本会議 第40号
- 発言数
- 46 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1952/05/16
会議録
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。 —————・—————
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。 この際、お諮りいたします。地方行政委員長から、本月一日京都に起つた集団不法事件を実地調査するため、京都市に堀末治君、吉川末次郎君、館哲二君、中田吉雄君を、本日より本月末日までのうち四日間、電気通信委員長から、電信電話施設等を実地調査するため、大阪府に山田節男君、小笠原二三男君、水橋藤作君を、本月十八日より二十四日までのうち三日間の日程を以てそれぞれ派遣いたしたい旨の要求書が提出されております。各委員長要求の通り、これら七名の議員を派遣することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて各委員長要求の通り議員を派遣することに決しました。 —————・—————
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、木船運送法案(衆議院提出)を議題といたします。 先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長山縣勝見君。 〔山縣勝見君登壇、拍手〕
○山縣勝見君 只今議題となりました木船運送法案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。 本法案は衆議院議員關谷勝利君ほか三十名の提出にかかるものでありまして、その目的といたしまするところは、木船が、国鉄、気船と並びまして極めて重要な国内輸送機関でありますにもかかわりませず、木船運送事業は極めて薄弱な経済的基盤の下に経営されて参つたのでありますので、その経済的地位を向上せしめ、以てその健全な発達を図らんとするものであります。 本法案の要点を申上げますると、第一は、木船運送事業につきまして登録制を規定いたし、無登録営業を禁止いたしておることであります。第二は、木船運賃及び回漕料につきまして、標準運賃並びに標準回漕料制をとり、不当な運賃料金防止の規定を設けておることであります。第三は、木船回漕業につきまして、その信用を維持せしめまするために、営業保証金制をとつておることであります。 本法につきましては委員会におきまして活溌な質疑が行われたのでありまするが、今その主なるものを申上げますと、 その第一は標準運賃に関するものでありまして、「標準運賃と現行運賃との関係如何、標準運賃の設定は物価に如何なる影響を與えるか、標準運賃についてどの程度の幅を認めるか、如何なる貨物について標準運賃を設定するのか」等の質疑が行われたのでありまするが、これらの質疑に対する提案者並びに政府委員の答弁を総合いたしまして申上げますると、「標準運賃は運輸審議会に諮問して設定せねばならないので、諮問後でないと現行運賃との関係について申上げられないが、木船貨物運賃中最も代表的な若松・大阪間の石炭運賃について推測するならば、現行運賃がそのまま標準運賃になるとは考えられないが、又同時に直ちに現行運賃に影響があるとも考えられない。 なお又石炭運賃に関しましては、石炭業界とも完全な了解ができておることであり、なお又標準運賃設定に当つては通産大臣と十分協議することとなつておる」という答弁があつたのであります。又標準運賃の幅につきましては、「航路により、又他の運送機関との関連にその他の事情よつて異なるが、二割程度、場合によつては三割程度まで認めることとなろう」との答弁があつたのであります。又「標準運賃は運賃を安定させるのが狙いでありまして、石炭、セメント、硫化鉱、木材、塩のごとき重要物資についてのみ設定する」との答弁があつたのであります。 第二は、木船回漕業に対する営業保証金制に関する質疑でありましたが、「営業保証金制を設けた理由及び営業保証金額の基準如何、営業保証金の供託は小規模回漕業者にとつて資金土相当の負担となると思われるが、供託金を見返りとして融資の方途を講じ、木船運送業者の助成に役立たせる考えはないか」との質疑が行われたのでありまするが、これに対して提案者並びに政府委員より、「木船船主の無知に乗じて背信行為をした悪徳業者があつたので、健全な回漕業者を育成するために営業保証金制を設けたのであり、又その金額の基準は証券取引法等の例に準じたものであつて、おおむね一航海の運賃を担保し得る。又供託された営業保証金を見返りとして事業の助成に活用する要望は業者側よりも強く主張され来たつておるので、折角研究中である」との答弁があつたのであります。 第三は、「本法案は五トン程度の小型木船にも適用され、而もかかる小型木船は極めて多数あるのであるが、法の運用に支障なきを期し得るか」との質問に対しまして、政府委員より「機帆船燃料油配給統制要員をして所要事務を担当せしめるから、中央八名、地方三十数名の増員で十分であろう」との答弁があつたのであります。 質疑を終了いたしまして討論に入りましたるところ、一委員より、「我が国における港湾の特殊性よりして木船に依存する輸送が相当多いのであるが、木船輸送事業を保護し助長する必要がある関係上、本法案の規定によつて木船運送事業の実態把握を容易ならしめ、以て今後の適切な施策を講ずることが可能となり、なお又、不当な運賃、回漕料を防止して、木船運送事業の安定に資し得るものと考えられる。なお又標準運賃及び回漕料の設定に関しては、運輸審議会への諮問や公聴会に関する規定があるので、適切な運用を期待してよいと思われる」という趣旨の賛成意見が述べられたのであります。なお又一委員よりは、「本法案の規定する措置は多少微温的であるが、木船運送事業を安定せしめる当面の措置としてはおおむね妥当である」との趣旨の賛成意見が述べられたのであります。更に又一委員より、「木船運賃は将来木船運航業者が自主的に適正運賃を定め得るように指導されたい」との要望を附して賛成意見が述べられたのであります。 採決に入りましたるところ、本法案は原案通り可決すべきものと全会一致を以て決定いたしたのであります。 以上御報告申上げます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。 —————・—————
○議長(佐藤尚武君) 日程第二、耐火建築促進法案(衆議院提出)を議題といたします。 先ず委員長の報告を求めます。建設委員長廣瀬與兵衞君。 〔廣瀬與兵衞君登壇、拍手〕
○廣瀬與兵衞君 只今議題となりました耐火建築促進法案につきまして、建設委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。 先ず本法律案の提案の理由及び要旨について申上げます。御承知のごとく我が国は極めて火災の多い国でありまして、年々の損害額は二百数十億円に上り、鳥取市の大火のごときは二百億円に近い被害であります。我が国の火災件数を見まするに、人口二万人につき年間一・七件でありまして、アメリカの六十三件に比べまして非常に少いのでありますが、半面、一件当りの損害におきましてはニユーヨークの二十五万円に対して百十四万円の多額に達しておるのであります。これは我が国の建物が殆んど木造であるのに起因いたしております。我が国の建物の主要資材でありまする木材の建築に消費されます量は約三千六百万石であつて、一般用材としての成長量の七三%を占めておりまして、木材需給の上からはすでに不足を生ずる状態に至つているのであります。従いまして、防火の点からも、又木材資源の節約の点からも、耐火建築の促進が強く要望されている次第であります。 本法案はこの対策に一歩を踏み出したものでありまして、その主要な点を申上げますと、第一は、建築基準法にいわゆる都市の防火地域内に、建設大臣が関係市町村長の意見を聞いて、更に耐火建築帶を指定し、この地域の中に耐火建築物を建てる者に対して国及び地方公共団体が補助金を交付することにいたしております。 第二は、耐火建築帶内の土地が細分されているなどの事情から耐火建築が建てがたい場合に、その土地の大多数の人々が希望する場合には、地方公共団体の長が代つて建てることができるものとし、この際、土地收用法の適用があることとしております。この場合の土地所有者、借地権者及び当該土地にある建築物の賃借権者等に対しましては、その権利を保護する細かな措置がとられていて、特に賃借権者に対して考慮が拂われております。 第三は、防火建築帶に建築される耐火建築物に対しては、固定資産税を軽減し得ることといたしております。なお附則におきまして、建築基準法の一部を改正し、防火地域内の増設等に対する制限並びに防火地域及び準防火地域内の建坪率、即ち建坪と敷地面積の割合を若干緩和しまして、過小宅地に対する是正を図ることにいたしております。 本法案は五月六日、本委員会に付託され、慎重に審議して参つたのでありますが、次に質疑の主なるものについて申上げます。 第一に、防火建築帶は都市の枢要地帶に指定されることになつているが、枢要地帶とは如何なる地帯を指すかという点でありますが、これに対しましては、「必ずしも政治経済上の中心地に限る意味ではなく、密集した住宅地等で火災危険の多い地帯をも含む」という答弁でありました。 