通商産業委員会 第61号
- 発言数
- 144 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/07/08
会議録
○委員長(竹中七郎君) 只今より通商産業委員会を開きます。
○小林孝平君 七十七條の関係でございますが、この灌漑排水施設の維持管理の義務は、原案では賠償義務者が負担することになつておつたのを修正されまして、事業団に負担させるようになつたわけですけれども、私は事業団に責任を持たせまして負担せざることは不適当ではないかと思うのであります。それは事業団は十年で解散する、こういうことがはつきりわかつておるのでありまするから、そういうものは責任観念も割合に稀薄でもありますし、現に十年で解散したあとはどうなるか、こういうような問題もありますので、原案のように賠償義務者が負担するというほうが正しいのではないか、こう思うのですが、この点はどういうふうにお考えになつておりますか。
○政府委員(中島征帆君) この点はいろいろ考え方がございまして、本来から言えば、こういう灌漑排水施設の維持管理は、それを直接農地に使う、その農地を管理する者がこれを行うのが一番適当なわけであります。特にこの排水施設を維持管理する費用は将来のことも考えまして、一時金を以て維持管理費を支払うことになつておりますので、従つて維持管理の責任を引受けましても、誰もそれによつて特別の負担はかからない、こういう考え方で行われるわけであります。従つて本来は農民乃至はその組合が維持管理の義務に当るというのが最も適切であるというふうに考えておりましたところ、何らかの事情で以て被害者側でこれを引受けない場合にどこに持つて行くかということが問題になるわけでありまして、この場合に復旧事業団或いは鉱業権者或いはその他の市町村といつたような、それぞれ違つた維持管理の責任者を想定できるわけでありますが、この場合におきまして復旧事業団等の機関がない従来の場合におきましては、無論鉱業権者がこれを引受けてやつておるわけであります。ところが鉱業権者が引受けるという義務をここに書きますということにつきましては、理論的に申しますというと、一応復旧工事が完了し、諸般の訴訟手続も終り、排水施設の引渡も終つたというときにおきまして、鉱業権者の賠償義務がここで逃れるということになつておりますので、これに更に追かけて最終的にこの施設を引受けなければならないというふうな義務を課することがどうかという議論もあるわけであります。同時に当初の政府原案の場合におきましては、この場合において農民乃至は被害者がそういうものを引受けないなればならん最終的な義務を負わせるのも、これもむずかしい。やはり行為は元々鉱業権者が持つておるんだから、鉱業権者に持つて来るべきだという理論から鉱業権者にしておつたわけですが、その際事業団が引受ければいいんじやないかという議論も当然あつたわけでございます。そのときの意見としましては、事業団が一定の期間後には消滅するというよりも、むしろ事業団そのものの性格から言うならば、こういうふうな経済事業的なものを引受けることはその本質に反するというふうな、むしろどちらかと申しますと、大蔵当局のほうの意見でそれは事業団は適当でないというふうなことになつております。ところが衆議院におきましての修正によりまして、これは事業団に持つて行つたわけでありますが、現在におきまして私どもが考えまするに、鉱業権者に置くべきか、或いは事業団に課すべきがという問題につきましては一長一短あるのでありまして、鉱業権者は元々その鉱害が自分の責任により生じたものでありますから、最後までそういうふうな責任を感じるということは、これは一応の道義上の関係はあるわけでございます。ところが鉱業権者といたしましても、この物によりましては、或る年月の間におきましては破損もいたしましようし、又鉱業権が消滅してしまう。或いは鉱山のすべてを掘り盡して廃止するというようなこともありまして、永久なる灌漑排水施設の維持管理者になり得るかということにつきましては、基金のある事業団と比べまして必らずしも安定はしていない、逆に事業団を考えますならば、事業団は本来ほかの事業を経営するようなものではなくて、鉱害復旧のための法人でありますので、その意味におきましては相当忠実に国家的な見地から仕事を行う、従つて若しこういうような施設の維持管理の義務が負わせられた場合におきましては、これは当然誠意を以て行うべき性格を持つておるのであります。而も十年後におきまして、この法律が廃止された場合には事業団そのものも消滅するわけでありますけれども、無論その時期におきまして法律の延期でありますとか、或いは事業団の形の変つた機関を作るということも考えられましようし、又そのときにおきましては、当然事業団としては、仮に十カ年の義務を引受けるとすれば、十カ年の費用を一時払いでもらつておるわけであります。自分で保有しておるわけでありますから、それに相当する資産があるわけでございます。従つて仮に事業団が解散するということになりましても、その資産を運用すれば維持管理費用は出るという建前になつておりますので、新らしい法人を作るなり、何なりして、それを移譲することによつてその仕事は継続できる。仮にその仕事がほかの多少国家的な運営から遠い鉱業権者等に移譲されたような場合におきましては、折角将来永久に維持管理費用を出し得る程度の資産を初め受けましても、それがどこかわけがわからなくなつて何も残らないということも考えられますが、事業団につきましては、さような点は心配ございませんので、将来のことも考えまして、事業団にしておくことがむしろ安全だというふうに私は考えております。特に十年経過後の措置といたしましては、少なくともこの法律そのものが更に延長いたしません限りは、こういうふうな仕事をする事業団的な別の法人なり、何なりかが当然そこに生れて来るべきものである、先ずそういうふうに持つて行かなければならんと我々は考えております。事業団が十年間の事業でかなり成績を上げれば、やはりそういつたものも当然認められるでございましようし、又成立もおのずから容認できると思うのでありまして、従つて十年経過後におきまする灌漑静水施設の維持管理の責任が行方不明になるというようなことは現在のところは我々は考えてはおらないのであります。大体こういうように考えております。
○小林孝平君 七十八條の関係で復旧不適地の処理の問題ですが、この復旧不適地について金額を支払う際に、今度の修正案で、農林大臣はその復旧不適地について支払うべき金額を定めようとするときは、あらかじめ当該復旧不適地の所在地の市町村長の意見を聞かなければならない、こういうように修正されたのでありますけれども、この市町村長の意見を聞くということは、これはまあ当然でありますので一つの進歩だと思いますけれども、それと同時に実際直接の利害関係のある所有者の同意を要するということは、私は当然じやないかと、こう思うのであります。それでこういう修正がされるならば、同時にこれは所有者の同意も要するというように修正されるほうが当然だと思うのでありますが、この点はどういうふうにお考えでありますか。
○政府委員(中島征帆君) この場合におきまして、所有者或いは市町村長の同意がなければ、農林大臣はその一定の金額を定めることができないというようにいたしますというと、被害者なり或いは市町村長の極めて、強硬な意思のあつた場合には、公平な見地から判断いたしまして、これは復旧に適しないというように考えられましても、そういうように主張することはできなくなるわけでありますので、最終的にその決定を被害者或いは市町村長の意見というものに完全にかからせるということにつきましては適当でないと思います。この場合におきましては意見を徴するということになつておりまして、その対象が市町村長だけになつておるという点につきましては、更にこの当事者たる被害者の意見も当然聞かるべきだという御意見は十分了解できるわけでございますが、この場合におきましても、勿論市町村長だけの意見ではなくて、やはり問題になつております農地に対する金額を定める場合には、当然に当事者の意見も徴するわけでありまして、それに併せて市町村長の意見を聞くというのが実態であろうと思うのであります。ただ逆に当事者たる被害者だけの意見を徴して、市町村長の意見を聞かないというようになりますと、農林大臣が公平なる第三者的な立場から判定するとは言え、やはりそこにもう一つ被害者と違つた第三者的な立場としての市町村長の意見を徴するというほうがいいのじやないかというような意見も当然出て来るわけであります。それを逆に、できるだけ公平な決定をするために市町村長の意見を聞く、併せて被害者の意見を徴することは、ここで排除しておりませんで、実際問題といたしましては、そういうふうにするべきだと思います。そこに被害者の意見を徴するということを特に書きますというと、被害者が非常に数が多い場合に一々全部の意見を徴さなければならん義務が生じますので、そういう点も実際問題としての煩瑣な手続を避けますために、市町村長だけにこれは限られたものだというように了解しております。実際の運営につきましては、大体市町村長並びに被害者双方の意見も十分伺つてきめるということにつきましては、恐らく農林省としてもそういうように考えておると思います。
○小林孝平君 被害者の意見を聞いておれば、頑強に主張する際にはできないからと、こう言われますけれども、頑強に主張するような場合は、実際困る場合で主張しておるのですから、そういうものを一方的に所有者或いは被害者の意思を無視するということは、私は憲法の所有権の侵害であろうと思うのでありまして、又そういうことでは実際問題の解決にはいろいろの紛争を残す、役に立たない、こういうように思うのですけれども、その点は如何ですか。
○政府委員(中島征帆君) 被害者が正当な権利を主張します場合には、勿論当然にこれは傾聴すべきかと思います。ただ現在不毛地或いは非常に大きな減収につきましては耕作を行わないで、而も相当な年々の賠償費をもらつておりまして、もうその賠償費のみで、ほかで働かないでも十分やつて行けるというようなケースもあり得るわけであります。そういたしますというと、現在少し多額にもらい過ぎておるために、これは被害者と鉱業権者との対々の交渉でそういう事実が出て来るわけでありますが、それを今度は第三者の立場から判断いたします場合に、違つた金額が出て来るということになるというと、被害者としては現状より悪くなるという意味で、公平な立場というものを離れて主張することもあり得るわけであります。又場合によりましては、復旧不適地として残しておいて、年々賠償費をもらつたほうが、復旧して耕作に耐え得る土地となり、更に自分の能力と地方を併せて収穫を上げなければならんという努力が望ましくないという場合におきましては、被害者が逆に復旧を望まんこともあり得るわけでありますが、そういうような惰農を排除し、又不当な要求をする場合におきましては、やはり最終的には第三者の判断に委ねるのが最も適当だというふうに相成ろうかと考えております。従いまして被害者の意見というものを最終的に決定的なものとするということは、少し行き過ぎではないだろうかと思います。
○小林孝平君 もう一つお伺いしたいのは、これは実は農林省にお伺いしたいのですけれども、おりませんからあれですが、この法案全体を流れる空気、精神を見ますと、例えば五十一條の納付金の額の決定の方法、私はこれはこの前もこれに対する資料をお願いしたのですけれども、まだ出ておりませんけれども、私はこの納付金の額の決定方法というのは、非常に現状から見ますと少な過ぎる、こういうふうに考えるのであります。又七十五條の補償打切り、三年で打切りになる、こういう点、或いは本日お尋ねいたしました七十七條の灌漑排水施設の引渡しの問題、或いは只今お尋ねいたしました七十八條の復旧不適地の処理の問題で、何ら所有者或いは被害者の意見を徴することなく一方的に決定する、こういうような点、今挙げました点だけを考えましても、私はこの法律は非常に実際の耕作者、被害者の利益を守るよりも、鉱業権者の利益を擁護するほうに重点が置かれておるように考えるのであります。そこで法案の第一條を見ますと、「この法律は、国土の有効な利用及び保全並びに民生の安定を図り、あわせて石炭鉱業及び亜炭鉱業の健全な発達に資するため、」云々と、こうありまするけれども、どうも全体の法案の精神がこの目的に副つていないように私は考えるのであります。尤もらしくこういうふうに書いてちりますけれども、「あわせて」以下のほうに重点が置かれておる、こういうふうに思うのですが、どういうふうにお考えですか。
○政府委員(中島征帆君) 被害者の意思は、七十八條につきましては先ほど申上げました通り、入つております。それから全般的に申しますと、実施計画を作る場合に、第五十六條の三項にございますけれども、やはり被害者の同意書を添附するということになつておりまして、一応被害者の意見というものは実施計画の中に入つて来得るようなことになつておるわけであります。それから納付金の決定その他につきまして、鉱業権者に少し片寄り過ぎておるような決定の方法だというお話でありますが、この決定方法等につきましては、鉱業権者の経営状況等というようなことから全然離れまして、その土地の一般的な収穫率、更にそれに基く収益率というよなものから一定の基準の収益を出しまして、それを一般の金利で還元いたしました金額を賠償金額の内輪の限度にするというふうな考え方をとつておるわけであります。つまり鉱業権者もこれの算定につきましては特別のそこに意思を入れる余地はない、又被害者といたしましても、実際の収入、収穫等が基礎になるわけでありますから、そこに主観的なことが入り得る余地がないのでありまして、結局これは客観的な基準に基いてこういうふうな数字の決定をするということになるわけであります。見方は、その土地におきます米収がどの程度あるかというその見方等につきましては、これはいろいろな見方によりまして多少の数字上の問題はあろうかと思いますけれども、それは結局客観的に決定すべきものでありまして、利害の対立を調節するというような性質のものではないと思います。ほかの点につきましても、大体そういうふうな客観的な基準から賠償費或いは納付金というものをきめることになつておりまして、特に鉱業権者に有利であるとは私ども考えられないと思います。
○小林孝平君 今の納付金の額の決定などの算出方法は当然それでいいのですけれども、そこに使う資料ですね、どういう資料を使うかということによつて違うのであります。これはまあ資料を請求したのですけれども、まだお出しになつておらんようです。又お出しになつても、それは一方的に都合のいいような御説明をどうせなさいますから、私はどうせ満足できないと思うのです。それで私たちが今いろいろの意見を聞いたり考えたりしまして、その額の決定が余り正当じやない、それで鉱業権者に有利で片方に不利だ、こういう表現をするよりも、そういう意味ではなくて、むしろこういうやり方では実際の鉱害を受けた人々が救われない、それが又復旧できない、そういう算出のやり方で、例えば七万円なら七万円という納付金の額がきまるとすれば、それに国からの補助金が七万円加えられて十四万円では実際の復旧ができないということになれば、結局それは回復しないでそのまま放置される、こういうことになりますので、私はこういう算出の方法、納付金だけについて言えばそういう算出の方法ではこの法律の第一條の目的に書いてあるような「国土の有効な利用及び保全並びに民生の安定を図り、」というようなお題目にはちつとも副わないことになつていると、こういうことを申上げているのです。ただ算出の方法はそれは当然今おつしやつたようなのでいいのですけれども、それに使う資料がどういう資料を使つているか、それが現在の実情に合つているかどうかという点を今問題にしたわけなんです。
○政府委員(中島征帆君) 資料のとり方につきましては、なおこれは農林省とも十分打合せまして、意見の一致を見た上でやらなければならんと思います。それから納付金の額をどうするかということよりも、問題はむしろ復旧工事費の限度をどうするかというところにあると思うのであります。現在は例えば反当り十四万円というものを復旧費の限度とし、それ以上のものは経済効果の少いものとして復旧に適しないというような原則的な一応取扱をすることになつておりますが、その前提で行けば、仮に納付金が或る計算方法を捉えたために少くなつた場合には、その差額は国費で当然埋める、従つて初めの予定が国費として五割の予定であつた、ところがその後公正な計算をしてみたところが、納付金が足りないために六割或いは七割という場合には、当然大蔵省でその穴埋めをするべきものだと考えております。又大蔵省も原則的にそういう了解をしておると思います。ですから復旧される程度が多いか少ないかということは、むしろ現在考えております十四万というものが、それでは全体の復旧は極めて進まないということになるかどうかという点でありまして、この点は十四万でいいか、十五万でいいかということにつきましては、我々は現在行われております農林省の基準を一応とつておるわけであります。それが仮にそれで不足だということになりますなら、又改めてそれを引上げることによりまして、その差額を更に国庫に請求するということになろうかと思いますが、直接に納付金の多寡によつて復旧事業そのものが多くなつたり、少くなつたりするということにはならないだろうと思います。
