本会議 第15号
- 発言数
- 50 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1952/02/20
会議録
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。 —————・—————
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。 〔波多野鼎君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 波多野鼎君。
○波多野鼎君 私はこの際、行政協定に関連する緊急質問の動議を提出いたします。
○菊川孝夫君 私は只今の波多野鼎君の動議に賛成いたします。
○議長(佐藤尚武君) 波多野君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。波多野鼎君。 〔波多野鼎君登壇、拍手〕
○波多野鼎君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、只今進行中の日米会談、即ち行政協定に関連する質問をいたしたいと思います。 この行政協定なるものが如何なる内容を以て妥結せられるかということは、今後の独立日本が本当に主権国となるかどうかということに関連いたします問題でありますために、国民挙げて耳をそばだて、目を見張つて、この成行きを注視いたしておるのであります。国権の最高機関としての国会におきましても、この問題に非常な注意を拂つておるのでありますが、政府は未だ曾つてこの問題につきまして中間報告を一度もいたしておりません。ただ我々がいろいろの報道を通じまして断片的な事実を知るのみでありまして、そのために流言蜚語頻りに起つておるのであります。かようなことでありましては、国会の権威がまさに地に落ちざるを得ないと言わざるを得ないのでありまして、国会の権威が仮に地に落ちるといたしますれば、民主主義は音を立てて崩壊するのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は政府も又我々と共に日本の民主主義を守る責任があると確信いたしております。その見地から、行政協定について我々の展開する質問に政府は誠意を以て答えて、そうして国会の最高機関たる意義を中外に闡明して頂きたいと思うのであります。質問の第一点は裁判の管轄権に関してであります。占領軍が駐留軍に転化したのちに、駐留軍兵士が公務以外で犯罪を犯した場合、捜査権は日本側にあるが、裁判権は日本側にないというふうな取極めが進行しつつあるやに新聞紙では伝えております。果してそうであるといたしますれば、これは日本国の主権に対する重大なる制限であります。又日本人が駐留軍の兵士とトラブルを起しました場合に、当該日本人の裁判権はいずれが握るのであるかという点についても、あいまいな点が残されているがごとくに報ぜられております。これらの点について政府のはつきりした所見を先ずお伺いしたいと思います。最近新聞に伝えられるところによると、富士銀行支店に外人を交えたピストル強盗が入つたという話であります。問題の外人が仮に駐留軍人又は軍属であるといたしますれば、この事件の裁判管轄権は日本側にあるのが当然だと思いますが、将来独立したのちに、こういう事件について日本側は日本側の裁判管轄権を主張する用意があるかどうか。これも併せてお伺いいたしております。 第二に、駐留軍が公有地及び私有地等を使用せんとする場合に、その使用関係は今日の占領下におけると全然異なつたものとなるのが当然であると私は思います。占領下では被占領の状態において接收されるのであり、独立後は主権国家として協定に基いて政府が供與するものであるからであります。そうでありますれば、占領軍接收中のものは如何なる方式によつて切替えられるのか。又新たに日本が土地建物を供與する場合に、私有地などに対しましてどのような国内補償の途を講ずるのであるか。例えば現金補償をやるのか、或いは換地補償をするのか、或いは生業補償をするのであるか。特にこの点は農民の生活に重大な関連があるのであります。農民が土地を奪われました場合、その農民の運命は明白であつて、土地を奪われた農民の前途にはただ浮浪者の運命が待つのみであります。故に必ず換地補償をなすべきであると私は思いますが、政府はどういうふうに考えておりますか。更に、今日、一部落全体が占領軍の施設によりまして生命の直接危險を感ずる状態に置かれんとしておる事例があります。行政協定でも、かかることを認める所存でありましようか。若し認めるとしますれば、当該部落全体を他に移動させ、新たな生業の基礎を與えるという形の国家補償をなすべきであると考えますが、政府はどう考えておりますか。又行政協定がまさに成立しようとしておる今日、連合国占領軍がみずからの施設のために土地の接收を急いでいるごとくであります。占領下で占領軍に接收された土地はそのまま駐留軍に引継がれるのでありますか。我々は新たなる主権国として接收関係を再検討する機会を持つべきであると信じますが、政府は如何に考えておりますか。これらのことは現に進行中の日米会談において論議されつつあるのか。又論議されていないとすれば、政府はどのような方針を以てこういう問題を処理しようとしているのであるか。特に土地收用法の改正の問題が新聞で報ぜられておりますが、私見によれば、こういう場合に現在の土地收用法を適用することは不可能であると信じます。で、この土地收用法を改正するといたしますれば、どのような意味において改正をするか。例えば換地補償の制度を更に拡大しようとするのか、私が先ほど申した生業補償の制度をも取入れようとしているのか。この点についてもお伺いしておきたい。 第三に、今日我が国に軍管理工場というものが存在いたしております。甚だあいまいな法律関係の下に事実上管理を受けております。特需の受注工場がそれであります。この占領軍の管理工場は、独立後、駐留軍の管理工場というものにそのまま転化するのであるかどうか。更に又、現在管理工場なるものにおける労働三法の適用について政府はどのような用意を持つておりますか。現在占領下における特需工場では占領軍が発注者であり工場が受注者であるが、発注者が受注者の業務を管理し監督している事実があるのであります。而もこの管理監督が労使関係にまでも及んでおりまして、労働者の権利が不当に侵害されている事実もあるのであります。政府は口を開けば労働三法は適用されていると信ずると答弁いたしておりますが、不当労働行為の事実は頻々として訴えられている。知らぬは政府ばかりであるといつたような状態であります。政府は真劍にこの事実を調査し、独立後の日本の工場が特需品の注文を受取る場合、今日見るがごとき事態の生じないよう万全の措置を講ずべきであると私は信じております。政府は如何なる用意を以て日米会談に臨んでいるのでありますか。 第四に、進駐軍に使用されている日本人労務者についても憂うべき事態が起つております。