法務委員会 第33号
- 発言数
- 162 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/04/28
会議録
○委員長(小野義夫君) これより委員会を開きます。 先ずポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関係諸命令の措置に関する法律案を議題に供します。 本件につきましては大体質疑は盡きておるものと思いますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんが。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小野義夫君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
○伊藤修君 本案につきましては、質疑応答中において問題点を明らかにしておつた次第であります。本案中のいわゆる勅令第九号婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令、これをそのまま国内法に引直すに当りましては、この勅令のみによつては未だ以て婦女の人身売買並びにその基本人権の保護に欠くるところありと考うるので、例えば婦女を売淫させる目的を以て斡旋、勧誘、或いはその場屋を提供し、又は貸借を他人名義を以てなさしめたというような場合においては、本法においては到底賄い切れない。かくてはポツダム宣言において世界に対して、我々は婦女の売淫に対しまして基本人権の保障を宣言し、又は人身売買をなさざることを我々は確約しておることにもとること又甚だしいと言わなければならない。従つて本法は速かにこの法案の制定に当りましては、この内容を改廃いたしまして完璧を期すべきはずであるのでありますが、時間的な制約があるためにここに本院においてこれをなすことを得ない。又これに対しましてはこれらの婦女に対するところの受入れ態勢等に対しましても、厚生省その他においてそれぞれの予算措置等も考えなくてはならないのでありまして、この際このときにおいて直ちになすことは困難であるために、政府において少くとも次の国会若しくはその次の通常国会において速かにこれらの点を整備されまして、本案の改正案を提出せられんことを強く要求しておつた次第であります。これに対しましては法務総裁も、この我々の意見に対しまして同意の旨を明らかに当委員会に述べられておる次第であります。従つてここに本案を承認するに当りまして、私はここに附帶決議を宮城タマヨ議員と共同いたしまして提案する次第であります。その案文を朗読いたします。 附帶決議案 本法案中勅令第九号婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令は、婦女の人身売買の防止並びにその基本的人権の保護については極めて不十分である。 よつて政府は、右勅令の根本的な改正法案を速かに国会に提出すべきことをここに要求する。 右決議する。以上の附帶決議案を附して本案に賛成するものであります。
○委員長(小野義夫君) 他に御発言もなければ、討論は終局したるものと認め、これより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(小野義夫君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。 次に討論中に御発言がありました伊藤、宮城両委員より御提出の附帶決議案について採決いたします。御両君の御提案の附帶決議案を本委員会の附帶決議とすることに賛成の諸君の御挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(小野義夫君) 全会一致と認めます。よつて御両君の提案の附帶決議案は全会一致を以て本委員会の附帶決議とすることに決定いたしました。 なお、例によりまして報告書の内容及び本会議における口頭報告の内容は便宜委員長に御一任願います。賛成の諸君の御署名を願います。 多数意見者署名 宮城タマヨ 加藤 武徳 寺尾 豊 左藤 義詮 長谷山行毅 赤木 正雄 伊藤 修 吉田 法晴 内村 清次 一松 定吉 羽仁 五郎 —————————————
○委員長(小野義夫君) 次に前回に引続き、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案を議題に供します。御質問のかたは御発言を願います。ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(小野義夫君) 速記を始めて。それでは羽仁君。
○羽仁五郎君 審議中の刑事特別法案の質疑に入ります前に、緊急に政府の所見を伺つておきたいことがございますのでお許しを願いたいと思います。 今朝の日本タイムスを見ますと、日本タイムスの特別記事として次のような記事が出ております。これは今朝共同通信社から、これは昨日の二十六日附で、次のような注意書を受け取つて我々は甚だ驚いている。クワイト・サプライズドという言葉を使つております。この原文は政府のほうですでに御覽になつていることだと思いますが、問題は、本日の新聞に掲げられるべき特定の写真について、宮内庁から共同通信社に向つて通達があつた問題についてです。日本タイムスがこの問題を非常に重税しておりますのは、尊敬せらるべきかたがたの写真の取扱について新聞社がみずから最大の注意を払うということはこれは当然のことである。併しながらそれに対して外部から新聞社に向つて何らかの指図というものがなされるということであると、これは再び民主主義以前の時代の慣習が甦えつて来るのじやないかということについて深い憂慮の念を抱かざるを得ない。民主主義以前の時代には、特定の写真について、その写真をどれほどの大きさで、そうしてどういう所に、紙面のどういう場所に掲げるべきであるかということについてまで指図がなされていたことは我々の忘れることのできないことであるけれども、若しそういうことが今後又復活するとするならば、新聞編集の自由の問題から重大視せざるを得ないという声明がここに載つております。政府もすでにこれを御覽になつたことだと思う。それで今我々が討議しているこの刑事特別法案が、特に新聞報道の自由ということと重大な関係があつて我々は質疑をしているのですが、若しも今ここに日本タイムスがクワイト・サプライズドと、非常に驚いているというようなことが一般的な雰囲気の中にあるといたしますならば、私が一昨日法務総裁に向つて伺つた、万一この刑事特別法案が成立の後において、旧軍機保護法時代のように、警視庁から各新聞社に向つて記事の取扱についての指図が連日通達されて、一年に七千件にも及ぶということが許されることになるのじやないかという心配があるという質疑をしたことに対して、法務総裁はそういうことは絶対に許されないというようにお答えになつておつたのですが、併し今朝のこの日本タイムスの非常に深い憂慮というものを見ますと、やはり政府の方面から新聞社に向つて指図がなされる、或いはそういう傾向が復活するのじやないかという虞れを抱く。そうすると一層この刑事特別法案の審議の上にも、そういう政府が新聞社に向つて新聞の編集について指図をなすという方針が今復活しようとしているならば、この刑事特別法案の取扱というものも又変つて来なければならない。この必要から今の問題について政府のはつきりしたお答えを、これは一体どういうことであるか、政府はこれはどういう意味を以てそういうことをなさるのか。又今後新聞編集に向つて政府の側から指図をなさるおつもりがあるのかどうか。それらの点についてすでに詳細の御調査があると思いますから、私はこの日本タイムスの特別記事というものだけしか、これ以外に何ら知識がないので、どういう問題であるか、事件そのものの説明、それに対する政府の態度等を直ちに釈明して頂かないと、私は刑事特別法案に対する質疑というものに入ることができないのです。
○政府委員(龍野喜一郎君) 只今の日本タイムスに掲載されました記事の内容につきましては、残念ながらまだ我々は知ることができなかつたのでありますが、それに関連して政府として新聞編集について何らか指図がましいことをし出すのではないかという懸念を持たざるを得ないという点の御質問でありますが、この点につきましては、法務総裁よりしばしば言明されたごとく、民主主義に徹底しなければならんはずの政治にそういうことが許さるべきものでもないし、又政府としても毛頭その意思がないということはもうすでに御承知のことと思うのであります。只今の御例示の問題につきましては、如何なる理由で如何なる事実があつたかは存じませんが、少くともこの刑事特別法の実施に当つて、さようなことは夢想だもしないことであるということは、この際改めて言明もするし、過般来数次の質疑応答の際にも政府の確信を以て述べたところによつて御了承願えると思います。
○羽仁五郎君 政府はまだこの事実を御承知ない。事実というのは、日本の東京で発行されている有力なる英字新聞が、非常に日本の新聞の自由について深い憂慮の感情を表明しているという重大な事実について、何ら御承知ないということはないと思う。それはすでに御承知になり、御調査になつていることと思う。この日本タイムスの声明を読みますと、共同通信から通達された一等最初に、ウイー・レシーヴド・ア・ノウテイス・フロム・ザ・インピーリアル・ハウス・ホールド・ボード・ツデイ、「共同通信社は今日宮内庁から次のような注意を受取つた」という書き出しで書いている。これについて日本タイムスは非常に驚いている。この場合においては宮内庁ですが、政府が通信社に向つてそういう指図をするという事実がここにあるのです。そうすれば刑事特別法というものが成立した場合においても、今度は宮内庁ではないでしようが、政府の他のいずれかの部門から新聞社に向つて絶えずこうしてノウテイスを送り付けるということは事実起り得ると想像せざるを得ない十分な理由があります。従つてこの問題について、これはどういうことであるか。今後こういうことは繰返えされないか。私も日本タイムスの記事を詳しく読んでおりませんが、あとを読んでみると、この写真に写つておられる御本人から個人的な御希望でもお述べになるなら、新聞社としても承わることもできないものでもないというのです。御本人がこの写真は甚だうまく撮れていないから、どういうふうにしてくれとかいうような御本人の御希望ならば、それは柔く受取るということはできる、それを別にとやかく言うのではない。併しながらインピーリアル・ハウス・ホールド・ボードというものが政府の権威においてそういうノウテイスをされるということが問題になつているのです。もう少し深切なお答えを頂きたい。これは刑事特別法案の審議と密接な関係があるということは先ほど申上げた通りです。即ち刑事特別法が主として日本の新聞報道の自由を脅かしはしないか。現に旧軍機保護法時代には、連日政府の側から新聞社に向つて記事の取扱についての指図の通達が、新聞社には一年に七千件にも及ぶ。そうした政府からの指図というものを毎日引繰り返して新聞を編集しなければならなかつたということは、先日ここで参考人が縷々申上げられた点です。その一端がすでにこういうところに先ず現われて来たのじやないか。そうすればこの法案の審議に対しても、我々としては更に愼重の態度をとらなければならないのじやないか。その点で御質問を申上げるので、どうか只今の程度でなくもう少しはつきりしたお答えを頂きたい。
○政府委員(龍野喜一郎君) 重ねて申上げますが、宮内庁と共同通信社との関係のその記事につきましては、私どもは全然存じ上げませんので説明のいたしかたもありません。適当な機会に調査いたすほかしようがないと思いますが、それに関連して、本法案の実施に移された曉における取扱についての御懸念については、先ほども再三申上げました通りに、そういう場合許さるべきはずのものではない。又政府としても全然その意思がない。旧憲法時代におけるような新聞、言論に対するところの一種の干渉と申しますか、指図と申しますか、そういうことは認められないことは、これは明々白々たる事実でありまして、そういうことに対して一抹の不安を感じますること、その事態さえも許されるものではないと我我は確信いたしております。従いまして基本的人権に関連のあるようなことに行政府が指示をするというようなことは、政府としては再三の言明通りに、全責任を以てかかることのないようにしなきやならぬ当然の義務もあるし、又そうする覚悟を持つておるということだけは縷々申上げておる点であると思います。非常にこの点御懸念のようでありまするから、実際のこの宮内庁の問題につきましては適当な機会に調査して御報告申上げようと思います。
○羽仁五郎君 只今の政務次官の御答弁の御趣旨は非常に立派であつて、私としても誠に意を安んずるに足る御見解だと思うのであります。今後は決して政府が新聞編集に対して干渉がましいことはしたい。又そういうことを若しなすようなことがあるような虞れを新聞社に與えるということさえも許されないことだというようにお考えになる、その通りですね。
○政府委員(龍野喜一郎君) そうです。
○羽仁五郎君 その点においては私も政務次官のお考えは政府を代表したお考えとして、御決定として、満足するものであります。で、併しそうした態度をすでに政府は明らかにとつておられるにもかかわらず、何故に政府の一部分においてはそれとは相反するようなことが行われるのでしようか。で、今実例を以て更に所見をお伺いしますが、宮内庁が共同通信社に向つてそうした通達をなし、これは恐らく各新聞社に向つて今度は共同通信社から通達されるわけです。現在朝日、毎日、読売、その他全国の新聞社にこの通達は行つていますよ。その始末はどうなさるのですか。
○政府委員(龍野喜一郎君) 再三同じことを繰返して誠に申訳ありませんが、その事実を承知しておりませんので、従いまして政府側といたしましてもこの事実に対する弁明も、或いは又これに対しての責任をも別に申上げる段階に至つていないことは、甚だ残念でございます。御要望がございますれば、適当な機会に調査いたしましてその事実の有無を調査し、その事実が御説の通りのものであるとすれば、政府としてもかかることのなきよう嚴重に処置をするほかなかろうと思いますが、とにかく事実そのものについで存じませんので、何とも御返事ができないことを甚だ申訳なく思つております。
○羽仁五郎君 法務府の最高の使命の一つに、基本的人権の擁護、なかんずく新聞の自由の擁護ということがあることは改めて我々から申上げるまでもない。従つてこういうような事件も、我々が新聞を見て、そうしてこの新聞社が非常に驚いているという事実を知つて、非常に恐縮する以前に、政府において十分こういうような事実については懈怠なく注意せられ、そうして新聞社がそうした驚愕の念を抱かれるということに対しては、直ちに我々がこういうところで緊急質問を申上げるまでもなく措置をとられ、そうして我々の質問に対しては、更にもう少し満足なお答えを頂くことが当然じやないかと思うのです。僕は別に政府の怠慢という意味で責任を追及しようとするものじやないと思うのですけれども、只今のこの事件に関するお答えは、いささかどうも余りにのんびりとしたような御答弁で、少しく……今後もそういうことが起つちやたまらない。一方においては、根本方針としては立派な方針をお持ちになつて、いやしくも政府が新聞編集に差出がましいことはしない、そういうことは許さるべきではないという立派な御答弁があつたのですが、そういうことを、私は決して猜疑心を抱くわけじやありませんけれども、單に口の上だけでおつしやられておつて、実際その同じ時刻に、事実上においては政府の一部から新聞の編集に対してそうした干渉が行われるということが、事実上において行われているのでは、我々が国会議員としてここで政府のお考えを伺つても、国会においては政府は立派な答弁をなさるけれども、事実においてはそれと相反する事実が行われているというのじや非常に困ります。又そういう事実がありながら、我々がこの刑事特別法案というものをこのまま審議をして行くということにも不安を感ずる。即ち言葉を換えれば、刑事特別法案の審議の過程において法務総裁は、この法案が成立しても決して新聞社に向つて警視庁その他の政府の側から記事の取扱についての差出がましいようなことをするというふうなことは起り得ない。又そういうことは許されないことだというふうにおつしやつているけれども、事実上そういうことが行われるのでは、それに対しては特別の我々としての深甚の考慮を払わなければならんのです。ですから今の点について、そういうことはさつぱり知らなんだというのは、政務次官個人としてさつぱり知らなかつたということは、了承しても結構なんですが、政府にいささか……今目が覚めたわけじやないのでしようし、朝から活動しておられるのでしよう。併し一般輿論において、こうして実に目立つ特別の記事です。……
○委員長(小野義夫君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(小野義夫君) それじや速記をつけて。
○羽仁五郎君 それでは以上のような、新聞の自由という重大な問題です。これはあそこに橋をかけるとか、ここに道を通すとかいうような問題よりも、遙かに重大な問題です。而も法務府の最高の使命の一つであるという問題でありますから、直ちに十分に調査をなさつて、そうしてこの本法律案の審議の間にできるだけ早く、本日の午後にでも報告をして頂きたい。そうして又それに対して、それをどうなさるおつもりであるか、それをどう見る、どういうこれは事実である、第一にはどういう事実であるか。それに対して法務府はどう思うか。従つてどういうふうに処置をされるのかというこの三点について、はつきりして頂きたい。これは問題が問題でありますので、私としても特にこういう問題を取上げたくはないのですが、併し新聞社がこうして特別の声明を発している以上、我々は新聞の自由を守らなければならない任務と、それからこの法律案との関連において、以上のような点を政府に向つて要求せざるを得ない。その理由を政府も了承して頂けると思いますが、如何でしようか。
○政府委員(龍野喜一郎君) 御趣旨の点は十分了承いたします。
○羽仁五郎君 それでは今の問題は、今申上げましたように処置をして頂くことにしまして、この刑事特別法案の質疑に入ります。 第一にお願いしておきたいのは、去る四月十七日に私どもは、四月一日の読売新聞がその社説を以て、刑事特別法の持つ危險性という題を特に掲げて、この刑事特別法が国会議員並びに新聞記者その他労働組合関係、これらの人々の自由な活動、なかんずく新聞報道の自由な活動に対して一種の危險を持つているという事実を指摘している。これが第一点、第二点は、而も日本の現状においては政府の官吏がこの種の権限をもその手に握るとその影響は実に恐るべきものがあるのではないかということを特に社説を以て指摘しております。従つて我々としては、本委員会としてもこの法案を取扱う上に特にこの点について留意をして、四月の十七日に参考人のかたがたに来て頂いて、そうして日本の新聞を代表せられる資格を持つておられるかたがたからその御意見を伺つたのであります。その御意見を伺つた結果に基きまして、我々は政府に向つて二種類の資料の提出をお願いしておいたのであります。然るに事実上において今日までその資料は我々は頂戴していないのであります。で、その一つは、新聞関係のかたがたの御意見にもありましたように、今提案されております刑事特別法というものはアメリカの法律によつているところが非常に多いのではないか。そうしてアメリカは現在までいわゆる戰時状態にある。従つてその防諜関係の法律が非常に嚴しいという理由もあるであろう。併しながら日本は現在戰争状態にあるのではなく、今後平和国家を建設して行こうとしているのである。そういう戰争状態下にあるアメリカと、それから平和を建設して行く日本と、その両者の間には立法上にも全く原則的に異るところがなければならない。こういう点についてこの法律案は十分の考慮の上に立つていないのではないかという問題があるからなのであります。で、これについて私は昨日政府に何故に資料を出して頂けないのかということを言つておきましたところが、これらに関する資料は一部分だけ今朝頂戴したのであります。我我はそれを研究しなければならない。それから第二に、私がそのときこの委員会から委員長を通じて政府に向つて要求いたしました資料は、この刑事特別法案というものは一種の軍機保護法である。従つて我々がこの審議をして行く際に、過去における日本の軍機保護法というものが、実際に運用の上においてどういうふうに運用されたものであるかという知識を必要とすると考えられるからであります。これもやはり四月十七日の参考人の御意見を伺つた結果、我々はそう考え、委員長を通じて政府に要求しておいたのでありますが、これについては全く一枚の資料をも頂戴していない。過去の軍機保護法の運用の上にさまざまの問題があつたということは、当時我々は新聞を通じて承知し、そうしてそれについてさまざまの憂慮を抱いたのでありますが、これらについての記憶は委員各位から今日まだ決して拭い去られてはいないと思う。ところがこれについても、或いは書類が燒失してしまつた、或いはその関係者が記憶の上ではまだ覚えておられるけれども、併し文書の上において証拠となる、文書として残つているものがないという程度のお答えであつたのですが、これは委員各位も御承知のように、我々も当時新聞を通じてその事実を知つて非常に驚いたのですが、日本の法務府の公務員の一人が、どういう手続によつてかアメリカの上院に出席して、そうして旧軍機保護法或いは国防保安法当時に起つた事件についてアメリカの上院で証言しておられる。そういうアメリカの上院まで行つて証言するような材料がおありになるならば、日本の国会に出される材料が皆無であるという理由がどうも納得できない。これらについて、先ず何故に政府は資料の提出を惜んでおられるのか。法律案の我々の審議をお助けになる御意思が十分おありになるのか、その点先ず伺つておきたい。
○政府委員(岡原昌男君) 具体的なその当時の事件の記録が全部燒失いたしましたことは先ほど羽仁さんからお話のありました通りであります。丁度終戰時に、あの火災とその後の整理とでなくなつているのでございます。そこで私どもとしていろいろその当時の関係人その他に聞いてみましたところ、記憶のある人もございまするが、ただこんな事件をやつたような覚えがあるという程度の記憶でございまして、きわどい、例えばどういう証拠があつたとか、或いはどういう点が問題になつてどの点を起訴されたかというような点までの具体的な資料を得るわけに行かなかつたのであります。なお、統計だけは幸いにございましたので、統計資料だけは差上げたわけでございますが、これも昭和十八年までございまするが、昭和十九年から二十年の前半のつ統計はやはり燒失してなかつたのでございます。さような次第で大変不備な資料を差上げまして恐縮に存ずるのでございますが、以上のような事情でございますので御了承願いたいと思います。
○羽仁五郎君 これは特に私が申上げるのは、こういう刑事特別法案のような基本的人権や言論報道などの自由を制限する面を持つております法律案を立案せられる際には、政府は当然過去において軍機保護法がどういうふうに運用されたか、その上に如何なる恐るべき結果があつたかということについては、我々から申上げるまでもなく十分そういう点をお考えになつて、過去のそれらの事実を十分御研究になつた結果立案にも当られるべきことであつたし、又そうなさつたものであろうと思うのです。で、それらについての今のお答えではどうも書類が燒けていたから統計の程度だというような御答弁で、これもまあ眼光紙背に徹するような頭脳を以て統計すれば、そこからいろいろな重要な問題も出て来ないものでもありませんけれども、併しデリケートないろいろな問題は統計では十分現れて来ないのであります。そして又今それらの事件があつたように記憶するというような人々はいるけれども、というお言葉でありましたが、まさか日本の公務員がこれはまあどういう手続ですか知らないが、アメリカに行つて、上院で証言をされる。そのときは何も材料を特たれないで、手ぶらで頭から思い出すことをお述べになつたという程度のことでもないだろうと思うのです。で、アメリカの上院にも偽証の制度もあることでしようし、いい加減なことをおつしやつたのじやないだろう。やはり或る程度までの材料はお持ちになつてお述べになつたのだろうと思う。その程度のものはおありになるのじやないかと思うのですが、我々としては、輿論がさまざまな危險を指摘しているので、果してそういう危險がどの程度まであるのか、それを法律の上でどういうふうにすれば防げるのかということは、実際この刑事特別法を審議して行く上に必要を感ずる資料であると思うのですが、それらが御提出願えないでしようか。
○政府委員(岡原昌男君) アメリカの国会におきまして、何か説明があつたということを、私もその当時聞いたことがございました。たしかあれは国防保安法違反じやなかつたかと思います。例のゾルゲ事件の関係と私承知いたしております。その当時の取調べの任に当つた人たちの話も間接直接に聞いたこともございまするが、資料がそれぞれ手許にございませんために、別に記憶という、お互いに皆で話合つて記憶という程度のことのように私承知いたしておりました関係上、実はさような不正確な資料を記憶に基いて差上げるのも如何と思いまして、御遠慮申上げた次第でございます。なお、もう一つ私どもの考えましたのは、さような旧軍機保護法時代に、いろいろとその運用につきまして問題があつたということも承知いたしておりましたので、今度の法案を作るにつきましては、極力さような濫用等のないように、いろいろ字句をしぼり工夫いたしまして、さような弊害を除去するように努めた次第でございます。従まして法案の形も今まで大分御説明申上げた通り、いろいろな点でしぼりがつけてあるのでございます。御了承願いたいと思います。
