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13回国会参議院1952/06/11

農林委員会 第49号

発言数
27
登壇者
3
会派数
2
開催日
1952/06/11

会議録

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○委員長(羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  本日は昨日に引続いて農地法案、同施行法案の両案を議題といたします。昨日御要求のあつた資料が提出されましたので、この資料に基いて説明を聴取した後質問に入つて頂きます。なお本日衆議院で両案の採決があるようでありますので、そちらへ農地局長は行つておられますので、その辺御了承をお願いいたします。それじや和田農地課長。

和田正明農林省農地局管理部農地課長

○説明員(和田正明君) お手許にお配りをいたしました資料につきまして若干御説明を申上げます。「農業現金純収入が家計費現金支出をまかないうる最低限の規模」という資料、これは統計調査部で作つております農家経済調査を基礎にいたしまして、昭和二十五年度までの資料がございましたので、昭和二十五年度の資料を使いまして計算をいたしましたのでありますが、家計費を農業所得だけで賄い得る最低限の面積を一応計算いたしましたのが、その横書の一番左に地区別に書いてございます数字でございます。例えば東北におきましては一町九反の経営面積がありまする場合には農業収入だけで応家計費を賄い得るという数字になるわけでありまして、これから上になれば農業収入だけで一応家計費を賄つて更に黒字が残るけれども、この面積以下である場合には家計費を賄うのに他の農業以外の収入がなければならないということでございます。その次の欄に「耕地広狭別」と書いてございますのは、御承知のように農家経済調査の数字が一町から二町までとか、或いは一町から一町五反というふうに幅を広く書いてございますので、それをそのまま参考までに挙げましたわけであります。で括弧を書いて数字が書いてございますのは、この階層での家計費の総額でありまして、単位は円でございますので、例えば東北の一町から二町までの農家の家計費は九万六千二百六十九円と、こういうことであります。以下ずつとそういう場合の農家の経営構造を書いたものでありまして、家族員数としては平均値として七・八五人あり、そのうちで農業に従事する者が三・五五人で、その場合の経営耕地の内容は一毛田が一町二畝、二毛田が一畝、それから普通畑が三反六畝、果樹園が四畝、桑園が三畝と、その他の園地或いは牧草畑、採草地、山林原野、雑種地というように書いてあるわけでありまして、経営耕地のこういう農家だという大体の御参考の数字を載せたのであります。それからこの表の次の頁にございますのは、地区別に書きましたので、その地区に属する県を大体御参考に挙げておきました。但し北海道につきましては農家経済調査の収支計算ができておりませんので、ここに挙げることができませんでした。  それからもう一枚縦書のたくさん数字を書きました一枚刷がございますが、これは上のほうに書いてございますように、昭和十二年に農林省が地方事情調査員をして調査をいたさせまして、全国千個の農村につきまして、大体村で中等程度の生計を維持しておつて、而もその収入が主として農業から上げられているものが大体どのくらいの経営面積を持つて経営をしておるか、ということを調査いたしましたその表でございます。一応農村、山村、漁村に分けまして調査町村数が書いてありますが、そのあとに書いてございます標準耕地面積はこれらの調査員の報告の平均数字でございます。従つて必ずしも科学的な基礎に立つたものではなく、多分に調査員の勘が働いた数字ではないかというふうに考えられます。このほかに昭和十六、七年頃に当時の帝国農会をして調査をさせましたものがありますが、その場合にも調査の基準を示しまして、町村の調査員から同じような基準、つまり村で中等以上の生計を営んでおつて而もその収入が農業だけで上げられておる農家の経営規模々報告させまして、平均値をとりましたものがございますが、これよりは若干面積が上廻つておるようであります。一応この表の御説明はそれだけにして、もう一つ「農地法政令規定事項中主なもの」というのをお配りをしてございますが二枚目の……。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○委員長(羽生三七君) この四枚ほど綴じたやつです。ミスプリントがあるそうで訂正してくれるそうですから……。

和田正明農林省農地局管理部農地課長

○説明員(和田正明君) 四枚ほど綴じましたものの二枚目の裏側の頁、第九のところにミスプリントがございますので、恐縮でございますが御訂正願います。二枚目の第九のところです。河川法その他ずつと法令が並びまして、終りから三行目のところに「森林法」がございますが、その中で「第二十六条」と書いておりますのは「第十六条」の誤まりでございます。それから「第三十二条」とございますのは「第三十一条」の誤まりでございます。それからそのあとへちよつと付け足して頂きたいのでありますが、「第三十四条」と「第四十五条」。訂正をお願いいたします点はその点でございます。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○委員長(羽生三七君) 資料の説明は只今の程度のようでありますから、どうぞ質問をお願いいたします。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 この「農地法政令規定事項中主なもの」ですが、この本法の自由裁量によつてでき得る部分の最も顕著なものだけ一つ御説明願いたいと思うのです。