今日では日本人労務者の雇主は日本政府であり、而もその使用者は占領軍であります。雇傭関係と使用関係が分裂いたしておりますために、労務者の権利保護において遺憾の点が多いことは、これ又周知の事実であります。政府は、占領軍が安保條約に基く駐留軍に代る場合、この労務関係を如何に確立せんとしているのでありますか。日本人が駐留軍に直接雇用さるべきではない、外国軍隊の軍属的身分関係に置かるべきではないと私は考えますが、政府の所見はどうでありますか。併し同時に、日本人労務者を使用する駐留軍に対しまして、日本人労務者の諸権利を確保すべき方策を講ずる必要もあります。例えば労務管理について日本政府が介入するがごときは最も必要なる方策であると思いますが、政府はどう考えておりましようか。 第五に、予備隊及び十月以降の保安隊の海外出動の問題についてであります。政府の答弁を聞いておりますと、そのような点について交渉したことはないとか、警察予備隊は国内治安維持の任に当るのみであると答弁されているのみであります。併しこの考え方を果して政府は最後まで貫き通すことができるでありましようか。我々は一抹の不安を持つているのであります。国民が不安を持ちますのは、日米安全保障條約に規定された日本の責任を果すためには保安隊の海外出動もせねばならんではないかというふうにぼんやりと感じているからであります。で、政府に問いたいのは、警察予備隊及び保安隊は絶対に海外に出動させることはないという態度と、日米安全保障條約の條項によつて日本政府が負う責任とは、決して矛盾するものではないということを、この議場を通じて確信することができるでありましようか。更に又、緊急事態の生じた場合、駐留軍が日本国より出動する場合、我が国はただ経済行為を通じてのみそれに協力するのみであると総理は言つておられるようでありますが、かような形の協力のみで日米安全保障條約に規定された日本国の義務は完全に果し得るものと総理は考えておいでになりましようか。又駐留軍は、日本の安全保障のために、力の真空状態を埋めるために、日本に駐留するものと我々は理解しておりますが、この駐留軍は勿論日本政府にも相談するのでありましようが、自己独自の判断によつて自由に海外に出動するのでありましようか。昨日衆議院の予算委員会における総理の答弁によりますと、そうであるように理解されます。果して然りとすれば、駐留軍が自由に海外に出動したのちに生ずる力の真空状態は、果して誰が埋めるでありましようか。例えば大陸の一先で緊急事態が起き実場合は、日本の北辺においても緊急事態が起きているときでありますし、力の真空状態を最も恐れなければならぬ、そのときである。まさにそのときに駐留軍が自由に海外に出動するというのでは、何のための日米安全保障條約であるかと言わねばならんと思います。国民の不安を一掃するために明確なる御答弁をお願いいたしたいのであります。 最後に大蔵大臣に質問いたしますが、防衞支出金、安全保障諸費等については、現在提案されている予算書においてはその内容全く不明であります。これらの支出項目について財政法の規定している審議資料さえもまだ提出されておりません。審議資料を提出しないで審議を求めることは国会の審議権を尊重するゆえんではないのであります。併し飜つて考えてみますと、これらの項目は、行政協定或いは日米合同委員会の諸決定があるまで、この経費の使用方法、使用目的などは明確にできないはずなんである。そこで大蔵大臣に問いたいのは、内容不明の予算を組んで国会に提出し、財政法に違反して国会の審議権を軽視するというような態度を捨てて、行政協定の成立を待つて予算案を再提出することが民主主義政治家として良心的であると私は思うのであります。(拍手)大蔵大臣はどう考えておられますか。かような過渡期におきましては暫定予算を組む途も明らかに開かれているから、国政の運用に何ら差支えはないのであります。民主主義者としての良心に問うて、大蔵大臣は明確な答弁をして頂きたいと思うのであります。 私の質問は以上を以て終ります。(拍手) 〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。 行政協定が非常に重大な協定であるかのごとく言われて、国民の関心がここに集まつておるとか、いろいろお話でありますが、行政協定は結局安全保障條約の原則の範囲内においてなされるものであります。原則は安全保障條約において確定しておるのであります。行政協定なるものは一に行政協定であります。即ち行政事務の協定であるのであります。これを重大だと、こう言うならば、如何なるものもすべて重大と言わざるを得ないのであります。(発言する者多し)よく聞き給え。それで、今日まで行政協定についての協議は、或るものはすでにきまつたものもあるし、まだきまらない協議の途中にあるものもあるのであります。その間において中間報告をせよと言われることは、中間報告によつて成り立つ話が成り立たない場合もあるし、これは政府の責任において行政協定は取極めて、その結果について国会として十分御審議ありたいと思うのであります。 詳細の点は関係大臣からお答えいたします。 〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕
○国務大臣(岡崎勝男君) お答えいたします。 裁判管轄権の問題につきましては、只今これは商議中であります。まだ結論が出ておりません。併しながら、極く常識的に申しますれば、本件については国際法上の或る程度のきまりもありまするし、又国際慣習として認められておるところもあります。大体そういう趣旨においてきめられるものと考えております。尤もこれは、いわば暫定的の措置でありまして、只今北大西洋條約加入の各国が行政協定を作りつつあります。これが大体において一番理想的なものとされておりますので、将来北大西洋條約に基く行政協定が成立しまする場合は、日本としては、只今商議中のもので行くか、或いは北大西洋條約の行政協定を採用するか、どちらかの自由を持つつもりでおります。(「とんでもないやつだ」と呼ぶ者あり)第二点は、接收中の問題についていろいろお話がありましたが、これにつきましては、大体これも今、話し中でありますので、詳細な点はまだきまつておりませんが、原則としましては大体三つの点を考えております。これは第一は、平和條約の第五條の三項にありますように、平和條約が成立しますと、今の占領軍は撤退する。従つて占領軍が接收しておるものも、施設等は自然、接收という形では消滅するのであります。そこで独立後はそういう種類のものは消滅するというのが一つの考え方であります。第二は、その後において日米安全保障條約に基くアメリカの駐留軍の必要とする施設、区域等は、両国間の合意によつて取極められる。それから第三は、かかる施設若しくば区域をきめる場合には、日本国民の経済生活に対する支障は最少限度にとどめる。こういう三つの考え方で進んでおります。 