法務委員会 第40号
- 発言数
- 314 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/05/20
会議録
○委員長(小野義夫君) 只今より委員会を開きます。前回に引続き、破壊活動防止法案、公安調査庁設置法案、公安審査委員会設置法案、以上三案を便宜一括して議題に供します。質疑を継続いたします。
○伊藤修君 昨日に引続きまして質疑を継続することにいたします。昨日は大体論についてお伺いいたしたのでありますが、本日は主として破壊活動防止法案の内容について、その大体をお伺いいたしたいと思います。お伺いいたしたい論点は八十一点お伺いいたしたいと思うのであります。従つて時間の関係上、一つの問題を深く掘下げるというわけには参りませんので、内容に対するところの詳細な質疑の進行については後日又いたすことにしまして、取りあえず疑義の点を政府に簡単に要領よく一つ御答弁願いたいと思います。 先ず第一條の破壊活動の主体となるところの「団体の活動として」という法律上の意義を先ずお述べ願いたいと思います。
○政府委員(吉河光貞君) 「団体の活動として」という意味は、団体の意思決定に基きまして、その役職員又は構成員がこれを実現するためにする行為をいうのであります。
○伊藤修君 団体において意思決定をいたした場合は当然含まれると思うのですが、偶発的に団体の構成員においてなされた場合、即ち団体の意思にかかわらざる場合においても、これも準備的に団体の活動として取上げることがあり得ると思うのですが、この点に対しては如何ですか。
○政府委員(吉河光貞君) ございません。さような場合は団体活動としての中には含まれないものと解しております。
○伊藤修君 この問題は昨日総括論としてお伺いしておつたのですが、この点は後日又御質問申上げます。 第二條において、「労働組合その他の団体」の「その他の団体」というのは如何なる団体を指しておるのですか。
○政府委員(關之君) 二項のお尋ねの、「その他の団体」というのは、一切の団体のことを意味しているわけであります。
○伊藤修君 一切の団体というのでは広汎過ぎるのです。従つて、「その他の団体」というものを挙げて頂きたいと思うのです。
○政府委員(關之君) 団体の定義は、第二條二項に、「特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体」と規定してあるわけであります。かように該当する一切の団体をここに意味さしているわけであります。
○伊藤修君 この第二條につきましては、いわゆるこれに対するところの裏付けの規定がなければ、本法の主たる規定の目的を達成されないと思うのですが、この点に対して重ねて政府のお考え方を伺つておきたいと思います。
○政府委員(關之君) 第二條は、この法案による規制及び規制のための基準でありまして、これは單なる訓示規定ではなく、この違反に対しましては裁判所において争い得るものであると、かように考えている次第であります。
○伊藤修君 第三條において列挙されたるところの行為は、いずれも自然人においてなされることが予想されているのですが、その場合において、この行為について団体が責任を負わなくちやならんという点については昨日お伺いいたしましたが、その構成員の如何なる範囲までこれを予想しておるのか、その点を明確にして頂きたい。
○政府委員(吉河光貞君) 第三條は、御質問の通り、その主たる行為は刑法その他に刑罰を規定されており、補充的な罰則は本法によつて規定されておりまして、個人によつて行われる場合におきましては当然刑罰の制裁があると、かように考えておりまして、それが団体の構成員たると、役職員たると、又全然団体と関係のない個人によつて行われる場合も同様でございます。
○伊藤修君 例えば一介の暴力行為がその構成員によつてなされた場合をもこれを含むのかどうか。
○政府委員(吉河光貞君) それが団体の活動として認められる場合におきましては、規制の原因の一つとなるものと考えております。
○伊藤修君 第一項第一号の、従来は口の規定であつたのですけれども、衆議院の修正の結果ハの規定と改まつたのでありますが、内乱の実現の正当性若しくは必要性を主張した文書若しくは図画の認定は非常にむずかしいものだと認められるのでありますが、かかるものを印刷、頒布等まで規制するということは非常に広範囲のものであつて、いわゆる検閲制度の復活となる虞れが十分認められると思うのでありますが、この点に対するところの見解を承わりたい。
○政府委員(關之君) 検閲制度は、御承知のごとく、一定の出版物を発行する場合に、事前に官憲においてこれを査閲することであると考えられるのであります。 この法案におきましては、さような事前の検閲というようなことは全然考慮しないのでありまして、かように出された結果に基きまして、その内容を見て、かような団体規制の原因といたすと、かように考えておるわけであります。
○伊藤修君 第一項の第二号の、政治上の主義又は施策という、この表現の意義をお伺いしたいと思います。
○政府委員(關之君) ここに申します政治上の主義とは、資本主義であるとか、社会主義、共産主義、議会主義、無政府主義のように、政治によつて実現しようとする比較的基本的、経常的、一般的な原則を意味しているのであります。これに対しまして政治上の施策とは、炭鉱の国家管理でありますとか、軍事公債の利払の停止、又は平価の切下げというようなふうに、政治によつて実現しようとする比較的に具体的な、臨機的な、特殊的な方策を意味しているのであります。推進するとは、みずから主義若しくは施策を策定して、その実現を企図することであり、支持するとは、すでに存する主義又は施策についてその実現に協力することであり、又反対するとは、すでに存する主義又は施策についてその実現を拒否することなのであります。
○伊藤修君 只今の御答弁によりますると、結局この條にあるいわゆるリの規定からこれを比較対照いたしましても、時の政府の施策に対しまして反対するということが、すべてこの條文に関する限りは入つて来るという解釈になつて来るのではないですか。
○政府委員(吉河光貞君) 時の政府の施策のみならず、すべての場合に該当するものと考えております。
○伊藤修君 さような條文の立て方によりますれば、殆んど国民が政治に対しましてその意思を表明する機会を失うということに至らしめるのではないでしようか。
○政府委員(關之君) このリにおきましては、凶器又は毒劇物を携え、多衆共同してなす場合のみを限定して規定しておるのでありまして、かような行為は健全なる民主主義に全く相反する危険なる行為でありまして、健全なる民主主義を育成する上におきましては排除しなければならないものであると考えて、かような規定を設けた次第であります。
○伊藤修君 第一項の第二号のイの騒擾罪の規定ですね。これは御承知の通り、いわゆる刑法上目的罪ではないのです。然るに内乱罪に相対比いたしまして、内乱罪は御承知の通り目的罪である。そういたしますと、本法によりまして政治上の意図を以つてというようにその目的を掲げておる。してみますれば、第一項の第二号イの騒擾罪というものは、本法によつて勧めて目的罪として書き改められることになる。その結果です。刑法上の内乱罪と同一結果に至るのじやないでしようか。そうすると本質的においては、この場合におけるところの騒擾罪と内乱罪というものは、同一な目的の事項ということになつて、ここに特段に二つに分ける必要がないことになつて来るのじやないでしようか。この点に対するところの御説明を願いたい。
○政府委員(吉河光貞君) 政治上の目的を以つて騒擾を起した場合は、内乱とはおのずから異なると考えております。内乱とは朝憲紊乱を目的として暴動を起す。で、その目的は、朝憲紊乱というような極端な目的によつて限定されておるのであります。それ以外の政治上の目的を以て騒擾を起した場合におきましては、騒擾罪を以て律せられる、かように考えております。
○伊藤修君 朝憲紊乱とは如何なることを指すのですか。御説明願いましよう。
○政府委員(吉河光貞君) 国家統治の基本組織を指すものと解釈しております。
○伊藤修君 国家統治の基本組織というのは何ですか。
○政府委員(吉河光貞君) 天皇制を初め、国会制度、内閣制度、裁判所制度のごときものを指すものでありまして、日本国憲法に規定せられるこれらの基本的な制度を指すものと考えます。
○伊藤修君 そうしますれば、内乱罪の場合においてはそうした明らかな政治上の目的を指摘しておるに過ぎないのです。而して本法の場合におきましては、広く政治上の目的を以てということをこの騒擾罪の上に冠しておる以上は、広い意味においてはすべてそれは政治上の目的ではないでしようか。特に内乱罪に限つてのみそういう制約をして区別する必要は毫末も認められないと考えるのですが……。
○政府委員(吉河光貞君) 内乱罪は、只今申しました国家統治の基本組織を不法に破壊することを目的とするというふうに、明確に限定付けられておりまして、政治上の目的を持つ騒擾は、それ以外のあらゆる場合が含まれるものと考えております。
○伊藤修君 私のおききしておることは、いわゆる内乱罪において目的としておるところのいわゆる法益というものが、そういう個々のものであるといたしますれば、それをも騒擾罪の場合において、いわゆる本法でいう騒擾罪の場合においては、政治上の目的という概念というものの中に含まれるのじやないかと言つているのであります。広い意味においてはですね。それはすべて政治上の目的じやないのでしようか。
○政府委員(關之君) 広い意味におきましては、お尋ねの通り含まれるのでありまするが、ここに刑法の内乱罪の規定を一号に取上げ、二号に政治上の主義云々の接頭語を冠せまして、刑法第百六條の罪、行為を規定しておりますので、おのずから解釈といたしまして、二号のほうのこの政治上の主義を推進するための騒擾の罪の中からは、内乱の行為は除外されるものと考えております。
○伊藤修君 この破壊活動防止法を制定した趣旨は、現代社会情勢のあり方から考えて、極右極左に対するところのいわゆる破壊活動を取締るためにこの法律を立案したものである、こういう御説明を伺つたのですが、その通りですか。
○政府委員(吉河光貞君) ここに列挙されましたような、極端に悪質な暴力的な行為を行うことは、実際問題として極右極左において行われる可能性がある、かように考えておる次第でございます。
○伊藤修君 そうするといわゆる集団的においてなされるところのいわゆる暴力行為に対しまして、本法を適用しようということが主たる目的であろうと思うのですが、そうですか。
○政府委員(關之君) これは第三條のごとき暴力主義的な破壊活動が団体組織によつて行われた場合に、四條と六條によりましてこれを規制するということと、これらの刑法各規定に載するこれらの行為の第三條の一号のロとハと、そしてヌの行為におきまして、若干の刑罰規定を補正して、これらの行為を処罰する、処分する、かような二つの狙いを持つているわけであります。
○伊藤修君 私のお伺いしておるのは、いわゆる集団的暴力行為、その非を認めてそれを抑制しようというのでこの法律が制定されておるのかと、こういうのです。
○政府委員(關之君) 団体の活動としてかような暴力主義的破壊活動が行われる。かような危險性を除去するというのがこの法律の第一の狙いであるわけであります。
○伊藤修君 然らば本法の企図するところの第一の狙いというものは、本法によつてはずれておるのじやないでしようか。現在の日本の社会のあり方、又は終戰後におけるところの顯著な事実として、全国的にいわゆる右翼団体、又はてき屋、博徒、ごろつき、こうしたところの集団暴力というものは、枚挙にいとまがなかつた事実は、政府当局においても御承知のことと存じます。当法務委員会におきましても、全国に亘りましてこれら四千何百件について調査した事実もあるのです。然るに本法によりますれば、これらの好ましからざるところの団体の集団暴力に対しましては、何ら規制することができないじやないですか。即ちこれらの団体は、いずれも政治的意図をもつて暴力行為を行うものじやないのです。彼らの繩張りの争い、彼らの利欲の争い、その他の目的のために暴力行為が行われることは事実であります。して見ますると、本法によつては、こうしたいわゆる右翼団体と称せられるところのものが、政治上の意図のない場合においては、何ら本法によつて取締ることはできない。して見ますれば、本法を極右、極左に対するところの手当てとして立法されたという、その右翼の面については手ぬかりしておるのじやないですか。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の通り、暴力主義的な活動は、終戰以来極めて広汎且つ多面的に行われておるという事実は認めるものでありますが、この法案におきましては、日本国憲法の下における国家統治の基本組織、並びに基本的な政治方式、言い換えれば、国家社会の基本秩序が平穏に維持されるということ、公共の安全を保護したい、これに対してこれを破壊せんとする暴力主義的な破壊活動を防止したいということが狙いでありまして、あらゆる暴力主義的な活動一切を対象としているのではございません。
○伊藤修君 だから今の御説明によりましても、政府の本法を制定しようとするところの主たる目的が、その一半ははずれておるのじやないかと、こういうのです。して見ますれば、政治上の目的のないあらゆる団体の破壊活動というものは容認していいのですか。これを取締ることが、法務総裁の御説明によりましても、今日緊急欠くべからざることである、こうおつしやつておるのです。して見ますれば、それを見逃して、ただ政治上の意図があるもののみを規制しようというのは、今日の治安対策の安全を期するものとは言い得ないのです。若しこれに対するところの施策を行おうとするならば、立法的措置を行おうとするならば、当然本法においてもそういう面において取締らざるを得ないのではありませんか。そうしなければ、集団暴力の或る一つのグループについては何ら手当をしないということになるのです。それは一般刑法で、若しくは暴力行為等処罰に関する法律でこれを取締ろうとするならば、当然これをもできるということになるのです。この点は立法者のミスであるか、或いは立法者がそういうことは差支えないと言うのか。差支えないとするならば、本法によつて政治活動のみを取締る必要もないということになつて来るのですが……。
○政府委員(關之君) お尋ねのごとく、社会において集団暴力においては、集団暴力はいろいろの種類階層があるわけであります。單純なる町の暴力団から、或いはこの法案に規定するがごとく、暴力行為を集団の力によつて行うというようないろいろの階層があるのであります。その中で、この法案といたしましては、第三條に規定するがごとき、かような暴力主義的な破壊活動を団体の活動として行う暴力主義的なさような団体だけを取締の対象といたしたのであります。その理由といたしましては、勿論考え方としましては、あらゆる団体を取締る必要があるということもあるのでありまするが、第一に考えなければならない点は、この団体規制ということが、昨日も御議論になつたように、憲法の制定する人権と極めてデリケートな関係が生じて来るものであります。そこで国家社会の基本秩序を破壊する最も悪質なるものに限定するのが憲法の精神に合致するゆえんである。その他の点の、これ以外の暴力主義的な破壊活動或いは暴力団体の規制につきましては、只今のところにおきましては、やはり現行の刑法その他の規定によつて賄つて行く。これが憲法の客観的なライン、自由と人権を尊重する憲法の精神に合致して規制をかけて行くというその考え方から、さような点で一線を引いた次第であります。もとより一般的な、集団的な暴力の活動を社会的に見まするならば、勿論好ましからざるものでありまするが、かような第三條に規定するような行為は、我が国家の、社会の安全なる発達の上におきまして、その根本を揺り動かすものでありまして、かようなものと比較いたしまするならば、一般の町の暴力団のごときはやや次のものでありまして、勿論好ましからざるものでありまするが、それがかような四條、六條の規制をかけるのは、憲法の精神から見まして行過ぎではないか、現在のところにおいては、悪質なかような暴力的な破壊活動を行う団体の規制に限るのが、最も憲法の精神に合致するものである。かようなふうに考えまして、この点に一線を引きまして、憲法の精神に従つた次第であります。
○伊藤修君 今の御説明を伺つておりますると、いわゆるあなたの言うこと自体が行過ぎじやないでしようか。政治上の主義若しくは施策を推進するという目的がないものでも、社会秩序を破壊し、国家社会の基本を破壊して行くことには何ら相違はないと思うのです。これらの団体が汽車を転覆し、或いは家屋を焼き、若しくは人を殺傷に至らしめ、その他いろいろなここに規定するがごとき好ましからざるところの暴力行為を集団的に行つた場合において、それと政治上の目的を持つたものと、その間に何らの相違は認められがたいと思うのです。又社会一般の通念からいたしましても、それに甲乙をつけるところの何ものもないと思う。そういうものを罰することは憲法上疑義ありとする、憲法上行過ぎがあるというならば、なお更本法において政治上の目的というものがあるもののみを規制しようということは、当然憲法違反であるということに結論付けられるのじやないですか。あなたの御説明自身が矛盾すると思うのです。
○政府委員(關之君) この第三條の暴力的破壊活動と、これらの要件を備えない騒擾とか或いは殺人の罪と比較して考えてみまして、政府におきましては、かような政治上の目的を持つた暴力主義破壊的活動が、現下の我が国におきまして、民主主義の健全なる発達、国家社会の基本秩序というものに関係し、やはり国家社会のすべてに政治的な関係を持つて来た活動になるわけでありまして、その他の活動もいずれも社会にとつて好ましからざるものではありまするが、かようなものは政治的な目的を持つた行為に比較いたしますと、そこに一線が画される。かような政治的な目的を持つた活動は、国家の存立、社会の存立、民主主義的な存立というものに対して、それを搖り動かすような誠に危險な活動であるから、その範囲に限定するのが憲法上最も正当であると考え、かような規制を設けた次第であります。
○伊藤修君 ここで政治論を申上げようとは思いませんが、私が申すまでもなく、政治というものは生活即政治であつて、生活と政治というものは直結すべきものである。我々の社会生活というものは取りも直さずそれが政治であるのです。社会秩序が紊れ、社会構成が破壊されているようなこの種の右翼団体の暴力行為を外しておいて、ただ表面明らかに政治上の理念を掲げて鬪争しようというもののみに制約しようという考え方は、その根拠において私は誤りがあると思うのです。ひとしく国家社会を破壊することに相違はないと思うのです。区別はないと思うのです。我々の社会生活というものは、暴力団によりまして破壊されておれば、それが取りも直さず政治を破壊することの基礎をなすものではないでしようか。それによつて一線を画するということは、どこに一線が画せられておるのか。