○羽仁五郎君 それでは今の問題は私どもがどういう意味で委員長を通じてそれらの資料の提出をお願いしたかという趣旨は、政府でもよく御了解のことだろうと思いますので、できますことならば、この審議中になお提出して頂ける資料があつたらば、どうか提出して頂きたいというように重ねてお願いをして次の問題に移りますが、今の問題に関連をしますが、この刑事特別法なり或いはこの行政協定一般なりについて、今後もアメリカの議会で何らかの問題が生じたような際に、日本の公務員が先頃行われたような形式においてそこへ出席をして、そうして証言をせられるということが起り得るものであろうかどうか。その点についてはどういうふうにお考えになつていますか。そういうことが喜ぶべきであるのか喜ぶべきことでないのか。許されることなのか許されることでないのか。どういうことなのか。あの問題についても十分御報告を受取つていないので、それはやはりこの刑事特別法案の中にも、そういうようなことに或いは関係して来るのじやないかという問題があるので、念のために伺つておきたいと思うのですが、如何でしよう。
○政府委員(岡原昌男君) アメリカの国会におきましてどういう根拠、或いは理由に基きましてあの喚問が行われたかということについて、実は私詳細には存じませんので、若干想像を交えてお話いたしますが、あれはたしか非米活動委員会の召喚じやなかつたかと思います。で、非米活動委員会におきまして何か法案を立案するか何かについて、いろいろ日本にはゾルゲ事件というものがあつたそうだが、何かそれの参考になるものはなかろうかというふうな観点から呼んだように、これは私の半分想像が入つておるのでございますが、聞いておるのでございます。そこで、従いましてその委員会においてどのような証言をいたしましたかは、これは全然聞いておりませんし、たださようなことは我々としては、まあこちらの材料を何といいますか、むやみやたらに出したくない事情にございますので、今後は望ましからざることだと私は考えております。
○羽仁五郎君 そのまあ私の想像では恐らく個人の資格で行かれたのじやないので、又個人の経費で以ておいでになつたのでもないのだろうと思う。恐らく想像するに、これはまあ先日出入国管理法案の外務・法務連合の委員会において、外国人の他の証言を求めるという問題について、一松委員から御発言があつて、日本の国会法のどこに外国人を証人として呼ぶことができるというふうに書いてあるかという御意見があつたのですが、まさかアメリカの議会法にも外国の公務員を証人として呼び出すということは書いてあるわけじやないのだろうと思う。で、恐らくは占領下であつたがために、それに対して適法な処置をとる根拠というものが、まあ法律上にはあつても、事実上においてなかつたのじやないか。だからデ・ユレには何らの根拠がないということで、ただ占領下にあつたために止むなくああいうようなことがあつたのじやないか。而もそれは日本の占領軍がスキヤツプのオーソリテイによつてああいうことを要求なされたのか、或いはスキヤツプに勤めておられた職員の一人がそれを退職せられた後にああいうことを要求せられて、それを日本の公務員が仰せられたのじやないかというふうにも考えられる節があるのです。で、マツカーサーが被免せられ、その情報部であつたウイロビーというかたも同時に辞職をせられた後にああいう事件が起つておるので、恐らくこちらの最高司令部が日本政府に交渉せられて、日本の公務員が占領下であるから止むなくそれに従つてアメリカの上院に出席したというのじやないだろうかと思う。それらの点についても、甚だどういうことなのか、今政府委員は十分承知していないというふうにおつしやいましたが、それは大変まあ含みのある御答弁として伺つておくべきであろうかというふうにも思うのでありますが、事実十分御承知がないのであれば、これは法務府部内のことなんですから、どうもそのまま、伺うわけにもいかないのですが、恐らく頗る含みのあるお答えであろうというふうに伺つておきますが、若し今私が申上げたようなことであるとするならば、たとえ占領軍司令部がその占領軍として権威においてなされたことであろうと、場合であろうとも、それからそうではなく、占領軍司令部に勤めておられたかたが退職せられた後にそういうことが要求せられたという事実であるにいたしましても、いずれにせよ、今お答えのように好ましからん事件であるように政府も御覽になつておるように了承いたします。今後は、これは好ましからざる程度にはとどまらないので、許されないことだろうと私は思うのです。今後は占領下にあるのじやないのですし、併し私が特にこれを伺うのは、今後占領軍はおられなくなるのだけれども、駐留軍というのはおられる。駐留軍というものがその持つておられる武力の実力において、そういう意味で法律上の、法的の根拠のないことを日本側の公務員に要求されるということは、これに絶対にあり得ないことですから、念のためにその点について伺つておきます。
○政府委員(岡原昌男君) 冒頭にちよつと申上げました通り、実は向うの国会が呼ぶ権限と申しますか、法規的な根拠と申しますか、そういう点、実は全然私研究したことはありませんし、又そのときの政治情熱その他の細かいことを承知しておりませんので、ただ非米活動委員会ということから考えまして、先ほど申したような事情で呼んだのだろう、それからなお御参考までに申上げますと、たしか吉河君が行つたのですが、あのときに警察関係でしたか、検察庁の関係でしたか団体で行つております。たしかガリオア資金で団体で参りまして、ワシントン滯在中、たまたまこの非米活動委員会が活溌に動いておりまして、丁度吉河君が来とるから聞いたらどうだろうかという話が出て呼ぶことになつた、さようなふうに私承知しておるのでございます。従いましてその間特に呼んだのではないと私は考えております。時期的にもちよつとずれております。その点はとにかく私確信を持つて申上げかねるのでありますが、時の前後その他からは恐らくさようなことであろうと私考えております。なお法規的な根拠その他につきましても、若しわかりますれば心がて調べけみたいと存じておる次第でございます。
○羽仁五郎君 今後はどうなんです。
○政府委員(岡原昌男君) 従いまして今後占領軍が駐留軍の性格に変りました際に、そういう一つの圧迫的なことありとすれば、これはもう断固排撃すべきことでございますので、私どもとしては全力を盡してさようなことの起らんように努力いたすつもりでございます。
○羽仁五郎君 今日本タイムスの声明について、それから又今お答えになりました事件などについて伺つておるのも刑事特別法案に関係して来るからでありまして、これから刑事特別法案の逐條の問題について政府に質疑を行いたいと思います。 第一に政府の所見を伺つておきたいのは、或いは教えて頂きたいというふうに思うのですが、例えばさつきも言及しました四月一日の読売新聞の社説が刑事特別法の危險というふうに指摘し、特に日本の言論、報道、新聞関係のかたがたがこの法案に対して危險を感じておられる事実は政府も御承知の通りですが、政府は、そういう危險を感じておられることは單なる誤解である、この法律案を十分読めばそういう誤解は一掃されるんだというようにお考えになつておるのか。それともそういう危險を新聞人のかたがたが感じておられることには何らかの理由があるのだ、そうしてその理由については十分に考えておるというお考えでありましようか、如何でしようか。單なる誤解だというふうにお考えになつておるかどうか。
○政府委員(岡原昌男君) まあいろいろ新聞人からこの刑事特別法が言われておるのでございまして、それを或いは直接に社説等で、或いは記事等から拜見いたし、或いは間接に国会等で論説委員などの喋つたものなどをお聞きいたしまして、大部分は誤解が多いだろうというふうな結論に達しております。例えば今御指摘の四月一日の読売新聞の「刑事特別法のもつ危險性」というので最も問題にしておられる点の社説の中段辺に「條文の規定によると、米軍の機密で、通常不当な方法でなければ探知、收集出来ないものを他人にもらした者は処罰されるのだから、当の本人にスパイ行為をやる犯意がなくても、つまり、過失による場合も処罰されるし、こんなものは米軍の機密とは思わなかつたし、ことに不当な方法でなければ探知、收集出来ないような性質のものかどうか、など考えてもみなかつた、と言つてみても始らないのである。」といつたようなのが考え方の中心になりまして、これはしばしばここで御説明申上げました通り、本人に故意、犯意が必要であるというのが原則といいますか、根本の建前でございますので、こういうような点から立論をいたされますと、実は私どもつらいのでございます。今まで何度か申上げましたように、すべてかような場合におきましては犯意が必要であるという根本原則はどこまでも動かないのでございまして、それから立論して参りますと、こういうふうな心配はすべてなくなるじやないか。それからそれに関達しまして法務総裁からも明言されましたように、国会議員或いは新聞記者等がその職務に関連しまして正当なる業務としましてやつた場合には刑法三十五條の適用ではずれる、つまり罰せられない、さような場合も相当多いのでございまして、さような点から條文については実は私どもの説明の足らんところは誠に申訳ないのでございまするが、さような過失までもというようなことで御議論されると実は私ども大変つらいわけでございます。
○羽仁五郎君 今のお答えは、大体誤解に基くというお答えであるというのでありますが……、
○政府委員(岡原昌男君) 誤解に基く点が非常に多いと実は申上げたのでございますが、なおそのほかに元の軍機保護法、或いはあれは何と申しましたか、言論出版、集会臨時取締法でございますか、といつたような非常に広汎な言論取締の法規がございました。その関係で大分いろいろ言論事犯が問題にされた事例がございます。さような時代のことを考えておりますると、実はこの法案についてもさようなことに相成るのではないかという御心配御尤もでございますが、私ども立案をする際に、さようなことがあつては相成らんというので、さようなことのないような文字をいろいろ研究しました。なお軍機保護法の時代とは、すでに御説明数回申上げました通り、完全に形を変えまして、いろいろな條件を被せに被せてしぼつてある次第でございます。ただ伊藤さんの御質問でしたかにお答えいたしました通り、何から何まで被せて結局機密の保護ができないということもこれ又困りますので、その調和をとるのに実は相当苦心をいたしまして、このような案文にいたした次第でございます。
○羽仁五郎君 今の程度のお考えで立案せられたといたしますると、遺憾ながら我々としてはこの立案の根拠について、改めて今度は政府の所見を伺わなければならん。恐らくそういうことではないかと思いまして、伺わなければならない点が、立案の根拠について主として理論的な点が十二点ございます。これは意見長官に伺いたいと思います。そのあとで各條項について伺います。 第一に、そもそも特別法というものは一体どういうものなのか。この刑事特別法というものが一つの特別法ですが、これが特別法であるということの性質を、政府はどういうふうにお考えになつているか。これは昨日伊藤委員からの御質問にもあつた点ですが、そうしてそれに対する政府のお答えを伺つておる間にもこの点について疑義を生じたのですが、例えば刑法には「故ナク」というふうに書いてある。併しこの特別法において「故ナク」というようなことは許されない、これは伊藤委員が指摘せられた点であります。そういう考え方は許されないのではないか。これは一般法とそれから特別法というものとの関係において、現に昨日政府の答弁に対して伊藤委員が指摘された点ですが、それを伺つておりますと我々としては、この特殊な特別法としての刑事特別法立案の際に、政府はこの刑事特別法が、特別法として持つている性格について十分に深い反省を以て立案に当られたのではないのではないかというふうに思いますので、先ず第一点として、そもそも特別法とは一体どういうものか。そうしてこの刑事特別法が特別法として持つている性格について、政府はどういうふうにお考えになつているか。この点から伺つて行きたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 一般法と特別法との関係につきましては、むずかしい理窟がいろいろございます。ただ今のお尋ねは、刊事特別法を念頭においてのお尋ねだろうと思いますから、そのほうに中心を置いてお答えいたしますが、例えば我々素朴に考えまするというと、ここに書いてありますいろいろな処罰規定というものを、そのまま刑法の一部改正で刑法の中に入れてしまつたらどうか。そうなれば結局一般法として賄つたことになるわけでございます。ただ私どもの考えといたしましては、形式論といたしましては刑法の中にこれを取入れたところで現在その効力に関係のあるわけではございませんし、それも一つの方法でございますけれども、私どもの考えておりますのは、この法案を特別法扱いにいたしましたということは、これはたしか内村委員のお尋ねにもちよつと触れてお答えしたと思いますが、この法案において賄つておりますことは、要するに今日における社会環境というものを念頭に置いて、それに対処するための特別の必要からできたものでありまして、昨日ちよつと触れました駐留軍というものが未来永劫に日本におるというものであれば、それは別問題であるけれども、我々はさようなことを考えておりません。従つてそういう趣旨からこれは飽くまでも特別法の形にすべきものであるということで、かような扱いにしたわけでございます。
○委員長(小野義夫君) ちよつと羽仁君に申上げますが、その御質問の理由等は大分もうすでに各委員が論議したのでありますから、ポイントを直接に御質問願つて、なお誤解がある場合について敷衍して頂くと大変時間的に効果があると思います。
○羽仁五郎君 今政府がお答えになりましたのは、これが臨時のものであるという意味から特別法とされた、こういうお答えでした。併しもつと根本的にお考えになるべき点があるのじやないでしようか。こういう点が先ず第一に考えられる必要があつたのじやないかと思うのです。と申しますのは、今の委員長の御注意もありますから、端的にその点に触れますが、特別法というのは、一般に一般法で規定されておることよりも、問題としては嚴しい問題が出て来る場合が多いと思う。そうして一般法の刑法でそういうことまできめる、原則的にそういうことまできめられるということはどうだろうかという問題であろうと思う。これは破壞活動防止法なんかの場合にも或いはそうじやないか。今意見長官のおつしやいました駐留軍が永久にいるわけじやない。或る時期おるのだ。つまり常時ずつとそういう状況があるわけじやない。常時そういう状況があるのじやないということは、もつと掘り下げて考えれば、それは短い期間一般的な常時の状況よりも嚴しい状況がそこに発生しているということであろう。これは言うまでもなく、内容から言つて外国軍が日本におるということはノルマルな状態よりは嚴しい状態ですよ、そうでしよう。私は一般に特別法の場合においてそういう関係が考慮されるべきだと思いますが、特にこの刑事特別法はそういう関係を含んでいる。つまり平時、ノルマルな状態において、日本に外国軍がいるということは考えられない。で、特別な理由から日本に外国人がいるということによつて日本国民の受ける問題の上でいろいろ嚴しい問題がそこにある。ですから、例えば先日新聞関係のかたの御意見を伺つたときにも、こういう法律が全然なくて、アメリカ軍が直接にこの防諜関係なり、裁判関係なりをやられるのでは、どういうふうにやられるのだか不安に堪えない。それに対して日本側で立法の措置をなさつて下さるということは了承できるという御意見があつたのですが、そういう点で私はこの刑事特別法は、特に日本のノルマルな状態では考えられない程度の嚴しい問題がここに発生しているということが、これを特別法とする理由であろうと思う。従つてそれは刑法には汲み入れることはできないでしよう。事実日本に絶えず外国人がいるわけじやないのですから。そこでそういう特別の事情で、一般的な理由に基かないで、特別の事情でそこに嚴しい問題が発生しているということに対して立法者として考えなければならないことは、そういう嚴しい状態に対しては、それだけ今度は保護のほうを厚くするということがどうしてもなければならないと思うのです。そうでありませんと、破壞活動防止法にしても、刑事特別法にしても、いわゆる人を縛ることばつかり考える。それは厄介な問題があるのだから、縛られる人が一面には殖えるのです。併し特別法として立法せられてそういう嚴しい問題について縛られる人が殖える虞れがあるから、他面においてそれを保護するという努力はしなければならないと思うのですが、この点について政府はこの刑事特別法をお作りになるときに、外国軍がここにいる。その関係で或いはスパイ的な活動は取締らなければならん。又は裁判の上で向うが属人主義による裁判をされるということだけを規定すればいい。そういう臨時の喜ぶべきでない嚴しい事情が発生しておつて、そのために日本人が罪に陷るかも知れない。ふだんならこういうことは罪にならないわけなんだが、それが罪になるかも知れない。従つてそれに対して保護の面でも十分考えて行くべきだという考えの上にお立ちになつてなさつたのか。それはそうでないのか。その点は如何です。
○政府委員(佐藤達夫君) 嚴しさという御言葉は大変適切な御言葉であると存じますが、私どもの立場といたしましては、それよりももつと先に頭に入りますことは、この状態の変則性ということが先に来るわけであります。これは法律的にはそれが当然だと思います。従いまして先ほど来の特別法のお話にも繋がるわけでございまして、これは第一次的には状態の変則性、従つてその状態に応ずる法制としても、一種の特例的の法制になつて来ておるということであります。次にこの嚴しさという感覚につきましては、これは私どももそういう感覚はおありになることは否認いたしません。従いまして嚴しさという言葉そのもので、私どもの感じているところが出て来ますかどうか、これは別といたしまして、それに類似な気持というものは否定できないからして、今度の法律の中においてこれこれの処罰規定を挙げますについても、その感覚を尊重いたしまして、これは作つておるつもりであります。従いまして例えば刑法で同じ場合に処罰規定があるという場合に比べれば、それよりは上に上廻つた嚴罰に処するというようなことを考えておりませんし、むしろそれより下げようという気持で立案されておるということだけは御了承願つてよろしいと思います。
○羽仁五郎君 今のお答えでも、こういう法律案が、特別法が喜ぶべきものじやない、なくなることが望ましいというふうに了解されると思うのです。こういう刑事特別法案というものは、これもやはり必ずしも新聞人ばかりじやない。我々立法者としても、こういう特別立法をしないで済むならば、しないで済ませたいという点は御同感だろうと思いますが、如何ですか。
○政府委員(佐藤達夫君) その通りであります。
○羽仁五郎君 そうしますと、そういうような意味の法律案だと、この一般法に要求せられている以上、次に注意しなければならない点が二、三起つて来るのではないかと思う。それは一般の法律においてもそうであることは、これは意見長官の御同意下さることと思いますが、先ず第一に、眼前にそういう危險が、いわゆるホルムス判事の言われた不朽の言葉によれば、クリアー・アンド・プレゼント・デインジヤー、はつきりした眼前の危險がそこになければそれに対してそれを取締るというような立法がなさるべきじやないという一般原則が、この際には、特別法においては特にこれが一般法の場合よりも嚴格に守られたほうがいいのじやないでしようか、これはどうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) この根本の考え方にずつと遡つて行きますというと、結局日本の平和及び安全をずつと確保して行くのにどうしたらいいかという、むずかしいといいますか、これは政治論になると思います。そういうことに私ども触れる資格もございませんから触れませんが、一応駐留軍が来てもらうことによつて日本の安全を保障してもらうということは適当であろうという建前から、諸般の條約が締結されておるわけであります。それに基く法制としては、これは止むを得ないと考えざるを得ないのであります。今の眼前且つ明白の危險という原則は、これは我々法案の立案に当りましても、又更には法律の運用に当りましても、確固不動の原則として措置すべきものと私は確信いたしております。又この法律案は、その趣旨を体してできておるつもりでおるわけであります。
○羽仁五郎君 そうしますと、この今の点ですね、一般法よりも一層完全且つ明白な危險というものについても嚴格でなければならない。そうしますと、この法律案の第一條で言つておる安全保障條約並びに行政協定というものが、特に刑事特別法で以て規定されて来るこの第二項の概念、「日本国内及びその附近」ということを先日の御説明では、安全保障條約にある言葉だから、それから行政協定にある言葉だから、それをそのまま受けてここへ持つて来たというお考えを伺つておるときに、私はこの点についての政府の心がまえというものが少しく問題じやないかと思つたのです。ですから安全保障條約や行政協定よりも、刑事特別法になつて来たらば、この地域ですね、日本人が罪に落ちるかも知れないところの地域というものについては、やはり一層限定してそうして明確に規定せられることが必要ではないか。それがいわんや刑事特別法になつて来ると、却つてそれが広くなつてしまうというのでは、今まで伺つて来た御趣旨と違つて来るのではないか。今意見長官のお答え下さつたような御趣旨であるとするならば、この刑事特別法においては、これによつて日本人が罪に落ちるかも知れない地域というものについては、他の安全保障條約や行政協定の場合よりももう少し限定してはつきりなさるべきだと私は考えるのですが、どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) ちよつと前のお言葉に触れましてホルムスの原則について一般法にお触れになりましたが、念のために私どもの態度を申添えておきたいと思います。私どもの態度といたしましては、およそ人権に関係ある法律の立案につきましては、一般法たると特別法たるとを問わず、いずれを通じても同じ信念を持つておりますことを申添えておきます。それから今の具体的のお尋ねでございますが、これはこの刑事特別法案の第一條の第二項で、この「日本国内及びその附近に配備された」と、これは御指摘の通り安保條約系統の言葉を使つておりますが、我々といたしましては、その下のほうにおいて「空軍及び海軍であつて、日本国内にある間におけるもの」という趣旨で、はつきりとそこを限定しておるつもりでございますから、その点御安心願つてよくはないかと思います。
○委員長(小野義夫君) ちよつとここであなたの質問は午後に廻して休憩したいと思います。つまり総理の招待も十二時にあるわけですから、それではこれで休憩いたします。 午後零時十四分休憩 —————・————— 午後二時二十四分開会
○委員長(小野義夫君) それでは只今より再開いたします。 休憩前に引続き質問を行います。
○羽仁五郎君 午前中に政府に伺つておきましたニツポン・タイムスが非常な憂慮を表明しておられる問題については、その後政府のほうでお調べ下さつた結果どうなりましたか、お答え頂きたいのであります。
○政府委員(龍野喜一郎君) 先ほど羽仁委員から宮内写真の掲載について、宮内庁の官吏が共同通信社を通じて干渉がましいことをしたのではないかというような御質問があり、当局といたしましてはその実情を調査いたしまして、その結果を御報告するお約束をいたしたのでありますが、その点につきまして共同通信社や宮内庁の係員につきまして調査いたしましたところ、その写真は宮内庁が写真協会に何枚かの撮影をさせ、その中の一枚ができ上つた、一枚のでき上つたものが皇后陛下の帶の下に「しわ」が現われていたので、それを見た宮内庁の係員におきまして、撮影した写真協会のほうに、若し新聞にそれが掲載されるのであれば、その「しわ」を修整したものを使つてもらいたいという希望を申述べたというのが真相でありまして、宮内庁の係員におきまして直接新聞社に対し、編集上のことについてとやかく要求がましいことをしたわけではないということが我々の調査でこれは判明したのであります。重ねて申上げますが、單にその撮影に当つた写真協会に以上のような意味の他意のない希望を申述べたという程度のものと、我々は判断いたしておるのであります。これに関連して今後とも、当局において新聞その他に対して干渉がましきことをすべきものではないという御趣旨の点は我々も全然同感でございます。
