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13回国会参議院1952/07/28

懲罰委員会 第5号

発言数
45
登壇者
5
会派数
5
開催日
1952/07/28

会議録

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) それでは只今から会議を開きます。  先ず、今回の懲罰事犯の原因となつたと思われる破防法の審議の経過に見て議長が遂に職権を以て本会議をお開きにならなければならなくなつたその間の事情について議長の御見解を承わりたいと思います。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 只今お尋ねのありました問題について、私が当時とりました措置、又そういう措置をとるに至つた私の動機、若しくは心境、そういう点についてできるだけ詳しくお話を申上げたいと思います。御承知の通り、今会期において最も重要であり、且つ困難な問題として目されておつたのは破防法案であつたに相違ない。こういつたその破防法案を如何にして参議院の議事に上程するかということ、これが私にかかつた大きな問題であつたのであります。成るほど議案として提出されておりましたが故に、公報掲載の日程にはしよつちゆう破防法案といつて載つておりましたけれども、これを議事に載せるためにはどうしても議院運営小委員会といいますか、それに付議しなければならない。そうして全会一致で以て破防法案をどういうふうに扱うかということをきめて頂かなければならない。これが議事規則から生ずる議事運営の道筋であり、且つ又従来からの慣例で、そうなつているわけです。そこで私は破防法案について小委員会に諮つたのであります。ところが小委員会ではなかなかこの破防法案を上程するということに全会一致の話合いができない。そうして漸くにして国会法十三條の改訂問題、それとひつかかつて、そうしてこの国会法の問題を先に審議するという條件の下に破防法案を上程するということに話合いがついたわけであります。さて、その国会法の審議に当りましても、なかなかこの問題は簡單でなくて、そうして六月二十日に会期が切れたにかかわらず本会議はなかなか開かれないというようなことになつてしまつたのでありまするが、まあそれでも漸くにして六月の二十五日の午後の十一時過、十三時間近になつてから本会議を開くことができた。そしてそこで国会法改正の趣旨説明と、それから議院運営委員長の更迭、こういう問題をかけることができたのでありますが、併し国会法改正の問題自体にも入ることができなかつた。翌日は又流会、二十八日の本会議で漸くにして国会法の改正問題を上程することができた。こういうわけで破防法案を上程するということが非常に遅れて来ておつたのであります。そこへ持つて来て二十八日の本会議におきまして破防法案を漸くにして上程することができたのでありまするけれども、その審議に当りましては、その審議に入る前に、その前すでに小野法務委員長に対する懲罰の動議が野党側から提出されておりました。その提出されておつた懲罰の動議を取上げて、そうして審議を開始いたしまするならば、又破防法案は何日か延びるという、そういうような羽目に本会議は陷つておつたわけであります。そこでその苦境から脱却すべく自由党の小林英三君から破防法案の審議を優先的に取上げるよにというあの問題の動議が出て来たわけであります。  さて、この小林君の動議を取上げるということについては私も随分考えさせられました。現在の参議院規則に上りまするというと、二百三十八條には懲罰の動議は直ちにこれを会議に付さなければならないというように書いてあるのでありまして、普通ならば直ちに取上げて、そうして会議の議に付さなければならんことになつておるのも、こういうことも承知しておつたのであります。併し本会議の空気を見てみまするというと、先ほども申上げました二十七日の本会議において国会法が審議されたあの状況を見てみまするというと、諸君も御存じの通りに記名投票が十三回も行われている。成るほど野党の諸君のとられたその措置は議事規則に違反はしていない、何回でも記名投票を要求することは勿論できるわけでありまするけれども、私の見ておるところによれば、野党側は極端にあの議事規則を利用して、そうして会議を引延すという作戦に出ておるものと判断せざるを得なかつた。又そう判断するのが当然であつたと私は信じておる。そうなつて参りまするというと、その上に又先ほどもお話申上げた通り、大屋晋三君の懲罰動議をとり上げたのでは、これは破防法案はいつ上程されるかわからない。それでは私の責任が相済まないということを痛感させられたのであります。何とならば、小委員会において議事の取扱について全会一致の決議が成立しまするならば、それは議長を拘束する。議長はその通りに取計らわなければならんということ、これは議事規則にも出ておる。が全会一致の決議が小委員会において見られなかつたという場合には議長は何ら拘束を受けないのであります。即ち議長の職権によつて本会議を開催し、且つ又本会議を進行させることができるのであります。それがいわゆる議長職権というものと心得ます。その場合においても、私は議長の職権を以て本会議を開くという場合においても、議長としては多数の意見を尊重するということは、これは私は議事進と行の上においての一番に心得なければならんことと信じております。よしんば小委員会において全会一致の決議が成立たなかつたという場合にもいずれに多数があり、いずれに少数があるかということは、議長としては常に見ておかなければならんところである。国会の運営ということも多数によつて動いて行く、行かなければならんということもこれは国会運営上当然なことであり、又それが即ち我々が非常に強調しなければならん民主主義の根本義であろうと思うのであります。そしてその多数が與党側にある場合においても、或いはその反対に野党側が多数を占めることがあるかも知れない、いずれの場合にも私は議長としてはその多数の意見を尊重するということでなければならないと心得ております。若し議長がその多数の意見に従うことができない、自分の考えがそれに一致しない、多数の意見に承服することができないという場合には議長は辞任するより、議長の職から退くということばかりが残された問題である、そういうように私は信じておるのであります。これは現在においてもその点は一向 変りがございません。そこであの小委員会の空気を見てみまするというと、自由党、緑風会、民主クラブ、この三者の結束が非常に固いものがある、破防法案に関する限り。そうしてこの三会派から私の許に常に自分たちの三会派は一致の行動をとつて行くんだ、この点において何ら間違いかないということを再三確かめに来ておられました。私もまさにその三者の結束は非常に固いものと見ておつたのであります。即ちそれが参議院の多数であり、その多数の意思が破防法案を取上げるということであれば、私としては先ほど申上げましたような議長としての立場からこの多数の意思を尊重しなければならん、即ち破防法案を取上げなければならん、どうしても今次の国会の会期中にこれを通さなければならん、そういうように見てとつたのでありました。然るに今も申上げました通りに、二十七日の本会議においては十三回も記名投票をやる、まさにこれは議事規則の極端なる利用であり、而してその真意が奈辺にあるかということは言わずして明らかであります。これをこのままにしておいたならば、破防法案はいつ上程されるか、まるつきり見当がつかない問題になりてしまつたのであります。そこで私はその大屋晋三君の懲罰動議が出ておつたにかかわらず、小林英三君の動議を取上げざるを得なかつた。それには私には私としての根拠があります。第一に、これは私の解釈が間違つておるかどうか知りませんけれども、只今の議事規則の二百三十八條によりまするというと、「懲罰の動議が提出されたときは、議長は、直ちにこれを会議に付さなければならない。」と書いてあります。直ちに付するということは、すべての議案に優先して付さなければならないというふうに解釈するのも一つの解釈であります。そうでなくて成るべく早い機会にかける。直ちにということは即刻ということを意味するのじやなくて、成るべく早い機会にこれをかけるというふうに解釈することも一つの解釈であります。何とならば、衆議院の同じこれに相当する議事規則によりまするというと、「懲罰の動議が提出されたときは、議長は、速かにこれを会議に付さなければならない。」としてありまして、衆議院のほうでは速かにこれを付すというふうにはつきりと書いてあるのであります。これは日本語としてどういうふうに解釈するのが最も正確なのであるか存じませんけれども、併し直ちにということを即刻というふうに解することもできるし、そうでなくて衆議院風にできるだけ早くと解釈することも全然できないというわけではないというように私は解しておるということも一つ。それからもう一つは議事規則はこれは議会がきめるもので、本会議がきめたものであつて、従つて本会議はこれを修正することもできるし、又これと違つた手続を採決するということもできるというふうに私は考えたのであります。それはそういうふうに解釈するということは決して私は褒めたことではない、間違つていると……絶対間違つているとは私は信じないけれども、決して褒めたことではないので、議事規則というものの明文があるならば、その明文に従うのが当然であり、本会議のあの場で以て議事規則に違つた手続を採決するということは、これは決して褒むべきことではないので、よしんば本会議そのものがすべての権限を持つておると解釈し得るとしましても、私の信ずるごとく……。併しこういう明文がある以上、それに従つて行うべきであつて、これに違つた手続をするということはこれは権道である、普通の場合にはやるべきことではないということは私も考えさせられておつたのであります。併しながらあの場合にそういう権道とも称すべき手段をとらないことには、私は破防法案を上程させることができないと見ざるを得なかつたのであります。かるが故に私はあえて小林英三君の動議をとつたのであります。採決してもらつたのでありまして、即ち多数の意見を尊重するという建前からして、議事規則と正面衝突とは私は言いませんけれども、議事規則と違つたやり方をあの場合にきめてもらつたということになつたわけであります。若し私が解釈するごとく、直ちに会議に付さなければならんというのを、速かに会議に付さなければならんというふうに解釈することができるとしましたならば、それは小林英三君の動議を先に採決したいということは議事規則に違つていないということにもなり得ると思うわけでありまして……。が併し、いずれの途あれは極端な場合であつて、そして極端な情勢に処すべき止むを得ず議長としてとつた措置でありまして、これは率直に申上げなければなりません。が併し、多数の意向を尊重するということは、私はどこまでもやつて行かなければならないのでありまして、若しその多数の意見に承服することができなければ、私としてはやめるだけの話であつたのであります。あの際私は破防法案を通すということは自分の信念でもあり、そしてそれが多数の意見でもありましたが故に、私はあえてああいう処置をとつてまでも破防法案上程というところまでも持つて行つたわけであります。それがその小林君の動議を懲罰の動議に先んじて採決、本会議をして採決させたという経緯であります。只今委員長からお問合せになりました点に対する一応のお答えといたしまして申上げました。