和田正明農林省農地局管理部農地課長

○説明員(和田正明君) 「第一」のところは昨日御質問のございましたところでありますが、農地法案の第三条では農地を売買いたします場合におきましては知事の許可、使用貸借による権利については市町村農業委員会の許可でありますが、許可を受けなければ無効であるということを書きまして、その第二項で知事が許可をいたしまする場合には、次のような場合には許可をいたしてはいけないということを書いておるのでありますが、その中で例外として場合によつてはこの法律の原則の規定にかかわらず許可をいたしてもよろしいということを書こうというわけでございます。でその案が「第一」のところにありますることで、その一に書いてありますが「第三号及び第四号については」、と申しますのは最低限度三反歩、最高限度三町歩につきましてその権利取得を、耕作又は養畜事業が適正と認められます場合には最高限の三町歩或いは最低限の三反歩という制限にかかわらず、例外として許可をいたすことにいたそうと、こういう考え方でございます。失礼いたしました。今申上げました三反歩のほうは2の第五号のほうでございまして、第三号、第四号と申しますのは、第三号が農地についての最高限の三町歩、それから四号が牧野についての最高限の五町歩のほう、それで2が最低限の三反歩の例外規定であります。従いまして例えば2のほうで申しますと、昨日農地局長から説明いたしましたように、最低限を原則として三反歩にいたしておりますが、半猟半農の地方とか、非常な山村でその部落の経営面積が例えば一反五畝といつた場合には三反の制限にかかわらず、その部落では一反五畝でよろしいというような例外を作りますほかに、例えば専業農家として今後伸びる可能性のあるような農家については三反未満であつても例外として所有を認めようと、こういうことであります。  それから次の「第二」にございまするのは、法案の第十二条と対応いたす規定でありますが、不在地主或いは在村の一町歩以上の不耕作地主が発生いたしました場合には、強制譲渡手続によつて一定期間に売却するようにさせるわけでありますが、その一定期間中に所有者のほうで売却を終りませんでした場合に政府が買取ります場合の対価を考えておるわけでございます。現在の小作料を資本還元をいたしました価格、大体十九円くらいの賃貸価格の土地で五千円前後という価格を、この政令で書くように予定いたしております。  それから「第三」は別に大した規定ではございません。  それから「第四」は、価格につきまして未墾地の関係の政府の買収価格を書くわけでありますが、これは現在賃貸価格の千三百八十倍で買収いたしておりますが、固定資産税の評価額がそれを上廻るようになりましたので、この法案施行後改めて固定資産税の評価額程度で買収いたすように規定をいたすという趣旨であります。それからあと、その間に法案の第四十四条の二項にありまする未墾地の買収適地の選定基準の政令を書かなければならないわけでありますが、これは今日資料が間に合いませんでしたので、別のときに改めて提出をいたす予定でおります。それから第六十二条の二項の政令、第六のところでございますが、これは土地配分計画、開拓計画のことでありますが、これを農林大臣が定めまする場合と、都道府県知事が定めまする場合とに分けてありますが、大体現在十町歩未満の、北海道では四十町歩未満の小地区のものについては知事が定めまして、それより大きなもの、主として開墾建設工事その他の工事を必要といたしまする地区については、国でみずから定めておるわけでありますがその配分を書こうという規定であります。それから二に書いてございますことは、土地配分計画にはどういうことを書くかということでありまして、どの部分は増反者に渡す、どの部分は入植者に渡す。この土地のこの辺は道路になり、この辺は開墾して農地にし、この部分は放牧採草地として残すというようなことを、略図等で明示をいたそうという考え方であります。それからあとずつと非常に簡単な規定でございますので省略いたしまして、三枚目の終りのほうにございます「第十三」でありますが、これは法案の第八十条に対応いたしまするが、主として未墾地の買収を完了いたしましたものの中で、開墾のできませんいわゆる開拓不用地を旧所有者に返還いたしまする場合のものであります。で、そのほかに買収をいたしましてから農民に売渡しをいたしまする前に、小学校の敷地になりましたものとか、或いは農業協同組合の建物に必要でありますとか、試験場にいたすとかいうようなものがぽつぽつ出て参るわけでありますが、それらのものの払下げのいたし方について一応の基準を書きましたものであります。開墾不用地の判断は、先ほどこの資料としてお配りがしてないと申しましたが、法案の四十四条の第二項の規定によりまして、未墾地の適地調査基準をきめるわけでありますが、その基準に徴しまして、該当いたしておらないものを返還するということが大体書いてあるわけであります。  それから次に一枚刷で「都道府県開拓審議会令改正案」というのがございますが、これは昨日小林委員から御質問のございました開拓審議会に県農業委員を正式なメンバーとして加えまするための改正規定でありまして、都道府県開拓審議会令と申しまするものは、現在開拓者資金融通法に根拠を置きまして、政令としてすでに出ておるわけでありますが、そこに書いてございまするように審議会は都道府県知事が会長でありまして、知事の任命する委員三十人以内ででき上つておるわけであります。昨日局長から御答弁申上げましたように、都道府県の農業委員会の委員を六名加えまするために定員を三十人から三十五人に増加をいたし、それから委員六名は都道府県農業委員会の委員を当てなければならないということを明記いたそうという趣旨であります。で、都道府県農業委員を六名加えまして、委員の定数が三十五人で五人しか殖えておらないので一見奇異に見えますが、現在三十人以内の委員を置いております。委員の数が二十九人でありますので、六人を加えて三十五人以内というふうに改めることにいたしたわけであります。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 この開拓審議会令でありまするが、これは昨日局長の御答弁によると、多数決でなく満場一致でなければならんと、こういうようなお話があつたんですが、これは確かなんですか、この改正案では見えないようですが。

