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13回国会参議院1952/03/11

予算委員会 第18号

発言数
270
登壇者
12
会派数
5
開催日
1952/03/11

会議録

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 予算委員会を開会いたします。  昨日の理事会の決定に従いまして、総理大臣に対しまする総括質問を続行いたします。松永義雄君に念のため申上げて置きますが、松永君の党の持時間はあと七十分でございます。松永君、波多野君合せて七十分でございます。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 行政協定第二條におきまして日本国はアメリカ合衆国に対し、アメリカ軍が日本国内における区域及び施設の使用を許可していることになつております。ところでこの使用を許可するということは、昨日来の答弁で私の耳にしたところによると、日米安全保障條約の規定する日本の防衛と、日本を守るだけの目的のごとくに聞いたのでありますが、その通りでございますか、どうか、お伺いしたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 御質問の何がちよつとわからないのですが……。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 駐留軍の目的は日本の防衛の目的だけであるか、どうか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 日本の防衛の目的のためであるかというのですか。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 單にそれだけのことであるかどうか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 安全保障條約にある通り、日本の安全を守るために駐留するのであります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 日米安全保障條約第一條の規定によりますと、アメリカ軍が日本に駐留することは極東における国際平和及び、簡單に申上げますと、国内における大規模の内乱及び騒擾及び外部から来る武力攻撃に対して日本の安全を守るということになつておるのでありますが、極東における国際平和を守るということは、只今私の申上げました日本を守るだけの意味であるか、どうか、更にその国際平和についてお考えをお聞きしたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) アメリカ政府も日本政府も考えるところは日本の安全を守る、それが即ち東洋の平和を守るゆえんである。日本の平和が乱されて独立が失われるということは、即ち極東の平和を延いて撹乱するゆえんである。故に安全保障條約は主として日本の平和独立を守る、そのために政府としてはこれを締結いたしたのであります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 極東の国際平和を守るということは、その文字の通り極東における国際の平和を守ることであつて、その結果として日本の平和を守るということになるのではないですか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) それは言葉のあやでありまして、日本の平和を守ると、安全保障條約の主として期するところは日本の安全を守るのであります。日本の安全を守ることが延いて即ち東洋の平和を守ることになる、こういう見方から出発いたしたのであります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 更に昨日来幾度か繰返されておる質問でありますが、アメリカ合衆国が平和と安全のために日本へ若干の軍隊を駐留せしめる意思があるということが規定されておるのでありまするが、この場合におけるアメリカ合衆国が平和と安全のためにという、その平和と安全という意味は、これは日本国内の平和と安全のためばかりを指しておるのか、極東における国際平和並びにアメリカ国内の平和と安全及び大きく言えば世界平和を目標としておるのか、どうか。その一端の現われとして協定した結果、極東における国際平和を守る、延いては日本の安全も守る、こういう趣旨でないかと思うのですが、如何ですか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 私の申しておることはまさに逆であります。日本の安全独立を守ることによつて極東の平和を守る、日本の安全が失われた場合には即ち極東の平和が乱されることであると、こう解釈いたしておるのであります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 行政協定の前文におきまして、両国間における相互の利益の強化のためにここに行政協定を定めるのであるというような規定があるのでありますが、一応只今総理大臣の答弁によりまして、日本側の利益というものが理解されるのでありますが、アメリカ側の利益というものはどういうものを指しておるのでありますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) アメリカ側の利益としては、極東の平和を維持するのにあるのでありましようが、安全保障條約の目的とするところは、日本の独立を守る、今日日本はみずから安全独立を守るだけの力がないから、それでアメリカ側が援助すると、相互的に援助するということになつたので、目的とするところは日本の独立安全を守ることにあります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 そうしますと、アメリカ側としましては、日本に対してただ日本の利益を目指して、そして軍隊を派遣するのである。アメリカ側としては得るところは少いというふうに解釈されるのですか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 私はそう解釈いたしません。繰返して申しますが、日本の安全の失わるることは即ち極東の平和を害するゆえんである、故に日本の安全を守る、独立を守る、これが日米安全保障條約の目的とするところであります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 更にもう一遍言葉を換えてお聞きしたいのですが、日本の安全を守るということが同時にアメリカの安全と平和を守るゆえんである、その目的は同一であるというふうにまで考えてよろしいのでしようか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) アメリカは極東及び世界の平和を考えておりまして、即ち日本の平和、日本の安全が失われるということが世界或いは極東の平和を害するゆえんである。アメリカの政策から言つてみて、極東の平和維持のために日本の安全を守らなければならない。アメリカの利益するところは、即ちその世界平和政策と言いますか、極東の平和維持のために日本の安全を確保することによつてその目的が達せられる。即ちアメリカとしてはその政策遂行の上から言つて見ても日本の独立を守ることが必要である、大事である、故にこの條約を結ぶことになつたのであります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 それではほかの質問に移つて参ります。行政協定でアメリカ軍が日本に駐留するに当りまして、その必要な輸送、役務、物品の調達等、日本の分担する金額は一億五千五百万ドルということになつておりますが、この金額は只今総理の御説明になつたような趣旨の下に使われるということになるのですか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 日本の分担する金額は日本における駐留軍の費用の一部に充てるわけであります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 それはまあ今岡崎さんの言われておることは、その点をお伺いしておるのでなくて、その趣旨は、アメリカ側も負担はするけれども、両々相待つて日本のためでもあるし、且つ又アメリカのためでもあるというふうに解釈せられるか、どうか。只今総理から答弁されました安全保障條約の趣旨に従つて原則として使用されるのであるか、どうか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) それはそうおとりになつて結構であります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 そうしますと、昨日お話がありましたように、この一億五千五百万ドルというものは、一体毎年取極められて行くということになるのですが、それが一定不動のものであるか、増減するものであるか、どうかということを伺いたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは年額ということになつておりまして、本年はこう出すということにきめております。で、行政協定の議事録に載つておりますが、日本としては財政的になかなか負担がむずかしい、困難なものがありますので、若し将来安全保障條約にありますような自衛の力をだんだん増して行くということのために、財政上の負担がもつと多くなるような場合もあり得るのでありますので、その時分には分担金のほうも軽減できるように考慮してもらいたいということは議事録にとどめてあります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 その議事録の中で、ラスク特使の言われているところは、おれのほうも殖えるのである、相当に考慮するつもりではあるけれども、こういうふうなことを述べているのでありますが、この情勢如何によつては、この日本側の負担金額が殖えるようなことになりはしないかということをお尋ねいたしたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 現在までの話合では殖えるような話は全然ないのでありまして、現在のようなもので来年も行くか、或いは来年はそれ以下に減るか、こういうことの問題に今話は進んでおります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 現状の下において殖えるかどうかということをお尋ねしておるのじやなくて、極東における国際平和の状態如何により、或いはアメリカ側の世界政策の如何によつて日本に駐留する兵力量が殖えて行くというような場合も予想されるのではないか。そういう場合には日本の分担金も殖えて行くのではないかということを聞いているのです。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは行政協定の中に謳つてありますように、日本側はこの家賃とか、地代とかいうものが一つ、それから一億五千五百万ドルに相当する金額、この二つを負担する、それ以外の費用はアメリカ側で分担する、こういうことになつております現在におきましては例えば来年度におきましては、日本側は少くともこれ以上には出さないのでありまして、仮に余計な金が必要となりましても、行政協定の文面から言いまして、アメリカ側でこれは負担することになつております。で、今後の問題につきましては、そのときの情勢にも無論よると思いまするけれども、我々の予想では、これ以上になるということは考えておりません。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 先ほど来お答えがあつたのですが、総理の言葉に、アメリカの世界政策としての趣旨が第一條に規定してある。それで極東における国際平和が仮に乱されるような場合が起きる、日本には直接には関係ないことであつて、極東における平和が乱されるようなことがあれば、そのときにアメリカ側が日本の安全保障に関連があるのであるからと言つて、兵力量を殖やして行くという場合も又予想されるのではないか。そのような場合においては自然に日本の分担金も殖えて行くというふうになりはしないか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは只今申上げた通り殖えて行かないのであります。それは我々のほうから言えば、若し財政の余裕があれば只今でも余計負担するかも知れません。併しながら財政的に手一杯のところで出しておりますが、これ以上は財政的になかなか出せないということであります。これはアメリカ側でもその間の事情をよく承知しておりまして、これ以上に出せということは期待しておりません。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 日本の国力で出せないから出さないのだ、それで済む場合ならばよろしいけれども、若し仮にどこまでも日本がそれに附いて行かなければならんという状態に追込められるというようなこともないとも限らんのですが、その点に関する質問は終りまして、若し極東における国際の平和が乱されましたときに、アメリカ軍が駐留しておる区域乃至施設というものは、例えばアメリカが事を構えたその第三国から爆撃を受けても、これは日本としては法律上甘んじておらなければならんのであるか、條約上甘んじておらなければならんのか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカ側の趣旨とするところは平和の維持でありまして、恐らく大部分の場合は国連軍の一部としての措置であろうと考えます。これは事を構えるとかというような種類のものでないのでありまして、平和を乱されるような特別の場合に、この平和維持に当る趣旨でございます。従いまして相手がよほど無茶苦茶ならばともかくとして、報復爆撃というようなことを考うべきものでないと考えております。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 私の聞いているのは、ただ法律の理論を聞いているのでありまして、條約上、若し万一不幸にしてアメリカ側が好まざるような結果に陷つた場合に、その相手方たる第三国が、まあ第三国にしましても、その国がアメリカ軍が駐留しておる区域であるから爆撃しても構わないといつて爆撃して来るようなことはないか、こういうことです。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) そういう場合は我々予想しておりませんけれども、今おつしやつているような趣旨のことは、根本的には先ほど総理が申されたように、東洋と言いますか、極東と言いますかの平和、即ち世界の平和を維持するというアメリカの政策から出でていることでありますが、併しながらこれはアメリカだけの政策ではありませんので、日本といえども同様でありまして、東洋の平和、世界の平和を維持するということにつきましては、今後独立国として当然盡すべき責務であろうと考えております。その意味で我々は国連にも協力をする意思を表明しているのでありまして、そういう趣旨からできる限りの努力をいたすのでありまして、若しそれに対して非常な無茶な爆撃をするというようなことがあるということは、我々予想しておりませんですが、まあ仮にあり得るとおつしやるならばあり得るかも知れませんが、とにかく平和維持という目的のためにできるだけの努力をするというのが、この趣旨であります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 もとより平和を好まないものはないのです。一口にお尋ねすれば、早くわかると思うのですが、租借地なら租借地或いは使用地、日本の場合は使用されるということになるが、無料で使用をされるようですが、そうした使用地なり、租借地なりに爆撃が来るようなことは、條約上、法律上あり得るのではないかということを聞いているのであります。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 條約なり、行政協定には租借地というような観念は全然ありませんけれども、アメリカの使用する施設及び区域というものは当然あります。で、條約上当然そういうところには爆撃が来るというようなことは、我々は全然考えておりません。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 條約上第三国がそこへ向つて攻撃しても差支ないということになるのではないかということを聞いているのです。国際條約上ですよ、国際條約上……。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) そのようなことは全然ないと考えております。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 この点になると意見の相違になるのですから、水掛論になりますから、この点は終ります。次にお伺いいたしたいことは警察予備隊のことであります。警察予備隊令は来たる十月頃に失効になる、こういうことを言われております。それで警察予備隊が失われた場合に、それに代るものとして防衛隊或いは保安隊、目下研究中であるというのが、作目の答弁でありました。併しながらこの警察予備隊が仮になくなつた場合において、政府はそのまま警察予備隊を失効したままにおかれるのか、どうか、若しそれに代るべきものをこしらえられるということになつたときには、その性格は警察予備隊と同一のものであるか、それとも違つた性格のものを考えていられるか、その点についてお尋ねいたしたい。

大橋武夫自由党国務大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 代つてお答え申上げます。警察予備隊は、一昨年八月創設に際しまして、隊員を募集いたしまする際に、一応二カ年間という期間を以ちまして、一般隊員を募集いたした次第であります。その二カ年間の期間が丁度この秋を以ちまして満了いたすわけでございまして、当初の考え方から申しまするというと、その際に一般の隊員は退職させるということになるわけであります。併しながら今日の国の内外の情勢から言いまするというと、警察予備隊と同様な組織というものは、我が国内の治安を確保いたしまする上から申しまして、絶対に必要欠くことのできないものである、こういうふうに考えている次第であります。従いましてその機会に名称等につきましても十分な考慮を加えまして、現在の予備隊と同じような性格のものを引続き存置するようにいたしたい、こう存じているのでございます。従いましてその性格につきましては、現在の警察予備隊というものを基礎といたしまして、主要な点については現在の制度に則りたいと思つております。但し二カ年間の経験によりまして、制度上の不備と認められる二、三の点につきましては、その際に改善をいたしたい、こういう趣旨を以ちまして研究をいたしている次第であります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 昨日も木村総裁からもお話がありましたが、万一外部から武力攻撃を受けた場合には国民が総蹶起をする、なお警察予備隊はこの場合使用されるのである、こういうことを言われたのですが、これと同じ御意見ですか、総理に一つお伺いいたしたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 所管大臣からお答え申上げます。

大橋武夫自由党国務大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊は、元来国内治安を確保するということのために組織せられたもので、ございまして、第一義的に、外国の侵略に対しまして国防の目的を以ちまして組織せられたものとは考えておりません。併しながら国内の治安を飽くまでも、又絶対的に確保いたすということに相成りまするならば、当然外国からの不法な侵略の場合におきましても、できるだけ国内治安を守るためにその力を使用せしめるということは、これは当然であろうと考えております。従いまして御指摘のような場合におきまして、警察予備隊がその目的のために、使用されるということも当然あり得ることと存じておりまするが、併しながらそれは本来の目的として考えるべきではなくして、ただ国内治安のために設けられておりまする予備隊といたしましては、さような場合にも臨機使用される、こういうふうな性質のものと考えております。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 只今臨機に使用されると、こういうお話でございましたが、その際警察予備隊の指揮をする、命令する人は誰ですか。

大橋武夫自由党国務大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊令の規定によりまして、内閣総理大臣が最高の指揮をとることに相成つております。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 臨機に処置をとられた場合において内閣総理大臣が指揮命令されると解釈してよろしいのですか。

大橋武夫自由党国務大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊の行動につきましては、如何なる場合においても内閣総理大臣の命令がなければ行動をいたさない、こういうことに相成つております。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 若し万一警察予備隊が外部からの武力攻撃に対して抵抗をいたして、そうして外部の武力隊に対して発砲して殺戮いたしたと仮定いたします。その場合において警察予備隊員が捕われたときには、一体どういうような取扱いをその外部の武力隊から受けるということになるのですか。

大橋武夫自由党国務大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 先ほど申上げましたごとく、警察予備隊は本来の任務、目的が国内治安ということで、ございまして、外部の侵略に対しましての国土の防衛ということは、安全保障條約によりまして米国駐留軍を依頼するという建前になつているわけでございます。警察予備隊が行動いたすということは、この米軍と協力をいたしまして臨機に適当な任務を担当すると、こういう形に相成ると思います。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 臨機に処置をとられると先ほどおつしやつた。それで外部の武力に対して抵抗する、昨日来国民総蹶起という言葉をしばしば使われている。そうして予備隊も只今のお話の通りに使われると、こういうことを只今おつしやつて、何かそれに説明を加えられたのですが、適当の処置という言葉を今お使いになつたのですが、その適当の処置ということはどういうことですか。

大橋武夫自由党国務大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 適当な任務と申上げたわけでありますが、これは米駐留軍の行動と協力いたしまして、国内治安を確保いたしまする上において有効と認められるような、そういう処置をとる意味でございます。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 余り時間がありませんから、簡單に……。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 そうしますと、簡單にお聞きしたいのですが、若し万一警察予備隊が抵抗して発砲して相手方を殺戮して捕われた場合には、その捕われた人は殺人罪で軍法会議に付せられるのか、それとも俘虜として取扱いを受けますか、どちらですか。

大橋武夫自由党国務大臣

○国務大臣(大橋武夫君) そのようなことはなかなか今のところ予想いたしておりません。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 先ほど来、昨日以来、警察予備隊は国民総蹶起をしてそうして防衛するのだ、予備隊もそれに使用されるのだと、こういうことを繰返し言われておるのですよ。そして今日はそれはわからんのだと、常に言葉を左右にされまして、答える人は違いますけれども、内閣としての意見がまとまつて我々の耳に入つて来ないのですよ。それでは我々は一体警察予備隊の性格が一体何であるかということがさつぱりわからないのです。  それでは時間がないから、もう最後にお聞きしますが、警察予備隊は昨日以来治安維持と、こういうことを繰返し言われておる。その使命は治安維持と言われておる。実際そうですか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) これは閣僚の言う説明について率直にお聞きを願いたいと思いますが、元来安全保障條約を作つた趣意は、日本が日本の安全独立を守る、或いは外敵と申すのもおかしな話でありますが、若し外敵なるものが入つて、そして侵入を受けるとか、強力なる外国部隊が日本に攻撃を始め、或いは安全独立を脅かす。この場合に日本として今日これに対して対抗するだけの武力もなければ又設備もない。故に米国軍と共同して、そして日本の独立、安全を守るというのが安全保障條約の目的であります。今のようないわゆる外国の攻撃を受けるというような場合には、日米の間で協力して、両国政府が隔意ない話合いをして、そうしてこれに対応する臨機の措置を講ずるということになつておるのであつて、国内の治安は飽くまで警察及び日本国民が総力を挙げて、これに対して対抗はするが、ほかから侵入した侵入軍に対して、而も非常に強力な侵入軍があると想像して、その場合には日本の国力或いは日本の力が、武力といいますか、武力をなくするわけにはいかない。そして日本がよくみずから安全を保障するだけの、守るだけの力がないから、ここで安全保障條約というものを作つて、そして外部の敵に対しては米国軍が加勢をする。或いは日本の独立を守るという任務に当つてくれる。併しながら国内の治安は主として警察なり日本国民が総力を挙げて治安を維持する。こういう建前なのであります。決して閣僚の話が矛盾もしておらなければ撞着もいたしておらないはずであります。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 それでは警察予備隊令の第一條を読んでみます。警察予備隊令第一條に「この政令は、我が国の平和と秩序を維持し、」と書いてあります。昨日以来治安を維持するということが言われておるのですが、平和を維持するということは一言も言われておらない、政府は。だから先ほど来平和ということはどういうことであるかということを総理にお尋ねしておる。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 始終申しております。日米安全保障條約即ちこれであなたに対するお答えが十分であると思います。

