水産委員会 第48号
- 発言数
- 99 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/07/28
会議録
○理事(千田正君) それでは懇談会を打切りまして、只今から常任委員会を開会いたします。 本日の問題は公報ですでに御報告してありまする通り、水産物増産対策に関する調査といたしまして、漁業用無線器に関する件、並びに派遣議員の報告、それから請願に関する問題とありまするが、最初に只今懇談会の席上高木漁船課長から御説明がありました通り、無線の切替えに関しまして、水産業界におきましては重大なる問題と思いますので、差当り参考人のかたに御出席願いまして、最初は懇談で陳述して頂くつもりでおりましたけれども、事が非常に重大な問題なのでありますから、この際速記をつけて参考人のかたから公述して頂くことにいたしたいと思いますが、お諮りいたします、お差支えございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(千田正君) 御異議がないと認めます。それでは参考人のかたを御紹介いたします。参考人といたしまして日本鰹鮪漁業協同組合連合会長の横山登志丸君、静岡県鰹鮪漁業協同組合長久保田太郎吉君のお二人を参考人にお願いしたわけであります。 参考人のかたに申上げますが、大変お暑いところ且つ又非常にお忙しいところをわざわざ御出席願いまして誠にありがたい次第でございますが、どうか一つ日本の水産業界のために、只今問題になつておりますところの電波の切替えに関しまして、日本の水産業に及ぼすところの影響に対しましての腹蔵ない御意見を御陳述願いたいと思います。では最初に横山登志丸君にお願いいたします。
○参考人(横山登志丸君) 私横山でございます。本日又は明日頃にこれに関する陳情書をこちら側に出すつもりでありますが、大体やはり趣旨を申上げたいと思うのであります。なお私は全国無線漁業協同組合連合会長を兼ねておりますので、数字はひとりかつお・まぐろ漁業のみでない全漁業の無線関係の数字を申上げることになると思いますが、この点あらかじめ御了承を願いたいと思います。 近く行われますところの漁業用無線周波数の切替えに当りまして、我々免許人はその趣旨を十分に体しましてこれが実行に遺憾なきを期したい考えでおるのであります。つきましてはこの切替えに対しますところの免許人側の経費というものが大きな問題になつて参りまして、見方によりますと、ただこの無電機の中に装置されますところの水晶発振子といいますか、これの取替えということで片が付くような見方もあるのでありますけれども、これを入れますところの工費といいますか、が相当大きな額に達するのみでなく、関連いたしまして現在取付けておりますところの機械が、今度の切替えによつて相当精密を要することになりますので、現に取付けておりますところの無電の機械の改造又は取替えにまで及ぶ面が相当多いのであります。これらを全部計算いたしますと、漁船関係のほうは、施設の行政をやつておられますところの水産庁の資料をお借りしまして、陸上局のほうは無電の漁連の調査を以て、そうしてこれを集計いたしまして、その集計をいたしました額は、極く概算でありますが五億七千四百余万円になるのであります。この秋から来年の二月までの間にこの新周波数の無電の使用が実行されなければならない。そういたしますと、今から約半年近い間にこれだけの改造又は取替えをやりまして、そうして国家が要請されておりますところの無電の方針に副わなければならない、こういうことに相成つたのであります。議員の皆さまにおいてもよく御承知だと思いますが、現在における水産業界のこの経済状態がどういうことになつておるかというと、各方面ですでに御承知のことと思いますが、戦後の不況からまだ脱することができませんので、現に極めて経営は困難であるのであります。或いは減税或いは免許料の免除、あらゆる方面で私どもはずい分その種類が多いのであります。経営費の軽減を叫んでおるのであります。一方収入のほうは魚価の関係があるのでありますが、現在におきまして魚価の高騰を見るような政策は恐らく行うべからざる時期であろうと思います。なお魚価についてでありますが、経営費がいろいろな面で膨張いたしまして、これを補うのに魚価の面についてスライドするということは絶対にできないところの現在の機構になつておるのであります。業者が欲するところの魚価は魚市場又は共同販売所における漁業者の希望する魚価にはならないのが現在の機構であるのであります。他の交通機関のように、経費がかさんだならば、それを運賃のようなものに転嫁いたしまして、そうして利用者がこれを補うということは、現在の漁業面では絶対にでき得ない。かかればかかるだけ業者の負担が重加するだけであります。こういうような時期におきまして、この半年の間に漁獲の費用を自ら免許人たる漁業者から或いは漁業の陸上局は多くは団体でありますが、この団体で負担するということは到底耐えられないのであります。かかる意味から幸いに電波法には損害を補償する。損失を補償するという項がありますので、これをどうか温かい観点からこの条文を適用して頂きましてそうして一は電波法の円満なる運行ができるべく、一は漁業者の多大な負担が軽減されるようにどうか御配慮をお願いいたしたいのであります。なお補償ということにつきましてはいろいろな観点があると思います。この点は我々はできるだけ温かい観点で処して頂きたいと思いますが、万一政府のほうのお考えが我々の期待するほど非常に若し差があるならば、その差額は水産のほうにも、まあ補助というようなことが今後絶対に禁止されるようなこともないと思いますから、そういう形におきまして、それを考慮して頂くことができれば、業者は非常にこの窮境を脱するのに都合がいいと考えるのであります。この点何分どうかよろしくお願いいたします。
○理事(千田正君) 次に久保田太郎吉君お願いいたします。
○参考人(久保田太郎吉君) 手前静岡県のかつを、まぐろを受持つております久保田でございます。只今連合会会長の横山さんから縷々申上げましたように、我々この漁業用無線周波切替えに関しまして、今回参議院の皆々様が会議を開きまして我々の実情をよく聴取して下さるというので、君い時ではありますが、取るものも取りあえず私参じたものでございます。誠に有難うございます。 静岡県といたしましてこの無線を施設しておる漁船は二百二十五隻でございます。これは無線電信電話両方の台数になりますと、二百八十五台になります。これは無線電信の主と副とありまして、メインのほうが二百台、副が六十台、それに電話だけのものが二十五台、計二百八十五台でございます。で、この無線の切替えについて改装費が一周波仮に八千円といたしまして、大体今メーカーのほうの様子を聞いて見ますると、七千円から九千円ぐらいかかるというような噂をしております。そうしますと、電信法が、先ほど横山会長さんから言われたように、この電信機器にも新らしいものがあれば古いものもある。毎年電波監理局のほうの試験を受けまして、検定を受けまして使用はしておりまするが、その間にいろいろの施設に階段があります。で本県としてまあ百四十台のものが十周波得たとして、それが一千二百八十万の補修費がかかります。又あと二百台五波換えましてこれが九百万円、それから電話の二十五台が二波ずつ換えることになりまして四百八十万かかるというような経済状態になります。であと残りのものがまあ二十五隻ばかり、会長さんのお話の中にもあつたように、非常に今度の電波の程度が細密になつて、どうしても取替えねばならんというものが二十五台ぐらいできるわけでございます。そうすると、三千四百十万という本県の業者だけでもその補修費、改装費を必要といたします。 私ども漁民は、終戦後食糧事情の緊迫した時、蛋白質給源の生産に血みどろになつて貢献し、そうして今日に及んで参りました。その間占領軍の指令によりまして、二十一年の八月に周波の切替えをさせられました。又翌二十二年の十二月に一部改正を又やられ、又大島のローラン発信所の設置によつて二十三年の三月に又もやいろいろ換えられると、一度ならずも二度三度、こうして周波数の切替え毎に自分どもの負担は加重されたのです。今回やや世の中は落着を得て来たとは言え、又講和も成り立つて独立の喜ばしい今日とはいえども、なかなか我々漁民の経済といたしまして、かような厖大な数字は負い切れない。而も短時間の来春二月までに陸上局、三月までに船舶局のほうの切替えということに対して、どうしても経済が伴わない。よつて去る十三日の日に漁連の会長佐野寅雄さんのお供をしまして、参議院水産常任委員会のほうへ陳情を申上げたような次第でございます。
○理事(千田正君) お諮りいたします。只今電波監理総局の長谷長官が御出席になつておりますので、只今の参考人のお話を伺い、更に長谷長官から政府の所信を質したいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(千田正君) それでは長谷長官から政府側の所信を簡単に一応述べて頂きたいと思います。
○政府委員(長谷愼一君) 只今漁業無線関係のことにつきまして、陳情等を廻つていろいろ御討議も拝聴いたすのでございますが、この問題は実を申上げますというと、漁業無線が、現在全国に三千百隻の、漁撈に従事しておる船が無線を持つておるのでございますが、実はこのために使われておる電波は、従来十五に過ぎなかつたのでございます。そのほかにほかの仕事と兼用に使われておるものが二波ございますが、全面的に漁業無線のために使われておるのは十五に過ぎず、従つてこれが三千の船がこの波を共用しておりますために、一隻あたり一日のうちに実際に通信のできる時間は六分或いは七分という、極めて短時間なことになつておるのでございます。 この漁業無線の助成発達ということにつきましては、農林省の水産当局のかたは勿論のこと、私どももできるだけ水産日本の発展のためにも十二分一電波を活用して頂こう、こういう観点から戦前と戦後とを問わず、そうい観点からできるだけの電波獲得と申しましようか、漁業無線の方面において電波を十二分に使つて頂こう、こういう方向に向つて努力をいたして来ておつたのでございます。併し電波は御案内のように、仕事の面ばかりでなしに、ほかの国との間の混信という問題がございまして、電波を使うのには一つの電波につきましても、現在は一つ一つについて国際間に取りきめをいたしまして、そうして日本でどういう仕事はどういう場所でどのくらいの電力で使うのだ、或いは何時から何時まで使うのだ、こういうことがお互いに国際間で協定を結びまして、お互いに混信が起らつないようにやつておるのでございます。そういう点は特に東亜におきましては世界の三大の、三つの大きな電波の混み合つておる地域の一カ所でございまして、特に日本海、日本を中心としたこのアジアの一部分は世界でも非常に電波が混み合つておる。