通商産業委員会 第53号
- 発言数
- 90 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1952/06/19
会議録
○理事(松本昇君) では只今から通産委員会を開催いたします。 本日は臨時石炭鉱害復旧法案を議題といたしまして、本法案の内容の一つである農地復旧について農林委員会でも深い関心を持たれておりますので、本法案の審議の際、委員外発言によつて質疑を行いたい旨の通告を受けておりま。だんだんとその時期が遅れて参つておりますので、そこで本日は農林委員会のかたがたの発言をお許ししたらどうかというのでありますが、御異議ございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(松本昇君) それではさよう取計らいます。
○委員外議員(三橋八次郎君) 会期も切迫し、御多忙のところを本案の審議に際しまして、特に農林委員に発言の機会をお与え下さいましたことにつきましては感謝申上げます。農地の鉱害につきましては、特別鉱害復旧臨時措置法案の審議の際におきましても、当委員会に申入れを行いまして、これが復旧に重大な関心を持つて来たのであります。一つの産業が非常に活発になるために、他の産業と競合を起しまして障害を与えるということは、実に遺憾なことであるのでございます。石炭にせよ大いに増産をしなければならん資材の一つであり、又農業のほうも食糧の増産という意味におきまして、原始産業というような見地から見ましても極めて重要なものでございます。従いまして、ここにいろいろ相待つて共にその産業の目的を達せられるようなことになりますると、国の政策というような方面から考えましても極めて重要なことであり、さような目的を達したいと思うものであります。実は農林委員会のほうでも大変関心が高いので、連合審査をお願いしたらというような話もあつたのでございますが、時間の関係もありますので、我々が参りまして二、三の点を特に明らかにしておきたいと思うのでございます。 農民から見ますると、農地というものは生活の基盤であり、生産のこれは根源をなすものであるということは申すまでもないのでございます。従来この鉱業法におきましては、賠償というようなことによりましてやつておつたのでございますが、農業を経営するという立場におきましては、農地というものはやはり原状の生産力を維持するということが農業経営上最も必要であり、生産力維持というような方面から見ましても非常に重要なことであるわけでございます。従来から当該農家のかたがたは、こぞつて原状に復旧をするということを原則として改正をしてくれというような要望があるのでございます。然るにこの法案は鉱業権者に復旧費の一部として納付金を納めさせ、残りは国及び地方公共団体が支出いたしまして、原状復帰を行うこととなつておるのでありますが、これによつて農地及び農業施設に関する鉱害問題の根本的解決になるかどうか、又これはどうしても抜本的解決を期待するような方策に進まなければならんのでありますが、その点につきまして農林省のほうといたしましては如何お考えでございますか。
○説明員(谷垣專一君) 今まで鉱害が発生いたしました場合に、現在の鉱業法におきましては金銭賠償の原則がとられております。原状回復の原則はとられておりません。で、従いましてこの法律におきまして、原状回復或いは又効用回復と申したほうが適当かも知れませんが、効用回復の原則がとられましたことについては農林省としましては、その改正がいいと考えております。但し問題になりますのは、この法律で完全に現在の鉱害がすべて効用回復、原状回復でなくても、効用回復の程度に全部が回復できるかどうかという問題については、少し考慮を要する点があるかと思います。と申しますのは、一つには今後石炭の採掘はどんどん進んで参るわけであります。従いまして石炭が今後採掘される場合においては当然に鉱害が生ずるわけでありますが、そういう将来起きて来る鉱害に対してどのような予防措置、或いは又それに対する防止方法がとられるかというような点がこの法律では明確にされておりません。そういう意味におきましてはこの法律だけで鉱害が絶滅するということは到底考えられないものと思います。又現在あります鉱害だけを考えてみましても、果してこの法案を運用いたしました場合に、これはすべてそれに対する納付金、或いは又その不足分を補いますところの国家からの助成というものが、事業費として決定されるわけでありますが、そういうものがどういうふうに決定されるかというようなことが、今後問題をいろいろ解決する上に大きな問題になるだろうと考えています。できますれば、この法案が更に原状回復の責任が確立するところまで行けばこれは非常に望ましいことだと考えますが、この法案におきましても現在の鉱業法よりも一歩前進しておる点がある、こういうふうに考えております。
○委員外議員(三橋八次郎君) まだこの法案では原状回復の十分な目的を達することができないというようなお話でございましたが、そうなりますると、結局原状回復を目的とするように、今の法案の運用に当つて農家の農業経営に欠陥ができないように、極力運用して頂きたいということ、近い将来において今農林省のほうからの回答通り、その目的が完全に達せられるように一つ修正をお願いしたいと思うのです。これは余分ですが……。 次は予算措置の問題について三点だけお尋ねしたいと思いますが、先ずこの法律の施行に要する予算措置は、二十七年度には組まれておらんように思いますが、これは一体どうするつもりであるかということについて、大蔵省及び通産省、並びに農林省に伺いたいと思います。
○政府委員(河野一之君) 臨時石炭鉱害復旧の予算措置ということでありますが、国において補助いたすものは公共事業という見地から補助をいたすのであります。つまり現在農林省或いは建設省の所管に土地改良及び災害復旧、道路、河川等のいろいろな経費があるのでありますが、この経費を重点的な配分として、差当りは考えるべきものであろうと私は考えておる次第であります。
○委員外議員(三橋八次郎君) この予算は従来組まれておる土地改良の予算、即ち土地改良費という公共事業費の費目から出されるということになると、非常に多い一般災害復旧工事に要する費用というものは、その枠の中にこれが食い込むというようなことになると、それだけ一般の予算が減るということと同じことになるのであるが、これは別枠としてやはりこの方面の法律が通過すれば、これに対する予算としてお組みになるというようなお考えはないかどうかということをお伺いいたします。
○政府委員(河野一之君) この法律は現行の鉱業法の建前を変更するものではないと伺つております。従つて鉱業権者がこの補償の義務のために出される金と、かてて加えて公共事業の見地から仕事を施行するということに相成るものと考えますので、この公共事業的色彩のものについては公共事業としての補助金が行く、こう考えておるわけであります。従いまして現在決して公共事業の経費は十分とは言えないのでありますが、差当りのところは、この経費の各省における重点的な配分として考えて頂きたい、こう考える次第であります。
○委員外議員(三橋八次郎君) なおまだ納得行かない点があるのでありますが、それはそれとして置いて、次に、この予算を農林省でとるべきか、通産省でとるべきかというような問題が起つておるそうでありますが、これは鉱業権者が出す納付金、それから地方公共団体が出す金、そして工事を行なう金との差額を国が出すというようなことになると、納付金というものがわからなければ、国で組む予算額というものはわからないわけであります。結局納付金と密接な関係のある通産省では、その納付金の額がわかるわけであるので、そういう意味から申すと、これは当然通産省で組んで頂かなければならんし、又通産省で組むことによつて的確の予算もできると思う。ただ原状回復というようなことなり、土地の生産力の維持増進というような技術的な見地においては、それから現場のいろいろな作業というようなことについては、通産省よりも農林省のほうがよいと思うのでありますが、予算の建前からすると、それは当然通産省で組んで、実際の仕事に当つてはその予算を農林省に移管をして仕事を完全にさせて行く、こういうようにすべきものだと思うが、この点は如何ですか。
○政府委員(河野一之君) 先ほど申上げましたように、この経費を補助いたすのは公共事業として考えるのでありまして、従つて公共事業は各省所管において実行いたしておるわけであります。つまり農地等の復旧であるならば、農林省が施行するし、河川、道路等になれば建設省という所に、おのおのそこが責任を持つて予算を執行することに相成ることになるのであります。勿論この事業の性質から言つて、通産省がこの主役を勤められていろいろな計画を立てられる必要があると思いますが、予算の建前といたしましてはこれを直接執行する責任のある官庁にこれを計上いたすというのが、現行の財政法及び会計法の建前になつておりますので、かように取扱うことはやむを得ないのではないかと、私はそう考えておる次第であります。
○委員外議員(三橋八次郎君) 成るほど財政法の建前から行くと、そうなると思うが、やはりこれは石炭のほうと農業のほうとをおのおの競合するところなく、両方の作業を完全に育成助長する意味においては、その一方的な考えだけでは完全に行かないと思うのでありますが、従つて予算を的確にとるという意味においては、鉱業権者と密接な関係を持つておる通産省のほうでやつて頂き、事業の分においては農林省でやるということにおいて、両産業に共に均霑をするというような結果になると思いますが、財政法の建前があれば、これはしようのないことであるが、そういうような両方とも効果の挙るような方法を便宜にとられる方法はないものかどうか、お伺いしたい。
