法務委員会 第7号
- 発言数
- 129 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/02/23
会議録
○委員長代理(岡部常君) これより法務委員会を開きます。前回に引続き質問の継続をいたします。
○伊藤修君 法務総裁がおいでにならんので特審関係について特別審査局長にお尋ねいたします。今度の機構改革について、特審局のあり方としてどういうような考え方を持つておられるか、先ずその点をお伺いしたい。
○政府委員(吉河光貞君) 現在私どもは法務総裁の御命令によりまして治安立法を立案中でありまして、それがまだ結論には達していないのでありまするが、この治安立法を運用する機関といたしまして、現在の特審局のあり方について一つの構想を持ち、その構想の下にこの治安立法を進めておるような次第でございます。この治安立法は御承知でもございましようが、暴力主義的な破壊活動を行い、又はこれを行うことを目的とする団体に対して必要な規正の措置をするということが根本の建前になつておるのでありまするが、かような措置をするために必要な情報並びに調査の機関というものと、かような措置を決定する機関というものは、これを別個の機関として編成することが必要ではなかろうか。現在のところ私ども特審局の実体はこの只今申上げました情報調査の機関なのであります。更にこの情報調査の機関とは別個にかような措置を決定する機関が法務総裁の下に設置されることが必要ではなかろうか。で、両者の機関のチエツク・アンド・バランスと申しましようか、相互の調整によりましてこの仕事を公正に行なつて行きたいというような構想を立てております。具体的な機関の内容、編成等につきましてはまだ立案に入つていないような状態でございます。
○伊藤修君 そすると特審局のあり方としては、法務総裁の下に隷属して別個な機関として存在するのか、或いは国警その他の治安機関と合同統合するという形にするのか、その点はどうですか。
○政府委員(吉河光貞君) まだ他の機関との合同乃至統合という問題は構想の上では現われておりませんです。
○伊藤修君 そうすると、特審局のあり方としては、今の調査だけが主体になるのですか、それとも捜査権まで持つのですか、処分権まで持つのですか。
○政府委員(吉河光貞君) 特審局のあり方といたしましては、情報調査のみを掌る。で、処分は別個の機関で行われるのが適正ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
○伊藤修君 そうすると、処分を別個の機関とするということは、どういう機関を想定されておるのですか。
○政府委員(吉河光貞君) まだ具体的な機関の編成等については立案に入つていないのでありますが、法務総裁の下に大体外局として委員会のごときものが設置されるのではなかろうかと考えておるのであります。
○伊藤修君 そういう考え方といたしますれば、又巷間伝わるところによつても我々は不審に堪えないことは、いやしくも国民の基本人権を制約するがごとき、又処分するがごときものはひとり司法権の下においてこそなさるべきものでないかと思うのですが、それが行政機関において特審局みずから若しくは別個の機関を以て、これがほしいままに処分するということになりますれば、新憲法が狙つたところの三権分立の確立ということがこの点において乱れることになると思うのですが、行政処分にしろ、或いは司法処分的な性質を持つておる以上は、これに対して行政機関の中にさような処分権を持つという機関を考えること自体が憲法に反するのでないでしようか。その点どうですか。
○政府委員(吉河光貞君) この法案の立案につきましては日本国憲法の趣旨に適合するように折角努力しておる次第でございます。
○伊藤修君 折角努力しておるという、その努力をすることの根本をお尋ねしておるのです。さような処分権が司法処分でないというのか、行政処分の範疇において行われるというのか、みだりに人の財産を接収し、没収し、人の身分を追放し、解散を命ずる。その点が行政処分と司法処分の限界をあなたがたにおいて考慮されておるのか、どの程度まで行けるという考え方か、それをお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(吉河光貞君) 只今申上げたような団体に対する必要な規正は行政処分であつて、日本国憲法の枠内においても合憲的にかような処分ができ得るものと考えております。
○伊藤修君 いわゆる団体の解散権は治安上或いはその他の公益上においてこれはなし得る行政的性質を持つておるという見解が或いは成立つかも知れませんが、併しその団体が持つ財産の処分、身分の変更というものにまで及ぶのですか、どうですか。
○政府委員(吉河光貞君) 現在法案の立案といたしましては、構想としては追放というような措置は考えておりません。又解散された団体の財産を国庫に没収するというようなことも考えていないのでございます。
○伊藤修君 その点まだ考えていないとするならば、問題の外においてもよろしいのですが、併し伝うるところによれば、いわゆる公職に対する就職禁止とか、或いは或る職場への就職禁止とかというような点をも処置するというようなお考えのように聞いておりますが、この点はどうですか。政府委員(吉河光貞君) 只今御質問になりましたような就職制限という点も考えていないのであります。
○伊藤修君 そうすると現在特審局において持たれるところの権能の大部分というものは今度の考えられておるところの特審局の機構の中には持たないというふうに伺つてよろしいのですか。
○政府委員(吉河光貞君) 只今御質問になりました団体等規正令による団体の解散の場合にはその財産は国庫に接収される建前になつておりますが、これは現在特審局が取扱つておる所管事務ではございませんので、法務府の民事局がこの接収の事務を取扱つております。又就職制限と申しますか、かような問題につきましても現在のところは公職追放令によつて追放者の監察事務は行われておりますが、追放それ自体は総理庁の監査課がこれを所管いたしておるような次第でございます。私どもといたしましては只今申上げた通り公職追放令による追放者の監察並びに団体等規正令による運用という問題のみを処理しておるような次第であります。
○伊藤修君 それは私の質問の仕方が悪かつたかも知れませんが、いわゆる個々の仕事の分掌の問題をお聞きしておるのじやなくて、その基本をなすものは特審局であるのですから、いわゆる公職追放をなすのには、特審局が先ず第一に調査し活動されて、それが他の機関に移つて、そうして認定される。或いは財産処分の場合においても特審局において活動が開始される、そこで民事局なり、民事の他の機関においてそれが処理されるというのであつて、私のお伺いしようということは、現在のごとくいわゆる財産を接収するとか、身分を喪失せしめるとか、いろいろの司法的或いは行政的処分をなさるということがあり得るかどうかということをお聞きしたのです。それはあなたのお答えを総合すると、そういうことは考えていないというふうに伺つてよろしいかと、こういうのです。そうですか。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の通りであります。
○伊藤修君 そういたしますと、今度は根本的に今折角立案せられておるところのいわゆる団規法……団体等規正令に基くところの法律ですが、これは新聞紙上に伝えられるところによりますと、数次の変更を見て最近においては大体において曾つてあるとこの、団体等規正令の重要な点が除かれるということになつておる。そこでその法律の傾向はいわゆる集団暴力を阻止するというふうに重点を置かれるように思うのですが、そういたしますと団体の、いわゆる集団暴力というものに対して重点を置いてこれを取締ろうとする場合において暴力行為者に対するところの取締ならば、今日の暴力行為取締法によつて十分賄えると思うのですが、いわゆる法人の持つところの集団的暴力というものに対して法律措置を講ずるというならば、その集団の持つ全体の力を阻止する点に重点が置かれなくちやならん。そうした場合に個々の行為者を処罰するのか、或いは団体全体を処罰するのか、団体の統率者を処罰するのか、この点の御構想をお伺いしたいと思います。
