーカツト声明並びに吉田総理、大蔵大臣等の言明を以てみましても、政府が期持されたような外資が導入されないといたしますなら、新らしい立場から自立計画を考えなくてはならんようになつて来る。そうしてこれが入りません限りは、あとにも述べますように二十七年度予算は重大な困難に入ると思うのです。 そこで先ず最初にお伺いいたしたいことは、先に言いました二十六年の十月七日のワシントン電報によつて、国防総省の対日経済担当の人がはつきり、国有化の虞れのある所と、戰争で破壊される危険のある地帶には経済的な援助をしないということを言つているわけでありますが、今回マーカツト声明に鑑みて経済援助ができないようになつたのは、政府は一体どういうふうに理解されておりますか、先ずその点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(周東英雄君) 御意見でありますが、マーカツト声明によつて外資の導入ができなくなつたということを前提としてのお尋ねですが、私どもまだその通りに受取つておらんのであります。のみならずあと先いたしますが、お示しのように二十七年度予算の執行が外資の導入がなくなつたら困るじやないか、或いは変更しなくちやならんじやないかという御意見については、私どもは意見を異にするものです。大蔵大臣も申しておりましたが、外資の導入のあるということが、その数が、これはものによりましようが、あればあるほど日本の経済の復興は早まるということはこれははつきり申されます。併しながら二十七年度予算等の編成に当りましても、初めからどれだけあるということを前提として、不安定な前提をおいて予算の編成等はいたしておらないのであります。従つて今の外資の点、外資が入らないということを前提としてのお尋ねであり、或いは予算の編成に当つて外資導入を前提としておるだろうということの前提の下に立つてのお尋ねについては、意見を異にするものであります。
○中田吉雄君 将来のことはともかく、今回入らないということは明らかでありますが、アメリカで経済援助を見合せる、愼重に考慮するという二つの條件を挙げているわけでありますが、折角投資してもそれが国有化される虞れのある所、並びに戰争の危険があつて、折角投資してもその投資資本が回收できないような所には差当つて愼重に構えるということが、国防総省の日本の経済援助を担当する重要な人から言われたということになつているので、政府は入らんようになつたならば、そのいずれだとお考えであるかということを先ずお伺いするわけであります。 その次に、少くとも政府が先に申述べました二本建の約十億近いところの米資の導入を計画されたことは、明らかに海外の情報も伝えていますように、吉田内閣とされてはこの安全保障條約、これとの交換で新らしい多くの危険をアメリカの要請によつて負担する、だから十億ドルに近いところの経済援助をしてもらいたいということをダレス特使にも再三要請され、そうして吉田内閣の顧問であるところの経済諮問会議の幹事の白洲氏を中心に、向井氏、加藤氏等と具体的な案を立てられて、少くとも政治的にはアメリカが非常に急いで要請していますところの日米安全保障條約と交換でやろうとされたことが、ここに重大な結果になつたわけであります。そういう点では、外交的な取極としては極めて多くの問題を含んでいると思うわけであります。先般ドイツ国会において再軍備の決議案がされましたが、それは五つの附帶的な條件が付いておつて、それが満たされたならば再軍備しよう、そうしてその條件というものは、なかなか連合国各国が受諾できない、そういうふうにやつているわけであります。少くとも外交は慈善事業ではないわけでありますから、その点が非常に吉田内閣の重大な失敗であるというふうに考えるわけであります。そこで先に申しましたように、アメリカでは経済援助を考える際に、二つの危惧がある際には愼重に構えることになつているが、一体そのいずれだと判断されるかという点、それから周東安本長官も申されていますように、少くとも日本がアメリカに強く一辺倒しました立場によつて、少くとも安全保障條約によつてこの国防関係で千八百億、それから中国貿易の禁止によつて、私の計算から言いますると、どんなに少く見ても五百億の損がある、政府が昭和二十七年度に輸入を計画されていますところの粘結炭三百万トン、鉄鉱石五百万トン、工業塩百七十万トンを中国から買いますのと、アメリカその他遠方から買いますのとでは、殆んど五百億の値開きがあつて、こういうこともアメリカのアジア政策から強く要請されて来ているわけであります。その千八百億、それから中国貿易禁止による五百億、それがただ五百億だけでありますが、それが更に日本の物資を出すということによつて、その額はよし小さくても、日本経済に対する潤滑油的な効用というものは非常に大なのでありますが、それはともかくネグレクトいたしましても、五百億もそのために日本は運賃関係からだけでも損害を負担せざるを得ない。更に日本は昭和二十六年度におきまして、海上運賃が四億四千万ドルで一千四、五百億の海上運賃が要るわけであります。ところがそのうち自国船によつて運んでいるものは大体私の計算では約一億ドル程度、四百億程度であります。あとは殆んどアメリカのウオーダーマン・ステイームシツプ・コーポレーシヨンを初めとしまして、十社によつて一千億近いところの船賃がアメリカの海運收入になつて、この面からの日本経済に対する重圧も非常に大であるわけであります。日本の造船能力はどんなに少く見ましても六十万トンくらいはあるわけであります。それが資金その他という名目によつてフルに建造されないというようなことによつて、これが当然アメリカのこの十の汽船会社との競争関係からいたしまして強く打撃を受けている、そういうのだけでも私は終戰以来日本が海上運賃をすべて自国船によつて稼ぐという立場を強くとりましたならば、少くとも一千億近い対外收支のアンバランスが修正されていると思うわけでありますが、そういうふうに我が国がアメリカに一辺倒いたしましたために、防衛費千八百二十六億、中共貿易禁止五百億、それから日本の造船が抑制されている点だけから考えても一千億、こういうものを考えますと、私はどんなに少く見ても四千数百億の日本経済はそれによつて圧迫を受けているというふうに考えるわけであります。この二十二日に周東安本長官みずから、アメリカ一辺倒することによつて貿易関係で約二千億近いもの、中共貿易その他で大体それくらいな損害、それくらいな経済的な圧迫があるからという意味の記者団会見をやつておるくらいで、私から見ると、四千億近いところの一辺倒によるところの日本の経済の圧迫があるわけであります。そこでそれは当然自費としてではなくて、アメリカの極東戰略に従うごとによつて受けるわけでありますが、我々といたしましては、これは当然何らかの形においてそれが援助されて然るべきだと思うわけでありますが、その点についてどういうお考えを持つておられるか。若しそういうふうになつて、アメリカ一辺倒することによつて受ける経済的な圧迫をアメリカによつてカバーされる政策がとられないとするなら、もう少しこの違つた対外政策をとられるかどうか、貿易政策をとられるか、大陸その他と結び付いた立場をとられるかどうかというような点についてお伺いいたします。
○国務大臣(周東英雄君) お答えしますが、先ず第一に十何日かのウイルソン民の声明とマーケツト少将のこの間の談話との間に、どちらに基いて外資が入らなくなつたのかというお尋ねでありますが、ウイルソン氏の談話と言いますか、戰争の危険のあるところへは外資は愼重にやらなければならんというのは、これは一般論として当然なことでありまして、だからと言つて、直ちに日本へその具体的の場合を推して入らなくなつたと、こう断定するのは早計だと思います。いわんやもう一つの点である国有化するような所へは愼重にやらなければならんというお話でありますが、これがあたかも日本に対するお話のように中田君はお話でありますが、今日本で国有化しようという考えは、現政府においては既往を通じて持つておりません。むしろできるだけ事業を民営に移そうとしておることはありますけれども、国有をこれから始めて行こうという考えは、あなたの党なら知らず、私の党は今考えておりません。そういう意味においてその危險から外資を出さんだろうという御意見については私は反対であります。 それから第二の点は、何か二月頃に顧問会議を開いて、それに基いて総理が外資の要請の書簡をやられたのではないかということのお尋ね、これは本会議でもそういうことをはつきり申上げましたが、私どもの知つております限り、そういうことは直接いたしたことはありません。いわんや今お尋ねの安保條約との交換條件で出したのじやないか、そのくらいのことは今アメリカ一辺倒である立場からは要請すべきが当然じやないかというような意味のお尋ねであります。私どもは書簡を出したこともございませんが、いわんや今後経済協力を進めて行く上において、日本に対して民間の工場を動かし、必要な物の生産に協力を求められた場合に、飽くまでも、いつも申上げておるように、日本の民需を圧迫せんように必要な原材料等は持つて来てもらいたいというようなことを言つておりますが、この際にそういうふうな形における協力におきましても、安保條約との交換條件でそういうようなものを持ち出すとかいうようなことを別に考えておりません。併し飽くまでも日本の民間の工場なり、民間の能力を活用するならば、もつと日本の生産力を高めることができる。而もそれは過去においても今日においても、それがあるがために今日非常に生産の増加を来しておる。戰前に比較して約三割、四割も増加しております。これがもつといろいろな形において外資が加わるならば、更にこの増加する数量は高まるであろうという立場において、今後とも私どもとしては努力いたすことは勿論であります。
○山田節男君 今の中田委員の御質問、これは非常に重要だと思うのです。これは今回のマーケツト少将の声明は、結局日本の政治、今の吉山内閣のとつておる非常に原始的な自由主義経済、それからそれによつて現われる経済政策と申しますか、産業政策、これは西ドイツに比べれば非常な差ができたということは、例えば会社の施設の改善であるとか、或いは非常な無理をしてでも利益配当を三割、五割、繊維関係においてはもう何十割かの利益を挙げて十何割の配当をする、こういう吉田政府の経済政策の下における産業経済というものに対してのこれは一つの不信の現われだと思うのです。これは丁度私昨年の講和條約の結ばれたときにワシントンにおりましたのですが、吉田総理が日本に帰つて来てすぐ再軍備は絶対にしないということを言つたということが、これが非常にワシントンに響きまして、結局吉田は軍備をやるにはアメリカさんの金をもらはなくちややらんということなんだろうというのが、これがワシントンの政界、国務省のあたりでは吉田はなかなかずるいということを言つておる。こういう頭が非常に強い。もう一つは吉田内閣のとつている経済政策、いわゆる貧乏人は麦を食え、こういうような政策に対して非常な不信の現われである、こうとるべきだと思うのですが、現に池田君が全権としてサンフランシスコに行つたときに、外資のことでワシントンまで来ようとしていたことは私どもは聞きました。ところがお前たち来るには及ばんということであそこで引揚げたというのはこれは事実であります。そういうところから見て、殊に周東安本長官は、今回のマーカツト声明は、これは吉田内閣の経済政策に対する不信を表明したものであるということに私たちは認識さるべきものだと思うのです。今周東長官の中田委員に対する答弁を聞くと、そういうことはちよつとも現われていない。曾つて私が緊急質問で申上げましたが、吉田内閣はアメリカ一辺倒で来ているから、これはドイツの場合を見ましても外資は喜んでこつちに来るべきものだ、然るにああいうような声明が出るということは、吉田内閣の非常に十九世紀的な経済政策の賜物であります。そこで私がお尋ねしたいことは、ドイツが、すでに西ドイツがあの前の領土の半分で以て昨年のごときは三十五億ドルの輸出をしております。主としてアメリカのほうの投資家がどんどん外資を出しておる。然るに日本においてはこういつたような結果になつておる。私は吉田内閣のこの経済政策に根本の誤まりがあると思う。従つて外資を今度ここへ流入させるためには吉田内閣として、今後統制経済とは申しません、今のこの自由主義経済を何とか外国の信用も得、又日本の福祉国家としてあるべき或る程度の計画経済というものはなくちやいけない。そういうものに対してこういうような不信が表明されたにもかかわらず、吉田内閣としては今後もやはり依然とした経済政策で行かれるつもりなのか。それで以て外資がやがては入つて来るという確信で今のような御意見をお漏らしになつたのか、この点を一つお伺いしたい。
○国務大臣(周東英雄君) いろいろと御意見を承わりましたが、やや私は意見を異にいたします。あなたの御議論だと吉田内閣の経済政策の不信の結果外資が入らぬのだろうというお話でありますが、今日までも民間外資としては年々月々に技術、或いは投資面において殖えて来ております。これは決してアメリカ人が日本の経済政策に対して不安を持ち、不信のために入れないということでなくて、むしろ日本の徐々に固まりつつある経済の実態をとらえて来ておる点だと思います。併しながら第二点のお尋ねである、日本の経済は飽くまでも今後においても野放しにするかというような意味合いの御質問に対しては、政府といたしましてもすでに議会に提案いたしておりますように、世界的に見て稀少な物資、或いはアメリカ等が輸出制限をいたしておる物資、而もこれは民主自由国家の相互間においてこの需要分配を必要とするようなものについて、有効需要を確保するために将来必要な消費制限をするというような面については、新らしい立場において法律を今制定すべく衆議院に提出審議中であります。私どもは如何なる面においても統制をし、縛り付けることが我が国における経済の復興に資するゆえんではないと思います。むしろ今日まで終戰後、殊にこの両三年間における我が国の復興の跡を辿つて見て、このことは企業家における創意工夫を尊重し、或る程度自由にしたことの私は結果であると思います。併しながらつまり経済というものはもう申上げる必要もありませんが、常に固定したものではない、今後の国際情勢において必要な面、殊に先ほど申したような物資については、その時時において必要な措置を、野放しにせず消費制限をし得るということの立場において法律を片一方に制定しておる。この両面を如何に調整しつつ進めて行くかということがその国、その時に応じた経済政策の行き方であると、こう私ども考えております。従つて今の御意見、全面的に昔のような統制というようなことにやらなければ外資の導入は期待できないのじやないかという御意見に対しては、私どもはそうは考えておりません。又いろいろ折衝する関係方面の意向によりましても、日本は日本の独自性があり、日本は日本の経済の実態に即応するような必要な処置をとるべきであるということを私考えております。
