文部委員会 第9号
- 発言数
- 52 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/02/22
会議録
○理事(加納金助君) 只今から文部委員会を開会いたします。 本日は天野文部大臣がお見え下さいましたが、大臣は御不快のようでございまして長くここにおるに堪えない、かようなお申出がありますが故に、御質疑は二、三十分の程度においてお願いいたしたいと思います。
○岩間正男君 大臣には非常にお疲れで御不快のところを出席をお願いしまして、非常に恐縮に思つております。文部の問題は、非常にいろいろな問題が発生しまして御多忙で、そのためにお疲れになつていらつしやることに対しまして、非常に我々も憂慮するところなのであります。併しながら問題が非常に緊急を要する問題であり、この前時間の関係上十分に大臣にお聞きすることができなかつたものでございますから、御無理を推してお願いしますことを誠に恐縮には存じますが、この点惡しからず御了承頂きたいと思うのであります。なお問題が非常に山積されておるときでございますから、これに対しましてなお大臣の施策を要する問題がたくさんあると思いますので、御健康をお祈りする次第でございます。この前お聞きしました問題は、最近起つておりますところの、渋谷の駅頭において東大生が日本の憲法を飽くまで守つて平和に徹する、そのために具体的な方法として現在……恐らく今後の日本の態勢の中でとられるであろう青少年の徴兵問題、これに対して飽くまでもこの徴兵を拒否する、そうして兵隊にはならない、再び戦争はしない。こういう決意を持つて彼らはそれを多くの人に訴えて署名運動をやつておる。ところがこれに対しまして、警察が何回か出動して、最後には五百人くらいの警官が出動してこの運動を弾圧したと、こういうようなことが果して正しいことであるかどうか、こういうことに対して学生の指導並びに彼らの教育の衝に当るところの文部大臣としては、どういうふうな態度をおとりになるか、つまり問題は学生たちのそういうような行動並びに憲法擁護の運動に対する現在の日本の警察の行動、これに対して文部大臣はどういうお考えをお持ちになり、又これに対してどのような御処置をおとりになるか、この点が私は非常に重要だと思うのであります。言うまでもなく、これは戦争前におきましては河合事件や、滝川事件でも明らかなように、こういう自由主義者まで最後の段階におきましてはこれは弾圧されたのであります。そうして学内に警察権が自由に立入りまして、遂には学問の自由というものが徹底的に奪われた。これは悲しいかな、日本の歴史が示すところの事実であつたのであります。そういう兆しがすでにすでに今日の態勢の中には現われておるのでありまして、今にして文部省が、文部大臣がこれに対しまして、正しい方策を日本の学の自由を飽くまで擁護するという、そうして日本の憲法を徹底的に守り抜くという、こういう基本的な態度を以てこれに対処することが、私は最も必要な段階じやないか、こういうふうに思うのであります。文部省が、このような警察国家的行為、そうしてすでに世界から警戒を払われておるところの態勢の中にこれを擁護するというのは、今日最も重要な任務であると、こう思うのでありまして、こういう観点から考えまして、文部大臣はどのような御処置をこれに対してお考えになつていらつしやるか。單にこれは今度の渋谷の徴兵拒否署名運動、この問題に端を発して、私は御質問申上げておるのでありますが、こういう問題が至るところに起つておるのでありますが、文部省の根本的な、そのような方策について、先ずお伺いしたいと思うのであります。
○國務大臣(天野貞祐君) 警察は許可しない集会であるから恐らくそれを禁止したことであると思つて、警察の処置は当然警察のなすべきことをなされたことと私は思つております。だから警察については私は何ら言うことはありません。
○岩間正男君 警察が許さなかつたことについて学生たちがこういう行動をやつた。こういうのでありますが、警察に対しましてはこれまで何回も学生がこの許可を願い出た。こういう事実については文相は御存じでありますか。現に昨日、東京朝日新聞の「声」の欄によりますと、「何故の弾圧か」というので、学生の投書が載つておりますが、これを見ますと、学生たちがこういう運動を起そうというので決意したのは、実に今年の初めあたりのようであります。これまでに数回警察に交渉しておる。ところが、警察がこれに対して言を左右にしていろいろ許さない。こういう事態が起つておる。こういうものに対して根本的に、これはこういう警察の行動は、一体学生たちが平和を守るという、こういう運動と併せて考えて、文相としてはどういうふうにお考えになつておられますか。