○小林孝平君 今工事費が余計になれば国庫の補助を余計にする、こういうようなお話で、大蔵省も大体そういうふうに了解しているというお話でございましたけれども、それは私間違いじやないかと思う。この間主計局長がここで答弁したのも、大体一般の公共事業費と同じに半額の補助をする、だから十四万円ならその半分、こういうことになるような話だつたのです。だから工事費が余計にかかれば、その余計にかかつただけ国が補助するということには、只今のところでは大蔵省は了解していないのじやないですか。
○政府委員(中島征帆君) その点は実は初めは例えば復旧費の五割とか、六割とかいうものを国から補助してくれというような交渉をしておつたわけでありますが、大蔵省の事務当局の考え方としてこの場合は鉱業権者は鉱業法上出すべきものを全部出せ、それで不足する場合においてその工事が別の見地から復旧すべき場合においては不足分は出してやろう、従つて補助率等は個々の工事によつて変つて差支ない。又そうあるべきだという考え方をとつておるわけであります。従つて一応の目安として現在のところは五割くらいの平均的な補助になるけれども、個々のケースをとれば六割もあれば七割もあるというふうなことになるわけでありまして、必ずしも五割というところに少くとも事務当局のほうはこだわつていないと私は確信しております。
○委員長(竹中七郎君) 委員外議員清澤君から質疑の申出がありますが、これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。
○委員外議員(清澤俊英君) いろいろ質問申上げたいことはたくさんありますが、体の調子も悪いですし、ほかのかたも質問になるだろうと思う箇所が多いのでありますが、ただ一つ質しておきたいことは、効用回復と原状回復というものの区別ですね、これを先ずお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(中島征帆君) 効用回復と原状復旧との区分は、原状回復と申しますると、鉱害を受ける前の状況に完全に戻す、従つてそれは單に土地の高さだけでなくて、地味その他もすべて完全に以前の状況に戻すということでありまして、その場合は効用は前と同じように回復しておるということになると思います。それから効用回復の場合に原状回復と違うケースをとりますと、従来例えば反当り七俵とつておつた。それでその七俵をとれるようにすればよろしいというのが効用回復の狙いであります。従つてその七俵を確保するために工事そのものの、最後の完了した工事の姿というものは、前の土地の姿とは違うけれども、そこに効用そのものを生み出すために、或いは排水施設でありますとか、土壌そのものでありますとかというものを十分考慮いたしまして、結局形は違うけれども、そこから上る収益というものは従来と同じようなものが上るというふうになるのが効用回復の狙いでありまして、形の上とそれから実際的なものとの違いがあるわけであります。
○委員外議員(清澤俊英君) そこで只今特別鉱害法によつて施行せられております工事の仕方と、これからこの法律によつて行われます工事の施行の大体の仕方は、効用回復というようなことと一つのものになりますかどうか。
○政府委員(中島征帆君) 大体只今特別工事でやつておりますと同じような行き方で行われると思います。
○委員外議員(清澤俊英君) そこで先般私ども現地を視察して参りました結果として、今行なつておる効用回復による工事の仕方で申しますと、一番下にはボタを敷いて、その上に山から取りました附近の岩石に類するような、非常に耕作に無理な土壌をまあ二尺くらいも入れる、それくらいの程度でこれを行なつておるのでありますが、これらをいろいろな面か調べて見ましてても、農民自身の証言等を中心にして聞いて見ましても、到底五年や三年で効用回復ができないことが明瞭に現実になつているのでありますが、この点はお認めになるのですか、どうですか。
○政府委員(中島征帆君) 特別鉱害の場合におきましても、勿論完全な効用を回復するような工事をするというのが本旨でありまして、その目的でやつているはずでありますけれども、実際問題といたしましたら、恐らく今お話のような例もあろうかと思います。で、そういうことは従来の特別鉱害の経験によりまして、今後はできるだけそういうふうな中途半端な効用回復で行わないような工事をすべきだと思いますが、特に特別鉱害の場合におきましては、そういう工事をいたしまして、効用が十分回復しない場合におきましては、加害鉱業権者というものは、効用回復の限度において損害賠償の責任を免がれることになつておりまして、その残りの部分についてはなお責任を持つております。今回の法律に基きまするものは、工事が終りますれば全責任は免がれますけれども、効用回復の不十分な分におきまして補助金を出すということで埋め合せられておるわけであります。そういう関係になつておりますので、実際の工事のやり方といたしましては、前の場合と違つて、今度はもう少し愼重に実際の従来の経験から十分考慮いたしまして、初めの効用が十分回復できるような、親切な工事をするようにしなければならんと思つております。
○委員外議員(清澤俊英君) 今の特別鉱害の工事のやり方が、効用回復のやり方が少し無理であつた。従つてこれからの工事はそういう点を配慮して、もつと効用回復の効果的なものを考えて行く、こういうお話でありますが、事実あの附近の地質を大体聞いて見ますと、大体どこも同じようであります。従つて大量な土壌を埋め立てまするには、土壌自身がないところもあるのであります。結局は今やつておりまする方法が一番最善を盡した方法でないかと思われる節が非常に多い。こういうことになりますと、私のお伺いしたいことは、そういう状態であるとするならば、到底二年や三年で効用回復という主点に立つて水田を仮に考えて見ましても、水田にいたしますにも、先ず土壌を作つてから、その土壌が三年目ぐらいでなければできない。畑地で三年目ぐらいで漸く土壌化せられるが、然るにこの七十五條によりますと、それで一応三ヵ年を以て打ち切つた計算で行くという鉱業法から推された考え方で、そのあとが縛られる、こういうことになりますと、これは決して農村におきまするところの、効用回復費で原形にまで行かなくても、せめて耕作面における収穫が元通りになる。或いは元通りに近くなるということを狙うものと非常にかけ離れると同時に、そこまでに行かないまでに打ち切る、こういうことになりますれば、残りましたものは、結局効用のない土地で以て事が済んでしまう、こういう結果になりますが、私は非常な、この点に対しましては、七十五條というものは無理を来たして、これは全農民がこの法案に対しまして徹底的な反対を称えますることは当然だと思う。直らん、現に直らない、五ヵ年見てもまだ畑地にもならない。そこに持つて来て下はボタ、これを水をかけて水田化しようとしましても、二、三年見ますれば相当の量は地下に潜つてしまう。五寸か三寸しか残らない。上土で以て、これで水田を作ろうといつても無理な話であります。こういう実情で以てすべてを打ち切ろうとする。三年という打切り計算を与えられますると、これは実際農村を回復することでなくして、私は結局それは炭鉱業者の懐の安定を来たすものであつて、農村の安定を来たすものではないと思います。私はこの点をはつきり聞きたいと思います。
○政府委員(中島征帆君) その点は多少誤解がおありになるのじやないかと思うのでありますが、三年経過したときに打切るということになつておりますけれども、これは工事完了後三年間は再検査もできるということになつておりまして、そこで仮に最初に検査をいたしましたときに、その農地が効用回復するまでには五年かかる。その五年分の収穫減収分を打切補償で一応出すわけでありますが、その後一、二年或いは三年耕やしているうちに、到底五年では回復できない。全体的にこれは更に七年かかる、十年かかるというふうな見通しが付けば、更に五年、七年との差額、十年というものの差額というものをそれにプラスして補償する、補助金を払うということになるわけでありまして、従つて減収の補助というものを三年間で打切るという趣旨ではないのであります。ただ三年ということを限りましたのは、大体工事が終りまして三回、少くとも二回耕作をして収穫を上げて見ると、果してこの土地の生産力というものは現在どの程度まで来ており、それが何年すれば元へ戻るというふうな見当が十分付くというふうな、農林省のほうの御意見でありますので、そこで実際にこの土地の生産力というものを見通すために三年間というものをおいたわけでありまして、三年の間見ておれば将来何年かかるかがわかる。はつきりそれが十年かかるという場合でありましたら、十年分の補償をするということでありますので、この三年ではまだ足らん、五年も六年もかけてその地味というものの回復を見なければならんということでありましたら議論は別でありますけれども、二、三回収穫すればわかるという前提の下におきましては、これで十分農民の利益が保証されるということになると思います。
○委員外議員(清澤俊英君) 三年経過しまして一応補償金を概算して払つて、そのあとのまだ回復しない場合の損害は誰が払うのですか。
○政府委員(中島征帆君) これはすべて事業団であります。
○委員外議員(清澤俊英君) 事業団は十カ年という確か……、ちよつと法文を見ないであれですが、期限がある。或る工事が済んでしまえばあれだ、少くともあの現状を見れば十年ぐらいでは効用回復は完全にはなり得ない。大体そういう見通しに農民は立つている。非常に今中島局長の言われることと実際の運用とにこれはごまかしがある。事業団が出す、事業団に金がなかつたときには出ません。
○政府委員(中島征帆君) 事業団が払います場合には、三年後に再検査しまして、何年かかるというその先の年度分に対しまして一括して一時払をするのであります。でありまするから、仮に効用回復が十五年かかると判定いたしました場合には十五年分払う、年々払うわけではない、その経費は当然初めから予定いたしまして、事業団の納付金のうちから天引をいたしまして、そしてとつて置くわけでありますが、それが当初予定いたしました額に比べて非常に足りないという場合におきましては、無論そのときにおきまして納付金の率を上げるとか、或いは国庫補助をやることによつて効用回復をするということであります。
○委員外議員(清澤俊英君) 私はそこに非常に無理があると思います。言われる通りに三カ年見て一応再検査する。効用が三年、早いときには一年見て、その作つたあとを見て予測して、何カ年間でこれが回復するということを予測さす、こう言われますけれども、それはなかなか予測などはできない。そこで打切つて計算してしまつて、あとはどうなるかわからんという建前をとられた効用回復などはあり得ないと思うのであります。効用回復のしないうちに、まだこれから先の効用回復はこのくらいできるだろう、こういうことを考えて行きますが、実際問題として耕作が、土質の非常によろしい、そういう災害を受けておらない非常に肥沃な土壌を以てやつておりましても、いろいろな情勢においていろいろな問題が出て来ているところに、それをただ簡單に三年かそこらを見まして、そうして而もそれが水田になるべきが、水田を以て効用回復とすべきものが水田にもならないで、土壌を風土化するためにまだ畑で使つている、それが五ヵ年かかる、五ヵ年かかつてまだ本当の土壌になり得ないという場合には、果して十年で行くか十五年で行くかということは、これは何人も計算できないと思うのであります。或いはほんの一部、先に言われましたように、もうよかろうと思つて水をかけて水田にして見ますと、土はだんだん下に行つてしまつて赤土が出て来る、それで五ヵ年も七カ年もかかる、強酸性の土壌を加えたり、或いは岩石に近い土壌が入つて来たりして、又埋め直しをしなければならない、こういうことをやらなければならない。実情のはつきりしているものについて七十五條で私はああいうふうにきちんときめられたら、私は如何なる農民でも納得できない実情にあると思うのであります。
○政府委員(中島征帆君) これは初めはこういう工事をやればどのくらい回復するかということは実施計画でわかつております。そういう工事をやりまして完了すれば、およそこの耕地はどの程度回復する、或いは完全に回復するまでに何年かかるかということはそのときにわかるのでありますから、というふうな御意見もありましたが、それを今少し余裕をとりまして三カ年間ということにしたわけでありまして、三年間の間見れば、これは十分その先の土地の見通しが立つという農林省のほうの御意見でありますので、少くとも私は現状におきましては三年で十分だと思います。併し万一実際の工事のやり方等におきまして、こういうようなことがまだ実際の土地を見究めるに不十分だというときには、そのときにおいて解決することもできると思います。現在私の聞いております範囲内におきましては、三年間あれば十分だということでありますから一つ御了承を願います。
○委員外議員(清澤俊英君) どうもこれは、中島さんが現地に行つてあまりよく御調査になつておらんと思うのですが、農林省々々々と言われるけれども、あれだけの大工事をやりますに、大体熊本の農地局が何にもしない。それから第二番目には、土壌等の問題について大体において福岡県なら、たしか農林省の土壌試験所の出張所かなんかある。そういうものに相談しているかと、こう聞いて見ますと、そういう御相談もない。それから農民に対しましては工事を始めますとき大体承諾書を出す、だからその承諾書に判をつきまするときに、どういうふうな措置をどういうふうにするということを、君ら知つていたか知つておらんか、こういうことを尋ねて見ますと、そこまでは気が付かなかつたので、そこは知らないで、いずれも判をついて承諾書を出しました。こういうことを言つております。そうして見ますと、農林省が言うておる、こう言うておると言われますが、実際問題は、工事を進めて行きますには大事な土壌の使い方、或いはこの土壌で果して効用回復がどれぐらいできるかできないかというようなことについては、十分考慮を払われておらないということがはつきりしております。先般も中島局長にちよつと御質問申上げた通り、私が持つて参りました土壌を農林省の土壌課へ持つて行つて、これを検査してもらつた。そのときの話では、一方は非常に強酸性である、一方は非常に粘土質である。二つの土を土壌化するためには、一つ一つその成分を調べてでなければ土壌化する方法もないというのであります。強酸性のものは石灰を入れればいいというので、これを入れ過ぎれば一方の粘土質のものは固定してしまう、凝結化してしまう、だからこれだけでも非常に面倒な、どれだけのものが酸性の土壌があり、どれだけの分の粘土質のものがあるか、これに加える石灰質一つ入れるにも非常に面倒な方法をとらなければ、簡單にこれは強酸性だから石灰質を入れたらいいというものじやありません。こういうことを言うておられる。第二には、今各地に行われております開拓地などに対しましても、大体開拓地が普通の耕地として活用するまでには七年ぐらいかかるのが、大体正当な見方じやないか、こう言うておられる。立派な山土を開墾したところでも七年ぐらいはかかるだろう。こう言つておるのです。特別にひどい土を持つて来て三年ですぐこれを先を見て、基礎が非常に無理なボタを持つて来て埋めたものに、その上に赤土の無理な土壌を持つて来て山土を上げまして、そうしてそれで三年ぐらいで以てすぐ全部見境いを付けて、或いはその上でまあ一つこうやつて見て、そこへ行つて悪ければこうするのだと言うておられますが、こうするということに対しましては、何ら法律にはない。一応三年でこういうことをするということが書いてある。三年目で工合が悪ければ、こういうふうにして、こうしてやるのだということは一つも書いてない。私はそう思うのであります。それじや私は納得ができません。
○政府委員(中島征帆君) 三年後において仮に工事が不十分であつた場合、不十分であつたと申しますのは、工事を契約通りやつておらなければこれは勿論いけませんですが、工事を契約通りやつておつて、而も予期通りの効果が上つておらないという場合におきましては、この法律の建前といたしましては、更にもう一度補修工事をやるということは考えていないのであります。その代りに効用回復というものにつきまして、将来に亘つて補償金を出すということになつておりまして、その点は建前上そういうふうな形でやる以外にないのでありますが、実際工事をやります場合には、これは農地に関しましては農林省の予算、農林省系統の予算で以て、例えば多くの場合は土地改良計画というものとか、工事をやるその工事計画を立てるものであります。むしろ被害者に近い団体なり或いは市町村というものがその工事計画を作り、実際の工事に当るものでありますので、その工事の内容につきましては、最も適当な方法をとることになろうと思います。従つて特別鉱害の実際のやり方がそういうふうになつておりますから、私は現場のことは存じませんけれども、この場合におきましては、あとは鉱害賠償請求権の消滅という大きな点にかかつておりますので、工事自体の内容につきましても、十分愼重にやり、実際にできるようなことを狙つた工事計画が立てられるのではないかと思うのでありまして、実際にやる工事の責任者自体が、むしろ被害者側の立場によつて行うというのでありますから、お話のような御心配は大分薄らぐんじやないかと思います。
