農林委員会 第48号
- 発言数
- 23 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/06/10
会議録
○委員長(羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。 本日の議事日程は、農地法案並びに同施行法案の両案について質疑を願うことにいたします。 この前提案理由の説明がありましたが、両案は提案の関係上三法案を取纏めて今回農地法案の一本に纏めたわけでありますが、大体前の法律と今度の法律の比較は参考資料で一応出ておるわけでありますけれども、一番重要な点について農地局長から簡單に説明を求めて、それからあと御質疑に入つて頂きたいと思います。御了承願います。
○政府委員(平川守君) 今回の農地法案は従来の自作農創設特別措置法、農地調整法及びポツダム政令の三法律の内容を一本に纏めたというところが主眼でございまして、従いましてその内容において大きな問題として従来と偉いまする点は極く一、二にとどまるのであります。 〔委員長退席理事岡村文四郎君委員長席に着く〕 最も大きい考え方の違いといたしましては、いわゆる不在地主或いは一定の面積以上の耕作地等に対しまして、自作農創設特別措置法の狙つておりました一括政府が買収して、耕作者に売渡すという体制を改めまして、大体そういろ意味において自作農創設の仕事はほぼ当初の予定の目標を達成したという考え方からいたしまして、今後新らしく発生する耕作地等に対して自作農創設を行いまする方法といたしましては、ポツダム赦令に規定しておりましたような強制譲渡の方式を原則として採用いたしまして、不在地主或いは一定面積以上の耕作地というようなものが発生いたしました場合におきましては、その所有者をして適当なる耕作者に売渡させる。その適当なる買受人が現われなかつた場合におきましては、政府がこれを買収して適当なる耕作者にこれを売渡して参るという建前をとつたのであります。 第二のやや大きい改正点といたしましては、未墾地の買収につきまして従来の法制を整理いたしまして、従来或いは通牒その他で行つておりました例えば適地の調査でありますとか、或いは売渡しの手続でありますとかいうような点について、開拓適地としてふさわしくないものが買収されることのないように、慎重な買収方式及び売渡し方式を法律に明記いたしました。 第三にこれは臨時的な規定でございますけれども、従来買収をいたしました未墾地の開拓用地の中に開拓地として不適当と認められますものが数万町歩あるように考えられますので、これについては急速に調査をいたしまして開拓不適地と見込みましたものにつきましては、不用地としてこれを旧所有者に拂い下げるという規定を設けまして、これはおおむね今後、今年明年の二カ年間におきまして五万町歩程度拂い下げをいたしたいと考えております。これらの点が主なる改正点でございまして、その他におきましては大体において従来の三法令を踏襲しておるのでありますが、従来の三法令が非常にわかりにくい法律であるという批評がございましたので、今回これらを統合いたしますと同時に法文の整理をいたしまして、わかり易く配列いたしました。その他の点につきましては非常に細かい点がございますが、御質問に応じてお答えするということにいたしたいと思います。
○理事(岡村文四郎君) 只今の局長から前の法律と変つた大綱のお話がございましたが、その前にも一応説明がございましたが、大分日が経つておるので、重ねて御質問がございましたらこれから質疑を願います。
○小林亦治君 只今の局長の御説明によりまして、従来の三法令を統合せられて一本にする。その三法令は本年の十月の二十五日でしたか、あれまでの生命しかないので、それに代る農地法一本とこういう御趣旨はわかつたんでありますが、今説明された中でも、改正の主なる点について伺つたんでありますが、ちよつと納得が行かない。まあたくさんございますが、一体なぜにこの種の都道府県農業委員会が持つておつたあの権限ですね、つまり買収計画に関する権限、それを都道府県知事に集約して参つたのがどういう理由か、これがちよつと私どもで咀嚼できない第一点なんであります。
○政府委員(平川守君) 従来の自作農創設特別措置法で実施いたしました買収は、御承知のように一定の條件に当てはまります農地を一括政府で買収する。そして又一括、一括と申しましても同時にこれを耕作者に拂下げるという非常に大きな分量の仕事を計画的に行いましたわけであります。従いまして、その場合に、いわゆる買収計画、いわゆる売渡し計画とかいうような村としての計画等を立てさせまして、実施をいたしたのであります。今後の農地法案の狙いといたしましては、先ほども申上げましたように、いわゆる一括買収式の対象となるようなものではないわけでありまして、大体において二百数十万町歩の、小作地が二百万町歩程度自作地化したわけでありまして、今後は逐次この法律の処理を認めない小作地等が散発的に発生して来るのであろうと思います。従いましてこれに対して、この法案におきましては、そういう場合に、強制譲渡の方式で一定の法律の定める適格者に対して本人同志の話合いによつてこれを讓り渡して行くというような建前にいたしましたので、従つてそういう計画に関する農業委員会の権限というものがそういう制度の変更に伴いましてなくなつた。併しその他におきましては、すでにポツダム政令で強制譲渡の方式を採用しました場合に、県農業委員会の或る種の権限はすでに強制譲渡方式の制定と共に落ちておるわけであります。