第二に、補助の対象を三階以上の建物に限定したことと、地下一階を補助金交付の対象に入れたことの理由並びに本年度の補助の範囲についてでありますが、これについては、政府から「防火についての実験研究の結果によれるものであること、又地階については土地の利用度を高める見地からとられたものであつて、本年度は予算の点から地上三階までの部分について補助する方針である」との答弁がありました。 第三に、「本法の施行によつて従来の都市計画道路の幅員を狭めるつもりはないか」との質問に対しましては、「今にわかに変更する考えはなく、個々の場合において耐火建築の造成の進捗を勘案して検討して行きたい」とのことでありました。 第四は、「防火建築帶の区域内の土地を地方公共団体が使用する場合に、その区域の土地所有者、借地権者及び建物の賃借権者の総数の三分の二以上の申出によつて使用ができることになつているが、少数の個人の権利が多数によつて不当に侵害されることはないか」という点であります。これに対しましては、「広い宅地を防火の対象とする必要はなく、又密集した地帶で、防火上どうしても必要がある場合は、都市計画審議会の意見を聞き、更に利害関係者の意見を参酌して建設大臣が承認するという、極めて愼重な手続をとることにしてあるので、不当に陷ることはないと考える」旨の答弁がありました。なお詳細は速記録によつて御承知を願います。 かくて質疑を打切り、討論に入りましたところ、田中委員から、本案は個人の利害に密接な関係を持つものであるから、更に十分関係部局と協議し、個人の権利擁護に万全を期すること、本年度の予算は僅かに二億であるから、この実施については有効適切に使用することを要望して賛成意見があり、小川、門田両委員からも同趣旨の賛成意見が述べられました。次いで採決に入りましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定した次第であります。 以上御報告申上げます。
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。 —————・—————
○議長(佐藤尚武君) 日程第三、地上財政法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長西郷吉之助君。 〔西郷吉之助君登壇、拍手〕
○西郷吉之助君 只今議題となりました地方財政法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。 今回内閣がこの法案を提出した理由は、地方行政の責任の帰属を明確にすると共に、その自主的な運営を確保するため、地方公共団体又はその機関が行う事務に要する経費について、国と地方公共団体の負担区分に関する基準日を改める等の必要によるのでありまして、その内容はおおむね次の通りであります。 改正の第一点は、国費、地方費の負担区分に関するものでありまして、政府の説明によれば、従来住民多数に関係する事務に要する経費を国と地方公共団体のいずれが負担するかということは、その事務が国と地方公共団体のいずれの利害に関係するかという点から定められていたのであります。即ち主として地方公共団体の利害に関係するものに要する経費は地方公共団体において、国の利害に関するものに要する経費は国において、それぞれその全額を負担し、国と地方公共団体相互の利害に関するものに要する経費は、法律又は政令の定めるところによつて、国と地方公共団体が共同して負担することにしているのであります。併しながら、地方公共団体が行う事務に要する経費について国が負担金を支出する場合には、その支出計画が必ずしも地方の実態に即きなかつたり、徒らに事務の処理、職員の任免等を繁雑ならしめて、経費の濫費を伴う弊害がある半面、地方財政平衡交付金法の制定によりまして、地方公共団体に委ねた行政に要する経費は、その全額を地方税と平衡交付金で保障することになりましたので、少くとも財政的には、残更国が特定の経費に対する紐付きの負担金、補助金の類を支出する必要はなくなつたわけであります。従つて、平衡交付金制度の成立した昭和二十五年度において、すでに国費、地方費の負担区分に関する規定は根本的に改正する必要があつたのでありまするが、個々の事務につきましては、なお検討すべき問題があつたので、昭和二十五年度及び二十六年度の二ヵ年間はその適用を停止することとしておつたのであります。今回、国の予算におきましても、過去二ヵ年間に設けられておりました平衡交付金と国庫補助金、負担金の類との間に適宜移用を行い得る旨の規定が廃止されたのと揆を一にいたしまして、おおむね現行制度に基いて、国費、地方費の負担区分に関する規定を整備しようとするのであるというのであります。 以上の趣旨に則りまして、地方公共団体又はその機関に委ねられた事務に要する経費は、その事務の及ぼす利害の如何にかかわらず、原則として全額地方公共団体の負担としますが、次の四項についてはその例外を認めることとするのであります。 即ち、例外の第一点は、法令に基いて実施することを要する国と地方公共団体相互の利害に関係のある事務のうち、未だ実施後、日が浅いために十分地方公共団体の事務として同化されるに至らない等のため、その円滑な運営を図るためには、国がなお進んで経費を負担する必要があるものについては、法律又は政令の定めるところによりまして、国がその経費の全部又は部を負担することとし、これに該当するものとして、結核予防、生活保護、保健所、農業改良等に要する経費等二十三件を制限列挙しております。 例外の第二点は、国民経済に適合するように総合的に樹立された計画に従つて実施しなければならない法律又は政令で定める事務に要する経費については、国がその経費の全部又は一部を負担するものとし、これに該当するもとして、現在のいわゆる公共事業、失業対策事業第八件を制限列挙しております。例外の第三点は、法律又は政令で定める災害にかかる事務で、地方税法又は平衡交付金法の適用によつてはその財政需要に適合した財源を得ることが困難なものを行うために要する経費については、国がその一部を負担するものとし、これに該当するものとして災害救助、土木、農林災害復旧等九件を制限列挙しております。なお、以上の三項に該当する経費の種目、算定基準、国と地方公共団体とが負担すべき割合は法律又は政令で定めると共に、地方公共団体の負担すべき分は、地方財政平衡交付金法の定めるところによりまして、地方公共団体に交付すべき平衡交付金の額の算定に用いる財政需要額に算入することとしております。例外の第四点は、專ら国の利害に関係ある事務を行うために要する経費につきましては、地方公共団体はその経費を負担する義務を負わないこととし、これに該当するものとして、国会議員の選挙、外国人登録等八件を概括列挙しております。改正の第二点は、割当的寄附金の禁止に関するものでありまして、現に地方公共団体が住民に対し寄附金を割当徴収することを禁じておりまするが、更に国の出先機関が地方公共団体若しくは住民に対し、又は国若しくは地方公共団体の外郭団体を通じて、地方公共団体若しくは住民に対し寄附金等を強制的に割当て、強要することをも禁ずる規定を加えることであります。最後に、右改正に伴いまして所要の規定の整備を図ると共に、地方財政平衡交付金法に所要の改正を加えることとしております。委員会におきましては、先ず岡野国務大臣より提案理由の説明を聞き、更に政府委員より法案の内容について説明を聞いた後、質疑に入りましたが、その多くは寄附金の割当徴収を禁ずる規定に関するものでありまして、石村、岡本、中田、原の各委員から、各地に行われる割当寄附の実例等を例示してその弊害を説くと共に、この規定の趣旨、運用等について政府の方針を尋ねたのに対し、「この規定は寄附金を割当てて強制的に徴収することを禁ずるのであるが、これに違反するものを処罰する規定はない。併し財政運営の基本方針を示すところに価値があるので、これによつて相当改善されると思う」との答弁がありました。次に岡本、若木、高橋、岩木の各委員から、生活保護、託兒所、義務教育費、供米、警察その他の具体的項目を挙げて、これに要する経費の負担割合を尋ねましたが、これら質疑応答の詳細は速記録によつて御覧を願います。 以上を以ちまして質疑は終了いたしましたので、討論に入りましたところ、先ず若木委員は社会党第四控室を代表して原案反対の意見を述べ、その理由の第一点として、割当寄附禁止の規定は拘束力がないので制定の意義がない。第二点として、国が全部又は一部を負担する規定のうちから義務教育費を削除したのは賛成しがたい。第三点として、この法案と対立する義務教育費国庫負担法案が成立すればこの法案は不用となるとの以上の三点を挙げておられます。これに対しまして、岩木委員は、政府が警察官の賞恤に関する特典を自治体警察にも及ぼすことを信じて本案に賛成すると述べ、原委員は、この案は不備であるが、将来改善することを期待すると述べ、原案に賛成されました。 これにて討論は終局したので、採決に入りましたところ、原案を可とする者が過半数でありました。よつて内閣提出の地方財政法の一部を改正する法律案は多数を以て可決すべきものと議決した次第でございます。 右御報告いたします。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。若木勝藏君。 〔若木勝藏君登壇、拍手〕