特に漁業無線などに使われておる範囲の電波につきましては殊更その程度の高い所になつておるのでございます。併しながら先ほども申上げましたように、できるだけ水産日本のために努力をなされておる漁業関係のかたがたに、十二分に電波を使つて頂けるように、かねがねそういう御要望もございましたので、その線に向つて努力をして来ておつたのでありますが、幸い一昨年の国際会議におきまして、従来に比しますならば約二倍半に相当する三十七の電波を漁業用に使い得るように国際協定を結ぶことに成功したのであります。それの実施のことにつきまして昨年の国際会議におきまして細目協定がまとまり、先ほど来お話の出ましたように、近くその切替が行われることになつたのであります。これを言葉を換えて申上げますというと、私どもは漁業関係のかたがたがかねがね要望されておられましたところの、電波をできるだけ多く割当ててほしいという御要望に副い得たと思つて同慶の至りと存じておるのでございますが、ただ今回は、ほかの無線と同じように全般的に電波の割当を変える、指定変更をするという恰好でこの問題が出て来たわけでございます。従つて御要望はかねがねありましたものの、政府のほうから一方的に電波を変えさせられるのだ、こういうような形になつて出て来たのがこの問題でございます。併し先ほど申上げましたように、電波の数でいうと二倍半、時間も同様に二倍半に相当するだけ従来よりは多く用いて頂けることになつたのであります。 それで、この補償問題でございますが、従来は国が電波の使用につきまして指定変更のようなことを行なつた場合には、この補償というような制度はなかつたのでございますが、一昨年電波法の制定に当りまして、国家か使用者の意思に反して何らかの指定変更をなさざるを得ない事由があつてなした場合には、その指定変更に伴つて通常生ずべき損害を補償しなければならない、こういう規定が設けられたのでございます。過去におきましても、一昨々年から昨年にかけまして北海道方面におきまして、進駐軍との関係から漁業無線の電波の一部を変更しなければならないことが起きまして、これは私のほうといたしましても、その損害を直接受けられたかたがたの申告を審査いたしまして、現在まで補償を行なつて来、これは完結いたしておるのでございます。 今回只今話題になつておりまする事柄につきましても、私どもは目下大蔵当局と折衝をいたしておるので、的確な数字等は申上げる段階に至つておりませんけれども、周波数の指定変更に伴つて直接起るであろう損害は補償するのは当然だという考え方で、只今その線に沿つて折衝を進めておる状態でございます。なおこの際申上げたいのは、この電波の割当の変更を行われるに際して従来相当年数のたつた或いは旧式となつた機械等を替えよう、こういうような考えをお持ちのかたが恐らくおありだと思うのでありますが、それは極めて結構なことではございまするが、今の法律の建前上から言いまして、そういうものはいわゆる損害補償の対象には考えがたいのでございます。これは別途助成金とか奨励というようなことから考えて参りますことは別問題といたしまして、損失補償ということから考えますというと、直接電波の割当の変更に伴つて起ることだけにとどめざるを得ないのでございます。私どもがこの電波の割当の変更をやつて頂くということにつきまして十分意を用いて参りました点を一、二申上げますというと、たとえ国家が補償するということであつても、これは損失なり、損害なりというものは最小限度にとどむべきである、こういう考え方から現在各漁船で使つておられる機器を一個々々克明に私どものほうで当りまして、その機械で電波の出し得る範囲内に指定の変更を行うという原則で行つております。従つて私どもの見るところでは、全国三千百のなかで或いは数十くらい、百に満たないものは或いは一部分の改造を要するかも知れませんが、九九%以上までは、一〇〇%近くは機械の改造を要しないで、ただ水晶発振子と申しまして水晶を電波の波長に従つて切つてございます特別のものがございますが、これを取換えてあとは調整をすれば事足りる範囲内で実は考えておるのでございます。併しこの仕事は船に実際乗つておられるかたはできませんので、適当な技術員なり、工員なりの手を経なければいけないので、そういう技能者が漁船の碇泊港におらない場合には最寄りの所からそういう技術負が現場に出かけて行つて仕事をする。こういうことも考えまして、それらの旅費、先ほど申しました水晶片の購入費用、それから調整のためのいろいろな工事費、そういうものはこの損失補償の対象になる、こういう考え方から只今大蔵省と折衝をいたしておるような段階でございます。一応私の政府側としましての御説明を終りまして、御質疑に応じてなおお答え申上げたいと思います。
○理事(千田正君) 各委員から御質疑がございましたならばお願いいたします。
○秋山俊一郎君 只今無線を許されており、免許を受けておる人々の側からの御意見を拝聴いたしました。その前に水産庁のほうの意見も拝聴いたしました。今電波監理委員会の長官の御説明を承わつたのでありますが、承わつた点を総合して見ますというと随分大きな食い違いがある。業者側及び水産庁の説明によりますというと、大部分の機器がすべて改装乃至は大改造をやらなければならん、そういうような説明でございますが、政府側の御意見としては、九九%は一部の水晶片の取換えによつて解決するものである、こういうようなお話で、その間に非常に食い違いがある。従つてこれに要する経費も厖大な違いができて来ると思うのでございます。現在電波監理委員会のほうで大蔵省と折衝されております補償その他に要する費用は、何ほどのものを要求されておりますか。業者側及び水産庁の調査したところによりますと五億六千七百万円というような金額のものが必要である、かようなことでございますが、仄聞するに、政府側が要求しておりますものは、その一割程度の七千万円そこらのものであるかのように承わつておりますが、果してその間がどういうふうになつておりますか、お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(長谷愼一君) 只今御質問の点でございますが、先程も申上げましたように只今大蔵当局と折衝中でございますので、最後的な数字はまだ定まつておりませんけれども、只今御指摘になりました漁連のほうからお出しになつておる資料の五億七千万円という数字に較べますと、相当の隔りはたしかにあるのでございまして、私共といたしましては一億前後のものはかかるであろう、そういうふうに考えておりますが、まだこれは細目の計算、算出根拠等につきましても大蔵省と今折衝交渉中でございますので、最後的な数字は果してどの辺に落付くか、未だ申上げかねる状態でございます。 なお先程私が御説明申上げました点でちよつと補足さして頂きたいと思うのでございますがたしかに或る程度の漁業無線に使われておる機器は、現在電波の割当変更ということがなくとも、法律並びにそれに基く規則に基いて、どういう性能でなければならないということに技術条項が相当細かく出ておる、或いはそういうものに適合しなくなつて、或いは適合しない憂いが出て来たために、或いは又運用上非常な不便なために電波の割当の機会を捉えてこれを改造或いは取替えをしたいと、こういう御希望なり御計画があるところはたしかにあるだろうと存じておるのでございますが、これは先程も申上げましたように、私共が助成とか奨励とかという考え方から出発しますならばでき得ることなのでございましようけれども、損失補償ということからは、どうもそういうことは対象にしがたいので、私共といたしましては、先程も申上げましたように、この指定変更に伴つて通常生すべき損失の補償だけを目途として只今やつておる次第でございます。
○秋山俊一郎君 今回の切替えの根本の問題が漁業無線に現在十五周波くらいのものを、その倍以上に殖やしまして、そうしてその通信時間も延長する、楽に通信のできるようにというお気持は大変業者として有難いと考えております。この無線設備というものは本来漁業にはぜひ必要なものではありますが、戦後マツカーサー、ライン等ができまして、そうして漁業操業区域をきびしく規制された時代があります。その際に漁業の種類によりましては無線装置を強制されておるわけであります。従つて好むと好まざるとにかかわらず無線装置はしなきやならんという域がございまして、以西底引のごときはことごとく無線を装置したわけであります。それが今回そういう状態にあるものが切替えのために相当の経費を要するということになりますと、業者としては誠に一方有難いわけではありますが、費用の負担ということになりますと、現在の漁業経済から申しますと非常な苦痛を感ずる、苦痛でなくおそらく困難を感ずるような状態にあるわけでありますので、只今お話の通常生ずべき損失というものについては、いろいろ他の法令によりましても議論が生ずるところであつて、この制定を如何にするかということはなかなかデリケートな問題があると存じます。お話によりますと切替え期の改装ないし取換等についての機器の検定と申しますか、検査と申しますか、それは電波監理委員会のほうで克明にやられるということでありますが、これは勿論さようにして頂かなければ、今お話のような中には最早切替えがなくても取換えなければならんというものがあるかも知れません。そういうものが便乗するということは穏かでないのでありますので、当然この切替えを必要とするものに対する認定は公平に行かなきやならん。従つてそれに要する補償の問題も公平に取扱わなきやならんのでありますが、漁業は御承知のように陸上の設備と違いまして、相当長期に亙つて漁場に出漁しておる、かつを、まぐろのごときものも一カ月以上も沖合におる、又以西底引のごときものも二十日以上沖合に出たり入つたりしておるのであつて、これを一斉に何日どこそこに集まれといつたようなことになりますと、なかなか困難を生じて来るのであります。従つてその船が港に入つて来たときに、それぞれ検査をしてもらわなければならんのでありますが、若し時間の都合なり或いは人の都合なりによつて、或る時期を限つてどこそこの港において検査をするということになりますると、出漁を遅らかすとか或いは出漁中のものが早期に帰つて来るところの損害は、これは相当大きなものになつて来ると考えるのであります。そういう点を実際において検査をして行かれる手配は如何ようにしておられますか、その漁業の性質をよく御考慮になつてやつておられますか、その点を一応お伺いしておきます。
