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13回国会参議院1952/05/30

法務・労働連合委員会 第1号

発言数
168
登壇者
12
会派数
5
開催日
1952/05/30

会議録

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○委員長代理(伊藤修君) それではこれより法務、労働連合委員会を開きま す。  破壊活動防止法案、公安調査庁設置 法案、公安審査委員会設置法案、以上 三案を議題に供します。昨日に引続き まして、三案についての質疑を継続い たします。先ず菊川孝夫君の質疑を許 可いたします。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 私は労働委員会に所属しておりますので、主として労働委員会において今審議いたしております労働関係調整法等の一部を改正する法律案、これと今回の破壊活動防止法案といろいろの面において関連する、或いは又労働組合といたしまして、この破壊活動防止法案についていろいろ疑問を持ち、且つ又非常に危険な法律であるという見解を表明いたしておりますので、私たちが労働委員といたしまして特にお尋ねいたしたい点を本日は法務総裁にお尋ねいたしたいと存じます。  先ず第一番に本法案を提出しなければならないという情勢の認識について、実は吉田内閣は余りにも神経過敏になつているのではないかと思うのでありますが、或いは又神経過敏を装つてこういう法律を出そうと、こういうふうにしておるようにも思われるのでありますが、特に戦前にABCDラインの包囲を理由にして軍備拡張を強行したように、共産主義の恐怖を宣伝してそうして再軍備の正当性を強調しようとしているのではないかと思われるのでありますが、特審局長はたびたび日共或いは共産系諸団体の暴力主義的な陰謀の暴露を談話で発表されておりまするが、そういう陰謀を探知するような能力を持つておる特審局が日共の幹部の未だに潜行している連中を捕え得ないというのに、それにもかかわらずこういう計画があるということを非常に探知することは上手であるが、各幹部のあの、野坂さんにいたしましても徳田さんにいたしましてもとにかく特徴のある連中でありまして、特にこういう連中を捕えぬのに陰謀の計画だけはうまく探知せられる。従つてそこに我々はまあ考えようによりましては、特にこの特審局あたりに情報を提供する連中が故意に情報をでつち上げてこれを提供したり売りつけたり、これは過去においてもあつたことで、軍部の情報部あたりへもいろいろな情報を持つて行つて売りつけた。私たちも労働組合運動をやつておりますときに、昨日代々木の本部においてこういう決定をしたというようなことが本当に確かに決定したような報告は毎日ほど入りました。その出るほうは不明でありますが一応尤もらしい情報がたびたび入つて来るわけであります。で、こういうようなことからいたしまして、その情報或いは談話等の信憑性についても一応疑問の念を持たざるを得ないのでありますが、かかる信憑性のない情報或いは情勢判断に基いて、仮に本法案が成立の暁に、これによつて制約を受けるものに極めて重大な影響を及ぼすのでありまして、この点は私は誠に危険なものがあるのじやないか、かように考えるのであります。  そこで当面の責任者である法務総裁から、ここで率直に本法案を提案せざるを得ない情勢について、具体的なことは事実を挙げて一つ御説明を願いたい。特に本日の新聞におきましても今日は五・三〇事件だということでいろいろな計画があるというので、警察では金綱を張つたような写真も出ておるようなわけであります。今日の夕刻からは非常に危い。一応ああいうように新聞が皆でかでかと出ますと、今晩六時過ぎから何か事が起るであろうというので不安の念が東京都内で起きて、今日はことによつたら何か起るかも知れんから夕方になつたら早う店でも閉めて外出をせんでおこうという工合で、東京都内で起るというようなので、ああいうのを発表せられるに当りましては私は慎重を期してもらいたいと思います。仮にあの情報が出てしまつたために事が起らなかつたりすると、戦術の転換をしたのだというようなことになると思いますが、そういう一連の関連から考えまして、私は具体的にこういうことがあるからして、これを防止しなければならん、こういう根拠を挙げて一つ、ただ単に漠然たる理由ではなしに、具体的なこういうことがあるというのを率直に示して、そうして国民が協力できるように一つお話願いたい。それを一つ要求するわけであります。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 先ず第一に情報の点であります。勿論我々治安の任に当つておる者といたしましては、あらゆる角度から又あらゆる方面から情報を得てそれを慎重に検討するのであります。情報すべてこれを真実なるものとは決して考えておりません。今菊川委員が仰せになるように、全くのでたらめと申しては過言でありますが根拠のなき或いは根拠の薄い情報をもたらすいわゆる情報屋というもののあることは聞いております。その情報は果して信用できるかどうかということは我々慎重にこれを検討するのであります。そうしてその確実性によつて一般情勢を判断する、これであります。今特審局のお話が出ましたが特審局におきましても十分それらの点に考慮いたしましていわゆる正確なる情報判断というものをする。その情報の判断によつて果して確実にどういう動きをしておるかということを又調査しなければならない。そこで現実の問題といたしましてはこれは前からしばしば資料を以て御説明申上げておる次第でございまして、先ず各所に起つておりまする事犯、これなんかの点でありますが、これはどういう動きでやつておるかということを一連の判断をいたしますると、相当なる危険性があることは事実であります。最近におきましては江戸川区における或る事件につきまして捜査を開始いたしました。相当な資料をここで得られるかと考えております。この間のメーデー事件の事案につきましても只今鋭意検察庁でその背後関係を取調べておる次第であります。我々も実際に検察庁における調べのついておる一部についてこれを実際に調査したのであります。その当時のあの群衆の一部が持つておりました、私あえてこれを武器と言いたいのでありますが、そういうものを見ますると十分に計画的にやつておる、極めて危険性のあるものであることは認められるのであります。その背後関係についても只今申上げましたように鋭意検討中であります。かたがた我々の得ました資料に基きますると相当危険性があることを認めるに十分なのであります。このまま放置いたしておきますると日本の治安というものは到底守ることができないと、こう考えております。今日の夕方における彼らの集会届出を見ましても時間的に見ても甚だ危険性がある。今私ははつきりした数字は申上げることはできませんが約二万になんなんとする者が各所において集会の届出をしております。これらも何を好んで夕方から夜にかけてやるか、これなんかもよほど検討しなければならん。かたがたこれを菊川委員の仰せになりましたように、放置いたしておきますと或いは都民に迷惑をかけるというような事態を引き起すものがあるかも知れない。これに対しては相当な準備をする必要があることは極めて明瞭であると私は考えております。従いまして我々治安の任に当る者といたしましては、どこまでも暴力的破壊活動については十分なる対処をして行かなければならない。而もその破壊活動が大きな組織を以つてこれを行われるにおいてはその危険性は極めて重大であります。今日民主平和国家を建設する途上においてさようなことがありますると我々としてはこれを放置することはできないのは当然であります。その意味におきまして極く兇悪なる犯罪を以て規定をしぼり上げましてさような兇悪なる犯罪行為をあえて犯そうとする団体を規制して行かなければならんという意味からこの法案を提出したゆえんであります。他意はないのであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 法務総裁の情勢判断もわかりましたが、私が申上げるのは大規模な大きな力で以てこういう計画をするものを取締らなければならん。そういう危険があるというお話でございますが、そういたしますと何といつてもこれは率直に申しまして原動力になつておると考えられるのは、あなたがたの御判断では地下にもぐつたところの共産党の幹部即ち徳田、野坂さん以下の各幹部が裏において糸を引いておるという情勢判断を一応されておるだろうと思います。何と申しましても。その人たちの行動を今日まで随分追い廻しておるようで、あそこで会合があつたからといつて新聞に載つていたところがどうもあとは尻切れとんぼになつてしまう。こういう重要人物の行方さえもこんな狭い日本でそこでよう捕捉し得ないような特審局の今の能力で得たところの情報たるや、誠に私は信憑性に乏しいのじやないかとこういうことを申上げるのであります。果してこれは見方によりまするとこれらの幹部諸君をわざと逃がしておいて、そうしてすでにもうあなたのほうでは十分わかつておりながら、その行動を察知するために或いは情報をつかむためにわざと虎を野に放つておいて、そうしてその虎の行方を常に毎日つかんでおつてやつておるという工合に高等政策的に出ておられるとするならばお又何をか言わんやでありますけれども、どうもそれだけの能力がありそうに思えないのであります。私らの友人でも今現にあなたがたのほうから手配されておる連中と省線電車の中で会つたということを話しておる連中もあるのであります。私は見たこともございませんけれどもそういう話を聞きまするし、そういたしまするとそういうふうにして未だにこういう特徴のある人の行方さえもわからん、だからして不安だというので一つの破壊活動防止法案のような法律をこしらえる基盤を作るためにわざと虎を野に放つて知らん顔をしておるのじやないかという見方もあると思いますが、一体率直に言いまして能力がないのか、今の特審局や検察当局ではこの人たちの行方をつかまえるべき能力がないのかどうか、或いは今の機構では不十分であるのか、そのためによう捕捉できないのかどうか、それともわざと逃がして自由な活動をさしてその行動を監視しておるのかどうか、又不安な情勢を国民に十分印象付けさせるために、つかまえられない、つかまえられないと言つて放つておいてあるものであるかどうか、この点について一つお尋ねしたい。どちらが本当か、どちらにも見ようによつては見られると思うのですが、法務総裁から率直に一つお答え願いたい。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 共産党八幹部の逮捕のことについてお話がございましたが、率直に申上げます。何もこれを意味あつて逮捕をゆるめておるわけではないのであります。併しながらこういう人たちの大部分、いわゆるどう申しましようか、身を隠すということは極めて巧妙であります。なかなかそればかりに専門にやつておつても実際の効果は挙げ得られないのであります。  話は余談になりますが、私の経験によつて、曾つて辛亥革命の際に有名な黄興が上海から神戸へ来たのであります。そうしてこれは国際関係もありますので、是非に逮捕しなければならんということでいろいろ手を尽したのでありまするが神戸で姿を隠したまま一向見当らない。遂に彼はいろいろのことをした挙句の果に又支那に帰つたという事実があります。あとで調べますると、これは当時相当有名な人の家にかくまわれておつたということでありまして手を尽してもこれを捕えることができなかつたということがあります。その他の事例も幾つもあります。  さようなことでありまして個人が身を隠してそれを逮捕するということはなかなか容易ではないのであります。今日御出席になつておりまする一松委員のごときもそういう事象についで十分私は御存じかと考えております。さような次第でありまして、この共産党八幹部の逮捕ということについて相当の手を下しておりましても成果は挙らん。これは甚だ申しわけない事柄でありまするが、私事実を事実として申上げるのでありまして、捜査の限界もありまするしなかなか昔のように手の届きかねることも私率直に申上げるまでもないのであります。無理をすることはできないのであります。さような次第でありまして実際において今までのところにおいては実を挙げ得られない。そうして今後のことはどうかといいますと私は確実なお答えはいたしかねますが、併し故意にこの人たちを或る種の目的を以てそのまま放置しているのではないかというお尋ねでありまするが、それについては私は然らずということを申上げたい。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 次にそれでは角度を変えまして、本法によつて規制しようとするがごとき団体は実在するといたしましても、これらの団体に属する人たちは極右であると極左であるとを問わず、まあ狂信的であるとか或いは情熱的である、又非常に熱狂的でありまして一種の革命的ヒロイズムというものに生きていると思うのであります。でこの点については法務総裁も過般どこかの会合の席上かで談話ですか発表されまして、警察官や特審局員は何といつても月給取であるが、共産党員は革命的な情熱家があるのでちよつと太刀打ができないというような意味の感懐を洩らしておつたように私ども承わります。でこれはその通りだと思うのであります、率直に申しまして。これはもう古今を通じまして通則でありまして明治維新の際にやはり薩長の浪人に対しても幕吏は手を焼いてとても太刀打ができなかつた。又近くは満州事変前後の満州浪人や何かに対してはその当時の官憲であつても手に負えないところがあつたということは我々の記憶に新たなところであります。それにはやはり時代の風潮としてこれらのものを支持するところの世論の背景があるのでありまして、先ほども法務総裁がお洩らしになつたように相当有力な人が蔭になつてかくまう、或いは情報を提供して今幕吏が来たからというので明治維新あたりは日本の芸者あたりが、当時の世の中としてはとにかく薩長の浪人が今日で言うとすれば破壊活動防止法の適用を受ける人物でありますが、この連中に対してあらゆる情報を提供したり、かくまつたりしてやつておつたのでありまして、従つて時代の風潮としてと申しますか、国民の世論というものはそういう動きを自分ではできないからして他人がやることに対して蔭から、時の権力に対して公然と反発はできないからしてその人たちを援助することによつて反発をしようという世論が強硬に現われているようなことでも法務総裁おわかりだろうと思う。従つてときの権力が腐敗堕落して、世論が、権力と申しますか、まあ権力という言葉を使つては障るとするならば、政府から離れて行くということになつたときに、政府に向つてとにかく抗争をして行こう、こういう勢力に対しては国民の或る程度の反発心が世論となつてこういう連中を支持するというふうに動いて来た場合には、もうどうしてもこれは手のつけようのないことになるだろう。従いましてこういう破壊活動を防止するのは何と申しましても世論を一つ味方にしなければならんと私は思うのであります。これはもう労働組合にしろその他の諸団体の世論がこういう破壊活動を許さない。そうして若しもそういうことをやつたら痛烈に世論の非難を浴びるということによつて防止して行くということが最も大事なことだと思うのであります。  ところが一方におきまして、この破壊活動防止法案に対しましては何回も公聴会を参議院におきましても、衆議院におきましても、或いは公式でない公聴会等もほうぼうで開かれております。公聴会といいますか意見の発表会等も開かれておりますが、これに対する世論の反撃というものは大分強い。特に治安維持法の復活であるという印象を与えるところの世論の反発が極めて強いということは法務総裁は率直にお認めにならなければならないと思うのであります。そういたしますと、何といつてもこれは暴力主義的な破壊活動を防止する最良の方法は、どうしても納得できるような政治が行われなければならんと思うのであります。この点につきましては私は非常に遺憾な点があると思う。こういつた破壊活動の計画が政府並びに特審局の情報として発表されている同じ新聞の紙上におきまして、高級官僚の汚職事件がこれと同じような数量より以上の数量で以て連日新聞で発表されております。でそれらに対する国民の批判というものは、あれは現われたのは極く氷山の一角であつて、その現われないものはこれ以上数十倍、数百倍にでも及んでいるだろう。一方におきましては高い税金を取立てられる、でこれに対する不満、そうした取立てられた、血の出るような思いをして納めた税金がこうした高級の官僚によつて大分大きな部分が吸い取られるというようなことに対する不満、従つて今の政治のやり方に対する不満というところから、これに対してまあ反発する者には一つやらせよう、自分たちはやるわけには行かないから。こういう世論があるとするならば、これはいくら法律をこしらえても私は極めて困難だと思うのであります。従いましてこの点に関しまして、先ず破壊活動防止法案というような法律で以て規制するよりも、いい政治を行うようにすることがこの破壊活動を防止する最良の方法であろう、又そういうふうに向わなければならん。私はかように考えるのでありますが、法務総裁はどうも法律さえ作られればこれはやり得るように考えておられるようだがむしろこれは逆効果じやないか。かように考えるのですが、この点について一つ法務総裁、今日の新聞を御覧になつても、一方においては公務員の高級官僚の汚職事件がある、一方においては破壊活動の情報が載つているというようなことでは、将来いくら法律をこしらえても私は困難だと思うのですが、この点についてむしろ総理大臣にお尋ねしたいのですが、法務総裁としての一つ御見解を承わりたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 私はこう考えております。昔の哲人は、民をして信あらしむ、誠に名言であると思う。政治の要諦は民をして信ぜしめることであります。即ち政府は民心を十分に把握して行かなければならないものと考えております。  そこで只今の汚職事件の問題でありますがこれは誠に遺憾と申すよりほかにありません。高級の官吏がそういうようなことをやつては民心を把握できないことは当然であります。従いまして政府におきましてもかような汚職事件については徹底的にこれを検挙したい。我々検察庁を督励いたしましてかような汚職事件についての将来の戒め、或いは撃滅ということを目標にいたしまして捜査をしているものであります。併しながらいずれの社会におきましてもそういうような行為に出る者はあるわけであります。古今の歴史を見ましてもこれは大なり小なりあることは事実であります。ただそれがひどくなりますると国民は全く政府を信頼することをせないので、何とかこれに対して対処しなければならないという考えを持つのは当然であります。我々といたしましても申上げました通り十分これらの点について検察庁を督励いたしまして対処しているのであります。  併しながらひるがえつてこの法案を提出いたしました理由は、国家の基本秩序を破壊しようとするような、而も兇悪なる暴力を以て破壊するような団体を規制し、又その行為を刑罰によつて補正しようとする考えであります。先日来からしばしば私が申上げましたように、この法案一つで以て治安を確保しようというような考えは毛頭ありません。今吉川委員の仰せになりましたように、一面においてあらゆる施策を以て国民の心を把握する、これは勿論必要なことであります。それと同時に現実のかような破壊活動に対しては是非とも政府としては対処して行かなければならんと思います。殊に暴力行為ということはこの民主国家において最もよくない行為であります。我々は民主平和国家を建設せんとするにあたりましては、もとよりいろいろな政府に対する非難攻撃も結構であります。併しそれはどこまでも民主的に行われなければならない。しばしば繰返して申しましたように言論は言論、政策には政策という面にもつと民主的にこれを行わしめることによつて、いやしくも暴力によつて自己の目的なり意思なりを遂行するということになりますると、これは民主政治の破壊であります。この法案の狙いはどこまでも民主的に事を取計らわなければならん。いやしくも兇悪なる暴力を以て国家の基本秩序を破壊するというような団体、これは規制して行かなければならんという観点から提案したわけでありまして、この法案のみを以ちまして日本の治安を維持しようとするというようには考えておりません。あらゆる施策と相待つてこの一環をなすので私はそう考えている次第であります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 もう一つ大事なことは、この法案によつて規制しようとする狙いは、これはもう共産党の国内における暴力主義的破壊活動に対する対策であるということは読んだだけでも、又政府の御説明を聞いただけでもすぐ誰でもこれは第一の狙いはここであるということはわかるのでありますが、それは単に国内的の問題だけではなく大きな国際的な渦の日本が丁度接触点になつていると思うのであります。一方政府のほうでは外交方針といたしまして、大方針が飽くまでアメリカと協調してアメリカに日本民族の運命を託してそうしてやつて行こうという外交方針でありまして、例えば台湾政権の承認にいたしましても或いは両条約の締結にいたしましても、これはもう一連の政府の外交方針がアメリカに日本の民族の運命を託そうとしている、又これは逆にソビエト側から見るならば日本がアメリカの反共戦線の人的資源に動員されることを承諾したものであるとして、これは猜疑の目を以て日本を眺めるのは当然のことだと思うのでありますが、曾て満蒙の国境におきまして、丁度ソビエトがドイツ軍と戦つている最中に、日本の関東軍があの満蒙国境におきまして演習という名前の下に兵隊を盛んに動かした、だからして極東軍をそのまま対独戦に投入することができなかつた、不可侵条約を結んでおきながら関東軍が演習だ演習だといつて牽制作戦をやつた、これを一つ大きな口実として対日戦にソビエトは参加したのだということを言われておりますが、それは良し悪しは別といたしましても今日のような外交方針をとる以上、当然中共にいたしましてもソビエトにいたしましても日本がアメリカの前衛部隊としていつかはやつて来るかも知れないという、向う側からするならば非常に猜疑心を持つことになる。だからしてそういうふうに来ることを妨害しようとして、あらゆる手段を日本共産党を通じましてそうして日本国内において講じさせようとすることを、これは当然あり得ることだと我々は覚悟しなければならんと思うのであります。そのぶつかり合いが共産主義者にとつては多少の流血や破壊も革命のためには正当化されておるのでありますから、こういう行為も事と次第によつてはやるかも知れないというのでございます。従いまして今の政府の外交方針がそのまま堅持される限りにおきましてはいよいよ激化して来るのじやないか。即ち日本国内における冷い戦争が激化するに伴いまして、こうした政府のほうでは破壊活動防止法案その他の取締法をこしらえればこしらえるほどだんだんと国内における活動が激化し、又半面これを解散さしたりいろいろ規制いたしまたならば、彼らはすべて地下へ潜りましてそうしていよいよ陰性になつて来るのではないかということを最も恐れるものであります。と申しますのは先ほども申しましたようにこれらの運動に携わる人は極めて狂信的熱狂的でありますからして少々の解散ぐらいはくそくらえでありますからみな地下に潜つてやろうということになりまして、この外交政策が推し進められる限りにおいてはいよいよこれは激化して来るのではないが。従つてこの間にこの法案が成立いたしましてそうしていろいろ解散その他の規則手続がとられましたといたしましても、例えば民主々義擁護同盟というものが解散を命ぜられると今度はすぐ表面は民主々義護擁同盟というふうに名前を変え又責任者を変えても、実際問題として実質的には何も変つていない。規制を受けた連中が責任者にならずにちよつと名前だけを変えて翌日は設立届を出してやつて来る。こういう場合に第五条と第八条でございますか脱法行為の禁止というのがございますが、この脱法行為の禁止ということは、例えば名前を変えてしまつて、そうして今までの責任者であつた連中はみんな表面的には知らん顔をしておる、今までの責任者でなかつた連中を持つて来て名前を変えてしまつた場合にこの脱法行為の禁止というのが適用になるのか、これはどの範囲に脱法行為の禁止ということを考えておるのか、この点について一つお伺いしたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 菊川委員からいろいろお話になりましたそれは一つの世界観にも通ずるものであろうと思います。ここでむずかしいことは私自分の意見として申上げることははばかりますが、結局はソビエトの世界観と世界政策、アメリカの世界観と世界政策、この問題であろうかと考えております。併しこの間に介在して日本はどう処すべきかということは我々一同は真剣に考えなければならん問題だろうと思います。少くとも今日本のとつておる態度はいわゆる自由国家群に投じましてそうして民主平和国を建設しよう、こう考えておるのであります。何もアメリカに対して日本はその運命を託しておるわけではありません。日本は日本独自の見解をもちましてこの自由国家群に投じておるのであります。而して平和民主国家を建設しようと、こういうことを考えておるのであります。ただこの共産主義者はいわゆるソビエトの世界政策を遵奉いたしましてこの世界政策の実現の一端を担つておるものと我々は考えております。要するに一種の独裁政治であります。申すまでもなくソビエトの現在のやり方は極めて僅かな政治局員によつてすべてを支配しておるのであります。私からそういうことを申上げて恐縮でありますがソビエトには労働組合もありません、何らの政党もありません、ただ共産党一色であります。そうして僅かな政治局員によつて政策を遂行して行く、これがソビエトのあり方であります。それのあり方を拡大してこれを世界政策に持つて行こうとしておるようであります。これは果して我我はさような政策の一端を担つてその治下に身を投ずるかどうか、これはよほど考えなければいかん、我々はどこまでも自由を愛するのであります。先日来も申上げましたように私は、パンよりも自由を欲する、自由なき国民は真に悲惨なるものであろうと考えております。で、我々は新憲法下において平和的民主国家を建設しようという限りはどこまでもこの建前を維持して行かなくちやならんのであります。従いましてこの日本の平和を暴力によつて乱そうとする団体については、どこまでもこれに対処する責任と義務があります。この法案の狙いも実にそこにあるのであります。最後に脱法行為の点につきましては政府委員から答弁させます。