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) 速記を始めて……。それでは午後二時過ぎにいよいよ又議長職権を以て本会議を開かれて、そうして小林英三君の動議に従つて、その動議の可否について採決を行わんとした際に、途中で議長がこれを休憩を宣しなければならなかつた、あの間の事情について、議長のとられた処置に対するお考えと、それからその間のその前後のことに対する議長のその当時の御心境について伺いたいと思います。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) お答え申上げます。小林英三君の動議を懲罰動議に先んじて採決に問うたというその動機については、先ほど詳しく申述べた通りでありますが、そしていよいよ今お話のありました二十八日の午後の本会議にその小林英三君の動議採決を議題に付したところが、野党側から非常な抗議が出まして、そして数人の議員諸君は近藤事務総長の机の前に押し上つて来て、そして議長のとつた処置に対しての非常な強力な抗議が述べられたのでありまして、その際の野党側の議席は騒然たるものがありました。そして殆んど近藤事務総長の前の演壇の部分はその議員諸君によつて立ち塞がれてしまつたのであります。その抗議の趣旨は、何故に懲罰動議を優先的に採決しないのかという抗議でありました。併し私は、先ほど申上げましたような動機からして小林英三君の動議を取上げ、そうしてこれを記名投票に付するということを宣して、氏名の点呼を行なつたのであります。従つて緑風会の議員諸君は投票札を持つて、いつもの通りにあの演壇に登つて投票すべく続続上つて来られたのであります。然るに今申上げました通りに事務総長の机の前の部分はすつかり野党側の議員諸君によつて塞がれておりまして、その投票に上つて来た議員諸君の通路が従つて塞がれておつたのであります。僅かに一、二名の議員のかたが通過することができたくらいでありまして、あとは通過ができない、到頭……。でありますからして、演壇はすつかりこれらの議員諸君に、即ち投票のために上つて来た議員、それから事務総長の机の前に立ち塞がつていた野党側の議員、これらによつて塞がれてしまつたというようなことになつたのであります。成るほどその際数名の衛視はその演壇の混雑を整理すべく、そこに出張つてはおりました。が併し衛視としては直接に手を下すことができず、積極的に整理を行うことができず、そのまま数分間というものはその混雑のうちに過したのであります。併し依然として混乱は続くばかりであり、空気は一層険惡になつて参りましたので、私は止むを得ず休憩を宣したということになつたのであります。  議長室に帰つて参りまするというと、すでに自由党側の代表のかたがたがおられ、何故に休憩をしたのかと言つて非常な抗議を私は受けました。が併し私としては、国内的にも非常な問題となつておつたあの破防法案、これは国民の全部とは言いませんけれども、かなりの部分の国民の間においては不評判な法案であつたということは、これは皆さんがた私から申すまでもなく御承知の通りであります。そういう法案を通すという場合に、かなりの混乱の生ずるということはこれは初めから覚悟しなければならんことでありまして、これを通すということは生易しい方法で以て通し得ると私は考ていなかつたのであります。であるからして、あれくらいの野党側からの反抗は当然予期せざるを得なかつたのでありまして、かるが故に私はこれに対する処置として、あの際は一応休憩をして、そうして少しばかりの時間をかし、これによつて議員諸君の興奮の静まるのを待つほかないというふうに感じたわけであります。ところが自由党の諸君の抗議、今申上げましたような休憩に対する抗議を受けておつたその直後、今度は野党側の議員諸君、並びに衆議院のマークをつけた議員諸君が私の部屋になだれ込んで参りました。その数およそ何人であつたかは的確には申上げられません。單にこれら議員諸君ばかりであつたのみならず、これらに附いて来た人たちがありました。恐らく秘書とか何とかいう名目の人たちでありましよう。それはその数はむしろ議員たちの数よりもずつと多かつたのでありまして、あの狭からぬ議長室はこれらの人によつて全く占領されてしまつたのであります。身動きもできないというような場面が呈せられました。そして今度はその人たちから、なぜ議長は小林君の動議を議題に取上げたのだということの非常に強い、或る場合においては脅迫がましい言辞を以て私に抗議をして来たのでありました。併し暫らく経つうちに、今度は議員諸君の間から声が起つて、これでは話ができない、であるからして参議院の議員たちだけがここに残ろうではないか、そのほかの人たちは一旦退場してもらおうではないかというそういう叫びが聞えました。私はこれは当然な話だと思いましたので、先ず以て衆議院議員諸君の退去を要求しました。同時に議員以外の人たちも新聞記者を除いて全部この部屋から出て行つてもらうことを私は強く要求しました。そして多少のいざこざはありましたけれども、先ず無事にその人たちは出て行つた。そこで私は残つた参議院の議員諸君にお願いをしたのであります。こういう混乱をあの本会議の壇上において繰返すということは参議院のためにも決して褒めた話ではない。ついては最後の手段として、今までは各会派の間で破防法上程に関する協定はできなかつたけれども、いま一度各会派の首脳部の間で以て話をすることをお願いしたい、については各会派から二、三名を限つてそして私の部屋に代表者をお寄越し下さい、その代表者諸君の間で以て最後的の努力をするということをお願いしたいという意味のことをお話申上げまして、そしてその通りになつたのであります。即ち続いて私の部屋に集つて来られたのは各会派の代表的な議員諸君でありました。その諸君を前にして、私は本当に私の真情を吐露して各会派の再考を促したのであります。破防法案を上程するということについて野党側の反対があるということも、これは止むを得ないことではあるけれども、併しその反対の意思を表示するに当つて暴力を用いるようなことがあつてはならない、若しそうであるとするならば、参議院の立場、即ち大きく言えば国会としての立場を全然滅却してしまうことになる、すでにこの破防法案の上程が遅れて来たがために世論ごうごうたるものがある、そして参議院が非常な批判の的になつておるということも諸君御存じの通りである、これは決して参議院としてのあり方では有り得ない、こういうことではないはずである、参議院としての立場は……。是非御再考を願つて、そして諸君の間で以てこの破防法案上程に関しての話合いを遂げることに今一応の努力をお願いしたいということを、本当に私としては真情を吐露して、そしてその人たちに、その議員諸君に訴えたのであります。議員諸君も多少は私の言つたことを酌み取られて、それならば今一応各会派に帰つて、そうして各会派間の話合いを遂げるべく、やるところまでやつてみようということになつて引取られたのでありました。併しその後何十分私は待つておつたか、はつきりは覚えておりませんけれども、もはや時刻は非常に遅くなりまして、そうしてこれ以上本会議を延すということはできないというところまで押し詰つて行つたのであります。そこで私はもう一度念のために事務局の人たちに各会派を廻つてもらいまして、若しお話合いがつかなければ、私としては本会議のベルを押すほかはないということの念を押したのでありました。言い落しましたが、先ほどの各派の代表者が部屋に帰る前に私ははつきり申上げたことがありました。その重要なことを言い落しましたから附加えさして頂きます。私の言つたのは、若し不幸にして各会派の間で話合いがまとまらないとするならば、私は私の責任上それにかかわらず、どうしてもこうしても本会議を開かなければならないんだ、而して若し本会議を開いたならば、休憩直前のああいうような光景が再び繰返されるであろうことは、これは覚悟しなければならない。併しそういう不愉快な場面が予想されるにかかわらず、私としてはどうしても本会議を開かなければならん。それが私の職責である。ああいう不愉快な乱暴な場面が再び繰返されることになつたならば、それに私は対抗して行くでありましよう。が併しそういつたような場面繰返すということが、如何に参議院のために悲しむべきことであるかということは、私から申上げるまでもないことであります。よく考えを願いたいと言つてお別れしたのでありました。そこで私は何十分か待つたあとに、或いは一時間、それよりも待つたでありましよう。最後のベルを押す前に、各会派に事務局の八を使いにやりまして、そうしてお話合いができないとするならば、私はこれからベルを押します、押さざるを得ないということを予告して廻つたのであります。いよいよベルを押す段取になりました。そこで事務総長と私は例の通りに自分の部屋から本会議の議長席の着くべく出ようとしたときに、野党の各会派全部であつたかどうか私ははつきり見ることができなかつたのでありまするが、殆んど全部であつたろうと思います。而もこれらの会派の幹部のかたがたが大勢私の所に詰めかけて参りました。そうして議長は本会議を開くということはよほど慎重に扱つてもらいたい。破防法案上程、これはできるだけ愼重に扱つてもらいたい。このままで行つたらばどんなことになるかわかりませんぞ。従つて議長としては軽々しく本会議を開くということは、それは見合してもらいたいという意味のことをあちらからもこちらからも私を説得すべく詰寄られたのでありました。併し私はそれに対しては、もはやお答えするにたつた一言しか持たない。それは先ほども申した通りに、あなたがたの間で話合いをつけてもらいたいとあれほどお頼みしたではないか、そのお頼みしたことができないとなつたならば、私は前言の通りに本会議を開くという以外に何ら私に残された途はない。よしんばそれが極めて危険な場面を呈しようが、或いは又極めて不体裁なことになろうが、それは私としては今更構つておられない。私は私の職責を全うすべく、できるだけのことをやらなければならないのであつて、即ち前にお断わりしたように、私はこれから本会議に入つて、そうして休憩前と同じことを又やるのであります。そのことだけは一切間違いはない。又あのやり方を私が緩和しようとも思わない。又緩和できないのであります。あれと同じことを私はやるんだ、それを皆さんがた御承知おきを願いたいと言つて、はつきり私は自分のとるべき態度を言明しました。そうして本会議に入つたのであります。果せるかな休憩前と同じ光景が繰返されました。併し今度は私も決心をしておつたのであります。休憩前の場合には衛視の力を借りるということは私としては決心しなかつたのであります、何とかして時間をかして、そうして各会派の問のお話合いを遂げることができるならば遂げさせたいという気持であつたが故に、衛視を動員することはやらなかつた。併し二度とああいうことが繰返されました以上はもう止むを得ない。即ち私に與えられた職権によつて衛視に執行を命じたのであります。執行を命じるということは、即ち壇上に上つておる議員諸君を下ろすということであります。そうして記名投票が滞りなく行われるように、あの壇上をきれいにするということでありました。諸君が御覧になつたようなああいう不体裁な場面を呈したあとで、漸くにして壇上をきれいにすることができ、滞りなく記名投票を行なつたということであります。一応これだけお答え申上げます。

