内閣・地方行政・運輸連合委員会 第1号
- 発言数
- 155 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1952/04/01
会議録
○委員長(河井彌八君) これより内閣委員会、運輸委員会及び地方行政委員会の連合会を開会いたします。 海上保安庁法の一部を改正する法律案を議題といたします。 先ず政府より提出の理由の説明を求めます。
○国務大臣(村上義一君) 只今提案されました海上保安庁法の一部を改正する法律案につきましてお聞き取りを願いたいと存じます。で、今回改正せんとする内容は、海上保安庁の一般機構の改正と、海上警備隊の設置との二つに区分することができると思います。 先ず海上保安庁の一般機構関係の改正について御説明申上げたいと存じます。海上保安庁におきましては、現在約一万三千人の人員と約五万トンの船舶とを持つておりまして、又沿岸各地に多数の航路標識を施設しております等の関係から、これらに対する経理、補給関係の事務は、仕事の性質上極めて複雑であり、又厖大であるのでありまして、又迅速なる処理を要しますため、総務部において組織であるとか、庶務でありますとか、或いは人事でありますとかいうような事務と一緒に処理いたすのではその的確な遂行が困難な現状にあるのであります。で、このうちから経理、補給関係の事務を分離いたしまして、これを專門に所掌する経理補給部を設置することといたしたいのであります。又、我が国は終戰以来航空機の保有を禁ぜられておりましたが、沿岸哨戒等のために巡視船と航空機とを併用いたしますれば、互いにその短を補つて十分な業務の遂行を期し得られまするので、かねてよりその保有を希望いたしておつたのでありまするが、平和條約の効力発生と共に、これを実現することといたしたいのでありまして、このために必要な規定を海上保安庁法に加えたいと思うのであります。その他、従来ややもしますれば、次長とそうして警備救難監との相互間の権限につきまして、明確を欠いておりましたので、その所掌事務を改正いたしまして、いわゆるアドミニストレーシヨンとオペレーシヨンとの機能の調和を図りますと共に、海難審判理事官の所掌事務を、その特殊な性格に適するように全国的に統轄せしめるための機関としまして、海難審判理事所を設置することにいたした次第であります。で、これらの所要の改正をいたしたいと思うのであります。 次に、海上警備隊の設置についてお聞き取りを願いたいのであります。申すまでもなく、我が国は四面を海に取り囲まれておりまするので、海によつて生活する国民の数は極めて多いのでありまして、海運業、水産業等は、我が国の主要な産業の分野となつておりまするが、その半面におきましては、海は我が国が外国と接触いたす唯一の場所であるのみならず、前大戰の結果、外国領土が近接することとなりましたために、密貿易でありますとか、或いは不法入国等によりまして海上の秩序を紊されることも又甚だ少くないのであります。従いまして、海上において人命財産の安全を保護して平和産業の発達に資すると同時に、海上の治安を確立いたしまして、犯罪その他海上の秩序を紊すような事態の予防であるとか、鎭圧を行いますことは、国家といたしまして当然果さなければならない責務であると思います。海上保安庁は、かような責務を達成いたしますために設置せられまして、すでに今日までに約四年を経過いたしたのでありまするが、平和條約の発効と共に、完全な主権国家といたしまして、みずからの手によつてその沿岸水域における安全と治安とを確保いたして参りますためには、力が足りない憂いが多分にあるのであります。即ち海上における天災、又相当大規模な災害又港域に亘る秩序の紊乱等に対しましても、緊急対処できるようにいたしますためには、集団訓練を施した機動力のある海上予備勢力が必要となつて参るのでありまして、これがため海上警備隊を設置いたしまして、みずからの手によつてでき得る限りの態勢を整え、以て国家としての責務を果すことといたしたいのであります。海上警備隊は、海上における人命及び財産の保護並びに治安の確保のため緊急の必要がありまする場合において、海上において必要な行動を行うための機関でありまして、その任務は、海上保安庁の所掌事務の範囲内に限られるものであります。 海上警備隊は、総監部及び若干の地方監部を以て組織されまするところの、海上保安庁の附属機関でありまして、その職員の定員を取りあえず六千三十八人とし、海上警備官その他の必要な職員を置くことといたしました。海上警備隊の職員は、一般の行政機関に勤務する職員と異なりまして、職場は海上にあるのでございますが、陸上の勤務者につきましても、原則として一定の宿舎に居住して常時勤務する態勢にあるものであり、又職員は一定の年齢に達しますれば退職しなければならない等、特殊の勤務條件に服するものでありますので、これを国家公務員法上の特別職の職員といたすことによりまして、同法の適用を除外し、これに代るべき所要の人事管理に関する規定を設けようとするものであります。即ち海上警備隊の職員の任命権者、欠格條項、階級、任用、叙級、分限、懲戒、服務等に関する規定を設けますると共に、職員の意に反する処分に対しましては、公正審査会への審査請求の道を開きまする等、国家公務員法の精神に則り、海上警備隊におきまする勤務の特殊性に適合した諸規定を設けているのであります。又海上警備官に対しては、海上におきまする職務執行上の必要性に鑑みまして、海上保安官に準じて、立入検査権、武器の携帶及び使用を認めますると共に、刑事訴訟法上のいわゆる緊急逮捕の権限を與えまして、職務遂行の万全を期したいと存ずるのであります。なお海上警備官のうち、部内の秩序維持の職務に従事いたす者に対しましては、必要な限度の司法警察権を與えまして、海上警備隊の内部規律を維持し、嚴正なる職務の執行に資することといたしたいのであります。最後に、海上警備隊の職員に対しましては、一般の国家公務員の例に倣いまして、労働関係法規の適用を除外いたしますると共に、その船舶につきましては、船舶の構造、運航上の特殊性から船舶安全法及び船舶職員法の適用を除外いたし、その移動無線局につきましても、同様の理由によりまして、電波法の一部の適用を除外いたすことにしたいと存ずるのであります。 以上申述べましたところが、海上保安庁法の一部を改正する法律案の提案理由の概要でありまするが、何とぞ愼重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いいたします。
○委員長(河井彌八君) 次に本案の内容につきまして政府から説明を求めます。海上保安庁長官柳沢君。
○政府委員(柳沢米吉君) 内容の御説明をいたします。第一條の改正でございますが、第一條は「港、湾、海峡その他の日本国の沿岸水域において」というふうになつておりましたのを、これを「海上において、」というふうに変えましたのでございます。従来の日本国の沿岸水域ということは如何なる範囲のものであるかにつきまして、解釈上必ずしも明確でないのであります。公海において職務を執行し得るかどうかというような点についても疑義なしとしないものでございますので、この辺を明確にしたわけでございます。なお「海上の安全を確保し」というところを「人命及び財産を保護し」というふうに改訂いたしましたものは、これも表現をはつきりいたしまして、内容が如何なるものであるかということを明確にいたした次第でございます。 次に第三條の二項の削除でございまするが、これは海上保安庁の職員の総数の限度を規定したものでございますが、職員の定員につきましては、行政機関の職員定員法の定めがあるので、この規定は不要と考えまして、これを削除いたしたわけでございます。これらの規定がなくても無制限に定員を増加するものではありませんので、一般職に対する行政機関職員定員法というものではつきりときめられていたのでありまして、この点を削除いたしたわけであります。なお「船舶」という文字を「船舶及び航空機」というふうに改めましたにつきましては、これは遭難船舶の発見或いは浮遊機雷の発見、その他の水路測量のためというふうに航空機を併用することができまするならば非常に便宜であるというふうに、且つ又能率的であるというふうに考えられますので、平和條約が発効いたしましたならば、航空機の保有の禁止が解かれましたら、これの実現をしたい、こういうふうに考えまして、「船舶及び航空機」というように改めた次第でございます。 なお第四條の二項というものでございますが、これは占領下の特殊事情に基きまして、国際的に我が国の船舶の勢力を制限されたものでございますが、これは国際的見地から必要がなくなるのでありまするので、これは船舶の規模或いはその他の制限というものは、予算案として国会の審議を経べきものだというふうに考えた次第であります。なお第四條の三項について追加いたしました分は航空機の標識でございます。これは保安庁に航空機が参りますと一般の民間航空機と異なり、又沿岸の哨戒或いは遭難船の捜索等の任務を行いますために、他の航空機と区別し得るように、どうしても標識が必要というふうに考えられるわけでございます。 第五條の改正につきましては、これは経理補給部の設置でございますが、海上保安庁は現在約五万トンの船舶を有しまして、これに対しまして食糧の現物支給を行なつたり、或いは海上陸上に通信網を張つたり、沿岸到る所に航路標識を施設しております等の関係から、これらに対する物品の補給、或いは金銭会計の事務は極めて複雑且つ厖大なものとなつて来ておりますので、これを総務部のうちから分けまして経理補給部を設けたいというふうな規定でございます。なおその次の第六條の十二号でございますが、新らしいほうで申しますと十二号に「海難審判庁に対する審判の請求及びこれに係る海難の調査並びに海難審判庁の裁決の執行に関する事項」というものがございますが、理事官の事務、現在の海難審判の理事官の所掌事務に対応する規定は、七條の二によりまして海事検査部の規定のうちに置かれたのでございますが、これは後ほど申しますが、海難審判庁事務の補足機関といたしますためにこれを入れたものでございます。 次に十一條の改正でございますが、十一條は次長及び警備救難監というものの改正でございますが、今までは次長及び警備救難監の所掌事務が不明確であつた点がありましたので、次長は大体アドミニストレーシヨン系統のものを行い、警備救難監はオペレーシヨンの事務を行うというふうに明確化さしたわけであります。なお十一條の三というものの追加でございますが、これは先ほど申上げました通り、「海難審判理事所」というものを設けまして、海難審判理事官というものは海難審判官に対応いたしまして、海難審判庁に対する審判の請求、海難審審判庁の事務の執行を行うものでありまして、当庁その他の所掌事務とやや趣きを異にいたしますので、海難審判庁に対応する海難審判理事所というものをここに設けたいというふうに考えるものでございます。 なお十九條、二十條の改正でございますが、これは海上保安官は今まで司法巡査として司法警察権の行使に当つておつたのでございますが、海上の現出状において、犯罪取締のために保安官と同様に武器を使用することができるようにしたいというものでございます。今までは司法警察権だけ持ちましたが、武器を持つことはできなかつたのでございますが、小さな船になりますと、海上保安官補が船長というようなことがございますので、これらの改正をして行きたいというふうに考えるわけでございます。 次に第二章に入りまして海上警備隊の設置でございますが、二十五條の二に海上警備隊の設置及びその目的に関する規定をここに設けたわけでございます。御承知の通り、我が国は四面海に囲まれておりますので、海は外国と接触する唯一の場所でありますと同時に、 〔委員長退席、内閣委員会理事山田佐一君委員長席に着く〕 又海運業、漁業等によつて海に生くる国民の生活の場所でございます。従つてこれらの航海の安全を確保し、治安を維持するということは国としては当然実行しなければならない問題でございまして、これらの目的を達成するために海上における諸法令の励行を期すると共に、国の機関として必要最小限度の実力を備えなければならないのであります。これらのために海上警備隊は海上における法規の励行、主として従来海上保安庁で行なつておりました船艇が海上の法規の励行には当るのでございまするが、不時のタイフーンの海難或いは災害というようなものが発生しましたときに、これが救済を行うのは、これは海上警備隊を以て当らせようとするものでございます。元来の海上保安庁におきましては、パトロールその他常に行動しまして巡視警戒を行なつているのでございますが、大きな災害が起きましたときにこれらのパトロールの船を寄せ集めまして、その方面に向けるということに相成りました、その間に空きができますので、これらのものを別に訓練いたしまして災害に当てたいというのがこの趣旨でございます。