松永義雄日本社会党(第二控室・右)

○松永義雄君 もう少しゆつくり、第一條に、「この政令は、我が国の平和と秩序を維持し、」ということが書いてある。つまり警察予備隊の使命は、我が国の平和と秩序を維持するのである、こういうことの規定になつておる。それで先ほど来日米安全保障條約に記載してある平和の言葉について繰返しお尋ねしたのであります。極東における国際の平和、或いはアメリカ合衆国が平和と安全のために若干の軍隊を現在日本に送る意思がある。すべて日米安全保障條約に記載してある平和という言葉が国際間の問題であるか、外部からの武力の攻撃に対して平和を守るという意味においての平和という言葉が使われておるのであるか。即ち警察予備隊令の第一條にあるこの政令は、平和を維持するということは深い意味を包蔵しておると我々は考える。それだから政府としては、昨日以来この警察予備隊の使命を説明するに当つて、二の平和をも維持するのだということのお話があつて然るべきだ。然るにただ治安を維持する、治安を維持すると終始一貫して、そうしてこの平和ということに少しも触れられていない。常に、警察予備隊というものは、成るほど先ほど総理が言われたように、誠にお恥かしいものかも知れんが、併しそれだから漸増して行こう、それが日米安全保障條約の規定に繋がつておるように法律上、條約上の解釈として解釈されるのである。すでに第一條において警察予備隊というものは武力ということを明らかにこれを予想しておるということを見なければならん。即ち警察予備隊は一つの兵力だ、だから先ほどから法務総裁にお尋ねしても、これが捕虜になるか或いは殺人罪になるかと言うと逃げちやう、これに関する答弁をしない。そういつたような当然答弁をしなければならんことを答弁しない、そうして事実をあいまいならしめておる。それでは我々議員としては審議することはできないのであります。総理、一つあなたの御意見を吐いて頂きたい、先ほどからちつとも吐いて頂けない。どうかしてつかまらないようなことばかり考えておる。本当にどういうことになつておるかということの真相を明らかにしてもらわなければ、我々としてはこの予算案について審議をしようと言つたつてできようがないじやありませんか。大体この程度で。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 政府としてはつかまらないような考えはいたしておりません。現にこうやつて閣僚がみんな来て説明に当つておる。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 波多野君の時間は大体二十五分です。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 では、総理興奮しないで御答弁を願いたいのでありますが、昨日総理の釈明を聞いておりまして、最初に私が申し上げましたけれども、日本の治安と安全と独立は日本の国民の愛国心に訴えて、そうしてこれを守らなければならんという熱意の余りこの前のようなことを言うたのだという御釈明があつたが、この御趣旨は私もよくわかります。よくわかりますが、総理にこの点についてお伺いしたい点は、日本の独立と安全は我々日本人が守らなければならんと思います。併しそうであればこそどうしたら日本の独立安全が守れるかという点についての政府の構想、考え方を国民に問うべきではないかと思う。そうして国民をして判断させる材料を提供するということが民主々義の行き方ではなかろうかと私は思う。現にただ日本の安全と独立を我々の力で守らなければならんということだけを言つておられますと、無責任な言動が起つて来るのであります。現に我々国会においても、例えば石ころを持つて対戰するのだ、竹槍戰法よりはもつとひどい笑うべき議論が出るかと思うと、他方においては無責任な再軍備論が出て来る、そういう孤立的な立場に立つて、日本だけの力で以てあらゆる外敵の侵入を防ぐ、その力を養わなければならんといつたような国際連合的な考え方を無視した無責任な軍再備論も出ておるのであります。こういうような非常にその熱意だけを語られますとこういつたような極端な議論が出て参る、そのために国論がいろいろに分裂して参つたりなんかして非常に残念なことになると思うので、この際政府といたしましては国の独立と安全を守るためには自分たちはこう考えているが、これについて国民はどう思うかということをお問いになるのが適当じやないかと、こう思いますが、総理はどうお考えになりますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) これは当然の話でありまして、我々はこうしろああしろと申すわけではないのであります。安全保障條約を国会に提案したときにも、又平和條約においてもことごとく国民の意思を問うた上に国会に提案いたしておるのであります。そのときに自由な議論をなすごとについて何ら妨げておらないのみならず喜んで聞く態度をいたしておるのでありまして、国民の意思を無視してとか、或いは国会の議論を無視するというようなことはいたしておらないのであります。で繰り返して申しますが、日本の安全は一国の力で以つて守るべきであるが、今日の国際情勢及び日本の現状において強力なる武力を備えるとか、軍備を備えるということはできないから、ここで安全保障條約を以て日本の足らざるところを補うのである、無責任な軍備論は私はいたしておらないのみならず、再軍備は断じていたさないと申しておるのであります。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 どうも総理は私の言うことを少しも理解しないで御答弁になつておられる。私はあなたが再軍備論をされておるなどとは一言も申しておりませんです。それから又あなたが国会を無視されるなんということは一言もそういうことは申しておりません。そう誤解して答弁されますと私の持時間は非常に短いのでありまして、趣意が盡せないと思いますよ、静かに聞いて頂きたい。日本の独立と安全を守るために政府としては安全保障條約によつて自衛力の漸増をするという約束をされたんです。そこで政府が考えておる自衛力の漸増ということはこういうものなんだということを国民にお問いになるつもりはないかということを聞いておるんです。それだけのことです。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) これは安全保障條約を国会に付議いたしたときにも国民の意思は国会を通じて伺つておるはずであります。決してあなたの申すように興奮してあたたに対してけんかをふつかけるわけではありませんが、従つて又私の言うことを静かに(笑声)聞いて頂きたいと思います。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 静かに聞きますからどうか静かに話して下さい。(笑声)すでにもう條約も発効に近くなつております。自衛力漸増ということは国際的に約束された。国民として知りたいのは自衛力漸増ということはどういうことであるか、政府は責任者としてどういうことを考えているのかということを聞きたいんですよ。それをお話になるつもりはないかというんです。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 話すつもりは幾らもございますが、話したあとで揚げ足をお取りにならんように(笑声)お願いいたします。漸増ということは繰返して申上げますが、日本の国力が許すと共に、例えば日本の経済力が許す、或いはその他の事態が許す。仮に経済力が許しても日本の国民の生活を圧迫するようなことになつては、これは政府の企図するところではないのであります。日本の国力に従つて国力だけの、国力に相応した自衛力を漸増する、日本の経済力がこれでとまつておるものとは考えません、ますます繁栄を加えるものと考えますが、又加えなければならんと思いますが、それに従つて安全保障條約にもよらず、でき得べくんば日本の独立なり安全は日本の国力を以てみずから守るに至りたいと思いますが、今日はこれができないから安全保障條約によつて一応の安全を企図する、あとは日本の国力の増加に従つて考えます。これが漸増の意味であります。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 国民の生活を圧迫しない、それから経済力が許せば云々、これはもう私もよくわかる。国民の生活を圧迫してまで漸増しては困る。が、現在の情勢の下において、現在の国力の下において現在の国民生活を圧迫しないという條件の下で、どういうような漸増計画が立てられるのですか。それを聞きたがつておるのです。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) これは予算に明示してありますからして、この予算委員会において予算の最も熱心な御審議を願いたいと思います。徒らに議論で時を費したくないと思いまする

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 徒らに議論はしておりません。これが予算審議の基本になる問題ですから聞いておるわけです。御答弁がないから答弁ないものと認めておきます。それから次にお聞きしたいのは、法務総裁にお尋ねいたします。時間がありませんから繰返して申上げておきますが、昨日のように廻りくどい御答弁は拂下げにして頂きたい、直截簡明に一つ御答弁を願いたい。昨日のこの委員会におきまして、兵力というのは近代戰を有効適切に遂行ずる力、これが憲法の禁ずるところの戰力である、こういうふうに法務総裁は答弁されております。そこで私がこの近代戰を有効適切に遂行する力以下の力ならば持つてもいいかということを尋ねた場合に、法理論としてはそれはいいということを言われております。私は今日本の経済力、国民生活水準の問題、そういう問題を離れて法理論を聞いておりますが、法理論としてはこれに満たざる力は持つていいということは昨日と同じようにお認めになりますか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 戰力を持つことはこれは否認されておるのでありますが、これは御承知の通り憲法の大前提であります。そこで戰力に至らざる兵力を持つていいかという問題でありまするが、これは私は法理論としては一応の解釈はそこで立つと考えております。但し御承知の通り、日本の憲法の大前提といたしまして、平和を好愛する諸国民の信義と公正に信頼して我々は平和な生活を保持しようということを決意したと考えております。勿論我々は平和を愛好することは各国に劣らないつもりでございます。ただただ平和を好愛するところの諸国民の公正と信義にこれを依存いたしておるのであります。ここで憲法が私はできておると思います。この大前提の下に我我はすべての生活をこれに規定して行かなければならん。この憲法の九條の精神も、この平和を愛好する諸国民の公正と信義に信頼してできたものと私は確信しておるのであります。ただ不幸にしてこの公正と信義を乱されるような場合に至ると日本の国が安全を保持することができない。それについて総理もしばしば言われるように、安全保障條約というものができたものと私は解釈しております。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 その程度でいい。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) そこで日本の国家といたしましては、どこまでもこの戰力の保持は禁じておるのでありまするから、全然再軍備をすることもできなければ、又その意思もない、又我々は今後の……。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 委員長やめさせて下さい。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 簡潔に願います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 戰力というものはそれ以下のものは法理的には持つて差支えないという議論は出るわけでありまするが、日本の今の国情といたしましてさようなものは持つ意思はないということを私は言いたいのであります。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 くれぐれも頼んでおいたのに又時間をとられる、こういうことでは私も(笑声)特に法理論を私は聞いておるので、法理論として戰力に満たざるものは持つていいという御解釈である、こう確認いたしておきます。  そこで次にお尋ねしたいのは、サンフランシスコ條約締結の際にソ連のグロムイコ外相が一つの修正案を出しておりますのを御存じでありましよう。御存じですか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は詳細な点は伺つておりません。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 それでは私ちよつと読み上げますが、グロムイコ氏が修正の第一点として出しておりますのは次の点であります。  日本の陸、海、空軍の軍備は、自己防衛の任務にのみ供されるように嚴格に制限されるべきであります。従つて、日本国は、国境警備隊及び憲兵を含めて次にのべる範囲内の軍備を有することが認められる。  a 対空砲兵を含め、総数十五万人の兵力を有する陸軍  b 総数二万五千人の兵力、総トン数七万五千トンの海軍  C 海軍航空部隊を含めて戰鬪機及び偵察機二百機、予備機を含めて、輸送機、海空遭難救助機、練習用及び連絡用飛行機百五十機を有し、総数二万人の兵力を有する空軍。日本国は、機体内部に爆彈積載裝置をもつ爆撃機たることを本来の目的として設計されたいかなる航空機をも所有し、または獲得してはならない。  d 日本軍隊の有する中型及び大型戰車の総数は、二百台を越えてはならない。  e 軍隊の兵力は、それぞれの場合に戰鬪員、補給整備員及び事務要員を含むものとする。」  まあこういつたようなことを修正の意見として出しております。併し通りませんでした。通りませんでしたが、ここでお尋ねしたいのは、こういう具体的な一つの意見が出ておりますので、これに関連してお尋ねするのでありますが、これはこの程度のものは近代戰を有効適切に遂行する力でありますか、以下のものでありますか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 私はその数字の点について詳細なことを今初めて知つたのでありまするが、これは昨日も申上げました通り、この戰力は相対的のものでありまして決して確定不動のものでないのでありまするからして、相手次第と私は言わざるを得ないのであります。ただただ今仰せのグロムイコ大使の言われました兵力、これは又相対的のもので、日本としてこれが兵力になるか或いは戰力になるかということは確定的に私は申すことができないと、こう考えております。客観情勢その他の点から十二分にそれを検討した上で果してこれは戰力になるかどうかということをきめるべきであろうと考えております。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 それでは総裁は不勉強だと思うのでありますが、御存じなければいたし方ない。いたし方ありませんから今日ここで御答弁を承わろうとは思いませんが、この程度の力というものはこれは近代戰争を今日の情勢の下において、又今日日本が置かれておる国際的環境の下において、又日本の経済力の現状において、あらゆる條件を考慮に入れて、この程度のことは近代戰争を有効適切に遂行するに足る力であるか足らん力であるかということの返答をあとでして頂きたい、十分研究した上でして、頂きたいと思います。今日はその返事を求めません。  それからもう一つお尋ねしておきたいのは駐留軍の性格でありますが、一体この駐留軍というのは日本の国土におつてもこれは日本の戰力じやないというのが昨日の御答弁でありましたが、日本の戰力と言い得るためには、それならば駐留軍を離れて日本の戰力と言い得るためには如何なる條件が必要でありますか。これだけの條件が整えばこれは日本の戰力だと言われる條件、是非とも必要な條件だけを挙げて頂きたい。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) さような確定的な又具体的なことは私は申上げることはできない。ただ客観情勢その他から時々にそれを考慮し、愼重に検討した上で、果してそれが戰力と言い得るかどうかということをきめるべきであると私はこう考える、具体的なことは私は申上げられません。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 戰力かどうか、駐留軍の力が戰力かどうかということを聞いておるんじやないのです。そうじやありません。昨日問題になつたのは、日本の戰力が、外国の戰力が、「日本の」或いは「外国の」という問題に関連して問題になつた、そこで「日本の」と言い得るためにはどういう條件が絶対に必要なのか。又これだけの條件があればそれは「日本の」というふうに言い得るということを御答弁頂きたい。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 日本の戰力たるべきものである前提といたしましては、日本の政府がそれを指揮命令して、果してそれが動くかどうかということに私は問題が置かれるものとこう考えておるのでありまして、日本軍は、日本の政府がそれを指揮命令するに至つて初めて日本の軍隊なり戰力なりということが言い得るものと考えております。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 安全保障條約に基く行政協定におきまして、緊急必要な場合に日米共同措置をとる、その日米共同措置をとる場合に、日本の政府がそれについて発言権を持つということは認めておいでになりましようか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 協議にあずかるということは認めておるのであります。併し全然駐留軍に対して日本の政府は指揮命令権を持たないのであります。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 共同行動をとる場合、共同措置をとる場合に、日本が、日本の政府が協議にあずかる、協議にあずかつてそして指揮方針なり何なりが決定される。こういうことはどうですか、お認めになりますか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) これはただ協議にあずかるのでありまして、駐留軍の指揮命令は駐留軍のほうでやるべきものと私は考えております。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 いや指揮命令の内容の決定に当つて、日本の政府の意向が反映することができるとお認めになるか、できないとお認めになりますか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) その点については明瞭ではありません。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○波多野鼎君 要するにその問題についてまだ明瞭でないという御答弁であります。十分に研究がされておらんと思います。そこでこれは重大な問題でありまして、日米行政協定の基本に横たわる問題であると私は考えております。どうかその点について政府側において十分研究された上で国会において御答弁を願いたい。これも注文を出しておいて私の質問を打切ります。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 山田君、あなたの時間は三十分まで、だから十二、三分です。

山田節男日本社会党(第二控室・右)

○山田節男君 時間が非常に制約されておりますから、簡潔にイエスかノーかの程度で私は今回は満足いたします。なお昨日私は委員会に出席しておりませんでしたので、若し私の質問が重複いたしましたならばこれはお答えにならなくてもよろしうございます。  第一にこの講和條約が近く発効すると予期いたしておりますが、その後において中共とそれからソヴイエトとの対関係は一体どういうようになるのか。総理大臣として講和條約発効後における中共、ソ連との国際関係をどういうようにおきめになるおつもりであられるか。又現在それについての何かの交渉を直接或いは間接におやりになつておるか。この点をお伺いしたいと存じます。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。ソ連の間には御承知の通りいろいろな未決の問題があります。平和関係といいますか條約関係に入るとしても、未決の問題を如何に取扱うかという前提問題があります。併し日本として、日本としてというよりは、現内閣としては成るべく多くの国と平和関係に入りたいと思います。併し平和関係に入るに今申しましたような條件があるので、この條件をどういうふうにソ連政府が取扱うかという前提問題がある。中共の問題にしては国連との関係もありますし、これが直ちに平和関係、條約関係に入るのには問題がありますが、希望といたしては、これらの未決定の問題が適当に解決ができて、平和関係或いは條約関係に入り、若しくは通商関係に入ることを希望もすれば期待もいたします。

山田節男日本社会党(第二控室・右)