○若木勝藏君 私は日本社会党第四控室を代表して、只今議題となりまし地方財政法の一部を改正する法律案に反対の意見を表明するものであります。本法案は地方財政の確立上極めて重要な部面について改正しようとするものでありまするが、私は次の三点について反対の意見を持つものであります。 反対の第一点は、割当的寄附金の禁止について第四條の規定は実際的に拘束力を持つていないということであります。従来地方団体の受ける寄附金は寄附者の自由意思による贈與的なものであつたのでありますが、近来は、地方財政の逼迫するに従つて、それが税金の性質を持つたり、又地方経費を以て支弁すべきものが後援会のごとき特殊団体によつて支出されたり、或いは中央政府機関が、大学とか税務署、検察庁、警察予備隊等を地方に設置する場合に、地方団体に割付け、地方団体はこれを又住民から寄附を求めるというような、国民の負担上面白からざる傾向を持つようになつているのであります。殊に警察費、検察庁費等、権力を伴うものにあつては、地方の誘致運動等に関連して権力濫用に陷るがごとき種々の弊害を醸していることは、幾多の事例によつて明らかなことであります。今回本法案において割当的寄附金禁止の規定を改正しているけれども、単に国の地方団体に対する規定を加えたに過ぎず、依然として寄附金による国民の過重の負担を除去し或いは地方財政の健全化を図るに足るものでないのでありまして、警察、検察庁等の権力を伴うものに対しましては、その弊害に鑑み、形式、名目の如何を問わず、寄附金を徴收してならない規定を明らかにしなければならないのであります。本法案の第四條は、全般を通じましてその使命を果すところの能力を欠いているものと言わざるを得ないのであります。 反対の第二点は、国が全部又は一部の経費を負担する事務のうち、義務教育費関係を削除したことでありまして、私の最も重大視するところであります。元来義務教育費は憲法上重要な国民の権利であり義務でありまして、憲法にもその無償が規定されているのであります。かかる規定は義務教育以外の行政にその類例を見ないのでありまして、義務教育が国政上如何に重要な位置にあるかということを示しているところのものでありまして、従つて国が財政上の責任を持ち、その規模と内容もすべての国民に保障されなければならぬことはおのずから明らかなことであります。然るに義務教育の現状はどうなつているかと申しますと、昭和二十五年度から、シヤウプ勧告に基いて、義務教育費の半額国庫負担が平衡交付金制度に切替えられたのでありますが、この制度に切替えられて以来、義務教育費は都道府県の一般財源の中で三五%から、二十六年度においては四〇%に、更に二十七年度においては四五%に膨脹して、地方財政に大きな比重を占めている半面、国庫の保障率は、半額国庫負担当時は配付税と合せて六六%程度であつたものが、最近は五〇%を割ろうとしている状態であります。その結果、教職員の定員の面においても、又給與の面におきましても、義務教育費半額国庫負担の最後の年度、即ちドツジ・プランによるところの超均衡予算によつて義務教育費が大削減をくらつた当時に比べましても、なお低下し、地方間の不均衡が著しくなつて来たのであります。従いまして、教育の機会均等も次第に崩壊の傾向を示すに至つているのであります。これに加えまするに、学校の維持費、教材費も、又PTAの寄附に仰ぐ額が百億を超え、本法案に謳つているところの寄附金の禁止規定も一片の死文に等しいものにしているのであります。かくのごときは、義務教育費を地方財政に任せた結果、教員の俸給が不拂いになつた昔に逆転するものであつて、これは全く、義務教育費のごとき重要なものを、土木、産業、衛生費のような標準的経費の算定が客観的にできがたいものと雑居させ、而も国家予算の枠に縛られて地方団体の基準財政需要額も満たし得ない平衡交付金制度に組入れた政府の無定見な行政措置に基くもので、我々の断じて容認できないところであります。これは地方財政委員会が、従来のように義務教育費の半額国庫負担制度と配付税制度が存続していたとするならば、平衡交付金の額は現在の千二百五十億が千六百億に増加されているはずだと公表している事実についても、明らかに証明されるところであります。今これを欧米の教育財政と比較して見まするならば、いずこに日本のごとく義務教育費を平衡交付金制度で賄つている国がありましようか。大別いたしますると、その主流をなすものは、ソ連の全額国庫負担制度と、米英の教育平衡交付金制度であります。日本に平衡交付金制度を勧告したアメリカといえども、教育費に関しては、警察、消防、土木、産業等から切り離しまして、教育平衡交付金制度にいたしまして、その保障を確保しているのであります。日本においても当然これは、先に述べました過去二年の教育低下の実情に鑑み、六三制完全実施の建前と又地方財政確立の立場から、義務教育に限らず、むしろ財政貧困の故に放置されている高等学校をも含めまして、国庫負担制度に帰るべきでありますのに、今回本法案によつて逆に交付金制度にはつきり切替えたことは無謀も甚だしいものでありまして、これは何と言いましても、二十億に上る貴重な財源を投じて警察国家、再軍備の建設に血道を上げている政府の失政に原因するものであるとの批判は免れ得ないところであります。(その通り」「そうだ」と呼ぶ者あり) 反対の第三点は、本法案は全く権威のないものであるということであります。本法案が上程されて間もない今日、追つかけるように、皮肉にも與党からこれと矛盾する義務教育費国庫負担法が提案されているのであります。若し、この国庫負担案が成立いたしました場合、本法案は、国と地方の経費の負担区分という、地方財政の根幹をなす重要部面、而も地方財政の中で二五%乃至三〇%の大きな地位を占めている義務教育費関係の項が直ちに修正されなければならない羽目になるのであります。法律が存在するにはその確固たる存在の理由の存することは言うまでもないところであります。然るに時を同じくして矛盾を含んだ二つの法律が同類の政府と與党から提案されるということは、無定見、無責任も甚だしいもので、常識を以てしても判断に苦しむものであります。かくのごとき朝令暮改的な、杜撰にして権威のない法案に対しましては、絶対反対せざるを得ないのであります。 以上の理由から私はこの法案に反転の意見を述べる次第であります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。 —————・—————
○議長(佐藤尚武君) 日程第四、警察予備隊令の一部を改正する等の法律案、日程第五、統計報告調整法案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。 〔河井彌八君登壇、拍手〕
○河井彌八君 只今議題に供せられました両案の内閣委員会の審査の経過並びに結果を御報告申上げます。 先ず警察予備隊令の一部を改正する等の法律案について御報告いたします。本案の提案の理由と改正の内容につきまして説明をいたします。警察予備令は、昭和二十五年八月に、昭和二十年勅令第五百四十二号、いわゆるポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件、これに基きまして制定せられたのであります。平和條約が効力を発生いたし、我が国が独立をいたした場合に、治安の問題がいよいよ重大を加えることが予想せられまするので、この際、現在の警察予備隊の機構を更に整備して、引続いてこれを存続せしめる必要があるというのが、この法律案の提出いたされた理由であります。本案の内容につきましては二ヵ條から成つております。第一條におきましては、これは現行警察予備隊令の改正でありまして、その改正の第一点は定員の増加であります。即ち警察予備隊は現在警察官七万五千人、警察官以外の職員百人を以て構成されておるのでありまするが、今後の治安情勢に対処するために、この際、警察官をば三万五千人、警察官以外の職員をば九百七十六人増員しようとするのであります。この警察官以外の職員の増員は、主として警察予備隊本部の増員及び警察予備隊建設部の要員に充てるためであります。改正の第二点は本部機構の改正でありまして、本部に工務局を新設すると共に、警察予備隊建設部を附置しようという点であります。而して工務局を新設する理由は、警察予備隊の建設業務、行政財産の管理等の事務が相当厖大なものでありまするので、これに対処してこれらの業務の円滑を期するためであります。又建設部を附置する理由は、建設工事の実施等の事務に当らせるためであります。改正の第三点は、警察官の募集事務の処理に関する問題であります。即ち、警察官の募集に当つてその趣旨の徹底を図り、募集事務の円滑を期するために、今回その事務の一部を都道府県知事及び市町村長に委任することができるものといたし、このために必要な規定を設けると共に、又国家地方警察並びに自治体警察に対しましても、募集事務の一部についてその協力を求むることとしておるのであります。この都道府県知事及び市町村長が国から委任されて行うところの事務並びに自治体警察の行う協力に関する仕事についての経費は、すべて国庫で負担することとなつておるのであります。 次は第二條の改正であります。第二條は警察予備隊令を当分の間法律としての効力を存続せしめんとするものであります。更に附則といたしまして、この法律の原案におきましては、施行期日が、この法律は日本国との平和條約の最初の効力発生の日から施行するものとなつておるのであります。これが本案の提案の理由及び改正の内容であります。 