内閣委員会 第28号
- 発言数
- 60 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1952/05/23
会議録
○委員長(河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。 恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案を議題といたします。本件に関しまして法律上の、この恩給法についての法律上の問題があるのでありますから、本日は特に先ほど法制局長の奧野君の御出席を求めておきましたから委員諸君からこの際御質疑がありますならば御発言を願います。
○竹下豐次君 この問題につきましては局長もすでに一通りのことは御承知のことだと存じますので、余りくどくどしい言葉は述べませんが、簡単に申しますならば、この旧軍人軍属が恩給について既得権を持つておるのであるから、或いは一時停止し、支給が停止される、足踏みをしておるのではなくしてもう根本的に恩給権というものを消滅しておるのである。或いは足踏みさせられておるのであるか、これはまあ大きな議論になつておるものであります。つきましてはポ勅令の六十八号とそれから恩給法との関係、どういう法律解釈になるのか、その点をお伺いしたいと思います。なお、ほかの委員の諸君からもいろいろ御質問があるだろうと思つておりますが、私とりあえずそれだけお尋ねしたいと思います。
○法制局長(奧野健一君) お答えいたします。恩給法の特例に関する件の第一條によりますと、軍人軍属の恩給はこれを給せず、ということになつておりまして、この給せずというのはどういう意味であるかということが問題になつておるように思つております。給せずというのは支給を停止するというような意味であるか、或いは権利がないかというような意味であるかということでありますが、恩給法全体の立て方から見ますと恩給を給せず、という用語、これは恩給法の第四十六條でありますか、第五十二條に用いておるようでありますが、これは単に支給を停止するというのではなく、やはり制度的にそういう恩給はやらないのであつたものであれば、やがて制度的に恩給を支給しないという意味のように用いておると考えます。それでありますから一応この昭和二十一年勅令第六十八号によりますと、軍人軍属の恩給というのはこの勅令においてやめられておるというふうに一応解釈せざるを得ないのではないか。単に恩給権自体があつてその支給を停止するというふうに規定しておるものとは考えられないと思います。ただ併しながらこの勅令は他の普通の場合と非常に違いまして最高司令官のデレクテイブに基いてこういう恩給の特例に関する勅令を出しまして、軍人軍属の恩給をやめておりますが、この場合に根本になる恩給法それ自体については何ら手をつけておりません。恩給法をそのままにおいて特別法として軍人軍属の恩給を支給しないという勅令を出しておるのでありまして、もとの恩給法には全然手をつけておりません。尤もその後昭和二十一年九月三十日の改正におきまして、恩給法の中から軍人軍属というような新憲法に基いてそういうものがありませんから、軍人軍属という文字を全部削除しておりまして、ただその附則の第二條におきまして従来の規定による公務員又は公務員に準ずべきものについてはなお従前の例による言いかえますと従来の軍人軍属の恩給についてはなお従前の例によるというのと同じことを規定しておるのであります。従いまして恩給法では言いかえれば若し軍人軍属の恩給は従来通りという規定があるのと同じ状態になつております。言い換えますればこの勅令によりまして一応軍人軍属の恩給をやめておりますが、これはどうも問題でありまして、基本法と恩給法には旧軍人軍属の恩給は従来通りという規定があるのと同じような状態になつております。そこで今この特別法であるポツダム政令をやめてしまいますと、普通でありますとやめた法律を廃止してもやめた効果はもとに戻らないのでありますが、この場合は特別法であるこの勅令を廃止してしまいますと、基本法である恩給法だけが残つて、その基本法である恩給法を見ますと旧軍人軍属の恩給は従前の例によるというふうになつて参りまして、結局旧軍人軍属の恩給が従前通りであるということになりますので、結局はそのポツ勅のある間だけが軍人軍属の恩給をやめて、それが廃止するというと、もともと通り恩給法本法によりまして軍人軍属の恩給が復活するというのと同じ結果になるものと考えます。