○政府委員(長谷愼一君) 只今御質問の装置の検査並びに検定等の問題でございますが、この問題は単に漁業無線ばかりでないのでございますが、私共といたしましては免許人の方々に個々に御連絡を申上げまして御迷惑のかからないように適宜な時期等を御相談の上でいたしておるのでございます。従いまして、例えば漁業無線の場合などは丁度漁場に出かけられる直前、或いは戻つて来られたとき等をお打合せの上で検査等に出かけておる、こういう状態でございます。なお電波監理委員会の地方機関に電波監理局というのがございまして、そこの職員が一々適当な漁港なりに出かけて行つて検査をいたしておるのでございますが、なお今回の切替えにつきましては若しも免許人の方で何かの御都合で御希望されるならば、十二月から三月なり四月という期間に限らずに、それよりもつと遡つて秋から九月なり十月からでも換えて行きたいという御希望でありますならば、それに応じたように我々もいたして行こうと、こういうふうに考えております。できるだけ御趣旨のように迷惑をおかけしないようにして行きたい、こういうつもりであります。従来もそのつもりで行なつて来ておりますのですが、今回はなお一層その点に注意して行きたいと存じております。
○秋山俊一郎君 この切替えに要する何と申しますか私共素人でテクニツクがわかりませんが、大部分の船について改装するのにどれくらいの時間がかかるものであるか、大体漁業というものは夏場は休みが多いのです。ところが秋から春夏初めにかけてが一番大事な盛漁期でございます。ちようどこの切替えが盛漁期に当つておるのでございまして、その間に二、三日休むということは大きな損害になるわけでございまして、一応検査をしておきましてそうして今度帰つて来たときに直ちにそれに適合した改装をするといつたようなことが短い期間にできるならば、その損失は食い止められると思いますが、かかつてからでき上るまで待てということになつて、四日も五日もかかるということになりますと、漁業者としてはなかなかこの経済状態においては辛いわけであります。そういう点が我々には、技術的にさつぱり見当がつかないのでございますが、その点はどういう言うになるものでありましようか。 それからもう一つ、通常生ずべき損失というのはどういつたようなものを指しておられますか、この点を一つ。
○政府委員(長谷愼一君) 第一の点をお答え申上げたいと思います。先ほども申上げましたように、私どもといたしましては電波の割当の変更を行いますのに、現在設備されておりますところの機械では、それぞれどこからどこまでは電波が出せる、これから外のものは出しにくい、或いは全然出ない、こういう工合にそれぞれの機械によつて違つておるのでございまして、それで若しもその機械で新らしい電波を出しがたい部分に変更いたしますというと、改装なり或いは全然取換えということが必要になつて来るのでございますが、そういうことはできるだけ避けたい、又只今御質問のありましたように、漁業として一番お忙しいときに相当の期間休むということになつてはいけないので、又損失もできるだけ起きないようにというようなことから、現在持つておられる機械の範囲内で簡単に電波の変更ができるところに指定変更をやるように、一々当つて計画を立つておるわけでございまして、殆んど九九%はそういう工合な状態であるということを先ほど申上げたのでございますが、従いましてこの電波の割当てが変更されて、それの工事、いわゆる工事をやる場合には工事というほどのこともなく、恐らく数時間というような単位のことでできるのではないかと私ども思つております。数日間そのために休むというようなことは、先ほど申上げましたように例外的に改装を要したりするような場合にはそういうことが起り得ると思いますけれども、一般的には数時間というような単位でこの切替えが行い得るのではないかと、こういうふうに見ておるのでございます。 なお第二点の通常生ずべき損失というのは、確かに考えようによりましていろいろ出て来ると思うのでございますが、私どもといたしましては先ほどもちよつと申上げましたように、今回の漁業無線の電波の割当の変更に伴う損失といたしまして、我々が目下考えておりますのは、新らしく買い換えなければならない水晶発振子、これの適当な価格と、それからそれの変更に伴つて、その他機械を調整しなければいけませんので、そういうことのために要する費用、それからそこに適当な工事者がいないという場合には最寄りの所からその地点まで出かけて行くための旅費等も考慮に入れまして、言葉を換えますというと、適当な者にこの仕事を委託した場合に、経費として支払わなければならないであろうものに相当するものを実は考えておるのでございます。
○秋山俊一郎君 切替えに際しまして、現在の状態ならばまあ暫くは使えるのだが、これを切替えるというと、どうしても簡単な切替えではいけない。大改造をやらなければいかんというようなものも或いは生ずるかと思うのでございます。そういうものに対しましては、それは全部切替え、改造なり或いは取換えを必要とする場合には、取換えも補償するのであるか。若しその通常生ずべき損失ということに考えますというと、今言つたような、どうしても取換えなければ新らしい周波を出すことができないというならば、これは当然取換えなければならない。その費用は国家が補償すべきものだと思いますが、それらのものを含めて考えておるわけでございますか。 それから大体今お話のように、業者或いは水産庁あたりで考えておりますところの取換えに要する費用の総額が五倍乃至六倍の、政府で考えておる額の五倍乃至六倍に相当しておるものであつて、この点が非常に我々として心配になるわけでございます。そうしますというと、むしろこの補償の金をもらうのではなくして、政府がもう全部、幾らかかつても政府がやつてくれる、いわゆる請負のような恰好で金が幾らかかろうとも、それはもう業者は知らない、とにかく新らしい周波に適合するような設備にしてもらいさえすればいいのだから、そういうふうに政府が全部持つてくれるというようなお考えで行かないものか、或いは今お話のように損失に対する金額だけを出すということになるのでございますか、その点のお考えはどうでございますか。
○政府委員(長谷愼一君) 先ほどの最初の点でございますが、先ほども申上げましたように、ほんの例外的に私どもといたしましてもその機械の能力の範囲内で処置ができないものもあることを認めております。これらに対してはそのためにどうしても取換えなければいかんということが起るのであれば、それは補償の対象になる、こういうことで考慮いたしております。但しその場合には、若しもその機械が十年の寿命があるものならば、それは無線の機械それぞれに大体寿命というものはございます。それはもう七、八年経つておつて、あとは二、三年しか使えないということであるならば、むしろ減価償却という観点からあとの残存価値だけの犠牲を払うのだという恰好になるかと思いますので、全然新らしく換える、新らしいものということは国の補償という考えから申しますと、出て来ないかと思います。そういうことからどうしても陳情の点等でなされております金額との差が出て来るのではないかと思うのでございます。第二点はなかなかこれは国としては非常にむずかしい、御承知の通りに国家財政の非常に苦しいときでございますので、又これには人手、その他の点もございますので、むしろやはりそれぞれ免許人のかたが例えば皆さんそういう簡単な改造、周波数の変更等はやつて行けるだけの能力を持つておられるかたが免許人になつておられる例もございますし、実際働いておるいわゆる無線通信士がそういう技能を持つておるところもたくさんございますので、みずからやつて頂く範囲も相当多いでございましようし、又手近な、或いは交渉をかねがね持つておられるところともお話の上で行なつて頂くほうが経済的でもあり、時間的にも便宜であろう、こういう観点から私どもといたしましても金額の補償、これで行くのが一番妥当であるように考えておる次第であります6
○秋山俊一郎君 私一人質問して恐縮でありますが、もう一点だけ。今お話のように金銭補償ということがまあ普通やられることでありますけれども、これは非常に今お話でありますとむずかしい問題が起るのじやないかと思うのです。殊に自分でやるとか、或いは無線機の製造者に向つてこの施設をやらせる、切替措置をやらせるといつたようなことによつて請求するところの額と、政府が補償しようとする額との食い違いが出て来て、非常にトラブルが多いのじやないか、私どもとしては安ければ安いほどいいが、一体政府の金で以て電波監理委員会のほうでやつてくれるほうが一番簡単でいいんじやないか、かように考えるのですが、そういうことはできないものですか、そうすればいざこざがちつともないので、幾らかかろうと一番いいと思います。技術者もいることですし、メーカーに頼めばこれはこういうふうにやれ、検定してよろしいということであれば、業者はだまつておつてもいいと思いますが、その点は如何ですか。それが一番私は安全だと思う。
○政府委員(長谷愼一君) 只今お話の点はなかなかこれは難しい質問でございますが、御案内のように、三千幾らも船があつて、これがいろいろ漁期との関係等で日本近海ばかりでなくして、相当遠くまでも動いておられるわけであります。それを例えば電波監理委員会がどこにやらせようといたしましても、それぞれの御希望に添うような機関に、而も経済的にやり得るということは困難と私は思つているわけであります。先ほど申上げましたように、それぞれところで一番適当な方法でこの処置をやつて頂いて、そのために起つた御損害を金銭で保障申上げるというのが一番手取り早い実際的の方法だと、そう実は考えております。なお電波法の法律の条文から言いましても、それ以上に出ることは困難のように思われますので、その範囲内でできるだけのことをしたいと、こういうふうに考えている次第であります。
○理事(千田正君) ほかに御質問ございませんか。
○松浦清一君 私は今日出て来て初めて書類を前におかれて、全く白紙の状態なんで、而もその無線機というようような技術上の問題などはまるで素人でありますから、質問が当らないかも知れませんが、今までの十五周波というやつが三十四周波に切替えられるということで、無線機の企画というものは、どのように変わるのでしようか。あなたのほうの御説明によりますと、水晶発振子の取換えを行えばそれでいいんだと、こういうふうに了解のできるような御所見であつたと思うのですが、どうなんですか。
○政府委員(長谷愼一君) 結論的に申上げますとお話の通りでございます。無線機のそれぞれの手当は必要ない。先ほど申上げましたように、無線機にはその或る範囲から或る範囲までの電波を出し得る能力を持つております。その範囲で周波数の変更をして行くと、こういう考え方でございます。従来或る範囲に十五だけ並んでおつたのを、その中へ大体同じ範囲のところへ三十四押込むわけでございますから、そのところでいろいろ組合せ、その他を変更するためにどうしても殆んど例外なしに変えて頂かんというと収まらない、こういうような格好になつている次第であります。