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) 一応以上、議長の当時とられた処置に対する御心境と決意の順序とをいろいろお述べ下さつたのでありますが、なおこの御説明に対して質疑をなさるかたもあろうかと思いますから、これから質疑のおありのかたの御発言を許したいと思います。どうぞ質疑のあるかたは順次発言の御要求を願います。

松原一彦改進党

○松原一彦君 議長さんの只今の経過と御心境を承わつて、非常によく了得いたしたのであります。当時の困難な議場を御整理になる重い御責任について、私は非常に御苦心のあつたことを拝察申上げます。且つ私の拝見しておるところでは、議長は議事のお裁きの上においては、今日御自身が御言明になつた通りに、公平過ぎるほど公平におやりになつておられる、これは與党側からもそういう声が出ております。が、公平に今日までお取扱い頂いておつて、いわゆる権道を弄するかたではなかつた、私はかように拝見しております。これは非常に結構なことであつて、與党とか多数党から議長が出ると、得てしてそういうことがあるというので、英国あたりでは少数党から議長を出すという例もある、或いは議長は無所属であるという例もある。幸い議長が緑風会からお出になつて、権道をとらん議長である、極あて公平無私に議事運営をお図りになつていらつしやるという立派な信頼を議員の間に受けておつたと思うのでありますが、ただその公平な議長が、至公至平ということを建前にいたしておられる議長が、どうしてああいうような権道をおとりになつたかということについて私は今日まで疑いを持つておつた。今日の御心境、当時の御態度を今言明せられましたのを承わりますというと、明文にある以上は明文に従うのが正道である、併しどうしてもあのままでは行かれないと思うときに、明文にはなつておらんけれどもが、多数の意思によつて明文に代るものをばそこにとりきめて進むという途をとらねばならなかつた、こういう御意見であつたのでありますが、この点について私は非常に疑問を持つのであります。ただ念のために申上げますが、被懲罰者の弁明の中にも、議長は、與党の多数がドアを閉めて入つて、そういうことをばあらかじめ相談をして、多数党の圧迫によつて事前にああいう取引をしておられたのだというような疑問を持つておる者がある、この点が実は私わからなかつたのでありますが、議長はあの議場においでになる前に與党諸君から、今日はこうこうこういつた動議を小林君に出させるから、それに対しては優先的にこれをとり上げるということを強要せられたといつたような事実があるのでございましようか。たとえ強要でなくても、そういう申入をお受けになつて、あらかじめ御承諾になつておつたという事実があるのでしようか。その点を忌憚なく一つ承わりたいと思います。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 断じてそういうことはございません。というのは、自由党側からあの小林君の動議を先んじて採択するということについて、私が強要されたとか、或いは自由党側から採択を余儀なくされたとか、そういうことは一切ございません。ただ私はああいう意味合いの動議が出されるかも知れないということは、これはうすうす聞かされておりました。それはそういう場合にはいろいろな噂も飛びまするし、それから又事務局側といたしましては、ああいうこともあろう、こういうこともあろうということを研究もしておるわけであります。でありまするから、いろいろな方面からして小林君の動議のようなものが提出される可能性があるということだけは知らされておりました。併しそれにしましても、私は自由党からしてそういう優先的に取扱つてもらう意味合いの動議が出されるということについて、直接私に向つて自由党側から頼みに来たり、或いは交渉を受けたりしたということは一切ございません。それははつきり申上げます。一切ございません。ただ私はそういうことがあり得るということを聞かされておつたに過ぎないのであります。

