内閣委員会 第26号
- 発言数
- 192 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1952/05/21
会議録
○委員長(河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。 文部省設置法の一部を改正する法律案(閣法第百二号)、これを議題といたします。本案につきましては大分委員諸君の御質疑が進行したと思いまするが、なおこの際御質疑のありまするかたは御質疑を願います。
○上條愛一君 二点ほど大臣に御質問申上げたいことがあるのです。実は著作権審議会の委員の選定をどういうふうな方針でおやりになるかというようなことが大体きまつておいでならば、その説明をお願いしたい。
○国務大臣(天野貞祐君) 従来ほかの審議会についてもそういたしておりまするけれども、民間の学者とか、殊に著作関係の人とか、又は学識経験者とか、そういうような人たちを主にして選択したいと思つております。
○上條愛一君 で私がなぜこの御質問を申上げるかというと、前に、現在存在しておるものですが、文部大臣裁定限りのこの著作権法改正案起草審議会の委員の選定の場合に大分ごたごたがあつて、著作権協議会のほうの側の委員が何か忌避したというような事柄もあり、何か感情的にも現在文部省に設置せらるる各種の協議会或いは審議会に、十分この民間団体の了解理解というものを得ておらないような点があるのじやないかと私思いまするので、新たに設置しようとする著作権審議会の委員は、その点について十分御配慮を願わなければならんじやないかという、まあ考えでありますので、御質問申上げたのです。 それからもう一点御質問申上げたい問題は、著作権審議会の仕事のところに、「その他著作権に関する事項」とありまするが、このその他著作権に関する事項というものに、今のところどのような事柄を予定しておられるか、若しありましたら、具体的のお話を願えれば結構であります。
○国費大臣(天野貞祐君) 政府委員からお答えさして頂きます。
○政府委員(相良惟一君) ここで大体今のところ考えております事項は、著作権法の改正であるとか、或いは著作権に関する條約に加入する場合であるとか、そういうようなことを差当り考えております。
○上條愛一君 ちよつと御質問しますが、文部大臣裁定限りの著作権法改正案起草審議会というものは、現在なお存置しておりまするか。どうですか、その点……。
○政府委員(相良惟一君) 現在もなお存置しておりますが、これができましたいきさつにつきましては、占領当局の示唆もございましたので、今度は自主的な立場で以てこの著作権法の起草協議会の運営につきましても新たな構想を以て臨みたいと思つております。
○上條愛一君 それではなおこの著作権法改正案起草審議会というものは、今後も存続して行く考えなんですか。
○政府委員(相良惟一君) その点につきましては目下研究中でございます。
○上條愛一君 若しこれを存続して行くとすれば、この著作権審議会でも、今おつしやるように改正案についての事項を付議せられるというお考えだということでありますが、そうすると、両方にそういうものを併存して行くということになると思いますが、その点についてはどういうようにお考えになりますか。
○政府委員(相良惟一君) 目下考えられておりますことは、このたび著作権審査会が審議会になりまして、審議事項が拡張されたわけでございますので、従来のものの存在理由が非常に薄くなりますので、その点十分考慮したいと思います。
○委員外議員(和田博雄君) 今のにちよつと関連して……。結局考慮するということはやめると、こう解釈してよろしいですな、著作権法起草委員会というものを……。
○政府委員(相良惟一君) 只今の御質問の趣旨がちよつとはつきりしないのですが……。
○委員外議員(和田博雄君) いや今のね、審議会ができたら従来あつた委員会ですね、起草委員会、これは考慮するということは、端的に言えばやめるのだと、こう解釈してよろしうございますね。
○政府委員(相良惟一君) 大体そういうようなことを考えております。
○楠見義男君 その点について問題があるようなんですが、というのは、著作権協議会というものからいろいろ、まあ執拗にと言うと語弊がありますが、陳情が我々の手許に来ておるのですが、その陳情の理由は、これは私は必ずしもとの前に申上げたように、法律的には我々を納得させるだけの理由はないと思つているのです。ただ感情的に或いは政治的にいろいろその危惧の念を持つておる。その危惧の念を持つておるととについては、私は文部省の従来のやり方について不徳のいたすところがあつたのじやないかと思う点があるのですね。そこで例えば著作権の法律に関する改廃の問題で、この審議会でやられたのでは、従来の著作権法改正審議会と同じようなふうに、とんでもない案が出て来はせんかということを実は心配して、そのことがここにある「その他著作権に関する事項」というものを削つてもらいたいと、こういう要望になつておるのですね。そこで今上條委員或いは和田議員から御質問になつた点なんですが、一方の審議会はやめると、一方の審議会はやめてこのほうでやるということについて、今の御答弁で言いますと、はつきりはしておりませんが、大体その方向のようなことに伺われるのですが、そうなると一方のほうに、著作権協議会の心配の点がいよいよ濃くなるのじやないかというような逆の考え方もあるのです。私は実は自問自答しておつたことは、ここにある著作権法第二十二條の五又は第二十七條第二項の規定に上る償金の額とか、或いは著作権二関スル仲介業務二関スル法律第三條の規定による使用料規程の認可とか、こういう項目はむしろこの著作権審議会における審議事項としては専属的のことであつて、ここに書いてあるような償金の額とか、或いは使用料規程の認可というようなものはほかの委員会ではやらない。若しやればそれは非常におかしいことになるので、この項目はこの審議会における審議の専属事項である。但し著作権に関する法令の改廃のようなものはこの委員会にかけてもいいし又広く各方面から意見を聞くといろ意味で、この審議会のほかに或いは又別の臨時の委員会を設けるとか、或いはそうでなくても民間の意見を聞くとか、いろいろ各方面の意見を聞いて、著作権法改正においてはできるだけ広く民主的に意見を聞き、そして文部大臣が原案を作成せられる、こういうふうに了解するのかこの法文の文字の解釈としては当然考えられるのじやないかというふうに、先に申上げたように自問しておつたのです。ところがそうじやなしにほかのほうの委員会はやめて、新たにできる著作権審議会において専属的にそういうことを考えるという意味ならば、そういうことを私はこの法文で明らかにしたほうがいいのじやないか、こう思うのですが、その点はどうなんでしようか。
○政府委員(相良惟一君) 著作権に関する事項と、ここに謳いまして、従来の著作権審査会から審議会に移りまして、多少審議事項を拡張いたしましたのは、切替に当つてこの著作権審議会で以て審議会の委員に民間のかたがたを多数お願いいたしまして、ここで著作権法の改正その他についての意見を十分聴取して、施策にその趣旨を盛つたほうがいいのではないか、こういうような考え方でございます。ただこの著作権審議会ができたからと言つてほかのものを全部やめるということは、まだ今のところ先ほど申上げました通り考慮中で、ただ従来ありました起草審議会というようなものの存在理由が薄くなるのではないかということを一応考えております。
○楠見義男君 そうしますと、結局現在のところでは、仮に著作権法の改正のような問題が起つたときには、これはまあ従来から、前の著作権審査会当時からの委員の人々の御希望によつて、できるだけ文部大臣がそういうことを立案する場合には審査会に付議してもらいたい、こういう要望に従つて今回からこういうふうに審議事項が拡大されておるわけです。従つて新たにできる著作権審議会においては勿論そういうことは付議される。これは私は問題はないと思うのです。同時に排他的であるというか、専属的であるかどうかということが問題なんです。若しほかの別に委員会とかその他のものを設けずにこの審議会だけでやつて行くというならば、その点を明らかにしたほうがいいし、若しそうでなければ、ほかのほうを廃止するとか或いはどうとかいうような問題は実は問題にならないのじやないかというようにすら思うのですがその点伺つておるのです。
○政府委員(相良惟一君) 従来の法的根拠を持たないものよりも、こういう著作権審議会というような、明らかに法律の根拠を持つておりますところの審議会で以て著作権法の改正、その他についての意見を徴して施策に誤りなからしめるというほうがよろしいのではなかろうか、こういうようなことで今度審議会の目的を追加したいというわけでございます。
○栗栖赳夫君 関連して……今のお話は立法として非常におかしい議論だと思うのです。今の起草審議会のほうも場合によると存置されることもあるし、或いはこの審議会のほうもできるということもあり得るということが考えられるような御答弁だと思うのです。そうしますと、いずれに付議するかということは文部大臣のデイスクレツシヨン、自由によつてなし得るということに解釈し得るということになるのですか、どうでございましようか。
○政府委員(相良惟一君) 起草審議会のほうは法的根拠がありませんので、先ほど申上げました通り占領期間中に司令部等の示唆等によつてこういうようなものもできたのでございますが、今度ははつきり法律の根拠を持ちますところの著作権審議会というようなもので、これによつて主として著作権法の改正その他についての意見を聞きたいという考え方でございます。
○栗栖赳夫君 それが今甚だあいまいなんですが、主としてということであれば、一部は又起草審議会にかけるということになる。私は審議会にそれをかけるなら、この際楠見委員のお話のように、専属にする、一方を廃止するというならば私はよくわかります。両方を存続するというならば、文部大臣は自己の選択によつていずれにでも付議ができるのかどうか。そういう場合の大体の方針順序というものはどういうものであるかということもわからないと、この審議はできぬことになると思います。私その点を疑問に思つているのですが、これは或いは疑問として出ておきまして、質問が進むに従つてここを明らかにしてもらつてもいいと思います。
○委員長(河井彌八君) 政府から説明を求められたら如何ですか。
○政府委員(相良惟一君) 只今の御質問に対してお答えいたしますと、このたび著作権審議会ができましたから、勿論これに全部著作権法の改正その他についての意見を徴すべきだと思いますが、従来の行きがかりその他もございますので、漸次これに切替えて行く、こういうふうに考えて行きたいと思います。
○栗栖赳夫君 その漸次というお言葉は、一時両建があるということは、私はこの問題が却つて危惧を生ずる元だと思います。それをはつきりした態度でお臨み願わないと、我々も審議はできぬということになると思います。その辺どうですか。
○竹下豐次君 ちよつと関連いたしますから一緒に伺つておきたいと思います。私は今まで、今提案されております審議会というものができますれば、それでおやりになるまで、並行してほかの委員会があつて、両方でおやりになるなどということは全く私は頭になかつたのです。今政府の御説明を伺つておりますと、大体そういうお考えのようでありますけれども、まだ文部省のほうではそういうことにするのだという、一本にするのだということを大臣の御了承まで得ておられないので、政府委員から或いははつきりしたことをおつしやるのはちよつと都合が悪いのじやないかというような感じもしているのですが、併し今栗栖さんから言われましたように、その問題がはつきりしないというと、私などの審議も大変困ることになります。もう大方そういう方針でおありでありますならば、大臣からこの席ではつきりそれを言つて頂くことが審議を進める上に大変都合がいいのじやないかと思います。
○国務大臣(天野貞祐君) お説は誠に御尤もでございまして、私は一本に切替える考えでございます。
○委員外議員(和田博雄君) ちよつと僕がまだ不勉強なものですから、質問が済まぬ方も多いが、参考までにお聞きしたいのですが、著作権審査会が著作権審議会に変るのですが、委員の数も殖えるのですか。
○説明員(柴田小三郎君) 御説明申上げます。委員の人員につきましては、現在は著作権審査会令というものがございまして、これは勅令によつてできております。現在それは二十五人でございますが、審査会令を改正しまして、その二十五人を変更する、こういうふうなことは考えられてもいいのではないかと思います。
○委員外議員(和田博雄君) 今あなたのほうはどういうふうに考えられているのですか。
○説明員(柴田小三郎君) 今著作権課としては、殖やしたほうがいいのではないかと思つております。又我々推薦母体というふうなものを考えまして、任命の方法なんかも適当に考えたほうがいいのではないかと考えております。
○委員外議員(和田博雄君) そういうことになるから、いろいろ私は民間の人たちに非常に官製的なものになつて来て、民主的なものでなくなるという心配があると思うのです。ですから、今お聞きすると、具体的な案もまだおできになつていないようですが、著作権の今度審議会にしまして、それで審査の事項を結局殖やして行くわけなんですね。今までは二つのことを主として審査して参つておつたのですが、今度いろいろなことがそれに入つて来て、例えば著作権に関する條約だとか著作権法の改正だとかいうようなことになつて来ると、やはり委員の構成ということが基本的な問題になつて来ると思うのです。非常にこの官製的な、官僚統制というか、そういう印象をやはり与えて来るのは、そういうところから出て来るのではないかと私は危惧するのですが、そういう点について今までの法令によらない委員会等の関係その他いろいろあるでしようが、そこのところは私は文部省のほうとされて基本的な方針だけはやはりおきめになつて、それについての具体的なやはり案を持つておられんと、これは審議をやつて行く上に非常に困るのではないかと思うのです。例えば従来日本の審議会とか委員会については、これは又いろいろ意見がありますけれども、かなり重要な殆んど著作権については基本的な問題を取扱うものであるだけに、そういうところの点はむしろはつきりされておかないと、これは我々のほうとしても非常に審査に困るのですが、そこのところは文部大臣どうなんでございますか。やはり基本的な方針と、それについての具体的なやはり案というものは持たれてこれをお出しになつているのだかどうだか、今の委員の数だとか、選定の仕方とか、従来との関係といつたものはどういうふうになつているか、そこのところをもう一遍はつきり……。
○国務大臣(天野貞祐君) これは従来も私が関係する限りできろだけ民主的にやろうと思つているのですが、決して官僚的にやろうなんと思つておらないのです。それで民間のかたにも入つて頂き、それからこういうことに経験のある学識経験者というものも入れて、できるだけ民主的に構成して行こうと、そうして人数ももう少し殖やしたほうがいいという考えであります。ただ一人々々のここでどういう人をやるのだということはまだ申上げられるところになつておりませんけれども、方針としてはどこまでもそういう方針でやろうという考えでございます。
○上條愛一君 それはまあ曾つて勝本さんの著作権調査局設置の企てがあつたようでありますし、それから著作権法改正案の起草審議会のときにも、委員の選定の問題で民間団体の忌避問題もあり、従来の文部省のやり方というものが民主的でなかつたという、極論すれば官僚統制の色彩を強めて、十分民間団体との了解、理解というものが少かつたと、こう考えられるのです。そこへ持つて来て著作権審議会というものが法律的にこれは従来の審査会と違いまして、その他著作権に関する事項と、極論すれば何でも著作権に関することはこの審議会で行い得るとこういう建前でしよう。而も、その委員の選定というようなものが十分民間団体の納得の行くような案をお持ちかどうかということも不明瞭である。そういう場合に、この審議会に著作権に関しては改正の問題でも條約の問題でも何でもここで調査審議できる、こういうことにするというと、ますます審議会を文部省が官僚統制的に利用し得るという懸念がせられるので、民間団体がこのその他著作権に関する事項というようなものを含めるということに強硬に反対しておる理由ではないかというふうに我々は考えるわけです。ここに御配慮を願わなければならん点があるわけです。
○国務大臣(天野貞祐君) 私は従来といえども官僚が自分らの自由に一つ審議会を利用しようとか、そういう考えではないと思うのですが、一番のこの盲点と申しましようか、それはやはりよく意思が疎通しないという点にあつたと思うので。だから今後はよく民間団体の諸君にも了解を得てやるという方針で進めば、私は御了解が得られるのではないかと思います。従来でも決してそういう悪い考えを持つてやるのではないけれども、理解がよく届かないという点がいろいろあるというふうに思つて、そういう点は今日は非常に変つて来ておる、文部省の機構なども従来のような官僚主義というようなものではもうなくなつて来ておると私は思うので、そういう点は十分に民主的にやりたいと思つております。
