P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
13回国会参議院1952/05/24

法務委員会 第44号

発言数
181
登壇者
10
会派数
3
開催日
1952/05/24

会議録

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 只今より委員会を開きます。  破壊活動防止法案、公安調査庁設置法案、公安審査委員会設置法案、以上三案を便宜一括して議題に供します。昨日に引続き吉田君に発言を願います。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 ちよつと質問に入ります前に委員長に要求しておきたいことがございます。それは昨日吉田君から総理の出席を求めたいと、こういう発言があつたわけです。委員長のほうでも又御心配を頂いたことはこれはもう私よく存じておりますが、同じ時刻に今朝の新聞を見てみますと骨董品の展覧会ですか、それに出ておられるところの写真が載つているのですが、こういうことは大体前例がありまして、事いやしくも全部がこの破防法の問題の重要性に鑑みまして、そうして委員会も又民主的な運営がなされておりまする今日、総理が委員会の要求に対しまして国事のほかのことに行かれる、そうして国会を軽視されるというようなことはこれは私は委員長といたしまして考えて頂きたい。勿論今日はどうか知りませんが、今日は一つ出席を約束して頂くかどうか知りませんが、まあできれば一つ今日にも是非出席してもらわんと、大体総括質問でございますから、委員長において適当に取計らつて頂きたいと思います。これは強く要望いたしておきます、前例になりますから。最近総理の出席というものは国会には一回もない、本会議にも出席なさらん、こういうことで一体この国会の運営というものは円滑に行くでしようか。これを一つよくお考えを頂きたい。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 只今内村委員からの御要望は御尤もと思います。吉田委員から質疑の要点を記載された三項目に亘つた要点につきまして交渉いたしておるのでありますが、本日はやむを得ざる用で出席ができないが、この審議のうちに適当の機会におきましてこの会なり或いは連合委員会なりにおきまして、質疑の要点についてお答えをして頂くことを確信いたしております。さようなことでありますからどうぞ本日はよろしく御了承願います。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 只今の首相出席の点は追つて機会があるということで今日は御出席が願えないのだと、こういう工合に理解いたします。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) さようでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それでこれらの点は破壊活動防止法案その他法文に即応いたします個別的な問題でなくて、総括的な問題でありましたが、本日総括質問を終るに当りまして首相の御出席が願えなければ木村法務総裁にする以外にないと考えるのであります。昨日破壊活動防止法案その他関係二案の中心、これが警察法であり、それから治安警察をおくものである、それから団体等規正令との関係等をお尋ねして参つたのでありますけれども、若干、首相にお出でを願えないということになりまするならばその点からお尋ねをして参りたいと思うのであります。  問題は民主主義の原則論に関連をいたしまして、今までの御答弁を頂いておりますと、木村法務総裁にしても、それから特審局のかたたちにいたしましても民主主義を一応言葉の上では御承認になり又御主張になります。併しながら後段になりまして、いわゆる破壊活動に対します措置ということになれば民主主義の基本原則が崩れておる。或いはこの三法案の狙いといたします中心、これは右ではなくして左、特に共産主義ということになると思うのでありますが、それに対します態度に至りましては従来伊藤委員その他から御質問がございましたような、或いは主張がございましたような、思想には思想、或いは民主主義の方法でという点がなくなつて参つております。そこで首相にお尋ねをしたことば木村法務総裁も本会議で御答弁を頂いたのでありますが、そのときにお尋ねをしようとしました点については答弁がいずれからも頂けなかつた。わかりやすく一番しまいの点を申上げますと、力に対して力、或いはこの共産主義によりますいわゆる破壊活動と言われますが力であります。私はまだ皆さんの御答弁を伺つておりますと、共産党の正式決定と、それから各種の破壊活動とが裁判の上で画然たる連関証拠が出ておるというところまでは言い切れなかつたかのように思うのであります。いずれにいたしましても、そういう繋がりにおいて危険な行動があると、こういうお話だと了承するのであります。いずれにいたしましても力であります。それに対して政府が力を以て対抗しよう、これは或いは早稻田事件にも現われました。早稻田事件のことについては法務総裁は私はこれは立派だと思うのでありますけれども、行過ぎがあつたとして遺憾の意を表せられました。問題はそれで片付きますが、私は根本的にはそれで片附くと思うのです。併しそれが東大事件その他のようにけんかになつて参りますならば、力に対する力ということになつて参りますならば、これは或いはメーデー後の宮城前の事件のようになつて参ります。その後私の質問の後に日本週報でありましかた、「内乱の兆」という題名を付けてパンフレツトに書いております。中に書いてあることと外に書いてある見出しとは必ずしも一致はいたしておりませんけれども、併しそういう危惧が提起されたということはこれは間違いないと思うのです。ああいう事件を続けて参りますならば、これは五月一日の宮城前では極めて一部分にとどまりましたけれども、更に或いはフイリピンのように、或いは佛印のように、或いは朝鮮のように漸次拡大して参りますならば、これは明らかに内乱であります。そういう方向に行く危険性、力に対して力という、それが民主主義の防衛のためにという理由ではございます、言葉ではありますけれども、具体的に民主主義的な方向をふみ外しますならば、そういう方向に行く危險性がある。この点についてこれは政府としてどういう工合にお考えになるかということを深く憂慮してお尋ねをしたい点であります。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。この法案によつて民主主義を崩壊に導くのではないかという最初御質問であります。私は然らずとお答え申します。むしろこの法案によつて民主主義を防衛しようとするのであります。申すまでもなく民主主義は暴力を排撃せなければならん。民主政治は要するに説得の原則を建前にしておるのであります。先ほど申しましたように、言論には言論、思想には思想、これが根本になつていることと考えております。而して吉田委員のお説によりますると、力には力を以て対抗する、これは我々も否定しなくてはならんのです。申すまでもなく、暴力を否定する民主主義においてかようなことがあつては相成らんと考えております。そこで我々の憂うるところは、この世の中に暴力を跋扈させれば必ずや暴力を以て対抗するものが出て来るのであります。それが恐ろしいのであります。そこで政府はさようなことがあつてはならんということの建前からこの防止法案というものを作成したわけなんであります。治安の維持の任に当る政府は、世の中に力を以て力に対抗するようなことがあつてはならんという理由からやつておるのであります。私はこの世の中において一番考えなければならんことは、單純な暴力行為、それは私はさほど心配に及ばないのでありますが、或るイデオロギーを以て政治を支配し、世の中を撹乱に導いて行こうというような、そういうような行動が一番恐るべきものであろうと考えております。それを政府は未然に防いで、さような危險を防止するということは当然なすべき義務であろうと考えております。  そこでこの法案の目ざすところは、暴力を以て自分の主張を完遂しようという、さような団体を規制して治安を維持しようというところにあるのでありまして、政府が暴力に暴力を以て対抗するというような考え方は毛頭もないのであります。いわゆる世の中において暴力を以て暴力に対抗して世の中を混乱に導かせては相成らん。そういう見地から政府は治安の任に当つて破壊団体を規制して行こうというのがこの法案の狙いであります。これこそ私は民主主義を防衛するものであるとこう確信しておるのであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 この法律自身で暴力に暴力を以て対抗しようという考えであるとは私は言いません。併しいろいろな東京におきます事件を見ましても、その力が、これは或いは警察それから警察予備隊、そういう力が蓄えられつつあるということはこれは事実であります。それからこの法律でやるものは行政権、これも一つの国家権力の作用であります。これでこの法律が対処しようというのも事実であります。あとで細かく議論もしましようし、それから又今までもされましたけれども、警察力の強化ということがございます。現実において起りました事件はこれはやはり力に対して警察その他の力というものがやはり作用しておることはこれは事実であります。その点になりますと、この法律だけでなくて、或いは政府で考えられておる警察力の強化と申しますか、或いは国による警察に対する指示権、内閣総理大臣の指示権、こういう警察法の改正に関連をして参ると思います。これはそういう繋がりの中で作用して参るのであります。その点を一つ申上げておくのであります。  それからこの法律でやります行政処分にいたしましても、暴力ということまでは言過ぎかもしれませんけれども、国家権力であることには間違いはございません。或いは手術という言葉、病気にたとえますならば、病気に対してストレプトマイシンの話が中山委員から出ましたけれども、薬ではなくして手術をする考え方だろうと思います。思想に対して思想ということでないことは明らかだと思う。思想による破壊活動に対して危険を感ずるから云々というお話でありますけれども、その点は先ず思想に対して思想という点が根本的な原則であります。納得の原則ということを法務総裁は言われましたが、その納得なり或いは思想には思想という態度ではないではないかという点を申上げておるわけであります。  これは私の知つております卑近の例をとつて多少恐縮をするわけでありますけれども、私の知つております或る炭鉱において、成るほど従来共産党の組織もございました。去年のレツド・パージのときにこれは一部いわばお附合と申しますかがございました。併しながら若し共産党を排除してしまうならば、これは右の暴力団体と申しますか、或いはボスが跳梁して参る。それでそこの経営者の話でありますが、ボスよりも共産党のほうがまだましだ、議論に負ければ共産党は、その議論に負けたところに従つてやつて行くけれども、片一方はそうではない、理窟はどうありましようとも一つ顔を立てて下さいということで参る、それはどうもしようがない、理論では処置ができない、こういう話をしておられた。或いはそういう方針をとつて来られた。その理論には理論を以て対抗しそうして克服して行くというのが私は民主主義の態度だと思う。それを追放すると申しますが企業の中では馘首することになります。或いはこの法律が狙いますところの行政処分というのは、そういう意味においては、理論を超えて何らかの、暴力というところまで行かんかも知れませんけれども、実力を行使するということには相成ると思います。私はその企業が民主的に非常によく行つておることは、その経営全体から私はよく承知をいたしておるのであります。  これは例を一つ引いたにとどまりますけれども、国全体として今言われますところの力という点を、警察なり或いは警察予備隊で以て国は強化して行こうという方針をきめられた。これはこの法律のほかでありますけれども、国の方針として。それからこの法律で以て、行政権の作用でありますけれども、或いは警察との協力で以て外科的な手術をして行こう、こういう態度であることはこれは間違いない。それらのものをひつくるめて力には力をという態度をお取りになろうとするのではないか。そういたしますならば、或いは東大事件のような事件、或いはメーデーのような事件というものは、今後しばしば起つて来るということが想像される。それはその方針を進めて参りますならば、或いは規模がだんだん大きくなつて行つて、事実上国内に内乱を起させる方向に行くのではないか。こういう点をお尋ねいたしたい。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 理論を以て説得し得る、これは誠に結構なことであります。それであれば何をかいわんやであります。理論を、説得を超越して、世に波乱を起そうとするような団体がなきにしもあらずであります。そういう場合に、治安の責任に任じておる政府かこれを放置しておくことができましようか、ここが、我々の一番考えなくちやならないことであります。イデオロギーによつて政治を支配し、而してその主義を貫徹するために暴力行為を行う、これが説得できましようか。説得できれば結構でありますが、私は説得を超越しておると考えております。そういう場合に世の中に波乱を起させて政府が放置できないとするならば、それに対する対抗策を講ぜざるを得ない。暴力を政府は好んで用いるものではないのであります。これは最後の手段であります。さような破壊的団体が世の中を撹乱しようとする最後の防衛として考えられることがこの法案の狙いなのであります。決して暴力を以て暴力に報いようという考えは毛頭持つておりません。警察予備隊にいたしてもそうであります。これは暴力によつて暴力に対抗するという意味のものでは決してないのであります。最後の手段として止むを得ず治安を確保する手段として用いるための、これは組織、制度であります。決して暴力に対する対抗そのものとは私は決して考えていない。繰返して申しまするが、この法案の狙いは暴力に対しての暴力というような考えは毛頭もないのでありまして、最後の線として、日本の治安を護るべき一つの考え方としてこの線が現われて来たのであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それでは第一に、木村法務総裁或いは政府は、思想で以て思想に対抗するという自信は放棄せられたのでありますか。今のお話を聞いておりますと、共産主義に対して思想で以て対抗するという点はできなくなつた、こういうように拜聽するのであります。その点を一つお尋ねしたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 決してさようでありません。共産主義に対してこの思想戰というものはこれは相当活発に行われ、又将来行われることであります。共産主義理論に対する一種の考え方というものは、我々知つておるのであります。併しその共産主義理論を実行する上において暴力を用いる、この暴力に対して治安の任に当る政府があらかじめ考えざるを得ない、かように考えておる次第であります。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 法務総裁の只今の答弁を聞きますと、はつきりと、共産主義がイデオロギー的に暴力をいれゆる伴うところのこの法案の適用団体であるというようなことを暗に、暗よりも明確にされたようであります。私たちが先ほどから質問いたしまするのは、この憲法の十二條で国民に保障しておるところの自由及び権利は、国民の不断の努力によつてこれを保持しなくちやならん、これをいつておるのでありまして、これは勿論この新憲法の発布せられましてから我が国というものがまだ年数がないことは、これはもう申すまでもないことでおりますが、この年数のない、即ち民主的訓練の起点にある私どもといたしましては次にいういわゆる「これを濫用してはならない」という、この濫用してはならないということ自体は、これはもうはつきりと刑法によりまして、この濫用をした個人に対しては刑罰の規定が明確になつておりまするからして、こういうような明確な規定があつて、そういう訓練の足らないかたがたに対しては、そういう即ち実体的な行為ができた場合のときにおいては、これをやはり基本人権は尊重しつつ、この刑法の適用を考えて行くというような訓練がなされつつ、民主主義という大きな形態というものができ上つて行く。これに突如として、こういうような法務総裁は、とにかく暴力をするところの団体だけを狙つておるのだ、ところが並立的には、個人もこの法案に適用されるところの條項に対しては、やはりこれも併用的にこれを罰して行くのだ、こういうような一つの大きな日本という団体、国民の基盤の中において一つのものだけを目当にして、そうして八千万国民というものが迷惑するような、脅えるような、こういう法案を出されて来るところの真意というものが、私は憲法を尊重しておらない証拠ではないか、こういうように私たちは考えておるのですが、この点に対してはどうですか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 我々は共産主義思想を暴力によつて、いや警察力によつてこれを防遏せんとするものではないのであります。共産主義思想を目当にしておりませんということは、はつきり申上げておきます。ただいわゆる共産主義理論の発展の下に暴力を以て自己の主義主張を貫徹し、ひいては内乱を惹起するような、さような破壊的の団体、若しくはその下において活動するところの行為は、これは治安の面から見て是非とも防衛せざるを得ないのであります。思想そのものを警察力によつて防止するというような考え方では毛頭ありません。要は、さような国家の治安の面から見て許すことのできない団体、その団体によつて行われる一つの行為、それを防がんとするのがこの法案の狙いであります。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 法務総裁の御答弁はちよつと私はどうしても核心をついておられないと思いますが、思想は、これは決して脅かすものではない、又これを撲滅しようとは考えない、こういうことを言つておられまするが、今回のこの法案の中におきましても、すでに前委員からいろいろ御質疑がありましたように、公安調査官その他の行動によつて、又はこの第三條の適用によりましても、いわゆるそういう思想というものが非常に脅かされてくる、これは勿論如何なる思想におきましても、その思想というものが脅かされてくる、こういうことだけは御確認になるだろうと思いますが、この点はどうですか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 私はさように考えておりません。思想を脅かすというようなことは決してないと思います。その自分の思想を暴力によつて実行に移そうということによつて、初めてそのものの対象になるのです。思想と暴力と切り離してお考えになれば直ぐわかる。思想そのものを決して取締ろうとするのではありません。この法案のどこにも思想という字句はないのであります。つまり暴力行為を何しようというのであります。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 これは法務総裁も、最近出ました「日本週報」の中に、ウイリアムス・ダグラス氏が、アメリカの現在の状況につきまして民主々義を守るための重要な発言をやつておるのです。この発言の内容を見ましても、勿論アメリカはもうすでに御承知のように軍部の圧力というものが、或いは言論を抑圧する、一機関において言論を抑圧する、或いは又計画的に軍部中心的に事を運ばして行く、こういうような傾向に対して警告を発したのでありまするが、このようなことでこの民主主義の先進国でありまするアメリカにおきましても相当な摩擦がなされて、そうして結局はやはり民主主義を守つて行うというところの不断の努力がなされておるのですね。その極端な例といたしましては、これは何と申しましてもあのマツカーサー元帥の罷免問題にも、世界の平和を守ろう、或いは又軍部の独断的な方策をトルーマン大統領が防止したと、こういうようなこともこれは明確にわかつておりますのでありまするが、このトルーマン大統領の行動というものは、やはり軍部独裁の傾向を防止しようとする端的な而も重要な例であろうと私は思うのです。そういうようなことが、アメリカにおいても非常な大きな摩擦はありましようが、これがやはり民主的に考えられておる。こういうことを考えてみますると、この法律の制定、即ちマツカーラン法に対しましても、大統領はこの共産党の問題に対しまするところのいわゆる共産党彈圧の法案に対しても拒否をしておる。こういう事態を考えてみますると、これは日本になぜこういう破防法というような法律というものが出てきたか、私はこの根源をどうしても突きとめなくちやならん。これはただ本会議でこういうような提案理由を述べられ、或いは法務委員会で提案理由を述べられた、この文案だけの私は含みじやないだろうと思う。このよつてくるところは、どうしても私はこの両條約を批准をしたところの、又批准させるような状態になした総理の考え方、或いは又はこれは内閣全体の考え方、この考え方というものが、そういう政治形態又は法律形態を以て国民に臨もうとするというようなことに私は考えるのでございまするが、この点に対してはどうですか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) しばしば申上げましたように、民主主義の要諦というものは、先ほど吉田委員からも言われましたように、いわゆる納得政治なのであります。言論は言論、思想は思想である、而うして国民の意思を代表する国会においてすべての政治を行う、これが民主主義政治の要諦であるのであります。そこでこの民主政治を破壊せんとする暴力団体が現われんとする危険があるのであります。いわゆる暴力によつて政治を支配しよう、或いは暴力によつて自己の政権を推進して行こうというようなことになりますると、いわゆる民主政治というものは根本から破壊されるのであります。それを防衛することは、これは政府の責任であろうと私は考えております。個人は暴力に対して無抵抗なこともありましようが、根本的に政治組織を破壊せんとするような暴力に対しては、政府は無抵抗であり得ないのであります。それこそ国家の破滅を招くのであります。そこにおいて、民主々義防衛の一方法としてこの防止法案を作成したものにすぎないのであります。他意はないということを申上げます。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 これは、法務総裁のお考え方によりますると、暴力を以て政府を転覆する、こういうと、ただ暴力を以て政府を転覆するというようなことであつたならば、総裁が縷々お申述べになられるような、或いは共産主義ですか、とにかく極左主義のものばかりとは私たちは言えない。これは過去の歴史で明白になつている。そこで、而も又現実的な問題といたしましても、私が先ほど言うように安保條約の第三條に基いてのこの問題から、こういう破防法というもの、即ち国際的な関連性があるところのこういう問題を取上げて、そうしてこの極左主義というものが日本内地においてそういう事情を起してくるのだというようなことを、これを極度に取上げられるような考え方から、この法案というものが出てきたのではないかと私たちはこう思つておるわけですが、併し暴力でその政府を顛覆する、或いは又集団をしてそうして他に危害を及ぼすと、こういうようなことは過去の歴史を考えたならば、むしろ極右のほうが、これは現実日本の歴史としては多くはないか、こう思うわけです。そういうようなことを考えましたならば、併しその原因というのは何にあるか。これはやはりその政治のあり方にある。ときの政府の考え方にある。こういうことがもう今までの事象を見ましてもはつきりいたしておるはずであろうと思うのです。二・三六事件もその通りであつたわけです。青年将校の奮起もやはりその政府と、それから官僚と、それから財閥との結託によるところの政治の腐敗というものがああいう奮起をなさせておる。そこに又軍部の一連の、何と申しまするか、そのときの巨頭というものの動きが、これはどうしても自分たちの思想に合わないということで、これはやつたことじやありませんか。そういうことを考え合せてみますると、私は言論を抑圧せずに、言論は国民のものとして培養して、ずつとこの民主主義を培養して行けば、そういうような即ち危険思想というものは局地で、本当の局地でこれは終熄するものである。むしろ私は右翼のそういう即ち考え方、この考え方こそが政府の命を取るような問題に発展しはしないかと、こういうことを私たちは日本の歴史から考えるわけでございまするが、その点に対する、総裁はどういうお考えでありますか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 無論この法案の狙うところは極左団体ばかりじやありません。仰せの通り、過去の歴史を顧みましても極右団において危険なものが随分ある。将来といえどもないとは限りません。この法案は決して一方に偏するわけでないのであります。極右、極左たるを問わず、破壊活動をなし、なさんとする団体を規制して行くということが狙いであります。そこで勿論この過去の歴史を顧みますと、暴動が起つたのは、或いは政党の腐敗だ、或いは官僚の堕落だ、財閥との結託だというようなことを原因にして起された事実はあるのであります。我々も存じております。併しながらさようなことを原因といたしましても、暴動というものはよくない、殊に終戰後におきまして、日本は民主主義を十二分にとり入れて民主政治をこれから行わんとするところであります。そういう場合におきましては、いわゆる国民の世論を代表するこの国会によつて堂々とこれを論破し、これを攻撃して行くことが当然の義務であり、又当然そうなすべきであろうと私は考えます。それを暴力によつて自己の主義主張を遂行するということになりますると、これは民主政治の私ば破壊であろうと考えます。いわんや今日のいわゆる極端なる破壊的活動をなさんとする団体は、單に内地のいわゆる政治組織その他政治の善し悪しというようなことの関連以上に、国際的の繋がりを持つてやつておるということも一つの考え方であります。それらの点について、我々十分注意しなくちやならんと思います。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 私は、そういうことが、総裁も考えておられますが、そういうようなことはこの刑法で事足る問題ではないか、なぜその団体を解散するところの必要があるか、こういうことです、問題は。それではメーデーのあの事件はどうか。これは私たちから見れば一方的に、とにかく千人ばかりの検束者、これから五十人から百人の裁判が始まるでございましよう。ところが実際において暴力行為をやつておるのは双方です。これはちやんと私は目撃をいたしておりますが、双方暴力をやつている。こういう暴力事犯というものが今後裁判なされて、恐らくこれは個人において裁判の公平な判決がなされるでありましよう。そうすると、この事態が、もうすでに総裁の認定では団体解散の唯一な証拠となる。いわゆる調査庁長官がこれを公安審査委員会に申告するところの唯一な材料となつて解散の命令ができる。こういうようなことに総裁は適用されますか、どうですか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 私はメーデー事件を以てそれがし団体を解散する唯一の材料とするかどうかと、さようなことは考えておりません。これは背後にあつて如何なる団体がこれを計画し、指導しておるかということは、今私は申上げる段階に至つておりません。従いまして、この事件を唯一の材料とするようなことは断じて私はなかろうと思う。而して内村委員の、刑法で賄い得るのじやないか、こういうことであります。申すまでもなく、刑法は個人に対する罰則規定であります。メーデー事件あたりにおけるこの不法行為に対しては、それは刑罰を以て臨むべきである。併しながら事一たび団体組織を以てやるということに対しては如何ともいたし方ない。而して一番恐るべきは大きな組織力を以て行われることが恐ろしいのであります。組織の力ほど恐ろしいものはありません。その組織の力によつて破壊活動をした場合においてはどうなるか。これを我々は一番憂慮するのであります。そういう場合においては、さような組織を崩して行くということが先ず以て考えなくちやならんことであろうと思います。要するにこの法案が刑法では賄い得ないところを措置しようとするものであります。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 そういたしますと、私はこのメーデー事件はあながち総裁の考え方では解散というようなことは起らないということを明言されたわけでありますが、そういう適用にはならないという、私は……決してこういう事件の起ることを望みはしませんよ、望みはしませんが、この反響というものは、国民にいろいろな観点からやはりその大きな参考になつておる。やはり民主主義の関連の一つの事象になつておる。私はこういうことを好みはしません、事実は。これは暴力は排しなくちやならないことは、これはもう信念的にそう考えておりますが、ところがこういうような、即ち国民のこれを批判し、これを又、或いは新聞もいろいろな角度から批判している。或いは又それが言論も批判して行く。こういうところに民主主義のいいところがある。そういうような形がこれはもう恐らくこの法案ではだんだん閉ざされて行くというところにこの法案の危険性がある、こう考えておるのです。だから総裁のほうは、まだあれよりも以上の組織というものがあるのだ、それを一つ一つ崩して行かなくちやならん、こうおつしやつておりますが、やはり何としましても、民主主義の培養力というものは、これは組織が拡大して行く、組織のそういう危險が若しも何かあつたとしたならば、その拡大して行くスピードよりもいわゆる民主主義の圧力でそういうようなものを排除して行くというたたかいの、排除の気運のほうが私は強くはないか、かように考えております。総裁はどうお考えですか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 世論を以てさような暴動の危險を防止し得る、これは誠に結構であります。私も双手を挙げて賛成いたします。併しさように参らん場合もあるのでございます。これを放置しておいて日本の治安が一度乱れならどうなるかということを考えまするときに、あらかじめ用意が必要であろう、私も世論でさようなことを防止するということは極めて望ましいことであるが、如何せん、さように参らん場合があるのであります。その場合を我々は準備してかからないと、国家の治安が乱れてしまえばこれはどうなるかということを考えまするときにこの法案の必要性が生じて来る、かように考えます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 今の法務総裁は前半は民主主義なんですが、後半がとにかく民主主義でなくなつておるわけです。いかん場合と言われますが、そのいかん場合について特審局なり、或いはこれは最近情報屋と申しますか、或いは具体的に名前を出すのは憚りますけれども、共産党に対してはこういう方法でやればよろしいという人の意見を聞いて、一方的にきめて行くところに問題があると申上げるわけなんです。その前に暴力或いは暴力団体云々と言われますから、この法律の生い立ちについて一つお尋ねをいたしたいのでありますが、この法律案が最後的にきまりますまでにいろいろな案をお考えになつたようであります。その中に集団暴力行為等取締法案という、これは暴力行為等取締法ではありませんでしたか、そういう名前の古い法律がありますが、それを修正して考えよう、こういう御構想もあつたこと、これ明らかなようであります。併しながら集団暴力行為等取締法の改正は、これは右のほうの暴力行為を取締る、この考え方と、それから今言われますところの国際的な撃がりを持つておる、これは共産党、或いは共産主義的思想による暴力云々という点に当ると思うのですが、その考え方と、この法案の中には規制なり、或いは処罰方法について非常な逕庭がある。そこで片一方の集団暴力行為等取締法案のほうは伏せてしまつてやめて、そうして專らこれを出されておる。そうして説明は暴力主義的な行動一般を取締るのだと、こういうお話でありますけれども、木村法務総裁のお言葉を借りても今のところ右の団体については心配する必要がない、それは暴力行為等取締法案、或いは刑法で賄つて行き、国際的な繋がりのある共産主義思想による暴力行為だけが、この法案の実際の今の当面の目標とするところ、こういうことになつたかのように考えるのでありますが、この経緯とそれから狙つておりますところをお話願いたい。