○政府委員(河野一之君) 予算等については、通産省が実は一番実情を御存じでありましようから、まとめて大蔵省なら大蔵省に御要求になるということは、これは何ら差支えないことであろうと思います。計画をやつておられるのであるから。ただこれを実施されるのは各省であるので、実施の責任のある官庁が予算を持たねばいかないという建前から言うと、一応予算は各省として予算を国会に御要求申上げ、又それによつて執行さるべき建前にいたすほかないのじやないかと私は思つております。
○委員外議員(三橋八次郎君) 次の問題は、第七十七条によると、灌漑排水施設の維持管理の義務は、農民が引受けなかつた場合は賠償義務者に行くととになつておるのであるが、この法案は期限付の法案であるので、廃止されたときにはその義務は一体どうなるものであるかということを、通産省及び農林省の御意見を伺いたいと思います。
○政府委員(中島征帆君) この提案されておる原案においては、灌漑排水施設等の維持管理の責任は、これを引受けるものがなかつた場合は鉱業権者が負担する、こういう建前になつておるので、従つて鉱業権者が存続しておる限りは、その責任において維持管理するということになるわけでありますが、鉱業権者が破産その他の関係において消滅したときにはどうなるかという問題は、やはりこれは残つておる。この点については鉱害賠償責任の一般の問題と同じようであつて、特にこの場合だけでなくて、一般に鉱業権者が消滅した場合は、鉱害賠償責任がそこで行方不明になるという、こういう欠陥が根本的にある。それから現在においては原案がそういうようになつておるが、本日衆議院の通産委員会で修正になつた修正案に基くというと、この排水施設等の引受けるものがなかつた場合には、事業団が最終的には引受けると、こういうような意味において修正になつておる。その場合においては事業団の存続期間が、一応この法律によると、十年ということになつておるので、十年後においてはどうなるかという問題が当然出て来るが、これは私から御説明すべき筋合ではないかと思いますが、その節は更にこの法律案の廃止乃至は切替のときに、改めて考慮すべきものだというふうに説明されておるようであります。
○説明員(谷垣專一君) 政府原案のほうの説明は、現在、中島局長のほうから御説明があつた通りだと思います。それから今日、今お聞きした事業団がこの維持管理の責任を全部持つということになると、この法律が十年後に消滅するわけでありますから、そのとき事業団そのものも消滅する、その間に若干法律的にギヤツプが生じるということは推測できます。
○委員外議員(三橋八次郎君) 鉱業権者が引受ければ、維持管理ということは永久になされるし、併しそこで鉱業権者がおらなくなつた場合は、これはやはり又そこに農家が犠牲的に維持管理をしなければならないということになるわけであるが、併し衆議院では鉱業権者の代りに事業団に維持管理をさせる、こういう修正案が出ておると聞いております。が、この方法によると、この法律の消滅と同時に事業団は消滅することになるので、やはりこれは農家のほうに又かえつて来ると、こういうようなことになつて、どつちみち逃れられない損失を蒙るのは農家になるというようなことに伺われるわけでありますが、こういうことに対しては農林省では一体どうお考えになつておるか。
○説明員(谷垣專一君) これは鉱害一般の賠償問題のところまで問題が行くと思いますが、とにかく鉱業権者がその補償をしないで、損害賠償をいたさないで倒産する、或いは所在が不明になるというような場合における、その損失はどういうふうになるか。実際問題として被害者のほうの被害になつて来るということになろうかと思います。又維持管理の問題も、当然維持管理が永続して、完全に維持管理されるということを前提にした工事その他が行われるわけであるから、維持管理ができなくなるということになれば、どうしても必然的にそれの損害は被害者のほうにやつて来るということになろうかと思います。その問題についてどうしてそれを防いで行くか、或いは又どうしてそのギヤツプを補填して行くかということは、現在のところでは十分にできていない。こう申上げるより仕方がないと思います。
○委員外議員(小林亦治君) 実はちよつとその法案でありますが、先ず第一に考えられますことは、憲法で保障しておるところの所有権を制限する法律であります。その場合に加害者と被害者がある場合に、いずれを強く保護しなければならないかという問題であるが、本案件の場合は、加害者がつまり鉱業権者である、利益を得ようとする、利益を追求するところの業者で、 〔理事松本昇君退席、委員長着席〕 被害者の立場に立つところのものは一般農民、こういうふうに区別されるが、大体本法案の色彩と言いましようか、まあ性格を見るというと、つまり鉱業権者、利益を追求しているところの業者に利益であつて、被害者であるところの農民には保護が薄い。こういう感を拭いされないものがあるので、二、三私から簡単に伺つてみたいと思います。 先ず第一にこの五十一条であります。この五十一条によるというと、農地及び農業用施設の復旧工事につき、鉱業権者の納付金は、不毛地の場合で賃貸価格の五千倍から二千倍の間で政令で定める、こういうようになつておるのであります。ここは非常に問題になるところでありまして、現在の物価情勢、だんだん物価が上つて参るのではないかとみられる現段階から考えましても、将来を見ましても、これでは倍率が非常に少いのではないか。私どもの考えからすると、少くともこれは七千倍から四、五千倍くらいの間にするのが情勢としては適当ではないか、こういうふうに考えられるのであります。代表的な例を申上げますと、福岡県の場合でありますが、鉱害地の賃貸価格の平均は約十七円五十銭、そうすると一段当りが八万七、八千円から三万五千円の間ということになるのであります。一方特別鉱害の復旧費の実績を見るというと、不毛地の場合は農地の復旧費だけでもつて平均十二万七千円、このほかに農業施設の復旧に平均一万三千円、両者で十四万円というものがかかつておる。このほかにこの法律では、復旧工事後の補償金、灌漑排水施設の維持管理費、更にこれらが数万円というものを要する。これを考えると、政府と地方公共団体の補助がどの程度であるかは、これはわからないにしても、限度もあることであろうから、納付金の倍率等は先ほど申上げたところの考えから、もつと多くとれるように、倍率を上げて置く必要があるのではないか、こう考えるので、この点をお聞きしたいと思う。現在の物価高からそぐわない少額であるばかりでなく、将来もだんだん物価が上つて参る。そうすると、この幅というものは尚更少な過ぎるのではないか、こう思われるので、その点をお聞きしたいと思います。
○政府委員(中島征帆君) 便宜私のほうから御説明申上げます。この倍率をきめる前提としては、現在この慣行の賠償金額はどの程度であるかということが一つの要件であります。更に現存しておる鉱害地における収穫の減収量がどの程度であるか、その減収量を資本に換算した場合にどのくらいになるか、こういうようなところから詰めて行つて、結局年々賠償の原則を実行しておる現在においては、減収量に相当する金額を毎年農民に鉱業権者が支払つておる。それを一度にとるということになると、それを還元した金額は全額であるということに考えるので、それを一定の方式によつて換算いたして、大体現在の鉱害地に対する平均的な賠償金額の総額はどのくらいになるかという計算が出る。それを段当りに大体あてはめてみるというと、いろいろ数字が出るのでありますが、不毛地については七万円見当、まだ細部の数字はきまつておらないのですが、そういうような数字が出るわけであります。これに対して復旧費はどのくらいかかるかというと、先ほどお話の通り現在十三万八千円であるから、これを十四万円と、こう予定して、十四万以上の復旧費を要する場所においては、これは復旧するに足るだけの経済効果を伴わないということによつて復旧不適地とするということにして、最高十四万円までの復旧費によつて復旧できるものだけをとり上げる、こういうことにした。そういたしまして鉱業権者からとり得る期待額と、それから復旧費の全体の予想額というものとの差額を見るというと、総体的に見て復旧費に対して六割五分くらいが不足する、こういうことになるわけであります。従つてその不足分だけを国庫及び地方公共団体から補助金として埋める、こういう建前にしております。従つて鉱業権者の納付金というものは、倍率であてはめるというと、二千倍から五千倍までの間の、相当幅があるが、中間当りに落ちるわけでありまして、従つて上にも下にもかなり余裕があるから、或る程度の物価変動等に対しては政令をいじることによつて大体吸収できる。非常な大幅な物価騰貴等があれば、これは勿論法律改正問題になるが、一応現在程度の予想できる物価の変動に対しては、これだけの幅で以ていずれも対処し得る、こういう予想によつて倍率をきめたわけであります。
○委員外議員(小林亦治君) そこでこの五千倍から二千倍、この数字ですが、今の説明によりますと、大体現在ではそういうふうに賄えるとおつしやるが、私どもの考えは、先ほど申上げたところから、これでは窮屈ではないか。と申しますのは、現に物価が上向いておる。下つておるものは殆どない。そういうことになると、基本法においてこの幅を確定しておるということは、これは将来困る事態にならないか。今政令とおつしやるが、その倍率は何ですか、政令で自由にいつでも物価が高くなつた場合の価格に引合わし得るように改正されるのですか。そういう御用意がおありなんですか。
○政府委員(中島征帆君) 私の申上げましたのは、二千倍から五千倍までの間で政令で定めるということになつておるので、従つて現在予想されておる倍率が少くとも四千倍を超えない範囲内で定まると思いますので、そこに一千倍程度の最小限のゆとりがありますので、その程度の変動であれば、政令だけをいじることによつて、この五千倍以内で以て賄い得る、それ以上の物一価変動があれば勿論法律改正をするということになります。