言い換えれば、結局この勅令によりますと、直接恩給法自体を改正しないで、それをそのままにしておいて、ただ特例によつて一般的に給せずということにしておるのは、付度いたしますのに、終戦に伴う特殊事情の存するところである。一時その軍人恩給の制度を存在しないものというふうに取扱つて、恐らくはこの適当の時期におきまして、この勅令を廃止することによつて軍人軍属の恩給を復活させる含みの下に、特に右のような方法に出たのではないかというふうに解釈するのが妥当であると思われます。言い換えればその特例に関する勅令によつて恩給法の軍人恩給制度が眠らされておるというふうに結果的に見ると解釈されるのではないか。従いましてこの恩給法の特例に関する勅令をただ廃止してしまいますと、軍人軍属の恩給が復活する、将来に向つて復活するということになりますので、やはり第二條のような規定を置かないと、直ちに復活するということになるものと思われます。そこで第二段の問題としまして、然らば第二條のように一年間更に軍人軍属の恩給を結果的に眠らされるような措置をとるということが、恩給を受ける権利である憲法上財産権の侵害になるのではないかというような問題になつて参ると思います。併し第二條は軍人軍属の恩給を永久に眠らさせてしまうのだというのではなくて、一年間なお今までの状態を復活せしめないでおいて、その間において適当な処置を講する、その結果はまあ一年前に遡つて支給するようになるか、或いは金額の点はどういうふうになるとか、或いは少くとも従来の恩給の金額を下廻るというようなことがなければ、或いは憲法上財産権の侵害ということも形式的にはないということも考えられる。結局その間における恩給法特例審議会等の決定に基いて、将来措置されるであろうところの結果によつて、まあその判断をべきで、ただこの際一年間その状態を続けるということが直ちに憲法違反というような問題にはならないのではないか。云い換えますならば、結局勅令によつて軍人軍属の恩給は一応ないことになりましたが、それは飽くまで特例法でその特例法がなくなると、恩給法は軍人軍属は従来通りある。従前通りあるのでありますから、その法が生き返つて来るというふうに、結果から言いますれば、停止と同じ結果になるのではないかということであります。
○竹下豐次君 その特例法がなくなつた場合には、恩給法が生きて行くという御説明、そこが二様に解釈されるだろうと思つておりますが、そういう考え方でやつたとしても、一つの場合には当然権利が復活するというように考えれば、従来の恩給権を請求する権利が旧軍人にあるのだ、こういうように考えられますが、もう一つは新たに又国家が付与するということをきめたときに、それから恩給の請求権ができるのだというふうな解釈ができるかと思いまするが、その先のほうじやないかというように私などは考えておるのですが、その点は如何ですか。
○法制局長(奧野健一君) 恩給法の特例に関する件というこの勅令を廃止し放しにいたしますと、恩給法で従前の例によるということで当然復活して行くのではないかと思います。
○竹下豐次君 もう一つ仮にこの恩給特例の審議会というものができてそこできまつて、然る後に恩給を幾ら支給するかということが、受け得るのかということがきまつたという場合に減額されることがあるということも予想されるわけですが、そういうことになりましたならば、それは仮定でありますけれども、そういう噂がちよいちよいありますのでお尋ねするのですが、そういうことになるとすれば、特に何かそれが公共の性質を有するので止むを得ず減額したのだというような理由でも立たない限り憲法違反であるというふうな疑いが起るのであります。その点はどうお考えになりますか。
○法制局長(奧野健一君) 非常に形式的に論じますと、従来の恩給の金額というのは非常に安いように考えますので、それをさえ下廻るような結果になるということはちよつと考えられないと思います。或いはスライドの問題はどの程度になるかということは、問題は別でありますが、従来の恩給金額を下廻るということはありませんから、結果的に申しますと、従来の財産権を侵害するという結果はないと思いますけれども、まあ従来の恩給よりも低いように若し定められることがありましても、若しそれが国家財政との関係でどうしたつてそうならざるを得ないのだということでありますれば、財産権というものはすべて公共の福祉に適合したように法律できめなければならない、憲法二十九條のあれでありますから、公共性の如何によつてはそういう結果に若しなつても公共の福祉の必要性如何によりましては、必ずしも憲法違反という問題は起きないのではないかというふうに考えます。