○上條愛一君 それならば、一体審査会を審議会にしようというこの原案を出される場合において、十分民間団体に理解を求めるような何か御相談をなさつておるかどうかという問題です。
○政府委員(相良惟一君) 民間団体の意見も、個々的ではございますけれども、徴したことはございます。
○上條愛一君 その点十分順序を踏んでやられておるというわけですか。
○説明員(柴田小三郎君) 例えばNHKとか、松竹会社とか、或いは民間のエキスパート等に、こういうふうに改正したいということを了承を得ております。
○上條愛一君 我々の聞くところによれば、個人的には如何であるか存じませんけれども、例えば著作権協議会に数団体加盟されておるようですが、正式にこれらの団体に向つて意見を徴してはおらんというふうに聞いておるのですが、実際はどうなんですか。
○説明員(柴田小三郎君) 著作権協議会には相談いたしません。というのは、この改正案はむしろ日頃著作権協議会あたりが主張しておる民間の意見を徴して、著作権に関する行政の方向をきめてくれというような意向に副うものと考えましたから、著作権協議会には、相談いたしておりません。
○上條愛一君 副うものというただ一方的の推定の下に、やはり事前にこういう重要な問題を改正される場合に正式にその意見を徴しておらんということは、これは大臣は文部省の方針は最近民主的に運営するという方針であると言われておるけれども、具体的にはそれが現実に徹底しておらんというふうに我々は考えるのですがね。ただ方針がそうだということだけでは完全でないのであつて、その方針をやはり具体化して行かなければ民主主義というものは運営できないのではないかというふうに私はまあ考えるのです。
○委員外議員(和田博雄君) 文部大臣にちよつとお聞きしたいのですが、文部大臣のやはり意図はこれは非常に善意の意図であろうと思うのですよ、だけど、善意の意図だけでは実際物事は運びませんので、やはり構成というか機構というか、メカニズムが必要になつて来ると思うのですよ。それはこの審議会は恐らく諮問委員会なんであつて、これが決定したものを必ず政府がそれをとつて実行に移す義務というものは恐らくないであろうと思うのです。それであればあるだけ、ここにやはり民間の本当に公平なものが出て来なければならない、それが出て来るためにはその構成委員がやはり役所の都合のいい人がたくさん実質上占めてしまえば、どんなにいい意図を持つておつても民間の意見というものは反映しないのです、最後は多数決で行けば。だからこの審議会というのは今あなたの善意が反映されるようにしようとするならば、この構成において本当に民間の団体の人たちの意思を代表する人がやはり多数出て来て、まあお役人の人は、恐らく役人はこれは悪意がなくても、やつて見ても結局最後にきめるのはこれは閣議で大臣がきめられるのですよ。そうすると、そこで政治的に見てどうも政府に都合が悪いというような意見が出そうだということになれば、そうした委員が大体出て来ないのですよ。実際今までの経験からいつて見てそれは政府の必ずとられる立場なんです。ところがこうした著作権法だなんだというものはこれは一国の文化の基礎をなすものであればあるだけ、そういつた片寄つた観点から政治があんまりここに入つて来るということは、恐らく大臣といえども避けたほうがいいと思われると思うのですね、そうなつて来ればこの構成についてこの法案を出されるときにどういうような一体比例で本当に民間の人の意思が代表されるような形にさ、れているのか、どういうような一体仕組で選ばれるのかというようなことがやはりありませんと、本当はこれは審議にならんと思うのです。そこを僕らはどういう程度のことをお考えになつているのか、もう少し具体的に実はお聞きしたかつたのです。そこからすべていろいろの疑問が私の言つたような点から出て来ているのじやないかというふうに私は思うのですけれども、如何でしよう。
○国務大臣(天野貞祐君) 私は今和田さんのおつしやつたことはいちいち御尤もだと思つております。そういう線でただ善意さえあればよいとは思つておりませんが、併し善意がなくちや駄目だということも和田さんの御承知の通りだと思うのでありまして、その善意で以て本当に民主的にやりたいと思つているのですが、併し行届かないことがあつたのではいけませんから、御注意によりまして、十分注意深く私もこれをやりたいと思つております。
○委員外議員(和田博雄君) これは委員のやはり選出方法、人数、その他今考えられていることをも少し具体的に資料としてあとでお出しを願つて頂きたいと思うのですが。
○政府委員(相良惟一君) 著作権審議会は、若しこの法律が通りますと、この法律に基きまして著作権審議会令という政令を制定する意向でございます。その政令の中で審議会の委員の選出方法等も規定したいと考えております。目下考えておりまするのは、民間の団体から委員を推薦するというような方法で、十分一方的な任命でないようなそういうやり方を考えて行きたいと思つております。
○委員外議員(和田博雄君) 私はこの法律の審査をやるときには、必ずそれに伴つた重要な政令というものは同時に資料として昔は出されたものだと思うのですが、やはりそれがないと、それは法律の審議には私はならないと思うのです。そういう意味でこの資料を是非私は出して頂きたいと思うのです。
○栗栖赳夫君 それじやそういう政令がありますならば、私はこのその他著作権に関する事項という、私はこういう問題が起ることもいろいろな事情もありましようけれども、大体戦争中の国家総動員法のような非常に漠とした規定であつて、そうしてあのときですらも今和田議員のお話のように政令の主要事項というものを出しておられるのです。どういうものを大体政令で掲げるということ、それから委任命令のときなどもその委任命令の事項を出しておられるのが普通であつたのですが、今のその委員の選任の問題で政令で掲げるということであれば、その他著作権に関する事項というものも一切含むということは実にひどいものです。そういうことについても主要なものを政令にお書きになるかどうか、そうするといろいろ疑惑が解け来るのじやないかと思うのですが、その点はどうでございましようか。
○政府委員(相良惟一君) ここに著作権に関する事項という非常にこう漠然とした規定がございますが、文部省設置法のほうで文部省が著作権について何をなすべきかということはもうすでに規定がありますので、おのずからこの著作権審議会の目的につきましては、その範囲を出ることができないわけでございます。それでそういうような、これはこの前も申上げたのでありますけれども、もう少し政令を制定いたします際に具体的にするということは適当だと考えております。
○栗栖赳夫君 いちいちあげ足をとらえるようで……、今でも正しい何を言つておられますが、私は文部大臣の著作権に関する権限がどういうものであり、どういう法律できまるかということはよくわかつております。併しこれは諮問に付されるかどうかということは、文部大臣の自由になるわけです、デイスクレツシヨン。諮問に応じてという言葉があるのです。或るものはかけ或るものはかけない、かけても、こういうものはこういうように持つて行くとかいうようなそこに手心があつて民主化されなくちや困る、それからいろいろな疑問が起つておるのだと思うのです。それですから、ここで著作権に関する非常に漠とした言葉がありますから、この疑問を解くためには、相当主要な事項などをお書きになると疑問が自然解けて民間の協力も得られ、民主化されるという実が挙げられるのじやないか、そういうためには政令にお書きになるのと併せてそれをお示しを願つたらどうか、委員の選任の場合と同じようにお示しを願つたらどうか、こういうように私考えるのでございますが、この点はどうでございましようか。
○政府委員(相良惟一君) 只今の御意見のように資料として提出するつもりでおります。
○楠見義男君 この点私は多少意見に亙るようなことになるのですが、先ほど文部大臣がちよつと中座せられておるときに申したことなんですが、この問題についてこれほど重大問題化されておるということは私は従来文部省の不徳のいたすところであつたのじやないかということを申上げたのですが、一層その感が深いのですが、実は法律的に見ますと、本来文部大臣の権限に属しておるものを独断専行をやらずに、こういう審議会を設けてその審議会に諮問をして、できるだけ慎重な手続で以て又民主的にやろう、こういうことなんだから、その考え方については私は反対があるはずはないと思うのです。ところがこういうふうに問題になつているということが、今まで我々多数の法律を審議して、逆の現象についてこれほど問題になつたということは、私は実際奇異の念に打たれると同時に未だ曾てないことなんです。従つて先に申上げたように不徳のいたすところが、この今日こういうふうに各委員を悩しておられることであり、又民間に無用の心配を起さしておられることじやないかと思うのです。これは意見なんですが、そこで具体的にお伺いしますことは、先ほど著作権課長からも現在のその委員の数を殖したほうがいいじやないかと思うというような御意見もあつたのですが、今までと違つて、仮にこの審議会において著作権の改廃に関する事項が審議されるということになれば、著作権と言つてもいろいろの面における著作権があるのだから、当然その従来の委員の構成なり、或いはその数場合によつては専門委員、そういうものが当然殖えるべきものであつて、考慮するとか考慮せんとか考慮中とかいう問題ではないと思うのですが、その点はどうなんですか。
○説明員(柴田小三郎君) 御承知のように著作権が例えば音楽であるとかそれから出版であるとか、こういうようなものがいろいろございますから、そういうようなふうに分けて、委員を例えば何部会というようなものを設けたら非常に理想的だと考えておる次第であります。
○楠見義男君 ですから、当然現在の委員の数は増加したいと思うとか何とかいうことではなしに、当然増加するということは既定の事実として考えられなければおかしいではないかという質問なんです、私の質問は。
○竹下豐次君 今楠見委員から御発言がありましたが、私もこの案は大体民主主義の線に沿うて立案されたものというふうな感じをいたしました。先般来協議会のほうからいろいろ反対の陳情を受けましたけれども、そういう意思を実は表示しておつたようなわけで、問題はやはりこの委員会の人選が非常に大きな問題であります。私が今まで考えておりましたのは、もうその問題はすでに十分に文部省のほうでも御研究になつて、相当に数もお殖やしになるだろうし、或いは民間から何人ばかりとか、或いは又官庁からお出しになるのならば、文部省の役人を何人補佐役とするとか、学識経験者が何人くらいというような具体案がもう相当にできた上でこの案は御提案になつたものであるというふうに、ひとりでこれは早く感じ過ぎたのかも知れませんけれども、ただ漫然とあとどうなるかわからないというようなことで出される案ではないと、かように私は理解しておつたんですが、今承わつておりますと、何だか政令の改正の問題はこれから研究するというふうに、さようなふうに受取れますが、それでは私どもとしては甚だ了解ができかねるわけですが、恐らく相当な肚をきめておきめになつていらつしやると思いますが、あとで又御返事をするというようなことでなくして、もう少しはつきりしたことをこの席で言つてもらえないものでしようか。この点余り延びるということになりますと、それは妙なことに私はなりはしないかと思うのですが……。
○説明員(柴田小三郎君) 例えば著作権法改正起草審議会は六十人の委員から成つておりまして、実は私たちはそういうような点を基準にして考えております。併し六十人の委員というとかなり大きな人員でございまして、これを例えば五十人くらいにできないものか、そうしてそれを放送部会とか出版部会とか或いは音樂部会とか、こういうふうに分けて、五部くらいにして十人ぐらいにして、更にその上に五人くらいの常時の連絡委員を置いてみたらどうかというようなことを実は具体的に考えておる次第であります。
○国務大臣(天野貞祐君) これは文部事務当局は相当そういうことは研究もし、考えてもおるのですが、はつきりしたことをここでちやんと言う段階にならないものですから、おきめになるほうで非常にあいまいのようにお考えでしようけれども、何もせずしてこれは漫然と出すというようなことはあり得ないことでありまして、そういう下準備ということは私もほぼできておると考えておるのであります。
○委員外議員(和田博雄君) 重ねてこれは確めておきますが、そういうものを要綱でいいと思いますから、私は材料として出して頂かなければならんと思う。一つの法律の中で骨格を成すような問題について、何もしないでこれを法律として審議するということはこれはむちやだと思う。そのままで衆議院を通つて来たのは私はおかしいと思うのです。とことんまで固まらないものがあるということは私なんかもよくわかるのでありますが、当然大きなものは固まつた、こういうふうになるのだということにならなければこれは困ると思う。当然附けて出すべきものであつて、そういうものを出さずに審議して行くということはこれは怠慢だと思う。それは重ねて委員長にもお願いしておきますが、是非その材料を出して頂きたいと思います。
○委員長(河井彌八君) 承知いたしました。
○楠見義男君 一つだけ……。先ほどお伺いした点についてもう一度念のためにお伺いしたいのですが、先ほど私申上げましたのは、著作権審議会の審議事項において、例えば著作権法における償金の額とか、仲介業務に関する法律における使用料規程の認可とか、こういうことは著作権審議会の専属的事項であつて、これらの償金の額、或いは認可についてほかの委員会なり、或いは民間団体なりに文部大臣が意見を徴せられるということはこれはおかしいのじやないか。むしろこの審議会の専属事項としてそこにはつきりしておるのじやないか。ところが「その他著作権に関する事項」というふうに非常に広汎になつているから、文部大臣が仮に著作権法の改正について審議立案をせられる場合に、これをたまたまできておるこの著作権審議会に付議せられるということも結構だし、或いは又著作権協議会なら協議会という民間団体があるとすれば、その民間団体の意見も徴するということも文部大臣としてはこれは自由であるし、とにかくいずれでもそれは専属的に、制限的でない、こういうふうに私は法律解釈上理解をしておるのですが、その点はどうなんでしようか。
○政府委員(相良惟一君) この法律案にありますような償金の額でありますとか、使用料規程の認可というものは著作権審議会にかけますし、それからこの著作権法の改正というような問題につきましては、やはり著作権審議会にかける、こういう建前で行きたいと思います。
○楠見義男君 私の伺つておるのは、この審議会に付議する事項についてはこれはもうそう問題はないだろうと思う。例えば仲介業務に関する法律でその使用料規程を認可ぜんとする場合には著作権審査会の議を経べしとか、或いは諮問すべしというふうに文部大臣に対しては義務付けをしておるのですが、同時に反射的にこの使用料の規程の認可についてはあちらの意見がこうだ、こつちの意見がどうだといろのじやなしに、専属的にこの審議会にかけ来なさいということが法律解釈上出てやしないか。ところが、その他著作権に関する事項とこういうふうに非常に漠然となつておるから、そこで今相良政府委員からお答えになつたように、この審議会に付議することについてはこれは一向かまわない。それは文部大臣が諮問したいと思えばここへ諮問すればいいのですから、而も審議会としてはその権限事項にこれがはつきり現われておるのですからその点はいいのですが、それが専属的であるということになると、ほかの著作権協議会なら協議会というものに諮問しても違法になる、違法という言葉は少しどきついのですが、併しほかの協議会に諮問しても一向差支えない、こういうことになりやしないかということなんです。
○政府委員(相良惟一君) 文部大臣の諮問機関といたしましては著作権審議今があるわけでございますので、それに諮問するのが正当である。但し民間団体に文部大臣のほうから諮問するという恰好ではなく、向うのほうから意見を持つて来た場合はそれを受けるということにおいてはやぶさかではないのでありますけれども、諮問は飽くまでも著作権審議会にしたい、こういうことです。
○楠見義男君 私の申上げているのは、公的の機関に公的に諮問するというのはそれでいいのです。ところが償金の額とかなんかというものは、プライヴエートと申しますか、コンフイデソシヤルであつてもこれはおかしいですね。ところがその他著作権に関する事項と、こういうふうになつておるから、コンフイデンシヤルに聞く場合はこれに対処していないと、こう解釈していいかどうかということなんです。