○国務大臣(木村篤太郎君) 只今の伊藤委員のおつしやることは御尤もであります。併しこの法案の狙いとするところは、政治上の主義を推進し、その他の政治的の大きな破壊活動を防ぐことを目的としたのであります。これが現実の問題といたしまして、かような破壊活動というものは大規模に行われるということを予想されるのであります。街の暴力団その他、これは誠に国家秩序から申しまして、どこまでも排除しなければならんことは誠に同感でありますが、規模の点におきましてもおよそ異なつておると我々は考えておるのであります。従いまして街の暴力団であつても、これが政治上の目的を以て、或いは内乱を企図したり、或いは騒擾を来すようなことになりますると、勿論この法案の対象となり、規制されるのは当然であります。要は政治上の主義を推進したり、その他の政治上の目的のために内乱というような、いわゆる大規模な破壊活動、或いは騒擾というような危險な活動、それらのものを規制しておこうというのが目的であります。勿論伊藤委員の言うような、街の暴力団といえども、社会秩序を紊すことにおいては我々は甚だ好ましからざるものと思つて、それに対しては規制の法律を以て十分に賄つて行きたいと考えております。
○伊藤修君 法務総裁は、戰後におけるところのいわゆる右翼団体の暴力団の組織というものについての御造詣が少しく欠けておるのじやないかと思うのです。戰後におきまして、当時御承知の通り三万の子分を擁し、数百万の資金を使い、相当の武器をも貯えており、一朝事あれば爆彈を以て破壊をしようというような組織の下に、アメリカにおけるところのカボネとかいうような型もあつたのです。こうした組織が一朝暴力行為に出でたならば、ここに予想するような団体がなすところの暴力行為以上の結果を招来することは明らかであるのです。又今後といえども、日本の右翼の傾向に強い国民性から考えましても、これらのものに対するところの規制を外しておるならば、法務総裁が本法を提案されたところの理由というもののその大半というものは抹殺されてしまうと思う。真に破壊活動を防止しようというならば、それをも含んでこそ初めてその目的が達成されると考えられるのです。然るに本法においては、その面においてはすべてこれを外してしまつて、ただ明らかに政治上の意図がある場合のみに限つたということは、その間において私は国家の秩序を規制しようとする本法の狙いというものは大半減殺されるのではないかと思うのです。これに対しまして、既成の刑法乃至はその他の法律によつてこれを賄い得るという御説明ならば、何を好んで本法によつてこの政治的意図のある破壊活動に特別の手当をしなくてはならんかという、私は本法提案の理由が根本的に失われるのではないかと思うのです。そうした右翼団体においては、既成法によつてできるというならば、この政治的な意図を目的とするものに対しても、やはり私が昨日申上げましたごとく、既存の法律によつて十分賄い得るという結論に到達せざるを得ないのではないでしようか。
○国務大臣(木村篤太郎君) 街の暴力団体のお話が出ましたが、少くともこの伊藤委員の言われるような大きな組織を持つてするいわゆる右翼団体は、これは恐らくやはり政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対するような目的を以て活動するものであろうと私は考えます。我々の心配しておるのは、右翼団体において将来さような意図を以て破壊的活動をする団体があり得ると予想しておるのであります。これは左翼ばかりではありません。従つてそれらの破壊的活動団体を規制して行こうと考えておる次第であります。そこらの街の暴力団、これらは恐らく社会的の秩序を紊すことにおいては伊藤委員の心配される通りでありますが、それらはその規模において極めて小さく、さような政治的の意図を以てするような破壊的活動団体と比べますと、その秩序を紊す上においては、およそ比較にならんと私どもは考えております。さような群小の破壊的団体に対しては、既成の法規を以て賄い得るものと考えておるのであります。
○伊藤修君 勿論右翼団体が今後政治的において活躍し得るということも考えられます。又そういうことが左翼の団体的活動と相待つて、将来においては日本の大きな課題として残されるでしよう。併しこうした政治的意図がなくとも、街の暴力団体というものが、單に一小部落の暴力団に止まらずして、これが組織的に全国的に瀰漫し得るということは、日本の過去のあり方から申しましても、戰後の実情から申しましても容易に推定し得る事実であります。いわゆる政府の施策よろしきを得ない、又は国民生活というようなものが順次低下して参りますれば、結局は権力に対抗する強い団体に頼らざるを得ないという日本の国民性から申しましても、清水次郎長、大前田英五郎、こういうようなものが幅をきかして、大きな全国的組織を持つということは考えられるのです。又そういうところの国民の一つの気風が残されておるとも言えるのです。そういうものを何ら手当をせずして、そうしてただ政治上のものだけをここで取上げるということでは万全を期していないと思う。又それが既存の法律でできるというならば、先ほど申しましたごとくこれをも従来の既存の法律でできるはずなんです。この点に対しましては、私はなお次の機会において十分お尋ねいたしたいと思います。 次に第二項の団体、これは法令に定める団体以外のものを含むと考えられるのでございますが、その法令に定めたところの団体というものについては明らかだと思います。併し法令で定めない、以外の団体が予想されておるのでありますが、そういうものに対する同一性をどうして認識するか。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の趣旨がはつきりいたしませんが、この第三條第二項で規定いたしておりまする団体は、飽くまで事実に基きましてかような定義に合一致するものを団体として規定したわけでございます。団体は、「特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体」で、これを構成する役職員又は構成員によりまして、その異同を区別し得るものと考えております。
○委員長(小野義夫君) ちよつと御注意申上げますが、長時間に亘る質疑応答でありますから、その席でお坐りになつてやられてもいいと思います。お互いに無礼講で……。
○伊藤修君 今私の質問の趣旨がわからんとおつしやつておるが、私の言うのは、法律で規定しておるところの団体の構成はこれは明らかなんです。例えば会社であるとか、或いは組合であるとか、その他の団体は、この同一性というものは容易に区分できるんです。そうではない団体をもこれは予想しておることは申すまでもないのです。いわゆる法律で規定していない任意の団体の場合において、その団体が甲団体と乙団体との同一性というものがどうして区分できるかというのです。どこに標準を置くのか、抽象的にはあなたの御説明になつたことはよくわかるのですが、それは抽象論であつて、実際の同一性を区分するところの基準というものが法文に明らかになつていないが、それは役職員がたまたま甲の役職員と乙の役職員とが同一の人間があり得ることは、今日の日常生活において見られるところでありましよう。又目的もたまたま同じようなこともあるでございましよう。ただ單に名前が違つておるという団体があり得ると思うんです。若しくは名前が一緒であつて目的が違うというようなことがあるでしよう。殆んど甲と乙との団体の構成分子が同一の場合においてどうしてこの異同を定めるか、いわゆる同一性の認定についてどういう御見解を持つていらつしやるのか、法文においては非常に漠然としておつて、これを容易に判定できないと思うんですが……。
○政府委員(關之君) お尋ねの点は、結局この法律の「特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体」というこの基準によりまして、事実の認定の問題に帰着すると思うのであります。甲団体と乙団体との異同区別、これは只今局長から御答弁申上げたごとく、団体の目的、その成立の動機、或いはその活動の実態、構成員、役職員の使命、或いはその付属の関係というような、諸般の事情も考慮いたしますと、団体の同一性、異同は十分に認定し得るものと考えるのであります。
○伊藤修君 私の申上げるのは事実問題じやなくして、法律においてその基準を明らかにする必要があるのじやないか、法律は親切に書くべきものである。余り抽象過ぎて、これを取扱う行政官吏の便利のみを考えて、国民の便利ということを考えないのではいかんと思うのです。これらの点について考慮せられたいと思います。
○政府委員(關之君) お尋ねの点につきましては、一般的な法文といたしましては、団体という存在の規定といたしましては、「特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体」、かようなふうに規定することを以て一応足りるものであると考えておるのであります。
○伊藤修君 立法論の立法技術を申上げるまでもないけれども、戦後におけるところの日本の法律の大半のあり方といたしましては、過去におけるところの大陸法系とは違つて、英米法系のいわゆる親切な、法律自体で国民がすぐわかるように書くべきことが今日のならわしと思うんです。然るに本法においては、抽象文字を非常に多く使つて、疑義の存するように書れたということは、本法の先ず第一の欠点と言わなくてはならんと思う。 次に、この法人及び労働組合、そういうものがそれぞれの法令によつて、例えば民法の七十一條、商法の五十八條、労働組合法の十五條、これらの規定によりまして、これらの団体が公共に害を與えるような行為をなした場合、或いは法令に違反した場合、或いは刑罰事項を犯した場合、こういうような違法行為がありますれば、いずれもこれらの法規によつて解散を命ぜられることになつておる。然るに本法において、たまたま第三條に列挙されておるような事項、若しくは四條、六條の規制違反を行えば、この団体に対しまして解散を行い得るということになる。この民法、商法、労働組合法等の解散権、解散処分ですね、これらはいずれも司法処分になつておる。この司法処分と本法による行政処分との競合は、どういうふうに解決されるのですか。
○政府委員(關之君) お尋ねの点につきましては、第九條の第一項に、「法人について、第六條の処分が訴訟手続によつてその取消又は変更を求めることのできないことが確定したときは、その法人は、解散する。」というふうに規定いたしたのであります。これは各法人につきまして解散の事由が一つここに添加されて、それぞれの法人の解散の手続に従つて解散の手続が行われる、かように考えている次第であります。
○伊藤修君 今の御説明じやわかりかねます。私のきいておるのは、民法、商法、労働組合法等によつて、司法処分として解散命令がなされる。この解散命令権と本法によるところの解散指定権、あとで又お尋ねしますけれども、この指定は解散そのものを指すものと考えて差支えないか、同様の結果をもたらすものと考えて差支えないか、この法律競合をどうするかと、こういうのです。
○政府委員(吉河光貞君) 只今關政府委員から御説明いたしました通り、法人解散として他の法令に規定されておりまする解散は、法人格の消滅がその内容になつておるのであります。ここで、本法で規定しておりまする第六條の解散は、団体活動の禁止処分でございます。この禁止処分が裁判上争う余地がなくなりました場合におきましては、その団体が法人である場合におきましては、九條によりまして法人格消滅の原因となる、かような関係になつておるのでございます。
○伊藤修君 かような関係になつておることはわかつておるんですよ。そのかような関係になつておる法律競合をどう扱うのか、いわゆるいずれが優先するのか、こう申上げておるのです。本法によるところの解散指定と、民法商法、労働組合法によるところの司法処分としての解散とが、いずれが優劣するのか、一方が排せられるのか、その点をお伺いしておるのです。
○政府委員(關之君) 第九條によりまして、「法人について、第六條の処分が訴訟手続によつてその取消又は変更を求めることのできないことが確定したときは、その法人は、解散する。」この九條によつてかような処分を受けて、その処分が確定したこの法人は、この規定によつて解散するのであります。あとは解散した法人が各法令によつて解散の手続を行う、かようなことになつておりまして、これは各それぞれの法律に規定してある解散の原因のほかに、これらの事由が一つ添加されたものである。そこには競合的な関係はなく、新たに添加されたものである、かように解釈しているのであります。
○伊藤修君 いわゆる解散権というものが、これらの司法処分によるところの解散権と、改めて本法によるところの解散の結果をもたらすところの命令とが、新たにここに加えられたという御説明である。そういたしますと、基本的にやはりこの解散……昨日もお伺いしましたが、基本的にはその解散指令というものは、司法処分の形態を残しておるものじやないかと思う。本質はやはり司法処分じやないか、こういう結論が出て来るのであります。そこの区別はどうですか。
○政府委員(關之君) 御承知のごとく、今日法人制度の解散は、特に許可の取消であるとか、或いは各種の強制解散の制度は、或いは非訟事件手続により行われる場合もありますれば、或いは単なる行政庁の行政行為によつて行われる事例があるのでありまして、而もこれらは後の事例のほうが多いのであります。これらを通じまして、この法律におきまして新たに解散の原因を一つ附加した、かようなふうに考えている次第であります。
○伊藤修君 この点に対しまして、あなたの説明では法律的に説明がなつていないと思うのです。後に又これは重ねて御質問申上げます。 次に、或る団体の支部が若しくは分会が、本法に規定するがごとき破壊活動をしたという場合吉においては、その分会の行為責任が本部にも及ぶのかどうか。分会だけで以て責任を負うのか。本部は何らそれにあずかり知らん場合において、本部はこれによつて規制されることはないのかどうか。又それと反対の場合、本部の構成員がかような行為があつた場合において、分会、支部というものは、本法によるところの規制の結果を負わざるを得ないのかどうか。この点はどうか。
○政府委員(吉河光貞君) お答えします。分会その他の下部組織は、規制の対象となる場合におきましては、それが分会としての意思決定をなし得る、その意思決定に基いて分会の構成員がその実現のために活動するものでなければなりません。かような団体、かような分会が暴力主義的な破壊活動を行なつて、更に将来暴力主義的な破壊活動を行う明白な危険が存する場合におきましては、この分会を対象といたしまして規制を行うのでありますが、本部がこれと、かような暴力主義的破壊活動を分会が行うことにつきまして何ら関係のない場合におきましては、本部は対象外になるものと考えております。併しながら他面、本部が行なつた場合はどうか。本部の活動がその団体全体の活動として認められる場合におきましては、分会を含めて全体が対象となる場合もある、かように考えております。
○伊藤修君 これが昨日お伺いしたところの問題にも関連して来るのです。いわゆる本部のみの構成において、たまたまここに規定するがごとき違法行為をなした場合において、何らこれに関知せざるところの分会の構成組織というものが、その本部の違法行為の結果を背負わざるを得ないということは、いわゆる団体としての連坐の観念がここに規定されることになるのじやないか、こういうことになる。非常に不合理の結果になるのです。今日御承知の通り、例えば政党の場合において、本部と県連支部というものは一つの繋りはありますけれども、その組織体においては、県連支部は別に活動をしておるわけであります。この県連支部が本部のたまたま誤つた行為をすべき転嫁されるという非常に不合理な結果を招来する。刑法にいうところの連坐的な違法的な増え方がここに是認されるという結果を招来するのじやないか。この点を私は指摘したいのです。
○政府委員(吉河光貞君) 具体的な場合に、団体によりまして、本部、支部の結合関係がどういうように組合わされているかということは、実際の問題として解決されなければならない問題であると考えておるのでありますが、その団体が全体として、意思決定の権限を本部に與えて、その本部の意思決定を団体全体の意思決定として活動する場合におきましては、支部その他の下部組織は当然この本部の意思決定に拘束されて活動することに相成るのであると考えるのであります。さような団体におきましては、本部の意思決定があり、それに基いて役職員、構成員が活動した場合におきましては、団体全体として活動があつたものと考えるのでございます。
○伊藤修君 次に、団体の役職員が一人又は数人が異なるところの団体に同時に加入しておる場合があり得ると思うのですが、その場合において、甲の団体においての構成員が、たまたま本法に定むるごとき破壊活動をした場合において、その役職員に及ぼすところの影響というものは、いわゆる甲の役職員として、この本法に定めるところの規制がなされるのか、又乙の役職員のほうへも及ぶのかどうか、おわかりになりますか。
○政府委員(關之君) お尋ねの点は、団体の同一性、甲の団体と乙の団体との異同ということが問題の中心であると考うるのであります。如何なる団体が如何なる意思決定をして、如何なる活動をしたかというこの基本の考え方を以ていたしますならば、その場合も十分に判定し得まして、要するにその決定をした団体のみに対してその規制を行うと、かようなことに相成るのであります。
○伊藤修君 いや、団体の同一性の場合も問題は起りましようが、そうでなくして、団体は甲と乙と建つておる。はつきり違つておる。併しその構成員は甲と乙とに同時に関係があるという場合において、たまたま甲の団体の構成員が本法に定めるごとき違法行違をなしたという場合において、その甲の団体は破壊活動の団体と認定されたと、こういう場合において、その役職員は同時に乙の役職員もしておる。乙の役職員に対するところの関係はどうか……。
○政府委員(關之君) お尋ねの設例は、甲、乙二つの団体がありまして、或る一人の人が甲と乙との両方の団体の役職員であつた。その場合において、甲のほうにおいて或る意思決定をなして破壊活動が行われた。その場合乙のほうの団体にどういうような影響を及ぼすか、かようなお尋ねと拝承いたしますが、その場合は、その法案の対象として一応考えられるのは甲だけでありまして、乙のほうには関係がないものと思うのであります。
○伊藤修君 この法律においては、広く団体と指しております。従つて団体の中においては地方公共団体もあるでしよう。その他の公の団体もあるでしよう。こういうものをも本法において対象となる団体として含まれるかどうか。