今回の法案によつて、特に県農業委員会の権限を落したというものは殆んどございません。ただ強いて申せば、この未墾地の買収に関しまして、従来は県の農業委員会が計画を立てるというような方式をとつておりましたので、これは今後知事が適地を買収することを決定いたしまする事前に開拓審議会に意見を聞く、その開拓審議会の構成のメンバーに県農業委員会の委員を入れる、そういう方式によりまして、知事がそれらの人々の意見を十分聞き得るような態勢を整えまして、それによつて実質上不適地が買収されるというようなことのないようにいたしたいというような方法によりまして、その意見を反映するということにいたしました。その他の一般の農地の関係につきましては、 〔理事岡村文四郎君退席、委員長着席〕 従来の県農業委員会の権限を特に落したものはないと考えております。
○小林亦治君 まだこの法案の條文を全部読んで見ませんが、この審議会の、これはまあ法律で設けられるわけなのですが、この中に何名ぐらい農業委員が入るのか。それから審議会の総員数がどのくらいであるか。もう一つ審議会の快走が決裁権を持つておるところの知事に対してどの程度の拘束力を持つのか。
○政府委員(平川守君) 開拓審議会といたしましては、三十名以内の委員を以て構成するということになつておりますが、開拓審議会はいろいろな任務を持つております。その中の農地の買收、未墾地の買収に関係いたしますいわゆる適地調査部会というのがありまして、これは大体十二名ということになつております。これに対しまして、只今考えておりますところでは、六名ぐらいの農業委員をプラスして考えたらどうかというふうに考えております。それからなお知事に対しましては、知事がその意見を聞いて買収の決定をするということになろうかと思います。
○小林亦治君 それですが、その意見を徴した場合に、審議会の決定がなされれば、それで知事はそれに反する決定をなし得るのかどうかという拘束力の問題ですが。
○政府委員(平川守君) 法律的には拘束するとは考えていませんが、実際問題として審議会のほうで反対のものを無理に知事が排除するということはないものというふうに考えております。現にこの法案の中におきましても、審議会の意見を徴しまして、決定をいたします途中においても、例えば関係者から異議が出たというような場合には、もう一遍審議会にかけるというふうな慎重な手続を規定しておりまして、実際問題としてもそういう例はないものというふうに考えております。
○小林亦治君 大変局長は楽観されているようなんですが、実際はこれは実例で申上ぐるのですが、町村の農業委員会のごときは村の今残つているところの山林事務所にまかせている。知事も大体この保守系統が多いので、これはざつくばらんに申上げるのですが、大体山林地主の側に立つている知事が多い。それを抑えて参つたのが従来の都道府県農地委員会、つまり今の名前では都道府県の農業委員会なんです。そういう情勢のさ中に都道府県農業委員会の権限を全部拔いて、都道府県知事一本の権限にするということになりますと、結局残存しているところの山林地主の勢力を助ける。民主的組織であるところの農業委員会というものの権限を殆んどこれは未墾地買収のごとき場合には骨抜きの状態にしてしまう、こういう結果になるのです。局長の考えと反対なんです。従つてこの開拓審議会十三名の中に六名を加える、六名を加えた結果その審議会の意思決定というものが府県知事の意思と反対の場合に拘束力がないものとすると、知事一本槍で買収の決定がどんどんなされる、こういう結果になるので、結局折角やつたところの農地改革の趣旨というものはこの面から没却せられて参るという虞れがあるのであります。そういう心配をなされておらんかどうかですね、局長はそういうものはないものと思う、こうおつしやるんですが、私はそうでないように見ており、又考えるのであります
○政府委員(平川守君) 多少見解の相違という点もあるようでございますけれども、例えば従来におきましても買収計画に対しまして異議或いは訴願というようなものの提起がありますと、初めていろいろなそういう会社的或いは経済的見地から検討されるということになつて、買収計画の一応立てられました面積の三割乃至四割というようなものが異議の容認というような形でふるい落されておるのであります。実際問題といたしましてこの開拓審議会の決議というものが多数決というような形で形式的にきまるものではありませんで、実際上満場一致の形でなければできないわけであります。従つてお話のような御心配の場合は実際問題として起り得ないのじやないか。知事といたしましても審議会の意向が反対であるものを強行することは実際問題としてもできない実情でございますので、そういう御心配はなかろうかと私どもは考えております。
○小林亦治君 その審議会の構成やその仕組みの規則なんですが、それは政令でございますか。
○政府委員(平川守君) 開拓審議会令という政令で規定をいたしております。
○小林亦治君 その政令の御成案がございますか。この法案が通つてから作るのですか、現在この成案がないのですか。
○政府委員(平川守君) これは開拓者資金融通法に根拠を持つております政令でありまして、私どものほうはこの法案の成立と同時に政令の改正をいたしたい、かように考えております。