○國務大臣(天野貞祐君) 私は一体学生本来のあり方というものは、学生は指導される立場にあるもので、人を指導する立場にないものですから、そういう学生が外に出て実際行動というようなものをすることは、好ましくないと自分は思つております。
○岩間正男君 これはこの前もそういうような御答弁でございました。指導される立場であるから指導者の意見に従えばいい、こういうお考えのようでありますけれども、これは簡單に見ますと成るほどそのように思われる。併しこの言葉をこれは惡用しますというと、戦時、戦争前の体制がまさにそうだと思うのであります。指導者その人に本当にこれは人を得ているか、これがまあ問題なんでありますが、これは暫くおくとしまして、單に指導されるというので、上からのそういう命令には絶対服従しなければならない、こういう態勢で若しも教育が行われるとしますというと、丁度戦争前にあの指導者が軍部の圧力によりまして、例えば軍事教練をやると言えばすぐに軍事教練に走る、工場動員をやろうということになりますというと、何ら無批判的に全部そういうふうに傾いて行つたのであります。最後には、これは学生を非常に大きな犠牲に陥れたことは言うまでもないことなんでありまして、従つてこの指導者と言いましても、この指導者たちはどういうことを現在まで教えて来たかと申しますというと、学生に対しては平和憲法を飽くまで守れ、日本の憲法は戦争放棄という条項においては、これは世界に類例のないところの立派なものである。従つて平和を飽くまで守るのが日本人のこれは正しいところの何よりの仕事である。憲法を守れといつて教えて来たはずでありますから、この憲法を守るところのこういうような指導者の教えに対しまして、これをどこまでも貫くというのが私は当然学生の本分だとむしろ考えるのであります。教えて、而も情勢が変れば今度は今まで平和を口にした者が、今度は戦争協力をしなければならないなどということは、これは全く道義的に言いましても精神的な自殺であります。指導者としましても、これは教壇に立ところの資格のないものである。昨日までは口に平和を守れ守れということを叫んでおりながら、今日態勢が変つて、そうして日本の国内の様子が変つたからといつて、憲法に違反するような、そういうようなこの軍事的な方面、戦争に協力するような方向を説くということは、これはでき得ないはずである。従いまして、指導者その人と言いましてもこれは決して私はまたこの点では調べておりませんけれども、こういうような学生の、憲法を守り、そうして徴兵を拒否するというような運動につきましては、これは否定することができないところの事実であると私は思つております。従いまして、指導者の命令を守つたか守らないかということについては、大臣は調べられたかどうかわかりませんけれども、私は今日まで指導者のそういう命令に違反したということは聞いていないのであります。問題は、どこまでもやはりこういうような憲法を守るという行動そのものについて、警察がこのように弾圧することに対して、文部大臣はこれをいつまでも放任されて置かれる考えでありますか。それともこういうような行動に対しまして、正しい一つの方策を以て今後閣議なり、それから今後の行政面におきまして閣僚の一員として努力される考えを持つておられるのでありますか、この点をはつきり伺つて置きたいと思うのであります。
○國務大臣(天野貞祐君) 私は、今まで知る限りでは別にこれらの警察に対して抗議する考えはありません。
○岩間正男君 そうすると、これは文部省としては全然関連しないというわけですね。今言つたような危険が非常に起つて来て、戦争協力というような方向にこれは持つて行かれることは言うまでもないことであります。ここでいろいろそういうことを申上げませんけれども、こういう態勢に置かれております。殊に文相は、これは御存じかどうか知りませんけれども、今日日本の各大学には警察予備隊の募集文が配られております。ビラが貼られております。こういう事実は、これは文相御存じでございますか。これに対しては一体正しい行動であるかどうか、これに対しては文相はどういうふうにお考えになりますか。この一事からお聞きしまして、我々は文部行政を批判する材料にしたいと思います。
○國務大臣(天野貞祐君) 私はまだ何にも聞いておりません。
○岩間正男君 私はここに持つて来ておりませんけれども、これは紛れもない事実でございます。これは紛れもない事実でございますが、これは文相は御存じないということは甚だ私は残念に思うのであります。少くともこれだけのことは、非常に学生に対しては不安と動揺を与えておるのでございます。飽くまでも平和を守つて、戦争をしないと覚悟をした青年にとりまして、今度警察予備隊、更にその次には徴兵、こういうような段階に刻々と、これはあらゆる国策の面から推し進められておるときに、一体学生たちがこれをじつとして、そうして指導者の命令を聞いて、飽くまで戦争前の学生のように絶対服従というようなことで、正しかろうが正しくなかろうが、権力の前に盲従していることができるとお考えになりますか、どうでございますか。