○政府委員(關之君) お尋ねの点につきましては、この第三條第二項に規定する団体の中からは、次のようなものが現行の他の法律との解釈におきまして、当然除外さるるものと考えておるのであります。 第一には、親族的な結合体は、当然さようなものの解散とか、その規制の内容から見まして、当然さようなものがこの法案の対象となる団体であることは考えられないのであります。 次には、国は申すまでもなく、地方公共団体は当然これらから除外されるのであります。これは地方公共団体が憲法に基くものでありまして、而も法律によつて国家の統治権をそれぞれ分担しておるものでありまするから、かようなものを単なるこの行政の処分によりまして、解散するということは到底考えられないのであります。 又次に、このほかにその設立が、例えて申しますならば日本銀行のごとく、法律によりまして強制されておる。その団体を廃止するには、法律の廃止を要するというような関係にあるところの団体につきましては、単なるこの行政処分によつてこの法律団体の解散ということは考えられない。 かような次第によりまして、以上申上げましたごとき団体は、この団体の範囲外のものであるというふうに考えておるわけであります。
○伊藤修君 地方公共団体が、今日においては地方分権的な、いわゆる自治制をとつておる以上、その団体がたまたま中央の政策に対しまして反対を表明し、それに従わずという考え方の下に、これらの団体が本法に規定するがごとき事項をなした場合において、処分ができないということになるのですか。若しそういうようなことがありといたしますならば、果してどういう法律によつてこれを規制して行こうとするのでありますか。又今後或る思想団体のかたがたが、その親族一同だけで以て、いわゆる民法にいうところの親族共同体だけで以て組織して、これらによつて破壊活動をなしたという場合において、果して本法によつて規制できないということになりますれば、その点においても大きな私は穴があるのではないか。又日本銀行、今設例されましたが、日本銀行はそんなことはあり得ないと思いますが、併しどんな社会情勢の変化によつて、日本銀行の全員が団結しまして、日本の貨幣制度、通貨制度というものを変更しようという目的のために、これのこういうふうな暴力行為がたまたまあつたといたしましたならば、それに適応できないという大きな不合理をこの法文自体から発見できるのではないか。これらに対してどういうような処置をとろうとなさるのですか。
○政府委員(關之君) お尋ねの点につきましては、先ず第一に、地方公共団体の点から考えて見まするに、地方公共団体自体を解散するということは、今申上げましたような理由で、この條文によつては不可能と思うのであります。併し設例を考えて見まするに、恐らくさような場合は、地方公共団体という団体でなくて、そこに勤務する或る種の人々が別個の一つの団体を作つて、さような破壊活動をなすものであるというようなこともあろうかと存ずるのであります。さように相成りまするならば、その別個というか、一つのかような破壊活動をなす目的を持つてその理事者或いは職員などが結成した団体に向つてその規制をなす、かようなことに相成ると思うのであります。又その親族団体の、血縁団体の問題でありますが、これも恐らく同じようなふうに、一つの固有の目的を持つて、そこに新たな一つの団体を結成して、各種の破壊的な活動を行うというようなふうに考えるべき事例が多かろうかと思うのであります。その他日本銀行と申されました、そのような説例の場合におきましても、そこに勤務するところの職員が、かような目的を持つた別個な一つの団体を作つたというふうに解釈すべき事例が多かろうと思うのであります。さように考えまして処置すべきものであるかと思うのであります。而して地方公共団体或いはさような法律の強制によるところの団体自体の解散の問題につきましては、これはやはり一つの法律によつて、処置すべきものでありまして、この法案ではそれらの団体自体の解散ということは到底考えられないと思つておるのであります。
○伊藤修君 これは、まあ他の地方公共団体及び日本銀行の設例は議論だけであろうと思うのであります。併し親族の共同体、これが一団となつて或る種のことを企図するということはあり得ると思います。この関係を雇傭関係であろうというふうに解釈されることは、これは私は時宜に適しないと思うのです。恐らくさような場合において、雇傭関係の親族間において特段に定める必要もなし、又定めることがむしろ常識に反すると思うのですが、親族の結合ということによつて成る種の一つの目的を達成すると、その数は或いは少数であろうかも知れん。併しそこから発せられるところの指令というものは、その結果は重大なものでなくてはならんと思うのです。そういう場合においていわゆる民法の規定から制約されまして、これに対して本法の適用がないということになりますれば、この点に対するところの法律的措置というものがむしろ考えられなくちやならんと思うのであります。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。親族団体それ自体が団体活動として暴力主義的な破壊活動をやるということは考えられないところではなかろうか。たまたまその親族団体の構成員として別個な団体がそこに結成されて破壊活動を行うとかいう場合は考えられまするが、血縁団体それ自体が一つの暴力主義的な破壊活動をなすということは考えられないのではなかろうかと確信しております。
○伊藤修君 今のお考え方は甘いです。例えばこの前のバラバラ事件がそうじやないですか。親子が血縁ということによつて結合している。それ以外に、これは夫の何がしをバラバラにしようという別個な団体を組織してバラバラにしたわけではないですよ。(笑声)さようなお考えはちよつと実情にうとい認識だと思うのです。そんな御認識では、今後におけるところの日本の社会を保つて行こうという重大な責任に就くことはできませんよ。
○政府委員(吉河光貞君) 妻が夫を殺すということは、団体活動にはならないんじやないかと考えておりますが、自然的な血族団体それ自体が、只今申しました通り団体活動として、その団体の目的を達成するための団体活動として、暴力主義的な破壊活動をするというようなことはあり得ないと考えております。
○伊藤修君 余りそこは議論していると時間がかりますので…第四條ですね、これは私は昨日も申しました通り、行政処分にあらずして司法処分として行うべきである、こう考えるのですが、現在の世界の法律のあり方といたしましても、又日本の法律のあり方といたしましても、先に刑法仮案におきましては、こうした保安処分、監護処分というものは刑法仮案においてもとり上げておるのです。いわゆる司法処分としてとり上げておる。又現行法において現在の日本の法律体制から申しましても、例えば少年法の場合であるとか、或いは先ほど例示いたしました労働組合の解散の場合であるとか、いずれも司法処分に委ねられておる。でありますから、私は本法の場合においてもやはり司法処分に委ねるべき本来の素質を持つておるのではないか。 いわゆる行政処分にこの保安処分というもの、監護処分というものを委ねて行くあり方というものは、これは非常な法律体制を乱すところの大きな原因をここに植えつけるものではないかと思うのであります。
○政府委員(關之君) 団体の解散或いは団体の規制という問題につきまして、特にこの四條、六條の場合でありまするが、これが司法処分を以て行うべきものであるという御意見でありまするが、これにつきましては先日法務総裁よりお答えいたしたごとく、団体が団体の活動として暴力主義的破壊活動を行なつた、かような団体がここにありまして、それが継続又は反復して将来更に団体の活動として暴力的破壊活動を行う明らかな虞れがある場合には、第四條に掲げる一号、二号、三号の処分、或いは万止むを得ない場合には解散の措置をとる、かようなことに相成るわけであります。この考え方といたしましては、要するに団体の将来の暴力主義的破壊活動をなす、その虞れを除去するということに相成るわけでございます。これは昨日も法務総裁よりお答えいたしたごとく、かような危険なる、社会国家の基本秩序に対して誠に危険というか、危険な活動を団体活動として行う、その素地を排除するということに相成るのでありまして、これは国家の治安の一つの根本策に関係する問題と相成るのであります。従いましてこれらは行政権を持つ内閣がその全責任を持つて行なつて、その行なつた或る行為に対しまして裁判所が適法なりや違法なりやを判断する、かようなシステムをとるのが憲法の司法権と行政権とを対立さしたことに合致すると思うのであります。司法権は御承知のごとく裁判所法によつて訴訟に関するものを扱うのでありまして、民事刑事の裁判のほかに特定なる法律によつて委嘱された事務を行うのでありますが、かような仕事を一人又は三人の裁判官に委ねられまして、治安に対しまして全責任を負うということは、やはり行政権と司法権を対立さした憲法の精神から見まして私は相当でないものと思うのであります。かような意味におきまして、第四條及び第六條の処分は、やはり国家の治安に対しまして第一線的な責任を負う内閣が責任を持つてこれを処理いたし、その結果に基いて裁判所が審査をいたす、かようなシステムをとるのが最も公正であり妥当であると考えている次第であります。
○伊藤修君 それは先ほども伺いまして、いわゆる公正妥当だとお考えであるけれども、アメリカのこの種の法律に対しまして、いわゆるトルーマン大統領が拒否権を行使したのもこの一点が先ず一つ、次にいま一点の思想統制というこの二点によつて署名を拒否いたしたのであります。そういう事実もあるじやないですか。だからあなたがやすやすと今御答弁になるような問題じやないと思うのです。今日の日本の立法例から見ましても、いわゆる保安処分、監護処分というものを行政処分にすべて委ねて行くというあり方はあり得ないのです。刑法仮案におきましても、これはまさに刑法の面において賄うべきものである。殊に強制の伴うところの国家行為というものに対しましては、すべて刑法法規によつてこれを賄うのが今日の法律体制のあり方じやないですか。あなたたちの権利、いわゆる行政権というものを無限に拡大して行くということは恐るべき結果を招来いたしますと思います。この点に対しましては特別強い反省を促したいと思います。
○政府委員(吉河光貞君) 現在の日本の法令におきましては、純然たる行政処分を以ちまして、法人又は団体の解散を命ずる事例は極めて多いのでございまして、現行法におきましては、民法七十一條或いは私立学校法六十二條、事業者団体法八條、水産業協同組合法第百二十四條、消費生活協同組合伝第九十五條、農業災害補償法第八十條、健康保険法第三十九條等の事例があるのでございます。又将来実害が起きる可能性を基礎といたしまして、行政処分を以て事前に保安の措置を講ずるというような例は、警察官等職務執行法、消防法、鉱山保安法、監獄法、精神衛生法、優生保護法等におきましてもその事例があるのでございまして、こという法律の根柢に横たわつておる法理は、やはり将来実害発生の現実の危険性を基礎といたしまして、行政措置を以て必要な保安上の措置がとり得る建前を規定したものと考えております。
○伊藤修君 今たくさん並べられましたが、それに対しましては、一々これは今後御質問申上げますから、十分御研究になつておいて頂きたいと思います。 本法において、官報で以て公示したときにおいてはその決定が効力を生ずるということになつておるようですが、若しその後において無罪の判決があつた場合においてはどうなるのですか。
○政府委員(關之君) お尋ねの御趣旨は、委員会の決定を官報によつて公示してこれが効力を発生した、その後この決定に対しまして行政訴訟が提起された、そうして同時に決定に対して違反ということが考えられまして、犯罪として刑事裁判所に起訴されて事件が形成する、そういう場合にどうなるかというお尋ねの御趣旨と思うのであります。この点につきましては、若し刑事事件としてこの決定違反の行為が裁判所に係属中に、行政処分が無効であるとして取消された場合には、その刑事事件は刑事訴訟法上無罪になるものと思うのであります。
○伊藤修君 その場合において、刑事事件のほうが無罪になつた場合にはどうなるんですか、すでになされたところの団体に対するところの規制の効力はどうなるかということですね。
○政府委員(關之君) 刑事事件のほうは、逆に処分に対する適法なりや違法なりやの裁判には影響を及ぼさないものと思うのであります。それは、それ一つとして独立に裁判所の審判の対象となつて進行するものであると思うのであります。
○伊藤修君 私のお尋ねすることは、いわゆる暴力行為として刑事法規によつて処罰されることが前提として、そういうような破壊活動をしているから、その団体は団体として暴力行為をして、いるんだという認定の下に団体を規制するのですが、その根本原因たるところの暴力行為が無罪になれば、その基礎を失うのじやないですか。そういたしますれば、いわゆる行政処置としてなされたところのいわゆる団体の規制というものはその根底がなくなつて来るのですが、その場合において、すでになされたところの団体に対するところの規制の効力はどうなるのか、こういうことを聞いているんです。
○政府委員(關之君) 行政処分が無効として取消された場合には、刑事事件として訴追されている犯罪の構成要件がそこで消滅する、かようにそこに無罪として因果関係が生ずるのであります。ところがお尋ねのような刑事事件は、構成員の個々の刑事責任として訴追されているのであります。併し行政処分のほうはその団体が団体の活動として暴力主義的活動を行なつたか、或いは将来行う危險性があるか否かという観点から審判の対象となつているのでありまして、そこには今申上げたような行政処分が無効として取消されたときに、その行政処分を犯罪の構成要件として訴追された刑事事件との関係とは全く別個の関係になるのでありまして、それぞれ別々に裁判所の独自な判断の裁判に委ねられることと思うのであります。
○伊藤修君 私のお尋ねすることがおわかりになつておらんと思います。私のお尋ねしているのは、個人の破壊活動がありとして、いわゆる殺人なら殺人というものを行なつたと、その個人が団体の構成員であるから、だからその団体は破壊活動をする団体であると認定して、そうしてこの本法に定める手続を経て団体の規制をした、こういう場合ですね。その場合に、その個人は別個の刑事法廷において無罪の判決を受けてしまつた。そうするとあなたたちが破壊活動をする団体と認定したことの根底がなくなつてしまうのじやないか、その場合にこの規制の決定はどうするのかと、こういうのです。本法においてはそれは少しも賄なつていないのたが、どうするのかというのです。
○政府委員(關之君) お尋ねの説明におきまして、その刑事事件だけが一つの唯一の資料として……。
○伊藤修君 唯一の資料の場合でいいんですよ。ほかの場合日を言わんで、唯一の資料の場合だけはどうするかというのです。
○政府委員(關之君) 唯一の資料であつて、行政処分の上から、その一つだけの資料を以て団体が破壊活動を行なつたものであるとして提訴した場合、かような設例を考えて見まするのに、その場合におきましても、私はやはり前にお答え申上げたような法律論に相成ると思うのであります。行政処分が無効となつた場合には、その前提となつた行政処分が無効でありますからして、その行政処分を違法行為の内容とするものは犯罪の要件がなくなるわけですから、当然にそれは刑事訴訟上の法律によりまして、法律の掲げる各條項によりまして無罪となるわけであります。その間には、前が無効になつたからしてあとが必ず無効になるという因果関係が法律上規定されているわけであります。併し後の場合には、これは別個の裁判所で扱うわけでありますからして、それぞれ独自の判断を下されるわけであります。それは同一の恐らくケースが二つの裁判所に提出されて、一つの裁判所によつて有罪と認定し、他の裁判所において無罪と認定されたがごとき場合があると、異なつた訴訟でありますから、そのそれぞれの裁判所が独自の御判断においてそれぞれ独自の判決を下される、さようなことに相成ると思うのであります。
○伊藤修君 あなたは私の言うことがわからないのですか。(「ごまかしてるんだよ、ナチスだ」と呼ぶ者あり)私のお聞きしていることは、いいですか。暴力行為をしたという、構成員が暴力行為をしたと、だからその団体は破壊活動をする団体だと認定された場合ですね。それによつて解散命令その他第四條に定める規制処分をしたと、こういうのです。そういう決定を通知したあとで、通知したあとで別に訴訟も何も起らない。決定を通知したあと、そこまでのことを言つてるのです。その決定は有効でしよう。そのときにたまたまその破壊活動をしたという団体の構成員が刑事裁判所において無罪の判決を受けたということになれば、そういう破壊活動をしていない、暴力行為をしていないということになるのじやないのですか。公明正大な人だということになる。その事実を基礎としてその団体を規制してしまつたのですよ。そうして決定を出してしまつたのですよ。その場合にどうするのかと、こう聞いているのです。
○政府委員(關之君) お尋ねの点については、やはり先ほどお答えしたごとく、二つのその事実に対する認定権者が違うのでありまするからして、あとの刑事事件が或いは無罪になつても、別のほうには影響いたさない。前のほうは前のほうで若し訴訟が提起され、そこで確定いたすものでありますれば、そのままそこで確定いたす、かようなことに相成るのであります。(「ナチスだ、ごまかしている」と呼ぶ者あり)
○伊藤修君 そんなばかな議論は議論になつていないですよ。あなたはそんなことで以て委員会が通ると思うか。わからなければあとで答弁されてもいい。それでは答弁になつていませんよ。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の点につきましては、後に法制意見長官なり、或いは法務総裁から更に重ねてお答えいたします。
○伊藤修君 間違つた答弁で押付けるということはこれは侮辱するものです。 本條の第一項の、「当該団体が継続又は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由」と、こういう表現を用いるこの具体的な一つ説明をお願いいたします。
○政府委員(吉河光貞君) 具体的なる例は現実の問題でございますが、たとえといたしまして一つの設例を設けることにいたします。特定の団体が暴力主義的な破壊活動を行うことによつて政治目的を達成するというような一つの運動方針を成立いたしまして、この運動方針に基きまして、過去におきまして暴力主義的破壊活動をやるという意思決定を以てそういう行為をやつたと、更にこの運動方針を持続堅持いたしまして、さような暴力主義的破壊活動を将来も繰返すというような事実が、危険性が証拠によつて認められる場合におきましては、これに該当する一つの例になるのではなかろうかと考えております。
○伊藤修君 そういたしますと、第十九條の第二項の、公安調査庁の長官が処分請求書に添附すべき証拠として、実証すべき事項として、これらの事項についても証拠を添附することになるのかどうか。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の通りでございます。