○委員外議員(清澤俊英君) これでやめますが、実際行つて見ますと、工事を施行しておりますのは加害者、而もそれに対して或いは監督は県がやつておるような話になつておりますが、県のほうは余り監督しておらない。野放し、こういう非難がある。そうして今言われましたが、一番私は問題とするところは、私らも見て参りましたが、恐らく不誠意でないだろうと思う。一生懸命に手一杯の回復を考えて工事が行われておる。その上であれ以上できないものか、私はその形になるように持つて行つて、悪ければ何とか補償するということがこの法案じやはつきりしてないのです。若しそういうことがこの法案にあるとしますなら、あとに一つ同僚もおることでありますから、そこで悪かつたらこうするということをはつきり訂正してもらわなかつたら、これは問題にならん。
○政府委員(中島征帆君) それはたびたび申上げます通り、再検査してなお不十分な場合には、その不十分なものにつきましての補償金を事業団が払うということになつております。
○委員外議員(清澤俊英君) 事業団が払うと言いましても、事業団は限られたる資本を以てやる、政府は又それに対して無限大に出すと言わない。限られたその事業団が、これから先何年かわからんが、この被害に対して、事業団が払うということはとんでもない間違いなんです。事業団が資本を無限大に持つて、事業団が金を永久に持つというなら話がわかるが、土地が五年先に直るか、十年先に直るか直らんかわからない、やつて見なければわからない。そうして事業団が払うというその事業団は、限られた臨時の事業団で、一方石炭の加害者のほうは限られたものを出して、これは責任が済んでしまう。政府のほうではあやふやな形をとつておる。これでは被害者の立場に立ちまする農民が納得しないのは当り前じやないかと思います。私も体が悪いけれども、あなたがたにこの心情を訴えたいと思つて出て来ておる。そういうばかなことで農民は納まりません。こんなあやふやなものを立てられて、先租代々の土地を失つて、自分の耕地を失つてどこかへ行つてルンペンしておるというのが山ほどいる。こういう実情を見て、こんなだらしのないことを言つて誰が納まつているものか、私はそこのところはあなたがたも今一度現地ぐらい見て来で、農民が納得するような気持になつたら、そういう気持になつたら訂正してくれなければ困る。あの工事は何人がやつてもそれ以上のことはできません。できない。結果においてそういう現実の回復の上において無理がたくさん山積しておる。その無理に対して、お前らが努力するごとに対してまだ足らんことはこうしてやるのだ。努力に対する補償金は望んでおらないのだから農民は何年かかるか知らないが、この山の酸性の非常に多い粘土質のこのわけのわからない土、而も石炭地帯のあの特殊な土壌を以てこれを耕土化する、その努力は尋常一様のものではないのです。これが失敗しようと、これがどうなろうと、そのものに対する補償というものは一つも考えてない。それを言わないで、現実の土壌そのものが直るか直らんか、その安定のできないものを預けて、三カ年や五カ年で打切つてしまう不確定な事業団を以て、それで以て何とかしてくれろと、これは福岡の県は、農民はだらしがないと思う。私ら宮崎県の農民だつたらこんなことで納まるものじやない。
○政府委員(本間俊一君) 三年以内で工事が完了いたしましてから認定をいたしまして、そうして効用が十分回復されてないときには、事業団から補償されるという御承知のような規定になつておるわけですが、それが仮に工業を完了いたしましてから、期間を或いは七年間、八年間とかいうふうにとつておきますと、その間工事をした結果、工事をいたしましたあとにどれだけの収穫があつたかという場合に、何と申しますか、確定しない、むしろ期間のほうが長引いて行くんじやないか。そういう関係をも考慮いたしまして、工事が終りましたならば、三年ぐらいやつて見ますれば、大体どの程度の収穫があるかということが見当が付くわけですから、そこで工事に対する認定をいたしまして、どうしても十分に効用が回復してないという場合は金銭賠償で、金で足りない部分に対する補償をして行く。こういうことになつておるわけですから、只今清澤さんの言われるように、仮に法文の上でそうなつておつても、事業団は補償する金を持つていないんだと言われるのですが、これは出し得るというふうに私どものほうでは考えておるわけですがね。
○委員外議員(清澤俊英君) それでは最後に、事業団で出し得るというだけで以て、どう出るかということははつきりしておらない。それから金銭賠償で見積つて打切るというところに無理がある。不確定の土壌を預けられて、そこで仕事をしておつて、まあこちらであとはこうなると、これを十年分ぐらいの見積りとか、五年分で見積つてこうやるとすれば、だからその見積りならできるわけですが、それで金銭賠償で打切る。そこに問題がある。やつて見てもこれから先変な土壌になつて耕作ができるかできないかわからないもので以て検討して見るということに無理がある。
○政府委員(本間俊一君) 工事が終りましてから三年でどのくらいに効用を回復したかということをきめるわけでございますけれども、回復しなかつた部分については金銭賠償がきまりますれば、その金銭賠償はずつと毎年払つて行く、こういう形になるわけですから、工事が完了いたしまして、三年でどのくらい効用が回復したかということを決定いたしまして、そこで一時金のようなもので打切る、こういう意味ではないわけでございまして、三年もやつて見れば大体見当が付くわけでございますから、そうすれば効用の回復しない部分については、その後毎年不足分に対して金銭賠償を払つて行く、こういうふうに私どものほうは考えているわけでございまするから、打切るというところを何と申しますか、あとはもう全然一時金をやつて打切つてしまうという考え方ではないわけでございますので、何と申しますか、農民は実際から申しますれば、まあ金銭賠償なんでございますけれども、三年間やつて見て、或いは向う三年間の賠償をするというのじやなくして、そこで工事が完了いたしましてから、三年経てば大体どのくらいの収穫があるかということも決定いたすわけでありますから、そうすれば回復する効用の部分につきましては、その後やはり金銭で賠償して行く、こういう考え方をいたしているわけでございます。
○石川清一君 私も今のに関連して御質問したいのですが、七十五條の、最後には金銭賠償に持つて行く、而も金銭賠償の責任は事業団で、一括払いをする場合もあるし、毎年払う場合もある、こういうようにお聞きしたのですが、賠償打切りの三年になりますか、後になりますか、わかりませんが、その最後の決定するときに、土地の効用回復がどの程度かということが私は問題になると思うのです。この場合にやはり一つの農業というものの中に必要経費を入れまして、その上に純益が起きて来る。ところが必要経費が四〇%或いは五〇%かかつたけれども、必要経費の二〇%或いは三〇%しか収穫がなかつたという場合には、その土地の純益にまだ損失を加えなければいかんようになるわけですが、このことが土地の効用回復の大きな問題なんです。例を田にとりますと、まあ十俵とれているところが五俵とれたのでは何も純益はないわけなんです。三俵の場合は相当損失を起す。そういうような損失を受けるような原状回復で以て打切られた場合に、一時金を幾らもらつても、これは全然駄目だということで、せめて必要経費が五〇%かかるのであれば、六〇%くらいの収入があれば、その後四〇%もらえばいいのですが、効用回復五〇%に満たなかつた場合には、今までの金銭賠償をもらつておつたときよりも、もつと多くもらわなければいかんということになる。ところが清澤さんのお話を聞いていると、その九州の土壌がそうだと、こう言う。先ずボタを入れまして粘土質と酸性の土を入れれば、さように回復しないだろうという見方を確定されているわけであります。最後にそれが農林省の強い土地改良の中に持込まれて、それが補償付けられるのか、更に逆に鉱業権者がこれを最後には負担をするかというと、そうでもない、施行町村が背負うのだ、こういうところに私は納得し得ない農民の気持があると思う。
○政府委員(本間俊一君) お答えを申上げたいと思いますが、御指摘のありましたように、効用回復の基準と申しますか、それをどこへ引くかということが確かに重要な問題になつて来ると思うのであります。今御指摘のありましたように、仮にその土地が十俵の収穫があるというふうにまあ基準を決定いたしますれば、工事を完了いたしました後三俵の収穫しかない、三年間実地にやつて見た結果、そうすると残りました七俵について金銭で賠償する、まあこういうことになろうかと思うのでありますが、そこで御指摘もありましたように、効用回復の基準をどの線に引くかということが非常に問題になるのじやないかと思うのでございますが、実際問題といたしましてですね。これは農林省のほうとも十分打合わせをいたしまして、そうして効用回復の基準をこの地区のこの土地に対しては大体こういうふうにというようなことを、本法が施行に相成りましてから決定をするわけでございます。御指摘のような点は十分含めまして、農林省のほうとも十分打合わせをいたしまして基準を決定いたしたい、こういうふうにまあ考えておるわけでございます。
○石川清一君 これはもう少しお話を承わつておきたいのですが、只今のまあお話は一応儀礼的な答弁としては了承するんです。併しながら土地の生産性と土地の上に立つて農業を営むものの労働の生産性というものが、一つの社会的な地位と生活をするためにはどれだけ必要かということが一応九州地帶の農民の平均の線として私は出て来ると思う。そのことと今度の効用回復、原状回復というものが一体あれだけの試験場を持つておつて、試験研究の確実なデータを持つているかということを先ほど衝いておつたのですが、私はないように承わつておるんです。そうしますと、一体これを契機にして土壌試験とか経営試験というものを、今の地帯で或る事業団の区域で農林省と話合いをして、そういう施設を持つ意思があるのか、又計画を持とうとするのか、持つているのか、この点を伺いたい。
○政府委員(中島征帆君) 今の基準を定めますのは、七十三條の二項にございますが、農林省令、通産省令で評価基準を定めるということになつておりまして、両省令でその詳しい基準を定めるわけでございまして、そこでその基準は勿論抽象的な文句になろうかと思いますが、実際にはこれを当嵌めます場合には、例えば試験場で試験をするというようなことも必要なこともありましようが、そういう場合におきましては、当然試験場の施設を使うとか、それがやはり必要な程度の試験その他の方法によつて実際にそれが正確に回復程度が把握できるようなことはしなければならんかと思うのであります。若しも現状の施設ではそういうものについては不十分だという場合には、その点も考えなければならんと思つておりまするが、現在のところは評価基準がまだ具体的に報告のできるところまで進んでおりませんが、その進行状況如何によつては考えたいと思つております。
○石川清一君 それではお尋ねしますが、今度の事業団の計画を特に農地の場合きめて行くときに問題になるのは、現在日本の災害の中で、いわゆる大洪水による地表の流失したところ、これは大きな一つ私は例にとられると思う。その次は干拓をして、或いは埋立をして上表を作つた場合と、それから特別大きな岩石その他が流れて来まして、いわゆる地表が変つて、その上に又客土をして、そうして土地を作つた、三つの例があると思う。だけれども、そういうような三つの例よりも、今度のボタを入れて復旧するほうが一番土地の條件としては悪いと思う。特に例を申しますと、私の住んでいる北海道の土地を例に挙げれば、大正十五年に十勝岳の爆発で一千町歩近い土地が流失しまして、そこに五尺程度の泥土が流れて、三尺くらいの客土をしたのですが、それが熟田化すると言いますか、それまでには大体十五年かかつているわけです。十五年くらいかかつてやつと八割の生産しか挙つておらない、その間に三回も四回も農民は変つておりまして、それだけに相当国が国費を投入しましたけれども、やはりそれにプラスした自己資本というものが食い潰されて変つて行つておるのです。ところが大洪水によつて表土だけが流出した場合は簡単に土地は回復されるのです。今度の場合は私が聞いてみますと、それよりももつと私は條件が悪いと思う。こういうような悪い條件の中で究極的には金銭賠償で処理がされる。そういう中で原状復旧、効用回復の本当に真劍なものは一体農林省が持つのか、通産省が持つのか、この事業団が持つのか、こういう一番最後に握るのはどこかということを聞いてみますと、一番性格があいまいで一番財政的に弱い事業団が持つ、こういうところに農民の不安があると思う。この法律の中でそういうものに筋金を入れるものがあるかどうかというと、それもないと思います。それじやこういうものをもつと裏付するのは何かというと、私の考えでは、この鉱業権の設定とか、或いは施業案の認可とか、そういうものを通じてこの復旧法案の実施を基礎にして、機会にして、そういう措置が法的に石炭の採掘の場合とられて、もうこれ以上はしないのだ、こういう点までは地表の陷沒がないのだ、こういうことが現われて行われれば、そういうものに終止符が打たれて積極的な土地の原状復旧が行われると思う。ところがそういうものがなされずに、一方においてはどんどん採掘をして来、土地がどんどん陥没をして行く。而も復旧というものがあいまいではつきりしていない、こういうところに私は九州の農民の不満があると思うのですが、どこかで一線を引くものがないと、この間から私は随分お聞きしたのですが、お答えは今のところないわけです。又予算の面についてこの間各委員から聞きましたが、まだはつきりした、こういうような形でこの法案は国の予算の優先的なものを持つておるのだ、或いは災害復旧の一部をこれはどうしてもとれるような仕組にこの復旧工事はなつておるのだ、そういうようなことを私はまだ聞いていない。従つて現地の農民の持つ不安というものは我々以上だ、こういうふうに思つておる。この間の私の質問に対してもこれは暫定的な法である、やはり鉱業法の中で筋金を入れなければいかん、こういうふうにお聞きしておるのですが、この法案の中でも私はやはり筋金がなければいかんと思う。これは関係の市町村にやはり責任を持たして、その一定の事業に対する責任は国が裏付をするとか或いは鉱業権者に裏付をさすのだ、こういうようなことがこの中にあれば、やはり法人としての地方公共団体も恐らくいい加減なことはしない、こういうような点について幸い大臣がお見えになられましたから、大臣にお尋ねいたしたい……。それでは政務次官でもよろしうございます。
○政府委員(本間俊一君) 石川委員の御指摘になられておるお気持は私どもも実はよくわかるところなんであります。御承知のように、この法案にはいろいろな欠点がございまして、それは当委員会でも申上げたのでございますが、いやしくも鉱害を復旧するというのでございますから、国が被害者のほうの負担を超えた分につきましては徹底的に責任を以ちましてやるということにしたい気持は、私どももその通り実は感じておるところなのであります。ところが御承知でもあろうかと思いますが、一般の農業土木の問題にいたしましても、災害復旧の問題にいたしましても、或いは河川の問題にいたしましても、天災で起りました場合に河川の災害復旧或いは耕地の災害復旧というものが只今の制度の上から申しますると、やはり私どもが希望するところまで国が責任を以てやるという建前にはまあなつておらないわけであります。従いまして、そういういろいろなまあ不満なり不備のありまする現行制度が先行しているわけでございますから、従つてそれを飛び越えて国が徹底的に責任を持ちましてやるというところまでは関係各省との間でなかなか現実には話が進まない。こういう問題があるのでございまするから、私どものほうは提案を申しあげておりまするような線で、実は各省との間でやつとまあ話合いが付いたわけでございますので、決してこれで一般の鉱害が国が責任を以て、御指摘のような線でやれないということは万々承知をいたしているわけなんでございます。従いまして只今も御指摘になりましたようないろいろな問題もあろうかと思いますが、ともかくもやつとまあこの線で各省との間に話ができたのでございますから、予算の問題についてお尋ねもございましたが、御承知でもあろうかと思いますが、例の石管法にいたしましても、あの法律案の途中ではなかなか大蔵省がうんとは言わなかつたのでございますけれども、いよいよ石管法ができまして実施されるという段階に参りますというと、やはりそれが一つのよりどころになりまして、或いは言葉が悪いかも知れませんが、橋頭堡のような形になりまして、公共事業費の枠の中におきまして農業土木の予算が殖えているわけでございます、現実に……。従いまして、なかなかこの成立の過程において大蔵省から一札とりたいと思いましても、なかなかまあ実際問題としてはとりにくいのでございますけれども、これが成立いたしますれば、皆さんの御援助の下に御協力も得まして、必ず公共事業の枠の中で、災害、一般鉱害の復旧に関しまする予算を確保して行きたい、こういうふうにまあ私どもは考えているわけでございまして、御指摘のような非常に不徹底な面は万々承知をいたして実は申上げたわけでございますので、その辺のこともどうか十分一つ御了承を賜わりたいと思う次第でございます。