○政府委員(相良惟一君) 今コンフイデンシヤルとおつしやいましたけれども、やはり意見は直接求めることは、この著作権審議会になすべきであつて、その点からは文部大臣の諮問するのはこの一つだけあればいいのではなかろうかと、こういう考えでおります。
○楠見義男君 そうすると、その他著作権に関する事項というこの言葉を、例えば著作権に関する法令施行に関する事項とか、或いは著作権に関する法令改廃に関する事項、こういうふうに仮にこの言葉を直しては文部省としては差支えがありますか。
○政府委員(相良惟一君) その点につきましては、文部省としても異存はございません。
○栗栖赳夫君 そうしますと、よくお考えにならんと著作権法というものにいろいろな権限その他の規定があると思うのですが、それに関するものを政令でこの協議事項の中へ、諮問事項の中に入れられるというような必要はないのですか、なかつたら今楠見さんに対する御答辯で以て結構ですが、どうですか。
○政府委員(相良惟一君) 只今の御質問は列挙したらどうかということだけですか。
○栗栖赳夫君 いや、今の政令の施行とか、その他という楠見委員からの事項は非常に限定されたもので、それで差支えないというお答えがあつたのですが、この文部大臣の著作権に関する権限はもつと広いものです政令の施行だけじやないのですであるからそう狭くこれを解して差支えないというのですが、著作権その他いろいろな法令の上に現われておる権限はこれにかけないということでいいのですかどいうことを私念を押しておるわけです。
○政府委員(相良惟一君) 楠見委員のおつしやいましたのは、著作権の施行に関する事項、これでいいかということでございましたから、それならば結構だと申上げたのでありまして、政令という言葉をおつしやつておるのではない。
○栗栖赳夫君 私の言う意味がわからんのですが、そうではない。そんなに狭くしていいのかという意味を言うのです。
○竹下豐次君 今の意味で言うと、著作権の施行ということで制限しますれば、著作権法の改正というような問題が大変狭くなりますが、それでいいのですか。
○栗栖赳夫君 私が今お尋ねしておるのは、そういう著作権法の改正とか、改廃、それに基く政令の改廃だけでいいのか。著作権法自体の運用についても諮問される必要がないのかどうかということを、この立案のおかたにどういう意図であるかということをお尋ねするわけです。
○竹下豐次君 ちよつと議事の進行について……、大変こんがらがつたのですが懇談にしまして一応……。
○委員長(河井彌八君) 一応筋に通つているつもりですが。
○委員外議員(和田博雄君) やはりその点はつきり資料で出して頂いて、そして審議したほうがいいと思うのです。多少今のところ食い違いがあるなあ。
○楠見義男君 ちよつと懇談の前にお伺いしたいことがあります。先般の文部、内閣連合委員会の際に、大体今回の法律案の主な内容について文部委員のかたがたから御質問があつたのですが、そのときに聞き漏したことがありますので、その点について二、三大臣にお尋ねしたいと思います。それは先ず最初に、中央教育審議会が新たに今回設けられることになるわけですが、その審議会の調査審議事項としてこの法律によりますと、二十四條で教育に関する基本的な重要施策という言葉が出ておるのですが、この教育に関する基本的な重要施策というのは一体どういうことを現在考えておるのですか。
○国務大臣(天野貞祐君) それは例えば大学院の問題などに、現在の定めでは、初めの二年やつた者は修士とする、三年すれば今度は博士になれるという、そういつたようなことが果してそれでいいものであるかどうか。或いは国立学校もたくさんできましたけれども、現在のままにしてどの学校でも皆同じ科目を作つて行くということになりますと、どれもこれもが貧弱なものになつてしまう。だからそんなことは何とか統合を……といつて学校をやめるのではないのですけれども、どこかを主として行くとかいうようなこととか、或いは高等学校につましてきも、現在の高等学校というものの性格が、どうも私ははつきりしないように思う。だからどういうふうにこの高等学校の性格というものを持たせて行こうか。例えば選択ということが非常に多くなつて来ている、果してこんなに選択制度というものを若いときからやつて、これで果して行けるものであるか。そういうようなことを、それを専門委員において一応研究して、それの原案をそこに出して、いろいろなことに対して広い見解を持つておられるかたがたに相談をしてみようと、そういう考えです。
○楠見義男君 それからその問題に関連しまして、委員ですが、人格が高潔で教育に関し広く且つ高い識見を有する者云々ということがありまして、文部大臣の再々の御答辯では、この人なら……この人たちがきめた教育方針であれば、国民の誰びとも納得するであろうと、こういうような御答辯があつたように記憶しておるのですが、そこでこの連合委員会のときに、文部委員のかたから御質問をなさつた。これははつきりそうおつしやいませんが、何か代表的な、具体的に言うと、例えば教員組合の代表とかいうようなことを頭に置かれて質問がせられたのではないか。これは私の或いは間違いかも知れませんが、どうもさつと聞いておりますとそういうような発言があつたように思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えになつておるのでしようか。
○国務大臣(天野貞祐君) 私はどこを代表するというのでなしに、個人の資格においてすべてをお願いしたいと、実は私は教育刷新委員会というものができましたときに、これは御承知のようにアメリカから第一次の教育使節団が来て、それに応じて日本側委員というものが選定されて、それからあとにそれを母体としてできた委員会ですそのときに私は高等学校の校長をしておつたので、高等学校の校長という資格ではなく、個人の資格でありますが、そこに出て行つて非常に驚いたことがある私自身はもうこれだけ負けてしまつたのでは、何でも丸裸になつて、日本国がよくなる一つの教育体系を考えよう。アメリカが言つたから六三三四というのでなくて、その六三三四も又どなたもよく検討をしたらいいという、そういう本当に丸裸の気持でしようという気持、そうすると、そこに出て来られた人はあらゆる方面の自分の団体の利益になるようなことを非常に主張された。私の考え違いかも知れませんが私の受けた印象は非常に強くて、私は高等学校を代表したために、旧制高等学校が若干損をしてしまつた、現実においては……。私はそういう点において、旧制高等学校の諸君に甚だ申訳ないことをしておる。打明けた話を申せば、旧制高等学校の校長が皆旧制高等学校の温存の運動を起すと言うから、私はそんなことに賛成せん、自分は今度丸裸になつてやるのだというので、そういう苦い経験を持つて来たから、どうかそういう今度の中央教育審議会というものは、一党一派を代表するとか、利益を考えるというのでなくして、本当に今後の日本の教育はどうなつたらいいかということを考えるような人を選択をして、行きたい。それには、私の個人的な主観的なことではいかんということは勿論でございまするから、十分その点を注意して選んで行きたい、そういう考えであります。
○楠見義男君 それからもう一点、国立近代美術館の問題についてお伺いしますが、これもこの前の連合委員会の際に文部委員のかたからこれはむしろ文化財保護委員会の所管にしたほうがいいじやないかというような御意見があつたように記憶しておりますが、私もすらつと考えますと、そのほうにも一つの理窟がある。それから又文部大臣の御答弁になつた点を検討して見ましても、成るほど理窟があるように思う。とにかくこの問題は社会教育と言いますか、芸術教育と言いますか、そういうものと密接な関係を持たして差当りはやる必要があるからというので、文部本省の附属機関にしておる。併し一方文部委員のかたがたの御意向は、これはやはり何も明治以後のものは保管を要しないとか何とかいうのでなしに、古代美術或いは近代美術共に文化財としてこれは尊重し保管して行かなければならん、こういうような御意向でこれも私は理窟が合うと思う。そこで仮にこの原案をこのまま承認をするという場合のことを頭に置いて曲伺いするわけでありますが、今申上げたように、いずれにも理窟があるように思われるので、その点については一応これで行つても、これは確定的のものでなしに、文部省としてはこれをおやりになつた結果、更に又改善して御検討の結果、文化財保護委員会のほうに附置したほうがいいならばそのようにするし、現状通り続けて行つたほうがいいとなれば現状通り続けて行くし、確定的の問題としてでなしに、なお検討の余地あるものと理解してよいかどうかこの辺はどうなんですか。
○国務大臣(天野貞祐君) 私もこれは両方に理由があると思つております。けれども私はやはり常識的に考えますと、物を保存するということじやなしに、保管と保存と少し違うと思う。こちらは保存でなく保管なんですね。ただ置いておいて見せて、そうして国民一般の芸術心というものを高める、そこに力点が置かれておるという点は、私はむしろこちらがいいんじやないかと自分は思うのです自分は少しも文部省内に是非置かなければならんという、そういう考えでなく、こういう考えであるから、差当りここに置くほうが妥当ではないか、将来又どういう都合で文化財保護委員会のほうに置いたほうがよければ、私どもはそちらに置くほうに少しも躊躇しない。すべて公平に考えて、おります。
○松原一彦君 今の楠見委員の質問に関連して私も伺いますが、私は文化財保護法による文化財保護委員会のほうに所管せしめたほうがいいのじやないかという先般の質問に対して、私も疑問を持つのでありますが今回の近代美術館というものは私の考えておる想像しておるところでは、近代美術の比較的よいもの、価値の高いものを文部省が買上げられて、これを社会教育的に展覧するというのであつてその中から後代に残るべき歴史上又は芸術上価値の高いもの及び考古資料としての有形文化財を文化財保護法で以て保護するのでありますから、この中から選別して後代に残るのが文化財保護のほうに移つて、比較的流行性などの強い現在の所産である美術は、それをここに展覧して社会教育的に活用するのだと、私はこう考えて法文を読んでおつたのですが、その点如何でしようか。 なおついでに、一体今度お作りになる国立近代美術館というものの陳列品は、全部文部省の買上品であるのでし上うか。或いは委託といつたようなものもあるでしようか。その予算、その選択等につきまして、少し具体的にお話を……。
○国務大臣(天野貞祐君) この美術館の何と言いましようか、目標とするところは、現在の美術品を展覧して、そうして只今申しましたように一般に見せる、そういう教育ということに力点を置いておるわけであります。後のことについては、政府委員からお答えさせて頂きます。
○政府委員(寺中作雄君) 近代美術館の今後の運営の構想でございますが、先ず予算の点でございますが、運営予算につきましては、目下大蔵省と協議中でございまして、確定したところはまだきまつておりませんが、大体私どもとしましては四千万円ぐらいの運営費でやつて行きたいというふうに考えております。ここに陳列するものは文部省の買上品だけかというお話でございます。現在文部省で買上げて持つておるものは点数として二百七十点、三百点足らずぐらいでございますが、近代美術館が発足いたしますれば、できるだけ優秀なものを買上げまして、そうして時々展覧をいたしたいと思いますが、文部省の買上品のみでなく、いろいろ委託によつて、或いは借上げて、又国際交流の形で外国のものも陳列する場合もあるわけであります。要するに美術館は陳列の場所でありまして、その時々の要求によりまして必要な展覧会を催すという形で、いろいろの形の事業を行なつて行きたいと考えております。それから買上選択の方法でございますが、従来買上げますときには、芸術院会員であるとか、或いはその他必要なかたに委員になつて頂きまして、選択の助言を得まして、それによりまして選択をいたしておるような次第でございます。 なお只今のお話の中で、特に優秀な文化財として保存の必要のあるものを文化財保護委員会に移すかというようなお話しもございましたが、これは是非文化財保護委員会の力によりまして保存の必要があるというものにつきましては、これを指定して、文化財保護委員会のほうでやつてもらうということもあるわけでありますが、現在のところ、明治以後のものにつきましては、余り指定をして文化財の範疇に入れて保存するというようなことはやつていないと思います。
○松原一彦君 大体わかりましたが、私は社会教育的に展覧するということが目的であるとするならば、この原案のようで結構だと思いますけれども、明治以後のものは比較的に文化財として保護されておらん。急いで今のうちから保護したいという人々の御意見も私は傾聴しなくちやならんと思うのです。例えばここの国会にかけられておるところのもので「南風」などがかかつておりますが、非常に立派なもので画期的なものだと思うのですが、これは文部省のお買上品だそうです。文部大臣の買上げられられたというものは一つの権威がある。併し文化財保護になると、文化財保護委員会によつて厳重な選択を要するのだから、一概に全部の買上げを文化財保護委員会にのみお任せするわけには行かん性質のものだと馬う。そういうことで一方にはまだ価値が未定のものもお買上になつて一つ立派に保護して頂きたいという希望を私は持ちます。この原案の御趣旨のほうが私はいいのじやないかという感じがするのです。但し四千万円やそこらでは非常に貧弱なもののような気もしますが、一方には保護するという、ここに近代美術に関する作品その他の資料を収集、保管すると言はれるこの保管の仕方等についても相当大切に取扱つて頂かなくてはならんのでありますが、只今の構想は、近代美術館の位置、その構造、その規模等についておわかりになつておりますなら、極く概略でよろしうございますから、一口この際御発言を願いたい。
○政府委員(寺中作雄君) 只今予定しております国立近代美術館の建物は、位置といたしましては東京都内の京橋の四つ角から三、四軒目になります元の日活本社を買入れた次第でありまして、これは敷地坪数は約五百坪、四階建の建物であります。なお地下室がございまして、ここに或る程度の保管ができますが、その地下室の通風乾燥装置等についても考えておる次第であります。これによりまして、優秀な美術品の十分保管の責任を保たなければならないと思つております。
○栗栖赳夫君 今予算のことのお話がありましたが、四千万円というのはすでに本年度の予算にとつてあるのでありますか、これからとろうとされるのであるか、どちらでございますか。
○政府委員(寺中作雄君) 建物の買入費のほうは、昭和二十六年度の予算一億円で以つて買入並びにその改造をやることにいたしまして、すでに使用済でございます。本年度はその運営の経費でございますが、運営の経費は実は急に建物の買入がきまりまして、いわば近代美術館設置費ということで本年度一億円予算にありますものの中から最小限度の運営費を支出するということを大蔵省のほうの了解を得ておる次第でございます。時節柄でありますから、できるだけ節約するという意味で四千万円ぐらいを私どもとしては予定しておるので、具体的に支出するについてはなお大蔵省と協議を進めております。その意味で予算はあるのであります。
○栗栖赳夫君 一億円の中でその四千万円を流用するのですね、そうですね。それで本年度はたつた四千万円しか……。それ以上にいろいろ要求をされるわけでしようかどうでございましようか。
○政府委員(寺中作雄君) 要するにその設置費の一億円の中から四千万円ぐらいを運営費として支出することの了解を、支出するように協議を進めておるわけでありまして、それ以上には要求しないつもりでおります。
○鈴木直人君 文化財保護委員会に関連しまして大臣にお尋ねしたいと思いますが、文化財保護としましては、有形文化財の方面に従来とも力を注いでいるようでございますが、私の考えとしては無形文化財のほうも非常に重要だと考えておるわけです。そこでお尋ねしたいのは、無形文化財に対するその助成の予算は幾ら二十七年度にもらえるかということを一つこれは大臣から説明して頂きたい。もう一つは無形文化財への保護に対する大臣の抱負を一つ、これは文化財保護法に関する件であると思いますが、それに関連してこの際お聞きしておきたい。
○国務大臣(天野貞祐君) 文化財保護委員会は、私はこれを閣議において代表はいたしますけれども、全部そういうことは文化財保護委員長の責任においてすべてなさることです。