なお只今占領軍が取急いで接收を行なつて、そこに居残るのじやないかというようなお話がありましたが、只今申しましたような原則ですべて新らしい合意によつてきめられるものでありまするから、今取急いで接收をしても何もならないのであります。従つて特に必要なものは別でありまするが、不必要なものを接收するということはあり得ないと考えております。(「どんどんやつているじやないか」と呼ぶ者あり) なお土地等を必要とする区域に対して補償をどうするかというお話でありまするが、これは国内問題でありまして、行政協定の範囲内ではないのであります。政府としては、これについても関係者の苦痛をできるだけ少くする関係者が困らないようにと、今折角研究中であります。 それから管理工場等のお話がありましたが、これは日本とアメリカの間で合意が成立して、一定の施設を提供するという場合には、その施設内にある工場はこれは先方で以て経営いたしまするが、こういうものは非常に少いだろうと考えております。従つて施設外のものは日本側の経営になるわけであります。これに基いて労働問題もありましたが、これも只今話し中で、まだ決定はいたしておりませんが、日本の法律を尊重するというのは当然の原則であります。 進駐軍関係の労務者の雇用をどうするかということで、直接雇用か間接雇用かというお話がありました。これは普通の協定に基く駐留軍でありまするから、本筋から言えば直接に雇用するのが当然と考えておりまするけれども、言葉の関係もあり、習慣の違いもありまするので、進駐軍関係の組合では、むしろ間接雇用、日本政府が雇用してこれを提供するというほうを望んでおるようでありまして、そういう場合には別にこの主義主張にこだわることなく、勤労者の好むようにできるだけ便宜を図ろう、どちらでもよろしいから勤労者の好むほうにいたそう、こう考えております。 なお予備隊の海外出動のお話がありましたが、これは総理からたびたび申上げておるように、海外出動ということは全然考えておりません。なお海外出動をしなくても安全保障條約の義務に矛盾することはないと考えております。又海外出動ということがあると、国内の防備が真空状態になりはしないか、こういうお話でありますが、極東の治安が乱れるということが即ち日本の治安に影響するのでありまして、そういう意味で海外出動が行われると考えておりまするから、日本のほうの治安については又適当の措置を講じますが、(「どういう措置をとるのだ」と呼ぶ者あり)そういう意味で海外出動があるのでありますから、結局日本の治安維持のために行われるものと了解しております。(拍手) 〔国務大臣大橋武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(大橋武夫君) 予備隊の海外出動の問題、又海外に出動いたしました際における国内の防衞をどうするかという点について御質問でございましたが、(「予備隊ではない、駐留軍の出動だ」と呼ぶ者あり)駐留軍出動の際におきまする国内の治安がどうであるかという御質問でございました。いずれの点につきましても、只今岡崎国務大臣から述べられた通りに存じております。(拍手、「めい答弁でわからない」「本人がわからないのだ」と呼ぶ者あり) 〔国務大臣木村篤太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(木村篤太郎君) 只今駐留軍の裁判権の問題を御質問になりました。これは私としても非常に重大なる関心を持つておるのであります。できるだけの範囲において日本に裁判権を保有したい、こう考えております。大体の構想といたしましては、駐留軍の軍属その他これに対する家族、これらの者が駐留軍の基地並びに施設内において行なつた犯罪につきましては、これは国際法上の慣例に基きまして、米軍において捜査し、米軍において裁判権を持つことになろうと考えております。但し軍人その他の附属者以外の者に対する犯罪については、米軍において捜査をし、こちらに裁判権を持たせることと私は考えておるのであります。又日本地域、つまり基地その他施設外において行われた軍人軍属その他附属者の犯罪行為につきましては、日本官憲の手によつてこれを捜査し逮捕して、そうして身柄を向うへ向けて送つて、向うの裁判権に服することになろうかと考えております。そこでこの問題につきましては、なお交渉の余地がありまするので、十分にそれは交渉するつもりであります。日本人の犯罪につきましては、もとより、施設内で行われたものであつても、これは、身柄は日本官憲において引渡しを受けて日本の裁判権に服することは、これは当然であります。それから基地施設以外において一般外国人——即ち米人でも——によつて行われた犯罪につきましては、もとより日本官憲においてこれを逮捕し、日本の裁判権に服することとなると信じておるのであります。民事裁判権については、できる限り日本の裁判権に服するように、これも交渉中であるということを申上げておきます。(「富士銀行はどうした」と呼ぶ者あり) 〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。 行政協定がきまるまでは予算の内容がきまらないから暫定予算で行くべきではないかという御質問でございますが、併し私の見るところでは、防衛支出金の六百五十億円は行政協定ができましてもこの通りになると確信いたしております。而して内容につきましては、形式的には違いまするが、内容は、米軍の日本において使用いたしまする土地建物とか或いは労務費、こういうものでございますので、これは、まあ、はつきりいたしておるのであります。ただはつきりしないのは、どの費目をどちらが負担するかということがはつきりしないので、事柄自体は私は六百五十億で御審議願つて何ら差支えないと思います。それから警察予備隊その他の問題につきましてもきまつております。それから安全保障諸費につきましても、五百六十億ということはきまつておりまして、ただ六大都市その他の都市から駐留軍がいつ如何なる場所にかわるかというので内容がきまらないのであります。従いまして、予算としては、この五百六十億がきまらないから、ほかのをみな暫定予算にしたらどうかというのは、暫定予算という非常的なものがあるから、ちよつときまらない内容のものがあつた場合において、すぐ暫定予算のほうに放り込めということは、これは予算の作成上民主的でないと思います。やはり、はつきり全体の枠をきめ、そうして事柄の内容のわからないのはその都度閣議決定して行くのが、これが民主的な予算編成の仕方であると考えて上るのであります。(拍手) —————・————— 〔荒木正三郎君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 荒木正三郎君。
○荒木正三郎君 私はこの際、自主権回復と政府の外交方針に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○相馬助治君 私は只今の荒木君の動議に賛成いたします。