○政府委員(吉河光貞君) この法案におきましては、暴力主義的な破壊活動という概念を以て定めまして、この概念に定められたような暴力主義的な破壊活動を行い、又はこれを行うことを目的とする団体で、将来同様な暴力主義的破壊活動を反復するような慮れを阻止するという点に規正処分の理由があるわけでございます。そういたしまして、暴力主義的な破壊活動の内容につきましては、最も極端な暴力主義的な行為、暴力主義的な行為を明確に規定いたしましてその内容としたい、かように考えておるわけであります。
○伊藤修君 私のお尋ねしようというのは、その極端なとか、或いは暴力的とかというものは個々の団体の構成員が犯した場合に、即ち団体の全体の責任として問うのか、問う場合は団体の統率者まで及ぶのか、連坐性を認めるのかどうかという点にあるのです。
○政府委員(吉河光貞君) この法案の立て方といたしましては、暴力の発動は飽くまで個人の行為にその根拠を置いております。団体のこの行為を連坐等によりまして団体の役員とか、構成員を処罰するというような立て方はいたしておりません。
○伊藤修君 そういたしますと、現在の暴力行為取締法によつて十分賄えるのじやないでしようか。あえて新らしいさような問題の法律をここで御立案なさらんでも十分処理できるはずじやないでしようか。若しそうでなくて、その行為があつたことを端緒にして団体を解散せしめるというところに狙いがあるのですか、それともさような団体の存在を否定するために団体全員に対して責任を問うというようなあり方にして行くのか、その基本的理念を一つお伺いいたしたい。
○政府委員(吉河光貞君) 現在のところ構想といたしましては、かような団体につきましては部分的に一定の行為を禁止する、又第二といたしましては、その団体を解散いたしまして、その団体の活動を禁止するというようなところに置かれているわけでございます。
○伊藤修君 そういうふうに御構想になりますと、結局末端のいわゆる下級な団体員、前衛の団体員が犠牲となつて常にそれが処罰されるということになつている。肝心のこれを指導して行く者、中核をなす構成員というものは、常に隠れてその目的遂行をなして行く。仮に一つの団体が解散されますと、又その次の団体を構成して行く結果を将来するのじやないですか。抜本的な解決とは言えないと思います。今のような構想ならば、現行法規で十分賄えられると我々は考えられるのですが、その点に対するお考えは如何ですか。
○政府委員(吉河光貞君) さような暴力主義的な破壊団体規正の只今申しました種類とかその認定條件、必要な調査の点の内容等につきましては、目下立案を進めまして結論にはまだ達していないのでありますが、成るべく有効な而も適正な体制にしたいと考えておる次第であります。
○伊藤修君 有効適切などういう法案ができますか。内容は御提案になつてから又審議の対象としてお伺いすることにいたしますが、一体特審局はそういう法律を持つにあらざれば、今後特審局としての活動がなし得ないのですか、その点はどうですか。
○政府委員(吉河光貞君) 私どもといたしましては、これまで公職追放令及び団体等規正令の運用に従事して参りましたが、総裁の御下命によりまして、講和後におきましてはこれに代るへき治安立法の十案を命ぜられた次第でございまして、これを目下立案しているような次第であります。
○伊藤修君 いや、私のお伺いするのは、特審局はそういう基本法規を持つにあらざれば、今後の特審局の機能を充実し、機能の活動を十分ならしめることができないのか、こうお尋ねをするのです。
○政府委員(吉河光貞君) この法案のごとき立法が将来の特審局の活動のためにも必要であると考えております。
○伊藤修君 そうすると、特審局は従来我々が終戦前に体験するところの国内に存在しておつたいわゆる特高、そういうような形態に復元するというふうに我々は聞き取れるのですが、現に特番局において行われつつあるところの仕事の内容というものが、あたかも特高のごとき素質を持つており、而もなおさような立法をなして、その下に特番局の機能の充実を図るという御趣旨であるとするならば、いわゆる特高の復元ではないでしようか、この点に対する御見解はどうですか。
○政府委員(吉河光貞君) 現在私どもは所管事務を運営いたす面におきましては、飽くまで政治的に中性でなければならない、同時に思想統制というようなごときことを絶対になしてはならない、ということを建前にしまして仕事をしているわけであります。将来とも御質問のような特高への再現、特高の復活と申しますか、そういうような傾向を持たないように十分に注意をして運営して行くつもりであります。
○伊藤修君 とおつしやつても、結局特審局の調査或いは捜査、そういうことによつて特審局においてこれは暴力的団体だという認定を受けますれば、その団体はそれによつて破壊し去られるのです。団体の機構というものは、一に特審局が生殺与奪の権を握つていると言うても過言ではないと思う。而も特審局は公然活動をなさずして、いわゆる私立警察的な活動があるとするならば、特審局に睨まれた団体というものは、およそ成立たないということになるのではないでしようか。そういたしますれば、現在の民主主義的な機構に育てて行こうという今日の日本のあり方と相矛盾するところがあるのじやないでしようか、その点に対する考え方はどうですか。
○政府委員(吉河光貞君) 特定の団体が暴力主義的な破壊活動を行なつたか、又はこれを行うことを目的としているかというような点につきましては、客観的な証拠資料を収集いたしましてこれを認定する。而も認定の機関は特審自体では、将来の特審自体ではありません、別個の機関によつて認定し、更にその処分につきましては行政訴訟の対象ともなり、公正な裁判所の審判も受けるというような立て方にいたしておるわけであります。
○伊藤修君 現在の特審局のあり方といたしましては、これは占領治下でありますから多く批判を加える必要はないと思うのですが、実に恐るべき存在である。あなたたちのお考え一つによつて社会から葬り去られた人が幾多あるのです。現に岐阜の或る団体のごときは、全く何らの関係もないのにかかわらず、岐阜に駐在するところのいわゆる特審局の何と言うのですか、職員ですか捜査官ですか、これの一片の報告に基いて直ちに解散を命じさせられた。而もその後は暴力団体としての折紙をつけられた。然るにそういう事実があるかどうかと言えば、單に一刑事事件が一つ起つたに過ぎない。それも初めてなんです。そういうような独断的なことを以て貴重な国民の権利義務に大きな制約を与えるというやり方は、今後の特審局としては私は実に不合理極まるものではなかろうかと思うのですが、こういう点に対しましては、特審局の機構改革において十分私は考えて頂かなくちやならんと思うのです。現在の特審局の職員の大半は憲兵若しくは特高その他、そういうような関係の人が多く勤められていらつしやるというような話があるのですが、どうですか、その点は。
○政府委員(吉河光貞君) 憲兵は一人もおりません。ただ警察官は現在特審局職員の中で三分の一程度おります。その他各方面からの人を収容いたしておりまして、職員の識見、調査技能、その態度等につきましては未熟な点も多々あるものと思つております。この点は深く反省しまして、将来といたしましては、職員を十分に教育訓練いたしまして、識見、調査技能等につきましても十分能力の高い、程度の高いものに仕上げたいと考えておるわけであります。
○伊藤修君 特審局の職員のうちで、警察官としてふさわしくない、いわゆる免官を受くべきような人を特審局に収容して、これが特審局の厖大な権限を笠に着て横行闊歩しておるということを我々の耳にしているのです。その特審局の職員の人は、いわゆるパンパン宿を経営して、その部落の親分的な行動をしておるというような人もあり得るのですが、こういう人に対して身分調査というものはなされて一体任官せしめたのかどうか。