○國務大臣(天野貞祐君) 学校は別段権力というようなことはないのであつて、学校には学校の規律があるのであります。その学校におろうと思う者は、その学校の規律に従うというのは当然のことであつて、若し学校の規律に従うことができない者は学校をやめればいいので、強いて学校におれという拘束は何にもないのですから、学校におる以上はその学校の規律を守るということを約束して学校に入つておるんですから、それを守るのは当然だと思う。私は学生の本来のあり方というものは、本来今修業中なんであつて、そこで今学問をしなければならないというときに、濫りに実際的な行動をするということは私は好ましくない、そういうことを世間で煽動的に言う人があるのは遺憾千万だと思つております。
○岩間正男君 非常にこれは異なことを承わるのでありますが、日本の一体学内で規律とか何とか言いましても、平和を守るかどうか、この憲法の精神に徹するということ、このことより大きな一体規律があり得るのでありますか。これを暴圧するものが規律なんと言うことは我々は絶対に考えることはできません。憲法を何よりも、これは日本の大学や文部省が卒先して守るべきだと私は思う。従つてこれに対して当局がどう出たかということは私は聞いておりませんけれども、この学生の憲法擁護の運動というものに対して学内がこれを拒否しておる、そういうことは私は考えられないのであります。従つてこれはどうして文相がお調べになつていらつしやるのでありますか。而も多くの学生が今申しましたような不安な状況に対しまして、飽くまでこれは我々はこの憲法を守り抜くんだというふうに、こういう運動を展開したのでありますが、そうするとこの学生たちは全部不穏な、そうして正しくないところの、そうして学内の規則に違反したところの、そうして文相のこれはお言葉によれば、或いは日本人らしくないところの、学生らしくないところのそういう行動だというふうに、これは文相は断定される前提にお立ちになるようでありますけれども、そういうことでありますか。
○國務大臣(天野貞祐君) 私は日本人らしくないなんというような言葉を使いませんでした、学生の本分、学生のあり方ということであります。私は憲法を守るというけれども、憲法を守る一番大切なことは法に従うことだと思います。
○岩間正男君 私が今お聞きしたことはどうでございますか。学内で平和を守り憲法を守る、法のあらゆる根本原則の憲法を守る、これが一番根本だと思います。この憲法を守るということに違反した如何なる法が学内に許されておるのでありますか、そういう規則が許されていいのでありますか、そんな自己矛盾を若しとられて、そうしてそういうものに従え、これは憲法には従わなくてもいい、そこまで言えば極論かも知れませんけれども、そういうような論に聞えるのでありますが、それで差支えないのでありますか、私はこれからお聞きしますが、学内で平和憲法を守る、これはこの平和憲法の精神に徹するということが最大の規則である、ここからすべてのものが割出されなければならないと考えるのでありますが、この点は文相はどういうふうにお考えになりますか。
○國務大臣(天野貞祐君) 平和憲法を守るということは勿論結構なことであります。けれども平和憲法を守るのにどういうふうにしたらいいかという方法は又別で、おのずから学生には学生のあり方があると私は考えるのであります。
○岩間正男君 今度のやり方は学生の本分に戻つていると、こうお考えになつているわけですか。
○國務大臣(天野貞祐君) 私は学生のあり方としては好ましくないと思つております。
○岩間正男君 文部大臣は好ましいかどうかということを決定するのはおかしいと思うのです。大学生といえば成年に達しております。そうして、こういう人たちは一つの人格を今形成中であります。この人たちが自発的に自分から発動して、今後の日本の体制を決定するものだと思う。従つてこの人たちの意見が学内のすべての根源になると思う。教育は御承知のように敗戦後大きな転換をしたはずです。上からの押付けの形式教育というものは駄目だ、戦争の大きな原因をなしたものでありますから、このような押付けの天降り的な教育は排除された、つまり自主性を尊重し、子供の自発心を尊重し、飽くまで子供の人格を自分の力によつて形成する、それに対して指導者があるとすればこれを補助し、いい環境を作つて助言を与える、これが教育の本体であることはこれは言うまでもないことだと思う。そうしますというと、好ましいとか好ましくないというようなことを、これは文相個人として御発表になるなら差支えないのでありますが、そういう言動によつて今後の新らしい時代の中に正しい一つの真理を護り抜いて、而も口先で言うだけでなくて、それをずつと自分たちの行動にまで訴えても、そういう正しい真理を護り抜くという行動に対して、全部これは文相は否定されるお考えでございますか。只今のお言葉ではそうとしか受け取れないのでありますが……。