和田正明農林省農地局管理部農地課長

○説明員(和田正明君) その点は現在も次官通牒で指示をいたしておるのでありますが、御承知のように新規に開墾をいたしまして入植をいたす農家でありまするので、その後の生活を立てて参りまするためには、各方面からの非常な強い援助が必要でありまする関係で、一部の委員の中に反対意見がありまするのを強行して行くということが、その後の開拓地の運営上必ずしも望ましくない場合が多いので、多数決をとらないで全員が納得した上で買収をするという方針で進めておるわけであります。この点につきましては今後も次官通牒等で運営をいたして参るというふうに考えております。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 これも昨日の質問の蒸返しになるかと思うのでありますが、農地関係の三つの基準法が今年の十月の二十五日で失効になるので、それに代る単行法として本法案が必要であることは私どもは認めておるんでありますが、従来申上げたところの将来の農政といつたような面から本法案を眺めて見まするというと、その要請に応えられていないというのが、先ず私どもの不満の最たるものの一つなのであります。そこでいろいろな細かい具体的な理由は追つて申上げることにいたしまして、然らば本法案をどういうふうに直したならば私どもの狙つておるところの将来の農政にマッチするような法律ができるかと申しますと、その根本が先ず本法案の第一条なのであります。この第一条の、これは言うまでもありませんが、「耕作音力地位の安定」、この次に「及び農村居住者の生活安定」ということを加えてもらいたいということなのであります。従いましてこの第四十四条の場合も同様なんであります。第三章、未墾地等の買収及び売渡、第一節、買収、その第四十四条なのであります。その一行目の「国は、自作農を創設し、又は自作農の経営を安定させるため」の次に、やはり「及び農村居住者の生活安定のために必要あるときは」と、こういうふうに直してもらいたいのです。その理由はこれは又従来申上げたように、将来の農政の基本は、農村居住者には専業農家でなくとも未墾地開放のごとき場合には土地を与うるの農政をとらなければならない。ましてこの法案に別表というところがあるんですが、この別表に定められたところの基準を超えるところの面積がある場合、或る村落にそれを超えるところの面積が存在する場合には、これは毫も本省側が考えておつたところの基準には牴触しないのであります。そういう場合には非農家といえども開放せられたるところの未墾地の買収権があるというふうにしてもらわなければ、将来の農政というものは時代の要請に合うわけには参らん。逆行すると、こういうふうに考えております。まあこれに対する政府側の御意見を伺つておきたいと思うのです。