○政府委員(吉河光貞君) 職員の採用につきましては相当身元を調査し、その過去の経歴も検討して、又能力、識見等一応テストしましてこれを採用しておるわけでありますが、採用後いろいろ職員の中にも、稀に規律に反する、或いは非違を犯す、或いは特審の権威を傷つけるというようなものがありますので、これらのものについては嚴重にその点を調査しまして、逐次整理しておりますようなわけであります。
○伊藤修君 最後にもう一つお伺いしておきたいのは、特審局は現在政令三百二十五号によつていろいろ行動を開始されておるのですが、それは特審局のみの手によつてやられているのですか。それとも検察庁及び警察官の手を煩わしておるのかどうか。若し検察官並びに警察官の伴う場合においては、その法的根拠はどこにあるのか、それをお伺いしたい。
○政府委員(吉河光貞君) 只今御質問の点は占領目的阻害令政令三百二十五号の運用だと思います。これは本来罰則を規定している政令でありまして、これの運用は検察庁並びに警察機関が当つておるわけでありまして、私どもとしては、職務の執行上こういう違反を認知した場合には検察庁に告発して捜査権の発動をなすという建前をとつている次第であります。
○伊藤修君 いわゆる安来町事件におきましては特審局がみずから出動して町民の大多数を取調べたというような事実があるのです。勿論これに対しても検察庁も或いは警察官も取調べておつたようですが、主として特審局が活動しておつたようです。この点について……。
○政府委員(吉河光貞君) 実は安来町の事件に関する詳細な報告は只今用意して参りませんので、ちよつと報告の内容につきましては、安来町事件の特審の活動につきましては詳細な資料を用意して来ておりませんので、後日お答えいたしたいと思います。でもあの事件につきまして私どもが主となつて一般のかたがたを取調べたり捜査したり、或いは調査したというようなことは報告を聞いておりません。又さような事実はないものと考えております。
○伊藤修君 それはあなたは報告を知らないからないとおつしやるかも知れない。調査して後日報告するというならよろしいですが、あなたのほうはマツク書簡によつて「アカハタ」同類紙の記事に対して捜査又は家宅捜索をなさつたのです。而も町民の相当数の人をむやみに調べられておる。それによつて町の不安というものは非常なものであるのです。こういうような行き方をなさる場合において、而も検察庁、警察官を動員されたのかどうかもわからないのですか。それで、私は検察官の動員ができるのか、警察官の動員ができるのか、できるとするならその法的根拠をお伺いしたわけです。
○政府委員(吉河光貞君) 連合国軍最高司令官の指令に基く「アカハタ」の後継紙、同類紙の発行停止処分につきましては特審が現在主管して行なつております。これらの処分をするにつきまして必要がある場合におきましては、自警又は国警の警備の要請をする場合もあります。
○伊藤修君 最後にもう一点お伺いしておきますが、過日新聞に発表されておつたところのいわゆる自由党の秘密会においてあなたが日共の組織について詳細にお述べになつたのです。いわゆる秘密会か公聴会かわかりませんが、何か新聞に出ておるから秘密会でもなさそうですが、あれは新聞に発表された通りと伺つてよろしいのですか、それ以上のものがあるのですか。
○政府委員(吉河光貞君) 私は法務総裁の御依頼によりましてその補助者といたしまして総裁のお供をして自由党議員総会の秘密会に出席したことはありますが、これは秘密会のことでもありまして、私どもからその議事の内容につきまして申上げる立場ではないと考えております。又新聞には私の発言内容として記事が掲載されておるのでありますが、その新聞記事につきましては、法務当局といたしましてどうも責任を負う限りではないというような答弁を申上げます。
○伊藤修君 秘密会であるといつたところが、新聞にあなたのほうから出されたか、或いは自由党の議員から出されたか存じませんが、事詳細に項目的に出されておる以上は、もはや公知の事実であるわけであります。私の伺つておるのは、その新聞に出ておる記事があなたのお述べになつたことと同様かどうか、それより以上のものがあるのかどうかということをお伺いしたいのです。若し間違つておる点があれば違つておる点を御指摘願い、足らざる点があつたならばここで補足して頂きたいと思います。今や新聞に出ておる以上は、秘密会の秘密の性質は毫末もない。
○政府委員(吉河光貞君) 先ほど御答弁申上げたところで御了承願いたいと考えております。
○伊藤修君 どうも御了承できないですな。あなたは一政党の招聘に応じて国家の基本を左右するがごとき重大な事項について、発言をなさつて事細かに述べていらつしやるのです。而もそれは新聞に公然として発表されておる以上は、今日は国家のために国会があなたにお尋ねするわけです。一政党の秘密会に述べられたことが、国会のこの委員会において述べられん理窟がどこにあるのですか。私はここで以て改めて細かなことを述べて頂きたいと言うのではない。あの通りか、通りでないなら、違つた点を指摘して下さい。足らざる点は補足して下さい、とこう申しておるのです。それができないという理由をお伺いいたしましよう。
○政府委員(吉河光貞君) 先ほど申上げましたような事情でございますので、どうか御了承願いたいと思います。
○伊藤修君 それは御了承というのは、どういうふうに御了承するのか。日本の言葉はあいまいな言葉が多いのですが、ただ御了承と言つても範囲がわからないのです。どういう意味で述べられないというのか、何を御了承というのか、私にはわからない。だから述べられない意味をお伺いいたしましよう。
○政府委員(吉河光貞君) 只今申上げました通り、私は法務総裁の御依頼によりまして、その補助者としてお伴をした次第でございます。又その出席した会の内容につきましては、これは自由党の秘密会になつておりますので、私からその内容につきまして申上げる立場ではありませんので、御了承願います。
○伊藤修君 そんなことを押問答していても時間がたちますが、自由党の秘密会で述べられたことが国会の委員会において述べられん理窟はないじやないですかと、こう言うのです。国民に対しまして述べられないようなことがあり得るのですか。それともあれは嘘だと言うのですか。我々は国家のために憂うるものであります。ああいう事実があるとするならば、その事実に基 いて今後の治安関係について我々は対処しなくちやならんのです。これは我我の義務じやないですか。その意味においてお聞きするのです。さような重大なことがこの国会の委員会において述べられんという理窟がどこにあるのですか。改めてお尋ねしたい。詳細に述べて頂きましよう。
○政府委員(吉河光貞君) 只今申しました通り、自由党の議員総会秘密会で行われた議事の内容につきましては、私の立場から申上げる立場にないので、御了承願います。
○伊藤修君 自由党の秘密会については言われんとおつしやるならば、それでは改めて現在におけるところの日共の地下組織について詳細調べておる限りここで述べて頂きましよう。
○政府委員(吉河光貞君) いろいろ情報を検討中でありまして、この情報に基いて調査をしておるような次第でございます。
○伊藤修君 調査をしておると言つて、調査をしておるということは、すでにあなたが述べたということは明らかじやないですか。調査はしておるでしよう。述べられた程度のことはすでに知悉していらつしやるでしよう。現在までに知悉していらつしやる程度をここで我々に聞かして頂きたいと、こう申上げておるのです。今日法務総裁の意見を聞かなければ述べられんというなら、これは又別ですが、けれども、あなたが一旦述べられた以上は、ここで述べられん理窟がないですよ。私は秘密会のことを言えと言わんです。から、改めて題を出しますから、その題に基いて一つ述べて頂きたいと、こう申上げるのです。