關之法務府特別審査局次長

○政府委員(關之君) 本法案の立案の経過についてのお尋ねと拝承いたしますから、私からお答えいたすことにいたします。  この法案の立案は、昨年の丁度今よりちよつと前項に、講和条約の効力の発効の問題も考慮せられまするから、何かの法案を考慮しなければならないではないかというような考え方から、果してこういう法案が必要であるか否かというようなスタートの問題から、又現実の事態など深く考慮し、或いは外国などにおける各種破壊活動に対する参考文献などを渉猟いたしましてそうしてそれらの上に立ちましてどのようなものが考えられるかというような考え方から立案の仕事を進めて参つたのであります。そういたしまして、いろいろの経過を辿りまして結局このような法案の形をとることに相成つたのであります。その過程におきまして、私どもといたしまして外国の立法例などを参考にし、又国内の今までの実績なども考慮いたしまして、今日の破壊的な活動が一つの重要なる特徴といたしまして、団体の組織を通じてそれを基盤として行われておる。法務総裁も御答弁申上げたごとく、団体組織によるその組織力が恐ろしいものである。こういうようなことが特に私どもとしても深き考慮を払わざるを得なくなつた実情であります。それは国内の客観的な事態もこのごとくであり、又国際的ないろいろの問題もそのような点について深い悩みを持つて、その問題についていろいろの考慮を払つている事例も多いのであります。さようにいたしまして、何といたしましても、団体の組織活動、組織力、団体組織によるそれを基盤として破壊活動を展開する、それに対して何らか規制する方法を考えなければならない。こういうような、これがやはり一つのこの種破壊活動に対する合理的な一つの考え方ではないか。かようなふうにいたしまして、大体の筋途を考えました。併しそれを憲法の線に副つてどのように賄うかという点に問題を展開いたしまして、いろいろときどき発表いたしました案に対する各方面の御批判、或いはそれぞれのかたがたの法務府に寄せられた御批判とか、それらのものを愼重検討いたしまして、いろいろと憲法上疑義のある点、その他の点は全部振り捨て、必要の最小限度、この程度のものはどうしてもそういう公共の安全を確保する現段階においては必要である、かようなふうに考慮いたしまして、この法案をとりまとめた次第であります。お尋ねの暴力行為等処罰に関する法律の改正で行なつてはどうかというような案を持つていたのではないかというお尋ねでありますが、立案の経過におきましては、そのことは実は考えたことはないのでありまして、いろいろの例から見まして、大体の筋としましては、団体を規制するというその一つのことが中心として考え、そうして必要に応じての現行刑事法令の補正、この二つのライン左中心にして動いて来た次第であります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 公式の御答弁は今まで何度も聞いておりまするから、それを求めようとは思つておらんのであります。暴力行為等処罰に関する法律を改正して賄つて行こう、こういう思想はなかつたというお話でありますが、私どもの知るところでは、そういう構想もあつたと考えられる案或いは要綱も拜見をいたしておりますので、あつたのじやないかとこういう工合に考えておる。従つて或いは案を作ることにいろいろ変遷もあつて、団体等規正令をそのまま法律として燒き直すという考えもあつた、或いは暴力行為等処罰に関する法律の改正によつて対処しよう、こういう考えもあつた。ところが暴力行為等処罰に関する法律では賄えない、或いは今までの公式の説明を聞いて参りましても、右のほうは問題ではないのだ、或いは危険性はさほどではない。そこで組織を通じての破壊活動或いは組織力による点について最も危険性を感ずる。その組織と言い或いは組織力と言われますものは、今までの説明を聞いて参りますと、右のほうは問題ではなくて、共産党なり或いは共産主義によるこの破壊活動というものを、言葉は組織力或いは組織によると言われますけれども、それを狙つているのではないか。こういうように今までの説明等を通じても考えられるのであります。その点をもう少しうち劇つた御説明を願いたいと思います。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) お答え申上げます。破壊活動防止法案の立案研究の段階ににおきまして、團体等規正令をそのまま引延ばそうというような構想を持つたことはございません。又暴力行為等処罰に関する法律を更に拡充しようというような構想を持つたこともないのであります。御承知の通り、国家社会の基本的な秩序をば破壊するような行為が個人の活動として行われる場合におきましても、もとより危険であり、その社会的な違法性、危險性は十分にこれを取締らなければならない。併しながらかような犯罪が集團の力によつて行われる、進んでは強固な團体組織によつて推進される場合におきましては、その團体は絶えず新らしい構成員を補充しまして、その構成員の中から指導者を養成する、集団的な計画と訓令を持つてその活動力を増大して来るというようなことに相成りまして、その破壊的な活動が組織的、計画的に行われて拡大性を持つ、社会的に極めて重大な危険性をそこに持つて来る。こういう団体組織に対して必要な行政措置を以てその危険を防止する如何にしてその危険を防止するかということが問題になつたのでありまして而もこれは日本国憲法が定める各條項に基いて飽くまで合憲的に解決されなければならない。この措置をとる場合におきましても、個人の自由と人権は飽くまでもこれを尊重しなければならないと同時に、濫用の危険をでき得る限り法案の内部において防止するような立案構成にしなければならない。かような考慮からいたしたのであります。この法案におきましては、特に特定のイデオロギーを前提とした団体だけを取締るというような立て方はしていないのでありまして、いやしくもさような団体組織をもつて、暴力主義的な破壊活動を行うというような団体に対しましては、極左たると極右たるとを問わずこれを規制して行かなければならない。現下の飜つて事態に鑑みますと、先ほど来法務総裁から詳細御説明のありました通り、一部破壊的な共産主義者による団体組織をもつて行う暴力主義的破壊活動の危險が窺われる併しながら極右が将来絶対にさような危険性なしというのではございません。吉田委員からも御指摘の通り過去におきましても、そういう極右方面の極めて重大な破壊的な活動がありました。今後将来においてもそれが擡頭しないとは絶対に否定できないのでありまして、若しさような活動がありました場合には、当然この破壊活動防止法案によつて規制されなければならない。かように考えている次第でございます。

關之法務府特別審査局次長

○政府委員(關之君) 只今吉田委員から暴力等処罰に関する法律の改正案を一応考えたのではないかという具体的なお尋ねでありましたが、その点については、先ほど私が申上げたごとくに、その法案だけの改正で行こうというふうに考えたことは、これは率直に申上げまして一回もなかつたのでありますので、法案はおおむねの段階におけるあれはすべて新聞に発表されておりましたあれだけでございまして、ほかには別にこちらとして暴力行為だけの改正で行こうというふうに考えたことは一回もありませんでした。そういうことで一本で行こうとそういうふうにしてあれを構想したことはございません。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 暴力行為等処罰に関する法律で行こうという考えが中心であつたとは申上げませんので、暴力行為等処罰に関する法律の改正として、集団暴力行為取締法案要綱というものを考えこれで行こう、これはいわゆる右翼的な暴力行為だけを取締ることにするが、その考えは或いは処罰の方法その他もこれは団体等規正法案その他と考え合せて、極めてアンバランスであるという自覚の下に取りやめになつたのじやないかというように考えるのであります。主流が団体等規正法案なり或いは特別法案なりというようなもので考えられたことは、これは新聞その他で承知をするところであります。ところが今団体等規正令を燒直しそのままで行こうという考え方を持つたことはございませんということでありますけれども、昨年の十月当時において団体等規正法案が考えられたということはこれは明らかな事実であります。或いは追放なり、或いは就職制限、これを追放であるといつておりますが、あの予防拘禁制度なり、或いは財産の沒收なり、そういうものが考えられたということはこれも明らかであります。団体等規正令の焼直しを考えたということは全くございませんというのは、これは私はうそだと考えるのであります。過去のことをその点うろうろと申しましても仕方ございませんので問題を本題に返すのでありますが、この民主主義的なやり方をとるかどうかということについて、先ほど来質疑を繰返して参りましたが、内村委員からも補足がございましたが、議論には議論を、思想には思想を、そうして納得の政治をという点は法務総裁のお認めを頂いたのでありますが、今までの説明によりましても組織的な団体による破壊活動云々ということで組織が問題になる。そして規制の方法は破壊活動の事前段階においてこれを規制する。こういうことから第三條の一号ハ、或いは二号のヌという、こういう活動になりますと、そこで大衆的な行動或いは表面の社会に出て参ります言論、集会或いは出版の自由等が直接の対象になつて来る。この点は昨日も申上げたところであります。そこに問題が出て参るのでございます。言い換ると実際の具体的な活動、この案による規制の第一歩は大衆的な活動になつて現われて来ます。そこで言論、集会、結社、出版の自由というものが規制をされるということになつて参ります。この点については特審局のほうでは或いは法務総裁も同様な意見だつたかと思いますけれども、公益とか公共の福祉のためには国民の基本的な権利を制限されるも止むなしと、こういう説明をされるのでありますが、明らかにそこでは公益と或いは公共の福祉と基本的な人権という問題になつて参るのでありますけれども、民主主義の原則について、如何なる理由にしろ制限を加えて参るということは明らかであります。それを言論で以て対抗するというのではなくして、行政権でありましようとも或いはそれが治安警察力でありましようとも、国の力でこれを制限して参る。この点はこれは理由はとにかくでありますけれども、法務総裁お認めにならざるを得ないと思うのです。この点をお伺いしたい。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) およそ言論でもこれは無制限なものじやなかろうと思います。どんな言論でもこれは自由だということはこれは言えないだろう、これは吉田委員といえどもお認めになることであろうと思います。およそ言論の自由にも限界が私はあろうと思います。そこでこの法案の狙いというところは、この国家の基本秩序を破壊するような内乱自体を扇動したりするような文書、これを放置したらどうなりましよう。その扇動によつて実行行為に移された場合におよそ国家の治安というものはどうなりましよう。そこを我々は憂うるのであります。憲法第十二條におきましても、憲法に保障された基本的人権は公共の福祉に反しないようにこれを利用しなければならぬ、濫用してはならないという規定が嚴として存するのであります。勿論我々は言論の自由なることが憲法の建前であるということは承知しておるのであります。これは維持しなきやなりません。併しながら国家の基本秩序を破壊するような、そういう言論はこれは制限せざるを得ないと我々はこう考えております。これは公共の福祉の見地からして見ても許すことのできないものと考える次第であります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 法務総裁はしばしば内乱を扇動するような或いは殺人、放火、強盗等をやるような、こういう言葉で言われますけれども、昨日も明らかになりましたことは、内乱それ自身がこの法律で規制されるのではございません。内乱の構成要件であります朝憲紊乱と暴動というこの二つのうち、暴動という具体的事実が起ればそれは刑法の処罰の対象であります。そこで問題になるのは一号のロで、この内乱の実現を容易ならしめるため或いはその必要性を主張した文書、図書の印刷、頒布、掲示或いは所持、こういうことになつて参る。そうすると七十七條なりと比べてみればわかるのでありますけれども、このロは内乱と書いてあるけれども、内乱それ自身が問題ではなくて、その扇動の構成要件に朝憲の紊乱というところが出て来る。内乱は入つて参りません。暴動は入つて参りません。そうすると朝憲の紊乱の目的を以て、或いはそれを実現する正当性云々という文書等の、或いはそれの所持云々ということが問題になつて来るのであります。そこで朝憲紊乱というこの概念の内容になりますけれども、この朝憲紊乱とは何ぞやという伊藤委員の御質問に対して、或るときには国の基本秩序といつたような言葉で言われますが、これはたしか關次長のお言葉だつたと思いますが、天皇制或いは議会制度云々という言葉がございました。そこでお尋ねをいたすのでありますが、大体新憲法に天皇制というものがあるのかどうか。国家の基本秩序或いは朝憲の中に天皇制という言葉が入つておりますけれども、天皇制というものが新憲法に認められておるのかどうか一つ承わりたいと思います。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 憲法には天皇は国民統合の象徴として規定されまして、又天皇は国家の機関といたしまして重要な国事の認証を行うような建前になつておりまして、一つの制度が存在するものと確信しております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 天皇制という言葉は、これが通俗的に市民の間で論議せられるなら別であります。法律に関連して、法律の概念として、言い換えますと憲法上の概念として使われますならば、いいから加減に関次長から天皇制云々というお言葉を伺うことは、これは以てのほかだと思うのであります。旧憲法においては天皇制は明らかに存在いたしました。主権は天皇にあつて国民にはなかつたというのは、基本的な考え方であります。然るに新憲法においては主権は国民にある。君主制から民主制に明らかに移つたわけであります。佐々木惣一先生は、憲法の今残つておられる学者の中で例えば戰力問題等については通説とは違つた意見を持つておられますけれども、或いは天皇制問題について天皇制を維持すべきだという御議論であつたかも知れません。併しながらその従来の憲法で、先生の態度、今でもそうですが厳密に解釈するという点においては、これは一つの先生の特色だと思います。明らかに新憲法によつて天皇制はなくなつた。それを慨歎をしておられる人であるかも知れませんけれども、これは新憲法においては天皇制はなくなつたと思つております。これはまあ佐藤意見長官の意見を聞かなければなりませんが、それは法律の解釈として或いは朝憲紊乱の内容として天皇制が朝憲の基礎だ、或いは憲法の基礎だ、こういうように説明せられたのでは、これは法律の概念であります。或いはそれが大きな問題になる点でありますから、いい加減な答弁を承わつて過ごすというわけには参らんと思います。御答弁を一つ承わりたい。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 御疑念の趣旨はよくわかります。結局天皇制と申しましたその言葉の問題に関連して来ると存ずるのでありますが、おつしやいます通りに天皇制という言葉をいわゆる君主制と申しますか、そういう意味でお考えになる場合においては、他の政府委員が申しました趣旨は、そういう意味でお答えをしたのではないのでありまして、この憲法で基本的の国家機関として挙げられておる天皇制度というような意味で申上げておるのであります。即ち国会制度或いは内閣制度というようなものと同じ価値において申上げておる。その違いは結局人事院制度というものがある、或いは法務府制度というもの、がある、そういうものとは違いますという意味でございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 もう少しはつきり願つておかないと問題が残ると思うのであります。天皇制を朝憲の一番最初に持つて来られた点に旧憲法的な考え方が関次長の頭の中にはある、(「吉河」と呼ぶ者あり)局長でしたか、特審局には少くともある。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つてこの破壊活動防止法の運営、その他に当りましても、旧憲法的な考え方に基礎を置いて参る……。昨日行政法の問題で「憲法義解」を引きましたところが、大変立派なものを引いてもらつたという長官のお言葉でありました。これはひとり天皇制についての理解のみにとどまらず、法全部或いは憲法の基本的な考え方についても、私は旧憲法的な考え方がこの法律なり或いは制度なり全部に流れておるものとして理解する以外にはないのであります。(「それこそ破壊活動だよ」と呼ぶ者あり)まさに朝憲という点から考えますならば、新憲法を破壊する思想は、私は特審局にこそ先ずあると考えるのであります。(「解散しろ」と呼ぶ者あり)その考え方がひとり憲法の解釈のみにとどまらず、この法全体或いは今後の運営の基調をなすと考えますが故に、この点はもつと明らかにしておく必要があると考えます。佐藤意見局長官の明快な御答弁を求めます。(「良心に従つて」と呼ぶ者あり)

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 一応私から弁護いたしておきますが、天皇を真つ先に挙げたということについての御指摘でございますけれども、恐らくこれは憲法の第一章の第一條に天皇ということから始まつておるものでありますから、憲法の順序に従つて申上げたもので、それ以上の他意はないものと私は考えております。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 先ほど吉田委員からの御質問の中に非常に重大な御質問の事項がありましたので御答弁いたしたいと思います。この法案三條第一項の一の八に掲げてある内乱の実現の正当性又は必要性を主張した文書についての御質問でありましたが、これは朝憲紊乱の実現の正当性又は必要性を主張した文書という意味には解していないのであります。朝憲紊乱を目的とする暴動、つまり内乱が実際に日本において行われ、行うことの正しいこと又は必要なことを主張した文書、かように解釈しておるのでありまして、決して朝憲紊乱だけの実現の正当性、必要性を主張した文書ではないのであります。お答え申上げます。(「朝憲紊乱があると思つているんだろう」と呼ぶ者あり)

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 私が申上げたのは、刑法七十七條について言いますならば、朝憲紊乱の目的と、それから暴動という二つの構成要件が七十七條には書いてある。その二つの事実が起つたならば、これは刑法七十七條の問題である。これを待つまでもない、こう説明せられるだろうと思う。そうするとこれは刑罰法規として動くときは別であります。その最後の三章でしたか、刑罰法規の規制云々というところを法案は中心として狙つていない、団体の規制が中心だから、団体の規制という場合には、そういう内乱が起つたということでなくて、この條文で行きますならば、今の言葉で言うと、内乱の正当性或いは必要性を主張した云々という文書、図書の印刷一或いは頒布、掲示、所持、こういうのが問題になる。そうすると今の言葉で言いますと、暴動も含めて、具体的な行動も含めてその正当性を言わなければ云々、こういうことでありますけれども、実際の場合には暴動をせい、こういう具体的なあなたたちの好きな煽動だとか或いは教唆というものが、実際に起る可能性は少くて、その朝憲紊乱という、あなたたちの言葉で言う朝憲紊乱の点が問題になつて来るのではないか。それじやそれは違うというお顔のようでありますから、あとの点で例示をいたして参りますが、二号に殺人その他がたくさん書いてございます。そうすると殺人そのものが起りましたならば、これは刑法で賄つて参りましよう。ところがそれの予備、陰謀、教唆、扇動ということになりますというと、殺人が起つたのじやなくて、行為そのものでなくて、その正当性、さつきの言葉で言いますならば、正当性或いは必要性を主張すること、或いは影響を与える教唆、扇動という言葉になりますが、これが問題になつて来る。そうすると具体的な行動が起るのでなくて、その中の何と申しますか、一部の正当性或いは必要性ということになるのは明らかであります。暴動が起つてしまつたら、刑罰規定の問題になる。一応法律の建前から言いますならば、それは朝憲紊乱と、それから暴動という二つの要件が入つておるけれども、暴動という具体的な行動が起つたら、刑罰法規の問題である。起らない事前段階というならば、朝憲紊乱の正当性或いは必要性を主張した云々、こういうことになるのではないか、こういう主張と申しますか、意見を述べ、それに吉河特審局長は反駁されたのでありますが、もう一遍御答弁願います。

岡原昌男法務府検務局長

○政府委員(岡原昌男君) 刑法第七十七條の内乱の罪は御指摘のように、一つの目的を以て暴動行為をなすということを内容といたしております。つまりその目的があるということと同時に、具体的な行動といたしましては暴動ということに相成るわけでございます。そこで法案第三條の第一号のイ、ロ、ハのいずれも内乱に関連する條項は、その七十七條或いは八條、九條、すべて七十七條を基本とする内乱の具体的な行為というものを前提といたしておるわけでございます。従いましてその特殊な目的だけに限定されて、これが発展して行くのじやなくて、その内乱の構成要件すべてを背負つたままで、イ、ロ、ハ全部かぶつて参るわけであります。従いまして只今御疑念のような結果にはならないのでございます。なお第二号におきまして、例えば殺人の予備、陰謀、その他につきましては、正当性、必要性の問題は法文上起らないことに相成つております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 文字はその通りであります。それじや具体的な例を挙げて質問いたしたいと思いますが、五月一日、メーデーのあとで宮城前に事件が起つた。この真相につきましては、先ほど内村委員から質問がありまして、その事態についてここで詳しく説明する必要はないと思います。そうすると、その前に人民広場に行こうという言葉が、或いはビラで、或いは口頭で言われたということであります。恐らく来年になつても、政府は政権が維持される限り、宮城前の広場をメーデーに便わせるということはなかろうと、これは想像するのであります。判決があつても使わされなかつた。これは最後の場合になりまして判決があれば別であります。一応今までの説からするならば、来年使わせたくないという気持が政府におありになると思いますが、その点を確定的に申上げるわけではありません。むしろ不当性を私どもは主張して参つておりますが、例えばこれを例にとりますならば、来年、ほかの所でメーデーが行われた、そのときに宮城前広場に行こう、こういうことが言動でなされたものといたします。そうするとあそこに行つて騒擾をやろう、こういう扇動或いは教唆と申しますか、そういう事実が恐らく起るのじやなかろうかと思います。であの五月一日のメーデ―の後の事件があつたということで、恐らく来年或いは宮城前の広場に行こうということは、恐らくこれは二号のリを受けたヌと、こういうことになるのじやないかと考えるのでありますが、私の言わんと欲するところは、今の朝憲紊乱とそれから暴動という構成事件の中で具体的な行動をも触れなければならないということ、そういう説明でありますけれども、これから実際に行われるときにはそういうことになるのではないか、こういう構想と申しますか論理の必然を持つてお尋ねをしているわけであります。