○石川清一君 一つの法案には骨があると私は思うのです。まあ破防法に扇動というものが骨だつたように、この法案にも骨があると思うのでするこのまあ臨時であれば臨時として、臨時的な性格の中で問題をあとへ持ち越すので、重点的なものはやはりこの中に私は残つておらなければならんと思うのです。臨時は臨時で私はいいと思うし、あいまいはあいまいでも私はいいと思う。併しながら、そのあいまいの中にも問題をあとへ残すのはこの点であるという点が法律には、この中にはない。それを実は遺憾に思うのですが、それで私なりの結果として起きることを申上げて御答弁を願いたいのですが、こういうことが起きるのです、事業団が土地の効用回復と言いますか、原状回復をする場合に、恐らく一つの下請機関と言いますか、土木の事業会社が私は請負うと思うのです。そういう会社はどこまでも企業体であつて性格のあいまいなものは結局監督がルーズになると思う。そうしますと、土地の効用回復ということが重点に行われずに、單に原形回復という表面的なものに私は終始する、殊に今日のあの堤防或いはダムの決壊というようなことはそういう点に大きな原因が私はあると思うのです。そういう中でどの土地も三〇%か、或いは四〇%しか回復をしなかつた。恐らくボタを入れて、酸性と粘土の土壌を入れた場合には五〇%の生産率を挙げるまでに私は行かない。そうしますと、折角入れました金がいわゆる経営の平均線を維持することができなかつた場合には、これは死金になると私は思う。で、死金にしないために特定の区画を区切つて、それを重点的に扱うか、或いは途中で変更するかと言いました場合、これでは持つて行くところが私はないために、これはやはり又問題を引つくり返すような懸念が起きると思う。その場合に起きて来るのは、こういう点が起きて来ると思う。いわゆる一事業団が、この間私は申上げましたが、一応復旧計画をきめて、復旧するところの請求権というものを私は持つことになると思う。そうすると、一割か二割の復旧をした場合に、目先のひどく早い人が……そういう売買がこれは起きることは私当然と思う、そういう形になれば、これは中途で又方向を変えなければならん。だけれども、これは事業団が最後まで残つて引受けるというような場合には、これは責任を持つし、最後には鉱業権者が持つのだというようなことになれば、いい加減な中途半端な工事を進めないと思う。ところがこれはどれも、法案そのものもあいまいだし、又主務官庁も、或いは鉱業権者も事業団も、市町村もあいまいなために、二、三年これでやつて見ようというような形で原状回復の農業土木事業が進められた場合には、結局今までの金は死金になつて、完全賠償をするよりも悪い結果を私は招くのじやないか、現地の農民の心配しておるのも私はそこじやないかと思うのですが。
○政府委員(中島征帆君) この工事をいたします場合におきましては、事業団は当初復旧基本計画を定めますが、それの実施計画に関しましては、これは工事を施行する主体というものがそれぞれの法律によつてきまるわけでありますが、この農地の場合におきましては、多くの場合は恐らく土地改革であります。又場合によつては市町村或いは鉱業権者というものが出て来る場合もあります。大体事業団が自分が責任を持つて工事をするということは例外的に考えておるわけであります。そこでこの事業主体がきまりましたときに、それが事業の、復旧事業の実施計画を作るわけでありまして、その実施計画には細かい工事の内容が盛込まれるわけであります。その工事をやればどのくらいどの農地が回復するかということが、見通しが付くわけでありまして、若しその計画通り実行されれば、見込の多少の違いはありましても、十割回復されるところが、一割か二割で放擲されるということがないわけであります。勿論そのほか土地改良区、土地を計画を立てまして、実施をやる場合におきましても、実際の工事そのものは土地改良区と、或いは他の請負業者との契約に基いて請負わせることが多かろうと思いますが、その場合にはその請負業者が実施計画通りの工事をしなかつた場合におきましては、これは当然契約不履行でありますので、この場合は当初した契約を解除して、又別の請負業者に委託してもよろしいわけでありまして、結局において実施計画通りのものは一応確保されるということになると思います。実施計画をその通り実行いたしましても、なお且つ所期通りの効果が上らないということは、これは場合によつては予想されるのでありますが、その場合におきましては、最後に工事の結果を検査し、或いは再検査してその不十分な点を将来まで見通しまして、一応打切補償する。先ほど政務次官が年々補償すると申されましたが、この点は一時金で支払うことになりますので、私から御訂正申上げておきますが、そういうことをするわけであります。従つてその金を支払うのが事業団でありまして、事業団そのものが計画する計画は基本計画だけでありまして、実施計画についての自治体の実際の責任を持つということではない、むしろその点は土地改良区が、これを最後の線がどこに来るかという先ほどのお示しの点は、結局においては事業団が最後に不足分を支払う金があるかどうかということに帰着するかと思うのでありますが、それは結局問題として仮に残るといたしますというと、九十一條で国が補助金を出すことができるということになつております。この補助金が事業団が負つた責任に相当するだけ出せられるかどうかということになると思うのです。若しこれが十分出せるということになれば、これは如何に事業団の見込みと違いがありましても、これは事業団に責任が存する限りは補助金で埋まるということになりますので、将来も心配ないと考えております。我々としまして、この補助金が事業団に付くように十分努力しなければならんと思つております。
○石川清一君 そうすると、私がこの骨と言いましたのは、こういうことも一つの私は骨と実は思つておつたのです。それは被害者が動揺しない。最後的に被害者に二條できまるのだといつて、そういうところで問題を残しておいても、私は最後的に問題をそこから解決して行くと思う。ところがこの場合は市町村長の意見を聞く、こういうふうになつております。し、評議員会ですか、ここには都道府県知事の推薦をした者、こういうふうになつて、最後的には地方公共団体の長がいわゆる被害者の農民の意思を代表する機関になつておるわけなのです。ところがそういう地方公共団体、いわゆる都道府県知事或いは市町村長というものがこの土地の回復に、原状回復、効用回復に予算的な力を持つているかと言えば持つておりませんし、又監督その他に対する責任があるかと言えば、これも又責任がない、中間機関だ。私は何にも被害者の意思によつてこの事業が進まないとは思いません。ただ計画を立てるときだけ同意書を出します。併しながら最後にはね返す力はこれはないわけです。公共団体の長を通じなければならないわけです。ここに私はこの法案の骨がない、だからと言つて最後に同意を得るというふうに言つたからといつて、この事業が私は進まないわけじやないと思う。そういうようなものが力になれば、もつと効果的に私は事業ができる、又それぞれの公共団体がそのはね返る被害者の意思によつて、十分有効に私はこれはできると思うのですが、そういうようなものでもないというところに、私はここに非常に不安を持つている。
○政府委員(中島征帆君) 評議員会は被害者がじかに評議員として出るわけでありまして、ただその選定をしますのに、これは評議員は通商産業大臣の任命にかかつておりますので、通産大臣が地元の被害者の誰が適当であるかということを選定いたしますよりも、一応それをその地方の府県知事に任せまして、その中から適当な者を任命するというふうな二段構えにしたほうがむしろ適切であるという趣旨であります。府県知事がこの実際の被害者の中から最も適当な被害者の利益を代表する者を選定すれば、その選定によつて出て来ました被害者というものは、これは直接みずから評議員として意見を言えるわけであります。最終的に府県知事が握るということはないわけであります。
○石川清一君 只今のは府県知事の一つの弁護でありましたけれども、府県知事という言葉を抜いておいてもですよ、これは通達でも通牒でも何でも、そういうものを通じて出されるということであればいいので、あえてこの中に法律で明記しなくても私はいいと思う。だけれども、法律で明記されるところに、或いは市町村長の意見を通ずるというところに、これに伴う予算的なものもありますし、そういう含みをやはり含んでいるわけであります。そういうものと私は関連を当然持つていると、まあこういうふうに思うのでして、何も府県知事の推薦でなくても、そういうようなものはほかのものも便宜的に今までとられているのでありますから、それはかまわない。併しそういうものがなければ、推薦がなければ、それだけの被害者が事業団の区域の中で、一つの復旧する協力組合とか、或いはいろいろなものを作つて、自由な意思で交渉もできますし、自由な意思によつて工事も批判できると思う。併しながら都道府県知事という機関を通じた場合に、その機関の農業行政と言いますか、或いは土地に対する一つの方針に副うべき人が選ばれるのでして、そこには一つの妥協がありまして、それも私はあいまいだと、こう思う。だからここには何にも骨がないと私は申上げている。まあこの点についてやはり農地局長の意見なりをお聞きしたいのですが、おられませんから、もう少しこれはこのままにしてあいまいにして進めますが、それで予算はいわゆるこの納付金の二千乃至五千倍という政令で定めたものができれば、すぐそれは予算に組まれていると、これは見てよろしいのですか。
○政府委員(中島征帆君) 納付金と予算とは関係ございませんので、今おつしやるようなことにはなりません。
○石川清一君 結果的には国の補助金ということにはなるのですか。
○政府委員(中島征帆君) この倍率は一応政令できめますが、その倍率とは別個に、今度は例えば本年度の補助金の計画をきめて、そこで国の経費は幾ら幾ら要るという算定ができますので、そのとき初めて今きまりました政令に基く納付金の総額と、それから不足分に相当する国の予算というものが出て来るのです。
○石川清一君 その場合には国の予算はどこから出すのですか、経費は…。
○政府委員(中島征帆君) それは大きな枠では公共事業費の中に入るわけであります。そこの中で特別鉱害費でありますとか、或いは一般鉱害の経費というものを別枠にして計上してもらうようにしたいと思います。
○石川清一君 そうしますと、国はそれとして地方公共団体はやはり一割以内でしたか、そうでしたね。
○専門員(山本友太郎君) きまつておりません。
○石川清一君 きまつておりませんか……。地方公共団体は結果として義務付けることになるのですか。
○政府委員(中島征帆君) 地方は国が出す場合においては補助金を交付するということになつておりまして、従つて国の補助金に対しましては何%ということはこれは政令等で定めますけれども、少くとも或る程度の補助金は交付しなければならないということが法律で義務付けられておるわけであります。
○石川清一君 その場合に地方公共団体はこれを拒否はできますか。
○政府委員(中島征帆君) これは四十八條の復旧基本計画のところにございますが、その二項に「事業団は、前項の復旧基本計画を作成し、又は変更するには、あらかじめ、都道府県知事の承認を受けなければならない。」ということになつております。従つてこの基本計画の中に当然補助金、国の補助金或いは都道府県の補助金というものを予定されておりますので、ここで承認をすれば当然地方団体としては負担しなければならない責任があるわけであります。
○石川清一君 その場合に都道府県知事と意見が同意すればいいのですが、最近は平衡交付金をめぐつてなかなかこういうものは同意しがたい。その場合に工事に着手するのが遅れるとか、その責任は一体最後には誰が背負うことになりますか。
○政府委員(中島征帆君) 若し同意できない場合におきましては、基本計画はできませんから、そうすると、結局においてその地区の復旧はできない、こういうことになるわけであります。併しこの法律の趣旨から言いまして、そういう地方は或る程度の補助金を出さなければならんことになつております。又率というものも恐らく政令で、例えば一割とか一割五分というような率がきめられますので、これを絶対に拒否するということは少くとも道義上はできないわけであります。又そういうふうな法律をきめます場合は、地方財政委員会等を通じまして、一応都道府県も納得されるような線できまりますので、そういうふうなことが起きるということは先ず考えられないと思います。
○石川清一君 考えられないというお気持で作つたのでしようが、恐らく私はそういうことが起きると思います。先ず最初は私はそういうことは起きないけれども、効用回復が原状回復という外形的なものにとどまつて、土地の生産力が五〇%以下だというときにはいろいろなものが起きて来ると私は想像するのです。そのときに生産者の同意というようなものが出ておれば、これをはね返す力がある。ところがそういうものがないと、一応初めには同意書をとるけれども、ないということになれば、やはり地方公共団体の長であるとか、最後には事業団、こういうような一番弱いものが最後には引受けるのではないかというように思う。こういうような点について、地方公共団体の長が地方団体の負担は除いてくれ、協力はするが除いてくれと、こう言えば、やはり協力機関であつて、推進機関にならないのではないかと思います。僅かな金なので、それは地方公共団体に任さずに当然国が負担したらいいのじやないかと思います。如何ですか。
○政府委員(本間俊一君) お答えを申上げたいと思いますが、御指摘のように公共事業費の国の枠がきまつておりましても、地方公共団体の財政の都合で工事を辞退をいたしておるような所もございまして、私も承知をいたしておるのでございますが、従いまして石川さんの言われるようになれば、これは確かに一つの進歩でございまするし、いいかと思うのでございますが、この制度をまとめ上げまする場合におきまして、各省といろいろな連絡をいたしたのでございまするが、これは実際打割つて申上げまするというと、地方公共団体の負担を除外してきめれば確かにいいのでございますが、なかなか関係各省の間で実は話がまとまらなかつたわけでございます。従いまして只今中島炭政局長から御答弁申上げましたように、地方公共団体も幾分負担をして頂くということで話がつきましたので、要するに今の公共事業費の実際の連行から行きますれば、或いは地方財政の事情から申しますれば、これは地方がこれを負担すれば一番いいのでございまするが、繰返して申上げますが、その線ではどうしても話が付かなかつたものでございまするから、地方公共団体にも負担をして頂くと、こういう建前にいたしたのでございます。
○石川清一君 ではもう少し進んでお尋ねしますが、そういうようなあいまいな性格で、あいまいな事業計画で、責任の主体があいまいなところで事業をやつて行く場合には、あいまいでないのが私は一つあると思う。それは有力な鉱業権者の所と、被害の軽い、原状効用回復に費用のかからない所、ここだけは私は完全にできると思う。そうしますと、そういうような所は、あいまいな中でも大体これだけは完全にできようと思われておる所が一体何割くらいありますか。
○政府委員(中島征帆君) 現在あります二百三十億の鉱害の中で、この制度によりまして、およそ百六億程度だつたと思いますが、復旧できる。それ以外のものはまだ安定しておらないので復旧できないというわけでございますが、この百億余りの鉱害がやはり大体遂行できると我々は考えております。その場合に心配になりますのは、鉱業権者の不明のものであります。それから、然らば能力のないものというような場合におきまして、そこに穴があく慮れがありますので、その場合におきましては、地方公共団体、国がその部分を負担するという仕組になつておりまするので、大体においてこれは計画通りのものは、期間は十年で果していいかどうかという問題につきましては、予算等の関係もありますので、確言できないまでも、全部が法律上の建前からいつて復旧できるということになると思います。
○石川清一君 農林省にちよつとお尋ねしますが、今のように土地の原状回復或いは効用を回復することになりますが、最近農林省で土地の改良、或いは干拓、或いは表土の流失等で反当りどのくらいかければ効用が完全に回復されるまでになりますか。
○説明員(谷垣專一君) これはいろいろな状態によつて違うかと思います。干拓なんかの場合になりますると、相当高い反当の建設費が工事に要るわけでございまして、ほかの土地改良に関しましては、又それぞれの状況によつて違いがあると思います。ここで問題になつております鉱害復旧工事の例をとつて考えてみますと、従来これと同じような状況で復旧いたしております特別鉱害復旧工事があります。これは大体今までの、ここで言つております減収が七割以上になつておる所、ここで言つております全然収穫がないという部類に入れる地区の工事費の平均を申しますと、大体十四万程度の経費がかかつております。これは維持管理費と申しますか、鉱業施設費と、それから農地の復旧費、両方合せまして大体十四万程度の経費がかかつております。それから非常に反当の復旧費の高いところは、大体それに一万程度高い復旧費をかけてやつております。こういう大体状況になつております。