○小林亦治君 開拓者資金とおつしやるんですが、只今の質問は開拓者資金と別に関係はないのでありますが、恐らく本省ではそういう政令の御用意があると思うのであります。その政令を見て今の説明のような納得が行きます場合にはあえて質問はしたくないのであります。成案があるなら一つ参考にそれを示してもらいたいのであります。法案が通るとき約束したことが政令を布く場合にねじられたというような例が前にもあるのでありまして、念のために、そういうものをどうしても作らなければならんものとすれば、相併行して説明と同時に配付し得られるならば一層便宜だと思います。
○政府委員(平川守君) これはすぐにもお示しできると思います。
○小林亦治君 それから未墾地買収について伺つたんですから、そのついでにもう一点伺いたいと思うのでありますが、従来は未墾地が、つまり開拓適地が政府に買収せられて農民にそれが売渡される、その場合に買受けるところの農民の耕作反別が三反歩にならなければならない、こういう規定があつたようなんですが、この規定が非常に農村の発展に邪魔になつておつたんです。恐らくそれらに対する請願とか陳情があつた場合に、本省は次にこれを改正するようにいたしましようといつたような言質を方々にお与えになつたようなんです。ところがこの農地法案で見まするというと、それすら何ら改正の考慮か拂われていない、のみならず、現に三反歩以上を耕作しておらなければ新たに買受ける資格がないというように、より改悪して参つたんです。どういうお考えからそういつた農村の要望を抑えて改善の約束を反古にせられて逆行するような、いわば待望する側にとつてみればぱつちりと封鎖されたような規定をお考えになつたが、この点は非常に納得の行かんところなんです。
○政府委員(平川守君) この法案の狙つております一つのポイントといたしまして、堅実な自作農として創設し得るような、そういう自作農をできるだけ創設して行こうということが一つの狙いになつておるわけであります。その意味におきまして一人の農家があまりに広い面積を耕作することも適当でない、同時に又あまりに狭い面積を耕作しております農民は、実際問題として見ますれば、むしろ農家というよりは農業を兼業にしておる、他に主業がありましてそうして今家計の必要から或いはその他の必要から兼業的に農業を営んでおるというふうに考えられるわけであります。三反歩というものにつきましては、その程度についてはいろいろ議論もあろうかと思いますけれども、要するに主として農業に従事するものでないものという種類のものにつきましては、この法案においてはこれの狙つておるような中堅の自作農というものに当てはまらないという言うに考えたわけでありまして、限りある農地でありますから、これをどういう人に与えるのが一番適切であるかということを考えました場合には、やはり六反歩、七反歩持つて農業を専業にやつておる、併し面積が足りないために非常に苦しいというような農家にこれを与えることが一番緊急必要であり、又増産上から見ても効果があるのではないかという考え方でありまして、併し地域によりましては全体的に平均直積の非常に少ない、或いは山の地帯とか或いは海岸の地帯とかいろいろあるかと思うのであります。そういう特殊の場合につきましては、この三反歩の面積について例外的な措置を知事がとることもできるという例外的規定も設けてあるわけであります。原則といたしましてはこの限られた土地を誰に優先的に分配するかという場合においては、中堅の自作農として精進する見込みのあるものというものを第一の目標に考えておるという趣旨であります。
○小林亦治君 この三反歩を耕作しておらなければならないと、こういうふうにはつきりきまつたのですが、従来はそうじやなかつたのでしよう。土地を新たに譲り受けて、買い受けて三反歩になればよろしいと、こういつたような規定の扱い方と思うのですが、今度はそうでなくて現に三反歩を作つておらなければならない、こういうことになると余計土地を求めるほうの側から言えば余計に封鎖された、より厳重な蓋をせられてしまつたという結果になるのであります。ここが逆行ではないかということを申上げたのであります。それは何ですか、どうしても現在三反歩耕作をしておる者でなければならんというのか、或いは従前通り買受くる土地そのものを加えて三反歩になればよろしいというのか、そこをはつきりしてもらいたい。
○政府委員(平川守君) 従来の規則が二通りございまして、ポツダム政令のほうにおきましてはすでに現在の所有面積が三反歩でなければならんという考え方にポツダム政令のときに実は改まつたのでございます。そのいずれがよいかということについては議論もあろうかと思いますが、私どもの考えといたしましては、一応の基準としては現状三反歩というところでその人の農業上の地位を図る。併し先ほども申しましたように、現在三反歩持つておらないけれども、殆んどこの人は農業に精進する見込があるという場合においては例外措置のほうでこれを認めて行く、そういう考え方をいたしてますれば、現在三友歩というところで抑えるか、或いは買収した面積をプラスして三反歩というところで考えるかということは、そう著しい差異はないのではないか、例外措置のほうでその辺は救つて行つたらいいんじやないか、大体自作農に精進する見込のある人かどうかの現状を判定するには、一応現状がどういう耕作状態であるかということを基準にしたほうがよかろうかと、かように考えた次第でございます。
○委員長(羽生三七君) ちよつと速記をとめて下さい。 午後二時三分速記中止 —————・————— 午後二時五十七分速記開始
○委員長(羽生三七君) それでは速記を始めて下さい。本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十八分散会