岡原昌男法務府検務局長

○政府委員(岡原昌男君) 只今の御質問は第三條第一号から第二号のほうに移つて参つたように拜聽いたすのでございますが、第二号の刑法第百六條の騒擾に関する構成要件は御承知の通り暴行、脅迫といつたような具体的な行為を内容といたしております。従いましてただ宮城の前に行こうというだけではこれは恐らく問題にはなりません。なお更に七十七條の問題には特殊な目的は勿論ありませんので到底なり得ない、かように理解する次第でございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 具体的な点は又後でも参りますし、昨日から最高裁の鈴木行政局長事務代理の御出席を願つておりますので若干質問は前に戻りますけれども、お聞きしておきたいと思います。で鈴木さんにお尋ねをするのでありますが、問題は行政権と司法権の問題であります。この点について昨日質問を申上げて少し佐藤法制意見長官との間に、質疑が十分ではなかつたのでありますが、旧憲法の下においてはこれは行政権の非常な優位が憲法上或いは国の制度上はつきりいたしております。ところがこの行政権の優位というものを新憲法は取除きまして国民主権という点がはつきり貫かれたのであります。その中に基本的人権というものが一番最高位の概念として貫かれておることは申上げるまでもございませんが、この新憲法によります行政権と司法権とのあり方、例を旧憲法の下におきます治安維持法或いは治安警察法或いは出版法、新聞紙法等刑罰規定或いは行政法に関連いたしますが、これらの行政権の強い規定を排除いたしまして、中央集権主義から地方分権主義に、或いは官僚行政から民主行政に、或いは警察国家主義から法治国家主義に移つたことは明らかであります。そこで警察のあり方というものもそうで―あることも明らかでありますが、この破壊活動防止法によりますというと、その地方分権化した、或いは民主化した、或いは法治主義的に直した警察を治安警察というつ名目で復活をするのであります。更にこれは裁判権と司法権とそれから行政権の関係になつて参ると思いますけれども、一切の基本的人権の侵害に対しては常に裁判所の救済の途を開いて最高裁による違憲立法審査権によつて保障を全うすることと関連いたしまして、司法主義と申しますか明らかに確立せられておると思うのであります。一切の法律上の争訟について裁判所の救済を成し得る、これは裁判所法等にも表われておるわけであります。で特審局なり或いは、今のところ特審局の立場も了承せられますが、法務府或いは意見長官も団体の規正、これは行政処分であつてそれは終審ではない、裁判所に提訴することができると、だから憲法に違反しない、ところが行政事件訴訟特例法第十條第二項を使われることは、これは最近の青森県の県会議員の問題に関連しても現におやりになつておる、恐らくこの問題についても殆どおやりになるのではないかと思う。それからそこにおられます特審局の代表のかたたちも検事さんであるという勢であるかも知れませんが、我々がやつたことは必ず裁判所においてもこれは認められるであろう、こういうお話をしておられるのであります。そうすると、事実上行政裁判所というものをやめてそして司法裁判所でやるという建前になつておる。国の憲法の建前が事実上その一廓が崩されるのではないか、或いは少くとも裁判所としては好ましくないという点は、明らかにこれはそういうお立場があるかと考えるのでありますが、この破壊活動防止法によります前進という形ではありますが、行政訴訟に極めて近いものが行われるということについて裁判所を代表して、国の司法権を代表してどういうふうにお考えになりますか承りたいと思います。

鈴木忠一最高裁判所長官代理者(事務総局人事局長)

○説明員(鈴木忠一君) 只今破壊活動防止法案の審議に際して御質問のような点について裁判所の意見を申述べろということでございますが、裁判所全体を代表して果して裁判所の意見としてここで申上げていいか悪いかその点若干疑問がありますので、裁判所を代表してという形でなくして、裁判所の事務局におる者としてどう考えるかということにお問い下さつたものとしてお答え申上げたいと思います。  只今の御質問の中にありましたように、従来この行政権がかなり優位であつたのを、そうして行政庁のなした処分については原則として出訴を許さない、むしろ例外的に列挙した事項についてのみ制限的に而も行政裁判所という、司法裁判所以外の裁判所において争そわせておつた建前を、今度は原則として行政庁の処分を司法裁判所の審理の対象になるというようにいたしたわけであります。この点を司法裁判所の行政権に対する優位というように呼んでおる人もあるかと存じますけれども、これは別に司法裁判所が司法権が行政権に対して特にその上位に位して行政権に対して指揮命令をするという意味に解すべきではないと存じます。つまり具体的な事件を通じてその事件に現れた行政庁の処分が適法であつたか否かということについてのみ法律上の判断をするだけのことでありまして、本来広く行政庁をも、官庁をも含めまして一般の私人、官庁いずれの区別を問わず、その間に起つたところの争訟についてその適法性を判断する裁判は原則として司法裁判所にあるわけなんですから、従来の旧憲法の制限的な行き方をやめて、本来の司法裁判所としての機能を十分に働かせるというだけの意味であつて、行政権に対して司法権の乃至は裁判所の優位ということは、むしろ旧憲法との制度の建前に比較しての比喩的な意味であろうかと存じます。  そういたしましてこの行政と司法との関係でございますけれども、行政も司法も大きく申上げれば、これはいわゆる立法に対する観念でございまして、即ち法律を作る国の作用に対してその法律のもとにおいて活動をする作用という点から言えば、行政も司法も同じ建前であろうかと思います。学者もそう言つております。ただ行政と司法と異なるのは、行政というのは、結局法目的的な性格、つまり何が国家の目的になるか、何が治安上好都合であるか、どうしたならば国家の公益が増進するかというようなことを主にして考えるわけで、何が適法性であるか、つまり法律に合致しておるかということは行政においては勿論ネグレクトはしないわけでありますけれども、主にその目的を考えるわけであります。司法はこれに反して裁判所の行為は何が法律に適合しておるかということを主にして考えるわけでございます。そういうように考えますと、これは当然司法と行政という限界に交錯、クロツスした面を生ずるわけでございます。でありますから司法と行政との限界は只今申上げましたように、大体において司法の領域においては具体的な事件の適法性を目的とする、行政においては法目的的性を問題にすると、大ざつぱに申上げますけれども、なお司法権の点においてはその事後審査の性質が強いわけです。つまり或る犯罪的な現象が起つた場合に果して刑罰法規に触れるか否かということを確定たし、すでに契約関係があり、乃至民事上の損害賠償に当るような損害事件があつたという場合に、果して損害賠償請求権が発生しているか否かということを事後的に審査をするというのが本来の性質であります。併し司法の領域においても新たな事態、権利義務関係を生ぜしめるような作用も司法関係の中にございます。例えばその主なものは現在非訟事件手続法でやつておるようなたぐいの行為が新たな権利関係を発生せしめろというような行為に該当するものが相当あるわけです。やはり非訟事件になりますけれども、会社の解散というようなことも、これは若干この破壊防止法案に似たところがありますけれども、会社に対して解散を命ずるというようなことも司法権の範囲として現在はやつております。併しそれはむしろ本質から言えば行政に属する行為であります。ただ本来行政に属する行為を裁判所にやらせるのが便利であるというような場合、本来司法の領域であるけれども逆に行政にやらせるほうが便利であるという場合、そういうそのときの立法政策、乃至は傳統、歴史というようなものの観点からして、境界線にあるものは或る場合には行政に属せしめる、或る場合には司法に属せしめるというような面があるわけです。  で、今まで申上げたことからこの破壊防止法案について、先ずこの前審的な意味で公安審査委員会に行わせるということが果して裁判所の本来の機能を害しはしないかというような御質問のように思いますが、最前申上げましたこの行政の性質、司法の性質から申しますと、司法としては何が適法であるかと言うこと、それから事後審査的な機能が本来であるということから考えてみますと、むしろやはり前審的に行政機関をしてこういう処分をやらせておいて、そうしてそれについて事後審査的に裁判所がその適否について判断をするほうがいいのではないか、その行き方が必ずしむ司法本来の領域を奪つたということにはならないのではないか、私はそう考えておるわけです。恐らく具体的な事件になりますと、例えば或る団体を解散せしめるというような場合には、單に法規の上だけの問題でなくして、社会、国家乃至は世界情勢その他のいろいろな面からしての情勢を判断をして処分をすべき必要が多々あるのではないか。裁判所にそういう事件が当初から繋属をされますと、審理の材料にするところのいろいろな証拠関係等も当事者双方から出されるものに制限をされるような関係もありまして、かたがた裁判官の本来の使命からいつてそういう世界の情勢をすみずみまで、国家の治安のすみずみに至るまで把握できるかどうか、それらも疑問であつたのでありますから、今出されておるような形で行われることも止むを得ないのではないか。本来こちらの領域に属するんだから、当初から裁判所に繋属せしめて、対立した関係でやらせるということも私は理論上主張ができないのではないか、ただこの点についてはいろいろな見解が分かれる点だと思いますけれども一応そう考えております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 来て頂いた鈴木さんが適当であつたかどうかということは、これは私も考えますけれども、問題は新憲法の建前、憲法を守るかどうかという点に関連いたしますので、個人におけると申しますか、個人的な意見も入るかと思いますけれども、私は少くとも新憲法に現われております司法権の権威或いは憲法上の地位というものを守る点については十分の一つ御決意のもとに御答辯を頂きたいと思うのであります。單にこの一つの問題ではないと考えます。こういう法律がだんだんできて参りますと事実上司法権の権限というものは逐次制限せられるのではないか。この点に関連いたしましてこれは憲法の運用解釈については本来国会がやるべきものであります。私どもがあなたに、或いは最高裁から来てもらつて判断するのじやなくて我々が判断すべきでありますけれども、実情はなかなかそう参つておらん。そこで憲法を守るについて御援助を願う意味においてあなたに来てもらつてここで御答弁を願つておるのでありますから、法務府の一人のお役人としてのお考えじやなくて、もつと高い立場から一つ御答弁を頂きたいと思います。これは失礼いたしました、法務府のかたではありませんけれども、事務的な立場からでなくて日本の裁判権或いは司法権を代表すると申しますか、擁護する観点から一つ御答弁頂きたいと思うのであります。  問題は公式的な司法と行政との関係として御答弁になりましたけれども、問題が一般的な問題でなく当面出ております法案と、それから今後こういう法律をどんどん作つて行くかどうか、こういう問題に関連いたします。基本は申上げるまでもなく、憲法七十六條の「特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。」なお法務府の御答弁によると、終審として行うのではない前審としてやるのだという御答弁でありますが、この憲法をきめましたときの建前は、行政裁判所を廃止してそして行政権によつて行政裁判をするのではなくして司法裁判所にやらせるのだと、この建前ははつきりしていると思うのです。ところが前審という名前で事実上行政裁判が行われるのではないか。而も行政裁判が行われてそれについて司法裁判所の判決を求める途中では行政事件訴訟特例法十條二項を活用して来ている。最近においては或いはこの法律の運営についても恐らく発動せられるだろうということが今日考えられます。それは特審局の御答弁によると、恐らくこの公安審査委員会において審決せられたものも司法裁判所において取上げられるだろうということが言われている。そうすると事実上この新憲法でやめたところの行政裁判が復活する第一歩になるのではないか。この点をお尋ねをし、なお行政裁判所がだんだん復活するようなことについて裁判所として好ましいと思われるかどうか。この点をお尋ねをしているのであります。私が申上げるまでもありませんが、これらの点について昨日も実はお聞きとり願つたかも知れませんが「憲法義解」の言葉を引いて、旧憲法の下においてはこれは司法権からする行政権の独立というものを強化する意味において、行政訴訟の事件は行政裁判所に別にやらせるのだ、行政権にやらせるのだ、こういう建前であり、それから行政の処分は公益を保持せんとするが故にときによつて利益をまげることがあるが、又公益の必要に出ずるものである、こういう言葉で法務府でも或いは特審局で言われておりますような、公共の福祉のためには基本的な人権も制限するのは止むを得ないと、こういう建前であるけれども、それは新憲法の取らざるところであり、そして公益の名前によつても基本的な人権が制限せられるために、行政裁判所を設けないで司法裁判所にやらせるのだとこういう建前になつているが、それを精神的にと申しますか、事実上崩すことになる第一歩をここでふみ出すのではないか、これについて裁判所でどう考えるか。  これは或いはこの法律は大橋前法務総裁によれば、橋頭堡である、今後強化されて参るだろう、こういうことが考えられます。或いは旧治安維持法に相当するものとしてここに破防法が出ましたけれども、前の治安警察法に相当するものとして現に公安條例の立法化が考えられ、今後出版紙法なり或いは新聞紙法なりというようなものも復活する可能性が出て参りますこういう司法裁判所の前審という名前であるけれども作られる制度は今後恐らく強化せられて参る今の政府なり法務府の考え方で言うならばこれは前進こそすれ決して後退はしない。こういう制度を強化して行つて後退は考えられませんが、そういう第一歩としてこの行政裁判の措置を設けるような制度を作ることについては司法権としてどういう工合に考えられるか。こういうことを重ねて一つお尋ねしておきたいと思います。

鈴木忠一最高裁判所長官代理者(事務総局人事局長)

○説明員(鈴木忠一君) 私の只今の答弁が吉田委員には余りお気に入りにならなかつたように感じますけれども、これは別に法務府の肩を持つという意味の感情はちつとも持つておりませんです。ただ私の現在持つております乏しい知識から基本的に判断をしてその結論を申上げているのでありまして、私法務府の肩を持つ理由はちつともないわけですからそこは御了承願いたいと思います。  それから言われました通り、行政裁判所というものを廃止しましたので、そうして行政庁の裁判は終審となることができないとこういうことになつておりますので、憲法の建前としては前審であつても行政裁判所としての機能を営むようなことを仮に終審でなくても営むような裁判所を設けるということはこれは憲法の精神に違反していると思います。ただこの事件でやるところの委員会の決定というものが、果して前審としての、而も行政裁判所としての裁判であるかどうか、というような点については議論のわかれるところだと存じますが、建前としてはおよそ前審であつても行政裁判所を復活せしめるような機構としては憲法に反するのじやないか、こう思います。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) ちよつと議事の准行上申上げます。法務総裁が十二時におひまを頂きたいということでありますから法務総裁に対する質問を内村君に許しまして、なおお諮りいたしますが、只今羽仁委員から鈴木行政局長に又お出願うことも困まるから関連して約五分程度の質問があるということでありますが、それを一つ御承知願うように……。十二時或いは若干過ぎるかも知れませんが、どうぞ御了承願います。その前にそれじや吉田君。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 昨日の法務総裁のお言葉では、十二時ということじやなくして、一時頃まではという……。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) ところが食事もすんでからお出でになるということでまあ十二時くらいでお了承願います。

羽仁五郎第一クラブ

○羽仁五郎君 私の最高裁判所の御意見を伺う質問ですが、法務総裁にもできるだけお時間の差支えない限り聞いて頂きたいと思います。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) それでは内村君の御質問を……。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) その前にちよつと先ほどの……。