○松浦清一君 そういたしますと、漁業者側からのほうの陳情の中には、今度の周波数の切替えによつて漁業用無線機の殆んどすべてが改造しなければならん。或いは取換えをしなければならん、こういうふうに申しておりますけれども、これは間違いなんでしようか。
○政府委員(長谷愼一君) 私どもが見たところでは、先ほど来申上げておりますように、無線機の取換えは、この電波の割当の変更だけでは起つて来ない、それだけでは一つ一つ個々に当つて見ての上でも、先ほど来申上げておりますように九九%までは起つて来ない、こういう状態であります。
○松浦清一君 そうしますと、こういう機会に、今までの周波数の切替えがなくても修繕をしたり改善をしたりしなければならんというような状態になつている機械を、この機会に便乗して、政府から五億七千数百万円のその補償費をもらいたいという、こういうことを業者側が希望しているんだと、こういうように解釈してよろしうございましようか。
○政府委員(長谷愼一君) 私は敢えてさようには解釈いたしておりませんが、考え方が大分違つているのではないか。どういう具合に数字金額等お出しになつたか、私ども詳細伺つておりませんのでわかりませんけれども、或いは電波の切替えによつて、周波数の割当変更によつて相当無線機の改造なり、取換えが要るのではないかというふうにお考えの上でやつておられるのかも知れないと思う。私どものほうではそういうことが起らないように、できるだけ避けるようにということでやつておりますので、その辺の食い違いじやないかと思います。
○松浦清一君 業者側のほうから出ておりまする陳情書の内容というものは、今申上げましたように、漁業用無線機の殆んどすべてが改造又は取換えをしなければならん、こういうことを申しておるのですが、水産庁の係のかた、如何でしようか。今の長谷長官のおつしやることと、業者側のほうの言つていることとの食違いはどのように解釈をなすつておられますか。
○説明員(高木淳君) これは無線を使う漁業者にとつて相当重要な問題でかりますし、又これから無線を付けようとする漁業者にとつても又重大な関心を持つべき事柄でありますので、あらかじめ一隻々々の調査を別途にやつて見たわけでございます。それでこれまでの検査で通りそうなところで費用が幾らかかるであろうかということをメーカー、これは何軒もございますので、一応当つて見たわけでございます。高いのも低いのもあります。その高いところへ全部行くということも考えられますし、それから又低いところへ全都行くとも考えられませんので、そのウエイトを考えずに平均を取つて一応計質して見たわけであります。先ほど来お話が出ておりますような古い機械も相当あります。漁業者として出さねばならないお金ということで予め計算して見たわけであります。
○松浦清一君 そうしますと電波庁の長谷長官が言つておられますが、周波数の切替えによつて水晶発振子を取換えれば、それでいいんだという考えかたは同意見なんですね。
○説明員(高木淳君) これは個々の問題が入つて参りますし、それから検査される面はどの程度までその漁業の実情と無線のほうの検査の実情と合わせておやりになるか、そこに差があるのかも知れません。現在までおやり頂いている検査の上から業者が合格するのにどんな程度のお金というか、見積りから行くと、こういう数が出て来るわけであります。先ほどから長谷長官お話の九九%換えなくてよろしいということであると、これまでの調べと多少ずれて来るかと思います。
○松浦清一君 そうしますと水産庁のほうでお調べになつたというのは周波数の切替えによつて、そのことだけによつて改造しなければならんという費用だけの見積りではなくて、周波数を切替えることを機会に、無線各送信機によつて調べたところの結果が五億七千何百万円の費用を要するのだ、こういうふうに判断をなすつたわけですね。
○説明員(高木淳君) これは現在、先ほども話が出たことでございますが、現在であればそのまま使える無線機でございます。今度の周波数の切替えによりまして、新らしい時代になりますと、話の出ました通常生ずべき損失ということと離れて、漁業者が恐らく払わねばならないお金はこれだけであるという計算でございます。
○松浦清一君 そこに非常に食違いがあるので、国家がこういう際には損失補償するという場合には、やはり周波数が切替えられて、そのことによつて起る修繕或いは改造或いは新らしい施設そういうものに対しては一つの法律ができて、これは規格に当て嵌めて行くようにするんでしようから損失補償をするのだ、長官の言うように通常生ずべき損失を補償するのだという建前のほうに一応理窟があるように私どもには聞えるのだが、どうなんですか。あなたのおつしやるように周波数の切替えがなければこのまま使えるのだ、周波数の切替えがあるから修繕をしなければならん、水晶発振子も付けなければならんのではないか、そのためには五億七千万円という金がかかるのだ、こういうふうに計算されるわけです。ところが電波庁のほうでは水晶発振子の取換えだけで、あと若干の調整を行う費用がかかるだろうと思うけれども、そんなに多額の金はかからん、今までの機器が使える、こういう見解なんで、そこの何と言いますか、考え方がはつきり出て来ないというと、まるきりその考え方があなたのほうと、水産庁と電波庁のほうと違うのです。
○説明員(高木淳君) これはなかなかむずかしい問題でありまして、その機械一つ一つを見ての観察が入つて来るわけでございます。で今長谷長官がおつしやるように、ただ水晶だけ換えればいいというのにしても費用の見方に差が出て参ります。それから水晶だけでなしに、取付けますその工事費、先ほど工事人がおらない所ではそれを迎えます旅費関係のお話も出ましたようでございますが、そういうふうな見積りをどれだけに見るかということに問題が出て参りますのと、それからこの調べによりますと、私のほうで見たところでは、そのままで使えなさそうだと思われる数が相当あるのじやないかというのが、この数のズレでございます。今のお話の九九%だということであると、これは金額が小さくなりますが、私のほうで、これまで無線の検査を受けましたほうの側から申します言い分を集めてみますと、又相当そのままでは使えないものがあるのじやないかという考え方が加つておりますので、そのような差が出て来たのだと思います。
○松浦清一君 それは周波数の切替えがなくても修繕しなければならん部分まで含んでおるのじやないですか。
○説明員(高木淳君) 現在でありましたら、そのまま使えるということが考えの一つに入つております。
○松浦清一君 そこに大きな食い違いがあるのだね。そこで私は業者側のかたにも水産庁のかたにも、ちよつといやみを申上げたいのですが、御承知のように周波数の変更が行われるということは、電波法の一部改正法律案が国会に上程されたときからわかつているのですね。電波法とは関係ないのですか。そうするとこれはいつわかつたのですか、こういうことは。
○政府委員(長谷愼一君) この周波数の変更問題について申上げますと、これは実は昭和二十四年の一月から六月頃までの間、船の電波の具体的な割当の国際協定がスイスのジユネーヴで行われました。実は私それに出席しておつたのでありますが、そこで具体的にそれぞれの国の事情からいろいろ要求をし、国際間の協定を結んだ。それできまりましたのを、その後二年間これを十分にそれぞれの国が検討いたしまして、昨年の八月それの実施の細目協定を結んだわけでございます。ですから、ほかの漁業無線については相当の周波数の変更が行われるであろうということは、すでに二十四年の暮にははつきりわかつておつた。国会でもしばしば御報告を、当委員会ではございませんが、ほかの委員会で申上げたこともございます。又関係の新聞、或いは雑誌、機関誌等にもしばしばその内容が発表されたこともございまして、水産庁或いは漁業会のかたがたと御懇談申上げたこともございますので、相当以前からその大要はわかつて頂いておつたと私どもは承知しております。
○松浦清一君 そんなに早くわかつておつて、而もこういうことになれば五億七千四百万円も金がかかる。そうてこれは国家補償をしてもらわなければいかん。これほど業界にとつて重要な問題を参議院の水産委員の、ほかの人は知りませんが、私はここで初めて書類を見るというのは、私がルーズなのか、業者や水産庁関係のかたがたが参議院の水産委員のかたに話をしても無駄だと思つておつたのかも知れませんが、今ここに出されて、そうして水産庁の言い分と監理庁の言い分を聞いてみるというと、大きな食い違いがある。直ちにこれは補償すべきものであるというような考え方は私は持てないのだな。そういうことで私は甚だ不満なんだ。これほど大きな国家補償をやらそうという問題が参議院の水産委員会に、今ここに初めて書類を見るということで一体どうなるか。水産庁、業者側のほうに御意見があれば聞かせてもらいたい。
○説明員(高木淳君) この問題はあらかじめ外枠がわかつておつたのでありまするが、中がどんなふうにきまりますか、具体的な話が出て来たのは昨年の終りか今年の初めで……、正式に伺つたのは私ども五月頃伺つたのであります。それで皆業者としては恐らくこれまで使つている波は相当使えて、その上にプラスが出て来るだろうということを考えていたわけです。それでもつとゆとりがあるのだろう、やるならもつと時期的にゆとりがあるのだろうということの二つの点を考えていたわけです。ところが示されてみると、これまで使つていたところとずつとズレている。それから大体期間的に相当急であるということから、先ほどお話が出ました漁期関係で取付けをいつどうやるかという問題と、それから全体的にズレたということから、漁業者の負担がこれは急に大きくなつて来たということで業者のほうから声が出て来たのであります。
○理事(千田正君) 秋山委員、先ほど質問がありましたが……。
○秋山俊一郎君 同じようなことを繰返すようでありますが、補償額につきまして、先ほどの長官のお話によりますと、大体一億前後のものを要求しておるということでありまして、それが仮に一億円なら一億円に落着いたといたします。そうして実際やつてみたところが二億もかかつた、或いはその予算をオーバーしたという場合には如何ようになされますか。よく政府が従来やりますことは、一億円の予算が取れたから遮二無二一億円におつ付けようという方法をとるのです。従つて補償するのについても採点が非常に辛い。どうかして一億円を超えないように、それに持つて行つて、おつ付けようとするために非常に無理があつて、それだけのものを業者に負担をさせるということが、他の場合においていろいろあるようであります。もうこれだけしか予算がないのだからということでおつ付けらる場合がある。この場合にはそれではいけない。少くとも政府が補償すべき問題であれば、必要な額だけはどうしても取らなければならない。若し足りなければそれを他の追加にでもして取らなければならないと思いますが、そういうお考えでありますか、一応長官に伺つておきたいと思います。