○山田節男君 これに関連いたしまして、例の台湾の国民政府との、蒋介石政権との條約の問題でございますが、今現在河田全権が派遣されて協議されておる。この台湾政府の問題は、昨年ダレス宛の書簡が出て、このことはいわゆる中共を相手にしない。飽くまで台湾を正当な中華民国の代表政府と見る。こういうことに取扱われた。そうして各国に非常なシヨツクを與えた。殊に英国といたしましては、非常に複雑な事態を喚起したことは総理御承知の通りであります。今おつしやつたように、中共に対して、ソ連に対して、成るべく和親的な国際関係を確立したいという御希望であるにもかかわらず、この蒋介石政権と今度條約を、今協議をいたしますこのことは、先ほど総理のおつしやつたことにかかわらず、少くも中共に対しては、私はやはり今総理のおつしやつたような気持と反対な外交をしなさつておるように思うのでありますが、この台湾政府、蒋介石政権と今お結びになりつつある條約というものは、飽くまでこれは蒋介石の支配する台湾、澎湖島、このプロパーが台湾においてだけに関したところのものである。そうしてその他はいわゆる中共の毛政権のものであるという、そういうことをはつきりさせて、今総理のおつしやつたように、中共とも将来時機來らば和親関係を作りたい。こういう御希望の下に蒋介石政権との條約を今日協議していらつしやるのかどうか。この点を今日において承わりたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 今申したように、成るべく多くの国と平和関係に入りたいと思います。台湾政権は、今日においては台湾及び澎湖島等の要衝を現実に統治しておるのであります。それを事実上の政権と認めるかどうかという理窟は別として、とにかく或る区域の統治関係を持つておるという意味でいわゆる事実上一つの政府ができ上つておる、政権ができ上つておるのであります。又これとの間において間接、直接にいろいろな問題が現に起つておるのであります。例えば貿易関係とか或いは出入国とか、いろいろ日常問題が起つておるのであります。この関係を認めて、そうして平和條約関係に入つてその事実上の関係を條約関係として軌道に乘つた関係に入る、つまり善隣外交の考えから現に或る政権と目下交渉中であるが、とにかく法律上にもいろいろありましようが、これを或る條約関係に入つて速かにその間の交通を軌道に上せたい、こういう考えから台湾政権と今條約交渉に入つておるのであります。  然らば中共とはどうなるか。これは中共との間においては、現に中共は一九五〇年でありますか、中ソ友好條約といいますか條約を持つておつて、日本を想像上の敵国となしておるのであります。故に直ちにこれと條約関係に入りたいと考えておつても、相手方が承知できないという事情もあるでありましよう。併し希望としては、直ちに許すならば中共との間に従来の関係もあります、事実上の関係もありますし、又経済上その他の交通もあり得たのでありますからして、成るべく早く回復いたしたいと思いますが、今申すように、この平和関係、條約関係に入るのには解決いたさなければならないいろいろな案件があります。これが解決ができたならば、又成るべく早く解決して、平和関係に入りたいと思つております。

山田節男日本社会党(第二控室・右)

○山田節男君 この吉田総理が台湾蒋介石政権と條約を結びたいという御書簡が新聞では、これは内外を問わず各国の新聞が申しておりましたが、ダレス特使が、平和條約並びに安全保障條約がアメリカの上院において成るべく早く批准されんがために、吉田さんにあえてこの蒋介石政権を承認するような書簡を向うへ出さしたのだという、これはもう世界の常識であります。そういうことになりまして、我々国会といたしましても吉田総理のそういう意図されておる点を私はわかつております。多少問題になりましたけれども、吉田総理の書簡に対しては更に追及いたしておりません。然るにワシントンの上院におきまして、平和條約並びに安全保障條約が一月以来準備せられております。けれども爾来二カ月、いつ批准されるか見込が立たない。又最近の情報によりますと、この両條約の批准に関する審議が非常に遅延するやに私どもは聞いておるのでありますが、そういたしますと、我々の了解いたしておつた吉田総理の手紙、台湾政府を承認するということでアメリカ、ワシントンにおける上院の批准が非常に早くなると伝えられていたことと事実相違いたして参つておるのであります。これはどういうふうな理由によるか。総理のお知りになつておるだけの情報を一つ我々にお示しを願いたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 政府の得たワシントンからの情報によりますと、近く、今週の末でありましたか、来週の末でありましたか、いずれにいたしましても近日批准せられる運びになりつつあるそうであります。

山田節男日本社会党(第二控室・右)

○山田節男君 時間がありませんので端折りまして申上げます。  先ほど大橋国務相の答弁によりますと、吉田総理は警察予備隊の最高指揮官であるというがごとき印象を與えるような御発言であります。現在は、警察予備隊は成るほどあの政令の第一條にあるごとく、これは治安の確保であります。併しながらアメリカの駐留軍と共同措置をとるという場合においては、如何に木村総裁が弁解されようとも、これは戰力の、軍力の性格を持つておるということは、これは隠れもない事実であります。そうなつた場合に、将来駐留軍と共同動作をいたしまして、騒擾、反乱等の鎭圧に向うという場合には、恐らくこれはそういう場合には、昔の戒嚴令か或いは非常事態の宣言というものがなくては、ああいう武器を持つ者が出動するということは許されることではないと思います。今日の日本の憲法におきましては、総理大臣は内閣の首長であります。そうして政府の行政活動を指揮監督する権限がございます。治安はこれは一つの行政行為であるかどうか。これは限度によるとして、恐らく今のようにバズーカ、タンク、機関銃を持つて出動しなければならんようなものは、これは治安という問題でありますけれども、事実これは国内における一つの戰鬪行為である。こういつたような場合に、この憲法の下におきまして吉田総理は現在自由党の総裁であられる。そうして内閣の首長であられる総理が、この行政の首長である内閣総理大臣が更にこの戒嚴令を布き、或いは非常事態の宣言をする。こういうことになりますると、吉田総理は政党の総裁として或いは内閣の総理大臣として、そうして又一つのこの統帥権的なものも発動される。これはただ單にワンマン吉田という現在の力以上にこれは非常に大きな力をお持ちになる。これはアメリカの大統領以上の大権であります。でこういつたようなことは、私は憲法を見ましても吉田総理にそういう権限がない。如何にこの木村法務総裁が語を左右にしましても、この防衛、警察予備隊なり保安隊なり、又今大橋国務相が案を練つておられまするこの海上保安隊、これと警察予備隊とを統合する一つの国防省的なもの、これを総理大臣が指揮されるということは、これはもう憲法上許されない。如何に語を左右にされましても、この予備隊はやはり蛙になるおたまじやくしであることは、これは国民はよく承知しております。この矛盾を私は調節しない限りは、第九條或いはその他におきまして非常な矛盾が起るものと思う。  そこで私は総理に、この大橋国務相はあなたが警察予備隊、或いは将来この海上保安隊の最高指揮官、統帥権を持たれるというようなことを申しております。果して総理はそれでいいのかどうか、私はそういう権利をお持ちになるということについて、非常に疑点を感ずるのでございますが、総理は憲法上において当然そういう政党総裁、内閣総理大臣、或いは国防大臣、こういう統帥権までお持ちになり得ることができるという御確信であられるかどうか、総理みずからのお口から一つ御意見を承わりたいと存じます。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) いろいろ権限を與えて頂きましたが、(笑声)併し今お話のような非常事態の場合にはそれぞれ機関があつて、機関に諮つて非常宣言とか何とかいう措置をとりましようが、直ちに私が統帥権の中心であると何にも書いていないのであります。ただ單なる警察予備隊の指揮官ですとか何とかいうことが書いてあるだけであつて、お話のように非常に拡大をしてあたかもヒツトラー以上のような権限を與えて下さつたようでありますけれども、これは私においてそれぞれの機関を通じていたす以外にお話のような莫大な権限を振り廻そうという考えは毛頭持つておりません。

山田節男日本社会党(第二控室・右)

○山田節男君 では最後に……。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) いやもう大分時間が過ぎましたから………。西田隆男君。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 私は総理大臣に質問を申上げる前に、一言私の希望を申上げておきます。  それは当参議院の予算委員会を通じて質疑応答を聞いておりますと、どうも総理大臣は非常に感情的になられて御答弁されておることが多いように私には見受けられる。少くとも一国の宰相ともあろう者が国会議員の質問に対して、怒つて答弁をするということは、この際愼んで頂きたい。これが一つ。本日私の持時間は一時間三十五分あるそうであります。質問はもう番茶の出がらしで大した質問はないと思いますが、こういう機会を利用して総理大臣は十分に、国民諸君に納得の行くように、平明に一つ今日は御答弁を願いたい。私も極めて常識的に質問をすをつもりでありますから、お怒りにならないように……。(笑声)  先ず第一に総理大臣にお伺いいたしたいことは、総理大臣が二月一日の衆議院の予算委員会における社会党の西村君のこういう質問に対して答弁をされております。速記録を一つ読んで総理の記憶を新たにしたいと思います。「アメリカのラスク氏が声明していわく、この行政協定はまつたく日米対等の立場においてなさるべきものであつて、日米両国の利益と平和のために貢献する條約を、これから協議せんとしておるのであるということを声明されたのであります。しからば日米対等の立場においてこの條約を取扱われるということでありますならば、なぜ日本が講和條約の法律的効力が発生された後において、真に日本が独立国家としての内外ともの態勢を整え、自主的に判断のできる態勢ができてから対等の立場において」、行政協定を締結しないのか、こういう意味の西村君の質問に対して、総理大臣はこういう御答弁をされております。「今のところは予備交渉であります。いかなる協定を結ぶか、その協定が成立するまでには、まだ時間もあるでありましよう。自然條約が発効した後に成立するということになるでありましよう。」繰返しますが、「自然條約が発効した後に成立するということになるでありましよう。」こういう答弁をされております。これに対して西村君は重ねて質問をして総理大臣の答弁の再確認を求め、総理大臣はこれに対して再確認をしておられることが速記録に載つております。ところが現実の問題としては、今、山田君も言いましたように、日米講和條約並びに安全保障條約は未だアメリカにおいて批准をされていない。従つて両條約はまだ効力を発生していない、さような段階において二月末行政協定がすでに調印をされたという結果になつておる。なぜ私がこういうことを申上げるかと申しますと、いやしも一国の総理大臣が衆議院なり参議院なりの委員会或いは本会議等において答弁されたことと結果とが全く違つた現象を最近しばしば生じておるのであります。こういうことは、一国の政治に対して国民の不信を招く虞れがあると思うから、特にこの問題を私は取上げておる。従つて行政協定を締結する問題等についてもいろいろ議論がされておりました。或いはアメリカの條約の批准が遅れておるために、行政協定がきまつてその内容がはつきりしない限り、アメリカは両條約を批准しないのだというような議論もいろいろされておりました。又対等の立場において締結せねばならない行政協定が占領下というこの現実の下において協定されたがために、裁判管轄権のごとき不利な状態で行政協定を結ばねばならない立場に日本が追込まれたのだ等と、いろいろ国政運用の面において非常に重大な結果をもたらすような問題が論議される結果となつたのだと私は考えております。従つて総理大臣が衆議院の委員会において御言明になつたことと、違つて、二月末日までの間に行政協定を締結調印せねばならなかつたということに対しては、何か非常に重大な理由がありそうに私は考える。国民も恐らく何か事情があるのではなかろうかという感覚を持つておると私も考えております。従つてこの問題に対して、若し総理大臣の衆議院の委員会等における言明に反した結果のごとき調印をせねばならなかつた何らかの重大な理由があるならば、その理由を一つお聞せ願いたい。若し何の理由もなく、調印されたものとしたならば、総理大臣が二月一日の答弁と、この調印というこの矛盾した結果に対して総理大臣の御釈明を頂きたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 私は別段釈明をする必要を感じないのであります。行政協定は安全保障條約の中に含まれてある通り、成るべく早く協定に入ることになつておるのであります。故に協定をいたしましたが、この協定は調印されたのでありますが、條約はまだ効力を発生いたしておりません。批准もいたしておりません。これは平和條約が発効して、或いは批准が了して、そうして他の国家が六カ国でありますか七カ国でありますか、ワシントン政府に寄託をして批准行為が終つた上に発効する、その後において平和條約が発効する。こうして初めて平和條約及び安全保障條約、又行政協定が効力を発するのであります。発する前の今日準備行為といいますか。とにかく準備として……條約が発効して平和條約が発効して独立はした、併し日本国としては独立を守るだけの方法がない、なくては一日といえども困るのであります。即ち平和條約に附随した條約ができ、安全保障條約に附随した協定の協議が行われ、調印が了されたのであります。平和條約が発効すると共に各種の條約が効力を発するのであります。こういう私の言明は訂正をする必要はないと考えております。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 私は総理にお尋ねしたのは、行政協定が効力を発揮しておるではないかというのではなくて両條約が発効した直後に行政協定というものは調印せられるべきではないか、これが両條約すらも発効しない前に行政協定だけが調印したところで発効するものとは三歳の童子といえども考えておりません。従つてこういう感覚的な相違があつたために国内において先刻申しましたようないろいろな論議が繰返されておる、国民はこれに対して非常な疑惑を持つておる、そこで総理大臣が言われたようなことと違つた結果になるのは何か理由があるのではないか、理由があればそれを親切に一つ御解明願いたい。若し理由がなかつたならば、総理大臣はこの二月一日の衆議院の予算委員会においてどういうつもりでこういうことを言われたか、これに対する御釈明を伺いたい。そう私はお尋ねしておるのですから、焦点を明らかにして答弁を願いたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 私はそう焦点をはずさないつもりで説明いたしておるのでありますが、焦点がはずれたとお考えになれば、私に対する批評は御自由であります。とにかく行政協定は何らの圧迫を受けるとか、不対等の地位で結んだということはないのであります。米国政府は喜んで日本と共に行政協定の下に入ろうと、相手国の承諾の下にこの協定は行われたのである。相互に対等の関係、而も友好な精神を以て円満にこの協定なるものは成し遂げられたのであります。  これに対してとやかく言う必要があるならば、噂があるなら噂はともかくといたして、事実は何らその間に圧迫等の事実はなかつたのであります。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 私は総理の言葉尻をとるわけではありませんが、冒頭に申しました通り、総理はよくあなたがそう解釈するならばそれは勝手だというような御答弁を再々なされる。併し私は十数万の有権者の票をもらつて議員に出ております。従つて私が納得するかしないかは私だけの問題ではないのであります。その点は一つ総理に苦言を呈しますからお愼しみを願いたい。  次の質問に移ります。これは総理大臣でも岡崎国務大臣でも結構です。日米安全保障條約は日本及びその附近に米軍を留めるとだけ規定がしてあります。日本防衛に対する何らの意思表示がなされておりません。衆議院の、これも又衆議院の予算委員会ですが、予算委員会における社会党の西村君のこの点に対する同じような質問に対しまして、岡崎国務大臣はこういう答弁をしておられます。「日本の防衛を日本側が懇請し、アメリカがこれを承知したのでありますから、当然これはアメリカが防衛することになるはずであります。」防衛することになるはずでありますと答弁されております。そうしてなお西村君から追及された質問が展開されますと、こういう答弁をしておられます。「でありまするから、そこに書いてあるところに書いてある。」こういう重ねて不明確な答弁をしておられる。(笑声)私が考えますのに、アメリカが防衛することになるはずでありますというような御答弁では誠に国民は心細い感じがすると思うのであります。なお「書いてあるところに書いてある」というような答弁に至つては全く以てのほかであります。行政協定の第二十四條に「日本区域において敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、日本国及び合衆国政府は、日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、且つ安全保障條約第一條の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」いわゆる緊急事態に関しまして共同措置をとることだけが行政協定では規定してあるだけで、議事録の中に何らの規定もされていない。大体米駐留軍が日本の防衛についてどの程度の責任を負うというお考え方でおられるのか。これは総理でも岡崎国務大臣でも結構ですから御答弁頂きたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 私の議事録を引かれて誠に恐縮でありますが、書いてあるところに書いてあるというのは第一條の末節でありまして、「外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄與するために使用することができる。」こう書いてあるのであります。これは書き方がおかしいじやないかというお説もありますけれども、元来相互援助條約と申しますか、日本が危いときにはアメリカが援けに来る、アメリカが危いときには日本が援けに行く、こういうふうにお互いに義務を負うなり何なりということが明白に書けるのでありますが、遺憾ながら今度の條約は日本側にはそう力がまだありませんものですから、そういう恰好の條約になりかねておるのであります。従つてこういう書き方になつておりますけれども、先ほど総理が申されたように、極東の平和即ち世界の平和を維持するということは、アメリカのためにも非常に大きな政策でありまして、これは必ずやらなければならんアメリカの政策であります。従いまして、偏務的というとちよつと語弊があるかも知れませんが、要するに日米安全保障條約の性格から言いましてこういうような書き方がされてあるのでありますけれども、日本の安全が脅かされる場合にアメリカ側が全力を挙げてこれを援助すべきことは当然でありまするし、又ダレス特使等の言明等もこれは世界に公表されておるのでありまして、この点は何ら疑いは容れないのであります。ただこれはいろいろ国会でも論議がありましたが、行政協定の中に、議事録の中にそういうことを書くべき筋合いとは私は考えておりません。行政協定はアメリカ軍の配備を規律する條件を定めるのでありまして、これ以上のことに出るべきでないと考えております。その意味で行政協定の中には両国政府が協議をするのだということだけが記されてあるのでありますが、日本の安全に対しては繰返し申しますが、アメリカ側が全力を挙げてこの維持に当るということは、これは私から言明して憚からないところであります。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 まあ岡崎国務大臣がはつきり言明して憚からんというお言葉ですから、重ねてこの問題の質問は申しません。  総理大臣に一つ御答弁を頂きたい。又総理は怒られるかも知れませんが、六日の吉川君の質問に対して総理大臣は、今回の行政協定は国会の承認を経ることを必要とするものではない。こういうふうな答弁をされております。国会の承認を経ることを必要としないという條約は大体あるものかないものか、これに対して総理の御答弁を……。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) これは終始問題になりますが、行政協定のごとき性質は国際慣例によつて見ても、いずれの国においても国会の議決を要さないことになつております。その例として国会に資料は差出したと思います。その資料によつて御覽を願いたいと思います。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 今の問題に関して昨日の毎日新聞にこういう記事が出ております。総理から今国際慣例になつているという御答弁がありましたので、特にこの記事を読み上げて、こういう事実があつたかなかつたかということを專門家の総理に、或いは岡崎国務大臣に聴きたいと思います。全文読むと長くなりますので……「第二次大戰中の一九四一年駆逐艦五十隻と引替えに米国は英国と行政協定を結び大西洋、カリブ海のバーミユダ島など英属領諸島に九十九カ年の軍事基地を獲得した。入国、移動、裁判管轄権など日米行政協定とほぼ同じ内容を規定した。この一時米上院は『当然上院の批准を要する條約の一種であるからこれは大統領の権限を越えており違憲だ』と非難した。大統領はしかし『政府は軍事基地を獲得した。これは一種の権利であり、行使すると否とは自由である。また行使したとしても他国の同意なしに自由に放棄し得る。外国を防衛する義務も負つていない。従つて大統領の権限で行政協定として結び得る』とのジャクソン検事総長の勧告に基き強い反対を押し切つた。」これがまあ一つの問題。「戰後の一九四七年米比協定を結び同じく九十九カ年の軍事基地を租借したが、前回にこりて軍事基地を獲得する行政協定を結ぶ権限を大統領に與えるとの米上院決議に基いて行政協定で取極めている。」こういうふうに毎日新聞の記事の中に書かれております。そこで私は岡崎国務大臣か総理大臣にお伺いしたいと思います。今、私が読み上げましたような行政協定がアメリカと英国との間に結ばれたことがあることをあなたがたは御承知であるのか、又アメリカの上院で違憲だという非難をされた事実があるか、これを知つておられるか。又ジヤクソン検事総長の前申上げましたような意見に従つて、大統領はその権限で行政協定を結んだ事実があるかどうか。一九四七年の米比協定も同じくこういう建前で結んでおるが、これは米上院で決議をしたあとで行政協定が結ばれておる。この二つの関連性から考えまして、いま総理大臣の言われたような、行政協定は国際慣例として国会の承認を得なくてもよろしいものだという結論に私は到達し得ないのでありますが、この間一つ私が納得できますような御答弁をして頂きたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 行政協定という特殊の名前をお用いになりますと、ちよつと誤解を生ずるかも知れませんが、おつしやることは恐らく二国間の政府で以て国会の承認を得ないで国際約束をやつた例があるかという趣旨じやないかと思うのであります。行政協定というのは主としてアメリカで使つておる言葉でありまして、ほかの国では必ずしもそういう言葉は使つておらないのであります。つまり事実上は同じようなものだと思いますが、そこで御質問はアメリカ側の慣行はどうであるかということと、ほかの一般国際慣行はどうであるかという二点になるのであります。第一にアメリカの国内におけるいわゆる行政協定と称するようなものについての慣行は、今お述べになつたような点が含まれまして、いろいろあります。我々の研究したところでは、大体七つの場合になると思うのでありますが、一つは陸海軍の統帥権に基いて大統領が締結するもの、例えば捕虜交換規約とか、或いは休戰規約とか、こういう種類のもの、それから法律で大統領限りで締結する権限を認められたもの、これは郵便條約とか、互惠通称條約とかいろいろあります。それから将来の交渉の基礎となるべき取極であるということで、大統領限りで條約の性格を持つものを取極めることができることに認められております。これは別に法律上で認められておるわけではありませんが、そういうことになつております。例えばコスタリカ、ニカラガとの間に両大洋を通ずる運河建設の交渉に関する議定書、それから暫定取極としての意味で認める場合があります。それから米国民の賠償要求に関する協定、これは今おつしやつたことに幾分か関連があると思いますが、米国側が義務を負わないのだということで認められておるのです。それから條約の規定に基いて締結することができるというような種類のもの、條約で認めているから行政協定をやつてよろしいというもの、それからそのほかにまだこういう分類のできないもので、例えば石井ランシング協定というような重要な協定をやはり上院の批准を得ないで結んでおりますが、そのときどきでこれは批准を得なければいかんのだという議論は行われたことを知つております。こういういろいろの場合がアメリカにはあるのであります。  それからほかの国を見ますと、例えばフランスの場合は、例えば通商航海條約であるとか、平和條約であるとかいうような一定の條約を限りまして、これにこういう種類の條約批准を要する、それ以外のものは批准を要さない、こういうようなことになつております。イギリスの場合はこれはキングが條約を締結する権利がありますものですから、原則としてこれは国会の承認を得ないで條約を結んでおりますから、これはちよつとほかの国と例が違うのであります。ほかの国のような場合、つまり批准を要する條約というものは制限を付しまして、そのほかの條約は政府限りで結んでいいというような方向に行つておる国は、チリーであるとかスペインであるとか、スエーデンその他非常にたくさん、わかつておるのでも十数カ国あるのであります。で総理の言われましたのは、事実上そういうふうに政府間で国際約束をするというのが各国でも行われておることであるということを指摘されたものであります。  で、今度の場合につきましては、そういう事実上の慣行もありまするから、安保條約の第三條で両政府間に行政協定を決定するという文句を入れまして、これを国会に承認を得ましたから、日本としては両政府間の協定を作ることができる、こういう解釈をとつておるのであります。つまり安全保障條約の第三條で、委任といつては語弊があるかも知れませんが、両政府間に協定を作ることを認められましたからできるのであつて、それがなければ又別問題だという議論にもなるかと思いまするが、そういう関係で両政府間に協定を結ぶごとができる、こう我々は解釈してやつておるのであります。又国会の安全保障條約の審議中におきましても、そういう趣旨のことをたびたび関係閣僚から明らかにしたところであります。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 今の岡崎さんの御説明は半分わかつて半分わからないのですが、あなたは衆議院でも、参議院の委員会でも、或いは本会議においても、行政協定というのは安保條約第三條に基く細目の協定だ、だから国会の承認なんか要らないのだ、技術的なものなんだというような御答弁を今まで再々繰返しておられるが、今の御答弁を聞いておりますと、或いはそうでなくて、安全保障條約第三條に基いて委任されたのだからその範囲内でやつたのだというような御答弁ですが、どつちが本当なのですか、もう一遍お答え願いたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは今おつしやつた委任という言葉を使つていいかどうかわかりませんが、安保條約の第三條で認められておりまするから、政府が作つたのでありますが、そういう関係でありまするから、駐屯するアメリカ軍の配備を規律する條件以上には出られない、要するに安保條約の実施細目に定める以外のことは行政協定ではできない、そこでそれに逸脱しないように注意して行政協定を作つたということを申しておるのでありますが、根本はその親の安全保障條約があるからであることは当然であります。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 前に立戻ります。私が岡崎さんの御説明を聞いておりますというと、アメリカでやられる行政協定というものは、おおむねアメリカの一方的な権利を確保するというような内容を持つたものだけが、行政協定として大統領に特別な権限を委讓されない限りそういう範囲内においてしかアメリカの行政協定は結ばれてないように受取れます。岡崎さんは專門家ですから、行政協定の結ばれたアメリカと他の国との関係をよく御存じだろうと思いますが、アメリカが一方的にと言えば語弊があるかも知れませんが、非常に重大な義務を負わねばならないような、責任を負わねばならないようなことでアメリカと他国との間に行政協定の結ばれた実例があるなれば、これを一つお示し願いたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカが権利を得るから国会の承認を得ないで協定を結び得るというのは、先ほど挙げました七つのうちの第五番目の米国民の賠償要求に関するような協定、こういう種類のものに殆んど私は限られておると思います。そのほかの点は例えば第四に挙げました暫定取極と申しますか、こういうものにつきましても、或いはその前の将来の交渉の基礎となるべき、つまり両大洋間の運河を建設する交渉に関する議定書、これはコスタリカとニカラガとアメリカとの間に結んだのでありますが、こういう種類のものはいずれも直接若しくは間接にアメリカが義務を負うことも無論入つております。又捕虜交換條約、これはちよつと性質が違いまして、大統領が陸海軍の統帥権を持つておりますためにできるものとこう認められておりますが、この捕虜交換などもやはりアメリカが権利も得る代りに義務も負う、両方であると思います

