通商産業・経済安定連合委員会 第1号
- 発言数
- 8 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1952/06/05
会議録
○委員長(竹中七郎君) これより輸出取引法案につきまして通商産業、経済安定両委員会の連合委員会を開会いたします。 慣例によりまして、私が委員長の席を汚すことをお許し願います。本案につきましては一昨日衆議院の委員会において原案通り可決されまして、本日衆議院本会議の日程に上つておりまして、本院では目下通産委員会において予備審査中のものでありますが、通産委員会におきましては、先日提案理由を聴取いたしたのでございます。従いまして本日は連合委員会を開くに当りまして政府当局より重ねて提案理由の説明をお願いいたしたいと思います。
○政府委員(本間俊一君) 只今議題となりました輸出取引法案の提案理由を御説明申上げます。 平和条約の前文におきまして、我が国は「貿易及び通商において国際的に承認された公正な慣行に従う意思」を宣言いたしておりますが、国際経済社会に復帰した我が国が広く世界各国と正常な通商関係を回復し、貿易を拡大してゆく上には、公正な国際慣行を遵守することが最も肝要であることは申すまでもありません。併しながら我が国の経済の特殊性からして輸出取引がとかく過度の競争となり、仕向国の工業所有権等を侵害したり或いは仕向国の関係産業又は輸入業者に不安又は損失を与えた事例も見られますので、国際的信用を高めるために不公正な輸出取引を防止すると共に、輸出取引の秩序を確立するために輸出業者の協定又は輸出組合の設立を認めることが緊要なことと認められます。 本法案は、右の目的達成のために制定せんとするものでありまして、その主要点は大要次の通りであります。 第一に、仕向国における工業所有権の侵害等の不公正な輸出取引を防止すると共にその違反者に必要な制裁を課することになつております。 第二に、輸出価格が低いため仕向国産業の利益を著しく害し、或いは輸出価格が変動し輸出取引の成立が困難となる場合等に限つて輸出品の価格、品質、数量等について輸出業者の協定を認めることになつております。 第三に、民主的な輸出組合の設立を認めまして、その事業として不公正な輸出取引の防止及び輸出業者の共通の利益増進のための業務を行わしめる外、輸出業者の協定の場合と同趣旨で組合員の遵守すべき基準を決定し得ることといたしたのであります。 第四に、前に申述べました輸出業者の協定及び輸出組合の決定については、独占禁止法及び事業者団体法の適用を除外することになつております。 第五に、通商産業省に諮問機関として輸出取引審議会を設置して民間業界の意見を大いに取入れ本法の運用の円滑を期することになつております。 これを要するに長年我が国貿易業界がこぞつて念願してやまなかつたことが、内外の諸情勢を考慮して作られたこの法案の成立によつて実現されることになり、我が国の公正にして且つ秩序ある輸出取引を促進し、国際的信用を高め、輸出貿易の増進に役立つことを確信しております。 以上が、この法案の提案理由及び内容の概要であります。 何とぞ愼重御審議の上速やかに御協賛あらんことを切望する次第でございます。
○委員長(竹中七郎君) 只今提案理由の御説明がございましたが、この際法案の條文に即して政府委員から内容の詳しい御説明を承わりたいと思います。
○政府委員(本間俊一君) 只今提案の理由を御説明いたしたのでございますが、更に附加えまして條文を中心に御説明申上げたいと思う次第でございます。 本法の目的は第一條で書いておるわけでございますが、輸出貿易の健全な発展を図るために不公正な輸出取引を防止することと、輸出貿易の健全な発展を図ることの二つを目的といたしております。 第一の目的は第二章の輸出取引の公正と、第四章の輸出組合の一部を以て構成されており、第二の目的は第三章の輸出業者の協定と、第四章の輸出組合を以て構成されております。 第二に不公正な輸出取引の禁止に関係いたしておりますが、我が国の平和条約の前文で宣言しておるように、輸出取引において国際的に承認されました公正な国際慣行を遵守することが輸出振興の最大の方途になつております。従いまして本法案はこれを不公正な輸出取引として定義いたしまして、かかる行為を第三條において禁止いたしております。不公正な輸出取引の定義といたしましては次の四つを掲げておるわけでございますが、これが丁度第二條になておるわけでございます。 第一は仕向地における工業所有権及び著作権を侵害する取引でありまして、これは従來外国為替及び外国貿易管理法第五十條で取締ておりましたのを本法案の体系に捜入したものでございます。 