関之法務府特別審査局次長

○政府委員(関之君) お尋ねの第五条と第八条の脱法行為の禁止の実例につきまして私どもの考えておりまするところを御説明いたしたいと思うのであります。この二つの条文は共に第四条及び第七条の脱法行為を禁止したものでありまして、これはすべてかような禁止を受けたのちにおきましてその禁止を免れる目的を以て事実上禁止された行為、違法行為をする、その行為をこの規定によつて禁止いたすわけであります。ところでその全部の設例をここで想定いたしますことはなかなか困難なことでありますので、一、二各事項につきまして私どもが想定したことを御説明いたしたいと思います。  先ず第四条第一項第一号でありまするが、これは条文といたしましては、当該団体の暴力主義的破壊活動が集団の示威運動であるとか、或いは集団の行進、又は公開の集会というようなもので先に行われたときに、それぞれにつきまして継続又は反復してそれを行う虞れがある場合にそれらの行為を禁止することに相成つておるのであります。そこでどういう場合に然らばこれらの脱法行為が相成るかということになるのでありますが、これは例えて申上げますならば、さような活動を禁止せられているここに団体があるといたしまして、その団体が団体の役職員又は構成員が自分のところではそれを全部禁止されているから何かこれに代る方法はないかというような意図の下に、他の或る団体の或る集会などを利用いたしまして、全部の多数個人のものが多数個人の資格で参加し、示威行進その他によりましておのずから当該団体が当該禁止行為を行なつたと同じ効果をそこに挙げる全く換骨奪胎で同じ効果を挙げる、かような場合は第一号の設例になるのではなかろうかと考えております。  第二号におきましては機関誌紙の場合でありますが、これはやはり機関誌紙が禁止されておりまするのにそれを免れる目的で以て、或る団体の機関誌紙の編集の実権を自分が掌握いたしまして、そうして前と同じような傾向、目的を持つた機関誌紙をそこに発行するというようなことが第二号の設例になるのではないかと思うのであります。  又第八条の脱法行為でありますが、これは要するに第二の見せかけの脱法的な団体、内容と目的と構成その他が非常に類似する全く見せかけの第二の団体を作るというようなことが第八条の設例になるかと思うのであります。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○委員長代理(伊藤修君) 菊川君にお諮りいたしますが、今衆議院の地方行政委員会において集団示威の取締法案の提案理由を説明しなきやならんので法務総裁は十分間ほど時間を頂きたいというので……。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 その間事務当局に伺いますから……。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○委員長代理(伊藤修君) よろしうございます。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それでは事務的に一つお尋ねしたいと思いますが、第二条におきまして「日本国憲法の保障する国民の自由と権利を、不当に制限するようなことがあつてはならない」とか、或いは労働組合の正当な活動を制限し、これに介入することがあつてはならない、こういう規定がありますが、これはほかの委員のかたがお尋ねになつたかも知れないがまだ議事録も頂いておりませんので重ねてお尋ねしたいと思いますが、これは不当に制限したり又は不当な介入をされたと判断した場合に、これに対して救済の方法というものはないわけであります。我々は不当に介入された、不当に制限を受けたと解した場合に、一体裁判所にこれは提起して裁判問題として争つて対抗する以外には方法がないのでございますか。ほかにこの法律でもつと敏速にしなければ、解散命令を受けてしまつてからこれは裁判にかかつて一年も半年も争われるというのではこれはとても実質上第二条は何ら意味をなさないことになると思うのです。これは我々法律的な何はわかりませんから具体的にお尋ねするのだが、労働組合あたりは介入されたということを自分が解釈して第二条をたてにとつて争いをした場合に、どういうふうにしてこれはやればいいのでございますか。それを一番敏捷な早くやり得る方法を一つお教え願いたいと思いますが、具体的な例といたしまして例えば大会を開くとか中央委員会を開いている場合に、これを調査に名をかりて調査官が出て来て、それでどうもこれは不当な干渉だと、あまりうるさく尋ねられると別に破壊活動を論議するわけでも何でもない、賃金問題を論議したり或いは国際情勢を論議したりしているのに、一々メモをとられたり、そうして秘密会を開くのだから出てもらおうとしてもなかなかその調査官が証明書を提示してこれに応じないというようなことがあつた場合に、それは不当な介入だと私は思われるわけでありますが、或いはこの機関誌の発行等にいたしましてもこういうことはあり得ると思うのでありますが、そういう場合に一体どうしてこれに対抗するのだ、対抗する一番近道、早くそれが解決される方法を特に一つ今日は法務府の事務当局の大家がおいでになつておりますのでお教え願いたいと思います。

佐藤達夫法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) それじや私から便宜お答え申上げます。  御承知のように刑法の第百九十三条でございますが公務員の職権濫用の罪というのが規定してございます。これは「公務員其職権ヲ濫用シ人ヲシテ義務ナキ事ヲ行バシメ」云々ということでございまして、これに該当する、おのずからこの第二条に違反します場合はこれに該当する行為であるということになるわけであります。その場合におきましては、その当該関係のかたからその処罰を求めてこの告訴或いは告発という手続をおとりになりますれば、そのほうの公務員に対する処罰の手続はそのまま独自に進行するわけであります。  それからなお申すまでもございませんが、公務員法等におきまして、公務員の懲戒の規定がございますからしてその懲戒の発動をお求めになるという途も勿論あるわけであります。まあとりあえずの方法としてはそういうような二つの方法があるのであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そういたしますと、第四条によつて公安審査委員会におきまして決定をされまして、六ヵ月問停止或いは六カ月間の禁止をされるというような処分を受けてしまつた、ところがこれは誤解であつてそういうことが事実計画も何もしておらない、又調査官の調査したような資料とは全く反対の場合もこれはあり得ると思うのでありますが、これは裁判でさえも第一審において有罪になつたものが第二審において無罪になることもいくらもあるのでありますからして、これはもうこういう微妙な運動になつて参りますと、これは見解というものはそれぞれ違うのでありますからもう必ず対立することになると私は思います。その場合にもう六カ月間停止をされてしまつてそういう処分を受けてしまつたというものは社会的信用等についても非常な打撃だと思います。そういうことになつたら、あれは危険だ、今はそうじやなくてもちよつと批判的、ときの政府に対して批判的な者に対してはすぐに容共だ何だといつて赤紙をはつてしま、これは非常な、赤紙をはつて葬り去ろうというような動きは私は極めて危険だと思いますが、一体赤紙をはられて六カ月の処分を食つてしまつてから今後裁判に訴えるということになつても、第一審において仮に原告が勝訴をいたしましたとしてもこれは必ず対抗的に控訴をするだろう、又は最高裁判所に行くということになると一年とか二年かかつてしまうと思うのであります。折角の第二条が一年も二年もかかつてしまうということになりますと、而も経費の面におきまして、これは政府のほうではいくらでも国家予算でもつてこれに対抗されましようけれども、一方団体におきましてはそんなことで長い間争つている。これはもう訴訟費用だけでも随分いるのです。あとで仮に最終審におきまして勝訴した場合にはそれらの費用一切は被告がもつことになると思うのですが、まあよくわかりませんけれども、そういうことになるからまあいいとしてもその間の経費というものはこれはとても対抗できるものじやないのであります。これは労働組合といたしましても我々は組合運動に携つた当時におきましてもよく法廷へ持出して争いましたけれども費用倒れがしちまう。それからもう時間が長くかかりましてとても対抗できないのでありますが、そこでまあここの法律では一応この決定に対するものにつきましてはほかのものをなげうつても先にやれというような条文があるように読んで見ましたのですが、これがあるといたしますると普通の判決より一体どのくらい早くこれが解決されますか。この点について一つお伺いしたい。最終審まで行くのにどのくらいのスピードで以て最終の決定がされることになりますか、この点一つ見通しをお教え願いたいと思います。

関之法務府特別審査局次長

○政府委員(関之君) お尋ねの点でありますが、これは第二十四条の第三項にこの規制処分に関する不服訴えについては「裁判所は、他の訴訟の順序にかかわらず、すみやかに審理を開始し、事件を受理した日から百日以内にその裁判をするようにつとめなければならない。」という事項が一つ入つているわけであります。そこでこれはこの事件を受理した裁判所は一審、二審、三審のそれについてでありまするから、これが百日以内に行われますれば合計三百日、最終審で最高裁判所において決定され、確定されるまでにはこの形で行けば三百日はかかることに相成るわけであります。三百日以内において行われることに相成るかと思うのであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そうすると禁止なりいろいろの諸決定をされましてから大体その間においてまあ以内にせなきやならんというのだが、遅れるのが多いのでありまして、なかなかその通りには、仮に法律通りに実施されても一年間におけるその者の受けた損害に対しましては当然これは損害賠償の訴えができるものであるかどうか、この点についてどうも法律を見ましてもそういうところがないと思うのですが、一般法において当然国家を相手に損害賠償の訴えができるかどうか。この点を一つお伺いしたい。

関之法務府特別審査局次長

○政府委員(関之君) その点につきましてはこの法案に規定がございませんが、一般の原則によりまして国家賠償法というのがあるわけであります。それで国家賠償法の条件に該当する場合、即ち故意又は過失によつて権利を侵害されたというような、そういうような条件がこれらの手続の中に認められまするならばその方法によりまして国家に対して損害賠償の請求をなすことができるということに相成つておるのであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そうすると第二条の不当或いは濫用というようなことは最終的には裁判所で決定されて、これには先ず大体一年ぐらいの期間で以て不当であつたかどうかという判定は下されるであろう。だからこれに対して不当であつたという判決が下された場合には損害賠償の訴えができるということになりますと、これは民事訴訟になることだと思うのでありますが、そうなりますればこれは又一年や二年これによつて要すると思うのでありますが、殊にこれに対しては別に早くやれというような規定はないのでございますか。これに二十四条を援用されてこれに対して或る程度早くやる裁判所には義務がありますか。この点についてお伺いいたします。

関之法務府特別審査局次長

○政府委員(関之君) (第二十四条の百日以内に裁判をするようにつとめなければならないという規定はこの規制処分に対する訴えだけについてでありまして、国家賠償法に基く訴訟については特段にそういうような規定はいたさないようになつております。併し裁判所におきましてもこれらの趣旨に則つて頂いてできるだけ迅速にやつて頂けるかと思うのでございます。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そういう損害賠償も、これは早くしない限りにおきましては、そういう非常なこれは社会的な信用ということにつきまして、まあ今のような世の中におきまして赤紙をはられたという打撃たるや誠にこれは深刻なものがあると思うのです、その損害賠償はこれから又一審、二審、三審とこうやられてしまつておつたのでは。その損害賠償なんかはもつと早くやれるような、若し仮に原告に有利な判決が下つたとするならば一つ損害賠償の民事訴訟の特例等も設けられまして、これを早く損害賠償をするというような方法を講じられる必要があると思うのでありますが、それがこの法律の第二条によつての保護ということはこれを取締をするほうの側からすると大したことはないと思いますが、やられるほうは、やられてしまつた、そしてこれは不当であると解釈し而も裁判所が有利な判決を下しても、今度損害賠償請求を起したつてなかなかというようなことになりますと、このような団体は、しまいまで続いて損害賠償まで訴えるということになると、一年かかつてその後まだこれは損害賠償になりますと、これは二年や三年になつてしまうだろうと思うのでありますが、そのうちに自然にそこまで続かんということになつてこれは泣寝入りにならざるを得ないので、表面的には成るほど非常に保護されるようであるかも知れないけれども実際には取締を受ける側には極めて不利だと、こういうふうに考えるのですが、そういう条項を入れる御意思はございませんですか。その点について又特別な立法をされるような御意思があるかないか、この点について一つお尋ねしたいと思います。又それは法律上そんなことをやつたら困るとか、一般の通例、原則をはずしてそういう特別な救済規定、救済を設けるということは現行法の立場からいつてはできないものであるかどうか。やる意思があるかどうかと、できないものであるかどうか、この二つを御回答を願います。

佐藤達夫法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 御指摘のような問題は、実は今お言葉にもありましたように一般の行政処分に通じての問題でありまして、仮に被害を受けた立場の側から御覧になれば、この法律の場合たると他の法律の場合たると同じことであろうと思います。従いましてそれに通じての原則はやはり国家賠償法自体の問題であろうと思いますが、それについてはもとより今御指摘のような点について研究を要するところは勿論あると存じますけれども、只今政府としてはそこまでの立入つた研究はいたしておりません。ただこの何よりも前提として申上げたいのは、少くともこの法案でいたしまするところの規制の処分ということは、事極めて今御懸念のありますような重大な事柄でありますからして、この法律独自の建前といたしまして、御承知のこの「第三章破壊的団体の規制の手続」という手続の条文をたくさん並べまして、この行政的の処置をやる事前の手続を極めて慎重にやりまして、当事者らの弁明を十分聞かれますし、或いは又立会人を選ばれるというようなことで、その行政処分自体において十分関係人或いは客観的な第三者の納得を得られるような処置ができるようにということに実は重点を置いておるのであります。理想といたしましては裁判所を煩わさずともこの行政手続を慎重にやることによつて大部分の御納得を得られるようにという方面に実は努力をしておるわけでございます。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 成るほどその努力をしておられると言いますが、併し私が申上げましたが、そんな努力をされましても裁判にかけまして最高裁判所まで行きまして、その公安審査委員会のやつた努力が実は間違つたという判決が下つた、これもあり得ることでありますから絶対ないと私は言えないと思う。そのときに救済の賠償になつたら、よし来い賠償を訴えて来るならこちらは国家の費用で対抗してやるのだ、どこまででも来いというふうにやられたら、これはたまつたものじやないと私は思う。これは意識的に公安審査委員会が仮にそういう決定をしたことは、極力政府はやはりこれを守ろうとすることはもう想像できます。そんなものをこちらはまけてやろうということは考えつこない、とことんまで争う、最高裁まで損害賠償について争うということになります。そうするとこれはどう見ても、私のしろうと目の観測でありますけれども三年ぐらいまではやすやす引張られてしまうだろうと私は思う。そうなつた場合にはこの意義はなくなつてしまうと思うのであります。而もこれは一般のことを言われますけれども一般の問題と違つたこれだけ社会のいろいろ問題もある問題なのであります。従つてこれに対する又百日というような特別の国家賠償法の特例を考えられる必要があると私は思うのだ。ところが今のところはないのですか。

佐藤達夫法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 今のお言葉でわかつて参りましたが、実はこの国家賠償法による賠償請求の訴訟は、この処分の取消の訴訟が最高裁まで行つてそのあとでスタートするのではこれはもうお話の通り相当呑気なことになるかと思いますけれども、私どもの考えておりますのは、これは取消の訴訟と国家賠償を求めるという訴訟は同時にスタートすることは当然できることと考えております。その今の御心配はないわけであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 いやそういう場合には、それなら地方裁判所の判決とそれから高等裁判所の判決と食い違つた場合には、一体その損害賠償の訴えは意義をなさぬことになるのじやないですか。その点いいですか。折角努力してみたところで、地方裁判所の第一審が下つた、それも東京の地裁で下したやつが有利な判決で喜んでおると高裁へ行つてころつとやられるのが、東京の場合は極端でありますが、必ず地裁において判決が下つたからこれで勇気を起して対抗して行くと高裁でころつとやられる。これは私は国鉄の労働組合の問題ではございません、ほかの問題ですけれども、今の例はやや東京はそういう傾向が強いように思います。従つて国家賠償の訴えを起しておいたつて裁判の途中において高等裁判所でひつくり返ざれることはあると思いますが、この点はどうですか。