○議長(佐藤尚武君) 荒木君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕」
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。荒木正三郎君。 〔荒木正三郎君登壇、拍手〕
○荒木正三郎君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、自主権の回復と政府の外交方針、特に行政協定に関連いたしまして、首相並びに関係大臣に質問をいたしたいと思うのであります。 政府は行政協定については国会の承認を必要としないという見解をとつておられるようでありますけれども、この行政協定は、我が国の自主権の回復、独立国家の達成に重大なる関連を持つところの内容を包含しておるものと考えられるのであります。今日までに明らかにせられた範囲におきましても、裁判権、或いは警察権、或いは課税権、或いは所有権等の国家の主権、独立国民の基本的人権に、大きな制約が加えられるようであります。これらのことを考えるときに、名称は協定でありましても、その実質的な内容は憲法第七十三條にいう條約に該当するものであると思うのであります。(拍手)この意味において国会の承認を必要とするものであると考えるのでありますが、首相の見解を伺いたいと思うのであります。特にアメリカの上院におけるブラツドレー統合参謀本部議長の証言によりますると、行政協定の締結が講和條約批准の前提條件になつておるような証言内容でございます。このことかも考えまするに、行政協定の交渉に当つては相当な制約が日本側に加えられておるのではないかという懸念を持つのであります。申すまでもなく、行政協定は独立国家として対等の立場に立つて交渉をしなければならない性質のものでございますが、若し何らかの制約があるということになれば、これは禍根を将来に残すものであると思うのであります。これらのことを考えるときに、なお更国会の審議に付して国民の声を聞くべきであるというふうに考えるのであります。 第二の問題は治外法権に関する問題でありますが、政府は衆議院の予算委員会において、治外法権は認めない方針である、こういうふうに言明をしておるのでありますが、駐留軍に対して日本の裁判権或いは警察権が及ばない場合、これは治外法権と言わざるを得ないと思うのであります。更に、政府は、軍人のみならず、その家族、軍属、軍の請負人、こういう広い範囲に亘りましても大幅な治外法権を認めようとしておるということを聞いておるのでありますが、この際その内容を明らかにしてもらいたいと思うのであります。日本が徳川幕府のときにアメリカそり他の国と治外法権を含む不平等條約を締結して、そのことが日本の独立心を傷つけ、その改訂のために数十年の歳月を要した苦い経験を持つておるのであります。この意味において治外法権は国際法上に認められている以外許すべきでないと考えるのでありまするが、政府の考えをお聞きしたいと思うのであります。富士銀行のギヤング事件につきましては波多野氏からもお話がありましたが、余りにも生ま生ましい事件でございます。これらの事件が日本の裁判権の外にある、或いは警察権の外にあるというふうなことになれば、これは由々しい問題であると考えるのであります。先ほどの問題については直接答弁がございませんでしたので、重ねて要求をする次第であります。 次に原爆基地の設定の問題でありまするけれども、世界における唯一の原爆のお見舞を受けた我が国として、我が国民として、原爆基地の設定はお断わりをしなければならないものであると考えるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)広島、長崎におけるあの惨状、あの痛ましい惨状は、我々の永久に忘れ得ないものでございまして、我々といたしましては、永久に原子爆彈は使わない、又世界に向つても使つてはならないという主張をしなければならないと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)こういう意味合いにおきまして、特に原爆の洗礼を受けた我が国としては、この基地設定に対しては拒否しなければならないと思うのであります。このことは今度の行政協定の交渉において明確にしておく必要があると考える次第であります。(拍手)このことにつきまして政府の所信を伺いたいと思うのであります。 次に進駐軍労務者及び軍需工場雇用者と労働三法との関係であります。先ほどの質問にもあり、説明を聞いたのでありまするけれども、甚だ分明を欠いておるように思うのであります。政府は、しばしば本議場におきましても、これらの労務者に対しても労働三法に適用されているということを言明しておりまするけれども、現にこの言明に反する事実が幾多起つておるのであります。その内容については我が党の三輪君からも先般の本会議において指摘したところでございます。講和條約が発効いたしまして後においても、かかる事態が起るということは十分予想されるのでございます。その意味におきまして、労務者の基本的権利を如何ようにして守ろうとしておるか、その具体的な構想について政府の説明を伺いたいと思うのであります。 次に占領軍が現在使用している土地建物ば、講和條約の発効と同時に返還されるものであると考えます。これは先ほどの国務大臣の説明にもその意味があつたように思うのでありまするが、併し事実においてそれが引続いて駐留軍に利用されるということであれば、これは意味をなさないのでありまして、アメリカ軍の駐留によつて必要な施設は、これは平等な立場に立つて自由な意思に基いて行われなければならない。占領下において接收せられたものをそのまま継続する、こういうことであつてはならないと思うのでありますが、この点多少明確を欠いたように思いますので、重ねて質問をいたします。特に教育施設の中には、現在占領軍或いは警察予備隊に接收されているものが相当多数に上つておるのであります。教育施設を軍事施設に転用するということは軍事優先の観念を與えるものであつて、甚だ好ましくないと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)講和発効後において、これらの教育施設或いは文化施設は駐留軍或いは警察予備隊に提供すべきでないと思うのでありまするが、そういう措置をとろうとしているかどうか、又そういう自信があるかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思うのであります。 次に駐留軍が日本以外の地域において軍事行動を起す場合でありますが、これはしばしば問題になつておりまするが、首相は非常事態は現存しない、安心願いたいというふうなことを言つておりますが、安保條約批准の際は、今にも外国の侵略があるかのごとき印象を與えるような話をしておられます。いずれにいたしましても、アメリカ軍が日本に駐留するこのときに当つて、こういう非常事態の際における基本的な問題は明確に取極めておかなければならないと思うのであります。