○政府委員(吉河光貞君) 現在我が国におきまして、一部の極端な共産主義者が各種の破壊的な行動に出ておるというような情報は、従来からこれを入手しております。特に暴力或いは武装叛乱を以て、日本国憲法又は憲法下に成立した政府を転覆するというようなことを宣伝、煽動しておるような事実も、情報も、これを得ております。 極く簡單に申上げますると、その情報の内容として、一昨年秋頃から「内外評論」とか、或いは「平和と独立」というような出版物によりまして、かような極めて破壊的な宣伝、煽動が行われておるような状況でありまして、越えて昨年の二月には、日本共産党第四回全国協議会なるものが開催せられたと称せられまして、その協議会の決議事項として、武力闘争による運動方針が決定されたと、かような文書が更に流布されておる、次いで昨年八月、やはり日本共産党第二十回中央委員会なるものが開催せられたと称せられまして、新綱領草案なるものが提案されたと、この新綱領草案に附帶いたしまして、「戰術と組織の問題」と題するような文書が印刷物として流布され、その内容は、先ほど申しましたような武力闘争の方針、組織の問題を書いてあつた。次いで昨年十月には、第五回全国協議会が開催せられたと称せられまして、その第五回全国協議会で決定された決定事項の内容がやはり印刷物として流布されております。これに相関連するやに思われるのでありますが、「我我は武装の準備と行動を開始しなければならない」というような題を持つ極めて破壊的な印刷物も又流布されておるわけであります。極く最近におきましては、昨年の末に全国組織会議なるものが開催されたと称せられまして、同様一部破壊的な共産分子の「当面の戰術と組織の問題」と題して、いろいろ活動方針が述べられております。次いで最近に至りましては、只今申上げた、「我々は武装の準備と行動を開始しなければならない」という印刷物を前篇とすれば、その後篇に当るものと見られるようなものとして「中核自衛隊の組織と戦術」と題する印刷物がやはり流布されつつあるような状況であります。かような一連の極めて破壊的な宣伝啓蒙が一部の共産主義者によつて行われているというふうなことを確認しておりまして、これに基きましてその背後の関係団体又は関係組織の実体につきまして、又かような破壊的な宣伝啓蒙に相照応するような具体的な動向の有無につきまして調査中であります。
○伊藤修君 簡單でありまするからお聞きいたしますが、そういたしますと一昨々日ですか、二十一日にいわゆる反植民地デーというものが全国各地において行われたようでありますが、これはあとで齋藤さんにお伺いいたしますが、内容については……その現われというものは、今の御説明のような組織活動の一つの現われと認められるのですか、どうですか。
○政府委員(吉河光貞君) 目下調査中でありまして具体的な結論は得ておりません。併しこの一昨々日の集団行動の中に分散的に現われましたような極めて暴力的な行為につきましては、只今申述べました宣伝啓蒙の内容と相照応するような事例が認められるということは言われる物じやないかと考えます。
○伊藤修君 そういたしますと、いわゆる日共において地下工作として行われたところの、指導方針に基くところの一つの現れというふうに考えていると、こういうふうに伺われるのですか……。
○政府委員(吉河光貞君) 只今申上げました一連の一部共産主義者の破壊的な行動が現在の日本共産党と如何なる関連にあるやという点につきましては、目下調査中でございまして結論に達しておりません。
○伊藤修君 あとは一番最初のあれに戻りますが、仮にですよ、そういうようなあなたの今までの調査されたような一つの指導方針に基くところの団体ありといたしますれば、具体的に言えば日共ですね、それだけで以て暴力団体として解散を命じますか、或いは個個の現われがそれに繋がつていなければ暴力団体として取扱わないのですか、その点の解釈を一つ……。
○政府委員(吉河光貞君) 現在調査中で、組織の実態その他具体的内容を把握しておりませんので結論を申上げるのは差控えたいと思います。
○伊藤修君 それでは日共という言葉は外しまして、団体ということでよろしいですが、抽象的に……。そういうふうな機構の下に活動されている、秘密指令が出ている、そういう事実だけで暴力団体として認定するのか。個々の暴力行為がなかつたならば暴力団体として認定しないのか。その点を今度の団規法の、若しくは集団暴力行為取締法の根本目的としてどういうように取扱おうとするのか。
○政府委員(吉河光貞君) 月下立案中の法案につきましては、まだ最終の結論に達しておりませんので、これを以て考えるのはちと困難ではなかろうかと考えております。少くともかような活動が現在の団体等規正令二條七号に該当するものであるという疑いは極めて濃厚であると申上げるわけでございます。
○伊藤修君 最後にその点を確かめておきたいのですが、要するに私から言えば現実に暴力行為が一つあり、或いはそれが数個あり集積して来なければいわゆる暴力団体として認定しないのか、今日の団規令にいうがごとく、抽象的にそういうものがあり得ると、事例があるというような場合においてそれだけで認定するのかということです。いわゆる法律を立案されるためにはこれが根本なんですから、その点についてすでに御研究なされていると思う。それができなければ法全体ができていないということと同じですから……。
○政府委員(吉河光貞君) 目下立案中の法案の構想といたしましては、暴力主義的な破壊活動を行なつた団体、目下暴力主義的破壊活動を行うことを当該団体の目的としているという二つの団体を破壊団体としてこれに必要な規正を、処分を行いたいという考えであります。
○伊藤修君 そうすると私の今お尋ねした両方とも入るわけですね。暴力行為を行なつた場合、若しくは行うことを目的とする場合、両方入るわけですね。そう聞いてよろしいのですね。
○政府委員(吉河光貞君) 御質問の通りであります。さてその條件、規正の種類等につきまして、手続につきましては、目下詳細立案中でございます。
○吉田法晴君 一点だけお伺いしたいのですが、最近独立後の日本のいわゆる自衛と申しますか、防衛問題に関連して、一部旧陸海軍人の動向があるやに聞くのであります。これらの問題に関連して、特審局、従来先ほど来説明になりましたように、追放その他終戰後の、いわゆる推進の役割を果して来られたのですが、最近ではいわば、さつきの特高問題がございましたが、彈圧的な、或いは治安維持的な面ばかりが出て、こういう問題についてさつぱり特審局としては御関心が薄れておるのではないかというような感じがするのです。例えば巷間言われておりますように、或いは辰己中将とか、山本少将とかいうような人たちが再軍備問題と申しますか、内閣のこういう防衛関係に参画されているといつたようなニユースが伝わりますが、こういう問題について、特審局としてどういう工合に調査しておられますか。これらの人たちの中に追放中の人があることは明らかだと思うのですが、これらの点について御所見と申しますか、調査しておられること、又それに対してどういう措置をとつておられるか、この際お伺いしたい。
○政府委員(吉河光貞君) 公職追放令はまだ廃止されておりません。現存の法律といたしまして運用されておるわけであります。すでに追放を解除されました旧陸海軍将校につきましては、もとより解除後は政治活動が自由でございます。併しまだ解除されないかたがたにつきましては、引続きその動向を監視して、具体的な違反の容疑がありました場合においては、これを調査する、然るべく処分をするという建前で仕事を進めております。
○吉田法晴君 重ねて……。例えば先ほど名前を挙げましたような人たちが追放中であるのか、或いは追放中のそういう辰己或いは山本といつたような人たちがこういう問題について動いておるのかどうか、或いはそれについてどういう措置をとられておるか、具体的に伺いたかつたのでございますが、一般的な方針で以て答弁を逃げられましたが、別な例を申上げますというと、赤尾敏という人が追放中に政治活動をしておつたことは、国会の周囲のポスター等から見ても明らかであります。その人が追放解除になりましたけれども、従つて旧軍人にして、追放中の人たちにしても……、追放解除になつておる人もあります。この人たちの政治活動に別にとやかく申上げるものではありません。併し追放中にしてなお活動をしておるものがあるではないか。それらのものについては特審局としての調査、或いは措置等をどういうふうにしておられるか、重ねてお伺いしたい。