○政府委員(長谷愼一君) 御案内のように、国家の予算でありますから、その予算の範囲内で合理的に支出をいたしまして、予期に反したことが新たに起つたりいたしました場合には、追加予算というような処置は当然一般的に申上げてとられることだろうと存じております。 なおこの際御参考に申上げたいことは、この補償は私どもは個々に当つていたすようにいたしております。平均でこれこれだから言つて、どれもこれも一様にというわけではございません。勿論多少の違ふところはある。一様なクラスで多少のでこぼこのところは同一の金額の補償で了解して頂くということになるかと思いますけれども、大体個々に当つて考えておりますから、大体この損失の補償については請求書を明細書を添えてお出し願つて、これを私どものほうで審査をいたして適当な金額を全額、或いは仮に不当或いは直接の損害と見られない部分があれば、それは削除して、補償の対象となるものを補償申上げる、こういう見方を従来もとつておりますし、今回もその考え方で行きたいと思つております。
○秋山俊一郎君 そうしますと、もうすでにその各機器に対しては検査は済んでおるわけでありますか。
○政府委員(長谷愼一君) 無線機の検査は毎年定期的に私どものほうで検査をいたしておりますから、どの船にはどういう型の又何年ぐらい経つておる機械が設備してあるかということが明細にわかつております。従つて先ほど申上げましたように、それの記録、実績等から見て電波の割当問題も考慮いたしておる次第であります。
○小滝彬君 私素人で、質問するのは甚だおこがましいのですが、ちよつと水産庁側にお伺いしたいと思いまするが、只今の御説明では、漁業用電波切替えに要する費用の国庫補償についてという水産庁で作られた書面があるけれども、御説明そのものによると、実はこれは電波切替えによる損失及びこれに伴う漁業者の失費の国家補償に関する書面のように受取つたのですが、若しそうとするならば、この国家補償は、先ほどからの長谷君の言つたことなんかからも考えてみて、全部を電波法による補償にくつ付けるのは無理ではないか。そうしてみますると、このこの書きものに出ておる国家補償は一部は長谷君の所で処理すべきものであり、他はどなたか秋山委員からおつしやつたか、或いは長谷君の発言の中にあつたかと思いますが、新らしく機械を取換えなければならんというようなのは、それに関する助成金として水産庁のほうでやる。二つの性格のものは別個に考えるべきものであるというようにも考えられる。これが一つの書面の中に盛り込まれておるように僕には素人考えで見られるのですが、その点に関する水産庁の所見を承わりたい。
○説明員(高木淳君) これは先ほどお話し申上げました解釈上の問題があるのだろうと思いますので、漁業の問題の苦しいところからというより、先ほど説明がありましたのといろいろからみ合せて御解釈頂くべき問題ではなかろうかと思います。法律の解釈上の問題だろうと思います。
○小滝彬君 そうすると、いろいろ今は解釈上にも疑義があるけれども、水産庁としてはこの五億数千万円という見積りを立てられたのは、成るべく電波法によつて支出するようにこれから電波庁とも連絡して努力するというお考えですか。
○説明員(高木淳君) なかなかむずかしい御質問でございますが、同じ事柄に関係したことをあちらこちらでというのもむずかしいのじやないか。初め水産庁のほうで今御質問のような趣旨に副つて考えようかと思いまして、長谷さんのほうの御担当の所へ相談に行つたことがあります。この際一つで、その一つはどこかという解釈の幅はあるかも知れませんが、そのために一応私のほうは用意せずにおつたのであります。
○小滝彬君 若し然りとすれば、すでに長谷長官の所の係官とも話合つておるとすれば、この数字について非常に大きな違いがある、その辺については相当議論はされたのですけれども、結局喧嘩別れになつたということを現わすのですか。
○説明員(高木淳君) これは別に喧嘩をしたことも何もございません。そこで、できるだけいたしましようということで、できるだけにいたしましても、なかなか解釈上の問題が残ります。漁業者の懐からいうと、これくらいになりますという考えでございます。
○松浦清一君 結局いろいろ言つてみても電波庁のほうでは、今までいろいろ話がありましたように、水晶発振子の取換えと小部分の改造によつて可能であると、こういうように考えておられるし、この機会に改造乃至は水晶発振子の取換えをやると五億七千四百余万円かかる。こういうような機械をどうするかというような、基本的な問題についての考え方に相当の開きがある。これをここでいろいろ質問をやつてみたところで、そんならこの辺でという話の結論も見出せないように思うので、やはり水産庁と電波庁とがよく相談をされて、水産庁として業者のかたに損害の少いようにカバーしてやるという親心を出し、電波庁では規則通りのことをやつて、できるだけ少くというわけでもないだろうが、やりやすいように考えておられるのだろうし、そこを何回でも話合つて、できるだけ損害の少いように、殖やしてやれるように話をして下さいよ。それよりほかに方法はないじやないですか。この委員会が、五億七千万円かかるのだから五億七千万円一つ出して下さいということをきめてみたところで、どうにもなることでもないし、その辺のところをいろいろの意見をお聞取りを願つて、うまく折れ合つて、損害ができるだけ少いようにやりなさい。それよりほかにないじやないですか。
○理事(千田正君) なお速記の時間が三時までということでありましたが、先ほどから参考人の横山君から発言を求めておられますので、許可してよろしゆうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小滝彬君 先ほどの松浦委員のおつしやるのと私同感でありまして、もう少し数字なんかも当局間において検討して頂いて、そうしてその結果をもう一度こちらへ出してもらうようにしたらよろしいかと思います。
○理事(千田正君) 松浦委員、小滝委員からこの問題についてはいろいろな複雑な事情もありますので、もう一度十分に両当局が打合せて、そうして委員会のほうへ御報告願うという希望でございますので、その点を電波庁、水産庁両方に申入れておきます。
○政府委員(長谷愼一君) 只今のこと、私ども御趣旨によつてやりたいと思いますので、先ほど申上げましたように、すでにこの問題は大蔵省と予備金支出という目当てで折衝を開始しております。農林省といたしましては、どういうふうに大蔵当局との間に折衝をお進めになつておるか存じませんが、そういう点を御了解願つて、十分農林省のほうの御意見、或いは漁業家のかたがたの御意見は、私どもといたしましては、たとえこれが五億になろうと十億になろうと、それが補償としてすべきものであるならば、いたさなければならないという考えでおるのでございますが、先ほど申上げましたような観点から、只今は大蔵省と、先ほど申上げたような範囲のところで話が目下進行中だということを御了承願いたいと思います。
○理事(千田正君) 横山参考人から発言を求められておりますので許可いたします。時間もございませんので、成るべく重点的に簡単に御発言を願います。
○参考人(横山登志丸君) 私は当初の発言に対する補足をいたしたいと思います。それによつて松浦さんから御発言の中に業者のことも出て参りましたから、それの説明を兼ねまして簡単に申上げます。 かような大きな金額の問題を、今になつて出すのはどうかということであります。これは私どもは周波数に関する電波法の方針が変つて来るということは知つておりました。併しまあこれは私が直接に折衝したことではありませんが、二つの仄聞した点があるのであります。その一つは、改正はやるが、業者が半年乃至一年くらいには楽に換えられるような範囲である、それは世論を、どういう形でありましたか、聞き合わしたということを言われておつたということを仄聞しているのであります。そうしますと、業者がみずから負担するような経費上の大きな問題ではなかろう、長谷さんがさつきおつしやつたような気持で最近までおつたのであります。ところがこの三月でありましたか、周波数の切替えがこういうような形で現われて来たということがわかりまして、それだとすると、これは相当大きな問題であるというので、私どももまだ各無線局の実態の調査をしておらないものでありますから、実態調査を始めようとしたのであります。ところが水産庁では、これは施設のほうを今指導しておられるのでありますから、自分のほうでやるということで、そうして水産庁のほうがやられました。その結果極く最近にこの数字ができたように思うのであります。私どもが極く最近になつてこの数字を知つた、この真相を、まあ真相と言いますか、あとで申上げますが、知つたのが極く最近であつたということを御了承願いたい。 それから通常考えられる損失でありますが、これについては私は当初も申上げましたけれども、非常に見解の相違が起つて来るだろうと思います。例えばこれは水産庁でもそうだろうと思いますが、私のほうでは受信機の改造、取換えというようなことも考えております。これは発信のほうだけがそうであつても、受けるほうが受けられなければ、なんにもならない。これは当然取換えか何かしなければ役に立たないのであります。これは私は常識から考えて当然普通考えられる損失じやなかろうかと思うのであります。極く局部的に冷やかに見て部分的なものを取換えればいいのだ、これはどうも業者としましては、業者の常識から言つて我々は承認ができない。 それからいま一つは、御承知の通り水産のほうの無電は極く小さい。もう今日になりますと二十トン級のものまで付けております。その無電機の性能は、あの一万トン級の貨客船のようなものとは非常に違うのであります。彼らの装置は相当立派なものであつて、先ず水晶発振子を替えれば直ぐ間に合うようなものが多いのであります。ところが水産のほうは程度が低い。これが一つ。それからいま一つは、大きな船と違いまして、始終塩水をかぶるために、何と言いますか、保存の期間が非常に短かい。こういうようなハンデキャップと言いますか、そういう点を見て頂いているかどうか。というのは、毎年電波監理総局のほうが検査をしておいでになつております。これはよくわかります。併しその検査官はまず大体役に立てばそれで見てやる、極めて温かいところの検査をしております。これに対する非常な感謝の念を持つている者と、もう少し厳重にしてもらつたほうがいいのじやないかという者とあるのであります。そのどちらが本庁のほうに報告されているのか。これは実情でありますが、私どもはこの切替えなければならんということの見解と、それからただ受信機だけの取換えでいいということの見解とが、私ども業者の考え方と違う、こういうふうに私は思うのであります。そういう点を一つ御了承願いまして、両官庁でよく御相談下さいまして、必要によつては水産の方面のかた或いは業者の方面のかたから直接大蔵省のほうにも陳情しなければならんと思いますが、よく御相談願いまして、私がはじめに言いました温かい、温かいというのは必ずしも感情的にという意味じやありません。水産業の実情を考えられた損失の補償の措置をとつて頂きたい。これが業者の熱望するところであります。