○委員長(和田博雄君) 中田君、岡野国務大臣が来ておりますが、あなたの時間はちよつと過ぎましたが、質問がありますればやつて下さい。
○中田吉雄君 岡野国務大臣にお尋ねいたします。この昭和二十七年度の国家予算と地方財政計画との両者を睨み合わして見ますると、国家財政のしわ寄せが殆んど地方財政に押し寄せられているように見受けられますが、岡野国務大臣とされては、一千二百五十億の平衡交付金で以て、昭和二十七年度の地方財政が危機なしに突破できるかどうかということを先ずお伺いいたしまして、それから次の質問をいたしたいと思います。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私が地方財政を担当いたしまして、初めて地方財政が明年度はとにかくバランスが合うと、こういうことになつておりまして、来年度の地方財政は只今のところではこれでやつて行けると、又十分であると考えております。
○中田吉雄君 千二百五十億の平衡交付金でいいという計算の基礎を吟味いたして見ますると、大体昭和二十七年度には六年度よりかも地方財政は九百三十五億の新規増に大体なるかと思うのですが、その際に政府のとられた財源措置というものは、昨年度千二百億であつた平衡交付金を五十億殖やすと、更に起債を百五十億、それから地方税を府県と市町村と合計いたしまして四百億の自然増收を見る。更に二百六十億の雑收入の増を見る。これは授業料その他非常に厖大になるのですが、二百六十億の雑收入の増を見る。それから行政機構の改革によつて五十億の経費の減を図る、更に百三十九万の地方公務員の五%の馘首をやりましてそれによつてこの五十億近いところの経費の節減を図る、更に昨年十月国家公務員の給與改訂に伴つて、地方公務員も千五百円のベース・アップをやつたのですが、その際に教職員は月三百七十五円、都道府県の職員は四百六十二円、市町村は五百七十六円、これだけを調整して、そうして百億近いところの実質上の給與の引下げをやつてそういうふうにしてこの財政需要と財政收入とを睨み合せてその差額が千二百五十億でいいと、こういう計算であります。併しながらこの二千九百二十億の都道府県と市町村の地方税が果してとり得るかどうか。これだけの担税能力があるかどうかということは、非常に大きな疑問であります。特に最近朝鮮事変をきつかけにしてのこの地方の産業景気というものは、大都市の特需産業のある所に集中いたしまして、農山漁村においてはそういうような自然増牧を見ることは絶対できません。御承知のように昭和二十四年におきましては、地方税の総額は千五百億であつた。それを二十五年には千九百億にし、二十六年には三千五百億にし、二十七年には二千九百億というふうに、四年間の間に殆んど倍、一千五百億の地方税の増徴を期待されておりますが、我々の見るところではこの産業景気の地方的なアンバランスからいたしまして、到底そういうものは確保できないというふうに考えられるわけであります。更に雑收入の二百六十億というような増は、これ又授業料その他を大幅に引上げて、二百六十億の雑收入増を見るということも極めて困難であります。更に昨年の十月の給與改訂に伴うところの教職員、役場、県庁とか、町村のそれぞれ給與を実質的に引上げるということもなかなか困難でありまして、そういうことを調整したとして現在措置をいたしますなら、必ず先ず生活費を保証するということが大切でありますから、一般産業経済費等に食い込んで行かざるを得ないというようなことになりまして、非常に地方財政は困難に面する、例えば昭和二十五年におきましては、全国の府県のうちの大体二十県が赤字であつて、あとは、二十数県というものは黒字であつたわけであります。ところが二十六年度の決算予想を見ますると、七県だけを残しまして殆んど全部の都道府県が赤字であります。即ち昭和二十四年、五年というふうに繰越していたものを全部使つてなお赤字になつているというのですから、私が地方財政を数カ年間体験いたしまして、昭和二十六年度ほど地方財政が窮乏したことはないわけでありますが、先に申しましたような新規増の九百三十五億というものを、それぞれ内訳を示しましたような形でこれで十分だという立場をとられますなら、一万有余の地方公共団体は重大な危機に私は入ると思うのですが、その点について内容に立入つて岡野大臣のこれに対する御回答をお願いしたいと思うわけであります。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。地方税收の増收が多過ぎるのじやないか、こういう一点でございまするが、二十六年度は千九百七億円初めの税收を予定したわけであります。ところが最近に至りましてほぼ二千五百十億円の実收を見込まれるようになつております。そういたしますと、約六百億近く増收が出て来たわけでございます。今年度は二千五百十億を基礎にいたしますれば、それに対して二千九百二十億でございますから、約四百億ぐらいな増收を見込んでおる次第でございます。むしろ増收を見込みます点におきましては内輪にしてある次第でございます。それから地方財政委員会でいろいろ検討した結果、只今お説のように二百六十億の雑收入を認め、同時に地方行政簡素化をやりますために五%という節約を見込んでおりますが、これは御承知の通りに私が地方行政簡素化本部の本部長といたしましていろいろ検討いたしました結果、若し地方行政の簡素化をいたしますならば、もつとくたくさんの節約ができるはずでございますけれども、最低限度といたしまして約五%ぐらいな節約を見込んでおるわけでございますから、これも又非常に節約は内輪に見ているわけであります。話は戻りますが、最初地方財政委員会で検討いたしましたところによりますれば、平衡交付金は今年千二百億でございますが、千三百億なければ足りないというような意見が出ておつたのでございます。これは計算の基礎といたしまして附加価値税を今年度から実行いたす、こういうことになつておりますものでございますから、その附加価値税の税收を基礎にいたしまして計算した結果、百億の平衡交付金を増額してもらわなければやつて行けない、こういうようなことになつておつたのでございますが、国家財政の立場上五十億しか増額ができなくて如何いたしたらよかろうかと苦慮しておりましたが、併しながら御承知の通りに附加価値税はいろいろな事情によりましてまだまだ実行の時期に立至つていないという結論が出ましてやはりもう一年附加価値税を延期いたしましてそうして元通りの事業税、特別所得税というものを存置して行くと、こういうことになりました次第でございます。そこで事業税並に特別所得税を存置して参りますと、計算の基礎が大分違つて参りまして、むしろ最初に地方財政委員会が予定しておりましたときよりも百七十六億円の増收になる、いわゆる余るというような計算が出て来たわけでございます。そこでその百七十六億円の始末といたしまして、要求いたしまして容れられなかつた百億の平衡交付金の五十億もらつたあと残額五十億を先ず入れまして、あとの百二十六億というものをこれを減税に充てようと思いまして、最近に税法の改正案を出しますのでございますが、それによりますれば、今までの事業税は免税点が二万五千円でございました。併しながら二万五千円の免税点と申しますと二万五千円までは免税になりますが、二万五千一円になりますと、もう全体に税金がかかりまして、ほかの振合いと非常に不均衡になる心配がございます。そこで税源が出ましたものでございますから、事業税の基礎控除といたしまして、三万八千円を、即ち今年度に比べまして事業税は三万八千円の基礎控除をいたしますのでございますから、それに要する減税額八十四億円が出て来るわけでございます。又法人税割りでございますが、これは百分の十五になつておりますが、先般法人税の国税のほうで三五%を四二%に上げましたものでございますから、その釣合上百分の十五を百分の十二・五にいたしまして、やはり本年度と同じような率で五・二四に当るように始末しました。そうしてこれも三十七、八億の減税になることになつております。1そういう次第でございますから、私といたしましては、今年度各地方公共団体が赤字を出して非常に苦しかつたという点は認めますけれども、来年度は財政の收支は、地方財政委員会の見るところによりますれば、大体バランスがとれておると、こう私は考えております。
○委員長(和田博雄君) もう時間が大分過ぎましたから……。
○中田吉雄君 ちよつと簡單に……。
○委員長(和田博雄君) 簡単ですか、じや最後に一つだけ……。
○中田吉雄君 私は先に申しましたように、千二百五十億でいいというのは、内訳を示しましたような理由でありますが、実際そういうことは仔細に検討してみますると、先に申述べました立場から私は不可能だと思います。どうしても平衡交付金と起債とを更に二百五十億くらいを増額しませんと、昭和二十七年度の給與べースのアップがないとしてもそれくらいは困難だと思うわけです。そこで各県でこれだけの財源しか與えられません際にとられる状態を見ますると、各部長が各都道府県の最も多いところの予算費目である公共事業と教育費に着目いたしまして、その面から財政難を補つて行こうとして、非常に教育の面にしわ寄せされて来て、そうしてその際とられる措置というものは教育費が非常に多いわけでありますから、先ず教員の質を低下して、助教、代用教員等によつてそうして補う。教員の質的低下が非常に多くなると思うわけであります。そこで岡野国務大臣とされては平衡交付金からこの教育費を外すことに対して非常に反対のようでありましたが、私から見ると、必要な財源措置を平衡交付金で確保されずにそれに反対するというのでは十分教育財政が保たれないと思うわけであります。そこで岡野国務大臣にお尋ねいたしますが、私は平衡交付金の長所もありますが、短所は何といつても国家財政をとつて余つただけの千二百五十億を出すということになりますので、配付税制度のときのように配付税の第二條にありますように、法人税と所得税の百分の三十三・一四を出すというようなスライド制をとつて平衡交付金法の長所を活かしながら、この地方財政の芥捨場のようなことにならないように、スライド的に国税と睨合せて確保できるような措置をとることが必要ではないかという、ように考えますが、その点をどうお考えでありますか。それから教育費を平衡交付金から外すということについて自由党のほうといろいろお話しをされて或る妥協案ができたやに聞いておりますが、あれについては私は昭和二十八年度はともかくといたしまして、昭和二十七年度は千二百五十億でありますから、どうしても本年度教育財政に及ぼす危機が防衛できんのではないかというふうに考えますが、その二点についてお考えを承わつて置きたいと思います。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。平衡交付金の制度は中田委員もよく御承知の通りと存じます。御承知の通りに、元国家が中央集権的に政治をしておりますときには、三百六十幾つの紐付の国家からの資金を地方に廻しておつたわけであります。併しながら御承知の通りにこの新憲法下におきましては、地方の自治団体は自由に自主でできるようにして行くのがこれが自治確立の基礎でございます。でございますから、我々といたしましては、地方において土木費が幾ら要るだろう。教育費が幾ら要るだろう、社会福祉費がどのくらい要るだろうということを仔細に検討いたしまして、それを算出いたしまして併せて平衡交付金として交付して併しながら交付はするけれども、これに対して中央政府は何ら干渉しない、御自由に地方の特殊事情に応じて行政をやつて行かれるようにという意味におきまして、平衡交付金制度ができておるような次第でございます。でございますから、只今又元通りに中央集権の臭味を帶びますところの紐付にして平衡交付金を国家の負担金にするということに対しては私は原則的に反対でございます。併しながら教育は国家の非常な大事なことでございますから、この資金が十分地方において確保せられることはこれは教育即ち義務教育というものが国家の責任でやらなきやならんというような思想に基きまして適当に処置しなければならんと思つております。でございますから只今文部省並びに地方財政委員会と事務当局の間でよく協議いたしまして平衡交付金の趣旨は没却せず、同時に地方の教育費が確保せられるような方策をとろうと思つて今目下検討中でございまして、多分近いうちにそういう趣旨の下に新らしい法案が出ることと存じます。
○中田吉雄君 委員長、ちよつと違つておりますから、その点だけ訂正いたします。
○委員長(和田博雄君) もう大分時間が過ぎましたから。
○中田吉雄君 質問ではありません。
○委員長(和田博雄君) 簡單に。
○中田吉雄君 私が平衡交付金の問題について配付税の長所を加味したらどうかという質問をしたのは、紐を付けて出すということではなしに、全体の枠を圧迫されないように国家財政の面が非常に逼迫しておるから、されないように、全体の枠をスライド的にして、必要以上に地方財政にしわ寄せしないようにということで、各費目に紐を付けたという点ではありませんから、その点十分お含み願いたい。
○楠見義男君 大蔵大臣にいま一点だけお伺いして置きたいのであります。……大蔵大臣の来られるまでほかのかで結構です。