なお第二十五條の三に「海上警備隊は、総監部及び地方監部をもつて組織する。」というふうになつておりまするが、これらの地方を、現在におきましては二個所乃至三個所に地方を分けまして、それぞれ地方監部を置いて、これらの船舶の基地といたしたい、かように考えているわけでございます。又二十五條の四に、職員の種類でございますが、海上警備隊における職員の種類は海上警備官及びその他の職員を置くというふうに考えているわけでございまして、これは後の二十五條の六にございます通り、特別職といたしたいと考えているものでございまして、その定員の数は二十五條の五にございます通り、六千三十八名ということに規定をいたしまして、この範囲で以て行うというふうにいたしたいと考えているものでございます。特別職といたします理由といたしましては、これは先ほど申しました通り、非常の災害その他がありましたときに行動を行うものでございますので、而も長官の定めるところに居住しなければならない状態になりまするが、常時勤務態勢にあるというようなこと、又はその他の事情によりまして一般公務員と異なる勤務状況にありますので、これを特別職とするというふうに規定いたしましたものでございます。二十五條の七にその任命権者は、海上保安庁長官がこれを行うというふうになつているわけでございます。二十五條の八は欠格條項について、二十五條の九は任用、十は階級、十一は叙級及び進級、二十五條の十二は分限による免職、十三は分限による休職、十四は当然失職、二十五條の十五は停年、これは停年について申上げますと、海上警備官はその勤務が特殊なものでありますために、一定の年齢以上の高齢者ではその精神的にも、肉体的にも勤務に就くことが困難な場合がありますので、階級別に停年制を設けたい、かように考えているわけでございます。二十五條の十六は懲戒処分でございます。十七は人事に関する不正行為、二十五條の十八は誠実服務、十九は制服の着用、二十は秘密を守る義務、二十一は居所の指定でございます。二十二が職務に專念する義務、二十三が兼職の禁止の制度、二十四は私企業からの隔離、二十五は営利企業以外の事業の制限、二十六は団体結成、争議的行為の禁止でございまして、この争議の禁止は公務員法におきましても今までの海上保安庁の職員は禁止されておりますのをこのまま禁止になつて来るわけでございます。二十七は政治的行為でございます。それから二十八は公正審査会、公正審査会は職員がその意に反する処分を受けた場合にこれに対して審査を請求することができる、その審査をやります審査会をここに設け、不利益処分に対する意見の開陳ができるような組織にしておるわけであります。二十五條の二十九は行政警察的権限でございまして、これらは先ほど大臣から申上げました通り緊急逮捕或いは立入検査等ができるような規定にしておるのでございます。二十五の三十は司法警察権の問題でありましてこれは緊急逮捕の問題でございます。なお二十五條の三十一は 十労働法規の適用除外であります。三十二は船舶安全法の適用除外でありまして、これはこの船舶の構造設備その他が一般の船舶と相当異なつております。ので、船舶安全法或いは一般の船舶の構造設備の規定を目的としておるこの安全法等から除外いたしたい、かように考えるものでございます。そのほか二十五條の三十三が船舶職員法の適用除外、三十四が無線局の電波法の一部の適用除外となつております。二十五條の三十五から三十七までは罰則でございます。 二十六條の二でございますが、これは水先審議会の設置でございまするが、これは水先審議会というものが現在ございますのでありまするが、これを保安審議会のところで水先審議会を行う、水先法にきめておりますのがこれを單に海上保安庁の中にも謳つて水先審議会というものを海上保安庁にあるということを明確化する規定でございます。 以上で大体逐條説明を終りたいと思います。
○委員長代理(山田佐一君) お諮りをいたします。只今から質疑に入りたいと思いまするが、運輸委員長と地方行政委員長とのお話合いによりまして、先ず本法律案の質問は運輸委員のかたからお始めを願うことといたしたいと思いまするが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長代理(山田佐一君) 御異議ないと認めて、さよう取計らいます。先ず運輸委員長から御発言を願います。
○山縣勝見君 只今の本法律案の提案理由を大臣から拜承いたしましたのでありまするが、先ず海上警備隊を第二章において規定されて、新たに海上警備隊を海上保安庁の中に置かれるということになつておりますが、海上警備隊を置いた提案理由の説明は只今承わりますると、平和條約の発効と共に完全なる主権国家となるについて、みずからの手によつてその沿岸水域における安全と治安を確保することができない、さような意味で以て、海上における緊急事態に対処するための一つの機関として海上警備隊を創設するということでありますが、その際従来の海上保安庁の規定によりますると、保安官という制度があるのであります。現在すでに八千名近い保安官を持つておるのでありまするが、緊急の事態に対処するという点は、新たに一つの海上警備隊を置く理由になつておるのでありますが、その際海上保安庁の警備力を補うという、純粋の、ための海上警備隊であるかどうか、基本的にそのお考えを先ず承わつておきたい。別個のものであるかどうか、或いは海上保安庁の警備力を補うというものであるかどうか、或いは本質的に別のものであるかどうか。
○国務大臣(村上義一君) 海上警備隊を置く目的は條文にも明記してあります通り、海上における生命、財産の保護、秩序の維持のためであります。全く海上保安庁そのものの設置目的の範囲を出てないものであるのであります。何分我が国は現在でも一万マイルに亘る海岸線、そのフロントの水域に対して警備救難を要する場合であります。而も現在四万九千トンの船腹を持つておりますが、パトロールのできる五十トン以上の船は僅かに百五十隻しかないのであります。従いまして、極めてその受持一ぱいの、船の受持範囲は広汎に亘つておるのであります。そのために十分密入国につきましても、密貿易につきましても、又海難等に対しましても哨戒の目的を達するに非常に実は遺憾の点が少くないのであります。いわんや先刻も申述べました通り、少し大きい天災がありまして、多くの船が沈没、或いは海難に遭遇するというような場合にはこれを救助に出掛けるという力がないというてもよいくらいであります。従つてそういう際でありますとか、或いは又相当大規模な不法入国とか密貿易とかいうような船団が領海に入つたときこれを海上で捕捉して上陸を抑止する、その目的を抑制する、取締るという力がないのであります、現在のところ……。従つてそういうものを哨戒艇で発見したときには機を逸せず機動隊に通知してその出動を待つて適切な措置を構ずるということにしたいのであります。この警備隊ができまして初めて海上保安庁の任務を果し得ると考えておるのであります。今お尋ねの別個の目的では全然ないのであります。全く同一の目的を持つておるものであります。
○山縣勝見君 只今大臣の御説明を承わつたのでありまするが、私の質問いたしたい点から少しずれておると思うので、この折角八千名近い保安官があるので、従つて只今の御説明によればむしろ保安官の内容とか、或いは保安官として六千数十名というものを増員して、そうしてそれに、或いは只今第二十五條によりますると、緊急の場合とありまするが、緊急の場合というのはどういう場合であるのか、なお又只今の御説明だけでは保安官のほかに六千数十名の新たな海上警備官というものを置く特別の理由について、もう少し御説明を願いたいと思います。なお又只今のような御説明であれば、むしろ海上保安官を充実して、そして訓練においても常時その実務を通じて訓練せしめる、決して今申されたような緊急の場合においても、海上保安官の内容の充実によつて、その目的を達せられるのではなかろうかと思うのでありますが、特別に海上警備隊というものを置かれる点について、もう少し御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(村上義一君) 保安官は一般の国家公務員であるのであります。現在パトロールをしておるという仕事の範囲では、一般公務員の規定で律して差支えないと思うのであります。海上警備隊のような機動部隊を設けまして、そうして常時勤務の態勢に置く、平時は編隊における訓練を実施いたします、そして特殊な緊要な必要があつた場合に出動するというためには、どうしても特別職にする必要があるのでありまして、これが名前を異にしました理由の一つであるのであります。なおその緊急な必要というのはどういう場合かと今お尋ねでありましたが、前刻もちよつと申しましたが、台風によつて或る海域に大きな海難が起つて多数の船腹が遭難をした、それで直ちにその救助に赴かなければならんというような場合とか、又先般起りました十勝沖の震災の場合のような、津浪によつて多数の船舶の沈没、流失を生じまして、これらの救助を緊急に行わなければならないというような場合でありますとか、或いは日本近海に合法的に漁船が出漁しておりまする場合に、海賊等によりまして不法に攻撃されたようなときに、その保護のために出動ずるというような場合もある、或いは又大規模な不法入国、密貿易の船団が領海に入つたようなときに、これを海上において捕捉してその上陸を抑制するというようなために出動する場合とか、とにかく海上における人命、財産の保護又は治安の維持のために放つて置けないというような事態が発生しました場合に、直ちにこれを平静に指図して、海上の秩序を回復するという必要があるような場合を示しておるのであります。
○山縣勝見君 まあ一応了承いたしたことにいたして、次の質問に入りまするが、然らば保安官と警備官との職務の差異についてでありますが、現行法の第十四條第三項に保安官に関して職務の規定がありますが、さような重大な任務を持つておる海上警備隊については、総括的に警備隊の機能に関しては改正法に規定がありまするけれども、現行法の第十四條第三項に海上保安官の職務に関しての規定がありますると同等の職務に関する規定がないのであります。第二十五條の十六に懲戒の規定がありまするが、この懲戒の元になる職務の規定がないのはどういうわけでありますか、その点お尋ねしたいと思います。
○政府委員(柳沢米吉君) 保安官と警備官との違いでございますが、海上保安官は司法警察権を持ちまして、普通の陸上の司法警察官と同じような役目を持つております。警備官におきましては、主として災害その他大規模の災害等に出動するために、個人的の関係よりも団体的の行動が主体となるわけであります。併しながら、これらの人々が、海上におきまして船舶の臨検、立入り等ができなくては困るという意味におきまして、そういうことだけはできなくちやならないという意味におきまして、その規定だけをしておる状態であります。
○山縣勝見君 警備官の機能と保安官の機能との差異については、大体私の了承いたすところ、即ち運輸大臣の御説明によつて了承するところでは二点あると思うのであります。一つは大体集団訓練によつて機動力で持つておるものである、なお又発動いたす場合は緊急の場合である、この二点が保安官と違うのじやないかとかように思うのでありますが、さように了承いたしてよろしいのでございますか。
○政府委員(柳沢米吉君) 大体お説の通りであります。
○山縣勝見君 然らば、その際緊急なりや否やの判断は誰がいたすのであるか、なお行動の命令は誰がいたすのであるか。
○政府委員(柳沢米吉君) その判断は保安庁長官がいたしますし、行動の命令は保安庁長官がいたします。
○山縣勝見君 今回の改正法第十一條第二項及び第三項の規定によつて、いわゆる次長と警備救難監のアドミニストレーシヨンとオペレーシヨンとの差を作つたようでありますが、一応はそれは法文上は理論が通つておるようですが、実際の運営においては次長と救難監、さような先ほど申上げました緊急の場合発動する場合において、実際上次長は、その規定にありまするように、職務は長官を助け庁務を調整することでありますが、恐らくこれはいわゆるアドミニストレーシヨンだと思いますが、実際の、例えば緊急の場合であるかどうかの判断、或いは実際に行動の命令をいたす場合において、どちらが実際の実力を持つて、実権を持つてその行動の発動を命ずるのであるか、いわゆる一応の形式的にはアドミニストレーシヨンとオペレーシヨンの区別はわかりますが、実際重大なことが起つた場合は、次長と救難監の間の命令と言いますか、そういう間の調整はどういうふうになるのであるか。