○委員外議員(小林亦治君) おつしやることはよくわかるのですが、どういう角度から四千倍を超えることはあるまいと、そう御覧になつておるのか。あなた方の調べる数字というものは固いものばかり捉えて、実際よりも安く見積る場合が非常に多いわけであります。実際と官庁がにらむ数字の間には相当開きがある。闇価格のことを考えればおわかりであろうが、そういう実情から私は申上げておるのでありますが、その観点からは四千倍を超えることはなかろうということは、ちよつと呑みこめないのであります。場合によつては七千倍くらいもなきにしも非ずと考えるので申上げたのでありますが、この倍率を本法によつて根本的にもう少し上げておく必要はないかということを伺いたい。
○説明員(谷垣專一君) 農林省のほうで実際の工事をやつておりますので、こちらのほうから少し説明しておきたいと思いますが、現在特別鉱害をやつております農地の復旧費が、平均いたしますと、先ほど御指摘になりました十二万七千円が平均になつております。このほかに灌漑排水用その他の作業用施設の復旧費がこれも平均して一万三千円幾らかかつておるので、平均しますと、十四万程度の段当りの経費がかかる。これは現在施工しておる特別鉱害の復旧費の現状であります。ところで今やつておる工事の十二万七千円、平均の農地の復旧に関する、その部門の一番コストの高いもの、これは十三万八千円くらいになつております。で、今のところこの程度を最高にいたしまして、それ以上のところは特別鉱害の場合においても工事を手控えておるというような恰好になつておつて、大体この程度が今工事の目途になつておる。問題は結局このほかに、いろいろな永続するポンプ等の維持管理費、或いは効用回復する年間における、一定期間における補償費という問題が含まれると思いますが、要するに鉱業権者のほうからの納付金の額と、それをカバーする国或いは地方公共団体の補助金の率とがどの程度になるかということによつてきまることかと思うのであります。で、事業費のほうはおつしやる通りにこれはかなり物価の変動において上向いて回つて行くと思う。ただ納付金或いは納付金のほうの額は、これは賃貸価格がきまつておるので、従つてこの納付金の額が上るといつても、その上る部分は今言つた二千倍から五千倍の間しか動かないと、こういう恰好になろうと思います。その間若干ズレが生じて参るしするので、これを若し工事を担当する農林省のほうの立場から申上げれば、一定度の事業費に匹敵するほどの経費が集らなければ、その程度しか工事は勿論されない。又どうせ物価の値上りと、今申したところの固定される納付金の額、或いは又国庫の補助のほうも或る程度固定されているとみなければならないが、そういうものとの矛盾は、いよいよとなれば法律改正というところまで行く可能性はあると思う。これは併し今直ぐにここでどうこうという問題になるか、或いはかなり時間を置くかという問題が残つて来ると思いますが、農林省のほうで工事をやる場合には、現状から申して、そういうところを考えて行かざるを得ない。若干工事その他で残して行くところも生ずるこ とはできるだろう。そういうところは、計画その他のところで削除して頂いて、鉱業法本来の補償の制度でやつて行く以外にはなかろうかと、こういうふうに考えております。
○委員外議員(小林亦治君) この法律案によりますると、鉱業権者は或る程度の納付金を出せば、数年後には鉱害の賠償義務がなくなる、こういうことで非常に厚い保護を受けるということになつておるのでありますが、それは結構として、こういうところの保護政策に乗じて業者がどんどん濫掘するのじやないか、こういう虞れがある。そこで通産省におきましては、鉱害の予防措置、採掘方法、農民の保護、それから農林省でなくても農民の保護は考えて行かなければならんでしようが、場こういう点から万全の措置を取つて貰いたいと繰返して申上げまするが、利益を追究するところの業者の肩をもつのか、或いはそれらの業者の営業によつて侵害されるところの農民の側をどういうふうに考えるかという意味で、これは非常に重要な法案の一つだろうと思います。繰返して申上げますように、どうも業者のほうに加担しておる法案ではないか、農民が犠牲に供せられる虞れが多い法案ではないか、こういうふうに考えられますので、当局としては十分この点に留意を願つて、私の申上げるような慮れが将来起らないように措置してもらいたい、こういうことなのであります。大体御説明はわかりましたので、特に本法の予算措置につきましては大蔵、通産省にも確固たる方針を絶えず御研究願つておかなければならないと思うのであります。本日の質問は大体これくらいにしますが、なお御回答の要旨を農林委員会に私どもから報告いたしまして、更に又お聞きしたいと存じまするが、私の質問は以上で結構です。要望として申上げておきたいと思います。
○委員外議員(三橋八次郎君) 先ほどお聞きしたことでございますが、衆議院の委員会における修正を見ますると、灌漑排水施設の維持管理は、その費用は事業団で持つというように修正されたそうでございますが、先ほども農林省のほうのお答えがあつたのでございますが、その事業団が消滅いたしました時には、その施設の維持管理の行先というものは、当然考えなければならん問題になるのでございます。その時に被害者であります農家にその維持管理が振りかかつてくるというようなことにつきましては、我々としては絶対反対しなければならんのでございますが、被害者に迷惑をかけずにその維持管理のできる何か適当な方法を農林省のほうでお考えになつておりますかどうか。
○説明員(谷垣專一君) 先ほど御質問の趣旨を少し取違えて答弁いたしましたので、そのことと一緒にお答えいたしたいと存じます。農林省のほうとしましては、この法案によりますと、工事をしましたあとにおける効用回復の認定の責任を農林大臣が持つわけであります。これは農林大臣のほうといたしましては、この効用回復がどういう程度になつておるか、今後どういうふうになるか、又工事の実施計画を立てます場合に、それがどういう工事の実施計画であつていいかという責任を持つわけでありますが、この場合には土盛りをいたしまして、完全な原状回復をするという方法を取らないで、陥没しましたところの排水をするというような、いわゆる灌漑排水の施設を設けましたときには、その効用回復の認定その他は、当然に維持管理が永続して完全に行われて行くということを前提にしませんと、実は効用回復の認定が農林大臣としてはできないわけであります。それを前提として実は維持管理がせられ、又そういうことを前提にして効用回復の認定ができるわけでありまして、これは例えばポンプであれば二十年或いは三十年たてば、そのポンプの機能が落ちる、そういう場合にはそれを更新して行くというような一つの前提をもとにしまして、効用回復をどうするかということをきめるということになろうかと思います。従いまして、この法律の建前から、直ちに効用回復、維持管理をする責任が不安定な形になつておる、十年後には誰が維持管理をするかわからないということになりますと、実は農林省といたしましては農林大臣の効用回復の認定をいたしますこと自体がすでに問題になるかと思います。もつと極端に言いますれば、どういう工事をするかという場合に、かなり能率の高い灌漑排水でやつて行ける工事を、わざわざ全部土盛りしなければならんというような、少しおかしな形のものになつて行けば、工事のほうからいうと、少しロスの多いやり方になつて行くと思いますが、この点は何とかそこは維持管理が永続し得る態勢をとつて行かなければ問題があろうかと思います。これは今の事業団の十年経つた場合に消滅するということを前提にして話をすれば、そういうことになろうかと思いますが、この原案に出ておりますように、維持管理の責任を持つております鉱業権者が消滅するような場合におきましても、問題はよく似た形を取ると思いますが、それに対しては何かの方法を考えるべきで、少くとも農民がその被害を受ける、それから損害を受けるということは筋が立たないのじやないかと、かように考えます。農林大臣としての効用回復の認定をすること自体が、何かそういうはつきりした維持管理の前提がありませんというと、これはやれない、こういうことになろうかと思います。
○委員外議員(三橋八次郎君) まだこの問題につきましての適当な解決策はないように伺われるのでありますが、併しこの問題が解決しなければ、例えば客土によつて土地を復旧するか、客土の不可能なところにおきましてはポンプ排水をやつて耕地を復旧しなければならない、こういうような二つの岐路に立つた場合に、永久的に維持管理の要りますポンプ排水などによりまして復久を図ろうとした場合に、客土よりも金がかからんということがわかつておりましても、ポンプのほうは永久に維持管理が必要である、併しその維持管理の責任はどこへ行くかわからんから、金が倍かかつても客土の工事をしなければならんというような、非常に冗費がそこに生れてくると思うのでございます。この問題を解決しますると、ポンプは永久に運転するのだとすれば、客土よりも極めて安い費用でその耕地の復旧ができるというようなことになるのでございますが、速急にこの維持管理を事業団に持たせまして、十年先には消滅するということが明らかな事業団にこれを持たせるということよりも、やはり今申上げましたような、工事を安くやれることは安くやつても、ポンプ排水はやめて行くというようなはつきりした解決策を出して頂きたいと思うのでありますが、今のお答えによりますると、適当な方法がない、適当な方法がなければ、こちらのほうの委員会で御了解を願いまして、修正をして頂きまして、適当にこの農業、鉱業が両立するような名案を考えて頂きたいと思うのでありますが、如何でございますか。