○竹下豐次君 文官恩給につきましては、貨幣価値の下落によりまして、恩給額もスライドしたことはよく承知しておりますが、仮にこれが復活する、旧軍人軍属が復活するといたしました場合に、そのスライドの問題はどういうふうになつて行くのか、その点御説明願います。その点は後からお願いいたします。もう一つお尋ねいたしますが、大体見当がつきましたけれども、一年間延ばされるがために、一年間本当にブランクになつて、その間は支給されないのだということになりましたならば、やはり既得権の侵害という問題が起つて来るのじやないかという感じがいたしますが、その点は如何でございますか。
○法制局長(奧野健一君) それは将来どういうふうに恩給法特例審議会と、その他政府によつてきめられる考え、ちよつと恐らくまあ遡及せしめるというようなことであれば、問題はありませんが、若しそういうことでないということになれば、やはりそこによほど公共の福祉上止むを得ないという事情と、その他憲法に抵触しないというような措置をとられる必要があるのではないかと思います。
○竹下豐次君 スライドの問題はどうなるのか、あとで局長にその御質問がすんだあとにしますが……。
○委員長(河井彌八君) この問題について御質疑があれば……。
○楠見義男君 今竹下さんと奥野法制局長との質疑の模様を聞いておりまして大体了承したんでありますが、なお観念を整理するために重複するようでありますが、もう一つ念のために伺つておきたいのでありますが、それはいろいろ先般来三橋恩給局長の御説明を伺い、それから又本日の答弁を伺つて大体同じようなことを言つておられるように思うのですが、ただそのお話なり御答弁の中に実はぼんやりした言葉が、誤解を生ずるような言葉がありますので、それに関連してお伺いするのであります。それは誤解を生ずる虞れがあると申しますのは、例えば旧軍人の恩給が復元するというような言葉が使われたり、或いは只今も眠つておるといるような言葉が使われたり、或いは又ベールがかぶされておるというような言葉が使われておりますので、従つて今までのいわゆる既得権と申しますか、その恩給基本権並びにその基本権に基いた請給権が一時停止されておるというようなふうにとられるのであります。私は先日三橋恩給局長の御答弁の結果こういうふうに、了承をしておつたんですが、それが間違いであるかどうかお尋ねするのでありますが、三橋局長の答弁で了承したところによりますと、従来の旧軍人の普通恩給について申しますと、普通恩給の恩給権というものは、請求権のみならず基本権も消滅しておつたものである。消滅させられたのだ。そこでそのことは、丁度現在の恩給法の、先ほど引例せられました、例えば四十六條とか或いは五十二條とか、こういうところで恩給を給せずという言葉が使おれておりますが、これは恩給権についての基本権を称しておらない、請求権も従つて称しておらない。従つて未裁定、裁定せられざる状態における規定であると解釈するのでありますが、丁度この五十二條と同じような状態にあのポツダム政令によつて侵された、そういう状態に置かれた。従つてその眠つておつたとか、或いはベールをかぶつておつたというのではなしに、全く恩給権が発生しておらないと同じような状態に置かれて、そこでポツダム政令が効力を失うときに初めて新らしい、全く新らしいこの恩給基本権、従つて又それに伴う請求権が恩給法の第一條によつて生ずるのだ、こういうふうに理解をしておつたのでありますが、その点はどうでしようか。
○法制局長(奧野健一君) 御説の通り、結局このポ勅によりまして軍人恩給については、その基本権そのものが制度的に存在しないというふうにされておつたのであります。それがなくなればということになつて、その間が丁度眠るようになりますから、先ほどのような言葉遣いをいたしたのでありますが、その間におきましては軍人恩給という基本権そのものが制度的に存在しないという状態であります。