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 よくわかりません。了解いきませんけれども、この問題はその程度にしておきます。  もう一つ岡崎さんに承わりたいのは、あなたは当参議院の委員会において必要なものは立法措置をすると約束してあるので、立法措置をしなければならん。併しその法律案が若し国会の承認を得られなかつた場合は、行政協定は効力を発揮するけれども、その内容のその点に関する実施が不可能だ、こういう答弁をされております。私もその通りだと思います。そうすると立法措置をして両院の議決を得られなかつた場合において実施不可能になるような内容を持つたものを国会の承認を得られずに行政協定として締結された場合、その行政協定の持つ目的が達成されるとお考えになつておるかどうか、この点一つ御答弁願いたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) それは達成できないと考えます。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 達成できないようなことであれば、行政協定を結ばれるときなぜ国会の承認を得られなかつたのか。あなたがおつしやるように、第三條に基く細目的な技術的な実施内容をきめたとは申しますけれども、ただそれだけではなくて、やはり国会の承認を求めなければならない、立法措置しなければならんという問題が起きて来るのは当然予想されてああいう取極をなすつておると思いますが、若し国会が承認しなかつた場合実施ができないということになりましたら、行政協定の締結の効果はないということになる。そういう際に対して内閣はどういう責任をおとりになるか、総理大臣から一つ答弁願いたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 行政協定、只今岡崎国務大臣から説明せられた通り、行政協定のうちからして国会の承認を経ない、その部分は、それだけ実行ができないのでありますから、他の方法を考えるなり、その分は無効になりますが、併し行政協定はそればかりではないので、その他もありますから、その他の部分については、国会の承認を得なかつた法律、或いは予算等について国会の承認を経なかつた、それだけは無効になりますが、その他のものはやはり効力を生ずるのであります。而して又国会の承認を経なかつた。これは政府の責任において結んで、そのうちに協賛を経ることのできなかつたというものにつきましては、政府としては他の方法を考えてこの効力の発生を補正し得るような方法を考えるよりほか仕方がないと思います。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 今の総理大臣の御答弁を聞いておりますと、他の方法を講じなければならんということですが、他の方法を講ずるということは行政協定の国会の承認を得られなかつた部分について訂正をするということも考えられます。訂正をしなければ具体的にどういう方法を講じられるのか、これを一つもう一遍お伺いしたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは原則として第一に申上げたいのは、アメリカ軍の配備を規律する條件と申しますものは、いずれかの国際慣行にある中で最も現状に適したものを取上げたつもりでおりますので、それに関する法律案を国会に提出したときは、国会のほうでは当然これは承認され得べきものと我々は考えておるのであります。併しながらアメリカ側でも同様の事情でありますが、行政府と国会とは違いますから、我々が国会は必ず通ると思いましても万一通らない場合がある。これはアメリカ側でも同様であります。従いまして、特に今の明文を設けたわけでありまして、こういう例はしばしば起るのでありまして、例えば一九四二年のイギリスとアメリカとの間の軍隊の裁判権に関する協定は政府間で結びましたが、それに基く国内立法はイギリス側は必要な措置を国会に提出する、こういうことを約束いたしております。それが幸いにして国会の承認を得たのでありますが、要するにどこでもそういうことは行われると思います。そこでそういう場合にどうするかということになりますが、これは予算の問題もあり、法律の問題もあると思いますが、若しどうしても必要な場合には協定の内容も変えるべきことが考えられるのであります。そこで協定の改訂についても両国政府がその決意をするということもありますけれども、我々としては国会の承認を得るような法律案を作る確信を持つておつて、できるだけそれに摩擦のないようにいたすつもりでおります。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 それは行政協定を締結された当事者ですから、そういう御答弁があるのは当然で、確信がありませんというような御答弁をせられたらこれは又ナンセンスです。私がこういうことをくどくど申上げておりますのは、岡崎さんの言われておりますように、イギリスとか或いはアメリカとかいうような国柄と日本の現在の状態は非常な差があります。例えば独立第一歩において而も日本の安全を保障してもらわなければならないような安全保障條約の行政協定、こういう今まで曾つて日本が経験したこともないような非常に重大なこれは時期なんです。こういう時期に今あなたがおつしやつたような一般的な理論を当嵌めて、この行政協定の重要な部面をなんか風呂敷でも被せられるような感覚がする御説明を承わることが私には非常に心外なんです。條約といえども、行政協定といえども国民の支持と納得がなかつたらこれは意味をなしません。従つて何十年か先に日本が平和を回復して、完全に世界の一員として世界的な義務すらも果し得るような完全な立派な独立国家になつた曉における行政協定と、今回締結される行政協定とは、内容が同じであつても国民の受取り方は非常に違うのであります。従つて国会等においてもいろいろ論議が鬪わされておると私は考えております。そういう時期に立法措置を講じなければならないというような條文が中にたくさん含まれておるにもかかわらず、国会の承認を受けないで通り一片の理窟を以て押通そうとされるあなたがたのお考え方に対して私は反駁せざるを得ないわけなんです。これ以上行政協定の問題については総括的な問題は申上げたくないと思いますが、少くとも今後この行政協定の内容に含まれると同じような国民の権利義務に関する問題とか、基本的人権に関する問題とか、或いは一面からいつたら治外法権の云々されるような内容を持つ行政協定を若し吉田内閣が作つたならば、なおあなたがたはこれは国会の承認を要することのない細目協定として締結されるお考えがあるのか、或いはこれきりでこういう内容の重大なものはやらないというようなお考えを持つておるのか、この点を一つお尋ねしたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 又理窟を言うといつて叱られるかも知れませんが、これは安全保障が国会の承認を得ましてその第三條がありますので、国会の承認を必要とせずして両国政府間で締結できる、こういう意味でございますので、こういう親の條約を国会で承認されないときは政府としてはこの種のものも両政府間ではできないと考えております。従つて親の條約を国会が承認されるか否かに今後の問題はかかつて来るとこう考えております。なお今お話の点は我々も国民のよく理解を得、国民の協力を得なければならんということは私どもも痛感しておるところでありまして、そのお話の趣旨には誠に賛成でありますが、どうも今までのところ手の足りない関係もありますが、協定の性質、内容等を国民に周知徹底する点については十分でなかつたと考えますので、今後ともできるだけその方面に力を盡す考えでございます

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 西田君、お諮りいたしますが、この行政協定の問題はまだお聞きいたしますか。論点が新たにありましたら午後からいたしましたら如何ですか。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 午後にしたらどうかというお話でありますが、続けてやつて下さい、もう二、三十分でありますから。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) そうですが、もうお晝も過ぎておりますから……。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 それでは結構です。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) それでは午後一時十分からすることにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩    —————・—————    午後一時四十六分開会

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 午前に引続き予算委員会を再開いたします。  先ず、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。本日、理事佐多忠隆君が委員を辞任されました。つきましては、これより理事の補欠指名を行います。本件は先例により、成規の手続を省略して、委員長において指名することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 異議ないものと認めます。私より内村清次君を理事に指名いたします。   —————————————

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) それでは、午前に引続きまして、内閣総理大臣に対する質疑を続行いたします。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 午前中行政協定に対する総論的な質問を大分長く続けましたので、このあたりで一つ行政協定に対する総論的質問の結論をつけたいと思います。岡崎国務大臣は、衆議院の黒田君の質問に対して、條約と今回の行政協定とは、国内で言つたら、法律と政令との関係と考えるかどうかという質問に対して、八分通りはそうだというような答弁をされておりますが、今どういうふうにお考えになつておるか、この点御答弁願います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 八分通りと申しますか、実質的にはそういうことだと思いますが、あいにく国際間の約定については、憲法で條約という字しかありませんので、例えば、そのほかの何か字があると、はつきりわかるわけでありますが、條約一つになつておりますから、実質的には法律と政令というような関係であつても、広義の條約にはどうしても入らざるを得ない、こう考えております。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 今の岡崎さんの答弁で、その点は非常にはつきりしました。実質的には法律と政令という関係だが、広義の條約に入るという御解釈であります。それをお忘れにならんように一つお願いしたい。これも午前中の質疑応答ではつきりしましたことは、政府のほうで国際慣例国際慣例という言葉をよく使われます。この国際慣例と言いますのは、日本を含めての問題でなくて、外国の例だけを引いて国際慣例というように御説明になつたように私には受取れました。例えば、英国においては、行政協定を締結する権利はキングが持つておる、アメリカにおいては、議会の立法の下に大統領が持つておる、こういうふうな御説明を岡崎国務大臣から頂いたのでありますが、その中に、日本ではこういうふうになつておるという例は例示されていない。従つて外国の例だけを引かれて国際慣例と言われることは私には納得が行かない。而も岡崎国務大臣は、この行政協定は、今言われたように、安全保障條約の第三條の委任に基いて政府が締結したのだと、こういうふうに今一応御説明になつておるようですが、私は国会が安全保障條約の第三條によつて政府にかくのごとき行政協定を締結さして差支えないという委任を與えたものとは解釈しておりませんが、どういうわけで岡崎さんはそういうふうに解釈しておるか、その点もう一遍御解明願いたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは安全保障條約の審議に当りまして、しばしばこの第三條が問題になつたのであります。そのときに政府の説明は常にこの第三條にあるからして、両国間の行政協定は政府の間で決定するのであります、特に国会の承認を求める考えはありません、こういう説明をいたして来ております。それでそれに対する反対論は無論ありました。白紙委任状じやないかというような議論もありました。そこで政府のほうは、これは白紙委任状ではないのであります、要するに軍の配備を規律する條件というものは、過去においても現在においてもほかの国にはその例があるのであります、日本には今までありませんけれども、ほかの国にはその例があるのであります、一種の国際慣行として認められておるところがあるのだからして、その範囲内できめるのであるから白紙委任状ではないという説明をいたして来ております。又この安全保障條約の第一條、第二條、第三條とお比べになりますと、第一條には「日本国は、許與し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。」、こういうふうに書いてあります。第二條には「日本国は、アメリカ合衆国の事前の同意なくして、」云々という字を使つております。前文にも日本国とか、アメリカ合衆国という字は使つてあります。第三條に参りますと「両政府間」で、政府という字が出て参つております。こういうふうな字句の問題からしましても、又当時の政府の説明からいたしましても、安全保障條約の第三條によつて行政協定を認めることは、両政府間でよろしいということになつておると当然政府は解釈しておるのであります。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 今のような御説明を伺うから、午前中に私が論議したようなことが問題になつて来るので、アメリカ側から言えば、結局アメリカの権利だけを規定するような内容を持つ行政協定、日本側から考えれば、権利というよりもむしろ義務だけの、負担だけをせねばならんような内容の行政協定、アメリカの立場から行政協定を考える場合と、日本の立場から行政協定を考える場合とは、全く反対のような立場に立つて考えなきやならないような内容をこの行政協定は持つておるように私には考えられるのです。そういう問題であるが故に、今あなたのおつしやつたようなことが問題にされるので、條約というものは、文書によつて国際間の合意が成立してそうして法的拘束力を持つものは、その合意そのものを條約というと、こう私は解釈しておるのです。従つてあなたがお考えになつておるようなことでなくしてやはり国会の承認を求められる必要がある、こういう内容を持つた行政協定であれば必要があるのではないかというふうに私考えますが、この点に関してもう一遍一つ明快な御回答を願いたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは御承知のように日本だけが義務を負うということではないと我々は考えておりまして、例えば安全保障條約の第一條には「外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄與するために使用することができる。」、とこう書いてありまして、アメリカの青年たちが日本の安全のために犠牲になる場合も当然あるのでありましてこれなどは非常に大きな、法律上の権利義務という言葉はここには書いてありませんけれども、それは午前中説明した通りでありまするけれども、非常に大きな犠牲を拂う用意を持つておると考えております。又実際上行政協定の内容におきましては、アメリカも義務を負う点が入つておるのであります。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 そういうふうに答弁されるとなお又一つ聞きたいことが起きて来るのです。要するに、それでは行政協定によつて立法措置をせねばならんということがきめてありますが、日本国内における立法措置をせなければならんことは大体わかりますが、アメリカ側も今度の行政協定の内容によつてどういうふうな立法措置をせねばならないかが、この條項の中に含まれておるのか、先ずそれを一つ御説明願いたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは今アメリカ側でも研究しておるようでありますから正確なことは申上げられませんが、例えば日本の法律に基いて軍隊の所属員が処罰されるというような場合に、立法か必要か、或いはすでにある立法によつて運用するかは別としまして、やはりそういう種類のことは当然必要であろうと考えております。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 行政協定の問題はこのくらいにしておきまして、内容について一、二点お伺いしたい。行政協定の第二十六條に「この協定の実施に関して相互の協議を必要とするすべての事項に関する日本国と合衆国との間の協議機関として、合同委員会を設置する。」、と書いてあります。なおその委員は日米各一名ずつときめられております。安全保障條約、行政協定で規定されておりますことは、日本防衛については極めて重要なことが多いことは御承知の通りであります。併しながら非常に明確さを欠いておるという点から考えまして、この安全保障條約の目的を達成するためには迅速、敏速且つ適正な手段を直ちに協議決定して実施に移すということでなければ、日本防衛の目的を達成することは不可能だと私は考えます。従つて日米合同委員会の委員になる人は極めて重大な責任を負わねばならん、こういう見解を私はとつております。然るに岡崎国務大臣は当委員会において日米合同委員会の委員は大臣級の人物でなく、次官級以下の人物で結構だというふうに、事務的なことだけしかこの合同委員では協議しないかと思われるような答弁をされております。私は少くともこの日米合同委員会の委員になる人は、日本でも最高の権威を持つたような人でないと、さつき申しました迅速、敏速且つ適切妥当な手段を直ちに実施に移すということにならないと支障を来たすと、こう考えるのでありますが、この点岡崎国務大臣はどう考えますか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) この合同委員会は、第二十六條にありますように、実施に関する相互の協議を必要とする事項について協議を行うのでありますが、その後に書いてあります、特に日本国内の施設又は区域を決定する協議機関として任務を行う、こう「特に」と書いてありますのは、合同委員会はこれが一番重要な任務であると双方で認めたからであります。それ以外にも無論ありますが、これはアメリカ駐屯軍の配備を規律する條件の実行に当つて両国間で相談する事項があれば相談する、こういうわけであります。そうして今お話の点は、余り私ははつきり受取れなかつたのでありますが、若し例えば第二十四條に規定されたような事項をお考えになつておるとすれば、これは合同委員会の問題でなくして、日米両国政府間の問題で、二十四條に特に両国、日本国及び合衆国政府はと、こう書いておいたので、二十四條以外の問題でこの協定の実施に必要な事項をお互いに協議する、意見が合わないときには又両国政府でやる、こういう手筈になつております。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 それでは重ねて伺います。仮に駐留米軍が出動しなければならないような場合は、この日米合同委員会では協議しないのですか。協議しないとすれば、そういう際は誰に誰が大体話を持込んで来るんですか、それを一つ伺います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 今ちよつと聞き取れなかつたんですが、アメリカ駐屯軍が出動する場合は、その場合は両国政府間で協議をするということになつておりますから、例えば総理大臣なり、或いは政府を代表したほかの者なりがアメリカ側の然るべき代表者と話合いをする、こういうことになろうと思います