佐藤達夫法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 私はその訴訟の性質からいつて処分の取消について最高裁できまらぬ先に賠償の判決が確定するということはないと思いますが、その点の前後の関係は多少ございましようけれども、先ほど申しましたような工合に並行して進めるということだけは申上げておきます。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 その点については次に譲ることにいたしまして、今度は第三条の一項一号イの刑法第七十九条の内乱等の幇助の罪でありますが、この点につきましては金子を何とか提供するというようなことを書いてございましたのですけれども、従つてたまたま資金カンパというやつが盛んにいま行われておりますけれども、この資金カンパに応ずるような場合に而もその団体が内乱の予備、陰謀というようなことで処分を受けた場合には、当然一号でひつかかることになるのですが、資金カンパをしておつて資金カンパに名前を載せられておるというようなことがあつた場合には、この幇助等で処分を受けることになるのでありますか。この点について。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 現在又従来行われております資金カンパはいろいろ大衆行動を行うために要する資金のカンパでありまして、内乱を行うための資金カンパは殆んどあり得ない状況であります。万が一にも将来さような団体が内乱を起すためにその軍資金を集める、そういう情を知つて資金を提供するというような場合におきましては、この刑法の解釈上当然内乱罪の幇助に相成るかと考えます。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そうすると情を知らない場合に、例えば内乱をやる場合に資金カンパをするというようなことはございません。まあ映画等におきましてはあるかも知れないけれども、実際においてこれは内乱をやるのだ、これに資金カンパせいというようなことはございませんが、これは民主主義を守るのだ、戦争反対の運動をやるのであれば、誠に平和主義の日本においては当然のことであるからというので資金カンパをした、たまたま資金カンパを行なつた団体が調査をされて、そうして証拠物件を押収されたところに菊川孝夫が百円資金カンパをやつたという場合にはひつかかつて来るのじやないかと思います。その点はどうなんですか。情を向うは詐称して資金カンパを求めてひつかかつた場合にはこんなものは当然問題にならん、こういうふうに解釈してよろしうございますか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 御質問の通りであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは、ロの項についてでありますけれども、「文書若しくは図画を印刷し、頒布し、公然掲示し、」云々の項に「所持する」とあるわけでございますが、さてこれも決して右翼たると左翼たるとを問わず、暴力主義的破壊活動をやろうとしたつて、まさか電車転覆をやるのだとか或いは焼打をやるのだというようなことは表面に出しておらないと思うのであります。表面に出す文書というものは、これはすべて民主主義を守るものであるとか或いは平和の闘いを進めるのであるというような文書になつておると思うのでありますが、たまたまそれを発行したところがそれがそういうような文書であるからこんなことなら大丈夫だというようなことで所持するなり頒布する場合もあり得ると思うのです。ところがその印刷物の勧進元のほうの団体が表面的にはそういうようなスローガンを掲げて印刷しておるけれども、この公安審査委員会等におきまして、これは明らかに第三条の二に該当するような行為を思想宣伝をしようとする意図で以てこの図書や図画等を印刷したのであるという決定を受けたということになりますと、本人のほうは全然そんなことは知らない、なかなか裏までも読むことはできませんからして、そういうものを持つておつても問題にならないと思いますが。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 御質問の通りであります。この第三条の第一項一のハでありますが、これはさような文書を印刷したり、頒布したり、或いは公然掲示したりする人が、それ自身日本において実際に革命が行われたり、内乱が行われたり、或いは行うことを容易ならしめる目的を持たなければならない。又その文書自体が日本において現実に内乱が行われることの正しいことや必要なことが主張された文書でなければなりません。従いまして御質問のような平和を守る運動というようなことを記載した文書は絶対にこの条項には触れないのであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そうすると具体的に申しましてこの各項に触れるのは、明らかに汽車を転覆するのだとか、人を殺すのだ、強盗するのだというようなことをはつきり書いていない以上はこれには引つかからないものである、こういうように解釈してよろしうございますか。それと明示してない限りは安全だ、こういうように解釈してよろしうございますか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。この第三条第一項一のハでありますが、これは内乱が実際日本において行われること、行うことの正しいこと、又は必要なことを主張した文書でございましてそれだけに限られております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 そうすると、そうしたことを暗示する、あなたのほうでは暗示する、あなたと言つては語弊があるかも知れませんが、特審局のほうで正当性を主張することを暗示するような文書だと解釈する、すなおに読んだ場合は暗示があるとは思わない、こういう対立があつた場合には一体どうなりますか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) さような文書なりや否やという点につきましては社会通念に照しまして合理的に判断されなければなりません。何も書いてないのに裏には裏があつて暗示があるのだというような主観的な判断は絶対に許されないものと考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 この文書、図画等が内乱の正当性、必要性を主張したかどうかということは極めてデリケートな問題でありまして、これは素人にはそう容易に判別し得ないような巧妙に表現するでしよう。今の情勢においてそんな大胆率直に露骨に表現するような文書というものは少いのでありまして、極めて巧妙に表現するでしよう。その一例をとつて申上げますと、球根栽培法というような誠にうまい、私はこのくらい上手な文書名というものはないと感心しておるのでありますが、如何にも球根栽培法というような文書こそはまさに典型的の表現の方法である。これはどうしても引つかかるかも知れない。これはうつかりすると球根栽培法であるからうちへ帰つて球根を作ろうと思つて持つておるだろう、なかなか内容まで細かく読んでみる者は少い。これはあなたがた特審局からすると恐るべき文書ということになるわけでありますが、こういうことはどうもそういう事情を知らずにやつたような場合には問題にならんということに解釈してよろしうございますか。明らかに内乱というふうにやつておれば別でありますが、球根栽培法では百姓連中が球根を栽培する方法を書いてあるのだということで持つかも知れないが、一々細かいことまで読んでみずそういう事情を知らないような人に配られた場合に、又配ることもあり得ると思うのでありますが、これは実際問題として誰がこしらえたかわかりませんが実にうまいと思うのでありますが大衆は確かに引つかかりやすい問題だと思う。こういうときにはどういうように解釈してよろしうございますか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) さような場合におきましては所持者には絶対に触れないものと考えております。実は先般お手許に配付いたしました資料の中に、内乱の実現の必要性又は正当性を主張した文書としての実例も、客観的な文書の資料に基きまして写しを作成して御審議の御参考に供したのでございますが、一例を引用さして頂きますと、この「内外評論」という秘密出版物は、昨年の十一月中旬に全国的に発刊停止をいたしました日本共産党の機関紙アカハタの同類誌といたしまして、この非合法出版物を全国的に発刊停止をいたしまして、又検察庁、国警、自警等におきましても、多数の文書を所持した者につきましては、政令三百二十五号違反で裁判所の令状を得まして、捜索、押収或いは逮捕をいたしたのでありますが、その中にはちよつと引例をさして頂きますと、かような言葉が出ております。「敵が権力、すなわち軍隊、警察、裁判所、刑務所、反動団体等を動員して、人民に狂暴な弾圧をくわえている時、人民だけが手をこまぬいて、右の頬を出せということは、結局、祖国の独立も基本的人権も放棄せよというにほかならない。では、どうすればよいか?敵の権力に対しては、人民も組織された実力をもつて対抗し、たたかう以外に、道はありえない。」「国会とは帝国主義の独裁を「民主主義」の偽装によつて、人民の目をゴマ化すための金のかかつた道具にすぎない。従つて、このような国会を通じて、人民が政権を握りうるという主張は空想であるか、或いはもつとも悪質有害な支配階級擁護の弁であることは明白である。同様なことは、国会外の各種の既存の権力機構(官庁・警察・軍隊等)を利用して、平和裡に敵の支配を駆逐し人民の政権を打ちたてうるという主張についても、いうことができる。そこで、われわれ共産主義者は主張する——これら一切の権力機構は、ただ外部から破壊することによつてのみ、始めて人民を政権につかせうるのだと。」さような、もう少し激烈な文章もここにどつさりあるのでありますがかようなことを書きまして、これを数万部印刷して全国に配布しておるというような実情でございます。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 それはもう共産主義者は、これはもう議会主義というものは終局的に認めていないのでありまして、これは世界共産党の大会においてはつきりと宣言しておるのだからそのくらいのことは言うだろうと思いますが、それがやはり露骨に書いてあるから高級向きだと思います。もつと大衆向きなやつも、あなたのほうでモデル・ケースとしてそういうのを発表された場合に、これに対抗するようにもつと平易にしてしつぽをつかまれないようにして、内乱等に参加させるような方向を今後とり得ることもあり得るだろう、これは一つの戦術としていろいろの戦術をとるのは又当然だ。これらのためにうつかりするとそういう書類をもらつたりなんかして気がつかずにおつていろいろこれに捲き込まれる虞れがあると思うのでありますが、今特審局長が申されましたような文章でなかつた、まあそのぐらいの程度以下のものであつたというような場合にはこれにはひつかからんと、こういうふうに了解してよろしうございますか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。この内乱を実現するために広汎な宣伝、扇動を組織的計画的に行ういろいろな方法があり、直接たるものもあり間接たるものもあると思うのであります。併しながらここに規定いたしました行為は最もそのうちで典型的な悪質、危険なもののみを厳格に規定いたしました。従いましてこの第三条の第一項第一号に該当しないものは絶対にこれに牴触する慮れはない、又この第三条といたしましても絞れるだけ絞りまして極端な類型を規定いたした次第でございます。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 法務総裁がおいでになりましたので事務的なお尋ねはあとへ譲りまして、法務総裁はお忙がしいでしようから法務総裁にもう二、三点私の持時間だけお尋ねいたしたいと思います。  先ほどもちよつと触れたのでありまするが、こういつた暴力主義的破壊活動によつて政治的な目的を達しようとしたり或いは内乱を起そうというような計画をする人たちは捨身でかかつて来ておることは、これはもう過去の例におきましてもどこでもそうでありまして、一身上の危害というようなぐらいのものを犠牲にすることは易々諾々として好んでそういう危機に入るという人たちが多いのであります。まあ大抵そういう人たちによつて組織されるものであります。従いまして、この法律によつて規制をされましてもそれらはいずれも地下へ潜行してしまう。これはまあ右翼でもそうでありまして、維新当時のある薩長の浪士あたりでもみんなあれは地下活動をやつたものであります。ただこれとイデオロギーが違うだけでありますが、今の共産党の人たちも精鋭な人たちはこういう規制を受けますと、いずれも地下へどんどん潜つて而も地下で糸を引いてそして今まで監視をされてなかつた連中を表面に立てて次から次へ計画をされるであろうし、又国外からもそういうことを当然指導をして来るだろうと思うのであります。従いましてこの法律が成立いたしましたといたしましても、この人ちにとつては大して弊害といいますかこれによつて打撃を受けるものではなくて、実はこれらの取締に神経過敏な余りにそうでない者がこれに捲き込まれるという危険のほうを私は最も恐れるものなのでありますが、この点につきまして、と言いますのは、地方の調査庁にいたしましても一応何か事件があつては困るから前以て一つよく調べておこうとして次から次へとだんだんと神経過敏になつて厳重に調べるようになつて来ることは当然であります。これは又過去の例におきましても、こういうふうな組織ができました以上はどうしても何らか成績も上げなきやならんし、又仮に油断をしておつて突発的な事件が起きては困るからというので、予防手段としてでもこの調査は厳密になることは当然なんであります。そうなつた場合にこれによつて巻添えを食うと申しますか、そういうような意図を持つておらないのに巻添えを食うという危険のほうが多いのではないかと思うのでありますが、そこで法務総裁にお尋ねしたいのは、こういうふうな地下に追いやるということを一応考慮に入れて、そうして今度は表面に出て来ている者はみんなそういう人たちは、これにはおいらはひつかかるものではないと安心をしておる者だけが網にひつかかるという危険な状態になることを恐れるのでありますが、そういう点にそういう危険がないかどうか。過去の治安維持法もだんだんとそういうふうに行つてしまつたのでありますからそういう点について伺いたい。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 誠に御尤もな御懸念だと思うのであります。結局は捜査の能力、かような革命犯罪者に対する捜査というものは容易じやありません。容易じやありませんが、当局といたしましてはできる限りの捜査陣営を督励いたしまして、又捜査陣営のこれは能力の問題でありまするが、それらの点についての教養或いは捜査の技術ということを極度に錬磨されたい、こう考えております。そこでかうな凶悪な行為に出ずる者に対しては、私は民主政治の建前からいたしましても、この日本の民主平和国家を維持するという観点からひとしく国民の協力をまたなければならんと考えております。従いまして捜査陣営の技術と修養の錬磨、これらを極度にこれからはかりたいとこう考えております。そうしてその成果を期することが一番大切だと私はそう考えております。  もう一面において、今菊川委員の御心配になるように、その結果余りに捜査の行き過ぎがあつて、本当の幹部以外の者に対して迷惑をかけることに、何らの関係ない者に対して昔の治安維持法当時のような行過ぎが出て来るのではないかという御心配の点につきましては、我々は極度にさようなことのないように、今申上げましたような方面から調査官を十分訓練さすそのあり方といたしましてやはり研修所なんかを設けまして、一面においては人間的な修養、即ち憲法のあり方などを十分に理解させ、一面において技術の錬磨を図つて行きたい、こう考えておる次第でございます。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 もう私の持時間がなくなりましたのであわてて質問いたしますが、次に第十条におきまして、「公安調査庁長官の請求があつた場合にのみ行う。」ということになりまして、最後の処分の請求権が公安調査庁長官の一手に握られておるわけでありますが、この公安調査庁長官と時の政府との関係でございますが、これに対して法務総裁或いは総理大臣が指示し、或いは公安調査庁長官等が法務総裁に協議したりすることがあり得ると思いますが、実際問題として御質問するのでありますが、これは独自の判断でこれを請求するかしないか、請求された場合にはこれは公安審査委員会にかかるわけでありますが、公安審査委員会に廻されただけでもこれは非常な実際問題として今のような世の中に赤紙をはられて、容共者というような危険思想の持主が、破壊活動防止法にひつかかるような行為をしたということだけで以て就職その他におきまして非常な今の生活を送つて行く上にも打撃をこうむることになると思うのであります。その最後のただ公安審査委員会にかけられるだけでも私は非常に迷惑をこうむると思うのですが、その権限をこの公安調査庁長官が握ることになるわけでありますが、これに対しましては政府のほうとしても容喙することはできるものでしようか、どうでしようか。又これに対して協力をするということはあり得るかどうか、その点はつきり。というのは司法畑において未だに語り草になつておりまするように、あの児島判事に対して政府がいろいろ容喙したがこれをはねのけた、大津事件には毅然としてこれをはねのけて法を守つたということは未だに語り伝えられております。こういう独自の権限を公安調査庁長官に持たせるか。或いは政治的に工合いが悪いから、あなたが公安調査庁長官にあいつを一つ突つつけというようなことができるか。この点が一つ問題だと思いますがお答え願います、独立性について。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 勿論この法規の建前から申しますると、公安調査庁長官は法務総裁の監督下にあります。併し実際問題といたしましてこれは殆ど独立性を持つたものと同様な運営をして行きたい。現実に我々は御承知の通り法務総裁は検察庁を指揮監督しているのであります。併し私は昔から権力の集中ということは成るべく排除したい。検察庁法改正のときに法務総裁はそのときは司法大臣であります、司法大臣は検事総長を通じてのみ指揮、監督を行う、個々の検事に対しては何ら指揮、監督はできないといたしまして、現実問題といたしましては監督権は私が持つている、持つておりますけれども未だ曾て検事総長に対して指揮したことはありません。さような事実におきまして将来においても公安調査庁長官は独自の建前をとつて恐らく対処して行くと、私はこう考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 その点についてでありますが、例えばこれは今どうも木村法務総裁のような民間の法曹界において鍛え上げられたおかたが法務総裁をやつているときには、一応非常に民主的なお考えを持つているのでいいが、時によつては大臣によりましては、というのは過去の話を直ぐ持出すようでありますが、まあ同じ司法界の鈴木喜三郎さんが内務大臣になられたときに、あれは時代が違いますがが、あの当時の時代が直ぐ再現されるとは私は思いませんが、例えば選挙前等におきまして、選挙が近いというような今のような状態において、総選挙に立候補しようというふうに予定しているような人の所属している団体が公安審査会に廻るか廻らんかでこれは大きな影響を及ぼすのじやないかと思うのであります。率直に言つてそういうときに法務総裁から公安調査庁長官に、一遍あいつをやつちまえ、洗つてしまえということがこれによつてできるか。そういうことはすべきでないという良心的な公安調査庁長官がおりまして、そういつた指示に対しましても毅然たる態度を示した場合には、何らかの身分保障が私はなければならんと思うのでありますが、公安調査庁長官の身分保障は一般司法官の身分保障を引用されるか。それとも行政官としての身分保障程度で一般公務員の身分保障と同じか。この点についてはつきりと伺いたい。私は今の裁判官の身分保障ぐらいは与えられてもいいと思いますが、そういうことになつて来ると強くなると思いますが、いい人を選んで時の政府の権力から守るためには独立性を与えるのだと言つても法の運用の面だけではいかんと思うし、即ち法の上からも独立性を持たせるということにしなければいけないと思いますが、どこで独立性を持たせるわけですか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 只今菊川委員が仰せられましたような独立性は持つておりません。身分保障は持つておりません。身分保障は持つておりませんが、実際の運用において私は十分賄つて行けるのじやないかと考えております。御承知のように最後の段階においてはすべて裁判所においてこの決定の可否が裁断されるのであります。実際の運用面におきましては私は今菊川委員の仰せになるようなことは恐らくなかろうかと考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 今の法務総裁のあなたがそういう運用をされるということを私は言うておるのじやないのであります。法律をこしらえる以上はそういう危険な状態にならないようにいろいろな措置を講じておく必要があるのです。あなたがいつまでも法務総裁をおやりになるわけじやないのであります。別な総理大臣がお立ちになつて別な法務総裁が出るということもあり得ることであります。自分がやらないからいいのだ、運用の面だといつただけでは非常に危険だと思うのであります。特に大きな権限を持つのでありますが、この人が請求しなかつた場合には公安審査委員会に廻らないのでありますし、この人がこれに廻せということで判をおせば廻るのです。こういうことになるとこれは一番大きなポイントを握ることになります。丁度昔の検事総長というような検察庁長官ですか、そういうような位置にある、又それよりも重いと思うのであります。これは併し又地方にあつたような問題は一々地方の検察当局の責任者が持ちますからして分散しております。これは十条を見てみると公安調査庁長官が全部審査委員会に廻るのを握ることになるので大きな権限だと思うのでありますが、その点について昔の検事総長今何といいますかちよつと私知りませんけれどもそれよりも大きいように見ようによつては見えると思うのでありますが、この点法務総裁どうお考えになりますか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) そこで私は菊川委員の仰せは尤もと考えておるのであります。それで法の建前といたしまして最後の決定をする委員会制度というものがある、委員会設置法の第三条に規定しておりますように独立性を持たして独立してやる。ここでしつかりすれば今仰せになるような点についての御疑念は私はお解け下さることだろうと考えております。而して実際問題として新憲法下のあり方といたしましてこれは国民が十分監視する、殊に国会において優秀な議員がみな監視をされておるのでありますから、調査庁長官に対して時の法務総裁或いは総理大臣が、これに対して指揮命令をする、そうして濫用するようなことは実際問題としてあり得べからざることと私は考えております。最後の今申上げましたような委員会に独立性を持たせてここでしつかりきめて行けばこの法案は極めてスムースに運用できるのではないか、こう考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 まあその点議論になりますから次へ移りますが、少くとも私程度ぐらいまで一応国会議員として一遍でもなつたという経験を持つようでありましたりそう恐れません。はつきり申しますと公安審査委員会に廻されようが対抗する方法は、或いは弁護士とか多少知識を持つた者でございましたならばなにくそという考えをもちまして堂々と争つて自分の正当性を明らかにするからというので大して恐れないのでありますが、一般の人たちがそこまでやはり私は理解するまでにはまだほど遠いものがあると私は思うのであります。率直に申しまして、私たちでも郷里の母親あたりになりますとちよつと警察の人が我々の留守宅に調べに来られましても、お前何か悪いことをしたのじやないか、大丈夫かと言つて年寄つた母親が心配するのであります。直ぐ手紙をよこす、労働組合におつた当時でありますが、お前何か悪いことをしているのじやないかと言つて、新聞にいろいろちよつと警察に引張られたというような記事が出ますと母親は心配するのであります。ましてや田舎等におきまして審査委員会に廻されたというようなことになりますと、その村等におきましては非常に住みにくくなるものであります。生活に非常な影響を受けるのであります、廻されたというだけで。たとえ無罪になりましてもそのくらいなものであります。ここは考えなければいかんと思うのであります。従つて慎重の上にも慎重を期さなければ私はならんと思うのであります。だから申上げるのでありますが、この点については法務総裁と大分見解が違いますので次へ移ることにいたしまして……。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) ちよつと申上げます。この公安調査庁長官の請求は団体に対してのものであります。それで団体を規制するかしないかということで個人については関係はないのであります。個人については御承知の通り兇悪犯罪につきましては普通の手続によつてやるのであります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 わかりました。今の団体の責任者になつている場合、或いは構成員になつている場合には、当然これはその本人が調査の対象とされる、その責任者なり構成員が当然対象になる、それで申上げるのであります。私個人でやるわけではない、何らかの団体に所属していると目されてその対象になるということを言つておるのでありまして、決して個人がやられるということを申上げたのではない。特に政治活動をするものは何らかの団体のそれぞれ構成員になつたり責任者になつたりしている人が多いのでありますからその点を申上げたわけであります。  次に公安審査委員会でございまするが、一体この法律を読みましても漠としておりまして本当に実体をつかむことは「人権が高潔であつて、団体の規制に関し公正な判断をすることができ、且つ、法律又は社会に関する学識経験を有する者のうちから、」というわけでありますが、これは当然政府から推薦されましてそして両議院の同意を得て法務総裁が任命をされることになるのでありますが、さて今構想されておるのは一体裁判官の経験者といつたような人を選ぶつもりであるか、それとも弁護士なんかで達識な人を選ぶのであるか、或いは大学教授等の学者を選ぶつもりであるか、どういう組合せで第一回は構成するか、具体的に一つ御説明願いたいと思うのですが、法務総裁、長いこと弁護士或いは司法畑に育つているのでそういう人を御推薦になつて来ようとしているのであるか。それから推薦される場合には全員を推薦されて、これでどうかというふうに推薦されるのであるか、それとも相当予備等を設けまして倍数くらいを推薦されてその中から選ぶというような方法をお採りになる用意でおるのであるか、その点を一つ。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。委員会の人選、これは申すまでもなく非常に慎重にやらなければならんのであります。これは私個人の構想をこの場合言うことをお許しを願いたい。只今国家公安委員というのがあります。警察関係にございます。この公安委員の現在の委員たちは実に立派にその職責を果している、五人おりましてその選び方は一人は労働関係、一人は宗教関係、一人は法曹関係、一人は言論関係、もう一人は何でありましたかちよつと今……さように各方面から出られておるのでありまして、それですから私も将来は、法曹関係はこれは法律を解さなければいけない事柄でありますから無論一人は入つてもらわなければならん。労働関係、宗教関係、言論関係、そういう方面からも入つて頂きたい、こう考えておるのであります。各層から有識者に入つて頂きたい、こういうことであります。そうして国会において御承認を得る場合においてはやはり五人なら五人という確定した人を選抜してそうして御承認を得たい、こう考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 大体法務総裁の御意向がわかつたのでありますが、さて今度はこの公安審査委員会が適格を欠く、政府のほうでは別にそうお考えにならないといたしましても、国民のほうで適格を欠くというふうな場合、これに対して弾劾措置というようなことも許さるべきだ、このくらいの大きな権限を持つた委員会の委員に対しまして、適格を欠く場合には適格性につきまして国民の弾劾措置というようなことも考慮されて然るべきだと思うのでありますが、この点についてはどうもこの法案の中にはないように思います。法務総裁や政府のほうで適格を欠く場合には少しはあるようでありますけれども、病気その他あると思いますけれども、病気その他じやなしにこの法の運用について適格を欠くというようなことがあつた場合に、国民の世論が大きく盛り上つたときでもちよつと手のつけようがない。一旦両院が同意した場合ちよつと手のつけようがないことになつております。政府のほうでした場合には方法があるかも知れないが、これはなかなか手のつかんようになつておりますが、その点についての対抗策というものはお考えになつておらんように思うのですが、何か方法はございますか、この点について一つ。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 無論その中の誰かが国民の支持を失い、国民の世論としてああいうものがあつちや困るというような場合におきましては、これは委員会において私はそういう人は公正な事案を処理する能力のない者として処置されることだろうとこう考えております。それは法文において明示しておるのであります。これは政府のほうにおいてそういうような者を罷免するとか何とかいうことは穏かでないと考えております。とにかく国会において承認を与えられた人であります。それに対しては委員会自体において処置すべきであろうと、こう考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 実はこの種の委員会において、私はそういう事実が起り得るとは想像もしたくはないと思うのでありますが、若し仮にこの委員会が、委員会自体としてその過半数が権力に或いは迎合し過ぎるとか、或いはその他いまわしい理由によつて左右をされるというような、率直にいつて収賄罪というようなものを構成するということも、どんな大きいところでも、総理大臣がひつぱられた例がありますからあり得るのであります。日本においては総理大臣でさえ小菅へぶち込まれた例もあるのでありますから、どこにどういう危険がないということは絶対に保証はできないと思います。委員会自体としていろいろ疑惑が起きたというようなときには、政府もできない、国民のほうも手がつけられないというような場合に弾劾というようなことは考慮されるべきである。裁判官に対しましても弾劾できるのでありますから、この点については考慮する必要はあるのではないかと思うのでありますが、この点法務総裁もう全然考慮されないのでありますか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) これは国会を尊重する意味におきまして、国会の承認を得ました以上は別にこれについての弾劾なんというようなことは考えていないのでありまして、今菊川委員の仰せになりましたように世論の反対とか何とかがありますれば、これは委員会において当然自発的にその人に対しては非行ありとしてその人をやめてもらうということに結果論としてはなることと考えております。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 私今度事務当局に。私の許されました一時間半という通告が経過いたしましたので、法務総裁は一応他の委員のかたにお譲りすることにして、あと時間がありましたら一つ事務当局に対する質問をさして頂きたいと思いますので、一応私の許されました一時間半が経過いたしましたので、これで打切りたいと思います。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○委員長代理(伊藤修君) それでは午前はこれを以て休憩いたします。午後は一時半から再開することにいたします。    午後零時三十九分休憩    —————・—————    午後一時五十七分開会