松原一彦改進党

○松原一彦君 非常によく了解いたしました。あらかじめ與党の側がドアを閉めて議長を強要して、圧迫をして、公平な議長に無理をさせた。かように野党の側では言つておる点が速記の中にもあります。それならば私は非常にお気の毒なことでもふり、且つこの議場混乱の因がそういうところにあつたのではないかと思つて不安を覚えたのでありますが、これは議長の御言明を信じたいと思います。ただ私は衆議院におりましたので、三年ほどおりましたために、ああいう事例はもうたくさん見厭きるほど見ておるのでありますが、衆議院では他の諸議案に優先してという動議はもうたびたび出ております。併し参議院では今回が初めてと心得ておりますが、そこでいろいろ御研究になつたこととは思いますが、参議院と衆議院は規則が違いますので、「速かに」というのと、「直ちに」ということの文字が違つておりますので、あれをお取上げになるということは、議長御自身がおつしやるように一つの権道である。権道というよりもむしろ私は規則違反だと思う。権道ということは若干よりどころがあるのでありますが、権道でなくして規則に背くものであり、新らしい先例をここに開かれたものでありますから、これは容易ならん問題だと思います。それについての議長があらかじめ事務総長その他議事部長等と御研究になつて、これは新例を開いてもよろしい、合法性を持つた新例として将来参議院議事の運営にとり上ぐべき途を開くものだという御用意はあつたのでしようか。ただそれは議長御自身だけの御決心であつたのでしようか。議事運営については十二分の御用意があつてのことと思うのでありますが、特に私はさように申しますのは、ふだんならば先例にもより、或いは新例をも開く、各派の了解さえあれば誰がどういう議案を動議として出すということもわかつておる、運営は極めて滑らかに行くのでありますけれども、あのときはすでにもうさような事前の了解は一切なくなつて、議長はただ真一文字に職権によつてのみ処理せらるるという段階に達しておりますから、そういう真剣白刃の渡り合いということになりますというと、一点の疑義をもこれは許さないのが常識であります。疑義があれば直ちにこれにつけ込んで切り下すという議場の一つの駈引は御存じの通りであります。そういう疑義のあるものを、疑義はない、むしろ当然してはならないものを新例を開くという御決心をおとりになつたことについてのいま少し踏み込んだ御用意を承わりたい。これに対しまして事務総長はどういうふうな進言をしたのか。議事部長はこれを承認したのか。これに対して当然そこに一つの騒ぎが起るということは議長も御覚悟になつたと仰せになつておられますが、そういうトラブルが起つて議場が混乱になるということをもなお押し切つておやりになるのには非常な御決心があつたものであるとお察しするのですけれども、それに対する議事規則上の御研究はどういうふうにあつたのだろうか。念のために承わつておきます。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 第一段の点は、ああいうような動議とり上げ方について與党側から私が脅迫されたというような疑いが多分に野党側にあるというお話でありましたが、これは先ほどもはつきり申上げました通りに、そういつたような脅迫がましいことであるとか、或いは強要がましいことであるとかいうことは断じてなかつたのでありまして、この点は私が率直に申上げます。若しそういうことが仮にあつたとしたならば、これは私の性格としてそういう態度、而も與党側がそういう態度をとるということであつたならば、私はこれは許し得なかつたろうと思います。そういうことはあつてはならないはずであります。多数を制しておるところの與党が、議長をして或る種の行動をとるべく余儀なくさせるというようなことがあつたとしたならば、これはとんでもない話であります。野党側からそういうことが出るというのならばこれはまだわかります。数においてかなわない野党が議長を何とかしてとり込まんとして私に強要するというようなことは、これは考えられると思うのでありまするけれども、與党側からそういうことが出るというようなことは私は第一考えられもせず、又あつてはならないことである。若し仮にそういうことがあつたとしたならば、私は自分の持つておる力の限りを盡して反抗したでありましよう。又事実そういうことはなかつたということを重ねて申上げます。  もう一つああいう権道とも称すべき手段を選んだということは顧る危険な前例を開くことになるのだ、そういう点において議長は議事規則に一から十まで準拠した行動をとるべきはずではなかつたか。ああいう規則の明文に違つた処置をとるということについては、規則を十分に研究した上でのことであるかどうかということ、並びに事務総長以下が私に対してその点についてどういう進言をしたかという御質問であつたと思いまするが、先ほども申上げました通りに、私のとりました処置は議事規則の明文とは違つておるということだけはこれは確かであります。であればこそ私は権道とも申すべき手段をとつたのだと申上げたのでありまして、違つた処置をとるということについては只今松原議員は権道と称する以上何がしかの根拠がなければならんが、併し自分の見ておるところによれば、議長のとつた処置は規則違反だ、何らのそこに根拠がないはずだというお説のように承わりました。そういうように解釈されるということは、これは私はそういう御意見が当然あつて然るべしだと今でも思つております。併し私には私なりの解釈があつたのであつて、その解釈は先ほど縷々申上げた通りであります。規則の明文には成るほどない。が併しながら参議院の本会議というものはこの規則をこしらえた当の主人である。であるからして、この参議院の本会議は或る場合、いや而もそれも極端な場合には規則に違つた決意をするということもこれは考え得ることでなければならない。もう一つ、参議院規則の二百三十八條に、直ちに懲罰動議を会議に付さなければならぬと書いてあるが、その直ちにという解釈が、すべての議案に優先して即刻これを上程しなければならんというように解すべきか、普通はそう解するのが当り前でありましよう。併し、若し他の解釈の余地があるとするならば、直ちにということは即刻という意味ではなく、よくこれは普通に言われることでありますが、すぐこれをやつてもらいたい、やらなければならんということであつても、それはできるだけ速かにという意味にも解釈される。若し他に優先してそれこそ即時に上程しなければならんというものであるならば、この書き方もいま少しく嚴格に、あいまいな解釈を許さない書き方がしてなければならんと思うのであります。いわんやこれも先ほど申上げましたけれども、衆議院のほうの規則によれば、直ちにとは書いてなくて、速かにとある。趣旨は私は同じであり得ると思う。そういうことが私の根拠になつたのでありまして、全然根拠がなかつたとは私は申上げ得ない。私は私なりの根拠を持つておつたということであります。  もう一つ、然らば事務総長以下議事部長あたりはどういう進言をしたかということは、これは直接お聞き下さることが一番確かであると思いまするけれども、私が承知した限りにおいては、こういうこともあり得る、そういつたような小林君の動議のようなことが出て来るかも知れないということは私は注意をこれらの人によつて促されたのでありまして、同時に事務総長以下頗る不機嫌でありました。これはいけない、普通の場合においてはこういうことはやつてはいけないのだ、そういう意見を私に言つてくれた人たちでありました。それ以後のことは全部私の解釈によつてやつたことであります。事務総長から進言されて、そしてあの小林君の動議を採択したのではございません。私はなぜあの場合小林君の動議を取上げなければならなかつたかということについて、もう一度繰返して御説明申上げたいと思います。  先ほどもこれは申上げたところでありまして、併し野党側が前日の本会議において、よしんば規則に違反はしていなかつたにしろ、十三回にも亙る記名投票をするなぞということは、一体これは参議院としてあり得べきことであるかどうかという点であります。規則に違反していなければ何をやつてもいいのじやないかということは言えません。これは参議院の体面からいつても、参議院のあり方からいつても私はあり得ないことだと思う。十三回も記名投票をやる、誰が考えたつてこんな馬鹿々々しいことはあり得ないということは当り前でしよう。単にこれは時間を稼いで破防法案をできるだけ遅らしてしまうという以外に私は野党諸君の心境というものを解し得なかつたのであります。一体そういうことが参議院として許されることでありましようか、議長としてこれを看過できる問題でありましようか、私は断じてそういうことは許し得ません。間違つていようが間違つていまいが、これは批評はたくさんありましよう、いろいろの方面から。併し私としてはそういうことは許し得ない。少数党が自分の主張をできるだけ強く主張するということ、これは私は当然の話であり、又そうあつて欲しいのであります。が併し、それには少数党としての限度があるはずであります。如何なる手段を弄しても、如何に議事を引き延ばしても構わないのだということは、私は同意し得ません。それが民主主義のやり方であるかどうかと言つたとすれば、私は一言に否と言います。そんなことでは本当の民主主義というものは保たれて行けないはずであります。自分の主張することはどこまでも主張してよろしい。併しいよいよ採決となつたならば、そんな引き延し政策ばかしに頼つて行くというような、そういつた手段をとらないで、もつと堂々たる態度に出て頂きたかつたのであります。それにもかかわらず野党側の諸君はああいう態度を選ばれたのである。私はそれをそのままにして、そうして明日も明後日も明明後日も破防法案を延ばして行くというようなことは私にはできない相談でありまして、であればこそ私はやむを得ず小林君等の動議を採択したのであります。十三回も記名投票に問うなんということを、一体これが参議院として当り前のやり方でありましようか。誰が見てもそうは言えないでありましよう。そういう手段まであえてしたということは、これは野党側の諸君の責任でなければならない。自分自身がその責任を負わなければならんところであると私は信じ切つております。然らばこれに対抗して議長が止むを得ずとつた手段というものもそこにエックスキューズを見出さなければならんと思います。若しそうでなくて、ああいうことでなくて、野党諸君が素直に普通の議事規則によつて議事を進行さして下さつたとしたならば、私は何も小林君の動議など直ちに採択するというようなことは、これは私はしなかつたでもありましようし、又なし得なかつたことでありましよう。それにかかわらず私はどうしてもあの手段に出なければならなかつたということは、一に野党諸君のあの態度が私をしてそうさせたのであります。この点は私は何遍聞かれましても同じことをはつきりと繰返して申上げる点でございます。さもなければ、私のとつた手段というものに対してのエツクスキユーズはございません。松原委員の先ほどから言われた通りでありまして、正に正道を踏んで行くとしたならばああいう私のとつたような手段はとり得ないのであります。それは確かであります。が併しながら、私をしてあそこまでやらせたということは、今申上げましたような事情がそうさせたということを私は繰返して申上げたいと思います。