○伊藤修君 次に「地域」と、こういう表現が用いられて、おるようですが、この「地域」は例えば日本全国と、こういうふうに規定しても差支えないのですか。
○政府委員(吉河光貞君) 結局この地域の定め方は「必要且つ相当な限度」において定められなければならない。その基礎は当該団体の活動範囲というような点を基礎といたしまして行政上の区画によつて定められるというように考えております。
○伊藤修君 行政上の区画によつて定めるということは、この法文において明らかになつていないのですが、漫然ただ「地域」という表現とは広きに失すのではないか。これは何らかその点の明示すべき必要があるのではないでしようか。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の点は御尤もであると思うのでありますが、御承知の通り四條におきましても、「そのおそれを除去するために必要且つ相当な限度をこえてはならない。」というように謳つてありますので、地域が必要最小限度の範囲においてきめられると考えておる次第でございます。
○伊藤修君 本條において集団示威運動、それから集団行進、公開の集合、こういう区別をしておるのですが、これを例えば規制する場合において、集団運動はなしてはならない、或いは集団行進はなしてはならない、若しくは集団集会はなしてはならない、こういうふうな個々別々な規制をなさるつもりですか。法文の書き方から見れば、一つ一つ独立しておりますから、そういうことはなし得ると思うのですが、その点はどうですか。
○政府委員(關之君) この場合におきましては一号で申上げますと、「当該暴力主義的破壊活動が集団示威運動、集団行進又は公開の集会において行われたものである場合においては、」とかように書いてあるわけであります。従いまして個々に考えるのが建前でありまするが、例えて申しますならば、当該暴力主義的破壊活動が集団示威運動と公開の集会で同時に行われるというような場合には、次の規制のあれとして集団示威運動と公開の集会を併せて禁止するということが考えられるのでありますが、考え方としてはそれぞれかように挙げたものを個々に考えて、個々に規制して行く、かように考えておる次第であります。
○伊藤修君 今の御説明によると、結局この法文の書き方からいたしましても、個々に規制することができると考えられるのですが、例えば集団行進というようなものは、集団公開を前提としておる場合がありますが、そういう場合においてただ集団行進だけを規制して公開のほうを規制しないということになれば不合理な結果になると思うのですが、そういう場合において両者を一括してやられるつもりですが、或いはその場合において個々に、例えば集団行進だけをとめて、集団公開は野放しにすると、こういう考え方ですかどうですか。
○政府委員(關之君) お尋ねの点につきましては、一号に書いてあります「当該暴力主義的破壊活動が集団示威運動、集団行進又は公開の集会において行われたものである」か否か、かような一つのことを基礎に置きまして、「そのおそれを除去するために必要且つ相当な限度」という四條の但し書のことを基本に置きまして、これらの両方を総合的に考えまして必要である最小限度において、この三者のうちの一つ或いはその前のことまで規制するというようなことに相成るかと思うのであります。
○伊藤修君 本法において公開ということが特に表示されておりますが、例えば非公開の集団集会の場合は適用にならないことになるのですか、それによつてこの目的が達成されるのですか。
○政府委員(關之君) 非公開の場合は規制の対象とはいたさないのであります。これは暴力主義的破壊活動の行われる形態は種々さまざまのものがあろうかと考えるのであります。併しながらこの四條の団体活動の制限として行う規制につきましては、ここに掲げたような一号、二号、三号の範囲に限定して規定いたしておるのであります。
○伊藤修君 それは以てのほかではないですか、一体破壊活動するような活動というものは公開の席で行うことはむしろ少い。非公開において行われることが最も多い事例であろうと思うのです。然るにその非公開の場合はこの法律は頬被りで通つて行つてしまう。公開でやる場合だけを規制してしまう。それは頭隠して尻隠さず、何ら法律の目的は達し得ない。この点において全部抜けてしまうのではないでしようか。非公開でどんどんやつておつて、あなたたちの一番恐れるところの破壊活動というものは、非公開で決定されて推進されて行くということになれば、何にもならない。そういうことを特に法律で教えるようなものです。この法律はその点においては穴抜けになつてしまうのです、如何ですか。
○政府委員(吉河光貞君) お答え申上げます。制限的な規制処分をなす場合におきましては、只今のような団体の対外的な活動といたしまして集団示威運動、集団行進或いは公開の集会を規制する場合もございます。又機関誌紙の発行を停止するような場合もございますが、これと関連いたしまして、少くとも暴力主義的破壊活動に關與した特定の役職員又は構成員に当該団体のためにする行為をさせることを禁止することができる、この程度の制限的な禁止処分を以て団体の規制を行う、どうしてもこういう規制処分では賄えないというような事態になりまして、それが六條の要件を充たす場合におきましては、団体の全面的な活動禁止処分を下す、こういうような建前にしておるのであります。
○伊藤修君 六條の最後の解散の指定を宣告する場合はそれでよろしい。指定を宣告するに至らざる第四條によつて規制しようという場合においては、主たる目的が底抜けだと、こう言うのです。立案の場合においてそういうことを考えなかつたかどうか、こう言うのです。
○政府委員(關之君) お答えいたします。一号、二号におきましては団体の外面的な危険な活動を防止するというように考えて、それだけの範囲に限定しております。内部的な問題になりますと、そこにいろいろな複雑な問題が生じますので、この程度の外面的な活動の規制だけにとどめておくのが妥当である。同時にこの三号の措置があるのでありますが、この一号、二号、三号の各号にございます規制をそれぞれ「必要且つ相当な限度」においてこれをいたしますならば、団体の活動としての制限へその団体の全体としての存続は認めるが、ただ部分的な制限だけをするというこの第四條の法の建前から見ますると、一号、二号、三号の各号にありまする規制措置を必要且つ相当な限度において運用いたしまするならば、この点目的を達するものであるとてかように考えましてこのような規定にいたした次第であります。
○伊藤修君 一部の目的を達成することを以て満足されれば結構です。併し声を大にして本法をどうしても通さなければならないとおつしやるならば、こういう点も考えなければならないと、こう言うのです。 次に集団示威運動、集団行進、公開の集会、こういうことを規制する結果といたしまして、若し労働組合がこの規制処分に会う場合においては、労働組合若しくはその他の労働関係の法規に基いて與えられたところの労働運動というものは全面的に禁止される結果になし、いわゆる労働法関係とこの本法との競合をどう措置するか、その場合においては、この本法によつて、労働法によつて與えられたところの労働組合の権利というものは、すべて制約される結果になつても当然仕方がない、こういう考え方か、その点について。
○政府委員(吉河光貞君) 先般来法務総裁からも御答弁申上げた通り、現在の労働組合がこの法案に規定しておりますような暴力主義的な破壊活動を行い、更にそれに継続又は反覆して将来又これを行うというような危険を持つということは到底想像できないのでありまして、万一かような活動を行うような場合におきましては、それはその実体が最早労働組合ではなかろう、で若しかような場合におきまして本法の規制処分が発動されまして、その団体の活動が制限されるということは止むを得ないことであると考えておる次第なのでございます。
○伊藤修君 あなたの頭はもう少し解かなければいかんですよ。いいですか、破壊活動をする団体というものは世の中に一つもないはずですよ。およそ団体を組織して公然として社会活動をする以上はそんな団体があろうはずがないのです。勿論法務総裁がおつしやる通り、そんな団体、組合なんというものはあるわけがないのですよ。併したまたま構成員のうちで一部の人がそういうことを行なつた場合において、それによつて認定されるのです。認定権をあなたたち持つているのです。そんな団体はないはずだが、認定されれば仕方がない。その認定された場合においてどうなるのかというのです。そんな違法なことをする団体があろうはずがないのです。不幸にしてあなたたちの独裁によつて認定された場合に、その組合というものは憲法によつて與えられたところの労働者の権利というものが全部制約される結果になるのじやないかと、こう言うのです。それは本法と労働関係法規との競合をどう調整するのか、それはもう顧みないのだ、あなたの最初に言うそんな暴力団体には権利は與えないのだと、こう一概に言い切つてしまうのかどうか。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。公然と社会に活動されている労働組合の構成員がたまたま暴力主義的な破壊活動を行なつたということをとらえまして、この法案による規制をかけるということは絶対にあり得ない事実であると確信しております。
○伊藤修君 絶対にあり得るのですよ、それは。あなたの過去のお取扱いの方法から言いますならば私は信頼できない、又国民も信頼できないと思えばこそ本法について声を大にして反対をしておるのです。
○羽仁五郎君 法務総裁どうしたのですか。
○委員長(小野義夫君) 今止むを得ざる用事で出ております。
○伊藤修君 本條第一項に列挙してあります規制処分ですね、これは法文の書き方から言えば一回限りのようにも見えるのです。併し二回、三回と行い得るとも又解釈上出て来るのですが、この点はどうですか。
○政府委員(關之君) お尋ねのごとく、この條件に該当いたします場合におきましては、一回のみならず、場合によりましては二回もかけるものとかように考えております。
○伊藤修君 そういたしますと、本法においていわゆる過去におけるところの日本の官庁のあり方、即ち盥廻し的に何回もやつて、無限にとにかく抑圧されるという虞れがあると思うのですが、その点はどうですか。
○政府委員(吉河光貞君) 只今關政府委員からお答え申上げました通り、継続又は反覆して団体の活動として暴力主義的な破壊活動を行う明らかな虞れが認定されまするならば、これは規制を繰返すこともやむを得ない建前になつております。
○伊藤修君 恐るべき結果であると思う。 次に、第一項第二号に「機関誌紙」とありますが、これは特定の団体が発行するものは包括的に機関誌紙として名前の如何にかかわらずそれを禁止するという趣旨になるのか、或いはその特定の題号のもの、たけということになるのか、先ずその点を伺いたい。
○政府委員(關之君) 「団体がその目的、主義、方針等を主張し、通報し、又は宣伝するために継続的に刊行する出版物」でありまして、特定の題号を持つたものだけに限定されておるわけではないのでありまして、要するに継続的に刊行する出版物はその目的、主義、方針等を通報する、かような内容を持つておるものでありまするならば、これは機関誌紙と考えておるわけであります。
○伊藤修君 今のお答によりますると、その団体の発行するものはすべてこれを禁止するという結果になると思うのですが、例えばパンフレツトを出すということも、これを月に二回出すとか一回出すとかいうことになれば、継続という一つの概念で応用されまするから、これをも禁止するという結果になりまして、すべてその団体が発行するものは一切合切禁止するという結果を招来するのではないですか、余りに広きに失し、又法文の立て方から言つても非常に不合理ではないですか。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。ここでは、例えば団体がいろいろな出版物を刊行いたしております、そのうちで機関誌紙として特定の機関誌紙が問題になる、その機関誌紙を発刊停止処分をする、その機関誌紙と実質的に同一なものは発行できない、だがそれ以外のものは発行できるというような建前になつておるのでございまして、例えば一つの機関紙を特定の題号を以て発行しておる、これが禁止されると題号を変えただけで、その他紙面の内容、体裁すべてが同一のものを発行してよろしいかというと、それは実質的に見て同一のものであれば、それは発行できない。併しそれ以外に理論雑誌を発行しておる、パンフレツトを発行しておるというようなものは、機関紙が発行停止されました場合においても、そこまでは及ばない、かように考えておるのでございます。
○伊藤修君 そうするというと体裁によつて区別できるわけですか。いわゆるタブロイド版が新聞紙一ページ大になり、二ページ大になるという形式によつて区別するわけですか。
○政府委員(關之君) 二号の規制処分は当該暴力主義的破壊活動が機関紙によつて行われた場合において、その当該機関紙に対して行う規制であります。従いまして、問題はその機関紙の同一性の判断をどこでするかということに相成るのであります。これにつきましては実質的な意味におきまして、その機関紙に同一性があるか否かという点によつて判断いたさなければならないのでありまして、題名だけで以て、それが同一であり、異なるというふうには、それだけで断定できない問題であろうと思うのであります。その目的、主義、方針の主張の内容であるとか、或いは又発行の回数であるとか、或いはその出版物の団体における役割とか機能とか、各種のものを総合的に包括いたしまして、前の機関紙とあとの機関紙とが同一性があると認定すべき問題だと考えておるわけであります。
○伊藤修君 吉川君の答弁と關君の答弁とでは捕捉しがたい。要するに私は機関紙の同一性について伺つておるのですが、どこに基準を置くのか、こう言うのです。あなたたちは漫然、あなたたちが神様みたいに認定すればいいというつもりがあるからそういうことを言つておるので、受ける国民側に立つて見て御覧なさい、どこに基準を置いてこれが制約されるのかということが一番知りたいところなんです。だからその基準をはつきりなさつて頂きたい、いわゆる機関紙の同一性というものに対してはつきり法文で明らかにするか、少くともあなたたちの答弁によつて明らかにするか、いずれかしなくてはよりどころがないんです。だから形式において同一性を認定するのか、内容において認定するのか、題号によつてはしないとおつしやるのか、いわゆる刊行の度数によつてするのか、どこかに基準を置かなくてはならんと思うのです。ただあなたたちの認定だけに任すということは危険極まる話です。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の趣旨よくわかりました。次回に認定の基準を明らかに御答弁いたします。
○伊藤修君 次に現在書店などで以て自由に販売せられておるところのマルクス、レーニンとかいう著書、或いは共産党の宣言書、そういうようなものはどういうことになるのですか。
○政府委員(吉河光貞君) それは機関誌紙ではないだろうと考えております。
○伊藤修君 いや本條によつてそれをどういうふうに認定して行くかということ。
○政府委員(吉河光貞君) 單行本として……。
○伊藤修君 單行本ではないですよ、それに書かれておるところの考え方というものが宣伝用に供せられて、それは延いて以て機関紙と同じような効果を生ずることになりはしませんか。
○政府委員(關之君) 機関紙は団体が継続的に刊行するということが要件でありまして、たまたま他で出しておるものを利用するということは機関紙に当らないと思うのであります。
○伊藤修君 それでは第三條のハの場合においてどうなんですか。
○政府委員(吉河光貞君) 第三條ハの場合は全然問題が変つて来ると思います。
○伊藤修君 第一項の第一号のハの場合ですよ。
○政府委員(吉河光貞君) そうでございます。これは日本において現実に内乱が行われ、又は行うことの正しいこと、或いは必要なことを執筆者が自分の意見として主張した、さような文書を印刷したり頒布したりする行為を捉えておるのであります。これがどういう形で行われるか、場合によりましては機関誌紙によつて行われる場合もあると思う。さような場合においては機関誌紙がこの第四條の問題として問題になる、かように考えておるわけであります。
○伊藤修君 いわゆる四條の場合にそういうふうに考えられるかも知れませんが、第三條の第一項の一号のハの場合において、衆議院においては修正されましたが、その場合にも問題になつておるんですが、その中に入るのか入らないのかどつちですか。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。一回限りそういう文書を印刷頒布しても、このハの文書の印刷、頒布になると考えておりますが、これが機関誌紙の上で行われたという場合におきましては、四條の機関誌紙が問題になる場合がある、かように考えておる次第であります。
○伊藤修君 今の御答弁でちよつと三條の一項、一号ハの場合の御説明にはちよつと欠けておると思いますが、又あとにお尋ねしたいと思います。 もう一つ四條で問題になるのは、機関紙の発禁ですが、先ほどの御答弁によつても無限にこれを繰返されるとかいう虞れもあるのですが、憲法によつては結局言論の自由ということが明らかに明記されておるのですが、然るに公共の福祉という一つの概念から捉えて来て、ここでこれを制約しようというのですが、事実上私はこの憲法の言論の自由というものは個々の点において、非常に制約を受けるのじやないかと思うんですが、憲法との関係はどうですか。
○政府委員(關之君) その点につきましては第三條に掲げますように、第三條のうちの一項一号の口又は二号のヌの行為は、もとより言論であるとか出版等の形において行われることが多かろうかと思うのであります。それでそれらの点についてこの法案において規定いたしまして、或いは刑罰規定を設けておるのでありまして、その意味に、おきましては言論と出版に対して制限をなしておるわけであります。この点につきましては、ここの第三條の第一項、第一号の口又は二号のヌに掲げるような、かような行為の言論及び出版というものは、例えて申しますならば、内乱の行為の主張であるとか、或いは政治の目的を以てする殺人、強盗、放火というような、極めて悪質なる犯罪をあおるところの、或いはその実行を主張するところの危険な言論であるわけであります。でかようなものが繰返されて行きますと、恐るべき実害的結果が発生するのであります。そこで政府といたしましては、かような現下の事態に鑑みまして、危險な言葉、出版等のごときは、それらのことで駆り立てられて恐るべき実害的結果が発生するまで手を拱いて待つていていいか悪いか、公共の安全を確保する上から見まして、果してこれは言論の自由である、出版の自由であるといつて、その実害的結果が惹起されるまで待つていていいかどうかという問題になると思うのであります。政府におきましてはこれらの点について考慮いたしまして、公共の安全を確保するにはやはりこれらの行為、言葉、或いは出版物に対しても所要の規制を加えなければならない、かようなふうに考えまして、第三條に掲げるようなこのような恐るべき実害の行為についての言論、出版物により、あおる行為、或いはこれを唆かすような行為というようなものに対しましては、これを規制するのも憲法の公共の安全を確保する上から見ても、誠に止むを得ないところである、従つて又憲法も認めるところである、かように考えておる次第でございます。