第二は原産地の虚偽の表示をいたしました貨物の輸出でありまして、これは近く加入することになつておりますマドリッド協定に即応する協定でございます。 第三は蔵出契約において定めまする要件を著しく欠く貨物の輸出でございまして、これは従來輸出品取締法第九條で取締ておりましたものを本法案の体系に挿入いたしたものでございます。 第四は国際取引における公正な商慣習に停る輸出取引であて政令で指定するものであります。これは具体的に必要な場合に初めて指定して行くことになつておりますが、この指定の際には関係業界の意見を十分尊重するために、第二十四條によりまして必ず輸出取引審議会に諮ることにいたしております。 第三にこれらの違反をいたしました業者に対する制裁でございますが。それは第四條に規定をいたしております。違反を起しました者に政府は戒告をいたしまして、その業者が戒告をいたしました後一年以内に更に同じような不公正な輸出取引をいたしました場合には、品目又は仕向地を限定をいたしまして、輸出の停止を命ずることができることになております。この場合業者がその違反に対しまして十分の注意を払ても止むを得ない原因によるものであたことを証明いたしました場合には、この輸出停止処分を免れることにいたしております。 それから第五條でございますが。輸出業者の協定について規定をいたしておりますが、輸出業者が仕向地における産業と競合をいたしまして輸入税の引上げ等がなされる虞れのある場合或いは輸出価格の異常な変動によりまして仕向地の輸入業者に取引の上に不安を生ぜしめる場合及び仕向地における買手独占に対処する必要がある場合に限定いたしまして、輸出品の価格、品質その他の取引條件は更に数量について協定を締結することができることといたしております。これにつきましては政府の許可を必要といたすことにしておりまして、協定が只今申述べました事由を除きまするために必要最小限度を超える場合、不当に差別的である場合及び輸出取引の秩序の確立を著しく害する場合には許可できないことにいたしております。 第八條、第九條へ参りまして輸出組合について規定をいたしておりますが、輸出組合の性格は第八條によりまして特殊法人といたしまして、営利を目的としないこと、加入及び脱退が自由であること及び議決権がそれぞれ平等であることの三つを要件といたしております。加入脱退の自由及び議決権の平等は戰後の団体民主化政策からは当然の要請であろうかと考えます。 次に第十一條へ参りまして輸出組合の業務を規定いたしておりますが、不公正な輸出取引を防止する業務、組合員の共通の利益を増進するための施設及び輸出業者の協定を認める場合と同様の場合におきまして、組合員の守るべき基準を規定する業務となつております。共同施設業務につきましては事業者団体法で許される範囲に限定せられますることは勿論でございますが、又不公正な輸出取引を防止する業務につきましては遵法のためのものでありますので、合理的な範囲を逸脱しない限り独占禁止法及び事業者団体法に牴触しないことになつております。更に輸出組合の組合員の資格につきまして第十二條で規定をいたしておりますが、輸出業者と輸出組合ということになつておりますが、等十三探で輸出業者と輸出業者で組合を作る場合は三十人以上の輸出業者が、輸出組合と輸出組合で連合会的な輸出組合を作りまする場合には二以上の輸出組合が必要であり、輸出業者と輸出組合で混合的な輸出組合を作りまする場合には十人以上の業者と一以上の輸出組合が発起人となることを要件といたしております。 なお第十四條、第十六條、第十七條へ参りまして輸出組合の設立、定款の変更及び輸出組合の合併についでは政府の認可を必要とし、その際の認可基準といたしましては右の要件を備えておること、設立手続等が法令に違反しないこと及び輸出取引の秩序の確立に寄與するものであることとなつておりまして、輸出組合の乱立を防止したいという趣旨がここに盛られておるわけでございます。 次に政府の監督についてでございますが、輸出業者の協定の締結及びその変更、輸出組合の禁止、組合員の遵守すべき基準の決定及びその変更につきましては、通商産業大臣の認可を必要といたしまして、更に認可基準に該当しなくなつたとき、或いは輸出組合が定款に定める事業以外の事業を行いましたときにはその認可を取消し又は解散命令を発することができることにいたしております。解散命令を発することができる規定をいたしておりますのは第十八條になつております。 