○國務大臣(天野貞祐君) 私は学生本来のあり方から言つて警察がここはいけない、この場所で集会してはいかんというのを無理にやるということは、学生の本来のあり方ではないと思う。
○岩間正男君 それではお聞きしますが、警察の今までどういう処置をとられたか、これはお調べになつたと思いますからお聞きしたい。どういう一体……文部省は調査されたと思いますが、これが正しいかどうかということを我々が判断する上において必要ですからお聞きいたします。
○國務大臣(天野貞祐君) 集会を許さなかつたというのです。
○岩間正男君 これは許さないというようなことを言つておりますが、例えばあそこではどういう運動が行われたかというと、何か再軍備の運動が渋谷の駅頭では行われ、同時に又民族運動というようなものが一方では行われた、又反共運動というようなものが行われている、或いは又キリスト教のあそこで講演会が許されている。現に憲法に違反するところの再軍備をする、そういうような方向の運動は警察はどんどん許しておる。而も憲法を護り、飽くまで平和に徹しようと考える学生の運動を許さないという警察の行動に対して、文部大臣は抗議する意思はないのか、私はお聞きしたい。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)
○理事(加納金助君) 傍聴人は静かにして下さい。
○國務大臣(天野貞祐君) そういう事実は私は知りません。とにかく警察は集会を許さなかつた、許さない集会を学生があえてすることは学生本来のあり方ではないと考えます。
○岩間正男君 そういうことを大体お調べになつていらつしやらないで……、三日前のことでありまして、この前調べるというようなお話だつたから私は時間をこれはかけたので、又私はこれは調べたのであります。事実前後五回に亘つてそういうことをやつております。私、ここにも資料がございますけれども、詳しくここで述べるには時間がございませんからやりません。言を左右に託しております。例えば二つの集会が一ぺんにやることはできないからといつて許さない、ところがそこでは現に三つの集会が持たれているようなことはおかしいじやないか。こういうことをいうと、やはり言を左右に託しまして、今度は向うの警視庁からのいろいろな指令が来ないから……、そうして又次のときには指令が来たと、ところがそれに対して今度の指令の内容にはない、次の日やつて来て又交渉しますと、いや、そんなことは別な係りで知らないと言う、君たち飽くまでこんなしつつこいことをいうならば軍隊を出動さして、君たちを弾圧するという嚇かしをする、こういう不当な、青年に加えられるところの残虐な弾圧に対しまして、文相がこれを護り抜かれるのが、私は日本の民族の将来、のために絶対必要であると考えるのでありますけれども、文相はそうお考えにならないで、この警察の馬鹿げた行動をそのまま是認されるのか。これは而も、何らそういう事態を調査されることもなくして学生を誹謗しているに至つては、言語道断と思いますが、如何でしよう。こういうことで一体文部行政を、次の時代の日本の運命を担うところの若いそういう学徒をお育てになることができる、そういう資格があるとお考えになつていらつしやいますか、どうでありますか。
○國務大臣(天野貞祐君) 答える必要はないと思います。
○岩間正男君 私は言葉が強いのがどうも惡い習慣でございまして、そのために文相はお答えにならぬとすれば非常に残念でございますけれども、お答えにならないことはおかしいと思う。お答えになれないのかどうかわかりませんが、なれないのではないかと思いますが、お答えになるような気持になつて頂きたいと思います。何せこれは今日は答えないにしても最後の段階でありまして、そういうことは答えないということは吉田総理初め流行であります。これは非常に私はまずいと思う。佐藤賢了という軍部の大佐が「黙れ」と議員に言つたのと裏返しと私は考える。そういうことは望ましくないからお答え願います。……お答えがないから、次にもう一つお聞きしたいのですが、これと関連しまして東大で二十日演劇会をやつた。この東大の演劇会に対しまして本富士署の特別警備係という某々三人の者が私服で忍び込んで、これは学生たちに発見されて糾弾された。その結果、これに対して本富士署の署長は非常にこれに激怒しまして、暴力行為等取締法違反容疑というようなことで、遂に多くの警官を出動させて、予備隊三個小隊を出動して、経済学部の三年生の福田君を検挙している事実がございます。こういうような予備隊三個小隊まで出動して学内の行為を干渉するところのこういう事態に対しまして、文相はどういうお考えになるか。これで学内の平和、学内の秩序、先ほどから文相のしばしば申されましたところの学内の秩序が護れるとお考えになりますか。その点を伺いたい。