○政府委員(中島征帆君) この点につきましては一応・形式的に見ますというと、甚だ不備な恰好になつておるのでございます。政府の原案によりますというと、最終責任は鉱業権者にある。その鉱業権者が何らかの事由で消滅した場合には、その責任がどこかに行つてしまう。又修正案のように事業団が持つといつても、事業団は十年後には解消するということによつて、非常に不安定でございますけれども、実質上のことを考えます場合には、鉱業権者の場合には、これは鉱業法全般の問題としまして、鉱業権者の破産等の場合には救済する方法は極めて貧弱でございますが、事業団が持つということになりますというと、事業団そのものは一種の公益法人であり、国の監督も厳重になされる。従つて十年以後において仮にこの法律を廃止して事業団を解散するという事態に至りましても、もともとこのポンプの維持管理を引受けるものに対しましては、その維持管理費用の総額があらかじめ事業団から渡されるわけであります。従つて若し事業団が自分で維持管理をする場合には、年々の維持管理費用を、その金利で示し得る程度、又償却分にも相当する程度の全部の維持管理費用というものを自分のところに持つているわけでありますから、正常に運用される限りにおきましては、十年後においても基本的な基金というものは事業団に残つておる。従つて仮に事業団が解散いたしましてもその事業団が費用をつけてどこかへ持つて行けば、一応経済的にはこの維持管理が成り立つということになる。もう少しこれを根本的に考えます場合には、私は個人的な意見に亘りますけれども、こういうような事業団的な性格を持つ機関というものは、本法が仮に解消いたしましても、その後においてもやはり何らかの形で存続すべきものじやないか。存続すべきかどうかということは、恐らくこの法律の施行の経過において、やはりこれは何らかの形で置くべきものだという結論が出てくるだろうと思います。そういうふうな形で、仮りに事業団がなくなりましても、何らかの形によつてこのポンプの維持管理を中心といたしました鉱害復旧に関する一つの組織ができれば、そこで事業団の持つておりました基金を引渡して、今後ポンプの維持管理の責任者とする。こういうことも実質的に可能でありまして、勿論この事態になりました時には、当然この法律の存廃の問題も起りますから、従つて廃止の場合におきましては、廃止の事後の措置と同時に、そういつたような事業団の後継者的なものにつきましても、十二分にこれを論議されまして、又何らか対策を立てられるべきはずであると思いますので、将来におきましてそういうふうな含みを残しまして、むしろ事業団に持たせておくほうがむしろ安全ではなかろうか、こういうふうに考えられるわけであります。
○委員外議員(三橋八次郎君) 今のお話を伺いますると、大変安心のできるお話でございますが、組織はどうなつても、金の点においては、永久にポンプの運転のできる金を事業団から引継いでやるのだからというようなふうに受取れるのでございますが、そのように解釈してよろしいのであるかどうか。又これは殆んど永久ということが言えると思うのでありますが、永久にポンプの維持管理ができるだけの金が果して引継がれるものであるかどうかということを、もう一ぺん伺いたいと思います。
○政府委員(中島征帆君) 只今のお話のような建前になつております。ただ現在の一応の見通しで以て維持管理を定めます以上、維持管理費用、例えば人件費でありますとか、或いは電力費でありますとかいうものが非常に大幅な変動をした場合には、その基礎が崩れるわけであります。併しその場合におきましても、維持管理費用そのものを適当な管理をすることによつて、一般の経済政策に応じた利益を生むことができるわけでありますから、運用の方法よろしきを得れば、物価の変動そのものもその中に吸収しまして、今日において算定した維持管理費用で以て将来永久に維持管理費を支弁し得るということになるわけであります。
○委員外議員(三橋八次郎君) 農家側としましては維持管理費を儲けようと思つてはおりませんので、完全にポンプが運転できる土地の生産力が従前通り回復すれば、それで満足できるのであります。そういう意味における費用を十分引継いでくれさえすれば、たとえどこが維持管理しようと、土地の生産力に伴う農業経営には支障がないと思うのであります。どうぞ一つ今のお答えのように、十分農家の保護という立場におきましても、又食糧増産を助長するという意味におきましても、十分なる運営をお願いしたいと思うのでございます。 ただ最後に一言お願いしておきたいことは、最初申上げましたように、いずれも基礎産業の重要なるものでありまして、農家側としましても、増産によつていわゆる国の生産力が増強するということにつきましては、大いに協力するのでありますが、又一方におきまして、それによつて蒙つた農業経営上のいろいろの支障によりまして農業生産力が低下するということは、現状の我が国の食糧事情から考慮しましても憂えなければならんはずなのであります。そのことも十分に御考慮をして頂きまして、こちらの委員会におきましても、食糧の増産、石炭の増産、いろいろ相待つて国の産業が発達するように、特に御考慮をお願いいたしまして、私の質問を終りたいと思うのであります。大変長い間有難うございました。
○委員長(竹中七郎君) 委員外議員の質問はこれで終りましたのでありますが、衆議院におきまして修正いたしました要旨の説明を一つ炭政局長からお聞きしたら如何かと思います。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。
○政府委員(中島征帆君) 本日午前中の衆議院の通産委員会におきまして野党及び与党両方からの修正案が出まして、委員会におきましても自由党の修正案が決定いたしました。まだ本会議には上程の運びにはなつておりませんが、恐らく明日には決定されると思います。今衆議院の通産委員会におきまして決定になりました自由党の修正案の要旨だけを申上げますと、ほぼ七点ございます。 第一点は、公共施設のうち、法文で申上げますと第二条でありますが、第二条のこの定義の中に、この法律において「公共施設」とは、という第六項がございます。そこに十一ばかり河川以下列べてありまして、最後の十一に「学校」となつておりまして、学校以外のものが上つておりませんが、それを修正いたしまして、学校及びその他の公共建物を含めるという改正がございます。 第二点は、これは後のほうの点と関連いたしまして、事業団の事業といたしまして三十一条に列べてございますが、この修正案の決定までには予想されておりませんでした、例えば問題となりました灌漑排水施設の維持管理をここに加える。つまり事業団が灌漑排水施設の維持管理義務を最終的に引受ける責任を有しますので、それをこの事業の中に一項殖やす、こういうわけであります。 それから第三点は、農地の復旧工事の実施計画を作りますときに、復旧不適地とする場合には、あらかじめその所在地の市町村長の意見を徴すること、こういうふうな条項が第五十六条に入るわけであります。 それから第四点が復旧工事完了後の措置でありますが、原案におきましては、復旧工事が完了してその農地の効用回復の程度を農林大臣が認定して、若し不十分な場合には、それの定める金額を事業団が被害者に対しまして支払つた場合におきましては、完全に被害者としては賠償請求権はないということになるわけでありますが、それに対しましていろいろ論議のあつた結果でありますけれども、この修正案におきましては、復旧工事が完了して、すべて賠償等も終つた後におきましても、特別の風水害等、不測の天災によつてその農地が他の一般の農地に比べて特別の大きな損害を受けた場合、これは、主として従来は陥没の深さが五尺あつた場合に、三尺だけ上げて、あとの二尺分は灌漑排水施設で補うというようなことをした場合の例が大部分でおりますが、そういうような場合において、大きな洪水があれば、このポンプ施設が間に合わなくて、ほかの農地と同様に冠水してしまう。ところがほかの農地はそれだけ水面が高いために早く引きますけれども、三尺だけしかしげられなかつた農地につきましては水の引くまでの期間というものがなかなか長いわけでありまして、従つてそれに相当する鉱害の被害が残るわけであります。従つてそういうふうな場合に対しましては、やはりこれは原因は本来鉱害に基くものだという認識の下に、この場合に対しては農林大臣がどの程度がそれが被害であるということを認定いたしまして、その承認を受けた範囲内で国から特別の助成金を支払う、こういうような形において修正になつております。
○小林英三君 何条ですか、説明の前に条文をおつしやつて下さい。よくわかりますから。
○政府委員(中島征帆君) 只今のは第七十五条の問題であります。七十五条の問題でありますが、条文としては第七十七条の次に第七十八条として新らしく一箇条を挿入しております。これは全然新らしい措置であります。 それから第五点は先ほどの第七十七条でありますが、灌漑排水施設の維持管理義務を最終的に鉱業権者にしておりました原案に対しまして、これを最終的に事業団に負わせております。こういうふうに修正になつております。 第六点は第七十八条であります。原案の第七十八条でありますが、これを修正いたしまして、この場合におきましては復旧不適地ときめた場合におきましては、農林大臣が、農林省令、通商産業省令で定める算定基準に従い、その復旧不適地について支払うべき金額を定める、こういうことになつておりますが、その支払うべき金額を定めるときにあらかじめこの所在地の市町村長の意見を徴する、これだけの内容の修正になつておるわけであります。 それから最後は家屋、墓地等に関する事項でありまして、これは条文で申上げますと、七十九条以下になりますが、大体協議裁定という……、家屋、墓地等に対しまする根本的な救済策はそのままでありますが、ただ各鉱業権者から家屋等の復旧工事につきます事業年度ごとの計画をとりまして、これだけの家屋を本年度は復旧するのだという計画を通商産業局長に届けさせることにいたしております。これが新らしく附加わりまして、その届出の計画を一つの基準といたしまして、鉱害被害者のほうから申出があつた場合に、若しこの復旧計画に載つておる場合には、鉱業権者と被害者との協議を命ずる、又載つていない場合において一定の条件に当てはまる場合には、更に通商産業局長がこの家屋の復旧に関する協議をするように命ずる、こういうような内容によつて第四章全体が修正になつたわけでありまして、従つて第四章の条文は大変変るところが多いのでございます。根本的な協議裁定という原則の下に、その前提として各鉱業権者から毎年の家屋等の復旧計画をとるという点が主な改正点でございまして、その他の点は字句の調整でございます。 それではもう一つ、ついでに、その際に附帯決議が述べられましたので、これも御参考までに読み上げます。要点だけお読みいたします。 依つて政府は、本法の運用宜しきを得るのは勿論、鉱害地の復旧を円滑に推進するため、特に左記事項に就いて万善の措置を講ず可きである。 一、鉱害復旧のため特に予算項目を新設し、本法施行に関する財政的基礎を確立すること。 二、地方財政窮乏の実状に鑑み、鉱害復旧に関する地方公共団体の負担軽減をはかるため、特別交付金其の他に就いて適宜考慮すること。 三、家屋、墓地の鉱害復旧に遺憾なきを期すること。 四、公共施設の復旧補助金に関する返還義務を免除すること。 以上であります。