和田正明農林省農地局管理部農地課長

○説明員(和田正明君) 大変な根本問題でございますので、私からお答えをいたしますことが適当かどうかわからないのでありますが、昨日農地局長が御答外を申上げておりましたように既存の農地について考えますると、やはり日本の場合には非常に農地の面積が不足をいたしまして、それに比べまして農家の戸数が多いということがやはり一つの問題になつておるわけであり、日本の零細農業をどうするかというようなことは、しばしば問題であつたわけであります。乏しい農地でありますので、でき得べくんば兼業農家等でなしに純粋に専業として農業で生きて行く人に先ず与えるということを考えて行くべきじやないか。勿論その場合に兼業農家といえども生存をして参らなければなりませんわけでありますから、それをあえて否定するというわけではないのでありまして、新たに売りに出た農地がある場合には、専業の農家がより伸びて、より経営の基礎を合理化するということを前提に考えたわけであります。勿論経営面積の少さい農家でありましても、先ほど政令事項でちよつと申上げましたように、原則としてはそうであるけれども、例外的にはこれも場合によつて見て参ろうという考え方に立つておるわけであります。なお六十四条の問題にからみまして、御質問があつたわけでありますが、未墾地を売渡しまする場合には、純粋に入植をいたしまするものと、地元農家に若干の増反部分を与えて経営面族を拡大して参りまする場合と、二つの売渡しの仕方があるわけでありますが、純粋に入植をいたしまするものにつきましては、農家の二三男でありますとか、その他の希望者で将来農業をやつて行ける見込みのある者につきまして売渡しをいたすわけでありまして、その場合には現在三反未満の経営をしておるとか、しておらないとかということは、一応考慮外において、入植者の適不適を選定いたしておるわけであります。地元増反の場合につきましても前段申上げましたと同様の趣旨で、極力専業展家としての経営の基礎の合理化ということを優先的に考えておるわけではありまするが、法案の第六十四条の付書にも書いてございまするように、当該開拓地区内で、例えば野鍛冶でありまするとか、医者でありますとか、産婆でありまするとかというように、その農村の有機体としての生活上必要欠くことのできない人のためには、たとえ専業として農業に精進する見込みがありません著についても、自家用の食糧を自給し得る程度の農地を開拓地として与えるということは考えておるわけでありまして、専業でなければ売渡しをいたさせないという、原則はそうでありまするけれども、例外的には必要な場合には逐次これを取入れて行くという考え方をいたしておるわけであります。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 あとから伺おうと思いまして六十四条のほうは残しておきましたのですが、今御説明がありましたので、やはりさつき申上げましたような考え方から六十四条の一行目ですが、これもやはり修正を希望しておるわけです。それはこの一行目の「自作農として農業に精進する見込のあるもののうちから」、これを「当該土地の耕作に精進する見込のあるもの」と、こういうふうにしてもらいたいと思うのです。やはりこの六十四条は正面から申しますれば、「農業に精進する」ということは、これは専業農家を指しておるわけであります。専業農家でなくてもやはり「当該土地の耕作に精進する見込のあるもの」というふうにしてもらいたいと思うのです。今の御説明では医者でも産婆でも、その居住者で而も農業に精進する見込みのあると、こういうふうにおつしやるのですが、医者や産婆は専業農家でないんです。どうしても本来の職業がほかにあるのであります。そういう場合にはやはりこの規定では、医者とか産婆とか理髪屋とか、そういつたものに与えるわけにはいかん。やはり当該土地の耕作に熱心になり得るものというふうにして頂かんと、今課長がおつしやるようなわけには参らん。これもでき得べくんばさつき申上げましたように修正したい、こういうふうに考えております。その理由は先ほど申上げましたように、将来の農政の根幹政策として農村居住者であつて、その耕作を熱心に求める者に所要の未墾地を与えるということは、これは是非必要なのであります。これからの増産のためには現在のところでは、土地改良ということが大きな政策になつて上つておることは、これは御案内の通りであります。これと相並行して現在あるところの六百万町歩の未墾地の開放でなければならんと思うのであります。これを断行するためにはまあこれは正面から申上げますれば、結局この山林の開放ということになるのです。現在の三法によつても山林の開放の余地はありまするが、基本的にはないのであります。いろいろ紆余曲折の手続を経なければ山林の買収ということはできないわけであります。これを基本政策に直せば国は義務としてやらなければならないという建前になりますので、私どもの政党では山林原野の開放ということを叫んでおるのはそのためなんです。これなくしては現在ありますところの六百万町歩の適地の開放というものはできないのであります。是非これを断行してもらいたい、その手始めではありませんが、そうした事態を迎えつつある今日のこの改正法案を前にして、やはりそれに副うような内容を盛つて行かなければ、逆にこの法律によつて将来展開せられるところの政策を封じ込むようなことがあつては相成らんので、是非この政令によつて不足を補うようなことではなくて、基本法に盛り上げて参りたいというのがこの修正案なのであります。そのためには私どもは本法案の修正を考えておるんであります。先ず何よりも政府側のそれに対するところの熱意なり誠意がなければ、やすやすと修正もできないのであります。まあ念のためにそれを伺つておくようなわけです。