羽仁五郎第一クラブ

○羽仁五郎君 これは議員の発言のほうを先にして下さい。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 これはこの重大な問題がいわゆる総評の決定をなしつつありまする破防法に対する運動形態が重要でありまするからして、実は先ほどから労働大臣の出席を求めまして、そうして法務総裁ともども所信を承わりたいと、かように存じておつたのですが、どうも労働大臣も御出席がない。これはもう私ども当初から申上げましたように、総理大臣も御出席がない。法務総裁ももう昨日の約束と違つて早く帰えられる。これでは実際これは本当にこの破防法に対しまして取組んで政府は熱意を持つて国会の御論議を聞こう、或いは又熱意を持つて質疑応答に対処して行こうという気魄がこれはどうもうかがわれない。労働組合はもう真劍にこの問題と鬪つている。これは言論関係もその通りでございますよ。こういうときにどうも私どもは労働大臣の態度は誠に残念に思います。こういう点はどうも委員長の力が私は弱いのじやないかと思うのですね。この点は一つ委員長も考えて頂きたいと思います。  で、私が聞きますのは先ほど本会議で破防法の政府提案がなされましたときに、これは労働大臣が答弁されておりまする速記録の中に四月五日と十一日に公式に総評の代表者とお会いになつている。その後総評の意見も勿論これは破防法の撤回を要求いたしておつたはずでありまするが、この要求に対しまして労働大臣は法務総裁と一緒にお会いになつている。その後又この答弁にも只今法務総裁がお述べになりましたごとく、私の部屋へ総裁に来て頂きまして詳細な説明をして頂いたのでありますと、こういうようなことが書いてありますからして、これは当然法務総裁はその話合いの中にはおかがり合いになつている。そうしてこの労働大臣は次の三点を説明になつております。これは相当長くなりますから省略いたします。要するに破防法の第二條に対しまして、労働組合その他の団体の正当な活動を制限し、又はこれに介入するようなことがあつてはならないという一句を挿入したということ。それから第二十四嫌第三項の裁判所の決定期日、これが百日以内にその裁判をするようにせなくてはならないというような一項を加えた。それから公安審査委員会の委員には労働代表をいわゆる委員となすということは公式にはこの法案の中には書かれないけれど、その運用面においてこれをやると、こういう三項を挿入し、或いは政府が考えているからということを答弁されているようでありまするが、この答弁によりまして政府の態度というものは不誠意だ、これでは破壊活動防止法案というものは挿入されたそのことでさえもこれは不完全である。例えば第二條の挿入にいたしましても、これは注意の規定である。形式的な規定である。何らこれに対して正当であるという認定はこれはもう如何ようにでもできて、これを即ち正当でないとして、そうしてこれに介入をして来たところの例えば調査官というような行為に対しては、何らこれに対して職権濫用の規定もない、これが一つ。それから第二の問題にいたしましても、百日以内に裁判をせなければならない、これは非常に遅く裁判がかかつちや困るから、その点とにかくこういうような百日以内ということを規定したと言つているが、せなくてはならないであつて、決して百日以内に是非せなくてはできないというような非常にきついところの規定ではない、やつぱり裁判所の都合、その他によつてはこれが長くなることも当然なされるであろう。こういうようなこと。それから労働代表をこれに挿入すると言つておられるけれどもが、運用の面で考えるということだけであつて法文の中には何らそういうことは明記してない。こう考えてみましてそうして一体組合の民主的な運営というものが今日までなされて、漸く総評議会というような四百万以上の組織になつて、そうしてこれは憲法に保障されておりますところの団体交渉権の問題にいたしましても、或いは又団結権の問題にいたしましてもこの憲法の保障によつて生活権を守つて行く、こういうようなこの組織関係の重要な生産の一翼を全体に担つているところの労働組合が、この法律が出て来たならばこの三点どころではない、そのなかに含まれているところの問題で、自分たちの民主的な運営というものがこれはもう殆んど制限されてしまう。こういうようなことはもう先ほどからの総括質問のなかでも、これは箇條別の質問でなくて総括の質問のなかからでも総裁は十分認めておられることであると思う。  こういうような不誠意な態度で、今回の総評の決定というものが、これが行過ぎである、或いは又政府に対するところの陰謀的な行為であるというようなことに法務総裁はお考えになるかどうか、その点が第一点。  第二点はこの第二條の挿入というものは、これは法務総裁といたしましてどういうような心境でこれは挿入されたのであつて、又これを将来においてどういうような確約をなされて行くのであるか。この正常な労働運動というものをどういうふうに解され、どういうふうに確認される、どういうふうに将来保障されて行くのであるか、この二点を先ずお伺いしたい。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 私はこの本法案によつて労働組合の民主的運営が阻害されるということは、私は理解に苦しむのです。どこがこの法案によつて労働組合の正常な運動が阻害されましようか。繰返して私が御説明申上げた通り、この法案の狙いはいやしくもこの国家の基本秩序を破壊したりするような内乱を企図したり、或いは政治上の主義、主張、施策を推進したりする目的を以て暴力的破壊活動を行わんとする団体を規制しようとする意味である。正常な組合運動が国家の基本的秩序を破壊するようなことを計画されましようか。又政治上の主義、主張を推進するために騒擾とか。殺人とかその他ここに挙げてありますような凶悪な犯罪を計画されるということは思いも私は寄らんと思う。ここに私は思いをいたして頂きたい。我々は労働組合の健全なる発達をこいねがいます。どこまでも我々はそれを支持するんである。政府及び国家の基本秩序を破壊するというようなことが労働組合でありましようか。どうも私はこの法案によつて民主的運営を阻害するという目的が含まれているというのでありますが、私は非常に意外に思つている。実際我々どこまでも労働組合の正常な発達又推進をこいねがうのであります。その点であります。法案の目的というものはただただ、今申上げました通りの凶悪なろ破壊活動を企図する団体を規制するということであります。決して労働組合を対象とするものでないということを私は確信いたしているのであります。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 第二條の挿入は……。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) (第二條の挿入の点でありますが、これは私は挿入しなくても当然のことだろうと思います。併し労働大臣がいろいろ折衝の結果、これはもう労働組合についていやしくも介入しないのだということをはつきりさせておくのがいいのじやないか、それはそれなれば我々も至極賛成だ、入れましよう、従属規定として入れましよう、この準則を守らせることにしましよう、併し私の気持ではこういうものを挿入しなくても、この法案では当然のことと考えております。そういうことはあり得ない、あつてはならん、当然なことと考えております。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 法務総裁の労働組合に対する認識の、只今の労働組合は決して破壊活動をやる組合ではないのだ、その点はその通りです。決して破壊活動をやる組合ではありません。いやしくも総評議会は民主的な訓練は、まだ年数はたつておりませんが相当な訓練過程をやつて、そうして運営というものは民主的にできております。ただこの組合がなぜこの問題についてあのような民主的な抗議をやるかということの点につきますると、どうも法務総裁の労働組合に対するところの実際の認識が足らない。運営というものはそういうような思想的なことだけではこれはなされておらない。いわゆるこの今までの事例におきましても、相当民主的な運営を妨害しておるのです。これは実例を挙げますと、宇部窒素の問題でも同じことであります。最近の労働組合に対しまして相当官権の即ち圧力というものが、この民主的運営を阻害しておることは事実ですよ。簡單なあなたの目で見ところの一例を挙げましてもその通りですが、国会に民主的な陳情がなされて来る。これは集会の届も或いはやつて来る者もありましよう。或いは三々五々来る者もありましよう。とにかくここに集つて来る。そうするとこれを挑発するものはみんな警官じやないですか。これはあなたのほうでは治安の関係があるのだ。取締関係があるというような立場でやつておるけれども事件というものはそのときにやはり警官の挑発でなされておる。民主的組合は決してそういうような指令も出しておらなければ何にも出しておらない。そういうようなこと自体が現にあなたの目の前でもされております。ところが各労働組合の全国の内部におきましては、そういう争議形態というものは、当然これは許されたところの権利でございまするからして、労働組合が、やはり生活権を奪うような無理解な資本家がありますれば、それと鬪つて行く権利は当然法に許されておる。これでやつて行く。本当に民主的な機関で、本当に民主的な形態でなされておるのに、やはり警官の妨害行為がある。こういうような事態というものはたくさんあるのですよ。そういうようなことが今回のこの第三條によりましても……やはり組合を運営して行くためには機関紙も発行しなくちやならん。要求もこれは民主的に決定する。その要求を聞かないところの……或いは又政府の政治形態というものががんこになつて行きますれば、例えば御承知のごとくいわゆる国鉄の仲裁委員会の裁定でもこれを政府は聞かない。人事委員会の勧告も聞かない。こういうような政府の態度が出て参りますると、やはりそれは機関紙にも載せなくちやならん。政府の攻撃もやらなくちやならん。こういうようなことは機関紙には当然載せて行くべきであります。ところが、或いは又その民主的な訓練をやりますためにはいろいろ諸所方々の各国のいろいろの事件についても報道しなくちやならん。そういうことがやはりこの調査官あたりの出入りによりまして、やつばり認定によつてこの運営の重大なところにやはり干渉がなされている。こういうようなことがあるために、自分たちの生活権というものがもぎ取られて行くということのこの心配で総評というものは重大な決定をせざるを得ない。政府に反省を求めなくちやいけない。こういうことになるのですよ。それで法務総裁がそういう運営のことを知らずして、そういう本当に支障があることは知らずして、折角民主的にやつて行こう、或いは又あなたの先ほどからの心配なさつておるところの、例えば或いは共産主義といいましようか、これはあなたが心配しておる、そういうところと非常に内部的な抗争によりまして、そうして全体主義的な独裁主義的なことが若しもあつたならば、これを排除して行くというような下からの盛り上りというものがここでなされて行くのですよ。それを一般にやれない。こういう危険に政府が介入して、法律でこれを取締つて行こうというようなお考えがある以上は、これはやつぱり総評が決議せざるを得ないような段階になるだろうと私は思うのですが、今のような事態に対しまして、法務総裁は一体この法案では、例えば調査官でも正常な組合の問題に対しては一切一つ関与させないという強い確信があるかどうかこの点一つお伺いしたい。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。私も前に民間におりまして多少労働組合内部の事情も研究しておるつもりであります。ずぶの素人ではないのであります。それで最近ここに例に引かれましたデモ行進のことなんかでも私も一部見ております。これは内村委員も御覧になつたでありましよう。とんでもないことをやつている事実があるのであります。或る家の机の上に靴ばきで乗つておる現実を私は見ておるのです。そういう事実もあります。正常な集会もあります。必ずしもこの警察官の挑発そのものによつてのみ起るとは断定できない。私はそう思いません。  そこで政府の施策についての批評についてはこれは十分おやりになる。これは何ら法案の阻止するところではありません。これは自由にやるべきであろうと思います。これは言論の自由であります。併しながら事ひとたびその自己の政治上の主張なり主義なりを暴力によつて推進しよう。ここに問題があるのであります、暴力によつて……。内村さんの御心配になるところは、そういうことを濫用されるんじやないかという点でありますが、我々はその点について最大の考慮を払つております。すでに兇悪犯罪を一々指摘して、そういうことを企図するものを限定しておるのであります。これは組合におきましては、一部の激烈な言論をする人もありましよう、ありましようけれども、その人たちに内乱をやれとか又人を殺したり、汽車を顛覆したりする、およそこういうような兇悪な犯罪を、私はいくら言論の自由だからといつて、組合の人たちは常識があればやらないものと確信しております。私は組合の人たちもだんだんだんだん民主的に運営されて行つて、そうして立派に日本の再建に努力されておることには敬意を表しておるのです。その一部におきまして危險分子があつて、ややともすれば一般の労働大衆を率いて、自己の恣意をほしいままにするやに見受けられる節があるのであります。それは極めて危険な問題です。労働大衆は理性によつて判断し……、これは常に言つております、人間の尊嚴性はどこにあるか、いわゆるデイシジヨンだ、理性によつて自分が決定するのだ、いわゆる附和雷同しないことだ、みずからの行動による、これが人間の持つ尊厳性である。自分の意思でみずから決定しみずから行動する。これなくして日本の民主政治の確立もない、私はそう思つております。労働者大衆も一部の尖鋭分子に使そうされることなく毅然として自分の向うところを定めてやつて頂きたい。この法案によつて私は全然そういうような民主的組合運動を阻止するような意図はない、又断じて私はそういうことはさせないということを申上げます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 法務総裁のしばしば繰返される、この法律で労働組合を彈圧するというような考えは持つておらん、それはしばしば繰返されましたし、私どもも諒といたします。併し法務総裁の善意というものは、この法の運用によつては実際にはならんだろうこの点を私どもは問題にしておるわけであります。で、條文についてその点を具体的に論証をしなければなりませんが、破壊活動の定義が三條に行われておりますが、先ほどちよつと入りかけましたけれども、仮に例を二号のヌの項を参照しながらお話を進めたいと思うのですが、先ほど申しましたように、イからリまでの具体的な行動はこれは刑罰法規の問題になりますから問題にはならないので、実際に一番問題になるのは、事前段階で押えるということになれば、ヌの予備、陰謀、教唆、扇動ということになるということは、これはあとで、昨日も意見長官或いは特審局のほうで認められたわけです。そうするとその中でリの公務執行妨害並びに職務強要とその扇動、教唆という関係になりますが、公務執行妨害はどういうものを基準にして起つておるか。先ほどお話の内村氏が出しましたデモ問題をとります。そうすると、これは去年の暮であつたと思いますが、この国会の周辺に総評その他の都内の労働者が集まりまして、国会の中に、この広場に入ろうと交渉をいたしました。話合いが済んで入りました。入るときに旗を持つて入らんようにしてくれ、こういうことでしたが、一、二持つて入りました。旗竿が付いております。竹であります。これは本来のかねが付いておつたりするやつを……やめて旗竿を持つて入つた。ところがそれでも困るというので、ちよつと行つて警官が取りかけたのであります。そうするとそこでもみ合いが起りましたが、これは何のことなしにそこは済んだのであります。そこは済んだのでありますが、今あなたの言う兇器です、旗竿は或いはそれを竹竿に取り替えても兇器と目されるというこの危険性は、これは否定するわけには参りますまい。恐らくこの間のメーデーのときに、私実際を見ておりませんけれども旗或いは旗竿等が兇器と考えられた点もあるようであります。これは過去においてもはつきりございます。そうすると、そういう或いは大勢の集会や或いは陳情デモを行うその場合に公務執行妨害というものがこれは今までの実例からしても起り得る可能性がございます。そうすると、それをとにかく公務執行妨害を初めから扇動するということはなかなかないのじやないか、こう言れれますけれども、実際の結果から起つた場合も、もみ合いが始まつた。そこで公務執行妨害が起つた、そこで遡つて教唆、扇動があつたかということを判断されることは当然であります。現在の刑罰規定でもその通りであります。而もこれは行政官が運用されるのであります。或いはここに出ておられるような特審局の幹部じやなくて、実際には末端のかたが行われる、その末端の人たちがどういう人たちであるかということは、この間伊藤委員からも指摘された通りであります。行政権の日常の運用の場合に、運用が行われましたとしても、或いはあなたが考えられないようなことが起つたとしてもそれはなかなかとめられません。むしろ法律全体からいつても、構想からいつても、先ほど申しましたけれども、特審局のものの考え方、或いた特審局は情報屋というものを使つておられます、或いは情報を買取つていられます、そういう意見が特審局を動かしたり或いは法務総裁を動かしておるとは私は申しませんが、そういう考え方によつてできた法律、その運用が行政官の末端で行われる場合に、そういう問題が起り得ないと誰が保証できましようか。この点を問題にしておるわけであります。或いは公安條例の制定で以て臨監のようなものが復活して参りますけれども、あれは臨監の復活じやないと言われるでありましよう。別な見方からいたしますならば、これは初めは調査であつても昔の臨監のようなものが復活することは明らかであります。その点を問題にしておるわけであります。そこであなたの言われる危険中の危険という行動そのものが起れば刑罰規定の問題であります。そうじやなくて、それを規制するために予備、陰謀、教唆、扇動というものをこの規定の対象にする、或いは調査の対象にするということになれば、私ども心配する言論或いは団体行動の制限が行われて来るということは、これは当然の見通しであります。その点について法務総裁は余りに楽観的であり、或いは呑気であるということを私どもは申上げてそうしてあなたの言葉だけでなくて、若しそういうお覚悟があるならばそれを法上に表わさなければ、法律の保障がなければ運用はできないということを強く申上げておるわけであります。この点は如何ですか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は決して呑気に考えていないのであります。事がもうすでに発生してしまつたならばこれは終りであります。その事前においていかにこれを処置して行くかということに相成らんと国家の治安というものは維持できないと私は考えるのであります。そうして予備、陰謀であります。もうすでに事が終らぬ先において事を処置してやろうということにならないといけないのであります。これは予備、陰謀の点においてこれを処置して行こうというのであります、而してこの法案の運用において、調査官の話でありますが、調査官が団体の規制の決定をするのじやないのであります。ここに我々は非常に考慮を払つたのであります。委員会制度というものを設けたのであります。これは御尤もであります。調査官にそんなことを決定させちや大変であります。我々の考慮を払つたのはこの点であります。恐らく行政処置についてほかの法案に見られないところであると私は考えております。私はみずから誇つております、この委員会制度を設けたということは。いわゆる国会において選任されました有識者を選んで、そうしてそのかたがたによつてその規制をするかどうかということの決定をしてもらう。そうしてその決定に対して不服があれば司法裁判所に行つて公正な裁判官の判断に任せる。これは最も合理的である、こう思いをいたしてこの法案を作成したのであります。  なお調査官の調査の実際につきましては我々はこれを十分な教養と、又この人の人選について思いをいたしまして、御心配の点のないように極力努力いたしたい、こう考えております。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) ちよつと吉田君、ここで五分間羽仁委員に発言を許します。

羽仁五郎第一クラブ

○羽仁五郎君 最高裁判所に向つて参考の意見を述べて頂くということについてでありますが、私ども国会議員は新憲法によつても誠にあわれなものでありまして、政府、法務総裁並びに政府委員を証人として証言をとることもできないのです。お聞きになつておりますように僞証や国会侮辱をしているのじやないかと思えるようなことを平気でなさつているわけです。併し我々は裁判所に対しては参考の御意見は伺うだけなんですから、どうか一つ権威のある参考の御意見を伺いたいと思うのであります。私の念ずることはただ一つなんであります。どうか国民が法に服するようにありたいということであります。で裁判所の独立ということをどうか第一に念頭において頂きたいそれは過去において兒島惟謙が行政府の決定に対しても屈服しなかつたということをやつて頂きたい。最高裁判所長官は自分の信念に反するような者の自由も護つて頂きたい。そうでないならば到底最高裁判所はその権威を全うすることはできない。自分の信念に反する人の自由も護るという覚悟は勿論おありになることだろうと思います。そうして今おつしやつているこの行政と司法との区別、アカデミツクな御説明でありますが、どうか今私が申上げたような点からそういう点についてもごまかしが行われないよう、法が護られるよう。先日法務総裁はこの法律案によつて罪を受ける人は確信を変えないだろうと、即ちこの罪に服しないのです。なぜ服しないかと言えば、立法上の罪の設定が行われているから。立法上の罪の設定について、法制意見長官は私の質問のときにはまだそれがわからないくらいに恐らく勉強がお足りないと思う。或いは勉強よりも国民の真実の自由を護るその熱情がないのです。ですから立法によつて罪を設定すれば国民はそれは納得できません。すでに殺人なり何なり何人が見ても悪いというものについて裁判をなさる、それでこそ納得する。併し法律によつて勝手な罪をこしらえそうしてそれで罰する。最後にあなたのところへ持つて行きます。あなたのところで、裁判で納得できますか、そういう責任が負えるというようにお考えになりますか。行政府が立法府に向つて新らしい罪を設定してくれと言つて来る。そうして立法府は今まで十分な権限を持つていない。又その慣習も持つていない。従つてそれが法律になり、そうして法律で以て新らしい罪ができる。それをあなたのところへ持つて来る。そうして裁判をして納得するということができるかどうか。私は非常に疑問だと思う。そうすれば裁判の本当の目的、或いは法に対するところの国民の心服、それらの目的も果されなくなつて来る。そうすると国民の最後の手段は何であるかというと恐るべき結果に到達すると思うのです。ですからこの法案につきまして、最高裁判所がその権限、直接でないかも知れませんが、間接の関係において愼重な関心を集中せられまして、或いは次の機会にどうか権威のある参考意見を頂きたいというふうにお願いします。特に法務総裁をここに置いてそのことを申上げるのは、法務総裁も只今は不幸にして行政府の最高責任を負うておられるけれども、併し法務総裁御自身は、国民が合法的手段を盡し、従つて政府も国民に合法的手段を盡させるという立場にあられる。ところが先日来、昨日もイデオロギーに対してはイデオロギーを以て鬪うべきだという中山委員の御質疑に対して法務総裁は、我々はイデオロギーに対してイデオロギーで勝つ自信はないということを言つておられるのであります。イデオロギーを持つておる人を承服させることはできないと言われた。これは私が法務総裁の言葉を誤解しているのだろうと信じます。而もそういうようにして立法によつて罪を設定し、それが納得できないということは、あなたもおわかりになると思う。そういうものを今この法律でやろうとしておる。そうしてこの公安審査委員会というものは前審じやありませんよ、結審をやつてしまう。団体を解散させてしまう。団結権を全くそこで制限してしまう。一旦解散された団体というものは再び浮き上ることはできない。団体それは人の場合と同様、団体を解散するということは人を殺すと同じである。我々の生存権と並んで団結権というものが基本的人権であるということはよく御存じだろうと思う。こういう団体を解散させてしまう。団体を再び作る、これまで作つたのは容易なことではない、一人や二人の努力じやない、大勢の人が努力して団体を作つて来た。それを解散してしまうということをやつてしまう。それはあとで裁判所で救うことはできない。どうか裁判所が国民の貴重な人権というものに対してはできるだけ早くその手をさしのべられて、これを救われるという任務をも果して頂きたいというように思います。時間を非常に制限されましたので、幾つもの、約五つか、六つの問題を早口で申上げましたが、これは委員長の命に服するためであつて、どうか、私の言葉が早かつたのですが、重要な問題があることを御了解下すつて、最高裁判所が次の機会において、これらの法案につきまして、若し私どもが参考の意見をお願いしましたときには、どうか国民の誰が聞いても成るほど立派な最高裁判所の御意見だという御意見をお聞かせ頂きたい。どうかお願いしておきます。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 私只今羽仁委員の御発言中甚だ不穏当な発言が私に対してあつたと思います。如何なさいますか。私は僞証するような男じやありません。僞証になるような言辞がどこにありましたか。

羽仁五郎第一クラブ

○羽仁五郎君 私は国会を侮辱し、或いは僞証をするという事実があるのではないかというようにも考えられるというふうに申しております。その事実はどういうことであるかと申しますれば、私どもは政府委員、これは主として法務総裁ではないのでありますけれども、併し今法務総裁のお言葉でありますから、私も法務総裁に対してもそのことを申上げますが、国会議員が、この法律案について濫用の慮れはないかという場合、法務総裁としても御自身として、或いは濫用の慮れがあるのではないかというふうにお考えになる点があると思います。法務総裁は、その場合には何とかして運用の上で全きを得たいというふうにお答え下すつております。従つて我々としても、運用の全きを得るためには、法律の上でもその措置をして頂きたいと考えております。併しながら法務総裁もお聞きになつておられるでしようけれども、政府委員の中には、これらの濫用は全くない、昨日の中山委員の御質問に対して、絶対にないという言葉まで使つておられます。これは私は、中山委員もその点については絶対という言葉を除かれたほうがいいのではないかというように穏かにおつしやつて、穏かに解決いたしておりますが、それらの点を私は申上げておるのであつて、法務総裁の御人格或いは法務総裁のお心持というものに対して、私は最大の敬意を持つておる。これに対して誹謗的な言辞を用いようとしておるのでは全くないので、この点はどうか法務総裁も御了解願いたい。今まで法務総裁も、私の随分はげしい言葉に対しても寛大にお答え下すつたのは、恐らくは私がはげしい言葉を用いるのは今までの日本の官僚主義をどうか脱却したいというただ一つの意図から出ておることを御賢察下すつてのことであろうと思うのであります。私も随分ひどい言葉を使うことは、本当にたまらないのであります。例えばそれが今おつしやるまでもなく……

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 羽仁君にちよつと申上げます、簡單に……。

羽仁五郎第一クラブ

○羽仁五郎君 公安審査委員の職務は、これは岡つ引の手先であるということを申上げたことは実にはげしい言葉で、私は心中において誠に申訳ないと思つておる。併しそれはなぜそういうはげしい言葉を用いるかという点をどうか御賢察下すつて……今まで御賢察下すつて、その点についても特におとがめがなかつた。併し或いはそういう言葉を重ねるならば、そういうようにお怒りかも知れないと思いますが、これは併し法務総裁も私も、全くどうかこの積弊抜くべからざる官僚主義を脱却して行きたい。そうして権力の前に出れば、直ちに膝を屈して三拝九拝する国民の奴隷的根性を叩き直したいというただ一つの気持からであるということを御賢察戴きたい。そうして只今私が用いた言辞に対して法務総裁が責められたような言葉が若しあつたならば、お許しを戴きたいと思います。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) なおその点については速記録を調べまして、羽仁委員の言辞の中に不穏当なものがありとすれば、これは次の機会に取消しをお願いすることにして、そうして議事を進行いたします。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 法務総裁が一時に立ちたいというのをお願いして三十分お残りを願つた。再びおいでな願うということは非常に困難だ、殆んど見込薄のようでありますから法務総裁に申上げたい点を一、二点だけ申上げて答弁はこれは或いは願わなくともかまいませんから申上げておきたいと思います。この三法律案の一番中心は何であるかと言いますと、昨日も申上げましたけれども治安警察という制度を復活することである。名前は何とつけましようと治安警察を復活することにあることは間違いございません。そうすると破壊活動防止法というのは、公安調査庁という、治安警察或いは思想警察という言葉を用いるとお嫌いになるかも知れませんけれどもそういうものを作る、或いは活動のこれは根拠法規としてしか私は動かないように思うのであります。問題は司法権じやなくて行政権でありますから、警察権でありますから、そのことを特に申上げるわけであります。  それからなお従来私どもが知りましたところでも、東大事件の全体の当否は暫らくおきまして、あの東大事件を通じて私どもが知り得ましたところの特高的な活動が始まつておるということであります。私が郷里に帰りまして、破壊活動防止法について反対の労働者大会がございましてそれに出席いたしました。そのときに社会党員、これは製鉄所の従業員でありますが、それが党員の一人として発言をいたしました。その内容は別に私は、言われるような、或いはこの法條で言うような破壊活動を扇動するものではなかつたと考えまするけれども、その男は家庭に或いは職場に調査をせられております。その結果は職場において解雇等の危険が迫つておるかのように申して参つたのであります。これは自治体警察の中に、国家警察のこれは捜査二課というのでありますか知りませんが、入つておる実情であります。或いは街頭録音の場合に起りました東京の事件は御承知であろうと思います。実は公安調査庁ができますならば、これらの活動がこれは合法化され、そして公安調査庁との連絡の下に今後行われて参るでありましよう。明らかに特高警察の復活が合法的にこれからなされるということになると考えられる。そしてその実際の活動については、これは法文に現われておるところではその三條の或いは一号、二号でありましようけれども、その三條一号、三号でも或いはハ、ヌ等の教唆、扇動等が先ず表面に出て参ります、社会に出て参ります行動としては最初の調査の対象になる、これは間違いないと思います。先ほど法務総裁は、やあ行政機関であるけれども調査官にやらせないで審査委員会にやらせるという制度をとつたことは、これは極めて特筆すべきであつて自慢になるのだとおつしやいましたけれども、併し実際の社会における活動の一番重大な点は、その審査委員会の活動の前の調査活動であります。これには或いは尾行、追随等もなされるということがここでお話等が出ております。或いはあとで質問をして参りますけれども、検閲制度に相当するようなことが復活するのではないかと私どもは心配をしておるわけであります。その基本になりますのは、何といつても思想に対して思想、言論に対して言論ではなくして、一つの国家権力で介入するという態度をとられるところから出て来るのだと私どもは考えるのでございます。民主主義を言われますけれども民主主義の一つの大きな要件をここでふみ外そうとせられるかどうかと、こういう危険にかかつて参ります。或いはこれは民主主義、自由主義の基礎になります自由、博愛、平等の原則からいいますならば、或いは自由、博愛の項目については治安維持という名目の下に捨て去ろうとせられるのではないか、こう私どもは考えるのであります。その点について時間をとりませんが、もとの「法曹界雑誌」の復刊であります「法曹時報」の再刊の辞の中にはこういうことが書いてございます。「リンカーンが、南部の一狂漢の凶彈に倒れる一カ月前、第二回目の大統領就任に際し次のような演説をした。「何人に対してもうらみを抱かず、すべての人に対して慈愛の心をもつて、神の示したまう正義にかたく立ち、願わくはわれらの仕事の完成のために、飽くまで努め続けよう。わが国民の傷を包み、戰争の重荷を負う人々とその寡婦、孤児をねぎらう道を講じ〃正義〃にかなうとこしえの平和をわが国に、また世界にもたらし維持させるような一切のことを盡すために努め続けよう。」これは法曹人としての法務総裁としては従来持つて来られた観念かと思うのです。この「法曹時報」の再刊の辞に述べられました精神は、私は法曹界の意見も代表しておるものと思います。ところがそのリンカーンの言葉を引かれた中における何と申しますか博愛と申しますか自由と申しますか、そういう点について或いは寛容の精神というものは、この法律によつてはふみ外されようとしている。成るほど出て参ります破壊活動のこの根源について、御心配になる国際的な関連云々ということは、これは法務総裁述べられたところでありますけれども、実際に私どもが見聞きいたします破壊活動、この点について例えば朝鮮人の諸君の問題でありますが、私は出入国管理令を含めます外務省関係の諸法律を審議しましたときに、あの出入国管理令の中には従来日本人であつた朝鮮人の諸君も、何と申しますかやつばり民族的な蔑視観念も含めて人間的な取扱をしないで強制送還しようとする思想が入つておることを感じました。或いは現在長崎その他でも問題が起つておるようでありますけれども、ささいな事由からして強制送還され、或いは帰つたならば戰線に送られ、或いは生命の危険さえも感ずるというときに、弱い者として団結しそしてああいう行動が起つて来ることについては、私は一片の同情を以て見るべきものがあると考えるのであります。過去において私ども戰争中においても経驗をして参りました非合理な理由なき暴力に対して自分を守るための集団行動がなされて参りました。併し私はその集団行動をとがめるか、或いはその前の非合理な日本人からの暴力というものをとがめるべきであるか、これは大きな問題だつたと思うのです。今日においてもその点は言い得ると思うのであります。時間がございませんから、この点について民主主義を擁護しよう、こういう御決意はございましようけれども、その民主主義の法務総裁の言葉の中からい言ますならば一つ重大なものが欠けようとしておられる。そこに問題があり、そしてそれが先ほど私が申上げましたような内乱への事態を招来するものではないか。これは国民の民主主義を擁護しようという決意については、法務総裁といえどもこれは御了解になつておると思うのであります。政治の面の欠如或いは私ども納得しがたい点の救済を破壊活動防止法という力でもつて、或いは行政行為でもつて、警察行為で押して行くということはこれは極めて危險性があるということを申上げて、法務総裁の御意思の中から一つのとにかく欠けようとするものを回復せられて、民主主義擁護のためにお盡し下されんことを切望いたしまして、あなたの時間もございますので一應御質問を終りたいと思います。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 午前はこの程度で休憩いたします。午後一時半から開会いたします。    午後零時三十七分休憩    ―――――・―――――    午後二時七分開会