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) それでは午前に引続きまして開会いたします。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 私は労働委員として労働問題の立場から主としてこれは破防法についてお聞きしたいと思うのでありますが、先ずその前に一つだけ法務総裁に特にお聞きしたいと思いますのは、今の社会情勢についてのお考えなんですが、率直にいうと占領が六カ年に亘つてようやく独立をした。併しその独立自身について国民の間に必ずしも完全な独立を回復したというふうな考えに立つていないものが相当ある。そういうふうな点から見まして今の社会情勢は六年の占領政策のレアクシヨンが一つ来ている、こう考えなくちやならんのではないか。マーフイー大使自身が占領政策が解かれた直後におけるところの社会的な不安の状態というふうなものは避けがたいと、併し我々は十年先の日本の国民を見ておると、こういうふうな考え方に立つた意見が新聞にも出しておる。  で法務総裁としては、今の社会情勢と申しますか特にその社会的不安というふうなものが非常に恒久性を持つたものであるか、或いは幾分やむを得ないとして特にこの占領政策のレアクンヨンと申しますか反動が一時的に強く現れておると、こういうふうにお考えになりますかどうか。これを第一点としてお聞きいたします。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 占領治下における日本は御同様あらゆる点において制約を受けておつたのであります。それが先月の二十八日を以て講和条約が発効し一応日本は独立国家の形態をなしたのであります。併しあらゆる面において国民がまだしつかりとした信念の下に果して日本が民主的平和国家を建設されたものであるかということについての疑惑は皆もつているだろうと思う。これは今後一般国民の非常な決意をもつて真に民主平和国家を建設して行かなければならないのでありますが、その間における国民の不安動揺、殊に国際関係が反映いたしまして、それらの点に影響を受けて国民がしつかりした信念をもち真に日本が平和独立国家になつたという自覚は、私はまだ持つ者もありますが持つていない者が多数ではないか、こう考えております。その間に処して日本が将来進むべき目途をどの点に置いて発見し、又進むべきかということについては国民が真剣に考えてこれを対処しなければならんのじやないか、こう考えております。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 私の申上げた趣旨が必ずしも徹底していなかつたかと思うのでありますが、つまり今私の申しますのは、長い間の占領政策というものがとまつたときに、従来の占領政策から解放されたときに、どの民族でもこの占領政策について批判が起りそうして不満が起る、そういうふうな社会的な傾向というものがどこでも起る。法務総裁のおつしやるように無論それにかてて加えまして世界の情勢が非常に二つに分れた状態であるというものの反映も強く受けると思いますが、そういうふうな過渡的な社会現象というものについてそれをつかまえてそれのみから法律をお作りになるということが当を得た問題であるかどうか。とかくこの破防法につきましてこの過渡的時代における現象的なものが事例に上り過ぎるのじやなかろうかという点からお聞きいたした次第であります。でその点について補足して頂ければ補足して頂きたい。  それから第二段として考えられますことは、この破防法に関連いたしまして、公安審査委員会及び公安調査庁なる組織ができ上るのでありますが、私ども先ず第一に疑うのはとかく何らかの問題がありますと官吏が増員される、そうして新らしい機構が設けられる、そうしてその機構が本当に活動を開始するかどうか、つまり所期の目的を達成するのに役に立つかどうか。およそこういう組織を作りましたときに法務総裁がこの委員会で御説明になつているような理想的な運営というものは私は四、五年かからなければできない、こう考える。そうすると意図しておられるところは現下の社会情勢に対応しておられる、そうしてこれだけの厖大な組織を作られる。で、その組織機構が真に機能を発揮するのには相当期間がかかる。作ることによつて摩擦がその間に起つて来るに違いない。そういう点についてお考えになつたととがあるかどうか。でむしろ現在の組織機構を現在の状態に間に合うように真に質と量の改善を図られるというふうなほうが本当に役に立つのじやなかろうか。とかく法律を作り機構を作るが、実際の問題としては現実に処して却つて所期の目的を達成しないというふうなことがしばしば起りがちだと思うのでありますがそういう点についてお考えになりましたかどうか。又その点をお考えになつてなお且つこの組織機構が必要とされる我々を納得せしめるだけの理由というふうなものを一つ御説明願いたい、こう考えるのであります。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 勿論一つの法案を作成するに当りましてこれはあらゆる角度から検討しなければならんのであります。ただ現在現われた現象のみをとらえてそれにすぐさま対応するように法律を作成する、そういうこともありましよう。併しながら我々はただ単に現下の情勢のみを以て判断せず将来の見通しもつけて法案の取扱をなすべきものであろうと考えているのであります。併しながら何といつても差当りの現象が基本になりましてそうしてそれが将来どういうような方向に向つて行くかという十分な見通しをつけることが必要であると、私はこう考えております。でこの法案作成に当りましたもただただ現下の情勢のみを以て判断するばかりでなく、更に将来の見通しというものをつけてそうしてこの法案は作成されたものであります。勿論これは他の刑法のごとく恒久的法律ではないということは前から申上げたのでありまするが、併しながら過渡的と申しましてもただ単に一時の現象をとらえたわけじやないのであります。十分な見通しをもつてこの法案を作成したのであります。従いまいて我々といたしましてはかような法案の一日も速かに不必要な状態となることを希望するのであります。併しながらあらゆる角度から検討してみますると、なかなかこの法案が不必要なる時期がいつ到来するかということは見通しがつきません。従いまして将来日本の治安の如何にあるべきかという角度からいたしまして相当検討を加えてこの法案を作成した次第であります。  次にこの委員会制度でありまするが、もとよりかような法案を運用するに当りましては相当慎重にせなければならんという角度から、殆んど他の法案に見ざるがごとき構想をこれに加えているのであります。委員会制度のごときはまさにその一つであります。いやしくもこの法案実施に当りまして過誤のないように独断に陥らざるよう考慮を払いまして、委員会に独立性を持たせてここにおいて公正なる判断を一応さす、そうしてそれに対してなお不服があれば裁判所において、その当否を判断せしめる、こういう建前をとつている次第であります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 無論お考えはそこにあつたと思うのですが、それについて我我を納得せしむるような、そういうことを考えたというだけでなしに、我々を納得せしめるような理由を実はいろいろと教えて頂きたい、こう思つて質問いたしたのでありますが、実際のところこの法案について危惧があるのは地下に潜る活動に対してはこの破防法では意味はないということがいわれる。併し現実的な現象としても、公聴人として来られた牧野英一博士も、これが果してメーデーのときのあれに対してどう適用されるかという問題だというふうなことを言われる。その他各種の疑問があるわけでありますが、それらについては法務委員会自身が十分お考え願つたことだと思いますので、初めに申上げましたように主として労働問題との関連性についてお聞きしたいと思うのであります。  御承知の通りにこの労働組合法が施行制定されまして過去六年間に亘つて運用されて参りましたのですが、当然この労働組合法自身にも正当な行為というものが規定されておるわけであります。労働組合自身の正当な行為、正当でない行為ということが挙げられておるのでありますが、終戦後ずつとやつて参りました考え方では、労働組合の正当な行為であるかないかということは労働組合の性質上非常に判定が困る。これはもう私が申上げるまでもないことであつて、労働組合は実に一つの労働者の権利を擁護するという立場から大きく集つている団体であつて主として経済問題に関連しておりますが、思想的に考えれば実に幅の広い人間を包容しておる。そうして団体交渉の間におきましてもいろいろな行動が出て参る。まあなくなられた末弘博士やその他事実我々が先ず労働組合運動としてみなされたものは、一応この「正当な」というのは枕詞だというぐらいにすら考えざるを得ない。殊にこの過渡的な段階におきましてむしろ組合自身が自主的にそういう経験を経つつ、そうして組合なるものがあるために却つていろいろ包含しているが、そうして過渡的な現象として又途中においていろいろなことも起るが、結局組合なるものを運用して参る労働者自身の自主的な方向からだんだんいいものができて参るだろう、そうしてこの「正当な」とかいう心配した言葉をつけなくていいだろうということで我々は労働問題に対処して参つたわけでありますが、今度の破防法ができますとこの「正当な活動」というものは私は非常に意味を帯びて来るのじやないか。その点に関して法務総裁はどういうふうに、この正当なる活動、「正当な」というところに重点を置かれるのかどうか、この「正当な」というところに重点を置くか置かないかということによつて非常に変つて参ります。そういう点について法務総裁の御意見を承りたいと、こう考えるのであります。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 組合活動はもとより或る点においての制限は受けているのが当然であります。それがいわゆる正当という枠ではまつていると私は考えるのであります。だんだん労働組合におきましてもいわゆる自主性を持ちまして大いに反省をして正当な枠内の範囲において活動しようという方向は見受けられるのであります。併しながら一部分子によつてその枠を逸脱して問題を起している事実が所々現われるのでありまして、これは大きな目で見れば必ずや組合自体において反省されて正当なる活動に私は戻るべきものであろう、こう考えております。そこで「正当な」という枠はどこできめるかと申しますと、これは私は抽象的に言えばいわゆる法律に許されたる範囲内、こうなります。併しそれが具体的になりますると個々の事相をとらえ上げてそうして判断するよりほかに途はないと、こう考えております。組合自体の自主によつてその行動を規制して行く、これが組合のありかたであろうと私はこう考えております。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 「正当な」をお聞きしても抽象的には今お答えになつた程度だと思うのでありますけれども、これは木村法務総裁もよく御承知だと思うのだが、実は終戦後の二・一スト、戦後初めての第一回の電産及び二・一スト、その前後を通じての労働組合運動というものは盛んであつた、そうしてあのときにもすでに相当先ほども問題になりました日共の幹部なんというのが積極的な活動をやつている、実際のところを言つて。そうしてその指導下にも随分組合があつていろいろ礼を挙げれば組合活動としてはどうかと思われる、と申しますよりか明らかに組合活動としては考えられないという行動すらあつたことは事実であります。我々あの際に中労委の委員をしておつたわけですが、そういうまあ一々これは法律の範囲で正当か正当でないかと言つて批判して行つて実際のところうまく行つたかどうかといえばこれはそうでなかつたのでございまして、やはり実際の実情に応じて組合自体が自主的にだんだんに成長するのを待つているというほうがよかつたのじやなかろうか、そういうふうにすら考えられるのです。法律の冷静な適用というものを考えればいくらも批判の余地はあります。併し心のおきどころ、根本の見方というものをどこにおくかによつて、この「正当な」という問題が実際の取扱方、判断、つまり何と申しますか、法律の文字解釈をそのまま適用しようとする努力、そういう角度から来るものからみるのと、もつと完全な民主主義的な風潮を助長発達しようというふうな考え方で見ている者との間にはこれは非常な差が生じて参るということは明らかであります。私が一番恐れるのは、この破防法によつて、従来の労働組合法で運用して来た労働委員会自身が判断して来た程度の労働組合運動は、それに或る程度の法律から見てはどうかと言われるところの従来のような問題というふうな問題について、一一法を適用されるという意図があるのかないのか、而もそれは少くとも今後の運用に当つてはよほど高い標準から判断をされないと誤つたところに参る。でこの法律ができて一番労働問題として先ず心配ざれるのは、私はそれだと思うのでありますが、そういう点についての、これは法律そのものよりも、もつとこの法文自身に運用上の危惧というものが全部まつわつて参るような問題で、それで大きい世論をゆり動かしておるのだと思いますが、そういう点について従来の組合運動に認められた程度では、これは組合の正当なる活動だということで行くのだというお考えであるかどうか、この点をはつきりお聞きしたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) この法案は組合運動を規制するというような意図は毛頭もありません。又法文上から申しましても実際はさようなものは規制でき得ないのであります。我々は労働組合運動の正常なる発達をこいねがう一人であります。そういうような点につきましては十分な考慮を払つておるのであります。ただこの法案の目的とするところは、しばしば繰返して申しまするように国家の基本秩序を破壊するようなそういう行き過ぎた暴力的破壊活動をなそうとする団体を規制しようとするに過ぎないのであります。いささかも組合運動に対して介入したり又これを抑制したり規制したりするというような意図は勿論ありませんのみならず、この法案によつてさようなことはでき得ないという建前をとつておるのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 今おつしやつただけでもいいですが、実はおつしやつたことに対して疑いを持ちますのでもう少し法律論に入りたいと思いますが、この破防法によりますと、団体としての活動というものと、そしてその団体の構成員としての活動、及び組合員である個人としての活動というふうに先ず分けられるかと思うのであります。団体としての活動は暫くおきまして、個人としての活動というふうな問題について入つて参りますと、従来は組合の指導者が組合運動をやつて参ります上において、実はこういうふうな予備、陰謀、教唆、扇動、どこまで入りますか細かくならなければならないのですが、少くとも教唆、扇動については従来の刑法上の取締の対象にしかならない。ところが今度はそうでなくて、従来より個人としては教唆、扇動について単独犯として刑法上の教唆よりも違つた教唆、そして扇動というふうな問題について新らしく法の対象になつて参るということは、私は今度の破防法においては明らかでなかろうか。そういう際に従来の組合活動において認められた程度のものはお許しになる法の範囲内だと、こうお考えになりますかどうか、この点をお聞きいたします。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) この法案の教唆、扇動のいわゆる対象を何においておるか、これを十分に御吟味を願いたい。普通の正常なる組合活動においてしばしば行われた行き過ぎの教唆、扇動というものは、これは対象になつておりません。第三条に掲げております国家の基本秩序を破壊せんとするような内乱、或いは普通の刑法に規定してありまする兇悪犯罪でありまする汽車の顛覆であるとか、殺人であるとか或いは騒擾であるとかいうような点についての教唆、扇動であります。従いましてこれまでしばしば行われておりまする組合運動の中で一部の者が行なつておりまするような普通の教唆、扇動、これとはおよそその対象を異にしておるので、今堀木委員の仰せになりました御疑念はないと考えておるのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 実はどうも法務総裁の信念なんですが、私お聞きしたいことは、教唆、扇動は無論内乱罪に関連いたします、内乱の予備、陰謀、内乱の幇助及び第三条の二号にありますところの政治上の主義又は施策を推進し、支持し、又は反対するためにイからヌまでの行為に当る場合、それの教唆、扇動というふうになつて参るのですが、これは木村法務総裁もよく御承知だと思うのですが、大衆活動の間において政治上の目的が入つて参る場合は非常にあり得る。例を挙げてみましても何と申しますか、非常に経済が回復してきた、併し労働者の生活は非常に圧迫されておるという時代になると、どうもこういう政策では自分達の生活が向上しないというふうな考えになる。