○委員長(竹中七郎君) 今の衆議院修正案を含めまして御質問を願いたいと思います。 臨時石炭鉱害復旧法案はこの程度にいたしまして次に進みます。 —————————————
○委員長(竹中七郎君) 輸出取引法案を議題といたします。質疑をお願いいたします。
○境野清雄君 大体この法律は業界一般が要望しておると思うのでありますけれども、制限規定にばかり大体重点を置いておつて、輸出振興というような面の助長策なり奨励策なりというものがちつとも語つてないようでありますけれども、この点は政府当局はどういうお考えでありますか。
○政府委員(本間俊一君) お答え申上げたいと思いますが、御承知のようにこの輸出振興ということになりますれば、いろいろな施策が集中せられまして初めて効果が挙つて来るということに相成るわけでございますが、これは御指摘にもありましたように、政府といたしましても最善を尽さなければならんわけでございますが、只今御審議を頂いておりまする輸出取引法案は、御承知のように、いろいろな関係がございまして、是非輸出組合を作つて欲しいという業界の御要望も相当強かつたのでありますが、いろいろな障害がありましてできなかつたわけであります。従いまして諸般の情勢をも勘案いたしまして、できるだけ輸出組合ができまする線を見極めまして、大体お手許に差上げておりますような範囲の輸出組合の設立を認めることにいたしたわけであります。御指摘にもありましたように保護助長の面につきましては規定をいたしておらないわけでございますが、やはりこの日本の輸出が公正な国際間の商習慣に基きまして、日本の輸出に関する国際的な信用が高まることが、取りもなおさず日本の輸出のやはり増進という究極の目標に合致するわけでございまするので、そういう点を勘案をいたしまして、本法の提案をいたしたような次第でございまするので、規定はいたしておりませんが、輸出に関しまする増進の方途につきましては、あらゆる場合をつかまえまして、又現行のいろいろの施策を通じまして、全力を挙げて参りたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○境野清雄君 現在やつておりまするチエツク・プライスというものと、この法案との関連性、言い換えれば、この法案が通過しまして、そういうような面が完全に抑えられるというようなふうになれば、チエツク・プライスは廃止するとか何とかいう点に関しましては、政府当局はどういうようなお考えをお持ちになつておりますか。
○政府委員(本間俊一君) 御指摘のありましたチエツク・プライスの問題でございますが、この法案ができまして輸出組合ができまして、そうして従来やつておりましたチエツク・プライスの必要がなくなるものと、まあ私どもは考えておるのでありますが、その場合には、チエツク・プライスの制度をなくしてもいいのじやないかと、こういうふうに考えております。
○境野清雄君 ただ第二条の第一号ですか、「仕向国の法令により保護される工業所有権又は著作権を侵害すべき貨物の輸出取引」というような条項がありますが、こういうようなことになりますと、外国商品との類似品の取扱いというようなものが相当問題になるのじやないか。どの辺までがこの項目にあてはまるかというようなことは、中小企業面ではなかなかよくわからないので、こういうような法文がありますと、却つて外国商品との類似品の取扱いが不明だというような結果から、中小企業を圧迫しやしないかというような考えがあるのですが、その点は如何ですか。
○政府委員(松尾泰一郎君) 確かに御指摘の点も御尤もかと思うのでありますが、現在も実は輸出貿易管理令におきまして、これとほぼ同様の取扱いをいたしておるわけであります。例えば工業所有権と言いますと、いろいろございまするが、意匠権或いは商標権とか、その他の工業所有権につきましては、誤解を起すと申しますか、問題になりそうなものは一々告示を以ちましてその都度明確にいたしているわけであります。ただ、今御指摘のありましたように、類似のものが果してこの規定に言う、この工業所有権又は著作権を侵害する貨物の取引なりや否やということに相成りますと、現実の問題につきましては、やや問題もあろうかと思いまするが、まあそれは従来の大体の取引慣行におきましても、若干疑義のある問題なのでありまするが、まあ実際問題に当りましては、適当に判断をするという以外にはないわけでありまして、この場合におきましても、輸出してはならないという書き方をいたし、又若し津反があれば、戒告をするという場合におきましても、いろいろ取引審議会等に諮りましてやるわけでありまして、ちよつと類似をしておつたから、すぐ不公正な輸出取引であるかどうかということになると、簡単に決定は行かんわけであります。この第二条で言うておりますのは、まあはつきりと向うの法令によつて登録をされておるとか何とか、明確に工業所有権なり著作権が保護されておるという場合において、これを侵害する取引を公正な取引として取締るというような趣旨なのであります。繰返して申しますように、現実問題としては若干類似品であつて問題を起す場合は、現在においても同様な問題があるわけでありますので、それはまあ常識的に判断して、余り酷な扱いにならないように運用は配慮いたすべきかと、さように考えておるわけであります。
○境野清雄君 今、政府自体がお話があつたような面が、私はこの法案全体の中にあるのじやないか。言い換えれば、この運用面でのこの法律の適正措置に期待しなければ、この法案自体は余り効果がないのじやないか。こういうふうに考えておりますことが一点でありまして、是非これは運用面で適正に通産省でやつてもらわないと、法文全体が無意味になるような場合が相当多いのじやないか。今お話がありました輸出のこの貿易管理令、或いはこの法案総体にありまする私的独占禁止法なり、事業者団体法というものとの抵触は、どうも最近通産省自体が出しておりますものが、そのほうにしばられ過ぎている。私どもは独禁法なり或いは事業者団体法なり、或いは今の輸出管理令というものは、もう輸出管理令と中共貿易の問題にしましても、輸出管理令というものが相当限定が強過ぎるというようなことがあるので、このとかくの問題のあります輸出のこの貿易管理令なり、或いは独禁法なり、事業者団体法なりのほうに引きずられて、講和が済みまして、新らしい法案がそのほうにどうも一目置いているというような点は、大いに通産省としましても今後の法案に対してはそういう面をお考え直しを願いたいと思うのであります。 それから次に移りますが、次としまして、大体この法案自体で行きますと、第二条、第三条、第四条というようなもので大体ダンピングを根絶できるのじやないかというような見方をせられて、この法案を作られたと思うのでありますけれども、私はこの二条、秦、四条だけではなかなかダンピングは根絶できない、こういうふうに思うのでありますけれども、政府はどんなお考えでおるか。その点伺いたいと思います。
○政府委員(松尾泰一郎君) ダンピングの問題につきましては非常に問題がむずかしいのでありまして、二条、三条、四条で言いますところの不公正の輸出取引の中に、いわゆるダンピングをどの程度含むかという問題になるのでありまするが、いわゆるダンピングを大きく分けまして、いわゆる不公正な輸出取引になるダンピングと、それからいわゆる俗に言う廉売を、まあ通俗的にダンピングと申す場合もあるわけでありますが、いわゆる公正な競争であるダンピングと、二つの観念があろうかと思うのであります。で、不公正な輸出取引に該当するダンピング、いわゆる独占ダンピングと称せられるようなものにつきましては、この第二条の四号におきまして政令で以で指定して行きまして、不公正輸出取引としてそのようなダンピングは取締つて行くということになりますし、それからいわゆる廉売というふうな独禁法上の考え方から言えば、公正取引には該当するが、いわゆるダンピングになるという式のものにつきましては、第三章、第四章におきまして、いわゆる輸出業者の協定、或いは輸出組合の事業の一つとしまして、価格より数量を協定して取締るということになるわけであります。従つてまあダンピングにもよるわけでありまするが、先ず大体不公正取引としてのダンピングの問題と、それから公正取引としてのダンピングも、大体輸出業者の協定或いは輸出組合の活動にまつて、この両方で以て措置し得るのではないかというふうに、二段に分けて考えておるような次第であります。