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 午前に引続き委員会を再開いたします。吉田君の質疑を継続いたします。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 最高裁判所のおかたに対する質疑がございましたけれども、まだお見えになりませんし、それはあと廻しにして、憲法上の基本的人権と、それから「公共の福祉」という問題について佐藤意見局長官に伺いたいと思います。この法の精神の中に「公共の福祉」のためには基本的人権の或る程度の制限は止むを得ない、こういう御説明、思想が述べられて参りました。「公共の福祉」という概念はこれは曾つての「公益」或いは「公の秩序」ということと、相通ずるものがある観念であることは申上げるまでもないと思うのであります。若しも「公共の福祉」のために基本的人権を如何ようにも制限することができるのだと、こういうことになりますならば、これは旧憲法の「法律の範囲内において」とか或いは「法律によるならば」と、こういうことで基本的人権をどんどん制約して行つた旧憲法時代の実体が出て参ると思います。それからもう一つこの「公共の福祉」という概念は、旧憲法のみならず、国際的にフアツシヨ法理或いはナチス法理の基本をなしたものでありまして、極めて危険な問題だと思うのです。そこで新憲法の下における基本的人権と、それから「公共の福祉」という概念の何と申しますか、憲法における実定法的な解釈と、こういう問題になると思うのです。「公共の福祉」という問題について公法学界等においても論議されておるようでございますが、私は日本の今の段階においてはこれは「公社の福祉」のためには基本的人権は制限し得るのだという考え方は極めて危険なものであると断ぜざるを得ないと思うのであります。徹底した民主主義が実現しましてから、まだ数年にしかなりません。而も占領中ではございましたけれども、占領後半においては民主主義についての若干の後退、制限がなされて来たように考えるのであります。ここで新憲法の基本的な精神に帰るか、それとも旧憲法的な考えを持出して、「公共の福祉」のためには基本的人権の制限もやむなし、こういうことになるか、これは新憲法の運用について基本的な問題であり、而も民主主義の傳統が強くないだけに極めて危険な問題だと思うのであります。そこで簡単に言いますならば、「公共の福祉」を以てしても基本的人は権侵すことはできないのだ、或いは言論、集会、出版、結社の自由等のごときは、これは新憲法の下においては法律を以てしても制限することができないのだ、この主張と申しますか、努力をすることが今日最も急務の問題であると、こういう工合に考えるのであります。昨日も、今日も引いて参りましたけれども、新憲法間もなく書かれました田中一郎氏の「行政法の基本原理」の中にも同様の、法律を以てしても基本的人権は制限し得ないのだという考え方、主張が行われておりますが、これこそが私は現在における特に強調しなければならない点だと考えるのでありますが、どういう工合にお考えでありますか。意見長官の御意見を一つ……。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 非常に根本的な御質疑と拝承いたします。最初にお述べになりました公益というようなものと通ずるのではないかということでございますが、これは確かに仰せの通り通じておるところがあると存じております。ただ旧憲法時代における、まあどちらかと言えば国家至上主義と申しますか、全体主義的の考え方、それが一般に普及しておつたのでありますが、この新憲法における物事のすべての考え方が国家全体ということではなくて、国家を構成しておる我々国民一人々々が何物にもかけ替のない非常な存在であるということを強調して、それがすべての基本の権利に私はなつておると思います。そのかけ替のない一人々々が自分の生存権を主張するということが又根本になつているので、且つ一面においては国家の主権の行使ということについても、我々一人一人この主権者として完全に主権を持つておるという建前になつておるわけであります。そこでこの基本的人権というものも結局それは法理の問題になると思いますけれども、一体我々が持つておる自由というものは無制限なものかどうかということは、これは又一つ他の角度から考えなければならないことだろうと考えます。私のうろ覚えでは、フランスの人権宣言の中に「自由というものは他のものを害せざるすべてをなし得るものである。」というようなことを言つております。と申しますのは、我々が一人で国家を構成しているのではなくて、同胞と共にある、その一人々々が皆完全な自由を保障せらるべきであり、又完全な主権を持つべきであるという建前でありまするからして、一人一人の人が幅の広い自由を主張したためにお隣りの人がその自由をへこまされるという関係が出て来るわけであります。それは又大きな目から見て、一人一人が完全な自由を持つているということにはなりません。そういう関係でこの「公共の福祉」という観念を私極めて素朴に考えているのでありますが、これは多くのへたちの基本的人権の集つた形、まあ極めて卑俗な言葉で申しますれば、それを総合して「公共の福祉」と言つているのではないかというふうに考えております。従いましてこの公共の福祉のための制限というものは、我々の隣人の自由を保障するための制限ということになります。いつも例に引かれますように、大きな声で話しているということは勿論言論の自由でありましようけれども、お隣りに病人が息を引取らんとして寝ている。その人の立場から見れば自分の生存権はそのお隣りの人の大きな声によつて侵害されるわけであります。従つてその間の調和というものが求められなければ人類の立派な生活というものはできないわけであります。そこの調和を求める一つの基準としてこの「公共の福祉」というものがあると私は考えているわけであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 今人類の幸福というお話がございました。民主主義において自己の主張と共に隣人の生存、或いは自由その他について尊重をすべきことは当然でございます。そこで今の隣人の幸福という問題については、これは民主主義の徹底に伴いまして、各個人が考えるべき問題であります。或いは又考えるようになるべき問題だと思うのであります。それを法律によつてその個人或いは国民の自由を制限するかどうかという問題だと思うのであります。隣人の幸福についてこれを無視してよろしいということを言うわけではございません。で、先ほど法務総裁がおられますときにも引きました「法曹時報」、「法曹会雑誌」の後継誌でありますが、その発刊の、再刊の辞の次に兼子一氏が「基本的人権と公共の福祉」という一文を書いておられます。このときはたしか佐藤意見長官の前任者として法務調査意見長官の重職にあると編輯後記に書いてございますが、その時代の書き物であります。この中で基本的人権を二つに分けて自然的人権、それから社会的人権、これは兼干さんの表現であります。これにも書いてございますが、このほか自由権的人権或いは生存権的基本権と呼ばれます考え方と大体似たものでありますが、基本的人権を二つに分けて、まあ論理的に分けてそうして兼子さんのいわゆる自然的人権、或いは我妻氏等の自由権的基本権については、法律を以てしても制限することはできないのだ、こういう意見が出ております。これは佐藤さんも御承知だろうと思います。これは兼子さん一人に限らず、現在でも或いは法学協会においても、或いは我妻氏が書かれた書物の中にも出ております。御存じだと思うのでありますが、私どもの眼の前にここに出て参つておりますけれども、こういう民主主義の第一前提である基本的な権利、言論、集会、結社、出版の自由等、これは自然権的人権と言われるものがどういうものであるかということは、私がここで説明するまでもないと思うのでありますが、それは通常の国民の多数の意見の表現である国会の制定する法律によつてもこれを制限し侵害することはできないものと解しなければならん。こういう考えが述べられており、そういう考えがあることも、御承知の通りだと思います。そういう民主主義を本当に守つて行かなければならんとする立場からいたしまして、「公共の福祉」とそれから基本的人権という問題について、これは前任者でありますから、前任者の考えを佐藤さんに押付けるというわけには参りませんけれども、一応終戰後の国としても考えたところではないか、こういう点からお尋ねをしなければならんと思うのです。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 私はそういう考え方の世の中にありますことも承知しております。又、曾つてそういう考え方を持つた人が又だんだんと考えを変えておられるというような傾向も知つております。併しながら確かにお述べになりましたような見解はあるわけでありますが、私どもの考えておりますところでは、この憲法の中で区別をするとすれば、もとより今御指摘のような自然的のものと、それから何と申しますか、創設的と申しますか、制度によつて設けられたものというような区別は、それはございましよう。従つて、それを制限する場合におきましても、割合に制限しやすいものと非常に制限しにくいものというような実際上の違いはあるかとも存じます。例えば憲法の中でも、居住、移転の関係、職業選択の自由というようなところには、又そこに公共の福祉に反しない範囲内においてというようなことを特に謳つておるようなところもございまして、その制限をなすについての一つの基準として私は或る種の違いは出て来るのではないか、これは私の確定的の意見ではございませんけれども、そういう気持は持つております。又法学協会の例の憲法の説明書などを見ますというと今述べましたような居住、移転の自由であるとか、或いは職業選択の自由のように、特に「公共の福祉内において」ということを憲法の條文で謳つておる場合においては、政策的の一種の見地からする侵害というものが許される、併しそういう條項の謳つてない部分の人権については、事物当然の原理から来る制限しかできないというように書いてあることを私は読んだことがございます。従いましていずれにいたしましても、仮に自然法的な見地から来ておる基本的人権においても、絶対にこれが制限できないということは、先ほど来私の述べましたような基本的の考え方から言うと、これは成立たない、むしろ絶対にできないということは成り立たない考え方になりはしないか。もとよりそれを制限するのに自由奔放なる制限ができるというのではありません。今の公共の福祉、即ち一人々々の基本的人権から成り立つておるその公共の福祉とのバランスにおいてこれを決定しなければならんと、そういうふうに考えておるわけであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 最初の隣人の幸福という点についてはどうですか。隣人の幸福を各個人が尊重するようになるのが民主々義の建前であつて、これを法律で制定して人権を制限されるということは、民主々義の考えからすれば間違つておるのではないかと、この点はどうですか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 私たまたま隣人というような素朴な例を引きましたけれども、この隣人は延長すれば即ち公共というようにお考え願つて結構であります。この隣人と自分の自由を奔放に主張しようという人たちとの間の、お互いの間の人権の尊重についての主張がそこに出て来るわけでございます。これを放任すれば恐らく喧嘩になるでありましよう。それではおのおのが完全なる生存を全うするわけに行きませんから、国家は国民の総意に基く国会を通じての立法によつて、国民の意思に基いて法を設けることによつてその間の基準を定めると、おのおのの行動なり生活の覇絆というものを定めるということは、御承知の憲法の第三十一條におきまして、法律の定める手続に従つてということがそこに現われておると存じます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 隣人の幸福の問題につきましては、法律で以て制限するという点については、これは憲法の精神に反する、これは民主々義の本当の発達によつて各個人が尊重すべきものであると私は考えるのでありまするが、憲法第三十一條を引いて御議論になりましたから、三十一條ではなくて、この日本国憲法の基本的精神は、或いは前文、或いは第三章の初めのほうにあります十一條或いは十二條、十三條もございますが、更に念を入れて最高法規としてこの憲法が旧憲法のようにだんだん狹められて行かれないことを高く謳つております。むしろその点が私は強調せられなければならんのではないかと思うのであります。十一條、十二條は、今読むまでもございませんけれども、なぜ日本国憲法が最高法規として謳つたか、これは前文の精神と同じでありますけれども、この憲法が日本国民に保障する基本的人権は人類の多年に亘る自由獲得の努力の成果であつて、この辺は国際的な経験も含めておると思いますが、これらの権利は過去幾多の試練に耐えて、現在及び将来の国民に対し侵すことのできない永久の権利として信託せられたものである。或いは前文にございます点等をも考え併せ、或いは十一條の「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。」と、この辺が現在先ず強調せられなければならん点ではないかと思うのであります。  それから「公共の福祉」によれば法律によつて基本的人権を制限することができるという考え方につきまして公法学会が公に論議をいたしました、その論議の中で、稻田正次という人が、稻田正次という人はどういう人であるか私は存じませんが、世界人権宣言採択の際における論議等も参酌して書かれましたものを、非常に感銘深く読んだのでありますが、この世界人権宣言の二十九條二項と三項、各人は権利と自由の行使に当つて他人の権利及び自由の正当な承認と尊重を確保し、これは今佐藤さんが述べられたところでありまするが、且つ民主的社会における道徳及び公の秩序及び一般の福祉の正当な要求を満足させることを唯一の目的とする法律の定めによつてのみ制限される、こういうことが書いてございますが、この論議の際には、ニユージーランド代表は公の秩序の言葉は濫用せられる慮れが大きいと強調せられ、或いはアメリカ、イギリスなどの代表は国権の恣意を怖れて権利及び自由に対する制限を成るべく少くしようとした。そうしてこういう世界人権宣言のこの問題の点の論議を集約しまして稻田氏自身が「その法律が反民主的、或いは圧制的であつて、公共の福祉に口をかりて、或いは名をかりてかも知れませんが、各人の基本的権利を踏みにじることは許されないのである。例えば平和と安全に対する明白且つ現在の危險があるのではなくて、言論を抑圧することは許されないのである、言論の自由は民主主義を守る最大の砦とされているのであるから云々」と、こういう点から考えまして問題にしております公共の福祉と基本的人権については憲法の最高法規の規定、或いは前文なり十一條一、十二條に謳われております精神を強調することこそが当面の急務だと考えるのでありますが、この点に対する意見長官の考えはどうでしようか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 今お述べになりましたような議論があつて、そうして御承知の世界人権宣言の二十九條というものができているわけであります。これは多数の賛成によつてできているのであります。従いまして私の申上げました原理はそのままこの世界人権宣言の二十九條、或いは三十條の関係でありましよう。そういうものにそのまま適用しているということになろうと思います。ただこの公共の福祉と、いわゆる一人一人の基本的人権とのその制約についての調和点と申しますか、これは非常にむずかしいことだろうと思います。従いまして憲法において、これを法律の一つの責任事項と定めておつて、その法律は国民代表の国会においてあらゆる角度から審議されて、そのあるべき基準というものを発見して頂く、そういう建前にできているものと申上げるべきであると思います。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 公共の福祉と基本的人権の考え方についての一般的な議論は佐藤さんの今の議論でいいかと思います。日本の場合におきまして特に旧憲法的な考え方がこの間からの御議論を通じましてもこの委員会でも出ております。或いは民主的な伝統が薄い、或いは新憲法の下においても旧憲法的な考え方が行政権においても、或いは国民の中にも相当あると考えるのであります。そういう日本の現状においては特に基本的人権を尊重すべきである。或いは永久の権利としてこれを守つて行く、この点を強調することのほうが今日としては日本では急務ではないか。それに公共の福祉のためには何でもそれができるんだというこういう議論を許しますことは、これは更にこの傾向を強め、そうして曾つての旧憲法時代のような状態を、或いはナチスの法律体系に基いて次々に公布して参りましたような事態を招来するのではないか、そういう日本の現状とそれから今後の危険性を考えてその点を強調するわけであります。その点お伺いします。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 我々といたしましては今御懸念になりましたように、公共の福祉が至上的のものである、或いは国家全体が至上的のものであるというような頭は毛頭持つておりません。最初に私の申しましたような気持の下にすべてことを運んでいるということで御了解願いたいと思います。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 自然権的な人権或いは基本権という考え方を引いて、公共の福祉のためということを以てしても奪えない基本的な人権があり、或いは日本の場合において当面そういう議論を許して参ることは危險性があるという考え方に対して、佐藤意見長官の公共の福祉のためにはこれは考慮しなければならんけれども、公共の福祉を代表する国会において法律を制定するならばこれは制限し得るだろう、こういう意見とは、これは対立をしていわば平行線と申しますか、質疑を続けておつてもこれ以上は意味がないと考えますので、意見は対立しているままであるという点を確言をいたしまして、次に移りたいと思います。  昨日の質疑を通じまして、この破壊活動防止法案その他三案が治安警察を復活する、治安警察を作るものである。その点についてはお認めを頂いたのでありますが、地方分権的な警察制度、或いは民主的であることを非常に苦心を払いながら民主的警察制度を作ろう、こういう従来の警察のあり方から考えますというと、この関係している諸法案のほかに警察法の改正についても構想がございますけれども、今までの新憲法の下における警察制度を考えますならば少なくともこの三法案によつて作られようとしている治安警察が地方分権的な警察ではなくして、中央集権的な警察を作るものである。この点はお認めにならざるを得ないのでありまして、その警察法規に関しまする重大な転換はこれはどういう理由によるか、制度、法理として少なくとも今までの警察のあり方については大きなここに転換がなされようとするのだ、この点はお認めになるかと思いますが、どうでしよう。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) ちよつと前の言葉の中に気になつた言葉がございましたから潔癖に私の言葉をはつきりさしておきたいと存じますが、公共の福祉を代表する国会によつてできる法律という言葉がございましたけれども、私の申しました趣旨は憲法を制定する権力の所在する主権者たる国民の代表であるところの国会のお作りになる法律という趣旨で申上げたのでございますから、お含みを願いたいと存じます。  今の警察の関係につきましては、治安警察という言葉も結構でありますし、保安警察という言葉もございます。これは申すまでもなく例えば衛生警察とか交通警察とか、或いは又産業警察といういろんな言葉がございます。それらの分類と同じ形の分類になるわけでございます。それらの警察行政に当る機能というものはどういうものがあるか、これは今お話に出ましたような国家地方警察もございましようし、或いは自治体警察もございましようし、又衛生関係、交通関係、或いは産業関係ではおのおのその省の役人がその仕事をやつておるわけであります。人をつかまえたりどうしたりという意味の警察でないことは申すまでもないことでございまして、この保育行政でない面の一つの作用というものとしての警察の観念として申上げるわけであります。必ずしも国家地方警察、自治体警察というものだけがこの問題になるわけではないのでありまして、通商産業省或いは農林省にもその意味の産業警察を司つておる普通の事務官というものがたくさんあるわけであります。その意味でここに出ております調査官或いは調査庁というものも同じことでございまして、必ずしも国家地方警察、自治体警察というものとの関連においてお考え頂くべき筋合のものではないというふうに考えておるわけでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 保育警察或いは通産省あたりにおきまして、或いは工場鉱山の保安警察、そういうものがあるから、たとえ治安警察であろうとも中央集権的な警察を作つても何ら従来と変つておらないと、こういう御答弁であるように思うのです。内務省を解体し、それから警察制度全般について或いは自治体警察をも作つて、そうして統一的な警察行政をやめた、この過去の考え方からいたしますならばこれはいわゆる内務官僚を中心にする警察ではございません。併しながらこれは内務官僚の代りに検事さんたちが中心になられるかとも思いますけれども、組織としてはやはり警察組織である、それから地方分権的な或いは民主的であろうとした過去の警察からしますならば大きな警察制度の転換ではないか、こういう点をお尋ねをしたのでありますが、その点についての答弁がございませんでしたので重ねてお伺いしたいと思います。   (「ゲシユタポだ」と呼ぶ者あり)

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) この保育の関係で、もとより先日来御指摘になつておりますように、警察、いわゆる狹い意味での警察職員の職務執行に立会うというような関係では関連はございますけれども、この場合における調査庁というような一つの行政機構の問題としては、先ほど申しましたように農林省或いは通商産業省というような産業警察関係の一つの機関というものと私は同じであろうと存じます。ただ今の御懸念の地方分権、いわゆる警察プロパーの問題についての問題としては地方自治体警察というものはすつかり分権させられてしまつておる、これは一種の自治尊重の趣旨もありましようし、或いは又昔のような警保局長の一本の指揮で完全に警察が統率されたということからする過去の弊害というものも或いはこの前提條件となつてかようなことになつておると存じますけれども、そのほうの長所は勿論あるわけであります。併し又一面において警察制度の短所と言われておりますところは自治体警察等に対する内閣の責任というものは全然断ち切られてしまつておる、国会でいろいろ警察官の行動について御質疑がございましても、大臣はこれは自治体警察のことでございまして、我々の責任の範囲外でございますというような答弁をせざるを得ない立場にある。そういう点から申しますというと、治安の維持というものは大きな目から言つて行政の責任であるという観点から申しますというと、その行政の責任に属する事項は国会に対して何らの答弁もできない、又責任ある処置がとれないというような面においては大きな議院内閣責任政治の面からのやはり欠陥があるということも一面において指摘されておるわけであります。従いましてその両方の長所を勘案して何とかいたしたいというのが恐らく今度本案ではございません、別に出ております関係の法律でございますけれども、警察法の一部改正ということが出て来たのだろうと存じます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 考え方は地方警察或いは国家警察制度の改革、その理由は今述べられたような内閣ならば内閣が責任を問われても責任をとれるような体制になつておらん、こういう理由であることは明らかでありますが、この従来の国家警察、地方警察を通じての実体を変えようという要請が、同じ考え方がこの中に出ているのじやないか、域いは体制が出ているのじやないかということを申上げておるのであります。そうしてその点について国家警察と言つても或いは公安委員会であるとか、或いは地方の自治体警察権は勿論地方自治体に属せられておる。そうして民主的に或いは地方分権化というものが行われておる。そうして内務省というか或いは警察、その中心をなしたりいたしましたのは特高警察であつたりしたわけであります。それをやめた過去の警察制度がこの公安調査庁設置法、その他根拠法文である破壊活動防止法によつて、治安警察ということであるけれでも、中央集権的な警察制度が復活するのではないか。ですから治安ということで法務委員会にかかつておりますけれども問題の本質は警察制度の改革にある。それは單に国家或いは地方警察に関連いたします警察法だけにとどまらず、これも本質は警察法規である、中心は警察法規である。そうして設けられようとする治安警察はこれは従来の警察概念を大きく轉換をして中央集権的な警察を作ろうという意図ではないかという点を申上げておるわけであります。根本的な思想或いは制度の展開をして行くという御意見を伺つて置きたいと思います。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) そういう御疑念もあろうと思いますから最初に産業警察の例を申しまして農林省も一種の産業警察をやつておる。これは中央集権であることは御承知の通りであります。農林省所管或いは通商産業省においても同様でございます。その所管の、例えば営業というものがあります。それに対してはその関係の役人が場合によつてはいろんな調査をするということがあるわけでありまして、その点から申しますならば決してこの調査庁というものは今思いつきでの改革でないことは十分お認め願えることと考えるわけでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 これは通産省或いは農林省の例を引かれますのは甚だ以て顧みて他を言う御議論だと思うのです。或いはこういう法律がほかにあるとして例を挙げられると同じ例でありますが、内務省を解体して警察制度を根本的に変えた、あの反省というものは少くとも警察制度の改革或いはこういう中央集権的な治安警察を復活することに考えられておらないのじやないか。この点はこれはお認めにならざるを得ないと思うのです。なおこれも議論が並行をいたしますし、あまり時間を取りますこともどうかと思いますから……、先ほどの稻田氏の言論を引きましたけれどもこれには法務府のほうからは前提がございます。そういう警察制度を作ることについても「眼前の危険がある」「危險中の危險な行為の危険性がある」とこういうことを言われますのでありますが、この法案によつて中央集権的な治安警察が作られるその理由、言われるような破壊活動が明白、急迫に現存するかどうか、その具体的な事実と証拠とを一つお挙げ頂きたいと思います。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) これはすでにお手許に御配付申上げておりますが、衆議院におきましても提出いたしました各般の客観的な文書資料の写しによつても明らかなところであります。又法務総裁の提案理由におきましても今日各所において行われている暴力主義的な事件の背後にこれを扇動したり或いはひいては武装暴動によりまして、日本の政府を顛覆させることの正当なことや、必要なことを主張宣伝するような文書、或いはかような武装行動の準備的な訓練として各種の暴力的な行動を扇動するような文書が広汎且つ組織的に配付されている疑いがあるのであります。かような事実を基にして考えてみますときに、そこに暴力主義的な破壊活動を行う団体の存在を疑わざるを得ない。かような事態がこの法案を必要ならしめる理由であるというように法務総裁からも申上げた次第であります。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 関連して。今特審局長のお話を聞きますと、勿論私たちも法案の資料といたしましていろいろなそのような資料を頂いておる、沢山頂いております。これも読みました。読んでびつくりいたしたわけですが、この資料は政府の提出でありまする以上、これは確実な根拠に基いた資料であると私は考えるのですが、その点どういう関係からあのような資料が作られたのか、その事実を、それを一つ説明して頂きたいことが一点。それからこういうような日本週報というもの、これは特審局も見られたのですかな、こういう資料ですがね、こういうような。これが相当部数出ておるだろうと思うのですが、この発行に対しましては、これは発行するところの責任者ははつきりしておりますが、これを書いたのは、「中核自衛隊の組織と戰術の全貌」というような、これを書いた責任者がわかるわけですな。そうすると私たちもこの内容を見て実はちよつと奇異な感に打たれておるわけです。恐らくこれを見て国民はびつくりしているのです。こういうようなものが事実であるかどうかということでびつくりしておるわけです。それが証拠には、私たちが地方の演説会に行きまするとよく質問が出るのです。勿論私たちは党員といたしまして何もこういうような情報が流れて来るような党の組織でもありませんからして、全然知らない。これは妥当かも知れませんが、そうしてみますると、こういう事実というものが果してあつておるかどうかということの確証は特審局ではよくお調べになつておるかどうか。これは要するにあなたのほうで確証がないものに対してこういう頒布があるとすれば、これはもう政府は知りながらそういうようなことを国民に知らせて、結局私たちから言わせれば何かこう一つの大きな脅威的なものに対する空気を作つて行こうか、こういうようなお考えがあるのではないかとも、又これも或る程度予測し得るようなこともありはしないかと私は考えるのですが、どうですか、この点は。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 日本週報の只今御質問の記事、内容については直接まだ見ておりませんので、お答えいたしかねるのであります。私どもが写しを差上げました資料は、いずれも客観的な資料の写しでありまして、決して私どもが主観的な立場で勝手に作成したものではございません。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 そうしますと、その資料を提出されておるのは勿論確かな事実によつてこれを写して出したのだと、こうおつしやるのですね。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 私どもが差上げました写しは、客観的な文書資料を写してお手許に差上げた次第であります。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 あれにはあなたのほうの主観的なことは書いてないと、こういうような話なんですな。本当ですかこれは……。指摘してもよろしうございますか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) さようであります。(「法務総裁に聞かせたいものだ」と呼ぶ者あり)