○岩間正男君 それじや関連して、さつきの中田君に関連して岡野国務大臣こ……。
○委員長(和田博雄君) 大蔵大臣が来てから……、岡野さん、関連質問があるそうだから。
○岩間正男君 先ほどの中田君の質問に対しまして、これは基本的態度としてお聞きして置きたいのですが、この第一教育の、殊に義務教育において、日本の政策の中で非常に大きい問題は、これは教育の機会均等という問題だと思う、そういう点から考えますと、地方財政が非常にむらがあり、そのために地方財政の現状ではそこに教育の機会均等ということが破れる、そういう点を何とかこれは国家ではこの大きな精神というものを活かすために、一つは国家がもう少し大きくこの教育を見てやらなくちやならない、殊に現状のような、日本の国家財政の状況では非常にまあ防衛費に食われる、従つて当然それが厚生とか文教とかというところに大きくしわ寄せられるという事態が……更に現象的には地方財政にそれが全部しわが引つかぶされるようになつておる、そういうところから大きな一つの要望が起つておると思うのですが、ただこれに対しまして、そういうような基本的な性格というものを十分に考えて、そこからこの問題を処理しなければ私は処理はつかんと思うのです。ところが現実的には平衡交付金は紐付きにされないというような精神でやられておるのですから、その中で何とか文部省側の要求と勘案して、まあ何とか妥協的な方法で今度は糊塗しよう、こういうようなのが今の立場だと思うのでありますけれども、これでは本当に教育が持つておるところの一つの大きな目標というものが守られない、こういう事態が起つて来ると思う。こういう点については一体根本的にどう考えておるのでありますか。もうできればやはりこれは国民の間に全額庫負担というような要望が非常に起つております。これは今言いましたところの教育財政というものは地方のばらばらな状況の中に委したのでは、今の教育を最低線も維持することができない。これについてもつと根本的に考えなくちやならない、そうしてそういう要求が当然現状と睨み合せるときに大きく起つて来ておるわけです。そうすると、これについて單にこれは多く文部省だけを考える問題でなくて、地方自治庁としましても、これに対して一つの基本的な考え方というものはどういうふうに考えておるのだか、そうしてそういうような要求をどのようにこれは制度の上に実現して行くかということが、これは非常に必要になつて来るわけでございますが、この点岡野国務相の御意見をお伺いしたい。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは国家財政も地方財政も非常に窮乏であるということだけは皆さん御承知の通りと思います。それから義務教育は国家といたしまして非常に大事である、これもお説の通りでございます。そこで今起つておりますところの義務教育費国庫負担法というものが文部省でも考えられております。我々も協議を受けておる次第でございます。そこで二十七年度といたしましては、平衡交付金ももうすでにきまつてしまつておる次第でございましてこれを二つに分けるということもちよつとできかねる次第でございます。併し我々といたしましては、そういうような空気を察知いたしまして、平衡交付金の一部改正法案というものを追つて出しまして、皆様がたの御審議をお願いしたいと存じておる次第でございます。それに盛られております内容を申上げますれば、教育費につきましては、今までよりも十分に優遇した單位費用を基礎にいたしまして、これを法定して、同時に若しこれを平衡交付金として交付はいたしますが、その内容に盛られましたところの單位費用を下廻つて、即ちそれを使わずに、ほかの方面に廻して、教育費というものを減すというような場合があるならば、文部大臣からその地方公共団体に対して警告を発する、若し警告を発しても、それを言うようにしないという場合には、平衡交付金を全部その点だけ引揚げてしまう。こういうようなまあ制裁的の考えも織込みまして十分教育費を確保するという、こういうような平衡交付金法の一部改正案をこの国会に提出いたしまして、そうして皆様がたの御審議を願いたいと、こう存じておる次第であります。
○楠見義男君 大蔵大臣に簡單に一点だけお伺いしておきたいと思います。それは現在私どもが審議をいたしております昭和二十七年度予算の重要性につきましては、私どもはこの予算は講和発効に伴う予算であると共に、自主独立回復後の第一年度の予算として将来の国政運営を指示するものとしての重要性を特に認めておるわけであります。従つてこの観点からいたしますと、明年度予算の中で重要な部分を占めておるいわゆる平和回復処理関係費二千三十三億、同時に又その内容をなす狭義の治安関係費とでも申しましようか、防衛分担金、安全保障諸費、警察予備隊、海上保安庁関係の経費、千八百二十三億、これらの予算が明後年度以降においてどういうふうになつて行くだろうかということ、その見通しについて非常に我々は関心を深く持たざるを得ないのであります。そういう意味で平和回復処理関係経費と、二十八年度以降における一般会計予算との割合、見通し等の問題について私は先般総理大臣に御質問いたしたのでありますが、その際に総理大臣に代つて周東安本長官の御答弁によりますと、大体来年度の経費の程度、或いはその範囲内で大体やつて行けるだろうと思う、これは明年度予算の編成方針にも国民生活の安定という将来の理想が固められており、それとの調整の下においていろいろの経費が含まれおるということが明示されておりますると同時に、一方では安全保障條約に基いて自衛力漸増方針というものを政府はお持ちになつておるわけでありますから、そこで全く相反したああいうような考え方があるわけであります。即ち一つは自衛力漸増方針を進めて参るとしますれば、経費は勢い後年度において増加せざるを得ない、ところが経費を増加しないということになれば、自衛力漸増方針が続けられない、こういうような全く相反した両極端の下における一般会計予算と平和回復処理費の関係でありますから、私どもは非常に関心を持つておるのであります。そこで総理大臣に代つてお答えになつた安本長官は、大体明年度の予算程度でやつて行けるだろう、又そうしたいというような意味の御答弁があつたのでありますが、ところが木村禧八郎委員でございましたかの質問に対して、大蔵大臣は二十八年度以降についてははつきりしないというような意味の御答弁があつたように私は記憶するのであります。先ほども申しますように、この問題は明年度予算を審議する上において私どもは非常に重要な問題だと思つておりますので、その将来における見通し、増税することなしにやつて行けるのかどうか、又内政費に圧迫を加えることなくしてやつて行けるのかどうか、勿論国力がどんどんと増長、伸長して参ります場合における問題は別でありますが、現在の見通しから申せば、決してこれは輸出の面におきましても、その他貿易の面におきましても決して楽観を許さない、国内産業につきましても、一部の産業は別でありますが、全体の産業からみれば決して楽観を許さない、こういう情勢の下においてどういうふうに我々は理解したらいいか、又政府はどういうふうにお考えになつておるか、この点を大蔵大臣からお伺いしたいのであります。
○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。先ずこういうふうに御説明したら御了解を得るかと思いますが、今年の見通しでは、昭和二十七年度の国民所得は五兆三百億であります。歳入歳出予算は八千五百二十七億円、このままで行つたとします。このままで行つたといたしまして大なる増減のありますのは、人員の整理その他で二十八年度は違つて参ります。人件費が或る程度減つて参りましよう。昇給はありましても……、私の見通しで一番殖えるのは遺家族の援護費でございます。二百三十一億六千万円でございまするが、再来年度二十八年度は、三百二、三十億円になります。百億円程度殖えると思います。それから今問題になつております軍人恩給の問題、これはどういう結果になりますか、これも相当な金額が要するのであります。今年は遺家族は二百三十一億円で少いといつて叱られておりますが、来年度は三百数十億円になることははつきりしている。これはもう国債を返して行かなければいけません、こういう点から見ますと、国民所得が五兆三百億で歳入歳出八千五百二十七億円ということになると、これだけ警察予備隊とか或いは治安関係を減らすか、或いは内政費を減らすかということになる。それをどこを減らすかという問題になりますと、そう食糧増産の関係も減らされますまいし、災害復旧も減らされますまい、平衡交付金も減らされますまい。こうなつて来ると問題は、輸出入関係で外為のインペントリイー・フアイナンスに手をつける、つけられるかつけられないか、こういう問題もありましよう。前年度剩余金はどうやるかという問題も出て来ます。それで賄えないときにはとにかく内政費か或いは防衛関係費か、或いは賠償か外債の支拂を遅らすか、少くするよりほかにない。それでは消費経済と申しましようか国民生活も下るかも知れない、防衛力強化もできない。こういうことになつて参りまするので、私は一にも二にも国民所得を殖やして行くこと、国民所得を殖やして国の経済を興して行く、そうして收入を図る。その收入の増加した分をどつちに向けるかということになると、先ず第一に国民生活の水準確保、向上、それから国内の経済力の上昇、そうして自衛力の漸増ということになるわけであります。この三つを、どれを一番先にやるかと言いますると、我々としましては先ず第一に国民生活の維持向上、国の経済力の発展ということを先ず考えなければいかん。二番目に防衛力の漸増強化ということになると思います。防衛力の漸増と申しましても、御承知の通り千八百二十億のうちの防衛支出金という六百五十億円につきましては、岡崎国務大臣の努力によりまして減らされれば減らしてもらいたいということを申出ております。向うでは向うなりに金がかかるのだという答えでありますが、我々としては減らされるなら減らしてもらいたい。是非減らしてもらいたいということは、私は事務当局を通じてラスク氏にも言つております。岡崎国務大臣にもお願いをして言つております。それからもう一つは、警察予備隊を殖やす、或いは海上保安庁の経費を殖やすといたしましても、やはり殖やし方がある。午前中に申上げましたように、人員を殖やすとか裝備をよくするとか、こういう問題がある。こういうところの考えも考えて行かなければなりませんし、又安全保障諸費、こういう駐留軍の移動その他の建設費、これは私は昭和二十八年度においては減らし得るのじやないか、そういう強い期待を持つております。こういうことから考えますると、防衛力の漸増計画を具体的に出せとおつしやつても、第一の国民所得はどうなるかという問題、その次は歳入がどうなるかという問題、而してその程度によりましてどの程度国民生活水準の確保向上、或いは国内経済力の発展のために資するということと兼ね合せて行かなければ、一つの考え方として漸増ということは持つておりますけれども、金がなくて力がなければできないことであります。我々は一つの考え方として漸増ということを考えておりまするが、今具体的にどうこうという段階に至つておりません。で、私の考えとしては八千五百二十七億円のうち千八百二十億円というのは相当の防衛関係費であります。今の日本の国情から言つて、私は現在ならばこれが最大限……総理は最小限と言われますが、これは要求するほうから見れば最小かも知れませんが、出す私としては最大限度で、適当なものと思つております。そういう答えをしたように、私はそう急激に殖やすということは極力避けたい、こういう考えでおるのであります。
○楠見義男君 本年度において第一に生活水準の向上、その次に国内産業の振興、更に又三番目には治安の維持の充実、こういう点について先般の木村委員の御質問にも、只今お述べになつたと同じような趣旨のことがあつたと思うのでありますが、その場合の生活水準の向上の問題は、これはもう簡單にお伺いするわけでありますが、政府は明年度においては、本年の八二に対して明年度は八四、戰前の生活水準に比較して八四を目途にされておるようでありますが、後年度においては、この八四を更に上廻つて、これはまあ当然のことと思いますが、お伺いいたしますけれども、八六とか、とにかく八四を上廻る生活水準をお考えになつておると、こう理解していいかどうか、お伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 私は八四とか八六とかという計算はまだいたしておりません。御承知の通りに安本その他が発表しておりまする生活水準の数字は、昭和九—十一年を仮に、九—十一年だと思いましたが、基準年度をとりまして、今の経済状態に或る程度の補正を加えまして、そうして出した数字でございます。で、この数字によりますると、昭和九—十一年を一〇〇といたしまして、終戰直後は二・三〇—四・五〇でありましたか、今発表は月ごとにいたしております。二五くらいにも昨年中下つたのもあります、七〇まで行つた月もございますし、或いは十二月なんかは九二くらいまで、九〇を超える月もあつたかと思います。昭和二十五年度の平均が七三だつたかと思いますが、正確な数字は覚えておりません。これは月々に非常に移動がございます。こういう生活水準の数字から言つて後年度、後年度というのは楠見君はそう言つておられますが、仮に昭和二十七年度の後半期に平均八四とか八六とかというのはなかなか出にくいかと思います。私は生活水準を昭和二十七年度に八四とか八六とかというのはなかなかむずかしいと思う。それから片方の、生活水準の問題で都市関係で申しますと、收入金から税を引いて、そうして物価関係を掛け合わした数字、こういうふうになりますと、戰前に対しまして一〇〇を超える場合もありますし、八五の場合もあるのであります。その生活水準をとりますると、これは八四・五ということはむずかしいことではないと思う。いろいろな生活水準の計算の方法がありますので、はつきりした数字はございませんが、これは又その数字にも私は或る程度疑問を持つと言うと、政府の数字をけなすようでありますが、この金銭的な問題でなしに、その質の点が……同じ石鹸を買いましても、非常に質がよくなつた場合に、同じ二十六円とか三十円で買つた石鹸でも、半分以上粘土質の場合と全部油脂原料の場合とは、同じ使つてもそこに生活程度が違つて来る。こういう見えざるところのものも私は或る程度考えて行かなければならぬのじやないか。今度は又生活水準……エンゲル係数のことを言つておりますが、エンゲル係数も六四・五からだんだん下つて参りまして、昨年の十二月は五〇・四、五〇・四か五〇・六だつたと思いますが、この一月はちよつと又上りまして五一になつております。併しこれを前に比べますると、エンゲル係数というものは六五・六から五〇或いは五一に下つている。こういうことは、この面では生活水準が相当上つて来ております。三五六・になるのはなかなかむずかしいのでございます。この生活水準をやはり長い眼で一年或いは二年というところをずつと割出して行かないと、月々によつて違います。今八四とか八六とかいう御約束はできませんが、考え方といたしましては、どの面から見てもよくなる、よくなりつつあるのだということを国民に知つて頂くような施策をとりたいと考えておるのであります。