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 そういうことになれば、重大な問題を決定するのですから、何らかの形で明文化してきめて置く必要はないのですか。きめておかなくてそのときになつて誰が出るかということをおきめになることになりますか、それを一つ。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これはいろいろその場合も想定して見たのでありますが、どういうときにどういう事態でそういう緊急な状況が起るかということは、到底想定ができないのであります。そこでこれは両国政府で当然考えるべき問題であるとしまして、そのときに一番適切な方法を、そうして敏速な方法をとる、こういうこと以外に方法はない、こう考えております。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 それでは二十六條はこの程度にして、今度は議事録の二十八條についてお伺いしたい。二十八條に、今後経験を積むに従つてその他の問題で相互に協議することが望ましいものができて来るであろう、こう述べてありますが、これは岡崎さんがこの委員会でも説明されましたように、刑事裁判管轄権に関して日本側が権利を主張したということは私も承知しておるのですが、それ以外の問題についても、北大西洋條約に規定されたものに切り換える選択権を日本が持つておるということをこの議事録は意味しておるものであるかどうか、この点をお伺いしたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは協定に当りまして、でき得る限り北大西洋條約に基く協定の趣旨を取入れるように日本側としては話をいたしました。その中には、例えば第十八條でありましたか、民事裁判権に関する問題等は殆んど北大西洋條約のフオーミユラーを取入れることができたわけであります。併し税の問題等は多少そこに違いもありますので、こういう議事録を残したのでありますが、これは当然北大西洋條約がアメリカについて効力を発生しますれば、その他の問題についても、刑事裁判権以外の問題についても発議する自由は当然あるのであります。但しこの二十八條の議事録の問題は、そればかりでなくて、ほかにこれを実際やつて見てうまく動かないという場合もありましようし、そういう場合も考えまして、初めてのことでありますから、いろいろの点で改正を要することもあり得ると思いまして、そういうほかの問題も含めまして、こういう議事録を残したわけであります。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 最後に行政協定の問題に関してお伺いいたしたいのは、岡崎さんはこの委員会、その他の委員会等々において御説明をしておられますように、北大西洋條約が一カ年以内に若し発効しなかつたならば、日本は刑事裁判管轄権の問題については、北大西洋條約と同じような規定にしてもらえるための発言権を持つておるのだ、こういうふうな御発言になつております。この刑事裁判管轄権の問題に関しましては、これが治外法権的な性質を持つたものであるとして、相当国内では反対意見を持つた人が多いようであります。私は日米安全保障條約、或いは平和條約、或いはこの行政協定は、お互いに対等の立場で信頼の上に立つて若し締結されたものであるとするならば、数年間日本を占領して、占領行政を行なつたその主軸たるアメリカが、日本と独立後の最初の行政協定を結ぶに当つて、なぜ一年間、北大西洋條約の中に書いてあるような條件を日本に與えることに躊躇をしておるのか。これを法律的に言えば、アメリカで北大西洋條約そのものがまだ批准されていない、だからやれないのだということに一応の理窟はつくと思うのですけれども、少くともアメリカが他国との間に條約を締結して、他国の権利を一認めるであろうと思われるようなことが、数年間も占領行政をやつておつて日本というものをよく知つておるアメリカとしてできないのか、而も日本が独立の第一歩としてアメリカと対等の立場で條約を結びたいという国民感情もアメリカは知つておると思うのです。そういう段階にあつてなぜ一カ年間だけ、この條約の中にこういう治外法権な性質を帶びた刑事裁判管轄権の問題をこういうふうに規定しなければならなかつたかという点が私はどうも納得ができない。本当に信頼の上に立つて、アメリカが日本を信頼しているならば、こういうふうにならないで済むのではないか。これは私一人だけでなくて、国民全部の感じではなかろうかと思うのですが、どういうわけでこういうことに規定せねばならなかつたのか。それをもう少し理窟でなくて、あなたがラスク氏と話し合われた内容を詳しく御説明願いたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは率直に申上げましよう。第一に、アメリカ側で北大西洋條約の形式をそのまま取入れることを困難と感じましたのは、やはり行政協定というものは、両政府間の協定である性質から来ていると思います。というのは、両政府間で協定できる内容につきましては、非常に新らしい構想の下に作り出したもの、つまり新らしいものを協定するというよりは、今まで各国に行われている慣行なり、国際法なりの認める範囲内のものでやるのが至当であろう、こういう考えから来ておりまして、つまり北大西洋條約に基く協定というのは、今までやつております慣行よりはかなり何と言いますか、それは離れた新らしい構想の下における協定であります。そこでアメリカ側では行政協定でやる以上は、今までのやり方を余り離れるというわけには行かないという点が第一であります。それから第二点は、それに関連するのでありますが、イギリスにアメリカの軍隊が過去においても、又引続き現在においても駐屯しておるわけであります。このアメリカの軍隊に対する裁判管轄権の協定が英米間にあるわけであります。この協定は、丁度今日本との行政協定でやつております程度の裁判管轄権をイギリスがアメリカに認めているわけであります。これ以上のものを日本側に認めるということが困難である、というのは、これ以上のものは今国際慣行としては行われていないわけであります。そのほかに英米間には基地協定もあり、米比間にもやはり基地協定もありますし、或いはフランスと仏印との間にも軍隊駐屯に関する協定はあるのでありますが、アメリカとイギリスのが一番何と言いますか、対等風間の協定として認められているところであります。これ以上のものを、今北大西洋條約の協定に対する上院の反対があるのを無視して、英米間の協定以上のものを日本側との間に協定するということは、この際は困難であるというわけで、結局この第十七條でありましたか、の協定になつたわけであります。そこであなたのおつしやつたように北大西洋條約が効力を発生すれば、それによる。併し一年間待つてまだ効力が発生しないときには、これは当然両政府で協議して適当なる改正手段を講じようじやないか、こういうところに来たのであります。現状から発足した考えと思つております。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 今の岡崎さんの御説明で大体私も納得が行きました。併しあなたは国際慣例以上のことはやりにくいのだ、こうおつしやいまするけれども、連合諸国との間に批准されるであろう平和條約、それからアメリカとの間の安全保障條約というものは、それは今まで国際慣行には曾つてなかつたような條約がまさに批准されんとしている、その條約に基いて締結される行政協定であれば、あながち英国と米国の間の協定をモデルにしなくても、それより以上の新らして慣行を作る意味においても、日本人としては是非北大西洋條約のような刑事裁判管轄権の問題をああいうように解決してもらいたかつたという希望を私は述べて、行政協定の問題はこれで終ります。大橋国務大臣は見えておりませんか。総理大臣でおわかりになれば総理大臣でいいんですが、できなければ大橋君か法務総裁が見えるまで質問を待ちたいと思います。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 今二人とも衆議院の本会議に出席しているそうですが、どちらか一人今呼びにやつており  ますから……。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 答弁ができればあながちお見えにならなくてもいいと思います。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 質問をして頂いて、総理大臣が御答弁ができればして頂いて、できなければあとに延して頂きたいと思います。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 それではお尋ねいたします。警察予備隊の裝備は現在のままの状態を続けるのではなくて、将来アメリカ側から借りる武器によつていろいろ裝備を改善して行きたいということを関係大臣は始終言つておられますが、その警察予備隊の裝備は高射砲とか或いは小口径の大砲等を持つことに将来なるのですかどうですか。これを一つお伺いいたしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 私としては答弁できそうでありますからお答えいたしますが、この警察予備隊が如何なる裝備を持つかということは、これはいろいろの状況、国内の状況等にもよる話でありますが、一方においては余り、何と言いますか、高価な武器は日本の国力が許しませんから、アメリカが貸してくれればとにかくでありますが、貸してくれない以上は持つことはできません。理想としては成るべくいい武器を持たしてそうして国内治安の維持に有効な裝備を持たせたいとは考えております。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 私が聞いておりますのは具体的な問題であつて、警察予備隊が大砲或いは高射砲等を持つことになるかならんかということを具体的に聞いておるんですから、そのつもりで御答弁を頂きたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 具体的の答弁は主管大臣のほうがよさそうだと思いますから、主管大臣から申上げたほうがいいと思います。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) ほかの問題で総理に対する御質問はもうないのでございますか、総理なり岡崎国務大臣に対して……。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 これに関連して最後には出て来ますが、先に総理大臣に答弁を求めるわけに行かない。順序があるので……。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 私は主管ではありませんけれども、アメリカ側とのいろいろな話合いの関係もありますのでお答えできるかも知れませんが、御満足が行くか行かないかわかりませんが、お答えいたしますと、大砲という観念と一致するかどうかわかりませんが、いわゆるガンという種類の一種ですが、小さな大砲ということになりましよう、これは持つことになつております。高射砲の問題はまだ話に全然出ていないと了解しております。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 今岡崎さんの御答弁では小口径の大砲は持つことになるだろうと思うが、高射砲はまだきまつていないということですが、これは大橋さんが見えたら又もう一遍聞きたいと思いますが、この小口径の大砲とか、高射砲はお持ちにならんからわからんが、そういうものはどういう場合を想定してお使いになる目的を持つてお持ちになるんですか、その点を一つお伺いしたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 高射砲の問題はまだ全然話に出ておりませんが、小口径の大砲と言いますか、実はこの頃は私も素人で余りはつきりしたことは言えませんが、非常に小銃から大砲に行く間があいまいになつて来たと思います。バズーカ砲とか機関砲とかいろいろなものが出て来ました。そこで元のように例の大砲とか、その間にはつきり区別はないと思いますが、バズーカ砲なんかも大砲とは言えないかも知れませんけれども、非常に似たものだと考えます。そういう種類のものを、要するに国内の治安維持と申しますが、外国の使嗾による大規模な内乱的のものが起るとしましても、その場合に第一義的には国内の警察なり或いは警察予備隊なりでこれを鎭圧するものでありまして、その場合特に政府の要請があればアメリカ軍が出動して手伝うことになりますが、そういう場合も想定しておりまするから相当の裝備は必要である、こういう見地からやつておるのであります。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 この問題は大橋君が見えてから質問することにして、ほかの問題について質問しましよう。総理大臣に対する問題は、駐留軍は日本の領土内或いはその附近に駐留すると書いてありますが、日本の領土内に駐留する米軍と、この附近に駐留する米軍との比率と言いますか、数は明示はできないと思いますが、武裝と言いますか、比率、人員と言つたらわかりやすいかも知れませんが、そういうものについて総理大臣は何か御承知になつておりましようか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 代つて御答弁いたします。これにつきましては何と申しますか、第一は相対的のものと言いますが、日本を侵略する力というものはどこにどれだけあるかということは今すぐになくても、そういう想定の下に必要な兵力を置くのでありましよう。そこでそれにつきましては日本の周辺、つまり沖繩もありましようし、グワムもありましようし、その他の地域もありましようと思いますが、そうして又それに空軍もありましようし、海軍もありましよう。そういうものが総合しましていわゆるリターレント・パワーと申しますが、日本を侵略するということはアメリカの大きな武力に向うことだぞということを示して侵略をあらかじめ阻止するというのがこの安全保障條約の目的でありますので、相当に強力なものを置き、且つそれが日本の安全を保障するに足るということになつておりますけれども、国内にどれだけ置くとか、国外にどれだけ置くというような比率なり、或いは何と言いますか、国内に何個師団というような数は、これは先方でも秘密に属しますので発表はいたしておりません。尤もいろいろの今度の施設、区域をだんだんきめまするから、そういうものを克明にお調べになれば御想像はつくかも知れんと思いますが、いずれにしてもこの條約の趣旨である信頼の精神から、我がほうでは、アメリカが日本の安全を保障するに足る必要な兵力を日本若しくはその周辺に置くんだということは、我々も確かにそう信じております。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 なぜ私がこういうことをお尋ねするかと申しますと、昨日の委員会でも大分戰力戰力という問題が問題にされたのでありますが、アメリカの駐留する軍隊というものが、今言われた沖繩とかグワムとかその他の方面に大多数が駐留して、日本の国内にはほんの一部分しか駐留しないというようなことになりますというと、昨日お話になつた警察予備隊或いは防衛隊等等の問題が又新らしく考え直さなければならんという段階になると思います。それはなぜならば、日本の治安を守るということは、外部から侵入して来る敵を防ぐということだけではないと思います。従つて若し或る第三国が日本の周辺に駐留する米軍の隙を見て、日本本土にも近付いて侵攻するというような事態が起きた場合に、アメリカ駐留軍が日本領土内に数が極めて少いということであれば、好むと好まざるの如何にかかわらず日本の警察予備隊若しくは防衛隊、若しくは国民を総動員してこの侵攻に当らねばならんという結論が生まれて来るので、その結論からすれば昨日も問題になつた戰力というものが、又新らしい観点から考え直さなければならんという問題が私は起きて来ると思うから聞いておる。従つて、今度予算の中に含まれております五百六十億の経費というものによつて、ほぼ米軍の駐留する宿舎等が建設されるそうですから、大体の数の予測は我々が直接嚴密に調べるよりも政府のほうがよりよくわかつているはずだと思う、わかつておる範囲で結構ですから、政府はこれくらいだろうと思うという数字でもおわかりならそれをお示し願いたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 甚だ恐縮でありますが、そういう兵力の問題等は従来からアメリカ側では軍の機密として取扱つておりますので、仮に私が知つておりましても申上げることは差控えなければならんと考えております。又今後これは安全保障條約ができまして、新たなる観点から日本に置く駐屯軍の数につきましては、実際正確なところは無論私どもも知つておらないのであります。併し安全を保障するに足るものは当然置かれるということで施設等の問題の話を今進めておる最中であります。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 機密であるから知つておつても言われないということであれば、無理にその内容の御説明を求めはいたしませんが、少くとも安全保障條約を締結し、ああいう行政協定を締結された建前から考えて、総理大臣は現在の国際情勢下において日本の安全を保障するためにはどれくらいの裝備を持つた、どれくらいの軍隊が必要であるかという点についてはお考えおきになつておることであろうと私は考えるのです。それがわからないでおつて、安全保障條約を結ぶとか、岡崎国務大臣の言われるように、米軍が日本の安全を守つてくれることを確信するというようなことは、ちよつと言えないと思うのですが、総理大臣は現在の国際情勢下において日本の安全を守るにはどの程度のものが必要であるとお考えになつておるか、この点をお洩らしを願いたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) これは今岡崎国務大臣が言われた通り、日本としてはこれだけの軍力といいますか、米軍の駐在を必要とするということを申せば相手方の、相手方というのもおかしいのですが、日本に対して侵略を行うことあるべき国を想定いたさなければならず、又それを想定してそれがどういう機会に日本に入つて来るか、或いは日本に攻略をなすか、米国軍はこれに対して如何なる兵力を持ち、これに対して如何なる戰略と申しますか、対応する政策を立てるか、これはいわゆる米国軍の機密にも属することのみならず、政府として相手国を、或いは或る国を想定して、この国がこういう場合にこうするであろうとか、或いは日本に対して侵略するであろうというようなことを申すことは、政府当局としては不穏当であると考えますから、説明は差控えたいと思います。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 今総理大臣の言われたことは私もよくわかります、よくわかりますが、この席上で発表にならなくても結構ですから、アメリカ側と総理との間でそういう問題について十分なるお話合いができておるのかどうか、この点をもう一点だけお答えを願いたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) これはすべての場合を想像してということではありませんけれども、大体の話合いは、話合いと申すか、了解はいたしております。即ち日本の安全を保障するに足るだけのことはアメリカ側において施設するという了解はいたしております。然らばどういうものということを具体的に申すことは差控えますが、全然話のないわけではありません。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 警察予備隊の問題をやりたいと思いますが、お見えにならないから一応これで質問を打切つておきます。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) あとで、来ましてから……