それから第二十條へ参りまして、私的独占禁止法及び事業者団体法の適用除外を規定いたしておりますが、輸出者の協定の締結及び輸出組合の基準の決定並びにこれらに基いて行います共同行為については、独占禁止法等の適用を除外いたしております。但し国内取引を不当に制限いたしまする場合、不公正な競争方法を用いる場合及び協定又は決定が認可基準に該当しなくなつた場合は、公正取引委員会が通商産業大臣に認可の取消し等の処分を請求してから一カ月を経過いたしました際には、独占禁止法等が再び適用されることになつております。 第二十一條、第二十二條へ参りまして、これは他の行政庁との関係を規定いたしておりますが、必要な事項について通商産業大臣が行政処分をする場合には、公正取引委員会又は当該物資の主務官庁の同意を得ることになております。公正取引委員会の同意は独占禁止法等の適用除外となる行為につき適切な認定をなさしめるためでありまして、物資の主務官庁の同意は輸出取引と密接な関連を持つている生産部門の見地から適切な判断をなさしめるためでございます。 第二十三條から第二十九條までは輸出取引審議会について規定をいたしておりますが、この運用は関係業界に重大な利害関係を有するものでありますので、関係業界の意見を十分反映せしめるため、通商産業大臣の諮問機関といたしまして委員五十人以内の輸出取引審議会を設けることになつております。この委員には貿易業界及び生産業界の代表並びに関係官庁の職員を充てることにいたしております。 附則のほうへ参りまして、他の法令との関係を規定いたしておりますが、仕向地の工業所有権等の侵害及び輸出契約と著しく異なる貨物の輸出を不公正な輸出取引として規定しましたので、これらを従来規定いたしております外国為替管理法第五十條及び輸出品取締法第九條を削除いたしております。その他聴聞、不服の申立等の規定を設けまして、不当の処分を受けました業者を救済する途を設けておりまするし、又報告の聽取、罰則等につきまして規定をいたしておるわけでございますが、以上が大体この法案に関係衣いたしまする説明でございまするので、一応この程度で、私の説明は終ることにいたします。
○委員長(竹中七郎君) 以上説明は終りましたが、次回から質疑に入ることにいたしまして、その前に要求すべき資料等がございましたならばこの際御要求を願うこととしたら好都合かと存じます。 それから審議日程の御希望などをお伺いいたしたいと思います。 次に本案のみに関する事項ではありませんが、通産委員会におきましては、来る九日、月曜日の午後一時から貿易政策の基本方針並びに当面の貿易問題に関して参考人から意見を聽取することとなつております。参考人といたして予定しておりますかたがたは、倉敷紡績社長、前貿易庁長官塚田公太君、日本貿易会專務理事猪谷善一君、中日貿易促進会常務理事鈴木一雄君、高島屋飯田社長太田靜男君、第一通商社長岡本忠君、この五名のかたでございます。そのほかにまだ一、二加わりますかもわかりません。 当方からの主題といたしまして書面で通知してありますのは、貿易政策の基本方針、輸出取引法案、対アジア貿易、生糸等のいわゆる三角貿易について意見を承わり、委員の質疑に答えられたいというのであります。当連合委員会の議題であります輸出取引法案についても相当に意見の開陳もあると思われますので、経済安定委員の皆さんがたにおかれましても、御出席の上、通産委員と同様に質疑等に参加されるようお願いたしたいと存じます。なお輸出取引法案に対しまして、審議の過程において或いは本法案を主体とする参考人の意見聽取も必要となるかと存じますが、その節は改めて御協議を申上げることにいたしまして、差当り九日の件だけを申上げておきます。 それから本法案に関しまする審議日程でありまするが、先日ここにおられまする経済安定委員長と御協議いたしまして、大きな支障のない限り次回は十一日、水曜日午後一時から開会いたしまして、そのときは事業者団体法の一部を改正する法律案と本案と二法案を併せて議題にすることに予定しておりますから、御了承を給わりたいと思います。 それでは今の資料の要求その他につきましてはありませんでしようか。何か御要求の点がありましたらおとで委員長まで申込んで頂きますれば……。
○小林英三君 次回でもいいですか。
○委員長(竹中七郎君) 次回でもいいです。それでは本日の連合委員会はこの程度にいたしまして、今日は説明だけということになつておりますから、質疑は次回に讓りたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして、本日はこれを以ちまして散会いたしたいと思います。 午前十一時二十九分散会