○楠見義男君 それからもう一つ、これは法律論であると同時に又常識論のような質問を申上げて大変恐縮なんですが、ポツダム政令で以て財産権を侵害したということになるわけなんですが、併しこのポツダム政令は、実は政治的に申しても占領行政中でありますから、憲法以上の取扱いがされることについては何人も異存がないようなふうにされておるのでありますが、ところがその平和條約効力が発生をした後において、もはや占領行政がなくなつた場合に、引続いてその法律を延ばすということ自体が憲法違反になるかならないか。特に一般的には善後措置の関係で、例えば六カ月なら六カ月というふうにしておるのに、殊更それとかけ離れた取扱いをすることが第二段として憲法違反になるかならないか、この点は如何でしようか。
○法制局長(奧野健一君) 御説のように、占領軍の要求によつてやる場合に、いわゆるポ勅或いはポ政等によつてやる場合は、超憲法的なものと考えておりまして、これは何人も一応是認されておるのでありますが、現在におきましてはその状態をそのまま継続して行くということになりますと、いわゆる超憲法的な力というものはなくなつて、全く本来の日本憲法に照らして憲法違反であるかどうかということを判断しなければならないことになると思います。従いまして、若しポ勅による事態において、超憲法的で憲法を無視することができても、それを継続するというのは、日本憲法によつてこれを検討すべきものであるというふうに考えます。ただこの際、直接平和條約との関係におきまして、平和條約の第十九條のDというのによりまして、占領軍がやつた行為或いは占領軍の指令に基いて日本当局がやつた行為は、すべて承認するということになつておるので、まあ、恩給を剥奪するとか恩給を剥奪しろといつたようなことによつてやつた過去の問題は勿論承認するのでありますが、その承認する状態を続けるということが條約十九條に則つて来るのであるかどうかということがやや疑問として残るのではないかと思いますが、一般的に考えまして講和後の日本におきましては、若しポ政令、ポ勅のように超憲法的なものは何もないのでありますから、そのすべての法的措置は憲法に合致するかどうかということのみによつて判断すべきではないかというふうに考えます。
○栗栖赳夫君 ちよつと今の停止とかその他とかいう言葉がありましたけれども、このポ勅が効力を失いましたときには、恩給法が生きて来る。こういうような結果になるということは私も想像されます。その場合においてそうすると恩給法は過去まで遡つて作用するかどうかということを一つお尋ねしたいと思います。
○法制局長(奧野健一君) 過去まで遡るどいうことはないと考えます。
○栗栖赳夫君 そうすると遡及はないということになりますか。
○法制局長(奧野健一君) ないと考えます。
○竹下豐次君 恩給局長に先ほどお尋ねいたしました。スライドの問題を御説明願います。
○政府委員(三橋則雄君) 竹下委員のお尋ねは、結局恩給法の特例が失効いたしまして恩給法の規定によつて、例えば軍人の普通恩給について言いますならば、軍人が普通恩給法を給せられるということになる場合においてはその給せられる普通恩給は軍人恩給を廃せられた当時における恩給金額の恩給を給せられることになるのか、或いは又文官並みの恩給金額、いわゆる一般公務員の俸給の支給水準の引上げられたために伴いまして、恩給が増額されましたそういう増額された恩給金額の普通恩給を給せられることになるのかということのお尋ねであろうと、こう思います。
○竹下豐次君 そうです。
○政府委員(三橋則雄君) これにつきましてもいろいろと御議論あるかと思いますが、私たちのところでいろいろ検討いたしましたその検討の結果によりますれば、軍人恩給が廃止せられましたその当時の恩給金額の普通恩給を取得するのであつて、一口で、申しますならば、今の文官並みの恩給支給水準に引上げられた年額の普通恩給を給せられますためには、特別な立法的な措置が要るのではなかろうか、こういういうふうに考えておるのでございます。すでに御承知のことと思いますが、昨年又その前に追放の解除者には恩給が給せられることになつたのでございますが、その場合にも恩給を給せられる普通恩給につきましては、その解除せられましたときに受けておる文官の普通恩給の支給水準程度の恩給を支給しますがために、特別に法令にはつきり書いておるような事情でございます。軍人の普通恩給を給せられるような措置がとられる場合におきましても、文官並みの水準の恩給を支給せられるためには、やはり法令的に措置が必要であろう、こういうふうに考えております。
○楠見義男君 これは少しデリケートですから、速記から削つて頂いて、私は法制局長に伺いたいのですが、ちよつと速記をとめて下さい。