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 あとで又……。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 私は、今日比較的財政問題についてお聞きいたしますが、総理大臣がお答えになれる程度のざつとしたことをお聞きいたしますから、総理大臣からお答えを特にして頂きたい。本年度予算におきまして何といつても一番目立つた経費というのは、これは国防関係費と申しますか、防衛力の経費である、こういうことがいえると思うのであります。先ずお聞きいたしたいことは、大体今国民の負担能力から見て、今回の防衛関係費というものは限度でなかろうかということが先ず考えられないだろうか、こういうことなんであります。大蔵大臣には別に細かくお聞きいたしますが、この予算書に見ますると、それが国民所得に対する割合、財政規模から見ましても、そう従来と無理がないのだ、それから国防関係費もそのうちに占める割合が先ず妥当のものであり、内政費も或る程度満足さしたのだ、こういう説明なんでございますが、この国民所得の推計についてどうだこうだという論議はいたしません。併し過般この公聴会で東大の教授なり商科大学の先生なりからは、その国民所得自身の推計が大きいのだという御議論がありました。私もそれについて意見があるのでありますが、その問題はともかくといたしまして、ざつとお考えになつて、二十六年度は日本の産業、輸出入が非常に膨脹いたしました。それは御承知の通りに、特に朝鮮事変に関連するところのいわゆる特需の收入があつたときである。平時から見まするならば、これは相当もつと規模を縮小したものでなければならない。二十七年度の予算におきましても約特需関係を三億ドルぐらい見込んでおります。そういうような点から見ますると、非常に特殊の現象が起つた年である。そのときを基準にして国防関係費はおきめになる。それはよほど内輪でなくてはならない、こういうふうに考えますが、その点についての総理のお考えを承わりたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 日本が独立すると共に、日本の安全を保障するためにはできるだけの施設なり、支出なりを負担する覚悟がなくてはいけないと思います。併しながら、今の支出が然らば妥当なりや否やということはとにかくといたして、現在日本が負担し得る最小限度と考えて政府は予算を組んだのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 そういたしますると、繰返してお聞きいたしますが、今度の歳出予算のうちで防衛関係の経費として計上されておるものは、最小限度だという観点に立つて予算をお組みになつたという点をはつきり確認いたしたいのでございますが、もう一度その点について御説明を願いたいと思います。

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 代つてお答え申上げますが、今回の防衛関係費は最小限度であり、私は又最大限度とも考えております。この程度のものが適当である、こう考えてやつておるのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 折角、総理が最小限度だと言つて大いに国防費の将来増加を予想されるような言葉をおつしやいますと、大蔵大臣からこれも最大限度であるというお話もあり、適当だと言われるのでありますが、私は実際その点でやはり何と申しますか、これは今度の問題として、一審日本の国として、実際の政治的な検討から見まして、いろいろ観念的な議論はできますが、日本の防衛関係の費用をどういうふうに将来国民生活と按配して行くかという問題は一番大切な問題であり、それを数字によつて見ますときに一番具体的なものが現われる、こう思うのでありますが、大蔵大臣にもつと細かいことはあとから聞きますから、私は総理から大体のお考えさえ承わればいいので、一応それでは、総理大臣の言われます、先ず本年度の国防関係経費は最小限度だというふうな認識に立つて、以下の質問を続けて参りたいと思いますが、先ず第一にお伺いいたしたいことは、千八百二十億の金額が大体国防関係の経費として今後考えられて行くのかどうか。これは国民所得に対しまして、一応政府の国民所得を基準にいたしまして……これ自身に問題がありますが、基準にいたしまして、約三分四厘に当るかと思うのであります。そうして本年度の財政規模に対しまして大体二割一分程度に当るかと思うのでありますが、そういうふうな金額というものは、率直に申しますと、戰前におきます日本の軍事費はいろいろな割合を占めておりますが、先ず普通のときの状態にやや近いものだと、こういうことが私は言えると思うのでありますが、そうお考えになつておりましようかどうか、計数的なことは正確に私は総理大臣からお聞きする必要はありませんが、大体目安をどういうところに置かれたのであろうかどうか、こういう点をお伺いいたしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 数字の詳細については大蔵大臣から御説明を願いたいが、今日本が独立の初めにおいて、全然従来の設備をなくなした日本としては、治安維持のためにも相当な支出をしなければならず、用意もいたさなければならないので、そのためには相当な費用が要りますが、政府としては、或いは国家としては、その必要な費用の最小限度、而して国民の負担から言えば最大限度と大蔵大臣は言われたのであろうと思います。数字の細かいことは大蔵大臣からお答えいたします。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 それでは、なお細かいことはあとから大蔵大臣に別な機会にお聞きいたしますが、まあ必要性から見れば最小限度であり、そうして国民の負担の点から言えば最大限度の防衛関係経費だと、こういうことをおつしやいますのでありますが、と同時に一方におきましては、常に口をお開きになれば、尤もだとは私も思うのでありますが、国民生活の維持向上ということをおつしやつておるのであります。この問題との調和という問題が非常に問題になつて参りますが、そのほかにここで総理にお聞きいたしたいことは、総理は平和條約及び安保條約を批准いたしますときにもそういうお話があつたのでありますが、外債の支拂は一日もこれは早くしたいものであるというお話がありました。それから賠償につきましても、無論役務賠償を主とするのであるが、それらについても日本の義務を果したいのだというお話があつたわけであります。従いましてここでお伺いいたしたいと思いますことは、賠償の支拂、外債の償還等に関しまして、今どういうふうに諸外国との関係がなつておつて、どういうふうに御処理をなさろうとしておりますか、その点を大ざつぱな話で結構でありますから御説明願いたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 外債については、期限が来ておつて償還をしなければならんものもあり、その他のものもあります。これに対しては、約束通り支拂をいたしたいと思います。それから賠償の問題は、今現に交渉中でありますが、金銭賠償はいたしたくないと思います。外債については、條約に規定してある通り、速かにこれを始めるということになつておりますが、まだ話は始めておりません。成るべく早い機会に公債所有者、或いは公債を與えたイギリスであるとか、フランスであるとか、或いはアメリカ等との間に話を始めたいと考えておりますが、まだ交渉をいたしておりません。成るべく早い機会に交渉をいたしたいと思つております。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 外債の支拂については、新聞紙では、すでにイギリスと予備的なお話合いが……まだ正確には始まつていないようでありますが、そういう意向がイギリスのほうで、日本が独立いたします前にいたしたいというふうな希望があるということが伝えられておるのでありまするが、その点については如何でありますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) イギリス側にそういう意向があるようでありますが、又私に対して、外債の始末はどうするかということは、いろいろな方面から、私の知人、友人等から話もありますが、今までイギリス政府として公然日本政府に交渉を開始はいたしておりません。希望は了承いたします。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 その点で総理大臣に特に御注意を促して御答弁を願いたいと思うのでありますが、実は本年度の予算の中に、連合国に対する賠償と、対日援助の返済の問題と、外貨債の償還の問題、その他の債務の支拂及び占領によつて損失をこうむつた国民に対する補償等で約百十億しか見込んでないのであります。前年度の平和関係費から百億繰越しますとしましても二百十億しか見込んでない、こういうふうな状況でありまするが、これらにつきましては、それらの御処理は二十七年度内、つまり来年の三月三十一日までには或る程度見込が立つて参るものと、こういうふうにお考えになつておりましようか、どうでありましようか。

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私代つて御答弁申上げます。お話の通りに、外債或いは賠償、ガリオア援助返還、その他平和回復善後処理費の二十六年度からの繰越しを加えまして二百十億円になるのでございます。而して外債の支沸につきましてどういうふうな方法でやるかということは、いろいろな問題があるのであります。イタリーのような場合のごとく、英国政府或いは米国政府が債権債務者の間に関係する場合もあります。又然らざる場合もあります。いろいろな交渉の形式があると思いますが、この点につきましては只今日本政府におきまして、いろいろな点を考慮いたしまして案を練つておるので、具体的な交渉には入つておりません。又ガリオア資金にいたしましても、そうでありますし、又賠償のほうでも、まだ役務賠償の額、時期においてきまつていないのであります。従いまして、私といたしましては、昭和二十七年度中におきまして、以上申上げました三者のほか、占領中の補償等を加えまして、大体二百十億円ならば賄いがつくのではないか、これは財政演説で申上げましたように、フルの一年間ではない、どうせ年度中から始まることになるから、この程度でいいのではないかと考えております。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 大蔵大臣から御答弁になるので実に何と申しますか、困るわけなんですが、ともかくも大蔵大臣のお話によりますと、どういうふうな処理になつても、二十七年度としては、ともかくも二百十億の範囲内でこれらのものを拂うのだというお考えのようであります。ただ一例を外債の処理にとりましても、現在四億四千八百万ドルあるのでありまして、そのうちの期限の到来いたしておりますものが八千五百万ドル、未拂利子が、一億五千七百万ドル、今直ちに支拂を要する、つまり日本が債務として拂わなければならんものだけでも二億四千三百万ドル、八百七十一億円になつておるわけであります。こういうことを考えますと、これらの問題の処理の仕方という問題が、相当日本の財政規模の拡大を促し、そして何と申しますか、普通の従来の考え方では收まりがつかなくなつて参るということが十分考えられるわけであります。無論外債の処理については、今大蔵大臣の言われましたように、イタリーの例もあり、いろいろの各国の事例もございますが、こういうふうな問題が不確定のままに本年度予算においては想定されておる。で、率直に申しますれば、連合国財産補償の問題の三百億円というような、年間百億ずつという問題も、実は我々の知らないうちにきまつたわけでありますが、これらについて御方針がきまりますのは、大体二十七年度内にはきまるはずだと思うのでありますが、そういうふうなお見込を伺いたい、こう思うのであります。

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 大体二十七年度中にはきまることを予定いたしまして、予算を計上いたしておるのであります。なお連合国財産の補償につきましては、先の国会におきまして、補償法を御審議願い、その法律にも年百億円という御決定を得ておるのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 どうも言葉を繰返しておつてもしようがありませんが、連合国財産の補償法の問題にしましても、実は法律が出たのはあとであります。そういうふうな情勢になりまするので、つまり日本の国力をきめて参ります前提になります各種のものが非常に未確定のものがある。何と申しましても、今後この財政規模では收まらないことが予想される、こういうふうに考えるのでありますが、この点について総理大臣はどうお考えになりますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 主管大臣からお答えいたさせます。

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) お話の通りに独立国家となり、国内の治安を確保すると共に、従来の債務を拂つて行きますことは、なかなか容易なことではないのでございます。そこで私は先般財政演説でも申上げました、ごとく、国民一致協力して、日本の経済力を殖やして行く、そうして今までの債務を拂つて行こう、こういうふうに国民の奮起をお願いいたしている次第であります。私の見込では、今後、今までのように日本の経済力が伸びて行きますれば、大体今までの債務を、今一度には拂えませんが、拂つて行ける考えでおります。又拂つて行けるような経済の拡大強化を図りたいというので、努力をいたしているのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 今度は、是非総理大臣から御答弁を願いたい。どうも事、財政の問題だと、実は大蔵大臣とは細かく質疑応答を繰返します時期がございますので、総理大臣の御意向だけを今日は確かめておきたい、そういう考えでいるのでありますが、今大蔵大臣と私の話のやりとりをお聞きになつても、本年度のこの自衛力漸増に伴うところの経費、防衛関係の経費というものは非常に大きくございまして、それから本年度に予定されました平和回復善後処理費として見返まれたものは、賠償問題、対日援助の返済の問題、外債の支拂、及び日本人の財産補償の問題等を考えましても、非常に莫大な額に上つて参るということは、これは総理大臣も大体頭の中にお入れになつたことと思うのでありますが、常に総理大臣の言われるのは、国民経済力との調和、国民生活水準の維持向上ということを抑制しない程度においてやりたい、こういうふうなお考えでありますが、そういうお考えである以上は、本年度の、二十七年度の防衛関係経費がかく拡大して参りましたときに、大体の構想、大きな枠として、どういうふうにして防衛関係の経費を持ちつつ、国民生活との調和を図るか、余り数字にこだわる必要はございませんから大体の御構想というものがあつて然るべきだと、こう考えますので、その点について特に総理大臣の御構想を承わりたい、こう考える次第であります。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 特にお答えをいたしますが、大蔵大臣の意向即ち私の意向でありますから、大蔵大臣の話を率直にお聞きを願いたいと思います。又日本が独立した以上、防衛費にいたしましても、或いは対外債務にいたしましても、今まで拂わなくともよかつたものが、今日拂わなければならん、又拂うことが日本国民の一種の名誉と考えるべきものであつて、これは完全に拂うことを国民は覚悟いたさなければならん。そういたしますと、これにどう対応するか、賠償義務にしても、或いは対外債務にしても、その総計は莫大なものでありましようが、たとえ莫大であつても、これは日本国民が喜んでこれを支拂うということにいたしたいものだと思います。さて、具体方法はどうか、具体案については大蔵大臣からお聞きを願います。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 大蔵大臣からはそれでは別な機会に承わります。私は大蔵大臣を決して軽蔑しておるわけではないので、練達堪能の大蔵大臣ですから、これは私はいつも二時間ぐらいは質疑応答を繰返さないとわからないのです。どうもこの場合適当でない、折角総理が出ておられますから、やはり総理自身の御構想があるだろう、それに従つて大蔵大臣はおやりになるだろうと、こう考えますので、特にお聞きいたした次第であります。それで実は総理大臣の一つの御構想が施政演説の中に現われておるのであります。それではこの点は施政演説でおつしやつたのだから、御自身のお考えが出ておると思うのでありますが、「産業の合理化、施設の改善、電力源の開発、外航船舶の増強など成るにおいては、生産及び対外貿易は一層の進展を見るべきを確信いたします。而して、このことたるや、一に外資導入を待つにあらざれば急速の進展は期し難く、外資の導入は、国情の安定、わけて政局の安定を見るにあらざれば、期待することができないと考えるのであります。」というふうなお話になつておるのでありますが、又別の機会に外資導入は、今、現状入つておるような民間の間の技術的援助であるとか、株式の取得だとか、或いはその他の形式で行われておるようなものではないのだというふうな点も言つておられるのでありますが、どういうふうな……、ともかくも総理大臣としては急速なる経済の進展を図るためには、何といつても外資導入が必要だと、こういうお考えなんでありますが、どういうふうな程度でどういうふうにお考えになつておるかという点を一点伺いたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 日本が敗戰後すべての財政、経済、産業の基礎が破壊された以上は、これを急速に回復することは勿論外資の力、外援によるほか方法はないのであります。この実情を政府としては十分米国その他に訴えて、そうして日本の経済独立をいたすように外債その他の援助を頼む。今日は日本の現状、日本の産業の状態等を詳細に述べて、そうして米国その他の理解に努めております。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 問題は具体的に或る程度のものが可能性があるのだというお話を、承われれば非常に結構だと思つたのでありますが、その点につきましてはまだ今の御答弁では何ら現われておらないようであります。これは大蔵大臣から御答弁下すつて結構でありますが、大体本年度の予算説明書によりますると、平和回復に伴う費用約二千億が挙げてあるわけでありますが、このうちで防衛支出金、これは行政協定によつて明記されてあるところの、少し金は大きうございますが六百五十億、警察予備隊の五百四十億、海上保安庁の経費として七十三億、それから安全保障諸費として五百六十億、大体まあこれが国防関係、いわゆる千八百億と言われる経費でございますが、このうちで條約上の義務を負つておるのは、一応六百五十億だと考えるのでありますが、と同時に昨日のお話では、五百四十億の警察予備隊費、海上保安庁の経費の七十三億、これも大体安全保障條約に伴つての漸増的自衛力を増強いたして参る費用だと、こう考えるのでありますが、そのほかに安全保障諸費五百六十億というのがありますが、大体今後の自衛力の基礎になりますものは、警察予備隊の五百四十億と海上保安庁の七十三億及び防衛分担費の六百五十億と考えていいのでありましようか。

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 大体お考えの通りでよろしうございます。ただ申上げておかなければならないことは、安全保障諸費のうちに治安機構の確立の経費も見ております。又海上保安庁のほうに移用して使用することのある、いわゆる監視船の強化、巡邏船等の補強のものも或る程度は見込んでおりまするが、大体におきましてお話の通りであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 大蔵大臣にお聞きいたしますが、大体安全保障諸費のうちの大部分は一時的の経費である。今後の日本の自衛力の基礎になるところのものが大体この千二百億くらいからスタートする、こういうふうに考えてようございましようか。