こういう問題をあいまいにしておくということは、日本の独立に対して非常な不安を與える結果になると思うのであります。日本が他国の隷属的な支配を受けるのではないか、こういう心配は、こういう重大な問題をあいまいにしておくところから起つて来るものと考えるのであります。特に朝鮮の動乱は今日なお解決を見ておらないのであります。而も国連軍は日本を基地として朝鮮に行動を起しておるのであります。将来駐留軍が国連軍として朝鮮に行動を起す場合もあり得るかと思うのでございますが、かような事態を考えまするときに、これは将来の問題でなく、今、今の問題と言わなければなりません。而も日本を基地として駐留軍が海外に行動を起すとき、日本も又この国際的な紛争に巻き込まれて、日本の国土が戰場となる危險もあるのであります。国家にとつてこれほど重大な問題はないと思うのであります。こういう問題について明確に規定しておくことを怠るならば、それは禍いを将来に残すものであると言わなければならないと思うのであります。そういう意味において、非常事態における駐留軍の海外出動の問題は重大であると思いますので、首相の十分な御答弁を求めたいと思うのであります。 次に防衛力漸増計画による警察予備隊の組織は憲法違反の疑いがあるという問題でございます。警察予備隊の装備及び訓練の情況については詳細な知識を持ちませんが、国会における質疑を通じて感ずることは、その内容は昔の歩兵師団に該当するように思われるのであります。大橋国務大臣は、予備隊の装備はアメリカ軍より貸與されたもので、その額は数千億円に上ると言つておられますが、この予備隊が二十七年度において量質ともに飛躍的に増強されようとしております。吉田首相は、現在の警察予備隊は今年十月で一応打切るつもりであるが、その後のことは日本の治安情況に照らして新たな防衛隊を組織するよう検討中であると言われ、大橋国務大臣は、その場合は現在の予備隊を基礎として考慮し、その装備については米軍の援助を受けることになろうと言つておられるのであります。これを予算の面から見ると、昨年度の三百四十五億に対して、今年度は安全保障費が追加せられて千百七十三億に膨脹しておるのであります。これを総合的に判断いたしますとき、これは明らかに憲法第九條にいうところの戰力であると思うのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)今更言うまでもなく、憲法第九條は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戰争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戰力は、これを保持しない。国の交戰権は、これを認めない。」となつているのであります。政府は防衛力漸増計画による警察予備隊の拡充強化を戰力でないという根拠をどこに求めておるか、明らかにせられたいのであります。 以上質問をいたしまして終ります。(拍手) 〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。 行政協定は、先ほど申した通り、安全保障條約の原則の下に協定せられつつあるのであります。而も両国政府の間においては、十分友好信頼の精神を以て、その国の自主権を害し、国権を害するような無理な協定を互いに強いるというような態度は毛頭いたしておりません。故に御心配のような点はないことを私はここに断言いたします。又行政協定は無論発表はいたしますが、併しながら予算の措置若しくは立法措置を要するものについては国会の審議に付するということは、しばしば申した通りであります。 その他の点は関係大臣からお答え申上げます。(拍手) 〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕
○国務大臣(岡崎勝男君) 治外法権の問題というのを御提議になりましたが、これは法務総裁が先ほど御答弁された通りでありまして、軍人軍属等アメリカの軍に所属する者は日本の法律を守るという原則があるのであります。従つて私はこれは治外法権の問題では全然ないと、こう考えております。なお如何なる者がアメリカの軍に所属するかという定義につきましては、これは国際的に認められておる範囲に限るものと考えております。 原爆基地のお話がありましたが、全体、原爆等の物騒なことのないように安全保障條約を締結して、いわゆる抑制の措置を考えているのであります。従つて安全保障條約は戰争を目的とするものでなくして、平和の維持のためであると考えております。又事実原爆基地等の問題が話合いに出たことは全然ないのであります。 労務者のお話がありましたが、これは先ほど申した通りでありまして、日本の法律が守られる、治外法権がないというときに申しましたが、日本の法律が守られるということであります。([守られないぞ」と呼ぶ者あり) 占領軍の施設、区域等につきまして、これも先ほど申しましたが、今後は新たなる合意に基いてやるのであります。勿論今まで使つておつた施設を新たなる合意で使うこともあるのは当然と考えております。ただ教育施設等については、十分御意見を参考といたしまして、でき得る限り教育に支障のないようにいたすつもりでやつております。 非常事態に関する問題につきましては、これも御意見は伺つておきまするが、日本の独立を危くするようなことがないということだけはここに確言できると考えております。海外出動につきましても先ほど申しました通りでありまして、平和の維持を目的とするものであり、戰争の目的でないのでありまするから、さよう御承知願いたいと思います。(拍手) 〔国務大臣大橋武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊の現在におきましては勿論でございまするが、今年の秋から改組を只今予定いたしておりまするが、その後におきましても、この機構につきまして、政府といたしましては、現在の憲法の範囲内において嚴重にやつて参るようにいたしたい、こういう方針をとつておるのでございますが、従いまして、その装備等につきましては、勿論国内治安のための組織でありますというところのその本来の性格からみまして必要な範囲に限る、こういうつもりでおります。かようなものは国内治安上必要な警備力に過ぎないのでありまして、戰争の手段となることを本来の使命といたしておりまする軍隊とは全く違うのでありまして、この憲法上戰力というものとなるものでないと政府は確信いたしております。(「アメリカから怒られないか、そんな答弁をして」「武力の解釈がされてない」と呼ぶ者あり) 〔国務大臣天野貞祐君登壇、拍手〕