○政府委員(吉河光貞君) 先ほども申しました通り、違反の容疑のある場合におきましては、これを調査して然るべき処分をするようにしております。赤尾敏氏のことにつきまして御質問がございましたが、追放解除前に政治活動に亘るようなビラを撒いたのではないかということも前臨時国会で御質問があつたやに記憶しております。これを調査しましたところが、本人のものではないというような結論に達しました。未然防止の意味を以ちまして、本人には本人自身がそういう活動をしないように一応注意をしておいたような次第でありますが、追放解除前に本人がビラを撒いたという事実は結局発見されませんでした。
○吉田法晴君 もう時間がありませんから簡單にこれは申上げるのですが、それは、赤尾敏氏の例は例として申上げた。国会の周囲にも赤尾敏の名前でたくさんのポスターが追放前に出ておつた。それを私どもも見ておつたということを例として申上げたのであります。問題は、こういう再軍備問題について、或いは辰己中将とか山本少将とか言われるような人たちが動いておるという噂を聞くが、こういう人たちが追放解除前に動いておるということはないだろうか。それらの点について具体的に名前を挙げて申上げたわけでありますが、追放解除になつておるということであれば問題はございません。或いはその他追放解除前の人たちがそういう動きをしておることについては取締を願いたい。そういうことを申上げるのであります。
○羽仁五郎君 ちよつと関連して一つお伺いしたいのですが……。
○委員長代理(岡部常君) 時間がありませんから簡單にどうぞ……。
○羽仁五郎君 書類ですが、特審局長から伺つて、他の委員の御賛成を得て委員長から要求して頂きたいと思うのであります。 それは、提案されるらしい法律案の審議の必要がありますので、特審局が創立せられて以来今日に至るまでどういうことをなさつて来たかということの御報告を頂きたいと思いますが、どうでしようか。成るべく詳細に頂きたい。それから特審局長がその間どういうことをなさつたかということも、公務に関係する限り御報告を頂きたいと思います。それから第二にお願いいたしておきたいと思いますのは、特審局長は先ほども旧日本帝国主義時代の治安維持法というものの復活は許されないというふうに言われましたが、治安維持法は如何なる意味において復活が許されないのか。それをここで伺つておるよりも、むしろ願えれば書面で、書いて出して頂ければ大変有難い。それは特審局長及び現在の政府の正式の見解として頂戴しますから、一つしつかりしたものを書いて頂きたいと思いますが、委員長のお許しを頂ければお願いいたします。
○委員長代理(岡部常君) 無論御異議ないと思いますが……。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長代理(岡部常君) そういうようにいたします。
○羽仁五郎君 第三に伺いますが、先ほどの、自由党の秘密会において特審局長がお述べになつたり何かしておることと関連して、特審局長は現在国家公務員法の禁ずる官吏の政治活動ということに触れるようなことのないようにお願いしたいというように思つております。
○委員長代理(岡部常君) それではこの程度で吉河局長の質疑はよろしうございますか。
○政府委員(吉河光貞君) 只今の羽仁先生の御提案は書面で頂戴できますか、正式に……。
○伊藤修君 委員会で、ここで申上げれば書面以上のものですから……。
○羽仁五郎君 委員長のお許しを経て……。
○委員長代理(岡部常君) それでは齋藤長官、お待たせしました。
○伊藤修君 公務御多忙の折から御出席を煩わして恐縮に存じますが、最近の北海道におけるところの警官の射殺事件、或いは練馬におけるところの警察の射殺事件、射殺ですか殺人事件ですか、長野におけるところの警官に対する暴行事件、こういう事案が頻発しておる折から、一昨二十一日に全国に亘り、東京附近におきましても、いわゆる反植民地デーという名の下にいろいろな暴行行為が頻発しておる。これは曾つての平におけるところのいわゆる地域的な一つの騒擾事件を拡大されたようにも感ぜられるのです。若しこのことが糾明されておらんということになると、今後におけるところの我々の治安に対する対策について重大な一つの問題を提供するのではないかと思います。この際一つ長官が知り得る範囲内において詳細にこれらの一連の問題について御説明を先ずお伺いしたいと思います。
○政府委員(斎藤昇君) 只今お尋ねの各事件を通じて全体に亘つて見て、いわゆるどういう治安関係の結論を見付け出すかというお尋ねであつたと考えるのでありますが、札幌の白鳥事件は只今捜査中でございましてあの札幌における当時の前後の状況、或いは日傭労務者、或いは札幌における何と申しまするか、左翼的な考えに立つ社会運動その他が相当活溌であつたことは事実でありまするけれども、これと事件とが直接結び付くものであるかどうか、これは只今捜査中でありまするので、私はあの事件自身を捉えてどうという判断を只今下しますることは、これは却つてどうであるか、むしろ只今あの事件といたしましては地道な証拠による捜査というものを進めて行つたほうがよろしいと、かように考えておるのであります。 又練馬の事件は、犯人が、被疑者が一応検挙せられております。まだ最後の確定段階には至つておりませんが、一連の共謀をして殺人を行なつた。これは新聞等で御承知の通りでございまするが、ほぼその線が明らかになつております。併しこれはあの会社関係の労務者と当該警察官との感情の対立からあそこまで行つたものと見るか、全体の一連の指導に基くものであるか、この確証なかなかちよつと断定しがたいと思つております。 長野県の事件はこれ又捜査中でございます。捜査中ではございまするが、あの事件の性質に鑑みまして、又これは丁度昨日の二十一日の反植民地闘争デーにおきまして、特に東京その他一、二の個所において見ました今までに余り例を見なかつたような暴力事件、ああいうものが現われて参つたという、これらは先ほど特審局長から説明のありました秘密文書によつていろいろ教育或いは推進せられておりまするいわゆる共産党の軍事方針というものと全然無関係ではなかろうという、私は心証的な判断でありまするが、或いはこれはお前は証拠なしに言うことはけしからんとお叱りを受けるかも知れませんけれども、これは我々の今までの勘といたしましては、さように考えざるを得ない、こう考えておる次第でございます。
○伊藤修君 最後の最近の反植民地闘争デーはそういうようにお考えになりますが、いわゆる先に行われたところの三つの事件はそれとはいわゆる思想的な根ざしというものがあり得ないというふうにお考えになつておるのですか、それともそういうものに関連あるという一つの勘はお持ちになつているのですか。
○政府委員(斎藤昇君) 先に申しましたうちの二つの事件、札幌と練馬のこの事件は、これは私はさように考えられないこともないけれども、これはさように私は考える、そういうような心証を持つというのにはもう少しこれは研究を要する、まだ私はさように單なる心証としてでも申上げることは早計である。もつと愼重に考えなければならん。全然それには関係がないということも私は申上げることも早過ぎる、かように考えております。 長野県の田口村の事件は、これは共産党活動と非常に密接な或いは活動そのものの一端であるという心証は持つております。
○伊藤修君 二十一日の闘争デーは或る新聞で全国二十六カ所とかいうふうに聞いておりますが、それは事実ですか。若し事実とするならばどことどこですか。
○政府委員(斎藤昇君) 反植民地闘争デーとして全国でいろいろな催しが行われました。その催しの行われましたのは我々のところに報告が集まつておるのは三十五カ所であります。併しそれらの大部分はああいつた不法事案を見ずに終了いたしております。不法事案の発生を見ましたのは、我々の手許に報告が集まつておりまするのは十件等であります。そうして只今までに検挙をせられましたのが六十七名という数であります。この十件の中には東京が四件を数えております。あとは六件でありまするが、名古屋が二件、それから神奈川、それから大阪、奈良等、そういうようなところでございます。