○委員長(河井彌八君) 速記をとめて。 午後三時零分速記中止 —————・————— 午後三時四十分速記開始
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて。
○松原一彦君 戦争犯罪人を国内犯罪人と同一視するかどうかということでありますが、その点について。
○法制局長(奧野健一君) その問題は一応考えがありますが、なお研究の上お答えすることにいたします。
○三好始君 そうしますと、局長にわかりやすく條文について御説明願いたいと思いますが、今提案されておる法律案の附則第二項によりますというと、「この法律施行の際改正前の恩給法の特例に関する件第八條第一項又は第二項の規定により恩給を受ける資格又は権利を失つておる者については、なお従前の例による。」と言つて権利の喪失が続くような規定があるわけです。そこで第八條第一項又は第二項という規定を見ますというと、第一項には「公務員若ハ公務員ニ準ズベキ者文ハ此等ノ者ノ遺族連合国最高司令官ニ依リ抑留又ハ逮捕セラレ有罪ノ判決確定シタルトキハ抑留又ハ逮捕ノ時ヨリ恩給ヲ受クルノ資格又ハ権利ヲ失フ」それから第二項には「公務員又ハ公務員ニ準ズベキ者連合国最高司令官ノ命令ニ基キ退職シタルトキハ恩給ヲ受クルノ資格又ハ権利ヲ失フ」こういつたようなことになつておるのですが、なお更に第一條の本文には、今提出されておる法律案の第一條本文には第七條及び第八條削除となつておつて、附則の第二項として又こういうのが出ておるわけなんですが、如何ですか。
○法制局長(奧野健一君) 第八條の関係から申しますと、この附則の二項でなお従前の例によるというので、失権した状態が続くということになろうと思うのであります。これは或いはこの二項というものはもうすでに個々の裁判の処分によつて失権したのでありますから、こういう二項がなくとも当然復活するということはないのではないかと考えますが、恐らくこれは念のための規定としてなお従前の例によるというふうに規定しておるのではないか、いずれにしても個々の処分によつて失権した者はやはり失権のままになる。ただ八條の二項にどういうものが該当するのかということはなお研究しなければわかりませんが、八條だけの解釈としてはそうなろうと思うのであります。
○三好始君 それでは松原さんが最初質問されたものをもう一度繰返してはつきりした根拠に基いてお尋ねいたしますというと、平和條約第十一條に基く刑の執行及び刑の軽減等に関する法律によりまして、戦争裁判は国内裁判と異るものであるという建前の下に立案せられて、戦争犯罪人は国内の通常の犯罪人にあらずという解釈がとられておる、こういうふうに一応説明されておると聞いておりますが、平和條約第十一條に基く刑の執行等に関する法律との関係はどうなります。
○法制局長(奧野健一君) 研究いたしましてお答えいたします。
○委員長(河井彌八君) それでは恩給局長から提出せられました軍人年金恩給受給者推定人員金額と各年に失権した軍人年金恩給の種類別人員の失権率調べというものが出されておりますから、これにつきまして恩給局長から説明を伺いたいと思います。それから軍人普通恩給既受給者年令別調べというのがあります。これも追加して御説明お願いいたします。
○政府委員(三橋則雄君) お手許に配付いたしました資料の中の軍人年金恩給受給者推定人員金額というのがありますが、これにつきまして、最初御説明申上げます。軍人恩給は廃止せられました昭和二十一年二月一日当時におきまして、すでに恩給の指定を受けておつた恩給受給者の人員は実はここに掲げるのを落したのでありますが、大まかに申しまして、大体推定でございますが、実際に近いものと御了承願つて差支えないのであります。普通恩給の受給者で六十九万五千、それから増加恩給で五万五千、それから傷病年金受給者で六万九千、それから公務扶助料と普通扶助料の受給者を合しまして五十四万九千、総計いたしまして百三十六万八千人ぐらいの人員があつたのでございます。昭和二十一年二月一日に軍人恩給が廃止せられましたときを抑えまして、そのときに恩給法の規定によりまして、年金恩給の権利を取得しておる者と認められまする人員をいろいろと復員局のほうに御調査を依頼いたしまして調査してもらいまして、その結果に基きまして、私のほうで推計をいたしましてそうして今申上げました廃止当時におきまするすでに恩給の裁定を受けておつた人員と合しましたものが、ここに掲げておりまする人員の人数であります。