○理事(千田正君) この電波切替えに関する問題は、一応これで打切りまして……。
○松浦清一君 今の横山さんのお話の中で、極く最近になつて周波数の切替えによる改造等の費用が非常に多額にかかるということがわかつたと、こうおつしやられるのですが、あなたの名前で出しておられる陳情書の中には、五億七千四百万円の概算になると、こういうことを書いておられるのですが、三千百隻に上る漁船の無線機についての切替えに要する費用が五億七千四百万円と概算されたのは、これは水産庁で数字をお調べになつたのですか、業者自体がお調べになつたのですか。この点だけをお伺いしておきます。
○参考人(横山登志丸君) 初めに申上げましたが、漁船関係のほうは水産庁の調べをそのままここに持つて参りました。それから陸上局のほうは私のほうが独自に調べました。
○理事(千田正君) それではお諮りいたします。議題となつておりました電波切替えによりますところの漁業用無線に関する問題につきましては一応これで打切りたいと思いますが、如何でございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(千田正君) お差支えないと認めます。それでは横山、久保田両参考人におかれましては、炎暑のところわざわざ当委員会に御出席下さいまして、貴重な御発言を頂きまして誠に有難うございました。なお問題は今後ともいろいろ残つていると思いますので、両官庁並びに当委員会とも密接な連絡をお取り下さいまして、日本水産界の将来のために特段の御健闘をお願いしたいと思います。どうも有難うございました。 —————————————
○理事(千田正君) 次に議題となつておりました派遣議員の報告の件につきましては、なお二班、三班とも今度の閉会後に出張することと思いますので、この報告は一括今後各班の御報告と同時に御報告をお願いしたほうがよろしいと思いますので、この際あとに廻したいと思いますが、如何でございましようか。
○秋山俊一郎君 私全然異議はございません。ただ私どもは今日御報告したらと思いますことは、我々が一足先に参りましたために、第二班、第三班のかたがたの何らかの御参考になりはしないかというので、機会があれば前以て御報告したほうがよろしいかと思つたわけであります。従つて何ら他意はありませんので、どちらでも結構です。
○理事(千田正君) それでは時間の都合によつて御報告をお願いすることにいたしまして、実は先ほどから請願第三千百六十一号ソ連巡視艦の日本漁船だ捕調査促進に関する請願と、第三千二百九十三号長崎県小値賀漁港修築工事施行に関する請願、両請願につきまして御審議願いたいと思いましで、おのおの当該官庁のかたがたが見えております。外務省から欧米局第五課都倉事務官、海上保安庁からは松野警備救難部長、並びに水産庁からは増田海洋第二課長、林漁港課長が各々見えておられますので、一応この請願について御審議願いまして、その後の時間において、このたびの議員派遣のこれから派遣されるかたがたに対する御参考の点を特に秋山委員から御注意を願つて頂きたいと思いますのでお諮りいたします。お差支えございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(千田正君) それではそういたしますが、実は速記の件ですが、請願陳情には速記を付さないことになつておりまするけれども、この第三千百六十一号のソ連巡視艦の日本漁船だ捕の問題につきましては非常に国際的な問題であり、且つ又国内においたも注視の的になつておりますので、一応速記を特にお願いして付けて頂くことにしてありますので、時間のある限り速記のかたがたにもお願いしたいと思つております。 それではこれから松浦委員の紹介でありますので、紹介者の松浦清一委員から一応御紹介の件について御陳述願いたいと思います。
○松浦清一君 東京都中野区打越町十九番地、榊忠夫君から、只今議題になつておりまするソ連巡視艦の日本漁船だ捕について調査を促進せられたき請願というのが出ておるわけでございますが、ソ連や中共に日本の漁船がだ捕されるという問題は、そのだ捕された船に対してどのような方法で船の返還、それからだ捕されておる船員の送還について日本の政府が努力しておられるか、こういうことについては、当委員会においてはしばしば問題になつたわけであります。私もこの国会において本会議で二回に亙つてこの問題については外務大臣や農林大臣に質問をいたしたわけでありますが、その際に、責任大臣から答弁されて参りましたことは、まだ講和条約の発効しておりません以前は、外務省から総司令部を通して中共やソ連に対して話を進めているんだ、こういうような答弁をなさつたわけであります。その後開かれました当委員会や本会議において、総司令部を通してそれぞれの国と折衝をしておるという答弁を頂いておるが、その後の状態にどういうふうになつているかということを、重ねてお伺いを申上げたところが、それに対しましては、なかなか具体的に、いつ何日船は返還せられ、だ捕船員は送還されるという回答に接することができていないので誠に残念である、鋭意努力中でありますという回答を得ておるわけであります。今私はこの請願の内容を読上げることを避けまするけれども、依然として私どもの知り得る範囲においては、一体ソ連にだ捕されておる船がどのように向うで処理されているのか、或いは抑留されておる船員はどのような処遇を受けているのかということについて、一向知る由もないのであります。本来から言いますと、請願の形式ではなく、議員の立場においてその後の状況の調査に対して質問をしたり、或いは政府に対してそれを要請するということが本来でありましようけれども、こういう請願が来たので、請願について私の言いたいことを申上げておきたいと思いますが、曾つて中共から送還をされて参りました、本年の四月頃であつたかと思いますけれども、帰つて来た船員の諸君が黙秘権を行使して、向うの実情を聞こうとしましてもなかなか実情を話をしない、従つてその諸君が抑留されておる問に向うで受けた処遇、或いはどのような状態において送還をされたかということについても詳細に我々は知るを得ないというようなことで、恐らくソ連にだ捕されておる諸君もそういう立場におかれているのではないかと思いますが、問題はあとに取り残されております家族の人たちの生活の問題なんです。 先ほどだ捕船員の給与保険法が各委員の協力によつて通過をいたしまして、これからだ捕され、抑留された船員諸君の生活保障というものは保険によつてできるのですが、保険に加入することのできないすでにだ捕されている船員諸君に対しては、現在のところ具体的にどうしてその家族の生活を保障するかという途が開かれておりません。理窟の上から言いますと、船はだ捕されても船員対雇傭主の関係はやはり雇傭関係が存続しておるという建前でありますから、給料を支給するというのが当り前でありますけれども、極く僅かな船を持つていて、それをだ捕され、而もその船が全体の財産であるというようなことになりますと、船主においては払いたくても給料を払うことができないというような立場に置かれて、寄るすべもなく、家族が生活に困窮をしておる。その具体的な事例としてこの請願が出て来たわけでありますけれども、この請願の中にありまする北海道の稚内に住んでおりまする人で、母親一人、子供一人という家で、而もその子供が船に乗つておつて二十七年の五月一日に宗谷海峡でだ捕された、栄保丸という船でありますけれども、だ捕された。そこでその家族の残つておるお母さんが会社のほうに相談に行つたところが、三月ぐらいの給料の保障はできますけれども、その後の給料の保障はできません、こういうことであります。従つて取付く島がないので、海運局とかその他の役所関係を陳情して歩きましたけれども、現行法の下においてはどうしてもできない、保険にも入つておらないし、どうすることもできないということで、五月一日から三月間、即ち七月三十日になるとそのお母さんはもう生活する方法がなくなる、こういう状態にあるんだが、一体このままでよいかどうかということの請願であります。無論各委員の御審議によつて御採択を願いたいと念願いたしておりますが、なお外務省のかた、それから水産庁のかたも御列席でありますから、この際に含めてお願いを申上げておきたいのでありますが、先ず第一番にソ連や中共にだ捕されている船と船員がどのような状態に置かれているかということを速かに調査をして、当委員会に報告をしてもらいたい。そうしてその船を返還し、乗組船員を送還するということについて、日本政府がどのような方法とどのような状態においてソ連や中共と交渉をしておられるか、こういうことについてもよく、今直ちにと申上げませんから、その経緯を調査の上で当委員会に対して報告してもらいたいということを要請いたします。従つて何とぞ皆さんの御協賛を得まして、この請願をお取上げ願いたいと思います。
○理事(千田正君) 只今の請願に関しまして紹介議員の松浦委員から縷々御説明がありましたが、これに関しまして外務省の都倉事務官から何かこの件につきましての御説明がありましたらお話願いたいと思います。
○説明員(都倉栄二君) 只今の御要請通りに上司に報告をいたしまして、その報告を至急当委員会に出すようにいたします。
○理事(千田正君) 今までの問題につきまして、海上保安庁のほうとして取扱つておる実情に関しまして松野警備救難部長から何か御説明がありましたら御説明をお願いいたします。
○政府委員(松野清秀君) ソ連関係について申しますと、講和発効前に数回総司令部のほうからいつ何日どこそこで送還船の返還があるから、どこどこの地点において受取れというような指令が実は参りまして、その際に巡視船を出して送還船の引取をやつております。但し講和発効後におきましてはまだそうした指令は一回もございません。今後は恐らく外務省のほうを通じて若しそういうようなケースがあるならば御連絡があると思つている次第であります。 なお帰還船につきましては、私どもの出先の機関におきまして、まあ全員についてというわけではありませんが、主だつた乗組員につきまして向うに抑留されている間に受けていた処遇、質問を受けたような事項につきまして、直接保安部に呼びまして事情はその都度聴取いたしております。従いまして今お話のありましたその内容につきましては、なお資料をまとめまして当委員会に提出させて頂きたいと思います。