○伊藤修君 この点に対しては重大問題ですから、序でに又御質問申上げます。 第四條の第三号ですが、特定の役職員又は構成員がその当該団体のためにする行為を禁止するというのですが、当該団体外の行為については勿論禁止なさらないのですね、その点。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の通りでございます。
○伊藤修君 第五條の「役職員又は構成員」とあるのは、これは処分を受けた当時の役職員を指すのだと思われるのですが、その後においての役職員は含まないのかどうか。
○政府委員(關之君) これはもとより「前條第一項の処分を受けた団体の役職員又は構成員」と書いてありますからして、この條件に当るものは全部入るわけであります。従つてお尋ねのその後のものもこれは入るものと考えております。
○伊藤修君 今の点の御説明もう一度伺いたいのですが……。
○政府委員(關之君) 第五條は、「前條第一項の処分を受けた団体の役職員又は構成員は」とかように書いてあるわけであります。従いまして御尋ねのようにあとから参りましても、団体の役職員又は構成員であつたものは、「いかなる名義においても、同條第二項の規定による禁止を免れる行為をしてはならない。」ことに相成るのでございます。
○伊藤修君 どうもこの書き方においては、そこまで解釈ができるかどうか、ちよつと疑問に思うのであります。なお私のほうで研究いたしますが、あなたのほうでも研究して頂きたいと思います。 次に「いかなる名義においても」「禁止を免れる行為をしてはならない。」というのですが、その「いかなる名義」ということはどういう趣旨か明らかにして頂きたいと思います。
○政府委員(關之君) この第五條の趣旨といたしまするところは、要するに第四條の第一項の処分を免れる、それに対する脱法行為を禁止する趣旨であるわけであります。従いましていろいろの言辞を設けまして、それに免れる行為をいたすな、かような行為を五條によつて禁止いたしまして、第一項の処分の履行を確保いたしたのであります。さような趣旨でありまして、その意味におきまして、いろいろの言辞を設けまして各種の行為をする、かような意味合いのことを「いかなる名義においても」というふうに表現いたした次第であります。
○伊藤修君 どうもあいまいですね。若しその団体の役職員を辞任いたしまして、別個の団体の役職員になり、若しくは新らしく団体を作つて、そうして活動をするという場合において、果してその「いかなる名義においても」の中に包含されるかどうか、そういう疑義が出て参りますけれども、それはどうして区分するか。
○政府委員(吉河光貞君) 第五條の「禁止を免れる行為」とは、第四條第一項の処分を受けたあとにおきまして、表面同條第二項の違反となることを避けながら、而もその禁止されている行為を事実上行なつたと同じような効果を挙げる行為というように抽象的にはお答えができると思うのでございます。結局表面形式上の違反を避けながら、結局実質上は禁止されている行為と同一の効果を挙げるような行為を行うというようなことが禁止されているわけでございまして、団体の役職員又は構成員が団体の活動として行う場合は勿論でございます。
○伊藤修君 それは抽象的にはそういうことが言い得るかもわかりませんが、実際問題といたしまして、いわゆる当該団体の役職員を辞任いたしまして、別個の団体を構成し若しくは他の団体に加入いたしまして、そうして示威運動をするとか、或いは集会をするとかというようなことがあつた場合において、それが第四條の規制事実であるからといつて、その役職員が新らしく入つたために、その団体が活動できないという、いわゆる五條によつて「いかなる名義においても」という中に包含されるからできないという認定をされたならば、その役職員はもう日本国中どこに行つてもそういうような団体には加入できないということになつてしまう。そういう虞れがあると思うのですが、この点に対してこういうあいまいな字句を使わずに、もつと明確な表現方法はないものかどうか。
○政府委員(吉河光貞君) 脱法行為の設例でございますが、当該破壊団体について禁止された処分の内容である行為を、他の団体が行うような場合に、その破壊団体の役職員又は構成員が脱法の目的がなければなりませんが、その脱法の目的で多数又個人の資格で参加する、そうしていろいろな行動によりまして、おのずから破壊団体が当該禁止行為を行なつたと同じような効果を挙げる行為をする場合が設例の一つに数えられると思うのでありますが、この五條は個人に対する禁止規定でございまして、これによつてそういうような脱法行為をした役職員又は構成員であつた個人が処罰を受ける脱法行為でありまするから、飽くまでこれらの当事者に脱法の目的がなければならない、かように考えている次第でございます。これは現在多数の立法例におきましても、かような脱法行為禁止の規定をそれぞれ規定しておる事実も参考となるものと考えている次第であります。
○伊藤修君 これは他の法令においては「いかなる名義においても」こういうあいまいな表現は用いてないのです、だからよくわかる。本法においてはこういうあいまいな表現を用いるから私はお尋ねしなくちやならん。それは成るほど構成員が、甲という団体名を以て禁止されたから、乙という団体名義を以てその構成員だけで構成するのであれば、明らかに脱法行為の目的を以てと、こういう認定ができるでしよう。そうでなくしてたまたま先の破壊活動をする団体だと認定されたその団体の役職員をしておつて、而も反対を常に表示しておつた、そういうことを禁止しておつた、然るにたまたまその団体の認定が破壊活動をする団体だという結果になるとか、かような団体には自分は属しておることはできんからと言つてよその団体に行く、そういたしますと、その人はその他の団体において活動をする場合において、やはり免れる目的を以てということに容易に認定される虞れがある、又一人の場合にはそうではないかもわかりませんが、相当多数の役職員が他の団体に移動した場合においては、恐らくあなたたちのお手許では、いわゆる脱法行為だと言つて禁止されることになる、そうするとそういう役職員の入会、入党というものはすべて拒否されるということになる、その人は個人的においてはもはや日本においてはすべてのこういう役職員になることはできないという結果をもたらすのじやないかと思うのです。
○政府委員(關之君) 第五條のこの用語例でありまするが、「いかなる名義においても」というこの表現は、今日の脱法行為を禁止する各種の立法例におきまして、おおむねそのような言葉を使つておるのであります。たとえて申上げまするならば、農地調整法或いはいわゆる独占禁止法、物価統制令、事業者団体法、利息の制限法とか、これらの法令におきましては、いずれも何らかの名義を以てするとか、或いは如何なる名義を以てするを問わずとかいうような例がありまして、それらの例にならいまして、第五條の「いかなる名義においても」という用語を用いた次第であります。要するに先にも申上げたごとくに、第五條は第四條第一項の処分の履行を確保するために、これを裏のほうから規定したものでありまして、脱法の意思を以て第四條第一項の処分を受けておる、それを免れる目的を以てその裏を潜つてなす行為、これを禁止するわけであります。従いましてこれらは各いろいろの今までの立法例等に照らして見まして、その範囲はおのずから定まつて来るものと考うるのであります。
○伊藤修君 設例の場合のごときは、それはその前後の條文、その立て方において明らかにわかるのです。本法の場合においては、この條文の立て方では相当の疑義を残すと思うのですが、後に又重ねて御質問を申上げます。この第五條と第四條の第二項とは大体同趣旨の規定に考えられるのです。まあ少しく表現が違うのですが、これは重ねてこういう條文を二つ立てる必要はないように思うのですが、どうですか。
○政府委員(關之君) お尋ねの御趣旨は、四條二項と五條とは同じ規定ではないかという御趣旨と拝承いたしますが、これは私どもとしては異なるものであると考えているわけであります。第四條の二項のほうは、第一項の処分が効力を生じた後は何人も当該団体の役職員又は構成員として処分の趣旨に反してはならない。これは正面からその当該団体の役職員又は構成員に、処分の趣旨に反してはならないということを規定いたしたものであります。併しこれだけでは実際の問題といたしまして、各種の逃げ道を設けましてこれらの処分を免れる行為を行うことが考えられるのであります。先ほど局長より申上げた設例のごときはその一つでありまするが、さようなものはこの四條の二項では十分に抑え得ないのでありまして、そのために第五條を設けた次第であります。
○伊藤修君 第六條の本文の第一項です。「将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があり」、これは非常な広い意味な規定でありますが、この標準を具体的に規定する必要があるのではないですか。
○政府委員(關之君) 第六條の解散指定の條件といたしましては、一号、二号、三号に掲げるようなかような暴力主義的破壊活動をなした団体が、「継続又は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがある」と、かような條件をしぼつておるのでありまして、而もなお且つ後段におきまして、「第四條第一項の処分によつては、そのおそれを有効に除去することができないと認められる」ときと、かようなふうに條件を附加しておるのでありまして、解散の指定の趣旨としましては、かような條件で十分であると考えているわけであります。
○伊藤修君 同條の第二号の未遂罪については障害未遂と中止未遂と両方とも含んでおる意味ですか、どうですか。
○政府委員(關之君) これは解釈としては両方含んでおるわけであります。ここだけの解釈では両方含んでおるのでありまするが、第六條の本文の「且つ」以下に「第四條第一項の処分によつては、そのおそれを有効に除去することができないと認められる」ときはというようなふうにありまして、将来のおそれを除去するという観点がこの規制の前提になるわけでありまするからして、その点を考慮いたしまして障害未遂と中止未遂との場合については、又おのずから判断が別になつて来るだろうと思うのであります。
○伊藤修君 ちよつとそれは不合理じやないでしようかね。障害の未遂の場合は勿論当然含まれると考えてもよろしい。中止未遂の場合においては含むべきものじやないのじやないでしようか。例えば刑法第百六條の騒擾罪及び同法の百十七條第一項前段、激発物破裂罪、又本法の第六章の罰則においてもこうした中止未遂については処罰していないのです。にもかかわらずこれがいわゆる規制の原因となるという考え方はおかしいと思います。
○政府委員(關之君) お答えいたします。中止未遂は御承知の通り、自己の意思によつて犯罪の実行に着手しながら中途においてこれをやめたものであります。かような中止犯につきましては大体将来破壊活動を実際上反覆して行うというような慮れが認められない場合が多いのではなかろうか、併しながら、その中止の動機となることが本人の意思にかかつておりまするが、その意思は本当に実行を放棄してしまつたと認められるような動機であるか、或いはたまたま何らかの障害を、外部的な障害ではございませんが、自己の意思を採上げて犯罪を中止したというような、中止の動機にもいろいろあるのではなかろうか。大体は中止犯の場合は、明らかに将来これを反覆するという虞れが認められない場合が大部分の場合であろうというふうに考えておるのであります。具体的にその中止犯の内容を検討して解決さるべき問題である、かように考えておる次第でございます。
○伊藤修君 今の御説明によりましては、中止犯に対しましては、およそかような規制処分を行うところの必要が認められない。ただあなたの今の御説明によつては、中止するに至つた理由を検討しようというのです。そういうような内容が不確実なものを捕えて以てこの規制の原因たる事実に挙げるということは、私は法律の立て方として非常な不合理じやないかと思う。いわゆる本法においては、味噌も糞も全部ひつくるめてみな掻き集めたというような形になつておる。従つてこういうような大きな欠点も、ここに現われて来るのです。これはあなたのような考え方ではおかしいと思う。少くともそれは区分すべきものだと思う。
○政府委員(關之君) お答えいたしますが、この第六條の各号は、これは規制の第一の條件になるわけであります。かような行為をした団体が、「継続又は反覆して将来さらに」ということが規制の第二の條件になるわけであります。従いまして、仮に過去におきまして、お尋ねの中止未遂というようなことがありましても、そのような団体が更に継続又は反覆して将来更に団体の活動としてかようなことをやる、かようなことに若し相成りまするならば、やはりそれは規制する必要があるではないかと考えるのでありますが、お尋ねのような設例として全くやめてしまつた、全く自己の意思を以てやめたというような場合には、恐らくその継続反覆というようなことも恐らくなかろうという事実認定になろうかと思うのであります。
○伊藤修君 その場合は当然区分すべきものであつて、その原因として、この事実としては不適当な事項であろうと思います。それから障害未遂と中止未遂というものは明らかに区別すべきものである。すべての法律の立て方も、これは嚴に区別しておるのでありますから、本法においてはひつくるめて同様に取扱うということは、法律体系を乱すものである。
○政府委員(吉河光貞君) 中止未遂の問題を御質問になりまして、御答弁したのでありますが、今日やろうというような決意を以て実行に着手して、工合が悪いからやめよう、他日にこれを延ばそうというような場合におきましても、やはり中止未遂は刑法の解釈論としては成立つようなわけでございますから、これはやはり具体的な事案の判断として解決さるべき問題ではなかろうかと存ずるのでございます。
○伊藤修君 その問題はあとに譲ります。第七條のこの規定するところの役職員又は構成員、こういうものは破壊活動が行われた日において定めるものと思うのですが、その後において加わつた者又は規制処分が行われてから加わつたもの、こういうものも含むのかどうか。
○政府委員(關之君) お尋ねの点につきましては第七條の、当該処分の原因となつた暴力主義的破壊活動が行われた日以後、当該団体の役職員又は構成員であつた者、その範囲につきましては、処分の効力を生じた後に団体に加わつた者は含まないものと考えるのであります。
○伊藤修君 そうするというと、この本條及び第八條は、そういうようなものは他の団体に加入して、又は団体を組織するということは禁ずることがないという結論になつて来るわけですね。
○政府委員(吉河光貞君) 第六條の処分の効果といたしましては、御説の通りの立て方をしておるわけであります。
○伊藤修君 本條による禁止は団体の解散の指定があるまではずつと継続することになるのですか。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問を聞き違えたかも知れませんけれども、お答えいたします。この禁止処分は引続き後にまで及ぶものと考えております。
○伊藤修君 そうすると、結局無期限になるわけですか。
○政府委員(吉河光貞君) さようであります。
○伊藤修君 この六條の立て方ですが、第六條をなぜこの法人の解散に対しまして、解散と言い切らずして解散の指定としたのか。これは恐らく立法者としては解散という行政措置をするということは憲法違反の疑いがあるというところから、いわゆる指定という文字を使つて、その非難を狡猾に免れようとしたのではないですか、その指定とした理由を一つ伺つておきたい。
○政府委員(關之君) 第六條の処分がありますと、第七條、第八條、第九條の効果が法律上当然に生ずるのであります。従いまして効果は七條、八條、九條ですでにこの効果を見まして、これを一応解散、さような効果は解散的効果であるとかように考えまして、従来の各種の用語例のうちから解散という言葉が最も適当ではないかと考えまして、解散という言葉を使つた次第でありまして、それ以外には他意はありません。
○伊藤修君 解散という言葉はわかりますが、解散の指定という表現を用いたことはどうかというのです。なぜ解散と言い切らなかつたか、解散と言い切ることによつて憲法違反の疑いがある、その非難を免れるために、あえて本法においては解散の指定というあいまいな用語を使つたのではないかと、こう言うのです。この本法に定める解散の指定ということは、本質は解散であるのです。併し飽くまで本法の表現からいえば、解散の指定でとどまつておる。だから実体的に、実質的に解散していない。併し団体自身は解散と同じような運命に陷らしめられる、そこに私は法律の立て方にずるさがあるのではないかと思うのです。
○政府委員(關之君) お尋ねの点につきましては、団体を解散するということがどういう一体内容を持つかというような点につきまして、法律上さまざまな疑いを生ずるのであります。団体が解散をする、例えば法人のごとくに、法人が解散するという言葉がすでに内容その他において明確に定められてある場合には、これはもとより明らかでありますが、その他の場合においては解散ということの内容が果してどういうことに相成るか、法律的に極めていろいろの問題がそこに生ずるのであります。さような意味合いにおきまして、先ず効果の、逆のほうから考え7まして、七條、八條、九條の効果がこれから生ずるのでありまして、その効果が発生する前提なる行政処分として解散の指定と、かようなふうに考えてこの六條の規定を設けた次第であります。
○伊藤修君 規定を設けた次第はわかつておりますが、解散の指定というあいまいな用語をせずに、なぜ解散としなかつたのか。若し解散という表現を用いれば憲法違反になるというので、そういう特設な用語を使つたのではないか。指定という意義はどういうことになるのですか。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問のような深い考えを以ちまして特に指定という言葉を使つたわけではございません。この六條の処分は審査委員会の決定という行政行為によつて行われるものでありますから、これを対外的に打出す行為として解散の指定という見出し文句を附けたのでございます。
○伊藤修君 然らば九條第二項によつて、財産の整理は法人の清算と同様に考えられるのかどうか。又清算する場合においては誰が清算人になるのか。責任者はどうするのか。