もつと具体的な私どもが扱つた問題で例に挙げましても、全逓が曾つて非常に過激な労働運動の先頭に立つておつた時があります。そういう時に三等郵便局制度というものをやられては三等郵便局の従事員諸君が正当な労働の対価を受けることができないというふうな、自分の生活に結びついたそして政治的な考え方というものを持つて参ることは当然だということが考えられる。そうして従来ではこれらに関連してこの三条の二号のいわゆるイからヌまでの間の事柄におきましても、行為そのものをやりました場合は無論刑法に触れる、これは従来でも刑法に触れる。併し今回の場合には刑法にいうのと違つた、教唆、扇動の解釈は非常に範囲を広く解釈し得るようなものであります。そういう問題が新らしく対象になつて参りますと、大衆の間においてそういう不満が起りそうしてそういうことが唱道される、或いはそういうことが文書に示される、そうして併し刑法にいう教唆でなしに、結果についての行為の問題についての判断はない、或いは教唆、扇動に近い、或いは扇動をしておる、結果の如何にかかわらずそういうものを法律を厳格に解釈すれば適用されるという状態に入つてくる。こういうふうに私どもは考えられるのでありますが、そういう点についてはそういう労働組合運動に関連するこれらの行為が新らしく法の対象として挙げられて来るのじやないか。こういうふうに考えますが、その点についてもう一度御意見を伺わして頂きたい。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 民主政治におきましてはどこまでも政策についての批判が許されるべきものであろうと私は考えます。併し一つの施策を支持し、又は推進し又はこれに反対する場合には、いわゆる言論を通じてやる、又これを大きくすれば、議会を通じてこれはやるべきものであろうと私は確信いたします。議会政治の下におきましてはこの政治の批判をし、或いは政治の主義、主張を貫徹するということがそのあり方であります。いやしくも暴力を以て自己の主張する政治のあり方を推進するというようなことは議会政治の私は否認と、こう考えております。而してこの政治上の主義、主張を暴力を以てやる、これは国家治安の面から申して許すべからざるものであるのみならず、一種の議会政治の否認であると私は考えておる。従いましてかようなことは十分に国家としては取締つて行く必要があるのであります。ただ普通の労働組合又は労働組合員が政府の施策を批判し或いは攻撃したりすることは、これは私は自由であろうと考えております。何らこの法案の対象となつていないのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 暴力に非常に重点を置かれて説かれると困るので、その点はわかつておるのですが、教唆、扇動が入つて参ると、暴力にならないそういう言論をし文書を出した行為そのものだけでも罰せられることになる。結果自体については問わないわけです。もう少しそうすれば具体的な例を見ますと、まあ労働組合運動も過激なときは御承知の通り電車、汽車の往来を邪魔するような行為が現実に発生する。そういう発生した行為自体について言うのではございませんが、一組合活動の範囲内において今度はスローダウンしようではないかというふうな問題がある、片方の組合員からはスローダウンはしないというふうな中で討議がされるわけです。それで健全なところへ行くと思いますが、併しそうしようではないかと言つたら組合の方針としてはそういう行為はしないという決定になつておりますから、なつた場合には組合としての行動ではない、併しながらそういう扇動した者がある、そうして結果的にそういう場合が発生するという場合に、発生しようとしないとにかかわらず扇動した者はこの法律によつては犯罪の罰則の対象になるということは明らかでないんでありましようか、そういうのではございませんでしようか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) この法案の対象となつておるのはです、いわゆるこの政治上の主義主張を支持し、又はこれに反対するために三条二号において列挙しました兇悪なる犯罪行為を行う扇動であるのであります。又組合においてかような兇悪な行為を扇動するというようなことは、およそ私は考えていない、正常なる組合、而も質的にだんだん発達しつつある組合において、かような兇悪なる犯罪行為をやろうじやないかというようなことを、およそ我々は想像し得ないのであります。従いまして、仮にさようなことをやろうとすることを扇動するようなことでありますれば無論この法規によつて処断する目的を持つておるのであります。かようなことは民主政治において許すべからざるものであるのみならず、非常に国家的に見て影響するところが大きいのであります。かようなものは無論法規の対象となるのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 実はその点につきまして、この法案では「容易ならしめるため」とか、「目的をもつて」或いは「反対するため」というふうな目的が掲げられておる。この目的については挙証の責任があるから濫用されることはないだろうというふうな、委員会における速記録を見ると御答弁だと思うのであります。私どもはこの「ため」という目的がとかくどうとでも判定できるものだという不確定な、実は行政運用上従来ともこれが運用され方によつては非常に問題になるというふうなことを考えますので、それであなたのようにおつしやつてもイからヌまでが兇悪なる犯罪、無論兇悪なるものもあると思いますが、程度によつては、扇動、教唆程度で実際の刑法の対象にならないようなものについては、随分大衆運動にはその程度まで行かないのがありがちのことです。そういうことを「ため」という字と、そして「教唆」「せん動」という文字を拡張解釈されて行くようなことになると、従来の組合活動というものについて非常な制限が入つて参る、こういうふうな私は心配をするのであります。そういう点について何らかの保障がなくてはならん。でこの保障の問題になりますると、先ほどから委員会でしばしば論議になつておりますように、公安審査委員会をお作りになるとかいうふうなことで、そうして人権を擁護をするんだ、こういうふうにお考えになつておるようですが、こういうふうな委員会制度というものは労働委員会にあるのであります、独立して判定しておる委員会がある。ところが問題になりますことは委員会自身を作るということよりも、どういうふうに委員会が構成されるか、そうしてその委員会がこれならば公平にそうして本当に正当に判断するであろうというような構成の手段そのものが非常に問題になつて来る。中央労働委員会にいたしましても労使おのおの同数から出る、そうして中立から立派な人が出る、そうしてその判断ならば現状として公正に考えて行けるじやないかというような状態であつて初めて労使双方の信頼を得た組織としてそうして独立して中立を守つて参れる、こういうふうに考えるのであります。私ちよつと中座いたしましたために菊川委員がこの点についてもお触れになつておりましたようでありますが、そういう点について法的な保障が要るにかかわらずそういうものがここにないということは、私は公安審査委員会を作るからいいじやないかというこの程度のものでその保障ができるというふうに考えられることは法としては少し足りないのじやなかろうか、こういうふうに考えられるのでありますが、そういう点についてどうお考えになりますか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 勿論この規制すべきか、規制すべきでないかという判断は公正に行われなければならんことは当然であります。そこで我々はその点について最も考慮を払つたのであります。公安審査委員会設置法第三条にありますのも、委員会は独立で公正な判断をさせる建前で、なんらの制肘なく公正な判断によつて、規制すべきであるか、すべからざるかの判断をさせるためであります。而もその委員会を組織する委員は国会の承認の下にこれを任命するという形であります。そうして先刻私が申しましたように、我々の構想といたしましては、その委員はできる限り各層の有識者になつて頂く。例えて申しますると、或いは労働関係であるとか、或いは宗教関係であるとか、或いは法曹関係であるとか、或いは言論関係、こういうように最も中正なる判断をなし得る人を国会において承認をして、頂きたいという建前をとつておるのでございます。私はこの委員会は将来において十分公正た御判断を願えるものと確信する次第でございます。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 法務総裁かこの規定だけで必ずできるとお考えになること自体に少し私疑問を持つのであります。むろん法務総裁としては必らず信頼を得るような人間をそうして安んじて人権の擁護の点から見て遺憾なきを期するような人間が委員になるのだ、而も各階層の人を選ぶんだ、こういうようなお考えでしようが、その点は法案にも出ているわけでございますが、実はそれだけでは安心ができないということが問題じやなかろうか。やはり法律に選定の方法ということがはつきりさるべきじやなかろうか。労働委員会でも問題は労働委員にいい人を選びますから、ここに書いてありますように「人格が高潔であつて、団体の規制に関し公正な判断をすることができ、且つ、法律又は社会に関する学識経験を有する者のうちから、」というふうな人間をお選びになるということだけ、そうしてそれが国会の同意を得るということだけでいいでありましようか。むしろ私は進んでこの代表を選定するまでの過程の問題、そういう問題を公正にやられることが皆を安心させる方法ではなかろうか。つまり中央労働委員でも労働者側からもいろいろな母体から推薦され、及び経営者側もいろいろな母体から推薦される、そうして中立の人が推薦される。そういう構成でやつて行くのだというところに初めて組織としての信頼感が生じて来る。個人としての信頼感というものはこれはそれぞれによつて非常に違う。併しそういう組織を経て、そういう過程を経て来て選ばれた人ならば先ず大丈夫だと、こういうふうに考えることが、法制上の建前じやなかろうか、私はそう思うのでありますが、そういう点について実は若しも法律で規定されないとなれば、どういう方法で規定されるか、そういう点については全然お考えがなかつたでありましようかどうか、この点を一つお聞きしたいと思つたのであります。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) この労使関係における、中央労働委員会の委員の選定方とは多少構想を異にしております。申すまでもなく中央労働委員会における委員はこれは労使関係であります。労使の双方において信頼を得るような中立人を選定する、これは尤もなことであります。併しながらこの法案は労使だけの問題ではないのであります。これは国民一般に関する問題であります。従つて広く各層から有識者を選んで、その人に公正な判断をして頂く、こういう狙いであります。勿論実際の取扱いにおいて、この委員を選定する場合においては、十分各層の意見を我々は聞くつもりでおるのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 無論中央労働委員会と違いまして、一つのああいう専門的と申しますか、労働問題自身も各般の問題に関連しておりますが、いずれにいたしましても専門的の問題である。ですからこの公安審査委員のかたが、むしろ私は一例に上げただけであつて、ああいう形だけで選ばれるとは思いません。思いませんが、併しそういう選出の方法というものは私は非常に大切であると思う。選出の方法についてお考えを、少くともこの法案を審査するに当つてはそういう点について考え方をはつきりして頂かないといけない問題ではなかろうかと、こういうふうに考えております。  もう一つお聞きしたいと思うのでありますが、もう一つの問題は、この規定は一条、二条におきまして、非常に憲法との関連におきまして、文句としては非常にいろいろな弊害、濫用の起らないような原則規定をおきめになつておる。併しこれが果して守れるか、守れないかということを一つの公安審査委員会について申上げたのですが、私もう一つ、この点で、この法案についてお聞きしたいと思うことがあるのであります。それは二十四条の問題であります。二十四条の2でありますが、行政事件訴訟特例法によつて、裁判所に取消変更を求める訴を提起して、その処分の執行の停止を申立てることができる。この法案によりますると、公安審査委員会の決定がありますれば、すべてそのときその決定が効力を行政処分によつて生じまして、行くところは団体の活動については解散まで参るというふうな点が規定されておるわけでありますが、この行政事件訴訟特例法によりまして内閣総理の異議の申立てができるようになつておる。これらの点について、少くとも団体が解散まで行く場合には単純な行政事件訴訟特例法だけのそのものの適用ではなくて、誤まつて解散をしてしまうことは国家賠償法の問題でありますとか或いは公務員の職権濫用規定でありますとか、いろいろな問題が起りますが、団体自身の解散そのものを救済するということが、団体が対象であるだけに考えられなければならない。そういうことでありまするから、この際に内閣総理大臣の異議の申立てができない。申立てをするというあの条項を削除するというふうなお考え方は、団体を対象にしてお考えになつて、そうして民主的な方向からこの問題を取扱われようとする考え方ならば、そういう点についての御考慮があつて然るべきものだ。そういう点について立法上の処置をどうしておとりにならなかつたか。この点を一点お聞きしたいと思うのであります。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 堀木委員御承知のように、この審査委員会の決定に対して、最後には裁判所においてこの当否の判断を求める、異議の申立ての訴がある、それに対して裁判所が仮に決定停止の処分をした場合に起る問題である。これは国家治安の関係から見て、総理大臣が裁判所の停止の決定が行過ぎであるという場合に初めて発動するのであります。併し結果におきましては、最終的に本案の裁判所においてその当否が判断されるのでありまして、その裁判につきましての我々は従来の経験に鑑みまして、裁判においてこれを迅速に本案の終局をさせるようにというので、百日以内にこれを解決するようにという規定を設けておる次第であります。総理大臣が裁判所の決定に対して取消しを求める場合は、これは全般的に見て国家の公共福祉上、その決定が許すことのできないという場合に初めてなさるべきものであります。これは国家の治安に任ずる最高責任者である総理大臣がなすべき当然のことであろうと我々はそう考えておるのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 一面から見ますと、行政の責任者としての総理大臣にその権限を与えるということは一つ考えられるわけでありますが、この場合には、団体としての解散を命ぜられて、それについての訴訟は、成るほど正式な裁判をして百日と申しますが、その間に細かいいろいろの問題があると思いますが、ともかくも百日以内においてと言われるのでありますが、ともかくも最終的にはそういう基本的人権が奪われ、そうして団体が解散する、集会結社の自由、そういうものが奪われるということにつきましては、これは最終的に如何に行政の責任を持つていようがそこは三権分立になつた特徴なんです。行政事件だけで解決しないことは無論法務総裁のおつしやる通りでありますが、併し少くとも団体のこういう行動について規制されることは、殊に解散の場合にはそれは回復し得ない損害を与えられ、回復し得ない状態に団体がなるというふうな問題は、少くとも総理大臣の異議の申立てについての権限を取つてしまう。殊に法務総裁の言われるように権力の集中を避けるという点から見ましても、この団体に対する処分としてはこういうものは私は処分の執行停止命令というふうなものに対して、総理大臣の異議の申立てはこれに関する限りはお取りになるほうが大体法務総裁のお考えに副うておるのじやなかろうかどうか。そうして裁判の判決も確定した場合にはつきりするわけであつて、そういうふうにお考えになるほうが新らしい立法としては私は全体としての趣旨に副うておるのではないか。そういうふうな問題がここにいろいろ第一条、第二条について原則的に規定してありますものが法的処置として何らか救済方法がはつきり他の法律とは違うということがこの規定に盛り込まれておつて私は安心ができるのではないか。それがなければ少くともやはり従来の通りに濫用されやしないか。濫用されたときの文句は原則的にはそういうことにならないように書いてあるが、実際にはそうでないということが起るというふうな心配を払拭するわけにはいかないのじやないか。その程度のことはこういう団体を対象といたします新らしい立法例において特にお考えになる必要がなかつたかどうか、こういうふうに考えるのであります。御意見がありましたら伺いたいと思います。