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 安全保障諸費の内訳につきましては、まだこの席で申上げる機会がなかつたのでありまするが、衆議院の予算総会におきましては申上げておりますがごとく、五百六十億円の内容は、大体は営舎等の建築、この営舎と申しまするのは、七大都市に駐留しておりまする米軍が都市以外に駐留いたすごとになりまする費用等を見込んでやつておるのであります。そういう営舎の建築に伴いまして通信施設の強化、或いは連絡道路等の問題がございます。従いまして、これは警察予備隊のように将来長く続く経費でないということは御指摘の通りでありますが、それでは昭和二十七年度だけで今後こういうものは要らないかとお聞きになりますと、必ずしもそうとは申上げられませんが、これは性質としてはずつと長く続く経費ではないと考えております。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 そういたしますと、行政協定によつて、六百五十億の経費については、日本の負担額については毎年考えられる。そうして又解説によりますると、会議の議事録によりますると、この六百五十億は、或いは減るかも知れない、こういうふうな関係になつて参つたときは、結局この六百五十億と約六百億の千二百億くらいが基準になつて一つの防衛力という枠がきまつておる。そうしてその間に異同があるということかあり得るのだと、こう考えていいかどうか、もう一度念のために伺います。

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 防衛支出金につきましては、初めの何には毎年一億五千五百万ドル、そうしてレンド、不動産賃貸料、こうなつておるのでありますが、これは毎年でございませんで、原文はパー・アノン、年額になつております。六百五十億円、又一億五千五百万ドルの分がずつと続くわけではないのでありまして、岡崎国務大臣が答弁いたしましたごとく、日本の経済、財政の状況から考えて減らして頂きたいという申出はいたしておるのであります。従いまして私といたしましては、今後減るとも殖えはしない。これはもう絶対にそうかと言われますとそうではございませんが、大体の状態におきまして減ることを私は希望いたしておるのであります。然らばその減つた分だけを警察予備隊、海上保安庁へ廻してほかのほうは殖えないかと申しますると、私はこれは日本の経済力の上昇、或いは国際情勢等から考えまして、又国内治安の状況から見まして、他の機会に申上げておつたのでありまするが、この日本の治安確保のためには、大体八百二十億円程度が今のところ最大限と、従いまして要約いたしますると、安全保障諸費のうちから警察予備隊のほうへ廻ることも、本年も或る程度は予想いたしておりまするが、将来において、そういう安全保障諸費が減つて海上保安庁とか、警察予備隊のほうの金額が殖えるということはあり得ると御了承願いたいと思います。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 結局そういたしますると、大蔵大臣と今までやり取りしたことが意味がなくなつて、結局全体として千八百三十億程度の自衛力の強化費、こういうふうにお考えになつておると、こう考えてようございますか。

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 昭和二十七年度におきましてはそうお考え願いたいと思います。二十八年度におきましては、これが千八百二十億から減るか或いは殖えるかということは、そのときの情勢によつて予算を組んで行きたいと思つております。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 注意しますが、もうあと五分です。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 そうすると、それでは私二十八年度以降の点につきまして、なぜ條約をお結びになつて以後、お考え方が出ないか、こういう問題が残つて参るのであります。それでなければ漸増的に自衛力を増強するという問題との調和が具体的に、一つも具体策が考えられていない、こういうふうに考えざるを得ないのでありますが、そうでありますか。

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 前から申上げましたごとく、治安確保のための経費、並びに独立に伴いまする従来の債務の支拂い等の関係で相当の増加を見なければなりませんが、片一方におきましては国民生活水準の維持向上という重大な任務があるのであります。従いまして我々といたしましては日本の国民経済の伸び方によつて、先ず第一に国民生活水準の向上を図り、而して又第二段といたしまして治安確保の経費を出して行きたい、又債務の償還にも充てて行きたい、こう考えておるのであります。従いまして昭和二十八年度において賠償或いは外債の支拂いがどうなるか、或いは治安関係等の費用はどうなるかということにつきましては、今正確な数字は申上げられません。日本の経済の伸び方によつて違うのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 その問題は大蔵大臣が常にお答えになりますから、大蔵大臣には今後幾らも機会がございますから、一応打切ります。  行政協定について関連して承わりたいと思いますことは、総理大臣にお伺いしたいのでありますが、現在日本にいる外国軍隊は平和條約の発効によりまして九十日以内に日本国から撤退することになつておりますが、この点に関しましては政府はどういうふうな折衝をお始めになつていらつしやいましようか

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これにつきましてはいろいろ具体的に話合いも進めております。まだ結論は出ておりませんので、ここで申上げる段階にはなつておりませんが、話合いは進めております。又他の方面にもだんだん関連する事項は、これからどんどん、話合いを進める予定になつております。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 平和條約が、日本は無論できておるのでありますが、相手国も批准をいたしましたときに、なお且つ駐留することが予定されておるところの外国の軍隊がございますか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと御質問の点がよくわからないと思いますが、或いは英、濠軍のことを指しているのじやないかと思いますが……。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 アメリカ以外全部……。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカ以外には英、濠軍だけが今おるわけであります。そこでこれは無論国連軍の一部としておるわけでありますが、これの取扱いをどうするかということは只今研究中でありまして、今後話合いを進めることになつております。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 御研究中だそうでありまするが、この問題を、平和條約が有効に発効いたしまするのも近いことだと思うのでありますが、それに対しまして駐留をする場合には、どういう條件で駐留を認めるのか。これは先ほど岡崎国務相が言われました、新らしく国連軍としての関係において駐留されるということに考えれば考えられるのでありますが、その駐留の場合の期間的なもの及びその際の協定ができるでありましようが、そういうものについてはどういうふうな御方針であるかという点が一つ確立されなければならない、こう考えるのでありますが、その点も国会には秘密でおやりになるつもりでありましようか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは、こちらばかりでございません。先方でもいろいろ研究しておりますので、只今研究中と申上げたのであります。なお、こういう点につきましては国会に、例えば協定とか條約とかいうものを結ぶ場合には、無論国会の承認を得るというのは当然でありますが、若し仮に何といいますか、便宜供與というような程度のものであれば、これは政府間でできるものもあろうと考えております。いずれ詳細は、研究の結果そう遠からざるうちに、はつきりすることと考えております。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 どうも甚だ何と申しますか、独立を前にして、国連協力の問題というものは、平和條約を締結いたしましたときからの問題であつて、すでに御研究になつておるはずだと思いますが、この点も未定のようでありまするから、至急この点につきましても、條約発効と同時にどう処理するかということは、当然きまらなければならない。而もその発効が差追つているというときに当つて、至急国会にその方針を明らかにして頂きたいと思います。  最後に行政協定の性質についてはまだ未定であります。我々自身もこの点につきまして国会の承認を要するものであるという観点から、政府にいろいろと御質疑をしておりますが、ただ一カ條だけ特に私お聞きしておきたいと思いますことは、二十四條であります。昨日からも二十四條の性質についていろいろ議論したのでありますが、この二十四條は配備を規律する條件のうちからは、私は甚だしく逸脱した條項である。これは決して配備を規律する條件のうちに入らないものだと、こういうふうに考えるのでありますが、これが特に配備を規律する條件だとおつしやる理由を挙げて頂きたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) この配備と弔事と、成るほどなかなかこの点は我々も疑念があつて、配備を規律する條件のうちに入るか入らないかという点は、正直に申しますとどちらとも考えられるようなことであります。併しながら事は非常に重要な問題でありますので、先ごろから例えばこの行政協定には附属した秘密の了解事項があるとか、或いは秘密の協定があるのだという噂も立ちまして、又国会でもそういうものがあるのじやないかという質問もあつたわけであります。従つて二十四條は、要するにはつきりいたしました点は、内容は何にもないのでありまして、従つて配備を規律する條件とか條件でないとか言われましても、二十四條は何も内容は書いてないのであります。要するに私が説明を国会でいたしたときにも申しましたが、この二十四條は殆んどここに書くほどのこともないものかも知れないのであります。併し消極的に申せば、これ以外のことは果してないのかという意味ではつきりさせる必要もあるかと思いまして当然のことと言えば当然のことでありますが、両国政府間で討議するということで終つているのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 どうせこの点も詳しく今後の質疑に待ちたいと思いますが、時間がございませんので、今後の質疑に譲りたいと思いますが、二十四條は何でもないのだとおつしやるのでありますが、実は日本の国民にとつては一番私は関心の深い一條である。関心深いものの一つである。否、場合によれば一番国民の運命に関するところの重要な問題を含んでおるのだ、こういうふうに考えますので、この点につきましては時間がございませんから後日改めて御質問することにいたしまして、一応私の質疑を打切ります。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 西田君に申上げますが、法務総裁と大橋国務大臣が来ておりますが、あなたの持時間はまだ二十分残つておるわけですから、質問をされるならば今やつて頂きたい。それとも打切りますか、どういたしますか。よろしうございますか。