○石川清一君 では今の九州のこの復旧する区域の中で、ボタを入れまして、そして平均復旧するのに反当どのくらいかかる予定になつていますか。予定といつてまだ事業計画ができていないと思いますが、大体どのくらいと想像されますか。
○説明員(谷垣專一君) 今申上げました特別鉱害の例で以て、大体一般鉱害の場合も類推できる、大体同様なものであると、かように考えています。
○石川清一君 簡單にお尋ねしますが、一体復旧計画は、今のような計画で逆算をして立てるのですか。それとも初めから大体納付金の金額をきめておいて、正直な話、それに当てはめた計画を作るのですか。いわゆる鉱業者の顔色を見て、そうしてこの辺でよかろうといつて計画を立てるのですか。それとも農林省の理想的なものを立てて、それで以て最後的なものにするのですか、最後にお尋ねしておきたい。
○政府委員(中島征帆君) これはもう初めから明瞭でありまして、この土地が復旧に適するかどうかということについては、これは農地の財政なり、農地の回復という点から農林省で判定をいたしまして、それに適するものはいずれは復旧するということになります。それからこの費用はどの程度まで認めるかということも、これは農林省で経済的なことを勘案しましてきめるわけでありまして、それによつて復旧されるべき土地というものはわかりますが、それを今年はどこを取上げるかということにつきましては、先ほどお答え申上げましたように、そのときの事情によつていろいろと人員或いは地区等をきめなければならないということになつております。
○石川清一君 それではこの工事の監督と言いますか、終局的な最も中心的な責任官庁はどこになりますか。
○政府委員(中島征帆君) 農地に関しましては、この復旧事業費の国の予算そのものも農林省、終局には農林省予算になります。それから実施計画の認定をするのも、更に工事の完了の検査というものも農林省でいたしますので、すべてそういう問題につきましては、農林省の責任だということが言えると思います。
○石川清一君 それでは農林省にお尋ねしますが、今までに九州の土地の試験場或いは農業試験場その他砂防試験場がありますかどうか、そういうようなものと連絡をとりまして、一つの技術的な指導と実際的な指導と科学的なものと、そういうようなものの基礎的な資料はお持ちになつておるのですか、どうですか。
○説明員(谷垣專一君) 今の御質問の趣旨は十分了解できないのですが、工事の施工方法に関してのお話であるとするならば、工事のやり方につきましての試験場というものは、実は私たち持つておりません。これは普通一般の湿地帯の土地改良その他の技術を以てやつて行つて大差ないと思います’農業土木的な技術から申せば、それで大差ない。問題はそのあとに作りまするいろいろな作物の問題等が問題になるわけであります。これは普通の湿地にどの程度の湿潤があるとか、湿潤度がどの程度あるかという問題に関しましては、これも普通の状況でいいと思います。ただ問題は鉱毒水と申しますと語弊がありますが、若干硫酸等の入りました鉱毒水が流れて来るような畑がございます、水田がございます。そういうものに対してはどういうやり方をやつたらいいかという問題は農地試験場その他で問題があると思います。これは従来小規模な実験を農地試験場等でいたしております。まだ十分に総合的な対策というわけには参りませんので、総体的な実験は、そういうようなものをやらして来ております。かようなことになります。
○石川清一君 只今のお話は農業土木を中心にしてお考えになつておると思う。併し清澤さんの言われておる反対の声は、総合的な農業経営というものの上に立つて、いわゆる作物その他農業の経営、こういうものの考えの上に立つて反対というものができておる。ところが普通の災害、天然災害の場合は、これはもう必然的にやらなければいかんので、原因或いは相手方というものは、自分と国の一つの協力しかない。ところが今度の場合は非常に幾つものものが交錯しておるので、單に農業土木面だけでは私は農林省では責任を負えない仕事だと考える。それが早くいわゆる総合的な農業経営という立場に立つて農業土木の原状回復或いは効力回復という面で考えなかつたら、あとに問題を複雑にして混乱するのではないかと私は思うのです。先ほど清澤さんの反対するという農民の声にもそういう点が中心になつていたと私は思うのです。その点について、最後的には金銭賠償というものになつて来る、私は農業土木の満足な場合にはなると思うのですが、そのときに備えて、現在この法の中にもう少し積極的に織込んでおいて、いわゆる通産省に働きかけるというようなものが必要ではないかと思いますが、それは如何ですか。
○説明員(谷垣專一君) 一番その問題が端的に出て参りますのは、あとの工事が進行いたしました場合に、効用認定その他の検査をいたします。この場合に一番はつきり出て参るかと思います。それ以前にも例えば表土のとり方であるとか、或いは又ポンプのキヤパシテイを計算いたします場合におけるいろいろな対策があるとか、そういうような場合におきまして、單なる農業土木というような見地にとどまらないで、広く農事試験場等の意見、作物学的な、土壌学的な意見を捉え来たつて耕土の安全度を見なければならない、こういうことは事実あるのであります。そういうものを全部引つくるめまして、殊に問題は耕地が竣工いたしましたあと、どの程度に耕地が回復したか、地方の回復は何年くらいで完全にできるか、こういう認定が問題になるかと思いますが、これは非常に困難な問題を含んでおります。現在すでに福岡県その他におきまして、そういう場合においてどういうような結果が出るか、どういう認定、対策をとつたらいいかということを、土壌学的な、或いは作物学的な方面と連絡をとりまして研究をし始めております。併しながらまだ具体的なケースにおきまして、どういうような結論が引出せるかというところまでは、今のところ到達いたしておりません。工事が竣工いたしまして、具体的なケースにつきましては、今申上げました研究の結果、或いは又それぞれの専門家の意見を徴しまして愼重な判定をいたして行く、かようなことにいたしたいと考えております。
○石川清一君 その場合に最悪の場合、先ほどから通産省の御意向は再復旧ですか、再復興はしないと、こういうような御意見のようですが、その場合に不適地という判定が農林省の手によつてされると私は思う。結局最後的には工事の計画のときにも、或いは検査のときにも、或いは最後的に総体的なものの場合にも、農林省の決定がこれを有力にもするし、或いは無力にもすると思う。その農林省の最後的な、或いは最初でもいいですが、決定は農民の経営に対する意思、意欲、こういうものがそれを決定すると思います。ところがこの中ではそれが非常に弱い、私は弱いと思う。如何に強く謳つておつても、弱い、農民の声の限界というものは、今までの日本の農民の騒動やその他から見ても、私はそんなに一般の企業者が農民の声の圧迫を受けて参る、或いは妥協する、弱められたということはないと思う。ただこの法律が第一條に語つてありますように、まあ国土の保全、維持と、こういうような点が第一條のままにこれが生かされるとしたら、これを裏付けるものとして国土の有効な利用保全及び民生の安定というものを裏付けて、究極的に決定するのが農民の生産意欲と、経営に対する真剣な態度だ。それをするのは農林省の最初における判定或いは最後的な判定に対する意思、こういうものだと私は思うのです。そういうものの上に立つて農林省が動くには、農林省があえてこの中で、この被害者、特に農民の意思というものを土地の上に対して認めなかつた、認められなかつたというのを私は遺憾に思うのですが、この点についてはどういうお考えでしようか。
○説明員(谷垣專一君) これは実施計画を……、私たちは農林省のほうの役目としましては、基本計画が立てられまして、これは通産大臣のほうが認可をされるわけでありますが、私たちのほうへも御相談があるわけであります。基本計画が立ちまして、その基本計画に基きまして具体的な実施計画を私たちが立てることに相成るわけであります。私たちが立てると申しますよりは、事業を遂行する諸君が立てられまして、それを農林大臣のほうへ認可を申請されると、こういう恰好に相成るわけであります。そういう形式は従来の土地改良等の形式と何ら変つていないのであります。で、その際にこういうふうに非常に両当事者の問題が微妙な問題でありまするが故に、当然事業をやられる、実施をきれる実施計画そのものも私は愼重であろうかと思いますが、農林省といたしましても十分に愼重に検討をいたしまして、そうしてその計画を認可して行く、かようなことに相成ると考えております。又そういう実施計画その他につきまして、それぞれのその農地を耕しております諸君からの意見が出て参ります。これらのものにつきましても、十分私たちのほうといたしまして検討をいたしまして、そういうものを前提にいたしまして認可をいたすと、かようにいたしたいと思います。單に認可をいたすだけではなく、不都合なところ、或いは不十分なところがありますれば、当然に変更を命令をいたしまして、そうして変更したところを認可すると、かような手続をとるわけであります。先ほどお触れになりました、回復ができない、復旧不適地の問題につきましても、やはり同様に愼重な態度をとるべきだと考えております。この計画の中に入つて参りまする実施工事の復旧不適地と申しますのは、これは工事をやる場合に、必然的に止むを得ずやらなければならない最小限度の復旧不適地を申しておるのでありまして、例えて申しますれば、陷落のためにここに大きな水溜めのような水没地帯ができ上つた。これは陷落の状況によりまして、一尺下つておるところもあれば、五尺下つておるところもあるというように、水深がそれぞれ一定いたしておりません。そういう場合にそれを現場を盛土をいたしまして、復旧をするというようなことが不可能の場合、これを排水をするというような工事方式でやつて行こうというような場合には、当然にその五尺の浸水をいたしておるところも、全部干したのがいいか、或いは三尺程度排水をいたしまして、若干のところを溜池の場所として残しておくということが止むを得ず出て来る場合があるのであります。五尺を排水すると一尺しか現在陷没していないところが非常に乾き過ぎるというような状態が起きて来ることも考えられるのでありまして、その工事全体といたしまして、一番効果の高い、又全体として最大限度の復旧できると、こういうようなところを工事の目途にせざるを得ないのであります。そういうところに起きて来ます止むを得ない最小限度の復旧不適地というものにつきましては、これは工事のほうからみますと、どうしても止むを得ないではないかと、かように考えるわけであります。そういう問題についての認定に関しましても、農林省といたしましては、技術的な良心を以て、又利害関係者の意見を十分に聞きまして決定いたしたいと、かように考えております。
○石川清一君 最後にお尋ねいたしますが、先ほどから申しましたように、一歩譲りまして、被害土地の農民というものの一応の意思を抜いて、その次に問題になるのは、先ほど申しましたいわゆる復旧に対する責任官庁の私は意思だと、まあこういうふうに考えておりますが、先ほどのお話によりますと、この土地の原状回復、効用回復というものは、一般の自由意思によつて行う土地改良と、天災地変によつて行う自然に対して受身で立つ場合と、これを同一に見ることができない。だけれども、土地改良と原状復旧そのものは、それは耕作者或は土地の所有者、所有権者というものの意思の上に立たなければならないが、その時の地上における耕作権というものと、地下における鉱業権、採掘権というものは、この中で噛み合いをせずに、両方から逃げ合いをして、両方がこう逃げておる。どこかで衝突をして問題の解決が次に残されるというのなら、この法案はどこか見込があると思う。ところが両方逃げてしまつて、どつちも逃げておる、法律の態度も逃げておる。法律の中でも逃げておる。皆あいまい模糊として、どこにも衝突するということがないので如何か。こういうところが本当に農業土木を中心にして、原状回復は即効用回復で、而もそれはいわゆる経営の安定という上に立つておるのだという責任官庁の積極的の意思があれば、これはもつと責任の転嫁がどこかに持つて行けるのですが、そういう点についてこのままで農林省はよろしいと思うのですか。
○説明員(谷垣專一君) 農林省のほうといたしましては、当初この復旧計画の場合に、基本計画というものが立てられるわけであります。その基本計画に関します限りは、その中から基本計画に基いて実施計画ができ上るわけであります。このときは当然にいろいろな経費その他が弾き出されるわけでございまして、従つてそれによつて工事の全体のやり方というものは、精細にきめられるわけであります。まあその精細にきめられた工事を遂行して行く、こういう責任を持つておるわけでありまして、その責任を持つておる限度におきましては、これでやつて行けると、かように考えております。従いましてこの法律によつてやらない地区がこれは相当あるかと思います。これは現在行われておりまする鉱業法の通常の原則によつて賄われるわけでありますから、この法律でとれないものは鉱業法の原則でやつて行く、こういうことになるので、その点ははつきりしておるんじやないかというふうに考えております。
○石川清一君 それから今までのお話を綜合的にずつと纏めますというと、完全な法律案ではない、やはり臨時的なものである、最後的には金銭賠償に頼らざるを得ない、その金銭賠償も責任の限界がはつきりしておらないので、最後には弱い農民が犠牲になるんだ、仕方がない、こういうように私は了承するのですが、それでよろしいですか。農林省の先ほどの御意向を聞きますと、まあ全部はできないんだ。だからこの法案は金銭賠償を最後的に行うんだから、できてもできなくても、まあ計画は立てるけれども大した効果がないんだ、だからもつと研究する余地はあると、こういうようにお聞きしたのですが、そういうようにお聞きして、もうおきます。
○委員外議員(清澤俊英君) 先ほどから私の質問したいと思う点を石川さんから大分農林省側のほうへお伺いしておられるようですから、その点は省きまして工事の施行上について今やつておられる特別鉱害の方法等から見ました結果としてちよつとお伺いしてみたいと思います。大体この法案からみましてもそうでありますが、復旧工事の施行の区域が大体鉱害炭鉱若しくは地区的な計画が進められております。総合的な計画がないと思いますが、その点どうなつておるのでございますか。
○説明員(谷垣專一君) 特別鉱害のほうは、御存じの通りに特別鉱害の地域というものは通産省のほうから指定がございます。で、その地域内における復旧工事をやつておるわけでありまして、工事その他の監督等の責任を農林省が農地に関しましては負つておるわけであります。この法律はその特別鉱害の地域以外のところの一般鉱害が対象になるわけでありまして、この法律が進行いたしますのは、鉱害復旧の基本計画というものができまして、それから進行して参るわけであります。そこで鉱害復旧の基本計画というものがどの程度に総合性を持つかどうかということが問題だと思いますが、これは事業団が作成いたしましてやるわけで、事業団のそれぞれの評議員等のメンバーには関係者がそれぞれ入つておられるわけであります。そこでこの基本計画の立て方如何によつて今申されまする総合的な計画が樹立され得るのでありまして、当然問題の順序はあるかと思いますが、基本計画というものは総合性を持つたものであるというふうに私たちは考えておるわけであります。これは今後運営でそういうふうにやつて行くものだと考えております。
○委員外議員(清澤俊英君) 勿論只今言われるような方法で行くのが正当ではないかと、こう考えるのですが、実際今特別鉱害でやつておられますのは、部長が言われる通り、地区ごとに計画が立てられ、その結果現に古月村でわしらどもが視察したところによりますと、一どきに工事になる。川は満水している、そこへ一応その附近の各地区に溜りました水を川の中へ掃き出すという計画を持つておられる。そこで三カ所乃至四カ所のところに溜りました水を一度にその川の中へ入れます。そうすると川が溢水して却つて溢れて来るから、三日くらいで済ますというのが四カ所ありますれば一番下にありますところは十二日待たなければならん。その間に稻は全部枯死してしまう、こういうような結果が出て来る。非常にこれは問題であると思う。とてろが今のこの法案で見ましてそういう総合的な水を流す計画までのものがこの法案の計画ではでき得ないと思う。而してみますれば、現在作つたものがもうこれは復旧さしたとこう言うてみましても、何かの災害になれば現実に復旧になつておらない、こういうものができて来る、私は少くともその点までの復旧が考えらるべきものであると思うと同時に、特別鉱害等にはそういう点に対して農林省のほうでは何ら関与しておらん、その有力な実例としましては、先ず熊本の農地局がどんなことをやつておるか私らなんにも知りません、こういう点、而も局長のごときは一応排水幹線を作つて出して、これは一つの水害地帯と見るべきものである、こういうことをやつたらよかろうじやないか、こういうことまで言うておる、そういう経費はこの中には盛つていない、出ておる恰好になつておりません。若し仮にそういうものに使つたとするならば、地区的な復旧の経費がぐんと減つてしまう、そういうことは考えられますので、従つてそれに対しまするところの相当なお考えを一つ聞かして貰いたいと、こう思う。