○理事(千田正君) 水産庁増田海洋第二課長のほうから、請願の内容はお聞きの通りでありまして、外務省並びに海上保安庁の御答弁がありましたが、水産庁としてのお立場として御陳述をお願いいたしたいと思います。
○説明員(増田正一君) ソ連関係のだ捕船並びにだ捕船員の現状の調査でございますが、この点につきまして水産庁といたしましては、帰還の船員につきまして北海道庁を通じて実は調査いたしているわけであります。実は講和発効後におきまして、すでに樺太沿岸、それから南千島沿岸におきましては、現在すでに二十八隻船が出ております。このうち二十隻が帰還いたしているのでありますが、現在全体の資料といたしましてはまだ水産庁に届いておりません。従いましてこの点につきましてはなお北海道庁も督促いたしますし、なお他の水産庁の船といたしまして現地に二隻行つておりますので、そういつた船を動員いたしまして、そういう調査を至急に取りまとめて御報告申上げたいと思います。 なおこの請願の趣旨を現実に向うに抑留されておりまする船員の実情等につきましては、或いはこの帰還船員による実情の調査ということと別途に、或いは外務省等を通じまして、直接ソ連関係に適切な連絡を求めまして調査する方法もあろうと思います。併しこの点は事務の内容といたしましては外務省の所管だろうと思いますので、水産庁といたしましてはよく外務省と連絡いたしましてそういつた措置を講ずることができるように最善の努力をいたして参りたい。かように考えております。
○松浦清一君 只今の問題に関連して外務省のほうにちよつと伺つておきたいのでありますが、現在日本のソ連に対する外交ということはどういう方法でやつているのでございましようか。
○説明員(都倉栄二君) 大分大きな問題でございまして、私がはつきり申述べることはむずかしいのでありますが、ここの代表部は御承知のようにその公的地位を日本政府といたしまして否認いたしました関係上、日本にいるソ連の機関というものと接触するということはできないわけであります。従いまして若しソ連政府と何か交渉するということになりますれば、どうしても或いは第三国を通じてやるというような方法によるしかないのではないかと考えるわけであります。
○松浦清一君 その第三国とはどの国でございますか。
○説明員(都倉栄二君) それはそのときの情勢によりまして、どの国が適切であるかということはその都度判定しなければならないのじやないかと思います。
○松浦清一君 日本の国民が、外交交渉も完全にできないような国にだ捕せられ、抑留をされているという状態は、これはまあその人が不仕合せなんだと、こういうふうな御見解なんでしようか。それともそういうような場合何らかの方法において、生活保障を国家的にやるべきであるというふうにお考えでしようか。大変むずかしい問題ですけれども、ちよつと伺つておきたいのです。
○説明員(都倉栄二君) そういう不幸な状態にならないように、できるだけあらかじめ十分な警戒をすることは必要だろうと思いますが、若しそういうような不仕合せに万一遭われたような場合には、できるだけ国家としてすべきことであろうと、当然考えます。
○松浦清一君 水産庁はどういうふうにお考えになりますか。
○説明員(増田正一君) 水産庁といたしましては、そういうだ捕等に伴います抑留者につきましては、非常にお気の毒と思つておるのでありますが、先般国会議員提出で通過いたしました漁船乗組員給与補償法、こういつた法案が通過いたしておりますので、できるだけ早く予算的な措置も講じまして、今後そういうだ捕抑留関係等ができました場合にも、そういう法案の適用を受けまして、その恩恵に預かるように、水産庁としても折角努力いたして参りたいと、かように考えております。
○松浦清一君 この前も、だ捕船員の給与補償の保険法ができましたときには、これから先のやつはいいけれども、今までだ捕され、抑留されている船員については、別途考慮しなければならん。こういうお答えを頂いておるわけでありますが、今あなたのおつしやるように、これから先のものは保険によつてその生活保障はできる。併し今までだ捕されているものは、これはもう大変不仕合せだ、こういうことで放免されることはできないと、こういうふうに考えるのですが、どのような処置をしておられるか、この機会に伺つておきたいと思います。
○説明員(増田正一君) すでにだ捕された船員等につきましては、実はこの前の漁船乗組員給与補償法の審議過程におきまして、水産庁内部におきましても、すでにだ捕されたものの補償をどうするか、救済をどうするか、こういつた点につきましても相当論議が交わされたわけであります。その結果すでにだ捕されたものを直接給与補償法を適用いたしまして救済するというのは、法的に非常に困難があるということで、一応今後に発生する問題ということで現在は進んでおるわけでありますが、すでに過ぎ去つて、その給与補償法の適用を受け得ないというものにつきましてどうするかという問題につきましては、別途にこれは研究いたす問題であろうと思つております。
○松浦清一君 外務当局の御意見は、何らかの方法において補償すべきであると考える。こういう御意見なんですから、どうか一つ外務当局とよく協力をしてもらつて、大蔵省のほうに話をして速やかに実現されるように、御努力を希望いたします。これはお座なりでなしに頼みますよ。
○理事(千田正君) 只今松浦委員から縷々請願の趣旨を御説明になられ、更に当委員会としてもこの問題については、しばしば討議しておりますので、この委員会の意向を十分に御了解願いまして、先ほどからの要求してありましたところの報告その他は、外務省、保安庁並びに水産庁としましては、当委員会に後日御報告を願いたいと思います。申し添えておきます。
○政府委員(松野清秀君) 只今のは、これはソ連関係のみでいいのですか。或いは中共関係も含めまして……。
○理事(千田正君) 中共とソ連関係と両方です。それでは本件を議院の会議に付し、内閣に送付することを要するものと決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(千田正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○理事(千田正君) 次に請願第三千二百九十三号、請願の紹介者は藤野繁雄議員からであります。紹介者の御説明を願いたいと思います。秋山委員から代つて御説明があります力
○秋山俊一郎君 この請願は長崎県北松浦郡小値賀町長近藤政敬氏からの請願でございます。この小値賀港と申しますのは元笛吹港と言つておつた港でありまして、小値賀港というよりは笛吹港と言つたほうが通りがいい港でございます。これは今日では日本の一番西の端になつておる地点でございまして、東支那海から朝鮮南端方面の極めて有力な漁場を控えております前線の基地とされまして、ひとり長崎県のみならず山口、広島、福岡、高知、熊本、鹿児島といつたような遠隔の各県からも多数の漁船が出漁いたしまして、毎年一月から五月まで、或いは八月から十一月までの鰮の揚繰網の盛漁期には、毎日四百隻から六百隻の漁船がここに集つております。更にそれに積取りの運搬船等が港内に入つて参りまして、殆んど四重、五重に船が停泊するわけでございます。従つて一朝風波のときには非常な損失ともなりますので、この港は西のほうに相当広い水面を持つておるのでありますが、防波堤がないためその水面に船を留めて置くことができない。従つてかような殷盛を極めておる港でございますので、是非ともここに防波堤を西のほうに築造し、更に護岸を施しまして、そうしてこれらの漁船が安全に停泊し操業のできるように基地としての面目を改めたいというのが趣旨でございます。 この請願につきましてはこの請願書にも附いて、おりますように、各県多数の出漁者からの同意書と申しますか、希望の署名かございまして、是非速かにやつてもらいたいという希望を付しておるわけであります。水産庁におきましてはすでに御調査済であるかと存じますが、この機会に是非お取上げ下さいまして、この港の修築を一日も早く完成いたしまするように、委員各位の御賛成をお願いいたしたいと思います。
○理事(千田正君) 只今の第三千二百九十三号の請願に関しまして、水産庁漁港課長からの御所信を承わりたいと思います。
○説明員(林真治君) 小値賀港を具体的に申しますと、今御説明がございましたように笛吹のことだと考えるのでございます。小値賀町にはたくさん小さい港もほかにございますが、この中心でありますいわゆる笛吹を中心といたしました小値賀漁港につきましては、附近に鰮、鯖等につきましての極めていい漁場がありますので、重要な根拠地と考えるわけでございます。曾つて昭和の最初、初め頃だつたと思いますが、一応の修築をしたのであります。港内が狭い、なお且つ浅いというようなことで改良工事が施されておるわけであります。ところが第一次に立てておりまするいわゆる整備計画には、いろいろな関係で採択をされておりませんので、私どもといたしましてはいろいろな国の情勢なり、或いは水産業の情勢なり、そういう変化の起つて参りますために、この整備計画というものにつきましても、近く何らかの形で再検討を加えたいと考えておるわけであります。従いましてこう言つた重要な漁港につきましては、整備計画改変の場合におきましては、当然その計画にも取入れられることと考えます。いわゆる漁港整備計画に載せまして、成るべく早い機会に予算の獲得に努めまして、事業の実施に移して参りたい、こういうふうに考えております。
○理事(千田正君) 本件を議院の会議に付し、内閣に送付することを要するものと決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(千田正君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○理事(千田正君) 次に先ほどお話しいたしました議員派遣の報告のうちに、特にいろいろ御参考になる点の問題がありますので、秋山委員かられ話を伺いたいと思いますが、お差支えございませんか。