○政府委員(關之君) この第六條の解散でありますが、今まで御説明した通りでありますが、ここで一番問題になりますのは、解散という行為が実体的な人の結合自体にどういう影響を與えるかという問題があるわけであります。そこでその結合自体を、実質上の人の結合自体に対しては、この法案は解けとか、解けないとか言つてもいないのであります。その人の結合自体を全部解いてしまうということになりますと、これは簡単なる解散の指定であると、かような行政の処分によつては不可能な処置でありまして、より他の別途の強力なるところの方途が用いられなければならないとか、いろいろなここに問題が生ずるのであります。それで人の実体的な、実質的な結合というものに対しましては、この法案としては特別な措置は考えない。そこの点は言わない。そこで解散ということの効果といたしましては、七條、八條、九條のこの効果だけが発生する。さような意味合におきまして、言葉の意味としましては解散という言葉は或いは不適当かも知れませんが、従来の用語例から見まして、ほかの一般の用語例から見て、やはりこの言葉を採らざるを得なく、解散の指定という言葉を使いまして、七條、八條、九條の効果が出て来ることに相成るのであります。九條の財産の、これは全部この当該団体の自主的な処分に任すのでありまして、法人の、この六條以下の、これは勿論それが法人である場合でありますならば、それは法人の解散の手続に従つて行われ、その他の場合でありますならば、全くその団体の自主的な任意の方法によつて財産の処分の方法が行われるのであります。
○伊藤修君 この点に対しては非常に不親切だと思う。えてして、いわゆる意思に基かずして政府の命令によつて解散する、こういう場合において解散しつ放しにしておいて、あとのことは野となれ山となれという形では非常に不親切じやありませんか。これに対する財産上の監督権、或いはそれに対するところの責任者とか、清算の方法とかいうもの、やはり基本的なものは指示すべきじやないでしようか。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。解散の指定を受ける団体が法人である場合におきましては、その解散の指定という行政行為が訴訟上争う余地がなくなつたときにおきましては、これがいわゆる法人解散の理由となるのであります。法人以外の団体につきまして、その活動を全面的に禁止する、ただ残されるところは訴訟に関する行為とか或いは当該団体の財産若しくは事務整理に通常必要とされる行為は残されるわけでありますが、さてその団体の財産に対して、ああせいこうせいと立入つて解散の効果を及ぼすということは妥当でない。飽くまでこの財産は団体関係当事者の任意の処分によつて、整理清算をすべきものであるというような考えから、こういう規定をしたのでございます。
○伊藤修君 それならば終いの顛末を報告しろというところまでタツチしないでもいいじやないですか。ほつたらかしなら飽くまでもほつたらかしにしたらどうですか。お終いだけは括つて報告しろといつている。そしてこの報告は一体誰がするのですか。その当時の役職員がするのか、それとも完了当時の役職員がするのか、それはどうするのですか。
○政府委員(吉河光貞君) これはもとより財産の整理を終了した当時の役職員、その団体の責任者において顧末を報告することに相成ると思うわけです。
○伊藤修君 十條の規定について政府の御説明では不告不理の原則を採用しているのですが、この場合において一事不再理の原則は採用するのかしないのか。
○政府委員(關之君) 御質問の御趣旨がちよつとわかりかねるのですが、どういう事例でありますか。
○伊藤修君 あなたは法律家ですからそれくらいなことはわかるのじやないですか。不告不理の原則を採用していると説明されておるでしよう。然らば一事不再理の原則は採用しないのかどうかということなんです。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。御承知の通り団体に対する規制処分は、規制の請求をなす現在の状況を基礎にして請求をするのでありまして、規制をなすとき、将来その団体が暴力主義的な破壊活動を行う明白な危険性があるということを理由にして規制をするのでありますから、一事不事理ということは問題にならないのではなかろうかと考えております。
○伊藤修君 そんなことはないでしよう。それは新らしく時々刻々として起つているその状態について、個々別々に取上げて以つて問題に供するということはあり得るでしよう。それはあなたたちの任意です。併しすでに問題になつたことが何らかの理由によつて不処理になつたという場合において、その問題を再び取上げることができるかどうかということが一事不再理のことですから、問題にならんということはないでしよう。問題になるじやないですか。不告不理の原則を探るというなら一事不再理の原則を採るか採らんかということを明白にすべきだというのです。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。過去に行われた犯罪事実につきましては、一事不再理ということも刑事訴訟法上考えられると思うのであります。併しながらここでは破壊的な団体が即ち過去において暴力主義的な破壊活動を行なつた団体が将来更に継続又は反復して暴力主義的破壊活動を行う虞れが現在認められなければ規制の請求をすることができないのでございますから、認められる以上は規制の請求をすることができるという建前になつております。従いまして一事不再理の原則は働く余地がないものと考えております。
○伊藤修君 働く余地がないということは、あなたは暴言ですよ。私の聞いておるのは、すでに一遍審理の対象となり調査の対象となり委員会に仮に廻わされた、或いは審理の対象にまで進んだ、最後においてものにならなかつたといつて、それは否定された、問題から除去されたという場合において、再び同一事項を取上げて以てできるかどうかというのです。新らしい事項で、あるときは取上げるのは当然なことです。それを一事不再理というのです。刑法のみに一事不再理の原則を適用するというなら、なぜここで不告不理の原則を適用すのかと言つているのです。刑法理念と同様にあなたたちは説明しているのではないですか。してみますれば不告不理の原則を適用するならば、一事不再理の原則をもここで活用しなければならないと言うのです。国民はすでに解消して用なしと認定された事項を、又あなたたちの考え方によつてむし返えされては困るのです。その意味において、私は聞いているのです。別個の事項によつてあなたたちが再び起訴しようが取上げようが、これは別問題です。そうでなくて、同一事項を再び繰返して取上げるかどうかというのです。それを一時不再理と言つているのです。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。団体の規制をすることの請求をするためには、その原因なり條件が四條、六條に規定されております公安審査委員会におきまして審理の結果、当該団体が暴力主義的破壊活動をしたのではない、これは当該団体が団体活動として暴力主義的破壊活動を過去において行なかつたものではないというような理由で請求を棄却した場合におきましては、勿論この委員会の決定は尊重されなければならない。従いましてこれはそうではない、確かにその団体は過去において暴力主義的破壊活動を行つたのだというようなことをむし返して、再びこれを請求するというようなことは、折角委員会と公安調査庁と二つに分けた建前と相反するものであろうと考えております。
○伊藤修君 お答えは簡単ですよ。一事不再理の原則を採用するかどうかということを聞いているのですよ。それはどうです、はつきり言えないのですか。言えなければ次回の答弁でもよろしい。
○政府委員(吉河光貞君) 只今御説明申上げましたような……
○伊藤修君 ようではわからない。何遍言つたらわかるのですか。あなたは法律家ですから、法律的に一事不再理の原則が適用できるかできないかという御答弁をなさればいいのです。御答弁できなかつたら次回までに勘考して答弁して下さい。
○政府委員(吉河光貞君) 先ほどから御答弁申上げました通り、いわゆる刑事訴訟法上の一事不再理の問題ではないということをはつきり御答弁申上げます。
○伊藤修君 刑事訴訟法のことを聞いているのではない。刑事訴訟法上の不告不理の原則を適用するというから、一事不再理が適用するかどうかと聞いているのですよ。それをああこうと言いまくろうとして他の言葉を使う必要はない。それがノーかイエスかだけを言つて頂けば結構です。
○政府委員(吉河光貞君) 公安審査委員会で請求理由なしというような決定が下りた場合におきましては、公安調査庁といえどもその決定に不服であれば裁判所へ提訴ができるという建前になつておるのであります。
○伊藤修君 そんなことを聞いているのではないのです。同一事件を再び繰返してやることができるか、新らしい事実を加えるなら別ですよ、そうでなくて同一事件を再び繰返してやるかどうかということを聞いているのです。
○政府委員(吉河光貞君) 同一事件という場合でありますが、この規制の請求をするためには一つの団体が過去において暴力主義的な活動を行なつたという事実と、これに継続又は反復して将来更に暴力主義的な活動を行う明らかな危険というものが基礎になるのでございます。従いましてこれと全く同じ事情をむし返して委員会に持ち込むというようなことはあり得ないもとの考えております。
○伊藤修君 あり得なければ一事不再理の原則は適用されるのではないかというのです。それは適用あるのかないのかというごとの答弁をお願いする。あなたが答弁できなければ法務総裁の出席を要求します。(「その通り」と呼ぶ者あり)
○委員長(小野義夫君) 速記を止めて。 〔速記中止〕
○委員長(小野義夫君) それじや速記をつけて……。
○政府委員(關之君) 御質問の点につきましては、後日改めてお答えすることにいたします。
○伊藤修君 第十一條ですね。この弁解の期限というのは、一回にやるのか、数回、何回でもできるという趣旨なんですか。
○政府委員(關之君) 第十一條は、これは勿論最初の期日だけを通知するものでありまして、必要があれば審理官において何回でも開き得るものと考えます。
○伊藤修君 そうすると、この数回開く場合においては、その都度本條によるところの通知報告をすることになるわけですか。
○政府委員(關之君) これは民事或いは刑訴のごとき嚴格な勿論規定はしてありませんが、出頭いたしました者に対しましては、そのときにおいて本人に通知して審理期日の通知をする、かようなことにして、手続を進めて行くことになると思うのであります。
○伊藤修君 そうすると、弁明の期日の変更とか続行とかいうことはできるかどうか。
○政府委員(關之君) 続行は勿論必要があればできると思います。変更のほうにつきましても、審理官におきまして当該団体の意見を聞いて、どうもその日は都合が悪いからというような話があれば、勿論審理官が全責任を負つてこれは進めるものでありまするからして、団体等の話合いにおきまして適当な日に変更できることとなります。
○伊藤修君 そういう事項はひとり基本人権に関する重要な手続規定でありますから、法律で賄わなくちやならんわけですが、本法においてはそれが賄つていないのです。政府の考え方としては恐らく細則か何かで、省令で以て賄おうというのでしようが、そういう手続ができるということは、やはり基本人権の基礎を犯すものですが、本法においてなぜ明示しなかつたのですか。
○政府委員(關之君) お尋ねのようなことはお尋ねのごとく、細則において規定いたそうと思つていたのであります。
○伊藤修君 そういうことを細則で規定するということは至大な関係を持つの、ですから法律事項であると私は考える、それ点はなお考慮して頂きたい。
○政府委員(吉河光貞君) 当該団体と無関係に勝手に期日を変更したりするような建前はやはり許されないと考えておりますが、飽くまで弁解のチヤンスは当該団体のほうに知らせなければならない、そういうような建て方で、細則に規定して行きたいと考えております。
○伊藤修君 私のお尋ねしておるのは、別に当該団体と無関係の人が変更するとか何とかということを聞いておるのじやない。当事者が自己の権利保護のために今日証拠が出せない、次回ならば出せるという場合において、その手続が法律に定めてなければ有力な証拠を提出する機会を失う、従つて基本人権に重大なる影響を及ぼす事項であるから、法律事項ではないかと言うのです。なぜ法律から外してルールに讓つたかと、こう聞いておるのです。
○政府委員(關之君) お尋ねの点につきましては、他の行政委員会その他の立法例を参酌いたしまして、そのような事項は規則を以て制定するのが相当であると考えまして、いたしたのであります。
○伊藤修君 それは相当じやないのです。そういう事項は他の立法例でもあり得ない。殊に民事訴訟法の場合において、最高裁判所はルールで規定できるという最初の考え方を変更して、法律事項としてすべて国会に委ねておる現状ではありませんか。そういうことをあなたが法律家としてお考えになるということは、ちよつと常識を外しておりますよ。 第十二條の代理人の権限はどこまで認めるかですね。
○政府委員(關之君) この法律におきましては、代理人は第十三條によりまして、「弁明の期日に出頭して、公安調査庁長官の指定する公安調査庁の職員(以下「審理官」という。)に対し、事実及び証拠につき意見を述べ、並びに有利な証拠を提出することができる。」かような期日と、そうして第十六條の二項に、「第十三條の規定により出頭した者に意見を述べる機会を與え」、かようなふうに規定しているわけであります。それで法案としては、かような権限は代理人も行い得るものであると考えておるわけであります。
○伊藤修君 そうすると、この代理人は何ですか、いわゆるここに定めておる意見を述べ、証拠の提出ということに限られておるわけですか、それとも代理人が復代理人を選任するとか、或いは調査官の出頭に対しまして、これを認諾する、認めるという権限も與えられるのかどうか、その点はどうですか。
○政府委員(關之君) 復代理人を選任することは、この法案の建前としては認めておりません。又勿論審理の過程におきまして証拠につきましての意見の陳述、或いはそれを認めるというようなことにつきましては、第十三條の規定上当然代理人もできるものであると考えております。
○伊藤修君 そのおしまいのところが聞き取れなかつたのだが、いわゆる認めることはできるのですか。
○政府委員(關之君) 十三條の建て方から見まして、証拠その他について意見を述べ、そうして意見を述べることができるのでありまするからして、その意見を述べる中に、お尋ねのようにその証拠を認めるというようなことも当然入つておることと思うのであります。さようなことは団体側において、若しそういうことを代理人に任せるものであるならばできると思うのであります。
○伊藤修君 そうすると、この代理権の範囲というものが法律上明確でないということが大きな疑義を生ずると思うのですね。相手方の陳述、相手方の提出した証拠に対しまして、組合の不利益になるようなことを代理人が認めた場合をも代理権限の範囲ということになりますれば、重要な事項を決定する権限を持つことになりますが、この法文の建て方で果してそこまで解釈が出ますか、いわゆる訴訟法上によるところの認諾判決を受けるような基礎を形作ることもできるのですが、そういう事項をも含むのですか。ここには單に「意見を述べ、」と言つておるのですよ。意見を述べるというこれを広く解釈して、相手方の主張をも認めるということまで含まれるのですか、そういう解釈は出ますか。
○政府委員(吉河光貞君) 代理人の権限につきましては、只今關政府委員からお答えいたしました通り、十二條、十三條、十六條等に規定いたしておりまして、この範囲に限られる、代理人が事実並びに証拠について意見を述べることができるということが十三條に明記してあります。その意見の具体的内容としてさまざまな御意見が出ております。それらの御意見はすべてこの法案におきましては、事実並びに証拠に関する意見として取扱われる。でこれが公安審査委員会に提出されて、その審査の対象になる、かように考えておる次第であります。
○伊藤修君 私のお尋ねしておることをよくあなたは把握して下さい。そこに坐つておられるのですから……(笑声)私の聞いておるのは、意見ということの内容のなかに、相手方の主張を認諾する範囲まで含むのかどうかということです。これは由々しい問題です。当事者の意見と食い違つた場合に、代理人がこう言つておると言つて、たまたまそれが調書、審理官の認めるところとなれば、これをとつて以てこの規制処分の団体への証拠の重要な部分に掲げることができる。当事者がそういうことを考えていないという場合においてこれは由々しい問題と思う。そうすれば俗に言う訴訟法上に言う認諾ということまで含むのかどうかということを聞いておる。それがただ意見という大きな概念の中に包容されるということは余りちよつとこれは考えられないと思いますが……。
○政府委員(吉河光貞君) 先ほどお答えいたしました通り、法規とか認諾とかいうような、審査委員会を拘束するような行為は認めておりません。いろいろな事実についての意見をお述べになりましても、それは意見としての取扱を受けるという建前になつておるのであります。
○伊藤修君 それはわかつておるのですよ。別に公安審査委員会を拘束するほどのことがここで当事者ができるはずはない。それでは公安審査委員会の審査なんか要らない。代理人が述べることが公安審査委員会に対して拘束すればそこで決定する、そんなことを聞いておるのじやない。私が言うのは、当事者が言う意見と代理人の言う意見とが違う場合があるということも想像される、又そうでなくて、代理人のみが……当事者が言わなくて、代理人のみが請求の目的たる事項について請求原因事項をその通りでございますと認諾することができるかと言うのです。そうするとそれが大きな資料になつて審査委員会に持つて来て、代理人がそういうことを言つておるから、これは争えない事実だと言つて、規制処分となつてぽんと行つてしまうのじやないか。そういう重要な証拠になるから言つておるのです。
○政府委員(關之君) 第十二條におきまする代理人は、これは団体の当事者、構成員、役職員自体ではない。その代理人でありますから、建前として理論上は当然にその団体のために有利なことをするということに相成ると思うのであります。従いまして、団体代理人が勝手に認諾をするというようなことも或いは極端な事例として考えられるのでありますが、それらにおいては勿論役職員、構成員などがそこに出ておるのでありましようから、そこらに意見が出て、いや、違うというようなことに相成ると思うのであります。従いまして、それらの点から行きまして、今お尋ねのようなことだけで以て直ちにそれが証拠の価値判断になるというようなことは審理のプロセスから見てこれはあり得ないことだろうと思うのであります。