和田正明農林省農地局管理部農地課長

○説明員(和田正明君) 六十四条の点につきましては、私の御説明の言葉が足りませんでしたために、若干補足をさせて頂きたいと思うのでありますが、先ほど申上げましたようにこの条文の前段の本文の「自作農として農業に精進する見込のあるもののうちから」云々ということが書いてございますが、但書はこの言葉をも排除いたしました趣旨でありまして、いわゆる専業農家として伸びるということではなくして、そういうものでなくても、村として必要な業務に従事する者に対しては売渡しをするんだという趣旨でございますので、大体おつしやいますように、その土地で農業に精進できるという趣旨で書いたつもりでおるわけであります。  それから前のほうの、三反歩以上現在持つておらなければ買えないのだという規定についての御意見でございますが、例えば昭和二十五年度の農業センサス等を見ます場合に、三反未満の農業経営を営んでおりまする農家のうち約六〇%はやはり第二種兼業だという統計もございまして、専業農家としては三反未満は二〇%程度がおるだけであります。で、これらの人は専業として勿論それらの面積で十分であるということはございませんので、農地が売りに出ました場合には、これらの人が買受けを希望するならば買うことを認めるという考え方は当然持つておるわけでありますが、最初に御説明をいたしました資料等によつて見ましても、副業経営で、むしろ農業収入よりもほかで高い収益を挙げておるようなものが、やはり農家として呼ばれておるわけでありますが、やはり農業の問題としてはどちらに重点を置くかと申せば、専業として農業で生きて行こうというものに対して、経営の基盤の合理化を図つて行くということを先ず重点に置いて、原則的に考える。それ以外のものについては例外的に認めて行くという考え方でよろしいのではないかというのが、私どもの考え方であるわけであります。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 御説明でわかりますが、そういうお考えでこの六十四条但書の規定があるとするならば、殊更にこの例外が厳格に、厳重に解釈されなければならないような文句を前に置くのは、これは誤まりなのであります。やはりそれならばなおのこと、さつきも申上げましたように、第一条、第四十四条、第六十四条第一項の原則というものは、私が申した通りに規定しなければこの例外なんというものは、本当にこれはもう何万のうちの一つといつたような極く稀な例外になつてしまうのであります。この末端の、これを施行するところの機関は容易に但書を活かさんだろうと思うのであります。その点どうなんでしよう。