松原一彦改進党

○松原一彦君 議長の御心境如何にも御尤もで、私どもでもそういうふうに思う点もございますし、殊に事務総長以下はむしろ不機嫌であつて、そういう手段に対しては否定的な態度を示されたということを議長のお口からお聞きしまして、誠にそうであつただろうと私もしみじみ思うのであります。私はこれで安心したのであります。従つて今回の御処置は、議長の参議院を思う憂心から何とかしてこの際乗切つて参議院の面目を保とうというお考えで、御自身で責を負われた御行動であつたということを承わりましたのでありますが、これに対しての批判は私はもう控えたいと思います。ただ私が衆議院におりました当時から、ああいうことは私どもにはもう日常茶飯事のように実は今日まで見て参つております。衆議院ではもうたびたび何かというと直ぐにわつと議長席に飛び上つて行くのであります。又スローモーシヨンの投票などは野党は勿論やりますが、今の自由党が野党であつた当時、三派連立内閣の昭和二十三年の末に同様なことをやつておる、二時間引延しました、一人一分というので。これは自由党の諸君がやつて、現に自由党の諸君の中には君もやつたのじやないかと言いますと、ああやつたやつたと言つておられる諸君も数名衆議院から来ておられます。衆議院はそういうことをやつてもまあ問題にならんが、参議院だけは、と議長は仰せになりますけれどもが、私はやはりそうは思わない、やはり衆議院もやつちや惡いのであつて、参議院もやつてはいけないけれども、少数党野党側がどうしてもこの法案をあと一日二日で葬むれるというときには、これは世界的にやつておる少数党の止むを得ざる議場戰術だというふうに私どもは心得ておつた、今日まで。私はやることは嫌いだから自分ではやろうとは思いませんけれども、従つてあの当時十三回ということを議長は大変苦におやみになりますが、私はもう少しやつたらくたびれてしまつて、およそ限度があつて、今まで見ておりましても大概限度があつて、そうそうああいうことを、馬鹿な芝居みたいなことはやれませんのです。もう私はおいおい限度が来るのだと実は見ておつたので、むしろ無抵抗的に議長が規則通りにおやりになればもう暫くでけりがつくと思いましたのは、あと二日か三日で国会は決勝点に達する、そこにテープが張つてあつたのであります。だから野党の諸君は中には御承知のようにこれが通れば相当党としては自滅するようなものもあつて、非常な将来の影響を思わせる人たちもないではなかつたと私は思う。そこで時間を引延ばすという合法的な対抗手段がとられておつたということも一つ一応はお考え頂かなくちやならんと思う。従つて限度がありまして、いよいよ国会の会期が三十日延長せられたというときに、野党の側ではもう処置なしということを言いました。テープが先へ先へと延びて行く、その先がずつと遥か向うになると、息が切れてあの戦術は効きません。私は限度があると見ておりましたから、批評を申すのでありませんけれどもが、もうおいおい解決の域に近ずいていたと実は思つておつたのであります。まあそれは私の所感になりますが、私がここではつきりしましたことは、この責任は議長が負う、参議院の面目を保つために議長としての大責任を果す上からこの法案を審議せねばならんという目的の上にこの行動をおとりになつたということでございまするならば、私は御尤もなことであると了承いたします。殊にそれは與党側の圧迫でなかつたということがはつきりわかりましたことと、それから事務陣営のかたがたがこれを議長に進言してやらせようとなさつたのでもないということがはつきりわかりまして、私は非常に安心いたしたのでございます。そこでお尋ね申したいことは、かように従来にない例を作ることによつて、議場は晝間以上に夜は騒ぎがひどくなる、そこで晝間は極力院内警察を動かさなかつたが、夜は断行しようと御決心なさいましたところによりますと、議長も夜間には相当の乱鬪的なものがある、かようにお考えになつたのだと思いますが、それは間違いありませんか。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) その通りでございます。これも先ほど私が詳しく御説明申上げた通りでございます。