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 それからこの点はあとで私もまだ質問は保留しておきまして。これは私たちも指摘すれば幾らでもありますよ、あなたのほうの主観的な問題が……。それからこの問題ですがね。これは勿論言論、出版、結社の自由、これはもうお認めになつておるのですから、あなたのほうであえてこれを検閲してこれを発売禁止をする、こういうようなことはおとりにならんだろうと思うのです。併しこういうような責任のないものが発行されておることについてはやはり特審局長としてこれを一つも見られない、こういう事態の内容の点の箇條書でもいいですがね、読んで聞かせてもいいのですが、こういうものを全然見ておらないかどうかですね、この点を明確にして頂きたいと思うのだが……。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) お叱りを受けましたが、法案のほうの審議で連日こちらのほうに参つておりまして、只今御指摘の日本週報は実は読んでもおりません。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 先ほどお尋ねをいたしましたのは、社会に出ております活動と申しますか、或いはいわゆるあなたたちの言われる破壊活動というものと、それから何と申しますか、背後の繋がりと申しますか、そういう点をお尋ねをしたのであります。配つた資料は客観的なものだということなんでありますが、その客観的であるという点がどういうようにして証明ができるのか、これも私たちはわかりませんが、或いはスパイを使つて取つたのだと、こういうことでございまするか、或いはどこかで押えたものである、こういうお話であるか、これもわかりませんが、問題はそういう、仮にあれは客観的なものでおるとしまして、それと、それから、言われております社会に出ております破壊活動というものとの間の繋がりというものは客観的にあるのだ、こういうことについての御説明を承わりたい、こういう意味であります。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 一々の事態につきまして的確な御説明はいたしかねるのでありますが、例えば先般、昨年でありますが、十一月中旬でありますが日本共産党の機関紙「アカハタ」の同類誌といたしまして全国的に発刊停止の措置をとりました内外評論でございますが、この内外評論の中には明らかに内乱の実現の必要性を主張した文章が謳われているのでありまして、お手許に配付した資料にも記載されているような次第であります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 もう一点は。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 従来日本共産党の機関紙「アカハタ」後継紙、又は同類誌の発刊停止処分又は検察庁或いは国警、自警が行いました三百二十五号違反事件に基く捜索等によりまして、只今申上げたような各種の資料が押収されているわけでもります。お手許に差上げた資料の殆んど大部分はさような資料の写しでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 問題はその共産党の資料なら資料と、それから今までありましたいわゆる表面に出ております活動との間に、何といいますか必然的な繋がりといいますか、そういうものがあるのだ、こういう御説明ではなかつたと思うのです。その辺については多少言葉を従来濁して来られました。そこで例えば特審局の従来の活動からいたしますならば、或いは情報量等の出入りがあり或いは情報を買われるというようなことも聞いて参つておりますけれども、そういう根拠のない情報によつて事を判断せられるということになりますならば、これは大きな問題だと考えるのであります。そこで緊急を要するところの破壊活動があるということであるけれども、それと、それからそれでは先ほど言われるような文書或いは活動との間に必然的な撃がりがある、という点を、何と申しますか、あるのではなかろうかということではなくで、客観的な事実として証明ができるかという点を主としてお尋ねをしたわけであります。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。第一点につきまして、只今御質問中かような団体絹織によつて暴力主義的な破壊活動が行われている疑いがある、この団体組織と日本共産党との関係はどうかという点を御質問になりましたが、この点につきましては、私どもといたしまして、関係機関と相協力して目下調査中であります。結論は出ておりません。現在その暴力主義的な破壊活動を行う団体の実体というものにつきましての調査を進めておる次第でございます。  次に私どもがお手許に差上げました資料は、先ほど来申上げましたが、これは客観的な文書、資料の写しを差上げたのでございます。この事実に基きまして、総括的な御説明を衆議院ではいたしたのでございますが、当委員会におきましても適当な機会に更に補足して御説明申上げたいと思つておる次第であります。  それから第三点でございますが、これらの破壊的な文書の中にはいろいろ火焔ビンだとか、いろいろ集団行動による使用すべき武器或いはその集団行動によつて行われる軍事的な鬪争の方式等について、これを説明或いは教示しておるのでございますが、現実に行われている個々の事件が、その方法、内容、態様等が、かれこれ相照応するものがあるということは、これは疑うことのできない事実であると考えるのでございます。かような事態からも、現実に行われておるような、かような具体的な事件と関連性があると疑うべき根拠があるものと考えておるわけであります。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 速記をやめて。    〔速記中止〕

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 速記をつけて。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 先ほど特審局長は、この日本週報というものは、この国会のこの法案が審議中で読めなかつた、こう言う。ところがこの発行は二十七年の四月の一日発行です。まだその両方に法案はかかつておらなかつたはずです。それであなたの読まないのをなぜ読まなかつたかとこういうことは申上げませんけれども、問題はこれは私も興味を持ちまして各週報を読んでおりますけれども、問題はやはり責任者がずつと互いに一つの事件なら事件に対して両方からの意見を収録してあります。而もこれも売らなくちやだめですからして、やはりそういうようないろいろな構想は考えてあるが、ただこの事件だけはこれは全巻一つです。こういうような取材というものは、これは又あえて雑誌記者の自由でありましようが、一体どこからこれが出されてあるか、こういう点ですな。これはやはりあなたのほうから今回……。私たちの資料の中で見て見ますると、大体にそれと符合しておるような題目あたりが出ているのですな。そうするとこの点に対して、特審局というものは取材に対しては提供するというようなことはなかつたかどうか。(「広報課というものがあるのじやないか」と呼ぶ者あり)そういうことに疑問を持つから……、これがまあ第一点……。  それから第二点は、この特審局……このメーデー事件があつた。そうすると何か大きな事件のありまする前後には、やはりいろいろな指令が流れたのだというようなことが今度は新聞に出て来る。これ又新聞記者がどこから取材されて来られたの方、これも自由でありましようが、とにかく何かあつた直後には、こういうようなことが出て行く。私たちもどうも不思議でたまらないのだが、こういう点は特審局としては何らお知つてではないのかどうか。あなたのほうからそういうような提供をするというような気配はなかつたか、絶対に無関係であるかどうか、その点を一つ明確にして頂きたい。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 日本週報の取材に特審の集めた資料が流れておるかどうかという御質問でありますが、私は流れておるということを聞いたことはないのでございます。絶対にないと断言はここではいたしかねまするので、よく調査いたしまするが、実はこういうわけでございます。かような文書は非常に広汎に出ておりまして、私どもで入手すると、数日経つと警察でもこれを入手する。同じような文書を或いは国警で入手したりするような場合、或いは全然そういう治安機関と関係なく民間のかたがたもこれを入手するというようなことはしよつ中あるのでございます。私のほうといたしまして、特定の週刊雑誌の日本週報になにかコネクシヨンをつけまして、そこに資料を流し込んでるというようなことは、私としては絶対にさしたことはございませんし、夢にも私は考えたことはございません。絶対に一枚も流れなかつたということは、これは保障できませんので、よく調査いたします。次に大事件があつた前後にいろいろな情報が、資料が出るという点についてはどうかという御質問でございますが、先般行政監察委員会に、衆議院の行政監察委員会に私が喚ばれまして、メーデー事件に関するいろいろな問題につきまして委員の各位から御質問を受けました。そのときに私としては、事前には情報を得た。これは皇居前広場で集団デモをかける、而もいろいろな兇器を持つて行くというような情報もありました。こういう情報を得たということをはつきり申上げておきます。又事後におきましては、Vノートという資料が手に入りました。そうしてそれが皇居前広場の事件について、あそこに中核自衛隊を入れて暴れさしたけれども、どうもうまく行かなかつた、まだ訓練が足りなかつたというようないろいろ細かなことを書いて、あの事件の批判をしているような文書が出ております。そういうような点につきましても御報告申上げたのであります。それは私どものほうで入手したものでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 問題は、例えば言われているような破壊活動の中には、例えば先ほど申しましたような朝鮮人諸君の強制送還という企図に対する不安と、それからそのことからする混乱が起る、こういう問題がございますが、或いは私ども伺うところによりますと、この破壊活動防止法案を成立或いは通過せしめますために誇大にメーデー事件等が報ぜられ、或いはメーデー事件の実際については……、これはあなたのほうでも文書による中核自衛隊云々というお話がございましたけれども、これは検察庁等で調べられ、或いは起訴されたところでありますから、その事態は明かにして論議しなければなりませんけれども、或いは皇居前広場に入ろう、こういうことはございました。併しながらそれに対して宮城なり二重橋外に待つておられたという事実もあるし、或いはそういうことのためにおあいう事件が起つたという点もあるのじやないか。言い換えますと、例えば全然あの宮城前広場に入らなかつたならば、ああいう事件は起らなかつたのではないか。或いはこれは学生と警官の問題については一つ一つ違いますのでありますけれども、或いは早稲田事件を見てみるというと学生の抵抗はなかつたのにかかわらず、警官の実力行使というものが行われている。これはニユース等にも現れているということでありますが、メーデー事件についてニユースで見たところでは、はつきりわかりませんけれども警察のほうにも一半の責任があるかのように私どもにも考えられるのです。個々の問題はとにかくといたしまして、かくかくのごとくたくさんの破壊活動があるから、そこでこういう法案が必要だ、こう言われるが、その個々の事件と、それの背後の関係、これについては関係があるように考える。疑問が残つているけれども、あるように考えられる。こういうことでは、この法案をどうしても必要とする点については……、これは個々の事件を言うのではありません。問題は法律と、それから法律の前提になつた事実、或いは特審の主張との間には若干の距離がある、こういう感じがする意味において質問をいたしているのであります。それからなお私どもが一番心配いたしますのは、そういう破壊活動防止法案、或いはこれを運用します公安調査庁、こういうものを拡大するために、或いは過去において共産党の七幹部が捕えられないからということで、それを捕えるためにという口実で特審局が拡大された。ところが実際には、共産党の幹部を捕えることはできないで、公安調査庁だけが肥つたという結果だけができた。更に今度の場合においても、破壊活動の根源をなす団体を規制するということではあるけれども、公安調査庁にして、そうして増員をし、千五百名にする。ところが一番皆さんが法の目的とするという団体の本体というものはとらえられないで、それと必然的な関係があるかないかははつきりしないけれども、個々の大衆的な社会現象として出てくる事態についての問題をとらえる。そうすると、そのことが他の集団的な活動或いは労働者その他の集会或いは演説会、講演会こういうものに調査の活動或いは規制の活動を及ぼして行くのじやないか、こういう点から、そもそもの理由についてお尋ねしているわけでありますが、こういう疑問についてはどういうように考えていられますか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 私がお答えできる範囲内でお答えしたいと思います。私どもの能率の上らないことを弁解するわけではございませんが、八幹部は主として逮捕状によつて検察官並びに警察官が全国を通じましてこれを捜索し、その所在を確かめておるようなわけでありまして、私どもといたしましては、先般廃止になりました公職追放令の建前から、追放者の所在は明かにしなければならんというので、これに御協力している立場でございます。併し現在なお逮捕状の出ているこれらのかたがたが発見されないということにつきましては、私どもの能率の上らないことでありますから、深く反省しているわけでありますけれども、これは何と申しましても捜査力なり調査力の能率を高めて行くということが絶対に必要なのではないかと考えている次第でございます。  次には、かように実績も上らんで組織ばかりどんどん殖えて行くのは非常に危險じやないか。非常に御尤もな御質問でございます。治安機関の組織、殊に定員を無制限に増大して行くということは非常に危険なことであるということは非常に深く反省いたしております。今回におきましても、必要最小限度、約五百名の増員、これも殆んどその大部分は地方の機関を何とか最小限度整備したいというようなところに置かれておるわけでございます。  なお、この職員が色眼鏡で人を見る、ものを見るというような低級な識見と技能を持つていたのでは大変なことになりますので、研修所を設けまして、十分に民主主義は勿論のこと、その識見、技術を高揚さしたい、研修さしたいと考えております。只今御指摘のように、本体を逸して関係のない傍系団体を疑いをかけて手を染める、これはもう絶対に禁止しなければならない。私は職務としても……。そういうことはさしてはならんと深く考えておる次第であります。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) なおちよつと委員長からもお願いしますが、これは特審局長にそういうふうにして、この委員会で、あなたに適当な時間を差上げることができなかつたのですが、今吉田委員が質問しておりますところの、この破防法の必要性を認むるに至つた、団体の行動、その他そういう危險性のある事実についての御報告を適当な時期に、私は連合委員会が多分適当と思うのですが、一つよく文書に書かれておかれまして、一つ御説明を願いたいと、そう希望いたしますが、それは団体、いろいろの例えば朝鮮人のかたがたで、或いは従来の行動の上から、さようの疑いのあるような団体、若しくは行動についても一つ同時に、まあ三十分なり一時間で朗読報告できるような、一つまとまつた御報告を願いたいと思います。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 只今特審局長から低級な識見の者をやめて云々という言葉がございましたけれども、それについて一例を挙げます。こういうことは或いは御存じないかも知れません。この破壊活動防止法が、案ができますまで、私どもも非常な関心を払つている。そして、關次長かその責任者であるということだから、御説明を願いたいということをしばしばお願いをしましたが、遂にその機会を得なかつたのですけれども、御記憶になつていると思いますけれども、閣議を通りまして公表せられました日に、關次長の所に参りました。そして二部ほどこの法案をもらつたのであります。その日に、私も必要であるから一部頂戴した。それから総評においてもこの法案の成立、或いは実体についても非常な関心を持つておられる。そこで新聞に出ました日に電話をかけて、關次長からもらうように御了解を得て参りました。そのときに総評の、私名前も知らんのでありますけれども、忘れましたが一緒に参りました。ところが、これは私が開次長に前からお願をしておつたことでありますから、私が私の責任においてもらうべきであると言つて、お部屋に参つたわけであります。その間総評の人は外に待たしておいた。ところが、その間に私が出ましたところが、待つておつた人に、お前はどこの人間であるか、どういう用事で来られたのであるか、こういう調査がなされた。これは關次長の恐らく配下のかたであるかと思いますけれども、私はこの事態に遭いまして、やはり昔の特高のような活動がなされ、或いはこれは総評としてできました成案を見て、そして検討をしたいということは何ら不公正な意図ではございません。私も喜んで、一部はそれでは総評に上げましよう、一部は私がもらいましようということで参りましたわけですけれども、そういう、これは廊下に待つておる間の調査かも知れませんけれども、その行動の結果がどういうことになりますかは、これは法の運営の場合にも私は大きく反映をし、そして私どもが心配をするような事態になる一つの例ですれ。低級な識見を持つた者は今後なくするようにしたいと、こういうお話でありますけれども、現にお膝下の特審局においてこういう活動がなされるということがありますというと、私どもその研修によつて低級な識見をなくしたいということを疑わざるを得ないことになります。  それからもう一つは、これは先ほど法務総裁にもお話を申上げたのでありますけれども、全国におけるこれは警察の活動でありますけれども、昔の特高的な活動が行われておるということは先ほど申上げたのです。それが公安調査庁の設置、全国的な組織の配布からいたしますならば、当然私どもが心配するような特高警察の復活のような現実の事実が合法化され、そうして今後公然と行われて参る。或いはこれは処罰ではございませんけれども、調査活動によつて言論或いは自由な活動が制限せられるという結果が招来するということについては、この危惧は御否定になるわけには参るまいと思いますが、これらの点について今特審局長からお話がございましたから関連してお尋ねをしておきます。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 多分第一の問題につきましては、受付の失態だと深くお詫びいたします。かようなことのないように、十分錬成をして行きたいと思います。  公安調査局につきましては、仮にこの法案が成立いたしました場合につきましても、現在ある職員をそのまま任命いたすのではなくて、十分なる選考と研修を与えまして、適任者を任命して行きたい、十分にさような間違いのないように進めて行きたいと思つております。  次に全国警察の活動につきましては、これは私の所管でありませんので、御質問の御趣旨は法務総裁に申上げまして、次の機会に御答弁申上げることにいたしたいと思います。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それではこれは地方の、或いは東京都内でもそうでありますが、警察活動についてはこれは自分の所管ではないと逃げられますと、それ以上に追及の仕方はないのでありますが、東大事件の本院における調査の場合に述べられたこと、或いは私が福岡縣下における事例で先ほど申述べましたような、従来警察において警備課というのですか、或いは警視庁においては出先の警察署を指揮監督するものとして、警備二課でありましたか、情報二課でありましたか忘れましたが、こういう組織がありますことは明かであります。従来占領中においてはCICでありましたか、占領軍の連絡でもつて活動しておつたことは大体私ども従来了解して来たところであります。今後はこういう警察におきます活動をしておつた人たちが、或いは警備課というのか情報課というのか知りませんけれども、それが公安調査庁の出先機関、或いは調査官との連絡の下に協力をして参るのではないか、こういうことを想像するのでありますが、これらの点についてはどういう御構想でありまするか、承わりたいと思います。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。警察の内部組織につきましては私案はよくわかりませんので、又お答えすべき立場でもありません、私どもといたしましては、この法案にも書かれておりまする通り、警察、自警、国警とは相協力して行きたい、相互の自主的な立場でお互いに協力して行きたいと考えておるわけでございます。警察は犯罪の捜査をいたします。又警備のためには警備に必要な情報の活動もその限度においてはされると考えておるわけでありますが、私どもといたしましてはこの警察と相互に自主的な立場で協力して行きたい。どういうような協力の関係が公安調査庁が設立された場合に行われるかということにつきましては、まだ具体的な構想は持つておりません。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 現に先ほど申しましたような、警備課というのか、或いは情報課というのか、そういう所で昔の特高のような活動が現に行われておる、調査局がそして各府縣に一つずつできますと、その間に繋りができて参るだろうと想像するのはこれは当然かと思いますが、将来の構想については考えておりませんからということであれば、これはそれで追及のしようはないのでありますが、それでは従来の特審局の活動として世間で傳えられておるところ、或いはこれは国会でも問題になつたのでありますが、特審局が相当の機密費を持つて活動しておられる、或いは情報を買つておられる、或いはこれは直接特審局であるか警察であるかはわかりませんけれども、警察官の行動以外に特定のそういう調査たり何なりをいたしますものが事件に使われておるということについてはほぼ断定し得るかと思うのでありますが、これらの点については従来どういう工合にしておられますのかどうか、実際を承れりたいと思います。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 従来公職追放令並びに団体等規正令の運用につきましては、他の委員会でも御説明いたしました通り、情報を収集いたしまして必要な、疑うべき理由がある場合には調査をする調査活動、情報活動はいたしておりました。私どもといたしましては、国民各層からの御協力と御支援によりまして、その所管の事務を適正に運用して行きたい。特審の建前といたしましていろいろなかたから任意の情報の提供を受けるということは当然我々の職責であると考えております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それでは情報を買つたということはお認めになつたと了解していいのですか。それからもう一つお尋ねいたしました点は、これは衆議院の行政監察特別委員会でも藤田委員から尋ねられたところでありますけれども、特審局としてどの程度の機密費を持ち、そうしてその調査或いは情報活動についてどの程度の費用を使つて来られましたのか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 情報の提供者につきましては必要な報償をいたします。お受け取りにならなければ差上げませんが、お受け取りになれば差上げる、でこういうような報償費については上司の監督の下に間違のないように運用いたしております。その費用は藤田委員からも御質問がありましたが、三滝も特審は報償費を持つておるのではないかというような御質問がありました。特審全体の予算が年間三鷹でございまして、その中に私たちの俸給や旅費なども全部入つております。で報償費として受けておる金額は月額七百万円程度でございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 ちよつと関連してお尋をいたしますが、今後につきましては、警察なりなんなりの協力を得るということでございますが、調査の主流はどういうことになりますですか、どういう組織になりますのか、或いはこの報償金月額七百万円ということでありますが、今後更にこういうものを拡大しておやりになる方針でありまするか、今後の活動の中心とそれからそういう情報を買われるという方向、それからこれは予算については三十七年度予算のほか今後拡大されれば更に補正予算等も要求して行くことと思いますが、その辺の構想を伺いたい。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 団体規制のための調査は公安調査官の職責でありまして私どもはいたして行かなければならない。この調査をするにつきまして、所要の情報活動は絶対に必要であると考えております。併し公安調査庁がそのためにどの程度の報償費を頂戴できるか確定いたしておりません。私どもといたしましてはむしろ公安調査官が実際に活動する旅費その他物的施設等について十分な配慮を得たいということを大蔵省にはお願いしておりますが、これもまだ確定いたしておりません。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それから公安調査庁の今後の活動の中で、或いは尾行、追及等の点は伊藤委員にお答えになつたのでありますが、四條一項二号の機関誌紙の印刷、頒布或いは所持の禁止というような事柄それが建前は任意のこれは提供ということもございますが二十七條による書類及び証拠物の閲覧を検察官又は司法警察員を通じてやると、こういうことになるのでありますが、実際に任意の提供を求める云々ということで検閲制度が復活せられるのではないかという心配をするのでありますが、この印刷物或いは機関紙等について、どういうように実際に調査をなされて参りますか、その具体的な大要を承わりたいと思います。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 御質問についてお答えいたしますが、事前検閲を禁じられておることは、よく承知いたしております。憲法にもすでに規定されておるところであります。だが事実上ですね、そういうようなことをするんじやないか、例えば或る団体が規制処分を受けまして機関誌紙についての印刷頒布を禁止されるそういたしまするとその団体に連絡いたしましてこちらから、お前のところは機関誌紙の印刷頒布を禁止されておるから、出す度に持つて来い、見てやるから、ひつかかるとやるぞ、というようなことを言うということは、絶対に避けなければならない。事務所へ行つて見せろというようなことも絶対にすべきものではないと考えております。実際にその機関誌紙が、機関誌紙というものは広く一般に配布されるものですからその場合にこれを入手して、その内容が違反であれば、これ又別でありますが、こちらから相手方にそれの提供を求める、これを強制がましく申出るというようなことは、絶対にするつもりはございません。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 強制的にやることは、これは法文上できませんが、実際的に任意に提供を、求める、そういうことは、これはしないと、こういうことでありますか。これは末端の公安調査局それからこれはあなたのほうの責任じやないということになるかも知れませんけれども、警察官が調査庁の要請せられます方向に従つて、調査と申しますか、或いは仕事をやつて参ります場合には現在でさえも法的な根拠がないのに、先ほど申しましたように、一回の発言で以つてその家に行つて、奥さんに会うとか、或いは職場に行つてその上司の者に会うとかといつたようなことをしておるのでありますが、警察なら警察で、出ておる機関紙を一遍一遍労働組合に行つてもらう、こういう活動をするであろうということは、これは今までのあれから言つて想像し得るところでありますが、それはおれの知つたことじやない、警察のやることで知つたことじやないと、こういうことになるかも知れませんが、私は警察が協力するということでございますけれども、実際にはそれぐらいのことは、これはもうすぐにやりかねんという気がするのです。これらの点について、おれの知つたことじやないと言われれば、これはもうそれまでの話なんです。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。従来の事実あつた例でありますが、役所へ、私のところへ訪ねて参りまして、自発的にいろいろ御相談を受けるというようなことはあつたこともあります。で、このために私は軍事裁判にも出頭いたしまして、非常に自分としてはでき得る限り利益な証言を良心に恥じない程度にいたした事実もございます。文書を持つておる、或いは機関誌紙を持つておるかたが自発的に下さるというようなラインにつきましては、これはあえて禁止すべき筋合のものではありませんが、只今申しましたのは、その事務所なり発行所に参りまして、お前のところはこういうふうになつておるから出さなきやいかん、困る、強制はいたしませんが、出さなきや困るというようなことを言つて、もらつて来るというようなことは、絶対にすべきものではない、かように考えております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 そういう自発的に持つて来ることが望ましいという工合に考えられますと、末端の警察では、末端と言いますと、あなたのほうの末端じやありませんが、あなたのほうの末端に協力するという警察では、自発的な協力或いは自発的な機関誌紙の提出が、すぐに習慣或いは制度となつて実際に事前には行われたいかも知れませんけれども、その都度提出を求めて参ろ。その結果がそれを繰返して参りまするというと、事実上、出たそのすぐあと出さなければならん、或いは出すについては、出てから文句を言われるよりも、出る前に相談をしたらよろしい。これは今の自発的な申出でありますけれども、こういう態勢を事実こしらえ上げて行くという危険は、これはお認めになると思うのであります。そうすると任意の協力ということではあるけれども、事実上検閲制度の復活ということになるが、その辺についての実際の心がまえといいますか運用……。検閲制度を復活しない具体的な方法について、一つ危険性がありますだけにお尋ねしておきたい。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 申上げます。現在団体等規正令の運用といたしましては、政治団体として届出をしておる団体は、その機関誌紙を提出することになつております。これは警察を通ずるのではございませんで、都道府県の調査課乃至は地方課へ古町村の窓口を通じて集まるこれが私のほうに参るということに相成つておるわけでありますが、この公安調査庁におきましては、私どもといたしまして警察官にさようなことをしてくれというようなことを決してお願いするというような気持はございません。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それから第三條の問題でありますが、第三條のハの問題については、先ほど御質問申上げて参つたのでありますが、第三條の二項の団体の規定の仕方は、これは御覧の通りの極めて包括的、どんな団体でも全部入ることになつておりますが、例えば憲法研究会左作る、或いは名前は懇談会でごさいましようとも、一つの目的を持つておれば、これは団体と考えられると思うのでありますが、ゆるい団体の場合について例えば憲法研究会というもの古今一例に挙げましたけれども、こういうものも団体としてお考えになつておるのかどうか、その辺一つ承わりたい。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) この破壊活動防止法案におきましては、団体の定義としては、御承知の通りに規定しておるわけであります、これは団体の社会的な実体に着眼いたしまして広くこの定義を掲げたものであります。特定の共同目的を達成するために多数人が結合する、それは一時的な集会のようなものは含まない、少くとも継続的なものでなければならない、社会的に見て、相当期間存続すべき性質のものでなければならない、と同時に結合体であります。共同の目的を達成するための結合体でありますから、それは群集ではない、その間に個人の意思とは離れた団体の意思決定というものが行われてその団体の意思決定に基いてこれを構成する構成員なり役職員なりが、その意思を実現するためにいろいろな行為を行う、これが団体の活動と認められなければならない、かような立場から規定いたしておるわけでありますので、御質問の研究会はこの定義に合する場合には、一応第三條二項の定義に合するのでありますが、かような研究会が団体活動として暴力主義的な破壊活動をやるというようなことは考えられないところじやなかろうか、かように考えておる次第であります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 そうすると、元の又問題に帰るわけでありますが、殺人或いは強盗等の行為を目的として団体を結成するものは、これは殆んどあるまいと思う。問題は「ヌ」の予備の陰謀、教唆、扇動、それを目的ということにここではなるのでありますが、ところが実際には初めからその予備、陰謀、教唆、扇動を目的にして作るのではなくて別のこれは恐らく規約を作ります場合にも、別のことが書いてあるだろうと思う。それが問題が起りまして或いは事件が起りまして後に、その行為からしてその団体において予備、陰謀、教唆、扇動が行われたのではないか、こういうことは刑法ではございませんけれども、従つて結果責任ということは原則的にはないわけでありますけれども、実際においてはやはり行動が起つて、そうしてその話が団体でなされたかどうか、勿論団体の場合には機関の意思決定としてなされたかどうかということが勿論問題になるわけでありますけれども、行動が後からで、そうして教唆、扇動があつたかということが後から判断され、或いはそれについてそれを目的としたかどうか、これは実際の問題として当然そうなると思うのであります。そうしました場合、例えばこれは考え得ますことは、一つの活動をしよう、宮城前広場に行こうというこれは、それで騒擾をやろうということで行つたのではないという御説明がありましたが、例えば一つの組合がデモを計画する、或いは労働者大会を計画する、その労働者大会で先ほど聞きましたような警察官との間に揉み合いが起つた、そうすると、公務執行妨害ということになるわけでありますが、その公務執行妨害の事実があとから起つてそうしてその団体で以て労働者大会なら労働者大会を開こうという決定をしたことが、この「リ」号の何と申しますか、「リ」号を受けた「ヌ」をやつた団体だという認定を受ける恐れはないかどうか。こういう具体的な事例について御答弁願いたいと思います。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 御質問のようなことは起り得ないものと考えておる次第であります。労働組合その他の大衆団体が活動をされる場合には、いろいろ大衆を動員しまして、いろいろな催しや行事をされるわけであります。この場合に勢いの赴くところ、いろいろな間違いが起りましても、それが組合として或いはこういう大衆団体がさようなことをあらかじめ団体の意思決定としてやろうと、さような間違いを、公務執行妨害のようなことをやるというようなことを意思決定してはおりませんので、さような御質問のような問題は殆んど起らないものと考えております。又実際に組合がデモをやりまして出先で間違いを起す、或いは公務執行妨害のような事態を起した場合に、直ちにこれは組合の意思決定があつたものと想像いたしまして、調査を進めるというようなことは、嚴に慎まなければならないことだと考えております。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 ちよつと関連しまして……。これは伊藤委員も今の団体の定義については御質問があつて、そうして地方、県或いは市町村というような団体に対してこういう暴力行為があつた場合、そういうときの適用、こういう点について質問があつたということを私はちよつと聞いたわけです。それは私も或いは何といいますか、私たちの方言で言うと、とつぴようしな質問と、こういうようなことになるのですがねえ。併し私は決してこれはそうは考えられないのですが、勿論これは仮定の問題である。問題は法務総裁にも申しましたように、二・二六事件、即ち昭和十三年に起つたこの二・二六事件というものの叛乱軍の事件、この事件が結果におきまして内閣の総辞職、閣員の人たちも殺傷をせられる、こういうような大きな事件になつたわけですが、警察、今は組織されておりますこの警察予備隊ですね。どうも私たちの論法で申しますると、或いはこの合同委員会の決定如何によつては、出兵しなくてはならんのじやないか。或いは朝鮮のほうに出兵する、或いは又今後の台湾関係からして大陸のほうに出兵しなくちやならんじやないか。こういう事態が仮り起きたとこう仮定する。そうすると、どうもこれは最初の約束と違うじやないかという空気ができて来るでしよう。或いは又はどうも国会においては軍隊でない、軍隊でな、戰力ではない、こう言つておられるのですが、現に自分たちの訓練されておるものはこの軍隊と同じことじやないか、こういうような又一つの考え方が出て来るでありましよう。そうやつて大臣に対するところの批判或いは又はそういう最初の約束でないところの事態のために、自分の、何と申しまするか、即ち自分の身の振り方というものが非常に違つて来た場合のときにおいてこのような二・二六の事件の二の舞というものが、これは全然向うの夢のような考え方ではないだろう、或いはあるかも知れない、そういう場合のときに、これと大同小異の事件が仮に起つたとした場合のときにおいては、一体この法律というものはどういうような適用が考えられるか。この点につきましてこれはまあ将来の仮定のことでありましようかどういうことになりますか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 大変むずかしい御質問を賜りましたが、予備隊という問題を離れましても、これは官庁でも同じだろうと思うのでございますが、官庁には公務員につきまして一定の指揮命令の系統がございまして事務が分配されて全体の事務が取運ぶようになつておりますか、たまたまこういう官庁に就職いたしておりまする公務員が官庁の施設等を利用いたしまして破壊活動を行うような場合、これは官庁の指揮命令系統とか執務系統にはそういうことをやれという機構はございませんので、必ずやそこにこれらの分子の間に一つの意思の通謀なり、或いは団体的な結合が行われまして、これを基礎にしてかような活動をするのではなかろうか。かようにいたしますれば、そのグループなりその集団なりに対してこれが団体と認められる限りにおきましては規制をせざるを得ないと考えておる次第でございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 三條のこの刑法七十七條の朝憲紊乱という点は一応御答弁を頂いておりますが、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対するため、」この点はまだ明らかになつておりません。そこで一応法の立て方は治安維持法とは建前が違うのだ、こういうお話でありますが、最後の治安維持法とそれからこの三條の立て方は極めて似ておることはこれはまあ事実であります。そこで旧治安維持法においては朝憲紊乱に相当するところを「国体ヲ変革スル」、こういうふうに規定されていた。それから私有財産制度という点を「私有財産制度ヲ否認スル」云々ということは、これは新憲法の下、或いは国で以て農地改革を行うぐらいであるから、私有財産制度の否認ということを二号に謳うわけには行かん。そこで「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する」者、こういう表現を使われたという苦心はわかるのでありますが、そういたしますと「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し又はこれに反対するため、」というのは非常に範囲が広くなつて参るのです。そこで「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対するため、」ということになりますと、要するに政治上の目的ということに全部なるわけであります。そこで今日の新聞を見ますというと、労働組合でも破壊活動防止法に反対をする、或いは労働法の改悪に反対をする、こういうことになると、これは政治団体として届出をせい、こう言う、選挙管理委員会ですか、選挙管理委員会は選挙に関連してだと思いますけれども、今朝の新聞の模様によりますと、ほかの、選挙以外のこういう政治的な要求を、たとえそれが自分の組織を守るためではあつても、この要求なり或いは活動を政治的な活動だということで政治団体という認定をせられるようであります。そうすると、これは明らかに「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対するため」、こういうことになりますと、これは労働組合はもとよりのことそれから新聞社にいたしましても政治の問題を論議いたしますならば、これは憲法研究会であろうと或いは新聞であろうと何であろうと、少くともこの二号の前文に掲げてありますことには該当をすると考えられるのでありますが、その点は如何ですか。