和田正明農林省農地局管理部農地課長

○説明員(和田正明君) 小林委員のおつしやいますこと、よくわかる部分もあるのでございまするが、御承知のように日本のような農地が少くて人口の多い土地におきましては、やはり農業以外から金を持つて来てその金で、例えば闇米を買うよりはというような採算から農地を買うというような人たち、或いはほかに職業がないために農地にくつ付いていなければならないというような人たちが、農地の価格を釣上げたり、小作料を釣上げましたりいたしましたことは、過去における農地改革の土地制度を作ります一つの基礎に相成つておつたと思うのであります。従つて農業以外から収益を挙げております人が、その金を以て農地を買いに出たりいたしまするということは、農業全体から考えますると、やはりできるだけ避けたいという考えであります。四十四条のほうはやはり「国は、自作農を創設し、又は自作農の経営を安定させるため」というふうに書いてありまして、「又は」からあとは必ずしも専業農家ということではなく、ここで自作農と申しまするのは、土地の所有者がみずからその持つておる土地を耕やしておる農家という考え方でありまするので、先ほど六十四条のところで申上げましたように、その村で必要欠くことのできない業務に従事いたしまする農家も、その範囲においてはやはり自作農であるというふうに考えておるわけであります。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 必要欠くべからざる業務に従事する者、医者とか産婆とか、比較的富裕な或いは又闇でも買い得る資力のある者を対象にしておるようですが、私の言うのはそういうかたがたには、これはまあ収入が多いのですから未墾地を上げなくてもよろしいのでありますが、問題は長年日雇とか或いは製炭とか、そういつたものに従事しておるところのいわば準農家とでも申しましようか、耕作しておらないそういう連中の要望に応えるために、将来の農政ということを何回も申上げておつたのであります。それが一つと、それから医者とか産婆、そういつた階級が価格の釣上げをやつた。これを御承知ならば、それほど村落において資力のある者が土地を欲しておるのだという現象がおわかりなのであります。私の申上げる原則通りの将来の農政を考えてもらえんかということを、まあくどくお尋ねするわけです。  それからもう一つ、四十四条でも、第一条でも、本法の原則は入植者と既存農家というものをまあ第一点に置いて考えておられるようなんですが、入植者にはこれは毎年補助金或いは助成金というものが極く僅かずつではあるが増額されておる。だんだん増額されて参つて本年度もまあ少きは二五%前後、多きは六〇%以上にも殖えたものがございます。ところが増反開拓といつたような場合には、昭和二十四年度までには相当の助成金があつたわけです。二十五年度からはぱたりとこれはなくなつた。これは若干食糧に余裕のある程度までには参らんにしても窮屈さがなくなつたためではありましようが、こういつたその日限りの行政でなくして、政府も食糧増産のためには十カ年或いは五カ年、金額にしては三千億或いは七千億といつたような巨大な計画をも持つておられるのであります。そういう面からも政府みずからやらんでも、既存農家が増反の方法により開拓をなさんとする決意があるんでありますから、それらに先ず補助金の復活ですね、よりもつと高額なるものを与えて、復活を求めておる方面の既存農家にやらしたほうが手取り早いと思うのです。ところが今度は別個に又かような法案を持つて参る。増反者には何ら元の補助或いは助成といつたような行政面が出ておらないのであります。これとむしろ相矛盾するのですね。政府が先頃発表した食糧増産計画と対比しまして、この点はどういうのでしようか。

和田正明農林省農地局管理部農地課長

○説明員(和田正明君) 只今の御質問の後段の問題は開拓政策上の大問題でございますので、又局長その他から別個に御答弁頂くのが適当かと思いますが、御承知のように現在未墾地を政府が買収をいたしましてこれを売渡しまする場合には、三十年年賦の五分五厘で売渡しをいたすわけでありますが、その前に道路を付けまするとか、或いは水路を掘りまするとか、溜池を付けまするとかというような基本的な工事については、大体全額国庫負担という建前で進んでおるわけであります。あとは、かようにして基本工事ができました土地について、木を茂つたり、草を刈つたりして掘り起しをいたしまして、農地として使えるようにいたしまする開墾の問題が残るわけでありまするが、純粋入植者の場合には大体無一文で入りまする場合が多いので、最初の生活費に当てまするために開墾の補助金を出しておるわけでありまするが、増反者の場合には拡げて増反をいたしたいけれども金がないとか、それを所有者が渡してくれないとかいうところにやはり隘路があるわけでありますので、政府が買収をいたしまして年賦で売渡すということで資金の点の解決、或いは所有権から来る拘束を解決して参るということでありまして、大体或る程度の収入が他にありまするので、純粋入植者の場合ほど差当つての生活に困らないであろうというような考え方からやつておることであろうというふうに考えるわけであります。それから前段の問題は、先ほど来繰返して申上げておりますように、開拓地として非常に大きな地区等を考えまする場合には、産婆とか或いは野鍛冶とか医者とかという者も必要でありましようが、小さな地域の場合には必ずしもそういうものが常に必要であるということはないわけでありまして、農業経営として純粋に伸びて行こうという人々のために増反ということを考えるという考え方で進んで参る方針であります。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 この補助を打切つた理由はわかるのですが、あなたのおつしやるほど既存農家が裕福じやないのであります。政府が何千億といつたような金をかけても食糧増産をやろうというのですから、前に与えておつたところの補助、助成を更にやる意思があるかどうか、これを伺いたいのであります。補助をなさなくてもよろしいという理由は、今あなたがおつしやつたようなことであつたことを私ども承知しておるのです。それほど裕福じやないのであります。非常に未墾地の開拓には金、労力等もかかるのでありますが、それを復活させて頂きたいということなんです。本会議で大蔵大臣と農林大臣御両所に質問したときには、上げたいんだが、今なかなか財政が苦しいのだ。おいおいとそのほうが樂になつたならばといつたような御挨拶を受取つておるのであります。そうしてみますると、政府自体も増反開拓者にも補助は与えるべしという、こういうように考えておるように受取つたのであります。そこへ今回は十カ年或いは五カ年の計画を以て、而も日本の国家予算にすれば七千億と言えばこれは一カ年の予算なんです。それを投じてすら食糧増産をやろうとする熱意に燃えておられるのです。かかる機会こそ七千億、三千億といつたような大きな数字を出さなくとも、先ずこの増反開拓者に対するところの、既存農家に対する曾つての補助と助成を復活する。こういう行政をなされるのがこれは当然だろうと思う。大風呂敷を拡げておいて、そつちのほうを棚上げして、今度は非常にけち臭いところの改正法案を出したとあつては、どうも政府を信頼できないのみならず、その政府の行政を担当しておるあなたがたの熱意と良識を疑うものなのであります。従来の申訳はいいのです。それで将来どう考えておるかということを聞きたいので、この点一つ出す考えがないかないならばないで結構なんです。そうしたいならしたいようにはつきりしたことを一つこの際伺つておきたいと思います。