○政府委員(柳沢米吉君) 海上警備隊におきましては、これは海上保安庁の附属機関でございまするので、長官から直属になつております、而して次長及び警備救難監というのは、長官の補佐機関というふうになつております。これが緊急であるかどうかという判断の状況及び船舶の配備状況その他のものにつきましては、警備救難監が或る程度よく知つておると思います。併しながら一面警備隊の配備その他の件につきましては警備隊の首脳部がよく知つておると思うのであります。これらに関しまして総合的な判断から、その緊急の事態に出るか出ないかということは長官みずから裁断する、かように考えております。
○山縣勝見君 海上警備隊と保安官との関係におきましては、現段階においては非常に将来の国際情勢、或いはいろいろな点を考えまして、只今運輸大臣に今後の見通しについて御質問申上げることは如何かと考えられるのでありまするけれども、いろいろな点を勘案いたして、果して海上における人命及び財産の保全の事務は、今僅か六千数十名でありますけれども、海上警備隊の持たされておる任務等との関係から見て、今後この海上警備隊というものは、例えば警察予備隊とか何とかというふうなものと一連の本質的な関係を持つておるもの、そういうものが一体になつて、元来海上保安庁の設置された当初の、人命及び財産に関する海上保全、安全の面との調整、或いは今後そういうような面を分離して、そして適当に改革を考えるということも考えられるのでありますが、それに対してどういうふうに基本的に、運輸大臣はお考えになつておりますか。
○国務大臣(村上義一君) 前刻も申述べましたごとく、この両者は全然別なものではないのでありまして、相待つて初めて海上保安庁に課せられておる責務を果すという性質のものであるのであります。而して両者とも海上保安庁長官の指揮下にある次第であります。只今この海上警備隊というのは、警察予備隊に似たものじやないかというようなお説でありますが、これは全然違うものであるのであります。むしろこの東京警視庁における予備隊でありますとか、或いは大阪警視庁の機動隊というものに相当するものであります。この平時のパトロールをする面と、そうして緊急な必要が起つた場合に出動するもの、相倚り相待つて初めて海上保安庁の目的、任務を果すという性質のものであります。
○山縣勝見君 実際の場合において、何か重大な事態が発生した場合、勿論海上保安庁は一本でありまするし、先ほど来の御説の通り、海上保安庁長官の命令によつて海上警備隊が動く、或いは場合によつては、海上保安隊が動くのでありましようが、現実の事態の認識はなかなか微妙であつて、例えば現在国家警察と地方警察との関係を見ましても、実際の、具体的のことが起りました場合の問題があると思いますが、さような、先ほど来の運輸大臣、或いは長官の御説明によれば、実際の運用においては、保安官の系統のほうの要請によつて、海上警備隊が動くとか、勿論命令系統は海上保安庁長官そのものが出すのでありますけれども、実際の運用は保安官系統の要請によつて、事態の重大性を認識して、命令は海上保安庁長官が出す。その間保安官と警備官とのいわゆるそういうものが別個に難れて、ときによつては所管争いをする、或いは所管忌避をする、そういうようなことが起らないようにいたすべきであると思いますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(村上義一君) 指揮命令が二途に出る虞れがあるとか、或いは必要性がぴつたりと現実に来ない場合がありはしないかというような御質問でありまするが、それは全然ないと思うのであります。今日まで、先般の十勝沖の場合にでも、パトロール船は手の下しようがなかつた。又昨年の台風の際におきましても、如何ともすることができない。みすみす人命及び財産を救助することができなかつたというような次第であります。これは勿論パトロール船を、それらを糾合して救助に参つたのでありまするが、併しながらパトロール船というものは、一杯々々平素行動をしておるものであります。それで編隊をして活動するということには、極めて乘務員も慣れていないのであります。自然救助の行動において甚だ遺憾な点もあつた次第であります。この警備隊を設けまして、機動的に平時訓練をしておりまして、必要な際に初めて出動するということによつて、大きな海難その他が惹起しました場合に、万全の措置を初めてとり得るのだと思うのであります。そういう必要上設けたいと思うのであります。
○山縣勝見君 警備隊員の身分につきましては、この改正法案によつて、相当の條文を使つて、いろいろ制約を加えておるのでありますが、一般公務員に比して相当の制約が加えられておるのであります。而も一方、海上警備員というものは職務の性質上、場合によつては身の危險を冒してその職務の遂行に当らなくちやいかんということも考えられるのであります。従つてその給與或いは援護等に対しては、特別の考慮が当然この改正法の中に規定されなくちやいかんと思つたのでありますが、或いはこれは別途に考慮されておるのかどうか。若しも考慮されておるなれば、その内容の大綱等について承わつておきたいのであります。
○政府委員(柳沢米吉君) お話の通り海上警備官に対します給與に関しましては、給與法を近く御審議願いたいというふうに考えております。本日閣議決定になることと思いますが、これによりまして、特別職の海上警備官の給與ははつきりと御審議願えると思います。この内容につきましては、大体国家公務員法の人々と同じような取扱を受けると思いますが、その給與の内容というものは、大体勤務態勢から考えまして、この勤務態勢は、時間その他によつて制限されますから、これらを常時勤務態勢であるというような観点を加味しまして、基本給を計算して行く、この基本給に対しまして、若し船に乘る場合には、乘船手当というものをこれに加味する、なおその船が運航いたしました場合には、航海手当をなお更に加味するというような形式にいたしまして、特別職の船員としての收入が適当であるように考えておるわけであります。なお災害その他につきましても、各種の規定を勘案しまして、その規定によつてきめるというふうなやり方であります。
○山縣勝見君 警備隊員の公募に対しての予定は、どういうふうになつておりますか。
○政府委員(柳沢米吉君) 職員の公募でございますが、大体本法案が通りますれば、直ちに公募しないというように考えております。その内容は、大体学校の出身によつて区別いたします、同時に海上の経歴をこれに加味いたしまして、これらによりまして、各階級の人々を採用したいというふうに考えております。
○山縣勝見君 改正法の第二十五條の三十には、部内秩序の維持のため、即ち部内の秩序維持をなすために、部内の秩序維持の職務に従事する者は、司法警察職員として職務を行うことになつておるのでありますが、この点は曾つてありましたような憲兵制度みたいなものになるのであるかどうか、この運用は相当重大だと思いますが、どう 十いうような見解を持つておりますか。
○政府委員(柳沢米吉君) 全然昔とは違いまして、刑事訴訟法の下におきまして、検事の下にあります一つの司法権のみであります。
○山縣勝見君 改正法の第二十五條の二十九は、第十六條の規定を警察官に準用いたしておるのであります。即ち海上保安官は必要ある場合には附近にある人及び船舶に対して協力を求めることができるとありますが、従来この海上の場合の協力者に対する損害補償の規定が欠けておるのであります。なお又これに対しては一般の輿論は各方面ともかような場合においては相当の損害補償を国家においてなすべきだということがすでに澎湃といたしておるのでありますが、当然かような條項は改正法に盛るべきであつたと思うが、ないようであります。これに対してどういうふうにお考えになつておるか。
○政府委員(柳沢米吉君) この辺誠に申訳ないことでございまするが、協力者に対します措置の考え方というものに対しまして、我々のほうとしてもいろいろ考えておつたのでございまするが、近く單独立法として議会のほうで御審議になるというようなお話を聞いております。我々としましてはその法案ができれば非常に結構だというふうに考えております。
○山縣勝見君 仄聞すれば現在警察予備隊関係において国家警察当局において同様の趣旨のものを本国会に提案するための準備中だと思うのでありますが、先ほどの運輸大臣の御答弁の中には警察予備隊と海上警備隊とが本質的には違うというようなお話があつたからそういう点から見ればそう見えるけれども、これは大衆である国民から見ればさような緊急事態において受くる損害等は同じ性質のものでありますから、むしろこの際警察予備隊又は海上警備隊等によつて人命或いは財産の受けた損害、何かそれに対する一本の法律を考慮するということを国家において考えるべきものだと思いますが、その点如何ですか。
○政府委員(柳沢米吉君) 協力者に対する補償は現在出ておりますのは、国家警察及び地方警察に対しまする協力の関係の法案が出ております。我々も海上保安庁としましては、海上保安官は司法警察官でございますから、これを一本で行つたほうがいいのではないかというふうにも考えるのでございますが、併し一面海上保安官は海上保安官として單独法で行くほうがいいのじやないかという御議論がありまして、いずれにいたしましても所期の目的を達すればいいという考え方でいるわけです。
○山縣勝見君 私はやはりこれは法制上の見地から見てもできるだけ一本で、ややもすれば警察予備隊によつて受くる被害、或いは海上警備隊によつて受くる被害は、受くるほうは国民として同じである。而も法律如何によつて違うということも或いは考え得るのでありますが、できればセクシヨナリズムにならないで一本で政府として私は考慮すべきだと思う。これは議論になりますからただ意見だけ申上げておきたいと思います。 最後にお伺いいたしたいのは大体海上保安庁の業務の一部として所管事務の範囲内における海上警備隊ということは一応運輸大臣の御答弁によつて拜承いたしたのでありますが、憂うるところは第一この海上保安庁というものの相当の重要な任務の一つというものは海上における安全ということであります。船舶を中心とする人命及び財産の安全ということであります。例えば航路標識とか、或いはいろいろな海上の安全ということが相当 〔委員長代理山田佐一君退席、委員長着席〕 大きな義務であつて、或いは例えば船舶検査事務でありますとか、そういうようなことが相当国家経済から見ましても重大なものでありますが、国際情勢等の点から見て海上保安庁の業務が海上警備隊の運営に相当重点を置かざるを得んということになつた場合において、むしろ主たる業務とは申しませんけれども相当重要な業務、海上における船舶の航行、その他人命財産の安全保護という点に対して相当の私は重要な関心を持たれることは今後の運営において必要な点だと思う。ややもすれば軽視される嫌いがあるのじやないか。そういう点を非常に憂うるのでありまするが、勿論そういうようなことに対しては運輸大臣或いは長官としては遺憾なきを期するという御答弁をなさることと思いまするけれども、この点は今後の海上保安庁の運営によほど私は御注意を願いたいと思うので、それに対して特殊の特別なお考え、或いは承わつておくことがあれば承わつておきたいと思うのです。
○国務大臣(村上義一君) 只今お示しの問題についてはもとより最善を盡したいと念願いたしておるのであります。元来海上保安庁の仕事は一方においては燈台、標識、水路等の即ち航海安全業務、それから他面において警備救難の業務、この二種類になつておることは御承知の通りであります。この警備救難の業務が現在極めて不完全でありまするが故に機動的な行動をとり得る警備隊を作るというのが今回の本旨であるのであります。勿論この平常と申しまするか、航路安全の、航海安全の業務につきましてこれをおろそかにするというようなことがあつては相成らない次第であります。十分に最善を盡して行きたいと思つております。
○山縣勝見君 大体基本的に承わりたい点は御質問申上げたのでありますが、最後に運輸委員会といたしまして、この海上保安庁の一部を改正する法律案が只今申したようなふうにややもすれば本来の海上のそういうことを中心に航行に関する安全、現在只今運輸大臣が指摘されました航路標識等も非常な不完全な、而も海上警備隊は軍に何らかの緊急事態というような治安関係でなくして、船舶航行等の緊急の危險の伴うときにおいても発動するというようなことでありまするが、やはりこれは緊急の、治安を主とした場合に発動するものと私は考えるのであります。私はやはり非常に大事なこの海上の船舶航行の安全を中心にしたものに予算等においても相当重点的に考慮をして、こうして日本の近海における航海の安全に対しても相当考慮をしないと海上警備隊のほうに予算を使つて、現在非常な遺憾の点がありまする航海の安全に対して遺憾のないようにその点を一つ希望いたして質問を終ります。