○国務大臣(天野貞祐君) 教育施設の接收解除についてお尋ねでございましたが、教育施設が現に接收されておるものは全部で六十件ほどございます。併し教育施設の特殊性に鑑みて、他の施設より優先的に取扱い、できるだけ速かに解除してもらうように関係当局を通してお願いをいたしております。なお行政協定成立後において教育施設が接收されるというようなことがないように、どこまでも努力して行く考えでおります。(「対等の條約だ、お願いするんじやない」「どこが対等だ、お願いとは何だ」と呼ぶ者あり) 〔国務大臣吉武惠市君登壇、拍手〕
○国務大臣(吉武惠市君) お答えを申上げます。 特需関係の労務につきましては、勿論労働法規の適用あるべきことは当然でございます。なお駐留関係の労務につきましても国内労働法規が適用せらるべきものであると存じまして、目下その線に沿つて行政協定の折衝中でございます。(拍手、「今あるのはどうするんだ」と呼ぶ者あり) —————・————— 〔須藤五郎君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 須藤五郎君
○須藤五郎君 私はこの際、非常事態における警察予備隊等の運営に関する緊急質問の動議を提出いたします。
○千葉信君 私は只今の須藤君の動議に賛成いたします。
○議長(佐藤尚武君) 須藤君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。須藤五郎君。 〔須藤五郎君登壇、拍手〕
○須藤五郎君 私は、今日衆議院において論議の中心となつておるところの日米行政協定に関し、政府当局の答弁が甚だ明確を欠き、殊更国民に対しその真相を隠蔽せんとするがごとき意図が見えますので、この際、二、三の点に関し質疑をいたしたいと思います。 一月二十一日のアメリカ上院外交委員会の聽聞会におきまして、ブラツドレー統合参謀本部議長は、「日米行政協定に関する交渉が成立し、これが効力を発揮するまでは、対日講和條約はアメリカにおいて批准しないことを望む」と述べております。又上院外交委員会極東分科委員会委員長スパークマン氏も、一月二十二日、「対日平和條約が発効する前に日米行政協定が成立するものと期待している」と言明しております。この事実は、アメリカ側の要求する條件が満たされるものであるということをアメリカがはつきり認めなければ対日講和條約の批准をしないという一種の強要と言うことができます。岡崎国務大臣は参議院の運営委員会におきまして、行政協定の内容がアメリカの條約批准の條件でないことは、ラスク氏が言明していると答えております。併し行政協定の仮調印は今週中に行われ、ラスク特使はアメリカ上院への報告を急いでいることは明白なことであります。アメリカの対日講和條約の批准は早くても三月であること、これ又明らかであります。ラスク氏の言葉を信ずる岡崎国務大臣の言明は、事実において否定されているではありませんか。然るに日本においてはどうか。両條約の批准はすでに昨年終り、これが現在に至るも、行政協定に関する内容の報告、日本側の希望等々については、何一つ日本国民と国会は知らされていないのであります。これが一体和解と信頼に基く日米対等の交渉と言えるでしようか。以下述べる諸点に対しまして隠すところなく答弁されることを希望するものであります。 政府当局は世界の輿論を否定して、飽くまでも警察予備隊は軍隊でないと詭弁を弄しております。これは、今日国民の中には再軍備反対の大きな運動が起りつつあり、ためにこれを恐れて、飽くまでも国民を欺き、警察予備隊というカーテンの中で着々と再軍備を行なつているのであります。ひとたびカーテンが切つて落されるならば、舞台の上には七つ道具に身を固めた恐るべき武将の像が突立つて、国民を睨みつけていることであろうと思います。ところがこれに似たことが朝鮮事件でも言われております。即ち朝鮮事件は国連の警察行為であつて戰争じやないと言われていることであります。世界中の誰がこんな言訳を信ずるでありましようか。仮に仏印や中国本土におきましてこれと同じような状態が起つた場合にも、これと同様のことが言われるでありましようか。若しそうとするならば、予備隊は軍隊ではないから戰争には行かないと、幾ら総理や大橋国務相が力んでみたところが、講和條約第五條に「国際連合が憲章に従つてとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を與え」云々とあり、それ故に国連の警察行為に対しましては協力する義務を負わされており、従つて警察予備隊が海外に出動しなければならなくなると思うが、この点明確に答えてもらいたいと思うのであります。くどいようでありますが、政府は予備隊の海外出動の件に関する衆議院の質問に対しまして、アメリカから要請されても、国内法で許されないから拒否すると答えているが、併し、先にも述べました通り、講和條約第五條と日米安全保障條約で、はつきりと国連の警察行為に対し協力する義務を負わされているのでありますから、国連の警察行為として協力を求められるならば、條約上の義務としても、又国内法から言つても、内地外地を問わず、朝鮮であろうと、仏印、中国本土であろうと、出動しなければならぬことになると思いますが、この点に関しまして国民の納得できるような明確な答弁を希望するものであります。 第二点は非常事態に出動するアメリカ軍と日本警察隊との関係でありますが、如何にしてその指揮系統を統一する考えであるか。この場合誰が司令官になるかという問題は、当然行政協定に明記されるべき性質のものだと思います。ところが政府の衆議院における答弁によりますと、それは非常事態の起きたときに決定するのであつて、今は決定していないと言つております。それではお伺いしますが、一体非常事態の認定はどこの誰がするのか。一九五〇年十二月十五日夜、トルーマン大統領はホワイト・ハウスからテレビ放送を行い、国家非常事態宣言を十六日朝から発動いたしました。その理由とするところは、朝鮮その他の地域における最近の事態が世界平和に対する重大な脅威を構成しているが故にとあります。そこで、日本国内における非常事態宣言に関する事項を行政協定の中にきめておかないならば、我々の意思如何にかかわらず、実際問題として、一方的に相手国によつて非常事態に引き入れられることになるではないか。現在すでにアメリカは非常事態であるから、司令官の問題も決定済みのことと思うが、政府はなぜそれを国民の前に発表しないのか。当然日本政府の責任としてこれらの問題を明確にしておくべきであり、(「そうそう」と呼ぶ者あり)又いわゆる非常事態の下では一般の行政機関はその機能を制限或いは停止され、軍司令官が絶大なる権限を握るのが通例のようでありますが、このような非常事態の宣言が相手国の都合で一方的にできることにしておくことは、明らかに日本の主権の放棄であり、従属国家への転落を意味するものではないか。(「そうそう」と呼ぶ者あり)結局政府のやろうとしておることは、国民を欺瞞して、我が愛する青年たちを再びアジア解放のため起ち上つた植民地の人民諸君に対する彈圧の具に供せんとすることであります。 私は政府に対しまして大きな抗議をすると共に、以上述べた諸点に対して明確なる答弁を希望するものであります。