○楠見義男君 今の生活水準の問題をここで又具体的に数字について質問申上げておりますと時間がかかりますので、これは是非別の機会に経済安定本部のほうからでも御説明を煩わしたいと思いますが、私どもはこの生活水準については、今大蔵大臣がお述べになつたような意味の頼りない数字だとは実は思つておらないのであります。実質的にいろいろ換算をし又調整をして、戰前並びに現在の情勢を、特に一年平均を通じて戰前の何%になつたか、又この予算を施行する上において何%になるか、こういうことについて相当重大な関心を持つておるのであります。経済安定本部のほうでは、明年度の見通しはこの予算を施行した結果において八四という数字をたしかお出しになつておるのでありますが、その我々のよりどころにしております数字が、あやふやなものであれば、これは非常に審議の上においても困るわけでありますから、別の機会で結構でありますが、明らかにして頂きたいと思います。 もう一つ大蔵大臣にお伺いいたしますことは、同じく平和回復に伴う経費の中で、連合国財産補償費百億、平和回復善後処理費百十億、この二百十億の中で百億は連合国財産補償費でありますから、これは法律に基いて明後年度も同じく大体百億出されるのじやないか、そうすると残りの百十億は外債処理なり又賠償関係を賄うということになるのかどうか、この点についても各賠償要求国のこの賠償要求総額がきまらなければ、日本の態度がきめられないということを言つております。と同時に一方では、できるだけ誠意を持つてこれを賠償して行こうということを考え、更に総額としては日本経済の存立可能な限度においてこれをやつて行こうという一つの制約があるわけであります。従つてこの点についても大体明年度予算の程度の範囲内で賄つて行きたいという意味のことを、これ又総理大臣に代つて周東安本長官はお答えになつておつたようであります。大蔵大臣のこの点についての御所見をお伺いしておきたいのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 平和回復善後処理費はお話の通りに二百十億円でございまして、連合国財産補償で百億円出しまして昭和二十七年度の予算としては残り百十億円でございますが、御承知の通り昭和二十六年度におきまして平和回復善後処理費百億円の御決定を頂いておりますので、昭和二十七年度におきましてはこの二百十億円でやつて行こうといたしておるのでございます。で、連合国財産補償は私の見積りでは大体二百六、七十億円かと存じております。従いまして、二十七年度、二十八年度百億円ずつ出せば二十九年度は減つて参ります。問題の二百十億円の金で賠償、外債或いは援助資金が拂えるかという問題でございますが、これはたびたびお話し申上げてましたように、賠償がきまりましても年フルに働くわけではございません。それから外債或いは援助資金の支拂のことも、これはやはり相当の交渉を要することでございまして、交渉のまとまりますのがいつになりますか、これによつて二十七年度におきましてはかなり動くと思うのであります。私の見通しでは二百十億円ならば、午前中にもお答えしたように大体二十七年度は泳げるのではないかと考えております。
○国務大臣(周東英雄君) さつきのお尋ねでありますが、お答えいたします。大蔵大臣の話とは別に食違つてはおりませんが、これは見方の問題であります。七二、或いは六九、六八というのは大体都市における生活水準がとられている。それから農村における関係は多少違つておりまして八〇—八五というところを辿つております。先ほどお示しの点は今日の場合におきまして、都市関係におきましては七二、三、農村関係は九〇近く、平均して八四、こういう関係になります。而して国民生活水準の算定は、国民総所得という面から租税その他の国家引揚の面、それから産業資金を引きまして、消費に当てらるべき総額というものを国民の消費関係に当てられる分として割つたもの、これは農村と都市と別々に出ておりますので、農村は非常によく、都市が惡い。こういう関係で両方平均いたしますと八三、四になる、こういう現状でありまして、大蔵大臣は大体都市のことをお話になつたのであります。
○楠見義男君 もう一点だけ、大蔵大臣にお伺いいたしますが、若しほかの委員のかたから御質問があつたとすれば御答弁は要りません。それは安全保障諸費五百六十億については、その一端は衆議院の予算委員会なり或いはこの委員会でもお述べになつたようでありますが、具体的にその内訳についてはつきりとした数字がきまるのは、この我々が予算を審議しているうちにきまるのか、その辺をお伺いいたしておきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 結論から申しまして三月中にはきまらないと思います。御承知のごとく六大都市を中心にいたしまして駐留しております米軍の移動に伴う経費が主でございます。で、どこへどれだけの部隊が移動するかによりまして違つて参ります。そうして又、移動した場合の通信関係、無線有線その他でも違つて参ります。所によりまして道路その他の延長、幅員がきまりますので、これによつて変つて参ります。又所によりまして木の橋を架け変える、又既設の道路の幅員をどうするかによつても変つて参ります。それから海運連絡施設、いわゆる港湾施設等におきましてもどの程度日本が使つて、向うが非常に困るというときに設備の強化ということも考えられますので、これは行政協定の合同委員会によりまして、それがはつきりいたしましてからの問題になると思います。先ほど申上げましたように二十七年度は多く要りますが、二十八年度におきましてはこれはよほど減つて来ると期待いたしております。
○楠見義男君 その移動に伴う経費というものは五百六十億の中でどの程度占めているか。若し今頭にお持ちでございましたら……。
○国務大臣(池田勇人君) 大体五百六十億を見込みましたのは、施設関係で三百七億円でございます。で、営舎の関係、住宅の関係、敷地の関係、即ち敷地で九十万坪くらいは予定しております。住宅のほうは十二万坪、営舎のほうは四十万坪、これは私の記憶でございますが、大体三百七億、それくらいであります。それから通信その他の施設関係のほうが、百十億円ばかりでございましたか、道路につきましても八十億……。
○楠見義男君 資料を頂いておりますから……。
○国務大臣(池田勇人君) ただ問題になりますのは、治安機構の強化、教育関係の問題、これは三億円ばかりを見込んでおります。こういう状態で一応の目安をつけておるのでありますが港湾、道路、或いは住宅、通信或いは営舎の移動があることを御了承を願いたいと思います。
○山田節男君 今のに関連する問題で……。今の大蔵大臣の御説明によると、安全保障諸費は今後駐留軍として移動し、それに伴う施設等の金になるというお話でありますが、これは私一例を申上げますと、例えば私の裏が今度リツジウエー大将が来るというので、周辺の道路を全部舖裝してそれをやりかえる、それから今度向うへ移る、駐留軍の総司令部が移ると予想される市ケ谷の元の士官学校、ここも、私もしよつちゆうあすこを通つておるが、すでに数カ月前から砂利とか、セメントの大変なものをあすこへ置いて工事を始めておる、どうするのだろうと思つておつたら、今度あすこが駐留軍総司令部になるということ、そうすると、こういう費用は当然安全保障條約と言いますか、それに基いた行政協定によつてこういう防衛支出金とか、安全保障諸費、安全保障諸費は、そういうものに使える建前になつておるにいたしましても、すでにそういつたような金を拂うような仕事をしておる。もう数カ月前からやつておる。こういつたような金は、終戰処理費で賄つておるのじやないかと私は思つておつたが、そういつたものは行政協定の如何、或いはこの予算が通る通らないにかかわらず、そういつたようなものも終戰処理費賄つておると、こういうふうに認めてよろしうございますか。
○国務大臣(池田勇人君) ご承知の通り、終戰処理費で進駐軍の住宅を建てました、又終戰処理費以外の見返金でも有料で建てたものもあるのであります。只今のところは、終戰・処理費で進駐軍の経費に充てておるのでございます。で、市ヶ谷の分が総司令部になるということは最近きまつたことでございまするが、お話の通りに砂利やセメントは一年前から積んでおつたのは私は目撃しておるのであります。これは只今から終戰処理費でやつております、これは占領費でございます。併し問題の或いは都内にたくさんあるビル、すでにとつていた営舎にいるこういう軍人、その他のものが移動する場合の施設、その他の費用をそこで見込んでおるのであります。で、今までの終戰処理費は最近の場合におきますと、土木建築関係の費用は極く小額でございまして、労務関係或いは通信、運搬、備品費等がその大部分に相成つておるのでございます。
○山田節男君 そういう御答弁ですが、例えば私の知つておる範囲で旧軍港の地区なんですが参りまして、将来基地或いは基地に類するものとして利用せんがためにやつておるように思われるのですが、或る地点におきましては相当な金を使つて工事を急いでやつておる。もうすでに平和條約なり安全保障條約の効力が発生する真近かになつておつて、而も数カ月前から将来を慮つての工業どんどん行われておる。そういたしますと、今審議の議題になつておるこの安全保障諸費というもののうちの数十億かの金は終戰処理費で賄つておる。口実は終戰処理費でないかも知れませんけれども、実は終戰処理費で以て、安全保障諸費で支出すべきものを現在使つておる、私はかように思うのでありますが、予算的にはこれがまだできておりませんが、その前にそういう安全保障諸費は実質的には使われておると私は思うのですが、大蔵大臣はさように御解釈になりませんか。
○国務大臣(池田勇人君) これは安全保障諸費の使途の問題でなくて終戰処理費の使途の問題と解釈いたしております。そこでどれだけの金がそういうふうな終戰処理費でなしに安全保障諸費になるべきものかという数字は聞いておりませんが、終戰処理費の範囲におきまして事業が行われておると考えておるのであります。
○委員長(和田博雄君) 小林君。小林君の持時間はあと二十五分です。
○小林政夫君 簡單に、楠見委員の質問間とも関連して……、自衛力漸増の問題でありますが、米国負担分が、先般の大蔵大臣の当委員会においてのお話では、大体米国軍の負担することになるのは、大、七千億円であるということを言われたわけでありますが、その内容はどういうものであるのか、経営費的なものであるか、固定的な経費も含んだものであるか。
○国務大臣(池田勇人君) これは私はどのくらいアメリカが日本の駐留に対して使つているかということは、向うの財務関係のかた、その他のかたについてお聞きしたのでありますが、はつきりした文書ではもらつておりません。ただ御承知の通り一九五二年の分では五百十何億の軍事費でございます。そのうちいろいろな兵数とか或いは陸軍、海軍、空軍から想像いたしまして十六、七億乃至二十億ドルということは、向うのかたから私は二、三回聞いておるのであります。その内容はどうかと申します、駐留の陸軍或いは海軍、空軍の先ず将兵の俸給、被服、食糧、これはもう全部向うでございます、そして軍の移動、これは日本国内でなしに日本に来たり帰つたりする軍の移動も向うがやつております。それから裝備、この費用は私は相当のものだと思います。これは小林君のこの前グロムイコのあの分だつたか、どの会だつたかとこういうお話ですが、私はその前から実は研究したこともあるのでございますが、軍艦だと一トン大体二百五百十万円ばかりかかります、飛行機だと大体戰闘機一億円余り、こういうところから考えましてアメリカの駐留軍の向うの費用が六千億、七千億というものは私の肚ずもりからいつてもそのくらいかかるのではないか、こういう気がいたしておるのであります。私の單なる想像でなしに、向うの相当の権威のある人から大体このくらいな計算ということは聞いております。而してこの分を発表していいかというと発表して差支えない、こういうことであります。
○小林政夫君 そうすると自衛力を漸増して行つて、我々としては、日本としては米軍と日本人が自衛に当る、例えば警察予備隊の人件費は違うでしよう、食糧費も違うでしよう、そういうようなことで多少減額される点はありますが、大体この程度で実質的にこの程度の裝備と力を持つだけの防衛力を作ることが、今同じ状態とするならば、国際情勢或いは武器の発達の程度等は、今の地点をとつて現段階においては、一応この六、七千億の米国負担分ぐらいの力を持つということが、日本の安全の目標であり到達点であるというふうに考えていいわけでありますか。