○小酒井義男君 規行法の第一條におきましては範囲が明確に謳つてあるわけですが、改正案によりますと「海上において」というふうに極めて抽象的な表現になつております。この「海上において」と言われておる範囲はどのくらいのものが範囲になつておるか、その点を先ず最初に……。
○政府委員(柳沢米吉君) 「海上において」と申しますると、大体公海を含むというふうに考えております。
○小酒井義男君 次に大臣の説明によりますと大体目的は従来と同様であると、こういうふうにおつしやつておるわけなんです。併し説明の中では編隊で訓練をするというようなこともあるというふうにも言われておりますので、なぜ、それでは、従来のものでやり得ないようなことが過去にあつたのか、或いは近い将来にそういうことが予想をせられるのか、予想をせられるとしたらそれはどういう原因があつてそういう予想がせられなければならないかというような点について少し説明をして頂きたいと思います。
○国務大臣(村上義一君) 先刻来申述べましたごとく曾つての海難に際しましても天災が大きい場合には現在の力では如何ともすることができなかつたのであります。若しこういう機動隊が隊として活動し得たならば、昨年の台風に際しましてもああ多数の人を殺すことはなかつたろうと思うのであります。又先般の十勝沖の震災におきましても、あの津浪に対しまして多数の船が海難に遭つておりまするが、これらもなお一層完全に救助できたろうと思うのであります。又今までにも密貿易等に対しましても、実は取逃がしておる場合が相当あるのであります、それらの点をなからしめたいという趣旨であるのであります。
○小酒井義男君 それでは、そうしますと大体この警備隊の装備と言いますか、どういうようなものが今これに必要だというふうに政府はお考えになつておるかということと、そうしてその際地域的にはどことどこにどういうものが置かれることになるかというような点について具体的に一つ御説明願いたいと思います。
○国務大臣(村上義一君) 装備というお話でありまするが、恐らく船の装備の問題だと存じますが、現在明確にまだなつておりませんが、今米国に船を貸與してもらうことを交渉中であります。内報としては承諾するだろうという内報も受けておりまするが、まだ正式に確定はいたしておりませんので、しかと申上げることはできませんけれども、千五百トン級の船を十杯と、二百五十トン級の船を……三百トン未満という船を五十杯借りる交渉を今進めておるのであります。そうしてその装備としましては、千五百トン級の船には極めて小口径の大砲と二門くらい装備する、その他レーダーでありますとか、必要な通信機械を装備することはもとより必要だと思つております。今まで実は海上保安庁の船がパトロールしておりまして、密入国船、又は密貿易船とおぼしきものを発見しまして、停船信号をやりましても、とにかく海上保安庁所属の船よりもスピードの早い船を使つておりまするので、その命令に頓着なしに逃げてしまつているというような場合がかなり多いのであります。そういう場合に対処して、大砲で停船命令を発するということが必要であるのであります。停船命令をする大砲は極めて小口径のもので事足りるのであります。そういうものを備えることを予期し、又米国から貸與してもらうことを期待しておる次第であります。
○小酒井義男君 相当の装備を持つものができることになると思うのですが、申訳のように二十五條などを見ますと、これが「軍隊の機能を営むことを認めるものと解釈してはならない。」というようなふうになつてはおります。併しそうした砲を備えつけたものが相当数おるということになると、やはり旧海軍の規模の小さいものが復活すると解釈できないことはないと思う。これは政府のほうとしては武力、或いは軍備の問題についてはいろいろ解釈がありますので、我々の考えとは違うかもわかりません。十九條ですが、十九條にありますところの「武器を携帶することができる。」というのが依然、現行法にも改正の條文にも共にありますが、この「武器」というのは、前の「武器」という表現のものと同じ内容のものかどうか。相違がありましたら違う点を一つ御説明を願いたいと思います。
○政府委員(柳沢米吉君) 十九條の「武器を携帶することができる。」というのは、新らしいのも古いのも同じことであります。
○小酒井義男君 いろいろ伺つたのですが、どうも伺つておると私は従来の海上保安庁と殆んど性格が違つた、如何にも海難救助というようなものよりももう少し違つたものに、改正法案が通ると、海上保安庁というものが條文の上では先刻大臣のお示しになつたように解釈できるが、実際から言うとどうも違うような気がするのですが、内閣では一応このまま通して海上保安庁の一部を改正するのだが、来るべき機会には、いわゆる機動部隊というような、こういう任務は挙げて、国防のために、海上保安庁の従来の任務から区別したような行政機構を作るのだという意図があるのか、ないのか、又そういうふうな場合には運輸大臣は、これはやはり運輸大臣の御管轄下に実はそうしたものは置くべきものだという固い御信念であるかどうか、これを一つお伺いしたい。
○国務大臣(村上義一君) 只今この海上警備隊は国防の見地から作るのじやないかというような御質問の意味だと拜承いたしました。これは全然そういう意味ではないのであります。(「嘘を言うな」と呼ぶ者あり)先刻来申しておりますように、自治警察、或いは警視庁の機動隊、予備隊に相当するものであるのであります。運輸大臣の下において今日の海上保安庁、コースト・ガードの仕事をやつて行く場合に、この程度を以てやりたいと考えております。ただパトロール船の力を補うというために軽飛行機、或いはヘリコプターといつたものを十機ばかりもあれば目的を達するのに非常に好都合だと、こう考えておるのであります。運輸大臣の下においてコースト・ガードの任務を果して行くという上におきましては、この程度で大体いいんじやないかと、こう思つております。
○小泉秀吉君 先刻保安官とこの警備隊との関係について、大臣の御見解を伺つたのでありますが、何か私はぴつたり合わないので、もう少し重ねてお伺いしたいのであります。この八千人からある保安官を先刻も山縣委員から申されたのでありますが、八千人からある保安官を、それはそれにしておいて、従来の職務と言いますか、そういうものに温存しておいて、別に編隊行動をとる警備隊というような組織を作るということは、これはこれだけの人間が要るのだからそう心得よと言われればそれまででありますが、どうも人物経済の上から言うて、保安官の仕事と、編隊行動をする警備官の仕事というのは、もう完全にオーバーラツプしている、従つてそういうものを予算の豊富でもないような、又いろいろな意味において人間の使用を経済的にするというようなことが絶えず内閣の機構敢革のたびに謳われているときに、何かもう少し、運輸省の下に海上保安庁を置いて、而も先刻来説明をされたような陣容というか、仕事をさせるのならば、もう少しそこに人間の配分と言いますか、機構の作り方の上でこれを全然別に対立して行くというような行き方でなしに、保安官そのものも大部分は海上に出動して、そしてパトロールその他の仕事に携わつておるのであるし、警備隊というものは先刻のお話によると、平常は編隊で訓練をしておつて、イマージエンシーの場合には出て行くのだ、そのイマージエンシーがそうたくさんあるわけじやないのだから、これは海軍と同様な仕事をするのだということになると、御説明もやや頭に入るのですけれども、運輸省所管の海上保安庁が従来やつておつたことを完璧を期するということであれば、私はどうも議論に亘るようですけれども、保安官を何故もつと警備隊のほうに投入さして、そして組織をそういうふうに作らないのか、それができない以上は何かそこに、説明の奥に割切れんものがあるような気がするのですが、もう少し明快にお話が願えたらと思いますが、御質問申上げます。
○政府委員(柳沢米吉君) 何故警備隊を、今までの保安官から離して警備隊を作るかというような御質問だと思います。大体今までの海上保安庁で一番困つておりましたことは、先ほどから申上げました通り、大きな災害その他が起りましたときに、パトロールをしております船舶をそちらのほうに振向けますると、その隙にいろいろの密入国その他の取締ができなくなるというような事態がしばしば起つたわけであります。その点を考慮しましてパトロールのほうは專念してパトロールをやつて行く。丁度甚だ卑近な例でありますが、交番のお巡りさんが常にパトロールをやつている、これは事件ができたときに、大きな事件のときに交番のお巡りさんを全部集団的に持つて行つてしまえば、その附近が相当治安がむずかしくなるということも考えられるわけであります。甚だ卑近な例で恐れ入りますが、そういうような意味からも平時パトロールをやりますのはこれが災害その他が起きましたときに出ますと……、これはやはり或る程度分けたほうが経済的ではないかというふうに考えるわけであります。なお御承知の通りに船舶の大きさから申しましても、或いは構造から申しまして千五百トン以上の船というようなものは、実は海上保安庁としては非常に欲しかつた船であります。御説の通りに海洋の真中におきまして難破船が起きましたというようなときに、今までは最高七百トンの船で行つたわけであります。これらの船で参りまして船員は非常に苦労をしまして、漸くにして人命を助けるという程度になつておつた。併しながらこれらの船舶を安全なところまで引張るというようなことはできなかつたのです。そこで是非千五百トン級以上の船を欲しいというような念願は海上保安庁がずつと持つて来た、若し幸いにして今回そういう船が得られるならばこれらの船はそういうことには是非使いたいと思つておるのです。ところがこれらの船は御承知の通りに常にパトロールその他を行わせるならば、運航費が相当かかるのです、そうかと言つてこの船は是非欲しい船だ、これらはできる限り常に使うものと区別いたしまして、これらのものを役立つよう、常に緊急事態に役立つように処理して行くほうがいいのではないか、こうすると経済的でもあり、一挙両得の策ではないかと、かように考えております。
○小泉秀吉君 どうも長官の御説明はピントが合わんので意見の相違として保留しまして一言私に希望を言わせれぱ海上保安官は五百トン以下の船に乘つて、そして従来の者は十分慣海性の人ができると、御説明の通りならなるわけであります。それから千五百トンの船は運航費がかかるから、大体繋いでおいてそうしてイマージエンシーのときに動くんだ、そうして見るとその動かない船に乘つておる八千人ですか、六千何百人、この人は成るほど海の上に浮んでおる岡での訓練は非常に上達するか知らんけれども、その船が動いて行くときになると、少ししけたら恐らく船酔いか何かで役に立たんような人間を造るようになりはせんか、例えば昇進の順序から言つても小さい般から大きい船に乘るということに大体船乘りは楽しみを持つておるのに、小さい船におる奴は幾ら優秀でも幾ら年数がかかつても、それに乘つてお前さんの仕事をして置け、そうして大きな船に乘つておるのは大体碇泊しておるのだが、そこで一生懸命戰闘訓練なり大砲の打ち方なり習つておつて、いざという時分には出て行つて、船に酔つぱらいながらその仕事をしろ、こういう訓練の仕方は一体そういう以外に行かないならともかく、わざわざこういう訓練の仕方をするというのはどうかと思います。それはまあ議論になりますからこの辺にしておきます。 私はそれで少しお伺いをしたいと思うのですが、この飛行機をお使いになる、非常に結構なことであるか知れない。大きな船とそれから装備はアメリカから借りるというお話でわかりましたが、この飛行機はどういうふうにして入手しようというお考えか、一応伺いたい。
○政府委員(柳沢米吉君) この規定によりましてでき得れば使いたいというふうに考えておるわけでございまして、現在まだ得られるか得られないかという点については未定でございます。
○小泉秀吉君 先刻アドミニストレーシヨンとオペレーシヨンというようなお話で、この第何條ですかな、伺つたのだけれども、どうもこれが現在の條文と新らしい改正條文との関係がよくわからないのですが、これを長官に一つ、もう少し具体的に、これはどういうことを言うているのか、お示し願いたい。十一條ですね。