本案につきまして、委員会の審議に当りまして、政府の説明によつて明らかとなつた点を御報告いたします。 第一に、政府はこの法律案に引続いて、政府の企図しておりますところの行政機構改革に伴つて、現在の警察予備隊をば海上保安庁の海上警備隊と共にこれを統合した治安機構として保安庁の設置を考えておるのであります。すでに今日保安庁設置法案が国会に提出されておるのであります。而して保安庁設置の施行期日は七月一日に予定せられておるのでありまして、従いまして、警察予備隊の存続期間は保安庁が設置される時期までの期間でありまするが、政府は、今日の治安状況から見て、早急に警察予備隊機構の整備充実の必要があるので、この改正案を提出したという説明でありました。 第二に、今回の警察官三万五千人増員の配置計画については、北海道に新たなる方面総監部を設置いたすと共に、方面総監部の直轄部隊を新設することによつてこの地方における治安維持の力を強化するため、二万七千人をこの方面に配置いたし、残りの八千人をば総隊総監部の直轄下の管理補給諸部隊に配置する予定であるという説明でありました。 第三に、警察官の募集事務につきましては、今回三万五千人の増員のための募集があり、更に又現在の予備隊員はすべて本年の八月乃至十月を以て一応任期が終ることとなつておりまして、その際に二万人程度の退職者の見込があるのでありまするから、これを補充しなければならないために、結局本年は合計五万五千人程度に上る募集を行わなければならないのであります。警察予備隊の各部隊は、現在においては、全国的に普遍的に配置されておらないので、警察予備隊がこれらの募集事務を行うことができない事情があるということであります。そこで一昨年の募集のごとく、国家地方警察に全部の事務を委任したいのでありまするけれども、今日一般の治安情勢から見まして、国家地方警察は治安維持の本来の任務に專ら従事する必要がありまするので、余力が残されておらないので、募集事務をすべてここへ委任することも困難な状況にあるのであります。従いまして、結局、便宜上、地方の一般行政機関であるところの都道府県、市町村に協力を求めることにしたということであります。 第四には、この改正案によつて新設される工務局と建設部のことであります。本年度において警察予備隊の増強に伴いまして行いまするところの工営、建設の業務、本年度の予算といたしましては百九億三千五百万円が計上されてあるのでありまするが、これをば予備隊自身の手で行うための機構であるのであります。これらの業務に従事する定員は九百十一名当てているとのことであります。将来保安庁が新機構として発足いたしまする場合には、この工務局はこれを廃止いたし、警察予備隊関係の建設の業務は建設省で行うこととし、ただ一般的な建設の計画、土木、用地の買收の事務、又は機密を要する工事等は予備隊自身の手でやつて行く必要があるので、この建設部において行うという政府の方針であるとのことでありました。なおこの法律案の実施につきまして、本年度予算におきましては二百三十六億六千八百万円の経費が新たに必要になるということであります。 委員会におきましては、この法律案についていろいろな角度から周到且つ熱心な審議が行われたのでありまするが、その主な点を御報告いたします。 第一に、警察予備隊が近く保安庁に吸收せられる予定になつている点、又警察予備隊の目下の装備の状況、或いは旧軍人の採用の状況、更には、この法律案に基いて機構を整備充実し、これによつて新たに増員することとされ、且つ又その募集事務が都道府県知事或いは市町村長に委託され、更に国警、自警にも募集の事務の一部を協力せしめる点等を併せ考えてみますと、警察予備隊が、警察という範囲を超えて、軍隊という性格をいよいよ強く帶びて来るのではないか、むしろそれは軍隊そのものではないか、従つて憲法第九條に違反するものではないかという意味の質問が強くなされたのであります。これに対しまして政府側からは、「警察予備隊は国内治安を守るということが目的であるから、たとえ軍隊と同様の組織や装備を持つておりましても、外国と戰争をすることを目的とする軍隊とは根本的に相違があるのであるから、憲法第九條には違反せぬ」という説明でありました。(「とんでもない」「さあ、わからない」と呼ぶ者あり)この点は、「将来保安庁の新機構に切替えられる場合に、今日の予備隊の目的、性格をそのまま持ち込むことになつている」という政府の答弁でありました。 第二には、「警察官三万五千人の大部分を特に北海道に新設されるところの方面総監都に配置する理由如何」という質問がありました。これに対して政府側からは、「北海道の治安維持上の危險が現に追つているというわけではないが、併し警察予備隊が将来全力を挙げて活動しなければならない事態が万一生じた場合には、予備隊が第一に活躍しなければならない所は北海道であるという、言い換えれば北海道は治安維持の上から見ていろいろな弱点である」という答弁でありました。第三には、「この改正案において警察予備隊の増員に伴う隊員の募集事務を都道府県知事乃至市町村長に委託することとし、これを政令において定めるということにしているが、政令の内容はどういうことであるか。又これらのことはいわゆる自治体の自立性、自主性を侵害するものではないか」という点、或いは「これら募集事務を地方自治体に委託することになると、結局これは徴兵事務の性質を持つようになり、募集は即ち徴兵であるというふうに将来変つて行くのではないか」という点についても質問が行われたのであります。これに対するところの答弁は、「地方自治体側に委託する事務の内容は、志願票の交付であるとか、或いは試験場の設置及び管理、或いは又ポスターの掲示、募集の印刷物の配布によつて、募集の趣意を周知徹底せしめるための事務等でありまして、政令はこれらの点を骨子として定めて行く考えであつて、これらの事務を便宜上地方自治体に委託するのである。又予備隊の性格から見て、地方自治体に応募者や合格者を割当てるとか、或いは市町村長が、一般よりできるだけ多く応募させるようにするというような、いわば地方住民に圧力を加えるというようなことは絶対になく、飽くまで志願者の自発的意思によつて応募してもらうのである。又そのような無理な募集では適任者を得がたい」という答弁でありました。 第四に、「警察官の募集状況が最近余りよろしくないということであるがどうか」という点、又「本年八月乃至十月を以て任期満了いたし退職する者の見込数が二万人程度あるということであるが、今日のごとく募集状況がよくないということであるならば、これらの補充も困難であると思うが、政府は募集について十分自信を持つておるかどうか」という点、或いは又「退職者については将来応召義務を課するということはないか」という点について質疑がありました。これに対する政府の答弁は、「従前応募者の数は採用者の四倍くらいあつたが、今回の三万五千人のうちの幹部要員を除いた三万二千五百人についての応募者は、五月十日の締切において九万人であつて、以前に比べると少いけれども、その減少の理由は、従前の六万円の退職金の支給が今後は二年勤務期間を終了した者に対して二万円というふうに減額しておるということ、又年齢について応募資格が従前より狭くなつたということ、或いは現在失業者の減少等に原因があるようである。なお今年八月乃至十月の退職者の補充については、今回の募集状況と睨み合せて募集の時期を少し遅くしたい。少くともその募集の時期を十月以降にして、それまでにおいて市町村等の協力によつて募集の趣旨の徹底に努めたい。かようにいたしますならば募集についての支障はないと思う。」という説明でありました。 第五に、警察予備隊の警察官が公務執行によつて死亡或いは負傷した場合において、本人又は遺族等に対する処置は、一般の国家公務員に支給する程度の補償であるということは適切な処置ではないと思うがどうか」という意味の質問がありました。これに対して政府の答弁は、「只今までのところ警察予備隊においては出動ということもないので問題もなかつたのであるが、併し危険率が他の公務員よりも多いことは当然に考えられることであつて、警察官が危険を回避するというようなことであつては、その任務を全うすることはできないから、さようなことのないように、出動の場合に発生した警察官の死亡或いは負傷等に関する補償については、政府として今後愼重に研究をいたさなければならぬと考えておる。なお保安庁設置法案においては、別途法律案を提出して、これらの点を規定することにいたしておる。」という説明でありました。 かようにいたしまして愼重な質疑応答が重ねられて参つたのであります。そこで内閣委員会及び連合委員会におきましては、さような経過を経たのであります。なお、この法律案の第二條では、只今申上げましたように、「前條に規定する命令は、日本国との平和條約の最初の効力発生の日以後も、当分の間、法律としての効力を有するものとする。」という規定があります。又この法律案の附則におきましても「この法律は、日本国との平和條約の最初の効力発生の日から施行する。」ということになつております。即ち四月二十八日であります。この四月二十八日というのはすでに経過いたしておりまするので、これを適当に修正する必要ができたのであります。 かような審議の経過を辿りまして、昨日の委員会におきまして討論に入りましたところが、山田委員から、本案については賛成である、併せて、只今ここに期日について申述べた点でありますが、この法律案に対する一部の修正を発議すると述べられまして、その修正案を提案されたのであります。