○委員外議員(和田博雄君) もう時間が余りありませんから、質問したいことはいろいろありますが、簡單に二、三点伺います。大体楠見君が一応聞かれたのですが、念のために大臣にお聞きしておきたいのですが、中央教育審議会で学制自体の改革についても今後やつぱり審議して行くお考えであるかどうかということですね。もう一つ中央教育審議会の委員ですが、この文句の上では「広く且つ高い識見を有する者のうちから、」とこうあるのですが、私が一言お聞きしたいのは、教育専門家だけの委員会でなくて、これはいろいろあらゆる経験をやはりここに集めるというようにして頂きたい。あらゆる方面の経験、私は教育というものは、これは人生における経験が必要だと思うのですが、教育のことに従つておる人たちの経験も必要だろうと思うけれども、やはり社会に出て教育に実際は従事しなくても、教育的な観点について考えを持つ、大抵の人が私は持つておると思うのですが、そういう点で広くむしろ人材を集める、職業などに拘泥せずに広く集めるということが非常にやはり必要じやないかという私は気持がしておるのですが、その点どういうお考えですか。
○国務大臣(天野貞祐君) 第一の点につきましては、六三三四というシステムは、少くも六三の三というものは決して動かさない、こういう方針でござります。第二の点につきましては全然同感でございまして、十五人大体選ぶうち五人は実業界のかたがた、そうい広うく社会で活動しておるかたがた、そういう人を選ばなければならん、決して狭く教育界という考えを持たずに……。私は和田さんのお考えと全然同感で、その趣旨によつてやつて行こうと思います。
○委員外議員(和田博雄君) どうぞ労働階級からもお選びを願いたいということをお願いしておきます。 もう一つお聞きしたいのはユネスコの点ですが、ユネスコの今度予算を官房のほうで何か、……大体どの程度の金額を予定されておるのか、その点若しも研究等でもありましたらお聞きしたい。
○政府委員(相良惟一君) 昭和二十六年度におきましては、ユネスコに関する予算は七百万円でございましたが、二十七年度は二千八百万円であると思います。
○委員外議員(和田博雄君) それから最後に今の文化財保護委員会との関係ですが、私は原案でよいのではないかという気がします。やはり一番問題なのは資料の収集ですが、その収集のされ方、及びどういう一体観点から収集するか、大臣は教育と言われましたが、そこのところが一番むずかしい点じやないかと思うので、やはり有名無名いろいろありましようけれども、どういうように、どういう観点というか、非常にむずかしい、抽象的なものになりましようが、そういう点一つお答え願いたい。
○国務大臣(天野貞祐君) 私が教育と申しましたのは、それを選択する原理ではなくして、選択したものを世間に見せるというのが美術館の方針であります。
○委員外議員(和田博雄君) 選択の原理はやはり片寄らずに……、私は教育でおるというならば、真実と美をやはり知らせるという観点に立つてやられるのだろうと思いますけれども、その選択の原理がかなり必要になつて来るであろうと思いますので、参考までに……。
○成瀬幡治君 学制のことでちよつとお尋ねいたしますが、六三を動かさない、そういう学制についてはどうせ今後議題として取上げられるだろうと思いますが、その六三は絶対に動かさないということを聞くのですが、若しかしたらこの中央教育審議会において、六三のほうを動かすというような意見が出て来ることがあるだろうと思うが、天野文部大臣は今としては六三は絶対に動かさないと、但しあとの三四は動かすという意志があるわけですか。そこのところが……、その審議会の答申したものに非常に盡力はされるけれども、六三は絶対に動かさない、あとの三四のほうは文部省のほうとしても若干動かしてもよいという意向があるやに今の答弁だと聞きとれるわけですが。
○国務大臣(天野貞祐君) それは私の申上げ方が悪かつたので、今の問題になつたのは八三の三だからそういうことを申したのです。これは三を動かすということが審議会で出るかも知れませんが、これは諮問機関でございまして、きめるのは私のほうでございます、文部大臣でございますから……。
○成瀬幡治君 六三の場合に三が問題になつておるが、その三が若し出ても文部大臣としては動かさない、そういう意思であるということはわかりましたが、三四のほうに対してはどうお考えですか。
○国務大臣(天野貞祐君) 三四というものも今のところ動かさない考えでおります。併しそれについて別段問題が出ておりませんので、今申さないのであります。
○成瀬幡治君 念を押すようなことで相済まないと思いますが、今問題も出ていない、従つて中央教育審議会でも三四は問題にならないようですから、結局学制というものは六三の三が問題となつておるので、これは文部大臣として動かさないのだ、あとの三四は問題がない、これは文部省でも問題がないので、結局六三三四の制度は動かさないのだ、こういうふうに了承していいのですか。
○国務大臣(天野貞祐君) この学制の根幹は動かさないという考えでございます。
○委員長(河井彌八君) それでは本日はこの程度にて休憩しようと思いますが。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。 それではこれで午後一時半まで休憩いたします。 午後零時二十四分休憩 —————・————— 午後二時十二分開会
○委員長(河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。 恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案を議題といたします。御質疑のあります諸君はこの際御発言を願います。
○楠見義男君 私はこの前の委員会で中座をいたしましたので、或いはその際に他の委員のかたから御質問があつたかもわかりませんが、重複の場合にはその旨を言つて頂ければ直ちにやめますが、若し只今お手許に数字をお持ちであれば伺いたいし、なければ改めて資料としておだし頂きたいのですが軍人恩給についての年齢別の数、受給資格者の数、例えば四十以上から五十未満とか、五十以上から六十未満、できれば五才ずつに切つて頂くと非常に好都合なんですが、大体四十才以上からで結構ですが、それの受給者の数と金額ですね、こういうものについて若し今ございましたら。
○政府委員(三橋則雄君) 今の御質問についてでありますが、御要求の資料をはつきりさせるためにお伺いしたいのでございますが、御承知の通り、恩給と言いますと、数種類に分れているのです。それで今の御要求の資料は普通恩給だけでよろしうございますか。それともほかのものも入るのでございましようか。
○楠見義男君 今の恩給法の特別に関する件で停止をされている恩給について資料がありましたら。
○政府委員(三橋則雄君) この特例で停止されている恩給としては扶助料を停止されているのでございますが、扶助料の受給者につきましては、具体的に言えば扶助料の受給者がきまらなければ扶助料の受給者がどういうことになつているかということもわからないわけでございます。本人が戦死をする、そうするとその戦死した遺族の中で一体誰が扶助料受給権者になるかということは、請求があつて権利が確定しなければわからないのですから、従つてそういう遺族の人々をひつくるめての年齢ということになりますと、なかなか大変なことになるという気がするのでございます。差当り私のほうで調べているものは、今のところでは扶助料受給者につきましては、実は年齢は調べていないのでございまして、普通恩給の受給者だけにつきまして年齢の調べをいたしております。それから実は終戦の当初にすでに恩給証書を恩給局から出しておりましたもの即ち普通恩給受給者につきましては、大体在職年と年齢との関係はどういうことになつているかというようなことにつきましては、殆んど完了した調査を持つております。それから軍人恩給の廃止せられました当時恩給権を有するものと推定されておつた者で、実はまだ恩給の請求をしていなかつた者等については、これは相当大きな数でございます。そういう人員の調査は一応はいたしておりまするが、これは本当の推計でございます。今私が申上げましたところの恩給局で実際に恩給を給した人人につきましての調査は、これは全部私のほうに資料がございますから、大体確実でございます。そして、この年齢と在職年との資料からしまして、いろいろなことが推定されるのではないかと思つております。それから恩給の金額についてでございますが、普通恩給の金額をどういうふうにして算出するかということが先ず第一に金額をきめるときに問題になるのでございます。普通恩給の金額を従来の、即ち昭和二十一年二月一日に軍人恩給が廃止になりましたが、その当時の法令に基きまして、その法令の定めるところによつて計算した場合におきましては、すでに恩給をもらつておつた人については大体どれくらいになるか、これについでは一応の推計はできるわけでございますが恩給が廃止されたため恩給権を持つていながら請求をしていない者は相当たくさんございます。これについては一応の推計でございますが、これはなかなか大まかな数になりますが、できております。大まかなものしか恩給未裁定の分についてはできておりませんが、そういうようなものですと、私の所にございますので、そういうもので一応御了承願えたら結構だと思います。それから、それならば現在の金額に引直したら一体どのくらいの金になるのかという問題については、改正をどういうふうにするかということと睨み合せてきめなければなりませんので、一応その当時の金額で大体どのくらいになるだろうかということと、なお場合によりましたら、私の私見にもなるかもわかりませんが、現在の文官のもらつている程度の金を出すときはどのくらいになるかということを考えて計算したものを参考に付けまして、そうして表にして差上ることで御了承願えれば、すぐに作りましてお手許に差上げたいと思います。大体そういうことでよろしうございますか。
○楠見義男君 要するに問題は、恩給局のほうで資料のないものを要求してもこれは無理なんで、資料のあるもの、そうして又仮に具体的の資料がなくても或る程度推計ができ得るものがあればそれを出して頂く。要するに私の出して頂きたいということをお願いする趣旨は、こういうことなんです。この特例に関する件を審議するに当つて、いろいろ今まで例えば厚生委員会との連合委員会があつたり、又内閣委員会として審議をしておる際に、他の委員のかたがたの御発言を伺つておりますと。結局これは占領軍の指令に基いて恩給は停止されたのだけども、これは既得権であると、こういう議論が一方にあり、その既得権を直ちに講和発効と同時に復活するということになつた場合に、そこに、この前も委員会で官房長官なり或いは大蔵大臣からも答弁がありましたように、そのままでいいかどうか考慮しなければならん点がありはしないか、或いは又財政の観点から見て考慮しなければならん点がありやせんだろうかとか、いろいろ抽象的なことは伺つておるのですが、私ども素人から見ますと、それは一体金額がどれだけになるのか、人数がどうなるのか、それから今お話ありましたように、遺族扶助料、遺族扶助料というものは遺族が正式に申出て、そして確定をして、それが受給者になるということはおつしやる通りなんですが、それは一応申出て確定したものと、そういう想定の下に金額がどれだけになるか、とにかくここで停止されている恩給というものがどれだけの金額になるのか、これが例えば五億十億というならこれは明日の日でも解決のつくことでしようし、千億二千億ということならば、常識的に考えても今直ぐ千億二千億という金はないということになるし、専門家のかたはやりとりされておつても、私ども素人はこれは何とも見当がつかないのですね。だからできるだけそういうことを知る機会を得るのに便宜なような資料があれば、できるだけ多く出して頂きたい、こういう趣旨なんですから、そういう趣旨にお考え頂けば結構なんです。
○政府委員(三橋則雄君) 今楠見委員のお話の趣旨よくわかりましたので、できるだけ御趣旨に副うような資料を整えます。年齢の点も御審議の資料になるようなものについてはわかりますだけそろえて提出いたします。
○竹下豐次君 私もできるならば資料を頂きたいと思うのですが、これは併し楠見委員の希望の條件よりもまだ一層困難なのかも知れませんけれども、この間承わりますというと、仮に従来の標準によつて軍人恩給を全部支給するとすればまあ大方二千億前後の莫大な金が要るだろう、こういうお話です。それはまあそうであろうと承わつておりましたのですが、軍人の恩給の受給者はもうこれから殖える心配は絶対にないので、減る一方なんです、というのはまあなくなつて行くわけなんです。老齢になる人が年々あるわけです。その減る率というものは、従来の戦争前の状態においても大方恩給局ではおわかりになつておるのではないかと思います。若しそれがわかりますならば、これははつきりしたことはもとより言えないわけですけれども、従来の例によつてどのくらいの率で減つて行くものだか、これがわかりましたら、結局二千億が何年あとには何億で賄えることになるかということが知りたいわけなんですが、私は今二千億全部出して頂かなければならないということを申上げておるわけではありませんが、だんだん減つて行くということになれば、やはりそれも考慮に加えておいて頂きたい。
○政府委員(三橋則雄君) 只今の竹下委員からのお求めは、結局恩給に関しまする受給者の失権の率は従来どういうふうなことになつておつたのか、それについての何か資料を出して頂きたい、こういうお話だろうと思います。これは局で調べましたものもございますから、御要求に副うようなふうにいたします。
○竹下豐次君 只今楠見委員からこの恩給権の停止云々というお言葉が出律した、或いは既得権という言葉が出たのでありますが、これが既得権になるかどうかということにつきまして私も疑問を一応持ちまして、それを解決したいと思つて実は昨日でしたか、一番最初に、恩給権は消滅したのか、或いは停止中なのか、ということをお尋ねいたしましたにつきまして、局長からだつたと思つておりますが、それは消滅したのだということを一応お答えになつたのであります。その後質疑応答が進んでおる途中におきまして根源という言葉でしたか、残つておるんだという言葉がありましたので、引続いて私は根源が残つておるということは恩給権が残つておることであらうか、恩給権が残つておるということは財産権が残つておる、それを剥奪するということになると、憲法の問題が起つて来そうに思いますが、ということを質問したのでありますが、結局私十分納得ができませんでした。で停止されているんじやない、消滅したのだという言葉と根源が残つておるという言葉は矛盾しておるような感じが実は今でも残つておるわけであります。局長のほうでは矛盾しているとは考えていらつしやらないだろうと思いますが、それをでき得べくんばもう少し細かく納得の行くように重ねて御説明願いたいと思つております。