○政府委員(柳沢米吉君) 十一條は、今までのほうは、「海上保安庁に次長一人及び警備救難監一人を置く。次長は、長官を助け、庁務(総務部の所掌事務を除く。)を掌理する。警備救難監は、長官を助け、船舶技術部及び警備救難部の所掌事務を統轄する。」こうなつておる。これを御覧になればわかります通り、次長は長官を助けて庁務を掌理する、併し総務は見ていないということになります。それで而も警備救難監が長官を助けて、船舶技術部及び警備救難部の所掌事務を統轄しているわけです。然らば、次長というものは、船舶技術部、警備救難部の所掌事務をどうするかという点が疑問になるのだ、又次長は、総務部の所掌事務は見られないということになつておるわけであります。これですと、実際問題といたしまして、この立法の趣旨といたしましては、次長というものと総務部長、警備救難監、この三本建の思想のように見受けられるわけであります。それを、それでは次長というものが実際に長官を助けて所掌事務を掌理することができない、従いまして、今回は次長は長官を助けて庁務を調整するというふうにいたしたわけでございます。これによつて次長は調整の役目を全般に亘つて行うというふうに考えられるわけであります。これは主としてアドミニストレーシヨンと考えられるわけでございますが、警備救難監は、長官を助けて、海上保安庁の使用する船舶、航空機及び通信施設の整備計画及び運用に関する事務を調整する。これによりまして、これが実際の施設その他のオペレーシヨンの事務を行う、こういうふうに分れております。
○小泉秀吉君 それから、その次の海難審判理事所を設置するということになつておりますが、従来の通りにすると、どういう不便があつたのか、どういう必要があつて従来と違つた行き方にするのか、又、こういうふうにすると、従来やつておつた人員だけでいいのか、人間は殖えるのか、減るのか、その辺一つ伺いたいと思います。
○政府委員(柳沢米吉君) 今まで理事官というものは検査部に属しておつたわけであります。検査部にありまして、検査部の中に理事官がおつたわけでございまするが、御承知の通り、理事官というものは、海難審判に関する限り、これは多少語弊がありますが、検事的の役目をいたしておるわけであります。従いまして、これらの人は、一人々々が責任を持つて事を行なつておるわけであります。これがやはり検事的責任のあるものが独立して行くということのほうが万事スムースに行くのではないか、考え方によりますと、今までの検査部にありますと、検査部長は如何なる地位において理事官を指導して行くのか、この点に疑義がある、従いまして、今回審判理事所というものを設けまして、この理事所において統轄して行くということになりますと、その辺が明確になりますわけでございます。所掌事務がはつきりして来るということになるわけでありまして、従いまして、今回のような検事的なものをここに一括して、今までの不明確性を解消したという点でございます。なおこれによりまして人員その他の増員等はございません。
○小泉秀吉君 それから、六千三十八人警備隊が殖えるということですが、これはいつ頃募集するのか、又その募集した人はどこへ收容するのか、どこへという意味は、場所ですね、建物なり、何なり、時期と場所、お伺いいたします。
○政府委員(柳沢米吉君) 現在におきましては、大体本法案を決定して頂きますならば、直ちに募集にかかりまして、七月時分に約半数を入れたいというふうに考えております。これらの人間の收容の場所でございまするが、大体現在におきましては、横須賀に相当收容できるのではないかというふうに考えております。そのほか收容すべき建物等を探しておるわけであります。この探す方法といたしましては、大体商港及び漁港等の機能を邪魔しないような個所で接岸のできるというふうに考えております。併しながら、新設しますのには、非常に国費を費しますので、でき得るならば、既設のものも商港漁港を避けるということに相成りますると、旧軍港というようなことに相成りますることになると思いまするが、従いまして、これらのところで、而もその旧軍港等におきましても、いずれの軍港におきましても、商港転換その他の計画を持つておりまするので、これらのところと打合せて、十分了解して、そういうところを邪魔しないようにやつて行かなくてはなりませんので、他の地区につきましては、現在まだ交渉中でございます。
○小泉秀吉君 そうすると東京以外の地区と了承していいのでございますか。
○政府委員(柳沢米吉君) さようでございます。
○小泉秀吉君 この警備官は、原則として一定の宿舎に居住して常時勤務するということなんですけれども、大体保安官も同様じやないかと思うのだが、保安官はこれは違うのでございますか。そういう点は……。
○政府委員(柳沢米吉君) この場合警備官におきましては、一定の場所に居住を命ずるわけであります。従いまして、その居住が或る場所に限定されまして、そこにおきまして、非常のときはいつでも出られる態勢にして置く、これが警備官のほうの建前であります。保安官のほうは、一般公務員でございますので、これらはいつでも出られる態勢ということは、時間外勤務という意味においていつでも出られる態勢になつておるということで建前は違つておるわけであります。
○小泉秀吉君 この警備隊の部内の秩序維持のために何と言いますかな、憲兵みたいなものを置くようになつていますが、これは警備隊の部内の秩序維持だけであつて、いわゆる警備隊以外の者に対しては、丁度憲兵がいろいろやつたふうな活動は許されないことになつておりますか、どういうことになつておりますか。
○政府委員(柳沢米吉君) お説の通りほかに対してはできないことになつております。
○高田寛君 すでにいろいろ御質疑があつてだんだんとわかつて来たのですが、まだ少し私よくわからない点があるので一つ、二つお伺いしたいのですが、この警備救難部の仕事と、海上警備隊の仕事の区分と、これについて緊急の必要があれば海上保安庁長官の命令によつて警備隊が出動するというふうに今までの御説明では私伺つておるのですが、そうすると普通の簡單な海難であるとか、或いは密入国とか、或いは密貿易とかいうものの取締は警備救難部のほうでやつて、特に海上保安庁長官からの命令がなければ海上警備隊というものは手を供いて待つておる、別に何も出動しないと、こういうことなんですか。もう一度この点をお伺いしたいのですが……。
○政府委員(柳沢米吉君) 海上警備隊のほうは大きな災害、その他があつたときは出動するのでございます。ふだんにおきましても大体申しますと、各船舶がお互いに一つの編隊行動その他の訓練を常にやつておる、これらの訓練を行なつておりまして、そういう災害がありましたときにはすぐ出て行くということで救助態勢がはつきりしておるということであります。従いまして出て行かない間はどうしておるかというお話でございますが、大体訓練を主体にしております。
○高田寛君 そうしますと、災害があつた場合には警備隊としてはすぐ飛び出して行く、それから又密入国とかそういうものがあつた場合は、これは特に海上保安庁長官のほうからの指示がなければ別に出て行かない。特に緊急な必要がありと海上保安庁長官が認めて出動命令して初めて出て行く、こういうことなんですかな。
○政府委員(柳沢米吉君) 大体お説のようでございます。併しこの海上警備隊というものの出動は相当多くあるのじやないか、例えば災害と申しましても、これは台風その他相当ございますので、回数は或る程度あるというふうに考えております。
○高田寛君 まあこの法律には警備救難部と、それから海上警備隊との仕事の分界、或いは業務の調整というようなことはこの法律案の中にはないようですが、こういう場合にはただ海上保安庁長官の判断によつて出動命令を下すと、こういうふうに先ほどからのいろいろ質疑じや伺われるのですが、実際問題としていま少しこういう法律の中にこの警備救難部と、それから海上警備隊との仕事の分界とかいうことを規定しておくことが適当じやないか。これは直接あなたが海上保安庁の長官として仕事をやるについて、このままの法律でちつとも心配ないと自信を以て言われるかどうか、その辺のところを伺いたい。
○政府委員(柳沢米吉君) 船舶その他の調整につきましては警備救難部でこれを行なつております。調整機関は一つありますけれども、十分行えるのではないかと考えております。
○高田寛君 それから海上警備隊の総監部や地方監部の内容は運輸省令できめられるということになつているのですが、この地方監部というようなものの大体の輪郭、どんな地方に置くというか、その辺の計画について一つお尋ねしたいと思うのであります。
○政府委員(柳沢米吉君) この件につきましては先はどちよつと申上げたのでございますが、大体繰返して申上げますと商港漁港等の作業を邪魔しないような個所ということをモツトーとし、又第二に新設するには国費がかかりますので、新設を避けるという意味で考えて見ますと、現在のところどうしても旧軍港のところで落着くのじやないかと思う。ところが旧軍港自体が商港転換の計画を持つておりますので、我々が思つているようなところは邪魔になるのでございますのでなかなか得られない。併しながらこれは我々のほうは、窮屈でも既設の施設を使いたいというので、各地方と折衝中でございます。現在きまつておりますのは大体横須賀におきましては、現在我々が持つておりまする基地をそのまま使えば何とか行けるのではないかと思つております。他の地区につきましては佐世保、舞鶴、大湊等を対象にして考えておるわけであります。
○小泉秀吉君 二、三追加して……海上保安大学と言いますか、あそこは警備隊との関係はどうなるのですか。
○政府委員(柳沢米吉君) 大体海上保安大学も海上警備隊、保安庁の目的と同一でございます。これらに対する幹部養成としては海上保安大学の卒業生もそちらのほうへ行くという恰好になるかと思います。
○小泉秀吉君 そうしますと海上保安大学で養成というか、学習された人は保安官にもなり、警備隊の隊員と言いますか、警備官と言いますか、それにもなる、そういうふうな教育方針で行こうというのでございますか。
○政府委員(柳沢米吉君) 海上保安庁の目的或いは精神というものを大学でやつているわけであります。卒業したものはその精神に基いた各般の部署につける、水路に行くものもあるし、燈台に行くものもあるし、警備救難部に行くものもあるし、海上警備隊のほうへ行くものもある。かように考えておるわけであります。
○小泉秀吉君 そうするとくどいようだが、先刻一番冒頭に私が申しました海上保安官というものと警備隊に勤務する人との入替えと言いますか、交代と言いますか、そういうふうなことを全然別にして行くということは、非常にオークワードのように思うのだが、どうしてもやはり別にしないといけませんか。
○政府委員(柳沢米吉君) 勤務状態その他が違いますし、年齢制限その他の條件がございますので、身分関係から言いまして特別職というふうに相成つているわけでございます。併しながら一般職と特別職との俸給というようなことも考えられるわけであります。
○小泉秀吉君 大臣にちよつとお伺いしたいのですけれども、先刻のお話だと天災、地震にしろ、台風にしろ、そういう時分に警備隊が大いに活躍するということは誠に結構だと思うのだけれども、相当大きな船が海上で遭難をしたというようなときにも、自然それの救援、救護というようなことを従来からやつておられたようだが、今度警備隊ができると、従来の或る例なんかによると、保安隊の船では余りに小さくて、折角そういう船を助けようと思つても力が足らんというようなことを聞きましたのですが、千五百トンもあるような船が適当なところに碇泊しているというようなことなら、そういうようなものをも出動させて行けば非常に都合がいいと思うのだが、そういう船を出動させるというような命令系統はどういうところから出て行くのか。つまり商船が遭難したような場合にそれを助けに行くとか、或いは曳船をしようというようなことも将来当然起ると思うのです。そういうときに現在持つているような小さな船では馬力も足らないし、それからして人員の点でも、不便があるというようなことが起り得ると思うのですが、そういうときに警備隊自身の持つている千五百トンもあるようなパワーフルな船があれば、そういうふうなものも当然使つたほうがいいと思うし、使われ得ると思うのだが、そういうものを使うときのつまり出動命令と言いますか、発動するだめの判断並びに命令というようなものは、誰がどこでするのかということをお聞きしたい。
○国務大臣(村上義一君) お示しの通りそういう場合に非常に役立つと思うのでありまして、今まで現在の小さいボートでは役立たない。そのために救助の完璧を期し得なかつたというような場合も、今後は千五百トン級の船によつて完全な救助ができる、又迅速にできると考えております。それらの出動命令を出すのは、先刻も申しておりましたごとく保安庁長官が指揮をする、命令を出すということに相成ります。