佐藤達夫法制意見長官

○政府委員(佐藤達夫君) 只今の御趣旨はよく了解できまするが、お言葉の中に三権分立云々というようなお言葉も出ましたので、一応私どもがその原理から考えておること、即ち原則的の考え方を申上げておきたいと存じます。もとより憲法における三権分立から申しますならば、裁判は司法権の属する裁判所で行うのでありますけれども、その裁判というものは憲法に定める成規の手続を経て行われるものが裁判であろうと考えます。ところがこの執行停止の処分はそういう手続によらない、いわば仮処分的な手続で行われるのでありまして、それ自体をつかまえてみますならば行政手続と同じことだということが言えるわけであります。従いましてこの行政権の行いました処分に対しまして裁判所が成規の裁判手続を経て引つくり返されることはこれは憲法のまさに容認しておるところでありましようけれども、その手前の段階において仮処分的に処置するということは、実は裁判所がたまたま行政権を行うというような極端な言い方もできるのではないかと思います。御承知の芦田内閣の頃に平野事件というものがございまして、そのときにも政府が声明いたしたのでありますが、その考え方はまさにこの行政事件特例法の十条の考え方の根本になつておるというふうに私どもは確信しておるのであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 私も佐藤さんの言われることはよくわかります。併し団体を対象にした新らしい立法として、而も実際結果から申しますれば団体の死刑なんですね。そういうふうな点から考えますと普通の従来ある立法例だけでお考えにならないで、特にそういう点について法益を擁護する、殊に憲法に保障しているような法益を擁護するというふうなお考えが、私は特に新らしくそういう考慮がされても立法としては然るべきものでなかろうか、こういうふうに考えて申上げた次第であります。  なお細かいことについていろいろお聞きしたいのですが、時間も大体参りましたようで新らしい問題に入りますと、又延びると思いますので一応私の質疑はこれで打切ることにいたします。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 次は堀眞琴君に発言を許します。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 私二時間質問の時間を頂いておるのでありまするが、私は今日身体の都合が非常に悪いので、委員長や皆様のお許しを得まして今日は大体総括的な質問を一時間いたしまして明日法案の内容に関する質問をしたいと思います。  本日の質問は大体この法案を中心としましての総括的な基本的な問題に重点を置いて質問をしたいと思うのでありまするが、それに先立つてちよつとメーデーの事件に関して法務総裁の御意見を伺いたいと思うのであります。私もあの事件が起りましたことにつきましては大変残念なことだと思つております。今後の団体活動、殊にメーデーに対しましてあれが支障とならなければいいがという感じもいたすのであります。ところで私法務総裁にお尋ねしたいのはあの事件に関係をしたという認定の下にその後逮捕が続けられておるのであります。或る組合であります。或る組合と申しましては大変漠然としておりまするが全商工の或る電気試験所の分会に属する人であるのでありますが、その組合におきまして六名逮捕状が出まして逮捕されたのであります。ところがその六名のうち二名は職場におりまして終日勤務をいたしております。従つてメーデーにも参加しておらん人が二名その中に入つております。それから別の二名はメーデーには参加いたしましたが、メーデーのあとの例の行進には参加しておらなかつたものが二名その中に含まれておる。残りの二名は行進に参加しておるのであります。職場に終日勤務しておつた職員が二名も逮捕されたというようなことはこれは非常に重大な問題ではないかと思う。勿論検察当局乃至は法務府といたしまして、或いは警察当局といたしましてもメーデー事件に参加しただろうという容疑のもとに逮捕したものとは思いますが、併し職場で勤務しておつたことが明確であるという事実があるにもかかわらず、これを逮捕したということはどういうふうなことなのか。私これは今後の破防法の適用の問題にも関連する問題であり、しばしば法務総裁は濫用は避ける、今日の菊川君の午前中の質問に対しましても適正にこれを運用するのだということを申されておりまするが、私どもは曾つての治安維持法の問題や或いはその他の諸問題に関連しましてしばしば法律が濫用され職権が濫用されているということを見ておりまするので、この点に関しましてお尋ねたしたいのであります。なお具体的に名前を示せとおつしやればこの席でははばかりますが、私手許に持つておりますのでそれを法務総裁のほうにお見せしても結構だと思います。それの先ず御答弁を願います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 只今御指摘になりました六名の人、これは恐らく検察庁において慎重に取調べたと考えております。まだ何らの報告も私は受けておりません。その六名のうち二人がメーデーに参加していないというお話であります。併し逮捕した以上は何かそこに理由があるものと考えておるわけであります。一応私はそう考えます。ただメーデーのあの際に参加しなかつたからこれは不当な逮捕じやないかという御質問と承わりました。恐らく参加せなくとも或いは謀議に参画しておつたかも知れないのであります。それらの点につきましては恐らく検察庁において慎重に取調べをしていることであると私はこう考えております。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 只今の御答弁ですと検察当局では相当の理由があつて逮捕したのだろう、恐らくは謀議に参加したのではないだろうかという御答弁のようであります。私その組合の責任者のかたにお話を伺つておるのでありまするが、その組合においては別に騒擾に関する謀議を事前に行なつたととはありません。而もその組合はいわゆる民主的な組合でありましてへ決して過激分子をそのうちに含んでおらんのであります。而も只今申しましたように、その組合においてはメーデーに参加することは決定しておりまするが、併し公務員であり、従つて全員が参加することはできないという事情もあり、組合の中の何人かは勤務するということにきまつてその中に入つておつた人であります。事前に謀議したという事実は全然認めることができない、こういう事情の下において逮捕する、これは少し行過ぎではないかと私は思う。勿論逮捕されて三、四日で釈放されたようであります。六人が六人ともまだ検察庁のほうに送られたということも聞いておりません。併しともするというと、私ども警察官乃至は検察庁の行過ぎを目撃いたしております。その点に関しましてもう一度法務総裁から明確な御答弁を願いたい。つまり人権を尊重するということについて、それから警察官の今後の行過ぎに対しては十分取締るということを法務総裁からお答えを願いたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 只今堀委員からの行過ぎの点でありまするが、誠に御尤もと考えます。いやしくも行過ぎをして基本的人権を害するようなことがあつては相成らないのでありまして、これは勿論慎重に取計らわなければならんと考えております。そこでこれは結局警察官としては教養の問題にもなりまするし、延いては情勢判断その他いろいろな点にむずかしいところがあろうかと考えております。それらの点につきましては我々としては将来十分の注意をしなければならないので、相当な決意を以てこれらの点については十分の考慮を払いたいとこう考えております。万一行過ぎの点があり、又非常な迷惑をこうむつておるような事実がありますれば、どうか遠慮なくお知らせを願いとう存じます。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 今の堀さんの御質問の点の、いわゆるうちにおつた二人の逮捕の状況を明日までに調べて御報告願いたいと思います。刑政長官にお願いいたします。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 只今の法務総裁の御答弁で明らかになりましたので、この問題はこれだけといたしまして、私は先ず第一にこの破壊活動防止法案が世論を無視して提案されておるということについて法務総裁の所見を質したいと思うのであります。  御承知のように、この破壊活動防止法案が出ましてから、労働組合は勿論であります。労働組合ばかりではなく、各種の団体がこれに対して反対を表明しております。その団体の中でも、例えば公的な機関ともいうべき日本学術会議がこれに対して反対の声明を行い、或いは女大学、特に同志社大学その他の大学においてもその全教授がこれに対して反対の態度をとつております。又民間の団体といたしましても新聞協会その他の報道機関の団体或いは文化的な諸団体のかたがたが挙つてこれに反対をいたしておるのであります。民主政治というのは御承知のように国民の輿論が政治に反映するということであります。幾ら与党が多数を持つているからと申しまして、その多数にものを言わせて国民の輿論を無視して法律を制定するということは私は民主政治ではないと思います。民主政治は飽くまでも輿論の基礎の上に立たなければならんということは、これは誰でもが知つているところの基礎的な考え方だと思いますが、ところが今度の破防法に対しましては今申上げたように各種の団体が反対を表明してこれに対しては非常な疑問の意を表明している。現に衆参両院の公聴会におきまする公述人の陳述に見ましても大半がこれに対しまして反対をする。こういう状態の中で果してこれが民主政治の形において出されるということは可能なものであるかどうかということにつきまして先ず法務総裁の御意見を承わりたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 成るほどこの法案につきましては各種の団体において反対意見を表明されておるのでございます。併しこれを詳細に検討いたしますると、必ずしもこの法案全部に対して反対とは言いかねるのであります。殊に熊本から出て来た、あれは農民を代表した人か私は知りませんが、この人たちの言にいたしましても、これはむしろこの法案に対しては農民の声は大多数賛成だ、何が故にこの法案に賛意を表しないかというような声も聞いておるのであります。これはまあ我々は一部の声と考えております。昨日も私は日本学術審議会のあの議事の内容を詳細に検討して見たのでありますが、遺憾ながらこの反対を述べられたるかたの御意見はこの法案本当の真意なり条文を十分検討していられない憾みがあります。詳細に読みまして十分に検討されておるかたはむしろ賛意を表明されておるのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)これは私は必ずしも全部のかたが反対されておるとは思いません。これは国民投更でもとらなければわかりませんが、一部の声は反対の声があることはそれはもう事実であります。併し我々は日本の現下の情勢に鑑みてかような法案を出さざるを得ないということを誠に悲しむのであります。併しこれは是非とも必要であるということを確信しておるのであります。もう少し我々の真意を、この法案の内容を御検討下されば十分に私は大多数の支持を受けるものと、私はこう考えておるのであります。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 只今法務総裁のお話では農民全体がこれに賛成しているという公述人の陳述があつた、こういうお話でありますが、日本の中でも農民の団体は大体においてこれに反対しておられるのであります。従つて熊本のあの農民のかたが陳述された内容が全農民に当てはまるものとは私は考えることはできないと思うのであります、それはそれとしまして、学術会議の問題であります。私もそれからこの法務委員をやつておられる羽仁五郎君も第一回目の学術会議には会員としましてその総会にも又委員会にも列席いたしてその議事にも当つたのであります。勿論第二回目の選挙のときには私も羽仁君も学術会議には関係いたしませんが、併し学術会議の議事というものは極めて公明に行われ、単に一部の人だけがためにするところがあつてこれを反対の声明にまで持つて行くというようなことは私はないと思います。それからこの法案の全体について認識が欠けているじやないかというお話でありまするが、これを提案しましたかたがたは一人は公法の専門家であります。一人は労働法制の専門家であります。そうして賛成意見を述べられたかたがたは主として第二部、つまり法律政治に関する会員のかたがたから述べられております。その他の部のかたがたからも述べられておりまして、この学術会議が極めて一部の分子によつて指導されたというようなことは私はあり得ないと思います。従来私どもの経験から申しましても、一つの議事に対しましては相当各方面から論議が尽されたのであります。羽仁君などは現に思想、学問の自由を護るための委員会という委員会の責任者になられまして、そうしてその委員会において、或いはお聞き及びだろうと思いますが、学問、思想の自由を護るための各種の議案を作つておるのであります。学術会議の権威にかけて私は法務総裁の述べられた言葉は大変遺憾だと私は思うのであります。総裁の御意見によりまするというと、各種の団体がこの法案を十分に研究しておらぬからというお話でありまするが、この法案を研究すればするほど私どもはこれに対して賛成することができない。曾つての治安維持法の例もあり、我々としては飽くまでも民主日本として、平和国家としてこれを成長せしめるためには、こういうような弾圧法を出すことは、却つてこれに対抗するところの勢力を成長せしめ、いくら取締法を作つて見たところで、それによつてあなたのおつしやるところの共産党の勢力というものは私はなくなるものではないと思います。根本は別のところに私はあると思うのであります。そうしまするというと、徒らに取締法規を作つて共産党を弾圧するのだという名目の下に、ほかの団体が却つて飛ばつちりを受けるという結果にもなりますので、むしろ私はこういうような法案は世論の赴くところに従つて慎重に考え直されるほうが適当ではないかという工合に考えますが、木村法務総裁はどのようにお考えになりますか、お答えを願いたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 私はこの各種の団体のかたがたからの御意見についてこれは尊重するに吝かではないのであります。併しこういう人がたは本当に現下の事態はどうあるかということをもう少しお調べを願いたいと私は希望するのであります。我々のこの法案を提案したというのは、十分に現下の情勢を取調べた上でその判断の下にこれをやつたのであります。もともと我々は学問の自由、思想の自由はこれは十分尊重しなければならぬ。併しながら暴力を以て自己の主義主張を貫徹するということは、これは民主政治の破壊であろうと私は考えております。どこまでも思想には思想を、言論には言論で以てこれを対抗せしめることが民主政治のあり方であります。暴力はどこまでも我々は否定せざるを得ないのであります。この法案の企図するところは、結局破壊的暴力を以て国家の基本秩序を破壊するというような団体を規制し又はそれに関する刑罰の一部を補正しようというのでありまして、決して学問の自由思想の自由を抑圧するようなものではないと考えております。又従来の治安維持法、これと対比いたしまして十分御検討下さいますれば、およそこの法案と治安維持法との本質的に異なつておるということは明瞭であろうと考える次第であります。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 今の御答弁必ずしも納得できないのでありまするが、時間も制限されておりますので問題を移して行こうと思います。 次にお尋ねしたいのは、基本的人権と公共の福祉に関する問題であります。基本的人権は御承知のように憲法第十一条並びに九十七条によりまして、永久の権利であり、不可侵の権利である、人類の長い歴史の闘争を経て獲得したものであるからして、国民は不断の努力によつてこれを守らなければならないということが規定してあります。従つて基本的人権を侵害するということは、憲法上許されることではないと思うのであります。ところで憲法の第十二条、第十三条によりますというと、基本的人権を濫用してはならん。公共の福祉にこれを利用しなければならん。それから又基本的人権は公共の福祉に反してはならないということが規定してあるのであります。基本的人権と公共の福祉との関係について、この両者は一方が他方を制約するものであると考えるのか、それとも他面から言うと、基本的人権そのものが公共の福祉ではないという考えも出て参ると思うのでありますが、法務総裁としてはどちらのお考えを持つておるか。その関係について御説明を願いたいと思うのであります。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は基本的人権と公共の福祉がどちらが優位であるか、私は優劣はないと考えております。併しながら基本的人権が、個々の基本的人権が集合したものは一つの公共の福祉を構成するものじやないかと考えております。全国民の人権の総合されたものが一つの公共の福祉を形作るものじやなかろうかと考えております。そこで公共の福祉と基本的人権との関係において優劣ということは私は軽々しくいうことはできんと思います。その場合において一つの一個人の基本的人権を擁護する余りに、多数の基本的人権を侵してはならない。その調和が私は必要と考えておる次第であります。一つの基本的人権を守るために多数の基本的人権が害せられるようなことがあつてはならない。これは公共の福祉ということにおいて制限を受けるものとこう考えます。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 只今の御意見によりますというと、公共の福祉と基本的人権の間には優劣はない、同列そのものであるというお考えであります。そうしてその実質的内容というものは、基本的人権の総合されたもので、全国民の福祉の総合されたものがいわゆる公共の福祉である、こういうお考えのように承わつたのでありますが、そうしまするというと、一体全国民の福祉の総合ざれたものというのが、果してそれによつて公共性を獲得することができるかどうかということが問題になつて来ると思うのであります。というのは、私はここで思い出すのであります。例のルソーのボロンテ・ゼネラルの思想、ボロンテ・デ・トウの考え方、その考え方をここで今すぐ思い出すのでありますが、あの考え方の、全体の、個人の意思の集つた総合されたものが全体の意思であるという考え方をおとりになるのか、その点を先ず重ねてお尋ねして、それからその内容について又あとで御質問したい。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 只今のちよつと御質問の趣旨は、私には受取り得なかつたのでありますが、国民の意思がどうということでありましようか。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 ルソーの社会契約論の中に、全体の意思という言葉が出ておるわけです。総意という言葉と、それに対するものとして個人の意思のまとまつたものと、それから全体の意思というものを比較して論じておる部分がある。私はここに資料を持つておりませんので、正確には申上げられないのでありますが、ルソーはボロンテ・ゼネラルというものはそういう個人々々の意思の総計されたものではないのだということをあそこで説明しておるわけであります。なぜそうでないかというと、個人々々の意思がいくら集計されてみたところで、それが全体という意思に相成るのだと、こういうことです。全体は全体としての内在的な、而もそれを超越するところの意思が考えられなければならない、こういうことを説明しているわけです。言葉は少し違うかも知れませんが、併しそういう意味のことを述べているのでありますが、あなたのお話によりますというと、国民一人々々の福祉が総合されたものが公共の福祉だと、こういうお話ですから、私はたまたまそれを思い出し、それと同じような意味においてあなたはお話になるのか、こう言つているわけです。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) よくわかりました。少し私は言葉が誤まつておつたかもわかりませんが、私は個々の一人々々の人権を取上げて、そうしてそれが総合されたものが公共の福祉だと、そういう意味ではない。今堀委員の御説明のように、いわゆる団体の意思と申しましようか、団体の意思と申しましても、個人の意思が、これは一人一人合致したものが団体の意思というわけではない。やはり個人と離れての団体の意思というものはあろうと、我々は考えられるのであります。やはり公共の福祉というものは大きな観点から見て、何がこの全国民の福祉を招来するものであるか、又それによつて全国民の多数の基本的人権が維持されるものであるかという、その観点から私は判断するものである、こう考えるのであります。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 全国民の福祉というお話でありますが、余り議論めいたことは私はここでは遠慮しようと思いますが、併し全国民という言葉についてお尋ねいたしたいと思います。全国民と申しましても、国民の間の利害関係はいろいろ対立しておるのであります。決して一様ではないのであります。例えば使用人と労働者といつた工合に、利害の対立するものがありましようし、又使用人相互の間でもそれぞれ経済的な利害関係は対立しております。又労働者でも同じように、利害関係があると思います。社会の構造が一様ではありませんから、全国民と申しましてもなかなかそれは一様なものだとは考えることができない。むしろ全国民である、国民一般であるということの考え方によつて、そういう抽象的な考え方によつて、例えば公共の福祉というものをその時の政治権力によつて如何ようでも解釈できるという面が出て参ると思うのであります。私はその意味において、全国民というものをどのように法務総裁は考えておられますか、ちよつと解説みたいなことを私は申上げましたが、全国民というものの福祉を具体的にはどのようにお考えになつているか、それをお聞かせ願いたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 全国民とは、あなたも御主張になり、私も申上げましたように、一人々々の個人全体を総合したものでは、これは全然ございません。その国民のうちにもいろいろな各種の意見を持つ。又行動においても異にしているものもありましようが、併しながら、およそこの国民の意思がどこにあるかということは、大きな観点から推察し得るのでありまして、結局その大きな意思は国会において反映されるものと、私はこう考えておるのであります。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 今のお話ですと、国民の向うところは大局的に推察することができる、具体的にはそれが国会に反映している、こういうお話であります。一応形式的にはそういうことも考えられると思います。併し実質的にはこれを分析して見ますと、全国民と申しましても先ほど申しましたように、経済的な利害関係、その他の諸関係がいろいろ錯綜しておりまして、なかなかそれを大局的に、あなたのおつしやるように大局的につかむということは私は困難ではないかと思います。むしろ具体的に、そのより所をどつかに求めなければならんと思う。私はそこでこれ又解説めくのでありますが、例えば権利の内容について曾つての近代初期の社会におけるところの考えられた内容と、それから二十世紀になりましてからの内容とでは格段の歴史的な変遷を遂げていると思うのであります。その歴史的な変遷を頭に入れまして考えますと、大体国民というものはどういうようなものかということの見当がついて来るのではないか、こういう工合に考える。その点は私が申上げましたような方向においてお示しを願いたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 御説の通り権利の内容につきましては、その時代時代によつて変遷のあることは勿論であります。併し私はこの一つの国家のあり方におきましても、いわゆる大きな筋というものはあろうと考えております。道徳においても然りであります。道徳律においても時代においてときどきその変遷は見るのでありますが、大きな筋には変りはない。例えば親子の関係、子供が親に対して孝養を尽すということは、これは如何なる時代を通じましても動かざる鉄則と考えております。国家においても一つの大きな筋というものはあろうと私は考えております。そこで具体的に申しますと、国内の治安が乱れるということは全国民にとつてこれは大きな影響力を持つておるのであります。治安という面から見れば、これは現在の段階においては一本であるべき筋であります。いわゆる全国民の治安が護られて初めて国民の全人権が擁護される、その立場になろうと考えます。それは一つの大きな筋であろうと考えているのであります。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 時代によつて変遷するが大筋は変らない、それは単に社会秩序ばかりではない、道徳律においても同様であるというお話であります。併しながら、例えば国民という言葉があります。国民という言葉が現われて参りましたのは近代になつてからであります。はつきり国民という言葉が一般に使われるようになりましたのは、大体においてフランス革命前後からだと申上げて差支えない。その以前においてもネイシヨンとか、ナチオンという言葉はないわけではありません。併しその前のネイシヨンとかナチオンという言葉の意味するものはまだ確定しておらなかつたと申上げて差支えないと思います。そのネイシヨンとかいう言葉がフランス革命当時においては当時の市民階級の言葉として用いられ、ナシヨナル・ステイツというのはその市民階級の政治的目的として掲げられておつた。併し今日では市民階級ではなくしてもつと大衆的なものが国民として考えられて来ているようになつているわけであります。つまり国民を形成しているところの要素というものは近代の初期と今日とではまるで違つている。そういう観点から基本的人権乃至は公共の福祉というものを考えて行かなければならんと思いますが、その点に関しまして、もう一度法務総裁の御意見を伺います。法務総裁は只今は治安の問題からそれられてしまつて、肝腎の基本的人権と、公共の福祉に関する問題からそれてしまわれた、私は大変残念だと思いますが、もう一度重ねてお答えを願いたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 国民の利害に一つの見方があるのではないかというように受け取れるのでありますが、私は国家を形成しているものは即ち国民である、こう考えております。根本において変りはないという考え方であります。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 国家を形成するのは国民だというお話であります。確かにそれに違いない。併し実質的にその内容を検討しますれば、歴史に変遷がある。これをもつと古く遡ればギリシヤの国家は当時の奴隷や或いは被征服者は全然含んでおらない。キヴイタスという言葉にしろ、その他の言葉にしろ市民団体という観念です。国家という言葉にしても、国民という言葉にしましても、近代初期と今日とではその内容は、実質的にはその内容が拡大されていると申しましようか、違つてきておる。こういう工合に見なければならんと思う。その点を法務総裁はどのように考えられるか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 御趣旨はよくわかりました。古代国家においてはいわゆる市民の以外に一つの階級があつた。いわゆる奴隷階級というようなものがあつた。併し国家を形成しているのは市民階級じやないか。ところが現代においては変つている。それはまさにその通りであります。現代においてはいわゆる国民が国家を形成しておる。国家の要素は国民である。その点において昔のいわゆる市民階層と奴隷階層というようなものがあつた時代とは大いにその趣きを異にしている、こう思います。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 どうも法務総裁は私の質問をちつとも理解されておらんだろうと思う。そう余りこういう議論を重ねてもしようがありませんから端的に申しますが、今の国民の大半を占めるものは何かということをお尋ねしたいわけです。そこへ持つて来るために私はくどくどとお尋ねしておつたわけなんですが、併しどうも法務総裁はその点を理解できない。結局私の結論としてお尋ねしたいことは、国民の大半を占めるものは何か。その権利を擁護することこそが公共の福祉に合することではないかというところへ、私は持つて来たかつたのであります。ところが残念ながらどうもちんぷんかんぶんなお答えばかりされるので、どうも的を外れてしまつたのですが、その結論のほうをお尋ねいたしましよう。一体法務総裁は今の国民の大半を占めているところの、いわゆる勤労階級です。