○伊藤修君 そういたしますと、これらの一連の日共地下工作の指令に基くところの活動が表面化して参つたのですが、主として警察に対するところの犯行に対して国警としてはどういうように今後対処して行くつもりでございますか。又国警の現在の力を以てしてこれが十分処置できるかどうか、治安確保ができるかどうか、この点について……。
○政府委員(斎藤昇君) これらの事案の多くは自治体警察の区域内で起つておるのでありまするが、自警、国警絶えず緊密な連絡の下に事前の予防、事態の鎮圧及び不法事案のありました場合には検挙に遺憾なきを期しておるのでありまするが、私は日共のいわゆる軍事方針というものが相当強く宣伝をせられ、この反植民地闘争デーにおいても、これは私は必ずしも中央からの計画的に反植民地闘争へどこでどうやれ、どうやれという指令があつたものとはさようにはまだ判断をいたしませんが、そういつた今までの教育、訓練の状態がたまたまこの反植民地運動の一、二のところに芽を出したというように考えるわけでありまするが、これは結局一番大きい点は国内の健全なる社会体制の保持、強化という点が一番大事な点であろうと考えます。これは併し警察の面ではございません。私はその軍事方針なるものがさように早急に実地化せられ、現在の警察力を以ては如何ともなすことができないというような状況に進もうとは考えておりません。これに対しては国民全体の強い民主自由を守るというこの態勢がこれらによつてさように脆弱に崩されようとは考えておりませんので、この程度、或いはこれよりも若干強化をするという程度の下におきましては、差当つてといたしましては現在の国警、自治警……勿論更に我々の技術、教養等の訓練は必要であると考えまするけれども、非常に憂慮をしなければならないというほどのものとは考えておらないのであります。
○伊藤修君 勿論かような事案に対しまして、起りつつあるところの事案を処置して行く、而うして治安確保を図るということも当然我々は考えなくちやならん。それの根幹をなすところのいわゆるかような思想の彌漫して行くところの根底を突きとめてこれを是正して行かなければならん。併し遺憾ながら現在の政治の貧困からかような点に対しましては未だ根本的な対策が講ぜられておらないことは非常に遺憾でありますが、まあそれを極めずしてただ事案だけについてあなたがたの責任をより以上強要するということは甚だ心苦しいのでありますけれども、併し起りつつある目前の問題についてやはり我々としては今考えなくちやならんと思う。これはまさに我々に与えられた職務であろうと思うのでありますが、国警におかれましても今の見通しであるといたしますれば、私は非常に憂慮すべきものではなかろうかと思うのでありますが、今度の形態から考えましても相当な企画がなされておるものと考えられます。指導方針も非常によろしきを得ておるものと思われます。いわゆる彼らの持つ鎌、鍬、或いは目潰し、或いはその他の釘で作られたところのいわゆる何と言うか道具……武器ですね、その他職場におけるハンマー、鋤鍬その他のものを武器として抵抗せよというような指令がなされておる。いわゆる身近な物を以て先ず以て抗争の道具にする。そこに、次に相当な武器が隠されておることは想像に難くないと思うのです。又これに対するところの資金面についても、私は相当な資金が流れておるものとも考えられるのです。こういう点に対するところの調査研究というものはなされておるのですか。それから又どのぐらいの武器を持つておるという想定の下に対処されておるか、この点をお伺いします。
○政府委員(斎藤昇君) 武器の点は、只今もお述べになりましたように、差当つてはとにかく容易に入手できる、又一般武器の観念に入らなくても、役立つと思われる棒切れ或いは鋤、鍬、そういうものを以て武器として十分役立てることができるというように私は考えておることは事実だと考えております。いわゆる拳銃とか或いは機関銃とか、そういつたような近代的な、人を殺傷せしめる武器というものをどのくらい獲得しているかという点につきましては、これは極めて遺憾でありますが、私のほうは確認ができておりません。武器がどこに隠匿されておるというような情報を随分受けるのでありまして、そのたびに相当綿密なる捜査をいたしておりまするが、殆んどざような情報が実体を現わしたことはないのであります。ただこれは拳銃の不法所持をいたしておりますのは相当ございます。日本国民の中で拳銃を不法所持しております者がどの程度ありますか知れませんが、とにかく我々一斉の捜査をやりますたびに五十挺或いは百挺と発見をいたしますので、まだ若干は……。私はこれは必ずしも共産党のみに限りませんが、拳銃は一般が持つておるということは考えなければなりません。併し計画的に外部から輸入して来た、或いは計画的にどこかで秘密に製作をしたという武器が相当只今現に隠匿されておるということは只今は考えられないのであります。
○伊藤修君 こういうような一つの現われが生ずるのは、そこに何らかの地下において有力な指導者があり得ることは想像に難くないのですが、まあ卑近な例で申しますれば、潜入されたところの徳田氏その他のかたがた、これらに対しまして追及の手は相当、勿論止めておるわけではないと思いますが、これは現在どうなつておるのですか。いわゆる全然わからないといいますか、想像されるが、それは手の及ばない所におるというのか、海外に出ておるのか、いずれの見通しの下に今日治安の全般を見通されておるのか。それを一つ……。
○政府委員(斎藤昇君) 先ほど特審局長が述べましたような、いわゆる軍事方針及びそれらに関連する非合法を示唆する指導の文書、そういつたものから判断をいたしまして、相当有力なる人物が指導をしておると、かように考えざるを得ないと思つております。端的に申しまして、追放せられた各幹部のごときは恐らくその骨をなしておると考えて間違いないと、かように判断いたしまして、而してこれらの者が国内におるか、海外におるか、これは断定は容易ではありませんけれども、併し恐らくその大部分は国内におるものと、かように思料いたしております。これを一日も早く逮捕をいたしますことは又我々の責任であります。これの十分でありませんことは誠に申訳ない次第でありますが、併し極めて困難な……、困難と申しますか、状況であります。併し実際に後になつて確かにどこにいた、確かに誰がどこにいたということは相当確認をされております点から考えて、国内におつて指導をしておる者が大部分であると考えます。この捜査の過程内容につきましてはこれは只今非常に残念でありますけれども内容を申上げるわけに参りませんが、我々といたしましては、最も重点をここに置いて一生懸命やつておるという点だけを申上げておきます。
○伊藤修君 捜査内容の困難なことは想像に難くない。それははつきり申しますが、併し実績が挙らなければやはりこれは問題にならないことは止むを得ないと思います。特に徳田氏、野坂氏のごとき有力な幹部のかたがたは相当知名なかただし、顏も知れておるのだから、これらのかたがたが追及できないというのは不思議なものであると思います。これは曾つてよくあつたように警察部内、国警部内の連絡、機密というものが漏れておるのじやないかということも考えられるのですね。こういう点は万全を期せられておるでしようか、どうでしようか。
○政府委員(斎藤昇君) 警察部内の機密漏洩防止につきましては、最も意を用いているところでございます。併しながら全然然らば国警自警を通じて間隙がないかと、こう言われますれば、或いはさようとは断言できない点も一、二ないとは考えられません。併しその情況がこれらの逮捕に支障を今まで来たしたという点は殆んどございません。勿論自警、国警両方ともさようなものを発見いたすたびに処断をいたしております。処断をいたした例があるというところから、まだ処断をしなければならん者もあるのじやないかと、かように考えるわけでありますが、併しこれは外部から御心配頂くほどさように乱れておるとは考えておりません。