これを便宜朗読いたしますると、 警察予備隊令の一部を改正する法律案に対する修正案 警察予備隊令の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。 第二條中「日本国との平和條約の最初の効力発生の日以後も、」を削る。 附則を次のように改める。 附則 この法律は、公布の日から施行する。 こういう修正案が提出せられたのであります。本案につきましては、三好委員から、「治安を確保するための措置を講ずることは国家としては当然の任務であり、殊に軍備なき国家においてその必要性がおのずから増大することは認めるのであるが、併し警察予備隊及びその増強は憲法第九條に違反する虞れなしとしない。この点は、政府は、警察予備隊は近代戰遂行の戰力でないから、憲法第九條の許すところであるという解釈をとつており、或いは外国の直接侵略に対して抵抗することは警察予備隊が治安確保という基本的目的を持つ以上当然の措置であるという政府の主観的立場には賛成することができない。従つてこのような憲法違反の問題のある警察予備隊の増強を国内治安力増強の措置なりとしてこれを承認することはできないから、原案並びに修正案に反対する。」という意見が出されたのであります。次に山花委員から、「本法律案の原案並びに修正案は共に反対である。その理由は詳細申述べる必要もなく、要するに憲法違反という一点に盡きる。」という強い反対意見の表明がありました。次に上條委員より、「本法律案の原案及び修正案には反対である。その理由は、国内治安確保の必要なることは申すまでもないが、そのための措置としては、主として国家地方警察及び自治体警察等の警察力の増強を中心として考えるべきである。然るに警察予備隊において三万五千人の増員を図ることは戦力的色彩がいよいよ濃厚となるものであり、殊に保定庁が近く設置されることになれば、これは明らかに警察予備隊の職方への移行の第一歩であつて、憲法第九條に抵触するものと考える。なお又警察官の募集要綱を見ましても、都道府県知事、市町村長を総理大臣が指揮監督して募集させることは、徴兵制度の復活の前提であるという感じがする。この二つの理由で以て本法律案の原案並びに修正案に反対する。」というのでありました。更に又松原委員からは、やはり反対の意見が陳述せられたのであります。即ち「警察力の増強によつて国内治安を確保することそれ自体には異論はないけれども、警察予備隊は国民の意思によつて作られたるものでなくて、天下り的にきめられたものである。而も名前だけは警察であるけれども、実質は軍隊である。これは疑いのない点である。元来、日本の軍隊の創設せられた歴史に徴してみても、鎮台が師団となつたことくに、国内治安の維持力というものはおのずから兵力に移行するものである。併し残念ながら今日の憲法では軍隊は置けないことになつておる。又交戰権はないことになつておる。かような点について政府は強いて無理な解釈をとつておるのである。さようなことでは政府が政治上の信を失う結果となる。」というのでありまして、本案に反対するというのでありました。最後に竹下委員から、「警察予備隊の増強は憲法に違反するものではない。戰争前は軍隊があつて国内治安の維持の途は開かれておつたが、今日は軍隊がないのであるから、これに代るべき或る程度の組織と装備を持つた力を持つことによつて暴動等に備えることができるのであつて、今日の治安情勢から見てこれは最も必要なことである。」という趣意を以ちまして、本案の原案及び修正案に賛成の意を述べられたのであります。 内閣委員会は地方行政委員会と前後四回連合委員会を開きまして、又内閣委員会自身も一回開会いたしまして、愼重に審議を行いましたのであります。その結果、昨日の委員会におきまして、先ず先に述べました修正案について採決をいたしましたところが、多数を以て可決すべきものと決定をいたしました。又、次いで残りの原案について採決をいたしましたところ、これ又多数を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。 これを以てこの報告を終ります。 次に(「もう簡單にやれよ」と呼ぶ者あり)統計報告調整法案につきまして報告をいたします。 提案の理由は、国の行政機関が直接間接に民間から徴集する統計報告は、戦時中及び戦後を通じて、その種類、数量ともに厖大なものとなつたので、その徴集方法並びに報告の様式等に関して必要な調整を行い、以て民間の負担を軽減すると共に、行政事務の能率化を図ろうとするものであります。これに関しましてはかねて民間経済団体等から切実な要望もあり、又昨年来朝いたしましたアメリカの統計使節団からの勧告もあつたのであります。 次に本案の内容についてでありますが、この法律案の目的として規定しておりまする事項は、只今申述べました民間の負担の軽減と行政事務の能率化を図る点にあるのでありまして、この法律の運用につきましては、各種行政機関の特殊事情等に応じまして、統計委員会の調整について特例乃至適用除外を設ける必要のあるものは所要の規定を設け、又この法律の実施によつて各行政機関の権限が不当に侵害される結果、統計活動の独自性と政策の実施を阻害することのないよう、特に法律中に運用の基本を明らかにして、專ら統計技術上の見地から調整に当るものとして、各種機関の異議申立の途を開いておるのであります。その他、各行政機関と統計委員会との緊密な連絡を図るために報告調整官を置くことといたし、又この法律の施行に伴う過渡的な混乱を防止するために、経過的規定として、現に統計報告様式を定めて徴集しておる現行統計報告は、この法律施行後も三年間は原則として統計委員会の承認を要しないことといたしておるのであります。なおこの法律の施行期日につきましては、この法律の公布の日から起算して九十日を超えない期間内において政令で定めることとなつておるのであります。 内閣委員会におきましては三回に亘つて審議を盡したのでありますが、その審議中において明らかになつた二、三の点について申し上げます。 統計報告のかように厖大となつた理由につきましては、戦時中統制経済の強化に伴つて各種の統計報告が徴集せられることとなつたのに加えて、占領下における占領軍当局の統計徴集の要求がこれに加わりまして、いよいよ統計の複雑厖大化を来たしたのであります。その一つの例といたしまして、或る省において一カ月間にどのくらいあつたかと申しますると、百八十六件あつた。而してそれは法令に基くものがそのうちの一四%、規則に基くものが一五%、涌牒に基くものが三七%、さような法令の根拠のないものが三二%であつたということであります。この一つを見ましても、如何に統計が厖大錯雑になつているかということがわかるのであります。そこで、かような法案が提出されることになつたのでありまするが、民間の各種産業団体或いは経済連盟等は、この程度の調整では甚だ不十分であり不徹底であるということを強く批評して参つているということであります。なお現行の統計報告については、過渡的な措置として三年間据置とするということは、余りにも緩慢に過ぎるという意見が強く出ておつたのであります。政府はこれに対しまして、「広汎な統計報告の全部に亘つて、その内容を十分検討して調整するためには、厖大な人員と少くとも一年以上の準備時間を要するのであるから、現行の法令に基いての統計報告については、三年間据置とするということにする」という説明であります。これは即ち本案の附則の第二項の規定するところであります。又第三條におきまして「調整の対象を單に「報告様式を示して提出を求める」報告のみに限つた理由はどうか。その他一般の行政報告についても調整を要するものがたくさんあるではないか」という質問に対しましては、政府は、「行政上の必要に伴う一般的の調査報告についても調整を行うということになれば、それは必要であるけれども、これに要する人員その他の事情もありまして、差当りこれは不可能であるから、現在の状況に照し合せて、「この法律案において調整せんとするものは統計報告のみに限ることとしたというのであつて、その方法としてはフオーム・コントロールを主として行うのである」という説明でありました。なお統計報告の調整制度が現在行われている諸国の例といたしましては、アメリカ、イギリス、イタリア、スペイン、インド等があるというのでありまして、日本の今度のこの本案の作り方は最も進歩しているものであるという説明でありました。昨日の内閣委員会におきまして質疑を終了し直ちに討論に入つたのでありまするが、竹下委員から、本案に賛成の意見を述べられました。が、今次の統計報告調整法案は、その対象が專ら民間の負担軽減におかれておるのであるが、現に地方自治体たる市町村に負荷されている統計報告の種類、数量は実におびただしいものであるから、できるだけ早い時期に統計報告調整の範囲を拡大して、單に民間のみならず、市町村に対するものの面にも、この趣意を徹底させてほしいという希望を付せられたのであります。かようにいたしまして、本案について採決をいたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。 これを以て報告を終ります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 警察予備隊令の一部を改正する等の法律案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。三好始君。順序を間違いました。中田吉雄君。 〔中田吉雄君登壇、拍手〕