○小泉秀吉君 最後に一つお伺いするというか、御注意するというのか知らんが、この間私は北海道の震災で参議院からの慰問団に加わつた一人として、帰りに函館で地方新聞を偶然見ましたが、あそこの海上保安庁の、何というか役所の名前は知らんが、保管している船が、小さなトン数でしたけれども、それがドツクにばかり入つておつて、新造以来殆んど動かないで修繕ばかりしているというようなことが出ておつたので、一遍行つて船を見せてもらおうと思つたら、雪が降つておつて私少し工合が惡かつたので、到頭やめてしまつたのですが、どうせああいうことはあなたがたのほうにも通報があると思うのですが、一体そういう動けないような船を相当金をかけて造るということはこれからなかろうと思うのですが、あの函館のああいう新聞の記事は本当なのかどうか、ついでにお伺いしておきたい。
○政府委員(柳沢米吉君) 函館でそういう記事が出たというお話でございますが、実際に海上保安庁の新造船は非常によくできております。できた以後修理ばかりして出ないというようなことはないはずと心得ております。ただ実情を申上げますと、稚内その他にあります船舶は相当に耐寒施設がまだ足りないところもある、従つて船内におきましての温度が非常に下りますために、職員が非常に苦労しておる、そのために職務の能率が下がるのじやないか、或いは病人が出るというようなことがあります。これらにつきましては早速手配いたしまして、煖房を一層強化いたしまして、大体十度見当まで室内の温度を上げ得ることに成功いたしたわけであります。今お話のようなでき上つてドツクにばかり入つておるというのは、私まだ報告を受けておりません。ただ木造船で非常に古い船、これらがややもすれば出掛けますと故障が起きたりなんかするというようなことは相当ありましたが、新造船につきましてはまだそういうことは聞いておりません。
○国務大臣(村上義一君) ちよつと今の御質問に対しまして一言附加えてお聞き取りを願つておきたいと思います。過日の十勝沖のあの震災に対しましてその直後に北海道長官の代理としてわざわざ礼に見えたのでありますが、その際に特に海上保安庁の船が非常な活躍をしてくれたということと、それから国鉄の人たちが非常によく活動してくれて、早く復旧をしたというこの二点を特に挙げて挨拶をされたのでありまして、それで今お話のようなことも、船によつてはあるかも知れませんが、大体としてはかなり活動をしていると私は考えておるのであります。なお全般的のことをついでながら御報告を兼ねて申述べて御理解を得ておきたいと思うのですが、二十六年の一月から十一月まで、つまり十一カ月間のこれは統計でありますが、海難救助は七百九十八隻に及んでおります。そうして人命救助が六千五十七名であります。なおついでに申上げますが、不法入国が四百六十件、その人員は千二百四十八人、密貿易が百十八件で、関係者の人員が四百四十六名、それから密漁業が二千九十一件、人員が二千六百二十七名であります。その他というのが六千七百六件で、人員が六千九百六十二人、この件数のうちには只今申しましたような各項目の未遂の分が多分にあるので、つまり未遂と言いますか、取逃がしたという部分が多分にあるのであります。その他水雷の発見、掃海といつたような件数も含まれております。それから人員のほうは多分に推定が含まれております。とにかく現在でも相当の活動をしているのですが、その他が六千七百六件に及んでいるということは、これはなお非常な欠陷が同時にあるということをもの語つておると思うのです。つまり手薄だということを物語つておると思うのであります。
○小泉秀吉君 今村上大臣の仰せになつたように、私も釧路で海上保安官にわざわざ来てもらつて、そのときの活動状況を聞いて、大いにその活躍ぶりと、特に無線電信のごときが非常に役に立つて、そのために補給員も通信機関が全滅してしまつたときに海上保安庁の船が無線を活動させてやつたので、それで手早く仕事が運んだというようなことを聞いて、その辺は大いに私どもも皆と一緒に称讃したわけでありますが、これはこの機会に御報告を申上げておきます。それから柳沢長官のお話はお話として私も一応承わつておきますが、大体函館の十八日から二十日頃までの新聞記事でありますから、一応実情をお調べになつて見て、仰せのように新聞の記事が何かの誤報であればお互いに結構でありますが、不幸にして新聞の記事が本当であつたならば、やはり長官としてはそれほどまでに小さいところにお見通しがないかも知らんが、一応実情を調べて、次の機会でもいいからはつきりしたことをお話願いたいと思うのです。私はほかの機会にもあの小さい船というのはもう海に出て見たらデツキがしよつちゆうろくすつぽ波もないのに波打つて殆んど航海ができなかつたような船がよくあるという話を、これは專門家からも聞きましたが、それは実際は知らんけれども、函館のやつは新聞にはつきり書いてありますからそれをお調べ願いたい。
○政府委員(柳沢米吉君) 今のお話は早速調べまして御報告いたします。
○山縣勝見君 一点だけ、先ほど来の各委員に対する御答弁に関連して、先ほど一応わかつたつもりでありましたが、一点だけ念のために聞いておきたいと思うのですが、海上保安庁の命令系統は、長官あり、そうしてアドミニストレーシヨンの長として次長があり、オペレーシヨンの長として警備救難監がある、そう了解してよろしうございますか。
○政府委員(柳沢米吉君) 今の警備救難監は長官の補助でございます。長官を補助するわけでございます。命令権といたしましては長官が持つということであります。
○山縣勝見君 いや、私の承わるのはそういう意味においては次長もやはり要するに補助の機関であるのですが、命令権は勿論長官が持つことは承知しておりますが、補助機関として、長官の持つている命令権を補助するものとしてアドミニストレーシヨンには次長があり、オペレーシヨンの関係で警備救難監があるのかという質問であります。
○政府委員(柳沢米吉君) お説の通りであります。
○山縣勝見君 それでは第五條において今回一部を殖やして六部を七部にして、その中に警備救難部というのがありますが、この第五條において、この七部の担当はどういうふうになりますか。警備救難部の部長が勿論あると思いますが、繋属川救難部の部長に対して長官補佐するものは次長にあらずして警備救難監と了承してよろしうございますか。
○政府委員(柳沢米吉君) 大体次長は全般的に長官を補佐するのであります。各部の所掌事務を全部について補佐します。普通考えられます次長と同様でございます。ただ海上保安庁は現業官庁でございますから、各部に船舶その他がございます、これらがどういう行動をとつて、どういうふうにやつて行くかということを毎日はつきり把握してなくちやいけない、で航空機も持てばそういうことに相成ると思いますが、各部、水路、燈台その他いろいろ救難その他につきましても、船舶の行動は常に把握している必要があります。これらに対してこれをどういうふうに動かすかということは現在の状況を把握してそれによつて行う、これをオペレーシヨンと称したのであります。これらのものに関しましては警備救難監が長官を補佐する、こういうことであります。
○山縣勝見君 それでは具体的にお聞きしますが、何か事態が起つた場合において、その事態に対して船舶を発動して、そうしてその運用を命ずることについての長官の命令の発動は次長がするのでなくして、警備救難監がすると見てよろしうございますか。
○政府委員(柳沢米吉君) 発動はどこまでも長官が命ずるのであります。
○山縣勝見君 その点は了承しておりますが、長官が命令を発動するについて、その判断を補佐するものは次長にあらずして警備救難監と了承してよろしいか、その点を聞いているのです。
○政府委員(柳沢米吉君) 船自体の状況、船だけのことを申しますれば、船をどういうふうにやるかということについての補佐は警備救難監がいたします。
○山縣勝見君 然らばここに新たに改正法案の第二章に、第五條と同じような書き方で新たに「海上保安庁に、海上警備隊を置く」とあります。普通の我々の常識的な法令解釈から言いますと、多少の規模というものは違つてもこれは七部と同じような地位で海上警備隊を置く……。それから改正法の第二十五條の十に「海上警備官の階級は、別表第二の通りとする。」別表の第二には一番最初に海上警備監というのがある、監はいわゆる官吏の官ではない、監督の監である、そうすると、この実際の発動の場合において、緊急事態の認識、或いは船舶のオペレーシヨンに関してこの警備救難監と、海上警備監との権限の差異、或いはその間において実際の発動の場合、長官を補佐するのはいずれが優先するのかどうか。
○政府委員(柳沢米吉君) 御承知の通り、海上警備隊の最高の権限は海上警備監が長官の命を受けて、指揮権を持つておる。警備救難監は各部、各附属機関の調整事務を取扱い、調整して長官を補佐して行く。命令系統から申しますと、長官から救難部長、長官から警備隊の最高指揮者ということになるわけであります。で、警備救難監はその間にあつて全面的のオペレーシヨンを把握して、これによつて長官の判断を助ける、かように考えております。
○山縣勝見君 然らば海上警備隊の発動する場合において、長官は発動を判断する場合においては、一応警備救難監の判断的な補佐を受けて、そして長官が命令を海上警備隊の誰にするのでありますか
○政府委員(柳沢米吉君) 海上警備隊の総監部の長ということになつております。
○山縣勝見君 総監部は二つあるようですが、そのいずれに、地域的に分けてやるか。
○政府委員(柳沢米吉君) 総監部は中央に一カ所だけであります。地方監部は先ほど申しました通り東京以外の所に二、三カ所設けてあります。
○山縣勝見君 地方において、地方監部の管轄において起つた場合は、中央のいわゆる機関はどういうふうな関係になるのですか。
○政府委員(柳沢米吉君) 現在におきましても大体無線を持つて各地域各個所の船舶の動向というものは中央において把握しておるわけでございます。で、これらの船舶が海難が起きましたときの出動ということは、その管区にありますときには近い場合には管区本部長の出動命令で出ますが、やや沖になりました場合には中央の命令でこの管区の船が出るわけであります。
○山縣勝見君 この点、今後海上警備隊の命令系統というものは非常に重大だと思うのでありますが、この点は一応法理上、或いは法制上の構成については御答弁の通りだと思いますが、然らば実際の場合において海上警備隊が発動するため次長及び警備救難監が、長官が命令を発動する際には必らず関與すると了承してよろしいのですか。例えば更に附言すると、次長は全体の調整の点において、警備救難監はいわゆるオペレーシヨンの点においていたして、そして各地方、或いは中央の管区のいわゆる申請というか、そういう報告によつてやる、であるから海上警備隊の船艦の部隊長等が長官の命によつて次長又は警備救難監の判断を無視して、或いは関與なくして発動するということはないかどうか。
○政府委員(柳沢米吉君) 法的にはいろいろ疑問があると思いますが、実際問題としましては、長官を補佐する次長と警備救難監の進言によつて行うもの、というふうに考えます。
○山縣勝見君 それは今形式の御答弁を受けたのでありますが、この点非常に重大なので重ねてこの点に対して将来の運用上よほど愼重にせられんことをお願い申上げておきます。
○委員長(河井彌八君) 山縣委員長に伺いますが、運輸委員諸君の御質疑はこれで終了して……、ありませんか。
○山縣勝見君 大体一応時間も相当超過いたしておりますから、一応この程度で、又何か重大なことが出ましたら又委員長まで申上げます。
○委員長(河井彌八君) それでは次に地方行政委員の諸君から御質疑をお願いいたします。
○岡本愛祐君 時間が大分たつておりますが、委員長からお許しが出ましたから数点お伺いいたしたいと思うております。先ほどから運輸委員のかたがたが御質問なさいまして、長官からお答えがありましたが、地方行政委員会におきましては、長官並びに大橋国務大臣からこのたびの海上保安庁の増員につきまして、一通りの話は聞いております。そこで村上運輸大臣が、いずれこの海上保安庁から分れ去つて行くべき、いわゆる警備隊関係、それを一応この海上保安庁の中に收容されて、その法規的、つまり規定の仕方、説明の仕方について随分御苦心をなさつていらつしやる只今の御答弁を拜聽しまして、先ず非常にお気の毒に思う次第であります。そこで、まあ、将来分れて行くべきもの、それの質問は今日はいたしません。一応額面通りこの海上保安庁の増員として、又改正として受取つておきまして、それで質問いたしたいと思います。先ず第一條につきまして、先ほど御説明がありましたが、この第一條の規定によつて、従来の海上保安庁の目的と申しますか、それよりも大分広くなつたと、こういうふうに見えるのでありますが、果してそうでありますか、それをお伺いします。