○境野清雄君 次に第十二条ですが、十二条の輸出組合のほうの問題に関してはどなたか質問せられるという話でありまするが、輸出業者のほうの一つ定義を伺いたい。要するに私のほうは、これは輸出業者自体がメーカーとの関係というものをどういうようなふうに考えておるのか。その私のほうの申上げる理由としましては、輸出業者の結束のみがありまして、そしてメーカーがこれに参加し得ないというような場合かできますと、どうしてもメーカーが輸出組合に買い叩かれるというようなことがありますことと、併せて、現在でもメーカーよりも輸出業者というような者のほうが強力なものでありまして、この法案によりますと、メーカーの力がますます弱くなるのじやないかと、そういうようなふうに考えるのですが、この点は如何ですか。
○政府委員(本間俊一君) お答えを申上げたいと思いますが、御指摘になりましたように、輸出業者にメーカーのほうが買い叩かれるというような場合もございましようし、又輸出組合が協調いたしまする場合に、やはり生産者のほうの意見も相当に反映をいたしまして、そうしてきめなければ、又折角協定をいたしました価格なり数量なりが維持できないというような面もございまするので、これはできるだけ広く解釈をするという考え方の上に立ちまして、従来輸出の実績がありませんでも、輸出をいたしまする能力と意思のある者は輸出業者というふうに解釈をいたしまして、広く一つ解釈をして参りたいと、こういう考え方をいたしております。勿論この法案が成立をいたしまして施行に相成りますれば、それぞれ輸出組合ができるわけでありますが、その輸出組合できめまする定款で、御指摘の点も勿論きめることになると思いますが、私どもはできるだけ今申上げましたような趣旨で広く解釈をいたしまして指導をして参りたい、こういうように考えております。
○境野清雄君 そうしますと、今の輸出業者というものは、従来の経験がなくも、能力と意思のある者は輸出業者と認めるというような巾の広い解釈だと、それは非常に結構なんですが、それに関係してメーカーのほうはどういうような解釈でおられるか、その点をもう一度お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(本間俊一君) 大体メーカーのほうも、私どものほうでは広く解釈をして参りたいという考えを持つておりまするので、メーカーで輸出をしたいという意思と能力を持つておりまする者は組合員になれると、こういうような指導をして参りたい、こういうふうに考えておるのであります。
○境野清雄君 そうしますと具体的に申しますと、輸出業者というものは貿易港のみに存在するものではなくて、今各地区にありますメーカーでも、幅の広い解釈によつて輸出業者というようなふうにみなされた者は、貿易港でない他の土地においても輸出組合ができ得る、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
○政府委員(本間俊一君) お答え申上げますが、そういうふうに御解釈願つて結構だと思います。
○境野清雄君 次に第二十五条についてお伺いいたしたいのでありますけれども、審議会の活動というものは、本法の運用に当つては頗る重要な地位を占めておるということは申上げるまでもないのでありますけれども、その構成というものが二十五条ではまだ不明なのでありますが、「会長一人及び委員五十人以内で組織する。」こういうふうに書いてありまして、「会長及び委員は、関係行政機関の職員及び輸出貿易に関し学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。」こういうふうに書いてありますが、このうち官庁職員というものに対してはどのくらいの数を選定し、輸出業者はどのくらいの数を選定するのか。又こういうような場面に、今私の質問しましたような点から行きましても、この輸出業者の解釈範囲が非常に広いというような場合に、中小企業としての代表を入れるお考えがあるのかないのか。その点について明らかに一つ御答弁を願いたいと思います。
○政府委員(本間俊一君) お答えを申上げますが、関係行政機関の職員というのを何名に実は区切るかということを明確にきめておるわけではございませんが、関係のありまする役所のそれぞれの職員を任命をしたいというふうに考えております。それから御指摘のありました点でございますが、先ほども申上げましたように、広く解釈をして参るということになつておりますので、勿論輸出業者からも委員になつてもらいますが、生産者のほうの代表者も入るように、それから御指摘のありました中小企業者のほうの関係者も委員の中に入つて頂くということにいたそうというふうに考えております。ここでちよつと申上げておきたいのでございますが、実は商品も相当にございまするので、商品別に審議会を設けたほうがどうかというような点もあつたのでございまするが、いろいろな関係を考慮いたしました結果、やはり審議会は一つのほうが実際の運用の面から見ましても又いいのではないかというような結論に到達しましたので、委員の数が相当多くなつておりますが、実際の運用に当りましては、或いは分科会と申しますか、そういうような形のものができようかとも考えておりますが、只今申上げたような考えでこれは運用して参りたい。こういうふうに考えております。
○境野清雄君 勿論これは業種も相当あると思いますので、分科会なり或いは部会なりというものはお考えであろうと思うのであります。けれども、一応官庁職員の数というものが決定しておらないというようなお話ですが、それではもう一つもつと大きい面で、官庁職員というものと業界の代表というものとの比率ぐらいはどんなように考えられるか、その点を伺いたいと思います。
○政府委員(本間俊一君) 先ほど申上げましたので恐縮いたしましたが、三名にするとか四名にするとかいうことを明確にきめておるというわけではないのでございますが、やはりこの関係行政機関の職員のほうは五、六名程度で大体いいんじやないかというふうに考えておりますので、勿論この委員の大多数のかたは業界のかたがた及び生産者のほうから委員におなりになるかたを御委嘱を願うというように考えております。
○境野清雄君 最後に附則についてお伺いしたいのですけれども、この附則第四項は、一体私は必要なのか不必要なのかよくわからないのでありまして、これは附則によりますと、現在提案されております通産省の設置法案の通過が確実だという考え方で、これは挿入されているんじやないかと思うのでありますけれども、設置法案の通過は必ずしも確実じやないんじやないか、そういうような場合で、若し修正なり何なりで、条文の移動することができたというような場合には、この条項は私は要らないのじやないかと思いますので、この法律案を通過させる際に、附則第四項というものがあることとないことの可否について一つ当局のほうの御意向を承わりたいと思います。
○政府委員(本間俊一君) お答え申上げます。実はこの法律案ができましたのを時間的に申上げますと、設置法がきまりましてこの法案の準備ができ上つたような次第で、実は設置法が通るものと予想いたしまして、実は御指摘の附則第四項を挿入いたしたわけでございますが、設置法がどうなりますか、これは皆さんのお取扱いの関係になるわけでございますが、境野委員の言われるような場合が仮にありといたしますると、実は条項その他が変つて参るような場合もございましようし、又附則第四項でブランクにいたしておりまするところもございまするので、このままで法律を施行するということは法律上できないのじやないかというふうに、私どもは考えておるわけでございます。従いまして、若し御指摘のような場合があるといたしますれば、本法がこのままで参りますというと施行に非常な障害が起りまするので、四項を削除して修正をして頂くというようなことになりますれば、本法はそのほうの関係なしに施行できるわけでございまするし、又本法の趣旨はそれでも十分に貫いて行けるものと私どもは考えておりまするので、その辺のところを御勘案下さいまして、適当な一つ御処置をお願いいたしたいというふうに考えております。
○境野清雄君 私はこの四項について質問いたしましたが、今次官の答弁と同じような考えを持ちまして、むしろこの項を修正しまして削除してしまうほうが私は問題ないのじやないか、それは勿論このまま設置法が通つてくれればいいのでありますけれども、万一の場合、或いは字句の修正というようなものはなきにしもあらずだと思いますので、むしろそれならば四項を取つてしまうほうが、この法案自体が直ちに活用でき得る、こういうようなふうに解釈して、今の質問をした次第であります。私はこれでよろしうございます。
○小林英三君 この第四条ですね、この第四条の「輸出業者が当該違反行為が故意又は過失によるものでないことを証明した場合を除き、その輸出業者に対し、一年以内の期間を限り、品目又は仕向地を定めて貨物の輸出を停止すべきことを命ずることができる。」と、こうあるのですが、この一年以内の期間を限つて停止するということは納得できるのですが、こういう行為をした輸出業者に対して或る品目又は仕向地のみを定めて停止をするということは、それではほかの品目、ほかの仕向地なら出してもいい、こういう不都合な行為をした輸出業者に対してほかへは出してもいいということはちよつと緩慢だと思いますが、どうですか。