○羽仁五郎君 只今の問題は幸いにして、「ニツポン・タイムス」が恐れていたような、政府の新聞に対する干渉という事実ではないということはよくわかりました。それから今後そういうことが許されないという政府の御趣旨も了承いたします。 それでは午前に続きまして質疑をいたします。午前にこの特別法は、一般法においても勿論であるけれども、特に特別法においてはその法の取締の対象となるものについての明確にして、眼前の危險というものを嚴格に考えて行かなければならないのじやないか。それで第一條第二項におきまして「日本国内及びその附近に配備された」というところは、政府の御説明では「日本国内及びその附近」というのは如何にも広いが、そのあとで「日本国内にある間におけるものをいう。」というふうにしぼつたというお答えでありました。で、それは私は例えば一般法の場合には今のような程度でもいいかと思うのであります。併しこの特別法で、而もこの刑事特別法の持つております特別法としての性質から申しますと「日本国内及びその附近」ということは広きに失するのじやないか。それで御承知のように安全保障條約の定むる「危險」と言いますのはいわゆる直接乃至間接の侵略ということで、この刑事特別法によつて日本国民が罪に陷る危險があるわけであります。而もその罪たるや、元来人道に戻る罪であるとか、或いは衡平、正義に戻る罪とかいうような、異論の余地のない罪ではないので、日本に外国の軍隊がいるということから派生して来る異常の状態における罪なんです。従つて、そういう点についての限定がやや広きに失しますと、政府もお認めになつたような、この異常な状態において暫くの間外国軍が日本にいるということから発生して来る法律が、日本を常時、そうして全国に亘つて常にそうした法律の下に置く、そうして様々の自由を制限するという慮れを生じて来る。即ちこれがこの特別法の立法の際に用意を怠ると、特別法がコンモン・ローを覆してしまう、一般法を覆し、コンモン・ローのシステムを覆してしまうという虞れが生じて来る場合があるのじやないか。だから憲法或いは刑法においては、日本国民はそうあつちでもこつちでもびくびくしながら生活しないでもいいようにできておる。ところが特別法で以て余り広くその取締の対象というものを拡大されると、折角憲法や刑法で伸び伸び生活できるはずのものが、この刑事特別法によつて日本国内いずこへ行つてもアメリカ軍の機密に触れちや大変だ、そうして又それがいつでもそうなつて来るという状態に陷る虞れがある。これが私は一等最初に質問しました言論新聞関係のかたがたが、本法律案に対して危險を感じていることの誤解に基かざる理由の第一であるというように考える。ですから政府は、新聞関係者が誤解をして無用の杞憂をしておるのだというようにばかりお考えにならないで、この條文に現われておる点で成るほどそうした人々が心配を感ずるのではないか。これは「日本国内及びその附近」というのでなく、やはり日米安全保障條約に基く行政協定で定められておるところの施設及び区域というものに配備されたアメリカの陸海空軍というふうになつて来て、その施設並びに区域におるだけでは勿論多少不便でしようから、日本国内を動かれるという場合も認めるにしても、「日本国内及びその附近」というのはこれは殆んど地理的の概念ですよ、法的の概念ではない。 ジオグラフイカルの概念であつて何ら法的な概念とは言えない。ですから伊藤委員の御質問にも「日本国内及びその附近」というのは余り広過ぎる、これは沖繩、朝鮮は入らないのだというけれども、併し事態の如何によつては極東が入り、現に安保條約にそういう極東という言葉も使つておるのですから、そういうふうに非常に広くなつて行くと、少くとも日本国内至るところそうなんだという感じが與えられて、特殊な事情から特殊の地域において、米軍がその区域、施設の外に出るということは非常な事態なんだから、不断はそういう安保條約で予想したようなことがあつちこつちに起るということは政府でも勿論希望しておらないし、直接間接侵略ということがぽんぽんと起つてもらいたいと思う人はまさかないですから、不断は基地乃至設備の中におられるのだから、何も言論報道にせよ、日本国民にせよ、決して心配せず、のびのびと生活することができるというようにされるのが理の当然じやないかと思うのですが、どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) おつしやるお心持よくわかります。それに対するお答えは結局先ほどから申上げましたところに盡きると思いますが、この「日本国内」ということについて今重ねてお言葉がございましたから重ねてお答えいたしますけれども、これは「日本国内及びその附近」という言葉では明確でないということについては、私も誠にその通りと思います。従いまして、ここに更に「日本国内にある間における」という限定をいたしましたのでありまして、地理的の表現をすることによつて、結局はそれがはつきりするというふうに考えておるわけであります。
○羽仁五郎君 その趣旨に御賛成であるならば、やはりこれは配備される場所は施設及び区域なんですから、勿論日本国内及びその附近の至る所に配備されるはずはないので、必ず一定の区域や施設に配備される、事実はそうなんですから、だから法律の上ではそういうふうにお書きになるのが当然ではないでしようか。そうして、あとのほうの「日本国内にある間における」というふうに絞つて、それは広く施設及び区域内で機密を守ることはできないかも知れないから、施設及びその区域を出て……日本国内にある間機密を守る責任を我々は負うけれども、併し配備されておるというのは、日本国内及びその附近に安保條約により定むる施設、区域に配備されたということは、これは当然だろうと思うのです。 次の問題に移ります。第四にやはり特別法において、特に一般法においても勿論そうであるけれども、一般法に優るとも劣らず留意しなければならないのは、そのほうの取締ろうとする危險が眼前に、そして明白に現われておると同時に、この法の規定自身が明確であつて、そうしていわゆる広い解釈を許すというものであつてはならない。いわんや取締りの官憲の主観によつて広く判断がなされるということはできない、これは特に特別法においては一層一般法よりも留意しなければならない。これはあとから個々の條文についてその点については伺いたいと思います。これも政府は御異存はないだろうと思います。 それからその次に、第五に、特に特別法において考えなければならないことは、これも一般法においても同様ですが、政府の御説明を伺つておると、一般法より特別法においてそのことを広く解釈されるようですが、そういう犯意を、そういう犯罪を犯す意思があるかどうか、その人の意思というものを一般法よりも……一般法においても勿論だが、特別法において特にその線を明らかにしておかなければならないのではないかと思うのです。これは伊藤委員その他の各委員の御質疑に対するお答の中で、一般法でそうなつておるからここで特に言う必要がないとか、或いはこれは故意か故意でないかという問題についてもそうなのですが、その一般法の場合にはそれはちやんとそういう保障はあるけれども、そうしてその問題が又一般的に起つて来る問題であるのですが、特別法で特にそういうふうな嚴しい状況で軍機を盗んだとか盗まないとかいうことになつて来るのですから、そういう嚴しい状況の下におかれて、それで一般の場合とは違つて、そういう官憲の権力というものも加わつて来る。これは軍機保護法なんかの場合に全くそうです。裁判所なり何なりでさえも、その裁判所の背後に軍の威力というものを感じながらやつて行くのですから、だからその本人に意思がなかつたか、あつたかという場合には、大体意思があつたものとみなして行く虞れがある。この場合、特にこれは第一にシヴイアな状況の下に国民がおかれるための特別法なのであるから、それを保護する手当というものを愼重にせられるという考慮が必要なのではないかということなのです。これも大体政府は、やはりそういうことを原則的には御異存はないだろうと思うのですが、どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) 原則的のお気持と我々の気持は通じております。ただ御了解願つておきたいと思いますのは、今お話の節々に出て参りましたのですが、この関係法律としての一般法はもとより刑法でございます。この一般法と特別法との一般の原則といたしましては、この刑事犯罪関係の特別法に対する関係におきましては、刑法上の原則は当然すべて被つて行くというのが鉄則でございます。従いまして例えば、先日来御説明しております正当業務というような事柄の違法性の阻却の問題でございますが、必ず犯意がなければいけないというようなことは、全部刑法の原則が被つて参りますわけでございますから、その点は今の説明によつて御了解願えるのではないかと思うわけでございます。
○羽仁五郎君 先日新聞関係のかたがたから参考意見を伺つておりますときに、第五條などでジープなんかに過失で以てぶつかつて、それで壞したというような場合にも危險を感ずるというふうに言われているのです。新聞人ですから常識は十分におありになるかたでしよう。日本国民の一般の常識よりも、新聞界のかたの常識のほうが劣つているということはないのですから、新聞の論説委員をされているかたは先ず常識の上の部と見なければならない。常識の上の部のかたでも、そういうことに危險を感ぜられるというのは、これは誤解だとばかりは片付けられないと思う。というのは一般法の場合には、刑法上の人を殺すとか火をつけるとかいうようなことは、先ず自分には大して関係がないことだが、アメリカ軍が日本に来たということのために、どうかすると自分の自動車がジープにぶつかつて、過失でジープを壞す場合ということはあるかも知れないということと、それから刑法の一般の場合には、日本国内のことなんだから過失だということをよく説明すればわかるだろう。併しこれは相手方がアメリカの軍隊だ、従つてよく説明しようと思つて、いろいろ言つたりすれば却つて怖い目に合うという虞れもあるのじやないか。こういう気持が例えばそういうところに現われて来るのじやないか。だからこれは誤解だ、刑法を読んでみろ、そんなことはちつとも心配ないのだ、解読書にもそう書くし、施行規則にもそういうふうに書くというよりも、これは日本にアメリカ軍がいるために起り得るかも知れないというようなことをこの法律に書いてあるというわけで、刑法のほうはよく読まなくても、この法律を読む。そうすると今のような不安を生じて来るわけです。だから一般法に書いてあるけれども、この特別法においてもそういう点を書き得るなら書いたほうが、私はいいのじやないかと思うのです。 それからその次の第一六の問題は、やはり以上のような一般法と特別法との関係において、特にこの特別法においてそれらの国民が罪に陷るかも知れないような原因を、いわゆる権力者が判断し得るようなふうにして置くということは、シヴイアな状況の下に置かれる国民の人権を擁護するゆえんじやない。これは繰返しませんけれども、政府なり国なり、そうした権力を持つている側できめるようなふうになつていますと、その特別法はシヴイアな問題を取扱つているだけ国民に不安を與えるのです。又言論界の人々にも不安を與える。それからそういう特別法の中の、政府なり国家なりが決定するという考え方から、逆に專制主義的な考え方がだんだん伸びて来て、一般法における原則を崩してしまうという虞れも抱かれるのです。従つてこういう特にシヴイアな問題について特別法が立法される場合には、一般の場合よりも更にその点親切に丁寧に、決してそれがいわゆる取締官憲の主観によつて決定されるものじやない、又はいやしくもそういうことがあつてはならないというふうにして行かれることが、国民に不安を與えないゆえんじやないかと思うのですが、どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) 私の考えておりまするところでは、法律というものは飽くまでも客観的に判断されなければならないのでございまして、その当局者が我がままな、自己の軽卒な判断によつてその運用に当るべきものでないと考えるわけであります。これは申上げるまでもない、当然のことであろうと存じます。只今権力者の判断というお言葉がございましたけれども、私の言葉を以てこれを翻訳いたしまするならば、責任者の判断というふうに申上げたいと思います。その責任者の判断は飽くまでも客観的に見ての基準をそのまま自己の判断に取入れる、但しその場合に、人間のことでございますから、万一の間違いがあるということはあるかも知れません。その場合においては、これは今の警察或いは検察の関係ということになりますれば、先日来お話のありましたようなその方向の是正措置に待たなければなりませんし、又国民或いは国会の監視が旧憲法時代とは違うわけでございますから、それがあるというような点から当然そこに限界が置かれるというふうに考えます。而も刑罰事件になりますれば、結局裁判所の判断になるわけでございますから、これ又裁判所の合理的な判断によつて誤まらない結果を生ずるという筋道になるように考えておるわけであります。
○羽仁五郎君 その問題は後に具体的な箇條について更に伺いますが、その次に第七に伺つておかなければならないのは、これは第十九條などにおいて各委員からすでに質疑応答がなされたところなのですが、一般法の場合よりも特に特別法で以て第九條の場合のようにしばしば起る問題じやない、そうして又不断起る問題じやない。ただ現在暫らくの間アメリカ軍が日本において、そうしてそこに事件が起つて来るために、日本人が場合によつては参考として取調べられる、或いはさまざまのものを提出を求められる。これは昨日の政府の御答弁では、この程度のことが政府側の責任においてなされることが妥当だということについて理論上の御説明もあつたのですが、併しその際に、この特別法の中で、まあ特別な場合であり、且つこれらは行政関係で以て処理せらるべきだということが……元来こういうことが起つて来るということは喜ぶべきことじやないのですが、そうしてその結果はその参考人なり何なりをされる人が、別にそこで逮捕されるとか何とかいうわけじやないのですけれども、一般に人権が制限されるという場合をこういう場合にも作つて行くということは喜ぶべきことなんでしようか、そうでないのでしようか。というのは、こういうようなことがしばしば起るわけじやないのですけれども、できることになつていることから、たとえて極く通俗的に申上げますと、アメリカ軍との関係になつて来ると、国民は否応を言わされず参考人に呼出されたり、いろんな物を出さされたりするという関係を生じて来る。そうすると別にアメリカ軍との関係でなくとも、日本側の官憲がそういうふうなことをやる。これは、占領期間中にはそういうことは随分よんどころなく起つて来ることでしようけれども、独立してからそういうことが起つてはならない、そういうような影響をも考えて見ると、やはり昨日の質疑応答で、一応政府としてはこれで差支えないというふうにされている点に、今一応反省せられるべき点があるのじやないかと思うのですが、どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) こういう條文がなくて、而も関係者が進んで協力をして下さつてこの目的を達し得るということになりますれば、もうこれより望ましいことはない。これは当然のことでございますが、そういうことにつきましてはどうしてもその保証はつきませんから、止むを得ざる限度におきましてこの條文を置いたわけでございます。今のお言葉にもございましたように、占領期間中における行政的の処分とは全然違うのでありまして、本人が正当な理由によつて拒みます場合におきましては、何らの処罰もないという建前になつておるわけなんです。且つこれは昨日来御説明しましたように、事柄の本質はこれは行政処分であります。裁判所の許可というような十八條の制度がこの場合にも考えられはしないかという点につきましては、裁判所の許可という裁判所の判断の問題としては、この十九條の実体から申しまして裁判所の判断に適しないものであつて、それを裁判所に責任を押しつけるような形にすることは、内閣が国会に対して負つておる三権分立上の責任関係ということから申しまして如何であろうか。これは私個人で深い疑いを持つておるところでありますが、それを先だつて御披露したわけであります。従いまして、この濫用を防ぐ方法如何ということは、的確に考えられるかどうかという問題になりますが、少くとも裁判所の許可というような関係の措置では、ちよつとその解決にならないのじやないかということを申上げたいと思うのであります。併し今後の立法関係もいろいろ又将来ございますからして、昨日申上げました通りに、かねて私の苦慮しておるところをこの後も続けて反省しつつ、改善方法を考えたいということでございます。
○羽仁五郎君 私の申し上げているのは、この「協力の要請を受けたとき」というのをだんだん広く解釈するようなことが予想されないとは言えないのですね。それで日本の検察官又は司法警察員が初めは直接の協力の要請を受けて、そして参考人を取調べるということをやつている。そうすると非常に簡單に参考人を取調べるということができる。そうすると、しまいには検察官や司法警察員は別に米国軍事裁判所又は軍隊から、この日本国の法令による罪にかかる事件以外の刑事事件について直接協力の要請を受けない場合でも、同じような趣旨で簡單に参考人を呼んだり、書類の提出を求めたりするということが起り得る。これは占領期間中にはそういうことがあつて、何でも占領軍の御意向であるというようなふうにやつた点があるので、特にその点をお願いしておきたいと思うのです。 その次に第八の点ですが、これは今までの一般的な点から更に一段入りまして、この刑事特別法の性質について、先日来の質疑応答の際、政府のお考えがいささか不十分じやないかと思える点がありますので、二、三の点を伺いたいと思うのです。この刑事特別法というものが、特に日米安全保障條約に基くものである、それから日米安全保障條約から出て来た行政協定に基くものであるということについての、政府の認識がどの程度までその点を認識しておられるのかということであります。これは第一、日米安全保障條約というものはその條約の性質からいつて決してノーマルな條約ではない。それから第二に、行政協定のほうは先般来多々質疑が繰返されましたように、特に吉田委員から縷々お説があつたように、條約の一部であるのか、それとも又これは法律としてそのまま効力を有するのかということの問題がある。これは一応政府としては、それに対しては政府の所見を述べられましたが、併し必ずしもそれで我々が納得するというか、国民が完全に納得するということはできない、そこに若干の議論の余地がある。現に平和條約とは違つて安全保障條約の場合には、国会のかなり多数の反対の投票というものもあつた。そういう点から、この刑事特別法が立法されるもとになる日米安全保障條約という條約の性質ですね、これがつまり完全なる平和條約とか何とかいうものでないということと、いわんや、それから出て来た行政協定というものは條約の一部であるというふうに言われるけれども、併し表題だけあつた実際の白紙委任状であつたのだし、そしてそれらについては議論の余地がある。私はその議論を今ここで繰返そうというのではないのです。そういう問題のあつたものから、この法律は出ているということが忘れられてはならないというふうに思うのです。それで第一に伺つておかなければならないのは、これは一種の特殊な状況における外部から出て来た條約及び行政協定であり、そういう外交上の特殊な状況から発生した條約及び行政協定からこの法律が出て来ているということですね。だから特別法としてもそういう別の性質を持つているわけです。外交関係から来ているものである。で、この東洋にはいわゆる直接間接の侵略の眼前の明白な危險があるという事実では実はないのです。そうではなくして、いわゆるアメリカのソ連に対する外交上の方針というものから逆にそういう侵略の事実というものを考えて来るわけです。これは意見長官には私の言う意味はおわかりだろうと思うのですが、一種の純粹な意味における客観的な事実ではないのです。政策上そういう事実が考えられる、場合によつてはそれは一定の政策を遂行するためにそういう事実を作る場合さえある。これがいわゆる政府のやるフレーム・アツプという事件だし、又外交上にもそういう場合がある。これは日本が過去においてそういうことをしばしばやりました。極東軍事裁判の結果明らかになつたことは、例えばマルコポーロ橋という橋のところで起つた事件は、当時いわゆる排日、抗日、侮日の、許すべからざる中国の日本に対する反抗だという事実ですが、併しあとからこれを調べてみれば、いわゆる日本が中国に出兵するためにそういう事件をこしらえて、そうして国民の輿論に訴えて、国民を誤まり導いて、この侵略戰争というものを支持させた。極端な場合を挙げればそういう場合になつて来るのですが、私は安保條約に書いてあるいわゆる直接間接の侵略というものが、まだそこまでは行つてないと思う。そこまでは行つてないが、併し法律上いわゆる眼前の明白の危險というものとは意味が違う。これは一定の外交上の……。
○委員長(小野義夫君) 羽仁委員、成るべく簡單に。時間的にいろいろ問題があるのです。
○羽仁五郎君 外交上の方針というものから、ですから、これはアメリカの大統領選挙などによつてその外交上の方針が変れば、例えば具体的に言えば、アメリカがソ連と対立するという外交方針の上から、こういうものを眼前の事実であるかのごとくに言われるのですが、併しアメリカの外交方針が変つて、ソ連と協調するということになれば、極東において間接及び直接の侵略があるのかないのかというようなことは、なくなつてしまうかも知れない。そういう点から来ておる。従つて、そういうものに基いて出て来た法律が、刑罰の上で一般法との均衡という点で私は全く違う考え方をすべきではないかと思う。例えばこの法律に触れて、そうして刑に服して十年、五年というふうに牢屋に入つておることになる。その間に国際情勢はがらりと変つて、それで米ソ間は六年ほど前と同じように同盟国として、そうして友愛関係に結ばれておる。そういう状況がすつかり変つて来ちやつているのに、その人はこの法律が安保條約が存続した間、米軍の機密を誤まつて侵したため、五年乃至十年の刑に服して牢屋に入つておるという状態が起つて来るのです。これは如何にも矛盾だということは意見長官はお考えになるだろうと思う。従つて、政府の御答弁の中に單なる窃盗でさえも十年となつておるのだから、だから機密を收集したという場合に、刑がそれと大体同じであつて、決して苛酷とは思えないというだけの御説明では、今申上げたような点が十分お考えになつておられなかつたのではないか、現に安保條約にはその安保條約の効力を失うという規定がちやんと入つています。そういう、いつ何どき効力を失うかわからないような安保條約から、それから行政協定が出て来て、その行政協定から又この法律が出て来るわけです。だからこの法律たるや、いつ何どきその効果を失うかわからないものである。従つてその刑罰の上において、いやしくも重きに失するのじやないかというようなことがあることは不当であると思う。従つて一般法の場合よりも刑罰が遙かに軽くなつて行つて、これは理の当然じやないかと思うのですが、どうでしよう。
○政府委員(佐藤達夫君) 御趣旨の存するところはよくわかりますし、又言葉を重ねて申上げたいこともございますけれども、時間の制限もありますようで、その点は残念に思います。今の御結論とされるところは、結局私が先刻来説明申上げましたところでございまして、この罰則と申しますか制裁の規定につきましては、一般法よりも重くしてあるというようなことではなくて、むしろ一般法よりも軽くするという方向に努力してできたもので、そのことは條文によつて御判断頂けることと存ずるわけでございます。
○羽仁五郎君 私はこの結論としては、大体これらの罪を十年というふうにやつておることは、如何にも非常識だという感じがするのです。米ソ間が現在のような状態を十年も続けるというようなことは予想できない。せいぜい二、三年くらいのものだろうというふうに思うのです。そういう点で十年ということについて何らの懸念なく、或いはこれでも比較的軽く考えているのだというお考えはどうであろうかというふうに思うのです。勿論これは米ソ関係は来年くらい改善されるかも知れない。刑罰は一年ぐらいにしておかなければいけないというのじやないのですけれども、併し十年というのは、これでも軽いという……或いはその他の場合、第五條の場合でもそうですけれども、全般的に刑を考えるときに、一般法の考え方とは立て方を変えてお考えになるべきじやなかつたかと思うのです。 それからその次は、これがやはり今の理由に基いて、日本の軍隊、日本というのはおかしいのですが、自分の国の軍隊というのじやない、外国の軍隊なんですね。だから外国の軍隊であるということから、どうしてもその点の顧慮が逆になつているのじやないか。これは十八條一項の表題に「日本国の法令による罪に係る事件以外の」という、この実際はつまり日本では罪になつてはいない。アメリカ軍がいるために、そういう意味でアメリカの関係で罪になるけれども、日本の関係じや罪にならない。これはこの場合だけではない、この法律全体がそうです。外国の軍隊に関係するもの、而もその外国の軍隊たるや、アメリカ自身としてはどうか知りませんが、日本にいる限り、つまり戰時状態において日本にいるわけじやない。平和状態においているわけです。いいですか。これは今アメリカの作戰上、日本が戰地になつているわけじやない。外国の軍隊であり、而もそれは戰争の状態でなく平時の状態でいるというものである。だから、これはどうかすると、やはり非常に占領軍と同じ性質を帶び易いのです。それで占領の場合でさえ、長期の占領は必ず腐敗するということはマツカーサー元帥の名言である。占領が三年以上続くと碌なことは起らない。それが、占領が終つたけれども今度は駐留軍が日本にいる場合に、やはりそういう腐敗なり或いは様々の不当なことが起る慮れがある。それに対して日本国民というものが納得しないということは無理がないだろうと思う。この点の根本問題に対する考慮を政府は十分なされていたのですか、どうですか。第一に駐留軍が日本にいるということは喜ばしいことだと思つているのか、どうなのか。それから、それが戰争状態でいるのじやない、平和状態でいるのだ、従つて第三に、占領軍でさえ長くいればいろいろな弊害が起つて来るのであるから、駐留軍が日本にいるということにはいろいろな弊害が起り易い。以上のことから、外国の軍隊が日本にいる、而も平和の状態においている、そうして、それが相当長い間いるということから起る様々の事件について、従つて機密の問題でもそうです。自分の国の軍隊であり、戰争状態であり、そうして極めて短かい期間ならば、そういう場合に機密を漏らすということについて罰せられる場合には国民は納得するかも知れない。併しその反対の場合ですから、この軍機の保護についてこの立法がどちらの方向に向くべきかといえば、できるだけ寛大な方向に向くべきじやないかと思うのですが、どうですか。