それから金額でございまするが、軍人恩給廃止当時の支給水準による場合というのがございますが、これをどうしてこういうような数を推計いたしましたかということを一応御説明申上げておきますというと、これは私たちの推測が違つておるかも知れませんが。いろいろの点から推計いたしまして、先ずこれで間違いはないだろう、狂つたといたしましてもそう大きな狂いはなかろうということをいろいろの統計からきめましたのでございますが、普通恩給はその当時におきまする受給者の軍曹の年金恩給の金額を単価にとりまして、そうしてこの人員に掛けて算出したものであります。それから増加恩給につきましては、兵の、大まかに申上げますというと、増加恩給は大体兵長のところで、戦闘行為、戦争に行つて第六項症のところでおおむね金額をとつております。傷病年金につきましては、やはり兵長のところで戦争に行つて怪我をしたものの第三項症と第四項症との間のところの金額を推計いたしまして、それを単価として弾き出しております。公務扶助料の金額といたしましては、軍曹と伍長の中間のところをとつております。普通の扶助料は、これは普通の軍曹のところをとつて弾き出したものであります。一般文官の恩給改定の場合の例に準じ現在の受給水準に引直した場合の金額の推計は、これは仮定俸給を一万円ベース、現在の我々の公務員のもらつておる金額でございますが、この程度まで引上げようといたしまして算出したものでございます。それから公務扶助料の金額の中には、加給金額を含めております。家族加給という金額を含めております。 それから次の裏のほろの二表のところでございますが、二表のところは最初に書いておりますごとくに、軍人恩給の廃止後今日まで六年間の間におきまして或いは死んだ人もあるでありましようし、或いは死亡以外の理由で以て権利をなくした人もあると思いますが、そうしたこと以外の人も集計いたしまして、その集計したものを除いてそうしてこれの人員を出したのでございます。その失権の率はどういう割で出したかと申しますと、大体一年間に三分くらいの割合で出しております。即ち六カ年間といたしまして一割八分ほど殖えております。 それから普通恩給と普通扶助料につきましては、実際の在職年で恩給の在職年数を計算いたしました場合に、普通恩給の又普通扶助料の権利を取得するものだけを集計いたしまして掲げた人員でございます。金額につきましては、普通恩給のほうは第一表と同じような取扱いをすることもどうかと思いますので、これは少し単価を上げております。 それからこの普通恩給の受給者は、全部を推定いたしますというと、大体表に掲げておりますように、五百十八万四千人となつておりますが、そうして実際の在職年だけで恩給年金の普通恩給に関するものだけについて考えて見ますというと、大体八方八千でありまして、二割に達しないところの数になつておりますが、これが果して適当かどうかということを一応検討いたしますために又別な統計を取つて見たのであります。それはお手許に差上げてあります軍人普通恩給既受給者年令別調という紙がございます。それを御覧頂きますと、これはどうした調べかと申しますと、先ほど申上げました昭和二十一年の二月一日に軍人恩給が廃止されました当時におきまして、恩給局で恩給証書を渡しております普通恩給受給者六十九万五千人となつております。この調べは備考のところで書いてありますように、実在職年のみで恩給年限に達する人はどのくらいかということを調査いたしました。その調査いたしました結果、恩給年限に達する人は計のところにありますように、六万四千人くらいであります。それで年齢別は大体こういうようになつておるのであります。ただここで考えなければいけないものが二つあります。それは昭和二十一年二月一日のときに調べましたのでございますが、今日まですでに調べました人員の中には死亡その他によつて失権されるかたも相当あるのじやないかということが一つと、それから戦争中から戦後まではその調査は出しておりません。従つて先ほど申上げました六十九万五千と申しまする数の中にも実際には恩給権のない人もかなりあるのじやないか、そういうようなことを考えまするというと、この六万四千という数も実際は非常に下廻ることになるのじやなかろうか、こういうふうに想像いたしておるのでございます。で大体一割六十九万五千人、この受給者の中の六万五千人、これは一割以下になるのでございまするが、そういうところから推定いたしまして、この軍人恩給廃止当時における恩給権者が五百十八万四千である。