○説明員(谷垣專一君) これは御指摘になつておりますように、大体鉱害の対象になつておりまするところは陷没になる、従つて一地区一地区の復旧計画を立てるのでは不十分なんであつて、その全体の排水なりが完全に総合的な立場から検討されて、それが遂行されて行く計画でなければ十分でないという御意見かと思いますが、それはその通りであろうかと思います。勿論そういう特別鉱害にいたしましてもそういう立場で議論をすべきであろうかと思いますが、併し特別鉱害の区域というものは鉱害全体の地域に亘つておりません。従いまして特別鉱害だけの計画が果して十分に全体の総合的な復旧工事の一環として完全な役割を果しておるかどうかという点につきましては問題がいろいろあろうかと想います。併し特別鉱害の復旧工事をいたしました私たちといたしましては、その計画の当初におきまして可能な限りの総合的な復旧計画の一環としての立場を考えてやつて来たつもりであります。今後全体的な鉱害の復旧計画が立てられる場合に、又従来の特別鉱害の復旧工事と睨み合いをいたしましてその間の調節を十分にやつて行かなければいけないと、かように考えております。ただ問題は地表に出ました状況だけを以てこの特別鉱害の総括的な計画は立たないのであります、と申しますのは、現実に石炭の採掘は続いております。そうしまして陷没鉱害の発生も今日現在なお続いているのであります。どの程度に一体陷没が起き、どの程度に石炭の採掘が行われて行くかということと全部を見合せました意味における、地上、地下を通じました意味における全体の総合計画が立てられなければ、完全な意味における復旧基本計画にはならないか、復旧総合計画にはならないかと思います。これは一時に全部を見通すことはなかなか困難はあろうかと思いますが、私たちが復旧計画をいたします場合には、可能な限り全体の大勢を睨み合しながらやつて行くべきであろうと考えております。当然にこの一般鉱害の復旧によりまする基本計画である復旧基本計画なるものも、かような立場から立てらるべきものであると、かように考えております。
○委員外議員(清澤俊英君) 一般的な計画を立てることはこれはいいことだが、こういうお話と思いますが、それをするにつきましてこの法案には出ておらないじやないか、こういうことを私は申上げたのです、そういうのかどうか、とにかく私はそういうふうに申上げた。一般的な計画として総合的なものにして、新らしく排水路を、大排水路を一つ作る、こういうふうなことがこの法案では出ておらない。各地区の鉱害地区を中心にした一つの事業団ができ上つて、その土地の効用回復というものだけをやつて行くのであつて、その結果として出て来た今の水の始末というものを、総合的に流して行くというものを作りますときには、この法案では出ておらないのであります。従つてそれが若し仮に必要だとするならば、農林省としてそれは別の立場でそういうものをお作りになるお考えがあるのかどうか、お考えがなかつたらこの法案では私は出ておらないと思う。金の出場が、経費の出場が、この法案自身から言うと、そういうものまで計画することはこの法案のどこにも出ておらない。鉱害地区に対しまする効用回復若しくは原状回復に対しますところの方法は語つてあります、その不十分な総合的なものを直して行くものが何にもここにはない。
○説明員(谷垣專一君) それは復旧基本計画に当然入るべきものだと考えまするが、復旧基本計画のときにどうしても入らないということであれば、これは農林省としまして実施計画でそれをどうするかというわけには行きませんので、別箇の考え方をどこかでとつて行かなければならんと思います。問題は、恐らくその場合生じますのは大きな排水路の問題と申しますよりは、遠賀川なら遠賀川の大きな川の改修になるのではないかと思います。だからそういう場合にそれが復旧基本計画の中に入るかどうか、というのは、この復旧基本計画というのは一応農地、河川その他の復旧基本計画も全部一応睨み合せてできるようになつておりますから、調節はとれるのではないかと考えております。
○委員外議員(清澤俊英君) とれるのじやないかと思つておるのじやこれは解決できないと思います。あなたが言われる通り大排水路を作るか、或いは河川を浚渫して河床低下を図る、いろいろな方法がありましよう。これは又この法案だけのやり方であつたらそれまではできないと思います。現に特別鉱害におきましてもそういう考えはないのだ、ないことは農地局長自身も何にも知らない、計画自身が何もわからない、あそこへ来て見て、局長自身がこれはどうしても排水路が要りまするが、そこで県の土木部に向つてそういう計画でもあるのか、初めはないと言う、わしらが帰りますとき県庁の応接室で、知事の応接室で初めてこういう計画はあるのでございます。そんなものは一晩で作つたので、見てわかります、だからむずかしい質問をしないで、結構なものでございますと言うて帰つて参りました。決して総合的な計画はしてありません。
○吉田法晴君 関連して、ちよつとこれは要望になると思うのですが、今話の出ました古月のポンプ・アップというものは、特別鉱害で三百馬力であつたかと思うのですが、数十町歩の排水をやつておるポンプがついておる、それは西川という川に流れておる、ところが西川の排水が十分でないものだから三つ、四つそういうポンプ・アップをすると洪水期に溢れて、そうして折角排水した水が川から溢れて又耕地に帰つて来る、下のほうでこういう現象があるわけです。それが西川という川が中小河川でこれは建設省のほうの工事になつておる。ですから耕地のほうの関係、或いは特別鉱害として考えた場合には、それが水を吐くということはこれは考えられる、それが、吐くほうはとにかく別の中小河川として考えておるから逆流して来る、こういう結果になつておるということを清澤氏は指摘をしたわけです。そこで一般鉱害の場合にも同じようなやり方をするなら同じような結果が出て来る。そこで総合的に鉱害復旧というものを考えて貰いたい。これは特別鉱害と一般鉱害とのやはり関連もあると思う。中には例えば曲川の如き特別鉱害でやつて、これから先の復旧を特別鉱害なり、或いは一般鉱害に入つて来る部分もありましよう。これは地理的には関連して、或いは排水なり効用回復という点は、一般鉱害であろうと特別鉱害であろうと、或いは中小河川であろうと現実には繋がつておるという結果になつておる。その辺は今後の計画において総合的に考えて貰わなければ、折角やつても目的を達せんから、総合的な観点から一つ計画を立てて貰いたい、こういう要望であろうと思うのです。
○説明員(谷垣專一君) 私の説明が不十分だつたかと思うのですが、今御指摘になりましたようなところは、当然にポンプ排水をいたしまして、西川なら西川に流します場合に、西川の河底を浚渫いたします浚渫工事が行われるということを前提にいたしております。又曲川のところの排水ポンプの事業にいたしましても、そういう意味の連関が行われてなされておるわけであります。これは県の土木当局或いは建設省関係のものと連絡はいたしてあります、そういう意味で現在のところでは各担当をいたしておりまするところと、その繋ぎ目繋ぎ目のところを十分な連絡という形で捌いて行かなければならんかと思います。若しもこの基本計画というものがそういう問題にも全部含められまして、計画が立てられ、そうして各地区々々の計画もそれに基いて立てられるという形になりますれば余計にその点の調節がスムースに行くのではないかと考えております。抜本的に申上げますれば、あのあたり一帯の、全体の地域的な総合計画というものが、何か一本の組織で行われるということは望ましいかと思いますが、現在のところではそういう組織がございませんから、従いまして各機関々々の連繋を密にして、そうしてここに書いてある復旧基本計画の中にできるだけそれを織り込んでやつて行く、こういうことになるだろうかと思います。
○委員外議員(清澤俊英君) 只今の問題は非常に無理なお願いになると思いますが、是非一般鉱害も、これは特別鉱害にしても共に必要性があると思います。農林省がこの計画を進められるときの基本計画なり、若しくは実施計画に対しては十分の御考慮を願つて行きたいと、こう思います。 その次に中島さんにお尋ねします。今こういう問題が遠賀郡遠賀村に起きているのでございますが、排水をつけて貰いたい、これまでは特別鉱害で行なつて貰いましたが、但し加害者がわからない、不明だ。そのためにこれの用水の経費の出場がないので農民が非常にこれに対して不服を言つています。この管理に当つて世話をやいている人が非常に迷惑している、こういう問題が一つ、いま一つはこの水が排水いたしましたために、対岸の耕地が非常に少くなつて、対岸の低地に耕作地をもつている者が約三町ほど吐き出します排水によつて流されてしまつた。非常に迷惑している。これらの賠償はどうして頂けるか、こういう問題が出ておりますが、こういう措置はどういうふうにおとりして頂けるのか、或いはこれらのものを将来どういうふうにして実際問題として処理して頂けるのか。
○政府委員(中島征帆君) 特別鉱害の場合におきましては、負担金はトン当りいくらでとつておりまして、全部プールいたしております。加害者の不明の場合でも工事ができないということはないと思います。ただ今のお示しのような実例が実際的にどうなりますか、私もいま少し調べませんと即答できませんけれども、鉱区の沿岸責任者がはつきりいたしますればやはり特別鉱害の枠内でできるのじやないかと思います。いま少し調査したいと思います。
○委員外議員(清澤俊英君) 非常に農民はこれに対して困つておりますので大至急調べて御善処をお願いします。
○吉田法晴君 実は一昨日ですか、質問をいたしかけまして途中で切れているのですが、法制局の西村局長には大変お待たせして恐縮でありましたが、原則的なこの法案を作られた基礎もございます。それから先ほど来石川さんからお尋ねになつた点も法理的に明らかにしなければなりません、それから予算関係についてはいまの通産省、農林省の関係からしましても、まだ明らかになつておりません。それらの点を明らかにするために五、六時間はかかるかと思いますが、なるべく能率的に質問し、御答弁を願うということで進みたいと思います。 石川さんは背骨がないということを言われたのでありますが、私は御答弁を聞いておつてこの復旧事業は誰がやるか、国がやるのか鉱業権者がやるのかという問題もありますが、一番問題になります七十五條、七十六條、七十七條、七十八條、それから七十九條、そういう復旧をしましたあとの賠償といいますか、補償といいますか、それから復旧不適地の金額を農林省令、通産省令で定めるところに従つて支払うわけでありますが、それはどういう性質の金であり、それから誰の責任か、こういう点が一番明らかになつておりませんので、先ずお尋ねをしたいと思います。政務次官はそれは間違われましたけれども、年々支払うと、それは国が支払うと、こういう意味の御答弁でありました。それから農林省の谷垣部長は、あとはこれは鉱業法で云々ということで鉱業権者の責任であるような御答弁になりました、両者の間には少くとも気持の上で大きな違いがあると思いますが、先ずこの本質的に払います金の性質、それから法上誰の責任だと考えて支払うことにされるのか、その点先ず承りたい。
○委員長(竹中七郎君) ちよつと私から発言いたしますが、昨日西田委員から建設、安本、農林、通産、大蔵大臣の要請をされまして、これが出席を要求されまして予算の面の回答を聞きたい、こういうことになつておりましたところ、安本長官が本日大蔵大臣とお話合いをせられるはずでありましたが、まだできない、そこでお話合いができたときにおいて近い機会に返答するとこういうことでございましたので、御報告申上げておきます。
○政府委員(本間俊一君) 先ほど私がお答えをいたしました中で毎年払うのだと、年々払うというふうに申上げましたのは間違いでございまして効用が回復いたしまする間何年分をきめまして、そしてそのきまりました額を一時金として事業団のほうから払う、こういうふうに一つその点は御了解を願いたいと思います。 それから農林省の谷垣管理部長のお話は私の答弁と食い違つておらないのでございまして、復旧をいたしまする基本計画を立てる場合にはいろいろ経済的な面も勘案をいたしまして、そうしてこの土地は復旧計画を立ててやると、こうきめました場合は、認定がございました場合はその地域に対しましてはこの法律に従つて基本計画を立てて復旧工事を進めて行く、で、経済的に判断をいたしましてこれはとても復旧しても経済的に合わないというような地域も当然出るわけでございますので、その復旧をしないと認定をいたしました地域に対しまし七は、鉱業法の只今実行されておりまする原則によつて行くと、従つて金銭で賠償して行くと、こういうふうに答弁をされておるわけでございますので、その点の食い違いはないと、私が前回申上げました点は誤りであつたと、こういうふうに御了承を賜りたいと思います。
○吉田法晴君 今の御答弁では農林省の答弁は復旧不適地の、この名前は法文上には出ておりませんが、農林省令、通産省令で定める算定基準に従つて支払うべき金額、それを支払うことであつて、それは鉱業権者が鉱業法上支払うべき賠償金額に、補償金額に該当すべきものを事業団が支払う、こういう御説明であると思う。そうすると事業団が鉱業権者に代つて鉱業法上の責任を果す、こういう御趣旨と解してよろしうございますか。
○政府委員(本間俊一君) これは私の説明が足らなかつたかと思いますが、復旧するという地域がきまりまして、そうして計画を立てまして実施する。その工事が完了いたしまして、なお経済的な効力が回復していないという部分につきましては、事業団のほうが金を支払う、こういうように御了解頂きたいと思います。
○吉田法晴君 今の場合じやないのです。今の場合はあとから聞きますが、復旧不適地に払う金は原案では七十八條、衆議院の修正案では七十九條、これに農林省令、通商産業省令に定める算定基準に従つて金額を支払う。その金額の性質は何とも書いてありませんけれども、その金の性質は鉱業権者が鉱業法に基いて支払う賠償ですか、補償の本質を持つておつて、それを事業団が代りに支払うという建前になるのか、こういうことを尋ねしておるのです。
○政府委員(中島征帆君) 事業団がきまりました金額を支払うまでは鉱業権者も賠償責任があるわけでありまして、ただ或る一定の期間まで鉱業権者に対する請求権を停止しております。従いまして、この場合においての事業団が払うということは、鉱業権者に代つて払うというふうにお考えになつても差支えありません。
○吉田法晴君 そうすると、先ず鉱業法上の責任関係があつて、法律関係があつて、そしてそれに代つて事業団が不適地については支払う。その支払つたあとの問題については、鉱害についての責任を解除される云々というような関係がありますけれども、一応支払う金の性質は鉱業権者の鉱業法に基く金だと、こういう意味の御答弁だつたと思います。 更にもう一つ、谷垣部長は、その支払つた金額或いは臨時石炭鉱害復旧法案による金額の支払い、七十九條による支払を越えたものについては、鉱業法上の責任が生きるのだと、こういう御趣旨であつたかと思いますが、そうしますと、例えば、この七十九條によつて支払つた場合に、あとで問題が起つたという場合には、百九條なら百九條が生きて動くと、こういうことになるかと思いますが、そういう御趣旨であつたのかどうか、それを一応聞いておきたいと思います。
○説明員(谷垣專一君) 七十九條の、「復旧不適地」と称しておりますものは実施計画の、計画内部に入つておる復旧不適地とした土地であります。これは先ほどお話がありましたように、事業団が払うものと、それから鉱業法に基いて鉱業権者が払わなければならないものとが両方併存しているわけであります。そこでこの復旧不適地の金額、事業団が払う金額を払いました場合においては、この加害者の鉱業法に基きまする責任が免責される、かようなことに相成つていると思います。従いまして私が先ほど申上げました普通の鉱業法に乗つて行くと申しましたその点は、この復旧の実施計画の計画地域に入らないもの、実施計画の対象にならなかつたもの、そういうものにつきましては本来の鉱業法の両当事者の間の鉱害賠償責任、その他の関係がある、こういうことでございます。
○吉田法晴君 基本計画に入らないものについては質疑をする必要もないし、論議をする必要もないと私は思うのです。七十九條の復旧不適地についても、事業団が支払つた場合に鉱業法上の賠償義務が免責されるかどうか、この点については、七十九條それ自身については書いてございません。鉱害賠償責任との関係については七十五條、これは修正になつておりませんが、これは復旧工事をやつた場合に検査云々というときに免責がございます、ところが七十九條の関係については、免責規定はないように私は思うのですが、どういう條文によつて免責をされるという工合に解釈せられますか。