○政府委員(三橋則雄君) 先般の私の御説明が或いは不十分で、いろいろと誤解を生じたかと思いますが、改めて御説明を申上げます。軍人軍属に、又遺族に従来給されておりました恩給と言いますると、いろいろございまして、普通恩給、増加恩給傷病年金、扶助料、一時恩給、一時扶助料、傷病賜金、こういうような各種の種類があつたのでございます。これをこういうふうな各種類のものをひつくるめまして、恩給法におきましては恩給と称しておるわけでございますが、これら各種の恩給の中におきまして、傷病者に給せられておりました恩給につきましては、恩給法の特例によりまして従来と変つた姿によつて給せられることになり、そのほかの恩給につきましては、恩給法の特例によつて廃止せられてしまつたものであると、こういうふうに考えておるわけであります。それならどうして廃止というふうに解するかということが問題になるわけであります。この廃止ということをはつきり現わしますために恩給法の特例の第一條におきまして「軍人若ハ準軍人——又ハ此等ノ者ノ遺族タルニ因ル左ノ各号二掲グル恩給ハ之ヲ給セズ」とこういうふうにはつきりと「給セズ」とこういうふうな表現をいたしたのでございます。そして第一條に、普通恩給その他の廃止されるべき恩給を列挙したのでございます。次に「給セズ」という言葉がそれならば恩給を與えないという表現になるかということが問題にになるかと思います。恩給法におきまする用語の使い方といたしまして、恩給権を與える場合におきましては、恩給法の中におきまして、「恩給ヲ給ス」という言葉を使つております。それから恩給を與えない場合におきましては、「恩給ヲ給セズ」という言葉を使つておるのであります。その恩給法の中の用語に従いまして、特例の第一條の場合にも「給セズ」という言葉を使つたのでございます。かような次第でございまするから恩給を「給セズ」とこう書いておる第一條は恩給を廃止してしまつた趣旨である。こういうように私は考えているのであります。それから先般の御質疑の際に停止という言葉がございまして、恩給を停止したのではないかというお尋ねがあつたのでございまするが、恩給の停止という言葉も恩給法では使つております。恩給法で恩給の停止と言いまする場合につきましては恩給権につきまして二つの場合を考えてこれを解釈しなければいけないと思うのでありますが恩給権と私たちが言いまする場合は、恩給を受けるところの基本権を言う場合もありまするし、それからこの基本権に基きまして郵便局に行き恩給の支払いを求める場合の恩給請求権を言う場合もあるのであります。この後者の場合におきましては支分権とか、或いは支分的恩給権と私たちは呼んでおります、恩給法におきまして恩給停止と申しまする場合には、基本的な恩給権そのものを与えておいて、そうして郵便局で、平たく申しまするならば郵便局における恩給の支払いをとめる場合を恩給停止と、こう申しておるのであります。そうして軍人軍属のかたがたの普通恩給をとめましたが、これは基本的な恩給権そのものは与えておつて、ただ單に恩給を郵便局で支払わない、こういうことでございますならば、これは確かに恩給停止なのでございます。その場合におきましては恩給を給せずという表現は使わないで恩給を停止するというふうに表現を変えておるべきであると、かように考えるのでございます。この第一條に「恩給ヲ給セズ」と書いてございますのは、これは恩給を廃止してしまつたことでございます。それではどうしてこれを廃止したかということになるのでございますか、これは終戦の直後に総司令部からきついヂイレクテイヴを受けまして、恩給を廃止してしまえと、こういうような指図を受けましたので、その当時政府といたしましては、でき得る限り総司令部に懇請いたしまして、これに対しまする緩和方を求めたのでありますが、どうしても許されないために、止むなく指令に応じた措置をとつた次第であります。 それから次に根源云々の問題でございますが、それは私の言葉が不十分でございまして、大変御迷惑をかけたと思いますが、軍人も軍属も恩給法上の公務員であることはこれは間違いないのでございます。又恩給法上の公務員としての取扱は現在も受けております。それは軍人、軍属に関する規定を恩給法の中から削除はいたしましたけれども、削除をいたしました際に、なお従前の通り取扱をするという規定を置いておりますることからいたしましても、軍人、軍属は恩給法上の公務員であることもこれは間違いないのであります。恩給法の劈頭に、「公務員及其ノ遺族ハ本法ノ定ムル所二依リ恩給ヲ受クルノ権利ヲ有ス」と、こういうように書いてあるのでございまして、この第一條には私は軍人、軍属及びその遺族もすべて入つておるものと、こう考えております。そういう点から考えまして、私は根源そのものが残つている、こういうように考えておるのでございますが、ただ「本法ノ定ムル所二依リ」と、こう書いてありまするところからいたしまして、恩給法におきましては軍人、軍属その遺族には恩給を給するということになつておるにかかわらず、この特例のほうで以て制限されて、そうして遺族その他には恩給が行かないようなことになつて来ておる。こういうようなことでございまして、その一番元になつておるところの「本法ノ定ムル所二依リ恩給ヲ受クルノ権利ヲ有ス」、そのことだけは私は依然として残されておる、こういうように考えて飾るのであります。
○楠見義男君 今までたびたび質疑があつたことかもわかりませんが、私今ちよつと審議をしておる法案についての私自身の意識の整理をするためにお伺いしたいのですが、専門員のかたからですか、どこからか配付された参考資料の中に、恩給の本質についてということで馬場政府委員、これは第四十六回帝国議会における馬場政府委員、これは恐らく法制局長官の馬場さんだろうと思いますが、馬場さんの定義が出て、恐らくこれが今も内閣の公権的な解釈になつておるのだろうと思うのですが、それによりますと、「在職期間内二於テ当然本人ノ経済上ノ能力ハ消耗サルルノデアルカラ、退職後ノ生活ノ上二於テ、之二対シテ国ハ或ル程度ノ賠償ノ意味ヲ以テ金ヲ給与スルノヂアル。是が近来ノ先ヅ新シイ恩給二対スル観念デアルカト思フノデアリマス」と、こういうような政府としての公権的な解釈が示されておる。そこで一般文官それから軍人、一般軍人においてもこれは範疇は同じであつて、この恩給の定義、本質に基いて従来恩給が支給されておつた。ところが、軍人については進駐軍の命によつて只今もお話になり、又この間の連合委員会で官房長官等も言つておられたように、特に向うの命令、強い圧力によつて軍人の恩給を停止したということになつたというふうに伺つたわけなのですが、ところがその事情がなくなつた今日においては、本来恩給というものは、軍人に対する恩給は文官に対する恩給と同じように、この恩給の本質に基い九解釈で変りないとすれば、その中断されたものは仮に停止か或いは廃止かというようなことであるにしても、その停止或いは廃止ということが日本政府の折角の強い希望にもかかわらず、進駐軍のそれによつて廃止された。併しこの本質に関する考え方について若し変りないとすれば、この特例に関する件の措置に関する法律案においても、考え方としては本来軍人には恩給を給与すべきものである。併しその給与するについてどういうふうにしてその後の事情に応じて或いは調整をして行つたらいいだろうかという基本観念に立つておるのか、そうじやなしに、もう一遍廃止されたのだから、これは新しい問題として旧軍人には恩給問題を考えるという基礎に立つてこれから考えて行くのか、その点はどういうふうに基本観念は見ればいいのでしようか。
○政府委員(三橋則雄君) 私は恩給制度が設けられておりまするのは、今楠見委員の述べられましたような一つの理念に基いて設けられておると思うのでありまして、それは使用者たるところの立場におきまして、国家が社会的な義務を果んために設けたものであると考えておるのであります。そうしてその社会的な義務を果んために、一つの法律上の権利として定めたことによつて公務員は一つの権利を取得する、こういうふうに考えておるわけであります。そこで軍人、軍属又その遺族の人たちに対しまする今後の恩給の取扱につきましてどういうふうな取扱をするか、どういうような理念に基いて取扱をして行く考え方かというようなお昇れだろうと思いますが、私は現行の恩給制度を今政府が容認しておる現在におきましては、今お述べになりましたような理念に基きまして、従来と変らないような考え方で軍人軍属の恩給に対処して行くように考えておるわけであります。
○楠見義男君 そうするとこういうふうに理解していいてすか。今のお述べになりましたように、本来国の社会的義務を通行するという立場から恩給というものが出ている。それから又恩給の本質についても、国は或る程度の賠償の意味において金を給与する。これは一般軍へ、それから一般文官共に適用されることであつて、これを国の側から見れば、この賠償義務というものを一方的に停止んるとかなんとかいうことは、これは国全体の意思として立法その他の処置でできる場合はこれは別でありますが、そうでなければ、一般文官にはそういう一方的な、賠償義務をみずから排除するようなことの措置をとらずに、ひとり一般旧軍人に対してのみそういう措置をとつたのは、これはあの司令部の占領行政下における特殊事情に基いてそういうふうにされたので、従つてこれは廃止と言うけれども、実は政治的な意味から言えば月に雲がかかつたようなもので、本来ならば、これから問題になつて来れば、一般文官と同じように基本権というものが実はあつたのだ。それが司令部の命令によつて中断されたのだから、これからの新らしくできる委員会でいろいろ論議するに当つても、旧軍人はやはり出すべきものなんだから出すべきなんだという基本観念から、この特例審議会というものはそういう基本観念の上に立つて論議すべきものであるか、そうでなしにもう一遍今の御説明のように給しない、そこで従来の権利というものは当然なくなつた。そこで白紙の上に旧軍人のことを、言葉は適当でありませんが、恩恵的に考えるという基本観念でこの特例審議会は審議をして行くのか、その基本観念の問題はどうなるかということがこれからの質問なんです。
○政府委員(三橋則雄君) 今の御質問にお答えします前にお伺ひしたいのですが、この特例は連合軍最高司令官の命令に基いて制定された勅令でございまするから、従つて講和條約の効力が発生しますればこれは当然失効すべき性質のものである。そこで政府といたしまして何らかの特別の措置をしなければ、六ヵ月しますれば失効してしまう、失効してしまいます。そうすると、恩給法があつて別に恩給法の特例があり、これがなくなり、恩給法だけになるわけでありますからして、恩給法の本来の規定によつて軍人、軍属又その遺族の人々の扶助料その他の恩給の問題が律せられることになつて来る、こういうことになつて来るわけであります。現実の問題といたしまして、この特例がある限りにおきましては、この特例の効力が存在している限りにおきましては、軍人軍属又その遺族たる者についてこの特例の第一條に掲げられておりまする恩給は廃止されているわけであります。そこでこの廃止されている恩給を今後どういうように措置をするかという問題については、新らしく立法的な措置が要るとこう考えているのであります。この立法的な措置は、その一つは自然にこれを放任いたしまして、そうして六ヵ月たつてしまえば一般的規定によつて失効するように措置をするか、或いは又昔のように恩給を支給するようにするか、或いは又変つた形の措置をするかでありまして、これにつきましては、法律的な措置は当然要るとこういうふうに考えているわけであります。この法律的な措置をするにつきましてどういうような考えに基いて政府はやるつもりなのか、これが今楠見委員のお尋ねじやないかと、こういうふうに思うのでありますが、それは根本的な考えといたしましては、今お言葉にありましたような恩恵的な考え方に基いて、そうして軍人軍属又はその遺家族等の人たちに対しまして、恩給を支給するというような考え方には立たないで、これは当然国としてやるべき義務とこういうふうな考え方に立つて恩給を考える。これは文官の場合に恩給を給する場合と何ら変りはないこれについては差別して考えていない、こういうことだけにはつきり申上げられるところであります。
○楠見義男君 私の質問が純然たる法律論的にじやなしに、半ば政治論的な意味も加わつたために、或いは受取られる場合に誤解があつたかもわからないのですが、私の伺つたのはこういう意味なんです。今御答辯になつた前段で申されたように、軍人について恩給というものがずつとあつて、そうして途中でポ政令でこれが、局長の言葉を借りて言えば、給しない、廃止というようなことになつて、併し今の御説明のように講和が発効してこの政令が当然失効した場合に、今までのそこまで来た権利が又ずつと復活して、当然この政令が効力を失うと同時にこの権利が中断されておつたのが復活して行く、こういうことなら、そこでこれを復活させる場合にいろいろ現在の経済事情、財政事情その他諸般の事情を考慮の上従来通り引き続いてやつたらいいかどうかということについて調整をし、考慮をする必要がある。そこでこういうものができるというような、こういうふうに前段の御答辯は受取つたのでありますが、それなら話は常識的によくわかるのです。ところがそうじやなしに、さつき竹下さんとの質疑のなにを伺つておりますと、恩給権というものは、本来のここまで中断する前に来た恩給権というものはここでもう権利が喪失したといいますか、消滅したのだ、こういうようなふうにお話があつたものですから、それじやもう中断とか何とかいうのではなく、もう恩給権というものは旧軍人にはないのだというふうにとれたものですから、そうするとこれからの軍人に対する恩給という問題は、恩給権というものはないのだから、もう基本権と言いますか、それもなくなつておるし、既得権もなくなつておれば、恩給権というものは全然なくなつておるのだから、そうすると旧軍人に対するこれから先の問題はどういう観点からこれをやるのか、こういう疑問が出て来るということからの質問なんであります。
○政府委員(三橋則雄君) 先ほど一番最初に申上げましたように、恩給と一口に申されますけれども恩給法ではこれは数種類に分かれておつて、数種の恩給を総称して恩給と言つているわけであります。そこで恩給があるとかないとか、おつしやいまするが、軍人は普通恩給は廃止されていますか、増加恩給、その他傷病者に給せられる恩給につきましては、従来通りに給されておりますが、その内容と言いますか、又姿といいますか、これは前とは随分変つたものになつたものを給することになつています。普通恩給の外に従来は一時恩給とか傷病賜金とかいろいろありましたが、そういう恩給を受ける基本的な権利はそのまま従来通りであつて、ただその支払いがとめられているという意味において廃止云々いわれるとしますならばそれに対しては私は全然そういうことではない、廃止は支払をとめているという意味ではありません。こういうことをはつきり申上げているのです。併し軍人といえども公務員です。公務員であることは認められている。恩給法上の公務員であるからこそ、特例におきまして定められている増加恩給とかその他傷病者に対する恩給が給せられることになるのです。その恩給法上の公務員たるということそのことは認められておりまして、軍人たる公務員にどういう恩給を給するかということが従来と違つて来ているわけです。軍人については、今まで本恩給法がたびたび改正されまして、恩給法が制定されてから今日まで同じような恩給が給せられているわけではないのです。或いは軍人に対して給せられておつた恩給で文官に給せられていなかつた場合もあります。 又軍人と同じように文官に給せられた恩給もありますし、又軍人の中におきましても、下の下士官、兵だけに給せられておつたものが、後には下士官兵以外のもの、即ち将校にも給せられるようになつたものもありますし、恩給法は時によつて内容が変つて来ているのです。そういうようなわけでありますから、今度軍人に恩給を給することになる場合におきましては軍人に対する恩給の姿が、その内容が変ると思います。これは、私は当然考えられることかと思います。従つて普通恩給が仮に又給せられることになつても、前と同じような普通恩給になるかどうかということは、これは問題であると思います。基本的な前と同じような普通恩給は与えられている。それがただ單に支給が停止されている。こういう考え方に立ちますならば、前と同じような恩給をこの際復活すると言いますか、又は支給をとめておつたものを開始するということにならざるを得ないと思います。そういうような考え方はどうしてもできないのじやないか、こういうような考えを持つております。ただ仮に普通恩給を今度給するということになつた場合におきまして、従来も普通恩給をもらつておつたではないか、今度又普通恩給を給するではないかそうすると普通恩給の復活ではないか、こういう御議論があるかもしれません。それから又普通恩給を停止されておつたのが支給せられることになるのではないか、こういうような意見も又出るかもわかりませんが、併し普通恩給の停止されておつたものをやるというように言われまするというと、言葉のあやになるかもわかりませんが、従来持つておつた普通恩給の権利そのものはそのまま持ちつづけて、その支払いだけがとめられておつた。その支払いを今度受けることになる、こういうようなふうに誤解される慮れが非常にあるのじやないかと思います。このことをはつきり申上げておきます。こういう停止という考えは全然持つておらないのであります。
○楠見義男君 大体法律的に分析されている点はよくわかりました。そこで結局今の三橋さんの言われた従来の恩給権は、受給権は、基本権も受給権もなくなつた。併し公務員は本法に基く恩給を受ける権利を有すると、こういうことになつているのだから、従つて従来の具体的な恩給というものは停止されたかも知れないが、ほかのものは併し、公務員は本法第一條に基いた恩給を受ける権利、恩給受給権というものはあると、こう理解していいわけですか。
○政府委員(三橋則雄君) 本法の定めるところにより、恩給を受ける権利を有するのでありません、かかる権利、それは、はつきりございます。
○竹下豐次君 どうも私は実は甚だしつこいようでありますが、非常に大事なことですから、これはまあ根本の問題だと思いますから遠慮なしにお伺いをするのですが、仮にこの法案がつぶれたとしますと、そうするというと、六十八号の勅令というものは今度平和条約の発効の日から無効になるのでありますか。それとも一番初めからもうなかつたものと同じ状態に帰るという御解釈ですか。
○政府委員(三橋則雄君) ちよつともう一度……。
○竹下豐次君 非常にこれはデリケートなことですからね。この法案が仮に通過しなかつたと仮定しますね。その場合に勅令第六十八号というものはもう初めからなかつたものと同じことに立帰るのでありますか。或いは四月二十八日の平和条約発効の日から効力がなくなるものと、こういうこことになるのでありますか。遡つてもう初めからなかつたということになるのですか。
○委員長(河井彌八君) ちよつと速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて下さい。