○政府委員(佐藤達夫君) それも問題がたくさんでございますが、要するに私どもの根本の態度は、この安全保障條約によりまして合衆国軍隊は日本の安全を保護するために来ているものであるということが飽くまでも根本の理念となつて、すべての法案ができて来ているわけであります。従いましてその性格は、もとより今お話のありました通りに、占領軍とは全然性格の違うものでありまして、立案の上においてもその気持でやつておりますし、今後の運用についても当然その気持によつて運用さるべきものと、これは確信するところでございます。
○羽仁五郎君 その問題について十分の御考慮があつたかどうかということは、具体的條項について伺いますが、その次に伺つておかなければならないのは、この法律案を拜見すると、これは先日新聞界のかたもおつしやつたのですが、何だか日本は戰時状態に置かれているような感じがするというのです。それでこれは特に山根眞治郎君のような新聞界の先輩が、言葉を重ねて、日本は現在戰争をしているのじやない。アメリカは冷たい戰争などをやつておるかも知れないが、日本は戰争をやつておるのではない。平和の状態である。そこにこういう法律案というものを見せられると心外な気がするというふうに言われておつたのです。ところが実際、こういう法律案を立案したり、審議したりしておる間にいわゆる仮想敵国というものがだんだん現実の敵国のように考えられて行く虞れがある。これは安保條約なり、何なりの場合においてもそうである、先ほど申上げたように、例えば世界のいずれかの国が現に日本を直接に侵略しようとしておるような事実が完全明白な事実としてあるのではない。そうではなくて、いわゆる一定の政策からそういうような危險を想定して、そうしてそれによつて更に政策を進めて行くという状況なんですから、これは一定の所でチエツクして行かないと、これは過去のことを今更申上げるまでもなく、満洲から華北に行き、華北から華中に行き、しまいには南方まで行くというように、どこまで続くかわからないぬかるみになつてしまう。そういうことを過去にやられた日本の政府、而もそういうことについては相当熟練された人が残つておるだろう。そういう状況下にこういう法律案を出して行くと、そうすると仮想敵国というものが次第に現実の敵国であるかのようになつて行く。そうして国民をそつちの方向へ引つ張つて行くような虞れが多分にあるのです。ですから、この法律で先般もいわゆる機密を保持するというときに、これは政府のお答えを伺つておる間も非常にそういう感じを強くするのですが、何だか日本が戰争をしておる、従つて今日機密というものがちよつとでも洩れたら大変だというようなお考えになつておるのではないか、そうすれば根本から違つているのではないかと思うのですが、どうですか。
○政府委員(佐藤達夫君) 先ほど触れましたように、日本の安全のために来ておる駐留軍ということになりますというと、その駐留軍の機能が阻害されるようなことになつては、これ又取返しのつかないことになるのでございますから、さような観点からこの機密の保護についても応分な、適当な、妥当な範囲で條文を設けておる次第でございます。
○羽仁五郎君 今の問題と関連してその次の問題なんですが、そこでこの機密の洩れるということがあつては大変だと政府は言われた、洩れてしまつては取返しがつかないから、だからこれを予防しなければならない。そういうお考え方になつて来ると、それは自分の国の軍隊で今戰争をしておる、そうして短かい期間の場合にはそういう考え方が妥当だとも考えられると思う。併しそういうのではない、よその国の軍隊で、而も戰争をしておるわけではない。そうして短かい駐兵の期間ではない、かなり長く続くのだという場合に、機密が洩れたら又取返しがつかないというふうなことで立法をやつて行くと、それは機密の洩れることを予防するということではなくて、様々な行動、活動等に対する脅威を與えることになる。これは詳しく申上げなくてもおわかりだろうと思うが、どうですか。従つて、これはつまり日本の軍機保護法なり何なり、そうしてそれが戰争中に活用されるような場合と違つて、軍の機密が洩れるということがあつても、決定的な結果がそこに出るのではないのですから、今の御答弁で軍の機密が洩れてしまつたら、それは取返しがつかないというお考えとは違うのではないか。それで私は軍の機密が洩れたならば、それが決定的だという考え方で立法するのではなくて、若しそういうふうにしますと、予防々々というふうに行つて、それが現実の状態は平和の状態であるから、そこでそういう考え方は国民の自由を脅かすということになるのではないか。従つてこの法律上の五條、六條或いは七條というものは、今戰争しておる場合のような考え方が強くて、平和の状態においては、平和の活動を脅かす点があるのではないか。而もこれは外国の軍隊ですから、そういう脅かすという感じがあれば、直ちにそこに国民の外国軍隊に対する反感というものが起つて来てしまう。そうすると、日本の安全を守つてもらうために外国軍隊にいてもらうという根本目的がこわれてしまう。つまり機密は守れた、併しながらアメリカ軍隊に対する国民の間に熾烈な反感が起つてしまつた。だから機密なんかが漏れることよりも、それから反感が起つて来るほうが恐しいのではないか。その点については十分お考えになつたでしようか。ならなかつたでしようか。お考えにならなかつたら、そういう点は気がつかなかつたというように率直に答えてもらいたい。
○政府委員(佐藤達夫君) 最後にお言葉の出ました点などは、特にお言葉を待つまでもなく、全く同感であり、私どもは当然念頭においてこれらの立案に当つたのでございます。その後のお言葉としましては、先にたびたび申上げましたから、それを繋いで頂けば今のお答えになると思います。
○羽仁五郎君 第九点ですが、第九点は一体この法律の目的は何だということなんです。御説明を伺つておると、機密を守ることが目的だというようですが、私は併しそうは思わない。今戰争をしておるのではないのですから、アメリカ軍が勝利を得るということが目的ではないと思うのです。そうすると、目的は平和ということ以外にないと思う。ところが政府の御説明を伺つていると、機密が守られるということが目的であるかのごとく窺われるのです。機密さえ守られればどんなことをしてもいいんだと、併し我々の考えはそうではないので、機密が漏れても日本の安全が守られるというか、或いは平和の状態が守られるということがあるならば、いずれを選ぶかというと、我々は機密が漏れても平和が守られるということがよいと思う。これは過去においてもそうです。機密を守るということがいつの間にか政府の最高の使命であるかのごとく考える。そうすれば、いろいろな議論ができないですよ。この別表なんかがそうでしよう。別表の第一なんかで、防衛の方針、この防衛の方針ということが今戰争でもしておるのならまだしも、戰争も何もしているわけではない。その防衛の方針というものについてまだ議論がなされるべき段階ですね、そうでしよう。だから、現に例えば昨日も引用しましたけれども、アメリカの新聞評論家のアルソプなんという人が防衛の方針について論じておるわけです。それはアメリカとソ連とが今戰争を始めておるわけではないので、戰争が始まつてしまつてからならば、そういうことが問題かも知れないが、戰争が始まつておるのではないのですから、そういう評論家が米軍とソ連の空軍とを比較して、現在実力においてアメリカが負けつつあるという評論がなされておるのですが、それは当然です。ところがマツカーランという議員が、それを防諜法にひつかけて来ようとしているのです。戰争中の日本でもそうでしよう。もう若干機密というものをこしらえた以上、その機密に対して議論を許されない。又議論をするために材料を集めることも許されない。そうすると、もう今後日本をどつちの方向に持つて行くかということは、我々は議論ができないので、仮想敵国、即ちソ連とアメリカとは戰争するのだと、その方向に日本はくつついて行くのだと、それよりほかに行くべき道がないと、現に外務省の課長などが福島県に行つて、そういうふうな講演をやつたりしておる。そうすると国民の代表が論議すべき問題を、あらかじめ行くべき方向を決定しておいて、そつちに向つてついて来いということになる虞れが多分にある。従つてこの別表などにおいて、方針だとか、或いはその部隊の数だとか、或いは計画だとかいうようなものまでも機密だということに考えて行くことには、多大の疑念がありはしないか。そこで政府に伺つておきたいのは、一体この法律の目的は機密が守れさえすればよいのか、米軍の機密さえ守れれば日本はどうなつてもいいということには、まさかお考えではないと思う。機密が場合によつては漏れても、日本を中心として平和の状況が守られて行くということのほうが目的ではないかと思うのですが、如何でしよう。
○政府委員(佐藤達夫君) 本案の根本の精神となつておりますところは、先ほども触れましたけれども、日本の安全の保障のために駐留軍が来ておる、この駐留軍が安全を保障するために必要な最小限度においてこの法律案を作つたというのが根本の趣旨でございまして、その限度は飽くまでもその精神から限定されておりますし、又今後の運用についてもその精神の下に行われるものであるというふうに考えておる次第であります。
○委員長(小野義夫君) 羽仁君、簡單に願います。
○羽仁五郎君 次の第十の問題ですが、これは今の問題とも関連して来るので、この法律で予想しておるような問題の多くのものは、私は政治上の問題じやないかと思うのです。それでこれが直ちに刑法上の問題になるかどうか。一般刑法上は勿論のこと、刑事特別法的な問題になるかどうか。この点について政府は十分にお考えになつて立案をせられておるのか。それともその点については十分考えなかつたということがあるのでしようか。例えば今の米軍の機密という問題についても、もう政治上の議論を許さないというのならば別ですが、そうではなくして、日本とアメリカとの関係、或いは日本と中国、日本とソ連、それらの関係は政治上の議論も相当に必要な政治上の問題ではないか。従つて、アメリカ軍の軍機の秘密だと考えられるものでも、それを政治上論ずる必要ありというふうに考える人が国会議員や新聞記者以外にもあり得るかも知れない。それは直ちにクリミナルな問題になるのでしよう。私はむしろそれはポリテイカルな問題であつて、クリミナルな問題ではないように思うのだが、それらの点に対する区別は政府はどういうふうにお考えになつておりますか。
○政府委員(佐藤達夫君) 今のお言葉にありますような論評そのものがクリミナルな問題になるとはいささかも考えておりません。この法案に盛つてありますところは、飽くまでも安全を保障するために必要だと、條理上、一般常識上当然であると考えられる限度のことを盛り込んであるにとどまるのであります。
○羽仁五郎君 そうすると、そういうような政治上の判断によつてそれがなされておるという場合に、それが合衆国軍隊の安全を害する目的というように解釈されることは絶対にないと言われるのですね。又あつてはならないと……。
○政府委員(佐藤達夫君) その論評そのものが、この法案にひつかかるようなことはないものと考えておるわけであります。
○羽仁五郎君 それは非常に重大な問題なんですよ。ここから政治上の自由というものがなくなつてしまう慮れがあります。これは各政党政液によつて、日米関係にせよ、日ソ関係にせよ、中国との関係にせよ、それぞれのお考え方があるでしよう。ですから、そういうそれぞれのお考え方によつて、日本におる米軍の状態というものについての知識を必要とされるということは当然起つて来ますね。だから、そういうものは決していわゆる合衆国軍隊の安全を害する目的を以てしておるのではないので、その一定の政策というものを考え又はそれを遂行して行くという目的から来るので、これは若しそれを否認するようになつてしまえば、日本に政治上の自由というものはなくなつてしまうということになる。つまり、特別法から一般法的な問題が崩れて来てしまうということになるので、その点は正当の業務から合衆国の軍隊の機密を知り又は集めるのみならず、そういう政治上の主張というものに基いて合衆国軍隊の機密が探知されたり、收集されたりする場合も、当然これは政治的自由が認められる以上それは合法である。政治上の問題ではあるかも知れないが、クリミナルな問題ではないというふうに思いますが、どうでしよう。
○委員長(小野義夫君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(小野義夫君) 速記をつけて。
○羽仁五郎君 私は今の問題について、占領期間中日本の国会には非常な惡習、惡風ができたと思うのです。その一つは、何時までに法案を上げなければならんということを政府乃至與党が国会に向つて臆面もなくいわれるということです。若しそういうことを続けられるならば我々国会議員は挙つて辞職すべきだと思う。これが第一。第二には、そういう理由を以て国会議員の発言を多数を以て制止せられるということをなさつている惡習です。私は、これは本日限り一擲せらるべきものだ。すべからく本日から国会は本然の姿に立ち戻つて、議論のある限りはこれを許し認めて、議論は十分に聞く。そうして何時までに上げなければならんというような、そういうテクニカルな問題じやないということ。先輩に向つて過去のことを申上げるまでもなく、帝国議会においてすら三時間、四時間という討論は常に行われていることである。而も、そういう討論が後々まで名討論として、我々は当時の帝国議会がそれだけ健鬪してくれたのだ、国民のために感謝している問題です。いわんや国民の権利義務を、而も外国軍がいるためにその国民が罪に陷るかも知れない、これを日本の国会は十分に討議して、国民がいやしくも外国軍がいるために罪に陷るという場合をできるだけ少くするという努力は私は飽くまでも盡すべきだと思う。それは二十六日までにしなければならんとか、幾日までにしなければならんというような問題じやないと思う。それは国際信義の問題も本質的に国民が納得してこの刑事特別法に服して、初めて国際信義を全うすることができるので、この間、朝日新聞が指摘したように三日間で刑事特別法案は衆議院を素通りというようなもので、どうして国民がこれに服することができますか。そうして又国際信義を全うすることができるでしようか。私はそういう点について、占領中に続いた我々の惡習というものはこの際潔く一擲して、そうして国民の権利義務を守る議会の最高使命を果すことについては、どなたも御異存がないと思います。私の言うことは、勿論無用の饒舌をすることは私自身としても甚だ好まないので、よんどころなく、どうしてもこれは重大な問題だと思うことだけを質疑しているので、その点どうぞ御了承頂きたいと思うのです。 続いて質疑をいたします。今申上げているように、特別法はややもすれば政治上の自由というものを否認してしまうような虞れが多分にある。この刑事特別法においてもそういうことが、憲法やその他で政治的自由が承認されているにもかかわらず、米軍の機密というようなものから政治上の自由な議論さえ、それができなくなるという慮れが多分にあると、読売新聞が指摘しているように、日本の現在の官僚の中には、ややもすれば権力を握れば直ちに政治的自由というようなものを踏みにじつて行く。この頃は市中でも参議院の自動車が警視庁のお巡りさんに捕まる。参議院が何だというように警視庁のお巡りさんが参議院の自動車の運転手に向つて反抗するそうです。それは私は参議院の名誉ではあるが、日本の警察官とか公務員の名誉ではないと思う。それは今の問題についても意見長官の御意見というものは私は国家百年を場合によつては誤まるようなことのないようにして頂きたいと思うのです。従つて軍機の秘密というものもできるだけ明らかにして、自由に議論を盡して、平和に問題を解決してもらいたいという議論が、即ち私は建設的な批判であつて、そういう建設的な批判を破壞的だというように批判されるということになることは、絶対に許されないと思いますが、意見長官はどうお考えになりますか。
○政府委員(佐藤達夫君) 第六條の区区たる事項その他條文の内容については、かねて他の政府委員から御説明申上げた通りでありますが、只今仰せになりましたような建設的な、大所高所より非常に高い角度からする政策の論評の問題、これらのことは私はこの六條の問題には当然ならないだろうと考えております。
○羽仁五郎君 意見長官がその高い地位におられて、ならないだろうというような御答弁をなさると、それは速記に残るのです。それから最後に伺いますが、いやしくもどんなことがあろうとも、基本的人権を侵すようなことは、如何なる法律の中でもなさるべきでない。これは詳しく議論をしませんが、憲法において保障されている基本的人権というものは、いわゆる制度上の権利じやないのです。制度上の権利ならば公共の福祉によつて制限されることがあるかも知れない。併し基本的人権も制限されることがあるというような議論が国会の中で平気で横行しているということは実に嘆かわしいことだと思う。そういう公共の福祉というもので制限されるような基本的人権ならば公共の福祉は決して実現されません。これは憲法の書き方も明らかでないけれども、これは理の当然であつて、制度上の権利というものは公共の福祉によつて制限されるけれども、基本的人権というものは何ものによつても制限されるものではない。いわんや、こういう刑事特別法等によつてそういうものが制限されることは絶対に許されないと思うが、意見長官はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(佐藤達夫君) その点については、他の機会において羽仁委員といろいろ応酬と申しますか、質疑応答をいたしているのでございますが、私どもは公共の福祉上の止むを得ざる要請に基く限りにおきましては、この人権の制限もこれ又止むを得ない。これはすでに最高裁判所の判例も容認するところでございますからして、さように考えておる次第でございます。
○羽仁五郎君 その点については、意見長官は基本的人権についてそういうふうな考えであるというように速記に留めて、後世の批判に待つことにいたします。 続いて各條項について伺います。第一條の第二項については、先ほど伺いましたからこれは略しますが、併し私は飽くまでも、今申上げたような趣旨からこの区域又は施設というふうに限定して行くことが、我々の良心に恥じないゆえんであるというふうに思います。それから第二点はこの第六條でありますが、第六條における機密というものは、これはどうしても官報で公衆すべきものです。そうでないと、行政協定の背後には秘密があるということを断定する根拠になります。これは、行政協定の背後には秘密がないというならば、これらの秘密、これは第二條です、第二條の「施設又は区域を侵す罪」というのがこの秘密の施設や又は区域を侵す罪ということであつてはならない。ですから、さつき申上げたように実際に戰争中ででもあるならば知らず、平和の状態における区域又は施設なんですから、これは当然官報で公示せらるべきものである。これは先ほどからお伺いしている原則に基いて、そうであると思いますが、如何でしよう。
○政府委員(佐藤達夫君) この点については、前回他の政府委員からお答え申しましたと思いますが、官報に公示その他の方法によつて明らかにすべきものであると考えております。
○羽仁五郎君 なぜそれを法律にお書きにならないのですか。
○政府委員(佐藤達夫君) これは法律に書くまでもなく当然さような措置をとりませんというと、この逮捕権その他の運用上の問題がありますからして、これは書くまでもなく必要なことであろうと考えます。
○羽仁五郎君 これも書くまでもなくというお答えだと、先の質疑についての私の意見と法制意見長官の御意見とは大分違うということになる。こういう国民に不安を與える特別法なんだから、その中でこういう点は無用に不安を與えないようにして行くべきだと思うのですが、どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) お気持はよくわかります。
○羽仁五郎君 第五條ですが、この第五條でやはりこれも戰争中であるということならば、ここに並べられたようなものを列挙されるということがいいかと思うのですが、併し平和の状況なんですから、だからこの「兵器、彈薬」という程度にとどめて、「糧食」とか「被服」とか「その他の物」というふうにしないで、「重要なもの」というようにされて行くことが、先刻来伺つている趣旨からも妥当ではないでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) この点につきましても、いろいろなお考えがあると存じますけれども、私ども政府といたしましてはこの形が最も適当であろうとと考えた次第でございます。
○羽仁五郎君 それは、こういう余り喜ぶべきでない法律で、国民が嚴しい状況におかれて罪に陷るかも知れないのですから、だから「糧食」だとか「被服」だとかいうもので、或いは罪に陷ることがないように、戰争中ならいざ知らず、平和の状態においてなんだから、その点についてももう一段お考えを願つておきたいと思うのであります。国民のためにお願いをするのであります。 第六條ですが、これは昨日か、政府の御答弁のうちに、米軍の機密というようなものには三種類あるという御説明があつたのです。併しながら、その三種類はいずれもいわゆるクラシフアイド・マテリアル、機密條項というものであつて、その点においては何らの違いはない。トツプ・シークレツトと言つても、或いはコンフイデンシヤル・インフオメーシヨンと言つても、それはいずれもクラシラアイドされている。だから昨日のような御答弁で我々は安心することはできない。この点について我々が忘れることができないのは、占領軍が日本におる間占領軍の内部で起つた事件、その中で最も代表的なものは、スターズ・アンド・ストライプスの論説委員ルビンというかたについて起つた事件です。このルビンというかたに起つた事件というのは、簡單に要点だけ申上げますが、要するにそのクラシフアイド・マテリアルを使つて論説を書いたということで以て罪に陷つた。ところが、その本当の理由は何であるかというと、そのクラシフアイド・マテリアルを使つたという、そのクラシラアイド・マテリアルというのは一体何だというと、これは賀川豊彦さんに対する、賀川豊彦さんが戰争中日本でどういうことを言つていたかということについての材料です。このことがクラシフアイド・マテリアルだ、米軍の機密に関すると、こういうことは決してどういう意味でも受取れないですね、賀川豊彦さんが戰争中日本でアメリカ人のことを米鬼、英鬼と言つていたとかいう、そういう資料が米軍の軍機安全に関することとは思えない。ところが、そういうことが軍機の安全だと言つて新聞の論説委員が刑罰を受けたという事実があつたのです。政府は勿論そういう事実を十分御承知でこれを立案されておると思うのですが、昨日の御答弁を伺つていると、そんな心配はないじやないかというふうな、余りに安心してお考えになつているのじやないか。クラシフアイド・マテリアルというものがある以上は、それが今申上げたような本当の軍機の秘密、或いは米軍の安全というものを守るという意味から非常に拡大されて、その論評を制限するということになつて来る、ですからここで伺いたいのは、ここで第六條で以て日本人が罪に陷るかも知れないものをできるだけ明確にして、第一には米軍の安全を害する目的を持つて、そうして不当なる方法で、或いは不法な方法でというような、両方の要件が重なつて来たものは、これは気の毒だけれども罪になる。併しそのいずれかであつた場合には、そのいずれかについても或いは議論の余地があるでしようから、議論の余地のあるいずれかだけで罪に陷るということはないというように持つて行くのが、先刻来伺つているそれぞれの原則から当然ではないかと思うのですが、どうでしよう。そうしてその際、もう一つ伺つておきたいのは、「不当な」というのも当然「不法な」とすべきです。これについて政府の御答弁は、「不法な」というふうにやつたのでは殆んどひつかかるものがなくなつてしまうというのです。結構じやないですか。よほどのものでなければひつかからない。まさか政府は、これでひつかかる者が多いことを喜んでおられるという御意思は露更らないと思う。もうこれでよほどのものでなければひつかからないようにしておくということは先刻来伺つている。外国の軍隊が日本におる、戰争状態じやない、そうして臨時の問題であるという点から、私はこの法律が成立して、その後に一人でも引つかかる人がないということは立案者の不名誉じやない、非常な名誉だと思います。何人でも引つかかる法律を以て喜んでおる官吏が日本の政府部内にはいるかも知れませんが、それは大変な違いだ。それじや引つかかるものがなくなつてしまう……結構じやないですか。そういう法律こそ立派な法律案じやないか。それをできるだけ引つかかる人があるようにこしらえておる。だから「不法」じや駄目だと……。併し実際問題としては軍機を破つて、その機密の文書を持つて来るとか何とかいうことによつて、初めてこれが明らかになつて来るのです。だから安全を害する目的だということがわかつて来るのです。だから、そういうような点で不当じやない、不法だ。且つ目的と方法と相待つて、それが罪になるというふうに行くことが、これは適当じやないか。而もこれはアメリカの軍のほうでも機密を守るという責任は十分持つておられるはずだし、防諜法などを拜見すればアメリカ軍のほうでも秘密は絶対に漏れないように随分しておられる。それからそれでも出て来るようなものは、実際これが漏れたからと言つて米軍の安全に関係するようなものじやない、実際問題として……。それでこの軍機の秘密が漏れれば万事休すというような考えで行くべきじやない。軍機は幾分漏れても却つてそれによつて安全が保たれる。軍機が一つでも漏れたらおしまいだという考え方のほうが安全を脅かすのじやないか。そういう意味でこの「不当な」ということはやはり「不法な」とし、そうして「又は」は取るというふうな考え方が望ましい行き方ではないかと思うのですが、どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) 同一の危險性のあります場合には、その危險性を防ぐ方法はこれは片手落ちであつてはならないということでありますから、かような書き方になつたわけでございます。