○政府委員(本間俊一君) お答え申上げたいと思いますが、御指摘の点は御尤もかと考えるのでありますが、できるだけ、輸出組合ができました場合に、その輸出組合の自主的な活動によりまして、できるだけ違反者のないように輸出組合のほうでも活動をせられると思いますし、又輸出業者のほうの制裁規定なども当然できるものと私どもは予想いたしておるわけでございますが、併し政府のほうといたしましても、やはり適当な措置がとられるということになつておりませんと困るような関係もございますので、この制裁規定を設けたわけでございますが、成るほど期間も短いのでございまするし、品目或いは仕向地をきめて停止命令を出すということでありますると、処分が軽いのじやないかというようなお感じも当然持たれるかと思うのでございますが、全面的に禁止をいたしまするのも、実は実際の場合になりまして如何かというふうにも考えますので、私どもの考えといたしましては、仮に品目、そうしてその仕向地だけという意味ではないわけでございまして、その辺の事情も勘案いたしまして、同じ品目でありまする場合は、その業者が仮に違反をいたしまして、そういう制裁を受けるような行為がありました場合に、その仕向地を制限いたしますと、又同じような品物をほかへ持つて行くことはないかというな場合がございまして、これが何ら制裁にならんというような場合もあろうかと思いますので、その場合には取引をいたしません仕向地に対しても当然考慮をいたしまして、命令を出したいというふうに考えておるわけでございます。全部を禁止するというのも実はあまり苛酷に過ぎやせんかという点も考慮いたしまして、この程度にしたわけでございますが、これは併し相当輸出業者にとりましては、その他の処置もございまするので、相当こたえるかと思いますので、制裁の目的は相当に達し得るのじやないかとこういうふうに考えております。
○小林英三君 その次にお伺いいたしたいと思いますことは、本案の目的はよくわかります。不公正な輸出取引を防止して、輸出取引の秩序を確立して、そして健全な輸出貿易をするということでありますが、一番重要な問題といたしまして、第四条にあります通産大臣が戒告できる、或いは制限的な停止もできる、こういうことになつておりますが、第二条にありますところの第一項目の「仕向国の法令により保護される工業所有権又は著作権を侵害すべき貨物の輸出取引、」この工業所有権という、問題は、なかなかどの点が侵害するかという問題は容易ならざる問題だろうと判断する。そこで通産大臣が戒告ができるし、又輸出の停止もできるということになつております。が、一体誰かこういうことを判断決定するのでしよう。
○政府委員(本間俊一君) 先ほど松尾次長のほうから一応の御答弁を申上げたのでございますが、もう少し具体的に一つ松尾次長のほうから御説明をいたさせますから。
○政府委員(松尾泰一郎君) 万一そういう心配が或いはあるかも知れんというふうな場合におきましては、現在でも大体そういうふうなやり方をいたしておるのでありますが、輸出業者が積極的に海外のバイヤーのほうから、これはその仕向地におけるそういう工業所有権なり著作権を侵害するものではないのだというふうな保証状を取寄せるということも一案かとも考えております。又その他、実際の運用面に当りましては、現実にそういう侵害の行為があつたということで、相手国の政府なり或いは商工会議所等から、これまででもそういうふうな申出がありまして、果してそうであるかということをいろいろな法令上調べまして、向うでも特許庁的なところにちやんと登録されておるということで、成るほど侵害をしているというようなことが明らかなような場合には、できるだけそれを告示等によりまして公表しまして、今後そういうことのないようにというふうな注意を、従来でも喚起いたしておるわけでございます。従つて今後もそのようなことはますますやるわけでありますし、又輸出組合ができますれば、当然輸出組合の業務の一つとしまして、そういうことを積極的に海外の事情を調べまして、そういう現地の工業所有権なり著作権を侵害する虞れがあるかないかを常時研究して、組合員にも連絡することかとも思うのであります。従いまして、先ほどからもお話がありましたように、果して侵害するかせぬか、侵害ということを誰が認定するかということについては、若干運用上もむずかしい問題もあろうかと思いますが、先ず最初侵害の行為がなければ、実はわからんような場合がありまして、あらかじめわかる場合はいいわけでありますが、これにはかなり広く現地の調査等をする必要があります。不幸にして若し侵害したというような場合には、いろいろ調べまして政府がその認定をするわけであります。認定の結果としまして、戒告ということになるわけでありまして、それも情状やむを得ないということであれば、一応ここに戒告することができるということになつておりまして、必ずしも戒告しなければいかんわけでもございませんので、やむを得ないというようなものにつきましては、今後を戒めて、広く今後そういうことのないようにというふうな一般的な注意の喚起で止まる場合もありましようし、又侵害することは明らかであるという公表をしているにかかわらず、そういう侵害があつた場合には、第四条を発動して戒告とか或いは一定期間の輸出停止処分というようなことに相成ろうかと思つております。
○小林英三君 私は今のような答弁では甚だどうも不安に思うのですが、この法案にある不公正なる輸出取引を防止するということにつきまして、第十一条によつて輸出組合の事業が、これは輸出業者の不公正な輸出取引の防止ということになつておりますが、勿論これはいろいろなダンピングその他のこともありますが、今私の質問申上げて、いるような、いわゆる工業所有権に触れているかどうか、或いは著作権もそうであるが、工業所有権にそれが触れているかいないか。これは輸出組合の事業として防止するということになつておりますが、これと只今の答弁と併せ考えますというと、非常に私は不安に思う。工業所有権の問題というものは、これは内地におきましても同じでありまして、侵害というものはありますが、これは侵害がありましても、本当にこれを争つて、或いは確認審判を起すとか、或いはそれ以上の抗告審判を起すとかして、最後に決定する場合がかなりあると思う。それから外国にこういうものがあつたからというて、これを改良してもつと立派なものに設計をして出したというような場合において、単に外国から、相手国からして侵害だといつて来たから、すぐにそれを侵害とみなして停止するとか戒告するとかということは、危い話だと思うのでありますが、輸出組合といえども、ほうぼうにたくさんできると思いますが、輸出組合にそういう機関を作るということもかなり容易ならざる問題だろうと思いますけれども、工業所有権を侵害しているという認定を与える何かの機関が、特許庁その他に連絡して要るのじやないか。単に今の説明では、私も随分工業所有権に関係しておりますが、なかなかいろいろな事件も起きる。簡単に外国から言うて来たから、そうだ侵害しているぞというわけに行くまいと思う。これはお互いに工業所有権の争いというものは、特許庁におきましても、確認審判までやつて、抗告審判までやつて、最後に決定するというような問題でありますから、不公正な取引を防止するという問題につきまして、工業所有権に侵害しないという判定をするのにどこがやるか、これはよほど深く考えて行かなくちやならん問題だと思う。
○政府委員(本間俊一君) 御指摘になりましたように、仮りにそういうような問題が起りました場合に、国内の問題といたしましても、お説のように裁判になりまして、二回も三回もやるというような場合もたくさんあるわけでございまして、これはなかなか面倒な問題だと思つておりますが、政府といたしましても、相手国からそういう抗議が単にあつたら、すぐそれを真に受けてやるというようなつもりは一つもないのでありまして、現在もやつているわけでございますが、これはやはり特許庁がその専門の役所でございまするし、いろいろな各国の法令なども調べておりますから、特許庁の機関を勿論活用いたしまして、そうして、どういう点で然らばそれが触れるか、或いは触れる度合、その他をできるだけ詳細に調べあげまして、そうしていま御指摘のように、或いは多少改造したものならば、触れないかどうかというような点も、勿論吟味いたしまして、できるだけ慎重な取扱いをいたさなければならんと考えております。
○小林英三君 いまの政務次官の御答弁に関連いたしまして、十一条の輸出組合の事業、この輸出組合、輸出業者の不公正な輸出取引の防止という問題は、むろんいまの御質問申上げましたような工業所有権問題にも関連して、あると思うのですが、そういう問題について、この不公正な輸出取引の防止ということの事業というものは、どういう範囲でしようか、そういう問題に関連いたしますと。
○政府委員(本間俊一君) お答え申上げますが、やはり只今私が申しましたような手続を経まして、明らかに違反をするというような事例がわかりました場合には、その処置が決定いたしました場合には、その処置なり内容なり或いは基準なりというようなものを組合に周知徹底をさせる方法を講ずるとか、或いはまたそういう疑いがありまして問題が起りました場合に、その業者自身が特許庁なり役所に参りまして、いろいろな調査をするもの思いますが、そういう相談がありますような場合があろうかと思いますが、そういう場合には若しもすでに調査済で明瞭になつているようなものであるならば、その組合で説明をして下さることもできようかと思つております。それから只今申上げたような先例も明確になつておりますようなものを、故意にまたやるような場合もあろうかと思いますが、そういうような場合は組合内で一つ制裁規定のようなものを設けるというようなこともできるのじやないかと考えておりますので、組合といたしまして費用の関係その他もございましようが、どうしてもそういう非常に問題の多いような品物に関しまする場合は、輸出組合のほうで特許庁なり何なりと連絡いたしまして、そういう資料なり何なりを、その組合で集めて研究をするというようなことも、やはりできるのじやないか、こう考えております。
○小林英三君 そういたしますというと、今の輸出組合の事業の中の不公正な輸出取引の防止の中に、若し工業所有権等を侵害するような問題が起つた場合においては、輸出組合が自主的にこれを考えて、そうして思いあまつた場合には、特許庁等に相談して、これを防止するということなんですか。
○政府委員(本間俊一君) 大体私どもはそういうような活動をされるのじやないかというふうに考えております。