○国務大臣(池田勇人君) これは何と説明申上げていいか、軍隊殊に海軍陸軍を作るということになりますと、初年度の経費というものは莫大なものである。例えば戰闘機一台作るには一億円余りかかりますが、これに油を注ぎ飛行場その他の問題、人件費等の問題がありますし、飛行機だと調弁費の億円の四割ぐらいの維持費、一度に、例えば戰争中は主力艦六十万トン、補助艦合せて全体で百万トンぐらい……、これを今のように計算いたしますと大変な、何兆億円、こういうことになる。だからアメリカの今の軍隊は既設のものをこしらえてそれの維持費でそのくらいかかるのでございますから、これを日本ですぐこれからやろうということは、これは六千億、七千億ではかなり困難です。グロムイコの言う日本の戰闘機二百台、或いは練習機百五十台にいたしましても、何千億円かかる。何千の数字が違いますが、相当になるのでございまして、私は軍備という場合においてどの程度の裝備を作るか、こういうことで大変な問題でございまして、アメリカが日本で使つている六、七千億円、日本で六、七千億円出せば、すぐそれだけのものができるかというと、これは諸費調弁に莫大なもので、総理が言うようになかなか軍備はできないということはそこから来ているのであります。
○小林政夫君 それで先ほど、固定的な、言葉が惡かつたのですが、固定的な費用と維持管理的な費用と聞いたのでありますが、先ほどの御説明で、裝備等も入つているようなふうに聞こえたものですから、そう言つた。今言われた言葉で言うならば、諸費調弁を含めて全体で六、七千億というふうにとれたのであります。一応それではそういつた形ができ上つたものを維持して行くだけの費用が六、七千億であるということであつて、その初年度に、最初に飛行機を作り或いは軍艦を作るというような費用がこのほかに加わる。そういつたものに漸次日本の防衛力はそこまで行かなければ駐留軍に撤退してもらうというわけには行かなくなるとすれば、結局これが現段階においては維持費的なものが六、七千億要るということが目標というか、防衛力の、日本政府並びにアメリカ当局の考えておる日本の安全はこの程度でやれるという点と考えておるわけですね。そういうふうに考えられるわけですか、そうしますると結局防衛支出金は減つても、だんだん防衛力を強めて漸増して行つて、二十七年度においては警察予備隊費五百四十億円と、海上保安庁関係で七十三億円。六百十三億円というものがだんだん殖えて行く。そうして結局防衛支出金が零になつたときにその警察或いは保安隊という名前を変られるのか。要するに日本の防衛に当る費用というものはこの六、七千億円に達しなければならんというふうに理解していいのですか
○国務大臣(池田勇人君) この六、七千億円という第一の御質問の点がはつきりいたさないのでございますが、この裝備を何年間にどうするかという問題で経費がよほど違つて来る。だからそういう問題もあります。それから駐留車がいつまでこつちにいるかという問題のとき、向うの陸軍が減つて海軍がそのままの場合と或いは将来陸軍は全部要らない、海軍と空軍を置こうという場合もありましようし、いろんな点がありますので、なかなか申上げかねるのでございまするが、とにかくもアメリカは国防費として五百十六億ドルを使つて行く、イギリスは昨年度の予算では十三億ポンド、或いは十四億ポンドかもしれませんが、その程度でございました。一兆五千億くらい使つております。そういうところから考えて、アメリカの援助或いは駐留なしに日本がどれだけの経済力ができるかということは、これは又十年先、二十年先の国際情勢にも影響いたします。これは、私はとにかく今我々の考えることはグロムイコの言つたような十五万の陸軍と、そうして十万トンの軍艦、二万五千の乗組員、二百機の戰同機と百五十機の練習機で、私はこれだけこしらえても七千億円は優にかかる。併しそれを日本でこしらえようとしてもインフレが又起りますから、これはなかなか大変なことである。ところがそれだけのものをやつて戰争ができるかというと、一人の軍人を三カ月間戰闘さして行くということになりますと、ストツクが大変要る。彈丸なんかに……、一発今日本の予備隊が撃つているのは一発百円でございます。年に二千発ぐらい撃つということを聞いておりますが、一人で練習のために二千発使うと百円で二十万円十万人で二百億円の彈丸代である。彈丸をそんなに撃てば、小銃はもう一年半ぐらいで駄目になる。こういうことから考えますと、七十年、八十年経つて日本の軍備のあれだけのものを、十分の一にいたしましてもこれは大変なことであると大蔵大臣としてはびくびくしているわけなんでございますが、なかなか再軍備も今のところはむずかしい、こういう状態でございます。
○小林政夫君 先般私が要求した現在政府が考えておられる日本の現在の憲法下において、その範囲において一体どの程度の防衛力を持とうとしているかという点とも関連をし、又将来日本が安全保障條約によればだんだん力を持つて駐留軍が一日も早く、それから安全保障條約でも、アメリカも日本独自の力で日本の安全が保障されることを期待しているわけであります。我々としてもいつまでも駐留軍のお世話になるということは好ましくないので、いろいろ将来のことはだんだん変つて来るわけで、一応或る一地点を捉えて考えないと、こういうことは具体的には言えないわけであります。でそこで現在の地点を捉えて見れば、六、七千億円というようなところが日本のいわゆる現在の政府の考えておる安全保障をするに足る費用である……。勿論それを一遍に出すということは大蔵大臣が言われたような問題が起りますのでそこは適当な計画を持つて行かなければならんでしようが、段階を踏まなければなりませんが、一応の目途はその辺じやないかというふうなことが考えられるという意味において質問したわけで、先般要求した資料の御提出と関連をして少し誘い水を入れたのですが、それからこれはまだはつきりいたしませんが、いずれ提出された資料を見て又検討いたします。 それから内政費について大蔵大臣の説明によると、二十六年度に比べて二十七年度は百三十五価円殖えると、而も外国為替資金に対するインベントリー・フアイナンスを除外して考えると五百八十五億殖えておる。従つて内政費は絶対に圧迫しておらないというような意味にとれる説明を本会議でも当委員会においてもなさつておるのでありますが、これをパーセンテージに現わしてみると、イン・ベントリー・フアイナンスを除いた内政費を比較すると五百八十五億というのは、昭和二十六年度のインベントリー・フアイナンスを除いた内政費に対する。パーセンテージは一〇・五二%になるのです。そうすると物価の騰貴の比率からいつてこれで実質的には内政費が殖えておるということにはならないで、むしろ減つておるという結論になる。又更にこれを分析してみますと、この内政費の中にも物価騰貴の影響を受けるのと、受けないのとある。そこで更に細く割つてこの提出された二十七年度一般会計歳出予算の分類というのがありますが、これによつて給與関係等に関するものは除いて、教育文化費と社会労働保険費、産業振興費、物価安定費、国土保全及び開発費という6、7、8、9、それから12を加えてその中から更に二十六年度の国際通貨基金及び国際復興開発銀行出資という二百億円を二十六年度分から引いて考えますと、殖えた割合は一九・四%になるわけであります。更にそれを細く、今挙げた教育文化費或いは社会労働保険費、産業振興費、物価安定費、国土保全及び開発費おのおのについて検討してみても、物価の上昇をパーセンテージで考えてみると、決して内政費は殖えていない。むしろ実質的には減つているという結論になる。そのことは物価の騰貴率については東京卸売物価指数、大体本年度の予算、二十七年度の予算は二十六年度の十一月の物価をベースにしておられるようでありますが、又二十六年度予算について比較するために二十五年度の十一月と二十六年度の十一月これを比較してみると、約二割五分くらい上つておるということになるので、実質的には内政費は減つているというふうに思われるのです。数字的に御答弁を願います。
○国務大臣(池田勇人君) 表面の数字は財政演説その他で説明した通りです。実質的にお考えになりまするが、実質的に考えることもこれは必要でございます。併し国の財政というものを、物価騰貴の割合に合わせてどんどん合わしたら緊縮財政はできない。全体としてどこに重点を置くかということを我々には言つておるので、物価騰貴その他の関係から申しますれば、これはもつと歳入歳出が殖えるのが当然と言えば当然と言える場合もあるし、八千五百二十七億円をどこに重点を置いて使つているかという問題になりますと、財政事情、その他の事情のときにお答えした通りであります。
○委員長(和田博雄君) 小林君あと五分しか持ち時間がありませんから、そのおつもりで一つお願いいたします。
○小林政夫君 まあその面は、例えば産業等に対する投資等にしても、政府の説明だと回收金があるから決して前年度と比べて減つておらないのだということであります。まあ日本輸出入銀行、或いは国民金融公庫、住宅金融公庫というようなものの回收金を合計して見ると、成るほど数学的には殖えるわけでございますが、これは二十六年度の回收金を使わなかつたとして殖えるということになる。二十六年度に回收金を投資に使わなかつたとした場合には、五・一%弱の増加になるわけです。これも私は今の結論から言うならば、実質上は殖えておらない。そこで何も殖えておらないということになると、これだけの防衛力を強化し、そして又賠償、或いは平和回復に伴う善後処理費というものが相当かかるのであるから、内政費を或る程度圧迫するということは……、事実今年度の予算において相当圧迫しているはずなんであります。それを特に圧迫しない、むしろ内政費は殖えているんだというふうに言われることは好ましくないのじやないか、国民に相当の……若し政府の意図を徹底させる上においても、或る程度生活については苦しくなるんだというふうな点をしつかり言つたほうがいいという意味において質問をしているわけであります。で特に産業投資の点についてこの資金運用部資金の金融債の引受けの問題については、これは政府が現在考えておられる長期信用銀行の設立とも関連いたして、資金運用部資金で金融債を引受けないということは相当長期信用銀行を育成する上においても非常に支障があるのだ。その点について大蔵大臣は長期信用銀行を作るというお考えになつた現在においてどういうお気持でおられるか伺いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 内政費の問題につきまして、投資が減つているからこの内政費がこれだけ実際圧縮されている。こういうお話でございまするが、この投資にいたしましても、又インベントリー・フアイナンスにいたしましても、殊にインベントリー・フアイナンスなんかは理想としてはなくしたほうがいいのであります。私はその理想に近寄つたと考えているのであります。 それから投資の問題にいたしましても、これは民間資金の増加ということと睨合せて考えなければなりません。又昭和二十六年度におきまして、一般会計から出す予定の分が状況によりまして抜けることも考えなきやならんことでございまして、私は内政費を圧迫したとは実は考えていないのでございます。 それから長期投資銀行を作るのに、資金運用部の金融債引受けがないのではないか、こういうお話でございました。これは私は財政演説でお断りしたように、只今のところあらゆる努力を拂つて貯蓄の増強に力を入れてそのスタートを切る。従いまして資金運用部資金も前年度に比べましては相当増加を来たしております。併し何と申しましても全体を通じましてバランスさす意味におきましては、見返りのほうで撒布超過がありますので、或る程度資金運用部でその尻を拭つて行かなければならん。こういう考えでおるのであります。それが私が予定しております資金運用部の総額以上になつたならば、これを私は長期投資銀行に入れようという考えを持つているのでございます。早い話が資金運用部資金におきましても政府の預金振替、預金百六十五億円見込んでありますが、これが最近の情勢では相当殖えるようであります。即ち今年度の自然増收もかなりあると見込まれますので、その間私の予定より殖えれば、それを資金運用部に預託して、そうしてやはり金融債の引受けの財源に充てよう、そして私は昨日も事務当局に言つたのでありますが、こういう国庫の余裕が殖えて来たならば、どうせ金融債を四月から計画を立てなければならんから、三月末までにどのくらいの金融債が予定できるかという計画を立てるように命令しておきましたが、少くとも私は四、五、六の金融債の引受けの百億程度は廻り得るものでないか。こういう見込を立てて今資金計画として出しております。あの資金運用部の計画にプラス金融債引受けとして七、八十億乃至百億ぐらいを目標とするという見通しを持つております。予算のほうは常に堅く見ておりますので、貯蓄増強なんかもかなり堅く見ております。予定以上に政府の收入が入つて参りますので、これは、資金運用部のほうに預託して金融債の引受けと、こういうふうになつて来ておる。初めから金融債の発行、前年度の百八十五億円というものが、二十七年度は残つておりませんが、私はそれ以上の金融債の引受けを期待してそれに向つて進んでおる次第であります。
○委員長(和田博雄君) 小林君、もう時間もありませんから……。
○小林政夫君 それで、先ほどの、当初の問題は、勿論インベントリー・フアイナンスは除いて話しておるのであります。これは一応大蔵大臣の思い違いでありますから、その点は……。それで、時間がないので、先ほど左藤委員から安本長官に御質問があつて答弁があつたようでありますが、やはり経済の見通しについて再検討を要するのじやないか……。鉱工業生産指数を二十七年度においては一四〇・六ということを目標にしておられる。又国際收支等についても最近の国内情勢の、国内事情の変化について申述べたのですが、時間がありませんから……。それからアメリカにおける軍拡の何かというような対外諸情勢の変化を一応具体的に指摘してみたいと思つたのですが、そういうような関係、或いはスターリング地域の輸入制限措置に伴う関係というような点からいつて、どうしても当初政府の見込まれた二十七年度の経済見通しに再検討をさるべきだ。それについて或る程度考えがあると思うのですが、どういうお考えですか。