○羽仁五郎君 そうすると、この第六條の二項に移つて行きますが、この二項の場合にも「他人に漏らした」というのは家族なんかも場合によつちやあるかも知らない。家へ帰つて来ても話もできないことになる。従つてこの二項でも、安全を害する目的を以て、そうして不法又は不当な方法によらなければわからないものを他人に漏らすというふうにやつて行くことが、この特別法の特殊な性質から望ましいことではないのでしようか、どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) この点についても、かような立法は適当であろうと考えたわけであります。
○羽仁五郎君 委員長の圧迫によつて(笑声)意見長官がその法律家としての良心に背かれるようなことがあると、これは意見長官の長い将来に対して甚だ遺憾だと思うので、委員長は公正なる委員長として機能を果されるように御希望しておきますが(笑声)、ここの第六條並びに第七條の実害というものは、一体どういうものなんだということについて、意見長官にもう一遍よくお考えを頂きたいと思うのです。で、低いレベルで考えると、機密が漏れるということが実害だというように考えるのでしよう、恐らくは……。併しそうじやないのです。機密なんか幾らでも漏れたほうがいいのです。古来機密が漏れたために破れたという軍隊なんかないのです。そうじやなくて、機密を漏らすまい、漏らすまいとする軍隊い破れるのです。これはそうですよ。例えばスターズ・アンド・ストライプスなんかを見て御覧なさい。日本軍で発行した新聞が、ああいうような軍の行動やその他についてのいろいろな知識を……日本では現にあんな新聞を軍隊じや発行していなかつたのですよ。アメリカ軍と日本軍と戰争しておつた時に、日本軍とアメリカ軍とでどつちが機密が漏れたろう。日本では絶対に漏れない。アメリカでは盛んに漏れたでしよう。かかる軍隊が強い軍隊なんですよ。機密などは絶対に漏らすまいとこせこせとやる軍隊というものは、なすべからざる戰争をやり、そうして破れる。このいい例が、日本帝国の陸、海軍、空軍というものがそれだつた。あの通り嚴重に、橋を油絵で書いてもいけない、高い塔をスケツチしてもいけないという工合に機密を守つた軍隊というものは、なすべからざる戰争をやり、そして惨澹たる敗北を喫した。僕はあの当時アメリカで、橋を油絵で書いていかんとか、電柱をスケツチしちやいかんということで引張られたということは聞かない。この第六條、第七條の実害とはそもそも何だ。機密が漏れればおしまいだ、意見長官はそういうお考えなのか、それともそうでないのか。もとよりこの恐るべき点は深いところにあるのじやないか。従つていやしくも機密が漏れないように、そういうふうに法律を作つて行きやいいのだというお考えでしようか、どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) 非常に高いところにある御気持はよくわかりますけれども、現実の問題としては、これは御承知の通りに各国の軍隊のあるところ軍機保護法という制度は皆持つておるのでありますから、この必要性というものは、現在世界においては必要性は普遍的であろうと思うのであります。
○羽仁五郎君 第七條は、私はこれは全部アウトだと思うのです。こういうところにこんなものを入れておくということは、立案者の名誉にも関することだ。我々国会議員としても、実際はこの第七條というものは、これは全部削るべきものだろうと思います。それは今申上げたような実害というものを何と見るか。先日来政府側の御説明では、機密が漏れたら万事休するだ、だからそれは予防したいのだ、それだけのお考えか。それだけの考えで到底極東の安全、或いは日本国の安全というものを維持して行くことはできないし、又日本に占領軍、アメリカの駐留軍というものが国民によつて信頼され、愛されるものとはならないという点から、これは十分に考えて、いわんやこの中の「せん動」というものまで入れて来るということは、これは明らかに行き過ぎじやないかと思いますが、どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) これも前回御説明した通りでございます。
○羽仁五郎君 先ほど申上げたように、委員長は意見長官に対して特に精神を以て圧迫を加えられておるということはないのですから、今のような御答弁でなく、どうかあなたのお考えを聞かして頂きたいと思うのです。どうでしようか、本当にまじめに私は、こういうところでいやしくも行き過ぎをやつて行くということはよくないじやないか。だから少くともこういうところまで煽動、この煽動を入れる、或いは陰謀をするという御説明は、機密が漏れたらおしまいだからそれが決定的な実害だというふうにお考えになつてるのですか。私はそうじやないと思う。機密が少しは漏れても、却つてそのほうがいいのじやないか。それをそういうふうに、機密が少しでも漏れたらいかんとか、煽動だとか陰謀……陰謀は今讓つてもいいのですが、煽動というようなところまで行くことは、実際においてはそれが怨嗟の的になつて行く虞れがあるのではないかと思うのです。どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) 少しでも漏れたらというのでありますが、少しでも……少し漏れますか、どやつと漏れますか、そこの問題は実は法律の問題としては何ともいたし方ないことでありまして、結局この危險性の問題から推して行くほかにないので、教唆、それに相当する煽動というところで打切つたわけであります。昔の立法例としては、御承知の通り誘惑というところまで行つたものもありますし、干渉というところまで行つたものもございますけれども、さようなことはやらずに、必要最小限度にとどめたというのがその趣旨でございます。
○羽仁五郎君 一般の刑法の場合には「せん動」なる言葉がない。特別法の場合にはこれは入つて来るということが、運用されますと、逆に刑法にも「せん動」ということがどんどん入つて来るというようになつて、そうして実害というものが低いレベルでばかり考えられて、高いレベルでその国が誤られずに導かれて行くという可能性が失われて行くということについて、更に意見長官からお考え下さることをお願いして次に移ります。第三章。第三章については、これも各委員からも、殊に伊藤委員からも御質疑があつたのですが、行政協定の性質について今更議論をしませんけれども、併し行政協定において国民の権利義務に関するものは、別に立法を以てこれを定める、予算案を提出するということは、しばしば言つておられるのですから、同じ文章であつても行政協定の中で国民の権利義務に関するものは、やはり関係の法律の中にお入れになるほうがいいのじやないかというふうに思います。例えば第三章の第十條の前に、第十七條の(b)とか(c)とか(f)とかいうものは入れて行かれるほうがいいのじやないでしようか。入れて行かなくてもいいのだというお考えだろうと思うのですけれども、併しそれはやはり権利義務に関するものは、同じ文章でもその関係の法律案に入れて行つたほうが、こういう特別法が国民に與える影響の上からいいのじやないかと思いますが、そうして又それが国民にとつても有利にこの法律が運用されるということになりやしないでしようか、どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) それは誠に考え方の問題でございまして、そういう方式も成り立つことは、先に吉田委員の御質疑に対してお答えした通りでございまして、我々としてはこの案の通りで結構であろうと考えているわけであります。
○羽仁五郎君 最後に別表の問題です。この別表に挙げられているものが一つ一つで機密を持つという場合は、これは戰時状態です。それで平和の状況においてこれらの機密をなすというのは、これらが相関的な相互的な関係を持つて来た場合に、私は平時における軍事の機密をなすものだろうと思う。軍事上の機密というものについて政府は十分に御研究になつて、そうして一定の理論的基礎を持つておられるのだろうと思いますが、こういうふうに羅列をするということは、戰時状態における考え方で、平時状態における考え方でないと思う。ですから至る所に出て来る「又は」というような言葉は、非常に不用意に出て来ているもので、「又は」「若しくは」……実はこれらが相関関係を持つて初めて平時における軍事上の機密の意義をなすので、一つ一つは平時における軍事的機密にならないと思いますが、意見長官はどうお考えになりますか、
○政府委員(佐藤達夫君) 立法の技術といたしましては、全然別表はなくつて六條だけでします技術もございますけれども、我々はそういう不親切な態度はとりたくないということで、特に御指摘のような別表をつけまして、この実態を明らかにしたわけでございます。又その内容、幅等は、前の軍機保護法を御覧になればはつきりおわかりの通りに、ずつと狹くしてあるということでございます。
○羽仁五郎君 その点についても、国民は成るべく実害なくして罪に陷るということはない、且つ又これは平時における軍機の保護の関係だという点は、もう少し考えて頂きたかつたと思うのであります。それから最後に、これらを総括してなんでありますが、その第一は、この軍事上の機密というふうな問題になつて来ると、これは新聞関係者の御意見にもあるのですが、旧軍機保護法時代には、これは軍機の秘密であろうかなかろうかという点についてその関係、つまり軍の意見を聞くということが結局習慣になつてしまつた。それから検閲ということに事実なつてしまつた。当時は、日本帝国政府は検閲ということを罪悪とは考えておらなかつた、平気でやつておつたからいいのですが、現在はそれは罪悪である、そうすると刑事特別法の施行の場合に、いやしくも検閲に亘るようなことが起つて来ては大変だと思うのですが、そういうことを明らかに、そういう検閲に亘るようなことがなされないようなことは、これは勿論憲法で明記されてありますが、さつき申上げたように、一般法で保障されておることが、特別法で事実上において崩されて来るのでは、非常に悲しいことだと思うので、何か政府として、すでにこの委員会の席上で或いは政務次官から、先ほども警察から記事取扱いについて新聞社などへ注意を與えるというふうなことは許されないということの御説明はありましたけれども、併しそれ以上に、特に方法、措置をお考えになつておいでになりますでしようか、如何でしようか。
○政府委員(龍野喜一郎君) その問題はすでに我が国憲法の精神から照らしても明々白々たるところでありまして、その憲法の精神に従つてやれば、疑いのないところだと思うのでありまして、別に法律的措置の必要はないと思います。
○羽仁五郎君 この法が万一原形のままで通過して、実際に行われる場合を私どもも考えますと、この法が特殊な事情に基く暫定的な法であり、従つてこの法によつて国民の自由な活動が圧迫されることがあつてはならない、そういうような点についてでき得る措置があるならば、その措置が逆の効果を発生することがあつちや又大変ですから、お考えを頂きたいと思います。それから最後に一点だけ伺つておきますが、私はこれは私の所感ですが、こういうこの取締りの関係の法規ですねを作る場合には、民主主義的にはどこかに穴を作つておくということが当然じやないか、官僚主義的に考えれば、穴のない法律を作るというのでしようが、併しまあ例えば江戸時代の大岡裁判なんというものの昔語りにしてからが、どこかに穴があつて、よほど困る人は逃げられるようになつている。私はそういう意味で、これは新聞関係者もこの法律にはもう一つも穴がない、何をしたらいいかわからんと言うことは、これは実に人を縛つて飯を食つている人のこしらえた法律案だという感じを抱くのです。で、この法律についても穴がないということは、意見長官として民主主義的に見ていいことだと思うか、どうですか。
○政府委員(佐藤達夫君) 我々は穴のない法案を作ることが、我々の職責でございますから、その趣旨で実は作つたのでございますけれども、いろいろな今のこの御審議のあれで聞いておりますと、如何にも穴だらけのようで、実は心配しておつたわけです。結局それによつて私の気持を御推察願いたいと思います。
○委員長(小野義夫君) 簡單に願います。
○羽仁五郎君 そういうことを言うと長く言いたくなるのです、簡單に済まそうと思つておつたんですが……。意見長官に特にその点をお考えおき願いたいと思うのですが、つまり優雅な一條というのは、どれくらいその法規に対する国民の親愛の感を高めるかわからないと思うのです。これは新聞関係のかたがおつしやる説は、私は誠に耳を傾けて聞くべきものがある。法律のどこかに優雅な條項があつて、それで、その辺から、よほど事情から言つても、何から言つても、罪に陷るんだが、併し気の毒だというような人は、許せる場合が出て来ることがいいんじやないか、それは今までのお考えじや、法律としておかしいとお考えになるか知れないが、何故法律の新らしい形式や進歩をお考えになることができないのか。そういう点でこういう嚴しい法律には、一條くらいは、ああ、こういう温かい面もあるのかというところを示されたほうが、この法律が運用される上に、一層いい結果を與えるものじやないかと思うが、どうでしようか。
○政府委員(佐藤達夫君) お気持は誠によくわかります。ただ勿論刑法等の運用につきましても十分御承知の通りに、法律そのものは堅いような形になつておりましても、裁判所の運用その他において、結局温情ある結果を得ておるということは、幾多の例の示すところでございます。
○吉田法晴君 最初にお尋ねをいたします一点は、実はこの刑事特別法には関係はないのでございますが、講和発効を前にいたしまして、昨日から心配をいたして参りました点でございますが、朝来その機会をお願いをいたしておりましたけれども、機会がございませんので、こういう際でございますけれども、一つだけお伺いいたしたいと思いますが、講和條約の発効を目前に控えておりますが、中国との講和が今朝の新聞では調印をせられるということでございますけれども、その批准或いは発効というのは、若干遅れるのではないか。そういたしますと、先般来この委員会で論議をいたして参りました平和條約第十一條に基きます戰犯関係の刑の執行問題に関連する点であります。例えばこの明日、明後日となりまして、中国関係の講和條約が批准発効するということば考えにくく、若干批准発効までには期間があることと予想せられるのであります。その間の十一條に基きます刑の執行について、空白が生ずるのではないかと心配せられますので、その点についての御説明をお伺いいたしたいと考えます。
○政府委員(佐藤達夫君) 御尤もの御疑念であろうと存じます。御承知の通り只今お言葉にありましたように、今の條約、台湾との條約は直ちに恐らく国会の御承認を経る手続きをとると思います。従いましてその空白期間というものは、非常に短かいと、私どもは考えておるわけでございます。但しその間において然らばどうするかというこれは問題でございますが、それはこの平和條約の十一條の解釈によりまして、その間に日本のほうでお預かりをするというふうに考えておるわけでございます。
○吉田法晴君 そうしますと、十一條の解釈だけという御答弁でございますが、その解釈に若干疑問がございますので、お尋ねをいたしたわけでございますが、もう少しその解釈を明確にお願いいたしたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) これは結局十一條の最初の部分にございます「連合国戰争犯罪法廷の裁判」とございます。その連合国戰争犯罪法廷というものは、どこと、どこと、どこの法廷を指すのだということになると思いますが、私どもはこれは中国も連合国の一つであつたわけでございますから、ここに入つておるというふうに考えております。
○吉田法晴君 なお若干の疑問が残りますけれども、余りこの問題について質疑を続けますこともどうかと考えますので、不満足ながら今のお答弁でこの際一応とどめたいたと思います。それからなお二、三点残つておりますが、その中で私は例えば委員長或いは政府におきましても今日の本会議でこの法律を上げなければならん、こういう御意思或いは御意見でありますけれども、どうしてもその点が納得がいかんのであります。でこの委員会の最初から御説明を聞いておりまして、この法律案の基礎になりました安保條約或いは行政協定、その行政協定の法的性格についてはここで論議をいたしませんが、御説明を聞いておりましても、民事、刑事裁判権の行使に関する覚書が講和発効と共になくなるので、失効するので、連合国軍の要員その他を要請によつて逮捕に協力する。こういう点についての法律の必要があるという点はわかります。併しこれはこの法律案の中にあります手続規定、言い換えますと三章以下が主としてそれでございますが、併しこの法律案には私が申上げるまでもなく前半は実体法でございます。言い換えますと刑法の特別法規とそれから刑事訴訟法の特別法規、この二つから成つておる。で御説明によりますと刑事手続法の特例に関連いたします第三章については明日から必要である。言い換えますと今日上げなければならんという理由は納得をいたします。併しながら実体法の部分につきましてはこれはたとえ一両日空白期間ができたといたしましても、事実空白期間はできない。で御説明によりましても占領中スパイ事件と申しますか、六條その他が狙つております軍機保護の規定というものを必要とした事件というものはこの占領期間中六年に近い期間に僅かに二件しかなかつた。こういう点を説明を聞きますと刑法の特例法、実体規定に関しますこの法律は何といつても今すぐに上げなければならんという理由は発見いたしがたいのであります。これは議事進行にも関連いたしますけれども、政府のどうしても講和発効前にこの法律を上げなければならんという理由をもつと明確に一つお示しを頂きたいと思うのであります。なお私はこれは安保條約、或いは行政協定についてもそうでありますが、そこから流れて参りましたこの法律案の関連性、言い換えますと、軍機についても向うの意思が相当決定的になるのじやないか、或いは手続規定の中心をなしますものについても、軍の裁判所、或いは軍隊の要請といつたような、相当この法律案の中枢をなしますものについては、要請という点が顯著に現われておりますが、法案自体についてもそういう面があるのじやないか。むしろ日本の国民についてなし、或いは取扱う規定ならば、独立後、国が或いは国会が冷静な立場からもつと考えるほうが妥当であるという感じがいたすのであります。これらの点についてもう少つしはつきり一つ承わりたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) この事実についてのお言葉がございましたが、今二件ということでございますが、これは最近新聞に出たのが二件ということだそうでございます。なおこの実体問題でございますが、これは先ほど来羽仁委員の御質疑にお答え申しました通りに、駐留軍がとにかく平和回復からあるわけでございますからして、その安全の保護につきましての措置というものは、私は一日も空白を許されないことと存じます。若しも遡及処罰というようなことが憲法上許されますならばこれは別でございますが、そういうことは当然許されないことでございますし、その法制といたしましては一日の空白もあつてはならないというふうに考えております。
○委員長(小野義夫君) 簡單に願います。
○吉田法晴君 論理的にはそうでございましようけれども、時日の問題について先ほど政府の御説明を引用いたしまして、或いは運用になるかも知れませんが申上げたのでありますが、成るほどこれが長い期間に亘るということであればとにかくであります。併しながら私どもがこの法案を審議しておりまして、これは羽仁委員もさつき言つたと言われたのでありますけれども、衆議院は六日、私ども勉強して日曜もつぶして審議をいたしましたけれども、実際問題として時間が足りない或いは審議の用意が足りないということを感ずるので、時間的に申しましても、或いは半年とか一年ということになるのではなく、数日の問題であろうと思うのでありますが、その余裕さえも與えられないというほどの事情はないではないか、こういうことをこれは軍機関係についてもこれは最近の例だと言われましたけれども、今までの実態から考えてそう考えるのがどうだという点についてはもう少し納得の行く御答弁を頂きたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 政府といたしまして、本委員会におきまして非常なお勉強を頂きましたことについては心から感謝しておる次第でございます。この法案についてこの空白を置いては困るということにつきましては先ほど説明したところで盡きておると存じますので、何とぞさような運びに至りますように、空白のないようにお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
○吉田法晴君 それではこの点については議論になりますから省略をいたしますけれども、御説明では、過去の御説明を加えて、どうしても納得いたしがたい。問題は何と申しますか、対外的な考慮という点があるかも知れませんけれども、それを除きます、除きますといいますか、それを加えても日本自身の、或いは日本の国会の権威と申しますか、或いは国民のための審議の実体的な必要から考えますならば、納得いたしがたいということを申述べて、時間の関係もございますので進みたいと思いますが、第六條について、不当な方法その他については、或いは軍機については随分論議が盡されましたが、「合衆国軍隊の安全を害すべき用途に供する目的をもつて」でありますが、この目的につきましては論議或いは質疑が不十分であつたかのように思います。で、解読書を読みますというと、成るほど何と申しますか、了解をし得る解説がなされておりますけれども、この法文を読みますというと、実際は何のことかわからん、質疑の過程で、答弁で「敵対関係にあるか又はさして遠くない将来敵対関係を生ずる客観的可能性のある外国その他合衆国軍隊の安全を害する意図を有する者に知られることは」云々と、言換えますと、先ほどのお言葉によりますと、或いは敵対関係にあるところ或いは敵対関係を近い将来生ずる可能性のある、この可能性が問題でありますが、客観的にあるかどうかういう点については問題が非常にあるかと思いますけれども、この言葉の意味するところのものは解読書によれば一応わかります。わかりますけれども、この法律の文章「合衆国軍隊の安全を害すべき用途に供する目的」という文字だけからはそれは出て来ないと思うのであります。で立法技術の問題になりますけれども、若し解読書のごとくであるならば、法文上についても、もつとそういう表現がなせとられなかつたか、これらの規定のあいまいさが法の運用について今後私議がさしはさまれる、或いは拡大解釈されて行く危險性がございますので、その点について立法技術上この不備についてと申しますか、或いは概括性について多少の意見を申上げてお答えを願います。
○政府委員(佐藤達夫君) 先ほど来申述べましたように、合衆国軍隊の安全が害せられるということは、延いては我が国の安全の問題になるわけでございますから、それを率直に抑えて「安全を害すべき用法に供する目的をもつて」と表現したのでありまして、この表現については、私満々たる自信を持つておるわけであります。
○吉田法晴君 お尋ねをしたのは、解説の中にございます、何と申しますか第三国と申しますか、敵対関係にあるか、さして遠くない将来敵対関係を生ずる客観的可能性のある外国その他云云とこういつたような外国に漏らす目的と申しますか、端的に言えばそういうことになると思いますが、そういう意味が、この合衆国軍隊の安全を害すべき用途云々ということであれば、もつと法文の規定の仕方が違うんじやないか、こういうことを申上げてお尋ねをしておるわけであります。その点について質問に即応して御答弁を願います。
○政府委員(佐藤達夫君) 安全を害せられることは日本にとつて最も危險なことでございますから、その安全を害せられることが誰によつて害せられるという……、例えば国内のものによつて害せられるということもいろいろあるわけであります。およそ安全を害せられるようなことは困るという一点から出発しておるわけでございます。
○吉田法晴君 質疑と答弁とが食い違つたままでございますが、それではこの目的の点は一項には入つておりますけれども、二項には入つておりません。通常不当な方法によらなければ收集又は探知できないということを他人に漏らしたということで、前には探知、收集、二項は漏らすことが犯罪要件になつておりますが、構成要件になつておりますが、一項には合衆国軍隊の安全を害すべき用途と、その書き方は解説と本文と比べて見れば具体性が違つておる。ところがそれはとにかくとして、この目的は第二項にはないのはどういう理由によりますか。不当な方法によらなければ探知、收集することができない、而もそれは解説によると認識が必要である、こういうことでありますが、不当な方法によらなければ云々というような抽象的な言葉で規定しておりますならば、今後の法の解釈の拡大が予想せられますだけに、その目的をなせ二項に入れなかつたかを一つ承わります。