(拍手) 〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、先ほど申した通り、互いに両国政府の間においては友好信頼の精神を以て協議に当つておるのであります。従つて、相手方の国権を侵害するとか、自主権を侵害するとか、或いは国法に反するようなことを無理に要求も又強いてもおらないのであります。 委細のことは主管大臣からお答えいたします。(拍手) 〔国務大臣大橋武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊或いは保安隊等の海外出動はないという政府の言明に関連いたしまして、講和條約第五條の国連協力の義務について御質問がございました。国連協力は国内法上可能な範囲でなさるべきものと考えております。従いまして、予備隊等の海外出動ということは、当然そういう義務に入つておらない、こう政府は了解をいたしております。それから駐留軍と警察予備隊の協力の際の指揮権は誰にあるかという御質問でございましたが、これに関連いたしまする具体的な相談は、両国の間にまだ何らなされておらないというわけでございます。相談がないという以上は、米軍につきましては米国の、又日本の警察予備隊につきましては日本の国内法によつて、それぞれの指揮権が定まるものと考えます。即ち米軍に対しましては米側が指揮をいたし、日本の警察予備隊に対しくは日本側が指揮をいたす、こういうことになるべきものでございます。そうして、この両国のそれぞれの指揮者が指揮をする際に当りましては、作戰上齟齬のないように相談をいたして行く、これが今日考え得る前建であると存じます。(拍手) 〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕
○国務大臣(岡崎勝男君) 行政協定が平和條約批准の條件であるように言われましたが、そういうことは毫もないことはたびたび申した通りであります。国連に対する協力は、今大橋国務大臣から答弁がありましたが、要するに我々としては、独立国とし世界の平和維持に貢献することは当然のことでありますから、でき得る限り協力をする考えでございます。 非常事態の問題につきましていろいろお話がございましたが、只今総理がお答えになりました通り、両国の間には最も友好的な、且つ信頼をしての協定を作りつつあるのでありまして、お互いに他国の主権を侵害するというようなことは毫もないのでありますから、その点は御心配ないようにお願いいたします。(「誰もそんなことを信じないよ」と呼ぶ者あり) 〔国務大臣木村篤太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします 国家非常事態についての処置につきましては警察法第六十二條に規定されておるのであります。即ち国家公務委員の勧告に基いて総理大臣が非常事態を宣言することになつております。つまり国家公務委員の勧告に基いて総理大臣が宣告するのであります。そういうことであります。(「公安委員だよ」と呼ぶ者あり)いや国家公安委員であります。訂正いたします。そうして一国若しくは二国の外国からの教唆若しくは干渉によつて内地に動乱が生じた場合においては、これは日本国の要請に基いて駐留軍が出動することになつておるのであります。(拍手) 〔須藤五郎君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 須藤五郎君、何ですか。
○須藤五郎君 再質問いたしたいと思います。
○議長(佐藤尚武君) 持ち時間が数分間余つておりますから、再質問を許します。 〔須藤五郎君登壇、拍手〕
○須藤五郎君 私は今日吉田総理に対しまして、売国奴とか恥知らずとかいうような言葉を使つて罵倒することで満足するものではありません。そういうことで事足れりとするものではないので、非常に日本の将来に大きな問題を残すところの重大問題が今日論議されておる。(「そうそう」と呼ぶ者あり)そのために日本の将来を憂えていろいろろ質問をしているわけであります。この私がいたしました質問に対しましては、與党諸君といえども同じく心配をしていらつしやる。それは私は與党の諸君からたびたび聞かされているところであります。(「心配が違う」と呼ぶ者あり)成る與党の議員は、自分たちは與党として言いにくいから、大いに吉田総理を勇気付けて、何とかこういう無茶な協定は結ばれないように一つしてもらいたいということを言つておる人もあります。(「冗談言うな」と呼ぶ者あり)恐らく、皆さんは黙つているが、心の中には、この行政協定の結果日本がどういうふうになるのだろうという大きな心配があるにきまつている、顔を見てもわかる通りであります。(笑声、「その証拠に笑つている」と呼ぶ者あり)そこで私は大橋国務相にお尋ねしたいのでありますが、即ち警察予備隊は軍隊ではないから戰争には出動させないとおつしやつておる。ところが朝鮮事変、あれは国連の警察行為だと言つておるから、(「戰争だと言つていない」と呼ぶ者あり)即ちこの軍隊ではない日本の警察予備隊でも、国連の警察行為には協力をしなければならんという規定がちやんと講和條約及び安保條約の中にあるではないか、だから何とあなたたちが言おうと、この行政協定ができてしまえば、必ず国連の言う警察行為、即ち朝鮮事変や、又あとに起るかもわからんところの仏印やほうぼうで起る問題に対しましても、出動しなければならん義務が生ずるのではないかという点を私は質問しているわけであります。それに対してはつきりあなたはお答えにならない。もう一度この点をはつきり答えてもらいたい。 それから非常事態に対しましては、いわゆる非常事態というものは国のうちだけに限るのか、又国外の非常事態もこの非常事態と言われておるこれに含まれるのか、そこをはつきりと首相に答弁して頂きたいと思うのです。即ち首相の言う非常事態とは日本国内だけの場合か、又国外に起つた非常事態にもこの行政協定がいわゆる効力を発生するのか、その点をはつきりと承わりたい。 それから只今大橋さんは、司令官は、日本軍は日本の司令官が指揮し、アメリカ軍はアメリカの司令官が指揮するとおつしやつた。(「それでは、戰争ができない」と呼ぶ者あり)ところが御存じの通り、西欧諸国におきまして、あの北大西洋同盟におきましても司令官の問題が非常にやかましく論議されておる。そうして英国とアメリカと各国が自分の国で司令官を出そうと思つて大いに争つていたことを思い起されるならば、アメリカと日本と二つを比較いたしまして、日本の軍隊は日本の司令官が指揮するのだ、アメリカの軍隊はアメリカの司令官が指揮するのだ、そういうことを言つてふんぞり返つてみたところで、実際そういうことができるかどうか、これはよくおわかりのことだと思うのです。その点をはつきりと答弁すべきだと思う。そのことを答弁すると警察予備隊の士気に関係して困る、そのために隠しておこうというような了簡は卑怯極まることだと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり) この三点に関しまして、もう一度関係大臣の答弁を希望するものであります。