西田隆男民主クラブ

○西田隆男君 結構です。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) それでは岩木君。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 それでは総理大臣にお尋ねいたしますが、行政協定の第一十五條に、定期的再検討の結果締結される新たな取極が発生することが規定されておりますが、現在の行政協定については、発表以後国内、国民の輿論といたしましても、国会におきましてもいろいろ論議が展開されて、これは国会に附議すべきであるとか、或いは憲法侵犯の虞れがあるとか、その他取扱上につきましても、国民の人権の上に及ぼす影響甚大なるものとしていろいろの御意見がありますが、総理大臣は、定期的に再検討してこれを改めるという、この定期的の時期、或いは現在の行政協定は、近いうちに再検討をして改正を申込まれる御意思がありますかどうか、お伺いいたしたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ほども御説明しました通り、何分にも日本としては新らしい種類の協定でありますので、実施をいたして見れば不便な点ができるかも知れないということも一つ考えられます。又例えば数カ月後に或いは北大西洋條約に基く軍の地位に関する協定がアメリカにて効力を発生する場合もあり得るのであります。そうしますると、刑事裁判権の問題は当然改められるべき点もあると考えまして、普通こういう改正の問題は、常識的には別に規定がなくても改正ができるわけでありますけれども、こういうものを規定したわけであります。そこで定期的にというお話でありまするが、只今のところ定期的にということは考えておりませんけれども、やつて見て運用上何かうまく行かないところがあれば、改める場合もあり得ると考えて話合いは進めて来たのであります。  なお、その他の問題につきましては、例えばこの国会の承認を得べきものという点については、政府はこれは安全保障條約三條に基いて締結し得るし、又すべき問題であると確信いたしておりますから、その点は初めの考え通りであります。又国民の権利義務に関係するものは、これは当初から必要な法律は国会に提出してその承認を得ることにいたしておりまするから、その点も初めから予定しておる点で、行政協定自体で国民の権利義務を直接に規制するものでない、こう考えておりますから、この点も別に改めることはないと考えております。で、今申したように、ほかの理由から、北大西洋條約の効力がアメリカで発効したとか、或いはこれを運用して見て、その実際上の経験から改むべきことがありとするならば、それは改めるつもりでおります。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 岡崎国務大臣の御意見につきましては、疑義もありまするし、再質問をいたしたいと思いまするが、時間が僅かに限られておりますから、この問題は次の機会に譲ることにいたします。  次にお尋ねしたいのは、先ほど西田君からもお尋ねがありましたが、日本及びその附近というようなこと。この附近というのは、グアムであるとか沖繩網であるというようなことを指したと承わりますが、これは朝鮮……韓国、こうした方面も日本の附近に該当いたされますか、お伺いしたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 朝鮮は特殊の事態でありまして、只今国連軍としていろいろの措置は講じられておりまするけれども、当然にあそごにかかる軍隊がいるわけではないと思います。従いまして日本及び日本の周辺といいますのは、そういう方面は入らない、原則的に入らない、こう考えております。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 原則的に入らないということは、どういうことかわからんのでありますが、そこで沖繩及びグアム及び日本に駐屯するアメリカ軍が海外出動、例えば講和條約発効後日本に駐屯軍となつた場合に、そのアメリカ軍がこの沖繩及びグアムから、その地域以外の所に出動する。即ち現在の朝鮮戰線に出動するといつたようなこともあり得ると思いますが、この点についてお伺いいたしたいのであります。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) この二十四條なり安全保障條約の第一條に書いてありますことと今おつしやる点とは少し違いまして、何と申しますか、安全を保障することと関連しては、日本及び日本周辺に軍隊を置いて、それで守るわけでありますが、その日本の領土外の或いは領水外にあるアメリカの軍隊につきましては、これは当然アメリカ独自の考えから必要な措置がとれるものと考えております。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 そこでお尋ねいたしたいのは、沖繩であるとかグアムに駐屯するアメリカ軍に対する配備規律を、この行政協定と申しますか、この條約で取り決めるというのがどうしたものでありますか。又グアムであるとか沖繩に駐屯する軍隊に対する日本の分担金が半分負担されるという結果になるわけじやないですか、この辺を明かにしてもらいたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) それはそういうわけじやありませんので、初めの主たる日本及び日本周辺と申しますのは、例えば航空機であるとか、船舶であるとか申すものは、日本の内にいる場合もありまするが、日本の周辺にいる場合もあるのでありまして、配備を規律するというのはそういう意味であります。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 その配備の規律の広義の解釈は、わからんことはないのですが、私がお尋ねせんとすることは、アメリカの駐屯軍、駐留軍に対する配備の規律をきめたのが行政協定、即ちそれの親條約である安保條約であります。安保條約に則つてこれにゆえんするところに防衛分担金六百五十億というものが生まれているのでありまするが、そうしますと、この駐屯軍に対する防衛負担金は、日本及びその周辺に、今あなたがおつしやる配備の規律の條件のほかに、そういう費用を分担し、又は必要なときには共同措置をとる、第二十四條の共同措置をとる、こういうことに解釈されると思われますが、如何ですか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これは私が実際的の話をいたしたのと、條約の直接の解釈の問題とが、ごちやごちやになつたので恐縮でありますが、この防衛分担金とか或いは配備を規律する條件の対象になりますものは、日本を防衛するための日本に駐屯するアメリカ軍でありまするが、それが特に日本及びその周辺となつておりますのは、今申したように、航空機や船舶というものは必ずしも領土なり領水なりにとどまつているものでないのでありまするから、そういう字句を使う、これが通常の例であります。ただアメリカ側としては、日本の安全保障につきましては、今度條約を離れて申しますと、必ずしも駐屯軍隊のみに依存しておるわけじやなくしてその周辺にある軍隊と申しますか、戰力と申しますか、こういうものも総合して考えておるのだという御説明をいたした次第でございます。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 ちよつと疑義がありますが、その次にお尋ねいたしたいのは、この日本及びその附近に駐屯する駐留軍が、例えば朝鮮戰線或いは将来予想される場合が仮にあるとして南方戰線等に出動することがありますか。即ちこの駐留軍は日本防衛のための措置ばかりでなく、米軍のアジア戰局を防衛する基地という性格にもなりますか。この辺を明らかにしてもらいたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 午前中総理が御説明いたしましたように、アメリカ側の根本政策は、世界の平和維持にありまして、その結果が極東の平和を特に又維持する必要が出て来るわけであります。そこで日本の安全保障というものは、日本に直接に侵略があるという場合のみを限らないのでありまして、日本に対する侵略の脅威のある場合も当然あるのであります。極東、つまり非常に限られた極東方面の平和が乱れるということは、取りも直さず日本の安全に対する脅威が加わることでありまして、これに対してアメリカ軍が出動して平和の維持に当るということも当然予想されております。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 今の岡崎国務大臣の御意見は、かなり重大だと思うのであります。即ち日本及びその周辺に駐屯する日米安全保障條約に則る駐留軍は、極東の安全を守るために日本及びその附近を基地としてそれ以外の海外に出動し、又交戰をするということもあり得るということなんであります。そこで私がお尋ねせんとする場合には、これは大きな意味合いから見ますれば、日本防衛のことであるかも知れませんが、或る意味においては日本防衛以上の刺激をそれらの外国に與えるということによつて、日本の駐留基地が外国から爆撃されるということを非常に身近に感ずる問題が一点と、これらに対してそれが毛を吹いて疵を求めるような結果が、そういうアメリカ駐屯軍の海外出動が、日本が基地として利用される部面が、現在の段階においては一番当面しておる問題で、そういつたことが日本防衛を主眼とした日米安全保障條約の根本精神であつたのかどうか。それらも適用し得ることを包含しての日米安全保障條約であつたのかどうか。これが第一点。  第二は、この場合に日本の自衛防衛隊が共同措置をとる場合には、当然アメリカ軍に協力するごとになりますから、勢い海外派遣、海外出動ということも日本の防衛隊が起り得ることがあるだろう。この二点をお尋ねいたしたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 日米安全保障條約の本義は、当然日本の安全を保障するために直接の侵略若しくは間接の侵略に備えるということであります。併しながら、先ほど申しましたように、日本に対する脅威、安全を脅やかすような状況というものは、極東において起り得るのでありまして、そういう場合も日本の広義の安全保障のためには必要である場合がありと考えまして、安全保障條約にはそういう條項が入つておるのであります。併しながら只今のお話は、あたかも日本におけるアメリカの軍隊が日本の各地を基地にしまして戰争を行うというようなふうにお考えではないかと思うのでありますが、アメリカの駐屯軍が戰争を行うために日本の施設、区域をこれに利用するというのでは全然ないのであります。平和維持のために寄與せんとするものであります。国連軍が朝鮮で行なつておりますのも、実際上には戰闘行為は行われておりまするけれども、国連軍の行為は、これは国際警察といいますか、国際的な警察軍の行動をいたしておるのでありまして、平和の維持に努力をいたしておる、こういう意味であります。それと私は同じように、極東の平和を維持するためにアメリカ軍が行動する場合がある。こういうことに考えております。  それから第二の御質問は、これは総理もたびたび申しておられますように、警察予備隊は日本の法令によつて行動いたすものでありまして、その法令は只今のところは日本の国内の治安維持ということを謳つてあります。又これが将来法律に変ります場合にもそういう趣旨のことになろうかと考えておりまして総理は常に海外出動はない、そういうことを申しておられますが、その通りと考えております。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 この点について更にお聞きしたいと思いますが、私は今岡崎国務大臣が言われた国連警察軍の場合などと同じだと言われたことは、言葉を捉えるわけじやありませんが、次にお尋ねしたいと思つたことは、この国連軍の日本駐屯というものはあり得るのかどうか。日米安全保障條約においてはないはずであります。従つて国連軍というものはやはり日本に平和條約、安保條約が発効後駐屯するのかどうか。駐屯するのであるならば、どういう取極め、どういう條約においてやられるのであるかどうか。そうして現在国連軍が日本におられますが、現在の国連軍は、どういう取極め、どういう條約で日本におることになつておるのか。日本はまだ国連加入が正式に認可されておらないのでありますが、この点について一応お伺いいたしたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 国連に対する協力は、従来もやつておりましたが、サンフランシスコの会議の際にも、講和條約発効前における国連の協力の趣旨を明らかにした文書を交換しております。それから平和條約が発効いたしますると、平和條約の中に国連協力という一項が入つております。従いまして政府としては現在も将来も国連には十分なる協力をいたしたいと考えておりますが、その程度、範囲等は、先ほど堀木君にもお答えしましたように、只今双方で研究中でありまして、不日結論が出て来ると、こう考えております。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 それでは講和條約発効後米軍が九十日駐留する点については、今堀木委員からも御指摘がありましたが、実際問題として九十日占領軍が日本になお駐屯せられるのかどうか。若しせられる場合には、平和條約、安保條約及び行政協定の場合と、どちらが日本に対するアメリカ軍の権限といいますか、比較はどちらが優越になるのでありますか。この辺を明らかにして頂きたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) 平和條約効力発生後九十日という期間は、平たく言えば、清算期間と申しますか、職務整理期間と申しますか、そういう種類のものでありまして、必ず九十日いるというのじやありませんで、即日にもう仕事が済んでしまつて、アメリカの軍隊ならば、今度新らしい駐留軍として出て来るものもありましようし、それから多少時日がかかつて代るものもありましよう。いろいろの関係がありましようが、最終的には九十日という期間があるのであります。そこで原則としては先ず講和條約が発効し、安全保障條約が発効いたしますれば、そのほうで規律される。併し占領軍としての残務整理の期間は九十日は別にあるこういうふうにお考えになるのが適当かと考えております。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 残務整理の九十日間は、占領軍としての行為を遂行するのでなくして残務整理期間であるということに解釈してよろしいかどうかをお伺いしたいのが一点と、その残務整理期間中の然らば経費というものは、現在の行政協定に基く防衛分担金から支出するのか、もう終戰処理費というものはないはずでありますから、どういう工合にこれは受持つのでありますか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○国務大臣(岡崎勝男君) これはもう大部分のものは講和條約効力発生のときに切換つて、駐留軍として残るものは残る、帰るものは帰るということになると思います。併しながら例えば占領軍として今まで、例えば極く一例でありますが、横浜の附近では物資の集積を行なつている、現に行なつておりますが、これが相当多量でありますから、直ちにこれを移転することができない場合もあります。そうするとその土地も自然に使用されるということもありましよう。そういう物をほかへ輸送するなり何なりするには時間がかかると思いまして、そういう種類のことも考えての九十日であります。そこでその費用につきまして、これも残務整理でありまするから、今までの終戰処理費もまだ使用中のものもありましよう。結局残務整理と申しますか、清算期間とでも申しますか、そういうものも自然に出て来ようと思いますが、これらの詳細は十分検討して見ないとわかりませんが、原則としては今度は米軍としての、駐屯軍としての性格に変つたものが国内に残るものは残る、こういうことになろうかと思います。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 それでは次にお尋ねいたしたいのは、是非総理大臣にお尋ねいたしたいのは、現在の朝鮮戰線、まあアジアの、東亜の戰局と申しますか、新聞報道によれば北鮮軍が九十万進出して来ているというようなことなども報じておりまするし、先般は北海道及び東北方面に方面部隊を増強設置することなどで、非常に日本の周辺をめぐるこうした戰局に対しまして、何だか国民においては不安な感じがないでもないのでありますが、総理大臣はアジアのこうした戰局に対してどういう御認識を持つていられますか、承わりたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) アジアの戰局についての確たる情報といいますか、知識は私は持つておりません。というのは持つ機会がない、外交機関はないのでありまして……。併し相当緊迫した状態にあるのではないか。例えば現に朝鮮においては戰争が行われており、休戰協定も成るがごとく成らざるが、ごとき状態にあるので、決して日本の状態が安全なりとは考えられないと考えますから、それで日本の治安維持のために相当警察予備隊その他において、計画を立てるというと言葉が荒くなりますが、万一の場合に処して準備をいたしております。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 総理大臣は相当緊迫しているものと考えるという御説明でありますが、そこでこうした緊迫した事態であるならば、総理大臣として国民に日本の防衛上相当緊迫した状態であるので、防衛精神と申しますか、こうした国民に祖国防衛の精神を振起するような何らか国民に対する、緊迫したという御判定に基いて何らかの意思表示をされるお考えがありますかどうか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 私が絶えず申しておるように、日本の独立安全は、日本国民の力によつてこれを守らなければならないということを申しておる。その半面には朝鮮動乱といいますか、現在の客観情勢は決して容易ならざるものがある、油断してはならんということの意味合いを含めて申しているのであります。併しなお国民の愛国心といいますか、或いは防衛心といいますか、自力を以て日本の安全を保護するために、国民の精神発揚には努めたいと考えております。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 次にお尋ねいたしたいことは、将来再軍備する場合、いわゆる政府のおつしやる再軍備をする場合には別問題でありましようが、現在の段階において当然警察予備隊が、警備隊ですか、になるようなときに際しましては、当然専門的な指揮官、統帥者という者がはつきりきめられなくてはいかんと思います。この点については先ほど総理大臣が、私にそんなに権限を與えて頂いてというお話がありましたが、これは政党の総裁という一つの面から見まして、相当国民の方面には疑義のあり、又いろいろの疑問の湧く点であろうと考えられる。そこでこうした場合の統帥者或いは指揮者というような者は、例えば皇族のかたであるとか或いは特定の人であるとかいつたようなかたがなられるようなことになるかどうか。又もう一つはそういつた統帥者、指揮者が新たに出た場合には、国会の承認を経らるべきものだとお考えになりますか如何でありますか、お伺いいたしたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 将来の国防軍の組織については只今大橋国務大臣の下で研究いたしております。その結果どういうふうな組織にするか、大体の構想から申すと、新らしく防衛隊を設けるに先立つて、その幹部ともなるべき、基幹ともなるべき将校の養成が大事だと考えて、言葉は悪くありますけれども、先ず士官学校といつたようなものも成るべく早くこしらえて、そうして統帥者の組織教育に盡力いたしたいと思います。これは一つの構想でありますが、差当つてどうするかと言えば、警察予備隊その他の中からして適当な者、或いは適当な資格を持つていると申しますか、技術のある者を一応幹部に採用して、或いは再教育をいたして、幹部に採用するというような構想を今練つております。併し具体的なことは、更に防衛隊の機構等についてはいずれ国会の承認を経ることになつております。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 次にお尋ねいたしたいことは、現在台湾政府と申しますか、国民政府及び韓国、更に賠償規定においてはフィリピンとの協定……、これは賠償といたしましても條約の一種だろうと思うのですが、こうしたような條約は第七十三條によりまして当然国会に付議されるべきものと考えられます。ところが国会が開会されておらない場合にはあとで諮られるということも考えられることでありますが、現在は国会の開会中でありますから、これらの條約の締結以前に国会の承認を得られるお考えでありますかどうか、お伺いいたしたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 先ず初めに訂正をいたしますが、今私は国防軍と申したが、私は安全のために、保安隊又は防衛隊と将来いたしますから訂正をいたします。  それから今お尋ねのこと、ちよつと聞き取れなかつたのでありますが……。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 国民政府、韓国及びフイリピンとの條約は、国会開会中であるからその條約締結前に国会にお諮りになりますかどうか、お伺いいたしたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、韓国その他の條約関係については只今協議中であります。まだ国会にお諮りをするとか、しないとかというところまで参つておりません。一に相手国と意見の交換という程度であります。いずれ條約になりますれば国会の承認を得るために提出いたします。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 私がお尋ねするのは、その承認を得られる前に国会におかけになりまするか、御調印をなさる前に国会にかけるかということをお尋ねいたしたわけであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) これは締結いたしましてから国会にかけます。なぜかと申すというと、交渉の途中において国会にかけるということは、交渉の上においても差支えますから、いずれ締結いたしましたら国会の審議にかけます。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 只今の御答弁につきまして私は疑義がありまするし、意見もありまするが、これは次の機会に譲ります。  次にお尋ねいたしたいことは、将来太平洋條約を結ぶお考えがありまするかどうか。その場合には安保條約は、仮に結ぶ場合には当然廃止されるお考えでありますかどうか、お伺いいたしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 只今の言葉を少し訂正しますが、調印いたしましたらかけます。締結いたしたらでなくて、條約の調印が済みましたならば国会の御協賛を経るために提出いたします。  それから太平洋條約でありますが、これは未だ問題になつておりません。又交渉も受けておりません。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 次にお尋ねいたしたいことは、自衛力の漸増を図らなければならないということになつておるのであります。ところが先ほども堀木委員からお尋ねがありましたが、現在の予算において占めておる二一%の国防費の負担の限度、国民の負担の限度については、総理大臣は最小とも言われるし、大蔵大臣は又最大とも言われておるのであります。で、いずれにしても現在の国民生活の実態から見ますれば大体限度ではないか、これ以上国民といたしましては、毎年に跨がる防衛費を分担する、支出するということは、非常な国民生活安定の上にどうかと考えられるのであります。そこで政府は、この自衛力の漸増というものを国民負担の限度の実情等から見て、近き将来、アメリカのバンデンバーグ決議案でありますか、武器貸與法でありますとか、こういつたような方法の手段に自衛力漸増の経費の一部分担を要請するお考えがありまするかどうか、お伺いたしたい。

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今回御審議を願つておりまする防衛関係経費は、最小限度であり最大限度である、而も適当な金額である、こう申上げておるのであります。将来の問題といたしましては、堀木委員に対しましてお答えした通りでございまして、国民生活水準の維持向上を図りつつ、又治安の確保の強化を図つて行く。而して今の場合においてバンデンバーグのあの決議にありましたような條項で軍事援助をアメリカに求める気持があるかという問題でございますが、私は只今軍事援助を求める気持はございません。安全保障條約によりまして、相当のアメリカは日本に対して出費をいたしておるのでございます。日本は軍備を持つておりませんので、そういうことをいたす考えはございません。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 これは自衛力の漸増の問題につきまして、その具体策というものは、現在の国民経済の実情から見まして、国家財政の実態から見ましては、自衛力の漸増が今後甚だ非常にむずかしいことであろうかと思うのであります。そこで西ドイツにおきまするような意味合い、或いはフランス、イギリスにおきまするようなふうにバンデンバーグ決議案によるような方法において、私は適切な武器貸與をアメリカに求めるということは決して不自然ではない。アメリカと共同してアジアの戰局を分担する、防衛の分担をするという、日本の現在の財政実情から見てこうした要請をすることは、何も間違つたことでもなし、又それが或る意味においては共同分担、共同防衛の精神の上におきましてもふさわしいことだと考えるのでありますが、将来におきましてもこうしたことはアメリカに要請する考えはありませんかどうか、重ねてお伺いいたしたい。

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 日本には御承知の通りに軍を持つていないのであります。従いまして軍事援助は要請いたしません。ただ日本の安全を確保する意味におきまして安全保障條約を結んでおるのであります。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 それでは総理大臣にお伺いいたしたいことは、遺族援護費の問題について、八十億ですか、予算を提出する前に減額されて橋本厚生大臣がやめられたようなことで、その後全国的に遺族の援護の問題につきましては、非常な熱烈悲痛な懇請があります。又自由党内部におきましてもこれらの対策に御苦心をなすつておることを承わつております。総理大臣といたしまして将来自衛力を漸増し、アメリカ軍と共同措置をとる場合におきまして、これらのいろいろな犠牲者に対しますることなどが、将来日本の防衛精神を振起する上におきまして、或いは警察予備隊、海上警備隊等の人員募集の上におきましても、将来日本の祖国防衛精神の或る意味におきまして大きな要素となるべき遺族援護問題のお考えにつきましては、総理大臣はどのようなお考えを持つていられますか、承わつて置きたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 御意見の通り遺家族の援護については、今お話のような防衛精神を発揮せしむる、将来の国民に防衛精神を発揮せしむるためからいつてみても必要と考えて、大事なことと考えて予算に御承知の通り計上いたしたのであります。これは、今日といたしては国力の堪える限度においていたしたのでありますが、国力が堪え得るならば、無論遺家族援護については更に考えたいと思いますが、現在はこれ以上のことができない限度において計上いたしましたのであります。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 あと時間はどのくらいありますか。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 五十五分までですから、あと七分ぐらいあります。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 次にお伺いいたしたいことは警察予備隊、海上保安隊に米軍の軍事顧問を入れられておることを聞きましたが、現在どれほどの人間がおられまするかどうか、そうしてこれが條約発効後軍事顧問団というものは廃止されるお考えかどうか、又軍事顧問団はどういう軍事教練を今警察予備隊にされておりますかを承わりたい。

大橋武夫自由党国務大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 現在におきまする警察予備隊関係の顧問団は、司令部の民事局が主となりまして、その傘下の将校下士等から成つております。これらの顧問は、中央におきまして警察予備隊本部、或いは総隊総監部の仕事につきましているく顧問的任務をいたしておるばかりでなく、各地の部隊におきましても訓練についていろいろ相談に乘つてもらつておるわけでございます。最近におきまして顧問団は漸次人を減らしつつあるようでございまして、最近では、主として各現地部隊におきましては、米軍貸與の武器の管理、こういうのを主たる任務といたしつつあるようでございます。恐らく講和條約発効後と同時に顧問団の任務は大分変つて来るものと考えております。併し予備隊といたしましては、なお講和條約発効後におきましても顧問団の必要性を認めておりまするけれども、何らかの方法によりまして引続き顧問団の援助を得るような措置を講じたい、こう考えておりまして、只今その方法等につきましては研究をいたしております。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 なお二、三お尋ねいたしたいことがありますが、時間もありませんのでこれは又の機会に譲りまして、先ほど大蔵大臣は安全保障諸費の中に、警察予備隊、海上保安隊等にも廻し得るものがあると言われておるのでありますが、昨日岡崎国務大臣も、警察予備隊は何倍か何割かわからんが、増強することがあるということを言つておられるのであります。それは大体二十七年度に考えられることであるか、二十八年度のことを言われるのであるか、若し二十七年度にこれらの増強をされるということの場合には、一部言われておりまする関係方面から七万を増員せいという要請から勘定しますと、安全保障諸費は大部分これに要つてしまうのではないか、こういうような見方も生ずるのでありますが、この辺の真相を承わつておきたい。

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 安全保障諸費の内訳の説明に、お配りいたしました昭和二十七年度の予算説明書に書いてありますが、先ほど総理がお答えになりました治安関係の機構の拡充並びに教育関係費も入つております。又監視船等の強化のものも幾分入つておると、こう説明いたしておるのでございます。そうして又予算総則には安全保障諸費から海上保安庁の経費並びに警察予備隊の経費に移用し得る規定を置いてあるのであります。従いまして治安機構の拡充、教育訓練施設の設置に大体三億円程度を見込んでおります。又海上保安庁のほうに廻します巡視船の増加、或いは情勢によつたらヘリコプターくらいを買つたらどうかという気持で十億円程度を見込んでおります。只今はそれだけでございまして、昭和二十七年度におきまする警察予備隊の人員は、今の七万五千に加うるに三万五千、十一万人ときめておるのでございます。これを殖やす気持は只今のところございません。

岩木哲夫改進党

○岩木哲夫君 最後に総理大臣にお尋ねいたしたいのは、先般来この委員会におきましてもいろいろ書簡の、ダレス書簡のような工合に、吉田総理大臣がダレス氏に書簡を送つていられるのではないかというようなことがアメリカの新聞などにも現われております。又日本の某方面からもいろいろ情報によりましても、一月の末のダレス氏から吉田総理大臣に書簡を送つたその御返答として次のようなことが出されているのではないかという情報が一部にあるようであります。  それは日本が将来アメリカの主唱によつて構成せられる太平洋防衛体制に加わり、その主要なる役割を果たすことについての了承は、先のサンフランシスコ会議における貴下との約束通り何ら変るところはない。その役割が又主として軍事的な分担を意味することも了承している。そのため財政の許す範囲内で、而も最新の裝備を持つた軍事力を日本国内に持たなければならんことは当然で、私はその点に十分の熱意を有し、年次計画を立てて実現の一歩を踏み出している次第である。この軍事力が日本みずからを守る力であることは最も望ましいところであるが、それが完全なものとなるまではアメリカ軍の緊密なる協力と支持を必要とし、それは條約によつて明瞭に規定せられ、それに附随する行政協定も又早急に締結せられるものと確信している。併し現在日本国内の動向を観ずれば、いわゆる再軍備に反対する公然たる声が聞かれ、その他原爆基地の設定、海外出動等についての反対があり、女性並びに青年の間にこの叫びが強烈に挙がつており、而もその動きに乘じた左翼共産分子の潜行的策謀は日々に深刻性を加えている。よつて今責任ある地位にある者として公然軍備についてその所信を表明することは逆効果を生じ、それは反米思想の高揚を助ける結果にも連なるので、私は軍備にあらず自衛のための防衛隊なりと説明し、今後の情勢の展望と変化に応じおもむろに日本国民の意思の帰一を図り、憲法を改正し、以て日本の軍事力整備の実を挙げんとしているのであると述べられ、更に末項におきまして日本が公然とその軍備を宣明する時期は、国連或いは太平洋防衛体制に加入したときであるということをも併せて記憶せられたい。而も私はそのときが日本憲法改正の時期であろうと信じている。こういつた書簡がダレス氏に二月四日に出されたと一部報ぜられておりますが、真相は如何でありますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 大変よくできておりますが、私は受取つておりません。

和田博雄日本社会党(第四控室・左)

○委員長(和田博雄君) 本日はこれにて散会いたします。あとの委員会の日程は公報でお知らせいたします。    午後三時五十七分散会

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