○政府委員(岡原昌男君) 第一項におきまして特殊な目的を掲げましたのは、探知、收集につきまして、この程度の悪性のあるものはやはり取締らなければならない、かような趣旨でございます。それから第二項におきましてり特に掲げなかつたのは、考え方として機密が洩れるということを防ぐ、その洩れる方法の如何を問わないで、その渡らされる機密の種類を限定したわけでございます。従いまして渡れたほうとあとのほうは事前の段階で、探知、收集の段階のことを規定したので、目的を分けたわけであります。
○委員長(小野義夫君) まだ長いですか。
○吉田法晴君 そう長くはありません。(笑声)
○委員長(小野義夫君) これは先ほど伊藤委員からも仰せの通り、あらゆる言論を圧迫するわけではないが、やるだけの最大限を盡くしたので、これはどうしても今日上げたいということは大体の大勢から止むを得ないというふうに私も考えるのでありますが、つきましては四時半くらいに本会議に持込みたいという希望があるのですが、そこで一つ成るべく言論の自由を圧迫するような形でなく、簡單にお願い申上げたい。ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(小野義夫君) 速記を付けて。
○吉田法晴君 法案の二十條については昨日御質問をしたところもございますが、その行政協定につきましては私ども異論があるのでございますけれども、行政協定十八條に基きますと民事特別法の場合にも求償権の規定と申しますか、それがあるわけなんであります。ところが刑事特別法による刑事補償法の適用がせられる場合には全部日本、或いは日本の国民が税金で賄わなければならんということは何としても納得が行きません。で本来全額向うでこれは持たるべきでありましよう。向うの裁判所、或いは合衆国軍隊による抑留、拘留が間違つておつた、こういうことでございますから、当然向う側において補償をせられるべきでありましようが、この場合には全額日本国民の負担、民事の場合でも半分になりますか、幾らになるか知りませんけれども、分担金がございますが、これらの点についてもう一遍御確答を頂きたい。
○政府委員(佐藤達夫君) 適切なお尋ねだと思います。これは国内法におきましても、国家賠償法と刑事補償法との関係について類似の問題がございますが、少くとも只今お尋ねの点におきましては今の十八條でありますか、そのほうから基きます民事特別法のほうは先に働きまして、それにカバーされない部分が二十條によつてこつちに乗つて来るというふうに考えておるわけであります。従いまして民事特別法による負担関係の問題が出て来るわけです。
○吉田法晴君 ちよつと、そうしますと今の点民事特別法によるカバーされる分がある、残つた分というお話でありますが、具体的にどうなるのでございましようか、ちよつと了解しかねるところがありますが、合衆国の軍事裁判所、或いは合衆国軍隊による抑留又は拘留についても、民事特別法の適用がある場合があつて、そうしてその残る分について両方の国で刑事補償をやる、こういうことでしようか、ちよつと具体的な事例を挙げて御説明願いたい。
○政府委員(佐藤達夫君) 民事特別法のほうは御承知の通りに、違法にとか、或いは国家賠償法にかぶりまして故意とかというような問題がかぶつて参ります。従いましてそのほうの條件に該当いたします限りは、もとより民事特別法の問題となり、延いては行政協定十八條による両国の分担問題になり、それ以外の分が刑事訴訟法の場合にはあり得るわけでございますから、それがここで二十條として出て来る、こういうことでございます。
○吉田法晴君 そうすると私はさつき伺いましたように、合衆国の軍隊による拘留、抑留、それが故意その他でもつてなされたら別でありますけれども、一応この裁判所或いは軍隊による抑留或いは拘留というような問題は適法になされると考えられて、抑留又は拘留が行われるのですか。そうすると、その場合に刑事補償をやると言えば、民事特別法の適用はないような感じがいたしますが……。
○政府委員(佐藤達夫君) それは普通国内関係における刑事補償法の適用関係にもあることだと存じます。例えば故意によらずして抑留、拘禁された、併し裁判を重ねた結果、それが無罪であつたという場合があるわけであります。さような場合に補償しようというのが本来の狙いであるわけであります。
○吉田法晴君 もうちよつと時間があるようですから、別表の問題についてこれは昨日もお尋ねを若干いたしました。それから羽仁委員からの御質問がございましたが、例を挙げてお話を申上げます。私は例が好きなんですが、具体的に例を申上げたほうがわかりやすいから三、四つ一括してお尋ねを申上げます。防空訓練は何と申しますか、先般九州でもございました、或いは北海道でもいつかあつたと思います。これは国内法規に基いてはおりません。恐らく要請によつておやりになつたことと思いますが、実際には自発的になされているという恰好になつております。ところがこれにつきましてその根拠がないからということによつて、これは法の基本精神にも関連しますけれども、そういう戰争の危險或いは空襲の危險性はない、そこにこういう問題を起すことは徒らに人心を刺戟し、或いは妥当を欠くという場合において防空訓練の反対の意思表示、或いは反対運動があつたかわからんが、若しこういう場合に軍機という問題が今までの説明の中にありましたように第一次的には、法文にいろいろ書いてあることが第一次的には向うの意見と言いますか、指示と申しますか、そういうものが決定的なものになると考えますならば、この防空訓練の反対の意見或いは運動のごときは、何と申しますか好ましいとか好ましくないという点から申しますれば、そういう問題があろうかと思いますけれども、防空訓練反対のこの正味の、中味になりますけれども、中味に関連いたしまして防衛の方針若くは計画の内容その他の実施状況、こういつた点に関連する危險性があるのじやないか、こういう感じがいたしますが、その点を一つ。それからもう一つ第三の軍用通信のこれは内容になりますが、通信に関する事項でありますが、部隊の任務、配備行動に関連するかも知れませんが、或る郵便局福岡の中央電信局について国会議員といえども任意に入ることが許されない、これは日本の国の官署でありますけれどもそういう事例がございました。これについて私どもその妥当ならざることを考えるのでありますが、こういう点についてかくかくの事実があり、そしてこういう何と申しますか管理がなされておるというか、或いは配備がなされておるというか、そういうことからいたしまして、若し抗議をなすと申しますか、或いは是正を志す場合にこういう問題は起つて来ないか、これが第二。それからもう一つこれは今後日本の本当の独立を希う意味からいろいろ問題或いは言論がなされて参ると思うのでありますけれども、それがこのように抽象的に規定せられますというと、そうしてそれが勿論別表だけでなくて本條に関連をいたして参りますけれども、本條の中味が或いは不当な方法であるとか、或いは先ほども論議いたしましたけれども、目的についても抽象的に規定せられる限りにおいて危險性を感ずると申しますか、少くとも危惧を大方において抱いておるここは明らかでありますが、この具体的に三点を挙げましたけれども、これらについて御回答を煩わしたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 最初に実例をお挙げになりましたが、この法律の問題にはならないと私ははつきり申上げれると思います。その点御心配は不用であると考えます。あとの問題は先ほどもちよつと触れましたことでありまして、この具体性と申しますが、もつとはつきりという御要請でございますが、これはもう悲鳴を上げたようでお聞き苦しいと存じますけれども、我我の力といたしましては、恐らくこれは何人がお書きになりましても片手落のない、即ち片手落のある洩れかたでないようなやりかたでということでございますれば、こういうような形にならざるを得ないと申上げておるわけであります。
○吉田法晴君 先ほど羽仁委員から穴のお話がございましたが、この穴をこしらえるという具体的な方法が、例えば機密について、機密が客観的に法律で具体的に規定せられないで、質問をいたして参つておりますというと、向うのこの意向というものは軍機の性質を決定する要素になるということでその向うの意向を聞く云々ということになりますというと、曽つての日本の情報局その他でありますが、日本の軍の意向を行政機関を通じて問合わせる、或いは行政機関からいろいろな通達と申しますか、或いは注意事項が流される、こういうことになる危險性がございます。次官は昨日からそういうことは憲法の條章精神から考えて絶対にないと言われますけれども、軍機とは何ぞやということを質疑して参ります間に、向うの意向と申しますか、そういうものがかかつている以上、そういう方法が日本の機関だけでなしに何らかの、或いは日本の行政機関を通ずるかも知れませんが、曽つての通牒と申しますか、注意規定と申しますか、そういうものが生じて来る危險性を今まで質疑を続けておりまして感ずるのでありますが、これらの点についてそういうことはいたしませんという話でありましたけれども、心配の点が残つているだけにその点は具体的に一つ御答弁を頂きたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 向うの意向ということが相当強くお気持に入つているようでありますけれども、私どもは先般来申上げておりますように、飽くまでもこれは日本の裁判所の問題でございまして、日本の裁判所が責任を以て判断することでございます。ただ参考に向うの実際を知るということはこれはありますので、その程度で申上げた言葉であるわけであります。
○吉田法晴君 ところが日本の法律に規定されることで裁判所は判断するのですが、日本の法律に規定するのは抽象的な文句が使つてある、そして実際にそれが明らかなものは勿論問題はございませんけれども、疑問になる所、或いは中間になる所については、これは軍機の性質について今までお話のあつたように参考人にいたしましても、何にいたしましても問合せると申しますか、そういうことになりますれば、それではこれらの問題についてはどうでしようか、こういうことで聞いて参るというようなことが若し行われるといたしますならば、それはそれでは一々聞くよりも念のためにこういうものについてはこうであると、或いはこれは機密に属する、或いはこれは問題がない、こういうことになりますと……、
○委員長(小野義夫君) 吉田君、御予定の時間になりました。
○吉田法晴君 これは折角の御答弁のようなことにならない心配があるからその点をお尋ねしておるわけです。
○政府委員(佐藤達夫君) 向うの駐留をも含めまして裁判所はあらゆる証人、あらゆる資料に則つてその責任において公正な判断をするということはこれは申上げるまでもないことでありましようと存じます。
○伊藤修君 この程度で休憩することの動議を提出いたします。
○委員長(小野義夫君) ちよつと休憩に先だつて……、それでは以上で質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小野義夫君) 御異議ないものと認めまして質疑は終局したものと決定いたします。それでは四時四十五分まで休憩いたします。 午後四時三十四分休憩 —————・————— 午後四時五十六分開会
○委員長(小野義夫君) これより委員会を再開いたします。 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案についてこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正等の御意見もございましたなら討論中にお述べを願います。
○伊藤修君 私は本案に対しましては反対するものであります。なお本案全体を通じまして、質疑応答中において始終指摘しております通り、これらの点に対しましては本案におけるところの大きな欠点であると言わなくてはならん。又この欠点がやがては我々の基本人権を阻害することの結果をもたらすものであるという観点からいたしまして、この法案を施行するに当りましては以下述べるところの点を修正するに非ざれば、いわゆる国民の基本人権の保障というものが全きを得ないと、かように確信しておる次第です。従つて私はこの際本案については修正案を提出いたしたいと考える次第です。修正案はお手許に配布済みと心得えますから、以下修正の各條項についてその案文と、その理由とを簡單に申上げて私の意見を終りたいと存じます。 先ず本案の第二條中「(行政協定第二條第一項の施設又は区域をいう。)」を「行政協定第二條第一項の施設又は区域で官報を以て公示されたものをいう。」に改めたいと思うのです。これは質疑応答中にもありましたごとく、このいわゆる「日本国内及びその附近」という行政協定に基くところの字句を本法中に引用いたしまして、これを基本にいたしまして、すべての本法に定めるところの犯罪事実を確定しようという先ず根抵の問題であるのであります。その地域が果して国民に知らさずして、ただ現場におけるところの標示のみを以て国民が違反した場合において直ちに本法のごとき重罰を課するということは、これは為政者のとるべき方法ではないと思うのです。少くとも国民全体に周知徹底の方法をとつて然る後現場においてこれが禁止区域たることを標示してこそ初めて為政者において手を盡したにもかかわらず、国民に違反行為があればよつて以て本法において取締る、こういう行き方が正しいと思うのです。政府当局におきましても、これはやがて官報若しくはその他の方法を以て公示されるという御趣旨の御答弁はありましたが、少くとも本法において基本的にこれを明示しておかなかつたならば、重なる政府の行政措置のみを以てしてはこの重大なるところの基本としてはふさわしくないと、かように考えまして、本條中においては、先ず以て政府はその施設又は地域のどこそこであるということを官報を以て明示することを要求する次第であります。 第五條中「糧食、被服、その他の物」を「その他軍事上重要な物」に改める。これは質疑応答中において明確になつておりますごとく、いわゆる糧食の些細なものにおいてもいわゆる純理論から申しますれば、それをもやはり糧食云々として、器物毀棄罪が成立することになる。例えば一軍人の被服に対しまして、争い中或いはざれ事中において、これがたまたま破棄するに至りますれば、これをも本法においていわゆる刑法の器物毀棄罪によらずして、これを本條によつて処罰することは過酷に失するものがあると言わなくちやならん。かような些細のものをも取締るということは恐らく考えていられないと思うのです。又事実事案として裁判所に現われた場合におきましては、これに対して相当な考慮は認められると思うのでありますが、併し少くとも法律の成文の上において、かような末梢、些細なものをもいわゆる法の対象としてこれを取締ろうということになりますれば、この法案を運用するところの末端機関におきましては、この字句に拘泥いたしまして、些細のことをも取上げて、以て一応留置し取調べをし、そうしてその後裁判の手続を履むというような結果に至ることは必然と思われるのです。そういうようなことがあつてはならんと考える。恐らくかような軽微なものは適用しないという立案者の考え方も、この法が実際に運用されるに至りますれば、その立法趣旨というものは曲げられまして、広くこれを活用することに努められることは、今日までの第一線の警察官あたりの考え方から徴しましても十分我々は認識しなければならん。さような危險の虞れのある、疑義のあるところのものはこの際除いて、以てかような場合におきましては、刑法の言うところの器物毀棄罪を以て賄いますれば十分事足れりと考えるのです。従つてこの場合におきましては、本法中においてかようなものは除き、その代りその他軍事上重要なものと、こういうことによつて十分私は賄い得る、かように考える次第であります。 第六條第一項中「別表に掲げる事項」を「別表に掲げる事項でその漏えいが合衆国軍隊の防衛作戰上支障を生ぜしめる虞のあるもの」に、「物件で」を「物件であつて」に、「又は不当な方法で、」を「且つ、不当な方法で、」に改め、同條第二項中「通常」を削り、「收集することができないようなものを」を「收集することができないものを、合衆国軍隊の安全を害すべき用途に供する目的をもつて」に改める。これは大変長いようでありますが、先ず前段に申上げるところの「別表に掲げる事項」を「別表に掲げる事項でその漏えいが合衆国軍隊の防衛作戰上支障を生ぜしめる虞のあるもの」に限つた理由は、これは本法の第六條にいわゆる別表に掲げる事項として別表に列記された各事項は、すべて機密という認定を受けるわけであります。この別表を一覧いたしますれば、いわゆる機密でないものも含まれるがごとき感を抱くのであります。又事実これらのものを率直に考えますれば、いわゆる軍の機密として取上げるに足らざるものをもここに掲げられておる。若しそれが作戰上に至りますれば或いは機密に属するものもあり得ると思いますが、少くとも平時の場合におきましてはさようなことが軍の機密と考えられないようなものも随分取入れられておると思うのです。従つて別表に掲げられておるものを我々は容認するといたしますれば、この前段におきましてこの法律の主たる目的は、いわゆる安全保障條約に基くところの日本国の防衛及び第三国の直接侵略、これをアメリカが軍において担任するのでありまして、この担任することの目的を達せしめるために、この国内法においてこれを取締ろうというのでありますから、少くともこの安全保障條約の企図するところの目的の範囲内において、我々は手当をいたしますれば、十分事足りると考えるのです。然らずしてこれが平時の場合においても容易に解釈を左右し得るような点にまで推し拡げて、国内法規において国民を規制するという考え方は、余りに行き過ぎではないかと思うのであります。でこの点は将来においていろいろな問題を投げかけると思うのです。只今少くとも本法においてこうした一つの枠を設けて、以て別表のものに対するところの機密保持ということに定めることが最も私は適合するものと、いわゆる安全保障條約の目的に適合するものと考える次第であります。 で次にはこの「物件で」を「物件であつて」と、これはただ文章の語呂を修正したに過ぎない。その次に「又は不当な方法で、」を「且つ、不当な方法で、」とこう改めたことには本法の一番これが中心点になると考えるのです。いわゆる本法におきましては意欲犯罪といたしまして前段において害すべき用途に供する目的を以ていたす場合には一つの犯罪が成立する。これは勿論取締らなくてはならん。私はこれは是認いたします。併し後段の又は以下はこれらの意欲、これらの不法行為をしようと、こういう害悪をしようという考え方を毛頭持つていない人々、例えば私なら私が趣味によつてあらゆる世界中にある現存する飛行機の型を收集したいという熱意からいたしまして、その飛行機なり写真なりを收集いたします。收集の場合におきましては、それが或いは正しく売買によつて收集し得ることもあります。或いは歓心を買つて收集することもあります。又、收集困難な場合におきましては、いわゆる不当な方法によつて收集することもあり得る、こういう收集癖のためにもこの犯罪は成立することになります。又、学者が或る発動機なら発動機を発明しよう、又は研究しようという場合において、あらゆる世界的の、世界に存在するところの、機械の型、或いはその図面というものを收集し、研究の資料に供しようという場合におきましても、その行為において、少くとも不当とみなされるようなことがありますれば、すべてこれは罰せられる。併し、その学者は決して第三国に利益を図り、アメリカ軍隊に害悪を與えるという考え方は毛頭持つていないという場合においても、犯罪によつて直ちに処罰される。これは今後におけるところの日本の科学の進歩、日本の学術研究の向上に大きな阻害を與えるのみならず、これによつて言論というものが幾ばくか制約され、むしろ言論のすべてをこのことに関する限りは制約するものと言わなくてはならんのです。この点において、若しこれが原案通り通過いたしますといたしますれば、恐らく将来におきまして、言論機関というものは、いわゆる日常刊行せられるところの新聞、雑誌というものは、この別表に掲げられておる事項に関する限りは、すべて單独にこれを掲載し、記事とすることは不可能となるのです。いわゆる事実上検閲制度の復活であり、事前に或る機関に、こういう事項を書きたいと思うがどうだと言つて、事実上検閲を受けざるを得ない、してみますれば、今日言論機関の自由を保障しておる、又これに対するところの何らの法律的制約はないにもかかわらず、この法律によつて間接的に検閲制度の復活ということを容認にすることの不合理の結果を招来することは、我々として到底憲法をみずから守ろうとする立場におる者といたしましては、かかる考え方には絶対に賛成しがたいのであります。従いまして私は只今申上げましたような修正にいたしたい、この修正によつてもたらすところの結果というものは、いわゆるさような、合衆国軍隊を害するところの用途に供する目的を以て、そういう意欲を以て收集し、探知し、いわゆる意思と行為がなければいわゆる処罰されない、こういたしますればさような意思のある、さような目的のあるものはそれこそ処罰することは私は差支えないと思う。さような意味におきまして、本條におきまして特にこれは重点的に考えましてこの修正を要求する次第であります。 第二項の「通常」を創る意味は、この「通常不当な方法によらなければ」という文字を入れてこの條文を立てるということは、これは非常に異例な立法形式である。立法形式といたしましても国民がこの法律の規範の下に服する場合におきましては紛らわしい法文として将来にこの解釈については相当な議論の余地が存するところと思う。およそ法律を制定する場合におきましてはかような疑義を残すがごとき字句を、表現方法をとるということは私は好ましくないことと思う。法律はそのまま国民の規範として直ちに知り得る、了解し得るような法律を制定することが一番望ましい次第であります。かような意味におきましてこの「通常」という文字を削らんとするものであります。 次にこの「收集することが、できないものを、合衆国軍隊の安全を害すべき用途に供する目的をもつて」というこれはいわゆる漏えい罪に対しましていわゆる單なる、質疑応答中にもありましたごとく、自分の家内に述べたとか、或いは心やすい者に不用意に述べたとか、こういう意思のない行為もこの條文の適用によりまして直ちに処罰される。政府当局の御説明によりますれば、本法はいわゆる過失はこれは問わない、意思なき行為は処罰の対象とならないと、かように御説明になつておるにもかかわらず、この場合に限りましてはいわゆる意思なき行為を罰することができる、自分の家内に不用意な間に寝物語りで以て自分の職場に起つたことを述べた場合におきましては、それが直ちに漏えい罪として処罰されるということは、我々の日常国民生活の理念に反することも甚だしい。かような社会生活に不合理な考え方の下にいわゆる意思なき行為を罰するということは行き過ぎも甚だしいと言わなくてはならんと思う。かような意味におきましてこの点の修正を求める次第であります。 第七條第二項中「教唆し、又はせん動した者」を「教唆した者」に改める。これはいわゆる破防法におきましても「せん動」という文字が非常に問題となつておる。この点は私は煽動ということに余りに敏感過ぎる、煽動という言葉に余りに恐れ過ぎると思うのです。一体本法におきまして煽動ということがあり得るかどうか、観念的にはあり得るとお答えがあつた通りであります。併し事実上かようないわゆるスパイ行為、探知行為、收集行為、漏洩行為、こういう犯罪行為、こういう犯罪構成要件を以てしなければ犯罪は成立しないにもかかわらず、これを公に煽動する、或いは公でなくとも煽動するということがあり得るでしようかどうか、むしろこれは教唆、幇助という形において多く行うことがあり得る。煽動それ自体は公然なことになります。そういたしますればみずからその犯罪行為を周知せしめて犯罪を公然性を以て行うというような結果に至る。だからかような行為をも処罰せんとすることは今日の立法体系におきましていわゆる幅を広くし、煽動をも処罰しようという考え方がたまたまこの一端に表れて来ておる。或いは破防法に煽動行為を入れるためここにこれを表現するというお考え方かもわかりませんが、ここで橋頭堡を作つて破防法における煽動というものを前にこういう法律に「せん動」という字句があるじやないか、いわんやこの破防法において「せん動」という表現は当然である。こういう理論付けのためここに前以て予防線的にお書きになつたのかも存じませんが、私は事実上の問題としてさような事例は少いかと考えます。して見ますればあえてかような文字をここに引用して立法形式の表現として用いられることは賛成しがたいわけです。この点も私は削除を要求するものであります。いわゆる実際の問題として実益がないと、こう申上げるわけです。 それから第十九條第一項中「参考人を」とありますのを、「裁判官の許可を得て、参考人」に改めるのです。これは政府の質疑に対するところの御答弁によりますれば、いわゆる行政処置であるから行政権の範囲内においてかようないわゆる間接の方法によつて成る行政行為を賄うということは当然のことである、こうおつしやつておりますが、政府当局の立場からいたしましても、日常法務関係にお携わりになるところの御列席の政府当局といたしまして、この十九條に掲げることがいわゆる單なる行政的処置とお考えになるかどうか。本質は刑事訴訟法に定めるところのいわゆる尋問、検証、物件の領置、いわゆる司法権を用いなければ到底なし得ないところのものである。この場合におきましては刑事訴訟法におきましてはいずれも令状の発行を要求しておる、それを條件にしておるのです。