労働者であるとか、農民であるとか、中小企業も含めて一切の勤労者階級というものが国民のうちにおいて大半を占めるものではないか。従つてその人々の基本的権利こそが公共の福祉そのものに合致するのではないかということをお尋ねいたします。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 勿論この国民の大多数を占めているのは勤労者階級に違いありません。その勤労階級にはいわゆる工場労働者もおりましようし、農民もおりましようし、今述べられた中小企業者もおりましよう。これらが国民の大多数を占めているということは申すまでもないのであります。これらの人たちの権利を擁護するということは勿論必要であります。併しこれは一国の政治を司る者といたしましては、全国民をやはり考えなくちやならん。大衆に無論重きを置くは当然でありましようが、併しながらその以外の国民の福祉も又これ閑却することはできない。大局的から見て何が公共の福祉であるかということをその時によつて判断すべきであろうと私は考えております。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 まだ十分に私は回答を得たようには思わない。国民の大半を占めるものが、働く人々であるということを御承認になつておられる。併し大局的には国民の自由を保つ、或いはその幸福を願うということが政治家の、政治をする者の責任であるというお話のようでありますが、抽象的には確かにそうだと思うのです。併しいずれの時代でもその国民と呼ばれて来た人の中で、大半を占めるものが、例えば自由の担い手、自由の享有者にしても、近代初期の自由の享有者は市民階級だけであつて、いわゆる当時の労働階級にはそれが及ばなかつた。併し時代の変遷と共にそれが労働階級にも及んで来たということは、これはもう初歩の歴史が教えるところでありまして、何も私がくどくどしく申すまでもないと思うのであります。でそのようにいずれの時代でも若干の犠牲はあると思いますが、併し歴史の発展の上から申しますと、例えば自由の享有者の国民の中に占める要素というものが次第に拡大されて来たということは見逃すことができない。而も拡大されて来た新たな要素こそが国民の大半を占めるものであるとするならば、それこそが新らしい権利の担い手として現われなければならんものであるという工合に考えるのでありますが、その点について如何お考えですか。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 勿論国民の大半を占める、要するに大衆に対しての施策というものを十分考慮するのは当然なことでありましよう。併し国家の政治を行う上においてはすべて広き観点からこれを総合して判断しなければならんのであります。いずれの階級、或る特別の階級、そういうものに対して特に重点を置いて施策をするということはそれは行過ぎではなかろうかと思います。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 その問題はそれくらいにとどめましよう。  次に、この破壊活動防止法案を出された理由として現在の情勢を御説明に知り、暴力的な破壊活動に対してはこれを国民の公共の福祉という建前から取締るべきであるというお考えでありますが、そうしてそれに対しまして、その理由としましては、更に占領時代においてはマツカーサー元帥の指令なり或いは覚書なり、その他の指示なり或いはそれに基いたところの政令なりが占領時代には存在していた。ところが占領の終了と同時にそういうものがなくなつてしまつた。従つて例の空白状態ができるからして、そこで破壊活動を行うところの団体に対して規制をする必要があるのでこの法案を出された、こういう御説明をなされているわけであります。ところでこれを率直に見ますと、一体占領時代にいろいろな制約が、向う側からの指示なり指令なりで行われ、それに基いて政令が出された。そうして一応占領時代の秩序を保つておつた。それがなくなるので今度新たに破壊活動防止法案、そればかりではないでありましよう、一連の治安立法が出されたということになりますと、結局占領秩序の継続ではないかという疑いを一般の人々に与える筋はないか。勿論占領時代の継続ではないとお答えになるだろうと思いますが、併し実質的に申しますと、やはりそういう点が非常に大きな問題になつて来ると思う。私今日資料を持つて来るのを忘れましたが、ルーモンドの丁度五月五日の社説であります。これはメーデーを批判した社説の中にあつたと思いますが、正確なことはちよつと忘れましたが、こういうことを述べておるのであります。メーデーのあの事件が起つたのは、或いは共産党いろいろな陰謀や何かもあつたかも知れない。併し何よりも大事なことは占領軍が占領後もなお継続して駐留していること並びに吉田政府が反動的な諸立法を行なつているのだというようなことが、メーデーのああいう事件を勃発せしめた大きな原因であるということを述べておるのであります。それからロンドンタイムズの五月の三日か四日頃の社説だと思います。東京の騒擾事件という題で書かれた文章の最後のところに、これも正確な言葉は、私は何も資料を持つておりませんので忘れましたが、こういうことが書いてある。この騒擾事件によつて我々は一つの教訓を得た。それはどういうことかというと、占領後もなおアメリカの軍隊が日本に駐留していることである。こういう事実についての教訓を得たのであるというようなことを述べているのであります。従つて率直に何らの精神もなしにこの法案を見ますと、前には占領時代にはいろいろの政令や指令によつて占領秩序が保たれた。これがなくなつたからこれが代るのだ。而もその内容は極めて基本的人権に対して制約的な分子を含んでいる。従つて占領秩序が別の形において継続するのではないかというようなことが考えられるのであります。この点に関しまして法務総裁の御意見を伺いたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 只今御質問の点につきましては昨日私がはつきり申したのであります。この法案は決一して占領後の空白時代を補うために作つたものではありません。我々は独立国家として将来如何にあるべきかということを十分考慮した上において、かような暴力的破壊活動を行うような団体に対して規制をしなければ日本の将来の治安というものは維持はできない、又真の平和民主国家を建設することができない、そういう確信の下にこの法案を提出したのであります。又外国人の批判はいろいろありましよう。ありましようが、我々は又その見解を大いに異にしておるのでありまして、それに対する我々の意見というものは、この席上で申上げることは差控えますが、見方はいろいろありましようが、我々は日本の独立国家としての将来のあり方を十分考慮して、そうして必要止むを得ざるものとしてこの法案を作成したのであります。繰返して申しまするが、決して占領後の空白時代を補うというような単純な考えではないのであります。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 只今のお話の中に私重大な問題があると思います。というのは、外国の新聞がどのように批評を加えよう自分たちはそれと見解を異にしている、見解を異にされることは私は差支えないと思うのです。併し外国の新聞、わけてもロンドン・タイムスであるとか、フランスのル・モンドであるとかいうような新聞は、世界の新聞界においても代表的な新聞であります。一つはイギリス人の大体輿論を代表するものと見て差支えないと思います。他方は又フランスの輿論を代表するものと見て差支えないと思います。私新聞を実は整理しておつたのですが、忘れて来たのですが、若し出せということならば、例えばアメリカのニユーヨーク・タイムズに現われている批評、或いはクリスチヤン・サイエンス・モニターや、マンチエスター・ガーデイアンに現われておるような批評というようなものを抜書してお目にかけても差支えないと思います。併しこれらの批評は外国の新聞であるから、これに我々は耳をかす必要はないというようなお考えは私はどうかと思うのであります。先ほど輿論に関して私申上げましたが、輿論を尊重してこそ本当の民主的な政治家ではないかと私は思うのであります。いつか私が吉田首相に一般施政方針に対する質問のときに、やはり外国の新聞の批評を引例しまして申上げたことがあるのでありますが、そのときも吉田さんは、外国の新聞はどう批評しようとそういうことは自分の関知するところではないというようなお話だつたのでありまするが、併しそれは決して民主的政治、殊に今後独立国家として国際社会に立つて行く場合において、イギリスの代表的な新聞、フランスの代表的な新聞がどのように批評しようとそれは自分たちの関係するところではないというような態度は、私は民主政治家としてはとるべきじやない。木村法務総裁が若し吉田首相の言われるような態度を、やはり同じ閣僚としてとらなければならないというのであるとするならば、私は重大なことではないか。むしろ法務総裁は民主的な政治家として、吉田さんに、新聞に対する吉田さんの態度ば改められたほうがいいという工合に忠告されるのが、本当の民主政治家としての私はあり方ではないかと思う。そういう意味におきまして、輿論を無視される態度を私は改められるのが当然ではないかと思いますが、その点に関して重ねて御発言をお願いしたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は外国の新聞を無視するということは申上げません。只今御引用になりましたこの駐留軍の関係であります。メーデーが、日本にアメリカの駐留軍が存在しておるから、それが一部の原因をなしておるのであるとか、或いは駐留軍が日本においては不必要であるというような議論であれば、私はそれと見解を異にしておる、こう申上げたのです。我々も政治をとる上におきましては、各種の意見というものは十分に尊重して耳を傾けることは当然であります。ただ私は今御引用になりました内容についてはまだ詳細に存じておりませんが、さような御議論であれば我々はその見解を異にしておると申上げたのであります。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 次にお尋ね申上げたいのは、破壊活動防止法案の対象としているところの破壊活動というものがなぜ起るかという問題であります。法務総裁のこれまでのお説によりまするというと、特定の政党が破壊活動を企んでこれを行う……、或いはそういう面があるかと思います。併し私の考えるところによりまするというと、もつと根本的な問題がそこにあるのではないか。つまり具体的に申しまするというと、国民の生活というものが日に日に苦しくなりつつあるということが根本的な原因ではないかと思うのであります。成るほど吉田内閣の閣僚にお尋ねいたしまするというと、生産の指数は戦前に比べて一四〇何%にもなつている、或いは実質賃金の割合も大体八〇何%になつており、おおむね経済に復興しつつあるのだといういつもお話をなさるのであります。併しながら実際に我々この社会の状態を見ておりまするというと、決して国民の生活が安定の方向に向いておるとは考えることができない。殊に二十七年度の予算、或いは今後の予想されるところの予算の面から見まして、或いは又いろいろの制度の面から見ましても、今後の国民生活というのはなかなか容易ではないのではないか。失業者も殖えるであろうし、決して思うように東南アジア方面への貿易の伸張ということも考えられない。そうなつて来るというと、国民生活というものは極度に破壊される。皮肉な表現を用いるならば、破壊活動防止法案を若し適用されるとするならば、第一に吉田内閣ではないか。国民生活を破壊するもの、これは以上の破壊活動はないのではないかというような皮肉な表現も場合によつてはできるのではないかという工合に考えるのであります。で法務総裁としてはこの破壊活動が行われるのは、根本の原因というものをどのように考えているか、それを承わりたいと思うのであります。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 国民の一部にして生活に苦んでおるという事実は、私は率直に認めざるを得ないと思います。政府においてはさような点について今後とも十分な施策を施したいと考えるのでありますが、併し今掘君の言われたように、国民全体が極度に窮迫しておるとは考えておりません。これはよりよき生活をして行くように十分の施策をとるべきは当然であろうと考えておるのでありまするが、併しながらさような点においては、これは政府ばかりじやなく、一般国民においても十分にその点に考慮を払う、殊にこの民主政治治下においては、国会を通じてそれらの施策の推進を図つて行くべきであろうと、こう私は考えておるのであります。でこの法案の狙いは、繰返して申しまするごとく、暴力を以て国家の基本秩序を破壊せんとする団体を規制し、その他の行為を罰する規定を設けるにあるのでありますが、要は根本の事態を十分認識することが必要であろうと考えております。勿論一部において、この国民の生活の窮迫を利用して、そして自分らの政治を暴力を以て推進するという事実もあるのであります。それと同時に根本において或る一種のイデオロギーを以て、それを日本に推進させようというような考え方からして、暴力を以て国家の基本秩序を破壊せんとするというようなものもあるのであります。いずれの点から見ましても、民主政治においては暴力というものは我々は否定せざるを得ない。否定すべきである、こう考えております。これは政治の運営、殊に国会を通じての施策を十分に推進させることによつて、初めて民主国家が成立するものであろうとこう考えます。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 只今の御意見ですと、特定の団体が破壊活動を起すので、ここでこの法案が必要だ、こういう工合の御説明のように窺えたのでありまするが、私のお尋ねしているのは、一体国民生活というものの安定ということより、根本的な問題はないではないだろうか。国民生活が安定しなければ常にそういう問題はあとからあとから起つて来るのではないかという工合に考えられる。若しそうとするならば幾ら取締法を作つてこれを取締つてみたところで、団長生活が安定しなくては到底十分な取締りはできず、而もそういうような情勢の下においては、あなたのおつしやるところの破壊活動を営むような団体の発生ということはこれは避けられないと思う。そういうことになりまするというと、結局権力を以てこれを取締り、更にその権力を倍加して行くためには、権力と権力、力と力との対立となりまして、私は却つて破壊活動の中でも一番恐ろしい革命とか、或いは内乱とかいうようなものを、この法案そのものから誘発する結果になりはせんかということを私は恐れるのであります。そういう意味において、一体破壊活動のもと、本来の原因はどこにあるかということをお尋ねいたしているわけであります。重ねてお答えを願いたいのであります。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 勿論国民の生活上の不安は一掃しなくてはならんのであります。併しながら国民の不安の、生活上の不安なきときにおいても、暴力を以て自己の意思を推進しようというような団体が、これまでもなかつたのではないのです。歴史においてはあるのであります。現実において日本にもあつたことは御承知であろうと考えております。勿論一国の政治としては、根本的に国民の生活の安定、この必要なることは言を待たないのであります。併しこの国民の生活上の安定と同時に、我々は国民の治安を、国家の治安を守つて行くということは急務であろうと考えております。両々相待つて初めて私は日本の民主政治というものはここに全きを得るのではなかろうか、こう考えております。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 最後にもう一度その点を念を押しておきますが、そうすると法務総裁は、具体的に言うと共産党でありますが、共産党が破壊活動を起すのだ、こういうお考えですか。その点を……。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は共産党とのみは申しません。その団体は如何なる団体であろうとも、この法案によつてその対象になるべきだと思います。勿論現下の事態においてさような危険分子が存在しておるということは事実であります。それが右たると左たるとを問わず、いやしくも日本の国家治安を紊さんとするような団体に対しては、この法案によつて規制すべきであろうと考えております。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 私がお尋ねしているのは、なぜ破壊活動を起すかということです。共産党といえども、例えば自分たちの主張するような政策なり、或いは綱領なりが、何ほどか民主主義の政治を通じて実現されるならば、又国民生活が、主として国民生活の安定ということが一番問題になると思いますが、それが安定しているならば、そうあなたの御心配になるようなことはないのではないか。現にイギリスや、アメリカを御覧なさい。共産党の勢力はないじやありませんか。なぜないか。これはいろいろ御議論があると思いますけれども、私はやはり国民生活の安定、特に社会保障制度というものが完備しているというところに、私は一つの理由があると思います。そういうことを考慮されないで、徒らに取締り、取締りということで臨まれるということは、結局現在の制度の破壊ということを誘発される原因に私はなつて来るだろうということを恐れる。それでお尋ねしているわけなんですが、その点について御所見を伺つて私の今日の質問は終ることにいたします。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 我々はこの組織の取締りのみを以て、この国家の治安を守ろうとするのではないのであります。これはあなたの仰せになるように、国民の生活を安定せしめる、この面において、大きな期待を持つておるのであります。併しながら現下の情勢におきましては、或るイデオロギーを持つて、日本の基本的根本政治組織を破壊しようとするような意図を持つておる者があることは事実なんであります。それらの点を考慮いたしまして、我々は民主政治を守る建前においてこの法案を作成したのであります。決して個人的の人権を無視したりするようなことのないような建前をとつて、ただただ国家の基本秩序を破壊するような、そういう暴力団体を規制するというに過ぎないのであるということを重ねて申上げます。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 次は重盛君に発言を許します。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 私はこの法律は日本の今の現状では、一言にして言いますならば、出す必要がないと思います。今まで配られたいろいろな資料によりましても、又公聴会等を通じまするところの一般国民の意見等を聞きましても、今の日本の現状ではこれを提出する必要がないのではないか。従つて政府の良心的な撤回を望むという建前に立つものでございますので、そういう建前からこの法案を見まする場合、何かこの法案を出すこの動機が、政府自体が非常にいわゆる目に見えない影響におびえて、そうしてこれを作つているのではないか。若しそうでない、そうでないということであるならば、こういう目に見えない影を一つ取締るのだということに便乗して、率直に言うならば、反対党の弾圧のために、政治的効果を狙つて作つた法案ではないかというふうに考えられる。そういう意味からいたしますならば、憲法に保障する言論、集会、結社、出版のすべての自由を制限するものであつて、今までのすでに議論の中で当然言い尽されたことであり、多くの参考人等の意見等の具申もあることでありますので、この際法務総裁としてはこれをこの多くの公聴人等の公述に基いて、一体修正をする考え方があるかないか。もつとできれば国民を信頼して一遍一つ撤回するというような御決意があるかどうか、先ずその一点からお伺いして見たいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) その点についてはしばしば申上げたのでありますが、我々はこれはどうしても日本の現下の情勢に鑑みまして、必要欠くべからざるものと考えております。撤回の意思はありません。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 これは、私の意見に今のように非常に簡単な答弁で、要領を得ない簡単な答弁でありますが、これも私の言うことだけに答弁を願いたいのですが、これは私はやはり日本の国民性というものをもう少し政府全体、特に法務総裁に知つて頂かなければならない。もつと率直に言うならば、信用してもらわなければならんのではないかということは、日本の国民性というものが、私が申上げるまでもなく、法律で拘束して、縛つてものをやらせるということではなかなか動かん。そうしてこの枠にはまつて来ないのです。言い換えれば、叩けば反撥するという性格を持つておる。それを逆に本当に信頼して協力を求める。而もそのことがただ表面的な言葉だけでなくて、民族的な一つの感覚に立つて日本の再建という大きな大義名分の、且つ方針によつて、日本再建のために国内の治安はこうしてもらわなければならん、一つ御協力を願いたいというような態度が明確に打出されるならば、決して内乱も起らんし、若し起つたと仮定いたしましても、そうした民主的な勢力によつてこれは抑圧できて、法務総裁のお考えになるような心配は毫末も私はないと、かように考えておりますが、日本の国民は私の言うような角度では信頼できないのでありますかどうか、一つ法務総裁の御所見を伺いたいと思います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) 重盛委員の仰せになりました国民を信頼せよ、誠に御尤もであります。国民を信頼し、又国民から信頼されなければ、一国の政治というものは円満に行われない、こう考えております。私はこの法案を作成するに当つて、決して国民を信頼しないわけではありません。大いに国民を信頼しておるのであります。国民の力によつてかような破壊的な行動を未然に防ぐということを期待しておるのであります。併しながらつぶさに現下の情勢を考えてみまするに、なかなかそうは参らんのであります。政府におきましても相当の手を打つ必要があるということを慎重に考慮いたしましてこの法案を作成したのであります。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 そうすると、まあ一部は信頼もできるが大部分信頼できないのがおるから、幾ら国民の大部分が反対しても、これは作らなければならんのだ、こう解釈してよろしうございますね。それでそういう意味からまあ一つその御答弁があいまいであるように、この法文全部に亘つて私は非常にあいまいであり、巧妙な文字が使つてあると思うのですが、時間がありませんから二、三の例を挙げて御質問申上げますが、第一条にこの法律の目的としては「破壊活動に関する刑罰規定を補整し、もつて、公共の安全の確保に寄与することを目的とする。」ということになつておりまするが、こういう場合公安審査委員会、公安調査官及び末端機関の人権侵害に対してこれはもう今まで質問がたくさんあつたことと存じまするが、どういう処罰をするのか、単なる従来のような訓示規定とかいうようなことは、法の内容から言つて不公平であるし、又こういう点から行きますと、訓示するにとどめるということでありますれば、過去の経験から見て人権の保障とはなり得ない。いわゆる弾圧法規になつて来るというように考えられますが、この点一つお願いいたします。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。この法案に規定する公安調査官がその権限を濫用いたしまして、国民個人に義務のないようなことを行わせたり、或いは行うべき権利を妨害したような場合におきましては、これは公務員の職権濫用が成立するのでありまして、当然刑法百九十三条の罰則に触れる行為であろうと考えます。これらの行為がありました場合におきましては、検察庁、警察等におきましても捜査を発動する建前になつております。又この法案第二条に掲げるような基準を逸脱するような濫用行為が行われました場合におきましては、国家公務員の懲戒に関する制度もございまして、懲戒の処分を受けざるを得ない、かように考えておる次第であります。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 次に三条になりまするが、三条の団体とは、特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体であると、こう書いてあるのでありますが、このようなあいまいな条項は、私は却つて拡張解釈をせられる、幅の広い解釈をせられる可能性を暗示するものであるように考えるが、特定という文字の解釈は当局の主観によつてどういうようなふうにも左右される。私はこの文字一つからでも治安維持法の再現の危険性が非常に濃いと思う。例えば例をとりますならば、労働組合において一つの決議をする、そうしてそれをデモンストレーシヨンを起して政府に迫る、或いは政府打倒というような大会の決議、これはやはり決議ですから、労働組合がすぐこれで実行して大会決議を実現して政府が打倒できるということではないのだが、そういうことのためのデモンストレーンヨンを起して国会などへやつて来る、或いはこういう場合に警官隊が阻止して、その阻止……、警備線を突破した、或いは組合の会合に調査官が来たときにこれを拒否した、そういうような場合に第三条二のイとか、或いはニ、リに該当するかどうか、仮に該当しないとしても、調査を第二条二項の二によつてする必要があるのかどうか、又先ほど言つたように調査を拒否した場合に当局はどういうような態度をとるつもりか、こういう点をちよつと聞かして頂きたいと思います。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) この法案第三条第二項に規定いたしました団体の定義は、団体の社会的な実態に着眼いたしまして、これを規定したものでございます。今日いろいろな法律におきまして団体という言葉が非常に多数使われておるのでありますが、大体その社会的実態に基きまして、団体とは何かという場合におきましては、ここに定義したと大体同様な定義が下されておるのであります。でこれを要するに団体とは単純な個人の集りではない、群衆ではない。又一時的な集会ではない。少くとも多数の個人がその社会活動、いろいろな社会的な活動を遂行されるにつきまして、その共同の目的を達成するために結合されまして、そこに個人とは離れた団体の意思というものを決定いたしまして、この意思に基いて役職員なり、構成員のかたがその意思実現のためにいろいろな行為を行う。かような行為が団体の行為と認められる。かような建前になつておるのでござまして、たまたま団体の構成員が、団体の意思決定とは関係なくいろいろなことをおやりになつても、それは団体の活動ではない。それは全然団体の活動とは認められないと、かように考えておるわけでございます。従いまして団体が単にデモンストレーシヨンという大衆行動をやろうということを、団体として意思決定いたしまして、構成員なり、役職員のかたがそういう行動に出る。そういう場合に、たまたま構成員、役職員のかたにおかれまして、間違いを起したという場合には、それは団体の活動とは認められない。やはり団体がそういう犯罪行為をやろうという意思決定がなければ認めない。その意思決定に基いて役職員なり、構成員が行動を起しました場合においては、これは団体の活動と認められる。かような意味に解しておる次第でございます。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 そうすると、例えば労働組合がデモンストレーシヨンをやつた。その中に一部の左翼分子がおつて、そうしてその者が特別な行動をやつたというような場合には、その場合、その労働組合は規制団体の対象にならんという解釈ですね。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) さようでございます。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 そうすると、まあ似たようなことで何度も皆が聞いておるのですが、第三条の扇動の規定ですが、これも非常に概念的に言つて不明瞭なものであつて、扇動というものが、判然たる目的を持つ場合と持つていない場合、特に意図を持つていないものが多いのであります。政府はこういう点に対してどういう考えを持つておるか。単なる扇動を或る目的や、そうして政党に結び付けるということは、審査官とか警察官の恣意的な認定、いわゆる手柄を立てようというようなことのために、例えば一つあすこの大会でどういうことを決定しておるが、見て来よう。実際見た内容では、何ら報告すべきものがないが、折角来たものだから何かおみやげを持つて行かなければならん。これはあり得ることなんです。常に又従来もやられておつたことなんです。そういうふうのこの規定に対する保障というか、それはどういうふうに考えておられますか。御答弁を願いたい。