○中田吉雄君 私は只今議題になりました警察予備隊令の一部を改正する筆の法律案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして反対の意見を申述べたいと思います。 反対の理由といたしましては二点ありますが、 第一点は本法律案が日本国憲法に違反するということであります。警察予備隊が軍隊であるということは今や疑いのない事実であります。(「独断独断」と呼ぶ者あり)特にアメリカの強い要請がありまして、日本の再軍備という形を自衛力漸増という方式によつてとるということが決定したことは、世界周知の事実であります。日本においては、国民の強力な反対があるから、再軍備であるということは言わないようにしなさいということは、ダレスが吉田総理にきつく言明したことは、世界の新聞の報じているところであります。即ち日本の再軍備を警察予備隊という形で漸増して行くというのが吉田内閣の方式でありまして、それは国民をごまかす一つのテクニツクであります。従つて、諸外国の新聞におきましては、警察予備隊が軍隊でないといこことは東京だけで通用していることであるということを言つているわけであります。例えば先般のニユーヨーク・タイムスの巻頭論文におきましてレストン記者は、はつきりと、このことを指摘いたしまして、「アメリカが当初弱気であつた朝鮮の停職協定に対して非常に弱い意向を持ち出しましたのは、リアーマメントされつつある、再軍備されつつある警察予備隊に対しまして、非常な自信を持つたからである。これなら疲れきつたヨーロッパの軍隊とは違つて朝鮮戦線に使うことができるという自信を持ち出したことが、停戰協定に対してアメリカが強気を持つた大きな理由である。それならいつまで停戰協定を引張るであろうか。それは朝鮮戰線に使えるように重装備を施すだけの期間だけ停戰協定を引張るであろう。(「その通り」と呼ぶ者あり)「これがアメリカの最高首脳部の肚であろう。」ということをレストン記者がニユーヨーク・タイムスに、世界最大の紙数を誇るニユーヨーク・タイムスに言つている点を見ましても、警察予備隊が軍隊であるということは明らかであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つて、これは憲法第九條の「その他の戰力」に該当することは一点の疑いのないところであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つて、憲法の番人とも称すべきところの国の最高機関であるところの国会が、かかる違法の案に対しまして賛成することは、もはや国会の自殺行為と言わなくてはならないわけであります。例えば憲法第九十八條におきましては、「この憲法は、国の最高法規であつて、その條規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」こういうふうに規定し、更に第九十九條におきましては、「天皇又は攝政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」という厳しい規定があるわけであります。日本社会党といたしましては、かかる観点に立ちまして、(「左か右か」と呼ぶ者あり)これが憲法違反であるという点から最高裁に提訴しているわけであります。日本の最高裁判所が真に三権分立の立場に立つて法の権威を保つ機関でありますならば、これが違憲としての最終判決がなされ、吉田内閣が退陣せざるを得ないことは明らかであります。(「そんなことはあり得ない」と呼ぶ者あり)そういう観点からいたしまして、我々はこの点から、憲法違反の法案であるという点から第一点として反対せざるを得ないわけであります。 第二番目には、新たなる徴兵制度であるという点であります。この第八條の二におきましては、この募集の事務の一部を、都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところによつて、内閣総理大臣の指揮監督を受けまして、警察予備隊の警察官を募集するという規定になつているわけであります。この法案は一見極めて簡單なようでありますが、極めて重大な規定であります。吉田内閣といたしましては、警察予備隊の徴兵制度をとろうといたしましてあらゆる努力をいたしたわけでありますが、強制的な徴兵制度は憲法第十八條並びに憲法第二十二條に違反いたしまして、それができないことは明らかとなりました故に、形を変えてこのような方法をとつていることは、所管大臣である大橋国務大臣との討論において明らかになつたところであります。この委任事務に対しまして国民から非常な強い反対があつて、若し政府の割当てられたる徴兵募集に対しまして目的を達することができぬようになりましたならば、地方自治法第百四十六條に基きまして、主管大臣は知事に対しまして何月何日までに政府の割当てたところの募集事務を完了するように命令を出すことができるわけであります。更に若しその期限内に割当てられた数の目的を達成いたしませぬ際には、主管大臣は高等裁判所に訴えましてその判決を求めまして、裁判所が知事なり市町村長に対しまして、それを何月何日までにやるようにという裁判所の指示をなすことができるわけであります。若しそれをなしませんでしたならば、高等裁判所は判決に基きまして知事と市町村長を罷免するということになつているわけであります。この法案は「政令で定めるところに」ということになりまして、重要なる点を国会の審議から挙げて政令にゆだねている点、更に地方自治法第百四十六條の規定をつぶさに検討してみますと、新たなる徴兵制度であることは今や一点疑いはないわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そういう観点からたいしまして、かかる法案が国会を通過いたしまして、地方自治体にこれを下して行きますならば、市町村長、知事から当然とした反対が起きることは明らかであります。全国の市町村長会長はこの点に対しまして、地方自治を破壊するものであるからと言つて、強硬に、市町村長に対してかがる委任事務をなすべきでないという強力な要請があるわけであります。 以上、私たちは、この法案が憲法に違反し、そして新たなる、形を変えた徴兵制度の端緒であるという二点におきまして日本社会党といたしましては、憲法を擁護し、地方自治を守る観点からいたしまして、断固反対するものであります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 三好始君。 〔三好始君登壇、拍手〕
○三好始君 私は改進党を代表して、只今議題となつておる警察予備隊令の一部を改正する等の法律案に対し反対いたすものであります。 本法律案の主要なる内容をなすものは、警察予備隊七万五千人を十一万人に増強することと、募集事務の一部を都道府県知事及び市町村長に委任することにあるのでありますが、立法的には、従来占領下のポツダム政令として、国会の意思とは無関係に制定された警察予備隊令が、本法律案第二條によつて独立国家の法律としての効力を與えられる事実も注目さるべきものであります。 私が本法律案に反対する根本的な理由は、警察予備隊に対する政府の態度が憲法違反であるという事実を否定できないからであります。我々は、国家に治安維持機関が必要であり、且つ軍備を放棄した我が国の治安維持機関が、軍備を有する場合に比べて、人員、装備の点において充実されねばならない事情を認むるにやぶさかではありません。従つて警察予備隊が單純なる国内治安維持にのみ任ずるものにとどまるならば、それは直ちに憲法違反という即断を下すべきものではありません。ところがここに注目すべき問題が二つあるのであります。一つは、平和條約第五條におきまして、我が国が個別的又は集団的自衛の固有の権利を認められ、続いて日米安全保障條約において、我が国は直接及び間接の侵略に対する防衛のため、漸増的にみずから責任を負うことを期待せられているという、国際合意を背景として行われる予備険増強が、軍備でないとは言い切れないことであります。(「軍備です」と呼ぶ者あり)現に昨日の内閣委員会において大橋国務大臣は、私の質疑に答えて、安保條約に言うところの「直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負う」ということは、帰するところ軍隊を持つことにほかならないことを認めているのであります。而して予備隊は、国内治安確保を目的としているもので、少くとも海外に出動しないから軍隊でないと説明しながら、予備隊の増強が結果としては、安保條約に言うところの防衛力漸増となることをも認めているのであります。これが違憲の疑いを濃厚にする第一点であります。(「違憲そのものですよ」と呼ぶ者あり) 第二に、違憲の断定を躊躇することなく下さざるを得ない本質的な問題があります。これは政府にとげ救うべからざる法理論上の欠陷をなしていることを率直に指摘しなければなりません。それは、我が国が外国より実力強制を受けて外国軍隊の侵入を見た場合、予備隊がこれに対し国内治安確保の見地から、当然に実力を以て排除し得るとの政府の態度であります。私は、憲法第九條の下においても、へーグの陸戦條規に示されている国際法上の義勇兵団及び群民蜂起は認められてよいとの立場をとるものでありますが、国家機関が国家の意思として外国軍隊に抵抗することは、憲法の容認しないところであります。