にもかかわらず本法においては單に行政的処置であるというようなお考えの下に安易にこれを定められておるのですが、その本質はいずれも司法的処分である、司法行為である、準司法行為と申しておるものであります。かような準司法行為に対しましては、なお且つ單なる行政的措置であるという考え方の下にこれをなし得るということは、これこそ憲法の言うところの基本人権の保障というものが全くここから崩されるものと言わなければならない。若しかこの理論を推し拡げるならば、いわゆる検事、警察官、これらの第一線の捜査官はいずれも行政官であります。準司法官としての行政官であることは御承知の通りでしよう。この行政官がなすことはすべて行政処置である。だから検事は何をやつてもいいんだ、裁判所の許可を得なくてもよいのだ、こういう観念に通ずるものがあるんではないでしようか。してみますれば現在刑事訴訟法で以てこれを喧ましく規律する必要はどこにもない。刑事訴訟法も改正しなくてはならない結果を生ずるのではないでしようか。かような不合理の基本的観念を以て、安易にこれを行政行為としてここに頬被りして通ろうという考え方は、私は見識あるところの政府の各理事者のかたがたのとらざるところであろうと思うのです。若しかようなことが容易に認容されて行くならば、延いて以て日本の政府の法律体系というものは、行政措置なら何事もなし得る。かような不合理の結果を招来し、過去におけるところの警察国家、権力国家、そういうものが再び具現するような結果をもたらすことは火を見るよりも明らかであります。 以上申しました観点からいたしまして、本修正案を提出するものであります。私は参議院の法務委員会というものが今日までのあり方といたしまして、超党派的にすべてのものを判断して参りました。又参議院において取扱うところの法律案というものは一党一派に偏すべき法案ではない。国民全体に普遍的に適用されるところの一般法規を多く取扱い、而もそれはすべて国民の基本人権に影響をもたらすところの重要法規であるのであります。従つて参議院の法務委員会のあり方といたしましては、常に政党政派を超越しましてただ一個の参議院議員として、一個の法務委員会の委員といたしまして大所高所からこれを考えまして、すべて国民のために最もよき法律を制定することに努力して参つた次第であります。然るに本案についてのみ私は参議院が、衆議院においてミスしたところのもの、衆議院において審議不十分と思われるところのこの法案に対しましてチエツスするという考え方は、十分参議院の使命としても当然なさるべきことであると思うのです。由来国民が参議院に対しまして大きな信頼と希望とを抱いておることは、少くとも参議院の法務委員会は超党派的にものをとつて、以て行動をしておつた、この信頼にあると私は自負している次第であります。にもかかわらずここにかような重要な事案に対しまして党派的にいろいろな拘束を受けられまして、これに対しまして真に皆様方がお持ちになるところの考え方というものが、そのままここに採決の上に表現せられないということがありますならば、それこそ私は二院制度の否定せられるところの国民に大きな口実を與える結果をもたらすものではないかと思うのです。こういう点を憂えるのです。私たちは参議院の立場といたしまして、どうかこれに対しましては虚心坦懐に自分の信ずるところをそのまま表現して頂きたい。勿論自由党のかたがたにおかせられましては政府與党という一つの立場もおありになりましよう。併し良心の赴くところ最も正しいという考えを率直に披瀝して頂きたいことを私は切に懇望してやまないのです。殊に緑風会のかたがたにおかせられましては、一党一派に偏せず、個人の立場を以て常に自由に御活動あらせられるというこの会派におかせられましては、当然私はよき法律はよきあり方に定められることが最もふさわしいあり方ではないかと思うのです。それが会派の一つのあり方に拘束されるということは、参議院緑風会本来の成立の趣旨からいいましても、大きな矛盾があるものと言わなくてはならん。この点は十分私はお考え合せを願いたい。恐らくこの法律が原案通り公布されますならば、それこそ将来国民がみずから作つた法律にみずから拘束を受け、覊束され、曽ての江藤新平がみずから梟首罪を制定しみずから梟首罪に服したがごとき、そういうような結果をももたらすべき危險な法律であるということを私は指摘いたしまして、私の修正意見を申上げる次第であります。
○長谷山行毅君 私は自由党を代表いたしまして、原案に賛成し修正案に反対の意思を表明するものであります。 先ず修正案について簡單に反対の見解を申上げたいと思うのでありますが、修正案の第一の二條の修正の点でありまするが、この修正の御趣旨は、その施設又は区域の範囲を官報で公示することによつてその正確な範囲を一般に周知せしめまして、この二條違反の虞れあるものの認識を正確ならしめようとする御趣旨であることはよくわかります。併しながら官報を以て町村名や地番等によつて具体的な場所を公示いたしましたとしても、実際におきましては、現地に当つて見なければ、官報に公示されたその地番等が具体的にどれに当るかということを知ることは極めて困難であるということは、我々の経験に照らしても明らかなところであります。それよりはむしろ現地において明確に而も周到に具体的にその施設、区域の範囲を示す方法をとることが、適切であり有効であると思うのであります。 なお本法の第三章の手続規定の運用につきましては、官報の公示のない場所でも、日米双方の合意がある以上は、施設、区域として両国を拘束する場合もあるかとも思われるのであります。従つてさような見地からいたしまして、あえて官報を以て公示しなければならないという條件は必要がないものと思うのであります。 次に第五條の修正の点でありまするが、その軍用に供する兵器、彈薬、「糧食、被服その他の物」、これを「その他軍事上重要な物」に改めるとの修正意見でありまするが、これは本條に規定する軍用物として兵器、彈薬、糧食、被服を例示したに過ぎないのでございまして、もともと原案の趣旨もその他の物というのは、これらの例示が示すような軍事上重要なものに限定せられていることは明白でありまして、政府側における説明もそれを明らかにしているのでありまするから、この点もあえて修正の必要はないものと考えるのであります。 次に第六條の修正の問題であります。その第一点は、合衆国軍隊の機密の要件といたしまして、別表に掲げる事項のほかにその漏洩が合衆国軍隊の防衛作戰上の支障を生ぜしめる虞れあるものにするという修正御意見であります。これは本條によりまして保護せらるべき合衆国軍隊の利益と、これによつて取締られるべき日本国民の立場とを考えて、その保護の対象たるべき合衆国の軍隊の機密の意義を成るべく極限せんとする御趣旨だと承わるのであります。併しながら本條の軍の機密にかような要件を加えることになりますれば、本来意図する軍の機密保護の趣旨は全く沒却せられる結果となりまして、実際問題としては骨抜きにされ、死文化してしまう。そうして本條の適用の余地は殆んどなくなるのではないかと思われるのであります。即ちその理由の第一は、かような修正をすることになりますれば、この機密が果して防衛作戰上支障を生せしむる虞れあるものかどうかを日本側の検察庁なり裁判所で判断せねばならんことになるのでありまして、かような判断を日本の側ですることは極めて困難で、その立証は恐らく至難だと考えられるのであります。これを立証するためには公開の法廷におきまして、何が軍の重要なる機密で、それが作戰上如何に重要であるかということを証明しなければならない結果となりまして、そのために公判審理の過程において軍の機密が更に漏洩暴露せられるという結果をも招来することを思うのであります。この点は本條が真に意図することに対してかような修正をなすことを反対する最も大なる理由であります。更に又行政協定の第二十三條の趣旨に則りまして、非常事態に備えての平時におけるいろいろの機密をも保護する必要があるのですが、その機密を保護しようとする本條の趣旨が少なからず沒卸せられることになつてしまうと考えられますので、この修正案には賛成できないのであります。 次に本條修正の第二の点であります。即ち第一項の「又は不当な方法で、」の又はを「且つ」に改めるという点であります。政府が本條第一項の機密の探知、收集罪につきまして、單なる探知、收集行為を犯罪としておりましたところのもとの軍機保護法の建前を排しまして、一定の目的を以てする場合と一定の方法による場合に限定して処罰しようとしての立場をとり、又本條においては過失犯は罰しないで、故意犯のみを処罰することにしたのは誠に諒とすべきことでありまして、これ以上に犯罪の構成要件を限定することは、本條の規定を全く動き得ないものにしてしまつて、本條制定の趣旨を損うことになるものと言わなければならないと思うのであります。即ち修正提案のように改めることになりますれば、必らずかかる加害用途に供する目的のある場合に限られるので、同時にその手段方法が不当であるということが要件になるのであります。併しながら近時における諜報活動の実態から見ますれば、その諜報組織というものはますます複雑化しておりまして、幾重にも手足を使い、その縦の関係におきましては、末端において直接その機密の探知、收集に当る者についてはかような加害の用途に供する目的が立証できない場合が極めて多いものと思わるるのであります。これに関しまして先ほど伊藤委員からも縷々申されたのでありまするが、新聞等の報道関係が取材活動の方法として、時に不当な方法による場合もあろうことを……。
○委員長(小野義夫君) 長谷山委員に申上げますが、御発言中ですが、成るべく時間も切迫いたしましたので簡單に願います。
○長谷山行毅君 危惧せられる向きもあるのでありますが、これは最も常識ありとせられる新聞言論界のかたがたが、その良識を以て活動される限り、かような規定に触れるようなことはない。先ず起り得ないし、又これは故意犯だけで過失犯は含まない。又刑法三十五條の適用等も考えられるのでありまするし、又政府におきましても事案の内容や新聞報道の役割を十分に考えられまして、適切な措置をとることを明言しておるので、この濫用の虞れは先ずないものと考えるのであります。 次に第六條第二項の問題でありますが、これも修正の御意見は十分了解できるのでありますが、ただ機密というものはその性質上その人の主観的な意図の如何にかかわらず、一旦他に漏れてしまいますればすでにその機密性が失われることになるのであります。その結果が合衆国軍隊の安全を害する虞れが多分に生ずることとなるのでありまして、なお他に一旦漏れて公けになつてしまうと、本法に言う機密に該当しなくなることも併せて考えなければならないと思うのであります。ただこの問題は機密を漏らしたものの保護と、機密の保護と、いずれの保護を重く見るかという問題に帰するわけでありますが、機密を漏らした者の側の保護だけを重視しますれば結局機密そのものの保護に大きく欠けることとなるのでありまして、政府原案の規定はこの際止むを得ないと考えるのであります。それにつきましては当局におきましても事案の内容を十分検討し、不用意に機密を漏らしたような者の処分については慎重に考慮の上善処せられんことを望むものであります。 次に第七條二項の「せん動」を削るということでありまするが、これは今日の社会情勢について考えますと、大衆に対しましてその感情に訴えて大衆行動によつてかかる犯行を犯さしめようとするいわゆるアジ行為に出る者のあることは想像にかたくないのでありまして、かかる者の取締に欠けるところがあつてはならないと考えるのであります。併しこの規定が言論の不当な圧迫に濫用されることになつては我我の意図するところに反することになりますので、政府におきましてはこの点十分意を用いられんことを望んでやまないのであります。 最後に十九條における「裁判官の許可を得て」という文言を附加するということでありまするが、これはこの処分を裁判官の許可にかからしめることは何を規準として裁判官が許否を決定するかという点において本質的な障害があるものと思うのであります。この場合の処分の必要性は合衆国の要請がある以上判断の余地がないところであります。従つて処分の必要性の有無につきまして裁判官に判断権を與えることは、勢い裁判官に行政上の行為の必要性の有無を判断せしむることになりまして、従つて裁判官に行政上の責任を負わしめる結果になりまして、三権分立の原則に対する著しい脅威となると思うのであります。この点は前條十八條の第二項の場合とはおのずから異なるものと思うのであります。さような見地からいたしましてこの修正の分につきましても賛意を表し得ないのであります。 本法案は行政協定の第十七條等に基きまして刑事関係の法令について若干の特別措置を最小限度に規定したものとして、この程度の立法は必要であることを認めまして原案に対し賛成し、以上申上げましたような理由からして修正案には反対するものであります。
○羽仁五郎君 私は第一クラブを代表して修正案に賛成し、原案に反対をいたすものであります。その理由を簡單に申上げます。 第一にこれは誰が考えてもかかる問題でありますけれども、外国の軍隊が日本にいるということのために日本の国民が罪に陷るという問題でありますから、これは我々としては、日本の国会としては外国の軍隊が日本におられる、そのことのために日本の国民が罪に陷るということはできるだけそれを、どうしてもよんどころない場合に限定いたしまして、いやしくもそのために罪に陷る人が多くなるというようなことを防ぐべきだということは、これはどなたもその点では意見が同じだろうと思うのであります。で、元来こういうことは望ましいことでないけれども、まあ特殊な事情から、これも主として日本国の現在の政府とそれからアメリカの現在の政府とのお考えで以てそうして政策上の見地から、こういう外国の軍隊が日本におられるという状況なんです。外国の軍隊が日本におられる、そのために日本人で罪に陷る人が一人でも少なからんことを欲するという点においては議論の余地がないと思う。これは只今長谷山委員から修正案に反対され原案を支持される弁明がございましたが、併しこの第二條或いは第五條或いは第六條などについても長谷山委員もやはりその点については、この法の運用はそういうふうに行くであろうから、外国の軍隊がいるために国民が罪に陷る場合は決してそう多くならないように運営されるであろうからとおつしやつております。この修正案に反対なさるかたもその点をお認めになつておるのです。従つてこれは軍に法の運用というものだけに任せずに、法文の上においてもそれを現わしておくことが妥当であろう。如何にも長谷山委員のおつしやるようにこの第二條の問題にしましても、実質的にはこれは政府の側でも官報を以て公示して……、それから長谷山委員が官報を以て公示し得ない場合というのは、これは恐らく戰争状態にでもなつた場合のことをお指しになるわけでしよう、官報を以て公示するということは、政府側でもこれは官報で公示されるものと判断されておるのですから、そうであるならばそれを明らかにして、そうして外国の軍隊がいるために、そのことのために日本国民が罪に陷る、無実の罪に陷ることを一つでも防ごということを法文の上に現わして行かれるということが、これが当然のことだと思うのであります。いわんや一般法の場合と特別法との場合で、先刻述べましたごとくにこれらのこの特別法というものが、外国軍が日本にあるということによつて国民に対して無用の脅威となり成いは意外な不安となるということは、最もこの法の望むところでないのでありますから、従つてたとえ一般法には書いてあつても、又そういうことが当然なされることであつても、国民の不安を除くためにこれを條文の上に書き現わされる、これが私の修正案に賛成いたし原案に反対いたします第一の理由であります。従つてこれは第二條、第五條、第六條の第一項第二項、それから第七條第二項、第十九條第一項このそれぞれは、いずれもその程度のことであつて、現にこの刑事特別法案を政府が御説明になつておるときに、御説明の趣旨から言えば、これらのことはいずれも御認めになつているんですから、だからそれが法文の上に書き現わされることによつて一層国民が安心し、米軍が日本に駐留せられることの意味が一層それによつて実現せられる。却つてこのほうが遥かによくなつたのであつて、決して本法の目的と相反しない。本法の目的が一層高められるという意味で私はこれに賛成し、委員各位の賛成をお願いするのであります。 それから第二の理由は、この本法が今申上げたように外国の軍隊が日本に駐在するために日本国民が罪に陷るという、その外国軍隊の日本駐留というものも含めまして、この法律案というものは、元来が純粋な意味における法律案じやないのです。国際関係又政治的な関係というものも含んだ立法であります。これは人を殺すとか或いは火をつけるとかいうような問題は、それは国際関係がどう変ろうと人を殺すということが悪いことはきまつておる。併しながらここで軍の機密といい、そしてそれに関して重大な刑罰が発生して来るというこの米軍の機密というものは、国際関係が変りそうして政策が変ればそれは変つてしまうものなんです。そういう意味がこういういわば政治的な立法というものなのでありますから、従つてこの法律は、そうした政策をとつておる政府が国民の信頼を受けている限り立法されることはできるでありましようけれども、併しそういう法律なんであるから、国民がその法律に触れること、無実であつて、触れることをできるだけ親切に、そして明確に避けて行くことが私は当然の理由であろうと思うのであります。先刻も例に引きましたように、この安全保障條約というものは、その第四條でありましたか第五條でありましたかに、いつ何どきでもその効力を失うということが規定されている、従つてそれに誤つてこの刑事特別法に触れた人が獄中にあつて、そうしてその罪の基礎となつた関係はもはや関係はなくなつてしまつているということは決して不可能じやない。むしろこれはどなたも御希望になつておることだろうと思います。日米安全保障條約がなくとも日本の安全が立派に守られ、極東の平和、世界の平和が実現せられるように、いわゆるアメリカなりソ連なりとの両者の関係が円満に解決せられることの一日も早からんことを希望こそすれ、それを希望しない人は恐らくあり得ないことです。そういう意味からも乙の修正案の各條項において要請せられておりますことは、そうした国際関係や政策上の立場から立法された法律においては、国民ができるだけ誤つてそれに触れるということがないように明らかにして行き、いわんや無実であつて刑を受けるということがないようにして行くために、一般法の場合よりも優るとも劣らない形において明確に、そしてそれが如何にも悪質の場合に限定せられるという必要があると考えるのであります。いわゆる外交上の問題というものから発生して来るところの法律案、そういうものにおいては当然そういう顧慮が十分に払われるべきだ。この理由からこの第二の理由からも、私は第一の理由と併せましてこの修正案の各條項において要求せられることは極めて妥当であり、又これらの点はどなたがお考え下すつても恐らくはそうである、そういうふうに判断して頂けることができるのではないかと思うのであります。で事実いわゆる安全保障條約において掲げられておりますところの直接乃至間接の侵略というものが、軍事的にばかり考えられることは随分危險です。皆さんもよく御承知のように、例えば共産主義が蔓延して行くということも、軍事上の機密だけを守つて行けばそういうことが蔓延しないというふうには、どなたもお考えにならないだろう。いわゆるしばしばトルーマンなども言つているように、貧乏と病気というものがある限りはそこに共産主義が蔓延して来るところの根本的な原因があるので、軍事上の機密だけを守つてその蔓延を防ぐことはできない。従つて現在の政府においても、日本としても貧乏と病気とを根絶する努力を飽くまでもやる、このほうが根本的な問題なのであつて、軍事上の機密さえ漏れなければ共産主義は蔓延して来ない、或いは間接、直接の侵略というものは撃退できるというようなお考えではなかうろと思う。これが第二の理由であります。 第三の理由は、今も言及いたしましたが、この法律案というものはいわゆるミリタリー・マインド、軍事的な考え方というものから出発しています。その理由は、今も申上げましたような軍事的に問題が解決できる。併しこういう考え方ほど間違つたものはない。民主主義というものが仮に共産主義と争うとしても、民主主義が軍事的にだけ共産主義に対して勝つということはできない。これは日本の過去においてもそういう過ちが繰返され、戰争で勝ちさえすればどうでもなるのだという考え方くらい危險なことはない。ところが残念ながらやはり日本に外国の軍隊がおられるということでありますと、その軍隊の安全を守るという立場から軍事的な立法がなされる。併しながら我々立法者として考えなければならないことは、或いは軍事的な立法を通じて軍事的な考え方が一般の政治を支配するということは飽くまで避けなければならない。で、従つてそういうような軍事上の立場から立法せられた法律案においては、各條においていやしくも軍事的な態度というものが政治的な立場というものを脅かすことがないようにして行かなければならない。従つてこれは政府の御答弁の間にも、又長谷山委員の御発言の間にもありましたように、これはいずれでもいいんだ、それで現状でもやれるのだからという程度のものは、これは明らかにこの法文を修正して、そういう意味においての行き過ぎがないことを明らかに防いでおくということが正しいことであろうと思うのであります。これが私の修正案に賛成し原案に反対する第三の理由でありますが、特にここで強調しておかなければならないのは、いわゆる軍事的な考え方からこの機密を漏らさないということは、あたかも天上天下唯一の大目的であるような考え方に原案は陷つているところがあるのではないか。機密さえ漏れなければそれでいいのだ、機密が漏れないためには人権を侵しても止むを得ないし、或いは一般法の保障をも崩しても仕方がない。或いは憲法の保障するところの言論、報道の自由をも制限しても仕方がないのだという考え方があるのじやないか。若しそういうものがあるならば、それは修正によつて除いて行く、いやしくもそうした機密さえ漏れないならばというような、機密があたかもパラマントの問題であるかのごとき考え方をこの際打破して行かなければならない。これは政府委員の御説明を伺つている間にしばしば痛感したことでありまして、又只今長谷山委員が、或いは煽動、或いは第六條の修正について、軍事上の機密が一旦漏れますと、それはもはや機密ではなくなつてしまうという意味においてこの第六條及び第七條等の関係については修正案に反対されたのでありますが、先刻私が申上げた政府委員との質疑応答を長谷山委員もお聞き下すたことだと思うのでありますが、機密さえ漏れなければ安全は保たれるんだという考え方は私は極めて危險だと思う。そういう考え方でありますと、即ち先刻も指摘しましたように建設的な批判というものが破壊的な批判だというように聞かれるようになる虞れが多分にあるのであります。で事実上において、この恐らく軍事的に勝利を占め得るんだという考え方は、ヒツトラー、ムツソリーニ、東條という人が私は最後の人であると思うんです。そうではなくして、民主主義的な方法によつて戰争の場合にも勝利が得られ又安全が全うされるんだ、むしろできるだけ機密は少くして、あらゆる問題をあらゆる立場の人が知ることによつて安全が守られるんだという考え方のほうが私は当然だと思う。でこれは実に重大な問題でありまして、機密が殖えて行けば国会の機能というものは縮小されるのであります。これは言うまでもなくわかりきつたことであります。ですから機密が殖えて行けば、民主主義というものは縮減されてしまうんです。ですからこの機密が漏れるということをパラマウントの目的のように考えられて修正案に反対されるということは、私は理由のないことである。むしろ機密というものはできるだけ少くする、そうして最も重要な機密だけを以てやつて行く、それ以外のことは機密とは関係のない政治上或いは外交上或いは国際上努力すべきことで、日本軍が恐らくは曽つて世界のいずれの国よりも軍事上の機密保持においては完璧を極めても、そうしてその結果は建設的な批判をも禁じ、なすべからざる戰争をなしたということは我々の忘れてはならないことだと思うのであります。 最後に私の修正案に賛成し原案に反対する理由は、これらの法律は濫用される虞れがあるからであります。そうしてこれはもつと正確に言えば、濫用される慮れがあるのじやなくして、実はこれは必ず濫用される。即ちこの法律案はこれを裏返して各位が御覧になりますれば、米国軍隊が日本にいることによる機密を保護することが目的ではないかも知れない。そうではなくして、米国軍が日本にいるということを口実にして、日本における官僚主義が再び復活しようとしていることの陰謀の現れであるかも知れない。これは堂堂たる政党に属せられる與党の各位も十分反省せらるべきであります。例えば現在アメリカにおいて御承知のようにアメリカの政府の最近の最大の問題は政府の腐敗という問題であります。ところがこのアメリカの政府の腐敗を防止しようとして最近トルーマンが新らしく特別調査官の最高責任者を任命ざれた。その最高責任者として任命されたかたが、今度FBIが政府の役人の不正を防止するために一般的な調査活動を開始するということを声明せられたことに対して、アメリカにおいて重大なる輿論が起つている。これはその要点を申せば、政府の役職員の腐敗ということは実に歎くべきことだというのです。併しそれを口実にしてFBIが全国的な警察機能というものを持つようになつて来れば、民主主義が地方警察というものの基礎の上に立つておるアメリカの原則は覆つてしまう。そうして官僚主義というものが支配するようになつてしまう。そうしてそういうところで或いは機密というものが用いられ、そうして一種の神秘的な空気というものが発生し、何人もこのFBIの活動に対して公然と批判することができないようになつてしまえば民主主義は崩れてしまう。こういう問題が起つておる。これは腐敗の場合ですが、軍事上の機密という場合にもやはり同様です。軍事上の機密を守らなければならないということを以て官僚主義的な権力が拡大される機会を與えることになつては我々は絶対にならないと思うのであります。これはそういうことを空に申上げているのではなくて、軍事上の機密というような一種の秘密、一種の神秘的なもの、それに対して、たやすく批判することのできないようなもの、そういうものをめぐつて、それを機会として、そうしてこの一般の国会議員や新聞記者やその他の人々の自由なる批判というものが制限せられ、そこに官僚機構が拡大されたという事実は過去の日本においてもあり、現在世界の各国においてもそういう事実があるからであります。これは政府委員はそうした濫用は絶対になされる余地がないというふうに繰返して言明されましたが、例えばこれはアメリカにおいても、まさか政府の腐敗を摘発するためにFBIの機能を拡大する、全国警察調査機関にするということは濫用さるべきものじやないとお考えになつているんでしようが、事実それがそうした民主主義と全く逆の官僚主義的、専制主義の復活という危險を恐れられているのであります。それから同じく最近起つた事件として、いわゆる新聞記者の米ソ両空軍に対する論評が、最近アメリカの上院において、いわゆる防諜法違反の疑いがあるとして調査を開始されている。まさか私はその点においてアメリカの政府が日本の政府より劣つているとは思えない。新聞記者の正当なる業務が、防諜法に触れないのだということは、アメリカの政府もそうお考えになつている。併しながらこれがそういうふうに濫用されて来るそれには理由があるのです。濫用の慮れがある、ただこの程度ではない、従つて濫用しないつもりだと言えば濫用が防がれるかといえば、決して私はその程度のものではない。官僚機構が拡大されて来るならば、どうしても民主主義的な政治上の自由、政党の自由、批判的な建設的な批判の自由というものはどうしても制限されて来ます。これは論理上詳しく説明することを要しない点であります。従つて過去の軍機保護法というものは濫用を防ぐことができない。必ず濫用が起つて来た。又今度のこの法律案にしましても、中央においては比較的そういう濫用が起れば、直ちに国会がこれを問題にして審議して防ぐこともできる。併しながら地方において地方新聞等の活動ということがどれほど困難になるであろうかということは、先日専門家の証言せられた通りであります。そうして中央においても議院の建設的な批判というものが、やはりそうしたタツチすることのできない、神秘的な機密というものをめぐつて縮小せられることは必然的であります。従つてこれが更に進めば、或る特定の政府が、或る新聞、或いは或る反対党、或いは或る国会議員というものを狙い撃ちにしようとする場合には、この刑事特別法で探せば種は必ず出て来ます。これは今日から予言しておいても差支えない。この法律で以て種を探して、その政党なり或いはその議員なり、或いはその新聞なりが何かこれに触れているところはないかというふうにして探して行けば種は必ず出て来る。