○國務大臣(天野貞祐君) 私が前のお尋ねに答えなかつたのは、文部大臣としての資格があるかないかというから、そういうことは私はちよつと答えるのがおかしいから、答えなかつたのであつて、決して岩国さんの言うことに答えないことでないから、どうか御了承頂きたいと思います。今の問題は、東大の中にあつた演劇会に警察の者がちやんと切符を買つて入つておつた、それを袋叩きにしたかと思います。多分、要するに乱暴な行為をしたのです。だから今度それに対して警察と学校とが相談をして、今度これを教育的に解決しようと言いまして今しているわけでございます。それだけのことであります。
○岩間正男君 教育的に解決しようとしておる……非常に簡単のように文相は言われておるのでありますが、大体私のお聞きしたいのは、学内だけの催しでいろいろなことをやつているのであります。そういうようなものは、切符を買つたかどうか知りませんが、私服の、而もどうも性格が甚だ芳しくない特別警備係というものが私服で来て忍び込む、恐らく大学生の服を着て、大学生らしい形で入つたのだろうと思いますが、これは正しい行動だと思つておりますか。
○國務大臣(天野貞祐君) 大学内といえども治安の責任は警察にあるのですから、私は警察が大学の中に絶対に入つてはいけないということはないと思います。一体なぜこんなことがあると言えば、日本の社会を見廻したらわかると思います。日本の社会を今むやみに混乱させようとしている人たちがいる。従つて我々は平常のようなことは言つておられない。大学内といえども警官が入つているような事態も実によんどころないことだから……。併しその解決はどこまでも教育的に解決しようとしているわけでございます。
○岩間正男君 そうすると、これは学内を信用されないのでございますね。学内にはそういう不穏で何か日本を殊更に騒がすようなものがある。成るほどそのように日本の平和憲法に違反して再軍備なんかしようというのだから、これは日本を混乱に陥れるようなものが出て来ることは事実です。併しそういう運動、そういうものに対して飽くまで平和を護る。これはどういう考えでやつたかわかりませんが、これは演劇会のようであります。これは只今文相は映画会と言われましたが演劇会であります。それで演劇会をやつていることをどうしてそういうような、文相の言つたように何か日本を混乱に陥れることを企んでおると認定されなければ、今のお言葉は出ないと思うのであります。そうすると、そういうところで、そういう口実で以て戦争前はやつた。実際はどうあろうとも何とも口実は付けられますから、そうして何とか、いわゆる特高というものがあらゆる口実を付けて、そうして何でも白であつても赤だというレッテルを貼つて、だんだん言論を弾圧してやつた。自由主義者を弾圧したのが戦争前の形であります。その被害者としての、文相はそのお一人だということは我々も承知していることなんです。そうしますと、こういうことを許すということは、前提的にそういうことはいい、差支えないのだということを許すとすれば、一体どこで学内のこの治安、独立、自治というものが保たれ得るのでありますか。私はとんでもないこれは奇怪な言葉を聞くと思うのでありますが。
○國務大臣(天野貞祐君) 社会がこういうふうになつているから、学内の集会に対しても警察がやはり自分の責任上そういう注意を払うということを、私が警察に抗議する筋はないと思うのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)
○岩間正男君 警察の任務についてやつぱり文相にお考えになつて頂きたいと思うのですね、どうもおかしいです。警察がそういうところだけに行つていますけれども、実際これはここでの論議ではありませんけれども、ギャング事件のような問題がありますというと、米人が来ると現に現行犯を目前に見ても逃げている。或いは何ら手をつけない、べそをかいておる。併し一方では労働者の運動とか、それから青年のこういうような平和運動とか、こういう運動に対しましてはすぐにこれは何か目を光らせて、そうしてこういうように弾圧して来ている。こういうものに一つのスパイを放つて、これを調査している。日本国民を弾圧するために警察というものがあつて、そうして一方においては外国人に対してはまるで去勢されたような恰好である。併しこれを養つているのは我々の血税であります。だからこういう点について警察の性格をここで論議しようと思いませんけれども、こういう性格のことについては文相はむしろ批判を十分に加えられて、そうして学問の自由と独立のためにはつきりした態度をおとりになるのが正しいと思うのでありますが、警官が入ることを前提条件として許すと、こういうことになれば学内の秩序というものは絶対これは保たれないと思うのでございますが、如何でございますか。