關之法務府特別審査局次長

○政府委員(關之君) お導ねの第三條第一項第二号の政治上の云々の問題でありますが、これはすでに法務総裁からも重ねてお答え申上げておいたごとく要するにこの法第三條の一項二号のイからヌまに掲ぐるようなかような危険な行為を道具としてそういうものを武器と申しましようか、方法手段としてそうして政治上の目的を達成する、そういうことは民主主義の社会では許し得ない、民主主義を守るためにはどうしても最少限度暴力的な活動だけは防止しなければならないという考え方に立つているのであります。そこでお尋ねの各種事例におきましての政治上の問題でありますがる、これにつきましては今まで当委員会においても御質問がなかつたのでありまするから、この政治上云々の言葉についてはかようなふうに考えているわけであります。「政治上の主義」とは資本主義、社会主義、共産主義、議会主義、無政府主義のように政治によつて実現しようとする比較的基本的恒常的、一般的な原則を意味しているわけであります。これに対しまして「政治上の施策」と申しますのは、炭鉱の国家管理でありますとか、軍事公債の利払停止又は平価の切下というような、政治によつて実現しようとする比較的具体的な臨時的な独自的な方策を意味していると考えている次第であります。又「推進する」ということはみずから主義又は施策を策定いたしまして、その実現を企図することに相成るわけであります。又「支持する」とはすでに存しておりまする主義又は施策についてその実現に協力することを意味しているのであります。又「反対」とはすでに存在している主義又は施策についてその実現を拒否することに当るのであります。なおこれらの言葉と関連いたしまして旧治安維持法の問題につきましてのお尋ねがありましたが、ここで重ねて御説明いたしたい点は、治安維持法は要するに国体を変革し又は私有財産を否定するということのその目的のために方法の如何を問わなかつたのであります。それが暴力によろうとそれが普通の方法によりましようと、その方法を問わなかつたのであります。問題はかように二号に掲げる「イ」から「ヌ」までのようなそういう危険な暴力のこの行為を否定するのでありまして、その点が非常に違つておると考えておる次第であります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 治安維持法の狙つておる本体それから団体等規正令の狙つておる本体と言いますか、一つは刑罰法規であり、或いは行政法規であり或いは団体を規制する、その点は私も認識をいたしております、ただ問題はその前段と申しますか或いは朝憲の紊乱とか或いは「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、」云々この辺の規定の仕方が似ておる。こういうことを申上げておるのです。そして或いはそれは目的たる事項の実行に関し協議又は扇動ということで団体活動は勿論要件の中には入つておりませんが、目的とする行為ということでだんだん拡がつた、それでは破壊活動防止法のほうは団体活動が入るわけでありますが、その団体活動の態様は昨日法務総裁なり何なりが説明されるような殺人とか何とかいうことだけでなくて、一番問題になるのは予備、陰謀、教唆、扇動、それを団体の意思として決定することが必要だとこう言われますが、実際の場合には初めから殺人を目的にし、殺人をやろうじやないか、こういう団体の意思決定をやるものはおらないで、或いは騒擾なら騒擾をやろうということを決定するのではなくして問題が起つた。で騒擾が起つた、それが騒擾と目せられる。そうするとその結果から、行為から遡つて、或いは扇動、教唆、或いは意思決定があつたかなかつたかと、こういうことになりますのでお尋ねをして参るわけであります騒擾を先ほどの御答弁では、機関の意思で決定をするようなことはないというお話でありますが、過去の経験からしまして、結果が起つてから、そうしてそれに遡つて行つてそういう扇動をやつたか、教唆をやつたか、或いはそこでそういうことも起るかも知れんとこれはまあ未遂の行為ということになるかも知れませんがその辺のデモをやろう、集会をやろう、その場合に警察の取締りがある。或いはそういう警察との間に接触と申しますか、衝突と申しますか、そういうものがあるだろう。あるだろうけれども、それは一つ押し切つてやろうじやないか、こういうことになりますならば、これはそういうもの、たとえ警察なら警察で途中でストップされても、一つ予定の方針の通りやろうじやないか、こういうことになりますならば、これはこの條文の適用があるということになるのじやないかと、こういうふうに考えるのでありますが、その辺は如何ですか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします只今の御質問によりますと、或る団体がそれ自体別に法には触れないような大衆行動をやろうということを意思決定された。それで構成員なり役職員のかたが活動される。これはもう大衆行動自体は団体の行為で、活動でございます。でその場合に公務執行妨害をやろうというような意思決定があつたかどうか。さような御設例の場合におきましては、公務執行妨害をやろうというような意思決定があつたとは考えられないのであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 そうすると、あとからそういう問題が起つたとしてもそれは明らかに公務執行妨害を起そうと、こういう決定がなければ、或いは途中で多少のまあ紛乱と申しますか、ごたごたが起つてもやろうと、こういふことだけではこの法上の意味するところのものは適用しない、こういう御趣旨でありますか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 前前からお答えいたしております通り、抽象的な御設例につきましてお答えするのは非常に危険なことでありますが、併し只今原則的にお述べになつた点につきましては兄ほどお答した通りでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 お答えした通りというのは、そういうときには問われないと、そういうことですか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) さようであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それからこれは団体の犯罪能力ということで伊藤委員から質問があつたことですが、それに関連してお尋ねをいたしますけれども、今のような御答弁でありますれば、この場合としてはやや安心をするのでございますけれども、ほかの解釈についても昨日申しましたように、衆議院の自由党の絶対多数のところで、自由党の議員から質問をされますというと、これとやはり同調しながら解釈せられる。こういう空気がございますのでお尋ねをして参りますが、この破壊活動防止法の討論の際においても改進党の人たちが修正案の趣旨弁明をしておられます。そうすると、自由党の議員の諸君の中からやじが飛んでお前は与党か、容共か、こういうやじが飛んでおります。それで最近の風潮に何でもこの反対党に対してはあれは赤だと、こういうレッテルを貼るという空気がございますことは、これは(笑声)お認めになると思います。そうしますと、この法の解釈についてもそういう傾向が出て参るということを心配するわけであります。そこで先ほどのような質問を多少くどいようにお尋ねをしたのでありますが、団体のこの刑罰能力これは刑罰能力ではなくて行政処分に堪え得る能力とこういうことになるでしようが、今のような公務執行妨害云々という点が問題にならないとすればでございますが、例えば一つの労働組合がございます。労働組合の中に共産党員が相当残つておる団体は現にございます。そしてこれは例は悪いですが、北京のメーデーに行こうという決定をした組合がございます、で炭労の大会に出てその案は否決された。帰りに帰つたものもおります、帰らないで御承知のように何名かが下関でつかまつたという事件がございますが、それで例えばあれについてはこれは炭労なら炭労で決定をしなければ、そういう問題を取上げよう、或いは実行に移してならんと、或いはそういうことを個人としてもすべきではないということは私どもも申して参りましたけれども、これは出入国管理令か何かの問題であると思いますが、そういう点は破壊活動防止法なら破壊活動防止法に関連して後起つて参るとこれは考えられるのでありますが、そこで伊藤さんの御設例のように、議論をして、或いは法務委員会の七対八のような割合から言いますならば、七名の反対があつたけれども一人の差で以て一つの決定をやつたと、団体の意思決定をやつた、ところがそれによつて解散をさせられた、或いは団体の規制を行われた。団体のこの四條によります制限ならば別でありますが、六條によつて解散をさせられた。ところが七條によつて「当該団体のためにするいかなる行為もしてならない。」と、こういうことになつております。それから、或いは八條によつて、その禁止を免れる行為は絶対にしてはいかない、こういうことになりますと、これは本当の政党であれば別であります。ところが労働組合の場合には決定をいたしまして、組合活動というものはこれは「団体のためにするいかなる行為も」という行為の中に入るわけでございます。それは一万なら一万の従業員があつてその一万の從業員の中の一部分を以て組合を結成しようと、いわゆる第二組合を作るというのなら別であります。でこういう第二組合を作つて行くことは労働粗合法の企図せざるところであります。そこでその一連の従業員の組合を正常な運動にしなければならない、こういうことを考えましてその次の活動をして行く、これは組合でございますから経済的な要求でありましようとも、経済的な問題で動かそうとも或いは団体のためにする行為であることは明らかである。そうすると、伊藤さんの御設例のような、先ほどの例を申上げると七対八できまつて、その七名のものは全然組合活動ができない、こういうことに相成りますが、これは私は不当だと考えるのでございますが、伊藤さんの御設例に関連して一つの御答弁願いたい。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。先般来法務総裁からも御答弁申上げました通り労働組合のごとき団体が、この法案第三條に掲げてあるよう暴力主義的破壊活動を団体の活動としてやるというようなことは殆んど考えられないということをかねがね申上げたのであります。仮に或る大衆団体が多数決というような方法を意思決定の方法にとりまして多数決できめられたことは団体の意思であるというきめ方をされましてそれに拘束されるというような建て方をされて活動される、そういう場合におきましてはたとえ七対八でも、九対八でもすでにもうそこでは団体の意思決定として打出されて来ておるわけでございますから、これは団体御自身の御立場でそういう意思決定をされたわけでございます。従いまして先ずそれに従うのは団体の構成員、役職員全員であろうと思うのです。かような意思決定がなされて構成員、役職員全員がこれに従つて活動するというような建前になれば、その大衆団体がかような方法で暴力主義的な破壊活動を仮に万一にもやるとすればそれは規制の対象たらざるを得ないと考えておるわけでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 これは皆さんの主張では組合がそういう破壊活動を、條文に掲げてあるこういう活動をするはずがない、その法の運用が労働組合に適用されることが全くなければ問題はございませんけれども、併し仮に或いは万一といつてもいいですが、なりましたあとで先ほど申しましたような団体のためにする行動ということになりますれば、これはもう全然組合の正当な活動も何もできない結果になることはこれはお認めになると思う。これが正当活動でありますならば、そういう場合はこれは別に新らしく団体を作ればいいのですけれども、組合の場合は組合活動というものはこれはそこに組合員全部、或いは従業員全部というものの立場から、極めて低い組合再建の活動にいたしましても引つかかることになるわけであります。その不当性を救済する條文は少くともない、こういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。