○政府委員(三橋則雄君) この勅令六十八号が仮に失効いたしますと、失効してしまいまして、そうして恩給法の規定によりまして、軍人、軍属又はその遺族に対しては恩給が給せられると、こういうふうになつた場合におきましては、昭和二十一年の二月一日に遡つて恩給が給せられることになるのじやないかというような御趣旨の御質問じやないかと思うのでありますが、これにつきましては、確かにそういうふうな御疑問も私は出ると思います。それにつきましては、私たちの局といたしまして考えておりまする解釈といたしましては、昭和二十一年二月一日以後におきまして、勅令第六十八号恩給法の特例が制定されましてから、この六十八号の効力が失われるまでは、恩給法の規定は仮死の状態にあつたのであつて、その間におきましては、働く余地が全然なかつたものと考えられるのであります。従つて昭和二十一年二月一日に遡つて恩給権を版得するというようなことは考えられない。飽くまでもこの昭和二十一年の勅令第六十八号が失效したその時から恩給法の規定によつて恩給権を取得する、恩給法の規定によつて恩給権を取得する、こういうふうに解すべきではなかろうか、こういうふうに私たちは一応考えているのであります。
○竹下豐次君 私も実は昭和二十一年に遡つて効力が発生して、その時に遡つてまで恩給を支払わなければならない性質のものではない、こういう意味に考えているのであります。ただそれに関連しておりますから、それから先に質問を発したのですが、若しこの法案が通らなかつたならば、平和条約の成立の日から復活するということになるのか、或いは法案が何にもできなかつたからやはり支払することはできないのだと、支払要求する権利もないんだ、両方にちよつと疑問が起るのです。その点をどういうふうにお考えになりますかということが実は聞きたい狙いなんです。四月の二十八日以後、もう一ぺん申しますと、若しこの法律案が通過しなかつたならば、四月の二十八日以後は恩給が復活するとお考えになるものか。やはり復活しないで支払請求権はないということにお考えになるのか。
○政府委員(三橋則雄君) この法案が成立しない場合におきましては、別にポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律案というのがありますが、あの法律によりまして、この恩給法の特例は、講和条約の効力発生後六ヵ月にして消滅することになります。従つて六ヵ月たちましてから後に、初めて恩給法の規定が軍人、軍属又はその遺族たる人たちに対して働くということに相成るわけであります。従つて先のお尋ねの講和条約の発効の日からではなくて、講和条約の効力発生後六ヵ月たちました日から恩給法の規定が働いて、それから軍人、軍属又はその遺族のかたは恩給権を取得されることになる、こういうことになります。
○竹下豐次君 そうしますると、結局支払いが停止されておつたということになるのじやないですか。
○楠見義男君 今竹下さんの御質問に補足して、関連して伺うのですが、その場合にこう観念していいですか。先ほどの御説明のように、既得権という言葉は悪いのですが、適当でないかもわかりませんが、恩給となるといろいろ恩給がございますという御答弁でございましたから、普通恩給を例にとつて言いますと、普通恩給に関する既得権は、ポツダム勅令が出た時に、停止じやなくて「給セズ」とあるのだから、その既得権はもう消滅してしまつている。そこで今の御答弁で行くと、この法律が仮に通らないという場合には、四月二十八日から六ヵ月たつた先に初めて、新らしい恩給権が先ず裁定を受けて、そうして恩給を受ける権利が、具体的の裁定に基いた、新らしく裁定された、その裁定に基いた恩給請求権というものが出て来る。基本権は、恩給を受ける権利というものは、先ほどお述べになつた恩給法の一條か何かにちやんとある。こう理解していいですか。
○政府委員(三橋則雄君) この恩給法の特例ができましたときには、軍人には普通恩給を給するという規定が恩給法に規定してあつたわけです。恩給法の中にそういう規定があるということを前提としてこの特例ができたわけであります。恩給法の、軍人に普通恩給を給するという規定は恩給法の中に生きて今日まで来ているような形になつておるわけであります。恩給法の特例がなくなりまするというと、なくなつた時から、恩給法の中に軍人に恩給を給するという規定が書いてあるのがそのときから働いて来るということになる。それで、この普通恩給権を軍人であつた人には与えるという規定を新たに置いたと同じような結果になる。こういうように考えております。
○松原一彦君 私はそれはどうも腑に落ちないのですが、今三橋局長は、ポツダム勅令によつて恩給権は仮死状態になつたという御説明があつたのです。仮死状態になつたものが蘇生すれば元の姿に復する。いやしくも恩給権が存在しておる。仮死状態になつたのだから、一応消滅したものとしましても、それが蘇生したときには元の姿になるというのが当然であり、一歩譲つて、権利は残つておつたけれどもが、従来の裁定そのものが死んでおつたと、こう局長の言う通りに解釈しましても、昭和二十一年法律第三十一号、この附則の中には、第二條に、「従前の規定による公務員又は公務員に準ずべき者についてはなお従前の例による」という字がちやんと書いてある。従つて仮死状態であつて恩給裁定は一応消滅しても、それが、復活した場合においては、過去の公務員として恩給権を持つ者は、当然この第二條によつてなお従前の例によつて復活するのでありまするから、一点の疑義はないと思うのです。従前の法律がそのままここに復元するのであります。従つて今回の御説明にも復元という文字がちやんと使つてあるのであります。新たに軍人恩給法を制定する必要はない。復元とはつきり書いてありますから、私は仮に局長の言わるる通りにしましても、裁定が一応無効となつても、蘇生した場合における基準は従前の法律によるものと解釈するものでありますが、この点につきましては如何でしようか。
○政府委員(三橋則雄君) 只今私が仮死の状態ということを申上げましたについての御質問でございます。私先ほど申上げました点につきまして、もう少し補足的に申上げますというと、この普通恩給について例をとりますれば、普通恩給は軍人が一定の年限在職しまして、退職した場合に普通恩給を給する、こういうふうに書いてあつたのであります。そこで退職したときには普通恩給を給すると書いてありますから、退職したときに遡つて普通恩給の権利を取得するというふうに読まれるのじやないか、そうすると今後六ヵ月後になりまして恩給の規定が働くようになりました場合において退職したときとそのまま読めば、昭和二十一年二月一日に遡つて恩給権を取得するようなふうになりはしないのか、こういう御疑問は確かに出るのです。先ほどの竹下委員の御質問に対してお答えしたときにもその点はお答えいたしました。私は、そのように昭和二十一年二月一日に遡つて働くように解するという解釈ができるかも知れませんが、併しながらその恩給法の規定は昭和二十一年二月一日からこの特例が廃止されるまでは死んだ状態に置かれておつてそうしてこの特例が廃止されて初めて動くということになるのであるから、それまではこれは働かないものとして解することができるのじやないか。従つて特例が廃止された後に汚いて初めて恩給権を取得し、それから恩給をもらうことができ、そうして恩給を支払はれることができるのではないか、こういうふうに解しておる。こういうふうにお答えしたのであります。
○松原一彦君 その点を追究しておるのじやない。仮死の状態が六年八ヵ月続いた、それを元に戻せというのじやありません。仮死状態から、つまり人間が恩給を受ける権利から遮断されておつた。遮断條件が失効してからは、その失効の翌日から、丁度追放令によつて文官が恩給を受ける権利を失つておりますが、追放解除の翌日から文官はすでに恩給を受けております。従つてこのポツダム勅令というものが六年数ヵ月の間軍人恩給を遮断しておつた。それを停止と言おうとも、廃止と言おうとも、いずれもそのまま効力を失つておつたのでありますが、その遮断條件がとれてしまえば、なお恩給権という根源が残つておる以上は、従前の規定による公務員又は公務員に準ずべき者については根源が残つておる以上は、よるべき法律は何かというと、この昭和二十一年法律第三十一号の第二條によつて復元するのが当然であつて、疑う余地は更にないと、私はこう信じます。如何でしようか。
○政府委員(三橋則雄君) 恩給を受くるの権利は特例によつて廃止してしまつたのであります。普通恩給を受くるの権利はこの恩給法の特例によつて廃止されたのでありするが、この特例の效力が消滅してしまいますというと、現状のままに恩給法をしておけば、恩給法の規定によりまして従来もらわれておつたと同じような性質の恩給権を新たに取得されることになるのではありまするが、併しながら基本的な恩給権を従来から持つておつて、それをただ支給がとめられておつたと考えられるべきものじやない。こういうことは先ほどから申しておつたことでございます。又禁止、廃止ということにつきまして、いろいろとお言葉がごさいましたのですが、これは私どもの書き方も悪かつたと思いまするが、この廃止の場合には恩給廃止と書いておるのであります。禁止の場合は恩給給与禁止と書いておるのであります。恩給禁止とはどうも書きにくいのでございまして給与ということをいえば恩給の給与禁止と書くべきじやないかということで、実は恩給給与の禁止と書いたのでありまして、言葉の使い方が悪く、適当でなかつたかも知れませんが、禁止という言葉には恩給の給与といつて、給与という言葉を入れて使つておるのであります。恩給の禁止という言葉は使つていないのでありまして、その辺のところも一つ御了察願いたいと思うのであります。
○松原一彦君 いや、恩給局長の解釈の通りに私は解釈して、根源は残つておるけれども、その間においては過去の裁定を受けた恩給金額も、その受領の権利も共に仮死状態にあつて、それは消滅したが、復活した場合には、恩給局長の解釈の通りにいえば、これは白紙に戻つた。権利だけはあるけれども、裁定すべき何らの根拠がない、新たに制定しなければならんということは、一応恩給局長の解釈の通りに私も解釈をして、肯定して、然らば如何たる規定によつて復活した後の権利が動くかといつた場合は、この昭和二十一年法律第三十一号であつて、これは局長が現に草案をお書きになつたものであつて、今日あることを予想しての私は法律でおるということを確信する。如何でしようか。
○政府委員(三橋則雄君) その点につきましては私はちよつとここで答弁を差控えたいと思います。私はその当時におきまして、恩給をことさらにどうしようというような心持を以てこうしたとか、又はこうしなかつたとかいうようなことはちよつと申上げることはできかねることであります。ただ私が昭和二十一年勅令第六十八号の恩給法の特例を制定するにつきまして、こういうような形をとつたことにつきましていろいろ議論があると思いまするし又その当時においてもいろいろ議論があつたのでありますが、これについては、その当時におきまする日本政府の、何と言いますか、心持、私の心持、それから総司令部の趣旨、そういうようなものを考えました場合には、こういう形をとるのが一番いいのじやなかろうかということを考えたことだけは申上げられると思います。即ち当時におきましては、政府といたしましては、幣原総理大臣を初めといたしまして、楢橋書記官長におきましても、何とかして軍人又はその遺族の人たちの恩給につきましては、総司令部に懇請して、向うの命令を緩和してもらうように努力をみずからされると同時に、私どもにもいろいろ努力をさせられたのであります。従つて私も勿論でありますが、当時の書記官長の楢橋さんにいたしましても、恩給法から軍人に恩給を給しないというふうに、どんどん條文を削除してしまうということについては気が進まなかつたわけであります。私も実際苦しい思いをして、実際気が進まなかつたのです。併しながら司令部の命令ではいたし方ない。そこで何とかしなければならん。それには司令部の命令は命令として、これをはつきり書いてしまえばいいだろうと考えました。そうして恩給法は恩給法としてそのままにしておいて、そうして総司令部の命令はその通りに特例法に書いておこう、こういうことで実はこういう形式を考えたのでございまして、その当時私が今松原委員の仰せられましたようなことをどう考えていたかにつきましては、私ちよつとどうのこうのということを申上げることは差控えたいと思います。
○松原一彦君 それは私はこれは政治的な一つの主張となりましようが、ポツダム勅令というものは敗戦国に課せられたる絶対命令でありまして、国会を経由しておりません。従つて法律でも何でもないものであります。これは受けざるを得なかつた敗戦国の当然の義務でありますからいたし方はございません。併し独立した時分には、このポツダム勅令というものは效力を失う。その效力を失うのにも、至急に即日から失つたのでは、善後措置等についていろいろ困難な事情もあるからして、六ヶ月間だけはこの勅令の効力が存続するということに、これは国会の意思を以てきまつて、国会も承認してきまつたものであります。従つて六ヵ月が終つたときには、私は復元するのがこれは政治的な一つの当然の主張であると思うのです。それが政府においてもさようにお考えになつておればこそ、今度のこの特例法をお出しになつて、六ヵ月後、なお六ヵ月間延長をして、その間に特別の措置を講じようというふうに意図せられたものと信ずるのであります。でありますから、この説明を読んで見ましても、講和條約の效力発生後における復元の措置ということがはつきり書いておる。復元であります。新措置ではありません。新たなる措置とはどこにも説明してないのであります。現に復元という字が至るところに使つてあります。復元の措置と言われることは、政治的良心の上から言うて見ても、その遮断したる條件がなくなつた以上は、元に戻るということであり、元に戻るときの用意は、一応それが消滅したものとしても、只今申したような法律第三十一号によつて国会の議決によつて成立した法律にはつきりその用意ができておるのであります。当然これはあるべきものだと思う。ボン憲法のごときは、占領期間だけの效力しかない。憲法すらも占領が終つたときには效力を失うのであります。いわんやかくのごとき軍人懲罰、ミリタリズム根絶といつたような意図の下に行われたこのポ勅令惨酷極まるポ勅令が効力を失したならば、私は日本の政府は政治的にも独立国の体面としても、過去の軍人に対する軍事行動の如何は問わず、国の法律の背景の下に安心して出て行つた人々、これを復元するのは当然だということを先般も申上げたのであります。従つて私はこの点について疑義のあることをばすこぶるおかしいと思うのであります、いずれにしましても、私どもは法律解釈としましては、講和條約発生後六ヵ月たてば恩給は復元するものと今日まで信じておつたのでありますが、それがどこに誤まりがあるでしようか、どうでしようか、御明答願いたい。
○政府委員(三橋則雄君) 只今御審議をお願いしておりまするこの法律案を出さないで、そうしてこの恩給法特例につきまして何らの措置をしない場合におきましては、只今松原委員の仰せられましたようなことになるものと考えております。
○松原一彦君 それでよろしい。
○三好始君 先ほど来の質疑応答を承わつておりますと、率直に申しまして、法律論と政治論或いは立法論と解釈論が混同されておる向が相当感じられるのであります。問題の根本は、各委員から出たものを横で承わつておりますというと、結局ポツダム勅令或いはポツダム政令の効力の問題が出発点になつておると思うのであります。つまりポツダム勅令なりポツダム政令によつて廃止せられた法律、或いは剥奪せられた権利は、決定的に永久に廃止乃至剥奪されたものとして、それが復活する場合には、新たな立法措置を要するものだ、こういう解釈の上に一応恩給局長は立つておるように私は伺つておつたのであります。ところが終りのほうになつて来ると、そうでないような立場をとられておるようにも受取れたのでありますが、その辺は多少明確を欠く点があると思うのです。私は確かに解釈論として、ポツダム勅令なりポツダム政令によつて廃止せられた法律、剥奪せられた権利は、それは講和條約発効により当然に復活するというものではなく、決定的に廃止されたのだと、剥奪せられた権利は決定的に剥奪せられたのだということは解釈論として成り立ち得ると思うのです。恐らくそういう解釈は一般に日本の政府によつてとられておるように見受けられるのでありますがそういたしますというと、提案理由の御説明なり、この今提示されておる恩給の特例に関する件の措置に関する法律第二條の表現というものは非常に誤解を生むと思います。これはしばしば引用せられたように、提案理由の御説明の中に復元という言葉を使つておる。これは恩給法の特例に関する件が、基本的な恩給法の效力を一時停止しておるものであつて恩給法の特例に関する件が效力を失えば、軍人恩給の一時停止されておつたものが元にかえるんだという印象をこの復元という言葉は少くとも与えると思います。 それからもう一つ、第二條の、「恩給法の特例に関する件は、昭和二十八年三月三十一日まで、法律としての効力を有するものとする。」この表現も、二十八年三月三十一日までは軍人恩給が停止されたんだけれども、それ以後は復活するんだという印象をやはり与えろと思う。ですから提案理由の説明の表現なり、この法律案第二條の表現は、確かに先ほど来いろいろ質疑が出ておつたような疑義を生むような表現になつておると思うのです。そういうところに問題がはつきりしない大きな理由があるよう見受けるのでありますが、根本的なポツダム勅令なりポツダム政令の効力を恩給局長にお尋ねするのは適当でないと思うのでありますが、局長の見解としては、ポツダム勅令によつて廃止せられた法律、或いは剥奪せられた権利は一時的なものでなくして、決定的になつておるんだ。それが元にかえるために新たな立法措置を必要とするんだという見解をとつておられるのかどうか、その点を承わりたいと思います。