○国務大臣(周東英雄君) 午前中左藤君にお答えしたように、私のほうでは絶えず情勢の変化というものは見つつ検討いたしておることは事実でありますが、最近の一、二、三月の状況だけで、輸出入の関係というものを将来に亘つて直ちに変更するということは考えておりません。
○波多野鼎君 それでは大蔵大臣並びに安本長官にお尋ねいたしますが、今国民が一番知りたがつておることは、独立後の日本経済がどうなるか。そうして又自分たちの生活がどうなるかということであると思います。そうしてこの問題を考えるについて、気がかりになる点は幾つもある。その中の主なるものとしましては、三つの点が気がかりになつております。それは一つは日米安全保障條約によつて政府が責任を負うた防衛力漸増の問題であります。もう一つは賠償の問題であります。それからもう一つは貿易の問題であろうと思います。この三つの問題がどうなるだろう、この問題の解決の仕方によつては、日本経済もどうなるかわからん、我々の生活もどうなるかわからんという不安に襲われるのであります。そこでそれらの点についてお聞きしたいのでありますが、先ず先ほどからの質疑応答を通じて感付いた点から申上げますが、国民の生活水準の問題について、今大蔵大臣は、そう大して信用できないようなことを言つておられますが、あの生活水準についての経済安定本部の調査というものは、とにかく一応のよりどころになるのであります。それ以外によりどころがないのでありまして、腹ごなしできめるわけには行かんし、やはり何かのよりどころというものを求めております。そのより所の一つがあれなんであります。そこで先ず最初に聞きたいのは、防衛力の漸増計画は国民所得の何%程度までやるのか、どんな肚ずもりでおるのかという点、先ず一つ聞きたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 私は誤解があつてはいけませんから申上げるのでありますが、安本の発表されましたあの国民生活水準、これを否定するわけじやございません。それから又税引の生活水準、これを否定するわけじやございません。それからエンゲル係数のあの数字も私は毎月見ておるのでございます。これを決して否定したわけじやないのでございまして一応こういう数字が出る。ただ問題は、支出その他の点も考えなきやならんということを申上げたので、あれが金科玉條でありましても、あの数字も月々によつて非常に動く、そういうことを私は言つたのでございます。得てして長い間の安本の数字を見ずに、一と月、二た月くらいでどんどん議論がありますから、私は終戰後の状態からずつと申上げたので、私は何をおいてもあのCPIとかエンゲルとか或いは生活水準は、事務当局を督励するようにして早く知りたがつておるので、決して否定してはおりません。これはよりどころの数字。併しこれが非常に動きますから、それの動く月々に心配しちやいかんということを強調したいのと、支出の点を言いたいので、申上げたのであります。 次に防衛力漸増計画を国民所得の何%にしたがいいかという問題でありますが……。
○波多野鼎君 したがいいかじやなくて、どういう計画でおるか、あなたのほうは。
○国務大臣(池田勇人君) 何%の計画でいるかというお話でございますが、これはなかなか厄介な問題でございまして、国ごとによつて違います。国でもその地形によつて違います。人口の構造によつて違いまするし、生産力の状態或いは資源の点から申しましてよほど違つて参りまするが、これは御承知の通りに西ドイツでは国民所得の七・五%をやる。併し西ドイツの国民所得というものは日本の一人当りの国民所得の大体二倍半ぐらい。それからイタリーなんかというものは国民所得に対しましてこれは五%程度だつたと思います。イタリーの軍備は二十五万の陸軍と十万トンの海軍、そうして飛行機は、三、四百台しか持つていないようであります。それならイタリーの軍備は五%だからそれでいいかということになりますと、これも又イタリーの一人当りの国民所得は日本より上でございます。どのくらいがいいかということは、そのときの国際情勢或いはそのときの日本の国内情勢或いは国民生活水準、こういうことから考うべきであつて、今年の防衛関係経費が国民所得の二〇何%だというので、それに釘付けして考えて行く手はない、こういうふうに思つておるのであります。
○波多野鼎君 国民所得じやない。
○国務大臣(池田勇人君) いや、予算に対して……。
○波多野鼎君 実は外国のことの話を聞いておるわけじやないので、現在の日本をめぐる国際情勢、それから又現在の政府として責任ある地位におつて、日米安全保障條約の誠実な履行をしなければいかんと思う。その現在の日本の負わされている義務、それから国民生活の問題、経済の問題、いろいろなことを考えて、イタリーやドイツの例は要りません、日本ではどうしたらいいのだ、どの程度のことを考えておるのだということを聞きたいので、簡單にやつて下さい。私の時間は少いので。
○国務大臣(池田勇人君) 只今国民所得の三・五%で、そうしていつかも議論になりましたように、この防衛費は最小限と言う人もありますし、私は最大限、最小限であり最大限、それで千八百二十億円と見た。而して来年度は千八百二十億に釘付けるか、三・五%にするか、こうおつしやいますと、そのときの情勢によつて考えなきやならん。
○波多野鼎君 今年度の警察予備隊或いは海上保安庁の整備費と申しますか、あれは日米安全保障條約によつて負わされた防衛力漸増計画の第一年度じやないですか。
○国務大臣(池田勇人君) 第一年度に違いはございません。
○波多野鼎君 そうしますと、一定の計画がなくて、第一年度だけ踏み出すというわけは私はないと思う。その計画の細かいことは勿論聞きたくないので、大体漸増計画を進めた終極点において、国民所得の何%ぐらいのところを押えておるのだということが聞きたいのです。
○国務大臣(池田勇人君) 漸増計画を何%に押えるということは危険なことでございまして、私はそのときの情勢によつて考えるのが一番いい。何と申しましても、日本八千数百万の国民がおりまして、警察予備隊の五百四十億で十分かと言つたら、これは足りません。そこで我々は漸増して行かなきやならん。而もアメリカから安全保障條約によつて守つてもらう。これも我々は独立国民としては防衛力の漸増をして行きたい、こういうのでございます。一つの考え方を言つておる。それじや漸増すると言つたから毎年の計画を出せと言つても、これは御無理だと思います。やはりそのときの国民所得、そのときの国民生活水準の状況等を考えなければならん問題だと思います。
○波多野鼎君 それなんです。生活水準の状況も、日本の国民所得の状況も、いろいろなことを考えて行かなきやならん。それの或る比率を目安としておけば、そのときどきの状況の変動に応じての大体の規模というものが一応国民の頭に入つて、この程度の国民生活水準とこの程度の国民所得というものがあるのだという楽しみが出て来るのですね。それをそのときになつたらどうなるかわからんと言われると、国民としては独立後一体どうなるかお先まつ暗じやないかといつたような気持のほうが強く出て来るのです。若し今の質問にお答えなければ、次の質問に移りますが、賠償の問題です。賠償についてはいろいろの国と交渉しておられるようでありますが、これも心痛の種の一つなんです。平和條約には、日本の経済力を破壊しないとかいつたような一つの限度がきめてあります。その限度内で賠償は支拂わせるということになつております。そこで日本の国民経済の規模というものを一体どういうふうに政府のほうでは考えて賠償の折衝に当つておるか。今配られた資料によりましても、産業活動指数は一四六、鉱工業生産指数は一四〇といつたようなものを来年度の見通しとして一つ頭に置いて予算を組んでおられると思いますが、賠償それから又対外債務支拂その他のものの支拂によつてこの産業活動なり鉱工業の生産指数なりというものがどの程度にまで抑えられるのか。或いは又逆に言うと、どの程度までこれを上げたあとで、あとでというよりも、上げることを前提として賠償の支拂に応ずるかということが一つ問題だと思うので、そういう点についての肚がまえを一つ聞いておきたい。
○国務大臣(池田勇人君) 波多野さんは、国民が防衛軍漸増について一つの見通しがなければ困るではないかという御懸念です。併し私はとにかく増税はしない、生活水準を維持向上させて行く、そうして防衛軍を漸増して行くのだ、こういうふうにやつて行けば……今の二十八年度に十一万何ぼになるということを言わなくちや安心できんというわけのものじやないと思う。而してその十一万人がたとえ殖えたにしても、人を殖やすのは財政的に大したことはないのでありますが、裝備の問題はどうするかというようなことがあるのであります。その点私は今後の経済情勢、国際情勢、いろいろな点から来るのでございまして、私といたしましては増税しない、経済力を進めて行く、そうして国民生活水準を維持向上し、経済力の発展を促しながら漸増する、この程度で御納得願うよりほかいたしかたがない。今ここで何万人殖やすとか裝備を殖やすとか実際問題は言えんと思う。(「そんなこと聞いてはいない」と呼ぶ者あり) そこで私は大体の基本的考え方を申上げておるのでありますが、賠償にいたしましても、やはり日本の経済をこわすような大きい賠償には応じ切れないことははつきりいたしておるのであります。だから他の機会で申上げましたように、日本の経済力を維持し、国民生活水準を確保、向上する、そうして隣保協助で、できるだけの賠償に応じ、又他には外債の支拂とか或いは援助資金の支拂、こういうものと対立して考えなければならん。即ち賠償をどれだけ拂わなければならん、外債をいついつどれだけ拂わなけばならんというとはなかなか言える問題ではないと思うのであります。
○波多野鼎君 どうも吉田内閣はずるいですよ。この前も吉田総理に私が質問しますと、私の質問しないことを質問したかのごとくに言つて憤慨しておるのです。今の大蔵大臣の答弁もそれなんです。私はそんなことを聞いてはおらん。人数をどれだけにするとか、裝備をどんなふうにするとか、そんなことを聞いてないのだ。聞いてないことを聞いているがごとく言つて、そんなことには答えられん……、それは少しずる過ぎるですね。私の言つているのは、国民所得との関係、それから生活水準との関係をどう考えているかということを聞いているだけなんです。 〔委員長退席、理事内村清次君委員長席に着く〕 答弁はないのだ、あなたの……。それから賠償の問題でも、日本の経済をどの程度まで発展させるということを政府は念頭においてそうして賠償の問題を広義に取扱つて行くのだということを国民に知らしたほうがいいと私は思うのです。賠償を拂うのは皆国民ですよ。決して政府が拂うのじやない。だから賠償交渉に当つて国民的な支援をそれに入れなければならない。交渉の場合にも、そういうためにはやはりそういう点について国民に或る程度納得を與えておくことも必要じやないかと私は思うのです。政府がそういうふうな必要はないと言うのなら聞きません。答えてもらわなくてもいいです。 それから次の問題に移りますが、日本の経済の二十七年度、短い期間をとりまして、二十七年度におきまして、今配られた経済指数など見ておりましてもいろいろ問題が起きる。これはこの前からこの予算委員会においても何度も問題になつておるのでありますが、外国貿易の問題なんです。外国貿易の発展がなくして日本経済の発展というものは考えられない。すべてが外国貿易にかかつております。ところが、最近の情勢を見ておりますと、アメリカあたりでもすでに日本の経済発展についてチエツクを加えようとしておる。例えば「まぐろ」の罐詰の問題、今問題になつておるのは、アメリカが日本の陶器の輸入関税の引上げ問題、或いはミシンの引上げ問題、或いは自転車、すべて日本が輸出しよう、ドル地域に輸出しようという物については、向う様のほうでは関税を引上げてそういう物が入つて来ないような方策を講ずるという業界の意向によつて、アメリカの国会も相当動かされておると思う。他方ポンド地域を見てみますれば、御承知のような状態なんです。すでにイギリスがポンドの手持が十五億ドルを割るか割らんかという危機に来ておるために非常手段をとつて来ておる。輸入の一億ポンド削減の問題がある。ニユージーランド、オーストラリアがそれに呼応して行く、インドも恐らくそれは呼応するでしよう。そういつたようなことで従来ポンド地域の輸出が多過ぎたというような……多過ぎたというよりむしろポンド地域の輸入が少な過ぎたということになるか知れませんが、ポンド地域との貿易関係についてはいろいろな問題が山積して来ている。ドル地域についての問題についても今言つたような問題が山積して来ておりますので、こういう事情の下において、果して二十七年度の鉱工業の生産指数が一四〇・六というようなところまで上り得るかということについてはいろいろ疑問がある。疑問がありますが、そういう細かいことは申上げません。ただ一つお聞きしたいのは、アメリカの関税引上げに対しましては、政府も業者も強力にこれに打克つような、これを阻止するような努力をしてもらいたいと思いますが、同時に日英支拂協定の改訂の問題があると思う。今調整の会議を開いておられるということを新聞あたりでは承知いたしておりますが、この日英支拂協定の調整の問題につきまして若干お聞きしたいのでありますが、第一にこの関税及び通商に関する一般協定、これへの加入を日本側は昨年から非常に努力して参つたのでありますが、これも今に至るまでも加入を許されておらない。昨年二月に條約の特別委員会のときにこの問題について私聞きましたところ、政府側の答弁では、主としてイギリスが反対しておるから、いわゆるガツトには加入がむずかしいのだという話がありました。ところがガットに加入いたしますると、日本商品に対する差別的な関税の引上げということはできなくなる、恐らくやれなくなりましようから、無論貿易を振興する上においては先ずガツトに加入するということが前提問題になると思いますが、これの見通しはどうなつておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 只今お叱りを受けたのですが、警察予備隊と生活水準の関係も、生活水準を上げるということを第一にしてそうして漸増を考える、こう申上げておるのであります。 賠償は日本の経済力の問題も、日本の経済力を維持向上しながら賠償問題を考える、こう答えたのでございます。私は御質問の点がそうだと思つて答えたのであります。 次のガツトの問題と日英支拂協定の問題、これはお話の通り両者とも甚だ困難な問題であります。日英支拂協定について、決裂してもかまわんという考え方もないことはございません。国際親善の立場からとにかく暫らく様子を見ようというので、ドル・クローズも外したのであります。然るところ両者の予想に反して、ポンドが溜り過ぎた。これを如何に解決するか。それならドル・クローズを復活すればいいじやないか、ドル・クローズを復活したあとの日英貿易をどうするかという問題があります。こういうことはやはり国際信義の問題、又将来の国際情勢の問題を考えつつ両者歩み寄つて行くよりほかございませんので、只今のところ向うの大蔵省関係とどういうふうにしたらこれが解決つくかという支拂協定の問題から今手を染めておるのであります。我々といたしましても、昨年オブザーバーとして関税協定に出たのでありますが、まだ正式に加入は認められておりません。どうしても日本の公正なる立場を十分関係各国に納得してもらうことが第一でございます。いろいろな交渉の点に苦労いたしておる状況であるのでございます。