○伊藤修君 先ほどもちよつとお言葉がありましたが、要するにこういうような思想的活動を助長するところのいわゆる原因を除去するということに対して、今年の、最近取り結ばれるところの治外法権の問題において、伝えられるがごとく、いわゆる駐留軍の家族、若しくは駐留軍の私の用において行動する場合においての犯罪について、日本が裁判権を持たんというようなことになりますれば、いわゆる植民地化するということが、やはり今日の人心に影響するところであるのです、こういうところを捉えて、いわゆる今の反植民地闘争デーなどというようなものが行われるのです。それが不幸にして政府の弱腰によつて、さような不面目極まるところの治外法権が、仮に確定をいたしたとするならば、治安の任に当つておるところのあなたたちとして、かような家族若しくは私用の場合において行われた犯罪について、容易に手が届かないということになつたならば、治安確保の目的は、その面から、そのことから、大きな障害を来たすのではないでしようか、この点あなたの御見解はどうでしようか。
○政府委員(斎藤昇君) 行政協定の内容につきましては、政府の当該責任者において、只今鋭意努力をしておられることでありまして、私はこの御努力に期待をしておると申上げること以外にちよつとここでは申上げる何ものも持つておりません。
○伊藤修君 いや、私のお尋ねするのは、そういうふうな決定を見た場合において、その治安の責任の最高責任者として、あなたはそれで以て治安確保ができるかと、こういうことをお尋ねしておるのですが、若しそういう決定を得た場合には、例えばこの間のような、現在まだつかまらないようですが、富士銀行のアメリカ軍人によるところのギヤングのごとき、そういうようなことが生じた場合に、国民がそれで納得するでしようか。治安の重大な責任を持たれるあなたたちとして、それで以て万全が期せられるでしようか。
○政府委員(斎藤昇君) 私は答弁を警戒するわけではございませんですが、さような支障を来たすような結果にはなるまいと、かように考えております。
○伊藤修君 なるまいということは希望であつて、どうもなるというような形勢にあるから、それで先ず責任者たるあなたの一つの御意見を伺いたいと、こう申上げるのです。あつた場合はどうだとこう申上げておるのです。仮定でよろしいのですから……。
○政府委員(斎藤昇君) 非常に支障の起るような事柄をお挙げになつて、それが起つたら支障があるということは、何か無理なことを言わそうとお考えになるのかと思いますが、それはもうこういう場合は支障があるじやないかと、支障の点を挙げてお尋ねになるわけでありまするから、それは支障が起ることは当然であろうと思いますけれども、私は非常に支障の起るようなそんな方法で協定が結ばれないであろうということを期待しておるわけであります。
○伊藤修君 無理にあなたを困らせるという意味ではありませんが、要するにあなたのお言葉の、御答弁の全趣旨を総合いたしますると、要するにさようなことにはなるまいと思うと、なるまいと思うことは、結局そういうことになれば結局支障が起るのだ、治安確保はできないのだ、こういうふうに伺つてよろしいですね。
○政府委員(斎藤昇君) そこは御想像に任せたいと思います。
○伊藤修君 それではもう一点お伺いしておきたいことは、最近、今朝の新聞ですか、いわゆる警視庁を国警の中に包容するというふうに発表されておりまするが、勿論これは考え方だけでしようが、警視庁を国警に包容しなくちやならんという理由、いわゆる警視庁では結局今日のような事態が起れば到底賄い切れないのだという結論になる、先ほどから齋藤さんのお話を伺つておりますると、そう大して心配していないというようにも伺われるのですが、して見ますれば警視庁の無能を責めるとか、警視庁の機構の脆弱さを責めることにはならんと思うのでありますが、して見ますれば、結局はそれを併呑という考え方に至らなくともいいのではないかと思いますが、この点に対する御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(斎藤昇君) 警視庁の組織問題につきましては、今朝あたりの新聞を賑わしておりますけれども、これは私は一つの研究課題であると考えております。政府においても只今……只今じやなしに、従前だらいろいろ研究をしておられる問題であります。それが新聞に取上げられたのであります。従つて私は何らかの決定に政府が立たれるまでは、これについての利害得失を一々挙げますることは、自警国警の関係に徒らなる摩擦、不安というものを起しまするから、今日のこういつた新聞で書き立てられておりまする段階におきましては、ちよつと御答弁をお許し願いたいと思います。
○伊藤修君 私は非常な重大問題だからその衝に当つておられる人の先ず御意見を伺つて、我々の判断をきめたいと、かように考えて、特にあなたの御意見を伺いたかつたのであります。でき得るならば私はこの際一つあなたの個人的な御意見でもいいからこの際お伺いしたいと思うのです。重ねて一つ……。
○政府委員(斎藤昇君) 甚だ申訳ありませんが、政府が何らかの決定をせられたということになりました場合におきましては、私はいろいろ意見をそのときは申して差支えないと思います。今どうなるかわからないとき、実際問題といたしまして警視庁の警察のかたがたもいろいろとどうなるであろうかという考えを持つておりまするこの際に、私は国警の責任者の一人としてこれについて利害得失を申上げますることは、無用の摩擦を起しますし、政府がどちらかの決定をされて、そしてそれがきまつたということであれば、現状を是認するにいたしましても、又変更を加えるにいたしましても、さような決定がなされましたならばそのときは腹蔵なく私の意見を申上げまして御批判を頂き、又国会の御審議も願いたい、かように考えております。
○伊藤修君 もう一点、公安委員会を法務総裁の下に併合してしまう、これは国警自体の問題ですが、この点に対する御意見はどうですか。
○政府委員(斎藤昇君) 只今までたびたび国家公安委員会を何か法務府に統轄をするとか、いろいろに伝えられておりましたが、あの当時考えておられました案の一つは、只今公安委員会を所轄していますのは総理大臣でありまするが、併し総理大臣みずからこの所轄のいろいろな仕事をいたしますることが事実上困難でありますので、担当大臣を事実上置いているわけです。その担当大臣をこれをいつも法務総裁とこう法律上きめるのがよろしいのか、或いはそのときの便宜に従つてどの国務大臣でもいいとしておくほうがよろしいかという問題なんであります。で、法務府に合せるというように伝えられておりまするのは、所轄を担当する国務大臣は、これは法務総裁ときめたほうがよろしいんじやないかということなのであります。従いまして、法務府の一部局に置くというような種類の問題ではないのであります。さような事柄を、その点についてどう思うかというお尋ねだといたしまするならば、私は治安関係では法務府と警察関係は極めて密接でありまするから、所轄の程度において法務総裁が常時担当されるということにつきましては私は相当便利な点が多いのじやないか、一面警察と検察を一手に握つて権力を集中するという感じを与えることは事実であります。併しながら公安委員会が現存し、これがその力を発揮いたしておりまする限りは、この公安委員会の運用によりまして権力集中の弊害というものは私は十分防止できるのではなかろうかと、かように考えておりまするので、これによる権力集中の弊というものは公安委員会をないものとして考えるのと、現存の公安委員会をそのままにして、そして又担当大臣を法務総裁ときめるということでは非常な違いがある。後者の場合、いわゆる公安委員会を現存せしめておくならば、これは権力集中と申しましても、その弊害は殆んど私は起らないであろうということが申上げられるというふうに考えております。