○伊藤修君 あり得ないことです。何遍言つてもわからないんですな。審理の過程とかそんな事実を問題にしておるのじやない。それが代理人権限の範囲に含むかどうかということを聞いておるのです。重要な資料になることはわかり切つておるじやないですか。
○政府委員(吉河光貞君) 改めてお答えいたしますが、認諾などは認められておりません。
○伊藤修君 そんならばなぜ法文に代理人の権限を明らかにしないのですか。
○政府委員(吉河光貞君) 代理人の権限として事実並びに証拠について意見を述べ、有利な証拠を提出することができるというような規定を以てその権限を明らかにしております。
○伊藤修君 して見ますれば、先ほど關さんの御答弁は、意見のなかにはそういう認諾事項は入らないと、こういう御答弁に訂正なさいますか。
○政府委員(吉河光貞君) 法律上の認諾行為というようなものは認めておりません。
○伊藤修君 認諾は、あなたがわかりにくいから認諾という言葉を使つておるのです。相手方の主張を認めるような意思表示、意見というものが入るかどうかということを聞いておるのですよ。ですから関さんの答弁が入らないという答弁に変ればよろしい。入るのか、どうですか。
○政府委員(吉河光貞君) 代理人は事実並び証拠についていろいろな意見を述べるものと考えております。併しその意見は資料となるに過ぎないと考えております。
○伊藤修君 資料となるに過ぎない、その資料が添付されて、それが公安審査委員会に持つて行かれるから、それが断罪の有力な資料になつてしまう。資料になるに過ぎないのじやなくて、資料になるからいけないと言うのです。そこを尋ねるのです。従つて代理人の権限というものをはつきりさしておかないと、この場合においては基礎がぐらついてしまう。そこのところは別にはつきりわからなければ考えて来てから答弁して下さい。
○政府委員(吉河光貞君) 意見には制限はございません。さような建前で規定しております。
○伊藤修君 そうすると、代理人はそういうことができるわけなんですね。
○政府委員(吉河光貞君) 意見として事実を認めることもできます。
○伊藤修君 そうするというと、代理人は本人たる団体と意見の食い違つた場合においてはどうするのですか。
○政府委員(吉河光貞君) それは公安審査委員会の公正な判断に待つことになるものと思います。
○伊藤修君 さような刑訴体制というものはあり得ないですよ。およそ代理人というものは本人のために忠実に代理行為をすることが我々の法律常識の上においては当然のあり方です。然るに本法の場合に限つては無制限に代理人は本人の企図せざるところの不利益な供述をも認めようというあり方、それは法律体制を濫るも甚しいと言わなければならん。如何に自分が原案を書いたから原案を支持するために急といえども、誤りがあれば誤り、欠点があれば欠点を是認するのが当然なあり方ですよ。
○政府委員(吉河光貞君) 代理人の意見と団体の役職員、団体の当事者の意見が違うという場合におきましては、勿論その違う団体側の意見も意見として提出されるものと考えております。
○委員長(小野義夫君) ちよつと議事進行上について申上げます。只今の応答はちよつと一致しない点がありますから、これは次の委員会ではつきりさしたいと思います。要するに代理権の範囲を問うておられる。代理権というものは絶対的にあらゆる代理ができるのか、部分的の代理しかできないのかということを尋ねておられると思うのであります。でありますから、その点をこういうところは代理権に含む、こういう点は代理権に含まないということをあとの委員会でよく御研究の上御答弁になるように希望いたします。
○伊藤修君 それではこの問題は後日に譲りまして、代理人の出頭のみを許しますか、本人が出て来ずに……。
○政府委員(吉河光貞君) お尋ねの点はこれは団体側の意見に基く行動でありまして、団体側におきまして、代理人だけでよろしいというならばそういう場合もあり得るかと思うのであります。
○伊藤修君 公安調査庁の職員が審理官として取調べることになつておるのですが、その職員は本條に定めるところの審理を専任する官吏ですか。
○政府委員(關之君) 公安調査庁の職員としてこれだけの仕事をして、あとの仕事は通常の日において何もしないという御趣旨ならそうではないのであります。通常の場合においてはほかの一般の事務をとつておりまして、その職員の中からこの場合において公安調査庁の長官が必要な適当なものをここに指定して審理官にする、かようなことに相成るのであります。
○伊藤修君 私のお尋ねは審理官という職責にある人が、どういう職責か存じませんが、それが他の職と兼ねることができるかどうか、極端な例を申しますれば、調査官と兼ね得るかどうかという懸念が出て来るのです。だから専任か、他の職と兼ねることができるのか。できるとすればどの範囲においてできるのか。殊に調査官をも兼ねることができるか。調査官を仮に兼ねることができるといたしますれば、自分が摘発して自分が審理することができるということで不合理も甚だしいことになる。又他の兼職をする場合においては、その兼職の職務内容によつて審理官の心理作用に、精神作用に大きな影響をもたらす。公正な審理もできかねると思うのです。兼職の有無、兼職の内容というものをお尋ねするわけです。
○政府委員(關之君) 第十三條におきましては「公安調査庁長官の指定する公安調査庁の職員」とかように相成つておるわけであります。従いまして職員でありますれば、公安調査庁の長官はこれを指定することができるのであります。従つて実際的にはのちに出て参りまする公安調査庁の調査官がこの審理官に指定される場合もあると思うのであります。併し今お尋ねのごとく実際自分が第一線において、この審理以前の手続において調査したというようなものはこの審理官に指定することは避けまして、その事件の調査に関係のない第三者的立場に立つところの公正なるものをこの職員に指定して、そうして審理を公正に運営いたしたいと、かように考えている次第であります。
○伊藤修君 だから今のお答えによりますと、いわゆる兼職の範囲においてはどういう職にある人も審理官にすることができるということです。ますます以てこの公安調査庁のあり方というものに対しては疑惑を深めざるを得ないのです。昨日も質問をいたしましたところ、同じ官庁で審理官と調査官とを置いて、検事と予審とを置いて、そうして断罪の基礎を作つてしまうというあり方は正しいあり方でない。古い法律体制の下では認められておつたですが、少くとも近代的な法律体制の下においてはこれは否定さるべきところの概念です。本法においてはそういうあり方をとつておるにもかかわらず、而もその内容の審理を調査官ができるのだという今の御答弁ではますますもつて不安です。又仮にできるとするならば、少くともそういう事案に関係したところの調査官が審理官として携る場合において忌避回避の規定を置くべきである。又当事者においてもそういう予断を抱いた人に審理をして頂くということではその帰趨はあらかじめわかつてしまつている。自分が摘発しておいてそうでないという決定する道理があり得ないのです、人情として。当然結果はそれは有罪になるということは明らかなんです。規制処分されるということは明らかになつてしまう。こういうあり方は幾らあなたがたが公正を期そうとしても、人間がやる仕事ですよ。法律はそういう場合においては忌避、回避の規定を設けている。そうして当事者の権利保護の目的を達成しようとしているのです。然るに本法においてはそういう手当がしてないということは、ますます以てこの公安調査庁職員のあり方については疑惑を抱かざるを得ないと、こう言うのです。
○政府委員(吉河光貞君) 審理手続の問題でございますが、これはその建て方が、公安調査庁において或る特定の事件につきまして収集した証拠並びにこの証拠によつて立てられる事実につきまして、これを相手側の団体にすべて手の内を見せるようにいたしまして、意見、弁明を求めて、そうして有利な反対証拠の提出を求めるという建て方にしているのであります。併しかような建て方をいたしまして、成るべくその手続を公正にやりたいという建前から、その事件の調査に従事した公安調査官は公安調査庁長官におきましてその審理官には任命しない、具体的な事件の調査とは関係のない職員を任命して行きたいという建て方をいたしていると御答弁申上げたのでありますが、審理官はそれによりまして裁判や決定をするものではございません。飽くまで相手方から出された意見、弁解並びに有利な証拠を整理いたしまして、これを公安調査庁長官を経まして、委員会の公正な御判断を仰ぐというような建て方をいたしているのでありますから、公安調査庁における審理手続は決して不公正なものではないと信じております。
○伊藤修君 あなたの言葉と關さんの言葉とは多少矛盾があるのです。關さんは調査官も審理官にすると言つておられる。今あなたはそうでないと言うのですけれども、これは法律の建前から言えば調査官も審理官にできることは当然のことです。何らの制約はないのですから、そういうことが予想されるから質問しているのです。而してあなたの後段の御説明のごとく、ここで裁判判決するのじやないのだ、それは公正な委員会があるから差支えないのだという考え方は非常なる誤りです。あなたも法律家であつてみればわかるじやないですか。ここで以てすべての資料は収集されるのです。決定されるのです。そうして意見が付けられるのです。それが公安審査委員会に持ち出され、委員会は書面審理です。衆議院においてこれを修正いたしまして、調査ができるとなつておりますけれども、これはあとで質問しますが、少くとも書面審理が建前です。してみますれば、審理官において有罪の資料をたくさん持つて行くか持つて行かないか、そのあり方によつてすべての問題はもうここで解決してしまうのです。重大な影響を及ぼすことは当然のことじやないですか。その職員のあり方について最も嚴格にしてこそ、初めて政府のやり方について我々は納得できるのですけれども、こういうようなあいまい模糊として、左の手で以て取つて右の手で以て解決するというような建て方で、自由自在に自分の思うつぼに持つて行けるような融通無礙な法律を作つて行くということは、我々としては絶対に納得できないのです。さようなあり方は全く独善主義の、全体主義の、軍国主義の残骸と言わざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そういう考え方で今後日本国民を統治して行こうなんということは、国民の公僕としての姿ではないと私は強くあなたに反省を促したいのです。
○国務大臣(木村篤太郎君) いろいろ御疑念の点がありまするが、そこでこの法案の建て方といたしましては、その点について最も考慮を払つているのは立会人であります。これは五名以内当該団体で選任することができるのであります。そのほかに新聞、通信又は放送事業の取材業務に従事する者は傍聴することができる。(「権限ないよ、そんなものは」と呼ぶ者あり)そこで如何に公正に行うべきか、又公正に行わねばならんのでありまするから、かような人の前において十分当事者の意見、弁明も聞き、又有利な証拠も提出させて、そうしてそれについて十分な検討を図つて行くということをこの法案において規定しておるのであります。勿論只今伊藤委員の御心配になりました審理官の問題、これは公安調査庁長官が自分の権限においてやるのでありまするが、勿論任意にそれは選任するということでありまするが、事重大でありまするから、公安調査庁長官は極めて公正にこの審理官を私は任命すべきであると確信して疑わないのであります。一つの法案を施行するについても、この建前として極めて鄭重にやるということが本来の趣旨でありまするから、いろいろさような御疑念の点もありましようが、いやしくも事を審理して行く上にその取材者、そのほかの関係したものを調査庁長官において任命するということはあり得ないことでありまするから、かたがた今申上げました規定の建前から申しまして、そういうような疑念のないように取計らつて行きたいと思います。
○伊藤修君 法務総裁のお気持はよくわかります。お気持の点に対しては敬意を表しますが、人格者たる法務総裁が企図しておられるようなことが法案自体に明らかにされていなければ、法務総裁がおかわりになり、又法務総裁がおいでになつても、末端機関というものは法律のみによつて拘束されまして、その運用に忠実ならんとして結局は法の企図せざるところの、法務総裁の企図せざるところの方向に進むことは当然ある形です。だから私はそういうような重要な事項はこれは法案に明記すべきであるということを申上げておるのです。成るほどないよりはましであります。五人の立会人、或いは報道関係の人を立会わしてその面前で行うというあり方は、それはないよりはましです。併し、法律上その立会人は何らの権限を持ちません。発言権も持ちません。そういう人の面前においてするということだけでは、国民の権利は完全に保障されたとは言い切れないです。むしろ一般的に公開するというならば、何をか言わんやです。そうでなくて、或る一定限度に制約しておつて、その面前で行うからいいのだということだけでは国民は安心してできません。殊にこれを扱うところの審理官、調査官というもののあり方が今職員のかたの御説明のようなことでは、それは到底納得することができないと思うのです。この点は私は考慮さるべきものであると思うのです。なお、一体審理官は、この法案では明らかになつておりませんが、一人で当るのか、数人で当るということを考えておるのか、或いはそれは自由自在にその事件の内容如何によつて決定するというのか、それはどうですか。
○政府委員(關之君) 審理官の数につきましては、事件の難易によりまして公安調査庁長官が適当に定め得るものと考えておるのであります。
○伊藤修君 この法案によつて、有利な証拠を提出できるとこう言つておりますが、その有利な証拠の中には証人の喚問、検証、鑑定、そういうことも含んでおるかどうか。
○政府委員(關之君) お尋ねのことは全部含んでおるのであります。
○伊藤修君 含むといたしますると、これに対するところの手続規定は必要ないですか。
○政府委員(關之君) それらの点は第二十五條によつて、細則において定めたいと考えておるわけであります。
○伊藤修君 それらの事項は、基本的なものは、やはり本條によつて定むべきものであると思うのです。又少くとも有利な証拠の鑑定、証人、或いは検証はできるということを本法によつて明記しないというと、ルールによつて絞られる虞れがあるのです。私はこういうような重要な事項は法律事項である、さような重要な点までルールに委ねるということは、これは最高裁判所でもやりませんよ。行政官庁だからそういうことをやられるのですが、最高裁判所ならそういうことは絶対にやられんのです。この点はどうですか。
○政府委員(關之君) お尋ねの点につきましては、この審理の手続は本来行政上の行為として行われて行くのであります。それで今日行われておりまする国内の各行政上の聴聞の制度、或いは各委員会に行われておる各種の制度を参考といたしまして、この法案においてはかような程度の規定におきまして一応足るものであると考えておる次第であります。
○伊藤修君 私は本法においてその基本的なものだけは明らかにして、末端の手続規定だけをルールに委ぬべきものであるということを申上げておきます。 第十四條の立会人、先ほど法務総裁のおつしやつた立会人という問題が出て来るのですが、これは立会人というのは法律的な何らかの意義を持つのですか、ただ監視しておるというだけですか。
○政府委員(關之君) 立会人は第十四條の三項によりまして、「手続を傍聴することができる。」と、かようなことをなし得るものであります。
○伊藤修君 そうすると、ここに法律的に立会人という特別な用語を使つて麗々しく掲げるということは、いわゆるこれが公正に行われるということを国民に示そうと思つて、羊頭狗肉の策だと言つても差支えないのではないか。傍聴ができるということならば、傍聴できるとか、審判事件は傍聴できると、こうやつておいて、そうしてルールの上においてその人数を制限すればいいのですから、そういうふうなあり方は、原則は傍聴できると、公開するのだと、公開において行うのだと、こうなぜお書きにならなかつたのですか。そのほうが国民に信頼を受けるのです。まさに法務総裁のおつしやるごとく、この法案の立て方としては、審理は公開を以てするとこうはつきり謳つておいて、傍聴人の数については必要の限度においてこれを制約できるならできるとこうしておいたほうが、国民は安心してこれに信頼を置くのではないですか。まさに法務総裁がお考えになるような結果を生ずるのです。麗々しく立会人と何か法律上の意義があるように書かれておる。併しそれは傍聴だという、全く羊頭狗肉の策としか思えないのです。この点はどうですか。
○国務大臣(木村篤太郎君) 一応の御意見御尤もでありますが、これは単なる傍聴でありまするが、その傍聴をさせるということの本来の趣旨は、当該団体が選任すると、ここに重きを置いているのであります。選任に重きを置いておる。誰でも取材者であれば傍聴させるという意味ではありません。自分らの一種の監視であります。そこで選任という言葉を使つておる。選任だから立会と普通の傍聴人とはおのずからその意義、性質は異にされておる。いわゆる監視の意味において自分の有利な取材者を選任させて立会わせる、こういう意味であります。
○伊藤修君 法務総裁の苦衷のあるところはよく察します。次に、それでは新聞若しくはラジオ関係者を傍聴せしめることができる、こうあるのですが、このかたがたの取材の制限はないのですか。そこにおいて見聞きしたことは、すべて何らの制約もなく報道できるかどうか。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の通りであります。
○伊藤修君 そうすると、その報道の内容が刑事特別法に触れるとか、或いはこの法律によつて触れるようなことがあるとするならば、それはおのずから制約されるわけですか。
○政府委員(關之君) 勿論その報道行為が他の法令に触れる場合がありまするならば、それだけの制限を受けるものと思うのであります。他の法令につきましては、只今お挙げになりました刑事特別法などは、内容につきましてまだ私ども詳細のところは存じておりませんが、そういう場合はあり得るかと思うのであります。
○伊藤修君 法律はたくさんあるから御存じないかも知れませんが、この法律と非常に至大の関係を持つ刑事特別法くらいは見て研究しておいて頂きたいのです。 十五條の提出された証拠ですね、審理官が自己の認定によつて採否をきめるという権限を與えておるのです。これはですね、この民事訴訟法の第二百五十九條と同趣旨のように見受けられるのですが、民訴の場合におきましてはですよ、いわゆる司法官であればこそですよ、その自由な裁量の下に委ねておるのです。ところがこの審理官というものはどのくらいの素養のある人、どのくらいの地位の人を充てるのか知りませんが、そうした官吏にかような重大な採否の権限を與えるということは行き過ぎじやないですか。又日本の法律体制の上から言つても権衡を失するのじやないですか。