○政府委員(中島征帆君) 原案の七十八條の二項、修正案三項になつておりますが、この場合に、今のお尋ねのケースでございまして、鉱害が消滅したるものとみなすという明文になつております。
○吉田法晴君 今の私のお尋ねは、確かに前の二項、それから修正案の三項にございます。もう一遍修正された七十九條の基本的な関係に帰りますが、そうすると、この復旧不適地について農林省令、通産省令で定める算定基準に従つて金を支払う。それは本来は鉱業法百九條による賠償義務の履行、こういうことになりますが、実際問題といたしまして、その金額がこれはどういう工合に算定されるかということにもかかつて参ります。支払われた後に問題が残つたといたします、或いは一応それで片附くとしても、問題が再び起つた、こういう場合に三項で以て鉱害が消滅したものとみなすという、これは七十五條にもありますが、これの解釈にもなりますが、鉱害という事実関係が消滅したものとみなすという法律上の擬制であるとすれば、実際上に問題が起りました場合に非常に争いの解決が困難になると思うのですが、或いは新らしい鉱害が発生したというか、或いはこの場合には七十五條の場合のような或いは修正案七十七條のような要素が入つた云々という認定も困難だと思います。その場合に本来鉱業法上の関係であつたというものを七十九條で片附けて、そうして問題が起つた場合にその関係はどうなるのか法上の関係……。谷垣部長の説明を以てすれば、本質的に鉱業法上の関係ということになれば、鉱業法上の問題として問題になるかどうか、こういう問題が起つて来るかと思いますが、どういうふうに解釈せられますか。
○政府委員(中島征帆君) 即ち七十八條、修正案七十九條に基いて全額を支払つた場合には、そこで鉱害責任が消滅いたしまして、従いまして鉱業法上の鉱害もなければ請求権もない。この法律によつて最終的にその点が擬制でありますけれども、鉱害そのものが消滅したことになる。従つて少くとも現在問題になつております鉱害賠償の問題は完全に出て行くことになりますが、その結果といたしましてその全額が適当でなかつたということになりましても、これはすでに鉱害がないということになつて行くことになると思います。併し若しも新らしく地下採掘等によつて鉱害が起きた場合には、勿論新らしい鉱害としてこれを取上げるということでございます。
○吉田法晴君 その鉱害が消滅した場合とみなすという規定の仕方は七十八條或いは修正の七十九條、それから七十五條にもあるわけでありますが、七十五條の場合には原状の効用回復をする。そうするとポンプ・アツプもありましようし、或いは五尺下つたものを三尺か四尺上げたという場合もありましよう。そうすると先ほどの設例がありましたように実際に鉱害が残る場合があり得ると思います。その残つた場合にも、法によると鉱害は消滅したものとみなすという、こういう事実関係が否認されておりますけれども、そういう事実関係の否認が法上といえども可能であるかどうか、こういう問題が起つてくると思うのでありますが、西村局長如何ように考えられますか、一つ承わりたい。
○政府委員(西村健次郎君) 大変むずかしい御質問でありまして、或いは御質問の趣旨と多少合わないかも知れませんが、原案の七十五條でございますが、仮に効用回復が十分しない場合の差額というものは、これは実質的にはその部分は金銭賠償、法律的には関係ない。ただそれの打切補償という恰好になる。それでこれをみなすというのはおかしいじやないかという御疑問だと思いますが、これは法律上の技術としまして一定の事実を擬制するという場合にみなすという言葉をしよつちゆう使つております。その場合において事実ここに一定の発生した具体的な鉱害を掴えてこの法律で行く、それから片や鉱業法上の鉱害賠償義務というものがあるわけであります。それをこの法律でやることは鉱業法の鉱害賠償義務を事業団なりが履行したということではない。従つてこれで払つたことによつて、片一方鉱業法上の鉱害は消滅したものとみなす、こういうことにしてあるわけであります。或いは御質問のあれに合わないかも知れませんか……。
○吉田法晴君 こういう賠償責任の消滅の規定の仕方は特別鉱害の場合に、その十二條損害賠償責任の消滅という見出がついておりますが、この法律の規定によつて、復旧工事が施行されたときは、その限度において鉱業法七十四條の二、これは変つておりますが、の規定による損害賠償の責任は消滅したものとみなす、その限度においてということがちやんと入つております。それからちよつと手許にございませんけれども、労災法に、労働基準法に基く傷害の補償義務を労災で支払つた限度内においては、労働基準法に基く補償の義務はその限度において消滅したものとみなす、ちよつと今條文を探しますけれども、そういう規定があつたと思うのです。そういう仕方ならばこれはわかります。法上の擬制がどういうものであるかということはこれは御説明を頂かなくてもいいのですが、そういう規定の仕方を、限度内でなくて、無條件的にとにかくみなしてしまうということが規定できるかどうか、これは法制局として法文ができました場合に恐らく見ておられると思うのですが、そういうことが一体ほかにもあるのか、或いはそういうことが許されるのかどうか、この点を実はお尋ねをしているわけであります。
○政府委員(西村健次郎君) 今の問題、例えばその特別鉱害の今私條文を手許に持つておりませんでよく覚えておりませんが、今お話のようなことでありますと、これと実質的に大分違うのであります。この一般鉱害の復旧のこの法律によりましては実質的にはすべて鉱害というものに対する復旧と申しますか、鉱業法上の損害賠償というものがこの法律によつてすつかりとつて代られるということになるわけです。従つてその損害賠償義務の発生している基本になる、鉱害そのものを消滅したとみなしても一向差支えない。然らばそういうすつかりとつて代るということができるかどうかという御質問でございますけれども、これは然らばこの法律でいう効用回復の工事とか或いは差額に対する補償というものが鉱業法上の損害賠償と比較して或いは被害者についてこちらのほうがうすいというようなことがなければ立法論としてはちつとも差支えないのじやないか。勿論法律的にはすつかりとつて代るということは私は一向差支えないのじやないか、こう思つておりますが、ただその場合において妥当かどうかという議論があります。妥当かどうかという点になりますと、この法律による効用回復、差額の補償と申しますか、差額金の支払いというようなものが鉱業法上と比較して同等或いはそれ以上ということになれば勿論これは妥当と言えるかと思うのであります。
○吉田法晴君 これは実際問題もあると思います。今のように鉱業法上の責任をこの法律ですつかりとつて代る。或いは十二分に代る、こういうことになればそれはそれでも結構だと思います。それから或いは法案を最初に作つた精神の上に国が地方の全責任を以てとつて代る、こういうことであるならば私も納得せんことはないのです。ところが最初この法律を作つた衆参両院の意見、或いは内閣の、政府の意見にもかかわらず、この法律はその辺はつきりしておりません。鉱業権者が本来やるべきものを事業団が代つてやるのか、或いは国が全責任を負うてこの復旧工事をやるのか、この点はまだ議論が残つておりますが、この点がはつきりしておりません。そして法案を読まれたらわかりますけれども、予算の範囲内において補助することができる。或いは事業団が七十九條の復旧不適地についても支払いをするということになつておりますが、それも全責任を持つということにはなつておりません。通産省令、農林省令の定むるところにより……だから問題は農林省令、通産省令が出て来て、それが全部肩代りするものだという、こういう保障ができれば、それは或いは今言われるような、国がこの法律によつて全部代るのだということが現に現われているのじやないかということで私どもも安心します。農林省令、通産省令はまだ出て来ておらんわけです。それが全部について予算の範囲内、例えば復旧をする限度にしても、実際問題として十四万云云という点も先ほどお聞きになつたと思う。それから予算の関係について大蔵省なら大蔵省がどういう工合に考えているかということはこの前もお聞きになつたことだと思う。まだはつきりしておりません。そして今後予算の折衝と申しますか、獲得といつたようなものも今後進むわけですが、大きな数字をいいますと、例えば二百三十億のうちで実際に復旧するのは百六億程度だろうと思います。これは経済的な効用回復の限度というものを一応数字で表わしている結果だと思います。なお今後再軍備が進められて行く、或いは電源開発にしても数千億を食うわけでありますが、そうするとこの復旧事業なら復旧事業に出される予算というものも限度があるということも実際問題として考えなければならんのじやないか。そうすると今後問題は復旧をしたところについても或いは復旧不適地についても問題が残る。その場合に全部それはごの法律で片附くのだという建前で法上の擬制、鉱害はなくなつたという擬制を作られるということに問題の起る可能性はこれは御否定になるわけにはいかんと思うのです。それに特別鉱害の場合或いは労災保険法のような規定以上に出るということについては、これは危険じやないか、実際問題も併せて法案の規定の仕方についてお尋ねをするわけです。
○政府委員(西村健次郎君) 吉田委員から大変むずかしい、併し相当この法律の基本的な問題に触れる御質問のようでありました。私が御答弁するのは如何かと思う点もありますが、吉田委員御指摘の点は、或いは具体的な問題になりますと、さつき清澤議員の御質問の点と関連して来る点があつたのでありますが、この法律で具体的に、その何と申しますか、締め括りを付けていないじやないか、取つて代わるのはよろしいけれども、代わるなら代わるようにこれこれのものだというふうになつていないじやないかというふうに、まあ大まかに言つて、そういう点を御指摘になつたと思います。これは成るぼどこの法律のいろいろな規定の建前からしまして或いは納付金の額の問題、或いは通産省令、農林省令で定める算定基準のきめ方の問題、こういう点がこの法律に具体的に表てに現われておりませんので、今のような御疑念が生ずると思いますが、結局冒頭に申しましたように、先ほど申しましたように政府の意図としましてはこの法律で、従来その被害者と加害者たる鉱業権者との間のいろいろなトラブル、それをできるだけ根本的な解決をこれに図つたというわけには参らないと思いまするけれども、よりよいほうに一歩近かづけるというのがこの法律案であるということから出発いたしますれば、この法律が成立した曉において、政府として今いろいろこの法立の最悪の條件のみを捉えて、おつしやるような事態にまでなるというふうに御心配にならなくてもいいのじやないか、これは私は甚だこの点言い過ぎでございますけれども、まあ具体的にこの法律的にはつきりきめつけていないという点はおつしやる通りかと思います。まあこういう点だと思います。
○吉田法晴君 まあ西村さんはとにかくこの法律は完全なものだという前提に立つてその議論をせられておると思うのです。で、臨時立法だという点、それから法の不備、不完全という点は、これは皆の質疑者が認めているところなんです。それからそれは質疑を通じて、この本間次官さえも認めておられる。そうするとこれは臨時立法じやありません。労働基準法なり労働者災害補償保険法というのは、そういう臨時立法でない法律でさえ、或いは労災保険なら労災保險というものを作つたときには、これは従来の或いは鉱夫労役扶助規則であるとか、或いは死亡者に対して四百分の一といつたあれから比べて大きな進歩であつたと思うのです。労働基準法は自由党なり何なり、に言わせると、でき過ぎているくらいだと、国際的水準以上だと言われる法律である。而もその労働基準法上の責任を労災法で一応埋めると、恐らく今の完全か不完全かという意味から言えば、労災保險法のごときは、それは西村さんの言われるように完全な法律だと思うのです。この法律についてこれだけ疑問と、それから不完備さが指摘されたのに比べると、遥かに完備した法律だと、その完備した法律でさえも二十條の二項です。「補償を受けるべき者が、当該第三者より同一事由につき損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で災害補償の義務を免れる。」と、ここにも限度においてという、価額の限度でということが書いてあります。 で、御承知のように立法上の関係、或いは労働基準法上の関係、それから労災保険法上の関係という、これは三つありますが、はつきり二十條……これはほかにもまだあつたかと思うのですが、一応今ざつと見たところでは私の言います趣旨は、まあ二十條二項にも現われておる。それをこの法律が完全であるという前提の上に立つて、完全に肩代りするのだということはちよつと無理じやないかと思うのですが、どうですか。
○政府委員(西村健次郎君) 私は完全に肩代りするということと、この法律が完全なものだと、これは全然別の問題であるので、その点はちよつと誤解のないように……。 で、この法律は鉱害賠償義務を実質的に全部こつちで済ましてしまう意味で、完全に肩代りするということを申上げたのです。この法律が然らば肩代り……立法論になりますけれども、そういう点についてはよく詰めていないじやないか法律的に、ということを、よく御指摘になつたようであります。その点は先ほど申しましたような二千倍乃至五千倍のところできめるというその倍数がどうであるか、或いはその算定基準がどんなものであるかというところへ、実質的な問題はそこに出て来る。私の申上げたのは、すつかり肩代りするということを申上げたのです。肩代りするには、これはまあ吉田さんの御議論としてはこれじや危かしくてしようがないじやないか、例えば必然的な予算の裏付もないという御議論は私としてはよくわかるのです。それは立法論の範囲に属すべきことでありまして、私は決してこの法律がまあ完全であるということ、恒久的にこういう方向で行くべきであるということはちつとも申上げていないのであります。やはり鉱業法上の鉱害賠償金というものは、相当大きな根本的な問題を含んでおりまして、鉱業法制定の際もあれほどの議論といきさつがありました経緯から、これはまあ何と申しますか、中間的な一つのステツプであるというふうに見てよろしいのじやないか、こういうことは言えると思います。
○吉田法晴君 法律が完全なものであるかどうかということと、完全に肩代りするかどうかという問題は、論理的には一応それは切り離すこどができます。併し実際問題としては関連している。二千倍乃至五千倍、それ以上は国が補助する、そうしてそれで完全に復旧できるならそれは完全に肩代りすることもできるでしよう。それからなお復旧してもあと完全に使用できておつたものが、使用できるのであるということにならないから、その間の、完全に復旧するまでの損害を一時金を出そう、それも農林省令、それから通産省令ということになるが、それで完全に埋めるならば……まあ埋めるという前提に立つておられるが、埋めるならば、それは完全に肩代りすることができましよう、ところが予算上の問題からしても完全に肩代りできんじやないか、或いはポンプ・アツプの例も先ほど出ましたけれども、そのポンプ・アツプという例をとつでみたとしましても、完全には或いは効用も復旧しない。今後もそういうことは考えられる。それから通産省令、農林省令も出ておらん。そうすると実際問題としてそこに問題が残る。或いは補償が残る。鉱害なら鉱害という事実が残るということは、これは御否定にはならんと思うのです。残り得るということは、残つた場合にもそれは鉱害がないものとみなすという規定がしてある。規定がしてあることは間違いない。その規定がしてあるという事実関係をも否定するということは、そういう将来を予想する場合にできるかどうか、ほかの法令から考えてみてそれは行き過ぎではないかと、こういうことを申上げておるわけなんです。
○政府委員(西村健次郎君) まあ今の御指摘の点は、結局先から何遍も申します結局この法律による復旧工事なり、或いはその差額の支払金というものはどんなものであるかという問題になると思うのです。今のお話で、鉱害は残るじやないかというお話でありますけれども、その残るという意味はどういう意味でおつしやつたか、ちよつとわかりかねますが、恐らくこれは従来或いは年々補償というような形態であつたものがこつちでは打切り補償になる。例えば差額の点につきましては、それがまあ怪しからんじやないかということになる、これは別問題だと、それからその打切り補償といいますか、その額の算定は先ほど申上げましたように農林通産両省令で定める基準でやるということになつております。それはあぶなつかしくてしようがない、どんなところにできるか、基準はどのようなものかわからないということを前提にしての御議論だと思いますが、それは私その点は通産省なり、農林御当局からお答え願つたほうがいいと思いますが、やはりこの算定基準というようなものは本来なら法律に書いたほうがいいと思います。恐らく書いたほうがいいと思います。そうするとはつきりと責任が突きつめて行けるのです。実際問題として農地というか、この場合農地をとつてみますと、極めて技術的な問題であつて、その点についてはやはり法律を誠実に執行する義務を持つておる内閣というか、政府というかを御信頼になつていいのじやないか、まあこういうふうに思うのです。