○理事(加納金助君) どうです、お約束の時間が来ましたが、大体今日はこの辺のところで如何でしよう。
○岩間正男君 それではもう一、二分……如何でございますか。
○國務大臣(天野貞祐君) 前にそれは岩間さんにもうお答えしたことのように思います。私は、要するに学生は本来のあり方があると思うのです。この間も長谷川如是閑氏のような極く冷静な知識人がこういうことを言われたのです。学生時代というものは丁度鉄が打たれるようなときなんだ、その打たれて、それから仕上げをして社会に行つて働く者が、打たれている最中に飛び出したのじや困る。こういうことを長谷川如是閑氏のような極く冷静なかたが言つておられるのです。岩間さんももう少し冷静に、(笑声)あなたも曾つて教育者であられたのだから、教育者の立場から如何に学生はあるべきか。私は東大の教養学部の学生を愛することにおいて岩間さんに何も劣りませんよ。あそこの学長もした人間で、どうかあれらの学生が、実際あそこに集つている者はとにかく優秀な学生なんですから、その学生らを本当によい社会人に育て上げるということが教育者の任務であります。そういうことを考えると、あなたのお説には到底従つておれない。私はもうあなたのお説には断然反対であるということを結論として、これで失礼さして頂きます。
○岩間正男君 ちよつと待つて下さい。もう一言だけ言います。もう一言。(「もうその必要はない」と呼ぶ者あり)それではもう言うことはこれで終ります。今お話されたことは、学生たちの心理というものを、一体文相はそれをおつかみになつていらつしやいましようか。(「自分はどうなんだ」と呼ぶ者あり)学問に対して今真剣にやれと言えますか。次に起つて来る再軍備、徴兵というような、こういう不安の中で一体本当に学問に熱中しているような状況を作つているでしようか。我々はこれは文部大臣なんかの最大責任だと思うのです。そういう環境を作つてやるために努力をする、そういう不安のないように飽くまでも日本の平和を守り抜き、憲法に徹して行く、こういう環境のために十全の努力をして、犠牲を払つても、次に来たるところの若人のために……文相はそういう覚悟をしておられるか、これこそが教育者の任務であると私は考えます。私自身も教育を長年やつておつたのでありますから、そういう観点に立つて、自分の考えを押付けるとか、馬鹿げたことではなくて、自分たちの次に来たるものたちに、そういう安心して学問ができるような態勢を作るために、我我は戦つておる。文相に病中を押して出席を求めているのもそのためであります。もつと真剣に考えてもらわなければ……冗談じやないのであります。誰が一体学生を見ているのですか、皆放置している。加えるに、何か運動をやれば批判を加えているじやないか、騒擾だとか……、これは全然教育の破壊であります。教育環境を、本当に学生が正しく専心して勉強をやるのが望ましいならば、それを作つてやる、それがせめて我々の任務であると考えるが、文相はどうなんですか、その点甚だ不明瞭なことを言われて帰られちやかなわぬ。
○國務大臣(天野貞祐君) 私は、曾つて岩間さんから純粋だとほめられたことがありますが、私も岩間さんを純粋だと思つている。本当に岩間さんはまじめに考えておられると私は思つております。けれども、岩間さんと私は見解が違う。又東大生を理解することにおいて私は岩間さんに別に劣るとは思つていない。多年大学の教育もして来ておりますから、私には私の考えがあつて、正しいことをどこまでも踏んで行こうと思います。ただそこに私と岩間さんの見解の違いがあるのだ、そう了承して頂きたいと思います。
○岩間正男君 学生に批判させればはつきりする。私と文相とどつちが正しいか。
○高田なほ子君 大変、お加減が惡いところで私は恐縮ですが……。
○理事(加納金助君) もう時間が……。