岡原昌男法務府検務局長

○政府委員(岡原昌男君) 扇動の範囲につきましては、当委員会におきましてもしばしば御発言がありましたことで、御説明申上げておるのでございますが、その内容といたしましては、ここに掲げておるような特定の犯罪の扇動であるということが必要でございます。従いまして単にまあわかりやすい言葉で言うと、やれやれ、大いにやれ、しつかりやれといつたような、いわゆる俗にいう扇動と申すものは入らないのでございます。ここに掲げるような特定の犯罪行為を内容とする、さような犯罪行為をやれと言うことを扇動と申すのでございます。従いまして、その具体的の只今おつしやつたような場合におきましては、単に言葉尻をつかまえて行動に移るというようなことはあり得ないのでございます。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 私も極く不馴れなものだから、三十分と言つておきましたが、質問する時間が三十分であつて、答弁の時間まで入れての三十分ということではないので、若干長くなるかも知れませんからお断りいたしておきます。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) どうぞ御遠慮なく。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 十四条の三項だと思つたが、新聞記者、そういつたような関係者が「手続を傍聴することができる。」としてありますが、この手続ということは、この法令に盛られた、特に三章等に盛られた一切の手続、それから報道、こういうものを全部を新聞記者ならば行つて見ておつてもよろしいと、こういうふうに書いておいてよろしいかどうか。それから十四条における立会人五人の規定は一体どういう理由を以て五人と制限したのか。司法裁判所においてさえ、私が申上げるまでもなく、公開審理の原則が保障されておるのに、行政処分のような、而も政治的な色彩の濃い、規定の濫用の恐れがある、こういう行政機関の審理が、公開を排除したというようなことは、これは何といつても憲法違反だと、こういう工合に考えておりますが、この点に対してお答えを願いたい。

関之法務府特別審査局次長

○政府委員(関之君) (第十四条の第三項の傍聴する手続、手続の内容でありまするが、これは第十条以下に定めてありまする公安調査庁の審理官が行う審理の手続だけであります。公安調査長官は、長官が団体に対して規制の処分をする必要がある、その委員会に対して請求をしようと思うときには、審理官に命じまして当該団体から意見、弁解を十分に聞きまして、そして団体側の有利な証拠は全部提出し得るというシステムを十条以下に規定しておるわけでございます。その手続を新聞記者は傍聴し得る、かようなことに相成つております。  次に、十四条の第一項に、五人以内の立会人と、五人というふうに数をここに限つてあるのでございますが、これはこの五人は当該団体側から選任するものでありまして、手続全体として公正を保ちたい、かような観点から、当該団体だけからかような五人の選任をする。そしてこれに第三項におきまして新聞記者のかたがたの傍聴を得たならば、手続の公正は十分に保障ができるのだ、かように考えて、この規定を設けた次第でございます。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 そうすると、大体新聞記者はあらゆる場合に傍聴できると、こういうふうに解釈していいですね。

関之法務府特別審査局次長

○政府委員(関之君) この第三章におきまして、破壊的団体の規制の手続というのが第三章に規定してあるわけでございます。これは今申上げたように、長官が規制の処分を委員会に請求しようと思いましたならば、その事前の措置といたしまして、団体側に一切の手持ちの証拠を見せたり、或いは団体側から一切の有利な証拠を提出して来る。十分なる手続を講ずるのであります。その一切の手続を傍聴することができるということになるわけでございます。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 そうしますと、この十五条に、あなたの言われたようなことは十三条に言われておつて、十三条で審理官に対して事実の意見を述べ、有利な証拠を提出することができることになつておると、こういうふうになつておりますね。十五条の規定は、審理官が不必要と認める証拠は取調べることを要しないということが規定されておりまするが、従つて審理官の考え方如何によつては、十三条で五人のあれが出て来たり、そして実際有利な意見を述べようとしても、その有利の……、私非常にひがんだ見方をするかも知れませんが、意見を述べることによつて、審理官が困るような場合も出て来るのじやないか。そういうことでなくて、本当に述べようとしても、もうそれを聞く必要がないということで抑えようとすれば抑えることができるわけです。折角十三条で十分に意見を述べることができると書いたのならば、殊更十五条に、不必要と認めた証拠は取調べることを要しないというような字句を入れる必要がないように考えるので、従つて十五条などは、私の考え方は素人的な考えですが、こういう条文は削除してしまつてもいいのじやないかと考えますが、この点どうですか。

関之法務府特別審査局次長

○政府委員(関之君) お尋ねのこの十五条につきましては、これは立法の形式的な例といたしましては、民事訴訟法二百五十九条に同様な規定が書いてあるわけでございます。これは要するに訴訟の進行方法を適正合理化するという趣旨がら出ているものと私どもは考えているわけであります。そこで当初におきましては、「審理官が不必要と認めるものは、」というふうになつておつたのでありまするが、これは衆議院におきまして、「不必要なものは」というふうに訂正いたされたのであります。そこでその条文から見ますると、審理官が自由勝手に、何でもできるというようなふうにお考えになるようなふうに誤解を招くことがあるのでありますが、併し内容におきましては、すでに民事訴訟法などの規定からも明らかでありますが、次の場合もこの場合であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。第一には立証の趣旨が全く不明なもの。何を立証しているか全然不明なもの。二つには事件と全く関連性がないもの。又三つには審理を遅延させるために提出したもの。かようなものがこの不必要のものに該当するものと考えておるわけでございます。  なお説明を補足いたしますが、十六条におきまして調書を作成するわけですが、そこですべてのそれぞれの経過は全部この調書に明らかになりまして、それが委員会において審査の対象となるのでありまして、そういう意味におきまして、闇から闇に葬られるということは全然ないのでありましてすべて調書に明らかになりまして、委員会におきましてそれが審査されるということになつて、勝手なことはできないことは申すまでもないのであります。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 これはまあ立法の一つの方法だということになればそういうことかも知れませんが、今あなたの述べたようなことでありますならば、少くとも審理官というのが常識的に考えて、そういうものはこれに関係がない、調べる必要がないと言うても足りることであつて、運用されるような条文は、もう少し考え直して頂く必要はありはしないか。これは私の意見でありますが、申上げておきます。  それから次に、これは午前中に菊川さんからも、その他の人からも質問があつたと思いますが、団体活動の制限、或いは解散を受けた団体が、構成員が変つた場合でも復活できるかということは、例えば、必ずしも正常なる手続によつて、はつきりこれは解散すべき団体だという場合はあり得ない。そういうことのみでなくて、間違つた認定をされる場合があるわけですね。それで解散を受ける。併し解散を受けた団体の中の構成員は、その極端な例を言うならば、その団体の主謀者が共産党員なら共産党員であつた。これがこの団体を牛耳つて行くのなら、これは不都合だから解散を命じた。ところが下部組織が残つて、次に責任を持つた者が、そういう色づけがされておらず、而も破壊的な考え方を持たない者が、例えばこの法律から言つても、日本民族という良心的な考え方から言つて、この法律には牴触しない。それだから我々はやはり同じ名前で団体を作ろう、もつと突込んで言うならば、労働組合、私の知つておるところでは東京交通労働組合、これに解散を命じたとする。併し一部の分子が変つたばかりでなく、内容も変え、そうして責任者も変えて、今私が申上げたような形にして、組織を更に作つて来たという場合に、どういう判定を下しましようか。それで私どもは当然そういうような場合には、これはもう復活してよろしい。勿論一方でこの場合裁判するとか何とかいうことが起きて来ましようが、その裁判というと、午前中の菊川君の議論のように、一年も二年もかかる。それに金を使つておるということになると、その金だけでも組合が潰れてしまう。併し労働組合に若しこれを当てはめるとすれば、今日労働組合の解散を命ぜられたとしても、明日は、その労働組合は、その分子を、一部分を一応除去して、新らしいものを作つて行かなければならん。こういう場合にこの条文を当てはめられる場合には、どういうようにこの条文を当はめられますか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 御質問のような場合でございますれば、大体解散というのは、最後のぎりぎりの措置でありまして、大体におきましては第四条の処分で賄つて行きたいというのが、この規定の立て方になつております。で或る団体につきまして極く少数の幹部が極めて危険なかたがたでありまして、これらの幹部のかたがたが、団体の活動として破壊活動をおやりになつて、どうしてもそれは団体の活動と認められるというような場合におきましては、第四条の処分によりましてその幹部のかたがたが排除されるということだけでとどまるのでありまして、その余の団体は存続するわけであります。そういうような、只今仰せのような団体でございますね。一般の大衆は極めて温健なかたがたで、極く少数の危険分子が牛耳つておる。これが団体を引きずり廻す、そういうようなものにつきまして、第四条の処分だけで、十分にその危険性が防止できるというような場合におきましては、大体第四条の処分をすることが必要且つ相当な場合であろうと考えておるのであります。第六条の解散というのは、よほどぎりぎりに迫つた最後の場合である、その解散の理由も絞つてあるというようなわけでございます。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 いま一つ、二つですから……。三十三条の関係人ということはどういう意味か、例えば関係人がその身分証明の呈示を求めた場合には、関係人が東大のような場合に学生が、あんたは一体何だ、身分証明を見せろと言つた場合に、見せ得るかどうか。或いは労働組合に入ろうというようなときに、組合の幹部でない組合員が、身分証明を求めたというような場合に、この関係人ということになるかならんか。これは又ついでにですが、二十六条に、公安調査官は、必要な調査をすることができる、というのでありますけれども、この必要な調査ということを、勿論先に労働組合等をおびやかすものでないということは規定されておりまするけれども、当然この法律ができますれば、労働組合等は、先ほど冒頭申上げましたような、あの労働組合は何をやつておるか、一つ行つて見て来いというような軽い命令が出てのこのこやつて来ると、こう思うのですが、そういうときに、労働組合にやつぱり本当にやつて来るのかどうか。それから労働組合に若し来た場合には、第二条に牴触するのかしないのか、第二条で組合運動を妨げるものでないことは明確にされておりますけれども、こういう点もう少し明確な、一つ御答弁をお願いいたしたいのであります。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 先ずお尋ねの第三十三条の関係人の範囲についてお答えいたします。これは「職務を行うに当つて」ということに相成つておりまするからして、二十六条あたりによりまして「調査をする」、これは全く任意の調査でありますが、その調査に当つてのそれに御関係になるかたがたということにやはり相成るわけでございます。次にお尋ねの、あの労働組合に行つて調べて来いというような場合のことでありまするが、この調査は勿論第二条かが頭に被つておるわけでありまして、規制のための調査は、すべて前条に規定する目的を達成するために必要且つ相当な限度においてのみこれを行うべきでありまして、それを逸脱して、何ら容疑のないところへ以て来て、行つて来いというようなことは考えられないところのものであります。そしてこの二十六条は、もとより全く自由な調査でありまするからして、仮に公安調査庁の調査官が団体に参りまして、いろいろなことをお尋ねする場合にも、相手方団体におきまして、断ることは、これは自由でありまして、困る、お帰り下さいと言えば、それはもうそれ以上のことは調査官はできないのであります。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 聞き漏しましたが、そうすると身分証明書は誰にでも見せるということですか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 公安調査官が道路を通行しておりまして、一般の通行人が、おい、お前見せろ、ということはできないのです。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 それでは大体わかりましたが、最後に三十六条に「法務府令」ということがありますが、あとで一体できるわけですか。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 勿論法務府令が公布制定されましたならば御参考に差上げたいと思つております。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 この法律を完全に木村法務総裁が考えておられるような形で国内全部に施行するという場合の費用は一体どのくらい要しますかお答え願います。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) まだその点についての詳細な何はないのでありまして、いろいろ検討いたしまして……。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 大体でよろしうございます。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) お答えいたします。まだ予算の金額はきまつておりませんが、大体経常費は四億程度のものを頂戴したと考えております。これに建物、設備その他今年限りの諸設備費がございますが、この金額はまだきまつておりません。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 大変長い時間を有難うございました。それでは質問を打切りまするが、私は冒頭申上げましたように、私どもは関係が違いますので、あと逐条審議その他いろいろに参画さして頂くことはできなかろうと思いますから、この際法務総裁にお願いいたしておきますが、我々はただ反対のために反対するのではなくて、国民が本当にこの法案に対しては非常な不安な目を以て見ておりますので、冒頭申上げましたように国民をもう少し信頼して頂き、もつと率直に言いますならば、日本の国内の全部が吉田さんや木村さんの思うようになるというようなことは、なかなか今の時世では考えられないし、そういう御感覚ではないと思いますが、ややもすれば政府が壟断ずるというようなことにもなりますし、これは余り修正もされずに通つたということになりますと、衆参両院議員は一体何をしておるか、言い換えますと国会の権威にも関係して来るのではなかろうかと私どもは考えますので、十分そうした政治的な面も御考慮の上できるだけ国民の要望するような方向に一つ御決定を願いたいということをお願いして私の質問を終ります。

菊川孝夫日本社会党(第四控室・左)

○菊川孝夫君 関連して一言……午前中にも私お尋ねしたのでありますが、本日五・三〇記念日というので、今日の新聞でも大分大々的な計画があるようで、六時頃になつて参るとどうも危険だというように、あの新聞だけを読んで見ますと、ほうぼうで事件が起きるかも知れないというようなことが案じられておるのでありますが、その後入りました、……特審局長にお尋ねしたいと思うのでありますが、今日はどういう処置を、国民にも余りそういうところに一般の人たちは近寄らんようにとか、何とか警戒の処置をとられておるのか。ただ単にそれが起るかも知れないという想定の下にあらかじめ禁止の処置を、集会の禁止を出されておるのか。これらの点についてわかつておりますれば、今晩のことでありますからお聞かせ願いたいと思います。その後の情勢等についてわかつておる範囲に、差支えない範囲においてお聞かせ願わんと、非常に又ほうぼうで警官と学生とのなぐり合いが起きるというようなことが繰返されて、而も東京のどまん中でそういうことが繰返されては困ると思います。わかつておる範囲。それにこれに対して一般の国民が余り近寄つて巻添えを受けるという危険があるのですが、その点を。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 速記をつけて。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 只今の重盛君の質問の最後の点について、吉河さんが三十六条によるところの法務府令は公布してから参考資料にしてお出しする、こういう御答弁ですが、それは私に対する昨日の要求に対しての御答弁か、或いは重盛さんだからそういう御答弁をなさつたのですか、どういう御解釈ですかはつきりして頂きたい。私の言うのは本案審議に際しまして、この法律がどういうふうに運用されるかというためにあらかじめ知りたいから御提出を願いたい、発布されてから出されたつて役に立たないですから、それは御訂正願つておきたいのですが……。

木村篤太郎法務総裁

○国務大臣(木村篤太郎君) それは申上げようと思つておつたのです。今重盛さんに何したのは、無論確定した法務府令はお手許へ差上げる、それまでに、それを成案を得るまでの過程において、これは相当日数が経ちましようから、大体の要綱は作つて、そうして自由に御検討願えるように御参考にお示しをするということは考えております。

伊藤修日本社会党(第二控室・右)

○伊藤修君 先ほどちよつと堀君からも要求しておきましたが、御承知の通り参議院におきましては、つとに基本人権の保障については関心を持つております。先ほど堀君の言うような無事な人をいやしくも逮捕した、そういう悪い事例があつたとすれば、これは糾明しなくちやならんと思うが、一体そういうことが事実かどうかということを一応伺つておきたいと思います。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それから先ほどの関次長のお言葉の中に容疑という言葉がありましたが、調査官の活動の中に、容疑のある者について云々というお話がございました。これは恐らく失言であろうと思うのですが、不用意に出ました言葉であるかと思いますけれども、これは重盛君の質問の調子に応じてだと思うのでありますが、甚だどうも私ども聞いておつて、先ほどの法務府令の問題もありますけれども、何と申しますか、不用意に御答弁になつておつたように思いますが、その点は一つお取消しなり或いは御釈明を願いたいと思います。

吉河光貞法務府特別審査局長

○政府委員(吉河光貞君) 私案は関政府委員の発言をよく記憶してないのでございますけれども、刑事訴訟法におきましても犯罪の捜査は、犯罪ありと思料する疑うべき理由がある場合に捜査が発動するのでありまして、これが任意の捜査にまあ大体原則といたしまして、又強制捜査権が発動される場合には特別な理由がこれに伴つて来なければなりません。公安調査官は何も疑いもないのに、やたらめつたに人に疑いを想定いたしまして調査するのではないのでありまして、やはり捜査と同じように、調査する必要がある場合、特に疑うべき理由のある場合に調査をしまして、その調査につきましていろいろな場所、ところ、人等につきまして調査しますが、それはやはり必要且つ相当の限度で行われなければならない、かような意味だろうと考えております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 そうするとこれは関連しますけれども、必要な限度ということを容疑という言葉で言われたと、こういう意味でありますか。そうすると調査官の活動の中には容疑という概念と申しますか、事柄が入るのであるかどうか、その点を一つもう一遍御答弁願いたい。

関之法務府特別審査局次長

○政府委員(関之君) この第二十六条において公安調査庁の調査官が行う調査は規制のために必要な証拠資料を集める、簡単に言えばそういうことに相成るわけであります。そこで規制は四条、六条によりまして暴力主義的な破壊活動を行なつた団体が継続又は反復して破壊活動を行うということ、そういうことが一応の調査の対象になるわけであります。やはりこれはそういう疑いがありますれば、これは公安調査庁の調査官は調査しなければならないわけであります。そういうような意味合いにおきまして言葉は或いは容疑と申上げたかは知りませんが、申上げたのであります。御了解をお願いしたいと思います。

小野義夫自由党

○委員長(小野義夫君) 本日はこれで散会いたします。    午後四時四十二分散会

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