松原一彦改進党

○松原一彦君 よくわかりました。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) その通り私は考えて、そうして今度は止むを得ないからして衛視を動員するということを決心しておつたのであります。而してそのことは本会議に臨む前に野党側の代表者のかたがたに対して私の部屋ではつきり申上げたというように御承知願います。  それから先ほどもお話がありましたが、これは惡い先例を開くことになつたという点を指摘されました。私もその点は全く御同様に考えます。これは惡い先例であるということ、但し私としてはあのやり方を先例としたくない、決して褒めたことではないのであるからして、先例としたくないという気持は満々と持つておるわけであります。と申しまするのは、これも先ほどくどくどしく御説明申上げました。何故私はああいう手段をとらなければならなかつたかという点でありますが、十二回も十三回も記名投票をするというようなこと、只今の松原委員のお話ではそれはそれほど咎むべきことではなかろうという御意見のように思いますけれども、私としてはそうはとれなかつたのでありまして、ああいうような野党側諸君が手段をとるといつたようなことは、すでにこれは前例となつてはいけないやり方であろうと私は信じております。成るほど議事を引延すということもそれは野党としての一つの戰法でありましよう。議会の駈引には全く慣れていない私よりはその点において松原委員のほうが遥かに長い経験を持つておられるのでありますから、この点は私も傾聽いたします。併しながらその議事引延しという問題になりましても、堂々と自分の主張を主張して、そうして議事を引張るというのと、議事規則のすれすれのところまで行つて、そうして議事を引張るということとは私は違うと思います。国会は国会らしくやられるがいいのでありまして、ああいうような手段で以て議事を引張るということは私は参議院としては恥ずべきことであると今以て信じております。であるからして、ああいうようなやり方も私は先例としたくないのであります。あのときは野党側はこういう手段をとつたというそれは先例としたくない。私のとつた手段も同じように先例としたくない。これは私も十分に考えもし、且つ又私はいつまで議長をやつているか存じませんけれども、私のあとに来られるどなたかの議長においても、私は本日この席で以てはつきりそういうような意見を述べたということをよく吟味して頂きたいのであります。そうして私自身があの手段をとつた責任を全部負うのだということを先ほども申上げました。その点において私は当然私に対する不信任の決議案が出るものと覚悟いたしておりました。然るに私に対する不信任の決議案が三回も出されたにかかわらず、あの問題については不信任案はとうとう今日までまだ出ないということであります。何もこれは私のほうから御催促申上げる筋合はございませんけれども、(笑声)私としてはいつ何時でも責任を問われる覚悟をしていたのだということを附加えて申上げておきます。

松原一彦改進党

○松原一彦君 もう少し申上げます。議長の御所感にも私は非常に御同感の点がございます。引延すならば引延す方法がありまして、二時間かそこらならスローモーシヨンの歩き方でも延びますし、又正当な引延し方ならば御承知の長演説であります。日本の国会でも七時間、八時間の長演説の記録はございますし、私どもも衆議院時代には随分長演説をやつて時間を延して稼いだ覚えもございます。きれいな方法で当然訴えるべきものを訴えるという方法をとることはそれはもう全く御同感でございますが、煙かもう明日明後日ということになりますと、つい合法のぎりぎりまで行くのは、まあみつともないことではありますけれどもが、止むを得ない点もあるかと私は思います。ただここでお尋ね申上げておきたいことは、議長の御言明の中に、そのとき数人が壇に上り、近藤事務総長の机の前に行つて抗議を述べた、これは小林議員の動議が出た瞬間であります。で野党の議席は騒然としておつたと議長はまあ御覧になつている。近藤総長の席の前はその議員諸君で一ぱいになつて塞がれてしまつたと、そのときの抗議について、議長はなぜ規則通りにやらぬかということが異口同音に叫ばれたと、こういうことです。併し自分はそれにかかわらず決心しておつた通りに指名による点呼を行わせ、そうして投票を命じた、そうなりますと、前後の関係から申せば、規則通りになぜ動議を取上げないかという抗議に集まつた議員が議長の席の前に一ぱいに集まつて来た、それを無視して議長は小林君の動議を採決に附した、こういうことになつておりますから、そこで一つの問題が起つて参りますのは、この提訴になつている発議者の御説明によるというと、十七名の人々は国会議員として最も大切な投票権を行使する、それを妨げるために意識的に、実力的に暴力を以てこの権利の行使を阻止したのである。又このことは日本の国の明治以来、国会開設以来ない議員の議決権を暴力を以て阻止したという事案だとなつております。最も神聖なる議場において議員の議決権の行使を阻止したということは、未だ曾つて見ざる不詳事である、従つて懲罰事犯が発生したということになるのでございますが、私は冷静に見て、手記を書いておりますが、私はやはり議長が今仰せになりましたように、壇上に殺到した人々、特にその中には議運の委員も多数あるのでありますが、この人々のその飛上つたる動機は、議長への詰問抗議であつて、結果としては道を塞いだがために如何にも投票権の阻止のようになりましたけれども、事実は私はそうじやないのじやないか、詰問が先であつて、そのためにここへ集つた、そのあとに投票を行わんがために順次に上つて来たが、降りる道が塞つておつたというのが一応の順序じやないかとこう私は見ております。その後写真によりますというと、あとからあとから増加して下から押されておりますから、そこまでになりますとですね、これは私は判断が付きかねます。抗議の人としては度を過しておるようにも思えます。この点につきまして議長はどういうふうな御所見をお持ちでございましようか。只今議長のお話の通りだとすると、やはり議長は抗議としてお受けになつておるように思いますが、あれが投票権を阻止するための実力的、暴力的行動であると、こういうふうに御覧になりますでしようか、どうでしようか。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) その今回の懲罰の提訴の中に只今お読みになつておるような事実があるといたしましても、そういう記載があるといたしましても、それは私の関與しないところであります。

松原一彦改進党

○松原一彦君 いや、あなたの御観察です。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) それは私が申上げ得ますることは、私に関する限りの御説明を申上げるということにとどめたいと思うのであります。私は今松原委員がおつしやつた通りに、野党側の数名の議員諸君が事務総長の机の前に立ちはだかつたと、そして、なぜ規則通りのことをやらないのかという抗議をしたというように申上げました。言葉かその通りであつたかどうかは存じません。が併しそれらの議員たちの言つておつたことは、なぜ規則通りに懲罰動議を先に取上げないのだと、なぜ小林英三君の動議を取上げたのだということの抗議であつたと私は感じておりました。従つて今御指摘の通りに、この壇上に駈け上つて来た議員諸君が、或いは意識的に小林英三君の動議に対する記名投票を阻止したかどうかということについては、私は目分の意見を申述べることは、これは差控えたいと思います。何となれば、これは私に関することではなくて、私の申上げ得ることは、今も申上げた通りにこれらの議員は私に対して抗議を申込んだということであります。その結果が松原議員の言われたことく、あの壇上を占領する形となつて、従つてこの投票を阻害したということにはなつたろうと思いまするけれども、果してこれらの議員諸君が意識的にそれをやつたかどうかということについては、これは私は自分の意見を申述べることは差控えたいと思います。

松原一彦改進党

○松原一彦君 只今議長の御証言で、私がここで筆記しました通りに御肯定頂きましたからそれで結構であります。実はなぜお聞きしましたかというと、先般ここで衛視が四人証言してくれました。私は私の手記を読んで、提訴の條件と私の見るところとが食い違つておりますその点の証言として衛視に聞きましたところが、衛視も只今議長がお話になつた通りに証言しました。議長の仰せになるところと一致いたしております。それで結構だと思います。もう私の御質問申すことは終りましたから、御無礼な点がありましたら、尊敬する議長に対してお詫びをいたします。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) どういたしまして、恐れ入ります。

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) ちよつと松原さんに申上げておきますが、この間の衛視ですが、あれは証人としては喚問しておりませず、関係者として一応のその当時の模様、及び自分の実見したことの報告を求めたのであつて、その本人の心境とか何とかいうようなものも一応証人の形をとつておりませんから、その点は御了承願いたいと思います。