關之法務府特別審査局次長

○政府委員(關之君) これはお答えになるかどうか危ぶんでおる次第でございまするが、この四條、大峰におきましては団体の活動として暴力主義的破壊活動を行なつた、こういうことが前提で、その次「継続又は反覆」ということが実は條件になつておるわけであります。それらの団体が継続又は反覆して将来暴力主義的破壊活動を明らかに行うということが実は條件になつておるわけでありまして、その意味におきまして通常の労働組合などがもう殆んど考えられないというふうに何回か申上げておる次第でありまするが、それでお尋ねのような場合におきましても、暴力主義的破壊活動というこの三條から考えれば一回でもというふうにお考えになるのも御尤もかと思いますが、四條と六條を考較いたしますと、殆んど継続、反覆ということで性格的なものになつておるというふうに私どもは考えておりまして、通常であるならば恐らく御心配のことはないというふうに申上げて差支えないと思うのであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それからこの補償の問題ですが、これは伊藤委員からも質問があつたかと記憶いたしますが、刑事補償についてはこれは問題はございません。ところがこの行政処分による損害については何らの補償の考えもない或いは規定もないわけですが、これはどういう工合に考えておられますか。

關之法務府特別審査局次長

○政府委員(關之君) その点につきましてはこれは行政処分といたしますれば、これはこの法律のみならずすでにいろいろ各法律に基いて行われておる各種の行政処分にも通ずる実は問題であるわけであります。それにつきましては国家賠償法の要件を満たす場合には、その法律の手続に従つて賠償が行われるということになつておるのでありまして、本法におきましてもその法律の適用の問題で行くのが私どもの一般の行政処分全体の立場などを考えて妥当ではないかと考えておる次第であります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 この法律について濫用が非常に心配をせられるわけでありますが、そこで例えば説明を聞いて参りますというと、「ヌ」の点について従来指摘せられたことは問題ございませんが、「リ」の項のごときは私は削除して然るべきものだというふうに考えるのでありますが、その例えば伊藤委員が質問せられた或いは濱職罪の問題についてもこれは七十三條だけでしたか……、もつともつと濫用を防止するために強い規定を設けてはどうか、或いは賠償の点についてもそうでありましよう。或いは條文の点でいいますならば、その「ヌ」は別にいたしますならば、「リ」のごときは従来から言いまして例えば凶器というのを、凶器は人を殺すに足る凶器として考えておられたのでありますけれども、実際に過去において組合の旗竿等が凶器になつた点等からみましても、これらの点については濫用の心配がないと言われるあれはわかりますけれども、従来の実際の例から考えまして私ども非常に心配するこれは條項になるのであります。これらの点も法上明確にする、こういう意味においてはどういう工合にお考えになりますか。

關之法務府特別審査局次長

○政府委員(關之君) この(リ)につきましては、お尋ねのごとくしぼり方如何によりましては非常に問題が生ずると考えまして、団体として多数が共同してそうして凶器又は毒劇物を携えてなす場合に限定いたしたのであります。現下り事態に鑑みまして凶器又は毒劇物を携えてかような行為をなすということは極めて危険な行為と考えまして、公安を保持する上におきましてかような規定を設ける必要があると考えまして置いた次第でおります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それからこれは法全体の問題でありますが、判例は刑法解釈の有権的解釈として確立せられて参るわけでありますが、説明をずつと聞いて参りますというと裁判は裁判だ、或いは刑法は刑法だ、これは行政法であつて行政的な観点からする点は別だ、こういうことになりますと、例えば凶器のごときも、判例上それが凶器であるかという問題が問題ではなくて行政官による判断、それが凶器であるかということが判例とは別にこれは取扱われる、これは一応今までの説明からしても考え得るところであります。その行政権による、いわば違法性と言いますか、或いは違法性というところまで行かなくとも、違法性の意味が行政法規に違反するかどうかという判断の基準が別になつておる。その点に大きな心配をするのでありますが、この点についてそれが法上に現われなければ保障ができんじやないか、こういうことを考えるのでありますが、その点が、規定の仕方が非常に包括的であるということを私が申上げるゆえんであります。その点どういう工合にお考えですか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 全般的な問題でございますから、私からお答え申上げます。判例との関係につきましては、これは先日来、御引用の行政裁判がありました時代におきましても、行政裁判所の判例等のありましたことは、行政府においてはこれを十分尊重してやつておつたわけであります。そこで行政訴訟事件というものが、当時は非常に限定されておりましたけれども、新憲法の下におきましては、非常に広くなつて、あらゆる行政処分についての争いが普通の裁判所に行くようになつて参りました。その判例は逐次累積しつつあるわけでありまして、それに対しまして、行政部のものが尊重いたすことは司法裁判、民事、刑事の裁判においてと同様であります。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 速記をとめて。    午後四時三十七分速記中止    ―――――・―――――    午後四時五十五分速記開始

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 速記を始めて。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 先ほど賠償問題についてお尋ねをいたしましたが、はつきりしない点もございましたし、それから昨日でしたか中山委員の御質問に答えて国家賠償法が適用されるかのような御答弁もございました。後で伊藤委員から文句が出てそのままになつているのでありますが国家賠償法の適用はこれはできんことは明らかであります。そこで行政処分によつて団体が解散された、或いは機関紙が停刊された云々という、こういうまあ法の濫用と申しますか、或いはたとえ刑事処分でなくても行政処分によつて不当な被害を受けたという場合、救済の方法は全然ない。これはほかの行政法或いは行政処分によつても別にないのだから、こういう御趣旨の御答弁であつたようでありますが、よく言われておりますように、半年も団体が解散され、機関紙が停刊され、或いは活動が規制され、裁判になるとしても行政事件訴訟特例法によつて裁判所の仮処分等が押えられ、そうすると裁判で最後に引つくりかえるとしても非常に長い期間がかかる。そしてその間の救済というものは事実上これは回復はできないわけでありまして、他の場合に比して比較にならんほど重大だと思うのであります。それに事実上の補償、或いは金銭的な補償というものも全然できない。これについて何ら御考慮がない、或いは規定の上に出ておらん。これについての救済方法は、これは何とかいたしましようではこれは済まない問題だと思うんですが、或いは法上にそういう規定を出すという御意思なのか、もう少し明らかにして頂きたい。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) さような場合に国家賠償法の適用があるということを先ほど申したのでありますが、その場合に国家賠償法は、どういう場合に賠償を認めておるかと申しますことは、これは十分御承知のことと存じますが、公務員の故意、過失によつて違法に侵害された場合、それに該当すればまさに国家賠償が行くわけであります。これはあらゆる行政処分について行くわけでございます。そこまで行かない程度の、国家賠償法の該当しない程度のものについての救済方法というお話がまあ出て来るわけでございますが、それらにつきましては、先ほども他の政府委員が触れました通りに、これはいわゆるすべてのあらゆる行政処分、例えば大きな企業の営業面の取消しがあつた、その取消処分が裁判所で違法だという判決が下つたという場合だとこれは皆共通の問題でございますので、我々といたしましていろいろさような御議論を伺つて、むしろ全般的の問題として十分反省をして行く必要があるのじやないか、かようには考えているわけでありますけれども、これ自体の問題として特にどうという手当はされておらないわけであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 考慮して行きたいということは今後法上にはつきり出して行く、こういう御意向なんでありますか、その点承わりたいと思います。それからもう一つ故意又は過失によればこれは国家賠償法の適用がございましようけれども、故意又は過失でない場合、無過失の場合がこれは多い。少くとも何と申しますか、行政権としては考えられるでしよう。そうするとこの法の適用はないと結局考えるとこういうことになりますが、その考え方というのは今後法上別の法律か或いはこの法文になるかどうか知りませんが、入れて参りたい、こういう御趣旨なんでしようか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 実は同様なことを他の法案に関しまして衆議院で質問がありまして、こういうことをお答えして多少ほほえみの顔を以て迎えられたのでありますが、故意過失によつて違法に権利を侵害した場合に必ず補償しなければならん、賠償しなければならんということは古今東西を通じての鉄則であろうということを申しました。而してそれ以外の場合について補償或いは賠償の問題をどの程度までに及ぼすかということはこれはむずかしい問題であります。お言葉にも出ておりますように、無過失賠償責任の問題というものは。これは、抽象的な議論としてあるわけですが、それにもつていつていい場面もあるのではないかというようなこともあり得るわけでありますけれども、その点の問題はあらゆる角度から公平に考えてみませんと、どの限度でその線を引くということは困難でありますために、私としては先ほど申しましたような趣旨に基きまして、一般の場合を勘案しつつあれについての反省を加えつつあるわけでありまして、この法律そのものにかような手当をしたいというところまで結論が行つておらないわけであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 そうする国家賠償法の問題として、或いは国家賠償法の改正といいますか、こういうことで考えておるということなんでしようか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 例えば国家賠償法の問題として広い視野から考えてみたいというのが私の趣旨でございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 そうすると考えようというこの場限りの御答弁のようにしかまあ伺われないわけです。考えてみよう、考えるのが何年かかるかわかりませんが、それではこの法律によつてそういう救済が必要になる場合が考えられるが、その救済はどうするのだ、こういう具体的なこの法の救済という問題が出て来んわけです。この法律による救済の必要については一応これで行つて、問題が起つてもそれは規定がないし、それから行政処分についての無過失責任はとる建前になつておらんから、知らぬ。こういうことになるのじやないですか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) この無過失賠償責任の問題は、先ほども触れましたように一般の私人相互の間にも共通する問題なのでありまして、併し事は今の場合は国家の公権力と私人との関係ということでございますから、それは切離してもとより関連し得ることだとは存じまするが、併しながらその根本の問題はこれは非常に深い問題でございますために、私どもとしてはまだ今日結論を得ておらないということでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 結局考えようという、或いは考えているというお話でございますけれども結論は得ておらん。そうすると国家賠償法の改正も実際問題として早急に行うというのではない。そうするとこの法律の運営によります救済については何ら考えられないと、こういうことになつて初めに返りまして、そういう事態が起つた場合にどうするのだということについては何もない、こういうことに実際問題として相成つて来るのです。それじや最初の質問についての答弁には結局ならんと思う。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 要するに国家賠償法において故意、過失、違法という場合についての賠償措置は設けてあるわけでございますから、それ以外の場面につきましてはむしろ無実と申しますか、不合理な損害が及ばないようにという、むしろそのほうの配慮をこの法律においてやつているわけでございまして、今の調査手続、或いは委員会制度というような面においてそういうことの起らないようにむしろ事前においての備えに重点を置いて立案をいたしたわけでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 そうするとこの法の運用について濫用なり或いは間違いのないように心がけたい、或いはしばしば言われましたような研修所を設けるとか、或いは委員会を作つて民主的にやるのだから間違いはなかろう、こういう御説明に還つてしまいます。それでは、この法律が私どもにとつてはしばしば濫用される慮れがあると考えますけれども、あなたの言葉で言うならば、万一そういうことが起つても救済の方法はない、こういうことになりますな。最初の質問にあります或いは活動が制限された、或いは解散させられた、そうして裁判が行われてそれが間違いであつた、或いは取消された、これについての救済の規定はないのじやないか、これはどうするのだという質問のお答えにはならぬと思います。運用の面で濫用を防ぐように心がける以外にはないのです。若し、まあこの場合における善意といえども、その善意が行われなかつた場合のことを問うているわけです。或いはこれ以上議論してもしようがないかも知れませんけれども、その事実上の救済について規定を設けるべきである。或いは補償の問題について、国家賠償法によらなくてもこの法律でその救済の規定を入れる必要もあるだろうし、或いは行政措置による賠償の問題についても別に考えるべきであるという主張に対してはこれは御答弁にはならんかと思います。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 今お言葉に丁度濫用という言葉が出ましたが、濫用の場合を考えますれば、これはもとより故意ということもありますし、過失までも原因としては国家賠償法に入れてあるわけでありますから、かような場合にはもう明瞭に国家賠償法で救い得るものと考えるわけでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それではこの事実上の救済については何ら規定を設ける必要がないと、こういう御意見に相成るかと思うのでありますが、この法の適用によりまして与える影響を考えて、私どもはこの法上に救済の措置を考えるべきだと思うのでありますが、これは主張になるかと思いますので、その程度にとどめたいと思います。それからもう一つこの法律の適用の右、左の問題でありまして、暴力行為等取締に関する法律は、これは特審局では考えたことはないと、こういうまあお話でありますが、ですから大正十何年かの法律がそのまま今日残つております。この法律の中には一番軽いので五十円の罰金というのがあつたと思うのですが明らかに右翼的な暴力行為については古い規定でそのまま残つておつて、そうして説明からいたしましても、当面この法律に適用せられる危険性と申しますか、或いはそういう可能性は薄いといたしますならば、例えば刑罰法一つとつてみましても、アンバランスがあることは、これは明らかでございます。その刑罰規定についてもアンバランスがある。それから、若し考えられておるように、この左翼的な破壊活動について適用をするという点であるならば、或いは外国の例もございますけれども、もつとはつきり規定されるならば、こういう概括的な規定じやなくて、或いは濫用の慮れももう少し法上保障ができるのではないかと、こういうふうに考えられますが、その点は或いはそういうことにいたしますならば憲法上の原則に違反する云云というこの苦衷があることはわかるのでありますが、その憲法上の苦衷があるからやすきについたと、これだけでは国民を納得させるわけには参らんと思う。而も公共の福祉と、或いは基本的人権という憲法上の問題も、これは議論をしましたけれども、基本的に残ることから考えまするならば、これは同じだと思う。或る一面の危険性を感ずるからそれは避けた。併し、他の基本的人権についての憲法上の障害というものは、特にこの法律に関連して残る。これは程度の問題かも知れませんけれども、憲法との牴触の問題については同じことじやないか、こういう工合に考えるのでありますが、この点について承わりたいと思います。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 誠に仰せられる通り、現実の、現実と言いますか、その右なら右、左なら左と直接法で規定したらどうかというような考え方も、抽象的にはできますけれども、これ又今御推察の通り、法というものは、申上げるまでもなく、一般的な基準なのでありますから、とにかくあらゆる角度から見て、公共の福祉のために、或いは他の基本的人権のためにこれは危険な行動であるということを定めまして、その危険な行動である以上は、それが誰によつてなされようと、当然それを禁圧、防遏しなければならないものであることは、申すまでもないことであります。憲法の平等の原則から来る苦衷とおつしやいましたけれども、苦衷などはむしろ全然ないのであつて、もう当然のことであろうと私どもは確信しておるわけであります。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 実は私はどうも気になることがありまして、それは中山委員の昨日の質問の中に、この第三條の暴力主義的破壊活動の定義の「口」の項の末尾のほうに、その実現の正当性若しくは必要性を主張した文書若しくは図画を印刷し、配付し、若しくは公然掲示する目的を以て所持すること、このうちなぜ演芸関係は入れないか、演芸は相当宣伝力も強いがということに対して、吉河政府委員の御答弁とちよつと異つたのですが、補足した岡原政府委員ですか、このかたの答弁によりますると、演芸の内容表現というような次第においては、適用になるかも知れないと、こうまあ濁つた言葉があつたんですが、これを一つはつきりとどういうようなことが適用になるかですね、これを一つ意見をまとめたところで意見長官の御答弁をお願いしたい。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 実は岡原検務局長がお答えした問題は、この扇動に関する問題でありまして、扇動の場合、映画又は演劇がこの扇動に該当する場合が特定の場合においてあり得るということをお答えしたのでありまするが、なお岡原検務局長にもよくお話いたしまして、更に後日明確にお答えしたいと思います。

内村清次日本社会党(第四控室・左)

○内村清次君 このことは、私もこれは相当扇動力があるということは認定いたします。又こういうことが現に行われておるということも認定いたしますが、このことは一つ統一体系ではつきりして頂きたい。それからこういうことが新聞に載つておりますが、こういうことは一体あなたのおつしやつた扇動というようなことに適用されるかどうか。本年の三月の十日の読売新聞に、石川達三氏がこういうことを掲載した。私は口舌の徒だから、逮捕処罰されるまでは無駄な理窟をこね廻すだろう。言論の自由は少しばかり欲しい。併し人民の言論の自由を守つてくれるはずの国会は火をつけて燒いてしまいたいくらいだとか、或いは私にももつと性根があればテロをやるかも知れない、テロよりほかに方法がないような気もする。併し私は口舌の徒で、刃物三昧はできそうもない。諸君もテロはやめてパチンコに精進するほうがいいと、こういうようなことが掲載された。いわゆるここにありまするところの文書が配布せられたと、所持しておつたと、こういうようなことはどういうふうに扇動のほうに入りますか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 扇動につきましての概念の内容は、すでに御説明申上げた通りでございますが、只今のお話によりまする石川達三氏の問題でございますが、石川さん自身が国会を燒き払いたいくらいだと御自分の犯意、犯意までは行きませんが、犯意に近い気持を述べたに過ぎないのでございまして、これは他人をして中正の判断を失わしめて、そうして犯罪実行の決意を創造さしたり、或いは既存の決意を強化するような勢いを有する刺戟を与えたというような行為ではございませんので、パチンコの扇動はございますけれども、(笑声)犯罪実行のほうに関係ございませんので、別に問題にはならないものと考えております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 扇動の具体的な事例として、石川達三氏のあれが出たのですが、しまいのパチンコのところにこれは用心深く逃げてあるわけです。若しパチンコのことが書いてなくて、そうして自分の気持では国会も燒き払いたいくらいだと、こういうことで書き放しになりまするならば、これによつて例えば或る行為が起つたと、そうするとその石川達三氏の意思がどこにあつたかはともかくとしてこれはやはり行政行為の対象になる行為が起つてそうして石川氏が中正な判断を失わしめたかどうかと、こういうやはり結果責任になることは事実じやありませんか。そうすると石川達三氏の意思が本当にどこにあつたかはとにかく、その見当から責任を問われる、これはあり得ることだと思うのですが、どうですか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 抽象的、一般的にお答えいたしますが、犯意の單なる表示は、扇動とは全然別個の問題であると考えております。具体的な條件と環境の下におきましてそういう問題が如何に問題になるか、これは具体的な場合でございますから、更に詳細な事実関係を検討しなければなりませんが、ただ自分は個人としてこういうことをやりたいのだというだけでは、それ自体扇動の概念には入らないものと考えております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 扇動の概念については、いろいろ繰返して、中正の判断を失わしめるのだとか、或いは感情に訴えるとか、いろいろ言われますけれども、これは共産主義者の側から言いますならば、そういう言葉は勿論使いません。一番いい扇動は、事実を、こういうこともあつた、ああいうこともあつたと、これが一番いい扇動だと、こういう表現をたしかしたと思うのであります。そうすると中正の判断を失わしめたかどうかということは、これは今まででありますと、裁判所の判断、今後においては、これは行政機関で判断をせられるわけであります。そこでこの扇動なら扇動をやつた人間の気持と、それから扇動をやつたかどうかという判断をせられる行政機関とは、これは別であります。そうすると今犯意ということを言われますけれども、実際に言われた言葉自身が中正を失わしめる影響を持つたかどうかということは、その本人でなくて、行政機関が認定をされる、そこに問題があるのだと思うのです。例えばまあ世間的に言う扇動という概念からしますならば、例えば改進党の、これはまあ参議院には余りないかも知れませんけれども、衆議院の改進党の議員さんの中には、相当何と申しますか、感情に訴えるような方法で演説されるかたも相当ございます。そうするとこの本人の意思如何にかかわらず、行政機関で、あれは、感情に訴えた、或いは中正な判断を失わしめる結果になつたのだ、これは行政機関で判断をせられるだろうと思うのです。そうすると本人の犯意如何という問題でなくて、而も行政機関がやるのですから、その態様に基いて、行政機関の主観で以てその辺が判断せられる結果に相成ると思いますが、そうでないとおつしやいますか。その点はなかろうというのですか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 現在これは犯罪の面につきましても、最後は裁判所で認定するということが言われるのでありますが、実際に捜査の第一線に立つのは、行政機関である司法警察官であるのでありまして、これがいろいろ認定いたしまして、捜査をして認定をするのでございます。併しこの公安調査庁におきましても、公安調査官が調査して、最終的にはこの委員会が先ず認定をする。併しながらここに列挙されてありまする概念は、いずれもこの司法上、判例、学説等にその概念が明確になつているものでございます。これを認定する根拠となるものはやはりその判例、学説、刑法に関する学説上一致した見解というものが根拠となるのであります。公安審査委員会の決定が裁判所において審査を受ける、この場合にかような扇動につきましても、とてつもないような認定は当然下されない立場にあるものと考えております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 とてつもない判定は下されんと言われますけれども、説明を聞いておりますというと、裁判ではなくて行政処分でやられる。で裁判は裁判だ、それからこの治安警察の活動は別だと、こういうお話でございますので、例えば扇動になるかならんかということも、第一次的には調査官、或いはそれは長官ということに法文上はなつておりますけれども、実際問題としてはこれは殆んど調査官であろうと思います。そこに危険性を感ずるのでございます。その辺は押し問答をしても仕方がございませんから、その程度にいたしまして、先ほど国家賠償法の問題で、故意、過失によつて云々ということですか、その一條一項の、「公権力の行使に当る公務員」ということが表現されておりますが、調査官もそうでありましようが、この法によりますと、最後には委員会が、審査委員会が判定をする、こういうことになりますので、この條文の適用については、一応公務員というのは委員会と、こういうことになるかと思うのであります。そうすると委員会が公務員として全員について適用せられますのが一応考えられております。公務員の個々の責任ということを考えますと、委員会が適用になるかどうかという点については疑問が残るのです。どういう御解釈になりますか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 委員会の委員が、これは公務員でございますから、委員に適用があるわけでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 そうすると五名の委員が全部連帶して責任を負うと、こういうことになるのでしようか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 賠償責任を負うのは、これは申すまでもありません、国家でございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 そうするとあとの賠償責任は国になりますが、公務員というのは、それでは個人の公務員ではなくて、五人なら五人の委員会が、この場合に言う公務員と、こういう解釈になりますか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) その通りであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それでは時間も大分過ぎて参りましたし、終りたいと思うのでありますが、最後にやつぱりどうしてもこの行政機関による行為というものは、この法の概括的な規定からいたしましても、何と申しますか、説明されたような運用でなくして、濫用と申しますか、或いは現われて参る活動、或いは言論、出版、集会、そういうものに規制の対象が向くだけに、心配と申しますか、この法案の弊害というものはどうしても私ども拭い去るわけには参らんのであります。特に民主主義の原則に鑑みまして、公共の福祉のためであるけれども、基本的な人権が制限されることは止むを得ない。思想には思想をというものではなく、力で以て力を規制する。国の力を以て規制すると、これは納得で以て思想に対抗して行く、或いは団体に対抗して行くという点については、その原則を放棄せられたとしか考えられません。最高裁判所に質問をすべき点は残つておりますけれども、これらのものを通じて民主主義の原則が曲げられるという印象は拭うわけには参らないのであります。もつと法務裁総に質問すべき点もございましたけれども、法務総裁、立たれましたので、後日の機会に譲る筋合いではないかと思うのであります。大きな疑問とそれから賛成しがたいものが全体を通じて大きく残るという点を申上げて、質疑を終りたいと思います。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