○吉田法晴君 それではもう一つ念のために聞きますが、特別鉱害の場合の十二條、それから労災保険法上の二十條、そういうのが今までの規定の仕方であつたと思うのですが、それはこういう法律関係だけでなくして、賠償の責任という問題じやなくて、鉱害そのものの事実関係をも否定するような擬制の仕方をされた法律の規定の仕方が別にあるならお教えをして頂きたいと思います。
○政府委員(西村健次郎君) 今ちよつとどの法律の第何條にあるかということを思い出しませんけれども、こういう例は恐らくあると思います。それが部分であるか全体であるかの違いであります。
○吉田法晴君 この事実関係が残る場合も事実関係を否定するような法律が別にありますか。
○政府委員(西村健次郎君) その事実関係が残ると言われまするけれども、この鉱害というのは物理学的なそこの田圃がただおつこちているというだけのものではないと思う。やはり経済的な損失という、そういう事実だろうと思う。従つてそれはその打切り補償なり、或いは一括して金銭の補償をするといつた場合には、法律上取扱として事実関係はもうなくなつたと見て一向差支えない、こう思うわけであります。新たな鉱害が進行すればこれはもう別問題ですが、これは鉱業法上も同じじやないかと思うのです。
○吉田法晴君 この問題は鉱害の賠償については、百九條に損害の発生をしたときには「その損害を賠償する責に任ずる」と書いてありまして、事実関係が起つたならば損害賠償の義務が生ずる、こういう規定の仕方だと思います。その鉱害賠償の責任の問題をこの法律でどう扱うか、こういうことであつて、例えば別に法律で、鉱業法なら鉱業法の施工細則でもつて、こうこうこういうことがあつた場合には鉱害はなくなつたものとみなす、賠償責任でなく、事実関係なら事実関係を否定するような規定の仕方があつたとしたならば、それは恐らくそういう立法の仕方というものは私はなかろうと思うのですが、今御答弁の中では事実関係なのか或いは法律関係なのか、その辺の御答弁がはつきりしていませんでしたが、重ねてその辺をお聞きしておきます。
○政府委員(西村健次郎君) 私は或いは、これはちよつと鉱業法のときの大分前のことで少し間違つておることを申すかもわかりませんが、鉱業法の百十一條の原状回復というような面は、五尺陷没したところは五尺盛土をすることだろうと思うのです。この法律にいう効用回復、仮に三尺盛土をして生産力が全く同じ効用だとするとそれで鉱害は消滅した。ところが吉田さんの言われるのは他の二尺だけはまだ鉱害として残るじやないかという御指摘だと思うのですが、それでこそむしろ逆に鉱害は消滅したものとみなす、こういうことを法律で言つている、こう考えます。
○吉田法晴君 鉱害賠償責任が云々ということでなくて、鉱害が消滅したとみなすという言葉は私は法律関係でなくて事実関係を否定する規定の仕方だと思う。例えば怪我をさせられた。それでその怪我について或いは場合によつては口頭で以て謝罪する場合もありましよう。或いはその名誉に関して、顏を傷つけたということで、或いは名誉回復について措置が講ぜられる、そう叶うことで以て賠償責任なら賠償責任は消えることがあるかも知れません。併し法律を以ても顏を怪我したのだ、併しながらその怪我したのだという事実はこうこうこういう場合にはそれはなくなるものとみなすという規定のしかたは私はないと思うのですが、問題はとにかく法律関係と事実関係との相違、それから法上に擬制を設ける場合の規定のしかたですね、これは法上の擬制ですから、法律関係を云々言うのだから事実関係じやなくて法律関係です。法律関係というと、この場合には賠償義務の問題ですが、事実関係を否定するような法文のしかたというものは私はまだ見たことはない。ほかにあるのだということなら一つ御指示を願いたい。
○政府委員(西村健次郎君) たびたび言われますが、多少食い違つているかも知れませんが、みなすということは要するに一つの擬制をすることでございます。或いは事実は違うかも知れないのです。これはまあ冷やかに申せばですね、例えばこれは一つの失踪宣告の効果という民法の三十一條、これはまあ古い法律ですが、これは生きているかも知れないのです、だけれども失踪宣言があつたものは、ぴんぴんどこかで生きているかも知れない。併し法律には上つて来ない。日本の法律にはみなしているのです。これはあなた、多少例は違いますが、今の場合に鉱害というものは三尺しか、だから二尺は残るというのです。今の吉田さんの御説明のように……。併しこれは否定して一向差支えないと思います。これはあとの立法論の問題だと思います。要するに、この場合に効用回復或いはその差額はいわば案質的に金銭賠償の打切り補償というものが十分行われるかどうかという立法論の問題になるかと、こう思つております。吉田さんのお話だとこれでは十分行かないから、恐らくこの限度においてとあとへ棒を引けと、こういうことだと私は拝察いたしますが、この点は私はむしろお答えする筋合じやないと思います。
○吉田法晴君 まきにその通りで、あなたのほうはこちらのほうでやるのだから、こちらでやるのですから……、折角来ているのだからその点を明らかにして頂きたいと思うのですが、それじやこの特別鉱害なら特別鉱害の場合には損害賠償の責任は消滅したものとみなすという規定のしかたがしてある。これが私は大体従来の例じやないか。それをまあ事実関係を否定するのじやなくて、事実関係を法上どう評価するかという擬制の問題だと……まあ失踪の例を挙げておつしやいましたけれども、これはまあ失跡の場合にしても、事実関係があつて、その事実関係をどういう工合に認定するかという法上の問題になつております。とにかくおらぬ、その社会関係の中で人間がいなくなつた、或いはどこか、まあスマトラにいるかも知れない。或いは生死が不明で、失踪の場合は何年でありましたか知りませんが、五年とか、十年とか、とにかくその社会関係の中にはいなくなつて来た。社会関係の中でその人間がいなくなつてから何年か経つたから、ここでその事実関係に基いて法律関係をどう整理するか、こういうことに私はなつていると思います。この場合にはこれは事実が残らんか残るかという問題、この問題は残ると思いますけれども、その事実関係が残るかも知れんという場合に、その事実関係をも否定することができるだろうか、失踪の場合にはその物理的な生死はわかりませんけれども、そこの場所におけるその社会関係が何年かなくなつていることは事案なんです。そこでこれは物理的に生きておる。そこで社会関係ができておりましよう。そこで法律関係ができておりましよう。ところがその住所におつた物理的な存在が何年かなくなつている。従つて、そこに社会関係がなくなつている。従つて、社会的な人間としての、人間の存在の関係を否定したということであつて、ちよつとこの場合の私は例にはならんかと思う。
○政府委員(西村健次郎君) まあ失踪の例を咄嗟の場合に引いたものですから、或いは御納得行かないかと思いますが、先ほど申上げましたように、これは鉱業法上の鉱害というものが原状回復なんかと併せて考えますと、五尺陷没したところは五尺鉱害がある。従つて、それは簡單に申上げれば、三尺では鉱業法上の鉱害は回復しないじやないかという疑問も生じますが、こちらは三尺でも効用を回復すればよろしいと、これは実質的にその農地の効用が回復すれば、利用者なり或いは農地の所有者なり耕作者が満足すればいいわけです。従つてその場合には、三尺であつても、五尺であつても、満足の行ける効用回復ならば、或いは実質的な補償であれば、恐らくその点は十分納得し得られるのではないかと思つております。
○委員長(竹中七郎君) ちよつと速記を止めて。 〔速記中止〕
○委員長(竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
○吉田法晴君 そうしますと、問題は、実際的に今の三尺、五尺という例がありましたが、効用が完全に回復されるかどうか、それからあとの一時金にしても、完全に補償ができるかどうかということなんですが、次官が言われたような言葉の裏の意味、一時金なら一時金を全然支払わんということは、これは私も知つております。国が全責任を負うのだということであれば、法律関係としても余り問題にはなりませんが、その点はこの法律において、復旧についても、効用の回復についても、それから或いはあとの補償についても、国が全責任を負うのだ、こういう建前であるのかどうか、その点を一つはつきり伺つておきたいと思う。
○政府委員(中島征帆君) 結局その場合におきまして、補償金なり、一時打切賠償金を出すわけですが、その最後の尻がどうなるかということでその補償があるかどうかということになると思います。一応納付金というものは一定の政令で定めた率できまると、これは将来動く場合があるといたしましても、そのきめられた納付金を復旧工事は取りまして、更に賠償金を支払うという場合におきまして、不足分を国費及び地方費の補助を仰ぐということになつておりますが、結局その補助金が必要な程度得られるかどうかというところに全部がかかつておることだろうと思います。補助金を出すということは九十一條に明文がございますが、それが予算の全体の枠の関係から完全に我々の希望する通りに貰えるか貰えんかという点につきましては勿論御懸念があると思いますけれども、併し少くとも我々としましては、そういうふうな不始末なことのないような補助金は十分取らなければならん。それから又仮に非常に悪い場合を想定いたしまして、十カ年間に予定しております鉱害の復旧ができない、それも特に補助金の関係からできなかつたという場合におきましては、これは更に延ばすということもあり得ます。又十カ年に大体復旧工事は終つたけれども、補償金等を支払うだけの金がなかつたというような、赤字が残るという場合がありますが、その場合には、何としても補助金以外には財源がありませんから、それを国から出して貰つて、究極においては事業団が円満に仕事がとり得るということができるようにしなければならん、又必らずそうなると思いますので、一応法律上は不確定なような恰好になつておりますけれども、実際面といたしましては、政府全体の力でこれが必ずできますということを申上げても差支えないのではないかと思います。
○吉田法晴君 その点は大事だからもう一遍確めますが、効用の回復について、それからあとの七十五條或いは七十九條の補償と言いますか、一時金について、農林省令或いは通産省令ということで国が全責任を持つと、こういう御確言を頂けますかどうか。
○政府委員(中島征帆君) そういうふうにはつきり引受けても差支えないと思います。
○吉田法晴君 まあやや喜ばされた形ですが、それでは実際問題として、この問題が残つた、或いは争いが残つたという場合には、どうされるつもりですか。一応今の精神と言いますか、気持はわかりますが、例えば鉱害賠償問題について争いがあつた場合には……、いや争いのないように地方鉱害賠償基準協議会というものに諮問して云々と、こういう規定もございます。今のところでは、法制局のほうでも、それから皆さんのほうでも、争いはないのだと、完全に効用は回復するのだ、或いは農林省令、通産省令による補償についても完全にやるのだと、こういう御決意でありますが、実際にはこれは残る危險性が多分にございます。残つた場合にどうするか、これについて一つお伺いしたいと思う。
○政府委員(中島征帆君) 争いがある場合と申しますのは、例えば支払うべき金額を協議会できめた場合に、その金額が少い、或いは不適地という処分をした場合に、その処分に不服であるという場合があるわけでありますが、そういう処分が確定すれば、そのあとにおきましては全然もう何ともいたしかたないわけでありますけれども、そういう処分がありました場合におきまして、一定條件の下におきましては八十七條以下にありますような異議申立の方法があるわけであります。これは「この法律又はこの法律に基く命令の規定による行政庁の処分」というように広く書いてございますので、金額の決定でありましても、或いは適地不適地ということの決定にいたしましても、或いは検査の結果ということにいたしましても、すべてそういうものに対してはこの八十七條以下によつて異議の申立ができる。この異議の申立の結果が、どうなるか、そのあとなお且つ当事者としても不満が残るということもこれはあり得ましようけれども、その場合におきましては、もう確定的にきまつてしまいますので、あとは全然方法はないわけでございますけれども、少くとも第二段的にこういうふうな手段があるということだけは申上げておきます。
○吉田法晴君 その辺に大分問題があるのですが、農林省令、通産省令というものの構想と申しますか、これは全文ができておらんことは勿論ですが、およその構想はこの委員会で御発表になつたのですか、或いはなることができるのですか、その点を一つ。
○政府委員(中島征帆君) これは実は今まだ素案を双方で練つておるという程度でありまして、まだ十分両省で話合もいたしておりませんし、とにかくこの法律が確定してから本格的にやろうということになつておりますので、恐らぐこの審議中に、仮に第一案といだしましても、お出しする程度まではどうも行かないのではないかと思います。
○吉田法晴君 農林省も来ておられますが、でき上る農林省令で問題がないような、或いは農民なら農民に対して全責任を持てるような農林省令、通産省令というものができるのかどうか、これを一つ。
○説明員(谷垣專一君) これから協議するわけでありますので、確定的なことを申上げるわけに参りませんが、農林省といたしましては、最近殊に軍用地の接収問題等々の問題を経験いたしておるわけであります。私らのものの考え方は、いわゆる通常申しておりまする完全補償の態勢をとつておるわけであります。当然にこの七十八條に基きまする問題に対しましても完全補償という態勢で話を進めて行く、こういうつもりであります。
○吉田法晴君 農林省として完全補償ということで行きたい、御自信のほどまあ大いに意を強くするわけであります。これはこの法案についての危惧その他を考えますと、これは当然或る程度の構想というものは、完全補償を期しますというだけではこれは安心をしておらん事実はこれは御承知だろうと思うのですが、法案自身について、農林省として随分御意見があつた、或いは御意見が残つておる、そうすると農林省令、通産省令というものについても今はまあ御自信のほどをお示しになりましたけれども、なお私ども残念ながらこれは不安が残るわけでありますが、問題がこういう法の建前でやりましたあとで起りました場合に、三年間の異議の申立ということはこれは可能であります。併しそのあとで問題が起りました場合に、これはこの法律で行けばもう何らの方法がない、あと国で全責任を持つのであるかどうか、その点がはつきりすればとにかくですが、今の農林省令で完全補償を期するという以外にありませんが、若し農林省令等で完全補償ができる建前になつたとして或いは実際問題として問題が残つた場合にどうするか、或いはそれに備えて今の法律について、運用についてどういうことをすればよろしいか、或いはどうするというお考えがあれば一つお伺いしたいと思います。
○政府委員(中島征帆君) 農林、通産省令できめました内容が、運用は別といたしまして、内容そのものが不備である場合には、勿論その実際の適用の実績に鑑みて又修正することもできますし、又それの適用に基く結果に対しまして、被害者等が不服のある場合に、異議申立等によつて最終的にきまるわけでありますが、併し如何なる手続を以てきめましても、やはりそれぞれ利害関係者というものの要求はどうしても過大になり勝ちでありますので、この点もう十分満足だというふうに、完全な満足を表するような決定或いは支払いということはなかなかむずかしいかと思うのであります。結局そこにつきましてはそういう程度の不服が残りましても、少なくとも客観的にみて、第三者的な見地から見て最も妥当であるという決定がなされている限りは、それでもう打切るという以外にないのでありまして、そのやり方そのもの、或いはその計算方法等につきまして、不備な点がある場合は、これは飽くまで修正もし、又予算が足りないために十分なことができない場合は、これは予算を作るというふうなことも飽くまでやらなければなりませんけれども、そういうことをいろいろ考えましても、單に最終的にきまりましたことにつきましては、單に不服があるという場合には、これはもうそこで打切つても差支えない、要するに客観的に見て妥当な線できめられるということにつきまして、これはやり方につきまして、各省と十分協議してきめるべきことであります。きめればこれはもう最終的に最も適当な方法だということを言わざるを得ないと思います。
○委員長(竹中七郎君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(竹中七郎君) 速記を始めて下さい。 本日はこの程度で散会いたしまして、明日午前十時から開会するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めて、ではこれで散会いたします。 午後五時六分散会