松原一彦改進党

○松原一彦君 承知いたしました。関係者として……。

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) ほかに……。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 今日午後一時からこの委員会がありますことをよく承知しておりましたが、人事委員会が午前にありまして、お書までにすむことだと思つておりましたが、二時から開催されまして、実はこちらへ参りましたが、人事委員会で今日採決がある予定になつているので、あちらに行つておりました、懲罰委員会のほうは私の会派の者も随分たくさん出しております。でこちらで特に今日議長さんの御発言等をお聞きしたいと思つておりましたが、ちよつと間に合いませんので甚だ私も遺憾に存じましたが、議長さんのいろいろ申されたことにつきましては、後ほど又速記録か何かで承わらないことにには、どうも議長さんにもいろいろお尋ねしたいこともたくさんある。ような、又ないような気もするのでありますが、二、三だけこの際一つ議長さんにお聞きしておきたいと思いますが、時間がよろしうございましようか。

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) ちよつと申上げておきますが、議長は成るべく三時半ぐらいとおつしやつていたのですが、もう四時前十分ですが、四時くらいまでよろしうございましようか……。それじやまああと十分くらいの間に御終了に若しならんければ、他日に速記録などを御覧になつて御質疑を願いたい。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 では、とにかく今日は十分くらいということになるわけですか。じや二、三だけ、その前に別に会派を代表してどうということではございませんが、いろいろなことで随分御心労になつたことだろうと私は思いますので、自分個人といたしましても議長さんの御心労に対しましては、衷心いろいろ御慰労申上げたいことは十分思つておりますが、で私たち今同僚の者が多数まあ懲罰に付されようとしておる状態でございまして、この問題が重大であります関係上、愼重にこの委員会で私も審議する一員に加えさせて頂いておるわけでございますが、議長さんが申されたことは、実は私ちつとも聞いておりませんので、甚だ残念でございますが、二、三ちよつと思いついたことだけをお聞きいたしたいと思います。  大屋晋三さんに関しまする懲罰の動議が出されましたことと、あの当時議長さんのほうでその動議が出ておりまするにかかわりませず、小林委員の動議を先に取上げられましたということにつきまして、現在議長さんはこれが議事規則等から考えられまして、妥当な行為であられたかどうか、それにつきましてお考えがございましたら、お聞きいたしたいと思います。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 只今の御質問でございますけれども、これは先ほどから……。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 ああ、そうですが。それじやあとから速記録を見て……。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 松原議員の御質問にもありましたので、これは随分私詳しく御説明申上げました。どうぞこれは私から申上げる限りじやございませんけれども、議事録をお読み下さつたあとで、まだ御質疑がありますれば、私はこの次に質疑にお答えいたしたいと思います。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 では、次の質問につきまして、これはもうすでに議長さんからいろいろ詳しく述べられたかも知れませんが、国会法の十三條の改正が本会議に上提せられまして、あれはあの通りで、最初は申合せがあつたにもかかわりませず、否決されましたということにつきましては、本会議上提後あの通り否決されることが予定の行動であつたと、先に議長さんにおいて存知せられておりましたかどうか。或いは又否決されたことに非常に意外のお気持を持たれたかどうかについて伺いたい。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) その点は先ほどの御質問にはなかつたのでありまするからして、お答えいたします。  十三條の改正問題について、大屋委員が大屋会長として出席されまして、そうして私の部屋でいろいろ御相談をした結果、十三條の改正問題がああいうようにきまつたわけであります。そのときにどちらの議員であつたか、私は記憶しておりませんけれども、大屋会長に対して、それは自由党としての発言であろうなということを念を押されたかたがありましたことを承知しております。それに対して大屋会長は、そうであるとも、そうでないとも何ら答えがなかつたのでありまして、そのうちにそれは本当の最後の場面でありましたので、又他から注意された向きもありまして、そんなことを聞くのは野暮じやないかというような発言もありまして、そのまま散会になつたというようなわけであつたのであります。が併し、その前に大屋氏があの決定に同意をされた、不同意を唱えなかつたということは、私の記憶しておりまするところによれば、最初大屋氏は、自分はすべての権限を持つておるのだと言われたにかかわらず、十三條のああいう決議に到達するということについては、これは初めて自分も聞いた、今初めて聞いた問題である、ついてはそれは会派に帰つて、会の人たちとも相談をして来なければということを言われました。そうしたところが、野党側の議員諸君が非常に意外なような顔つきをして、先ほど大屋会長は何でもかんでも自分がここで決定的に話をする立場にあると言つておきながら、そういうことでなかつたという点を非常に追及したわけでありましたが、ちよつとそのとき草葉議員でありましたか、大屋氏の所に来て、何か耳に……大屋氏の右脇に来てささやかれたので、大屋氏も初めて決心がついたらしく、いや、ここでそれを今受諾して差支えない、こういうことになつたわけであります。併しながらその受諾ということがこれに同意すると言われたことが、参議院の自由党を代表して言われたことであるのやら、或いは衆議院を加えた自由党を全部代表して言われたことであるのやら、それはよくわかりません。私には少くともわからなかつたのでありますが、そうして最後の場面に至つて、先ほどどなたからか発言されたことく、これは衆議院の自由党もひつくるめての話かという質問が出て、そうしてそれには大屋議員は右とも左とも言わずに散会になつた、こういうようなわけであります。そういう経過を辿つて、そうしてあの本会議に行つたところがです。結果は非常に意外なところに行つたのです。衆議院の自由党を拘束していないばかりでなく、参議院の自由党さえも拘束されなかつたというような結果になつて、従つてあの十三條の修正案はああいう形になつてしまつたというようなことであります。その点私自身もむしろ意外に感じたということは事実でございます。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 もう一、二点小さなことでございますが、これもすでに申されたことでしたら御説明は結構でございますが、さつき松原議員からいろいろお話になつたのを聞いておりまして思いついたことでございまするが、あの議場の或いは混乱、又は特に野党が引延しのためにああいう十三回も採決をやるということは、誠に望ましいことじやない。併しこのことは私も議長さんの申された通り同感に実は考えでおるわけでございまするが、ただやはり問題の起りが、それ以前の議運の小委員会等でまとまらずに、これがとうとう決裂をしたというところに問題があろうかと思うわけなんであります。そうなりますると、やはり議事規則に従いまして、本会議の運営というものがなされて行かなきやならない。そうなるとまあああいう問題が起る。起るとやはり困るからということで、まあ規則というものがあるのだと実は私ども考えておるわけであります。だから一番いい方法としましては、やはり議運におきまして、これまでのように正常のルールに乗つて何とか讓れるものは譲り合いましてやつて行くべきであつて、これは私たちも大いに反省もし、今後何とかそういうようにして参議院の権威というものを保持したい。これはもう十分に私も考えておるものでございますが、結局まあ議運でまとまらず決裂をしました後に、どうしてもこの破防法を先議してやらなければいけないというような御決意は、まあ勿論我々とはお考えが変つておると思いますが、とにかく本会期中にどうしても破防法を上げなきやならないという決意に基かれまして、議長職権というやり方がなされたのだろうと考えますが、その点はその通りでございましようか。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) これも先ほど来随分詳しく御説明申上げました。私は小委員会において全会一致が得られない。全会一致がなければ私は小委員会に縛られない。従つて私は議事規則によつて議事を進めて行くほかはないのだということを小委員会の委員諸君に申上げまして、そうしてあの議長職権による本会議の遂行となつたわけであります。従つて議事規則に副つておる間は私としては抗議の申しようが本来ならないはずであります。併しながらそれにしましても、これも先ほど来詳しく申述べ、私の心境を申述べたのでありまするが、十二回も十三回もああやつて記名投票をするということ、これは極端に議事規則を利用した、私から言わせれば惡用したというふうに私としては考えざるを得ないのでございます。そういう極端なことまで野党諸君がやられるとしたならば、私も又この議事規則の明文とは違つておるけれども、併し解釈のしようによつてはこうもとれるという、そういうことまで極端な場合に処する手段としてとらざるを得なかつたというのが、先ほど来の私の説明であつたわけであります。而してなぜ私はそういう手段さえもあえてとつたかということは、これも先ほど御説明申上げましたが、この小委員会の空気を見てみますると、破防法案を上程しなければならんという会派のほうが多数であつたのであります。私は小委員会が全会一致でなければそれに拘束をされないものの、多数の意見は私はいずれの場合においても尊重して行かなければならんと心得ております。その多数は今回の破防法案の場合は與党側にありました。が併し、そうでなくて、この次の場合にはどういう、何かのめぐり合せで野党側のほうが多数にならんとも限らないのであります。野党側と申しまするのは、その場合には或いは緑風会も野党側のほうに入ることは皆無ではございませんでしよう。その場合には私は野党側の、つまり多数の意見に従つて、よしんば小委員会の全会一致がない場合においても、その多数の意見を尊重しつつ私は議事を進めて行かなければならんと心得ております。且つその野党の意見とは私は考えが違う。従つて野党と行動を共にすることはできないというならば、私は印刻議長を辞職すべきものだと心得ておるのであります。そういうような心境において、先だつてはたまたま與党側が多数であつたが故に、あの破防法案を信じて、私はそれと同感であつたが故に、あの破防法案を通すべく、あえてああいう手段までもとらざるを得なかつたということをあえて申上げます。