(「答弁の要なし」「正確な答弁をしろ」と呼ぶ者あり) 〔国務大臣大橋武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(大橋武夫君) 須藤君にお答えをいたします。 第一に、国連の警察行為に日本として協力するのは当然ではないか——その通り当然であると存じます。(「そんなこと言つていない」と呼ぶ者あり)そこで、その協力として予備隊の海外出動が当然伴うではないかという御質問でございます。この国連の警察行為に対しまする我が国としての協力につきましては、国内法その他の関係からいたしまして、政府といたしましては可能なる範囲においてできるだけ協力をする、こういう建前をとるべきものと考えております。(「その範囲はどうか」と呼ぶ者あり)国内法から考えてみまして、予備隊の性格は海外出動ということを予定したものではございません。従いまして、さような場合におきましても予備隊の海外出動はあり得ない、こういうお答えをいたしたわけでございます。 それから第二の点は、指揮官について、日本側は日本の指揮官、米側は米国の指揮官、これは当り前のことである。併し実際の作戰に当つてそれでやつて行けるかどうか、その場合にどうなるかという御質問でございましたから、私はその点は未だ何らの相談がないということを申上げたわけでございます。従いまして、今後事態によつて必要があり、そういう双方の協力ということが当然具体化されなければならん場合になりましたならば、そうした指揮官に対する相談というものも当然あり得るだろうと思いまするが、只今のところはまだそういう相談はいたしておりません。(拍手) 〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕
○国務大臣(岡崎勝男君) 非常事態についての御質問でありまするが、非常事態というのは、はつきりした言葉ではありません。若しそれが安全保障條約に伴つて日本に駐留する米軍の出動する場合を申されておりますならば、これは安全保障條約にあります通り、日本が直接の侵略を受けた場合、及び外国の使嗾等によつて国内に大きな動乱が起つた場合、及び極東の治安等が乱れることによつてアメリカが出動せざるを得ない場合、こう三つあります。いずれにおきましても、両国政府は最も友好的に、最も信頼の念を以て相談をすることと考えております。 〔須藤五郎君発言の許可を求む〕
○議長(佐藤尚武君) 須藤君、何ですか。
○須藤五郎君 もう一度質問したいと思います。(「時間切れ」と呼ぶ者あり)
○議長(佐藤尚武君) まだ時間が少々残つております。第三回の発言を許します。 〔須藤五郎君登壇、拍手〕
○須藤五郎君 私が先ほど尋ねました非常事態の問題ですが、木村法務総裁は、非常事態宣言は公安委員からの申出によつて総理大臣が非常事態を宣言する、こういう答弁であつた。その非常事態は恐らく海外の非常事態には効力ないものだと思うのであります。恐らく海外の非常事態を日本の公安委員会が総理に進言するというようなことは考えられない。(「その通り」と呼ぶ者あり)それは、国内の非常事態はそういう手続を踏まれて総理大臣が宣言を発するだろうということは考えられます。ところが、私の尋ねたいところは、この行政協定の中に織り込まれる非常事態という字句をどういうふうに解釈したらいいかという点なんです。即ち、非常事態とは日本国内だけの非常事態であるか。又国外に起つた非常事態もこの非常事態という言葉の中に含まれているのか。それが行政協定によつて責任を、いわゆる義務を負わなければならないところの非常事態という言葉は、内外通じての非常事態に責任を負うのかどうかという点をお伺いした次第でありますから、どうぞ明快に答えて頂きたいと思います。 〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕
○国務大臣(岡崎勝男君) 行政協定は只今まだ話合い中でありまして、きまつておりませんが、その中に非常事態という言葉が出て来るかどうか——私は出て来ないんじやないかと考えております。そこで先ほど申した通り、アメリカ軍が出動する場合であるならば、安全保障條約に三つ書いてある、そして、これは両国政府の間に最も友好的な話合いが行われるはずである、こう申しておるのであります。(拍手) —————・—————
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、第二の請願及び日程第三より第五までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。外務委員長有馬英二君。 〔有馬英二君登壇、拍手〕
○有馬英二君 只今議題となりました請願三件、陳情三件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を簡單に御報告いたします。 請願第三十一号、第百八十九号及び第三百三十号の三件は、いずれも台湾引揚者の接收財産に関するものでありまして、接收財産の補償と返還を要望し、且つ補償に当つては当時の貨幣価値を現在内地の貨幣価値に換算せられたいとの請願であります。 次に、陳情第九十三号は、目下米国議会に上程されている「まぐろ」関税法案が若し通過するならば、日本にとつては「まぐろ」罐詰の重要な輸出市場を失うことになり、日本経済に重大な影響を與えるものであるから、米官民の公平な判断に訴えて万全の措置を講ぜられたいとの趣旨であります。陳情第百三十五号は、奄美大島が民族的にも歴史的にも純然たる日本領土であることを力説し、同島の日本復帰を要請したもので、外務委員会としては前国会においてもこの趣旨の陳情を採択いたしておるのであります。又陳情第二百十九号は、最近、東支那海、オホーツク海面で日本漁船が頻々として不法に拿捕せられているので、拿捕船の返還と乗組員の帰還に努力し、併せて関係国との漁業協定締結の促進を要請したものであります。 外務委員会は二月十二日の委員会において、これらの諸件につきまして政府側の意見をも聽取し、愼重審議の上、いずれもその願意を妥当と認め、議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。 以上御報告申上げます。(拍手)
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます 〔賛成者起立〕
○議長(佐藤尚武君) 総員起位と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時十六分散会 —————・————— ○本日の会議に付した事件 一、行政協定に関する緊急質問 一、自主権回復と政府の外交方針に関する緊急質問 一、非常事態における警察予備隊等の運営に関する緊急質問 一、日程第一及び第二の請願 一、日程第三乃至第五の陳情