○政府委員(三橋則雄君) 私は先ほど来、それから又先日来の答弁におきましても、ポツダム勅令第六十八号の恩給法の特例の第一帳によつて廃止されたところの恩給が、この政令が廃止されたために、当然にこれが復活するとは一言も言つておりません。これは三好委員も御承知と思いまするが先般も御説明しておるところでございます。 それからさきほども御説明いたしましたように、恩給法というのは今現在あります。この恩給法の規定によつて軍人には、又軍属には、又その遺族にも恩給が給せられるようになつておるわけです。そういうような恩給法の規定があること、現在あることを前提として、この恩給法の特例は制定されているのです。恩給法は、これは前からできておる。恩給法の特例は昭和二十一年の二月一日になつてからできたので、恩給法の特例というのは恩給法よりあとになつてできたわけです。ですから現在の法令におきましては、恩給法にあつては、軍人、軍属、その遺族には恩給が給せられるということを書いておつて、そうして恩給法の特例、あとになつてできたところの特別法の、法律と同様の效力を有するところの特例においては、この恩給法特例の第一條に掲げられた恩給は給しないということを書いておるわけです。こういう二つの法令があるわけです。恩給法の特例があるがために、軍人、軍属に対しましては普通恩給などが廃止されたことになつておるわけです。この廃止されておる特例がなくなつてしまえば、なくなつたときからは、今度は恩給を給すると書いた軍人、軍属の恩給法だけが動き出しはしないか、こういうことについて先般来松原委員なんかの御質問が出ておるわけです。それで私はその通りですということをお答えしておるわけです。これは法制意見長官からも先般お答えした通りでございます。そういうようなことでございまして、若しも現在の恩給法に、軍人、軍属に対して恩給が給せられるとはつきり書いてなくて、そうしてこの恩給法の特例のように、軍人、軍属に実際恩給は給しない、こういうようなふうになつておつたとしますならば、これはポツダム命令に基く政令が廃止されたからといつて、軍人、軍属の恩給が新たに給せられることにはならないと思います。これは間違いありませんと思います。併し現在におきましては、恩給法があつて、その恩給法には、軍人、軍属に恩給を給するということがあるものですから、そこで、その規定が新らしく動いて来ることになる。これについてはいろいろ議論が出ておるわけです。
○三好始君 恩給局長の解釈は大体了解できるのでありますが、恩給法の特例に関する件というポツダム勅令の規定の仕方が、恩給法のいわば一部改正的な表現でなくして、一応恩給法の規定の改正というほうとは無関係に、軍人等には恩給を給しないんだという表現をとつたために、今恩給局長の答弁されたような疑義を生じて来るんだろうと思うのです。恩給法の特例に関する件によつて軍人恩給がなくなつた、ところが恩給法にはその規定が残つておる、実質的には恩給法の特例に関する件によつて、恩給法の中に規定されておる軍人恩給がなくなつたのか残つておるのかという問題になつて来るのです。局長は、実質的には恩給法の特例に関する件によつて軍人恩給は決定的になくなつたんだけれども、形式的には恩給法に残つておるから、これが一つの意義を生じて来るようなお考えのようなんでありますが、解釈論としてちよつとその辺問題があるのではないかと思うのです。
○政府委員(三橋則雄君) 私はわかりやすい條文を申上げますが、従来の恩給の規定ですが、これは昭和二十一年の四月一日、宮内省がまだありましたときですが、この宮内省がありましたときにはどういう規定があつたかといいますと、こういう規定があつたのです。これは第八條の第二項です。お手許に差上げてありまする昭和二十七年一月一日現在の恩給関係法令集に書いてあります。これには軍人の恩給の規定もあります。「公務員若ハ之ニ準スヘキ若又ハ其ノ遺族互ニ通算セラレ得ヘキ在職年又ハ同一ノ傷病ヲ理由トシテ本法ニ依ル恩給」、これは恩給法による恩給です。「本法ニ依ル恩給ト宮内官ノ恩給規程ニ依ル恩給トヲ給セラルヘキ場合二於テ宮内官ノ恩給規程二依ル恩給ヲ給セラレタルトキハ本法二依ル恩給ハ之ヲ給セス」と、こう書いてあります。これは同一人がこの恩給法の規定によつて恩給権を取得すると同一の在職年によつて、この第八條の第二項に該当するようなこういう理由によつて、宮内官の恩給規程によつても恩給権を取得する、こういうような場合においては、宮内官の恩給規程による恩給を受けた場合においては、この恩給法による恩給は給しない、こういうようなことをはつきり規定してあるのです。即ち宮内官としての恩給を受けた場合におきましては、恩給法の恩給は給しない、こういうふうにはつきり書いてあります。この前段のところのこれをずつと……今読みましたこの規定と、この特例の規定と比べて読んで頂けば或いはおわかりになるかと思いますが、この恩給法の規定によつて恩給を給せられる者であつても、宮内官の恩給規程による恩給を給せられた場合においては、恩給法による恩給はこれを給しないと、こういうふうに書いてあります。これは、たとえ、恩給法によつて恩給権を取得する者であつても、恩給権を與えないということを、即ち恩給を給しないということを表現したのです。この恩給法の特例は、恩給法によつて恩給権を取得しておりましても、この権利を殺してしまつて、恩給権を与えないのだということ、こういうことをはつきり單行法の形で表現したわけなのであります。それでございますから、決して恩給法の恩給権を認めながら、恩給権を与えておきながら、その恩給権に基く恩給の支払を受ける権利を、それだけをとめておる、こういうのでは、全然ないわけです。
○竹下豐次君 先ほどから承つておりますと、恩給法が現在活きておるのであるから根源が残つておるんだという御説明なんです。そうしますと、それで若しこの法案が通過しないようなことになると、元の全額支払わなければならないことになる、それで延ばさなければならない、そういうふうに理解したのでありますが、そうしますと恩給法特例審議会で審議されて、まあ仮に一年かかるものとすると、きまつて、不幸にして全額が支給されずに、その一部分でも減額されるというようなことを仮定してみまする場合においては、現在生きておるその恩給法によつて得ておる恩給権というもの、言い換えればその私権、財産権の一部分を侵害されるという問題が起る場合があるのじやないか、こういうことが気ずかわれるのですが、そうなると憲法との関連があるわけですが、そういうことをしても憲法違反にならないのだというふうにお考えでしようか。尤もそれが権利を剥奪する場合においても、公共性のためにやつておるというような特別の理由がつけばこれは別ですけれども、そうでなく一般的に考えまして、それは差支えないでしようか。どういうふうに御解釈になるでしようか。
○政府委員(三橋則雄君) 確かに形式的には、恩給法においては、軍人には、それから又遺族にも恩給権を認めております。恩給を受ける権利を認めておりますが、併し恩給法と恩給法の特例と、これを引つくるめて考うべきでありまして、現在の軍人、軍属及びその遺族の人たちに対しての恩給を給するか給しないかについては、この二つの法律できめられておるわけであります。従つて憲法の問題を考えまする場合におきましては、恩給法がどう、恩給法の特例がどう、一緒にして読んだ場合は、軍人、軍属に対してはどういうようなことになる、こういうふうにばらばらに考えて一々の場合を考えるのじやなくて、現に軍人、軍属に対する恩給制度を定めた法律として、恩給法と恩給法の特例をひつくるめて考えて、そうしてこれらの法律が適用された結果として、現実の問題としてはどうなつているかを考え、こういう現実を抑えて憲法の問題を考えるべきじやないかと思います。ただ傷病者に対する恩給は、これは現在若干行なつております。これについては、これよりも少い、減額するということはできないと思いますが、恩給を現在受けているか、受けていないかという問題から憲法の問題に入ります場合におきましては、私は恩給法はどう、恩給法の特例はどうとばらばらに考えるのじやなくて、恩給法特例等の法律全部をひつくるめて恩給に関する法制を考えて、そうして軍人、軍属が現実において受ける権利はどうなつておるかということを考えまして、従来軍人のかたがたが恩給法の規定によつて、或いは在職年限を通算されて恩給を受けられたが、現在では受けられていない。今後の措置のときは、或いはその在職年限の従来の取扱を変えるかも知れない。そういう従来とられた措置を変えるからといつて、憲法に違反する問題は起らないのじやないか、こういうふうに思います。
○竹下豐次君 先ほどから恩給法によつて恩給権というものがきまつておる。併し具体的な問題は六十八條との関連で一応消えて行くんだというお話ですがここに恩給権というものは、ただ抽象的な観念で、やはり恩給権があるかどうかということが起るだろうと思う。一文ももらえない恩給権というものは考えられない。何だか局長の答弁は非常に巧妙にやつておりますが、ただ抽象的な恩給権というものと、それから実際もらう恩給権というものか、恩給権に二通りあるはずが私はないと思うのです。だから恩給権が存在しておるんだ、憲法によつて存在しておるのだという御説明がある限りにおいては、やはり具体的な問題がそれにぴつたり合わなければ、それで以て恩給権というものを言つてみたところで、まるで夢のような話だというふうな気持がしますが、それは法律的に解釈しても又常識的に解釈してもどうですか。
○政府委員(三橋則雄君) お話のように、抽象的に恩給の権利云々の話をしましても、それはわからないのじやないかということにつきましては、私も同感でございますが、この恩給の権利につきまして一応、大変恐縮ですが一言申上げますれば、恩給の規定、恩給法といいますか、これは軍人の場合でありますならば、軍人に関する恩給法と恩給法の特例とひつくるめまして、これを恩給法と申しますれば、この恩給法によつて恩給を受ける権利は定められておるわけですが、現在のところで具体的に恩給を受ける権利があるのは傷病者の恩給に関してだけであります。ほかのは全然ないわけであります。先ほど憲法の問題につきましてお尋ねがございましたが、そういうような、現実に傷病者以外には恩給を受くる権利はなくなつている、そういうことを前提として私は憲法の問題は考えるべきではないか、こういうふうに考えております。
○中川幸平君 この法律案は非常に簡單な法律案で臨時に恩給をなお一ヵ年延期した、そのほか恩給法の特例審議会をこしらえて支給の範囲、適用等の研究をしようという簡単な法律で今一般の権利者としてはそう大した関心を持つておりませんけれども、先刻来各委員から言われるごとく、前半生を国家に捧げたいわゆる旧職業軍人、七万か八万か知りませんが、その人たちが非常な関心を持つておられる重大な問題である。我々も何とかできんかというような感じを抱きます。と同時に、政府としてもそれらの点は十分わかつておることと思うのです。併しなお且つ総体的に一ヵ年延期しようというかような法案を出した点から見ますと、ひとり財政的の面だけかどうか、或いはその間外交的というか、国際的というか、それらの点の思惑の点もあるのではなかろうか。かようなことを考えますときに、何か委員長におかれても、大蔵大臣、或いは又外交的の点もあるといたしますと外務大臣にも来てもらつて、その間の事情を一つ自由に懇談して頂いて、そして適当な結論を出すようにお諮り願えんか、かように考えます。
○委員長(河井彌八君) 中川君に一応お答えいたします。 実は本案の審議につきましては、よほど慎重に考慮いたしまして、財政とも見比べまして、そして適当なる解決を得たいということを希望いたしておるわけであります。これは委員諸君全般のお考えであると、かように考えておる次第であります。而して本日も実は官房長官及び大蔵大臣の出席を求めて、もつとそれらの点について政府の意向をただしたい、かように考えておつたわけであります。ところがお二方ともお差支えがあつて出られないので、恩給法そのものに関する質疑応答は三橋恩給局長を相手にしてお願いすることにいたしたわけであります。只今中川君の御要求のごとき点は、委員長といたしましては何とか取計らいたいと、かように考えておりますが、今申したような事情で、今日はいたすことはできませんから、次の機会に適当に取計らうつもりでおります。このことを申し述べます。
○鈴木直人君 先ほど三好委員からお話がありましたが、いわゆる立法論、解釈論、どういうふうな解釈でもつて進むかという問題と、今中川委員から言われました、委員長からもお話ありました、この特例法を修正をすると言いますか、一ヵ年を待たずして、どんなふうな方法にして軍人のかたがたに対して財政的なことを考えつつ実施するかということは、まあ関連はしておりますけれども、別の問題だと思うのです。それで官房長官、大藏大臣が出席されないということは、この解釈論ではなくして、これをどういうふうにして今の政府なり與党なりが解決するかという結論がまだ出ないからだ、併しながらこの段階においては大いに検討を続けて、恐らく或る程度の結論が財政面としても出るだろうということは我々も推測しているところであります。従つて本日出ないから誠意がないということではないと、私はそういうふうに考えておるものなのですが、併しながら財政に関係するものですし、いろいろあると思いますけれども、私はそういうふうに考えておるのであります。本日出ないから誠意がないということではないというふうに私は解釈しておるわけです。ただ問題は、法律上の解釈なんですけれども、然らばどういうふうな見解の下にやつつて行くかということは、これは重要な問題になるのですが、先ほど来何回も法律的な立法的な解釈について質疑應答があつたのですが、要するに例えば治安維持法というものがあつた。それがポツダム政令で以て廃止になつた。これが講和条約発効後乃至半年過ぎれば又治安維持法がそのまま復活するのだ、従つて、ポツダム勅令というものは一時的なものであつて、それで廃止された法律は又元に復活するのだという解釈であるような答弁が先ほど松原委員との間にあつたように思われるのです。もう一つは、既存の法律であつて、ポツダム政令に、何條はこういうふうに改正する、何條々々はこういうふうに改正するということで改正されて来ている法律がたくさんあるのです。それが今度はいよいよポツダム政令が效力が失われたという場合には、又その改正した部分を昔のままに復活して、そうして前の法律が生きて来るのだというふうに思われるような答弁もあつたように思われるのです。ただこの恩給法については何條は何ということではなくて、全然條文に関係なく、その部分についてのものがあつたためにその点がはつきりしていないのですけれども、恩給局長としては、一度ポツダム政令で既存の法律が修正された部分については、ポツダム政令が失効した場合は全部そのままそつくり元の法律に帰つて行くのだ、こういう解釈なんですか、どうなんですか。その点詳しく、さつきのようなことでなく、立法論だけを、これはあなたに答弁を求めるわけじやありませんけれども、不幸にしてこのポツダム政令というものは何條をどう改正をするというのではなくて、軍人に関してはこうこうこうだという、あらゆるものに亙つたところの一つの改正だと思うのですがね。それを改正と見ないのかどうか、いわゆる恩給法の改正と、こういうふうに見ないのかどうか、一時停止しておつたのである、こういうふうに見ておるのであるか、そこをお聞きしたい。
○政府委員(三橋則雄君) これは恩給法においては恩給を給するということがはつきりしております。
○鈴木直人君 それは今法律が存続しているから当然あるでしよう。その法律、従つて恩給法は存続している部分についてに現在もそれは適用されている、有効に効力が発生すると思うのです。ただその特例があるために、その部分についても今効力を発生しているということであつて、特例法があつたために、軍人には恩給をやるという法律が、例えば恩給法の第一條が効力がないのだという解釈は取れないと思うのです。恩給法の第一條は現存しておる、こういうふうに思うのですがね、その点はどうなんですか。
○委員長(河井彌八君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(河井彌八君) では速記つけて。