若し予備隊が侵入軍を鎖圧する行動が認められるならば、かかる行動と自衛戦争の限界線は一体どこに引き得るというのでありましようか。これは明らかに自衛戦争そのものではないかとの私の質疑に対し、昨日の委員会では大橋国務大臣は即答を避けて答弁を留保せられました。続いて、それでは憲法第九條第二項後段の「国の交戦権は、これを認めない」という規定を如何に理解しているかとの質疑に対しても、答弁を留保せられたのであります。これらは継続問題として、保安庁設置法案の審議の際に、私は留保を許すことなく、明瞭に結論を出すつもりであります。このような違憲論争をめぐる最も本質的な問題についても、予備隊の主管大臣が即答をなし得ないほど、予備隊の性格には問題があるのであります。近く保安隊に変ろうとする予備隊が事実上の軍隊であり、憲法第九條の容認しないところの存在であることがすでに内外の常識であることは、これを否定している吉田内閣といえども承知しているはずであります。このような決秩序無視の状態がいつまでも続くことが如何に危険であるかは、殊更論及する必要を認めません。 最後に、私は予備隊及び現在提出せられている保安庁設置法案に盛られた保安隊並びに警備隊をめぐる違憲問題に関して、同僚議員諸君に党派を超越して深甚の考慮を拂われんことを要請いたしたいのであります。すでに違憲論は憲法及び国際法に通ずる者の間の支配的学説となりつつあり、法理論に通じない国民大衆の間においても、いわば皮膚から感じ取られつつあるところであります。立法府にある我々がこのような状態を放置するならば、法秩序混乱の糸口を作るものであり、法の権威は守られなくなり、一切の道義が地を拂う一大原因を作ることにならざるを得ません。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)予備隊又は保安隊が現実の問題として必要であるならば、政府は憲法を偽わることなく、堂々と所信を訴えて国会並びに国民の批判に待つべきものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)違憲にあらずとする立場をとる者は、政府も、これに賛成する議員も、一人々々がその合法性を明瞭に証明する責任を負うべきであります。それは今日の政府情勢の下における政治家の厳粛なる良心でなければなりません。(「その通り」「よくお聞きなさい」と呼ぶ者あり)私はみずからの責任においてすでに違憲性を明らかにしているのでありますが、詳細に亘つては、保安庁の設置法案の審議において、数十点の質疑を通じてこれを証明する用意があることを明らかにしておくものであります。 私は、諸君の政治的良心に訴え、深甚なる考慮を要請して、本法律案に反対するものであります。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 堀眞琴君。 〔堀眞琴君登壇、拍手〕
○堀眞琴君 私は労農党を代表いたしまして、只今議題となつておりますところの警察予備隊令の一部を改正する等の法律案に対しまして反対をいたすものであります。 先ず反対の第一点は、この警察予備隊が軍隊的性格を持つということであります。すでにその装備或いは又その訓練につきましては、委員会を通じましてこれが軍隊的性格を持つことは明らかにされております。若し軍隊的な性格を持つものとするならば、言うまでもなく憲法第九條に違反するのであります。内閣では、これをしばしば軍隊ではないと申しております。何と名前が呼ばれようとも、併しその実質が軍隊であることにつきましては、国民はひとしくこれを認めているのであります。政府の説明は、いわば馬を指して鹿と言うがごときに類すると申しても差支えないと思います。軍隊ではないといたしましても、第九條に言うところの戦力であることは間違いはありません。戦力に関しましては、すでにアメリカの対日政策の根本方針、極東委員会の諸決定によりまして、これを禁止するということになつており、日本の憲法も又この諸決定に基いて、第九條に戦力を否定しておるのであります。従つてこの意味におきまして、予備隊の設置並びにその増強は、日本の憲法に反するばかりでなく、連合国の諸決定に反するものと申さなければならんのであります。而もその募集事務の一部を、都道府県知事、市町村長にこれを委ねるということは、これ又徴兵制の復活を意味するものだと申さなければならぬのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり) 次に私の反対いたします理由は、この予備隊がアメリカの傭兵的な性格を持つということであります。その装備はアメリカ軍によつて提供された武器であります。又その指揮系統なり訓練なりは、アメリカの顧問の下に行われることになつているのであります。(「英語を勉強しているよ、将校は」と呼ぶ者あり)アメリカの顧問が如何なる法的根拠に基いて設けられるかは別といたしまして、ともかく日本の警察予備隊が、その出動の場合については勿論でありますが、平常の訓練においても、装備においても、アメリカの傭兵的な性格を持つということを我々は否定することができないのであります。アメリカの軍部当局におきましても、さる高官が最近日本に対しましては陸上兵力を提供せしめる、海軍、空軍の兵力については自分たちの責任においてこれを行うということを声明いたしておる点から見ましても、これがアメリカの傭兵的性格を持つということが明らかであると申さなければならぬのであります。このような性格を持つものでありまするからして、内外の輿論又極めてこの案に対しまして反対的な空気を示しております。すでにアメリカにおきましては、極東政策に対しまして根本的にこれを反省すべきときであるという輿論が高く起つております。ウオルター・リツプマンという人は、これは必ずしも反政府的な態度に立つ人ではありません、むしろ現在の民主党政権に対しまして好意的な立場に立つている人でありますが、昨年来、極東におけるところのアメリカの国防体制の強化という理由によつて、日本ばかりではない、インドシナに対しても、或いは朝鮮に対しても、或いはインドネシアに対しても、強硬なる政策をとるということが、延いてはアメリカの極東政策を破綻に導くものである。而も若し今日戦争が起るとするならば、アメリカは恐らく東西の両洋正面作戦というものを余儀なくされるであろう。このことはアメリカの戦争政策の上からいつて、必ずしも好ましいものではない」ということを指摘いたしまして、極東政策に対する反省を要求いたしております。そのほか西ヨーロツパの方面におきましても、アメリカの極東政策が行き過ぎである。殊に朝鮮の動乱に対しましては批判的な声が高まつておるのであります。それと同時に、日本に対しましても二つの條約に基くところのアメリカの国防体制の問題につきましても、これに強い批判の声を高めておるのであります。又国内の輿論にいたしましても、予備隊は軍隊的性格を持つたものである、憲法違反である、徴兵制度の復活を企図しておるものであるというので、これに対しまして、青年、学生は挙つて反対を表明いたしているのであります。このような内外の反対、批判の中にありまして、政府は軍隊に代るべきところの予備隊を着々増強し、やがては憲法改正に導こうとする、いわば馬を鹿と言わせるところの法案を今やここに提出いたしておるのであります。私はその意味におきましてこの法案に反対するものであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 これより両案の採決をいたします。 先ず警察予備隊令の一部を改正する等の法律案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。(拍手) —————・—————
○議長(佐藤尚武君) 次に統計報告調整法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。 —————・—————
○議長(佐藤尚武君) 日程第六、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、(内閣提出、衆議院送付)日程第七、国有財産法第十三條の規定に基き、国会の議決を求めるの件、(衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長平沼彌太郎君。 〔平沼彌太郎君登壇、拍手〕
○平沼彌太郎君 只今上程されました国民金融公庫法の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。 本案は、国民金融公庫が庶民金融機関として果す役割の重要性に鑑みまして、その事務能率を向上し、事務の円滑なる遂行を図りますために、同公庫の役職員を国家公務員からはずしまして、単に刑法等の罰則の適用に関してのみ公務員と同様の取扱をすることが適当と思われますので、関係法律の改正を行おうとするものであります。さて、本案につきましては愼重に審議いたしましたが、その詳細は速記録により御承知願いたいと存じます。 かくて質疑を終り、討論に入り、油井委員、大野委員、小林委員、菊川委員より希望を附す等の賛成意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。 次に、国有財産法第十三條の規定に基き、国会の議決を求めるの件について御報告いたします。 先ず本案の内容について申上げますと、皇居外苑にあります現千代田グラウンドは、現在普通財産となつておりますが、今後は外苑の一環として整備運営することが望ましいものと考えられますので、今回これを公共福祉用財産といたそうとするものであります。本件につきましては、愼重審議の後、討論に入り、菊川委員、油井委員より希望を附して賛成意見が述べられ、次いで木村委員より反対意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り異議なきものと議決せられました。 右御報告申上げます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 先ず国民金公融庫法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。 —————・—————