○波多野鼎君 支拂協定の問題に関連しまして、行政振替のことがきめてあつたのでありますが、あの行政振替可能国の中にソ連が入つておると思うが如何ですか。
○国務大臣(池田勇人君) 私はその記憶ははつきりいたしておりません。而してソ連との今の貿易の量が余りございませんので、今その点記憶いたしておりません
○波多野鼎君 先般のイギリスの国会でそのことが問題になつたのでありまして労働党の議員が政府に質問いたしまして、行政振替可能国の中にソ連が入つておる。そうしてソ連から日本に対して、日本の手持のドルで以てソ連の品物を売りたいという申入れ、或いは話を日本に申入れたという事実があるかという質問に対しまして、イギリスの大蔵大臣は、そういう事実は聞いておるということを申しておりますが、日本政府は関知いたしておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 私は聞いておりません。
○波多野鼎君 それからもう一つ、同じ為替の問題でありますが、オープン・アカウント地域との取引の問題でありますが、オープン・アカウントによつて、例えばその地域から物を入れる場合と、それから、ドルの現金拂いによつて物を入れる場合とでは非常に違う。例えばブラジルから米を買う場合に、オープン・アカウントでやれば何ドルか、数字は忘れましたけれども、二百何十ドル、併し現金でブラジルから買えば百八十ドルといつたような区別があるということを聞きますが、それはどうなんでしようか。
○国務大臣(池田勇人君) ドルのオープン・アカウント勘定の分ではそういう違いはないと思います。今オープン・アカウントの勘定のドルが一億二千万ドルばかりあると思います。最近もこれは或る南方の国と、ドルでなくポンドで或る程度拂わしてくれ、それはとんでもない話だというので、我々はドルで支拂いをするか、或いは適当な向うの品物を買取る、こういうので、ドルのオープン・アカウントの問題につきましては絶対にドルでの支拂をこつちは要求する、こういう建前で進んで行つておるのであります。従いまして若し日本がオープン・アカウントのドルをポンドで拂うとか、或いは非常に高い値段で品物を買うというようなことになつたならば、お話のように一ポンド二ドル八十セントが幾らになるか……。只今のところは我々といたしましてはオープン・アカウント勘定ではドルを極力主張いたしております。そういう関係で今の香港貿易がオープン・アカウント国との中継貿易になつたりする、こういうことが起りますので、我々注意しておる次第であります。
○波多野鼎君 なおポンドの実勢相場というものが大分下つておる、最近は多少上つたようでありますが、公定相場と比べて二割見当なり下つておるのじやないかと思いますが、各国がオープン・アカウントにいたしましても多少の差別待遇をする、而もポンドについては公定相場と実勢相場とが相当開いておる。そういう世界の為替情勢が混乱しております。或る程度……、混乱しておるときに日本だけがまじめに為替のマル公相場にしがみついておるということでは、日本の外国貿易というものはうまく行かんのじやないかと思いますが、その点はどうなんでしようか。
○国務大臣(池田勇人君) 日本だけがポンドのマル公相場にしがみついておる。それじや損をするんじやないか、こういうお話で、これは気持はわかります。然らば如何なる方法を講ずるか、実勢の上で取引するといつても、今の場合ではなかなかむずかしい。これはやつてやれんことはございませんが、日英支拂協定をどうするかと、こういう問題に相成つて来るのであります。又国際通貨基金の問題もありますし、そういうところはこつちが実勢相場で行くんだというとき、今までのいろいろな関係を一擲してしまつて、ドル一本建で行くんだというふうな決心がつけばよろしうございますけれども、なかなかそういうことは今の日本の置かれた情勢としては困難でございます。そこで先般来やつておりますようなポンド対策をとらざるを得ない。あらゆる手を盡して行つて、そうして両者納得の上でこのポンド対策を円滑にやつて行く、こういう努力を拂うべきだというので、努力を拂つておるのでございます。ポンドの実勢相場で行くか、いろいろな点を考えられぬことはございませんが、今実行に移すということは私は危険なことだと考えております。
○波多野鼎君 今大蔵大臣、円とポンドのリンク、これを枢軸、中心として為替の操作をやつて行くということは、それだけじや危険だという意味ですか。ポンドとのリンクのことも考えなければならんという意味なんですか。
○国務大臣(池田勇人君) いや、私が申上げておるのは、ポンドの闇、即ちポンドの実勢、実力で決済をしよう、こういうことをやるということは、日本の置かれた立場としては危險だと言うのであります。これはニユーヨークにおきましてもポンドの公定の二ドル八十セントを割つた相場があるのであります。香港なり或いはシンガポールでもございます。併しそういうもんで、二ドル三十セントで行くとか二ドル四十セントで行くということは、今の支拂協定を前提として日英が立つている場合におきましては、これは支拂協定をやめるとか何とかいう問題が起つて参りますので、今直ぐそういう措置をとるということは危險だと、こう申上げておるのであります。
○波多野鼎君 いや、イギリス側がイギリスの外国貿易政策というものを急激に変更して参りまして、去年とは全く違つた貿易態勢をとつて来ておる。日本だけが去年と同じような態度で行く必要は私はないと思う。それこそあなたがよく言われる実勢に応じてこちらは態度をきめて行けばいいと思う。私は日英支拂協定の調整という話が出ておりますが、調整の会議をやられるならばそういうことは当然問題にさるべきじやないかと思う。日本の側から……。これができるかできんかは別なんですよ。別なんですけれども、イギリス側の貿易政策が急激に変つておるのにこちらだけ知らん顔をしている手は私はないと思う。その点どうなんですか。
○国務大臣(池田勇人君) イギリスの今度の保守党のバトラーのとつた政策は、輸入は制限し、輸出を抑えてはいけない。そのことは日本にどういう関係をもたらすかということは、これは我々も願うところなんです。併しそういうバトラーの政策が直ちに日本のポンドの蓄積をどれだけ緩和するか、これはまだわかりません。従いまして我々はバトラーの政策の如何にかかわらず、日本の状態からいつたならばポンドが溜り過ぎる、こういうことで先般来のようなポンド対策を吉田内閣としてはとつたわけなんです。そこでそのポンド対策をとつて今いろいろな折衝に入りますが、この折衝の中途においてポンドの自由、こういうふうなことを考えてすぐ出したら、これは切札ですから、そういうことじや交渉にならんと思う。それはもう我々はドルのほうへ行つてしまうのだ、ポンドはやめてしまうと言つては、交渉の余地はなくなると思うのです。私はあの日英支拂協定の中で、我々の予想に反してポンドが溜り過ぎた、これをどういうふうな方向でやつて行こうかということを話しておるので、而もその話は、バトラーの輸出増進、輸入抑制の線にも沿つておるわけです。そういうところで話合つておる。今ポンドは自由関係で行くんだ、我々はドルで行くんだと、こう言つたならば、もう交渉は決裂してしまう。だからいろいろな手はありますが、そういう手を打つということを表明する時期じやない。お互いに協調して進んで行くように話を進めて行くべきだと私は考えてそれで行つておるのであります。
○波多野鼎君 大蔵大臣の気持は多少わかつたのですが、今大蔵大臣は、言葉尻を捉えるわけじやないのですけれども、イギリスがイギリス領土に対する外国側からの輸入を制限したことはもつけの幸いだ。日本にとつては非常に都合がいいことだというふうな意味のことを言われたのですが、これは間違いだから……。そうじやないのです。そんなことをされたらだんだん日本の貿易の規模は縮小するだけのことで、今現在ポンド手持が多い。その現在の瞬間においては、それは或いはバトラー蔵相の政策とあなたの政策が一致するかも知れんけれども、そんな狭いところを見ておつたのではいかんので、日本の貿易の規模を大きくする、こういう点から、イギリス及びポンド地域が輸入制限政策をやつて来る、これは日本にとつては非常に不利だということを自覚された上で、支拂協定の折衝に当つて頂きたいと思います。 それから最後に法人税法の問題なんですが、現に今日各方面で過剰生産の問題が起きて、として紡績は四割、その他は二割、ゴムが二割とか三制とかいつたよう問題がどんどん出て来ておるときに、来年度の法人税收入の見込というのが相当大きく出ております。今年度よりも大体二〇%ぐらい増になつているのじやないかと思うのですけれども、これは私は少し過大じやないかという気がするのですが、どうなんですか。何か訂正される御意思はないのですか。
○国務大臣(池田勇人君) 日英支拂協定、その他貿易関係につきまして御指示有難うございました。できるだけの勉強はいたしておるつもりでございますが、なかなか厄介な問題でございますので、十分私も意を用いて善処して行きたいと思つております。 次に法人税の收入が最近の操短なんかで非常に懸念されると、こういうあれでございますが、私はそうは思つておりません。日本の工業生産力の問題、或いは資本増加の問題等から申しまして、来年度の收入が確保できると思つております。補正予算で千五百億円余りの自然増收を見込んで、水増しとかいつて大分叱られましたが、今年度の自然増收は今のところ相当に上つておるのであります。やはり経済力の高揚と申しますか、ただ二十七年度の法人税につきましても成る程度の沈みは前以て計画をいたして、例えば繊維関係でも去年の補正予算を組みます場合において、当初は去年の三月の決算期に対して九月の決算期は半分ぐらいになるだろう、或いはよくても七、八掛になるだろうというので、実は去年の七月頃計算しておつたのでありますが、結果から見ますというと、全体としては三月の決算期の百何十%、こういう工合になつております。これは今一時的に操短その他がありますが、この操短というのも、去年の法人税の紡績関係の分の数字がやはり四百七、八十から五百ちよつと余りの数字の計算で行つて、今は六百、それがどの期間操短するか、こういうことを考えまして、今直ちに法人税の收入をどうというふうには私は考えておりません。今年度の実績は、法人税はあの相当殖やした補正予算の見積りよりもかなり上廻つておる状況であるのであります。 〔理事内村清次君退席、委員長着席〕
○山田節男君 時間がもうすでに十分ぐらいしかありませんが……。
○委員長(和田博雄君) いや、十五分ありますから。
○山田節男君 極く簡單に質問いたします。さつき波多野委員から、国民が最も関心を持つておる防衛力の漸増に伴う国民負担の問題及び今後の補正予算並びに二十八年度の予算にどういうようになるかということについて大蔵大臣から何ら御明示がないわけであります。勿論これは技術的に非常にむつかしいことは承知しておるのでありますが、先ほど楠見委員からの質問に答えて大蔵大臣は、現在のこの二十七年度に計上してある千八百二十数億のものが最大限度である、これ以上は出せないということをおつしやる。これは私は、私の聞くところによると、ドツジ氏が昨年末来たときに、この安全保障関係の金は二千五百億くらいにしたらどうかという話があつたのであります。これは大蔵大臣の大いなる腕を振われた結果、千八百二十億に負けてもらつた。こういうふうに取るのでありますが、併し御承知のように、安全保障條約は日本の自衛力を漸増しなくちやならんという、殊に国際情勢がこういうように若し悪くなつて来た場合には、来年におきましては、警察予備隊は三万五千殖やすだけでいいかも知れませんが、今年度の下半期或いは来年度相当……今日ワシントンで議論されておるように、来年は日本の保安隊と申しますか、警察予備隊は三十万くらいにしなくちやならんという議論もある。そういつた場合に、楠見委員に対する大蔵大臣の御態度は、現在の千八百二十億円が最大限度である、こうおつしやるのでありますが、そのことはもう来る九月か十月の補正予算におきましてもこの件に関する費用は殖やさない、経営費に……補正予算にも出さない、若し出さなくちやならんような場合になつても、日本の経済の今日から見、又ドツジ氏の二千五百億円というのを千八百二十億円に負けたという自信から、決して補正予算にも自衛力の漸増に伴うような予算を計上しない、こういう意味の御回答であるか、確認したいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 賠償関係を加えまして二千五百億円ということは話にはありました。ありましたが、私は賠償関係を除いて、防衛関係経費としては千八百二十億円が昭和二十七年度では最大限と、こういう確信で進んで行つたわけでございます。而して昭和二十八年度、二十九年度にはどうかということになりますと、千八百二十億以上には殖やさんとは私は約束はできません。それはそのときの情勢によりまして国民生活水準を確保し、日本の経済を伸ばしつつ防衛を考えなければならん。併し昭和二十七年度におきましては、只今のところ最大限これ以上殖やす考えはございません。