○鈴木直人君 それでは恩給法の第一條というものは、現在も効力発生しつつある、こういう点についてはどうですか。
○政府委員(三橋則雄君) その通りです。
○鈴木直人君 そうしますと、先ほどいわゆる軍人に関するところの恩給権は今はないということを言われましたが、どういう理由で以てないのですか。
○政府委員(三橋則雄君) それは先ほどからたびたび申上げておりまするがごとくに、恩給法の特例におきまして、第一條に掲げている恩給は給しないと、こう書いてあるわけです。それでこの第一條に掲げられている恩給は与えられていない、こういうことなんです。
○鈴木直人君 第一條に掲げているところの恩給は給しないという條文ははつきりしていますか。特例の中の第一條に掲げているものは給しないというふうに、はつきり規定されておりますか。
○政府委員(三橋則雄君) 恩給法の第一條は公務員及びこれに準ずべき者並びにその遺族は、本法の定むるところにより、恩給を受くるの権利を有すとあります。どういうような恩給を受くる権利があるかということは恩給法の中の第二條以下に規定しているわけです。どういうような要件を具備した場合においてはどういうような恩給をやるかということについては、第二條以下に書いてあるわけであります。そこで先ほどから御説明しました普通恩給につきましても、恩給法の中に書いてあるわけです。そういう普通恩給その他一時恩給なんかにつきまして、軍人に対しましては、こういうような場合には普通恩給を給す、こういうような場合においては一時恩給を給す、こういうような場合においては扶助料を給す。こういうようなふうに、恩給法の中にずつと書いてあるわけです。そう書いてあることを前提といたしまして、今度は恩給法特例の第一條によつて、そういう軍人であることによつて受ける普通恩給は給しない、こういうことがはつきりと書かれたわけです。
○鈴木直人君 そうしますと、その第二條以下の部分について、若しこの恩給法の特例に関する法律という現在の法律がまあ審議未了にでもなつて、そのままになつたという場合では、どんな恩給法のいわゆる効果が出て来るわけですか。
○政府委員(三橋則雄君) 恩給法の特例は六ヵ月、講和條約の効力発生後六カ月いたしますると失効いたします。で失効いたしまするというと、恩給法の特例の第一條に掲げられてあるようなことは全然なくなつて参ります。そうすると恩給法の規定そのものが今度は新しく動き出すことになるわけです。極端なことを言いますと、少しは語弊があるかもわかりませんが、新しく立法いたしまして、軍人に普通恩給を給すると、こう書いたと同じようなことになるのです。恩給法に、軍人にこれこれの場合に普通恩給を給すると書いてある、そのままの條文が動いて来ることと同じことになる、こういうことを言つておるわけであります。
○鈴木直人君 そうしますと、いわゆる六ヶ月このまま経過したということになりますと、この特例法で一時消されておつた部分が、もう一度前の法律そのままに生きて来るという解釈ですか。
○政府委員(三橋則雄君) そうです。そのまま、昭和二十一年の二月一日の恩給法の規定がそのまま動き出すということです。
○鈴木直人君 そうしますと、ポツダム政令で以て修正された法律が他にもたくさんありますね。それが、その修正したポツダム政令が六ヵ月過ぎてしまつたならば、そういう他の法律も全部前の法律の全部文章が生きて来ると、こういうふうな解釈ですか。
○政府委員(三橋則雄君) 今鈴木委員の仰せられるのは、法文といたしまして……。
○鈴木直人君 法文のことばかりを聞いておるのです。
○政府委員(三橋則雄君) だから私が申上げることを最後まで聞いて頂きたいと思います。 法文といたしましては、改正する場合に、削除というように書いてしまうやり方があるわけなんです。そういうようにしますれば、削除して、廃止する、こういうことにしてしまえばこれはお話のように疑問は全然ないと思うのです。先ほど治安維持法の例がございましたが、これは確かにそうであります。それは廃止してしまつてあるからです。そういうような法律形式をここではとつていないのです。そこで今鈴木委員の言われるような議論も、或いはあるかも知れません。併しながら私たちはそういうような解釈はとつていないのであります。
○鈴木直人君 そうしますと、廃止するとか修正するということは具体的に、或いは削除するということは具体的に規定されていたのですな特例法については、そのポツダム政令が効力を失つた場合には原則として前の法律の文章がそのまま生きて来る、こういう解釈をとるわけですか。
○政府委員(三橋則雄君) これは先ほどから申上げますように、恩給法の特例のほかに恩給法があつて、その恩給法の規定が動くようになりまするから、先ほどからそういう解釈をしておるのであります。これはもう一つ私が例を挙げまするならば、恩給法の臨時特例というのが曾つてありました。恩給法の臨時特例は、最初昭和二十一年にできましたときには、いろいろな條文がございまするが、その中にこういうような趣旨のことがありました。恩給法の本来の規定によりますれば、普通恩給は退職当時の俸給金額を基礎として計算されることになつていました。ところが昭和二十一年の恩給法の臨時特例におきましては、現実に退職した当時の俸給を以て計算しないで、それよりもうんと低いところの仮定俸給を作つてそれによつて、恩給金額を計算するということになつておつたのです。そんな法律が臨時特例として出ていました。その臨時特例がある間は、たとえ退職当時一万円の俸給をもらつて、それで恩給年額が計算されることになつておつたとしましても、恩給法でそうなつておつたとしましても、臨時特例の規定がある間は、それは三百円とか五百円少い金額で以て恩給金額は計算されることになつておつたのです。ところが特例を廃止されました現在では、恩給法本来の規定通りに、退職当時の俸給を基礎として恩給金額を計算してある。これは鈴木委員も御承知の通りと思います。それとこれは少しも変らないのじやないかと思います。
○鈴木直人君 そうしますと今度例えば財政的見地として……
○松原一彦君 特例を廃止すれば本例に戻るのだ。
○鈴木直人君 いろいろな考慮から、政府等において、従来の恩給法の支給と別個のような規定が、法律の規定ができたという場合には、先程竹下君が言われるような憲法の違反といいますか、既得権を侵害するというような解釈が出るのかね。或いはそうじやなくて、これは法律の解釈なんだから、当然その法律というのは始終変つて行くから、その法律がだんだん改正されて行くのだから、それは決して既得権を侵害するものではない、こういう解釈になるのですか。
○政府委員(三橋則雄君) 今具体的に軍人、軍属のかたが受けられております恩給は、先程申上げましたように、傷病者に対して支給されておるものだけであります。従つて普通恩給は給されていない。普通恩給を受ける権利は今はないという現実に立つて私は考えておりますが故に、普通恩給を今後与えることになつた場合、その普通恩給を与える金額がたとえ少なくても、既得権を侵害するというようなことにはならないんじやないか。併し傷病者の現在受けておりますところの恩給を、これを不当に少くするとか何とかすると、或いはお話のような既得権の侵害というようなことが起るようになるかと思います。
○竹下豐次君 私は先般来いろいろしつこくお尋ねしましたが今日まで私の意見というものは言つていないのですただ一つ意見を申しましたのは、官房長官から諮問委員会ですか、審議会、審議会に旧軍人を入れたほうがいいかどうか、あなたどう思いますかということで、その時にお答えいたしましただけのことで、あと私は意見は言つていないので、次々に疑問が起つて来ますし、初めからの疑問もありましたので、それを実はお尋ねしておるわけなのであります。いろいろ御丁寧に御説明頂きましたが、未だに私は、その一度消滅したのだという御説明と、恩給権の根元が残つておるのだという御説明があつて、そこに矛盾を感じておるわけであります。消滅したなら消滅したで、一本でとつて行くならば憲法違反の問題は起らないのです。そこに根元が生きておるのだという御説明があつたので、私は憲法問題は非常に大事だから、これははつきりして頂かなければ困る。こういう気持で実はお尋ねしておるわけなんであります。法律解釈としても、実に純然たるこれは法律の疑問ですが、恩給法を六十八号の勅令が出たときに改めればよかつたけれども、改めずにそのまま残つておつたんだ、それで以て六十八号が消えるというと、それが又元通りに恩給法のほうは動き出すというような御説明ですが、これは私も法律解釈として、法律専門家でありません。四十年前に法律学をやつて随分古くなりますからよくわからないのですけれども、研究もしたいと思いますが、ここで起りました疑問は、一度六十八号と牴触したがために、恩給法のその部分に関する分は効力を失つたんだ、失つた分はどこまでも失うことは続けるんじやないか、失うことが続けるのだ。ただ條文の文字は残つておるけれども、それは死んだものである。だから六十八号が死んだからといつてそれは復活するということは考えられるものかどうかという疑問を私は今ここで起したのですが、この点はもうすでに御研究になつたことかとも思いますけれども、もう一遍一つよくお考えを願つたらどうかと思いますけれども、法律論として私は一応の疑問も起るだろうと思つております。そうでないというと恩給法の規定と今の六十八号と牴触した分は六十八号のほうが勝つたんだというような一時的現象であるならば、それは恩給法が一時停止されておつたんだというふうに解釈しなければならないじやないか、もう消えておつたんだというならば、やはり消えて続くべきではないかという疑問が起つたのです。実はこれはすでにお考えのことで、御研究のことで考え直す余地もない、研究する余地もないとおつしやるならばこれは仕方がありませんが、若しそのほうを更に考えてみようというようなお考えでもありましたら結構じやないかと私は思うのです。問題は根元という言葉をお使いになりましたのが私は混乱したもとになつておると思います。解釈は、消滅したのか停止であるのかということについてはいろいろ私は議論が分れるだろうと思つております。私も先般来停止じやありませんかという言葉を使つておりますけれども、私の意見を申し述べておるのではありません。それは御了解になつておると思います。これからとくと私も研究しまして、最後の判断を一度は下さなければならんと考えております。
○松原一彦君 関連して……。鈴木氏の御意見もありましたけれども、実は援護法を作る時分に、厚生委員会ではこの問題を相当政府に突つ込んでただした。恩給局からも事務官と課長に来てもらいまして、相当に研究いたしましたときに、恩給局の御答弁はこれは一応は消滅…、停止ではない、これは支給が禁止になつておるものである。併しながら講和條約発効後においてはこれは復活するのであつて、復活する條件は先刻来私の申しておる昭和二十一年法律第三十一号の第二條によつて復活すべきものであるというのが政府の御解釈であります。従つて援護法が一応年金という字を使いましたけれどもが、年金という恒久性を持たすべき性質のものではない。これは遺族に対しては当然遺族扶助料という一貫したる法律があるから、これによるべきものであるという解釈で、あれは一ヵ年限りということに一応なつておるのであります。あれは臨時措置であります。一ヵ年限りの臨時措置であつて、明年四月一日からは当然根本法である恩給法によつて二百万人の遺族は遺族扶助料を受ける。そういうことで援護法は通つたのであります。私共はそのときにも、所管が違うということをしきりに申したのであります、遺族とか傷い軍人とかというものの措置は、国としては恩給法によつてやるべきものであつて、それが国の当然の信義である。占領中にできないけれどもが、占領が終ればその法規に戻るものであるということを主張しまして、その解釈の下に、今日厚生省における援護措置は全くの臨時措置として進行いたしておる。その基本に立ちまして、私はこの問題を解釈し、そうして一カ年間の延長を認められたゆえんも、消滅したものならば、政府はこういう法律をお出しになる必要はないのであります。復活するという前提があればこそ抑えてお石。ポツダム勅令六十八号を法律に引き直して、それを六カ月間抑えようというのであります。消滅したならば抑える必要はないのであります。消滅したものをなぜ抑えるか、消滅しないという前提の下に抑えて、この次に、復活するときに従来通りでは困るから、何とか処置をしよう、こういうことになつておるのであります。でありますから、私はこれは疑う余地のない政府の解釈だと思つておる。法理論、憲法論から言うと大変むずかしい問題になるが、法の前には権利は平等であるべきものでありますから、文官と武官と分けて若し取扱を左右にすれば、これは今竹下さんの言われる通りに、いろいろ法理上にも憲法上にも疑義を生じます。けれども、これは私の意見でありますが、何千億という年金を今支給するわけには行かないし、軍人のかたがたからたくさんの請願が出ておるものを読みましても、権利は権利として先ず国の実情に即して老令軍人から先に、或いは平病死によるところの遺族を戰傷病死と同じように扶助料によつて給与せられたいというような謙譲な意見も出ておりますから、これは国民の了解の下に、国の財政経済の許す範囲において適当な措置をとろうという政府の考え方に私は同意をしておるのであります。ただ非常に遺憾なことは、そのポツダム勅令という抑えつけた勅令が措置がなお六ヶ月間その形のままで法律に引直されて、多数の軍人を窮乏せしめておるというところに情り義誠に忍び得ざるものがある。であますから、先日も追求しました結果、池田蔵相も、必ずしも来年の三月三十一日を待つのじやなく、年度内においても考慮の払われるだけは考慮を払つて、適当な措置をすると答えてくれましたので、私は非常に意を強くしているような次第でありますから、鈴木さんの御意見もあり、中川さんの御意見もありますが、実は昭和十八年末に、軍人だけの恩給法による恩給を受けておつたものが九十二万人あるのであります。これが一遍に仰えつけられて、日清、日露役の古い人までが全部恩給停止になつている。停止という言葉を使いますれば停止になつている。又その当時の文官は十二万人でありますから、文官の十二万に対して恩給を夫つた人が九十二万であるという実情、これを独立になつた後までも苦しまねばならん理由がどこにあるかという現実論であります。これに即応するような措置を実は一日も早くとつて頂きたいので、まあ根本の解釈は今いろいろありますが、私は根本解釈よりも、現実に即したる手段をとることについて、党派を超えて一つ適当な手段を講じて頂きたいという希望を持つものであります。今恩給局長と押問答をしましても、そもそもこの法律を出したゆえんが、すでに復活ということを前提としての法律だと思いますから、善後措置を講ずることのほうが急務ではないかと思います。決して私は理窟を申して引延ばそうというのでもなければ、全部そのままをここに複活せしめようというのでもないのであります。どうしたならばここで軍人恩給という大きな問題の処理ができるであろうかということを委員諸君と共に御懇談申上げて、早く結論を見出したいというのが私の希望でありますから、委員長、どうかそのようにお取計らいを頂きたいのであります。
○委員長(河井彌八君) 只今松原委員から、この問題の取扱いについて、急速によい結論を得る方法を懇談会でも開いて検討しようではないかという御意見と了解いたします。私は実はそういう機会の来ること希望しております。今からやりますか、明日にでもいたしますか、お諮りいたします。
○鈴木直人君 この点は財政的な計算もありますしね、又その基礎的なものを……。
○委員長(河井彌八君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて、本日はこの程度にしておきまして、あとで少し懇談会を試みたいと思いますが、如何でしようか、そうして明日どうするかをきめたいと思うのですがどうですか。
○竹下豐次君 法律論が根本問題です。特に憲法に関連するとすれば問題ですけれども、やつぱり私の気持の気持としては、二千億前後というようなところに政府としては大変な悩みがあるだろうと思つております。実際の世の中の動きというものも、法律問題と一緒に考え合せて行かなければならない。それについては、先ほどちよつと申上げました通り、金額でも減るというようなことになりますれば、その理由ははつきりしなければならない、わかるように。だから両方並行して懇談を進めてもらうことにしてもらうことにしてもらつたほうがいいのじやないか。
○委員長(河井彌八君) 私はやはり大蔵大臣が来てしつかりした意見を出してくれないと、これは幾ら議論をして見てもまとまらないと思いますが、そこへ眼をつけまして懇談会を開いて、そして委員諸君と十分検討してみたい、かように考えます。大体御異議がないと認めますから、本日はこれを以て散会いたします。 午後四時十九分散会