そうしてそれを第二表のように調査いたしまして八万八千と推定いたしましてもそう大きな狂いはないのじやないか、こういうような気もいたしておるのであります。実はこの調査は昨年の秋復員局に非常な努力をしてもらつて調査してもらつたのでございまするが、その際には全国的な調査ができなかつたのでございます。急ぎました関係もございましたし、いろいろな事情からいたしまして全部の調査はできておりませんでした。海軍のほうは全部に亘つて調査いたしましたが、陸軍の関係につきましては全部の調査ではございませんでした。併し又海軍のほうもいろいろと検討をもう一ぺんしてみたらどうかというようなことも考えましたので、実はその後調査を若干いたしまして、今年の四月から又本格的な最後の調査をいたしました。実は五月の十七日で全部の推計が集つておりましてそれを整理いたしております。整理しておりまするが、私が中間的に伺つたところでは今までのこの八万八千のこの推定でございまするが、これと大体において違いはない、こういうようなことを報告でき得るのでございます。 それから次の各年に失権した軍人年金恩給の種類別人員の失権調べでございますけれども、これは毎年々々その年の恩給支給者の総数を土台とした基準総数に対してその年に恩給権を失つた処置をしたものの割合を現おしたものであります。大体それだけでございます。
○委員長(河井彌八君) 何か御質疑ありませんか。
○波多野鼎君 第一表の普通恩給受給者の数と第二表のこの普通恩給受給者の数ですね。これは御説明を聞いてもちつともわからないのだが、どうしてこんな開きがあるのですか。第一表では五百十八方でしよう。普通恩給受給者が……。第二表では八万八千、こんなようなふうに……。
○政府委員(三橋則雄君) 第一表は、軍人恩給は廃止後現在までの失権を想定しない場合の数でございます。それから第二表は失権を想定しこれを控除しましてそれから括弧の中に示しておりまするがごとくこの実際の在職年だけで恩給年限に達するものを土台として基準として考えておるわけです。但し軍人の普通恩給について申上げまするというと、加算年というのがございまして一年戦地に参りましても四年で計算されるわけでございます。そういうような計算をいたしまして、そうして普通恩給の年限に達しておりますものの権利者を想定いたしまするというと、第一表のごとくになるわけでございます。それから実際に在職した、即ち戦地に一年行つた者につきましては一年としか計算しない、こういうように計算して行きまするというと権利者が非常に少くなつて来ます。そればかりでなく今度は昭和二十一年の二月一日から今日まで六ヵ年間におきまして年三分の割合で権利を失つたものを想定いたしましてこれを控除いたしますると、なお一そう数が少くなる、そういうふうに考えております。
○波多野鼎君 そうするとこの表の作り方は、第一表では今お話になつた加算というものを含めての人数ですね。
○政府委員(三橋則雄君) そうでございます。
○波多野鼎君 この二表では加算というものは抜いてしまつておる。死んだ者も控除してある。そうしますと大体加算ということはまあ考えないという考え方でこれはお出しになつたのでございますか。
○政府委員(三橋則雄君) 実は年齢に関しまする調べを求められたのでございまするが、実際の年齢に関する調べは恩給局ですでに年齢の調べは、これはできるわけなんです。それはここの表で全部恩給受給者に関しまするこの年齢の調査ということは、何百万というのがございまして、実際は不可能なんでございます。そこでこの全部に亘つての調査はできておりません。年齢の調査ということを主体にして加算を除いた場合の一応の推定をいたしまして、これを抜きにして作つたのでございます。
○波多野鼎君 加算というものを入れた場合、この六年間に、死亡その他の理由で失権した人を差引いた場合加算を入れて失権した人は差引く、こういつたような計数も次の機会までに出して頂きたい。
○政府委員(三橋則雄君) それは大体今申上げまするように失権のことをどういう工合に見るかということでございまするが、お手許に差上げてございます失権率によつておわかりのように、いろいろと時によつて違いがございます。まあ私は年三分のあれでみていいじやなかろうか、こう思つております。従つて今のお尋ねでございまするが、大体三分までに差引きまして計算しまするとすぐできまするので、そうしたらすぐいたします。