○山田節男君 というと、今の大蔵大臣の言葉は、さつきもありましたように生活水準を切下げてまで防衛費の漸増をやらないということをあなた明言されておるわけです。若し経済がどんどん発達して国民所得が殖えれば、余力があればやる、併し増税はやらない。こういう非常に立派な、我々として心強い御声明をなさつておるわけでありますが、今回の御回答したと、この来るべき次の臨時国会においても補正予算の場合にもこういうものは絶対に出さないということに努力するという意味なのか。この点を一つ明らかにしておいて頂きたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) その通りでございます。繰返して申上げますが、先ず増税はいたしません。できれば減税を……財源を見てできれば減税をする。増税はいたしません。それから防衛費の関係は、昭和二十七年度におきましては、私は只今のところ千八百二十億円以上に殖やす考えは持つておりません。
○山田節男君 それは今の大蔵大臣の言葉は、非常に私たちも心強い限りでありまして、これを実行されることを大蔵大臣が努力されることを祈るわけであります。 次に過日問題になりましたマーカツト少将の外資云々の声明であります。今朝の日本タイムスを見ると、池田大蔵大臣は共産党の岩間君の質問に対してこれは、マーカツト少将の声明は、これは要するに外資を日本に送るのはコンマーシヤル・ベーシス以外は政治的借款である、或いはヨーロッパの或る国が援助しておるような経済援助というものは、これは全然来ないのだ。従つて外資の、外国の資本の投資に関する法律を、これを制定すれば外資は喜んで流入するであろう。こういうように申されたように出ておる。先ほど私は周東安本長官にもちよつとお伺いしたのでありますが、今回のマーカツト少将の言明は、これはもう大蔵大臣も言われるように、日本に外資を向うさんが出すのにはコンマーシャル・ベース、先ほど私は周東安本長官に、これは日本の産業政策と申しますが経済政策と申しますか、これがどうも日本が安全でない、回收なり或いは利子の年々の支拂の確保、このようなことが非常に大きな原因になつておる。その次には日本の今吉田内閣のとつておる金融財政政策、これに対する不信の現われだと私は思うのであります。そこで大蔵大臣は、この外資がアメリカからコンマーシヤル・ベーシスならば入つて来る。外国資本の投資に関する法律を制定すればどんどん入つて来るというようにおつしやつておるかに報じられておるのでありますが、その大蔵大臣の言われるコンマーシヤル・べーシスをよくして、日本に資本がどんどん入つて来るということは、先ほど来おつしやつておるようにインフレにならないということ、金融財政政策からいえば、飽くまで財政においては超均衡政策をとるということをおつしやつておる。併し事実一昨年から今年に比べますと、米の値段にいたしますならばもう三割五分以上殖えております。又昨年度に比べますならば米一斗にしましても二百五十円ばかり殖えておる。又賃金のベースにいたしましても、すぐに又上げなくちやならんというような情勢にあります。事実におきましてはインフンというものがそこにある。それから日本の物が国際物価より非常に高いということも、これはアメリカが日本に対する一つの不信の……、外国資本を投資することに対してのこれは大きな不信の一つになつていると思うのであります。そこで大蔵大臣がおつしやることと、現実の日本の金融財政ということと必ずしも一致してない。そこに私はマーカツト少将のああいつたような声明が出たのじやないかと思うのですが、大蔵大臣としては、この外資が導入されるためには、今あなたのおつしやつた飽くまで超均衡政策でやる。インフレは極力抑えるとおつしやいますけれども、事実物は上つて来ておる。而して金融財政というものは、向うさんにとつてアトラクテイブでない、魅力ない、私はこれを雄弁に告白していらつしやると思うのでありますが、若し具体的に総理のおつしやるこのコンマーシヤル・ベース、向うさんが望むコンマーシヤル・ベースというようなものを、金融財政的には具体的にどういうようになさるというおつもりなのか。これを一つ具体的におつしやつて頂きたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 昨夜マーカツト少将に会いました。向うへ行かれて又帰られたのですが、私病気をしておりました関係上会う機会がなかつたのであります。昨夜会いまして、明日は一つゆつくり話をしようということで、今日、今日は定例会議日でありまして参りました。外資導入のあのマーカツト声明の問題、吉田総理の答弁並びに吉田総理の答弁の直後私がこの席で答弁いたしましたのを全部知つておりました。で私の意見とマーカツト少将の意見は完全に前から一致いたしております。そこで今日もいろいろなお話をいたしまして、帰るとき、どうせこれは帰ると参議院の予算委員会でこの問題を話しただろうというので、こういうことで聞かれるから、自分の思う通りに僕は話しすると、こう申しましたところ、それでいい、自分の真意はこうだと言つて、自分で紙に三点書いてくれました。そのときにも申上げたのですが、総理がマーカツト声明は関知せずと言つたことは、これは言葉が足りなかつたと思います。総理も言つておりましたが、これはマーカツト少将の声明はマーカツト少将の声明、このマーカツト少将の声明を如何に新聞が取扱つて、見出しに載せるといつても、そういうことには関知せん。こういう意味と了解し、マーカツト少将もそれを見抜いております。そこで私は新聞に載つておりました詳しい内容は知つておりません。見出しをずつと各新聞のを見ますと、それで私の考えは、この前もここで申上げましたように、日本が外資の入るような道を作り、資格を作り、いわゆる向うが納得して来るような計画を持つて行けば、私はこれは日米協力の関係から入つて来る。これは言葉を換えて言えばコンマーシャル、ベースというもので入るのだ。とにかくどれだけの外資をやつてそれがどういうふうに使われて、そうしてそれが日本の経済の発展或いは自由国家群の発展にどう寄與し、そうして元本、利子がどういうふうに返るのかということならば、これは外資は来ます。これが一点。 第二の点、今外資々々と言つておるけれども、外資がここに積まれたからといつたつて例えば二億ドルの外資が来て、その外資を目安にして円を出したならば、日本はインフレになる。そういう外資の導入というのはなかなかむずかしいだろう。これは私もこの席で木村委員にお答えしたように、ドルが要るんじやない、日本の国内の生産力を増強するために、輸出が減つて外貨の支拂に困ることがあることを予想して外貨を入れる。或いは外貨があればそれによつて産業の近代化、その他向うの資材或いは機械等を輸入したい、こういうふうなあれであります。外資を積んでおくための分で、而も円資金の放出になる分であつたならば、これは意味をなさない。 第三の問題は、誰もが政治的借款ができるとかできないとかということは言えない。ノー・マン・キヤン・プロミス・オアでない。ポリテイカル・ローンズ・ザツト・イズ・アップ・ツー・ザ・コングレス、これは国会の問題だと、ここにはつきり書いて私に渡しました。その意味であります。今のところマーカツト少将は、これはアメリカでも国会でこういうことを言つて承認さしたということはなかなか……あつたかないか知りませんが、言えない。こういうことを言つておる。政治借款というものは、これはコングレスでやるべきであるといつて三点を言つたのであります。私は誤解のないように申上げますが、とにかく日本がこういう計画で、こういう金が要り、こういう資材が要る。これがどういうふうに日本の経済力を高め、日本の生活水準を高め、そうして世界経済に寄與して、そうして元本も入るという見通しがあれば、これはいわゆるコンマーシヤル・ベースで外資を導入する。又そういうことを期待いたしまして、それが民間であろうが向うの半官半民のあれであろうが、或いはワールド・バンクであろうが、その準備を我々政府としてはいたしておるのであります。で、私は一概に外資の導入が駄目になる、これは政府の責任じやないかというような議論にはまだ承服いたしません。これから我々の努力で外資が入つて来る。それは先ず民間の問題にいたしましても、私は最近も日本の実情から今のような外資法では入らない。早く変えなければならない。これは日米商工会議所の会議のときもこの問題をしやべりました。あれは非常に好感を以て迎えた。我々は外資法を変えれば相当来ると思う。現に輸出入銀行から四千万ドルの綿花借款がある。綿花借款に限らず、向うの機械等を借款することはこれは望みなきにあらず、国際開発銀行とのコネクシヨンはございませんが、MIFに入つたならば、これは山田さんの御承知の通り入り得る道がある。こういうことから考えまして、政治借款については衆議院の予算委員会におきましても、私から何とも言えないと言つておつたのであります。私はあの手この手で日本の復興を急速にするためには、外資が絶対に必要だとは申しませんが、急速にやるためには必要でありましてこの前も答弁しましたように望みなきにあらず、大いに望みありとして努力いたしたいと考えております。
○山田節男君 非常に丁重に六分も御回答して頂いて、時間がありませんからこれで終りますが、丁度昨年の九月の、池田大蔵大臣がサンフランシスコへいらつしやつたときに、私はワシントンで、大蔵大臣がサンフランシスコに見えたのは外資の導入を促進するために、或いは両條約の調印を契機にワシントンへ見えられたことを向うで私聞きました。ところが遂にお見えにならなかつた。新聞では来るに及ばずというので帰られたということを聞いたのですが、これは真偽は存じませんが、私は丁度シカゴのOCIオーヴアーシーズ・コンサルタント・インステイテユート、あそこに参りまして、高知県の電源開発の問題で社長のホフマン氏に会いました。そのとき外資導入ということについていろいろ話を聞きますと、我々が考えているような簡單なものじやない。例えばOCIで極く大ざつぱな調査をして、そうして分析して、今度金融のシンジケートにこれを出す、見込があつた場合には更にもう一遍調査して、その調査したものが国務省並びに国防省の承認、アプローバルを受けなければ、これは外資を投資するかどうかわからんのだ、非常にこれは面倒なものだということを言つております。今の大蔵大臣の御回答からいうと、必ずしも望みなきにあらず、まあ望みを繋いでやつておられるわけでありますが、当面の問題として、例えば只見川の電力開発、これは相当の外資が要るやに聞いております。そうしてすでに具体的なプランを立てて関係方面に申請書を出しておるやに聞いております。今の大蔵大臣のおつしやることから言えば、例えば只見川のような電源開発のための外資というものは、これはもう必ず入つて来る、こういう自信をお持ちなのかどうか、この点伺いたい。
○国務大臣(池田勇人君) 個々の問題につきまして個々の外資の入つて来る、入つて来ないの分は、私は私の立場として申上げることはできんと思うのであります。これは国内で金を借りるにいたしましても、借りる人が先ず信用、支拂能力があり、支拂能力が将来期待せられ、而もその資金の使途が適正な場合において認められるのであります。自分が電源開発をしたいから、さあ外資を寄越せということは、国内的に自分がこういう仕事をしたいから金を貸せといつて銀行へ行くのと同じじやないか、そこで私といたしましては、外資が急速な経済の発展には必要でございます。だから先ず九電力会社の発電計画並びに電源公社の発電計画を立て、而もまだ我々はドルを六億ドルくらい持つておりますから、それによつて国内の物資を動員し、動員というと言葉が惡うございますが、できるだけ重要産業のほうへ向けて、そうして先ず発電に手を着けなければならん、こうして来ればおのずからその計画も向うで信用がある、そうなつて行くと思います。例えばいろいろな肥料の問題であるとか、尿素の問題などもありますが、どこの工場がどういうふうにして尿素がどれだけできて、これが硫安との関係でどうなる、こういう見通しが付けば話はうまく行く。そういう意味において、誰が中心になるかということになつて来ますと、えてして今までアメリカの外資導入の問題が、日本の商社或いは日本の銀行が行くのでなしに、アメリカの本店の人が日本に支店を置いておいて、支店の要求によつてアメリカ人がこれをやるというのが多い。そこで私は今後におきましても、例えば開発銀行の業務の問題で御審議願いたいと思いますが、開発銀行が外資の保証をするのだ、そういう態度をとる、開発銀行が外資導入のセンターになつて来れば、これは非常にやりやすい、いろんな計画がございますので、今の只見川の分について大蔵大臣望みがあるのかないのかという御返事に対しては留保さして頂きたいと思います。私は先ほど申上げましたように、ドルを今ここへ溜めておいてもこれは意味をなさない、ドルを国際貸借の不足の場合に使う。今は誰が見ても特需その他の関係で、昨年も今年も又来年も相当のアメリカのドルを稼ぎ得る、併しこれは五年も十年も続くわけではございません。そこで三年、五年先を考えて借り得る途を開くという場合に、やはり国内の受入態勢を強化するということが大事だと思いますので、そういう方向で行きたいと考える次第であります。どこの会社にどうこうということは、これは暫らく留保いたしたいと思います。
○委員長(和田博雄君) 本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時から開会いたします。 午後五時十五分散会