○政府委員(柳沢米吉君) 従来は、「日本国の沿岸水域」というふうになつておりましたので、非常に漠然としておりまして、これの解釈がいろいろまちまちだつたのです。併し今回これを「海上」というふうにいたしますれば明確になるという点で改正いたしましたのですが、従来の解釈におきましても、沿岸水域という意味がそういうふうにも解釈されましておつたわけでございます。併しこれでは余りに不明確であるという点で改正いたしました。
○岡本愛祐君 二点あると思います。それは只今御説明の沿岸のみならず公海までも今度は出て行けるというように広くなつておると思うのであります。即ちマツカーサー・ラインの近くまで出て行つて、そうして我が国の漁民がその線内において漁業をいたしておりますときに、不法の逮捕とか何かでほかのものがやつて来ましたときにそれを防遏するというような任務をこれで加えたというふうに思うのであります。それからもう一つは従来の第一條は「海上の安全を確保し」とあつたのですが、今度はただぼんやり「人命及び財産を保護し」とこういうふうに第一條では書いてあるのです。これが大分広くなつたのじやないかと思うのですが、果してそうでありますか、お伺いします。
○政府委員(柳沢米吉君) この点につきましても「海上の安全を確保し」ということは一体何であるかという議論が相当ありまして、この点につきましても不明確であつた。併し、これを「人命及び財産を保護し」というふうに現わしまするならば、その目的が相当明確になるという意味で、こういうふうに改めたわけでございます。
○岡本愛祐君 私は却つて不明確になつているのだと思うのです。「人命及び財産を保護し」ということは広くも狭くもとれるのでありまして「海上の安全を確保し」ということのほうがむしろ狭いように思えるのであります。そこでまあ第一條はそれだけ改正をされたのでありますが、第二條のこの所掌事項は同じでありまして、第四條に参りますとこれは船舶の問題でありますが、「密貿易を防止し」とありますところを「海上における治安を維持し」と、こういうふうに変えておられるのであります。これも「密貿易を防止」よりか「海上における治安を維持し」というほうがよほど目的が大きい、そういうふうに思うのですが、そういう御意図はあるかないか、伺いたいと思います
○政府委員(柳沢米吉君) 御指摘の第四條の「密貿易を防止し」という点を「治安」というふうに変えましたのは密貿易、密入国その他の問題がありますので、やや拡げたのであります。
○岡本愛祐君 確かにこれは拡がつていると思うのであります。それはやがてこの第二章の規定に関連して参ります。で今度は二章の第二十五條の二の二項に海上警備隊の任務が書いてありまして、「海上警備隊は、海上における人命若しくは財産の保護」これは先ほどあつたのであります。第一條に規定している。「又は治安の維持のため緊急の必要がある場合において、」こういうふうに書いてあります。即ちこの警備隊というものを作る目的が、従来の海上保安庁の目的よりも広くなつているという私は証拠であろうと思うのであります。この点はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(柳沢米吉君) 海上保安庁といたしましては、今までやりました任務、これを明確化したにとどまりまして、任務が広くなるというふうに考えておらないのであります。
○岡本愛祐君 そう考えていないとおつしやつても、これは字句にもはつきり広くなつて来ているのでありまして、海上保安庁の任務が海上の安全のみならず、その海上における治安の維持までやるんだということになつて来ているのじやないかと思うのです。それで先ほど村上運輸大臣から御説明のありました通り、従来の密入国、密貿易に対する問題、それのみならず今申したような漁民に対する外国側の不法の逮捕、そういうものに対してこれを保護する、こういう任務まで加わつて来て、まあ従来もそういう任務があつたと言われるかも知れませんが、従来はこの沿岸附近でありますからそんな遠くまで行かないのであります。そういうふうに任務が拡大して来た。そこで私の恐れることはいつも申上げるようでありますが、この海上警備隊というものが單なる、何と申しますか、国内における、又は国民に対する防衛ということでなくて、外敵の侵入に対する防衛というふうになつて来る虞れがありはしないか、つまり密入国を大規模にするということは、まあ考え方からすれば我が国に不法に侵入して来る、外敵が侵入して来る、それに対する防禦の態勢をとるべきだと、こういうふうに解せられる虞れがありはしないか。そういう意図は持たないとお答えになるだろうと思いますが、その点を村上運輸大臣から伺つておきたいと思うのであります。
○国務大臣(村上義一君) お示しの通り外敵の侵入に対してこれを防止するというような考えは、この本法の改正では全然予期しておらないのでありまして、又そういう力も全然ないのであります。先刻も申述べましたごとく、僅かに三インチぐらいだろうと思いまするが、小口径の砲が二門、千五百トンの船にはあるという程度のものである。それも僅かに十杯しかない。それが数カ所に分かれて待機しているというような微力なものでありまして、今お示しのような力は全然ないものでありまするので、そういうことは生じないと実は考えておるわけであります。
○岡本愛祐君 第四條におきまして、この海上保安庁に属する船の隻数、それから全トン数、排水トン、それから速力の制限等、これを皆撤廃をしてしまつたのであります。それで先ほどの御説明によりますと、それは国際的の見地から必要がなくなつたと、そうして予算案として国会の承諾を受けるからいいというふうに聞える答弁でありましたが、併しアメリカからどんどん先ほどおつしやるように大きな船を借りて来る、又飛行機も借りて来るというふうになれば国会の承認も何もなくなつて、だんだん戰力を養つて行くということになりはしませんか、その点はどういう御用意があるのですか。
○国務大臣(村上義一君) 勿論日本の経済力がなくてもアメリカから借りると、或いは貸してくれるということを考えればどんどん力は大きくなつて来るのじやないかというお説、これは一応御尤もでありまするけれども、とにかく海上保安庁におきましては、全く警察的の仕事に局限されておるのでありまして、又私どもも嚴にこれは守つて行かなければならぬと思つておるのであります。先刻来も申します通り、千五百トン級を十杯と二百五十トン級を五十杯借りますれば、大体において海上保安庁の任務は果し得るのじやないか。それからヘリコプターが十機もあれば大体において任務を果し得るのじやないかと、こういう見通しを持つておるような次第であります。これ以上に力を殖やすということはしたくないと考えておるのであります。
○岡本愛祐君 そこでお尋ねいたしますが、先ほども御質問がありましたように、この改正の非常にお苦しいところの一つは、今度新設の海上警備隊と今までの警備救難部に属する保安官、保安隊と申しますか、それとの関係であります。予算書では今度の増員を海上保安庁の警備救難関係の経費であると、こういうふうに簡單に片付けておるのであります。そうして六千六十一人を増員すると共に基地の増設、整備等その機能の充実を図ることとしておる。それで警備救難関係の充実として六千何人を殖やす、その施設をするのだというふうに出ているのであります。先ほどの御答弁だとその警備救難関係と少し違つているように聞えるのでありますが、その点はどうでございますか。
○国務大臣(村上義一君) 趣旨におきましては全く警備救難の完璧を期するという目的であるのであります。これはまあ例を引いて恐縮でありますが、東京都内の警備につきましても、或いは交番におる、或いはパトロールをする、或いは警察署に若干おるという状態が今日の先ず大体の状態であります。それで今警備隊ができれば、丁度警視庁の予備隊を今作らんとしつつあるような、こういうふうに私ども考えておりますし、そういうふうに御理解願いたいと思つております。
○岡本愛祐君 飛行機を十台持つて来て警備の充実を期するというお話でありましたが、それは海上警備隊に属するのであるか、警備救難部のほうに属するのであるか、どちらに属しますか。
○国務大臣(村上義一君) 先刻から申しました通り、今一万マイルの沿岸及びその海面に僅かに百六十隻余りがパトロールしている。丁度一杯の船が平均して七十マイルを受持つているような次第なのであります。でどうしてもそれでは海上のパトロール、視察が不十分である、それでヘリコプターでありますれば御承知の通り一時間八、九十マイルは飛べるだろう、まあ三時間は航続時間もあります。で、相当の半径が短時間にパトロールをし得るという状態であります。これはまさに警備救難のために專ら使うためにヘリコプターを持つて参るのであります。
○岡本愛祐君 新たに経理補給部というものができるようでありますが、その職務を具体的に一つお示しを願いたいと思います。簡單に書いてありますが、具体的にどういうことをするのがお示しを願いたい。
○政府委員(柳沢米吉君) 海上保安庁、といたしましては、先ほども申上げました通り、相当に今まで船舶を持つておりました。これに対して燃料或いは各種の需品を円滑に補給することが先ず大切である。そのほかに食糧の現物支給というようなものを行なつているわけであります。又陸上、海上通信施設等がございます、又航路標識が、燈台その他が相当各方面にある、これらのものの物品補給の事務、会計の事務というものは複雑でございます、これを総務部という一つの枠の中で、現在総務部のうちに十課ばかりございます。これを一つにしておきますには余りに所掌事務が複雑でございまして、この総務部のうちの企画、人事、教育、庶務というようなものを総務部に置いて、他の経理、補給の事務というふうなもうを一括いたしまして経理部にいたした、こういうふうにいたしております。
○岡本愛祐君 只今御説明のあつたことに盡きるのでありますか、もつとほかに大きな目的を持つておりませんか、そういうことはありませんか。單なる只今御説明のあつたのに盡きるのであるかどうか。
○政府委員(柳沢米吉君) それだけ考えてそういうことを考えているのであります。ほかに事務といつても深い……。
○岡本愛祐君 深い意味はないのですね。
○政府委員(柳沢米吉君) そうです。
○岡本愛祐君 命令系統について山縣委員長からお尋ねがあつた、私も先ほどお尋ねしようかと思つておつたのでありますが、その海上警備隊という新たにできるものは、海上保安庁の附属機関という御説明であつたのでありますが、附属機関という御説明の仕方もおかしいのでありますが、海上保安庁は運輸省の外局であり、又その海上保安庁のうちの外局と言いますか、そういうものが海上警備隊だと、こういうふうに解釈されるのであります。そこで命令系統は、先ほど御説明のあつたように、非常にややこしいことになつておりますが、長官から直接この海上警備総監……海上警備監と言いますか、総監部の長ですね、それに続いておるのであろうと思います。それで間違いありませんか。
○政府委員(柳沢米吉君) お説の通りであります。
○岡本愛祐君 そういたしますと、今パトロールしておつて、この警備救難部の中の保安隊が少し大きい手ごわい密入国を見つけた、それですぐ来てくれというので、この警備隊のほうに連絡をする、そのうちに逃げられたり、陸に上られたりしてしまうというようなことが起つて、手遅れになるような懸念は多分にありませんか。
○政府委員(柳沢米吉君) 先ほども申上げました通り、海上保安庁は現在におきましても、無線通信によりまして刻々にその情報をとつて指令を下しております。従いまして、これらの配船状況、その他を長官を補佐する警備救難監というところでよく熟知しておりまして、時を移さず救難するためその間の調整を図りまして、長官から命令を出しますということは即座にできるというふうに考えております。
○岡本愛祐君 先ほど村上運輸大臣から数字を挙げて海難救助の状況とか、密入国取締、その他について御説明がありましたが、密入国、密輸入の関係で、従来地方行政委員会で調査を行なつた関係から申しますと、殆んどこれがうまくつかまるのは四分の一ぐらいじやないかと思う。四分の三ぐらいは逃げたり、又うまく目的を達したりしておるという状況ではないかと思うのであります。そういたしまして、今度その第一線の警備救難部のほうを増員、充実するのでなくして、予備隊的に、予備隊と言うと語弊があるかも知れませんが、とにかく予備として警備隊というものをたくさんの金を出して置いておくということは非常な不経済なことになる、又そういうふうに漏れの多い従来の密出入国取締のプラスにならないように思うのですが、その点どうでしようか。