○波多野鼎君 次の機会までに出して頂きたい。それから第一表の金額ですね。軍人恩給廃止当時の支給水準による場合の金額が二十四億ですかね。二十四億でありますね。この金額はこの一年間の金額ですか。
○政府委員(三橋則雄君) さようでございます。
○波多野鼎君 一年ですか……。それからこの恩給水準を引上げた場合は二千三十一億ですか。これもやはり一年間についてですか。
○政府委員(三橋則雄君) さようでございます。
○波多野鼎君 それからもう一つ、第二表のほうの受給資格の者が大体合計して百四十四万人ですね。普通恩給以下みんな合せると百四十四万で七百十六億ですか。こういう今あなたのおつしやつているように加算を入れないで、加算ということは全然考えないで、本当の在職年限、歴年によつてのみ計算して行つて七百十六億、これだけ要るのですか。
○政府委員(三橋則雄君) さようでございます。それはこの表を御覧頂きますと大体御想像がつき得ると思いまするが、公務扶助料の戦死者でございます。大まかに申しましても、戦死者ばかりと申しましても差支えないと思いますが、百三十万人でございます。この百三十万人の公務扶助料受給者の金額が圧倒的に多いことになるわけでございます。そのパーセンテージから申しますると、大まかに申しまして、恐らく公務扶助料の金額が九〇%以上を占めておるのじやないか、こういうふうに思つております。
○波多野鼎君 もう一つこの恩給を…今法律がどうなつているか私まだよく研究しておりませんが、支給することになると二十一年停止したときに遡るのですか。そういう趣旨なんですか。法律は……それとも今後やるというのですか。遡つて支給するということになるのですか。
○政府委員(三橋則雄君) 二十一年の二月一日まで遡及いたしまして、二十一年の二月一日から今日までのものも引つくるめまして支払いするような、そういうようなことは今のところ考えておりません。
○波多野鼎君 権利としては遡及するわけですか、どうなんですか。
○政府委員(三橋則雄君) 遡及するというようなことは考えておりません。
○波多野鼎君 それからもう一つ。この公務扶助料ですね、これがまあ大体六百二十五億になつておりますが、これの支払いというような方法はどんなようにやるかということも考えていないのですか。例えば公務扶助料を一ぺんにやるとか、或いは十年間に分割して渡すとかいつたようなことは考えておらないのですか。
○政府委員(三橋則雄君) 恩給を支給するということは、給するということがきまりまして、そうしていよいよ恩給を給する場合において、給するのは一体どういうように給するのかというような具体的な問題についてのお尋ねと思いまするが、今それをはつきりどうということは政府はきめておらないのでありまして、今度設けられることになつております恩給特例審議会におきまして審議をお願いすることに相成ろうかと思つております。
○波多野鼎君 これは予算の問題と非常にからまつて来ますから、これを一時にやるということになると大変なんじやないかと思うのですが、そういう点、法律を提案される場合に考えておられたのじやないですか。大体の目安は、どんなようにして渡すかということは……。
○政府委員(三橋則雄君) 法律案といたしましては、この昭和二十八年度の三月三十一日までには現在のように恩給を給しない状態を継続するということで法律案は出ているわけです。昭和二十八年の四月一日以後においてどういうような措置をするかということにつきましては、これはいろいろ問題があるだろうかと思います。従つてそういうような問題につきまして、恩給法特例審議会において審議をして頂いて、その結論に基きまして、合理的な結論を出して頂いてその結論に基いて処置をして行こうということになつておるのでありまして、今お尋ねのようなことにつきまして具体的にどうというようなことはまだきめておりません。
○波多野鼎君 二十八年度予算の編成の場合に一番問題になると思うのですね、当然……。
○委員長(河井彌八君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて。 それでは恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案につきましては、本日はこの程度にとどめておきます。次に建設省設置法の一部改正案、文部省設置法の一部改正案、この両案を審議するはずでありましたが、本日はこの程度で散会いたします。 午後四時二十九分散会