○委員長(小野義夫君) 羽仁委員に申上げますが、あとに発言者もありますから、どうぞ……。
○羽仁五郎君 この点は実に私は恐るべきものだろうと思うのであります。それで現在の自由党はそういうような御意思はないかも知れません。併しながら若し自由党の反対党が政権を取つてこの法律を運用するならば、そういうこともできるかも知れない。現に新聞社としてもそういう虞れを抱かざるを得ない。又国会議員としてもそういう虞れを抱かざるを得ない。従つてその国会議員なり或いは新聞の批判というものは、どうしてもこわいから遠慮するようになつてしまう。こうして民主主義的な権利というものが、民主主義的になされなければならない活動というものが次第に縮小されて来る。これは実に恐るべきことであると考えます。最近特にこの国会議員なり新聞記者だけではなく、学者の関係でもこういう点で恐るべき問題が起つております。例えばいわゆる原子核物理学に関する問題が軍事上の機密ということになつて来るために、国際的な原子核物理の研究というものは絶えず恐怖にさらされておる。それで最近アメリカの報道によれば、現在アメリカで原子核物理学において活動しておられるドイツ人の物理学者は、大体今年の夏頃にその任期が来る。殆んど一人も任期をもう一遍改めてアメリカ政府に雇われて、原子核物理学の研究を続けようとする人はないのです。なせないかと言えば、原子核物理学の研究をしておることによつて軍事上の機密とされて、絶えず自分の身辺から何から監視される。これでは不愉快で堪まらないから、任期が終るによつて辞職する、やめる。やめてどこへ行くかというと、その人たちは東独乃至ソ連に行く。これはアメリカとしても非常に驚いている。アメリカで現在原子核物理学を研究している人が、そうして原子核の物理学の理論に基く原子爆彈の理論上又実際上の知識を豊富に頭の中に持つた人が、紙一枚持たないでも東独乃至ソ連に行くことが、アメリカの現在の軍事上の機密の最上のものと考えている立場から、如何に恐るべきものであるかということで、これも問題になつている。こういうようにこの軍事上の機密というものを重大観する結果は、学者が学問上の研究をするということさえもできなくなり、そうなれば学者は反対の側に、ことごとく学問上の研究ができるような所へ行くという事実が、今申上げたような事実としても現われているのであります。こうして本法案は濫用される虞れがあるだけじやない。逆に考えてみれば、いわゆる官僚国を誤まり、軍人国を誤まるということを再び繰返そうとしている第一歩であるかも知れない。米軍の日本に駐留するということを口実にして、そうして官僚的な権限を拡大し、再び専制主義を盛り返し、或いは更に進んではこれが後に、現在の警察予備隊が何かのものに、軍隊のごときものに変つて来る。その際直ちにこれが乗り移つて軍機保護法になる。そうして過去において我々が忘れることのできない官僚国を誤り、軍人国を誤つた過ちを再び繰返す虞れがあるのであります。これは單にそうした虞れが、杞憂があるだけじやない。さればこそ言論、新聞界の人々がこの法律案に対して深甚なる憂慮の意を表しておられる。この法律案自体が、占領下よりも独立したあとでものが言いにくくなるというような感じを與えることに、新聞の代表者は非常な不満を表明しておられる。又この法律案を手に取る日本の官僚がこうした権力を手に握るならば、必ずこれによつて新聞、言論、集会、結社その他基本的人権を喜んでやすやすと蹂躪するようになつて行く、その虞れがある、現在においては……。これは單にこの法律案の一部を誤解してそういう虞れを表明しているのではありません。練達である新聞人がこの法律案を誤解してそんな心配をしているのではない。そうでなくして、必然的な虞れがあるのであればこそそういう点を苦慮せられているのである。而もこの法律案が原案のまま施行せられるようなことがありましたならば、必ずやそうした関係において、米軍が日本にいてもらうことは実に困るという反米的な感情は、今日以上にその理由を有し、従つてそういう意味における煽動される可能性が強くなります。そうなれば一体この法律案は何を目的として制定され立案されるのであるか。一方においては国民の基本的人権の自由を制限し、片方においては日本に駐留する軍隊に対する国民の反感を煽る。それでは何のための安全保障であるのか、何のための行政協定であるのか。即ちこの法律案自体が、この法律案の目的を破壊して行くものになる。これらの点を考えて、どうしてもこの原案のごときものがこの国会を通過することは許されない。少くとも先ほど伊藤委員から提案せられました程度の修正というものは最小限度の修正である。不幸にして日本の現状において外国軍が日本に駐在して頂かなければならん、その関係で日本国民が罪に陷るというような人は一人でもこれを少くする。そうしてその結果がさまざまに濫用せられる、或いは再び民主主義が官僚主義的な独善、独裁のために縮小されるというような虞れのないように、又日本に駐在するアメリカ軍に対する国民の反米感情というようなものが熾烈になることを防ぐためには、提案された修正は最小限度の修正である。私自身としてはこの程度の修正に満足しているものでは実はないのであります。併しながら少くともこの程度のことは政府が質疑応答の中でもお認めになつたものでありますから、これらの修正は現在直ちに可決されて何らの支障がないという意味において、私はこの程度の修正に妥協したのでありまして、本来ばもつと根本的な修正がなされなければならないと思うのでありますが、最小限度の修正としてこれに賛成し、原案に対して強く反対をいたすものでございます。
○委員長(小野義夫君) 次に吉田委員、御承知のような時間切迫の事情でありますから、どうぞお含みの上で……。
○吉田法晴君 御承知と申しますが、そうあわてなくてもいい事情にあると了解をいたしますが、途中で何と申しますか、原稿なしに討論をいたしますので、心理的な抑圧を加えられぬように一つお願いをいたしておきます。(笑声) 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、ここに審議をいたして参りました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案の原案に対して反対、修正案に対して賛成の討論をなすものでございます。 私どもは今講和の発効を直前にいたしてこの法案を審議いたしておるのでありますが、この占領中の法規を講和後の諸法律に取換えます仕事は大きな仕事だと考えるのであります。政府或いは與党におきましては、占領中の法規をそのまま講和後においても持越せばよろしいのである、こういうお考えがあるかのように感ずるのであります。私どもは戰後民主憲法の下に日本の新らしい方向について決意をいたしました。その後ドツジ・ライン以後国内の政治情勢の変化もございまして、民主主義の制限、抑圧が或いは占領法規の形で或いはこれに名をかりて行われて参つた部面もあると思うのであります。講和の発効と共に民主憲法に帰り或いは平和憲法に帰つて、私どもは今後の日本のあり方というものを考えなければならんと思うのであります。こういう事態におきまして、この刑事特別法は講和後新らしい国民の権利の制限を実現する、或いは新らしい民主主義の制限を実現するような危險性を持つた法案としてここに出て参つたと考えます。そこで新聞その他においてはこの法案の重要性を指摘せられましたけれども、或いは輿論の面においても、或いは国会においても、若干審議の時日等に十分の時間を持ち得ずして、審議そのものに私ども万全を期し得たかどうかを憂えるものでありますが、私どもは今講和後の法律として、論議をこれからいたして参ります破壊活動防止法案に比べまして勝るとも劣らざる重大な法案であるし、又民主主義或いは平和憲法の原則に照しまして大きな意味を持つておると考えるのであります。そこで私どもはこの法案の検討に当り、或いは討論、或いはこの法案を修正するかどうかという点につきましても、極めて愼重な態度或いは重大な決意を持つて臨まなければならんように考えるのであります。 原案反対、修正案賛成の第一の理由は、この法案の基礎になりました行政協定、これをめぐります法律関係が脆弱であるという点です。言換えますならば、ここに刑事特別法案という大きな極めて重大な法律を制定或いは修正しようといたしておりますけれども、この法案の基礎になりました行政協定が、法律関係としてはつきりいたしておりません。この固まらない脆弱な法律関係の上に刑事特別法という重大な建造物は、これは建築は不可能であると考えるのであります。行政協定と刑事特別法の関係は、法案の名にも現われております。申上げるまでもなく、日本とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案となつております。提案理由の説明の中にもこの点は不明確でございます。従来の政府の説明がはつきりいたしませんでした関係もあるかと思いますけれども、安全保障條約から直接出て来るのか、直接安全保障條約に基礎を置くのか、行政協定に直接基礎を置くのか、若干あいまいでございますけれども、併し提案理由の中にございます「行政協定の趣旨に則り、刑事上の実体法及び手続法について若干の特別規定を設ける必要が生じますので、この法律案を提出することといたしたものであります。」この提案理由は行政協定と刑事特別法との関係を説明をいたしておると考えるのであります。申上げるまでもなく安全保障條約第三條には、「アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する條件は、両政府間の行政協定で決定する。」と書いてございまして、直接この刑事特別法が出て来る規定はございません。そして行政協定第十七條、なかんずく第三項(b)(c)(e)、或いは第四項、二十三條がこの法律案の基礎であることは明かであります。私はこの委員会で私どもの手許に配られた行政協定の本文によりますれば、こういう刑事特別法を制定し得る根拠は行政協定において判然と出ていないということを指摘いたしましたところ、重大な間違いがあつて、「の情報の」という文字が落ちておるという御訂正がこの委員会でございました。この間違いは單に文句の上の間違いにとどまると思うのであります。なおその際国会の行政協定審議の際の本文にはこの訂正はなされず、或いは委員会に配られました法務府提出の資料の中にもなく、或いは世に公開せられております法令集の中にもないということを指摘したのでありますが、單にこれは言葉の上の間違いだけでなくして、事の本質に関連をいたしていると考えます。佐藤意見長官は、行政協定は條約であり、これは憲法第七十八條によつて国内法としての効力を有するという当委員会での御説明がございました。條約としての承認は安保條約によつて包括承認がされている。こういう御答弁でありましたけれども、同じ委員会に出席せられました木村法務総裁は、国会の承認を要しない政府間の取極という御説明を繰返されました。私ども予算委員会その他における岡崎国務大臣或いは吉田総理の当時の答弁を思い起すのであります。今朝も実は当時の速記録を念のために読んで見たのでありますけれども、行政協定は安保條約第三條によつて両政府間において取極めることを許された行政的な取極であつて、これは国会の承認を要しないのだ。仮に條約であつたとしても、それは安保條約第三條によつて包括承認は得られる。議論の中心は国会の承認を要しない両政府間の取極という点にあつて、條約であるという分析論は、これは佐藤意見長官その他少数のかたの意見であつたことは明らかであります。こういう行政協定自身が條約であり、或いは国会の承認を得るべきであるかどうかという点の議論を私はしているわけではございません。国会の承認を得なかつたが故に法律関係としてそれが如何なる性質のものであるか。或いは刑事特別法の基礎となり得るかどうかという点を問題としているわけであります。木村法務総裁がこの問題に関連いたしまして、「の情報の」という言葉は、これは正誤表であとで配られたが、それが手許に届いておらないとしても、本文には書いてあるということを申されました。成るほど両政府の間の取交された本文のほうには、木村法務総裁の本文の中にあつたことは、これは間違いないと思います。併しながら問題は法律関係として、国内法としてこの刑事特別法の基礎になる法律体系として確立せられたものであつたかという点になりますと、その点はこれは確立されておらん。いわゆる政府の保管になる原本にはあつたとしても、国民の中に流れている資料、或いはこれによつて理解せられる、そのことによつて確立されます法律関係としてははつきりしてなかつた、これは明らかであります。こういう基礎のはつきりいたしません脆弱な行政協定という法律関係、不確定な法律関係の上にこういう重大な法律が制定せられ得べきものではないという点が、これが原案反対、修正案賛成のところまで参りますかどうかわかりませんが、原案反対の第一の理由であります。 第二点は、この委員会においても質疑を通じて明らかにいたしましたけれども、この独立直前或いは占領最終の日にこの法案を採決、成立せしめなければならない理由がはつきりいたさない。むしろ真の理由は、日本の国民、或いは日本の国民の信託せられた政府が、自主的な立場と自由から作るのではなくて、要請によつて作ると申しますか、この自主性の稀薄さ、この自主性の稀薄さが法案の内容にまで影響しているという点が原案に反対いたします第二の重大な点であります。二十八日、本日上げなければならんという理由として、私どもが聞いて参りました納得し得る唯一の理由は、民事刑事裁判権の行使に関する覚書が失効して、明日からアメリカ軍の要員の犯人の逮捕ができないという一点でありまして、実体法の中心をなします法案の第六條軍機保護の心要につきましては、過去六年になんなんとする期間いわゆるスパイ活動が極めて少なかつた。この法律制定の緊急性が客観的に極めて少なかつたという事実によつて明らかにせられておるところであります。そしてこの要請によつて作られるという事実が法案の上に現われまして、実体法の規定の中心をなします第六條、その第六條の規定は抽象的でございますが、或いは別表を含めてそうでございますが、その軍機の何たるやにつきましては法文、或いは法文の一部であります別表、裁判所の判断、こういうもののほかに、駐留アメリカ軍の意向と申しますか、或いは軍機であるかないかの判定がかかつておることは、これは質疑を通じて明らかになつた点であります。この実体法の中にもこうした法制定の背後にあります事態が法案それ自身の中に出ておると考えられるのであります。なお第三章以下の手続規定の中におきましても、十八條、十九條が一番問題になつたところでありますけれども、十八條がアメリカ軍の要員の逮捕について要請をせられた場合の規定であることは申上げるまでもございません。問題はそこにあるのではなくして、これに関連して日本人の邸宅、建造物、船舶内に立入り捜査ができるかどうか、この十八條については裁判所の許可にかからせられておりますから、一応形式的には了解をしたところでございますけれども、併しながらこれは実際問題として従来の実例から考えまして、運用について若干の危惧が残ることは明らかであります。特に第十九條に至りましては間接強制というこれは説明もなされました。その実体も了承をいたしておりますけれども、合衆国の裁判所なり合衆国軍隊からの協力の要請がありました場合に参考人が取調べられ、或いは検証、物の領置がなされる。それが行政的な手続としてなされる。裁判所の許可もなしになされるという規定でございますが、刑事訴訟法に基きます成規の手続はこれは別に排除するものではない。この規定は過料によつて間接に強制されるだけだ。日本の国民がこれについて刑事訴訟法に基く拒否を許されると言われるのでありますけれども、実際に運用せられる場合に、国民が如何なる感情を以てこれに応接をするか、或いはそれが刑事訴訟法の手続を知らない大部分の国民が実際は直接強制と同じ結果を受けるという実体については、これは否定することができないと思うのであります。この第十九條の運用につきましても、日本の行政権が合衆国の裁判所或いは合衆国軍隊からの協力の要請という形で国民の権利義務が蹂躪せられて参る危險性があるわけであります。ここにも法制定の背後にありますものの影響を法上見逃がすわけには参らんのであります。 そこで最後にこの実体規定の不正確、そこで修正案が提出せられたのでありますが、少くとも修正案程度の規定を具体化しなければ、濫用は眼に見えておるという意味において私ども修正案程度の限定を主張し、賛成をするものであります。ここで私が申上げるまでもございませんけれども、民主主義の下におきまして刑罰法規について罪刑法定主義を確立し、不遡及の原則のみならず、刑罰規定を具体的に法條にきめて、曽つての封建専制の時代のように行政権が勝手に刑をきめて処罰をする。或いは行政権の恣意を規定手続においても行わしめないようにするということが、近代刑罰法規の根幹をなす思想であることは申上げるまでもございません。若しも民主主義が行政権の優位のために狹められて参る、或いはふみにじられて参るといたしますならば、それは本質的に近体的フアツシズムであるかどうかは別といたしまして、フアツシズムの一つの特徴が行政権の優位による国民の権利義務の蹂躙或いは制限、民主主義の全体系の制限でありますことは、私が申上げるまでもないところであると考えるのであります。然るに先ほどもちよつと触れましたけれども、第五條、六條、或いは二條についてもそうでありますけれども、実体規定の刑罰規定が抽象的であり、そうして濫用せられる虞れのある概念が列べられておる点に非常な問題とする点があるわけであります。ここで一々挙げて論議をする必要はないと思いますけれども、例えば第二條に関連いたしまして、施設又は区域にして入ることを禁じた場所に立入り、又は要求を受けてその場から退去しなければならないものという規定がございますけれども、占領中の実態といたしまして、或いはここに言う施設又は区域に近付いて裁判ではなくして誰何せられ、そうして言語不通のために現地において銃殺をされたという実例は、これは相当の数に上つておることは周知の事実であります。或いは軍管理工場の従業員がいわゆる軍令馘首として馘首せられた。この馘首せられた労働者は、この第二條の適用は受ける心配はないのだと言われますけれども、過去の実例は正当の理由なくして馘首せられ、或いは施設区域への出入が制限せられましたことは、これは事実であります。過去の事実からいたしまするならば、経験からいたしますならば、或いは道路以外の場所に立入ることも、法に言われるような或いは施設区域の中の特定建造物、或いは彈薬庫でありますとか或いは格納庫でありますとか、こういう所に入るものを、明示された禁止区域に入ることを制限する意味だと言われますけれども、拒否いたしましたような道路以外の場所に立入る点についても、こういう條文の適用せられるような危險性を感ぜざるを得ないのであります。で問題は施設又は区域という、区域にして入ることを禁止した場所というのは、單にこの程度の規定でありますならば、その運用の面における或いは解釈の面における弊害を除去することが困難である。或いは第五條の糧食、被服の点について先ほど伊藤委員から修正案の説明について挙げられましたけれども、政府の説明のように軽微なものについてはそれは適用しないだろう、こういうお話でございます適用けれども、少くとも法文上はせられる危險性を残している。或いは第六條の「不当な方法で、」その他のことを以ていたしましても、或いは「目的をもつて」という事項と「不当な方法で、」という事項とは全然別の法律要件に、構成要件になつている以上、或いは二項の点につきましても「通常不当な方法によらなければ探知し、又は收集することができない」という、客観的な事実を意思如何にかかわらず他人に漏らしたという規定では、先ほどの伊藤委員の御指摘の通りに、自分の妻に漏らした場合にも処罰されるということにしております。この辺の規定の不正確さ、これは罪刑法定主義が主張をいたします濫罰を防ぐために、刑罰法規を具体的に規定し、行政権の濫用を警戒、制限いたしました趣旨に明かに反すると信ぜられるのであります。従つて各條項は、繰返しませんけれども、少くとも修正案程度のしぼりかたは是非とも必要であります。解読或いは政府の答弁でなされました法の運用についての注意は、或いは政府の答弁のように訓令その他で通牒せられるかも知れませんけれども、それは刑罰法規自体に具体的な規定として出ない限り法上の保障はないわけであります。通牒或いは訓令等はこれは今後行政権によつて左右せられることを考えますときに、何としても法上具体的に明らかにせられなければならんということを私ども主張するわけであります。 そこで原案反対、修正案賛成についての理由は挙げ終るのでありますけれども、先ほど自由党の代表討論として軍機とそれから国民の権利義務との関係について、これは率直に国民の権利義務よりも軍機を尊重せられる御発言がございましたけれども、若し法制定の趣旨がそういうところにあるといたしますならば、これは今後の運用について我々の杞憂が決して杞憂でないという感じがいたすのであります。問題の重要性に鑑みまして、参議院が参議院としての抑制機関の任務を正当に果されますように、議員各位の深甚なる御考慮と、修正案程度のものについての御賛成を切にお願いをいたしまして、不十分でございましたが、原案反対、修正案賛成の討論を終る次第であります。
○委員長(小野義夫君) 討論はこれにて終結したものと認めまして採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小野義夫君) 御異議ないと認めまして、採決に入ります。 先ず伊藤委員より提出せられました修正案を議題に供します。本修正案に賛成の諸君の御挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(小野義夫君) 只今御出席の委員は十四名でございます。本修正案に賛成の挙手をなされました委員は七名でございます。よつて委員長は可否同数と認めます。国会法第五十條によりまして、委員長は本修正案は否決すべきものと決定いたします。 次に原案全部を議題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(小野義夫君) 可否同数と認めます。よつて国会法第五十條により、本委員長は原案通り可決すべきものと決定いたします。 なお例によりまして報告書の内容、本会議における口頭報告の内容は委員長に御一任を願います。本案に賛成の諸君の署名を願います。 多数意見者署名 宮城タマヨ 加藤 武徳 左藤 義詮 寺尾 豊 長谷山行毅 赤木 正雄 岡部 常
○委員長(小野義夫君) 散会をいたします。 午後六時四十一分散会