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) ちよつと速記をとめて。一場    〔速記中止〕

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) 速記を始めて。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 途中から私懲罰委員になりまして、出たのは今日初めてなんですが、何だか遠い原因を……、或いは直接の原因かも知れませんが、先ほどからお聞きしておるというと、どうも通じやないかと、こう思うのであります。というのはこの溝淵君の弾劾の趣旨なんですが、これは殆んどこの総括的な、いわばリポート的な情景を述べておるだけで、十七名の個別に対してこれこれの客観的な責任が生じたという結論は何も出ておらない。従つて本委員会としては、先ずこの弾劾者から個別的に、何の誰それはこれに該当するのだという客観的な提訴の理由を述べてもらつて、これを懲罰委員会が審議した結果、果してそういつた違法事犯が成立したのだということに相成つた後において、その罪が軽いか重いか、如何なる事情の下になされたかというような、本日のような審議になるのであります。このようなことを当初からやつて参つたのでは、これはもう半年かかつても結論に参れるかどうかわからん、そこで通常の審判ルールと言いましようか、その常識に戻つて、先ずこの弾劾者のほうから個別的な責任條項を明らかにしてもらつて、それに該当すると称せられる諸君のそれに対する弁明を求めて、その上でこの懲罰委員会が、成るほどこれは成立であるとか、或いは阻却であるとかといつたような判断を示した上で、本日のような審議がなさるべきなんであつて、まだそれが成立したかしないか明らかでないものを、何を倶れて本日のような、いわば非常に遠い原因もございます。それから議長の御説明を伺えば直接のものもありますが、今申上げた事柄が明瞭にならなければ、こういつた段階に入るべきものでない。入つても無駄だと、こう考えますので、少しそれをやつて頂きたい。殊に会期はあと二日しかない。かような悠長な審議はされ得ないと思うのです。その点委員長はどういうふうにお考えになるか。まあ途中から参つて事情わからないままに申上げておるのかも知れませんが、常識を以て考えますれば、本末を顛倒しておる。逆なことをやつておる。前提が立たないものを、結論があつたような議論を進めるということは、これはちよつとおかしなものじやないかと思うのです。念のために委員長のお考えを伺つておきたいと思います。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 それに関連して……。

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) 速記をとつて下さい。  今小林委員の御疑問は御尤もなんです。それもこの間一応提案者から承わつて、それに入る順序に一応いつ入るかということも皆御相談して今日やつたわけなんです。そこであなたの今お話になつたことは、一応議長の御退席になつた後に懇談会を開きまして、御相談申上げたいと思うのです。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 極く簡単に二つだけ議長さんにお聞きしたいと思います。会期延長のあのことが議運で多数決できまりまして、本会議にまだかけられない先に、衆議院のほうに申送られました話で、何か議長さんからできましたら、それについての御意見を承わりたいことが一つ。  いま一つはこれは最も私たちとしては非常に重大に考えておることでございます。二十八日のお晝の部でございます。実はその席に私たちはいなかつたのでございます。相当また議場が混乱いたしまして、而も議長さんが冒せられまして投票が始まつておりましたあの混乱の中で、議長さんが休憩を宣せられました。その宣せられましたことについて、どういうお考えで宣せられたか。即ち野党のあの所に詰めかけた人々の圧力のために宣せられたか、或いは又そうでなくて、独自の立場において休憩を宣せられたか。この二つについて簡単で結構ですから……。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 最初の会期延長の問題について、衆議院議長とどういうふうな話をして来たかということでございますが、それは多分六月二十日に会期が切れたそのときのことをおつしやつておるのだと思います。最初会期が切れたときですね、そうしてそのときのことは、その前日が丁度土曜日であつたと記憶しておりますが、その前日議運を開いて、そうして……、いや議運はとうとう開かれなくて、会期延長に関しては、参議院の議運としては何ら意思表示をしなかつた。その前に衆議院議長のほうから、衆議院としては会期を十日延ばすと言つていたのですがね。たしか十日だつたと思いますが、十日延ばすということを言つて来たのに対して、私としては衆議院に返事をしなければならんというその際であつたのです。そこで私は、当然これは議運に諮つて、そして返事をしたいと考えておりました。然るに小委員会を開いてそれが大変長くかかつてすつたもんだをやつたあと、議運の委員長が新らしく選任されて、そして新らしい委員長において議運をすぐ引続いて開かれるのだと考えておりましたところが、今日は議運は開きませんと言つて、散会されてしまつたのです。従つて議運に私として諮ることができなかつた、他方衆議院のほうは参議院の決定を、言い換えれば私の返事を待つておられたというようなわけで、私は止むを得ず、でありまするからして、近藤事務総長と二人で衆議院に参りまして、林議長に参議院は参議院としての意見を申述べる段取りには行かなかつたということをありのまま申述べた。こういうことであります。そして、それによつて衆議院はどうするかと考えておりましたところが、たしかその晩の本会議で以て衆議院独自の立場からして、たしか十日でありましたか、十日間の延期を決議してしまつた、こういつたようなことであります。或いは私のお答えが、御質問のことと日にちが違う……何遍も何か会期延期されたので、或いはそのときのことであるかどうか存じませんけれども、二十日の場合はそういうことでありました。  それからもう一つは、あの二十八日の混乱の場合に、御質問の件は、野党側から休憩を強要されて、そして休憩したかどうかと、こういう点であつたと伺いましたが、そういうことは断じてございません。それは野党側があの演壇にかけ上つて来て、事務総長の机の前で非常に声を張り上げて叫んだことは、なぜ小林君の動議を取上げたかということであつたのであります。なぜ懲罰動議を先にやらなかつたのか、こういう抗議であつたのであります。私は暫らく、何人かの諸君が大きな声で騒ぎ立てている、それを見ておりました。或いは議員諸君が疲れて、そしてひとりでにこの問題が鎮まるのかというような気持で以て随分長い間その騒ぎを見ておつたのであります。併しどうしてもそういう気配も見えず、片一方、すでに私は記名投票を宣したのちでありましたが、その記名投票も満足に遂行することができないということがはつきりしましたので、私が自発的に休憩を宣したのでありまして野党側から休憩を云々……強要されたというようなことは、これは一切ございません。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○森崎隆君 あと又次会にやります。

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) それじやこれで失礼いたします。

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) どうも御苦労様でした。ちよつと速記とめて下さい。    〔速記中止〕

一松政二自由党

○委員長(一松政二君) 速記を始めて。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会、

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