○政府委員(吉河光貞君) この十五條の規定は、前段に不必要なものは取調べることを要しないと書いてありますが、その後段に「審理官は、当該団体の公正且つ十分な審理を受ける権利を不当に制限するようなことがあつてはならない。」というふうに謳つておりまして前段後段を対象いたしますと、不必要なものはというのは、恐らく次に申上げるようなものに相成るものと考えておるのであります。つまり第一には、立証の趣旨が全く明らかでない不明なもの、第二は事件と全く関連性のないもの、第三には審理を遅延させる目的を以上つて明らかに提出されたと認められるもの、さようなものが、客観的に見ましてこれは不必要なものとして取調べることを要しない、これ以外に更に不必要なものとして当該団体が提出した証拠を調べないというようなことは、後段の立場からもあり得ないと考えておる次第であります。
○伊藤修君 これは法務総裁の多年の法曹生活で以て御体験になつていらつしやることであつて、法務総裁がこの当事者におなりになれば、かような法規は困ると、こうおつしやると私は思うのですか、一体判断の基礎材料になる資料がですよ、審理官が認めて不必要であつても、当事者からすれば必要欠くべからざるこれが唯一の証拠だと思う場合が幾らでもあるのですよ。だからあらゆる証拠はこれをとつて以て委員会に送付することが当然のあり方です。そこで公正な判断を求めるのです。先ず関門で制約してしまうというあり方は、只今あなたのお言葉中にあつたように、ただその審理の遅延を企図されて、不必要なものをたくさん出されて、それがために遅延するということを非常に慣れてここで制約しようというのですか。併しそういうことはおのずから審理官の手腕如何によつて十分達せられるのです。例えば証拠としてソヴイエトへ照会しろとか、証拠としてフランスへ照会しろとか、あそこの証人を呼べというようなことがあつても、そのときは審理官の才能によつて、それはそれらに対するところの証拠方法をもつと簡易な方法で出して頂きたいと、こういう方法でもできるのです。だから申入れた証拠に対しまして、それをいきなり審理官の独裁によつて処置してしまうということは、この点においてもこの公正な審理ということは期待することができないと思うのです。これは何らかの方法によつて、いわゆる単純に不必要な証拠と言わずして、遅延せしむる目的を以てとか、何かここに枠を付けて置くべきだと思うのです。そういうもの以外のものはすべてとつて以て証拠として、資料として提出することができるというふうにすべきだと思うのです。あなたの惧れる点はそれによつて目的は達せられると思うのです。ただこうやつて無制限にその人の認定に任してしまうということは危険も甚だしいものであります。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問のような趣旨におきまして、この不必要という言葉が運用されなければならない、不必要なりや否やは合理的に判断されなければならない、審理官が独断を以つて勝手気儘にこの不必要を認定さるべきものではないというのが、後段の趣旨からも明らかになるものと考えておる次第でございます。従いまして、只今申上げたような三つの場合がこの不必要の場合に該当するのではなかろうか、かように考えております。
○伊藤修君 だからあなたがね、考えていらつしやるような目的のためならば、こういうような無制限な運用のできるような表現方法では危険だと言うのですよ。だからあなたの期待していらつしやるような方向に運営されるということを期待されるならば、この法文に枠を付けべきだということを私は申上げておるのです。これのみであつては恐らくあなたの考えるような運営はされませんよ。思うままにすべて却下される虞れが十分にあり得るのです。それから第十六條のこの調書の効力はどういうのですか。
○政府委員(關之君) 第十六條におきましては、弁明の期日における経過について全部調書を作成しなければならないのであります。先ほどお尋ねにありました証拠の採否なども全部これに挙がるわけでありまして、その点におきまして、調書は一切の審理の経過がそこに現われるのであります。而も二項におきまして、第十三條の規定によつて出頭した者に意見を述べさせて、その意見がありやなしや、意見があるときはその要旨をこれに附記しなければならないのであります。従いまして、この調書がどういうふうに行われたかということの事実をそこに描写することに相成るのであります。この調書は公安調査庁長官が仮にその団体を規制する必要があると思う場合には、これは処分請求書を証拠と共に委員会に送付いたすのであります。委員会はこれを審査いたしまして決定をなすことに相成るのであります。
○伊藤修君 細い説明は結構であります。時間がないから法文に書いてあることは御説明は要らない。いわゆる調書の私は効力を聞いておるのです。調書は単なる経過的事項を書いておくということにとどまるのか、調書に記載された事項は証拠としてこれが引用できるのかどうか、いわゆる民訴、刑訴と同一のような調書の効力を持つかということを聞いているのです。
○政府委員(關之君) 第二十一條におきまして、証拠及び調書等について審査を行わなければならない。これによつて決定をなすということになつておりまして、勿論その内容につきましては、委員会が判断をして証拠となし得るものとかように考えるのであります。
○伊藤修君 だから、この本文の規定で以てこれに基いたと、こう言いますから非常にあいまいなんです。これを証拠にできるかどうか、他に証拠があつてもなくても、調書に表明されたる事項に限つて物を決定する。いわゆる自白だけで以て決定するという虞れがあり得ると思うのです。そうするというと、この調書の法律上の効力というものに重大な意義を持つて来るのです。その意味においてお尋ねしておるのです。して見ますれば、調書に対するところの法律上の効力というものを本文において明らかにする必要があるのじやないかと思うのですが……。
○政府委員(關之君) 公安調査庁長官が処分の請求をなすに当りまして、調書だけということは考えられないのであります。それは必ず証拠を揃えまして、その証拠に基いて請求することが建前になるわけであります。従いまして、ここに証拠とそして調書とはこれは一体的なものとして委員会の審査の対象となつて、判断の材料になるものとかように考えるのであります。
○伊藤修君 そうすれば、いわゆる刑訴、民訴に言うごとく、自白のみを以ては断罪することができない。いわゆる他の証拠を以てするにあらざれば、調書だけでは断罪することはできないということにしておかないというと、いわゆる証拠の全きを得ないという結果になるじやないですか。民訴、刑訴の場合においてはそういうことは明らかにしてある。本法の場合においてはそういう点は基礎を少しも明らかにしていない。自由自在にこれを運用することができることになつているんです。
○政府委員(關之君) お尋ねの点におきましては、第六條等によつて「認めるに足りる十分な理由」、かようなことはすべて二十一條等におきましては証拠によつて認められるというふうに解すべきものと思うのであります。
○伊藤修君 この点も又あとでお尋ねいたします。 第十八條、第十九條ですが、この処分の請求をするかしないかということを第十六條の弁明期日後どのくらいの期間にするのでしようか。これは速かにするのだというお答えもあるかも知れませんが、併し速かにせずに一年も二年も三年も放つておくということになりますと、その団体というものは非常な制約を受けることになり、それ自体で以て起訴するかしないかわからずにいつまでも握つている、それでその団体を牽制する。お前が若し次の運動を開始するならばやるぞと言つてその書類をいつまでも握つているという特審局の一つのあり方、公安調査庁のあり方というものが考えられるのです。そうすると、その組合というものはそれにおびえて猫みたいにちぢこまつてしまうというような姿になることも考えられるのです。だからこれはいつまでにするということをやはり法律に明らかにすることがいいのではないか。裁判は百日以内にしろ、こう言つているならば、公安調査庁もいつまでにする……人のところは制約するが自分のところはちつとも尻くくりをしていないのですね、御自分のなさることも先ず制約なさつたらどうですか、いつまでこすると。これは至大の関係を持ちます。これはどうですか。
○政府委員(關之君) お尋ねの点についてはもとよりこの調書の整理であるとか、或いは各種の処置がここにとられるのでありまして、それらの措置の済み次第できるだけ速かにやることに相成るものであります。もとより処分についてマキシマムの期間ということも考えられない点ではないのでありますが、調書の整理その他を速かにこれをなすということを以て運用いたしたいと考えるのであります。
○伊藤修君 速かに運用するというお考え方が、その速かが速かにならなくなつちやうんです、という事実が必ず起るのです。だからこれは本文においていつまでにするというふうに明らかにしたほうがいいと思うのです。十九條の第二項に「請求の原因たる事実を証すべき証拠、」こういうことが書いてあるのですが、この場合において如何なるものを提出すると請うことになるのですかね、証拠として……。
○政府委員(關之君) 第十九條の請求の原因たる事実、これは第四條及び第六條の請求の條件に当る過去の暴力主義的破壊活動と、将来の可能性ある破壊活動、これに関する一切の証拠を揃えて提出することに相成ると思うのであります。
○伊藤修君 その点についてはなお又お尋ねしますが、二十一條の場合に、公安審査委員会が受取つた書面によつて審理することになつておつた原案は、衆議院においてこれに加えるに調査ができる、こういうことに修正されているのですが、これはこの調査をするという範囲ですね、これはどこまで予想されているんですか。いわゆる証人調べもできるか、検証もできるか、或いは鑑定もできるのか、或いはその結果口頭弁論式に公開してやるのか、当事者を直接審理するのか、衆議院の修正が簡にしてちよつとわかりかねるのですが、政府はどういうふうな御見解ですか。
○政府委員(關之君) この点につきましては、私どもは「審査のため必要な取調をすることができる。」というこの表現は「公安調査庁長官が提出した処分請求書、証拠及び調書並びに当該団体が提出した意見書」について審査を行わなければならない、審査というのはこのような意見書について行う行為であるわけであります。その審査のために必要な取調をするということに相成るわけでありまして、その審査をなすについて或いは当該団体について又は公安調査庁長官について釈明を求めるとか、或いはその証拠の内容その他についてやや疑義があるからして供述人に出頭を求めて内容を聞くとか、乃至はその全体の審理のプロセスについて果して調書通りになるかという点について、とにかく審査のために必要な範囲の取調はできるものであると、かように考えている次第であります。
○伊藤修君 いや、今の御説明の通り審査の範囲において必要な限度において取調ができるという、だから取調の内容としてそういういわゆる証人の喚問だとか、検証だとか、鑑定とか、当事者を喚問して直接に審訊することができるかどうかということについて聞いているのです
○政府委員(關之君) お答えいたします。通常行政訴訟などに行われておりまする証人訊問であるとか、或いは検証であるとか、そういう新たなる意味におきましてのいわゆる証人訊問であるとか、検証であるとかいうようなことは、この審査のために必要な取調の範囲には入つていないと思うのであります。併し実際の問題として審査のために必要な取調ということの中には、例えば先に審理官の前において供述したものなどの供述がどうも不審があるというような場合には、それを呼出して一応最調べることができるというような意味合において、取調ということができるというふうに考えているのであります。
○伊藤修君 さように狹く解釈するということは、恐らくこれは衆議院の考え方を釈明を求めなくちやならんというような結果になりますが、恐らく衆議院で修正した意図というものはそんな狹いものじやないと思うのです。まあ政府は自己に便利なように狹義に解釈されるのですけれども、この表現自体から見ますれば、さように狭義に解釈されるところの理由は毫末もない。ですから修正の動機と原因というものを考えたならば、恐らく公安審査委員会というものが自由に事実の真相を究め得るという権限をここに付與したものと言わなければならないと思うのです。してみますれば、事案を鮮明にし得る、しなくてはならんあらゆる手段が許されているものと考えられるのです。そういうふうに御解釈にならないのですか。
○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。この公安審査委員会は、審査をする場合につきましては、この二十一條の一項の前段に謳つてありまする通り「処分請求書、証拠及び調書並びに当該団体が提出した意見書」を基礎として審査を行う、審査の基礎がはつきりと謳われているわけでありまして、これらの基礎を明らかならしめる、基礎的な材料を明らかならしめるという意味におきまして、「必要な取調をすることができる。」というふうに後段に語つてあるのでございます。従いまして、公安審査委員会は事実の真相を把握するためにあらゆることがなし得るというような意味ではございません。
○伊藤修君 じやおかしいじやないですか。あなたの今の説明理由から言つても、法律に謳つてある通りあらゆる材料、與えられた材料によつてその真相を究める、そのために調べるのですから、してみますれば、これが正なりや否なりやということを究めるためにはこの人を直接呼んで聞かなくちやならない場合もありましよう。又その証拠価値を決定しなくては事案が決定できないという事実の場合においては鑑定をしなくちやならんと思うのです。又例えばこの間のメーデーの場合において、一体どういうような状況において行われたかというような現実を把握しなければ容易に認定できないというような場合においては、実地検証もしなくてはならないでしよう。そういう意味において取調を許しておるのじやないですか。あなたがたのような解釈によつてただ與えられたことだけに限るのだ、それについて釈明を求めるだけの取調というならば何をか言わんやである。こういうようなことを実際入れなくても、釈明を求めなくてもできるのは当然の事実ですよ。政府原案通通りでも釈明は求められる、当路者に対してこれはどうだ、審理官に対してこれはどうだ、審査官に対してこれはどうだとかと釈明を求めるのは言うを待たない。衆議院が特にこれを修正して調査ができるというのは、その判断を有効適切に事実の真相を究め得る一つの道を開くという衆議院としては実に立派な修正であると言わなくちやならん。衆議院のそうした立派な考え方をあなたたちが又歪曲して狭めてしまうという考え方は私はとらない。この点私は政府の考え方はちよつと違うと思うのですが、若しそうであるとするならば、これはもつと明らかにしなくちやならん、そんなお考え方だつたならば。
○政府委員(關之君) お尋ねの点につきましては、「審査のため必要な取調」と、この文字がどういうことを意味しておるかという点に相成るわけでありまするが。これは審査ということは前の上の審査を受けておるわけでありまして、結局「処分請求書、証拠及び調書並びに当該団体が提出した意見書」に対する審査、その審査を明らかにせしめる範囲の取調をすると、かようなことに相成るのであります。それでかような審査のために必要な取調ということから、直ちに委員会がこれらと全然別個の立場に立つて一切の証拠調べをなし、一切の検証をなし得るというところまではこの「審査のため必要な取調」ということは意味してないものと私どもは考えておるわけであります。
○伊藤修君 別個のものを取調べるということは勿論予想しませんよ、又必要もないじやないですか。審査委員会がそんな馬鹿なことをするはずはないですよ。自分が與えられた事件に対しましてその証拠はどうだ、こうだという価値判断をするために必要な取調をするというのがまさに與えられた権限じやないですか。さような狭く解釈する理由はどこにもない。又修正する理由はどこにもない。無意味な修正ですよ。それはあなた衆議院の修正の考え方を無視するも甚だしいと思うのですよ。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の通りであると考えております。委員会は審査をするにつきましては、その材料として「処分請求書、証拠及び調書並びに当該団体が提出した意見書」を基礎に審査を行わなければならない、これらの材料を明らかにせしめるために取調を行うということは当然許されておるものと考えております。
○伊藤修君 それは何遍言つたつて同じことです。それはわかつておる。その取調をする方法として検証したり、証人を喚問したり、本人を訊問したり、鑑定をしたり、そういう直接に当事者と接触して事案の自由心証の判断の材料に供することができなくちやならんじやないかと、こう言うのです。
○政府委員(關之君) 今局長が御説明いたしたごとく、審査の対象は、処分請求書と証拠、調書並びに当該団体が提出した意見書に限定されておるわけであります。それを明らかならしめる意味におきまして、お尋ねのようにその証拠の中にある供述人の証言がどうも心証上ぴたつと来ないから、直接会つて聞いてみようとか、或いはどうも一応審理官が検証したがわからないからもう一度行つて見ようとか、そういうことはこの審査を明らかならしめることに必要なことでありますから、勿論できると思います。私が申上げたのは、全く委員会が別個の見地に立ちまして、新たなる証拠調べということができないということを申上げたわけです。
○伊藤修君 大分軟化していらつしやつた。今のお説のような点までお認め願いますれば、その点はよろしいのです。それだけは動かさずに置いて下さい。 それから次にほかの証拠調べをすることは認めがたいというあなたの御答弁は私は納得できないのです。例えば一つの検証をする、その検証の結果、どうしてもそこに人を調べなければわからないということになる。それで事案を明らかにするためには当然その人を調べなければならん。あなたの考え方は、審査するが、與えた材料の範疇においてのみ、それ以外は一歩も出てはならない、こういう考え方です。それはあなた方のほうでは便利でしよう。盲にして、範囲を狭くして、その中で判断しろという扱い方です。それでは公正ではないでしよう。それから委員会が必要と認める範囲においては新たの証拠を取ろうとそれは自由です。恐らく衆議院が考えたことはそういうことから来ておると思う。これは衆議院とよく打合せてどういう考えの下に修正されたのか、もう一点答弁して下さい。
○政府委員(關之君) この二十一條の一項の解釈につきましては、私どもとしては今日までは今申上げたごとくに了解しておるのであります。なお改めて衆議院とも再度意見を交換して、あとでお答えいたします。
○委員長(小野義夫君) ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(小野義夫君) 速記をつけて……。 今日はこの程度で散会いたします。 午後五時二分散会