○秋山俊一郎君 委員のかたがもう少し多いといいと思いますけれども、それでは過日松浦委員と共に調査をいたしました問題につきまして、簡単に御報告申上げたいと思います。 七月十四日の夜東京を発ちまして、翌日十五日に岡山に着きました。そうして午後の一時から県庁で会議をいたし、翌日十六日に倉敷レーヨンの工場を視察いたしました。そうして十七日に広島市の三次製紙工業を視察いたしました。そうしてその日に午後一時から広島県の農協ビルにおいて会議をいたしました。十八日には高松市の松山の県庁に参りまして、そうして午後一時から会議をいたしました。そうして翌十九日には更に愛媛県の西条の実情を、西条市におきまして愛媛県の業者にお集りを願つて会議をいたしました。そうして新居浜を経まして二十一日の朝帰京いたしました。この調査した主たる問題は、水質汚濁による問題でございますが、同時に丁度瀬戸内海の水産開発計画がございましたので、これも併せて協議をいたしました。その他一般の水産問題について調査をいたした次第であります。大体参会をいたしましたものは県庁の関係各部課長以下係官、それから水産試験場、これは地方中央共に出席を見ました。そうして県漁連及び関係の漁業協同組合の幹部、それから今度は工場、鉱山の会社のかたがた各々各県大体四十名から八十名くらいの人が集つて頂きました。各県によりましてそれぞれ事情が多少変つておりますけれども、大体において水質汚濁の問題は似たような結果になつておるのであります。 先ず岡山県といたしましては、大体岡山県が農業県でありますために、鉱山或いは工場等の水質汚濁という問題は多少ありますけれども、それよりも干拓による水産の被害が非常に多い。水質汚濁の問題に対しましては他県に比較して割合に少いのでありますが、最近化学工業が興りて参りまして、そうして、水質汚濁の起つている問題は、製紙工場とか或いはガス会社、製紙工場が七つほどあります。ガス会社が三つ、人絹工場が二つ、鉱山が五つ、化学工場が四つ、澱粉工場が四つ、石炭セメント工場が二つ、精錬所が一つということで合計二十入ほどあるようでございます。これらの会社、工場、鉱山等からの排出されます汚水によりまして水産業者が蒙つた被害に対しまして、大体補償と申しますか、見舞金といつたようなもので話をつけて参つたものが三十三件ほどあるようであります。そうして製紙、クレー、化学工業等がおのおの一件ずつになつておるようでありますが、大体これを見ますと大きな資本を持つております会社、工場のほうは比較的設備も多額の金をかけまして浄化設備であるとか、中和設備等をやりまして排出する水質も有毒物質の含有成分が非常に少くなつておるようでありますが、資本の少い工場におきましてはどうともしようがないので、設備をすれば会社が潰れるといつたようなことから、どうもこれがうまく行つておらん。従つて中には沈澱設備等をやつていると言つていますが、これを完全に活用していないというような嫌いがありまして、しばしば水質を汚濁して業者と問題を醸しているようであります。各業者は工場ではそういうふうに設備をしているから害はないはずだと言つておりますが、実際において貝が斃死するとか、従来たくさんの養殖をやつておつたものが忽ちにして死んでしまう、或いは海藻が枯死してしまつて、そこに集まるところの、そこで産卵し、或いは生育する稚魚が育たないで、現実に被害があるということで、結局水掛論になつているような場合が多いようであります。時間の関係上大体掻いつまんでお話を申上げますが、大体今申上げたようなことが各県に共通の問題であります。 従つて、これを我々が結論的に見ました場合にどうなるかという結論を申上げますと、大体各県ともに、大きな資本を持つているものは施設をしているが、小さいものは施設をしていない。中には水が真赤になつて流れておりまして、どうともしようがない。工場へ言つて行くと、これをどうかするためには私の会社は潰れてしまいます。だから沈澱装置などして成るべくその害のないようにしておりますが、何ともしようがないといつたようなことで、これを阻止するところの、或いは規制するところの法律も何もない。それで今のところはそういうところは流し放しで、大きな問題が起れば、これは見舞金でも出して漁業者をなだめているといつたような姑息な方法でやつているようであります。それから大きな工場は設備をしております。倉敷レーヨンのごときは一億何千万円もかかるような装置をしておりまして、出ておる水を見ておりますと殆んど普通の水と変らないような状態で出ておりますが、更に漁業者に言わせるとそういう設備をしているかも知れんが、その出ておるところから魚が死ぬのであつて、まじめにやらないでときどき係りのものが変なものを流すのじやないかといつたような疑心暗鬼も相当あるようでありまして、会社側との間でいろいろ応酬がありましたが、結局現在のところでは大きな工場は相当の設備をして、先ずこれでいいのだという状態になつておるようであります。それから漁民側としての強い訴えというものはどうも害が起つたときには、こういうふうにして魚が死んだ、貝が死んだといつて持つて参りますが、さて実際の問題となりますとこれを取極める極め手もない。要するに科学的の何らの根拠が出ておらんのです。例えば貝類が死んだという場合に、これは汚水による被害であるということを漁業者は断定するが、会社のほうでは、いや、そういうものは流しておらんのだ、現実に死んでいるじやないか、それは他の原因だろう、時化のあとの泥をかぶつたのだろうというので、ここがあいまいになつている。これはいずれにしましても、我々としてはもつと研究をしつかりやりまして、そうしてその斃死した原因を突きとめるということが必要であると思いますが、内海水産研究所の所長及び技師が参つておりまして、それらの人にそういう問題が起つたときにはすぐに連絡をして調査をしてもらうそうであるが、結局どうも排水による被害であるということを的確に掴むことができない。従つてうやむやになる。会社側もそこにはつきりした証左が挙らないものだから、それに対する補償をするという域にも達しないが、著しく何かの関係でまあ急に斃死するという場合には、気の毒だからというので水質汚濁によるということよりも、見舞金として出すといつたような程度でやつておるようでありますが、或る県におきましては、年末にどうにもこうにもならんからといつて泣きついて行くと、年越の金だどいつて僅かな金を包んでそうして業者に与える。業者はそれを喜こんで持つて帰るといつたような、誠に哀れな状態にあるところもあつたのであります。私どもとしてはどうしてもこの問題は科学的にもう少し研究して行かなければならん。内海試験所のごときものは非常に研究には便利がいい。貝類もあり漁類もあり海藻もあるし、水の動きも比較的少いのであつて、工場、鉱山から排出する水が多い。そこでこれを生物学的に研究するならば、急には行かんかも知れないけれども、いずれかの時期にその斃死の原因等を突きとめることができる。私はこういうことを言つたのです。人間が死んだ場合には医者がおつて、その死因をはつきり突きとめる、これは他殺であるか自殺であるか、尤もわからんのもありますが、解剖して見ればどういう毒によつて毒殺されたとか、或いは打撲傷によつたとか、死因は大体わかるのであるが、魚も研究すればわかるのじやないか。例えばかきが死んだ。いち早く、死んだときに検査して見れば、どういう状態によつて死んでいる、これは硫酸の害、これはアルカリ性の害だということがわからないはずがないのだが、それがどうなつているかということを聞いてみると、全然わからないで、かきの解剖図というものは日本にはないのだ、外国にはあるけれども、外国のかきを日本に当嵌めるわけには行かないという、まあ一例を挙げればそういうような状態にあるので、誠に心許ない研究所の説明でありました。従つてこれらに対する状態は僅かに若い技術者が一人おりて生物を研究しているというようなことであるからして、それは要するに予算の問題等に関連する問題であるから、我々としても十分これらのものを推進して、何とか早くそういう基本的な問題を解決しなければ、仮に法律ができてもその法律によつてこれを規制して行く途がないじやないか、こういう感じを深くしたわけであります。それで地元の町村としては、日本が今後工業を以て経済を立てて行かなければならんということもよくわかつておる。県や市が工場を誘致することも止むを得ない。地方の発展のために止むを得ないという感じは持つているが、併しそのために水産業者、漁業者がひとり犠牲になるということはかなわんのだ、従つてその工場等ができる場合には十分に浄化装置なり何なりをして、水産業者に害のないように一つやつてもろうならば、工場鉱山ができることに何ら反対するものではない、かような意見を申しております。で中にはそういう工場、鉱山ができたために、県や市に対して相当大きな税金が入つて来るだろう、その税金で以て浄化設備をするなり、或いはそういう被害の補償をするなりといつたようなことを考えてもらいたいというような強い希望があつたのであります。まあ要するに我々としては現在の状態において工場のほうはどんどん発達して行くが、それによつて来る害に対する研究が全くない、殊にこの水というものに対する調査研究が殆どなされておらん、我々が飲料水として用いる水にしましても、或いは農業の灌漑用として使う水にしましても、いわんや水産物の保護繁殖にしましても如何なる害があるかというようなことは、全然今のところ調査ができておらん。この間五人の権威者を呼んで調査をいたしましても、これには的確に魚類に及ぼす影響の度合についてはやはり漠然としているのでありまして、これらの点を今後十分に研究をし調査をして、その基礎を作つた上に法律の、いわゆる法理の裏付というものを作つて行かなければならないのではないか、工場、鉱山等のそれぞれの害につきましては、この報告書にしたためてありますので、後日御調査なりお読みを願いたいと思いますが、大体水質の汚濁については以上のような問題でありまして、この間ここで調査しました同和鉱業のごときは相当に施設をしていると、併し又一面港を浚渫するために泥をひつくり返してしまう。そこに鉱山の鉱石を積取つたやつをどんどん積んであるのをひつくり返したためにその害が及んで来るとか、或いは中には終戦後火薬などをその海の中に沈めた、或いは毒ガスをたくさん瀬戸内海の中へぶちこんである、そういうものの処置が誠に危険であるといつたようなことの話もありまして、とにかくまあ皆さんが今後御調査になりましても、これを完全に処理する設備というものは先ずないと思いますが、小さい工場、鉱山においては誠に姑息な方法、姑息な方法も取つておらんところが多かろうと思います。その点を我々としても非常に遺憾に存じておりますので、我々としても勿論漁業者のみのことを考えるわけじやないのですが、そういつたまあ今後処置せにやならん問題がたくさんあるということを申上げておきたいと思います。 それからこり瀬戸内海の開発計画につきましては、やはりこの調査書にしたためてありますので、後刻御覧を願いたいと思います。時間がございませんので大変簡単でありますが、大要は以上のようなことでございますので、御了承願いたいと思います。
○理事(千田正君) 時間も大分過ぎましたので、本日はこれで散会したいと思いますが、何か又御意見ございましたら……散会してよろしうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(千田正君) 本日の委員会はこれを以て散会いたします。 午後三時五十四分散会