○政府委員(柳沢米吉君) 只今の御指摘の点は、パトロールをしておる船が少いのじやないかというお話だつたと思いますが、今まで大体海難が各所が起りますと、少し遠くのほうに海難が起りますと、先ほども申上げました通り七百トン以下の船が相当にこれに出掛けて行きまして、その間は殆んど沿岸のパトロールということができなくなつておるわけであります。今後又台風その他が起きましたときにおきましても、巡視船その他は、その方面の救助に力が一ぱいであるということで隙が相当できる。今後こういうふうな海上警備隊のような組織をとつて頂きますれば、今までよりはパトロールに專念して行けるということになりまして、警備が相当うまく行くんじやないかというふうに考えられるわけであります。
○岡本愛祐君 従来、これは少し惡口が過ぎるかも知れませんが、警察方面で申しておりますことは、密入国、密輸入と申しますか、その取締は海上保安庁は当てにならん、だからもう仕方がないから陸に上つて来たところをつかまえるより仕方がないのだということで監視隊を密に立てまして、そうしてやつておる。併しそれでもうまうま入り込まれることが多いのでありまして、この警察と海上保安庁との連絡ということは必ずしも従来うまく行つていないように私ども思うのであります。それでそういうふうに充実をされる機会にうまく警察方面と連絡するのにはどうしたらいいか、どういうふうにお考えになつておるか、その点をお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(柳沢米吉君) 今までも自治警或いは国警という方面と相当の連絡をとつて参りましたが、お話の通りに海上におきまして或る程度網の目を潜つて入る。これが又陸上に上りましてもその網の目を又潜るというような事態は誠に遺憾のことでありますが、実際問題として起つておると思います。これに対しまして、我々のほうとしましては検察庁その他と中心になりまして、各地区に分れまして、お互いに連絡の会合を定期的に行いまして、これによつて連絡を図つておるわけであります。併しながら御指摘のようにその連絡は必ずしも万全と申すわけには行かないと思うのでありますが、今後なおよく注意してその任務をやつて行きたいと考えておるのでありますが、実際問題としまして、海上保安庁の船舶の責務というものは各種多様に亘つておりますが、これは密貿易、密入国及び密漁、その他不法出入国等の問題を全般に亘つてやつておるわけでございます。実際それらの点をパトロールによつて常にあらゆるものに対して経済的に動かすために一つの官庁でやつておるわけでありますが、これらの船舶が又一方海難その他のために遠くのほうへ出されるということがあるために非常な欠陥があつた。これらの欠陥を是正して、そういうことのないようにできるだけやつて行くということがあるならば、御指摘の点は相当うまく行くのではないかという自信を持つておるわけであります。
○岡本愛祐君 従来自治体警察のほうはその自治体警察に属する領海と言いますか、水面のほうも警備は船を持つたりなんかしまして海上保安庁のほうと協力をしておるようであります。ところが国家地方警察のほうは連合軍の指令によつて海上の警備ができない。一に海上保安庁のほうにこれが寄つて行つておつた。ところが海上保安庁のほうでは船に数が限りがあるから、手が居かないということが多分にあつたわけです。あなたがたの御経験として国家地方警察のほうにも自分の属する海面に対してあなたがたの補助的にそういう船を持たせる必要がありとお考になつておるかどうか、それを伺つておきたいと思います。
○政府委員(柳沢米吉君) 船舶につきましては、御承知の通りに、先ほど申上げました通り、一つの船を以て数種の目的を以て海上の法規の励行を行なつておるわけであります。これを例えば農林省におきまして密漁の取締に船舶を持つて、それだけの目的で以て密漁の取締を全面的に行うということに相成りますし、不法出入国に対しまして不法出入国の目的のみを以て船舶を持つということにいたし、又税関は密貿易に関してこれが取締に船舶を全部持つということにいたし、又国警におきまして司法権発動の海上の取締のために船舶を持つというふうに、各種の船舶を各方面の独自の目的を以てこれを作つて行くということにいたしますると、これは非常に大きな経費を要すると同時に、一つの船舶が密貿取締に出まして、密漁の取締ができないというようなことに相成りまして、海上の行動ということが相当に不経済に相成るのではないかと思うのであります。従いまして、根本的に申上げますと、海上における船舶というものは各種の目的を以て総合されて出て行くということが最も経済的であるというふうに考えられるわけであります。この意味におきまして、お尋ねのような国警が船舶を持つということは、相当に理論的には不経済ではないかというふうに考えられるわけであります。なお現に我々のほうと国警のほうとよく打合せしまして、対馬方面その他には相当の船舶を配備して有効に使つております。なおこういう点につきましては、理論はその通りでございますが、なお特殊事情があれば別の話というふうに考えております。
○岡本愛祐君 最後に伺うのですが、この海上保安庁法の一部改正によりまして、海上警備隊というものができて、それが海上保安庁の長官が管轄しておるというときには、保安隊のほうと警備隊のほうと連繋が割合にうまくとりやすいと思うのです。ところが、将来これが警備隊のほうが分かれ去りまして、別の機構に入つて行くということになりますと、現在警察と海上保安庁と連絡がとりにくいごとくに、海上保安庁と分かれ去つて行つた整備隊のほうと連絡が非常に惡くなりはしないかということを恐れるのであります。私は少くとも警備救難部は警備隊と一緒に新たにできるであろう保安機構の中に入つて行くべきじやないか、こういうふうに思うのですが、その点について運輸大臣並びに長官はどういうふうにお考えになつておるか、その点を伺つておきたい。分かれ去つて行つたあとで、警備救難部と警備隊が連絡が非常に惡くなりはしないか。現在は、この改正では長官の下に同じくあるのでありますから、比較的連絡がとりやすい。併し別々の機構になつたときには非常に工合が惡くなるのじやないか、それが現在の警察と海上保安隊とに現われておる。こういうふうに思うのですが、その点について御意見を伺つておきたい。
○国務大臣(村上義一君) 今海上保安庁長官の下に、警備救難部とそうして新設せんとする警備隊というものが、アンダー・ワンハンドに設置されるということであれば、両者は唇歯輔車の関係で、お互いに短を補つて行くという結果を得られると信じておるのであります。併し、お示しを実は或いは誤解したかも知れませんが、若し他の官庁に移す、海上保安庁以外の官庁にこれが移るということになれば、これは到底海上保安庁の使命を果して行くことは至難だと私は思います。若しそういう海上警備隊というものが性質が変つて、他の官庁の所属になるということになれば、これはコースト・ガードの性質と違うものになつて来るのであつて、どうしても今の海上保安庁にやはりそういうものを新たに設けなくちやならんと私は思います。
○政府委員(柳沢米吉君) 将来の問題につきまして我々はまだここで発言するだけの責任とあれがないかも知れませんから、勘弁して頂きたいと思います。
○石川清一君 海上警備隊は四年の海上保安庁の経過から見た必然的な形として生れたように承わつていましたが、この六千三十八人の増員と、千五百トン級の十隻の船と二百五十トン級五十隻の船とは、どういう関係になつていますか。どういう基礎の上に立つてこの数字が生れたのか、これをお尋ねいたします。
○政府委員(柳沢米吉君) 御質問の趣旨を或いはとり違えたかも知れませんですが、海上保安庁といたしましては先ほど申上げました通り、大体千五百トン級の船があれば海難救助その他に欲しいというふうに考えておるわけでございます。従いましてそういう船をでき得ればこちらでこしらえられればこしらえて頂きたい、借りられれば貸して頂いてもいいというふうに考えております。そこで海上保安庁は、先ほど申しました通り、今までも相当にまだ船舶が不備である、併し来年度において六、七十隻の船があれば相当に各種の業務を行うのに万全を期し得られるのではないかというふうに考えております。従いましてそういうものが来年度得られれば非常に結構だということで交渉いたしましたところ、大体得られるということで、我々の要求が通つたというふうに考えております。
○石川清一君 それでは三千トン或いは五千トン級の大型の船舶は現在のところでは必要と感じない、又必要ないと、こういうように受取つてよろしいのですか。
○政府委員(柳沢米吉君) 現在のところ海上保安庁といたしましては千五百トン級の船が十隻ということがあれば、それより大きい船をそう要望するものではございません。必要はないと現在考えております。
○石川清一君 先ほどの答弁では、アメリカから借りるように承わりましたが、向うさんからこれ以上の船を貸してやると言われたときに、必要ないと辞退をするのですか、そのときには又喜んで大きい船は小さいのよりは便利だからというので、お借りをするのですか。
○国務大臣(村上義一君) 先刻来申します通り、千五百トン級の船が十杯あれば、海上保安庁の任務は完全に果し得ると考えておるのであつて、従つて更に大きい船をあちらから貸そうと言われても、これは辞退をする考えであります。これを以て十分だ、足れりと考えておるのであります。なお先刻の御質問、六千人の増員と船との関係とおつしやいましたように伺つたのですが、二百五十トン級の船には六十三名乘り、そして千五百トン級の船には百六十七名必要だという考えで、六千三十人名という増員を予算にも計上して御審議願つたような次第であります。
○石川清一君 警察予備隊のほうでは、相当の兵器その他をアメリカのほうから貸與されると聞いておりますが、この海上保安隊は特に海上の治安の維持に重点を置くというような場合、日米安全保障協定に基くいろいろな点に関係を持つてこちらのほうには来ないかどうか承わります。
○国務大臣(村上義一君) 間接には関係がないとは言い切れないと思いますけれども、直接の関係は何らないと信じております。
○石川清一君 現在までのところ、日米間に合同委員会が持たれるようになつておりますが、その合同委員会の中に海上警備隊関係の事務処理、その他の問題が入つて行くことになりますか、なりませんかお伺いします。
○国務大臣(村上義一君) 全然、準備工作班には、この海上警備隊関係は全然入つておりません。運輸省関係としては港湾と航空場、これだけの関係はありまするが、海上警備隊関係は全然含まれておりません。
○石川清一君 それでは先ほどの、一年間の数字をお聞きいたしましたが、密漁にしても、或いは不法入国にしましても、密貿易にしても、一件一人乃至一件三人くらいの小さな件数のように平均しますと承わりますが、こういうふうなのが事実海上の治安の上に問題となつて来る件数だとしましたら、何も千五百トン級の船が必要なようには感じないのですが、この四分の一が取逃がしたと言われる中には、これよりもつと大きな集団的な問題の起きたことが過去においてあつたのですか、どうですか。
○国務大臣(村上義一君) 要するに、ここに先刻示しました件数及び関係の人員は、お説の通り一件平均すれば三、四名ということに相成ります。併しながら件数におきましても四百六十件と、或いは密貿易は百十八件、密漁は相当の数になつておりますが、そういつたような数でありますにかかわらず、その他というのが六千七百六件ということをここに併記いたしております。これは私の想像でありますけれども、これ以外にまだ相当数になつておるのじやないか、ただ発見したが結果を得られなかつたというものがこの六千七百件の中には、大部分占めているのじやないか。勿論この水雷の発見とかその処理といつたものもこの件数の中にありますけれども、要するに未遂という関係がこの合計の中には大部分を占めているのじやないかと思うのであります。今日まで任務を完全に遂行できなかつたということは誠に遺憾に思つておるのであつて、今回の警備隊ができましたならば、それぞれパトロールはパトロールということで、專らその任務につき得ますから、網の目は相当密に相成ると思うのであります。今後は相当の成績を挙げ得るのじやないか、又是非挙げんけりやならないと考えておる次第であります。
○委員長(河井彌八君) 諸君にお諮りいたします。本日はこの程度において散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河井彌八君) それでは散会いたします。 午後四時三十七分散会