○伊藤修君 ではもう一点。今朝の新聞によると、いわゆる公安委員会はまあ無能と言わんばかり、総理大臣の意見だつたか、現在のままでは公安委員会は駄目なんだと、だからこれを法務総裁の下に置こうと、あなたの言うように公安委員会が嚴然として存在しておるから、仮に担当大臣を法務総裁にしても権力集中の弊には陷らないだろうという非常に力強いお言葉ですが、その頼るべき公安委員会が脆弱だから機構改革をしてやらなくちやいけないのだという、こういうような意見なんです。私はその公安委員会を諮問機関若しくは現在より力弱いものにするような傾向があるえじやないかと思うのです、公安委員会の存在が不必要だと言わんばかりの今朝の新聞発表でありますが、その点に対してどうですか。
○政府委員(斎藤昇君) 今朝の公安委員会云々の点は、私は新聞は事実を伝えていないと考えております。で、総理初め政府におきましても、公安委員会を不必要だ、或いはそのために治安が十分守れないという考えは只今は持つておられないと、かように確信をいたしております。
○委員長代理(岡部常君) もう時間も大分たちましたから、速記のほうも……。
○伊藤修君 又後日質問することにして、私は今日はこの程度で……。
○羽仁五郎君 又御出席を願うのも、御多忙のところ誠に恐縮だと思いますから、二、三極く簡單に……。
○委員長代理(岡部常君) じや、簡單に願います。
○羽仁五郎君 さつきの特審局長の御意見を伺つておる間に、それから国家地方警察本部長官のお話を伺つておるときに感じたのですが、詳しく申上げるまでもなく、共産党なら共産党関係に対する取締というものは、取締る立場にある人は一種の恐怖心を抱いておる場合のぼうが非常に危險だと思うのです。それで今も国警長官の御答弁ではそういう点がなくて確信を持つておられるという点で、私は非常に頼もしく意を強く感じたのですが、やはり取締をする立場にある人が一種の恐怖心を抱いておればどうしても自由を束縛する、或いは自由を制限するということを平気でやるようになつて来る。そうするとますますいわゆる階級闘争は甚だしくなり、あたかも法務府なり、或いは警察が階級闘争の相手方のような形になつてしまつてますます政情が厄介になるのじやないか。さつきから政府の御答弁を伺つていて心強く感じましたので、今後もそういうふうにやつて下さるように強く期待するのです。 それから次にいま一点伺つてもいいのじやないかと思いますのは、これは新聞で見たので、事実はどうかわかりませんが、現在軍事裁判が行われておるその軍事裁判を伺うわけじやないのですけれども、飯田さんその他に対する軍事裁判ですが、あの軍事裁判の検事の冒頭陳述というのですか何ですか、検事のおつしやうていることに、飯田さんその他のかたがたを逮捕したところが、こういうものがあつたというようなふうに述べておられますね。あれは国警のほうですか、自治警のほうですか。
○政府委員(斎藤昇君) あれを逮捕いたしましたのは自治警の警視庁でございます。
○羽仁五郎君 ああそうでございますか。それは又自治警のほうに伺うことにしますが、これは逮捕令状は、逮捕なり捜査なりについては、これは合法の手続が法に定められておりまするし、それが不法に逮捕、捜査が行われると、いうことになると、やはりそちらの、そういう不法な逮捕、捜査を受けるかたがたの側でも非合法的になつてしまうと、そうするとますます厄介になつて来るから、その点は十分に慎重にやつていられるということで確信して別に御答弁頂かないで結構です。それからもう一つ、これも特審局長の場合は別といたしまして、国家地方警察本部長官の場合には、共産党の政治上の活動の合法性ということについては何らの疑いを持つておられることはないだろうと思う。それから又平和のための運動、或いは植民地化に対する反対の運動というものもこれも勿論合法的なものだということについては少しも御質問申上げるまでもなく疑いがないことだと思います。それから先ほどの御答弁の中にありましたように、環境がそういうふうであるから、或いは何らかの関係があるからというようなお言葉をお使いでしたけれども、これは勿論嚴密な意味で警察等の言葉としてお用いになつておるものじやないというふうに了承いたします。それから若しそういうことをいたされますと、他の政党なり、或いは他の主張なり、つまりこつちは再軍備に反対だ、そうすると他の方面では再軍備しろという運動をしておる人が随分ある、それらに対する取締が不公平だという感じを抱かされると、そうするとやはりこれは一般に与える刺激となりますし、その結果起つて来るいろいろな好ましくない事件というものが生じ、それが又社会に不安を与えるというようなことになつて、誠に治安が維持できなくなるので、この点も十分に御注意になつておることだと思う。これも御答弁頂かなくてもよろしうございます。御同感だろうと思う。 それから最後に教育と警察の問題なんですけれども、これは勿論御答弁頂かなくてもあなた御自身としても警察と教育との社会において占める位置がいずれが高いというか、高いというと民主的でありませんが、民主主義建設の上に重要な意義を持つておるかということは御意見を伺うまでもないと思うのです。教育の尊嚴が冒涜されますと、これは警察の取締などでは到底防ぎ得ないものになつてしまう。教育の持つている意義が最も高いものであり、そして最も長い意義を持つものである。従つてこの警察と教育とが対等のような立場に立つておしまいになることは民主的警察のために非常に有害である。やはり教育によつて本当の民主主義的な建設がなされるのである。それが侵される、それを警察官が侵すというふうなことが本末顛倒して考えられることは勿論ないと思うのです。併し先ほどの伊藤委員の御質問とも関連して、この反植民地反対運動の学校に関する点については、これも国警のほうでないかも知れません、自治警のほうかわかりませんけれども、そういう点についても御所見がいろいろあるので、大体私の今申上げたような点、十分御留意になつていることと了承してよろしうございますか。
○政府委員(斎藤昇君) 私の伺つておりました限りにおきましては、同感だと申上げたいと思います。ただ誤解のないように願いたいと思いまするのは、勿論我々は教育の大事なこと、而も尊嚴、又学校における教育の面につきましては、できるだけ教育は学園で自治的にやつてもらう。そうして警察がそんなことに干与しないようにやつて頂きたいということは、これはもう我々の念願であります。又さように運営をしたいと思つております。併し学校の中で公然と法律に違反する行為が行われるような事態があつたならば、これは学園の自由と申しましても治外法権ではありませんから、我々の職責上責任は果さなければならないと、かように考えておるのであります。これは具体的な場合に、どういうように判断し、やつて行くかということにあると思います。原理といたしましてはさように考えております。
○羽仁五郎君 簡單に一言だけ……。ただその点で警察は、アカデミツクに言つて警察は建設的な仕事じやないのです。警察によつて何かを生産するとか、警察によつて国民をよくして行く、指導をして行くというふうなことは考えられない。教育の場合にはそれによつて国民がよくなる、或いは民主主義的になつて行くということが考えられるので、警察は飽くまでそのいわゆるプレゼント、眼前の、そして明らかな危險というものを防止されることが最高の使命とされておるわけであります。今おつしやいましたような点につきましても、学園の自治を尊重せられ、そしてその中で明瞭に法律に対する違反というものが行われているのではないかという疑いを持たれたような場合でも、それは必ずその教育のその場の責任者と十分な連絡をおとりになつて、いやしくもそこに衝突を生じないようになさるというふうに確信してよろしうございますね。
○政府委員(斎藤昇君) 成るべく学園の責任者と連絡を密にしながらやるのが私は本当の姿だと考えております。私は警察の仕事は勿論生産的な仕事とは考えません。例えば医者に誓えまするならば、身体を健康にして行くについてのいろいろ内科その他のありますが、卑近な例で恐縮でございますけれども、警察は大体吹き出物が出たときにこれを膏薬をつけるとか切開をする。その役割だと考えます。内科の仕事とは考えておりません。
○委員長代理(岡部常君) これを以て散会いたします。 午後一時五分散会