和田正明農林省農地局管理部農地課長

○説明員(和田正明君) どうも本会議で両大臣が御答弁をなさつておられるそうで、改めて私から蛇足を附加える必要はないかと思いますが、まあ既存の農家といえども決して楽な生活をいたしておるわけではありませんから、でき得べくんばやはり従前同様の補助金を出すということは必要であろうと私どもも考えておるわけでありまして、でき得る限りその実現に努力をいたしたい。かように考えております。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 私だけの質問で大変恐縮なんですが、もう三三でありまするから……。買収計画の申出なんですが、言葉はどうでもいいが、その権限は今度市町村農業協同組合にも与えられることになつておるので、これらに単純なる農業協同組合のみか、或いは開拓農業協同組合とか、いろいろなものがございますが、いやしくもこの農業協同組合法によるところの農業協同組合であれば、如何なるものでも買入れの申出ができるかどうか。

和田正明農林省農地局管理部農地課長

○説明員(和田正明君) 四十五条に「農業協同組合」と書いてございますのは別に開拓農協でなければいかんというようなふうには考えてはおらないのであります。ここに書きました規定の趣旨は、農協が買取るということではございませんで、政府なり県なりのほうで気が付かないために買収手続を進めないような開拓適地が村にある。あの所にこういう適地があるから、政府で買収手続を進めて適当な入植者なり増反者のほうに売渡すような手続を進めてくれということで、県庁なり或いは国なりに注意を喚起してもらうという趣旨の規定でありますので、いずれの農協であろうと差支えないというふうに考えております。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 それから民事調停法による農事調停により権利を設定する場合、この特例を設けた趣旨は一体どうなんですか。この場合にはこの権利の設定権、まあ認定権、許可権と言いましようか、有効条件を司法機関の定めた条項にも譲つてあるのですが、この場合一体どういう考えでこういうふうな特例を設けられたか。知事の場合にはいろいろな審議機関があり、或いは農地部といつたような専門部属を持つておるので、専門的な形式は幾らも補充できるのでありますが、司法機関はそうは参らないのであります。これは裁判所の判事によるところの民事調停なんですから、その場合に単純に無条件にそれらの司法機関に委譲して差支えないかどうか。どういうお考えでこの委譲せられる規定というものをお作りになつたか、その内容を伺つておきたい。