○高田なほ子君 それはそうですが、一分ぐらいいいでしよう。丁度私の息子が渋谷の混乱のときにあそこを通りまして、家へ帰りまして非常に私に不安を訴えるわけです。僕はああいうことはどういうふうになつたかわからないけれども、とにかく再軍備ということになれば僕たちが一番先にこれは連れて行かれるので、どうも僕としてもああいう運動には、誰に教えられたわけでもないし、お母さんからいろいろなことを伺つているわけでもないが、どうしてもああいう運動は正しいように考える、あれをあんなふうにするということは非常におかしい。毎日あそこでいろいろな演説会かあるが、どうしてあれだけ、あんなにされるのだろうということを……非常な不安を家庭に帰つて訴えております。これはやはり素朴に……岩間さんがおつしやると、ちよつとイデオロギー的なふうに見えるような点もあるかも知れませんけれども、私はもう少しこれは素朴に考えまして、こういう学生の不安を去らしめるということにつきましては、やはり大臣としては本当に学生に対して親心を以て正しいあり方を、憲法の平和を守ろうとするこういう学生の熱意を、不安や、恐怖や、又聞違つた方向に行かないように善導をされることを、私は本当に素朴に大臣に母親というような気持からお願いしておくわけであります。どうぞこれについては再考慮して頂くように……。
○高良とみ君 関連して、お答え頂く前に、私もちよつと同じようなことを……。私もこの問題は非常に教育ばかりでなく、日本の社会のために憂うべうことだと思うのであります。遺憾に思いまする点は、学生諸君にしても何にしても、どういう事情があつたか知りませんが、学内の秩序を守るためか或いはそういう忍び込んだ人を整理するつもりか知りませんが、暴力を使うということの惡をもつと教えて頂きたいと思うのです。それがあるから片方もやるし、又片一方がスパイ的に入ることもよくないと思う、検挙するときに又学校当局を無視して、そこに学長もあるし、各部長もあるでしようし、それに相談せずにいきなり、そういうものを予定していたようにそれを検挙して行くということが、これが又街頭と同じことでありまして、大臣の言われる学内の秩序というものがあると思う、家庭の中に事があつても、誰か犯罪人があつても一応主人に断わつて行くだろうと思うのでありますが、そういう点で実に教育的でないということは大臣もお認めになると私は考えるのでありますが、その点一応お答え願いたい。それから日本のこういう学生たちが憲法に従い、或いは平和を守りたいというようないろんな種類の平和がありましようけれども、それには教養があるこの学生たちがみずから暴力否定の決意を持つて、そうして言うべきことは言う。若し警察で弾圧を食いましたならば、大臣のところでも何でもお伝えして来て、或いは学長にも相談して自分たちはこういう講演会を持ちたい、或いはこういうふうな言論を国民に問うて見たい、その自由を与えて頂きたいと思う。例えば学習院で平和の講演会をするというようなことは許されている、或いはできるならば、英国のいろんなふうな講演会などで、共産党員は自分はこういう政見であるということを堂堂と言つておりますが、それがなくて、それに弾圧が加わるので反動が又ひどくなる、それに若いために少し興奮しますと、それが又警察で以て勾留して行く、警察予備隊までも駆り出す、そこに学内の非常な不幸があると思うのであります。ところが共産党諸君が日本を撹乱する意思があるかどうかは、これは研究すべきものであつて、それを断定してかかつているところにやはり暴力があると思うのでありまして、願わくばどうか憲法に謳いましたように、日本が相ともに国民として暴力を両方が使わないでやるという面を、文教の府におられる大臣が自由主義者として又平和主義者としての任務をどう考えておられるか、その点を明らかにして頂きたいと思いますが、如何でございましよう。
○國務大臣(天野貞祐君) そういう暴力などによらないで話合いでよくしてやる、例えばそういう会をやりたかつたら学長を通じてやるとか、そういう秩序のあることをお互いにし合うということも、私は非常に望ましいことだと思つております。現在の学生をどう指導したらいいかということについて、又私もおつたことのある学校でもありますし、最近にはその人たちと会うように約束もしており、又東大の学長とも会つたりして適当にしたい。自分は曲つたことをしようという考えはないのであつて、できるだけ正しく彼らを指導して立派な人にしたいと思うわけですが、事柄は実に複雑してむずかしいのです。簡單に言えない、むずかしいのですけれども、御希望のようにして行きたいと思います。
○理事(加納金助君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○理事(加納金助君) 速記を始めて。教職員の給与準則について、関係官が見えておりますから質疑を願います。質疑通告の順序といたしまして、高田委員が先でございますか。
○高田なほ子君 どつちでもいいのです。一応文部省のほうとしてもこれについての作業を相当進められておると思うのです。従つて一応の御説明を願つて、然る後にお聞きしたいところはお聞きして行きたい、給与準則についてですね。