○小林英三君 この問題については、特許庁がやはり相当関連をして、この問題にタツチしてやるといつたような部面がかなり起つて来ると思いますが、そう考えてよろしうございますか。
○政府委員(本間俊一君) 御指摘のような場合は、確かに専門に調べておりますのは特許庁でございますので、特許庁と関連を持つているというふうに私は考えております。
○小林英三君 それから先ほど境野君の御質問になりました二十五条の審議会の中の第二項ですが、関係行政機関の職員とありますが、関係行政機関の職員というものは、今日お考えになつている関係行政機関とはどこどこですか。
○政府委員(本間俊一君) 只今考えておりますのは、農林省でありますとか、運輸省でありますとか、厚生省でありますとか、大体製品と申しますか、輸出品を所管しておりますところをやはり関係させて参らなければならんのじやないかというふうに考えております。
○加藤正人君 私は前回に第五条についてもう一項、三原則を四原則にしたらどうかという……。協定ですね、第三国が仕向地に協定をして輸出して来た場合に、これと対抗するためにこつちも協定をするという一つの協定の場合を、これに追加することができぬかといつたところが、公取が、私が答弁すべきではなかろうけれどもと言つて、代つて答弁されたのですけれども、通産省でもあの答弁で差支えない、と思われるのですか。その点について……。
○政府委員(松尾泰一郎君) 実は昨日でありましたか、お尋ねありましたこの点につきまして、たしかに法案を作るときにも、実はそういう議論がかなりありまして、それを一つ入れようかという議論もしたわけでありますが、純粋に理論的に分解してみますと、そういう事態も予想されるのでありますが、おおむねその事態は、例えば二などと併せて行われる場合が多いのではないだろうかということで、できるだけ原則をあまり列挙するよりも、三つぐらいのほうがいいだろうというようなことで、実はそれと、それからもう一つは、特定市場において第三国との競争上、そこでいろいろな協定をやるということは、それもやるべきだが、それは実際問題としてそう大したことでもないだろうということで、それと実際問題としてはいろいろ一、二、三と競合して起る場合もあろうから、運用ではどれかに引つかけてやればやれないこともないだろうというふうな、実はあまりはつきり割切れなかつたのでありますが、できるだけ原則を減らしたいということと、今申しますように、すぐそれを特定すると少し行過ぎの点もあろうかというような配慮から実は落したような次第であります。従つて委員長が言われたのは、それと同じように解釈しているわけであります。
○加藤正人君 まあこの法文の趣旨として公正なる取引というようなことを謳つている関係もあつて、そういうようなお答えがあるかと思うのでありますが、とにかく輸出伸長を狙わなければ何もならんと思うのですけれども、今、私のいつたような場合がなかなか多いのです。だから一、二、三の中に含まして、それの運用とか準用でというよりも、むしろこれは真先に書いていいくらいに私は思うのですが、昨日も言つたように、いろいろな方面にデリケートな関係があるという気兼ねもあるということであるから、やむを得んと思うのですが、これは私は甚だ遺憾と思うのです。今更併しどうもできんというなら仕方がないが、我々はそういうことをぼんやり通したということは残念ですから、私は、はつきりそういう発言をしたという記録を残しておきたいと思います。
○小林孝平君 第二十五条ですが、先ほどの御質問にありましたが、ちよつと聞き落しましたので、もう一度お伺いしますが、関係行政機関の職員というのは具体的にどういう人を考えておられるのですか。
○政府委員(本間俊一君) 通産省は勿論ですが、農林省、運輸省でありますとか、厚生省とか、というような、輸出品目の主管官庁と申しますか、生産主管官庁と申しますか、そういうところはやはり入れて行く必要があるのじやないかと考えております。
○小林孝平君 私はこの行政機関の職員というものは必要がないのじやないか。これは通産大臣の諮問に応ずるのですから、少くとも通産省の職員は、当然この審議会にかける資料の提出とか、そういう基本的な資料を整える役目じやないかと思うので、この審議会に入つて大臣の諮問に応ずるというのはおかしいのじやないかと思うのです。それは例えば同時に今ここに付託になつております特定中小企業の安定に関する臨時措置法案でも、これは相当重要な役目をこの審議会がやるのですけれども、関係行政官庁の職員というのは除外されているのであります。更に最近の例をとりますと、繭糸価格安定法の原案には、やはり審議会に関係行政官庁の職員が入つておつたのでありますけれども、これは必要ないということで、委員会においてこれを修正し、参議院衆議院修正案が通つているのでありますが、その後の繭糸価格安定法の運用にも何ら支障はない。こういうことでありますので、私はここに役人を入れるということはどうもおかしいのではないか、こういうふうに思う。特に中小企業の安定に関する臨時措置法にはなくていい、こちらにはなければならんという理由を一つお伺いしたい。
○政府委員(本間俊一君) 御指摘の点も御尤もかと思うのでありますが、御承知のように審議会を一つの審議会にいたしまた関塗、いろいろな品目或いは業種別の委員のかたが出られるかと思います。その場合先ほども申上げたのでございますが、やはり品目によりまして、業種によりましては、部会をどうしても運用上作らなければならんのじやないかというふうに考えておりますが、その場合に農林省がその生産を主管しております農林物資につきまして、やはり部会を作りますときには、農林省のそのほうを担当いたしております政府職員がいるほうが、実は工合がいいのじやないか、こういうふうに考えまして、従来の例なども参考にいたしまして、実はこういうふうにいたしたわけでございます。それからもう一つ、この法案をまとめます際に、実際の業務に携つている人々といろいろ御相談申上げたのでありますが、その際もやはりその生産を担当いたしておりまする役所のかたが入つておられるほうが都合がいいというような御要望もございましたので、実はこういう措置にいたした次第でございます。
○小林孝平君 私はいまの御説明ではやはり納得できないと思うのです。当然そういう部会ができましても、これには関つ係の役所の役人が来て、いろいろ説明したり、或いは質問に答えたりするというのは、当然の役人としての義務でありまして、そこに委員として発言をし、その委員会の決定権を役人が持つということは私はおかしいと思う。最近の例とおつしやいますけれども、それは従来はそういうあれでございますけれども、最近は逐次そういう考え方がとれて来ているので、現にここに出て来ている先ほどから申上げましたこの中小企業の安定に関する臨時措置法の審議会についても、役人を入れてない。或いはこれは役人が入ることは却つておかしいというので、最近においても特にこれを審議会の委員から削除した例もありますので、よほどの理由がなければ、ここに入れるということはおかしいと思うのです。
○政府委員(本間俊一君) お答え申上げたいと思いますが、審議会ができまして、その審議会の会長も民間からも出られるような仕組にいたしているのでありますが、できるだけ民主的な運営をいたしたいと考えているのでありますが、先ほどもちよつと申上げましたが、関係をいたしている業者のかたの御要望もございまして、やはり入つているほうがやりいいという要望が相当強うございますので、その要望をも勘案いたしまして、このような措置にいたした次第でございます。
○小林孝平君 この点についてはなお問題はありますけれども、今日はこの程度にいたしまして、この委員会には「輸出貿易に関し学識経験のある者」とこうありますが、これは業者の代表は入らんのでございますか。
○政府委員(本間俊一君) 大体輸出貿易に関係いたします業者、或いは生産者の代表は勿論入れる考えでございますので、業者の代表も勿論入るという考え方をいたしております。
○小林孝平君 これは些細なことでございますけれども、従来のいろいろの法律の例から申しますと、業者の代表というものと、その業についての学識経験ある者というものは、別にはつきりと書き分けてあるが、これはそう書き分けてない。今後、政務次官はそう言われますけれども、この運用に当つて、そういうことはできないという虞れはないですか。
○政府委員(本間俊一君) 先ほどもちよつと申上げたのでございますが、業種別になりますと、非常に審議会の数もふえまして、如何かと考えましたので、委員の数は少し多いかと思つたのでございますが、一つにいたしたほうが運用上便利だ、又そのほうがいいという考えで五十人以内ということにいたしておりますが、これは実は輸出貿易に関係いたしますので、普通の場合の学識経験者というのとは私どもの考え方は多少違つているかと思いますが、やはり業者が何と申しましても主体でございますので、業者のかたがた及び生産関係の人々が主体で委員の構成をする、中心にして委員会の構成を図りたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○小林孝平君 今おつしやつたようでありますれば、従来の法律の建前からいいますと、それは明らかに業者の代表、それからその業に関する学識経験者というように書き分けてないと都合が悪いのじやないかと思う。これは大したことじやありませんので、それでいいということになれば、それでよろしいけれども、恐らく私はそれでは不備なのではないか。実際の審議会令を作つてやる際に、そういう疑問が出て、できないということになる虞れがないかと思うので、一応御注意を申上げておきます。
○委員長(竹中七郎君) 本日はこの程度で散会いたしまして御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めまして散会いたします。 午後四時四十二分散会