○議長(佐藤尚武君) 次に、国有財産法第十三條の規定に基き、国会の議決を求めるの件を問題に供します。委員長報告の通り可決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は委員長報告の通り可決せられました。 —————・—————
○議長(佐藤尚武君) 日程第八、国際計数センターの設立に関する條約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。 先ず委員長の報告を求めます。外務委員長有馬英二君。 〔有馬英二君登壇、拍手〕
○有馬英二君 只今議題となりました国際計数センターの設立に関する條約につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。 政府当局の説明によりますると、国際連合の経済社会理事会では、人類の文化活動のうちには、国際的規模において研究しなければ能率の上らない天文学のごとき科学分野や、設備の完備した国際研究所において研究すれば一層偉大な業績の上がる結核に関するがごとき研究分野がありますので、これらの分野における国際協力を具体化することは、人類の進歩にとつて本質的に重要なる問題と考え、これらの国際研究所設置の計画を審議中でありました。この国際計数センターは、それが最初に具体化されたものでありまして、その本部をローマに置き、その下に電子計数機等の近代的な計数装置を備えた一個以上の計数研究所を世界各地に設立して、計数に関する科学上の研究及び教育並びに計数の分野における諮問的業務及び計数的業務を行うことを任務とする国際機関であります。我が国は本センターの設立会議において、アジア地域における科学の進歩は、西欧諸国に比して非常に遅れているが、我が国はこれらの諸国の中では科学及び技術の最も進んだ国であり、特に計数装置の研究には十数年の経験を積んでいるから、センターの計数研究所の一つを日本に設置すれば、この地域の科学及び技術の進歩に資するところ大なるを力説し、従つてセンターは本部が置かれるヨーロツパに計数研究所を設置した機構であるべきでなく、公平な地理的配分に基いて計数研究所の所在地を決定すべき旨を條約本文中に規定せしめることに成功しました。 我が国の條約締結の理由としては、我が国には、電子計数装置がないために解くことができず、又解き得ても多くの労力と日数を要する複雑な計数問題が各種の科学及び技術分野に山積しており、そのために学術及び産業一般の発展は大いに阻害されている現状であります。それで、センターに加盟いたし、これらの計数問題の解決を計数研究所に無償で依頼し、研究者の養成、各種資料の入手によつて計数装置の研究を一段と進歩せしめることができることになり、将来我が国でも優秀な計数装置を製作することが有望となるのであります。このように諸種の計数問題を解決することによつて、学界及びその技術界が受ける間接的利益も少くないと思われるのであります。従いまして、ユネスコの国際計数センター設立会議への招待が我が国にもたらされましたとき、我が学界、技術界はこの計画を歓迎し、センターの計数研究所の一つを我が国に招待することを強く要望したのであります。 本條約締結のための会議は昨年十一月二十六日より十二月三日までパリにおいて開催され、條約案の審議終了後、十二月六日に同條約は署名されたのであります。同会議の参加国は、我が国を加えて二十カ国、オブザーバーを出席させた国は米英等七カ国であります。本年一月十五日現在、この條約を留保して署名した国は我が国を含めて十カ国でありますから、この條約は、これらの諸国のすべてがこの條約を受諾した時に効力を生ずることとなりますが、遅くとも本年末までには効力を生ずる見込であります。なお、本條約附属書によれば、加盟した場合の我が国の分担金は五千米ドル相当額であるとのことであります。 本案は去る四月十七日に本委員会に付託されましたので、本委員会は五月八日及び十五日の二回に亘り審議をいたしたのでありますが、特に問題となる点もございませんので、その内容は委員会会議録に譲ることといたします。 かくて質疑終了の後、討論を経て採決をいたしましたところ、全会一致を以て政府原案通り承認すべきものと決定いたした次第であります。 以上御報告申上げます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件を問題に供します。委員長報告の通り本件に承認を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は承認を與えることに決しました。 —————・—————
○議長(佐藤尚武君) 日程第九より第十七までの請願及び日程第十八より第二十一までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。 先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長山縣勝見君。 〔山縣勝見君登壇、拍手〕
○山縣勝見君 只今議題となりました日程第九より日程第二十一までの請願及び陳情につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。 日程第九より日程第十四までは、簡易駅の設置、跨線橋の架設、急行列車の設定、列車の延長運行、旅客サービスの改善に関するものであります。委員会におきましては、政府当局と質疑を重ね、愼重に審議いたしました結果、旅客の利便、公共福祉の増進を考慮いたしまして、いずれも願意を妥当と認めたのであります。日程第十五及び日程第十六は、国鉄バスの運行延長に関するものでありまして、これらの地方は、現在では交通に惠まれておりませんので、いずれも国鉄バスの延長運転を望んでいる現状であります。委員会におきましては、現地の産業の開発、経済、民生の向上に寄與するため、いずれも願意を妥当と認めたのであります。次に日程第十七は道路運送法の一部を改正されたいとするものでありまして、請願の趣旨といたしまするところは、自動車運送事業界における名義貸の行為、自家用貨物自動車の営業類似行為が公然と現在行われておりまする点に対し憂慮に堪えませんので、陸上輸送の秩序を確立するため、これらの問題を根本的に解決するに必要な法律改正をせられたいというのであります。委員会におきましては、審議の結果、現行規定の厳格な励行を政府に希望いたしまして、願意を妥当と認めたのであります。 日程第十八及び日程第十九は、宇野、高松間の国鉄貨物輸送力の増強に関するものでありまして、輸送要請の激増に対し、宇野、高松間の航送力の増強をされたいというのであります。 又日程第二十は北陸本線の改良に関してでありまして、軌條等線路を改修せられたいというのであります。次に日程第二十一は、甲府、長野間にデイーゼル電気機関車による運転を速かに実施されたいというのであります。 右四件は、いずれも輸送力の増強確保に寄與すること大なるものがあり、又デイーゼル電気機関車の使用は石炭の節約にもなりますので、委員会におきましては、いずれも願意を妥当と認めました。 以上の日程第九より日程第十六までの請願十八件及び日程第十八より日程第二十一までの陳情五件につきましては、議院の会議に付することを要するものにして、内閣に送付することを要するものと決定し、日程第十七は、議院の会議に付することを要するものにして、内閣に送付するを要するものと決定いたした次第でございます。 以上御報告いたします。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、日程第十七の請願のほかは内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、日程第十七の請願のほかは内閣に送付することに決定いたしました。 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十分散会 —————・————— ○本日の会議に付した事件 一、議員派遣の件 一、日程第一 木船運送法案 一、日程第二 耐火建築促進法案 一、日程第三 地方財政法の一部を改正する法律案 一、日程第四 警察予備隊令の一部を改正する等の法律案 一、日程第五 統計報告調整法案 一、日程第六 国民金融公庫法の一部を改正する法律案 一、日程第七 国有財産法第十三條の規定に基き、国会の議決を求めるの件 一、日程第八 国際計数センターの設立に関する條約の締結について承認を求めるの件 一、日程第九乃至第十七の請願 一、日程第十八乃至第二十一の陳情