和田正明農林省農地局管理部農地課長

○説明員(和田正明君) 民事調停法によりまする農事調停につきましては、最高裁判所の規則で必ず県庁の農地部におります小作主事が立会をするということを義務付けておるわけであります。この小作主事と申しますのは、御承知ように従前は小作官と申しまして、国が任免権を持つておつた官吏でありますが、地方自治法の改正以後は純粋に地方庁職員になつておりまするが、この民事調停による農事調停に立会うことだけをその職務といたしまして各県に置かれておる職員がおりまして、これが必ず農事調停に立会うということが調停の手続として義務付けられておりますし、本年度の予算では小作主事の裁判所への立会の旅費等も国家で県に流すことになつております点が一点であります。それからもう一点は、調停と申しましても当然司法機関による処分であることは言うまでもないのでありますが、その裁判所がこの法律の全体の趣旨に異なつた調停を下すということは万々あり得ないことであると考えまするし、又そのような事態があります場合には改めて別個の行政訴訟等で、その効力を争う救済の手段もあるわけでありまするので、行政権と司法権の間の丁度混つたところの調停という制度があるわけでありますが、今のような二つの観点から除外をするということにいたしたりであります。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 従来の小作官というものはなくなつて、小作主事と言いましようか、そういうのがあるのでありますが、それは必ず関与せなければならんという建前にはなつておりますが、その意見の拘束力というものは司法機関に対してないので、往々にして判事の専断によつて小作主事の意見が蹂躪せられたまま調停になつたというのを私ども実務として扱つておるんですが、そういうことが、摩擦が起きないように何か最高裁判所の内部規程と異なつた農林省の側の何か一つ楔になるような規定が欲しいと思うのです。或る程度小作主事の意見が通るように、まあ常識的に申上げますならば、陪席するだけで殆んど意見を吐かない小作主事が多いのであります。全部裁判官に委しちやつて、殆んど出張する場合なんかも随行のような恰好で、飾物になる場合が非常に多い。で、当事者は、裁判所の前であつて非常に気が弱いためか、無理やりにそこできめられて、あとから物議を起すといつたのが事件の数として非常に全国的に多いのであります。これなからしむるためにはやはり最高裁判所のそういつた規程ばかりでなく、農林省の側からも、何らかの睨みを持つところの権限をその小作主事に与えるような配慮がなければ、今申上げた欠陥というものは是正されかいように思うのであります。何かそれに対する御用意がおありかどうか。或いは通牒でも訓令でもいいかと思いまするが、もつと根本的な指示、指導というものがなければ今言う弊害というものは跡を断たないと思うのであります。この点如何でしよう。

和田正明農林省農地局管理部農地課長

○説明員(和田正明君) この農事調停につきまして、只今御指摘のような問題がぼつぼつ出ておりますることは私どもも承知をいたしておるのでありますが、一つには裁判所に出掛けまして、ものを言わんような小作主事がおつては困るわけでありまして、その点県庁の職員等の指導なり研修等にも力一を注ぎまして、将来力のある小作主事を作つて参ることも一つの策かと思いますが、その他全体としてこの小作主事の発言権を強めまして、調停の効果を、御指摘のような逆な方向へ走らないように十分研究をいたしまして、処置をいたしたいと、かように考えまして、現在いろいろ準備をいたしておる段階であります。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 長くなりましたので、総論的な私の質問はこれでやめますが、まあ要するに今まで伺つたことを要約いたしますると、席一条、四十四条、六十四条、これを修正してもらいたいこと。それから都道府県知事の権限というものをこの法案のような範囲にまで認めないで、やはり従来通り都道府県農業委員会の権限というものを維持したほうがよろしいという基本的な意見なんです。仮に都道府県知事に委譲せられるにしても、もつと農業委員会から選任するところの委員の数を殖やさなければならない。やはり絶対多数でなければならんという原則規定はないのでありまして、要は運用の上でそういうことはあるまいとおつしやるだけで、これはいささかも私どもの憂えを解くところのものにならない御説明なんであります。それでは私どもは引下り得ないこと。それから先ほど申しましたところの三反歩といつたような制限は、これは是非基本法で削除してもらいたい。そういうふうにお考え願えないならば、これは如何に努力しても修正案に持つて参りたい。こういうふうに考えておるのです。ただ私のあなたの御答弁で満足したものはたつた一つしかないのであります。民事調停によるこれだけで、あとは全部不満足なんです。というのは、これは決して反感を持つて申上げるのじやないのであります。やはり法制に対するところの基本観念が若干あなたがたと食い違つておる。私のほうは先のほうまで見通しておるのと、現在の私の疑念が生ずるに至つたところの実情を数多く私どものほうが見ておるために、そういう議論が出て参つたので、これは議論のやり取りでなくして、是非一つの実情が物語つておるところの輿論であるといつたようにお汲み取り願つて、是非将来一つの深い御参考にして頂かないと、この法案ばかりでなく、いろいろと付随関連した法案が今後たくさん出るのであります。いずれにも関連するので、そういう考え方もあり、且つそういう考え方が生まれたところの原因というものは、地方の実情が語つておるんだということを、是非この際御認識願いたいと思うのであります。なおほかの委員のかたがたに譲りまして、細かいところはあとから又伺いたいと思います。この程度にして私の質問は終ります。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○委員長(羽生三七君) 局長も御都合で本日は出席されておりませんので、明日日を改めて又質疑を続行願うことといたしまして、本日はこの程度で散会いたします。    午後三時四分散会

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