○理事(加納金助君) それじや、先ず岡田君から御説明願います。
○説明員(岡田孝平君) 御説明申上げます。教職員の特別俸給表の問題でございますが、これはかねてから文部省で是非実現したいということで、いろいろ研究を進め、人事院に意見を申上げております。この教職員の給与の問題は御承知の通り、現在は俸給の推定表というものを適用して給与の基準をきめておりますが、その推定表なるものは一般の職員と違いまして、別な推定表を作つております。その推定表を一昨年の暮に更に改正いたしまして、昨年の一月から改正された新らしい推定表を作つております。これによりますというと、相当一般の職員よりも待遇が改善されておるわけであります。併しながらなお更に待遇を改善し、又合理化したいということで、特別俸給表を作りたいという希望を持つておる次第でございますが、これについてはたびたび人事院に意見を申上げております。その意見の概要を申上げますと、先ず給与の初任給と言いますか、最低俸給と言いますか、これを引上げる、更に最高号俸も現在よりも引上げるということが第一点であります。これによつて給与の改善を図つて行きたい。 それから第二は、現在勤続年数と学歴というものを基礎として俸給をきめておりますが、その勤続年数と学歴との価値の見方を同じように、これを同価値に見ております。一年教職に勤めましても、それから一年上級学校に行つて勉強いたしましても、これを同じに見ておりますが、これを学歴のほうを重く見まして、学歴と勤続年数との取り方の比を一対一・五というふうに考えております。かように学歴を重く見ることによつて、上級の学校に行つて勉強いたしました者は、それだけのことを給与において考慮されるというふうにいたしたいと思います。それが第二点であります。第三点は、いろいろな役付職員と言いますか、例えば大学におきましては学部長であるとか、或いは分校主事その他の研究所の所長とか、いろいろございますが、そういう役付職員の手当というものを考えております。そういう役付、特別の役職にある者に対しましては役職手当というものを支給したい。 その他細かい点がございますが、そういうふうにいたしまして、現在の俸給の立て方を少しでも合理化いたしたい、かような考えで人事院にその意見を申上げております。これは人事院では俸給の問題は今後給与準則というものを作つて、それの別表としていろいろな俸給表を立てるという考えで、只今人事院でいろいろ作業を進めておりますが、まだこの給与準則なるものにつきましては、関係各省との打合会も何らいたしておりませんし、まだ詳細は一度もお伺いしないのでありますが、いずれその給与準則ができますならば、それの内容を出して行くというようにいたしております。この教員の俸給表のほうも人事院でまだ研究作業を進めておられるようでありますが、その案なるものを私ども承知していないのであります。早く具体的なものを承知いたして、そうして更に細部の点につきましては人事院とも検討いたしたいと考えておりまするが、詳細なものはまだ何ら承知いたしておりません。私どもは、先ほど申しましたような意見並びにそれに伴ういろいろな資料を提出いたして、再三私どもの希望を人事院に申上げておるような次第であります。いずれ更に具体的になりましたならば、詳細に申上げる機会があるだろうと思います。 大体の状況は以上の通りであります。
○高田なほ子君 給与準則については、まだ人事院と詳細な打合せをしてないというようなお話があつたと思いますが、これは非常に私は奇怪なことを伺うように思うのですが、まあ大分人事院のほうでも仕事が進んでおるように思われるのですけれども、まだ打合せがされていないというと、文部省としての、何ですか、大臣が、学歴それから勤続年数、資格といつたようなものを十分勘案して、一本建の体系で行くというようなことを御答弁されておつたのですが、それに対する作業というものはまだ殆んど進んでおらないということになりますか。
○説明員(岡田孝平君) 今の一本建の問題でありますが、これにつきましては大体文部省はかように考えております。たびたび大臣が委員会においても御答弁になつたと思いますが、要するに大体の原則は、学歴それから勤続年数、資格というものを基準として俸給をきめて行きたい、できれば各教員一本ということが望ましいのであるけれども、他の職員の俸給との関係がございますし、全体の体系がございますので、一本ということは困難であります。そういう三つの要素を基準としてきめて行きたいということは何ら変つておりません。
○理事(加納金助君) それじや本日の委員会はこれを以て散会いたします。 午後零時四分散会